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2016年11月25日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成28年11月25日(金)13:00~


○場所

航空会館702+703会議室


○出席者

出席委員(12名) 五十音順

◎荒 井 保 明、 石 井 明 子、○一 色 高 明、 今 井 聡 美、
 齋 藤 知 行、 鈴 木 邦 彦、 千 葉 敏 雄、 寺 崎 浩 子、
 中 島 康 雄、 濱 口   功、 桃 井 保 子、 渡 邉 和 久
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人2名

欠席委員(11名)五十音順

 荒 川 義 弘、 梅 津 光 生、 川 上 正 舒、 塩 川 芳 昭、
 正 田 良 介、 武 谷 雄 二、 田 島 優 子、 中 谷 武 嗣、
 配 島 由 二、 菱 田 和 己、 村 上 輝 夫 

行政機関出席者

武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
磯 部 総一郎 (医療機器審査管理課長)
山 田 雅 信 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
佐久間 一 郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
宇 津   忍  (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○医療機器審査管理課長 定刻を過ぎましたが、「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催いたします。委員の先生方におかれましては御出席を賜り、ありがとうございます。また、本日は寒い中、ありがとうございました。現在、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、12名に御出席いただきました。何とか開催できると、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしていることを御報告いたします。

○事務局 次に本日の議題の公開、非公開の取扱いについて説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容が含まれるため、全議題につき非公開とします。

 これより議題に入りますので、もし傍聴の方がいらっしゃいましたら御退席ください。それでは、以後の進行を荒井部会長、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 今お聞きのように定足数ぎりぎりですか、御都合で途中で退席される委員の方もおられますので、議決事項に関しては、何としても2時半をゴールとして円滑に進めたいと思います。もちろん、活発な御意見を頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、はじめに事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

○事務局 お手元の配付資料一覧を参考に御確認ください。全て非公開案件で、資料1はMRガイド下集束超音波治療器ExAblate4000の諮問書が表になっているもの、資料2は脱毛用アレキサンドライトレーザー GentleLase Proの諮問書ですが、これは、議事次第ではロングパルスアレキサンドライトレーザーとなっているもの、資料3は医療機器Extracorporeal Photopheresis Systemの希少疾病用医療機器としての指定の可否についての諮問書、資料4は医療機器NovoTTF-100Aシステムの使用成績評価の指定の要否についての諮問書、資料5-1は再審査報告書、ガードワイヤ・プロテクションシステムについて、資料5-2は再審査報告書、エヴィア-TシリーズPro等について、資料6-1は一般用黄体形成ホルモンキットの承認についてのスライド、資料6-2は一般用黄体形成ホルモンキットの承認についての品目概要、資料7は部会報告品目について、資料8は競合品目・競合企業リスト、参考資料1は薬事分科会審議参加規程を付けております。

 また、当日配付資料がありますので、当日配付資料一覧を御覧ください。当日配付資料1はExAblate4000の専門委員のリスト、当日配付資料2はExAblate4000の正誤表、当日配付資料3は議題2ロングパルスアレキサンドライトレーザーの専門委員のリスト、当日配付資料4は議題2の正誤表となっております。以上です。

○荒井部会長 お手元の資料は、よろしいでしょうか。よろしければ、本日の審議事項に関する委員の利益相反に関する申出状況について、報告をお願いいたします。

○事務局 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の審議不参加の基準に基づく審議に参加できない委員は、いらっしゃいません。ただし、薬事分科会審議参加規程第13条の議決不参加の基準に基づき、議決に参加できない委員は議題1について荒井委員となっております。この際、御退室になる必要はありませんが、議題1の進行のみ一時的に一色委員に代行していただきます。以上、御報告いたします。

○荒井部会長 お願いいたします。

○一色部会長代理 それでは、議題1、医療機器MRガイド下集束超音波治療器ExAblate4000の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について審議を行います。

 本議題の審議に当たり参考人として東京都立神経病院脳神経外科部長の谷口真先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。それでは、まず、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 議題1について、事務局から説明いたします。資料1です。1枚目が諮問書の資料です。本議題では、医療機器MRガイド下集束超音波器ExAblate4000の製造販売承認の可否、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いしたいと思います。

 まず、一般的名称の新設というタグをお引きください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対して、新たに一般的名称を新設する際には、当該一般的名称のリスク分類に応じて、高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器のいずれに該当するかなどについて、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定することとしております。

 今回、新設を予定する一般的名称は集束超音波器であり、超音波エネルギーを集束させて加熱することで標的組織を焼灼、凝固させるシステムです。下の1.のとおり、副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要なものであると考えられるため、高度管理医療機器に指定し、2.にあるとおり、保守点検、修理その他の管理を必要とするものであると考えられるため、特定保守管理医療機器として指定することが適切と考えております。

 承認の可否等について、審議品目及び審議の概要は、機構の担当者の方、よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 MRガイド下集束治療器ExAblate4000について、機構より説明いたします。まず、資料の訂正があります。当日配付資料2を御覧ください。事前に配付しました審査報告書に修正がございますので、正誤表にてお示しいたします。修正がございますことをお詫び申し上げます。次に当日配付資料1の本品目の専門協議委員を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする3名の専門委員の御意見を頂きました。

 はじめに、品目の概要について説明いたします。二つ目のタブの審査報告書6ページの図1を御覧ください。本品はMR装置に接続する患者テーブル、操作室の操作卓などから構成され、薬物療法で十分な効果が得られない本態性振戦の症状の緩和を目的として使用されます。7ページの図2、3及び4を御覧ください。本品は頭蓋外部から治療ターゲットである視床に集束超音波を照射する治療機器であり、焦点領域の温度を5160℃まで上昇させ細胞を壊死させることができます。

 次に本品の対象患者を説明するため、審査報告書の36ページの図7を御覧ください。日本神経治療学会が公表している本態性振戦の治療パラダイムです。本品による治療の対象患者は、オレンジ色で着色された手術療法が検討される患者となります。

 8ページに戻り、開発の経緯について説明いたします。審査報告書の8ページの表1を御覧ください。既存の手術療法には、視床破壊術と視床刺激術があります。視床破壊術は、視床の組織を破壊する不可逆的な治療となり、本品は視床の組織を破壊するため視床破壊術に分類されます。視床刺激術は、刺激電極を視床中間腹側核に留置し、胸部に留置したパルス発生装置から継続的に電気刺激を与える治療方法です。体内に機器を留置するため医療行為について制限を受けることとなり、また、機器を留置することに関連する合併症が報告されております。本品は侵襲的な穿頭を必要とせず、頭蓋外部から超音波を照射することにより視床の組織を加熱・壊死させることができる機器として開発が進められ本申請に至りました。

 提出された非臨床試験成績について説明いたします。審査報告書22ページの3)性能試験の妥当性を御覧ください。性能試験成績により照射位置決め精度などの一定程度の性能は確認しておりますが、治療ターゲットの体積の3mm×3mm×4mm程度と比較して、照射位置決め精度の誤差が2mm以内と大きいなど、非臨床試験成績をもって装置の性能のみで性能及び安全性を担保するには限界があることが示され、その本品の精度の限界を補うために照射位置決めを治療手順で規定する使用方法が示されました。

 下から3行目を御覧ください。照射位置決めはMR画像を用いて焦点位置を確認した後、神経核に影響を与えない低い照射エネルギーにて治療ターゲットを4045℃にし、MR画像にて焦点位置、形状を確認します。さらに神経を刺激する照射エネルギーにて治療ターゲットを4550℃にし、焦点形状の確認と患者の反応から焦点位置を確認します。

