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2016年9月14日 新型インフルエンザ対策に関する小委員会 第1回公衆衛生対策作業班会議

健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室

○日時

平成28年9月14日(水)15:00〜17:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○議題

(1)新型インフルエンザにおける被害想定の調査手法について
(2)その他

○議事

○山崎室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから「第1回新型インフルエンザ対策に関する小委員会」の公衆衛生対策作業班会議を開催いたします。

 開会に当たりまして、本日出席予定の浅沼でございますけれども、所用で少しおくれるということですので、かわりまして、新型インフルエンザ等対策推進室長野田より御挨拶させていただきます。

○野田室長 結核感染症課の新型インフルエンザ対策推進室長、野田でございます。

 先生方におかれましては、お忙しい中、日ごろから感染症対策に御尽力いただきまして、まことにありがとうございます。

 新型インフルエンザ対策につきましては、平成25年4月に新型インフルエンザ等対策特別措置法が施行されたことは、先生方も御承知のとおりだと思います。その法律に基づきまして、政府の行動計画、ガイドラインが策定されました。対策の中で特に公衆衛生対策に関する事項について御審議いただくため、本日第1回の作業班の会議を開催する運びとなりました。御参画いただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、昨年度開催されました新型インフルエンザ等有識者会議において、新型インフルエンザにおける被害想定については、新たな知見等を踏まえた議論を行った上で取りまとめられ、まずは研究班において被害想定の調査を始めるに当たり、調査の手法について御審議をいただくこととしておりました。活発な御意見をいただきますようお願いいたします。よろしくお願いします。

○山崎室長補佐 本作業班の班長及び班員は、参考資料1−2「厚生科学審議会感染症部会新型インフルエンザ対策に関する小委員会の設置について」に関する規定に基づき、新型インフルエンザ小委員会委員長が指名した方々によって構成されております。

 それでは、作業班名簿に基づきまして五十音順に御紹介させていただきます

 鹿児島県伊集院保健所長、宇田英典委員です。

○宇田委員 宇田です。よろしくお願いいたします。

○山崎室長補佐 国立感染症研究所感染症疫学センター長、大石和徳委員です。

○大石委員 大石です。よろしくお願いします。

○山崎室長補佐 川崎市健康安全研究所長、岡部信彦小委員会委員長。本作業班班長をお引き受けいただいております。

○岡部班長 岡部です。よろしくお願いします。

○山崎室長補佐 東北大学大学院医学系研究科微生物学分野教授、押谷仁委員でございます。

○押谷委員 押谷です。よろしくお願いいたします。

○山崎室長補佐 公益社団法人日本医師会常任理事、釜萢敏委員です。

○釜萢委員 釜萢でございます。よろしくお願い申し上げます。

○山崎室長補佐 慶應義塾大学商学部教授、吉川肇子委員は、本日欠席でございます。

 続きまして、川崎市健康福祉局医務監、坂元昇委員。本日は少しおくれるという御連絡をいただいております。

 山口県環境保健センター所長、調恒明委員です。

○調委員 調です。よろしくお願いします。

○山崎室長補佐 独立行政法人国立病院機構三重病院臨床研究部長、谷口清州委員です。

○谷口委員 谷口と申します。よろしくお願いします。

○山崎室長補佐 人間総合科学大学人間科学部教授、丸井英二委員。本日は欠席ということです。

 医療法人社団横田小児科医院理事長、横田俊一郎委員。

○横田委員 横田でございます。よろしくお願いします。

○山崎室長補佐 現時点で委員11名中8名の出席です。定数に達しておりますので、会議が成立しますことを御報告いたします。

 なお、参考人として2名の方をお招きしておりますので、御紹介いたします。

 北海道大学大学院医学研究科社会医学講座教授、西浦博様です。

○西浦参考人 西浦と申します。どうぞよろしくお願いします。

○山崎室長補佐 北海道大学大学院医学研究科社会医学講座特任助教、水本憲治様です。

○水本参考人 水本憲治と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○山崎室長補佐 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。

 結核感染症課長、浅沼でございます。

○浅沼結核感染症課長 おくれて済みません。浅沼です。

○山崎室長補佐 新型インフルエンザ等対策推進室長、野田です。

○野田室長 野田でございます。よろしくお願いします。

○山崎室長補佐 同じく室長補佐の山岸です。

○山岸室長補佐 山岸です。よろしくお願いいたします。

○山崎室長補佐 健康局参与、田村です。

○田村健康局参与 田村でございます。よろしくお願いします。

○山崎室長補佐 室長補佐の山崎です。よろしくお願いいたします。

 本日の作業班の所掌事務につきましては、参考資料1−1「厚生科学審議会感染症部会新型インフルエンザ対策に関する小委員会作業班の設置について」に基づき、「行動計画等に定められたサーベイランス、リスクコミュニケーション、水際対策、蔓延防止、予防接種体制等の公衆衛生対策に関する専門的・技術的事項について調査審議を行うこと」「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第7項に規定する新型インフルエンザ等感染症の予防について調査審議を行うこと」としております。

 カメラ撮りはここまでとしていただきたいと思います。お願いします。

 ここからは岡部班長に進行をお願いいたします。

○岡部班長 川崎市健康安全研究所の岡部です。この班の班長をお引き受けしましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

 お忙しいところ委員の先生方、参考人の西浦先生、水本先生、ありがとうございました。

 これから議論に入っていきたいと思うのですけれども、2009年にパンデミックが起きて、その後、いろいろな反省であるとか今後の方針というものが立ちましたけれども、2009年からもう8年ぐらいたっているのです。そろそろ10年になろうということで、少しずつ昔の話になっている中で、もう一回改めるべきところとか、新しい知見によって変えていこうという話があちこちで出ていると思います。それについては、厚生科学審議会新型インフルエンザ対策に関する小委員会での議論であって、基本的なところになる今後の発生の状況をどういうふうに考えるかといったようなことをこの公衆衛生対策作業班で検討するとして発足した次第です。今後議論を重ねていくことになると思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 私はこの班の班長ということになるのですが、班長の代理人は班長が指名をするということで、これは先ほど伺ったばかりなので、少し検討させていただいて、後で事務局を通じて御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、配付資料の確認からお願いいたします。これは事務局のほうからどうぞ。

○山崎室長補佐 記事次第、配付資料のほか、資料1、参考資料1−1から1−4まで用意しております。配付資料一覧と照らして不足の資料等がございましたら、事務局にお申しつけください。

 以上です。

○岡部班長 過不足はよろしいでしょうか。もしありましたら事務局のほうに御連絡ください。

 それから、議事の確認ですけれども、今回は大きいテーマとしては「新型インフルエンザにおける被害想定の調査手法について」。この「被害想定」という言葉が適当かどうかということについても議論になってくるのではないかと思いますが、これについての手法、その他というところが今回の議事になります。

 それでは、資料に従って説明を伺いたいと思うのですけれども、資料1の御説明を事務局のほうからお願いいたします。

○山岸室長補佐 では、事務局のほうから資料1「新型インフルエンザにおける被害想定について」を説明させていただきます。

 資料をめくりまして1ページ目をお開きください。新型インフルエンザに関する被害想定について、今までの考え方のところを説明させていただきます。我が国の考え方につきましては、新型インフルエンザ等対策政府行動計画のほうに記されております。新型インフルエンザの発生に備えて有効な対策を考える上で、定量的な流行規模を想定しております。その中で、被害規模は、病原体や宿主、社会環境等の多くの要素に左右されるため、事前に正確に被害を予測することは不可能であり、現時点における科学的知見や過去の新型インフルエンザを参考に被害を想定して、対策を策定する。そういうふうに記載されております。

 一方、WHOのほうについては、2013年に2009年の経験を受けて「Pandemic Influenza Risk Management」の中間ガイダンスというものが出されまして、その中で新型インフルエンザはいつどこで発生するのか、その感染力や病原性について予測することは非常に難しい。しかし、ひとたび新型インフルエンザが発生いたしますと、多くの方々が免疫を持たないので、非常に急速な感染拡大が起きて、健康被害や社会経済への影響が懸念される。

 そういったことで、各国それぞれの国においてそれぞれの国の科学的知見に基づいて、かつ柔軟なリスクマネジメント計画を策定することが重要とされております。

 ページ、2枚目のほうを説明させていただきます。我が国の新型インフルエンザ対策における被害想定の経緯について御説明申し上げます。まず、これは前提の話ですけれども、平成5年にヨーロッパのほうで行われた国際会議において、新型インフルエンザが発生した場合に国民の25%が罹患すると仮定して、各国は行動計画を策定するように勧告されております。それに準じるような形で、平成9年に我が国でも国民の25%、約3,200万人が罹患すると想定して、対策の報告書ができております。

 平成16年以降は、平成9年の想定に加えまして、米国のCDCが作成したFluAidというモデルを用いまして、人口動態に応じて被害を想定しております。

 具体的な被害想定の数値を含めたものについて、3ページ目に記しております。これは我が国の現行の新型インフルエンザの被害想定です。新型インフルエンザ等対策政府行動計画の中で記載されております。

 科学的知見や過去に世界で大流行したパンデミックインフルエンザのデータを参考に、一つの例として想定されています。罹患者は全人口の最大25%、約3,200万人で、流行期間は約8週間程度を想定しているのですけれども、ピークをつくって順次感染する。

 医療機関の受診者は、約1,300万人から2,500万人程度。

 致命率については、中等度から重度、それぞれ二通り想定していまして、致命率0.53%が中程度、重度の場合は2%あるのではないかと想定しております。

 また、入院患者については、中等度の場合は約53万人。重度の場合は約200万人。

 死亡者についても、中等度の場合は17万人、重度の場合は64万人というところでございます。

 もう一つ加えまして、社会機能への影響ということで、欠勤者が従業員の最大5%程度出る。そういった形の想定をしております。

 参考までに、右手のほうに2009年のパンデミックの実際の数を記しております。

 続きまして、4ページ目のところです。被害想定に関する課題といたしまして、従前からいろいろ御議論いただいていたところなのですが、昨年度、平成271029日に実施された新型インフルエンザ等対策有識者会議において、新型インフルエンザの被害想定について以下のとおり取りまとめられております。

