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2016年11月16日 2016年11月16日 第25回保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録

保険局医療介護連携政策課データヘルス・医療費適正化対策推進室

○日時

平成28年11月16日(水)16:30~18:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室
東京都千代田区霞が関1-2-1 中央合同庁舎5号館18階


○議題

1.特定健診の実施率の向上策
2.特定保健指導の運用等の見直しの論点整理

○議事

○多田羅座長 それでは、定刻になりましたので、第25回「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催します。

 本日は、4時半から6時まで1時間半ということで、いつもの会よりも少し時間が限られておりますので、よろしく御協力のほどお願いいたします。

 それではまず、本日の委員の出欠状況について事務局から確認をお願いします。

○高木室長 委員の皆様の出欠状況でございます。

 本日は、伊奈川委員、岡崎委員、久野委員、細江委員、吉田委員より欠席の御連絡をいただいております。また、伊奈川委員の代理で六路参考人、吉田委員の代理で三輪参考人に出席いただいております。なお、飯山委員からは15分程度おくれるという御連絡をいただいております。

 続きまして、資料の確認でございます。資料1「特定健診の実施率の向上策、第3期における特定保健指導の運用等の見直しの論点整理」、資料2「定期健康診断等の見直し案を受けた対応」、参考資料1「特定保健指導に係る見直しについて(白川委員提出資料)」、参考資料2「セルフメディケーション税制創設に伴う証明の発行について」です。

 過不足等がありましたら、お申し出ください。以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 それでは、議事に入らせていただきます。

 議題1「特定健診の実施率の向上策」について事務局から説明をお願いします。

○高木室長 資料1でございます。特定健診の実施率の向上策について御説明申し上げます。

 2ページ目に、特定健診の意義と実施率向上の必要性について整理しています。特定健診につきましては、糖尿病など保健指導により発症や重症化を予防する、こうした評価できるものをターゲットにしており、保険者の継続的なデータ把握や国の大規模データの活用等により、国全体での受診者の状態の把握や保健指導の効果の検証が可能になる、保険者にとっても効果的な保健事業を実施するために欠かせない基礎的な事業です。

 施行から8年が経過し、実施率が着実に上がっております。毎年100万人増えておりますが、70%目標の達成に向けて、特に市町村国保、協会けんぽ、健保組合・共済の被扶養者の実施率向上に向けた取り組みが求められているということでございます。

 国保につきまして、未受診の理由として「医師に受診中」「健康だから」「時間の都合」といった理由が挙げられております。

 3ページ目と4ページ目は、これまでの特定健診の実施率の向上策についてです。市町村国保、協会けんぽ等では、特定健診とがん検診の同時実施や、生活習慣病予防健診(協会けんぽ)の推進、かかりつけ医療機関との連携など、受診者の利便性や健診の魅力を高める取り組みを行っています。こういったことによりまして、実施率向上の実績についても一定の成果が上がっているということでございます。

 市町村国保につきましては、受診者の利便性の確保策としてがん検診との同時実施や実施会場の工夫、また、対象者への受診勧奨を個別にもやっていくとか、かかりつけ医の先生方と連携しまして受診勧奨の取り組み、また本人同意の上で、一部でございますが、健診データとして活用するといった取り組みをやっております。

 協会けんぽ、健保組合・共済の被扶養者向けのこれまでの実施率向上策についても、同じように、健診の魅力を向上させる、被扶養者本人への働きかけを強化する、市町村国保と協会けんぽ・被用者保険の連携を強化するといった取り組み、協会けんぽにおいては生活習慣病予防健診の実施により、中小事業所の加入者でも健診を受けられるような取り組みをしていくことで事業所にも働きかける、そうした取り組みを進めております。

 5ページ目、6ページ目は、協会けんぽの生活習慣病予防健診の実施とがん検診との同時実施の内容でございます。協会けんぽでは、生活習慣病予防健診を実施することによって健診の実施率の向上にもつながっております。

 6ページ目の自治体でやっているがん検診との同時実施につきましても、市町村でがん検診を実施している場合には協会けんぽも一緒にやるとか、集団健診をやっている場合には協会も一緒にやる。やっていないところについては、協会独自で集団健診を実施するなどの取り組みにより、被扶養者の実施率も向上しているということでございます。

 7ページ目は、東近江市の取り組みでございます。協会けんぽが市と同じところに健診を委託し、共同で実施する。後日、保険者を問わず同じ会場で健診結果の説明会を行い、特定保健指導の対象者については事前に連絡した上で当日に個別面接も実施するといった取り組みを行っております。

 8ページ目は、こうしたこれまでの取り組みは、実施率の向上策として有効であり、こうした取り組みを一層推進する観点から、その成果をインセンティブで評価していくことが重要です。このため、保険者努力支援制度と後期高齢者支援金の加減算制度において実施率向上の取り組みの成果に応じて評価がなされるよう、評価の指標を設定するとしております。

 市町村国保につきましては、インセンティブの指標の見直しの中で、特定健診・保健指導の実施率の水準だけでなく、前年度からの実施率の向上幅を位置づけることによりまして、水準が高いところだけではなくて、低いところでも頑張ったところは評価される仕組みが考えられます。

 健保組合・共済、協会けんぽのインセンティブについても、同じようにそうした指標を設定する。支援金の加算につきましては、現在、保健指導の実施率が0.1%未満、実態ではゼロでございますが、その保険者が対象になっておりますけれども、実施率が著しく低い保険者にまで加算の対象範囲を広げるといったことを指標の中で見直していくということでございます。

 また、個人インセンティブの取り組みの評価として、保険者努力支援制度と後期高齢者支援金の加減算制度のインセンティブの指標に、予防・健康づくりの個人インセンティブの取り組みを実施していることを位置づける。これによりまして、例えば特定健診の受診者や保健指導の終了者に対して健康ポイントを付与する事業について保険者インセンティブでも評価できるとしております。

 9ページ目は、これまでの保険者インセンティブに関する主な閣議決定でございます。

10ページ目は、各保険者の特定健診・保健指導の実施率の公表について(案)でございます。現在、特定健診・保健指導の実績につきましては、保険者の実施率向上の取り組みを評価する観点から、後期高齢者支援金の減算の対象となっている、実施率が高い保険者名だけを公表しております。特定健診・保健指導は、生活習慣に起因する糖尿病等の発症・重症化の予防により医療費を適正化するため、保険者が共通に取り組む保健事業でございまして、効果的な保健事業に取り組む環境づくりを進め、保険者機能の責任を明確にする観点から、厚生労働省において全保険者の特定健診・保健指導の実施率を公表することとしたいとしております。

 「※3」でございますが、この集計結果につきましては、国で把握しておりますけれども、現在、保険者において報告漏れやシステム上の不備で、一部に、やっているけれども入っていないというような例もございますので、第3期の対応のため、システム改修を29年度中に行いますので、遅くとも30年度の実績から公表するように準備を進める形にしてはどうかということで整理させていただいております。

 実施率の向上につきましては、こういった形でこれまでの取り組みと今後の取り組みについて事務局で整理させていただきました。

 説明は以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 実施率の向上は基本的な課題でございます。この検討会にとっても一番重要な基本の課題かと思います。ただいま基本的な観点について事務局から10ページにわたって資料をもとに御説明いただきました。御意見、御質問、御提案ございますか。

 今村委員。

○今村委員 個人的に自分の医療機関の特定健診等の期間が10月末までとなっておりますが、受診者の行動様式として、ある一定の受診期間が設けられていても本当にちょっとしたことで受けられなくなる方が出てきます。例えば今年の夏は暑いから健診に行かないで10月に受けたいという方が少なからずいて、そういう方が一気に10月末に来ると、結局私の医療機関では受けられない人が多数出てしまったというようなことがありました。健診期間というのは通年で行われることが最も望ましいとは思うのですけれども、いわゆる保健指導の階層化を踏まえて保健指導の実施期間を確保する必要があるということで期間が限定されているようなケースがかなり多いのではないかと思います。その実態がよくわからないのです。例えば誕生月健診というようなことで工夫されているところもありますが、期間の限定ということがどの程度実施率の向上に影響しているのか。私も印象でしか申し上げられないのですが、非常にそこが制限になっているおそれがあるという気がしていますが、厚労省としてその辺をどれぐらい把握されているのか、教えていただきたいと思います。

○多田羅座長 どうですか。事務局、データはありますか。

○高木室長 国に上がってくるデータの項目の中には、実施日は入っておりますけれども、期間によってどれくらい影響しているかというところまでは入っておりませんので、把握ができておりません。ただ、追加の受診の機会をつくるとか、そのほうが望ましいということはそのとおりだと思います。

