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2017年1月10日 平成28年度第2回管理濃度等検討会議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課環境改善室

○日時

平成29年1月10日(火) 13:24~15:28


○場所

経済産業省別館 各省庁共用104会議室


○議題

(1)平成28年度第1回管理濃度等検討会の検討結果について
(2)個別物質の管理濃度等の検討について
  ○三酸化二アンチモンに関する管理濃度、測定方法及び局所排気装置の性能要件について
  ○マンガン及びその化合物に関する管理濃度、測定方法及び局所排気装置の性能要件について
(3)その他

○議事

○奥野環境改善室長補佐 ただいまから、平成28年度第2回管理濃度等検討会を開催いたします。本日は大変お忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。本日は委員全員の御出席を頂いております。

 本日の議題と資料の確認を行います。座席配置図、次第の付いた資料。こちらの2番の議事にあるように、本日は(1)「平成28年度第1回検討会の検討結果について」と、(2)「個別物質の管理濃度等の検討」ということで「三酸化二アンチモン」と「マンガン及びその化合物」に関する管理濃度等を御検討いただくこととしており、(3)「その他」が本日の議事です。

 続いて、本日の配布資料の確認の前に訂正があります。この議事次第の3.配布資料の資料2-5-22行目の三酸化二アンチモン(P11)となっているものを(P27)に改めていただきますよう、お願いいたします。資料の確認です。分厚い資料ですが、次第の次の紙が資料2-1です。通しページが1となっており、1ページから最後まで通して入っていく形です。

2ページは、資料2-2「平成2829年度の管理濃度等の設定・見直しの検討について」、4ページは資料2-3「検討対象物質の概要」、5ページは資料2-4-16ページは資料2-4-211ページは資料2-5-1「リスク評価書(三酸化二アンチモン)」、27ページは資料2-5-2で三酸化二アンチモンの措置検討会の報告書、42ページは資料2-5-3「アンチモンおよびその化合物の測定手法検討結果報告書」、53ページは資料2-6「マンガン及びマンガン化合物の新たな測定法の検討結果報告書」、62ページは資料2-7-1「粒径に応じて有害性が異なる金属類の取扱いについて()」、63ページは資料2-7-2「マンガン及びその化合物の管理濃度を定めるに当たっての論点について()」、64ページは資料2-8「金属類に係る管理濃度・許容濃度等一覧」、67ページは参考資料2-1(1)本検討会の開催要綱、68ページは(2)本検討会の参集者名簿、69ページは参考資料2-2で現行の「管理濃度・抑制濃度等一覧」、ここまでは机上配布以外のものです。

 委員の皆様方には、もう1つ厚い資料で73ページの参考資料2-3(1)から始まる参考資料を配布しております。最後に当日配布資料ということで1枚付けております。資料の不足はございませんか。それでは以下の進行については、座長の櫻井先生にお願いいたします。

○櫻井座長 それでは、議事進行を務めます。よろしくお願いいたします。まず、議事の(1)「平成28年度第1回検討会の検討結果について」事務局から説明をお願いします。

○奥野環境改善室長補佐 資料2-1です。前回の管理濃度等検討会は、平成28830日に行われております。1、平成27年度第2回検討会での検討結果については、前々回の検討会の報告です。2、個別物質の管理濃度等の検討ということで、丸1「オルト-トルイジン」に関する管理濃度、測定方法及び局所排気装置の性能要件について御検討いただきました。検討結果として、(1)管理濃度は、日本産業衛生学会の許容濃度を踏まえ、1ppmとすることが適当とされました。(2)測定方法は、試料採取方法として固体捕集方法、分析方法としてガスクロマトグラフ分析方法とすることが適当とされております。(3)局所排気装置の性能要件・稼働要件は、抑制濃度により設定することとし、管理濃度と同じ1ppmが適当とされた。

 丸2「マンガン及びその化合物」に関する管理濃度、測定方法及び局所排気装置の性能要件についてです。ACGIHによりマンガン及びその化合物のばく露限界値が見直されたことから、管理濃度等について検討した。検討に先立ち、オブザーバーである労働者健康安全機構労働安全総合研究所の鷹屋主席研究員から説明が行われております。吸入性粒子とインハラブル粒子の扱いについて、マンガン以外の金属を含めて考え方を事務局で整理して、次回以降示すこととされております。以上です。

○櫻井座長 前回の検討の内容、検討結果について説明がありました。何か御意見、御質問はありますか。

(無し)

 

特にないようですので、先へ進みます。議題2として、(2)個別物質の管理濃度等の検討を行います。今回は「三酸化二アンチモン」と「マンガン及びその化合物」の検討を行います。まず、三酸化二アンチモンの検討から始めますので、事務局から、リスク評価検討会報告書、健康障害防止措置検討会報告書について、説明をお願いします。

○化学物質評価室平川室長補佐 11ページからの資料2-5-127ページからの資料2-5-2に沿って、リスク評価の結果並びに健康障害防止措置の検討結果について説明します。資料2-5-1は、一昨年の20158月にリスク評価書を取りまとめた内容です。資料2-3に具体的な用途等の情報がありますので、そちらの情報は後ほど説明していただきます。

 三酸化二アンチモンの有害性情報です。12ページの「2 有害性評価の結果」です。まず、(1)発がん性です。発がん性については、ヒトに対して恐らく発がん性があるとしております。根拠は、IARCは三酸化二アンチモンを「グループ2B」に分類しております。三酸化二アンチモンのヒトにおける発がん性の根拠は不十分であるが、動物における発がん性の証拠は三酸化二アンチモンでは十分である。ただし、ACGIHでは、アンチモン工程に従事する労働者の職業がん疫学調査報告を評価して、三酸化二アンチモンの発がん性をA2に分類しているので、「ヒトに対しておそらく発がん性がある」としたところです。

 閾値の有無については、毒性試験の結果を全体的に評価して、判断できないとしております。

(2)発がん性以外の有害性です。急性毒性はここに書かれているとおりです。健康影響は、ラットに三酸化二アンチモンを4時間吸入ばく露した試験で肺の軽度の限局性変色、白色巣が見られました。皮膚刺激性/腐食性はあり、目に対する重篤な損傷性又は目刺激性はあり、皮膚感作性は判断できない、呼吸器感作性は報告なし。反復投与毒性はNOAEL0.51mg/m3、これについては三酸化二アンチモンの動物実験の結果によるNOAELです。神経毒性は報告なし、生殖毒性は判断できない。遺伝毒性は判断できない、この遺伝毒性が判断できないというのは、先ほどの閾値の有無の判断の所の内容に沿って判断できないとしております。

(3)許容濃度等です。ACGIHでは、アンチモンとして1979年に0.5mg/m3です。根拠は、そちらに書かれているとおり、アンチモン及びその化合物のTWA0.5mg/m3は、上気道の刺激、腹痛及び食欲減退発現の可能性を最小限にする意図の設定です。さらに、ACGIHの発がん区分でいうと、1977年にA2の指摘がされております。根拠は、人の発がん性やその他の健康障害についての情報が不明確である英国及び米国のアンチモン製造工場の労働者の研究から得られたデータに基いて、三酸化二アンチモンの製造現場環境について数値的なTLVは勧告しない。また、アンチモンの製造工場の労働者におけるアンチモンへのばく露と肺がんに関する歴史的なデータに基づき、発がん性をA2に分類するというものです。

 次に、日本産業衛生学会です。先ほどのものは1970年代の勧告ですが、日本産業衛生学会では2013年の勧告において、0.1/m3ということで、スチビンを除くとなっております。勧告理由は、1991年の提案理由書からの変更です。当時の提案理由書においてはBriegerらの報告を引用し、硫化アンチモンに8か月から2年にわたってばく露された労働者125名の中から、6名の突然死と2名の慢性心疾患による死亡が見られ、心電図検査では75名中37名の異常が認められた。この工場ではフェノール樹脂に硫化アンチモンを混合してグラインダーの研磨盤を製造していたが、アンチモン導入以前にはこのような死亡例はなく、アンチモンの使用の中止後は突然死の症例は見られなくなった。しかし、数年後に心電図を再検査された56名中12名に異常が残存していたと。心臓毒性についてはBriegerらの報告を見る限り重要視すべきと考えられるとし、0.1mg/m3が提案されております。

 また、ろう付け棒製造工場でアンチモンの溶融作業に従事した労働者3名に皮膚炎が発症し、その作業場の空気中アンチモン濃度が8時間-時間荷重平均として0.39mgSb/m3と推定していることから、許容濃度はその値より低いことが望まれる。また、三酸化二アンチモンに職業ばく露した男性労働者のリンパ球における酸化的DNA損傷を検出する酵素処理コメットアッセイでは0.12μgSb/m3群で陽性を示したが、ばく露濃度は極めて低くほかの要因が考えられ、採用できない。雌雄のF344ラットを用いた三酸化二アンチモンの1年間吸入ばく露試験により、肺クリアランス機能低下が4.5mg/m3群で認められ、0.51mg/m3群で認められていない。

 以上を総合して、1991年に提案された許容濃度0.1mg/m3は妥当なものと考えられるということです。DFG MAKは設定なし、NIOSHTWA0.5mg/m3OSHAPELにおいてもTWA0.5mg/m3です。

 そういうことを加味して、リスク評価における評価値としては、一次評価値は評価値なし、二次評価値は、日本産業衛生学会が勧告した許容濃度0.1mg/m3としました。以上が有害性の評価です。

 次に、「3 ばく露実態評価」です。結果の表は14ページです。三酸化二アンチモンに係るばく露実態調査ですが、平成23年度に初期評価、平成24年度に詳細評価を行っております。右側の表はトータルの結果で、三酸化二アンチモンの最大ばく露濃度の推定です。使用データ数は39データ、個人ばく露実測データの最大値は0.40mg/m3、区間推定上側限界値は0.59mg/m3、これらの数値はいずれも二次評価値を上回っております。

 以上の結果から、トータルとしてのリスクの判定及び今後の対応です。平成24年度のばく露実態調査の結果、酸化炉、溶融炉の炉前作業、粉体作業を行う事業場において高いばく露が確認されたが、これは平成23年度における4事業場の調査において、粉体の取扱い及び揮発炉作業等のばく露が高かったことと同様の結果を示すものであった。このため、三酸化二アンチモンの製造、取扱い作業においては、リスクが高く、ばく露防止のための措置が必要と考えられるという結論をリスク評価で得たものです。具体的な数値データは後ろに付けております。

 引き続き、健康障害防止措置に係る検討です。27ページからの資料です。これについてはリスク評価が終わった平成27年度から検討して、報告書を発表したのが平成281018日です。リスク評価の内容の結論は28ページです。検討会の開催は平成27年度から行い、最終的に平成28829日まで検討し、各事業場、団体からヒアリング等、現地調査を行い検討結果を得たものです。

