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2016年8月23日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成28年8月23日(火)16:00~


○場所

新橋5A会議室


○出席者

出席委員(9名)五十音順

遠 藤 容 子、 桐 井 義 則、 ◎鈴 木   勉、 関 野 祐 子、
妹 尾 栄 一、 曽 良 一 郎、 花 尻 瑠 理、 宮 田 直 樹
○和 田   清
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(2名)五十音順

石郷岡   純、 成 瀬 暢 也

行政機関出席者

武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
森   和 彦 (大臣官房審議官)
伊 澤 知 法 (監視指導・麻薬対策課長)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 定刻より若干早いですが、皆様おそろいですので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会平成28年度第3回指定薬物部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、委員の先生方には御出席いただき誠にありがとうございます。本日は、石郷岡委員、成瀬委員から欠席の御連絡を頂いています。現在のところ、当部会の委員数11名のうち9名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 事務局に人事異動がありましたので御紹介いたします。6月21日付けで、医薬・生活衛生局長に武田が就任しております。私は、7月22日付けで監視指導・麻薬対策課長を拝命した伊澤です。

 開会に当たり、医薬・生活衛生局長の武田から一言御挨拶申し上げます。

○医薬・生活衛生局長 せっかくの機会でもありますので、一言御挨拶申し上げます。ただいま紹介がありましたとおり、6月21日付けで医薬・生活衛生局長を拝命いたしました。これから大変お世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。

 御案内のとおり、危険ドラッグについては、乱用者自身の健康被害だけではなく、他者を巻き込む重大な交通事故の原因となったり、大きな社会問題を引き起こしたことは記憶に新しいところです。政府全体としても、対策に全力を尽くしてきたところです。様々な対策の中でも、未規制物質を迅速に指定薬物に指定し、取締りを徹底することが極めて有効ということです。一昨年から昨年度まで、お伺いするところによると毎月これを開催させていただいて指定をさせていただいたということです。数えてみると、本年6月末現在までに2,345物質を指定して、取締りを徹底することができました。これも偏に皆様方の御支援、御協力の賜物ということで感謝申し上げます。

 お陰さまをもちまして、全国に215店舗存在していた危険ドラッグ販売実店舗ですが、平成27年7月に最後の店舗に強制捜査が入り、ゼロというところまでまいっております。ここまでまいりましたのは、世界に誇るべき成果でもあると思います。改めて皆様方に御礼申し上げます。

 実店舗はゼロとなりましたけれども、今後の流通は闇に潜るということで、インターネットなどへ移行する中で、潜在化しております。こういうものの取締りについては、改めてこの未規制物質については迅速に規制していくことが非常に大事なものと考えております。本日も幾つか議題に挙げております、指定薬物としての指定の可否について御審議をよろしくお願いいたします。皆様方には、今後とも危険ドラッグ等の乱用を根絶させる取組に引き続き御指導、御協力、御支援を賜りますようお願い申し上げます。

 大変失礼ではありますが、私は公務がありますので、冒頭の挨拶のみということになりますが、本日はどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○監視指導・麻薬対策課長 本部会の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されましたことから非公開とされております。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対し、外部からの圧力や干渉、危害を及ぼす恐れが生ずることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。

 以降の議事進行は鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 最初に、事務局より資料の確認をお願いします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日は資料1から3、参考文献1から9、参考資料1から3になっております。以上です。資料の不足等がありましたらお申し付けください。

○鈴木部会長 本日の議題は、指定薬物の指定についてです。審議物質について事務局より説明をお願いします。

○事務局 今回御審議いただきたい3物質については、国内外で流通実態が認められた物質になります。資料1には、各物質の名称、通称名、構造式が、1から3までそれぞれ記載されております。これらの物質について、指定薬物として指定をし、規制対象とする必要があるか否かについて御審議いただきます。資料2は、御審議いただく物質のほか、構造が類似している指定薬物や麻薬について一覧表に取りまとめたものです。資料3は、国内外の基礎研究や、動物実験の結果等について、中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。