 「現在、新型インフルエンザ等対策政府行動計画の被害想定で用いられている米国CDCの推計モデルFluAid2.0は、我が国の医療体制や、抗インフルエンザ薬介入の効果等を考慮していないことから、今後さらなる科学的エビデンスに基づいた新たな被害想定の考え方などについて情報収集を行い議論する」と取りまとめられています。

 今般、AMED、西浦先生にお願いしております研究班のほうで、新型インフルエンザの被害想定について調査研究を始めるところとされておりますけれども、被害想定の調査方法というところについては、世界的に確定した一つのものがあるものではないということと、それから被害想定自身の改定というところは国の対策に結びつくところですので、慎重に議論する必要があるというところで、今回被害想定の調査方法について、あらかじめ感染症部会新型インフルエンザに関する小委員会で御意見をいただくということになった次第です。

 最後のスライドのところで大まかな過去の新型インフルエンザの特徴について、それぞれパンデミックの発生年度、名称、発生源、ウイルス亜型、基本再生産数、致命率、全世界の超過死亡者数と、それぞれ最もインパクトの大きかった年齢層というところを参考までに記載させていただいております。

 事務局からの説明は以上でございます。

○岡部班長 ありがとうございました。

 ここまでで何か御質問か御意見ありますでしょうか。

 資料の5ページ目、最後のところでちょっと細かいことに気づいたのですが、最初いただいたときは、これは「Flu」と書いてあったと思うのですけれども、今、「スペインかぜ」「アジアかぜ」「ホンコンかぜ」となっています。前の委員会のときにこの時の「かぜ」という名称は非常に誤解を与えるので、「かぜ」ではなくインフルエンザにすべきであるというふうにしていると思います。細かなところで今後誤解を与えるといけないので、ここは修正をしていただきたいと思うのです。よろしく。

○山岸室長補佐 わかりました。

○岡部班長 それでは、ほかに御質問。先生、ありますか。どうぞ。

○押谷委員 そもそも論なのですけれども、日本で今、使われている被害想定が問題だという話を私もいろんなところで発言してきたのですが、そういう議論は2008年のパンデミック以前からしていた話で、先ほど岡部先生が言われたように、もう8年以上前からのペンディングイシューで、今、出ているものの根拠というのは非常に曖昧で、これは非常に問題だというのはそのとおりだと思うのですけれども、同時にこの8年か10年ぐらいの間にいろんなことが変わってきています。先ほど事務局のほうから話があったように、WHOの「Interim Guidance」というのが2013年に出て、そういう中で、今、国の新型インフルエンザ対策の中で被害想定を見直すということのプライオリティーがどこまで高いのかという議論はきちんとする必要があって、WHOが言っているリスクマネジメント、リスクアセスメントのフレームワークができていないということが日本の非常に大きな問題で、このことに全く手つかずのまま今、来ていて、だから、そういうリスクマネジメントという大きなくくりの中で被害想定をどう考えるのか。

 そういうふうにすべき話に今、世界の流れもそうなっているし、日本が一番欠けているのもそこで、だから、被害想定だけを取り出して今やることが本当にプライオリティーが高いのかということは非常に疑問に思います。実際に起きてしまってから被害想定はどうだったかということはほとんど意味がなくて、実際に起きてしまうと、リスクアセスメントのフレームワークはできているかどうかということが、その対策を実施する上で非常に重要になってくる。

 そのフレームワークが日本は全くできていないという中で、今、被害想定を議論することが本当にトッププライオリティーなのかということはきちんと考えておく必要があると私は思います。

○岡部班長 これについて、ほかの先生方から何かありますか。大石先生。

○大石委員 パンデミックリスクアセスメントについては、2013年にWHOガイドラインが出て、なかなか実行不可能な項目についての評価ということが述べられていた。その後、WHOはヘッドクオーターのほうで2014年から検討を始めておりまして、私ども感染研のほうからも参加して、日本で利用可能なデータを用いて伝播性、重症度、インパクトの評価はしおり、さらにWHOPISAガイダンスに基づいた評価も着手しているところですけれども、WHOの中でも特に重症度やインパクトについてはまだ異論があるところであります。

 その後、我々は我が国の定点データに基づいて、スペインの人たちが開発しているMoving Epidemic MethodMEM法を用いた解析に取り組んでいるところです。まだ結果としてはお示しできませんけれども、比較データが定点情報としては小児科クリニック、病院、そして内科のクリニック、病院、4つのカテゴリーがありますが、こういったものの比較解析というものを進めているところです。

 ということで、パンデミックリスクアセスメントについては現在進行形であるということを理解しつつ、今回西浦先生が参考人として流行シナリオをお示しいただけると思うので、これと並行して進めていくと理解していただければと思っております。

 以上です。

○岡部班長 事務局のほうから何かありますか。

○山岸室長補佐 現在、大石先生から御説明があったとおり、パンデミックが起きてからのアセスメントの方法とか、そういったところについては感染研と厚労省で現在検討しているところです。ある程度方向性とかが固まったところでこちらの会議で御意見をいただくということにしたいと思います。

 全体のフレームワークというところも、今後それぞれのパートがどうなるかというところについても先生方に御意見をいただければと思いますけれども、まずそういった形で並行して作業を進めていきたいと思っております。

○岡部班長 リスクアセスメントという考え方もここ数年で随分動いてきて、例えばエボラにしてもジカにしても比較的速やかに、方法論は別にしても、アセスメントという言い方で現状をまず評価しようということが出てきており、それが反映されるだろうと思います。もう一つは、「被害想定」という言葉は僕も少し抵抗があるのですけれども、起きるだろうという数字でなくて、ある一定のものを想定してこれこれこれこれこういうことをやりましょうというのは、その根本になります。押谷先生がおっしゃったように、今までの25%、2%、5%といったようなものが妥当かどうかというのはどこの委員会でも出ていることなので、ガイドラインにしても、場合によっては特措法のほうにも影響を与えるところですが、ある程度の状況を想定していかなくてはいけない。そうすると、この委員会のこれからやることが結構根本にかかわるようなことではないかと思います。ですから、ここでやっていることを一つ軸にしていただいて、委員会その他のところで今度それをもとにして見直していくのではないかということの期待でいいのではないかと思うのですけれども、そういう考え方でよろしいですか。浅沼課長。

○浅沼結核感染症課長 結核感染症課長です。

 今、岡部班長のおっしゃったとおりでよろしいと思います。プライオリティーが高いのかどうかという話が押谷先生からございましたが、今までの我が国のインフルエンザ対策を考えてみても、被害想定と言われている状況をベースに、例えば抗インフル薬の備蓄量とか、パンデミックワクチン、プレパンデミックワクチンの準備をどうするかとか、その他、社会機能維持をどういうふうに立てるのかということをこの被害想定というものをベースに進めてきたというのが事実です。

 ですから、言葉はさておき、被害想定というものがもう10年近く同じような状況であるにかかわらず、インフルエンザ対策においては、科学も医学も進んでいたりとか、新しい情報があるとか、そもそもこの25%という決め方が

1993年の会議で決まったきりずっと固定化されているのはどういうことなのかといった、先生方から常日ごろから言われていることもございます。そういったものを総ざらいする形で、ほかにもやることがたくさんあるのは承知していますけれども、いつまでもいわゆる被害想定に着手しないと、永遠に呪縛にかかっている状況のまま対策が進んでいるということもありまして、ここは思い切って先生方にお願いして被害想定の見直しをやってみたいと思っている次第なので、その辺を踏まえて御検討いただければと思います。

○岡部班長 ということで、スタートしてよろしいですか。

 最初に調先生、それから谷口先生、どうぞ。

○調委員 何となくわかりましたけれども、ちょっと議論を蒸し返すようですが、押谷先生が日本においてプライオリティーの高いと思われるリスクアセスメントというのを具体的にもう少し教えていただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○押谷委員 そもそも私が言っているのは被害想定が必要ないという話ではなくて、おっしゃるようにいろんなことに使われていて、その被害想定、今の根拠は非常に曖昧な根拠の中でやられているので、ここは何とかしなければいけないということはそのとおりだと思うのですけれども、その被害想定をするに当たって、今、調先生から言われた、では、リスクアセスメント、リスクマネジメントの考え方とどうリンクさせるのかということが大事なのではないかというのが私の言いたいことで、WHOが「Interim Guidance」の中で言っているのは、主に起きてからのことがあのドキュメント自体には書かれているのですが、起きたときに実際にどういう状況になって、どういう被害が起こり得るのかということをリアルタイムにアセスメントしていくと。それは国レベルだけではなくて、地域レベルでもアセスメントをして、それに基づいてどんな対策をするかということを決めていくべきだというのがWHOの「Interim Guidance」の中で言われていることで、これはパンデミックだけではなくて、しかも感染症だけではなくて、いろんな公衆衛生危機に関してそういうリスクマネジメント、リスクアセスメントの考え方でやっていくということを基本方針にしていて、大石先生が言われたように、その方法論にはまだまだ問題があって、きちんとしていないところもあるのですけれども、そういう考え方を基本ラインにしていくということが決まっています。

 もう一つ私が主張したいのは、では、今の日本の行動計画とかガイドラインにそういうリスクアセスメントとかリスクマネジメントの考え方が十分反映されているかというと、少しだけ書いてあるという程度で、少なくともそれがバックボーンにはなっていない。そういう中で本当に起きたときにどうするのか。特措法上、都道府県知事が施設の使用制限とか外出の自粛要請とかできるようになっているのに、それはどういう情報をどういうふうに評価してポリシーを決めていくのかということが、今の日本の行動計画とかガイドラインには書いていない状況で、そういう中で本当に起きたときどうするのか。