 「5 健康障害防止措置の検討結果」です。結論ですが、三酸化二アンチモン及び三酸化二アンチモンを含有する製剤その他の物を特定化学物質障害予防規則の「管理第2類物質」に指定し、事業者に対して、これらを製造し又は取り扱う作業については、発散抑制措置、作業環境測定の実施、特殊健康診断の実施等を義務付けることが必要であるとなっております。ただし、先ほどのリスク評価にもあるとおり、製造炉周りの作業については、大量にばく露している状況もありましたので、これらの取扱いについては、ただし書きで書いております。ただし、製造炉等に付着した物(鋳付き等)のかき落とし作業及び炉からの湯出し作業は必要不可欠であり手作業となるため、これらの作業に伴い発生する紛じんのばく露は避けられないことから、粉じんを減少させるための全体換気装置等(除じん装置を付設)を設置するとともに、呼吸用保護具を使用し、加えて、二次発じん防止のため、ばく露した際に粉じんの付着しにくい作業衣等を着用すること等の特殊な作業等の管理が必要であるとしております。

 これらの製造炉等に付着したかき落とし、湯出し作業は、今言ったとおり粉じんのばく露は避けられないことから、呼吸用保護具の使用ということで、別の法令で粉じん障害防止規則に、呼吸用保護具を使用する作業は、呼吸用保護具をしっかり使用し、その代わり作業環境測定を不要とするという規定ぶりもありますので、これと同様の規定ぶりとして、今言ったこの作業については、作業環境測定を要しない方向とする予定です。

 さらに、三酸化二アンチモンは発じんすることから、作業場の床、窓枠、棚等は水洗と超高性能フィルター付きの真空掃除機等によって容易に掃除できる構造とし、粉じんの飛散しない方法によって毎日1回以上掃除する等の二次発じんを防止するための措置が必要である。そのほか、二次発じんによるばく露防止のため、三酸化二アンチモンを製造・取り扱う作業において使用した器具、工具、呼吸用保護具、作業衣等について、付着した三酸化二アンチモンを除去した後でなければ作業場外に持ち出さないことが必要である。

 また、三酸化二アンチモンはヒトに対して発がん性の可能性があることを勘案し、三酸化二アンチモン及び三酸化二アンチモンを含有する製剤その他の物を特化則の特別管理物質に指定し、作業の記録の保存(30年間)等を義務付けることが必要である。

 なお、措置内容の検討過程において、樹脂等で固形化されることにより粉じんの発散する恐れがない三酸化二アンチモンを取り扱う作業においては、三酸化二アンチモンのばく露リスクが低いことが認められたため、措置の対象から除外しても差し支えない。また、三酸化二アンチモンをスラリー化や湿潤化したものは、乾燥した場合に粉じんとして発散する可能性があることから、基本的には全ての措置を講ずることが必要であるが、粉状のものを湿潤な状態で取り扱う場合は、密閉化、局所排気装置、プッシュプル型換気装置等の設置は必ずしも要しないという結論を得て、1018日に発表しました。

 これらの結論を得て、今回、措置検討会への報告となったところです。管理濃度の検討は、この検討会でしていただくものと予定しております。私からは以上です。

○櫻井座長 ただいまの説明について、御意見、御質問をお願いいたします。特段、今までの段階では御質問等はよろしいですか。

 それでは、今日の課題であるリスク評価等についての説明もありましたので、三酸化二アンチモンの管理濃度、測定方法、局所排気装置の性能要件の検討に移ります。何か疑問があって、今の御質問のほうに返るような御質問があれば、それも結構です。

○中明委員 14ページの三酸化二アンチモンに係るばく露実態調査という結果が出ていますよね。これについてはどうなのですか。どういう条件というか、一応、初期の評価で31人、詳細評価が9人という形になっていますが、具体的にどういう場所、場所はこれを読めば出ているのかな、添加剤か何か、樹脂か何かかもしれないのですが、その詳細が分かると、もう少し考えやすいのかと思いますが。

○化学物質評価室平川室長補佐 具体的な作業については説明を飛ばしてしまい、申し訳ございません。具体的な作業内容について、15ページに表と一覧表を付けております。ここの中で0.10mg/m3を超えているものは、横にした際の左上の表ですが、e1から右の作業が0.1という二次評価値を超えている状況です。粉体他物質袋詰、粉体投入、篩・袋詰、粉体、粉体移槽・酸化炉投入、粉体調合・清掃、酸化炉発生粉体回収、揮発炉投入、粉体計量・投入が二次評価値の0.1mg/m3を超えている作業です。具体的に超えていないものも含めての作業は、b2からh4までを表形式でまとめております。

○中明委員 作業者の数は、両方で40人分については出ているということですか。

○化学物質評価室平川室長補佐 はい。

○松村委員 13ページの日本産業衛生学会の説明で、アンチモン取扱い業者の主な症状が心臓だと書いてあります。そうすると、アンチモンを吸入して、呼吸器の範囲の障害ではなくて、それが一遍吸収されて体内を巡った結果、心臓に疾患が出たということだと思ってよろしいのでしょうか。

○化学物質評価室平川室長補佐 これは1991年の提案理由書がこのような根拠で0.1mg/m3とされているということです。そこ以降の追加のデータということで、F344ラットを用いた三酸化二アンチモンの1年間吸入ばく露試験等の試験を行い、その結果も踏まえると、1991年に提案された許容濃度の0.1mg/m3をそのまま変える必要がなく、妥当なものと考えられるという結論を得たものと理解しております。

○松村委員 分かりました。

○大前委員 今の心臓の話は13ページの左側に載っておりますが、これは物が硫化アンチモンなのです。産業衛生学会はアンチモンとしての提案なので、この心臓の話は硫化アンチモンの話で、肺の話は三酸化二アンチモンの話ということなので、物は違うのですが、学会としてはアンチモンとして出していますので、こういう形になっています。

○櫻井座長 やはり心臓に対する毒性を重要視しているわけです。それは、今、松村委員がおっしゃったように、一旦、吸収されて。

○大前委員 そうですね。

○櫻井座長 吸収されて血流を介してということだと思います。

○大前委員 追加です。ここにある資料は、いずれも結構古いのです。比較的新しい情報がないので、これでやらざるを得なかったというところがあります。最近はヒトのデータがほとんど出てこないので。

○中明委員 動物実験などで心臓にたまったものはどれぐらいか測ったデータはないのですか。

○大前委員 そういうデータはなかったです。動物実験は、三酸化二アンチモンでやったデータはあったと思いますが、硫化アンチモンのデータは記憶にありません。

○明星委員 余り水溶性ではないのですよね。

○櫻井座長 硫化物は一般に水溶性は低いですよね。でも、濃度によっては。

○化学物質評価室平川室長補佐 11ページで、水溶性のデータはリスク評価書では30℃で100mL当たりで0.0014gとなっております。

○櫻井座長 水溶性は、どこにありますか。

○化学物質評価室平川室長補佐 11ページの1(2)物理的化学的性状の。

○櫻井座長 物理的化学的性状ですね。

○化学物質評価室平川室長補佐 はい。表の下から2番目の列にあります。

○櫻井座長 これは三酸化二アンチモンですよね。

○化学物質評価室平川室長補佐 そうです。

○櫻井座長 今の心臓のほうは硫化アンチモンなので、これと同じではないと思います。

○化学物質評価室平川室長補佐 そうですね、すみませんでした。

○松村委員 アンチモンは周期表でいうとヒ素の下にあり、ヒ素と同列なので非常に複雑な原子価の変化をすると思いますが。

○櫻井座長 ほかのデータで、肺に蓄積した場合に生物学的半減期は400日というようなデータもありますので、やはり水溶性、それ自体は、肺の組織液に対する溶解性も低いと考えていいのではないでしょうか。ですが、尿中にも排泄されますから、ある程度は吸収されて尿へ出ている。

○中明委員 ばく露の結果のデータは、どこが測定したのですか。どこに依頼したのですか。

○化学物質評価室平川室長補佐 具体的には、中央労働災害防止協会に厚生労働省の委託事業としてお願いしておりました。

○大前委員 今の肺の話で、22ページの反復ばく露毒性のエの所ですが、これは三酸化二アンチモンの製造工場で、アンチモン粗鉱と三酸化二アンチモンの粉じんですから、アンチモン粗鉱のほうも入っているのですが、これで肺に、じん肺なり、あるいは小さい不透明な斑点ということがありますので、これは、濃度が0.081138mgSb/m3と非常に幅が広いので、これからは判断しようがありません。恐らく、量が多くなれば、このようなことも起きているのだろうなということになります。

○櫻井座長 ほかに何かございますか。

(無し)

 

それでは先へ進んで、三酸化二アンチモンの管理濃度、測定方法及び局所排気装置の性能要件についての検討です。事務局は、資料2-2からの説明をお願いします。

○奥野環境改善室長補佐 資料2-2です。前回の検討会でもほぼ同じような資料を付けまして説明いたしましたので、簡単に申し上げます。

2「管理濃度の設定」です。労働安全衛生法で作業環境測定の結果を作業環境評価基準に基づいて評価することを義務付けており、その作業環境評価基準において物質ごとに管理濃度を定めているところです。

3「管理濃度等の設定・見直し」です。これまで管理濃度検討会では、今から申し上げる方法で行っております。管理濃度は次のローマ数字1、ローマ数字2の値を指針として、管理濃度等検討会における専門家による検討を踏まえて設定するとされており、ローマ数字1が日本産業衛生学会が勧告している許容濃度、ローマ数字2が米国産業衛生専門家会議(ACGIH)が提言しているばく露限界です。

 その次にただし書きがありまして、ローマ数字1とローマ数字2以外の職業ばく露限度であって、設定プロセスが明確であり、かつ科学的根拠により提案がなされているものが存在し、これを活用することが適当な場合には、ローマ数字1とローマ数字2に加え、その値も参考として設定することができることとされています。

4ページ、資料2-3「検討対象物質の概要」のうち、三酸化二アンチモンに関するものを説明いたします。三酸化二アンチモンの主な用途は、各種樹脂、ビニル電線、帆布、繊維など、こちらに書かれているものが用途です。また、生産・輸入量についても、その隣に示しているところです。管理濃度は現行では未設定で、日本産業衛生学会、ACGIH等のばく露限界ということで、産業衛生学会では0.1mg/m3(アンチモンとして)とされています。ACGIHでは、0.5mg/m3(アンチモンとして)となっております。その他の所には、各機関の発がん性の分類を示しているところです。

5ページ、資料2-4-1で、事務局の案を示しています。物質名「三酸化二アンチモン」の箇所です。管理濃度として、0.1mg/m3又は0.5mg/m3、いずれもアンチモンとしてということですが、0.1mg/m3は日本産業衛生学会の許容濃度、0.5mg/m3ACGIHのばく露限界値にそれぞれ対応するものです。

