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2016年6月23日 (平成28年6月23日)平成28年度第2回化学物質のリスク評価検討会(有害性評価小検討会) 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成28年6月23日(木)15:00〜


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第8会議室(19階)


○議題

がん原性試験結果の評価について 他

○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより平成28年度の第2回有害性評価小検討会を開催いたします。本日は委員全員が御出席です。座長の大前先生に以下の議事進行をお願いいたします。
○大前座長 議事を進めたいと思います。今日は4つ課題があります。まず、事務局から資料の確認をよろしくお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 本日の資料の確認ですが、前もっておわびを申し上げたいと思います。本日、資料1枚目の表に議事次第が書いてありますが、本来、裏面に資料一覧が書いてあるべきところですが、こちらの手違いにより資料一覧がありませんので、これよりこちらのほうで申し上げる資料についての御確認ということで、よろしくお願いできればと思います。1枚目、一番上は議事次第のみです。今申し上げましたとおり、資料一覧は付いていない状況です。誠に申し訳ございませんでした。
 資料と参考資料が別々のクリップで止まっております。資料1-1-1の「アクロレインのラットを用いた吸入によるがん原性試験結果」が1ページから10ページまで、資料1-1-2の「アクロレインのマウスを用いた吸入によるがん原性試験結果」が11ページから18ページまでです。資料1-2-1の「アクロレインのラットを用いた吸入によるがん原性試験報告書」が1ページから30ページまで、資料1-2-2の「アクロレインのマウスを用いた吸入によるがん原性試験報告書」が31ページから58ページまで、資料1-3の「アクロレインに関するがん原性指針策定の要否について」が59ページからです。資料2は「中期発がん性試験(ラット肝中期発がん性試験)の結果について(発がん性評価ワーキンググループ報告)」の資料で、6ページまでの資料です。資料3は、「平成28年度ばく露実態調査対象物質の評価値について(カーボンブラック)」です。資料4は、今後の予定です。
 参考資料1は、「リスク評価検討会(有害性評価小検討会)参集者名簿」です。参考資料2の「国が実施する発がん性試験について」が1ページから4ページです。参考資料3のアクロレインに関する「CERI有害性評価書」が1ページから36ページまでです。参考資料4-1の「有害性評価書(カーボンブラック)」、厚生労働省委託事業で行った有害性評価書が1ページから28ページまでです。参考資料4-2は、「元素状炭素を含む粉じんの作業環境における測定法について」ということで、多層カーボンナノチューブとカーボンブラックの測定法に関する資料で29ページから40ページまでです。参考資料4-3は、カーボンブラック協会から御提供いただいた「カーボンブラックのナノマテリアルとしての安全性」ということで、41ページから64ページです。冒頭、議事次第の資料一覧が抜けておりましたことにつきまして、まずもっておわび申し上げます。そのほかに資料に不備がありましたら事務局までお申し付けくださいますようにお願いいたします。
○大前座長 おそろいでしょうか。議事に入ります。議題1は、がん原性試験結果の評価についてです。まず、試験結果の評価を行い、がん原性があるという場合は大臣指針を公表するかどうかということについての検討をお願いいたします。事務局、それからバイオアッセイのほうから、アクロレインのがん原性試験の結果の御説明をよろしくお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 資料1-1-1と資料1-1-2に基づいて、被験物質の概要について事務局から申し上げて、試験結果全体の概要について、日本バイオアッセイ研究センターのほうから説明をお願いできればと考えております。まず、資料1-1-1です。1ページ目、アクロレインのラットを用いた吸入によるがん原性試験結果の内容です。被験物質は、名称アクロレイン、別名アクリルアルデヒド、2-プロペナールです。CAS番号は107-02-8です。構造式は資料のとおりです。分子量は56.06となっております。物理化学的性状ですが、無色〜淡黄色の透明液体ということで、比重は0.8389(20℃)となっております。沸点は52.6℃、蒸気圧は25℃で274 mmHgとなっております。溶解性はエタノール、エーテル、アセトンに可溶、クロロホルムに微溶となっております。保管条件は、冷蔵、暗所に保管となっております。製造量等ですが、この物質については化審法における優先評価化学物質となっており、そこにおける製造・輸入量は平成26年で131tという数字が出ております。
 用途です。医薬品、繊維処理剤、アリルアルコール、グリセリンの原料グルタルアルデヒド、1,2,6-ヘキサントリオール及び架橋結合剤などの原料になる。コロイド状オスミウム、ロジウム、ルテニウムの製造、溶剤、抽出に用いられるとなっております。
 1-6、許容濃度等ですが、管理濃度は未設定、日本産衛学会での許容濃度が0.1ppm、ACGIHが未設定、IARCで情報なしという化学物質となっております。
 この物質について、今般、日本バイオアッセイ研究センターから、吸入による長期がん原性試験結果の報告がありましたので、こちらについての説明をよろしくお願いいたします。
○日本バイオアッセイ研究センター バイオアッセイの西沢と申します。よろしくお願いいたします。今の資料1-1-1の2ページから説明いたします。まず、ラットですが、アクロレインのがん原性を検索する目的でF344ラットを用いた吸入による2年間の試験を実施しました。方法は、被験物質投与群3群と対照群1群の4群構成で、各群雌雄とも50匹、合計400匹を用いました。被験物質の投与は、アクロレインを1日6時間、1週5日で104週間、全身ばく露により投与しました。投与濃度は、雌雄とも0、0.1、0.5、2ppmとしております。検査として、一般状態、体重、餌、血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査、解剖時の肉眼的観察、臓器重量、病理組織学的検査を行いました。
 結果は、グラフと表で説明いたします。7ページにラットの生存率を示しております。上段が雄で、下段が雌です。雄の生存率は、対照群と投与群に大きな差はありませんでした。雌の生存率ですが、最高投与群2ppm群で、◇のマークですが、試験の終盤に少し低下しております。
