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2016年9月20日 第117回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

○日時

平成28年9月20日(火) 10:30~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館厚生労働省専用第22会議室(18階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○阿部分科会長 定刻になりましたので、ただいまから、第117回「労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。

 議事に先立ちまして、当分科会に所属する委員の交代がありましたので、御報告いたします。

 当分科会の労働者代表委員として、清水委員にかわりまして、日本私鉄労働組合総連合会社会保障対策局長の久松委員、

 松原委員にかわりまして、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会書記次長の矢木委員が就任されております。

 本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の岩村委員、太田委員、使用者代表の河本委員、熊谷委員、鈴江委員、深澤委員が御欠席です。青木委員と林委員は遅れてお見えになります。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 最初の議題は「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)(第二次補正予算成立後施行分)」です。本件については、9月14日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けております。事務局より説明をお願いします。

○総務課長 職業安定局総務課長の奈尾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 資料につきましては、資料No.1-1とNo.1-2がございます。こちらの2つが第二次補正予算関連の雇用保険法施行規則の改正省令案要綱関係でございます。

資料No.1-1につきましては、1枚めくっていただきますと諮問文がついてございまして、その後ろから省令の要綱でございます。こちら、縦書きでございまして、省令の要綱について説明したのが資料No.1-2でございますので、資料No.1-2のほうで御説明申し上げたいと思います。

 資料No.1-2でございますが、1.の「概要」からでございますけれども、28年度補正予算成立に伴いまして、7つほど、各種助成金の制度見直し、新設等が挙げられてございます。今回の考え方でございますが、6月2日にニッポン一億総活躍プランが閣議決定されまして、それを受けまして8月2日に、「未来への投資を実現する経済対策」ということで、いわゆる経済対策がとりまとめられてございます。それらの内容を踏まえまして、これらの助成金の見直し、新設等を行うものでございます。

書いてございませんが、大体予算規模としては37億円程度を予定してございます。施行期日は3.でございますが、2810月、補正予算成立後でございますけれども、後ほど御説明いたしますが、若干の例外がございます。

それで、資料の1ページからでございますが、まず1番の労働移動支援助成金から順次御説明申し上げたいと思います。

 労働移動支援助成金、まず1ページのほうでありますが、(1)再就職支援奨励金、送り出し側の奨励金の見直しでございます。趣旨は○で書いてございますが、在職中、早い段階から再就職に当たって必要になるスキルを習得して早期再就職を図るというものでございまして、ちょっと順番前後いたしますが、下の点線の囲みから御覧いただきたいと思います。現行制度の概要がまとめてございます。

 現行制度の表の中で、下から2つ目でありますが、職業訓練がありまして、現行は助成率、月6万円を支給しているものであります。これが3カ月限度で18万が上限になっております。

上のほうでございますが、今回の見直しでありまして、2点ございます。まず1点が、事業主が教育訓練施設に委託をする場合、これは今まで対象になっていなかったわけでありますけれども、こちらの助成措置の新設であります。助成内容は、訓練に要する委託経費の3分の2、上限30万でございます。

 2点目が、2つ目のポツでありますが、再就職支援を委託した職業紹介事業者が実施する場合の費用の拡充でありまして、委託経費の3分の2、上限30万ということで今の18万円から引き上げられるというものでございます。

 次のページでございまして、今度は(2)受入れ側でございます。受入れ人材育成支援奨励金であります。2点ございまして、まずマル1でありますが、早期雇入れ支援ということで、こちらも現行制度、点線の囲みの中から御覧いただきたいと思いますが、再就職援助計画の対象者を、離職後3カ月以内、これが早期の意味でございますけれども、それに無期雇用として労働者を雇用した事業主に対して1人30万または40万を助成しているというものでございます。

 今後は、上の○でありますが、平成321231日までは、生産性向上を図る成長企業における早期雇入れの支給額を80万まで支給する。雇入れから6カ月後に40万、さらに6カ月定着したら40万ということで、80万ということでございます。

 ここで生産性向上と書いてございますが、こちらについては今後労働力の人口の減少が見込まれている中で、経済成長を図るためには、再興戦略に書かれております、2020年ごろ、GDP600兆円という目標がございまして、その目標達成のためには付加価値の向上、労働生産性の向上が不可欠であるということでございます。

 この生産性向上におきましては、企業が労働者の処遇改善とか人材育成の投資を図ることも期待されまして、雇用の安定が図られるということもあります。生産性の向上については、今回の補正の中でも省全体の取組が掲げられておりますけれども、その一環として職業安定行政でもできるものをやるというものでございます。

 具体的な要件につきましては、「日本再興戦略2016」においては、製造業の生産性を対前年比で2%増、それから、サービス業については、2020年度までに対前年比2%増になっている、そういう目標がございますので、具体的には労働生産性が3年間で6%以上上がった場合に助成額を割り増すということを考えてございます。

 それから、同じページのマル2でございますけれども、人材育成支援でございまして、これは先ほどの(1)の送り出し側とも呼応するわけでありますが、表を御覧いただきますと、表の左側の数字が現行の支給額でありまして、例えばOJTの場合、1時間700円という額であります。今後につきましては右側でありますが、通常、800円、それから、例えば生産性向上を図られた成長企業で成長産業への労働移動を促す場合には900円ということで、優遇措置を設けるというものでございます。

 次が3ページの65歳超雇用推進助成金でございまして、こちらは創設でございます。【新規事業の概要】ということで、囲みの中を御覧いただきますと4つほど、(1)から(4)までございますが、一言で申しますと、65歳以上への定年引き上げとか継続雇用制度導入について、そのハードルの高さといいますか、難易度に応じまして、60万から120万を支給するというものでございます。

 3番が生活保護受給者等の雇用開発助成金でございまして、こちらも一億総活躍プランを踏まえたものでございます。具体的には、地方公共団体とハローワークとで協定を結びまして、そこにハローワーク等に支援要請があった場合に、対象になりました生保受給者等の方を雇用した場合に助成金を支給するということであります。

 雇入れ後6カ月と、それから1年経過後に2回支給することで定着を促そうということで、2段階に分けて支給するというものでございます。具体的には、表に書かれております支給額について、これを2回支給するものでございます。

