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2016年12月16日 新型インフルエンザ対策に関する小委員会 第6回医療・医薬品作業班会議

健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室

○日時

平成28年12月16日(金)10:00〜12:00


○場所

厚生労働省 共用第6会議室(3階)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○議題

(1)新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザウイルス薬の備蓄について
(2)その他

○議事

 

 

○山崎新型インフルエンザ対策推進室長補佐 ただいまから第6回「新型インフルエンザ対策に関する小委員会の医療・医薬品作業班会議」を開催いたします。まず、委員の皆様の出席について御報告いたします。本日の出席状況は、委員6名中、全員出席いただいております。私は結核感染症課新型インフルエンザ対策室室長補佐の山崎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 前回、御紹介できませんでしたので、改めて新班員の御紹介をさせていただきます。小森委員の御後任で、公益社団法人日本医師会常任理事の釜萢敏様です。

 参考人として5名の方をお招きしております。一般社団法人神奈川警友会けいゆう病院小児科参事の菅谷憲夫様です。国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター主任研究官の高下恵美様です。富山化学工業株式会社理事の山田光一様です。富山化学工業株式会社クリニカルサイエンス部長の櫻井努様です。富山化学工業株式会社事業開発部シニアアソシエイトの古田要介様です。

 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。

 ここからは大久保班長に進行をお願いいたします。 

○大久保班長 皆様おはようございます。本日の司会進行を務めさせていただきたいと思います。

 それでは、まず審議参加に関する遵守事項につきまして、事務局から報告をお願いいたします。

○山崎新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 審議参加について御報告いたします。本日御出席された委員の方々、参考人の方々の過去3年度における関連企業からの寄付金・契約金などの受取状況につきまして、申告を頂いております。本日の議題では抗インフルエンザウイルス薬であるオセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、ファビピラビル、塩酸アマンタジンの各品目の状況を踏まえた調査審議をしていただきます。

 この製造販売業者は、中外製薬株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、第一三共株式会社、塩野義製薬株式会社、富山化学工業株式会社、ノバルティスファーマ株式会社でして、各委員から申告内容については、机上に配付しておりますので、御確認いただければと思います。

 あらかじめ事務局において申告内容を確認しましたが、審議・決議に不参加となる基準に該当する申告はありませんでした。また、薬事承認等の申請資料等の作成関与につきましては、本日、参考人としてお招きした、けいゆう病院の菅谷参考人は中外製薬株式会社から講演料等の受取りの申請がありました。また富山化学工業の山田参考人、櫻井参考人、古田参考人からは、自社からの役員報酬又は従業員報酬の受取りの申告がありました。この取扱いにつきまして、お諮りいたします。以上です。

○大久保班長 ただいま事務局から説明いただきましたが、参考人としての菅谷参考人、高下参考人につきまして、もう少し補足して御説明したいと思います。菅谷先生はインフルエンザに関する臨床、基礎の第一人者でして、2006年からWHOの鳥インフルエンザ薬物治療ガイドラインの委員としても御活躍されており、インフルエンザ臨床研究の第一人者ということです。それから、ノイラミダーゼ阻害薬の臨床研究を数多く行っておられて、その有効性や問題点を熟知しておられます。

  高下恵美先生は、国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センターの薬剤耐性部門の主任研究者、ウイルス学専門だそうです。アビガンについての実験経験もあり、論文も掲載されております。アビガンの抗ウイルス効果を熟知されている先生として、本日は出席していただいた次第です。

 さらに、山田参考人、櫻井参考人、古田参考人につきましては、新薬に関して伺うこととして、こちらからお願いしてお招きした方であり、審議参加規定に基づき、委員からの新薬に関する質問について説明をしていただきたいと思っています。

 委員の皆様にお諮りしたいわけですが、本件、この出席者の方々に御意見を伺いたいと思いますが、それに関する御意見は何かございますか。

 特に異議がないようですので、参考人として委員からの質問など、お伺いすることとさせていただきたいと思います。

 それでは、次に事務局から配布資料の確認についてお願いしたいと思います。

○山崎新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 「議事次第」「作業班名簿」「座席表」のほか、議事次第の裏に配布資料一覧表があります。資料1から参考資料2-4をお手元に用意しております。なお、参考資料につきましては、前回の作業班会議資料です。今回、5ページ目を最新データに更新しておりますので、一緒に添付いたしました。不足の資料等がありましたら、事務局にお申し付けください。以上です。 

○大久保班長 それでは、議事に入る前に本日の議題を確認したいと思います。本日の議題は「新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザ薬の備蓄について」です。委員の皆様には円滑な議事進行に御協力をよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、早速始めたいと思います。まず「新型インフルエンザ対策における抗インフルエンザ薬の備蓄について」です。本日は前回の作業班会議の継続となる、資料19ページの「論点」の2つについて、参考人に対する御質問等を含めて議論していきたいと思います。

 論点1として、既存の4剤、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタの全てに耐性化した新型インフルエンザウイルスの出現の可能性(リスク)とその規模について。その中で新型インフルエンザ対策として、ノイラミニダーゼ阻害以外の作用機序を持つ抗インフルエンザウイルス薬の備蓄が必要かどうかという2つが論点の1です。

 論点2はアビガン錠の有効性と安全性を踏まえて、新型インフルエンザ対策上、備蓄が必要かどうか。この2つについて参考人の先生方に伺いながら、議論を行っていきたいと思っています。前回の作業班会議に提出いただいた資料1について、改めて事務局から何かありましたら、お述べいただきたいと思いますが、いかがですか。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 事務局からお答えします。特に説明を追加するようなことはありません。資料1については、前回の作業班会議で示したとおりの状況です。

 それから、会議の後半のほうに、前回、委員の先生方から御質問いただいた諸外国の状況について、御説明いたします。以上です。

○大久保班長 それでは、早速ですが、今日の本題に移りたいと思います。委員の皆様方から参考人に対して御質問いただきたいと思います。時間も十分取ってありますので、十分御議論をしていただきたいと思います。先ほど申し上げた参考人への質疑のポイントとして、論点1と論点2に大きく分けてありますので、論点1について、まず御質問いただき、それから論点2ということで、各委員から順次御指名させていただきますので、質問を出していただきたいと思います。

 まず、論点1の耐性について、「既存4剤への耐性の出現の可能性について、耐性と臨床的な効果との関係などについて」というテーマで委員から参考人の先生方に御質問していただきたいと思います。途中で御意見があれば挙手していただきたいと思います。

○倭委員 倭です。よろしくお願いいたします。まず1点目ですが、既存薬全てに耐性のウイルスは論文で報告されていますのは、8か月の免疫抑制状態の男児にということですが、例えば、このような4剤耐性ウイルスが新型インフルエンザとして流行する可能性がどの程度、あるいはあるとすると、どのぐらいの規模かということを、第一にお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。

○大久保班長 免疫不全者に対してということですね。

○倭委員 免疫不全に対して報告されていますが、このような耐性ウイルスが実際に新型インフルエンザのウイルスとして流行する可能性、規模が今までのデータからはどの程度推測されるかということについて御教示いただきたいと思います。

○大久保班長 これに関しましては菅谷参考人にお願いしたいと思います。

○菅谷参考人 私の考えを御説明したいと思います。4剤に最初から耐性で、それが新型インフルエンザとして流行するということは、まずないだろうと思います。自然界で出現するウイルス、トリとかウマとか全てのインフルエンザはタミフルに全部が感受性だと思います。自然界から出てくるウイルスが耐性化するという意味は、何かそこに選択の作用がないと、例えばタミフルを使うとか、リレンザを使うとか、そういうことがないと耐性化はしてこないので、新型出現時に最初から耐性ということは、自然界から新型インフルエンザが出てくるのだったら、それはあり得ないだろうと思います。

 ただ、新型インフルエンザと言っても、自然界から出てくる、要するにトリとかウマとかブタとか、そういうインフルエンザウイルスがリアソータントを作って出てくるような場合には、最初から耐性ということは絶対ないのですが、本当に新型と言っていいのかどうか分かりませんが、研究室から漏れてくるとか実験をやって漏れてくるウイルス。それもパンデミックを起こすことがありますが、そのような時は最初から耐性な事もあり得ます。

