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2016年12月8日 第121回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成28年12月8日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室(12階)


○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

○岩村部会長 おはようございます。ただいまから、 121 回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会を開催いたします。皆様お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の出欠状況ですが、阿部委員、深沢委員が御欠席でございます。また、本日は資料の関係で、能力開発局能力開発課松瀬就労支援企画官に御出席をいただいております。それでは早速、議事に入ることにいたします。お手元の議事次第にございますように、本日の議題は、雇用保険制度についてでございます。前回までの議論を踏まえて修正をしました報告書案を資料として事務局に御用意いただいております。そこでは、前回からの変更箇所については、参考資料で示されているところです。そこで、まず、事務局から参考資料に沿いまして説明いただき、その後、質疑を行いたいと思います。

○高橋雇用保険課調査官 それでは、資料の御説明をいたします。資料と参考資料がありまして、部会長からありましたとおり、参考資料のほうは、前回御議論を頂いた素案をもとに、頂いた御意見を踏まえ修正したものでございます。こちらのほうで御説明をさせていただきますので、参考資料を御覧ください。修正をした箇所について説明をさせていただきたいと思います。

1 ページ目を御覧ください。冒頭のタイトルの「素案」の所は、「素」を取って「案」としています。タイトルの「第 1 雇用保険制度の見直しの背景」の所に「等」を入れて「等の見直しの背景」としています。 2 つ目の○で、「雇用保険法等の一部を改正する法律案」ということで、「等」を入れています。 2 ページ目につきましては、特に修正点はございません。

 次に、 3 ページの (3) 給付日数についてという所です。給付日数についての最初の○の部分です。前回の部会におきまして、特定受給資格者以外について給付日数、給付制限について見直すべきとの意見があったことを明記すべきという御意見を頂いており、それを踏まえた修正です。「特定受給資格者の所定給付日数内での就職率をみると、被保険者であった期間が 1 年以上 5 年未満である 30 歳以上 35 歳未満、 35 歳以上 45 歳未満の層では、他の層と比べて低くなっている。そこで、特定受給資格者以外の給付 ( 所定給付日数、給付制限 ) についても見直すべきである旨の意見があったが、被保険者であった期間が 1 年以上 5 年未満である 30 歳以上 35 歳未満の特定受給資格者については 30 日、 35 歳以上 45 歳未満については 60 日、所定給付日数を拡充すべきである」としております。

 次の○の部分です。こちらにつきましては、前回の部会で、雇止めにより離職し、特定理由離職者として位置付けられた有期契約労働者については、暫定的に 5 年という措置をすることについて恒久化すべきという御意見を頂いたところですので、そこについて盛り込んだところです。「雇止めにより離職し、特定理由離職者として位置付けられた有期契約労働者は減少傾向にあるものの、一定程度存在していることを踏まえ、暫定的に 5 年間特定受給資格者として扱うこととすべきである。なお、労働者代表委員からは、暫定措置ではなく、恒久化すべきとの意見があった」としております。また、細かい点ですが、 3 ページの下から 3 行目に、「に」を入れて修正を加えています。

4 ページ目については、特に修正はございません。

5 ページ目です。 3 の「教育訓練給付について」です。 2 つ目の○の所です。この点につきましては、専門実践教育訓練給付につきまして受給者が少ない状況にあるということで、その対応としては周知を図るということも必要ではないかということで記載しています。「労働者の自己啓発を支援する仕組みとして教育訓練給付があるが、中長期的なキャリア形成を支援する専門実践教育訓練給付については、未だ受給者が少ない状況にある。このことから、利用が促進されるよう周知を図るとともに、専門実践教育訓練給付の給付率について、 40 %から 50 %に、上限額については 32 万円から 40 万円に引き上げ、集中的に支援すべきである」としております。