 測定方法の案です。試料採取方法として、ろ過捕集方法、分析方法として3つ挙げており、原子吸光分析方法(黒鉛炉法)、誘道結合プラズマ質量分析方法、誘導結合プラズマ発光分光分析方法としています。

 また、局所排気装置の性能要件・稼働要件の案です。抑制濃度による(管理濃度と同じ値)としています。参考で、作業環境測定士の資格区分としては第4号金属類となると考えております。

 今、申し上げた内容が事務局からの提案ですが、この提案の根拠を説明いたします。6ページ、資料4-2-2です。「管理濃度を検討するに際してのポイント」ということで、三酸化二アンチモンについて、(1)日本産業衛生学会、0.1mg/m3、アンチモンとしてという所で示しています。これは、先ほど評価室の平川から説明させていただいた内容と重複していますので、根拠としては産業衛生学会はこのように示しているということになります。また、6ページの下のほうに(2)ACGIHがありますが、TLV-TWA 0.5mg/m3、アンチモンとしてということになっており、こちらもこの根拠としては、リスク評価書から引用してきたものです。

42ページ、資料2-5-3を御覧ください。「アンチモン及びその化合物の測定手法検討結果報告書」ということで、平成233月にまとめられたものです。この資料の51ページに「アンチモン及びその化合物標準測定分析法」がありますので御覧ください。こちらの表の左の上に「サンプリング」とありまして、サンプラーとしては、メンブランフィルターを使っています。また、その右のほうですが、「分析」の中に「分析方法」とあって、ICP発光法、ICP質量分析法、黒鉛炉原子吸光法ということで記載されています。定量下限については、左側のサンプリングの下のほうに「精度」とありますが、事務局から管理濃度として0.1mg/m30.5mg/m3とお示ししていますが、そのうちの低いほうの0.1mg/m3と比べて、十分に低い、10分の1となると、0.01mg/m3となりますが、この0.01mg10μgとなっていますので、10μg/m3まで、いずれの方法でも測定ができている、定量下限として確保できていることが分かります。

5ページ、資料2-4-1を改めて御覧ください。先ほどの管理濃度と測定方法ということで資料の説明をさせていただいておりますが、当日配布資料ということで、一番最後に1枚の紙を付けていますが、こちらを御覧ください。参照条文として、作業環境測定基準の第10条を引用しております。こちらの下から4行目です。

 「濃度の測定は、別表第一の上欄に掲げる物の種類に応じて、それぞれ同表の中欄に掲げる試料採取方法又はこれと同等以上の性能を有する試料採取方法及び同表の下欄に掲げる分析方法又はこれと同等以上の性能を有する分析方法によらなければならない。」としており、別表第一は何十物質も出ているので、そのうち五酸化バナジウムだけを示していますが、例えば五酸化バナジウムですと、試料採取方法はろ過捕集方法、分析方法は吸光光度分析方法又は原子吸光分析方法ということで、作業環境測定基準には掲載されているところです。

 作業環境測定基準の第10条の下から2行目にあるように、「これと同等以上の性能を有する分析方法」も認められており、これを具体的に示しているのが、その下のもう1つ○(丸)の付いたもので、「作業環境評価基準の一部を改正する件等の施行等について」という平成21331日付けの通達となっています。この中で下線部に示していますが、「誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)及び誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を用いる分析方法」ということで、これを同等以上の性能を有する分析方法として示しているところです。

 このように、分析方法の中で告示に示しているもの、通達に示しているものとなっていますが、資料2-4-1に測定方法として3つ挙げていますが、これは3つを示すとした場合ですが、告示に示すところがろ過捕集方法と原子吸光分析方法ということで、それ以外の誘導結合プラズマ質量分析方法と誘導結合プラズマ発光分光分析方法については、引き続き通達の中で同等以上ということでお示しする形になろうかと考えています。

 また、原子吸光分析方法(黒鉛炉法)ということで、資料2-4-1には挙げておりますが、告示の中で示すところは原子吸光分析方法までということで、黒鉛炉法については通達などで示すことになると考えています。以上で事務局からの説明を終わります。

○櫻井座長 協議に入ります。管理濃度0.5mg/m3にするか0.1mg/m3にするか、その2つの案が出ています。どちらを選ぶかという形で提案されています。管理濃度を決定していただけば、測定方法については、今の説明から考えて特段の問題はなさそうですから、それはその後で確認します。

○名古屋委員 濃度は従来どおりでいくと、当然リスク評価の2次評価値が0.1mg/m3を使っているので、管理濃度についても0.1を使うのが妥当だと思います。0.5 mg/m3を使うとリスク評価自体が崩れてしまって、リスク評価で測定したばく露濃度がみんな二次評価値より低くなってしまいますので、0.1 mg/m3を使うのが今までどおりだと思いますし、根拠もしっかりしていますので、0.1 mg/m3を使うのが妥当と思います。

○櫻井座長 ほかに御意見はございますか。

○中明委員 管理濃度自体は産衛とACGIHと、最近はヨーロッパの関係のも見て、少なくとも数値の低いほうを使うというのがあったと思うので、そうすれば0.1 mg/m3のほうがいいと思います。

○櫻井座長 よろしいですか。

○管野委員 確か、動物実験で0.5幾つというのがあったと思いますので、それとすごく近接している0.5 mg/m3というのはまずいのではないかと思います。

○櫻井座長 全員が0.1という御意見ですので、管理濃度は0.1mg/m3を採用するという結論にさせていただきます。それから、測定方法について。

○小西委員 分析法で検討されたデータが、メンブランフィルターと書いてあるのですが、これはAAWPを使われているということは、セルロースエステルのメンブランフィルターですよね。メンブランフィルターだけだといろいろなメンブランフィルターがあるのですが、ほかのメンブランフィルターでも大丈夫かということですね。今回のデータは特定のメーカーですが、このメンブランフィルターもいろいろな種類があるので、できればほかの種類でも大丈夫かという確認は取っておかれたほうがいいのかなという気がしますが。

○櫻井座長 51ページの「まとめ」ですね。

○小西委員 ええ。44ページの所にも、日本ミリポア製のAAWPと書いているので。

○櫻井座長 AAWP

○小西委員 ええ。AAWPというのは、基本はセルロースエステルのメンブランだと思うのですが。

○櫻井座長 なるほど。

○小西委員 そこの確認を取っていただいたほうがいいかなと思います。

○櫻井座長 確認いたします。

○小西委員 書くのであれば、セルロースエステルでなければいけないのであれば、そのように書いておけば、メーカーを問わず、セルロースエステルのメンブランフィルターを使うことになると思うので、そのように書かれたほうがいいのかもしれません。別のメンブランでもいいのかどうかという問題が出てくるのではないかと思いますので。

○木口環境改善室長 確認の上で。

○櫻井座長 44ページの書きぶりと、51ページの表の所ですね。そこを検討して御確認ください。

○名古屋委員 リスク評価対象物質の分析に関しては、測定検討会が中災防にあります。そこの検討会でCASナンバーから分析法を持ってきて、その分析が日本でも使用可能な分析法かどうかを検討していて、そのときにメンブランになったので、測定検討会に聞かれると、ほかのメンブランも検討しているかどうかは分かると思います。

○木口環境改善室長 既に検討されていると。

○名古屋委員 そこで検討された分析法がリスク評価のばく露濃度測定に用いられるので、そこで決まって無いとここには出てこないと思います。菅野委員が測定検討会に出ていますよね。

○菅野委員 ほかの種類のメンブランフィルターをチェックしているということはなくて、このメンブランフィルターでしたらうまくいくということだったような気がするのですが、御確認いただければと思います。

○木口環境改善室長 分かりました。

○小西委員 ただ、これだと材質としてセルロースエステルを指定していることになるので、そしたらそのように書かれたほうがいいのかなと。確認だけしていただければと思います。

○名古屋委員 三酸化二アンチモンチモンについては粒径の定義がなくて、従来どおり測定ときの吸引量は10Lでも20Lでも、30Lの間ならどこでもいいという形の測定になるのですか。この後、測定対象の粒径が出てきた場合はいいのですが、今回のように粒径の定義がない物質が出てきたときに、要するに従来どおりに測定士に10Lから30Lの間で、どうぞお引きくださいという形になるのですか。三酸化二アンチモンも従来と同様の形になるのですか。

○櫻井座長 当面ということでしょうか。

○菅野委員 これも検討したときに、レスピラブルとかそういうことは想定。つまり流量を指定していませんので、そういうことは考えていなくて、従来の総粉じんということで検討していると思います。

○名古屋委員 多分、最低で引くときは10Lだから、10Lで引いたときに定量下限がどうかというだけだと思うのです。30Lは3倍取れるからいいと思うのですけれども。

○菅野委員 定量下限は問題ないと思いますが、実際には10Lですかね。10分間です。

○櫻井座長 でも、定量下限は問題ないのですよね。

○名古屋委員 測定士の皆さんは、10Lと30Lの間で引いていますから、そうすると10Lで引いたときに最低限の流量ですから、それで吸引しても定量下限を満足しますので大丈夫ですよというから、大丈夫なのだけれども、では粒径の定義がない物質がこれから出ていた場合、何Lで引くかというのは今までに何も決めていないので、この先ずっと従来と同じように流れていってしまうので、せっかく新しく粒径の定義がない三酸化二アンチモンが測定対象になるので、新たに検討せずそのままで良いのですかとお聞きしただけです。

 これからはインハラブルとかいろいろ物質が出てきて、粒径の規定がうるさくなってきているにもかかわらず、せっかく新しく出るものに対して何もなくて、従来どおりでいくのかなという、そこを聞きたかっただけです。

○小西委員 10Lで引いたときと30Lで引いたときに違いがあるかどうかなのです。

○名古屋委員 多分違うはずなのですよね。

○小西委員 今までだと名古屋委員が言われたように、面速で規定してきていないので、10Lが一番適当なのであれば10Lにしなければいけないと思いますし、従来の方法ではサンプリングの流速に幅があるのです。

○名古屋委員 多分、作業環境の濃度が低いときは30Lで引きましょうと、作業環境の濃度が高いときは10Lという選び方を作業測定士はしているのだと思うのですが、ではどうなのだろうかと。

 リスク評価するときに、10Lと30Lで濃度が違うにもかかわらず、どうなのでしょうかというところの検討が何もされずに今まできているので、またこれから、従来どおりにいってしまうのですかと。

○櫻井座長 当然の問題提起だと思います。30Lの場合と10Lの場合だと、面速が速ければ、30のほうがそれだけ大きな粒子を取り込めますよね。インハラブルはどちらが近いですか。