 典型的にはソ連かぜです。ソ連かぜは研究室からリークしたものだと言われています。あるいはワクチンの実験のときに、そこから出てしまったと言われています。ソ連かぜみたいに研究室から出るような場合は、いろいろな操作がしてあって、最初から耐性ウイルスが出てくる可能性があると思います。でも、それは自然界から出現するのとは全く違う種類のものです。あとはバイオテロみたいなことで、意識的に耐性の遺伝子操作がされれば、当然そういう事も起こるかとは思います。以上です。

○大久保班長 高下先生、何か付け加えることはありますか。

○高下参考人 私も自然界から最初から耐性のウイルスが出現する可能性はかなり低いと考えています。耐性でない感受性のウイルスの新型ウイルスが出たときに、まず抗ウイルス薬による治療があると思いますが、その場合、患者の体内で耐性ウイルスが選択されて、早い段階で耐性ウイルスが出てしまう可能性はあると思います。

 実際にH7が中国でヒトに感染していますが、最初に報告された患者から分離されたウイルスの中には耐性の変異を持っているウイルスが確認されております。幸いその耐性ウイルスが広がることはなかったのですが、患者の中で選択されて耐性ウイルスが早い段階で検出される可能性はあると思います。ただ、それが広がることは、可能性としてはかなり低いと考えます。

○大久保班長 倭先生、追加の質問はよろしいですか。

○倭委員 大変よく分かりました。ありがとうございます。もう一点追加ですが、今、両名の先生方から、ごく限られた特殊な状況下では、そういった感染もあるということでしたが、もし万が一、体内に耐性ウイルスが選択されて、そういったものが広がったときに、タミフルあるいはラピアクタと、リレンザあるいはイナビルという組み合わせで治療が可能なのではないかということについて、教えていただけますか。

○大久保班長 菅谷先生、お願いします。

○菅谷参考人 例えばタミフルにソ連かぜは最後には耐性になって効果が落ちたと言われています。

 耐性というのはin vitroで耐性であっても、それが本当に臨床で効かないかどうかはなかなか難しい問題で、その場にならないと分からないと思います。タミフルの耐性は割と簡単に出るかもしれません。ラピアクタの耐性にもなるかもしれませんが、リレンザやイナビルといった薬の耐性が、そう簡単に出てくるとは思いません。特にリレンザのほうは静注のリレンザも出てくる寸前なので、万が一、タミフルが効かないで、リレンザが効くというのだったら、静注も考えられるし、もちろん吸入で治療してもいいのです。

 それでもなお、タミフル、リレンザ両方に効かないのが流行るという事態になれば、ほかの薬を使うことになると思います。今日、話題になっている薬以外にも3つぐらい治験が進んでいますので、全くノイラミニダーゼ阻害薬とは違う薬があと3つ出てきそうだと思っています。

○大久保班長 それでは、それ以降は治療に関することになりますから、馳先生のほうにお渡ししたいと思いますが、御質問はいかがですか。

○馳委員 先ほどの質問と少し被るところもありますが、選択的に体内で耐性が誘導化されることはあるだろうということだったのですが、そのように耐性ウイルスができた場合に、感染性という意味では、もともとのウイルスと同じような感染力を持つウイルスになるのか、それともいわゆるもともとワイルド株ではない耐性のものが出たときに、感染性ということ自体も変わってしまう可能性があるのかといった点についてお聞きしたいと思います。

○大久保班長 これは基礎的なこととして高下先生、お願いします。

○高下参考人 一般的に耐性ウイルスは増殖能や伝播能が感受性ウイルスより劣っていると言われています。ソ連型H1N1の耐性ウイルスが世界中で広がったときには、耐性変異の不利な面をカバーする別の変異が入って、それによって感受性ウイルスと同等又はそれ以上の感染能、増殖能を獲得したという報告があります。そういう場合はほかの変異が入る必要がありますので、すぐには感染性などが回復はしないと思いますが、数年とか数10年のレベルで考えると広がる可能性はあると思います。

○大久保班長 耐性ウイルスは一概には言えませんが、伝播能力は劣っていると考えていいわけですね。ほかにいかがですか。論点1について討論していますが、笹井先生、いかがですか。

○笹井委員 基本的な所は聞いていただけていますので、補足的に細かくなるかもしれませんが伺いたいと思います。免疫不全の方で、4剤耐性のウイルスが出たことがあるという報告はどのような理由でそのようになったのかということが分かりましたら教えていただきたいと思います。

 タミフルとリレンザの耐性の出現の可能性のリスクが大分違うと御説明いただきました。もちろん構造が違うのは理解しておりますが、どういう理由で耐性が起きにくいのかとか、どういう状況になると耐性化しやすいのかといったことが分かりましたら教えていただきたいと思います。

○大久保班長 それでは、菅谷先生、お願いします。

○菅谷参考人 4剤に全て耐性化したという患者は、私は詳しくは知りませんが、普通、免疫が大幅に低下していると体内のウイルスが死なないのです。本人の免疫もないとウイルスは死なないから、抗ウイルス薬だけでウイルスを殺すことは普通はできません。そしてウイルスがずっと喉から出ている状態あるいは肺から出ている状態で、なかなかウイルスが死なないところで、まずタミフルが投与されれば、暫くするとタミフル耐性のウイルスが選択されて残ってきてタミフル耐性になって、タミフルとラピアクタは交差耐性があるので、ラピアクタも効かなくなります。そこで今度はリレンザを吸入させたりすると、残ったウイルスからリレンザに耐性のウイルスがまた選択されて、結局リレンザに耐性になると、普通はイナビルも耐性になってしまうと思うので、結局、選択に次ぐ選択、ウイルスが消えないので、そこにずっと抗ウイルス薬をやっていると、次から次に選択されて全てに効かないウイルスができるというわけです。そういうメカニズムだと思います。あともう一つは何でしたか。それでよろしいですか。

○笹井委員 タミフルとリレンザの耐性のできやすさの違いはどういうところにありますか。

○菅谷参考人 それは構造的なところにあると思いますが、高下先生のほうがよく知っていると思いますので、高下先生にお答えいただきます。

○高下参考人 抗NA阻害剤はインフルエンザウイルスのNA蛋白質を標的にしているのですが、ウイルスが増殖する過程でNA蛋白質に入った変異がたまたま耐性に関係するような場所であるときに耐性化するのですが、入りやすい変異の場所が、今のところはタミフルとラピアクタに対する耐性を獲得するような場所に入る可能性が高いということで、イナビルとリレンザに対する耐性を獲得するような場所には、今のところ変異が入りづらい状況だと思います。

○笹井委員 そうすると、吸入薬と、内服薬との違いによるのではないということですか。

○高下参考人 その違いであるとお答えするだけのデータを持ち合わせておりません。

○笹井委員 ありがとうございました。

○菅谷参考人 きっと吸入とか内服という問題ではないと思います。

○大久保班長 それでは釜萢先生、お願いします。

○釜萢委員 先ほど菅谷先生からも一部御発言がありましたが、今日の資料の10ページの2008年のH1N1に対するタミフルの耐性99.6%。これは分離されたウイルスに対する評価だと思いますが、これを見ると、大変びっくりするわけですが、そのこととの臨床の経験での治験等も踏まえて、もう少し御説明をいただければと思います。

○菅谷参考人 この2008年はソ連かぜでH1N1ウイルスで、この間のパンデミックのH1N1pdm09と同じ分類ですが、全く別物です。ソ連かぜは耐性になって、もちろん最初は薬で選択されたことがあったと思いますが、それが自然界の中で、耐性ではない、いわゆる野生株と同じか、あるいはそれ以上の感染力を持つ変異が入ったのだと思います。それでこれは流行ったのです。

