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2017年4月11日 第4回エイズ・性感染症に関する小委員会

健康局結核感染症課

○日時

平成29年4月11日(火)
14:00~16:30


○場所

厚生労働省共用第8会議室(20階)


○議題

(1) 後天性免疫不全症候群および性感染症に関する特定感染症予防指針の改定について
(2) その他

○議事

○結核感染症課エイズ対策推進室長 定刻となりましたので、ただいまより、第4回厚生科学審議会感染症部会エイズ・性感染症に関する小委員会を開催いたします。本日は南委員より御欠席の御連絡を頂いております。また、早乙女委員におかれましては、まだいらっしゃっておりませんが、現時点で10名中8名の委員に御出席いただいており、定足数以上の委員に御出席していただいておりますので、会議が成立することを報告いたします。

 また、本日は参考人として、はばたき福祉事業団より大平参考人、日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス長谷川参考人、大阪HIV薬害訴訟原告団より森戸参考人に御出席いただいております。

 次に、事務局より資料等の確認をいたします。議事次第、委員名簿、座席図のほか、資料12、参考資料16を用意しております。また、委員については、前回までの主立った資料として机上配布資料17を用意しております。資料に不足がある場合は事務局までお申し付けください。

 冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。以降の議事運営に関しては、岩本委員長にお願いいたします。

○岩本委員長 日本医療研究開発機構の岩本です。よろしくお願いいたします。今日は2時間の予定を頂いており、議論をするには忙しいかと思いますがよろしくお願いいたします。また、前回は急にお休みを頂き大変失礼いたしました。

 まず、本日の議題を確認いたします。議題1「後天性免疫不全症候群及び性感染症に関する特定感染症予防指針の改定について」、議論2「その他」という点を御審議いただきたいと思います。それでは、早速、議題1、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改定についての議事に入ります。事務局から資料1の説明をお願いします。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 参考資料45の特定感染症予防指針の原文を付けておりますので、適宜、御参照ください。

 資料1は特定後天性免疫不全症候群の特定感染症予防指針に関する改定案のたたき台となっております。左側に現行指針、真ん中に改正案のたたき台、右側に今までの委員等からの御意見が記載されております。左側の現行指針のうち、削除された部分には下線を引いております。また、真ん中のたたき台の部分では、赤字の下線を引いた部分が新たに書き換えられた所です。現行指針から記載する項を変更した場合には、書体を左側に参考として明朝体で記載しておりますので、御参考にしてください。

 今回は前回の議論を踏まえ、変更した点を中心に説明します。まず、全体的な話ですが、現行では患者等と記載されている部分は感染者等へ変更、HIV感染症を現行指針では定義しておりませんでしたが、HIVへ感染している状態であって、エイズを発症していない者として新たに定義付けをしております。必要な部分に関して、HIV感染症・エイズとして記載を統一しております。

 個別の説明に入ります。1ページの11行目の抗HIV療法は他人へ感染させるリスクを有意に減らすという形になっております。前回の会議の中では感染率ではなく感染機会と記載してはどうかという御意見が出たのですが、事務局で分かりやすい表現ということでこういう書きぶりにしております。適切な治療を受ければ健常者と同等の生活が送れるという現状の記載を追加しております。

 以上の変更点を踏まえ、1ページの下の部分ですが、「さらに、抗HIV療法は他人へ感染させるリスクを有意に減らすこと(Treatment as Prevention)が示された。近年の抗HIV療法の進歩により、感染者及び患者、(以下「感染者等」という)の予後が改善がされた結果、早期発見及び早期治療によって感染者等は健常者と同等の生活を送ることができることとなった」と変更してあります。

2ページです。合併症についての記載という御議論がありました。合併症の所は、合併症の発症リスクの増加ということで、「慢性感染症であり、感染者等の高齢化に伴う合併症の発症リスクの増加及び、長期療養に伴う費用負担の増加」という記載に変えております。

3ページです。御指摘を受けて、感染経路についての記載を追加しております。また、個別施策層の書きぶりも変更しております。意思決定という部分については、適切な意思決定ということを前回の議論を踏まえ修正しております。こちらの部分について御確認いただければと思います。

4ページです。MSMでの発生について、現時点で過半数という書きぶりが適切ではないかという御意見を踏まえ、そちらを採用して「現時点ではMSMが感染者等の過半数を占めており、特に重点的な配慮が必要である」と書換えをしております。薬物の記載についてですが、「薬物乱用・依存者」という所を「薬物依存者」と記載してはどうかという御提案がありました。担当部局からは、薬物乱用者・依存症者というものが正確な記載というコメントがありました。乱用という言葉のイメージについて、前回、御発言がありましたので事務局としては「違法な薬物使用者」と全ての記載を統一しております。以上、前文の部分の説明で、前回の議論を踏まえ変更した点について説明しました。

 続いて、5ページの第一項の「原因の究明」です。6ページです。任意報告である病状に変化を生じた事項に関する報告については、事務局で確認をということで承っておりました。平成1988日に厚生省保健医療局エイズ疾病対策課長通知が発出されております。この中には、個別に同意を取ることについての記載はありません。また、エイズ発生動向調査の分析には、御指摘を踏まえ地域差を考慮することを記載しております。

 続いて、8ページ以降の第二項の「発生の予防及びまん延の防止」に移ります。14ページです。第二項の二、普及啓発の部分については前回の議論を踏まえ、教育機関などでの普及啓発を上位、MSMに対する教育を2に修正をしております。それ以外は特に前回からの修正はありません。

 次に、21ページの検査・相談体制です。薬物の所も違法な薬物使用者ということで統一しております。郵送検査については、「国は郵送検査の結果さらなる検査が必要とされた者を」という一文を追加しております。それ以外の書きぶりには変更はありません。

22ページ以降、「医療の提供」について説明します。23ページの医療機関でのHIV検査という所では、HIV感染症、エイズによる患者さんの部分が抜けているのではないかという御指摘を受けて、「医療従事者はHIV感染症・エイズが疑われる者のみならず、梅毒、淋菌感染症」、以下同じになっておりますが、この部分を追加しております。

25ページです。前回、議論のありました透析医療については、歯科診療とともに透析医療の項目を追加しております。

27ページです。長期療養・在宅療養支援体制等の整備は、全体として少し変更している部分があります。後半の部分ですが、日常生活を支援するためのというのが現行指針に記載があります。「また、感染者等の日常生活の基盤を整備することは、感染者等の抗HIV療法の継続のために重要である」と記載を変更しております。

29ページです。治療薬剤の円滑な供給確保は、全て薬剤ではなく「治療医薬品」という形で記載を変更しております。また、医療の所の人材の育成及び活用という所の場所が少し変わっており、全体的な同意に基づく医療の推進等の記載の後、最後の七に人材の育成及び活用を入れております。どのような医療を推進するのかということを述べた後に人材の育成をするということで、流れを付けた形です。

 続いて、33ページの第四項の「研究開発の推進」です。前回、若手に限らず研究者を育成するということの重要性などが議論されました。それを受けて、34ページ、「また、国は長期的展望に立ち、継続性のある研究を推進するとともに、若手研究者の育成及び研究者の安定した研究継続のための環境整備を支援していく必要がある」と記載を変更しております。

 また、34ページの二、医薬品等の研究開発の中には時点修正を踏まえ、ゲノム医療を活用した治療法など現状の研究状況を踏まえた記載をしております。

 それから、議論のあった曝露前予防投与については、研究の項目に移してはどうかという御意見を踏まえ、二、医薬品等の研究開発の後段に曝露前予防投与については記載を移行しております。そこの書きぶりですが、「HIV感染のリスクが高い人々に対する」という、対象となる人たちを記載しております。

 続いて、37ページの人権の項です。就学、就労に限らず一生を通じて安心して暮らせる社会等の実現という御意見を踏まえ、一番最後の行ですが、「特に、感染者等が安心して治療を継続しながら生活を送ることができるようにするためには」という書きぶりに変更しております。

 それ以降、施策の実施等については大きな変更はありません。前回の議論を踏まえた後天性免疫不全症候群に関する修正は以上です。なお、このたたき台は、今後、法技術的な修正があり得ることは御了承ください。事務局からは以上です。

○岩本委員長 初めのほうに戻って御議論をお願いいたします。まず、「前文」の所で御意見はいかがでしょうか。

○大平参考人 現行の指針の前文中で前からの踏襲なのですけれども、「正しい知識とそれに基づく個人個人の注意深い行動により、多くの場合予防することが可能な疾患である」ということが書かれています。前文の中でも、「正しい知識とそれに基づく個人個人の注意深い行動により、多くの場合予防することが可能な」という所がとても重要なのではないかと思うのです。

 これがないと、予防指針として、一番最初の予防の観点として、「うつさない、うつらない」というような自律的な心が生きないのではないかと思います。これは是非生かしていただきたいと思います。

○岩本委員長 たたき台の真ん中のほうも、4行目から「正しい知識とそれに基づく個人個人の注意深い行動により、多くの場合HIVへの感染を予防することが可能である」という表現になっておりますが、これでよろしいでしょうか。

○大平参考人 そうですね、ここがうまく強調されていないと、それぞれの感染原因というのがあるわけです。本当に個人個人の人権問題として重要な所だと思うのです。これは、しっかりと踏襲していただきたいと思います。

○岩本委員長 HIVのウイルスの感染による疾患であるということが1文目に加わりましたので2文目になっておりますけれども、やはり「背景」の最初のほうの所で強調はされていると考えますが、それでよろしいでしょうか。

○大平参考人 できれば1文の最初の所でうたっていただきたいと思います。

○岩本委員長 それでは文面を考えさせていただきます。ここは、「原因の究明」というのが後にありますので、要するに感染症であるということをはっきりさせたいというのが1文目なので、事務局と相談させていただいて、前の文言を踏襲した部分が最初に来るような努力をいたします。

○大平参考人 お願いします。

○岩本委員長 他にはいかがでしょうか。

○白井委員 前文の1ページの真ん中ぐらいから、「さらに抗HIV療法は他人へ感染させるリスクを有意に減らすこと」と書いてあります。この言葉の「有意」というのが、疫学的に有意という形で捉えているのか、廣田先生にコメントを頂きたいのです。分かりやすい文章にすると言ったときに、そういう言い方がいいのか、「効果的」と言うのか、「有効だ」とかそのほうがいいかと。有意というのは一般向けにはちょっと違うような気がするのです。

