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2023年1月20日 患者申出療養評価会議議事録

○日時
令和5年1月20日(金)16:00~
 
○場所
オンライン開催
 
○出席者
【構成員等】  
福井座長 五十嵐座長代理 天野構成員 磯部構成員 井上構成員 
上村構成員 新谷構成員 田島構成員 辻構成員 手良向構成員
成川構成員 山口構成員 山崎構成員 渡辺構成員
 
【事務局】
医療技術評価推進室長 先進・再生医療開発戦略専門官
治験推進室長 研究開発政策課長 研究開発政策課長補佐
がん・疾病対策課長補佐 他

 
○議題
1 患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等について
 (患-1)(別紙1)(参考資料1)(参考資料2)

2 患者申出療養の実績報告について
 (患-2)(参考資料1)(参考資料2)

3 患者からの相談事例の現状について
 (患-3)(参考資料)

4 患者申出療養の定期報告等について
 (患-4)(参考資料1)(参考資料2)

5 その他


○議事
16:00開会
 
 
○福井座長
 定刻になりましたので、ただいまより、第37回「患者申出療養評価会議」を開催いたします。
 最初に先生方の出欠状況ですが、寺田先生、直江先生、松井先生の3名の先生が欠席となっております。本日、御欠席の構成員からは委任状の提出がございまして、議事決定につきましては座長に一任するとされております。
 次に、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 頭撮りについては、ここまでにさせていただきます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、構成員名簿とありまして、「患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等について」として、患-1、別紙1、参考資料1、参考資料2がございます。
 続きまして、「患者申出療養の実績報告について」として、患-2、参考資料1、参考資料2がついてございます。
 続きまして、「患者からの相談事例の現状について」として、患-3、参考資料がついてございます。
 最後に、「患者申出療養の定期報告等について」として、患-4、参考資料1、参考資料2という資料がございます。
 資料の確認は以上でございます。資料について不足、誤り等がございましたら、事務局まで御連絡をお願いいたします。
 また、今回の患者申出療養評価会議におきましてはウェブ上で行うこととさせていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。申請書類等については、送付させていただいた資料を閲覧していただきます。発言者は、会議資料(公開資料)のページ、またはタブレット資料(非公開資料)のページとあらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かりますのでよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○福井座長
 資料等につきまして、よろしいでしょうか。先生方から何かございますか。
 それでは、今回検討対象となります技術等に関しましては事前に利益相反の確認をしております。その結果について、事務局から報告をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
 本日の検討対象となる技術等に関しましては、利益相反の対象者はございませんでした。
 以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 出席されている構成員の先生方におかれましては、このほか利益相反はないということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。お手元の資料の議事次第にございますように、「その他」を入れて5項目ございますのでよろしくお願いいたします。
 最初の「患者申出療養に係る新規技術の科学的評価等について」の資料が提出されておりますので、まず説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 資料「患-1」を御覧いただければと思います。「患者申出療養の新規届出技術に対する事前評価結果等について」でございます。
 今回申出のあった技術は、「EZH2阻害薬の有効性が期待される標準治療がないまたは治療抵抗性の小児・AYA悪性固形腫瘍に対するタゼメトスタット療法に関する患者申出療養」でございます。
 適応症につきましては、6か月以上29歳以下で標準治療がないまたは治療抵抗性の小児・AYA悪性固形腫瘍患者となっておりまして、かかる費用につきましては資料にお示ししたとおりでございます。
 申請医療機関は、国立がん研究センター中央病院でございます。
 審査の担当構成員でございますけれども、主担当を五十嵐座長代理、副担当を井上構成員、新谷構成員に御担当いただきました。総評としまして「適」との御評価をいただいております。