 耐性のソ連かぜに対して、タミフルとイナビルで比べたら、小児ではイナビルのほうがずっと良く効いて、タミフルの効果と明らかに差がありました。だから、このときの変異は小児で見る限り、この変異ウイルスはタミフルの効果がかなり低くて、イナビルが良く効いた。だから、やはり何種類かの薬を用意しておくことが大事だという証明にもなったのです。

 このとき不思議だったのは、成人の治験でやってみると、耐性のソ連かぜに対して、タミフルとイナビルで臨床的に差が出なかったのです。実はそれは静注のラピアクタでもタミフルと差が出ないし、確か本日話題になっているアビガンもタミフル耐性ウイルスに対して、アビガンは耐性に効くはずですが、タミフルと臨床効果は差が出なかったと思います。だから、耐性と言っても、あのとき子どもでは大きな差が出たのですが、成人では本人の免疫があるので、免疫でかなりカバーしてしまうので、差が出ませんでした。

 それから、耐性が出ると、薬が効かなくなるかと言うと、効くかもしれないと思うのは、2013/14年にH1N1pdm09の耐性ウイルスが札幌で発生したときに、余り詳しいきちんとしたデータではないのですが、札幌というか北海道の先生が、H1N1の耐性ウイルスに対してタミフルで治療した場合と、イナビルで治療した場合とラピアクタで治療した場合を比較して、ほとんど差が出なくて、例数が少ないので分からないのですが、むしろタミフルのほうが臨床的には効いていたという報告があります。それは耐性の程度をIC50 で出しますが、耐性の程度がH1N1pdm09は、ソ連かぜの耐性よりも弱いので、効いていたようで、恐らくそれは間違いないと思います。もしも効かなかったら、札幌の小児に特に効き目が悪い可能性があるのですが、必ず札幌の先生方が全然効かないウイルスが流行っているとすぐ気が付くと思います。臨床的にタミフルとかリレンザ、イナビルでも飲んだり治療したりすると、翌日にすぐ熱が下がるというのが小児科医の常識ですから、それが3日たっても、4日たっても熱が続いていれば、効かないとすぐ分かります。そういう話はあのとき札幌から出ませんでしたから、きっと効いていたのではないかと思います。

 そういうことで耐性が出たから、すぐに薬が使えなくなるとか、では、大人も駄目かとか、それぞれ違うと思います。ただ、それはH275Yというタミフルとラピアクタに関係した耐性であって、イナビルとかリレンザに対する耐性はもっとずっと耐性の程度IC50 が高いので、恐らく臨床的に効かないのではないか。そういう場合はそれこそノイラミターゼ阻害薬とは違った機序の抗ウイルス薬があることが必要です。

 それと違った機序の薬は、今どんどん開発されていますが、そういうのは耐性の問題だけではなくて、おおむね効果はあるのですが、ちょっと効き方に効果の差があるとか、いろいろな問題が実際にはあると思います。全く同じように抗ウイルス薬は効くわけではなくて、タミフルとイナビルと比べても、イナビルの治験のときにランダム試験でやっていますが、そのときにタミフル耐性のソ連かぜH1N1に対しては、もちろんイナビルのほうが子どもでずっと効いたのです。そのとき同時にA香港かぜ、H3N2が流行ったのですが、A香港に対してはタミフルのほうがイナビルよりも良く効いていました。そういう差もあるので、幾つかの種類の薬、幾つかのメカニズムの違う薬を用意しておくことは重要だと思います。

○大久保班長 どうもありがとうございました。高下先生、何か追加することはありますか。

○高下参考人 ソ連型のH1ウイルスが耐性化して世界中に広がったときは、先ほど菅谷先生がおっしゃったように、ある1か所の変異が入ったせいで耐性になったのですが、別の亜型のウイルス、例えば、中国で人に感染が確認されているH7の耐性ウイルスも報告されていて、そのウイルスの場合はタミフルとラピアクタに対して数万倍感受性が低下しています。ソ連型の場合は数百倍の低下でしたので、数百倍の場合は成人では余り効果に差がなかったと言われていますが、数万倍違う場合には効果が減弱するのではないかと考えています。

○大久保班長 ありがとうございました。追加の御質問はありますか、釜萢先生。

○釜萢委員 いや、結構です。ありがとうございます。

○大久保班長 いいですか。加藤先生、どうぞ御質問をお願いしたいと思います。

○加藤委員 国立国際医療研究センターの加藤です。今までの質疑で、現行のノイラミニダーゼ阻害薬全てに耐性が同時に発生する、そういうウイルスが新型として発生するリスクというのは、非常に低いという御意見が出ていました。我々は備蓄薬に多様性を持たせるということで議論を進めているわけですが、耐性のリスクをヘッジする以外に薬剤によって効果に違いがある、という菅谷先生の御指摘があったかと思います。今回、議論になっているRNAポリメラーゼ阻害薬のアビガンについて、まだヒトでの情報はほかの薬剤に比べて非常に限られていると思います。アビガンに期待される効果というのでしょうか、特に重症化の抑制みたいなところで何か御存じの、あるいはお考えがありましたら、参考人の方に聞いてみたいと思います。

○大久保班長 これは高下先生からお答えいただきたいと思います。

○高下参考人 感染研では、第3相の治験で得られたウイルスについて、57名分のアビガン投与前と後の検体を解析したのですが、薬剤投与前と後でアビガンに対する感受性が変化したというウイルスは、1つもありませんでした。それは患者の臨床経過とも一致していると考えています。耐性ウイルスも、57名の中からは全く検出されておりません。

○大久保班長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。ほかによろしいですか。先ほど菅谷先生もおっしゃっていましたが、耐性であっても大人と小児とは対応が違うとか、いろいろなことがあって、議論が非常に複雑になってくるのではないかとは思います。論点1についてひと通り御議論、御質問を頂いたと思いますが、この件について更に追加の御質問があれば出していただきたいと思います。

○笹井委員 予防内服との関係が何かありましたら教えていただきたいと思います。予防内服をすることによって耐性が出現しやすくなるとか、そういうことが考えられるのかどうか教えてください。

○菅谷参考人 予防内服は、今、実際、病院などでは盛んにやっていて、ほぼ常識になっていますが、予防内服は、耐性を考えると頭の痛い問題と思います。少し本題からずれますが、今、日本はタミフルとか、イナビルとか、世界で一番使って、もう圧倒的です。しかし、治療に使う分には基本的に迅速診断をやっているので、これは全然乱用でもないし、全く正しい治療だと思います。そこは問題ないのですが、予防内服が広がっていくと、これは果たして正しいのかどうかと、深刻な議論になってくる。病院で予防内服はやむを得ないと思うのですが、もし、これが一般の世界にもいいということに広がっていくと、なかなか難しい問題になると思います。

 予防内服は気を付けてやらないと、当然、耐性が起きやすくなるだろうと思います。それは耐性の理論が、先ほど申しましたようにウイルスがなかなか死ななくて、喉からずっと排泄されている状態で薬が行くと、そこで選択されて、耐性ウイルスが出てくるというのが理論なので、予防内服では、普通は治療量の半分でやりますから、弱い効果でずっと長く薬を飲ませていくと、当然、耐性ウイルスが選択されやすくなる。少し最近のばい菌の耐性と似たような状況になりますので、特に新型インフルエンザ発生のときに予防内服が広く使われるのは、耐性を誘導しやすい。ただ、それが人から人に行くかどうかは、また、もう1つ変異が入らないと起きないと思いますが、好ましい状況ではない。もちろん予防内服のやり方についても、そのとききちんと考えるべきだと思います。予防内服は、最近は今まで言われていたのと違って、予防内服をだらだらやることについての反省が出てきているのです。

 例えば、タミフルを1カプセルで、治療量の半量で10日間飲ませるとか、そういうのではなくて、むしろ予防も治療量で2カプセルで5日間ぐらいでやるのがいいというような意見もあります。予防内服を新型インフルエンザ出現のときに、もちろんやむを得ない患者は、特にその年齢層が危ないとか、かかれば到底治療が間に合わない、早期治療では間に合わない患者は予防内服ということになりますが、それ以外はもう1回新型インフルエンザのときも考えなくてはいけないし、新型インフルエンザが出る前にも、いろいろな学会とか、こういう委員会で予防内服についてもう1回きちんと決めておかないと、乱用とか批判されても、弁解が難しくなります。