○廣田委員 おっしゃるとおりですね。

○岩本委員長 この部分は臨床試験で、要するにカップルの片一方が感染していて、片一方が感染していないカップルを、非常に多数グローバルな臨床試験で比べて、早期治療群と治療待機群に分けて、早期治療群では有意差を持ってネガティブな人に感染する頻度が減ったと。それで言葉が「感染率」になっていたのですけれども、この言葉は疫学的に正しい言葉ではないという指摘を廣田先生から受けて、「感染機会」という言葉が適当ではないかと。実は、ここに至るまでに「り患率」という言葉はどうでしょうかと伺ったのですけれども、り患率にすると、「HIV感染症が症状のないところから病気を発症」というのがあるので、そのり患率というのが、感染という事実よりは発症事実と結び付いてイメージを持ちやすいということで、結果的に有意というのは、臨床試験で有意差があったということを言い表しているだけです。「効果的」というのは、それでも一般への発信の場合には良い言葉かもしれないですね。廣田先生どうですか。

○廣田委員 それでもよろしいと思います。「有意に」は取ってもいいです。

○岩本委員長 「有意に」は取る。

○廣田委員 一般的には。

○白井委員 「リスクを減らす」のほうがいいと思います。

○廣田委員 それでいいのではないですか。

○岩本委員長 疫学はなかなか難しい。専門用語の部分と、一般に使う部分では微妙なずれがあったりします。それでは「有意」というのは取らせていただきます。「リスクを減らすこと」ということでよろしいですね。これは、「感染機会を減らす」ということで、正にその意味になると思います。

 その後はいかがでしょうか。その次には、「近年の抗HIV療法の進歩」のことが書いてあって、「早期治療」ということで、患者さんの予後は非常に改善したということがあります。同時にそれは高齢化の問題が起こって、「環境整備が必要である」ということになっています。この辺りはいかがでしょうか。御意見がなければ次に行きます。もちろん最初のほうの御意見を頂いても結構ですので先に進ませていただきます。

 「日本における発生動向」の辺りは一緒ですけれども、「エイズ発生動向調査」のことが書いてあります。「現在、1つの大きな日本の動向の問題点として、エイズを発症した状態で感染が判明する方が、年間の報告数の約3割に当たる。これは、早期に診断されておらず、生命的なリスクまであるわけですので、早期発見に向けたさらなる施策が必要である」という書き方になっていますが、この点はよろしいですか。

 次にあるのは、ここでHIVの感染経路の言及が加わっています。「感染経路は性行為感染、血液を介した感染、薬物使用」もここに入ってくることが多いわけです。それから「母子感染」があります。「性行為による感染が日本の場合は特に主要な感染経路ですので、性に関する適切な意思決定や行動選択に係る能力が形成過程にある青少年は性感染症としてのHIVの知識の普及啓発が特に重要である」という書き方をしておりますが、いかがでしょうか。

○白井委員 以前、「薬物乱用・依存者」の所を「依存者」に統一していただきたいと言った所が、正確に言えばというような説明の中で、分かりやすく「違法な薬物使用者」ということに変えていただきました。こうなると、ここの部分は善悪を強調しているような印象があります。私が、以前に「薬物依存者」というようにお願いしたところでは、依存者のケアとか、そういうところまでも含んでの対応が必要なのではないかと思っていました。このように「違法な薬物使用者等」になると、その辺のニュアンスが全部取られてしまっているのではないかと思います。分かりやすいと言えば分かりやすいかもしれませんけれども、逆に違和感を感じます。

○岩本委員長 これは何ページですか。

○白井委員 3ページです。他の所でも幾つかページを追って出てきていると思うのです。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 担当部局からは、「薬物乱用者・依存症者」というのが正確な記載ということで、これは省令ということで、記載ぶりについては関係部局からの意見も配布することになっております。「乱用」ということについては、「一度でも薬物を使用した方」というのを厚生労働省としては使っている用語です。そちらの記載、若しくは「違法な」という形で提案があったということで今回出しています。「依存症者」だけを書くということは少し疑義があるというのが部局からの説明でした。並列で記載するのか、その辺りについて御議論を頂きたいと思います。

○岩本委員長 これは先ほど私は読まなかった次の文章になっています。次の段も議論していただく必要があると思います。「またHIVは性的指向のマイノリティー(例えば男性間で性的接触を行う者(men who have sex with men。以下「MSM」という)、性風俗の従事者、違法な薬物使用者等における感染拡大のリスクが高いという特徴がある。我が国ではこれらの人々に加え、言語的障壁又は文化的障壁があり、適切な保健医療サービスを受けていないと考えられる外国人を個別施策層(施策の実施において特別な配慮を必要とする人々という。以下同じ)と位置付けている。現時点では、MSMが感染者等の過半数を占めており、特に重点的な配慮が必要である。具体的な個別施策層については、状況の変化に応じて適切な見直しがなされるべきである」。

 私が伺いたい1つは、「性的指向のマイノリティー(例えばMSM)」というような表現でよろしいかどうか。特に「違法な薬物使用者等」の部分の表現はよろしいかということ。もう1点は、現行の指針は個別施策層の中に、「青少年」と「外国人」が入っています。このうち青少年は、もう少し前段の感染経路の次に、青少年は性的な意思の発展途中にあるので、「青少年」は切り分けて先に書き込んである。それから「外国人」についても「MSM」、それから「性風俗の従事者」、「違法な薬物使用者」とは分けて書いてありますので、幾つかの問題点が前の指針から変わっておりますので、この辺りはそれぞれ御意見を頂きたいと思います。

 「薬物」からいきますか。先に御意見が出ましたので、「違法な薬物使用者」はいかがですか。これは、国際的にも恐らく日本は、アジアは、アメリカと近くて薬物使用者には非常に厳しく対応していく方針で、特にヨーロッパはもともといるからということでもないでしょうけれども、非常にアクセプトしていく方向の文化だと思います。だから「薬物使用者」の記載の仕方も「イントラビーナス・ドラッグユーザー」という言い方から、国際的には「people who use drugs(PWD)」というような言い方に変わってきている実情があります。ただ、厚生労働省は御存じのように、医療系の従事者と麻薬Gメンが所属する薬の部署があって、ある意味では日本の薬物の取締りというか、管理を行っている省庁でもありますので、文言についてはある意味では法務省よりきつい場合があり得ると思います。

 その辺りで、どういう書きぶりがこの予防指針として適切であるかということについて御意見を頂ければと思います。

○大平参考人 「違法な薬物依存者」というのも、ここで込めるのかどうかというのも含めて、リアリティがかなりあるような、今回の指針の文章の改訂みたいな形になっています。ここ全体を見ると、「特殊な疾病の対象者」というような形に映るような気もするのです。そこの所は、もう少し書きようがあるのではないかと思います。もう少し国民に目が向くような書き方も重要かと思います。

 「違法な薬物依存者」というのは、日本は刑法で厳しく取締りの対象になっている所が、この中で併存しているということがなかなか難しい理解だと思います。ここの項目の中に入れるのかどうかというところもちょっと議論があります。

○岩本委員長 その他にいかがでしょうか。

○早乙女委員 遅れてすみませんでした。「違法な薬物使用者」という所にすごく違和感があります。指針の中にこの文言が必要なのかどうかということを、この部会で議論するのが適切かと思っています。個人的には「薬物依存者」で十分ではないかと。啓発として促すという意味ではそれで十分ではないかと思います。

 もう一点は、「性的指向のマイノリティー(例えば)」うんぬんという所が、これは他のマイノリティーの方々にとっては、ここにポンと出てくることに関しては適切でないように思うのです。ここの所は、後ろのほうに「MSM」について言及されているので、性的マイノリティーは全てHIVのリスクではない。マイノリティーというのは、要は性同一性障害の方たちも含むわけです。

○岩本委員長 おっしゃるとおりです。

○早乙女委員 LGBTという視点からいくと、ここに「マイノリティー」が入ってくるのは若干違和感があります。

○岩本委員長 長谷川参考人どうぞ。

○長谷川参考人 確かに「性的マイノリティー」というのは、いわゆる「LGBTQ」と言われている人たち全てを含むわけです。その中で、極めて組合せ方次第で感染リスクが大きく違う。現実にMSMが現在日本の感染動向の約7割、不明を入れると恐らく8割近くということを考えると、これは差別という意味ではなく、施策のターゲットとして明確化する上で、明示する必要はむしろ大きいのではないか。

 ただ、ここで気になるのは、M to Fトランスジェンダーの人たちが省かれていること。レズビアンとか、F to Mの人たちは御存じのように余り感染リスクは高くないのです。そうすると、ここの中で積み残されているのはM to Fトランスジェンダーの人たちが落ちている。それであれば、MSMF to Mトランスジェンダーを併記することでバランスは取れるのではないかと思います。

○岩本委員長 1つの基本的なポイントは、社会のマイノリティーが、HIV感染者の場合に非常に感染しやすいのは世界どこも同じことであります。どのマイノリティーが、どの国で多いかというのは、かなり国や地域の事情の違いがあるというようなことだと思います。長谷川さんがおっしゃったように、日本の指針で書くのか、インターナショナルにはkey affected populationsという言葉が使われますけれども、そういう中に入る性的なマイノリティーと、薬物依存者やcommercial sex workerなどを書き込むのか、どちらかということです。御意見としては、個別のマイノリティーが強調されすぎているという御意見とマイノリティーを指針として書き出した方がいい、はっきりと施策の対象になるということを書いたほうがいいという御意見があると思います。もう少しお願いします。

○長谷川参考人 むしろそのターゲットを明確化するというのが、これまでのエイズ対策の中で学習してきたことだと思うのです。ですから、エイズ対策の中では、例えばMSMcommercial sex worker、という人たちを個別に対応して、それに即した予防施策を採っていくという形できたと思います。そういう意味で、ここに「MSM」が特記されること自体は矛盾ではないと感じます。

○岩本委員長 日本の場合、性的マイノリティーでHIV感染の問題になるのがMSMということですので、むしろ「性的マイノリティー」を取ってしまって、「men who have sex with men(MSM)」とするような形もあり得るかと思います。