○名古屋委員 一例ですがニッケルのときですと、20Lがちょうど真ん中でよかったのです。

○櫻井座長 20Lがちょうどインハラブルに相当するのですね。

○名古屋委員 ただ、それはヒュームだとかほかのものではなくて、粉状のものについてのデータですから、ほかのところは実験等の検討を行っていないので何とも言えませんが、20Lぐらいがちょうどだと。

○櫻井座長 比重などが変わってくるわけですね。

○名古屋委員 変わってきます。

○櫻井座長 ニッケルだと、20Lで引くとちょうどインハラブルと同じだと。そうだとすると、10Lだったらそれより低い濃度になるわけですね。

○名古屋委員 はい。

○櫻井座長 トータルと言っているけれども、決してトータルではなくて、実際は全部セレクティブですよね。

○菅野委員 レスピラブルは規定して測定することができると思うのですが、インハラブルは現時点で、この方法で採取すれば必ずできるという方法はないと思うのです。

 ですので、これを検討したのは平成22年ですが、その当時にはそのことを考慮しないでやっていたわけですが、現在でもインハラブルを正確に測定しろという要請には応え兼ねるところがあるのではないかと思われます。

○櫻井座長 IOMサンプラーは比較的standardizeされていると言われていますが。

○菅野委員 明星委員にお尋ねいただいたほうがいいと思うのですが、今のところは、あれで採取したらインハラブルということにしましょうという感じではないかと。

○櫻井座長 そう決めたら、それはそれで使える。

○小西委員 どこかで一旦決めなければどうすることもできないわけですよね、これをこうしますと決めないと難しいですよね。だから、IOMのサンプラーを使うということではなくて、前も議論していた、例えば何リッター、面速を何センチと決めてあげるということでしょうね。

○名古屋委員 粉状ニッケルのときはインハラブルになったので、どうしましょうかというので委託を受けて、IOMと面速を変えていって、面速を19m/s にするとIOM11になるから、面速を19m/s にしましょうという形で、そこはなっているのですが、それも粉状の話であって、ほかの金属ヒュームみたいに粒径が小さいときにそれでいいかはやっていないので分かりませんが、何かあったほうがいいのかなと。

○明星委員 少し前のことなので忘れているところもあるのですが、インハラブルを決めるときはそれなりに大きな粒子を使って、風洞の中でセットして、実験をして、一応インハラブルな曲線を決めたという、いろいろな条件があって、風があるとかないとか、そういった部分もありますので、こうして決めたとは聞いてはいるのですが、実際にやるとなかなか合わないです。

○櫻井座長 同じ面速でも、実際に粒子が動いている場合と動いていない場合で違いますからね。

○明星委員 あと発じん源からどれぐらい離れているとかですね。ここ(肩口を指して)に付けていれば、呼吸域をカバーしているので付けた人が浴びるものであろうとは思いますが、あちらのほうで出ていて、この辺で付けて、果たして大丈夫かと言われると、風は吹いていないしということも。

○名古屋委員 粒径が大きいから落下が早いから、作業環境でのばく露と随分違いますよね。

○櫻井座長 違いますね。ちょっと離れると、それはまた。

○名古屋委員 逆にチャンバーでインハラブル粒子に対応するものを均一に飛散させるほうが実験ではすごく難しかったものですから。

○明星委員 不安定ですし、実験としては難しいと思います。10μを超える粒子というのはみるみる落ちていくものですから、なかなか安定した結果を得るというのは難しいです。

○櫻井座長 もともと、こういう生体影響との関連を見ているとき、そういう基礎になるデータそれ自体が、どのような測定をしているか、サンプリングをしているかで全然違いますから。

○中明委員 余り記載はないですよね。

○櫻井座長 そこまで細かく書いていませんよね。だから、そこは本当に誤差の範囲内というか、1オーダーぐらい違ってしまってもおかしくないのですよね。

○明星委員 ただ一方で、鼻のがんといったときには、ああいう大きな粒子も大事かなと思うのですが、作業環境測定のA測定的な測定のときに、それを応用するのは大丈夫かと言われると、全然自信がないのですが。

○中明委員 まだここ(肩口を指して)だったら、そんなに極端な違いはないと思うのですが。

○名古屋委員 だから放射線のときに、内部被ばくを見るためにインハラブルを測りましょうとなったときは、当然ばく露で測るので、ニッケルと同じ形で面速19m/s で測ることによってインハラブルにしましょうという仮定はしましたね。除染のときの作業のときは。

○櫻井座長 そうすると、粒子状のものを考えるときに、発散源付近のばく露濃度を測るということにしておいたほうが、ばらつきは。

○中明委員 そうなると私どもが大変。けれども、それがリーズナブルだと私は思うのですが。

○菅野委員 発じんにすること自体が難しいので、それでばらついているのかもしれませんが、一方でインハラブルの確率を表す線がもうあるわけです。それの正確さも、また問題なのですが。

 そうしますと、例えばIOMサンプラーで測ったものをインハラブルと認めるとか、流速何センチ/秒で測ったものを認めると決めてしまうと、それと合わなかった場合にまた問題になりますので、現時点ではっきり決められるかどうかが難しいところです。

○櫻井座長 そうすると、その都度、対象ごとに、ニッケルのときのように実験をやってもらってと。

○菅野委員 実験自体が、先ほど明星委員がおっしゃったように10μmぐらいでしたら何とかなるかもしれませんが、それより少し大きくなると、安定にエアロゾルを出すことは不可能と言ったほうがいいかもしれません。実際には、上向きに風を吹かせておいて、無理矢理滞留させるとか、そういうことでやっている場合もありまして、それは作業現場とは少し違うわけです。

○明星委員 ここの話とストレートに関係しないのですが、液体捕集法というのがありますが、これもその後に金属分析に使うのですが、これは細い入口が上に向いて開いているのです。これは何かというと、吸入性なのか総粉じんなのか何なのかということを考えていくと、何か決めておかないといけないのではないかと思うのです。上に向いていると、結構大きなものを取りやすそうな気もするのですが、これはどのぐらいの粒子を狙っているかといったところもあると思います。

○櫻井座長 人間の場合は鼻で下から吸っていますからね。

○名古屋委員 測定器の取り込み風速によっても違うのではないですか。トンネルもそうなのですが、測定器の取り込み風速の遅い測定機の場合は風速に対して横にするのか垂直にするかによって濃度が違いますよと。

○明星委員 決まっていないことは多いと思うのです。

○名古屋委員 慣性だったら取り込み風速は早いけれど、ただオープンフェースの場合の面速は遅いから、違うと思いますので難しいです。提案しただけなので、この後に検討してもらえれば有り難いと。従来かどうか分かりませんが、これは従来どおりの形で。

○櫻井座長 当面はそれでいいと。

○菅野委員 根拠になった環境測定の方法が、論文に示されていれば、それと同じものを使ってという、逃げですが、そういう考えはあるかと思います。

○櫻井座長 この場合はないですよね。アンチモンのほうの根拠になっているデータは、きちんとした測定が行われているような論文がないと思いますが、それを確認する必要はあると思います。

○名古屋委員 次のマンガンにも関わってくる。マンガンのときはインハラブルなども出てくるから、そこは粒径の規定がある。

○櫻井座長 マンガンはものすごくたくさんデータがあるから、これもまた大変だと思うのです。

○小西委員 ここで言っているのは10Lで、例えばA測定などをしているのは10L毎分で10分間でデータが出て、それで十分定量下限を満足しているわけですよね。それであれば、先ほどの30Lというのはやめて、もう10に決めてしまうということでもいい。そうすると、ここにデータはあるわけですから、それを根拠にして10Lにしておくという手もあると思います。

○名古屋委員 この場合はあくまでも疫学調査ではなくて、要するに分析として定量下限が10Lと30Lがあるうちの一番低い10Lで引いたときに、定量下限は守れるかという設定ですので、少し話は違うかもしれません。

 リスク評価の測定は、いつも個人ばく露で測っていますよね。そうすると、個人ばく露だと流量が少ないのですが、測定時間は8時間ですから定量下限には十分間に合いますと。作業環境に適用したときはどうでしょうか。そうすると、作業環境の場合は10分間と引いたときにどうかという話になるので、では10分間も検討してくださいという形で、分析の人は10分間で採取した吸引量で定量下限を満足するかどうかの分析を検討してくれている10Lですから、それをここで使うのはどうか分かりません。ただ、出てきた10Lの根拠としてはそういうことだと思います。

 逆に、そこで決めていただいても、定量下限は守れるから大丈夫ですといったら大した問題はないのです。

○小西委員 ここではこうやってきちんとした分析データが出ているわけだから、それは1つの根拠になるわけですよね。

○名古屋委員 そうです。

○小西委員 ですから、勝手に30Lでやられるよりはいいかもしれないです。

○菅野委員 そうですね。先ほどインハラブルは、ばらつくと申し上げましたが、この場合でしたら10Lに決めるということで統一的に分析していただけば、もしかして後で補正が可能かなと。

○櫻井座長 10Lですね。

○松村委員 NIOSHマニュアルなどは、一つ一つの分析法で吸引速度を決めていますよね。

○菅野委員 でも、1種類というわけでもないと思うのですが。

○小西委員 日本のガイドブックなどと同じで、何リッターで何分と、ばく露ですからね。

○松村委員 大体書いてありますよね。

○小西委員 もう1つ書いてあるのは、サンプリングの最大量を決めていますよね。この時間だと、マックスでどれぐらいまで取ってもいいと。取りすぎてはいけないと。そこがもう1つあるのです。

○松村委員 それからサンプラーのキャパシティの問題ですよね。

○小西委員 でも、10Lで定量下限は十分にいくのだから、取りあえずは。

○櫻井座長 では、当面は10Lでよろしいですね。

○木口環境改善室長 メンブランフィルターは確認して、もしセルロースのみであれば、限定でという形でと。ありがとうございます。

○中明委員 私たちはこの検討会の場で決めてしまうけれども、実際には測定士がやりやすいかやりにくいかというのが、大きな問題なのです。だから、そこら辺まである程度考慮しないと。例えば今回は通達で出すという話ですが、これはアンチモンでやるのに、ろ過捕集で原子吸光だと言われても、サンプリングはそれでいいと思うのですが、サンプリングして、原子吸光分析法でやるというのは、これだと黒鉛炉を使ってやるという方法なのです。だから、そのほかの誘導結合プラズマなど、それについては通達で同等以上だから使ってもいいと言っているのだけれども、実際にはそれがきちんと通達で出ていった場合に、みんな確認しているのかどうかというのは。