 続きまして、患者申出療養を実施可能とする保険医療機関の要件について御説明させていただきます。
 別紙1の40ページを御覧いただければと思います。
 こちらは、保険医療機関の要件として考えられるものを記載いただいておりますけれども、まず「実施責任医師の考え方」といたしましては、診療科として小児腫瘍科またはそれに準ずる科、資格が日本小児血液・がん学会専門医、当該診療科の経験年数が1年以上、当該医療技術の経験年数は不要、当該医療技術の経験症例数は不要となってございます。
 続きまして「医療機関の考え方」でございますけれども、診療科としまして小児腫瘍科またはそれに準ずる科、実施診療科の医師数が当該診療科の経験年数1年以上の日本小児血液・がん学会専門医が2名以上(実施責任医師を含めず)、他科の診療科の要件は不要、その他医療従事者の配置といたしまして薬剤師が必要となってございます。
 規模としましては、病床数200床以上、7対1看護以上となっております。
 「その他の考え方」としまして、頻回の実績報告は不要となってございます。
 続きまして、別紙1の7ページ目もお戻りいただければと思います。
 本技術が、治験や拡大治験、先進医療等の既存の制度で実施できなかった理由につきまして、事前に事務局より医療機関に確認をしております。
 こちらの回答でございますが、1行目のところからでございますけれども、治験・拡大治験または先進医療制度での実施を検討いたしましたが、現時点では下記の理由により治験・拡大治験あるいは先進医療を早期に実施することは難しいと判断しているとのことです。
 1つ目のポツで、製販企業より、治験または先進治療に対する薬剤提供は数量や提供期間により提供可否の判断には時間がかかる場合があるとの回答があったということ。
 2つ目、拡大治験の対象となる主たる治験の実施中(登録終了)または実施後の状況でないこと。
 3つ目、統計学的根拠をもって有効性を評価可能な症例数で品質確保した医師主導治験や先進医療の実施に必要となる研究費を現時点では獲得できていないこと。
 本試験は、現在当院で治療中の患者からの申出が起点となって立案されています。治験や先進医療の実施までにかかる期間を考慮すると、現在その患者が必要としている薬剤を迅速に届けることが難しいため、治験や先進医療といった制度ではなく、患者申出療養制度に基づいて試験を行う必要があると考えましたとのことです。
 本技術の申出状況やほかの薬剤開発状況の評価、研究費の獲得等に取り組み、必要に応じて将来的な企業治験や医師主導治験の実施につなげたいと考えているとのことでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 事前評価につきまして、主担当を五十嵐座長代理、副担当を井上構成員と新谷構成員にお願いしております。
 それでは、五十嵐座長代理より概要の説明と実施体制等の評価をお願いいたします。
○五十嵐座長代理
 それでは、説明をさせていただきます。
 EZH2というのは、enhancer of zeste homolog2という薬の略称です。ヒストンのメチル基転移酵素を調整するタンパクの一つです。
 ヒストンのメチル化にはSWI/SNFという複合体と、それからもう一つ、PRC2という2つのタンパクが関与しています。その両方のタンパクが働くことで、均衡状態が保たれていると言われています。
 それで、このSWI/SNF複合体のサブユニットであるSMARCB1遺伝子に欠損がありますと、その機能が低下し、SWI/SNFとPRC2の均衡状態が崩れ、結果的にPRC2の機能が亢進してしまいます。その結果として、ヒストン等のメチル基転移酵素であるEZH2の過剰発現が起こり、がんが発症すると言われています。
 今回対象となるラブドイド腫瘍の98%、それから類上皮肉腫の90%、そして滑膜肉腫、脊索腫にもかなりの率でこのSMARCB1の遺伝子欠損が認められています。
 一方、本薬タゼメトスタットはヒストン等のメチル基転移酵素であるEZH2の酵素活性を阻害する低分子化合物です。そもそも本薬の対象となるラブドイド腫瘍、それから類上皮肉種、滑膜肉腫、脊索腫などは希少がんです。小児あるいはAYA世代に好発します。しかしながら、標準治療としてもまだ確立したものがありませんし、治療抵抗性のものが多いために予後は必ずしも良好ではありません。生存割合は25%程度で、治療抵抗性になりますと生存期間は中央値で13か月と言われています。
 一方、この薬剤を使った欧米での先行研究がありまして、米国では20例を対象に治療試験が行われておりまして、SD以上が33%、それからフランスでも13例の試験が行われていまして、やはりSD以上が38%ということで、本薬を使うことによって長期生存者が出てきているという状態になっています。
 それでは、実施計画等の評価表の1ページを御覧ください。
 ここにありますようなやり方で治療、試験を行うということであります。
 2ページに予定登録数は10例というふうに記載されています。
 3ページ目を御覧ください。
 【実施体制等の評価】ですけれども、適応症は妥当だと思います。有効性も、従来の技術よりも有効であることが期待されると思います。安全性については、これまで行われた欧米での先行研究でも重篤な副反応はないようですので問題なしと考えました。
 それから、技術的な成熟度は当該分野を専門とし経験を積んだ医師、または医師の指導下であれば行えるものと判断いたします。
