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2016年12月9日 薬事・食品衛生審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録

○日時

平成28年12月9日(金)10:00~


○場所

厚生労働省専用第21会議室


○出席者

出席委員(16名)五十音順

 阿 曽 幸 男、 五十嵐   隆、 乾   英 夫、 金 澤   實、
 神 田 敏 子、 新 保 卓 郎、 鈴木 邦 彦、 多 田 弥 生、
○西 澤 良 記、◎橋 田   充、 福 島 紀 子、 藤 原 英 憲、
  村 島 温 子、 望 月 眞 弓、 吉 山 友 二、 渡 邉 和 久
 (注) ◎部会長 ○部会長代理 
 他参考人2名

欠席委員(3名)五十音順

 川 原 信 夫、 寺 崎 浩 子、 平 石 秀 幸

行政機関出席者

 武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
 森    和 彦 (大臣官房審議官)
 山 田 雅 信 (医薬品審査管理課長)
 佐 藤 大 作 (安全対策課長)
 矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 宇 津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 佐 藤 岳 幸 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
 他

○議事

○医薬品審査管理課長 それでは定刻となりましたので、ただいまより「薬事・食品衛生審議会要指導・一般用医薬品部会」を開催いたします。委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。まず、前回の部会から日にちが経っており、本年7月に薬事・食品衛生審議会の委員の変更がございましたので、新しく委員に任命された先生を御紹介させていただきます。有限会社渡辺薬局代表取締役の渡邉和久委員です。

 委員の出欠状況です。川原委員、寺崎委員、平石委員より欠席との御連絡を頂いております。現時点で委員数19名のうち16名が御出席されておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。また、本日の審議事項の議題の参考人として、獨協医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科教授の春名眞一先生、並びに部坂耳鼻咽喉科医院院長の部坂弘彦先生、お二人の先生に参考人として御出席いただいております。

 また、前回の開催以降、事務局の厚生労働省及び医薬品医療機器総合機構において人事異動がございましたので御紹介いたします。まず厚生労働省の医薬・生活衛生局長は武田に代わっておりますが、本日は所用により欠席です。大臣官房審議官医薬担当の森です。安全対策課長の佐藤です。医薬品医療機器総合機構の安全管理監の宇津です。上席審議役の佐藤です。一般医薬等審査部長の廣田です。御挨拶が遅れましたけれども、私は厚生労働省医薬・生活衛生局の医薬品審査管理課長の山田でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、橋田部会長、以後の進行をよろしくお願い申し上げます。

○橋田部会長 おはようございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。それでは、事務局から配布資料の確認をお願いします。

○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表と当部会の委員名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1から資料5については、あらかじめ送付させていただいております。このほか、当日配布資料として、資料6「タリオンのチェックシート案」、資料7「議事次第及び資料No.の訂正について」、資料8「競合品目・競合企業リスト」、資料9「審査専門協議委員リスト」を配布しております。まず、お手元に当日配布資料7を御用意ください。事前に送付した資料から、議題を一部変更させていただいたことに伴い、資料No.に訂正がございますので、御報告させていただきます。そのため、本日の部会では、審議事項として、議題1、資料1、タリオンR及びタリオンARについて、議題2、資料2、クラリチンEX及びクラリチンEXクイック錠について、議題3、資料3、アレグラFXジュニア他に複数名称について、要指導医薬品の指定の要否、製造販売承認の可否のご審議をお願いいたします。その他事項として、議題1、資料4、エパデールTの安全性等に関する製販後調査期間の延長について、議題2、資料5、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議について、ご報告させていただきます。本日はこちらについて御議論いただければと思っております。資料の過不足等がございましたらお知らせください。

○橋田部会長 資料のほうはよろしいでしょうか。それでは、本日の議題に入ります。まずは事務局から審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いします。

○事務局 本日の審議品目に係る競合品目・競合企業リストです。当日配布資料8を御覧ください。競合品目、競合企業及びその選定理由についてご説明させていただきます。                        1ページ目の議題1のタリオンR、他1品目です。こちらは第2世代の抗ヒスタミン薬であるベポタスチンベシル酸塩を要指導医薬品の有効成分として含有する経口製剤です。

効能・効果は、アレルギー性鼻炎用薬であり、同様の効能・効果を有する製剤として、資料に掲げる品目・企業を競合品目・競合企業として選定しています。

 2ページ目、議題2のクラリチンEX、他1品目です。こちらも議題1のものと同様、第2世代の抗ヒスタミン薬であるロラタジンを要指導医薬品の有効成分として含有する経口製剤です。効能・効果は、アレルギー性鼻炎用薬であり、同様の効能・効果を有する製剤として、資料に掲げる品目・企業を競合品目・競合企業として選定しています。品目・企業としては、議題1と同一となります。

 3ページ目、議題3のアレグラFXジュニア、他3品目です。こちらも第2世代の抗ヒスタミン薬であるフェキソフェナジン塩酸塩を要指導医薬品の有効成分として含有する小児用の経口製剤です。効能・効果はアレルギー性鼻炎用薬であり、同様の効能・効果を有する製剤として、小児用のものとして、資料に掲げる品目・企業を競合品目・競合企業として選定しています。以上でございます。

○橋田部会長 ただいまの競合品目・競合企業リストに関する事務局の説明について、何か御意見はありますでしょうか。よろしいですか。

 では、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、先生方の御了解を得たものとさせていただきます。

 それでは、各委員からの申し出状況について報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申し出状況について報告いたします。議題1の「ベポタスチンベシル酸塩」については、退室委員なし、議決に参加しない委員は多田委員と村島委員です。

 議題2の「ロラタジン」については、退室委員なし、議決に参加しない委員なし。

 議題3の「フェキソフェナジン塩酸塩」については、退室委員なし、議決に参加しない委員なし。以上でございます。

○橋田部会長 ただいまの事務局の説明について、何か御意見等はありますか。よろしいでしょうか。それでは、委員の先生方に御確認をいただいたものとし、議題に入ります。

 本日は、審議事項が3議題、その他の事項が2議題となっております。それでは、審議事項の議題1に移ります。議題1について、機構から概要の御説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 資料1、タリオンR、タリオンARについて機構より御説明申し上げます。

 最初のタグの審査報告書です。3ページ、本品は、ベポタスチンベシル酸塩を10mg含有する医療用の「タリオン錠」を一般用医薬品に転用するという、いわゆるスイッチOTCです。効能・効果、用法・用量は、この記載のとおりです。

 の所ですが、医療用のタリオン錠については、2007年7月に承認され、その後、効能・効果の追加等がなされ、2010年6月に再審査結果が通知されております。

 4ページ、本品を開発する意義ですが、幾つかありますけれども、かいつまんで御説明申し上げると、アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりを主徴としており、これらは使用者自らが判断できる症状で自己判断が可能であるということ。本薬は、脳内のH1受容体占有率が20%以下で、非鎮静性に分類されていることから、いわゆるインペアード・パフォーマンス等の副作用を引き起こしにくいということ。このようなものを使用することによって、患者の選択肢が広がるということなどが挙げられています。

 アレルギー性鼻炎に関する使用成績調査では、副作用発現率は1.4%、うち最も多く認められたものは傾眠であり、発現率は0.79%でした。重篤なものは認めていません。有効性に関しては、「ほぼ満足」以上が91.5%。また、長期使用に対する特定使用成績調査においても、「ほぼ満足」以上が96.7%でありました。海外での使用状況については、本薬が一般用医薬品として承認、販売されている国はありません。

 その後、ロ項からヘ項までについては、全て医療用の資料が添付されており、新たな試験は行われておりません。

 ト.臨床試験に関する資料ですが、表1に示したような試験成績が提出されています。こちらのほうも医療用の申請時の資料で、スイッチにあたっては特に新たな試験は行われておりません。

 有効性については、この五つの試験を統合して、本品の用法・用量の1日20mg、かつ15歳以上の被験者の成績を再集計した結果、改善率は65.8%でありました。

 安全性については、この五つの試験を統合して、同様に再集計した結果、安全性に問題なしとされたものが89.2%です。主な副作用については、表2に示しています。

 審査の概略について御説明申し上げます。まず、有効性についてですが、先ほどの表1に示した五つの試験を対象に評価しております。これらは、対象患者の組み入れ条件や、判定基準等が同一であることから、これらの試験を再集計した結果から、有効性を評価することは差し支えないと判断しております。

 先ほど申し上げたように65.8%の有効率ということで、機構としては、有効性については、特段の問題はないというように判断しております。

 安全性についてですが、本薬は医学会から眠気に関して懸念が示されていたことを踏まえて、眠気やインペアード・パフォーマンスの副作用に関して申請者に対して説明を求めました。

 申請者は、脳内H1受容体占有率が20%以下で、非鎮静性に分類されているということから、中枢抑制作用は起こりにくいということ、臨床試験や製造販売後調査においても、インペアード・パフォーマンスによって起こり得るであろうと思われる事故とか、外傷を疑わせるような事象の報告はなかったということ、臨床試験においても、眠気の副作用発現率は5.7%で、既に承認されております他の第2世代の抗ヒスタミン薬と比べても、特に高いものではなかったということなどが説明されました。

 機構としては、上記の申請者の説明に加えて、添付文書のほうでも「してはいけないこと」の所に既存のものと同様に「服用後、乗物、又は機械類の運転操作をしないでください」という注意の記載がされているということを踏まえ、現時点では安全性に特段の問題はないと考えております。

 効能・効果については、既存の要指導・一般用医薬品の第2世代のものと同一であることから、特段の問題はないと判断しております。また、用法・用量についても、特段の問題はないと判断しております。

 使用上の注意についてです。医療用のタリオン錠については、腎機能障害のある患者に対しては低用量(1回量5mg)からの投与が求められていますけれども、本剤は規格が10mg錠のみですので、対応の検討を求めたところ、「してはいけないこと」に「腎臓病の診断を受けた人」を記載するという案が提示されました。機構は設定された使用上の注意については、特段の問題はないと判断をしました。

 次に、適正使用及び情報提供資料についてです。チェックシートと薬局・販売店向け情報提供資料、使用者向け情報提供資料が提供されております。これらは既に同一効能・効果の第2世代抗ヒスタミン薬が承認・販売されていますが、それにそって同等の資料が作成されていることから、特に問題はないと考えております。