○大久保班長 今、その予防内服の方法をまず世界的に統一しているわけですが、半量の倍期間投与、そのときにはそういう耐性化などについての議論はなかったのですか。

○菅谷参考人 そのときは耐性の議論は余りなかったです。むしろ、まだ耐性のことはそれほど問題になっていなかった。それから、諸外国はかなり予防内服をやられていましたが、でも日本ほど多く使われていないので、余り問題にならなかったと思います。ですが、もし日本で使われると、問題になる可能性はあると思っています。

○大久保班長 よろしいですか。ほかにいかがですか。

○倭委員 前回も質問させていただいた点ですが、マウスの実験についての質問はよろしいですか。

○大久保班長 はい。

○倭委員 先生方お持ちのブルーのファイルの7374ページで、前回も富山化学の方に質問させていただいた、マウスの感染モデルでの肺ウイルス量などの有効性の実験ですが、例えば74ページの赤で囲っているノイラミニダーゼ阻害剤耐性での実験で、ファビピラビルが60mg/kgで有効性があると、前回、私は質問させていただきましたが、これはヒトでいくと、通常の半分の量だという回答を頂きましたが、よろしいでしょうか。はい。

 実際、これをヒトでやると、前回もありましたように、半分の量では有効血中濃度に達しないという話だったと思うのですが、それにもかかわらず、この半分の量で有効性があるというのは、マウスで有効性があるという実験結果をそのままヒトに当てはめて考えていいのかどうかを教えていただきたいのです。といいますのは、前回も質問させていただいたのですが、ファビピラビルは非常にたくさんの錠剤を飲む必要があることと、重篤な患者では懸濁して飲む必要があります。そうすると、それが十分に吸収されているかどうかという判断が非常に難しいと思うのですが、そういったことが実際の現場で起こりますので、もし不十分な内服、あるいは内服途中中断のようなケースのときにも、ある程度このマウスの実験の半分の量でも有効になるのか、あるいは有効血中濃度に達していないはずなのが、マウスの実験ではこれでいけるのであれば、また別の機序かを、実験的な観点から御教授いただけましたら助かります。よろしくお願いいたします。

○大久保班長 では、これは古田参考人のほうでお願いします。

○古田参考人 基礎をやっております富山化学の古田です。このデータの解釈ですが、ヒトと動物は、細胞の大きさは動物もヒトも同じだと思うのですが、気道の長さとか体内動態とか、そういうものはヒトとは全然違う。体内動態が全然違うと言ってしまうと、何を見ているかは分からなくなってしまうので、ある程度の血中有効濃度、AUCというトータルの1日血中濃度を指標として、先日も60mg/kgは今の申請用法・用量の大体半分の量ですと、そういうお答えをさせていただきました。この実験の場合は、60mg/kgでもある程度有効性を示していると考えますと前回はお答えさせていただきました。

 では、今のヒトの臨床とこれがどうつながるのかと、そういう御質問だと思うのですが、これは実験的感染で、感染直後から投与を開始して、1つのモデルケースであります。これで臨床の場合は、ある程度感染してからの幅があったり、感染しているウイルス量、実験の場合は完全に一定量のものでやっていて、モデルによって異なるとは思うのですが、やはりヒトと丸っきり同じに考えるのは少し難しいのではないかと思っております。この条件下では、ノイラミニダーゼ耐性株はほとんど効果を示せない耐性ウイルスです。ただ、ファビピラビルは丸っきり違うメカニズムですので、このくらいの用量から効果を示してくると、そのように解釈しています。

○倭委員 ありがとうございます。よく分かりました。先ほどのウイルスの抗ウイルス薬と耐性のことに関して1点追加でお伺いしたいのですが、先ほどのお話だと、新型インフルエンザが流行したときに、ある型のインフルエンザに対して抗ウイルス薬を使うと、選択的にその型の耐性ウイルスが流行する可能性は考えなければいけないだろうというお話だったのですが、通常の季節性インフルエンザに対して抗ウイルス薬を、今、日本の使用量が多いというお話もあったのですが、シーズンを超えた型が違うインフルエンザのウイルスに対しては、それが受け継がれることは、それは基本的には考えなくてよいのでしょうか。

○大久保班長 これはどなたに。高下先生ですか。

○高下参考人 インフルエンザウイルスの抗NA阻害剤の耐性は、NA蛋白質に入ったアミノ酸置換によって起こるのですが、このアミノ酸置換は亜型によって性質も場所も違いますし、どの薬剤に対して耐性を獲得するかというメカニズムも違いますので、全く違う型のウイルスに引き継がれることは考えにくいと思います。

○大久保班長 ありがとうございました。ほかによろしいですか。

○馳委員 そうしたらもう1点、先ほど菅谷先生からノイラミニダーゼ阻害剤、アビガンを含めて、ほかにも何種類か治験中だというお話を頂きました。この回答は可能であれば結構ですが、今、進行されているほかの治験段階で、タミフルあるいは多剤耐性株での細胞レビュー、並びにこのようなマウスの実験での有効性を示す実験データが、アビガン以外でもある程度分かっているもので、もしお教えいただけるものがありましたら教えていただきたいのですが、よろしくお願いいたします。

○大久保班長 菅谷先生、可能でしょうか。

○菅谷参考人 今、治験が進んでいるのは、私が知っているのは3つあって、1つはシオノギのS-003188です。もう1MTZというのも出ています。これは海外で確か、第2、3相まで行っています。もう1つが、フルダーゼという薬です。これも海外で第2、3相まで行っていると思います。それぞれノイラミニダーゼ阻害薬とは全く違うもので、シオノギのはアビガンと同じようにウイルスRNAに作用する薬です。

 あと、NTZの機序は私はよく分からないのですが、フルダーゼは要するにインフルエンザのレセプターのシアル酸のシアルダーゼの所、これを全部落としてしまうという薬で、非常に面白いメカニズムです。このような薬はノイラミニダーゼとは全く違うので、ノイラミニダーゼに耐性があっても全部効くと思いますが、こういうマウスの感染モデルでの有効性のデータとか、そういうのはまだ公表されておりませんので、私もまだ知らないです。

○大久保班長 ありがとうございました。よろしいですか。ほかに質問はないようですので、論点12の臨床的なウイルス学的に新型インフルエンザに対する有効性・安全性をどのように評価するかと、これは新型インフルエンザ発生時にどのような患者に使用が考えられるか、また使用不可能かと、そういう観点からの御質問に移りたいと思いますが。今度は加藤先生からお出しいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

○加藤委員 論点2で、これは参考人の方に最初にお聞きすべきか分からないのですが、普段、流通していないという薬です、アビガンというのが。普段流通していないものをパンデミックのときに初めて使うことになるということです。確認したいのが、流通備蓄がなくなったら、備蓄を放出するという話になっているかと思うのですが、アビガンでは流通備蓄が想定できるのか、それとも、そういうものはなくて、実際は備蓄から使い始めることになるのかどうか。これに関しては、大臣が必要と認めた際に使い始めることになっているかと思うのですが、その製造とか供給のロジスティックス、そのような面を確認したいという点が1件あります。

○大久保班長 アビガンの使用、これは事務局からお答えいただいたほうがいいかと思いますが。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 事務局からお答えさせていただきます。アビガンは流通していないものですので、しっかりとした確認という所については、国も責任があると考えています。また、既存の抗インフルエンザ薬だけでなく、抗毒素などの備蓄のスキームもあります。新型インフルエンザ対策では、一般の流通している抗インフルエンザ薬については、市場流通しているものをまず考えて、足りなくなれば備蓄を使う。それから、こちら、例えばジフテリアの抗毒素などに関しては、国家備蓄みたいなものがありまして、必要な場合は都道府県から流通させると。現在使っている既存のスキームですが、複数ありますので、もし流通させるために必要なものは今後適切に考えていくところかと考えております。

