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2016年9月30日 厚生科学審議会 疾病対策部会 指定難病検討委員会(第17回) 議事録

○日時

平成28年9月30日(金)15:00~



○場所

田中田村町ビル新橋8E(8階)


○議事

○徳本難病対策課長補佐 ただいまから、「平成28年度第17回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会」を開催いたします。委員の皆様におかれましてはお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日の出席状況について、報告いたします。千葉委員、直江委員より、御欠席の連絡を頂いております。カメラの撮影は、ここまでとさせていただきます。傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いします。ここからは、水澤委員長に議事をお願いいたします。

○水澤委員長 早速始めます。資料の御確認をよろしくお願いいたします。

○徳本難病対策課長補佐 資料の確認です。資料1-1、第16回指定難病検討委員会での指摘事項があった疾病(一覧)です。資料1-2、第16回指定難病検討委員会での指摘事項の整理です。資料1-3、第16回指定難病検討委員会での指摘事項があった疾病(個票)です。資料2-1、第17回指定難病検討委員会において検討する疾病(一覧)です。資料2-2、新規の指定難病として追加を検討する疾病(個票)です。資料2-3、既存の指定難病等に含まれるものとして検討する疾病(個票)です。資料2-4、既存の指定難病等の診断基準の修正案(個票)です。資料3、現時点で指定難病の要件を満たしていないと考えられる疾病一覧()です。資料4、今後の予定()です。参考資料1、指定難病(平成29年度実施分)として指定難病検討委員会で検討を行う疾病(一覧表)です。参考資料2、指定難病の要件についてです。資料の欠落等がありましたら、事務局までお申し付けください。よろしいですか。

○水澤委員長 よろしいでしょうか。ありがとうございました。今日の議題の順に資料12が準備されております。最初に、議題1といたしまして、今、御説明のありました資料1に関わることですが、第16回委員会で指摘された事項についての確認をします。この7疾病でしょうか、よろしくお願いいたします。

○福井難病対策課長補佐 資料1-1に、第16回委員会での指摘事項があった7疾病を記載しております。また、資料1-2に、第16回委員会での指摘事項を整理させていただきました。各疾病の個票は、資料1-3を御覧ください。修正部分を赤字で明記しております。

1ページの先天性三尖弁狭窄症についてです。「対象を診断基準で重症例に絞っているが、重症度分類で整理すべき事項ではないか」という御意見を頂きましたので、研究班に先天性三尖弁狭窄症の診断を絞る記述となっている3ページの診断基準のAC2の記載を削除していただきました。また、重症度は、NYHAII度以上ということで変更はありません。本修正の前後で対象とする患者は、「ほぼ変化がない」との意見を頂いております。また、「診断基準は、症状を加味した構成とすべきではないか」という御意見を頂きましたので、研究班に診断に必須な症状14を追記していただきました。また、1ページの症状欄に記載のある「『チアノーゼ性腎症』という用語の使用について確認すべきではないか」という御意見も頂きましたが、日本循環器学会の成人先天性心疾患診療ガイドラインにも記載がある用語ですので、そのまま使用させていただければと考えております。

4ページの「エックス線」と表記されていたものを、他疾病との整合性から「X」への修正も行っております。

6ページ、先天性僧帽弁狭窄症です。本症でも同様に「対象を診断基準で重症例に絞っているが、重症度分類で整理すべき事項ではないか」、また、「診断基準は、症状を加味した構成とすべきではないか」という御意見を頂きましたので、研究班に先天性僧帽弁狭窄症の診断を絞る記述となっている8ページの診断基準から、弁口面積や圧較差等の記載を削除していただきました。また、重症度は、NYHAII度以上ということで変更はありません。本修正の前後で対象とする患者は、「ほぼ変化がない」との意見を頂いております。また、診断に必須な症状を追記していただいております。

11ページ、左肺動脈右肺動脈起始症です。本症でも、「診断基準は、症状を加味した構成とすべきではないか」という御意見を頂きましたので、研究班には13ページの診断基準のAとして、診断に必須な症状を追記していただきました。また、左肺動脈右肺動脈起始症の診断を重症例に絞る検査項目は、削除いただきました。重症度は、NYHAII度以上ということで変更はありません。本修正の前後で対象とする患者は、「ほぼ変化がないと」との意見も頂いております。

16ページ、非ケトーシス型高グリシン血症です。19ページの新生児型、また、20ページの乳児型の「診断のカテゴリーのProbableにも、Definiteと同様に症状を加味した構成とすべきではないか」という御意見を頂きましたので、研究班にそのように修正いただいております。

23ページ、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症です。25ページの鑑別診断で、「AADC欠損症と類似の症状を認めるGLUT 1欠損症を鑑別診断に入れるべきではないか」という御意見を頂きましたので、研究班にそのように修正いただいております。

28ページ、前眼部形成異常です。「概要の予後部分の『米国基準』の記載を、より分かりやすい記載に修正すべきではないか」という御意見を頂きましたので、研究班にそのように修正いただいております。また、30ページ、「診断基準では、症状を加味した構成とすべきではないか」という御意見を頂きましたので、研究班に診断に必須な症状を追記していただきました。さらに、31ページからの重症度分類において、「様々な眼外合併症を評価できる重症度分類とすべきではないか」という御意見を頂きましたので、研究班に眼科的な重症度に加えてmodified Rankin Scaleも併用した重症度分類に修正いただきました。

 最後に33ページ、無虹彩症です。本症でも「診断基準は、症状を加味した構成とすべきではないか」という御意見を頂きましたので、研究班に症状を診断に必須なものとしていただきました。また、37ページからの重症度分類において、「様々な眼外合併症を評価できる重症度分類にすべきではないか」という御意見を頂きましたので、前眼部形成異常と同様に研究班に眼科的な重症度に加えてmodified Rankin Scaleも併用した重症度分類に修正いただいております。また、36ページの注10の「『弧発例』の誤字を『孤発例』に修正すべきではないか」という御意見も頂いておりましたので、そのように修正いただいております。以上です。

○水澤委員長 ありがとうございました。前回の委員会で御指摘いただいた点を御修正いただいたということで、この7疾患についていかがでしょうか。

○大澤委員 前眼部形成異常についてですが、30ページの下のほうで、診断のカテゴリーで、DefinitePossibleが挙がっております。これはProbableがなくて、DefinitePossibleですか。

○福井難病対策課長補佐 これは研究班に確認したのですが、研究班の意図もこうであって、診断基準はDefiniteのみを対象とするということでしたが、ほかとの整合性の問題もありますので、確認させていただきます。

○大澤委員 次のものについては、DefinitePossibleProbablePossible3つ挙がっているのですが、これだけDefinitePossibleになっています。