 8ページにラットの体重の推移を示しております。同じように、上段が雄、下段が雌ですが、雄の体重は2ppm群で体重増加に抑制が見られて、投与期間を通して低値で推移しております。雌も2ppm群で軽度の体重増加の抑制が見られて、ほぼ投与期間を通して、やや低値で推移しております。
 腫瘍の結果です。5ページの表1にアクロレインのがん原性試験における主な腫瘍発生(ラットの雄)を示しております。雄では、統計学的に有意な増加や増加傾向を示した腫瘍の発生はありませんでした。しかし、悪性腫瘍の欄ですが、鼻腔に扁平上皮癌が1例見られております。鼻腔の扁平上皮癌は、当センターのヒストリカルコントロールデータでは発生が見られていない非常に希な腫瘍です。1例ではありますが、アクロレインの投与の影響と考えております。
 6ページの表2に雌の結果を示しております。まず、良性腫瘍の鼻腔の欄の横紋筋腫が2ppm群で4匹に見られて、Peto検定とCochran-Armitage検定で増加傾向を示しております。横紋筋腫も、当センターのヒストリカルコントロールデータでは発生の見られていない非常に希な腫瘍です。
 悪性腫瘍の欄ですが、鼻腔の扁平上皮癌は、雌では2例に見られております。雌でも扁平上皮癌は当センターのヒストリカルコントロールデータでは見られていない非常に希な腫瘍です。したがって、この雌の鼻腔の横紋筋腫と鼻腔の扁平上皮癌は、被験物質のばく露の影響と考えております。なお、雌雄に見られた扁平上皮癌ですが、この扁平上皮癌の腫瘍の前段階と考えられる呼吸上皮の扁平上皮化生と移行上皮過形成は、雌雄とも2ppm群では増加しております。雌に見られた横紋筋腫ですが、やはり嗅上皮の粘膜固有層には、腫瘍の前段階と考えられる横紋筋増殖の発生増加が見られております。腫瘍の結果は以上です。
 4ページのラットのまとめですが、雌雄とも鼻腔に扁平上皮癌の発生が認められた。また、雌では鼻腔に横紋筋腫の発生が認められた。これらの腫瘍の発生は、雌雄ラットに対するがん原性を示す証拠と考えられた。以上がラットのまとめです。
 引き続き、資料1-1-2のマウスの結果です。物性は同じですので、12ページから説明いたします。アクロレインのがん原性を検索する目的で、BDF1マウスを用いた吸入による雄マウス93週間、雌マウス99週間の試験を実施しました。本試験は、試験開始時は104週間の投与期間を予定していたのですが、雌雄とも各群で腎臓病変とアミロイドの沈着により生存率が低下しました。本試験で参考としているOECDの発がん性試験のテストガイドラインによると、低用量群、又は対照群の生存率が25%を切ったときには試験の終了を考えなさい、雄と雌はそれぞれ別に集計をしなさいということが書いてあります。このテストガイドラインを参考にして、雌雄別に対照群の生存率が25%を切った段階で投与を終了して、次の週に動物を解剖しました。その結果、雄マウスの投与は93週間、雌マウスの投与は99週間となりました。
 方法です。基本的にはラットと同様ですが、今申し上げたとおり、雄マウスは93週間、雌マウスは99週間の投与となりました。投与濃度は、雌雄とも0、0.1、0.4、1.6ppmで行いました。
 結果です。16ページにマウスの生存率を示しております。雌雄とも各群で80週を超える辺りから生存率が低下しました。本試験は1群50匹で始めておりますので、25%というと12.5匹となりますので、対照群が13匹を切った時点で投与を終了しました。各群で生存率が低下しておりますが、対照群と投与群の間では雌雄ともそれほど大きな差が出ておりません。
 17ページに体重が出ております。雄は最高投与群1.6ppm群で増加抑制が見られており、投与期間を通して低値で推移しております。雌も雄ほどではありませんが、体重増加に軽度の抑制が見られており、投与期間を通して、やや低値で推移しております。なお、雄の体重推移ですが、各群とも50週付近をピークとして、それ以降、低下しております。アミロイドの沈着等の影響を受けていると思うのですが、現時点では、はっきりした理由は分かりません。
 15ページの腫瘍の結果です。上段が雄で下段が雌です。雄では、アクロレインのばく露の影響と思われる腫瘍の発生増加は認められませんでした。雌では、良性腫瘍の鼻腔の腺腫が1.6ppm群で16匹に見られており、Fisher検定、傾向検定とも有意となっております。その他では、悪性リンパ腫が傾向検定で有意、子宮の組織球性肉腫が0.4ppm群でFisher検定で有意な増加となっておりますが、この2つの腫瘍の発生数は、いずれも当センターのヒストリカルコントロールデータの範囲内でしたので、悪性リンパ腫と子宮組織球性肉腫は被験物質の影響による増加と考えておりません。
 以上の結果を踏まえて、14ページの5、まとめです。雄では、腫瘍の発生増加は認められず、アクロレインの雄マウスに対するがん原性はなかった。雌では、鼻腔の腺腫の発生増加が認められ、この腫瘍の発生増加は雌マウスに対するがん原性を示す証拠と考えられる。以上です。
○大前座長 最初に、アクロレインはがん原性があるかないかというところから、ディスカッションをしていただきたいと思います。参考資料3のアクロレインの有害性評価書の26ページに、CERIが評価した時点での発がん性の試験の結果が載っており、吸入ばく露が2つあります。一番下と下から3番目、機序の2つです。1980年と1977年と、ちょっと古い実験ですが、この実験ではいずれも腫瘍の発生なしという結果が出ております。今回は鼻腔の腫瘍の発生があるという結果ですが、いかがでしょうか。これは被験物質の純度が98.3%ですが、残りの物質で何か鼻腔がんに関わるような物質、安定剤等々も含めてはありませんでしたか。
○日本バイオアッセイ研究センター 少々お待ちください。
○大前座長 今見ているのは、ラット吸入がん原性試験報告書の3ページ、通しページの10ページですが。
○日本バイオアッセイ研究センター 被験物質の純度ですが、測定結果は98.58%ということで、それ以外に検出されたのは約1%のアセトアルデヒドです。
○大前座長 この分解物質ですかね。二重結合のところが何かなったのですかね。ということで、アセトアルデヒドがごくわずかですが、ばく露時期があったということですが、いかがでしょうか。
○西川委員 まず、ラットのほうからいきます。扁平上皮癌が雄の1例、雌の2例で認められていますが、これは組織学的には扁平上皮を特徴づけるような所見としてどんなものがあったのですか。
○日本バイオアッセイ研究センター 病理を担当しました梅田です。組織像ということですが、扁平上皮癌はちゃんと角化を示す扁平上皮の形態を持った、比較的分化のよい扁平上皮癌が認められております。
○西川委員 角化していても腺扁平上皮癌というタイプがあるものですから、それとは区別できるということですか。
○日本バイオアッセイ研究センター 今回のアクロレインの投与群に見られた扁平上皮癌は、特に腺の増生を伴うことなく、扁平上皮のがんが認められております。
