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2016年9月30日 第2回「仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会」議事録

労働基準局 労働条件政策課

○日時

平成28年9月30日(金) 13:30〜15:30


○場所

航空会館会議室(5階)


○議題

時間外労働の実態等について(意見交換)

○議事

○今野座長 それでは、少し早いですが、始めたいと思います。ただいまから「第2回仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会」を開催いたします。

 本日は、島田委員と守島委員が御欠席です。

 今日の議題ですが、第1回目の検討会の論点整理をもう一度みんなで確認した上で、大久保委員と山田委員からプレゼンをしていただきまして、自由に議論をしたいと思います。

 それでは、まず資料の確認を事務局からしてください。

○中嶋調査官 本日の資料は6点ございます。議事次第、座席表、資料1「大久保委員提出資料」、資料2「山田委員提出資料」、資料3「第1回検討会での各委員の主なご意見」、参考資料「第1回検討会でのご意見に関連するもの」の6点でございます。

 不足がございましたらば事務局にお申しつけください。

○今野座長 よろしいですか。

 それでは、先ほど言いましたように、まず最初に事務局から第1回の検討会での各委員の御意見を整理していただくのと、それに関連して資料の説明をお願いします。

○中嶋調査官 承知いたしました。

 それでは、資料3につきまして、私から説明させていただきます。

 こちらのほうは、前回皆様から多岐にわたる御意見を頂戴し、御示唆もいただきました。それを4つほどのカテゴリーに分けまして、事務局の責任におきまして整理を試みたものでございます。

 1つは雇用システムの関係です。1ページから2ページにかけてでございますけれども、日本型雇用システムと長時間労働の関係などにつきましてさまざま頂戴いたしました御意見を掲げさせていただいております。

 2つ目は経営者の意識・マネジメントの関係でございます。2ページでございますが、経営陣の意識改革、仕事のやり方、現場でのコミュニケーションというマネジメントの改革などが労働時間の削減に大きな効果を発揮している旨など、さまざま御示唆を頂戴したところでございます。

 3つ目ですが、2ページから3ページにかけまして、産業構造・顧客の意識の関係でございます。24時間営業などの過剰サービス、それを求める顧客側の意識といったものが長時間労働につながっている旨でありますとか、下請構造におきまして労働時間が長くなっているという実態などにつきまして、御指摘をいただいたものでございます。

 4点目が法制度についてでございます。3ページから4ページにかけてでありますが、36協定の遵守状況へのコメントですとか、あるいはその締結当事者となる過半数代表に関する手続的規定、あるいは労働時間の限度などの実体的規定についての御意見でございます。

 また、企業から求職者への情報提供ですとか、優良企業、違反企業、それぞれに対します公表制度などにつきまして御意見を頂戴したところでございます。

 適宜御参照いただければと存じます。

 続きまして、参考資料の説明をさせていただきたいと存じます。

 まず、1ページは業務の繁閑に対する雇用調整の方法について、企業へのアンケート結果をまとめたものでございます。表に掲げておりますさまざまな雇用調整の方法のうち、どのようなものを実施したかを複数回答していただいたものです。期間は2008年から2013年まででございます。

 結果でありますが、雇用調整の方法別の実施割合は、年によって若干の変動はありますが、「1日単位での一時休業」が最も多く、次いで「残業規制」、すなわち残業時間の縮減による調整が多くなっております。それぞれ赤で囲ったところであります。

 このほかとしましては、「休日の振替、夏季休暇等の休日・休暇の増加」「中途採用の削減・停止」「新規学卒採用の削減・停止」「時間単位での一時休業」「正社員以外の雇い止め」といった方法がとられているところでございます。

 続いて、2ページは働き方改革の取り組み事例として、経営者のリーダーシップや現場でのマネジメントの工夫を通じまして労働時間の削減に取り組んでいる例を何点か紹介をさせていただいております。

 事例1ですが、経営トップみずから会議を30分で切り上げる。簡素な資料で意思決定することを徹底しているという例。

 それから、モバイルPCを活用し、外出中でも決裁、手続が滞りなく進むようにしているという業務プロセスの改革の事例を挙げております。

 事例2ですが、こちらでは18時にPCが自動的にシャットダウンする機能を導入し、早帰りと残業削減の意識づけを行っているという取り組み。

 それから、年休取得促進の観点かと思いますが、病気により入院が必要となった場合に備えた特別休暇制度を整備している例を紹介しております。

 事例3ですが、こちらでは休暇の取得計画をあらかじめ従業員から提出をさせる。そして、その後計画どおりに休暇が取得できているかを随時確認して、ずれが生じている場合には部門長に報告をして、そのフォローをしていくという具合に、いわばPDCAを現場で回しながら取り組んでいるという事例。

 さらには、18時以降残業する社員の数を10%以内とするルールを定め、事前申請なしの残業を禁止しているという取り組みを紹介させていただいております。

 事例4におきましては、朝型勤務の奨励。それから、コアタイムを1時間短縮し、定時より早く出社し、早く帰宅することを社員に呼びかけているという事例を紹介させていただいております。

 3ページは、前回もご紹介した資料であります。下請構造への対応策としまして再度掲載させていただきました。

 4ページ、5ページは、前回顧客あるいは発注側の問題の例としましてコメントもいただきましたトラック輸送における長時間労働について、実態調査の結果であります。このうち4ページには拘束時間、翌日の勤務までの休息時間、連続運転時間といった業務の特性に応じた切り口から現状の数値を掲げさせていただいておりますので、適宜御参照いただければと存じます。

 5ページでは手待ち時間に注目をして状況をまとめております。図5が手待ち時間の分布を示したものですが、1運行あたり平均1時間45分。3時間を超えるようなものも少なからずあるという状況でございます。

 図6が荷主都合による手待ち時間の発生状況をまとめたものでございます。発注者、発荷主のほうにおきましては、指定の時間にとりに行ってみたら、まだ荷づくりができていないので待つことになってしまったというような事例。あるいは着荷主におきましては、ジャスト・イン・タイムを求められるために少し早目に行って待っているといったケースなどが含まれると存じますが、それぞれ平均1時間を超えるような手待ち時間が発生しているということ。その頻度につきましても、発荷主、着荷主それぞれ同じ程度発生しているという状況でございます。

 また、あわせまして、時間指定がある場合でも、ない場合と同程度の手待ち時間が発生している状況につきまして、図6にまとめているところでございます。

 続きまして、6ページは法違反への対応についてでございます。そもそも36協定が守られていない事例などへの対応をまとめたものですが、左側にありますのが昨年度月100時間を超える時間外労働が疑われる8,530事業場に対して行った監督の結果でございます。違法な長時間労働としまして、36協定がないあるいは協定時間を超える時間外労働が行われている、そうしたケースが全体の56.2%に当たる事業場で確認されたところでありまして、指導を行ったところでございます。

 右側におきましては、重大・悪質な事例について送検した事例を掲げております。いずれも小売店などを全国展開する企業でありますが、36協定を締結せず、あるいは協定で定めた時間を大幅に超える長時間労働の案件であり、書類送検をしたというところでございます。

 次のページに行っていただきまして、こちらでは過半数労働組合のない事業場における過半数代表の実態につきまして、従業員規模1,000人未満の企業に対するアンケート調査をまとめたものでございます。上の色分けしたグラフが過半数代表者の選出方法についてであります。左側から「選挙」「信任」「全従業員が集まって話し合いにより選出した」「職場ごとの代表者など一定の従業員が集まって話し合いにより選出した」という回答が紫のところまで並んでおります一方で、「社員会・親睦会などの代表者が自動的に過半数代表になった」「会社側が指名した」、青とオレンジのところですが、そういった回答も挙げられております。

 また、下のグラフは過半数代表者の職種についてまとめたものでございます。左側から「一般従業員クラス」「係長・主任・職長・班長クラス」という回答が青と赤と並んでおりますが、その一方で、「課長クラス」「部長・次長クラス以上」という回答も緑と紫のところのように見られるところでございます。

 8ページは、労働時間が評価項目となっている厚労省の認定制度の一覧でございます。ここでは女性活躍推進法を例に簡単にスキームを御紹介させていただきます。

 一番上の欄左側、「えるぼし」という認定マーク、薄い赤から濃い赤にグラデーションのついた3つのものがございます。こちらは採用、継続就業、労働時間といった観点から設ける5つの基準への適合状況に応じてマークが取得できるという仕組みです。

 例えば基準が1つ満たされていれば第1段階のマーク、3つ以上のときは第2段階のマーク、5つ全てを満たすときに第3段階のマークが取得できるというものであります。

 労働時間は1つの基準として位置づけられておりまして、具体的には雇用管理区分ごとの労働者の法定時間外労働及び法定休日労働時間の合計時間数の平均が直近の事業年度の各月ごとに全て45時間未満であることとされております。

 マークを取得することのメリットでありますが、積極的な取り組みを進めている企業であることのアピール、あるいはそれを通じた優秀な人材の獲得といった点ですが、あわせて、企画競争などによる公共調達において加点評価が得られる仕組みも新たに開始されるところでございます。

 なお、今、申しました労働時間やその他の評価項目の実績につきましては毎年公表することが求められております。若者雇用促進法においても同様のスキームとなっております。

 9ページは、今、申し上げました認定制度も含めまして女性活躍促進法に基づく民間事業主の対応についてまとめたものでございます。

 まず、先ほど申し上げました認定の前提としまして、事業主は女性の活躍しやすい環境整備について行動計画を策定することとされておりまして、大企業は義務、中小企業は努力義務とされております。

 計画には目標、取り組み内容などを含めることとされており、労働時間についても数値目標を定めて取り組むこととされております。

 また、先ほど申し上げました認定の有無にかかわらず、求職者の職業選択に資するという観点から、企業には情報の定期的な公表も求められております。大企業は義務、中小企業は努力義務となっております。

