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2016年12月19日 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 第1回抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会

健康局結核感染症課

○日時

平成28年12月19日(月)18:00〜20:00


○場所

厚生労働省 専用第14会議室(12階4号室)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○議題

(1) 薬剤耐性(AMR)について
(2) 抗菌薬適正使用の手引きについて
(3) その他

○議事

○結核感染症課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第1回厚生科学審議会感染症部会薬剤耐性に関する小委員会抗微生物薬適正使用等に関する作業部会を開催いたします。開催に当たりまして、浅沼結核感染症課長が御挨拶申し上げます。

○結核感染症課長 こんばんは。健康局結核感染症課長の浅沼でございます。開会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。本日は、委員の皆様方には、御多用のところ、御出席を賜り誠にありがとうございます。また、日頃より感染症対策の推進につきまして、御指導を賜り厚く御礼を申し上げます。

 今般、抗微生物薬が効かなくなる薬剤耐性問題が国際的な課題となっておりまして、国連総会やG7で、いずれも主要議題の1つとして取り上げられました。また、我が国におきましても、アクションプランが平成28年に策定され、お手元に配らせていただいております。医療、畜水産、食品安全等の各分野が一体となり、対策を推進するワンヘルス・アプローチの理念に基づいた、横断的な対策を開始したところです。

 先日、AMR(薬剤耐性)に関する小委員会が開かれ、抗微生物薬適正使用と薬剤耐性対策に重要な事項の詳細を審議することを目的に、この作業部会を設置することが承認されました。この作業部会では、抗微生物薬適正使用等に関する提言などを行っていただきまして、当小委員会でそれらを確かなものにしていければと考えています。抗微生物薬の適正使用をはじめ、今後、検討しうる範囲は多岐にわたりますが、委員の皆様におかれましては、真摯で活発な御議論を頂きますよう、お願い申し上げまして、簡単ではございますが、開催に当たっての挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

○結核感染症課長補佐 それでは、委員の御紹介をさせていただきます。本作業部会の座長については、「薬剤耐性に関する小委員会設置要綱」に基づき、渡邉小委員長より、大曲座長をご指名いただいておりますので、御報告させていただきます。大曲座長です。金子委員です。具委員です。坂本委員です。徳田委員です。林委員です。本田委員です。宮入委員です。山本委員です。

 本日は9名中9名の方々に御出席いただいております。現時点で、定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立しますことを御報告させていただきます。

 次に、事務局より資料等の確認をさせていただきます。議事次第、配布資料一覧、委員名簿、座席図のほか、資料17、参考資料15を用意しています。不足の資料等がありましたら、事務局までお申し付けください。

 冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。以降の議事運営に関しましては、大曲座長にお願いいたします。

○大曲座長 それでは、よろしくお願いいたします。国際医療研究センターの大曲です。早速、議事次第に従って進めてまいりたいと思います。

 まず最初に、本日話し合う内容の確認ですが、議事次第を御覧いただきますと、3つあります。1つは、薬剤耐性(AMR)についてということで、昨今の情報を確認させていただいて、その次が抗菌薬適正使用の手引き、そして3番目がその他です。この3つを今日は議題として挙げさせていただいておりますので、先生方におきましては、円滑な議事進行をよろしくお願いいたします。それでは早速、議題1の、薬剤耐性(AMR)について始めたいと思います。事務局のほうから、まずは御説明をお願いします。よろしくお願いいたします。

○結核感染症課長補佐 事務局の野田です。資料1から5を用いまして御説明をさせていただきます。まず、お手元に資料1と資料2を御用意ください。資料1、抗微生物薬適正使用等に関する作業部会の設置要綱です。

 設置の趣旨です。近年の薬剤耐性に対する機運の高まりの中で、抗微生物薬の適正使用の重要性が指摘されております。そのような中で、本年4月には、薬剤耐性対策アクションプランも策定されており、また、昨日開催された厚生科学審議会感染症部会薬剤耐性に関する小委員会の中でも御議論がされております。そして、その小委員会の中で、本作業部会の設置を御承認いただいたという状況でございます。

 本作業部会の所掌事務です。本作業部会の所掌事務といたしましては、薬剤耐性アクションプランに定められた対策のうち、抗微生物薬の適正使用等に係る専門的・技術的事項について調査審議を行うことになっております。

 この作業部会の運営に関しては、「薬剤耐性に関する小委員会の設置について」に定めるところによるとさせていただいています。また、作業部会の庶務につきましては、結核感染症課で行うということになっております。

 資料2を御覧ください。本作業部会に関しましては、先ほども申しましたように、薬剤耐性に関する小委員会の下に設置されているというものです。この作業部会で御議論いただいた結果を再度、小委員会のほうに戻しまして、更に御議論いただいていくという形になると考えております。

 また、そのほか、「薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会」というものも、これはサーベイランスの関係で開催されるということが予定されていますので、これら3つの会議体が、厚生労働省の中の薬剤耐性に関する会議体制となっている状況で、これらを有期的に運用をさせつつ、議論を深めていきたいと考えております。

 続きまして、資料3を御覧ください。「薬剤耐性の現状と対応」という資料です。薬剤耐性についてですが、背景としましては、先ほどから申し上げておりますけれども、抗菌薬等が効かなくなる薬剤耐性感染症が、世界的に拡大しており、公衆衛生及び社会経済的に重大な影響を与えているという状況があります。

 一方で、新規の抗菌薬等の開発については近年停滞しているという状況で、このままではAMRに対する対抗手段が枯渇してしまうという状況がありました。そのような状況を踏まえまして、例えばWHOでは、昨年の総会の中で、グローバル行動計画が採択をされており、また、昨年のG7、今年のG7の伊勢志摩サミットや、更に今年のG7神戸保健大臣会合においても、AMRが主要な議題として取り上げられております。更に、本年9月国連総会においても、AMRに関するハイレベル会合を開催したという状況で、国際的に薬剤耐性への対策が重要視され、対策を進めていこうという状況になっております。

 そのような状況を踏まえまして、日本国内でも、本年4月にアクションプランの策定をいたしまして、国が横断的に取り組みを推進していくということを、お示ししました。

 次のページを御覧ください。薬剤耐性の仕組みです。もともと薬剤耐性に関しては、自然耐性という形で、耐性遺伝子をある一定の割合で細菌が獲得するという状況がありますが、更に、その薬剤耐性の遺伝子に関しまして、ほかの菌に移して、それを伝播していくということが自然界で起こっているという状況があります。そのような中で、抗菌薬を投与すると、もっと耐性を持っている細菌だけが残ってしまうという状況があり、更にその結果、菌が生き残ってしまった場合には、次の世代は耐性菌のみが増えてくるという状況になります。そのような形で薬剤耐性を持つ菌が増えていくという状況が指摘をされておりました。

 更に、それは人の中だけの問題ではありません。動物の中でも、動物用医薬品などが使用されておりますので、そのような中で、ヒトにおいても、また動物においても、選択圧が起こり、更にそれが食品ですとか、環境中にサイクルしていくということで、ヒト、そして動物、食品や環境などの様々な領域において、薬剤耐性を持った菌が伝播をしていくという問題が指摘されています。

5ページ目ですが、ヒトの薬剤耐性の関係で見ていきますと、これは論文から持ってきた資料ですが、抗菌薬の使用量の変化(2000年〜2010年の間の使用量の変化量)になります。日本におきましては、抗菌薬の使用量については2.5から4%減少していますが、一方で世界各地、特にインドとか中国などの途上国などにおいては、使用量は過去10年間で増えているという状況がありますし、また、これらの途上国におきましては、まだまだ医療へのアクセス自体が未整備であるという状況がありますので、今後さらに抗菌薬の使用量が増えていくという可能性もあります。このような形で、社会的な枠組みの中で、抗菌薬の使用の問題について考えていかなければいけないという状況があります。

 次のページを御覧ください。日本の状況としましては、1つ大きな特徴が指摘されています。これはヨーロッパの国と日本の抗菌薬の使用量について、グラフで示した図になります。日本のトータルの使用量としては、ヨーロッパの各国と比べても、それほど遜色のない量である状況ですが、一方で、例えばセファロスポリンですとか、キノロン、マクロライド等の抗菌薬の使用の割合が高いという問題点が指摘されています。このような指摘もあり、日本の状況に合った対策を日本として作っているという状況がありますので、先日の小委員会、また今回開催の作業部会において御審議を頂き、必要な対策を構築していくという必要に迫られているという状況です。

 また、このような抗菌薬の使用の結果、まだまだエビデンスが十分でないところもありますが、薬剤耐性菌の検出割合にも日本の特徴があると言われています。国際的に比較可能なデータがまだまだ不十分なところもありますので、比較自体がなかなか難しいところもありますが、一方では、現状あるデータを比較してみますと、肺炎球菌ペニシリン非感受性率が日本で48%と、相当多いということとか、又は、黄色ぶどう球菌メチシリン耐性率も日本は51%で、やはり高いということも言われておりますので、このような状況も踏まえて対策を進めていく必要があります。

8ページです。このような薬剤耐性の問題は、先ほども申しましたように、ヒトだけの問題ではありません。例えば畜産分野においてもいろいろな問題が指摘されております。左のほうの図に関しましては、テトラサイクリン等の各国別、牛、豚、食肉鶏の耐性の一覧を示しています。牛、豚、鶏で、それぞれの特徴もあり、また各国によっても状況が違うということがありますが、いずれにしても、テトラサイクリンについては、畜産動物においても、抗菌薬として使われているところで、テトラサイクリンを中心に抗菌薬の耐性率が高いという状況がありますので、このような対策についても、今、農水省のほうで検討されています。また、これらの薬剤耐性に関しましては、日本の薬剤耐性の菌の検出については減少傾向にあるというところはありますが、そのような状況を踏まえまして、政府一丸となって対策を進めていきます。

