ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成27年度化学物質のリスク評価に係る企画検討会> (平成28年3月25日) 第5回化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録(2016年3月25日)




2016年3月25日 (平成28年3月25日) 第5回化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成28年3月25日(金) 10:00~


○場所

経済産業省別館11階1107会議室


○議事

○平川化学物質評価室長補佐 皆様、おはようございます。本日は大変お忙しい中、御参集いただき誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより、平成27年度第5回化学物質のリスク評価に係る企画検討会を開催いたします。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。委員は全員出席となっております。それでは以下の議事進行を櫻井座長にお願いいたします。
○櫻井座長 座長を務めます。よろしくお願いいたします。まず、最初に事務局から今日の議事予定と資料の確認をお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 議事次第と配布資料一覧に沿い、議事の内容、資料の確認をいたします。本日の議事です。3点あります。1点目は「平成27年度の労働者の健康障害防止に係る化学物質のリスク評価の実績について」、2点目は「労働安全衛生法施行令別表第9の追加について」、3点目は「福井県の事業場における膀胱がん発症に係る調査状況等(報道発表資料)について」、以上3点の議題です。
 裏の配布資料一覧です。資料と参考資料に分かれております。資料1-1は「平成27年度のリスク評価の実績」です。資料1-2の「平成27年度リスク評価結果の報告」は2枚です。資料1-3は「リスク評価結果を踏まえた政省令改正の報告」です。資料2は「通知対象(SDS)新規候補物質(案)」です。資料3は「福井県の事業場における膀胱がん発症に係る調査状況等について(報道発表資料)」です。
 参考資料1は「化学物質のリスク評価に係る企画検討会開催要綱・参集者名簿」です。開催要綱が表、参集者名簿が裏です。参考資料2-1は「平成27年度リスク評価方針」です。資料番号は振っておりませんが、参考資料2-2、2-3はパンフレットです。参考資料2-2は「ナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーについて健康障害防止措置が義務づけられます」とピンクの網掛けがされている資料です。参考資料2-3は「(平成29年報告版)有害物ばく露作業報告の手引き」、水色の網掛けをしているものです。
 参考資料2-4は「『職場における化学物質のリスク評価』ウェブサイト」です。こちらの内容をたどっていくとリスク評価の全体が見られる形になっております。参考資料3は委員、事務局の机上配布にしている資料で、本日検討予定の4物質を抜粋した「ACGIH等勧告理由に関する資料」です。4物質を申し上げます。資料1~3ページまでが酸化マグネシウムに関する資料、4~14ページがタルクに関する資料、15~23ページがポートランドセメントの資料、24~36ページがポリ塩化ビニルに関する資料です。参考資料4は「通知対象(SDS)新規候補物質に係る要望書」ということで、一部は机上配布です。
 委員の皆様に配布している資料に基づいてページ数の説明をいたします。参考資料4-1は、1~30ページとなっております。参考資料4-2は、31~168ページとなっております。参考資料4-3は、169~204ページとなっております。以上の資料について、不備等がありましたら事務局までお申し付けくださいますようよろしくお願い申し上げます。それでは、お願いします。
○櫻井座長 それでは、本日の議事に入ります。議題1について事務局から説明をお願いします。
○平川化学物質評価室長補佐 平成27年度のリスク評価の実績について、報告いたします。資料は1-1、1-2、1-3です。まず、各検討会における主な検討実績です。(1)化学物質のリスク評価に係る企画検討会、本日行っているこの会議は今年度は5回ということになります。これまでの経緯ということでまとめました。
 まず、第1回は、平成27年4月23日の開催です。そこにおいては平成27年度の労働者の健康障害防止に係る化学物質のリスク評価実施方針(案)及びリスク評価対象物質・案件選定の考え方についての御議論をしていただきました。更に安衛令別表第9の追加についても御議論いただいております。第2回は、平成27年5月25日の開催です。第1回に引き続いて安衛令別表第9の追加についての御議論をいただいております。
 第3回は、平成27年7月30日開催です。有害物ばく露作業報告対象物質の選定についてということで御議論いただき、平成28年有害物ばく露作業報告の対象物質として以下の18物質を選定して、平成27年12月25日に告示を出しております。第4回は前回の会議です。3月9日の開催で、その会においてはスクリーニングとして行う中期発がん性試験の候補物質の選定について、長期発がん性試験に係るフィジビリティーテスト対象物質の選定についての御議論をいただききました。更に、海外における新たな知見等の動向について報告を行うとともに、安衛令別表第9の追加について御議論いただいております。
 第5回は本日です。予定として平成27年度の労働者の健康障害防止に係る化学物質のリスク評価の実績について報告するとともに、安衛令別表第9の追加について、第4回に引き続き御議論いただく予定としておりますので書いております。
 (2)化学物質のリスク評価検討会です。今年度においては2回の会議を開催しております。第1回の会議においては、平成26年度ばく露実態調査対象物質のリスク評価を行い、その結果、同年8月12日に報告書の公表をしております。詳細については別添第1にありますので後ほど御覧いただければと思います。
 ここでの結果について、かい摘まんで申し上げます。まず、詳細リスク評価の結果です。作業工程に共通する高いリスクが確認されたものとして、制度的対応を念頭においてばく露リスク低減のための健康障害防止措置等の対策の検討を行うべきものとして三酸化二アンチモンを挙げております。
 さらに酸化チタン(ナノ粒子)については、現在リスク評価を行っている酸化チタン(ナノ粒子以外)の評価結果と併せて、両者の整合を図り、粒子の大きさと労働者の健康障害リスクの関係を踏まえた対応を検討することとされました。次のページです。(イ)として、作業工程に共通すると考えられる高いリスクは認められなかったが、有害性を踏まえ、事業者が自主的なリスク管理を行うよう指導すべきであるものとして、グルタルアルデヒドが挙がっております。以上が詳細リスク評価の結果です。
 初期リスク評価の結果です。2物質あります。塩化アリルについては、さらに詳細にリスク評価を行うべきであり、事業者がばく露低減のため適切に管理を行うよう指導すべきであるものとされております。クメンについては、今回のばく露実態調査に基づくリスク評価ではリスクは高くないと考えられるが、有害性が高い物質であることから、事業者が自主的なリスク管理を行うよう指導すべきものであるとして、それぞれ行政から指導通知を発出しております。
 平成28年2月19日に行われた化学物質のリスク評価検討会の状況です。この会議での結論を踏まえて、昨日3月24日に報告書の公表を行っております。別添2の内容に詳細を書いておりますので、後ほど御覧いただければと思います。今回の報告書の公表においては、初期リスク評価、合計3物質についての評価結果を出しております。
 まず、(ア)としてアクリル酸メチル、アセトニトリルの2物質です。更に詳細なリスク評価を行うべきであり、事業者がばく露低減のため適切に管理を行うよう指導すべきであるものとされております。イプシロン-カプロラクタムについては、今回のばく露実態調査に基づくリスク評価ではリスクは高くないと考えられるが、有害性の高い物質であることから、事業者が自主的なリスク管理を行うよう指導すべきであるものとされております。以上が化学物質のリスク評価検討会における検討状況です。
 化学物質のリスク評価検討会の中には小検討会が2つあります。有害性評価小検討会とばく露評価小検討会があります。この小検討会の検討状況について報告いたします。有害性評価小検討会については、平成27年5月28日、6月23日、12月24日に開催して以下の検討を行っております。1点目は、リスク評価に係る有害性評価及び評価値の検討ということで行っております。26年度ばく露実態調査対象物質については、評価値が未設定であった初期評価10物質、詳細評価1物質、これについては特別有機溶剤も含まれておりますが、これらについて検討を行っております。さらに、27年度ばく露実態調査対象物質については、次ページですが、評価値が未設定であった初期評価5物質について検討を行っております。
 この有害性評価小検討会においては、がん原性試験に関する検討も行っております。その検討状況ですが、まず、対象物質の選定です。新たに長期吸入試験を開始する物質ということで、平成28年度から長期吸入試験の検討に着手する物質として、フィジビリティーテストが終了している5物質の中から、アリルアルコールを選定していただいております。
 試験結果の評価です。国ががん原性試験を実施したメタクリル酸2,3-エポキシプロピル及び多層カーボンナノチューブについては、特定の種類、MWNT-7という種類のもののがん原性試験を行いました。その結果を評価し、いずれも「発がん性があるため、がん原性指針の対象物質とすべき」という判断で、今年度末に指針の公表を予定しております。
 小検討会の又さらに下に発がん性評価ワーキンググループがあります。平成27年5月13日、7月23日、平成28年2月26日に開催し以下の検討を行いました。1点目は、長期発がん性試験等の実施に係る検討ということで、ブチルアルデヒドの試験手法についての検討を行っております。さらにブチルアルデヒドから遺伝子改変動物を用いた試験を行うということで、そのがん原性試験による調査の基準についても結論をいただいております。