 そうすると、今、いわゆる被害想定と言われているものは、本当はリスクマネジメント、リスクアセスメントのフレームワークの中で被害想定があって、実際にもし起きたときには、西浦先生たちがやろうとしているシナリオの、では、どのくらいのシナリオに近いものが今、オンゴーイングで起きているのかということをきちんとアセスメントできるようなフレームワークをつくっておくことが必要ではないかというのが私の意見です。

○岡部班長 ありがとうございました。

 谷口委員。

○谷口委員 まず、リスクアセスメントの枠組みとマネジメントをきちっとすべきというのは全面的に賛成します。現在研究班で季節性インフルエンザのリスクアセスメントについて研究をさせていただいておりますが、今、季節性のインフルエンザでさえきちっとリスクアセスメントができているとは言いがたいですし、シビアリティーが低かったとしても、たくさんの人がかかれば全体的なインパクトは大きくなりますし、かかる人が少なくともシビアリティーが高ければ全体的なインパクトは高くなるわけで、逆にそれぞれ対応する方針が違うわけですから、実際に分母つきの形でアセスメントができるような形に持っていかないとできないのではないかと考えています。我々は季節性のインフルエンザのリスクがどこまで上がればパンデミックレベルかというように、季節性のインフルエンザのアセスメントからパンデミックのアセスメントに進めていくという方向で考えています。

 これまでのお話にありますように、被害想定というのは実際に97年代、98年代からずっとやってきました。その想定で例えば25%、35%、いろんな想定をして、なおかつスペインかぜ級という想定をすると、その時点でみんな思考停止に陥ったわけです。なぜならば、その想定で医療体制を整備しようと思うと、絶対に不可能な数字が実際に出てきて、これは無理ですね、それではなにもできませんねという話になりました。

 そうしますと、現在の被害想定をすることがいかにしてリスクマネジメントに反映できるか。つまり、リスクマネジメントにおける被害想定の役割、位置づけを考えておかねばならないのではないかと考えます。そうしますと、各段階でリスクアセスメントを行う際に、そのアセスメントが今回西浦先生に考えていただけますようなシナリオモデルに反映できる、つまり、ある時点での状況がシナリオモデルに反映されて、リスクアセスメントにつながるような形にしていただければいいのではないかなと考えます。

 以上です。

○岡部班長 ありがとうございました。

 最も重要なところだと思うので、ここで数字合わせだけやるのではなくて、あるいは現実に合ったリスクアセスメントとかを想定するのではなくて、それに基づいてどういうことをやっていくのか、それから今回幾つかのシナリオができ上がってくるのではないかと思うのですけれども、そうなったときに、それを用いて、あるいはプリペアドネスをどうするかというところにも影響があるでしょうし、それからリスクアセスメントをどうしようかというのは話題としてはちょっと違うかもしれないけれども、そこも議論として今後つなげていく必要があるということをこの委員会でも一応コンセンサスを得ておければと思うのです。今すぐリスクアセスメントの話をここでスタートさせるわけではないけれども、それについてもこの委員会の大きいテーマにして、それの一つのバックボーンになったり、あるいはツールになるかもしれませんが、これが今回提案されているシナリオの書き方で、第一歩であるというような考え方でいければと思うのですけれども、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。最初のうちのディスカッションなので、ちょっとブレーンストーミング的なところも含めて時間を使いましたが、次に資料2を使いまして、参考人としておいで頂いた西浦先生から、不勉強で耳なれない言葉がいっぱい出てくるのですけれども、そこら辺をかんで含めるように御説明いただければと思います。

 西浦先生、よろしくお願いします。

○西浦参考人 よろしくお願いいたします。北海道大学の西浦と申します。

 感染症流行の数理モデルを専門に研究していまして、今回このような流行シナリオの作成ということで相談をさせていただくことになりました。表紙に「被害想定」と書かずに、「流行シナリオ」となぜ書いているかとかは、また中で説明さしあげますけれども、まずめくっていただいて1ページ目をごらんください。

 今、事務局から説明いただいたとおりなのですけれども、今までの日本の被害想定というのがあるのですが、それが特殊です。アジアかぜとかスペインかぜを具体的に明記した上で、米国CDC作成のFluAidを利用して被害規模を今まで算出してきました。

 被害想定の目的というのは、被害規模の算出だけではなくて、先ほど問題意識としてもありましたけれども、本来は医療体制の整備とか、あるいは抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量を検討するための資料なのですが、それらがあった場合に流行シナリオがどう変わるかというあたりは余り検討されていないということです。

 今までのシナリオの特殊性というのがもう一点なのですけれども、次のスライドでまた説明しますが、新型インフルエンザというのは未知のイベントなのです。それをある程度の科学的妥当性を持って予測しないといけないのですけれども、それが必ずしも確実に担保されたり、あるいはパラメータ一つ一つ数理モデルに必要なのですが、その不確実性に対処したモデリングに基づいて議論というものが行われてきませんでした。

 より私の視点に立ってその問題点を列記したものが2ページ目になります。ちょっとしつこくて申しわけないのですけれども、今、こういうものが被害想定で足りないと考えています。

 1番目、特定の流行規模とか死亡リスクで、先ほど25%という数値を何度か言及いただいていますが、一定の数値というのが決め打ちで強調され過ぎてきた傾向が否めません。その数値も実際にはある程度変動するのですけれども、これを「パラメータの不確実性」と言うのですが、その不確実性へ対処する取り組みというものが今まで行われていないという問題意識を数理モデルの専門家としては強く持っています。

 2番目です。未知のイベントを仮想したシナリオというのがこの被害想定の本質なので、ある程度未知のイベントを予測する上で、科学的妥当性を担保するということが必要なのですけれども、それは本質的にとても難しいことというのは、皆さん御存じのとおりです。

 ただ、少なくともインフルエンザの専門家の先生方、きょうここに来られている専門家の先生方も含めて意見を頂戴した上で、それを十分に反映したシナリオの作成が本来はできるはずなのですが、それが必ずしも今までは反映されていなかった。

 3つ目は、パンデミックから8年間ぐらいたっているわけですけれども、パンデミックも季節性インフルエンザも含めてインフルエンザの研究は日進月歩で進んでいて、今までわからなかったことが相当明らかになってきています。感染した人が何%発病するのか、あるいはその後に入院するリスクがどれくらいなのかというのは、ある程度つまびらかに、明らかになってきているのですが、それが明らかになった上で数理モデルと観察データを対応させないといけないのですけれども、そういったものの最新知見への対応がまだ十分になされていません。

 数理的な厳しい話をしますが、アメリカのCDCの数理モデルのFluAid/FluSurgeというのは、スプレッドシートで計算することができるのですけれども、どこでも使えるという利点がある一方で、現行の数理モデルの技術からすると相当にシンプルにしたもので、動的な要素などが入っていないのです。定量性を担保できるものとは必ずしも言いがたいのです。FluSurgeで流行ピークの入院患者数が計算できるようになっているのですが、それが静的なモデルで計算できるのかと言われると、かなり疑問があるというのが現状なのです。そういった定量性を担保できるような妥当で新しい技術が必要だと考えています。

 3ページ目に行っていただきたいのですけれども、今、私どもの研究班のほうで流行シナリオの分析というのを考えています。呼称が若干混同する部分があるので、「被害想定」でなくて、「流行シナリオ」と呼ぶことを提案させていただきます。「被害想定」だと、想定している被害規模のようなイメージがあるのですが、あくまでも私どもが出すのはシナリオ分析のための複数のシナリオの提示ということになるのですけれども、そういったことから、よりコンセプトをわかっていただくために「流行シナリオ」を提示したいと考えています。

 それぞれのシナリオというのは、専門家の皆様の知識と創造に基づくものです。今までの文献的知識だけではなくて、考えも含めて御意見を集約した上で、シナリオをつくっていこうと思うのですけれども、そのために具体的にどうしようと思っているかというと、3番目なのですが、パラメータの設定でお力をおかりしたいと思っています。現実に想定され得ると考えるものを専門家の皆様から考え得る範囲で抽出します。プラスシナリオ分析の一環で、医療機関における受診患者数とか、あるいは入院患者数とかの医療負荷に関しては、これまでの研究知見、例えば重症化する患者さんの頻度とかを最大限に活用して計算できると思います。

 5番目は先ほどお話しした内容ですけれども、流行シナリオと観察現象との対応を明確化したいと思っています。感染者数と発病者数の違いとか、感染者数と重症患者数の違いというのは、シナリオをつくっていく上で、最新知見を入れていくと少しずつつながってくると思います。

 専門家意見を収れんすることによって得られたパラメータを使うことで、ある一定の科学的妥当性を担保して、最終的にこういったシナリオをつくった末には、シミュレーションのコードはオープンにして開陳したいと思っています。インターネットで誰でもダウンロードできるようにして、異なる専門家が再現可能な数式上で記述できるような、そんなシナリオをつくっていきたいと思っています。

 そのためにどうするかということなのですが、4ページ目をごらんください。流行シナリオの鍵となる入力情報というのが2種類あります。2つだけである程度のシナリオが書けるということなのですけれども、そのパラメータは、1つ目が感染性です。詳しく書くと「年齢群内・群間の2次感染頻度」と書きますが、これは基本再生産数で大体与えられるもので、1人の感染者数が、皆さんが感受性を持つような人口にインデックス係数が入ったときに、2次感染者数が何人出るのかというものです。

 あるいは先ほど25%という話にありましたけれども、人口レベルでの一つの流行を通じた累積感染リスクとして捉えていただいても大丈夫だと思います。

 もう一つが重症化のリスクです。より詳しく言うと年齢群別の重症度ということなのですが、感染時にどれくらいのリスクで重症化するのか、死亡するのかというものです。

 それを図示したものが5ページなので、見ていただきたいのですが、簡単な数理モデル。これは「SEIRモデル」と言われるものなのですけれども、コンパートメントでインフルエンザに対する感染の状態あるいは免疫の状態で分けた上で、その遷移を数式で記述するのですけれども、それによって流行が時間発展をどのようにしていくかというのを記述するようなモデルです。

