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2017年2月8日 (平成29年2月8日) 平成28年度 第2回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成29年2月8日(水)
13:30〜16:30


○場所

化学会館7Fホール
(東京都千代田区神田駿河台1-5)


○議事

 

○司会者(森田) それでは、定刻となりましたので、ただいまより「平成28年度第2回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション」を開催いたします。まず最初に、お手元の資料の御確認をお願いいたします。ホチキスどめの基調講演資料が1部、A4のピンクと水色のアンケート用紙が1枚ずつ、こちらピンクは休憩時間に回収いたします。あとは、はがき大の赤と青の厚紙が1枚ずつお手元におありでしょうか。この赤と青の厚紙については後半で御説明いたします。
さて、このリスクコミュニケーションですが、働く方の健康障害を防止するために、厚生労働省が行っております化学物質のリスク評価に当たりまして、関係する事業者の方、また、事業者の団体の方との情報共有、意見交換を行うために実施しているものです。

  厚生労働省からの委託を受けまして、テクノヒルが昨年度に引き続き運営を担当しております。私は司会のテクノヒルの森田と申します。よろしくお願いいたします。

  それでは、本日のスケジュールについて簡単に御説明いたします。

  まず「三酸化二アンチモンのリスク評価及び措置検討の結果について」を厚生労働省の検討会である化学物質のリスク評価検討会及び労働者の健康障害防止措置に係る検討会の委員でいらっしゃいます慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室教授の大前和幸先生に御講演を 30 分ほどいただきます。

  次に「化学物質のリスク評価を踏まえた健康障害防止措置の導入について〜三酸化二アンチモン〜」について、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室の化学物質情報管理官の米倉隆弘様に御講演を 15 分いただき、続いて、「労働者の健康障害防止に向けた改正安衛法に基づく化学物質管理の促進〜リスクアセスメントについて〜」を同じく化学物質対策課中央産業安全専門官の寺島友子様に 20 分お話をいただきます。

  以上の基調講演が終わりましたら、一旦 20 分の休憩といたします。休憩時間に1回目のピンクのアンケート用紙を事務局で回収いたします。ピンクのアンケートに、基調講演をお聞きになった御感想、疑問点、御質問点などについてお書きいただいて、会場の事務局へお渡しくださいませ。後半の意見交換は、会場からいただいた御意見を踏まえた形で進めてまいります。

  後半の意見交換会では、コーディネーターを長崎大学広報戦略本部准教授の堀口逸子先生にお願いし、パネリストとして基調講演をいただきました大前先生、厚生労働省の4名の方にお入りいただいて、疑問的にお答えしていきます。

  意見交換は、まず1時間ほどはピンクのアンケートにお書きいただいた御質問について御回答し、その後、 30 分ほどは会場からの御質問を直接お受けいたします。御質問は匿名で大丈夫です。

  なお、この講演会につきましては、後半の意見交換を含めて、議事録作成のために録音をしております。録音の関係上、最後の質疑応答の際はマイクをお渡ししますので、マイクを通して御質問をお願いいたします。

  全体の終了は4時半を予定しております。

  それでは、最初の基調講演「三酸化二アンチモンのリスク評価及び措置検討の結果について」を大前先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 

基調講演

「三酸化二アンチモンのリスク評価及び措置検討の結果について」

 

○大前 皆さん、こんにちは。慶應大学の大前でございます。

  前半 30 分程度お話をいたしたいと思っております。皆さんのお手元の資料の資料1の部分になります。お話しする順番は現在、厚生労働省がどういうような手法でリスク評価をやっているかという手順のところ。それから、きょうのテーマであります三酸化二アンチモンの健康リスク評価について。3番目が三酸化二アンチモンの措置検討会の結果についてということで、3つのお話をいたします。

 

(スライド1)

  まず、それでは最初に今、実際に厚労省で行っておりますリスク評価のルールといいますか、手順についてお話をいたします。

 

(スライド2)

  労働現場で取り扱われている化学物質は非常にたくさんあって5万とか6万とか言われておりますけれども、そのうち年間に 1,000 物質くらいが新規で提出されるそうです。こういう現状にあります。

 

(スライド3)

  これは最近の平成 10 年からの新規化学物質の届出状況ということで、ごらんになりますように、ここで 1,000 でございますから、最近は 1,000 を超えるような量で新規の物質が入ってきているということになります。

 

(スライド4)

  これは現在の化学物質の管理の法的な体系でございます。さっきの6万というような数字はとても取り扱えないということで、御存じのように一番上の石綿等の物質、 PCB 等の物質と4段階に分かれておりまして、全体で六百幾つだったと思いますけれども、六百幾つくらいの化学物質が物質別で記載されております。

 

(スライド5)

  実際に化学物質の管理のやり方です。「過去の対策」とありますが、以前はハザードベースの規制でした。何かが起きる、あるいは起きたということをベースにして規制しておりました。したがって、起きた後ということで後追い型の規制でございました。

  平成 18 年度以降は、今度はハザードベースではなくてリスクベースの規制にするということで、やり方が変わりました。事業者が自主的にリスク管理を実施し、その結果に基づいて自主的な管理をするということはいいのですけれども、ただし、重篤な健康障害のおそれがあるような物質。例えば、発がん物質みたいなものを想定していますが、そういうものにつきましては、事業者は当然としても、国がみずからリスク評価を行ってリスクが高いという判定をされた場合は、それらの状況に応じてリスクアセスメント等々を行っていくという形になりました。

 

(スライド6)

  逆に言いますと、何も起きなくてもリスク評価に係る。例えば、日本での状況がなくても、その物質が世界的に発がん性のある等々の情報があれば、リスク評価に係るということになります。

  これがリスク評価のスキームになります。まず最初にリスク評価をすべき物質を選ぶという委員会でございまして、ここで物質を選定いたします。その物質に関しまして、ばく露作業報告、日本でどれくらいの会社がどれくらいつかっているかというような報告を求めます。それでリスク評価のスキームでして、一体その物質で何が起きるか、有害性の情報というのは何が起きるかという定性的な判断、ハザードは何かという判断であります。次に、そのハザードはどれくらいの濃度で起きるのかという量の関係です。それをやる。

  この2つを調べまして、では、実際にどれくらい使っているか。あるいは実際にばく露実態調査、国が会社のほうにお願いしまして、その濃度を実際に測定してみるということをやって、ばく露評価をやって、この両方を突き合わせて、このリスク評価有害性評価結果に比べて十分にばく露が少ないということになればいいのですけれども、やはりある程度はばく露があると。すなわちリスクがあることが否定できないというような結果になりますと、その次にどうしたらいいかということで、健康障害防止対策のほうに行くわけです。すなわち、この四角の中はリスク評価をする部分で、リスク評価の結果、リスク管理をするほうの委員会に話が行くということです。リスク評価の時点でリスクが小さいと判断されれば、それはそれでおしまいということになります。

 

(スライド7)

  これは今、言ったことの繰り返しになりますけれども、有害性の評価ということで評価値を決めて、実際にばく露をはかりまして、リスクを判定するということです。

 

(スライド8)

  実際のリスク評価としては2段階でやっております。1つは、最初の初期リスク評価というのがあります。こちらの絵ですけれども、ここにばく露評価はどれくらいのばく露があるかという実際の測定値をはかります。有害性評価、リスク評価をやった結果、一次評価値、二次評価値という数字を決めます。この青い線が一次評価値の線、赤い線が二次評価値の線になるのですけれども、実際に測定をしまして、全ての測定値が例えば、青い線の下でしかばく露がなければ、これは全然リスクが低いということで全く問題にならない。この赤い線、二次評価値よりも低ければ、やはり現時点ではリスクが高くないという判断で、これでおしまいになるということです。

  ところが、この二次評価値を超えるようなばく露が実際に観察されるということになりますと、では、初期ではなくて、もう少し詳しく調べましょうかということで、詳細リスク評価に行きます。すなわちリスク評価を2回やるということです。リスク評価を2回やりまして、同じように濃度が高いところがあるということで、リスクがあるということになりましたら、では、リスクは無視できない、あるという判断をして何をするかと言いますと、そのリスクが起きるところはどこなのだということを調べます。その場所は特定の会社のみとか、あるいは特定の場所のみという非常に狭い範囲で同定できれば、それはその会社だけの問題だろうということで、全体としての規制等にはいかない。その会社に対する指導ということになります。そうではなくて、何社かが、あるいは同じような作業形態、あるいは作業の幾つかのところが二次評価値を超えるようなことがあるということになりますと、これは一会社の問題、あるいは一作業場の問題ではないということで、全体としての管理をする必要があるということで、こちらのフローに行くわけです。

 

(スライド9)

  これはそれをまとめたものです。一次評価値、二次評価値は何か、どういう意味を持っているかということは、皆さんは後でお読みになってください。

  ここで一つ、ばく露評価のところで言っておかなくてはいけないのは、実際に濃度をはかって、それで二次評価値を超えるというのは当然ですけれども、それプラス、データの数が幾つか出てきますから、そのデータをもとに区間推定をやりまして、上側5%の値がやはり二次評価値を超えているようなレベルになりますと、これも一応、ばく露のリスクがある。すなわち健康リスクを考えなくてはいけないというような判断をしますので、だから2種類の判断をしているということです。実測値で判断する場合と分布を考えた場合の計算値の上側5%値、 95 パーセンタイ値ですけれども、それが二次評価値を超えるというようなことになれば、これも高い濃度であると。ばく露リスクがある濃度であると評価をするというような形になっております。

 

(スライド 10

  そのようなことで、三酸化二アンチモンに関してやったらどうなったかというのが、次のリスク評価になります。

 

(スライド 11

  リスク評価の結果ですけれども、有害性評価に関しましては、いろいろな文献を集めまして、実際にどれくらいの濃度で一次評価値あるいは二次評価値を決めるか、つくろうかということになって、最終的に有害性評価の結果、二次評価値を 0.1 といたしました。この 0.1 の数字を持ってきた根拠というのは、日本産業衛生学会の許容濃度を使っております。今回は場の評価ではなくて、ばく露評価。作業場の評価ではなくて、個人個人のばく露の評価をしておりますので、日本産業衛生学会の数字を持ってくることに関しては特にそごはございません。

  一応、基本的なルールとしては、二次評価値に関しましては日本産業衛生学会の許容濃度もしくは ACGIH 、アメリカの許容の委員会みたいなものですね。 ACGIH の勧告している濃度、ここら辺を原則持ってきます。アンチモンに関しましては日本産業衛生学会の数字を使いまして、 0.1 を二次評価値にいたしました。ばく評価は実際にばく露濃度を測定したらどうなるかと言いますと、個人ばく露の最大値は 0.4 という数字でございました。分布から計算した値は 0.59 という値でした。したがって、この 0.1 を超えているということで、リスクがあるよと。濃度が高いですよという判定になったということになります。

 

(スライド 12

  そういう形でリスク評価が終わったわけですけれども、基本情報としては、三酸化二アンチモンはこんなもので、難燃助剤として主に使われているということです。それ以外に繊維のポリエステルをつくるときの重合のときの触媒等々にも使われております。

 