 まず物質1.と2.について御説明いたします。資料2を御説明いたします。詳細は資料3を用いて御説明いたしますが、資料2には審議物質及び構造が類似する物質や、作用が類似する物質について、文献資料や過去の指定薬物部会の資料から確認できたデータを取りまとめております。

 まず資料2-1には、審議物質1.のEMB-FUBINACA、審議物質2.のAPP-CHMINACAや、それぞれに構造が類似する指定薬物や麻薬について、自発運動量への影響、カンナビノイド受容体に対するデータを取りまとめております。審議物質は、いずれもカンナビノイド受容体活性を有しており、表に示しております過去に指定した指定薬物や、麻薬と同種の作用を有していることを確認しております。

 資料2-2には、審議物質3.Mexedroneと、それに構造が類似する指定薬物や麻薬について、モノアミントランスポーター阻害作用、マイクロダイアリシス試験のデータをまとめております。審議物質は、ドパミントランスポーター阻害作用を有しており、マイクロダイアリシス試験においても、ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリン量を増加させる作用を有しており、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有していることを確認しております。

 資料3-1のEMB-FUBINACAを御説明します。通称EMB-FUBINACAですが、指定薬物であるFUB-AMBや5F-AEBと構造が類似している化合物です。行動及び中枢自律神経症状に対する影響について、マウスにEMB-FUBINACA(15mg)を添加したマーシュマローリーフを、タバコ両切りさや紙に充填したものを燃焼させ、マウスを薬物にばく露させ、観察を行いました。

 資料3の2ページを御覧ください。EMB-FUBINACAをばく露したマウスは、マーシュマローリーフをばく露したマウスと比較して、攻撃性の亢進、外界反応、触反応、立ち上がり動作、自発運動量、筋緊張度、正向反射、耳介反射、角膜反射、払いのけ動作、呼吸数、心拍数及び懸垂力の抑制、異常歩行、異常姿勢、瞳孔の散大が確認されたと報告を受けております。この表1には、EMB-FUBINACAの吸入ばく露時の行動及び中枢自律神経症状観察時の評価値の抜粋を載せております。

 3ページの()にカタレプシー試験の実施結果を記載しております。EMB-FUBINACAばく露後15分で、5匹中1匹が陽性であり、残り4匹は陰性という結果でした。30分、1時間後の結果は全て陰性であったとの報告を受けております。

()にヒトカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せています。EMB-FUBINACAについては、S体とR体それぞれでアゴニスト活性を確認しており、S体についてはCB1受容体に対するアゴニスト活性は4.58×10^-10mol/Lで、CB2受容体に対するアゴニスト活性は2.14×10^-9mol/Lであり、R体については、CB1受容体に対するアゴニスト活性は3.07×10^-8mol/Lで、CB2受容体に対するアゴニスト活性は8.63×10^-10mol/Lでした。

 参考として、麻薬であるJWH-018の受容体親和性に関する報告値、構造類似化合物の5F-AEBのカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性に関する報告値を載せております。EMB-FUBINACAは、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有していると考えております。以上から、EMB-FUBINACAについては中枢神経を抑制する作用を有していると考えております。

 最後は、4ページに記載の海外での流通状況です。2015年にスウェーデンにおいて流通があったという報告がありました。

 5ページです。資料3-2のAPP-CHMINACAについて御説明いたします。通称APP-CHMINACAですが、指定薬物であるPX-1やADB-CHMINACAに構造が類似する化合物です。行動及び中枢自律神経症状に対する影響については、マウスにAPP-CHMINACA(15mg)を添加したマーシュマローリーフを、タバコ両切りさや紙に充填したものを燃焼させ、マウスを薬物にばく露させ、観察を行っております。

 6ページです。APP-CHMINACAをばく露したマウスは、マーシュマローリーフをばく露したマウスと比較して、攻撃性、痛み反応、払いのけ動作、耳介反射及び角膜反射の亢進、立ち上がり動作の抑制のほか、体温の低下、瞳孔の散大が確認されたと報告を受けております。表2には、APP-CHMINACAの吸入ばく露時の行動及び中枢自律神経症状、観察時の評価値の抜粋を載せています。