 もう一点は、外国人が個別施策層に入っていて、実際外国国籍で、日本でどのような診療を受けているか、あるいは外国国籍の方でHIV感染している方がどのぐらい日本にいるかということの把握が十分できていない点という問題があります。また、、外国人をkey affected populationsに入れている、入るという国も余り聞いたことがない。むしろ外国人問題は、例えば医療の提供とか、人権の問題に移す可能性もあると思います。その点についても少し御意見を頂ければと思います。

 外国国籍でHIVに感染した人は大事ではないというメッセージではなくて、やはりきちんと国として対応はする。しかもその対応議論して実施するには個別施策層としてくくった方が良いというようになるのかもしれませんけれども、外国国籍の人全部が個別施策層と言うと、ちょっとくくりが広すぎるという気がします。日本へ来る外国人はどんどん増えています。この辺は外国人の問題は医療施策とか、その辺りに移させていただいてよろしいでしょうか。

○白井委員 それに関連してなのですけれども、医療アクセスが困難な人たちの中に、その外国人というのが入っていると思います。

○岩本委員長 そうですね。

○白井委員 それはHIVに限らないです。医療の所でカバーしていただいたほうがいいかと思います。

○岩本委員長 よろしいでしょうか。それでは「MSM」という言葉は残す。「違法な薬物使用者」に関しては、取りあえず「薬物依存者」ということで、この委員会の意見として、厚生労働省の文言の修正の部署の方々の御意見を聞いていただく。「外国人」に関しては、医療アクセスの所で言及させていただく。「性風俗の従事者」はよろしいですか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 「性的マイノリティー」の部分は削除ということでよろしいでしょうか。

○岩本委員長 「性的マイノリティー」という言葉は削除してよろしいですか。

○早乙女委員 もう一度長谷川参考人の意見も含めて話をさせていただきます。性的指向のマイノリティーと言うと、その他のリスクに関係のない方たちが含まれてまいりますので、ここはMSMが特に重要です。それからMtoFをどうするかというのが微妙だと思うのです。male to femaleの性同一性障害の方は、多くは男性のパートナーを持つので、もちろん男性と女性のカップルということになるのですが、MSMと似たような状況になるため、リスクが近いというような意味合いで、それを含めたほうがいいかもというのが長谷川参考人の御意見だったかと思います。

 そこまできちんと書き込むか、逆に「MSM等」というようにしてしまう手があるかと思います。ここに「性的指向のマイノリティー」と書いてあることに違和感があります。

○岩本委員長 分かりました。大平参考人どうぞ。

○大平参考人 ちょっと議論を蒸し返す話になるのですけれども、ここはMSMの問題というのが大変重要なところがあると思うのです。現在の問題と、5年後をにらんだ指針としてのこれからの問題としては、やはり異性間性接触と言うのでしょうか、異性間の性行為によっての増加も少しずつ増えてきている。もう少し一般人の感染についての問題点というのは、ここにどういう書き方になるのか分かりませんけれども、込めたらいかがかと思います。そうしないと、少しずつですけれども、私たち外来に通っているときに、夫婦で来られる患者さんが増えてきているのが目に見えています。そういう方たちが、早期発見に至らないところもありますし、発症してから来る人たちというのが圧倒的に多いわけです。そういうことも含めると、もう少し一般人の感染について、何か込められた文言があってもいいのではないかと思います。

 これだと、特別な個別施策層のみの対策のように感じられるところがあるので、そこは書きぶりとして考えていただきたいと思います。

○早乙女委員 大平参考人の御意見は、その上段の所で「HIVは血液又は体液に存在し、主要な感染経路としては性行為による感染」と書かれていますので、ここが基本になっています。もしここに何か「一般人の」というようなことで御懸念されているような文言を入れるとしたら、「多様な性行為による感染」というように、一般の方もいろいろな性行為をなさっていたりしますので、そんな文言を入れたらよいのかと思います。これは全ての性行為を行う人、あるいは行う可能性のある人に向けているという意味では、この上段の所で書かれているのではないかと思います。

○岩本委員長 次の段に行かせていただきます。次の段が基本的には国民一人一人への発信になっていて、この辺りの順番とか、書き方のミクスチャーが必要だという御意見だと伺います。読ませていただきます。4ページの下のほうです。「HIV感染症・エイズについては原因不明で有効な治療がなく、死に至る病であった時代の認識にとどまっている場合があり、また個別施策層に属する人々が少数であることから、正確な知識の普及が阻害されている。その結果感染者の医療及び福祉を受ける権利が必ずしも尊重されていない。

 したがって、社会に対してHIV感染症・エイズに関する正確な知識を普及し、国民一人一人が感染者に対する偏見及び差別を解消するとともに、国民が自らの健康の問題として、感染予防を適切に行うことが重要である」。

 この最後の1文をもう少し膨らませて、事務局で文言をどの辺に、しかも配分するといいのかを考えていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。その他に御意見があればお願いします。

○廣田委員 前文で時間を取りすぎているのですけれども、先ほどの所です。3ページの下から3行目に、「個別施策層」という言葉が出ています。この「個別施策層」はこのパラグラフを見ていると青少年も入るわけでしょう、これは入らないのですか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 入らないです。

○廣田委員 その次に出てくる「性的指向のマイノリティー」は入るのですか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 その「MSM等」というような形です。

○廣田委員 「等」ですね。それから「性風俗産業の従事者」がいるわけです。それから「違法な薬物使用者」。それに比べて「言語的障壁又は文化的障壁があり、適切な保健医療サービスを受けていないと考えられる外国人」です。これも、ただ「外国人」ではなくて、適切な保健医療サービスを受けていない、本来は受けるべきなのに。だから、書き方はこれでいいような気がするのです。

 「個別施策層」が最後に出てくるから整理が付かないのです。個別施策層として対応していて、それにはこういう人が入ると、そのように書いたらすっきりするのではないですか。

○岩本委員長 前は一緒に全部個別施策層に入っていたのを、「青少年」とか「外国人」に分けようとしたのです。ただ、文言は基本的に変えてはいかんと言われましたので、事務局と相談をしてこのようにパズルをしたのは確かで、その辺りをおっしゃるように変えさせていただきたいと思います。

○廣田委員 そういう書き方をすれば、一つ一つの言葉をいじらなくてもいいと思うのです。

○岩本委員長 荒川委員どうぞ。

○荒川委員 廣田委員の御発言はごもっともで、3ページの上から6行目に青少年のことが出てきて、8行目から「また」で続いているのです。ここは改行段落していただいて、「HIVに関する知識の普及が特に重要である」という所で一旦切って、次は改行、段落で「MSM」から始めていただいて、それを個別施策層にしないと、廣田委員がおっしゃったような疑問が出てくるので、そのようにしていただくことが必要だと思います。

○岩本委員長 いかがでしょうか。

○白井委員 違法な薬物の所の対案がないような感じがするのです。「違法な」と言うと、法律上はまだ違法ではないけれども、危ない薬物がいっぱいあるではないですか。それがイタチゴッコになっているという状況なのです。それを含まないような形になってしまったり、なかなか難しい表現かと思うのです。「ダメ。ゼッタイ。」運動みたいな形になると、1回でも駄目というようになります。そことHIVの感染のリスクというのが、やはり薬物の依存に係るのではないかと思います。正確かどうかというところよりも、適切かどうかというところで御配慮いただきたいと思います。

○岩本委員長 長谷川参考人どうぞ。

○長谷川参考人 「違法な」というところに関して同じような違和感を感じました。私の友人の中では、確かに違法薬物の依存者もいるのですけれども、実は処方薬の依存者が結構います。そういう意味では、処方薬の依存については、かつて私もたばこを13箱ぐらい吸っていました。ニコチンの依存です。それは1つのオリの中に、依存症として捉えられるのではないかと思います。そういう意味で、「違法な」というのを取るというのは難しいのでしょうか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 先ほどから頂いている御意見は、「依存症者」という形で可能かということを、担当部局のほうに、議論を踏まえて提案させていただきます。そちらの意見を踏まえて、また改めて皆様に御提示をさせていただきます。

○岩本委員長 それでは、とりあえず次に進ませていただきます。原因の究明の基本的考え方の一、基本的考え方。「国及び都道府県は感染者の人権及び個人情報保護に十分配慮して、国立感染症研究所、研究班、NGOと協力して情報収集に努め、適切な医療の提供を行うための施策を立案、実行することが重要である」、これはよろしいでしょうか。

 続きまして、「エイズ発生動向調査の強化」。これは法律が根拠になっているということと、次が前回御議論いただいたと伺っておりますが、病状変化が現在、任意報告になっておりますが、その点をどう扱うかという点です。これは法律で任意報告になっているので、そこは変えられないのですが、任意といえども、できるだけ報告してくださいという心を込めて、「必要性を周知徹底して、情報分析を引き続き強化する」という言いぶりになっております。それから、地域差の考慮と感染者の方々に関する疫学研究等の情報収集が大事で、それはエイズ動向調査を補完する作用を持つ。国連が提唱するケアカスケードの評価に資する疫学調査・研究等を継続的に実施する必要がある。別に国連に準拠しなくてもいいと思うのですが、国の中に何人感染者がいて、どのぐらいの方が診断を受け、治療を受け、治療はどのようになっているかということは大変大事だと思いますが、このところはいかがでしょうか。何か御意見はありますか。

 それでは、次にまいります。国際的な発生動向。ここは要するに国の施策もあって、外国の方々が非常に増加しているということで、ちょっと書き分けたということだと思います。国際的に外国の発生動向も大事だということですね。四のエイズ発生動向調査の結果等の公開については、広く公開しているということになっております。よろしいでしょうか。

 次が赤字の多い所ですが、8ページ、予防及びまん延の防止、基本的な考え方。国及び都道府県は、日本の最大の感染経路が性的接触であることを踏まえて、性感染症のり患とHIV感染症・エイズとの関係が深いこと等を踏まえて、性感染症に関する特定感染症予防指針に基づき行われる施策とHIV感染症対策とを連携させた施策。コンドームの適切な使用を含めた正しい感染予防の知識の普及啓発。仮にHIVに感染したとしても、早期発見、早期治療を適切に行うことでエイズの発症を防止し、他人へ感染させるリスクを大幅に低減できることについて、普及啓発及び地域の実情に即した検査・相談体制の充実を中心とした予防対策を重点的かつ計画的に進めていくことが、発生の予防及びまん延の防止に重要である。都道府県等は、保健所をこれらの対策の中核として位置付けるとともに、所管地域における医療機関等からの情報を元に、発生動向を正しく正確に把握し、施策に反映するよう努めることが重要である。

