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2016年4月20日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成28年4月20日(水)14:00~

 

○場所

厚生労働省専用第15・16会議室

○出席者

出席委員(13名)五十音順

奥 田 晴 宏、 金 子 明 寛、 川 上 純 一、 神 田 敏 子、
杉     薫、 鈴 木 邦 彦、 内 藤 幹 彦、 野 田 光 彦、 
林   邦 彦、 平 安 良 雄、 古 川   漸、◎松 井   陽、
○松 木 則 夫、
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人1名
 

欠席委員(8名)

加 藤 総 夫、 木 村   剛、 佐 藤 雄一郎、 武 田 正 之、
平 石 秀 幸、 増 井   徹、 村 田 美 穂、 山 田 清 文
 

行政機関出席者

中 垣 英 明 (医薬・生活衛生局長)
森   和 彦 (大臣官房審議官)
山 田 雅 信 (審査管理課長)
宇 津   忍 (安全対策課長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

 

 

○審査管理課長 定刻となりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていただきます。本日は、お忙しい中、御参集をいただきまして誠にありがとうございます。

 

 本日の委員の出席状況ですが、加藤委員、木村委員、佐藤委員、武田委員、平石委員、村田委員、山田委員より、御欠席との御連絡を頂いております。また、増井委員が若干遅れておられるようです。現在のところ、当部会委員数21名のうち、13名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。

 

 なお、本日は審議事項議題1に関しまして、神戸市立医療センター中央市民病院副院長・神経内科部長の幸原伸夫先生に、参考人として御出席を頂いております。

 

 それでは、松井部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

 

○松井部会長 本日の審議に入ります。事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。

 

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~9をあらかじめお送りしております。このほか、資料10「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料11「専門委員リスト」、資料12「競合品目・競合企業リスト」、資料13「審議参加に関する確認事項の追加について」、資料14-1「医薬品の承認申請に際し留意すべき事項について」、資料14-2「医薬品の承認申請に際し留意すべき事項のうち、経口医療用配合剤の取扱いに関する質疑応答(Q&A)について」を配布しております。

 

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料12)に基づきまして御報告いたします。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。

 

 資料12の1ページ目、オクノベル錠ですが、本品目は、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 

 続きまして2ページ、ボトックスビスタです。本品目は、「65歳未満の成人における目尻の表情皺」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はありませんことから、競合品目はなしとしております。

 

 3ページ目は、エピデュオゲルですが、本品目は「尋常性ざ瘡」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 

 続きまして4ページ目、ピコプレップ配合内用剤です。本品目は、「大腸内視鏡検査及び大腸手術時の前処置における腸管内容物の排除」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 

 続きまして5ページ目、フェブリク錠です。本品目は、「がん化学療法に伴う高尿酸血症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 

 最後に、6ページ目、ミカトリオ配合錠です。本品目は、「高血圧症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

 

○松井部会長 ただいまの事務局からの御説明に、特段の意見は、委員の皆さんいかがでしょうか。ありませんでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、委員の皆さんの御了解を得たものといたします。

 

 続いて、委員からの申出状況についても報告してください。

 

○事務局 各委員からの申出状況は次のとおりです。まず、議題1「オクノベル」ですが、退席委員はなし、議決には参加しない委員は野田委員です。議題2「ボトックスビスタ」の退席委員、議決には参加しない委員、共にございません。議題3「エピデュオ」の退席委員、議決には参加しない委員、共にございません。議題4「ピコプレップ」の退席委員、議決には参加しない委員、共にございません。議題5「フェブリク」の退席委員、議決には参加しない委員、共にございません。議題6「ミカトリオ」の退席委員はなし、議決には参加しない委員は杉委員、野田委員、平安委員です。以上です。

 

○松井部会長 今の事務局からの御説明に関して、特段の御意見はありませんか、よろしいですか。それでは、委員の皆さんに御確認を頂いたものといたします。

 

 続きまして、資料13についても説明をお願いします。

 

○事務局 資料13「審議参加に関する確認事項の追加について」です。審議参加規程が本年の4月から改定されましたので、こちらについて御紹介させていただきます。薬事分科会の審議参加規程については、平成21年より運用していますが、独立した評価委員会で少なくても年に1回、運用状況のチェックを行うこととしております。昨年度にもこの評価委員会の検討結果を踏まえ、委員の先生方からの申告を製薬企業に確認するという仕組みを試行的に導入することとして、昨年4月より運用をしてまいりました。4月から1月頃までの運用状況を見てみますと、実際に申告の補正があったケースが、本部会又は第二部会を中心として十数件ありましたので、一定程度の有用性があると考えられまして、この仕組みを本格的に導入する運びとなりました。

 

 また、本格導入するに当たりまして、試行的な段階では、申告対象企業のうち申請企業のみを確認対象としていたところ、その対象を競合企業まで広げまして、全ての申告対象企業に確認することといたしました。具体的な手続の変更ですが、4ページ目を御覧ください。手続の流れ自体につきましては昨年と変わりませんが、競合企業にも確認する都合上、委員の先生方に対しまして、申告のお願いをさせていただく期間を昨年までは部会の2週間前とさせていただいていたのですが、今年の4月から部会の3週間前とさせていただきましたので、何とぞ御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 

○松井部会長 今の御説明について、委員の皆さん、いかがでしょうか。よろしければ委員の皆さんに御確認を頂いたものとして、議題に入ります。

 

  本日の議題は、審議事項が6議題、報告事項が3議題となっています。早速審議事項の議題1に移ります。機構から説明をしてください。

 

○機構 議題1、資料1、医薬品オクノベル錠150mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤の有効成分であるオクスカルバゼピンは、カルバマゼピンによる中枢神経系等の有害事象の低減を期待して、カルバマゼピンの構造変換を行う過程で発見された抗てんかん薬であり、オクスカルバゼピンの活性代謝物は、カルバマゼピンと同様に、ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル等の阻害作用を有しております。本剤は1990年にデンマークで承認されて以降、2015年2月現在、93の国又は地域で承認されております。本邦においては、2006年の第7回未承認薬使用問題検討会議において、早期に治験が開始されるべきとされ、2010年には「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、医療上の必要性が高いと判断され、開発要請が行われました。今般、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料11に記載されている9名の委員を指名しております。

 

 臨床成績を中心に審査の内容を説明させていただきます。まず、有効性ですが、審査報告書62ページの表36を御覧ください。既存の抗てんかん薬による発作の抑制が不十分で、併用抗てんかん薬が2剤以内の部分発作を有する日本人小児てんかん患者を対象とした第 II III 相試験において、主要評価項目であるFASでの二重盲検期における前観察期からの28日あたりの部分発作発現頻度変化率は、プラセボ群で2.4%、本剤群で-15.3%であり、本剤群のプラセボ群に対する優越性は示されませんでしたが、本剤群で発作頻度が減少する傾向が認められました。

 

 また、審査報告書67ページの表39を御覧ください。第 II III 相試験では、漸増期間中に高度の皮膚障害により早期中止した被験者が本剤群に偏って認められたことから、投与3週以降における28日当たりの部分発作発現頻度変化率について検討したところ、プラセボ群と本剤群との間に、統計学的な有意差が認められました。さらに、審査報告書67ページの表40及び表41を御覧ください。副次評価項目であるレスポンダー率及びCGI-Cにおいてもプラセボ群と本剤群の間に統計学的な有意差が認められたことから、本剤の日本人患者における有効性は期待できると判断しております。

 

 次に、安全性ですが、審査報告書71ページの表45を御覧ください。国内第 II III 相試験であるB1301試験、長期継続投与試験であるB1301E1試験では、本剤の漸増期間中に高度の皮膚障害が10%以上の被験者で認められ、その多くは全身の広範囲に及ぶ高度の発疹及び薬疹でした。したがって、皮膚障害に対する安全対策として、添付文書の警告欄に皮膚障害に関する注意喚起を記載すること、本剤の投与によって高度の皮膚障害が発現した場合に、迅速かつ適切な対応が可能となるよう、皮膚科を併設した医療施設又は皮膚科専門医との連携可能な医療施設においてのみ本剤の処方を可能とする流通管理を行うことが必要と判断し、承認条件として付与することとしました。

 

 また、国内臨床試験で高度の皮膚障害が多く認められた原因及びリスク因子については明確になりませんでしたが、海外臨床試験結果からは緩徐に漸増したほうが皮膚障害の発現リスクが低くなる可能性が示唆されていたことを踏まえ、欧州の承認用法・用量に設定された、国内臨床試験より緩徐な漸増法を用法・用量に設定することが適切と判断いたしました。なお、当該漸増法で漸増した場合の安全性及び有効性を速やかに確認し、結果を医療現場に提供できるよう、製造販売後臨床試験の実施を承認条件として付与する予定です。

 

 なお、皮膚障害以外の安全性のうち、審査報告書74ページ表49の中枢神経系有害事象、及び審査報告書76ページの表51の消化器系有害事象については、投与開始2週間程度までに認められ、その多くは軽度から中等度の事象でしたが、審査報告書75ページの表50の転倒及び外傷に関する有害事象については、本剤群の中枢神経系有害事象発現例で多く認められていることから、添付文書で注意喚起することが適切と考えております。

 

 以上の審査を踏まえ、審査報告書97ページの下から8行目から記載した承認条件を付した上で、本剤の「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬、劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品、特定生物由来製品に該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。

 

 説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

 

○松井部会長 本議題につきましては、幸原先生に御出席をお願いしてあります。幸原先生は専門協議の委員の1人でもあったので、その協議の様子も含めまして、御発言をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○幸原参考人 神戸市立医療センター中央市民病院副院長・神経内科部長の幸原です。本剤は、今説明がありましたように、もう既に海外では20年以上の歴史のある薬で、米国とか英国、あるいは国際てんかん連盟とかのスタンダードな薬として位置付けられている薬です。カルバマゼピンとの違いがどうかということが一番問題になることかもしれませんが、一般的には中枢神経系の副作用とかが少ないというようなことがあり、またカルバマゼピンが有効でなかった人でも、この薬を使うと有効であったという例も結構あるようです。そういうこともありまして、海外では標準薬として使われているだろうと思います。

 

 今回の専門協議で話し合われたことの内容としては、一つは、このNの数が少なかったこともありまして、全体として見たときにははっきりとした有意差は出なかったのですが、ただし、最初の脱落群を除けば、明らかな有意差があり、効果は確実にある薬だと私たちは考えています。その点については問題ありません。ただ、皮膚障害が出たということです。これは我々臨床をやっている者にとってはこの薬だけではなくて、全ての抗てんかん薬というのは、皮膚症状がすごく出やすいのです。特にカルバマゼピンもよく出る薬ですし、今よく売れている薬の一つのラミクタールも、よく出る薬でして、私個人的にもひどい目にあったというか、患者さんが全身の発疹を出したりとか、入院しなくてはいけなくなったりとか、そういう目にもあっているのですが、それでもやはりその後でも私は薬を使うわけです。

