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2017年5月10日 社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会(第6回)

年金局企業年金・個人年金課

○日時

平成29年5月10日(水)9:57~11:57


○場所

都市センターホテル(3階 コスモスホールII)


○出席者

森戸委員長、臼杵委員長代理、井戸委員、大江委員、重富委員、杉浦委員、清家委員、山崎委員

○議題

(1)運用商品提供数の上限・指定運用方法の基準等について
(2)その他

○議事

○森戸委員長

 皆さん、おはようございます。定刻より早いのですけれども、委員の方、皆さんおそろいなので、ただいまより第6回「社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会」を開催いたします。

 お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

 では、議論に入りたいと思います。

 カメラの方、もしいらっしゃいましたら、ここで退室をお願いします。

 

(報道関係者退室)

 

森戸委員長

 まずは事務局から資料の確認をお願いします。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 本日の資料として、資料1「運用商品提供数の上限に関する論点および資料」。

 資料2「指定運用方法の基準に関する論点および資料」

 資料3、タイトルは一部省略しますが、当専門委員会第5回における意見等。

 参考資料1として、本専門委員会の名簿。

 参考資料2として「確定拠出年金における運用の改善について」という第1回の配付資料。

 参考資料3が、これもタイトルは一部省略して言いますけれども、専門委員会第1回から第4回における意見等。

 最後に、臼杵委員長代理から資料が提出されていまして、それを提出させていただいております。

 以上、配付させていただいております。資料の不備等、ありませんでしょうか。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 では、議事に入りたいと思います。

 本日は、資料1「運用商品提供数の上限に関する論点および資料」及び資料2「指定運用方法の基準に関する論点および資料」でこれまで出された意見等をもとに論点を整理していただいています。

 また、資料3「社会保障審議会企業年金部会確定拠出年金の運用に関する専門委員会(第5回)における意見等(運用商品提供数の上限・指定運用方法の基準)」で、前回出された意見等をまとめていただいております。

 では、事務局より説明をお願いします。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 それでは、資料1から御説明いたします。資料1が「運用提供数の上限に関する論点および資料」でございます。

 1ページ、運用商品提供数の議論を踏まえた論点1ということで、運用商品提供数の上限とあります。1番目のにありますとおり、これまで委員からは、エビデンス上はっきりしているため30本から40本の間くらい、35本から40本は多過ぎる、上限を超えてはいけない数字であることを配慮して35本といった意見があったところでございます。

 これを踏まえて、例えば、これは政令事項ですが、企業型年金に係る商品提供数の上限を35本としてはどうかということを提示させていただいております。

印ですが、制度が根づく過程で加入者の行動性向が変わることもあるため、モニタリングを行って、法施行後の経過措置、これは法施行から5年間なのですが、それの終了後、一定期間経過後に、この上限を検討してはどうかということも前回の御議論を踏まえて書かせていただいています。

 次のが個人型年金の話ですが、加入者が提示された商品から選択する点は共通であるため、企業型年金を参考に、同水準の上限としてはどうか。これも政令になりますが、書かせていただいております。

 次のが、運用商品提供数の上限が設定された場合であっても、上限いっぱいまで設定するということではなく、企業、従業員が真に必要なものに限って運営管理機関と労使が主体的に設定することにしてはどうかということも前回の御議論を踏まえ書かせていただいております。

印で、なお、各運用商品の種類や運用手法のそれぞれの本数を制限すべきとの意見もありますが、加入者属性、投資教育の実施状況等を踏まえ、実情に応じて設定していまして、ある程度、その判断に委ねるべきではないかということを書かせていただいております。

 もう一つの印で、既存制度と法改正後の制度について、別々に上限を設定してはどうかという意見もありましたけれども、法律のたてつけとして、法施行後の経過措置5年間は施行前に提示した上限でいいという措置があることから、これは統一的な基準とすることを想定していると考えられるということも書かせていただいております。

 2ページ、運用商品の数え方でございます。これは前回の御議論を踏まえまして、現在は運用の指図を行う対象ごとに1本ずつ数えているが、指定運用方法に適用するということもありますので、基本的に加入者が選択するものが一意に決まるターゲットイヤー型については、これのみ年数が複数設定されていても、それをまとめて1本と数えてはどうかということも書かせていただいています。

 その下でございますが、提示に当たってあわせて講じる措置として、加入者が商品の選択をしやすくするために、あわせて講じる措置として、運用商品の提示における見せ方が重要だということで、個別の運用商品の推奨との関係にも留意しながら、提示の工夫をしてはどうかということで、例として3つポツを挙げています。

 例えば、運用商品の全体構成に関する説明をするとか、パッシブのものを一くくりにして「基本的な運用商品」等、アクティブ等をくくって「応用的な運用商品」等と示すとか、最後のポツですけれども、一覧を並べる中で、投資信託の種類等のほか、手数料も示すということも例示として書かせていただいております。

 3ページ、これも運用商品の本数そのものとあわせて議論があった点でございますが、運用商品を除外する、上限より多い場合にやらなければいけない除外の際に、実務上留意すべき点ということで、以下の点に留意してはどうかということで除外する商品を決定する考慮要素、信託報酬の水準とか除外後の商品全体構成とか手数料、商品を指図している人の数等々や加入者への情報提供の内容などの点について、実務上の留意点を書かせていただいております。

 最後のは、本数にかかわる全般的な話でございますが、上限の設定だけではなく、商品の選定、投資教育等について、労使や運営管理機関等が工夫して取り組むこととしてはどうかということを書かせていただいております。

 論点としては以上でございまして、4ページ以降が参考資料になります。4ページ、5ページ、ページが分かれていますが、5ページをごらんください。4ページが5ページのグラフの説明になってございますし、前回出した資料と同じでございます。本数と不指図という行動の関係、不指図というか、デフォルトが適用されている人との関係ということで、企業型年金において、どういう本数だと指図を初めにせずデフォルトになるかという点につきましては、総計での不指図率が15%になるのですけれども、本数で見ると36本以上のところで28%と急増するといった資料を前回出したものでございます。指図しないという行動については、企業規模が小さいほど高いということがその下のグラフでございます。

 6ページは新たに提出させていただく資料ですが、前回の委員会における御示唆もありまして、企業規模ごとに本数と指図しないという行動の相関を分けてつくってみました。左上ですけれども、確かに0人から99人、こういう小さい規模の企業になりますと、本数が少なくても、ほかの類型に比べると指図しないという行動の人が多くなっています。規模が小さい企業は、指図をそもそもしない場合が多いという基本的な状況もあるということは確かに見てとれますが、その他の規模では本数が多いほど上がっていくという点は見てとれるかなと思いまして、御参照いただければと思います。

 資料1は以上でございます。

 資料2をごらんください。資料2はもう一つの論点である指定運用方法の基準についての論点資料でございます。

 1ページ、指定運用方法の位置づけとありますけれども、前回の委員会におきまして、確定拠出年金法上の指定運用方法の位置づけを明らかにするよう御示唆をいただきましたので、整理させていただきました。1ページの点線の中にありますとおり、基本的な考え方としまして、1つ目のですが、確定拠出年金法1条にあるように、加入者が自己の責任において運用の指図を行い、その運用結果に基づいた給付を受けるというのが制度の趣旨でございます。

 もう一つのでございますけれども、運用の指図という商品を選択して運用を決めるのですけれども、それは加入者自身が行うということが想定された25条の規定がございます。

 その原則の上で、2ページをお開きください。2ページの上の点線の箱の中の1番目のをごらんください。今の原則がある一方で、現在では、加入者による運用の指図が行われない場合があります。そうした加入者には、運用商品の選択を促しつつも、一方で、そういう一定期間運用の指図を行わないような例外的な場合のために、改正法では規定を整備したということでございます。指定運用方法を定めるということを認めたり、一定の期間の周知期間を設ける。その上で、それでも指図が行われない場合には、指定運用方法を適用するという法的整備をしたわけでございます。

 下のですけれども、これは、現状でも本人が運用指図をしないにもかかわらず運用が行われているという、つまり運用上デフォルト商品というものも使われているわけでございまして、そういう現状に対しまして、加入者の運用指図権を保護し、みずから運用指図を行うことを促す観点から、一定の周知等の期間を設けるなどの丁寧な手続規定を整備したものと整理されます。

 そういうことを踏まえると、次の一旦、指定運用方法が適用された後の扱いでございますが、現行のデフォルト商品について、通知上「あらかじめ定められた運用方法」という言い方をしていますけれども、そういうデフォルト商品を設定した場合には、その後の運用の指図が不要であるとの誤解を招くことのないよう定期的に情報提供する、具体的には運用指図できる期日などを提供するということを通知で指導していますけれども、今回の改正に当たりましても、加入者の運用指図権を保護する観点から手続を定めておりまして、改正後も本人がみずから選択した商品で運用を行うことが制度の本旨である点は変わりありませんので、現行通知と同様に、指定運用方法適用後も運用の指図を行うことができるという旨の、定期的な情報提供を行うことが必要と思われます。

 3ページ、これは先ほどから引用しています現行の通知上のデフォルト商品に関する定めでございますので、御参照いただければと思います。

 4ページは前回出した資料の再掲なのですが、今回の位置づけの整理に当たって、再度御確認いただくために出しております。上の四角の中ですけれども、指定運用方法に関する改正法の規定の趣旨を再度御説明しますと、指定運用方法が適用された場合に、加入者が運用方法を選択し、指図したものとみなされる法的構成をとっております。こうなりますので、適切な手続を経ないまま指定運用方法が適用されると運用指図権が侵害される可能性があるので、あわせて手続も法律で書いたわけでございます。

 具体的には、下の点線の中に条文の内容を書いております。特に「みなされる」という条文の下に、手続という括弧で1から3がありますけれども、まず、指定運用方法を提示するのであれば、提示に関する事項を規約に記載することを定められております。指定運用方法の提示自体は、運営管理機関が主体となるよう法律に定めていますけれども、まずは、規約に提示についての手続等を書いてもらう必要があり、それは労使合意をしていただく必要がありますので、労使も関与して、きちんとこれはデフォルトについてのルールづくりをしてもらうことになります。

 2で、指定運用方法を選定した際には、利益や損失のことや選定理由等について、本人、加入者に情報提供するということとか、特定期間、3カ月以上とか2週間以上という期間経過後に、周知などを経た後に運用の指図を行ったものとみなすという旨を通知するということなどを書いております。

 5ページ、こういう法的整備をしたということなのですけれども、さらに、運営管理機関等の受託者責任を踏まえ、また、加入者の保護を徹底する観点から、手続上、取り組みを行うことが考えられる内容を例示したものでございます。これも前回示しております。