それから、4ページでございますが、地域雇用開発助成金でございまして、この4番については熊本地震対応でございます。熊本県におきまして、この地域雇用開発奨励金対象になってない地域が、市で言うと4つ、町で言うと2つございますので、まずそちらについても熊本県は全県で対象にできるようにしようということが1点でございます。

それから、ちょっと書いてなくて恐縮でございますが、通常はこの地域雇用開発奨励金の額が50万から800万という額になっておるのですけれども、熊本については最低100万、100万から800万を支給するというのが2点目であります。

 それから3点目といたしまして、施設の設置・整備の費用の中に、熊本については施設の修繕・修理、それから宿舎の借り上げとか通勤バスの経費についても対象にするという3点が他県と比較した場合の特例ということになります。これにつきましては発災までさかのぼって適用するということで、4月14日遡及適用ということで考えてございます。

 次のページでございますが、人材確保等支援助成金、職場定着支援助成金の個別企業助成コースの見直しでございます。

2つございまして、まず1点目のポツでありますが、助成対象になります雇用管理制度に、これは保育事業主のみでありますが、労働協約等の改正を前提といたしまして短時間正社員制度を導入した場合に10万円を支給するというのが1点目であります。

 2点目が保育労働者の雇用管理制度助成でありまして、これは順番前後いたしますが、下の点線の囲みの中の一番下の○を御覧いただきますと、介護労働者雇用管理制度助成というのは暫定措置でございます。介護事業主が賃金テーブルの改定等をした場合に、賃金制度を整備した場合に50万支給するということと、離職率の低下について目標を設定して、例えば計画期間終了の1年経過後とか3年経過後に離職率目標を達成したような場合には60万なり90万を支給するというのが既にスタートしているわけでありますが、これは同じことを保育事業主さんについてもやろうということで、上の2つ目のポツでございます。保育事業主さんが賃金制度の整備をした場合に50万支給、それから、離職率目標を1年後、3年後に達成した場合に60万または90万を支給するというものでございます。

 それから、次のページがキャリアアップ助成金でございまして、こちらも囲みの中からご覧御覧いただきますと、全ての、または一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を改定した場合に助成するということになっておるのですが、現行は2%以上、賃金規定等を増額改定した場合に助成しております。

「一部の有期契約労働者等」の「一部」の意味でありますが、点線の囲みの中の2つ目の○でありますが、雇用形態別、職種別という意味でありまして、雇用形態別等で賃金規定等を改定した場合、一部のということで、若干助成額は異なるというものであります。

 現行では2%以上の増額でありますが、上のほうのポツを御覧いただきますと、基本給の賃金規定等を3%以上増額改定した場合ということで、3%の場合にさらに助成額を上乗せするというものであります。

 こちらについても、先ほどの労働移動支援助成金と同様に生産性要件を加味しておりまして、額を4行にわたって書いておりますが、まず1つ目のポツの3行目のところに14,250円というのがあります。これが全ての賃金規定等を改定した場合でありまして、この14,250円の1行飛んで下に18,000円というのがありますが、これがいわゆる生産性向上の要件を満たした場合に優遇するということで18,000円になっております。考え方は、15,000円を軸にして、その95%掛けが14,250円、15,000円の2割増しが18,000円ということでございます。

 この14,250円の次の行に7,600円とありますが、これは一部の有期契約労働者等の賃金規定等を改定した場合に7,600円支給するというものでありまして、これも1行飛んで、9,600円、こちらが生産性の要件を満たした場合であります。こういったことで、中小企業におけます処遇改善を進めていこうということで、こちらにつきましては、適用開始の期日が補正予算の閣議決定日であります8月24日ということで考えてございます。

 最後に7ページでありますが、地域活性化雇用創造プロジェクトでございまして、これまでは戦略産業雇用創造プロジェクトということでやっておったわけですが、実質的にその後継事業の位置づけでございます。

中身につきましては、各都道府県が提案する産業政策と一体になって雇用創出する事業から、第三者委員会、これは労使の委員にも入っていただくわけでありますけれども、第三者委員会がコンテスト方式で雇用創造効果の高い事業を選定する。で、その費用について助成を行うというものであります。

 今後の考え方でありますが、特に安定的な雇用の創出効果が高い製造業等についてのものと、あるいは業種の限定がないもの2つに分けまして、助成額に違いを設ける。ただし、業種の限定がないものについても、地域で戦略産業として位置づけられる業種を対象にするということが1点であります。

 それから、従来の戦略産業雇用創造プロジェクトと違いまして、アウトカムは正社員雇用で測ろうということで若干違いを設けてございます。いずれにしても、こういったプロジェクトの創出において地域の雇用を創出しようということでございます。

 以上、駆け足でございますが、今回の補正予算関連の雇用保険法施行規則の改正案の中身でございます。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

それでは、本件について御質問、御意見がありましたら御発言ください。

 斗内委員、お願いします。

○斗内委員 ありがとうございます。私のほうからは、今ほど御説明いただいた資料No.2-1の1ページ目にあります労働移動支援助成金、再就職支援奨励金の見直しの関係で少し御意見を述べさせていただければと思っております。

 今ほど御説明がありましたように、これまでは月6万円という定額から3分の2の助成ということで、どちらかというと定率的なものになろうかと思いますが、最大30万円に見直しをするという内容でございますが、たしか3回前ですか、114回のときにも発言させていただきましたが、現行の定額助成というものが、最大18万円を、インセンティブが弱いということから、いわゆる定率助成のこの最大30万円とすることの政策効果が不明であるということは労働側から発言させていただいているところでございます。

 これに対しまして、そのとき事務局からは、現行の6万円では、その単価ではもう少し料金的に高いケースがあるのだと。紹介会社も、カウンセリング等をやるだけでなく、訓練も含めて頑張っていただきたいことの御説明をいただきました。助成金をより送り出し側での訓練の実施を誘導していきたい旨の説明があったと記憶しております。

 いずれにしましても、労働側としましては、この労働移動支援助成金の送り出し側への拡大には、これまでにも申し上げていますとおり、慎重な立場をとってきているということでございます。