(スライド 13

  有害性評価結果の概要です。発がん性に関しましては、 IARC 2B 、可能性があるということ。急性毒性は LD50 等々がこのような値になっていて、急性毒性は比較的弱い。それから、皮膚感作性等々は、ここに書いているようなことが起きております。皮膚のアンチモン疹という、三酸化二アンチモンを扱っている方によく出る皮疹があります。三酸化二アンチモンに触れますと、人によっては赤いぽつが出るというのがございます。それがアンチモン疹と言うのですが、それがここに書いてあるものだと思います。そういうものがあるという意味で、あれは刺激性なのか感作性なのか実際はよくわかっていないのですけれども、いずれにしても現象としてはそういうことが起きるということです。

 

(スライド 14

  先ほど言いました ACGIH と日本産業衛生学会を比べますと零コンマ幾つということで、二次評価値を 0.1 にしたということです。ただ、これは後ほど質問にもあるかもしれませんけれども、今ここでお話をしているのは三酸化二アンチモンという一つの化学物質でアンチモンの化合物の話ですが、実は日本産業衛生学会の 0.1 というのは硫化アンチモンのデータを持ってきて 0.1 をつくっております。日本産業衛生学会というのはアンチモン及びその化合物という、アンチモン全体で考えております。三酸化二アンチモンのみで考えているわけではないので、アンチモンのほかの化合物で見られた影響の濃度から推定した値の 0.1 をとっているということで、この 0.1 は三酸化二アンチモンの濃度ではないと言えないこともありません。三酸化二アンチモンの動物実験等を換算して考えますと、まあまあいい値だと思いますけれども、許容濃度の提案をごらんになるとわかると思いますが、直接的には三酸化二アンチモンのそれではないですが、非常にいい線を行っていると思います。

 

(スライド 15

  ばく露評価結果ですけれども、作業所の報告がございまして、労働者数が1万人くらいいらっしゃるということですね。初期評価、詳細評価で、 12 事業場で合計 39 人の方の個人ばく露を測定しました。

 

 

(スライド 16

  用途はこんなものです。測定数ですね。対象物質の製造をしているところ、原料あるいは難燃剤としての使用等々で、全部で 39 です。

 

(スライド 17

  これは実際に測定された分布になります。これは横軸の一つ一つのバーは、一人一人のデータです。 39 人全部は示してありませんけれども、それを右から高い順に並べてあるというのがこのグラフになります。二次評価値は 0.1 としましたので、今回は 39 人中8人の方のばく露をはかりましたら、二次評価値を超えているということで、これは実測値になるわけです。こういうことなので、健康リスク評価はあるという判断になるということになります。先ほど言いましたけれども、上側5%も同じように 0.1 をもちろん超えております。ということなので、リスクはあるということです。

 

(スライド 18

  具体的な中身を見ますと、例えば、酸化炉とか溶融炉とか炉前作業あるいは粉体作業を行う作業所においては、こういうところで高いばく露が観察されました。揮発炉という言葉と酸化炉という言葉がありますけれども、これは両方とも同じ意味です。いずれにしても、金属のアンチモンから三酸化二アンチモンをつくる炉の周辺あるいはできた粉状の三酸化二アンチモンをパッキングするところの周辺等で高いばく露が観察されたということになります。

 

(スライド 19

  そういう結果でございましたので、リスクがあるということで、では、どのようにマネジメントをしていくかということで、措置検討会、マネジメントの検討会が開催されております。

 

(スライド 20

  全部で8回、マネジメントの検討会がございました。当然マネジメントの検討会でございますので、ステークホルダー、各企業の方々にも御出席いただいて、御意見を伺うということを当然やります。これももちろんやりました。今回、三酸化二アンチモンの場合は工場を見学させていただくというようなこともやらせていただきました。非常に協力をいただいて、ありがたかったと思います。そういうことも含めて、全部で8回の検討をやりました。

 

(スライド 21

  その結果として、三酸化二アンチモン及び三酸化二アンチモンを含有する製剤で、これは読みにくいのですが、管理第2類物質ということにいたしました。それに応じてさまざまな抑制、義務等々がかかってきたということになります。特別管理物質にも指定しております。これによって、さまざまな記録、健康診断の記録あるいは作業環境測定の記録等を 30 年間保存するという、会社のほうにとっては少し負担になるような義務づけもなされました。

  会社の方々にヒアリングをしている中で、先ほどポリエステルを合成するときの触媒としても使うという話をしましたけれども、そちらのほうに関しましては三酸化二アンチモンが直接飛散することはないだろうと。あるいは仮に飛散をしたとしても非常に低濃度だろうということが推定されましたので、樹脂等で固形化されることにより粉じんの発散するおそれがない三酸化二アンチモンを取り扱う職場に関しましては、今回の規制から除外したということになります。したがって、主として三酸化二アンチモンをつくるところ、粉状の三酸化二アンチモンを扱うところ、つくるところが規制対象になったということになります。

  それで実際に見せていただきまして、先ほどの場所によってですけれども、湯出しの作業とか、あるいは製造炉、酸化炉等に付着したものをかき落とすところ。こういうところはばく露量が多いということで、そういうところに関しましては排気装置、全体換気あるいは局所換気あるいはマスクの着用等をしっかりしてくださいというようなことを書き出したわけです。

 

(スライド 22

  それから、やはりどうしても粉物というのはなかなか扱うことが難しくて、単に一次発じん源だけをコントロールしても、周りに散らばった二次発じん源です。周りに散らばった粉が舞い上がって、それでばく露するということがありますので、単純に一次発じん源だけではなくて、二次発じん源の防止対策もしっかりやってくださいということです。 湿潤な状態の三酸化二アンチモンに関しては、適当な密閉化、局所排気装置等をやってくださいということです。

  粉物の場合は皆さんは経験があると思うのですが、別に三酸化二アンチモンに限らず、粉をコントロールするのは結構難しいということは経験されていると思います。特に一次発じん源はちゃんとコントロールできているのに、血中の鉛が高いとか、そういうことがあるのです。これはもう間違いなく二次発じん源から、例えば、ダクトの上にたまっている堆積粉じんとか、あるいは機械のコントロール盤、制御盤の上にたまっている粉とか、もちろん床に落っこちている粉とか、そういうのをフォークリフトが巻き上げたり、あるいは局排をやっていると外からいっぱい風が入ってきますが、その風が比較的強風になってしまうのですけれども、それが巻き上げるということで、二次発じん源も結構重要になりますので、そちらの防止も十分考えていただかなくてはいけないということでございます。

 

(スライド 23

  ホームページのほうには、リスク評価書、今、言いました措置検討会、マネジメントをするほうの検討会の報告書が既に昨年の 10 月あるいは一昨年の8月に公表されておりますので、こちらを見ていただければと思います。

 

(スライド 24

  以上、私のほうのお話を終わります。ありがとうございました。(拍手)

 

司会 者(森田) 大前先生、御講演ありがとうございました。

  次に、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室の専門官である米倉隆弘様に「化学物質のリスク評価を踏まえた健康障害防止措置の導入について〜三酸化二アンチモン〜」について御講演をいただきます。

 

基調講演

化学物質のリスク評価を踏まえた健康障害防止措置の導入について

〜三酸化二アンチモン〜」

 

○米倉 ただいま御紹介をいただきました厚生労働省の化学物質情報管理官の米倉でございます。よろしくお願いします。

 

(スライド1)

  先ほど大前先生から御説明がございましたとおり、三酸化二アンチモンにつきましては、リスク評価をした結果、リスクが高いとされましたので、健康障害防止措置の内容も検討していただきまして、その内容を踏まえまして、規制を強化することを予定しております。その規制の内容でございますけれども、これから御説明します。

  まず、規制の体系ですが、重度な健康障害が生じるもので十分な防止対策がないもの、石綿等でございますけれども、製造禁止ということで8物質がございます。

  その次の段階ということになりますけれども、重篤な健康障害が生ずるおそれがあり、特にリスクの高い業務がある場合につきましては、特別規則で特に規制をしているところでございます。内容としましては、物質の特性に応じ、局排等の工学的対策、保護具の使用、健康診断、作業環境測定等の措置を義務付ける内容となっております。一部の物質につきましては、製造許可となっているものもございます。

  その下の段階でございますけれども、一定の危険・有害な物質、例えば、産衛学会とか ACGIH で許容濃度等の勧告ありのものにつきましては、ラベル表示、 SDS 交付、リスクアセスメントの実施というものが義務付けられております。この内容につきましては、私の次に講演をいたしますので、その内容を聞いていただければと思います。

  それよりも下のもの、危険有害性が確認されていない化学物質については自主的な管理をしていただくというところになっております。

  今回、三酸化二アンチモンにつきましては、ラベル表示、 SDS 交付、リスクアセスメントの実施の義務がかかっていたものから1段階引き上げまして、特別規則の規制をしていくという内容となっております。

 

(スライド2)

  具体的な規制の案の内容でございます。

 

(スライド3)

  こちらは、先ほど大前先生から御説明いただきましたとおり、リスク評価をした結果、リスクが高いとされたので健康障害防止措置の検討をしたというところでございますけれども、この検討結果を踏まえまして、現在、成文化をしているところでございます。

 

(スライド4)

  検討の結果を踏まえまして、健康障害防止措置の内容でございますけれども、対象となる物質につきましては、三酸化二アンチモン及び三酸化二アンチモンを1%超えて含有する製剤その他のものを規制の対象とすることとしております。措置の内容を具体的に言いますと、特化則の中で管理第2類物質に指定ということでございますけれども、この指定をされることによって、作業主任者の選任、局所排気装置等の設置等の発散抑制措置、作業環境測定の実施、特殊健康診断の実施、こういったものが特化則の管理第2類物質に指定されることで義務付けになります。

  先ほど特別管理物質に指定ということもございましたけれども、これは発がん性があるということで長期に管理する必要があるということでございまして、作業記録、作業環境測定の記録・評価、健康診断の記録の保存につきましては、 30 年間と長期に保存していただくことを予定しております。

  基本的には、三酸化二アンチモン及び含有する製剤その他のものにつきましては、先ほども申しましたように管理第2類物質として指定をするわけでございますけれども、適用除外作業というのがございます。樹脂等で固形化されることにより粉じんの発散のおそれがない三酸化二アンチモンを取り扱う作業でございます。

  こちらにつきましては、リスク評価、措置検討の中で、ペレット状の三酸化二アンチモンを投入したプラスチックの射出、成形作業につきまして測定をしたところでございますけれども、個人ばく露濃度測定で 0.034mg/ ㎥、A測定だと 0.00087mg/ ㎥、スポット測定でも 0.009mg/ ㎥と低い濃度であったことから適用除外にしても問題ないだろうということで、今回は適用除外作業ということで明記することを予定しております。

 

(スライド5)

  また、三酸化二アンチモンそのものを製造につきましてでございます。三酸化二アンチモンの製造の中でも製造炉に関する作業につきましては、いろいろと確認させていただきました結果、特殊な作業ということで特殊な管理を行うことが必要ではないかということとなったものでございます。その特殊な作業としましては、三酸化二アンチモンを製造する際の製造炉に付着した物(鋳付き等)をかき落とす作業とか、製造炉からの湯出し作業(滓取り、ノロ除去等)の作業でございます。こちらにつきましては、必要不可欠な作業で手作業で行うことからばく露が避けられないとか、局所排気装置等をつけると三酸化二アンチモンがうまくつくれない、求める品質の物がつくれないということで、どうしても局所排気装置等がつけられないということでございました。