 特に今回、いろいろな商品があり得るということですと、例1は、仮に投資信託のようなものを選定した場合でございますが、指定運用方法の運用により生じた損失は加入者が負担する旨を情報提供することが必要です。もともと、利益損失の可能性につきましては、情報提供しますけれども、特に商品の特性を踏まえた情報提供をさらに徹底したほうがいいという趣旨で書いております。これは現行の法令解釈通知でも書いております。

 さらに、例2でございますけれども、元本確保型商品のようなものを選定した場合であっても、インフレにより価値が維持できない等の機会損失が生じる可能性がありますので、それもきちんと情報提供しましょうということを言っております。これも利益の見込み、損失の可能性はもちろん全般的に説明をするのですけれども、特に、こういうことをきちんと説明しましょうということで、強調して書かせていただいています。

 例3は、新規加入者からの確認を得るよう推奨とあります。今後加入される方、特に施行日後、新しい制度になって加入された方については、新しいデフォルトの適用になるのですけれども、デフォルトの制度はこのような手続があり、効果が生じますので、そういう適用されることになる旨、指図しないとそうなる旨を加入者が理解したということを確認する、そういう確認をとることを推奨してはどうかということをこちらで提示させていただいております。これはあらゆる加入者から書類をもらう等の場で、それがなければ、投資教育の場なども使って確認をとればいいのではないかということを書かせていただいております。

 これまでが適用する場面でのお話ですけれども、6ページ、7ページは前回の資料をもう一度出しているものでございますが、加入者について指定運用方法が適用された、そういう人が出た場合であっても、みずからが運用指図はいつでも行えますので、行えるということについて、今でも運営管理機関等から働きかけが行われております。今後も投資教育、資産額通知等の機会を利用して、運用管理機関や事業主から働きかけを行うことが適当ということで、先ほどの本人が運用することが原則ということとの関係で、再度ここで紹介させていただいております。それで、具体例などを下に書いているので御参照ください。

 7ページが今の話の続きで、特に規模が小さい中小企業ほど指図しないでデフォルトになってしまっている割合が高いことから、投資教育などの場を使いながら、中小企業で積極的に働きかけをすることが重要ではないかということも前回同様示させていただいております。

 8ページ、指定運用方法の位置づけの続きではありますけれども、指定運用方法自体の位置づけを踏まえまして、指定運用方法の内容として求められるものも含めた整理を8ページ以降でしております。8ページの上の箱の中をごらんください。指定運用方法は、制度上、1つの商品を指定して適用されますので、どの加入者にもその運用方法が充てられるのですけれども、実際には、それがどの加入者にも適しているとは限りませんので、加入者自身の資産形成状況・ライフプラン等に合ったものになっているかを加入者自身で確認することが重要であります。確認した上で、適していないと思われれば、ほかの運用商品をみずから選択していくことも重要だということで、先ほどのような定期的な情報提供をうたっていたわけでございます。それが下の図で言うと、上の適用対象のあるような図でございまして、イメージを持っていただければと思います。

 そうすると、指定運用方法が目指す運用につきましては、それは、みずから選択する通常の運用と変わらずというか、それと指定運用方法の運用、いずれにおいても確定拠出年金法の趣旨を踏まえた運用であることが求められます。これは、指定運用方法で運用を続ける方が現実にいるということを踏まえると、そうなります。

 それを踏まえまして、9ページが指定運用方法の、これまでも当専門委員会で議論してきた基準に関する条文等の説明でございます。今のような考え方を踏まえて改めて整理しております。23条の2の2項に、法律上は、長期的な観点から、物価その他の経済事情の変動により生ずる損失に備え、収益の確保を図るためのものとして省令に定める基準と書いております。

 この規定の趣旨ですけれども、点線囲みの中ですけれども、運用商品の内容ではなく指定運用方法が目指す目的を定めたものでございます。その目的に関しましては、確定拠出年金法の趣旨を踏まえたものであることが求められる。先ほど御説明しましたのがそのとおりでして、そういう趣旨で長期的な観点や経済事情の変動による生じる損失を見るとか、収益の確保を図るといった文言でそのあり方を示しているわけでございます。

 長期的な観点、損失、収益の確保については、どういう趣旨かとか、どういう内容が想定されるかというのは、前回出した資料どおりでございます。幾つかの要素が考えられ、個々の状況に応じて、さまざまなものが考えられるということを書いております。特に、収益については手数料によっては収益に影響しますので、そこも書かせていただいております。

 指定運用方法の、そういう意味での選択に当たりましては、最後の矢印ですけれども、そうした目的を踏まえて、加入者集団のリスク許容度や期待収益などを労使・運管等で考慮・検討しながら、ふさわしいものを決定していただくことが必要になります。労使とありますが、先ほど言いましたとおり、規約で提示に関する事項を定めた上で、その手続にのっとって関っていただくことになりますので、運営管理機関が提示をするのですけれども、労使においても検討いただくということで、両方の主体を挙げております。その際に、こういう法令上の基準を適合するように検討していただくことになるのですけれども、最後の行にありますとおり、その際、労使・運管等においては加入者属性、金融商品への理解度、加入者ニーズ、想定利回り、掛金額など退職給付の位置づけなどの着眼点をいろいろ検討しながら、基準に適合するものを十分検討して決めていただくということが必要となるかと思います。

 以上が法律上の位置づけ等でございました。

10ページはデフォルトに関する数値的なデータを出させていただいています。ただ、10ページはデフォルトということだけではなく、企業型年金の運用全体についてのグラフでございまして、企業型確定拠出年金の資産額全体に対する商品種類別のシェアでございます。預貯金と保険を合計したいわゆる元本確保型商品が合計で54.4%になります。その他を投資信託等とくくって説明していますけれども、そこが45.6%ということですが、この投資信託等の比率が、5年前と比べると37.5%から45.6%ということで、8ポイントほど上がっております。

11ページ、今度はデフォルト商品についての状況でございます。これも過去にこの委員会で提出した資料でございますので、御案内ですけれども、まず、いわゆるデフォルト商品の設定割合は63.5%の企業でやっております。その上で、商品として元本確保型の商品を設定している割合は95%というのが、右側のグラフでございます。大多数が元本確保型になっている現状でございます。

12ページ、今のデータも参考にして、これも御参考なのですけれども、確定拠出年金全体の中で見たデフォルトが適用されている人の人数割合でございます。一部推計が入っておりますけれども、先ほど言いましたデフォルトの設定状況とか、その中の商品の構成とか、あと、本数のほうで御説明しました指図しなくてデフォルトが適用になっているという加入者の割合を使いまして計算しますと、デフォルトが適用されている割合は、加入者全体の中で約9.5%と推計されます。そのデフォルトになっている人の中で、元本確保商品でデフォルトになっている人の割合というものは9%と、これも全体における割合が9%ということで、どれも1割弱ということでございます。特にこれは現状の通知に基づき行われているデフォルトの運用でございまして、施行後は、改正法に基づいて、デフォルトの運用をしていただく必要があるのですけれども、ただ、改正後の指定運用方法の仕組みが適用される対象は、法施行後の新たな加入者となります。そういう意味で、初めはまだかなり少ない人数から始まっていくということが現実にはなります。13ページは、このデータの御説明ですので、適宜御参照いただければと思います。

14ページ、今のDC制度全体から見た位置づけも踏まえまして、そうなりますと、指定運用方法が適用されているか否かにかかわらず、高齢期の資産形成に資するように加入者みずから運用の指図を行うことを支援していくことが重要かと思われます。

 例えば、長期的な年金運用の観点からは分散投資効果が見込まれる商品も有用であるという旨を通知で示してはどうかということも提言させていただいております。

 下は、改正後の投資教育についての法の規定と、通知はまだ現在のものですけれども、投資教育について教示すべきような内容を通知で示していますので、御参照ください。

 今のように、分散投資効果が認められる商品の有用性ということでは、15ページ、これも前回出した資料の再掲ですけれども、分散投資による効果はあるということで、リスクがお互い打ち消し合われて、安定的なリターンが得られやすくなると一般的に言われる分散投資効果のデータでございます。

16ページ、こちらも元本確保型商品と分散投資を比較して、その効果の違いを見ていただいたものでございまして、いつからの運用で見るかということで多少違いますけれども、分散投資ですと、このようにだんだんと右肩上がりに上がっていくということが見てとれるかと思います。

 以上、全体から見た分散投資の話もさせていただきました。

17ページ、これはこれまで御説明しました法律上の位置づけなどの説明をいたしましたけれども、そもそも今回の改正法を国会に提出した後、国会審議の中でどのような説明をさせていただいてきたかということも参考につけさせていただきました。ちょっと字が細かくて多くて恐縮ですけれども、かいつまんで御説明しますと、例えば上半分のやりとりの中で、塩崎国務大臣のところに下線を引いてありますけれども、これは指定運用方法についての法律の規定をした趣旨を書いていますので、先ほどから御説明した趣旨でございます。最後の「こうした措置は」のパラにありますとおり、老後資産の形成に資するために行うものであって、単に投資をふやすとかということではないという、これは質問を踏まえたものなのですけれども、ということで、目的も言っているところでございます。

 その下半分のやりとりですけれども、特にデフォルトの指定運用方法の内容と元本確保型商品との関係につきましては、下線がありますが、今後の経済状況を考えたときに、元本確保型商品ではそれに対応した運用ができないということにはなるということを言った上で、最後のパラで、デフォルト商品については、いわばニュートラルな形で経済状況に対応した選択ができるようにしてくださいということで申し上げたということで、元本確保がいいとか悪いとか、勧めるとかやめるとかという趣旨ではないということも答弁しております。

18ページも国会答弁の続きでございまして、18ページの政府参考人の答弁の下のほうに下線を引いていますけれども、これも趣旨でございまして、今、通知レベルでやっていますが、きちんと法令上の規定を整備してルールを定めたということを改めてここで言ったことを紹介しております。

19ページ、このやりとりは政府参考人の下半分に下線を引いております。これも長いので趣旨だけ申しますと、具体的には、加入者がみずから権利を行使できる、いわば運用指図権をちゃんと尊重するという趣旨で手続を丁寧に定めたという趣旨の答弁をしております。加入者の保護という観点で、慎重な手続を定めたということを説明した上で、最後のパラで、指定運用方法の基準ですけれども、長期の物価変動に対応しながら、将来十分年金給付が可能になるような分散投資が見込まれる商品が選択できるように設定する、こういったことを想定いたしておりますということで答弁しております。