○大久保班長 アビガンについては、まだその辺はきちっと決まっていないのですか。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 まず備蓄をするかどうかということもありますし、今後また備蓄を仮にするとなった場合の使い方とか、そういったところも踏まえて、対象患者等も踏まえて、臨床現場において問題なく適切に管理できるようにというところで、詳細は詰めていくことになると思います。

○大久保班長 ありがとうございました。よろしいですか。御質問はほかにいいですか。また、後ほど。釜萢先生からお願いします。

○釜萢委員 これはどなたに伺ったらいいのかあれですが、アビガンの薬事承認に当たっては、薬事承認をされた薬が流通しないことは考えられないわけですが、今回の件については、いろいろな事情から薬事承認が行われた後で必要なデータについては逐次そろえていくと、そういう附帯条件が付ていると理解をしております。それについては、クリアされてきた部分もあると聞いておりますが、今後、パンデミックのときに薬剤が必要ということを考えますと、もっと治験等のデータが更に積み重なることは必要ではないかと私は思っているのですが、そのことについての今後の計画や見通しについてお聞きしたいと思います。

○大久保班長 この件は、その前に、菅谷先生、この薬剤についての今後の治験等もいろいろなデータの進め方ですが、これは備蓄するかどうかの検討する委員会でそういう話はまだ早いかもしれませんが、今までにそういう形での承認された薬はありましたか。

○菅谷参考人 いや、私は余り聞いたことはないと思います。

○大久保班長 この薬の場合には、そういう形での承認から臨床使用している中でのいろいろなデータを収集していくというやり方にならざるを得ない、そういう可能性もあるわけですが。

○菅谷参考人 そうですね、私はアビガンについては、インフルエンザに使うとなると、副作用の問題は非常に大きいと思います。これがエボラに使うとかであれば、余り問題とならないのですが、インフルエンザとなると、特に新型インフルエンザとなれば100万人単位で使うとか、場合によっては1,000万人が使ってしまうとか、そうなると非常に副作用が問題になって、それが日本感染症学会とか、感染症の専門家の間でもネックになっています。私もアビガンの有用性は理解はするのですが、病気の程度を考慮する必要があります。あくまでもインフルエンザですから、いささかも副作用があってはならないというのが私の基本的な考え方です。

 例えば抗がん剤だったら、副作用は覚悟の上でやるし、エボラだったら、これはアビガン、エボラでも使っていましたが、エボラのように、死亡率がある程度以上高ければ当然、副作用以上にアビガンの効果を考えるのです。しかし、インフルエンザとなると、副作用がネックとなって、恐らく承認に、いろいろな附帯条件が付いたのも、効果とか、そういうこと以上に、そちらの問題が大きいと私は考えています。

 効果に関しては、当然のことながらノイラミニダーゼ阻害薬とは全くメカニズムが違うので、ノイラミニダーゼ阻害薬が効かない耐性の場合は効果があるけれども、アビガンがノイラミニダーゼ阻害薬以上に重症化防止をするとか、死亡防止効果があるという証拠は、私はないと思っています。ノイラミニダーゼ阻害薬があくまでも48時間以内に投与された場合の死亡防止効果とか、入院防止効果は、これはH1N1pdm09によるパンデミックのときにかなり報告されていますが、アビガンはまだそこまで、むしろそういう本当の重症化防止、死亡防止効果は、インフルエンザに関してまだ証明されていないと思います。

○大久保班長 ありがとうございました。

○釜萢委員 今、菅谷先生が御指摘になった所は、私も大変気になっているのですが、それはしっかりデータを出す作業が今後できるのかどうかということなのですが。

○菅谷参考人 重症化防止、死亡防止の有効性は今後データが出てくると思いますが、副作用について、特に催奇形の問題は、動物実験しかできないと思います。奇形の問題はこれ以上確かめることは、なかなか難しいのではないかと。人で奇形が起きるかどうかとか、そういうのはほとんどできないのではないかと思います。

○大久保班長 そういう副作用を踏まえて備蓄をするかどうかという議論が必要になってくると思いますね。

○釜萢委員 基礎的なところで、前回出席できなかったので、時期が少し遅くなってしまったかもしれませんが、RNAポリメラーゼ阻害が、大変初歩的なことで恐縮ですが、インフルエンザウイルスだけでなく、他のウイルスに対しても効果が出るということについて、治療のインフルエンザウイルスに対する効果だけでなく、いろいろなウイルスにも有効であることについて、もう少し教えていただきたいと思っておりました。

○大久保班長 これは高下先生にお伺いしたほうがいいかもしれませんが。今の御質問は、結局、RNAのポリメラーゼ阻害薬がほかのウイルスへの効果は期待できるかということですが、それは古田先生のほうに。

○古田参考人 古田です。RNAウイルスの中のポリメラーゼですが、ファビピラビルの活性はATPとかGTP、プリン系の核酸の代わりに、ファビピラビルの三リン酸体へと生体内で変換した活性体を、ウイルスのポリメラーゼが誤って認識して、GTPとかATPの代わりに自分の遺伝子の中に組み込んでしまうという、そういう作用なのです。

 それでRNAウイルスの、特にマイナスといわれるアレナ、ブニヤ、フィロ、いわゆるリフトバレーとかラッサとかエボラとか、そういう系統のウイルスは、そこのGTPとかを認識するサイトが、ほとんど一緒の配列を持っていて、ファビピラビルを間違って自分の遺伝子の中に入れてしまう。そういうメカニズムで割と広いスペクトラム、いろいろなウイルスに効くという、そういう作用を持っています。

 ただし、RNAを鋳型にして、またRNAを組み立てるという遺伝子は、ヒトは持っておりません。今、少し、奇形のお話も出ましたが、そういう間違って取り込むということを、ヒトが行って奇形が起きたり、変異原性になったりするということでは全然なくて、やはり胎児の増殖のごく初期に、そういうATPとかGTPと拮抗したりすると、生体内の中でヌクレオチドプールといわれるATGCのプールの何かインバランスが起こって、そういうことが起きているのではないか。

 ですので、大きくなってから、それを飲んでも変異原性が起こるとか、微生物の変異原性試験とか、そういうものは全てネガティブになっておりますので、そういう話ではなくて、やはり胎児の器官形成期のごく初期に、そういう擬似核酸と似たようなものがあると、細胞がやはり活性体に変換し、その変換酵素は共有されますので、そこで何らかのインバランスが起こっているのではないかと考えています。

 ちょっと脇道に逸れてしまって申し訳ないのですが、いろいろなウイルスに効くというのは、ある種のネガティブストランド、マイナスのRNAウイルスが同じ複製様式でポリメラーゼを使っている、そのポイントにファビピラビルは特異的に作用しているのだと考えています。

○大久保班長 ありがとうございました。この薬剤の副作用とか、いわゆる副反応、そういうものの可能性について、もう少し議論をこの場でしていきたいと思うのですが、前回もそういう点で、いろいろ御質問が出たと思います。そういう領域でいかがでしょうか。それは後にあればまた、お伺いするということで。

○山田参考人 座長、企業として、本剤の安全性についての御懸念について、見解を述べさせていただけないでしょうか。

○大久保班長 はい、どうぞ。

○山田参考人 今、御指摘いただきました、本剤の安全性について、2つの見地が検討されるべきではないかと、私どもは思っております。1つは、服用者御本人に対する安全性について、どこまでの検証がなされたか。これについては前回、アメリカの治験のデータを中心に御説明させていただきましたが、プラセボ対照試験で、服用者御本人に対する有害事象の発現率というのは、諸症状において全く変わらない成績でした。

 また、重篤な有害事象というものに該当するものについても、本剤と関係するものはありませんでしたので、私どもは、厳格な治験である、日本の第3相試験、アメリカの第3相試験を踏まえて、服用者に対する安全性のプロファイルについては、資料でお示ししたブルーのところで、ファビピラビルの安全性についてという項目の中で、生データも踏まえて、お示ししたとおりです。この点については、一定の御評価が頂けるものを提示させていただいていると思っております。