 その中で入力情報としてとてもキーになるというパラメータは、赤の矢印で示している「感染性R0 」ということで、これは基本再生産数を数式、一文字で書いたときの文字です。

 「致命率p」と書いていますけれども、これは感染したときの死亡リスクです。より詳しくはこの後説明しますが、いわゆる今まで言われているような致死率、Case fatality rateと言われているものとちょっと違うものになります。

 これらの2つの入力が得られると、そこからランダムサンプリングをすることでシミュレーションの結果が得られるのですが、一つ一つのパラメータのシミュレーション結果を同じスライドの図として2つ書いていますけれども、左下の図は基本再生産数の違いで、これぐらい流行規模が違う、あるいは流行のピークの高さとかその時期が違うというものを示しているものです。R0 が大きければ大きいほど流行期間が短いけれども、ピークが高い。R0 が低いと流行期間は長くなるのですけれども、ピークは低くなる。そんな関係が知られています。

 年齢別で見た場合が右下なのですけれども、R0 2.0の場合と1.4の場合を簡単に図示していますが、新型インフルエンザの場合は、子供がたくさん感染するのですが、それが単純な比例でなくて、基本再生産数が変わると、最終規模と言われるもの、年齢群別の累積発病者の割合をここで示していますが、それが比例計算でなくて数理モデルを利用してマグニファイされるということです。

 6ページ目をごらんください。試しにこれまでの決め打ちだとどのぐらいだったのか。「これまでの決め打ち」と書くと語弊があるのですけれども、これまで例えば25%が累積感染者割合だったとした場合に、基本再生産数というのはそこから逆算することができて、1.44に相当するのですが、それを年齢構造化したモデルに戻したときの感染者の割合を右下に文字で書いています。乳幼児が1628%ぐらい、学童が43%ぐらいを最大に感染する。高齢者は余り感染しなくて、全人口で1121%ぐらいで、これぐらいに分布するのが25%にマグニファイされると、今までの被害想定に対応したようなシナリオができるということなのですが、それを基本再生産数をぶらすことが数理モデルとかシナリオでできるのですけれども、そういった場合が右上の図に描いているようなものになります。基本再生産数がぶれると各年齢群の感染者の割合が変わるというものです。

Cumulative Incidence of Infectionというふうに累積感染者数の割合が表記されるのですが、左下のメタアナリシスの図は「フォレストプロット」と呼ばれるものです。2009年4月の新型インフルエンザで何%の人たちが年齢群別で感染したのかというのをメタアナリシスした結果ですが、先ほど記述していたようなあたりで分布しているということが見られているのですけれども、25%という想定はそんなに悪くはなかったということが、2009年のときのケースだけで言うと大体言えるかもしれません。

 7ページ目を見ていただきたいのですが、今のが感染性をぶらしたときはどうなるかという話なのですが、一方で、死亡のリスクのほうはもうちょっとだけ難しい話になります。これは2009年のときに香港大学で自分が大学院生を指導してやった研究なのですけれども、香港でpH1N1-2009に感染したときの死亡リスクの話です。自分も痛い思いをしながらこの関連研究をしてきたのですけれども、流行が始まってすぐのころというのは、確定患者、PCRで診断が確定した患者さんのデータぐらいしか手元にリアルタイムで入りませんから、それをもとに致死率というものを計算すると、確定患者中で平均で0.4から0.5%ぐらいが死亡するという推定値が出てしまうのですが、それが全感染者に適用できるとすると、200人中に1人ぐらいが死ぬような相当シビアな流行になるのですけれども、実際にふたをあけてみると、pH1N1-2009の感染というのはとてもマイルドだったということがわかったのですが、その事後評価で自分たちは香港大学では血清学的な調査をしました。全人口をそれぞれ年齢群で1,000サンプル以上の血清をリアルタイムで香港島と九龍島で観察を行って、香港全体で人口の何%がそれぞれに感染をしていたのかという推定値を直接に計算しました。そうすると、感染者数が推定値で得られるのです。マイルドな感染者数のうちでは診断されていない人もいるのですけれども、確定患者とか、あるいは超過死亡に基づく推定死亡者数を推定感染者数で割ったものがIFRと言われるものです。IFRcというのは、確定患者のうちの死亡者数を推定感染者数で割ったものです。

IFReというのは、推定されるエクセスモータリティーを推定される感染者数で割ったものです。なので、IFReの場合は分母も分子も推定された数値ということになりますけれども、10万人当たりの推定値をIFRcとかIFReのところに出していますが、pH1N1-2009というのはとてもマイルドな感染症だったということが確認されました。特にIFReIFRcでちょっとそごがあるのですけれども、高齢者の死亡リスクが高く出るというのが超過死亡の推定値。コンファームドケースに頼ってしまうと、それがうまく捉えられないかもしれないということです。

 ということで、0.5%と比べると、全年齢群で言うと、年齢調整を間接的に行うと、おおむね80から100分の1倍ぐらいの違いがあったのです。全感染者中で死亡リスクを計算すると、これぐらいになったということなのですけれども、それには相当の努力が必要だったということで、みんなで痛い思いをしながら研究をして築き上げてきた方法論で死亡リスクというのを今、こういうふうに評価をしているというものです。

 8ページをごらんください。それぞれの入力情報が得られたと想定します。基本再生産数は、大体1から2.5とかの間にインフルエンザはよく分布しますよという話を先ほど事務局の資料でも見させていただきましたが、それと感染時の致命確率、IFRを横向きにいろいろ変えたときに、その累積感染者数というものが計算されて、プラス累積死亡者数というのが計算されるので、それを日本人口でやったシナリオがテーブルに出ているものです。

 それぞれの間には何らかの相互関係があると思うのです。それぞれディペンデンス、従属性があると思うのですけれども、黄色の枠で示してあるのは、2009のあたりではこういったシナリオがもっともらしかったというあたりのエリアを出しているのですが、ほかの場合はそうなるとは限らないのですが、こんな感じでテーブルにしてある程度累積の死亡者数をシナリオとして提示することができると思います。

 次のページをごらんください。入力の情報、ちょっとしつこいですけれども、感染性というものではどういった情報を必要とするものかということなのですが、これは私の隣にいる水本がつくった研究なのですけれども、年齢群内・群間で2次感染の頻度がわかると、この図のように年齢別で何%の人が流行が終わるまでに感染するかというものがある程度推定ができるのですが、このシナリオの設定というものをしないといけないわけです。その場合にはパラメータの不確実性というものを考えないといけないですし、変動するだけでなくて、インフルエンザのウイルスの特性によって、とても感染しやすいストレインがパンデミックを起こすかもしれませんし、そうでない場合もあるので、高位、中位、低位のようにシナリオをわかりやすく分けた上で構築していくと、どのシナリオに対応するためのエクササイズをこれからしないといけないのかという議論が進んでいくと思います。

 次のページをごらんください。重症度に関しても同様です。年齢階級別で違うのですけれども、年齢別に関して直接あるいは間接の方法によって調整した全人口での重症度、すなわち,感染時致命確率IFRが出るのですけれども、それを年齢群別に戻していくのですが、それによって死亡者が大きく変わるのです。今まででわかったことというのは、子供の間はほとんど死ぬことはない。乳児を除きますけれども、学童というのはほとんど死ぬことはないのですが、一方で、ほとんどの死亡というのは高齢者のあたりで見られていますよというような文献知識を提示した上で、専門家意見の聴取をしようと思っているところです。

 具体的にどういう方法で聴取をしようかというのが11ページ目です。起こったことのないイベントを予測しないといけないので、ここに予測する手法に関して列記させていただいていますけれども、幾つかの方法があります。今回赤で書いている「デルファイ法」というものをこれからやっていこうと思っているのですが、ほかにも何らかの時系列のデータがあったら、傾向外挿法とか時系列等回帰分析法とか、いろいろ使うことができます。あるいは3番、4番のあたりというのは相当恣意性が入るのですけれども、「シナリオ・ライティング」と書いていますが、具体的に机上で皆さん、勝手にシナリオをつくるということもできるわけです。

 デルファイ法を今回やろうと思っているのは幾つか理由があるのですが、専門家の合意を得た上でデルファイシナリオをつくっていきたいと考えているためです。専門家の意見を聴取した上でシナリオ作成ができると思っていますし、2番、3番とかのパンデミックイベントというのは、今までのパンデミックの流行曲線の模写でシナリオを描くことはできますけれども、そのほかができないので、未知のイベントには対応できないので、今回いろいろ取捨選択した上でデルファイ法を考えています。

 デルファイ法がどんなものかというのは、12ページをごらんください。アメリカでランドコーポレーションがヒストリカルにこの方法を確立したということで知られているのですが、単なる専門家の意見聴取ではないです。専門家のグループを一定の形で定義して、提示をして、直観的意見や経験的判断というものを聴取します。それを反復します。反復することによって組織的に意見を集約、洗練、収束するということを図るという手法です。

 論点もそのプロセスを通じてある程度明確になっていくのですが、もともとは科学技術が今後どういう発展があるのかというのを予測するために開発された方法なのですけれども、疫学的な流行予測というか、シナリオを作成するためにも今日では使われているものです。

13ページをごらんください。デルファイ法、初めての方もいらっしゃるかもしれませんが、具体的な話です。あるタスクの完了に要する労働時間の意見聴取というものが書いていますけれども、特定の工場でこういったものをつくるまでに何時間労働時間がかかりますかというのを工場長とかにインタビューをしたようなものです。それをラウンド1でサーベイしたときに、何時間ぐらいかかりますよという話を聞いた結果をここに示しています。