 

 それはなぜかというと、てんかんの患者さんというのは皆さん御存じのように、この日本の0.7%とか、統計はいろいろですけれども、かなり多い患者さんの数です。その中には一部とは言え、ものすごく難治な患者さんがおられるわけです。この薬を使っても駄目で、この薬を使っても駄目でと、そういう患者さんに対して、こういう別の選択肢があることはものすごく有り難いことです。この薬でしか有効でない人、駄目な人というのはそう多くはないと思います。でも100人に1人でも、10人に1人でも、そういう人がいればその人にとってはこの薬は神の薬ですよね。だからそういう臨床の実感として、副作用もありますけれども、そのことを踏まえて使えば、有用な薬だと考えています。

 

 皮膚の副作用とあと血液系の副作用もあるのですが、そういうのもほかの抗てんかん薬と比べたときに、特に目立ったということはないと思いますので、そのことを注意して、使う人が注意すれば非常に有用な薬の一つになるのではないかなと思います。専門協議のときにもそのような議論がありました。

 

 あと、そういうことで皮膚科医の連携を求めるということが承認条件になっているのです。日本はそういう薬は多分なかったと思うのですが、この皮膚科医の連携を求めるというこのことが入ることによって、使用するほうもかなり意識して使用する。あるいはかなりの専門家でないとこの薬を使用しないというような、やはりすみ分けはできると思います。それとあと、今は小児だけと、その人たちが大人になった場合はそのまま継続できるということなのですが、今後また大人への適用も恐らく治験されることでしょうし、それから症例が集積されてくるでしょうから、その中で見ていけばそれほどこれが問題になる程度の副作用というようには考えていません。

 

 それともう一つの条件として、最初の治験のときよりもゆっくりと薬を漸増していくということになっているのですが、これも我々の常識として、ほかの抗てんかん剤を使うときも、やはりカルバマゼピンとかラミクタールとかそういう皮膚症状を起こしやすいことが知られているお薬では、実際に書いてあるよりもゆっくり少量から増量することが多いのです。そういう観点からして、これは治験のときの投与法とは違うではないかという御批判もあると思いますけれども、安全性を考えたら、これは妥当な判断ではなかったかと考えております。

 

○松井部会長 ありがとうございます。幸原先生がおっしゃる重篤な皮膚症状というのは、粘膜が侵されて失明を来したり、呼吸にも影響を及ぼすようなスティーブンスジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症のような重大な合併症を含んでいるわけですか。

 

○幸原参考人 そういうのは非常に極めて希ですけれども、ないことはないです。全身発疹というのはかなりよく見かけます。

 

○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。

 

○古川委員 他の抗てんかん薬の血中濃度との関連がありますね。この薬を使うと、フェニトインとか、フェノバルビタールは血中濃度が上がるとか、それからカルバマゼピンは逆に下がるという記載があると思うのです。これは薬の有効性というのと何か関連があるのか。あるいは皮膚症状も何か一緒に併用したほうが少ないというようなことが書かれているので、それはもしかしてそのカルバマゼピンの血中濃度を下げるというのと関連があるのかとか。その薬の血中濃度との関連について説明していただきたいのですが。

 

○松井部会長 まず、機構からお願いします。

 

○機構 機構より御説明させていただきます。薬物の相互作用につきましては、1.8のタグの1というような小さいタグが付いているかと思いますが、そちらに添付文書があります。その2ページ目にこの薬剤の相互作用について記載しております。古川先生からも御指摘いただいたとおりですが、CYP3Aで代謝される薬剤については、薬剤の血中濃度を本剤の併用によって下げてしまう。それからCYP3Aを強く誘導する薬剤については、本剤の活性代謝物であるMHDの血中濃度を下げさせるというようなことがこの剤については分かっております。

 

 薬剤ごとの併用した場合の、まず有効性の観点ですが、審査報告書の69ページ目を御覧ください。下側の表43の所に、併用抗てんかん薬別の有効性について記載をしております。カルバマゼピンを併用した場合には、若干効果が減弱し、他剤を併用されている患者さまと比べて効果が弱くなるような傾向は認められてはいるのですが、剤ごとにかなり限られた症例数ではありますが、いずれも有効であるというような結果は得られております。

 

 安全性につきましては、特に今回、皮膚障害が激しく出たということもありましたので、その皮膚障害が出られた患者さまの背景等をかなり詳しく確認をさせていただいております。その状況であっても特定の抗てんかん薬を併用されている患者さまに偏ってこういう症状が出てきたということはありませんでしたので、血中濃度そのものが皮膚障害等に強く影響しているような状況ではなくて、ただ、一般的にこの薬剤の濃度、あるいはカルバマゼピン、フェニトインの濃度は中枢神経系の有害事象等には影響するということが分かっておりますので、その辺りについては本剤はTDMもできるように体制の整備等をさせておりますので、そういった観点からも血中濃度を見ながら、従来の抗てんかん薬と同様に使っていただけるのかなと考えております。

 

○松井部会長 古川委員、よろしいですか。

 

○古川委員 はい。

 

○松井部会長 ほかに。

 

○杉委員 この薬と、多分ほかの抗てんかん薬との併用で使うということを言われたと思います。この薬の作用で、ナトリウムチャネルの抑制とカルシウムチャネルの抑制というのがあって、今の添付文書を見ますと、禁忌の所に、房室ブロックで注意と、第II度で注意となっていますけれども、メカニズムとしてはどちらのイオンのチャネルがかなり働くというように理解されているのでしょうか。つまり私どもが抗不整脈薬として使うフェニトインもナトリウムチャネルブロッカーとして使われていました。カルシウムチャネルブロッカーの性質もあるとはいいますが、ほかの抗てんかん薬もナトリウムチャネルブロッカーではないかと思います。その併用によってこれが強くなるという意味合いなのでしょうか。

 

○松井部会長 いかがでしょうか。機構からお願いします。

 

○機構 機構より説明させていただきます。この剤に付与させていただいております房室ブロックに関する禁忌ですけれども、もともとカルバマゼピンに対して付与されていたものでして、1.7というようなタブがあるかと思います。1.8の1つ前になるのですが、こちらの7ページ目を御覧いただけますでしょうか。左側が本剤オクスカルバゼピンで、右側がカルバマゼピンの禁忌について記載しておりまして、もともとカルバマゼピンのほうで3番として、第II度以上の房室ブロック、高度の徐脈という形で禁忌に設定されております。かなり古い剤なので、当時ナトリウムチャネルとかカルシウムチャネルのどちらが効いていたのかというような議論はされていないのではないかなと思いますし、今回についてもこの剤で、この禁忌を外せますかというような議論をさせていただいたのですが、やはり新しいデータがなかなかない剤で、海外でも20年以上の歴史があるような剤ですので、そのような状況も踏まえ、カルバマゼピンの禁忌をそのまま設定させているというような状況になっております。

 

○松井部会長 杉委員、いかがですか、よろしいですか。

 

○杉委員 はい。

 

○松木部会長代理 今の件ですが、ナトリウムチャネルを塞ぐというとすごくびっくりしてしまうのですが、この抗てんかん薬ではベースのナトリウムチャネルには余り作用せずに、非常に高頻度で発火しているチャネルだけに作用するのが結構多いのですね。ですからてんかんのときのようにものすごく発火しているようなときには効くが、多分普段の心臓や神経のスパイクには余り効いてないのではないだろうかと言われています。多分、イオンチャネルの閉じたステイトに作用することがなくて、非常にアクティブに開いたチャネルだけに作用しているのではないか、つまりユーズディペンデントです。ということでそんなには心配しなくていいのかなという気がしております。

 

○杉委員 フェニトイン自体が、昔ナトリウムチャネルブロッカーとして、抗不整脈薬の1Aに属していたことがあります。それで多分、今の理由で最近はもう使われなくなったと。先生のおっしゃるように、心筋に余り効かないものですから、それによる影響があったのかなという感じがします。

 

○松木部会長代理 ジギタリスの毒性に結構よく効くと言われていますね。

 

○杉委員 そうですね。ありがとうございました。

 

○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。

 

○川上委員 血中薬物濃度モニタリングのことでお伺いします。例えば、添付文書の2ページ目の左側、使用上の注意「1.慎重投与」の()に「肝障害、腎障害のある患者には血中濃度をモニターする」とか、その右側のカラム、「3.相互作用」の中でも必要に応じた血中濃度の測定のことが書かれています。ですが、具体的にその血中濃度の有効域が幾らから幾らといったような、具体的な記載が添付文書の中に見当たらないので、モニターすることとか測定をすることと言われても、何を指標にモニターや測定をすればいいのかということが、分かりにくいかと思ったので、そのことを伺わせてください。

 

 また、関連して、審査報告書の58ページ、()薬物濃度モニタリングの必要性についての所です。上から7、8行目辺りに、有効治療濃度域は3~35 μ g mLと記載があるのですが、審査報告書及び添付文書は一貫して、血中薬物濃度の単位が、 μ mol Lで書かれています。ここだけグラムの単位で表記されているので、読んでいて何モルが何グラムになるか、分子量から計算すればすぐ出ますけれども、読みにくいと思ったので、なぜここだけグラムの単位で記載されているのか、疑問に思いましたので教えてください。

 

○松井部会長 二つ質問がありました、機構からお願いします。

 

○機構 御質問ありがとうございます。まず1点目の血中濃度モニタリングですが、本剤につきましては、あまり強く明確に有効治療濃度域というものが定まっている状況ではありませんので、海外の報告は幾つかあるのですが、その中でもある程度幅があるような状況になっております。主要な区間としてはこの審査報告書にも書いています3~35 μ g mLというところがあります。添付文書には現状有効治療濃度域として確立しているとまでは少し言いがたい状況でしたので、血中濃度モニタリングはすることというようにさせていただいております。あと医療機関に配布していただく資材のほうで、血中濃度モニタリングについてという項目を設定させていただいておりまして、その中で今回の濃度についても記載をさせていただいている状況です。

 