 この発がん性評価ワーキンググループで行っている中期発がん性試験の評価です。平成26年度に実施した6物質についての評価を行っていただきました。下に書かれている丸数字1~丸数字6の物質です。いずれも陰性であるとの判断を下しております。さらに平成27年度から実施する中期発がん性試験対象物質の選定についても御議論をいただいております。次のページの丸数字1~丸数字6の物質。候補としては18物質でしたが、そのうちの6物質を選定しております。そのうち丸数字1~丸数字4についてはBhas42細胞を用いた形質転換試験で陽性となった物質ということで、この6物質が平成27年度中期発がん性試験対象物質として試験を行っていただいております。
 それに加え、ウの既存の情報による発がん性評価も行っております。これは今年の2月のワーキンググループで行ったものですが、既存の情報(知見)による発がん性評価を行い、IARCで現在発がん性について2B以上に分類されていないが、それに相当すると考えられる物質を3物質選定しております。この3物質については来年度のリスク評価の候補として検討されることになるものと考えております。
 遺伝毒性評価ワーキンググループです。今年度は1回の開催です。その際に行った検討内容についての報告です。1点目は、微生物を用いた変異原性試験の評価等です。平成26年度に実施した25物質の結果を評価し、8物質について「強い遺伝毒性あり」との判断をいたしました。この「強い遺伝毒性あり」と判断したものについては、労働基準局長通達「変異原性が認められた化学物質の取扱いについて」により指導、中期発がん性の試験の候補等に行くこととなっております。
 「非遺伝毒性物質の発がん性スクリーニング試験(Bhas42細胞を用いる形質転換試験)」の評価です。先ほども申し上げましたが、ここの中で16物質を評価し、4物質について陽性であるとの判断をして平成27年度の中期発がん性試験を実施していただいているという流れです。平成27年度に行うBhas42細胞を用いる形質転換試験の対象物質の選定については平成26年度に実施した文献調査の結果、「遺伝毒性なし」とされた物質の中から、製造・輸入量、適切な溶媒の有無等を勘案して16物質を選定しました。
 「今年度実施するエームス試験対象物質の選定」については、文献調査の結果、「遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」、「遺伝毒性の有無の判断困難」、「エームス試験なしのため評価保留」とされたもののうち、試料が入手可能なものを試験対象物質として決定をしております。
 「既存の情報等による遺伝毒性の評価」ということで、国際機関等による発がん性分類に関する情報がなく、遺伝毒性に関する何らかの情報がある物質について、遺伝毒性の有無と強さの検討を実施しました。なお、この結果については平成28年度の第1回ワーキンググループで評価する予定としております。
 次に、ばく露評価小検討会です。合計4回の会議を開催して以下の検討を行いました。この中では、まずばく露実態調査結果の検討を行いました。前期では26年度にばく露実態調査を行った詳細評価3物質、初期評価2物質に係る調査結果についての検討を行いました。また、27年度にばく露実態調査を行った初期評価5物質については、平成28年1月22日検討会で検討しました。さらに測定分析法の検討も行っていただいており、今後、ばく露実態調査を行う21物質について、測定分析法について検討いただきました。会議の開催状況については以上です。
 次に、リスク評価にかかる情報提供等の推進です。まず、意見交換会です。この意見交換会は東京、大阪の会場に企画検討会の委員と事務局がお伺いして、一般の方との意見交換を行うということで、これはリスクコミュニケーションと呼ばれておりますが、合計3回行いました。1回、2回が東京開催で、3回目は大阪の開催です。
 第1回の開催については、平成27年12月9日、東京開催ということで、その際のテーマが化学物質のリスク評価結果と改正特化則等に関する意見交換です。基調講演及び事例発表。事例発表については、本日、御出席のリスク評価検討会の座長でもある名古屋先生に「リスク評価結果について」の御報告をいただきました。さらに当室の角田室長から「昨年度リスク評価を踏まえた特化則の改正」について説明をいたしました。その後、意見交換ということで本日、御出席の堀口先生にコーディネーターをお願いして、パネリストは基調講演者に北村化学物質情報管理官を加えて、意見交換を行いました。参加人数が79人でした。
 第2回も東京の開催で、基調講演及び事例発表ですが、まず、丸数字1の「リスク評価の結果について」は、リスク評価検討会の委員で有害性評価小検討会の座長である大前先生からリスク評価の結果について御報告いただいた後、角田室長から「昨年度リスク評価を踏まえた特化則等の改正」についての説明をいたしました。その後、意見交換を行い、大前委員を除いて第1回と同じパネリストと参加者が意見交換を行いました。参加人数は32名です。
 第3回は大阪開催です。内容については先ほどの東京会場と同じ内容で、基調講演については本日御出席の宮川先生に基調講演をいただき、特化則の改正については角田室長から説明しております。その後、意見交換会を行い、参加人数は38名という結果です。
 一般からの意見募集としてパブリックコメントの手続を行いました。今回パブリックコメントをかけたものはリスク評価の関連では3件です。1点目は政省令改正に係る内容ということで、ナフタレン及びリフラクトリーセラミックファイバーの特化物指定等についてのパブリックコメントを6~7月に行っております。今回、国によるがん原性試験の結果等により、がん原性があると確認された物質等についてのがん原性指針への追加ということでのパブリックコメントを11~12月に行いました。さらに、リスク評価対象物質、有害物ばく露作業報告の対象物質を追加するということで10~11月にかけてパブリックコメントを実施いたしました。
 次に、広報用資料の関係です。本日配布の参考資料2-2、2-3ということで、この2種類のパンフレットを作成しております。さらに厚生労働省ホームページへの掲載ということで、変異原性が認められた化学物質についての行政指導について掲載しました。その物質の中には、遺伝毒性評価ワーキンググループで「強い遺伝毒性あり」と判定した25物質も含まれております。
 更に今般、この検討会の中で言われていた厚生労働省ホームページの充実をしております。参考資料2-4にありますとおり、「職場における化学物質対策について」の中に、「職場における化学物質のリスク評価」を加え、リスク評価関係の情報をまとめて閲覧できるようにしました。このような形で今年度のリスク評価に関する推進を行ってきました。資料1-1から1-3の説明については以上です。
○櫻井座長 それでは、ただいまの説明内容について、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
○山口委員 この有害性の評価に関して中期発がん性試験とか様々な試験がされておりますが、この試験に関して位置づけをもう少し分かりやすく整理していただければよろしいかと思います。というのは、全ての専門家がおられるわけではないので、一般の方を含めて発がん性あるいは遺伝毒性に関してどういう位置づけで、プロセスで試験をしていくのかということを比較的分かりやすく整理していただければ、今後、いろいろなコミュニケーションをする上でも、この物質はどこまでの評価が進んでいるのかということが理解しやすくなると思います。様々な試験をされていることはよく分かりますので、そのプロセスと位置づけが分かるようなものを作っていただければよろしいかと思いますので、是非お願いしたいと思います。
○角田化学物質評価室長 それは次回に用意したいと思います。
○山口委員 ええ。
○角田化学物質評価室長 発がん性スクリーニングの仕組みは従来、フロー等も作っておりますので、そういうものに、今取り掛かっているものとかも入れて整理したいと思います。
○櫻井座長 ありがとうございました。そのようによろしくお願いします。その他、何かありますか。ないようですので、それでは、今年度の実績にこの企画検討会の検討結果も盛り込んで完成させてください。
○平川化学物質評価室長補佐 はい。
○櫻井座長 よろしくお願いします。次に議題2について事務局から説明をお願いしますが、前回の続きということで対象の化学物質を個別に検討していきたいと思います。事務局から1物質ごとに区切って対象物質の説明をお願いします。
○柳川化学物質国際動向分析官 前回の検討から残ったものにつきましては4物質ございまして、資料2の4ページの目次を御覧になっていただくと、(3)の酸化マグネシウム、これは途中まで検討を終えているものでございます。あと(5)の滑石、(8)のポートランドセメント、(10)のポリ塩化ビニルとなっています。
 検討に入る前に、1点、御了解いただきたいことがございます。18ページに書かれている七酸化二ナトリウム四ホウ素五水和物ですけれども、実は七酸化二ナトリウム四ホウ素が、ほう酸ナトリウムということで既に通知対象物質になっていて、それの五水和物ですから、これも当然のことながら通知対象物質なのですけれども、実はモデルSDSを昨年作っていなかったことから私のほうで誤解して、これも載せてしまったのですが、実はこれは既に通知対象物質になっていますので、報告書からは削除させていただくということで、よろしくお願いいたします。ですから、このほう酸塩(無機化合物)につきましても、ほう酸のみということになります。ほう酸塩(無機化合物)としては、このほう酸のみが追加されると。要は、ほう酸塩(無機化合物)として追加するのではなく、ほう酸のみが追加されるということになります。
 次に、酸化マグネシウムですが、これは既に途中まで御議論いただいておりました。12ページになります。基本的に前回の御検討では、これは、あくまでも粉じんになってしまえばどんなものでも悪影響があるのではないか。そうであれば粉じん一般として対応するべきであって、特に酸化マグネシウムとして載せる必要はないという御議論があり、これに対して、いや、そうではない。これはあくまでも酸化マグネシウムという化学物質としての影響を問題としているのだといった御議論が行われて、途中で時間切れになったと事務局は理解しています。よろしくお願いいたします。