 ラウンド1のときというのは、ちょっと低目とか、あるいはちょっとばらつくのです。皆さんが提示する期間というのがばらついていて、その意見を皆さんに開陳した上で、もう一度サーベイしたのがラウンド2の結果になります。少し高目になる。ここのタスクは本当はちょっと厳しいかもしれないと現実味を帯びてくると、もうちょっと時間が必要ですよという意見を言うかもしれないし、一方で、それを提示した上で、ラウンド3にすると、今度は平均としてはちょっと低くなるのですけれども、見ていただいてわかるとおり、分散する度合いが収束していっているというのがわかると思います。ある程度のばらつきは残るのですが、専門家の意見というのはある程度のところに収束していって、それが終わる。あるいは外れ値が残ったままでもデルファイ法としては失敗ではありません。

14ページをごらんください。専門家意見のデルファイ法。今回は具体的にどのようなことを今後お願いしていこうと思っているかという話なのですけれども、感染性と致命率、2つです。感染性はR0 か、あるいは累積感染者割合で、致命率に関しては、感染時の死亡リスクに関して低位、中位、高位、3つに分けて推計を考えていこうと思っています。

 なので、シナリオとしては大きく分けると低位シナリオ、中位シナリオ、高位シナリオという3つに分類可能なシナリオができていくのですけれども、それぞれの感染性と致命率に関して、それぞれの専門家の先生方にデルファイ調査を実施しようと思っています。

 例えば致命率に関してなのですけれども、それぞれの専門家の先生方が提示する分布、下に図で示しているようなもので出てきます。例えば致命率に関して、低位と中位と高位を示しています.ここに書いている具体的な数値には他意はありませんので数値は捨ておいていただいて大丈夫なのですが、どこかにピークがあって、これぐらいでばらついてというような大体の大まかな分布が、デルファイ調査を繰り返していくことで期待されるだろうと考えています。

15ページをごらんください。今、計画している具体的な内容の目的と対象なのですけれども、今後出現が十分に想定される新型インフルエンザの感染性と感染時の重篤度に関する専門家意見をデルファイ法によって調査し、その結果を定量的予測に生かすことを目的として調査を予定しています。

 対象とさせていただく専門家の先生方は、ここを読ませていただきますが、新型インフルエンザ等対策有識者会議、尾身茂会長です。新型インフルエンザ等対策有識者会議の医療・公衆衛生分科会、岡部先生が座長のところです。厚生科学審議会感染症部会新型インフルエンザ対策に関する小委員会。それらを構成する委員の専門家の先生方のうちで基礎医学、臨床医学、公衆衛生の専門家の先生方。具体的に言うと、医師、獣医師の資格を持っている先生方や、あるいは保健医療関係で学位を取得された先生方を対象にインタビューをこの後、予定させていただいています。

16ページをごらんください。調査内容です。新型インフルエンザ等感染症として想定すべき感染性と重篤度を調査します。感染性は、2つのパラメータで分けて聴取をしようと思っています。1つが基本再生産数です。1人当たりの感染者が生み出す2次感染者数の平均値。もう一つが累積感染者の割合です。流行全体を通じて人口レベルで感染が起こる者の割合のことです。

 重篤度に関しては、全感染者のうちで死亡する者の割合をあらわす感染時致命リスクというものを聴取していくという予定でいます。

17ページです。どのようなインタビューをするかというと、質問紙で聞き取り調査をします。結核感染症課の御協力を仰いでこれから実施していく予定です。

 調査は匿名で実施します。ただ、調査後の分析のために、回答者の性、年齢、職域に関する情報を調査項目に含んで、何らかの傾向があるかどうかというのをこの後の分析として検討していく予定です。

 年内の調査を予定しています。

18ページをごらんください。それがどういうふうに使われるかというものです。例えばこの図で示しているのは、致命率、感染時の死亡の確率というものがある程度分布で得られたときにどういうふうに使うかということなのですが、分布が得られたので、その分布からランダムサンプルを実施して、その致命率というものを1回のシナリオにつき1つの数値を抜き出してくることができます。

0.5%のところから矢印が3本出ているのはどういうことかというと、高位のシナリオのときに3つシナリオをつくると、その分布から3つそのパラメータをランダムに抽出して、モデルの中に入力されていくのですよというあたりを簡単に図示しただけなのですが、これを低位、中位、高位の別に専門家意見をもとにランダムサンプリングを実施して、モデルのキーとなるパラメータを決定していきます。サンプリング1回について1シナリオが出ますけれども、低位、中位、高位でそれぞれ1シナリオではなくて、ランダムサンプリングをしますので、1万回ランダムサンプリングをすると、それぞれ低位、中位、高位について1万シナリオができます。1万通りの異なる流行が得られます。それによって、1つのパラメータの不確実性に関してある程度対処することができることになります。

 最後、19ページ目「医療体制整備のためのシナリオ調査に基づくシミュレーション実験予定」ということですけれども、その流行シナリオができて、それは年齢構造化のモデルでやる予定なのですが、それと性・年齢・基礎疾患別の入院動態というものを重ね合わせることによって、新型インフルエンザの流行中にそれぞれのシナリオで受診者数がどれくらいなのか、あるいは入院者数がプレバレンスとしてどれぐらいになるかという負荷の計算というのが大まかに可能であると考えています。具体的には、時点の受診者数とか時点の入院者数、重症患者数、特にICUの入所者だったり、あるいは人工呼吸を要する患者、時点の死亡者数、こういったあたりを提示することができるので、シナリオ分析に基づくエクササイズとして医療体制の整備のための議論のたたき台に使っていただくことができるのではないかと思います。

 基礎疾患の情報としては、系統的レビューに基づく文献値とか、あるいは2009年の入院患者サーベイランスの情報収集成果などを活用することを予定しています。

 以上、ちょっと難しいところもあるのですけれども、わからない点はまた御質問をお受けしていきます。

 ありがとうございました。

○岡部班長 どうもありがとうございました。

 膨大な資料の説明をいただいたのですが、これについて何か御質問、御意見などありましたら、よろしくお願いします。谷口委員、どうぞ。

○谷口委員 たしか1990年代後半もWHOで何度も何度も何度も何度も専門家会議みたいなのがあって、そのときも彼らは、たしかデルファイ法というふうに言っていたと思います。基本的に、専門家の意見を聴取して、何回も何回も何回も議論を重ねることによってだんだんコンセンサスに集約してくるだろうということだったのですけれども、ただ、当時、我々も数理モデルに余りなれていなかったこともありますし、その検討会、たびたびにいろんなプレゼンテーションが出るわけですが、西浦先生も含めて、当時有名だった数理モデルの専門家がいろんなプレゼンテーションをやっていただくと、すごくアトラクティブだったのです。何となく、どんどんそれに影響されていったような感じがあります。

 ただ、今回1万ぐらいのシナリオができるということですので、そうすると、これは最終的にはどういうふうな形でまとまっていくのか。当時は議論して議論して議論してコンセンサス、非常にアナログな感じの議論のコンセンサスだったのですけれども、今回は、最終的にはこれはどういうふうにまとまっていくのでしょうか。

○西浦参考人 御質問ありがとうございます。

 まず今、考えていることなのですけれども、低位、中位、高位のそれぞれのシナリオが提示されるのですが、それぞれというのは、今の時点では、まず何も流行対策が施されなかったときにどれくらいの感染者数、あるいはどれくらいの死亡者数が生じるのかという仮想的なシナリオです。それが時系列と最終的な感染規模の両方に関してある程度の分布で提供されることになります。なので、何人感染者が出ますではなくて、例えば95%の予測区間で何人から何人ぐらいまでの幅でそれぞれのシナリオの死亡者数が出ますというようなシナリオが提示されることになります。

○岡部班長 押谷委員、どうぞ。

○押谷委員 ちょっと確認なのですけれども、今までの被害想定、その根拠はいいかげんだというのもあるのですが、それで言ってきているのは、25%とかという話は、私の理解では罹患者数として考えてきたと思うのですが、今、西浦先生が説明されたセロエピとかの結果は感染者数だと思うのですけれども、そこら辺はきちんと整理しておいたほうがいいのではないかと思うので、感染者数でこれはやっていくということでよろしいですか。

○西浦参考人 インタビューをする前に定義をしっかりしておこうと思っています。聴取させていただく累積感染者割合というものは、感染をベースに考えていく予定でいます。

○岡部班長 どうぞ。

○押谷委員 ただ、その感染者数とかという話、要するに、発症しない人たちも含まれるということになってくると、特に臨床の先生は実感としてどうなのかなという感じはするのですが。

○西浦参考人 もちろん、デルファイ調査を行う上では、何も事前の知識がなくて、ほら、数値を書いてくださいというような無理なことをお願いするのではなくて、事前知識として少なくとも2009年の新型インフルエンザとか、あるいは1918年のパンデミックインフルエンザの分析で今、ある程度コンセンサスが得られている死亡リスクだとか、あるいは感染リスクのシステマティックレビューの結果を一緒に提示した上で質問紙を送らせていただく予定でいます。

○岡部班長 大石委員、それから宇田先生。

○大石委員 お話を伺って、基本は、今ある季節性インフルエンザのデータをベースにこういったシナリオ調査ということを考えておられると理解しています。季節性のインフルエンザのデータというのは、現在ある医療マネジメント、抗インフルエンザ薬等々を使った上での結果と理解できると思います。

 そういった状況で、最後のところで「時点死亡者数」とかいう情報も入っているのですが、これについては入院サーベイランス等でも調査できていない項目であり、その辺をどのように予想しようと考えておられるのか?あるいは今後サーベイランスのデータとして必要なのか?具体的にどのようにして実データを流行シナリオに組み込んでいかれるのか、よく理解できないのですが、いかがですか。

○西浦参考人 先に抗インフルエンザウイルス薬の話からさせていただきますと、まずこのシナリオというのは、高位、低位、中位に関して、それぞれ全く対策が施されなかったときを想定したものをつくるということを前提にしていますので、インタビューでとらせていただく、想定される感染性だとか死亡リスクというものは、全く治療が行われなかったときを想定して回答していただきます。