 ここでは、こういう法的な手続の制定を通して加入者保護を確保し、そういうことで、現行制度下よりは、より一層加入者保護、事業主の責任が明確になったことを踏まえまして、分散投資が見込まれる商品が選択できるよう設定できることになったという趣旨の答弁でございます。

 以上が位置づけの説明でございまして、20ページ以降が、論点を改めて整理しております。20ページをお開きください。

20ページの1つ目のは問いかけですので省略しますけれども、指定運用の基準をどうするかということがございますが、2番目のですけれども、まず考え方として、先ほどから位置づけを整理いたしましたとおり、加入者の運用指図権を保護する観点から手続を定めたものでございますので、改正後も本人が自身の資産形成状況・ライフプラン等を踏まえて、自分で選択した商品により運用を行うことが制度の原則であります。このため、指定運用方法で運用するということが、加入者が運用指図を行わないといった例外的な場合に適用されるものでございます。しかしながら、指定運用方法で運用を続ける人が一定数存在することが想定されますので、こうしたことを踏まえて基準を定めることが必要という打ち出しにしております。

 次のでございますが、そういう趣旨を踏まえて、確定拠出年金法の趣旨を踏まえながら、指定運用方法を労使で定めるに当たりまして、法律で書いたような長期的な観点、物価その他の経済事情の変動により生じる損失、収益の確保についての考慮要素や検討の視点を省令、通知といった形で基準に定めてはどうかということを書いております。

 特に下のですけれども、収益の確保という法律上の要件につきましては、そこに手数料の視点も盛り込んではどうかということを書いております。

 具体的には、手数料の有無や水準、これは販売手数料、信託報酬のみならず、信託財産留保額、解約控除等についても留意が必要な旨を示してはどうかと書いております。

 以上が指定運用方法の基準でしたが、21ページは指定運用方法の適用に当たっての論点でございます。適用に当たっては、加入者の指図権に関する加入者保護を徹底し、受託者責任を果たす観点から、下記の措置を講じてはどうかということで、資料でも御紹介した新たな加入者から理解したということの確認を得るよう推奨したり、損失が生じた場合には、その責任は加入者等本人が負うことを情報提供するといった、もともと一定の情報提供について義務がかかっていますけれども、特にこういうことも入念に情報提供などしてはどうかということを書いております。

 次のですが、運用の指図は加入者がみずから行うものであるので、指定運用方法が適用されたとしても、個々の加入者が自分の資産形成状況やライフプラン等に合った選択を行うために指図を行うことが大切であるという旨も示してはどうかということで、その次のですけれども、同じ改正で、継続的な投資教育は配慮義務から努力義務になりました。そういったことも踏まえまして、指定運用方法が適用されている加入者に対しましても、指定運用方法が、先ほど言いました自分自身の状況に合っているかを自分で確認して、適さないものであればほかの商品を選択するということも重要であるということを、投資教育や資産額通知等のあらゆる機会に継続的に働きかけるということを促してはどうかということを書いております。

 その下ですが、特に指図しなくてデフォルトの適用になっているような方は中小企業のほうが多いですから、そういうところほど、投資教育などの積極的な働きかけが重要であるということもあわせて示してはどうかということを書いております。

22ページ、最後ですが、先ほど申しましたとおり、デフォルトのみならず、確定拠出年金制度の運用全般のデータも御紹介しましたとおり、この制度全体でも元本確保型商品での運用が約6割あります。そういう現状について見ますと、指定運用方法の適用の有無にかかわらず、老後の資産形成に資するよう、投資教育などを用いて取り組んでいくことが重要ということで、例えば、長期的な年金運用の視点からは分散投資効果が見込まれる商品も有用であるということを示してはどうかということも、全般のお話ではありますけれども、書かせていただいております。

 資料2は以上でございます。

 資料3は、前回の第5回のこの専門委員会における意見等でございます。時間の関係もございまして、恐縮ですが、御紹介しても冗長になってしまうかと思いますので、適宜議論の中で振り返っていただく必要があればごらんをいただければと思います。説明自体は省略させていただきます。

 説明は以上でございます。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 では、ただいまの説明も踏まえして、委員の皆様から御自由に御発言をいただきたいと思いますが、一応大きく2つ、資料1の上限のお話、資料2のデフォルトのお話とありますので、運用商品提供数の上限の話から御意見を伺って、それから資料2の話にいこうかなと思いますので、まず上限のほう、資料1に関しての御意見、御質問等からいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 どなたかいかがでしょうか。

 臼杵委員長代理、お願いします。

 

○臼杵委員委員長代理

 ありがとうございます。

 基本的には前回35本ぐらいという話で、私がいろいろ追加作業をお願いして、6ページ以降、どうもありがとうございました。これを見ても一番不指図率が低いのは明確にどことはなかなか言えないのですけれども、35本を超えると不指図率が高くなるということは言えるかと思いますので、結論としてはそういうことかと思います。

 ただ、前回申し上げましたけれども、安易に商品をふやすというようなことがないように、例えば今の24条でも、それぞれの運用の方法について必要な情報を提供すると書いてありますので、そこをしっかり、なぜこの商品を選んだかというところです。それをきちんと提供していただきたい。

 それから、特にアクティブファンドに関しては、前回申し上げたかもしれませんけれども、アクティブファンドのアクティブアルファ、超過リターンですね。これが生み出されると考える理由をきちんと示して、場合によっては、例えば、これはどういう方法でできるのかはわかりませんけれども、5年程度たってアクティブリターンが上がっていなければ除外を検討するというようなことも今後考えていってもいいのかもしれないと思います。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 重富委員、お願いします。

 

○重富委員

 ありがとうございます。

 資料1の1ページのところで、上限ということで、35本としてはどうかと書かれております。資料1の5ページを見ますと、35本を超えるようなところの事業主の数でいきますと、単純に合計しますと73ですか。全体から見ればわずかな件数かもしれませんけれども、少なくとも、この73件、NRKを入れたらさらにふえると思いますが、現在実施しているDCにおいて仮に35本ということで設定してしまいますと、商品除外の手続というものが発生してきます。この間もずっと指摘しておりますけれども、こうした商品除外によりまして、商品のスイッチングなどによって発生する費用について、結局は加入者が負担するということになるのではないかと思っております。この間、連合として、DCの商品提供数の上限については、企業型DCの実態に即して加入者に混乱を招かないようにすべきだと申し上げてきておりますけれども、企業年金というのは退職給付でございますので、その設定に当たっては、労使での決定が尊重されるべきということは再度申し上げておきたいと思います。

 資料1の1ページの2つ目ののところで、個人型年金について書かれております。確かに個人が運用商品を選択するという点では、企業型DCと共通する点はあると思いますけれども、そもそも運用管理機関など、個人が自由に選択できることからすると、企業型DCとは大きくことなっていると思っておりますし、個人型DCは自助努力に基づく資産形成の仕組みとも思っておりますので、企業型DCなどの企業年金制度とは性格が違うと考えております。どの程度の本数の運用管理機関を選択するのかも個人の選択の自由だと思っておりますので、本当にこの企業型年金を参考に同水準の上限ということでいいのかについては疑問が残るところでありますし、個人型については、商品上限数についてより自由度を与えてもいいのではないかと思っております。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 事務局は、とりあえずはよろしいですか。何かありますか。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 補足的に申し上げます。

 初めの除外をする際のスイッチングのコストが加入者にもということ、それは以前も御議論いただいたかと思います。今回、除外自体については、手続について実務上よく考えないといけないという御議論をいただきましたので、今回論点の3ページにも書かせていただいております。ここにも手数料とありますのは、まさにスイッチングにかかるものも含めてですので、そこをよく考慮いただきながら、ただ、全てのコストが加入者にかかるのかはそれぞれの状況、本人にどうしてもかかる物理的なものはあるのでしょうけれども、除外にはいろいろなコストがあり得るので、そこはよく労使・運管で御議論いただくのかなと思います。そういうことをよく考慮するということを実務上周知するということが重要かなと思うところでございます。

 以上です。

 

○森戸委員長

 大江委員、お願いします。

 

○大江委員

 私は前回も非常に少ないほうの代表のように言われているのですが、基本的に35本としてはどうかということで、法律で決めるわけですから、余り極端な少ない数にすると混乱するというのは、そのとおりだと思います。

 そもそも、これはずっと議論していくと、数ありきというか、数だけということではなくて、むしろ採用されている商品のクオリティーですね。多くなればなるほど、何でもかんでも事業会社が金融機関との関係をそんたくしていろいろな商品が膨れがちになってしまうということに対して私は非常に危機感を持っているわけでして、それが必ずしも加入者のためにならないというところがあるかと思います。

 そういう意味でいうと、この資料の3ページにも、運用商品の除外の際に以下の点に留意してはどうかということで、これは非常に重要なポイントだと思うのですが、さらに、その除外に至るまでの最初の採用の段階でも、こういった一定のクオリティーを担保できるようなこと、そういう議論が余り今まで行われていないような気がして、それはもうほとんど任せっきりになっている。労使合意、労使合意と言いますけれども、労使ともにそれだけ専門的知見があるのかどうかということも踏まえて考えると、何らかの形でここはルールをつくるとか、そういったこともあってもいいのかなと思います。

 特に、個人型と違って企業型というのは、一旦運営管理機関を選ぶとそこの運営管理機関が提供する商品の中からしか加入者は選ぶことができないということがありますので、それだけに、余計に商品のクオリティーということを、量的な本数の問題だけではなくて、むしろこれはこれでこういう方向でいくとしたら、クオリティーの部分をもう少し担保できるようなことを進めていくべきではないかと思っております。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 おっしゃったとおりに、もちろん本数を決めなければいけないのですが、本数だけの話でもないだろうということで、それ以外のことも重要だというのは、この資料の後半にも反映していただいていると思いますので、さらに今、大江委員がおっしゃったような視点も取り入れていくべきだろうとは思います。ありがとうございました。

 井戸委員、お願いします。

 

○井戸委員

 ありがとうございます。

 本数のことなのですが、企業型と個人型について。個人型の場合は企業型を参考にとなっている御意見と、個人型は自分で運営管理機関を選べるのだからそのままでいいという御意見があると思います。私は、個人型といっても確定拠出年金というのは、目的は同じで、長い間、老後に向かって資金をつくっていき、そこから長い人生それを使って生活していくということです。個人型でも全ての人が投資商品に詳しいとは限らないので、選ぶ判断がある程度必要かと思うのです。ですから、選択しやすさも重要で、さらに、大江委員がおっしゃったように余りクオリティーの高くない商品とかというのを個人型に入れるというのは、私もそれはどうかと思います。ある程度企業型を参考にしていただいて、個人型もそれに沿った形で進めていくのがいいのではないかと考えています。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 山崎委員、お願いします。