 普及啓発及び教育においては、特に科学的根拠に基づく正しい知識に加え、保健所等における相談の利用に係る情報、医療機関を受診する上で必要な情報等を周知することが重要である。それ以降は前回と同じですが、ここの辺りについて、御意見はいかがでしょうか。

○早乙女委員 前回も提言させていただいたのですが、丸数字の3の所に「仮にHIVに感染したとしても、早期発見及び早期治療を」とありますが、もちろんコンドームの使用も重要なのですが、疑ったときだけ検査をするというよりは、パートナーが変わったとき、変わる前といいますか、本来であればある程度、定期的に検査を受けることを促さない限り減少させることは難しいのではないかと考えるので、もう少し感染症の検査の所を上に持っていくなり、もう1つ別に項立てしていただけたらよろしいかと思います。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 これは「発生の予防及びまん延の防止」という中の基本的な考え方で、第2項の中に「普及啓発及び教育」と「検査・相談体制」と、大きく2つ柱を分けております。検査については後半部分に書いてありまして、この基本的な考えの中で検査の部分を上位に上げるということでよろしいでしょうか。

○早乙女委員 はい。この丸数字の3の所の書きぶりですと、HIVに感染したことが前提となって、早期発見、治療という形になっておりますが、それよりもはるかに多い数の検査が必要なのではと思うので、自分は大丈夫と思う人ほど検査をしましょうというニュアンスを入れていただけたらと思います。

○岩本委員長 了解しました。

○早乙女委員 基本的考え方を入れてほしいのです。

○岩本委員長 よろしいでしょうか。それでは、時間の問題もありますので、次に行かせていただきます。14ページ、教育機関での普及啓発。国及び都道府県等は、感染の危険にさらされている者のみならず、日本に在住する全ての人々に対して、感染に対する正しい知識を普及できるよう、学校教育及び社会教育との連携を強化して、対象者に応じた効果的な教育資材の開発等により、具体的な普及啓発活動を支援するように努めることが重要である。また、知識及び経験を有する医療従事者は、普及啓発に携わる者に対する教育に積極的に協力する必要がある。学校、家庭、地域、コミュニティ、青少年相互の連携・協力が重要であるとともに、青少年を取り巻く環境、青少年自身の性的指向や性に対する考え方等には多様性があるため、それぞれの特性に応じた教育等を行う必要がある。いかがでしょうか。

○廣田委員 最初の「感染の危険にさらされている者」というのは、すなわち先ほど出てきた個別施策層のことだと考えてよろしいですか。

○岩本委員長 何ページでしたか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 14ページの2行目ですね。今、読み上げていただいた所の「教育機関等での普及啓発」の所の1行目、「感染の危険にさらされている者」というのは、個別施策層ということかという御意見です。

○岩本委員長 この文章がピュッと出てくると、びっくりしますね。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 少し書き方を変えたほうが。

○岩本委員長 この部分は前のままですよね。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 はい、そうです。現行指針のままになっております。「感染のリスクの高い」とか、そういう。

○岩本委員長 「ハイリスク」と言ったら、もうちょっと簡単なのですが。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 ただ、「ハイリスク」というと、新たに定義付けをする必要がありまして。

○結核感染症課長 でも、冒頭で「リスク」というのを使っている。「他人に感染させるリスク」と言っているのだから、「リスク」は使える。

○大平参考人 この教育機関での普及啓発というのが、学校としては小学校、中学校、高校といろいろありますが、どういう所を対象としたことで文言が書かれているのでしょうか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 主にエイズ教育等を行うとされている教育機関というようにお考えいただきたいと思います。エイズ教育については、現在、中学校の指導要領について記載があります。それ以外については、それぞれの発達に応じた性教育という中で読込みをされております。この「教育機関等での」というのは、社会教育も含めた広い意味での普及啓発というように、事務局としては捉えており、そのような文言を考えております。

○白井委員 その意味でも一般的な国民全員にということになると、先ほど大平参考人もおっしゃいましたが、もっと感染の危険の人たちだけではなくてということが強調されるためには、ここにもう本当にこの文章は要らないのではないかと思います。日本に在住する全ての人々に対してのほうがいいですよね。それも要るかどうか分かりませんけれども。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 では、「感染の危険にさらされている者のみならず」という一文を削除ということで、よろしいでしょうか。

○岩本委員長 長谷川参考人どうぞ。

○長谷川参考人 私はちょっと逆の発想をしてしまったのですが、いわゆる教育機関でこういう形で規定すると、本当に感染リスクが高いMSMのゲイユース、若いMSMの人は、いわゆるコミュニティアプローチでは届いていないのです。そうすると、今LGBTの動きが活発化することによって、実は今まで大体1718歳ぐらいから動き出していたMSMのゲイユースが、1516歳から動き始めている、あるいは自認ができてしまうという状況があるので、一般の中にむしろMSMの問題とか、あるいは。ただ、ほかの個別施策層というのは、一般教育ではなかなか難しいと思うのです。でも、そこのところで何らかの方法で、MSMの問題もインクルーズされる。そこで、ゲイの若い人たちに対して予防のアプローチがある程度できればいいなと、ちょっと思いました。

○大平参考人 エイズの問題でも、教育の問題はすごく大切だと思うので、そこは自分の健康を保持することと、守ることと、他者の健康を害することがないようにということの思いやりということの1つの健康教育の中の一環のベースの中で出てくる話なのかと思うのですね。最初の教育というのは、そういう形でエイズ教育も、単にすぐ性教育として表れてくるのではなくて、自分の命を守る、体を守るということと、そういう同じような思いをほかの人にさせてはいけないということの思いやりというのですか、そういうことを基本に、このエイズ予防指針は最初の発端としてはそういうところを強調して、そこの流れの中で予防教育などをしていくというところがあるのです。まずはこの教育での問題はかなり生々しい話ではなくて、一般的に性教育にうまくリンクしていくような形の方法、流れを作っていくのが大事なのかと思うのです。そこからきちっとリスクの問題とか、いろいろな病態の問題とか、そういうのを知って、この病気にかからないようにしようね、うつさないようにしようねということを述べていくことが1つの大きな教育なのかと思うのです。ですから、そこができていないと、個別施策層の問題とか、そういうことも言う以前の問題として崩れてしまうのではないかと思うのです。

○野津委員 時間のないところで恐縮ですが、今、大平参考人が教育の在り方について発言されましたので、それに関わって是非、述べさせていただこうと思います。前に戻って恐縮なのですが、前段の3ページの所に青少年の教育のことが述べられております。ここの書きぶりでも引っ掛かっていたのですが、「性に関する適切な意思決定や行動選択に係る能力が形成過程にある青少年に対しては」というフレーズと、「だから、性感染症の1つとしてHIVに関する知識の普及啓発が重要」という文脈が、それがすんなり落ちるのかどうか。教育関係の人からしますと、そこはちょっとつながりが悪くて、意思決定、行動選択に係る能力、形成過程にある青少年がゆえに、今、正に大平参考人が言われたように、自他の生命や健康を大切にする教育と併せてこうした教育をするという文脈でないと、「意思決定、行動選択の形成過程にある」というフレーズが生きてこないのではないかと思っております。

 その内容が前段に書いてあるのと、今の話題になっている14ページ、15ページ辺りの青少年の教育、特に学校教育のことを考えたときに、ここでは普及啓発のための資材を開発するということと、医療従事者による普及啓発に関わる者に対する教育に協力をするということが書いてあるわけです。確かにこれは具体的ではありますが、書きぶりとして具体的なことはできるだけ後ろでしっかり充実して書いたほうがいいと思うので、先ほどのような文言を書くのであれば、前段のほうで書くようなことになれば、こちらのほうに少し移すとか、もう少し位置関係を考えたほうがいいのかなと。この後、性感染症に関する所にも教育のことがあるわけですが、そことの書きぶりとの共通的な書き方を考える必要があろうかと思います。

○岩本委員長 早乙女先生、いかがですか。

○早乙女委員 先ほど長谷川参考人がおっしゃったことでちょっと思ったのですが、1の「教育機関等での普及啓発」の所の次に、216ページに「MSMに対する普及啓発」という項目があって、ここで強調されているのでよろしいかと思うのですが、これだと「MSMに対する」なので、MSMの人だけになってしまって、MSMの理解というところにはつながりにくいかと思うので、細かいのですが、「MSMに関する」として、もう少しMSMに関する知識の普及啓発ということで、膨らませたほうがよろしいかと思います。「MSMに対する」というのは、自分がMSMだと分かっていて、リスクも分かっている人にとってはいいと思うのですが、「MSMに関すること」というのは、その周辺の方も含まれるかと思うので、そこは入れなくていいのかなと思ったのですけれども。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 「MSMに関する」という記載になると、いわゆるそういった方たちへの理解というニュアンスになるかと思うのですが。

○早乙女委員 それも含まれることが必要かと思いますが。

○長谷川参考人 ここで1つの議論で、先ほどちょっと私が前でゲイユースの問題を発言させていただいたのですが、ここでもやはりトランスジェンダーの問題がある。本来フォーカスすべきであったにもかかわらず、根本的にここは今までのエイズ対策から外れていたところなのです。ということで、これはどこかでここにフォーカスを当てる文言があれば、ほかは全部カバーできるのかなとも思いました。

○俣野委員 ここの教育に関する分け方は、教育する対象者での分け方になっていると思うのです。だから、1はまず国民全体への教育。2MSMをはじめとして、ハイリスクという言葉は使っていないということで、比較的リスクの高い方への教育。3は医療従事者に対する教育と。だから、多分MSMに関するようなことは確かに全体の方への理解も必要なので、1の中に内容的には入ってきていいのではないかとは思うのですが。

○早乙女委員 私が勘違いしていました。御指摘ありがとうございます。

○俣野委員 この1番目は、前文でもちょっと違う所に書いてありますが、やはり国全体、国民全体として理解するというのは、国全体として感染拡大を抑制していくところがやはり重要ではないかと考えております。

○早乙女委員 ありがとうございます。

○岩本委員長 この辺りも省庁の縦割問題がというか、教育機関にいる間は教育ですが、子供たちが自分の性的指向に気が付くと、今やもうスマホでポッとつながって、社会へ出ていくとこれは感染症の問題になるので、その辺りをどう書き込むかというのは非常に微妙な話はあるのですが、頂いた御意見を参考に事務局と相談致します。