○今村委員 例えば6カ月の期間がある。そうすると、受診者数は1カ月ごと均等になっていません。受診券を配ると非常に意欲が高くて真っ先に受けに来る人たちが一定程度いて、中間が少なくなり、健診期間が終了する間際に多く来る、大体そういうパターンになるのです。ですから、余りに期間が迫ってくると受診できなくなる人が出るので、例えば早い時期から受診勧奨を保険者がするだけでもかなり違うのではないかと感じています。その辺、データに基づくエビデンスがないため、余りはっきりしたことは申し上げられないのですけれども、我々の経験ではそういうふうに感じているので、その辺のデータがもしあればまたお示しいただければと思っています。

○多田羅座長 津下委員、その辺、経験的に何かありますか。

○津下委員 経験的な話で申しわけないのですけれども、市町村国保の場合、期間が長くいつでもいいという案内をすると後回しにする人が結構いて、最後のほうに駆け込みで来られる方がおられます。ある程度日にちを限定して集団で行う案内をすると予定が決まりやすいので良い反面、都合が悪い人がいて漏れてしまう。ですから、いろんな方法を組み合わせていく必要があると思います。基本は、受ける時期はある程度指定しないといけないかもしれませんが、機会を追加して実施するなどの対応が必要かと思います。受けなかった人にはがきとかで通知を再度すると2回目のプッシュで行動が起きるということがあります。4月に御案内を送っただけでは忘れてしまう人が結構多いので、その辺のリマインドが非常に重要かなと。それに対応する医療機関の体制が必要かと思います。

○今村委員 今、受診券のお話もあったのですけれども、大体、受診券をお送りすると、紛失してします人が少なからずいて、あまり受診勧奨の時期が遅くなると再発行の時間がなくなる可能性もあります。実際に国民の方が受けるときにはそういうことが起こっているということも念頭に置いた上で仕組みをつくる必要があると思っています。

○多田羅座長 そうですね。飯山委員、いかがですか。国保などはそういうのを日ごろかなり経験されているのではないかと思います。

○飯山委員 突然の御指名ですけれども、市町村国保で具体的な対応をどうしているかという詳細まで我々はつかんでいませんので。

○多田羅座長 誕生月健診などやっておられるところは多いですね。

○飯山委員 そういうのもありますし、節目健診とか、いろんな名称をつけて何とか受診してもらえるような動機づけをしようとしてはいます。

○多田羅座長 連合会でまとめて、国保はこうしようというような提案などは全国的に余りやっていないのですか。

○飯山委員 連合会によって取り組み状況はいろいろ違うのですけれども、私の経験からして一番効くのは、いつもかかっている医療機関の先生に「うちの町は今、健診の時期だから、受けに行ったら」というふうに言っていただくことだと思います。

○多田羅座長 医療機関の先生にね。

○飯山委員 はい。ついでにその先生のところで「うちでもできるから」としてくださると一番効果があるのではないかと思います。

○多田羅座長 そうですかね。今村委員、その辺はどうですか。医師会から働きかけてほしい。

○今村委員 医療機関の経営面で考えると、受診勧奨することは自院の経営上のメリットにつながるとも言えるわけです。そういう意味で既にインセンティブがかかっていますので、積極的に勧奨される方が多いのではないかと個人的には思っています。ただし、必ずしもかかりつけ医を持っているとは限りません。

○多田羅座長 それは当たり前と考えて、それ以外の。

○今村委員 もちろん我々としても、飯山委員から御指摘いただいたように、できるだけかかりつけ医機能の中で受診勧奨を行うというのも非常に大事な使命だと思っていますので、それはそれで改めてきちんと進めていきたいと思いますが、かかりつけ医を持っていない方に対しての対応も考える必要があると思います。

○多田羅座長 漏れる人があるのではないかということですね。

 どうぞ。

○飯山委員 そこで、今、今村委員がおっしゃったとおりなのですけれども、特定健診を受けていない、それから、レセプトが上がってきていない、要するに医療機関に行っていらっしゃらない方というのは被保険者名簿から何とか抽出できますので、そういった方に対して、これは国保のほうの行政として重点的に、じゅうたん爆撃ではありませんけれども、そういった方を特別に抽出して勧奨を強めるということが市町村国保にとっては大事だと思います。

○多田羅座長 そういうことですね。

○飯山委員 今みたいな協力関係をぜひ。

○多田羅座長 そういうのをやるように国保の各市町村に対して中央会でも指導されているのですか。

○飯山委員 指導とまではいきませんけれども、こういったことは効果があるということは連合会を通じてお話はしていますが、組織的な取り組みとしてはいま一つかもしれませんので。

○多田羅座長 組織的な取り組みをやっていただきたいような気がしますけどね。

○飯山委員 それは国保連合会と諮りまして、連合会自体も特定健診の実施率を上げなければいけないという意識がありますので、これからまた検討して有効な策をつくっていきたいと思います。

○多田羅座長 ぜひお願いします。

 健康保険組合のほうは、白川委員、その辺の取り組みはいかがですか。

○白川委員 私も実態を把握しているわけではないのですけれども、健診の実施時期につきましては、特定保健指導の支援期間が3カ月とか6カ月ということもあるものですから、10月ぐらいまでにというところが多いと聞いてはおります。平準化させるというのは、お気持ちもよくわかりますし、そうあるべきだとは思いますが、月の指定は、津下委員もおっしゃったとおり、その月行けないと無効かということにもなりかねないものですから、少し工夫が必要だと思います。

 一番いいのは誕生月健診だと思いますけれども、受診券を配っただけでは行かない方が相当数出てくる可能性がありますので、何らかの勧奨措置ということはやっておくべきだと思います。実際に電話や旦那さんにプレッシャーをかけたり、医療費通知の中に、いついつまでに奥様、健診に行ってくれというのを書き込んだり、いろいろな工夫はしています。

○多田羅座長 企業の場合、被扶養者の受診勧奨が一番課題と言われていますね。その辺はいかがですか。

○白川委員 おっしゃるとおりです。受診券は、被扶養者の分だけでございまして、あとは定期健康診断でみんなやります。

○多田羅座長 定期健診がありますからね。それの評価というか、被扶養者の受診率推進というのはそれなりに成果が。

○白川委員 全体で72%ぐらいですから、それなりに頑張っていると思います。

○多田羅座長 その線はいっているわけですね。

○白川委員 少しずつ上がってきておりますし、いま一歩かなという感じだと思っています。

○多田羅座長 わかりました。

 ほかによろしいですか。どうぞ。

○津下委員 資料を見ますと、未受診の理由として医師に受診中というのが4割程度あります。かかりつけ医、医師会の先生は健診のことをよくご存じですけれど、勤務医に対しては周知されていない現状です。例えば何かの病気で病院にかかっていて、そこで血液検査もやっているから、本人としては検査をしているから大丈夫と。ただ、健診として生活習慣の見直しとか保健指導につながるものではないので、勤務医も含めて健診の必要性をもう少し啓発できたらいいと思います。内科系以外でも何か病気にかかっているから、逆に、特定健診くらいの項目ははかっているからいいのではないかみたいなことを言われる先生も、最近はどうかわかりませんけれども、昔はいらっしゃったのではないか。そういう意味では、健康診査の意義を臨床医も含めて御理解いただく形も必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○今村委員 よろしいでしょうか。

○多田羅座長 お願いします。

○今村委員 今、津下委員のおっしゃったことは非常に大事なことだと思いますが、現実的に勤務医の方の一部が医師会の会員になっておられますが、大部分は医師会の会員ではいらっしゃらない。結局、勤務医で日常臨床をやっておられる方からすると、そもそも国の特定健診・保健指導というようなシステムがあるということは、糖尿病学会や生活習慣病にかかわっている先生方だけが御存じで、その他の医師はほとんど知らないのではないでしょうか。したがって、どういう形で勤務医の方に自分の患者さんに特定健診の受診を勧奨してもらえるかというのは相当に工夫が必要です。それは学会レベルでやるのか、あるいは病院団体からやってもらうのか様々な方法はあると思いますが、何らかの手段で啓発してもらわないと難しいと思います。日常臨床の勤務医の非常に忙しい中でそういった配慮ができるのかという問題もあります。

○多田羅座長 勤務医は、それほど知識はないですか。

○今村委員 ほとんどの方がご存じないと思います。

○多田羅座長 ないですか。医師会からひとつ啓発を。

○今村委員 先ほども申し上げたように医師会に所属していない方への周知、啓発が問題なのではないかと思います。そうした情報共有という意味でも、全ての医師が加入するような医師の団体が必要なのだと思います。

○多田羅座長 なるほど、わかりました。

 歯科医師会のほうは、高野委員、その辺どうですか。ちょっと違いますけれども、歯科医の先生の認識はどんなものか。

○高野委員 歯科の歯周病検診等においても、やはり期間があると最後のほうに固まっていて、ほとんど来ないというのが多いです。本当に期限ぎりぎりになった最終月に来るという傾向にあります。