 

○山崎委員

 まず、本数の件に関しては、数字が出てきて、この35本というのが一定の分岐点になっているということは事実ですから、これは一つ合理性があるのかなと。これは前回から基本的には同じ考えです。ただ、商品が35に近づいてもいいのですよというのは、私はどこか、政令ではなくて法令解釈等だと思うのですけれども、商品本数が多過ぎるということは、加入者と事業主の双方にとって制度運営の難しさを持ちますよということは指摘するべきだと思うのです。加入者にとっては、運用商品の判断が難しくなる。事業主にとっては、たくさんの商品を、加入者にとってこれは好ましいものとして選定するわけですから、そうではなかったときの加入者に対する受託者責任を考えても、余り本数が多いということは、私はいいことではないのではないかと。だから、一定程度で本数をコントロールしていくことは、35の上限に限らず留意していく。後半、幾つか資料の中で、恐らく法令解釈に盛り込んでいくのではないかというメッセージがあるのではないかと思いますけれども、その点については配慮いただければと思います。

 2点目は、個人型と企業型の本数ですけれども、私は個人型と企業型は同水準でいいのではないかというのが基本的な考え方です。これは前回も議論がありましたけれども、企業型が20本とか15本とかかなり厳しい上限本数を設定するのであれば、個人型と企業型は分けてもいいかなと思っていたのですが、35あって、これで各金融機関が魅力的なラインアップを並べられないことはないのではないかと。常に個人型DCiDeCoにおいても全ての勤労者を目線として置かなければいけない。ほとんどの現役世代は、投資経験がないか、あっても投資経験は浅いわけです。6,000万人以上は多分いらっしゃるのではないかと思いますけれども、そういう方々にとって余りにも多過ぎる商品数から選び得るのかということを考えたら、一定の上限を企業型と水準は同じで設定してもいいのではないかと思います。

 最後は、今後も見直しを考えていきましょうということが盛り込まれております。その点についてで、意見としては、今回は運用未指図率と本数の関係ということで分析をしたわけなのですが、運用商品の本数と投資の比率、逆に言えば、元本確保型の保有比率に着目する分析も今後あっていいかと思います。一般論としては、元本確保型の商品の保有比率が低いほど期待リターンは高まるわけですから、その関係で、もし何か有意な数字が出てくる。要するに、商品が多過ぎることが要因となって、投資に対して保守的になってしまって元本確保型商品の保有割合が著しく高まるとか、それが仮にですけれども、25とか30とかのところにもし一つの分岐点を見出せることができたら、将来的には見直しのヒントになり得るかなと思います。

 3点の意見ということでコメントさせていただきます。

 

○森戸委員長

 ありがとうございました。

 最初におっしゃった点は、恐らく資料の1ページの3つ目のあたりですか。35と仮に上限が設定されても、別にそれは上限なのだから、その中で企業型であれば労使で話し合って、よりセレクトしていく。絞り込んでもちろん構わないし、大江さんがおっしゃったところのクオリティーのよいものを選んでいかなければいけないのだ、それは場合によってはもっと絞り込んでもいいのだというのは当然のことでしょうし、そういうこともこの政令には数しか書かれないと思いますが、それとあわせていろいろな形で訴えていくということはできるのだろうと思います。ありがとうございました。

 清家委員、お願いします。

 

○清家委員

 喉の調子が悪いので、お聞き苦しいところもありますが、幾つか御指摘させていただきたいと思います。

 企業型と個人型の本数にかかわる論点については、こういう方向かと認識しております。確認させていただきたいことがありまして、1ページ目の最初のの一番下の※で、モニタリングを行って、法施行後の経過措置終了後、一定期間後に、改めてその上限を検討してはどうかという提示がされております。2つありまして、モニタリングというのはどういうことをイメージされているのかという点と、法施行後の経過措置終了後、一定期間後、一定期間というのはどれぐらいの期間を想定されているのか、何か御説明できるようなことがあればお話しいただきたいということが1点です。

 それから、今も議論がありました1ページ目の3つ目のです。これは政令でなくて、法令解釈通知などで示されるということで、先ほどの先生の話、それから、山崎委員からもありましたように、労使が真に必要なものに限って設定していくということを促す、そういう受けとめをさせていただければと考えております。

 あと一点ですが、3ページ目の運用商品の除外の際に実務上留意すべき点、ここを書いていただいておりまして、事業主サイドとしても今後こういった考慮要素をよく考えながら選んでいくという点で、実務上、非常に関心が高いところでございますので、今後、ガイドラインなり、通知なりで示される際には、なるべくわかりやすく説明いただければと思います。

 以上です。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 今、清家委員から初めに御質問がありました資料1の1ページの初めの※印のモニタリング等でございますが、特に詳細な内容はこれから検討かと思っております。今回、選びにくいのがどういう本数であるのかという調査もいたしました。こういう調査は、もちろん引き続き参考になるのかなと担当レベルとしては思いますが、今、当然山崎委員からも貴重な御示唆もいただきましたので、どういうデータが作成できるかはやってみないとわからないのですが、そういう意見も参考にしながら、きちんと本人が自分の意思で選べるかどうかという視点は常に持って、本数がこれでいいのかということについては、よく見ていかなければいけないと思っています。

 そういう意味では、期間というのも特に今の段階で明示的なものは全く頭にないわけでございますが、法施行後、まず5年間は経過期間ですので、それより後、さらに1年、2年というわけにはいかないのだろうなという気はいたしております。そこも含めて、今後よく考えたいと思っております。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 先ほど言い忘れましたが、山崎委員のおっしゃったデータは、もし可能であれば少し調べていただければと思います。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 わかりました。今後見てみます。

 

○森戸委員長

 杉浦委員、お願いします。

 

○杉浦委員

 ありがとうございます。

 まず、今回いただいた1番目の論点の資料と、各委員の方がおっしゃったそれぞれの御意見を私なりに理解すると、大体これで35という方向がほぼ出てきたのかなという印象を受けていますが、重富委員からもお話があった部分も含め、私なりの考えを申し上げたいと思います。

 今回、この35という数字が、重富委員のおっしゃったことで言うともうちょっと多い本数のところもあるのではないかと、それを整理しなければいけないのはどうなのか、その手間はどうなのかという御指摘、それはそれでごもっともな部分はあるのですが、現状いろいろなところにお話を聞いてみて、数がこれだけ多くある中にはまさに大江委員がおっしゃってクオリティーがきちんと検証できているのかという問題があるような気がしています。

 今回、この上限を制限することによって、数を多くし過ぎているところ、ないしはこれまでの間、労使合意とはいえ、実質上、運管等々に勧められるがままにやっていて、実質上のクオリティーに関して野放図になっている部分があるとしたら、むしろ、この上限を決めることによって、再度、労使ともにですけれども、この現状のクオリティーに関して再検証をしていただくいい機会になるのではないかと期待をするわけであります。その方法については、またいろいろとあるかと思いますが、もちろんそのクオリティーの確認では、どのような形で、本当にきちんと運用されているのかどうかという検証を第三者によってしてもらうというやり方もあるでしょうし、最近の中でとりわけ話題になりそうな話は、手数料がこれで本当にいいのかというお話なども出てくるのかもしれません。高いのか安いのかということに関しては、なかなかきちんと検証が行われていないということもあります。そういった部分をやっていただくことによって、クオリティーの問題が解決すればいいのかなと思います。

 山崎委員がおっしゃった中で、法令解釈通知でというご指摘もありましたが、実際にあくまでも35という数は単なる上限であって、そして、それは絞れるものだったら、また必要に応じて、当然少なくていいのですということでクオリティーを高めなければいけないということは、通知や今後の制度を使うことで、実質上、ソフトローでありながらハードロー的に作用させることはできるのではないかと思っています。このような作業を通じて、この制度をよりリニューアルすることができるのではないかと期待をするところです。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 ほかによろしいですか。

 山崎委員、お願いします。

 

○山崎委員

 先ほど指摘を忘れていたのですけれども、法令解釈通知かどこかに書くとして、商品の上限というか、ラインアップづくりというのは、加入者等のための忠実義務ということが一番大事なのだということは、繰り返しどこかにうたっておくべきかと思います。だから、本数がありきではなくて、加入者にとって望ましいのがありきなのだと。それは事業主にとってもそうですし、運営管理機関にとってもそうですよということは、少し頭でうたった上で、商品の絞り込みの観点であるとかの指摘にしていただく。例えば、運営管理機関が自社系列の商品だけを残して、他社さんのだけを絞り込みの候補にリストアップする。それは加入者にとっての忠実義務にのっとった御意見ですかと言ったときに、ちゃんとそれを説明できるのかを見ていかなければいけない。例えばそういうことが今回の除外を考えていくに当たっての課題の一つだと思いますので、追加で一言述べさせていただきます。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがですか。

 臼杵委員長代理、お願いします。

 

○臼杵委員長代理

 私も今の山崎委員のお話に賛成で、一つ一つの粒々の選定理由をちゃんと考えて説明してくださいと先ほど申し上げたのですが、商品の全体構成ですね。ラインアップで、例えばこういうカテゴリーを何本、こういうカテゴリーを何本と、そういう全体構成をどういう理由で考えたかということもぜひ説明するように今後していっていただければと思います。

 

○森戸委員長

 今の山崎委員と臼杵委員長代理のおっしゃったこと、制度全体から考えて、非常に重要な御指摘だと思いますので、法令解釈通知と言いますので、そう言いますけれども、できるだけ法令解釈のほうで検討していければと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 上限の話、35というのは、例えばということで数字が出ていますが、上限を絞る話というのは、数を示されてそこからちゃんと選択できるのかという選びやすくするための観点というのと、それから、大江委員を初め皆さんがおっしゃったように、これをきっかけに、別に35にひっかからないところでも、本当に自分のところのラインアップがこれでいいのか、全体構成であれ、一つ一つの選択においてクオリティーという言葉がきょう出ていますが、本当にちゃんとしたクオリティーのものを選んでいるのかという観点で、ぜひ見直してほしい。それも恐らく反射的にと言いますか、今回の改正で目指す方向には入っているのだと思います。重富委員からは異論もありましたけれども、少なくとも今の2つの観点は、個人型も企業型も両方ある話かとは思います。