 なので、今、例えば2009年のインフルエンザに関してデータがたくさん出そろっていますけれども、そのシステマティックレビューというのは、ある程度の治療が行われた上での低目の数値なのだなとか、そういうあたりの解釈というのは、専門家の先生方にちょっと注意をしていただいた上で、何もしなかったときというのをまずシナリオとしてつくるというのが第1段階です。

 その後、抗インフルエンザウイルス薬だとか、あるいはワクチンの話もそうですし、学校閉鎖とかもそうなのですが、流行対策のシナリオとかにそれが役立てられていかないといけないのですけれども、それは第2段階として、この後、調査も含めてどういうシナリオをつくっていくのかというのを検討する予定でいます。まずはプレーンのものをつくっていくというのが第1段階で、その上で、流行対策が行われたときのシナリオは無限に存在するのですが、いつどういったインターベンションが行われてというもの、どういうものを考えていくのかというのを、専門家の意見聴取も含めて、これから考えていくという予定です。それぐらいの段階で議論が進んでいるというところです。

○岡部班長 宇田先生、どうぞ。

○宇田委員 多分私だけがよくわかっていないのだと思うので、ちょっと確認をさせていただきたいと思うのですけれども、言葉の定義がちょっとよくわからなくて、「パラメータの不確実性」ということと、低位、中位、高位という言葉のイメージがどうも浮かばない。

 パラメータの不確実性というのは、要するに、重症度とか感染力とかというのが一応示されていますが、そういうものが例えば田舎と都市部では違うとか、年齢的に違うとか、喫煙をしている人としていない人が違うとか、そういういろいろな要素によって違うのに、一律にR0 とか致命率が示されているということを言っておられるのでしょうか。私の理解が間違えていれば教えていただきたい。

 低位、中位、高位というのは、先ほどの押谷先生のお話の中にありました、きっちりとしたリスクマネジメントができていれば、しかるべき被害というか、健康影響が大きくなるものを高位と言ったり、低くなるものを低位と言ったりしているのか。済みません、私だけがわかっていないのだと思うのです。

 その上で、デルファイ法で私たちは何を聞かれるのかといったところ。死亡率はどれぐらいですかみたいな感じで聞かれるのでしょうか。プリミティブな質問で済みません。教えていただければと思うのですけれども。

○西浦参考人 順番に説明させていただきます。不確実性に関してなのですけれども、おっしゃっていたような例えば年齢あるいは基礎疾患によって死亡リスクだとか、あるいは2次感染の頻度が異なるというものは、不確実性というものではなくて、私たちは「異質性」と呼んでいます。観察可能なもので年齢とか基礎疾患という属性によって性質が異なるというものは、ある程度文献値でも得られているものがありますので、代表値を聴取した上で、異質性に従ってある程度想定のもとで割り振っていくということを予定しています。

 もともと不確実性というものが意図しているものはどういうものかといいますと、単一の数値で決め打ちした1シナリオだけをつくらないということです。具体的な話をしますけれども、例えば致死率が0.1%だったという話をしたときに、観察データをもとに検討していると、その0.1%は、死んでいない場合もいっぱいあるのです。本当は0.1%をピークにするように0.01%〜0.2%ぐらいまで幅があるような話だったというケースがあるので、単一の数値でなくて、ある程度の幅を知りたい。できればどれくらいの頻度でどこが一番あり得るのかというのを分布にして知りたいというのが、不確実性というものの意図するところです。それが1つ目です。

 2番目の低位、中位、高位というものが一体何のことなのかということなのですけれども、新型インフルエンザというのは、多様なものがヒトの社会に適応した上で出現するということが想定されます。具体的に2009年の新型インフルエンザというのは、先生方も経験されたとおりで、20世紀以降、科学が発展した後に新型ウイルスを観察した中では最もマイルドなものだったということが知られています。今後出現する新型インフルエンザのウイルスがそういったマイルドなものなのか、あるいはより感染したときの毒力が高いものなのかというのはまだわかりませんから、それを仮に3つのシナリオに分けるとしたときに、低い場合のシナリオはこのあたりでしょう、高い場合はこのあたりでしょうというあたりを区分するための低位、中位、高位というのも想定しています。

 3つ目、聴取する内容なのですけれども、具体的に低位、中位、高位に分けたときの感染する人の割合が人口中で何%なのかというのが感染性に相当するものということと、全人口で平均をとったときに、感染時に死亡する確率が実際何%ぐらいなのかというのを調査していく予定でいます。

○岡部班長 宇田先生、どうぞ。

○宇田委員 多分後でレクを受けないとよくわからないかもしれませんけれども、最初のやつは、例えば死亡率が何%と出た場合に、信頼区間みたいなイメージでいればいいということでしょうか。

○西浦参考人 まさにそのとおりです。

○宇田委員 2つ目のやつは、低位、中位、高位と言うと、マイルドからシビアまでいろいろな段階をあえて3つにぼんと区切って、それの被害想定に応じた介入方法、被害想定そのもののことを言うのですか。

○西浦参考人 低位、中位、高位のパラメータというものは、こういう聞き方を今からしますよという話をしますけれども、今後新型インフルエンザウイルスがヒトのいろいろな人口内に適応して出現したとするときに、あり得る低位、中位、高位というものを考えて記述してくださいということです。ここは注意しないといけないことなのですが、例えば日本の国としてこれぐらいは想定した上で準備しないといけないなというような流行規模とか、そういうものではなくて、科学的に提示する文献とかの知見もあわせて考えた上で、これくらいのインフルエンザは世の中で起こり得ると想定されるようなものを記述していただくということです。

○岡部班長 坂元先生、それから大石先生。

○坂元委員 先ほどのデルファイ法の労働の調査で幾つかラウンドをやっているということなのですけれども、今回の調査で、例えば質問の項目数とラウンドの回数というのはある程度相関性があるのか、一体ラウンドというのはどこまでやっていくのか。一定の集約を見るときに、その場合の指標みたいなものはあるのか。もしおわかりになれば教えていただきたいと思います。

○西浦参考人 収束度の計算みたいなので、このときは意見が収束したと判定するというのを、分散の統計量とかを使って考えるような手法も提案されているのですが、今回に限っては大まかに合計3回ぐらいのインタビューをする予定でいます。それぞれのインタビューに関しては、ほとんど専門家の先生のお時間を煩わせることのないぐらいのレスポンスで十分なものです。先ほどお話ししましたけれども、感染性、感染規模と致死率の2点しかお伺いしませんので、それをスケールあるいは数値でお答えいただくことになるのですが、2点だけお答えいただければ十分というのを3ラウンドぐらい予定しています。

○岡部班長 大石先生。

○大石委員 わからないのでお聞きするのですけれども、プレーンの状態、何もしない状態で質問が来るのだということは理解したのですが、基本何をベースに感染性とか致死性を評価すればいいか。そのデータは何を参考にするのかというのがよくわからなくて、海外、国外も含めてパンデミックのデータを言うのか、季節性インフルエンザのアセスメントの評価をもとにして言うのか、そういった意味で、先ほどの致死性については国のインフルエンザのサーベイランスではまだないので、そういったことが欠けていると思うのです。

 質問が来て、適当に答えるのは可能なのかもしれないですけれども、それなりに根拠がないと答えに窮すると思うし、余り意味がないと思うので、そこのところが、ある程度幅を狭めて質問されるとは思うのですが、具体的にはどのようにお考えですか。

○西浦参考人 その点に関しては、先ほども話しましたけれども、今まで起こった新型インフルエンザに関してある程度参照していただけるシステマティックレビューを抽出して御提供する予定ではいます。

 ただ、新型インフルエンザのデルファイ調査をしないといけないのは、今まで起こったイベントとは異なるような程度のもの、よりマイルド、よりシビアかわかりませんけれども、ということが起こるということがサイエンティフィックに想定されるならば、それを専門家として意見を述べるというのが目的です。なので、過去の観察されたイベントに必ずしもストリクトにアドヒアしていただく必要はないということです。

 なので、実験的な知見、ウイルス学の知見も含めて、これぐらいあり得るかもしれないというのが十分に想定されるもの、考えを述べていただくということです。

 

○岡部班長 どうぞ。

○大石委員 そうしますと、現在進めている季節性インフルエンザを使ったパンデミックリスクアセスメントというのはパラレルに動いて、今回の調査等には余り使われないという理解ですね。

○山岸室長補佐 そういった理解で構わないと思います。

○岡部班長 では、調先生のほうが先で、その後、押谷先生。

○調委員 今までの話ですと、1回最初のラウンドで聞き取った内容の開示というのは、数値だけを開示して、それを繰り返していくという形で行うということですか。

○西浦参考人 数値でお尋ねするか、あるいはスケールでお尋ねすることも今、考えています。具体的には1本の線で目盛りを売っているものをお渡しして、ここというのをぴっと印をつけていただけば、あとは私たちのほうで計測するということを考えています。

○調委員 そうすると、最初のラウンドでそれぞれの方々がどういう根拠を持ってその数値を出したかというのはフィードバックされないで、次のラウンドをやる、そういうことですか。

○西浦参考人 その意見がセカンドラウンドでほかの方の目に触れると、そこで恣意性が発生してしまいますので、ここではストリクトにその数値を、2回繰り返すのですけれども、御提示させていただくという方法を考えています。

○調委員 もう一ついいですか。先ほど大石先生がおっしゃったようなことと多分重なると思うのですが、例えば1918年のスペインインフルエンザは100年ぐらい前に起こったイベントであって、例えば2011年、内容を詳しく読んでいませんけれども、68例の剖検例のうちほとんどがバクテリアルニューモニアだったと。そういうことを考えると、今の医療でそういう死亡率が起こることは非常に起こりにくいと思うのですが、そういうことをどの程度入れていくか。そうすると、死亡率はかなり下がるのではないかと思うのですけれども、その辺が非常に難しいと思うのですが、その辺はどうでしょうか。

