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2016年9月9日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成28年9月9日(金)9:30~


○場所

新橋8E会議室


○出席者

出席委員(14名)五十音順

○新 井 洋 由、 奥 田 真 弘、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、 
菊 池   嘉、 鈴 木 邦 彦、 関 水 和 久、 中 島 恵 美、 
中 野 貴 司、 濱 口   功、 半 田   誠、 増 井   徹、
森 田 満 樹、◎吉 田 茂 昭
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(7名)

大槻 マミ太郎、 清 田   浩、 田 島 優 子、 田 村 友 秀、
前 崎 繁 文、 山 口 拓 洋、 山 本 一 彦

行政機関出席者

武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
森   和 彦 (大臣官房審議官)
山 田 雅 信 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (安全対策課長)
宇 津  忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
林   憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

 

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催します。本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日の委員の出席状況は、大槻委員、清田委員、田島委員、田村委員、前崎委員、山本委員より御欠席との御連絡を頂いております。また増井委員、山口委員が若干遅れていらっしゃるようです。現在のところ当部会委員数21名のうち、13名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。また菊池委員、半田委員より12時頃御退席予定との御連絡を頂いております。それでは吉田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 では、本日の審議に入ります。まず、事務局より本日の配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いします。

○事務局 資料の確認をいたします。本日、席上に式次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1-1~12をあらかじめお送りしております。このほか資料13「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料14「専門委員リスト」、資料15「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。

 続いて本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、資料15について御報告します。資料15の1ページです。ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mLほか2規格です。本品目は既存治療で効果不十分な非感染性の中間部、後部又は汎ぶどう膜炎を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページです。ビラノア錠20mgです。本品目はアレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症)に伴うそう痒を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページです。ヴィキラックス配合錠です。本品目はセログループ2(genotype)のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページです。レベトールカプセル200mgです。本品目はセログループ2(genotype)のC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページです。グラジナ錠50mgです。本品目はセログループ1(genotype)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 6ページです。エレルサ錠50mgです。本品目はセログループ1(genotype)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 7ページです。イデルビオン静注用250ほか3規格です。本品目は血液凝固第IX因子欠乏患者における出血傾向の抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 8ページです。キイトルーダ点滴静注20mg、同点滴静注100mgです。本品目は根治切除不能な悪性黒色腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 9ページです。エムプリシティ点滴静注用300mg、同400mgです。本品目は再発又は難治性の多発性骨髄腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

10ページです。アイクルシグ錠15mgです。本品目は前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病、フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

11ページです。ダブラフェニブメシル酸塩です。本品目はBRAF遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

10ページです。トラメチニブジメチルスルホキシド付加物です。本品目はBRAF遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上でございます。

○吉田部会長 ただいまの事務局からの説明に特段の御意見等ございますでしょうか。ないようですので、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては皆様の御了解を得たものといたします。それでは委員からの申出状況についての報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況については次のとおりです。議題1、ヒュミラ皮下注、退室委員なし。議決には参加しない委員は中野委員。議題2、ビラノア錠、退室委員は山口委員。議決には参加しない委員は中野委員。議題3、ヴィキラックス配合錠及びレベトールカプセル、退室委員なし。議決には参加しない委員は中野委員、山口委員。議題4、グラジナ錠及びエレルサ錠、退室委員なし。議決には参加しない委員は中野委員、山口委員。議題5、イデルビオン静注用、退室委員、議決には参加しない委員共になし。議題6、キイトルーダ点滴静注、退室委員は山口委員。議決には参加しない委員は中野委員。議題7、エムプリシティ点滴静注用、退室委員なし。議決には参加しない委員なし。議題8、アイクルシグ錠、退室委員、議決には参加しない委員共になし。議題9、ダブラフェニブメシル酸塩、退室委員は山口委員。議決には参加しない委員なし。議題10、トラメチニブジメチルスルホキシド付加物、退室委員は山口委員。議決には参加しない委員なし。以上でございます。

○吉田部会長 ただいまの事務局からの説明に特段の御意見等ございますでしょうか。ないようでございますので、皆様に御確認いただいたものとして議題に入りたいと思います。本日は審議事項10議題、報告事項2議題となっております。それでは審議事項の議題1に移ります。議題1について機構からの概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL他の製造販売承認の可否等について機構より説明いたします。本剤の有効成分であるアダリムマブは炎症性サイトカインであるTNFαに対するモノクローナル抗体です。本剤は既にクローン病や関節リウマチなどの効能・効果で承認されており、今般、ぶどう膜炎に係る効能・効果を追加する一部変更承認申請がなされました。ぶどう膜炎は眼球の血管膜に炎症を生じることにより、視力障害を来す疾患です。進行すると失明のおそれもあることから、副腎皮質ステロイド薬などで疾患活動性を抑えることが重要とされています。しかしながら、ステロイドでは十分な効果が得られない場合や副作用のために治療を継続できない場合があることから、新たな治療の選択肢が求められています。こうした背景の下、ぶどう膜炎の病態形成にTNFαが関与するとの報告を踏まえ、本剤の開発が進められました。なお、今回の申請効能について、米国及び欧州では本年6月に承認されております。本申請の専門委員として、資料14に記載の4名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について臨床試験の成績を中心に説明いたします。本申請では二つの検証的試験の成績が提出されました。

 審査報告書10ページ、表6及び図1を御覧ください。ステロイドの投与にもかかわらず、疾患活動性を示す患者を対象としたプラセボ対照試験が実施されました。その結果、主要評価項目であるステロイドを減量した際の再燃までの期間について、プラセボ群と本剤群との対比較において統計学的に有意な差が認められています。なお、この試験の日本人例数は各群8例と限られていますが、21ページ以降に記載のとおり、有効性に関する各項目を評価したところ、症状の抑制効果は示唆されることを確認しております。

 次に13ページの表8及び14ページの図3を御覧ください。ステロイドにより疾患活動性がコントロールされている患者を対象としたプラセボ対照試験が実施され、先ほどの試験と同様、プラセボに対する本剤の優越性が検証されています。また、日本人集団でも全体集団と同様の傾向が認められたことを確認しております。以上、二つの検証的試験の成績を踏まえ、本剤の有効性は期待できると判断しました。

 安全性について、24ページの表16をご覧ください。ぶどう膜炎患者で認められた有害事象は既に承認されている効能・効果で認められた事象と同様であり、既承認の効能・効果と同等な安全対策が講じられるのであれば、本剤の安全性は忍容可能であると判断しております。

 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は新効能・新用量医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適当と判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○吉田部会長 それでは委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○関水委員 本剤の有効性を、再燃率で評価していますが、再燃率で評価すればそれで十分であるという根拠は何ですか。

○医薬品医療機器総合機構 主要評価項目としては、今回、再燃までの期間ということで評価をしておりますが、委員の御指摘としては再燃の期間が延びることの臨床的意義ということでよろしいでしょうか。

○関水委員 いいえ、違います。この薬の評価をする絶対的な基準が再燃するときまでの時間であるとのことですが、これを薬の有効性の指標にするというのは、それでいいのだろうかという立場で質問しているのです。これで十分なのだというのは、どういう根拠に基づいてなされたのですか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。この薬は決してぶどう膜炎を完全に治すという薬ではなくて、あくまで再燃までの期間を抑制する、再燃を抑制するという効果しか期待されていない薬ではありますが、それはぶどう膜炎の疾患自体が再燃を繰り返すことによって、網膜、視神経に障害を残すことによって視力障害が徐々に進行していくというような進行をたどりますので、再燃までの期間が延びることによって、視力障害への進行が抑えられることを期待しているものです。

○関水委員 私が伺っているのは、それで十分だとする学会が出している指標、あるいは何か教科書などがあるからこれで十分であると言えるのか、ということです。ひどく特殊な試験をして、効果が統計学的有意な差があったから、この薬の申請を認めるべきだとおっしゃっているように思うので、そういう極めて特殊なことを試験して、効果があったから新薬として認めようというご提案のように私は思うから質問しているのです。

○医薬品医療機器総合機構 委員の御指摘はごもっともだと思います。確かに再燃だけを見るというのは不十分ではないかという御指摘かと思いますが、現状の科学水準でいくとこの抗体製剤を使っても再燃を抑制するという効果までしか期待できないと考えております。

○関水委員 それでは、何を根拠にして本剤の有効性が認められるというのでしょうか。一つの項目でたまたまポジティブだったから、もうこの薬は有効だと認めなさいとというのであれば、これは認めるわけにはまいりません。教科書、学会の指標など、そういうものがあってこれだけやれば効果があると認めて良いという、何か学術的な根拠がないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 では、臨床の担当から回答させていただきます。

○医薬品医療機器総合機構 この試験の対象患者は、あくまでステロイドで効果不十分、又は完全に減量できない患者です。このぶどう膜炎をはじめとした自己免疫疾患の多くの疾患は未だにステロイドがファーストラインの治療薬であり、ステロイド治療からなかなか離脱できない患者が多く存在します。一般的に、このような自己免疫疾患の多くは原因がまだ充分に解明されていないこともあり、完治できる病気ではありません。したがって、ステロイドを減量しながら治験薬を投与して、再燃率を検討する試験というのは、この領域では一般的な試験デザインとなっております。

○関水委員 私が伺っているのは、どうして一般的だと言えるのかという点です。今、これは一般的な試験デザインである、とおっしゃられましたが、どうしてそのように言えるのかを質問させていただいています。教科書や、発表された論文で、指標になるということが言われているのか、それともたまたま今、この分科会で資料として出されたのか。誰かが考えついて、たまたま思いついた試験なのか、そこを伺っているのです。

○医薬品医療機器総合機構 先ほど臨床からもお話がありましたが、この領域では一般的であるということと、既に承認。

○関水委員 余り繰り返してやっていると私も怒りますよ。いいですか、どうして一般的だと言えるのかというのは、何か教科書に書いてあるとか、こういう論文があると言えるのではないですか。それが分からない、というのでは審議する対象にならないです。

○医薬品医療機器総合機構 一つ参考としてお話できるかと思いますが。

○関水委員 参考では困ります。こういう理由でこの試験をやれば、この薬については有効性があると認めるべきだという学会なり、特に文献的な根拠があるのかと質問させていただいています。そのような根拠がないように私は疑っておりますが、もしそうでしたら、本件は断固認められません。

○審議官 すみません、今週の『New England Journal of Medicine』にアダリムマブの非感染性ぶどう膜炎に対する比較臨床試験の論文が載っております。『New England Journal of Medicine』はご存じのとおりトップジャーナルで、ここにペーパーとしてスタディの経過がオリジナルアーティクルで載るというのは、その方法論について一定の評価がされているというものだと思います。そのペーパーにアダリムマブ、このような薬のぶどう膜炎に対するtreatment failureまでの期間がプラセボに比べて延びたというスタディの結果が載っておりまして、やはりこういう疾患に対するスタディとして、こういうデザイン、エンドポイントが大体評価されるものであるという、一番直近の論文もあります。こういうことを参考にして考えていただければと思います。

○関水委員 今の説明で私は納得いたします。既に文献的証拠があって、これに基づいてこの薬は有効であると判定するということですね。これは非常に論理的であって、私が求めている答えはそれなのです。

○医薬品医療機器総合機構 分かりました。ありがとうございました。

○吉田部会長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

○菊池委員 これ、ぶどう膜炎だと視力が落ちているような人がいると思うのですけれども、これは2週に1回定期的に打つようになりますよね。それは自己注射するのですか、それとも病院へ来るのですか。

○医薬品医療機器総合機構 自己注射での安全性・有効性も試験の中では確認されております。

○菊池委員 ぶどう膜炎の人にも自己注射をしていいようにするのですか。

○医薬品医療機器総合機構 実際に自己注射の適用ができるかどうかという判断は実際の臨床の先生に判断していただくことにはなりますが、一応可能であると考えております。

○菊池委員 分かりました。ただ、目が悪いことがあるから、本人と家族とか、ほかの今までのリウマチとかよりも、それ以上にやはり指導が要るという注意喚起は一応されたほうがいいかなと思います。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。御指摘を踏まえて市販後の資材などで対応させていただきたいと思います。

○菊池委員 先ほど関水先生がおっしゃっていたのは結局、その網膜病変が良くなる、前房の所の細胞がきれいになる、硝子体の混濁が良くなるとか、そういうことをもってぶどう膜炎のことを診断しているわけであって、それをもって悪化していないとか、そのように言えば多分私たち臨床的方面から言えば納得できると思います。そういう答えを求めていたのだと思います。

○医薬品医療機器総合機構 かしこまりました。ご指摘ありがとうございます。

○吉田部会長 そのほかございますか。基本的にヒュミラについてはずいぶん前に承認を受け、今日に至るまで広く使われておりますので、安全性等々には問題がないと思います。有効性だけが問題ということになれば、今のお二人の質問で大体尽きるかなと気がします。よろしいでしょうか。では、議決に入りたいと思います。なお、中野委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。お諮りします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題2に移ります。では、議題2について機構からの説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2-1及び資料2-2、ビラノア錠20mgの製造販売承認の可否等について機構より説明いたします。本剤の有効成分であるビラスチンは、新規のヒスタミンH1受容体拮抗薬です。今般、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒に関する効能・効果で申請されました。本剤は、海外では、2016年6月現在、100以上の国又は地域で承認されております。本申請の専門委員として、資料14に記載されております8名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に御説明いたします。審査報告書28ページ、7.2「通年性アレルギー性鼻炎患者を対象とした国内第III相試験」の項を御覧ください。通年性アレルギー性鼻炎患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験では、有効性の主要評価項目であるDay1013の総合鼻症状合計スコアのベースラインからの変化量は、29ページ表17のとおりであり、プラセボに対する本剤20mgの優越性が検証されました。本試験における本剤のプラセボとの群間差は-0.35であり、参照群として設定された既に承認されておりますフェキソフェナジン群の-0.34と同程度の有効性成績が得られております。