  そこで特殊な作業の管理ということで、以下の措置を講じた場合には、局所排気装置等の設置を要しないということでございますけれども、以下の措置を具体的に言うと、除じん装置付の全体換気装置を有効に稼動させていただくこととか、労働者に有効な呼吸用保護具及び粉じんの付着しにくい作業衣を使用していただくとか、製造炉の作業を行う労働者以外の労働者の立ち入りを禁止し、その旨を掲示していただくということでございます。製造炉の周りの作業につきましては、こういった措置をしていただくということを考えているところでございます。

 

(スライド6)

  先ほど大前先生からも御説明がありましたけれども、二次発じんの防止というところもございます。この発じんの防止につきましては、他の物質の粉じん作業、例えば、特化則で言うと、インジウムとかコバルト、リフラクトリーセラミックファイバー、一般的な粉じんの粉じん則とか、石綿などと同様でございますけれども、床、窓枠、棚等は、水洗、超高性能フィルターつきの真空掃除機等により容易に掃除ができる構造にしていただくということ、毎日1回以上、粉じんを飛散しない方法により掃除をしていただくこと、使用した器具、工具、呼吸用保護具、作業衣等は、付着した三酸化二アンチモンを除去しなければ、作業場外に持ち出しをできないこと、そういった措置をしていただくということでお願いしたいと考えております。

 

(スライド7)

  措置検討の中で、粉状のものを湿潤な状態、すなわち、スラリー化したものとか溶媒に溶解したものについて取り扱う場合はどうなのだという話がございました。こちらにつきましては、密閉化とか、局所排気装置、プッシュプル型換気装置等の設置は必ずしも必要としないというところでございまして、湿潤化している限りにおいては、そういった発散抑制措置を必要としないというところでございます。ただ、それ以外の措置、作業環境測定とか特殊健康診断、その他もろもろございますけれども、それについては対象になるというところでございます。

  この湿潤な状態ですけれども、乾燥した場合につきましては、粉じんが飛散する可能性があるため、湿潤な状態を保っているかどうかということを定期的に確認する必要があるということもございますので、作業環境測定とか特殊健康診断等はしていただく必要があると考えているところでございます。

  この「粉状のものを湿潤な状態」というところでございますけれども、例えば、粉状のものを購入してきて湿潤な状態にする場合につきましては、湿潤な状態になる前のものを取り扱うことになりますので、そういった場合につきましては局所排気装置等の発散抑制措置が必要になってくる。湿潤にした後は、ずっと湿潤な状態を保つ限りにおいて、局所排気装置等を要しないということでございます。

 

(スライド8)

  今まで御説明した内容をまとめたのがこのページになります。規制対象の範囲は、「三酸化二アンチモン及び三酸化二アンチモンを重量の1%を超えて含有する製剤その他のもの(ただし、樹脂等により固形化されることにより、粉じんの発散するおそれがない三酸化二アンチモンを製造し、又は取り扱う業務は適用除外)」でございます。

  主な規制につきましては、発散抑制措置ということで局所排気装置の設置等。なお、湿潤な状態で取り扱う場合は局所排気装置等の設置は必須ではないというところでございます。後ろに続いております「作業主任者による湿潤な状態の確認が必要」というところでございますけれども、ここについては削除しておいてください。実際には管理していただく必要はあるのかなと思いますが、法令的には明示しない予定でございます。

  粉じんの飛散しない方法による作業場の清掃(毎日一回以上)、作業場外への粉じんの持ち出し防止措置。

特殊な作業の管理につきましては、先ほど説明したとおり、三酸化二アンチモンの製造に限る内容となっております。

作業主任者の選任。

作業環境測定は、6カ月に1回、測定、評価していただいて、その結果につきましては 30 年保存。

特殊健康診断。

特別管理物質としての措置で記録の 30 年間保存というところでございます。

  施行日につきましては、平成 29 年6月1日を予定しております。こちらにつきましては、まだ法令化の作業をしておりまして、確定していないところでございますけれども、今のところはこのスケジュールに向けて作業をしているところでございます。

  経過措置につきましては、局所排気装置等の設置の計画の届出でございますけれども、施行日から3カ月以内に設置、もしくは移転し、またはこれらの主要構造部分を変更しようとする場合は適用しないとか、作業環境測定・発散抑制措置・床の構造、作業主任者の選任につきましては準備が必要であろうということで、施行後1年間猶予することを考えております。

 

(スライド9)

  作業環境測定につきましては、少し詳細に御説明をします。「三酸化二アンチモンの製造、取り扱いを行う屋内作業場では、作業環境測定とその評価、結果に応じた適切な改善を行うことが必要」というところでございまして、6カ月以内ごとに1回、定期に、作業環境測定士による作業環境測定を実施。結果について一定の方法で評価を行い、評価結果に応じた適切な改善が必要。

記録の保存は 30 年となっております。

  管理濃度につきましては、アンチモンとして 0.1mg/ ㎥。試料採取方法につきましては、ろ過捕集方法。分析方法につきましては、原子吸光分析方法でやっていただくことを予定しております。

 

(スライド 10

  特殊健康診断の内容でございます。こちらにつきましても施行後、実施していただくことになります。

三酸化二アンチモン製造・取扱業務に常時従事する労働者に対し、雇入れまたはこの業務への配置替えの際、及びその後6か月以内ごとに1回、定期に、規定の項目について健康診断を実施していただくということになります。こちらに書いてあるものにつきましては、これまでの特化則の特殊健康診断の内容と一緒でございます。

  過去に常時従事させたことがある場合につきましては、他の業務に配置転換しても現在も雇用している労働者については、やはり同様に健康診断を実施していただくということになります。

異常所見がある場合は医師への意見聴取。

健康診断の結果につきましては労働者に通知。

健康診断の結果(個人票)につきましては 30 年保存。

特定化学物質健康診断結果報告書につきましては労働基準監督署に提出をしていただくことになります。

対象物が漏えいし、労働者が汚染されたとき、または労働者が対象物を吸入したときは、医師による診察または処理を受けさせることが必要となります。

  三酸化二アンチモンの健康診断の項目につきましては、一次健康診断につきましては、記載のとおりの1〜4の項目でございます。業務の経歴の調査。作業条件の簡易な調査。他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査。他覚症状又は自覚症状の有無の検査となっております。他覚症状とか自覚症状のものにつきましては、書いてあるような内容のものを確認していただくということになります。医師が必要と認める場合につきましては、尿中アンチモン量の測定とか心電図検査が求められることもあります。

  二次健康診断につきましては、一次健康診断の結果、医師が必要と認める場合でございますけれども、作業条件の調査。さらに医師が必要と認める場合につきましては、胸部エックス線直接撮影による検査若しくは特殊なエックス線撮影による検査、喀痰の細胞診、気管支鏡検査が必要となっているところでございます。医師が必要と認める場合の内容がございますので、そこは区別してやっていただくことになるのかなというところでございます。

 

(スライド 11

  参考情報としまして、ホームページにいろいろと情報を載せております。先ほどのリスク評価の結果とか措置検討の結果につきましては、こちらのアドレスのホームページに載ってございます。御説明した規制案の内容につきましては、パブリックコメントを実施しているところでございます。1月 31 日〜3月1日まで意見を募集しているところでございますので、意見等がございましたら、提出をいただければと思います。

 

(スライド 12

  以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

 

○司会者(森田) 米倉様、御講演ありがとうございました。

  続きまして、厚生労働省の同じく化学物質対策課、中央産業安全専門官の寺島友子様に 「労働者の健康障害防止に向けた改正安衛法に基づく化学物質管理の促進〜リスクアセスメントについて〜 」について御講演をいただきます。

  それでは、手島様、よろしくお願いいたします。

 

基調講演

「労働者の健康障害防止に向けた改正安衛法に基づく化学物質管理の促進

〜リスクアセスメントについて〜

 

○寺島 ただいま御紹介いただきました厚生労働省化学物質対策課の寺島と申します。よろしくお願いいたします。

 

(スライド1)

  私のほうからは、リスクアセスメントということでお話をさせていただきます。今ほどのお話にもありましたように、国によるリスク評価で高リスクとなったものや、昨年の 11 月に施行されましたオルト−トルイジンに関する特定化学物質障害予防規則の改正など、特にリスクの高いものに対して、以前は後追い的ともいわれましたが、今は少し先行的に実施してきている規制の強化があります。一方、今の時代、リスクアセスメントということで、法令遵守型のみならず、自主対応型への転換というものが求められているということがございます。リスクの高いものにだけ規制をかけていっても、なかなか労働災害防止というところに追いついていかないのではないか。そういう問題意識があって、今回の法律改正に至っています。御承知のように平成 26 年に法律が改正されまして、昨年の6月にこのリスクアセスメントの法令改正が施行されております。本日お話しする内容は1年半ほど前からあちこちでお話しさせていただいているので、一部の皆様にとっては若干復習的になるかもしれませんけれども、簡単なところからお話をしていきたいと思います。

 

(スライド2)

  リスクアセスメントの義務化ですが、昨年の6月から施行されております。化学業界の方には大体この話は広がっているのですが、それ以外の業界だと今でも取引先から、何か法令が変わったらしいとお聞きになったり、対応を求められたりして、どんな内容かと当方に質問される方もいらっしゃるので、少し最初のところから簡単に御説明をしておきたいと思います。

  今回の改正は災害の未然の防止ということで、内容が大きく3つの柱からなります。従来から、労働安全衛生法施行令別表第9に SDS の対象物質というものが 640 物質ありましたが、その物質について、この施行前と施行後を比較しますと、安全データシートの交付義務であった物質について、リスクアセスメントの義務とラベル表示の拡大ということで、この2つが大きく変わったところです。ラベルのほうは SDS の範囲と同じになりましたが、きょうのお話では、こちらのリスクアセスメントの義務付けということについて、お話をしていきたいと思います。

 

(スライド3)

  リスクアセスメントはいつ実施すればいいかということですが、法律上の実施義務はこちらに示すように、省令で規定されている事項ですけれども、当該物質を新規に採用したり変更したりするとき。あるいは作業の方法や手順を変えたりするとき、そして、新しい情報が SDS などによって提供されたときとなっています。こういった場合には法律上の実施義務が生じるので、速やかに実施していただく必要がありま。

  他方、指針による努力義務というのがあります。これは、義務のほうをごらんいただくとわかりますように、これまでと同じ物質を同じように使う場合には義務が生じない形になっているために、指針によって過去にリスクアセスメントを1回もやったことがないなどの場合であれば、きちんとやるようにしてくださいということです。努力義務は実施しなくても法違反ではないのですねというようなことを時々聞かれますけれども、リスクアセスメントの実施は私どもとしても力を入れていく必要があると考えておりまして、もし何もやっていないということですと、監督署のものが伺ったときに、義務ではないとしても指導書というような形で取り組みを促すように指導させていただく場合がありますので、積極的に取り組んでいただきたいとお願いをしているところです。

 

(スライド4)

  リスクアセスメントの流れです。基本的にはこのステップ5までございまして、まず特定をして見積もりをしてリスク低減措置の内容の検討をして、その結果について労働者に周知するという流れになっております。

 

(スライド5)

  リスクアセスメントのステップ1、危険有害性の特定の部分です。どのように行うかということなのですが、このステップ1が大切でして、各事業所において、どういう物質でどんな作業をしているかということをリストアップをしていただくということです。それぞれの使用物質について SDS を確認して、どんな危険有害性があるのかというのを確認します。