 この工程を経た後、治療照射により治療ターゲットを5160℃にし、組織を加熱・壊死させます。治療は患者が覚醒下で、医師などとコミュニケーションを取り、患者の神経学的反応を確認しつつ、治療効果を確認しながら行います。

 審査の結果、非臨床試験成績によって、性能及び安全性を担保するには限界がありますが、使用方法にて超音波照射の位置決め方法、治療効果の確認方法などを厳密に規定することで臨床使用上求められる性能及び安全性は担保できると判断しました。

 提出された臨床試験成績について説明いたします。概略は審査報告書の26ページから記載しております。薬剤難治性の本態性振戦患者を対象に行われた、前向き多施設共同Sham対照ランダム化二重盲検試験で、米国、カナダ、韓国の7施設で実施されました。審査報告書の31ページの表6を御覧ください。主要評価項目として振戦症状の評価指標であるCRSTを用いて、治療3か月後の時点において治療照射を行った視床が支配する四肢に対するCRSTのベースラインからの変化が、対照Sham群と比較して統計的に有意に差があることが設定され、Sham群に対する試験群の有意性が示されました。

 審査報告書の33ページの表8、9を御覧ください。安全性における評価項目は、治療日から1年間のフォローアップ期間における、本品による治療に関連する有害事象の発生率及び危害の重大さと定義されました。表9を御覧ください。重篤な有害事象2件のうち、1件が本品に関連のある有害事象として報告されました。この有害事象は、本治療の後に直ちに生じており、3か月後のフォローアップ時点で日常生活に影響する進行中の中程度の支障でした。そのほかの有害事象を含め既存の治療法の有害事象と比較して特異なものはなく、頻度としても高くない結果が示されました。

 次に審査における主な六つの論点について説明いたします。概略は審査報告書の52ページの5.総合評価から記載しております。一つ目の論点は、海外ピボタル臨床試験の本邦への外挿性についてです。特に頭蓋骨形状の解剖学的差異がある点について検討しました。頭蓋骨形状及び厚さについては人種に限らず個人差があり、その差を補正アルゴリズムで収差する設計がなされていることから、海外ピボタル臨床試験結果を外挿可能と判断しました。

 二つ目の論点は、本品の有効性についてです。海外ピボタル臨床試験では本態性振戦の患者を対象に実施され、治療実施1年後までの有効性を確認しておりますが、これを超えた長期成績についてはデータがありません。既存の視床破壊術に関しては、長期成績文献にて2年以上の有効性が確認されていることから、製造販売後の使用成績評価において既存の文献を基に少なくとも2年の症例追跡期間が必要であると判断しました。

 三つ目の論点は、本品の安全性についてです。海外ピボタル臨床試験では、超音波照射に伴う頭蓋内出血は生じておりませんが、本品は頭蓋内に超音波を照射するというコンセプトから、頭蓋内出血のリスクが生じる可能性を否定できるものではなく、製造販売後の使用成績評価において有害事象の重点調査項目として、頭蓋内出血が発生しないかを調査する必要があると判断しました。

 四つ目の論点は、本治療を導入することの医療現場への影響についてです。本品による治療は不可逆的ではありますが、穿頭の外科手術を必要とせず、本品が医療現場に導入されることにより、既存の外科治療との位置付けや希望する患者層に変化が生じる可能性が考えられます。したがって、治療適応の選択においては当該治療に精通した専門医師が、患者に対するリスクとベネフィットを勘案し、本品を適応すべきかどうか患者ごとに慎重に判断する必要があり、適応の判断及びトレーニングの必要性も鑑み、適正使用の観点から関連学会が策定した使用医師基準に関する承認条件を付すことが妥当と判断しました。

 五つ目の論点は、対象患者についてです。本品の対象患者は海外ピボタル臨床試験の対象患者である本態性振戦の患者に、パーキンソン病の振戦の患者を加えて申請されました。臨床評価報告書として、パーキンソン病の振戦を対象とした視床破壊術及びVim-DBSに関する10報の論文と、その考察が提出されましたが本品を用いてパーキンソン病の振戦の治療を実施した論文が現在は存在せず、現時点では十分な検証に足る情報がないことから、今回は適応に含めないこととしました。

 六つ目の論点は、本品の性能を踏まえた適正使用の推進についてです。治療に当たっては脳の構造及び機能、本態性振戦の治療について十分な知識及び経験がある医師が、十分な講習を受けた上で本品を使用することが重要だと考え、関連学会が策定した使用医師基準に関する承認条件を付すことが妥当と判断しました。

 以上の審査を踏まえて、総合機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。また、使用成績評価の対象として指定し、使用成績評価期間は5年とすることが妥当と判断しました。なお、薬事分科会へ報告を予定しております。総合機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○一色部会長代理 それでは、参考人の谷口先生から追加の御説明をお願いいたします。

○谷口参考人 一番重要な点は、この治療機器が行う事は、結局、破壊術であることです。本来破壊術とより侵襲度の低い可逆性のある治療法があれば、本来後者が優先されるのが普通です。これを踏まえて全国に今回のこの治療の対象となる患者さんがどのくらいいらっしゃるのかは是非知りたいところですが、あまりそれがわかる情報はありません。本態性振戦は何かをしようと思うとこのように(動作のまね)手が震えてしまって日常生活が阻害される疾患ですがこれは程度差があるわけで、軽いものは昔の中風みたいな手の震えから、本当に字も書けない、箸が使えず御飯も食べられないという人までいらっしゃるわけです。

 私どものやっている機能外科というジャンルでは、どこまでが治療の対象になるのかということを決めているのは、医者ではなくて患者である。どのぐらい自分が困っているのかということで、その治療を受けようかと決心する。脳に侵襲が加わる治療には誰しも抵抗がありますが、そのハードルを越えるかどうかは、患者さんご自身が自分の不自由を人生のどれ程大きな問題としてとらえているのかによって決まるということになる。

 そう言う事情を考慮すると、実はこの治療法のニーズがどのくらいあるのかを考えるのには意外に難しい要素があります。つまり、手が震える人は山のようにいるわけですが、たとえ同じ程度の震えがある人でも薬でなら治そうかと思う人、頭に穴を開けて電極を刺してでも治そうという人、今回の様な破壊的治療で脳みその一部を壊してでも治そうかという人まで様々になるわけです。

 これまで多くの患者は薬、つまり神経内科で治療を受けており、薬をもらってあまり良くならなくても、何となくそのまんまにしている方が、かなりの数いらっしゃると思います。役所で何か手帳をもらうわけでもないですし、それから全国の患者の総数を調査か何かやってどこかで把握しているわけでもないので、本当のところ本邦にどの程度の患者さんがいらっしゃるのかは実はよく分かっていない。少なくとも外科手術の一つであるDBSの側から見ると、年間、本態性振戦に対してやられているのは、学会がつかんでいるところで日本全国で約30程度です。恐らく、それに数倍する患者が内科で薬をもらっており、さらに、その数倍の患者が治療法が無いと思っているかあるいは、薬が効かないままそれ以上何もせずにその背景にはいると考えていいのだろうと思っております。