9ページを御覧ください。一方でこのような家畜とヒトとの間の薬剤耐性の関係で言いますと、まだまだ分からないことも多いということも確かです。左上の図は、フルオロキノロンの耐性率のグラフです。ヒトにおいては、フルオロキノロンの耐性率については、年々増えてきているという状況がありましたが、一方で家畜における耐性率は、さほど変わっていないという状況ですので、先ほどお示ししましたが、ヒトそして環境、また家畜という中の伝播の状況も、まだまだ分かっていないことが多いということです。一方で、家畜の問題に限定して考えますと、右下のグラフです。セファロスポリンの関係の薬剤耐性の率を見ていきますと、一部の抗菌薬に関しては、団体の自主的な注意喚起により、耐性率が減ったという事例もありますので、少なくとも抗菌薬の使用を減らすということによって、その対象となっている薬剤耐性率については下がってくるということが指摘されていますので、このようなことも踏まえヒト及び動物に対しての薬剤耐性の対策を行っていくという状況になっております。

 次のページを御覧ください。動物に関しましては、特に農水省のほうで対策が取られているという状況です。実際に動物用医薬品についても、使用量については過去2001年〜2013年の間で減少しておりますし、また、使用添加物で使われている抗菌薬についても、ヒトには使われないポリエーテル系が割合として増えているという状況がありますので、農水省でも対策は取られています。引き続き、こちらの畜産・水産分野の対策についても、農水省とともに対策を行っていく状況になっております。

 これらの状況を踏まえまして、なぜ対策を行っていかなければならないかということですが、これはイギリスの諮問委員会で出された資料ですが、現状、薬剤耐性の関係での死亡者数は70万人に過ぎないと世界的に言われております。これは現状の課題で、仮に何も対策を取らなければ、2050年には1,000万人の方が薬剤耐性に起因して死亡するであろうと推定されておりますので、いわば将来に向けて薬剤耐性の対策については行っていかなければならないということは、世界的に認識され、対策を行っていこうという状況です。

 このような状況を踏まえまして、次ページですが、国際社会の動向としても、いろいろな対策が取られています。まず、2015年の5月に、先ほど申しましたように、WHO総会において、グローバルアクションプランが採択されております。また、その後のG7のサミット、また今年4月のアジアAMR東京閣僚会議、更にG7伊勢志摩サミット、G7神戸保健大臣会合等でAMRに関しての議論が行われ、更に今年の9月の国連総会においても、その対策の重要性について共通認識が持たれ、世界的に対策を進めていこうという状況になっています。

 次のページがグローバルアクションプランの内容ですが、WHOが示しております薬剤耐性のグローバルアクションプランにおきましては、5つの柱、すなわち、普及啓発・教育、動向調査・監視、感染予防・管理、抗微生物薬適正使用、そして研究開発の柱で対策を行っていこうということが示されております。

 資料4になりますが、グローバルアクションプランを踏まえまして、日本においても、今年の4月の薬剤耐性対策アクションプランをお示ししています。こちらは、内閣官房で策定したものです。WHOが作成をいたしました5つの柱にグローバルアクションプランを柱に加えて6つ目の柱の国際協力を加え、6つの柱で対策を開始しています。

1枚めくっていただいて、普及啓発・教育です。こちらに関しましては、国民に対する知識・理解に関する普及啓発活動の推進と、更に専門職に対する薬剤耐性に関しての教育、研修の推進を進めていくことが定められています。具体的には国民全体に向けた施策としましては、「薬剤耐性対策推進国民会議」の設置、普及啓発ツールの配布ですとか、作成などを通して行っています。更に専門職の関係で言いますと、平成29年度予算で要求をしておりますが、感染症教育コンソーシアムを立ち上げまして、対策を進めていくということが定められております。

2番目の動向調査・監視ですが、これに関しては、3つの対策を行っていくということが定められております。具体的には、医療・介護分野における薬剤耐性に関して動向調査の強化を行うとか、抗微生物薬使用量の動向の把握について行っているということが定められております。また、畜水産、獣医療における分野の動向調査・監視体制の強化、更には検査手法の標準化と、検査機能の強化ということ、更にこれらをまとめまして、具体的に見ていくためのAMU動向調査の実施ということが定められております。

 次のページを御覧ください。感染予防です。こちらにつきましては、3つ定められております。医療、介護における監視予防・管理と地域連携の推進、更に畜水産分野についても感染予防と管理の推進を行っています。また、感染症の集団発生への対応強化という3つの柱で対策を行っています。

 次に、4つ目の柱として、抗微生物薬の適正使用ということですが、今回の作業部会で特に関係してくると考えておりますが、4.1としましては、医療機関における抗微生物薬の適正使用の推進が定められており、その中で、抗微生物薬適正使用の推進に資するガイドライン・マニュアルの整備とか、抗微生物適正使用の推進のための診断・治療に関わる規制の検討、更には医療機関における抗微生物薬適正使用体制の整備支援が定められています。抗微生物薬適正使用においては、4.2でお示ししておりますように、畜水産の分野等でも適宜、対策を行っていくことになっています。

 続きまして、5の研究開発・創薬です。こちらにおいては、5.1から5.5という形で対策を進めていくことが定められており、発生、伝播機序及び社会経済に与える影響を明らかにするための研究の推進ということ、また、薬剤耐性に関する普及啓発・教育、感染予防・管理、抗微生物薬の適正使用に関する研究の推進、更に感染症に対する既存の予防・診断・治療法の適正化に資する臨床研究の推進、更に新たな予防・診断・治療法等の開発に資する研究及び産学官連携の推進、更に感染症に対する既存の予防・診断・治療法の適正化に資する臨床研究の推進ということが定められております。

 最後に、6つ目の柱の国際協力です。こちらにつきましては、薬剤耐性に関する国際的な政策に係る日本の主導力の発揮ということと、薬剤耐性に関するグローバルアクションプラン達成のための国際協力の展開が定められています。このように6つの柱をアクションプランで定めており、次のページの成果目標が2020年を目標として定められております。具体的には例えば、抗微生物薬の使用量は、ヒトに対しては全体量を33%減少させるということ、また、主な微生物の薬剤耐性率という部分では、例えば、肺炎球菌について15%以下にする。更に、畜産分野でも目標を設定しています。

 これらの目標の設定に当たりましては、それぞれ根拠をアクションプランに書いております。例えば、2020年の肺炎球菌のペニシリン耐性率を15%以下に低下させるということでは、2014年では、48%程度で比較的高い水準にあるペニシリン耐性率を、抗微生物薬の適正使用の推進によって5から6%減少に加速させるということをもって15%以下を目指すということで設定をしています。また同様に、ヒトに対しての抗菌薬使用量についても、根拠を持って目標を定めており、例えば、日本の現状の1日当たりの使用量において、最も少ないオランダと比較しますと、オランダのほうが日本の3分の2程度の量ですので、そこを目指していくということ。更に抗菌薬の関係でいいますと、セファロスポリン等の抗菌薬に関しては、それらの抗菌薬の使用を半減し、更に適正使用の推進により、静注抗菌薬の使用量の20%削減するということで、全抗菌薬の使用量を3分の2にするということを、根拠にして設定をしています。

 同様に動物に関しましても、例えば、大腸菌テトラサイクリン耐性率に関しまして、抗耐性率の減少を加速させるということで、2020年に33%以下にするということが目標として書かれております。このような数値目標を加えたアクションプランという枠組の中で、政府一体となって対策を進めていこうという状況になっております。

 資料5を御覧ください。そのような状況を踏まえまして、厚生労働省として、3つの会議体を設置して対策を御審議いただくということになっております。今回開催しております適正使用の作業部会に関しては、先ほど申しましたが、3つ目の柱の中の感染予防・管理の中の医療、介護における感染予防・管理と地域連携の推進、また4つ目の柱の医療機関における抗微生物薬の適正使用の推進には特に関係している部分だと考えていますので、このような内容を中心に御審議いただくということです。事務局からは以上です。

○大曲座長 ありがとうございます。この部会が開かれる背景ということで御紹介いただいたのですが、御説明いただいた内容に関して、質問等ありましたら是非よろしくお願いします。

○徳田委員 徳田です。ちょっと確認したいのが、資料35ページ、日本は2.5%から4%減少しているということなのですが、これはドーズベースですよね。要は、投与量が日本人のほうが欧米より少ないというのが、特に経口抗菌薬などでもあると思いますので、投与回数というのですか、あるいは、投与された患者数とかというデータが、もしありましたら見たいと思います。

○結核感染症課長補佐 こちらについては、下にお示しているLancet Infect Diseaseの論文から持ってきた資料です。こちらは確か、総量の使用量をグロスで見ているものを見ていて、更にそれを変化量で見ている状況になっています。具体的には、このようなデータを集めていますIMSというところのデータを使用して分析している論文になっています。

○徳田委員 そうすると、投与回数などではデータが余りないということでよろしいですか。

○結核感染症課長補佐 左様です。

○大曲座長 そのほかいかがでしょうか。

○具委員 1つ確認なのです。資料5の中で、医療機関における抗微生物薬適正使用に関する利益相反の管理指針というものがあるのですが、これはどういう意図でこちらに入っているものか教えていただけますか。

○結核感染症課長補佐 アクションプランの中で、お手元にアクションプラン本体をお配りしていますが、今までの、特にアクションプラン作成の段階の議論の中で、やはり抗菌薬についてはメーカー、そして実際に抗菌薬を処方される医師の方々の抗菌薬の使用、選択という部分について、やはり不透明なところがあったのではないかということがあります。ここを踏まえて、やはりそこはきちんと利益相反について検討しておかなければならないのではないかということは、国際的にも指摘されていますので、そういうところを踏まえた記載になっていると認識しています。

○本田委員 先ほどの徳田先生のお話と私の質問は少し似ているのです。私たちの作業部会では、抗菌薬の使用量のほうは○の中では業務に入っていないのです。恐らく抗菌薬の使用量をきちんと見ることはとても重要なので、例えば、それがどういう形で、今、小委員会とワンヘルス検討会で○が付いているという状況で、資料5です。そちらで使用量を見ていくという状況になっているのです。その辺は今、何て言うのですか、どういう形で、それが必要であることはもう分かっていることで、恐らくしていかないといけないことなのです。具体的には、通年的に同じ方法でずっとやられていくなどということは今、整備されているから、そこに私たちもアクセスできるかということがとても重要になると思うのです。