  具体的には塗料であれば、例えばこのような一覧表にして、右のほうにリスクの見積もりというのを書いていくという方法が一つあります。事業所ではまず SDS を確認するのですが、 SDS が手元にないというような場合は納入元に取り寄せを依頼していただきます。取り寄せできない、すぐに見たいというような場合にはデータベースも活用することができます。職場のあんぜんサイトのモデル SDS や、製品評価技術基盤機構のデータベース NITE-CHRIP 、日化協 BIG Dr 、などで危険有害性を把握することができます。

  危険有害性を確認しますと、例えば、シンナーであれば、引火性と急性毒性の両方がついているということがよくあります。よくこのリスクアセスメントはもともと健康障害の問題から制度化されたので、何か健康障害のほうだけを見ればいいのではないかと誤解されている向きがありますが、危険性と有害性の両方ある場合には両方を見ていただく必要があります。

 

(スライド6)

  リスクアセスメントの方法の前に、そもそもリスクは何かということですね。これも御承知の方は多いと思いますが、リスクというのは、その発生の可能性と重篤度、影響度とも置きかえられますが、それらのかけ算で表記されます。したがって、発生の可能性がゼロであれば、リスクは低く、あるいはゼロになる。健康影響の場合には、これを有害性の程度とばく露の程度と言っています。この場合も、有害性の程度が非常に低ければ、リスクは低くなりますし、有害性の程度が非常に高くても、ばく露がすごく少なければ、それもリスクが低くなり、逆のことも言えます。

  このようにリスクというものは、かけ算。均衡といったものから考慮されます。この考え方を踏まえつつ、法令でリスクアセスメントの方法、リスクの見積もりの方法というのを規定しています。このア、イ、ウというのが省令に規定されている事項です。やや抽象的ですが、そういう概念のもとにつくられているということです。

 

(スライド7)

  具体的方法ですが、特に危険性に関しては、その事象、災害が起こりそうかどうか、 10 年に1回程度なのか、1年に1回なのか、1週間に1度くらい起こりそうな事案なのかということをある程度、見積もって割りつけて、それによる影響の程度を見積もるというようなやり方が一般には行われています。マトリクス法とか数値化法とかいったやり方です。プロセス災害シナリオ、 HAZOP などの方法ももちろんこの概念に当てはまるものです。

  一方、有害性に関しては、ばく露の濃度を測定ないしは推定し、それを許容濃度と比較する方法というのが一般的にとられる方法ということになります。これ以外に「準じる方法」というのを規定していまして、今回リスクアセスメントの対象に特化物や有機溶剤も法令上は含まれております。そういったものについて、これから述べるようないろいろな方法を使う必要があるのかというようなこともございまして、法令に規定されている場合には、特化物なら特定化学物質障害予防規則で規定されている局所排気装置の性能であるとか、作業環境測定の結果であるとか、そういったものを確認することによってリスクアセスメントとしてよいというように規定をしています。

  以上が全体のリスクアセスメントのやり方、バリエーションということになります。

 

(スライド8)

  とは言いましても、では、具体的にどうやったらいいのかというのが皆様方の御関心事項であります。ここから簡単な例を順番で2つ、3つ御紹介をいたします。

  まず最初に、コントロール・バンディングを御紹介いたします。これももうご存知の方も多い話だと思いますが、コントロール・バンディングの特徴は、簡単で補完的な手法である、専門的知識が不要である、特別な費用がかからない。これがメリットです。これはリスクアセスメントの実施義務がどの事業所にもかかり、規模や業種にかかわりがないということから、最低限の義務として履行可能なものとして例示をしてきておりまして、まずはコントロール・バンディングでやってみてくれればいいですよというようなことで来ているものです。ですので、零細企業においても取り扱いが可能なツールとなっています。この上のほうに書いてありますように、 ILO で開発されたものがもとになっていまして、そこでも発展途上国の中小企業、つまりは余り資源がないようなところでもできるような方法ということになっています。

 

(スライド9)

  その中身です。コントロール・バンディングは厚労省の職場のあんぜんサイトに載っています。このように選択をしていきます。説明は少し省略しますが、液体と粉体について選択することができます。気体については、このシステムは対応をしておりません。

 

(スライド 10

  それから、物質とか GHS の分類区分を入力する欄がございます。これは有害性レベルの判定に使われます。一方、液体や粉体を選んだ場合に応じて、その取り扱い量のレベルを入力する欄があって、これは発散性の判定に使われることになります。

 

(スライド 11

  その判定のロジックはこのようになっていまして、有害性レベルのほうは GHS のクラス区分から、A、B、C、D、EとS、Sは Skin の略ですが、そういうふうに区分されます。発散性のほうは液体であれば、取り扱いの温度と沸点によって発散の程度というものが判定されるようになっています。粉体についてはその形状について判定されます。

 

(スライド 12

  それらを組み合わせまして、こちらに有害性ランクA、B、Cとありますが、それぞれの有害性のランクに応じまして、取り扱いの量と発散の程度について、リスクの程度というものが見積もられて、1〜4までのリスクの程度が出てくるということになります。

 

(スライド 13

  リスクレベル1〜4までありまして、それから Skin に対応するリスクレベルSもつきますが、これに対応するリスクの低減対策の方針はこのようになっています。

 

(スライド 14

  例えば、アセトンについて入力していくと最後にリスクレベルとレポート、それから管理対策シートというものが出てきます。ここには封じ込めの一般原則が例示されています。

 

(スライド 15

  いろいろな対策シートが出てきます。コントロール・バンディングは非常に安全側に評価されることになっておりますので、その出てきた対策がしっかりできていれば、本当に十分なわけですが、なかなかそこまでできないでしょうということもあると思います。そういった場合には検討の素材としていただく。あるいはその次のリスクアセスメントに進めていただくためのスクリーニングとして使っていただければと思います。

 

(スライド 16

  対策シートは選んだロジックによって出されますが、これまでどんなものが出てくるのかわからないとの指摘がありました。全パターンについてやってみれば出てきますが難しいというのもあります。このコントロール・バンディングにシステムの中に用意された対策シートを、先日、厚労省のサイトのほうに公開をしています。全シートを並べていますので、ごらんいただければと思います。例えば、バルクのものを移しかえるような作業についてのばく露防止対策のシートとか、そういうものが用意されていて、全部で 49 種類ありますので、御参考にしてください。

 

(スライド 17

  コントロール・バンディングが非常に簡単ということで、これを改良していろいろなものが出ています。

 

(スライド 18

  これは数字で割りつけた方法で、さっきのものに非常によく似ていますけれども、換気条件と取り扱いの作業時間を入れていまして、それで判定をするような仕組みになっています。これは通達で示している内容です。

 

(スライド 19

  今の相対的に尺度化した方法を援用しまして、特定の業種、すなわち印刷と工業塗装とめっき、小さい会社が多いと言われているところの業種に対応するものとして、支援シートというものを作成して、厚労省の職場のあんぜんサイトに載せていますので、こういったものも先ほどの有害性を特定して見積もって対策を検討するというものの例示として御活用をいただければと思います。

 

(スライド 20

  コントロール・バンディングだと簡単過ぎるしどこまで対応すればいいのかがわからないというような場合、 ECETOC-TRA というのがあります。これの一番よいところは定量的評価が可能であるということです。 ECETOC のサイトから英文でダウンロードをして使うのですが、英語ということもあり、日本版の操作マニュアルを提供しています。

  それから、日化協さんの提供で BIG Dr.worker というもので、日本語インターフェースで ECETOC-TRA を回す。定量的な評価が出てくる。いろいろな作業とか取り扱い量を入力すると、あなたの作業ではこういう ppm です。ばく露限界値1 ppm だから、それを上回っていますよというような評価ができるようなツールになっています。

 

(スライド 21

  これも一応モデルですので、理解さえできれば、無料で使うことができるというものです。

 

(スライド 22

  次に、実測値を用いる方法というのがあります。これは作業環境測定や個人ばく露測定がありますが、より簡易な測定として検知管などを使う方法もあります。検知管はメリット・デメリットがありまして、簡単な方法ですので、特に測定士とかがいなくても事業所の担当者の方でもできます。安く実施できるというのがありますが、多少精度が低くなるとか共存ガスの影響を受けやすいというものがありますが、そういったものを踏まえつつ、今は検知管を用いたリスクアセスメント手法について、別の委託事業で取りまとめを行っています。

  皆様、検知管というのはごらんになったことはありますか。ここに示したようなもので、ここに検知管、ガラス管の中に薬剤が封入されているものをつけまして、ポンプでぴゅっと引いて、空気中の有害物の濃度をその場で知るというものです。手順はここに書いてあるような内容を今まとめています。ばく露限界値や測定値を入力・評価するためのエクセルシートも支援ツールとして提供を考えています。これは新年度に入るまでには厚労省のサイトで提供したいと思っています。

 

(スライド 23

  いろいろなやり方がありまして、今までコントロール・バンディング、 ECETOC 、検知管とかをお話ししましたが、いろいろなやり方があります。どれを選べばいいのかというのは法令で決まってはおりません。事業所のほうで選択をいただくことが可能となっています。ここで精度、専門性、着手のしやすさとか書きましたけれども、それでもわからないというような場合に、こんなフローも例として考えられるかと思います。

 

(スライド 24

  まず、特化則であるかどうか。実測してみるか。実測しないのであれば、コントロール・バンディングか。もっと詳細なリスク評価が必要だったら ECETOC とか、それでもよくわからない。投資の前に1回測定しようというような場合もあるでしょうから、少し線がこちらの測定するほうに移る場合もあると思いますが、そういうようないろいろなやり方を通じて、リスク低減対策の検討につなげていっていただければと思っています。

 

(スライド 25

  爆発についても似たようなツールをつくっております。

 

(スライド 26

  省略します。

 

(スライド 27

  リスク低減対策の内容の検討です。リスクが高い作業について、代替化あるいは作業手順の変更、局所排気装置の設置などを検討します。リスクアセスメントのときに使う SDS ですが、情報がないことが安全とは限りませんので、リスク低減のために有害性が不明な物質に簡単に変えてしまうということについてはよく確認が必要ですので、御留意ください。

 

(スライド 28

  リスクアセスメントの結果を労働者に周知します。周知に当たっては、単に置いておくだけではわかりませんので、 SDS と一緒に教育をしていただきたいということをお願いしています。

 

(スライド 29

  ラベルでアクションというのを私たちのところでやっています。ラベルが来たら取り組みましょうという内容です。ポスターや普及ツールをつくっております。

 

(スライド 30

  リスクアセスメントのためには、 SDS が非常に重要で、どこかで途切れてしまうことがあるので、出荷する皆様には SDS を交付していますかということで、点検をお願いしているところです。もしお心あたりの事業者様においては御確認をお願いします。

 

(スライド 31

  ちょっと時間も押しているのですけれども、最近の行政の動向について御紹介しておきます。

 

(スライド 32

  リスクアセスメントの対象ともなるラベルや SDS の対象物質は、現在 640 物質となっておりますが、3月1日に 27 物質が追加されます。

 

(スライド 33

  物質追加については御承知の方もいらっしゃると思いますが、このような物質です。アルミニウムやエチレンが含まれます。

 