 もし、これを御認可いただけるとすると、先ほど説明がありましたように、これまでの外科治療とは違い、頭に穴を開けなくても、針も刺さなくても治療ができるというところが患者さんにとって一番大きいわけです。そうなってくると、例えば、この病気を抱えていて治したいと希望する全員がそこへ向けてワッと集まって来たと過程して、今行われている30よりはかなり多い患者がやって来るであろうと想像します。

 ただ、一方でみんながみんな従来の外科手術を離れてこの治療に集まるとも思っていません。電気凝固による破壊術にしろDBSと言われる電極を入れる手術にしろ、これまで手術中に脳の中で脳波をきちんと細かく1mm単位で測って、破壊とでもせいぜい作る病巣は1cmはない、たかだか6、7mmの火傷の様な傷を作るだけ、ましてやDBSでは、それすら作らないで電極を置くだけですから、いずれにせよ、それ程の侵襲の大きなものではない。また、破壊術やDBSでは、治療標的と言われる目標点を見付けるのにミクロン単位できちんと脳波を測って調べて入れていたものを、この治療法では代わりにMRで形を見て、この辺がいいだろうということでドンとやるわけですから、この違いを理由に、新しい治療法の方法論に同意できない人も出てきます。そうすると、結局、この治療法が始まったとしてこれまで手術に回った患者さんやそうで無い方々がこの治療に向けてワッと押し寄せたとしてもたかだか30ぐらいかややそれより多い患者が年間あるかという患者規模の治療の話であろうと思います。

 ただ、もう一つ考慮しておくべきポイントは、どのような新しい治療法でもそうですが、慢性疾患は今まで治療をしていなかった患者が相当数いるものですから、治療が始まると最初はワッと集まります。それが終わると、大体、新規発生分だけになってくる。私がDBSを始めたときもパーキンソン病がそうでした。最初は今やっている数よりも手術件数は数倍あったのですが、最近、定常状態へ入ると、大体その5分の1ぐらいになっています。そうすると、この疾患の治療も当面の施行件数がかなりあったとしても、その次にもっと下がってくる可能性が十分あるので、この意味での本当の実数と必要数は分からないと思います。

 ただ、いずれにしても、この治療法がその治療内容から考えて安全性においては過去のものとそう遜色のないということは十分想像できます。そして、これまでの外科手術には抵抗があったが、これによってはじめて治療を受けたいと思うようになる患者さんが出てくることを考えれば一つの選択肢として、これがあるということは決して悪いことではないと考えます。以上です。

○一色部会長代理 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御意見、御質問等をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

○齋藤委員 教えていただきたいのですが、例えば、こういう治療は症状の程度に応じて焼灼範囲というか破壊範囲を少なくするということではなくて、とにかく、その場所を全部破壊してしまおうという手術なのでしょうか。例えば、症状に応じて破壊する程度を変えるとかということがよく分からないということ。

 もう一つは、恐らくMRIを使って位置決めして、そこを破壊するということになると、ある程度ラーニングカーブみたいなものが正確に行うには必要になるのではないかと思うのですが、導入したときにどのような形でそういうことを教育するのかをお伺いしたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 一つ目の御質問ですが、本品は破壊術ではあるのですが、患者とずっとコミュニケーションを取りながら、振戦の症状が緩和していることをきちんと確認しながら行うので、焼灼の加熱壊死の大きさというよりは患者の症状が緩和されているということが治療の達成です。

○齋藤委員 では、同時に確認しながら破壊していく。

○医薬品医療機器総合機構 はい、そうです。常にMR画像と患者の症状の状態を確認しながら治療を行います。

○齋藤委員 ある程度の安全性は担保できるということでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、そう考えております。二つ目の御質問です。本品は使用方法をきちんと規定することで有効性と安全性を担保できる治療方法ですので、学会基準を策定してしっかりとしたトレーニングを実施した上で、決められた医師が実施できるという方法を取ろうと考えております。

○谷口参考人 その件について少し追加で発言いたします。破壊術ですが、破壊をするというと何かすごく大きなものを想像しておられると思いますが、振戦の治療のために作るものは小指の頭のようなものである。それで、的にさえ当たれば小さくて十分なのです。ですから、さじ加減は余り要らないわけで、何よりも、ともかく正確にそこにたどり着くことに尽きるわけです。作る病巣は症状が強いからと言ってそれにあわせて大きくある必要はないのです。先ほどの症状をみながら必要な破壊程度を決めるというのは、むしろきちんと破壊に必要なエネルギーが目的点に届いたかを確認するために必要と思っていただいた方が正確です。

 むしろ、この治療法では技術としてそこへきちんとたどり着けるということが重要です。例えば、DBSという手術があり、パーキンソン病にも使えば、こういうものにも使うとするのですが、なかでもこの治療法で狙う視床腹中間核という所は、それなりの技術レベルがなければできない、手術としては一番、うまい、下手が分かれやすい所である。一方では作るものは大きくなくていいので、そういう安全性について余り考慮する必要はなくて、ともかくしっかり的に当てる技術のほうが重要である。

 今回の治療法についてこれまでの外科手術と差があるとすれば、片方は大まかな位置をMRIなどで決めた後で脳の中の脳波などを直接測りながらやったけれども、片方はMRIでその位置を形の上から決めているだけで当てた。ただ、どちらにしても局麻でしていますので、目の前で患者の症状が治るところを確認しながらやっているわけですから、手術で十分効果がでないので、どんどん破壊してというトラブルは余り懸念する必要はないと考えております。

○一色部会長代理 ほかに何かありますか。

○中島委員 こういうイメージガイドのターゲット治療は、要するに非常に高精度放射線治療などを想定すると、位置を決めるということに関して、医者も見て放射線物理士も見てという、ある程度客観性が担保されて初めてゴーみたいなことを放射線治療ではやっております。これに関しては、非常に熟練の先生がここだと決めたら、もうそれでやっていくという形でよろしいのでしょうか、それとも何らかの第三者評価といいますか、その辺に関しては、どのように考えたらよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 現在、想定されている使用方法については、脳神経外科のトレーニングを受けた医師が、必ず治療に同席して位置を確認しながら照射していくことと決まっております。なので、第三者の方が立つということについては、現在のところ想定されていません。ただし、必ずトレーニングを受けて、その十分な知識と技術がある方が行うということに決まっております。そこについては、今、学会基準を作成中ですので具体的な人数については、まだ決まっておりませんが、今後、そういうことについても検討されていくものと考えております。

○谷口参考人 多少、補足いたします。やはり誰がやっても、ここで決めたと言ってただ超音波を打ち込んでそれで正しいということは絶対にあり得ないわけで、常に自分の的が正しいのかフィードバックが絶対必要なのです。この治療法の場合には脳の破壊を抑える程度の温度上昇の所で1回試し打ち、つまり、これは表現が悪いのですが、一度半殺しにしておいて見て、効果がみられ、かつ副作用が大丈夫ならば本気でやるわけで、これは

DBSもそうですし、これまでの針を刺して、そこを焼いて作る破壊術も、みんなそうです。壊す前に、まだ逃げ帰れる状態で1回試してみて大丈夫ならそこを焼くというステップを踏みます。実現方法は違いますが、この機械も全く同じことをやります。それによって安全性を担保するということです。

○荒井部会長 質問はしてもいいと思いますので、ちょっと教えてください。MRの装置自体は申請に含まれていないということですが、MR自体は、例えばこれを購入する場合に特定の機種でなくてはいけないといった制限があるのか、あるいは、ある程度の性能以上のMRだったら良いのか、そこのところはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書を御覧ください。添付資料の少し前の所にあります。5/8ページ目の右側に、現在、本品と併用できるMR装置について記載があります。現在はMRの画像を見ながら本品は治療するものですので、併せた形で評価したものでしか併用使用することができないとなっており、今はGE社の5機種のみ使えることになっています。