○西川委員 ありがとうございます。それから、横紋筋腫が雌に4例認められていますが、組織化学的にそれを確定できるような所見は、何か得られているのですか。
○日本バイオアッセイ研究センター 通常、既存の横紋筋にも見られる横紋が腫瘍組織にも認められております。そこをもって横紋筋腫と診断しました。
○西川委員 もう1つは横紋筋肉腫と区別したのは、細胞の形態がそれほど悪性ではなかったということですか。
○日本バイオアッセイ研究センター 今回、悪性にもっていかなかったのは、明らかな浸潤や破壊、転移が認められなかったものですから、良性腫瘍と診断しました。
○西川委員 マウスのほうですが、結構、死亡例が多くて、その原因がアミロイドーシスということで、確かに対照群にも多くの死亡例が出ています。これまでB6D2F1の同じ系統のマウスを使用されていると思うのですが、今回、非常に死亡例が多かったのは、何か理由はあるのでしょうか。
○日本バイオアッセイ研究センター 今回、導入したロットは2013年1月に導入したBDF1です。この1年前の試験は、2012年1月に導入しています。この試験は104週間の投与ができたのですが、雄の生存率が結構低下しました。バイオアッセイは割とマウスの生存率も高いのですが、通常でいくと雄で70%ぐらいの104週の生存があるのですが、この前の試験では104週で50%ぐらいまで落ちています。雌はもともと50%から60%で、これはあまり変わらなかったです。病理検査では、やはりアミロイドの沈着が少し増えておりました。ですから、本試験の1年前の試験、2012年に導入した動物辺りから、この兆候が見られていたということで、2013年のロットでは104週の投与を全うできなかったという状況になっております。
 ついでにお話しますと、この後2014年に導入したBDF1ですが、今、病理検査を行っており、報告書を作成しているのですが、このBDF1も同じ状況になっております。これから報告書を作成させていただくので、本委員会で報告するのは来年になると思いますが、この次の試験もやはり雄は94週、雌は97週で対照群の生存率が25%を切ってしまっております。今BDF1の試験が1本流れているのですが、これはまだ投与72週です。80週を超えてこないと死亡が増えませんので、今のところ順調です。今年度から始まる試験はBDF1ではありませんで、rasH2の遺伝子改変動物になりますので、新規にはBDF1は予定しておりません。
○西川委員 分かりました。発がん性の結論といいますか、まとめについては私はこれでよいかなと思いました。
○大前座長 そのほかに御意見はいかがでしょうか。今回の試験結果は、アクロレインは動物に対しては、がん原性があるという結論でよろしいですか。次の段階として、遺伝毒性の有無も考慮して、大臣指針が要るか要らないかという議論に進みたいと思います。これに関して、事務局から御説明をお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 本日の資料1-2-1の59ページから説明をさせていただきます。アクロレインに関するがん原性指針策定の要否についてです。基本的な考え方については、参考資料2を後で御確認いただければと思います。国が実施した発がん性試験について、専門家による評価を行い、「発がん性がある」と評価された物質については、原則として、労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき、厚生労働大臣が定める化学物質による健康障害を防止するための指針、いわゆるがん原性指針を策定、公表しております。
 ただし、当該物質に変異原性がなく、かつ試験の高用量のみで腫瘍発生増加が認められた場合には、労働環境中の濃度を考慮して、指針策定の要否を判断することとしております。また、発がん性はあるが、がん原性指針を策定しないこととなった物質については、必要に応じ、更に有害性情報を収集した上でのリスク評価を行うこととしております。
 ちなみに「発がん性あり」と評価されたものの、がん原性指針の策定を要さず、リスク評価の対象とのみとすべきとされた物質が2つあります。1つが酢酸イソプロピル、もう1つがジフェニルアミンです。
 今回のアクロレインの場合はラット雌雄、マウスの雌において、腫瘍発生増加が認められておりますが、遺伝毒性については明確に判断できない。これについては、参考資料3、CERIの有害性評価書にも書かれているところです。
 なお、試験結果から得られたNOAEL等と労働環境中の許容濃度等は(1)〜(3)のとおりです。発がん性に関するNOAELについては、ラットが0.5ppm、マウスが0.4ppmと考えられます。また、慢性毒性に関するNOAELについては、ラットが0.5ppm、マウスが0.1ppmと考えられます。労働環境中の濃度の参考値としては、日本産業衛生学会の許容濃度が0.1ppmがございます。これを踏まえて、がん原性指針策定の要否について御検討をお願いします。
○大前座長 というような方法でやっておりますので、御検討をお願いします。当該物質に変異原性がなく、かつ試験の高用量のみで腫瘍発生が増加した場合は、指針の策定をしなくてもいいのではないかというのが、今までのルートです。
 ちなみに参考資料3、アクロレインのCERIの有害性評価書の22ページに遺伝毒性があります。表7-8が、遺伝毒性の表です。23〜25ページと3ページにまたがって遺伝毒性の結果が書いてあります。この結果、CERIとしては、遺伝毒性の有無については明確に判断できないという判断を、22ページの7.3.6の「遺伝毒性」の一番下の行ですが、このような書き方をしております。遺伝毒性について、この表を御覧になっていかがですか。清水委員、何かコメントはいかがですか。
○清水委員 陽性、陰性、両方ありまして、一概に有りとも無しとも言い切れないのではないかと思います。
○大前座長 変異原性に関しては、どちらかというと確定的には言い切れない。
○清水委員 はい。
○大前座長 当該物質の濃度に関しては、高用量のみで発生した場合はということですが、今回出た濃度が、資料1-3の59ページに書いてありますが、発がんに関するNOAELが0.5あるいは0.4で、許容濃度が0.1ということですので、そんなに高濃度でもないという判断でよろしいですか。そうしますと、がん原性指針を公表するという方向の判断になりますが、よろしいですか。