 続きまして、上から 4 つ目の○です。こちらにつきましては、前回の部会において、雇用保険制度の基本的な目的、優先度を記述している部分に関しまして、水準の観点についても明記をするべきではないかとの御意見がありましたので、それを踏まえた修正が上の部分です。この○の部分の下 3 行の所の修正につきましては、原案では、「しかしながら、こうした状況を考えれば、適切な時期に見直すことが適当である」ということでありましたが、ここの意味するところが分かりにくいという御指摘もありましたので、内容の明確化を図る修正を行っています。「なお、雇用保険制度は、失業に際して生活の安定を図りつつ、再就職に向けた支援を行うことを最も基本的な目的としているものであることに鑑みれば、基本手当等の求職者給付が本来の趣旨に沿って十分かつ確実に行われることが最優先であり、その枠組みの中で教育訓練給付等について考えられるべきである。したがって、現在、働き方改革を強力に進めていくとの政府方針や、良好な雇用失業情勢、安定した雇用保険財政といった環境の中で教育訓練給付の拡充を行うことが考え得る。その際、雇用保険制度本来の役割や、その置かれた状況に鑑み、教育訓練給付の実施状況について定期的に把握し、その状況に応じて適切な時期に見直すことが適当である」としております。

 続きまして、 6 ページです。最初の○の所、出産という言葉から始まる所です。ここにつきましては、原案では、「育児、出産」としておりましたが、「出産、育児」ということで修正を全体的にしています。前段の修正に関しまして、出産、育児と仕事の両立に関しまして離職しなくてよいようにすること、更には職場への早期復帰の支援が重要であるということについて、しっかりと明確に記載をすべきというような御意見を頂きましたので、それを踏まえた修正です。「出産、育児等と仕事の両立については、離職せずに継続して働くことができるようにすることが必要であるが、仕事を一時的に離れる方に対しては、できるだけ早期に職場復帰してキャリアアップを続けることができるようにすることが重要である。こうしたことを進めるため、これまでも取組は続けられてきたが、今後も一層取り組んでいくことが求められる。しかしながら、出産、育児等により、離職後すぐに教育訓練を受講することが難しい場合があり、離職後一旦は育児等のため就職活動を中断したものの、その後、再就職をしようとする場合には、より教育訓練が必要となる場合も多いと考えられることから、出産、育児等により、離職後 1 年間に教育訓練が受けられない場合に延長できる教育訓練給付が受給できる期間を離職後 10 年まで延長し、離職後、出産、育児等でブランクがあっても、能力を向上させ、再就職を実現できるようにすることも考えられる」としております。

 続きまして、 4 の「育児休業給付」についてです。これについては、前回お示しした案と同じにしています。昨日、均等分科会で、報告書案について議論が行われ、育児休業についても延長の期間としては、最長で 2 歳までと考えられるという内容のものが示され、大筋で了承されておりますが、最終的な報告書としての取りまとめについては、分科会長に一任することになったと承知しております。そのような状況ですので、ここでお示ししている案文は前回と同様のものとしておりまして、均等分科会の報告書が取りまとまりましたら、修正を行いたいと考えています。

5 の「財政運営について」です。 7 ページです。 (2) の国庫負担の部分でございます。こちらにつきましては、原案では、「水準を低下させることであっても、国の責任の観点から安易に考えてよいものではない」としておりましたが、それではトーンが弱いという御指摘を頂きましたので、それを踏まえた修正です。「雇用保険制度において、失業等給付に係る費用の一部を国庫により負担しているのは、雇用保険の保険事故である失業は、政府の経済対策・雇用対策とも関係が深く、政府もその責任を担うべきであるとの考えによるものであり、失業等給付に係る国庫負担の制度を全廃することは、国の雇用対策に係る責任放棄につながり、適当ではない。そして、全廃でなくても国庫負担について変更を加え、その低下につながるような場合も、国の責任の観点から合理的かつ十分な説明が求められることは当然である」としています。

8 ページを御覧ください。上から 3 つ目の○の所です。ここにつきましては、国庫負担について、平成 32 年度に本則に戻すというのが筋で、そういった点についても記載すべきであるという御意見を頂きましたので、それを踏まえた修正です。「これらを実施するとしても、国庫負担を速やかに本則に戻すべきであるという考え方が変わるものではない。労使双方からも、平成 32 年度からの国庫負担の本則復帰の実現について、改めて意見が示された。このことから、雇用保険法附則第 15 条を踏まえ、平成 32 年度以降、安定した財源を確保した上で、法附則第 13 条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止することを、改めて法律に規定すべきである」ということです。訂正点は以上です。

○岩村部会長 すみません。 1 点だけ確認ですが、今の 8 ページの所の修正点ですけれども、「このことから」と読まれたのですが、「これらのことから」ということでよろしいですか。