 今、確かに昔みたいに吸光光度分析法ではないけれども、それで原子吸光でも抽出してどうのこうのというのではなくて、そのままダイレクトに用意して、ポンと、多分この方法はそれでいけるのだと思うのですが、これは前にも少し聞いたことがあるのですが、今、このろ過捕集で誘導結合プラズマ質量分析だとか、あるいは誘導発光分光分析が、どの程度測定機関なりに、大体行き渡っているということであれば、それはそれでいいのだけれども、大学の関係などだと、余りこの辺までやっている所がない部分、そういう装置がないという所もあるような感じなので、そうした所まで考慮するかどうかということですね。やはり考えておかないとまずいのかなという気が、これで、ろ過捕集で原子吸光でいいという分析方法だけだと、それでどうやってやればできるのか。どうやるかといったら、通達で出ているという方法で、それに対する説明というのは、ガイドブックか何かは出ていないですよね。

○奥野環境改善室長補佐 ガイドブックにそれぞれの採取方法、分析方法で挙げていますので、アンチモンについてはこれからになるのですが。

○中明委員 そうですかね、余りにちょっとという感じですね。それを徹底しないと駄目ということです。

○大前委員 ニッケルのときもあったと思うのですが、今回は三酸化二アンチモンということで、前処理で三酸化二アンチモンだけ分離することは可能なのですか。トータルとして、中身は何であれ、とにかくアンチモンとして測るしかないということですね。

○中明委員 今はないと思います。

○大前委員 前処理で何か分ける方法があるのかどうか。かけるときはもう元素ですから、アンチモンですから。

○中明委員 かけるまでにそこら辺を分けられるかというところですよね。

○大前委員 ええ。

○中明委員 多分できないと思います。これは全部溶かしてしまうのではないですか。

○大前委員 金属に関して、そういう技術というのはないのですか。

○菅野委員 調べていませんが。

○松村委員 昔はやっていたかもしれません。

○大前委員 例えばヒ素なんかだと分離してやっていますよね。

○菅野委員 これは実際には三酸化二アンチモン以外の酸化物もあるわけですよね。それを区別することはできません。(注:環境資料では酸化アンチモンの総量を測定できないため。)

○大前委員 金属アンチモン、三酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン等、いっぱいあるので。

○明星委員 では、アンチモン化合物と言わないとまずくはないですか。こんなに指定してしまって、名前は。

○中明委員 ほかの金属でも一緒ですよ。

○松村委員 ヒ素の場合もそうですよね。

○中明委員 アンチモン及びその化合物、鉛及びその化合物だから、そういう形で。

○化学物質評価室平川室長補佐 物自体は三酸化二アンチモンを実際に製造している現場に行って調査をしていますので、三酸化二アンチモンであることは間違いないと思います。

○中明委員 それはいいのです。でも、トータルで集めているのだろうと思います。分析はSbだけでやっていると。

○化学物質評価室平川室長補佐 あと、リスク評価の中でも、先生方がおっしゃいますとおり、アンチモン及びその化合物ということで規制を掛けていたのですが、リスク評価の中でも三酸化二アンチモンだけをターゲットにしましょうということになりましたので、このような形で三酸化二アンチモンだけを今回は規制対象ということで挙げさせていただいています。

○中明委員 よく分かりませんね。何でそこにいったのでしょうか。リスク評価は菅野委員ですか。

○菅野委員 私ではないです。

○松村委員 ヒ素の場合には、ヒ素及びその化合物となっていますよね。

○大前委員 IARCが三酸化二アンチモンを2Bで出しているからということだと思うのですが。

○櫻井座長 圧倒的にデータとしては三酸化二アンチモンなのですね。

○化学物質評価室平川室長補佐 そういうことだと思います。

○櫻井座長 実際に、ほとんどのばく露がそれだと思うのですが、二硫化アンチモンというのもあったわけですよね。それはどうなのかなというのも、課題として残るかもしれません。

○明星委員 逆に硫化アンチモンを使っていますといったら、対象ではないと。

○中明委員 対象ではなくなります。それもまずいですね。

○櫻井座長 検討課題として残りますね。

○名古屋委員 リスク評価で規制対象物質を集めるときに、そういう形で発がん性のあるものは三酸化二アンチモンですという形で集めていますから、アンチモン全部を認めて評価しているわけではないですね。チタンのときもそうなのですが、アナターゼなのかルチルなのか分けてやりましょうかというと、そういうデータはどこにも出ていないから、やはり酸化チタンとして集めましょうというのと同じことで、今回の場合は、あくまでも三酸化二アンチモンがそうなっているので、リスク評価に係る企画検討会が何を集めるかとなったときに櫻井座長の委員会ではそのように集めたということですので、ほかのものについては規制の対象ではないということですよね。金属アンチモンについては入っていないということです。

○櫻井座長 順番の問題ということですね。

○名古屋委員 順番の問題です。コバルトとか金属も今まであったけれども、今度は金属コバルトがリスク評価の対象になるとか、今の流れだと。

○中明委員 当面これでいい、しようがない。

○櫻井座長 ほかには特にないようですね。それでは、まとめとしては、三酸化二アンチモンの管理濃度はアンチモンとして0.1mg/m3とするということ、また測定方法は先ほど来言っている3つの中の、ろ過捕集、原子吸光分析、それから局所排気装置の性能要件と稼働要件については抑制濃度によるとし、管理濃度と同じ値ということを結論とします。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、三酸化二アンチモンについては、これで終了いたします。

 続いて、「マンガン及びその化合物」の管理濃度、測定方法、局所排気装置の性能要件について検討いたします。事務局から説明をお願いいたします。

○奥野環境改善室長補佐 「マンガン及びその化合物」については、前回からの引き続きとなっております。4ページの資料2-3、検討対象物質の概要ということで、下のほうに「マンガン及びその化合物」として挙げております。現行の管理濃度は0.2mg/m3、マンガンとしてとなっております。産業衛生学会の許容濃度は、0.2mg/m3ACGIHのばく露限界値は、吸入性粒子が0.02mg/m3、インハラブル粒子が0.1mg/m3です。また、EC科学委員会のばく露限界については、吸入性粒子が0.05mg/m3、インハラブル粒子が0.2mg/m3です。

5ページの資料2-4-1、事務局の提案ですが、前回提案させていただいたものと同じとなっております。前回の御議論の中で、吸入性粒子とインハラブル粒子の扱いについて、マンガン以外の金属を含めて考え方を事務局で整理することということで頂いております。

62ページの資料2-7-1です。「粒径に応じて有害性が異なる金属類の取扱いについて()」ということで、これはマンガンに限らず、金属類一般ということで作成したものです。

 粒径に応じて標的臓器などが異なる金属類について、粒径ごとにばく露限界値が定められている例があります。先ほどのマンガンの関係のACGIHのばく露限界値もそうですが、このような場合、いずれか一方のみの粒径の粒子の管理濃度を定めると、管理濃度が定められていない粒径の粒子の割合が高い作業である場合、当該粒子を過小評価する可能性があります。例えば、吸入性粒子の管理濃度だけ定めた場合で、インハラブル粒子が多く発生する作業の場合に、吸入性粒子としてはばく露限界を下回っていても、インハラブル粒子はばく露限界を上回る可能性があります。このようなことがありますので、このため、粒径ごとにばく露限界値が定められている場合、粒径ごとに管理濃度を定めることとするという案となっております。

63ページの資料2-7-2です。「マンガン及びその化合物の管理濃度を定めるに当たっての論点について()」です。2つに分けております。まず、1として、吸入性粒子及びインハラブル粒子の管理濃度を定める場合ということで、4点挙げております。1点目が、吸入性粒子は肺から、インハラブル粒子は鼻腔から喉までの粘膜及び消化器からそれぞれ吸収される。両方の臓器を管理濃度の対象とするのであれば、両方の管理濃度を定める必要があるのではないか。また、いずれか一方の省略は可能か。

2点目は、インハラブル粒子については、発散後すぐに空気中を落下することから、A測定による評価には馴染まないのではないか。また、発散源付近に限定して測定を実施することとしても差し支えないのではないか。

3点目が、吸入性粒子とインハラブル粒子を分けてサンプリングを行うことは可能か。4点目は、インハラブル粒子用の個人ばく露用サンプラーであるIOMサンプラーは、固定された点で適切に捕集することができるか。

2として、総粉じんの管理濃度を定める場合です。現行も総粉じんとして定められておりますが、1点目の論点が、総粉じんの測定であれば、吸入性粒子、インハラブル粒子を両方測定しているため、肺、消化器双方の管理が行えると言えるかというものです。

2点目が、現行の管理濃度(総粉じん0.2mg/m3)を引き下げることとした場合、吸入性粒子及びインハラブル粒子の許容濃度やTLVから総粉じんの管理濃度を定めることはできるかというものです。

64ページからは資料2-8で、「金属類に係る管理濃度・許容濃度等一覧」です。物質名がまずあって、その隣りが現行の管理濃度です。更にその1つ隣りが日本産業衛生学会の許容濃度となっております。現行の管理濃度とか、日本産業衛生学会の許容濃度を御覧いただくと、どの粒径でと示したものにはなっておりません。64ページのインジウム及びその化合物については、管理濃度は定められておりませんが、作業環境測定としては分粒装置を用いて吸入性粉じんを対象としております。また、ニッケル化合物が65ページにありますが、こちらも管理濃度としてインハラブル粒子ということにはしていないわけですが、決まった面速で捕集することによって、インハラブル粒子を捕集しています。

 一方、ACGIHTLV-TWAが左から5番目の項目となっておりますが、粒径に応じて値を定めているケースがあります。例えば64ページの上から3つ目のカドミウム及びその化合物のACGIHのばく露限界については、総粉じんに対して0.01mg/m3、インハラブル粒子に対して0.002mg/m3とされております。マンガンは66ページの一番最後にありますが、こちらについても粒径に応じて値が定められております。以上ですが、あと御参考に一番右の欄には、これまでの管理濃度検討会における検討状況をお示ししておりますので、こちらのほうも御参考にしていただければと思います。事務局からの説明は以上です。

○櫻井座長 いかがでしょうか。今日はこれについて結論を得る予定ではありませんので、十分に御検討を頂いて、次回にまた。簡単に結論が出せるようなものではありませんので。

○名古屋委員 我々が一番知りたいのは、要するに、疫学調査から出ているデータの中で、吸入性は当然問題になると思うのですが、インハラブルが、どの程度の影響が出てきているのか。これを見ると、消化器系から入ってくる部分もありますよと。そこも見逃してしまってはいけないことだとは思うのですが、インハラブルについてもどうしても測定しなければいけないということになると、やはり測定は2つやりましょうというのが出てくるのです。濃度として、やはり2つどうしても設定しなければいけないかどうかというのは、疫学調査の結果からしっかり教えていただければ、検討が出てくるのではないかと私は思うのです。