 ほかによろしいですか。

 もちろん、もっとこういうことを盛り込めという御意見をいただきました。それから、少し追加的に調べられるものがあれば調べてほしいということもありました。それから、例えば35という数字に関しての御意見、個人型、企業型を違えるべきかという話、一通り御意見をいただけたかと思います。今の皆さんの御意見を踏まえて、もう一度これは事務局とも相談して見直してまた詰めたいと思いますが、とりあえず、その上限の話は御意見を一通りいただけたかと思いますので、次に指定運用方法のほうにいこうかと思うのですが、それでよろしいですか。あとはまたもちろん皆さんに御相談しながら、次回に向けてまとめたいと思いますが、よろしいですかね。

 事務局、よろしいですか。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 はい。

 

○森戸委員長

 では、資料1の議論は終えまして、資料2にいきたいと思います。こちらは指定運用方法のほうですね。こちらのほうがより皆さん御意見があるかもしれませんが、最初に私の権限で勝手にあれですが、臼杵委員長代理から提出資料をいただいていますので、もちろんこれは全部読み上げるということではありませんが、一応、御発言の補足資料として出していただいたと理解しておりますので、せっかく資料が出ているので、最初に臼杵委員長代理、簡単にポイントだけでもおっしゃっていただいていいですか。

 

○臼杵委員長代理

 では、まず、この資料の前提ですけれども、先ほどの資料2のスライドの9です。自分の資料の前提になっているところだけを御説明すると、この法律ができたときに、みんなアメリカみたいにQDIAができるのではないかと、そこで例えば元本確保は外れるのではないかという議論がすごくあって、委員の中でもそう考えていた人は、たくさんかどうかはわかりませんが、いたと思うのです。これは、だから、要はそうではないのだということですね。の1番目にあるように「運用商品の内容ではなく指定運用方法が目指す目的を定めたもの」と。だから、内容だと思えば、この内容に反しているものは入らないということになるので、ある意味でQDIAだと思うのですが、そこはまた議論を後で皆さんにしていただくとして、一応、そういう前提で私はこの資料をつくっておりますということがまず一つです。

 何をこの資料で言っているのかというと、そうであるならば、今までは元本確保は損失リスクがない、それ以外のものは損失リスクが高いという分け方をしていたのですけれども、スライドの5で損失と機会損失という言葉が使われていますが、そうではなく、その2つに分けるのではなくて、23条の2の趣旨を踏まえて、それぞれのリスクに応じた商品ごとの特質があるのだということをきっちり情報提供するし、それに基づいて指定運用方法をつくっていただければいいのではないかというのが一番大きな趣旨です。

 私の資料の4ページ、5ページがそれを言っているもので、事務局からは、事務局のスライドの16はある時点を0としてそこからのリターンを見ているわけですけれども、そうではなくて、普通にドルコスト平均をやったときにどういう結果になっているかです。

 余り細かく言うのも何ですけれども、一番上が資産配分です。その下に「4060」「~80」と書いてあるのは、これは毎月ではなくて1年に4回、80回拠出した。ですから、80になれば元本を確保したということで、それを下回ると元本を割れているということなのですが、例えば左から3つ目のグローバル株式を100%とした場合、この場合でも、実質で元本を毀損したのは208回のうち2回、計の208というのは試行回数なのですけれども、過去のデータから試行したものですが、名目ですと208回のうち1回なのです。ですから、株100%でも、これは過去のもので今後絶対にそうという保証はないのですけれども、ほとんどドルコストでやると元本を割れていないということが例えばあります。

 実質値でいくと、一番右が預金に相当するマネーなのですけれども、実質値でいくと3680を割っているというようなことが出ているわけです。そういうことを踏まえて、次のページの資料3をつくっていて、これも全部読み上げませんけれども、無リスク商品、低リスク商品、中リスク商品、高リスク商品と左から並べていって、それぞれ期待収益率とか、リスクとか、分散投資効果などと書いています。これはあくまでも一つの例なのですけれども、要は短期と長期と、名目と実質の場面で商品それぞれにメリット、デメリットがあるということをもうちょっときちんといろいろな場面で説明してはどうかということが趣旨です。

 長くなりますけれども、例えば1ページに戻っていただいて、24条の2の情報提供、指定運用方法を定めた場合には、情報提供をしなくてはいけないと書いてあるのですが、そこには運営管理機関が利益及び損失の可能性を情報提供すると書いてあるのですが、この損失の可能性についても、機会損失ということでもいいのかもしれないけれども、例えば、短期と長期、名目と実質に分けて説明してはどうか。

 次の資料の右上ですけれども、右上については、そういうことも含めて指定運用方法を選定した理由も説明しなければいけないのですが、そのときには、その長短、実質と名目を踏まえて、例えばリスク許容度、期待収益率、手数料水準等について、こういう考慮をしたので指定運用方法をこうしましたということを説明してはどうか。もちろん説明するためにはそれを考慮しなくてはいけないわけですけれども、そういうことも書いています。

 いろいろ書いたのですが、2ページの2のその他ですけれども、今の法令解釈通知ですが、定期的に1年に1回など、指定運用方法になっている人には「指図が不要との誤解を招くことがないよう、次に掲げる事項を定期的に情報提供する」と書いてあり、例えばそこに「当該運用方法により損失が生じた場合には、その責任は加入者本人が負うこと」と書いてあるのですが、この損失の意味もよくわかりませんので、むしろ、その黒ポツの一番最後に書いてあるように「当該運用方法による運用の結果は、全て加入者の責任に帰属する」というような書き方のほうがいいのではないか。

 1つ飛ばして、一番最後の黒ポツですけれども、事務局がおっしゃるようにライフプランに適合した商品の選択を助けるというのが非常にこれから重要だということであると、指定運用方法の説明だけではなくて、全ての商品の説明について、先ほど申し上げた短期、長期、名目、実質の期待される利益や損失可能性、あるいは大臣がおっしゃっている分散投資効果等も含めて、多様な側面からそれぞれの商品のメリット、デメリットを考えるように情報提供していってはどうかというのがこの紙の趣旨です。

 以上です。わかりにくかったかもしれません。済みません。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 いろいろ多岐にわたるのですが、貴重な御意見をいただきました。前提としては、事務局の整理に従って、今回の基準というのはQDIAというわけではなくて、あくまでも目的、つまり、こういう観点から指定運用方法を選んでくださいと、そういう目的の規定なのだということを前提に、結局臼杵委員長代理の資料の5ページのようなものを示されて、だから、要するに元本確保だ、これは元本を割れないのだ、ほかのは割れるのだという、そういう単純な図式で、もちろん一般にはそういう理解のレベルがまだ多い現実はあるのだけれども、少なくとも指定運用方法を選ぶときなどに、つまり、それはある意味、プロがというか、労使と運管とで選ぶわけでしょうから、そのときに元本を割れる、割れないというようなことで考えるのではなくて、細かく、結局どういう性格の運用商品なのかということをきちんと把握して決めなければいけないのだと。それをこちらの法令上のつくりというのですか、通知なり、そういうレベルでもちゃんとそういうものを前提に書くべきではないかという御意見かなと思って伺っていたのですけれども、いいですか。

 

○臼杵委員長代理

 はい。

 

○森戸委員長

 もう一点、臼杵委員長代理の資料の2ページのその他の、先ほどおっしゃったのですが、「指図が不要との誤解を招くことがないよう」というところですね。これは現行法令解釈通知にある表現で、私は若干これが気になって事務局に事前に申し上げて、ですから、今回の資料では、今後の方向としては、この言葉は出てきていないような資料になっているかと思うのです。その趣旨は、つまり、今回は指定運用方法について法令を整備したので、いろいろな手続を経た上ですけれども、3カ月とか2週間とか経た後ですが、法令上、指定運用方法で指図したとみなさるのです。だから、その人は実際にはしていないのだけれども、法律上、運用指図したということにみなすということにしたわけです。みなすのだから、その中には当然それでもういいと思っている人もいるわけだし、別にみなされたものでいいと思っている人もいるわけなので、継続的な投資教育とか情報提供は必要なのですけれども、余り指図が不要との誤解とかと言い過ぎると、何か指定運用方法は悪いもののような感じもするので、別にそういうわけではないでしょうと思いましたので、今後の解釈通知等では少しそういうことも考えていただけたらと思っているところではあります。もちろん、まだ議論の途中なのですけれどもね。

 先に臼杵委員長代理の意見を伺いましたが、あくまで御意見の段階ですので、皆さんの御意見を伺ってから改めて詰めていきたいと思います。

 ほかの委員の方から、指定運用方法に関して御意見のほう、いかがでしょうか。どなたからでもお願いします。

 山崎委員、お願いします。

 

○山崎委員

 臼杵委員長代理から、新しい視点というのですか、名目と実質という観点から適切な指定運用方法のあり方という視点があって、私は本当にむしろそこが肝心なのではないかと思います。この確定拠出年金がスタートしての15年間がたまたま全くインフレをしていなかったので、仮に想定利回りみたいなものを一つの目標値と定めたときに、本当にそれをクリアすれば運用としては問題ないと思っていたら、本当はインフレとそれを上回る収益をとっていかなければいけないということを考えなければいけなくて、そういうことを言い出すと投資教育のハードルはすごく高くなります。この15年間、普通の会社員が600万人ぐらい確定拠出年金を通じて初めての投資をスタートした中では、余りインフレしなかったことはよかったなと思うのです。

 でも、これから先を考えたときには、インフレしたときに、退職一時金や確定給付と比べたら、DCは自分でそれを追いついて、さらに超過リターンを得ていかなければいけないという意味では、元本確保型商品が指定運用方法であるということの危うさというのですか、それは確認されたほうがいいのかなと思います。前回の資料の中にあった資料を、表の形式は同じにして臼杵委員長代理の5ページ目の資料で比較の例ということでお示しされたと思うのですけれども、見方を少し整理されていくと、どうしてもQDIA的な具体的な商品例示が難しいのであれば、実質的な価値の上昇ということに着目して、指定運用方法は労使でしっかり話し合うべきだというところを強調される。そうすると、結果として考えると、なかなか元本確保型商品というのは、もしかしたら問題ありかもしれないなという意識に労使間での話し合いがいく可能性があるのではないかと思います。

 余計なのですけれども、退職一時金は労使交渉をして、最後に払ってくれる金額を増額改定してくれということで耳をそろえてもらうこともできますし、確定給付企業年金も同様のことができますけれども、DCは自分の財産を自分で自己責任をふやしていかないといけないわけで、この観点というのは、ほかの退職給付制度と比べても重要なのではないかと思います。