○結核感染症課長補佐 正にAMRに関しては、サーベイランスというもの自体はまだまだ国のデータとしては整理されていない状況です。そのような状況も踏まえて、平成29年度予算において委託事業という形で、そのようなサーベイランスを整備していくことを検討しています。

 また、個別の研究で言いますと、抗菌薬の使用量について検討されている先生方もおられますので、そのような視点を踏まえて平成29年度、予算が取れればということになりますが、そこは整備していきたいと考えています。また、少なくてもAMRに関しては、統計をちゃんと取り、そしてそこの対策を考えていくという、サイクルを回していかなければならないことが、先日行われた小委員会で指摘をされていますので、少なくてもAMRに関しての統計も研究ベースのものも踏まえていろいろと集め、そこについては、少なくてもワンヘルスの動向調査の検討会で検討はしていきたいと考えています。また、その結果については、作業部会でも情報提供したいと考えています。

○本田委員 ありがとうございます。

○宮入委員 成果目標の数値のことなのです。こちらの算出根拠についてご教示ください。また2013年以降現時点でどれくらい下がっているかなど情報がありましたら教えてください。

○結核感染症課長補佐 そこも、まだまだ統計を始めようとしている状況ですので、これらのデータについてはこれからまとめていく状況です。手元にはありませんが、今後、特にワンヘルスの動向調査検討会において、そこのデータについては収集を行い、まとめていきたいと考えています。

○大曲座長 そのほかいかがでしょうか。

○金子委員 金子です。今のお話に続くところなのです。薬剤耐性率の数値目標なのですが、非常にクリアが可能であろうという数値、例えばMRSAなどは、今の時点でも大分減りつつある状況だと思いますので、何となくクリアできるかなというところではあるのです。逆に、ペニシリンとかは、これから多分、ここでお話を進めていくと、これからももっと使う方向になっていくので、非常に難しいことになっていくかと思うのです。このような数値目標というのは、あくまでも数値目標であって、必ずクリアしなくてはいけないという数字ではないというところなのでしょうか。

○結核感染症課長補佐 これらの数値目標については、有識者の先生方に御議論いただいて設定されているものですので、一義的には、この達成に向けて行政としても努力をしていくものであると考えています。ただ一方で、御指摘のように、目標を達成するために目標を設定しているわけでもないというところも事実です。あくまでも目標を設定した理由としては、国民の健康に資するところを目標にしていますので、そこは最終的に、国民の健康を守るために対策を行っていき、そのために、例えば感染予防・管理とか、抗菌薬の適正使用を行っていく、その結果として耐性率も減っていくことが重要だと考えていますので、数値ありきというところで考えているわけではないというのは御了承いただければと思っています。

○坂本委員 多分、この会議における私の役割は、感染予防と管理の部分かと思います。資料5の表の3番に、「感染予防・管理の推進及び連携強化」が取組の1つとして挙げられています。この取組は恐らくAMR対策アクションプランの戦略2.1に掲げられている医療関連感染をきちっとモニタリングしながら減らしていくところと、強くリンクしていると思うのですが、資料5の表中には、アクションプランの戦略2.1は挙げられておらず、抗菌薬の使用量が主な評価指標となっています。医療関連感染のモニタリングも議論すべき課題として追加していただくことは可能なのでしょうか。

○結核感染症課長補佐 正に、先日行いました小委員会のほうでも、資料5について、いろいろと御指摘を頂いています。設明についても多少不足があったのですが、あくまでも、これは事務局のほうで、恐らくこの分野についてが当面議論されるものであろうということで予測をしたものです。もちろんこの資料5に限定をするものではないので、適宜、御議論の内容を踏まえて、議論すべき領域については広げていっても良いと考えています。また、そのような形で小委員会でも御議論を頂きました。

○坂本委員 ありがとうございました。

○林委員 成果目標の中に、大腸菌の第3世代セファロスポリン耐性率が、畜産分野では入っているのですが、医療分野には含まれていないのです。これは医療分野でも、取り分け過去10年間、日本で疫学的に重要な薬剤耐性に多分なっていると思うのです。畜産分野には含まれて医療分野には含めなかったのは何か理由があるのでしょうか。たまたまESBLが、遺伝子としてのESBL産生菌が該当すると思うのです。これは結構、過去10年間で日本国内で急激に増えているのではないかと思うのですが。

○結核感染症課長補佐 なぜ入っていないかについては、ちょっとまた確認をしますが、少なくても、様々なデータ等を基にして、有識者の先生方に御議論を頂いて、この数値目標については設定されていると考えています。

○宮入委員 資料44-1「医療機関における抗微生物薬の適正使用の推進」の中の、1つ目はガイドラインの作成で、2つ目が診断、治療に関わる規制の検討とありますが、規制というのは具体的にどのようなことを示すのか教えていただけますか。

○結核感染症課長補佐 詳しくは、アクションプランの白表紙の45ページ目を御覧ください。ここについては、それほど具体的に書かれているわけではありませんが、この規制について検討することが書かれています。ここについては、また委員会等でも御議論を頂く形になるとは思います。実際には、どういう規制が必要かについても含めて御審議を頂いて考えていくところかとは思っています。

○本田委員 度々すみません。抗菌薬の使用量を評価するのは非常に重要なので、そして更に、私たちこの作業部会では適正使用のマニュアルを作っていく。そうすると、マニュアルの効果がどれぐらいあったのかの評価の1つに抗菌薬の使用量が当然あるとは思うのです。疫学上の観点からいくと、恐らく手引きとかが出て使用量が減っていくのを見ることができたとして、その評価方法というのは、手引きが出る前後でやはり統一されていることがとても重要というか、手引きの前は違う方法で算出して、手引きの後は違う方法で算出してという状況になってしまうと、評価が非常に難しくなると思うのです。そういうところが、今の時点で明確になっているのかを御教授願えればと思います。

○結核感染症課長補佐 正に、どのような形で評価をしていくかという方法論については、別途開催する予定です、ワンヘルスの検討会で検討していただくことを考えています。実際に全国規模のデータになりますと、既に既存のデータもありますので、そのようなものを使って検討を頂く形になるかと思っています。そうしますと、基本的には、どのような形で数字を出してくるかの方法論を、きちんと検討会で有識者の先生方に御議論を頂いた上で作っていくことは重要だと考えています。また、取ってくるデータについては既存のデータを使うことが多いかとは思いますので、そういう意味で言うと、測定を開始した後であるからデータが歪んでいるという危険性はそれほど多くないのではないかと事務局では考えています。いずれにしても、有識者の先生方に御議論を頂こうと考えています。

○本田委員 ありがとうございます。

○宮入委員 サーベイランスという観点で、抗菌薬の使用量を指標とするのは良いと思います。最終的な目的は患者さんの感染症の診療が良くなり、予後が改善することだと思います適正使用を進めた結果、予後の改善健康になったという、そちらの重症感染症のモニタリングなどはいかがでしょうか。

○結核感染症課長補佐 正に、院内感染を中心にした話になるとは思うのです。そのような関係の、薬剤耐性を持った菌による感染症の動向についても調査をしていかなければならないと考えています。具体的に既存の国の大きなサーベイランスという部分で言いますと、感染症法に基づきますので、NESIDなどがあります。また、JANISなどでも、院内感染に関係するような菌の動向については調査を行っていると考えています。いずれにしても、そのようなアウトカム指標みたいなものについても、ワンヘルス動向調査検討会の中で検討を頂いて、どのような方向性が良いのかも含めて、今後の方向性は有識者の先生方に御議論いただくことを考えています。

○宮入委員 是非、市中感染症の重症感染症のモニタリングなども、指標として入れていただいたほうがいいかと思います。

○本田委員 先ほどの宮入先生のお話に続く形なのです。抗菌薬の使用量が減ると、恐らく何らかの形で、医学的には正しかったのですが、今まで肺炎の初期みたいな形で治療していたのが、抗菌薬が効かなくなると肺炎で今度入院するという患者さんみたいな形が、有害事象が増える可能性があります。ですので、恐らく市中感染症の発生率は、なぜかと言うと、今、日本で問題になっている抗菌薬の種類はほぼ外来で使われている可能性が非常に高い状況なので、それを是非とも、宮入先生と同じ意見なのですが、何て言うのですか、市中で見られるような肺炎がどれぐらい変わらないのかとか、髄膜炎が増えていかないのかとか、この辺のところを是非ともサーベイランスの中の評価項目に入れていただくことが、今の抗菌薬の日本の現状を考えれば必要になってくるのではないかということを私自身は思います。

○坂本委員 質問です。先ほどから本田先生、宮入先生、徳田先生からお話が出ている評価指標やサーベランスシステムに関しては、ここではなくてワンヘルス検討会のほうで取り扱うということでしょうか。ただ、これらは本作業部会での検討事項とリンクしている内容だと思います。話を進めていくに当たって、どういう評価指標を使うのか、それをどのような計算式に基づいて算出するのか、あるいはどのようなサーベランスシステムを使うといいのかというところを、作業部会での検討事項から完全に切り離すのは難しいと思います。その辺りの、ワンヘルス検討会とこちらの作業部会の役割分担みたいなところを最初に明確にしておきたいのですが。

○結核感染症課長補佐 正におっしゃるとおりでして、資料2でお示ししています。基本的には、各委員会においてそれぞれのミッションが違うという形になっています。ただ一方で、特にこの作業部会においては、抗微生物薬の適正使用等に関しての技術的助言を頂く、特に指針等の検討を行っていただく形でお集まりいただいています。ただ一方で、 それぞれの委員会において有機的にその成果が関係してくるものですので、各委員会で出た意見については、適宜、事務局で共有したいと考えています。