 本助成の本来の目的である、再就職が実現した時点に支給を一本化すべきだということはこれまでも申し上げてきたとおりでございます。送り出し側が実施する訓練に対しまして、助成の政策効果については、その1ページの2つ目のポツにもありますように、送り出し企業が民間訓練期間に直接委託した訓練も助成対象とすることも含めて、ぜひその政策効果を検証いただき、この分科会への報告をお願いしたいと思っております。

 意見、要望ということで発言させていただきました。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 お願いします。

○雇用開発企画課長 ただいま職業訓練の関係で、送り出し企業が行うもの、それから、紹介会社経由のものもあるわけでありますけれども、これについて検証をという話がございました。これについて若干御説明申し上げたいのでありますけれども、今回、1カ月当たり6万円というものの、3カ月で計18万円、それを定率助成で3分の2、上限で30万円ということで拡充したということです。その背景というのは、以前に申し上げたとおり、御紹介もあったところでありますけれども、現状の内容ではインセンティブが弱い、もう少しこの訓練についてのインセンティブを高めたいと、一言で言うとそういうことで今回拡充をしたいということであります。

 ただ、単純に額を上げるということだけを考えているわけではなくて、これまでこれが余り使われてなかった部分もあるわけですけれども、中身を見ると、訓練の基準が1カ月50時間以上やらなければいけなかったとか、訓練の中身についても、技能ですとか知識の付与ということに力点を置いてあって、できるだけ公共職業訓練に近いような形を追求していたとか、理想形を追った訓練の中身になっておりましたので、これをもう少し弾力化するということも考えております。

 こういうことを、いろんなことを考えながら弾力化を図って拡充を図り、その成果を上げていきたいと。そして、お話しいただきましたとおり、その成果につきましてはしっかりと検証して、また報告を申し上げたいと思います。

○斗内委員 ぜひよろしくお願いします。

○阿部分科会長 ほかにいかがですか。

 林委員、お願いします。

○林委員 まず、おくれて来て大変申しわけございませんでした。

 私のほうからは、資料No.1-2の2ページにあります労働移動支援助成金の受入れ、人材育成支援奨励金の見直しのうちの早期雇入れ支援について御質問させていただきたいと思います。入ってきたタイミングで、もし御説明済みでしたら大変申しわけございませんけれども、一応確認の意味で発言させていただきます。

 まず、早期雇入れ支援の優遇措置、40万円についてということでございますけれども、この中では金額の引き上げではなく、据え置くことで議論してきたと私どもは認識しております。今回の諮問に当たりまして、初めて増額ということ、つまり、合計80万円ということで見直すことが提起されています。成長企業でない場合では助成金は30万円となっておりますので、かなりな差がついたという印象が否めないのですけれども、なぜここまで助成金に差を設けることを提起したのかということで、厚労省の皆様の見解をお聞きしたいということが1点。

 また、この助成金の支給要件は、3カ月以内に期間の定めのない労働者として雇用した事業主に対しとされておりますけれども、今回、この部分も、6カ月経過後、またさらに6カ月ということで改めて要件を定めておりますので、このあたりの理由についてもお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○雇用開発企画課長 ただいまの御質問でございますけれども、まず、この受入れ人材育成支援助成金、この分科会でも御議論いただきまして、通常の場合は30万円として、成熟産業から成長産業へ労働移動が図られるような場合、優遇措置をとり、これを40万円ということで、10万円の差をつけていたわけであります。

これが今回なぜ80万円ということで拡充したかという話でございますけれども、これは今回8月2日にとりまとめられた経済対策の中に、中小企業を中心として生産性の向上に対する支援を強化すべしという項目がございまして、その全体的な流れの中で、助成金全体について、この生産性というものを向上させた場合の割り増しということを今考えているわけであります。その一環として、まずは受入れ助成金、成熟産業から成長産業へ受け入れる側の企業に対する助成金、これについては今回の補正予算で特に重点的に前倒しで緊急的にこれをやっていこうではないかという議論をいたしまして、確かに審議会の中では40万円ということでお話しいただいたわけでありますけれども、今回、その補正予算に基づく経済対策がございましたので、それを受けて80万円ということで拡充したという中身であります。

この80万円の中身でありますけれども、まず雇入れをして、その6カ月後に定着したということを見て40万円、さらにその6カ月後にさらに40万円ということで、2回に分けて計80万円という中身になっております。先ほど3カ月云々の話もありましたけれども、離職から3カ月以内に採用するという要件自体は変えておらず、その3カ月と、6カ月・6カ月の基準というのは、今申し上げたとおり、ちょっと違うものであるということでお話を申し上げたいと思います。

○阿部分科会長 林委員、よろしいですか。

○林委員 はい。ありがとうございました。御説明の趣旨はよくわかりますけれども、本助成の優遇措置というところ、成長企業に期間の定めのない労働者として雇用されるということが要件になっておりますけれども、その本質としては、労働者にとってどうであったかということが根底として必ず確認されていかなければいけないと思っております。労働条件がどのように変わったのか、著しく低下していないかということに対しては、期間の定めのない労働者として雇用されたかどうかということにプラスして、きちんと確認していく必要があるかと思いますので、今回は平成32年までの時限措置ということで40万円から80万円にするということが提起されておりますけれども、労働の移動の前後における雇用の質ということについては、本分科会においてもきちんと調査の上報告がなされるように改めて要請したいと思います。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 では、その他、ほかにいかがでしょうか。

 高橋委員、お願いします。

○高橋委員 今回の見直しの特徴的な点は生産性の向上要件を幾つかの点で付しているということだと思うのですけれども、先ほどの御説明をお伺いしていますと、日本再興戦略に基づいて2%という一定の数字を念頭に置いて、付加するかどうかを決めていくということですが、本来でしたら、2%の生産性向上がなかなか実現しない企業に対して、助成金を活用して、その2%程度の生産性の向上に役立てていただくというのが本来の助成金の趣旨ではないかと考えるわけです。