 最後に総合評価です。以上の検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないと判断しております。しかしながら、OTCとして初めての成分ですので、有効性・安全性を担保するためには適正使用が重要であり、チェックシートによる確認や情報提供が必要であることから、まずは要指導医薬品として適正に使用されることが確認されたことをもって、一般用医薬品としての販売可否の検討が必要と考え、以下に示しますような少なくとも3年間の製造販売後調査を実施することという承認条件を付することが適当であるという判断をしております。

 あと、この資料の最後のほうに先ほど申し上げた情報提供資料があります。チェックシートについては、先ほど事務局から話がありましたように、当日配布資料の資料6も、併せて御確認いただければと思います。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○橋田部会長 それでは、本日は参考人として、春名先生と部坂先生にお越しいただいております。先生方から御意見、あるいは補足等を頂きたいと思います。お願いいたします。

○春名参考人 春名と申します。どうもありがとうございます。今、御説明にあったようにタリオンのOTC化というのは、基本的に問題性というのは日本耳鼻咽喉科学会でも考えてはおりません。ただ、このチェックシートとか、患者情報資料の提供の中で、アレルギー性鼻炎に対してのみの薬剤なもので、2週間を超えた服用をして、余り効果のない場合には、ほかの疾患も一緒にかぶっていることが多いので、「風邪」と一言で書いてありますけれども、耳鼻咽喉科としては、そのほかに一番大事な「副鼻腔炎」というのも入れてほしいというのが希望であります。

 その点は、前回のOTCの成人用のアレグラですが、アレグラの中でも副鼻腔炎というのは、後から追加で入ったもので、できましたら日本耳鼻咽喉科学会としては、同様に、この抗アレルギー剤に対しても、タリオンのほうに対してもお願いをしたいというような意見です。以上です。

○橋田部会長 ありがとうございます。それでは、部坂参考人にお願いいたします。

○部坂参考人 部坂と申します。私は臨床で、主に臨床医として、この3剤を使わせていただいておりますが、先ほど春名教授がおっしゃられたように、アレルギー性鼻炎以外の副鼻腔炎や喘息等の文言も、今後、検討していただきたいということです。

 あとは、この3剤についてのチェックシートも事前に少し見させていただきました。特にタリオンの場合には、副作用の眠気に関して、文章で書かれている以上に、実際に処方をしていて、患者さんがやはり、ちょっと眠いということを言われることがありますので、その辺はOTC化されたときに、薬局のほうで指導のほうを厳重にお願いしたいということを申し付け加えておきたいと思います。以上です。

○橋田部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの機構の説明、あるいは、春名先生と部坂先生の御意見について、何か全体として御質問等がありましたらお願いいたします。

○望月委員 タリオンの今の御説明にもありましたように、眠気の点については、もともと医学会からも御指摘があって、企業から審査報告書の9ページのような形で説明はされているのですが、使用者向け情報提供資料()というのを拝見いたしますと、一応、添付文書には「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」というのは、タリオンには残っているということにはなっていますが、この使用者向け情報提供資料の一番初めにインペアード・パフォーマンスの説明が入っていまして、ここで本剤は「眠気の発現率は低く、インペアード・パフォーマンスも引き起こしにくい」というようなことがかなり強調された説明書になっています。その点についてどう考えるかということがあります。

 それから、先ほど参考人から御指摘があった副鼻腔炎のところに関しては、アレグラの使用者向けの資料では、先の議論の話の資料を使わせていただいて申し訳ないのですが、使用者向け資料の3ページには、きちんと副鼻腔炎の可能性があるので、こうした場合には「医師、薬剤師に相談すること」というのが3ページの下側の囲い込みの絵の説明の中に入っています。使用者がそういった点に気を付けるように説明書きを読めるような形に工夫がされている形になっています。

 それで、今回、使用者向けの説明資料が、同じ抗アレルギー薬で、ほぼ同じような対象に対して使われるものについて、かなり濃淡がありまして、ここについてどう考えるかということと、先ほどのように、タリオンの最初にインペアード・パフォーマンスについてかなり強調した説明を加えることが適当であるかということについて、最初のインペアード・パフォーマンスの説明は必要ないのではないかという判断を私自身はしておりますが、御検討いただければと思います。

○橋田部会長 では、機構にお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 先生、ありがとうございます。まず、タリオンの使用者向け情報提供資料については、まだ白黒で、特にどこを強調しているというところもないので、まだ作成途中の段階ということです。先生の意見を踏まえて、インペアード・パフォーマンスの記載場所とか、もう少しメリハリを付けて重要な情報は分かりやすいようにということで、申請者を指導したいと思います。

 副鼻腔炎に関してですが、アレグラのほうは小児用ということで、その辺をより細かく書いているのですが、意見を踏まえて、成人に対しても識別は重要なことですので、適切に記載するよう伝えたいと思います。

○橋田部会長 今、御指摘がございましたが、例えば、眠気とかの問題、あるいは副鼻腔炎の問題については、先ほど濃淡があるという御意見でしたが、もう少し整理していただいて、最終的には、この部会の意見も十分反映したものにしていただくということでよろしいでしょうか。

○乾委員 よろしいでしょうか。

○橋田部会長 どうぞ、乾委員。

○乾委員 資料のパッケージ案という外箱を少し見させていただきました。外箱パッケージ案を見ると、これは()だからだとは思いますが、外箱に表示する効能ですが、「つらい」とか、「しっかり効く」ということを、今まで私、余り見たことがなかったもので、ちょっと違和感があって、「つらい、鼻水、鼻づまりに、しっかり効く」と書いてあるのですが、これは。こういうことは認められているのでしょうか。また、要指導医薬品として、今度、これが安全性が担保されて、第一類医薬品又は第二類医薬品となってくると。第二類になると、生活者が自分で取れるようになるということも考えられますので、その辺についてどうなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 我々も実は、この資料が搬入されて初めてパッケージを見まして、先生と同じような印象を受けました。確かに、鼻づまり、鼻水によく効くということを強調しているような感じになっていますので、この辺は先生の意見を伝えて適切な表現にするように指導したいと思います。データ的に第2世代の抗ヒスタミン薬は、鼻づまりには余り効かないということも一般的に言われていますが、本剤はそちらにも効くというようなデータは示されているのですが、しっかり効くとか、そういった言葉については、検討するよう指導したいと思います。

○乾委員 よろしくお願いします。

○橋田部会長 どうぞ。

○上席審議役 補足ですけれども、ここであるパッケージ案の中に、実際に今日御審議いただいて、御承認いただく承認事項の部分と、そうでない部分というのがあります。先生が御指摘になったのは、それ以外のほうでして、実際に今日、御審議いただいて、承認される事項は後ろの少し小さめに書いてある所で、効能・効果、用法・用量といろいろ書いてある所が、実際に今回、薬事承認を受ける部分です。ただ、御指摘のとおり、それ以外の部分であっても非常に過剰な期待を与えるとか、適正使用の観点で、もし問題があれば、やはりここについては我々としても申請者のほうに指導して、是正をさせることもありますので、そこも含めて、切り離してということになるかと思いますが、こちらの承認事項以外の部分については、やはり過剰なことを期待させるとか、適正使用上の問題があるかという面で、もう一度こちらとしても見させていただきながら、申請者のほうを適切に指導させていただきたいと思っております。

○乾委員 了解しました。よろしくお願いします。

○橋田部会長 ほかにありますでしょうか。

○神田委員 戻るようで申し訳ありませんが、有効性についてお聞きしたいと思います。臨床試験の結果からは、改善率が中等症と重症患者について出ております。64.7%とか、その結果が出ていますけれども、これをもってして、軽症患者についても有効であると考えてよろしいのでしょうか。

 一般用医薬品は、軽度な疾病に伴う症状の改善を目的としているというように、あちらこちらに書かれています。ということで、軽症者についての有効性をお聞きしたいと思いますので、臨床試験の結果から、中等・重症患者について有効であれば、軽症者についても効果があると考えていいのか、あるいは、減弱するという面はないのかということをお聞きしたいと思います。

 それから、使用成績評価ということ、そうはいってもそちらが非常に成績が良いということで効果があるというように、最終的には有効であると判断されているわけですが、この使用成績調査というものはどのようなものなのかということで注釈がありますけれども、それを見ると、安全性を主目的に調査が行われたために、有効性については、この本剤を使用した医師の総合評価を主な指標として3段階で評価されたとなっています。ですから、使用成績調査というのが少し分からないのですが、この結果は、信頼度のあるものと考えていいのか、3段階の評価をどなたがどのようになさったのかということで、その辺の信頼度というものが分かれば、私も安心できるのかと思いますので、教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 まず臨床試験の65.8%のところですが、これは、中等度改善というものが65.8%ということです。軽度改善も含めると80%程度の有効率になります。

 また使用成績調査については、販売後にMRが病院を訪問して、いろいろな情報を収集してくるといった中で、安全性とか、あるいは有効性というものを集めているものです。先生のご指摘は使用成績調査の信頼度ということでしょうか。

○神田委員 いいえ、きちんと科学的な評価がされているのかということです。感覚的なものだと、ちょっと不安かと思ったものですから、何か裏付けのようなものがあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 一応、こういったものを基に再審査を受けて、それで評価されておりますので、そういう意味では、ある程度の科学的な評価を受けていると言えるのではないかと思います。

○橋田部会長 追加がありますか。どうぞ。

○上席審議役 先生、これ、医療用の医薬品の場合というのは、市販後にいろいろな調査が課せられます。その結果を基に、今回はこれを一般用医薬品の有効性・安全性の資料にしています。

 まず先ほどの再審査というのがありますけれども、御承知のように、医療用医薬品の場合には、一定期間たつと、再審査申請資料として、それまでに市販されたデータをまとめて有効性・安全性に関して申請をして、そして再審査を受けます。これは、最終的には医薬品部会で御報告させていただくことになりますが、そういうような形できちんと審査を受けたものの結果を基に、今回、一般用医薬品としての申請がされているということです。

 それから、中等度・重症のデータからということですが、今回の場合には、実際には、製造販売後の市販後のデータの場合には、基本的に治験と違いまして、非常に精密な有効性をみる、評価をするというのは極めて難しい問題もありますけれども、大体これまでの既に類似の承認されている有効成分を、ほかのOTCの有効成分から考えると、大体このぐらいの改善率というのが軽症もほぼ同レベルのものということです。今回は私ども、このデータで、この製品についても、すみません、少しお待ちください。改善率は中等度、それから軽症の改善も含めた正確な数字を申し上げると、80.6%です。これは、何かしら改善した人の割合ということですが、ここから考えても、OTCとしての改善率というのは妥当というように我々としては考えております。追加でコメントさせていただきました。

