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2016年12月9日 第133回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成28年12月9日(金)16:00〜18:00


○場所

ベルサール半蔵門(ホール)


○出席者

安部、井口、伊藤、稲葉、井上(隆)、井上(由)、及川、河村、小林、齋藤(訓)、齊藤(秀)、鈴木、鷲見、瀬戸、高野(恒石参考人)、武久、田中、田部井、東、福田(重田参考人)、堀田、本多、松田(敬称略)

○議題

1.介護人材の処遇改善等について
2.その他

○議事

○鈴木老人保健課長 それでは、定刻となりましたので、第133回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りましてまことにありがとうございます。
 本日の委員の出席状況ですが、大西委員、亀井委員から御欠席の連絡をいただいております。
 また、高野直久委員にかわり、恒石美登里参考人、福田富一委員にかわり重田恭一参考人に御出席いただいております。
 以上により、本日は21名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
 また、本日は議題の関係で、社会援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長の榎本芳人が出席しております。
 それでは、冒頭のカメラ撮影につきましてはここまでとさせていただきますので、撤収方、御協力お願いいたします。
(報道関係者退室)
○鈴木老人保健課長 では、以降の進行は田中分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 皆さん、こんにちは。
 本日は、介護人材の処遇改善等について御議論をいただきます。
 事務局より、資料の確認をお願いします。
○鈴木老人保健課長 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきます。
 まず、議事次第と委員名簿がございます。
 その後ろに、資料1「平成29年度介護報酬改定に関する審議報告(案)」がございます。
 資料の不足等がございましたら、事務局のほうにお申しつけください。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 早速、議事次第に沿って進めてまいります。
 議題1の「介護人材の処遇改善等について」、議論を行います。
 事務局から、資料の説明をお願いします。
○鈴木老人保健課長 それでは、資料について御説明させていただきます。
 資料1になりますが、これまで御議論していただいたものにつきまして、今回、審議報告(案)という形でまとめさせていただいておりますので、これをそのまま文章として読み上げさせていただきます。
平成29年度介護報酬改定に関する審議報告(案)
社会保障審議会介護給付費分科会
  介護人材の処遇改善については、まずは競合する他産業との賃金差を解消するとの観点から、本年8月2日に閣議決定された「未来への投資を実現する経済対策」において、「介護保険制度の下で、介護人材の処遇については、キャリアアップの仕組みを構築し、月額平均1万円相当の改善を平成29年度から実施する。」とされ、政府において、平成29年度に臨時に介護報酬改定を行うことにより対応することが決定された。
  当分科会は、この決定を受けて、その制度設計等について議論を行ってきたが、これまでの議論に基づき、平成29年度介護報酬改定に関する基本的な考え方を以下のとおり取りまとめたので報告する。
  1.介護人材の処遇改善
  介護人材の処遇を含む労働条件については、本来、労使間において自律的に決定すべきものであるが、他方、介護人材の安定的確保及び資質の向上を図るためには、介護業務の負担の軽減や事務の効率化を図る他、事業者における取組を評価し、確実に処遇改善を担保するために必要な対応を講ずることは、現状においても引き続き求められている。
  このため、平成29年度介護報酬改定では、現行の介護職員処遇改善加算の位置づけを前提として、これを維持しつつ、介護人材の職場定着の必要性、介護福祉士に期待される役割の増大、介護サービス事業者による昇給や評価を含む賃金制度の整備・運用状況などを踏まえ、事業者による、昇給と結びついた形でのキャリアアップの仕組みの構築について、手厚く評価を行うための区分を新設することが適当である。なお、介護人材の処遇改善について、その必要性は認めつつも、介護報酬改定が予定されていない期中については税財源で対応すべきであり、保険料負担が純増となる形で期中の報酬改定により対応を行うことは厳に慎むべきであるとの強い意見があった。
  新設する区分の具体的な内容については、現行の介護職員処遇改善加算((ローマ数字1))の算定に必要な要件に加えて、新たに、「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること(就業規則等の明確な書面での整備・全ての介護職員への周知を含む)」とのキャリアパス要件を設け、これらを全て満たすことを要することとすることが適当である。