 それではこの物質については、労働者にがんが生ずるおそれがあると認められましたので、大臣指針の公表の必要があるという判断ということでよろしくお願いします。また、リスク評価に関しては、リスク評価を実施すべき物質ですので、事務局からリスク評価に関する企画検討会にこの物質を評価対象とするように、また御意見をお願いします。以上で最初のテーマ、アクロレインに関するがん原性試験結果の評価については終了になります。2つ目のテーマの中期発がん性試験(ラット肝中期発がん性試験)の結果について、事務局から御説明をよろしくお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 それでは事務局から資料2のほうで説明させていただきます。これについては、5月9日に発がん性評価ワーキンググループが開催されて、その際に評価されたものが6物質あります。トータル平成25年度から平成27年度まで、最後の資料の5ページに書いてあるように、これまで14物質で試験結果の評価がなされたところです。
 これまで平成25年度、平成26年度に実施されたものについては、全て試験結果が陰性ということになっておりましたが、平成27年度実施されたもののうち1物質、1-フェニルアミノ-4-イソプロピルアミノ-ベンゼンについては陽性という評価がされたところです。この対応については、これまで定めていた発がん性評価ワーキンググループでの取り決めにおきまして、以下のとおりの合意を得たということで報告させていただきます。
 まず1つ目、がん原性指針の策定の要否については、陽性と判断された物質は原則として指針の対象とするとされていますが、「労働者に健康影響を与える可能性に鑑み」というところは、用量が非常に高い所で出ておりますので、直ちにがん原性指針ということではなく、更なる検討が必要であるとされております。
 次に、リスク評価の要否については、今般、リスク評価の候補物質として入ることにして、企画検討会等での意見聴取を行った上で、有害物ばく露作業報告の対象とするか決定していただくことになります。
 3番目、長期発がん性試験の可否については、当該物質については、吸入による長期発がん性試験の可否を確認するためのフィージビリティテストの候補物質とすることとなります。仮にフィージビリティテストが行われた場合、試験可能と判断された場合には、吸入による長期発がん性試験の候補物質となり、有害性評価小検討会において、他の候補物質も含めた中から試験対象物質に選定された場合には、吸入による長期発がん性試験を実施することとなるという流れになっております。
 ちなみに、参考1にある1-フェニルアミノ-4-イソプロピルアミノ-ベンゼンに関する情報については、長期発がん性試験物質の選定理由については、平成26年度遺伝毒性ワーキングにおきまして、強い遺伝毒性ありとされたところで、これが根拠となっております。実際の内容については、微生物を用いる変異原性試験で陰性ですが、染色体異常試験で陽性の結果があったということです。性状はうすい灰色〜赤みの灰色、結昌〜粉末ということです。融点は80℃、沸点は180℃というもので、水溶解性については不溶とされております。用途は、オゾン劣化防止剤、有機ゴム薬品ということです。製造・輸入量は、化審法の数量の検索を行ったところ、平成26年度のN-アルキル-N′-フェニルパラフェニレンジアミン(C3〜10)、化審法官報公示整理番号3-168の物質として、1,000t未満という数字が報告されております。
 次に参考2で、肝中期発がん性試験結果(要約)です。最後の「結論」に書いてあるとおり、1-フェニルアミノ-4-イソプロピルアミノ-ベンゼンは60mg/kg/日の最高用量で、肝臓に対する発がんプロモーション作用を示すという結果がありましたので、今般、陽性ということで評価をいただいたところです。事務局からは以上です。
○大前座長 発がん性評価ワーキンググループが、1ページに1、2、3と番号を振っておりますが、このような形で合意をしております。労働者の健康影響を与える可能性に鑑み、更なる検討が必要ということ。それから、リスク評価の企画検討会の物質の対象とするということ。長期発がん性試験についてはフィージビリティテスト等をやったらどうかということで、そのようなワーキンググループの結論、合意事項になっております。今まで14物質をやりまして、今回初めて陽性の結果が出てきましたが、何か御意見はありますか。
 今回初めてデータを、2ページの結果の要約を見ておりますが、GST-Pの陽性細胞巣で溶媒対照が4、15、60mgと数が書いてあります。溶媒対照がナンバーでいくと5,000個となっております。この5,000個という数字というのは、そのほかの13物質のときでも、やはり溶媒対照は5,000個ぐらいになるものなのですか。あるいはその試験について、特に溶媒対照が数字が高かった、あるいは低かったということはありますか。要するに、ヒストリカルデータみたいなものがもしあれば知りたいのですが。いかがですか。
○平川化学物質評価室長補佐 試験のデータが少なく、国として示しているものはないと思われます。
○大前座長 しかし、今回判断するのはあくまでも5,300あるいは0.427という数字をベースとして判断するということになるわけですね。その結果、60mg/kgで5,300に対して7,600ぐらいGST-Pの陽性細胞巣があるので陽性であったという結論です。
○宮川委員 質問ですが、資料2の中ほどのワーキンググループの結論が1、2、3とありますが、1の最後の所は「更なる検討が必要であるとされた」と書いてあります。2は「有害物ばく露作業報告の対象とする」、3については「吸入による長期発がん試験を実施する」となっておりますが、1の最後の「更なる検討が必要である」という「更なる検討」というのが、2及び3のことですか。それとも、それ以外のことを考慮して書いているのですか。
○平川化学物質評価室長補佐 1番の書きぶりについては、考え方で出した「直ちにがん原性指針の対象にする」ということで、先ほどアクロレインについてはがん原性指針の対象にするということで結論をいただいたところです。そのような結論ではなく、情報などを集めて必要があればがん原性指針の対象にしていくという形で、アクロレインのように今回対象にするというわけではなく、また情報などを集めて、一応経過観察的な扱いということで御理解いただければと思います。
○宮川委員 中期発がん性試験を導入することになって、導入することを決めた時点からポジティブに出たときにどうするのか気になっております。今の御説明ですと、一般的な経過観察をするということだったと思うのですが、多少具体的なことを、一般論としてはこれからも陽性のものが出てくる可能性もあると思いますので、何か決めたことがあったのかどうか、ありますか。
○平川化学物質評価室長補佐 がん原性指針策定の要否の判断基準というのが、発がん性評価ワーキンググループの中であって、この中身を申し上げますと、発がん性評価ワーキンググループにおいてラット肝中期発がん性試験の結果が陽性と判断された物質は、原則としてがん原性指針の対象とするということになっています。ただし、被験物質が遺伝毒性を有さず、かつ、ラット肝中期発がん性試験から得られたNOAEL等が日本産業衛生学会の許容濃度等と比較して、比較的大きく労働者に健康影響を与える可能性が低い場合は別途検討するという形の考え方を示しております。ただし書等の内容を踏まえて、引き続き検討ということで、すぐ対象とするという形にはなっていないという結論が出たと承知しております。