 追加で細かい話を2点ほどさせていただきます。21ページ目の上から3つ目の働きかけのところですが、働きかけはするのですが、例えば分散投資されたバランス型ファンド等が指定運用方法になっていて、投資教育を受けたり働きかけを受けたりして、でも、このままでいいかなと思う人があると思います。こうした加入者について、本人の同意のようなものをいただいて、チェックを入れて、そういう方は今後の働きかけから外していくというようなことは、これは事業主と運営管理機関の努力によってイノベーションしていけばいいと思うのです。そういうことで、本人はもう納得している人に対して変えなさい変えなさいと言い続けるむなしさみたいものは解消できそうな気がするので、法令解釈通知は、そういう好ましいあり方のようなものもいろいろな提示ができる方法だと思うので、そういうことは指摘があってもいいのかなと考えます。

 一方で、指定運用方法は運営管理機関が提示するというわけですから、先ほど前半の話でも私は最後に申しましたが、忠実義務の観点という話は、ここでも繰り返し強調されたほうがいいのかなと。要するに、運営管理機関には指定運用方法を選定する一定の責任を負うと。事業主も当然負うわけなのですけれども、事業主はさすがに労使交渉するので理解されると思いますので、運営管理機関に対する念押しはあってもいいかと思いました。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今の1点目は、私も先ほどまさに臼杵委員長代理の資料で申し上げたことと同じなのですけれどもね。つまり、デフォルトでいいと思っている人もいるわけだから、そういうことも考えた上で通知レベルのものを整備していけたらいいかなとは思います。

 2点目もおっしゃるとおりで、だから、今回、何も別に忠実義務とか受託者責任の規定をいじるわけではありません。しかし、結果として、指定運用方法というものが法律上の根拠を持ったものになりました。もちろん運管なり事業主はちゃんとした運用商品を、それこそ例えば35本ならば35本以内で選ばなければいけない、クオリティーを考えて選ばなければいけないという義務を負うとともに、特に指定運用方法については、それ以外の観点も入れて選ばなければいけないよという意味では、余り忠実義務が強まったとか弱まったとかと言うのは変ですけれども、山崎委員がおっしゃったようなことが、今後事業主としてあるいは運管として考えなければいけない事項に入ってくるということは言えるのではないかと私も思います。ありがとうございました。

 大江委員、お願いします。

 

○大江委員

 ありがとうございます。

 私も実は、今回の指定運用方法というのはいわゆるQDIAのようなものだという認識でずっといたので、前回の委員会のときに、それは定義としてはどちらですかということをお聞きしたのです。きょうの御説明なりいただいた資料を見る限りは、先ほど臼杵委員長代理がおっしゃったように、これはQDIAというよりは一時的なもので、本筋は加入者が自分で運用を指図する。それはもちろんそのとおりなのですが、ということになると、少し議論も変わってくるかなという気はしているわけです。

 たとえそうであったとしても、従来のものと全然何も変わらないのかというと、それではぐあいが悪いのではないかと思っていまして、例えばいろいろな意見の中で、元本確保型を入れたほうがいいと。それは当然その企業によっても想定利回りが違ったりすることもあって、別に元本確保型でも問題ない場合があるのだからということも意見としては出てきたのですが、そもそも想定利回りよりももっと大事なのは、これは遠い将来に年金として受け取る話ですから、購買力の維持ということのほうがむしろ重要なことなのです。

 そうすると、インフレ率とか、先ほど山崎委員がおっしゃったように、今まではたまたまずっとデフレが続いていたのでそういう面は表に出てこなかったのですが、今後、物価上昇などのことを考えると、名目だけではなくて実質ということも踏まえたリスクということも考えていく必要があると思うのです。そういう意味でいけば、そういったことも全て承知した上で、個人として元本確保型を選ぶというのは、それは当然自由なわけでして、それに対する指図権が何ら侵害されるわけでも何でもないと思いますので、そういう意味でいうと、そういった指定運用というのは、少なくとも従来のいろいろな大臣の答弁であるとか、今でも厚生労働省のホームページに載っているようなことからいけば、分散投資効果が期待できる商品設定ということであるべきではないかと私は思っています。そういう意味でいうと、元本確保型は適切ではないというのが私の意見です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

QDIAかどうかというのはアメリカ的な、法律のつくり上、そうなっていないということは事実ですけれども、ただ、大江委員がおっしゃったように、そうはいっても現実に指図しない人がいたらこの運用方法になりますよというルールになっているわけなので、それで、そういう人が一定の数はいるということですから、指定運用方法というのは、ある程度この制度にとってのスタンダードな運用方法だ、では、何がスタンダードか考えろという趣旨かと思いますけれども、そういうことに事実上はなるのではないかと思います。そういうことを前提に議論をしなければいけないのだろうと思います。大江委員がおっしゃったことは、そのとおりかと思います。ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。

 重富委員、お願いします。

 

○重富委員

 ありがとうございます。

 資料2の9ページ、位置づけということで、目的を定めたものと記載されておりますけれども、そうであれば、実際にデフォルト商品を設定する場合に、なぜそういう商品の設定をしたのかというようなことや、適用の時期ですとかを加入者に説明することが必要になると思っております。元本確保型商品であれば元本確保型商品をなぜ選んだのか、投資信託商品であれば投資信託商品をデフォルト商品としてなぜ選んだのかということで、その理由ですとか、リスクも含めて、明確に事業主や運営管理機関から加入者に説明することの周知徹底を図るべきであろうと思っております。

 また、そもそも今回デフォルト商品の適用者は運用を指図したものとみなすということになるわけですので、デフォルト商品の設定そのものについて労働者代表にも非常に重たい責任が担わされることになると思っております。その設定に当たって、労使合意を行うために必要な情報ということで、この資料の9ページの3つの観点から、その商品はどういった特徴があるのかとか、どういったリスクがあるのかということを労働者代表に説明しなければならない旨を、ぜひ明記していただきたいと思います。

 例えば、このデフォルト商品に、信託財産留保額が設定されているような投資信託の商品ですとか、解約控除になるような保険の商品などが設定されてしまった場合、デフォルト商品の適用となってしまった加入者がみずから違うものに移ろうとしたときに、負担を負わされて資産が毀損することにもなります。そういったものはデフォルト商品には余り望ましいものではないとも思いますけれども、デフォルト商品の設定の際に、そうしたことも考慮できるような情報提供についてもぜひ明記いただきたいと思っております。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今のは、少なくとも連合の組合は、そういう情報を得たらちゃんと理解してくれるレベルに連合さんとしては教育してくれるという趣旨ですか。つまり、それなりの情報が来たらそれを労側も理解しなければいけないので、別にここで何か約束しろという話ではないのですが、重富委員がおっしゃったように、今もそうなのでしょうけれども、労側としてもある程度の重い責任というのか、そういうものがかかってくるということかと思いましたので、余計なことですが、済みません。

 

○重富委員

 ありがとうございます。

 先ほどもどなたかのご意見にあったとおり、全ての労働組合あるいは労働者代表が、高い金融知識を持っている方だけではないと思いますので、デフォルト商品を設定するに当たって、どういうリスクあるいは特性があるのかということなど、必要な情報を提供いただく必要があると思っております。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今の関連なのですけれども、9ページの資料で、重富委員がリファーされたところにあるように、まさにこれが23条の2のつくりなわけで、要するに、こういう目的のものを指定運用方法にしなさいという規定であって、先ほどからQDIAかどうかみたいな話も出ていますが、結局今回何が変わるのかというと、この法律のつくりだと、9ページの資料の一番下にあるように、その目的を踏まえて、つまり、労使であるいは運管もということでしょうが、労使・運管で、こういう目的に沿った指定運用方法をちゃんと選んでくださいということを恐らく義務として課しているのだろうと。重富委員がおっしゃったように、そのときはどういうことを考慮すればいいのですかというと、例えばその際の着眼点として、そこにいろいろ要素が挙がっているわけです。だから、こういうような要素を考慮して、各労使、各制度で指定運用方法としてこういうものが望ましいと、まずは話し合って議論して決めてくださいということ。そのときに、今まで皆さんから出たように、元本を割れないからいいでしょうとかという単純な話ではなくて、どういうリスクの商品かとか、そういうことも踏まえて、あるいは、それだけではなくて、どういう集団でどのぐらいの理解度のある人たちでどういうニーズがあって、あるいは退職給付との位置づけはどうなっているのか等々を全部考えて決めてくださいと、そういうことを要求しているということ。そういうつくりに少なくとも現行法はなっているということかなと理解しております。事務局の資料もそう整理していただいているのかなと思います。

 まだほかにも意見はございますか。

 井戸委員、お願いします。

 

○井戸委員

 ありがとうございます。

 今、森戸委員長の言われたまとめと余り変わらないのですけれども、この9ページのところに3つの観点が挙げられています。長期的な観点、物価上昇のこと、それから、収益の確保ですが、例えばどういう商品カテゴリーのものなど、臼杵委員長代理のようにきっちり名目でお示しいただかないと、具体的な商品がないとなかなか難しいようにも思います。

 企業年金部会のときの第13回の資料では、先進国のOECDの諸国はデフォルト商品の表示、行動経済学にのっとってのグラフなど載っているので、部会に載っていた資料をここに載せていただく。あるいは、商品のカテゴリーでリスクリターンの特性がもちろんあるわけですから、その組み合わせを分散投資して、リスクを軽減し、安定的にリターンを得る場合、ここの選択をするとこういう可能性があるということを、わかりやすく表にしていただくということが大事だと思います。報告書などで、そういうことを具体的にお示しいただくと、よりこの3つの観点がどういうものかがわかりやすいのではないかと思います。

 指図しない方の投資教育についてですけれども、資産運用に全く興味のない方とか、何回お伝えしても、書類なども見ていただけない方というのは一定数いらっしゃいます。これは現実と理想はかなり開きがあるかとは思うのです。けれども、決してやめてしまったり、諦めてしまうと、このDC制度が活かされないことになってしまいます。事業主も運管も、属性に合わせながら、投資教育は引き続きずっとやっていくことが大事だと思います。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 大江委員、お願いします。

 

