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2016年8月29日 平成28年度 第5回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成28年8月29日(月)15:00~


○場所

経済産業省別館238各省庁共用会議室


○議事

○米倉化学物質情報管理官 本日は、大変お忙しい中御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第5回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会を開催いたします。委員の出席状況ですが、大前委員、田中委員、圓藤委員から御欠席との御連絡を頂いております。また、藤間委員から若干遅れるとの御連絡を頂いております。保利委員は少し遅れているようです。本日は参考人としてばく露実態調査を実施しております中央労働災害防止協会にも御出席を頂いております。以降の議事進行は菅野先生にお願いいたします。

○菅野座長 議事の前に、事務局から資料の確認をお願いします。

○米倉化学物質情報管理官 資料は、通しでページ番号を振っております。1ページが議事次第、2ページが配布資料一覧です。3ページからが、資料1の健康障害防止措置の検討シート(事務局案H28.8.29)です。23ページからが、資料2の関係事業者・団体への意見照会結果(三酸化二アンチモン)です。37ページからが、資料3の三酸化二アンチモンに係る措置検討等の経過です。39ページからが、参考資料1の化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会開催要綱です。41ページからが、参考資料2の健康障害防止対策の検討手順です。47ページからが、参考資料3NTPのテクニカルレポートのドラフト(抜粋)です。67ページからが、参考資料4の三酸化二アンチモンの製造工程に係る資料です。こちらは委員限りで非公開の資料です。以上です。

○菅野座長 議事の前ですが、参考資料3について事務局から説明をお願いします。

○米倉化学物質情報管理官 47ページからの参考資料3です。こちらは圓藤委員から情報提供がなされたものです。アメリカのNTPから三酸化二アンチモンについての報告書のドラフトが出されています。この内容ですけれども、動物による長期発がん性試験で陽性が出たという内容です。今回は、アブストラクトだけを添付しております。全文についてはネット上で閲覧できるようになっています。この資料については、事前に各委員にお送りいたしましたが、大前委員からコメントがありました。「3mg/m3 で発がんが陽性なので、0.5mg/m3 を採用は難しいと思います」ということです。以上です。

○菅野座長 本日の議題に入ります。三酸化二アンチモンに係る健康障害防止措置の検討については、昨年度から継続的に審議を行ってきました。前回の検討会までに関係事業者・団体のヒアリングを行いました。本日は、これまでのヒアリング結果等を踏まえつつ、必要な措置について、検討シートを用いて検討を行います。事務局から、検討シート等の説明をお願いします。

○米倉化学物質情報管理官 資料1の検討シートの説明の前に、少し補足説明させていただきます。前回の検討会において、三酸化二アンチモンの製造者へヒアリングを行いました。検討会後、三酸化二アンチモンの製造者から事務局に補足説明と、追加資料の提出がありましたので御説明いたします。

67ページからの参考資料4です。参考資料4については、特定企業のノウハウに係る情報ですので、非公開の情報とさせていただいております。事業場名を伏せていただくとともに、ノウハウに係ると思われる部分については、発言で類推されることのないように御留意をお願いいたします。

68ページは、A社から提出されている既存の資料です。(1)工程図です。一番左端の揮発炉の部分については特殊な作業ではないかということで、説明が今までもなされているところです。その下の、作業環境改善が困難な物理的な理由ということで、揮発炉について3点書いてあります。1点目は、揮発炉においては酸化・冷却用エアーの導入が必須であり、密閉構造にできない。2点目は、数時間に1回の焼結付着物除去のための手作業が必要であり、作業者のばく露が避けられない。3点目は、冷却用エアー量を大きくし漏煙を押さえた場合、要求する品質の製品が製造できなくなってしまう。

 これを補足する資料として70ページの図が新たに提出されております。どうしても作業をする際にばく露してしまうということで、作業者の位置と、炉の排出口、排気装置の関係図を描いてあります。

71ページは、実際に作業をしている写真です。下のほうの写真で発じんをしている状況が見受けられます。

72ページも、今回新しく提出された資料です。これまでも説明はされてきているわけですけれども、揮発製錬についての概念のペーパーです。色付きの所だけ読ませていただきます。蒸気圧が比較的大きいことを利用して、分離あるいは精製を行う製錬法を揮発製錬という。

73ページの色付きの部分です。酸化物の形でも揮発しやすいものがあり、例えば三酸化二アンチモン、亜ヒ酸、酸化セレン、酸化ゲルマニウム、酸化錫などがあげられる。その下には反応式が書いてあります。こういう酸化物については固体状のものがそのままガス状になるということです。右のページで、揮発製錬ではプロセスを効率良く進めるために、なるべく目的成分の蒸気圧が大きいことが望まれるが、以下の種々の例を見るように、反応によって目的成分を生成して揮発させる。

74ページは揮発のしやすさのデータとして、蒸気圧曲線が添付されております。グラフの右側のFeの鉄やCuの銅と比較して、一番左側の三酸化二アンチモンについては、低い温度で蒸気圧が高いという特性があるので、こういう性質のため、三酸化二アンチモンは揮発製錬をしています。

75ページは既存の資料ですけれどもB社の資料です。こちらも揮発炉については、他の作業と比べて少し特殊です。事前に口頭で説明がありましたけれども、揮発炉出口掃除とか、ノロ除去は、もともと発じんが多い作業で、局排を付けることについては製品品質への影響が出るということが改めて主張されております。局排の効率的な設置は、作業性の観点を考えるとなかなか困難であるということで、0.1mg/m3 以下の管理は難しいと主張されています。

 以上が、三酸化二アンチモン製造者から事務局への説明、それから追加資料の御説明でした。

3ページに戻ります。資料1の検討シートを引き続き説明させていただきます。物質名は三酸化二アンチモン、Cas番号1309-64-41のリスク評価の概要です。(1)物理化学的性質について、性状は固体で白色の結晶性粉末。融点は656℃、蒸気圧は574℃のとき130Paです。

(2)有害性評価の結果です。1次評価値については設定せず、2次評価値については0.1mg/m3 、こちらは日本産業衛生学会が勧告した許容濃度を採用しています。主要な毒性について、発がん性について、ヒトに対してはおそらく発がん性があるとしていますが、IARC2BACGIHA2という評価を根拠としています。皮膚感作性/呼吸器感作性については判断できない/報告なしとされております。反復投与毒性については、特定標的臓器・全身毒性についてはGHS区分1で、呼吸器とされているところです。NOAELについては0.51mg/m3 ということで、こちらは動物実験の数値のものです。