○宮川委員 そうすると、結局のところ、高い用量で中期発がん性試験が行われていて、許容濃度はそれより低いレベルにある。また、これから有害物ばく露作業報告等をするということで、資料2の真ん中に書いてあるとおり、実際のばく露の程度もそこで見てきて、安全かどうかを確認できる。ということを踏まえて今回は進みますよという考え方でよろしいですか。
○平川化学物質評価室長補佐 今回はリスク評価と長期発がん性試験については、候補に入れるとの結論をいただいたものと考えております。あとは、長期発がん性試験をやるかとか、リスク評価については、リスク評価に係る企画検討会で改めて御議論をいただいて、この物質が次のステージに上がってくるか改めて検討していただくことを予定しております。
○大前座長 これは固体の物質なので、フィージビリティの検査も実際上難しいレベルではあります。今までの検討の中で発がん性試験に入れたい物質も固体ということで、今、二酸化チタンでしたか。
○平川化学物質評価室長補佐 もう1つ、酸化チタンは今現在進行しております。もう1つのは固体物質で、こちらのほうは昨年度も御議論いただいたと思います。固体についてはまだ試験ができる状況ではないということで外させていただいているものがあります。
○大前座長 そういうことですね。私が見つけているものをやってほしいのですが、なかなかできないという。そのほか御意見はいかがですか。
○西川委員 細かい点ですが、ちょうど大前先生が確認したいというところで、資料2の2ページの要約表ですが、GST-Pの数というのは5.385であり、5,000ではないので訂正してください。
○平川化学物質評価室長補佐 申し訳ありません。
○津田委員 私もフォローできなかったのですが、この表現は、1平方センチメートル当たり5個ということですので。陽性対照はフェノバルビタール基礎食中0.5%で投与した分と、溶媒対照との差が、溶媒というのはジエチルニトロソアミンだけということですが、およそ2倍になるというこのシステムがうまくいっているということになるので、この方法ではこの系はうまく動いていると考えていいと思います。
○大前座長 ありがとうございます。溶媒の差が倍ぐらいが常識的な形と。
○津田委員 ジエチルニトロソアミンだけで溶媒をやった群が6、7になると、大体その倍ぐらいの12とか15ぐらいになると思います。大体、その辺で動いていると判定していますので、これで見る限りはこの系は動いていると考えていいと思います。
○大前座長 非常に判断に良い情報をいただきましてありがとうございます。そのほか御意見、あるいは御質問はありますか。なければ原則的に、このワーキンググループの1、2、3の合意事項の方向で進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 今日の3番目のテーマは、平成28年度ばく露実態調査対象物質の評価値についてです。カーボンブラックです。これはどういうことかと言いますと、カーボンブラックは粒子状の物質ですが、粒子状の物質については多くの職業性疾患が、気道の特定の部位に付着した物質によって起きているという傾向が見られるために、ばく露実態調査を行うに当たりまして、どの部位に影響を及ぼすかということを明らかにする。そのためにばく露実態調査を行って、リスク評価をやるわけです。そのばく露実態調査を行う前に、何を測るか、どういうふうに測るかということに関して、最終的に結論をいただきたいと思います。それでは事務局から資料3の説明をよろしくお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 資料3に基づいて説明いたします。このカーボンブラックについては、ナノマテリアルとしての有害性に着目し、有害物ばく露作業報告の対象物質として上がり、今年度から本格的にばく露実態調査に着手する物質です。
 カーボンブラックについては先ほどの説明にもあったように、実際にどのような形でばく露調査をするか、どういったものを測っていくかというところがポイントになるので、そこについては有害性評価小検討会の委員の皆様の御意見をいただき、今後のばく露実態調査を行っていきたいという趣旨です。カーボンブラックについては、あらかじめ厚生労働省委託事業で有害性評価書の取りまとめが行われており、それに基づいて資料3にまとめています。個々の内容で書ききれない部分がありますので、有害性評価書等を御覧いただきながら、今後の調査方法等について御意見を賜ればと思います。カーボンブラックの物性、有害性について概要をまとめていますので、資料3に基づいて説明いたします。
 名称はカーボンブラック、別名アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラックです。CAS番号は1333-86-4です。化学式は炭素なのでCです。
 物理化学的性状です。外観が無臭の黒色ペレット、ごく微細な粉末で、比重は1.8〜2.1です。融点が3,555℃。溶解性は水に対して不溶です。危険性は、火災危険性は可燃性。爆発危険性が、空気中で粒子が細かく拡散して爆発性の混合気体を生じる。物理的危険性は、強熱された表面に接触すると粉じん雲が発火する。化学的危険性は強還元剤であり、酸化剤と激しく反応する、多くの化合物と激しく反応するという物質です。
 生産等用途については、2010年で72万9,420t、輸入量は情報なしです。用途は、ゴム補強材、樹脂、印刷インキ、塗料、電線・電らん、乾電池、紙・パルプ、擬革、絵具、鉛筆、レコード、顔料、靴墨、カーボン紙、クレヨン、花火、融雪剤、その他広範な用途で使われている物質です。
 有害性です。重視すべき有害性の発がん性については、ヒトに対する発がん性が疑われます。この表記はGHSの表記に基づいております。根拠ですが、IARCは下記の根拠からカーボンブラックのヒトに対する発がん性の総合評価をグループ2Bとしました。カーボンブラックの疫学的研究からの評価は不十分と考えられるとされています。実験動物での証拠については、吸入ばく露と気管内投与により、雌ラットに悪性の肺腫瘍の発生率が増加したという研究成果から、十分な証拠であると考えられる。なお、カーボンブラックの溶媒抽出物は、ラットへの皮膚塗布により皮膚腫瘍、またマウスへの皮下投与により肉腫が見られたという結果があり、カーボンブラックの溶媒抽出物の実験動物での発がん性の証拠も十分と考えられる。また、メカニズム等については、ラットの肺がんは、肺におけるクリアランスの障害と粒子の沈着を起点として、炎症、細胞傷害、活性酸素種の生成、これによる突然変異の誘発という経路が多くの実験的研究により支持されている。しかし、このメカニズムの全ての段階がヒトで起きるかどうかは明らかでないことから、メカニズムに関する情報はグループ2Bを変えるほどではないと考えたとされております。以上の結果から、カーボンブラックのヒトに対する発がん性の総合評価はグループ2B、これまで使われている表記で、ヒトに対する発がん性の可能性があるとしたというところです。