 社会的妥当性につきましては、倫理的な問題等はないと思います。
 それから、現時点での普及性ですけれども、この薬は今回の対象疾患には使われておりませんけれども、一部ほかの疾患では日本でも認められている薬ではあります。
 しかしながら、罹患率、それから有病率から勘案して普及はしていないというふうに判断いたしました。
 最後の将来の保険収載の必要性ですけれども、将来的に保険収載を行うことが妥当と考えます。
 ただ、保険導入等の評価に際しては以下に示しているように、標準治療がない、または治療抵抗性の小児悪性固形腫瘍の予後は不良であるので、このEZH2阻害薬の有効性が期待されるそれらの小児悪性固形腫瘍を対象とする本薬の多施設協同試験が実施されて、有効性及び安全性が担保された場合には保険収載をすべきであると判断いたしました。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 続きまして、倫理的観点からの評価について、井上構成員よりどうぞ説明をお願いいたします。
○井上構成員
 東京大学の井上でございます。私は、倫理的な配慮からということでいただいた書類を拝見し、1往復ほど質疑をさせていただきました。
 同意説明文書の記載についてですけれども、その内容について、あるいは利益、不利益の期待、それから今回は非常に小児の方々が多く参加されるものでありますので、説明文書だけではなくてアセントの文書というものがしっかり用意されているのかということを重点的に確認しました。一定の水準に達しているのではなかろうかということで、このことについては適に値するのではないかというふうに判断をしました。
 ただ、幾つか留意点があります。例えば、この計画書では同意取得をスクリーニングの実施時に取得をする。同意の取得を最初のスクリーニング検査時に行うというふうに書かれているのですが、ただ、一方で、この計画自体は基本的には2年間追跡をしていくということですね。そうすると、お子さんによっては小児だった人が同意能力を持つ年齢に達する場合もあったりするかもしれない。つまり、研究に参加をしているうちに同意能力、理解能力が一定の基準に達することによってその時点で本人からやはり同意取得すべきではないかと、そんな年に達するといった類の計画であります。
 ですので、同意取得についてスクリーニング検査時にのみ書かれているけれども、個々人の理解度に応じて個人が基本的に同意取得できる年齢に達しているかどうか。達した段階において、改めて御本人から同意取得をすべきではないか。そういった指摘を申し上げました。
 そういったことについて、先方もその点は抜けていたので対応するといった返信があったところではあるのですけれども、今回の返答で18歳になれば確認するということが書かれているのですが、書いてある説明文書では、15歳から17歳に達した段階でこちらの説明文書を書き換えますというふうに書かれていて、今回いただいた返答と設定されている説明同意の年齢が違っているように思ったりするので、その時点で直ちに不適だというようなことを申し上げるつもりはないんですけれども、基本的にはこの説明文書に書かれているとおり、あるいは臨床研究法で求められているような年齢というものを意識して、研究参加中にこうした同意取得能力、同意能力というものに達した場合においては同意取得の配慮を改めて徹底していただきたいと、そのようなことを申し上げたいと思います。
 ですので、適、不適ということでは適ではあるのですけれども、どうも説明に矛盾がある箇所があったりするので、こうした同意能力に至った場合、あるいはアセントの取得の年齢に至った場合における配慮というものを改めて徹底していただきたい。こうした点は、ぜひ先方に伝えていただきたいと思います。
 私からは以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 続きまして、試験実施計画書等の評価につき、新谷構成員より説明をお願いいたします。
○新谷構成員
 新谷です。私は研究計画書、実施計画のほうを確認させていただきました。別紙1の10ページのほうを御覧いただければと思います。
 何点か、私としましても今回の研究は非常に患者様にとって重要な研究でぜひ進めていただきたいという観点から、研究計画書の用語のところですとか、整合性のところを中心に見させていただいて、全体的には瑣末な内容もコメントさせていただいたわけですけれども、一番重要なところが研究全体としての中止基準という最初のところになります。国内で小児に対する安全性のデータがまずないということから、個々の症例ごとには密に観察して慎重に検討し、一例一例進めていくというところで理解いたしました。
 ただ、ある程度のデータが仮に集積された時点で量的にこの研究を中止するかどうかというような判断もされる必要があるのではないかということを意見させていただきまして、その点をこの回答のところに、一定以上症例が集積された場合には研究全体の中止も踏まえて検討させていただきますというところで回答していただいております。
 それ以外は、結構、言葉の整合性のところを確認させていただいておりますので、プロトコール中止基準のところや、その下ですね。3番、4番のところはお読みいただいて先生方に御確認いただければと思います。