○西浦参考人 あくまでもそのシナリオに関しては流行対策が施されなかったときを想定していますので、二次的な細菌性の肺炎に関しても治療が施されなかったと想定したときをお答えいただければ、それで十分です。

○調委員 抗インフルエンザ薬は、例えば備蓄をどうするかということを考えていく上で、抗インフルエンザ薬による治療を行わなかった場合をまずデフォルトにするというのはわかるような気がするのですけれども、今の医療で肺炎を抗菌薬で治療しないというのは、ないようなシナリオになると思うので、何もしないということは、医療も全くないということになってしまいますから、そこはちょっと違うような気がいたします。

1918年のものが一番リスクの高いシナリオとして参考になる部分だと思うので、そこをどうやって今の現代医療に当てはめていくかというのはすごく難しいような気がします。

○西浦参考人 すごくいい御意見なので、どうしていくかを考えていかないといけないなと思っているのですけれども、原則は、治療がなかったときというのは抗菌薬に関してもそのまま適用していただいて大丈夫と思うのですが、その後に流行シナリオが一旦できた上で、何らかの介入が行われたときというのは、この後、またシナリオをつくっていく予定をしていますので、その段階で抗菌薬の話というのも実際に海外の数理モデル、パンデミック・シナリオ・プランニングみたいなもので研究されている項目の一つなのですけれども、検討しなければならない中の一つになるかもしれないと思っています。

○岡部班長 押谷先生。

○押谷委員 今、調先生が言われたこととも関連するのですが、西浦先生が考えることというよりは事務局が考えることかもしれないのですけれども、この被害想定をめぐってはずっと議論されてきていて、こういう場だけではなくて、いろんな学会等で議論されてきていて、学会等のかなり強い意見として、今の政府の考えている被害想定は非常にナンセンスだということがいろんなところで言われていて、今、調先生が言われたようなことも含めて、今の日本の医療体制とかそういう中でこんなことが起こるはずはないと。

 もっと極端なことを言われる方は、新型インフルエンザ対策なんて何もする必要はないのだということを言われる専門家の人たちがかなりいて、それはかなり強い意見として日本の国の中にあって、そういう中で、今、西浦先生のほうで考えられている聴取する専門家の対象というのが、国のこういう委員会のメンバーとかだけでいいのか。多分その中でやってきて出すと、また別のところの専門家と言われる人たちがかなり強い意見を出してくる可能性があって、その辺はどういうふうに考えるか。かなり難しい問題なのかもしれませんけれども、一応考えておく必要がある問題なのかなと思うのです。

○西浦参考人 この件に関しても事務局とは相談を続けてきているのです。対象者、どの先生方に意見を聴取するのが最も適切なのかということを話していて、一義的には、日本の政府が参照するような流行シナリオなので、その委員会で組織されている専門家の先生方に御意見を第一にお伺いしようということをお話ししているのですが、議論の中には出てきていますけれども、具体的に例えばインフルエンザのIORVだとか、一定のインフルエンザの専門家の先生方がいらっしゃいますから、そういった専門家のグループで別途分析が可能ではないかという話は実際にはやってきたところです。このあたり、また事務局とも追加の分析とか、あるいは別途の分析をするのかとかは相談していけるのではないかと思います。

○岡部班長 委員メンバーを見ると、結構学会の代表であったり、インフルエンザの研究者であったり、もちろん全員ではないけれども、ある程度含まれているとは思うのですけれども、もし何かしらの専門家をさらに加えたほうがいいという意見がこの中で出てくるのだとすれば、それは加える可能性はありですか。

○山岸室長補佐 最初に西浦先生とお話しさせていただいたところでは、主要な専門家については今回上げていただいた審議会のほうに入っていただいていて、かつ多様な専門領域を持った方々が広く入っているということと、前提条件としては、今まで幅広い議論に参加していただいたということで、知識もあられるということで、今回こちらのほうで西浦先生と相談させて決めさせていただきました。

 今後どういう観点が必要かということについて、先生のほうとまた相談させていただいて、必要があればまた進めていきたいとは思います。現状はそういった形で相談させていただいております。

○岡部班長 パンデミック準備は必要ないと言うと話にならなくなってしまうので、備えは要らないという方に入ってもらっても困ると思うのですけれども。そこは考えながら考慮させていただくということでいいでしょうか。

○山岸室長補佐 基本的にはこちらのシナリオのほうでどのような感染者が出て、被害が出るかという数字が出ることになると思いますので、そういうのを逆に参照することである程度妥当な規模、どの程度必要性かというのを必要性のほうから考えてきたのでなくて、実際に想定されるものとして考えてきたことになると思うので、そういった批判に対して、逆にデータに参考になる資料になるではないかなと思っております。

○岡部班長 西浦先生、何か。済みません、途中で。

○西浦参考人 1つだけつけ足しなのですけれども、デルファイ法なので、理想的な、統計学的な本当のサンプルというのは、インフルエンザの専門家の方が1つの集団でいたとすると、そこからそれを代表するようなランダムな対象の先生方を抽出して意見を聴取するというのが理論的な理想なのですが、デルファイに関しては、専門家の意見を聴取するものなので、そこに代表性というものを担保する必要はないのです。

 なので、あくまで定義する集団が、政府が組織している、あるいは厚生労働省とか内閣府が組織いる専門家会議の専門家の先生方という定義であれば、その中から意見を出していただくというので、方法論的な偏りはないのですけれども、インフルエンザ一般に関してより専門性とか現実性を考えた上でどうするべきなのかというのはずっと議論になることだとは思います。

○岡部班長 特措法ができたときなどに押谷先生がおっしゃるような物すごい反対論が起きて、学会で幾つかシンポジウムをやったりしたことがありますけれども、その場合は、私の考えですが、ちょっと説明不足や理解不足であることが当初あったので、その点については今は解消はされてきてはいると思うのです。もちろん、全く要らないというものだったり、その考え方はおかしいという意見は一部にはありますけれども。

 したがって、これからでき上がったものに対して、世の中に対して十分説明をしていくということが私たちには求められてくると思いますので、その分理論武装というか、こちら側の意見、どういうふうにやってきたかということをクリアにしていく必要がある。恐らくそういうことを含めて、きょうの会議を公開でやっているのではないですか。

○山岸室長補佐 西浦先生のほうから御提案いただいたように、方法論的に例えば第三者による再現もできるという形で提案いただいていますので。しかも、委員の先生方もこういったところから選ぶということを明言した形でさせていただいているので、そういった意味でより透明なプロセスでやらせていただいて、かつ納得いただけるのではないかなと思っております。

○岡部班長 大石先生。

○大石委員 先ほど調先生から抗菌薬の影響についてコメントがありましたけれども、より現実的な想定ということを考えるならば、抗インフルエンザ薬診断、そして抗インフルエンザ治療など、インフルエンザに対する診断、治療ができているということが、一番この流行シナリオに影響するのだろうと思います。最初のステップとしては理解しますが、治療介入は重要だと思っていますので、よろしくお願いします。

○岡部班長 横田先生、どうぞ。

○横田委員 治療のことは確かに影響があると思いますが、それ以外に社会的なこと、情報がすごく早く伝わるということとか、手洗いとか、そういうことがどんどん進んでいて、100年前とは全く社会の状況が違うので、インフルエンザ薬があったか、ないかにかかわらず、随分状況は変わってくるのではないかと思います。そういうことについては、例えば100年前のデータを、抗インフルエンザウイルス薬がないとしても、現在みたいな状況で起こったとしたらどうなるかという想定も考えないといけないのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

○西浦参考人 おっしゃるとおりだと思います。先ほどもお話ししましたが、あくまでも過去に観察された新型インフルエンザのデータというのは参照する数値で、その後、この調査の実態というのは、まだ起こったことのないものに関しては、ある程度の起こり得るというものの意見を述べていくものなので、これくらいだと起こり得るであろうと考えられる程度でお答えいただければと思います。

○岡部班長 釜萢先生、どうぞ。

○釜萢委員 きょう御説明を伺って、こういうものが出てくることは非常に期待されるというか、非常に大事だと思うのですけれども、これまでに同様のモデルをつくられた場合の最終的な評価、こういうことをやって、こういう段階になると妥当性が評価できるというような場面はあるのでしょうか。実際に例えばパンデミックが起こって、2009年のはある程度データが出てきましたが、今回こういうふうにやって、その結果を評価するという場面は想定されるのか、教えてください。

○西浦参考人 おっしゃるとおりで、事後評価というのが大事になると思っています。例えば2004年から2006年ぐらいにイギリスで出されてきた。たくさんシミュレーションが「ネイチャー」や「サイエンス」に報告されたのです。それらの想定してきたものが2009年に見た現実と相当かけ離れていたということで、私たち数理モデルの専門家というのは、2009年の流行が起こった後の事後評価が始まってからは本当にうつのような状態だったのです。極めて非現実的なものとか議論がモデルをベースにたくさん言及され過ぎたのです。封じ込めが可能であるとか、そのためにはどういったシナリオを考えておかないといけないとか。2009年以前に、例えばクラスターサーベイランスもそうですが、準備されていたので、いろんな混乱が起こったのです。

 今回複数のシナリオを検討していくというのは、そういった不確実性、未来が全く不確実な中である程度科学的妥当性を担保した場合にどういった方法がとれるだろうかということを考えて、このデルファイ法でシナリオを分けた上で行っているのですが、それが実際の流行規模と比べてどうだったかという評価は、もしそういったイベントが起こったら、その流行規模と照らし合わせて評価されていくことになると思います。

○岡部班長 谷口委員、どうぞ。

○谷口委員 先ほどもちらっとお伺いしたのですが、これはあくまで被害想定ではなくて、シナリオ想定だというお話でしたね。そうしますと、これの結果というのは、例えばパンデミックが実際に始まった際に、その途中でのパラメータでもって、その後リアルタイムモデリングのように予測できて、アセスメントにも使えるというふうに考えてよろしいでしょうか。