 2点目に、3~35ということで、ここが μ g mLと記載されていても、ここだけ単位が違って見にくいという御指摘と理解しております。審査報告書の中では基本的に、申請者のほうから出されてきた数字の単位でもって書かせていただいており、ほかの箇所については、血中濃度μmol単位で測定等を行っていただいていた都合、このような記載になっておりまして、一方でこの3~35の部分は文献から取ってきている数字になっていますので、この部分が少し乖離しているような状況になっています。今回頂いた御指摘も踏まえまして、ここは確かにそうしたμmolLのような単位も併記させていただいたほうが、恐らく医療現場の先生方にも審査報告書を読んでいただいたときに理解されやすいかと思いますので、次回以降、こうした品目では注意させていただくようにしたいと思います。

 

○松井部会長 これはモル数と併記をするということですね。いいことは早くやりましょうよ。

 

 

 

○審査管理課長 修正させていただきます。

 

○松井部会長 お願いします。よろしいでしょうか。

 

○川上委員 ありがとうございます。

 

○松井部会長 ほかによろしいですか。幸原先生、何か付け加えることはありませんか。よろしいですか。

 

○幸原参考人 はい。

 

○松井部会長 小児という御発言もありましたし、それから臨床医の担当医が十分な皮膚科医等の併診をもってこれを投与するということによって、選択肢を増やすという御意見だったと思います。ほかに御質疑がなければ、議決に入ろうと思いますがよろしいでしょうか。それでは、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきます。

 

 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。

 

 幸原先生、どうも遠方からありがとうございました。

 

○幸原参考人 失礼します。

 

○松井部会長 議題2に移ります。説明をよろしくお願いします。

 

○機構 議題2、資料2、医薬品ボトックスビスタ注用50単位の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤の有効成分であるA型ボツリヌス毒素は、アセチルコリンの放出を阻害することにより筋弛緩作用を示す神経毒素であり、国内外において201510月現在、斜視、眼瞼痙攣等の多岐にわたる効能・効果で承認されているほか、美容を目的として眉間の表情皺等の効能・効果でも承認されています。

 

 本邦では、2009年1月にグラクソ・スミスクライン株式会社が65歳未満の成人における眉間の表情皺の効能・効果で承認を取得しましたが、その際に既承認の効能・効果と明確に区別することが必要と判断され、販売名は「ボトックスビスタ注用50単位」とされました。その後、本剤の製造販売承認がグラクソ・スミスクライン株式会社から申請者であるアラガン・ジャパン株式会社へ承継され、20 月より申請者によって目尻の表情皺に対する臨床試験が開始され、今般、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料11に記載されている4名の委員を指名しております。

 

 臨床成績を中心に審査内容を説明させていただきます。まず有効性ですが、審査報告書別紙6ページ表2を御覧ください。国内第III相試験は20歳以上65歳未満で、最大緊張時の目尻の表情皺の程度が中等度から高度である者を対象とし、主要評価項目は治験薬初回投与後30日目の最大緊張時の目尻の表情皺の程度の改善率とされました(審査報告書では目尻の表情皺をCFLと記載しています。なお、表2では「CLF」と記載されておりますが、「CFL」の誤記ですので、この場で訂正させていただきます)。表情皺の程度はアジア人用写真数値化ガイド付き顔面皺尺度(表中ではFWS-Aと記載しております)に基づき評価されております。改善率の本剤群とプラセボ群との群間差は、12単位群で48.324単位群で60.0であり、いずれの群でもプラセボ群と比較して統計学的に有意な差が認められました。

 

 次に、安全性ですが、審査報告書別紙11ページの表8を御覧ください。目尻の表情皺と眉間の表情皺(表中では眉間の表情皺をGLと記載しています)の国内臨床試験における有害事象の発現状況を比較した結果、単位数の違いはありますが、眉間の表情皺と比較して目尻の表情皺でリスクが高くなる傾向は認められませんでした。

 

 また、用法・用量ですが、審査報告書別紙18ページの上から3行目、「機構は」で始まる段落を御覧ください。申請時の用量は24単位のみとされていましたが、国内第 III 相試験では本剤12単位及び24単位のいずれもプラセボ群に対する優越性が示されていること、本剤の用量は患者ごとに必要最小限とすべきと考えることを踏まえ、目尻の表情皺に対する用量として1224単位と設定することが適切と判断しております。

 

 以上の審査を踏まえ、既承認効能・効果と同様に流通管理、薬剤管理等の承認条件を付した上で、本剤の65歳未満の成人における目尻の表情皺に対する効能・効果及び用法・用量を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新効能・新用量医薬品に該当し、今回追加する効能・効果及び用法・用量に対する再審査期間は、4年と設定することが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。

 

 説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

 

○松井部会長 それでは、委員の先生方から御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。

 

○松木部会長代理 よく分からないのですが、表情皺の治療を必要とするということは目的として美容のことを考えているということですか。

 

○機構 御指摘のように、こちらの治療目的は美容目的ということになります。

 

○松木部会長代理 美容の場合にも再審査の期間を決めたりしているのですか。何か再審査期間を決めると、その間にそれだけの患者さんに投与しなければいけないのかなというような、逆のプレッシャーになるような気がするので、本当に必要な所だけ与えればいいのかなと思っていたのですが。

 

○機構 再審査期間の付与に関しては、美容目的、医療目的等にかかわらず付与することになっております。本剤が美容目的で開発された背景として、現在、例えば個人輸入等でボツリヌス毒素を使っている患者さんに対して、なるべく適切に管理された薬剤を投与してほしいというところもありますので、ある程度の患者さんにきちんと投与していただくことも重要かと思います。

 

○松井部会長 ほかにはありませんか。

 

○神田委員 言葉の使い方なのですが、申請書のほうは「及び」という言葉を使っていて、結果的には「又は」という形で、効能・効果の所の表現が変わっているのですけれども、それは同時治療や同時投与は可能なわけで、「及び」のほうがしっくりくるかなと思ったのですが、「又は」に変更した理由はどのように受け止めたらよろしいのでしょうか。

 

○機構 申請時の効能・効果ですと、「及び」につなげる前と後で、「表情皺」が2回繰り返されているので、なるべくシンプルにしたほうがいいだろうということで表情皺を取ろうと考えましたが、そのまま「眉間及び目尻の表情皺」とすると、同時投与でないと投与できないのかという誤解を招くと思いましたので、「又は」で接続することによって、眉間だけでも目尻だけでも、又は同時でも大丈夫というような効能・効果にしました。

 

○神田委員 分かりました。

 

○松井部会長 いかがでしょうか。これはちょっと私は読みが足りないのかな。この効果はどれぐらい持続するものなのか、あるいは、もう何回か打てば皺は消えてしまうのでしょうか。

 

○機構 審査報告書の17ページを御覧ください。表14に国内第 III 相試験における効果持続時間を書いております。こちらですが、「なし又は軽度」が持続する時間が本剤12単位群で85日、本剤24単位で95日となっておりますので、大体3か月は効果が持続します。ただ、3か月たつと効果はなくなってきますので、繰り返し投与は必要になります。

 

○松井部会長 ほかにいかがですか。

 

○松木部会長代理 皺を取るというのはアンチエイジングのような形で宣伝されてしまうと、非常に使われてしまうことになると思うので、ちょっとその点は危惧します。使われ方などはしっかりとウォッチしてほしいと思います。ボツリヌストキシンは眼瞼痙攣や顔面麻痺などは重要な作用だと思うのですが、特に皺への効能はあってもいいと思うのですけれども。これと今まで承認されていたものとの剤型など違う所があるのですか。

 

○機構 特に違いはなく、販売名がボトックスかボトックスビスタという所と、医療用のほうはグラクソ・スミスクライン社が販売しておりますが、こちらのボトックスビスタに関してはアラガン・ジャパン社が製造販売しております。

 

○松木部会長代理 結局ボトックスを使っても同じような効果はあるというわけですよね。ただ、認めているのはボトックスビスタのほうだけで適用を認めて、ボトックスビスタを逆に眼瞼痙攣などで使うのは認めないということですか。

 

○機構 御指摘いただいたとおりです。ただ、流通制限など掛かっておりますので、その関係で医療用と美容用とは明確に区別すべきという考え方から、販売名を分けたということになります。

 

○奥田委員 一つだけ、先ほどの「又は」と「及び」の関係で確認させていただきたいのですけれども、これは目尻と眉間と同時に使うことができるということでしたが、そうすると眉間は1020、目尻は1224ということで、足した範囲で上限として使用することができるというように私は読んだのですが、その解釈でよろしいのでしょうか。

 

○機構 御指摘のとおり、同時に使う場合は最大で44単位まで投与できます。また、審査報告書の16ページを御覧ください。表13に、目尻と眉間に同時に投与した場合の有害事象の発現の割合を載せていますが、本剤を44単位投与した場合でも大きな問題は認められておりませんので、同時投与することに対して特に問題はないと考えております。

 

○奥田委員 了解しました。

 

○松井部会長 よろしいですね。ほかにありますか。特にありませんでしょうか。それでは委員の先生方、議決に入ってよろしいでしょうか。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告いたします。

 

 それでは、議題3に移ります。議題3について概要を御説明ください。

 

○機構 それでは議題3、資料3、医薬品エピデュオゲルの製造販売承認の可否等について説明します。尋常性ざ瘡(いわゆるにきび)の治療においては、現在、アダパレン外用剤、過酸化ベンゾイル外用剤、経口又は外用の抗菌剤等が使用されており、重症度や皮疹の種類に基づき単独又は併用療法が選択されています。本剤は、アダパレンと過酸化ベンゾイルを有効成分とする配合外用剤であり、患者のコンプライアンスや利便性の向上等を期待して開発され、今般、医薬品製造販売承認申請がなされました。

 

 なお、本剤は、2016年2月時点で海外60か国で承認されております。本品目の専門協議では、本日の配布資料11に示す専門委員を指名しています。また、当日配布資料として、配合剤の該当事由に関する配布資料14-1、本剤は外用剤ですが、経口用の医療用配合剤に関する事務連絡も参考までに配布資料14-2として配布しました。機構としては、本剤の配合剤の該当事由としては、患者の利便性の向上に明らかに資するものと考えております。

 

 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明します。有効性に関して報告書15ページの表9及び報告書29ページの「1.1有効性について」の項を御覧ください。国内第 III 相試験の主要評価項目である「投与開始12週目の総皮疹数のベースラインからの減少率」について、本剤群がアダパレン群と過酸化ベンゾイル群のいずれに対しても統計学的な有意差が認められた場合に、本試験の主目的が達成されたと判断することとされていましたが、過酸化ベンゾイル群に対する統計学的な有意差は認められなかったことから、本試験の主目的は達成されませんでした。

 

