ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 厚生科学審議会(新型インフルエンザ対策に関する小委員会) > 第7回新型インフルエンザ対策に関する小委員会 議事録(2017年2月15日)




2017年2月15日 第7回新型インフルエンザ対策に関する小委員会 議事録

健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室

○日時

平成29年2月15日(水)13:30〜15:30


○場所

厚生労働省 省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○議題

(1)新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬のあり方について
(2)その他

○議事

○山崎新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第7回新型インフルエンザ対策に関する小委員会を開催いたします。本日の出席状況は、委員11名中8名の出席です。大石委員、押谷委員、坂元委員から欠席の連絡を頂いております。定足数に達しておりますので、会議が成立しますことを御報告いたします。 なお、参考人として3名の方をお招きしておりますので御紹介します。富山化学工業株式会社理事の山田光一様です。富山化学工業株式会社クリニカルサイエンス部長の櫻井努様です。富山化学工業株式会社事業開発部シニアアソシエイトの古田要介様です。本日の会議をよろしくお願いいたします。申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。

 それでは、ここから岡部委員長に進行をお願いいたします。

○岡部委員長 川崎市健康安全研究所所長の岡部です。この会議の座長を努めさせていただいておりますが、本日は第7回の新型インフルエンザ対策に関する小委員会です。本当に年度末も近々ということで、大変お忙しい中、各委員の先生方にお集まりいただいて、また、富山化学から、現在の状況、これまでの開発、その他を含めてお話を伺うということで、お三方に来ていただきました。お忙しいところを、どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、いつものとおりですが、まず審議参加に関する遵守事項について、事務局から報告をお願いします。

○山崎新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 審議参加について御報告いたします。本日御出席された委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受領状況について申告をしていただきました。皆様からは事前に沈降インフルエンザワクチンについても御確認させていただいておりましたが、本日の議題は、抗インフルエンザウイルス薬の各品目に関連した調査審議を行うこととなりましたので、該当する製造販売業者は、中外製薬株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、第一三共株式会社、塩野義製薬株式会社、富山化学工業株式会社、ノバルティスファーマ株式会社であり、各委員からの申告内容については机上に配布しておりますので、御確認いただければと思います。あらかじめ事務局において申告内容を確認しましたが、審議や決議に不参加となる基準に該当する申告はございませんでした。

 また、薬事承認等の申請資料等の作成の関与につきましては、本日参考人としてお招きしております富山化学工業の山田参考人、櫻井参考人、古田参考人から、ファビピラビルについて申請資料等の作成に密着に関与の回答がありました。また、自社からの役員報酬又は従業員報酬の受取りの申告がありましたので、この取扱いについてお諮りしたいと思います。以上です。

○岡部委員長 今、事務局から御説明があった、山田参考人、櫻井参考人、古田参考人のお三方は、当然ながら企業の方であります。ただ、こちらからお願いをして説明をしていただくということになるので、審議参加規定については、企業側の資料説明ということですので、それで委員の皆様には御意見をお伺いするということで御了承いただきたいのですが、よろしいでしょうか。

( 異議なし)

○岡部委員長 ありがとうございます。私は予防接種の委員会などもやっているのですが、そのときにも特定のワクチンについては、やはりそれを製造したメーカーがよく御存じなので、御意見を伺うというようなことはよくやっていました。それと同じ形式ではないかと私は思っております。異議がないということを頂いておりますので、お三方、是非、御説明を後でよろしくお願いいたします。

 それでは、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

○山崎新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料13、企業側提出資料、企業側提出参考資料、及び、参考資料14-3まで配布しております。議事次第に書かれている配布資料の一覧と照らして、不足資料がありましたら事務局にお申しつけください。なお、座席表なのですが、今回、こちらの不備がありまして、谷口委員が右側の前のほうの席となっていますので御了承ください。以上です。

○岡部委員長 それでは、これで議事に入れると思うのですが、今日の議題は、「新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬のあり方について」と、「その他」となります。御存じのように、国産のファビピラビルというものがあり、これはかつては抗インフルエンザウイルス薬として開発されたということですが、いろいろな経緯があって、ほかの、例えばエボラなどにも使うというような経緯もあります。このファビピラビルについて、作業班のほうでいろいろな検討もしていただいて、この作業班の上の会である小委員会のほうで、今日はこれについての議論を多方面から加えるという形になっていますので、よろしくお願いいたします。

 それから、名称ですが、大抵は一般名で呼ぶことにしているのですが、ファビピラビルというのは、なかなかパッと出にくいのと、1社だけの製品ですので、今回は便宜上、アビガンという名前を使わせていただきたいと思います。この辺りも、一応、御了承いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、議題1「新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬のあり方について」です。事務局から説明をお願いします。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 資料1「新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬の備蓄について」です。1ページです。抗インフルエンザウイルス薬の備蓄方針に関する議論の背景・経緯ということで1枚紙で示しております。こちらは昨年度(平成27年度)に厚生科学審議会感染症部会及び新型インフルエンザ等対策有識者会議(医療・公衆衛生に関する分科会)などで備蓄方針について議論を重ねて、以下のように取りまとめられています。これは現在の備蓄方針です。現在は、当面の備蓄目標は、引き続き国民の45%相当量を目標としています。ただし、近年の人口動態や市場流通の増加を鑑み、以下のとおり変更ということで、特に流通備蓄分が従前は400万人分だったものを1,000万人分まで増やしています。さらに備蓄薬剤の種類に多様性を持たせています。タミフルのドライシロップ、ラピアクタ、イナビル等を備蓄しております。さらに備蓄薬剤の割合は、市場流通割合や想定する新型インフルエンザによる疾病の重症度を踏まえるということになっています。

2ページは、「備蓄の検討する際に考慮する点」です。こちらは、第1回の医療・医薬品作業班会議の資料で示されているものです。被害想定、薬剤の有効性・安全性、備蓄中の薬剤の配分や市場流通の状況、薬剤耐性ウイルスの発生状況、実際の臨床現場での使用状況・ニーズ、諸外国における備蓄の状況、使用期限やコスト等が考慮に入れられる点ということで書かれています。

3ページです。現在、備蓄の目標が設定されている既存のノイラミニダーゼ阻害薬4剤と、アビガン(ファビピラビル)の概略を示したものです。ノイラミニダーゼ阻害薬は作用機序がほぼ同じものですが、タミフルのように経口薬であるもの、リレンザ、イナビルのように吸入薬であるもの、ラピアクタのように静注薬であるものと、現場のニーズに合わせて、複数の薬剤を現在、日本では備蓄の対象としています。今日御議論いただくのは、右端のほうに書いてあるアビガン(ファビピラビル)について御議論いただきたいということです。

 続いて、今日議論の中心になっているアビガンの概要というところで、背景の情報について御説明します。概要としては、本日来られていますが、富山化学工業さんが開発されたインフルエンザ用の薬剤です。作用機序が既存薬と異なり、RNAポリメラーゼ阻害薬となっています。現時点では、季節性インフルエンザに対するヒトにおける有効性は限定的に確認されており、動物試験のほうでは催奇形性が認められて、安全性上の懸念が存在しているという薬です。

 平成263月に、抗インフルエンザウイルス薬として、新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、既存薬が無効又は効果不十分の場合に国が使用すると判断した場合にのみ使用するとして薬事承認されています。添付文書上で、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人への投与は禁忌とされています。このような経緯で承認されたお薬で、承認時に承認条件が付されています。

 条件として、マル1は薬物動態試験(薬のヒトの体内における血中濃度や体内動態を確認する試験)。マル2は季節性インフルエンザウイルスにおける有効性・安全性を確認するための臨床試験。マル3は、上記の薬物動態試験及び有効性・安全性を確認するための臨床試験成績を提出し、それに応じた措置が行われるまでの期間は、厚生労働大臣の要請がない限りは、製造等を行わないという条件が付されています。さらにマル4で、製造販売する際には、季節性インフルエンザに使用うされることがないよう厳格な流通管理及び十分な安全対策を実施すること。それから、マル5で本剤の投与が適切と判断される症例のみを対象に、あらかじめ患者又はその家族に有効性及び危険性が文書をもって説明され、文書による同意を得てから投与されるよう措置を講じることになっております。現時点では、マル1の試験は終了して、承認条件から削除されています。承認条件のほうで試験結果を報告するようになっていますので、そちらのほうの進捗について簡単に示したものが67ページです。

6ページは、承認条件のマル1です。承認時の用法・用量というのは、承認時には治験で有効性が検証されたものではなかったので、米国での治験用法・用量から、理論的に日本人の血中濃度を推定して設定されたということで、日本の承認用法・用量が米国での治験用法・用量と同じ血中濃度になっているかを確認するということを目的にして臨床試験が行われています。こちらのほうは、臨床試験が既に実施済みで、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会に報告済みです。それで、承認条件から削除されています。