 この要件ですと、既に生産性が3年連続で2%超えの企業に対する報奨金制度的な色彩が濃いと感じます。もちろん、生産性の向上ということは非常に難しいので、直ちに理想的な制度を構築するのは非常に難しいということは重々承知しておりますけれども、例えば早期雇入れ支援、先ほどの御質問にもありましたけれども、1年後に追加的な40万を支払いするということであるならば、助成金を活用した後に、その後、生産性の向上度合いを勘案してお支払いするというような工夫なども含めて、生産性向上要件についてはもう少し、突然出てきた案なので私も十分に理解していないのですけれども、この分科会の場でも、そのあり方について、ぜひまた検証の上議論させていただく機会をいただければと思っております。

 以上です。

○阿部分科会長 では、お願いします。

○雇用開発企画課長 生産性についてお話をいただきました。この生産性要件を助成金の要件として組み込むことを今考えているわけですけれども、当初予算の中で雇用関係助成金の多くのものについてこれを入れようと考えておりますが、それに先立って、今回、補正予算で労働移動支援助成金とキャリアアップ助成金について、これを入れたいと。そういうことでございます。

この要件の見方でありますけれども、本来は生産性をこういう形で上げて、雇用の質も良くしますという計画を出していただいて、例えば3年間だったら3年間の取組をいただき、その結果として、確かに生産性が上がればそれに対して助成をするということが理想形ではあるとは思っているわけであります。

 ただ、これをやりますと、3年後にならないと助成金が出ないということにもなりますし、それぞれ計画の中身を認定していくということになると、大量処理をしなければいけないという助成金の性質上、なかなか実務的に回らないという部分もあり、これまで2%×3年の6%の生産性の向上を図ってきたという実績を見て、そういった伸びがあるのであれば今後も伸びるであろうという期待のもとにこれを助成していきたいという中身であります。

 今後どういう動きになるのかと、この2%×3年の6%についてどのようにまた現状を見て修正していくのかということについては、よく検証して、またこの分科会にも報告していきたいと思っております。

○阿部分科会長 よろしいですか。

 玄田委員。

○玄田委員 今の生産性のところで関連して若干確認ですけれども、当然ではありますが、この場合の生産性はあくまで労働生産性ということで議論なされているということが前提であるということを踏まえてお話しさせていただきますけれども、昨今議論になっているように、この労働生産性をはかるというのが非常に難しい作業であろうかと思います。特にサービス業において労働生産性をどうはかっていくのか、しかも、そのはかり方として、人数当たりの生産性なのか、時間当たりであるのか、昨今議論ある労働の質に対する生産性なのか、非常に難しいところで、恐らく相当の御苦労をなさるかと思います。

 こういう生産性を含めた議論というのは、恐らく、今、内閣府ですとか、場合によっては総務省等々でなされているかと思いますが、私は、この助成金とは若干独立の形で、厚生労働省としても、労働生産性をどうはかっていくべきか、また、それが直接はかれないとした場合にどういう指標を目安として考えていくべきかということはやはり別途検討していく時期ではないかと思っております。

 もちろん、昨今の各省庁の取組なども踏まえつつ、厚生労働省しか持っていないさまざまな情報もあろうかと思いますし、現場の職場に近い意味で、みんなが納得できる、使用者の方も労働者も納得できる労働政策、はかり方をやはり厚生労働省から積極的に提案していくという時代背景に来ているような気がいたします。

 特に先ほど高橋委員の御議論と同じように、生産性が高い企業に払うとなりますとやはり報奨金的なイメージが強いですけれども、文面からすると生産性向上ですから、生産性が高いのではなくて、高くなかったところが一生懸命上げる努力をしたということをどう踏まえていくのかというところは、単純に生産性が幾らかではなく、生産性の向上をどうはかっていくのかという非常にチャレンジな仕組みで、恐らく少し時間をかけて議論しなければならないかと思いますが、今後恐らく、生産性ということは、この助成金に限らず一つの大事なポイントになるかと思いますので、ぜひあわせて御検討いただくのはどうでしょうかという御提案でございます。

 以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。では、お願いします。

○雇用開発企画課長 生産性の関係でありますけれども、この測り方については、例えば日銀方式だとか中小企業庁方式とかいろんな方式があるわけであります。その中で、この助成金の要件とするに当たっては、できるだけ申請する企業にとって簡便な方法であることが必要だろうと思っております。それから、その数字が日本全体の企業の数字に比べて高いのか低いのかということも評価する必要がありますので、統計的に比較・参照できることが必要だろうと。そういうことを考えて、労働者1人頭の付加価値の部分については、営業利益率とか減価償却費ですとか、経産省の企業活動基本調査という調査の定義を用いて考えているわけであります。

 実務的には、財務諸表の中から各勘定項目に相当する額を引っこ抜いてきて、それを足し上げて割り算すればという形で、簡単なシートも用意して、各企業の事業主の方が簡便に計算できるような形を考えているわけであります。

 それからもう一つ、生産性の絶対的な水準云々を問題にするということではなくて、確かにその企業が生産性の向上に取り組んで、伸びていくということに着目するということが必要でありますので、3年間の伸び、これを見ていくということで要件を設定していきたいと思っております。

 いずれにしても、これについてはさまざまな議論がありますし、これから景気が変動するに伴って6%という数字が妥当かどうかという議論も出てまいりますので、ところどころでしっかり検証して、この分科会にも報告していきたいと思っております。

○阿部分科会長 どうぞ。

○玄田委員 御説明ありがとうございました。

1点だけ、労働者当たりですか。労働時間ではなくて。つまり、今、恐らく、生産性向上ということで多くの方が考えていらっしゃるのは、限られた労働時間の中でどれだけ効果を上げるかだということのような印象がございます。そうするとやはり、労働者当たりよりも労働時間当たりについてどうするかということがポイントであると同時に、ただ、労働時間を正確にはかるというのが非常に難しいということもあわせて、この工夫の部分が大事になるのではないでしょうか。

 総務省の労働力調査でも、年間の労働時間ですとか月間とれるようになったのは最近のことでありますし、あと、昨今ずっと議論のある、いわゆるサービス産業的なものを認めない形で、適切な労働時間の管理のもとに行われている生産性ということを、やはりそこを細かく見ていくというのが厚生労働省の腕の見せどころのような気がしますので、難しいお願いであるかと思いますが、ぜひ労働時間を踏まえた生産性について、恐らく最終的には長期目標として生産性向上の目安にしていくような工夫を御検討いただければと思っております。