○橋田部会長 よろしいでしょうか。はい。では、先にどうぞ。

○金澤委員 実際の診療の現場で患者さんを診ていますと、例えば、睡眠時無呼吸症候群の患者さんが夜間の快眠のため、もしくは鼻閉の対策に、例えばPL顆粒を毎月1週間分ずつもらっていて、夜1包ずつ飲んでいるということが行われています。いや、それは駄目だと言いますが、先生、そんなこと言わずにと言われて処方することがあります。それから逆に、アレルギー性鼻炎で季節的に抗アレルギー薬を使います。そうすると、具合がいいわけです。そうすると、そのシーズンが終わってからも、通年性のアレルギーだと称して、快眠と鼻閉対策に使ってしまう。

 一方で、私は呼吸器なものですから、COPDの患者さんで在宅酸素をやっている方がいるのですが、やはり在宅酸素をやっていても、アレルギーがあって、鼻閉があると酸素が行きませんから、これは由々しき問題になります。逆に抗アレルギー薬で催眠作用が強くなってしまうと、今度はCO2の蓄積というような副作用の問題も出てきます。いろいろな面で、医師が管理して投与している間は良かったものが、患者さんが不正使用というか、不正とは言わなくてもボーダーラインのところで使い始めると思わぬことが起きるのではないかと、そんな心配がちょっとあります。私の医療における不適切さはちょっと置いておいて、コメントを頂きたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 一応、本品は要指導医薬品ということで、まず承認されますので、3年間は製造販売後調査を行うということで、その辺はきちんとモニターをしていくと。

 あとは、添付文書にも、有効であっても、2週間以上の使用の場合には、医師又は薬剤師に相談してくださいということを記載して注意喚起はしております。

○金澤委員 これは有効であるからこそ使われるのではないかと。その結果として起こってくる副反応ですよね。

○医薬品医療機器総合機構 そうですね。

○金澤委員 ちょっとその辺が気になるという話です。

○橋田部会長 ありがとうございます。多田委員、どうぞ。

○多田委員 先ほどから度々眠気が問題になっていますが、やはり臨床で使っていても、やはり眠気は訴えられますし、眠剤として使うということで、よく眠れるようになったという患者さんもいらっしゃるということで、私たちは皮膚科の領域で処方するときには、必ず「運転は避けるように」ということを強く言っていて、確かに添付文書上には載っていますが、万が一カルテに記載していなかったらどうなるかということが話題になって、弁護士さんなどを呼んで、2、3回講演会などを聞いても、もし、カルテ記載がなかった場合、内服されて運転をそのままされて事故を起こした場合に、それは医師としての説明不足という責任を問われる可能性があるので、そこら辺りは十分気を付けてくださいということを弁護士さんは言われるのですね。ですので、万一これ、市販されて、運転されて事故を起こされたと。それが直接的な関係があるかどうかは、なかなか証明しづらいと思いますが、やはり添付文書を読まない患者さんもたくさんいらっしゃるので、やはり腎臓病と同様に、チェックシートに入れるぐらいの注意を持って、例えば、運転時には、その内服を避けることができるというのを適正に挙げていただくということです。インペアード・パフォーマンスが一番問題になるのは、やはり運転時の事故だと思います。その辺りはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。確かに眠気については、データ上は余りないと言いつつも臨床の先生からは、今、先生がおっしゃったような御懸念を持っているという先生は結構多いので、その辺は製造販売後調査でも注意していきたいと思っておりますし、当然、乗物や機械の操作をしないということは重要なことです。要指導医薬品として承認しますので、最初の販売のときに薬剤師から十分説明するというところもあり、使用者向け説明資料にもしっかりその辺は記載しておりますので、十分注意喚起はしていきたいと思います。また、チェックシートの裏面の所に、注意事項ということで書いてありますので、ここをもう少し分かりやすく書くとか、そういった工夫はできるかと思います。その辺は検討したいと思います。

○多田委員 多分、これまでのアレグラ、アレジオンと言うと、むしろ私たちは、逆にインペアード・パフォーマンスは少ないということで、特にアレグラなどは運転しながら内服してもいいという御意見もあるような薬ですので、タリオンは、ちょっとこれまでのものとは少し違うというところを患者さんの目に十分触れるようにしていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。

○橋田部会長 ありがとうございます。ほかにありますでしょうか。ただいまのお二人の委員からもいろいろな懸念があるということを御注意いただいたわけです。これは本当にスイッチOTC、スイッチ化するときに必ず抱える問題ではありますけれども、これをいかに適正に、患者さんというか、使用者の方に使っていただくかということで、一般的な情報提供と、それから直接の提供というか販売される時点での、いろいろなチェックシートなどでのチェックも含めて、いろいろな指導とは少し違うかもしれませんが、そういう体制をいかに構築するかということが非常に大事だという御指摘かと思っております。それについて何か、例えば薬剤師、薬局のお立場とか、少し御発言はありますでしょうか。特にありませんか。

○乾委員 要指導医薬品はじめ、一般用医薬品についても、薬剤師がしっかりと薬学的知見・管理に基づいて指導するということで、特に要指導医薬品については、チェックシートは患者さん向けのチェックシートで、もちろん患者さん(生活者)がチェックされるわけですが、それを見てしっかりと薬学的知見に基づく指導を行うことになっていますので、その辺は、特に自動車の運転等は十分注意して、説明して販売することになると思いますので、書いていただくと、よりいいとは思いますが、添付文書にも書いていただいていますけれども、分かりやすいようにしていただけると、よりよいかというところです。

○橋田部会長 その辺は組織としてもしっかりと対策というか。

○医薬品医療機器総合機構 そうですね。

○橋田部会長 対応策を考えていただくということでお願いしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。

○渡邉委員 私も現実的にはタリオンというのは処方箋調剤でも扱わせていただいていますが、同じ成分がOTCとして今後、出るわけですから、当然、我々は薬剤師として今までどおりに十分注意してやっていきたいと思います。今までもタリオンの処方でお見えになる方でも、既に車に乗って来る方も非常に多いので、それに基づく問題はないのかということも、確認はいつもさせていただいております。今回の要指導医薬品になりましても、十分その点はチェックして気を付けてやっていきたいと思っております。以上です。

○橋田部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 先ほどから御指摘がある情報提供の資料ですが、使用者向けだけではなく、指導する側の、薬剤師向けの資料もしっかり見直して、もっと適切な指導ができるような資材にするように指導していきたいと思います。よろしくお願いします。

○橋田部会長 使用者向けの情報提供資料、それから、先ほどはパッケージの問題もありましたけれども、できるだけ事前に十分御検討いただいて、ただいまご指摘いただいたようなことが、できるだけ早く盛り込まれるような形で御検討いただきたいと思っております。ほかによろしいでしょうか。特にないようですので、それでは、本件について議決に入ります。なお、多田委員、村島委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにさせていただきます。

 それでは、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に該当するとしてよろしいでしょうか。

 それでは、特に御異議ないようですので、承認を可、要指導医薬品に該当するとし、薬事分科会に報告させていただきます。ありがとうございました。

 では、議題2に移ります。議題2について、機構から概要の御説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 クラリチンEX、クラリチンEXクイック錠について説明します。成分名はロラタジン、医療用医薬品「クラリチン錠」と口腔内崩壊錠の「クラリチンレディタブ錠」を一般用にスイッチするというものです。効能・効果、用法・用量はここに書いているとおりですが、申請時の用法・用量として、7歳以上の小児も申請されていましたが、審査の過程で小児については削除するということで、成人のみになっています。

 医療用のクラリチン錠は、2002年7月に承認、口腔内崩壊錠のレディタブ錠については2004年2月に承認されており、再審査結果は2014年3月に通知されています。

 本剤の開発意義です。アレルギー性鼻炎は治癒を得るのは困難で、QOLの向上を治療目標とするという傾向が強く、こういった抗アレルギー剤の必要性も高いと考えている。第2世代の抗ヒスタミン薬は第1世代に比べて中枢抑制作用が少なく、また本剤は第2世代の中でも鎮静作用が低く、運転・機械操作、学習能力に影響を及ぼしにくいこと、1日1回の服用なので利便性に応じた服用が可能であること、口腔内崩壊錠は水なしで服用できることから、嚥下障害のある高齢者など、より幅広い使用者のニーズに応えることが可能であることを挙げています。

 使用成績調査における安全性ですが、副作用発現率は1.5%、そのうち主な副作用として傾眠が0.8%です。重篤なものは認められておりません。有効性については87.5%です。

 海外での承認状況についてです。既に50か国以上で一般用医薬品として承認されています。また、口腔内崩壊錠も5か国で承認されています。ロ項からヘ項までは、医療用の資料が提出されており、新たな試験は行われていません。ト.臨床試験に関する資料ですが、臨床試験についても、医療用医薬品の申請時及び再審査申請時の資料が提出されており、新たな試験は行われておりません。

 有効性については、表1に示した臨床試験が提出されていますが、改善率としては各試験で40.4%~65.3%でした。これは中等度改善以上の症例の場合です。

 安全性についてです。安全性についてはアレルギーのみではなく、慢性蕁麻疹、気管支喘息を対象とした4試験も含めて安全性の評価が行われております。対象症例の10.5%に副作用を認めており、その中で最も多いのが眠気で、6.4%の頻度で認められていますが、重篤なものは認められておりません。

 「審査の概略」です。有効性については、使用成績調査では軽症及び中等症における改善率がそれぞれ60.5%と70.1%です。機構としては、臨床試験はいずれも中等症以上の者を対象に実施されており、いわゆるOTCの対象となる軽症例における有効性については客観的に評価するのは非常に難しいのですが、使用成績調査においての軽症例における60.5%の改善率が確認されていることを踏まえて、本剤を要指導・一般用医薬品として使用するに当たっては、特段の問題がないと判断しました。

 安全性についてです。提出された資料からは、本剤特有の安全性上の大きな問題は認めておらず、特段の問題はないと判断いたしました。

 効能・効果についてです。既存の抗ヒスタミン薬と同一の効能・効果で、特段の問題はないと判断しております。用法・用量については、冒頭に申し上げたように、当初は、成人と7歳以上の小児で申請されておりました。機構は、小さな子供は副鼻腔炎と急性鼻炎との識別ができないのではないかということで、その辺を含めて、年齢を限定するように申請者に求めました。それに対して、申請者は、識別可能な年齢について、根拠をもって説明するのが困難であること、既承認の第2世代にはまだ小児用がないことから成人のみに変更するということで申し出があり、小児の用法については削除されました。