 承認条件のマル2です。こちらは、米国における治験で、用法・用量の僅かな違いで、有効性の結果が異なっていたため、改めて治験を実施して、有効性・安全性を確認するといった臨床試験を実施していたところで、企業側から2つの国際共同第三相臨床試験(US316試験・US317試験)の臨床試験の総括報告書が提出されています。そちらのほうで、現在、PMDAのほうで有効性・安全性について評価しています。今後、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のほうに報告される見込みとなっています。

 最後のほうの3-1は、新型インフルエンザ対策におけるこれまでの議論です。第2回の医療・医薬品作業班(平成2769日開催)ですが、そこにおいては、薬事承認条件に定められた有効性・安全性に関するデータが提示された段階で、改めて備蓄の是非等について作業班で議論するということが合意されています。引き続き、平成27911日に開催された小委員会のほうで、データがそろい次第、引き続き備蓄の是非について検討すると取りまとめられ、その際、重症患者に対する有効性や薬物耐性に関する情報というものが重要とされました。平成27918日開催の第12回感染症部会で、本剤について議論の整理が行われて、試験データがそろい次第、引き続き備蓄の是非等を検討すると取りまとめられています。

 今般、企業さんのほうからデータの提出を受けて、厚生科学審議会新型インフルエンザ対策に関する小委員会医療・医薬品作業班会議において、本剤のあり方について臨床的な観点から審議を開始し、計4回御審議いただいて、こちらのほうに御報告していただくということになっています。以上です。

○岡部委員長 今までの経緯について、何か御意見がありますか。よろしいでしょうか。

 それでは、参考人としてお出でいただいたお三方から、企業側提出資料、これは机上配布のものが1つと、TOYAMA CHEMICAL CO.,LTD.としてとじてあるものが1つありますので、これについて御説明をいただければと思います。企業提出資料となっているのは、一応、これはオープンになるということでよろしいのですか。公表資料であると。この審議会の資料ということであれば、何か引用して話すということが可能であると考えてよろしいでしょうか。よろしいようですね。ありがとうございます。

 それでは、よろしくお願いいたします。

○山田参考人 委員長、ありがとうございます。時間も限られていますので、今、事務局のほうから御説明がありましたとおり、本剤については、3年前に日本の薬事当局から御承認を頂きました。その後、主に米国でプラセボ対照の臨床試験を引き続き実施しましたので、その結果について、安全性・有効性の評価について御説明させていただいた後に、本剤の位置付けとなる耐性ウイルスに対する活性等について、非臨床試験のデータを主に引用しながら御説明させていただきます。では、櫻井のほうから。

○櫻井参考人 では、私のほうから、臨床試験から見たアビガンの有効性に関する特徴、安全性に関する特徴を申し述べたいと思います。

 有効性に関するアビガンの特徴ですが、お手元にレジュメがありますので、それに従って簡単に御説明します。アビガンは、ウイルスの複製を直接阻害する作用機序に起因すると考えられる優れた抗ウイルス効果に特徴を有しています。その効果は、これまでの臨床試験で検討した中では、インフルエンザウイルスの型、あるいは亜型間で異なることなく、また、投与開始前の患者のウイルス力価が高い場合でも減弱しないということが見られています。

 今回、お手元に「アビガン錠200mg」と書かれたスライドの資料、企業側提出資料がありますので、そちらの45ページを御覧ください。これはアメリカで実施した臨床試験の成績で、アメリカの試験は、ほかに疾患のない健康なインフルエンザ患者の1880歳を対象としていますが、本試験では、その試験の投与開始48時間後、すなわち投与3日目のウイルス消失率を示しています。これは上のほうに注釈がありますが、ウイルス消失率というのは、ウイルス力価が定量下限未満になった割合を定義しています。その投与3日目のウイルス消失率について、患者の投与開始時のウイルス力価の高さ別に示したグラフです。青で示したプラセボは、投与開始時のウイルス力価が高くなるに従ってウイルス消失率が低下していくという顕著な傾向が見られていますが、アビガンの場合は、ウイルス消失率の低下の程度がそれほど大きくないということが示されています。

 同じようなことが、スライドの50ページにあります。こちらは日本で実施したオセルタミビルとの比較試験です。この試験は大分前にやっており、今の承認用法・用量よりかなり低い用量です。今の承認用法・用量から比べると、AUC曝露で言うと、大体60%ぐらいの曝露量のところで検討したものです。この試験でも、アメリカの試験と同様に、緑で示したオセルタミビルと比べて、赤で示したアビガンのほうのウイルス力価は、投与開始時のウイルス力価の影響を受けにくいということが示されています。

 また、ウイルスが消失するまでの速さに関して、スライドの21ページを御覧ください。こちらはアメリカの試験です。アメリカの試験は、ウイルス力価を5日間の投与期間中、連日測定していますので、このようなデータが得られているのですが、このデータで見ると、プラセボと比べて、大体24時間以上、ウイルスの消失を速めているという結果が出ています。

 このようなアビガンの特徴から、アメリカの試験で見る限りは、5354ページですが、これは患者の投与開始時のウイルス力価が高く、なおかつ症状の重い患者層、あるいは、ウイルス力価が高く治療開始までの時間が遅い患者層で、アビガンはプラセボと比べて症状改善までの時間が顕著に短くなっているということが反映されています。なお、ここでいうウイルス力価が高い患者とは、今回のアメリカの試験での患者のうち、ウイルス力価の高い順に並べて上から25%の患者を抽出したということです。その結果、ウイルス力価は104.5以上より高い患者が選択されています。

 同様に、症状の重い患者というのも、最も重い患者のスコアが18点ということになるのですが、スコアの高い順に並べて上から25%を取ると14点より上のスコアの患者が選ばれています。また、治療開始までの時間が遅い患者層も長い順に並べ、上から25%を取ると、発症後38.7時間を超えて来院した患者が抽出されています。

 このような患者層でも、カプランマイヤー図を見ると、半分ぐらいの患者層ではプラセボでも症状の改善が得られていますが、残りの50%の患者は、やはり症状が遅延しているということが見て取れるかと思います。このような患者に対してアビガンを投与することで、症状の遅延を抑制することが可能だと考えております。

 アビガンの適応である新型又は再興型インフルエンザウイルスというものは、恐らく人類が初めて遭遇するウイルスということですから、免疫のウイルスに対する認識が遅れ、ウイルス曝露が高くなることが想定されます。ただいま述べましたように、アビガンの有効性に関する特徴は、このような新型又は再興型インフルエンザの治療の選択肢として適したものと考えております。

 一方、安全性に関する特徴ですが、これは大きく分けて2点あります。1点目は、投与後、全ての患者に生じるであろうと思われる尿酸値の上昇。2点目は、先ほどありましたように、動物で認められている催奇形性への懸念ということです。

 まず、尿酸値の上昇については、アビガン及びその代謝物が、腎尿細管中のトランスポーターに作用して尿酸の再吸収を促進することで生じることが分かっています。同様の作用を示すものに、抗結核薬のピラジナミドがあり、ピラジナミドもアビガンと非常に類似した尿酸値の上昇パターンを示します。

 スライドの29ページです。これは承認用法・用量を日本の健康成人に投与したときの尿酸値の変化量を示したものです。5日間の投与期間中、尿酸値が経時的に上昇していることが分かるかと思います。この尿酸値の上昇は、アビガン及びその代謝物の濃度依存的な作用によるものですので、血中から薬剤が消失すればトランスポーターの働きが元に戻ります。そのため、投与終了後1週間以内には投与前値まで尿酸値は回復するということが確認されており、可逆的な作用と言えるかと思います。これまでの検討では、日本、アメリカ及びその他多くの国や地域で、アビガンは1,000人以上に投与されていますが、これまで尿酸値増加に伴う痛風発作あるいは腎障害というものは見られておりません。

 また、催奇形性についてですが、マウス、ラット、ウサギ、カニクイザルの4種の動物種の器官形成期に投与した場合に認められたものです。このため、添付文書中では、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人にはアビガンは禁忌と定めております。また、その他リスク管理として、妊娠する可能性のある婦人に投与する場合は、投与開始前に、妊娠検査で陰性であることを確認すること。投与期間中及び体内からアビガンが消失するまでの期間を考慮して、投与終了後7日間は有効な手段による避妊の指導を義務付けています。また、精液中でも薬剤移行が確認されていますので、男性患者に対しても、投与期間中及び投与終了後7日間まで、コンドーム着用等の有効な避妊法の実施の徹底、さらには、当該期間中の妊婦との性交渉を避けることの指導を義務付けています。

 それ以外の安全性に関する事象の発現に関しては、スライド24ページを御覧ください。これはアメリカの試験の結果で、アメリカの試験での副作用、すなわち、薬剤との因果関係を否定できない事象の発現率です。副作用発現者数は、プラセボが10.6%に対してアビガンが9.5%で、プラセボとほとんど変わっていません。なお、スライドには示していないのですが、これら副作用の程度はほとんど軽度で、中等度の副作用は発現頻度が大体3%弱で、重篤な副作用はありませんでした。最も発現頻度の多かった事象は、下痢、悪心などの胃腸障害であり、その発現頻度はプラセボの5.4%に対してアビガンは3.5%でした。