 先ほど来、御指摘の催奇形性ということで、これについては、今、古田も申し上げましたけれども、動物実験の段階で発現しているものです。菅谷先生も御指摘のとおり、これはヒトに対して実験するということはできませんので、あくまでも厳格な流通管理、また、本剤の処方に関しては、これは医師、薬剤師の先生方の御協力を得て、妊娠していないということを確認した上で、仮に新型インフルエンザの流行期においても、処方されるべきものであるという点に関して、企業としては完全に同意しております。

 そこの対策、先ほど加藤先生から御懸念のそもそも流通させる段階で、そのような情報提供、あるいは企業としての安全性管理、症例情報の収集というところについては、十二分なものをやっていくということが、私どもが厚生労働省様にお約束している内容です。そこはこれ以上、何らかの治験でできないのかというお話とは切り離してお考えいただけないかと思います。

 最後に、有効性のところですが、本剤が頂いております承認は、あくまでも新興・再興型のインフルエンザで、なおかつ既存薬が奏効しない場合です。ですから、私どもは新興・再興型のインフルエンザの治験というものができませんので、季節性インフルエンザをいわばサロゲートとして、成績を提出しているものです。

 この点については、菅谷先生のほうも明確に、有効性についてはノイラミニダーゼ阻害剤と、それを優越するものではないけれども、それは同等程度ではないかと。なお、ノイラミニダーゼ阻害剤に耐性のウイルス株が広く流行した場合に使われるということに関しては、先ほど来のin vitroin vivoの実験のデータを基に、十二分に有効性が認め得るということを推認いただいて、その部分についての御承認を頂けたものと解しております。その上で、是非、備蓄の議論を進めていただければ、大変幸いです。以上です。

○大久保班長 この薬剤の最大の問題点は催奇性という副作用の問題ですが、もう少しその辺を前回に引き続いて突き止めて、御質問を進めていきたいと思いますけれども。今、お話にありましたように、これまでのインフルエンザウイルスに対する効果は、季節型を使用したサロゲートを使ったデータであって、そういう形でもいいかどうかということ。それから、マウスを使った催奇性の問題も、妊娠胎児の感受性のある時期によってかなり違うということで、かなり早期だったと思いますが、その点などに関して、委員の皆様いかがでしょうか。

○田村健康局参与 事務局から確認したいのですが、新型インフルエンザの次、何が起きるのかというのは議論が非常に難しいと思うのですが、参考人の方にお伺いしたいのは、実験in vitroのデータで結構なのですけれども、新型となるとA型のサブタイプがどれか起きるのではないかと考えている中で、in vitroの実験でH1H16N1N9までの幾つかの亜型に対してのアビガンの有効性についてのデータというのはあるのでしょうか。ちょっと確認したいのですが。

○古田参考人 ここに前、資料でお示しさせていただいた、CDCが中心になってやられているあれが一番ワイドスペクトラムにやられたもので、それ以上のものはありません。

○田村健康局参与 そうすると、一般的に幾つかのサブタイプ、次に起きる可能性があるかもしれないようなA型のサブタイプに対するアビガンの有効性というのは、CDCからはデータは得ているという認識でよろしいでしょうか。

○古田参考人 はい、H7とかH9も入っていたかな、その辺りまでのデータで、H16とかはありません。

○田村健康局参与 分かりました。ありがとうございます。

○大久保班長 ほかにいかがでしょうか。前回に、催奇性に係るかもしれませんが、精液のほうへの移行についても、かなり短い期間だというような印象で話を聞いたかと思うのですが、その辺は。

○櫻井参考人 櫻井ですが、前回の繰り返しになりますけれども、精液への薬剤の移行というのは、血中濃度とほぼパラレルになっておりますので、今のところ、移行性については血中濃度50%ぐらいが平均で精液に行くということです。今、最も高い人でシミュレーションした場合でも、投与終了してから5日以内には精液からなくなることを推測しているところです。これはアメリカのデータ、ヒトで取っておりますので、その中の精液の移行性の下にシミュレーションした結果で、5日目には多分消失していただろうということです。

○大久保班長 その辺の、いわゆる副作用など、非常に問題だと思いますが、本日の参考人のお二人の先生方で、何かこの薬の副作用等についての値で御見解があればお話していただきたいと思うのですが。あるいは今日は出ませんでしたが、インフルエンザのときに使用するアセトアミノフェンなど頻繁に使用する薬との作用というようなことも、前回に少しディスカッションあったと思うのですが、アセトアミノフェンについては、特段問題なかったということだったでしょうか。

○櫻井参考人 アセトアミノフェンとの相互作用はないという判断ですね。

○大久保班長 ないということですね。

○櫻井参考人 ヒト臨床試験をやっていまして、そのデータから、ないという判断をしております。

○菅谷参考人 私は臨床医なので、やはり副作用のことは非常に懸念があります。特に催奇形性の問題、インフルエンザの薬で催奇形性の問題については、かなり問題になるので、1つはどういう場合に使うかというと、もちろん、どうしても既存の薬では、十分な効果が得られないというような状況になった場合だけ使うということで、それはそれでいいのですが、催奇形に関しては、ごく初期という言い方はやはり良くなくて、やはり妊娠5か月ぐらいまでは何か起きる可能性はあると思います。

 全くヒトでは試されていないし、もちろん使われていないので分からないので、催奇形は動物実験ではっきり出ていますので、間違いなく起きるのだけれど、ヒトでどのぐらい起きるかというのは、もちろん良い方向に行って、実はヒトではほとんど関係ないのだということになればいいのだけれども、逆にヒトではかなりひどいことになるかもしれないし、全く分からないということです。

 分からないという意味は、妊婦の催奇形で有名なのは風疹みたいなもの、これはすごくはっきりしていて、いろいろなデータもあって、症状もはっきりしていますね。白内障と心奇形と、あと、難聴となっていますけれども、しかし、アビガンの副作用は先天性奇形ということで、何が来るか分からないのです。

 あと、これはウイルスによるそういう奇形とは違って、では風疹の場合は5か月以降は心配ないとなっていますが、アビガンはあくまでも薬剤なので、もう少し後の6か月、7か月でも何らかの副作用は当然あると考えて対処すべきです。

 例えば、いわゆる奇形が起きなくても、私たち小児科医は、よく分かると思うのだけれども、例えば典型的なのは未熟児が生まれてしまったり、あるいは予定日と同じようにいったとしても、普通は3kgで生まれるはずですが、それが1.5kgぐらいで生まれてしまったりする、子宮内胎児発育不全が起きるかもしれないし、それは実際、抗がん剤などではそういうことがいわれています。

 妊娠初期だったら、奇形ですが、妊娠後期でもそういう子宮内での発育異常が起きる可能性があるので、やはり副作用に関しては相当慎重に検討して、まあ、検討しようにもこれは先ほど富山化学の方々がおっしゃっているとおり、これについては実験はできないのですが。新型インフルエンザとはいえ、相当に死亡率が高い、例えばスペインかぜみたいな、スペインかぜでも数パーセントの死亡率ですけれども、そういうのがはやれば、そしてノイラミニダーゼ阻害剤が効かないとなれば、使うべきだろうとは思いますが、そうでない限りは相当慎重にすべきだろうというのが副作用に関する意見です。

○大久保班長 妊娠との関わり、催奇性について、御意見頂きましたけれども、これまでの議論ではラットの研究をあげて、妊娠早期に投与しない限りは催奇性のリスクは減弱するというような表現だったのですが、やはりその辺が時期との関連については、余りきちっとしたことは言い切れないだろうという参考人の御意見だったと思います。

 これは非常に重要なポイントだと思うのですが、何か委員の先生方で、この辺の副作用を含めて御意見あればどうぞ。

○倭委員 1点確認させていただきたいのですが、今、菅谷先生のお話にもありましたが、あくまでもアビガン錠の有効性と安全性を踏まえ、新型インフルエンザ対策上、備蓄が必要かどうかということになりますので、いわゆる被害想定をどのように考えているかということとも、やはり比較して考える必要があるかと思うのです。