 公表項目につきましては、採用、勤続年数、労働時間などの観点から省令で列挙されておりまして、事業主が適切と考えるものを公表する仕組みとなっております。

 ちなみに、労働時間につきましては、雇用する労働者1人当たりの時間外労働及び休日労働の一月当たりの合計時間数とされているところでございます。

 最後10ページは、再び監督署の取り組みに戻りまして、違法な長時間労働を行う企業に対する指導・公表についてまとめたものでございます。先ほどの6ページでは送検についてご覧いただきまして、それらの事案につきましては公表もしているわけですけれども、そういった送検に至らない事案であっても社会的に影響力のある大きい企業が違法な長時間労働を行っている場合に指導及び公表を行う際の考え方を整理したものでございます。

 具体的には複数の都道府県に事業場のある大企業、相当数の労働者、一定期間内に複数の事業場で繰り返されているところを対象として取り組みを進めているというところでございます。

 簡単ではございますが、事務局からの説明は以上とさせていただきます。

○今野座長 ありがとうございました。

 何か御質問ございますか。

 1つだけいいですか。これは事務局に聞くことでもないかなと思うのですけれども、1ページ目の雇用調整のデータがありますね。僕はこういうの、今まで気がつかなかったのですが、雇用調整のとき残業規制がいつもトップかなと思っていたのですけれども、これを見ると、趨勢的に落ちて、右側の休業が趨勢的に上がっているのですね。企業はもう残業規制で調整するのは無理だから、一種の労働時間調整は休業でいこうというふうに行動を変えたということですか。私、こうやって見るのは初めてなのです。今まで気がつかなかったので。

○中嶋調査官 よろしいですか。

○今野座長 どうぞ。

○中嶋調査官 すみません。全く気づきの点として申し上げたいのですが、この資料につきまして、私、初めて見たときに、リーマンの年になる前にいわば平時において残業規制というものがとられており、それが危機のときになると別の方法も含めて調整されるために、傾向としては落ちている。それがまだ回復といいますか、もとに戻る過程なのかなという思いも持って見ておったのですが、ただ、それが2013年までのことを説明できるかという点に関しましては、正直なところ十分理解をしていないところでございます。

○今野座長 一般論で言うと、労働時間をみんなで短くしようよという話になると、残業規制での調整力は当然落ちますね。そうすると、もう一つ労働時間で調整しようと思ったら、休業という手はあるなと。会社は少しお金がかかるけれども、そういうふうに行動が変わってきた。

 どうですか。こういうのは黒田さんが一番詳しいですか。

○黒田委員 私が詳しいことはないと思うので、 もし間違っていたら、ちょっと訂正していただければと思います。

 所定内労働時間を割ってはいけないのかという問題提起を第1回にさせていただいたときには、雇調金等を使うことも可能なのではないかということをその後、添えてお話しさせていただいたつもりだったのですが、問題提起の仕方が曖昧で、皆さん、おわかりにならなかったのではないかと思うので、少しだけ補足させていただきます。あの時の問題提起はまさにここの一時休業のところを念頭に置いていまして、これは多分雇調金を使っているのだということだと思うのですけれども、1日申請すれば8時間短縮することができるわけですので、そういう意味では、残業時間でたくさんのバッファーをとっておくために長時間労働が必要というロジックはそれほど重要ではないのではないかというのが私自身が今、考えているところです。

 もう一つ申し上げると、これは事務局のほうに調査をお願いしているところなのですが、荒木先生が多分お詳しいと思うのですけれども、ドイツの労働時間貯蓄制度みたいなものを使って、繁忙期は長時間働かなければいけないとしても、その超過労働分を残業代として支給せずに、労働時間貯蓄口座の中にためておいて、閑散期にその原資を使って休みをとるとか、所定内労働時間を下げるとか、そういったことで雇用調整をせずに労働時間を平準化し、同時に雇用を守ることができるのではないかと考えております。

○今野座長 私はそんなに詳しくないのですけれども、アメリカは、例えばITのエンジニアなどの場合は昔から労働時間管理はされていないわけですが、昔から人事ではタイムコンペンセーションというのがあって、時間をためるのですよ。それは昔からある制度かなと。別に法律にあるわけではないのですけれども。

○山田委員 産業構造の問題というのはないのでしょうか。製造業というのは基本的に残業規制をやると思うのですが、サービス業は日数で調整するという傾向があるとすれば。そこは仮説ですけれども。

○今野座長 ちょっと気になったものですから。

 ほかに何か御質問ございますか。よろしいですか。

 それでは、先ほどお話ししましたように、山田委員と大久保委員からお話をいただきます。

 大久保さんからお願いしましょうか。

○大久保委員 では、お手元の資料1、テキストのものと表3枚を束ねたものがありますので、それをご覧いただきたいと思います。

 前回長時間労働の理由を思いつくままに申し上げたのですけれども、改めて統計ベースでもう一回見てみようということで、公的統計の分は厚労省のほうで全部出していただいているので、私が手元で持っているデータを使って分析をしてみました。

 1つは、毎年1月に実査しております全国就業実態パネル調査、4万9,000人の個人を対象とした調査です。これはまだ昨年度始めたばかりなのですが、毎年1月にやるということを決めて始めているものです。個人の調査サンプル数も多くとれていますので、そこから何か見えるかなということで、分析してみました。

 もう一つは、企業調査のほうで東証一部上場企業を対象としたワークス人材マネジメント調査を隔年で実施しておりますので、そこから何か見えてくるものはないかなということで、今日はお持ちしました。

 まず、職種別の長時間労働傾向についてもう一回改めて見てみようということです。添付の表1を横に置きながら見ていただきたいと思います。先ほど事務局からトラックドライバーの問題が指摘ございましたけれども、週60時間以上の割合の多い順に職種を並べてみたわけですが、圧倒的にドライバーというのが1番に来る。これはトラック、バス、タクシーなどドライバー全体をくくっている中分類になっておりますので、雇用者で見れば30.5%の人が週60時間以上働いているということになるわけです。ちなみに、トラックドライバーだけで見ると40%を超えています。ということで、やはりトラックドライバーというのが特別長時間労働の状態にあるのだということがわかります。

  2番目に理美容というのがある。営業中ずっと勤務し続けることと、それから開店前の準備、開店後の処理、それから閉店後に教育研修をやったりすることもあって、拘束時間が長い仕事です。

 実は右のほうに黄色くマークをしておりますけれども、それぞれの職業別の「自営業主(雇い人なし)の割合」というのを出してみたのです。これは何を言いたいかというと、つまり、同じ事業場で働いている人の中に雇用されて働いている人と業務委託契約とかフリーランサーとして働いている人がいるということが往々にしてある職業がこれでございます。理美容もこれに該当する。全就業者の3割ぐらいは雇用されずに働いている人がまじっているということであります。この人たちは当然ながら労働時間規制の対象にはならないわけであります。

 また、そういう人たちと雇用されている人たちが事業場の中で競争環境にあるということでありますし、また、仕事上の連携があれば、そういう人たちに引っ張られるということもあります。あと、個人ですから、企業で組織的に取り組む生産性改革みたいなものの波がなかなか訪れないということで、見てみると、仕事のやり方が割と近代化されていないものもありそうだなという感じがしております。

 ゲーム関連専門職のように、まさしく今、非常に旺盛な製品需要があって、個人が没頭して働いていて、どちらかというと働かされているというよりは、個人の好きな、働いた結果として長時間労働が発生しているようです。そういう職業もあります。

 小まめに見てみると、かなりいろいろな形態がありますので、1つ言いたいことは、これらのそれぞれの職業を思い浮かべたときに、いわゆる法定による労働時間の上限の規制という施策をスタンドアローンにとってもなかなかうまくいかない。つまり、職務特性に応じた対策を一方でとりながらこの法律の問題を考えていかないと、対策として機能しないのではないかということを改めて確認をしたいということで、お渡しをしているわけであります。

 この中には営業とかいう仕事も入っていますし、団体の管理職ということも入っているわけですが、恐らく私が思うに、こういう人たちの長時間労働傾向を何とか変えられないものだろうかということで、一つの解決策は、モバイルとかAIとかも含めたテクノロジー活用というのが重要になるのではないかなと思います。

 例えば営業職は、顧客との対応時間の長さではなくて、その後に伴う後処理の時間の長さというのが営業職の労働時間の長さをつくっているのです。つまり、一旦お客さんのところから会社に戻って、その後に手配をしたりということの時間が非常に長い。実は営業の女性の労働時間が長くて、なかなか出産後も続けられないという会社が集まって、「エイジョカレッジ」というのを我々の会社も含めてやって、どうしたらそれが改善できるのかという取り組みを3年ぐらいやっているのですが、皆さん共通して、営業行為が終わった後の時間をどうやって短くするのかというのがテーマで、そのためのシステムの問題だったり、そのことをわざわざオフィスに戻らずに、自宅とかサテライトで片づけて帰れるようにするということが一番最初に出てくる話なのです。モバイルとかそういうものを使って長時間労働に対策できるところも相当あるはずで、こちらの角度からの取り組みというのは、これは厚労省的な取り組みとちょっと違うのだと思いますけれども、相当有効なのだろうということも含めて対策を練っていくのかなと思っております。これが1点目の御報告。

 2つ目は労働組合と長時間労働の関係についてということで、これは添付資料の2をご覧いただきたいと思います。36協定の話をしているところなので、労使という問題から何か見えてこないかなということで、これも全国就業実態パネル調査のデータから引っ張ってきたものなのですが、こういう質問をしています。「労働者の利益を代表して交渉してくれる組織がある。あるいは、そのような手段が確保されていた」。これについて「あてはまる」から「あてはまらない」まで、個人に回答してもらっています。

 そうしたところ、そういう組織がある、「あてはまる」と回答している人のほうが、「あてはまらない」と回答している人よりも、週60時間を超えるような長時間労働の比率は低いということが言えるので、労使の交渉が機能しているのかなと思いつつ、一方で気になるのは、これはあくまでも個人が回答しているのですけれども、「あてはまる」と回答した人が正社員で8.7%しかいないということなのです。先ほど誰が労働者の過半数代表になっているのかという問題もありましたが、それ等を含めたときに、個人から自分たちの利益を代表するような行動ができているのかどうか、そこに不安を感じる数字かなと思います。

 下に補足的に書いておりますけれども、非正規雇用者に関しては、当てはまる比率はさらに低くなっていくわけでありまして、そういうものを前提に置いて考えていかないと、実際のルールを決めても、それが労使の交渉の場でどう展開されていくのかということは一定の制約があるのだということかなと思います。これが2つ目の御報告です。

