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2017年1月12日 第4回化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

○日時

平成29年1月12日(木)15:00~


○場所

厚生労働省 共用第8会議室


○議題

(1)労働安全衛生法施行令別表第9の追加について
(2)その他

○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。ただいまより、第4回化学物質のリスク評価に係る企画検討会を開催いたします。委員の出席状況ですが、近藤委員から若干遅れるとの連絡をいただいており、ほか全ての委員に御出席いただいておりますので、御報告いたします。それでは、櫻井先生に座長をお願いすることといたします。早速ではありますが、以下の議事進行をお願いいたします。

○櫻井座長 分かりました。議事進行を務めますので、よろしくお願いいたします。最初に、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。

○寺島中央産業安全専門官 資料の確認をさせていただきます。1枚目が議事次第となっており、裏面に資料一覧としております。資料1、本企画検討会報告書()です。資料1の別添として、通知対象(SDS)新規候補物質です。参考資料として、この検討会の開催要綱・委員名簿一覧を付けております。以上です。

○櫻井座長 資料がお手元にそろっていると思いますので、本日の議事に入ります。議題、「労働安全衛生法施行令別表第9の追加について」、事務局から御説明をお願いいたします。

○寺島中央産業安全専門官 資料1を御覧ください。前回の検討会において、令別表第9に追加すべき物質について御議論いただくとともに、粉状物質の取扱いについて御審議いただいたところです。前回の検討会の最後で報告書の取りまとめをお願いしたいとお伝えしておりますが、本日はこの報告書原案について御議論いただきたいと存じます。

 資料1の報告書()について説明いたします。2ページに目次、3ページに参集者名簿をお付けしております。御確認いただければと思います。4ページ目に開催状況を記載しております。

5ページから内容です。1はじめにとして、このページでは情報伝達の必要性についての基本的方針について述べており、従来からの考え方について振り返っております。(1)として背景ですが、膨大な数の化学物質がある中で、職場においていかに適切に管理していくかが課題であるということで、これらの化学物質について、必要なものについては国においてリスク評価を行って、必要な規制を行っているところです。

3パラ目ですが、しかしながら、全ての危険有害な化学物質に規制を課すことは現実的ではありませんので、自律的な化学物質の管理の徹底を図ることが重要かつ合理的と考えられます。そのために、安全データシート及び容器等への表示により、危険有害性情報が適切に伝えられることが必要というように、検討の前提として記載しております。

(2)として、労働安全衛生法における情報提供等の規制について、現行の制度を説明しております。1パラ目、施行令別表第9に列挙する化学物質については、譲渡提供する際に、その情報を容器に表示するとともに、文書によって相手方に提供することを義務付けているところです。また、令別表9に列挙された物質については、リスクアセスメントを行わなければならないとされているところです。

(3)として、この令別表第9の対象物質に追加することの必要性について記載しております。上に述べたとおり、一定の危険性又は有害性があるとの新たな知見が得られた化学物質については、適宜、令別表第9に追加する必要があるとしております。

6ページ目、令別表第9、対象物質の追加等の考え方です。こちらは前回の報告書取りまとめの際と同様の考え方について記載しておりますが、(1)から検討の対象とする物質について記載しております。アとして、現行の令別表第9の対象物質の選定基準について記載しております。こちらは選定の考え方として、日本産業衛生学会又は米国産業衛生専門家会議において、許容濃度等が勧告された物質とされております。これは平成12年の通達に記載のとおりです。また、その後、平成18年と平成29年、この改正は昨年行っておりますが、上記の考え方を踏まえて物質が追加されているところです。

 イの所ですが、今回の検討の対象物質についてです。本検討会においては、基本的にはアで述べた平成12年の考え方を踏襲して、平成2791日に取りまとめられたこの検討会報告書において、引き続き検討とされた物質について検討を行っております。さらに、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)が新たにTLVを勧告したフェニルイソシアネートの追加と、過去にTLVを取り下げている一部のシリカについて検討を行うこととしました。