○医療機器審査管理課長 今の説明ですが、一緒に使ってちゃんと使えたというデータがあるのはこれだけなので、使えないかどうかというのはまた別の問題ではないですか。そういうことが確認されたことで推奨するということではあるけれども、現場で確認ができればいいということではないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 本品の患者テーブルがGE社のMR装置としか接続できないので、GE社のMR装置としか使えません。

○荒井部会長 伺いたかったのは、これを購入したとして、もしそこの施設がGE社のMRを持っていなかったら、GE社のMRも一緒に買わないと駄目ということですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい、そのとおりです。

○一色部会長代理 ほかに、いかがでしょうか。

○千葉委員 2、3、質問がありますけれども、超音波ビームの通っていく深さは、普通の一般的な成人男子として最終的にはどのぐらいの深さの所になるものなのか。その途中には幾つか音響インピーダンスの違う組織が層状に重なっているかと思いますが、ビームの通路の上で何か合併症と言いますか、例えば熱が上がり過ぎるとか、そういったことに基づく副作用と思われるものがあったのかどうか。それが2点目です。最初は深さです。2点目は、そういう途中通過経路の上での何か問題点がなかったのかどうか。

 3番目には、通常、この治療以外の方法で針を刺すとか電気とか、今、いろいろおっしゃっておられましたけれども、それと比べてのこの超音波治療の有害事象の頻度というのは、正確な統計がどこまであるか分かりませんけれども、どのように違うのか、違わないのか、その辺の感覚を教えていただきたいと思います。

 

○谷口参考人 恐らく、ターゲットまでの表面からの距離を言っておられるのだと思います。10cm以下です。表面から10cm以下、大体、7~8cmぐらいの深さ、だから、表面のどこから行っても同じような距離です。7~8cmぐらいの深さにあります。

○千葉委員 途中の経路と言いますか。

○谷口参考人 通り道については、おっしゃるとおりいろいろな所で構造が多少ずつ違ってくるはずですが、結局、目標としているのは複数のビームの最後に辿り着く点ですので、その途中の1個1個はそれほど組織破壊性の強いようなビームは通って行きませんので、少なくとも理屈上は、そこの所で有害事象は発生しないはずであると。少なくとも初期の試験のレベルではそういうトラブルは発生していないということです。最後に作った病巣の安全性ということが最後の御質問だったかと思いますが、さっきから申しましたのは、DBSは電線を突っ込んでそこへ電気を流して治療効果を得る。従来の破壊術は、やけどを作って治療効果を出す。そして、今回の集束超音波によってできたものも、事実上はやけどなんだとは思われますけれども、エネルギーが集束した所で発熱させて病巣で効果を出す。過去に実際には、これ以外にガンマナイフという放射線を当てて効果を出す。この四つがあったわけです。確かにちょっとずつ違います。

 安全性について電気を流す治療法は、刺したときの出血は仕方ないですが、それを別にすれば、入ってしまったものはかえって調節性があって、治療効果が落ちればもう少し電気を強くするとか、もう少し刺激の位置を動かすとかいろいろできるわけです。そういうメリットがありますが、有害なほうは異物が入っている以上のものはないし、少なくとも20年、何もトラブルは起こしてこなかった。電気では破壊巣を作る治療法は最初の破壊巣を作る瞬間が一番怖いですが、むしろそこから後は生焼けの部分が復活して戻ってきますから、病巣は時間とともに縮むことはあっても悪くなるほうにいくことはないし、これも50年間、そういうトラブルは起こしてこなかった。

 ガンマナイフは、若干問題がありまして、放射線の場合にはむしろ血管に効いてきますので、むしろ広がっていくという現象が実際に確認できたし、そのためにいつの間にか時代の中で廃れて消えていった。今回出てきたものはどうなるか分かりませんが、一応、温度による破壊病巣であるということを考えれば理屈は大丈夫だろうと思っていますが、もちろん、そこのところはある程度の未体験ゾーンに入るのは間違いないと思います。

○千葉委員 集束超音波の利点の一つは、少なく治療して、それを繰り返し治療できることもあり得るのではないかと思っていますけれども、その場合、治療間隔、焼いた所の浮腫とかいろいろなことが起きて、それをどう評価して臨床症状と合わせながら、どれぐらいのインターバルが追加治療の時間的な間隔になるか。そういうガイドラインというのはあるのでしょうか。

○谷口参考人 恐らく、治療のやり直しのガイドラインというのは誰も作っていないと思いますが、少なくとも理屈の上で、また手術効果を確認する画像検証の信頼性の上でも実際の実体験の上から考えても、最初の数箇月見て駄目なら次の手を考えるという程度のスタンスでいいというふうに凝固の場合は考えています。従来の凝固破壊術を今回の治療法が作る病巣が全く等価のものであるかどうかという証拠はどこにもありませんので、どこか一定の基準は作るべきだろうとは思います。ただ、現実問題として、この病気を放っておいたら1分1秒が危ないという病気ではありませんし、前より軽くなると、これでいいやという方も結構いらっしゃるので、そういう意味の患者さん御自身の評価という時期まで考えれば、恐らく3か月や半年、場合によっては1年空けてもそれほど問題ないので、そこで次から次へ1発打って駄目だから、じゃ、来週もやろうかという話にはならないとは思いますが、そこは多少の安全弁を掛けておいたほうがいいかもしれません。

○千葉委員 分かりました。

○医療機器審査第二部長 補足で御説明してもよろしいですか。千葉先生がおっしゃった超音波が、頭蓋を通して脳のターゲットの通過する所でいろいろな障害があるだろうということで、それで有害事象が起こるのではないかというお話があったと思います。確かにそのとおりで、障害というか熱を持ちそうなのが審査報告書18ページにありますが、頭蓋骨が一番熱を持つだろうと考えられています。それで、実際に本品については動物を用いて、どのぐらい頭蓋骨が熱くなるかという評価をしていますし、また実際の臨床においても頭蓋の周りを冷却するような装置を使い、頭蓋を冷却しながら照射するということで基本的には安全性を担保しているものになっています。

○千葉委員 直接に超音波は水の中を通りますから、当てるときは、これは少し水を頭蓋の表面に置くのではないですか。

○医療機器審査第二部長 そうですね。

○千葉委員 その水は冷却効果を期待はできない。

○医療機器審査第二部長 冷却効果も期待しています。

○千葉委員 分かりました。

○一色部会長代理 ほかに、いかがでしょうか。

○中島委員 本件そのものからはちょっと外れるかもしれませんが、集束超音波の治療器という全体を考えてみると、もちろんGE社もやっていますし、フィリップスとか幾つかのメーカーが入って、ソフトウェアとしてはインサイテックがこの治療に対してはやられているわけです。いろいろな領域で集束超音波治療器というものがあると思いますが、どうなのでしょうか。厚労省的にはこれは第1弾として、今後、いろいろな領域の治療、悪性腫瘍も含めてですけれども、そういうところも少し視野に入っていると考えていいのでしょうか。そんなことを聞いてはいけないのかもしれませんが、ちょっと教えていただきたいのです。