 その中で、特にメンションする必要があるかなと思ったのは、かなり細かいところをコメントさせていただきましたが、7番目のところですね。
 個人情報のところで、(生年月日、診療録番号、登録番号)等をCRFのほうにも記載されるということが書かれておりましたので、CRFは通常生年月日や診療録番号というのは控えたほうがよろしいのではないかというところでコメントさせていただきましたが、これは小児、乳児期の子供さんもいらっしゃるということで、やはり生年月日は必要であるということと、やはり診療録番号も必要だというところで、これは修正できないということで回答をいただいております。研究遂行上、必要であるというところで理解をいたしました。
 最後に、8番の個人情報のところですね。希少疾患ということで13ページの一番上になりますが、希少疾患であることから匿名化しても個人の特定が容易に行われる可能性もあるのではないかということをコメントさせていただきまして、その点は同意説明文に記載していただくというところで修正していただきました。
 ですので、コメントした点を全て修正、または修正できない点はその理由を説明していただきましたので、不適と最初にさせていただいたところも全て適とさせていただきました。
 私からは以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、1から16の総評について主担当の五十嵐座長代理よりお願いいたします。
○五十嵐座長代理
 ありがとうございます。
 委員の先生方から重要な指摘をいただきまして、ほぼそれをクリアしていただきましたので、総合評価としては適とさせていただきました。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明につきまして構成員の先生方から何か御質問ございますでしょうか。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
 ありがとうございます。
 詳細に御説明いただきましてありがとうございました。私からは2点、基本的な点も含めまして確認させてください。
 まず1点目ですが、本剤の今回対象となっている適用についてですが、現状で国内開発の状況、あるいは今後の予定で何か事務局で把握されているのがあるのでしょうか。例えば企業であるとか、場合によっては研究グループもあるかと思うのですが、もし把握されているものがあれば教えていただきたいというのが1点目です。
 2点目は細かいのですが、今回のこの患者申出療養の申請については、起点となるいわゆる申出は小児のみという理解でよろしいのでしょうか。すなわちAYAの患者さんはいないという理解でよろしいでしょうかという確認です。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、事務局から国内開発の関係につきまして。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 天野先生、貴重な御指摘ありがとうございます。
 まず国内開発の治験等の情報でございますけれども、ただいま企業治験は国内で予定はされていないとのことです。16歳以上の類上皮肉腫に対する医師主導治験は現在実施されておりますけれども、本試験の対象となる16歳未満の類上皮肉腫やそのほかのがん腫に対する医師主導治験は予定されておりません。これが1問目の回答になるかと思っております。
 2つ目のところでございますけれども、今回起点となった患者様につきましては2歳の方とお伺いしております。
 以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 天野構成員、よろしいでしょうか。
○天野構成員
 大丈夫です。今回の申請に直接関係はないですが、いわゆる小児のドラッグラグ、場合によってはドラッグロスの問題はかなり深刻になってきているかと思いますので、何らかの対応は別途御検討いただきたいと思っております。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 山口先生、どうぞ。
○山口構成員
 患者説明同意文書を見ると、本治療法は副作用学会で報告されて一定の有効性、安全性が確認されたと書いてあるんですね。こういう研究のときに患者さんがどれぐらいのことを期待しているかということに対して、この一文だけを見ると割とよさそうに聞こえるんですけれども、実際にはASCOの報告でもPRになったのは20例のうち1例だけしかなくて、安全性に関しては結構8割ぐらいが何らかの副作用が出ていて、一部重症もあるようですけれども、必ずしも楽観的に行き過ぎると患者さんの期待が大き過ぎて、もう少し辛めに過大な期待を抱かせないように、これは患者さんをリクルートするときには難しいかもしれませんけれども、やはり正直なところを言わないと、あまりにさらっと書き過ぎていてちょっと問題かなと思ったのですけれども、その辺りはいかがですか。
○福井座長
 いかがでしょうか。もし五十嵐先生から感触を伺えれば。
○五十嵐座長代理
 ありがとうございます。
 確かに、制がん剤ですから何も副反応がないということはないと思います。ですから、従来のものと比べて特別重篤なものが起きたということはなかったようです。