(2)令別表第9の選定の基準です。アとして、基本的な考え方は上に述べましたとおり、日本産業衛生学会、ACGIHが新たに許容濃度等を勧告した物質は、原則として令別表第9へ追加することとします。ただし、特に危険性又は有害性が低いと考えられるもの、及び職場における使用の実態に鑑みて、我が国において労働災害発生のリスクが極めて低いと考えられるものについては、その対象から除くこととしました。

 イとして、GHS分類についての基準を記載しております。GHS分類についてということで、令別表第9への追加の検討に当たっては、裾切り値の設定に際して、今後必要となる政府によるGHS分類及び区分並びにモデルSDSの作成が行われており、改正後に事業者による円滑な情報提供、情報伝達に資するものと記載しております。以上が令別表第9の選定に当たっての基準、考え方の整理ということで、基本的には従来からの考え方について整理したものとなっております。

7ページ目、3、令別表第9への化学物質の追加の検討、これが今回の中身になります。(1)として検討の対象とした化学物質を列挙しております。ここに記載した14個の物質が対象となっております。

(2)として検討の結果です。アとして、令別表第9に追加すべき化学物質を記載しております。上記の14物質群のうち、詳細な検討の結果、以下の物質について、令別表第9へ追加すべきであると考えるとしております。具体的には次ページですが、ほう酸塩については、ほう酸の化合物全てを追加するのではなくて、ACGIHTLVの提案理由書に列挙されているほう酸塩に限ることが適当と考えるとして、例示されている化学物質のうち、現に規制の対象となっていないものは、ほう酸のみとなっております。

 次ページですが、令別表第9に追加する物質について列挙しております。読み上げさせていただきます。1-クロロ-2-プロパノール及び2-クロロ-1-プロパノール、こちらは物質としては2つに分けて規定することになろうかと考えております。テルブホス、ほう酸、ジアセチル(別名2,3-ブタンジオン)、硫化カルボニル、ポートランドセメント、アスファルト、t-アミルメチルエーテル、括弧内は別名です。フェニルイソシアネート、こちらの9つ掲げているもの、物質ベースで10個になりますが、こちらについて追加の対象とするとしております。

 イとして、令別表第9から除外すべき化学物質を記載しております。現在、表示通知対象物質になっている「シリカ」のうち非晶質のシリカについては、2(2)アに示す基準のうち、ACGIHTLV2006年に取り下げられてからは、選定基準に当てはまらない状況となっております。このため、本検討会において検討を行った結果、非晶質のシリカについては、令別表第9の対象から除外することが適当と考えられます。なお、非晶質シリカは、結晶質シリカよりも相当有害性が低いとされておりますが、ウに述べるものと同様に、不活性の粉状物質の吸入自体には注意が必要です。引き続き、粉じん障害予防規則に定める措置などを講ずること等により、高濃度ばく露を避けることが求められるとしております。

 ウとして、相対的に有害性が低いと考えられる物質についてです。今回、検討の対象とした物質のうち、化学物質としての固有の有害性が相対的に低いと考えられる、以下の粉状物質については、令別表第9への追加にあたっての考え方を今後整理した上で、制度的な対応を検討することが適当であるとしております。酸化マグネシウム、滑石【タルク】、ポリ塩化ビニル、綿じん(未処理原綿)、この4つについてです。

()として整理すべき点です。こちらは前回までに御検討いただいた部分ですが、いわゆる粉じんの中には結晶質シリカ等のように、重篤な健康影響を及ぼすものがあり、これらは固有の有害性があると考えることができます。一方、有機、無機を問わず、全ての粉じんは、その量によって一定の有害性を示し、吸入することにより肺障害を引き起こすとされているところです。この考え方については、次のページに記載している日本産業衛生学会の示している粉じんの許容濃度の所に無機及び有機粉じんと記載があることからも見て取ることができます。

 また、前回、委員から御指摘のありましたACGIHにおいても同様の考え方として示されていることについて、ここに記載しております。9ページ中ほどにあるように、ACGIHのばく露限界値のハンドブックの付録Bに、不溶性、又は難溶性粒子状物質、ほかに指定がないものについての記載があります。こちらについては、ACGIHに記載の文言そのままですが、TLVが設定されていない物質について、該当しない物質について、水に不溶であるとか、あるいは毒性が低いであるとかいった粒子に適用されるものとして、下から5行目辺りにあるように、気中濃度を3mg/m3(レスピラブル粒子)及び10mg/m3(インハラブル粒子)というように、許容濃度として管理することが適当と示されているところです。こういった産衛学会やACGIHの考え方も示されているところです。