○医療機器審査管理課長 私どもは、いわゆる研究振興の部局ではありませんので、基本的には企業の方が申請したいというものを受ける立場です。ただ、私の理解では、超音波のこういうものを国としても支援していこうとか、振興していこうという文書が出ているということはないと思っています。ただ、いろいろな部分で当然、いろいろな治療効果が出てきたときにAMEDもありますので、いろいろな支援をするということはあろうかと思いますが、こういう機械について特にやろうということまでは、文書が出ているものはないのではないかと思っています。

○医薬品医療機器総合機構 補足ですけれども、集束超音波の治療器としましては、これはExAblate4000ですけれども、2000というものがもう既に承認されていて、子宮筋腫と骨の疼痛緩和についてはもう既に承認されているところです。さらに前立腺肥大症として他社の集束超音波治療器もあるかと思います。

○一色部会長代理 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、ほかに御意見、御質問はないようですので議決を行いたいと思います。医療機器「MRガイド下集束超音波治療器ExAblate4000」については、本部会として高度管理医療機器に指定して承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。また、使用成績評価の対象に期間を5年として指定することとし、特定保守管理医療機器へ指定することとしてよろしいでしょうか。異議ないと判断させていただきます。御異議がないようですのでそのように議決させていただきます。この審議結果につきましては、次の薬事分科会において報告することといたします。これで議題1を終了いたします。谷口先生、ありがとうございました。また、次の議題からは通常どおり荒井部会長に議事の進行をお任せしたいと思います。よろしくお願いします。

                                ( 谷口参考人退室)

○荒井部会長 よろしくお願いいたします。引き続きまして、議題2に入らせていただきます。医療機器「ロングパルスアレキサンドライトレーザー GentleLase Pro」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、審議を始めさせていただきます。本議題につきましては、参考人として、東海大学医学部外科学系形成外科学の准教授であられる、河野太郎先生にお越しいただきました。よろしくお願いいたします。まず事務局のほうから御説明をお願いいたします。

○事務局 資料2を御覧ください。1枚目が諮問書です。販売名は、諮問書の記載では「脱毛用アレキサンドライトレーザー」とありますけれども、「ロングパルスアレキサンドライトレーザー」に変更されており、また関連して使用目的も変更されています。詳しくは後ほど機構から御説明申し上げます。

 本議題では、医療機器「ロングパルスアレキサンドライトレーザー GentleLase Pro」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いいたします。審議品目及び審査の概要につきまして機構担当者より、よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、ロングパルスアレキサンドライトレーザー GentleLase Proについて、機構より御説明いたします。本審査に当たり、当日配付資料3に記載しております4名の専門委員に御意見を頂きました。また、事前に配付しました審査報告書に修正がございます。当日配付資料4の新旧対照表に示しています。販売名及び使用目的を変更する内容ですが、直前の修正となったことをお詫び申し上げます。

 はじめに、品目の概要について御説明いたします。審査報告書4ページを御覧ください。本品は、レーザの選択的熱作用による長期的な減毛を使用目的としたアレキサンドライトレーザです。審査報告書4ページの図2に示しておりますが、本品にはレーザ照射時の皮膚の損傷を軽減するため、ダイナミッククーリングデバイスという冷却剤を放出する装置が備わっております。

 次に、本品の開発の経緯について御説明いたします。審査報告書6ページを御覧ください。海外においては減毛を適応としたYAGレーザが21年前に米国FDAにて承認されております。本品の前世代品に当たるアレキサンドライトレーザに関しましては、16年前に長期的又は永久的な減毛の適応をFDAで取得しております。その後、改良を重ねた製品として本品が開発されました。

 次に、非臨床試験成績についてですが、こちらは審査の結果、特段の問題はありませんでしたので細かい説明は省略させていただきます。

 次に、臨床試験成績について御説明いたします。審査報告書13ページを御覧ください。審査報告書13ページのヘ.以降に臨床試験成績の概要を示しています。本品の臨床試験成績に関する資料といたしましては、アレキサンドライトレーザに関する臨床評価報告書が提出されました。こちらの報告書の具体的な内容は主に二つありまして、一つ目は、米国にて前世代品が長期的な減毛の適応を取得するに際し、FDAに提出された臨床試験成績、これを米国IDE試験と略します。もう一つは、海外におけるアレキサンドライトレーザに関する文献調査結果から構成される臨床試験成績です。文献調査結果に関しましては、申請者が行ったシステマティックレビューによって抽出された文献でしたが、他社のアレキサンドライトレーザも含まれていました。総合機構としては、他社製品との製品の同等性を説明することは困難と判断し、本品の前世代品の文献に限定して評価を行うように申請者に指示をしました。

 また、審査報告書48ページを御覧ください。審査報告書48ページの下段に選択基準と書いていますが、総合機構では更に信頼性の高い文献を抽出するため、こちらに記載している選択基準及び49ページに記載している除外基準を全て満たす文献のみを選択し、米国のIDE試験とともに有効性及び安全性の評価を行いました。有効性としては減毛率が評価されました。減毛率は、レーザ照射前の毛の数に対する減少した毛の数として定義しています。

 有効性評価の結果に関しては、審査報告書49ページの図11を御覧ください。49ページの図11に記載していますとおり、有効性評価の結果、平均減毛率は3643.7%と示されました。

 次に、安全性についてですが、安全性は有害事象の発現率が評価されました。審査報告書35ページの表16を御覧ください。表16に記載している内容は米国のIDE試験にて発現した有害事象になります。最も一般的な有害事象はレーザ照射中の重度の疼痛でしたが、こちらはあくまでも照射中にのみ発現し、照射後にはすぐに消失しました。

 次に、審査報告書52ページの表25を御覧ください。表25には文献報告から抽出した有害事象の発現率を示しています。表25を見ると最も高頻度で発現した有害事象は紅斑・発赤でしたが、これらは一過性の事象であることが既知の内容でした。

 次に、本品の審査における主な論点について御説明いたします。審査報告書58ページを御覧ください。一つ目の論点は本品を承認する意義についてです。本邦では、医師の判断の下、個人輸入した製品によって脱毛を目的としたレーザ治療が行われていますが、承認された医療機器は現時点においてありません。本品はレーザ光を照射するため、適切に使用されない場合、永続的な合併症という健康被害が発現するリスクを有しています。そのため消費者及び国民の健康を守るという観点から、有効性及び安全性が確認された製品が本邦で使用されることが適切であると考えています。以上を踏まえると、本品を医療機器として承認する意義はあると判断しております。

 二つ目の論点としては、海外文献及び米国IDE試験によって評価をすることの妥当性についてです。減毛用のレーザは海外及び本邦を含めて広く使用されている実態があるため、本品の有効性及び安全性を評価可能な一定の基準を満たしている文献を収集することができれば、米国IDE試験とともに本品の臨床評価を行うことは可能と判断しております。また、海外の臨床成績を外挿するという点については、有効性については毛の色、安全性については肌の色を考慮することで、日本人に外挿可能と判断しました。そのため海外文献及び米国IDE試験によって本品の評価を行うことは妥当と判断いたしました。

 三つ目の論点は、前世代品による評価の妥当性についてです。臨床評価報告書は本品の前世代品の臨床成績から構成されております。本品と前世代品には差分がありますけれども、非臨床試験の結果等によって臨床的には同等の結果が得られることが示されております。そのため前世代品の臨床成績を本品に外挿することに問題はないと判断いたしました。