 食事の影響についても、特に主要活性代謝物の薬物動態に影響はないということですが、臨床試験は食後に行われているということで、1日1回食後投与と設定しております。

 次に、使用上の注意です。医療用クラリチンの「重大な副作用」に、「てんかんの既往のある患者で本剤投与後に発作があらわれたとの報告がある」という記載があることを踏まえ、使用上の注意の「相談すること」の所に、「てんかんの診断を受けた人」ということを記載することにより、注意喚起しています。そのほか、特に使用上の注意については問題がないと判断しています。

 適正使用及び情報提供資料についてです。これについても、チェックシートと薬局・販売店向け情報提供資料、使用者向け情報提供資料が提出されています。これらの内容についても、ほかの第2世代の抗ヒスタミン薬において適正使用に特段の問題がないことが確認され、それらと同等の資料が作成されていることから問題がないと考えています。

 総合評価です。機構は、以下の効能・効果、用法・用量にて、承認して差し支えないと判断しております。以下、先ほどのタリオンと同様ですが、要指導医薬品として販売し、以下に示すように、3年間の製造販売後調査を実施することという承認条件を付すことが適当であると判断いたしました。これについても、情報提供資料、チェックシート等が資料の後ろにありますので、そちらも合わせて確認いただければと思います。よろしくお願いします。

○橋田部会長 参考人としてお越しいただいている先生から、御意見、補足等がありましたらお願いいたします。

○春名参考人 クラリチンはかなり頻繁に使われる薬で、先ほども眠気もないというようなことを言われていますので、日本耳鼻咽喉科学会としては、OTC化に関しては、使用に対しては問題ないと考えています。

 ただ、先ほどの抗アレルギー剤「タリオン」と同様ですが、チェックシートの中に、アレグラのように、「その他の疾患」の中に風邪、気管支喘息のほかに、副鼻腔炎をしっかりと明記していただきたいと思います。そういったことが考えられる場合には、医師、薬剤師に御相談くださいというようなことを入れていただかないと、慢然と使われてしまうという危険性があると思います。

 さらにですが、副鼻腔炎を診断・評価するには、耳鼻咽喉科の専門医に受診していただくように記載していただくと有り難いです。よろしくお願いします。

○部坂参考人 私も春名参考人と同様の意見です。非常に使いやすい薬で、使い勝手もいいと思う反面、今言ったような記載が必要だと感じています。

 今回の件と全く関係ないのですが、教えていただきたいのですが、皮膚科領域では効能・効果の所で、蕁麻疹、皮膚疾患に伴う掻痒ということで通っていると思うのですが、皮膚科領域ではこういうOTC化ということについての話合いというのは、起こり得るのでしょうか。

○橋田部会長 まず、機構からお答えしていただけますか。

○医薬品医療機器総合機構 春名先生が御指摘の副鼻腔炎の記載については、3剤まとめて同じような形で情報提供するということで、今後調整していきたいと思っております。

 部坂先生のおっしゃった皮膚疾患については、以前に抗アレルギー剤のほかの成分のスイッチが検討されたときに、皮膚疾患は自己判断・識別が非常に難しいということで、OTC化はアレルギー性鼻炎に限るということが、この部会で議論された経緯がございますので、現時点では、皮膚疾患については対象外と考えております。

○橋田部会長 ただいまの議論の全体を通じて、御意見あるいは御質問等がありましたらお願いいたします。

○藤原委員 まず一つです。クラリチンの名称ですが、「クイック」という言い方です。これはいろいろなOTC薬品においては、クイックだとか口腔内崩壊錠とか、いろいろな表現の仕方があるのですが、意味が全部違っているように思うのです。鎮痛剤で使われているクイックは別の意味で使用されています。そうなると、消費者が分かりづらくなっていくのではないかと思います。今後、OTC化する場合に、少なくとも口腔内崩壊錠という意味をしっかりと啓発していかないといけないということで、クイックという独自の名前をどのように考えていくかということを、まずお聞きしたいのが一つです。

 それと、こういう口腔内崩壊錠の場合は、使用する前に開封して薬を出しておくという、吸湿性の問題をしっかりと伝えておかないと、外へ出したままで夏場など置いておくと変質してしまうという可能性があるので、そういうことも入れたらいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 まず販売名についてです。「クイック」という名前が付いたものは、既に幾つか承認されているのですが、先生のおっしゃるとおり、すぐに溶けるという意味もありますし、早く効くという意味もあると思います。

○上席審議役 追加でコメントさせていただきます。販売名というのは、こうしろという規制は難しいところがあります。ただ、先生が御指摘のとおり、イメージというものがあります。それから、OTCの場合に、販売名がある程度企業戦略とも絡んでいるところがありまして、こうしろということが一筋縄ではいかないところは御理解いただきたいと思います。

 一方で、販売名で御解を与えるということも、ほかの部分で先ほども申し上げましたが、適正使用上の問題というのもありますので、そこは情報提供と指導の両面からやるのが、まずはベターなのかなと思っているところです。

 もう一つの剤形のものについては、少し小さく「濡れた手で触らないでください」とか、患者向けのは書いていますが、そこら辺が十分かどうかということについては、もう一度、中で検討させていただきます。

 販売名については、非常に煮えきらないお答えになるかもしれませんが、今のところは情報提供との両面で適正使用を使用者にしていただくというのが、いいのかというのが機構の今の判断です。

○鈴木委員 今のお話ですが、販売名はこちらから意見を言えないというのが本音だと理解しましたが、それはおかしいのではないですか。一般用医薬品として売る以上、消費者の方に誤解を与えないようにする。確かに、藤原先生がおっしゃるように、クイックという言葉はいろいろな取り方があります。それなら、口腔内崩壊錠でいいではないですか。クイックという言葉はいろいろな誤解を与える可能性があると思います。以前にもそういうケースがありました。初めての話ではないので、ここは一定の規制、制約が必要だと思います。今の発言は誤解を与えると思います。

○上席審議役 言葉足らずで申し訳ありません。先生方の御意見を承らないということではありませんので、そこは訂正させていただきたいと思います。今日、出た御意見については、きちんと申請者にもお伝えさせていただきたいと思います。私が申し上げたかったのは、適正使用としての情報提供も重要だということを強調したいために申し上げたところですので、販売名についてはもう一度検討させていただきます。今日の御意見があったことをしっかりと伝えて、検討させていただきたいと思います。

○橋田部会長 名称につきましては当然、許容限度というのもあるのだと思いますが、問題があるとこの部会で御意見を頂きましたら、それについても十分に御検討いただくということになろうかとは思っています。

○神田委員 先ほど参考人から、眠気については議題1のほうよりも眠気が少ないという話がありました。

 私は資料がなかなか読み取れないのですが、眠気についてはこちらのほうが発現率が高いと、数字からは見ていました。先ほどの御説明で、眠気の副作用の発現率は6.4%と御説明がありましたし、書いてあります。先ほどのほうは5.7%だと伺いましたので、それだけで比較すると、こちらのほうが眠気の発現率が高いのかなと思いました。

 ですので、そこだけ眠気については先ほどよりも少ないのかどうなのかということだけ確認させてください。

○医薬品医療機器総合機構 一言で「眠気」と言いましても、程度もあると思います。単に数字で出ている以上に、例えば頻度は低くてもきつい眠気が出るというようなものであったら、眠気があるというイメージを持ってしまうということもあると思います。

 頻度だけを比べると、今回申請されている3剤で比べると、頻度としては5%から8%程度で、ほぼ同等ぐらいの頻度になっています。

 ただ、春名先生から「かなり眠気が少ない」という御意見もありました。恐らく、臨床の先生方は実際に患者を診て、今言ったように程度も含めて、そういった印象を持っているのではないかと思います。

○春名参考人 実際にそんなに詳しくはデータは持っていませんが、確かアメリカのほうでもクラリチンだけは車を運転してもいいという許可が出ているという意見で、日本でアピールされました。私たち自身も、かなり低いという認識を持っていることは間違いないと思います。ただ、データとしてそのように出てくるのはなぜかと言われると、そこまでは私どもは把握していないと思います。

○医薬品医療機器総合機構 あと、それぞれの成分の異なった試験でのデータですので、眠気というものを拾ってくる基準も変わってくるのではないか。そういったことも一つの原因であるのではないかと思います。

○部坂参考人 眠気についてですが、私たちが処方する際に、クラリチンは夜に処方する場合に1日1回ということです。そうすると、眠気なのか1日のうちで眠くなるのかということで、少し差があります。タリオンの場合には1日2回飲みますので、そうすると処方していても眠気を患者が訴える場合が感じられるということも数字には出ていませんが、そういうイメージを我々も感じているのだと思います。

○神田委員 そういった現場のこととか海外のことというのは、私たちは知る由もないので、提供された資料の中から比較して見るしかないわけです。先ほどのは、そういう意味では発現率が5.7%とありました。今回のほうは6.4%とあるわけです。そういったところで比較してみるしか、私たちはないので、その違いは何なのでしょうか。この数字の違いをどう読み取ったらいいのかを教えていただければ結構です。

○上席審議役 追加でコメントさせていただきます。それぞれの両剤について、同一のバックグランドではないので、数字だけで比較するというのは非常に難しいところがあります。ただ、数値だけを申し上げたので、先生方にはただ数値が入ったので、大小が逆転しているのではないかというイメージを受けたとすれば、私どもの説明不足です。そこは申し訳ございませんでした。

 一方、ロラタジンについて、医療用医薬品ではありますが、眠気及び運転操作、機械操作能力に関する影響を添付文書上に書いています。その中で、実際に国内と海外で試験が行われており、国内の試験は、まず健康成人男女について20例を対象に、パソコンの入力作業を行ったところ、特にプラセボ投与時と有意差がなく、精神・運動機能に影響を与えなかったということがあります。海外についても、健康成人男女、外国人16例を対象に入眠までの時間を比較しましたが、やはりプラセボ投与時と有意差がないということがあります。運転能力の試験についても、外国人の健康成人男性を対象に、サーキット場での自動車運転能力について、その運転能力に影響を及ぼすかどうかを検討しておりますが、10mg及び20mg投与時の運転能力については、プラセボ投与時と有意差はないということで、運転能力には影響を与えなかったということが、医療用のほうの添付文書にも書いています。そこから考えまして、眠気に対して、本剤については特に問題がないのではないかと私どもは判断した次第です。