 7ページの()に、カタレプシー試験の実施結果を記載しております。ばく露後15分、30分、1時間と全てにおいて陰性であったとの報告を受けております。

()ヒトカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性EC50を測定した結果を載せております。APP-CHMINACAについても、S体とR体それぞれにおいてアゴニスト活性を検討しており、S体についてはCB1受容体に対するアゴニスト活性は2.51×10^-7mol/L、CB2受容体に対するアゴニスト活性は8.09×10^-9mol/Lで、R体についてはCB1受容体に対するアゴニスト活性は3.37×10^-5mol/Lで、CB2受容体に対するアゴニスト活性はR体が4.90×10^-9mol/Lでした。

()は、特許情報によるデータに、審議物質APP-CHMINACAのCB1受容体に対する親和性(Ki値)4.76×10^-8mol/Lであり、CB1受容体に対するEC50の値は2.15×10^-6mol/Lと算出された情報がありました。以上の報告から、APP-CHMINACAは中枢神経を抑制する作用を有しており、過去に指定した指定薬物と同等の作用を有していると考えております。

 最後に8ページは、海外での流通状況です。2015年ベルギーにおいて流通が確認されております。

 以上2物質について、指定薬物として差し支えないと考えておりますが、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 最初に、□□委員のほうから、流通実態をお願いします。

□□委員 □□□□で行っている分析調査においては、最初の2化合物は、検出しておりません。

○鈴木部会長 ただいま事務局より説明のありました物質について、委員の先生方から御意見を頂きます。

(質問・意見なし)

 特に問題はありませんでしょうか。それでは、まとめさせていただいてよろしいでしょうか。まとめさせていただきます。ただいま御審議いただきました2物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、引き続き事務局より説明をお願いします。

○事務局 物質3、資料3-3Mexedroneについて御説明いたします。9ページを御覧ください。通称Mexedroneですが、指定薬物である4-Methylbuphedroneと構造が類似した化合物です。まずは、行動・中枢神経症状観察に対する影響について、マウスにMexedrone低用量で2mg/kg、中用量で20mg/kg、高用量で100mg/kgを経口投与し、投与後30分、60分、120分の神経症状を観察したところ、2mg/kg投与群では、対照群と比較して、外界反応、立ち上がり動作、耳介反射及び角膜反射の亢進、瞳孔の散大、スニッフィングが確認されたと報告を受けております。

 中用量の20mg/kg投与群では、洗顔運動のやや抑制、触反応、立ち上がり動作、外界反応、耳介反射及び角膜反射の亢進、瞳孔の散大が確認され、更に鼻の小刻みな震えも確認されたと報告を受けております。

 高用量の100mg/kg投与群では、洗顔運動の抑制、痛み反応、立ち上がり動作、外界反応、耳介反射及び角膜反射の亢進、瞳孔の散大が確認され、更に反復動作、ライジング、スニッフィングが確認されたと報告を受けております。

10ページの表3に、Mexedroneに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せております。

()において、Mexedroneのモノアミントランスポーターに対する機能影響評価について報告を記載しております。ドパミントランスポーターとセロトニントランスポーターに対するIC50を算出したところ、ドパミントランスポーターについては4.7×10^-6mol/Lと阻害作用があることが確認されましたが、セロトニントランスポーターについては、阻害作用があることが確認されませんでした。

11ページの()には、マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化についての報告を記載しております。Fig.1のとおり、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加していることが確認されております。以上から、Mexedroneは中枢神経に作用し、過去指定した指定薬物と同等の作用を有していると考えております。

 最後に海外での流通状況です。2015年にイギリスにて流通を確認しております。以上の1物質について、指定薬物として差し支えないと考えておりますが、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 国内の流通実態を、□□委員からお願いします。