○坂本委員 わかりました。

○大曲座長 今、伺っていたところサーベイランスとその指標に関しての御意見が多いです。サーベイランスの方法はよく検討しなければいけないでしょう。例えば耐性菌は感染症の原因となるからこそ問題となるわけで、坂本先生がおっしゃったように感染症そのものサーベイランスも必要です。もう一つはインターベーションの効果測定です。今後手引きを作って診療を変えていきます。しかしその結果抗菌薬の使用量が減ることにより、ひょっとしたら肺炎や髄膜炎などの重症の感染症が思いがけなく増えるかもしれません。このような重大な感染症の増減もサーベイランスが必要です。本日頂いたサーベイランスに関する意見は、私は1人の感染症医としても非常に重要と考えます。事務局には、是非親委員会である薬剤耐性(AMR)に関する小委員会や、ワンヘルスサーベランスの委員会にもフィードバックして頂くよう、よろしくお願いします。

 それでは、最初の議題はこれで一度閉めさせていただきます。2番目として「抗菌薬の適正使用の手引き」が議題として上がっています。事務局で資料を準備していますので、まずはそちらの説明を野田室長お願いします。

○結核感染症課長補佐 野田より資料67を御説明します。資料6「抗菌薬適正使用の手引き(1版のコンセプト()」です。こちらは、先日の小委員会でお示しして御議論を頂いた内容です。

 目的としては、今回の抗菌薬適正使用の手引きについては、臨床の現場において抗菌薬の適正使用を推進する上で重要な項目について、一般診療の場で実践的な対応を中心に解説するものとして考えています。主な対象者としては、手引きの利用者として、外来で診療に携わる医療従事者。さらに手引きの対象患者としては、基礎疾患のない患者を考えています。

 また内容としては、総論と疾病ごとの各論で構成するということです。総論においては、抗菌薬の適正使用の考え方等について解説をするというもの。さらに各論においては、日常診療で一般的に遭遇する疾病について解説するものです。さらに具体的には、第一版の各論では、急性気道感染症及び急性下痢症について解説を頂くことを考えています。この各論の中では、特に抗菌薬を使うべきか否かを迷う状況での助けになるよう適切な診療の進め方について、診断方法及び鑑別診断、治療方針、患者・家族への具体的な伝え方について解説を頂くことを考えています。

 編集の方針としては、科学的知見を踏まえて作成すること。さらにその一方で、ページ数を少なめにし、図等も加えた簡潔かつ平易な内容とすることを考えています。また今後、必要に応じて改定を検討することを考えています。

 なお、この手引きについては、留意事項として、今後の検討が必要な事項についても議論を頂き内容を加えていくことで考えています。

 そのようなコンセプトを踏まえて、裏のページに、目次のイメージもお示ししています。「はじめに」ということで、策定の経緯、目的、そして手引きの対象と各論の想定患者を手引きの中で御説明いただきます。そして総論の中で、抗菌薬適正使用とは、そして抗菌薬使用の適応病態、不適切使用というもの、さらに推奨事項を総論として記載いただきます。さらに各論として、急性気道感染症、すなわち、いわゆるざっくりと言いますと、感冒とか風邪症候群への対応という部分で、「急性気道感染症とは」ということ。そして、疫学、診断方法及び鑑別疾患、治療方法、患者・家族への説明を記載いただくということ。さらに同様の内容を、急性下痢症についても記載を頂くということで、イメージとして、小委員会でお示しし、御審議を頂いたという状況です。

 資料7です。そのような形で、小委員会で既にお示しをしていまして、御審議を頂きました。そのときに出ました御意見について、資料7としてまとめています。意見としては、1つ目として、今回の手引きについて、外来で診療を受ける基礎疾患のない患者を対象としているが、基礎疾患のある入院患者への手引きの作成も期待しているということ。さらに、手引きの対象には肺炎等も入るのかということ。また、手引きのどこかに感染症対策チームや病院連携等も記載があれば困ったときの相談先が分かるので良いという話。一方で、全ての感染症について手引きを作成すると膨大な量になるという御意見。手引きの作成には学会等にも加わってもらうべきという御意見。さらに、小児科の外来の抗菌薬適正使用は以前から取り組まれており、学会もガイドラインを出しているが、実際は判断に迷うケースが少なくない。実際に現場で役立つものを作るのは難しいが、是非、最良のものを作ってもらいたいという御意見。さらに、介護に関わる人々への啓発が大切という御意見とか、薬をもらう側への啓発と一体となった手引きであるべきであるという御意見も頂いています。

 このような状況も踏まえて、この作業部会の中では、まず薬剤耐性適正使用の手引き(第一版のコンセプト及び目次)について御審議を頂ければと考えています。事務局からは以上です。

○大曲座長 ありがとうございます。まずは、ここまでの御説明を頂いたところで、御質問等ありましたら、是非よろしくお願いします。

○林委員 何となく想像はできるのですが、一応念のため、この手引きが外来の基礎疾患のない患者で、かつ急性気道感染症と急性下痢症という対象に、まず絞られた背景を教えていただきたいのです。

○結核感染症課長補佐 正に、抗菌薬適正使用という観点で言いますと、様々な切り口があると有識者の先生方から伺っています。特に、有識者の先生方から1つ意見があったものとして、感冒、風邪症候群とか急性下痢症と診断がきちんとできた場合には、ある程度効菌薬自体を使わなくていいだろうという判断がざっくりとできるだろうと言われていますので、まずはそこの、いわゆる感冒及び急性下痢症に焦点を当てたガイドラインを作っていくことが重要ではないかという御指摘を受けて、事務局でコンセプトをまとめました。 ただ一方で、先ほども資料7でお示しをしましたが、あくまでも、この第一版の手引きを作成して終わりということで考えてはおりませんので、適宜御審議を頂く中で、必要な項目については今後増やしていくことは必要であろうとは考えています。

 他方で、始めから完全な手引きを作ろうとしますと時間もかかってしまうので、まずはある程度限られた時間の中で、集中的に、この2つの疾患を御議論いただいて、さらにその後の展開として、第二版、第三版という形で出していくのかと、事務局としては考えています。

○林委員 ありがとうございました。このような、語弊がありますが、健康な患者を対象にした、しかも急性気道感染症の下痢となると、総体的に小児の占める重要度が非常に大きくなってくるのではないかと思うのです。小児と成人はどういう形で、併記するのでしょうか、それとも別にする予定なのでしょうか。

○結核感染症課長補佐 正にそこは御審議いただく内容になるとは思いますが、事務局としては、少なくとも、成人及び小児についても一緒に書く、もちろん書き分けるという形ではありますが、この手引きの中に含めていただくことは重要ではないかと考えています。

○具委員 手引きの、もちろんコンセプトの内容はいろいろ議論があるとは思うのですが、実際にできたものをどのような形で現場で使ってもらうのでしょう。つまり、学会のガイドラインだと学会員に配るみたいな格好になります。一方でこれは、外来で診療に携わる医療従事者は極めて多いですが、そこにどうやって、実際に作ったものを使ってもらえるようにするのかという、その辺はどのような、今のところお考えがあるのか教えていただけますか。

○結核感染症課長補佐 あくまでも現状の事務局の案という部分ではありますが、通常はこのような手引きを作成した場合には、例えば厚生労働省の結核感染症からのクレジットで、ホームページ等に掲載をして普及啓発を行うことは考えています。また、先日の小委員会の中で、日本医師会の委員から、そこの啓発については協力させていただきたいということ、御支援を頂くようなことで、応援も頂いていますので、医師会等の協力も得ながら、その普及啓発について行っていくことを考えています。

○宮入委員 これを使用する対象者は誰になりますか?例えば小児の患者さんを診るのは小児科医だけではなく、内科医が診たり耳鼻科医が診たりするということですが、そういう広い対象が使えるような手引きを目指しているという理解でよろしいですか。

○結核感染症課長補佐 事務局としては、正にそのような手引きができればと考えています。

○徳田委員 ガイドラインとか作ったときには、ピアレビュー委員会というのがあると望ましいかなと思うのです。あと、この問題は非常に国際的な問題ですので、英語版を作って、海外の有識者にピアレビューをやっていただくというお考えとかはありますか。

○結核感染症課長補佐 海外の方にピアレビューするというのは、多分、英語版を作るのは時間が掛かると思いますので、なかなか難しいかと思います。少なくともこの手引きに関して言いますと、この親会である小委員会のほうで、更に御審議を頂く形になりますので。さらに結核感染症から出すという場合には、更にその上の感染症部会でも御審議を頂く形になりますので、まずここの作業部会で叩き台を作っていただいた後に、少なくとも2つの会で御審議を頂く形になりますので、そういう意味で言うと、1つのピアレビューになるのかと考えています。

○徳田委員 小委員会がピアレビューになるということでしょうか。

○結核感染症課長補佐 小委員会及び感染症部会で、更に被せて御議論いただくという形になると思います。

○徳田委員 この資料4-6の国際協力という意味で、日本の主導力ということがありますので、そういう意味では、国際的なピアレビューを入れたほうがいいのかと私は思います。

○大曲座長 そのほかいかがでしょうか。

○結核感染症課長 今の徳田委員の御意見は、また事務局で受け止めて検討させてもらいたいと思います。

○徳田委員 ありがとうございます。

○林委員 あえて「手引き」という表現を使っているのは、本格的なガイドラインではないということを暗に含んでいるのだと私は思いました。要するに、ガイドラインを作成するとなると、ガイドラインもGrade Systemとかmindsとか、2つぐらいありますが、私も国内の2つのガイドラインの作成に携わってきていますが、ものすごく大変なプロセスで、この人数の5倍ぐらいの人数がいたり、秘書を雇ったり、いろいろなことをしないとできません。このザックリとしたコンセプトを見ると、科学的な根拠に基づいた診療ガイドラインというものではなくて、どちらかというと、ここにいらっしゃるエキスパートの方々のExpert Consensusのようなものを作ろうとされているのかなと考えています。どちらがいいという話ではないのですが、その辺りの方針は事前に明確にしておいたほうがいいと思います。