○大江委員

 細かい点で恐縮なのですが、この資料2の20ページに、収益の確保については手数料の視点を盛り込んではどうかというお話があって、これは全く私もそのとおりだと思って、考えていったほうがいいかなと思っているのです。ただ、この中の販売手数料、信託報酬、これはもちろん安いほうがいいに決まっているというのはそのとおりなのですが、信託財産留保額というところに一部誤解があるかもしれないので申し上げておきますと、信託財産留保額がないほうがいいかというと必ずしもそうではなくて、信託財産留保額というのは、そのファンドから出ていく人が、本来それにかかるコストというものを出ていく人本人が負担すべきもの、それをなしということは、残った人が全部負担することになるわけですね。ということは、長期に持っていればいる人ほど、それが不利になるという話になってしまうので、むしろ、これはありのほうが本来あるべき姿であって、これをなしのほうがいいのだというのは少し違うのではないかと思っています。大した額ではないと思いますけれども、ただ、ここのところはちょっと誤解のないようにということもあって、少しつけ加えさせていただきました。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今回、長期的な観点、物価、その他、収益の確保と法律に書いてあって、それを省令でとなっているのですけれども、今のところは、この取りまとめでも、それの観点に沿って労使で考慮して決めてください以上のことは言っていないのですが、大江委員がおっしゃったように、20ページの下の収益の確保のところに手数料の視点を盛り込んではどうかと。これはある意味、具体的に案として出ているのです。だから、手数料の視点は、ある意味、少なくとも省令ではこの部分は法律には手数料とは書いていないですけれども、手数料の視点を入れたらどうかという提案をされているわけです。ただ、当然、手数料は安いほうがいいよねと素人的には思うわけです。でも、大江委員がおっしゃったように、それはいろいろ内訳もあるし、どういう趣旨のもので、ないからいいとかという話でもないよねというのは非常に重要な視点ですし、そこはちょっと難しいですが、そういう専門的な知見を助けていただいて、余り変な基準にならないようにしないといけないと思うので、実際、ここを詰めるときには大江委員、その他、ほかの方にも御意見をちゃんといただいて、中身を決めなければいけないと思います。御指摘ありがとうございました。

 清家委員、お願いします。

 

○清家委員

 きょう御提示のありました論点につきまして、先ほどからも議論がありますが、9ページ、それから、20ページです。デフォルトの基準に関する省令で3つの考慮要素とか、検討の視点を定めると、そういう方向でよろしいのではないかと思います。今後、視点や運用方法を定める場合に、労使で今回の法改正の趣旨を十分踏まえて、改めてどうあるべきかという検討が恐らくしっかりなされるのではないかと思いますし、そうあるべきだと思います。

21ページ目以降に、いろいろな働きかけ等が必要だということで御提示いただいておりまして、これに関して、運管さんがやるところ、それから、事業主としてやるところ、そのあたり、若干混在している部分もなくはないかなという受けとめをされる可能性もあるかと思います。これは恐らく省令というよりは実務に持ち込む段階の話かとは思いますが、なるべくそれぞれの役割をわかりやすく示していただいたほうがより働きかけの実効性が高まるのではないかと思います。

 1点、質問なのですが、今、通知ベースでデフォルト適用されていらっしゃる方が当然いらっしゃるかと思うのですが、今回の法律で定められたデフォルトというものが実際に施行された後、その方の取り扱いというのはどういう受けとめをすればいいのかという点を改めて確認させていただきたいと思います。全加入者からの確認を得るよう奨励とありますので、そのあたりの今々お考えのところがあればお示しいただければと思います。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 今、清家委員から、現行の通知に基づくデフォルトが運用されている方についての御質問がありました。現在はデフォルトを通知上で設定し、それを適用される可能性があるという状況になっているのですけれども、そもそもDC制度では、運用の指図を一旦行うと、その後指図を変更しない限り、それ以降の資産全体について運用が適用されるという整理になっていますので、改正前のデフォルトで運用されているものについては運用指図を行ったとみなす扱いをしておりまして、したがって、改めて運用の指図を行わない限りは、法施行後も現在のデフォルトで与えられた商品で運用し続けるということになります。

 今回の改正法との関係では、改正法の経過措置で施行日前の掛金に係る運用の指図では、なお従前の例によるとの規定がありますけれども、現在の改正前のデフォルトで運用している人については、改正後の指定運用方法の対象とはなりませんで、改めて運用の指図を行わない限りは、現在のデフォルトで適用されている運用が続くということになります。そういう意味で、新しいデフォルトの規定、新しい指定運用方法の規定ということであれば、法改正の施行日後に加入した人ということになります。

 全加入者からの確認をとるよう奨励という話がありましたけれども、今後、改正の施行時に今回の議論を踏まえてこういうことを奨励するということになった場合には、今までどおり、今後加入して新しい指定運用方法の規定が適用される人のことを指して書いたつもりでございます。

 以上です。

 

○森戸委員長

 清家委員、よろしいですか。基本は改正法はこれから入る人の話だから、過去の話は関係ないというか、何も変わらないといえば変わらないのです。それから、過去も指図をしたことになってしまっているので、なってしまっていると言うと変ですけれどもね。

 今の話に関連しますけれども、だから、今回の改正で重要なことは、今までも事実上、通知があったから指定運用方法というものは運用されていたのですけれども、実は法律上、根拠はなかったのです。今回はむしろきちんと、つまり今だったら3カ月、2週間など待たずに適用しているのですね。今のデフォルトはね。そうではなくて、ちゃんと3カ月とか2週間とか最低期間を置いてやりましょうという意味では、きちんとそういう基準を定めたので、デフォルトの適用は厳しくなったとも言えるわけです。

 他方で、先ほど申し上げたように、また繰り返しになりますけれども、でも、そういう手続を経れば運用を指図したものと見なすと法律上はっきりと書くので、今まではもしかしたら、私はそういうつもりはないよと言われたときに、それでもしたのですという根拠は法律上当然ではなかったのだけれども、今回は法律上根拠ができました。そういう意味では、よくセーフハーバーという話がこの委員会でも出ましたけれども、セーフハーバーそのものの規定ではありませんが、本人が指図したとみなすということが法律上書かれるということは、それなりに意味があることかなと思います。つまり、法律上指図したことになっていますので、指図を自分でしたのだから、その損失なりは自分の負担でしょうというのが恐らく普通の考え方かなと思います。それはその先の話かもしれませんが、今の清家委員の御発言に関連して一言申し上げました。ありがとうございました。

 ほかの方、いかがでしょうか。

 杉浦委員、お願いします。

 

○杉浦委員

 ありがとうございます。

 まず、臼杵委員長代理の資料を拝見するに、確認になるのかもしれませんが、資料でおっしゃっている意味合いは、要するに、より判断しやすくなるわかりやすいバロメーターをいろいろと御提供されたほうがいいという御趣旨ですね?また、この中で、重いないしは強いのかなと私が感じたのは、あえて省令に明示するという言葉を盛んに使われているところで、情報提供義務はもともと存在するのだけれども、ただ、それは法律に書いているだけで、省令の中により細かく書くことによって、それが明確化するというところが御趣旨ということでよろしいのですね。

 

○臼杵委員長代理

 はい。

 

○杉浦委員

 ということであれば、私もこの23条の2の中の厚生労働省令がどのような中身になるのかは関心が強くあったわけですけれども、最終的にはさまざまなバロメーターが今後出てくる可能性があるとすれば、今回御指摘をいただいた部分プラスに何々等とつけることによって一定の処理はできるのかなと思っていて、今回臼杵委員長代理の御指摘されたこのペーパーの内容には一定の意味があるのかなと思っています。

 私は専門にしている法律の兼ね合い上、余り法令解釈通知という言葉になじみがないタイプなので、私などはどうしてもガイドラインなどと言ってしまいたくなるタイプなのですけれども、もう一つ私のほうで思いついたことがあったのは、先ほど重富委員もおっしゃいましたが、9ページの最後のところに、加入者の集団のリスク許容度や期待収益等を労使・運管等で検討しながらという表現がある。そこに関連して、どこまで労側がきちんと見なければいけないのかということに関して一定の不安感、不安感の御表明かどうかあれですが、どうしたものかというところがおありになるということをおっしゃっていた。

 現実に、この制度がきちんと動いていく過程の中でも、恐らく残ってしまうものは何かといったら、それは情報の非対称性であることは間違いない。そのときに、さまざまな方々、FPの方とか、いろいろ関与されることによって商品の内容の説明づけをしていくのだろうけれども、そのときに、労使が具体的に本当に適切なものかきちんとチェックできるのかはなかなか厳しいという段階になったときに、私は運管側のほうがきちんとした自主ガイドラインを自分たちでこの件に関してつくれるのかどうかというところに期待をしたいと思っています。

 運管側は、ほぼほぼイコール金融機関であり、金融商品取引法や金融商品販売法を通じて、投資家保護についてもプロフェッショナルでもいらっしゃる。この方たちが、やはり加入者集団のリスク許容度とか、そういったものの分析に関しても、行動経済学であるだとか、そういったことや金融工学、そういった分野でのプロの方たちもやはりそこにいらっしゃる。そういう方たちが、業界団体等の中での議論を通じて自主ガイドラインを設定することによって、ある程度選び抜かれた洗練されたものが、最初から労使を含めた交渉の場に出てくることが本来望ましい。また、そういったガイドラインには、もちろん今回いらっしゃるようなFPの先生方とか、臼杵先生のような経済学者の方も含めた方々も含まれていることも望ましい。そして、そこで作られた中立的なガイドラインがそこに存在すれば、ぼんと出されて、では選んでください、判断してくださいねといきなり更地で持ってこられるよりは、労使側にとっても比較的受け入れやすいというか、もともときちんと選ばれたものしか出てこないという形になると比較的選びやすいのではないかということは考えました。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今の御指摘、非常に興味深いのは、おっしゃるとおり、結局運管もいろいろな系列があるので、そこが一緒になって指定運用方法というのはこういう観点でこういうものがあり得るのではないかということを、一定のそれこそガイドラインを示すことができれば、それはそれで非常に、それにプラス労使の事情なりを加味して、指定運用方法みたいなものを選んでいければ、それが恐らく理想なのかなと思います。そういうことが試みとして考えられていけば非常にいいかなとも私も思いました。

 法令解釈通知は、割とこのかいわいでは使う言葉で、ガイドラインというのも実は使うのですけれども、違いは何か実は余りよくわかっていないのですが、そういういろいろな業界事情でもないのですけれども、ありますので、御了解いただければと思います。

 ありがとうございました。

 ほかの方はいかがでしょうか。一応、一通りいただいたのですが、まだ時間があります。

 事務局、お願いします。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 まだ御意見があれば引き続きと思いますけれども、一旦、今後、皆さんの御議論を踏まえた後ですけれども、省令や通知を書く立場からお話ししたいと思います。

 特に、臼杵委員の提出資料は、皆様も御議論いただきましたが、恐らく今後法令に従って、労使・運管の皆様が考えるに当たって非常に参考になるものかと、貴重な御示唆をいただいたかと思います。