○松村委員 私もこれを一覧して、全部ではないのですが、インハラブルで捕集をしている場合の対象物に対しては、レスピラブルで捕集したものよりも高い濃度設定になっているものが多いのです。ということは、やはり、不溶性のものでしたら、肺に入って長くそこにとどまると思われますが、水溶性のものだったら、血液中から体中に回って、一部は代謝されるのも速いだろうと思いますが、そのほうが毒性が低いという一般的な考えでしょうか、これはデータによると思いますが。ただ、ニッケルの場合はそうではないのですよね、可溶性のほうが不溶性よりも低い値になっているのですよね、インハラブルのほうが。その辺が毒性データに基づいて決まっているのかもしれませんが、一般的に水溶性の物の捕集方法で取ったものに対しては濃度が高く設定されているというのが、何かそういう体の中に取り込んだときの有害作用の現れ方が、そちらのほうが緩いという印象を受けますが、常にという訳でもないのですかね。

○櫻井座長 今、おっしゃったのは、水溶性のほうが大きい数字になっていると。

○松村委員 そうですね。大体、そういう場合が多い。

○櫻井座長 やはり、肺に蓄積するかしないかということが大きく利いているという、肺に対する毒性が大部分だと思いますが。

○松村委員 そうですね。

○櫻井座長 しかし、ニッケルは鼻腔のがんのことを考えているものですから、もし水溶性が小さければ、そこでは余り何も起こさないで、飲み込まれてしまって、そのまま排泄されてしまう。鼻腔がんどうこうの問題を起こすような粒子というと、やはり、水溶性が大きいもののほうがリスクは高いということだと思います。

○松村委員 発がん性の場合はですね。

○櫻井座長 はい。

○松村委員 そうですか。

○明星委員 基本的にはインハラブルがレスピラブルを内包しているので、ですから、インハラブルのほうがレスピラブルよりも多いというのはしようがないです。

○松村委員 それは分かります。

○明星委員 言い方としては、インハラブルとレスピラブルと言いますが、インハラブルは一応レスピラブルも含んでいるという理解です。

○櫻井座長 当然、含みます。

○松村委員 それはそうですね。

○櫻井座長 ただ、総粉じんとインハラブルは一緒かと言われると。

○小西委員 それは違いますね。

○明星委員 ただ、そんなに遠いかと言われると、そう遠いわけでもないのですが。

○櫻井座長 世の中の人は、総粉じんはインハラブルより常に大きい値でなければいけないと思いますよね。しかし、実際に測定しているのはそうではないわけです。総粉じんという言い方はやめたほうがいいと思います。

○明星委員 ですから、今後、どこかで切り替えていくとすれば、総粉じんをレスピラブルでもう一回調整し直して、変えていくかという気もします。

○名古屋委員 でも、総粉じんも面速でかなり幅があるではないですか。そうするとその幅のところも問題です。

○櫻井座長 総粉じんと言わないとすれば、どう言ったらいいのですか。

○名古屋委員 1回検討したときは、粗大粒子にしましょうという話をしたことはありますね。

○櫻井座長 なるほど。しかし、粗大粒子だけど、小さいのも含んでいるわけでしょう。

○名古屋委員 そういうことになります。総粉じんという定義にすると、粒径のときには、総粉じんの下に必ず日本産業衛生学会はきちんと定義を出しています。総粉じんと間違ってしまうので、金属類の粒子を扱うときには、粗大粒子ということで扱ったほうがいいのではないですかという話は前に1回したことがあります。そのときに粒径規定はどう。あの頃はまだインハラブルという話は出てきませんでしたから。

○明星委員 ただ、オリジナルのものを作っても、なかなか難しいかと思うのです。一応、インハラブルとかレスピラブルというのはISOの中で決まっているので、それがなかなか辛いところです。

○名古屋委員 一番分かりやすい。

○櫻井座長 それでは、総粉じんと言わないで、インハラブル粒子の推定値みたいな。

○明星委員 何かそんな感じのものがいいかなと思います。苦しいのですが。

○櫻井座長 結局、そうですよね。推定値ですよね。同じことを想定しているわけですからね。

○明星委員 一応、体に入るという前提で。

○櫻井座長 入るものを全部という意味ですかね。

○明星委員 最初から大きくて入らなければ、少なくとも体の内部の影響とは関係がないという、そういう切り分けだと思うのですが。

○小西委員 ただ、面速を決めておいて、それをインハラブル想定の粒子という形にして、もう1つは吸入性の、要するに4ミクロン50%カットの分粒装置を付けたもので取って、その比率を見ていくというのはどうなのですか。どこかで比率を見てやると。ものすごく大雑把なやり方ですが。どちらを主体に分析するかは別として、その比率が一定かどうかですよね、場所によっても違うだろうし。

○櫻井座長 場所によって違うけれども、ある程度一定ならばそういうことは可能ですが。例えば同じ業種。

○小西委員 同じ場所で、1つの単位作業場の中であればね。

○櫻井座長 同じようなタイプの現場なら。

○小西委員 測定法として、現場としてやりやすい方法というのは、こんな方法しかないのではないかと思いますが。もし分けるとすればですよ。

○名古屋委員 だから、先ほどから言っているように、疫学調査の中で、両方とも規制を掛けなければいけないという形になったときに、その方法が出てくるという話で、どちらを規制するかを先に決めてもらったほうがいいのではないかと。要するに、両方やるということになったら測定を考えればいいわけですよ。比率を見るのか、一番困っているのは、溶接のような所だったら、多分、これは吸入性粉じんだろうと。フェロアロイなどを扱う作業場で行っているときは大きいから、インハラブルでもいいのではないかと。では、混存しているときはどうするのかという現場の問題が出てきます。もしかしたら、インハラブルを考えるよりは、吸入性粉じんを考えたほうがいいよというのだったら、それは吸入性粉じんだけでいいわけです。ですから、両方やるのか、片方やるのかということを、きちんとここで議論してもらうのが先ではないか。それから後に測定が付いてくるのだと私は思うのです、どれを測定をするかという形で。もし混存したときはどういうふうにしましょうかという話が出てくると思います。

 どちらに管理濃度として規制を掛けてくるのかということを、疫学調査の中からきちんと立証してもらうことが先ではないか。それが決まると、その後は測定方法ですから、手段は付いてくるのではないかと思うのですが。

○松村委員 具体的に、インハラブルで少し高い濃度を設定する。それから、レスピラブルで少し低い値を設定する。どちらのほうが管理としては厳しいのですか。

○明星委員 それは粒度分布によるから、何とも言えないのです。

○櫻井座長 やはり、その物質の最終的なエンドポイントなりがこれを決めるので、多分、それぞれに対して何かの支持があればいいのかなと思うので、全て金属に対して一律に何かというのは無理かなと思います。

○奥村化学物質対策課長 資料の7ページに、マンガンの許容濃度、ばく露限界値のターゲットになっている健康障害があって、それぞれ神経毒性となっております。これと、神経毒性なのか、じん肺なのかとか、そういう御指摘を名古屋委員がされているという理解でよろしいのですか。

○名古屋委員 そうです。

○大前委員 許容濃度なり、あるいはACGIHTLVを決めるときというのは、当然、ターゲットがあって、どの健康影響を予防するのかというのがあって、それに対してどのくらいのばく露濃度かということで決めているわけです。

 例えば、インジウムみたいに肺にしか影響が今のところ分かっていないという場合は、これはレスピラブルで決めればいい。マンガンみたいに神経毒性の場合は、これは肺からも吸収されるでしょうし、消化管吸収は非常に少ないと思いますが吸収されるだろうと。鉛なども骨髄がメインでターゲットですが、あれは肺からも入りますし、消化管からも10%くらい入るということが分かっているので、そういうものに関してはインハラブルを使えばいいと。どちらかを測ればいいと思うのです。ですから、ターゲットをしっかり同定しておいて、それでどちらにするかということだと思うのですが。

○櫻井座長 どちらかと言えば、吸入性粒子を優先することになると思いますよ。吸収する場合も、腸管よりも、肺胞までいったものが一番吸収されやすいわけですから、常に。一般論として、大体、鉛とかカドミウムは、肺だと4050%、腸管だと5%。

○大前委員 そうですね。どちらを測るかというときに、インハラブルを測っておけば、レスピラブルも当然入っているわけですから。ですから、両方で利いてくるわけですから、インハラブルを測ればいい。

○菅野委員 入っていますけれど、吸収されやすさが違うと、粒度分布が異なったときに、レスピラブルのほうが大きいと困りませんか。ですから両方規定しないと、マンガンの場合は吸収経路が違うわけです。

○大前委員 インハラブルでやっていれば、中にレスピラブルは入っているわけですよね、包含していますよね。

○菅野委員 レスピラブルの比率が大きかった場合には、肺から吸収されて影響が出てしまうわけですよね。逆に大きいほうが多ければ。

○大前委員 問題は、存在しているデータの話ですから、どういうデータが存在しているか。現場で濃度を測って、それでターゲットは何かということを決めるわけで、数字はそこからしか出てこないのですよ。今、菅野委員がおっしゃったことはそのとおりで、非常にレスピラブルの分画が大きければいいのですが、そういうデータがあればそれを使えばいいのですが、疫学のデータではそういうデータというのはほとんどないのです。とにかく基のデータは、あるデータでしか数字は出てこないわけなので。

○菅野委員 マンガンの場合ですよね。

○大前委員 いやいや、一般的な話として。

○菅野委員 一般的なものですか。

○大前委員 はい。

○菅野委員 マンガンの場合は、両方規制しないとまずいのではないかと私は思うのですが。

○大前委員 レスピラブルで規制しても構わないし、インハラブルで規制しても構わないのですが、あるいは両方やってもいいのですが、もう出てきているデータというのは、それは分かれたデータがあればいいです。

○菅野委員 それはないですよね。

○大前委員 そういう情報があれば、それはまた別の話で、一般論としてはそういう情報がないのです。

○明星委員 総粉じん。

○櫻井座長 両方、ちゃんと根拠がある場合はきっちり情報を出しますよね。

○大前委員 そういうことです。

○櫻井座長 あんまりはっきり根拠がない場合、総粉じんでやりますよね。それは厳しいほうへ行っているわけですよね。本来、もともとのデータはレスピラブルだったかもしれませんが、インハラブルも含んだ総粉じんとして規制すれば、厳しいほうへ行っていることになりますね。

○松村委員 その数値が同じならね。

○櫻井座長 ええ。

○松村委員 しかし、インハラブルの数値のほうが大体高いでしょう。

○大前委員 いやいや、そんなことはないですよ。

○櫻井座長 今まで出ているデータを採用するわけだから。

○明星委員 ある値があった場合に、これはインハラブルなのか、レスピラブルなのかということを思ったときに、レスピラブルで取ったほうが結果としては高い値が出てしまうではないですか。それはたくさん取ってしまうから。ですから、比較としては悪いと言われるということですよね。