  なお、介護職員処遇改善加算が、常勤・月給の職員に比べ、非常勤・時給の職員において処遇改善効果が低いことに鑑み、キャリアパス要件を含め、その実効性を確保することが必要であるとの意見があった。
  (※)新設するキャリアパス要件に関する取組の例
  「経験に応じて昇給する仕組み」…「勤続年数」、「経験年数」などに応じて昇給する仕組みを想定。
  「資格等に応じて昇給する仕組み」…「介護福祉士」、「実務者研修修了者」などの取得に応じて昇給する仕組みを想定。ただし、介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。
  「一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み」…「実技試験」、「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組みを想定。 ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。
  また、介護職員処遇改善加算の対象職員や対象費用の範囲を拡大する場合には、加算の算定額が必ずしも全て介護人材の賃金改善に充てられないこととなる。
  この点に関して、対象職員の拡大については、介護事業所で働く様々な職種の職員のチームワークの向上に資するとの意見があった一方で、介護職員のみに限定した処遇改善を実現すべきとの意見もあり、対象費用の拡大については、介護職員の職場定着を図るため、賃金改善以外の、仕事と子育ての両立支援や教育・研修・職場環境の改善へ活用できることとすることが必要であるとの意見があった一方で、現在でも賃金改善に直接結びついていない面があるとの指摘がある中、さらに賃金改善の効果が弱まりかねないとの意見もあったことから、慎重な対応が必要である。
  このため、平成29年度介護報酬改定においては、介護人材の確保は重要な課題であり、その処遇改善を図るために臨時に介護報酬改定を実施する趣旨に鑑み、まずは、新たに措置する月額平均1万円相当の処遇改善が、介護人材の賃金改善に確実に結びつくことが重要であるとの考えから、介護職員処遇改善加算の対象職員や対象費用の範囲については現行の取扱いを維持することが適当である。
  一方、対象職員や対象費用の範囲を含め、介護職員処遇改善加算の在り方については、介護人材の状況、平成29年度介護報酬改定で措置する月額平均1万円相当の処遇改善の実施状況、介護人材と他職種・他産業との賃金の比較や例外的かつ経過的な取扱いとの位置付けなどを踏まえつつ、引き続き検討していくことが適当である。なお、この点については、更なる処遇改善を引き続き検討すべきとの意見や、恒久的な在り方も視野に検討すべきとの意見があった一方、処遇改善を介護報酬により対応すべきかどうかという観点も含めて検討すべきとの意見があった。
  2.その他
  平成27年度介護報酬改定後の議論の中で、地域区分の在り方については、地方自治体の対応準備に時間を要するため、一定期間内に方向性を示すことができるよう検討することとされたことを受けて、政府において、地域区分に関する地方自治体の意見について調査が行われた。
  本調査の結果を踏まえ、地域区分については、引き続き、現行の設定方法を原則としつつ、隣接地域とのバランスを考慮し、なお公平性を確保すべきと考えられる場合について、特例を設けることが適当である。
  具体的には、現行の設定方法による区分を適用した結果、隣接地域全ての地域区分が当該地域より高くなる地域については、当該地域の地域区分の設定値から隣接地域のうち一番低い区分までの範囲内の区分を選択できることとし、隣接地域全ての地域区分が当該地域より低くなる地域についでは、当該地域の地域区分の設定値から隣接地域のうち一番高い区分までの範囲内の区分を選択できることとすることが適当である。
  また、平成27年度介護報酬改定による地域区分の見直しに伴う経過措置について、現状では平成29年度末までがその期限となっているが、この点に関しては、地方自治体への調査における意見を踏まえ、平成27年度から平成29年度末までの当該地域の地域区分の設定値から地域区分の設定方法を適用した後の最終的な設定値までの範囲内の区分で、平成32年度末まで引き続き経過措置を講じることを認めることが適当である。
  これらの見直しについては、対象地域に対して、関係者の意見を踏まえて適切に判断するよう求めるとともに、新たな設定方法の適用についての意向を十分に確認した上で、財政的な増減を生じさせない財政中立の原則の下、平成30年度介護報酬改定において実施することが適当である。
  なお、地域区分の在り方については、少なくとも市町村域を超えた、より広域的な範囲での設定とするなど根本的な見直しを含めて、今後も引き続き検討すべきとの意見があった一方、仮に広域的な範囲で設定することとしても、地方自治体のブロック分けの方法や各ブロックにおける級地の設定方法について、より多くの地方自治体の納得を得られるものにするのは極めて困難ではないかとの意見があった。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 ただいま説明のありました事項について、御意見、御質問があればお願いいたします。