○櫻井座長 いかがでしょうか。御意見を賜りたいと思います。
○吉田委員 普通のガスとか蒸気の化学物質ですと、吸入すると肺まで行くということでリスクを生じる可能性があると考えられるわけですが、こういう粒子状の物質というのは粒径によっては入らないと思います。要するに大きな粒径ですと、肺胞まで到達し得ない物質というのも多々あるかと思います。ですから、こういう粒子状の物質についてここで議論するのは有害性なのか、それともリスクなのかということで伺いたいのですが、リスクということであれば、ばく露が少なければリスクを生じ得る可能性は少ないわけですから、そういう観点でここに入れていくのか。それとも、入った後の有害性でまずは見てということで、この粒子状というか粉じんについてここで議論するのか、そこをはっきりさせていただければと思います。
○柳川化学物質国際動向分析官 私どもの理解といたしましては、別表第9に入れているものは、あくまでも化学物質としての有害性に着目したものということになりますけれども、ただ、これまでも金属等につきまして、いろいろと別表第9に載っているわけです。これは当然のことながら粉じんにならなければ、塊のままでは悪影響がないものですけれども、ただ、これが転々流通していく段階で川下企業において粉体になったりヒュームになったりすることがあり得るだろうということで、それについて規制をしているのですが、いわゆる労規則の別表1の2で言いますと、第5号で粉じんによるものがありますけれども、そういった観点から別表第9に入れているのではないというのが、事務局としての整理でございます。
○吉田委員 分かりました。
○森戸化学物質対策課長 少し補足させていただきます。別表9に入れることによって、現在の法体系ですと安全データシートの交付義務がある。そして受け取った側は、それに基づいてリスクアセスメントを実施する義務が生ずるということですので、そういった情報を、いわゆるリスクアセスメントをしてもらったほうがいいというものについて入れるべきか、それとも入れないほうがいいかという議論です。今回、SDSに追加するのはACGIH等で許容濃度が勧告された物質、いわゆる一定の評価された情報として提供できるものを選んでいて、そのものを、そういう意味では川下に伝える必要性があるかないか、そこで判断いただくということです。
○吉田委員 分かりました。
○山口委員 今の件に関して確認ですが、そういう御説明ですと、一般に産衛学会で粉じんとして第1種、第2種、第3種ということで許容濃度が勧告されていると思います。そこで勧告されているものと、今回、粉じんとして健康に影響があるものに対しての線引きは、どういう形で考えたらよろしいですか。逆に言うと、第1種、第2種、第3種の粉じんをそのままにしておいて、化学物質の特定の有害性があるということで進めるということですが、そこの線引きをきちんとしないと、こちらの第1種、第2種、第3種も同じように健康被害があるわけです。それをそのままにするということになるので、では、どこでそこの線引きをするのかという考え方をきちんと示しておかないと、労働者側は自分たちの健康に気を付ける際に何をもって、どういった点に関して注意すべきかというのが誤解されるケースもありますから、そこに関してお考えがまとまっていればお聞きしたいと思います。
○柳川化学物質国際動向分析官 基本的に産業衛生学会でも粉じん以外で、例えばミリグラム/立米で許容濃度を定めているものがいっぱいありますが、このほとんどは粉体になった場合についての考え方だろうと思います。ですから、先ほどちょっと申しましたが、いわゆる労規則の別表第1の2で言いますと、4号の化学物質と7号のがん原性物質、こういったようなものについて着目して別表9に入れていくのであって、第5号の粉じんに着目して入れるのではないというのが、私どもの整理ということなのです。
○山口委員 それであれば、厳密に言うとSDSに関係してきますので、GHS分類した場合にどこの有害性がどうついたときに粉じんとしての扱いにするのか、どこの有害性が出れば化学物質の粉じんとして特有の有害性があるので、こちらに入れるのだというところを、少し考え方を明確にしておかないと、今後、事業者がSDSを作る際に困るわけです。そこの考え方を整理いただきたいと思います。
○柳川化学物質国際動向分析官 基本的に今までも、先ほども申し上げましたように例えば金属類をかなり入れているわけです。この金属というのは塊状のものであり、全くないとは言いませんが、一部、溶出してアレルギーが出るようなものもありますから、全くないという話ではないですが、通常は金属によっては塊状であれば問題ないわけです。これは当然のことながら、粉じん状になったりヒューム状になったりしたときに問題が出てくるだろうと。
 ただ、そこで私どもが切っ掛けとして、ここに出す検討の切っ掛けとして出しているものが、あくまでもACGIHがその物質に着目してTLVを定めたものと。これはインハラブル若しくはレスピラブルに限っていたものとした、でもここに出させていただくわけです。これは日本産業衛生学会のものも同じです。ですから、基本的にそういったようなものの中から、逆に物質が転々流通していく中で情報を伝え、かつリスクアセスメントをする必要があるのかないのかといったことを、ここの検討会で御検討いただければということです。
○山口委員 今の説明ですと、インハラブル、レスピラブルに関しては産衛学会も同じように総粉じん、それからレスピラブル粒子という形で出しているわけです。そこの要するに有害性を見たときに、単に呼吸器系の影響なのか。例えば金属系の粉体だと、それ以外にもいろいろ有害性が出ていますよね。ですから粉じんとしては、単に粉体であればこういう有害性しかないというのがあると思います。それに対して特有ということは、それ以外のメカニズムで健康に影響を与えるものがあるはずだと思います。例えばアスベストですと非常に有害だということで、がんに結び付くというのはある程度メカニズムが分かっていますよね。ですから、GHS分類したときに単に粉じんとしての呼吸器系の影響ということであれば、いくらでもあるわけです。そこのところを明確にしないと、作る側も、こういう試験でこういう有害性が出れば、粉じんとしてのみならず特有な化学物質としての有害性を伝えていかないといけないと判断できるわけです。そこのロジックを少しきちんと整理して示しておかないと、今後、事業者がSDSを作るときに、どういう作り方をすべきかというのが非常に大事になってきます。そこの整理がついていれば構わないですし、整理する時間が必要であれば整理する時間を取っていただいて、少しこれまでの粉体に関して、それから既存の粉体に関しても整理していただければよろしいかと思います。
○柳川化学物質国際動向分析官 整理をいたしますと、別表第9に入れるか入れないかという議論と、SDSをどう作るかというのは全く別なものだと思います。
○山口委員 それは違うでしょう。SDSがないと基本的に情報を伝えていけないわけですから。
○柳川化学物質国際動向分析官 ですから、別表第9に入れるか入れないかというのは、あくまでも法律として規制するか、しないかという問題であり、SDSをどう使うかというのは有害性を事業者間で伝えていく手法の問題です。ですから、それはパープルブックに従っていただければいいのであって、今も別表第9に入っていないものはSDSを作成する必要は全くないのかというと、そんなことはなくて、これは当然のことながら私どもも努力義務をかけておりますし、また当然のことながら民事上の問題も出てくるだろうと思います。ですから、そこのところはきちっと区別していただきたいのです。別表第9に入れるか入れないかというのはあくまでも政策上の問題であり、SDSをどう作るかというのは情報をどう伝えるかの問題ですから、そこはちょっと違う話です。
○山口委員 労働者代表の丸田さん、今の御説明で理解できましたか。私はちょっと理解できませんね。基本的にSDSがあって、それを伝えていくわけですので、一番最初にやることは、事業者が自ら作っている物質に関して有害性を調査するなり試験するなりして、その結果に基づいてGHS分類という国際的な標準により、SDSを作ることをまずやらないといけないわけです。それがまず基本なわけです。それをもって情報を伝えていくということで、その内容に応じて場合によっては今後、基本的に法律上は全ての物質に関して努めなさいということになっていますから、基本的には出すわけです。ただ、物によってリスクが高いというものがあれば法的な規制を考えないといけないので、ばく露作業報告とかいろいろなステップを踏んで、規制の在り方をやるという仕組みになっているわけです。私はそういうふうに全て、これまでのリスクコミュニケーションを通じても理解していますので、今の御説明では私はちょっと理解できません。丸田さん、理解できましたかね。
○森戸化学物質対策課長 あまり議論してもあれですが、そういう意味では粉じんとして、土砂等も当然、粉じん則で規制している。それと同様の取扱いでいいのか。そういう意味では酸化マグネシウムとして何か取り扱う必要性があるのかどうか。そこが大事だというお話だと思います。
○山口委員 そういうことです。
○森戸化学物質対策課長 それについては、ですから御専門の宮川先生とか櫻井先生のお話をお聞きして、我々は決定をしたいということです。それを本当に一緒にしていいのかどうか。それは一緒にしてよいということであれば、そういうことでの規制体系だと思いますし、それとは一緒にできない、酸化マグネシウムは酸化マグネシウムとして情報を伝達する必要があるという御判断であれば、そういうふうに取り扱うということです。
○山口委員 そういうことですね。
○森戸化学物質対策課長 そういう意味では、この場で御議論をしていただくというのが、この目的ですので。
○櫻井座長 今の件について申し上げますと、製造業者が川下で、どういう形態になり得るということを考えて、粉じんになり得るとしたら、粉じんについてはこういうGHS分類になりますと。顆粒状の場合はそうならないと。