 四つ目の論点といたしましては、本品の有効性及び使用目的についてです。有効性評価の結果、治療を繰り返すことで確実な減毛効果が得られることが示されました。使用目的及び販売名については、申請時には脱毛という表現が記載されておりました。日常的には脱毛という表現が用いられておりますが、これは毛1本に対して着目した場合の表現であり、臨床的には、一定の面積当たりに存在する複数の毛が減るという減毛効果を評価しております。より適切な販売名及び使用目的にするよう申請者に再度、検討を求めたところ、当日配付資料4のとおり修正されました。本品の使用目的も過度な効果を期待させない表現に変更されたため、本品の有効性及び使用目的に問題はないと判断いたしました。

 五つ目の論点は本品の安全性についてです。安全性評価の結果、本品に想定される有害事象に重篤かつ永続的なものはなく、基本的に一過性の事象であり、美容目的の機器として許容可能であると判断しました。以上を踏まえ、本品の安全性に問題はないと判断しております。

 最後に六つ目の論点です。六つ目の論点は使用成績調査についてです。海外及び本邦での減毛用レーザの使用実態は公知として認められる範囲であり、これから前向きに臨床成績を収集したとしても、臨床評価報告書以上の新たな知見が得られる可能性は低いと判断し、使用成績評価の指定は不要と判断いたしました。一方で、本品が製造販売承認された場合に懸念されることは、レーザの基礎知識や生体反応の原理を十分に理解していない医師が安易に本品を使用してしまうことです。そのため一定の知識を得た医師のみが本品を使用するように、審査報告書61ページ目に記載しております承認条件を付した上で承認することが妥当と判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、記載の使用目的及び承認条件により、総合機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。また、使用成績評価の指定は不要と判断しました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 それでは、まず参考人の河野先生から何か追加の御説明がございますか。

○河野参考人 もともと脱毛に関しましては、レーザの前は針脱毛が主流でした。針脱毛に関しては感染、バイオハザードの問題、瘢痕の問題、時間がかかる、費用がかかる等々の問題がありました。レーザ脱毛が始まるようになりまして有効性が上がってきたのですが、我々東洋人に関しては肌の色が黒いことから、合併症の色素沈着、瘢痕形成の問題がありました。しかし、皮膚冷却が開発され、その皮膚冷却と組み合わせた脱毛治療によって安全性が担保されたまま有効性がある状況になっています。それにより安全性だけでなく、時間的な問題、価格の問題等も改善されていますが、エステ業界等々で有効性が不明な機器が本邦にたくさん入っておりまして、有効性が低いところを無理に治療することによって合併症が多いという問題があると思います。エビデンスが高い機器を正しく評価することによって、より良い脱毛が行われるものと考えております。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の方々から御意見、御質問等、いかがでしょうか。

○鈴木委員 懸念されることとしては、先ほどお話がありましたけれども、エステサロンみたいな所で使われるのではないかと思ったのですが、医療機器ですからそれは認められないということですね。

○河野参考人 そうですね。ここで承認されれば。

○医療機器審査管理課長 一応、そこは医政局に確認いたしまして、いわゆるレーザを使って脱毛する行為は医行為に該当するということです。エステのものをどう見るかというのは、どれぐらい取り締まるかという問題だとは思いますけれども、そういうような見解は頂いています。ですから、これは医師しかできない行為だというふうに医政局は聞いているというところです。

○鈴木委員 エステサロンで医師がいても駄目だということですね。医療機関でなければ駄目だということですね。

○医療機器審査管理課長 それも医政局の話になると思いますが、一応、診療所の届け出をしていなければいけないかどうかということになりますね。そこは在宅医療などもありますので、医師法、医療法でどういう扱いに実際になるのかというのは、今、存じ上げておりませんが、少なくとも医師がやらなければいけない。そうでなければ医行為に該当して医師法違反が成立するということで聞いてはいます。そのような見解を頂いています。

○鈴木委員 エステサロンで医師がいた場合はどうなのかを確認したいと思います。

○医療機器審査管理課長 それは別途、聞いておきます。場所の問題は確認させていただきます。

○荒井部会長 そのほか、ご質問、ご意見は如何でしょうか。

○齋藤委員 前世代品の使用実績の中で抽出した文献がありますね。これを見ますと副作用の発生率が全く違いますね。0から100%の文献もあるし、これはどういうふうに理解したらいいのでしょうか。これは使い方によっては結構危険な機器になるという認識をするべきなのか、あるいは適切に使えば安全性の高い機器であるという認識を持っていいのかどうか、その辺についてはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおり、こちらはレーザ光線を照射する装置ですので、間違った使い方をすれば重篤な合併症、具体的には熱傷といった永続的な合併症が発現するリスクを有しています。本品の審査においては、日本に導入する上で適切なパラメータは何かという部分を審査しています。具体的には添付文書案というタブが付いている以降に添付文書案を掲載していますが、2/4ページ目の右下以降に本品の推奨治療パラメータが記載されています。これらのパラメータに関しては、本品ではないのですが、前世代品の臨床文献や、米国のIDE試験といった部分で使われているパラメータと比較して、日本で使用する上で安全であることを確認しています。これに則って原則的には治療を行ってもらいますので、それに従う部分においては安全性は担保できると考えています。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。そのほか御意見はございますか。

○寺崎委員 保護メガネについてお伺いします。添付文書案の41ページに、重大な有害事象、その他の有害事象の所の網膜損傷というのは、どのような状況の時に起こるのでしょうか。直接除いて起こる以外に、間接的に一過性の視力障害とか、長期的な暗転、羞明感というのが起こることがあるのでしょうか。

○河野参考人 私から回答させていただきます。レーザにおける眼障害は、99%以上はメンテナンスをする技師が直接見ることによって起こるものです。レーザを設置する場所が、先ほどエステのほうではどうかという話がありましたけれども、レーザはクラス4に入りますので、本レーザ機器を導入する場合は、レーザを置ける環境が必要になってまいります。具体的に言えば、ガラスがある所は駄目です、反射物があるのも駄目です。全ての物が反射物がない状況で治療する側、治療を受ける側、介助する側全員が保護メガネを掛ける。また、その保護メガネのほうもOD値というレーザを遮断する閾値があるのですけれども、そのクラスが幾つ以上というのをクリアした保護メガネを掛けて行います。

○寺崎委員 一つの器械にメガネが幾つ付いているのですか。それは、注文すれば人数分だけ付いてくるのですか。

○河野参考人 そうです。

○寺崎委員 そのメガネの色が濃いと、始める前にどうしても掛けない人がいると思うのです。逆に薄ければ掛けたまま、いろいろセッティングをしたりするわけです。色が濃いと見えにくくなり、このようなことになるかと思うのですけれども、その辺はいかがですか。

○河野参考人 おっしゃるとおりです。治療を受ける方は非常に暗いグラスか、若しくは金属かシリコンの全く見えないもので保護します。治療する側は少し高いグラスになります。明るいけれども、レーザの透過率は低いサングラスがあります。

○寺崎委員 分かりました。

○荒井部会長 その他にはよろしいですか。

○千葉委員 これは、クラスIV扱いですよね。

○医薬品医療機器総合機構 先ほど河野先生から御説明いただいたクラスというのは、レーザにおけるクラス分類においてはIVということです。医療機器においてはクラスIIIの分類になります。