 これらを踏まえて、9ページの下から3行目ですが、今般、検討の対象となった粉状物質は、有害性が比較的低いと考えられ、固有の有害性というより、不活性の粉状物質の吸入自体が問題となりますが、同様の状況にある粉じん(粉状物質)の種類は多岐にわたることから、令別表第9への追加の検討に当たっては、法に基づく表示通知義務を課すべき固有の有害性があるか等に留意し、検討する必要があるとしております。固有の有害性の有無を判断する基準として考えられるものは、今後、学術文献の収集等によって、その基準を整理することが必要である。例えば不活性の粉状物質の吸入に代表的な健康障害として、肺胞の線維化、じん肺等の肺障害がありますが、それ以外の臓器等への影響の有無や肺障害の発現する気中濃度レベル等について整理することが考えられます。また、これらの有害性が比較的低い粉じん(粉状物質)の危険有害性について、諸外国での情報伝達がどのように行われているかも併せて考慮する必要があります。

()として、粉状物質の取扱いに関する注意喚起についてです。今般、令別表第9への追加を保留する化学物質については、有害性は比較的低いものの、粉状物質としての一般的な有害性は認められているものです。有機、無機を問わずすべての粉状物質は、高濃度ばく露を続けると肺障害を起こす可能性がありますが、そのことへの認識が十分でないと考えられるため、次の点について包括的な注意喚起を行うことが適当です。1点目として、健康影響、呼吸器有害性や講ずべき対策等を行政通達で示すこと。2点目として、こういった有害性が認められる場合は、GHS分類に基づく危険有害性情報をSDSに記載すべきこと。これらについて、注意喚起を行っていくことにしております。

()として、新たな枠組みの検討を記載しております。現在、対象となっている物質とは危険有害性の程度に相当な違いがある場合に、ラベルとSDSを両方義務付けることが合理的であるか、引き続き検討が望ましいとして、今後、より柔軟な情報伝達の方法を検討することも考えられるということでまとめております。報告書の説明については以上です。

○櫻井座長 この報告書()について、御審議をお願いしたいと思います。内容について、御質問、コメント、あるいは修正意見、何でも結構です。御発言があればよろしくお願いいたします。当面、4つの物質については、また次年度に検討していただくことになろうかと思いますが、よろしいですか。

○吉田委員 7ページの(2)のアの部分、第2段落ですが、「ここで」ということで始まっており、「必ずしもほう素原子の含まれるほう酸塩」と書いてありますが、ここの「ほう素原子の含まれる」というのを省いて支障がありますか。何かあえて言わなくても、二重に言っているような感じがするのですけれども。

○寺島中央産業安全専門官 そうですね。

○吉田委員 御検討いただくということで。

○櫻井座長 「ほう素原子の含まれる」という部分は必要ないという御意見で、確かにそのように思います。

○寺島中央産業安全専門官 もともとは昨年の議論で、ほう素化合物という議論をしていたことがあって、残ってしまっていたのですが、御指摘のとおりだと思います。

○櫻井座長 「必ずしも」も要らないわけですね。「ほう酸塩の化合物全てを」だけで十分なのでしょうか。よければ、「必ずしもほう素原子の含まれる」を削除するということとさせていただきます。

○寺島中央産業安全専門官 ありがとうございます。

○櫻井座長 そのほか、語句の問題で何かお気付きの点がありましたらお願いします。

○宮川委員 細かいことで申し訳ありませんが、報告書をパッと見たときに、14の物質を検討して、幾つ入ったというのがパッと分かるようになると有り難いのですが、7ページの表を見ると、検討対象は14物質、8ページに9物質載っているのです。明確に今後検討と書いてある粉類が8ページの下のほうに4物質書いてあって、あと1つ何かと言うとシリカなのですが、シリカはどうだというのがパッと見たときにちょっと分かりづらいので、それが分かりやすいような所に具体的に名前を入れていただければと思います。