 3つ目です。本来は労働基準局の議論になじまないのかもしれませんが、割と大事な話は適法長時間労働なのではないかと思っています。確かに違法な領域にまで出てきた長時間労働をどうなくしていくかということは、それはそれで大事なことなのですけれども、よく考えてみると、もともと少子化対策から女性活躍推進みたいな流れで、長時間労働の慣行があるとフェアに働くことができず、少子化が加速されやすいというような文脈で議論してきたときの長時間労働の話というのは、違法な長時間労働の話ではなくて、適法なのだけれども残業がしっかりある、そういうところの働き方をどうやって変えていくのかという話だったというふうに理解をしております。

 それのヒントになることが出せないかなと考えてつくったのが表3と書いてあるものでございます。これは先ほど冒頭にちょっとお話をしたとおり、実は東証一部上場企業の人事に対して行った調査の結果から導き出しているものなのですが、真ん中に生産性を置いております。生産性は分子、分母で、人の側面から見れば、労働時間というか、投入量はなるべく少ないほうがいいわけで、一方でアウトプットはなるべく多いほうがいいわけですから、労働時間を短くし、イノベーションなりの付加価値の高い成果を大きくしていくにはどうしたらいいのだろうか、こういうことを考えているわけであります。

 そうすると、統計でイノベーションに有意に影響を与えているという数値が出てくるものの筆頭に、プロフェッショナル人材を育成しているということとか、あるいはダイバーシティ&インクルージョンに取り組んでいるということがあるわけであります。これはお配りした表の中には数字は入れておりませんけれども、実は片矢印には回帰係数がちゃんときれいに入りまして、両矢印には相関係数、正の相関があるという数字が入るのです。ということで、この2つが機能している。

 一方で、労働時間をどうやって少なくするのだということに関しては、特にマネジャーのジョブアサインメント、どういう仕事の割り振り、与え方をするのかとか、こういうことが非常に影響を与えているし、当然ながら今、リモートワーク等々出ているような働き方改革ということが労働時間を削減することに効果を生み出している。こういうことになるわけです。

 例えばダイバーシティ&インクルージョンを進めていくと多様な人々が就業に参加できる。その人たちがフェアに働けるようにするために効率的な働き方改革を求めていく。効率的な働き方改革でどこでもいつでも働けるように無駄をなくしていこうとすると、部下が目の前からいなくなりますので、今までのマネジメントの概念が相当変わって、プロセス管理ができなくなっていきますし、会議をすること自体が仕事のメーン項目から減っていきますので、マネジメントのジョブアサインメントも含めたマネジメント全体の改革が求められるようになってくる。実はこれは非常に大きな変化なのです。

 そうすると、ある程度自己管理、自律を求めていくようになりますので、そういう自律的な仕事の進め方ということがそれぞれの個人にプレッシャーとして与えられ、また、特にダイバーシティとか効率的な働き方とセットで今のキャリアプランニング、個人のキャリア自律的な展望をつくるための研修などが盛んに行われるようになってきていますけれども、そういうものがプロフェッショナル人材に育成していくということについて相関が出てくる。プロ人材が増えてくると、その人の個性や専門性が発揮される形でダイバーシティがさらに促進されていく。こういう大きなメカニズムがどうもありそうだということが見えるわけです。

 今、株式市場などの機関投資家の視点を聞いてみると、やはりイノベーションとか生産性とかサスティナビリティーというのが非常に大きなキーワードで、関心項目になっているということなので、実はこの中にそれが全部入っているのです。

 一つの施策としては、こういう取り組みの経営合理性の中における適法の長時間労働の改善、この問題を推進していくためには、株式市場におけるある種の数値の公開であったり、これは証券市場の機関との連携が必要になってきますけれども、そういうものも大いに効果があるのではないか。むしろ法規制以上にそういった経営合理性と密接に連動したような施策が求められていくのではないかなと思っておりますので、種類の違う対策がそこからは求められていくのかなと思っています。これが3つ目の御報告でございます。

○今野座長 ありがとうございました。

 それでは、議論をしましょうか。何でも結構ですので、御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

○平野委員 確認なのですけれども、もしおわかりだったらということなのですが、例えば表1の理美容で、普段まちの美容院を見ていても、閉店したら練習していますね。結構夜遅くまでみんなでトレーニングしているというのを見ますけれども、それは基本的に残業時間としてカウントされているのですか。サービス残業、いわゆる自主的なトレーニングなのですか。ここで言うと21.1で、かなり多いですね。それの一つの理由がトレーニングということだと思うのですが、その辺が曖昧というか、結構自主的勉強会として扱われ、残業時間にカウントされていないケースもあるのではないかと思います。

○大久保委員 実質的には拘束はされているはずなので、当然法的にも残業にカウントしなければいけないと思うのです。実態がどこまで残業にカウントするのか、私もちょっとよくわからないですけれども。

○平野委員 日本企業というのは、理美容に限らず、人材育成において、正規の就業時間を終えてから自主的に職場でトレーニングしていくというのが昔からあると思うのです。実はそれが現場のスキルの底上げにつながっているところもかなりあるということなのです。しかし、それが全部残業時間としてカウントされているかというと、そうとも言えないところ、非常に曖昧な部分もあり得ると思うのです。だから、その辺のところをどういうふうに考えるか。

○大久保委員 1つは、残業としてちゃんとカウントされているかどうかという御指摘の点は多分に怪しいところがあるのですが、私、この問題で特に伝えたかったのは、では、閉店後にトレーニングをやるというのは本当に必要なのかということです。つまり、日本企業の場合は、今おっしゃったとおり、どちらかというとOJTでやり方を見せたりとかしながら、時間をかけて教育をやるということが当たり前になっていて、ですから、若いときは成長のためには長時間労働というのはある程度必要なのだということをおっしゃる方も多いのです。ただ、その話を聞くたびにいつも疑問に思っていまして、それは本当に効率的な教育をやっているのかということを思うのです。

 例えば職人さんなどですと、一人前になるのに10年みたいなことを言うのですけれども、例えばラーメン店でラーメンのだしを教えてもらうまでに皿洗い5年やります、そういう話はよくあるわけですが、一方で3カ月で一人前にするような教育をする会社などが出てきたりしているのを見ると、例えば知識みたいなものは、全部人間が覚えなくても、一部テクノロジーによって代替できるところもありますし、あるいは最近左官工事なども教えるのでなくて、バーチャルリアリティーで自分の手の形を教えてくれるようなやつをやると、すごく早い時間で覚えられるとか、先ほどテクノロジーをもっと使いませんかと言ったのは、どちらかというとそういう話のほうで、そういう長い時間の教育訓練、時間外かどうかわかりませんが、それを必要としなくなるような方策があるのではないかと思っています。

 実際にそういうことに取り組み始めている一部の大企業があるので、そういうところの投資が加速すると、別の形で労働時間がぐっと圧縮されるのではないか。そういうことを皆さんにお伝えしたいなという気持ちがあって、先ほどその話題を振らせていただいたのです。

○今野座長 これは、今、平野さんがおっしゃられたように、訓練を労働時間とすると、労働時間がすごく延びていますというのがわかるデータはあるのですか。余り聞いたことがないですね。企業は、一般的に社員に研修を土・日にやるときは労働時間に入るのですか。

○大久保委員 入るはずです。

○今野座長 それは業務命令で行っているから。

○大久保委員 ただ、研修は自主参加のものが非常に多くなっています。時間外云々の問題でなくて、強制的に行かせても成果が上がりにくいので、自分でそう思っている人たちが参加するようにということで、自主参加が多くなってきているのだと思うのですけれども、そうすると、ちょっと曖昧な部分が出てくる。会社が別に主催しているわけでなくて、本人たち同士がやり合っているのだという考え方をする。そこはちょっと境界線が曖昧な部分が出てきますね。

○小畑委員 エステとか美容師の場合は、指名でこの方にということで、非常に人気のある方がいらっしゃると、お客様がアフター5に予約を入れられて、それが例えば夜8時でも9時でも10時でも、とてもすばらしいお得意様であれば、それに即応して指名された人がやるけれども、それに必ず助手がついて一緒に最後まで。それが一つの教育でもあるということになると、それが労働時間にカウントされると、それも勉強しながらの労働時間になるということは思います。

 だから、そういったものもありつつ、一つ大きな問題となるのは、顧客の要望にどこまでも応えようということが長時間労働につながるという部分もあるのではないかなと推測いたします。

○今野座長 ほかにどうぞ。

 山田さん、どうぞ。

○山田委員 大久保さんの問題提起のところで、では、どう解決するかといったときに、まさにこれまではそれぞれの企業で個別にOJT、時間外でやっていたということですけれども、業界団体とかで、例えば理・美容師だったら、ある程度標準化されたスキルというのがあるので、そういうものの標準化ということを業界団体のほうで進めていくようなことを後押しするような仕組みをつくっていく。

 昔、大久保さんともかかわらせていただきましたけれども、キャリア段位みたいなものがあったと思うのですが、日本の職業資格というのは、なかなか実践的なところがなかったのだけれども、キャリア段位というのは、そういうものをかなり意識的につくったということだと思いますが、そういう仕組みをいろんなところでつくっていくと、中小企業でもそこに対してファイナンス的な支援が何か要るのかもしれませんけれども、そういうことをセットにすると、ここで言っているより効率的に教育ができるような仕組みをつくることによって、労働時間を短縮しても能力育成の仕組みがなくならない。逆にそういうことなしに強制的にやってしまうと、育成機能がなくなってしまうということなのかなと。最終的にどういう具体的な対応をとるのかということでそういう印象を持ったのですけれども。

○大久保委員 やはり労働時間の中にそれがきれいに切り分けられなくても、人材育成的な要素というのはかなり大きいですね。本当に一人前になるまでのプロセスは多少効率が悪かったり、要するに、試行錯誤しても実際にやらせてみることによって成長につながるのだとか、長時間労働になってもそれは致し方ないという考え方が多いのだと思いますので、結構教育的時間を含んだ長時間労働というのは現実にあるのだと思います。