(3)ばく露評価結果です。有害物ばく露作業報告事業場数については360事業場から報告がありました。ばく露実態調査の結果ですけれども、12事業場について測定した結果、対象物の製造については、4事業場を測定して最大値が0.34mg/m3 。他の製剤の製造については7事業場を測定して、最大値が0.40mg/m3 。難燃剤、顔料としての使用については1事業場を測定して0.04mg/m3 でした。これらの測定結果を踏まえ、区間推定上側限界値については0.59mg/m3 とされました。

 高ばく露作業としては、他の製剤の製造で、対象物質の計量、投入と他の原料の計量、充填作業については個人ばく露測定が0.4mg/m3 、それからA測定が0.162 mg/m3 となりました。対象物質の製造については、揮発炉投入の所で個人ばく露測定で0.343 mg/m3 、スポット測定で0.076 mg/m3 という結果が出ました。対象物質の製造で、揮発炉発生粉体回収と、揮発炉メタル追投入については、個人ばく露が0.327 mg/m3 、スポット測定が2.540 mg/m3 。対象物質の製造で、調合、荷造り、清掃は個人ばく露測定が0.3 mg/m3 、スポット測定が0.578 mg/m3 ということで、高ばく露作業とされました。

 低ばく露作業としては、ペレット状の三酸化二アンチモンを投入したプラスチックの射出、成形について、個人ばく露測定が0.034 mg/m3 A測定値が0.00087 mg/m3 、スポット測定で0.009 mg/m3 という測定結果が出ています。

4ページで(4)リスク評価の結果です。こちらは個人ばく露濃度の分布です。2次評価値以下が79%で、2次評価値を超えたものが21%ありました。こういう結果から、他の製剤等の製造を目的とした原料としての使用とか、ばく露作業報告対象物質の製造、その他の作業については措置が必要であると、リスク評価で判断されました。

5ページからの、2のリスク作業の実態です。こちらは、業界団体からヒアリングをした結果を、そのまま記載しております。(1)主な業界団体の概要です。日本鉱業協会、日本難燃剤協会、化成品工業協会、日本ビニル工業会、日本ABS樹脂工業会、合成樹脂工業協会、エンプラ技術連合会、ポリカーボネート樹脂技術研究会、日本スチレン工業会、石油化学工業協会、日本化学繊維協会という業界で使用されています。

(2)作業の概要です。概要としては、三酸化二アンチモンの製造、解袋、計量、投入、混練・混合、製品の袋詰め、三酸化二アンチモンを含む樹脂の製造、押出作業、塗装作業、試験研究等で使われています。

(3)関係業界団体の健康障害防止に係る取組としては、GHS対応の共通SDS作成のガイドラインの作成。SDS等による安全衛生教育等の実施。防じんマスクの使用、局所排気装置等の措置を講ずるよう指導。厚生労働省が発出した行政指導通達について、会員会社に対して周知徹底。環境・安全委員会等を設置。保管に関して毒劇物管理台帳にて保管数量と使用数量を記録、保管数量把握を徹底しています。

(4)特殊な作業ということで、業界から言われているものについては、三酸化二アンチモンを含有する樹脂ペレットの製造作業。押し出し機を使用した三酸化二アンチモンを含有する樹脂製造作業は、当該物質の粉じんに接することがほとんどなくばく露は限定されている。

 三酸化二アンチモンを含有する樹脂ペレットの射出成型作業。三酸化二アンチモンを含有する樹脂ペレットを用いた一般の成形作業においては、ばく露は非常に低く、措置対象からは除外すべき。

三酸化二アンチモンを起源とする触媒残渣を含むペレットを用いた合繊の製造作業。合繊の製造は射出成形同様、樹脂ペレットを用いる場合の直接のばく露の可能性は極めて低く、措置対象から除外すべき。

7ページで、三酸化二アンチモンを起源とする触媒残渣をポリマー中に含むペレットの取扱い作業。樹脂ペレット状になった状態でのばく露リスクは非常に低く、措置対象から除外すべき。

 粉じんの発生しない二次製品の取り扱い。三酸化二アンチモンをスリラー化したもの、湿潤したもの、樹脂で固めたペレットのもの等で、粉じんの発生しない三酸化二アンチモンを含有するものを取り扱う作業については、ばく露するリスクが低いので、措置対象から除外すべき。

 三酸化二アンチモンを微量含有する製剤の投入・溶液調製。三酸化二アンチモンを微量含有する製剤を調製用の容器に投入し、製剤を含む溶液を調製する作業。作業時間は45分から1時間程度、頻度は年2回から3日に1回程度の間、1回当たりの取扱量は三酸化二アンチモンとして13kg程度。屋内作業、局所排気装置あり、防じんマスク着用で取り扱う。製剤に含まれる含有量は0.22%未満なので、仮に直接接触してもリスクは低い。

 配合・混合作業。三酸化二アンチモンをサービスタンクや混合機に補充・投入する作業は、1日当たりの作業時間は数十分程度であり、局所換気や防じんマスクの対応で充分と考える。1回の混合作業に付き、他の樹脂と合わせ、三酸化二アンチモン100kgを仕込む。混合時間は約20分、袋に付着した分は集じん機により吸い取り、空き袋はメーカーが引き取る。工場内で防じんマスク及びメガネを使用し、14回行う。作業者1名、1日当たりの取扱い量は50kg以下。1月あたりで最大5回程度。粉じんとしては重量が重く、発じんが少ない。通常の防じんマスクで対応できる。

 小分け計量作業。以下の作業についてはリスクが低いと考えられるので、作業環境測定と特殊検診は不要とすべき。作業の概要、製造設備に投入する単位毎に小分けする作業、作業頻度は月3回、取扱量は作業1回当たり100kg程度、作業環境は屋内、保護具は防じんマスク着用。

 ブレンド・造粒作業。PP10kgに対して、多くて500gの三酸化二アンチモンを使用する。1回の実験で上記内容の配合を10点で実施。1回のブレンドに要する時間は24時間。1回の造粒に要する時間は67時間。上記内容を月2回平均で実施する。各作業において、換気設備が充実しており、保護具の着用は徹底している。上記理由からリスクは少ないと思われる。

