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2016年9月30日 第6回新型インフルエンザ対策に関する小委員会

健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室

○日時

平成28年9月30日(金)14:00〜16:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○議題

(1)新型インフルエンザにおける被害想定の調査手法について
(2)その他

○議事

○山崎新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから、第6回「新型インフルエンザ対策に関する小委員会」を開催いたします。

 本日の出席状況は、委員12名中10名の出席です。小田切委員、吉川委員から欠席の御連絡をいただいております。

 定足数に達しておりますので、会議が成立しますことを御報告いたします。

 なお、参考人をお招きいたしておりますので、御紹介いたします。北海道大学大学院医学研究科社会医学講座教授の西浦博様です。本日の会議は、よろしくお願いいたします。

 申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。

 それでは、ここからは岡部委員長に進行をお願いいたします。

○岡部委員長 どうもこんにちは。川崎市健康安全研究所の岡部です。

 第6回「新型インフルエンザ対策に関する小委員会」を開きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 西浦先生は、遠いところをおいでいただいてありがとうございました。よろしくお願いします。

 先にお伝えをしようと思うのですけれども、前回の小委員会で、委員長に事故があったときの職務を行う委員は、委員長代理あるいは副委員長になると思うのですけれども、厚生科学審議会感染症部会運営細則第4条に私が指名するという規定がありますので、事務局とも相談しましたけれども、押谷先生にお願いしたく、どうぞよろしくお願いいたします。皆様からの御承認もいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(承認の拍手起こる)

○岡部委員長 どうもありがとうございました。なるべく事故のないようにしますので、よろしくお願いします。

 それでは、会議のほうに入りたいと思うのですけれども、最初に配付資料の確認をお願いいたします。

○山崎新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 議事次第、委員名簿、座席図のほか、資料1から参考資料3−4まで配付しております。議事次第に書かれております配付資料の一覧と照らして、不足資料等がございましたら事務局にお申し出ください。

○岡部委員長 ありがとうございました。

 本日の議題は、議事次第に書いてありますように「新型インフルエンザにおける被害想定の調査手法について」ということになります。今までいろいろなところでディスカッションして、この被害想定をどうするかという議論はあったのですけれども、なかなか動きにくい、動かなかったということがあります。これについて新たに作業、研究を開始するということでございます。

 作業班でこれについての議論を行いましたので、そのことも含めて、今度は本日この場でそれについて御意見をいただければと思います。

 事務局から御説明をいただいて、その後でその作業について、研究、その他をお願いしている西浦先生にお話を伺いたいと思います。

 まず、事務局からお願いします。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 資料1、資料2を説明させていただきます。

 まず、資料1「新型インフルエンザにおける被害想定について」をごらんください。こちらの資料は、今までの被害想定の我が国の経緯について御説明申し上げるものです。

 1ページ目、「新型インフルエンザに関する被害想定について」という題のページをごらんください。

 ここは、我が国の現在の新型インフルエンザに関する被害想定について、それからWHOの考え方について記載させていただいているものです。

 我が国の政府行動計画では、新型インフルエンザの発生に備えて、有効な対策を考える上で、現在、定量的な流行規模を想定しております。ただし、被害規模というのは、病原体や宿主、社会環境等、多くの要素に左右されるために、事前に正確に被害を予測することは不可能である。不確定性があるということでございます。ただし、現在における科学的知見や過去の新型インフルエンザを参考に被害を想定し、対策を策定しているということになっております。

 一方、WHO2013年に、2009年のパンデミックの経験も受けて中間ガイダンスを出しております。そちらでは、新型インフルエンザは、いつどこで発生するのか、その感染力や病原性について予測することは難しいと書いております。しかしながら、新型インフルエンザが発生しますと、多くの人が免疫を持たないということから、非常に急速な感染拡大が起こり、健康被害や社会経済への影響が懸念されるといったことから、各国において科学的知見に基づいた柔軟なリスクマネジメント計画を策定することが重要とされています。

 この中には、被害を想定することのほかに、パンデミックが起きた後に重症度を評価していくような、いわゆるPandemic influenza severity assessmentのような試みもありまして、WHOの試みに対応するような形で、現在、感染研と我々のほうで、日本でどうしていくかについて少し詰めているところでございます。

 続きまして、2ページ目をごらんください。「我が国の新型インフルエンザにおける被害想定の経緯」でございます。

 平成5年にベルリンで実施されました国際会議において、新型インフルエンザが発生した場合に国民の25%が罹患すると仮定し、行動計画を策定するような勧告が出されております。この勧告に準ずるような形で、我が国では平成9年に、国民の25%、約3,200万人が罹患すると推定した報告書を出させていただいております。平成16年以降、平成9年の想定に加えて、米国のCDCがつくった数理モデルのFlu Aidを利用しまして、人口に応じて被害を想定しているところになっております。

 実際の具体的な数字が、3ページ目「我が国の現行の新型インフルエンザの被害想定」と記載されているページに書かれています。

 罹患者としましては全人口の最大25%、約3,200万人が、流行期間約8週間にピークをつくり順次罹患する。その際、医療機関を受診する者が約1,300万人〜約2,500万人程度。致命率については、人口100人単位で中等度の被害であれば0.53%、重度のものであれば2.0%程度というところを想定しております。入院患者についきましても、中等度であれば約53万人が入院して、1日当たりの最大入院患者が10.1万人、重度の被害であれば約200万人が入院して、1日当たりの最大入院患者が39.9万人程度を見込んでいます。死亡者につきましても、中等度であれば約17万人、重度であれば約64万人です。社会に与える影響として、従業員の約5%程度が欠勤する。ピーク時約2週間程度、そういう状態が続くという想定をしております。

 こちらとは違いますけれども、実際に2009年に起きたパンデミックのときの数値を参考に、右のほうに記載させていただいております。

 4ページ目「被害想定に関する課題」でございます。今まで、我が国の政府の行動計画で記載されていた被害想定についてですけれども、新型インフルエンザ等対策有識者会議において、昨年度、新型インフルエンザの被害想定について以下のとおり取りまとめられています。これは、当小委員会、作業班であるとか感染症部会等でさまざまな御意見を伺っているものを引き継いで議論していったときに、有識者会議でもこういった形で取りまとめられたというところでございます。

 現在の新型インフルエンザ等対策政府行動計画の被害想定で用いられている米国のCDC推計モデルFul Aid2.0は、我が国の医療体制であるとか抗インフルエンザウイルス薬の介入等を考慮していない。さらに、直近の科学的エビデンスも今後さらに組み入れていくような形で、新たな被害想定の考え方について情報収集を行って議論する必要があると取りまとめられております。

 そちらを受けまして、今回、西浦先生がやっていらっしゃるAMEDの研究班で、新型インフルエンザの被害想定について調査研究を始めることとなりました。ただし、課題としましては、被害想定のうちの調査方法、推定方法というところは、世界的に一つの方法に確定するようなものではございません。また、被害想定を改訂するということは、国のインフルエンザ対策に直結するということで、慎重に議論を行う必要がありますので、今回、被害想定の調査方法について、あらかじめ感染症部会新型インフルエンザ対策に関する小委員会において議論を行うこととなりました。

 最後のページで、過去の新型インフルエンザでどのような状況であったかというところを、基本再生産数であるとか致命率、全国における超過死亡者数等の推計などを、参考までに記させていただいております。

 資料1はここまでになります。

 続きまして、資料2を説明させていただきます。

 こちらは、新たな被害想定の調査手法について、作業班で御議論いただいた内容についてまとめさせていただいた内容でございます。小委員会で先生方に議論いただいた上で、小委員会から感染症部会へ上げる案として妥当かどうか、御審議いただければと思います。

 先ほど説明させていただきましたとおり、現行の被害想定における課題として、新型インフルエンザ等対策有識者会議で被害想定について下記のように取りまとめられた。Flu Aid2.0は、我が国の医療体制や抗インフルエンザウイルス薬介入の効果等を考慮していないことから、今後さらなる科学的エビデンスに基づいた新たな被害想定の考え方などについて、情報収集を行い議論する。この件については、当小委員会で議論を行うこととされている。

 もう一つ、具体的な感染症数理モデルによる流行分析の調査手法ですけれども、詳細につきましては引き続き西浦先生に御説明いただきます。大枠としましては、特に未知のパンデミックにおいて、不確実性が高い「感染性」と「重要度」に対応したベースラインの感染症数理モデルを作成するために、以下の手法を用います。

 複数のパンデミックのシナリオを検討して、感染性及び致命率の3つの推計(「低位」、「中位」、「高位」)を準備する。

 各シナリオに対して、インフルエンザ専門家の知見を反映する。そのためにデルファイ法を用いて、感染性(基本再生産数及び累積感染者割合)と致命率(感染時致命リスク)について専門家の意見を収集する。

 各シナリオの感染症数理モデルのパラメータは、専門家が「現実に想定される」と考える範囲で抽出する。

 さらに、上記のベースラインのモデルを作成後、我が国の医療体制や抗インフルエンザウイルス薬の介入の効果等の影響を組み込んだモデルの作成に着手するといったところでございます。

 資料2の説明までは、以上です。

○岡部委員長 どうもありがとうございました。

 今までの経緯と、これからやろうとすることについての御説明をいただいたのですけれども、時々わからない、耳新しい用語が入ってくるので、その辺も含めて、きょうは北大の西浦先生においでいただいているので、これからの研究内容を御紹介いただきながら、後で御質問あるいは御意見をいただければと思います。

 その前に、どうぞ。

○丸井委員 今、御説明いただいて、お聞きしたいと思います。今まで全く気にしていなかったのですけれども、被害想定は、対外的に英語でどのように表現をされているのでしょうか。被害想定は、今まで日本語でしか出てきていないのですが、多分、英語で説明をされる機会があったと思います。どういう表現をされていたのか。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 必ずしも一定の表現がされているわけではないのですけれども、例えばImpact Estimationといった形で表現されているものがございます。ただ、それぞれの国の被害想定に当たるものが、英語で全く同じ表現でされているわけではございません。そういった意味では、推計方法の違いとか、考え方自体がそれぞれの国の施策の必要性上、選択されているもので、一つの科学的な単語に定まっているものではございません。