 また、31ページ表21のとおり、アレルギー性鼻炎を対象とした国内非盲検非対照試験において、通年性及び季節性アレルギー性鼻炎、いずれも投与12週後まで総合鼻症状スコアの改善傾向が認められたこと等を踏まえると、アレルギー性鼻炎に対する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。

 続きまして、審査報告書29ページ、7.3「慢性蕁麻疹患者を対象とした国内第II/III相試験」の項を御覧ください。慢性蕁麻疹患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験では、有効性の主要評価項目であるDay8~14の総合症状スコアのベースラインからの変化量は、30ページ表19のとおりであり、プラセボに対する本剤20mg及び10mgの優越性が検証されました。

 また、33ページ表24のとおり、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症等の患者を対象とした国内非盲検非対照試験において、いずれの疾患群においても投与12週後まで総合症状スコア又は痒みスコアの改善傾向が認められたこと等を踏まえると、蕁麻疹及び皮膚疹患に伴うそう痒のいずれに対しても、本剤の有効性は期待できると判断いたしました。

 次に、審査報告書36ページ以降、7.R.2「安全性について」の項を御覧ください。国内外臨床試験における有害事象の発現状況は、37ページ表29及び表30のとおりであり、既に承認されている他の抗ヒスタミン薬と比較して、新たな安全性上の懸念はされていないと考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないものと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上、御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。

○中野委員 臨床の現場でたくさん新しい抗ヒスタミン薬が出てきているので、お尋ねいたします。審査報告書43ページの7.R.5です。本剤は1日1回投与で、服薬コンプライアンスに優れることが期待され、うんぬんで、新たな選択肢となることが期待されると記載されていますが、1回投与ということは、確かにメリットではありますが、2回投与で非常にコンプライアンスが悪いということもないし、1回投与の他の薬剤もあります。

 あと、7.R.5の最初の所に、投与早期から改善が認められたとありますが、既存薬剤に比べて非劣性でしたけれども、この記載で実臨床の印象として、適切なのかどうかと思ったので御質問させていただきました。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。先生に御指摘いただいた部分は、7.R.5の最初の部分に記載しておりますが、申請者の説明として記載している部分です。機構としては、フェキソフェナジンと同程度の有効性が得られており、既存の薬剤と位置付けは大きく変わるものではないと考えております。

○中野委員 ありがとうございます。

○吉田部会長 この話も前回に出ましたが、例えば、旧薬を加水分解しただけでも、新薬として出すことはできる。それで何かメリットがあるのかと、関水先生からも厳しい御指摘を頂きましたが、例えメリットがなくても新薬としての承認はできるというお話しでした。本剤も特段、何か優れているという点はあまりないのですよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。得られているデータからすると、既存薬と比べて特段優れているところを、指摘するのは難しいと考えております。

○吉田部会長 ただし、ルールとしては非劣性で試験をやって、同等の有効性がプラセボに対して認められれば、薬効としては認めていくということになっているのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。プラセボに対して、有効性が。

○吉田部会長 何か旧薬に比べて、良いことがないと認めないというわけではないのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。類薬と同じような有効性であるということですので、承認は可能と考えています。

○吉田部会長 とは言え、後から出た薬は一般的には薬価が低くなるから、安く手に入るという多少のメリットがあると言えるのかもしれませんね。

○医薬品医療機器総合機構 薬価の部分は。

○吉田部会長 ここでする話ではありませんが、一般的に言えば、後発品のほうが先発品よりも薬価は低くなるので、そういった経済的なメリットもあるのかなと。

○医薬品医療機器総合機構 この部会で薬価の議論はちょっと。

○吉田部会長 言えない。

○医薬品医療機器総合機構 多くの類薬がある状況では、薬価の付け方が違うという話は聞いております。

○吉田部会長 なかなか微妙なところのようですが、ほかに御意見はありますでしょうか。

○菊池委員 2324ページにかけてですが、薬物相互作用で、エリスロマイシンとケトコナゾール、グレープフルーツジュースまでやってくれているというところで、これ、ほかの薬剤で、この同種のもので、ここまでやってもらって、これは自主的にやっているから、そういうことということなのですか。義務付けてはいないわけですよね。

○医薬品医療機器総合機構 相互作用試験に関しては、申請者の方で検討して、必要に応じて実施されているというのが現状です。前回のデザレックスに関しても、同様のエリスロマイシンとの試験が行われていますので、最近、この系統の薬では、CYPやPgpの基質となるようなことが分かれば、相互作用試験が行われているのが現状かと思います。

○菊池委員 余りそれを予測していないけれども、グレープフルーツで下がっているとか、ここら辺は、実際、こういう薬はたくさん出ると思うので、何を言っているかというと、HIVだと相互作用なのか、いちいち面倒なのであれですが、この薬があえてグレープフルーツを出していて、添付文書のほうにも少し後ろのほうに、いつもどこに書くのですかと私が聞くところですが、今日は静かにしようと思っていますが、そこら辺は、このように分かってしまったことを臨床医も、患者さんにもどう説明するのかと現場から思うと。

○医薬品医療機器総合機構 相互作用試験が実施されれば、データとして薬物動態の項に記載させていただいています。かつ、血中濃度の変動があるものについては、副作用、有害事象の増加等の臨床的な影響を加味して、相互作用の項や、慎重投与、場合によっては、禁忌等に設定して、注意喚起しています。

○菊池委員 分かりました。

○吉田部会長 あと、10mg20mgの選択肢があったと思いますが、10mgもある程度有効性があるのに、20mgを選択した理由は何でしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書42ページを御覧ください。第III相試験の結果等を見ると、機構としては、10mg20mgに対して、有効性に大きな差はないと考えております。かつ、安全性に関しても、10mg20mgで大きな差異はないと考えておりまして、申請用法・用量である本剤20mgを承認することは可能と考えております。

 併せて、適宜、減量が申請されていますが、20mg10mgの有効性・安全性に大きな差はありませんので、減量の意義は示されていないと判断し、本剤の用法・用量は、20mgを1日1回とすることが適切と考えております。

○吉田部会長 はい。

○森田委員 患者の立場から言うと、このように安全性と有効性が同等であり、その上で選択肢が広がるという意味では、このように新しい物が出てくるということはいいのかと思います。その優位性ということで、43ページにそのことが書いてありますが、この文章だとよく分からないので、お尋ねいたします。1日1回投与であるため、服薬コンプライアンスに優れるとありますが、先ほどお話された20mgのときに、1日1回投与になるということで、そういう薬は、既にこの手の薬では、1日1回でいいですということはあると思います。そういう意味で既にあるわけですから、では、どういう服薬コンプライアンスということなのかという、そこのところがよく分からないのですが。わざわざ、このように書いてあるところが。

○医薬品医療機器総合機構 恐らく申請者としては、2回に比べて1回であれば、飲む回数が減るので、飲み忘れのリスクが減る等を意図していることかと思います。機構としては、前回の部会で御審議いただいたデザレックスも含めて1日1回の類薬がありますので、類薬と比べて良い点とはいえないと考えております。

○森田委員 それは服薬コンプライアンスという所に、そういうのが明記されているのですか。わざわざ書いてありますので、それが優位性ということだったら、どうなのかなと。

○医薬品医療機器総合機構 あくまで申請者の意見ですので、はかりかねるところはありますが、1日2回に比べての1回ということのメリットだというように思います。

○森田委員 はい。

○吉田部会長 7.R.5の「本剤の臨床的位置付け」の所ですが、主語は「申請者は」なのです。「申請者は、コンプライアンスに優れることが期待される」と言っていると。その後に機構が、そうでもないけれども、というようなことが書いてあるので。

○森田委員 書いてある。

○吉田部会長 つまり、ここのフレーズは、申請者の言い分を載せているだけなのです。

○森田委員 そのまま、分かりました。ありがとうございます。

○吉田部会長 ほかにありますでしょうか。

○奥田委員 先ほどの部会長の御質問にあった、用量がどうして20mgになったのかということに対しての機構の答えは、どちらも一緒だからということで、20mgとお答えになっていたと思います。ただ、いろいろな併用薬等が生じることを考えた場合に、やはり薬物相互作用のリスクとか、あるいは医療資源の有効的な活用とか、そういうことを考えた場合に、20mgに設定することが適切なのかどうかと言われると、個人的には10mgに設定する選択肢を優先してもよかったのかと考えますが、その辺りはいかがなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 開発の経緯として、審査報告書の27ページで、季節性アレルギー性鼻炎を対象とした第II相試験で、10mg20mgを設定して、花粉曝露試験が行われています。この試験で、20mgが優れていることを加味して、第III相試験では、アレルギー性鼻炎に関しては20mgのみの検証になっております。また、併せて、海外の承認用量も20mgであり、使用実績等も十分ありますので、安全性上のリスクも示唆されていないことも加味すれば、20mgを受け入れることは可能と考えております。

○吉田部会長 要するに、10mgないし20mgではないのだと。20mgだということなのですね。ほかにありますでしょうか。よろしいですか。では、意見も出尽くしたようですので、議決に入ります。なお、中野委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題3に移ります。議題3について、機構から概要の説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3-1及び資料3-2、医薬品ヴィキラックス配合錠及びレベトールカプセル200mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。ヴィキラックス配合錠は、C型肝炎ウイルスのNS5A及びNS3/4Aプロテアーゼをそれぞれ阻害するオムビタスビル水和物及びパリタプレビル水和物と、パリタプレビルの血中濃度を上昇させるリトナビルの3つの有効成分を含有する配合剤であり、genotype1のC型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変に対して承認されています。また、レベトールカプセル200mgの有効成分であるリバビリンは、HCVウイルス等に対して、抗ウイルス活性を示す核酸誘導体であり、ペグインターフェロン、ソホスブビル等との併用レジメンで、C型慢性肝炎等に対する治療薬として承認されています。

 本申請は、ヴィキラックス配合錠とレベトールカプセル200mgの併用レジメンの申請です。本申請の専門委員として、資料14に記載の4名の委員を指名しました。なお、本申請は、2剤併用レジメンの申請ですので、審査報告書を一つにまとめて作成しています。審査報告書は、資料3-1に添付しているものを御覧ください。

 臨床試験成績を中心に審査内容について御説明いたします。有効性について、審査報告書14ページ表8を御覧ください。genotype2のC型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変患者を対象とした国内第III相試験において、ヴィキラックス及びレベトール併用レジメンの12週又は16週投与について検討されていますが、有効性の主要評価項目である、投与終了12週後のHCV-RNAの持続陰性化率、SVR12率は、表8の左側、患者集団の上から3段目、未治療のC型慢性肝炎患者において、12週投与群で75.0%、16週投与群で91.5%でした。16週投与群では、事前に設定された閾値を上回ったことから、また、12週投与群では上回らなかったことから、未治療のC型慢性肝炎患者に対して、本レジメンの16週投与による有効性は期待できると判断いたしました。

 また、上から4段目の既治療の行は、インターフェロン製剤による治療歴のある慢性肝炎患者を示しており、SVR12率は、16週投与群で75.8%でした。これについて、審査報告書25ページを御覧ください。下から11行目、「また、既治療の慢性肝炎患者については」で始まる段落を御覧ください。現在のC型慢性肝炎患者に対する治療の第1選択とされている既承認のレジメンでは、インターフェロン治療歴の有無を問わず、90%超えのSVR12率が得られており、これを踏まえると、インターフェロン既治療患者に対しては、ほかのレジメンが主に選択されるものと考えます。

 ただし、類薬よりも低いものの、本レジメンのSVR12率は75.8%であり、有効性が期待できる患者もいることから、効能・効果において、インターフェロン既治療のC型慢性肝炎患者を本レジメンの対象から、あえて除外する必要はないと判断いたしました。ただし、ヴィキラックス配合錠の添付文書、資料3-1の1.8のタグの2ページ、右上ですが、効能・効果に関連する使用上の注意()において、インターフェロン製剤による治療経験の有無等により有効性が異なるため、本レジメンによるベネフィット・リスクを考慮した上での投与の可否を判断するよう、注意喚起することが適切と判断しました。

 なお、代償性肝硬変患者については、審査報告書14ページ表8の上から5段目に記載のとおり、国内第III相試験におけるSVR12率は、16週投与群で33.3%であり、これを踏まえ、申請者は、代償性肝硬変患者に対する本レジメンの有効性は期待できないとして、申請効能・効果には、代償性肝硬変は含まれていません。