○水澤委員長 内容的にはDefiniteだけが対象になりますので影響はないのですが、ほかとの整合性上、再確認はしていただくということでよろしいですか。

○福井難病対策課長補佐 はい。

○錦織委員 確認ですが、質問は、2ページで先天性三尖弁狭窄症の患者数ですが、今回、最初の案ではこういう重症型だけに限る重症例を指すということで定義をして、患者数が500人となっていたのですが、その定義は変えて、患者数は変わらないということでよろしいでしょうか。そこの確認です。もう1つ、次の疾患も同様です。そこをお願いします。

○福井難病対策課長補佐 最近、研究班に確認したところでは、重症例を絞らないこの疾病としての患者数はこの500名であって、重症度を満たす方はこれより少ないのだという御回答を頂いておりますので、ここから修正する必要はないものと考えております。研究班にもう一度確認をさせていただきます。

○錦織委員 分かりました。ありがとうございます。

○水澤委員長 もともとの重症度も加味したものが、これだったということですね。ほかにはどうでしょうか。全体として委員会で御指摘いただいたことを、それぞれ含めて修正いただいていると思います。体裁もかなり整ってきたかと思いますので、よろしいのではないかと思いますが、何かありますか。では、よろしいですか。

 議題1はよろしいのではないかということですので、次に、今回の議題2に移りたいと思いますが、よろしいですか。今回の検討対象の疾病ということで、前回の委員会で御議論いただきまして、指定難病の要件を満たすと思われる疾患が8疾病でしょうか。それから、既存の指定難病に含まれるのではないかというのが4疾病ぐらいあったと思いますが、それについての御説明を頂きたいと思いますので、事務局、よろしくお願いいたします。

○福井難病対策課長補佐 資料2-1が今回新たに検討する疾病の一覧です。新規の指定難病として追加を検討する疾病の個票は、資料2-2を御覧ください。

1ページのカナバン病です。アスパルトアシラーゼの欠損により、中枢神経系に大量に存在するアミノ酸の一種であるN-アセチルアスパラギン酸の蓄積を特徴とする、中枢神経系障害を呈する白質変性症の1つです。多くは、乳児期早期に精神運動発達遅滞、筋緊張低下、大頭症、痙性、運動失調が出現します。その後、けいれんや視神経萎縮などを認め、退行し睡眠障害、栄養障害も認める疾患です。現時点では根治療法はなく、けいれんに対しては抗てんかん薬の投与が行われますが、難治例が多く、また、痙性麻痺に対しては抗痙縮薬が用いられるなど、長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項は、全て満たすものと考えております。

 診断基準は3ページです。症状、遺伝学的検査を含む検査所見を組み合わせて診断を行い、Definite若しくはProbableとされたものを対象としてはどうかと考えております。4ページ、重症度分類ですが、先天性代謝異常症の重症度分類を用いて、中等症以上を対象としてはどうかと考えております。

6ページ、進行性白質脳症です。当初、皮質下嚢胞を持つ大頭型白質脳症、白質消失病、卵巣機能障害を伴う進行性白質脳症と3つの異なる疾病として研究班から情報を頂いておりましたが、「類縁疾病であることから、進行性白質脳症として統合することが適当であろう」という御意見を頂きました。進行性白質脳症は、一定年齢までは正常に発達するにもかかわらず、後に進行性に大脳白質障害を来し、徐々に退行します。大脳白質障害が軽度頭部外傷や感染症による高熱などを契機に階段上に悪化し、てんかんや認知機能の低下、四肢麻痺症状などを来すことから、日常生活能力の低下が徐々に顕著となります。てんかんに対しては、発作型に応じて各種抗てんかん薬投与を行います。また、小脳症状としての振戦に対しても、薬物療法が必要です。さらに、呼吸管理、長期栄養管理を要する場合もあるなど、長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えております。

 診断基準は8ページからです。いずれの疾病でも、症状と遺伝学的検査を含む検査所見を組み合わせて診断を行い、鑑別診断を除外してDefinite若しくはProbableとされたものを対象としてはどうかと考えております。10ページ、重症度分類ですが、modified Rankin Scale、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上を対象としてはどうかと考えております。

12ページ、先天異常症候群です。先天異常(malformation)症候群は、先天的に複数の器官系統に先天異常がある疾患の総称であり、単一部位に先天異常がある疾患と区別されます。障害される解剖学的部位の組合せにより、数十から数百の疾患に分類されます。14ページにありますように、そのうちここでは➀の微細欠失症候群等症候群に分類される1q部分重複症候群(これは当初は1q重複症候群として情報を頂いておりましたが、疾病名の修正要望が研究班よりありました。)及び9q34欠失症候群、また、➁の著しい成長障害とその他の先天異常を主徴とする症候群に分類されます、コルネリア デ ランゲ症候群、スミス・レムリ・オピッツ症候群の計4疾病を統合して先天異常症候群としてまとめていただきました。参考事項にありますように、これまでに指定されている指定難病のうちで、この先天異常症候群に分類される疾患があります。

 疾患の概要は、20ページからになります。1q部分重複症候群は、知的障害、特徴的顔貌、骨格筋異常を特徴として、1番染色体長腕上の遺伝子が3コピー存在することにより、種々の症状を発症します。

21ページ、9q34欠失症候群は、9q34領域の微細欠失により、同領域に存在するEHMT1遺伝子を含む遺伝子のハプロ不全により発症し、精神発達遅滞、内臓奇形を伴う症候群です。共に成人期以降も生涯にわたり呼吸器疾患の対象療法、難治性てんかんや先天性心疾患に対する薬物療法、外科的治療が必要になるなど、長期の療養が必要です。したがって、要件の判定に必要な事項は、全て満たすものと考えております。これらの診断基準は、14ページになります。症状と遺伝学的検査を組み合わせて診断を行い、Definiteとされたものを対象としてはどうかと考えております。

22ページ、コルネリア デ ランゲ症候群の概要を御覧ください。特徴的な顔貌、出生前からの成長障害等を主徴とし、知的障害、先天性心疾患、先天性腎疾患等の様々な症状を呈し、成人期以降も先天性心疾患や難治性てんかんに対する治療が必要な場合があるなど、長期の療養が必要であり、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えております。

23ページ、スミス・レムリ・オピッツ症候群です。コレステロール合成の最終段階である7デヒドロコレステロール還元酵素をコードするDHCR7遺伝子の変異によってコレステロール産生が低下することにより発症し、成長障害、小頭症、知的障害等が見られます。摂食障害に伴う長期栄養管理や、生涯にわたり先天性心疾患や難治性てんかんに対する治療が必要となるなど、長期の療養が必要であり、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えております。これらの診断基準は、15ページになります。症状と遺伝学的検査を組み合わせて診断を行い、Definite若しくはProbableとされたものを対象としてはどうかと考えております。