 その他の薬物相互作用に関して、アビガンとの併用が禁忌となる薬剤はありません。現在、添付文書中では、経口糖尿病薬のレパグリニド、気管支喘息等で用いられるテオフィリン、抗ヘルペスウイルス薬のファムシクロビル、非ステロイド性の抗炎症薬のスリンダク、抗結核薬のピラジナミドが併用時に注意すべき薬剤と定めております。

 また、特殊な患者集団として、昏睡の見られるような脳症、あるいは腹水があるような重度の肝障害患者に投与した場合は、正常な肝機能の患者と比べて血中曝露量が6倍程度上昇することが分かっていますので注意が必要となりますが、腎障害の患者に対しては、血中の曝露量が大きく異なることはありませんでしたので、腎機能の影響は受けにくいということが得られております。以上が臨床試験で得られたアビガンの有効性・安全性に関する知見です。

○古田参考人 続きまして、抗ウイルス活性を古田のほうから説明いたします。ノイラミニダーゼ阻害剤耐性ウイルスを含むin vitroの感受性試験ですが、これはCDC、感染研、東大医科研、その他非提携の施設で行われ、70株以上の耐性株を含むウイルス株に関して試験が行われています。資料は6369ページです。6869ページには4種のノイラミニダーゼ阻害剤全てに耐性を示す株も入っていますが、それらに関してもファビピラビルは良好な値を示し、耐性はクロスしませんでした。

 また、マウス感染モデルについては、これは東大医科研で実施されたもので、資料は7274ページです。H5H1のパンデミック、H7それぞれのノイラミニダーゼ阻害剤耐性株で試験を実施していますが、アビガンは非常に良い効果を示しています。また、これらの株に対する感受性は季節性インフルエンザと同様でした。

 臨床試験のほうの株に関してですが、US316US317での2試験トータルで1,700例以上のウイルス株に関して感受性試験を実施しました。試験はオランダのViroclinics社のほうで、細胞に実際にウイルスを感染させて、その抗原を検出するという方法で実施され、細胞を用いた試験ですので、常に株ごとにReference(標準株)を用いて、それとの比較で補正していくという試験法で行われ、標準株との最大の差でも2.3倍しか値に変化はありませんでしたので、全て感受性とされています。

 また、実測値がぶれるわけですので、最大の値を示したものが4.4μg/mLの値でした。それと実際の血中濃度を比較したものを81ページに示しております。最大値は4.4μg/mLで、ヒトの血中濃度の一番低いところ、トラフ値でも20μg/mLを明らかに超えていますので、これは十分効果を示す濃度だと見ております。

 また、オセルタミビル耐性株がこの試験の中であったかどうかということで、耐性を示す遺伝子変異H275Yを調べ、2例が陽性を示しました。その2例は、残念ながらプラセボ群でしたが、ファビピラビルの感受性は標準株とほぼ同じで、良好な試験を示しています。また、この2症例に関しては、症状は改善したのですが、プラセボしか投与されていないためか、ウイルスは5日目でも検出限界以下にはなっていませんでした。

 あと、ファビピラビル自体に対する耐性株ですが、70ページに示していますように、4施設8試験、30継代まで実施していますが、いずれの試験においても耐性の誘導は認めていません。資料の説明は以上です。ありがとうございました。

○岡部委員長 これで御説明は全部ですね。後でまた質問その他を頂くことにして、まずは、これの作業班の班長である大久保先生に、作業班での議論、経過などについて教えていただければと思います。大久保先生、よろしくお願いします。

○大久保委員 医療・医薬品作業班の大久保です。どうぞよろしくお願いします。新型インフルエンザ対策におけるアビガン錠の在り方について、臨床的な観点から資料2にありますような論点ごとの意見整理を行ってまいりました。平成2810月に臨床試験における安全性、有効性のデータが提出されたのを受けまして、医療・医薬品作業班会議を数回行いました。その間、専門家からの意見も聴取しまして、下にありますような論点ごとの意見の整理を行いました。新型インフルエンザ発生時の耐性ウイルスの出現リスク及びアビガン錠の安全性、有効性について、論点を次のように整理いたしましたので、御報告いたします。

 まず論点マル1耐性についてですが、1つ目として、ノイラミニダーゼ阻害薬4(タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタ)全てに耐性化したウイルス株が出現するリスクは低いが、出現する可能性は否定できないのではないかということです。2つ目として、ノイラミニダーゼ阻害薬4剤全てに耐性化したウイルス株の出現リスクを踏まえ、ノイラミニダーゼ阻害と作用機序の異なる薬剤を使用できるように準備しておくことは重要ではないかという意見に集約されました。

 補足といたしまして、1つ目の☆(スター)のところに、タミフルとラピアクタについては、季節性インフルエンザの耐性ウイルスが既に出現していますが、現時点ではリレンザとイナビルには耐性が出にくいと考えられます。一方耐性ウイルスであっても、耐性となる薬剤の臨床的効果に大きな違いがない場合もあります。

2つ目の☆ですが、薬剤耐性ウイルスが自然発生する場合は、時間をかけて各剤に対して耐性化するため、初めから多剤耐性ウイルスが流行することは、まずないと考えられます。一方、バイオテロや研究室から多剤耐性ウイルスが漏れる等により、初めから多剤耐性ウイルスが流行することは否定できないことであります。

3つ目でありますが、移植後に免疫抑制剤の投与を受けている等の免疫抑制状態にある患者は、自己の免疫機能が低下しており、体内のウイルスが排除されにくく、ウイルスの増殖は長引くため、耐性ウイルスが出現しやすいです。一般的に、耐性ウイルスは伝播能力が低く、感染拡大することは考えにくいのですが、数年から数十年かけて感染力が高まる可能性はあります。

 次のページですが、最初の☆で、耐性ウイルスの出現への対応として、多種類の薬剤や作用機序の異なる薬剤の存在は、臨床的観点から重要と考えます。ノイラミニダーゼ阻害薬と作用機序の異なる3つの薬剤はそこに書いてありますが、これらの臨床試験が現在進行中であります。以上が論点マル1であります。

 引き続きまして、論点マル2アビガン錠の安全性と有効性につきまして、4つの項目に分けてまとめてあります。総論としまして、1つ目ですが、本剤は抗インフルエンザウイルス薬として有効性が期待できるのではないか。2つ目、本剤は多数の投与実績がある既存の抗インフルエンザウイルス薬に比べて、臨床的な安全性・有効性の知見が少ないことから、投与対象者についてはリスク・ベネフィットバランスを考慮して限定する必要があるのではないかというものです。

 対象者に関しましては、1つ目、本剤は胎児に対する催奇形性が懸念されることから、原則、妊婦への投与は禁忌にすべきではないか。2つ目、重篤度の高い新型インフルエンザが発生した場合、かつノイラミニダーゼ阻害薬4剤全てに耐性化した場合に限定し、本剤を使用する可能性があるのではないか。3つ目、本剤の安全性・有効性に関するデータが限定的であることを踏まえると、投与は免疫抑制状態にある患者等のハイリスクグループの成人で、かつ重症患者及び重症化することが予想される患者に限定すべきではないかという意見が出されました。

 次に使用上の留意点です。ハイリスクグループへの重症化予防効果、重症患者への治療効果や経口以外の投与方法における安全性・有効性については未確認であることから、使用する場合には留意が必要ではないかということです。

 そして次の項目ですけれども、診療ガイドライン等の必要性についてです。1つ目は、催奇形性等の安全性・有効性の懸念点を踏まえ、新型インフルエンザ発生時の使途や対象者を事前に診療ガイドライン等で示す必要があるのではないか。2つ目、新型インフルエンザ発生初期に、臨床試験を実施する医療機関はあらかじめ指定するなど、安全性・有効性の知見を集積する体制を整備するべきではないか。3つ目ですが、新型インフルエンザの重篤度等は、実際に発生するまで予見し難いことから、診療ガイドラインについては発生時においても上記の臨床試験等により知り得た知見を基に、適宜見直しを行うべきではないかというものです。

 これらの安全性・有効性に関しての補足として、総論は、本剤はノイラミニダーゼ阻害薬と同様に、抗インフルエンザウイルス薬として有効と考えられます。対象者についての補足ですが、まず本剤を投与した場合、胎児に対する催奇形性の副作用が最も懸念される問題である。2つ目、妊婦は一般に、インフルエンザウイルスに感染すると重篤化しやすい傾向にありますが、本剤の胎児に対する催奇形性のリスクを上回る治療効果が確認されていないことから、原則、本剤の妊婦への投与は禁忌とすべきと考えます。3つ目、本剤の催奇形性については、知見が得られている現状では、妊娠初期の胎児への影響のみでなく、妊娠後期まで考慮すべきと考えます。次に重篤度が高い新型インフルエンザで、かつ既存のノイラミニダーゼ阻害薬4剤全てに耐性化した場合、本剤を使用する意義があるか考えます。そして、免疫抑制状態にあるインフルエンザ患者は、自己の免疫機能が低下しており、体内のウイルスが排除されにくく、ウイルスの増殖が長引くため、耐性ウイルスが出現しやすい。また、自己免疫機能が低下していることから、ウイルスにより増殖・浸潤し、肺炎等が重症化する可能性が高いと考えます。