○阿部分科会長 どうぞ。

○雇用開発企画課長 生産性の計算の仕方でありますけれども、今、御指摘のとおり、分母のところを、マンアワーと申しますか、労働者数と時間の掛け算にするということが本来はいいのではないかと私どもも思っているわけであります。長時間労働ということで生産性を見かけ上上げるということは適当ではないと考えておりますので、労働者×労働時間分の付加価値ということで本来は計算すべきだろうなと思っておりますが、この労働時間については、マクロの数字で見れば、毎勤の調査だとかいろんな調査で把握できるわけですけれども、それぞれ個別企業の総労働時間というものを正確に把握する方法というのはなかなか難しいところがございまして、とりあえず今回は労働者の数で、分母にして計算していきますけれども、今後の課題として、そこのところをどう見ていくのかということは考えていかなければいけないと思っております。

○阿部分科会長 よろしいですか。

○玄田委員 よくわかりました。ただ、しつこいようですが、この助成の対象のとき、事業所が労働時間を正確に管理しているということの強いメッセージ性もあろうかと思いますので、現状でできるかどうかという問題は別として、これからいろんな労働時間、働き方が出てきたとしても、事業者が労働時間を適切に管理していることが大前提であり、それを踏まえた上での評価をするのだという方向性については常に意識して御検討いただければと思います。

 以上です。

○阿部分科会長 ほかにいかがですか。

 村上委員、お願いします。

○村上委員 今の玄田委員の御指摘に全面的に賛同いたしますので、同じく厚生労働省の委託事業で、魅力ある企業、生産性向上と職場の魅力を両立させている事業の表彰制度も始まるということで、そちらの指標なども参考になるのではないかと思いますので、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。

 それから、資料No.1-2の3ページにあります65歳超雇用推進助成金について、まず3点御質問したいと思います。1点目は、2016年度、本年度から高年齢者雇用安定助成金を拡充して、66歳以上の高年齢者に関する部分の制度の拡充がされています。今回新たに創設する助成金のほうは、かなりダブる部分が、対象として重複する部分があるのではないかと思うのですが、これは併給されるのかどうかということを1点確認したいと思います。

 それから、同じような話でございますが、今回の推進助成金の中で、四角囲みの中に、助成金対象事業主として(1)から(4)までございますが、例えば(3)、65歳までの継続雇用制度を入れている事業主が66歳までに延長した場合は(3)として支給されるということでよいのか。そして、(3)のように、1段階として66歳まで入れて、それをさらに70歳に延長したというときにも支給されるのか。段階的にやれば何回も受けられるということなのかという確認をしたいと思います。

 それから3点目ですが、企業規模は要件になっていないのです。企業規模で助成金の支給率変えるとか要件にしているということではないのですが、ここはどういう考え方なのか、ちょっと確認したいと思います。

 以上です。

○阿部分科会長 では、お願いします。

○高齢者雇用対策課長 お答えします。

1つ目の併給の部分ですけれども、今年度は両方の助成金が併存しています。来年度はこの65歳超雇用推進助成金のほうに、今までの高年齢者雇用安定助成金を統合するという形でやっていきたいと思っております。

 それから2番目の質問の(1)をやって(3)をもらえるのかということですが、これは4つの中から1つを選び、1回限りの支給という助成金でございます。

 それから3つ目、企業規模のお話でございますが、これは中小企業も大企業も同じ定額で支給するというものでございます。

○村上委員 ありがとうございます。1点目についてなのですが、新しい助成金を創設することにして、2つ、財源はまとめていくということであれば、今年度も高年齢者雇用安定助成金の拡充でよかったのではないかというような疑問があるのですが、そこはいかがでしょう。

○高齢者雇用対策課長 高年齢者雇用安定助成金があったのですが、「ニッポン一億総活躍プラン」の中で、自発的にしていく企業を支援していくということになりました。今まで、3分の2が国、3分の1を事業主が出していたのですが、今回は定額を出すという形になっております。ですから、今年度だけは特殊なのですが、両方の助成金が併存することになりますけれども、お得なほうを使っていただき、来年度はひとつにしっかりまとめていくということになっております。

○村上委員 くどいようですが、両方を受けるということはなくて、制度2つあるけれども、どれか1つを選んで助成金を受けるということだと理解いたしました。

それからもう一点、有期労働契約の高年齢者についても、高年齢者雇用安定助成金のほうでは50歳以上の定年年齢未満の方を有期労働契約から無期転換することを促すという制度が出されておりますので、まずそちらもぜひPRして活用していただきたいと思っておりますし、今回、65歳雇用推進助成金を創設されることを踏まえますと、無期転換を進めるのが優先順位としては先ですけれども、それでも有期労働契約のまま65歳を迎え、65歳を超えてなお就労を希望される方に対する対応というものも考えていかなくてはならないのではないかと思いますので、次年度以降の施策を検討するに当たってぜひ御検討いただきたいと思っております。

○高齢者雇用対策課長 高年齢の有期契約労働者を無期転換した事業主への助成は、今年度から創設しているのですが、今、PRを開始しておりまして、ようやく何件か申請が上がってきており、6カ月後に申請に対して支給がなされます。この助成金の有期から無期という部分についてもしっかりPRしていきたいと思っています。

○阿部分科会長 よろしいですか。

 確認なのですが、先ほど村上委員とのやりとりの中で、村上委員の最初の質問、雇用安定助成金と雇用推進助成金は併給なのかということをお聞きになって、お答えが併給だと言ったのですが、その後のやりとりでは併給ではないとお聞きしたのですけれども。