○神田委員 先ほどは「してはいけないこと」の所に注意書きがありまして、それはしなくてもいいのかなと思いましたので、するまでもないというような判断で大丈夫だと御説明があったと思います。

 別の質問です。この薬ですが、7錠が1単位で売られるということですが、1週間飲んで効果がなければ相談しましょうということなので7錠になっているということで、このまま売られるということならいいと思ったのですが。

○医薬品医療機器総合機構 7錠か14錠の二つを考えています。1日1錠ですので、7日分と14日分という意味です。

○神田委員 そういう意味の7錠ですね。分かりました。

○橋田部会長 ほかにございますか。

○五十嵐委員 前のタリオンも、クラリチンもそうなのですが、二つとも基本的にはアレルギー性鼻炎の薬ですよね。どうしてアレルギー専用鼻炎薬というように、言葉を言い換えなくてはいけないのでしょうか。アレルギー専用鼻炎薬という日本語がおかしいのではないかと思うのです。なぜ、こういう用語をわざわざ使わなければいけないのでしょうか。業界では当然の言葉として使われているのであればしようがないですけれども。

○医薬品医療機器総合機構 この記載については、特に我々が指示して書かせたものではありません。恐らく、アレルギーだけで、風邪による鼻炎などは対象ではないということを印象付けるために書いていると思われます。

 ただ、この用語は適切でないというのであれば、今後、また検討したいと思います。

○五十嵐委員 単なる印象なのですが、ほかの委員の先生方がこれでいいというなら、私はこれ以上は言いませんが、日本語としておかしいですよね。

○橋田部会長 専用がこの位置に入っていることに、違和感があるということだと思います。

○上席審議役 未確認なので、そこはどういう経緯かは確認させていただきたいと思います。ここの部分については、私どもから「あえてこれを書け、この言葉を使え」ということではありません。ただ、予想されるに、普通の鼻炎と鼻炎用のOTC薬と違うというところを業界的に区別したいのかなというところがあります。ただ、この用語に落ち着いた経緯については手元に資料がありませんので、また確認して先生方に御報告させていただければと思います。

○望月委員 また使用者向けの説明書についてになります。使用者向け説明資料の5ページの「このお薬の使い方は」の所で、「定められた用法・用量を厳守してください」という赤字が書いてあって、常に同じ時間帯の食後にきちんと定期的に飲んでいただくということを説明した後に、服用し忘れた場合の対応がありまして、この図で見てしまうと、朝食後に飲んだ人が翌日の朝に飲み忘れた場合には、昼食後に飲んで、その次の3日目からはずっと昼食後に飲むという感じの書き方になっています。

 昼というのは時間が動いてしまったからその日は仕方なく昼に飲むということだと思います。個人的には、昼に飲む薬というのは忘れがちで、朝食後か、先ほどの参考人のお話にあった夜寝る前とか、そういうほうが確実に飲めるので、わざわざ1回服用し忘れたら、次からは時間をずらして、そこから定期的に、ずらした時間で飲んでいくというのがUser Friendlyではない気がしまして、そこまで定期的な服用を求める医薬品であるのかも含めて教えていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 通常、こういった食事の影響も余りないとされているものについては、現場で聞かれた場合は、飲み忘れたらすぐに服用して、また次からは通常の用法・用量どおりに飲んでもらうのが一般的ですし、万が一、次の服用時間が迫っていたら、1回飛ばしてくださいというのが、普通の指導だと思います。

 厚生労働省と日本薬剤師会が出している『薬の知識』という小冊子にも、一般的な飲み忘れの対処法として、今言ったようなことが記載されています。

 医療用のクラリチンに関する説明が、申請者のホームページに載っていて、そちらには「飲み忘れに気付いたときにすぐに服用して、次の日からはまた同じ時間帯に戻してください」と記載があり、医療用と一般用の対応が違っています。その辺について申請者に聞いたのですが、あまりよい説明がありませんでした。

 ただ、こういう飲み方をすると、例えば10時ぐらいに飲み忘れに気付いて、昼食後にといったときに、またそこで忘れるリスクはあるということと、望月先生がおっしゃったように、服用時間が今度は昼食になるということで、飲むタイミングはそれぞれの人の生活サイクルに合わせて決めていると思うので、そういったものがどんどん変わっていくというのは、コンプライアンスにも影響してくるのではないかと考えております。

 この辺について、ほかの先生方でも特に反対の御意見がなければ、次の食後に飲むことを否定するわけではないのですが、通常通りの対応をここにも記載するという方向で指導したいと思っていますが、どうでしょうか。

○神田委員 就寝前にしないで食後にした理由が幾つか書いてありますが、その一つに、「使用者の利便性」と書いてあります。そこが主な理由とも読み取れるのですが、今の望月委員の御指摘のようなことは私はすごくよく分かります。日常的にこれは使いにくいと思います。忘れることというのはしょっちゅうあります。そういったことから考えると、食後にすることが、使用者の立場に立って利便性を高めるとは決して言えないと思いますし、むしろ私は就寝前としたほうが分かりやすいのではないかと前から思っていたのですが、食後が利便性を高めることにはならないと思います。

○医薬品医療機器総合機構 食後にしたというのは、臨床試験が食後だということで食後に設定しているというのは一つあります。

 もちろん、1日1回、データ的に食後であっても空腹時であっても、活性代謝物には血中濃度等の差がそれほどないということが出ていますので、恐らく食後でなくてもいいのだと思うのですが、一応臨床試験が食後ということなので、1日1回どこかの食後に飲んで、基本的には同じ時間帯に飲むということがいいのではないかと。

 あと、就寝前というのは、眠気のある薬は就寝前に飲んだほうが日中の眠気を予防できるのですが、これはそういうことがないので、あえて寝る前に飲まなくても、朝や昼に飲んでも大丈夫だという意味の、利便性だと思います。

○上席審議役 追加でコメントさせていただきます。望月先生の御指摘は、これから見ると、1回変えたら次回からずっと同じように変えるなというのはおかしいではないかという御指摘ですよね。1回だけ、どうしても昼しか駄目な場合、でも、いつもは朝とか夜に飲んでいるから、そこのサイクルに戻してもいいのではないかという御指摘だと思います。そこについては、動態などいろいろ見せていただきましたが、特段この薬に関して、そこまで厳密なコントロールをしなければいけないというわけではなくて、きちんと服用していただくという観点で、こういう結果になったのだと思いますので、利便性とのバランスを考えて、もう一度ここについても引き取らせていただいて、使いやすく、かつきちんと安全に服用していただくような説明文書にさせていただくということにさせていただきたいと思います。

○橋田部会長 ただいまの問題は、そういう形で、もう一度企業に話をしていただくということでよろしいですか。こちらからの意見として伝えていただくということでお願いいたします。ほかにございますか。

 ただいま、このクラリチンに関してもいろいろな御意見を頂きました。使用者の情報提供資料等の更なる整備ということもありますし、服薬の指導体制についても、いろいろと御意見を頂いたところです。特に、名称の問題も含めて意見は伝えていただきますが、特にここでこれを条件にするということではないと思いますが、以上の御意見を伝えるということで、議決に入らせていただいてよろしいでしょうか。

 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に該当するとしてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可、要指導医薬品に該当するとして、薬事分科会に報告とさせていただきます。ありがとうございました。

 それでは、議題3に移ります。議題3について、機構から概要の説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 では、資料3をお願いします。本品はフェキソフェナジン塩酸塩を含有するアレルギー性鼻炎の医薬品で、既に、アレグラFX錠が成人用の製剤として承認されて販売されております。既に3年間の製造販売後調査も終了しております。本品は、その成人用製剤の含量を半分にして、小児の適応で申請がなされてきたものです。

 医療用の小児用製剤は200610月に承認されており、小児用につきましても再審査の結果が出ております。本剤の開発意義です。ほかの2剤と同じように、症状は自覚できる症状であり、自己判断が可能であること、本剤も他剤と同様に中枢性の鎮静作用を示さないことから、眠くなりにくく、また、インペアード・パフォーマンスを起こしにくく、就学期の小児に本剤を役立てることは意義が深いこと、現在OTCで小児が服用できる鼻炎用の内服薬は、第1世代の抗ヒスタミン薬、あるいは抗コリン薬を配合したものが主流であり、本剤を利用することで、小児に対して消費者に利用価値の高い新たな選択肢を提供できるということを挙げています。

 使用成績調査につきましては、小児の使用成績調査において、副作用発現率は0.69%です。最も多いのが眠気で、傾眠が0.18%で、重篤なものは認められておりません。有効性については「改善」以上とされたものが79.6%、また、アレルギー性鼻炎に限ってみると、78.3%となっています。

 海外での承認状況ですが、医療用医薬品としては122か国で承認され、特に30mg製剤の小児用一般用医薬品としても8か国で承認されております。その下のロ項~ヘ項までについては、医療用の申請時のものが提出されており、新たな試験は実施されておりません。

 「臨床試験に関する資料」です。臨床試験についても、新たな試験は行われずに、医療用のアレグラ申請時及び再審査申請時の資料が提出されております。提出された資料は、この下の表にまとめております。有効性についてですが、国内で表2に示した四つの試験のうち、上の三つがアレルギー性鼻炎に関する試験です。この3試験を対象に評価を行っております。国内で行われたケトチフェンフマル酸塩対照の二重盲検試験において、ケトチフェンフマル酸塩群に対する非劣性が検証されております。また、海外での2試験は、いずれもプラセボ対照ですけれども、プラセボ群と比べて大きな効果が認められております。

 安全性につきましては、アレルギー性鼻炎だけではなくて、アトピー性皮膚炎を対象にした試験も含めて評価しております。まず、アレルギー性鼻炎を対象に行った試験では、対照薬のケトチフェンフマル酸塩と比べて服作用発現率は有意に低く、また、アトピー性皮膚炎を対象にして、ケトチフェンフマル酸塩対照の二重盲検試験は副作用発現率では有意差がありませんでした。いずれにおきましても、重篤な有害事象は認めておりません。