 我々が資料の9ページに出したような考え方で、省令などで書いてはどうかということを今回論点にしていますけれども、それを考える中でも非常に参考になるものです。まさに杉浦委員からおっしゃっていただいたように、どう省令に、どう通知に書くのかというのはなかなか悩ましいところもありまして、もちろんなるべく明確な基準ということで、省令で書くのが一番望ましいのですけれども、省令だと法規的な性格を帯びる基準なので、絶対的なものになりますので、省令に書ける部分と、そこで書くとなかなか実効性の点から逆に難しい点があるのもあるので、そこは通知におろさなければいけないものがあるのではないかということも含めて検証したいと思っています。

 特にいただいた内容ですと、非常に御専門的で、重富委員からも労働者代表側もきちんと情報を受けとめてやらなければいけないとおっしゃっていましたように、この要素を全部消化し切らないといけませんというようになるのがいいのかということもありますので、参考になるということは十分前提に置いた上で法令上の整理はまた事務局で考えたいと思います。

 特に、それに関連で、臼杵委員長代理の最後の資料3でわかりやすい表を示していただきまして、なるほどと私どもも思います。ただ、なかなか法令的に見てしまうと、高いとか低いとかということになると、何がどこまでいったら高いのかという議論にまたなってしまいますので、恐らく我々がこれから得るべきは、委員からも購買力の重要性に関する御意見がありましたとおり、これまではそこまで細かくは見ていなかったような視点、長期、短期だとか、名目、実質とか、購買力の可能性などの、これまで私どもも見い出せていなかった視点を取り入れさせていただいて、ちゃんと着眼点として関係者に示していくことが重要かと思っていますので、そういう趣旨で参照させていただきたいと思いました。

 もう一点、投資教育の件で、山崎委員や井戸委員からお話がありました。確かに指定運用方法で運用を、納得していらっしゃる方、し続ける方はいらっしゃるのだと思います。そのときに、そういう人には余り投資教育をしつこくやってもという話があったのですけれども、もちろん投資教育は効果的にやらなければいけないのですが、一応、投資教育は今回継続的な部分、初期ではなくて継続的に事業主がやる努力義務というように強めましたので、継続的には、加入者全般に対してやることは法律上の努力義務かと思います。その中で、今でも投資教育の通知のところでもちゃんとアンケートをとりながら、例えば加入者の状況を見ながらやりましょうということにもなっています。もちろん見ながらでいいと思うのですけれども、井戸委員がおっしゃったように、長い年数運用していきますので、ライフスタイルに対する考え方が変わったり、その人の資産状況が変わったりということもあると思うので、デフォルトを適用した人も、常に情報には接してもらいたいなと、事務局の今回提示した立場から思いましたので、そういうことを踏まえて御議論いただければと思いました。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 今の点も踏まえて、いかがでしょうか。

 重富委員、お願いします。

 

○重富委員

 ありがとうございます。

 資料2の21ページの指定運用方法の論点2で、今ほどもありましたけれども継続投資教育を努力義務としたということで記載されております。この間も申し上げているとおり、投資教育は極めて重要であろうと思っております。企業年金連合会の資料によりますと、平成27年度の継続投資教育の実施状況は約60%にとどまるという資料もありますけれども、事業主による導入後の継続的な投資教育が努力義務化になっております。先ほど、運用商品数の上限の資料にはモニタリングをするというような記載もありましたが、投資教育の実施状況についてもモニタリングなどを行いながら、その結果も踏まえて、運営管理機関や事業主に対して、さらなる投資教育に関する責務を課すということも検討するべきではないかということが1点です。

 あと、その次の22ページのところに、確定拠出年金制度全般ということで、例えば長期的な年金運用の観点からは分散投資効果が見込まれる商品も有用である旨、示してはどうかと書かれておりますけれども、当然、加入者の年齢ですとか、DC以外に保有している資産の状況などによって、長期的に分散投資効果が見込まれる商品が必要なのかどうかということも全く異なると思います。この書き方でいきますと、全ての人に分散投資効果が見込まれる商品がいいと誤解されるようにも読み取れますので、もう少し丁寧に記載するべきではないかということを申し上げておきたいと思います。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 山崎委員、お願いします。

 

○山崎委員

 先ほどの私の指定運用方法のままの方についてオプトアウトできないかというような話は、投資教育というよりもむしろ情報提供のアプローチの話かと思っています。私も継続投資教育の重要性について全く否定するものではないですし、粘り強く繰り返しやっていくことの重要性というのはもちろんあると思います。先ほど企業年金連合会の調査の話題が出ましたけれども、私があれで問題視しているのは、全体の実施率そのものよりも制度を導入してから5年たったり7年たっても、いまだに継続教育をやっていない会社さんが常に数割いらっしゃる。そちらのほうが多分問題だと思うのです。ですから、例えばですけれども、業務報告の中で継続投資教育の実施状況についても記載をさせて、DCを入れてもう10年もたっているのに一度もやっていないなどという回答をしているところには、直接的な指導を加えても構わないのではないか。要するに、そういうような個別具体的なアプローチもあわせて継続投資教育実施率向上に取り組まれてもいいのではないかという感じもいたします。

 長い目で見ると、この投資教育の問題は汎用的に事業主がやれる範囲はどうしても限界があって、どうやって個別的な教育を取り組んでいけるかが課題になります。ただ、個別的に、個人個人の理解度もしくはリスク許容度に応じた教育をやろうとすると、事業主としては手間が増えていくばかりです。現状でも、初級編、中級編、上級編のように継続投資教育を設定すれば、単純にプログラムを3つ考えることになり負担が3倍ですから、なかなか難しいというところもあったりもします。この話は、多分指定運用方法の話とか運用商品の本数の上限の話を超えて、でも、引き続き議論していかなければいけない話なので、私もどこかで一回言おうかなと思ったのですけれども、専門委員会の開催趣旨の中に、1が指定運用方法の選定基準で、2が運用商品の上限数で、3にその他と書いてあったのですけれども、今回一通りの指定運用方法と商品の上限の議論が終わったら、その他は実は投資教育の議論でしたということにして、第2ステージはやっていただいてもいいのかなというのは思っていたりもします。実際問題、ただ、この2つの議論というのは、最後に投資教育をいかに充実させていくかというところでサポートしていかなければいけない重要なテーマだとも思いますので、私が個人的にもうちょっと長くやりたいなと思っているだけかもしれないですけれども、もしよろしければ、そういう観点も検討いただければと思います。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 臼杵委員長代理はよろしいですか。

 

○臼杵委員長代理

 はい。

 

○森戸委員長

 まとめるというわけではありませんが、一応皆さんの御意見を伺って、この資料2のまとめ方について、まとめ方についての大きな異論はなかったように思います。事務局からもありましたけれども、とりあえず省令は何か決めなければいけなくて、しかし、通知等に譲る部分もあるだろうと。具体的に、省令に何と書いて何を書かなくて、何を通知に書くか書かないかということは、それは作業を進めてみたりしないとわからない面もあるので、この委員会で省令はこうなりますという文章を示すのは難しいかなという感じです。だから、省令、通知等を含めてどういうような内容、趣旨のものにすべきかという観点で議論するということになるかなと思います。

 繰り返しになりますけれども、結局今回の指定運用方法の話ですが、法令上、ちゃんと根拠ができたということが恐らく大事で、先ほどから出ていますように、アメリカのQDIA的なつくりにはなっていない。運用指図を自分でするのが原則で、そういう意味では、しない人は例外だと、法律上は恐らくそういう位置づけなのでしょうが、ただ、他方で皆さんからも出ていますように、そうはいっても、運用を別にあえて指図しない人も、例外かもしれないけれども、一定割合いるという現実を受けとめなければいけない。そういう人にはどういう運用商品を充てるべきですかという話なので、法律上は、それは例外かもしれない、それから、QDIAではないかもしれないけれども、私は事実上、その制度のスタンダードな運用方法、スタンダードという言葉であえて曖昧にしていますけれども、事実上のその制度のスタンダードな運用方法は何かということを労使なり運管と一緒に考えなければいけない、考えてくださいということなのではないかと思います。

 その考える観点というのが、資料の9ページにある長期的、物価損失、収益確保ということですが、これ自体はそんなに縛りがかかるわけではなくて、むしろ、これは恐らくDCファンドについておよそ基本的には満たさなければいけないことではないかという気もします。

 では、結局どういうことかというと、9ページの下のほうにありますように、まさに企業型であれば、労使・運管でこういう観点に沿って一般的な金融商品に関する知見なり専門的知識プラス、その労使の制度におけるさまざまな事情も踏まえて、労使・運管で指定運用方法にふさわしい商品を決定してくださいというつくりになっているのかなと思います。

 そのときの考慮するポイントというのは、着眼点として一番下に書いていただいていますが、きょう皆さんからいただいたような視点も大事だろうと思います。その中では、御指摘がありましたように、決して元本を確保されている、されていないとか、そういう単純な話でもないですねと。いろいろな視点から考えなければいけませんが、皆さんから出たような視点を加味した考慮要素を少し提示していかなければいけないのだろうと思います。

 ここからは私の意見ですけれども、他方で、余りこういうものをつくるときに、結局どうすればいいのだと現場では思うから、だから、こういうことを考慮したことにして、こうすればいいのですよと余り答えを示し過ぎると、それをなぞるだけになってしまう。私としては、なかなか難しいですけれども、労使なり運管なりが本気でどういう指定運用方法がいいかということを考えられるようなものに、余り答えが書いてあるドリルを示さないで、でも、こういう要素を考慮して話し合って決めてくださいね、勉強して決めてくださいねということを促すような省令なり通知なりになったらいいなと個人的には思います。なかなか難しいのですけれども、お役所のガイドラインなどで、例えばこうであるとかといって物すごく答えが書いてしまってあるものがよくあるので、要望ですが、そこの兼ね合いをうまいぐあいにしていただけたらなと、していかなければいけないかなとは思っています。

 まとめということでもないのですが、一応、皆さんの御意見を踏まえて、事務局のほうにさらに次回に向けて詰めていただければと思います。

 ちょうど大体時間になりましたので、本日の審議については終了したいと思います。次回の開催等について事務局から連絡があればお願いします。

 

○青山企業年金・個人年金課長

 次回の開催日時は、事務局から各委員の御都合をお伺いした上で正式な御案内をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

 

○森戸委員長

 ありがとうございました。

 では、本日は終了いたします。御多忙の折お集まりいただきまして、ありがとうございました。


(了)

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