○山口委員 そもそもばく露が非常に少ないということなのですね。
○櫻井座長 そういうふうに川下で使われるところまで考えて作るというのが、あるべき姿だと思います。
○名古屋委員 でも、1つの参考になるか分からないですけれども、例えばアスベストのときもそうでしたが、天然鉱物のときは、顆粒状にした場合については規制対象から外しましょうと。これはドイツでもそうしていましたので我々もそれに従いそう作りました。タルクについても粉状については、要するにそのまま外国から持って来ていても0.1%以上かどうかの分析をします。ただ、顆粒状で輸入したタルクについては規制から外しましょうと、記憶が正しければ。ただ、顆粒状で輸入しても、国内でタルクを粉砕したときは当然、石綿則はかかりますよという形にしました。そうすると粒径が問題になってくるので、顆粒状の場合については、多分、リスクとして少ないからと。でも、もしかしてそこのところ以降のところで、粉砕することになったときにはGHSの必要がある。粉じんに関しては顆粒状と粉体の定義はなかなか難しいですけれども、天然鉱物のときは、欧州にならってそういう分け方をして、天然鉱物は規制をかけていません。石綿則を作ったときにタルクもそういう形にしていますので、今回の場合も、要するに粒径に応じて顆粒状のものについては、もともと有害性で評価するのはあるのでしょうけど、リスクとして考えたときにはないので、そこの粉体になったところから以降についてはちゃんとするという形の住み分けは、粉じんとか粒径のものについてはできるのではないかと思います。
○櫻井座長 先ほど、日本産業衛生学会の話が出ましたね。あれは一つ一つの物質についてドキュメントがないものですから、ちょっとグレードを下げていると言いますか、我々は全部、きちっとドキュメントのあるもので、当面は日本産業衛生学会とACGIHで個別にドキュメントがあって、ばく露限界値が出ているものを基本的に採用しています。これは将来、MAKも入れてもいいかもしれませんし、あるいはSCOELでも専門家が懸命になって出しているデータで、しかもドキュメントがちゃんとあれば、それも採用すべきではないかと思っていますが、当面、2つを主として取り上げているということです。
○山口委員 ということは、取りあえず、この仕組みの中で産衛学会では第1種、第2種、第3種に関しては明確なデータがないので、今のところ、そこに挙げられている物質を調べて文献があれば、こっちに入ってくるでしょうということでしょうか。
○櫻井座長 あれは最初に出したのが、やや時代が古くて、そのままなものですから、当時として最善を尽くしていますけれども、個別にドキュメントを付けるほどの努力を払う余裕がなかった。いろいろ忙しかったということもありまして、ああいうふうにリストでとにかく示して、皆さんにそれを参考にしてもらうというスタンスです。いずれにしましても、これを御覧になっても分かるように、ACGIHにしてもMAKでも数値がピタッと一致することはありませんよね。それぐらい難しい。専門家はそれぞれ一生懸命考えて出すわけです。新しい情報を懸命になって出している。だけど、それが一致しなくて当たり前だと思います。そんなに精度は求められない。だけども1桁ぐらいの範囲内に入っていますね。しかも新しい情報が入れば、また変えざるを得ない。それも前提に置いて、しかし、それを使うのはそれ以外ないと。これは結局、利害関係のない専門家が、とにかく労働者の健康ということを考えて出している数値なので、それが一番信頼すべき数値だと考えます。
○山口委員 ということは、産衛学会は、まだかなり予防的な数値として決めたものであって、科学的な根拠という意味ではもう少し厳しくするべき点もあるかもしれないし、あるいは緩い点もあるかもしれないと。
○櫻井座長 これからやると思いますね。
○山口委員 ということで、あそこの中に挙がっている物質で特有のと言いますか、化学物質の有害性がはっきりしたものがあれば、こちらのほうに随時入って来るという理解で、あれは予備軍として全部入っているのだという理解で、よろしいということですかね。
○櫻井座長 そうです。
○山口委員 予備軍でいるんだと。
○櫻井座長 そうです。
○山口委員 そこの考え方を整理しないと困るわけです。この中から数物質だけ特別に選び出されており、何か見せしめのような印象を受けます。
○櫻井座長 そんなことはないです。
○山口委員 みたいに理解されると。
○櫻井座長 全部、候補物質です。
○山口委員 予備軍としているのだと。ただし、科学的な根拠がはっきりしているので載せるという理解でよろしいと。
○櫻井座長 そのとおりです。
○山口委員 しかも、その有害性に対しては単に粉じんという有害性ではなく、先ほどもありましたけれども、化学物質として普通の粉じんよりは何かはっきりとした有害性があるはずということですね。
○櫻井座長 個別の情報を一生懸命集めてやりますね。
○山口委員 ということで、よろしいわけですね。
○櫻井座長 はい、そうです。
○山口委員 というのは、これが決まってリスクコミュニケーションということになると思うのです。
○櫻井座長 はい。
○山口委員 その際に、事業者側から間違いなく質問が出ますので、第1種、第2種、第3種粉じんに対して、これが選ばれたけれども、どういう理由で選ばれたのかと聞かれたときに、きちんと答える必要があるわけです。
○櫻井座長 なるほど。
○山口委員 ですので、この場できちんと議論して、こういう考えでやったということを示さないと、何となく見せしめみたいに選ばれたということでは困るわけです。
○櫻井座長 たまたま、これ、一番最初に決まってしまうので、お気の毒なんだけれども。
○山口委員 はっきり言いまして、選ばれた2つが過去に風評被害を受けています。
○櫻井座長 だけど、むしろ幸運かもしれませんよ。先にそういうリスクアセスメントをするということは、極めて大事だし勉強になるし、当事者が考えるわけです。それで実際、1mgとか2mgをコントロールしようと思えばそんなに難しくないです。決して難しくない。しかも、それは規制をかけてないのです。自主的にやってくださいと。マスクを使うのもいいわけです。情報だけをとにかく提供しようというのですから。
○山口委員 産業界も、SDSにどこも反対していないのです。嫌がるのは、ラベルの義務付けで、ラベルが昔の制度と大きく変わっているわけです。昔は特化則のものだけ付いていたのが、今、全ての物質に付くようになったわけです。その過去のイメージが強いので。
○櫻井座長 それも、例えばスーパーへ行くといろいろな食べ物に、今、糖質、蛋白質、脂質のパーセンテージがはっきり書いてあります。ものすごく有用です。それと同じで、全ての物質に情報を付けるというのが極めて望ましい。コストのことを申し上げるとあれですが、あるべき姿だし、他でやっていなくても日本が先にやってもいいと思います。
○山口委員 産業界の立場で言うと、製品に付くのもあるのですが、場内表示も全部くっ付いてくるわけです。そういうこともあって経済的負担がかなりあることと、ラベルというのがこれまでのイメージがあって、ちょっと風評被害が出るのではないかという懸念を、非常にしているものが入っているということなのです。ですから、そこに対しては十分、そういうことがないようにやっていただきたい。私も風評被害がないかと言うと、この間、福島の原発のことを見ても、いろいろな調査をして調べて、大丈夫だと言っても買わない人がいるわけです。そういうことを見ると、こうなったらやりますよということはなかなか断言できないところがありますので、こういった議論を通じてちゃんと世の中に理解してもらわないといけないし、今後のリスクコミュニケーションの場では、十分に皆さんにお伝えしていただきたいと思います。
 それから、この粉体に関しては形状の因子というのが非常に大きいと思います。化学物質的な組成の部分と形状的因子というのがありますので、そこに関しても、どういった形状の場合にどういった健康被害を生じるのか。そういったことも含めてきちんと伝えて、どういった点に注意すべきかというところを、今後も十分にリスクコミュニケーションしていただければと思います。
○櫻井座長 そうですね。
○宮川委員 少し元に戻りますけれども、SDSとラベル表示のことです。これは国連の規定でハザードベースで作る、有害性に基づいて書くことになっているので、これは変えようがないのです。ただ、幸いなことに、日本では政府で統一して、このように書いてくださいという中身までを決めているわけではなくて、それは、それぞれの製品を作られる業者さんが、自分の所の製品の有害性に合わせて作ることになっていますから、形態、粒子のサイズによって毒性が違うのであれば、それに合わせたものを作るということです。例えば、これについてはラベル表示、SDSが義務化されたとしても、そこに書く中身は毒性がないものであれば、そこは書かなくてもいいということになるはずだと思います。ラベルやSDSがあっても、そこには何も毒性に当たるものが書いていないというのが流通する。また、物によっては途中で、川下のほうに行ってからサイズが変わるとか、あるいは金属だって熱をかければ蒸発してヒュームが出ますから、元がバルクだったとしても場合によっては吸入される場合もあります。そこは使い方によって、流通段階それぞれでもって、あるいは使う所でもって考えて、GHSに基づいた表示をするとしても、それは、どうしても考えなければいけないところではありますが、そこはやっていただくのが労働災害の防止ということでは重要なのかなと思います。
 もう1つ、粉については、産業衛生学会は1種、2種、3種とありますけれども、個別にドキュメントが十分あるわけではないというお話がありました。しかし、1種、2種、3種に分かれているということは、それなりのエビデンスがあって、その段階でそれなりのエビデンスがあって、比較的厳しい値が付いている1種と3種では状況が違う。予見可能な災害をきちんと防いで安全配慮義務を全うするためには、その段階で分かっている情報が1種、2種、3種それぞれの段階であると思いますので、そういうものはきちんと知った上で対応する。とすると、それに合わせたSDSが必要かなという気がします。ただ、第3種粉じんで、その他の無機粉じん、その他の有機粉じんという書きぶりがあるものについては、そう言ってしまうと全てのものが当てはまってしまうことになりますので、そういうものについて、どういうことでもってこの表示が付いているのかということは、世の中によく説明をしていく必要はあるかなという気はいたします。