 それから、効能に関してもコンプリートレミッションは非常に少ないんですけれども、しかしSD以上が3割以上出てきたということは、従来の治療に比べると明らかに希望が持てる薬剤であることは間違いないと思います。
 山口先生がおっしゃるように、もう少し正しく表現したほうが、示したほうがいいという御指摘は大変重要だと思いますので、そこは場合によっては事務局に改訂をお願いするということはしてもよろしいのではないかと私も思います。
 以上です。
○山口構成員
 ありがとうございました。
 私も小児の腫瘍はあまり詳しくないので、PRが1例で6か月以上のSDがある程度あったというのがこの疾患にとっては大きな意味があるということはよく理解できました。ありがとうございます。
○福井座長
 また、もし具体的にこの文書はまずいのではないか、あまりにも楽観的な文章内容だというところがございましたら教えていただければありがたいです。
 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、基本的には事前評価結果どおりに決定したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○福井座長
 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
 続きまして、議題の2番目「患者申出療養の実績報告について」、資料が提出されておりますので事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、資料患-2に従いまして患者申出療養の実績報告を行いたいと思います。
 まず1ページ目でございますけれども、こちらは令和3年7月1日から令和4年6月30日までの1年間で実施された患者申出療養の実績報告をまとめた資料となってございます。
 この資料の表のマル1でございますけれども、令和4年6月30日時点で認められている技術は8種類、患者申出療養の実施医療機関数が24施設、総金額が約2.6億円、保険外併用療養費の総額(保険診療分)が約1.5億円、患者申出療養に係る費用の総額は患者様の総額が約1.1億円となってございます。
 2ページ目にお進みいただきまして、この1年間の技術の推移を示しております。
 令和3年6月30日以前で8種類でございましたけれども、新規技術が2種類ございまして、取下げ技術数も2種類ございまして、令和4年6月30日時点で8種類という推移になっております。
 3ページ目でございますけれども、こちらは過去5年間の実績とさせていただいております。
 また、こちらにつきまして技術ごとにそれぞれの費用、入院期間、実施件数等をお示ししているものが参考資料1となってございます。
 参考資料2につきましては、それぞれの臨床研究中核病院、開始年月日、終了予定日、協力医療機関数をお示ししておりまして、状況が確認可能となってございます。
 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ただいまの説明について、御質問等ございましたらお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 余分なことかも分かりませんが、これは6月30日時点のデータですが、やはりここで発表するのに6か月ぐらいかかりますでしょうか。もう少し間隔が短くならないかと思った次第です。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 この時間の間隔につきましては、ちょっと調べさせていただきます。すみません。
○福井座長
 この内容等につきましてよろしいでしょうか。
 それでは、議題の3に移りたいと思います。「患者からの相談事例の現状について」でございます。資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 それでは、資料患-3に基づきまして説明させていただきます。
 こちらは、昨年も御確認いただきました特定機能病院等に設置されている患者申出療養窓口における対応状況につきまして、令和4年度12月末までに事務局が報告を受けているものに係る状況を取りまとめたものでございます。相談窓口が設置されている特定機能病院等につきましては参考資料としてつけさせていただいておりますので、併せて御確認いただければと思います。
 1ページ目を御覧いただきますと、本制度の開始から令和4年12月末までに166件の相談がございました。括弧内が1年前と比較した増加分の件数でございまして、全体としてはプラス8件、このうち制度一般に関する照会等、具体的な技術に関する相談ではなかったものが5件ございました。
 また、一度相談があったが、その後、現在までに相談がないものが2件ございました。
 また、実際に新規の患者申出療養として実施されたものが1件という状況でございました。
 2ページ目以降につきましては、マル6の医療機関等において患者申出療養として実施困難と判断されたものの詳細についてお示しをしてございます。
 具体的には、マル5は患者さんの状態から適用外と判断されたもの、3ページ目にありますマル10は安全性に関する科学的根拠の観点等から患者申出療養として実施が困難と判断されたもの、マル16は費用面の観点から患者申出療養として実施を断念されたもの。