○千葉委員 クラスIIIの装置で、使用成績評価の指定は不要であるという、そこのところはどのような考察で決定されたのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 本申請に添付されている臨床試験成績というのは、あくまでも海外で実施した臨床試験成績と、海外で報告されている臨床文献になります。おっしゃるとおり、そこに日本で実施した試験成績は含まれておりませんけれども、我々は審査の中で、安全性という部分においては、スキンタイプというものを考慮しました。スキンタイプというのは、皮膚外科領域においては、Fitzpatrick分類でIからVIに分類します。これは、紫外線を当てたときの皮膚の反応によって分類されているものです。確かに今回の臨床成績に含まれる人種は日本人ではなく欧米人ですけれども、その中に日本人に相当するスキンタイプの症例も含まれております。

 機構において、企業から提出された文献をレビューした際に、あくまでも一般的な日本人に相当するスキンタイプの症例のみを抽出して、文献の有効性及び安全性を評価しました。そのため、新たに日本で臨床成績を収集しなくても、そのスキンタイプという点を考慮していれば、同様の安全性の情報は得られると考え、今回は使用成績評価は不要と判断しております。

○荒井部会長 クラスIIIだけれども、海外の文献が十分に日本人に外挿性があって、そのデータに追加して、わざわざ日本でこれからデータを収集する必要はないという判断ということですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○荒井部会長 千葉先生、そういう御理解でよろしいですか。

○千葉委員 はい。

○荒井部会長 これは、必ずしも今後この方針でいくという話ではなく、その機器の特性、あるいは有害事象の程度などを勘案しながら個別に判断する必要があるけれども、このものについては、そういう判断がなされたということです。

○医療機器審査管理課長 補足しますと、これはこれまでもこの部会で大変議論がありました。市販前に本当に治験が要るのかという問題と、市販後も余り過度に重くするのもどうかという御意見がありました。今回の場合は軽すぎるのではないかという御指摘だと思います。この医療機器は、日本での承認は非常に遅いですが、海外ではすでに非常に使われております。そのためかなりの情報が入ってきていて、どういう新しい情報を取り得るのか、ある得るのかということを考えると、今回使用成績評価をかける必要性はないのではないかということが一番です。

 海外でも、非常に短期間しか使われていないというようなことであればあれですが、これはかなりの期間使われていて、症例もかなりあって、文献もすごくあります。そういう状況も考えると、使用成績評価をかけるまでもないのではないかというのが、機構の判断だと理解しています。

○荒井部会長 その他にはいかがですか。よろしければ議決に入ります。医療機器ロングパルスアレキサンドライトレーザーについて、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品並びに特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。また、使用成績評価の対象に指定しないということでよろしいでしょうか。御異議はないようですので、このように議決させていただきます。この審議結果については、次の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題2を終了します。河野先生、どうもありがとうございました。

                               ( 河野参考人退席)

○荒井部会長 引き続き議題3、医療機器Extracorporeal Photopheresis Systemの希少疾病用医療機器としての指定の可否について審議を始めます。まず、事務局より説明をお願いします。

○事務局 資料3を用いて御説明いたします。希少疾病用医療機器該当性事前評価報告書、緑色のタブをお開きください。名称はExtracorporeal Photopheresis Systemで、予定される使用目的又は効果はステロイド抵抗性又は不耐容の慢性移植片対宿主病(GVHD)に対する体外フォトフェレーシス(ECP)治療として用いるものです。

 指定基準である対象患者数については、2ページの一つ目の段落の中頃を御覧ください。慢性GVHDの発症者数は、最大1万9,193人と推計されました。本品の対象となるステロイド抵抗性等の慢性GVHDの発症者数は更に限定されるものと考えられます。そのため、5万人未満であり、指定基準を満たすと判断しております。

 医療上の必要性については2.を御覧ください。慢性GVHDのステロイド抵抗性を示した患者さんに対する二次治療は、現在確立されておらず、有効な治療法の確立が今望まれている状況にあります。本品は、体外フォトフェレーシス治療により、過剰となった免疫反応を調整すると考えられていて、二次治療として期待されている状況にあります。そのため医療上の必要性があり、指定基準を満たすと判断しております。

 開発の可能性については3.を御覧ください。本邦において行われた臨床試験において、有効性が12例中8例において認められており、発現した有害事象に対する本品との因果関係は極めて低いことが示されております。また、海外においても本品の前世代品を用いたECP治療の研究がなされており、本邦で行われた臨床試験と同様の傾向が認められている状況にあります。開発可能性についても指定基準を満たすと考えております。

 以上のことから、本品は希少疾病用医療機器の指定基準を満たすものと判断しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 大変希少な病態であるかと思います。幹細胞移植後の慢性のGVHDの、なおかつステロイド抵抗性、あるいは不耐容の疾患に対する本品ですけれども、委員の方々から御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見、御質問等はありませんので、議題3について議決に入ります。医療機器Extracorporeal Photopheresis Systemについて、本部会として希少疾病用医療機器に指定することとしてよろしいでしょうか。御異議はないようですので、このように議決させていただきます。この審議結果については、次の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題3を終了いたします。議題4に入ります。医療機器NovoTTF-100Aシステムの使用成績評価の指定の要否について審議を始めます。まず事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題4、医療機器NovoTTF-100Aシステムの使用成績評価の指定について御説明いたします。資料4の表紙のページが諮問書になります。2枚目の表の1ページが、今回御審議いただく品目の概要を示したものです。申請者はNovoCure Ltd.です。

 1ページ中ほどの品目の概要欄を御覧ください。写真をお示ししておりますけれども、本品は非侵襲的に脳内に交流電場を形成する医療機器です。膠芽腫、いわゆるGBMの治療に使用します。

 1ページの下の、本申請の概要欄を御覧ください。本品は外科手術及び放射線療法を実施後、GBMが増悪した患者を適応として、平成27年3月に承認されております。この度、外科手術及び放射線療法を実施後、GBMの増悪の有無にかかわらず適応にするために、承認事項一部変更承認申請がなされました。

 2ページを御覧ください。本申請に際し、上段に示しております臨床試験の成績が提出されました。こちらの試験成績に関して審査した結果、中段の表に示しておりますけれども、使用目的又は効果をこの申請において変更することは妥当と判断いたしました。

 2ページの下段で、本品は初回承認の際に、本邦における使用成績を確認するために提出された海外臨床試験と同じ評価項目を評価する必要があると判断され、調査期間3年の使用成績評価が必要と判断されております。

 3ページを御覧ください。本申請は、適応追加の一変ではあるのですけれども、初回承認時と追加適応の評価項目は共通と考えられるため、初回承認時と同様の考え方に基づいて、今回提出された臨床試験と同様の評価項目を評価する使用成績評価を求めたいと考えております。なお調査期間については、症例登録期間1年、フォローアップ期間2年、販売準備期間と解析期間を合わせて0.5年、合計3.5年間の使用成績評価を求めることが必要と考えております。

 以上の内容について御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 これも極めて難治な疾患で、テント上の膠芽腫について、前回は再発に対して承認を受けているわけですが、今回はそれを外して、初発も含めてということです。基本的には前回と同じような条件が付けられているということです。委員の先生方から御意見、御質問はありますか。よろしいでしょうか。特に御意見がありませんでしたら議決に入ります。医療機器NovoTTF-100Aシステムについて、本部会として、使用成績評価の対象に指定することとしてよろしいでしょうか。御異議はないようですので、このように議決させていただきます。この審議結果については、次の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題4を終了いたします。ここまでが、1人でも欠けてしまうと議決ができない案件でしたので、委員の先生方の御協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。引き続き議題5、医療機器の再審査結果についての報告を事務局からお願いします。