○櫻井座長 この検討会で、要するに第9条にはそういうばく露限界値が決まっているものを追加していますね。GHS分類だけですと、それを使って例えばコントロールバンディングなどをやると、すごく厳しい方向へ行きます。最初、驚くと思いますが、よく調べてみるとちゃんとばく露限界値があって、測定すると、その範囲内に収めることはそんなに難しいことではないということが分かって安心する。そういうようなことで学んでいって、現にそんなに難しくないと思います。数ミリグラムというようなオーダーです。3mgと2mgで争うなんて非常に些末なことですね。0.1と3を比べるというのは難しいかもしれないけれどね。
○宮川委員 特に最後の部分ですけれども、結局、粉を吸って具合が悪くなるというのは労働災害としては非常に歴史が長いものですから、そこは何らかの対応が必要です。一番肝心なのは、SDSを見て、そこに許容濃度あるいはTLVが書いてあるわけですから、それを見て、そこまでばく露が行かないように抑える。粉であればデジタル粉じん計など簡単な方法もありますから、どの程度なのかを測って十分大丈夫だと、この程度の対策をすれば適切な対応が取れるということが分かる。みんなができることとして、そのぐらいはやりましょうということを、どうやって進めていくかが肝心だと思いますから、リスク評価が大変だという声も聞こえてきますけれども、根本は許容濃度とばく露を比べる、簡単に測れるものは義務と言われてもできると、いうことが世の中に浸透していくのがよろしいと思います。特に比較的毒性の低いものであれば、こんな簡単なことでうまくいくのだという例を作っていただくのがよろしいかと思います。
○櫻井座長 そうですね。ほかに何か御発言はございますか。それでは、酸化マグネシウムについてです。これは明確にTLV-TWAの10mg/m3ということで、2000年に勧告されて2001年に最終決定したものが、現在、なっています。これは吸引性粒子ですね。インフェイラブルあるいはインハラブル粒子として、こういう数字が決まっているということですが、そういった明確な準拠すべき数値もありますし、別表9の追加対象物質とするかどうかについては、追加する方向にするのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○山口委員 1点、確認ですが、データがあくまでもヒュームとかインハラブルですと、ある特定の粒子だと思いますので、それが出る可能性がない形で供給して、使う側に対しても、そこで何かに添加されるなり粉が出ることのない形態になれば、それは免除されるという考えでいいわけですね。
○櫻井座長 メタルヒュームと、それからサブミクロンの酸化マグネシウムの粒子と同等に取り扱っていると思います。それは熱を溶かして出てヒューム化したものと、最初から酸化マグネシウムの小さい粒子を違うものだと考えるべき理由がないのです。
○山口委員 ですから、どちらにも出ないという形であれば。
○櫻井座長 であればいいわけです。
○山口委員 金属に近い形態ということであれば、それは除外されるという理解でよろしいわけですね。
○櫻井座長 それでよろしいわけです。
○柳川化学物質国際動向分析官 法解釈の話になりますけれども、別表第9に物質名が書かれた場合については、その物質について規制がかかってきますので、どう使われるかではなく、そういう物質を譲渡提供する場合については義務がかかるということになります。
○山口委員 それは、具体的にもう少し説明いただきたいのですけれども。
○柳川化学物質国際動向分析官 要するに、酸化マグネシウムというふうに別表第9に書かれれば、その川上から川下に向けて、塊状で譲渡提供されたものを一切加工しないということであれば、これは一般消費者の生活の用に供するものとして義務は外れますけれども、ただ、川下企業においてどうなるか分からない状況の下であれば、これは物質に義務がかかってきますので、これは義務は外れるということはない。
○山口委員 ですから、私が先ほどもお話しましたけれども、それ以降、例えば1次、2次というか、売った先で終わる所はいいのです。それが2次、3次、4次という場合は、今、言った懸念はありますけれども、そこで終わって固体になるという状況の用途で供給する場合は、それは義務は外れるわけですよね。
○柳川化学物質国際動向分析官 加工されることがないということであれば、一般消費者の生活の用に供されるものというふうに理解されます。
○山口委員 ということですね。そこの線引きはしておかないと、ずっと先までとなると、塊になって、金属でも、今、具体的には一部義務から外れているものがありますよね。一般的な金属のものとして。
○森戸化学物質対策課長 例示として適切かどうか分かりませんが、例えば最終部品として供給して、あと組み立てられるだけとなると、その部品については組み立てるだけで、SDSの表示も要らないという形で取り扱われています。ただ、部品に加工する前の鋼材から部品メーカーに行くときは、これは当然、加工がされるということでSDS等が必要になる。そういうふうな整理になっています。
○山口委員 加工するというか、そこで粉体が出る可能性がある場合ですね。
○森戸化学物質対策課長 加工される予定がないということですけど。
○山口委員 分かりました。
○櫻井座長 よろしいでしょうか。次に進みたいと思います。
○柳川化学物質国際動向分析官 19ページ、滑石です。こちらはタルクですが、GHS分類を行いましたところ、STOTの単回ばく露について、呼吸器で区分1、同じく反復ばく露について呼吸器で区分1、両方とも区分が付いているということです。
 右側の「その他の有害性情報等」の所に、イギリスのWEL値を付け加えております。レスピラブル粒子について、1mg/m3となっています。こちらについて業界団体、全国タルク協議会から意見書が出ており、私どもでまとめたものを次のページに書いております。
 全国タルク協議会様としては、タルク製造・輸入業者との連名で、この企画検討会宛ての要望書を提出しており、この中で、以下の理由を挙げて、タルクを安衛令別表第9に追記することは妥当でないとおっしゃっています。
 1つは、EU、米国向けタルク・タルク製品のSDS、これは一般に流通しているSDSを幾つか御提出いただいて、その中身について有害性がないと書かれているということです。あと、OSHAが発がん性を認めていない。ACGIHがA4であると言っている。IARCも通常はグループ3だと言っている。NTPも発がん性を認めていないということで、区分がなければラベルは要求されないという御主張のようです。
 3は私どもでは確認しようがなかったのですが、50年以上に及ぶ産業界の使用実績により、アスベストを含まないタルクに関しては現在の全ての使用方法において発がん性のみならず、あらゆる有害性との因果関係を証明する事例はなく、全ての専門家のレビューにおいて、「いかなる分類も推奨されない」と結論付けられているとおっしゃっておられますが、この根拠を私どもでは確認できませんでした。以上です。
○櫻井座長 いかがでしょうか。
○山口委員 このGHS分類の結果を見ると、単なる粉じんの呼吸器系のみの影響という理解でよろしいわけですよね。
○櫻井座長 呼吸器系。
○山口委員 発がん性とか、そういうものではなくて、有害性として呼吸器系に影響があると。それの許容濃度に関しても、ある程度しっかりとしたものが定められたという考えで、昔の産衛学会のところからきちんとした化学的データが決まったので、載ってくると。発がん性ということは何もないのですという理解でよろしいわけですよね。
○櫻井座長 そのとおりです。今回の判断には、発がんは全く関係ないですね。
○山口委員 産業界の立場で意見を申すという意味では、先ほども同じで、ここも昔は非常にいろいろな風評被害を受けたので、SDSに関しては何も反対しないのだけれども、海外ではラベルをやっていないし、日本だけラベルをやるというのは、国際的な取引をする場合に作業が一部面倒くさい、日本から出す海外のものに関しては貼らなくてもいい、日本のものだけ貼る、海外から入ってきたものも貼っていないものを入った段階で貼らないといけないという、経済的な負担の部分も多少あると。あとは風評被害です。これが、私もここだけはないという保証はできないのですが、少し誤解を招くと、風評被害が立つと、ここの業界はどちらかというと小さな産業の集まり、事業者の集まりなのです。ですので、そこがもう「心配ありませんよ」ということで、雇用には影響しないということであれば、労働者代表の方もそういった観点を含めて、大丈夫だ、きちんとできるということであれば、私は基本的なところでは異論はありません。労働者代表としてはどうですか。
○丸田委員 私どもとしては、実際に現場で働いておられる方が作業されている環境の中で、粉じんなら粉じんの形で、その人の健康に影響を及ぼす可能性があるのかどうか、その1点が判断要素です。
○櫻井座長 そういう懸念があるからこそ情報を伝える、よく調べたら十分に大丈夫だと分かると、そこが大事だと考えているわけですが、それでよろしいですよね。最初は驚いたり、少し負担になるかもしれませんけれども、特に中小の企業の集団のグループであるとすると、御同情申し上げたいとは思いますけれども、
○山口委員 そこは十分に、リスクコミュニケーションの場で、十分に伝達していただければと思います。
○堀口委員 要望書に発がん性の話ばかり書いてあるなと思ったので、発がん性があるものと認識されたくないのだろうというお気持ちが非常に伝わってくるので、別表9に入れるときの議論として、発がん性ではなくて呼吸器に影響があるのだというところのメッセージが強く伝わるようにしていくことが、労働者を守り、またそのラベルの負担に関して言うと、だからこそ日本の製品は素晴らしいと理解をしていただくようになっていけばいいのかなと思います。
○名古屋委員 先ほど宮川さんが言ったように、SDSは有害性だけで表示するということになると、粒径とかそういう話ではないので、その議論はなくなってしまいますよね。