(スライド 34

  企画検討会では、さらに継続検討になっていた物質について報告書をまとめることになっていまして、去る1月 12 日に報告書を御検討いただいています。そこでは対象物質に追加とされたものとして、この9種類が載っています。クロロプロパノールは2つに分かれているので全部で 10 個なのですが、例えば、セメントとかアスファルトとか農薬の一種といったものが入っています。対象物質から除外するとされたものが非晶質シリカです。継続検討とされたものが粉状物質というような形になっています。これも現在、報告書の取りまとめ等の作業中ですが、もしこのまま行くとなりますと、これらの物質がリスクアセスメントやラベル・ SDS の対象になってくるということになりますので、今後の情報にも御留意いただければと思います。

 

(スライド 35

  私の説明は以上です。ありがとうございました。(拍手)

 

○司会者(森田) 寺島様、御講演をありがとうございました。

  それでは、ここで休憩時間とさせていただきます。若干早く終わりましたので、予定よりも5分早めまして、2時 55 分から後半の意見交換を始めたいと思います。お手元のピンクのアンケート用紙に御質問をお書きいただきまして、できましたら 10 分前くらいまでに会場におります事務局のほうにお渡しいただければと思います。書き終わられましたら挙手でお教えくださいませ。

  それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

 

(  休 憩  )

 

司会 者(森田) それでは、皆様おそろいになられたようですので、後半の意見交換会を始めさせていただきます。

  コーディネーターは、先ほど御紹介いたしました 長崎大学広報戦略本部准教授の堀口逸子先生にお願いしております。

  また、パネリストに基調講演を行っていただきました慶應義塾大学医学部教授の大前和幸先生と厚生労働省化学物質対策課化学物質評価室長の穴井達也様、また、化学物質評価室長補佐の平川秀樹様、化学物質対策課中央産業安全専門官の寺島友子様、化学物質対策課化学物質評価室化学物質情報管理官の米倉隆弘様に御出席をいただいております。

  予定では 16 時ごろまで、あらかじめ会場からいただきました御質問につきまして、先生から御回答をいただきたいと思います。

  それでは、堀口先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○堀口 皆さん、こんにちは。長崎大学東京事務所の掘口と申します。よろしくお願いします。

  皆さんのお手元に赤と青の紙があると思うのですけれども、お出しいただいてよろしいでしょうか。きょうの意見交換会、リスクコミュニケーションにこれまで御参加の経験がある方は赤、そうでない方は青を挙げていただけますでしょうか。

 

(傍聴者 札表示)

 

○堀口 ありがとうございます。

  今回、寺島さんのほうからリスクアセスメントに関して情報提供があったのですが、さまざまなところでリスクアセスメントについて、寺島さんがお話をして回ったり、講習会などがあると思うのですけれども、それらに御参加の経験がある方は赤、ない方は青を挙げていただけますか。

 

(傍聴者 札表示)

 

○堀口 わかりました。ありがとうございます。

  そして、いろいろな検討会をやっているのですけれども、検討会の傍聴の御経験がある方は赤、まだないという方は青を挙げていただいてよろしいでしょうか。

 

(傍聴者 札表示)

 

○堀口 わかりました。いろいろなところで情報を皆さんは収集された上で、切実なところで質問が来ているのかなと思いますので、質問を読み上げて回答をしていただいて、最後に皆さんから再度、また途中でつけ加える場合には挙手をしていただきましたら、足りない部分を言っていただければと思います。

  まず、評価のところから始めます。有害性評価の二次評価値が1 mg/ ㎥、日本産業衛生学会はどのような経緯で確定したのでしょうかというお尋ねと、三酸化二アンチモンの二次評価値の決め方ですが、大前先生の話では、日本産業衛生学会では三酸化二アンチモンのデータがなく、硫化アンチモンの評価値 0.1mg/ ㎥をアンチモンとその化合物のデータとして適用したとのことでしたが、三酸化二アンチモン単独での二次評価値を決めるべきではないかと思いますという御意見です。

 

○大前 三酸化二アンチモン単独での二次評価値を決めるべきだという意見はそのとおりです。問題は三酸化二アンチモンだけで単独で数字を決める情報があるかないかということが一番大きな問題になります。特に人の情報です。人の情報は三酸化二アンチモン単独の情報はもうないと言っていいくらいです。とても使えるものはない。したがって、動物実験では三酸化二アンチモンの動物実験はございます。この場合は先ほども少し言いましたけれども、その数字をもとにして計算していくと、 0.1 というよりもちょっと下がるくらいになるのです。そういうこともございます。これは発がん実験などをやったときのデータとか、吸入実験のデータだと思いますけれども、それを持ってきてやっても 0.1 というのはいいところかなと思います。

  こういう金属系のものなどでアンチモンは化合物というタイプで、産業衛生学会は多くの金属系のものはそういうような表現をしています。この一番多きな理由は、今までの過去のいろいろな金属についてはおおむね金属の元素の毒性で話が終わってしまったのです。例えば、鉛などは典型なのですけれども、鉛はいろいろな種類の名前を実際に使っております。メタル鉛もあれば、酸化鉛、一酸化も四酸化もあったと思いますけれども、出てくる毒性はみんな同じだったのです。そういう意味で、金属というのは金属元素の毒性でいいだろうということでずっとやってきました。

  ところが最近、それではまずい事例も起きてきております。一番有名なのは六価クロムです。クロムの六価と六価以外のクロムは影響が違うということで、これは分けなくてはいけないということがわかってきた。ニッケルなども水溶性のニッケルと不溶性のニッケル。水溶性のニッケルはいっぱいあるので、その中の何かというのはまた別で困るのですけれども、分けなくてはいけないことがわかってきた。一番最近ですと、インジウムなどもメタルのインジウムとメタルではない酸化物のインジウム、あるいは合金、セラミックスみたいなものですけれども、それのインジウムは全然毒性が違うということがわかってきたので、情報のあるものについては個別に数字を出すということでやってきております。

  一番の典型例は炭素の化合物です。炭素及びその化合物というのではないわけで、例えば、炭素化合物の中のベンゼンとか、そういういろいろな物質は単独でなっていますけれども、それはそういう情報があるからできたのです。でも、この三酸化二アンチモンの場合は非常に古い情報があります。古い情報は濃度が書いてあるのですけれども、その濃度の範囲が1桁から3桁くらいの濃度が書いてあるのです。そんな広い濃度で物を持ってこられない。そのときは例えば、じん肺様の症状とか、要するに肺の病変があったという情報はあるのですけれども、それはとても許容濃度をつくるようなレベルの情報ではないということで、残念ながら人に関しては情報がない。

  アンパブリッシュ、パブリッシュをされていない情報をお伺いしたことはあります。ただ、それはパブリッシュしてくれないと私らは正確な情報を入手できないのです。パブリッシュできない内部情報は評価に使えないということがあるので、お伺いした範囲でのどうもありそうな人の情報については、日本ではございませんけれども、人の情報については早くパブリッシュしていただきたい。もしそれで三酸化二アンチモン特有のそれに使えるような情報でしたら、またそれを使ってアンチモン及びアンチモン化合物から三酸化二アンチモンだけ取り出して、また数字をつくるということは当然やるべき作業ですけれども、残念ながら今はそれがないということで、硫化アンチモンのものしか使えなかったというのが現状です。

 

○堀口 ありがとうございます。

  まだ大前先生のお答えだと思うのですけれども、日本産業衛生学会がアンチモンの許容濃度を見直すきっかけは何でしょうか。また、許容濃度を見直しは一般にどのようなタイミングで実施されるのでしょうか。

  また、 ACGIH などのほかの機関が見直しを実施するタイミングを知っていたら教えてくださいということで、三酸化二アンチモンの許容濃度が従来、 ACGIH 0.5mg/ ㎥から日本産業衛生学会の定める 0.1mg/ ㎥となりましたが、見直しの要因となった内容について、わかりやすく説明していただけますでしょうか。例えば、新たな動物実験による情報が得られたためのような理由です、ということです。

 

○大前 アンチモン及びその化合物の許容濃度は、多分これは 10 年くらい前に最初につくったのではないかと思います。見直しをしましたのが3年くらい前だったと思います。これは両方とも見直しはしましたけれども、数字は変えませんでした。すなわち新しい情報はなかったということです。

  見直したきっかけというのは、今の ACGIH あるいはヨーロッパのほうは 0.5 と言っているということで、その 0.5 というのは妥当かどうか。変異原性があるかどうかに関してはどうも評価が違ってきているということとか、そういうことで見直しをいたしました。 ACGIH は先ほどの硫化アンチモンのデータはとっていないのです。それは結構古いデータなのです。論文そのものの信頼性という点でとらなかった。とは言っても産業衛生学会は、人のデータはこれしかないというのがあって、とらざるを得なかったということになります。

  そのデータの信頼性ということに関しては、情報の信頼性ということに関してはいつも議論になります。例えば、 10 年前のデータはまあまあ信頼できると。 1950 年代のデータは使えるのか。あるいはこんな言い方をしたら怒られてしまうかもしれませんが、ソ連のデータなどは使えるのかみたいな、そういうのはやはりあるのです。そういうデータの信頼性に関して、確実な判断材料がない中で並べてみて、これを使わざるを得ないよね、これはやはり信頼できないから外してしまって、こちらを使うと。そういうような判断はいつもしております。残念ながら、三酸化二アンチモンに関しては許容濃度がつくるための数字があるような信頼できるデータはないということです。

 

○堀口 三酸化二アンチモンの場合、体の中に入った後はどのような経路で排出または蓄積されるのでしょうか。考えられるがんの種類を教えてください。

 

○大前 今、 IRC の発がん部類は 2B です。 2B ということは、動物では発がんが出たのだけれども、人ではまだそれは証明されていないというレベルです。動物の場合は肺です。健康診断の項目の中に、二次健診で肺のレントゲンを撮りなさいというのはそういう意味です。

  アンチモンそのものは尿中に出てきます。健康診断の項目の中でも医師が必要と認めた場合は尿中のアンチモンをはかりなさいというようなことで、排泄されるところのメーンは尿中になります。これは吸入の場合ですけれども、それがメーンです。途中の代謝経路は、三酸化二アンチモンはどういうふうに変化して尿に出てくるかということに関しては余り情報はないのですけれども、今までのほかの金属の経験などから見ると、肺に行って、肺でマクロファージという肺を掃除する細胞があるのですけれども、その掃除細胞が三酸化二アンチモンを分解してアンチモンイオンになって、それが血液の中でタンパクか何かとくっついて、それで尿に出てくるというような形だと思います。

 

○堀口 特殊健康診断についてですけれども、三酸化二アンチモンの製造に従事していた人が会社を辞めた場合、辞めていた場合は、会社は何もしなくていいと思ってよいのでしょうか。

 

○平川 基本的な考え方ということで申し上げますと、そこの会社を辞められた方については、辞めた後以降についてまで責任を負う必要はないというのは、これまでも労働衛生課から回答が行われていたものと承知しております。

 

○堀口 法令(案)では2の丸数字1となっていますけれども、特殊健康診断で心電図が必要な場合があるということですが、リスク評価では心臓毒性について触れていないのでしょうか。

 

○大前 心電図の話は、先ほど言いました硫化アンチモンが心臓のほうを心電図でいっぱい異常が来るのです。日本産業衛生学会の場合はアンチモン及びその化合物でやっていますので、健康診断として心臓毒性を入れるのは悪くないと思います。ただ、三酸化二アンチモンで心臓毒性があるかという情報に関しては、今のところはないと思います。私の知っている範囲では知らないです。そういう意味では心電図はなくてもよかったかなと思うのですけれども、あれはあくまでも医者の判断でというレベルの話なので、全員しなさいということではなくて、医者が必要と認めた場合ということですので、産業医さんの判断になります。産業医さんがちゃんとわかっている人だったらやらないかもしれないし、あるいは一応心配だからやるかもしれないということです。