17ページの重症度分類を御覧ください。様々な症状を評価できるようmodified Rankin Scale、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上、日本神経学会のてんかんの分類、NYHAII度以上、CKDヒートマップの赤の部分のいずれかを満たす場合を対象としてはどうかと考えております。

24ページ、爪膝蓋骨症候群(ネイルパテラ症候群)/LMX1B関連腎症です。当初、「/」は「及び」として情報を頂いておりましたが、他疾病との整合性から研究班に「/」に修正いただいております。爪膝蓋骨症候群(ネイルパテラ症候群)は、爪形成不全、膝蓋骨の低形成あるいは無形成、腸骨の角状突起、肘関節の異形成を4主徴とする遺伝性疾患です。しばしば腎症を発症し、一部は末期腎不全に進行します。原因は、LMX1B遺伝子変異とされています。一方、爪、膝蓋骨、腸骨などの変化を伴わず、腎症だけを呈する例にもLMX1B遺伝子変異を原因とする例が存在し、LMX1B関連腎症と呼ばれます。いずれの疾病でも、生命予後を規定する腎症予防のため、アンギオテンシン変換酵素阻害薬やアンギオテンシンII受容体拮抗薬等による治療を要するなど、長期の療養が必要な疾患であり、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えております。

26ページは、ネイルパテラ症候群の診断基準です。症状と遺伝学的検査を組み合わせて診断を行い、鑑別診断を除外して、Definiteとされたものを対象としてはどうかと考えております。

27ページは、LMX1B関連腎症の診断基準です。腎疾患では自覚症状が現れにくいため、血尿、蛋白尿等の検査所見に加えて、遺伝学的検査や病理学的所見を組み合わせて診断を行い、鑑別診断を除外してDefiniteとされたものを対象としてはどうかと考えております。

28ページ、重症度分類ですが、CKDヒートマップの赤の部分、あるいは、腎機能によらず、尿蛋白クレアニチン比が0.5g/gCr以上を対象としてはどうかと考えております。

29ページ、先天性気管狭窄症です。気管軟骨の形成異常のために生じる疾患と考えられています。生後12か月頃から喘鳴、チアノーゼ発作などの呼吸症状が認められます。軽症例では、去痰剤、気管支拡張剤、抗菌薬の投与、重症例には、種々の気管形成術が行われます。しかし、成人期以降も気道感染を繰り返し、形成部の肉芽形成や瘢痕形成による狭窄が進行する症例も少なくなく、周囲の血管圧迫により瘻孔を形成して大出血に至る例もあるなど、長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項は、全て満たすものと考えております。診断基準は31ページです。症状、検査所見、鑑別診断を組み合わせて、Definiteとされたものを対象としてはどうかと考えております。

32ページ、重症度分類ですが、modified Rankin Scaleあるいは呼吸の評価スケールを用いて、いずれかが3以上を対象としてはどうかと考えております。

34ページ、特発性血栓症(遺伝性血栓性素因による)です。当初は、それぞれ別の研究班から、新生児・小児遺伝性血栓症と成人に関する特発性血栓症(先天性血栓性素因による)という2疾病について、情報提供を頂いておりましたが、両研究班が連携して小児から成人までをカバーした基準としていただきました。本症は、血液凝固制御因子のプロテインC、プロテインS、及びアンチトロンビンの先天的欠乏により病的血栓傾向となり、若年性に重篤な血栓症を発症する疾患群です。血栓症急性期には、重症度に応じて抗凝固療法、血栓溶解療法、血栓吸引などを行い、慢性期には、再発予防として長期に抗凝固薬を内服するなど、長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項は、全て満たすものと考えております。

 診断基準は36ページです。症状、遺伝学的検査を含む検査所見、及び遺伝性を示唆する所見を組み合わせて診断を行い、鑑別診断を除外してDefinite若しくはProbableとされたものを対象としてはどうかと考えております。

38ページ、重症度分類ですが、Barthel Index 85点以下若しくは直近6か月以内に抗凝固療法や補充療法により、治療中であるにもかかわらず再発した場合には、Barthel Indexによらず対照としてはどうかと考えております。

 最後に40ページ、遺伝性自己炎症性疾患です。自然免疫系に関わる遺伝子異常を原因とし、生涯にわたり持続する炎症を特徴とする疾患群です。ここでは、既に指定難病に指定されているものを除いたNLRC4異常症、ADA2欠損症、エカルディ-グティエール症候群の3疾病を対象としております。症状は、発熱、発疹、関節痛、腸炎、凝固障害、神経学的異常等、疾病により多岐にわたりますが、いずれの疾病も生涯にわたり炎症が持続するため、高齢になるほど臓器障害が進行して重症となります。現時点で確立された治療法はありませんが、IL-1βやIL-18の過剰産生が推定されているNLRC4異常症では抗IL-1製剤。ADA2欠損症に対しては抗TNF療法や骨髄移植。エカルディ-グティエール症候群では脳症やてんかん等に対する対症療法が必要であるなど、長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項は、全て満たすものと考えております。

 診断基準は42ページです。症状、遺伝学的検査を含む検査所見を組み合わせて診断を行い、鑑別診断を除外してDefinite若しくはProbableとされたものを対象としてはどうかと考えております。44ページ、重症度分類ですが、Barthel Index85点以下を対象としてはどうかと考えております。以上です。

○水澤委員長 ありがとうございました。細かい所を言うと13疾患ですかね。それを8疾患としてまとめていただいたと思いますが、いかがでしょうか。宮坂先生、どうぞ。

○宮坂委員 3ページですが、下3分の1ぐらいの所に※でカナバン病型とありますが、これは診断基準になくてもいい項目だと思います。そもそもこの※がどこに付いているかも分からないですから、これは要らないのではないですか。

○福井難病対策課長補佐 ありがとうございます。研究班に確認しておきます。

○水澤委員長 そうですよね。カナバン病の所にカナバン病型と書いてあって何かちょっと不思議な感じがしますので、概要のほうですかね。確認をよろしくお願いします。ほかはいかがでしょうか。

○飯野委員 先天異常症候群と自己炎症性症候群ですが、両方とも既に指定難病になっているのが幾つかあると記載してあって、実際にそうだったと思いますけれども、それとの例えば診断基準とか重症度分類、その整合性がきちっと取れているかどうかということをもう一度確認する必要があるのではないかと思います。