 徳田先生がおっしゃった外部査読という考え方というのは、本格的な科学的根拠に基づくようなガイドラインを作成するのであれば必須のプロセスになるわけですが、そうではなくて、もう少しキャンペーンのようなものを目指すのであれば、必ずしもそうでなくてもいいのではないかと私は思うのです。だから、良し悪しの問題というよりは、この手引きというものがどちらの方向を目指すのかということ次第だと思うのです。

○結核感染症課長補佐 どのような形で手引きを出していくかというところについては、小委員会でも御議論いただいたところです。

1つありましたのは、難しい内容にしてしまうと手に取ってもらえなくなってしまって、せっかく作ったけれども使われなかったという形になりかねないという御懸念は頂いております。そういう意味で言いますと、なかなか難しいのですが、科学的知見に基づきながらも、3040ページで収まるぐらいのページ数でやるべきであろうかというところです。更に、先ほどもコンセプトの所でお示しさせていただきましたが、図なども入れるという形で、読みやすいものにしていくというところが、1つ重要かなと考えております。

 ただ、一方で科学的知見が全くないものですと意味のないものですので、そこは科学的知見に基づいて、なおかつ平易に読めるものと、難しい注文なのですが、そこを目指していきたいということです。

○林委員 平易な読みやすいものを目指すということと、きちんとしたプロセスを踏むということは必ずしも両立できないものではありません。なぜかというと、きちんとしたプロセスを踏んだもの、ものすごく大掛かりなことをした、しっかりとしたステップを踏んだガイドラインも、最終的にはダイジェスト版を出しますので、必ずしもしっかりとしたプロセスを踏むということが平易なものを作ることと違う方向を向いているとは限らないのです。

 私の質問の核心は、ものすごく骨の折れることをするつもりがおありなのか、きちんとしたものを作るためにものすごく骨を折ることをこれからしようとするのか、そうではなくて、そこまでのものを作るつもりはないのか、その辺はこれからの労働力の問題などがいろいろと関わってくるので事前に決めておかないと、人によって本格的なものを作ろうとして、人によってはそうでもなかったりすると、士気を保つのが困難になってくると思うのです。

○結核感染症課長補佐 方針については作業部会で御審議いただく形かと思っておりますが、今までの小委員会での議論や有識者の先生方からの御意見を踏まえますと、おそらく先ほど林委員からございましたコンセンサスという部分を目指していくものに近いのかなという気はしています。

○具委員 既にアクションプランが始まって1年目の後半になっています。タイムラインを踏まえて、どのようなものをアクションプランの目標を見ながら成果を出していくために作るということになると思うのですが、どのくらいのタイムラインを考えていらっしゃるのでしょうか。それによって、またその内容も制約されてくるのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

○結核感染症課長補佐 正に本日、作業部会で審議を開始する状況になったところです。委員の先生方の御意見を踏まえて審議を進めていきたいと考えておりますが、事務局の希望としては先ほど申しましたように、完全なものを初めから作ろうとすると難しいというところがありますので、できるものを適宜作っていくということでやっていきたいと考えています。そのような状況も踏まえまして、少なくとも年度内に、ある程度の形が見えてきたらうれしいかなと考えております。

○坂本委員 ガイドラインをきちんと作るのか、簡易的な手引きにするのか、いずれにしても、本作業部会の成果物の内容が個人的見解の集まりではなく、科学的に妥当かという検証が必要な気がします。それについては、どのように保障する予定でしょうか。

○結核感染症課長補佐 そこについては先ほども申しましたように、少なくとも親の会である小委員会、更にその上の感染症部会で御審議いただく形になると思っております。また、そのほかの様々な有識者等に検討いただくとか、この内容でいいかということを国民向けに聞くようなスキームもありますので、そのようなスキームも含めて、必要な検証を行っていく形になろうかと思います。

 手引きについては先ほどから繰り返しになりますが、第一版としているところですので、そこについては作った後に、「ここが足りない」という話が出てきた場合には適宜、見直しを行っていくことも方策だと考えています。

○宮入委員 この手引きが持つ診療に対する拘束力や、この手引きに従って診療していたのに思わしくない結果になってしまった場合に医療従事者は守られるのかなどといったことに関してのお考えを教えてください。

○結核感染症課長補佐 手引きについては、いわゆる学会などのガイドラインと同じような形で、有識者の先生方の意見としてこういう形が現状の科学的知見を踏まえると適切だという内容になると思います。一方で個別の診療に関しては各医師などが判断し、見ていくというものです。そこは手引きの内容をそのまま使ったからいいという話にはならないというのは、ほかのガイドラインとも同じような内容かと思っています。

 そういう意味では、あくまでも、どのようなものが望ましいかというところを有識者の先生方に作成いただき、最終的に1つの案としては国の名前で出していくという手引きになるのではないかと考えております。

○林委員 この手引きの難しいところは、通常の診療ガイドラインと決定的に違うところは、通常の診療ガイドラインは、例えば抗菌薬であれば使うべきか使うべきでないかのジャッジメントに関しては、まずニュートラルな立場で向かっていくのです。ところが、方向性としては私も正しいと思っていますが、この委員会及びこの手引きの向かう方向というのは、抗菌薬を削減する方向に最初から向かっていますので、この方向が間違っているとは言いませんが、私たちには最初からそちらの方向にものすごくバイアスが掛かっていて、何としても抗菌薬を減らす方向にという向きでガイドラインや手引きを作成するということになると、真の意味で、科学的根拠に基づいてニュートラルな立場で診療ガイドライン的なものを作成するということは、そもそも難しいのではないかと思うのです。

 むしろ抗菌薬を減らすためにはどうしたらいいのかというアドバイスのような手引書的なものを目指すほうが、現実的かなと何となく思ってきました。

○具委員 今の林先生のお話ですと、結局その手前の部分というか、それは診断とも関わると思うのですが、今回こういう手引きのアイディアのときに、例えば海外にこういうものがあるとか、ひな型みたいなもの、モデルみたいなものはあるのでしょうか。

○結核感染症課長補佐 事務局として、海外のこのガイドラインを参考に作りたいというものはありません。一方で、いろいろなガイドラインや本については、参考にしたり勉強させていただいております。

 例えば、アメリカのCollege of Physicianのガイドラインもありますし、また感冒に関しては委員の山本先生の本もありますので、そのようなものでも事務局としては勉強させていただいております。一方で、基となるようなガイドラインというものを事務局で何かしらイメージしているという状況ではありません。

○具委員 アクションプランのヒアリングのときにも少し御紹介したのですが、ここにベルギーとスウェーデンのものを持って来ました。これがいいということではなく、参考までにということです。ベルギーのものはオランダ語なのですが、ここと同じような政府に関連した委員会が作っているという格好になっていて、検索すると数十ページあります。これは最終的に、A41枚の三つ折りになっています。皆さんが見ると、何の疾患について書いてあるということが分かるぐらいだと思います。

 もう1つはスウェーデンのものです。スウェーデンの抗菌薬適正使用をしているグループと、スウェーデンの国立感染症研究所のような団体が作っているもので、学会ガイドラインとは全然違うもので、20ページぐらいです。幾つかの疾患に関して、バックグランドと診断、こういうときには抗菌薬を使うか使わないかというのがあって、使うならこういう薬を使いましょうということが書いてあります。ここには、例えばGRADEシステムに基づいた推奨が付いているというわけではなくて、基にはあるのだとは思うのですが、そういうものになっています。

 この委員会で作るものがこれを目指すかどうかはともかくとして、見本として、こういうものがあり得るという意味では参考になるかと思いまして、持って来ました。回しましょうか。

○大曲座長 議論の途中で、今、回していただいて、適宜見るということにしましょうか。お願いします。

○山本委員 先ほどの「手引きか、きっちりしたガイドラインか」という話ですが、おそらく風邪と、成人の下痢症などは、ほとんどの場合は抗菌薬は要らないというのは国内外のガイドラインでも言われていることだと思います。これを一からエビデンスを引っ繰り返して、やはり要るということには、どう考えてもならないと思うのです。

 例えば2003年に日本呼吸器学会が「成人気道感染症診療の基本的考え方」で、風邪には抗菌薬は要らないというものを出しているにもかかわらず、現状では、外来で抗菌薬が多く使われているというのがあって、学会で作られるようなガイドラインと、プライマリケアの第一線で診療されている開業医、あるいは薬をもらう患者に温度差があると思うのです。そこを埋める手引書のようなものを個人的にはイメージしていて、先ほど林先生がおっしゃったように、本来は処方しなくていい抗菌薬をいかに減らしていくかというような手引書になるといいと思いました。

○本田委員 林先生がおっしゃっているような、GRADEシステムを用いたり、内容を担保する上で重要なのですが、おそらく時間の制限とか、今、山本先生がおっしゃったとおり、実際に、もう明らかになっている事実に関して、本当に一から引っ繰り返してやることは恐らく時間もかなりかかるプロセスになりますので、手引きはそういった形で出すのですが、その代わり自分たちのConflict of Interestなどが確実に明確になっているとか、その内容自体を外部に委託してきちんと評価してもらうとか、そういった形でプロセスが明確になっているということで、クオリティを担保する、それをサポートするという形のシステムを是非、採用していただけたらなと思います。

 取り分け、抗菌薬が減っていくという状況というのは、薬を作る製薬会社とのconflictといったものも予想されるので、国が出すとか厚生労働省が出すということはとても意味があることですし、方向性としては間違えていない方向にいくわけです。今の時点で改善したほうがいい場所にいるということは明らかですので、その辺りを汲んだ形で、比較的短期間で出していくことが求められていると思います。

○大曲座長 この手引きの位置付けは重要です。今の議論をまとめると以下の様です。ゼロからエビデンスを包括的に拾って、妥当性を確認して、内容を作り上げていくという型どおりのガイドラインの作り方はあまりにもLabor-Intensiveであるし時間もかかります。自明のところは多々ありますから、そこをゼロからほじくり返すのもどうかと。不適切な、あるいは不要な抗菌薬使用を減らす方向に持っていくという目的自体は明確ですので、そこを最優先し、いわゆるガイドライン作りでゼロからやるという形よりは、早さや分かりやすさを優先して作っていくという方針を、部会として示してよいとおもいます。もちろん親会議で御審議いただくことにはなろうかとは思います。