 一方で、本剤は重症患者へ投与された実績はありません。また、本剤の重症化予防の効果も、人では証明されていない現状です。そして小児に対する本剤の安全性・有効性については未確認であることから、現在は成人に対してのみ投与可とすべきと考えます。

 次に使用上の留意点についての件ですが、本剤は経口投与薬で内服量が多いため、重症化した患者に経口投与をするのは難しいのではないか。なお、粉砕・懸濁して投与等をした場合の安全性・有効性については未確認であります。また、本剤は他の抗インフルエンザウイルス薬と同様、投与開始が遅れた場合(発症後48時間以降)は効果が低いため、重症患者及び重症化が予想される患者にできるだけ早期に投与を開始する必要があることから、速やかに使用の判断をすべきではないでしょうか。

 診療ガイドライン等の必要性につきましては、1つ目の☆ですが、本剤の安全性・有効性を踏まえ、事前に診療ガイドライン等で、本剤の投与適応者や投与方法等について、具体的な指針を示す必要がありますが、個別の患者の状況に応じた迅速な治療の必要性を踏まえ、医師の裁量に留意した上で、診療ガイドラインの位置付けを決定する必要があります。

2つ目の☆ですが、本剤は臨床的な安全性・有効性の知見が限られていることから、新型インフルエンザ発生時に、指定した医療機関で臨床試験を行うなど、安全性・有効性の知見を蓄積すべきではないかというものです。

3つ目の☆ですが、本剤の臨床的な安全性・有効性の知見が限られていることを踏まえて、新型インフルエンザ発生前に作成される診療ガイドラインでは、投与対象者を限定すべきと考えるものの、新型インフルエンザ発生後に行う臨床試験等で得られた新たな知見を基に、投与対象者を広げるかどうかも含めて、本剤の適切な使用方法について検討し、パンデミックの中であっても、可及的速やかに診療ガイドラインの改訂に生かすべきではないかというものです。

 その他の指摘事項としても幾つかあります。1つ目ですが、催奇形性が懸念される薬剤であることから、本剤の流通管理体制は厳格にすべきではないか。2つ目ですが、新型インフルエンザ発生時には、本剤を適時に入手可能とすべく流通管理体制を整備すべきではないか。そして3つ目は、本剤は製造に数箇月かかることから、製剤で準備しておく必要があるのではないか。

 そして次のページですけれども、さらに補足事項ですが、本剤は催奇形性が懸念される薬剤であることから、流通管理体制は厳格であるべきである。また、通常は市場に流通していないことから、新型インフルエンザ発生時に本剤が必要と判断された場合においては、本剤を使用する医療機関への供給が、適時・迅速に行われるような流通体制を整備する必要があること等を検討してまいりました。以上です。

○岡部委員長 どうもありがとうございました。

 論点整理をやっているので、これをまとめて事務局から言っていただいて、それについて質疑をしたいと思います。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 作業班のほうの御議論を踏まえ、小委員会のほうの論点として整理したものは資料3として用意しております。新型インフルエンザ対策におけるアビガン錠の在り方に関する論点、資料3という1枚紙です。

 論点を大きく4つにまとめております。論点1、新型インフルエンザ対策としてアビガン錠を平時から準備する必要があるか。必要な場合、準備はどのような方法で実施すべきか。作業班の会議でまとめられた論点として、ノイラミニダーゼ阻害と作用機序の異なる薬剤を使用できるように準備することは重要ではないか。もう1つは、本剤は製造に数箇月かかりますので、製剤で準備しておく必要があるのではないかといった御意見がありましたので、このようにまとめております。

 論点2、アビガン錠は、薬事承認上、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品とされているが、国が新型インフルエンザ対策としてアビガン錠の使用をいつ、どのような判断基準で行うべきかというところです。作業班のまとめのほうでは、重篤度が高く、かつノイラミニダーゼ阻害薬4剤全てに耐性化した新型インフルエンザが発生した場合に限定して、本剤を使用する可能性があるのではないか。また、本剤はほかのインフルエンザウイルス薬と同様、投与開始が遅れた場合(発症後48時間以降)には効果が低いため、重症化が予想される患者にできるだけ早期に投与開始する必要があることから、速やかに使用の判断をするべきではないかといった御意見を頂いております。

 そして論点3ですが、新型インフルエンザ対策としてアビガン錠を使用する場合に、対象者としてどのような者が考えられるか。作業班の取りまとめのほうでは、本剤の安全性・有効性に関するデータが限定的であることを踏まえると、投与は免疫抑制状態にある患者等のハイリスクグループの成人で、かつ重症化することが予想される患者に限定すべきではないか。また、本剤は胎児に対する催奇形性が懸念されることから、原則、妊婦への投与は禁忌にすべきではないかという御意見を頂いています。

 最後、論点4、新型インフルエンザ対策としてアビガン錠を使用する場合、あらかじめ準備しておくべきことは何か、ということです。1つは催奇形性等の安全性・有効性の懸念を踏まえると、新型インフルエンザ発生時の使途や対象者を事前に診療ガイドライン等で示す必要があるのではないか。もう1つ、新型インフルエンザ発生初期に、臨床試験を実施する医療機関をあらかじめ指定するなど、安全性・有効性の知見を集積する体制を整備するべきではないか。さらに催奇形性が懸念される薬剤であることから、本剤の流通管理体制は厳格にすべきではないか。もう1つは新型インフルエンザ発生時には、本剤を適時に入手可能とすべく流通管理体制を整備すべきではないか。こういったポイントの御意見を頂いております。それを4つの論点のような形でまとめております。以上です。

○岡部委員長 論点の11つについてお伺いしたいのですが、その前はよろしいですか。私、ちょっと一般的なことで伺いたかったのですけれども、参考資料を見ると、精巣への影響ということは、資料には出ているのですが、ちょっとその説明を伺えればと思ったのですが、催奇形性のほうだけではなくて、男性が服用した場合の影響ということがあるので、ちょっと御説明いただけますでしょうか。

 それから、今、調べておいていただいている間に、添付資料を見れば大体、組成とか性状と書いてあるのと、参考資料の15ページに錠剤の絵が描いてありますけれども、これは現物大の大きさになるのですか。結構大きい錠剤なのでしょうか。潰したり溶解した場合に、変化があるかどうか、これはデータがないのですよね。お願いします。

○櫻井参考人 まず1点目の精巣への影響ですが、これはアメリカのほうで健康な被験者を対象とした試験を実施しておりまして、かなり厳格にやっております。検査につきましては投与終了後90日まで定期的にクリニックに来院して、精液を採取して、そのときの精子の運動量とか性状を検討しておりましたが、プラセボと比較しまして特に有意な所見となるものはなかったという結果です。

○岡部委員長 特にそれについての異常はなかったと。

○櫻井参考人 はい、プラセボと比較しまして特に有意な差が付くものはなく、プラセボと変わらない検査結果でした。もう一方の簡易懸濁製剤につきましては、安定性のみの検討です。

○岡部委員長 そうすると精液のほうに薬剤が移行する、あるいは薬剤の代謝物が移行する可能性はあるけれども、精子そのものの運動性その他に関しての異常はなかったと解釈していいですか。

○櫻井参考人 プラセボと比べて検査値等の異常な所見というものは見られておりません。

○岡部委員長 それは動物実験上で何か雄の動物にこの薬を使って、その結果として雌が妊娠した場合、それで催奇性が生じたなどのエビデンスはないのですか。

○櫻井参考人 動物では齧歯類では精子の異常所見が見られているのですけれども、サルでは高用量まで上げても異常所見は見られていないということです。あと、優性致死遺伝につきましては、ラットでやっておりますが、特に雄に飲ませて交配させても胎児に異常は見られていません。

○岡部委員長 そうすると精液に代謝物あるいは、この薬の成分が出てくる可能性があるから、理論上のリスクがあるということであって、実際上のリスクとしては見られていなかったというような解釈でよろしいですか。

○櫻井参考人 精液中への薬剤移行性もボランティアを対象に検討したのですが、薬剤本体は大体5日目ぐらいで消失いたします。代謝物のほうは長期間精液中に残るのですけれども、特に代謝物のほうは催奇形性というものは毒性試験下では得られていないということです。

○岡部委員長 ありがとうございました。それから200mgの錠剤で1回に8錠ぐらい飲むことになるので、116錠飲むわけですよね。実際の飲み方として、これはユーザー側として、使う側として飲みやすいものなのでしょうか、飲みにくいものなのですか。