□□委員 □□□□のほうで行っております分析調査の結果、2015年後半から3回、粉末の形態でMexedroneを検出しております。

○鈴木部会長 ただいま事務局より説明のありました物質について、委員の先生方から御意見を頂きます。これは、ダイアリシスで、ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリンが増加していて、トランスポーターに対する作用はほとんどないので、これ自身が遊離させているというように考えているのでしょうか。

○事務局 メカニズムとしては、これはトランスポーターのほうはありませんので、その可能性は高いと考えております。

○鈴木部会長 他にはいかがでしょうか。

□□委員 3番目のMexedroneについてです。本日の審議物質三つともそうですが、光学異性体が存在すると思います。1番目と2番目の審議物質に関しては、審議資料の中に光学活性体の活性評価も載っていました。Mexedroneに関しては、特に光学活性体についての活性評価はないということでよろしいでしょうか。参考資料も見たのですけれども、出てきませんでした。

○事務局 Mexedroneについては、S体とR体の混合物でやっていると聞いています。

□□委員 構造的には、これも合成して作り分けるのは全然難しくないのでどうかと思いました。

□□委員 全体的なことなのですが、一つは自発行動の観察の実験に関して、マーシュマローリーフを使う場合と、吸入ばく露で評価する場合と、経口投与で評価する場合ということで混在しているようですが、これは何か意図があって、こういう実験をそれぞれ分けて試験をお願いしているということでしょうか。

○事務局 こちらについては、実験しているのほうから、カンナビノイド系に関しては、過去に危険ドラッグとして流通しているケースとして、植物片にカンナビノイドの化合物をまぶしているような状況で流通が確認されているため、このような形で実験を組んでいると聞いております。

 一方、カチノン系については、そのままバスソルトといった形で売られているケースが多いので、そのまま経口投与という形で実施していただいております。

□□委員 今後それぞれの流通形態に合わせて、カンナビノイド系はマーシュマローリーフで自発行動を見て、そうでないものに関しては、直接の経口投与で観察すると。大体それで方針はもう決まってきていると考えてよろしいのですか。

○事務局 はい。

□□委員 もう一つはこの一覧表で、自発運動への影響です。これまでいろいろな形で自発運動の評価があったと思うのです。同じ実験でないものに対して、抑制と、やや抑制と、そうでないということで一言で書いてしまうと、その評価が混乱する可能性があるのではないかということを危惧しています。今までは、どちらかというと定量的な運動量みたいな、時間ごとに区切った移動距離でカウントしていたことが多いのですけれども、最近は、比較的定性的な観察で見ているというデータが増えてきていると思うのです。そうすると、定性的な観察の場合と、定量的な移動量みたいなもので観察したものとでは本質的に違う部分もありますので、まとめて抑制と何とかと書いてしまっていいのかというところを危惧しています。何か行動の観察の仕方がちょっと分かるようにしておいたほうがいいかもしれないと思いました。

○事務局 はい。確かに定量、定性がこの表では見えなくなってしまっているので、それが分かるようなフラグみたいなものを入れてもいいかもしれません。

□□委員 よろしくお願いします。

○鈴木部会長 実験系として、タイムコースで見ているものはそういう評価ができると思います。今回のように吸入でやっているものは、全体としての評価にどうしてもなってしまうと思うのです。マーシュマローリーフで吸引させているものは、やはり定性的に抑制というようになってしまうのだと思います。先生の御意見を参考に、また改善できるところは改善していただければと思います。他にはいかがでしょうか。

 発言は出尽くしたようなので、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました1物質は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。引き続き事務局から説明をお願いします。

○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、いわゆる正規用途については今のところ確認をしておりません。いずれにしても可能な限り適正使用に支障を来さないように対応する所存です。

○鈴木部会長 本日の議題は以上です。事務局からその他の連絡事項があればお願いします。

○事務局 次回の部会の日程については9月中を予定しております。正式に決まり次第御連絡させていただきます。また、本部会の資料は回収させていただきますので、そのまま机の上に置いていただければと思います。

○鈴木部会長 委員の先生方、本日は御審議をありがとうございました。以上をもちまして、平成28年度第3回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。


(了)

備  考
 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 佐々木(2779)

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