 計量・袋詰め作業。三酸化二アンチモンを含有するマスターバッチを取り扱う作業など、ばく露するリスクのない作業は健康障害防止措置の対象から除外すべき。取扱量は年間で1社当たり数十トンから数百トンレベル。

 コンパウンド全般。取扱量が少ない一方で、年々厳しくなる対策の負担が大きいので、緩和する策の提言に期待したい。

8ページで研究・分析業務です。研究開発や製品分析等では取扱頻度が少なく、取扱量も数グラム程度であり、ばく露リスクは低い。製造・取扱いと試験、分析用或いは研究機関での取扱いは少量かつばく露可能性が低く、局所集じんあるいは保護具も使用されていることからも適用を区別すべき。

 開発試作品の配合混練作業。取扱頻度と取扱量、顧客処方確立用の開発試作で年間数日、使用量は1年間で10kg程度。リスクの見積り、取扱頻度ならびに使用量が少なく、ばく露のリスクは低い。物性評価用試料の成形及び物性の評価、三酸化二アンチモンが配合されたペレットを成形して物性評価用試料を作り、恒温室内で物性試験を行う作業、何れも樹脂から三酸化二アンチモンが単離され得ず、ばく露は起こらない。

 溶媒への溶解作業。分析室内で三酸化二アンチモンを溶媒に溶解する作業で発散防止措置並びに保護具の使用等、ばく露低減策を講じた条件下での使用である。

 触媒としての取扱作業。触媒溶液の調製作業については、溶媒に三酸化二アンチモンを混合し、溶液を調製する作業。頻度は年1回程度、1回当たり10100g程度。屋内の局所排気装置付ドラフト内で作業をする。保護メガネ、防じんマスク及び保護手袋着用。

 触媒添加作業。三酸化二アンチモン溶液を反応器に添加する作業。月15回程度、1回当たり0.1g以下。屋内の局所排気装置付きドラフト内で作業する。保護メガネ着用。

 製剤充填監視。触媒として当該製剤に接近する作業。屋外でおおむね2年に1回程度で、数時間の作業であり、保護具を着用している。

 製剤点検。触媒として当該製剤の装置内状態を点検する作業。屋外でおおむね2年に1回の頻度で、短時間の作業で、保護具を着用している。1日当たり作業時間が数回にわたり、合計数十分程度であり、また取扱量も少なく、作業時は防じんマスク・保護メガネ・手袋を着用し、集じん機を設置しており、ばく露量は少ないと考えている。ばく露量の違いによる措置を考慮していただきたい。「コバルト及びその無機化合物」と同じように、触媒として取り扱う業務は適用除外とすべきとされているところです。

8ページの(5)の健康障害防止措置の導入にあたって考慮が必要な事項です。項目だけ御説明いたします。立入禁止措置、国際基準に即して労働者の健康を守る、作業環境許容濃度の見直し、閾値、適用の範囲並びに保護具による管理基準の緩和の措置、管理濃度、労働者の健康を守りながら国際競争力を維持する、臭素系難燃剤との併用、難燃性、樹脂物性の低下、導入に当たっての猶予期間の設定、衣類・保護具、床面の不浸透性、樹脂ペレット等の成形加工等の取扱作業、規制対象に対する考え、方針の明示、三酸化二アンチモンを起源とする触媒残渣をポリマー中に含むペレットの取扱い、三酸化二アンチモンの添加量の低い製剤の取扱作業、取扱作業によるリスク評価、三酸化二アンチモンの含有製品の風評被害、これらについて考慮してほしいということで、業界団体から意見が出されているところです。

 今までの内容を踏まえ、11ページからが、健康障害防止措置ということで、今回事務局から提案させていただくものです。対象物質と作業です。対象物質としては三酸化二アンチモン、作業としては製造・取扱作業。適用除外作業については、樹脂等で固形化されることにより、粉じんの発散するおそれがない三酸化二アンチモンを取り扱う作業については適用除外としてはどうかということで提案しております。

 その下が具体的な措置の一覧表です。こちらは基本的には特化則の管理第2類物質と同様の措置です。同じではない所もありますので御説明いたします。情報提供、労働衛生教育については既に法的な措置はされています。

 その次の発散抑制措置については、製造工程の密閉化は特定第2類物質だけが対象となっておりますので、今回は対象としていません。発散源を密閉する設備、局所排気装置の整備、プッシュプル型換気装置の整備、これのいずれかを設置するということで、これは製造、取扱いにかかわらずということですが、先ほどの説明の中でも、製造工程については少し考慮が必要ではないかということです。そこについては下から3つ目で、特殊な作業等の管理ということも考えられるのではないかということで提案しております。右側の摘要です。炉等に付着した物(鋳付き等)のかき落とし作業、炉からの湯出し(滓取りとかノロ除去等の作業)については、全体換気装置を整備した上で、呼吸用保護具を着用し、保護衣等を着用するようなことが考えられるのではないかということで書いています。基本的には上で書いた発散抑制措置ですけれども、炉等については少し違うやり方も考えられるのではないかということです。

上に戻って、発散抑制措置の関係については、計画の届出とか定期自主検査が必要であろうという提案をしております。

 漏えい防止措置については、今回は広範囲に影響を及ぼすようなものではありませんので、特定化学設備と同等な設備は必要ないのではないかということでチェックをしておりません。不浸透性の床の整備というところは提案しております。

 作業環境の改善では、休憩室の設置、洗浄設備の整備、設備の改善等の作業時の措置については、他の特化物と同じような扱いを提案しております。作業管理についても、基本的には他の管理第2類物質と同様な措置ということで、作業主任者の選任、掲示、作業記録の保存、立入禁止措置、飲食等の禁止、適切な容器等の使用、用後処理、今回は粉体の作業ですので除じん、ぼろ等の処理、有効な保護具の備え付けまでは、他の管理第2類物質と同様としております。次の清掃の実施です。これは特化物に全般的に係っているわけではありませんけれども、コバルト等の発じん性のある特定の物質については清掃の実施ということで、今まで措置をしておりますので、同様な措置が必要ではないかということで提案をしております。