○高橋雇用保険課調査官 すみません。「これらのことから」です。

○岩村部会長 ありがとうございました。それでは、今事務局のほうから説明がありました、雇用保険部会報告 ( ) につきまして、御意見、あるいは御質問がありましたら、お出しいただきたいと思います。

○遠藤委員 今後、法案要綱の中で、明らかになってくるかと思うのですが、施行についてはどのようなイメージを持っていればよろしいのでしょうか。

○岩村部会長 雇用保険課長、お願いします。

○田中雇用保険課長 施行につきましてですが、給付日数等々については、今般の暫定措置が年度末までとなっていることを踏まえて、それを一旦廃止をした上で必要な所に手当てをするというような基本的な考え方ですので、そういうことからすれば、平成 29 年の 4 1 日から施行するというのが、整理としてはよいのではないかと考えております。

 一方で、賃金日額の部分につきましては、平成 23 年においても、 8 1 日から施行していますので、基本的には 23 年の改正に習うということが、議論、整理としては最もよいのではないかと思います。

 一方で、育児休業給付の部分につきましては、育児・介護休業法の施行と合わせるというような形になろうかと思いますので、そちらのほうの施行期日をどのように設定されるかということによってくるかと思います。

 それから、教育訓練給付につきましては、平成 28 年度末で切れます暫定措置とは直接は関係しないところですので、そのまま 29 年度中に施行の準備、教育訓練給付ですので、教育訓練の講座の設定とか、受講者への周知も必要になってくると考えておりますので、そういうことにつきましては、 29 年度中に一定の準備期間を置いてと考えています。

 保険料国庫負担につきましては、平成 29 年度分からということになりますので、そちらについては平成 29 年度の 4 1 日から施行ということを、基本的な考え方として整理をしたらよいのではないかと考えています。

○岩村部会長 いかがでしょうか。

○遠藤委員 ありがとうございました。ただ今御説明がありましたように、早期の施行が求められる政策がある一方で、議論の過程で疑問符がついた政策も含まれているかと思っております。私どもとしましては、施行状況については見守ってまいりたいと思っています。

○岩村部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○村上委員 部会報告の取りまとめということで、これまでの意見と重なる部分もあるかもしれませんが、労働側の意見を述べさせていただきます。今回、見直しの中で、特定受給資格者の所定給付日数を一部拡充することなど、雇用保険制度のセーフティーネットを拡大する内容については、私ども労働側としても評価をしているところであります。ただ、いくつか意見はございまして、 4 点ほど述べたいと思います。

 まず、 3 ページの (3) 1 つ目の○にありますように、前回申し上げましたけれども、特定受給資格者以外の、所定給付日数であるとか、給付制限期間についても見直すべきだと考えております。その点については、結論を得なくて、引き続きの検討事項になったと受け止めております。求職者の生活の安定と、良質な雇用への早期再就職に向けて、セーフティーネットを拡充することが必要であります。時限ではないという指摘もありましたけれども、労側としての基本的な主張は、 2000 年、 2003 年の改正以前の水準に戻すということです。

 同じく、その下の○ですが、雇い止めによる離職者への対応ですが、これについては暫定 5 年間とされておりまして、一方の教育訓練給付の拡充については恒久措置となっております。前回も議論があり、部会報告にもきちんと記載はしていただきましたけれども、雇用保険の本体給付と教育訓練給付とのバランスということを考えても、最も優先されるべき生活安定機能の充実に課題が残ったのではないかと考えています。有期契約労働ということを認めていくのであれば、そういった形態で働いている方のセーフティーネットを充実させていくべきと考えております。

 それから、 5 ページに教育訓練給付について記載がございます。教育訓練給付については、労使の保険料のみを財源にして拡充を図るということであり、良質な雇用への再就職に結びついているのかということのチェックが必要だと考えております。そのためにも、適切に状況を把握し、定期的に本部会にも御報告を頂きたいと考えております。部会報告には、状況に応じて適切な時期に見直すことが適当であるという内容の一文がございますが、この記載は、私ども労働側としては時限的な拡充であるということと同じ意味だと考えて受け止めております。

 それから、 4 点目ですが、 7 ページに国庫負担についても記載がございます。これも前回申し上げて、若干の文言を追加いただいたところでありますけれども、やはり政府の経済対策の閣議決定に端を発して、基本手当等に係る国庫負担を本則 25 %から 2.5 %まで引き下げるということです。 3 年間の時限的措置であるということを確約するものでなければ、やはり到底認められないと考えています。政府には是非、 4,000 万人以上いる雇用保険の被保険者に対する責任ということも御認識いただきたいと考えています。