 

○堀口 規制対象が三酸化二アンチモン1%以上であるが、一般的な GHS 分類(発がん性区分2)から考慮すると3%が妥当と考えられる。1%とした根拠は妥当ですか。

 

○平川 これまでリスク評価で特化則に追加してきた物質については、一律に1%の裾切りで行っております。それを踏襲したような形で今回も特化則における裾切り値については1%というのが裾切り値になろうかと考えております。

 

○堀口 ポリエステルのファイバーやフィルムから発生する粉じんの異物検査を行う際に触媒残渣としてアンチモンが検出されることがあります。この場合、三酸化二アンチモンが存在して濃度が1%超えであれば、特化則の規制対象になりますか。また、この1%の分母は粉の粒単位か、粉じん全体か、どちらかでしょうか。また、粉じんを掃除する担当者はどうなりますか。

 

○平川 今のお話は個別的な事案と考えられますので、今後、法令が適用された場合に所轄の労働基準監督署に御相談いただきますようにお願いいたします。

 

○大前 ここの場所はリスクコミュニケーションの場なので、当然、皆さんの中にはポリエステル関連の方がいらっしゃると思うのですけれども、実際に触媒の量というのはポリエステルの樹脂の中にどれくらい入っているものか、誰か御存じだったら教えていただけませんか。こちらから言うだけではなくて、そちらからも情報をいただけるとコミュニケーションになるので、ありがたいです。

 

○回答者A氏  350ppm くらいです。

 

○大前 ありがとうございます。ということは1%をはるかに下回っていますよね。ありがとうございました。

 

○堀口 浸潤について幾つか質問が来ています。難燃剤として三酸化二アンチモンを使用するが、浸潤させているものを燃焼試験をして灰化した場合はこれらの粉じんも特化物として扱いますか。また、作業環境測定を必要としますか。廃棄はどのようにすればよいですか。分析は ICP でも可能ですか。

 

○平川 製剤その他の物として1%を超えるものであるかどうか。これが一つの判断基準になろうかと思いますので、それを超えているか超えていないかで、まず判断をいただきたいと思います。具体的な事案等のお話がありましたら、要望としてお預かりをした上で、今後の施策の反映につなげていきたいと考えております。

 

○堀口 浸潤な状態、スラリーの程度について、溶媒が十分でない場合、湿った状態の程度に定めはあるのでしょうか。浸潤状態はどのように管理、確認するのでしょうか。浸潤とみなす範囲は?になっています。

 

○寺島 三酸化アンチモンの担当外ではあるのですが参考としてお話ししますと、よく GHS 分類で液体と固体の差について質問されます。どこまでが液体で、ペースト状のものはどこまでが固体なのかということです。それについては厚労省として数字的な基準というのは特に持っていないのですが、 GHS の中で液体と固体の規定については危険物輸送の関係の基準を引いて決めています。逆さにして落ちないとか、針を指して倒れないとか、そういう物理学的な試験があるので、そういったことが固体と液体の境目に一致しているという情報はあるかと思います。

 

○堀口 どうぞ。

 

○大前 三酸化二アンチモンの場合、粉状のものをスラリー化したというのはどういう状態になるかは私もよくわかっていないのですけれども、それが乾燥すると粉じんとして発じんするのですよね。それは気をつけていただきたいと思います。乾けば、粉として出る。インジウムの場合もウエットで磨いていまして、ウエットで研削をしたら大丈夫だろうと思っていたら、その研削粉が乾いて舞って障害を起こしているということがあるので、そこのところは気をつけていただきたいと思います。

 

○堀口 多分同じような感じだと思うのですけれども、1の(7)で、樹脂、固形化されたことになり粉じんと書いてありますが、この粉じんの定義とはどのようなものですか。あと、三酸化二アンチモン自身ではなく、樹脂に三酸化二アンチモンを1%以上添加して加熱、混練してできた成形材料を取り扱っています。単に混合したものではなく、加熱、混練していますので、この製品中の三酸化二アンチモンは樹脂により固形化されていると考えます。この製品の形状として、1、タブレット、2、ペレット、3、顆粒(粉砕して製造するための一部粉状のものを含む)、4、粉状がございます。これらの製品を取り扱う業務は今回の三酸化二アンチモンの規制の適用除外と考えてよろしいでしょうか。

 

○平川 適用除外業務ということで、樹脂等で固形化されたことにより、粉じんの発散のおそれがない三酸化二アンチモンを取り扱う業務を対象と考えております。要するに三酸化二アンチモンが発散しないと。この粉じんというのはあくまでも三酸化二アンチモンのことを指しておりますので、その三酸化二アンチモンが発散しないような形で取り扱われているものが対象になるのではないかと思います。

 

○米倉 リスク評価、措置検討に当たって、先ほども御説明をしたところですが、ペレット状の三酸化二アンチモンを投入したプラスチックの射出、成形の作業において測定をさせていただいた結果、濃度が低かったということで、そういったものを取り扱っている場合については適用除外作業としてもいいのではないかということで、適用除外にしているというところでございます。

 

○堀口 その適用除外の例として、ばく露評価結果から、もう少しほかの事例も例示できるのではないですかというお話が来ています。

 

○米倉 済みません。それ以外に具体的にどういった作業があるとの議論はありませんでした。リスク評価の中で話があったものについては、先ほどお話をしたような作業だけだったところでございます。

 

○堀口 例示というか、それは評価書とかを見れば、わかるのですか。

 

○米倉 「樹脂等で固形化されることにより」とされた経緯につきましては、平成 28 10 18 日で報道発表をしております健康障害防止措置検討会報告書で確認をしていただくことができます。

 

○堀口 残りはまた時間がありますので、わからないところは手を挙げて質問をしてくださいね。

  当社では製品の素材を製造する際、素材に練り込んでおります。練り込む(投入)は対象となると思いますが、練り込まれた素材(シート状)は固形化されたものと考えることは可能でしょうか。勉強不足で申しわけないのですが、固形化の定義に関する通達などがありましたら、御教示いただきたいということです。

 

○米倉 今回、三酸化二アンチモンについて、リスク評価をして措置検討をさせていただいている中で確認している内容について、通達等で書くこととしておりますけれども、そのシート状というものがどういったものなのか、話だけではわからないのですが、製品化されて粉状になっていない状態であるのかなと思うのですけれども、そういったものも固形化かなと考えるのですけれども、具体的なものを見ないと何とも判断はつかないです。

 

○堀口 それは監督署とかに御相談に行ったら、割と解決しますか。

 

○米倉 具体的に特化則に入りまして、施行された際に疑義があるようであれば、労働基準監督署のほうに御相談をいただければと思います。

 

○堀口 適用除外の話がもう少しあったので読ませていただきます。適用除外業務として三酸化二アンチモンを含む樹脂ペレットを取り扱う作業との説明がありました。実際の作業では御説明があった射出成形で、成形後に射出成形品の端材などを再利用するために粗く粉砕する場合があります。この際、粉状も含む端材が発生します。この作業も適用除外作業との理解でよろしいでしょうか。

 

○平川 今の話では、個別事案ということで今後対応していくことになろうかと思います。

 

○穴井 基本的には粉状の三酸化二アンチモンが出るかどうかというところが適用除外をするかどうかの判断の基礎になります。三酸化二アンチモン以外のものが粉状になるのは別の規制になりますので、あくまでも今回、我々が決めようとしている規制は三酸化二アンチモンが粉状として出るか出ないかです。固形化されて封入されて出ないというのであれば、適用除外にしますというのが基本的な考え方なので、それを基準にして、具体的にこういう物質がありますけれども、ということで相談をしていただければ、イエスかノーかの判断ができるのではなろうかと思います。

 

○堀口 発じん、二次発じんの防止に関することと思われますが、三酸化二アンチモンの粉体が入っていた袋の処理も特別な処置が必要になるとの情報があります。この辺についてはどのようになるのか、廃却時に特定業者に頼む必要があるのか聞かせてください。同じようなことで、三酸化二アンチモンが入っていた紙袋などを扱う作業に関しては、管理はどうなりますかという質問が来ています。また、ペレットなどに含まれている場合も、今、言いました袋の処理とかは当てはまるのでしょうか。同様に掃除の作業にて発生するちりなどの処理、作業衣、工具などの洗浄廃液などにかかわり特殊な処理が必要となるのか否か。好ましい処理の方法を御教示願いますとのことです。

 

○米倉 廃棄物の処理ということであれば、廃棄物処理法の範疇かと思います。厚生労働省の立場でどうこう言えるものではないのかなと思いますので、産業廃棄物の処理の仕方につきましては、自治体とか環境省のほうにお聞きいただければと思います。

 

○堀口 聞く先がたくさんあって大変ですね。

  浸潤させた三酸化二アンチモンを布に塗布、乾燥する業務を行っています。この設備を毎日終業時に掃除しますが、主な汚れは乾燥した三酸化二アンチモンと思われます。このときに設備の密閉化などは必要でしょうか。

 

○米倉 粉じんの飛散しない方法で掃除をしていただくということになります。また、使用した器具、工具、呼吸防護具等、付着したものを除去しなければ作業場外に持ち出せないこととなっております。

 

○堀口 三酸化二アンチモンの粉じんは皮膚ばく露によって皮膚炎が発症されるとありましたが、経皮ばく露を防ぐ方法で保護手袋以外のやり方があれば、もう少し教えてほしいのと、保護手袋の選び方を教えていただきたいということです。

 

○大前 皮膚に粉じんがつかなければ、皮疹は起こらないわけで、起こさない人も結構いるのですけれども、起こす人は比較的よく起こす。したがって、露出していれば、当然粉じんはつきますよね。だから、手袋にしても作業着にしても露出しない方向でやられれば、問題ないと思います。実は作業着の襟、ここら辺ですね。こういうところは結構露出しているのです。こういうところにくっつくと出る人がいます。でも、幸いなことにアンチモンによる皮疹は余り大したことはないので、余り気にするようなものでもない。かゆいとか、そういうのがあるので、そこら辺は作業者の方はかわいそうなのですけれども、皮疹が出たからと言って何か重大なことが起きるかというと、それはない。起きないに越したことはないので、それなりの対策はしてほしいのですけれども、そんなに重要に考えるほどのことでもないとは思います。

 

○堀口 手袋ではなくて、防じんマスクなどの使用に関して、どういったものを使用すればいいですか。

 

○米倉 防じんマスクにつきましては国家規格がございますので、国家規格適合品を使っていただくことになるのかなと思うのですけれども、防じんマスクの選択、使用の仕方につきましては一般的な内容でございますが、通達等で示しておりますので、そういったものを御参考にいただければと思います。

 

○堀口 適用除外でお尋ねですけれども、三酸化二アンチモンの特化則の適用除外は何々業務、何々作業と記載されていますが、物の概念で適用除外されるものはないのでしょうか。作業は適用除外されるが、その物自体は特化物ということでしょうか。特化物の場合、特化則以外の法令で何か対応しなければならないことがあるのでしょうか。

 

○平川 特化則第2条の2の適用除外につきましては、これまでどおり業務という形で書くことになろうかと考えております。

 