 だから、今おっしゃったことも、私が先ほどテクノロジーの話をしたことも、両方とも、それをどうやって効率化することによってもうちょっと長時間労働を改善していくかという議論なのだと思います。

○今野座長 いずれにしても訓練というのが少し重要なファクターだということですね。

○大久保委員 はい。

○今野座長 私、大分前にシリコンバレーに行ってITエンジニアの人とずっと話していたのですけれども、彼らは日本と違って労働時間が長くないのです。大手のアップルとかアドビとか、そういう会社のシステムエンジニアと話していたのですが、週40時間で帰ります。そのプロジェクトの最終の納期のぎりぎりで多くて大体週60時間ぐらい。だから、日本のITエンジニアに比べるとすごく少ないのですけれども、なぜ少ないか。

 その中に日本人がいたものですから、日本人は両国の事情を知っていたので、その人たちに聞いたら、訓練との関係の理由では、プロジェクトチームに素人がいないと言うのです。つまり、プロジェクトの中に教育機能を持って、できない子を面倒見るということがないので、労働時間が長くならないと言うのです。日本の場合はそういうことを抱えてプロジェクトをして、育てながらやっているからすごく時間がかかってしまう。それも一種の訓練と関係するなと思って、今、聞いていたのです。

 どちらがいいか悪いかというのは難しいですけれども、やはり訓練の問題は重要かなということですかね。

 どうぞ。

○黒田委員 それに関連して、大久保委員の問題提起は非常に重要だと思っていまして、今の同一労働・同一賃金ともかかわってくると思うのですが、20代、30代に長時間労働をして、そこで初めてスキルが蓄積されるという人だけが高い賃金をもらうというような世の中に今なっているわけですが、そうすると、20代、30代の前半で子育てやその他の家庭の事情等で長時間働けない人は、残業してスキルを蓄えていくということがなかなかできず、結局のところ非正規というような働き方しか選択肢がないという方もいらっしゃるのではないかと思います。

 そういう意味では、この教育訓練のためには長時間労働は不可欠という発想問題が、今まではそれが日本の成長力を牽引してきたというふうに言えると思うのですけれども、先ほど大久保委員が言ったように、テクノロジーを上手に使うというような発想を取り入れて、少しずつその考え方も是正していく必要があるのではないかなと感じています。

○今野座長 その問題は、仕事をしながら訓練してスキルを形成するということがいいか悪いかということと、今のお話だと、そういうことで長時間やったほうがいっぱい経験するのだからスキルが上がるではないか、したがって、長時間でいこうではないかということになるわけですけれども、そうすると、OJT自身が悪いのかという話になってしまう。もう一つ、大久保さんが言ったような、OJTは効率的にやるという方法を考えようというのは違う話なので、そこはちょっと整理したほうがいいかなと思いますね。

○黒田委員 そうですね。

○今野座長 美容師、1,000円。

○黒田委員 QBハウス。

○今野座長 QBハウスは、先ほどの山田さんのと似ているのですよ。あれを企業内でやっている。基本的に余りOJTをしないで、ちゃんと訓練校を持って、そこで短期間に育てて、それで現場に出していくというのをやっているのです。だから、あそこは比較的労働時間はきちっと回っているはずです。

 ほかにありますでしょうか。どうぞ。

○荒木委員 大久保委員のお話、大変勉強になりました。法的な観点についても非常に示唆深いと思います。

 まず、今回あったように、自営業主と混在しているかどうかということは非常に大事な視点だと思います。独立自営業者、すなわち労働者でない方が同じような業態で働いていると、労働者にだけ規制をかけても実際上は効果がなかったり、さらに言えば、今までは労働者として雇っていたのだけれども、今度から独立自営業として使おうというインセンティブを与えることにもなりかねません。これは業種にもよるのだと思うのです。

 ドライバーの場合、今回は混在は少ないのですが、これは事業場でとってみたら少ないのかもしれませんが、独立の業者運転手の方と運送会社に雇われているドライバーの方、顧客からすれば、どちらを使うかという問題、競合してくるのですね。そういう形で片方にだけ規制をかけると、では、独立自営業者を使おうということになります。

 似たような問題は、労働時間のところにもありまして、かつてQC活動に参加した時間は労働時間かどうか議論になりました。使用者が指揮命令をして、参加しなさいと言えば、これは労働時間に入るとすると、使用者は参加を命じないで、自主参加、労働者がボランタリーに参加しているということであれば、指揮命令に服して働いていないということで、労働時間ではないと扱われる可能性が高くなる。法で一定の規制をかけたときに、それが別の形に流れるという状況が生じ得るということも考えながら、どう規制するかを考えないといけないと思いました。

 労働組合が関与している場合は労働時間の抑制がきいているという話がありましたが、個別の労働者にしても企業にしても競争に勝つために長時間労働がメリットとなればそちらに流れてしまいます。ですから、当事者の自由な選択に、別の観点から規制をかけることを考えなければいけないと思うのですが、規制のかけ方として一つは、山田委員もおっしゃいましたが、業界団体としてこういう働き方のほうが長期的にはサスティナブルではないかという自主規制があります。イギリスなどは基本的には業界団体がコード・オブ・プラクティスという形で、法規制ではなくて、その業界の発展のために自主的なルールをつくってやっていくというのがあります。それからヨーロッパの場合は産業別の組合が個別企業とは独立に規制をかける。そういう中間団体を利用した規制というのも念頭に置いていく必要があろうかと思います。

 3点目におっしゃった点も非常に重要で、労働市場の中だけではなくて、株式市場とか、あるいは情報の市場、そういったものを活用しながらコントロールするというほうが実は効率的で、コストもかからない可能性が十分にあるわけです。最近、女性活躍などではそういった発想で、ハードローで規制するのでなくて、現在の時間外労働の状況を公表させて、人材をうまく活用している企業なのかどうかを市場に判断してもらうという方向です。いろんな方法を総合的に活用していく、そういう示唆を受けることができ、大変勉強になりました。

○今野座長 業界団体ベースで規制するというときに、いつも思い浮かべるのはスーパーなのです。スーパーは、昔は1231日は営業していなかったし、三が日は営業していなかったけれども、どこかのスーパーが始めたら、みんな始めたのですね。働くほうも大変だし、事業主も大変なのですが、競争だからやってしまっているのですけれども、では、スーパーの業界団体が、法的にもしできるとして、みんなで相談して正月はもう営業しないというふうに決めるとすると、お客がコンビニに行ってしまうのですね。これはスーパー業界でないけれども近い業界ですが。業界という切り方が難しいなというふうにいつも思う。百貨店も同じ問題を抱えているのです。

 ほかに何かございますでしょうか。

 僕が大久保さんにちょっとお聞きしたかったのは、大久保さんの資料の一番最後の表3のきれいな絵ですけれども、ここでジョブアサインメント、マネジメント問題が非常に重要だと私も思うのですが、日本のマネジャーは慣れていないではないですか。極端なことを言うと、いつでも働いてくれる部下というふうに思っているから、今までそういうふうに慣れてきましたから、これを変えずにどうしたらいいですか。先ほどITとかテクノロジーを使うという話がありましたけれども、何かいいアイデアはないですか。

○大久保委員 中間管理職に相当する人たちの生産性、その人たちが本当にクオリティーの高い仕事をアウトプットしているかどうかということが重要で、働き方改革が密接に結びついています。

 御承知のとおり、リクルートではリモートワークというのを思い切ってやったわけですけれども、マネジメント変革にダイレクトにきいているのです。マネジメントは、先輩たちがやってきたマネジメントを継承する、そういう法則性が働きますので、それを全く変えてしまう。つまり、リモートワークによって目の前に部下がいなくなるという状態で、変革の必要性をつきつけるのです。

 目の前にいない部下で、何をやっているかわからなくて、サボっているかどうかすらわからない。しかも、うちは、結果だけ出してくれればサボってもいいと言ってしまっているので、勤怠管理もプロセス管理も実質的には意味がなくなってしまう。そういう中ですり合わせも日常的にやりにくくなってくると、一番最初の段階であなたはこういう成果を上げてくださいねということを相当しっかりミッションとして決めておかないと機能しなくなってしまう。これはマネジメントがすごく大きく変化することになりますし、会議が余りできなくなりましたので、そういう意味で、自分なりの仕事のクオリティーをどこで担保するのかということを考えなければならなくなる。

 こういうぐるぐる回っている図を描いたというのは、逆に言うと、1カ所非常に大きなボタンをぼんと思い切り押してしまうと、実はいろんなものが連鎖的に変わらざるを得なくなってきていて、それがいい状態でポジティブに動いたときにかなり大きな変革につながっていく、そんなイメージなのかなと思うのです。

○今野座長 大久保さんの会社は基本的には営業部隊主流ですね。

○大久保委員 最近はエンジニアの会社になりつつあります。

○今野座長 そうです。

 私の言いたかったことは、小売で在宅勤務をされたら困るなと思ったのです。それができる業態とできない業態があると思ったのです。

○大久保委員 ただ、在宅店長みたいなものも勤務形態として一般の小売とか飲食の中にも出始めてきたので、全くできないというわけでもないのです。

○今野座長 その辺、どうですか。平野さんに振ろうかと思って小売の例を出したのです。

○平野委員 今のお話でちょっと思い出したのが、最近、働き方改革で非常に評価の高いあるIT企業の人事の方とお話しする機会があったのです。例えばアメリカのITベンダーと日本のITベンダーを比べたときに、ビジネスの進め方として違うのが、いわゆるシステム構築するときのカスタマイズが、日本企業の場合は、特定顧客、顧客がカスタマイズを要望してくるので、個別企業に向けていろいろ調整していくということなのですね。一方、アメリカ企業の場合は、カスタマイズは最小限にして、汎用的なパッケージを導入していく。そこの違いというのがかなりあって、そうすると、どういうことが起きるのかというと、特定顧客の担当者というのは長期に固定化していく。特定顧客企業に対して非常に詳しくなってくるわけです。そして、微に入り細に入り特定の顧客の要望を満たすカスタマイズができるようになる。