○高齢者雇用対策課長 並行して助成金が走っていて、自分のお得なほうを選んでいただき、片方を選んだ場合はもう一方は受給できないという形でございます。

○阿部分科会長 並行してあるけれども、併給はできないということでよろしいですね。

○高齢者雇用対策課長 はい、そういうことでございます。

○阿部分科会長 わかりました。確認しました。

 その他、いかがでしょうか。

 久松委員、お願いします。

○久松委員 資料のNo.1-2の4ページにあります地域雇用開発奨励金の創設について、確認の質問をさせていただきます。今回、熊本地震特例として、熊本地震発生後に熊本県において事業所を設置・整備し、地域求職者を雇い入れる場合の特例措置として提起がされています。今回の特例措置の対象地域は熊本県全域であり、省令案要綱には熊本労働局長への申請が必要である旨が記載されています。

 で、確認なのですけれども、今回の熊本の地震については、震源地が移動していきながら大きな地震が群発したというような状況でもありますし、周辺県でも被害があったのではないのかなと思っていますので、近隣の県においては同様の対応を行わないとしたことの理由につきまして、地域求職者の実態なども含めて念のため確認させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○阿部分科会長 ではお願いします。

○地域雇用対策室長 お答えいたします。

 今回、地域雇用開発奨励金、この助成金を使って特例を考えようとしたことで、この助成金の趣旨が、本来は事業所の新たな拡大であるとか新事業展開なのですけれども、今回、その建物がダメージを受けている、その分についての復旧・修繕も入れて対象を拡大しようということでございます。

実際、統計を見たときに、熊本震災の中で事業所で建物の被害を受けているところ、これを見たところ、非常に熊本県に集中しているということが確認できましたことと、災害救助法という法律の中で今適用されているのは熊本県全域ということになっているので、こちらを一つのメルクマールとしてメニューを設定させていただいたところでございます。○阿部分科会長 その他、いかがでしょうか。

 青木委員。

○青木委員 済みません。1点お願いいたします。6ページの6.のキャリアアップ助成金の処遇改善コースの見直しについてでございます。中小企業を対象としてこの助成額の追加というのが提起されておりまして、先ほどから質問、議論になっております生産性の向上、ここの要件を満たす場合についてはさらに助成額の上積みということになっております。この生産性の向上が認められる場合にということで、ここにも助成額の上積みを優遇される理由と、それから、なぜそれを中小企業に限ってというような形があるのか、そういったところの厚労省の見解をちょっと伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 お願いします。

○企画課長 職業安定局企画課でございます。

 今お尋ねいただきましたキャリアアップ助成金の処遇改善コースの見直しですが、まず、今回、補正予算の中で盛り込んで省令改正をしたいと思っておりますのは、現状、2%賃上げの賃金改定を行った場合の助成金というのが土台としてございまして、それに対して、3%以上の賃上げを行った場合には、2%以上賃上げ時の助成額にさらに加算をすると。その加算は中小企業に限るというものがまず今回のキャリアアップ助成金の拡充の基本でございますので、加算のうち中小企業だけ生産性要件をかけているわけではなくて、加算そのものが中小企業を対象にしているという点を1点補足したいと思います。

 その上で、生産性要件を課している、これももともと平成28年度予算の中に盛り込まれている2%の土台部分にはかかっておりませんで、今回補正予算で計上しております3%部分のみなわけですが、これについては雇用関係助成金に生産性要件を導入して、一定のインセンティブ効果を期待する政策の考え方として、例えば就職困難者の方の雇用機会の確保のための助成金ですとか、あるいは経済情勢悪化時の雇用維持を図るための助成金ですとか、そういったものは助成金の性格上、生産性要件を考慮することがあまりなじまないので、生産性要件を課していかないと。

逆に、なじまないほうに該当しないものは基本的に課していくという考え方で、雇用関係助成金への生産性要件の導入を今回検討した次第であります。それについては、先ほど雇用開発企画課長からも説明がありましたとおり、今日の御議論も踏まえて今後さらに検討を深めていくというところがありますが、今回の補正予算で緊急的に措置する部分については今申し上げた考え方で、なじまないものはその対象から外して、それ以外はかけていくという考え方をとっております。

その結果として、このキャリアアップ助成金の3%加算部分については生産性要件を課して、原則の助成額は14,250円で、要件を満たした場合には18,000円に加算の増額がなされるという仕組みでお諮りをしている次第でございます。

○阿部分科会長 ほかにいかがですか。

 小野委員、どうぞ。

○小野委員 確認なのですけれども、皆さんが今見ていらっしゃる資料の3ページの65歳超雇用推進助成金についてちょっと確認させていただきたいのですけれども、これはもともと定年規定というものがないところにおいて、新たに定年規定を70歳以上であったり、つくった場合にももらえると考えていいのでしょうか。

 例えば8割ぐらいのNPO法人は定年の規定を置いてなかったりするのですよ。あるいは、家族従業者だけでやっているような小さな事業主さんとかいうのは恐らくこういう定年規定を持っていらっしゃらないと思うのですね。先ほど、中小、大企業にかかわらずとおっしゃっていたので、ここで企業と書かれておりますけれども、どのようにそこら辺はお考えかというのを確認させていただきたいと思います。

○高齢者雇用対策課長 この助成金につきましては、原則として定年引き上げ等を実際に行って、その費用負担といいますか、費用がかかった場合に出すということになりますので、社労士さんとかコンサルタントさんにいろいろ見ていただいて。ですから、単純に、ただ就業規則とか労働契約を直しただけで費用がかからない場合についてはこの助成金は出ないと。ですから、経費がかからないと出ないという仕組みにはなっています。

○小野委員 経費がかかった、請求書か領収書か何かを持っていかないと。

○高齢者雇用対策課長 そういう形になると思います。

○小野委員 わかりました。

○阿部分科会長 ここまでたくさんの御意見、御質問、御要望がございましたけれども、その他いかがですか。

 もしなければ、今回御提案の件ですが、当分科会は厚生労働省案をおおむね妥当と認めて、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配付をお願いいたします。

(報告文案配付)

○阿部分科会長 それでは、お手元に配付された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。

 では、次に移らせていただきます。次の議題は「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(平成二十八年十月一日施行分)」です。本件については、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けております。