 下から2つ目の作業環境の測定、その次の健康診断については、他の物質と同様に実施が必要ではないかということで提案しております。

 この措置を提案させていただく中で、12ページ以降で、技術的な課題についてどのように考えたのかということをまとめております。発散源・作業工程の密閉化について、2つ目の欄の三酸化二アンチモンを製造する揮発製錬においては、設備の完全密閉化は理論的・技術的に不可能で、かつ、人手に頼らない自動化設備の導入も理論的・技術的に不可能。多額の設備投資が行われたと仮定しても、理論的・技術的に不可能ということで、業界側から言われているところです。

 その点に対して措置導入の可能性ということで右側に、三酸化二アンチモンを製造にあたっては、炉等に付着した物(鋳付き等)のかき落とし作業、炉からの湯出し(滓取りとかノロ除去作業)は必要不可欠であり、手作業となるため、これらの作業に伴い発生する粉じんのばく露は避けられないことから、粉じんを減少させるための全体換気装置等を設置するとともに、呼吸用保護具を使用し、加えて二次発じん防止のため、ばく露した際に粉じんの付着しにくい作業衣の着用をすることなどの特殊な作業等の管理が必要であるのではないかということで提案しております。

 それ以外の発散源の密閉化の所については、基本的には袋に入っている三酸化二アンチモンを取り出す作業であり、そこについては粉体の投入において密閉化は不可能ではないが、局所排気装置の設置は可能というところで書かせていただいております。

 大きな2つ目の項目の局所排気・換気装置等については、いろいろ現状に応じて対応ができないとか、課題があるということです。これに対しては、右側に書いてあるように、作業状況に応じてフードの位置、形状、風量等を調整することにより、局所排気装置を用いて発散を抑制することは可能ではないかということで提案しております。

13ページの上から2つ目です。全体換気をしても効果が小さいのではないかという所です。こちらについては、局所排気装置を設置し、有効に稼働すれば全体に発散することはないことから、全体換気装置は必要ないのではないか。作業状況に応じてフードの位置、形状、風量等を調節することにより、現状の生産設備を大規模に変更することなく、局所排気装置を追加で設置することが可能ではないかとさせていただきました。

 上から5つ目、6つ目です。取扱い場所から投入場所まで、局所排気装置は大掛かりになるという所です。こちらは、投入部までは密閉化して運び、投入部において局所排気装置を使用するなど、対策を組み合わせれば、費用を抑えつつ、対応することが技術的に可能ではないかとしております。

 下から2つ目の、排気装置は他のブレンド作業でも使用するという所です。三酸化二アンチモンとその他のタルクを分離して発散抑制措置をとる必要はないため、局所排気装置で対応は可能ではないかとさせていただきました。

 呼吸用保護具については、技術的な問題はないということですので、防じんマスクを使用することができるのではないかとしております。

 そういう観点を考慮して14ページに、先ほど提案させていただいた措置内容を改めて書いたものです。15ページは、対策について幾つかのパターンを考えて一番有効なものを採るということですので、オプションとして123と挙げております。オプション1については、通常の管理第2類物質と同様な措置のみで対応した場合。

 オプション2については、オプション1に加えて、先ほどから説明しております製造炉の所については、2行目に書いてありますけれども、特殊な作業管理ということで、呼吸用保護具、全体換気装置、保護衣等で対応した場合で考えているものです。

 オプション3は、オプション2を法令で義務付けるのではなくて、行政指導でやる場合ということで比較したものがその下の表です。

オプション1の場合だと、丸1の健康障害防止の効率性については中程度であろうと。丸2技術的実現可能性は問題を認められない。丸3産業活動への影響は、作業主任者の選任、局所排気装置等の発散抑制措置、作業環境測定の実施、特殊健康診断の実施、清掃の実施等の義務付けに伴うコスト増が出るであろうということです。ただし、製造炉については品質への影響が懸念されるのではないかとしております。丸4措置の継続性の確保については義務化ですので、確保できるであろうとしております。

 オプション2は、特殊な作業管理をした場合です。丸1については効率性が高いとしております。丸3産業活動への影響ですが、一部の作業については特殊な作業管理を導入することで、オプション1のときよりも影響が低減されるのではないかということを記載しております。丸4は義務化により確保されるとしております。

 オプション3の、行政指導のみで行う場合については、丸1効率性が低い。丸3義務化しないわけですから影響は少ないであろうということで、自主的な改善は産業活動に影響を与えない範囲内に限定されるであろうとしております。丸4措置の継続性の確保については、指導が遵守されない可能性があるということで、経営トップの意向や景気動向に左右され、措置が確保されない可能性があるのではないかとしております。丸5遵守状況の把握等の容易性についても、多岐にわたる事業場を把握することは困難であろうとしております。

16ページは、先ほどいろいろ業界のほうからリスクが低いとされた作業がかなり多数挙げられましたけれども、事務局の中でまとめさせていただき書いたものです。三酸化二アンチモンを樹脂で固めたもの(ペレット等)の取扱作業です。こちらの作業の概要は、三酸化二アンチモンを樹脂で固めたもの等で、発じんしない三酸化二アンチモンを含有するものを取り扱う作業。こちらの右側で、三酸化二アンチモンを含有するペレットを用いてプラスチックを成形する作業においては、ばく露実態調査結果をみると、当該物質によるばく露は低いことから、必ずしも措置は要しないのではないかということで、減免ということで提案しております。

2つ目は、三酸化二アンチモンをスリラー化したもの、湿潤化したものを取り扱う作業です。三酸化二アンチモンをスリラー化したもの、湿潤化したものを取り扱う作業については、乾燥した場合に粉じんとして発散する可能性があることから、全ての措置を講ずることが必要であろうとしております。ただし、湿潤な状態を保つための設備を設置している場合については、密閉化、局排、プッシュプルの設置は必ずしも要しないのではないかとしております。

 触媒としての取扱作業についてですけれども、触媒溶液の調整作業、添加作業、製剤充填監視作業、製剤点検作業について、こちらは触媒としての使用と一概に言っても、使用方法によっては三酸化二アンチモンの含有量、使用量等が大きく異なっておりますので、触媒としての使用を区分として、措置の要否を判断することは適切ではないとしております。