 例えば、Assumption of potential influenzaといった形で表現しているガイドラインのようなものもございます。

○丸井委員 どうもありがとうございました。

○岡部委員長 その辺は押谷先生、谷口先生、何かありますか。今の用語のことで御存じのことがあれば。

○押谷委員 私も詳しく記憶していないのですけれども、多分、各国でPlanning Assumptionsという形で使われているものが多いのではないか。計画をつくる上でのアサンプションという形で位置づけられているものが多いのではないかと思います。

○岡部委員長 谷口先生。

○谷口委員 Planの記載の際に、前提としてUnder Assumption何とかと書いてあることが多いと思います。

○岡部委員長 後で御説明があると思いますけれども、西浦先生は、被害想定という言い方も含めて概念的に新しいところも述べていただけると思います。

 よろしくお願いします。

○西浦参考人 私のほうから概要について説明させていただきます。参考資料1をごらんください。

 表紙をめくっていただいて1ページ目から説明差し上げます。もう事務局から説明をいただいているのですけれども、これまでの日本の被害想定がどういったものだったのかというあたりを踏まえてお話しさせていただきたいと思います。

 これまで日本では、アジア風邪とかスペイン風邪を具体的に明記した上で、アメリカのCDCが作成した数理モデルのFlu Aid、医療体制の負荷に関してはFlu Surgeを利用してきました。スプレッドシートでできているので、地方とかでもとても使いやすいソフトウエアではあるのですけれども、その中には、今の時点では被害規模の算出だけしかできないようになっていて、医療体制の整備だとか抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量を検討するための分析は組み込まれていなかったということが、今までの現状です。

 このエクササイズでは、未知のイベントを予測することが必要になるのですけれども、科学的な妥当性をできる限り担保して、パラメータの不確実性にちゃんと対処したようなモデリングが、アメリカも含めてなかなか議論されることが少なかったということが今までの実情でした。

 2ページ目をごらんください。数理モデルを専門にしている私の立場から、それをちょっと書きかえたものが、2ページ目の箇条書きにしているものです。

 今までは、かなりの決め打ちがありました。流行規模だとか死亡リスクというものなのですけれども、例えば日本で罹患者の割合が全人口の25%というあたりの一つの数値がぼんと出てくることがそうなのです。今までは、一つの組み合わせの数値が強調され過ぎる傾向があったのですけれども、一方で、実際にはパラメータには不確実性、観察できないばらつきがあるのですけれども、それにちゃんと対処することが必要ではないかということが、こういうシナリオ分析をする上では強く示唆されるものです。

 2番目なのですけれども、未知のイベントを仮想的にシミュレーションしないといけないのですけれども、その中でも科学的な妥当性を担保することが必要です。この後に説明させていただきますけれども、一つの方法としては、インフルエンザの専門家の皆様の意見を十分に反映したシナリオがつくれるはずで、今まではどの国でもそういった努力がされてきたことがないので、これを日本でやっていけないかと、私は研究者の立場から考えています。

 3番目はインフルエンザの研究なのですけれども、日進月歩です。ウイルス学も疫学もなのですけれども、新しい事実が毎週、毎月出版されてわかっていくということになっているのですけれども、最新の知見にできるだけ対応して、観察データとシミュレーションだとか、あるいはこういうPlanning Assumptionsで話されているもののギャップを埋めることが必要です。

 4番目ですけれども、少し辛辣な話をしますけれども、Flu AidとかFlu Surgeはちょっとoutdatedです。現行の数理モデルの技術からすると、かなり妥当性に乏しい面もあって、それをリプレースするようなメソッドはかなりあるはずなのです。その中でも、定量性を担保できる妥当で新しい技術が、数理モデルの専門家の中ではかなり共有されてきていますので、それを使って日本のシナリオ分析ができないかと考えています。

 次の3ページ目をごらんください。「数理モデルの流行分析の提案」ということなのですけれども、少し呼称から。「被害想定」がどういった意味を持つのかというあたりも、政策の部分からきれいに明らかにしていたわけではないので、シナリオ分析であるということを明らかにするために「流行シナリオ」と呼んで、複数シナリオを提示するようなエクササイズに切りかえていければと思います。英語の話がありましたけれども、例えば「パンデミックシナリオ」と呼んでしまって、やると、シナリオ分析で準備をやってプランニングアサンプションにつなげていくということが、国際的な保健医療の行政とかでも理解してもらえることになるかと思います。

 2番目ですけれども、そのシナリオというのは、インフルエンザ専門家の知識と創造に基づくもので構築しようと思っています。どうやってやるのかということを、これからまた詳しく説明差し上げます。

 3番目、そのパラメータをインフルエンザ専門家の皆様からインプットでいただくことを想定しているのですけれども、それは、専門家の皆様が現実に想定されると考える範囲で抽出をしたいと思います。つまり、専門家の先生方が知識をもとにパンデミックとして起こり得ると考えるものをベースにしてシミュレーションをつくっていきたいと考えています。

 4番目です。シナリオ分析の一環で、医療機関における受診とか入院の負荷で、医療体制の準備をしていくことが必要なのですけれども、それにおいては、今まで感染した人がどれくらいのリスクで受診をして、入院をして、ICUに入所をして、それぞれの入所期間がどれくらいで、死亡するまでがどれくらいで、退院するまでがどれくらいでということは、データとして蓄積をされてきていますので、シミュレーションとそういったデータを合わせて、研究知見を最大限に活用して計算をしていきたいと考えています。そういったことが、既に可能な背景ができてきていると思います。

 5番目です。流行シナリオと観察現象との対応を明確化したいということなのですけれども、流行シナリオは感染ベースで議論がされていきます。人口の何パーセントの人が感染してというような情報なのですけれども、必ずしも全ての感染者が発病するわけではないことは周知の事実で、半分未満の人しか発病しない。さらに、もっと少ない割合の人だけが受診するのですけれども、感染者が何人いたら受診者が何人いてというあたりの、今までのナレッジギャップの部分も、文献値をもとに少し埋めていきたいと思っています。

 6番目です。その上で、一定の科学的妥当性が担保されるということがシリーズでつくられますので、数式も公表することを考えています。具体的には、統計パッケージRというものでシミュレーションができるのですけれども、Rのコードをシェアする公開サイトに、私が自分たちでプログラムしたコードを載せますので、ほかの研究者のどなたでもそれをダウンロードしていただいて再現可能になります。再現可能な数式上で、ちゃんとシナリオを記述するという感じのことを野望として考えて、今、流行シナリオのエクササイズの準備をしています。

 次のページをごらんください。流行シナリオをつくる上で鍵となる入力情報はたくさんあるのですけれども、多くのものはインフルエンザに共通だったり、あるいは文献値で対応することができるのですけれども、2つキーになる情報があります。それが、このパラメータと書いてある部分の2つなのです。

 1つ目が、年齢群内・群間の二次感染の頻度あるいは感染性と呼ばれるものです。あるいは、今まででいうと人口レベルでの累積感染リスクです。流行が終わるまでに人口の何パーセントの人が感染するのかということを議論されてきたものが、それに対応します。

 もう一つが、感染したときの年齢群別の重症度と書いてあります。これは、感染時の重症化するリスクあるいは確率です。言いかえると、感染したときに何パーセントぐらいの確率で死亡するのかということを指すのですけれども、これがわかると、少しシミュレーションの骨組みができることになります。

 それを図示したものが、次のページのスライドにあります。5ページ目をごらんください。「流行規模を規定する二つのパラメータ」と書いていますけれども、赤字の矢印に相当する部分を、今回のサーベイで、専門家の意見を聴取しようと思っています。これは、よく感染症の流行のシミュレーションで使うSEIRモデルと呼ばれるものです。人口を、興味のある感染症の対象に限って、状態で分けるのです。Sというのは感受性を持った人、 Susceptible な人。EがExposeを受けた人で、IはInfectiousな人、感染性を持っている人です。その人たちがRとかDというのはRecoverする、回復するか、DというのはDeceased、死亡するかです。こういうものの遷移していく様、人口の中でどれぐらいの人がそうやって移っていくかということを記述するのが、感染症の数理モデルで私たちがやっていることなのですけれども、その中で、重要な2つのパラメータがSからEに遷移する部分とIからRあるいはDに遷移する部分の2カ所に相当しています。

 感染性を、R0 というように基本再生産数、一人の感染者が生み出す二次感染者数の平均値のことを意味するのですけれども、これで記述することが多い。致命率は、率といっても確率なのですけれども、感染したときに死亡する確率はpで表すということです。確率pで死亡に行って、1−pでRecoveredのほうに行くというようなモデルになっています。

 具体的に、感染性とかが変わるとどうなるかということが、参考にシミュレーションで2つ図示しています。左側が、基本再生産数が変わったときの検討結果を見ています。基本再生産数が1.41.72.0でそれぞれ流行曲線を見ていますけれども、R0 が大きいほど流行のピークが高くなります。インテンスなトランスミッションが起こるので、流行期間自体はR0 が小さいときよりも短くはなるのですけれども、流行のピークが高くなるので医療機関に対する負荷も高くなるであろうと考えられるということです。

 右下側の図は、いわゆる累積発病者の割合なのですけれども、最終規模と言われるものです。横軸が年齢群を指していますけれども、多くの新型インフルエンザでは、小学生、中学生の年齢群が一番感染を経験するのですけれども、電卓計算をしていると、こういうパターンをプロポーショナルに並行してマグニファイするしかないのですけれども、数理モデルを使うと、基本再生産数が2.0とか1.4とか変わったときでも、それに対応して年齢群間と年齢群内の伝播をモデル化することによって、どのように累積の発病者の割合が年齢に従って変わっていくのかということもモデル化できます。