○水澤委員長 事務局、いかがでしょうか。その点は大丈夫でしょうか。恐らく大きくずれていることはないと思いますけれども、チェックはしたほうがいいかもしれません。

○福井難病対策課長補佐 ここで使っている重症度基準が、既存の指定難病の中でも使われている基準ではありますが、全ての疾病で共通なものを使っているというわけではないと思いますので、今後の課題として。

○宮坂委員 全ての疾病であって、既に認められているもので使っているのと、これとが同じでないといけない。

○福井難病対策課長補佐 これらの基準は既に使っているものだと思います。

○飯野委員 既に使っているものを前は使ってやっているというので、これを同じように重症度分類をBarthel Indexを使うと、そういうふうなこと。

○水澤委員長 具体的に言いますと、14ページの所に参考事項として「これまで指定されている指定難病のうちで、先天異常症候群に分類される疾患がある」と書いてあるので、そういう疾患と、ここでの基準とが合うかどうかという御質問だと思います。詳細はチェックしないと分からないと思います。

○徳本難病対策課長補佐 その点は少しお時間を頂きまして、今の別の質問なりをしていただいている間にチェックさせていただきます。幾つか既存のもので該当するものがあると思いますのでチェックさせていただきます。ただ、先ほど福井から説明させていただいたように、既存のものを使っていますので大きくずれることはないと思います。改めて分かりましたら御報告させていただきます。

○水澤委員長 よろしくお願いいたします。大澤先生、どうぞ。

○大澤委員 全体としてまとめていただいて、よかったと思っているのですが、具体的に申請を行う都道府県レベルの状況になったときに、例えば進行性白質脳症の中にこれらの疾患が含まれているところが明確になって、都道府県レベルに下りて行くということを、是非、確認していただきたい。後で出てくる小児交互性片麻痺や遺伝性ジストニアの関係の所などもそうですが、細かい疾患名が埋もれてしまうと困るというところが一番の懸念です。

○水澤委員長 事務局、よろしいでしょうか。当然ですね。

○福井難病対策課長補佐 研究班と学会を通じて指定医への普及も進めてまいりますし、都道府県への周知も行っていきたいと思っています。

○大澤委員 医師側が申請しようと思ったときに、都道府県の側で細かい病名が消えてしまうということがあり得ると困るということです。

○水澤委員長 平家先生、どうぞ。

○平家委員 ネイルパテラ症候群の診断基準、26ページですが、項目としてABCDがあって、最後の診断のカテゴリーの所、今までの疾患では全てABCDがどこかに文言として入っているような立て付けになったと思います。今回、参考項目というのは特殊な項目の付け方なので、ABCDを付けるのか。さっき言った※みたいな形で違うものとして一番最後に付けておくのか。今後の整合性のことを考えたときに少し整理されたらどうかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

○福井難病対策課長補佐 既存のものにはこういう構成のものもあるのですが、最近、作らせていただいたものはこういう形ではなくて、例えば鑑別診断がCにあって参考項目はDにあるべきだと思いますので、研究班とまた調整させていただきたいと思います。

○水澤委員長 そうですね。ほかでもいろいろありましたけれども、この診断基準等の書き方の統一性、フォーマットの統一性ということになろうかと思います。先ほどは※であったかと思いますけれども、そういう参考事項をどのような形で記載していくかということで、既にあるものについても今後、またよく見ていくことは必要なのかなと思います。ありがとうございました。錦織先生、どうぞ。

○錦織委員 15ページで、先天異常症候群の中の、著しい成長障害とその他の先天異常を主徴とするスミス・レムリ・オピッツ症候群です。上のコルネリア デ ランゲ症候群には成長障害というのが主症状に入っているのですが、スミス・レムリ・オピッツのほうには大症状の中にそれは入っていません。実際、成長障害というのはそれほど頻度の高い症状には挙がっていないようですが、このまとめ方がこれでよろしいかどうかの御確認をしていただきたいと思います。

 もう1つは、先天性異常という小児でよく扱うような疾患に共通して言えることかと思いますが、何度か議論になりましたように、小児で出ている症状と成長に引きずったときの症状が、果たしてこれでカバーできるかどうかということが少し気になったので、そこの御確認もお願いしたいのと、コメントですが、そういうことも加味してBの小症状の所に、光線過敏症(photosensitivity)というのを入れてもいいのではないかと思います。レビューとかを見ますと、大体、54%ぐらいに光線過敏症が出ていて、紫外線のA波に対する光線過敏を来す疾患はこれが唯一となっているので、比較的診断の1つのツールとして入れてもいいのではないかという気がします。

 それから、1つ質問で小児科の先生にお伺いしたいことですが、診断のカテゴリーとしてProbableの所で、A3項目+Bのうち1つ以上というので四肢の骨格異常、小頭症、眼瞼下垂を3つとも備えていて、口蓋裂あるいは46,XYというのですと、この疾患である蓋然性はかなり高いと考えていいですか。

○水澤委員長 15ページから16ページにかけての所です。たくさんおっしゃったのですが、最後の質問を先にやりましょうか。スミス・レムリ・オピッツ症候群の記載の中で、16ページの後ろの所にProbableがあります。A3項目+Bのうち1つ以上となっていますけれども、これでいいかということですね。

○錦織委員 はい。Probableなのだろうか。ちょっとあり得るのかなと。こういうの先天異常とかだと。

○水澤委員長 厳しすぎるのか緩すぎるのか、どっちかという。

○錦織委員 緩すぎるというか、違う疾患を拾ってくるということはないのか。遺伝子を調べていたりとか、バイオマーカーの7-dehydrocholesteroldehydrogenaseですか、

それを調べるとか、7-dehydrocholesterolの上昇というのはかなり特異的かと思いますが、子供に出てくる幾つかの奇形というのを組み合わせて、これでProbableと言えるかというところが、この対象がDefiniteだけだったらいいですけれども、DefiniteProbableを対象とするとなっているので、そこを確認できればということです。

○水澤委員長 平家先生、それから大澤先生にコメントをお願いいたします。

○平家委員 先生の御指摘は、2番目のスミス・レムリ・オピッツ症候群ですね。確かにBの口唇口蓋裂でA3つということになってくると、大澤先生、どうですか。これで診断名をここまで確定できるかというと、ちょっと研究班の先生にもう一度再確認していただきたい。

○水澤委員長 参考ですが、この先天異常の所は➀➁と大きく2つに分かれていて、今、➁のほうの著しい成長障害のほうですけれども、➀の微細欠失症候群のほうはDefiniteだけなのです。➁のほうは、なぜかProbableが出てきているかという点もあるのですが、それを踏まえて大澤先生、いかがでしょうか。これでよろしいかどうか。ちょっと緩すぎるのではないかという御趣旨のようです。