○松村委員 インハラブルのほうが大きい値が出ると。

○明星委員 インハラブルで取ったほうが、大きい値が出るではないですか。

○松村委員 そうです。

○明星委員 でも、基準はもう決まっているとすると、この基準を超えやすいではないですか、レスピラブルに……。

○松村委員 しかし、今までの管理濃度の決め方だと、例えばACGIH2段階で、インハラブルとレスピラブルを出している場合には、インハラブルに近い値を管理濃度は採用していますよね。

○明星委員 今のお話は、これまで得られた疫学的なデータの基になる環境の測定というのが、総粉じん的な測定だったから、だからそれで決まった値というのは高い濃度で設定されているので、それをレスピラブルの結果で比較すると、結果としては緩い結果になります。

○松村委員 なりますよね。だから、環境を悪く設定するような感じになってしまいますよね。

○櫻井座長 過去のデータを全部レスピラブルと読み込んで、レスピラブルの規制にしてしまえば一番問題はないわけですよね、厳しいほうへいってしまうわけだから。

○明星委員 いや、座長、それは緩くなりませんか。

○菅野委員 過去のデータがレスピラブルで取ってあったとしても、数値を変えずにインハラブルにするということでしたら、安全性をどうするのか。

○櫻井座長 レスピラブルと読むと緩くなるということがよく分かりました。

○菅野委員 そうです。

○小西委員 9ページのECの科学委員会では、インハラブルとレスピラブルの粒子の区分からデータが支持されているので、レスピラブルでいいのではないかという書き方をしているのですが。

○櫻井座長 どれですか。

○小西委員 9ページの丸1の下のほうです。「健康に対する作用を評価し、職業ばく露基準を設定するのに最も生物学的に適切なばく露尺度は、全エアロゾルやインハラブルエアロゾルレベルではなく吸入性エアロゾルレベルであるという考えを推奨する」という書き方をしていますよね。「このアプローチは、エアロゾルの吸入性画分と」ということで、このデータから支持されているのだと。どんなデータなのか分かりませんが。

○櫻井座長 マンガンの場合は、ちゃんと両方のデータがあって、こういうふうに分けて出しているのは、多分、皆さんも次回までに細かく検討する必要があるのですが。特にマンガンの場合、もともと両方とも水溶性は低いですが、結局、肺のほうは沈着してしまってなかなか出ないから、結局、じわじわ溶けて吸収されて、脳のほうへ行くと。腸管のほうは、非常にコントロールされているらしいのです。ですから、通常は非常に吸収が少ないらしいのです。しかし、場合によっては吸収されるから、無視はできないというので、だから、両方出すという論理なのです。特に腸管でのマンガンの吸収は生理的にコントロールされている、特殊ですよね。

○明星委員 やはり、もともとのデータと、それから設定を考えないと、何か間違えると逆になって混乱します。

○櫻井座長 私も今、誤解しましたよね。

○明星委員 誤解しますよね。

○菅野委員 大きいほうの粒子の値は、消化器系からの吸収率が5%程度であるというのに基づいて、倍率は少し違いますが、肺に入る量の何倍というふうに決めてあるだけですよね。

○櫻井座長 ACGIH5倍。

○菅野委員 はい。あれは両方そうではないですか。

○櫻井座長 0.1ということですね。

○菅野委員 はい。ですから、もとになる毒性は、肺から入った場合の毒性で、その値に相当しないように少し低めに大きいほうを決めているということではないかと思いましたが。

○櫻井座長 そうですね。ごくまれには、一般人のばく露の場合と同じような発想を取り入れて、安全サイドですよね。ACGIHもやはりばらつきがあって、これはやや安全サイドに寄っているし、逆にアンチモンはそうでないほうに寄っているのですよね。EC科学委員会は、中庸なところを狙っているなという気はしますが、それは一番よく検討はしていますね。

○松村委員 結局、管理濃度を決めると、特化則の場合はそれが抑制濃度にそのまま移行しますよね。

○櫻井座長 そうです。

○松村委員 その場合に、インハラブルに含まれているような大きい粒子、7ミクロンとか、もっと大きいようなものが制御風速を決めるラインまで排気装置の能力は達しているのですかね。レスピラブルの粒子だったら小さいから、この線で局所排気装置の性能を規定するというのは分かるのですが、大きい粒子も含めてその濃度でここで管理すると、大体、大きい粒子は途中で落ちてしまうと、非常に容易に達成できるということになりませんか。

○名古屋委員 それは今までも大きな粒子ですから、そういう抑制濃度のときは、多分引いているのだと思うのですが。ただ、前にもお願いしたことがあるのですが、抑制濃度が決められたときの抑制濃度の測定方法が、現実には本来の目的を達成するための測定法として合っていない測定法だと思うのです。ですから、だいぶ前に抑制濃度の測定方法を見直してくださいと管理濃度等委員会にお願いしたことがあるのですが、進んでいないのです。要するに、抑制濃度を測定するために決められた測定点で測定したときに、本当に局排等から漏れている濃度を正確に測定しているかどうかということと、現場によっては、漏洩を測定するための測定点が設定できないという現場もあるわけです。本当に抑制濃度が測れているかといったら、多分、測れていないのではないかと思っているわけです。個人ばく露濃度、リスク評価のほうが全然いいと思っている部分はあるので、やはり、その辺のところを一度検討して欲しいです。

○松村委員 それはそうです。

○櫻井座長 決めた所で。

○名古屋委員 決めた所で測れる場合もあるのですが、現状では決められた方法で測れない現場があり測定士の方が苦労しているとお聞きしています。そうすると、抑制濃度の測り方についても、本当にそこでいいのかなと。しかし、本来的には人が作業するのだったら、ばく露で測ったほうがいいのかなと思ったりもしますので、その辺も是非一度検討してほしいと、前からお願いしているところです。

○櫻井座長 作業環境測定の結果で判断する。

○名古屋委員 全くそうなのです。

○櫻井座長 その結果が良ければ、抑制濃度は達成されていますと。

○名古屋委員 前からそれはお願いして、平成22年の 職場における化学物質管理の今後のあり方に関する検討会 の中でも、制御風速と抑制濃度というのは、あくまでも管理するためのものであって、作業環境が第1管理区分になったら制御風速と抑制濃度は外してもいいねという話をしていたのですが、残念ながらそれは委員会で却下されてできませんでした。

○奥村化学物質対策課長 抑制濃度、制御風速の見直しの件は、平成22年のあり方検討会で検討されて、是非、推進してほしいという要望が強かったのですが、そのときの検討結果では、作業環境測定だけで対応するのは、合理的かもしれませんが、安全装置の1つとして制御風速・抑制濃度は今まで一定の効果があるので、その安全装置を外すには、それなりの科学的根拠が必要であろうと。それを検討して外してくださいという検討になっておりまして、それがそのまま検討がし切れていない状態になっております。

○名古屋委員 そうです。我々の宿題として、連合の方から言われましたので、それはよく覚えています。

○奥村化学物質対策課長 今の第12次労働災害防止計画の中でも、個人ばく露測定の導入について検討するとなっておりまして、これは来年度中にも検討をスタートします。その中で、名古屋委員の御指摘の点についても、前向きに解決できればと事務局としては考えているところです。

○櫻井座長 安全サイドで、そこを測れば一応達成される。

○名古屋委員 多分、平成22年の委員会の中でよく分かっているのは、確かに大企業では制御風速と抑制濃度を外してもきちんとやってくれるでしょうけれど、中小企業では、制御風速と抑制濃度を外してしまうと安全のところのせっかくの足かせが取れてしまいますよと言われて、それはよく分かりました。ただ、それに代わるものとして制御風速と抑制濃度を外すというのとはまた別の話で、発散防止抑制措置という形のものが出てきましたので、大丈夫だと思いますが、今のところ残念ながら制御風速と抑制濃度を外すことはできませんという形です。

○櫻井座長 先ほど問題として投げかけられた項目は何ページでしたか。

○木口環境改善室長 63ページです。

○櫻井座長 論点ですね。かなりいろいろ議論できましたが、論点1「吸入性粒子及びインハラブル粒子の管理濃度を定める場合。吸入性粒子は肺から、インハラブル粒子は鼻腔から喉までの粘膜及び消化器からそれぞれ吸収される。両方の臓器を管理の対象とするのであれば、両方の管理濃度を定める必要があるのではないか。また、いずれか一方の省略は可能か。」。

○松村委員 この前、マンガンの捕集方法のことを議論したときに、吸入性粒子とインハラブル粒子を並行して捕集するというのは非常に煩雑で手間が掛かると、名古屋委員などがおっしゃったのですが、方法としてはないわけではないです。両方並行してサンプラーを2つ使えばいいわけです。その必要がどのぐらいあるかですよね。

○櫻井座長 要するに、省略は可能かというところが問題ですね。

○松村委員 そうです。

○櫻井座長 軽々しく省略はしないということだと思うのですが、可能な場合もあるのかもしれない。基本は、両方必要なら両方を測る。

○菅野委員 マンガンの場合は両方が必要だと思いますので、測っていただいて、粗大な粒子がすごく少ないということが時間を掛けて実証できれば、省略すると。工程を変えない限りは。そういう方法はあると思うのです。初めから片方を省略するオプションはないのではないかと思います。

○櫻井座長 ACGIHも吸入性粒子を測れといって、粗大なものがある場合はインハラブルを測れといっていますよね。むしろ、そういう場合は少ないのか多いのか、場所によってかなり決まってしまうでしょうね。

○菅野委員 そうですね。作業内容によって決まるのかもしれませんが。

○櫻井座長 しばらく測定すれば両方とも分かるわけですね。

○松村委員 現場に粒度分布測定装置を持ち込むところまでいけば、一発で分かります。粒度分布を測定する専門的な装置ですが、そこまで進めば一遍に分かりますが、なかなかできないところですよね。

○櫻井座長 近い将来にそうなる可能性はあるのでしょうか。

○松村委員 希望はしますが。

○菅野委員 多分、インハラブルの大きなほうを測れる装置はないですよね。

○名古屋委員 ナノのほうはありますよね。

○松村委員 ナノのほうはあるけれども、大きなほうは10μmぐらいまでは測っているのではないでしょうか。

○菅野委員 いえ、10ぐらいだと足りないので、50とか80を測れる。

○松村委員 でも、インハラブルというのは。

○名古屋委員 100マイクロ、50%カットですから、ものすごく大きいですよ。

○明星委員 多分、個数がないのです。また、大きいのです。ですから、そういう機械で待っていても、なかなかやってこないと思うのです。それが待っている装置の所にやってこないと測らないという状態になると思うので、逆にそれが測れるぐらいに飛んでいると、見ただけでもうもうとしているという状況になるのではないかと思うのです。