 6ページ目です。御参考までに「これまでの決め打ち」ですけれども、本当は発病率が25%というのが厳密なのですけれども、例えば仮にここで感染者が25%としたとき、基本再生産数は1.44に対応するのです。それが何を意味しているのかということは、右上の図を見ていただければわかるのですけれども、基本再生産数が横軸にあると、縦軸の累積感染者の割合が一次に決まるということが知られています。当然、年齢群別で累積感染者の割合が違うのですけれども、年齢構造化という年齢構造を分けた数理モデルを使うと、それに対応したモデル化ができて、25%は1.44という何らかの対応があります。大体それが正しいことがわかってきているのですけれども、例えばそれは観察データでいうと、2009年の血清学的調査で乳幼児、学童、成人、高齢者がこれぐらいのパーセンテージで感染したということは、左側のシステマティック・レビューのフォレストプロットにも対応するようなものでわっているのですけれども、2009年だと、全人口で感染者が1121%ぐらいだったということがわかっていて、こういったものを背景にして、基本再生産数あるいは累積感染者の割合を手に入れて、流行をシミュレーションしています。2009年とその想定を比べると、2009年の感染頻度のほうが低かったことになるのですけれども、過去の文献、今まで起こった新型インフルエンザでどんなデータが残っているのかということをまず参考に読んでいただいた上で、この累積感染者あるいは基本再生産数がどういったものになるだろうかということをインタビューさせていただく予定でいます。

 7ページ目なのですけれども、一方で死亡するリスクがどういうものかということに関して、2009年の新型インフルエンザを参考に書いています。これは、香港での研究です。私は以前、香港大学に勤めていたことがあって、大学院生に指導をして、感染時致命確率、IFRと呼んでいるものを提唱しているのです。

 死亡者をPCRとかで確定された感染者で割ると、2009年の流行の初期とかにあったのですけれども、0.5%ぐらいの人が死亡するかもしれないというかなり高い死亡リスクが出ているのです。皆さん経験されたとおり、2009年の流行は相当マイルドな流行でした。そのときは、全ての死亡者は診断されませんし、全ての感染者も診断されないので、死亡リスクの推定はとても難しいのですけれども、実際にどれくらいなのかを知るために、感染時致命確率を計算するのです。どうやってやるのかというと、相当する年齢群別で血清学的な調査を人口レベルでやります。流行の前と後で、各年齢群1,000サンプルぐらいずつの人に協力してもらって、血清学的診断をします。すると、感染者の割合を直接に推定することができるのですけれども、確定患者の死亡数を推定された感染者数で割るか、あるいはいわゆる私たちが超過死亡と呼んでいるものがありますけれども、統計モデルを使って推定された死亡者数を推定感染者数で割ることによって、それぞれここに書いてあるIFRcとかIFReというようなものが得られます。これは、10万人の感染者対で、これぐらいが死亡するというものです。

 小学生とかあるいは中学生、学童の人たちはほぼ死亡しないということが、推定するとわかりました。

 一方で、60歳以上の人たちは、特に超過死亡を利用した場合ですけれども、一定の確率で死亡する。これが、マイルドなインフルエンザの全容であったというあたりがわかってきたということが今までのところです。

0.5%というものの議論からすると、それの80分の1ぐらいが全人口の死亡リスクだったということが、この感染時致命確率の研究からわかってきました。これに関しても、同じような知見が季節性インフルエンザに関してそろそろ得られつつあって、発表されてきているところです。

 8ページ目をごらんください。それらの情報をもとにすると、先ほども見ていただいた SEIRモデルみたいなものを入れると、全人口で流行が終わるまでにこれくらいの人たちが死亡しますという具体的な数値が出てきます。それぞれの数値が変わると、当然ながらそのサイズも変わってくるということなのです。黄色の枠で囲んでいるあたりは、ベイズ推定みたいな区間推定をしたときに、2009年のときのインフルエンザはこのあたりが一番怖かったのですというあたりを指し示しているものです。まだ発表していないのですが、日本全国での超過死亡が3,000人ぐらいに相当するのですけれども、大体それに対応したような値でこのシナリオも落ちつくようなものは、2009年のときだと出るということです。参考資料ということです。

 9ページ目をごらんください。これから、それに相当するものを重篤なパンデミックに関しても検討していかないといけないのですけれども、感染性が何を与えるのかということと、死亡リスクがどんなもので、ちまたで疫学的に評価されているのかということを見ていただきたいのですけれども、9ページの感染性は、私どもの研究員の水本憲治助教の研究ですけれども、横軸が年齢群で、縦軸が累積感染者の割合を2009年のときに評価したものです。先ほどもお話ししましたけれども、年齢群別で感染頻度が違うので、感染する割合は一定ではないのですけれども、こういった感染のデータをもとにパーセントを考えていただくか、あるいは先ほどの代表値で見ていただきましたけれども、基本再生産数を入力していただくことで、パラメータの不確実性に対応するような分析をするために複数の専門家の方からインプットをいただきたいと思っています。

 特に、感染性が高い場合と低い場合がいろいろありますので、シナリオを3つのセッティングに分けることを考えています。ここで高位、低位と書いていますけれども、具体的には低位、中位、高位というように3つのシナリオを考えている。それは、感染性でいうと低位、中位、高位の場合です。感染しやすいインフルエンザ、感染しにくいインフルエンザとさまざまですけれども、人への適応度がどれぐらい高いかによって変わると思いますけれども、それに基づいて入力をいただきたいということです。

10ページ目が、重症化リスクのほうです。いわゆる私たちがIFRと呼んでいるものにケースのデフィニションがちゃんとある。患者と呼んだときに患者は何を指すのかということがちゃんとはっきりさせられたときのことをCase-Fatalityと呼ぶのです。これはアメリカあるいはオーストラリアで観察されたデータをお示ししています。もう一度お話ししますけれども、それぞれの年齢群でリスクが異なります。それが、私たちはどのように割り振るべきなのかというあたりは、大体、文献的な知見があります。インフルエンザの死亡のリスクが高い人は、やはり60歳以上の基礎疾患を持っている人が多いのですけれども、それによって年齢群別の死亡リスクの違いが出るのですけれども、それを推定するための、参考資料としての全人口での死亡リスクをまとめたもの、その重みづけ平均値を考えていただきたいと思っています。

11ページ目を見てください。シナリオ分析をしていくためには、今まで起こったことのないイベントを予測していくことが必要になります。相当に難しい方法なのです。ただ、科学的には幾つか起こったことのないイベントを、どのようにして予測したりあるいは対応していくかという方法論は、ここに列記しているようなものがあります。今回使用する方法はデルファイ法といって、直観的な手法なのですけれども、それ以外にも、何らかのベースラインがある場合は、傾向外挿法とか時系列等回帰分析法とか、幾つか方法は挙げられています。傾向外挿法はパンデミックのときも挙げられましたけれども、1918年の流行曲線をそのままコピーして、現代に照らし合わせるとどうなるかということ見たりするような方法です。あるいは3番目の規範的手法の関連樹木法とか、あるいは総合化手法という、シナリオ・ライティングで客観性は余り重視せずにとにかくライティングをするというもので、いろいろあるのですけれども、この中でも今回デルファイ法を採用するのですけれども、なぜかということなのです。専門家の合意を得た上でデルファイ・シナリオをこれから作成することにも役立ちますし、パンデミックのイベントは、今までの傾向で過去の流行曲線をそのまま重ね合わせると、いろいろできなくなることが生じてしまうので、上で書いてある2番とか3番の方法が使えないということがあるので、よい点と悪い点をいろいろ勘案して、デルファイが使えそうだということで今回検討しています。

12ページ目をごらんください。デルファイ法がどういうものなのかということです。専門家グループなどが持つ直観的意見あるいは経験的判断を反復型サーベイを使って、組織的に意見を集約・洗練・収束したり、論点を明確にする方法のことを指します。今でもあるのですけれども、昔、アメリカ西部のランド・コーポレーションという、そういうモデルも対応している研究シンクタンクが、技術革新とか社会変動に関する未知のイベントの予測のために使い始めたことが最初なのです。今は、疫学モデルの専門家意見の聴取のときにも使われています。下に図を簡単に見ていますけれども、Steering Committeeです。AからFがExpert Panelsに対応するのですけれども、複数の委員会の専門家の方から意見を聴取して、それを集積して、反復的なサーベイを使うと収束していくことが知られているのですけれども、その技術を利用して、各パラメータの分布を得ることを考えています。

13ページ目をごらんください。例えば、あるタスクの完了に要する労働時間の意見聴取に関する収束の模様を見ています。横軸が、こんな仕事をお願いするためには何時間ぐらいかかりますかということを異なる5社の会社に聞いたときの総合の時間の分布を×で示しています。最初はすごくばらけるのですけれども、Round2になると、ちょっと高めで言っておいたほうがいいという話によくなるのですけれども、Round3だと他社の話とかも見ながら、皆、このあたりで収束すればいいのかというあたり、落としどころを聞いてくるので、分散が減っていくという傾向があります。それと、分布として、このあたりを考えて、これぐらいのばらつきで検討すればいいということが複数回Roundでわかるのですけれども、これを感染性と死亡確率に関してやっていきたいと考えています。

14ページ目です。具体的に、これから予定している専門家意見のデルファイ調査は、感染性と致命率について低位、中位、高位の推計を準備する予定でいます。各専門家の皆さんに、デルファイ調査(アンケート)でやらせていただきますけれども、システマティック・レビューの文献を事前に提示して、ある程度、感染性と死亡リスクに関する文献的知識の入力を見ていただいた上で、低位、中位、高位についての意見を収集する予定です。

 大体、分布がこの図で雑に示しているとおりで得られるのです。分位点が得られます。例えば、書いている数値は、ほぼ他意はないのですけれども、致命率に関して言うと低位、中位、高位がこれくらいで分布していましたというあたりの分布の情報が得られますので、その分布からランダムサンプリングをしながら、一つ一つのシナリオをつくっていくということが、私たちがやろうとしていることです。