 そうすると、どういうことが起こるかというと、要するに、余人をもって代えがたくなるということが起きてきて、それはどういうことになるかというと、その人に仕事が抱え込まれるという状況になるのです。特定顧客のプロジェクトが忙しくなると、その人はものすごい長時間労働になっていく。

 その会社はそこに問題意識を持っていて、そういうことなのだから、なるべくA社の担当者とB社の担当者はチームで組んで、お互いにシェアしていくとか、要するに、代替可能なジョブアサインメントを試行していって、そこがまた効果があったのだと。そういうお話だと思うのです。

 だから、今までよく日本企業が言われていたのが、日本企業というのは分業と調整で仕事の境界が非常に曖昧なので、どちらがやるかわからないから、お互いにそれで長時間労働になっていくのだという説明の仕方が多かったわけです。もちろん、そういうのはあるかもしれませんけれども、実は余人をもって代えがたい特定顧客との関係の中で仕事が抱え込まれていく。仕事が曖昧でなくて、むしろはっきりしているが、特定顧客との関係の在り方に長時間労働の原因がある思うのです。

○今野座長 これも遠い昔の話ですけれども、アメリカの某有名コンピュータ会社が日本にあって、あるシステムをお客さんに売るときにパッケージで売りますから、そうすると、お客さんは、いや、うちの仕事の仕方に合わないのですけどと言うと、仕事の仕方を変えろという。こういう営業ができたのと似ているな。日本は合わせようとしますものね。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○山田委員 1つ先ほどの関係で。大久保さんの最後のものは、まさにこのとおりだし、これは非常に重要だと思うのですけれども、マネジャーの仕事の与え方というのもすごく大事だと思うのですが、一方で、多分マネジャーをサポートする機能、いわゆる本社機能、中小だと本社と言わないかもしれませんが、間接部門の人事部であったり、まさに法務部であったり、企画部であったり、こういうところの機能はすごく大事なのではないかなと思うのです。

 日本というのはこの20年、30年、本社部門をともかく減らしたほうがいいという発想でどんどんやってきたと思うのですけれども、これはうろ覚えで、正確でないので後でチェックしないとだめなのですが、RIETIの森川さんが最近、『サービス立国論』という本を書かれていたと思うのです。あの中で本社機能部門の大きさと生産性との関係の分析をやられていて、実は意外に本社部門が多いほうが生産性が高いという結果が出て、え、おもしろいなと思った記憶があった。

 もちろん、サポーティング部隊がどういう機能を果たしているかということだと思うのですが、従来の日本の本社部門というのはそういうことができていなかったのでしょうけれども、そこのサポーティング部隊をうまくすることによって、全体の生産性を上げていく、マネジャーの力を上げていくということが必要だし、それをやっていかないと、今は逆に中間管理職がいろんなことを言われて大変になっていると。

 これは分析ではないので、状況的な話ですが、これも統計上の違いの問題があるので正確な比較はできないのですけれども、日本とアメリカのマネジャーの数を比べると、アメリカはすごく多いし、いわゆるプロフェッショナル、専門職の数が多いのです。間接部門というところが非常に多くなっていて、それ自体が全体のうまい分業の中で生産性を上げている。だから、マネジャーの話も重要なのだけれども、そこをサポートする組織への労働力の分配ということもあるのかなと。十分な分析がされているわけではないのですが、一つの論点として申し上げたいなと思います。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○小曽根委員 今のマネジャーのサポートというのは、私も非常に重要だと考えています。先ほど理美容師やエステティシャンのお話があったかと思うのですが、実はエステティシャンの長時間労働に関する調査を随分前に行ったことがありまして、やはり閉店後の教育訓練というところで皆さん、労働時間が増えてしまっているという実態がありました。

 それを労働時間にカウントしているのか、いわゆるサービス残業としているのかという点については、店長が指示して教育訓練をしていても、店長が労働時間に対する意識をあまり持っておらず、それを労働時間だとみなしていないケースもみられました。調査実施は随分昔なので、状況はもう変わったとは思うのですけれども、そういうこともあり得るということがあるので、マネジャーの方を含めてのそういった意識改革が必要なのだろうと思います。

 また、大久保委員の管理職の仕事、部下が消えるというお話のなかで、部下の自律的な仕事の進め方を考えていかなければいけないという点です。今までそういう意識で働いている管理職が果たしてどのくらいいらっしゃるのか。部下に対し、仕事の進め方は自分で考えるのだよ、それはこうやって組み立てていくのだよというようなところをまた訓練していくということが必要になってくるかと思います。では、その訓練の仕方をどうするのかとか、そのスキルを長時間労働とせずにどうやって身につけさせていくのか。それを果たしてどうやって業界団体等で進めていけばいいのかなというように感じました。

○今野座長 どうぞ。

○大久保委員 今、管理職というか、マネジャーの話が幾つか出たのですが、実際に働き方の改善とかダイバーシティの推進というテーマでいろんな企業から御相談いただいて、コミュニケーションをとるケースが結構あるのですけれども、どこの会社でも大体必ず話題になるのは、中間管理職が反対するということです。中間管理職が変わらない。現実的には現場のマネジャーがどういう仕事の進め方をするかによって、労働時間がかなり決まってしまうところがあるので、現場のマネジャーがキーマンであるということは多分間違いないと思うのです。

 では、どうしたら変えられるか。先ほど今野さんからもお話がありましたが、1つの取り組み事例は、アウトプットを労働時間で割って、生産性指標を評価指標に入れる。中には、ボーナスについては生産性指標の高い組織に割り戻すみたいなことをやっている会社も最近は出てきていますので、そういうやり方をするというのが一つの方法なのだと思います。

 それから、先ほどスタッフ部門というのがありましたけれども、私の理解は、現場と離れたところにいる本社スタッフは、どちらかというと新しい仕事を増やしていく人たちというイメージが強かったのですが、だんだん本社がスリム化していって、会社が分社化していったという流れとも関係するのですけれども、例えば人事などでも事業に近いところに分配しているように、割とそちらに密着して事業戦略推進のサポート役をやるという方向に組織づくりが変わってきたのではないか。そのことは恐らく生産性に寄与しているのではないかなという感じがしますので、組織づくりの側面も長時間労働改善の中に一つあるのかなという感じがします。

○今野座長 僕は、マネジャー問題でいろいろな問題があるのですけれども、その中で、ああ、こういうことがあったらしようがないよなといつも思うことがあります。飲食とかそういうところで店長とかいますね。彼らは、入って数年で店長になっているでしょう。マネジメント教育もちゃんと受けていないで、経験もなくて回せば、仕事がうまくいかなくなって長時間労働になるよなと。だから、意外にああいう小さい店舗をいっぱい持っているようなところは、現場でやっている例えば店長さんみたいな人に対してサポート体制がちゃんできていないので、それが管理のレベルを落として、長時間労働になっているということがあるなといつも思っています。

 考えてみれば、学校を出て数年で店長になって、パートばかりでもいっぱいいる人を全部回して、人、物、金の管理全部しろと言われるわけですから、それはうまくいかなくて長時間労働になってしまうよなというのは、最近ちょっと感じていることでございます。

 それでは、大久保さんから話をいただいたことに対する議論はこの辺にさせていただいて、次に山田さんからお話しいただけますか。

○山田委員 私の話は、具体的な話というよりもお話の整理ができればいいなと。できる限りいろんな論点を一つのマッピングのような形で整理ができればいいなということで、今回お話をさせていただきたいと思います。

 1枚目をご覧いただきますと、これはそもそも論なのですけれども、長時間労働の実態ということで、ここは簡単に申し上げたいと思いますが、マクロとしては、この数字にありますように、必ずしも日本の平均労働時間は国際的には極端に長くはない。そうではなくて、問題は労働時間の偏在だというのは、前回にも議論があったとおりかと思います。

 ただ、労働時間の偏在というのも、もうちょっと細かく見ると、時系列的に見れば、例えば49時間以上の就業者の数というのは減っていたり、あるいは日本は確かにその比率は2割を超えているのですけれども、韓国は3割を超えているということで、そういう意味では、長時間労働自体は問題ではあるけれども、それだけの問題ではないのではないかということで、3つ目に書いていますが、恐らく職場の環境が変わることによって、長時間労働が健康被害につながりやすくなってきているというところも大事なのではないか。

 具体的には、間違いなく労働密度というのが上がっていると思います。IT化によってスピードがものすごく速くなっておりますので、当然それによって密度が高くなっている。

 2つ目は、言葉が余りいいのが出ていなくて、こんな変な言葉になっていますけれども、要は、職場の間の人間関係というのが、従来に比べるとぎすぎすしてきている部分はあるのだろうなと。これは成果主義というのもあるでしょうし、全般的な考え方、社会の考え方の変化ということもあると思います。これはいいとか悪いではなくて、その結果として、働く人々が孤立しやすい環境にあるのではないか。

 それから、求められるスキルが極めて高度、かつ習得にスピードが求められていますから、当然スキルが不足する。そうすると、先ほど今野先生がおっしゃったように、外食チェーンでいきなりゼネラルマネジャーの仕事を任せられるということになると、これはとんでもない、できないわけでということか思います。これは確認であります。

 次のページをご覧いただきたいと思います。これも前回から出ている話ですが、改めて整理しておきたいのは、そもそも論としてなぜ労働時間の短縮が必要かということかと思います。一つは、申し上げました健康被害の問題が従来より深刻になっておりますので、当然これに対して対応しなければならないということ。

 2つ目は、大久保さんの3つ目の論点とかかわるところですけれども、そもそもダイバーシティ&インクルージョンの文脈の中で、特に女性が男性とイコールフッティングで働ける条件をつくっていく必要がある、あるいは介護の問題も含め、長時間労働でなければ仕事ができないというような環境は変えていかないとだめだ。これは人口動態的なところからも必然的に出ているという話だと思います。

 もう一つ重要なのは、労働時間短縮という提示自体はそもそも大事で、これはやらないとだめなのだけれども、これは前回も平野先生が最後にかなり強調されていた話だと思うのですが、結局、付加価値生産性が上がらなければ本末転倒というか、結果としては生活水準が下がるということですので、その観点だと。その観点から言うと、まさにイノベーションを起こすには、外部からの人材を入れていくということが従来よりも必要になってきているということかと思います。