 安全性について、14から15ページにわたる表9を御覧ください。国内第III相試験において、いずれかの群で2%以上に発現が認められた有害事象及び副作用を記載しています。ヴィキラックス単独投与時の閾値の安全性プロファイルと比較して、レベトールの併用に伴い、貧血関連事象が新たに認められていますが、これはレベトールの既知の副作用であり、レベトールの減量又は休薬により、コントロール可能でした。貧血関連事象や、ヴィキラックスの初回承認時に注意が必要とされた浮腫関連事象、肝機能障害等の発現には注意が必要と考えますが、ウイルス性肝疾患の治療に、十分な知識と経験を持つ医師の下で適切に投与されることを前提に、本レジメンの安全性は許容可能と判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、機構は、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新効能・新用量医薬品としての申請ですが、既にヴィキラックス配合錠に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上あることから、ヴィキラックス配合錠の再審査期間は残余期間とし、レベトールカプセルは、ヴィキラックス配合錠と併用されることから、再審査期間はヴィキラックス配合錠と同じ期間とすることが適切と判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。

○関水委員 14ページの表8を見ていますが、これから有効性が示されたという御説明でしたが、それが私には理解できないので、質問いたします。まずこの試験ではプラセボ、すなわち、本剤非投与群の試験はなされなかったのですか。

○医薬品医療機器総合機構 今回はC型肝炎のgenotype2を対象としていますけれども、このgenotype2に関しては、今回の資料ではプラセボを対照とした試験はありません。

○関水委員 プラセボによる試験の結果はないのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○関水委員 そのときに、本剤が効いていると、どうして言えるのですか。この表8が本剤の有効性を示しているとおっしゃっていますが、まず、1216で、16のほうが減っているから、この薬が効いているのだという論理でしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 そうですね。プラセボ対照試験、今回はないと申し上げましたが。

○関水委員 私の質問に答えていただけませんか。1216で違っているから、効いているのだという論理なのですか。

○医薬品医療機器総合機構 それは違います。

○関水委員 そうではないのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○関水委員 では、どうしてこの薬が肝炎に効いていると言えるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 genotype1を対象としたヴィキラックスの試験では、プラセボ投与期を設定していまして、その試験ではプラセボ投与群では、ウイルスは減少しなかったという成績が得られております。

 それを踏まえて、今回、genotype2では、プラセボ投与期の設定はされていませんが、過去の治療成績等から適切に閾値を設定して、その閾値に対する有効性が示されたということで、今回の試験で、16週投与群で91.5%のSVR率が得られたことで有効性があると判断しております。

○関水委員 2と1で、1をプラセボでやったから、2でやる必要はないのだとおっしゃるのですね。どのような論理に基づいて、やらなくてもいいということが支持されるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 抗ウイルス剤ですので、先生も御存じかと思いますが、やはり無治療ではC型肝炎ウイルスは消えないということが、genotype1のプラセボ投与で確認されておりますので。

○関水委員 いや、私は知りません。この2型のウイルスが未治療で消失することはないということが自明であり、本剤を投与した場合減ったのだから、この薬が効いたことになるという論理が受けいられるべきかという点を私は納得いたしません。薬なんか効かなくても、ウイルスが消えてしまう人はいるのではないですか。

○新薬審査第四部長 13ページの脚注12では、ペグインターフェロンとリバビリンのSVR率は、67%ぐらいだったという記載があります。リバビリンが開発される前のインターフェロン単独治療というときは、もうちょっとこの数字よりも低いSVR率が出ていますので、薬を上乗せすば、この率が段々高くなってきているというところで、このものの薬効は証明されていると考えております。

○吉田部会長 そういうことではなくて、恐らく、以前の臨床試験をgenotype1でやったときに、無治療群では有効例がなかったのでしょう。なので、genotype2の試験を計画する際、その効かないアームを設定することが、倫理的な意味でもたない、要するに、患者さんの不利益が大きすぎるという判断をしたのではないかと思うのです。前にgenotype1の無治療群で全く効果が見られなかったとなると、患者さんが試験への参加を拒否するということも考えられます。確かに科学的に言えば、関水先生がおっしゃるように、もう一度ネガティブコントロールを置くべきだろうと思いますが、多分、そうすると試験として成立しなくなるので、やろうとしてもできなかったのだと思います。それで、今まで効いてきた薬の閾値をいろいろ計算して、その最高レベルよりも下限が上にいけば、良しとしようという、そういう仮説を立てて、試験のデザインを考えたのだろうと思います。今日は、山口先生がお見えになられていないので、ちょっと説明が力不足ですが、私はそうしてやったのではないかと思います。

○新薬審査第四部長 実施可能性の観点でこのデザインを組んでいるというのは、部会長のおっしゃるとおりだと思います。このものについては、海外でもデータが先行して出てきていますので、ある程度の有効性は出るだろうということは、患者さんも、治験を担当される医師も分かっておりますので、やはりプラセボ群を置くというのが、なかなか難しかったというところだと思います。

○吉田部会長 ほかに御意見はありますでしょうか。

○関水委員 感染症治療薬に関してですが、プラセボによる試験結果がないのに、薬が効いているという主張には、大変疑義があると言わざるを得ません。そのことについては、認めていただけますね。大変疑義があると。「科学的に治療効果が実証されたというわけではないが、状況証拠から承認してもいい」という主張はあり得ると思います。これなら分かるのですが。今回の場合には、はっきり、「治療有効性が示された」と言われるから、そのようなことは言えない、と申しているのです。

○新薬審査第四部長 感染症の治療の領域では、非常に軽症の場合ですと、プラセボ対照試験が実際に行われている場合があります。我々の機構では、科学委員会でプラセボ対照試験についての議論も行われています。基本的には薬効を証明するのにはプラセボ対照試験だろうという議論もありました。ただし、特に重症の感染症の場合等、目の前に効くかもしれない薬物があるのに、それを敢えて投与しないということは非常に患者さんのデメリットが大きくなるので、感染症の種類によっては、プラセボ群を設定することは難しいという議論もなされております。

○関水委員 倫理的な問題があるというのはよく分かりますので、そこのところを議論しているのではありません。つまり、この薬がこのウイルスに、感染症について効くというプロトコールの設定というのは、例えば、軽症患者だけ集めるとか、それから、今実際にここに、データが示されていますが、12週と16週で薬の累積をすれば、RNAが消失したとか、そういう薬依存の治療効果があったということが、何らかの方法で示されない限り、治療有効性が科学的に立証されたということにはならないと思います。

○新薬審査第四部長 この試験ですと、12週と16週で差があるかどうかを検討することを目的として計画されている試験ではありませんので、先ほどの説明にあったように、視察的には、7591で、16週のほうが効いているという成績になっています。ただし、この試験は投与群間で統計学的な有意差を検出することを目的とした試験ではないため、群間での検定は行っておりません。

○関水委員 今後、抗ウイルス薬の評価をする際に、そういうことを申請者に対して指導するということをお願いしたい。今のこの薬は、私の目から見て、薬依存にウイルスのRNAが下がったという証拠がありません。プラセボでの試験には、倫理的な問題があるということですが、この薬について、すぐしなければ駄目だと申している訳ではありません。このウイルスに関して、本剤がウイルス量を下げていることを示すプロトコールを立案することが可能なのではないですか。

○新薬審査第四部長 例えば、これを12週の患者さん、あるいは、もっと短い投与期間の患者さんの群を設定すれば、差が出るのではないかという委員の御指摘かと思いますが、この試験に入って、例えば短期間投与群に割り付けられた患者さんで、薬が効かなかったということになってくると、その患者さんでは新しい耐性変異が出てくるリスクがあるので、次の治療がなくなってしまう可能性もあります。余り効果が期待できない治療群を設定するということも、患者さんにとって大きなデメリットになると考えています。今回の場合ですと、12週と16週は、大体同じ有効性かもしれないと開発者が思っているからこそ、設定できたと考えております。

○吉田部会長 少々お待ちください、審議官がお話されます。

○審議官 議論の出発点の所で、C型肝炎の抗ウイルス薬の治療というのが、20年以上の期間の間に相当進歩してきていて、その進歩の上に乗って、また、今の抗ウイルス薬が評価がなされているということがありますので、なかなか分かりにくいところがあると思います。この資料の中にも、1990年の時点で、C型肝炎のウイルスの自然排除率が、年間0.2%しかないということがまずあって、ウイルスの型の分布はいろいろあるにしても、トータルで、年率で50週間診ていても、0.2%しか自然に排除されないということが分かっているというところから出発しています。

 そうすると、僅か12週や16週間で、ウイルスが消えたというように考えられるようなレスポンスレートが、70%、80%とかになっているというのは、ものすごく自然ではないことが起きているというように考えられる。多分この薬が、レプリコン細胞による評価系で見たときに、それでは、この薬物を添加するとウイルスが消えているという証明も、これは基礎的な実験ですので、厳密にやられていますし、そのことについては恐らく疑問の余地がない。ただし、ウイルス側のgenotype1a、genotype1bに比べて、genotype2a、genotype2bは、レプリコン細胞を使った評価では、抗ウイルス活性が、もうちょっと落ちるのですね。そのことからすると、これは推定ですが、12週間で1型は効いているけれども、2型はもうちょっとパワーが落ちるのではないかと。こういうことも考えて、治療期間をより長くした場合にどうなるかということも、検討の対象になったのだと考えられます。

 実際にやった結果としては、12週よりも16週のほうがSVR12率、つまり、ウイルスがほぼ消失したと考えられる、レスポンスしている患者さんの割合が、高くなっているということを結果として見た上で、合理的なスペキュレーションとしては、この薬は16週間で、2型に対して使ったほうがいいだろうというように考えるに至ったと。そういう一定の推論、限界はありますけれども、臨床的な結果を基礎的な結果と考え合わせて、合理的な推論ということで、この評価に至っているということは言えるかと思います。

○関水委員 RNAの検出で患者のウイルスが、自然に消失することは考えられないと言えるのですか。C型肝炎が自然に治ることはないという点、これは私も納得しますが、ここで実際に評価基準になっているRNAの検出が自然に消失していることは考えられないと言えるのですか。さらに、RNAについて、その効果があるのだから薬が効いたと認めるべきだとする論理は成り立つのですか。

○審議官 実際にウイルスの自然排除率を評価した論文が、1990年の論文ですので、その当時のウイルスの評価の仕方というのと、現時点におけるウイルスの評価の仕方、テクニカルには大分進歩していて、そこの部分の違いはあると思いますが。

○関水委員 進歩しているのではなくて、違っているというべきです。以前の方法では、RNAを見ているわけではないので、RNAが自然に落ちてくるということはあり得ないとということが文献的に示されているのではないわけです。RNAを検出するというのは、ごく新しい方法ですので、数十年前まで行われていなかったわけです。

○審議官 1990年代の頃は抗体検査によるウイルスの評価をしているので。

○関水委員 そうですよね。

○審議官 先生がおっしゃるように、ウイルスのRNAで評価をしていたわけではないということの、間接的なその関係があるという話になってしまう点で御指摘があると思いますが、ただ、当然それはC型肝炎ウイルスに対する評価を抗体検査でやるだけではなくて、RNAで評価するほうが、よりウイルスをきちんと見ているのだと考えられるということもあって、今ではRNAで評価しているということは、そうなのですけれども、それが現時点で、自然経過でウイルスが排除されるのが、RNAによる評価をやっても、全然高くないということの論文は、これはあると思います。それは、きちんと検索して、そういった研究があるかどうかというのを確かめるということは可能だと思います。

○吉田部会長 どうします。結局、今回の申請に関しては、先ほどの倫理的な問題とか、実効可能性の問題もあって、ネガティブコントロールは置いていないのだけれども、関水先生が言われるような懸念材料もあり得るので、RNAの自然消退についての、どれぐらいの頻度かを調べておいていただいて、次回でも教えていただくということでいいですか。

○医薬品医療機器総合機構 そのような最新の論文がありませんので、ちょっと難しいのですが。

○吉田部会長 では、肝炎の専門家でもいいので、どういうことで難しいのかをコメントでももらっておいて頂くだけでもいいのですが。

○医薬品医療機器総合機構 委員の御指摘は、ごもっともだと思いますが、統計学的な問題は別として、やはりC型肝炎の患者さんを診ていますと、1bにしろ、前回は1bで今回は2型ですが、ほとんどの人は自然に治癒することはありません。

○関水委員 今回、評価基準としたRNAの量の減少は、薬の効果があってそうなったのか、それとも、患者自身の治癒力でRNAのレベルが下がったのかは、明白ではありません。後者の可能性はないということが明白であれば私の議論はないのです。でも、それは怪しいのではないですか。

○医薬品医療機器総合機構 自然にRNAがゼロになるということはないです。

○関水委員 それが正しいのであったら、私の議論はありません。

○医薬品医療機器総合機構 はい。先ほどの脚注のHepatologyの論文ではインターフェロンとの比較試験をしています。そのときに、ウイルスが自然にゼロになるということはない。もう一回確認してみますが、自然にゼロになることはないです。1bに関しては、前回のヴィキラックスのときに。

○関水委員 是非、調べていただきたいのは、「ウイルス感染患者で、RNAが自然に検出されなくなるということはない」という文献なりがあれば、私には全く問題はありません。