 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 大体いいと思うのですけれども、少し意見と質問をさせていただきたいと思います。
 まず1ページ目の一番下の「○」でございますが、「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること」とあって、この「又は」で結ばれたところは同格ということになっているのですが、キャリアアップは何を意味するのかということにもなるのですけれども、それが昇格を意味するものであるならば、昇給と結びついた形でのキャリアアップの仕組みのあり方としては、後者のほうの賃金表を作成し、人事評価に基づく定昇制度と連動することが望ましいと思います。これは意見です。
 それから、2ページ目の上の1つ目の「○」の下3行あたりのところですけれども、「現在でも賃金改善に直接結びついていない面があるとの指摘がある中」とありますが、これまでも何度か処遇改善が行われているわけですし、その上でも賃金改善に直接結びついていないというのはどういうことなのか。賃金以外のことに使われているのではないかという誤解も生みかねませんので、この意味をもう少しはっきりさせておく必要があるのではないかと思います。これは質問ですので、どのような意味なのかを教えていただきたいと思います。
 それから、3ページの一番下の「○」でございます。「対象地域に対して、関係者の意見を踏まえて適切に判断するよう」となっておりますけれども、この関係者とはどういった方を含むのか。その対象地域の事業者も含まれるのか、教えていただきたいと思います。
 以上、3点ですが、2点は質問ですのでよろしくお願いします。
 それと、キャリアアップとは何を意味するのかも、あわせて教えていただければと思います。以上です。
○田中分科会長 質問は3つですね。お答えください。
○鈴木老人保健課長 それでは、まず2ページの下の2つ目の「○」の「現在でも賃金改善に直接結びついていない面があるとの指摘がある中」ということでございますが、この御指摘につきましては、同じページの上から2行目のところにありますが、「介護職員処遇改善加算が、常勤・月給の職員に比べ、非常勤・時給の職員において処遇改善効果が低いことに鑑み」といったところと関連するものと認識しております。
 処遇改善加算につきましては御指摘のとおり、加算の算定額を賃金改善に全て充てるということを求めておりますが、事業所内での介護職員に分配するか、どのように分配するかということについては事業者に委ねられているということがございますので、個々の介護職員で見た場合につきましては改善額というのは異なるという状況が出てきております。
 こうしたことから、御指摘の箇所につきましては、1つは個々の介護職員によってはやはり改善の度合いが低いということも見られ、さらにこういったことが状況の中で対象費用の範囲を拡大した場合についてはさらに改善の効果が弱まってしまうのではないかというような御趣旨の意見であると理解しております。
 そういった面があるということで断定なことになっておりますので、これにつきましては少し検討させていただければと思っております。
 それから、3ページのところでございますが、関係者の意見ということでどういうものが含まれるのかということでございます。この関係者ということにつきましては、先生が御指摘いただきましたとおり、その利用者、もしくは事業者、そういったことも含めた関係者ということで考えているところでございます。
 それから、キャリアアップということについて、そもそものキャリアアップをどういうふうに考えるのかということでございますが、今の介護職員の方々がキャリアアップをするということであれば、技能的もしくは職能的、職務的といったところを含めまして経験等を積んでいただく、もしくは実績を積んでいただく等によりまして、今よりもよりよい介護が行われるような形での技能、もしくは技術といったものを持っていただくということをキャリアアップというふうに考えるところでございます。
○鈴木委員 わかりました。そうすると、キャリアアップというのは、必ずしも昇格は意味しないということですね。
 それから、関係者には利用者や事業者も含まれるということですね。それもわかりました。
 それと、2番目のところですけれども、それであれば現在でも賃金改善に直接結びついていない方もいるとか、そういうふうに直されるとわかりやすいのではないかと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 田部井委員、お願いします。
○田部井委員 ありがとうございます。前回の11月16日の分科会で出た対応案から、介護処遇改善に前向きな表現に修正をしていただけて、それはよかったと思っています。
 たとえて言いますと、1ページの「介護人材処遇改善」の最初の「○」の最後のところが当初の対応案では、処遇改善をしていくことは現状においてはやむを得ないというふうに後ろ向きの表現でしたが、「現状においても引き続き求められている」という形で修正をしていただきました。
 それから、3ページの一番上の「○」の5行目の最後の文章ですけれども、今後随時検討していくという曖昧な表現でしたのが「引き続き検討していくことが必要である」のほうが私はよかったと思うんですけれども、ちょっと修正されて「適当である」ということになりましたが、前向きに修正をしていただけてよかったと考えております。