 その理由は明らかではないものの、主要評価項目である総皮疹数の減少率は本剤群において82.7%と比較的高かったこと、また、総皮疹数の減少率並びに副次評価項目である炎症性皮疹数及び非炎症性皮疹数の減少率のいずれについても本剤群は過酸化ベンゾイル群に比べて劣っておらず、アダパレン群よりも減少率が大きかったこと、三つの海外第 III 相試験について本剤群の過酸化ベンゾイル群及びアダパレン群に対する有効性が認められていること等を考慮し、機構は、本剤の尋常性ざ瘡に対する一定の有効性は示されていると考えました。

 

 安全性に関して、報告書15ページの表1016ページの表11を御覧ください。第 III 相試験において、本剤群は各単剤群と比較して皮膚関連の有害事象の発現割合及び皮膚刺激性が高い傾向が認められました。しかしながら、皮膚関連の有害事象のほとんどは軽度又は中等度であり、休薬等の適切な対応を取ることで回復したことから、本剤の安全性は許容可能と判断しました。なお、各単剤群と比較して皮膚刺激の発現割合が高いことを考慮し、本剤は症状の程度等を十分に考慮した上で使用すべきであり、その旨を添付文書で注意喚起することが妥当であると考えました。

 

 以上の審査の結果、尋常性ざ瘡患者に対する本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。本剤は新医療用配合剤であることから、再審査期間は本剤の有効成分の一つである過酸化ベンゾイルを含有する「ベピオゲル2.5%」の残余期間である平成341225日までとし、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。

 

 機構からの説明は以上になります。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

○松井部会長 それでは、委員の先生方から御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。

 

○松木部会長代理 配合剤の利便性として、外用薬の場合には同じ一定の比率で塗るのは大変なので、そういう面では非常にメリットがあると思うのですが、でも今回の場合には、比率ですけれども、一つしか使っていないのですよね。アダパレンとベンゾイルの比率というか。これをピンポイントで狙っているのは何かあるのですか。

 

○松井部会長 いかがでしょうか。比率、配合率について。

 

○機構 本剤の配合濃度という点について御説明します。本剤の配合濃度は、各単剤の承認濃度と同じ濃度が使われています。アダパレンについてはそのまま流用して0.1%としております。過酸化ベンゾイルについては用量反応試験を行い、2.5%と5%について検討しました。その結果、2.5%に比べて5%では皮膚刺激性が高くなる傾向が認められたので、本剤の配合濃度としては2.5%が選択されました。

 

○松井部会長 いかがですか。

 

○松木部会長代理 あと、別の点ですけれども、医療の現場では今回の併用はよく行われているということですね。そういう判断ですね。ただ、単剤よりもそんなに明確な作用が出てこなかったのに、何かいろいろ、ちょっと苦しい言い訳をしていたような気がするのですけれども。なぜ、そんな苦しい言い訳をしなければいけないのですか。駄目だったら駄目でいいのではないですか。

 

○機構 実は本邦においてベピオゲルというのが、201412月に承認されたばかりで、国内の併用療法の実態は、それほどまだ集積されていないところとなります。他方、海外においては過酸化ベンゾイルとアダパレンの併用については盛んに行われております。実際に本剤は既に海外60か国で承認されており、重症の患者等には第一選択薬として使われています。

 

 確かに国内第III相試験で過酸化ベンゾイル単剤に対して有意差は認められなかったのですが、本剤の有効性としては、国内第III相試験で82.7%の総皮疹数の減少率が認められ、また海外第 III 相試験では過酸化ベンゾイル及びアダパレンに対する有効性が認められております。海外ガイドラインでは海外第III相試験成績を踏まえて推奨されていることを鑑みて、本邦でも本剤を使えるようにしたほうがいいのではと考え、本部会で上程させていただきました。

 

○松井部会長 いかがですか。

 

○松木部会長代理 先ほどの抗てんかん薬の場合には、臨床現場の選択肢を増やすということで、ちょっと作用が曖昧でも良いと思うのですが、この場合は別に配合剤を出さなくても既に臨床現場では両方が使用可能なわけだから、そこが違いますよね。それから、副作用のことについても、相加的な傾向が認められた。結局、作用が違うものを二つ合わせたら作用も強くなるし、予期せぬ副作用も大きくなる可能性があるわけですよね。だから、その点も考えないと単に混ぜ合わせればいいということでもないと思います。ですから、再審査をものすごく厳しくするとか、何かそういうことが必要です。機構としては、今回の配合剤には明確な有用性が認められたみたいなことは言わないほうがいいのではないかと思うのですけれども。

 

○松井部会長 いかがでしょうか。

 

○機構 御指摘のとおり本剤の有効性がすばらしいという点は確かに認めにくいところがあるとは思っています。ただ、配合剤として出す意義については報告書の25ページに記載しております。海外で実施された臨床研究になるのですが、併用療法で各単剤を使った場合には、各単剤単独療法に対する優越性が示せないという論文もあり、そこから本配合剤を上市する意義というのはあるのではないかと考えております。

 

○松木部会長代理 ちょっと今の説明はよく分からなかったのですが。

 

○機構 報告書の25ページの一番下の段落を御覧ください。配合剤にすることでコンプライアンスが改善し、効果が高くなる可能性が考えられます。過酸化ベンゾイル5%を朝に、アダパレン0.1%を夜に塗布する併用療法と、各単剤の単独療法を比較検討したところ、併用療法は各単剤に対する優越性が示されなかったという報告があります。海外では本剤の各単剤に対する有効性が認められていますので、配合剤にすることでアドヒアランスが高まり、治療効果が高くなる可能性が考えられると思います。

 

○松木部会長代理 効果がないという報告があるのだから、それこそ配合しなくてもいいと思うのですが、アドヒアランスが上がることを重視したということですかね。これは、書き方はもうちょっと考えなければいけないと思うのですが。

 

○新薬審査第一部長 すみません、補足させていただきます。もう一方の文献について御紹介させていただきたいと思います。25ページの下から3行目、尋常性ざ瘡治療、つまりにきびにおいて、複数の外用剤を別々に塗布するよりも、今のような配合剤にすることで、アドヒアランスが高まり治癒効果も高くなるという文献があります。実際に2剤をそれぞれ併用する形で塗った場合と、配合剤としてひとまとめにしたものを塗ったという比較をしております。

 

 報告書に詳しく書いていないので申し訳ありませんが、それぞれの薬剤を塗った群については最後まで12週の治療をできた人が61%、配合剤について最後まで塗れた人が88%ということで、実際にその辺りが集団としての有効性に対しても影響しております。有効性に関して配合剤のほうが51%、同時に2剤を塗ったほうは31%ということがあり、今回の申請と必ずしも全く同じ成分ではありませんが、一般に塗り薬では、先ほど先生からも御指摘があったように、配合剤にすることでより確実に塗っていただけるというところを私どもとしては期待しているところです。

 

○松木部会長代理 要するに報告書の書き方の問題で、文献上では一定していないが、でも有効な方向があるというような書き方にしないと、これでは何のためにこの文書を書いたのか、よく分からない。

 

○新薬審査第一部長 申し訳ありません。今後、留意いたします。

 

○川上委員 この資料の1.7の同種同効品一覧表の1ページ目になります。表1の下から2行目ですが、真ん中のカラムのディフェリンゲルの含量、具体的には成分名に誤りがあるようなので、修正してください。

 

○機構 失礼しました。誤記ですので修正させていただきます。ありがとうございました。

 

○神田委員 用法・用量のことについて、お聞きしたいと思います。1日1回洗顔後ということで、その使用上の注意としては、夕方から就寝前に使用することとなっています。これは第III相試験がその条件で行われているので、そうなっているのだと思いますが、その理由をちょっとはっきりお聞きしたいと思います。

 

 それから、漫然と使用しないこととの関係ですが、長期にわたって使用する可能性がある薬剤であると説明にもありますけれども、漫然と長期にわたって使用しないようにするための一つの歯止めとして、例えばこの薬を処方するときに1本ずつ出すのか、そういった処方量の制限などの手立ては何か考えていらっしゃるのでしょうか。そんなことを聞きますのは、私は同じ病気ではないのですが、皮膚科にかかって一遍に5本とか出されることもあるのですね。5本必要な疾患だったのかもしれませんけれども、非常に使い終わらないでいっぱい余ってしまってといった現実があるわけです。そうした中で、漫然と使用しないようにという注意があるのであれば、そうした処方量の制限というのもしておかないと、現場ではそういうことも起こってしまうのではないかと思います。

 

 それからもう一つは、一旦治ってお薬が残っている場合、普通はそれを取っておいて、またできると塗ってしまうというようなことが、まま日常的にはあると思うのですけれども、使用期限というのがあると思いますし、1回使ってしまったらば、その使用期限も、もちろん短くなるわけですが、素人は使用期限を目安にしながら1回使っても、また使うということもあろうかと思うので、使用期限についての注意書きということも必要ではないかと思いました。以上です。

 

○松井部会長 3点、御質問がありましたが。

 

○機構 まず使用期限に関しては、室温保存で製造後2年というところが添付文書で記載されていまして、その旨、患者さんに情報提供いただければ、使用期限のところは注意していただけるのではないかと考えております。また、用法・用量に関連する使用上の注意において夕方から就寝前に使用することと記載させていただいた点については、御指摘のとおり臨床試験でそのように設定されていたというところがあります。本剤は洗顔後に塗布することになりますし、あと、べたつくというところから夕方から就寝前に使用することは適切であると考えて、このような記載をしております。

 

○松井部会長 処方量の制限。

 

○機構 処方量の制限については、各単剤のディフェリンゲルとベピオゲルでも、投与量の制限は設けられておりません。本剤は顔面のみに使用する薬剤ですので、1回でそれほど使われないものと考えております。適量を塗布することと記載されていますが、塗布量の目安については人差し指の第1関節の長さで両手のひらぐらい塗れるというところで、医師から患者へ情報提供されると思います。余りベッタリ塗らずに薄く伸ばして使えば、適量が使用されるのではと考えております。

 

○松井部会長 よろしいですか。

 

○機構 塗る時間帯のところの補足説明ですが、添付文書の資料1.8を御覧ください。1枚目の裏面になりますが、ベピオゲルの添付文書、重要な基本的注意4)に「日光又は日焼けランプ等による過度の紫外線曝露を避けること」と記載してあります。日中に使用するのではなく、夕方以降に使用したほうがいいということもあり、用法・用量に関連する使用上の注意として、「夕方から就寝前に使用すること」と記載しました。

 

○松井部会長 いかがでしょうか、神田委員。

 