 最後に、先ほど遠藤委員からもございましたけれども、今後、法案要綱にしていくということですので、それに関しましては、本部会の報告であるとか、議論の状況をきちんと正確に反映していただきたいと考えております。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

○青山委員 ありがとうございます。遠藤、村上両委員から御意見が出たとおり、今般の報告書案については、未だ議論中の事項も含んだものであると思います。一方で、この措置を施行した場合には、その成果を十分に検証していくべきだと思っておりますので、この点に関しては、厚生労働省によろしくお願いしたいと思っています。したがって、使用者側としては概ね、この案で良いと考えております。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

○橋本委員 教育訓練給付について、慎重に検討して今後の推移を見ていくべきでないかという御意見が大勢だったかと理解していますが、将来的には非常に重要な制度になるのではないかという観点から、少し意見を申し上げられればと思います。ドイツで今後の雇用政策のあり方を検討している「労働 4.0(Arbeiten4.0) 」という議論が進んでいまして、この 11 月末に、連邦労働社会省の白書が出されました。論点は多岐に渡るのですが、雇用保険については、「失業保険( Arbeitslosenversicherung 」から「労働保険 (Arbeitsversicherung) 」へというコンセプトの変更が必要だという提言がありまして、その中身は、失業時の所得補償はもちろん基本ですけれども失業予防の施策がますます重要であるということで、具体的には継続職業訓練を支援することの重要性が指摘されています。中身としては、継続職業訓練の機会に恵まれない低資格の労働者や、中小企業への支援を厚くすること、 2 番目に、国の助言機能を拡張すること、そして 3 番目に、継続職業訓練休暇を個人の請求権として創設するというような提言が出ています。日本の教育訓練給付は、休暇請求権ではありませんけれども、個人の権利としての給付ということで、ドイツにはない制度で、いち早く制度化されたものだという点で、国際的にも評価できる点もあると思います。これからも実際に、本当に良質な雇用につながっているのかという 村上委員がおっしゃった点について検討しなければならないかとは思いますけれども、この施策は重要なのではないかと思っております。以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでございますしょうか。よろしいでしょうか。それでは、この報告書案で、当部会としては取りまとめるというこことにしたいと思います。ただ、先ほど御説明がありましたように、報告書の中の 4 の「育児休業給付について」の書きぶりにつきましては、均等分科会における報告書が取りまとめられた際に、適切に修正したいと思っております。そこにつきましては、私に一任させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○岩村部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきまして、 12 13 日に開催される、職業安定分科会で報告をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○岩村部会長 それでは、事務局は、職業安定分科会への報告文案の配布をしていただきたいと思います。

                                 ( 報告文案配布 )

○岩村部会長 報告文案については、そこにあるとおりでございますが、これを職業安定分科会へ報告するということにいたしたいと思います、よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○岩村部会長 ありがとうございます。それでは、そのように取り計らうことにさせていただきたいと思います。ここで、生田局長より御発言があるということですので、よろしくお願いをいたします。

○生田職業安定局長 一言、お礼の御挨拶を申し上げます。委員の皆様には、 9 月以降、 7 回にわたりまして、雇用制度全般につきまして精力的に御審議をいただきました。ただいま、部会長からお話がありましたように、本日、部会報告として取りまとめていただきまして、委員の皆様には感謝申し上げます。事務局としましては、今後この報告を基に、法律案を作成しまして、来年の通常国会に提出していきたいと考えています。この法律案要綱につきましては、後日、当部会にお諮りをし、御審議を頂くというこことを考えていますので、よろしくお願いいたします。以上、簡単ではございますが、お礼の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○岩村部会長 以上で、本日予定していた議題は終了となります。本日の署名委員ですが、雇用主代表は柳沢委員、労働者代表は亀崎委員にそれぞれお願いをいたします。次回の日程ですが、年明けというこことでございまして 1 6 日となっています。場所等の詳細につきましては、事務局から改めて皆様に御連絡をいたしたいと思います。委員の皆様方、お忙しい中、今日はどうもありがとうございました。これで閉会とさせていただきます。年内はこれで最後だと思いますので、どうぞ皆様、よいお年をお迎えください。


(了)

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
TEL:03-5253-1111(内線:5763)

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