○堀口 管理濃度について質問がありました。管理濃度を超えた場合、どのような対処を行えばいいかを教えてください。また、法令上の管理濃度に関して、作業環境測定で一度でも 0.1mg/ ㎥を超えた場合は法令違反になるという理解でよろしいでしょうか。

 

○米倉 作業環境測定につきましては、測定方法は作業環境測定基準に、評価の仕方につきましても作業環境評価基準に告示等で定めておりますので、その定めに従って測定、評価をしていただくということになります。今、担当の者がいないので個別にお話はできないのですけれども、そういった内容を確認いただければと思います。

  評価は、管理濃度を超える、超えないという評価ではなくて、作業環境測定の結果については第1管理区分、第2管理区分、第3管理区分という区分に分けて評価します。その内容に沿って、第3管理区分であれば、改善していただくというような定めがございますので、そういったような対応をしていただくことになるかと思います。

 

○堀口 御意見に近いものですけれども、三酸化二アンチモンを原料として使用し、1%以上これを含む液体を製造販売しているが、これを使用している顧客でも同様の対応(作業環境測定など)を行わなければならないのか。顧客にて作業環境測定士がいない場合、年2回、数十万円の測定を行わなければならないとなれば、コストが大幅に上昇し、三酸化二アンチモンを含んだ液体製品は売れなくなります。顧客に作業環境測定がない場合。

 

○米倉 液体で顧客に渡すという状態について具体的にイメージが湧かないので、どういった製品のものなのかを教えていただければと思います。

 

○堀口 フロアで質問をされた方がもしよろしければ。どうぞ。

 

○B氏 済みません、私はその質問を出した人間ではないのですけれども、私どもの関連会社では塗料の中に三酸化二アンチモンを入れた形で販売をしております。当然、1%を超える場合は特化則の対象になると理解はしておるのですけれども、私も質問で入れたのですが、液体の状態、つまり湿潤な状態で販売をしておりますが、塗料の場合はそれが乾燥することによって樹脂で固化をされますので、そもそも塗料は適用除外ではないかというような質問をさせていただいたのですが、一つの例として、塗料の中に入れているということでございます。

 

○平川 まず、特化則第2条の2の適用除外業務に関し、塗料がその状態になっているかどうかということで整理をさせていただくことになるかと存じます。乾いた場合に、三酸化二アンチモンが出てくるのであれば、作業環境測定、健康診断というのは必要になってくるということで整理をしているところでございます。

 

○堀口 今、質問を下さった方の質問を読みますと、湿潤な状態でも作業環境測定、特殊健康診断などが課されますが、例えば、塗料中の三酸化二アンチモンは湿潤な状態から乾燥した場合でも樹脂内に固化されるので適用除外とすべきではないでしょうかという御意見です。

 

○平川 樹脂等により固形化されたことにより、粉じんの発散するおそれがない三酸化二アンチモンの状態になっていれば、適用除外ということになろうかと考えております。

 

○堀口 特殊健康診断の話も忘れていたところがあるのですが、配置転換後の特殊健康診断はどのくらいの年数を行えばいいのでしょうか。(子会社に出向させたときは)と書いてあります。

 

○米倉 雇用している限り、やっていただくことになるかと思います。先ほども申し上げたのですけれども、健康診断については別の者が担当しておりまして、個別にこういった状態の場合どうかということであれば、担当の労働衛生課のほうに御確認をいただくか、施行された後であれば、労働基準監督署のほうに具体的に御相談をいただければと思います。

 

○堀口 一つの御質問は似ているのですけれども、特殊健診対象の「常時従事する」の「常時」とは、どの程度の頻度を指すのでしょうか。法令上の常時従事の定義を教えてください。

 

○平川 常時従事するという考え方につきましては、これまでの特化則と基本的に同じ考え方でございまして、監督署のほうに今の勤務等の状況が常時に当たるのですかと個別に御確認いただければと思います。

 

○堀口 特化物を製品包装した状態で取り扱う作業、例えば、物流業者、倉庫業者は特化則の適用を受けないと理解していいのでしょうか。なぜと書いてあるので、理由も教えてほしいみたいです。

 

○寺島 作業主任者の選任のところの解釈として、ばく露のおそれのない作業は含まないという解釈が過去に出ています。一般的に物を運ぶだけの人たちで、ばく露をしないという前提の作業をされている場合は、作業主任者の選任とか、あるいは SDS の交付とか、そういうものがなされない形で運用されてきていると考えています。

 

○堀口 リスクアセスメントの質問が幾つかあるので、リスクアセスメントの質問に行きたいと思います。

  爆発火災などのリスクアセスメントの支援ツールを整備いただき、ありがとうございます。一方、厚生労働省のツール以外にも複数のツールが公開されていますが、中小規模事業者にとって必ずしも利用しやすい状況にはないようです。チェックの結果、火災爆発など危険性の高さがわかったけれども、それらについて具体的にどのように対処するのか。つまり、実施するところにネックがあると思います。今後さらに中小規模事業者が利用しやすいものを目指していただきますようお願いいたしますという御要望です。

  リスクアセスメントは時間が必要な作業でありますが、どれくらいの期間で終わらせる必要がありますか。(取り扱っている物質が多い場合)と書いてあります。

 

○寺島 前半の御意見につきましては、よく事業者の皆様からも御指摘をされる部分です。いろいろ提供しているけれども、結局どれがいいのかがわかりにくいと。今、例示にありました爆発火災の関係ですと、職場のあんぜんサイトで公開しているテキストのようなものがあるのですが、これをコントロール・バンディングのようにシステム化してぽちぽちクリックしていくと、何か結果が見られるというようなものの開発を今年度の事業で予定をしております。年度末くらいには皆様にごらんいただけるようになるのではないかと思います。

  リスク低減対策として何をしたらいいのかということが次に出てきます。例えば、爆発であれば、帯電防止のものを使う。帯電防ではなくて除電防ですか。そういうようなものを使うとか、あるいは防爆機器を使うとか、作業マニュアルを整備するとか、いろいろなやり方があると思いますが、そういうものが例示として見られるような形で整備をしています。

  リスクアセスメントにどのくらいの時間をかけるべきかということについてなのですが、これは法令上、作業を変更したりするときは速やかにやっていただく必要があって、速やかというのがどのくらいかというので、法令とか通達で何か規定しているようなものは、特段はありません。報告の提出とか、そういうものだと割とすぐに出してということになるのですが、リスクアセスメントであると、初めてやると時間がかかると思いますので、そこは可及的速やかにということでお願いをしたいと思います。

  義務でないような場合は順次やっていくということになると思います。リスクの高いと思われる、量が多い、発がん性のある物質、そういうようなものから順次やっていくと、1年、2年と継続してずっとやっていくというようなことになるケースもあろうかと思います。期間は特段の定めはありません。

 

○堀口 御意見などもありますので、読ませていただきます。

  職場のあんぜんサイトに対策などがアップされました。全般を見渡すと文言内容に統一されていないところがあるので、修正をいただきたいということです。例えば、 SDS MSDS 。その中で保護具(呼吸用保護具)に関する内容が既に通達として出されている防じん、防毒マスクの選択と使用とずれている。これはぜひとも統一してほしいという御意見ですので、確認していただければと思います。

  実測したときの評価方法について、先日、検知管による実測のセミナーを受けましたが、実測値を許容濃度と突き合わせて評価ではなく、一定の計算を行って評価、作業環境測定の第1〜第3管理区分で非常に難しい。簡易な方法で評価したいということですが、いかがでしょう。

 

○寺島 前半の SDS ですが、 SDS は平成 18 年からずっと積み上げてきていまして、昔のものと今のものとで表現ぶりがずれているとかいう御指摘はあろうかと思います。できる限り、見直しに際して留意をしていきたいと思います。

  検知管の許容濃度との比較なのですが、測定した値をそのまま許容濃度と比較するのはさすがに専門の先生方も適切とは言えないということです。許容濃度は8時間で評価するものであるのに対し、検知管はそのときの濃度ですので、そこの差を埋めるために幾つか計算をしていただく必要がやはりある。そうでないと過小評価になってしまったり、過大評価になってしまったりするので、そういったことをできるだけ回避するためにということで、少し計算をお願いします。

  先ほど、ちらっとお見せしましたが、エクセルシートを事業の中で準備していまして、そこでは許容濃度を入力し、検知管で測定した例えば、5回くらいのデータを入力していくと、計算はエクセルが勝手にやってくれてリスク比が出ることになっていますので、そういったものも活用いただければ、少しロジックの理解が難しくても利用いただけるのではないかと思います。

 

○堀口 リスクアセスメントの各種方法について、方法によってリスク評価が高くなる、あるいは低くなる傾向があるということはあるのでしょうか。

 

○寺島 基本的には、リスク評価のいろいろなモデルとかはリスクを安全側に見積もるようにできています。 ECETOC-TRA なども実証してみると、どちらかと言うと安全側の評価がなされますので、基本的には過小評価になることは少ないと考えていただけると思います。ただ、モデルだったり、そういうものですので、絶対ということは言えません。ですので、どうしてもそこを突き詰めて、例えば、大きな設備投資の前にちゃんと確認をしようということであれば、個人ばく露測定とか、きちんとした測定方法でリスクの程度がどうなっているのかを把握していただけるのが最良であろうかと思います。

 

○堀口 社内で塗料を粘度調整でトルエンやキシレンを混ぜて使用するケースがあります。複数物質を混ぜた状態でのリスクアセスメントを行う手法、システムはありませんか。当社では 29 ページの下、( 18 )で行っていますが、単品ごとでしかやれていません。

 

○寺島 混合物については、混合物についての GHS 分類をつけることができます。普通は混合物について GHS 分類がされますので、混合物について、つまりは今のお話で言えば、粘度調整だとちょっとしか濃度は変わらないと思いますけれども、粘度調整を行った後の混合物についての GHS 分類をつけていただいて、それに従って今のやり方をする。あるいはほかの方法をするということが考えられると思います。

  混合物の判定というのは、基本的には GHS 文書というものの中に書いてあるのですけれども、若干難しいところもありますが、今、経済産業省のホームページのほうで公開されている混合物判定システムというのがありますので、そういったものを活用して、例えば、トルエン 10 %でキシレン 20 %というような場合にどういう GHS 分類がつくのかというのは、そういったものを使って判定していただくことができます。

 

○堀口 作業測定について、事業所内の測定場所は具体的に決まっていますか。事業所内で複数回測定した場合に一度でも基準値を超えると違反になりますか。平均値をとるのですか。

 

○寺島 そこは先ほども触れられていましたが、作業環境測定基準によります。作業環境測定基準は統計的にデータを処理することになっていまして、6mの間隔で定点を幾つかとって、それぞれの点で測定されたデータを統計的に処理して、その正規分布とした場合の上側5%の値が管理濃度を超えていなければ、基本的な考え方としては管理区分1。半分のところを超えていなければ、管理区分2となっていたと思います。

  ですので、そういう統計の処理をした上での評価なので、例えば、 10 個を測定したとして1個の値がぴょんと出ていたとしても、それでもって直ちに管理区分3になるとは限らないです。ただ、そのほかの基準値が定量下限以下だったり、いろいろなデータのケースがあるので、必ずしも管理区分3にならないとか、違反にはならないというわけではないですが、それは統計的処理の結果によります。

 