○医薬品医療機器総合機構 それは、genotype2の文献はないです。

○関水委員 それ、本当なのですか。

○吉田部会長 1例もないかどうかを教えて。

○関水委員 1例もないのですか。

○吉田部会長 だから何パーセントぐらいの人があるわけだから。

○医薬品医療機器総合機構 はい、ゼロコンマ数パーセント。

○吉田部会長 だからその頻度を知りたい、ほとんどないというのはわかっています。今のように、ないと言い切ってしまうと、違う話になってしまう。

○医薬品医療機器総合機構 ないということは、言い過ぎですけれども。

○吉田部会長 だから、何パーセントの人はゼロになりますが、その頻度が問題なわけでしょ。

○医薬品医療機器総合機構 そうです。

○吉田部会長 めったにないということが、どれぐらいの頻度かを調べてもらえれば一番いいのです。

○医薬品医療機器総合機構 少なくとも90数パーセント、そういうことはあり得ません。

○吉田部会長 そうだと思いますが。

○医薬品医療機器総合機構 完全にはという意味です。

○吉田部会長 だから、疑問が示されているので、一応、答えを用意しておいていただいて。

○医薬品医療機器総合機構 調べてまた御報告させていただきます。

○吉田部会長 そういうことで、宿題ということにして、後日、関水先生にお答えすることにしたいと思います。ほかにありますでしょうか。

○新井部会長代理 この薬は、OBV、PTV、RTVの混合物ということで、前者の二つは、それぞれの薬のターゲットが分かっていますが、記載によると、RTVはCYPを阻害することで、他の薬物の代謝を上げるというメカニズムとして書かれているかと思いますが、そのような薬は今までに、そのような目的はありますか。分かりました。知らなかったもので。ありがとうございます。

○吉田部会長 ほかにありますでしょうか。

○菊池委員 申し訳ありませんが、2aと2bで、効果の差はあったのですか。具体的に、それは全然書かれていませんけれども。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書17ページの表10に記載しています。背景因子の上から5段目のsubtypeという段で、2aと2bのSVR率を、それぞれ未治療と既治療に分けて記載しております。

○菊池委員 分かりました。そうすると、これはやはり2bの効き目が悪いですよね。これを含めてしまっていいのかということだけが心配だったのです。血友病はいろいろなものが混ざっていて、排除された中に、いろいろなものが残る可能性があって、それでも私たち多分、治療しますし、16週間も無視して長期にやることになると思います。そういう人の救済のためには。2bの既治療が5割ですから、これは注意というのは必要なのではないですか。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書に、この試験成績は情報提供させていただいておりまして、ヴィキラックスの添付文書の1.8の9ページの上の表で部分集団におけるSVR12率を提示しておりまして、そちらでサブタイプ別のSVR率を記載しています。

genotype2aと2bに分けて、効能・効果を付けるということが難しいものでして、それも含めて先ほども御説明いたしました効能・効果に関連する使用上の注意で、ベネフィット・リスクを考慮した上で、投与の可否を判断することと注意喚起するようにしております。

○菊池委員 分かりました。数も少ないので、治療して、その半分でも効果があるということであれば、多分、私たちもやるので、それはいいと思います。

○吉田部会長 有効性がそれほど期待されているものではないのだけれども、トライする意味はあるかもしれないという程度のものなのですね。ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。なお、中野委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。宿題の件も、よろしくお願いいたします。

 それでは、議題4に移ります。議題4について、機構から概要の説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4-1及び4-2、医薬品グラジナ錠50mg及びエレルサ錠50mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。グラジナ錠50mgの有効成分であるグラゾプレビル水和物は、C型肝炎ウイルスのNS3/4Aプロテアーゼを、またエレルサ錠50mgの有効成分であるエルバスビルは、NS5Aを阻害する抗ウイルス剤であり、海外ではグラゾプレビル水和物及びエルバスビルの配合剤が本年7月時点で米国、カナダ、欧州等、5つの国と地域で承認されています。本申請の専門委員として資料No.14に記載の9名の委員を指名しました。なお、本申請は2剤併用レジメンの申請ですので、審査報告書を1つにまとめさせていただいています。

 審査報告書は資料4-1のグラジナ錠の資料のものを御覧ください。審査内容について臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性について、審査報告書66ページの表52を御覧ください。この表はgenotype1のC型慢性肝炎又は代償性肝硬変患者を対象とした国内試験のパート2において、主要評価項目とされた投与終了12週後のHCV-RNAの持続陰性化率、SVR12率を示しています。C型慢性肝炎又は代償性肝硬変患者のSVR12率は未治療患者97%、インターフェロン製剤既治療患者95.7%でした。また、C型代償性肝硬変患者のSVR12率は、未治療患者100%、インターフェロン製剤既治療患者93.3%でした。なお、本試験では治験薬投与開始12週間はプラセボが投与された群が設定されており、プラセボ群におけるHCV-RNA量の平均値は投与開始前で6.3log10 IU/mL、投与4週後も同様に6.2log10 IU/mLであり、プラセボが投与された患者において、ウイルス量の減少は認められませんでした。これらの試験成績等を踏まえ、genotype1のC型慢性肝炎及びC型代償性肝硬変患者に対するグラジナ錠とエレルサ錠の2剤併用レジメン(以下「本併用レジメン」)の有効性は期待できると判断しました。

 次に安全性について、審査報告書63ページの表49を御覧ください。国内試験のパート2において、5%以上に発現が認められた有害事象及び副作用を示しています。慢性肝炎及び肝硬変患者共に本併用レジメンの投与により、ALT増加、AST増加等が認められています。また、治験薬との因果関係ありと判断された重篤な有害事象は、C型慢性肝炎患者の本併用レジメン群に肝酵素上昇1例、脳梗塞1例が認められ、脳梗塞は未回復ですが、肝酵素上昇は、本併用レジメン投与中止後に回復が認められています。これらの有害事象、その発現割合等を踏まえ、本併用レジメンの安全性は許容可能であると判断しました。

 なお、国内診療ガイドラインで、genotype1の患者に対して推奨されているソホスブビル/レジパスビル配合剤について、重度腎機能障害者に対して禁忌とされています。本併用レジメンについては、海外において重度腎機能障害を伴うC型慢性肝炎患者又は代償性肝硬変患者を対象とした臨床試験が実施され、有効性及び安全性が確認されています。

 各有効成分の薬物動態に関しては、臨床上問題となる民族差は示されていないことから、日本人患者においても有効性は期待でき、安全性は許容可能と判断しています。ただし、重度腎機能障害を伴う日本人患者に対して、本併用レジメンの投与経験はないことから、製造販売後において、これらの患者に対する有効性及び安全性について、情報収集が必要と判断しています。

 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。グラジナ錠及びエレルサ錠は新有効成分含有医薬品であることから、両剤共に再審査期間は8年、いずれの原体及び製剤も毒薬、劇薬、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。

 なお、グラジナ錠の審査報告書6065ページが重複して印刷されており、見づらくて大変申し訳ございませんが、審査報告書のページに漏れがないことは確認しております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○奥田委員 この2剤が併用療法を想定して開発されているということで、今回申請されているのですが、ただ、海外ではこれは配合剤として開発・承認されているという話で、両剤、この二つの製剤それぞれ療法も同じで、減量等の想定もされていない中で、これはわざわざ単剤で発売するということは、現場の煩雑さとかリスクとかコンプライアンスとかに対してマイナスの要因になってくるので、本来これは配合剤で開発されるべきものではないかというように個人的には思うのですが、その辺はなぜ単剤で出てきているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 こちらは御指摘のとおり、海外では配合剤で承認されているのですが、今回の国内の試験デザインについて海外と差がございます。今回の国内試験が第II/III相試験という形でデザインされていまして、第II相試験の部分がパート1として実施されているのですが、このパート1の部分でグラジナ錠は50mg100mgの2用量が設定されております。こうした試験計画のため、配合剤とすると複数用量が設定できないという状況がありまして、国内では各単剤で開発が進められています。

 また、もう一点として、今回製剤サンプルをお配りしているのですが、かなり大きめの製剤になっています。海外の配合錠では更に大きな錠剤となってしまっており、国内ではC型慢性肝炎患者の、代償性肝硬変患者もそうですが、高齢化が進んでいまして、大きな錠剤ですと国内の患者さんでは飲みづらいと考えられています。ということで国内では各単剤で開発が進められております。

○奥田委員 今後、配合剤として再度開発されることは想定されないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 念のため企業に確認しておりますが、やはりコンプライアンスの面でサイズが小さいほうを優先するということで、配合剤の開発は予定されておりません。

○吉田部会長 だそうですが、ほかにございますか。

○菊池委員 またタイプの話で申し訳ないですけれども、1aは日本人はすごく少ないですが、これは2例しかないですよね。海外の地域によっては1aが多い所もありますけれども、たまたま今回は海外のデータは全然出ておりませんが、1aは海外でも効いていますか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、こちらgenotype1の成績も、海外試験成績も含めて確認しております。審査報告書の74ページを御覧ください。7.R.4.1「genotypeについて」の項ですけれども、国内試験では御指摘のとおりgenotype1aの患者さんが少なくて、4例なのですが、全てSVRを達成しています。100%という達成率ですが、一方で海外試験の併合解析において、genotype1aの慢性肝炎患者で92.9%、またgenotype1aの代償性肝硬変患者でも93.7%というSVR率が得られております。こうした海外成績も含めて本併用レジメンのgenotype1aに対する有効性は期待できると判断しています。

○菊池委員 分かりました。

○吉田部会長 よろしいですか、ほかにございますか。先ほどの議題3に出てきたヴィキラックス、レベトールカプセルの組合せでは腎機能不全患者に使えないけれども、こちらでは使えるメリットがあるということのようです。よろしいでしょうか。

○関水委員 御説明では、これは実際にプラセボをやっているということですが、プラセボのデータというのはどこを見ればいいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 プラセボ群の直接的なデータに関しては審査報告には記載していないのですが、60ページを御覧ください。試験デザインではプラセボ群が設定されていまして、CSRのほうでも、第III相試験の総括報告書のほうでもデータを確認しているのですが、今回は審査報告書には特にプラセボ群のデータは記載しておりません。

○関水委員 さっきも言いましたけれども、プラセボと比べて、この薬は有効性があるというそういうデータがあれば、この薬はとにかく有効だという論理が成り立ちますよね。ところがそのデータは示していないというのですか。

○医薬品医療機器総合機構 データは得られています。先ほど事前に御説明したところなのですが、プラセボ群のHCV-RNA量の推移も確認しております。投与開始前のHCV-RNA量が6.3 log10 IU/mL、それから12週間投与しているのですが、その投与終了の4週後も同様に6.2 log10 IU/mLという、ほとんどウイルス量の減少は認められていないというデータは確認しております。

○関水委員 どうして審査報告書でそのデータを出さないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 こちらは先ほどgenotype2のほうで議論がありましたように、今回の試験デザインですけれども、有効性の評価に関しては、既存の類薬を基に設定された有効性の閾値と比較するデザインになっていまして、今回のプラセボ群の設定というのは、安全性の比較のために設定されています。ですので有効性という観点では、閾値との比較で評価されていますので。一方で、このプラセボ群のデータに関しては、安全性の評価を目的としていますので、安全性のデータに関してはプラセボ群も載せて、そこで本剤群との比較を審査報告書にも記載させていただいております。

○関水委員 プラセボ群のデータはウイルスに関して出さないのは、誰もが認める、自明なことであるからだということですか。

○医薬品医療機器総合機構 これからまたデータは再度精査しまして提出することに先ほどなりましたけれども、そういった前提があります。

○吉田部会長 審査報告書の厚いほうも、どこにもプラセボのデータは書いてないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 CTDのほうにはあるのですが、審査報告書にはプラセボ群の有効性のデータに関しては載せていないです。

○吉田部会長 そのことではなくて、資料の中には入っているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、お配りした資料には、資料の概要ですので、含まれていないのですが、企業から出されてきたCTDの詳細なデータには含まれています。

○吉田部会長 では、それも含めてまた次回のときにでも教えていただければ有り難いと思います。ほかにはありますか。

○川上委員 製品の包装についてお伺いしたいのですが、この薬剤は1回に2錠を飲むお薬で、8錠シートです。次の薬剤についても4錠シートで錠剤の大きさに比べてシートがかなり大きいようです。包装単位が4とか8では、通常の調剤業務を考えるとやや煩雑になるとか、また、患者さんに渡してもシートが大きいことで少し取扱いがどうかと思うのですが、こういったシートで製品開発をされた意図はあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 こちらは既存のこういうHCVの薬剤ですとボトルというものもあるのですが、それに比べれば今回のPTP包装というところで、比較的患者さんには配布しやすいだろうという状況はあると思うのですが、そういうところも含めてPTPの包装で開発されております。机上に製剤サンプルの見本をお配りしているのですが、まだ案というところで、サイズに関して御指摘があったというところは企業にもお伝えしたいと思います。

○川上委員 通常ですと、10錠や7の倍数の14錠シートの方が、患者さんの受診間隔を考えたときにも、調剤しやすい、お渡ししやすいのではないかと思ったので、なぜ4日単位のシートにされているのかということも併せて伺いたかったものですからお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 はい、その点は企業にも確認させていただきます。

○吉田部会長 グローバル時代の中で他の国や地域と違うところが日本に一つあって、それは高齢化社会です。たくさんの老人が様々な薬を日常的にのんでいる。つまり、ポリファーマシーの状態になっていて、薬を匙ですくって飲んでいるような患者さんもめずらしくはないのです。だから奥田先生が先ほど、どうして合剤にならないのかとお尋ねになったのだと思いますが、私も今後の高齢化社会の進展に備えて、薬はできるだけ単純に、余り薬剤数も増やさないで、患者さんに飲みやすいようにしてほしいと、強く要望させて頂きたいと思います。グローバル化だからと言って、アメリカのやり方をこのまま日本に持ってこられても、ややこしいことになりかねない。そういった点を含めて注文を出していただければと思うのです。できるだけシンプルにしてほしいと。ほかにはありますか。