 4ページ目にお移りいただきまして、マル22はエビデンスの観点と患者さんの御家族の御希望を踏まえて検討が見送られたもの、5ページ目にお移りいただきましてマル35は治験終了後であり保険適用後の使用を検討することとしたもの等がございました。
 事務局からの説明は以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 実際は、この患者申出療養のフレームに入らないケースが相談全体の中で多いわけですけれども、これについて患者さん納得されているのでしょうか。納得できなくてトラブルになるようなことはありませんでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。福井先生、御指摘ありがとうございます。
 これまでの件数で、もちろん現場の先生方にそれは対応できないですとか、その後に事務局まで持ってきていただいて、できないかという相談というのはこれまでにございましたが、そこまで患者さんと医療機関でもめている案件というのは事務局には入ってきておりません。
 以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、議題の4に移りたいと思います。「患者申出療養の定期報告等について」でございます。資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。患-4の資料を御覧いただければと思います。
 「患者申出療養「経皮的乳がんラジオ波焼灼療法」の実績報告について」でございます。
 まず「経緯」でございますけれども、本患者申出療養につきましては、第13回患者申出療養会議で承認された際に、申請医療機関である国立がん研究センター中央病院に対しまして、本療養の定期的な実績報告を求めるべきだという御指摘をいただいたところでございます。
 今回、医療機関より、適用開始から3年6か月時点での実績報告書が提出されましたので、そちらに基づきまして本技術の継続の可否について御審議いただきたいと考えております。
 実績報告書につきましては、お送りしている資料でございます。この試験が始まってから3年6か月が経過した時点では実施例が106例でございまして、重篤な有害事象が発生した事例は認めていないとのことでございます。
 また、追加で乳房切除が実施された件数につきましても前回報告時と変わりないとのことでございます。
 以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 本患者申出療養の継続の可否につきまして、何か御質問や御意見がございましたらお願いいたします。
 よろしいでしょうか。特に重篤な有害事象は認めていないということです。
 それでは、異議がないようですので、継続を認めるということにしたいと思います。ありがとうございました。
 議題の5はその他になっておりますが、事務局から何かございますでしょうか。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 特にございません。
○福井座長
 それでは、構成員の先生方から何かございますか。
 天野構成員、どうぞお願いします。
○天野構成員
 すみません、ちょっと戻るのですが、確認したいことがあり質問させていただきます。
 議題の3で参考資料が出ていたかと思いまして、「患者申出療養相談窓口設置病院一覧」ということで、全国の79病院の一覧が掲載されているかと思います。ほとんど全ての都道府県に今、設置されている状況なのですが、この一覧表を見ますと沖縄県では全く設置がない状況かと思うのですけれども、これは沖縄県内の病院からは厚生労働省に対して窓口を設置したという連絡とか申請がないという理解でよろしいのでしょうかという確認です。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 天野先生、御指摘ありがとうございます。
 幣省で確認したところ、平成28年6月13日の第2回患者申出療養評価会議の資料で対応窓口設置の御報告をさせていただいているのですけれども、そのときに63病院でございました。その際から沖縄県の琉球大学医学部附属病院につきましては検討中というところでございまして、変わりがないと認識しております。
 以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
○天野構成員
 ありがとうございます。多くの医療機関や都道府県の病院で設置されている状況がありますので、琉球大学が検討中ということは承知しましたが、何かその後の検討はどうなっているのか、設置の予定はどうなっているのかということについて一度、厚生労働省からリマインドをお願いできればと思いました。
 というのは、沖縄県は離島でこういう窓口がないと患者さんは非常に大きな不利益を被る可能性があるかと思いましたので申し述べた次第です。
 以上です。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 天野先生、御指摘ありがとうございます。また検討させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 そのほか、構成員の先生方からございますか。
 渡辺先生。
○渡辺構成員