 審査の概略です。有効性については、今、御説明したように、承認申請時に実施された試験で評価されております。この中で、重症度別に有効率を分けたものがあり、全ての重症度においてケトチフェンフマル酸塩に劣ることなく、そのスコアの低下を示しております。表3にそのデータがあります。

 以上から機構としては、軽度の鼻炎症状に対しても対照薬と同等の有効率が認められているということ、また、使用成績調査などにおいて、軽度な症例と全症例とで同等の有効性が得られていることを踏まえて、要指導・一般用医薬品として使用するに当たり、有効性に特段の問題がないと判断しております。

 安全性についてですが、海外の臨床試験におきまして、「頻脈、悪心、嘔吐及び喘息重積発作」及び「好中球減少症」が各1例認められております。頻脈、悪心、嘔吐及び喘息重積発作につきましては、本剤との因果関係が明確ではなく1例のみの発現であるということ、また、好中球減少症につきましては、添付文書において適切に注意喚起されていることから、現時点ではこれ以上の追加の対応は必要ないのではないかと判断しております。

 効能・効果につきましては、当初は皮膚疾患についての効能も申請されていたのですが、先ほど部坂先生からの質問に対して回答しましたように、皮膚疾患につきましては除外・削除するということで、成人用の「アレグラFX」に合わせて設定されております。機構としては特段の問題がないと判断しております。

 用法・用量についてですが、本剤はアレルギー性鼻炎ということですので、特に低年齢の小児においては、自らの症状を正確に把握して適切にそれを保護者に説明することが困難な事例が想定されるため、年齢を限定するように申請者に求めました。それに対して申請者は、購入するときには、小児本人だけではなく保護者も一緒に行って症状の確認をした上で購入すると想定しており、チェックシートや使用者向け情報提供資料を工夫して、保護者が子供の症状を判断するためのいろいろな材料を提供するということで、小児全般を対象とすることは可能であると回答しております。

 先に、適正使用について説明します。「適正使用及び情報提供資料について」の項の「申請者は以下のとおり回答した」というところです。チェックシートの冒頭に「保護者の指導監督の下に指導すること」をまず記載し、チェックシートや情報提供資料に、風邪、気管支喘息、及び副鼻腔炎の典型的な症状を記載することで、服用可否の判断ができるのではないかと考えています。また、それでも判断ができない場合には、「医師又は薬剤師に相談すること」を記載しております。

 さらに、通常は、効果が得られなかった場合に医師又は薬剤師に相談する期間が、「アレグラFX」の場合は「1週間」と規定しているところ、本剤ではもう少し早く「3日~4日間」で効果がなかったら医師又は薬剤師に相談しなさいと、記載をするなどの対策を取っております。

 それを踏まえ、用法・用量については機構としては、今、説明したような対策が講じられることも含め、7~14歳の小児全般を対象にすることは可能と考えております。

 使用上の注意につきましては、特段問題がないと判断しております。適正使用につきましては、先ほど御説明を申し上げたとおりです。

13ページ、適正使用及び情報提供資料のところの一番最後になりますが、本剤は第2世代抗ヒスタミン薬としては初めての小児用製剤であることを踏まえて、取扱いは慎重に行う必要があると考えておりますので、製造販売後調査におきまして、適正使用状況も含めて十分に確認する必要があると考えております。

 総合評価として、機構は以下の効能・効果、用法・用量において承認して差し支えないと判断しました。また、これも他の2剤と同様、まず要指導医薬品として適正に使用されることの確認が必要ということで、3年間の製造販売後調査を実施することという承認条件を付すことが適当であると判断しました。また、これにつきましても、情報提供資料及びチェックシートは資料の後ろのほうにありますので、そちらも合わせて御確認されてはと思います。以上です。よろしくお願いします。

○橋田部会長 それでは春名先生、部坂先生から御意見を頂きたいと思います。

○春名参考人 アレグラの小児用ということで、先ほど御説明がありましたように、第2世代としては初めてのOTC化ということで、一般に今、非常に使われていますけれども、医療面では非常に使いやすくて、眠気も少ないということで、評価としては日本耳鼻咽喉学会としては問題ないだろうと思っています。

 ただ、これもちょっと先ほどと繰り返しになって申し訳ないのですが、やはり、副鼻腔炎というのは、チェックシートに入っているわけですけれども、やはり副鼻腔炎を診断するのは耳鼻咽喉科専門医が望ましいというのが、日本耳鼻咽喉科学会の意見ですので、是非、今回だけではなくて、今後の参考にしていただければと思います。以上です。

○橋田部会長 ありがとうございました。部坂先生、お願いします。

○部坂参考人 部坂ですけれども、更に追加させていただければ、特に、この就学期には、長期にこういう薬を使いますと、そういう副鼻腔炎が如実に出てきて、副鼻腔炎が出てくると今度は、子供の場合には耳と鼻の耳管機能という管の機能が弱いので、浸出性中耳炎とか難聴ということも引き起こす可能性がありますので、その辺を、チェックシートのほうに浸出性中耳炎というところも含め、その専門医に診ていただくという文書で構わないのですが、追加していただけると有り難いなと思います。以上です。

○橋田部会長 ありがとうございました。これまでの薬に共通しておりますが、副鼻腔炎の問題と、それから耳鼻咽喉科の専門の先生に、必要であれば受診いただくと。追加として、今回のそれについてはよろしいですね。

○医薬品医療機器総合機構 それについては検討させていただきます。あと、部坂先生がおっしゃった長期投与した場合のことですが、効果があったとしても、2週間以上使う場合には、医師又は薬剤師に相談することということを記載して注意喚起しておりますので、製造販売後調査において、きちんとチェックしていきたいと思います。

○橋田部会長 それでは、このアレグラの承認をしたいと思いますが、どうぞ、五十嵐委員。

○五十嵐委員 この薬剤の安全性や有効性については、特段の問題はないと私は思うのですが、ちょっと考えていただきたいのですが、例えば7歳のお子さんが鼻詰まりや、あるいははくしゃみ等の症状が出たとすると。そのときに親の判断で、この薬を買うことになるわけですけれども、やはり前提条件としては、過去にアレルギー性鼻炎という診断を一度でもやはり受けて、そしてそのときの症状と、今回出ている症状が非常に似ているので、親御さんの判断で医院に行かないで、OTCの薬を買うという御判断をするのではないかと思うのです。

 ですから、全く以前に、アレルギー性鼻炎と診断されたこともない方が、こういう薬を買って使ってしまっていいのかというのは、成人の場合と小児の場合とで、ちょっと違うのではないかと。ですから、できればアレルギー性鼻炎と過去に診断されたことのある人で、今、出ている症状がそのときの症状に似ていると思われる方が使うべきというか、限定すべきなのではないかと考えますが、これはいかがでしょうか。特に専門家の先生方、御意見を頂きたいと思います。

○春名参考人 先生の言うのは確かにごもっともだと思いますね。特に小児の場合には、要は感冒で微症状が出ることが、成人に比べては多いですね。ですから、感冒なのか、アレルギー性鼻炎なのかというのは、春先の毎年起きるような花粉症であれば、非常に分かりやすいのですけれども、それ以外の場合には、ハウスダストとかダニとかそういったものでアレルギー性鼻炎なのかどうか、あるいは急性の副鼻腔炎などになっているのかというのを判別するのは、初回では非常に難しいと思います。そのような注意書きがあれば、いいとはもちろん思います。

○橋田部会長 機構の方は、何かありますか。

○医薬品医療機器総合機構 確かに先生のおっしゃるとおりだと思います。特に小児の場合は、そういったところはなかなか子供も親に症状を伝え切れないというところもあるかと思います。保護者が判断する一つとして、先生がおっしゃったように、過去にアレルギー性鼻炎、花粉症とか診断されたかどうかといったところは重要になってくるのですが、それを効能・効果に書くということになると、これは結構大きな話になってきますので、例えばチェックシートのところで、過去にそういった診断を受けましたかと、受けていないというのであれば、医師又は薬剤師に相談してくださいとするのも一つの方法ではないかと思っております。

○橋田部会長 それは情報提供資料等に、そういうことを推奨するという情報があれば、よろしいでしょうか。では、そういうことでお願いします。ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。

○神田委員 今のが、ここに追加で書かれるということでよろしいのですか。1回診断を受けた人に限るということですか。

○医薬品医療機器総合機構 限るということではなくて、例えば、現状でアレルギー性鼻炎か風邪等のほかの原因によるものか分からない人というのもチェックの項目に入っていますので、それに加えて過去にアレルギー性鼻炎という診断を受けたかどうかというようなところを、どこかでチェックするかどうかというところで、ちょっと検討したいと思います。

 もちろん五十嵐先生の御懸念等も十分に理解しておりますので、適切に使用されるような方向で、このチェックシートを見直して、適切に保護者が判断できるような形にしたいと考えています。

○神田委員 では、それはまだ検討の段階ということですよね。それが書かれのであれば、お聞きしなくてもいいかなと思ったのですが、やはりこれは適正使用が大事ということで、その保護者の判断力が非常に問われるということだと思うのです。

 例えばチェックシートを見ても、鼻詰まりの症状が強い人と言われても、どの程度強い人を言うのかとか、そういうことも分かりませんし、それから、例えば、「継続して服用することで効果が得られます」と書かれていて、同時に「3、4日間服用しても改善が見られない場合は中止して相談しましょう」となっているときに、このバランスをどう考えるか。

 もうちょっと継続していたら効くのかなと素人は思って、3、4日ではなくて、もっと長く飲んで様子を見るということもあるので、両方書いてしまうと迷うのかなと思うので、もう少し。3、4日のほうを限定するのであれば、その辺の強弱を付けるとか、長く継続して増やすと効果が得られますといったら、やはりそこに期待するというのが、現実的にはあるのではないか。そういう意味ではチェックシートがあるものの、やはり分かりにくいところがあります。その意見だけ申し上げておきたいと思います。

○橋田部会長 ありがとうございます。

○医薬品医療機器総合機構 先ほどから話にありますが、過去にアレルギー性鼻炎の診断を受けたかどうかということについては、例えばチェックシートの冒頭のところにそういったことを書くということで、何らかの形で情報提供というか、確認ができるような方策にしたいと思います。

 3、4日で改善が見られない場合というところですけれども、申請者からは、効果が出てくるとすれば、大体3日か4日目ぐらいには出てくるとの説明があり、その時点で効果がなければ、ほかの疾患の可能性もあるということで、すぐに相談をするようにとしてあります。もちろん長期的に使うといった場合にも、2週間を超えて使う場合には、ちゃんと相談した上で適切に使っていくという形になっていくかと思います。