 その上で、確認と質問をさせていただきたいんですけれども、今回の最終案で冒頭の1行目から「まずは競合する他産業との賃金差を解消するとの観点から」という1文が入りました。主にこの「まずは」ということの意味ですけれども、これは前回の議論のときにも対人サービス業の平均額の27万円、つまりあと1万円を上げるということが目標であるという回答をいただいてちょっと残念に思ったのですが、この表現を見ますと、まずは1万円を上げますということは、その次にまだ対人サービス業の高いほうの28万円ということも視野から外れていないし、ひょっとしたら全産業平均の30万円というのもあながち視野から外れているわけではないのだと受け取ってよろしいかどうかという確認をさせていただきたいと思います。
 それから、これは質問なんですけれども、1の「介護人材処遇改善」の最初の「○」の「労働条件について、本来、労使間において自律的に決定すべきものであるが、他方」という表記です。これは現実的な意味からいきましても、せっかく現状においても引き続き処遇改善を求められているという表現に変えていただいたのに、この一文があることで少し意味が減殺されてしまう印象を受けるという極めて現実的な意味合いと、もう一つ、介護職員の処遇というのは極めて介護保険制度という社会政策的に決められた側面というのがあると思うんですね。
 こういうサービスを設けます。そのためには、こういう人材を配置します。その人材を何人配置します。そのために、このサービスの介護報酬はこのように決めますというふうに、そもそも大枠が決められているという制約があると思うんです。
 そうしますと、純粋の経済行為でしたら、それは純粋に労使間で決められるものかもしれませんけれども、もともと介護職員の処遇というのは枠が決まっているといいますか、少し純粋な経済行為とは違うところで決まっている側面があるという意味で、必ずしも一般の経済行為とは別の側面があるというようなそもそも論からしても、ここにあえてばんとどうしても書かなければいけない必要があるのかということにつきましては、私どもはちょっと違和感を覚えるものです。
 ただ、最終ということでもありますので、あえて修正は求めませんけれども、今までもずっとそうだったのだろうと思うのですが、前の部会を傍聴させていただきまして、部会の報告にはこの「労働条件については、本来、労使間において自律的に決定すべきものであるが、他方」という文言はないんです。部会の報告にはなくて、給付費分科会の報告にはある。
 そうしますと、部会はこうだからそれは載せない、分科会はこうであるから載せないと、この会議の位置づけが少し違うのか。あるいは、何か考えがあってそうされているのか。もしあれば伺いたいというふうに思います。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 老人保健課長、お願いします。
○鈴木老人保健課長 第1点目のところでございますが、「まずは競合する他産業との賃金格差を解消するとの観点から」、こういった観点から今回「ニッポン一億総活躍プラン」におきまして平成28年度6月2日に閣議決定されたものでございますが、そういったところではこういった観点におきまして今回1万円相当の処遇改善を行うということが決定されたところでございます。
 また、この閣議決定されましたプランにおきましても1万円の処遇改善というだけではなく、実は工程表の中にも介護報酬等の改定にあわせて必要に応じて処遇を改善していくということが書かれておりますので、こういったことを踏まえまして、今後とも処遇についてはきちんとウオッチしていきたいと思っております。
 それから、ここの「本来、労使間において自律的に決定すべきものであるが」という文言が入っているということでございますが、この文言自体は実は27年度改定のときにも同じようなことが入っておりまして、これまでの介護給付費分科会におきます処遇改善の加算に関する議論の中ではこういったことが適宜言われてきたものですし、今回は審議報告ということでそういった御意見もございましたのでこのことを入れさせていただいたところでございます。
 部会の報告書と給付費分科会の報告書の中身がちょっと違っているのではないかというようなことでございますが、部会のほうにつきましてはそういったところで議論はされておりますが、特に今回の給付費分科会についてはこういった御意見、御発言もありましたので入れさせていただいているところでございまして、同じ社会保障審議会の中の2つの審議会ではございますが、そういった議論の過程の中で若干そういったそごが出ているかもしれませんが、少なくともこの給付費分科会におきましてはこのような御発言もありましたので、今回入れさせていただいているところでございます。
○田中分科会長 本多委員、お願いします。
○本多委員 審議報告の文案については特段に異論はございませんが、3ページの一番上の「○」の4行目から5行目に、「引き続き検討していくことが適当である」と記されております。
 ただ、24年度改定の審議報告を見ますと、例外的かつ経過的な取り扱いとして設けるものであると結んでおり、27年度改定の審議報告では、今後の取り扱いについてはより効果的かつ実効性の高い対応のあり方も含めて引き続き検討することが適当であると結んでいます。そして、今回も「引き続き検討していくことが適当である」となっております。