○森戸参考人 教育に関してはとても重要で、シームレスでやらなくてはいけないと思っています。先ほど、事務局から「初等、中等教育でうんぬん」とあったのですが、是非高等教育とか、社会教育の中で、先ほど委員長も言われたように縦割りで難しいかもしれませんが、是非シームレスで教育を続けていく。社会教育も重要ですし、企業の中の教育も重要だと思いますので、その辺も文言に書き込んでいただけると有り難いと思います。

○岩本委員長 それでは次に進ませていただきます。「保健所等における検査・相談体制」です。ここはほとんど文言は変わっておりません。「地域の実情に即した」が加わって、保健所等が、医療機関への受診に確実につなげることが重要であるということです。

 昨今、先ほどはカスケードという言葉でしたが、HIV感染者数から始まって、医療の成功率までにいくところに、それぞれのステップで落ちていくわけですが、日本でも厚生労働省の報告に基づいて診断の付いている方と、横幕先生の研究班の病院で捕捉されている方々との間には、かなりのギャップがあって、この辺は日本はもっと問題は少ないと思っていましたが、大変大事なことだと思います。医療機関への受診に確実につなげるということが付け加わっております。

 他の感染症との同時検査、検査の外部委託等の検査の利用機会の拡大を促進する取組を強化して、検査・相談を受けられる場所と時間等の周知を行うことが重要である。それから、受診に確実につなげる。感染症予防の重要性を啓発する機会として、積極的に対応するというようなことが書かれています。

 その次が、「個別施策層に対する検査・相談体制」です。3として「郵送検査」が加わっていますが、この郵送検査も非常な勢いで増えているわけですが、これはスクリーニング検査だけですので、郵送検査の結果、「さらなる検査が必要とされた者を、医療機関等の受診に確実につなげる方法等について検討する必要がある」という文言が加わって、郵送検査を利用した場合には、その方が医療機関につながるようにということが強調されています。ここのところはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 次に、医療の提供の基本的な考え方です。「国及び都道府県は、治療の進歩による予後の改善に伴う感染者等の増加及び高齢化に対応するため、各種拠点病院の機能を明確化し、実情に応じて中核拠点、エイズ治療拠点、地域の病院等の間の機能分担による診療連携の充実を図ることが重要である。都道府県における総合的な医療提供体制の整備を重点的かつ計画的に進めるとともに、感染者等が主体の良質かつ適切な医療が居住地で安心して受けられるような基盤作りを進めることが重要である」。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 医療機関でのHIV検査です。「HIV感染の早期発見に結び付く検査機会の拡大及び早期治療の開始のためには、医療機関においてHIV検査が適切かつ積極的に実施されることも重要である。医療従事者はHIV感染症・エイズが疑われる者のみならず、梅毒、淋菌感染症、性器クラミジア感染症、性器ヘルペス感染症、尖圭コンジローマ、B型肝炎等の性感染症が疑われる者に対して、HIV検査の実施を積極的に検討する必要がある」。いかがでしょうか。

○長谷川参考人 検査の拡大というのは非常に重要なことだとは思うのですが、この段階で、例えば陽性だと判明した陽性者とか、その後のケアの部分といったことが、検査だけのことなのですが、ケアや後での支援の部分というのは、どこか連携しているのでしょうか。もしなければ、ここに1つ文言がほしいところかなと思いました。

○岩本委員長 ケアの部分は、基本的には次になるのですよね。

○結核感染症課長 はい。総合的な医療体制の所になります。

○長谷川参考人 失礼しました。

○岩本委員長 次にいきまして、「診療科連携の強化」です。「HIV治療そのものの進展に伴い、結核、悪性腫瘍等の合併症や肝炎等の併発症を有する感染者等への治療及び抗HIV薬の投与に伴う有害事象等への対応が重要であることから、国は引き続きこれらの治療に対する対応を強化すべきである。そのためには、医療現場においてHIV治療を専門とする医療従事者を中心としつつ、関係する診療科及び部門間の連携を強化し、医療機関全体で対応できる体制を整備することが重要である。さらに医療従事者は、医療を提供するに当たり、チーム医療の重要性を認識し、医療機関内外の専門家及び専門施設と連携を図り、心理的な支援、服薬指導等を含めた包括的な診療体制を構築する必要がある」。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 2425ページが飛ばされています。

○岩本委員長 失礼しました。「早期治療導入について」です。「早期に感染者等へ適切な治療を提供することは、個人の予後を改善するとともに、二次感染防止の観点からも重要であることから、国は感染者等の早期治療の開始及び治療継続を促進する仕組みの検討を進める必要がある」。

2「地域での包括的な医療体制の確保」で、「地域の感染者等の数及び医療資源の状況に応じ、エイズ治療拠点病院を中心とする包括的な診療体制を構築するためには、専門的医療機関と地域における保健診療サービス及び介護・福祉サービスとの連携等が必要であることから、国及び都道府県等は地方ブロック拠点病院及び中核拠点病院に、HIV感染症・エイズに関して知見を有する看護師及び医療ソーシャルワーカー等を配置し、各種保健医療サービス及び介護・福祉サービスとの連携を確保するための機能を拡充させることが重要である」。

 その次は、今の体制と余り変わっておりませんが、「都道府県等は、中核病院を設置する連絡協議会と連携し、医師会、歯科医師会等の関係団体や関係団体の協力の下、中核拠点病院、治療拠点病院及び地域診療所等間の診療連携の充実を図ることが重要である。特に、患者等に対する歯科診療及び透析医療の確保について、地方ブロックの拠点病院及び中核拠点病院は、地域の実情に応じ各種拠点病院と診療に協力する歯科診療所及び透析医療機関との連携体制の構築を図ることにより、患者等へ滞りなく、歯科診療や透析医療等を提供することが重要である」。ここから先ほどの診療科連携の話を含め、いかがでしょうか。

○白井委員 前回から、「透析医療機関」というのが加わっていると思うのですが、介護とか長期療養ということになると、現状で拠点病院とか一般病院の連携の中で課題になっているのが、保健所のいろいろなケアの中でも話題になったのですが、リハビリテーションができる病院が少ないというか、そういう所での拒否が多いということがあります。あえてここに、介護施設などが後ろのほうに入っているのですが、リハビリテーションの必要な医療機関も併記していただくと、認識が深まるのではないかと思いましたが、いかがでしょうか。

○岩本委員長 介護施設というのは、次に出てくるのですよね。

○白井委員 ここに医療としてのリハビリテーションが必要な部分が多くて、脳梗塞であるとか、精神、知的の部分もあると思うのですが、そういうような、特にHIVと関係なくても、必要なリハビリテーションについて、HIVだからということで受入れが十分でないというところも多いのですが。

○岩本委員長 28ページの真ん中の辺りの「各拠点病院と慢性期病院、リハビリテーション」と、「介護施設等との」の所に入れて、よろしいですか。

○白井委員 「リハビリテーション」という言葉が必要なのではないかと思ったので、そちらのほうでも結構だと思います。

○大平参考人 リハビリテーションは、とても有益だと思います。合併症が出てくる中で、いろいろと身体機能の低下の問題とか、いろいろな形でリハビリテーションは重要ですし、少し体が弱った段階でリハビリテーションをすることによって生きる気力も回復してきて、HIV治療の中では重要な服薬の問題も、希望をもって服薬できるような形になってくるというところで、とても重要な指摘だと思いました。是非入れていただけたらと思います。

○長谷川参考人 透析機関40件から断られた私としては、透析医療を入れていただいてとても有り難いと思っています。

 ところが、もう1つ私たち陽性者の中で問題になってきているのは、結婚する女性が増えてきたのです。そうしたときに、例えば産婦人科に通うのに、2時間かけて都心の某病院まで通っている状況が出てきます。そういう意味で、歯科診療や透析、そういった産科の問題も、ここに言及していただくと陽性者の出産意欲が高まるのではないかと思います。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 その点も検討させていただきます。

○岩本委員長 次は、「治療医薬品の円滑な供給確保」です。ここは「治療医薬品」という文言が足されて、「海外で承認された治療医薬品がいち早く国内においても使用できる等の措置を講じ、海外との格差を是正していくことが重要である」。これも、この指針のおかげでかつて問題があったことはないわけではないけれども、日本では新しい薬が患者の手元に届いているというのは事実だと思うので、特に大きな修正は要らないと思いますが、事務局から何かあるのですか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 28ページの下段が、先ほど長谷川参考人から御指摘のあったピア・カウンセリング等についての記載が含まれている部分です。28ページの真ん中より下について、御説明がなかったもので。

○岩本委員長 失礼しました。「感染者等の日常生活の基盤を整備することは、感染者等の抗HIV療法の継続のために重要である。国及び都道府県等は、エイズ拠点病院と連携して、専門知識に基づく医療社会福祉相談(医療ソーシャルワーク)やピア・カウンセリング(患者等や個別施策層の当事者による相互相談をいう)等の研修の機会を拡大し、NGOと協力した生活相談支援を推進することが重要である。患者及びその家族等の日常生活を支援するという観点から、その地域のNGOとの連携体制、社会資源の活用等についての情報周知を進める必要がある」。ここはよろしいでしょうか。医薬品もこれでよろしいですか。

○早乙女委員 違和感があるだけなのですが、28ページの下段の冒頭からですが、「感染者等の日常生活の基盤を整備することは、抗HIV療法継続のために重要である」というのは逆のような気がするのです。日常生活の基盤を整備することが、治療のために重要であるというのはおかしくないかと思うのです。サラッと読むと違和感がありまして、違和感がうまく説明できないのですが、治療の継続のために日常生活の基盤を整備するというのは何か。

○岩本委員長 ここは文章をもう少し。

○横幕委員 恐らくなのですが、私たち医療の立場としては、抗HIV療法を継続するためには、例えば身体障害者手帳を取っていただくといったことが大事になります。若しくは生活保護の受給、外国人であれば滞在資格があると。それがあって、初めて最新の抗HIV療法を提供できるということがありますので、そういったところで、こういった順番がありまして、医療側からいくとすんなり入るというところになります。

○岩本委員長 すんなりとは読めませんね。事務局で考えてもらわなければいけません。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 書き方は工夫させていただきます。内容については、御理解いただいたということでよろしいでしょうか。