 その上で、本田先生もおっしゃるように、科学性の担保あるいは透明性の担保に我々は委員とし責任がありますので、そこは示したいと思います。特にピアレビューのところに関しては浅沼課長のほうで、扱いについてお引き受けいただくということで御発言を頂いておりますので、そちらは御検討いただいてはどうかと私は思っております。

○結核感染症課長 大曲座長、ありがとうございました。今の御指摘のとおりです。ミッションは明確で、年度内に手引きを作っていただきたいと。外部評価なども大事だと思うのですが、座長以下、この9人の先生方にお願いしたというのは、この9人の先生で作れば、それなりのクオリティが確保されると我々は信じております。ですので、科学性や透明性のエビデンスというのはもちろん大事なのですが、この9人の委員の方がいれば、それはある程度は担保できると信じております。

 先ほど、対象疾患も感冒と下痢ということで、むしろこういった2つの疾患で抗菌薬が使われていることが、今の日本の医療で問題ではないかという観点に立って、それを適正に抗菌薬を使用していただくための道筋を付けていただくのが、この手引きですので、そうした観点で、時間は大変短いのですが、作業をお願いできればと思っている次第です。

○大曲座長 というところで、方向性に関して御納得いただけるようであれば、この後の時間は実際の中身を見ていければと思っています。資料6の表と裏ですが、本手引きのコンセプトがあり、目次があります。これらの作りに関して、何か御意見等はいかがでしょうか。

○坂本委員 大曲座長がお話なさりたいこととずれているかもしれないのですが、日本のAMR対策の1つの成果物として出てくる手引きは、サミット等で国際的に審議され、推進することになった取組の1つだと思います。そこで先ほどの英語版の話に戻りますが、クオリティを担保するうんぬんということだけでなく、日本でAMR対策としてこういう取組をしたということを世界に発信するという意味で英語版というのは、年度末とまでに作成せずとも、いずれは作成したほうがよいと思うのですが、そういう予定はありますが。

○結核感染症課長補佐 日本のアクションプランの6つ目の柱に国際協力というものがありますし、お手元にお配りしているアクションプランについても英語版も作成して、ホームページに載せております。

 日本の国民向けに作るというものですが、一方で、それが他の国で役に立たないものではありませんので、時間の制約もありますので、ある程度遅れて作ることにはなると思いますが、事務局としては是非作りたいと考えております。

○大曲座長 このコンセプトと目次に関してですが、御意見をお願いいたします。

○宮入委員 小児に関する部分です。基本的に急性気道感染症や急性下痢症について並行して手引きを作ることは可能だと思います。ただ難しいところも沢山あります。小児のかぜといっても56歳の子供で、咳があり、喉が痛くて熱が出ているという子から、生後12か月の子供で、鼻水が出ているという子までいて、そこを同列に扱うのは難しいです。海外にあるガイドラインでは小児の発熱のガイドラインなどがありまして、生後1か月ぐらいの子供までは必ず入院といった記載もあります。このような曖昧さが残るようなところでの判断を簡単な手引きに盛り込むのは難しいと思いました。このような手引きは初期の課題としてはかなり重いかなと思いました。健康な子供で、比較的リスクのない患者に対する不適切な診療を制限するという目的のガイドラインはできると思います。最終的には、曖昧さを残す領域まで踏み込んだ手引きがほしいという意見だとは思うのですが、当初目的としてはそこぐらいでよろしいのでしょうか。

○大曲座長 宮入先生がおっしゃることは、私もAMRの小委員会で発言を伺っていて強く感じたところです。

 特に、私自身が思案したのが、御意見が出た資料6のコンセプトの所です。手引きの対象患者は基礎疾患のない患者と書いてあります。でも、現場のAMRの小委員会の先生方からは、成人で病院に来るような方の多くは基礎疾患がある、この書き方で名そのような方々が対象から漏れてしまうのではないかという御意見がありました。それはそれで筋が通っていると思いました。

 宮入先生がおっしゃるように、成人を診ているにしても、小児を診ているにしても、非常に悩む場面、これを見落とすと重症になるのではないか、そこは心配だというところがあるのは事実です。本来はそこをカバーできるようなものがあれば、すぐにできればいいわけなのですが、確かにコンパクトで、しかも多くの先生方の診療を適切に導くような形に落とし込むことは簡単ではないと私も正直に思います。これに関しては、先生方はいかがでしょうか、御意見を是非、頂ければと思います。

○具委員 今回のこれで何を目指すかによるかなと思いました。まず、いろいろな先生方と話をしていると、特に基礎疾患もない、もともと元気な方が病院に来て、風邪をひいたから抗生剤をくださいという話で、そのやり取りで一晩に何人も対応しなければいけなくて疲れるという話があります。そういったところで使えるようなものというのは、1つ大きなターゲットになると思うのです。

 むしろ、先ほど宮入先生が御指摘されたところは非常に悩ましいところなのですが、その悩ましいところに余り踏み込みすぎないことも、むしろ大切なのかもしれないと、話を聞いていて思いました。そうしないと、ミスジャッジにつながってしまうリスクを上げてしまうような気がしました。

 ですので、そのターゲットをどこに絞るかというのはもう少し詰めなければいけないと思うのですが、あらゆる場合分けに対応するというのは難しいと思いますし、今回のアクションプランに基づいて、どの部分で抗菌薬の本来必要のない使用を減らしていくかというところに集中した形にするのはどうかなと思いました。

○大曲座長 この点に関して、ほかの先生方からいかがでしょうか。

○山本委員 私も、やはり議論のあるところは、本当に専門家が集まって、例えば10人いたら全然意見が違うみたいなところを作るのは難しいというか、不可能だと思うのです。その辺りは学会がやればいいと思うところですし、こういう非常に対象が広い人に向けて作るものなので、専門家が10人いたら、10人の意見が違わないようなものに限ったほうがいいのではないかなと思います。プライマリケアの現場で、本当は風邪に抗菌薬は要らないと思っているのだけれども、やはり患者さんから「欲しい」と、「出してください」と言われたら断わり切れないというような場合に、「国の手引きとしてこういうものが出ていますよ」と言うと、出さないという選択も取りやすいのではないかと思いますので、そういうものの手助けになるものがいいのではないかと思います。

○林委員 先ほど具先生が回してくれたような、ああいった形のものをもし目指すのであれば、「はじめに」とか「総論」というのを思い切ってなくしてしまってはどうかと思ったのです。更に言うと、先ほど、今後、気道感染症、下痢症だけでなく、例えば中耳炎だったり、もしかしたら市中肺炎などに除々に拡大していって、最初に含まなかったカテゴリーの感染症にも拡張していくということを考えると、この最初のものだけ「はじめに」「総論」というものがあってというのも何か少し違和感がありますし、むしろ、1つの疾患ごとに1冊子みたいになっていって、どんどん続編が出てくるみたいなほうがいいかなと。

 あと、どういう用途で使われるかということを考えたときに、「はじめに」や「総論」などというところから入っていくと、やはり疲れてしまうというか、ちゃんと読んでもらえないのではないかという気がするのです。目指す最終的な手引きがどういうものを目指すのかという、最初に私が聞いたのはそこにも関わってくるのですが、もしその方向性が、簡単な手引き、その橋渡しになるようなものを目指すのであれば、むしろこれは思い切って、「はじめに」や「総論」などは、なしにしてしまってやったほうがプラクティカルなのではないかと思ったのです。

 もしかしたら記述はあっていいかもしれませんが、例えば、疫学や疾患概念といったものは、もはや求められていない可能性があるのではないかなどと思ったのです。そこを切るにはどうしたらいいのだと、そこから入ったほうが訴える力があるのではないか。山本先生も先ほど、ガイドラインは出ているけれども使われないと。実際、風邪に使わないということが、日本呼吸器学会は多分ちゃんとした教科書的なことを述べて言っているのかもしれませんが、しかしながら、それがアクションにつながっていないということを、やはり重視すべきではないかと思うのです。

○大曲座長 ありがとうございます。先ほどの宮入先生と具先生から御提案のあった点に関しては、まずは対象を、基礎疾患がなく、むしろ抗菌薬が本来は要らないのに使用されてしまうことが多い方々を対象にして、こういう場合には要らないといった内容を明確にしながら作り、非常に難しい判断に迷うようなところに関しては、今後の検討課題としてまとめていく方向でよろしいでしょうか。

(異議なし)

○大曲座長 ありがとうございます。項目がどう変わるかというところではないのですが、中身に関わってくるところですので確認させていただきました。

 その上で、林先生の御提案の作りの問題です。伝わりやすくするという意味では、分かりやすいもの、入ってきやすいものを作ったほうがいいのではないか、そういう意味では、「はじめに」や「総論」は長くもなるし、必要かどうかという御意見がありましたが、これに関しては先生方はいかがでしょうか。

○徳田委員  フライヤーみたいなものもよいかと思います。実際に現場で使いやすいと思うのです。巨大な本は利用しにくいです。 ポケットに入るようなマニュアルは、現場で使いやすいかなと思います。

○具委員 私も徳田先生の意見に賛成なのですが、まず、患者さんのターゲットをはっきりさせるということがすごく大事で、それは今の議論ですと、基礎疾患のない方というのが1つ見えてきていると思うのです。もう1つは、「外来で診療に携わる医療従事者」という言葉がありますが、どういう医療従事者をターゲットにしているかというのも、やはり私たちが共通イメージを持つ必要があるかなと思います。

 例えば呼吸器内科の先生に風邪の診療について説明をするのでは恐らくなくて、専門外だけれども診ざるを得ないとか、研修医なのだけれども、夜、何か対処をしなければいけないとか、そういうような、本当にちょっとアンチョコでというようなところで少し助けになる。あるいは、先ほどありましたが、患者さんに説明するときに、ちょっと背中を押してくれるというか、そういったような部分が役割として大きくなるのかなと思います。そういう意味で、先ほど徳田先生がおっしゃったような、本当にパッと開けば、どこに何が書いてあるかがすぐに行き着けるということが重要なのかなと思いました。