 医師会の渡辺です。
 資料4のことで、この継続を承認するかどうかは問題ないということなので私は意見を言わなかったんですが、患者申出療養のことに関して教えていただきたいと思います。この資料4のケースは、先進医療をまず行ってその報告書が出来上がるまでの間、患者さんの要請に対して患者申出療養で対応しているというふうに伺っておりました。たしか去年の秋に、5年間過ぎたので報告書を書いているところだという説明である程度納得したんですけれども、逆に言えば先進医療と全く関係なく患者申出療養だけで申請された場合に、特段の有害事象がなければ継続し続けることが可能な制度なのかどうか、ちょっと疑問があってお聞きしています。
 患者申出療養評価制度というのは、基本的には診療報酬に反映するかどうかということが最終目的になっていると思うんですけれども、そういうことを期限を決めずに単純に有害事象がなければ継続できるものなのか事務局のほうから教えていただければと思って御質問させていただきました。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 御質問ありがとうございます。渡辺先生の御指摘いただいた点は、先進医療Bや治験等が同時で走っていない場合等におきまして、無制限に患者申出療養は行われ得るのかという点でよろしかったでしょうか。
○渡辺構成員
 はい、そうです。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 ありがとうございます。
 この点に関しましては、患者申出療養評価会議としてやはり症例数の設定、または先行となる臨床試験のデータなどを適切な時期に会議にも報告させたり、そういうようなことを行っておりますので、無制限に患者申出療養の技術を行わせるということはないと事務局としては認識しております。
○渡辺構成員
 ありがとうございます。
 例えば4などは、先進医療が先に走って報告書というのを待っている段階で、患者さんはどんどん増えている。有害事象がないけれども結果的に効果がないというのが106例あって判断できないのかという疑問があります。そんなに報告書というのは時間がかかるのかと思い、ではいつまでこれを待つんだろうという疑問があったものですからちょっとお聞きした次第です。ありがとうございました。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局です。
 ありがとうございます。以前にも、この患者申出療養を行うに当たりまして、途中で先進医療のデータ等を公開できないのかという議論は以前にあったと思います。その際に、患者さんのサイドに立ってそういう有効性、安全性に関して公開すべきだという点と、やはり研究としてバイアスがかかってしまうため、途中でそのような有効性、安全性を公開するということはどうかという2つの視点があったかと事務局としては認識しております。
 ですので、公開とまではいきませんけれども、非公開資料として国立がん研究センターからは資料をいただいて患者申出療養評価会議で議論できるように事務局としては手配させていただいているというステータスでございます。
 御理解いただけますと幸いでございます。よろしくお願いいたします。
○渡辺構成員
 了解いたしました。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ほかには、いかがでしょうか。
 山口先生どうぞ。
○山口構成員
 私も戻るんですけれども、制度の運用状況を御報告いただいたときに、なかなか大変だなと思ったのは、166件あって13件だけ到達したということで大変なことは分かるのですが、3の1の図で35件が最終的に医療機関においてできないということを判断されたと書かれているのですけれども、この間のスピードというのはこういう判断が下されるまでに大体どのぐらいの時間がかかっているかを一度調べていただいて、こういうのはやはり時間をかけていろいろやった挙げ句にできないということが分かるのは非常につらいと思うので、もしこれが異常に長ければ短くしなければいけないと思うので、その辺りの実態もぜひ次回教えていただきたいと思います。
 以上です。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 山口先生、御指摘ありがとうございます。御指摘の35件のスピード感でございますが、どれぐらいなのか。実際、現場の先生方の御理解もないと調べられないことかと思いますし、本当にどこまで詳しく調べられるのかも含めてまた検討させていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
 もしないようでしたら、次回の開催について事務局から説明をお願いします。
○先進・再生医療開発戦略専門官
 事務局でございます。
 次回は日程調整の上、後日連絡させていただきます。
 以上です。
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、第37回「患者申出療養評価会議」を終了といたします。本日は、御多忙のところ御出席、本当にありがとうございました。
 以上でございます。

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