○櫻井参考人 これは重要なところなのですが、なかなか飲みにくいという御意見は頂いているので、ちょっと改良したいと思っていますが、今のところは200mg錠ということになっています。

○岡部委員長 重症患者で飲みにくい人が必ず出てくると思うので、錠剤の剤形のままだと飲めないというときに、これを潰したり何かして飲ますことはできるのですか。

○櫻井参考人 一応そういうプロトコールは作っております。これはエボラ患者への投与のときに作りまして現地にお渡ししていますので、多分現地では、そういった使い方をされているのではないかと思っています。

○岡部委員長 ありがとうございました。一般的なところでは何かほかに御質問がなければ、この論点のほうにいきたいと思います。資料3のほうにまとめていただいている「新型インフルエンザ対策におけるアビガン錠の在り方に対する論点」です。

 これからは1つずついきたいと思うのですが、論点1としては、この新型インフルエンザ対策としてアビガン錠を平常時から準備する必要があるかどうか。どのような方法で実施したらいいのだろうかというところです。

 今日この会で全部結論を出すことは多分できないだろうと私は考えているものですから、今日は忌憚のない意見を頂いて、一応、次回も予定はされていますので、もし結論的なことならば、そちらのほうで議論したいと思います。忌憚のない率直な御意見を頂きたいというのが今日の趣旨ですので、よろしくお願いします。

○谷口委員 まず、論点1ですが、これは確か2009年のオセルタミビル耐性のインフルエンザの患者で重症化した患者さんに対して、GSKの許可と協力を得て、ザナミビルを点滴静注して助かったという報告があったと思うのですが、何かそれをちょっと彷彿とさせるような使い方かなと思うのです。そのような事態を考えれば、やはり平時からすぐ使えるような状況で準備しておく必要が危機管理上あるのではないかと考えます。

 あと1つは、H5N1などは、これまでのところ明らかな耐性の報告はないかと思うのですが、実際にH5N1感染症に対してインドネシアではオセルタミビルの倍量投与とかもされていますが、余り効果はなかったような感じがあります。そういった場合に、こういった作用点の違う薬で、その様な疾患の治療ができる可能性があるかもしれない薬剤が日本に存在しており、既にエボラなどでは、すでに使われているという事実があります。

 ちょっと新型インフルエンザとは離れるのですが、日本でもエボラ、H5N1などが発生する可能性はありますので、ここで準備したものはそういったものに使える可能性があるのでしょうか。確認させていただきたいのですが。

○岡部委員長 パンデミックに限らずですね。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 今回、ほかの抗インフルエンザ薬と同様、基本的にはインフルエンザの対策として、どのような形でするかということを、まず御議論いただきたいと思っております。この効果自体も新型又は再興インフルエンザで、他剤が無効又は効果不十分ということになっていますので、ほかのものに対しては薬事承認されていないということですので、この場では新型インフルエンザに対する対策ということを、まず御議論いただくようお願いしたいと思います。

○丸井委員 お話はよく分かりました。今回はアビガン錠という話ですが、一般的な話としては、流行が予想されるけれども今まで出てきていないような感染症の場合には、臨床治験が実際できない、有効性を証明することができないけれども、効果が期待されているような薬剤がほかにもあり得ることになります。

 今回のは、ある意味で試金石でもあります。可能性があるけれども、まだきちんと科学的に証明されていない薬を、認めていくのかということになります。その第1番目の例になるのではないかと思うのです。

 ですから、慎重にするべきだという意味ではありません。私も平時から準備したほうがよいと思います。それは今、限定的にインフルエンザのパンデミックの話ですが、これは後に続く薬への可能性は当然考えておくべきだと思いました。

○岡部委員長 ありがとうございました。ほかにはいかがですか。

○宇田委員 基本的なことなのですけれども、このアビガンという錠剤は、基本的には国が必要と判断した場合に使用することになっていますが、今、現実的にはアビガンという錠剤は企業の側ではお持ちになっておられて、必要なケースがあったときには使えるような状況にはあるのでしょうか。

○岡部委員長 その点はいかがでしょうか。事務局からのほうがいいですか。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 臨床研究等で必要である場合に、研究所の先生にお渡ししているものはあると聞いております。

○宇田委員 被害想定というか、どれぐらい必要なケースが出てくるのかということと、それを踏まえて、平時に、例えば生産までに数箇月かかるといったようなこともお聞きしておりますので、どれぐらい出てきそうで、そのためにどれぐらい準備しておけばいいのかということがないと、なかなか平時から準備をしておく必要があるかどうかという議論の整理が付かないような気がするのですが。

 被害想定というのは、確か別のところでしたでしょうか。でも、何か議論されていたように思うのですが。その中で耐性でこういうケースを48時間以内に、なるべく早期に投与するケースの場合は、どれぐらいの方々にお使いになるのか。その想定ができないと、なかなか議論が進まないような気がするのですが、その辺は別の作業班というか、どこかで議論されているのでしょうか。

○岡部委員長 被害想定に関しては、西浦先生の研究班のほうで、被害の想定、というよりシナリオづくりと言っていますけれども、今までのモデルと違った形での現状を見て、その被害のレベルをいくつか出していこうという見直しが行われています。ただ、そこで従来のノイラミニダーゼ阻害剤に耐性が出た場合に、何パーセントぐらいがどうなるということは俎上には、確か乗っていないと思います。

○丸井委員 個別の論点ではなくて、企業の方がいらっしゃるので、ちょっとお伺いしたいことが2つあります。1つは治験で使う場合、プラセボと書いてありますが、これはもう全くのプラセボですか。既存薬ではなく、全く効果ゼロのプラセボですか。

○櫻井参考人 インアクティブなプラセボです。

○丸井委員 そうですね、分かりました。それでも、当然ですが、けっこう落ちるのですね。というのが1つ。もう1つは、先ほど錠剤が大きいのではないかというお話がありましたが、動物実験とかin vitroの実験では、どういう形で使われているのですか。粉、あるいは液体。錠剤を使っているとは思えないので。それと実際の人間の場合の錠剤が前提となるというのと、そこは現場ではどうなっていたのでしょうか。

○古田参考人 動物実験の場合は懸濁液で経口投与しております。それで200mgの錠剤自体はそれほど大きいものではないのですが、ただ、数をたくさん飲まなければいけないものですから、やはりちょっと利便性は余り良くないです。緊急の場合は、やはり注射剤があったらいいなということで、今、注射の検討も始めてはおります。ただ、非臨床試験が全て終わっている段階ではありません。

○丸井委員 ということは、事実上動物実験やin vitroでは、懸濁液あるいは粉砕して使っているということなのでしょうか。

○古田参考人 はい。

○丸井委員 では、人間の場合に潰したり、あるいは懸濁状態にしたりして効かなくなるかもしれないという可能性は余りないと考えていいのですか。その辺りはどうつながっているのでしょうか。

○古田参考人 潰して効かなくなるようなことはないです。動物実験の場合も懸濁した溶液は1週間置いても安定しておりました。

○山田参考人 先ほど委員長からの、このA4の資料の錠剤のサイズが大きいのではないかと御指摘を受けたのですが、これはこういう表記を見ていただくために、ちょっと拡大して用意しました。実際の錠剤はこれより小さいサイズです。

○岡部委員長 タミフルも結構大きいですが。

○山田参考人 申し訳ありません。

○信澤委員 ちょっと話がずれますが、よろしいですか。平時から準備する必要があるかということと関係しているのですけれども、聞き漏らしていたらごめんなさい。アビガン錠の安定性といいますか、有効期間というのですかね。そういうのは設定されているのでしょうか。

○古田参考人 錠剤として、ちゃんとピローパックに入れたものは、8年安定と理解しております。5年までは確実にデータがあります。

○山田参考人 まだ、8年もあるはずはない。

○岡部委員長 8年もあるのですか。

○山田参考人 まだ安定性の検討が進行中ですね。

○岡部委員長 8年が観察として進行中、そうすると薬事法上は5年ですか。

 承認をしたところまでで一応、有効期間は取れていると思うので。ちょっとそれは調べていただいて、後でもう一回意見を頂く。それから、プラセボで熱が下がってくるというのは、結局自然に下がってくるということであって、薬を使わなくても自然に治っていく段階のことが示されていると思うのですが。

○小田切委員 この論点1と論点2は切り離して考えられないような気がしているのですけれども。いわゆる準備しておく必要があるかどうかというのは、使う戦略をもう少し考えないといけないと思うのです。そうすると、まさに論点2のマル2がかなり重要だと思うのですけれども、投与開始が遅れた場合、48時間以降というのは効果が低いということなのですが、実際にこれの説明はなかったのですが、これがそうであれば、やはりこのアビガン錠を使うこと自体のメリットはどれぐらいあるのかというところが疑問になってくる。