○事務局 議題5、医療機器の再審査結果について御報告いたします。資料5-1及び資料5-2を御用意ください。再審査は、改正前の薬事法第14条の4に基づいて、原則新しい医療機器について再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査資料に基づいて有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。今回、再審査結果の報告が2件ありますので、順に御説明いたします。

 資料5-1を御覧ください。1件目はガードワイヤ・プロテクションシステムです。申請者は、日本メドトロニック株式会社です。本品は頸動脈ステントの留置を行う際に、血栓などの塞栓物質が末梢血管に飛んでしまわないように、あらかじめ末梢側にバルーンを拡張しておいて、そのバルーンで捕捉した物質を除去するために使用される医療機器です。本品は平成22年7月6日に承認されました。本品の使用実態下における不具合発現状況、安全性、有効性等を確認することを目的として、70例が評価対象となりました。それぞれの有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでしたので、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当しないこと、すなわち再審査結果の区分を効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。

 資料5-2を御覧ください。2件目は、1ページの真ん中に記載されている品目全てをまとめて報告したものになります。販売名エヴィア-TシリーズProほか合計23品目についてまとめたものです。申請者はバイオトロニックジャパン株式会社です。これらの製品についてはペースメーカ、除細動器等の植込み型デバイス及びこれらと併用するリードとなっております。これらの製品は全て一定の条件下において、MRI検査を行うことのできる製品で、平成25年2月19日に最初の製品群が承認され、その後続々と承認されたものになります。個別の品目の承認年月日については別紙2にまとめておりますので、別途御参照いただければと思います。

 この使用成績調査なのですけれども、対象となる製品が植え込まれた患者が、MRI検査を実施した際の不具合、有害事象の発現率を調査し、その安全性を確認することを目的として、177例が評価対象となっております。これらの製品群に関しては、複数の一般的名称の機器が含まれているのですけれども、MRI検査を実施した際の評価項目は共通であること等から、この23品目まとめて評価することは可能であると判断しております。本使用成績調査において、それぞれの安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでしたので、こちらの品目群に関しても再審査の結果の区分を効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。

 以上の報告については、事前に委員の先生方に資料をお送りさせていただいておりますので、簡単な説明とさせていただきました。以上御報告いたします。

○荒井部会長 委員の皆様から御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見はありませんでしたら、これで議題5を終了いたします。引き続き議題6、一般用黄体形成ホルモンキットの承認についてに移ります。事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題6、一般用黄体形成ホルモンキットの承認について、資料6-1のスライドの資料、資料6-2の製品写真のある資料で御説明いたします。資料6-1を御覧ください。上段にあるように、これまで体外診断用医薬品のOTC化に関する考え方について、本部会で検討をしていただきました。その考え方に従い、黄体形成ホルモンキットについて、平成2711月、平成28年1月の議論を踏まえ、本年2月に承認に関するガイドラインを作成させていただきました。今般、このガイドラインに従って個別の製品が申請され、1枚目の真ん中にあるような製品について承認されましたので御報告いたします。製品の詳細は後で御説明いたします。まず、周辺状況について簡単に御説明いたします。

 当品目については、今年8月の安全対策部会において、第1類医薬品として販売することとしております。またガイドラインの検討の際に、当該製品の適正使用について委員の方々から御指摘を頂いたことを踏まえ、1枚目の上段下にあるような承認条件として、使用実態の調査の実施及びその結果を踏まえた適正使用の措置ということを条件として課した形で承認させていただいております。

 2枚目上段を御確認ください。今御説明させていただいた調査の内容、承認条件とさせていただいた適正使用調査の内容です。1月の本部会や、その後の安全対策部会等々で御説明させていただきましたとおり、使用者に使っていただくための自己のチェックシート、更に購入者へのアンケート、更に薬局へのアンケートということをここに示させていただいている内容で実施するとともに、その結果については定期的に部会で報告させていただいて、適正使用が図られることをフォローしていきたいと考えております。

 右側のページで、承認された製品についてどのような評価項目で評価して承認させていただいたかを簡単にまとめております。大きく主な評価内容として二つあります。一つは上段にある既存の医療用の黄体形成ホルモンキットと比べた際に、陽性・陰性の結果が高い一致率をもって性能が担保されていること。その下で、サンプルとして7種類の濃度の試験用の尿検体を用いて性能試験を行った結果、適切な性能を有すること。このようなことを評価し、個別の製品について承認させていただいたものです。具体的な製品については資料6-2を御確認ください。

 今回承認させていただきました製品は、3社4製品です。1ページと2ページに株式会社ミズホメディー様からのものが2製品、3ページにロート製薬株式会社様のものが1製品、一番後ろのページに株式会社アラクス様から1製品となっております。1枚目に戻って、全ての製品について、4、使用目的である尿中の黄体形成ホルモンの検出(排卵日予測の補助)という文言、更に測定方法、仕様の設定(検出感度)について、従前のガイドラインの範囲内ということで、適切にガイドラインに従ったOTC検査用医薬品として審査をして、承認して差し支えないものとして承認させていただきました。各々の商品名については全て1115日付けで承認させていただいたことを御報告いたします。報告は以上です。

○荒井部会長 この部会で議論をした品目です。ただ今の報告について御意見、御質問等はありますか。

○鈴木委員 1番目と2番目は製造販売会社が一緒のようですけれども、どこが違うのか。写真の見た目も似ている感じがするのですが、そこを教えてください。

○事務局 物として似ているものですが、二つ大きな違いがあります。一つは製造販売業者ではなく、販売の卸を行う企業が、ルートとして違うことを想定しているので2品目を分けたと聞いております。1枚目のミズホメディー様のハイテスターH、P-チェック・LH3ラインについては、測定の検査の線が、他の品目の2ライン出るものに比べて、こちらは3ラインということで、より詳細な結果が出る製品ということで、品目に差を付けて製品開発をしたと聞いております。性能としてはガイドラインの範囲内で同じ目的のものということで承認をさせていただきました。

○荒井部会長 よろしいですか。

○鈴木委員 線が2本か3本かということですね。

○荒井部会長 2本と3本との違いに、どのぐらい意味があるのかは分かりませんね。その他に御質問、御意見はありませんか。ありがとうございます。特に委員の皆様からの御意見はこれ以上ないようです。これは報告ですので議題6を終了させていただきます。議題7の部会報告品目に進みます。事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題7を、資料7に沿って御説明いたします。平成28年7月から平成28年9月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要なクラスIIIの医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目についてまとめております。1ページから12ページが医療機器で、13ページから体外診断用医薬品を記載しております。医療機器は54品目、体外診断用医薬品は6品目あります。これらの資料については事前に送付しておりますので、この場では詳細な説明は割愛させていただきます。以上です。

○荒井部会長 御質問、御意見等はありますか。よろしいですか。特に御意見がないようでしたら、これで議題7を終了させていただきます。多大な御協力を頂きまして、これで本日の議題は全て終了いたしました。事務局から何か連絡はありますか。

○医療機器審査管理課長 本日は大変お忙しい中ありがとうございました。次回の部会は来年の2月10()の午前10時から12時の予定です。連絡事項は以上です。

○荒井部会長 それでは、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

 

 

 

 


(了)

備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された

連絡先:医薬機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室 室長 柳沼(内線4226)

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