○神田委員 分かりました。大体そういった、外の光に当たらないことなどは想像できたのですが、具体的な心配というのは、例えば男性はちょっと違うかもしれませんが、女性の場合は洗顔後といっても、そのままではなくて化粧水や乳液、保湿クリームなどを普通は付けるわけです。それで今度は洗顔後の意味することは、そういったこともしてはいけないのかとか、具体的な使用方法として、それは本当に目の前の問題として起こるわけなのですが、そういったことは問題ないのであれば、注意書きは要らないと思います。それをするのが普通であると捉えて分かるようにしていただけたらと思います。

 

 それから二つ目の所は、塗る側がベッタリとか、塗る量については説明されると思いますが、私がお聞きしたのは、お医者さんが出すときに、一度に5本とか出すときがあるのですね。別の例なので、比べられないと思いますけれども、そういった漫然と使わないようにというのであれば、一定の出し方についての歯止めもあるのですかということでお聞きしました。ないのであれば、何かそういったことのないように注意していただきたいと思います。

 

 それから、使用期限についても、こういう所に書いてあるのは、使用前の、いついつまでという意味で書いてあるわけですよね。ただ、患者さんが使う、素人が使う場合には、一旦使っても使用期限がまだあれば使ってしまうので、本当は開けてしまったら使ってはいけないわけですよね。ですから、その辺の実際に使う立場での理解が正しくいくような説明も必要なのかなと思いました。

 

○松井部会長 いかがでしょうか。

 

○新薬審査第一部長 御指摘ありがとうございます。まず、処方の量ということで、もちろん新しいものですので、承認直後はそれなりに処方の日数の制限などがあるかと思います。医療機関で先生に処方いただくものですので、よく御相談しながら必要最小限といった量を処方していただくことになろうかと思います。

 

 あとは幾つか使用に当たっての注意事項などに御質問があったかと思います。例えば、開けたものをずっと置いてあって使わないとか、その辺りは一般的な塗り薬などにも共通する所はあろうかと思います。例えば処方いただくときの先生とのお話、あるいは薬局で手渡すときに、そのようなことをお知らせいただくことも含めて、適切な情報が伝達できるように企業のほうを指導してまいりたいと思います。

 

○松井部会長 よろしいですか。ちょっと化粧品の。

 

○神田委員 化粧水は塗ってもいいのですか。

 

○機構 保湿剤等は使っていただいて結構です。

 

○神田委員 クリームも全部。

 

○松井部会長 いかがでしょうか。今日、配られました資料14-1の6ページ、配合剤については次のいずれかの事由に該当するものでなければ認められないと。その中で、今日の機構側の説明では、3番の患者の利便性の向上に明らかに資するものという所を根拠に認めたいという御意見だったと思いますが、委員の先生方、この点について、よろしいでしょうか。特に反対がなければ議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。それでは、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないと認めますので、承認を可として薬事分科会に報告といたします。

 

 それでは、議題4に移ります。医薬品機構から概要を説明してください。

 

○機構 それでは議題4、資料4、医薬品ピコプレップ配合内用剤の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。大腸内視鏡検査の実施時には、腸管内容物を除去するために、腸管洗浄剤による前処置が行われます。本邦では、主にポリエチレングリコール電解質溶液のほか、ピコスルファートナトリウム水和物等の刺激性下剤とクエン酸マグネシウム等の塩類下剤に低残渣無脂肪食を組み合わせた、「ブラウン変法」と呼ばれる腸管洗浄法も広く利用されています。本剤は、ブラウン変法で用いられる複数の成分をひとまとめに配合した製剤であり、医療従事者及び患者の利便性向上に資することを期待して開発されました。なお、ポリエチレングリコール電解質溶液は製剤特有の味により患者の受容性が低いとされていますが、本剤は、風味などの点で、より服用しやすい製剤処方とされています。

 

 海外では、本剤は、2016年2月現在、欧米を含む69か国で、大腸内視鏡検査や大腸手術時の前処置を適応として承認されています。本品目の専門協議では、本日の配布資料11に示します、専門委員を指名しました。

 

 審査の概要です。有効性に関して、報告書8ページの表4を御覧ください。大腸内視鏡検査を行う被験者を対象とした国内試験において、本剤群はいずれの用法においても、ニフレック群に対する非劣性が検証されたことから、本剤の有効性は示されたと考えました。安全性について、報告書8ページの中ほどを御覧ください。こちらに国内試験で認められた有害事象、副作用の概要をまとめています。国内試験では、主に認められた副作用は血中マグネシウム増加でした。

 

 続いて、報告書13ページの下から2行目を御覧ください。こちらの下から2行目から、次のページにまたがる所に書いてありますが、国内試験では重篤な副作用は認められませんでしたが、本剤の海外市販後には、既承認のほかの腸管洗浄剤でも副作用として知られている、意識障害などを伴う電解質異常、腸管穿孔などの副作用が報告されています。したがって、本剤の添付文書では、これらの副作用については十分に注意喚起する必要があると考え、添付文書の「警告」や「重要な基本的注意」などで注意喚起することとしました。

 

 以上のような審査の結果、「大腸内視鏡検査及び大腸手術時の前処置における腸管内容物の排除」を効能・効果とした本剤の有効性は示され、既承認の腸管洗浄剤と同様の注意喚起をすることで、本剤の安全性は許容可能と考えられたことから、承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。本剤は新医療用配合剤に該当し、審査期間は6年とすることが適当と判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。御審議、どうぞよろしくお願いします。

 

○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。御意見はありませんか。

 

○神田委員 「用法・用量に関連する使用上の注意」に関して、透明な飲料を飲みましょうということですが、患者さん向けに何か資材を作るということですが、透明な飲料というと非常に幅が広くて、甘いもの、果汁が入っているもの、スポーツドリンク、炭酸など、全て透明なのですが、その辺のものは全てよろしいということなのでしょうか。

 

 それから、具体的な飲み方ですが、前日と翌日に分けて飲む場合の、夜の何時から何時という時間が申請時の用法・用量には記載されていたのですが、それが最終的な用法・用量には記載がなくなっているのですが、それについては何か特段理由があるのでしょうか。

 

○機構 御指摘ありがとうございます。まず1点目の飲物の種類の件ですが、確かに透明な飲物というだけでは分かりにくいと存じますので、患者さん用の説明用資材で、具体的な飲んでよいものというのを、いろいろ例示を挙げて御説明する予定でいます。

 

 幾つか御紹介しますと、お茶、スポーツドリンク、具のない透明なスープですとか、ジュースのうちでも透明なジュース。残渣が残るようなものですと検査に支障がありますので、そういうものがないようなジュース。あるいは、透明な色であれば炭酸飲料なども許容できまして、それらを御紹介する予定にしています。

 

 あと、用法の件で、申請時の用法・用量に記載されていた具体的な時間を削除した理由ですが、患者さんの状況ですとか、医療機関の状況に応じて、具体的に時間を記載しますと、不便な場合もあるかと思われますので、「夜」あるいは「手術の何時間前」というような記載の方が医療機関でお使いいただく上で便利ではないかと考え、そのようにしています。

 

 ただ、実際に患者さんが服用される際には、何時というのを具体的に教えてもらったほうが有り難いと思いますので、それについては患者さん用の資材で、飲む時間を具体的に何時と書いて、患者さんに渡していただいて、それを見ながら患者さんに飲んでいただくという対応を考えています。

 

○松井部会長 ほかにはいかがですか。これも先ほどの配合剤ということになりますと、患者さんの利便性の向上に、明らかに資するというところに入るのでしょうか。

 

○新薬審査第一部長 はい、今まで二つの種類のものを別々に飲んでいたのを一包化したということです。

 

○松井部会長 委員の先生方、よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告します。

 

 議題5に移ります。

 

○機構 議題5、資料5、医薬品フェブリク錠10mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。本剤は、キサンチンオキシダーゼ阻害薬であるフェブキソスタットを有効成分とする尿酸生成抑制薬であり、2011年1月に「痛風、高尿酸血症」を効能・効果として、本邦において既に承認されています。

 

 がん化学療法において腫瘍細胞が急速に崩壊すると、細胞内の核酸、カリウム、リン、タンパク等が血中へ大量に放出され、高尿酸血症、高カリウム血症、高リン血症等の電解質異常、腎障害から多臓器不全を来す腫瘍崩壊症候群(TLS)を引き起こす場合があります。特に、がん化学療法による高尿酸血症では、急性腎不全や死亡に至る場合があり、がん化学療法施行時にはTLSの発症リスクに応じて、血清尿酸値を適切にコントロールすることが重要と考えられています。

 

 海外において、本剤は、TLS発症リスクが中間リスクから高リスクの造血器腫瘍患者におけるがん化学療法に伴う高尿酸血症に対し、2015年4月に欧州で承認され、2016年1月現在、世界33か国において承認されています。なお、本邦では、がん化学療法に伴う高尿酸血症に対し、尿酸分解酵素製剤であるラスブリカーゼが既に承認されています。本品目の専門協議では、資料11に示す先生方を専門委員として指名させていただいています。

 

 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性については、審査報告書4ページの表1を御覧ください。がん化学療法実施予定の、TLS発症リスクが中間リスク及び高リスクの患者を対象とした国内第III相試験で、主要評価項目とされたベースラインから投与6日後までの血清尿酸値-時間曲線下面積について、本剤群のアロプリノール群に対する非劣性が示されました。なお、アロプリノールはがん化学療法に伴う高尿酸血症の適応を取得していませんが、国内の腫瘍崩壊症候群診療ガイダンスにおいて投与が推奨されており、臨床現場で広く用いられています。

 

 安全性については、審査報告書8~10ページの「安全性について」の項に示しましたように、国内外の臨床試験において、本剤群とアロプリノール群の間に臨床的に大きな問題となるような安全性の違いはなく、また、製造販売後のデータにおいても、本剤について臨床上問題となるような新たな懸念は認められていないことから、既存の効能・効果と同様の注意喚起がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しました。

 

 製造販売後調査について、審査報告書20ページの「医薬品リスク管理計画()について」に示しましたように、本剤投与時の安全性に係る情報、並びに腎機能障害患者及び肝機能障害患者における安全性及び有効性に関する情報が収集される予定です。

 

 以上のとおり、機構での審査の結果、「がん化学療法に伴う高尿酸血症」を効能・効果として、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。本剤は新効能及び新用量医薬品であり、再審査期間は4年とすることが適切であると判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。

 

 御審議のほど、よろしくお願いします。

 

○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いします。

 