○堀口 全体的な感じの御要望というか御意見ですけれども、オルト−トルイジンによる膀胱がん発生に端を発した経皮ばく露による化学物質の体内への取り込みが顕在化しています。事業者としてリスクアセスメントをこれら経皮ばく露による有害性が懸念される物質に適用する場合、定量的な有害性が不明なため、適切なリスクアセスメントは困難です。したがって、保護具などによるばく露対策を選びますが、保護具(保護手袋など)についても対象化学物質に対する適切な材質に関する情報が不足しています。今後、厚生労働省に経皮ばく露による有害な物質の管理に関し、上記の不足している情報の提供を強くお願いいたしますというものが、保護具の経皮ばく露の話、保護具の話、リスクアセスメントの話です。

 

○寺島 私からお答えさせていただくと、要望として、お承りをさせていただきます。諸外国にそういうような素材に対する化学物質に対する情報があったりとか、中災防さんからそういう情報が出されると聞いていますので、そういったものも活用しつつ、今の御要望を踏まえて、行政のほうで対応していくということになろうかと思います。

 

○堀口 リスク評価の大前提のところだったと思うのですけれども、有害物ばく露作業報告制度は一度評価を完了した物質について、原則、再評価は行わないと理解しています。しかし、評価時点に比べ、例えば、取扱量が著しく増加、現場作業形態の変化。また、新たに有害性(同じエンドポイントのみならず異なるエンドポイントも含む)が得られた物質に関して見直しを行う必要があると思います。厚生労働省としてのお考えがあれば、御教示ください。

 

○平川 有害物ばく露作業報告に関する御意見、御要望かと承りました。これにつきましては、今年度の冒頭に企画検討会を開催いたしまして、必要に応じて再評価をやっていくという方向性は打ち出しております。これにつきましては、企画検討会の資料の中を御確認いただければと思います。

 

○堀口 御要望というか、お尋ねですけれども、多分2つ似ていることだと思いますが、リスク評価管理がファーストとは思うが、日本の経済産業界の過度の負担になることもあります。対応措置に対する援助(国として)は考えられているでしょうか。対応措置というのは設備投資などだそうです。あと、対策推進の補助施策などはないのでしょうか。

 

○平川 確かに規則制定をしていくと何かしらの対策を講じるために当然、費用的な面というのは出てくるというのは重々承知はしております。全ての事業所に対して義務づけるものですので、特に補助金を出すといったことは行っていないという状況でございます。

 

○堀口 この改正について不明点があれば、どこに問い合わせればよろしいでしょうか。

 

○平川 健康診断の関係につきましては、労働衛生課のほうにということで申し上げさせていただきました。現場での個別事案につきましては、第一線で直接指導に当たっている労働基準監督署にお尋ねくださいますようお願いいたします。

  今回の規制の内容についての一般的な問合せは、化学物質評価室のほうで対応させていただくという形で、従前と変わりはございません。

 

○米倉 補足です。三酸化二アンチモンにつきましては省令の改正の作業中でして、まだ中身が完全に決まっていないので、労働基準監督署にまだ情報を流していないところですので、施行まではこちらの化学物質評価室のほうに御連絡をいただければと思います。ただ、個別事案につきましては、施行されるまで待っていただくほうがいいのかなと思います。

 

○堀口 パブリックコメントもあるので、まだ3月まで受けつけですから、皆さん御意見がある方はパブリックコメントも御利用いただければと思います。

  今、読み終わったつもりになっているのですが、自分のが読まれていないとか、また追加で御質問とかがありましたら、まだ時間がありますので、挙手をしていただければと思います。何かないですか。大丈夫ですか。どうぞ。

 

○C氏 質問の中に書こうかと思ったのですけれども、時間がなくて書けなかったのですが、施策の猶予が1年間ということなのですが、当然その労働者の健康にかかわることですので、非常に早くやらなければいけないというのはわかっているのですけれども、製造して、お客さんを持っている立場から言うと、製造を止めるわけにはいかない。運転しながらの改善になるかと思います。となると1年間で全てをクリアするような工事をするというのは難しいのかもしれないなというのは現実的に思うので、そこら辺の期間がどうなのかなというのがちょっと気になるところです。

 

○堀口 これまでの猶予期間は旧労働省も大体1年間なのですか。

 

○平川 局所排気装置等の発散抑制装置については1年の猶予期間。作業環境測定についても1年。健康診断については猶予期間を設けていないのですが、特殊健診は6か月に1回の実施が義務づけられているので、実質的には6か月に近い猶予期間になるものと考えられます。あとは作業主任者についても実際に作業主任者の技能講習を受けなければいけないということでございますので、要するにそれを受けてもらって作業主任者の資格を取ってもらわなければいけないということがあるので、大体これについても1年ないし2年。有害物ばく露作業報告で報告事業場が非常に多いとかいう場合については、過去に2年としていたケースもございますけれども、前回のオルト−トルイジンでは1年ということにさせていただいていたと思います。今回も同じような形の経過措置を設ける予定で現在準備を進めているところでございます。

 

○堀口 特にこれだけ早いというわけではないということですね。

 

○平川 これまでリスク評価結果に基づく措置における経過措置はだいたい同じで、作業主任者のところは、技能講習を受けなければいけないので、登録教習機関の実施体制とか、総合的に考えて1年ないし2年ということでやっています。

 

○堀口 追加で大丈夫ですか。

 

○C氏 はい。

 

○堀口 ほかにありませんか。ほかに大丈夫ですか。名前も言わなくていいので、いかがですか。

 

○D氏 先ほど質問の中で、製品に練り込んでというところで御質問させていただいて、個別のというところがあったと思うのですけれども、結構、死活問題というか、範囲がでかいです。要するに何個も設備があって、それを一つにしないといけないとか、対象がふえると全体的な見直しというところになって、結局その前を見ていくと予算、お金をとってというところになって、それを算出していくと設備的に1年でやるというのが、やらないというわけではないのですけれども、労基署の前の段階で個別案件というのは、化学物質評価室さんのほうに事前に相談するという形は可能なのですか。うちの会社としては結構大きな範囲になるか、一部で済むのかというところがあるのですけれども、対応としてはそういう個別相談をこれから情報を集めてやっていくという形でも大丈夫ですか。それとも施行されるまで待たないといけないというか、6月まで待って、そこから相談という形になるのかというところが少し教えていただけると助かるのですけれども。

 

○堀口 きょう名刺をもらったらいかがですか。

 

○D氏 よろしいですか。後で御相談を済みません。

 

○堀口 死活問題だということなので。

 

○D氏 範囲が結構大きくなるか、小さくなるかの話があるので、予算的なところも含めてですね。

 

○堀口 顔がわかっていると、多分質問もしやすいと思いますし、御対応もしやすくなってくるかなと。一緒に悩んでくれるかなと思いますので。

 

○D氏 ありがとうございます。

 

○堀口 どうぞ。

 

○米倉 今、御質問があった件ですけれども、例えば、業界の中で共通の問題であるとかいう話であれば、例えば、個別に話していただくこともあるかもしれませんけれども、業界団体を通して業界として話をいただけると、業界全体の問題として捉えやすいのかなと思うのですけれども、その辺をまたお話しいただければと思います。

 

○堀口 では、そういった意味で、終わってからフロアで情報提供をしていただいてもよろしいですか。

 

○D氏 はい。

 

○堀口 ほかにありませんか。

 

○E氏 どうもありがとうございます。三酸化二アンチモンではないのですけれども、質問の下のほうに書いておいたのですが、酸化チタンに関してもきょうの御説明にあったように、リスク評価が終わって措置検討会のほうに回しますよというような報告書がたしか去年に上がっていたかと思うのですけれども、その中で全ての酸化チタンではなくて、ナノ物質を除くものに関しては特定作業というような報告書だったかと思うのですが、たしか 12 月に通達が出て、すぐに対策をしなさいという内容があったと思うのですが、そのときに特定作業というような文言がなくて、全ての酸化チタンというような内容だったかと思うのですけれども、これは方針を変更されたと理解をしてよろしいのでしょうか。

 

○平川 酸化チタンのリスク評価結果につきましては、酸化チタン、ナノ粒子以外のもの、ナノ粒子、これはそれぞれ2つを合わせても酸化チタンとして今後、健康障害防止措置の検討を行うという予定です。昨年度に酸化チタン(ナノ粒子)でも二次評価値を超えるばく露が認められた。酸化チタン(ナノ粒子を除く)についても二次評価値を超えるばく露が確認されているという状況になっておりますので、それらを踏まえますと酸化チタン全体として健康障害防止措置の検討を行うことが必要であるということで結論が出たものということで認識をしております。

  そういったことがありますので、まだ実際に特別規則に入っているわけではございませんが、現在あるところのリスクアセスメント、ラベル、 SDS 、こういったものを活用しての対策を今後とっていただくということでお願いをいたしたいという趣旨で指導の内容を出させていただいているというところでございます。

 

○E氏 ただ、報告書の中では、ナノ以外に関しては特別な作業だけが分析値として気になるというようなことが明示されていたかと思うのですが、今後のリスク評価において、そこを特定して措置検討をされるという意味ではないということですか。

 

○平川 基本的には、措置検討といたしましては、酸化チタン全体で検討します。その結果、そのリスク評価の結果も当然ありますので、そういったものも参考にして、どこまでどういう形で規制をやるかというのは、措置検討会の中で今後検討していくということです。現時点で何にどういう作業を特別規則に入れていくかというのはまだ決まっていませんので、現時点においてはそういったリスク評価の結果が出ていることも踏まえて、今ある対策をしっかりと、そういった作業では特にリスクが高いということが言われていますので、そういったものをリスクアセスメントの参考としつつ、お取り組みいただければと考えております。

 

○堀口 よろしいですか。ほかに何かありますでしょうか。皆さん、大丈夫ですか。なければ、早く終わってしまうのですけれども、皆さんのコーヒーを飲む時間が 20 分できますが、大丈夫ですか。よろしいでしょうか。

  そうしましたら、何かこちら側からつけ加えて言うこととかはありますか。追加で大丈夫ですか。

  褒めてもらった紙があったので読みます。「大変わかりやすかった。また、わかっているようでも具体的な方法、リスクアセスメントには難しさを感じていたが、とてもよい対応方法、コントロール・バンディングが用意されており、一つ一つきちんと行えば、実行可能であると思えました。こういう趣旨のセミナーなどをもっと受けたく思います」というところで褒めてもらいました。

  皆さん、御協力をどうもありがとうございました。まだパブコメもされている途中ですので、きょうの情報提供を踏まえながら、また御意見等を出していただければと思います。また、この意見交換会などにつきましても、こういうテーマがいいとか、こういうものをもっとやってほしいとか、いろいろ御意見等があると思いますので、そういうのも出していただけるといいかなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

  きょうはどうもありがとうございました。
                                  (拍手)

 

○司会者(森田) 先生方、厚生労働省の皆様、本日はどうもありがとうございました。

  以上で「第2回化学物質のリスク評価に係るリスクコミュニケーション」を終了いたします。皆様、御参加をいただきまして、まことにありがとうございました。

  今後の参考といたしますので、できましたら、水色のアンケート用紙に御記入いただきまして、会場出口の係の者にお渡しいただきますようお願いいたします。また、お配りいたしました赤と青のカードも同じように出口の係のほうにお渡しいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

  本日はお越しいただきまして、ありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

厚生労働省労働基準局安全衛生部
化学物質対策課化学物質評価室
電話03(5253)1111(内線5511)

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