○錦織委員 ほかのが含まれてしまわないかということ。

○水澤委員長 第2趾と第3趾の合趾症というのは、割と多いものなのですか。

○錦織委員 あり得ると思います。

○水澤委員長 小頭症と眼瞼下垂は結構あると思います。

○錦織委員 そうです。骨格筋異常というのも、割といろいろな先天症で伴っていることが多いのです。

○平家委員 第2趾と第3趾の合趾症は、確かに特異は特異だと思います。

○錦織委員 そうですか。

○平家委員 小頭症とか眼瞼下垂とか口唇口蓋裂みたいに、ポピュラーな異常症ではないと思います。

○水澤委員長 これは、ここだけで決められないと思います。何かありますか。聞くしかないと思います。

○福井難病対策課長補佐 この➀と➁という分類は、一般的に使われている教科書の分類に沿っているというコメントを頂いていて。

○水澤委員長 そこはいいのです。

○福井難病対策課長補佐 診断の特異性に関しても、スミス・レムリ・オピッツに関して十分な特異性があるということは研究班から確認したのですが、もう一度、この委員会の議論を踏まえて御相談させていただきたいと思います。

○水澤委員長 そうですね。特にProbableについては、スミス・レムリ・オピッツのほうでおっしゃったと思います。1番のコルネリアは大丈夫ですかね。そんな印象はないということで、そこをお聞きいただくとよいでしょう。一番最初に戻りますと、成長障害というのは➁の言葉にも入っていますが、スミス・レムリ・オピッツには入っていないということが最初の御質問だったと思いますけれども、それは大丈夫かということです。

○福井難病対策課長補佐 分類名にあるのに診断項目に入っていないのは、診断基準に入れるべきかもう一度確認させていただきます。

○水澤委員長 ほかの3つは確かにみんな入っているのです。成長障害というのが主症状に入っているので、確かにそうかなという気もちょっといたします。それは御確認ください。ご質問の2番目は何でしたか。

○錦織委員 光線過敏を入れてはどうかというコメントです。半数以上の症例であるので。

○水澤委員長 どの疾患ですか。

○錦織委員 スミス・レムリ・オピッツです。

○水澤委員長 スミス・レムリ・オピッツに光線過敏。

○福井難病対策課長補佐 後ろの概要にも全くコメントがないので、研究班にそのことをお尋ねしてみます。あと小児と成人の症状をカバーしているかという御意見もあったと思いますが、研究班の中で、小児の担当の先生と成人の担当の先生が連携していただいてという話もあると思いますし、今後の課題だと思っています。

○水澤委員長 ありがとうございました。それでは、スミス・レムリ・オピッツについて幾つかの御質問があったところを御確認お願いいたします。

○徳本難病対策課長補佐 事務局から確認です。今のスミス・レムリ・オピッツに関しては、Probableの診断基準の特異性について御議論いただいたと。プラス、光線過敏症を入れるべきかどうかの御意見を頂いたと理解していますが、そもそもこの疾病自身を指定難病に入れることに関しては、それはアグリーいただいたという認識でよくて、診断基準に関して疑義があるということでよろしいですか。

○水澤委員長 はい。

○徳本難病対策課長補佐 ありがとうございます。先ほど御質問いただいた先天異常症候群に関して、今、含まれている306の中でどれが先天異常症候群に分類されるかを、ここで子細に把握することは困難な部分がありますが、例えば197番の1p36欠失症候群、198番の4p欠失症候群、199番の5p欠失症候群などを見ますと、おおむねmodified Rankin Scaleなどを使っているということで、重症度分類としてずれているものはないというところです。

 もう1つ御議論いただいている遺伝性自己炎症性疾患についてですが、こちらは疾病名として個票のほうに書いてあるものを見たところ、今回、提示したBarthel Indexではなく、個々の疾病の症状に応じた重症度分類という形になっていますので、そういった意味では最近の我々の指定の流れとすると、今、Barthel Indexを使っているほうが妥当なのではないかと思われます。ただ、皆様方からこの4回の議論の中で頂いている御意見の中で、もう少し疾病間の並びをよくするという課題はありますので、それは今後、また皆様方から御意見を賜りながら見ていきたいと思います。先ほどから申し上げているように、今の段階で把握できるものはそういった状況ですので、改めてもう一度確認をして、今、御説明した内容からずれるものがあれば改めて先生方に御報告申し上げたいと思います。

○水澤委員長 ありがとうございました。幾つか御意見を頂きましたけれども、そのほかはいかがでしょうか。まだ名前の挙がっていないものもあったような気もいたしますが、よろしいでしょうか。

○錦織委員 特発性血栓症の36ページになるのですが、診断基準の所のAの症状で、2.の小児期からと成人からというのが書かれていますけれども、成人に関しては「成人女性では、習慣流産を来す場合もある」という文言だけしかなくて、実際には成人では脳出血とか脳梗塞とかも起こります。下肢の血栓性静脈炎とか、それから始まった難治性潰瘍などが実際上は結構多いので、習慣性流産だけでなく、対象を指定難病ということは成人を対象としているかと思うので、記載を詳しく成人を対象としていただいてもいいのかなという気がいたしました。

 それの関連で、重症度分類というのもBarthel Indexを使うことは、もちろん脳血栓とかできた後ということでそういうことは妥当だと思いますが、そのほかの症状が出たところのカバーはあまりできていないかなという気がするので、そこを御確認いただければと思いました。

○福井難病対策課長補佐 ありがとうございます。成人の症状の追記については研究班と御相談させていただきたいと思います。重症度分類は、当初はBarthel Index85点以下のみだったのですが、後遺症が出てしまった方だけでなく治療が必要な方も含められるように、直近6か月以内の治療中の再発も加えていただいたのですけれども、これで十分かどうかも御相談させていただきたいと思います。

○錦織委員 ということは、そういう疾患の確定診断ができて、こういう治療中の人であれば特にBarthel Indexでなくて、他の症状であっても治療は可能とする。対象とできるという意味合いですね。ありがとうございます。それで結構です。

○水澤委員長 私のコメントで、今の36ページの書きぶりについてです。症状の2.の小児期・成人となっていて、小児期と成人に対応するものとして、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症、脳静脈洞血栓症、上腸間膜静脈血栓症など)、動脈血栓症(脳梗塞など)となっていて、プラスアルファで、小児期では脳出血・梗塞で発症する場合が多い。成人女性では習慣流産を来す場合もある、という意味だと思います。それをもう少し分かりやすくしてもらえばと思います。