事務局から説明をお願いします。

○企画課長 職業安定局企画課でございます。

 2点目の議題について御説明申します。表紙をめくっていただきますと、今、御紹介いただきました本日付の諮問文がありまして、それから諮問の内容でございます省令案要綱が2枚ございます。恐縮ですが、資料No.2-2と右肩に打ってございます縦置きのペーパーを基本に御説明させていただきます。

 今回お諮りいたしますのは、予算的には平成28年度、今年度の当初予算の中で、10月1日施行、半年分の予算ということで計上されている部分でございます。内容的には、キャリアアップ助成金の中にいろんなコースがあるのですけれども、その中の処遇改善コースというコースのさらにその内訳で、短時間労働者の労働時間延長というメニューに関する改正であります。

 これは短時間労働者の方、有期契約労働者等と書いていますが、有期やパートの方の週の所定労働時間を現状では25時間未満から30時間以上に延長していただくことに対する、それによる賃金コスト増に対する助成です。25時間未満から30時間以上に延長するというのは、今、現状では社会保険の適用基準が週の労働時間が30時間で切られておりますので、その適用基準をまたいで厚生年金や健康保険に入れる状態にしていただくということを、それが労働者の方にとっての雇用や生活の安定に資するということで応援しようというものでございます。

 助成額は、昨年度まで1人当たり10万円だったのですが、集中的に社会保険の適用拡大を進めていく期間だと省全体として位置づけをいたしまして、平成31年度末までの暫定措置として、予算は単年度ですけれども、1人当たり20万円に増額しているところでございます。

 2つ目の○ですが、今回改正をお諮りする契機といたしまして、この10月から社会保険のほうで制度改正が施行されることになっております。具体的には、現状はその社会保険の適用基準が週30時間という基本的に一本の線なのですけれども、企業規模によってその適用の線を分けまして、企業規模501人以上の企業の場合には、週労働時間の基準としては20時間に下げるということでございます。

そのほかに附帯的な要件が501人以上のところにはかかりまして、例えば月額賃金が8.8万円以上、年収換算しますと約106万円になりますとか、勤務期間が1年以上見込みでありますとか、そういった要件がかかるのですけれども、週の労働時間の要件としては、今、30時間であるものが20時間に下がるという制度改正がもう施行を待っている状態でございます。

 したがいまして、本助成金につきましても、延長幅としては5時間以上なのですが、今の25時間未満から30時間以上に、という基準をそのままにいたしますと、501人以上の企業にはもう適用対象の中で5時間延ばすだけになってしまいますので、今回、この助成金の支給要件を改正いたしまして、501人以上でも500人以下でも両方対応できるように、5時間以上延長することを要件とするということでございます。そうしますと、501人以上であれば、15時間から20時間に延ばすことで適用基準を満たす、こういう場合が助成対象になりますし、500人以下は現状と変わりませんので、25時間未満から30時間以上に延ばすことで適用対象になる、こういった場合が助成対象になるというふうに、社会保険の適用基準の改正に伴って、適用対象が501人以上でも対応できるように文言を直すという改正でございます。

 それからもう一点、3つ目の○でございますが、社会保険適用を集中的に加速していきたいということから、同じく平成31年度末までの暫定措置といたしまして、現状、この助成金の基本は、5時間以上、週所定労働時間を延ばすということを助成対象にしている、そこをハードルにしているわけですけれども、5時間未満の延長の場合にも、一定のコスト増に配慮いたしまして、今、5時間以上ですと20万円ですが、それを比例的に、4時間以上5時間未満延長の場合には16万円、3時間以上4時間未満延長の場合には12万円というふうに、5時間未満の延長でも助成金の対象にしていこうというものです。

 ただし、5時間以上という従来の助成金のハードルと比べますと少しハードルを下げることになりますので、5時間未満で助成対象とする場合には、別途賃金を一定割合以上で増額して、労働者御本人にとっては社会保険料の負担が新たに発生いたしますが、そこの負担増に会社として配慮していただくという場合を5時間未満の場合には助成対象とする要件に加えることとしたいと考えております。

 以上の改正でございまして、施行としては社会保険の適用基準の変更時期に合わせまして本年10月1日からとしたいと考えております。

 以上でございます。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

それでは、本件について、御質問、御意見がございましたら、御発言をお願いします。

○矢木委員 本諮問でございますけれども、本年10月より、従業員501人以上の企業に勤務いたします短時間労働者に対します社会保険適用拡大を踏まえた、現行、平成31年末までの暫定措置として運用されている助成についての対応を図る内容でありまして、方向性については理解をするところでございます。

そこで私からの質問でございますけれども、10月1日施行予定ということでございますので、平成28年度当初より計上という御説明がございましたが、予算として十分確保されているかということと、また、その前提となります本助成の申請をどのように予測されているかお伺いしたいと思います。

 以上でございます。

○阿部分科会長 では、お願いします。

○企画課長 予算といたしましては、28年度当初予算の中に既に10月1日施行分も含まれております。申請の規模につきましては、一応予算の積算はしてございますが、これはちょっと技術的な話ですけれども、予算としてはキャリアアップ助成金として全体で予算が確保されていて、正社員化コースですとか処遇改善コース、人材育成コースなどがありますが、その中では予算のやりくりが可能というか、その単位で予算が認められておりますので、全体として、積算としてはそれぞれのメニューごとにこれで幾ら億円とかこれで何千万円というのはあるのですけれども、実際にはキャリアアップ助成金という全体が約400億円、28年度予算で確保しておりますので、その中で十分対応ができる範囲であると思っております。

○阿部分科会長 矢木委員、よろしいですか。

○矢木委員 ありがとうございます。9月の下旬に公布で10月1日施行というスケジュールでございますので、周知期間、大変短いと思いますけれども、助成の申請の予測も含めて、施行後含めて、本制度そのものの周知徹底には極力お努めいただければと思います。

 以上でございます。

○企画課長 そこは、御指摘のとおり、全力で周知を図ってまいりたいと思います。

○阿部分科会長 その他、いかがでしょう。

 特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配付をお願いいたします。

(報告文案配付)

○阿部分科会長 お手元に配付された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。

 それでは次に移ります。次の議題は「雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令案要綱(青少年の雇用の促進等に関する法律第十一条の労働に関する法律の規定等を定める政令の一部改正部分)について」です。