 よくイノベーションにはプロセスイノベーションとプロダクトイノベーションがある。ちょっと古い言い方ですけれども、プロセスイノベーションというのは、あるところでずっと継続して蓄積していけばいいと思うのですが、プロダクトイノベーションの場合は、新しいアイデアを入れないとだめだと。そうなると、当然外部から人材を入れる必要がある。違う言い方をすると、職場外でのさまざまな経過を持っている人が重要だと。だから、ボランティア活動を奨励するとか、中途採用を増やすとか、いろんな話が出ているということですけれども、そういう観点かと思います。

 大きく整理するとその3つかなということかと思います。

 次の3ページですが、そういう意味では、労働時間の短縮は必要だということなのだけれども、それ自体は従来からずっと何十年も言い続けられてきて、なぜできないかというところで、これも前回かなりいろんな議論が出たところですが、これは私なりの整理をさせていただいております。大きくは2つのレベルだと思います。

 1つは、まさに経営レベルというか、個社の中での雇用管理上の問題ということかと思います。図表3-1、いろんな統計がありますけれども、JILPTで1年前に行われた調査、かなり包括的に聞かれているということで、ここに載せてございます。これを見ると、大きく4つぐらいの原因に集約できるのではないか。1つは、そもそも絶対的に人員が不足している。長時間労働ということはいいことだという感覚が根強い。先ほど来出ている仕事の分担とか指示が極めて曖昧になっている。スキル自体が不足しているということかと思います。

 直接的にはここが重要で、ここをどう変えていくのか。先ほど大久保委員が最後におっしゃったところは、直接ここに対して影響を及ぼしていくということかと思います。

 ただ、私自身、マクロ的な観点から労働問題を考えているところから見ますと、必ずしも直接的ではないのだけれども、やはり背景的なもの、システムとして長時間労働を促進するような仕組みというのはいろいろあるのだろうなということで、雇用システムの問題は無視できないだろうということです。

 とりあえず4つ書いています。

 1つ目は、これも従来から出ている「メンバーシップ雇用」の雇用調整回避のためのバッファーだと。平たく言うと、少なめに雇って長く働かせるという慣行にあるので、どうしても労働時間が長くなる。

 2つ目は、「メンバーシップ雇用」の特徴である職務範囲が曖昧、あるいは無限定だということによって、結果としてどうしても自律性が低くなってしまう。そうすると、打ち合わせ等がふえる、あるいはなかなかプロではないというふうな、先ほど今野先生がおっしゃったアメリカのプロの集団ということではなくて、どうしても発展途上の人も入るということで、作業が非効率になるということかと思います。

 もう一つは、これは特にアメリカとの対比だと思いますけれども、この話も前回黒田先生がちょっとおっしゃったかなと記憶しておりますが、転職するという対抗手段がないということ。アメリカでは「過労死」という言葉自体が日本から輸入されているということがあるわけですけれども、その背景には転職できるという対抗手段があるということかと思います。

 3つ目は、私自身がシステムとして重要だと思っているのは、雇用維持自体が自己目的化する傾向が強い。これは大手ということだと思いますけれども、不採算事業が結果として残ってしまう。そうすると、過当競争が生まれてしまう。そうすると、生産性、後ほどこの話はもう少し申し上げますが、正確には付加価値生産性、名目ベースの生産性だと思っていますけれども、それが落ちてしまう。収益性が低い。だから、もうからない事業を何とかしようと思うと、会議をするとか、ともかく営業をやるとか、試行錯誤するとかということでどうしても長時間労働になってしまう。それをやや経済学的な言い方をすると、今回の長時間労働との関係で言うと、日本の場合は、もともと割増賃金率が例えばアメリカに対しても低い。それから、最近は少し減ったとは思いますけれども、いわゆるサービス残業が存在している。そうすると、労働時間の限界コストが極めて低い。実態的にはゼロと言ってもいいという状況かもしれません。そうすると、長時間労働すれば追加コストがゼロなので、低収益事業は整理しなくて済んでしまう。そういう構造が成立しているのではないかという話であります。

 次のページは、この雇用システムというのが、単に独立にそれだけではなくて、いわゆる比較制度論というか、そういう考え方で見ると、それ以外のサブシステムとの関係、いわゆる比較制度分析の考え方ということに立てば、それ以外のところとも関係しているということで、ここでは雇用システムと産業システムと家族システム、その3つを考えています。

 産業システムで言うと、産業の競争力として、日本の強さとして丁寧さとか、きめ細かさとか、柔軟的な対応が競争力の源泉になっているというと、どうしても長時間になってしまいがちだということ。

 それから、日本のビジネスの中で、いいものを安くということがよく言われます。

 これも前回出た話で、スマイルゼロ、サービスはただという発想から、ある意味価格に対してこだわりが無く、簡単に値下げをしてしまう。プライシングに対して、価格を余り重視しないという戦略です。それが結果として、先ほど来申し上げているような低生産性につながっていって、労働時間の長いところにつながっていくのだと。

 このほか、中小企業部門のところにフォーカスするとこういうことだということだと思うのですけれども、いわゆる下請構造の中で中小企業というのはコストダウン重視でやっていかざるを得ない。そうしますと、親会社から要求があると長時間労働にならざるを得ない。そういう産業システムの問題があるのだろうなということかと思います。

 家族の問題としても、どちらが先かというのがありますけれども、結果論として家事・育児は、日本の場合は女性の役割という社会意識が強いわけです。図表3-2をご覧いただきますと、これは内閣府が少し前に国際比較をしてございますが、掃除とか食事の支度を夫婦どちらが分担しているかということを聞いたアンケート調査です。日本で「夫」と答えている人はどちらも極めて少ないわけです。「妻」と答えているのが9割。

 ところが、諸外国、ドイツなどは少し日本に近い傾向がありますけれども、特にスウェーデンの場合は半分以上が基本的には分担してやっているとか、夫がやるというふうに答えているということで、そうしますと、スウェーデンの場合は、前回も少しそういう話が出たと思いますけれども、基本的には定時に帰って分担するのが一般的なので、これは長時間労働になりようがないわけですが、日本の場合は分業しているので、男性が長時間労働に簡単になってしまう。お互いにその関係ができ上がっているということだと思います。要は、申し上げてきたように、直接的な原因はマネジメントの問題だと思いますけれども、こういうシステム自体が長時間労働を誘発する仕組みになっているということかと思います。

 以上を踏まえた上で、今後の長時間労働是正に向けてのあるべき考え方ということで整理したものをここに書いています。健康被害の防止とか、制約のある社員の活躍といった面から、総論としての長時間労働の是正というのが必要だと。ただ、最終的には生産性の問題を考えますと、能力育成であったり、企業の競争力との関係を考えていかないとだめだ。一言で言うと、社員能力の形成、企業競争力と両立できる長時間労働是正策を考える。絶えずこのところに戻っていって議論していかないとだめなのではないかなということかと思います。

 それを先ほど申し上げた比較制度分析的な発想で全体の関連をこの後、日米欧で比較しております。その糸口として図表4-1ですけれども、労働生産性もここであえて2つ分けています。1つは物的生産性です。「実質労働生産性」となっていますが、例えば車であれば1時間当たり何台つくるかという話です。右端にあるのは「付加価値労働生産性」。ここでは「付加価値労働生産性」と言っていますけれども、車の例で言うと、1時間当たりどれだけのもうけのある車をつくれるかという話です。これは明確に分ける必要があると思います。それと、物価の代理変数である「個人消費デフレータ」。それから賃金の代理変数である「一人当たり雇用者報酬」。この3つを比較しています。

 これを見ると、わかっている方はわかっているのですけれども、初めて見ると意外にびっくりする状況になっているのかなと思います。と申し上げますのは、実質労働生産性を見ると、日本はさすがにアメリカほどではないのですけれども、ヨーロッパよりも高いペースで物量ベースでは生産性が上がっています。ところが、右側の3つを見ると、物価と賃金と付加価値生産性の動きが欧米と日本で全く違う動きをしている。欧米の場合は、程度の差はあるのですけれども、全て右肩上がりなのですが、日本だけ右肩下がりという形になっているわけです。これはまさに制度的な補完性の中でいろんなものが関連する中で起こっているということかと思います。

 その話を6ページのところで示しています。図表4-3というところをご覧いただきたいと思います。かなり単純化して申し上げますと、例えばアメリカは産業システム、あるいは企業がどういうビジネスモデルをとる傾向があるかといいますと、基本的には極めて収益性ということを重視する。資本市場のあり方ということも関連しているのですけれども、その中で彼らは安売りをしないわけではないのですが、横並びで安売りということはまずしない。もうからなければ、その事業から撤退して、新しい事業を始めようとするわけです。ですから、新規商品開発ということを極めて重視するというのがアメリカのビジネスのあり方だと思います。

 これが雇用システムと極めて整合的につくられているわけです。新しいものをつくろうとすれば、当然生産性の低いところは整理しないとだめなので、人員削減が容易でなければこれはできない。アメリカの場合は随意雇用契約ですので、極めて簡単にこれができる。

 一方で、新しい事業を始めるには人材が極めて大事になってきますので、高い賃金をつけて取り合いをする。賃金格差は大きいのですけれども、賃金というのは極めて柔軟に個別に決まっていく。そういうシステムになっていると思います。

 家族システムのほうは、基本的には共働きが中心になっている。労働時間のほうも、これは国民の志向ということ、あるいは宗教的なものもあるかもしれませんけれども、基本的には定時で帰るというふうな考え方で行われているということかと思います。

 その中で、労働時間規制のあり方というのは、基本的には割増賃金規制という形でやってきた。自主的に規制でやるよりは、経済的なインセンティブでやっていこうというやり方でやってきたというのがアメリカだと思います。

 ヨーロッパはこれに対してどうかというと、産業システムというのは、向こうはある意味ブランド戦略というのが極めてうまくできていると思います。数量をあえて抑制して価格を維持していくという戦略をとっているわけで、その結果として意外に高収益性が維持できているというのがヨーロッパだと思います。