○宮川委員 毒性を細かく書けば、吸入性のものを長期ばく露すれば、こういう問題が出る可能性がありますとか、そういうことは書くことはできます。
○名古屋委員 そうすると、リスクで考えるとそこをたくさん書けばいい、有害性を考えるとどうしてもここは避けて通れなくなりますよね。
○宮川委員 ただ、発がんについて必死で否定されているのは同情します。すごく特殊な使い方をしたときに「あれっ」ということを心配されていて、そこは通常のGHS分類するときには、これはなかったというような判断が出るのではないかと思っております。
○石井委員 今の話に関係すると思うのですが、実際に条件として、ここで評価された条件、例えば発がん性に関しては結晶性シリカを含まないとか、アスベストを含まないようなタルクというような、何か条件を表記するような形というのはできるのでしょうか。
○名古屋委員 石綿は入っていませんよね、対象外ですよね。シリカは分かりません。
○櫻井座長 それは基本なのです。最初からそれは明確にしないといけないことではありますが。
○柳川化学物質国際動向分析官 そもそも石綿が入っていると情報提供できませんので。
○山口委員 普通は混合物ですので、基本的に混合物の中で発がん性のある、特に無機系の結晶等が入っていれば、それは規制にかかるわけですよね。タルクとしてはでなくて、混合物としてです。
○宮川委員 混合物としてですね。実際の製品のときには、混合物を製品として提供するのであれば、それについてのSDSを書かなくてはいけないということになりますから、規制としてはこういうものかもしれないけれども、実際の製品に合わせてSDSを作るときには、そこの製品、混合物であればそれに合わせて作るということです。わざわざ配っていただいたのでACGIHなどのTLVの参考資料の5ページを見ると、もとのところではアスベストだとか、結晶性シリカの話が少し出ていますが、実際の製品としてはこういうものは入っていないということであれば、当然発がんには関係ないと。
○櫻井座長 専ら肺の線維症等のみを問題にして、このTLV値を決めております。このドキュメントは2010年に追加されたのですね。数字は変えないでドキュメントだけを追加したというのは、いろいろな反論もあったのだけれども、それにもかかわらずやはりこうだという形で、ACGIHとしては、どうしてもこれは強く主張するという立場です。ですから、この2mg、これは明確に主張している数値で、それも我々は十分に考慮するということになると思います。
○吉田委員 少し遡ってしまうのですが、2mgの後ろに「※1」とありまして、Respirable particulate matterとACGIHの所にあるTWAの後ろのきちんとした定義が書かれているのですが、これと同じことを先ほどの酸化マグネシウムで言いますと、Inhalable particulate massと、きちんと定義しているわけなので、それを酸化マグネシウムの所にも同じように、「※1」みたいな形で注を付けていただいたほうがいいのかなと思いました。
○柳川化学物質国際動向分析官 基本的には(I)と書かせていただいておりまして、(I)がインハラブルということなのですが。
○吉田委員 書いてあるのですね。
○柳川化学物質国際動向分析官 12ページのTLV-TWAの所なのですが、10mg/m3として、その上に。
○吉田委員 分かりました。
○櫻井座長 小さく書いてあるので見落としてしまったのですね。数字の「1」ではなくて「I」なのですね。
○吉田委員 いずれにしろ、説明は十分に入れたほうがいいと思います。
○櫻井座長 その他に特にないようですので、タルクについても別表9に追加という結論としたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 次へ進めます。
○柳川化学物質国際動向分析官 28ページの(8)のポートランドセメントです。こちらはGHS分類を行った結果、STOTの単回ばく露が区分3、気道刺激性で、同じく反復ばく露については区分1で、これが呼吸器ということになっております。「その他の有害性情報等」の所ですが、ここもWEL値を追記しています。インハラブル粒子について10mg/m3、レスピラブルについて4mg/m3ということになっています。「備考」の労規則別表1の2の「職業病リスト」の所ですが、これはあくまでも5号ではなく4号に載っているということの説明を追加しています。
○櫻井座長 これは業務上外の認定のときに使う職業病リストですね。
○柳川化学物質国際動向分析官 はい。
○櫻井座長 これについて何かございますか。よろしいですか。特に御異存がなければ、別表9に追加ということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 次をお願いします。
○柳川化学物質国際動向分析官 31ページ、(10)のポリ塩化ビニルです。GHS分類を行った結果、STOTの単回ばく露は気道刺激性が区分3、反復ばく露については呼吸器で区分1です。右側に「その他の有害性情報等」の所ですが、DFGのMAK-Wertですが、レスピラブルについて0.3mg/m3ということで、イギリスのWEL値はインハラブルについて10mg/m3、レスピラブルについて4mg/m3という数字を付け加えています。これについても業界団体から御要望が出ていまして、32ページに私どもでまとめさせていただいたものがあります。
 まず、「注1」のほうです。塩ビ工業・環境協会様ですが、企画検討会議宛ての文書を提出しておりまして、その中で以下の5点の理由を主なものとして挙げ、ポリ塩化ビニルによる職業性疾病発生のリスクは極めて小さいとおっしゃられ、リスクの小さなものにまでSDS表示を義務化すれば、リスクの高いものとそうでないものの区別がつきにくくなり、安全管理にむしろ支障を来しかねないという理由で懸念を表明しておられます。
 1番目は、PVCそのものの有害性は低く、対策は一般的な不活性微粉末によるもので十分である。2番目は、ACGIHがTLVを定めた際の根拠となったデータは古いものが多く、残留モノマーや添加剤、喫煙の影響が排除できない。現時点では残留モノマーの濃度は当時の1,000分の1程度(コンマ数ppm~数ppm)になるなど管理が進んでいる。3番目として、国内で出荷される乳化重合のPVCは粒径が50μm以上であり、10μm以下のものは僅かである。この後の括弧書きは私どもの引用した注ですが、塩ビ工業・環境協会様は、我々もその理由は分からないのですが、粒径が10μm以下のものだけが問題であって、それ以上のものは問題はないという前提に立っておられるようです。その理由は私どもには理解できません。4番目は、該当する塩化ビニルに関し、ばく露の可能性が最も高いと思われる作業場において、作業環境測定及び個人ばく露測定を行ったが、いずれも許容濃度範囲内だったとされております。これも、ここで言っている許容濃度というのはACGIHのいう1mgではなく、協会の主張する2mgなり3mgなりという数字を使って行っているということを付け加えさせていただいております。5番目、海外企業のSDS、これは幾つか例を提出されていて、ACGIH等の許容濃度が記載されてはいるけれども、GHS上の危険有害性の区分は設定されていない。したがって、ラベル表示は要求されないということを主張しておられます。
 これらの参考情報ですが、右側の「注2」です。これはあくまでも参考情報として御理解ください。塩ビ工業・環境協会様によりますと、PVCの流通形態は以下のようになっているとされています。1番目、塩ビモノマーからPVCを作成(重合)するということで、要するにモノマーからポリマーに変える事業者が、出荷する際のポリマーのほうの形状については以下のようになっているということで、塩ビ樹脂の9割は縣濁重合という手法で製造されまして、その粒径は50μm以上(平均は100~150μm)の凝集した顆粒状であるということです。残り1割を占める乳化剤を使用して重合させた塩ビ樹脂は、より細かい微粉を含み得るけれども、近年、樹脂の取扱いを容易にする技術改良により、平均粒径100~150μm程度に凝集した顆粒状のものが製造され流通するようになり、その比率は増加傾向にある。現在は7割程度に及んでいる。乳化剤を使用して重合させた樹脂の残りは、可塑剤と混練りしやすいように、不定形の凝縮粒として流通する。不定形の凝縮粒には10μm以下の微粉も入っているが、ごく僅かである。2番目として、粉状のPVCを購入する事業者は、これを成形して製品にするけれども、一旦塊状になった場合、通常の加工では粉状、インハラブル粒子のようなものになることは考え難いと口頭で御説明いただいております。
○櫻井座長 いかがでしょうか。
○丸田委員 塩ビ工業・環境協会の主張としては、物質そのものの性質ではなくて、実際に取り扱う段階では問題発生が懸念されるような小さなサイズになることはないので、サイズによる規制はあるかもしれないけれども、物質そのものの規制にはなじまないという御主張だと思いますが、物質そのものについてはどうなのでしょうか。
○柳川化学物質国際動向分析官 私の説明が悪かったようなのですが、最初の工程で、本当の川上からその次の所に行くときは粒状ではなく粉状で、その次の企業が粉状のものを扱うことはあり得ますし、川上そのものは粉状を扱うことは当然あり得るということになっています。ですから、問題は私はそこの部分だろうと思います。一旦、塊になってしまった場合、熱でも上げない限りPVCで何かあるということは考え難いことは間違いないです。
○山口委員 産業界の側から言いますと、造るプロセスでは粒と粉の区別はどうするかはありますが、細かい粒状のもので製造して、そういう形で後ろの工程に持っていきまして、一定に固まれば切削等で加工する以外は、まず作業環境に問題のあるような粉じんを発生するとは考えられません。ポリマーですので、物性的に細かい粉状にするというのは非常に特別なことをしない限り、まずありません。
 という意味では、粉状にならなければ、塊になった以降は、まず特殊な、わざと故意に粉状にしない限りは、作業者への健康影響は考えにくいです。
 ですので、粉状で扱う段階の所でどう考えるかということですが、先ほどの第1種、第2種、第3種が予備軍だということであれば、同じ扱いにはなってしまうのかなと。