○菊池委員 言い忘れたのですが、先ほどの薬もそうですけれども、3型と4型と忘れられていて、しょうがないから研究費とかでそういう人を治療しているのですが、genotypeの3と4のことについては、何か機構は考えていることはありますか。

○新薬審査第四部長 genotype3のところについては、8月31日に1剤が承認申請したという報道がなされております。それについては粛々と審査を進めていこうと考えています。何剤かはgenotypeの3や4をターゲットとして開発も今行われつつあると理解しております。

○吉田部会長 よろしいでしょうか。ほかにはありますか。ないようですので、そろそろ議決に入りたいと思います。なお、中野委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題5に移ります。議題5につきまして、機構からの概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品イデルビオン静注用250ほかの製造販売承認の可否等について機構より御説明します。本剤はアルブトレペノナコグ アルファ(遺伝子組換え)を有効成分とする遺伝子組換え血液凝固第IX因子製剤です。本剤は遺伝子組換えアルブミンと遺伝子組換え血液凝固第IX因子の融合タンパク質であり、既存の第IX因子製剤よりも生体内半減期を延長し、投与頻度を減少することを目的に開発されたものです。

 米国では2016年3月に、また欧州では2016年5月に承認されています。本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は資料14にお示しした6名の方々です。

 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明します。有効性については、審査報告書27ページ、表26を御覧ください。ピボタル試験である3001試験では、主要評価項目として自然出血の年間出血回数であるAsBRが検討されました。その結果、AsBRの中央値は、出血の予防を目的とした定期的な投与を行わなかった場合では、1人当たり年間15.4回であったのに対し、予防を目的とした投与を行った場合では年間0.0回と低く、本剤の定期的な投与による出血回数の低減効果が期待できると判断いたしました。また、出血時の本剤投与による止血効果については、審査報告書の同じく27ページ、表27に示しますように、1回又は2回の投与で止血が達成された出血エピソードの割合は98.6%であり、出血時の投与における止血効果が期待できると判断いたしました。安全性については、審査報告書2728ページに記載していますように、提出された資料から本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。

 以上の審査の結果、機構は本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○半田委員 適正使用の観点から質問ですが、前回も同種同効薬としてFcリセプターの領域が付いているオルプロリクス静注用というのを確か私も拝見したのですけれども、今回の薬剤もやはり定期補充療法と出血時のいわゆるオンデマンドの手法の2種類があると思うのですが、一番のベネフィットというのは1週間から2週間に1回の補充療法で済むということで、患者さんはそういう意味では非常に便利がいいということです。添付文書にはあるのですが、これは補充療法というものを目的としており、出血時と手術時の投与、これも添付文書の中には2番として掲げられています。多分薬剤のコストとしては非常に高くなることもあるので、ロングアクティングの製剤と既存の例えば遺伝子組換えでもベネフィクスというのは、ショートアクティングだと思うのです。ですからその辺の使い分けもどのようにするか、もちろんこれは学会のガイドラインとか、医療側のレベルで対処するべきだと思いますけれども、国のほうでどのぐらいコントロールするかということも考える時期に来ているのではないでしょうか。

 要するに、私が言いたいのは、ロングアクティングの製剤はちょっと高いですよね。それを急性時に使ってしまうと、それだけコストが上がってしまうのではないかと。では、インスリンと同じようにショートアクティングとロングアクティングを使い分けることがまず必要ということもあると思うのですが、その添付文書の書き方だと両方とも使えるのだと書いているのが少し、適正使用の観点からどうかなと思うのです。この辺の考え方は、これからも多分、同種同効薬が出てくると思うので、例えば第VIII因子製剤でもこれから出ると思うのですが、この辺どのようにこれから機構として、当局として考えるのかというのをちょっとお聞きしたいのですが。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。本剤と同じようにロングアクティングの製剤が幾つかありまして、第IX因子に限らず、第VIII因子でも同じ御指摘をこの部会でも頂いております。本剤の止血効果は臨床試験のデータから示されていると判断しております。ただ、御指摘のとおり、出血時に止血を目的として投与する場合におけるロングアクティングのメリットは臨床試験のデータからは示されておりませんので、機構としましては、止血を目的とした投与について、ロングアクティングのメリットがあると宣伝することや、投与の推奨はしないようにと申請者には伝えようと考えております。

○半田委員 添付文書では、使用量とか使用間隔も2の所にきちんと書いてありますね。推奨しないといっても、添付文書を見る限りにおいては同じように使ってもいいというようになってしまうのではないかと思うのですが、この辺はいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 血友病では、出血した場合には、患者さんの手元にある製剤によって止血をすることになり、これには自己投与も認められています。患者さんの手元に何種類も製剤を置いて使い分けるということはなかなか難しいこともあります。本剤を止血に使用することについては、効果が示されていることから、やめるようにというようなことは申し上げるつもりはないのですけれども、逆に、積極的に止血に対してロングアクティングはメリットがあるとは言えないと考えております。

○半田委員 ですから添付文書の書き方において、1と2ということで同等に書いてありますね。その辺がちょっとどうかなと思っただけの話です。

○吉田部会長 申請者が臨床試験までやって有効性が出ているのに、それを使わないようにするというのは無理ですよね。だから、それぞれの会社がそれぞれのロングアクティング、ショートアクティングで薬を出してきて、いろいろな臨床試験が行われ、有効性が認められたら全部それは適用として取っていってしまうわけです。それを整理するとなると、半田先生の学会のほうでガイドラインをきちんと作っていただいて、こういう使い方を薦めますみたいなことをやらないと、多分、厚生労働省にそれをやれと言っても、無理な注文だと思います。また、この種の薬はタンパク製剤ですから、そういった貴重な資源を上手に使うという意味でも、むしろ学会で是非ガイドラインを作っていただければと思うのですが。

○半田委員 もちろんそのとおりですが、当局のほうもそれを指導するという形のそういう方向性というのは添付文書で表すべきだなと私は思っているのです。添付文書の書き方というのはそういう意味では、企業側のをそのままで載せているというところがあると、何か恣意的なものを感じてしまうというのは、私が最近のところで感触があるので、その辺のコントロールぐらいは別にできないことはないのかなと、ちょっと感触があったのです。もちろん今の部会長のお話のとおりで、それ以上のことはあれですが、そういう印象があったので質問をさせていただきました。

○吉田部会長 ロングアクティングはむしろ有効ではないというか、薦めないと言ってほしかったのですね。機構から何かありますか。

○医薬品医療機器総合機構 大丈夫です。

○吉田部会長 ほかにございますか。

 

○新井部会長代理 アルブミンとの融合タンパクがロングアクティングになるメカニズムは何か分かっているのですか。余り今までこういう製剤は。今後のことを考えると何でもみんなそうトライするのか。

 あともう一つの問題点として、これは欧米で過去に大分使われているのであれなのですが、どっちもヒトとは言え、融合タンパクになると抗体ができやすくならないかとか、そういう点は過去の成果がどうなっているのかをちょっと聞きたかったのです。

○医薬品医療機器総合機構 アルブミンがロングアクティングに寄与するメカニズムですけれども、Fc受容体にアルブミンが結合することによって、分解されることを一時的に防ぐのではないかと申請者は説明しておりますが、詳細なことは分かりません。

 また、ほかにどのようなロングアクティングの品目が存在するかですが、先ほどお話が出ましたけれども、第VIII因子、第IX因子にIgGのFc領域を結合させたものや、ペグを結合させたものが開発されています。

○新井部会長代理 今出てきたアルブミンが初めてかなと思ったので、何かよさそうなイメージはありますけれども、本当に問題がないのか、今後これが新たなロングアクティングの方法として、タンパク製剤に多く使われるようになってくるのか、その辺の理由がもし何かもう少しこの報告書以外にあれば教えてほしかったのですけれど。

 あと、抗体の問題です。抗体が僅かなリンカーでできるとは思いませんけれども、二つのタンパクを融合すると抗体はできやすくなることもありますので、そういうことは過去には事象がなかったのであれば、今回の製剤に関してはないということで、恐らく欧米で使われているので、そういうことが報告されていなければ、ないのではないかなと思うのです。

○医薬品医療機器総合機構 現在のところ、抗体の発生については治験のデータしかありませんので、製造販売後も重点的に情報収集をしていく計画となっております。

○吉田部会長 確かにアルブミンを付けたからといって活性が落ちている訳ではないし、それでロングアクティングが実現できるのであれば、確かに簡単な方法かもしれないですね。ほかにございますか。

○菊池委員 2-5の後ろの14ページに今のアルブミンがくっ付いてよくなるということが書かれています。これは、もちろんインヒビターが出てこなかったのでよかったと思いますが、万が一こうした治験の最中にインヒビターが出てしまったら、この薬はどういう扱いになっていましたか。

○医薬品医療機器総合機構 インヒビターの発生ですが、遺伝子組換え製剤でも、血漿由来製剤でも、インヒビターが発生する可能性はありまして、実際に何%ぐらい出るという論文が幾つも発表されています。本剤でインヒビターが発生しないという保証はありませんし、発生したからといってすぐにこの製剤は駄目かというと、そういうわけでもありません。実際に本剤でも、現在進行中の治験の中で1例インヒビターが発生したという報告があります。まだその患者さんは治験を継続中なのですが、状態は安定しているということです。1例でインヒビターが発生したことは事実ですので、それについては情報提供をする予定です。ただ、治験の患者数は非常に限られていますので、製造販売後に、ほかの薬剤と比べてインヒビターが発生しやすいかどうかの情報を集めて、安全性の確認をしていくことになると思います。

○菊池委員 お伺いしたかったのは、その1例が出たからもう駄目だというわけではもちろんなくて、そういうのは実臨床でもあることで、その辺の扱い方も考えたほうがいいかなと思ったのです。このアルブミンを使ってなのでいろいろなことがまた起きてくるかもしれないという懸念があるので、ほかの製剤もそうですけれども、インヒビターに対しては注意をというような言い方をどこかにしたほうが、当たり前ですけれども。

○医薬品医療機器総合機構 はい、市販後に重点的な調査を行います。

○吉田部会長 市販後を是非。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○吉田部会長 ほかにございますか、よろしいでしょうか。それでは議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題6に移ります。議題6につきまして、機構からの概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料番号6、医薬品キイトルーダ点滴静注20mgほかの製造販売承認の可否等について機構より説明させていただきます。

 本剤はProgrammed cell death-1、以下、PD-1と略させていただきますが、PD-1に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるペムブロリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。今般、本剤は、切除不能又は転移性の悪性黒色腫を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、平成26年9月の当部会における審議を経て希少疾病用医薬品に指定されております。平成28年5月時点において本剤は、悪性黒色腫に係る効能・効果にて55の国又は地域で承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門員は、資料14にありますとおり、8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概略を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として海外第III相試験であるKEYNOTE-006試験及び海外第II相試験であるKEYNOTE-002試験が提出されました。

 有効性については、審査報告書30ページ下から5行目以降、39ページ上から1行目以降及び72ページ上から13行目以降を御覧ください。化学療法歴のない、又はイピリムマブ(遺伝子組換え)を含まない1レジメンまでの化学療法歴を有する根治切除不能な悪性黒色腫患者を対象としたKEYNOTE-006試験において、主要評価項目とされた全生存期間について、イピリムマブ(遺伝子組換え)群と比較して、本剤群の優越性が示されたこと及びイピリムマブ(遺伝子組換え)による治療歴を有する根治切除不能な悪性黒色腫患者を対象としたKEYNOTE-002試験において、主要評価項目とされた無増悪生存期間について試験担当医師により選択された化学療法群と比較して本剤群の優越性が示されたことから、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。

 安全性については、審査報告書40ページ下から13行目以降及び72ページ下から8行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象として、消化管障害、皮膚障害、神経障害、肝機能障害、眼障害、内分泌機能障害、腎機能障害、間質性肺疾患、infusion reaction、膵炎、筋炎、脳炎・髄膜炎及び重症筋無力症が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による慎重な観察、過度の免疫反応による副作用を考慮した鑑別診断や管理等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。

 以上のような審査の結果、機構は、根治切除不能な悪性黒色腫を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、原体及び製剤は、いずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○鈴木委員 この薬はオプジーボの類薬になると思うのですが、オプジーボが薬食審で承認された後に中医協で、適応拡大に伴って使用量が増えて薬剤費が大幅に上昇したため、もともと超高額薬剤でしたが、今、大問題になっていて、期中改定を含めて薬価の引下げを求めるという議論が行われています。この薬も、今回、最初は悪性黒色腫で申請されていますが、今後、非小細胞肺がんや、その他についての申請が同じように予定されているのかどうかを確認させていただきたいと思います。

○吉田部会長 いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおり、非小細胞肺癌等について臨床試験が行われていて、今後、審査する予定になっております。

○吉田部会長 ということは、それも化学療法と一騎打ちでやろうという感じになっているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりです。

○吉田部会長 全く同じ開発手順になる。

○鈴木委員 そうすると、薬食審としては承認をしないわけにはいかないとは思うのですが、ただ、先々、これもまた大問題になることは目に見えておりますので、例えば適応が拡大された場合に、薬価について、引下げとは書きにくいかもしれませんが、見直すこととか、そうした意見を付けて出したらどうでしょうか。オプジーボのときも薬食審で何もそういう議論はなかったのかと後で批判されていますので、是非、それは言っておいたほうがいいのではないかと思います。