 少量取扱い作業です。こちらについては健康障害防止のためには、当該物質又は当該物質一定量以上を含有する製剤を通常行っている作業で取り扱う場合については、取扱量の大小にかかわらず、ばく露防止措置等をとる必要があり、継続的に管理されていることを確認する必要があるから、全ての措置を講ずることが必要ということで、減免不可としております。17ページと18ページは飛ばします。

19ページの(1)措置の導入方針です。三酸化二アンチモン及び三酸化二アンチモンを含有する製剤その他のものを製造し、又は取り扱う作業については、リスク評価における有害性の評価及びばく露評価の結果を踏まえ、健康障害防止のため、特定化学物質障害予防規則の「管理第2類物質」と同様に、作業環境測定の実施、発散抑制措置、特殊健康診断の実施等を講ずることが必要である。ただし、三酸化二アンチモンの製造炉等に付着した物(鋳付き等)のかき落とし作業、炉からの湯出し(滓取りとかノロ除去等)は必要不可欠であり、手作業となるため、これらの作業に伴い発生する粉じんのばく露を避けられないことから、粉じんを減少させるための全体換気装置等を設置するとともに、呼吸用保護具を使用し、加えて二次発じん防止のため、ばく露した際に粉じんの付着しにくい作業衣の着用することなどの特殊な作業等の管理が必要である。

 さらに三酸化二アンチモンは、発じんすることから、作業場の床、窓枠、棚等は水洗、超高性能(HEPA)フィルター付きの真空掃除機等によって容易に掃除できる構造とし、粉じんの飛散しない方法によって、毎日1回以上掃除するなどの二次発じんを防止するための措置が必要である。また、三酸化二アンチモンは、ヒトに対して発がん性の可能性があることを勘案し、作業の記録の保存(30)等が必要となる特化則の特別管理物質と同様の措置を講ずることが必要であるということで提案しております。

(2)導入スケジュールです。自然体でいくと、このスケジュールであろうということで、必ずしもこのスケジュールで行うことを確定するようなものではありませんので御留意いただければと思います。説明が長くなりましたけれども、以上です。

○菅野座長 長時間にわたってありがとうございました。今までの御説明について、御質問、御意見はありますか。

○唐沢委員 72ページ以降で、揮発製錬の活字体の資料を御提出していただいているのですが、もし差し支えなければ出典は分かりますか。

○米倉化学物質情報管理官 今は分からないので、提出者に確認します。

○唐沢委員 これは公開物ですか、出版物ですか。

○米倉化学物質情報管理官 出版物です。

○唐沢委員 では、後で結構です。

○米倉化学物質情報管理官 はい。

○唐沢委員 12ページです。細かいことで恐縮ですが、(2)の技術的課題及び措置導入の可能性の所で、措置の一番上の発散源・作業工程等の密閉化と書いてあります。そこの措置導入の可能性の所に、粉体の投入において密閉化は不可能ではないが、局所排気装置の設置は可能と書いてあります。この表現、前段の密閉化は不可能ではないが、その次にすぐに局所排気装置の設置が可能というのだと少し論理が飛んでいるような感じなので。要するに、恐らく事務局がおっしゃりたいことは、「密閉化は不可能ではないが困難。」ということで、あとは文章を切って「局所排気装置の設置は可能」ということではないかと思いました。

 同じ表現が12ページで合計5か所あります。もし差し支えなければ、そのように直していただいたほうがベターかと思いました。

○菅野座長 それは筋として、それでよろしいですか。

○米倉化学物質情報管理官 はい。

○小野委員 11ページの上で、適用除外作業として樹脂等で固形化されることによりということで、ここではスラリーは入っていない形になりますか。

○米倉化学物質情報管理官 はい。

○小野委員 16ページの留意事項の2つ目です。三酸化二アンチモンをスラリー化して湿潤な状態に保っている場合は密閉化等を必要としないということで、対策は緩めるけれども、それ以外の記録の保存等は、そのままなので減免不可という理解でよろしいですか。

○米倉化学物質情報管理官 はい。

○小野委員 分かりました。

○米倉化学物質情報管理官 11ページの3つ目のまとまりの発散抑制措置の所は、湿潤な状態を保つことができるようにするということでよいとし、それ以外の所は全部かかっていくということです。

○名古屋委員 1点お聞きします。12ページの所の中の投入、混練作業は、68ページの所の工程でいうとどれに当たるのかよく分からないのです。要するに、粉体の投入、混練作業はどの工程の作業なのかよく分からないです。

○米倉化学物質情報管理官 12ページの粉体投入・混合作業は、製造ではありません。

○名古屋委員 要するに製品を袋詰めするときの作業ということですか。

○米倉化学物質情報管理官 三酸化二アンチモンを原料として使う場合に粉体を投入したり、樹脂に混合したりという作業です。

○名古屋委員 そこのところね。

○米倉化学物質情報管理官 説明不足ですみません。

○名古屋委員 違うよね。

○米倉化学物質情報管理官 これは製造と、原料としての使用を混ぜて書いているので、わかりにくくてすみません。

○名古屋委員 例えば、一般的にも混練するときにボールミルがあって上から原料をガイドラインを使って下にあるボールミル等に投入します。多分投入口から漏洩して出て来るから投入口に局排を使います。これは一般的に粉じんでやっていますから、それと同じですか。

○米倉化学物質情報管理官 はい。

○名古屋委員 そうするとマスクが要ると分かります。製造のどこでやるのか少しよく分からなかったのですが、分かりました。

 今の12ページの所の2番目も、粉じん則の別表の中で、多分、これからじん肺部会で議論するのだと思いますが、溶解している所のノロ取り作業は粉じん則の中の粉じん作業に入っていますが、別表2なのか別表3なのか決まっていないのです。多分、これから別表3になると思います。そうすると、これと同じ概念になるので、これは妥当ではないかと思います。対策はできないけれども、やはり、ばく露が高いですから別表3とかマスクで対応しましょうという形と合うので整合性は取れるのではないかと思います。

○小野委員 19ページの上の措置の導入方針の下から4行目の所で、窓枠とか床は水洗することができることということなのですが、三酸化二アンチモンは100mL1mgぐらい溶けるのですが、普通はそういう状態のものを水洗するという措置をとっているのかどうか。