 ほかにはどうでしょうか。よろしいでしょうか。大体、対象疾患名はみんな出てきたと思いますが、自己免疫性、遺伝性、炎症性疾患というところもありましたね。そうしますと、ほぼ全体についてもカバーしていただいたかなと思いますので、資料2-2にある疾患についてはお認めいただいたと。細かい所は御確認いただくということでよろしいかと思います。次、お願いできますか。次は2-3でしょうか。お願いします。

○福井難病対策課長補佐 次に、既存の指定難病等に含まれるものとして検討する疾病につき御説明させていただきます。初めに資料2-31ページ、小児交互性片麻痺についてです。乳児期から幼児期初めまでに発症する左右不定の一過性麻痺症状を繰り返し、知的障害と運動障害を伴う疾患です。研究班によると、2012年に小児交互性片麻痺の原因遺伝子がATP1A3であることが同定されましたが、この遺伝子は資料2-41ページ、指定難病120番、遺伝性ジストニアの一病型である、DYT12ジストニアの原因遺伝子と共通であることから、DYT12と小児交互性片麻痺は一連の疾患スペクトラム、臨床亜型であると考えられるようになってきています。

 それを反映した形で研究班及び学会から、資料2-412ページのように診断基準の修正案を頂いています。修正前、DYT12ジストニアとしては、診断指針の1にあります急性発症ジストニア・パーキンソニズム(RDP)のみが記載されていました。診断指針のRDPの部分は当初の記載どおりですので黒字で記載すべきものです。訂正させていただきます。

 このRDPは、発症年齢が1445歳とされているように、乳児期から幼児期までに発症する本症が含まれるものではありませんでしたが、今回、このRDPに加えて、(2)として小児交互性片麻痺(AHC)、及び、(3)として小脳失調症深部反射消失凹足視神経萎縮感覚神経障害性聴覚障害(CAPOS)が含められ、計3病型となっています。この修正をお認めいただければ、小児交互性片麻痺が遺伝性ジストニアに含まれることになると考えています。

 また、資料2-43ページにあります遺伝性ジストニアの診断基準で、確定診断のための要件が曖昧な部分の修正など、遺伝性ジストニア全体を通して基準の明確化のための修正を研究班に進めていただいているところでもあります。

 続きまして、資料2-33ページ、11p13欠失症候群についてです。当初はWAGR症候群として情報を頂いていましたが、研究班から疾病名の変更の要望がありました。11番染色体短腕p13領域の微細染色体欠失により、先ほど御検討いただいた疾病である無紅彩症、さらに腎尿路系奇形、精神発達遅滞などの症状を来す疾患です。思春期以降、腎機能障害を生じるリスクが高く、半数弱は将来的に透析治療を要するなど長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えています。

 資料2-35ページ、診断のカテゴリーを御覧いただきますと、症状1の無紅彩症を認めることが診断に必須の要件ですので、資料2-451ページ、無紅彩症の鑑別診断6から本症を削除し、また、E.の遺伝的診断の1に「11p13領域の欠失」を加えることで、本症が無紅彩症に含まれることになると考えています。本症と無紅彩症、それぞれの研究班からも御了承をいただいています。

 さらに、その統合に伴って、資料2-453ページからの重症度分類に眼科的基準及びmodified Rankin Scale(mRS)に加えて、腎障害の評価基準であるCKDヒートマップを加えて赤の部分も対象としてはどうかと考えています。

 最後に、資料2-39ページ、後天性血友病A(自己免疫性第VIII/8因子欠乏症)、これは当初は後天性血友病Aとして情報提供いただいていましたが、括弧内の自己免疫性第VIII/8因子欠乏症を併記して明確化すべきとして、変更の要望を研究班からいただきました。及び資料2-314ページ、自己免疫性von Willebrand病についてです。これらは自己免疫性に凝固因子が欠乏し、自然にあるいは軽い打撲などでさえ重い出血を起こす疾病です。後天性血友病A(自己免疫性第VIII/8因子欠乏症)では第VIII/8因子の欠乏、自己免疫性von Willebrand病ではvon Willebrand因子が欠乏します。類縁疾病である第×III因子が欠乏する自己免疫性出血病×IIIは、資料2-463ページのように既に288番の指定難病に指定されています。研究班に意見を伺ったところ、類縁疾病としてこれらを統合整理すべきという御意見を頂きました。そこで資料2-463ページにありますように、288番の疾病名を自己免疫性後天性凝固因子欠乏症と変更し、これら3疾病を、この288番の中に含める形で基準を統合する案を作成していただきました。

 それぞれの凝固因子に対する自己抗体が出血の原因であるので、対症療法として副腎皮質ステロイド薬やサイクロフォスファミドなどの免疫抑制薬、また、急性期には止血療法や補充療法を要するなど長期の療養が必要な疾患です。したがって、要件の判定に必要な事項は全て満たすものと考えています。

 診断基準は67ページからです。×III因子欠乏症では症状と検査所見の組み合わせ、また、第VIII/8因子欠乏症とvon Willebrand因子欠乏症では、症状、遺伝学的検査を含む検査所見を組み合わせて診断を行い、鑑別診断を除外してDefinite、若しくはProbableとされたものを対象としてはどうかと考えています。

73ページ、重症度分類ですが、自己免疫性出血病×IIIと共通の重症度分類を使用し、過去1年に重症出血のいずれか1回以上起こした例を重症例とし、対象としてはどうかと考えています。以上です。

○水澤委員長 ありがとうございました。それぞれ3疾患でしょうか。既存の指定難病のほうに統合するという御説明がなされました。遺伝性ジストニア、無紅彩症、自己免疫性後天性凝固因子欠乏症ということになろうかと思います。いかがでしょうか。

○大澤委員 大澤です。この小児交互性片麻痺を遺伝性ジストニアの中に入れていただけて、そして認めていただけるということは大変すばらしいことだと思います。全体として、ほかにも11p13欠失症候群や後天性血友病、自己免疫von Willebrand病、それらについても大変よろしいと私自身は考えます。

○水澤委員長 ありがとうございます。ほかにはどうでしょうか。和田先生、どうぞ。

○和田委員 自己免疫性後天性凝固因子欠乏症をまとめたところで、71ページ、von Willebrand因子欠乏症の所です。診断基準のBの所を見ますと、DefiniteProbableともB(8)番、あるいはProbableですとB(6)番、(7)番を満たしと書いてあります。これは(1)番から(11)番までありますが、(6)番、(7)番、(8)番以外は診断基準に入っていないのではないかと思います。したがって、もしこれを書くのであれば概要か何かに書いておけばいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○福井難病対策課長補佐 やや診断基準が冗長な印象がありますので、まとめていただくように御相談させていただきたいと思います。