○橋田部会長 よろしいでしょうか。

○五十嵐委員 添付文書案のところを見ていただきたいのですが、アレグラFXジュニアの上のほうの右の段の丸3に「服用前後は飲酒しないでください」と、小中学生用に書いてあるのですよね。これはいかがなものでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 これにつきましては、添付文書の記載要領で通知がなされておりまして、こういった飲酒の注意でありますとか、あるいは授乳婦や妊娠に関する注意については、小児用であっても記載をするように求められています。

 ですので、使用上の注意というところの冒頭に、「小児用ですが、鼻炎用内服薬として定められた一般用的な注意事項を記載しています」という注意をした上で記載しています。実際、今、販売されている小児用の薬、鼻炎用に限らず小児用の薬については、記載要領に沿って、こういった飲酒の注意でありますとか、妊婦の注意でありますとか、実際、記載されているというのが現状です。

○藤原委員 同じような話なのですが、高齢者というのも必ず、添付文書に一律に入れるという考え方で、よく納得はできるのです。ただ、チェックシートで、この一般用医薬品については高齢者という考え方が非常に、WHOで65歳とか、運転免許は70歳だとか、いろいろ、前期高齢者、後期高齢者。チェックシートで高齢者というところでチェックすると。一般的な方々が、私も65歳が近いのですが、高齢者という意識がどこまであるかというのはありますが、一般薬を使うときに、例えば、外国であれば65歳以上の成人の方々とか、失礼に当たることを言うわけではないのですが、うまく、年齢をしっかり入れておいたほうが、薬によっては、ちゃんと65歳以上の方とかいうのは入っているところもありますし、このように一律に高齢者と書いているところもあります。やはり、そういうのを統一化して、何か分かりやすいものにしていくべきではないかなという思いがありますが、いかがでしょうか。

○橋田部会長 お答えいただけますか。一般的なお話として、やはりこういう表現等は十分御検討いただく、あるいは整理をいただくということだと思います。

○上席審議役 今後も幾つも申請が来ると思いますので、今の御意見を頂きながら、より正確な情報を伝えられるようにさせていただきたいとは思っております。それからもう一つ、先ほど神田先生のほうからありました、チェックシート、3、4日の話と2週間ということでしたが、患者のチェックシートだけではなくて、要指導医薬品ですので、実際に販売する際には薬剤師の方々からきちんと御説明を頂くということが必要ですので、販売者向けのほうの資材にもきちんと、その意味が何なのかということも書いてありますので、併せて、その両方から、きちんと使用者のほうには、どういう意味があるのかということを御理解いただいて、きちんと使っていただきたい。そのように考えております。

○橋田部会長 よろしいでしょうか。

○五十嵐委員 繰り返しますが、そうであれば余計、やはり販売するときに、あなたは、あなたのお子さんは依前に花粉症とか、あるいはアレルギー性鼻炎と診断されたことはありますかということをチェックしていただいた上で販売するということを最初にやられたほうがいいような気がするのですが、いかがでしょうか。

○上席審議役 御指摘を踏まえて、そこは追記させるように検討したいと思います。ありがとうございました。

○神田委員 すみません、先ほどお答えいただいて。ということで、販売する側の資料に書いてあるのは私も拝見しましたけれども、こういったお薬を1回買って帰りますと、例えば3、4日でやめた薬が残っているときには、違う子供に飲ませるということも、いやいや、あるのですよ。ですから、そういうこともあるので、そういった意味合いは、やはり使用者側の使用法にも、それは現実としてあると考えて準備しなければいけないと思うのです。絶対にありますから。絶対と言ってはあれですけれども、兄弟やほかにも子供がいて、飲んじゃおうか、とか、使っちゃおうかということもないと信じたいのですが、あると考えて手立てしておいたほうがいいと思います。

○一般薬等審査部長 五十嵐先生、神田先生からの御指摘を申請者のほうに伝えまして、例えば文字を変えるとか、フォントを変えるとか、あとは書きぶりを違う段にするとか、いろいろ工夫のしようはあると思います。そのようにして、できる限りの適正に使用されるように努めてまいりたいと思います。

○橋田部会長 さきほどの小児用の話でも、これは一般的な注意事項なのだということが、なるべく分かるように強調して書いていただくことが必要だと思います。今の話でよろしいでしょうか。

○乾委員 販売するに当たっては薬剤師会としては、当然ながら薬局に従事する薬剤師が、今後、健康サポート薬局を目指して、当たり前ですけれども研修をして日常、研鑚を積んでいるところでもありますし、その辺のことはしっかりと受診勧奨できるように努めて、現実でやっておりますが、それが今後、要指導から第1類、第2類となっていくときに、やはりその辺も十分考えていただいて、チェックシートも2類になってくると、もうメーカーも用意しないというような所もあるといけませんので、その辺も十分よろしくお願いしたいと思います。特に小児の使うものですので。

○福島委員 この子供用のお薬についての今回の添付文書ですけれども、チェックシートなどは、字が大きくて振り仮名が振ってあって、子供が読みやすいようになっているのですが、これからの子供たちは、薬をきちんと自分で理解して飲めることが求められる時代になっていると思います。添付文書も振り仮名を振るとか、あるいは子供用の添付文書と保護者用のものを入れておくとかして、子供が説明書を読むことが大事だということを教えることをしていかなければいけないのではないかと思います。今後のこととして、そういうことも考えていただけたらと思いました。

○橋田部会長 ありがとうございました。

○望月委員 今の福島委員の意見にも関連して、先ほどの高齢者の話のところですけれども、私も今、添付文書の理解度調査というものをしていて、その高齢者のところはなかなか理解をうまくしていただけず、正解に到達できない回数が結構あるのです。やはりそこはいずれかの段階で分かりやすい表現を使っていく必要が、65歳で高齢者という時代では、今はないような、前期とか後期とかありますから、せめてそのぐらいで分けるとかも必要なのかもしれないとは思っています。

 それから、添付文書が子供たちに分かりやすい形というのも作っていって、小さいうちから添付文書を読んでから薬は使うものということを習慣付けるというのは、とても大切なことだと思います。その一方で現在の添付文書に振り仮名を振っても、用語そのものが理解できるような用語になっていないというところもありますので、単純に振り仮名を振れば、それで理解が進むというものでもないという点も含めて、今後、御検討いただきたい。

 それで、医薬品の教育というのが中学校から義務教育の中で教育指導要領の中に取り入れられて、もう何年もたちます。その中の教材としては、この添付文書あるいは外箱が教材として使われる時代になっています。そういったことも含めますと、実は先ほどのクイックという名称だったり、それから今回、何とか何とかEXとか何とかかんとかARとか付いている名称が、実は一般名という名称と販売名という名称が薬にはあるのだと。それで、販売名が違っていても中身が同じこともあるし、中身が違うこともあるということも子供たちに教える時代になってきていますので、名称の付け方は確かに企業の販売戦略という意味もあろうかと思いますが、一応そこは理屈のつく名称の付け方ということも検討していただいていく時代かなと思いますので、よろしくお願いいたします。

○安全対策課長 先ほどの高齢者の関係ですけれども、今の使用上の注意に関する様々な記載要領というものがあります。確かに御指摘いただいたように、高齢者の部分の記載の仕方について余り明示的でないというのは事実でして、望月先生のほうで今、御研究されているということもお伺いしましたので、そういった成果も踏まえて、まだいろいろと御相談もさせていただいて、少し記載要領上の部分についても、これは全体的な一般用薬に及ぶ話ですので、検討したいと思っております。

 あとは名称についても、基本的には消費者に対して誤認を与えない、また、効果等を強調したり、そういった不適切なものを防ぐというのは原則ではありますが、御指摘を踏まえまして、少し記載要領の観点からも検討したいと思っております。

○橋田部会長 ただいまの問題はよろしいでしょうか。より広い観点からの問題ではありますが。

○鈴木委員 高齢者の問題は、一般用でなくても医療用でも常日頃、感じておりますが、海外のデータを使うにしても、海外は6575歳ぐらいまでを対象にしているような気がするのです。日本では80代、90代でもお使いになるので、世界一の超高齢国として、海外のデータをそのまま使っていいのかという話もあるし、もし高齢者を細かく分けるというのであれば、一般用だけではなくて、医療用も分けて考える必要があると思います。医療用が大雑把なのに、一般用はきめ細かくというのは、少しおかしいのではないかという気がしますので、もし見直すなら医療用から見直すべきだと思います。

○橋田部会長 ありがとうございました。今後は十分御検討いただけたらと思います。ほかによろしいでしょうか。この品目につきましても、いろいろ情報提供資料、あるいはチェックシート等々、御注文、御指摘を頂きましたけれども、それを十分御検討いただくということで、議決に入らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、議決に入らせていただきます。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に該当するとして、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可、以後、要指導医薬品に該当するとして、薬事分科会に報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 では、本日はアレルギー性鼻炎3剤ということで、たまたま重なっておりましたので、よりいろいろな視点からの御議論をいただきました。既にOTCになっているものがいろいろとたくさんあって、更にこれがでてきて、それを実地の医療で医師の先生方は御経験に基づいて適切に使われているわけです。今度はそれをOTCとして正しく提供することが必要になりますので、その辺の体制につきましては、引き続き是非、体制づくりという点でもよろしくお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 それではこれで議題1、2、3のほうを終わらせていただきます。春名先生、部坂先生におかれましては、お忙しいところ、御出席を賜りまして、どうもありがとうございました。

                          ( 春名参考人、部坂参考人退室)

○橋田部会長 続いて、その他事項の議題1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、その他事項の議題1、資料4です。医薬品エパデールTの安全性等に関する製造販売後調査期間の延長について、事務局より御報告いたします。

 まず、資料4の1ページです。エパデールTですが、イコサペント酸エチルを有効成分とする医薬品で、平成25年4月より販売が開始されております。平成2412月の承認時には、「健康診断等で指摘された、境界領域の中性脂肪値の改善」を効能・効果としており、その際に承認条件が2点付いております。1点目は、「承認後、少なくとも3年間の安全性に関する製造販売後調査を実施すること。」、2点目は、「承認後、一定数の症例数に係るデータが蓄積されるまでの間は、使用実態に関する調査を実施することにより、本剤の適正使用に必要な措置を講ずること。」とされております。