○岩本委員長 30ページの外国人への医療の提供です。最後に「外国人への医療提供の状況について調査することも重要である」と。これは基本的に情報がないので、研究班とか、医療体制班とか、そういう所での情報収集が大事だということだと思います。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 個別施策層の所から、外国人をこちらの項目に移すという流れでよろしいでしょうか。前文の部分にある外国人、その文化的障壁等についての記載を、こちらの項目に移すということでよろしいでしょうか。

○岩本委員長 よろしいでしょうか。そのように検討させていただきます。

 続いて、六「十分な説明と同意に基づく医療の推進」です。服薬指導は文言はほとんど変わっていないです。「人材の育成及び活用」は、「ACCが中心的役割を担うことは必要である」となっています。

○俣野委員 先ほどの最後の外国人のことですが、前文の所を移すということは、外国人の部分を個別施策層にしないということですか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 先ほどはそのような議論かと思ったのですが、いかがでしょうか。

○俣野委員 そうすると、この全体の中で個別施策層というのは、前文の所で定義されていると考えるのですか。読んでいくと、結局個別施策層を何にするという記載は、前文の所から読み取るということになるのでしょうか。抜いてしまうと、そこに「個別施策層」という言葉がなくなるのではないかと思うのです。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 外国人は言語的障壁又は文化的障壁があり、保健医療サービスを受けていないと考えられる外国人がいるということで、医療の提供の所で、特段配慮が必要というような書きぶりに変更し、個別施策層という定義からは外すという認識でいたのですが、いかがでしょうか。

○岩本委員長 「個別施策層」という言葉をなくそうとは考えていません。

○俣野委員 そうすると、前文の所に個別施策層という言葉を入れるということですよね。

○岩本委員長 はい。

○俣野委員 今入っているのは、実は外国人の所にしか入っていないのですが。入っているのでしたか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 MSM、性風俗産業の従事者、薬物使用者、書きぶりはありますが、依存症者というものを、個別施策層として前文に入れ、青少年、外国人については、別途それぞれ、なぜ特段の配慮が必要かということについて記載するという認識でおりますが。

○俣野委員 分かりました。

○岩本委員長 WHOなどが言っている、key affected populationsにできるだけ合わせようとしていて、外国人の問題は別途医療政策について配慮しようということだと思います。

 次に進みまして、「研究開発の推進」です。基本的考え方は変わっていません。34ページ、「国は長期的展望に立ち、継続性のある研究を推進するとともに、若手研究者の育成及び研究者の安定した研究継続のための環境整備を継続支援していく必要がある」。「医薬品等の研究開発」。「国はワクチン、HIV根治療法、抗HIV薬、ゲノム医療を活用した治療法、診断法及び検査法の開発に向けた研究を強化するとともに、研究目標については戦略的に設定することが重要である。この場合、研究環境を充実させることが前提であり、そのためにも関係各方面の若手の研究者の参入を促すことも重要である。また、HIV感染症・エイズの予防及びまんの防止の方法として、HIV感染のリスクが高い人々に対する抗HIV薬の曝露前予防投与が有用であることが、近年海外において報告されている。したがって、我が国においても、これらの人々に対する曝露前予防投与を行うことが適当かどうかに関して研究を進める必要がある」となっています。

 「研究結果の評価及び公開」については、公開して幅広く国民の意見を聞くということです。

 国際連携も余り変わっていないです。人権の所は赤が多いので後で見ますが、国際連携の所は、外務省との連携が加わっているということだと思います。ここまではいかがでしょうか。

○大平参考人 34ページの下段、「曝露前予防投与が有効である」という所です。この投与の仕方というのは、研究で終わっているというところがあるのですが、研究以上に踏み込むとしたら、後段の人権の問題とどのように絡むのかなというのが1つあって、治療ではなくて、病気を予防するというよりもう少しランダムな形での投与になるので、これが人権とどのように引っ掛かってくるのかなというのが1つあります。

 ここは、研究の中できちんと織り込んでもらうのか、それともどのような形にするのかというのは、この研究の中の一言の中に入れてしまうのだったら、それはそれでいいかなと思うのですが、そこは慎重に判断していただきたいと思いました。

○味澤委員 今、研究は倫理委員会を通さなければいけなくて、人権問題は非常にうるさくなっているので、その心配はないと思います。

○岩本委員長 よろしいでしょうか。

 では、「人権の尊重」です。「基本的考え方」。「感染者等は、現在においても医療・福祉のみならず、就学・就労に際しても不利益を被ることがある。国及び都道府県等は感染者等が就学・就労に際し不利益を被ることがないよう、教育現場及び職場における偏見及び差別の発生を未然に防止するための十分な普及啓発を行うことが必要である」。

 「偏見や差別の撤廃への努力」。「感染者等の就学や就労、地域での社会活動をはじめとする社会参加を促進することは、感染者等の個人の人権の尊重及び福利の向上だけでなく、社会全体におけるHIV感染症・エイズに関する正しい知識の普及や感染者等に対する理解を深めることになる。特に、健康状態が良好である感染者等については、その処遇において他の健康な者と同様に扱うことが重要である」。それで省庁も協力する。一番下のほうですが、「感染者等に対する偏見・差別の撤廃のため、具体的な資料を活用しつつ、正しい知識の普及を行うことが重要である。感染者等が安心して治療を継続しながら生活を送ることができるようにするために、学校や職場、地域における偏見や差別の発生を未然に防止することが重要で、NGOと連携してうんぬん」とありますが、いかがでしょうか。

○早乙女委員 人権の尊重の基本的な考え方という所で、前の指針と変わったのは、「感染者等は現在においても不利益を被ることがある」というのが最初に出ているのですが、現状がそうなのは分かりますが、基本的な考え方の第一文にこれを持ってくるのは好ましくないのではないかと考えます。なので、「国及び都道府県等は普及啓発を行うことが必要である」。「感染者等は」というのが下にきて、「それは本来あってはならないことである」ということを強調するような配置にしていただくほうがいいと思います。

○岩本委員長 よろしいですか。

○大平参考人 今、委員がおっしゃられるようなことが理想なのだろうと思うのですが、現実には医療ではかなり不利益を被っていることと、就学・就労の問題でも、HIVの感染者として自分で申告すると、そこはかなり不利益な状況に追い込まれることが新聞報道でも出てきますが、ごく一部の報道で、現実には水面下でかなり不利益な扱いをされているところが、まだまだあるというところで、ここは現実の問題として、社会参加をかなり阻害しているというところはあると思います。そこは是非強調していただきたいと思います。

 それがだんだん薄れていって、今後の予防の問題、懸案事項としては、委員がおっしゃられるような形になっていけば、私たちも大変住みやすい環境になっていくと思うのですが、まだそこまでいっていないのが現状であるということを是非知っていただきたいと思います。

○早乙女委員 現状把握は承知しておりますが、ここは基本的な考え方ですので、基本的な考え方としては基本的人権ということを第一に挙げるべきではないかと考えます。ですので、ほかの言葉に置き換えるのであれば、今すぐには適切な言葉にならないですが、感染しているかどうかということは、その人の人権とは無関係であるというような一文を入れるなり、基本的な考え方として、あるべきことを先に挙げ、もしその現状を強調すべきであれば、後ろの文章を長くして現状を付け加える形で、ここは「人権の尊重」とうたっているからには、そこを中心に置くことのほうが重要だと考えます。

○大平参考人 それはそのとおりだと思います。もしそうだとしたら、一番最初に、医療・福祉のみならず、就学・就労に関して、一般的にどういう感染原因であろうとも、人権が侵されないような形を保障するということが前提にあって、そして、その中で現状の起きているところを記載していただく形だったら、それは整合性が取れると思います。私自身の思いです。

○早乙女委員 おっしゃっていることはよく分かりますが、二に「偏見や差別の撤廃への努力」というのがありますので、ここで現状を述べているので、そこを膨らましていただければよろしいのではないかと思います。

 ここの基本的考え方に、「不利益を被ることがある」と書いてしまってはいけないと思います。

○岩本委員長 分かりました。事務局で考えさせていただきます。基本的な考えの1文目には、「不利益がある」というのは書かないということですね。だけれども、そういう現状はあるので。

○長谷川参考人 まず現状認識をして、それに基づいてと。これは一般の法律ではないので、エイズ対策における施策としては、この段階でもいいのではないかと思いました。

○廣田委員 これは文章が整理されていないから違和感を持つのであって、例えば「感染者等は現在においても医療・福祉のみならず、就学・就労に際しても、不利益を被ることがある。したがって、国及び都道府県は、教育現場及び職場における偏見及び差別の発生を未然に防止するための十分な普及啓発を行う必要がある」と。2度同じ文章が出てきているから、非常に混乱しているのです。

○岩本委員長 事務局とよく相談させていただきます。

 次は、「施策の評価」です。これは基本的考え方が、評価を受けるということですね。ここはよろしいでしょうか。全般を含めて、御意見がここであれば。

○俣野委員 先ほど外国人の所で、個別施策層から抜くということで、念のために確認なのですが、20ページの「検査・相談体制」の所で、「個別施策層に対する検査・相談体制」という項目があります。この内容から、外国人の部分が外れて、外国人に関しては医療の提供という、ある意味ではうまく対応できるとは思うのですが、一応そういう形になること自体は大丈夫という認識でよろしいのでしょうか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 外国人に対する検査へのアクセスが難しいということも、問題点としては指摘があります。こちらの「検査・相談体制」の所にも、外国人の記載を加えるということのほうが、問題意識としては。

○岩本委員長 これは基本的には、一般国民が受けやすくすべきだという話ですよね。検査機会を増やすのであったら。日本に居住する人たちが検査を受けやすいようにしなさいということですよね。

 ここは個別施策層だから、個別施策層に対する検査・相談体制でいくのであれば、ここに外国人を入れると撞着すると思います。

○俣野委員 そうでなければいけないというわけではなくて、個別施策層から抜くと、ここの部分に今のが入っていることが外れることについて、念のために確認させてくださいということです。

○岩本委員長 検査・相談体制は基本的に日本に居住する人が、すべからく受けやすくすべきであるので、個別施策層だけを目指したものではないという部分もあると思います。

○俣野委員 恐らくそれについては、その前の18ページの1に、全体が受けられるようにという話で、特に20ページの2で、個別施策層で特にという話になっていると思うのです。