 床を不浸透性のものにすることとしているのですが、それは水洗等を想定しているため、あとは粉じんがコンクリートの床とかに入ってしまわないようにということなのかと思います。水洗が、結局普通の掃除と同じで、粉じんを吹き飛ばしてしまう効果がないのかということが少し気になります。いかがですか。

○米倉化学物質情報管理官 ここの記載については、現行の特化則で、ほかの物質で適用しているものに倣って記載しており、三酸化二アンチモンについて確認しておりませんので確認が必要かと思います。ただ、少なくとも二次発じんの話はいろいろ出ておりましたので、そこについて清掃等の何かしらの措置は必要ではないかという意味です。

○名古屋委員 だよね、アスベストのときにも水洗がOKになっていて、湿潤もOKになっているのですが、高圧洗浄をすると逆に飛んでしまうので今やめましょうと議論しているので、そこと同じですね。要するに同じ水洗でもやり方によって飛散してしまう、ただ水洗だと怖いのできちんと書かれたほうがいいかと思います。

○米倉化学物質情報管理官 分かりました。

○菅野座長 そうすると、この水洗は除外する可能性がありますか。

○名古屋委員 やり方によって大丈夫じゃないかと。やり方によっては、湿式にすること自体は全然問題ないのです。ただ、高圧でやって飛沫にして飛ばしてしまい拡散してしまうのは良くないということです。

○菅野座長 後ろの「粉じんを飛散しない方法によって」という所で、場合によっては除外されると理解すればよろしいですか。

○名古屋委員 そうした理解だと思います。

○菅野座長 分かりました。

○保利委員 粉じんの飛散しない方法の例として。

○菅野座長 いえ、上に挙げたのが全部飛散しない方法かどうかは、対象物質によって違うのではないかと思います。小野委員、それでよろしいでしょうか。

○小野委員 はい。これは構造のことを言っているのであって、清掃の仕方を書いているわけではないのです。

○米倉化学物質情報管理官 そうですね。清掃の方法については、粉じんの飛散しない方法ということです。

○菅野座長 そうすると、理解としては、水洗若しくは真空掃除機によって容易に掃除できればよろしいということですね。

○名古屋委員 そこの前に粉じんの付着しにくい作業衣と書いてあります。リフラクトのときもそうだったのですが、現場ではヤッケを使っていて、要するに上がって来るときには全部OKですよ。でも、通達を出すときにヤッケという基準はどこにもないので、JISで持ってくるとタイベックしか駄目ですよという形の規制になっております。それと同じで、これは、そこを問われて通達を書くときに、どういうものということを書かなくてはいけなくなったら、またタイベックという話になるのですか。

○米倉化学物質情報管理官 いえ、そういうわけではなくて、粉じんの付着しにくいようなものであればと思っております。どのように表現するのかが。

○名古屋委員 リフラクトのときも全くそのとおりの話であって、現場ではヤッケを使っていて、そして当然一番取りやすいですから楽ですねと言って、きれいにして出ましょうという話になったのですが、いろいろなものが市販されているのでヤッケの基準はどこにもないですよと、通達に書けないねと、通達に書くとしたらJISで行われているタイベックを使いましょうと、そうなってしまいました。結局、ヤッケが使えずにタイベックを使いましょうとなってしまったわけです。

 ここのときに使いにくいものは何と聞かれたときに、きちんとJISを引用するか何かそういうことをしないと、これだけだと通達が書けないのではないかという気がするので。前にリフラクトでそういう経験があるので、ただ、書くのは簡単なのですが、では、どういうものと聞かれたとき、通達のときに根拠がないとまずいと思うので、少し表現を考えられたほうがいいと思います。

○平川化学物質評価室長補佐 リフラクトは、当時、保護着の考え方について通達で示しております。当時は日本工業規格のT8115に定められる規格に適合する、浮遊固体粉じん防護用密閉服であることという形ではなくて、含まれることという形に変えております。確かに現場の状況を踏まえて、これが使えないという現場は当時の状況により把握しておりましたので、この密閉服を使わなければいけないという形ではなくて、現場によって使えない場合については、それ以外のものも認めているという形で御理解していただければと思います。

○名古屋委員 分かりました。それと同じ形にしてもらえればいいです。ありがとうございました。すみません。

○藤間委員 破れやすいとかそういうことがありました。

○名古屋委員 ありましたね。少し私が誤解していたのかもしれません。

○藤間委員 スラリー化や湿潤化したものというところなのですが、これは多分、水等の媒体にスラリー化したものを考えているかと思います。例えば、グリースのようなものが出て来たとき、樹脂で固めたものなのか、スラリー化したものなのかと言えるのかどうなのか、もしかするとその辺りの間が、少し落ちるところが出てくる、そのような気がいたします。

 揮発しないような媒体、重揮発油のように極めて低いような媒体の場合のここでいう発散の可能性ということ、乾燥した場合がどうなるのかというところです。

○菅野座長 それは、流動化させるための液体の性質をどのように区別するのかということですか。

○藤間委員 そうです。それによって。多分、湿潤化というのかどうか分かりませんが、普通の媒体の中に入っているときは、それほど飛びにくいのではないかと思います。そういう状態でどのように取り扱うかというところだと思います。

○米倉化学物質情報管理官 三酸化二アンチモンについて、そういう使われ方をしている事例を何か御存じでしょうか。

○藤間委員 分かりませんが、もし、使いやすいようにハンドリングしている場合があるとすると、例えば、モノマーのような類いのものと混ぜているとか、具体的な話があるわけではありません。

○菅野座長 これについては、作業の開始から終了まで乾燥することがないということが保証される場合とすれば、媒質によらず乾燥して発じんすることはないかと思いますが、いかがでしょうか。

○米倉化学物質情報管理官 そこは本当にそうなっているのかどうかということが、なかなか確認しにくいというところがあるので、測定して確認したり、健診をして実際にばく露されていないのかという確認は必要なのではないかという提案です。

○菅野座長 そうすると、その区別は必要がなくて、作業環境測定によって保証するということですか。

○米倉化学物質情報管理官 保証するというか、発じんしていないことを通常管理して、確認していくということと考えております。

○保利委員 アンチモンではないのですが、ニッケル微粒子を含むスラリーを混練している作業で、粒子自体は湿潤化されているのだけれども実際測るとニッケルが高濃度で出てきていたという例があります。ちょっと見た感じではよく分からないのですが、パーティクルカウンターでもかなり出ていて、だからあり得ると思うのです。乾燥していなくても環境中に出てくることも。