 それと、この後、薬事分科会にいくわけですが、そこに私どもの中医協委員もおりますので、そこでもう一回議論をしていただきたいと思います。承認の可否はここで決める話ですが、中医協委員として議論をしている最中ですので、そうした超高額薬は、極めてまれな例ですので、是非、薬事分科会でも議論をしていただきたいと思います。

○吉田部会長 いかがですか。

○医薬品審査管理課長 ありがとうございます。御指摘のように、この薬剤につきましては既承認のオプジーボの類薬ということで、薬理的な作用機序もほぼ同様のものと認識しております。私どもといたしましては、前回の部会でオプジーボの効能追加、腎細胞がんの効能追加の際にも申し上げましたように、今後、オプジーボについて最適使用推進ガイドラインというものを作成するように今、検討しているところです。さらにキイトルーダ、本剤につきましても、同様にガイドラインの作成を検討していくこととしております。薬価の議論は、この場では具体的なことはなかなかできにくいところですが、鈴木先生御指摘の点につきましては、保険の担当部局には伝えさせていただきたいと思います。

 薬事分科会での取扱いですが、本剤が既に既承認のものの類薬ということで、ほぼ同様のものであるということと、それから、有効性・安全性について大きな懸念、疑問点があるということではありませんので、今の規定上、薬事分科会で審議品目にするのはちょっと難しいと考えておりますが、御指摘を踏まえまして、この部会での議論も十分に御説明した上で、薬事分科会で御議論を賜りたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 報告だけれども議論はしていただくというような。

○医薬品審査管理課長 はい。

○吉田部会長 ほかにございますか。それと、私、勉強不足で申し訳ないのですが、簡単に言ってオプジーボとの違いというのはどこにあるのですか。構造が違うのはわかりますが、リガンドも一緒だし、臨床試験の成績まで似ている。どこが違っているのか教えていただけると有り難いのですが。

○医薬品医療機器総合機構 違いとしては、オプジーボはヒト型モノクローナル抗体であるのに対し、本薬はヒト化モノクローナル抗体になります。

○吉田部会長 そこが違うだけですか。あとはほとんど一緒という訳ですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○吉田部会長 なるほど。ということだそうです。ほかにございますか。

○森田委員 超高額医療薬ということで本当に大きな社会問題になっていますし、これは消費者の方々も関心のある事例だと思います。これから新しくこうやって、キイトルーダですとか、そういうものが出て、まずは、そういう新しいものが出てくることで全体的な価格がどのようになるのかということと。それから、先ほど、ヒト型とヒト化が違うということでしたが、例えば、ニボルマブではなくて、次のときにまたキイトルーダを一緒に使うとなると利用量というのが、患者さんによって使用する選択が増えるのでしょうけれどもそれだけ、使う量が増えると1人当たりの薬価みたいなものが高くなっていくのかということも教えてもらいたいのです。こういう新しいものを認めることでまた、どんどんと薬価が高くなるのかなというのもよく分からないのですが。

○医薬品審査管理課長 薬価が実際どうなるかということについてこの場で、確定的なことを述べることはできませんが、基本的に薬価の算定につきましては一定のルールがありまして、そのルールに基づいて中医協のほうで決められるということです。

 簡単に申しますと、これまでに承認された類似の薬剤が全くないような本当に新規のものであれば、製造原価、開発に掛かった費用、流通経費、そういったものを積み上げて原価計算という方式で算定されます。既承認の類薬がある場合にはその既承認の類薬の薬価が基本になりまして、それとの比較、類似薬効比較方式と言っていますが、そういった決め方になります。既存の類薬と比べて有効性が非常に優れるとか、そういう優れるようなところがあれば加算ということが行われますし、そういうルールになっています。ですから今回のキイトルーダにつきましては、類薬として既にオプジーボが承認されておりますので、基本的には、オプジーボの薬価を基に加算とか減算というようなことで算定されることになろうかと思います。

 ついでに申しますと、オプジーボとキイトルーダ、本薬についてはほぼ同じメカニズムのものですので、併用されるということはありません。ですから、これまでオプジーボを使っていた、あるいは使われるであろう患者さんがこのキイトルーダに置き換わるということで、トータルの医療費が増えるということは多分ないのではないかと思います。

○吉田部会長 森田委員が御心配なのは、「あなたがこんな高い薬を承認するからみんなひどい目に遭っうのよ」と言われるということなのだろうと思うのですが、私たちは医薬品医療機器等法に則して承認するか否かを決めるだけです。ですから、その先については、たとえば高い薬だから保険適用を認めないというようなことを決める部会や審議会もあるので、そういった議論はそこでやって頂く。私たちは臨床的に有効かつ安全であるということが分かれば、それは承認してしまっても全く問題はありません。医薬品医療機器等法のおよぶ範囲内で認めているだけですから。

○森田委員 それは分かるのですが、余りに高額だということなので、何も議論しなくて良かったのかということです。

○吉田部会長 おっしゃる通りですね。ありがとうございます。

○新井部会長代理 今の説明で、その前からちょっと気になっていたのですが。キイトルーダとオプジーボのコンペティション実験などはやられているのですか。モノクロで本当にサイトが違うのか。もし違ったら両剤併用も今後出てきてしまう可能性があると思うのですが。そういう実験がされていなかったような気がしたのですが。

○医薬品医療機器総合機構 そのような検討はなされていないと思っております。

○新井部会長代理 そういうのは、だから薬として全然。別のモノクローナル抗体となると、メカニズムは同じでも薬のターゲットとしては違うということも十分あり得るわけですよね。だから本当は、そのくらいのことはさせておいてもいいのではないかとは思うのです。逆にサイトが違っていたら、2剤併用をしたら、もっと効果が出てしまったらもっとお金が掛かるかと、そこは分かりませんが、抗体医薬がすごく、今後、そういう問題は必ず出てくるのではないかと思うのです。

○医薬品医療機器総合機構 臨床的な観点からの説明になりますが、一般的に、同じターゲットの抗悪性腫瘍剤を併用して使うということは想像しにくいので、併用投与されることは想定されないと考えております。

○吉田部会長 いや、分からないですよ、とんでもないことをやる人もいますから。いずれにしても、私たちも知りたいところなので、市販後でもいいから、どこが違うか明らかにしてもらうというような注文はできますか。オプジーボとの比較で、どういう違いがあるかということを、後発部隊は証明する義務があるのではないかと思うのだけれども。

○医薬品医療機器総合機構 また何か新たな情報が得られましたら情報提供をさせていただきたいと思います。

 

○鈴木委員 希少疾病用医薬品としての扱いですが、オプジーボも希少疾病用医薬品だったわけです。同じようなものが先にあって、後から出しても希少疾病用として優遇されるのですか。それと、今後、効能が追加されていけば希少疾病用ではなくなるわけですけれども、その場合には、取消しとかはあるのですか。審査期間が短くなるという利点があることは分かっています。1回認められれば、それ以外に何かメリットが続くのでしょうか。教えてください。

○医薬品審査管理課長 希少疾病用医薬品につきましてはまず、物ではなくて効能ごとに指定することになっております。したがいまして、今回で言えばメラノーマ(悪性黒色腫)が希少疾病ですので、それに対するこの薬が希少疾病用医薬品に指定されています。

 オプジーボとの関係で言いますと、希少疾病用医薬品としての指定申請を行った段階で既に承認された同じ対象疾患に対する薬がある場合には、それと比較して何か優れるところがないと指定しませんが、今回の場合には両方とも未承認の段階で、それぞれ、別々に指定申請をされていますので、それで両方指定されているという状況になっております。

 それから、希少疾病用医薬品に指定されるとどういうメリットがあるかということですが、一つは、開発費用を助成する助成金がもらえるというのがあります。あとは、開発に掛かった費用について税額控除が行われるということがあります。審査の関係で言いますと優先審査の対象になるということで、通常、12か月の目標審査期間が9か月に短縮されます。さらに、再審査期間が10年ということで、長い再審査期間が付与される。希少疾病用医薬品として指定されると、以上申し上げたような開発上の優遇策が受けられるということになります。

○鈴木委員 それを聞くと、「ああ、そうですか」とは言えない感じがどうしてもします。審査期間が短くなるぐらいはいいのですが、開発の助成金が出て、税制の優遇まで受けられるとなると、希少疾病で申請をしておいて、後で次々と患者さんがたくさんいる疾患を申請して、それも全部、優遇されるというのは、盗人に追銭みたいな気がしないでもないのですが、何とか税制を改善できませんか。

○医薬品審査管理課長 説明がちょっと不十分でした。これはあくまでも希少疾病のメラノーマに対する開発だけに適用されますので、同じ薬が、希少疾病でないものに対して開発されるときにはそういう優遇は一切ありません。

○鈴木委員 わかりました。戦略上は非常に上手だと思いますが、2剤目以降だったら、どうせ後から肺がんなどを追加するのなら、希少疾病は遠慮してくださいとは言えないのですか。

○医薬品審査管理課長 確かに感情的にはそういうこともありますが、一応、制度上はやはり。大きな売上げが見込めるような別の適用があったとしても、それにオンして非常に患者数の少ないものを開発するということにはそれなりのコストはかかりますので、それをほかのところで儲けているからいいではないかというのは、気持ちとしては理解できるのですが、制度上は難しいですので、それは御理解いただきたいと思います。

○吉田部会長 非小細胞肺癌の適応を先に取得したら、その取得した適応症は通常の期間しか認められないので、そういった疑念も当然だろうと思います。しかし、希少疾患の再審査期間が長いのは、ずるいとか何とかではなくて、患者さんが少ないので長期間みないと評価できないということもありますよね。それに、たくさん売れないので、その分、専有権を長く守るとともに、希少疾病患者さんの利益を保護してあげるという、そういった意味もあります。だから、それで長くなって・・・。

○鈴木委員 それは分かるのですが、希少疾病だから、患者さんも少ないとして、高い薬価を付けておいて、そのまま効能を追加しても高い価格で利益を上げるということが問題だと言っているのです。

○吉田部会長 それを言っておられるのですね。

○鈴木委員 そうです。

○医薬品審査管理課長 私の立場で公式な見解は述べられませんが、それは、気持ちとしては私も同じように考えております。

○吉田部会長 だから、適応が一般化したときには薬価を下げろということは、言っていいでしょうということですよね。御意見としてはごもっともだと思いますが。

○鈴木委員 是非それを入れてください。

○吉田部会長 いやいや、私たちの部会にはそういった権限はありませんし、薬価と適応の取引きができる場でもありませんので、やはり、こことは違う所で論議していただくことになると思います。ではありますが、こういった議論があったことは議事録にも残りますし、医薬品審査管理課のほうでよく心得ておいていただいて、然るべく対応していただければと思います。ほかにございますか。

○菊池委員 日本人にはまだIbまでしかいっていませんが、40人に使っていますね。そうすると、その人たちのOSとかプログレスのサバイバルとか、その表を出していないのはいかがなのでしょうか、これもまずいと思いますけれども。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書29ページの記載のことでしょうか。

○菊池委員 これだけでは不十分だと思います。海外のものが、12か月とか、それぐらいしかないのに書いていますよね。それを書かないでこの程度のことを書いて、Ib相だから、そういう扱いがそうなのかもしれませんが、これではやはり、もともと余り効かない病気ですがそれの比較にならないし、これを書いていないことを認証するのはちょっと科学的ではないような気がしますが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 日本人の有効性の評価につきましては審査報告書40ページの7.R.2.3を御覧いただきたいのですが、041試験というIb相試験の有効性の主要評価項目とされた奏効率の結果に基づいて有効と判断しており、そういった観点で奏効率の結果を記載させていただいております。

○菊池委員 ですから、この29例だけでもカプランマイヤーを書かせて見せることはできるわけですよね。それを何で見ないで、このことだけを見て言っているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 すみません、報告書には奏効率しか書いておりませんが、もちろん審査の過程においてはそれを確認しております。CTDの中には記載があり、評価しております。

○菊池委員 結局、この部会で審査しているのは科学性を持っているということであって、この病気が、メラノーマが、もともと効かないし、切除不可能な場合が多いわけであって、この奏効率が25%でいいというのは、医者なら知っていますが、そういうことも含めてやはり、これはもともと効かないけれどもこういう形になるということを示していなければ、この数だけを見たら、こんな薬ですかというようになるのではないですか、一般的に。そのように思いませんか。

○医薬品医療機器総合機構 科学的に、本来であればこの041試験の中で、例えば何か比較数があればいいのですが、単アームの試験でして、先生がおっしゃるような、例えばOSとかPFSを科学的に評価するのには限界があると考えております。

○菊池委員 評価しなくても書かせることは簡単ですよね、こんなもの。29例しかないのだから子供だってできますよね。進学課程とか、大学生なら必ず書けることであって。それぐらい求めなくては駄目ではないですか。

○医薬品医療機器総合機構 いや、その結果は確認を記載しております、報告書の中に書いていないというだけで。

○菊池委員 では、私が帰るまでに見せてください。

○医薬品医療機器総合機構 お手元のCTDの2.7.3の69ページに図2.7.3の10というものがありまして、そちらに記載がございます。

○菊池委員 2.5までしかないですけれども。

○医薬品医療機器総合機構 今、お持ちします。

○菊池委員 これがあるならこれを出さなければ、これは駄目ですよ。こういうのを審査するのがこの部会でしょう。それで、あるからいいというのは、それ、絶対駄目だと思いますよ。日本人でやっているのだから、これを出さなくて審査するということ自体が大間違いではないですか。