○多田羅座長 なぜそうなるのですか。

○高野委員 きっと後回しなのでしょうね。ああ、そうだ、そんなのがあったと言いながら、期日があるので、駆け込む。

○多田羅座長 歯科医の先生に健診受診のような特定健診・保健指導の啓発を患者さんにやってもらえるようなことはいかがですか。

○高野委員 それは可能かと思います。割と医科よりも若い方が、受診されている方が多いので。

○多田羅座長 そうですね。若い人が多い。

○高野委員 待合室等にそういう掲示をして我々もやっています。

○多田羅座長 それは現に行われていますか。

○高野委員 全部ではないですけれども、一応、案内はやっています。

○多田羅座長 一応そういう方向にはあるのですか。

○高野委員 はい。

○多田羅座長 わかりました。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○伊藤委員 全然違う話でもよろしいでしょうか。

○多田羅座長 はい。

○伊藤委員 2点質問です。

 一つは、8ページの健保組合・共済、協会けんぽのインセンティブの指標の見直しに関して、実施率の向上幅を位置づけるとありまして、その後に実施率の向上とあるので、向上幅というのは向上率というような受けとめでよいのかどうか教えてください。

○多田羅座長 幅は普通、引き算ですね。割り算にするかということですか。

○伊藤委員 はい、これは恐らくこの関係保険者の間で話し合いをしているような類いかなとも思ってはいるのですが、「協会けんぽも、平仄がとられたインセンティブ指標を設定する」というような方向性が書いてあり、私どもも協会けんぽ運営委員会に被保険者代表の立場で参加しており、この点には関心がありまして、都道府県支部単位の保険料率に反映するというような話にもつながるのかもしれないと考えると重要な点だと思っています。今どれぐらい検討が進んでいるのかわかりませんが、考え方を教えていただければと思います。

○多田羅座長 実施率の向上ということですか。

○伊藤委員 幅というのがどういう意味なのかということです。

○多田羅座長 まず、幅というのをどう考えるか、事務局から。

○高木室長 現時点でまだそこは確定的には決めていません。

○多田羅座長 この場合は引き算の感じ。

○高木室長 引き算の場合もありますし、率で頑張った率を見たほうがよりいいという意見もあるかもしれませんし、両方の意見があると思いますので、今そこまで細かくは決めてございませんので。

○多田羅座長 むしろ意見をいただいて、どちらがいいか。

○高木室長 そうした議論の結果についてはまた御報告させていただきます。

○多田羅座長 まだこれからということですか。伊藤委員は何か。

○伊藤委員 現時点で意見があるわけではありません。

○多田羅座長 その辺を明確にしてほしいということですね。

○伊藤委員 明確にしてほしいというよりか、今の時点でそういうことが決まっているのかどうか確認したかったというのが一つです。

 もう一つは、10ページなのですが、全保険者の特定健診・特定保健指導の実施率を公表するということは非常に有意義だと思っております反面、少し気になる点もありまして、その点、考えをお聞かせいただければと思います。厚生労働省のほうでこの実施率を何か施策に活用していくという考えが既におありなのかということです。また、これが公表されることによって、企業別労働組合で、うちは何でこんなに実施率が低いのかということを使用者側に迫るというような、そういう活用もできるという良い面もある反面、いろいろ考えていますと、実施率が自由に民間で使えるということになると、民間保険の引き受けで料率が変わってくるとか、様々活用しようと思う人もいて、それによって、たまたま働いている先の事業所が加入している保険者の実施率が低いために、労働者にとって何か別の形の不利益があったりすると困るとも思いまして、その実施率の公表の活用範囲について特に考えていることがあるのかどうかを教えてください。

○高木室長 10ページ目の「※2」にございますが、特定保健指導による内蔵脂肪の減少等の効果というのは、保険者を異動しても効果の持続が期待されるということで、我々としては、特定健診・保健指導の取り組みは、保険者の皆様が共通で取り組む事業であり、このデータを活用することで、被用者保険から国保に移ったときもそのデータを引き継ぐ形で保健事業を引き続きできる。こういった効果的な保健事業に取り組む環境づくりを進めたい。そこにつきまして、保険者の責任を明確にする観点から、そのデータを公表させていただく。これが公表させていただく趣旨です。

 また、保険者の中では、今、おっしゃっていただいた話とか、同種同業の比較で高いところとか、そういったところのノウハウとか、現場レベルで活用いただくということも当然考えられると思います。

○多田羅座長 そうすると、被保険者はやはり実施率の高い保険者に就職、異動することが期待できる、そういうわけですか。

○高木室長 そこまでは申し上げておりませんが、国民の皆様がそれを見ていただけるという、この事業自体が、保険者がデータも共有して保健事業も引き継いでやっていただける、そうした環境づくりを進めたいということでございます。

○多田羅座長 どうぞ。

○井伊委員 今の公表に関連するのですが、公表についてはできるだけ公表するのがいいのだろうと思いますけれども、質問です。

 資料1の40ページです。市町村国保を見ますと、県が偏っているといいますか、市町村というよりもここに挙げられている県が割方限られているので、相対的に高いといった場合に、相対的というのはどういう基準で85にしているのかということと。

○多田羅座長 相対的、これが微妙なのです。これはちょっとはっきり言いにくいからね。

○井伊委員 それと、県の取り組みということを何か情報収集したり分析をされているのかどうか、伺いたい。

○多田羅座長 括弧して県になっているからね。その辺どうですか。

○高木室長 40ページ目と41ページ目でございます。平成26年度後期高齢者支援金の減算対象保険者は、25年度の実績で、保険者の制度ごとでございますが、その実施率が相対的に高い保険者を並べております。制度別に相対的と申し上げましたのは、制度ごとにミシン目を入れるような形で、標準偏差で相対的に高いところを見ています。国保と総合健保ないし協会けんぽ、健保組合それぞれ実情というか、保健指導を取り組むに当たって、制度上、保険者と事業主との関係で、市町村という単位でやっているとか、異なる部分がございますので、そこを考慮しまして、制度上、分けた上でその中で実施率が高いところを減算の対象という形でピックアップしております。そのため、相対的という言葉を使っておりますけれども、趣旨としては、制度別に高いところを一番上のほうからとっているということでございます。

 次に、県での取り組みでございますけれども、それぞれのところまでつまびらかに把握しているわけではございませんが、保健指導、特定健診の実施率が高くなるように、例えば7ページ目になりますが、東近江市では共同でやるような形によって実施率を高くするという取り組みをやっております。これは、県単位で協会けんぽが協定を結んでいるものがございます。そうした協定を協会けんぽが結ぶに当たって県も仲立ちをする、そうした取り組みもありますので、県によっては実施率向上を市町村国保に働きかけつつ、被用者保険も含めて全体で上がっていくという取り組みをやっているところもございます。

○多田羅座長 減算対象保険者、これが85というのは、基本的に国保だと背景は1,500ぐらいあるわけでしょう。そのうちの85というのは、相対的どころか、絶対的な感じがしますね。相対的というのは、普通もうちょっと平べったい感じです。絶対的でもいいのだけれども、それと、もう一つ御意見があったように県がかなり偏っていますね。そういう指標としても、国のほうでは県の役割も大きいということを若干このデータから見ると示しているのかなという感じもします。1,500ある中の85だから、かなり厳しいところですね。だけど、こういうところがありますと。むしろ、実施率が高いというよりも減算対象の市町村と書いてもらったほうがわかりやすいかもしれない。済みません。県の役割というのもこれで見るとかなりあるという感じがしますね。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○金子委員 お聞きしたいのですけれども、4ページです。協会けんぽさんがかなり市町村と連携してやられているということで、集団健診やがん検診と同時実施ということなのですが、数字を見ても実施率が倍ぐらいになってきています。連携されて、それが全部なのか、あるいは独自の集団健診もやられているということなのですが、連携したことによってどのぐらい効果があったのか、もしわかればお聞きしたい。

 もう一つは、この後、話があるのでしょうけれども、再委託のルールを整備してということで、我々が一番悩んでいるのは被扶養者の受診率がどうしても上がらない。ですから、前から言っていますが、市町村の住民健診といいますか、昔のがん検診とか、そういうことで、今、協会けんぽさんがやられている連携みたいもの、あるいは言葉が悪いのですけれども、丸投げといいますか、被扶養者の方については市町村のほうでできるような何か。

○多田羅座長 やってくれと

○金子委員 ええ、そういう意味も含んだ再委託というようなことかどうか、そのあたりをお伺いしたい。

○高木室長 協会けんぽにおける効果について私から御説明するのがいいかどうかありますが、まず、再委託につきましては、17ページ目です。仕組みにつきましては、滋賀県で取り組まれているものでございます。保健指導につきましては、現在、再委託という形を認めておりません。ですので、市町村が直営でやっているところにつきましては、県が間に入って働きかけを行い、委託を受けられるところについてやっております。その際に、市町と協会けんぽで包括協定の締結などもやっておりまして、これを例えば直営のところだけではなくて再委託もやるとなると受託の拡大が期待できる、県からはこういった話も聞いておりますので、そういったことを認めることによって実施率の向上の効果は認められるものと考えております。