○菅野座長 測定によって確認する必要があるという御意見でよろしいでしょうか。

○保利委員 それでいいと思います。どういう形で出るのか分からないのですが。

○小野委員 作業着とか、あとは染み込まないというか、そういうものを着るようにという指定はあるのですが、前回の議論で大分あった着脱をどこでするのか、脱いだ物をどのように扱うのかということについては普通書き込まれますか。ここは管理濃度がかなり低くなりそうなので、その辺についてはいかがですか。

○米倉化学物質情報管理官 ほかでどのようにしているのか確認いたします。やはり着脱のときも注意すべきところかと思いますので、そういうことも含めて措置をするように検討したいと思います。

○小野委員 細かくてすみません。お願いします。

○菅野座長 措置に含めるということでよろしいですか。

○米倉化学物質情報管理官 はい。

○奥村化学物質対策課長 事務局から念のための補足的な説明をしたいのですが、資料の70ページ、委員のみ配布の図です。ここが特殊な作業管理の現場になるわけですけれども、前回、22日に議論された換気につきまして、上方のフードの大きさについても議論になりました。この換気装置が全体換気装置ということで我々は御提案しています。前回、局所排気装置ではないかという議論もあったと思いますが、そうではなくて、これは全体換気装置としてみなされるという前提で、これを設置して更にマスクが必要ということを考えています。念のため。

○名古屋委員 ということは、細かい規定は何もないですよということで、いいのですね。要するに集じん機ではないので、開口面があるわけではないから、要するに熱上昇気流が上がって行って、それを持って行って、それをきちっと処理できるだけの吸引があればいいですよということですね。

○奥村化学物質対策課長 そうです。

○菅野座長 この場合、除外装置が付いているのですね。

○奥村化学物質対策課長 除じん装置。

○菅野座長 もちろん回収していますから、実際には問題ないですけど。

○奥村化学物質対策課長 それは、そうですね。

○名古屋委員 これが製品になるから。

○菅野座長 つまり、それが付いていないものは想定しなくて、よろしいということですね。

○奥村化学物質対策課長 確かに特化則の通常の規定に、全体換気装置の場合には除じん装置は条文上ないですね。そこは検討します。

○菅野座長 はい。

○奥村化学物質対策課長 環境に漏れて行かないような措置が必要ですので。

○名古屋委員 1点、今の所の中で、これはあくまでもまだ、今の段階では防じんマスクを考えていいのですね。要するに結構、ばく露濃度が高いと見ると、かき落としのときは結構高そうでなかったですか。そうすると防護係数から見てくると、かなり高いのを求められるから、現実ではあえて防じんマスクはいいですよという規定にしていて、それより上がったら自分の管理の中で電動ファンという形でいくということでいいのですね。

○奥村化学物質対策課長 今のところ、条文的にイメージしているものは、有効な呼吸用保護具という書き方を考えていました。

○菅野座長 つまりPAPRも含まれるということですね。

○奥村化学物質対策課長 そうです。

○名古屋委員 上のほうがないということなら、それでも。

○菅野座長 分かりました。

○名古屋委員 作業を見ても、ちょっと私は行きませんでしたけど、面体を付けていますから、多分。これ、そうですよね、面体を付けている。

○菅野座長 そうですね、はい。

○名古屋委員 だから、多分、大丈夫だと思います。

○菅野座長 さすがに使い捨てはない。11ページの防止措置のリストに付け加えるべきものがあるというお考えの方は、いらっしゃいますか。

○奥村化学物質対策課長 今、審議いただいた中での追加されていることを申し上げますと、上から作業環境管理の保護具の備付けの所で、恐らく石綿則を想定したような隔離した保管とか、除去した後でなければ持ち出してはならないという規定が必要ではないかという御意見を頂きました。あと全体換気の所で除じん装置というのが必要ではないか。今の特化則ではパッケージに入っていませんので、それが必要ではないかと頂きました。この2つは追加する方向で検討したいと思います。

 あと、スラリーとか樹脂で固めたというものでは、結局、発散しないようにということで、書きぶりで漏れないようにいたしますし、スラリー化していても発散するという御意見がありましたので、その辺は確認して対応しなければいけないと考えています。

○菅野座長 スラリーについては、対象から外すわけではなくて、局排等の対策が要らないかもしれないということなのですね。それで作業環境測定はするということで、よろしいでしょうか。

○米倉化学物質情報管理官 はい。発散抑制措置の所だけが湿潤化している場合については必要ないかもしれないけれども、それ以外の措置については基本的に全部やっていただくということです。

○菅野座長 そうしますと、最初に作業環境測定をして、それが基準をクリアしていなければ対策をすると、そういうことですね。

○米倉化学物質情報管理官 そうです。

○藤間委員 文言として、湿潤な状態に保つための設備を設置している場合、例えば湿潤化されたものがそこに持ち込まれているような、もう既にスラリーになっているものを持ち込むような場合には、ちょっとこれと当てはまらなくなってしまうのかなと。

○米倉化学物質情報管理官 湿潤化しているものが、例えば密閉化されて持ち込まれるとか、そういうことなのかなと思っているのです。

○藤間委員 そういう場合もあり得ますね。ただし、ここは装置を設置している場合には。

○米倉化学物質情報管理官 湿潤な状態が保たれているかどうかというのは、先ほども乾いたら発じんするということもありましたので、本当に湿潤な状態をずっと保てると。

○藤間委員 ずっと保つという意味ですね。

○米倉化学物質情報管理官 ということで、こういう表現にさせていただいているのです。

○唐沢委員 要するに設備でなくて措置なのでしょう。特別な設備があるわけではないけど、要するにウェットな状態に保つ措置がなされていればいいという意味ではないですか。

○藤間委員 ここでは、この書き方だと設備がないと駄目という。

○唐沢委員 この書き方はそうですね。措置にしてもいいような気がします。

○菅野座長 表現として、作業期間中、乾燥することがない作業というふうなので駄目なのでしょうか。

○米倉化学物質情報管理官 ここの設備という書き方については、粉じん則の発散抑制措置を引用している所で、それ以外で保つことができると表現するのを、どういうふうに表現すればいいのかなということで迷ったので、こういう書き方にしているのですけれども。措置という書き方でいけるかどうかというのは、他の並びとかも見て検討ということです。意図としては、ずっと湿潤な状態で保っていることができるために、どうすればいいかという話なのです。