 そこに、取りあえず外国人の部分を、この形では抜けるという形になるので、念のために確認させていただいているだけです。

○岩本委員長 多分、この前半に日本に居住する人とか、前半に含まれるという考え方だと思いますが。

○俣野委員 医療提供の所で外国人のことを述べるので、そこに検査・相談体制も含めて、医療というような書き方をしても、私はいいのではないかと思っているのです。

○岩本委員長 分かりました。ありがとうございます。

○長谷川参考人 確認なのですが、この外国人というのは、いわゆるターゲットグループとしてUNAIDS辺りで言われているマイグラントワーカーに当たる人たちですよね。そうすると、やはりその辺りは別個で規定していればそれで問題がないのか、あるいは、やはり包括的なエイズ対策として必要なのか、ちょっと私は整理がついていないのです。その辺りは、どこか外国人支援のNGOなどの意見はお聞きになりましたでしょうか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 特にその点については確認はしておりません。確認をしてみます。

○長谷川参考人 できれば、その辺は踏まえていただければと思います。

○岩本委員長 日本の場合は、どのぐらいマイグラントワーカーがいるかという問題も実際にはあるので、実際には恐らく、むしろ居住ワーカーかもしれませんが、日本に居住している外国人が不利益を被っている場合があり得る。調査研究の中からある程度浮き彫りになってくれば、それはきちんと日本としてはっきり対応すべきだと思います。

○結核感染症課エイズ対策推進室長 正に今、委員長からありましたように、現状はほとんど分かっていないというところがありまして、31ページに「また」という所で外国人への医療提供の状況等について調査することも重要であるということで、調査をやっていきましょうということで今回記載をさせていただいたというところです。

○岩本委員長 ありがとうございます。それでは性感染症のほうに移りたいと思います。遅くなりましてすみません。4時半までだそうです。資料2を御覧ください。

1ページは少し文言が加わっただけで、2ページについては、全数把握の梅毒についての記載が、女性の増加を含めて記載されているということです。34ページは特に変わっていません。5ページが、定期的な調査が大事であると。

 性感染症の予防指針はほぼ完成しているのですね。ほとんど直していない。

○荒川委員 若干コンパクトになっていると思います。

○岩本委員長 分かりました。6ページは、性感染症り患率を減少傾向へということ。それから、普及啓発で性感染症をなくしましょうというメッセージが入っている。発生動向調査の結果の公開及び提供の強化。第二「発生の予防及びまん延の防止」。「基本的考え方」。「基本的考え方」の中に、先ほどのメッセージを加えたということと、国と都道府県の協力関係を訴えてある。「普及啓発及び教育」、ここは読みます。

 予防対策を講ずるに当たっては、年齢や性別等の対象者の実情に応じた配慮を行っていくことが重要である。例えば、若年層に対しては、性感染症から自分の体を守るための情報について適切な人材の協力を得、正確な情報提供を適切な媒体を用いて行い、広く理解を得ることが重要である。その際、学校における教育においては学習指導要領に則り、児童生徒の発達段階及び保護者や地域の理解を踏まえることが重要である。また、教育を行う者が正しい理解を深めることも重要である。保健所等は教育関係機関及び保護者等と十分に連携し、学校における教育と連動した普及啓発を行うことが重要であり、国はこのような普及啓発に利用可能な資材の開発等を支援していく必要がある。

 また、女性は解剖学的に感染の危険性が高く、感染しても無症状の場合が多い一方で、感染すると慢性的な骨盤内炎症性疾患の原因となりやすく、次世代への影響があること等の特性がある。そのため、女性に対する普及啓発は、それぞれの対象者の意向を踏まえるとともに、対象者の実情や年齢に応じた特別な配慮が必要である。性感染症及び妊娠や母子への影響を性と生殖に関する健康問題として捉える配慮が重要であるほか、性的虐待等の犯罪の被害者に対する支援や、緊急避妊のための診療等の場においては、性感染症予防を含めた総合的支援が求められる。また、尖形コンジローマについては、子宮頸がんとともにワクチンによって予防が有効であることから、ワクチンの効果についての情報提供を行うことが重要である。

 一方、性感染症として最もり患率の高い性器クラミジア感染症は、男性においても症状が軽微であることが多いため、感染の防止のための注意を怠りやすいという特性を有するので、そのまん延の防止に向け、より一層の啓発が重要である。

 コンドームは、性器や口腔粘膜を直接接触させないことで性感染症の感染を予防する効果があるが、コンドームだけでは防ぐことができない性感染症がある等の情報について、国及び都道府県等は民間企業とも連携しながら普及啓発に努めるべきである。

 なお、産婦人科、泌尿器科等の医療機関において、性感染症に係る受診の機会を捉え、コンドームの特性と使用による性感染症の予防についての啓発がなされるよう働きかけていく必要がある。

 いかがでしょうか。

○早乙女委員 2点ありまして、8ページの「性的虐待等」の所に、性的虐待は親から子供への虐待ですので、それ以外の性犯罪被害者が入っていません。なので、それを入れていただきたいと思います。

 もう1点は、9ページの一番下の所で、「産婦人科、泌尿器科等」となっていますが、是非、耳鼻科を入れていただきたいと思います。

○岩本委員長 何ページでしたか。

○早乙女委員 9ページの最後の行です。

○岩本委員長 耳鼻咽喉科。

○早乙女委員 そうですね。耳鼻咽喉科です。皮膚科もでした。言い出すときりがないですが。皮膚科もそうですが、耳鼻咽喉科で、咽頭の感染を見逃されているというのがあるので、入れていただきたいと思います。あとは、皮膚科でしょうか。

○岩本委員長 耳鼻咽喉科、皮膚科を入れると。

○長谷川参考人 これは細かいところをまだ読み込んでいないのですが、全体で読んで、HIVが出てくるのが、国際関係以降なのです。そうすると、それ以前に関してはHIVHの字も、AIDSAの字も出てこない。ですから、それは分かれてはいるのですが、ただ、いわゆる性病科のクリニックなどという所では、エイズは診なくてもいいのだという意識が出てくる可能性があるのではないかというのを少し懸念したのです。少なくとも、若干、国内の問題に関してもコミットしていただいたほうが検査は受診しやすい環境が作りやすくなると思います。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 4ページの5行目に、「性的接触を介して感染することがある感染症は」という所に、「後天性免疫不全症候群、B型肝炎を含め多数あることに留意し」という記載はございます。その前文的な部分に簡単には触れてはいるのですが、もう少し連携をというようなことを記載ということでよろしいでしょうか。

○長谷川参考人 はい。読まれる先生の意識があるので、少しはHIVも診ていただけますように。

○野津委員 8ページの今回赤字で示された、「また、教育を行う者は、正しい理解を深めることも重要である」というこの文言なのですが、何のためにということも是非加えたほうがいいのではないか。

 これは何のために正しい理解を深めるかというと、やはり、こういった教育の重要性とか、そういうものに対する指導の意欲を高めていただいて、しっかり推進していただくために理解を深めることが必要だと私は思います。例えば、「また、教育を行う者が最新の情報を正しく理解し、教育の重要性の理解を深める必要がある」など、いかがでしょうか。あるいは「重要性の認識を深める必要がある」ではどうでしょうか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 では、事務局のほうでそのように書換えをさせていただきます。それ以外に今の所で御意見等なければ事務局で引き取らせていただきます。

○白井委員 2ページの赤で梅毒のところを書いていただいているのですが、前回もどういうふうな表現をするかということで議論があったと思うのです。「多数を男性が占めているが、女性の割合の増加も指摘されている」ということになると、何かばらばらで増えているような気がするのです。これは、性感染症とは性行為でということになると、別の疾患のような男性の疾患・女性の疾患ではないので、これはもっと対になって増えているというような表現のほうがいいのかなと思います。「性的接触による」ということを入れていただいたほうがいいのかなと思ったのですが、その辺りは異性間の性的接触ということでは入りにくいのでしょうか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 明確に異性間での性的接触が増えているというような状況が、まだ今、研究段階として、梅毒については原因を探っているところではあります。もともとは、男性同性間で性的接触を持つ方たちの中で広がっていたという背景がありまして、そこの部分も含めてこういうような書き方をしているという形です。ただ、申し訳ありませんが、原因についてまだ完全に把握はしておりませんので、明確に異性間が増えているというようなことを記載することは若干難しいと。

○白井委員 そもそもはという中で、最近、全数把握になってからは、全数というのは前もそうだとは思うのですが、男性同性間の性的接触の部分については割と報告されてきた中で、異性間の部分は報告されていなかったのではないかというところもありますし、歴史的にはもう男性と女性との接触ということがもともとの性感染症ですから、それが今、証明できないという言い方が、逆に違和感を感じたのですが。

○結核感染症課長 性感染症の手引なので、御指摘のとおり性行為で感染しているということではないかとは思いますが。特段その点については問題ないと思います。

 確かに、丁寧に表記すると、今の赤字のとおりの表記になっているのですが、性行為感染症なのが明らかな梅毒に、また性行為をというのをうまく書き込めるかどうか、少し考えさせていただけますか。

○荒川委員 追加意見です。御存じのように梅毒発生届の様式ですが、感染症の5類の発生動向調査の全数届出義務があるのですが、この梅毒の場合は、記載する項目の中に、性的接触の、更に、同性間か異性間という項目があるのです。HIVにはないと思いますが。

○岩本委員長 HIVにもあります。

○荒川委員 失礼しました。白井委員がおっしゃるのは、多分その辺りのところで国立感染研の動向調査のまとめで2015年ぐらいに、男性の場合も同性間でうつっているものよりも異性間でうつっている梅毒り患者数が増えて、後者が前者を超えたのです。それを表してほしいという御意見だと思いますが、事務局がおっしゃるように、もともと性感染症そのものはそういう本質があるので、今のところは、「そのうちの多数を男性が占めているが」の次に、「それと並行して女性の割合の増加も」いう表現が妥当かと思いますと。それで白井委員、いかがでしょうか。

○白井委員 ありがとうございます。そもそも性感染症の予防指針なので、分かりました。

○岩本委員長 そのほかいかがでしょうか。

○俣野委員 先ほどエイズのことが少し出ていましたが、前文の所に一応、エイズも含まれている記載があるのであれば、そこに「エイズについてはエイズ予防指針を参照のこと」とか、そういうメンションをすることは可能なのでしょうか。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 エイズの指針のほうでも性感染症の予防指針と連携をするという記載がありますので、その記載ぶりを合わせるということで、どちらか、前文のどこの部分に入れるかということは、今後事務局で調整をさせていただきますが、そのような記載については可能と考えます。