 これも雇用システムと関連していて、ヨーロッパの組合というのは、賃金引き上げに対して極めて強いこだわりを持っているわけで、そういう意味では、賃金の引き上げというのをまず最優先する。だからこそ価格を維持するということが起こっているということかと思います。

 ただ、賃金上昇に対して、逆に言うと賃金の柔軟性がなければ雇用調整でするしかないわけで、これは一定のルールでもって雇用調整を認める。ただ、アメリカほど自由ではないので、結果としては多くの国において高失業の国になっているということかと思います。

 家族システムは、言うまでもないように男女協業という形になっています。

 ヨーロッパは組合が強いので、絶対上限規制ということでやっている。ただ、雇用調整が一定のルールの中でできるので、このシステムが成り立っているということだと思います。

 これに対して日本はどうかというと、先ほど申し上げたように、産業システムとしては、価格に対してのこだわりがない。むしろ安くつくっていこうと。収益性が低い。雇用に対しては比較的守るのだけれども、賃金に関しては事実上、下方硬直性がないと言っていいのではないかなと思っております。むしろ上方硬直性があったというふうに言っていいようなシステムだと思っているのですが、そういう形になっている。家族システムのほうも、男性だけが働くということですので、長時間労働ができる。こういう表現を使ってよかったかどうかわかりませんけれども、労働時間規制というのは形骸化している。少なくとも産業システム、雇用システム、家族システムの相互補完性の中で成立している。だから、労働時間規制そのものを単純にいじってしまうと、ほかとの齟齬が起こってくるので、余りにも強引なことはできないということではないかと思います。

 7ページは飛ばしていただきまして、8ページは、それを踏まえまして、これもあくまでたたき台というか、一つの考え方の整理ということでお出ししております。労働時間短縮ということが必要なのですけれども、同時に、ここに書いているような時間当たり付加価値労働生産性。ここも「労働生産性」という言葉でなくて、「名目ベース」というのが大事だと思っています。そういう意味では、付加価値労働生産性の向上というものを一つのキー・パフォーマンス・インディケーターとして考えていくということが大事なのではないか。これに向けて、まずは個社レベルの問題、まず個別に考えないとだめで、これもこの下に書いていますように、恐らく企業全体の経営戦略、事業戦略にかかわる部分と実際の職場管理の問題、2つ分けて考えていかないとだめなのだろうなということです。

 各種システムの話ということで言いますと、長時間労働是正のためにこういう大きなシステムを変えるというのは、ロジックとしてはおかしいので、ただ、方向性を考えると、結果として今のいろんな環境に適用するために雇用システム、産業システム、家族システムを変えていかないとだめですが、それは結果として長時間労働の是正と整合的になっているということかと思います。違う言い方をすると、長時間労働是正をきっかけにそもそも時間当たり付加価値労働生産性を上げるために必要な雇用システム、産業システム、家族システムの改革をトータルに進めていく、そういう考え方でもって今回取り組むということが必要なのではないかということです。

 具体的なところは、それぞれの分野の専門家がいますし、そこで議論する必要があると思いますけれども、幾つか例示的に申し上げますと、雇用システムで言いますと、日本の今のあり方で見ると、相対的にもう少し転職とか再就職がしやすい環境になって、賃金ももう少し上がるような方向に持っていく、そういういろんな仕掛けづくりなのではないか。これは解雇ルールみたいな話もありますけれども、そういう問題よりは、そもそも転職とか再就職がしやすい再就職支援の仕組みとか、職業教育の仕組みということが大事なのではないか。それと、賃上げのルールみたいなものももう少し考えていったらいいのではないかと考えています。

 産業システムの具体的な政策としては、不当廉売とか優越的地位の濫用に対する、独禁法的なところで取り締まりを強化していく。あるいは中小企業自体が生産性を上げていくための支援ということをより包括的に考えていく必要があるのだろうということです。

 家族システムについては、男性が単に労働時間を短縮するということだけではなくて、男性が育児・家事により積極的に参画していくような仕組みづくり。それによって男女ともに平等にワーク・ライフ・バランスが実現できるということを考えていく必要があるのではないかなということです。

 以上が総論で、あとは個別の。今後これがどこまで議論されるかということがありますけれども、とりあえず今の段階でざっくりした私自身の具体的な労働時間規制のあり方ということで、4つ書いています。

 一つは、やはり上限規制というのを入れる必要があるのだろうなと思っています。ただ、1つ、1本でということではなくて、かなり分野別に考えていく必要があると思います。絶対上限の考え方も、本当にミニマム、絶対ぎりぎり守らないとだめだということで全てにかけてしまって、あとは個別に分野別にやるのか、もうちょっと標準的なものをかけてしまって、適用除外で分野別にやるのか、2つ考え方があると思いますけれども、絶対上限の考え方は入れる必要があるのですが、一方で個別の事情を考える必要があるということかと思います。

 今回はこれが主眼にはなっていないのですけれども、労働時間の問題を考えるときに、上限と同時に本当の意味で生産性を上げていくということを考えますと、異種の適用除外制度、エグゼンプションというよりはもう少し実態に応じたきめ細かな設計が必要だと思いますが、ここでは労働時間自主選択制度。言葉は何がいいかわからないのですけれども、今、法案に出ている高度プロフェッショナル。これも完璧な法律かどうかというのは議論があると思いますが、そういう人たちに対するものが一つ要るのだろう。

 それから、在宅勤務が増えてきている中で、例えば1日の労働時間は8時間ぐらいしかしていないのだけれども、子育ての関係などで深夜労働をしたほうが効率的なケースがあると思います。それを例えば1時間とか2時間だけという上限を設けた上で、そこを割増賃金なしでやるという考え方はあってもいいのではないか。ただ、その場合は絶対労働時間数とか、そこに対する規制はしっかりしないとだめだと思いますが、労働者タイプごとに適用除外に関して少しきめ細かく考えていくということが大事なのではないかということです。

 大きな考え方として例外措置を出してくるわけですが、先ほどの大久保委員の話にもありましたように、労使自治が理想なのですけれども、本当に労使自治なのかという実態がありますので、そこに対してのチェック機能というのは、監督署がある程度しっかりやっていくしかないのかなと考えています。

 最後は、改めてですけれども、あくまで雇用システム全体との関連なので、その中に位置づけていくという視点が大事なのではないかなということでございます。

 残りのところは雇用システム改革に関しての私の考え方、具体的なところを書いていますけれども、これに関しましては説明すると時間がかかりますので、また個別にあれば、お話をさせていただきたいと思います。

○今野座長 ありがとうございました。

 それでは、御自由にどうぞ。

 私のほうから質問なのですが、5ページ目の「一人当たり雇用者報酬」とか「付加価値労働生産性」というのは、実質で測ってこうだということですか。

○山田委員 名目です。

○今野座長 そうすると、「デフレータ」が左にありますけれども、デフレータとほぼ一緒の動きになっているのですけれども。

○山田委員 そうですね。

○今野座長 ということは、これはみんな物価に因るのだろうというふうにはならないのか。

○山田委員 日本に関しては、そういう意味で言うとほとんど成長していませんので、成長していないということは、物価の動きによって全体の付加価値が決まってしまう。日本の場合、賃金と物価の連動というのが強いですね。春闘のときに過年度で決めるという慣例が強くなっていますので。結果的におっしゃるとおりになっている。

 欧米の場合はスケールがちょっと違うのです。だから、欧米はかなりそこはばらついているということかなと思います。

 ただ、ここでちょっと申し上げたいのは、労働生産性とか生産性とよく言うのですけれども、少なくとも経済学者というのは、普通実質で考えるのですね。ただ、これを言うと、非常に亜流の考え方なのですが、実質という概念が、かなり計測が難しいというものもありますし、昔のようにインフレの世界だといいのですけれども、それだけではなかなかうまく説明できないところがあるので、あえて名目の部分を考えていくということが大事なのではないかということで、分ける必要があるのではないかなということをここでは申し上げました。

○今野座長 ついでに、これに関連してもう一つだけいいですか。アメリカは別ですけれども、このデータを見て、ユーロの場合は、ここの計測期間で物価が3040%ぐらい上がっているという感じですね。一人当たり雇用者報酬も大体40%ぐらい、付加価値労働生産性も40%ぐらいだから、ユーロも実質上がっていないと見ていいのですか。

○山田委員 そうですね。それに近いと思います。

○今野座長 アメリカは上がっているけどね。わかりました。

 どうぞ。

○黒田委員 同じページで質問なのですけれども、時間当たりにするとどうなりますでしょうか。

○山田委員 日本の場合は時間調整ということをもうちょっとやって、トレンドで見ると労働時間の短縮というのは進んでいますから、時間当たりだと、もう少し生産性のところがこれよりは上がってくると思います。

 ヨーロッパとかアメリカというのは、労働時間の変動というのが日本ほど大きくない。これは確認していないのですけれども、長期的なトレンドというのは特にないのではないかと思うので。日本のほうがずっと短縮されてきている。ただ、そのような調整をしたとしても日本は生産性自体が低いということ、結論は変わらないと思います。

○今野座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○平野委員 3ページにJILPTの資料があって、前回もちょっと申し上げたのですけれども、左側が企業調査で、右側が労働者調査ですね。労働者調査の2番目「自分が納得できるまで仕上げたいから」というのが結構労働者の意見といいますか、要するに、残業問題で一律的に短縮なり、早く帰れ、ノー残業デーだという、ある意味ヒステリックな企業の対応に対して、働く側は実はもう放っておいてくれ、納得できるまでやり切りたいのだという気持ちがあるのだろうと思うのです。ここのところをうまく酌み上げてしておかないと、日本の競争力をそぐと言いますか、職場の活力を削いでいってしまうといった点がある。そこは考えておかないといけないと思うのです。これは前回も申し上げた。

○今野座長 何かありますか。

○山田委員 私もそこはそのとおりだと思います。

 ただ、環境が以前より変わっていると思うのは、長時間労働をすることが結果的に波及させている、外部効果があるということです。上司が仕事が大好きでやっていると、部下のほうも結果として帰りづらいとか、あるいはそういうものをいつの間にか求めてしまう。結婚しているケースで、女性の活躍の機会を奪ってしまう。これは程度問題だと思うのですけれども。平野先生、そこは当然おわかりになった上でだと思うのですが、そうは言うものの、以前よりは長時間労働の是正の社会的な必要性というのは上がっているのだろうなと。ただ、そこはしっかりクリアしているのであれば、労働時間に関しての規制をそこまでやるのかということ、過度にやり過ぎると、それは問題なのではないかというのは私も思います。