○名古屋委員 粉じんと三酸化二アンチモンが同じかどうか分からないですよね。粉じんの場合、大体、10%くらいあるのですが、数値を書けないから湿潤化という形で表面付着性があると飛びませんよという形の中で、表現は湿潤化にしているのですが、では三酸化二アンチモンが、粉じんと同じように表面付着するだけで飛ばないかどうか分からないから、粉じんと同じような概念というのはちょっと辛いかもしれないと思います。スラリーと考えるとよく分かるのですが、湿潤化と考えると、ちょっと粉じんとは表現は違うよと思います。

○菅野座長 スラリーだったら懸濁物ですよね。

○名古屋委員 対策というと、みんなスラリーです。

○小野委員 スラリーだと布に塗布して、それを最終的に乾かすので、乾かす所が対策をしておかないと粉じんが出てくるよということだと思います。湿潤化して使うというのが、樹脂に入れるときに湿潤化。

○名古屋委員 しませんよね。

○小野委員 だから、スラリーを作るときの作業が湿潤化というふうに取れるかもしれないのですが、作業の内容によって乾くかどうかということがあるので、乾かないような状態というか、ケース・バイ・ケースですね。

○菅野座長 作業内容が具体的に分かりませんので、なかなか難しいですね。

○小野委員 一旦、測ってみて、それで対策を考えるというのが、一番いい方法かもしれないですね。

○名古屋委員 それがいいと思う。

○菅野座長 確認ですけど、表現については御検討いただくとして、まず作業環境を測定して対策が必要であるかないかを見ていただき、必要な場合はしていただくという理解で、この結論を理解してよろしいかと。それについて御異議がある方はいらっしゃいますかということを伺いたいのです。それはそれでよろしいですか。

○名古屋委員 16ページに書いてある触媒についての取扱いは、少量のときも同じ考えです。要するに測定してみなさい、そこで対策は特別にしませんよという形でしょう。そうすると湿潤化も触媒の取扱いも少量の取扱いについても、あくまで同じ羅列であって、ちゃんと測定してみなさいという形だから、少ないから除くという話ではないということで統一しています。それでいいですよね。

○菅野座長 触媒は除かれていないと思います。

○名古屋委員 除かれていないから、最初から同じ考え方で、要するにちゃんと測定しなさいというところだから、そこは同じ扱いだからいいのではないかと思いました。

○菅野座長 触媒は初めから措置をする必要があるのですよね。

○米倉化学物質情報管理官 一概に触媒と言っても、どういう状態で取り扱われているのか分からないので。

○菅野座長 そうでもないですか。

○名古屋委員 作業環境測定しなさいというわけでしょう、措置減免しないということは。

○米倉化学物質情報管理官 触媒として使っているから、良いとか悪いという区別はできないので、そういった判断は不適切だから別の観点で見ましょうということの内容です。

○保利委員 測定してもほとんど出なかった場合は、継続して測定をする必要があるかどうかですが。

○米倉化学物質情報管理官 基本的には、継続的に管理というのが必要になってくるので、それを確認しようと思ったら測定を定期的にやっていくということなのかなと。

○保利委員 リスク管理はしっかりやっていて、環境中にはほとんどでてこないと判断される場合でも測定が必要でしょうか。

○名古屋委員 そういうことですね。今の現状ではね。

○米倉化学物質情報管理官 必ずしもきちんと管理できるかどうかというのは、一番分かりやすいのは測定かなと。

○菅野座長 ほかには、いかがでしょうか。それでは、あらかた御意見は出たものと思われます。先ほど課長から既におまとめいただいたところですが、スラリーの取扱いとか防護服の取扱い、タイベックのみでは困るという、これはもともと限定はしていないというお話でした。作業場所の洗浄方法についても幾つか御意見が出ましたが、これは今後、正式な取りまとめのときに考慮して対応していただけるものと思います。措置として御提案いただいた11ページの事務局案は、これで承認されたと思いますが、いかがでしょうか。

 導入の基本方針というのが19ページにありますけれども、揮発炉周りの作業については特殊な作業なので、従来の特定化学物質の一般的な対策ではなく、先ほど課長から御説明がありましたように、全体換気というのは、この場合、筒の外側に付いている換気装置を指しているもので、これの設置等を義務付けるとか保護具を必ず着用する。繰り返しになりますが、作業場の床とか、その周りの性能として容易に掃除が可能なようにすることを対策として取るということで、御異議がなかったものと思います。ですから、そのようにしていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

○米倉化学物質情報管理官 すみません。1点だけ、適用除外作業について11ページの上のほうに書いています。

○菅野座長 確か、これは前回のときに、樹脂で固形化されたもの、あるいはペレットについては除外してよろしいのではないかという合意があったと思います。明示的に確認しませんでしたけれども、それでよろしいでしょうか。それでは、この「樹脂等で固形化されることにより、粉じんの発散するおそれがない三酸化二アンチモンを取り扱う作業」は除外するということで、よろしいかと思います。これから、今日のコメント等を入れた報告書、作成していただいたものは、確認の機会はありますか。

○米倉化学物質情報管理官 報告書は、このシートを基に報告書という形を取らせていただきたいと思っています。以前、報告書を作成したオルト-トルイジンのときのように、今日の議論も踏まえて修正した報告書の案を作成し、各委員にもう一度、メール等で確認させていただければと思っています。

○菅野座長 よろしくお願いします。それでは、今後の予定につきまして御説明をお願いします。

○米倉化学物質情報管理官 三酸化二アンチモンにつきましては、今日、御意見を大体集約できたかと思いますので、今日をもって終わらせていただきます。次回以降ですけれども、化学物質のリスク評価検討会から、健康障害防止措置を検討すべきとされる物質についての報告書が取りまとめられる予定ですので、その物質につきまして、今後、また検討をお願いできればと思っています。報告書が出されましたら日程調整させていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

○菅野座長 それでは、これで第5回化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会を閉会といたします。本日はありがとうございました。


(了)

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