 今般、製造販売業者である持田製薬株式会社より、この承認条件のうち、使用実態に関する調査の最終報告書が提出されたこと、また、製造販売後調査については、既に委員の先生方には御了解頂いておりますが、調査期間を延長し実施しておりますので、本日はその概要を報告させていただきます。

 まずは、使用実態に関する調査、適正使用調査の概要について説明いたします。2ページの上段のスライドです。本調査ですが、製造販売後に薬剤師が適切に服用対象となる消費者を選定し、適切な服用指導、受診勧奨等を行えるかを確認することを目的とした調査であり、調査予定症例数を300例とし、2013年4月15日から20151117日の期間に実施されたものです。

 5、6ページを御覧ください。こちらは本剤を使用する際のセルフチェックシートです。本剤を初めて服用される方は、このセルフチェックシートに基づき、幾つかの条件を確認することとなっております。一つ目は、健康診断等の血液検査結果で、中性脂肪値が150mg/dL以上であったか。二つ目は、その後、病院または診療所を受診されているか。三つ目は、その結果、すぐに病院等で通院治療を始める必要はないと診断されているか。四つ目は、高脂血症・糖尿病・高血圧といった合併症がないなど、こちらに記載している項目に該当しないことといった、服用にあたって厳格な選定を行った上で販売することとしておりました。それ以外にも、生活習慣改善に関する助言や血液検査の実施時期の説明を行うといったことも求めております。

 2ページ目に戻り、4枚目のスライドを御覧ください。こちらに、本調査の調査結果を示しております。調査例数は668例で、調査期間である12週服用完了例は421例でございました。各調査項目については、スライドに示しているとおり、おおむね高い数字が得られております。

 3ページ目、5枚目のスライドを御覧ください。本調査の主目的ではありませんが、「副作用に関する情報」と「12週服用後の中性脂肪値の値」について確認しております。副作用については、発現率は4.5%で、重篤な副作用は認められておりません。また、12週服用後の中性脂肪値の変化ですが、本剤以外に食事の影響や生活習慣の改善の影響も当然あると思いますが、服用前後で-18.0%という変化率でした。

 3ページ目、6枚目のスライドを御覧ください。本調査のまとめです。本調査では、薬剤師による適切な消費者の選定の適格率が93.1%と高く、確認ができておりました。その調査を実施する中で、調査対象施設の薬剤師より幾つかの指摘を受けたとのことです。一つ目は、セルフチェックシート中の中性脂肪値について、上限値の記載がないということ。二つ目は、中性脂肪値の測定時期(おおよそ3か月)の記載がないということです。

 こちらについては、これらの指摘を踏まえ、承認条件に記載された適正使用に必要な措置として、これらの指摘事項に係るセルフチェックシートの見直しや購入条件等の情報提供資料を作成し、本剤の適正使用の推進に努めていくということです。具体的には、7ページに添付したような内容について、補足で入れ込んでいくことを予定しております。

 4ページ目、7枚目のスライドを御覧ください。もう一つの承認条件である製造販売後調査について説明いたします。この製造販売後調査については、先ほど説明いたしました適正使用調査後に本格的に実施する計画であったことから、販売から3年となる2016年4月時点で367例と、本調査の目標症例数である3,000例を収集できていない状況でございました。そのため、本調査については、製造販売後調査計画を変更し、調査期間を延長する旨の申し出がありましたので、事前に当部会の先生方に御報告の上、調査期間を3年間延長しております。

 4ページ目、8枚目のスライドを御覧ください。こちらは適正使用調査や製造販売後調査とは別に実施した調査でございまして、販売実態調査というものを201310月~2014年7月の期間実施しておりますので、参考までにご報告いたします。本調査では、実際に薬剤師がセルフチェックシートを用いて購入を希望した方の中から「適格」と判断した方と「不適格」と判断した方を調査しております。調査期間中の購入希望者が6,953名おり、適格と判断し、本剤を販売した方は828(11.9)、という結果が出ております。こちらについては以上です。

○橋田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関して御質問、御意見等はありますか。

○鈴木委員 製造販売後調査は是非続けていただきたいと思います。適正使用調査についてですが、これが終了したということですが、そのデータは我々が見ることができるのかどうか、本当にきちんとやっているかを確認したいと思います。といいますのは、例えば、検査をかなり頻回に1か月ごとぐらいにするのですが、それを受けたとしても、採血時の条件が一定だったかなども確認が必要だと思いますし、先ほどの説明の中で食事療法などをしているというお話でしたが、そもそも188.5153.0に下がるぐらいだったら、食事療法だけでも下がるのではないかと思いますし、わざわざ、これだけ大袈裟なことをするまでもない気がします。要するに、この薬を3か月間服用する意味があるのかということです。そもそもの問題だと思いますが、そういうことがこのデータから言えるのではないか、もし、違うというのであれば、データをきちんとチェックして、本当に適切な調査が行われていたのかを見る必要がありますので、是非データを見せて頂きたいと思いますが、それについてはいかがですか。

○事務局 詳細なデータについては、申請業者の製造販売業者に確認し、説明させていただきます。

○鈴木委員 よろしくお願いします。

○事務局 それから、実際に下がった部分が薬の効果であったのか、生活習慣の改善のためだったのかという点ついては、今回の調査の中では解析はされておりませんが、今回の本薬品の購入の一連の流れを通じ、生活習慣を含め改善が成されたのは、一定の意義があったのではないかと思います。

 また、ここの数値では現われていませんが、購入条件が合わず購入できなかった方に対しても受診勧奨等が行われ、医療機関で受診されたということもありますので、そういった潜在的な患者さんに対して、早期診断・治療の観点からも一定の意義があると考えております。

○鈴木委員 私はそうは思わないのです。このデータを詳しく調べないと最終的には言えませんが、結果的に服用する意味がなかったのではないかと思うのです。ですから、この医薬品の扱いについては、このまま要指導から先へ進めないで、もう1回しっかり議論すべきだと思いますので、慎重にして頂きたいと思います。

 そうでないと、無駄な薬や医療費を、一般用ですから保険料や公費は使わないかもしれませんが、全体としては無駄な医療費を使うことになりますし、このデータが正しいのであれば、一般用医薬品として売り出す必要はないと思いますので、もう1回議論すべきだと思います。

○橋田部会長 それについていかがですか。よろしいですか。これはこれから、いろいろな会議で、製造販売の調査、では、どうぞ。

○医薬品審査管理課長 ただいまの鈴木先生の御意見はしっかりと受け止め、今後、検討させていただきます。

○橋田部会長 これは適正使用調査が終わり、今度は製造販売後調査に入りますので、また改めて議論の機会はあるかと思います。よろしいでしょうか。

○鈴木委員 それで結構です。

○橋田部会長 ほかに何か御意見はありますか。よろしいですか。それでは、その他事項の議題1は御確認を頂いたものとさせていただきます。

 それでは、議題2に移ります。その他事項の議題2について事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 その他事項の議題2、資料5です。医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議について、事務局より現状の御報告をさせていただきます。前回の部会において御了承いただきましたスイッチ成分の新評価システムについては、本年4月13日に第1回の会合を開催したところです。会議の開催要綱と参加委員については、2ページ、3ページにありますので御参照いただければと思います。

 4ページ目を御覧ください。第1回の会合を踏まえ、本年8月5日よりスイッチOTCの医薬品の候補となる成分について、要望の受付を開始いたしました。現在までに十数品目の要望があり、現在、事務局で最終確認を含めた公表の準備を行っております。早ければ本日中にもホームページに公開できればと考えております。

 1ページ目にお戻りください。今後の予定ですが、資料の中ほどに記載がありますが、要望のあった成分については、今後、学会や産業会の関係者に情報収集や見解を頂いた上で、第2回の会議開催に向けて準備を進めていきたいと考えております。

 また、資料中段から下辺りに添付文書の理解度調査等の実施に係る使用環境に応じたエビデンスの構築という記載があります。添付文書の理解度調査については、消費者が当該医薬品を使用するか否かを決断すると仮定した状況において、その医薬品の添付文書情報をどの程度理解して活用できるかを評価する調査です。こちらは望月委員の協力も得て、本年5月に通知を発出し、実施方法について示したところです。この会議の検討状況等については、随時、当部会にも報告させて頂く予定です。以上です。

○橋田部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関して御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○鈴木委員 全体の流れについては、以前に議論して決まった話ですので、これで良いと思いますが、どういった品目が上がってくるかにより、先ほどの耳鼻科の先生方のような専門家の御意見は非常に貴重だと思います。例えば、眼科だったら眼科の専門医、今のところ想定されているのが耳鼻科や皮膚科ですが、眼科の薬も考えられますので、その場合には、眼科の、これも学会と医会がありますので、それらの複数の先生方を品目に応じて入れていく、その後も想定される場合にはこの検討会議の委員に入れておく、そうした対応が必要ではないかと思いますので、是非、御検討をお願いいたします。

○橋田部会長 ありがとうございました。ほかに何か御意見、御質問等ありますか。よろしいでしょうか。それでは、その他事項の議題2については御確認いただいたものとさせていただきます。ありがとうございました。それでは、予定した議題は以上ですが、その他事務局から何かありますか。

○事務局 1点、口頭ではありますが、以前、当部会で御審議頂きましたトラニラスト、ペミロラストカリウム、エバスチンの3成分については、製造販売後調査が終了したことに伴い、先般、医薬品等安全対策部会の安全対策調査会において、要指導医薬品から一般用医薬品に移行することが提案されました。これを受け、本年11月に橋田部会長とも相談させていただき、当部会の委員の先生方にも製販後調査の報告書を回付し、御確認いただきました。先生方には御多用中、御確認を頂いたことに感謝申し上げます。結果、特段の御指摘事項がありませんでしたので、1121日の安全対策部会においても議論がなされ、一般用医薬品に移行することについて了承されたことを報告いたします。以上です。

○橋田部会長 ありがとうございました。要指導医薬品から一般用医薬品への移行に関して、少し丁寧に御確認を頂くという意味で、事務局でも対応していただきました。ただいまのことで何か特に御質問、御意見等ありますか。よろしいですか。それでは、最後になりますが、事務局から御連絡をお願いいたします。

○事務局 次回の部会開催日程ですが、追って先生方の御予定を伺い調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○橋田部会長 それでは、少し時間が超過しましたが、本日の要指導・一般用医薬品部会は、これで終了といたします。どうもありがとうございました。

 


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 大原(内線2737)

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