○宮川委員 同じ扱いになった上で、こちらのほうが企業としては大きなところが多いのですかね。
○山口委員 そうですよね。
○宮川委員 そこに見本を見せていただくのがよろしいような気がいたします。TLVのところの根拠を見ますと、それからGHSの分類もそうですが、基本的には気道刺激、呼吸器刺激ということで書いてあります。それから、米国の塩ビの業界の方がTLVを引き下げるときに、反対の意見を文書で出していると思うのですが、それを見ると、「良性のじん肺」という言い方だったと思うのですが、呼吸器症状を見れば、ここまで下げなくていいこういう毒性でもって、この呼吸器症状をエンドポイントとして、元のままでいいのではないかという御意見を出していたと思います。そうすると、一般的な比較的毒性の低い粉体としての、でも呼吸器に対する症状はあるのだという前提の議論を、アメリカの業界の文書でもされていたと思います。そういう意味では、通常の粉としての毒性を考えて、先ほどからの物質と同じような扱いをするのが適当ではないかという気がいたします。
○堀口委員 要望書を見ていても、業界の方は「塩化ビニル特有のものと誤解を与えないよう御配慮をお願いいたします」と明文で書いてありますし、「微粉末が肺の内部に吸引され炎症等を引き起こすリスクがあることは承知しており、リスク削減に努めている」と要望書に書いてありますので、配慮としては、そのものではないというところをメッセージとしては強く出す形で、別表9に含んでいくという考え方のほうがいいのではないでしょうか。
○山口委員 あとは、形状のところがインハラブルも含めてということで、データとしては英国のものをベースにレスピラブルのみならずインハラブルも含めてということで情報としては出す必要があるわけですよね。
○柳川化学物質国際動向分析官 別表9に書くとしたら、要するに「ポリ塩化ビニル」と書くわけですから、取り分け「粉状」とか、そういうことは書きませんので。
○山口委員 粉状と書かない。「粉状」と書かないとなると、普通の塩ビを何でもかんでもとなると、塩ビの製品はたくさんありますから、それに全部、パイプでも全部ラベルを貼るということですか。
○柳川化学物質国際動向分析官 違います。ラベルを貼る必要はないです。ラベルを貼るのは、塩ビに限らず混合物については粉状でない限り、つまりこれはインハラブル粒子という意味ですけれども、正確に言うと塊状であって、譲渡提供の過程において固体以外のものにならず、かつ粉状にならないもので、一定の性状を有しないものです。一定の性状というのは、皮膚腐食性あるいは爆発性などがない限り、ラベルを付ける必要はありませんので、当然のことながらポリ塩化ビニルについてもラベルを付ける必要は全くないです。
○山口委員 要するに、前の金属系のものと同じ考え方ですよね。
○柳川化学物質国際動向分析官 そうです。ステンレススチールとか、そういうものと同じです。
○森戸化学物質対策課長 今の御議論は、粉体のものであればSDSについても粉体のものだけでもいいという御議論ということでしょうか。
○山口委員 はい。そうでないと、塊でもSDSを付けるとなると、部材として扱うものは塩ビは山ほどありますので、そういうものに付けて、粉体になる可能性がないのに付けてどれだけの意味があるのか。そのようなことを言いますと、もう1度戻って金属系のパイプでも鉄板でも全部あるわけです。それはどうなのかなと。そうすると規制の考え方の一貫性という意味で。
○森戸化学物質対策課長 一般的に金属は溶接などに使われるということで、SDSは必要だと。粉体でなくても加工が予定されているものについては必要になっております。
 塩化ビニルについては、そういう意味では粒子が重合していく方向だけに進んでいくということであれば、SDSの対象のほうは。
○山口委員 粉体から塊にして、一定の成形をして、そこから加工する工程が後ろに幾つでもあるわけです。それに全部SDSを付けるのかと。
○森戸化学物質対策課長 その際に、その情報が必要であるかないかということだと思うのです。必要がないということであれば、最初からSDSについては粉体のものを譲渡するときだけにかけるということは可能です。
○山口委員 そういうことでいいわけですよね。
○森戸化学物質対策課長 それは可能です。
○柳川化学物質国際動向分析官 別表第9に「ポリ塩化ビニル」と書いて、これは粉状のものに限ると書くということはあり得ると思います。ですから、これは一旦塊状になってしまったら、その後は有害性は出てこないのだということであれば。
○山口委員 そうであればいいのですが、塩ビというものは様々なものに使われていますから、塊になったものに関しても、やはり部材として供給することがあるわけです。それに全部SDSを付けるとなると、化学業界以外で専門ではない所もたくさんありますので、そこに全部SDSを作りなさいということになるわけですよね。
○森戸化学物質対策課長 ですから、付ける必要性があるかないかを御判断いただければ、そのようにするということです。
○山口委員 余りにも膨大すぎて、そのようなことをやっている所は。
○吉田委員 軟質塩ビのようなものとか。
○山口委員 シートですね。
○吉田委員 はい。それになって以降は全部要らなくて、粉体の部分だけで。
○山口委員 それでいいですよね。
○吉田委員 はい。
○山口委員 それでないと余りにも。
○森戸化学物質対策課長 そういう議論であれば、そういうことで結構だと思います。
○堀口委員 そのような方向で。
○石井委員 私は今までの3物質、この塩化ビニルについても条件付きで上がってくるものだという認識はしていますので、是非そこの表記。ACGIHの中を見ても、ある粒径の中で人の影響が見られたというような、これを基に今回区分されていると理解していますので、是非そういった限定的な表記を記載していただけるように御配慮いただけたらと思います。
○清水委員 PVCの場合、残留モノマーについて、「非常に少ない」とは書いてあるのですが、少し気に掛かるのです。例えば先ほどのタルクの場合でもアスベストが入っていないということが保証されています。この場合は、どうしても残留モノマーというのはある程度残っているということを考えると、ばく露される労働者の立場から言えば少し懸念があると思うのです。ただ粉じんの形だけで考えているのではなくて。それが少し気に掛かります。
○山口委員 私もそこが気になったので業界に確認しまして、塩ビそのものとしての有害性ははっきりしていますし、発がん性物質か何かになっていると思うので、パーセンテージが幾らと決まっていますよね。そこを超えたらそこの時点で、混合物としてポリ塩化ビニルとは違うものになりますので、そこは大丈夫ですかという話をしましたら、そこはきちんと理解して、一定の濃度以下にしているということでしたので、それを超えると別の意味でモノマーが入ったものとして、混合物として出さないといけないと思いますので。
○柳川化学物質国際動向分析官 法律上は0.1以上含んでいれば、今度は塊であったとしても、モノマーが0.1以上入っていると、そのことによってSDSを添付しなければならないということにはなります。
○山口委員 それは揮発してないという。
○櫻井座長 今は、混入率は非常に低いというデータも拝見しております。昔は相当あって、そのために肺の線維症を起こしたのではないかというような解釈もあるようですが。塩ビモノマーは肺がんは起こさないですよね。でも、肺の線維症に関わったのではないかという御意見もあるけれども、それについては議論がいろいろあります。
 ミリグラムオーダーでいくと、本当に1ppmでも3mgとか4mgになってしまうのです。塩ビのモノマーの場合は、数十ppmをばく露してがんになっているわけです。そうすると、それは数百mg/m3なのです。それに対して今言っているのは、数mgのポリマーの中に、更にごく僅かに混じっているものが、肺の線維症を起こすとは考えられないですね。
○山口委員 塩ビのシートなどは建材として使われ、家の中にいろいろ張ったりしますので、別な意味で製品としてシックハウスなど、いろいろなものに影響してきます。そこは業界としてはきちんとやっていると思いますので。
○柳川化学物質国際動向分析官 どちらにしても、製品になってしえば一般消費者の生活の用に供されるものにはなりますが。
○山口委員 いろいろな所に使われているので。
○柳川化学物質国際動向分析官 今、粉状のものに関してということなのですが、粉状の意味はインハラブルということでよろしいですね。
○山口委員 データがインハラブル、英国の。
○櫻井座長 もっと大きなものも含むのですか。
○名古屋委員 粉状と粒状の定義はなかなか難しくて、今までにどこでも議論されていないので、ここで決めてしまうとそれがずっと残ってしまうので、そんな簡単な話ではないと思います。丸数字1
○宮川委員 個別なサイズは決めないほうがよろしいですね。
○名古屋委員 決めないほうがいいと思います。総粉じんは総粉じんで定義がありますし、吸入性粉じんは吸入性粉じんであるし、インハラブルはインハラブルで定義がありますし、全て定義があるものなのですが、それを粉状とするという形になったら、もっときちんとした定義をしておかないと、粒径についてはものすごく難しいと思いますので、そこは決めないほうがいいのではないですか。顆粒とか、そういう言葉の中では、大体4 mmとか5 mmとか大きなものはありますが、この辺の生体依拠になってくると、粒径をきちんと決めることは難しいのではないかと思います。
○櫻井座長 顆粒状でも、それからまた小さなものが出てきてしまう。
○名古屋委員 もう1つは金属のように、例えば摩擦が起こっても崩れないものと、硬度によってその後に粉状になりやすいものがありますので、そうすると鉱物とか粉じんのものが、単に粒径という形のものと硬さとか、いろいろと複雑な要素が関わってきますので、余りきちんと決めないほうがいいのではないかと思います。
○櫻井座長 温度が低いと、また細かくなりやすいですよね。粉砕などのときは低温粉砕すると、非常に細かいものになるわけですから。
○名古屋委員 材質によるから、何とも言えないですよね。
○山口委員 特殊な加工をすれば。
○櫻井座長 そういうこともあるので、余り一概に言えないですよね。