 各評価区分です。その他、日本産業衛生学会で第2群のB、ACGIHでA3(2011年)、DFG、MAKが発がん性区分3Bとされております。
 次に生殖毒性です。判断できないということで、調査した範囲では報告が得られていないということです。神経毒性についても判断できないということで、中枢・末梢神経系への影響に関する報告が得られていないということです。
 遺伝毒性はありとなっています。根拠は、in vitroの変異原性試験ではカーボンブラック自体は陰性であるが、カーボンブラックのベンゼンやトルエンの抽出物は陽性を示す。この陽性反応は、カーボンブラックに含まれる多環芳香族炭化水素類に起因すると考えられる。in vivo遺伝毒性試験では、カーボンブラックを気管内投与した動物の肺試料を用いたコメットアッセイとMutationアッセイでは陽性を示し、長期吸入ばく露した動物の肺組織を用いた肺組織のDNA付加体は増加を示す報告もある。遺伝毒性メカニズムとして、ラット肺へのカーボンブラック過負荷によって生じる肺胞マクロファージの持続的かつ長期的な活性酸素種産生が、肺の炎症と上皮細胞の過形成を引き起こし肺腫瘍の発現に至るが、その過程で肺組織中のDNA基がROSによって酸化され、DNA鎖が切断されるという二次的遺伝毒性仮説も提唱されているということです。
 閾値の有無については、ありです。根拠は、カーボンブラックのような難溶性樹脂によるラットの肺がんの発生メカニズムは、肺における粒子の沈着とクリアランスの障害を起点としており、肺胞内のマクロファージ等による粒子の貪食からサイトカイン、成長因子、あるいはその他のメディエーターを介して炎症や細胞傷害、細胞増殖が誘発され、活性酸素種による酸化的ストレスが関与する二次的な遺伝毒性メカニズムであると考えられているということから、ありとされております。
 参考として、反復投与毒性に関する動物試験データです。NOAELは1.1mg/m3ということで、この根拠ですが、ラット吸入ばく露の13週間試験から得られた評価レベルということで算出したところ、評価レベルは0.08mg/m3となっています。
 次に許容濃度等です。ACGIHでは、2011年にインハラブル粒子で3mg/m3と設定されています。根拠は、ACGIHはインハラブル粒子として測定したカーボンブラックの職業ばく露に対することから勧告しております。カーボンブラックばく露に最も鋭敏なヒトの健康影響は気管支炎の症状であり、勧告されたTLV-TWAはカーボンブラックに関連する気管支炎の予防を目的とするとされております。カーボンブラックばく露による最も重要な健康障害は、ヒトでは呼吸器症状、肺機能の低下、胸部X線の変化として示される肺の変化、ラットでは発がんとなっております。米国のカーボンブラック研究では、平均累積ばく露が137.9mg-year/m3以上では気管支炎が5%から9%に有意に増加したとされています。5等分位の最高ばく露レベルの3.82mg/m3でも、肺症状の増加は見られなかった。ヨーロッパの研究では、ばく露が3.4mg/m3を超えると、労働者に気管支炎のリスクが増加した。これらの研究結果は、TLV-TWA3.0mg/m3を支持している。米国とヨーロッパの研究は、努力性呼気1秒量の統計的に有意な低下が3.5mg/m3以上のカーボンブラックばく露と関係していることを実証した。米国とヨーロッパからの上記の疫学的研究成果に基づいて設定されたとされています。
 日本産業衛生学会では、第2種粉じんとして指定されており、吸入性粉じんで1mg/m3、総粉じん4mg/m3とされています。これについては、2011年に吸入性の定義が変更されております。DFG、MAKが設定なしですが、発がん性区分が3B、NIOSHでTWA3.5mg/m3、職業性発がん物質ということで指定されています。また、多環芳香族炭化水素が存在する場合には、1mgPAHs/m3とされています。OSHAではTWAが3.5mg/m3、UKではTWA 3.5mg/m3、STELは15分で7mg/m3とされています。
 評価値の案ということで、このデータの範囲でお出ししているものですが、一次評価値については、ここでは「一次評価値なし」と書いております。理由では、「発がん性を示す可能性がある化学物質であるとされる化学物質で、閾値があると考えられるが、発がん性に関する動物データにおいて評価レベルの算定できる報告が得られていないため」としています。
 二次評価値です。最終的には、ここの二次評価値をどのように書くかがポイントになろうかと思います。吸入性粉じんということで言いますと、日本産業衛生学会の数字を拾い、1mg/m3、吸引性粉じん、インハラブルを取ると、3mg/m3という数字で、どちらを取るかが検討のところかと思います。これにつきまして、御検討をよろしくお願いいたします。
○大前座長 カーボンブラックといっても、ベンゼン、トルエンを抽出しても、ピュアなものは何も出てこないと思うのですが、恐らく製品の中に、多少の未反応のものが入っているということでしょうね。御意見はいかがでしょうか。
○江馬委員 生殖毒性は「報告がない」と書いてありますが、数本あると思います。典型的な生殖毒性の試験ではないのですが、チャレンジングというか、いろいろな報告があると思います。妊娠動物の母動物にカーボンブラックを感作して調べると、子供の反応性が変わってくるという報告もあって、この会にも出てきていたような気がするのですが。エルドバという人が。それは少し大きめのカーボンブラックだと思います。あと、デンマークのグループが妊娠動物を使ってやっていた報告があると思います。
○大前座長 参考資料4-1に有害性評価書がありまして、その5ページに所に、生殖毒性で吸入ばく露は情報なしということで、経口ばく露もこの時点では情報が取れなかったということで、ここに書いてあるからこうなったと思うのですが、カーボンブラックで感作ですか。
○江馬委員 はい。母親にということです。
○平川化学物質評価室長補佐 今の情報も含めて、生殖毒性についても、リスク評価の重要な有害性として捉えておりますので、今回は有害性評価をこのような形で出させていただきましたが、ばく露実態調査と並行して有害性評価を行っておりますので、今回先駆けて行っており、また情報をいただきまして、必要があれば有害性評価の見直しをさせていただきます。
○江馬委員 調べたことがありますので、お送りします。
○大前座長 お願いいたします。
 今回ですが、ACGIHが気管支炎、そういう肺への影響をターゲットにしてインハラブルで3としています。発がん性に関しては、ナノのカーボンブラックで、動物ではあるということです。今の有害性評価書の8ページの発がん性の所で、吸入ばく露の実験が3つ書いてありまして、経口はその後に書いてあります。