○多田羅座長 それはそうですね。よろしいですか、金子委員。

○金子委員 今、保健指導の話ですけれども、特定健診のほうの再委託というのは。

○多田羅座長 特定健診の再委託。

○金子委員 ちょっと言い方が悪いのでしょうけれども、今、集団で契約していますけれども、そうではなくて市町村のそういったがん検診などとあわせてやってもらうということができるのかどうかということなのですが。

○高木室長 健診につきましては、今、そういう意味では、市町村国保が委託している実施機関とできるように集合契約という仕組みを整備しておりますので、実質的にはそこは確保されていると受けとめておりますけれども、よりやりやすくするということで、例えば、もともと各県に保険者協議会がございまして、そこが集合契約の仲立ちもやっております。その保険者協議会の中には協会けんぽも入っておりますし、そうした協会けんぽ支部のノウハウとか、そういうのも聞きながらやるということで、より現場で市町国保と私学共済も含めた連携ということも確保できるのではないかと思います。保険者協議会にそういう意味でも共済の方々も積極的に関与して、もともと構成員には要綱上は位置づけられておりますので、そうした取り組みというのは可能だと思います。

○多田羅座長 どうぞ。

○今村委員 そういう仕組みはあるのだと思うのですけれども、もともと特定健診が始まったときに被扶養者の受診率が落ちるのではないかという危惧は現場は持っていたわけです。被扶養者の方は、例えば女性の方同士が今まで自治体がやっていた健診なのでみんな一緒に健診機関に来られていたのが、保険者によって分断されてしまって、私は受けられるけれども、私は受けられないというようなことが起こりました。それで今、集合契約のお話があるのだと思いますが、現場の実感からすると、もともと被扶養者で一緒に受けられた方たちの1割も来ていない印象です。だから、仕組みはできていても、現実にそれが利用されていないのだとすれば、何が課題でそういう集合契約が進まないのかということをきちんと検証した上で、それが利用しやすい形を改めてもう一度つくっていただくということが大事なのではないかと思っています。

○多田羅座長 仕組みはあっても利用されない課題がある。

○今村委員 利用しているのは一部ではないかという感触を持っています。今まで受けていた被扶養者の方たちがぱらぱらとしか来ておりませんので。

○多田羅座長 その辺は、事務局、何か認識がありますか。

○高木室長 そこはまさに同じ思いでございます。今、申し上げたような保険者協議会というのは、動いているところ、積極的にやっているところ、そうしたノウハウがまだこれからのところもございますので、そうしたところをきちっと伝えていくのが国側の役目と思っています。

○多田羅座長 本人の認識に対して、保険者がそこのところを動いてもらわないといけないということですかね。

○高木室長 特に私学共済さんのような、全国的なところでありながら、他方で本部が1つというところになると、そこをどうやってきめ細かくやっていくかというところは課題としておっしゃっていることだと思います。どういったやり方がいいのかをよく御相談して、我々としても、こういったところでやっている、協会けんぽでうまくいっているところがあるというような話をお伝えしながらやろうかと思っています。

○多田羅座長 仕組みがあれば受けるとは限らないですから、やはり契約のところはね。

○高木室長 そうなのです。まさに現場でのそうした意識とか、そういうのもあります。

○多田羅座長 つくっていかないといけない。その辺は大事です。

 では、六路参考人。

○六路参考人 受診券を持って集合契約先で健診を受けるという形で20年度スタートしたのですけれども、今村委員からもお話があったとおり、なかなか受診率が伸びず、6ページにありますとおり、行政が集団健診でやっているところと連携して協会も同じ場所で特定健診が受けられる環境を作っています。

○多田羅座長 それは国保でしょう。

○六路参考人 国保が集団健診でやっているところは、以前の老健のときの各地域とか公民館単位で健診をやっていたような同じ環境の中で協会も一緒にできるように調整を図って、集団健診で協会の特定健診も受けるように調整したということです。さらに、特定健診だけではやはり健診内容に魅力がないということで、同じ場所でがん検診も一緒に受けられるような環境を調整して、今、1,480市町村で同時実施できるようになり、15万人が健診を受けているというのが今の実態です。このような環境を各行政と調整しながら各支部で積極的に取り組んでいるというのがこの図です。

○多田羅座長 そうすると、1,092の市町村では協会けんぽの被扶養者も受診可能というか、現実はそうなっているということですね。

○六路参考人 そうです。

○多田羅座長 受診率はどうですか。可能だけれども、受けているかどうかは問題だとおっしゃっていた。

○六路参考人 全体の受診率としては、その上の表にありますように、23年度13.8%が27年度は89万人受けて21%になった、このような実態です。

○多田羅座長 六路参考人は、これでいいと。

○六路参考人 それでもまだ受診率は2割です。協会は年度初めに受診券を配っていますが、1年間有効です。ただ、先ほどお話があったとおり、1年間そのままにしておくのではなくて、再勧奨したり、受けない人の漏れの勧奨をしたり、集団健診を計画して、そのたびに受けていない人に小まめに通知して健診を受けていただくとか、いろいろな場で取り組みをしています。

○多田羅座長 協会けんぽはそういうことをやっておられるのですか。

○六路参考人 やっています。

○多田羅座長 それでも20%。

○六路参考人 まだまだこれから余地はあると思っています。

○多田羅座長 一応、問題意識は持って取り組んでおられるということですね。

○六路参考人 そうです。

○多田羅座長 津下委員、何かありますか。

○津下委員 今までのお話のとおりで、先ほど健診受診率の公表の話がありました。今までは受診率を上げるために保険者が一生懸命あの手この手でやってきたのですけれども、加入者自身の意識をより身近に高めるような作戦が必要です。健診受診率を上げるためだけではなく、その後の対応が大事なのですが、まず入り口のところでかなりエネルギーを使い果たしてしまっているところもあるかと思います。健診を受けて、その後の対策が当たり前になっていくように、公表データをうまく活用して加入者の意識啓発をしていくか、ここも重要と思います。

○多田羅座長 それは誰が活躍すればいいのですか。

○津下委員 やはり保険者がそのことを知ることも大事ですし、それから、市町村とか自治体が住民の健診受診率などを他の保険者に働きかけていくというようなことも必要かもしれません。保険者ができないと考えている理由を整理して一緒に取り組んでいくような働きかけができればと思います。実施率が低いなど、よくないデータのところは何か工夫すれば上げられる余地があるのではないかと思います。公表されたデータから改善策を一緒にやっていくような役割を、県とか。

○多田羅座長 どういう実態というか、体制で取り組めばいいのか、保険者はばらばらだし、それぞれだから。

○津下委員 先ほど県単位で結構ばらつきがあるという話がありました。県単位でいうと国保連合会もあるし、都道府県自体もあります。そこの中にいろんな保険者に加入している住民がいるわけで、そういう実態を知って一緒に対策を組んでいく、より積極的にアプローチしていかなければいけないところと。

○多田羅座長 具体的にどういう体制を目指せばいいかということがこういうところで議論できればいいと思います。大事だということはいいのだけれども。

○津下委員 まず、その地区の実態が。

○多田羅座長 保険者協議会のことですか。

○津下委員 そうですね。保険者協議会の活用は非常に重要だと思います。

○今村委員 よろしいですか。

○多田羅座長 どうぞ。

○今村委員 ぜひ事務局に教えていただきたいのですけれども、保険者協議会の中で県の役割というか、行政はどういう関わりをされているのでしょうか。つまり保険者同士でやってくださいという話なのか、都道府県が主体的にやるのか。昨日、津下委員が座長の重症化予防WGが開催されましたが、結局、重症化予防にあたっての基礎データは特定健診が入り口になっているわけです。したがって、しっかりと受診率を上げない限り重症化予防の効果も出にくいわけですが、重症化予防については都道府県の役割が明記されていて、都道府県がしっかりやらなければいけないという話になっているのです。ところが、特定健診は保険者の仕事だから、都道府県はサブだという話なのでしょうか。

○多田羅座長 さっきの結果を見ると、県によって大分偏りがありますね。

○今村委員 どれを見ても都道府県ごとに差があるのは事実ですから、しっかりと特定健診にかかわる協議を主体的に行うような役割を持ってもらうということも必要なのではないかと思います。保険者協議会の役割を強化するという意味では、都道府県の役割はすごく大きいと思います。

○多田羅座長 その辺、事務局、非常に重要な御指摘だと思いますけれども。

○高木室長 保険者協議会につきましては、もともとの経緯としまして、市町村国保の立場からは、例えば被用者の方が国保に移ってくるときに、健康な状態で来てほしい、いわば市町村国保だけが保健事業をやるのではなくて、もちろん被用者保険もやってはいますけれども、そこは地域において互いに共同できちっと同じ意識を持って保健事業に取り組んでいこう、そういった思いで各県において保険者協議会というのが設置されていった、そういう経緯がございます。