○柳川化学物質国際動向分析官 ただ、法令に定めるとなると、ある程度定義せざるを得ないというところがありまして、政令に書くのか通達で示すのかは別としまして、やはりある程度は決めざるを得ないので、できましたら次回に報告書の原案を提出させていただきますので、そのときにもう1度御議論を。
○名古屋委員 書くのだとしたら、インハラブルとか吸入性粉じんと書くのは問題ないのだけれども、「粉状」と書かれたときに粉状とは何なのか。こういったものを書くときに、規制としてインハラブルを対象にしたのかどうかを書くのはいいのですが、「粉状」と書いて、粉状とは何かとなったときに、明確な答えを持っていないとまずいのではないかという話です。
○森戸化学物質対策課長 現状においては、金属などは「粉状のものに限る」となっていますが、それはインハラブル粒子以下の粒子を言うという解釈を出させていただいております。現状において法令で「粉状」といってしまうと、インハラブル粒子以下のものを定義するという形にはなっております。
○宮川委員 今の課長がおっしゃられたとおりでいいと思うのですが、表にインハラブルとかレスピラブルを出すと、分布を考えた上でどれになるかということなので。大きなものも小さなものもあるけれども、基準より実はもっと小さなものだとか大きなものも入っているということなので、かえって個別の製品には非常に当てはめにくくなると思います。
○名古屋委員 総粉じんとインハラブルは、もともと定義が全然違いますからね。日本の総粉じんの定義とインハラブルの定義は全然違いますから。
○山口委員 そこを早く整理していただかないと、これから酸化チタン、カーボンブラック等、粉状のものがいろいろ上がってくると思うのです。そのときに、粉状の定義をきちんと、場合によってはもう1回見直しをして、肺に入る可能性が非常に低い場合は要らないと思うのです。故意に微粒子にしない限りは出ないものは、リスクはゼロとは言いませんが、リスクとしては極めて低いわけですので、そこの定義、今後に関わってきますので、整理いただければと思いますが。
○名古屋委員 多分、金属類になってくると、これから出てくるものは全部インハラブルなのですよね。粉じんに関しては生体依拠が出てくると、多分インハラブルだと。総粉じんというのは粒径は何もありませんから。要するに面速で測ってくるのは30から80で引いたものという形で違います。粒径になってくるとインハラブルになってきますので、インハラブルができたのは2003年以降ですから、それまではない概念ですから。
○山口委員 無機物、有機物によって密度が違うので、形によっても浮遊性が違うわけです。ですので、そこは明確にして伝わるようにしないといけないと思いますので。
○櫻井座長 伝えるのが難しいけれども、とにかくぶれないように、きちんとしたものを考えないといけないですね。
○山口委員 はい。
○櫻井座長 それでは、今ここでまとめることは難しいと思いますので。
○森戸化学物質対策課長 報告書で御議論を、またいただきたいと思います。
○櫻井座長 では、この物質も別表9に加えるという結論でよろしいですね。そのようにさせていただきます。
 それでは、次に進みます。議題3について事務局から説明をお願いいたします。
○森戸化学物質対策課長 それでは、私から資料3について御説明させていただきます。福井の事業場において膀胱がんが発症した事案についての調査状況についてです。最初に4ページですが、ここに主要な流れということで、オルト-トルイジンを実際に取扱う作業はどんなものがあるのかというのを載せています。最初に原料の小分けをして、そして反応釜に入れる。反応釜で反応させた後、ろ過槽というものに移していく。ろ過槽の中で洗浄作業、有機溶剤を使って洗浄作業をして、そして乾燥機のほうに持っていって乾燥するという一連の作業です。
 その中で未反応のものがありまして、そういう意味ではろ過槽の段階でもオルト-トルイジンがあるということでして、「蒸留有機溶剤で洗浄する」と書いてありますが、この蒸留有機溶剤というのは有機溶剤を再利用するということですので、ここにもオルト-トルイジンが含まれているということで、そういう意味では最終的に製品になるとppmオーダーになりますが、不純物が若干含まれている。上に行けば行くほど、そういう意味では濃い濃度のオルト-トルイジンにばく露する恐れがある。そのような一連の作業です。
 そういった中で、後ろの別紙のほうの1ページを見ていただきたいのですが、今申し上げたような作業につきまして、しっかりと局所排気装置などの設備を設置し、保護衣等をしっかり着けた上で、また、防毒マスクも着けた上で、作業を実際に行っていただいたということです。
 そういうことで、「今回調査の分析結果」という所ですが、まず「経気道ばく露」については、十分な性能の防毒防じんマスク、送気マスクを着用していたということから、ここのばく露はないであろうということです。
 申し訳ありません。1枚めくっていただいた所に、実際の測定結果というのが載っていますが、作業環境の測定で、工場内の7か所について行っています。そこにありますように、平均値で0.003ppm、最大値でも0.006ppmということで、下の参考の所に書いてあります日本産業衛生学会の許容濃度を大きく下回る値になっています。
 それから、防毒マスクを着けていましたが、一応、口元での個人ばく露測定もやっています。そこにありますように、平均値で0.013ppm、最大値で0.053ppmということでして、この値についても許容濃度を下回っているということです。
 ただ、そういう対策をして作業を行っていただいたのですが、尿中代謝物を測定しますと、そこにありますように平均値で89.9μg/L、最大値で541μg/Lということで、生体への取込みが確認されたということです。
 それで、中にはゼロということで取込みのない方もいらっしゃるのですが、そういった中で大きく取り込まれた方について、その後にヒアリング等を行っています。その結果で分かったことが、先ほどの表の「今回調査の分析結果」の「経皮ばく露」の所に書いてありますが、特に高い値を検出した作業者のゴム手袋がオルト-トルイジンに汚染されていた。原因については、使用後に蒸留有機溶剤、これはオルト-トルイジンがまだ不純物として含まれているということでして、その左隣に結果が書いてありますが、研究所が行ったときの濃度が0.1%、会社が過去に測定しているところでは0.2%。そういう意味では、その前後で、その時々によってパーセンテージが違うということですが、そういったもので洗って、ビニール袋に入れた状態で保管していた。なおかつ、廃棄せずに同じ手袋を、ずっと長い間使っていたということで、内側もオルト-トルイジンで汚染されたという結果が出ています。
 また、特に高い値の者については、先ほどの乾燥を見るわけですが、十分に乾燥しているかどうか。もう一度乾燥機を回すかどうかの決断をするために、保護手袋を外して素手でもって乾燥状態を確認して、乾燥していない場合はまた乾燥する。そういう作業を行っていたことが分かりまして、そういう意味で経皮ばく露、生体への取込みがあったということではないかと考えているところです。
 現在、汚染されたゴム手袋が、どの程度汚染されていて、その結果と実際の生体への取込み量について、矛盾がないのかどうかということについて労働安全衛生研究所で引き続き調査を行っているところです。現実にこういった経皮ばく露等が行われていたことが今回分かりましたので、今申し上げた、引き続き行っている研究所の調査結果を含めたものを、リスク評価委員会のほうに報告をさせていただいて、そこで措置検討会のほうに更に下ろして、対策を検討する必要性があるかないかについて御議論をいただきたいと、事務局では考えているところです。この点について今回、御了承いただければ非常に有り難いと考えているところです。以上です。
○櫻井座長 ただいまの説明内容について、今後の検討の方向性も含めて、御質問、御意見がありましたらお願いします。
○名古屋委員 リスクとしたら、やはり今のような事務局の説明でしていただけるほうが有り難いかなという。それはなぜかというと、今までリスク評価をしている中で、経皮ばく露があるものについては、一応は事業主さんに警告しましょうということになっていますが、やはりこういう事例が出てくると、もう少しきちんとした指示ができると思いますので、その経路を使っていって、措置検討委員会まで持っていって、きちんとした制度にしてもらいたいと思います。是非そのルートでお願いしたいと、私は思っています。
○山口委員 私も今回のばく露のデータを見ると、ガスとしてのばく露ではなくて、経皮ということで、このオルト-トルイジン以外にも想定されるわけです。これを1つの例として、経皮からの吸収が考えられるものに関しては、単に作業環境濃度の管理だけではなくて、きちんと触ったりしないように、基本的には触らないはずだと思うのですが、特に危ないものに対しては保護具、手袋の取扱いとか、そういったこともきちんと情報として出していかないといけないと思いますので、十分検討いただければと思います。
○櫻井座長 ほかに何かありますか。ないようですので、事務局からの御提案どおり、調査結果についてはリスク評価検討会で検討してもらうことにさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。それでは、最後に「その他」について、事務局から説明してください。
○平川化学物質評価室長補佐 今後の予定ということで、御説明させていただきます。資料としては配布していませんが、次回は年度が変わりまして、平成28年度の第1回企画検討会を予定しています。期日は4月22日午後3時から開催の予定としています。主な議題ですが、平成28年度の労働者の健康障害防止に係る化学物質のリスク評価実施方針(案)、リスク評価対象物質・案件選定の考え方ほかを予定しています。よろしくお願いします。
○櫻井座長 それでは、そろそろ閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成27年度化学物質のリスク評価に係る企画検討会> (平成28年3月25日) 第5回化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録(2016年3月25日)

ページの先頭へ戻る