○水澤委員長 ありがとうございました。ほかにはどうでしょうか。両方の資料を見ながら議論しないといけないのでなかなか忙しいですが、今回、この3つでしたけれども、今後、だんだんと遺伝子が分かってきて、昔、違った病気だと思っていたのが、1つの病気だったりするということはどんどん出てくると思いますので、これからもこういった形での整理が必要になってくるのではないかと思われます。今回、これはそういう良い例だったのではないかと思います。よろしいでしょうか。大体、皆さん、御納得いただいたのではないかと思います。そうしましたら、資料2につきましてもこの疾患をお認めいただいたということで、ありがとうございます。資料3の説明をお願いできますか。

○徳本難病対策課長補佐 資料3「現時点で指定難病の要件を満たしていないと考えられる疾病一覧()」について御説明します。資料3の説明の前に、まず参考資料2「指定難病の要件」について改めて確認したいと思います。

 「難病の定義」です。難病については、患者数等による限定で行わず、他の施策体系が樹立されていない疾病を幅広く対象とし、調査研究・患者支援を推進するという考えの下で、「発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない、希少な疾病であって、長期の療養を必要とするもの」として、我々難病法の下に取組を進めているところです。

 その中で、これまで御議論を頂いた指定難病については、医療費助成の対象とするものとして、良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いものとして、難病の要件に2つ、患者数が本邦において一定の人数に達しないこと、客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること、との要件を付しているところです。

3ページ、冒頭御説明しました「他の施策体系が樹立していない」ことについて、御説明します。➀難病の要件に含まれている基本的な考え方は、他の施策体系が樹立していない疾病を広く対象とするものとしています。➁「他の施策体系が樹立している疾病」とは、厚生労働省において、難病法以外の法律等を基に調査研究等の施策が講じられている疾病で、がんや精神疾患、感染症、アレルギー疾患などがこれに当たり、難病法にいう難病として想定していません。

7ページ、「長期の療養を必要とする」ことについてです。以下のように整理しています。➀疾病に起因する症状が長期にわたって継続する場合であって、基本的には、発症してから治癒することなく生涯にわたり症状が持続又は潜在する場合を該当するものとします。➁ある一定の期間のみ症状が出現し、その期間が終了した後は症状が出現しないもの(急性疾患等)は該当しないものとします。➂症状が総じて療養を必要としない程度にとどまり、生活面への支障が生じない疾病については、該当しないものとしています。

10ページ、「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」ことについてです。以下のように整理する。➀血液等の検体検査、画像検査、遺伝子解析検査、生理学的検査、病理検査等の結果とともに、視診、聴診、打診、触診等の理学的所見も客観的な指標とする。➁一定の基準とは、以下に該当するものとする。関連学会等(国際的な専門家の会合を含む)による承認を受けた基準や、既に国際的に使用されている基準等、専門家間で一定の合意が得られているもの。2つ目、iには該当しないものの、専門家の間で一定の共通認識があり、客観的な指標により診断されることが明らかなもので、iの合意を得ることを目指しているなど、iに相当すると認められるものです。

 この考えに沿ってこれまで御議論いただいてきたところですが、資料3に戻ります。今回の平成29年度実施分として検討をいただいた222の中で、資料3で言いますと、「発病の機構が明らかでない」との要件を満たしていないと考えられる疾病。これに関しては、他の施策体系が樹立している疾病を含みます。また、提出資料から十分な情報が得られていないものも含みます。ここに挙げているように、A-1A-40が該当するものと考えています。

 続いて、「治療法が確立していない」との要件を満たしていないと考えられる疾病。提出資料から十分な情報を得られていないものも含みます。B-1が該当すると考えます。

 続いて、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと考えられる疾病。提出資料から十分な情報を得られないものも含むということで、C-1C-67が該当するものと考えられます。

 続いて、「患者数が本邦において一定の人数に達しない」との要件を満たしていないと考えられる疾病。提出資料から十分な情報が得られないものも含みます。D-1D-8が該当するものと考えられます。

 続いて、「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」との要件を満たしていないと考えられる疾病。提出資料から十分な情報が得られないものも含まれます。E-1E-68が該当するものと思われます。説明は以上です。

○水澤委員長 ありがとうございました。まだかなり多くのものが、部分的には積み残しでしょうし、部分的には除外されるものとなるのだろうと思いますが、検討中のものも含めてリストを挙げていただいたことになります。これについて、何か御意見とか御質問とかありますでしょうか。

○錦織委員 今、ここに個票が挙がっていないのでどのぐらいの情報が出ているのかは分からないのですが、パッと見た感じでも、限局性強皮症とか、それからエルドハイムチェスター病とか、かなりいろいろな臓器にわたる場合とか、限局性強皮症も、小児に生じる線状型の場合は、約2割に出ています、小児の6070

○水澤委員長 先生、もう少し番号とかを言っていただけますか、A-1とかB-2とか言っていただいたほうが。

○錦織委員 はい。そうしますと、1つはエルドハイム・チェスター病です、E-9です。

○宮坂委員 何番ですか。

○錦織委員 E-9です。

○水澤委員長 9ですね。エルドハイム・チェスター病でいいですか。

○錦織委員 はい。それはノンランゲルハンスセルヒスチオサイトーシスで、骨とか脳とか肺とか、様々な臓器に生じて、がんではないのですが、腫瘍性の性格もあるのです。生じる部位によっては、非常に部位特異的なbone pain、骨痛であるとかが出ますし、まだ患者数も比較的少なくて治療法も開発されていないので、入れてもいいのかと思ったりとかします。

○水澤委員長 多分、基準とかそういったものの提出が不十分なのでしょうか。

○錦織委員 提出されていないです。

○水澤委員長 こちらに多分あると思うのですが、まだ少ないのかもしれません。

○錦織委員 個票がありましたか。

○福井難病対策課長補佐 エルドハイム・チェスターに関しては、今年度から研究班が立ち上がりまして、今、診断基準を作成中という状況です。

○錦織委員 そうですか。

○水澤委員長 検討中ですね。

○錦織委員 分かりました。

○水澤委員長 この疾患は今、研究班が検討中ということの御説明がありました。

○錦織委員 そうしましたら、C-28の限局性強皮症ですが。

○水澤委員長 C-28

○錦織委員 恐らく、成人で言う汎発型のモルフィアの比較的軽度のものというのは、それほど対象にはならないと思うのですが、小児から思春期にかけて生じる関節などにかかる、線状の強皮症というのは非常に難治性のものが結構含まれていて。