○松木部会長代理 この臨床試験のやり方ですが、アロプリノールがTLSに対して適応を持っていない段階で、これと比較して非劣性なのでOKというのは、何か釈然としません。実際に臨床の現場でアロプリノールが使われている。非劣性だからこれを承認するということではなくて、やはり本剤によって、TLSで尿酸がしっかり抑えられているデータがあるからということが重要ではないかと思うのですが、いかがですか。

 

○機構 まずアロプリノールについて、少し補足して説明させていただきます。アロプリノールに関しては、本邦において、がん化学療法に伴う高尿酸血症の適応を有していないというところですが。

 

○松井部会長 できたら資料の何ページに書いてあるかを。

 

○機構 審査報告書8ページの中段の段落で、「有効性について」の結論の所に記載させていただいています。繰り返しになりますが、アロプリノールに関しては、専門医で構成された国際的な委員会で2010年に提唱された、国際的なTLSパネルコンセンサス、及びそれを参考に作成された国内での診療ガイダンスにおいても投与が推奨されていること、また本邦の実臨床で広く使用されていることから、対照薬として設定することについては受入れ可能という判断をしています。ただ、先生がおっしゃられましたように、本剤において血清尿酸値の明確な低下が見られているところも、効能・効果に対する有効性を判断するにあたっては重要と考えています。

 

○松木部会長代理 可能と考えていますというよりも、これが日本においては一応初めての承認になるわけだから、承認されていないものと比べて、それと同程度だから有効なのだという書き方は、当然すべきではないと思うのです。逆に言えば、このデータを持ってアロプリノールを申請したら、またすぐ認めるということですか。

 

○機構 このデータを使ってアロプリノールの企業が承認申請をできるかについては、この臨床試験成績というのは申請者である帝人ファーマ社が持っているものになります。例えば、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□と思っています。

 

 記載の仕方ですが、本剤の単剤群でやるか、それとも対照群を置くかということが、臨床試験を実施する上で考えるポイントになるかと思います。本剤を使用する対象患者に対し、やはりTLS診療ガイダンスが、海外においても国内においても作成されていますので、そこで標準治療となっているアロプリノール群と同程度の効果がないと、承認するのはなかなか難しいのではないかというのを考えまして、対照薬としてアロプリノールを設定した上で、非劣性試験を実施すべきではないかと考えました。

 

○松井部会長 逆に言えば、アロプリノールよりも勝っている点は何かということ。

 

○機構 アロプリノールより勝っている点としては、利点になりますが、審査報告書11ページの下から7行目、「しかしながら腎機能障害のある患者では」という所を見ていただければと思います。

 

 アロプリノールというのは、腎機能障害がある患者では、アロプリノールの活性代謝物のオキシプリノールというものの排泄が遅延してしまうということで、その高い血中濃度により重篤な副作用が出るというのが知られています。そういう意味でも本剤が、TLSを抑制するために、がん化学療法に伴う高尿酸血症の効能・効果で使えることについては、メリットがあると考えています。

 

○松井部会長 松木先生、よろしいですか。ほかにはいかがですか。

 

○野田委員 今おっしゃったことに、私も共感するところで、治療経過中の腎機能の動きのことなどを考えますと、それについての副作用が少ないというのは、この薬のメリット、よいところだと思うのですが、一般に高尿酸血症で使う場合には、少量から開始して増やしていくことになっています。がん化学療法に伴う高尿酸血症の場合は、60mgを一律にということですが、この用量の設定根拠的なものはどのようにして出てきたのでしょうか。

 

○機構 機構より御説明させていただきます。審査報告書13ページの「用法・用量について」の項に記載させていただいております。2段落目の2行目辺りから記載をさせていただいておりますが、「痛風、高尿酸血症」で漸増投与が推奨されている理由としては、尿酸値が高い患者に尿酸降下薬を入れて急速に血清尿酸値が下がることによって、痛風関節炎が発現するリスクがあるため、漸増投与が設定されているという経緯になります。

 

 その痛風関節炎のリスクですが、血清尿酸値の高さと持続時間に依存するということが考えられていまして、痛風高尿酸血症の患者では、長期にわたって血清尿酸値が高値に維持されていることで、尿酸塩結晶が関節内に沈着したという素因の下、痛風関節炎が誘発されると考えています。

 

 今回、がん化学療法に伴う高尿酸血症の投与対象というのは、悪性腫瘍の患者になるわけですが、こちらは少し患者集団の背景が異なりまして、一般的には血清尿酸値が長期間、高値に維持されているようなリスクが高い状態ではないと考えられるため、血清尿酸値を十分下げるために、尿酸降下作用の強い用量を初めから投与するという用法・用量が選択されたという経緯になります。

 

○野田委員 ただ、もともと高尿酸血症がある人もいて、一律に60mgというのはどうかということと、もう一つは60mgという、その中で高いドースですが、これは40mg60mgを検討しただけですか。もっと低ドースも検討して、そのようになったということでしょうか。

 

○機構 今回検討されているのは60mgのみということになります。今回の適応は、高尿酸血症にならないよう、抑制しなければいけないものになりますので、十分に血清尿酸値を低下させるだけの用量を投与していただくのがいいかと思っています。

 

 また、今回の60mgという用量は、痛風、高尿酸血症の最大用量の範囲内ですので、発売されてから現在まで時間がたっていまして、安全性についても、ある程度明確になってきていること、また、海外においてもフェブキソスタットとして、痛風、高尿酸血症やがん化学療法に伴う高尿酸血症に対して承認されていますので、そういう意味からも60mgの最高用量で、きちんと高尿酸血症を抑制できる用量というのを選択することが、一番重要かと思っています。

 

○野田委員 腫瘍崩壊症候群で尿酸の抑制が必要であるということは、非常によく分かりますので、今の論理も理解できるところではあるのですが、もともと高尿酸血症があって、尿酸値が高くなっている人の場合もありますので、何らかの注意喚起的なものが必要ではないかなと思いました。

 

○機構 もともと血中尿酸値が高く高尿酸血症になっている方ですが、そちらは1.8の添付文書案の3ページ目、「効能・効果に関連する使用上の注意」の2番の()という所で、本剤は既に生成された尿酸を分解する作用はないため、急速に低下させるような効果は期待できないということと、()という所で、がん化学療法後に発症した高尿酸血症に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていないということで、あまりにも血中尿酸値が高い方、高リスクに該当する、若しくは中間リスクであっても血清尿酸値が高い方というのは、ラスブリカーゼを使用することがTLS診療ガイダンスでも記載されておりますので、適切な薬剤を選択していただくようにと考えています。

 

○新薬審査第一部長 補足をさせていただきます。先生の御質問というか御懸念として、痛風を併発しているような患者さんのお話が1点あったかと思います。必ずしもその点について、余り明確には書いていませんが、いずれの効能も持っていまして、その辺りは用法・用量を「通常」とさせていただいております。それぞれの治療の状況、必要性などを勘案しながら、実際は多少の幅の中で、個別の最適化をしていただくということで、お願いができればと考えているところです。

 

○野田委員 懸念するところは、がん化学療法で、どのような場合も急に最大量である60mgを投与して、痛風発作などを誘発しないかという、そういう懸念なのですが、その辺りはこの書き方で分かるかどうかは、まだ少しどうかなとも思うのですが。

 

○新薬審査第一部長 併せて痛風、高尿酸血症の効能もありまして、今、御覧いただいているかと思いますが、1.8の添付文書、同じ製剤で痛風、高尿酸血症、化学療法に伴う高尿酸血症ということで、この薬を1人の患者さんにどういう形でうまく使いながら、併発しているときに調節ができるかというところは、個別にこの二つの効能、用法・用量の中で工夫をいただければと思います。

 

○機構 機構から1点、補足させていただきます。実際のTLS発症リスクに対し、一番大きな対象患者は造血器腫瘍の患者ですので、ほとんどの場合には、急を要する化学療法が優先されるということになります。万が一そういう状況であれば、通常は60mgを投与していただくことに尽きると思いますし、ごく稀に固形腫瘍で多少時間のゆとりがあれば、先生が御指摘のように、場合によってはもともとお持ちの高尿酸血症の是正をした上で、化学療法に入るという場合もあるかもしれません。今回の効能に関する審査としては、急を要する最も大きな患者層におけるTLS発症抑制として、用法・用量を設定していると御理解いただけますでしょうか。補足です。

 

○野田委員 大体、現場の状況はよく分かりますが、それをいかに添付文書に落とし込むのかという点が、難しいかなと思います。どうもありがとうございました。

 

○松井部会長 ありがとうございます。ほかにありますか。もし御質疑がないようでしたら、議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないと認めますので、承認を可として薬事分科会に報告します。

 

 それでは、議題6に移ってください。

 

○機構 議題6、資料6、医薬品ミカトリオ配合錠につきまして、機構より御説明させていただきます。本剤は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬であるテルミサルタン、カルシウムチャネル拮抗薬であるアムロジピンベシル酸塩、及びサイアザイド系利尿薬であるヒドロクロロチアジドの三つを有効成分とする配合剤です。これらの各有効成分の単剤、及びテルミサルタンとアムロジピンベシル酸塩又はヒドロクロロチアジドを有効成分とする2成分の配合剤は、国内で既に高血圧症の治療薬として承認されています。今般、国内臨床試験成績を基に、テルミサルタン80mg、アムロジピン5mg及びヒドロクロロチアジド12.5mgを配合する本剤が、「高血圧症」を効能・効果として製造販売承認申請されました。本剤は、海外では申請及び承認されておりません。本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料11に記載されております委員を指名いたしました。

 

 本品目の審査の概略について、配合意義を検討した二つの臨床試験成績を中心に説明いたします。審査報告書の14ページを御覧ください。テルミサルタン80mg及びアムロジピン5mgで十分な降圧効果が得られない高血圧症患者を対象として、ヒドロクロロチアジド12.5mg又はプラセボを追加投与する無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されました。有効性について、審査報告書14ページの表3に示すように、有効性の主要評価項目であるトラフ時座位拡張期血圧と副次評価項目の収縮期血圧のベースラインからの変化量について、2成分併用継続群と比べ、3成分併用群で有意な血圧低下が認められました。

 

 次に、審査報告書15ページを御覧ください。テルミサルタン80mg及びヒドロクロロチアジド12.5mgで十分な降圧効果が得られない高血圧症患者を対象として、アムロジピン5mg又はプラセボを追加投与する無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されました。有効性について、審査報告書16ページの表5に示すように、有効性の主要評価項目であるトラフ時座位拡張期血圧と副次評価項目の収縮期血圧のベースラインからの変化量について、2成分併用継続群と比べ3成分併用群で有意な血圧低下が認められました。