 この処遇改善の取り組みについては前回の資料にもございましたが、平成21年度の改定から交付金も含め、9年にわたり実施しているところです。このようなあり方が、例外的かつ経過的な取り扱いと言えるのでしょうか。そもそも加算というものは、よりよいサービスを提供しているところに配られるべきものであると思います。
 ところが、以前も申し上げたとおり、一部の加算要件については無条件で一律に配られているような状況です。我々としては処遇改善自体を否定しているわけではございませんが、サービスに対する対価として保険料が徴収されているにもかかわらず、その保険料が専ら賃金の引き上げに使われていることについて矛盾があるのではないかと思っております。
 保険料は、原則として利用者のサービスの向上に使われるべきであると思っており、負担者が納得できる使途であるべきだと思っております。
 しかも、受益が伴わない40歳から64歳の第2号被保険者の保険料は、国の公費負担である25%を超え、28%の負担をしている最大の負担者であるということです。
 また、介護保険部会において介護納付金の総報酬割の導入について議論されているところでございますが、総報酬割が導入されれば我々健保組合は1,100億円程度の負担がさらに強いられることになってきます。
 これまでは改定の直前になって処遇改善の議論が行われていましたが、次回の改定に向けては早い段階で加算のあり方、基本的な議論をぜひともしていただきたいと思います。
○田中分科会長 御意見ですね。ありがとうございます。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 今回、審議報告ということで、処遇改善をもう一段やっていくということをまとめることになったことは大変ありがたいことだと考えております。
 国のほうでも一億総活躍プラン、経済対策と、この間その処遇改善ということが介護離職ゼロのために極めて重要だという認識を持っていただいて、それがこの処遇改善加算というやり方でもう一段やることになった。国の全体の方針としてこのような形になったということで、非常にその重みを感じているところであります。
 今も指摘があった、「まずは競合する他産業との賃金差を解消するとの観点から」ということが書かれたということで、今後もその工程表にもあるということで処遇改善に取り組んでいくというような御答弁だったと思っております。
 先ほどあった介護保険部会のほうでは政府の姿勢として、「まずは競合する他産業等との賃金差を解消する観点を踏まえて、平成29年度介護報酬改定を実施するなど、介護職員に対するさらなる処遇改善に引き続き取り組む。」ということで姿勢が示されたところでありますので、その点をぜひこちらの給付費分科会の審議報告の中にも書いていただきたいと思っております。
 1つの案としましては、1ページの1.の1つ目の「○」の語尾に「現状においても引き続き求められている。」とありますので、その後にでもまずはさらに引き続き取り組んでいくということを政府の姿勢として書いていただくことが必要だと思っております。
 それから、この間も私が申し上げているのは、キャリアアップの仕組みということで、加算の要件に設けているところについて、これが実効性があるのかということを何度も指摘をさせていただきました。
 そういう意味では、1ページの1.の1つ目の「○」の4行目の「事業者における取組を評価し、確実に処遇改善を担保するために必要な対応を講ずことは、現状においても引き続き求められている。」ですが、この取り組みを評価するに当たっては今回もキャリアパス要件を単に整備して、会社の社内制度としての規定を整備するだけでは何らその評価に値しないと思っております。それが、実際に対象者がたくさんいて非正規、非常勤の方も含めて対象になっているという実態を伴って、初めてその評価に値すると考えております。その点、2ページ目の一番上に非常勤のことを書いていただいているということは非常に感謝申し上げます。
 この実効性については非常勤のみならず、常勤にあってもその対象労働者がいるか、いないかは問わないということに今回の提案はなっておりますので、その観点からは2ページ目の3行目の「非常勤・時給の職員において処遇改善効果が低いこと等」とか、そういう形で必ずしも非常勤・時給の職員についてのみの話でもないということをにじませていただきたいと思っております。
 次に、2ページ目の1つ目の「○」、ちょうど真ん中辺にあるところですが、対象職員の拡大という点についてはこの間、チームワークの向上、加算型に限定された対象労働者が限定されているがために対応に苦慮した事業所が加算の取得を諦めるということが調査結果からも出ております。そのためにはやはり拡大していくということが必要だと思っておりまして、今後の検討ということで3ページの上のほうにありますので、ぜひそうしていただきたいと考えております。
 また、先ほど鈴木委員から指摘がありました1つ目の「○」の下から3行目あたりですけれども、「直接結びついていない面があるとの指摘」という点ですが、やはり実感を伴っていないということはこの間申し上げてきていて、さらにその例示としては非常勤・時給のところが最も実感を伴っていないわけですが、そういう面があるということでこれで適切かと、私のほうからはそのように考えているところであります。以上です。