15ページ目をごらんください。どのようにサーベイを計画しているかという話なのです。目的に関して、また改めてお話しさせていただきますけれども、今後、出現が十分に想定されると考えられる新型インフルエンザを、専門家の先生方に考えていただきたいと思っています。感染性と感染時の重篤度に関する専門家意見をデルファイ法によって調査して、その結果を定量的予測に生かすことが今回の目的です。

 対象とさせていただきますのは厚生労働省の委員会なのですけれども、ここに書いている会議を構成する委員のうちで、基礎医学・臨床医学・公衆衛生の専門家の先生方が対象です。具体的な名称ですけれども、新型インフルエンザ等対策有識者会議及び同医療・公衆衛生分科会、厚生科学審議会感染症部会新型インフルエンザ対策に関する小委員会及び3つの作業班(公衆衛生対策作業班、ワクチン作業班、医療・医薬品作業班)に依頼をさせていただく予定です。

16ページ目をごらんください。繰り返しになってしまいますけれども、サーベイはとても簡単なものです。新型インフルエンザ等を感染症として想定すべき感染性と重篤度について、今、計画で用意しているスケール、物差しをお渡ししますので、そこでバツを書いていただくことを予定しています。これぐらいのあたりを考えてくださいということを御教示いただきたいと思っています。

 感染性は、2つのパラメータで評価をすることを考えています。基本再生産数が一つです。1人当たりの感染者が生み出す二次感染者数の平均値です。累積感染者割合が、もう一つの別の表現指標です。流行全体を通じて人口レベルで何パーセントの人が感染するのかという情報をあらわします。

 もう一つの重篤度に関しては、全感染者のうちで死亡する者の割合を表す感染時致命リスクを考えていただきたいと思っています。

 次のページをごらんください。調査に関してですけれども、質問紙で聞き取り調査をさせていただく予定でいます。結核感染症課を通じて実施させていただく予定です。承認いただければ今年中にスタートします。調査は匿名で実施しますけれども、何らかの先生方の傾向があるかもしれないので、調査後の分析のために回答者の性、年齢、職域に関する情報だけを含ませていただきます。先ほどもお話ししましたけれども、年内にキックオフさせていただく予定でいます。

 次のページをごらんください。18ページです。デルファイ調査結果をどのように使用するかということなのですけれども、例えば、先ほど感染時の死亡リスクをスケール上でお示ししましたが、ある程度、三角形のような分布が得られたら、一つ一つの分布からランダムサンプリングを行うことで、一つのシナリオが得られます。ですので、必ずシナリオ分析は一シナリオ一シナリオ同じものはなく、異なるシナリオごとに流行サイズが変わって、ある程度、得られる結果も区間の情報として得られることになります。

 低位、中位、高位の別に、専門家意見をもとにランダムサンプリングを実施して、モデルの鍵となるパラメータを決定させていただいた上で、サンプリング1回につき、1シナリオ低位、中位、高位のそれぞれ1万シナリオの作成をして、不確実性の幅を明示しようと思います。

 最終的に、感染する規模だとか、あるいは医療体制を考える上で重要な最大の入院患者のプレバレンスに関しても、分布でデータが得られることになります。

19ページ目をごらんください。最後のスライドなのですけれども、医療体制の整備のためのシナリオでも、それをベースにさらなる計算をしていく予定でいます。流行シナリオと年齢、性、基礎疾患別の入院動態がある程度得られることにつながりますので、すると医療機関の受診と入院の負荷が計算されることになります。重要な情報として、時点受診者数、時点入院者数とか、あるいは重症患者数でICU入所あるいは人工呼吸器を必要とする者、埋葬とかの情報にも関連していくのですけれども時点死亡者数です。これらをシナリオ別に得られるというものを、これから構築していきたいと思います。基礎疾患の情報としては、系統的レビューに基づく文献値だとか、あるいは2009年のときの入院患者サーベイランスとかの情報。今まである情報を最大限に活用して、こういったものをつくっていきたいと考えています。

 以上、簡単なのですけれども、まず私から説明させていただきました。

○岡部委員長 どうもありがとうございました。

 一応、作業班のほうで御紹介はいただいているのですけれども、かぶっている先生もおられれば、初めてごらんになる先生もおいでになると思うのですが、作業班の先生も含めて御意見、御質問がありましたら、どうぞお願いします。

 宇田先生、どうぞ。

○宇田委員 作業班にも出ていたのですけれども、まだちょっと具体的にイメージがつかないところもあるので、3点ほど教えていただいてよろしいでしょうか。

 資料の13ページで、何回か繰り返すと、このようにRound1からRound3に行くにつれてばらつきが割と小さくなって収れんしてくるといったお話は前回も伺って、なるほどそういうものなのかと思ったのですけれども、たまたまそういう図なのかもしれないのですけれども、これを見ると中間値というか平均値がだんだん高くなっていくような、どちらかに心配すると、やたらとリスクの高いほうに流されるという傾向がある性格のものなのかどうかということが一点。

 もう一点、Roundがこの絵では4回をモデルとして示しておられるのですけれども、大体何回ぐらい繰り返す想定なのかということ。

 済みません、多分、私だけがわっていないのだろうと思うのですけれども、18ページに、サンプリング1回につき1万シナリオの作成と書いていただいているのですけれども、これはどういうことなのでしょうか。無限にあると考えていいのか、1万シナリオぐらいがリストアップされると書いていただいているのか。

 プリミティブで済みません。教えていただければと思います。

○西浦参考人 御質問ありがとうございます。

 先に13ページのほうからなのですけれども、デルファイ法を利用すると、定量的なデルファイと呼ばれるものなのですけれども、収束する傾向は明らかなのです。今回もやる予定でいるのですけれども、1回目のサーベイが終わった後に、ほかの先生方がどのように答えたか、その根拠は明示しないのですけれども、ほかの先生方はこのように散らばっていましたというあたりを見ていただいて2回目の聴取をさせていただく予定なのです。それによって、ばらつきは多少減るという傾向があることは、この手法に関連して、今まで心理学とかで証明がされてきています。

 一方で、平均値自体が上がるのか下がるのかということは、特に決まった傾向はありません。今回、図示しているものが、たまたま平均が上がっているというだけです。分散は狭まる傾向があるということは明らかです。

 今回のサーベイは、少なくとも2回させていただくことになると思います。ミニマムで2回やる必要がありますので2回やらせていただくのですけれども、恐らく、そこで収れんが見られなかったら3回目とか、あるいはそれが失敗と考えられるものであればやり直して、もう2回ということを考えています。

 外れ値とかの先生が出られると思うのです。分布とかを描いていても、必ずずっと同じ値のところでとどまるということもあるのですけれども、それも外れ値をそのまま分布の一部のデータとして使わせていただく予定でいます。ですので、サーベイとしては2回か3回ぐらいの予定でいます。

18ページ、私の書いたことなのですけれども、サンプリング1回につき1シナリオということなのですけれども、分布が得られますと、その分布から決め打ちした具体的な数値が、感染性と死亡リスクのそれぞれについて得られることになりますので、そのコンビネーションで1シナリオができます。今回、1万シナリオと書いているのは、サンプリングを同じ分布から1万回やるということです。それと、1回のシミュレーションが、ちょっとかもしれませんけれども、異なる流行曲線が得られます。低位の感染性、低位の重篤度のコンビネーションから得られるような流行曲線を1万通りつくるということです。すると結果も、1万回分の違いがあるような分布が得られますので、それを分布としてアウトプットの情報として使っていくということです。

○岡部委員長 どうぞ。

○宇田委員 もう一つだけ。

 政府関係の委員会の委員の方々を中心として、R0 だとか重症度だとかの数値をそれぞれ述べていただく。対象は多ければ多いほど、精度といいますか信頼性があるものなのか、あるいは例えば四、五十人ぐらいだと伺ったのですけれども、厚生労働省の関係の委員の数、四、五十人ぐらいよりは、例えば100人、200人になったほうが信頼性が上がるものなのか、あるいは40人、50人ぐらいと大して変わりがないものなのかどうか。その辺のところも教えていただけると。

○西浦参考人 いわゆる統計学でサンプル数が大きくなるほうがいいという話があるのは、特定の対象から何らかのサンプルを抽出して一般的な議論をするときに、代表性が必要であるということです。対象としたいサンプルをする前の集団を、よりよくリプリゼントできているという議論をするためにサンプル数が必要になるのですけれども、デルファイ調査は、今回でいうと特に専門家意見調査のことを指します。その場合は、専門家意見を抽出したいということなので、それが何かをリプリゼントする必要はありません。ちゃんと定義した集団を根拠にしてサンプルとして使わせていただくということなので、例えばサンプル数が倍になったとしても、その傾向ですね。もともと抽出する前の集団が変わると全く異なったものになってしまいますので、ちゃんと定義のされている政府の専門家会議を構成する医学関係の先生方ということであれば、サンプル数はそんなに問題になるものではないです。

○岡部委員長 ありがとうございます。

 ほかには、いかがでしょうか。

 押谷委員、どうぞ。

○押谷委員 プランニングアサンプションとして考えていくことになると、多分いろいろな使い方が必要になってくると思うのです。西浦先生が出された最後のスライドで、医療体制をどうするかということは最も大切なものの一つだとは思うのですけれども、それだけではなくて、例えば、どういう状況になったら、欠勤者がふえて社会機能が維持できなくなるような事態に陥るのかとか、それを防ぐために、今、考えられている特定接種とか、そういうものをどのように考えていくのかも当然必要になってくるのではないかと思うのですけれども、公開される数式の中でシミュレーションすれば、そういうものは多分、計算することはできるという理解でよろしいのでしょうか。

○西浦参考人 今から、まずこの初年度の調査でつくるということを予定しているものは、インターベンションが全く施されていないような状況で、どれくらいの被害規模が出るのかを最初にやって、ちょっと段階的にやっていく予定なのですけれども、その後で、特定接種の話をされましたけれども、例えばワクチン接種がどのような対象の方に、いつ投入されたら、どれくらい新しい感染とか新しい死亡を防げるのかは、次の年度にまた検討していく予定でいます。