 

 続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書15ページの表4を御覧ください。ヒドロクロロチアジドを上乗せした試験では、3成分併用群でテルミサルタン及びアムロジピンの2成分併用群と比べ、高尿酸血症及び血中尿酸増加の発現率が高い結果となりました。一方、アムロジピンを上乗せした試験では、3成分併用群でテルミサルタン及びヒドロクロロチアジドの2成分併用群と比較して、特に発現率が高くなる有害事象は認められませんでした。ヒドロクロロチアジドを上乗せした試験で3成分併用投与により尿酸値上昇に関連した有害事象の発現割合が高く認められた理由は、ベースライン時までにヒドロクロロチアジドの使用がなかった集団に対して、新たに尿酸値に影響するヒドロクロロチアジドが投与されたためと考えられます。

 

 また、審査報告書20ページの表8を御覧ください。尿酸値の値そのものの変動についても検討を行っておりますが、3成分を併用したときの尿酸値はテルミサルタン及びヒドロクロロチアジドの2成分を併用したときと同程度でありました。したがって、3成分を併用したときに、これまでに知られている以外の新たなリスクは示唆されなかったことから、現時点では、各有効成分の単剤及び2成分配合剤の添付文書と同様の注意喚起とすることで差し支えないと判断しております。

 

 次に、本剤の配合意義について御説明します。審査報告書17ページの7.R.1の項を御覧ください。審査報告書17ページの最後の段落に記しましたように、国内外の高血圧症治療ガイドラインで、サイアザイド系利尿薬、カルシウムチャネル拮抗薬及びアンジオテンシン II 受容体拮抗薬の併用療法が推奨されていること、臨床試験の成績より、テルミサルタン、ヒドロクロロチアジド及びアムロジピンの3成分同時投与での降圧効果に臨床的な意義があると判断できることから、これら3成分を投与する際の選択肢を配合剤という形で提供することには意義があると判断いたしました。

 

 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤は新医療用配合剤に該当しますが、明らかに新規性が高いとまでは言えないことから、再審査期間は4年と設定することが適切と判断しております。また、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品のいずれにも該当しないとすることが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。

 

 御審議のほど、よろしくお願いいたします。

 

○松井部会長 委員の皆様から御質疑を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○松木部会長代理 これは予想される質問だと思いますけれども、全部足していけばどんどん効果が上がるのは、作用機序が違うものを加えれば当たり前だと思うのです。だから明確なメリットが必要で、例えば臨床の現場でこの組合せというのが非常に広く処方で行われていて、いつも患者が三つ合わせて飲むのが大変、あるいは薬剤師が一包化するのが大変というのであれば、メリットは考えられると思うのですが、それがどの程度あるのかどうかというデータなどを考えずに、ただA+B+Cで、A+Bよりも作用が強かったから、これはいいのだというのは、いかにも早計な気がして、2剤でもいろいろと今まで議論してきたのに、今度は3剤になったら、今度はまたいろいろな組合せが出てくるというところになると思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

 

○機構 申請者が処方箋のデータベースを調査しており、20 月から月のか月間に、市場の%について調査した結果になるのですが、その中で今回の本剤と同じ3成分を同じ用量で組み合わせた処方枚数が485となっております。

 

 その処方自体はある程度使われているものだと思っておりますし、審査の過程の中で専門委員の先生方からもいろいろな御意見はありましたが、「3成分が1錠となったことで喜ばれる患者もいるので自分は使いたい」というような御意見も頂いています。

 

○松井部会長 付け加えますか。

 

○機構 補足させていただきます。今回はARBのテルミサルタンを基本にして、ベーリンガーが持っているのがテルミサルタンですので、そこを中心に考えていったときに、3剤併用するような患者ではテルミサルタンにアムロジピンとヒドロクロロチアジドという併用の割合がほとんどであったというところで、この3成分を組み合わせたというところがあります。あとは学会のガイドライン等で、ARBとカルシウム拮抗薬とチアジドの組合せが推奨されていますので、選択としては、リーズナブルだというところで、専門協議でも御支持いただいたところです。

 

 用量のところにつきましても、今回は1規格のみということにしておりまして、場合によってはテルミサルタンの40mgというのも取り得るところではあったのですが、こういう3剤を必要とするような患者であれば、より高用量が必要だろうというところで、そこも医療実態等も調べた上での選択にはなっておりますが、あとは薬局での品揃えを余りにも多くすると、現場が疲弊してしまうというところもありますので、そういう実態を踏まえた上で選択されたというところと、臨床試験の結果で、承認しても差し支えないという判断をしているところです。

 

○松井部会長 その点につきまして。

 

○松木部会長代理 臨床現場のニーズが結構重要だと思うのですが、それをきちんと調べて審査報告書に、こういうニーズがあるから必要なのだとか、そういうことが書いてあればまだいいのですが、A+B+CはA+Bより強いというだけでは、そのメーカーからすれば、囲い込みになってしまうわけです。自分のARBと、自分の所で出しているカルシウム拮抗薬と、自分の所のチアザイドだけを使わせる、ほかのメーカーのものは使わせないという形になってくるわけなので、本当にその組合せがほかの組合せに比べてどのぐらいニーズがあるかというようなデータがあれば納得はするのですが。

 

○機構 ほかの薬と比べて、こちらが必要ですかという聞き方をするのは難しい問題ではあると思いますが、配合意義、臨床的位置付けについては、審査報告書の17ページに先ほど御説明させていただいたような内容は書かせていただいております。

 

 私どもも、何が何でもこの配合剤を使って診療すべきだとは思っていません。こういうものが必要な場合、専門協議でも少しお話はあったのですが、1剤でも減ればそれを喜ばれる患者さんもいると。10剤以上飲んでいる患者さんで1剤減ったからどうなのだという御意見ももちろんありましたが、そういうことで、メリットがある患者さんもいるというところで、今回審査をしたというところでございます。

 

○川上委員 合剤の必要性というところで、現場の処方実態として、これとこれの組合せがこのぐらいあったので、という形の御説明だったと思います。本当の合剤の臨床的意義というのは、ある程度処方と用量が固定された慢性期の患者さんで、その治療がずっと継続するからこそ合剤を使うメリットがあると思うのです。その組合せの人はこれだけいるからではなくて、その組合せで変更されず継続される処方がこのぐらいいるから、という言い方をしていただいたり、あるいは同じ処方であっても、既に市販されている単剤と合剤があるので、合剤の患者のほうが、例えば服薬コンプライアンス等がよくて、5年後とか10年後の心血管系イベントが下がるとか、本当にそういった意味があるのであれば、臨床の実態に即してメリットがあるという御説明を受け入れられると思うのです。

 

 それを、ただ処方箋の枚数上、これとこれの組合せが何枚で、そこそこあるからいいですよと言っても、もしかしたらその患者さんは急性期の治療が動いている状態で、たまたま組合せで処方されている可能性もあるわけです。

 

 ということで、「現場の実態に即して」とおっしゃっている辺りが、余り即していないように私には感じられたのですが、いかがですか。

 

○機構 御指摘ありがとうございます。先生がおっしゃるように、定点スポットで取ってきているので、実際にこの処方がどういう状況を反映しているのかの正確なところが反映されているかどうかが分からないというのはおっしゃるとおりかと思います。

 

 ただ、データベース上、どうやって調べるかというところは難しいというのも現実的なところです。アドヒアランスが上がるというような報告自体はあるのですが、それも調査のやり方次第でかなり動いてくるものですので、本当に配合剤で100%の患者さんのアドヒアランスが改善するかというと、なかなかそれは難しい問題かと思います。

 

 ですので、基本的に、おっしゃるようにもともと3剤飲んでいた方で安定していて、利便性とか、そういうところで変えるというのが基本的な使い方だと思っておりますので、先生のほうでもしそういう患者さんで配合剤が適しているというような考え方があるのであれば、使っていただくというところで、積極的に配合剤を使っていただきたいというところではないということはおっしゃるとおりかと思います。

 

○神田委員 私も川上委員がおっしゃったことと同じことを非常に疑問に思って、お聞きしようと思いました。

 

 3成分をこの配合用量で服用して安定している人、その人に切り替えられるというところに意義があるという説明があるわけですが、薬の量や種類というのは、安定したらずっと使い続けるのではなくて、もしかしたら量を減らしたり、種類も変えたりということが治療上あるとすれば、こういった配合したものについては却って使い勝手がよくないのではないか、小回りの利くような使い方のほうが、患者の症状や変化に合わせて増減できるような手立てにしておくのが適した治療ではないかと思うわけです。そこのところが私も聞きたかったのですが、今、お答えを聞きました。

 

 それと併せて、ほかの配合剤のところでは、アドヒアランスの改善が期待できるということがはっきりおっしゃられていたと思うのですが、今回の場合、先ほどから17ページということで使って説明してくださっておりますが、ここによると「申請者が主張するアドヒアランス改善への期待に関しては配合意義として十分ではない」というような判断をしているようなのです。そうしますと、その側面からもどうしても必要だとは思えない気もいたしました。

 

 それから、ずっと使い続けられるものであれば無駄もないと思いますが、こういったお薬というのは1回の処方で一定分量を出されます。そうしますと、変わった場合には使えなくなるということで、無駄も出てきます。先ほどのお薬のときも申し上げましたが、とても出される量が増えてきているような気がするのです。そういった中で、特に長期に同じ薬を使い続けるような病気の場合には、一旦無駄になるとたくさん無駄になるという可能性も含んでいるのではないか。そのように考えますと、やはり小回りが利くような形であったほうがいい気がします。

 

○杉委員 実際の臨床医の感覚からすると両方ともあるのです。慢性期に使うということと、変えていきながら使っていく、又は今の先生のように慢性期から少し外しながら使っていくというところで、両方ともあって迷うことがあります。

 

 ただし、だんだん増やしていくとき、ミコンビでしょうか、2剤合剤でやっていて効かないというとき、たいてい拡張期の血圧が高いときが多いのです。そこで利尿剤のあるものを入れますと、スッと下がります。そうしていくと、どんどん薬の種類が増えていってしまうということもあって、1剤で大丈夫だといってできるというメリットがあるので、その人のアドヒアランスはよくなるのだろうと。実際の臨床の現場ではそのように考えています。

 

 ただ、この場の議論として、どの程度の頻度でということになると、私はそれは非常に難しくて判断のしようがない。慢性期もあるし、変化するところもあると思いますので、私としては、なければいけないというものではないのですが、あっていいなという感じを受けております。

 