 吸入ばく露の実験で、9ページには1つの実験の表が載っていますが、3濃度実験で、今は4濃度実験ですからイレギュラーな実験ですが、これでいくと、雄で肺腫瘍を持つ動物が3、2、4、雌で0、8、28です。濃度は6.5と随分高いですが、このような形でカーボンブラック、小径が0.1μm、大径が1.95μmというサイズです。その上の245行目の所は、一次粒径が10nmで、ばく露群では肺腫瘍の増加が見られているということで、IARCは2Bという判断をしたということです。ヒトでは、今のところは幸い報告はないということです。
 ということで、二次評価値を考える場合に、インハラブルで考えるのか、あるいはレスパイラブルで考えるのか、あるいはそのほかの方法があるのかというところを最終的な結論で御意見をいただきたいのですが。
○西川委員 今の点とは少し違うのですが、遺伝毒性あり、閾値もありということですが、まず遺伝毒性については、参考資料4-1の7ページ以降に表があって、vitroでもAmes陽性、小核陽性のデータがあり、vivoでコメット陽性、トランスジェニックマウスのアッセイですが、これも陽性です。DNAの付加体も陽性となっています。これは酸化的ストレスに絡む二次的なDNA損傷ではないような気がするのですが、その辺りはどのように考えたらいいか教えていただけますか。
○大前座長 いかがでしょうか。元の物質の純度も書いていないので、ひょっとしたら不純物が影響している可能性もあると思うのですが。
 7ページに文章が若干書いてありまして、今のDNA付加体のところは、232行目から記載があります。「長期吸入ばく露した動物の肺組織を用いた肺組織のDNA付加体は陽性を示した。しかし、DNA付加体濃度の増加は認められなかったが」ということで、陽性反応の根拠はなかったというような書き方ですね。そのような報告もあると。でも、これはメカニズムとしては、先ほどの過負荷でどうのこうのと書いてありますが。6.5mgというのは結構な濃度ですよね。
○江馬委員 Amesアッセイのところもカーボンブラックではマイナスになっていて、ベンゼン抽出物ではプラスになっています。ベンゼン抽出物というのは、カーボンブラックですか。
○大前座長 違うのではないですかね。
○津田委員 カーボンブラックはどうしてもPAHのコンタミがあるので、発がん性については洗ったらどうかという意見があるのです。洗ってみても、吸入させると、やはり発がん性があるということで、一応は発がん性ありのほうになったということです。
 古い試験ですと、洗わないでやった試験、皮膚に塗布したとか、そういうので発がん性があるので信用できないということで、vol.93だと思うのですが、随分議論になりました。結局きれいに洗ったものでもできると。ただし、発がん性があるのは雌のラットだけなのです。ですから、これを3とするかどうかは、随分議論があったのです。
○江馬委員 グループ2Bですか。
○津田委員 2Bか3かというところです。マウスの吸入試験は余り行われないということもあります。
○大前座長 先生がおっしゃった雌だけというのは、参考資料4-1の9ページの表も雌だけ出ているのですが、これのことが該当しますか。そういうのも考慮してIARCは最終的に2Bと判断したということですね。
○津田委員 全部を含めてということです。ところが、製品が全部PAHが抜けているかどうかも分からないので、一応それも含めて、ラットにがん原性あり、サフィシェントエビデンスということになったものですから、2Bになったということです。
○大前座長 ということなので、このカーボンブラックによる健康影響で考えなくてはいけないのは今の発がんと気管支への問題が、メインの健康影響だろうということです。したがって、二次評価値が1と3という2つの候補があるのですが、この候補の違いというのは、吸入性粉じんを測るのか、吸引性粉じんを測るのか、レスパイラブルで測るのか、インハラブルで測るのかというのが、今回の案になっているわけですが、あるいは両方を測るのか。実際の現場はナノ粒子が多いのか、ナノ粒子でないものが多いのか全然分からない状態ではありますが、吸入性粉じんを測っても4μのカットですから、必ずしもナノをきちんと測れるわけではないのです。実際に発がんが出ているのは、4μよりも小さな粒子であることは間違いないです。ちなみに、日本産業衛生学会は「1」と書いてありまして、総粉じんが4で、2011とあります。この2011というのは、測定法が変わった年が2011で、1と4を提案したのは1980年代ですから、随分古い数字ではあります。測定は両方とも可能ですから、測定ということに関しては、どちらを取っても大丈夫だということです。
○宮川委員 決めなければいけないので。二次評価値をどう取るかですが、一応低いほうを取っておくというのが、呼吸器に対する影響を考えると、小さな粒子のほうの影響をよく見るということで。実際にどちらが低くなるかは分布によって違ってくると思いますが、奥まで入るものが重要だとすると、吸入性の粉じんの1mgのほうを二次評価値として評価することにしつつ、今、先生がおっしゃいましたように、できれば両方を測っていただいて。吸引性と吸入性で測ったものが事業所によって違うかどうかということも、今後の参考のデータとなると思いますので、実際の現場を測定する上では両方のデータを取っていただくということで、どちらかに決めないといけないのだとすると、吸入性でやるのが呼吸器に対する影響を見るときにはふさわしいような気がいたします。
○大前座長 いかがでしょうか。
○清水委員 両方やっておいたほうがいいかもしれませんね。
○大前座長 産業衛生学会のほうは、総粉じんの場合はトータルで出すときにインハラブルではないのですね。だから、インハラブルを測ることになると、サンプラーは2個付けなくてはいけなくなってしまうのです。総粉じんだとTRサンプラーなどで分けることはできると思うのですが。
○宮川委員 その辺りは実情を加味して、できるほうで総粉じんと吸入性、レスパイラブルにするか、できるならインハラブルとレスパイラブルの両方とか。
○大前座長 そこは実現可能性のことを考えて実際にやるとしても、宮川先生の意見としては、まず第一義的には吸入性粉じんを測るべきで、プラス総粉じん若しくはインハラブルの粉じんも両方測れれば測ったらどうかという御提案ですが、それでよろしいですか。
 では、第一義的には吸入性粉じんの1というのが二次評価値で、プラス実際に測定するときには、それプラス総粉じん若しくはインハラブルの粉じんも一緒に測っていただいて、どうなっているのだということですね。
 もう1個は、先ほどのPAHが実際に入っているかどうかというのは、測る必要はないですか。技術的に測れるかどうかの問題はありますが。