○医薬品医療機器総合機構 いや、機構の意見としましては、シングルアームの奏効率で評価・・・

○菊池委員 そうですよ。でも、これは29例もやっているのだから、そのものを出さなくて、それを添付していなくて、今、あるではないですかと、そういう発言は絶対駄目ですよ。機構はそういう所ではないでしょう。ちゃんとやらなければ駄目ですよ、それは。

○医薬品医療機器総合機構 すみません、あるではないですかと申し上げたつもりはなかったのですが、発言が・・・

○菊池委員 今、そう言いましたよ。今、そう言いましたよね。

○医薬品医療機器総合機構 発言に関してはお詫び申し上げます。ただ、機構の科学的な評価といたしましては、シングルアームのtime to eventを評価するのは限界があると考えています。

○菊池委員 分かりました。でも、それをちゃんと見せなければ駄目だと思いますよ。そう思いませんか。

○医薬品医療機器総合機構 機構の科学的な評価としましては、シングルアームのtime to eventの評価・・・

○菊池委員 それはもう分かりました。それならいいですけれども、ちゃんと皆さんで考えてください。

○医薬品医療機器総合機構 その点に関し・・・

○吉田部会長 ちょっとお待ちください。審議官が発言されます。

○審議官 今、手元にある資料で言いますと、「臨床に関する概括評価」というCTDの2.5.4.3.1.4という一番後ろのほうに付いているものの25ページ、国内後期第I相試験の成績を載せているページがあるのですが、25ページから26ページにかけて1年でのOS率という数字は載っています。多分、菊池先生がおっしゃっているような、単なる奏効だけではなくて、OSではどうなっているのかということについてのこのデータに関する部分を書いてはという事かと思います。

○菊池委員 いやいや。ですから、日本人に対してのことをせっかくやっているのだから。この006は日本人ではないですよね、海外ですよね。

○審議官 「国内後期第I相試験」と書いてありますので国内試験の話をここでは書いていると思いますが、要するに、先生がおっしゃっているような、そういうデータの記述を参考でも審査報告書の中に追記してはどうかという御提案というように考えてよろしいのでしょうか。そういったことも、確かに奏効だけで評価するというのは、一般的な評価ではどうしても不十分だというのは確かにそうなので、PFSやOSでどんなデータがそこの時点で得られているのかということを審査報告にも示してはということとしては、おっしゃるとおりだと思うのです。

○菊池委員 これは、何度も申し上げますが日本人に対してのことを審査しているわけであって、全くなければそれでいいわけですが、それのデータがあるのにそういうものを出さないでいて、シングルアームだから出さないんだという議論をしているのではなくて。私たちは、HIVの薬はfirst in Japaneseでやっているのです。それは保護されているからこそやっているかもしれませんが、でも、あるのです、これは。それがあるのにそれを出さないでいて。これも006だから、これは違いますよね。041のものをちゃんと出さないと駄目だと私は思うのです、日本人の。

○審議官 すみません、26ページの表2.5.4.2のOSの要約の表の一番下のほうにあります041試験というのがこの試験のことで、ここで1年で77.5%という。

○菊池委員 なるほど。

○審議官 このデータがあるのでこれを審査報告にも引いて、こんなデータが出ていましたという。

○菊池委員 いやいや、こんなに膨大な資料を頂くよりも日本人のデータをちゃんと出してくれて、それでどうだということをするのがこの部会の役目ではないのですか、というのが私の気持ちです。

○審議官 分かりました。ですから、特に資料に示されたデータのどこをきちんと載せてこれを明示して御議論いただいたら適切なのかという点について確認させていただいた次第です。すみません。

○菊池委員 多分、皆さん、このページを今、初めて開けているはずであって、ここまで見ている人はいないと思うのです。審議されている方は大変なことはよく分かっているし、多分、1年間付き合ってこれをずっと見て、何ページに何が書いてあるというか、カルタのどこにあるというぐらい、百人一首をしたら当てるぐらいの勢いで取ると思いますよ。だから今答えられているから、審議官が滔々とおっしゃれるというのはよく分かりました。でも、そこだったら、そのことが分かっているのだったら、なぜその報告書のほうに書かないのですか。報告書のほうは公開されますよね。そこの所に書かないで日本人のデータも。添付文書にもそのことは書いていないのですよ。そういうことでいいのですか。万が一これが薬害になったらどうしますかということです。その中の1人として、審議で「異論なし」とやっていることに対してちょっと困るというのを言っているのです。

○吉田部会長 この件はそういうことで。ほかに意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。なお、中野委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。また、最適使用推進ガイドライン等々についての御意見も併せて報告させていただきます。

 それでは議題7に移ります。議題7につきまして、機構の概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料7、医薬品エムプリシティ点滴静注用300mgほかの製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。本剤は、主に多発性骨髄腫細胞の細胞膜上に発現するCD319に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるエロツズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。今般、本剤は再発又は難治性の多発性骨髄腫を効能・効果として承認申請されました。なお本剤は、平成2710月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。

 平成28年6月時点において、本剤は多発性骨髄腫に係る効能・効果にて、4つの国又は地域で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は資料14にあるとおり、9名の委員です。以下、臨床試験の成積を中心に、審査の概要を説明いたします。

 今般の承認申請では、主な臨床試験成積として、国際共同第III相試験であるCA204004試験が提出されました。有効性については、審査報告書31ページ上から17行目以降、36ページ上から7行目以降及び66ページ上から13行目以降を御覧ください。再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象としたCA204004試験において、主要評価項目とされた無増悪生存期間について、レナリドミド水和物及びデキサメタゾンの併用投与群と比較して、レナリドミド水和物及びデキサメタゾンに本剤を上乗せした3剤併用投与群の優越性が示されたこと等から、本剤の有効性は示されたと判断しました。

 安全性については、審査報告書39ページ下から13行目以降及び66ページ下から2行目以降を御覧ください。本剤の使用時に、特に注意すべき有害事象としては、infusion reaction、感染症、二次性悪性腫瘍、白内障、リンパ球減少症及び間質性肺炎が認められています。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を持つ医師による、有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例数は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としています。

 以上のような審査の結果、機構は再発又は難治性の多発性骨髄腫を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いします。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。よろしいでしょうか。CD319に対するモノクローナル抗体というのは、これが初めてなのですよね。

○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。

○半田委員 004試験で、PFSでは統計学的に有効性があった。しかしOSでは差がなかったと、これは添付文書にもきちんと書かれているということで、大変結構だと思うのです。抗体薬ということもあって、それが対照薬から上乗せされたので、このPFSの統計学的な有効性は、実際本当にそれを有効だと判断してこれを承認するという重みですね。私もこれでいいと思うのですが、これをどのように評価されたのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。審査報告書の36ページに、今回有効性の主要評価項目とされたPFSについて説明しています。MMの患者さんでこのPFSの延長によって、症状の改善ですとか次期治療までの期間延長が期待されるような報告がされていて、004試験についてPFSを主要な評価項目として設定されて試験が実施されたものです。また今回のPFSについては、中央判定で判定をしていて、客観的に評価がされているということもあります。

○半田委員 多分治癒は見込めない。ですから患者さんのQOLというものを主体にした評価としてPFSで有効性が出ているから承認、ということですよね。そういう意味ではコメントとしては、新規薬剤なのにOSで効果が出なかったのは残念かなというのが印象です。

○吉田部会長 プラセボでやったら、絶対に差が出たのだと思うのですけれど、既存薬との優越性の検証を選択したので、余り大きな差が出なかったのと、50%のPFSを見ますと、1年6か月ぐらいになっていますから、それだけの長期間、病気がなくなるということは、やはり臨床的にも相当意味があるだろうと思うのです。

 それからOSに差がないと言っても、その差はずっと開いていて、一見差がありそうに見えるぐらいですよね、0.02。ですからこの辺も、サンプルの取り方で有意差が出たかもしれない。であれば、差はないのだけれども優越性については、ポジティブには言えませんが、否定的にはならないで済むような気がするのですが。

○医薬品医療機器総合機構 部会長のおっしゃるとおりです。今回、OSは副次評価項目でした。統計学的な有意水準について、あらかじめ設定した基準を満たすかどうかという点では、それは満たせなかったという結果です。ただし、全体の傾向としては、OSの延長傾向が認められています。

○吉田部会長 50%生存期間も4年近く行っていますからね、基本的に長生きしている病気なので、いろいろな治療選択もありますし、そういったことからも、なかなか差が出にくいのでしょうね。

 ほかにございますか。よろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御意見がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題8に移ります。議題8について機構からの概要説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題8、資料番号8、医薬品アイクルシグ錠15mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明します。本剤は、ABLチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、フィラデルフィア染色体を有する白血病細胞の増殖を抑制すると考えられている、ポナチニブ塩酸塩を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。今般、本剤は、前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病及び再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は平成27年8月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されています。

 平成28年5月の時点において、本剤は慢性骨髄性白血病及び急性リンパ性白血病に係る効能・効果にて、36の国又は地域で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料番号14にありますとおり、8名の委員です。

 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、ダサチニブ水和物又はニロチニブ塩酸塩水和物、以下それぞれダサチニブ又はニロチニブと略します。ダサチニブ又はニロチニブに抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病患者並びにチロシンキナーゼ阻害剤による前治療に抵抗性又は不耐容のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病患者を対象とした国内I/II相試験である106試験及び、ダサチニブ又はニロチニブに抵抗性若しくは不耐容、又はいずれかのチロシンキナーゼ阻害剤のよる治療後に、BCR-ABLにT315I変異が認められた慢性骨髄性白血病患者及び、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病患者を対象とした海外第II相試験である201試験が提出されました。

 有効性については、審査報告書40ページ上から12行目以降、及び80ページ上から13行目以降を御覧ください。106試験及び201試験において、主要評価項目とされた12か月内の累積細胞遺伝学的大奏効率、又は6か月までの累積血液学的大奏効率について、ダサチニブ、ニロチニブ等に対して、抵抗性を示すとされているT315I変異を有する患者を対象としたコホートを含め、設定されたいずれのコホートにおいても事前に設定された閾値を上回ったこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。

 安全性については、審査報告書44ページ下から7行目以降及び86ページ下から9行目以降を御覧ください。本剤の使用時に、特に注意すべき有害事象として、血管閉塞性事象、肝障害、膵炎、骨髄抑制、皮膚障害、感染症、不整脈、心不全、出血、体液貯留、高血圧、腫瘍崩壊症候群、及び神経障害が認められています。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。ただし日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としています。

 以上のような審査の結果、機構は前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病、及び再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。以上です。御審議のほどよろしくお願いします。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方からの御質問、御意見をお願いします。

○関水委員 本薬の有効性なのですが、今、具体的なデータをお話されなかったのでよく分からないのですが、表22にそれが出ているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 本試験成績は、細胞遺伝学的大寛解や血液学的大奏効を指標にしており、これらは今回対象とされた患者の治療目標とされている指標です。今回は、本剤を使用することにより、このような寛解又は奏効が得られたというようなことをもって、有効性を評価しています。

○関水委員 もし、その薬を使わなかったらどうなると推定されますか。それのデータは示されていないのですね。

○医薬品医療機器総合機構 今回は、その成績はありません。対象となっているのは、一般的に何も治療をしない状況で、今回指標として設定された奏効又は寛解が得られることがない疾患です。

○関水委員 ちょっと待ってください。どうしてそんなことが言えるのですか。私は、治療しなかったときとこの薬を使ったときの差があるというデータがどこにあるかと伺っているのです。それで、今のお答えでは治療しなければこんな寛解することはないのだと。どうしてそんなことが言えるのですか。患者がひとりでに治るということは十分ありうることです。ですから、この薬を使わなかったときよりも、使ったときのほうが成績が良くなったということが、示されているか否かが問題になるわけです。

○医薬品医療機器総合機構 一般的な本剤の治療対象となる患者の状態として説明させていただきました。

○関水委員 そうすると今のお答えでは、この薬は本当に効いたかどうかについてのデータはないのだと言っているのと同じですよね。

○医薬品医療機器総合機構 本剤は前治療歴のある患者が投与対象となりますが、臨床試験において、前治療に対する効果の情報が収集されており、前治療薬による効果と比較して、本剤による効果が劣らない結果が得られています。また、非臨床試験において、本剤の腫瘍増殖抑制作用が示されています。

○関水委員 示されていると言われたけれども、どこにあるのですか、そのデータは。

○医薬品医療機器総合機構 一般的に、本剤の対象患者では、臨床試験において設定された指標が治療目標とされています。白血球等が増加している疾患ですので、それらの増加が抑えるということが治療による効果を示すものと考えています。

○関水委員 それは絶対示していませんよ。薬の治療ということに関して、そのような考え方はやめるべきなのです。治ったから薬が効いたはずであるとは言えないというのは、これは医薬品の治療に関する基本的な考え方であるべきです。本当にその医薬品が使われたから治ったのか、患者がひとりでに治ったのかを、データで示す必要がある。このデータがない。

○医薬品医療機器総合機構 臨床試験において、ダサチニブ又はニロチニブという既承認の薬剤による前治療の有効性の成績が収集されております。有効性の指標とされた得られている細胞遺伝学的大寛解(MCyR)や血液学的大奏効(MaHR)の成績について、本剤投与時の成績は、前治療薬の成績と比較して劣らない結果が得られております。既承認の薬剤の成績から見ても、本剤の有効性は確認できると考えております。