 欠勤者とかの情報に関しては、文献値と成人の感染者のデータを使えば、プレーンの情報だけでよろしければ、今、再構築はできると思います。

○押谷委員 あと、重症化とかそういう話の中で問題になってくるのは、それもプランニングアサンプションとしての位置づけを考えたときに、どういう年齢層が重症化するかというところもかなり重要になってくる可能性があって、例えば2009年のパンデミックでは、アメリカなどでは割と若年者の重症者、死亡者が多かったということで、致死率全体からいうと、季節性インフルエンザよりも低かったのではないかという話がありますけれども、DALYとかで見ると、やはりかなり社会的な損失は多かったということ。1918年のスペインインフルエンザも若年層の死亡が多かった。そこで、社会的なインパクトはかなり違ってくると思うのですけれども、そういうことは、このシナリオの中で考慮する予定なのでしょうか。

○西浦参考人 死亡者数は年齢群別には計算する予定です。DALYとかの計算は、それを使っていただければやっていただけると思います。

○押谷委員 1968年とか57年は恐らく高齢者が死亡者の大半を占めていたと思うのですけれども、パンデミックによって、死亡がどこに年齢層として集積するのかということは、過去のパンデミックでもかなり違うと思うのですけれども、そういうことは。

○西浦参考人 現状では、リサイクリングみたいなイミュニティーに関しては想定しない予定でいます。

○岡部委員長 大石先生。

○大石委員 最初は、西浦先生はプレーンの状態での評価をやるのだという話なのですけれども、19ページにある内容についても、入院者、重症者患者数というところでICUとか人工呼吸器ということが書かれていて、結構医療の介入をしているということが前提の人たちの症例数をカウントしようとされているようなので、プレーンは一体どういうことを想定されているのか、ちょっとよくわからないのですけれども。

○大石委員 最初は、西浦先生が使っておられるプレーンの状態での評価をやるのだという話なのですけれども、19ページにある内容についても、入院者、重症者患者数というところでICUとか人工呼吸器ということが書かれていて、結構医療の介入をしているということが前提の人たちの症例数をカウントしようとされているようなので、プレーンは一体どういうことを想定されているのか、ちょっとよくわからないのですけれども。

○西浦参考人 作業班のときに関連する質問をいただいたのですけれども、1918年のパンデミックインフルエンザのときには抗菌薬がなかったのですけれども、今の時代では抗菌薬があるので、当時のようないわゆるsecondary bacterial infectionでの肺炎による死亡は、現在、少ないはずだという意見なのです。

 あくまでも建前は、何も治療を施さないということなのです。それは、抗インフルエンザウイルス薬だとか、インフルエンザに特異的なものと考えてください。ほかのものに関しては、専門家としてあり得ると考えられるものを聴取させていただくので、例えば、人工呼吸とかがあると死亡のリスクがちょっとは低減されるのではないかというアイデアがもしおありの場合は、それも込みで考えていただければと思います。

○大石委員 わかりました。

○岡部委員長 丸井先生、どうぞ。

○丸井委員 3つあります。

 年齢についていろいろ考慮されていますけれども、この場合の年齢の考慮の理由は生物学的な年齢なのか、それとも感染を考えると社会的な広がりなのでしょうか。年齢を考えるときに生物的なものだけではなくて、社会的な広がりを考えていらっしゃるのでしょうか。それに付随して、とすると、性別を入れるとややこしくなるから入れていないのか。社会的という理由ですと、性別も効いてくるのではないかということを感じたのが1つ目です。

 2つ目は、年齢に絡んで、致命率とか感染性を、デルファイのときに年齢別に回答を求めることになるのでしょうか。それとも、ざくっと全体で何パーセントというようなことで聞くことになるのか。それが2つ目です。

 3つ目は、先ほどの18ページで、サンプリング1回で1シナリオということなのですけれども、感染性と致命率をそれぞれについて低位、中位、高位が出てきますね。もし、単純に組み合わせると9通り出てきます。ですから9通りの大枠としての可能性で、その中でまたサンプリングで分布をつくっていくという、とてもややこしくなるのかと危惧したところです。

 その3つです。

○西浦参考人 1番目なのですけれども、年齢がもともと入っている理由は、インフルエンザに関して生理学的にも社会的にも、感染リスクと死亡リスクの両方で影響が及んでいる蓋然性が高いからです。文献的に、社会的には学校とかの接触によって感染リスクが異なることは周知の事実なのですけれども、それだけではなくて、死亡リスクなどを見たとき、あるいは感染リスクで暴露毎の感染成立の確率などを見たときにも、年齢によって違うのです。年齢が低い方が、暴露前の感染がサクセスフルになる確率が高いことが今まで知られていて、それは感染リスクに関するフィジオロジカルな違いが生じない限りは説明不可能なのです。

 それは、少なくとも今までの特異的な過去の暴露による免疫では説明できない範囲のもののようで、まだ、そのあたりは解明されていないみたいです。少なくとも、これまでの年齢に依存する傾向があるので、それは必ず考えていかないといけないと思っています。

 性別に関しても、インフルエンザに関してはかなり関連が深いということが知られています。日本でも岡部先生だとか幾つか研究がありますけれども、あるいはハウスホールドという家庭の中の伝播では、お母さんから子供あるいは子供からお母さんの伝播が高くて、お父さんは余り家にいないので感染しないという文献の知見はあります。検討していかないといけないのですけれども、今の時点では、性別に関してはちょっとペンディングにしておいていただければと思います。年齢に関しては必ず入れていこうと思っています。

 2番目の致命率と感染性に関してなのですけれども、年齢群別にお尋ねすることはかなり難しいので、代表値を出していただくことを予定しております。ベイズ推定とかを使うのですけれども、年齢別に割り振る方法は、今までの文献値と合体させて重みづけをやれますので、それはこちらでやらせていただく予定です。今までのパンデミックなどの参考資料のときに、年齢群別の値も見ていただきますけれども、それが人口全体になるとこれくらいですということは、参照値として御提供させていただいた上でサーベイをさせていただく予定です。

 3番目なのですけれども、1回のサンプリングにつき1シナリオをやっていると、低位、中位、高位だと感染性と致命率だと3通りずつあるので、単純には全9通りの組み合わせがあるのではないかということなのですけれども、その通りです。低位、中位、高位が、それぞれ単純に掛け合わせると9通りあるのですけれども、実際にシミュレーションとしてそれぞれの結果を提供する予定ではいるのですが、その後のプランニングアサンプションとかで使われていくようなもので参考にされるときは、その中からさらに3つとかを抽出して使っていくことになるとは思います。

 例えば、中位と中位の組み合わせ、高位と高位の組み合わせ、低位と低位の組み合わせが、その9通りの中で最もエクストリームな組み合わせになるわけです。ですので、大体それを見ていただく。9通り全部を一気にどんと出すよりも、低位、中位、高位がそれぞれ組み合わさった場合を参考資料として常に見ていただく形になるかと予想はしていますけれども、いい見せ方を考えていきたいと思っています。

 

○岡部委員長 坂元先生、どうぞ。

○坂元委員 一つだけお伺いしたいのです。

 この対策をとるときに、一つは自治体ごとによって人口の密集度が全然違う場合です。感染性というものは、人の接触の頻度によって決まってくるのか、例えば対策は、過疎みたいなところと、東京みたいにかなり人口密集度の高いところでは、つまり地域ごとにかなり違うような気がするのですが、その辺はどのように解釈したらよろしいのでしょうか。

○西浦参考人 御質問ありがとうございます。

 重要なところだと思います。まず、原則の話なのですけれども、人口密度とインフルエンザの感染性に関連があるかと問われると、今の時点では確立したエビデンスはないです。わかりやすい話をすると、例えば、中国の北京とニュージーランドでそれぞれ基本再生産数の推定がいろいろなインフルエンザで行われていますけれども、基本再生産数の推定値にほぼ違いが出ないです。統計学的に見ても有意な差が出ないので、人口密度よりも接触に関する人の行動のほうが、恐らく感染のリスクにもっと寄与するドライビングファクターなのではないかという議論がされています。密度に関しては、そんなに心配はしていないということが正直なところなのです。

 一方で、最後のほうにちょっと言及がありましたけれども、過疎の話がありますけれども、そういった場所では、子供たちとか人が移動して特定の集落にインフルエンザを持ち込む確率が低い場合があるのです。すると、田舎のほうには流行が起こりにくい傾向が出てくるということが今までわかっている説明なのですけれども、そういう傾向はあります。

 今のモデルでは、医療体制とかを知るために、日本全国でどのようになるのかということを、都道府県に患者数をばらつかせるぐらいまでの精度でしかできていないのが現状です。過疎地は、それぞれのところを言及することは、今の機能ではまだ対応はできていません。

○岡部委員長 谷口委員、どうぞ。

○谷口委員 今、先生がお答えになられた最後の部分なのですが、パンデミックプランは、最終的には都道府県レベルで考えなければならないことです。最終的に計算式とかを公開していただけるというお話でしたが、それは都道府県でのプランニングアサンプションとして使えるものになるのでしょうか。

○西浦参考人 今、複数年度をかけての目標でいるところなのですけれども、今までFlu AidとかFlu Surgeが都道府県の自治体レベルで使われてきました。どうしてそれが使えたかというと、そのエクセルをダウンロードして、保健所単位とかでも使えたから、使いやすかったので使われているということが一番正直なところなのですけれども、それに相当するようなインターフェースも含めて、Rコードのシェアを考えています。

 そのシェアをするということは、日本全体での流行を反映できて、さらにそれが都道府県に分かれたシミュレーションができるかというと、ちょっとアンビシャス過ぎて、今のところ、そういう公開できそうなものは複数年度ぐらいでできそうかということは、日本全国の流行をこういうコードでやりますというものをつくっていて、それを自治体レベルで使えるようにするという状態は達成できると考えています。