○津田委員 やれないことはないのですが、参考資料の443ページに、マウス実験では高純度のカーボンブラック(Printex90)がほとんど試験に使われているのですが、きれいに洗って、PAHを除いたものは発がんしなかったというデータもあるのです。だけれども、それはそうとして、本当に今度は製品としては全部きれいかどうかという議論がありまして、それはそうではないだろうということになって、このデータは参考データということで、決して発がん性を否定するものではないということになっています。
○大前座長 そうしますと、これは技術的に可能かどうかという問題はあるのですが、もし技術的に可能であるならば、実際に労働者がばく露しているカーボンブラックのPAHも測ってみたらどうかというような提案でよろしいですか。現実性があるかどうかは技術的な問題があるので、単純にものを言うわけにはいかないと思いますし、それをやるとコストもかかると思います。この委員会としては、できればPAHも測ってほしいということでよろしいですか。
 まとめますが、第一義的には吸入性粉じんの1mgを二次評価値として使う。それプラス総粉じん若しくはレスパイラブル粉じんも測定したほうがいいと。それからもう1つは、成分としてのPAHがあるかどうかも、現実的に労働者がばく露するものとして、できれば測ってほしいというようなことでよろしいですか。
○米倉化学物質情報管理官 質問させていただいてもよろしいでしょうか。
○大前座長 どうぞ。
○米倉化学物質情報管理官 この動物実験のデータというのは、ナノレベルのもので発がん性があるのではないかというものと認識しています。吸入性粉じんと考える場合というのは、必ずしもナノレベルの測定にはならないということですが、実際に測定するやり方として、吸入性の粉じんとして測定すれば、その辺も含んでばく露状況が把握できるのではないかという認識でしょうか。
○大前座長 そうです。ナノ粉じんだけを測定できる方法というのはないと思います。パーティクルカウンターで分布を測って出すというのはあり得ると思うのですが、まだナノ専用の測定法というのはないと思うのです。聞いたことがないのですが、ありますか。
 今おっしゃるように、4μカットというのは、4μよりも小さなものがたくさん取れるということで、マイクロサイズもあればナノもあれば、いろいろなものが混ざっているということなので、ナノで発がんが出ているから本当はナノだけを測るのがいいというのは正しいのですが、現実的にはそれは無理です。もちろんインハラブルでもトータルでも、ナノは入っているわけですが、評価するには小さい粉じんがたくさん入っているものを評価したほうがいいだろうという意味合いだと思います。
○米倉化学物質情報管理官 はい。
○大前座長 実際は浮いているものは凝集しているものはたくさんあるので、レスパイラブルといっても一個一個は小さくても、凝集して大きいからレスパイラブルの中に含まれてこないということもあり得ると思います。だからこそ、トータルなりインハラブルも測っておくのがベターだと思います。
 今までの動物実験ですと、一旦吸入されて肺に沈着すると、それからはばらけるのです。だから、凝集されたものがばらけて、細胞の中に入っているので、入るときは凝集しているから入らないかもしれないけれどもと。その部分も加味して、総粉じん、あるいはインハラブルの粉じんを測ったほうがいいですよね。
 繰り返しになりますが、まず吸入性粉じん1mgを第二次評価値としては使う。それプラス今言ったような理由もあるので、総粉じん若しくはインハラブルの粉じんも測れるのであったら測ってほしい。それから、実際に労働者がばく露しているカーボンブラックの中のPAHも、技術的に可能なら測ってほしいということでよろしいですか。
○宮川委員 参考資料に載っている有害性評価書と評価表ですが、これは以前にこの会議で審議をしたものでしょうか。
○大前座長 やっていないと思います。
○宮川委員 さっと見て、今回のもので気持ち悪いのは、遺伝毒性の有無で閾値があるかどうかと考えるのと、最終的な判断が、遺伝毒性はあるけれども二次的な影響、あるいはクリアランスが響いてくるからというようなことで、(評価値の計算に)使わないとやったわけです。結論はそれしかないと思うので、判断できないと思うのですが、基の有害性評価書を見てしまうと、明確に遺伝毒性はありとか、閾値がありとした場合の計算データも書いてありますので、こういう資料があって、こちらはなぜ使わなくて、こちらを採ったかというのが、今日のA3の横のまとめだけを見ると、今一つはっきりしないのです。
 基の評価表にあるようなものを、こういうものとこういうものがあった、こういう考え方とこういう考え方があって、今はどちらを採りましょうかというのを、できればここで議論できるような形でまとめていただいたほうが。適当にやったのではなくて、評価表を見た上で議論されていると思いますが、そこがはっきりと形に残るとよいと思いますので。そういう形で資料を整理していただいたほうが原則どおりやっているところが記録に残ってよろしいかと思います。
○大前座長 先生がおっしゃったことは、A3の表の左下の「閾値あり」の根拠に、幾つか書いてある活性酸素種による酸化的ストレスがうんぬんという部分。
○宮川委員 そうです。書きぶりが、こういう理論もある、こういう説もあると書いてあるだけで、一番上の所には「遺伝毒性あり」とはっきり書いてある。それなのに、なぜ閾値ありということで、でも計算ができないから使わなかったとなるのか。こちらのA3の右側だけを見ると、えっと思いますので、いろいろやってみると結構難しいのかなというのが。こちらの資料を見れば分かるのですが。
○平川化学物質評価室長補佐 資料3の中身については、生殖毒性の話もありましたので、ある程度ばく露実態調査がそろいましてから、改めてカーボンブラックについての評価書について御議論をお願いできればと存じます。
○大前座長 生殖毒性のことも足りないという話でしたので、よろしくお願いします。
 そのほか、3番目のカーボンブラックについて御意見はありますか。なければ、その他になります。事務局からお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 資料4に基づいて、今後の予定です。明日、6月24日の15時から、厚生労働省共用第6会議室(3階)で、第1回目のリスク評価検討会を開催します。議題は、5月30日に御議論いただいた平成27年度のばく露実態調査対象物質の3物質についてのリスク評価書の検討です。第2回は7月7日(木)の10時から、場所は未定です。これについては、1回目の議論が終わらなければ、更に行う可能性があります。別途、議題も予定しておりますので、それについて御議論いただくことを予定しております。
○大前座長 そのほかにございますか。ないようでしたら、今日の第2回有害性評価小検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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