 ただ、二段構えにするという手もあるかもしれないと思うのです。やや詳しいバージョンと、非常に簡単なバージョンと。

○結核感染症課長 分けるということですか。

○具委員 はい。それは十分可能かなと思います。以上です。

○大曲座長 ありがとうございます。具先生の御提案は確かにそのとおりだと思います。特に読んでいただきたい内容をコンパクトに分かりやすくどこかに示すといったような形ですね。それに関して皆さんはいかがでしょうか。ここは私も確かに納得できるところですので、そこはいいですよね。

 もう1つ議論を戻して、作りの話でしたが、先ほど徳田先生の御意見もありました。やはりシンプルで分かりやすいものがいい、「総論」はどうなのかという御議論ですが、皆さん、これに関してはいかがでしょうか。

○本田委員 手引きを誰が使うかという話が先ほどありました。もちろん処方する人たちが使うという形でいいと思うのですが、理想的には、もしかしたら処方される側が分かるという状況があれば、教育・啓蒙にもつながるし。そういう意味では、アクションプランは厚生労働省のウェブサイトにも出ているのですが、恐らく一般の人は読んでもなかなか難しいかもしれないのです。何でこんなことをしなければいけないのかみたいな話が少しあれば、それはすごく最小限にして、「総論」は要らないというのは皆さん賛成だと思うのです。ただ、何のためにやっているのかなど、その辺りが分かるということが、どこかに盛り込まれるといいのではないかと私は思います。

○大曲座長 イメージの確認をさせていただくと、「総論」のような、いわゆる作り込まれた、オーガナイズした立て付けのきれいにした文章というよりは、どちらかというと、受益者であるところの患者さんなどにも分かっていただけるように、こうやっていることの意義を分かりやすく示してお伝えすると。それはリーフレットなのか、などの形はまた考えればいいと思うのですが、そういったもののほうが患者さんにも伝わるし、医療者にも伝わるし、むしろいいのではないかという御意見ですが、いかがでしょうか。

○坂本委員 本田先生の御意見には、医療者としてだけでなく、子供がいるので病院に連れていく側としても非常に賛成する立場です。どういう形にするのが良いのか分からないのですが、例えば、医療者が活用するリーフレットを、患者さんが見ても分かるような形にするのは大変で、言葉を継ぎ足していくとボリュームが大きくなる可能性があります。資料7に挙がっている要望の1つに、「薬をもらう側への啓発と一体になった手引き」がありますが、患者さんに渡して説明できるようなものを抱き合せで作っておいて、そちらのほうはたくさん準備しておくのも良いかもしれません。

 感染症が専門の先生方よりは専門外の先生方がこの手引きを使うことが多いとすると抗菌薬を出さない理由をスムーズに説明できない可能性もあり、押し問答になることも想定されます。臨床現場の混乱を防ぐという点でも、患者さんに渡して、見ながら説明できるような資料が別にあると推進されやすいのではないかと思います。

○大曲座長 ありがとうございます。なるほど。

○宮入委員 全くもって同感なのですが、やはり患者さんは抗菌薬をもらいに来たというような患者さんも数多くいる中で、「抗菌薬は要りませんよ」という説明にものすごく時間が掛かって、「でもこういう理由で、抗菌薬は要らないけれども、対処療法ならできますよ」と。あとは、風邪にかかってもそれをこじらせることはあるので、熱が続いたら次は受診してくださいというセーフティネットみたいなものを抱き合せで作ることが、恐らく学会のガイドラインや今までの既存のものとはちょっと違うものになるのかなとは思います。

○金子委員 今のことの追加になるのですが、やはり抗菌薬を適正に使用していないと、常在菌まで殺してしまい、患者さんには非常に不利益になるという説明は是非入れていただきたいと思います。このことで、かえって長引いてしまい、抗菌薬をまた追加して、今度はいつ切ったらいいのかが分からなくなってしまうことも多いかと思います。その辺りは是非、盛り込んでいただければと思いますし、患者さんに説明をする上でも非常に重要なことではないかと思います。

○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。そうすると、「はじめに」「総論」という目次がありますが、医者がいて、医療者がいて、患者さんが、あるいはその保護者がおられてという中で、感染者の診療をする上でコミュニケーションを取るわけですが、そのとき抗菌薬を使わないという判断をする場面があるわけで、そのときに医療者側がうまく説明もできて、患者さん側もそれを見ながらうまく納得をしていただけて、というコミュニケーションをうまく促進していくためのツールを作るということが総論なのかもしれません。それがむしろ必要ではないかという御議論ですよね。それに関してはよろしいですか。私もすごく良いアイディアだと思います。ありがとうございます。

 そうなると、流れとしては、では各論をどう作り込んでいこうかという話になります。

1つだけ、私自身が実際に診療して、あるいはいろいろな方とコミュニケーションを取る上で気をつけなければいけないなと思うのが、急性気道感染症、中でもいわゆる急性上気道炎、もう少し平たく言えば風邪という言葉の中身です。風邪というものの医療者の認知も、患者さん側の認知も本当にばらばらで、同じことを話しているつもりがずれているということはあると思います。手引きは国が出すものですし、しかも皆さんに分かりやすくというのは、皆さんにずれなく伝わるということも大事です。そういう意味では、いわゆる風邪の中身をどう定義していって話を進めていくかというのは大事かなと思っています。

それは実は中身にも関わってくると思うのです。風邪が細菌が原因かという議論があるのですが、ウイルス感染症の過程の中で合併症として副鼻腔炎が起これば、細菌感染症ではないかという言い方をされる方もおられますし、風邪の初期の状況だけ捉えればウイルス感染症ではないかという議論もあります。その辺りをどう捉えていくかというところは、難しいですが大事かなと思いまして、あえて御提示させていただきました。先生方の御意見を是非頂ければと思います。

 すみません。分かりにくかったですね。補足をしますと、風邪症候群というものに対して、余り具体的な中身を知らないという医療者も現実にはいるわけで、そういう方々にとってはウイルス性の上気道炎や急性の副鼻腔炎や中耳炎といったものが、現実的には頭の中では渾然一体となっています。一方で、その辺りの区別がちゃんとできる方はおられます。この患者さんは急性のウイルス性の上気道炎だからこういうふうにマネジメントをしましょうということで判断ができて動ける。そういう方の場合は、むしろ抗菌薬を使わないというのは恐らく当たり前です。そういう方に対する手引きがどれぐらい意味があるのかということも言えるのかもしれません。そういう意味で、いわゆる風邪症候群の包含する内容をどこまで定めるかというのは、どなたを対象にするかや、その後の書きぶりなどに関しても影響があるかなと思ったものですから、ここでちょっと御提案したところです。

○具委員 今の大曲先生の御提案だと、例えば診断名で細かく分けて、このときはこうですよというふうにやっても、そもそもそこに行き着かないと使えないということになるという意味ですか。

○大曲座長 私はそういうイメージを持っています。

○具委員 急性副鼻腔炎のときはこうするといっても、急性副鼻腔炎であると認識できなければそこに行けないということですよね。

○大曲座長 そうだと思っています。急性のウイルス性の上気道炎というふうに限ってしまえば、非常に書くことは限られますよね。でも、そこの診断に至れる人が現実には多くはないのかなというのは、現場で実感しているところです。そういう方々も、うまくガイドをしていけるような内容がいいのではないかと、個人的な意見としては思っています。ただ、その問題意識が共通のものなのかどうか、ちょっと私は分からなかったものですから、この場で出してみました。

○具委員 そうしますと、やはり診断名を細かく切るというよりも、例えば、こういう症状で来たときにはこの部分をチェックして進むのだというような、診断の、ある程度レールを引いてあげるようなもののほうがイメージがしやすいということなのですか。確認なのですが。

○大曲座長 個人的なイメージとしてはそう思っていました。そこは山本先生はどうお考えですか。

○山本委員 御指摘のことは、多分、風邪診療で一番難しいところで、ある程度目安として、こういう症状でこういうふうに分けましょうみたいなことはできると思うのですが、そこは手引きを読んで、どこまで伝わるかという問題になってくるのかなと思います。

 ただ多分、多くの、今、開業なさっている御年配の先生方は、風邪診療のやり方みたいなものを教わらずに、何となくやっていらっしゃる方が多いように思うのです。私が書いた本では、気道症状を伴うような風邪を症状によって4つに分けましょうという。これは私自身が研修医の頃に勉強して、その勉強したことによって、昨日までは同じように思えていた風邪と言ってくる患者さんが違って見えたという経験があるので、そこを手引きのところでどれだけうまく伝えられるかは分からないのですが、ある程度そういう試みはしてもよいのかなと思います。

 もっと言い出すと、患者さん一般の人が風邪と言ってくる場合に、熱だけだったり、下痢だけだったり、何かだるいとか、そういうのもあるので、そこまで膨らませると、なかなかコンパクトにしにくいというのもありますので、風邪と言ってくる人には、ちょっと恐い病気も隠れていますよという注意喚起ぐらいはあったほうがいいかと思うのですが、まずは気道感染症に限定したほうがいいのかなと思います。

○具委員 例えば、病名から行くとそこに行き着けないのであれば、やはり典型的な病像というものをセットにする必要があるのかなと思うのです。やはり非典型的なときには、非典型的なことが起こっている可能性はあるわけなので。ただ、少なくともこれは典型的なこういう病像を取ります、そうすれば確実にそのレールでこちら側に行きますというような、この手引きの中で、読む人をガイドしてあげるというのはいいのかもしれないと思いました。ただ、その辺りは分量との兼ね合いが出るかなとは思いますが。少し分かりにくい議論になってしまって申し訳ありません。

○大曲座長 ありがとうございます。私こそ分かりにくい議論をふっかけてしまって大変申し訳ありません。山本先生がおっしゃったように、現実の場ではすごく大事なところだと思うのです。漠然と風邪としか捉えられない患者さんを、もう少し具体的に診られるように持っていくというのはすごく大事な作業で、恐らくそこは触れる必要があるのではないかと思って私もお話を伺っていたのです。何かこの点、御意見はいかがでしょうか。