○田中分科会長 御意見と御要望ですね。ありがとうございました。
 瀬戸委員、お願いします。
○瀬戸委員 ありがとうございます。加算の要件等に関しては前回もお話させていただきましたけれども、現場に即した形でとてもいいものと思いますので、これを進めていただければと思います。
 3ページの一番上の「○」で、何人かからもお話出ていますが、対象職員と費用の範囲に関して引き続き検討するということですが、実はきのう、きょうと老人ホームに勤める若手の現場の責任者や経営者の意見交換会がありました。その中で、この春に介護から相談員に異動になったら当然、介護処遇改善手当がなくなり、夜勤手当などほかの手当も含めて月額4万円減ってしまいましたという報告があって、こういうことも踏まえてぜひ、引き続き検討もしていただきたいということを述べさせていただきたいと思います。以上です。
○田中分科会長 これからの検討についての御要望でした。ありがとうございます。
 井上隆委員、お願いします。
○井上(隆)委員 ありがとうございます。今回の審議報告につきましては、1ページ目の2つ目のなお書きに強い意見が示されておりまして異論はございませんので、訂正は特にございません。結構でございます。
 1つ繰り返しになりますけれども、処遇改善そのものには異論を挟むつもりは毛頭ありません、必要なことだと思います。
 ただ、やはり給付が拡大する場合には、必ず誰かが負担しなければいけないということを皆さんご理解いただいて、そのために誰がどのように負担することになるのか理解をもう少し丁寧に皆さんに求めていくというプロセスを重視していただきたいと思っております。以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 河村委員、お願いします。
○河村委員 今回の審議報告の総体につきましては、それぞれの委員の皆様がいろいろな観点から御議論してまとめていただいたので、これでよろしいのではないかと思います。
 その中で、その他の事項で私は従来から地域区分について小さな町村にとってあるいは周りの町村、市を含めて非常に問題があるというお話をしてまいりました。
 今回、一定のルールを改定して前進をするという表現があるのですけれども、将来にわたって検討するときに抜本的な検討をしてほしいというお話を申し上げてきたのですが、最後の「○」の中に極めて困難であるという記載があります。それぞれの市町村のいろいろな事情を聞く前に困難であるとするのではなくて、困難だからこそそれをどうやって直すかということを私は提案しているのであって、そういうことを今後検討していただきたいと思っております。
○田中分科会長 同じく、今後の検討についての御要望でした。ありがとうございます。
 東委員、どうぞ。
○東委員 ありがとうございます。私もこの審議報告案でよろしいかと思います。この介護職員の処遇改善については、次の報酬改定でもテーマになると思いますが、介護サービス事業者にとりましては介護人材が本当に不足しており、大変に苦労しております。この介護給付費分科会では介護職員処遇改善について議論がされています。また一方では、地域医療介護総合確保基金におきまして介護人材の確保に財源が充てられております。この基金では、平成27年度だけで補正を含めまして、240億円余りの大きなお金が介護人材確保に使われているわけでございます。
この介護人材確保と介護職員処遇改善というのは、介護サービス事業者からすると結局一緒のことで、分けられないものでございます。にもかかわらず、この介護給付費分科会では処遇改善だけを議論し、介護人材確保は医療介護総合確保促進会議で分けて議論されています。分けて議論するのではなく、ぜひ介護給付費分科会の場に、この介護人材確保の基金240億円がどのように使われて、どのような効果があったのかというものをお示しいただきたいと思います。
 その上でないと、なかなかこの処遇改善のお話も現場に合った議論ができないのではないかと思います。ぜひ次の場ではそのようなことをお願いしたいと思います。
○田中分科会長 事務局で検討してください。基金の使い方について、こちらにどう影響があったかですね。
 では、堀田委員、それから稲葉委員の順でお願いします。
○堀田委員 審議報告案のほうに戻らせていただきますが、2ページの上のところで趣旨がということではなくて、ちょっとこれは誤解を招くかもということで、一番上のところですけれども、先ほど伊藤委員からも御指摘がありましたが、この介護職員処遇改善加算が実効性を確保されることが必要であるという趣旨はもちろん結構だと思うのですが、特に御指摘になっていたような「非常勤・時給の職員において処遇改善効果が低い」。
 実は、これ自体が本当は客観的に判断するのは難しいことですけれども、それをここに入れるとして、そのことに鑑みということの例示として挙げている新設するキャリアパス要件に関する取り組みの例というのが、このようなことではなかなか非常勤・時給の職員において実効性を確保するということには直接的にならないのではないかというような例が挙がっているので、実効性の確保は必要であるということはもちろん明記した上で、「非常勤・時給」で「など」を入れるなり何なりですけれども、その職員においてもその実効性が確保されるための手だては検討すべしというのは、この位置を変えるなり少し分けて書かれたほうがいいのではないかと思います。