○岡部委員長 大久保先生、どうぞ。

○大久保委員 デルファイアンケートを行う場合に、いわゆる新型インフルエンザの感染経路といいますか、通常のインフルエンザは飛沫感染でほぼ対応できるのですけれども、新型の場合には空気感染も考慮してということが必ず出てくるのです。同じ空気感染でも、結核、麻疹等に比べてもいろいろな程度があるわけですので、感染経路は飛沫感染と限定して考えるとか、何かそのあたりを決めておかないと、かなり幅の広い回答が出てきてしまうのではないかと思うのです。

 インフルエンザですから、通常の季節型と感染経路の差がないと考えるべきなのか、新型の場合は特殊だと考えるべきなのか、その辺をお聞きしたいのです。

○西浦参考人 御質問ありがとうございます。

 新型のとき、特殊な感染経路の場合があるかもしれないということは、とても大事な視点だと思うのです。

 今回のデルファイ調査をさせていただくときの感染性は、仮に感染経路が多少異なる可能性があるかもしれないことが想定される場合は、それを込みで感染性として反映していただければと思います。それを専門家の先生方が考えられる数値として収集させていただきます。

 仮に、感染経路の違いがあるとしたときに、基本再生産数だとかにどのように反映されるのかというあたりを御想像いただければと思っています。

 デルファイサーベイをするネーチャーと似ていますけれども、感染経路はこうなるかもしれないという値の想像は、事前にここを固めておくということはなかなか難しいことだと思いますので、その範囲での考察は専門家の先生方にお任せしたいと思っています。

○岡部委員長 インタビューを受けた側が、それぞれの人の考えでやっていくということになるわけですね。

○西浦参考人 そうです。

 せっかくサーベイをさせていただくにもかかわらず、それぞれの数値の根拠を今回お尋ねしないというのは、ちょっともったいない気が自分でもしているのですけれども、それぞれの先生方にお考えがあると思いますので、それに基づいて数値をお答えいただければと思います。

○岡部委員長 押谷委員、どうぞ。

○押谷委員 ちょっと私がよく理解できていないのかもしれないのですけれども、デルファイで低位、中位、高位ということで、高位も割と最終的にかなりレンジを狭めていくということだと理解しているのですが、そのときに、労働時間が何とかという例も出ていましたけれども、そういうものとは違って、危機管理上、やはり常に最悪の事態を考えておくことも必要で、みんなの意見が集約するところに収めてしまっていいのか。かなり想定外というか、もしかすると1918年のパンデミックよりも、よりシビアなものが絶対来ないとも言えないわけです。ですから、そういうところを考えて、みんなが普通に考えるとこのくらいだろうというところにシナリオを限定してしまっていいのか。アメリカなどは、8%か10%の致死率だったらどうするのかということも実際に考えていたようなこともあって、そういう最悪のシナリオをどのように考えるのかというあたりをお聞かせいただければと思います。

○西浦参考人 ありがとうございます。

 重要なポイントなので、確認いただいていて本当にありがたい次第です。

 いわゆるワースト・ケース・シナリオと言われるものと、今回の高位のシナリオは全く分けて考えていただきたいのです。資料2だったりあるいは参考資料1の中でも何回か記述をさせていただいているのですけれども、低位、中位、高位に限らず、考える基本にしていただきたいものは、専門家の先生方が、今までの経験判断とか、あるいは文献的知識に基づいて、これくらいの新型インフルエンザだったら起こるであろうと考え得る範囲でお答えいただきたいと思っています。

 例えば、起こり得ると考えられるのであれば、高い致死率だとか高い感染性も入れていただくべきなのですけれども、科学的な意見として起こり得ると考えるものは、国がこれくらいはやっておかないといけないだろうというものとは全く異なりますので、そこは切り離して考えてください。こういったものをベースに考察いただかないとということで、政策に盛り込まないといけないだろうなという意識はなしの上で、インタビューの結果をいただきたいということです。

 想定外のことも考えられるかもしれないというのは、必ずこの御意見として出てくることなのです。今回のものは、専門家の御意見をいただくのは、専門家の先生方が想定内で判断しているものを集めてシナリオをつくるものです。それの想定外になるという場合は、それは仕方がないと思います。

○岡部委員長 そこが一つの定義といいますか、範囲内を決めておくということでしょうか。

 よく想定内とか想定外という話が出るけれども、これで決めたものについて、そこにまたさらに幅を持たせて、最終的な施策などに反映していくということになるのでしょうか。

○西浦参考人 それぞれの低位、中位、高位に関して幅を持たせた被害規模が出てきます。例えば、高位の推計に関して言うと、ピークの時点入院患者数とかを見ると、医療機関とかで必ずしも達成可能なベッド数の数値に対応するような数字ではない可能性さえあるわけです。そういった場合も踏まえて、それぞれのシナリオをどうみていただくかということについて、これから話を進めていこうと考えています。

○岡部委員長 専門家が考える想定内への想定外クラスということになるわけですね。その間をとって、最終的なところがつかめてくるという感じなのだろうとイメージしているのですけれども、ほかに御意見がありましたら、どうぞ。

 丸井委員、どうぞ。

○丸井委員 そうやって想定をしていくわけですけれども、最終的に分布として出てくるわけなので、例えば、従来のように25%が罹患すると仮定するというものではなく、大体このあたりを中心に分布をするということが幾つか出てくるということになると思います。政策的な準備のためには非常に使いにくいのではないでしょうか。分布の結果を、そのまた中位を発表するという話になるのか、現実的には分布はあくまでも分布として提示すべきですけれども、政策的にどのような対応、マネジメントしていくかというときの基準となる数字が結局求められるのではないかと思うのです。そのあたり、どんなつなぎが考えられるでしょうか。

○西浦参考人 ありがとうございます。

 分布から得られることなのですけれども、まず1点目なのですけれども、今回の流行のインタビューでデルファイの1ラウンド目が終わったら分布情報が得られてシミュレーションが得られるのですけれども、今までと違うのは、25%ぐらいの人が患者さんになりますよというような一つの数値が出てくるものと違って、このリスクのコミュニケーションを一歩先に進めたいと思っています。

 分布の代表値は、当然分布の中央値などをとれば出てくるのです。中央値をとれば被害規模はある程度パーセントとして出てくるのですけれども、その数値だけをコミュニケートいただくのではなくて、ぜひ、図を使っていただきたいと思うのです。幅で流行曲線をお出しして、これぐらいからこれぐらいの流行の被害規模というのがあり得るという値をビジュアルに訴えていくような形に、シナリオ分析の結果もコミュニケーションを変えたいというのが、一つのこういったエクササイズをする野望です。

 もう一個、流行対策をする上で、そういう分布の情報をどのように使っていくかということに関してなのですけれども、それに関しては、今まで、決め打ちの一つのパラメータだと、特定のワクチンの備蓄量だとかあるいは抗インフルエンザウイルス薬を利用した治療あるいはプロフィラキシスとかをやると、流行の閾値を割るので患者さんがこれぐらい減りますということをクリアカットに示すことができたのです。分布を使うと何が違うかというと、中位の想定でワクチンが何日ぐらいまでに準備されると、流行がとどめられる確率が何パーセントで、とどまらない確率もありますというような、最終的に確率で流行の対策がうまくいく、うまくいかないときがこれぐらいありますという値までも議論できるということをたくらんでいます。

○丸井委員 それは科学的には非常に正しい方向だと思うのですけれども、恐らく政策的にどれだけ用意すればよいのかという、いわば質問が出てきて、要するにどうすればよいのかというときに、これぐらい用意すると何パーセントでこれぐらい用意すると何パーセントに上がるという説明で満足してもらえないのではないかという危惧を持つのですが、どうでしょうか。

 リスクを考えていく上で、もちろん分布をもって考えるということが非常に大事だと私は思うのですけれども、それで説得できるような話し方あるいは表現の仕方がとても大事だと思います。

○岡部委員長 これは、事務局側も何か御意見があるのではないかと思うのです。

 山岸さん、どうぞ。

山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 現在、西浦先生から御提案いただいているものは、想定される専門家の先生方が、現在の科学的知見で個々の専門家の先生方として想定される意見を集約していって、想定し得る高位、中位、低位の被害想定をしていただくものと考えております。

 一方、政府全体による対策の施策について、西浦先生に提案していただくものは、現在の新型インフルエンザの対策がないと考えたときの被害のモデルですので、我々のところ、例えば、実際にどのような対策が実現可能であるとか、また、協力を置きながらこういう施策をしていくというターゲットのところには、別の実現可能性であるとかどんなものをどうしたらいいという総合的な判断が必要だと思いますので、表現ぶりとかも含めて、総合的な判断を、心理的にどういうインパクトを与えるかという科学的な判断も含めて整理していって、必要なところについては、作業班もしくは小委員会で技術的なところを相談しながら進めていくという形になるのかなと考えております。

○岡部委員長 西浦先生は、そういう事務局側の説明でよろしいでしょうか。

○西浦参考人 もうそのあたりは、大体話し合いをさせていただいているところです。

 1点だけ追加的な、これに関連してなのですけれども、例えば、今までの被害想定から、日本で抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量が人口の何パーセントでないといけないという議論があるのですけれども、それは必ずしも被害想定の中で、抗ウイルス薬をこれぐらいの人に治療に使ったとか、あるいはそれによって伝播がどれぐらいとどまったということをモデルに組み込んで議論されていない、というぐらいのレベルで判断されてきたということが、今までの実情です。

 今回は、そこにちょっと踏み込もうとは思っています。次の年度で、流行対策のモデル化をやろうと思っています。従来の議論は備蓄量の判断を直接モデル化しないので、備蓄量についてはかなり政治的判断をしないといけない部分が多かったのですけれども、シミュレーションはシミュレーションで、ある程度の被害規模の感染者数が出て、そこからどれくらいの備蓄をしないといけないかという議論は、参考数値程度にしかならないような感染者数だったのですけれども、それを盛り込んだ上での議論をしていくので、被害想定とかのプレーンの流行規模から、自由に、死亡者数がこれくらいなので備蓄数はこれくらいだなと対応する数値がすぐに出てくるわけではないので、解釈することがより難しくはなるということです。