 いわゆる新型が出てきた場合に、最初に治療するのはノイラミニダーゼ・インヒビターであると思うのです。それが効くかどうか様子を見ながら、どうも効いていないと。では、作用機序の違うアビガン錠はどうかという流れになると思うのですが、そうやっている間に48時間は過ぎるのですね。

 アビガン錠もやはり48時間過ぎると効果がないとなると、もはやこの新しい薬を使うメリットはどこにあるのかとい疑問が出てきます。事前に準備しておくかどうかという問題にも関わってくると思うのですけれども、その辺はどうなのでしょうか。

○岡部委員長 私の感じなのですが、ある人から耐性ができたから切り換えるというよりも、耐性ウイルスが広がってきたので、それを新規の患者さんに使うというのが1つだと思うのです。実際最初の頃の人は間に合わない、残念ながら間に合わない。

 もう1つは、これにもちょっとどこかに書いてありましたが、免疫不全状態にある人の場合には、かなりウイルスの排泄が長く続いたりするので、その場合はもう一回、再投与ということもあり得るのですが、ただ、備蓄した場合の対象が一般大衆も全部ひっくるめてタミフルその他の代わりになるのか、あるいは非常に特殊な患者さんだけに絞るのか。その辺も含めて結局備蓄が要るか要らないかということになってくると思うのですけれども。現在、備蓄があるのは4,500万人分でしたか。そのぐらいの量を、すっかりそのまま置き換えるという戦略では、少なくとも今のところはないと思うのですが。

○小田切委員 確かにノイラミニダーゼ4薬剤に耐性が出ない可能性はゼロではないと思うのだけれども、現実的にはそれは極めて、極めて低いということが1つあります。それが更に広がる可能性はもっとない。

 それから、先ほど説明資料にありました有効性の最初の説明のところで、これは質問なのですが、データを見ると、例えば20ページ、21ページ辺りにウイルス力価の推移があるのですが、プラセボと比較して見ているわけですが、この違いというのは本当に有意の差なのか、かなり疑問であると思っています。

 例えば、この測定しているTCID50値の違いがlog1ぐらいというのは振れ幅の範囲に入るわけです。そうすると、本当にこれは有効性が発揮できているのか、このデータから読み取るのは難しいのではないかと思うのですが、それはいかがでしょうか。

○岡部委員長 これはメーカーの方でよろしいですか。

○櫻井参考人 すみません、この20ページ、21ページのグラフのウイルス力価の推移ですが、これはほかのノイラミニダーゼ阻害薬等の試験結果を見ましても、大体プラセボに対しましてこの程度の差で出ておりますので、この試験が特にsensitivityが低いとは理解していないということです。

○山田参考人 先ほどの、安定性についての御質問に対してですが、私どもが頂いております承認の有効期限は5年です。ここで訂正させていただきます。

○岡部委員長 今、8年についても研究中というところでしょうか。

○山田参考人 引き続き5年を超えても、経時試験は実施しておりますが、それは承認事項を改定するには至っておりません。

○岡部委員長 谷口委員どうぞ。

○谷口委員 論点1と論点2は非常に密接に関連しているのは御指摘のとおりだと思います。発症後48時間以降は効果が低いというのは、季節性インフルエンザを基に考えていたものであって、もともと季節性インフルエンザウイルスにてプライミングされている個体では48時間を過ぎると自己の免疫によって治癒に向かっていくわけです。そうすると新型あるいはH5のように、ほとんど基礎免疫がない状態では、必ずしも48時間以降が非常に効果が低いとは言えないかもしれないという気がしています。

 もう1つは、この承認条件の中に、「他の抗インフルエンザ薬が無効か効果不十分なものに限る」と書いてあります。これは、必ずしも耐性かどうかということではないように読み取れます。ただ実際に、作業班会議案のマル1、論点2の「重篤度の高い新型インフルエンザが発生し、かつ阻害剤4剤全てに耐性化」と条件が記載されています。全て耐性ではなくとも、季節性であったとしても、非常に重症化することはあります。そういう場合に、作用機序の違う薬を2つ一緒に使うことによって、重症患者が救える可能性があるかどうかということも、もちろんその時点で臨床家としては考えると思うのです。

 そのように考えると、このように定義してしまうと、必ずしも耐性ではないが

、既存の抗インフルエンザ薬を使用しても、非常に重症例が多い場合に使えないということは少し気になります。

○岡部委員長 臨床的に重症な場合に、例えばラピアクタが効かないのではないかというときに、このようなものを持ち出せるかどうかということも含めてどうだろうということです。丸井委員どうぞ。

○丸井委員 それに関連してです。今のは論点2のマル1から見たと思うのです。これは余り現実的ではないように私は読めます。今も幾つか条件が重なりました。重篤度が高いとか、新型インフルエンザで、もう1つはノイラミニダーゼ阻害薬4剤全てに耐性化した場合に限定してというのは、先ほどもお話があったように、ひとりひとりの個別の患者さんの話をしているわけではないということになると、流行していく中で、4剤全てに耐性化したウイルスが出たらなのでしょうか。あるいは、耐性化するというのも、4剤全てにというのは余り現実的ではないということも、もちろんあります。ここの表現は、全く判断のしようのない書き方になっているように思います。

 ですから、4剤全てに耐性化したというのは、その流行の中で1例でも出たらなのか、それともある程度それが広がったらなのか。あるいは個別の臨床の場で、もし4剤全てに耐性の患者さんがいたら使うのか。そこの集団レベルか個体レベルかという話がひとつあります。集団のときであるとすれば、一体どの程度なのか。ほとんど判断のしようがないので、マル1は表現を変えるなりして、真意をきちんと伝えないと、このままではいけないと思います。

○岡部委員長 大久保先生どうぞ。

○大久保委員 今の御質問に関係して、医療班の作業班では、これは参考人として来ていただいた先生の御意見もあるのですけれども、タミフル、ラピアクタは季節性のインフルエンザにおいて耐性を獲得するものが出てきています。それ以外の、そこに書いてあるように、リレンザ、イナビルは耐性ができにくいというところもあります。例えば、臨床的に普通の抗菌薬のように、この薬は効かなくなったから、こちらの別の系統にしようというわけではありませんが、まずはノイラミニダーゼ阻害剤全体に効果が期待できないような場合を含めて、この4剤耐性という言葉を使っているわけです。そういう意味で、4剤は十分使えない場合に、このアビガンを使用するという前提で書いています。今読み直してみると、資料3の論点2のマル1の書き方は、少し極端かもしれませんけれども、概念としてはそういうことを言っています。

○丸井委員 恐らくそうだろうと思ったのです。個別の臨床の場でどうするかということを決めるときに、ということを考えているので、流行全体を集団として見て、どこからの時点でオッケーをするというような話ではなかったということですか。

○大久保委員 これは、先ほどの小田切先生の御質問にも関係するのですけれども、通常の抗菌薬のように、この薬を使っても効かないから別の薬というわけではなくて、その時の流行、あるいはパンデミックがどういうウイルスで発生しているかを見極めるところから来るわけです。個人個人にノイラミニダーゼ阻害剤が効かなかったからこれというような、そういう考え方ではないです。

○岡部委員長 同じことですが、そうすると一体どの時点で判断をするのかと。論点4辺りとも関係しますけれども。

○大久保委員 それは、それなりの機関が、速やかに耐性だということを判断すべきだということです。

○岡部委員長 それが、とても難しいところだと思うのです。それをいつ頃判断するのか。そして、それを実際に現場で使えるようになるまでに、論点4とも関連しますが、例えばガイドラインを修正したものを出し直すというようなことまで必要であれば時間がかかるし、どこでということを、誰がどのように決めるか。そして、そこからスピード感を持って、実際に現場でそれが動くようになるか。そこのところを考えないといけないかと思います。

○大久保委員 ガイドラインというお話も出ましたけれども、やはりこれはガイドラインが必要です。それを、必要に応じて改訂できるような状況にしておいて、速やかに対応していく必要があるということだと思います。

○岡部委員長 今の意見は先のほうに進んでしまうのですけれども、多分ガイドラインは要るだろうということになっていくと思うのです。そのガイドラインに書くべきこととしては、今おっしゃったような、どこの時点で判断をするのか定義はないのです。耐性が出てきたときに、50%が耐性なのか70%なのか、あるいは数パーセントで出始めたというのか。もう1つは、それを決定するのは多分国が決定するとはいえ、専門家会議のような所でリコメンデーションを出さないといけないでしょうから、そこはどこがやるのかというのも、今のところはまだ曖昧なのです。

 その辺も含めて明らかにしておかないと、ちょっと極端な言い方をすると、ある人が鶴の一声で「あれを使え」と言ったらすぐに出るというのでは困ります。臨床家一人一人が、「うちの患者さんが使えないからすぐに放出してください」というのもまた難しいです。公衆衛生の対策として、これに置き換えるべきかというのは、どこかできちんと決めるルールを作るべきだと。その辺もやろうと思えば、多分ガイドラインに書き込むことになります。宇田委員どうぞ。