 本件については、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けており、先ほど開催された雇用対策基本問題部会において報告がとりまとめられております。

それでは、事務局から説明をお願いします。

○若年者雇用対策室長 若年者雇用対策室長の平岡です。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、お手元の資料No.3-1、3-2、3-3を使いながら御説明いたします。

 まず、資料No.3-1は諮問文です。次のページの別紙が「雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令案要綱(青少年の雇用の促進等に関する法律第十一条の労働に関する法律の規定等を定める政令の一部改正部分)」です。

 次に、資料No.3-2を御覧ください。先ほど職業安定分科会の雇用対策基本問題部会で御検討・御議論いただきまして、本日付で厚生労働省案は妥当と認める旨の御報告をいただいております。

 次に、資料No.3-3を御覧ください。政令案の内容につきまして、この資料で御説明させていただきます。

 まず、「1.趣旨」にございますが、若者雇用促進法第11条の規定により、公共職業安定所は、求人者が学校卒業見込者等求人の申込みをする場合において、労働に関する法律の規定であって、若者雇用促進法施行令で定めるものの違反に関し、法律に基づく処分、公表その他の措置が講じられたときは、一定期間、その申込みを受理しないことができるとされております。この求人不受理制度は本年3月1日から施行されております。

新卒一括採用という雇用慣行や心身の発達過程、家族形成期にあるといった青少年に固有の事情を踏まえまして、マル1過重労働の制限等に関する規定、マル2仕事と育児等の両立等に関する規定、マル3その他青少年に固有の事情を背景とする課題に関する規定を求人不受理の対象条項としております。

本年3月に成立いたしました雇用保険法等の一部を改正する法律により、男女雇用機会均等法と育児・介護休業法が改正され、事業主の新たな義務規定が設けられました。このため、若者雇用促進法施行令を改正し、求人不受理の対象条項を追加して、規定の整備を行うこととしたいと考えております。

「3.施行期日」にございますが、求人不受理の対象条項を追加する若者雇用促進法施行令の一部改正部分の施行期日は、男女雇用機会均等法と育児・介護休業法に係る事業主の新たな義務規定と同様に、平成29年1月1日としてはどうかと考えております。

それでは、次のページを御覧ください。若者雇用促進法施行令に追加する求人不受理の対象条項及び追加理由(案)でございます。追加してはどうかと考えておりますものは4つございます。

まず、男女雇用機会均等法第11条の2第1項です。これは、女性労働者が妊娠、出産したこと等を理由として、職場において行われる上司や同僚の言動によって当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう、事業主は相談窓口をあらかじめ定めるなど適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない旨の規定です。

右の欄の「追加理由」にございますが、現行、女性労働者が妊娠、出産したこと等を理由とした事業主による不利益取扱いの禁止を定めた男女雇用機会均等法第9条は、前のページの1マル2の仕事と育児等の両立等に関する規定に該当することから、求人不受理の対象条項としております。同様の整理から、同法第11条の2第1項も対象条項に追加してはどうかと考えております。

次に、育児・介護休業法第16条の9第1項において準用する第16条の8第1項です。これは要介護状態にある対象家族を介護するために労働者が請求した場合、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならない旨の規定です。

右の欄の「追加理由」にございますが、現行、3歳に満たない子を養育するために労働者が請求した場合、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならない旨を定めた育児・介護休業法第16条の8を求人不受理の対象条項としております。同様の整理から、同法第16条の9第1項において準用する第16条の8第1項も対象条項に追加してはどうかと考えております。

次に、育児・介護休業法第25条です。これは先ほどの男女雇用機会均等法第11条の2第1項と類似した規定でございますが、労働者が育児休業、介護休業等の両立支援制度を利用したこと等を理由として、職場において行われる上司や同僚の言動によって当該労働者の就業環境が害されることのないよう、事業主は相談窓口をあらかじめ定めるなど適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない旨の規定です。

右の欄の「追加理由」にございますが、現行、労働者が育児休業の申出をしたこと等を理由とした事業主による不利益取扱いの禁止を定めた育児・介護休業法第10条を求人不受理の対象条項としております。同様の整理から、育児・介護休業法第25条も対象条項に追加してはどうかと考えております。

最後に、労働者派遣法第47条の3で読み替えて適用する育児・介護休業法の規定です。右の欄の「追加理由」にございますが、現行、労働者派遣法により男女雇用機会均等法の不利益取扱いの禁止、就業環境を害する行為の防止に関する雇用管理上の措置義務等の規定について、派遣先事業主もまた、派遣労働者を雇用する事業主とみなして適用されています。そして、労働者派遣法により派遣先事業主に男女雇用機会均等法がみなし適用された場合も求人不受理の対象としております。

雇用保険法等の一部を改正する法律により、労働者派遣法が改正され、育児・介護休業法の適用に関する特例を新設し、不利益取扱いの禁止及び就業環境を害する行為の防止に関する雇用管理上の措置義務については、派遣先事業主もまた、派遣労働者を雇用する事業主とみなして適用されることとなります。これに伴いまして、育児・介護休業法の各規定について、労働者派遣法第47条の3により、派遣先事業主に適用する場合も求人不受理の対象として追加してはどうかと考えております。対象となる育児・介護休業法の規定は、第10条など以下のとおりとなります。

なお、先ほどの男女雇用機会均等法第11条の2第1項も、雇用保険法等の一部を改正する法律により労働者派遣法が改正され、派遣先事業主にみなし適用する条項に追加されました。労働者派遣法により男女雇用機会均等法第11条の2第1項が派遣先事業主にみなし適用される場合も求人不受理の対象となります。

御説明は以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。

 それでは、本件について御質問、御意見がございましたら御発言ください。

 特にございませんか。

 もしなければ、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配付をお願いします。

(報告文案配付)

○阿部分科会長 お手元に配付された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。

 本日予定されている議題は以上です。

本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか、お二人の委員に署名をいただくこととなっております。つきましては、労働者代表の勝野委員、使用者代表の高橋委員にお願いしたいと思います。

 本日の分科会はこれで終了いたします。本日もどうもありがとうございました。


(了)

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