○岡部委員長 ありがとうございました。

 信澤先生、どうぞ。

○信澤委員 私がちゃんと理解していないのかもしれないのですけれども、このシミュレーションは、パンデミックが一通り起きて、終わったときに顧みたときに、大体どういう被害があってとか、どの年齢層が感染しているか死亡しているということがわかるということですか。

 つまり、お伺いしたいのは、先ほどの質問と似ているのですけれども、せっかく出していただいたこのシミュレーションを、実際にパンデミックが起きたときに政策上にどのように換言するのか考えたときに、パンデミックが起きて1カ月目ぐらいにこれぐらいのことが起きていたら、これぐらいの薬を準備しておく必要があったとか、ワクチン接種をどれぐらいに開始しなくてはいけないとか、そういう具体的なパンデミック対応策にどこかで直結できるものなのか、あくまでも想定であって、政策としては想定外のことも考えた上でとっていかなくてはいけないのかが、ちょっとよく理解できていないのです。

○西澤参考人 今回お話ししているシナリオ分析は、パンデミックの発生前で何を準備しないといけないかというものをつくっていく上の基礎資料としていくことを、念頭に置いています。それは、ワクチンでもそうですし、抗インフルエンザウイルス薬でもそうですし、あるいは都道府県で準備しないといけない医療体制のバックアップでもそうなのですけれども、シナリオをベースにして流行対策をこれぐらいで施すと被害規模がこれくらいでとどまるというエクササイズを、発生前に可能な限りプラウシブルな範囲でやっていくためのものと考えてください。

 パンデミックが発生して以降の話は、また別途リアルタイムにフォーキャストして、どういったものが起こっていくかということはまた別の枠組みで考えないといけない技術になります。リアルタイムでシビアリティとかのアセスメントをした上で、フォーキャストしながら流行対策を練っていくということは、今のシナリオ分析に関しての枠の中では、念頭には置いていません。

○岡部委員長 どうぞ。

○信澤委員 そうすると、やはり政策上というか、準備するのは想定外のことが起きた場合に、財源がないからという、ある一定のシナリオをつくって財源を確保しなければいけないのかもしれないのですけれども、やはり最悪の事態に備えて準備しなくてはいけないということはないのですか。

○岡部委員長 これは、事務局のほうからどうぞ。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 想定外という言葉も、何度か先生方の議論で出てきたところですけれども、まず、どの程度のものが高位としてあり得ると推定されて、その範囲として西浦先生のデータでは出てくるものと我々は理解しております。

 範囲と代表値でデータが出てきたときに、対策として、その数値を参考にしながら、実際に起きるではなくて、カバーするターゲットをどのように決めていくかというところは、流行の予測だけではないさまざまなところを、専門家の先生方と御議論しながら考えていくところであると思います。

 それは先ほど、抗インフルエンザ薬の備蓄に関して西浦先生がおっしゃっていたところで、一つの流行の規模だけを想定して、その数字と一対一でつながっているみたいなことではなくて、例えば、こういう抗インフルエンザの備蓄の議論のときでも、このような使われ方をするのではないかとか、現場の使用の予測といったところの総合的な判断を含めた上で、対策のターゲットは決まってくるものだと思いますので、あくまでも対策を決める上での参考の数字の一つという形で見ていくものではないかと考えています。

○岡部委員長 ありがとうございます。

 丸井委員、どうぞ。

○丸井委員 分布で出てくると、一体何を代表値にするのかというところが難しくなってくると思うのです。それが一つあります。代表値をどのように選ぶのか。分布の真ん中を選ぶのか、平均値を選ぶのか、中央値を選ぶのかという問題もあります。また、本当に中央値あるいは起こりそうな真ん中を選んでよいのか。そうではなくて、ある程度上のほうを想定の限度として考えるべきなのかという意味での代表値の選び方、分布が出た上で何を代表値とするのかが大きい問題になってきそうな気がするということが一つ。

 もう一つは、今回、推計していただいてわかることの一つは、今まで25%が罹患すると仮定してきたわけですが、それがどれぐらい妥当なのかという評価も考えられると思います。別にそういう目的は余り考えないでよろしいでしょうか。25%想定の妥当性を評価したいということはなさそうでしたか。

○岡部委員長 お願いします。

○西浦参考人 分布の代表値については、おっしゃるとおりです。対応策はちょっと検討しようと思っています。分布で出す限りは、どこかの代表値を1個出してしまうと、それぞれの代表値になり得る値にドローバックがありますので、目的に応じて相談しながら変えていかないといけないと思います。少なくとも、レンジとかパーセンタイルは、できるだけ皆さんのリテラシーも高くなるように分位点をたくさん使いたいと、今の段階では思っているところです。

25%の罹患が妥当かどうかに関してです。シナリオ分析は日進月歩で進んでいくわけなのですけれども、人口の25%が発病することが罹患の定義だと思うのですけれども、そうすると今までの常識でそれぐらいということが想定されていたのです。文献値で、最近わかっている部分は、感染者のうちで発病する人の割合が50%よりも低いことが大体、確からしいことがわかってきていますから、人口の半分以上が感染するような計算になってしまうのです。それは、シナリオをつくる前までの学術的な知見でわかっていたことがそれぐらいの範囲ということを受け入れるしかありませんので、それは、文献的エビデンスで自然史とかが明らかになるにつれて、どんどん改善されていくものだと理解しています。

○岡部委員長 ありがとうございました。

 ほかには、何か御意見はございますでしょうか。

 押谷委員、どうぞ。

○押谷委員 基本的に、これはワンピークのシナリオだけを考えているのですね。実際にはそうでないこともあり得るし、過去のパンデミックも、そうでなかった場合も数多くあるのですけれども、ここではワンピークだけを考えているということでよろしいのでしょうか。

○西浦参考人 そうです。

 例えば複数のピークがあったときに、このシナリオで何か対応するべきことがあるかとか何が変わるかというあたりを考えても、準備をすることとかを考えている上では、一般的な流行曲線をまず描くということがスターティングポイントかと思っています。

○押谷委員 感染性とかは、必ずしもウイルス側だけの要因で決まるわけではなくて、ここはよくわかっていないところなのですけれども、多分、季節とかそういうところがかなりきいてきて、2009年のやつも、ちょうど南半球は冬に当たったのでかなりシャープなピークがあったということがあると思うのですけれども、それも、一番流行が起こりやすいようなピークに起こることを想定して、このくらいの感染性、流行規模になることを考えるということなのでしょうか。

○西浦参考人 ありがとうございます。

 恐らく御質問の趣旨は、数理モデルの業界とかでも、2009年を越えて流行モデルのパラメータに相対湿度だとか環境の変数が入ってくることが多くなったのです。相対湿度がドライバーであったということはどうも正しそうで、それによってモデルの予測可能性が抜本的に改善されるという知見も、今、アメリカとかを中心に得られています。

 今回のシナリオをつくる上では、どの時期に入ってくるかということはとても不確実性の高いことで、なかなか対応することが難しいので、季節性をならしてしまったような状態、つまり季節的な変動を考えない想定のもとで数理モデルを構築してシミュレーションすることを考えています。

○岡部委員長 釜萢先生、どうぞ。

○釜萢委員 作業班会議ときょうと2回御説明をいただいて、全くそれまで知識のなかったものですが、先生のおやりになる手法について、大分、自分なりに理解できてきたように思います。

 これまで、過去の事例と、25%の根拠はなかなか難しいわけですけれども、それをもとに政策をつくらなければならないという状況で来た中で、さらに新しい知見が得られないだろうかということで、今回の計画が出てきたと理解しております。まず、この手法で結果を出してみて、それは全ての条件を入れたモデルはできないと思いますから、まず、今、考えられる形でしっかりこの計画をやってみて、その結果をどう判断し、また政策に生かすかということはその次の段階の話になると思うのです。これまで同様の知見は、私は全然知りませんので、今回、これをきちっとやって、どういう結果が出るかを大変期待したいと思います。

 一つ質問を申し上げたいのですけれども、今回の質問に答える専門家の方はよく御存じなのかもしれませんが、私はこの説明を2回していただいて、大分、理解が深まったように思います。この2つのパラメータについて聞くに当たって、例えばデルファイのやり方とかについてどのくらい知識が必要なのかということは余りなくて、ただ条件を決めて、2つの指標を答えるというだけで成果が出るものなのでしょうか。

○西浦参考人 御質問ありがとうございます。

 おっしゃるとおりです。2つのパラメータについて、専門家としての御意見を頂戴できればと思っています。それは、先ほどちょっと触れましたけれども、質問紙は定規のようなものを提示させていただくことを考えています。ほとんどゼロに近いような値から100%に近いような値みたいなものを致死率に関してはお示しして、対数になるかもしれませんけれども、それにまたこの辺が低位であろうというところに印をつけてくださいとお願いをさせていただく予定でいます。

 回答には、ほとんど時間を要しません。

○釜萢委員 どうもありがとうございました。

○岡部委員長 ほかはよろしいでしょうか。

 大分、御質問なども出てきたと思うのですけれども、最悪のシナリオを書くとすると、100%みんな死んでしまうということが最悪のシナリオで簡単なのですけれども、それでは実際にほど遠い。そうすると、実際的にほど遠い範囲内の想定のワーストの部分をつくる作業だと思うのですけれども、恐らくそれが、西浦先生がこれは被害想定ではなくてシナリオであると言ったところにすごい集約されるように私は思うのです。やはり、ある程度のものを想像しながら、あるいはこれまでの知見、経験でこのぐらいの範囲がありそうだということを決めて、そこで常識的なというか幅を決めておいて、それを政策にどうやって生かそうか。これが何パーセント出てくるからすぐに政策というわけにはいかないと思うのです。多分、そこはもう一回議論が要るのではないかと思いますけれども、とりあえずは、指標になるものが今までのものでは満足できないということが大方のコンセンサスだと思うので、それを2009年の経験も踏まえてどのぐらいのものに持っていくのが、一つは常識的なのか、常識的から外れるのかというところをシナリオとしてつくっていっていただけるのではないかという期待をするところなのです。