○松井部会長 もう一つ私から聞きたいのは、学会のバックアップはどうなのですか。

 

○機構 特段の要望書が出ているとか、そういう状況ではございませんが、杉先生がおっしゃったように、先生方によって好まれる先生と、単剤の方がよいだろうという、両方の意見がございますので、そこは先生の御判断と患者さんの安定した状況というところで御選択いただくのかなと考えております。

 

○松井部会長 ほかにこの点について御意見のある方はいらっしゃいますか。

 

○鈴木委員 臨床上は必要な方もいるでしょうし、そうではない人もいると思うのですが、診療報酬上からいうと、薬は特に高齢者の場合は少しでも減らしましょうということになっていますので、2剤減ると入院も外来も加算が付くのです。3剤を飲んでいた人が1剤にすると、それだけで加算が付きますから、そういう使われ方はするかもしれませんね。

 

○松木部会長代理 これは機構が答えることというよりは厚生労働省の考えになると思うのですが、薬剤費が高いということで、薬価の切下げをガンガンやっているときに、配合剤を新しく認めて、相当するジェネリックがないのでということで、また少し薬価を下げたとしても、結局全体の医療費は高くなるわけです。

 

 合剤で、メーカーが本当に臨床のニーズに合わせようとして一生懸命開発したかというと、将来にメリットがあるから、利益があるからやるわけで、その利益がどの程度かというところを勘案して、ジェネリックを足し合わせたものよりも薬価が高くならないのであったら、私はいいと思います。その辺はどうですか。

 

○審査管理課長 薬価の御質問につきましては、私ども厚生労働省のほうで答えるべきなのかもしれませんが、今の段階で先生の御指摘に的確に答えるのは難しいだろうと思います。

 

 今の薬価上のルールからすれば、単剤を足し合わせた薬価よりは8割に切り下げられるというルールになっておりますので、現在は少なくともテルミサルタンについては、まだ後発品が出ていないかと思いますので薬価は下がるといえますが、後発品が出た後と比較するというのは今の段階では難しいと思います。

 

 そういうところですので、本剤の位置付けとしましては、機構から御説明させていただいたように、少なくとも3剤併用の需要はある程度はあるだろうということで、それを置き換えていくということが基本だろうと思いますが、その際に、今後のことは分かりませんが、少なくとも先発品を3剤使っているよりは薬価上は若干安くなるというところかと思います。

 

○鈴木委員 今、中医協では、有効だが非常に高額な薬が出ているので、薬事・食品衛生審議会の段階でもリスクとベネフィットだけではなくてコストの話もしてほしいという意見もあります。そういう意味では、是非そうした意見があったことを強く伝えていただきたいと思います。配合剤にして、新薬として薬価を維持することは許されないとして、引下げを強く求める意見があったこと、さらに現状が掛けであればもっと下げるべきという意見があったことを、是非伝えていただきたいと思います。

 

○松井部会長 お伝えすることは大事だと思いますが、今、私どもがしなければならないことは、配合剤を認めるかどうかです。その根拠として、四つの原則を立てたわけで、その原則に従ってここでは決定するというのが筋ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 

 そういうことからすると、今日の機構からの御報告は、この4条件、特に配合意義に科学的合理性が認められるとは私は思えないのですが、いかがでしょうか。課長、どのように采配したらいいでしょうか。今日のところは継続審議にするか、あるいはほかのいい手があれば提案をしてほしいのですが。

 

○機構 今回、私たちは審査の過程で、4.の「その他配合意義に科学的合理性が認められるもの」というところで審査しておりまして、その根拠としては先ほど御説明させていただいている2剤で効果不十分例に対して、1剤の上乗せで統計学的な有意差が出ているというところと、あとは学会のガイドライン等で、この3種の薬理作用を有する薬剤の併用が推奨されるというところで、科学的な合理性は認められているのかなと思います。

 

 あとは臨床でどう使われるかというところの御議論と認識しております。

 

○松井部会長 それは配合の比率まで、合理性が認められているという御意見ですか。

 

○機構 はい。

 

○松井部会長 いかがでしょうか。私が突出した意見を言ってしまったのかもしれません。是非、委員の先生方から御意見を伺いたいと思います。こうなると松木先生の意見を伺わなければいけないのですかね。

 

○松木部会長代理 この3剤が最初なので、ここで効果があったから単純にオーケーですというのは、なかなか認め難いところがあると思うのです。厚生労働省などにもう少しデータはないのでしょうか。

 

 つまり薬の開発だけではなくて、これから将来的なことを考えていくと、無駄な処方を減らすというような必要性もあるので、今あるデータはこれだけしかしようがないというのではなくて、先ほどの薬価のこともありますが、厚生労働省としてはどのような医療を目指すか、そうするとこの配合の意義というのも非常に見えてくると思うのです。そういうことに関しての答えを頂かないと。四つ挙げたうちの「その他」に入っているようなところに意義があるというというのではなくて、もし科学的合理性があるなら1...のほうの理由がきてもいいのではないかと思います。

 

 ついでに言ってしまいますと、1....と四つ挙げられている根拠のうちの2.の「副作用の軽減又は相乗効果があるもの」の相乗効果ですが、これはA+B以上の効果が期待できるというものです。そのようなことは今までに1回も試験はされていないので、これを臨床的にやるというのは不可能に近いのではないかと思います。だから、この表現はあってもほとんど意味のないところだと思います。

 

○松井部会長 そのほかに御意見はいかがでしょうか。

 

○平安委員 観点が違うかもしれないのですが、こういった3剤を飲んでいる高血圧の患者さんに、どのような特性があるかというのが分からないと、足せばいいという理屈は確かになかなか通らないのですが、例えば高齢者の方が三つの種類の薬を飲むというのは非常に大変なことだと思います。しかも、高血圧が維持できないと様々なほかの疾患が起こりやすい、例えば認知症なども進行しやすいといったことがあります。そういった方に3剤服用している人が多いということであれば、1剤にする合理性とか、あるいは介護の現場でも3剤準備するよりは一つでいいとか、そういった利便性が高くなるので、いろいろな合併症も防げるということもありますから、そういった根拠があれば3剤配合を認める非常に大きな理由になるのではないかと思うのです。しかし、その辺もないと、何でもかんでも自社製品を三つ足せば便利だというような、会社側の理屈のように聞こえてしまうところがあるので、その辺りを是非教えていただけると認めやすいかなと思いました。

 

○審査管理課長 今までの御意見を拝聴しておりますと、もう少し何らかの処方実態についての、どこまでできるかというのは分かりませんが、一度引き取らせていただきまして、可能な範囲でそういう実態についての調査を行ってみることも考えなければいけないのかなとお聞きいたしましたが、いかがでございましょうか。

 

○松井部会長 いかがでしょうか。委員の先生方、この議題につきましては継続審議ということにするのが、到底今日は全会一致とはいかないように思いますので、継続審議ということでよろしいでしょうか。

 

○鈴木委員 いいと思いますけれども、高齢者については薬を減らすという意味では、種類を減らせない場合に配合剤は一つの選択肢になっているのです。ですから、その辺をもう少し理論的に裏付けていただければ、次回の議論の参考になると思います。

 

○審査管理課長 ありがとうございます。データベースはどのようなものを扱えるかとか、また申請者にも聞いてみたいと思いますけれども、今、頂いたような御意見につきまして検討させていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○松井部会長 よろしくお願いいたします。

 

○内藤委員 確認ですが、4.番の科学的合理性の範囲についてです。先ほどの機構の方の説明だと、2剤よりも3剤のほうが効果が高かったということで科学的合理性があるという説明だと理解したのですが、本委員会としてはそれだけでは科学的合理性があるとは認められないという理解でよろしいでしょうか。つまり、松木先生が最初におっしゃっていたように、A+BよりもA+B+Cのほうが効果が高いから、だから科学的合理性があると結論付けてしまうと、何でも合理性があるという事になってしまうという御意見だったと思うのですが、そこのところの考え方、科学的合理性があると認めるものの考え方について確認させていただきたいと思います。

 

○松木部会長代理 例えば先ほど杉先生がおっしゃったような、ARBとカルシウム拮抗薬を足していっても拡張期圧が下がらないような患者はチアジド系を使うと非常に効果があるというものは、やはり科学的な根拠だと思うのですが、そういうものをもう少しデータなどで示せれば分かりやすいと思います。

 

○松井部会長 難しいことだと思いますが、私もそう思います。この配合比率が一番リーズナブルなのだというところ、あるいは大方の患者さんに当てはまるのだということを示していただきたいと私は思いました。よろしいでしょうか。それではこの議題を終了して報告事項に移ります。お願いします。

 

○事務局 報告議題は三つあります。まず、報告議題1は、医薬品ワンクリノン膣用ゲルの製造販売承認についてです。資料7を御覧ください。本剤は、プロゲステロンを有効成分とする膣内投与用のゲル剤です。不妊治療の過程で調節卵巣刺激を施行される患者では、黄体機能が低下するため黄体補充が必要となります。プロゲステロンの経膣製剤は生殖補助医療を受ける患者にとって、黄体補充、並びに妊娠の成立及び維持を目的に投与されています。今般、体外受精-胚移植を施行する日本人女性を対象とした本剤の臨床成績を基に、メルクセローノ株式会社より製造販売承認申請がなされました。

 

 機構における審査の結果、本剤を「生殖補助医療における黄体補充」の効能・効果で承認して差し支えないと判断いたしました。

 

 続きまして、議題2の医薬品セルセプトカプセル250等の一変申請についてです。資料8を御覧ください。本剤はミコフェノール酸モフェチルを有効成分とする製剤で、現在は、腎移植等の効能・効果で承認されております。本剤については、未承認薬・適応外薬検討会議において、ループス腎炎に対する公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成27年7月31日に開催された本部会における事前評価を踏まえまして、申請者から、ループス腎炎の効能・効果を追加する事前申請がなされたものです。機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。

 

 続いて、議題3は医療用医薬品の再審査結果です。資料9を御覧ください。今回の再審査は、一般的名称はパロキセチン塩酸塩水和物、販売名はパキシルです。こちらの品目については、製造販売後の特定使用成績調査等に基づき再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果や用法・用量の承認事項について変更のないカテゴリー1と判断したものです。以上です。

 

○松井部会長 何か御質疑はございませんか。よろしいでしょうか。それでは、報告事項については委員の先生方の御確認を頂いたものといたします。

 

 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告があればお願いいたします。

 

○事務局 次回の部会は5月27()の午後4時から開催させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○松井部会長 本日はこれで終了といたします。御苦労様でした。

 

 

(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 清原(内線2746)

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