 したがいまして、今も各都道府県は保険者協議会の構成員として要綱上は位置づけられており、実際に地域医療構想に対しての意見の提出とか、そういったもので動いており、県がそういう点でかかわっております。また、今、事務局は国保連に各県ではやっていただいておりますけれども、県と国保連でも連携もしながらやっていく。今村委員がおっしゃったように、そうした保険者協議会の機能の強化は重要なことだと考えております。

○多田羅座長 県の役割として。

○今村委員 昨日もそういう議論の中で、結局、行政の窓口というのが、都道府県の中でもどういう方がそこにかかわるかによって問題意識が全く違ってしまうのです。だから、そういうことをもう少し厚労省として主導的に都道府県に指導していただく必要があると思います。ただ、都道府県にやってくださいと言うと、おりていったときにそれぞれ担当する課の方たちが、ある意味、縦割りになっていてばらばらで、仕組みごとに担当が違うというのが実態だと思いますので、全体像としてこういうことが大事ということを意識していただく必要があるのではないかと思っています。

○多田羅座長 そうですね。この検討会も、これを見ると、全国市長会は岡崎委員がいますけれども、県という形があるのですか。それははまっていないのですね。どこかに入っているのですか。県はどういう立場でここに。

○高木室長 入っておりません。

○多田羅座長 入らなくていいのですか。

○高木室長 そこは考えます。

○多田羅座長 県が大事だという感じは確かにありますね。市町村はもちろんのことなのですが、その辺、白川委員、組合のほうから見るといかがですか。

○白川委員 平成274月に保険者協議会が法定化されて、今まではどちらかというと特定健診を円滑に実施するためにいろいろ協調しようということで、県あるいは医師会も巻き込んで運営されていたのですけれども、地域医療構想や医療計画にも関わっていくことになり、保険者協議会における県の役割も重要になってくると思います。ただ、具体的にどうするかはこれからでございますし、保険者側が県に対して具体的にこういうふうにしてくれと言っていかないと、待っていてもなかなか動かないだろうと思います。

○多田羅座長 やはり言っていかないといけない。

○白川委員 そう思います。県でも、いろんな審議会、検討会が設置されておりますけれども、例えばその委員に保険者協議会から出させてくれとか、そういう形でかかわっていかないといけないというふうに思っています。

○多田羅座長 離れみたいな感じがありますからね。それはやはり抜てきしていくということですね。わかりました。

 時間が少したっているのですけれども、よろしいでしょうか。

○三輪参考人 座長、よろしいですか。

○多田羅座長 どうぞ。

○三輪参考人 ちょっと話が戻るのですけれども、さっき今村委員のほうから受診期間の問題が出てきたと思います。各健保にお聞きしたいのですが、受診期間はいつからいつまでというのは統一されているのでしょうか。健保ごとに違うのでしょうか。

○白川委員 健保組合は全然統一されておりません。そういう指示も出したことはございません。

○三輪参考人 そうすると、国を挙げて受診率を上げようということであれば、ドクターに知識を持ってもらうというのはなかなか難しいと思うのです。開業医の先生、医師会の先生方は自分のところでもやっていらっしゃるから、特定健診はうちでも受診できますみたいなポスターを出していらっしゃると思うのですけれども、病院の専門の先生方が自分の診察の時間に、特定健診を受けましたか。など言ってもらえるとは到底思えないのです。興味も持っていらっしゃらない。ドクター自身の健診受診率が低いというのは皆さん御存じだと思いますが、そういう状況ですから、専門のドクターを頼りにするのは無理だろうと思います。かかりつけの先生とか、かかりつけの歯科医師の先生とかだったら可能性はあると思いますけれども、ドクターの診察のところでそれをやるのもちょっと無理もあるのかなと。健保によって健診期間も違うとなれば、例えば病院の窓口とか調剤薬局で特定健診を受けましたかと言っていただくのはいいと思うのですけれども、その人が入っている健保の保険証があればわかるかもしれませんが、受診期間がばらばらであれば「もう10月ですからそろそろ受けないと間に合いませんよ」と言えないわけですね。だから、そこら辺を統一できれば統一して、調剤薬局とか病院の窓口、そういうところがみんなで協力して国を挙げて受診率を上げるというふうにしないと難しいのではないかと思います。

○多田羅座長 わかりました。それは一つの理想だと思いますけれども、保険者というのは固有の状況がございますので、なかなか国を挙げてというところの課題が残っているのだと思います。

 まだ議論があって、受診率の向上というのは一番重要な課題で、これで終わるべきではないのですけれども、きょうは6時までという時間になっておりますので、申しわけございません。次回もこの議論はあるのですね。

○高木室長 はい。

○多田羅座長 この後、事務局でも検討いただいて、次回またこの問題を御議論いただければと思いますので、本日のところは、意見がまだおありかと思いますが、次の議事に移らせていただきます。

 次は、議題2として「特定保健指導の運用等の見直しの論点整理」について事務局からお願いいたします。

○高木室長 今の資料1の12ページ目でございます。「特定健診・保健指導の実施率の向上、効果的な資源投入等の観点から制度・運用面で解決すべき課題と対応の方向性(論点整理)」でございます。

 制度・運用面の課題につきましては、左に書いているものは前回に出させていただいたものでございます。今回、対応の方向性(案)として整理させていただいております。

 まず、特定健診につきましては、被用者保険と国保との連携や、保険者と医療機関との連携の実施が進むように、保険者間の再委託・共同実施や運用上のルールを整備してはどうかということでございます。

 また、健診結果の効果的な情報提供につきましては、保険者と事業主との連携など保健事業の取り組み、実施率向上の成果、個人インセンティブの取り組みを保険者インセンティブの指標で評価する。先ほど申し上げたような内容でございます。

 特定保健指導でございますが、特定健診の受診当日での特定保健指導の実施が可能な健診・保健指導機関のグループによる集合契約が締結しやすくなるよう、共通のルールを整理する。

 また、被用者保険と国保との連携については再委託のルールを整備する。

 効果的な保健指導へのインセンティブや実施率向上の観点から、2年連続で積極的支援の該当者のうち、保健指導で2年目に状態が改善した方々については、2年目は動機づけ支援相当の支援でも特定保健指導を実施したとして位置づける。

 遠隔面接の効果検証のための実施計画の届け出は、現在あらかじめ届け出を出すことになっていますけれども、これをやめまして、他の保健指導の項目と同等に実施状況の報告に位置づけ、事後的な報告のみとすることで遠隔面接を導入しやすくする。

 また、就業上の配慮につきましては、事業主と連携した保健事業の取り組みを保険者インセンティブで評価する。

 上記のほか、歯科口腔関係の質問票見直しに伴う保健指導や、看護師が特定保健指導を行える経過措置など、制度・運用面で対応するということでございます。

13ページ目は、特定健診受診当日の特定保健指導でございます。条件と書いておりますけれども、階層化は実施機関で行う、ないしは全ての結果がその当日にそろうときには、現在も当日での保健指導ができます。こちらにつきまして、共通のルールを整理して集合契約でも締結できるようにする。実務者ワーキングで検討して本検討会に報告するとしております。

14ページ目です。定期健康診断等時における保健指導につきましては、現在、特定保健指導とそうではないもの、専門職による対面での結果の説明等がございます。対面での結果につきましては、この実施方法の把握や効果検証のために、それを報告の一項目とするということを検討する。また、当日での専門職による健診結果の説明につきまして、例えば保険者インセンティブで評価することも考えられるとしております。

16ページ目です。被用者保険から市町村国保への実施委託につきましては、再委託でもできるように、被用者保険が委託するための必要な前提条件、委託の契約の方法や費用決済等々につきまして、実務者ワーキングで検討し、本検討会に報告するとしております。

17ページ目は先ほど御説明しましたので、18ページ目ですが、医療機関との適切な連携です。現在も重複した検査項目を避けるといったこと等の観点から、本人の同意のもとで診療における検査データを特定健診のデータとして活用することが一部の保険者において運用ベースで行われております。

 まずは、保険者がかかりつけ医と連携して健診の受診勧奨を働きかけることが重要でございますが、本人同意のもとで保険者が検査データの提供を受ける場合の運用につきまして、一定のルール、検査データが活用可能な期間等の整備を検討する。これもワーキンググループで検討して本検討会に報告する取り扱いにしたいと思っております。

19ページ目は、特定保健指導のポイント制です。現在、積極的支援では3カ月以上の継続的な介入量の把握方法として何らかの指標が必要であり、現在も多くの保険者で200ポイントを超える保健指導が実施されているので、180ポイント以上の要件を引き続き用いることとしてはどうか。

 その上で、2年連続で積極的支援に該当した方々のうち2年目に状態が改善した方については、動機づけ支援相当でも特定保健指導を実施したと位置づける。こうした結果については、腹囲・体重等の評価が考えられるとしております。

 今回、こうした提案とした理由につきましては、現状でございますが、2年連続して特定保健指導を実施した場合の効果は一定程度示されており、2年目が動機づけ支援相当であっても保健指導の効果は期待されるということでございます。