 もちろん、この中に書くことではないと思いますけれども、多くの事業所で非常勤で時給の方々に対してそれほど上げられないということは労働時間調整をする可能性があるとか、そういうようなことも関係していると思いますし、特にこの上のところにこれが置かれていると、下の例とのそぐわない感じと相まってやや違和感がありますので、少しそこは検討していただければと思います。
○田中分科会長 内容というよりも、非常勤の処遇とキャリアパスを分けて書いたほうがいいという表現の問題ですが、事務局は対応可能ですか、
○鈴木老人保健課長 はい。
○田中分科会長 では、稲葉委員どうぞ。
○稲葉委員 ありがとうございます。今回のこの審議報告につきまして、特に修正を求めるものではありません。そんな中で、介護事業を行う者としまして1つ意見を言わせていただきたいのですが、先ほどから出ております「介護人材の処遇を含む労働条件については、本来、労使間において自律的に決定するべきものであるが」ですが、このように条件がつけられてきている。この処遇改善は年々厚みを増してきていますが、一方では介護事業者の取り組む処遇や労働条件に対しては、幾らか管理が強まってきているとも感じます。
 そんな中で、各事業者における前向きで多様な取り組みなどが委縮しないことは希望しております。
 ですが、そもそもの原因となっているのは、ここにも載っておりますけれども、介護事業者に任せていては介護人材の安定的確保や資質の向上を図ることがまだまだ不十分だということだとも思いますので、このせっかくの処遇改善加算を受けて、しっかりと事業所によって職場の改善や人材の定着、そして資質の向上というものに真摯に取り組んで結果を出していかなければいけないと感じました。以上です。
○田中分科会長 決意表明ですね。ありがとうございます。
 及川委員、それから安部委員の順でお願いします。
○及川委員 ありがとうございます。この報告書について異論はございません。現在、介護の現場で働いている職員たちからいろいろな相談がくるのですが、その中でどうしても人材が不足しているがためにかなり疲労が重なってしまっているとか、やめたいとか、そういうことは聞こえてくるんです。
 この処遇改善加算の今回の改正について、すごく感謝申し上げます。このことを少しでも聞いて、どれだけの職員がとどまってくれるかということを考えると、本当にいろいろ問題はあるのですが、やはりありがたいと思っています。
 重ねて議論もあったのですが、どの施設も、どの事業所も、この加算を活用することをとにかくやっていただきたいと思っています。
 このことこそが、介護職員が平等に処遇改善されたという結果になるんじゃないかと思いますので、このことをとにかく切に望みます。どうもありがとうございました。
○田中分科会長 安部委員、どうぞ。
○安部委員 処遇改善に関し、この報告書については了解をしたいと思いますし、賛成もしたいと思います。
 2ページに、新設するキャリアパス要件ということで取り組みの事例が幾つか示されています。新たにこういったものをつけ加えるということでありますが、これによって処遇や給与が上がる仕組みとするわけでありますけれども、このさまざまな仕組みがどれだけ離職の防止につながり、職員の方々のやりがいとかやる気につながったかを見ていくことが、今後どういうポイントで介護職員の方々の仕事を評価するかということにもつながっていこうかと思いますので、そういった調査等も必要になると思います。
 一方、キャリアパスにおけるキャリアアップの仕組みというのは一生懸命勉強しなさいとか、研修をしなさいということも含まれてきます。そういった影響で過剰にお尻をたたくようなことがあってはむしろ離職につながってしまうなどという逆効果も全くリスクがないとは言えませんので、そういった現場の状況を把握し、調査することも必要かと思います。以上です。
○田中分科会長 今後の調査についての御意見でした。
 武久委員、お願いします。
○武久委員 その他でよろしいでしょうか。
○田中分科会長 はい。
○武久委員 私は、かねてからこの地域区分というのは頭をひねっていたわけです。どうしてここが1.1で、隣が1.2なのか。その決め方はどんなものか。これは大体3年に1回の介護報酬のときに決めているようなんですけれども、その間に人口が減ったり、介護保険事業所の数がふえたり減ったり、何をパラメーターとしてやっているのか知らないけれども、雰囲気としてはぱっと見た場合に余り変わらないじゃないか。
 我々もそうだし、国民もそうだということですから、ここに書いてあるようにある程度幅を持ってやっていただけるということはみんなが納得するんじゃないかと思いますので、ぜひこれを進めていただけたらと思います。いい考え方ではないかと思います。
○田中分科会長 やはり今後の検討についての御指摘でした。ありがとうございます。
 報告そのものよりも皆さんから今後の検討についての御意見が多かったですね。
 井上由美子委員、お願いします。