 そうしますと、今、現行の被害想定は今後また新たな考え方をされるという話も伺っておりますが、今、重度の場合、スペインかぜの2%を考えていると。これは、例えば、多剤耐性ウイルスがはやって、アビガンのような薬を使えたとして2%と考えるのか、あるいは、そういったものを使えなかったら、もうちょっと広がるか、大きくなるかどうかという点が大事だと思うのです。

 例えば、エボラの場合ですと、1桁死亡率が違うわけですので、そのような場合ですと、奇形性を考えるよりも、やはり有効性、あるいは助かるということのほうが天秤に掛けると高いと。ただ、今の1桁違うのであれば、催奇形性はかなり問題になると思いますが、その被害想定との兼ね合いについて、事務局のほうでのお考えというか、もし御意見がありましたら教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 事務局のほうから、現在の被害想定の検討状況についてお伝えします。現行では被害想定のところはスペインかぜ相当のものをメインにするということで、政府行動計画のほうで記載されているところです。現在はAMEDの研究班の先生方を中心に、死亡率、若しくは感染率がシビアな場合、中程度の場合、それから比較的低い場合、パターン分けしたものが定義できるようにということを考えております。したがって、被害程度が高いところを考えないという形ではなくて、被害程度が高いところも十分にまた、想定に入れられるような形で、今、検討しているところです。

○倭委員 そうすると、現行に多剤耐性のものが増えて、この被害想定よりも高い場合も考えられる、場合によってはエボラ並みとはいいませんが、それぐらい高いことも考えた上でアビガンを検討するといった理解でよろしいでしょうか。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 そちらのほうの被害想定については、専門家のコンセンサスを得られるような治験を集めてやるという形に出てきていますので、数字自体が現行のものとどうなるというところは、私どものほうでは現時点で御説明できるものはないのですが、高いレベルの死亡率、若しくは感染力があるようなもの、若しくは、中程度、低程度のものについては、シナリオを提示するという形を考えています。

○倭委員 ありがとうございました。

○大久保班長 ほかにいかがでしょうか。

○笹井委員 アビガンは、仮に使うような状況になったとしても、成人にしか使えないですよね。インフルエンザの患者さんは成人だけということではないので、今後、小児に対する適応について、どのように予定されているのかを教えてください。

○山田参考人 富山化学の山田です。私どもFDAのほうと、18歳以下の小児までについての臨床試験計画については、提出いたしまして、引き続きディスカッションを重ねている状況です。一概に18歳以下を一括りにしての臨床試験は想定しておりませんので、年齢別に分けて、本剤の有効性、安全性について、その対象年齢を徐々に広げていきたいという趣旨で、試験計画を出しているというのが現状です。

○大久保班長 時間も余りありませんので、この企業側提出参考資料というのは、皆さんのお手元にあるのでしょうか。これは重症化を懸念される患者セグメントに対するワクチン接種の有無の影響やウイルスの力価との関係、これは細かくは説明していただく時間はないのですが、簡単にこの資料について、櫻井参考人のほうから御説明ください。

○櫻井参考人 今回、提出した後の資料について、御説明申し上げます。頂いた質問は2つあったかと思うのですけれども、まず1つが前回、御説明しました、重症化が懸念されるような患者セグメントで、ワクチンの影響があったのかどうかという御質問だったかと思います。今回、3つの患者セグメントで出しておりますが、いずれも結論から言いますと、ワクチン接種の影響というのは見られなかったというところです。その内容について、1ページの一番下、ハザードのワクチン接種の有無での調整前と調整後のハザード比が出ておりますが、ワクチン接種の有無で、モデル上調整したハザード比が大きく低下することはありませんでしたので、恐らくワクチン接種していようがいまいが、今回、患者セグメントで出ているファビピラビルの有効性については、減弱しないということが言えるかと思います。

 それともう1点、二次感染の有無について御質問があったかと思います。前回、有意な差がアメリカの試験では付きませんでしたという、回答をいたしました。これはプロトコール上、抗菌剤投与が必要な感染症のイベントを全て集計しておりますので、中には上気道炎や中耳炎、副鼻腔炎など、全ての呼吸器系の感染症がカウントされております。その結果を見ますと、プラセボとファビピラビルで有意な差は付いておりませんでした。

 ただ、今回、重症化抑制ということになりますと、下気道感染症ということになりますので、肺炎と下気道感染症に絞り、集計しました。

 結果ですが、まず、4ページ目のほうに、そのまとめがありますが、上のほうは、ランダム化された全ての患者ということで、これは「Influenza like Illness(ILI)」いわゆるかぜ症候群も含めたときのイベントです。その場合、プラセボで該当する疹患は8例、ファビピラビルで3例であり、有意な差が付いております。

 その下の表につきましては、これはインフルエンザだけに絞った、いわゆるPCRで陽性だった患者に絞ったものですが、この場合は、ファビピラビルが全て奏功するということも関係するのかもしれませんが、肺炎と下気道系の感染症というものは発現がありませんでした。ですので、プラセボ5件、ファビピラビル0件ということで、有意な差が付いているというところです。

 最後、5ページ目のほうに「参考」として出しておりますが、こちらは国内の申請時の用法・用量ですので、現在の用法・用量よりはかなり低いところですが、第2相試験、第3相試験を含めて見ておりますが、今のところ第3相試験の中でファビピラビル投与群に肺炎というものはなく、唯一出ているのが第2相試験の低用量のときのものですので、今の用法・用量から見ると、かなり低いところで出ているということですので、今のところ肺炎等の下気道感染症について、ファビピラビルでは抑えているという結果は出ているかと思っております。以上です。

○大久保班長 ありがとうございました。菅谷先生にちょっとお聞きしたいのですが、今の検討結果の解釈ですけれども、インフルエンザに対する効果を見る場合に、いわゆる6症状というのがありますね。インフルエンザの咳、咽頭痛、頭痛、鼻閉、筋肉痛、全身倦怠感、それに今回は熱が改善する前の時間というのを、この7つの症状で評価することに関してはよろしいでしょうか。

○菅谷参考人 これは今まで承認されている薬全て、6症状で見ています。そして、一応、私はいつも発熱は重要だと思っているのですが、それは1つの参考資料で、成人の場合ですけれども、あくまでも6症状で評価しております。ですから、これは完全にそれにのっとっています。

○大久保班長 そういうことですね。今の御説明に対して、何か先生方、御質問、御意見あれば、追加していただきたいのですが。

○菅谷参考人 いえ、特にありません。

○大久保班長 例えば、この23ページの「Kaplan-Meire」の図がいろいろとあって、それぞれの説明は今回はしていただいていないのですが、このp値で見る限り、有意差は出ているわけですけれども、こういう判定でよろしいのでしょうか。

○菅谷参考人 これは、この判定でいいと思います。でも、ほかのノイラミニダーゼ阻害薬も同じような効果が出ておりますので、私の感じでは副作用の点がネックになりますが、このお薬は早期に治療する限りは、ノイラミニダーゼ阻害薬とほぼ同等の効果があるだろうと考えております。

○大久保班長 ありがとうございました。高下先生、今のデータについて、何か御追加ありますでしょうか。

○高下参考人 今のデータについては、菅谷先生と同じような意見で、特にありませんけれども、感染研では全国の地方衛生研究所と共同で、耐性ウイルスのサーベイランスを行っておりまして、毎年,3,000株前後のインフルエンザウイルスを調べているのですが、昨シーズンは免疫抑制患者の中で、耐性変異を二重に持っているという高度耐性ウイルスが2株検出されており、その高度耐性ウイルスは、タミフルとラピアクタに対して数万倍の感受性の低下が見られますので、恐らく両薬剤については効果は余りないのではないかと考えます。

 イナビルとリレンザに対する感受性も低下しておりまして、こちらは感受性の低下からいくと、薬が効かないということではないと思うのですが、両薬剤とも吸入薬ということもありまして、両方の患者さんは、入院患者さんで、かなり重症な方でしたので、吸入が難しいという場合に、投与できる薬に対しては効果が認められず、投与が難しい薬でしか効かないというような場合を考えますと、やはりハイリスクの患者さんに対しては、いろいろな作用機序を持つ薬を考えたほうがいいのではないかと考えます。