 だけれども、最初に戻ると、菅野委員が言われたように、吸入性とインハラブルと、例えば目方として両方測った場合にどれぐらいの違いがあるのかを見れば、それがどちら側に寄っているのかということは分かるので、小さい測定でもできるかなと思うのですが、掛ける2で全部の物質を対象にするとなると、結構大変かなと思います。

○中明委員 何だかんだ言っても、現場は結構多いですものね。例えば電池屋などに行ってやれば、結構データは集まると思うのです。それができるかどうかなのです。

 今、明星委員がおっしゃったように、分けて取って、重さだけでも当面はいいと思うのです。重さだけで分けて、どちらだということをまず出してみるとか、そういうことを第一段階としてやってみてですね。

○松村委員 典型的な作業場で出して。

○名古屋委員 はい、そういう場所でね。

○松村委員 さもなければ全部防じんマスクで対応することにして。

○小西委員 各点で全部両方やって、全部分析してというのはすごく大変なことなので、今言われたように、粉じん量として大きな粒子と小さな粒子とを測ってみて、その割合がどうかというのを見るのだったら、まだ現場ではできる可能性は大きいのではないかという気がします。

 ただ、粉じんの併行測定もどこか一点でと考えたのだけれども、逆に言うと、大きな粒子の併行測定というのは、粒子の安定した所で測るということになっているから、大きなものを測るときはそれでは駄目なのです。発生源に近い所で測らないと出てきませんからね。

○名古屋委員 最初に全部測らないといけません。

○小西委員 そういうことですよね。

○明星委員 ただ、大きな粒子はもともと不安定なのです。ということは、厚労省の規格で定められていないマスクでも取れるということもあります。

○櫻井座長 不安定だからよく取れるということですか。

○明星委員 こういう状態で、きっちりしていなくても、例えば花粉用のガーゼマスクというのは漏れていても結構効きます。そんなことを言ってはまずいかもしれないのですが。フィルターの捕集として、ものすごく難しい大きさの粒子でもないということです。もともと不安定なので、なくなってしまうということはあります。

○名古屋委員 行政にお聞きしたいのですが、マンガンについては溶接の所も測定対象に入るという考え方でよろしいのですか。そこのところをはっきりしておかないと、もし溶接が測定対象入ってきたら、ものすごく大変なことになるのです。溶接業界としたら、ニッケルのときに溶接ヒュームは特化則に入っても対象外だと。ただし、ニッケルヒュームが床に落ちたときに酸化物になるので、掃除は測定対象になったと、行政からきちんと説明をもらったのです。

 溶接業界の皆さんは溶接作業は粉じん作業だと思っているわけです。ところが、現場に行くとマンガンなどが作業環境中に飛んでいるわけです。リスク評価の考え方からすると、マンガンを測定しなければいけなくなるのですけれど、溶接業界ではニッケルのときは行政からきちっとした説明があり、特化則に該当する事は理解していますが、マンガンについては、ニッケルと同様な説明を一度も聞いたことがないと思っています。本来は、昔マンガンが特化物に指定されたときに、そういう説明が何もなかったから、溶接業界はマンガンを含めて溶接作業で発生するのはすべて粉じんという認識なので、粉じん則できているわけです。

 ここにあるように、それがリスク評価の中に入ってきて、当然、管理濃度が出てきたときに、溶接現場も測定するという話になったときに、ものすごく膨大な数の測定をしなければいけないわけです。では対策できるかというと、対策できない所もたくさんあるわけです。そうしたときにどうなのかなと思っています。

 そこのところで、行政がきちんと、溶接作業も測定する現場になるのだということをきちんと明記しなかったら、大変なことになるのかなと心配しているところです。その辺のところを是非検討していただきたいのです。本来は測定を行うことが本筋なのですが、そういう説明について業界の人たちに聞くと、グレーゾーンになっていて、何回も行政との話合いをしているのだけれども、測定しなければいけないという話は1回も聞いたことがないという、その辺がグレーゾーンになっているのが現状です。溶接作業というのは、もともと対策ができないから粉じん則別表第3のマスクでいきましょうという話になるわけです。でも、今度は特化則になってくると粉じん則ではないので、測定をしなければいけないわけで、そうすると先ほどのアンチモンのようにマスクをするという形にするのかどうかということだから、特化則の規制対象物質だけれども、粉じん則との整合性を考えながら基準を作ってもらわないと、現場が混乱すると思います。その辺も是非考慮して、検討の中に入れていただけると有り難いと思います。

○櫻井座長 マンガンの疫学のデータに基づいているわけですが、重要なものが7から10ぐらいあります。それが、溶接のデータがあったかなかったか確認する必要があると思います。

 いずれにしても、中枢神経系への影響ですので、非常に丁寧に調べないと分からないです。本人たちは何とも思っていないかもしれないけれども、やはり影響が出ている可能性はあるのです。

○名古屋委員 そうすると、溶接がレスピラブルとインハラブルの2つを測るとなったときに、我々の持っている測定結果でも大きな粒子はないです。ただ、溶接は吸入性粒子で測ればいいという話になるのだと思います。そのときに、では、今まで何も指導もされていなかったと思っている現場に、急にマンガンの測定をやれということになったときに、業界としてどう対応していいかというとまどいが、これから出てくるのではないかなという気はするのです。

 鋳物業界だってそうです。鋳物の熔解作業作業は粉じん則が適用されています。今度マンガンが特化物になったとき、マンガンを含有した金属を溶解するとき、粉じんとマンガンの測定を行うことになると思います。そのように金属を扱って溶解するような作業場では、ヒュームとして出てくる部分がたくさんあるので、その辺の作業も特化則に引っ掛かってくるという形になると、粉じん則と特化則が共存する現場になると思うので、少し検討していただければ有り難いかなと思います。

○松村委員 名古屋委員、実際には溶接作業者というのはかなりマスクをしているのではありませんか。電動ファン付き呼吸用保護具も実際にしていると思うのですが。

○名古屋委員 きちんとしているかしていないかは別として、マスクはしていますよ。

○松村委員 していますよね。そうすれば、ある程度マンガンでも取れているはずですよね。

○名古屋委員 でも、我々は電動ファン付き呼吸用保護具以外のマスクの中のマンガン濃度を測っていますが、高い濃度は結構あります。

○松村委員 それはマスクの着け方の問題です。

○名古屋委員 溶接業界としては、電動ファン付き呼吸用保護具でいきたいと思っているわけですが、それは規制が掛けられない部分もありますから、電動ファン付き呼吸用保護具だと大丈夫ですが、普通のマスクですと使い方によっては、マンガンの溶接をしているときに濃度を図っていると、とてつもなく高い濃度になります。

 ただ、先ほど言ったように、溶接作業は粉じん則だと思っていますから、マンガンを測るという文化が、今まではなかったところですので、カドミウムにしろクロムにしろいろいろ出てきますので、これからはそういうものを測らなくてはいけないということを根付かせていかなくてはいけないと思います。

○松村委員 どこかでそれをやっていかないと、ずっとやらないわけにはいかない。

○櫻井座長 貴重な御意見、ありがとうございます。2番目のポツで、インハラブル粒子については、発散後すぐに空気中を落下することから、A測定による評価にはなじまないのではないか。また、発生源付近に限定して測定を実施することとしても差し支えないのではないか。これは、確かにそのような感じがします。

○名古屋委員 これはB測定をやれば大丈夫です。

○櫻井座長 それから、吸入性粒子とインハラブル粒子を分けてサンプリングを行うことは可能か。これは両方を別々に測るしかないと思います。

4番目、インハラブル粒子用の個人ばく露用サンプラーであるIOMサンプラーは、固定された点で適切に捕集することができるか。

○菅野委員 私が思っていることなのですが、IOMサンプラーに限らず、インハラブル粒子のサンプラーは、一般的には気流がある状態で性能を評価されていますので。

 それから、固定点での使用は避けるという記述も、ISOの基準に入っていたと思うのです。定点測定用ではないという意味のことが書いてあったと思います。少なくとも、10年ぐらい前には書いてあったと思います。ですので、A測定は定点で行いますので、そのときにどうなるのかというのは不明ですし、先ほどの話にもありましたように、実験的にうまくいくかどうかを確認することも難しいという状況だと思います。

○櫻井座長 一応、IOMサンプラーを使おうという話には、今は全然なっていませんから、この議論は。

○菅野委員 「IOMサンプラー」と書きましたが、オープンフェースのサンプラーでも同じだと思います。

○明星委員 余り大したデータ数はないのですが、実験室でやっていると、例えばIOMサンプラーとかボタンサンプラーという、インハラブルのサンプラーと、普通に使っている吸入性粉じんを取る前段の部分も含めた粉じんの総量でやった場合には、実はTRの総量のほうが、IOMサンプラーで測った量よりも少ないのです。

○櫻井座長 IOMサンプラーで測った量よりも少なく出るのですね。

○明星委員 はい。だから、総粉じんと言われているものが、実はIOMで測った量よりも少ない、ほぼみんなそう思っています。感じとしては、若干のばらつきはありますが、明らかに少ないので、どのように取り扱っていいか分からないのですが。

○名古屋委員 カット統制、流れの分布が違うということなのですかね。

○菅野委員 入ってこないのではないですか。

○名古屋委員 無理矢理吸い込んでいる感じがあるのかもしれませんね。

○小西委員 もし固定点で使うなら、IOMよりも、面速で決めた、吸引量を大きくした普通のもので測定しなければ無理でしょうね。

○明星委員 もう1種類、その系統の別の形をしたものもあるのですが、それとIOMはそこそこ合うのですが、それもインハラブルと言っています。同じ代理店から買ってきて、それと並べてやると、先ほどのTRというほうが7割ぐらいの値になるものですから、少し低く見えるので、先ほど櫻井座長がおっしゃったように、総粉じんと言っているのに少ないというのは確かにそうなのです。

○櫻井座長 そういうデータを見て、これは逆ではないかと思いましたがね。

○明星委員 そういう感じはあります。どうしたらいいのかは分からないのですが。

○櫻井座長 それだと、過小評価している可能性がありますね。

○明星委員 はい。

○櫻井座長 時間がなくなりましたので、今日は議論が収束するところまでは行きませんでしたが、有益な御意見をいろいろ頂きまして、誠にありがとうございました。

 最後に、議題3「その他」について、事務局から何かありますか。

○奥野環境改善室長補佐 今後の予定について説明いたします。3ページの資料2-24の「検討スケジュール」を御覧ください。次回は来年度の第1から第2四半期に開催予定で、開催日程については別途調整させていただきます。

○櫻井座長 以上で本日の検討会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

 


(了)

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