○宇田委員 論点1と論点4とかぶるのかもしれませんが、準備の中に、今、治験薬として幾つかストックがあるというお話を先ほど伺いました。仮に新型インフルエンザ等が蔓延して、その中の何人かと言いますか、いくばくかの方々にアビガンを使わないといけない状況になったときに、使えるようにするための備蓄の在り方に関しての準備はどのような方法ですべきなのか、ということが書かれているのだろうと思うのです。実際には保険の適用にはまだなっていなくて、薬価収載がされていないお薬を流通備蓄しておくということはできないのではないかとしたときに、どういう方法で、どこに、例えば国レベルで1か所に保管しておくことにするのか、あるいは全国どこでも出る懸念があるということだとすると、然るべき所に、どのようなイメージで、この備蓄をすることになった場合の具体的なイメージはどのようなものをお持ちなのかをお聞かせください。

○岡部委員長 事務局は何かイメージをお持ちですか。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 例として、既存の国家備蓄のような形で、例えば抗インフルエンザ薬の備蓄のような形もあります。迅速に少数の患者にも提供するということであれば、よく御存じの抗毒素を国家備蓄しておいて、都道府県などに一旦払い出して、都道府県のほうから医療機関に提供するという形もあります。緊急的に保険収載することもあると思います。ただ、保険収載されていなくても、医療機関等に提供することもできます。その他として、感染症指定医療機関に入って、感染症法に基づく診療をされている場合においては、保険で負担される部分以外は行政のほうの負担となっていますので、そちらのほうで医療費は担保されます。

○岡部委員長 タミフル等も、備蓄されているものを使って放出する場合は、健康保険の適用ではないですね。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 現時点では、市場に一旦流通して、市場から御購入いただくことを想定していますので、健康保険の適用になります。

○岡部委員長 対象になりますか。私の思い違いでした。すみません。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 先ほど言いました抗毒素のほうも、通常の流通形態とは異なりますが、薬価収載されています。国家備蓄のほうを、直接医療機関のほうに提供するような形も通常そういうことも可能ですので、それ自体は問題ないかと思います。

○宇田委員 方法はいろいろあるということですね。

○岡部委員長 他にはいかがですか。信澤委員どうぞ。

○信澤委員 ちょっとずれるかもしれないのですけれども、アビガン錠の使用方法です。研究レベルではありますけれども、ノイラミニダーゼ阻害剤との併用で、より効果が上がるというような研究もあったと思うのですけれども、その辺はアビガンならアビガンだけという使用の仕方にするのか、そこは考えないのでしょうか。単独でしか使わないのか、併用ということも考え得るのでしょうか。

○岡部委員長 事務局いかがですか。

○古田参考人 動物実験のデータでは、より低用量で併用効果がきっちり証明されております。たくさん投与すれば、単剤で効いてしまうので、動物実験の場合は少量に減らして、コンビネーションで同等以上の効果が出る、というデータの出し方になります。

○岡部委員長 その場合は、ノイラミニダーゼ阻害剤耐性ではないウイルスを使ってということだと思うのです。それは臨床の現場で、すぐに切り換えるのか併用にするのかというのはちょっと議論が要るかもしれないけれども、その辺はもしやるとするとガイドラインか何かですね。おっしゃるようなことは、現場ではあり得るのではないかと思うのです。先ほど谷口委員が、これは効かないのではないかというときにどうするのだと言ったのは、結局そのようなこともイメージの中に入ってくると思うのです。

○谷口委員 ガイドラインというのは個別の患者に対する診療ガイドラインですから、国家的な対策として判断するのと、何となく雰囲気が違う感じがするのです。この患者さんはこういう状況であって必要である、それを国が使うか使わないかを決めるというのも何か。国としては、大枠として備蓄しておく。それでガイドラインに従って使えますよと。そのガイドラインがしっかりしていれば、個別の医療判断というのはできるという感じなのかと思うのです。

○岡部委員長 本日の議論の中で頂きたいのは、もし全く要らないということであるならば、それはストレートに本日、こういう備蓄は不要ではないかという意見をおっしゃっていただければいいと思うのです。もしかすると要るのではないか、要るためにはこんな条件があれば要るとか、こういうところに問題があるということになると、それが論点の中に幾つか入ってくるので、その条件を付けた上で、国としては必要か必要でないか。その条件については、ガイドライン的なものに書いておきましょう、ということになろうかと思うのです。いろいろな意見を頂いて構わないと思うのです。こういう条件はどうだと。事務局のほうも、そのような進め方でいいですね。

○事務局 はい。

○岡部委員長 疑問とか、ここはどうなっているのだというのは、どうぞ遠慮なくおっしゃっていただいていいと思います。

○小田切委員 関連して質問です。机上配布資料の1番のポツに「殺ウイルス的な作用に基づく増殖抑制効果にある」と。これがアビガン錠の最大のメリットだと思うのです。この有効性の臨床試験とか、動物実験の成績を見ると、必ずしもウイルスが完全にシャットアウトするような殺ウイルス的な結果が得られていないが、説明との乖離がありますが、説明をお願いします。

○古田参考人 in vitroの培養の試験だと、ノイダミニダーゼ阻害薬は、releaseを抑制するだけですので、growthが遅れていく形で、抗ウイルス活性が見られます。アビガンの場合はウイルスの遺伝子複製を抑制しますので、ある程度の濃度以上になると、ウイルスはそこで死滅します。最近の論文でも、バイラルムタージェンの作用があるというようなのが幾つか見られます。そのような効果のことを殺ウイルス性として表現しております。

○小田切委員 そうすると、先ほどの20ページとか21ページにあるものとはちょっと違うのではないかと思うのです。これは薬剤投与していても、ウイルスは消えていないですよね。

○岡部委員長 殺ウイルスというのは、ノイラミニダーゼ・インヒビターのときのような、増殖を抑制するのと違うニュアンスなのだろうと思って聞いていたのです。RNAポリメラーゼ阻害剤だから、もうリプロダクションがなくなってくるという意味ではないのかと思ったのですけれども、いかがですか。

○古田参考人 そういう意味です。

○岡部委員長 殺ウイルスというのは、殺菌作用と生菌作用と似たような意味合いがあって、殺菌作用だと菌の増殖をスパンッと抑えてしまうような感じがするのですけれども、それほどでもないというニュアンスですよね。言葉の表現はもうちょっと考えたほうがいいのかもしれません。谷口委員どうぞ。

○谷口委員 関連してなのですけれども、ノイラミニダーゼ・インヒビターというのは、in vivoで免疫抑制患者に対して使っても、免疫正常の患者に比べて排泄が長引きます。あれは、最終的には自分の免疫で処理しなければウイルスがなくならないからだと思うのです。このアビガンは、そういう免疫抑制状態の患者さんに対して投与しても、一応ウイルスの排泄はなくなるのですか。そういうデータはないですか。

○岡部委員長 メーカー側はいかがですか。

SCIDマウスを用いた実験をやっています。ノイラミニダーゼ阻害剤はSCIDマウスだと、薬剤投与している最中でも死んでいってしまうのですが、アビガンを投与したマウスは十分、死亡を抑制するというデータがあります。

○岡部委員長 私からも質問したいのですが、有効性・安全性についてこの背景の説明を資料1でしています。事務局のほうで書いていただいた資料18ページの3-1「アビガンに関するこれまでの議論」でまとめられています。厚生科学審議会の3つ目のポツで、「有効性・安全性のデータがそろい次第、引き続き備蓄の是非について検討する」と取りまとめられています。これ以前の所なのですが、有効性・安全性の国内のデータというのは、結局今のところ採用しているのは、アメリカにおける試験であって、国内ではその後、有効性・安全性に関する検討はなされているのでしょうか。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 まず、企業のほうではどのようなことをしているのかというのを、メーカーのほうにお聞きいただければと思います。薬事承認で付されている臨床試験というのは、先ほど説明させていただいたとおり、米国等で実施された国際共同臨床試験です。そのデータと、あとは国内で日本人の血中濃度を測ることを目的とした臨床試験をしていただいて、それは有効性は見ておりません。そのような条件が付されています。その後の開発の状況について、有効性と安全性それぞれについてメーカーのほうからお聞きいただければと思います。

○岡部委員長 資料15ページの所で、承認条件が幾つかあった中で、付けられたもので体内動態に関してはデータが出てきたのでこれ以上やる必要はありませんというのは、PMDAのほうから出ました。でも、その他に例えば季節インフルエンザウイルスにおける有効性・安全性を確認するための臨床試験、これはアメリカのデータによればあるけれども、国内としてはまだない。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 そちらのほうの承認条件で付されている臨床試験というのは、当時の審査報告書を見ると、海外で実施していた臨床試験のほうを指していると聞いております。国内でどのように開発されているか、日本人に対してどのように開発されているかというのはメーカーにお聞きいただければと思います。