20ページ目は、180ポイントの例でございます。こうした取り組みを組み合わせることによって180ポイントは確保できるということでございます。

21ページ目です。一人当たりの平均ポイント数として、市町村国保では約250ポイント、健保組合では約200ポイントの実態はあるということでございます。

 また、22ページ目でございますけれども、2年目もやった場合には一定の効果はある。何もしなかった場合は点線のところですが、2年やることによって効果があるので、そうしたフォローが必要ということでございます。

23ページ目は、遠隔面接ですが、現在、実施計画と実績報告の届け出を求めておりますけれども、平成29年度からは実施計画の届け出は求めない。他の保健指導の項目と同様、実績報告のみとする。

 なお、現状でございますけれども、実施している保険者の意見として、時間は多少かかるものの、移動コスト等を考えると遠隔の方への保健指導を効率的に行うことができるとか、現在使っているテレビ会議システムを活用することによって対象者に抵抗がない形で実施できるといった意見をいただいております。

 こういった論点を事務局で整理させていただいております。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 かなり項目が多いのですが、あと30分しか時間がございません。きょう、事務局から、特に見直しの論点は、かなり具体的な論点が整理され、示されております。これについて全てきょう、議論をしてしまうというのはなかなか難しいかと思いますので、挙げていただいている項目について本日はお聞きおきいただいて、次回にきょうの御説明について具体的な点、もちろんこの後、議論しますけれども、含めて取り組んでいただくということできょうの議事は進めさせていただきたいと思っております。各項目について本日議論いただいて、その結果をもとに、持ち帰っていただいて、各委員の皆さんの御意見を深めていただいて、次回の検討会で改めて、ほぼ最終的な結論が得られるような議論にさせていただきたいと思っております。まことに勝手ではございますが、その点を御了解いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、白川委員。

○白川委員 特定保健指導の第3期目については、私もこの会議で何度か発言をさせていただいたのですけれども、今日はペーパーの形にしてこの資料の中に含めさせていただきましたので、恐縮でございますが、参考資料1をご覧ください。

 私の問題意識を最初に書いておりますけれども、特定保健指導が始まって8年目を迎えますが年、実施率はまだ17.8%で、いまだに20%を超えていないということに非常に問題意識を持っております。なぜ進まないかというと、ここにあります通り、被用者保険では就業時間内の活動が相当制限されるということが非常にネックになっている。これはどこの保険者も同じだと思います。

○多田羅座長 これは定期健康診断も含む。

○白川委員 いいえ、これは保健指導だけでございます。

 したがって、第3期は、実施率をどうやって向上させるのかをぜひここで議論していただきたい。実施率引き上げ向上策については、今日、事務局の御提案の中でも、例えばインセンティブだとか、協会けんぽと国保の連携とか、幾つか出ておりますけれども、私に言わすとそんなものだけでは全然伸びないだろうと思っております。

 私は健保組合の代表なので、被用者保険全体の代表ではないのですけれども、問題点を挙げますと枠囲みの4点だと思っております。

 まず1つ目、就業時間内での実施や面談場所の確保など、事業主の協力が一定程度得られても相当の制約下でやらざるを得ない。

 次に階層化後でなければ、せっかく保健指導をやっても特定保健指導とは認められないというのが今の仕組みでございますので、これはいかがなものかというのが2つ目です。

 3つ目は、積極的支援は180ポイントということになっておりまして、このポイント獲得のためには一定時間の電話を10分間以上という話なのです。それから、メールのやりとり、全国民がメールを持っているわけでもないですから、これができない職種の方々もいらっしゃるということで、180ポイントというのはいかがなものか、もともと私はそう思っています。また、この制約で途中離脱が結構ありまして、私どもの健保組合全体では20%ぐらい途中離脱という状況でございます。

 4つ目は、保険者だけで常勤、非常勤合わせて1,200人ぐらいの保健師、看護師がいるのですけれども、例えば180ポイントの制約があるとか、いろんな制約があって活動しにくい。むしろ独自性を発揮していきたいという意見も結構ございます。そういう意味では、実施率で相互に比較しなければいけないというルールが決められているわけですが、それもちろん必要ですけれども、それよりは保健指導を実施する数をふやしたほうが全体としては意味が大きいと思っていますので、その辺、工夫が必要ではないか。

 裏のほうに、ほんのわずかですけれども、具体的にこうしたらいかがかという見直し案を書かせていただきました。

 1つは、グループ支援の緩和です。グループ支援は、現在のルールでは1グループ8名以下、初回面接80分以上となっております。現実に職場で人を集めようとすると8名を超えてまとめてやったほうが効果的というケース、あるいは就業時間中などということを考えますと一定規模集めたほうがむしろ効率的という状況でございますので、この辺は人数条件を撤廃するとか、工夫が必要ではないか。

 2つ目は、健診当日に体重・腹囲・血圧・喫煙、血液検査の結果が入っていない段階ですけれども、その段階で明らかに特定保健指導の対象になるだろうと思われる方、あるいは昨年度の結果もわかっていますから、昨年度は対象だった方、こういった方は当日面談、保健指導があってもいいのではないかという提案でございます。

 3つ目は、180ポイントの積極的支援の話でございます。委託先の質の担保ということもありますので、委託について180ポイントが必要だというのは私も理解できるのですけれども、自前の専門職がこの特定保健指導をやる場合に180ポイントにこだわる必要は何もないのではないかと思っております。自分のところの社員の保健指導をやっているわけで、それこそ必死になってやっているわけでございますので、これで途中離脱になったら保健師は何をやっているのだと上司から怒られる。えらく矛盾しているというのが実感でございます。

 この3つは単なる私のアイデアでございますので、この中で議論していただければ幸いでございます。

 以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございます。非常に丁寧に、具体的にわかりやすくまとめていただいて、基本的な点を御指摘いただいていると思います。

 まず、これについて、事務局で既に先ほどの報告の中で触れていただいている項目がございますね。事務局側の結論の出ている項目があるでしょう。ないのですか。

○高木室長 結論というわけではなくて、こちらは運用のところでございますので。

○多田羅座長 結論ではないけれども、一つの提案がなされている。

○高木室長 はい、例えば2のところにつきましては。

○多田羅座長 どの2ですか。

○高木室長 参考資料の2については、例えば運用のところをどう考えるかなのですが、資料1の15ページ目になりますけれども、現在でも定期健康診断で委託のところを直接やることができる。この階層化のタイミングをどう考えるかということでございますので、いただいているものですと「階層化の結果、対象者として確定した場合は」と書いてあるものですから、いわゆる階層化をどういったタイミングでやるかという運用のところなのかなと思います。

180ポイントにつきましては、20ページ目の「※1」ですが、現在でも電話支援は、5分間でもできるという形になっていて、10分ではなくて5分間でも可能でございます。

 個別支援につきましても、ストレッチや運動指導だとか、ここは現場のさまざまなやり方で自由に、電話だけやるということではなくて、さまざま入れることで、今でも実施量を確保する。継続的な支援の介入量の把握として、そうしたものを入れていて、今でも柔軟にお取り組みいただいていると考えております。

○多田羅座長 180ポイントにとらわれない柔軟な運用を、特に独自に保健指導をやっておられるような団体では。

○高木室長 それはないです。さすがに180ポイントは要件になっていますけれども、180ポイントの要件を。

○多田羅座長 外すつもりはない。

○高木室長 その趣旨としては、19ページ目にありますとおり、積極的支援での3カ月以上の継続的な介入量の把握方法として何らかの指標が必要である。制度で実施しているものでございますので、180ポイント以上の要件というのは引き続き用いることとしてはどうかというのが事務局の意見でございます。

○多田羅座長 事務局案では180ポイントのベースは残したい、そういう視点ですかね。柔軟には使いたい。

 どうぞ。

○白川委員 階層化実施前の面談は、例えば人間ドックに行った場合に、結果はほとんど出ているわけですね。午後面談というのはよくあります。それも医師が面談し、保健師など専門職が生活指導をセットでやっていただいているところはたくさんあるのですけれども、それはこの条文で言うと包括的に契約をしていないと階層化前だから特定保健指導と認められないと書いてあるわけです。そうではなくて、私が言っているのは、それは保健指導を実際やっているわけですから、やっているものを何で保健指導と認めないのだということを主張しているわけです。

○多田羅座長 やっているのは、機能としてはそうで、形としては180ポイントという形がありますから。

○白川委員 階層化というのは、それは保険者がデータをもらってからしかできませんし、お金のかかる話なので、その場で人間ドックの先生が階層化を勝手にやられても困ります。しかし保健指導は一応やっているのだから、保健指導としてやっていると認めてくださいと。

180ポイントの話も、今、高木室長がいろんな運動とかさせたらと言うけれども、全国規模の会社もあるわけです。それが、会社の電話を使って現場で旋盤をやっている人に電話をかけて、最低5分間ですか、5分間も何の話ができるのですかということです。現場で怒られますから。