○岩本委員長 ありがとうございます。

○白井委員 9ページで、コンドームのところをすごくコンパクトに書いていただいているのですが、何か分からなくなったのが、「コンドームだけでは防ぐことができない性感染症がある等の情報について」、それでその次の「国及び都道府県等は民間企業とも連携しながら」ということは、コンドームの民間企業と、「コンドームが有効だ」という対応をしてきたと思うのですが、コンドームだけでは防ぐことができない性感染症があることを民間企業と連携するという所は具体的にどういう意味なのかなと少し思ったのです。

○結核感染症課長 民間企業とはコンドームメーカーのことなのですよね。

○岩本委員長 これは多分、「製造販売業者」になっているのが「民間企業」になっただけですよね。

○結核感染症課長 ここで言っている民間企業というのは、いわゆるコンドーム製造販売業者という整理だと思います。現行指針もそう読めますので。ですから、もう少し幅広く取ったほうがよければ、関係団体とも連携をしていったほうがいいということであれば、少しその辺りを加筆していただいて、もっと幅広に対応させていただくという手はあると思います。確かに、突然「民間企業」とポンと出てくると分かりにくい点はあるのかなというふうには思いました。

○岩本委員長 ありがとうございます。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 すみません。先ほどのエイズとの関連で、3ページの中ほどに、「後天性免疫不全症候群と性感染症は感染経路、発生の予防方法、まん延の防止対策等において関連が深いため、正しい知識の普及等の対策について本指針に基づく対策と、後天性免疫不全症候群に関する特定感染予防指針に基づく対策との連携を図ることが必要である」ということが既に記載されておりますので、こちらのほうの記載でよろしいでしょうかということを確認させてください。

○岩本委員長 すみません。書いてありましたね。私がこれを読み飛ばしたので。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 申し訳ありませんでした。

○白井委員 そこの部分なのですが、書いてあるのですが、漢字で全部書いてあると、長谷川参考人の「H」が全然出てこないというご指摘で、「どこ」に書いてあるのというものが全部紛れてしまっているので、その辺りは「HIVなど」ということも入れていただきたいなと思いました。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 「後天性免疫不全症候群と性感染症は」という所を「HIV感染症・エイズと」というような形で、現行のエイズのほうの指針と形を合わせたいと思います。

○岩本委員長 そうしてください。全体的にそのほかはいかがでしょうか。

○廣田委員 この「また」を改行したらどうですか。

○結核感染症課長 そうですね。もちろん。

○廣田委員 その後、2つパラグラフが飛んだとき、「また」でちゃんと改行してありますから。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 はい。

○岩本委員長 大体よろしいでしょうか。

○廣田委員 5ページの赤棒に「妥当性」という言葉が使ってあるのですが、いかにもこれは指定を誤るような印象を受けますので、これが「合理性」ぐらだったらどうですか。

○結核感染症課エイズ対策推進室長 一応、こちらの記載の「妥当性」という意味は疫学で言うとvalidityという意味で「妥当性」という言葉を使わせていただいたというところです。

○白井委員 そうなると、前のほうにも「有意でない」などという話もあって、疫学の言葉が急に入っても、何かちょっとピンとこないので、確かに不適当な定点はいっぱいあるのですが、それを前提にするということはちょっと避けたいということなのでしょうか。ただ、表現を変えていただいてもおかしい点は余り意識しないと思うのです。

○岩本委員長 大体よろしいでしょうか。それでは、この2つの案で、大体今日おまとめいただいた方向で最終的なものを作っていって。

○荒川委員 もう性感染症の議論は終わってしまうのですか。

○岩本委員長 終わりではなかったですか。

○荒川委員 12点発言させてください。

○岩本委員長 もちろんどうぞ。

○荒川委員 これは多分、研究開発か治療の所に、最初のときに議論があったと思いますが、日本が天然ペニシリンは経口ペニシリン薬しか今はないですね。

○岩本委員長 何ページですか。

 

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 15ページにございます。

○荒川委員 そうですね。海外との格差のところです。

○岩本委員長 赤字の所。

○荒川委員 これは、ペニシリンのことを差しているということでいいですね。

○結核感染症課長 そうです。

○荒川委員 その確認と、もう1つは、これは感染研の疫学情報センターの方に言われたのですが、自治体間の連携ということについてです。例えば梅毒発生動向について、自治体として、行政、保健所等がそういうことに対する意識を実際持っておられて、その地域で何らかの啓発をされているかというようなところですが、そういうことを盛り込まなくていいかどうかということを申し上げたいと思います。ここの委員に入っておられないが、疫学担当の感染研の方からそういうことを少し論議していただきたいという要望を聞いたものですから申し上げます。これはそぐわなければ、それはそれでいいです。一応、議論していただきたいと思います。

○岩本委員長 もっと自治体は関われということですか。

○荒川委員 はい。要するに、今、都市部で例えば梅毒が増えていますが、それが実は、実際は地方に住んでいる方がたまたま出稼ぎに来ていたところでり患した場合に最寄りの保健所に届ける。そういったことを、その方のもともとの住居の自治体等が把握しなくてはいけないのではないかといったようなことです。結核ではそういうことを非常に綿密にされていますが、性感染症もそれに準ずるような連携が自治体間などで今後必要ではないかという意見があるということです。

○岩本委員長 広域連携の話ですか。どうぞ白井先生。

○白井委員 性感染症としても積極的疫学調査をできるような状態になっていればいいのですが、限界があります。届出で個人情報は頂いているわけではないですし、あと、なかなか調査の中でも、どこで感染したかということが感染の地域ということを届出の所に書くようにはなっているのですが、それをちゃんと書いていただいている所が少なかったりしますので、結局分からないので、ではどこに踏み込むかということができない状態なのです。ですから、その記載の周知から先にしないといけないなというのと、全数報告の中で、では個人情報まで取るのかというと、その後の医療の確保までの対応がないですから、なかなかそこを自治体間で連携を取れといっても難しいなという現状をお伝えしようかなと思いました。連携をする必要があることは十分認識はあります。

○岩本委員長 もう1点、やはりこれも研究で調査するというのは非常に大事だと思うのです。東京都の方も見えるのでこれは言っていいのかどうか知りませんが、味澤先生が委員長をしている東京都専門家会議で聞いたら、ある程度数の多い保健所はあるので、研究者がそういうところと共同研究をして、個人情報に気を付けて、どういうことが起こっているのかというのは、もう少し把握はする必要があると思います。割と集中しているみたいですよ。

○荒川委員 そうなのです。ですから、IDWRという厚労省と国立感染研が出しておられるウイークリーレポートがありますよね。あれはずっと下のほうを見ていくと、毎週毎週の都道府県別の数が出ていますよね。そうすると、例えば、梅毒は特に全数把握なので数がバシッと出るので、具体的には東京都が今、一番多いということが明確に出ていますよね。

○岩本委員長 もっとピンポイントに集中しているようです。

○荒川委員 それから大阪が続きます。多くの都市部で増えているのですが、そういうところの保健行政をやっている部署からの啓発というものがどの程度、地域地域で本当に実践されているかというところを、ここに盛り込むかどうかは別にして、そういうことが今後の課題になってくるのではないかなと。これは性感染症の特定感染症予防指針の推進に関する研究班でもそういうことを、分担研究者が調査しておりますので、そういう意味で申し上げております。ですから、盛り込んでいただくかどうかは別として、こういう機会でないとなかなか言えないので申し上げております。

○味澤委員 載っています。

○荒川委員 ありますか。何ページですか。

○味澤委員 16ページです。

○荒川委員 16ページにあるそうです。分かりました。一応、要旨としては出ているようなので、ただ、一応補足だけさせていただきます。

 最後にもう1点は、たしか第1回会議で全数把握疾患である梅毒の発生届様式に患者国籍を書く欄がないのかというふうに委員長がおっしゃったのですが、実際ないのですよね。今後そういうことが、何らか改正されていくとしたら、必要ではないかと思う次第です。

○岩本委員長 ただ、私は昔言われたのは、5類感染症、昔、4類までしかなかったときにはHIV4類だったのですが、感染症法の本体に書いてないことは聞いてはいけない。国籍条項は法律本体にないので、基本的に例外規定になっている。それを変えるのは非常に大変ということらしいです。不可能ではないみたいですが。

○荒川委員 どこで発生届様式の内容が決まって、どこで改正していくことが論議されるのかということがはっきりしていればいいので、別に絶対入れてくれとここで言っているわけではないのです。

○岩本委員長 多分、研究で、外国人の感染もあるということを出していったほうが実現は早いですよ。要するに研究リポートで国籍門題があるということを出していったほうが大事だと思います。証拠がないものを上段から国籍を入れろというのは無理だと思います。だけど、御趣旨はよく分かります。

○荒川委員 はい。ちょっとこの指針からは逸脱した内容かもしれませんが、せっかくの集まりですので申し上げました。

○岩本委員長 ありがとうございました。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 先ほどの自治体との連携については、16ページの「発生動向等に関する疫学研究の推進」の所に少し触れて記載をしていこうかと思います。また改めて事務局のほうでまとめて、皆様に御提示をさせていただきたいと思います。

○荒川委員 そこを若干具体化していただければ有り難いと思います。

○岩本委員長 大体、意見が出そろったということでよろしいでしょうか。それでは、事務局ともう一度今日の御議論に沿って修正させていただきまして、報告内容については座長一任いただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。そういうことで、委員会は今日はこれでおしまいだと思います。事務局からどうぞ。

○結核感染症課エイズ対策推進室室長補佐 次回のエイズ・性感染症に関する小委員会については、まず、予防指針の議論については本日、一応、委員長預かりということで引き取らせていただきます。今後の小委員会等の開催等については、また改めて委員の皆様のほうには通知等でお知らせをさせていただきたいと思います。本日の議論を踏まえ、更なる何か御意見等がありましたら事務局のほうにお知らせを頂ければと考えております。よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○岩本委員長 ありがとうございました。今日はお忙しい中、20分ぐらい延長しましたが、どうもありがとうございました。


(了)



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