○吉田部会長 要するに、御質問は慢性骨髄性白血病の患者さんで、例えばここに挙げられたようなダサチニブですとかニロチニブに抵抗性があって、T315Iの変異があるというような、なかなか難治な症例の自然経過なり何なりはどうなっているのか、あるいは今までの治療薬例えばニロチニブの段階ではどれぐらいの効果しかなかったのが、今回新薬を投与したらこれだけ効果が増えたというようなことについて、何か資料なりデータがあるのか。それから効果の内容について、例えば細胞が死んだとかあるいは直接的な抗腫瘍効果に関して何か証明するものがありますか、ということだろうと思うのですが。

○医薬品医療機器総合機構 臨床試験における有効性の指標の一つである、MCyRを達成するということは、すなわちフィラデルフィア染色体陽性細胞が、35%未満になったことを示しています。

○吉田部会長 細胞が死んだことを示している。

○医薬品医療機器総合機構 減少したことを示しています。

○吉田部会長 インアクティブになっていることを示している、ということなので、それでスコア化して一応有効性を見たということですね。

○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。

○吉田部会長 ちなみに効かなかった人はどれぐらいで亡くなっていますか。それとも亡くなってはいないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 慢性期の患者では効かなかった患者も含め、2年後でも80%以上の方が生存されています。

○吉田部会長 慢性骨髄性白血病がややこしいのはそこなのですよ。関水先生がおっしゃるように、薬が効かなくても、長生きする可能性もあるわけです。ですから効いたといっても、どこで効いているかというポイントはきちんと押さえなければいけないと思うのです。その辺をどういう評価をしているかということですね。

○関水委員 せめて細胞の減少が薬に依存だということについてのデータは、あるべきだと思います。全くないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 非臨床試験ではなく、臨床試験でということでしょうか。

○関水委員 臨床的にこの薬を投与したら、そうでない場合に比べて特定されている細胞の減少がこの薬に依存していたというデータです。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書11ページから12ページに、非臨床試験の結果があります。BCR-ABL融合遺伝子を導入した細胞株の増殖に対する本剤の影響が確認されています。

○関水委員 いや、私たちが今議論しているのは臨床ですよ。ヒトの臨床でそのデータを取ることができるはずなのです。

○吉田部会長 恐らくMaHR、要するにメジャーレスポンスというのは、骨髄穿刺をやったときに、もう腫瘍細胞がないということなのでしょう。腫瘍細胞がなくなっている人、ほとんどなくなっている人が5割とか7割になりました、だから効いているのですということなのでしょう。それを分かるように説明してあげればいいのではないですか。ですから腫瘍が小さくなったなどという話ではなく、要するに骨髄から細胞が消えている、だから有効と考えていますということなのでしょう。

○関水委員 そのデータがあれば、私は納得するのですよ。それはどこにあるのですか。

○吉田部会長 それが表21の意味なのでしょう。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○吉田部会長 だから51.2というのは、51.2%の人の骨髄から腫瘍細胞が消えましたということなのでしょう。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○吉田部会長 率ですから、癌の腫瘍細胞が消えた人が50%いました、次が70%いましたと、そういうことでしょう。

○医薬品医療機器総合機構 MCyRはフィラデルフィア染色体陽性細胞が35%より少ないことを示しており、本剤の投与によりフィラデルフィア染色体陽性細胞の割合が35%より少なくなったことを示しています。

○吉田部会長 そうすると、腫瘍細胞が死んでいます、いなくなりましたということなのですね。

○関水委員 どうしてこの薬の不使用の患者さんのデータがないのでしょうか。これは取るべきデータです。

○医薬品医療機器総合機構 臨床試験では、前治療薬で効果が得られなかった患者や効果が得られても、使い続けることで、効果が維持されなくなった患者が対象とされています。臨床試験における本剤のMCyR率が60%程度ですので、60%程度の方で、フィラデルフィア染色体陽性細胞を減らすことができたということを示しています。

○関水委員 データを出すように努力されるべきですね。

○吉田部会長 確かに生存で見ていないので、だからどこに本当に有効性があるかというのが分かりにくいのですけれども、この表の例えば医学的なんとかというように書くのではなく、有効性についてはどういうことを定義していますというようなことを、たとえば細胞の消えた人の率ですと分かるように書いてあげればよかったのではないですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○吉田部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。それでは議決に入りたいと思います。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題9、10に移ります。議題9、10について事務局からの概要説明をお願いします。

○事務局 議題9、資料9、ダブラフェニブメシル酸塩及び議題10、資料10、トラメチニブジメチルスルホキシド付加物を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明します。両薬剤は併用されることから、まとめて御説明します。

 資料9の評価報告書のタグをお開きください。報告書1ページ中段を御覧ください。申請者はノバルティスファーマ株式会社。予定される効能・効果は、BRAF遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌となります。まず1ページ目の対象患者数について御説明します。本邦における肺癌の総患者数は14万6千人と報告されています。そのうち非小細胞肺癌は85%程度を占めるとされています。さらに、BRAF遺伝子変異を有する患者は非小細胞肺癌の0.34%~1.64%と報告されていることを踏まえますと、BRAF遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌患者数は4302,040人と推定され、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えています。

 次に、2ページの医療上の必要性について御説明します。BRAF遺伝子変異は、ALK融合遺伝子やEGFR遺伝子変異と相互排他的な変異と報告されています。したがって現状としてBRAF遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌に対しては、EGFR遺伝子変異やALK融合遺伝子を有しない非小細胞肺癌と同じ治療が行われていますが、予後不良です。

 BRAF遺伝子変異は、マップキナーゼシグナル伝達経路を活性化し、非小細胞肺癌の生存・増殖に大きく寄与していることが報告されています。そこでマップキナーゼシグナル伝達経路のBRAFとその下流に位置するMEKを同時に阻害することで、効果的にマップキナーゼシグナル伝達経路の下流シグナルを抑制でき、高い有効性を示すことが期待されます。

 以上より、BRAF阻害作用を有するダブラフェニブメシル酸塩と、MEK阻害作用を有するトラメチニブジメチルスルホキシド付加物の併用投与することの、医療上の必要性は高いと考えています。

 最後に開発の可能性について御説明します。本邦ではBRAF遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌患者を対象に、両剤を併用したときの有効性及び安全性を検討することを目的とした国際共同第II相試験が実施され、奏効率は2~4次治療で63.2%、1次治療で□□%でした。以上より本剤の開発の可能性は高いと考えています。

 以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えています。よろしく御審議のほど、お願いします。

○吉田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生の方からの御質問、御意見をお願いします。対象疾患の悪性、重篤性から必要性についても、BRAF遺伝子変異陽性の腫瘍というのは非常に化学療法が効かないということがあって、これは必要性としてはかなり高く、注目されているところだと思います。開発の可能性も今試験が行われているということで、3条件そろっているように思いますがよろしいでしょうか。

 それでは特段御意見がないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について指定を可としてよろしいでしょうか。御異義がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは報告事項に移ります。報告事項について事務局より説明をお願いします。

○事務局 報告事項議題1、医薬品コルヒチン錠0.5mg「タカタ」の製造販売承認事項一部変更承認について報告いたします。資料11を御覧ください。本剤は、コルヒチンを有効成分とする製剤であり、現在は痛風発作の寛解、及び予防の効能・効果で承認されております。

 本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、家族性地中海熱に係る公知申請の該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成28年2月26日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、高田製薬株式会社から効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて、報告事項議題2、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料No.は、12-112-4で、こちらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書となっております。資料12-1は、一般的名称はエムトリシタビン・テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、販売名はツルバダ配合錠のもの。資料12-2は、一般的名称はエムトリシタビン、販売名はエムトリバカプセル200mgのもの。資料12-3は、一般的名称はドキソルビシン塩酸塩、販売名はドキシル注20mgのもの。資料12-4は、一般的名称は乾燥ヘモフィルスb型ワクチン(破傷風トキソイド結合体)、販売名はアクトヒブのもの。

 こちらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査等に基づいて、再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、即ち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。報告事項についての御説明は以上です。

○吉田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問がありましたらお願いします。家族性地中海熱は予後が悪く、有効薬はコルヒチンしかないと、であれば妊娠しているからといって、胎児への影響があるということで、治療をやめるということは不都合ではないかということで、いろいろな条件を満たせば投与をオーケーにしようという話のようですけれども、どなたかコメントはありますか。よろしいですか。そのほかありますか。

○関水委員 この審議会で議論の対象となっている、審査報告書について、一般的な疑問を私は持っています。先ほどから申請者がこのように言っている、それに対して機構はこう考えていると書いてありますが、この場で、その内容についておかしいのではないかという質問があったとき、いやこれは申請者がこう言っているのであって、機構やこの審議会には責任はないのだというような発言があるのですが、ここで認められたということを日本国民皆さんが見るわけですよね。そのときに、そのようなことは言えなくても申請者がそう言っていると書いてあるだけだからそれでいいんだというような議論は、受け入れられないと思うのですね。ですから、ここでは申請者はこう言ったと、といった場合、その言い分には論理的に問題はないという前提で出していただきたいと思います。申請者が言っていることに、間違いがあるかもしれませんが、それは我々の責任ではありません、ということは許されるべきでないと思います。

○吉田部会長 申請者はこう言ったけれども、これは違っているということを書くかどうかですよ。申請者が間違ったことを申請してきたときに、私たちはこうやって注意しましたと、こう直しましたということを、言う必要があるかどうかですよね。その辺はまた難しい問題もあるのでしょうが、要するに申請者と機構のやり取りの細かいところまで書く必要があるかどうかが難しいということなのですね。

○関水委員 一旦文書になったら、この会で承認を受けたとして我々全員が責任を持つことになるのだと思います。それは当たり前のことだと思います。ですからちょっとしたことについて、厳しい批判が入り時間かけて議論せねばならなくなるわけです。あらかじめよく検討されて、論理的追及に耐えない主張については、審査報告書に書かなければよいのではないでしょうか。

○吉田部会長 何でも全部載せる必要は、有るのですか無いのですか。どうですか、課長。

○医薬品審査管理課長 確かに御指摘の点は理解できるのですけれども、ある程度申請者としての主張がこうであったというのを説明する必要はあろうかと思います。ただ、おっしゃられるように、明らかに誤っているとか、そういうことについて書くかどうかということはあるかと思いますので。

○関水委員 申請者がこう言っているが、機構としては責任持てませんという言い方はやめていただきたいと思います。

○医薬品審査管理課長 その責任は持てませんよではなくて、はっきりとこれこれの点については機構は認めてないとか、機構が誤っていると考えていると記載をすればよろしいかと思いますけれども、そういう趣旨でよろしいですか。

○関水委員 それで十分だと思います。

○医薬品審査管理課長 今後、御指摘を踏まえて記載内容については注意するようにしたいと思います。

○吉田部会長 分かりにくいのは、「申請者は」のところで、何センテンスもあって、その後で「機構は」と出てくるから遠くなってしまって分かりにくいのです。だから申請者はこう言ったけれども機構はこういう判断だ、というのを繰り返していくほうが分かりやすいと思います。ほかにありますか。

○濱口委員 アクトヒブの製造販売後臨床試験についてお聞きしたいのです。これは191例の解析がなされていますが、製造販売後臨床試験の後のところに、機構に寄せられた自発報告というのが後ろに付いています。これを見ると臨床試験のデータでは自発報告の部分を十分にカバーできているのかなというのがあります。

 何が言いたいかというと、重篤な副反応とか死亡例というのが、この191例では十分に把握できていなかったのではなかろうかというのがあって、そもそもこの191例を設定した根拠というか。今後もし同様の製剤が同じような形で製造販売後臨床試験を行う場合には、また同じような形で数字が設定されるのか。その辺りについて教えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。製造販売後臨床試験については、今回、アクトヒブの初回承認のときの臨床試験が単独接種のみの試験結果しかありませんで、例えばDPTと同時接種した場合に、抗体価がどれぐらい減少するかというところを見ることを目的とした試験です。

 したがって安全性としては、その他に特定使用成績調査を実施していまして、そちらでは1,000例規模のデータの収集をしています。

○濱口委員 それは分かっています。初めのところでは混合して接種するということは想定されていなかったので、承認のときにそのデータ自体集積されていなかった。ただ製造販売後臨床試験の中では、そこにスコープを当てた形で臨床試験を行ったということだと思うのです。私が言いたいのは、数がちょっと少ないのではないか、臨床試験に使われている数が。もう少し数を増やして、当初分からなかったかもしれないのですけれども、増やしてもよかったのかなというのが印象です。

 これはお願いというか、こうしたらどうかということで、同じようなヒブワクチンで別のワクチンが出てきたときに、同じような形で製造販売後の臨床試験を行うとき、少し数を増やしてもう少しデータを見てみたらどうでしょうかという提案ですが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。御意見は参考とさせていただきます。

○吉田部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。その他もないようですので、これにて今回の議事を終了したいと思いますが、事務局から何か報告はありますか。

○事務局 次回の部会は1027日木曜日、午後5時から開催する予定ですので、よろしくお願いします。

○吉田部会長 5時からというと、7時か7時半ぐらいになりますか。大変ですがよろしくお願いします。それでは本日はこれにて終了とします。御苦労さまでした。

 

 


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 清原(内線2746)

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