○多田羅座長 わかりました。

 ほかの委員の方も、武藤委員、いかがですか。客観的というか、指導の自由度のあり方ですね。

○武藤委員 人間ドック当日に特定保健指導をしている方ももちろんいますし、特定保健指導以外に保健指導は結果を聞かれる方に皆さんしているのですが、いわゆるメタボに限った保健指導に重点を置いた、必ずしもそういうわけではなく、例えばがん検診もいろいろ含めてのものですから、がん検診でひっかかったら、そちらがどうしてもメーンになってしまった保健指導が主体になる。特定保健指導のような目標を立てたり、そういうのもやっていたりしますけれども、保健指導の中身に結構、差があるのかと思いますので、それなりの時間をかけたもの、もしそれを認めるとしてもそれなりの内容のものを認めないといけないという感じはしています。

○多田羅座長 認めないというのはどういうふうにして認識するのですか。

○武藤委員 時間とかしかないのではないかと思います。

○多田羅座長 今のところでは、やはりそういうものを付加していくことが必要だと。

○武藤委員 そうですね。現状では、さっきも言ったように、特定保健指導の方は20分とか30分とか、やはり時間をきっちりとって専用にやっているのですけれども、そのほかの通常のドックの結果はもっと短い時間で、さっきも言ったがん検診の結果なども含めたもの全てを指導していますので、それと同等とすると、保健指導の実施率としてカウントするのはいいのですが、中身として十分かと言われると必ずしもそうではないと思います。

○多田羅座長 特徴があるわけですね。

○武藤委員 そうですね。

○多田羅座長 では、白川委員。

○白川委員 それはおっしゃるとおりなのです。別にそれを否定しているわけではなくて、もし階層化されて動機づけ支援か積極的支援を始めるとなれば、そこから介入していくわけです。特に積極的支援は初回面談はポイントにカウントされないということになっているわけです。ポイントにカウントされないのだから、マニュアルどおりの特定保健指導の初回面接をやったかどうかは別にして、その後180ポイントという制限があるのだから、その中で専門家がきちっとフォローしていく。したがって、初回面接に。

○多田羅座長 初回面接はそれでいいではないかと。

○白川委員 何でそんなにこだわるのかというのを私は言いたいのです。

○多田羅座長 なるほど。

 では、津下委員。

○津下委員 特定保健指導では結果説明だけではなくて、生活習慣の状況を聞き取り、何がやれるかというのを相談し、これから6カ月どうやって走っていくかということを丹念に相談することがしくみ化されています。結果を渡して受診勧奨するだけとか、そことはかなり質の違う準備と体制と指導内容になっています。継続的な支援の180ポイントだけで効果が出ているのではなくて、初回面接時にどれだけ本人に動機づけをし、行動目標をきっちりできるかということが成果につながる。

 関連してですが、今、宿泊型保健指導の検証をしています。初回だけやり方を変えてもっと重点的に体験学習を行うことにより、効果が高まることを確認しています。初回の面接の重要性をもう少し御理解いただくような活動をしないといけないかなと思います。初回の面接というのは特定保健指導の肝の部分だと認識して、保健指導者は取り組んでいるところだと思っております。

○白川委員 津下委員の御意見に別に反論しているわけではなくて、私が言っているのは、初回面接はポイントの中には入らないから、それはもういいではないのと、階層化が終わって保健指導を始めるときに、津下委員がおっしゃるとおり、突然電話かけて、きょうからやりますなんて、そんなばかな保健師はいないのですから、それはきちっと話し合って180ポイントの中で面談をやればいいので、そのほうが現実的です。

○多田羅座長 柔軟にやれるのではないかと。

○白川委員 それと、何回も言うとおり、このままやると実施率は上がりません。幾ら頑張っても20%しかいきません。それよりは実施する数をふやしたほうが。

○多田羅座長 入り口を広げて。

○白川委員 全体としてはメリットが大きいと思って私は言っています。

○多田羅座長 今村委員、いかがですか。

○今村委員 確認ですが、階層化の実施主体はもちろん保険者であるとして、例えば人間ドックの実施期間で健診結果を見て、この人は対象になるだろうというのがおおよそわかったときに、ある程度の介入はできると思います。今のお話は遡及してそれを初回面談として扱えと言っているわけではなく、また、ポイントに入れるのでもなく、実施率のところだけカウントさせてくれという、対象者の数にそれを入れるということだけ考えておられるということなのでよろしいでしょうか。

○多田羅座長 やったことにしたらどうかと。

○今村委員 やったことというか、保険者としてそれを。

○多田羅座長 人間ドックでやっても、やったことでいいではないかという意見ですね。

○今村委員 結果的に遡及的にその人が対象になっていれば、その説明をしたことでもう。

○白川委員 初回面接は終わったことにしてくれないかと言っているわけです。

○今村委員 そういうことですね。

○白川委員 残り180ポイントがあって、その中は、電話、メール、面談、全部入っていますので、要は、津下委員がおっしゃったとおり、6カ月間の計画とか目標とかを最初に設定するのです。それは、今、初回面接なのでポイント外ということになっているのです。

○今村委員 わかります。津下委員がおっしゃっていることとかみ合わないのは、最初のコンタクトがその後の保健指導にとって大事なので、初回面接は健診結果を説明しているような面接がされているとしても、その後に特定保健指導の対象となってもう一度呼び出すということになった場合には、本来の趣旨の初回面接に当たるようなことはその時に実施することになるということですね。

○白川委員 そうです。

○今村委員 それで何か不都合があるのでしょうか。

○多田羅座長 津下委員、どうなのですか。

○津下委員 実施率を上げたいとか、健診当日にその気持ちが高まっているときに行う面接が有効だとは思います。委託契約において、あらかじめ特定保健指導の対象になったら、その場で保健指導を行えるルール化があると実施機関側も安心してしっかり時間をとってやれます。これまでの初回面接を十分に行うことで効果が見えてきたということは軽視できないことかと思います。

 一方で、今回、積極的支援を繰り返す必要性について新たな事務局からの提案がありました。例えば、2回目、繰り返して積極的支援になる人に対して、1年目はしっかりと面接し、メタボの話をし、どう減量するかという話で十分に時間をとって180ポイントやるけれども、2年目以降については、同じ話を2回も繰り返して説明されるのは嫌だという本人の話もあり、また保険者としても多くの対象者に実施できるようより軽減した方法で実施できるようにするとの御提案がありました。

 このことに関して資料1の33ページで、保健指導の実施率が、積極的支援の該当者に積極的支援を行った場合と、動機づけ支援の人に動機づけ支援を行った場合だけにカウントされていて、積極的支援該当の人に動機づけ支援相当の保健指導を行っても、脱落扱いで、ゼロにカウントされてしまう。ここはちょっともったいないと思っています。

 積極的支援の実施率のグラフを見ると、積極的支援ゼロで動機づけ支援だけやっている保険者さんもある。実は積極的支援対象者の方のほうが動機づけ支援対象者よりハイリスクなので、積極的支援対象者に対して保健指導をしっかり行う必要があると思います。積極的支援は大変だから動機づけ支援だけで保健指導実施率を上げようと保険者が考えて動機づけ支援ばかりやっているとしたら、疾病予防の点ですごくもったいない。ですから、積極的支援該当の人に1年目はしっかりやるけれども、2年目は何らかの軽減策でもって、よりリスクの高い積極的支援の人に軽い保健指導、それでも動機づけ支援以上のレベルのものを制度的にカウントに入れていくことで実施率を上げることができるのであれば、これは実施率向上策につながることが期待できます。効果が同等に出るかどうかは未知数なのですけれども、一度試してみる価値はあるのかなと思います。

○白川委員 たびたび発言して済みません。

○多田羅座長 どうぞ、白川委員。

○白川委員 2回目、去年、積極的支援で、今年もまた対象になったから、積極的支援の対象にしようというのがどれぐらいいるかというと、そんなに多くはないのです。要するに、対象者を全員やるということになればそうですけれども、実際には17%ぐらいしかやっていないわけですから、あの人は去年やったから、今年は違う人をやろうというのが普通の保険者の動向ですから、2回目を動機づけ支援でオーケーということにしても私は余り効果がないと思っております。

○多田羅座長 影響がないということですか。

○白川委員 はい。

○今村委員 時間のない中で申しわけないのですが、先ほどの事務局の説明の中で、多くの検討事項がワーキングで議論すると書かれており、その結果を踏まえてこの検討会で議論するというたてつけになっているものが多いのです。もちろん、何でもかんでもワーキングに投げるということではなく、大事なことはこの検討会で議論すればいいと思うのですけれども、例えば白川委員がおっしゃったようなことで何が問題でできないのかということを具体的にワーキングでしっかり詰めていただいて、その結論をもとにもう一度議論した方がよいのではないでしょうか。事の軽重とは関係なくワーキングとこの検討会の議論が同時に進むような形に見えているので、事務局的にそこはぜひ整理していただきたいと思いますし、特にこの話は大事なことなので、ワーキングでもきちんと議論していただきたいと思っています。