○大久保班長 ありがとうございました。リレンザ、イナビルに対する耐性株というのは、はっきりまだ出ていないわけですけれども、感受性の低下といいますか、そういうものは出ているから、今後は注意していかなくてはならないということですね。もう少し質問の時間がありますが。

○倭委員 まず、ワクチンの接種の有無についてデータをお示しいただきまして、ありがとうございます。ワクチン接種の影響はないということで。2つ目の質問の所で、細菌性二次感染の発現頻度に関したところで、重症化抑制にファビピラビルを適用することを示唆するものと考えているという話を頂きました。ひょっとして、先ほど私は聞き逃したかもしれませんが、例えば1つ目のほうで、2ページのマル1、投与前のウイルス力価は高く、かつ症状スコアが高い患者、これは患者全体、ワクチン接種なしの患者では有意差をもって、中央値の差が16時間ということで、タミフルと比べて少し小さいと。

 ところが、3ページですと、マル2投与前のウイルス力価は高く、かつ治療開始が遅いとか、マル3の症状スコアが高くて、治療開始が遅い。いわゆる重症化を想定、あるいは抗ワクチンがない場合です。特に右側のグラフを上下で見ますと、22時間であるとか、あるいは80時間。もちろん人数は少ないのですが、かなり時間差が付いております。このことについての富山化学さん側からのより有効だとか、時間が早くとか、何かそういうコメントというかお考えはありますか。お願いいたします。

○大久保班長 どなたかお答えいただけますか。

○櫻井参考人 これはかなり推測がもう入ってくるかと思うのですが、やはり、インフルエンザの場合の症状というのは、ウイルスそのものではなく、やはり、免疫との絡みで出てくると思うのです。

 ファビピラビルの場合は、ウイルスの複製を止めてしまうということで、ウイルスのRNAの量そのものが減ってくるということになりますので、恐らく、RNAに作用して、サイトカイン、TNFαとか、そういったサイトカイン量が減ることによって、細胞障害性の過剰免疫反応が出てこないということで、先ほど言ったような二次感染の発現頻度にも出てくるのではないかと思います。こういった重症化が予想される患者さんについて、症状の遅延を抑制しているということにつながってくるのではないかとは考えております。

○倭委員 ありがとうございました。

○大久保班長 ほかにいかがですか。本日用意した論点1に限らず、それ以外の御質問でもよろしいと思いますが。

○田村健康局参与 事務局から1点確認させていただきます。先ほど菅谷参考人から、薬を幾つか使っていた状況で、免疫抑制患者の場合ですと、ウイルスの増殖が長引いてきて、使った薬剤に対して耐性化する可能性があるという御意見がありました。

 同時に、薬剤耐性ウイルスは、感染の伝播の効率も悪くなると。高下参考人からあったと記憶しておりますが、ただ2008年のときに流行したAソ連型のウイルスの場合は、その薬剤に耐性化したウイルスが感染伝播が悪くなったにもかかわらず、それを代償する、また別のミューテーションが起きたことによって、かなり世界的に薬剤耐性ウイルスが広がったという御発言もあったと記憶しております。

 その後、例えば、免疫抑制患者に薬を幾つか使って、それが多剤耐性ウイルスのような状況になってきたときに、そのウイルス自体は感染伝播の効率は悪くなるというロジックで理解はできるのですが、その状況で更にまた別のミューテーションが起きたことによって、感染伝播効率を代償することによって、そういった多剤耐性ウイルスが大きく流行する可能性はあると考えるべきでしょうか。その点について御意見をお聞かせいただきたいのですが。

○高下参考人 昨シーズンに日本国内で検出された二重に耐性変異を持つウイルスに関しては、まだ未公表のデータですが、感受性ウイルスと増殖能が同等で、競合の感染実験をすると、逆に感受性の野生株のほうが増殖しないで、耐性ウイルスのほうが感染が広がるというデータが出ております。やはり、変異の組合せなどによっては、感受性株と同等、またはそれ以上の増殖能を持つ耐性ウイルスも出てくる可能性はあると考えます。

○田村健康局参与 そうすると、通常、薬剤に耐性化したウイルスは感染伝播効率が悪くなるというのは、もちろん、基本的な考え方はあるが、また別の変異が起きたことによって、それが薬剤の感受性のウイルスと同等に多剤耐性ウイルスが流行する可能性もあるという可能性は否定できないという認識でよろしいですか。

○高下参考人 はい、否定できないと思います。

○田村参考人 ありがとうございました。

○大久保班長 ほかにいかがですか。せっかく今日はお二人の専門家にお越しいただいていますので、端的に質問させていただければ、このノイラミニダーゼ阻害薬全てに耐性化するリスクというものも考えておかなければいけないかどうかですね。将来的にです。そうしないと、今検討しているアビガンの備蓄についても少しインパクトの問題がありますから、いかがでしょうか、菅谷先生。

○菅谷参考人 将来を考えれば、効かないリスクが出てくる可能性はあります。ただ先ほど最初から4剤耐性で新型インフルエンザが出るということはあり得ないだろうと。ただ、日頃使っていて、その中でだんだんと耐性が増えていくことはあるかもしれません。耐性のことはよく世界でも議論になりますが、その中でよく出されるのが、日本はこれだけ世界で一番使っていて、もう2000年から16年ぐらいずっと使っているが、日本での分離ウイルスの耐性の率は一貫して12%で全然増えていないのです。ですから、そう簡単に耐性がどんどん増えることはないだろうと言われていることが1つです。

 あともう1つは、札幌で突然出たことがありますが、札幌で出たのは中国から入ったものらしいということが、高下先生が良い論文を出していますが、日本で出たものではないし、もちろんソ連かぜかぜの耐性も日本で出たものはないのです。ただ世界では何が起きるか分からなくて、突然出てくる可能性はあるとは思います。それは否定できないです。

○大久保班長 それからもう1つ、現実的な臨床的な話になりますが、いわゆる重症化した患者さんに本剤を使用する場合、1日に初日は8錠を2回という想定だったと思いますが、そういう投与は重症化した患者さんに現実的に可能かどうかという辺りはいかがですか。

○菅谷参考人 普通、これをもしも使うとなれば重症化して、ICUに入ったようなケースだと思いますが、そういう場合に、使うのはなかなか難しいだろうと思います。内服薬で、しかも量が非常に多いのです。しかし、ほかの薬が全部効かないとなって、重症化というケースは、実際には日本では非常に少ないと思いますが、むしろ欧米ではこれは結構期待されたのですが、重症化した患者に効くのではないかと期待はされたところです。しかしその証拠が特にないので、ノイラミニダーゼ阻害薬が効かなくて、例えば4日目とか5日目ぐらいになって、そこでアビガンを使うと効くという証拠は特にないので、やはり、アビガンもできるだけ早期に使わないと十分な効果は出ないと思っています。実際問題として今使うとなれば、ノイラミニダーゼ阻害薬が、日本では普通早期に使うのですが、早期使用ができなくて、しかも遅れて使ったけど、5日目とか6日目ぐらいからノイラミニダーゼ阻害薬を使ったが、全然反応しないことは十分にあり得るので、そういうときにどの程度効くかどうか分からないが、臨床医の立場とすれば、アビガンがあるのだったらアビガンを使ってみようと。そういう形で使われるだろうと思います。

○大久保班長 時間も大分過ぎてしまいましたが、一応、この辺りで質疑応答は終息という形にさせていただきます。この後、事務局から何か御説明があればお示しいただきたいと思います。

○長谷川補佐 この後、非公開で情報の提供をさせていただきたいと思いますので、議事進行を進めていただければと思います。

○大久保班長 公開での討論はここまでにさせていただきたいと思います。参考人の先生方、企業からも御出席いただきましてありがとうございました。この後非公開での議論がありますので、ここで皆さんは退席をしていただきたいと思います。本当に今日はありがとうございました。


(了)

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