○寺島中央産業安全専門官 分かりました。

○櫻井座長 事務局のほうで考えていただけますか。みんな計算が合わないなと思ってしまう可能性がありますので。

○寺島中央産業安全専門官 記載ぶりは検討いたします。ありがとうございます。

○櫻井座長 御指摘のとおり、どんな具合にしますか。

○寺島中央産業安全専門官 シリカの所は少し下に取り出して「下記シリカについては」などというように書くのと、上のほうは1から9と番号を振るなどして、少し直します。

○櫻井座長 そうですね。それから、1-クロロ2-プロパノールと2-クロロ-1-プロパノールは、それぞれ別の物質として示すわけですね。

○寺島中央産業安全専門官 従来は、こうしたものは構造異性体別に扱っていると思います。

○櫻井座長 当然そうですよね。

○寺島中央産業安全専門官 ですので、法令上は別の号になると思います。

○櫻井座長 データそのものは同じとみなされて、個別の情報が十分そろっているわけでないので、同等に取り扱われているにすぎないけれども。

○清水委員 細かなことですが、8ページの下から4行目、「考えることが」と「が」を入れる。

○櫻井座長 抜けていますね。

○寺島中央産業安全専門官 ありがとうございます。

○櫻井座長 「ことができる」。そのちょっと上の所は、実は私はしばらく考えてしまって、これでいいかなと思ったのですが、「結晶質シリカ等のように吸入による発がん性が明らかであるなど」と例示されているわけですが、「ヒトにおけるとか」「ヒトにおいて」とか、書いておくほうがいいのかなと。動物実験では、こういう不活性のものでも肺がんを起こすというデータがあると思うのです。IRCの発がん性分類を見ても、ヒトに対するエビデンスがあるもの、それからそれが不十分であるもののリストの中には、こういう不活性の粒子状物質は一切入っていませんね。ですから、「ヒトにおいて」と入れたらいいかなと思っています。

○名古屋委員 これは疫学調査ですね。

○櫻井座長 そうです。そうしましょうか。

○寺島中央産業安全専門官 はい。

○櫻井座長 よければそうさせていただきます。「ヒトにおいて吸入による発がん性が」ということになります。肺に対する線維形成作用が強いかどうかも考慮すべき点ですが、「発がん性があきらかであるなど」」と書いてあるから、それでいいだろうと考えます。その他、何かありますか。

○石井委員 続いて、9ページのほうで指摘させていただいてよろしいでしょうか。ACGIHについては、今回初めてここに記載していただいたのかと思うのですが、9ページの下から2つ目のパラグラフ、「ACGIHは」という所ですが、ここは「ACGIHは」という所でまとめられているところでしょうか。

○寺島中央産業安全専門官 原文を見ると、「ACGIH believe that」と書いてあるので、そのように記載させていただきました。

○石井委員 この中のレスピラブル粒子とインハラブル粒子というのは、ここではどう考えるというところの何か説明が必要ではないでしょうか。日本産業衛生学会のほうは吸入性粉じん、総粉じんという取扱いで、こちらの定義はこの報告書の中ではどう。

○寺島中央産業安全専門官 確かに特段は触れていないです。それは分かりやすくするためには、少し何か注釈なりが必要ではないかという御指摘でしょうか。

○石井委員 そうです。

○名古屋委員 粉じんの所には、定義が書いてありますよね。カーブが出てきて、4μ50%、100μ50%とインハラブルに書いてありますから、そこにはちゃんと定義が書いてありますね。

○櫻井座長 そろそろよろしいですか。これ以上のご指摘はないようですので、3つ程修正がありましたがその点だけ事務局において修正していただき、メールで確認させていただくということで、最終確認は座長預かりということにさせていただいてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、本報告書案の審議を終わることにいたします。ありがとうございました。

 議事としてはその他ですが、事務局からあれば御説明をよろしくお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 次回の予定等について、説明いたします。次回の企画検討会では平成28年度のリスク評価の実績などを予定しておりますが、開催日時については改めて日程調整をさせていただければと思います。以上です。

○櫻井座長 それでは、以上で閉会といたします。本日はどうもお疲れさまでした。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課(内線5517)

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