○井上(由)委員 ありがとうございます。私は、もともと処遇改善加算の方法には反対でございます。やはり基本報酬をきちんと上げて、介護職は高いということを社会的に認知させていただきたいと思っております。もうこの段階では遅いので、今後は加算という仕組みではなくて抜本的に基本報酬を上げる方向で、ぜひ次の取り組みでは検討していただきたいと思っています。
 先ほど保険料はサービスに使われるべきというご意見がありましたけれども、介護の場合は介護職そのものがサービスであると思っています。介護でのサービスは別の品物を渡したりするわけではなくて、介護職がどうケアするかということがサービスですので、ぜひ介護職そのものがサービスであるということを認識しながら、処遇改善加算ではなくて基本報酬を上げていただきたいと思っております。
 それからまた余計な質問かもしれませんが、看護はもともと過去にはそんなに高くなかったのに今、介護職とは月にして10万ぐらいの差がございます。看護はどうやってそこまで持ってこられたのか。そのときに、キャリアアップとか、加算とか、そういうことがなされたのか。キャリアアップというのはどういうところで使われてきたのか。なぜ介護職には報酬の際にキャリアアップ、キャリアアップと言われるのか、これは本当に余計な質問かもしれませんけれども、もしおわかりでしたら教えていただきたいと思います。以上です。ありがとうございます。
○田中分科会長 老健局で答えられるかどうか、ちょっとわかりませんが、どうでしょうか。
○鈴木老人保健課長 済みません。私のほうではちょっと答えられないので。
○齋藤(訓)委員 看護職は、病院の中で働く人たちが62%ほどおります。看護教育の質の向上ということで大学化も進め、基礎教育のカリキュラム改正を何度もやりながらきておりますけれども、卒後教育についても、病院の中で安全でよりよい看護を提供するという、そこの目的が非常に大事で、院内でクリニカルラダーを整備して、実践能力を何段階かで評価し、それらの能力を獲得するための研修を、職能団体や教育界も協同してこれまで整備してきた歴史が長いということが1つあろうかと思います。
 特に介護施設で働くナースたちのキャリアの動きを見ますと、一定程度病院で働いて、その後ロングタームケアにもっと関心を寄せて働こうという方々が来ておりますので、介護施設で働くナースたちの平均年齢を見ますと40代後半から50代前半といった方々が多いです。やはり、それなりの経験と学習を積んできておりますから、私は今の介護施設で働くナースたちの給料が十分であるかどうかというと、決して十分とは言い切れないという感想を持っておりますけれども、看護職の評価の背景としては長い歴史の中で自分たちがよりよいサービスをきちんとやっていこうということで、職能団体を初め、いろいろな方々と協力をしながらラダーなどの教育体制を整えてきたということがやはりある。
 そういった意味で、介護福祉士はできてからまだまだ歴史が浅いということがあるので、評価としては恐らくこれからなのだろうと思っております。
 お答えになったかどうかはわかりませんけれども、そういった背景があります。
○田中分科会長 事務局を助けていただきましてありがとうございました。
 東委員、どうぞ。
○東委員 今の井上委員のご発言についての回答ではないのですが、私の見解を述べさせていただきます。看護職の場合はもちろん歴史も長いですし、教育課程も介護福祉士とは少し違うと思いますが、これは介護保険部会でも述べさせていただきましたけれども、一番は、看護師の場合はやはり業務独占であるということが大きいと思います。
 ところが、介護福祉士の場合は名称独占でございます。つまり、介護福祉士の資格を取っていても、無資格の方と一緒に働かなければいけない。介護福祉士の仕事でも無資格な方が出来てしまう。この業務独占と名称独占の違いが一番大きいと思っています。将来的には介護福祉士も、いろいろな教育の問題をクリアしたうえで、業務独占を目指していかない限り、その格差はなかなか埋まらないと思っております。
○田中分科会長 一わたりよろしゅうございますか。
 本報告については、最終回で大きなコンテンツの変化はありませんでした。国語的表現について幾つかありましたが、その点はお答えになりますか。
○鈴木老人保健課長 それでは、本日の御議論を踏まえまして、表現等で御意見をいただきましたので、その部分につきましては座長と事務局のほうで調整させていただければと思っております。
○田中分科会長 ありがとうございます。では、その点については座長にお任せいただいてよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○田中分科会長 ありがとうございます。
 予定されていた審議は、以上でございます。審議はここまでといたします。
 次回の予定について、事務局より説明をお願いします。
○鈴木老人保健課長 本日はありがとうございました。
 次回の日程等につきましては、また事務局から追って御連絡させていただきますのでよろしくお願いいたします。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しい中、どうもありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。


(了)

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