○宮入委員 非常に難しい議論です。1つできることは、重症疾患の除外というところが1つの線引きになるかなと思うのです。例えば扁桃咽頭炎があったときに、深頸部膿瘍ではないとか、感冒がある患者については中耳炎や副鼻腔炎を除外するなどがポイントになります。抗菌薬が必要になるような状況はこうですというところの線引きをしてあげるのが1つかなとは思うのです。それも難しい話ですが。

○本田委員 ちょっと日常の臨床の話ですが、恐らく皆さんどうしているかというと、初めに重症がどうかというものを診ているので、恐らくバイタルサインなどを診ているのだと思うのです。なので、そういったところが、何か当たり前なのですが重要というか、症候も重要なのですが、恐らく初めの初期情報というか、もしかしたら、その患者を診るときの初期情報は何か強調されるといいのかなと思います。実際、呼吸数が速いなどとういう状況は、臨床医として診ていて非常に憂慮すると思うのです。そうすると、診療の仕方をどうやってやっていくかみたいな話になってしまうので、何か大きくはなっていってしまうのですが、少なくとも、先ほど言った除外をしていく上で何を診ておいたほうがいいかなどというのは、バイタルサインなども含めてという形が記載されているといいのではないかと、私個人的には思います。

○大曲座長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。

○坂本委員 すごく素人的な質問で申し訳ないのですが、例えば、大曲先生山本先生、本田先生は、「風邪をひいた」と言って受診した患者さんを診たときに、御自身の専門性に基づいて頭の中にアセスメントのフローのようなものを展開させながら、鑑別診断をされていると思います。それを図式化するのは非常に難しいと思うのですが、多分、感染症がご専門ではない開業医さんが求めているのはそういう、判断を助ける材料みたいなものではないかと想像します。私はそういう作業をやっていないので分からないのですが、そのようなアルゴリズムやフローは作成できるものなのでしょうか。そういうものがないと、重症な疾患を鑑別して、抗菌薬を使うか使わないかの判断を行うのが難しい場合もあるのではないかと想像します。アルゴリズムやフローを作成するのは可能ですか。

○山本委員 これは非常に難しいのですが、多分ここにおられる委員の先生方は、診療所で働いている開業医の先生ではないので、どうしても病院や救急外来という場面を想定してしまうと、やはり重症患者さんを見逃さないというのが大事になります。実際に私も、小さい診療所でバイトに行ったりすると、ほとんど重症の患者さんは年に1人、2人というレベルなので、そういう所でいちいち患者さんが重症ではないかどうかとやっても、外れが多くなってしまって、やはりそれも根本としては大事なことなのですが、なかなか難しいと思うのです。難しいのは非常に稀な例だったりとか、非典型的な例であったり、それはアルゴリズムにしにくい部分があります。

 私自身はどうしているかというと、これは子供には使えないのですが、大人の場合は、大体、誰でも何回か風邪をひいたことがあると思いますので、普段ひいている風邪と同じかどうかというのを確認するようにしていて、普段と同じであれば、余り重症な病気で、すぐに明日死んだりはしないだろうと、ちょっと安心材料になったり。それが本当に科学的にどうかと言われると困ってしまうのですが、ある程度患者さんに聞いて、普段と同じか、違うかというのを1つの目安にはしています。ちょっとそれぐらいしか。あとは通り一遍のバイタルサインなどになってしまうのだろうと思うのですが。

○坂本委員 先生方のお話を伺い、そのような臨床での判断を明文化して、現場で開業医さんなどが使える手引きに形づくっていくというのは、すごく難しく、逆にガチガチに科学的にしてしまったほうが手早く、年度末までに作成出来るように思います。ただ、いつも先生方が自然にやっていらっしゃるような思考のプロセスのようなものをうめく文章化できればすごく使える手引きになるのではないかとも思います。すみません。余りこれといった意見ではないのですが。

○大曲座長 ありがとうございます。大変貴重な意見だと思います。

○山本委員 多分、開業医さんのほうばかり例に出してもあれですが、いわゆる風邪の人全例に、効菌薬を出している人が、いきなりゼロにしろと言われても難しいというか、無理だと思うのです。そこは無理にゼロにする必要はなくて、半分にしてもらえれば、実はこのアクションプランの目標が達成できてしまうので、まずは、今まで風邪の人全例に抗菌薬を処方するのが当たり前だった人が、実はこういう人は大丈夫そうだなという場合に減らしてもらう。仮にも医師免許を持っている医者なので、そこはもう国が責任を負うかなどという問題ではなく、やはり診療の責任は診た医者にあると思いますので、この人は大丈夫そうだなという判断の、ちょっと手助けになるようなイメージなのかなと思います。ちょっと言葉がうまく説明できないのですが。

○宮入委員 軽症の患者さんに限るという点での手引きを作るということであれば、大分気が楽です。先ほど具先生が回していただいた資料の中に、青信号、黄色信号、赤信号みたいな表示があって、それはどちらかというと重症な患者さんを見逃さないためのシステムだと思うのですが、今回の対象は青信号の患者さんを対象にして、明らかに上気道炎、急性下痢症で、元気というような前提に立って、そこに対して抗菌薬は必要ない、その代わりに別のオプションを提示するような内容であれば書きやすいです。グレーゾーンに入っていくと、難しくなると思うので、そこは次の課題なのかもしれないなと思います。理想的にはそこまで立ち入ったことを書けるといいなとは思います。

○徳田委員 先ほどの重症を見逃さないというディスカッションなのですが、例えばバックペインなどはレッドフラッグというのがあって、こういうものがあったら、もうレッドフラッグですと、非特異的腰痛ではありませんという。そういうものを表にして出すといったようなものがピットフォール系にはいいのかなと思うのです。ピットフォールというのは、Critical Diseaseが、uncommon presentationで来るという場合が結構みんな陥るというところなのです。典型的な形で来れば分かるのですが、例えば風邪症状で紛らわしいもので来て、心筋炎だったとか、実際そういうふうな症状で来たりするではないですか。そういうものもあるので、レッドフラッグ的なものを整理して記載するというのもいいのかなと思います。

○大曲座長 ありがとうございます。どうまとめるか非常に難しいのですが、伺っていて思ったのは、やはり入口のところは余り狭めるわけにもいかないだろうということです。やはり漠然とした意味での風邪というものがあるというのは事実で、その方をどうするかというのは現実です。そこはやはり対象とすべきではないか。ただし、その中でも判断が極めて難しいようなものに関して、微に入り細に入りというのはちょっと難しいだろうと。私も宮入先生のおっしゃるとおりだと思います。

 ただ一方で、私たちも自分たちがメジャーエラーをしないというためには、徳田先生がおっしゃったように、これだけは踏むなというレッドフラッグをまずは覚えていって、患者さん方に迷惑を掛けないように修業をしてきたというのも現実でありまして、そこは風邪診療の中でも大事なところだと私も思います。各項目の内容を具体的にチェックすると言うよりは、ちょっと概念的な話になりましたが、そういった形で中身が作れればと思って伺っておりました。

 すみません。自分がまいた議論で大分時間がたってしまったのですが、その他、この場で最後に、是非この項目だけは要るなどというものがあれば頂ければと思います。いかがでしょうか。

○坂本委員 今回の第一版には恐らく入らないと思うのですが、例えば歯科領域や眼科領域において、もしかしたらエビデンスが確立していないかもしれませんが、特に予防的に使用される抗菌薬について将来的に検討する必要があるのかもしれないと思っています。

○大曲座長 ありがとうございます。特に歯科領域などは私も同感です。歯科の先生方の中では悩みがすごく多いのだなというのも伝わってきています。

 項目に関してはよろしいですか。よろしければ、全体を含めて「その他」ということで3番目の項目がありますが、先ほど坂本先生の御発言もありましたが、ほかは何かありますか。よろしいですか。ありがとうございます。

 すみません。司会がうまく回せなくて少し時間が延びてしまいました。そういうことで、私の議事の進行はここで終わりにします。一度お返しします。

○結核感染症課長補佐 1点だけ確認させていただきたいのですが、本日御議論いただいた内容を踏まえまして、大曲先生のほうにも事務局のほうから御相談させていただき、執筆については、また、委員の先生方に御依頼をさせていただいて進めていくという形でよろしいでしょうか。

○大曲座長 そうですね。今、野田室長のおっしゃったことなのですが、そういう形で皆さん方に分担していただく部分をお願いするということでよろしいでしょうか。

○林委員 執筆に当たって、例えば私たちが共著者というようなものを含めることは可能なのですか。それとも、これに関しては一人で、その仕事はやらなければいけないのか。

○大曲座長 オーサーシップですよね。

○林委員 オーサーシップの問題というよりは、要するに、ある程度、秘密裏にやらなければいけないのかとか。

○大曲座長 野田室長、お願いします。

○結核感染症課長補佐 それについては、また今後の議論で御相談いただければと思いますが、恐らく、初めのほうに御議論いただきましたが、透明性の問題もありますので、あと、この会議自体も公開で行っておりますので、そこについては極力、そこは誰が書いたかというところは公開をしていくという形になろうかとは考えております。

○徳田委員 例えば、誰か一緒に仲間を入れて一緒に書くというのも オーケーなのですか。

○結核感染症課長補佐 そこについても御相談させていただくという形かと思います。ただ、実際に、次回以降、こういう形でやりましたというところは、多分、御発言いただくかもしれませんが、そこはまた事務局のほうで、大曲先生とも御相談させていただきながら、次回以降の審議の方法については考えさせていただきたいと思います。

○大曲座長 そのほかよろしいでしょうか。それでは、改めてお返しします。

○結核感染症課長補佐 本日の議事は以上で終了となります。そのほかのことについてですが、第2回の開催については、来年130日を予定しております。事務局からは以上です。

○大曲座長 本日はこれで終了させていただきます。遅くなりまして申し訳ありませんでした。お疲れ様でした。ありがとうございます。


(了)

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