○宮坂委員 そこをきちんと切り取って出してもらわないと、全体を含められてしまうと長期の療養が必要でないものが入ってしまうので。

○錦織委員 そうすると、線状強皮症という出し方とか、それか、限局性強皮症の中でも重症度というところでそれを上げるような形というのは、やはり難しいですか。

○宮坂委員 いや、それは無理ではないですかね。

○錦織委員 その疾患そのものがやはり難治性ということ。非常に、そうすると、比較的治りやすいタイプの、今まで出てきたものの中に、比較的治癒をするものとしないものとがありますね。その中でも重症のもの、非常に重症のものというのは難治性であるからということで認めてきた。そういう概念でいくと、限局性強皮症の中の約23割の方というのはかなり重症度が高いと考えると。

○宮坂委員 いや、ですけど先生、提出された資料が不十分でしたらもうこれどうしようもないのです。

○錦織委員 それは提出。

○宮坂委員 ですから、研究班が不十分な資料を提出してきたからそれは悪いわけであって、ですから先生のおっしゃる意味も分かるのですが、幅広に入りすぎてしまうと困るわけです。

○錦織委員 そうですね。

○宮坂委員 ですから、そこをきちんとして資料を出してくれれば評価の対象になる。ですから、資料がなければ、土俵に上がれないわけです、上がっても落ちてしまうわけです。

○錦織委員 そうですね。そうすると、研究班からの資料というのをもう少し研究班に聞いていただくとかはできないのですか。

○宮坂委員 いやいや、出ているのですよね。

○錦織委員 かなり重症な症例もあって、小児慢性特定疾患とかに入っていればいいのですが、結局、余り小児科の先生も御覧にならなくて、皮膚科に来られてて、成人の先生も恐らく御覧になっていなくて、一番重症の患者さんは、手とか四肢に出て、線状強皮症という形になりますと、骨とか筋肉の萎縮もきますし、成長障害もきたりとか、いろいろなシステミックな全身治療をしても治りにくいというところが、結構浮き上がってきていないのだと思うのです。

○宮坂委員 それは強皮症の研究班の問題でしょう。

○錦織委員 そうですね。研究班のほうに、ではちょっと申し入れると言うか、聞いていただいてもいいですか。

○水澤委員長 事務局が1つだと思うのですが、先生のほうからでもいいと思います。

○錦織委員 分かりました。

○水澤委員長 どんどん注文をつけていただいたほうが早く済むと思いますので。

○錦織委員 分かりました。そうしたら、研究班のほうに、この実態を表しているような書き振りではないということで、少し実態がよく分かるように書いてもらう。ありがとうございました。

○徳本難病対策課長補佐 補足です。今、個票に関しては配布資料にありませんが、お手元のこのドッチファイルの679ページを御覧ください。今、診断基準がこういった状況でして、錦織委員から頂いた重篤具合とか研究の進み具合というのは、こちら側には伝わらなかったという状況でして、今一度御確認を頂ければと思っています。

○錦織委員 分かりました。では研究班にちょっとフィードバックします。ありがとうございました。

○宮坂委員 679を見たら、これは絶対アウトですよ。

○錦織委員 いや、私もそう思ったのです。ちょっとこれだとなかなか分からないと思って。でも、私が言わないときっと分かっていただけない違うスペクトルも見てる可能性があるので。ありがとうございます。

○水澤委員長 あと、今の御議論で錦織先生、我々がこの議論をしてきて思っていることの1つは、いろいろな疾患、例えばそういう自己免疫性疾患等についても、どの病気にもすごい重篤例はあるわけです。難治性の方がおられます。そういう方々が多いという、一定限度の数を超えているということも割と考慮には入れてきたのではないかと思っていますので、そういうことが分かるように多分書いていただけるといいのではないのでしょうか。

○錦織委員 分かりました。ではそのように伝えます。ありがとうございます。

○水澤委員長 ありがとうございます。大変貴重な御意見だったと思います。ほかにはどうでしょうか。腫瘍であるとか感染症であるとか、たくさんそういったところがありますし、今のような問題もあります。現時点でのこのような整理についてはよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、この資料3についてもお認めいただいたということですので、これで御議論のほうは一応よろしいでしょうか。

 そうすると、次は今後の予定でしょうか。事務局からお願いします。

○徳本難病対策課長補佐 これまで積極的な御意見、御討論ありがとうございました。それでは、今後の予定について資料4を用いて御説明します。今後の予定()です。平成28930日、本日ですが、第17回指定難病検討委員会において、平成29年度実施分の指定難病に関する一定の整理がなされたものと理解しています。宿題は幾つか頂いていますが、一定整理いただいたものと理解しています。10月上旬よりパブリックコメントを頂きまして、その結果をおまとめし、11月上旬頃、またこれは日程調整をさせていただくことになるかと思いますが、第18回指定難病検討委員会の場でその内容等を御説明させていただく形になります。この場で疾病対策部会に対する平成29年度実施分の指定難病に関する意見聴取案を取りまとめたいと考えています。11月中旬頃に、平成28年度第1回疾病対策部会、こちらで平成29年度実施分の指定難病に関する意見聴取を行いまして、平成294月に、こちらも予定となっていますが、平成29年度実施分指定難病に関する医療費助成を開始したいと考えています。情報収集の状況により、適宜指定難病検討委員会で今後も検討を実施すると考えているところです。以上です。

○水澤委員長 ありがとうございました。今後の予定に関する案ですが、何か御要望なり、あるいは御意見ありますでしょうか。大体これでいくと、平成29年度から実施できるということになるかと思います。では、特にないようですので、よろしいでしょうか。予定を頂きましたので、本日の議事はこれでよろしいでしょうか。最後に、健康局長、今日お出でですので、一言お願いを申し上げます。

○福島健康局長 指定難病の追加の検討につきましては、今年の3月から始めていただきまして、半年間で222の疾病について御議論いただいたわけです。委員の先生方には、本当に精力的に御議論いただきまして誠にありがとうございました。今後の予定につきましては、先ほど資料4の所で御説明をさせていただきましたが、御検討いただきました結果に基づきまして、追加すべきということになったものについて今後パブコメにかけて、更に疾病対策部会での御意見を頂いた上で、私どもとしては、これは予算との関係がありますが、平成29年度からはこの医療費助成の対象にしていきたいと考えているところです。また、今後とも、難病研究班から得られる情報を含めて、指定難病の検討に必要な要件等について情報収集を行って、来年度以降も必要に応じてこの委員会で追加の疾病についての御議論をお願いできればと考えているところです。改めまして、先生方のこれまでの御議論に対しまして、心から感謝を申し上げまして、取りあえずこの17回の一応の追加検討の整理ができたということで、御礼の御挨拶にさせていただきたいと思います。誠にありがとうございました。

○水澤委員長 どうもありがとうございました。それでは以上で、今日の会議を終了したいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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