 西浦先生、そんな期待でよろしいでしょうか。余り重荷をかけてもいけないのですけれども。

○西浦参考人 海外とかでの批判に一定耐えられるというものを、できればつくっていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

○岡部委員長 私たちは、それにできるだけ協力をして、現実に起こるかどうかに対するpreparednessをやっていくということだと思うのです。

 そんなところで、きょうの議論はまとめておきたい。まとめているというか、今までの作業班の議論、それからきょうの議論では、西浦先生に研究としての実施をやっていただいて、その実施については、この委員会だけではなくてほかの委員会の参加されている専門の先生の協力をいただかなければいけないのですけれども、そこで一定のものをまとめてくる。タイムラインとしては、先ほど今年度ぐらいにキックオフとおっしゃったので、質問事項が決まっていって、質問を開始し、その分析は年度明けてやるという感じでしょうか。作業班でも話がありましたけれども、それに加えて幾つかの要素を組み入れていくことが可能であれば、その先にやっていただく部分になるのではないかと思います。

 西浦先生、タイムラインについてはそのような感じでよろしいでしょうか。

○西浦参考人 委員会で承認をいただいてすぐぐらいに、もう第1回のサーベイに入らせていただく予定で、年度内にはデルファイの3ラウンドが必要だったのならば、その3ラウンド全部を終えている予定でいます。

○岡部委員長 ありがとうございました。

 先生、どうぞ。

○押谷委員 タイムラインに関連する話なのです。岡部先生を初め、新型インフルエンザのこういう会議に長年かかわっていた先生がたくさんいらっしゃると思うのですけれども、かつては新型インフルエンザ専門家会議が新型インフルエンザの大体のことを話す会議だったのですけれども、今、非常に多くの会議があって、これも厚生科学審議会があって、作業部会があって、その間にこの委員会があって、さらに内閣官房には有識者会議があって、その下に何があるのでしたっけ。

○岡部委員長 あそこも公衆衛生部会でしたか。こちらが公衆衛生ですか。

○押谷委員 いろいろあって、非常に複雑化していて、最終的にはこのプロダクトが政府の行動計画なりガイドラインに反映されていくことが必要なのだと思うのですけれども、そのタイムラインがどうなっているのか。そこに至る過程がどういう過程で、その過程の中でこの小委員会の議論がどのように位置づけられているのかが私にはよく見えてこないのです。

○岡部委員長 ありがとうございます。とても大切な部分なので、タイムライン、それからここのアウトカムがどのように利用されて変化が出てくるのかということだと思うのですけれども、確認という意味でも、事務局からお願いします。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 まず、今回の調査方法の議論についてですけれども、基本的にこちらはかなり技術的な案件ですので、厚生科学審議会のもとにあるこの小委員会で御議論いただいて、感染症部会に報告させていただくことをメーンのところに考えております。

 一方、科学的な知見として集まってきたところで、具体的な政府の行動計画に生かすべきであるといった話になりましたら、技術的な案件については感染症部会、小委員会、こちらの作業班等で議論していただいて、最終的に反映する方向性になった場合には、内閣官房のほうの有識者会議、それから医療・公衆衛生に関する分科会のほうに御審議いただくことになると思います。今後の進捗とかにも絡みますので、現在このタイムラインでというところを明示するわけではないですけれども、そういった形で、今、考えています。

 政府の行動計画は、適宜、必要に応じて変更されるものですので、ある程度そういった知見が見られた段階でということです。

○岡部委員長 先生は関連のある話ですか。

 それでは、先に押谷先生で、その次は大石先生です。

○押谷先生 作業班でもお話をしましたけれども、多分、被害想定の見直しをしなくてはいけないという話は、少なくとも七、八年前からは出ている話です。やっと実際の作業が始まったというところで、最終的に政策に反映されるのに一体ここから何年かかるだろうということをどうしても思ってしまうのです。

 いつパンデミックが起きてもおかしくないわけですから、そのときに、それは作業中でしたという話にならないようにするように、きちんとタイムラインをつくって、ここまでにこの議論を実際の行動計画なりに反映させていくことをきちっと決めて、それは内閣官房とかのすり合わせが必要なのだと思いますけれども、そういう上で議論をするべきなのではないかと私は思います。

○岡部委員長 多分、即答はできないと思うのですけれども、そこは押谷先生を初め委員会としての注文を事務局につけるというか、できるだけどういうプロセスで、いつごろになって従来のものが変わってくるのかというものを、相当幅はあると思うのですけれども、何十年などとは言っていられないので、ある程度、その辺も示していただきたいと、この委員会としても注文をつけさせていただければと思うのです。

 大石先生、どうぞ。

○大石委員 押谷委員がおっしゃったこれからのプロセスの中で、前回の作業班の中でも議論したと思うのですけれども、パンデミックリスクアセスメントの中で季節性インフルエンザの疾病負荷を見ることはこれからも必要ですし、その中で重症例における入院数とか、抗インフルエンザがどのくらい必要になっているのかとか、その実態の情報がないと、シナリオができても実際の対策に結びついていかないと思うのです。そこは整合性をとっていかないと、次のステップには行けないと思うので、今回の流行シナリオ作成に並行して、季節性インフルエンザの疾病負荷の調査も進めていく必要があろうと思います。

 以上です。

○岡部委員長 ありがとうございました。

 基本的には、技術的なことについては、こちら側の感染症部会であるとか、あるいはワクチンの部会といったようなところで決めて、それを政策的なものに反映していくのが内閣官房のほうで、特に内閣官房はそれによってほかの省庁に影響を与えるので、行動計画であるとか特措法みたいな形に及んでいくのだとすると、それは内閣官房で。ただ、厚労省のこの委員会で、そういうものに対して技術的に提案をするということは、今までの私の把握していたところなのです。

 したがって、とにかく提案が始まらないと動かないので、ここの意見は、やがてはという言い方は先の話のようですけれども、もし提言であれば、官房なりそちら側の政策のほうに反映すべきであるという形ではないかと思うのです。

 そんな考えでよろしいですか。

 事務局も意見をいただければと思います。

○野田新型インフルエンザ対策推進室長 ありがとうございます。

 まさに、この流行シナリオについては、今までの大きい懸案だったところでございまして、それがようやく始まったということはまさにそのとおりです。

 また、丸井先生からもございましたけれども、結果が出てきた場合に、その解釈をするところにおいて受けとめる側のレベルアップも求められるところも認識はしているところでございます。とは言いつつも、ようやく始まったというところでございまして、事務局としても、この結果が出てきた場合には内閣官房とも協力をしながら早急に対応していきたいと考えております。ただ、この研究について、西浦先生の研究がどれだけ早く進んでいくかというところになりますので、ぜひそこのところもよろしくお願いしたいと思います。

○岡部委員長 恐らくそれには多少かかるものもあると思うので、事務局も入るようにしないといけないとは思うのですけれども、それはさておいて、こういうサイエンスベースの部分と施策的な部分でジョイントして、できるだけミティゲーションに導いていくことが目的だと思うので、どうぞよろしくお願いいたします。

 一応、きょうの結論としては、これまで作業班で議論してきたことの原則として、西浦先生に研究をお願いしてということで、今の資料にあるような案を小委員会のほうで承認をしました。順番としては、ここは厚生科学審議会なので、上の感染症部会に上げて、実際に動いた結果としては、途中でメンバーなどは内閣官房の専門の先生にも聞くのでしょうから、そういったようなところで最終案をやっていく。

 この次の議論は、作業班ではなくて小委員会でやっていくのですか。作業班でやっていくのですか。そこは、私はまだ。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 具体的な数字の取り扱いといった解釈のところは、かなり技術的なところがあると思いますので、そういった部分の案件については、まず作業班からスタートすることになろうかと考えております。

○岡部委員長 すると、これは公開の会議なので、こういう作業が研究としてスタートしていますということはオープンになっているわけですね。

 ありがとうございます。

 きょうの議題1に関するところは、今のような結論に至ったということで、次は感染症部会に上げることになると思います。

 議事次第だと「その他」になるのですけれども、まず、先生方から何かありますか。

 特になければ、事務局も、その他についてあれば。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 前回の作業班なども含めて、例えば、Pandemic influenza severity assessmentの件を今後どのように進めていくかといった件も含めて、こちらのほうは関連の研究者や感染研の先生方とある程度作業班、小委員会に上げられるようになったタイミングで、早急に上げられるように進めていきたいと思っております。

○岡部委員長 それは、作業班で話があったのですけれども、この委員会ではまだちょっとだけなので、シビアリティなどについては大石先生のところと事務局で。これも研究あるいは調査を並行に進めるということだと思うので、最終的にはそれをがちゃんこして、またこの委員会で議論していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 日程、その他、今後についてありましたら、どうぞお願いします。

○山崎新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 日程につきましては、追って御連絡をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○岡部委員長 済みません、ちょっとお座りください。

 一つだけ、私が忘れてしまったのですけれども、参考資料2−1でよかったですか。

○山岸新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 参考資料ではないです。資料2です。

○岡部委員長 資料2をお手元に出してください。この四角で囲っている部分ですけれども、これは(案)になっていますけれども、「新型インフルエンザにおける被害想定の調査手法について(案)」です。これも、きょうのサマリーになると思うのですけれども、この委員会が(案)を外して出したものを感染症部会に上げるということですね。そのクレジットをつけるということで、一応了承をいただきたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○岡部委員長 ありがとうございました。

 ちょっと追加で申しわけありませんでした。一番大切なことでした。

 ありがとうございました。


(了)

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