○岡部委員長 進捗の所でまとめられているのも、7ページのほうに来ると、承認条件のマル2の矢印の下のほうで、「企業側では米国の第三相試験が提出されたと。現在、PMDAで有効性・安全性について評価中であり、今後、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で報告される見込み」となっています。それが、メーカーがやっている進捗状況を聞きたいというのが私の質問の意味なのですが、いかがでしょうか。

○山田参考人 御指摘いただきました2014年の承認条件のマル1については、薬物動態試験を日本国内で実施することという条件でしたので、承認から1年以内にこれを実施し、結果を提出し、承認条件の解除を認めていただいております。御指摘の有効性・安全性についての季節性インフルエンザの臨床試験というものについては、今回もお持ちしておりますが、アメリカを主体とする第三相試験をもって、第2の承認条件解除のデータとすることを、審査当局と私どもの間で合意いたしました。昨年111日に試験結果の報告書を添えて、承認条件解除を私どもから申請させていただきました。

 最後の御指摘の、現在PMDAのほうで評価中であるというステータスですので、私どものほうには照会等を頂いております。既に回答も出させていただいております。いつ、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会にかけていただけるかということについては、まだスケジュールを頂いておりませんので、このような「見込み」という表現にさせていただきました。

○岡部委員長 進捗としてはその規模は分からないけれども、国内での検討で、その有効性・安全性についてのデータはPMDAのほうに出しているという理解でよろしいですか。

○山田参考人 マル1の薬物動態試験は、あくまでも「本邦における」という条件が付いておりましたので、日本人の試験です。マル2の季節性インフルエンザにおける有効性・安全性の確認試験は、必ずしも日本で実施する必要はないという条件でしたので、アメリカを主体に行った、本日お持ちいたしましたとおり約2,000例のプラセボ対照試験のデータを提出しました。

○岡部委員長 ですから、最初の承認当時よりも大きいスケールで、季節性インフルエンザについて、海外での臨床治験が取りまとめられて、今のところ提出中ということですね。

○山田参考人 御理解のとおりです。

○岡部委員長 他にはいかがですか。丸井先生どうぞ。

○丸井委員 どこで言おうかと思ったのですが、有効性・安全性の話が出てきました。資料1は今のように有効性・安全性です。作業班会議のほうで出していただいた資料は、それが一部資料3にも反映されています。「安全性・有効性」という書き方に全部なっていています。リスクコミュニケーション風に言うと、医薬品は基本「有効性・安全性」という書き方をずっと今までしてきています。この班会議のほうでは「安全性・有効性」となっています。

 これは、恐らく議論の重みが安全性のほうに偏っていたためだと思うのです。資料3の論点4の所も、「安全性・有効性」となっています。これについては、少なくとも外に出すときに言葉は統一しておくべきだろうと思います。

○岡部委員長 順番ですか。

○丸井委員 そうです。作業班会議では安全性をということで、こちらが重要だったと思うのです。

○浅沼結核感染症課長 有効性と安全性、安全性と有効性、内容は一緒なのですけれども、本剤は前から御指摘を頂いていますように、催奇形性の問題が大きくクローズアップされています。それについてどのように考えるか、というのが重要な課題の1つです。つきましては、作業班では、もちろん有効性のこともしっかり御議論いただいていますけれども、安全性についてどのように、このアビガンを使うときにカバーしていけるか。今は包装にも注意書きを書いてもらっていますけれども、この承認条件を確認すると、サリドマイドと同等の安全性の確保をしろというような読み方もできます。そういう観点で作業班でも検討していただきました。

 例えばサリドマイドは、多発性骨髄腫に使う薬ですけれども、かつては薬害を生じた薬で、関係団体の方々もこのサリドマイドを再び市場に出す際には大変な御心配、御危惧があったわけです。アビガンはそこまで強い催奇形性があるのかどうかは我々もよく分かりません。実際には実験レベルでしか出ていないのですが、さりとて薬食審で承認を受けた際には、この安全性のことがかなり厳しく指摘されていることもあって、先ほど宇田委員からもお話がありましたが、流通管理でしっかりとした、具体的には妊婦さんが間違って服用しないようなかたちで流通管理をできるように検討すべきではないかと御指摘を頂いています。

○丸井委員 その内容は非常によく分かります。ただ、外へ出るときに安全性・有効性と、有効性・安全性という言葉の使い方が別々で出るというのは、これは意味していることが違うのではないかと勘ぐられても仕方ないところではあります。もし可能であれば班会議としては、「安全性と有効性」という、別の文脈で話をして、有効性の議論の所では有効性の話をし、安全性が問題の所は安全性でまとめて出していただくほうがすっきりと分かりやすかったかと思います。重点が安全性だったことはとてもよく分かります。

○岡部委員長 外に出すときというか、完成版のときには統一しようということですね。

○丸井委員 はい。

○岡部委員長 課長どうぞ。

○浅沼結核感染症課長 言葉の統一については御指摘のとおりだと思います。有効性・安全性という言葉と、安全性・有効性という言葉が混在しないように、どちらかに統一するということは御指摘のとおりだと思いますので、小委員会の作業ではお願いしたいと思います。

 今回の作業班のペーパーで、安全性・有効性というようにひとまとめにしていますけれども、内容については一個ずつ安全性は安全性、有効性は有効性というような書きぶりにしていただいております。したがって、今回また小委員会で、丸井委員の御指摘があるならば、それはまた小委員会の取りまとめのところで、安全性は安全性、有効性は有効性でまとめていただいても構いません。そこは小委員会のほうにお任せいたします。

○岡部委員長 他にはいかがですか。質問事項も含めて議論が出てきましたが、まだ多少時間があります。小委員会のほうのまとめの所を拝見すると、基本的には4剤、現在のノイラミニダーゼ阻害剤がいちどきに耐性になるリスクは低いけれども、その可能性はないわけではないので、もし既存のものでリスクを考えておくと、メカニズムの違う薬というのはあったほうがいいのではないのだろうか。そうすると対象者、あるいは使い方についての絞りを示さなくてはいけない。そのようなものを診療ガイドラインというものができてくれば、各論をそっちでやっていく。総論的には、メカニズムの違う薬を手の内のカードとして持っていくことは必要ではないだろうかというのが、作業班のまとめだと思うのです。

 この小委員会で強く、これは要らないと、これは無駄だというような御意見があればおっしゃっていただければいいと思うのです。そうでないのならば、作業班の意見を尊重して、方向性としてはこうと。ただ、幾つか、例えば対象の絞り方とか、誰が決めるのだとか、あるいはその決め方の基準になるようなものであるとか、いつのタイミングなのか。それから使い方の細かいところでは、例えばオーバーラップがいいのか、スパンと切り換えてしまうのか、流通はどうだといったようなことが意見として出てきました。それを本日のまとめのような形で、事務局のほうで、そこは整理してください。次の委員会を私は開催の予定ではないかと思っているのですけれども、3月に入ってからの委員会のときに、もし備蓄するのだとすると、幾つかの条件はこのようにありますと。これで何か問題点があるのかないのか、あるいは加えるべきことがないのか、それで最終決定に持っていきたいというような感じなのです。そのような進め方でよろしいでしょうか。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 はい。

○岡部委員長 ありがとうございます。お二人の先生はすでに退席されていますけれども、先ほどおっしゃったように、一応、委員会としては継続しているということですので、御意見は頂いています。そのようなところで本日の質疑については一応終わったということでよろしいでしょうか。メーカーの方から最後におっしゃることがあれば、参考人としておっしゃってください。

○参考人 よろしいです。

○岡部委員長 委員の先生方もよろしいでしょうか。

○委員 結構です。

○岡部委員長 小田切先生はいいですか。

○小田切委員 はい、ありません。

○岡部委員長 ありがとうございました。それでは先ほど申し上げたような形で、事務局のほうで作業は大変でしょうけれども、抗インフルエンザウイルス薬をどうするかというところでまとめていただきます。ただ、前提となる量などの考え方は、今のところ当初に質問のあった西浦先生の所で、それのシナリオ作りというのは現在進行中なので、今のところは今の基準で被害想定を考えておくよりしようがない。ただ、作業班のほうでもおっしゃっていただいていたと思うのですけれども、それは柔軟で、何か変化があれば逐次変えていくのだというようなことも必要だと思うので、その辺も是非付け加えておいていただければと思います。10分ぐらい早めに終わることができそうなのですけれども、会は終了いたします。事務局から次回の予定、その他を含めてお願いします。

○山崎新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 日程については追って御連絡させていただきます。事務局からは以上です。

○岡部委員長 最後に課長から何かありますか。

○浅沼結核感染症課長 特にありません。

○岡部委員長 それでは終わりにします。どうもありがとうございました。

 

 

 


(了)

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 厚生科学審議会(新型インフルエンザ対策に関する小委員会) > 第7回新型インフルエンザ対策に関する小委員会 議事録(2017年2月15日)

ページの先頭へ戻る