○今野座長 どうぞ。

○大久保委員 1ページ目のところなのですけれども、これは長時間労働そのものよりも、これが健康被害につながりやすくなっていることが問題だという御指摘なのですが、長時間労働の問題を考えるときに、今、企業の中でもかなり考え方が広まってきている健康経営ということがありますし、あるいは昨年からストレスチェックが導入されたこととか、そういう一連の動きと長時間労働の問題を組み合わせて全体構造をちゃんと見ていくということが大事だなと思うのです。

 私もいろいろ分析をしているのですけれども、要するに、長時間労働が直接ダイレクトに健康被害に行っているというよりは、そのほかの要因、例えば社内における上司、同僚との人間関係とか、顧客とのトラブルとか、特に女性の場合は家事や育児におけるストレスとか、あるいは配偶者との関係とか、そういった多くの要因が複合化したときにそれが健康被害になっていくということだと思います。あるいは健康被害という形で明確にそれが露見する手前の段階、いわゆるプレゼンティズムの問題で生産性が落ちるという構造があるわけです。この全体構造にどう手をつけていくのかということが大事だなと思っています。

 それが健康被害に近づいた段階になると、産業医による対応などがそこで展開されるのだと思うのですが、実際には社員が産業医に相談するというのは、相当の段階に行かないとなかなかならないわけで、本来解決できる段階、つまり、予防的段階における施策があるといいのですが、日本の職場の場合はそこがなかなかうまく機能していないというのが現在の問題なのかなと思うのです。

 例えば海外に展開されているようなEAPのような従業員のサポートシステムで、ソーシャルワーカーが相談の一次窓口になって、それを初期的な段階で交通整理をしていったり、専門家につないでいくみたいなサービスというのは、日本では本当にメンタルの一部のところにしか導入されていないのですが、今後必要になってくると思います。

 あるいはストレスチェックについても、導入されたのですが、その後どうやって解決していくのかとか、そのメカニズムのところはまだこれからのような感じがしていまして、いわゆる長時間労働の問題と健康の問題については本当に整理がついていないなという感じがしています。これは質問というよりも、それをきっかけにいろんなことを考えていたというか、感想なのですけれども。

○今野座長 小畑さん、何かないですか。

○小畑委員 今、大久保委員がおっしゃったこととの関係で、長時間労働との関連で言うと、1の労働密度の高まり。高まってしまった労働密度を薄めるのはかなり難しいと思うのですが、これは時間を短くすれば、健康被害に対しては、それを抑えることになるのではないか。つまり、労働密度が高まっているという現状がどうにもできない場合に、長時間労働を短くすると、労働密度の高まりに関しては少し問題が緩和される可能性があるのではないか。それに対して、2、3は、そういった直接的な関連はなかなか難しいのではないかと思います。

 一つお伺いしたかったのは、3のスキルの不足の問題というのは、スキルを身につけるにはそれなりの訓練が必要だったり、時間をかける必要もあるということですね。それがなかなか個人では難しいけれども、会社が面倒を見てくれるわけでもないような現状がございますね。そういったことから3をどうにかするということはどのように可能かという問題、どんなふうに捉えたらいいかという問題について、もしお考えがあればお伺いしたいのですけれども。

○山田委員 それは先ほど大久保委員が途中でおっしゃっていたところもかかわっていると思うのです。一つは、これまで日本の場合は、まさにスキルの開発というのはOJT、現場でトライ・アンド・エラーの中でやってきた。これをもう少し科学的というか、見える化をしていって、より効率的にやっていくというのがまずあるのだと思うのです。

 それと、先ほどの議論で私もちょっと申し上げたように、例えば産業団体とか、あるいは産別の組合などのところで共通の訓練システムをつくって、一部分外出ししていくということは可能だと思うのです。

 ただ、難しいのは、日本の競争力の源泉というのが暗黙知とか、ずっと組織の中でつくられてきた非常に密度の高いプロセスにあるとしたら、そこは組織の中での一定の試行錯誤ということになってくるのです。そこはそういう仕組みでは代替できないので、ここのところというのは――これも考え方が分かれるし、もうちょっといろんな分析なり、いろんな知見を集めないとだめだと思うのですが、見える化は一定程度は間違いなくできると思うし、やるべきだと思うのですが暗黙知的なところ、日本の組織の中でつくっていく競争力があるという考えも根強いと思います。そこに対してどう考えるのか。

 そうすると、どうして日本はその部分は、例えば若い人に対しては、従来ほど長いというわけにはいかないのですけれども、もうちょっと規制するにしても、一定の上限をかけるにしても、しっかりした競争力をつける、あるいは個人の能力をつけるということであれば、一定の除外の仕組みをつくったりということも考えていかないとだめかもしれない。私もそこは結論はないのですけれども。

○小畑委員 1人の労働者がとても価値があるスキルを持っているという状態になるまでの時間とか、もしくは熟練を積むということに関して、一昔前よりも今のほうが時間もかかるとか、すごく細分化された中で非常に狭いことについものすごく深くやらないと必要性が感じられないということがあるとすると、人事のあり方、例えば配置転換の問題などとも絡んで、あちこちにぱっぱと動かすとかいうことの正当性などの問題にも絡んでくるというふうな考え方をすべきなのでしょうか。

○山田委員 そうでしょうね。配置もあるのですけれども、企業の中でいる感覚だと、仕事の与えられ方、例えばずっと一定の職種でやっていっても、実際の仕事の場というのは絶対不確実な問題が起こってきて、そこの判断を迫られる仕事があるわけですね。ある特定の職能でやっていたとしても、実際は組織の中、企業の全体の中で仕事をやっているので、全体との調整とか、広い視野で見えているかというのが大事で、だから、ローテーションの話もあるのですけれども、仕事の与え方みたいなところも実際は結構重要かなという感じがいたします。

 だから、人事のそういう仕組みもあるのですが、逆に言うと、現場のマネジャーが仕事の与え方をうまくやることによって、より効率的に人材育成ができる。でも、そこの仕事の与え方とか育成の仕方というのも一定のスキルが必要だと思うので、それを効率的にやろうとすれば、人材育成のマネジャーとしての人材育成の仕組みをもうちょっと解明していって仕組みをつくっていくということも必要なのかなと思います。

○今野座長 人材育成問題と労働時間の問題は、先ほどもちょっと言いましたが、一番労働時間が長くなっているのはそのためで、そのためで労働時間が長くなっているのはマネジャーではないかと思っているのだけれども。意外に。

○山田委員 (うなずく)

○今野座長 新入社員で何もわからないと言ったら、大変ですね、時間がかかって。そちらのほうの影響もあるかなと思っています。

 ほかにございますでしょうか。どうぞ。

○平野委員 今の2の「職場の人間関係のドライ化」の問題です。すなわち、最近の言説というのは、要するに、メンタルヘルスの問題に関して、長時間労働が原因であるという意見があって、山田委員の意見は、それはそれなのだけれども、むしろ職場の人間関係のドライ化という問題があるのではないか。神戸大学の同僚が「関わり合う職場」というテーマで、職場のかかわり合いの強い企業を研究しています。

 具体的にどういうことか。たとえば採用業務をやっているグループがあって、1人の人が内定者に例えば通知を出さないといけない。段取りがおくれて、彼1人でやると夜12時までかかる。このときに彼1人が12時までやるのか、職場のみんなが分担して、かかわり合ってやるのか。その会社がやったのは後者なのですよ。みんなで手伝って全員で8時に帰る。したがって、全員残業している。かかわり合うという意味で人間関係はドライではないわけです。そうすると、集団凝集性とか一体感とか、ある意味メンタルヘルスにとっては非常によいことになるわけです。だけど、一方で残業は発生していますと。こういう場面というのは日本の実際の職場にたくさんあるのだろうと思うのです。職場の人間関係のドライ化というのは、多分そういうところのお話だと思うのですけれども。

○今野座長 今、お話に出た例えばスキル不足で訓練をどうするかというときに、皆さんが多分イメージしているのは、いわゆる大卒で総合職みたいな人をどう育てようかということをイメージしてしゃべられている。でも、片方で、先ほど話がありましたけれども、長時間労働が圧倒的に多いドライバーはスキル不足が問題ではないのですね。

 今日も大久保さんから出ましたけれども、長時間労働の発生原因というのはものすごく多様なので、ベースの政策と個別の政策というものを意識しないと。例えばある職種をイメージした政策を全部に広げると大問題ですね。皆さんのお話を聞いて、そういう多様性がものすごく重要かなと思いました。

 もう一つは、山田さんが言われた1ページ目のところで、労働時間の偏在が問題なのだということですね。長時間労働が問題だ、問題だと言ったときに、よっぽどひどいやつをどうするかという問題と、今日の大久保さんの言うのだと法定内の、つまり、言い方は難しいですけれども、普通の労働時間をどう下げるかという問題と同じ政策手段でやるというのは完全に間違いだと。そこは明確に意識しなければいけないと思います。

 ですから、その辺を少し整理しながら対応策を考えなければいけないというのは、皆さんのお話を聞いて、非常に感じたところです。健康被害などというのは、すごくひどい場合をどうするかということに対応しますかね。ですから、これから整理するときも、そういう多様性とひどい場合と全体というのを意識しながらしたほうがいいかなと思います。

 ほかにいかがでしょうか。ないですか。

 ということで、私が最後に言ったことがまとめということで。

 ありがとうございました。まだみんなでアイデアを出し合うということですので、もうしばらくこういうアイデアを出し合うという作業をしていきたいと思います。

 それでは、次回の日程について事務局から説明をお願いできますか。

○中嶋調査官 次回第3回の日程でございますが、10月中旬を目途に調整中であります。確定次第、場所と日時の御連絡をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○今野座長 それでは、終わります。

 ありがとうございました。


(了)
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