 保険者の機能として、誰を特定保健指導の対象にするのかというのは保険者が主体的に判断したいというお気持ちはそのとおりだと思いますけれども、やはり実際の効果がこういうふうにしてあって、こういうやり方をするという現場の意見も当然あるわけですから、そういうことも含めてきちんとワーキングで議論していただければありがたいと思っています。

○多田羅座長 事務局の意見を聞きたいのだけれども、その前に、もう時間がありません。さっき手を挙げていただきましたね。では、六路参考人から。

○六路参考人 今、整理していただきましたので、この後、ワーキングで詰めることが可能でしたら、そこはぜひそのようにお願いしたいと思っております。

 一つだけ確認なのですけれども、先ほど白川委員から御提案があった参考資料1の2番目の「階層化実施前の特定保健指導の実施」、これについて先ほどの御説明では資料1の15ページで整理ができると御回答いただいたかと思っているのですが、ここがどうもよくわかりませんので、このあたりもワーキングの中で再度詰めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○多田羅座長 では、伊藤委員。

○伊藤委員 ワーキングが設置されていないテーマについて意見があります。

○多田羅座長 ちょっと待ってください。ワーキングのことは後で説明を聞きます。

○伊藤委員 ワーキングが設置されず議論されないかもしれないテーマなので、きょう言っておかないと次回で終わりだという話なので。資料1の12ページの一番下で就業上の配慮のことが出ておりますが、この点については載せていただいたことに大変感謝申し上げます。先ほどから特定健診の結果と同時に特定保健指導が行われるほうがいいと、当然、私もそう思っているのですけれども、それにしても就業上の配慮がないと指導が受けにくいという実情もあります。特に、中小企業や非正規雇用で働く人にとっては重要な問題です。通知とかQ&Aで特定保健指導の賃金上の取り扱いについて出ているのは承知しているのですが、お願いベースでそういうのが出ているのが現状ですし、また、賃金だけでなく、時間単位の有給休暇とか方法も考えられます。5ページに日本健康会議の宣言5で「従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策」に取り組むと言っているのですから、この就業上の配慮というのは徹底していただきたいと思っています。これは保険者インセンティブの話ではないと思います。しかし、もし保険者インセンティブという形でやるのだとすれば、少なくとも12ページの右側にあります「就業上の配慮など」といって、一つの選択肢ということではなく、それは一つの評価にしないと絶対進まないと思いますので、その点については十分考えて次回に出していただくものに反映していただきたいと思います。

○多田羅座長 わかりました。

 それでは、まだ途中ですが、時間になりました。

 では、簡潔にお願いします。

○三輪参考人 この間の蒸し返しになって申しわけないのですが、資料1の46ページの詳細な項目の件です。心電図と眼底です。当日、心電図とか眼底の検査ができる場合はその場でやってもらう。当日できない場合は、要受診として心電図とか眼底をやってもらったらどうだろうというお話だったのですけれども、やはりこの制度の趣旨として、心電図とか眼底を受けてもらうだけで要受診と出すのはいかがなものか、受診者の気持ちを考えると、ちょっとそれは違うのではないかと思います。普通に高血圧や糖尿病で要受診になるような人は、病院に行った場合に心電図とか眼底は病院でやると思います。ですから、それを2段階にするのではなくて、高血圧・糖尿病要受診で受診した場合には心電図、眼底を実施してもらう、そういうような運用上のやり方をやっていただくと、心電図とか眼底だけで要受診という判定を出さなくてもいいのではないかと思っております。

○多田羅座長 わかりました。お聞きしておきます。

 では、一応時間になりましたので、事務局のほうから、これからの取り扱い、それから、ワーキングについてはどういうふうにこの検討会との関係を考えているのか、改めて御説明ください。

○高木室長 ワーキングと本検討会の位置づけでございますけれども、基本的には制度の大枠ないしは方向性、重要なところにつきましては、本検討会、親会議で。

○多田羅座長 検討会が先ですか。

○高木室長 検討会でまずこういった方向とかここをやってほしいとか、ここはワーキングで議論しようという形で整理いただければ、それをワーキングで議論する。ないしは、ここはワーキングでまず整理した上で報告してくれというお話であれば、そういった取り扱いでやるということになると考えております。

○多田羅座長 一応ここが本体で。

○高木室長 もちろんです。

○多田羅座長 必要な場合、必要と言わないとワーキングが自動的にやることはないということですか。

○高木室長 はい、勝手にワーキングのほうで議論するということはございません。

○多田羅座長 細かなことはワーキングで積み上げて検討会に出すというのではないということですね。

○高木室長 ここは詰めるようにという整理をした上で、ワーキングにおろす。

○多田羅座長 検討会でそういう方向が出た上でワーキングが行われる。

○高木室長 方向性を出すに当たって、例えば私も、きょういただいた2のところについては整理できていないところがあるのですけれども、具体的にどういう運用の場合になるのかとか、そこを整理しないと、きょうもずっと議論になってしまいましたので、そこを整理した上でという御指示があれば、そこはワーキングで議論いただいた上でということだと思います。

○多田羅座長 この検討会でワーキングのほうに振るということを確認してからの話ですね。

○高木室長 はい。

○多田羅座長 わかりました。

○高木室長 きょう、そういった形で御指示があれば、それはワーキングで議論する。

○多田羅座長 これについてはワーキングということになればね。しかし、きょうはそこまでまだ具体的になっていませんからね。

 では、この検討会は次は12月。

○高木室長 1219日を予定しております。

○多田羅座長 きょうの会議を引き継いで。

○高木室長 資料も同じもののほうがいいかなと思います。この保健指導と実施率の向上策については、引き続き、きょうまだ御意見を全ていただいておりませんので。

○多田羅座長 きょうの資料で1219日もいくと。

○高木室長 はい。

○多田羅座長 これを見ても議題2のほうは項目がかなり多いですね。それについては引き続き検討会で議論して結論を出す。

○高木室長 まだきょうは第1回目ということでございます。

○多田羅座長 その結果、必要であれば、ワーキングを開くということですね。

○高木室長 はい。

○多田羅座長 という趣旨ですが、よろしいでしょうか。

 白川委員、まだちょっと物足りなさそうな顔をされておりますが。

○白川委員 お騒がせしまして、申しわけありません。

○多田羅座長 では、一応そういう趣旨で、19日までに日にちもございますので、事務局もできたらもう一度、委員にヒアリングをいただいて、特に白川委員からかなり具体的に意見をいただいていますので、結論が検討会で出るように。

○高木室長 資料についても、追加できる部分は追加いたします。

○多田羅座長 追加していただいて、それまでにヒアリングもしていただいて、また各団体の方も事務局のほうに特に意見がある場合は次回の検討課題を出していただいて、何とか次回の検討会で第3期の基本的な方向をまとめることができますように御協力いただきたいということで、事務局はよろしいですか。

○高木室長 ありがとうございます。

○多田羅座長 そういうことで、きょう、途中でこのような形で終了しないといけないのは申しわけないのですけれども、いただいた意見は必ず事務局で確認した上、次回、引き続き議論いただくようにいたしますので、御了解いただきたいと思います。聞きっ放しみたいになっているところもございますが、そういうことではないということでいいですね。次回検討会で取り組んでいただくということでよろしいですか。皆さんちょっと不満そうな顔でございますけれども、私の説明が不十分で申しわけございません。

 それでは、本日の検討会はこれにて。

○高木室長 一点だけご報告させてください。資料2でございますけれども、労働安全衛生法に基づく定期健康診断のあり方について検討会の報告書案が1012日に出ております。血中脂質検査について、LDLコレステロールについて8月10日に引き続き維持するということでおまとめいただきましたが、この定期健康診断の報告書案を踏まえまして、特定健診についても同じように引き続き維持する。

 また、2ページ目ですが、尿検査につきましても、尿糖と尿たんぱくについても定期健診と並びをとりまして引き続き実施する。血清クレアチニン検査につきましても、定期健診のほうで医師が必要と認める場合に実施するという形で整理されておりますので、特定健診につきましても、医師が必要と認める場合に実施する詳細健診の扱いで、年齢にかかわらず、区分することはしないという形で整理させていただきたいと思っております。

 参考資料2は、昨日付で出している通知です。セルフメディケーションの推進の観点から、税制改正でございますけれども、来年1月からスイッチOTC薬の控除の創設です。これは、特定健診、予防接種、定期健診、健康診査、がん検診が要件になっておりますので、ご報告させていただくものでございます。

○多田羅座長 ありがとうございます。ということで、座長の不手際でちょっと時間が延びまして、申しわけございませんでした。

 それでは、次回、1219日、再度お集まりいただいて引き続き議論するということで御了解いただきたいと思います。きょうは、どうもありがとうございました。

 


(了)

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