○西浦参考人 いいポイント、ありがとうございます。いわゆる予測のプレディクションというものが分類されないといけないという話はずっとしているものなのですが、プレディクションというものは、人口学のキーフィッツによると、2つに分類されることが知られていて、1つは「フォーキャスティング」と呼ばれるものです。定量的にリアルタイムで未来を予測しないといけない。もう一つが「プロジェクション」と呼ばれるものですけれども、What-ifシナリオです。もしこういった流行対策をしたら未来はこうなるかもしれないというのをシナリオベースでつくっていくというものですが、今回のシナリオ分析というのは、そのプロジェクションに相当するものです。

 リアルタイムのフォーキャスティングというのは全く別立てのコンセプトになりますので、観察された事象をもとに何らかのリアルタイムの予測を施すというのは、また違った切り口で見ていかないといけないと思います。

○岡部班長 押谷委員、どうぞ。

○押谷委員 今、谷口先生が言われたことと関連するのですけれども、例えば非常に難しい政策判断になるだろうということはずっと思っていてというか、そういう議論はずっとされているのですが、例えば新型インフルエンザ等対策特別措置法で緊急事態宣言ができるようになっていて、その緊急事態宣言の要件が急速に蔓延して、国民生活に重大な影響を及ぼすとか、そういうことになっていて、そうすると、今、言われている感染性が、恐らく高位に近いものになる。しかも致命率が高位に近いものになるということが予測された場合に、緊急事態宣言を出すと。少なくとも今の特措法のたてつけはそういうふうになる。

 それを実際にどうやるのかというのは非常に難しくて、困難だと思っているのですが、そうすると、今、言われた今回のシナリオをつくるということと、今後リアルタイムにどんなことが起こり得るのかということを予測するということは別のことだとおっしゃいましたけれども、少なくともこのシナリオ上、ある程度今の緊急事態宣言に該当するようなシナリオがこういうものだということは言えるのかどうかということと、あと、もしリアルタイムにある程度起こり得ることを予測すると、このプロセスの後にどんなことがなされなければいけないということになるでしょうか。

○西浦参考人 いい質問をありがとうございます。

 まず一つ注意してシナリオの別というものを理解いただきたいのですが、低位、中位、高位と分けているものは、出現するかもしれない新型インフルエンザの本質的な自然史として、感染しやすかったり、死亡しやすかったりするものが低位、中位、高位というもので、それと新型インフルエンザの緊急事態宣言というのは、これから流行が起こりますよということで、メジャーエピデミックになるということなのですが、それとは余り関連のないものです。なので、高位だから緊急事態宣言を出すというわけではなくて、低位でもふえたら緊急事態宣言というか、新型インフルエンザの流行ということにはなると思います。それが1点目。

 リアルタイムでこれからそういう宣言をしないといといけないというような評価がこのモデルと関連づけてできるかということですが、それは別立てで分析しないといけないと思います。リアルタイムで再生産数がどれくらい、今、流行が収束する確率がほとんどないということが明らかになれば、メジャーエピデミックになるという判断になりますので、それとシナリオで医療体制の準備をするというものは別立てで考えないと、少しごちゃごちゃしてしまうと思います。

○岡部班長 ほかにはいかがでしょうか。調先生、どうぞ。

○調委員 すごくシンプルな質問をしたいのですけれども、要するに、低位、中位、高位とあったときに、1つは前回の2009pdmは低位に相当するパンデミックだったかどうかということと、もう一つは、そうであったときに、例えば措置入院をどう扱うかということはいかがでしょうか。

○西浦参考人 2009年の新型インフルエンザはマイルドであったことが確実であるのですが、それが低位に相当するかどうかは専門家の先生方それぞれにお考えいただきたいことです。それが中位と考える方もいるかもしれませんし、そうでないという場合もあると思いますので、その辺は先生方のお考えをぜひお伺いしたいと思っています。

 措置入院に関しては、事務局のほうに譲っていいですか。

○山岸室長補佐 具体的には。

○調委員 低位であった場合に措置入院を実際するのかどうかとか、どの段階まで措置入院を続けるということ。そういうシナリオというか、対策の違いが出てくるのかどうかということです。

○山岸室長補佐 今回想定されるところ、例えば低位か、高位か、中位というところで措置入院への対応が変わるというところではなくて、あくまで対策上、国内発生早期であったりとか、海外発生で新型インフルエンザとされて、通常の対策がなされる範囲においては措置入院をされることはあると思いますけれども、今回シナリオでお聞きになることと対応するものではないと考えております。

○岡部班長 恐らくは今回のシナリオができて、プレディクションのようなものができて、それに基づいて措置をするか、しないか、そちら側の議論になってくるので、今回は実際にこれを照らし合わせてすぐどうこうというところまでこの委員会で議論は多分していけないと思うのですが、そこはそんなことでよろしいですか。

○山岸室長補佐 はい。

○岡部班長 僕のほうも質問をしてみたいのですが、先生、定義が非常に大切だとおっしゃっていただいて、確かに定義づけがないと、例えば低位、中位、高位、その他もなかなかわかりにくいところがあると思うのですけれども、先生のところでそういうのをつくっていただいて我々のほうに提示したときに、それに対してディスカッションする時間があるのか、あるいはもうこれができたので、これで答えてくださいというふうになるのか。その辺はいかがですか。

○西浦参考人 意見を聴取した後に専門家の先生方の間でディスカッションということですか。

○岡部班長 そうでなくて、意見の聴取をする前に、こういう形でやるのですけれども、どうですかと。いや、それはちょっとわかりにくいとか、もうちょっとこういうことを加えたほうがいいのではないかということをディスカッションする場があるのかどうかお尋ねしたいのですが。

○西浦参考人 一番大事なことですけれども、推定値に関して具体的な数値をディスカッションしていただく場は設けない予定ですというのが一つです。そうでないと、ばらつきもなくなりますし、皆さん、同じような3つの高位、低位、中位とかに収束すると調査自体が失敗してしまうので、数値自体について議論はしない予定なのですが、少なくとも意見を聴取させていただく対象の専門家委員会のそれぞれの班の先生方には、私のほうから出向いて説明を差し上げる時間をつくりたいと思っています。

○岡部班長 できればいろいろ理解をした上で答えをしていくというほうが、場合によっては広範かもしれないし、答える側の理解を助けていただけるのではないかと思うので、よろしくお願いします。

 ほかにはいかがでしょうか。

 最初のところで大石先生がちょっと触れられていたPISA、あれは多分Pandemic Influenza Severity AssessmentPISAだと思うのですけれども、それとこれはリンクしているわけではないので、PISAについては感染研が中心になって、今、行いつつあるのか、これから取り組もうとしているのか、ちょっとよくわからないのですが、それについてはこれと別に扱って、最終的にいろんな対策のときに両方持ってくるという考え方でよろしいですか。

○大石委員 実際取り組んでいるところであります。流行シナリオ策定とパラレルに、両方検討を進めていくという理解でいいと思います。

○岡部班長 もう一つは、今回はプレーンということで、決して単純ではないと思うのですが、いろいろなものを単純化したところでスタートを切っていただくことで、その後で課題になっているような抗インフルエンザウイルス薬の介入であるとか、ワクチンであるとか、公衆衛生的な介入、学校などをお休みをするとか、そういうパラメータについては今後の課題として引き続いてやっていただけるということでいいでしょうか。恐らくいろんなものの反省に基づいているのが、そういうところの議論が足りないでそのモデルがずっと続いてきたのがいいのか、悪いのかというのがあったので、できればそういう形にしていただければと思うのですけれども。

○西浦参考人 事務局とも相談しながら、シナリオがある程度プレーンでできた後に、流行対策で具体的にどんなことを検討していくということを決めていくことになると思うのですが、抗インフルエンザウイルス薬の投与の期間、量だとか、ワクチンが製造されるときのタイミングだとか、いろんな時間的要素で不確実なものというのが相当ありますので、必要に応じて次の調査もまた考えるというあたりを事務局と相談しながらこれから進めていく予定でいます。

○岡部班長 ぜひ発展させていただいて、最初から余りハイクラスなものを目指すのではなく、基本的なところをやってから次のステップに進めていただければなと思うのですけれども、その辺はどうぞよろしくお願いいたします。

○西浦参考人 はい。

○岡部班長 ほかに何か御意見はありますでしょうか。調先生、どうぞ。

○調委員 一番冒頭の議論でもあったと思うのですが、前回2009年の新型インフルエンザのときに、現場の状況というもののフィードバックがその対策に生かされるのが遅かったのではないかという声が結構あったのではないかと思うのです。そういう意味で、押谷先生の言われたリアルタイムなリスクアセスメントを行っていくことは非常に重要だと思うので、この会議とはちょっと違う観点かもしれませんけれども、その部分、非常に重要なことだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

○岡部班長 2009年、以前のときにいろんなパンデミック対策、当時新型インフルエンザ対策をやっているときは、どちらかというとクローズなところでやって、ぽんと提案がされて、それがいいか悪いかどうか、いや、しかし、今はもう時間がありませんからこうしましょうというような形で行ったりであったように思います。そういう点ではこれまでの知見や何かを加えた形とそのコンセンサスづくりをやりながら、幅を持たせてやっていくというところでは期待ができると思いますので、ぜひご協力いただいて。

 先ほど問いに対する質問が出てくるようでしたら、西浦先生、大変でしょうけれども、説明をしていただきながら、その結果も逐次オープンにしていくということで進めていけば、この委員会として一つの結論が出てくるのではないか。

 また、その結論はいろんなところに波及していく可能性があると思いますので、その辺、事務局のほうがハンドリングをうまくしていただければと思います。

 一応、これできょうの議論としては打ち切りたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。

 そうすると、きょうは資料2で西浦先生及びそのグループから御提案をいただいたのですけれども、これが研究班として動いていく中で、この委員会とか、そのほかこれに関連する委員会がそれに協力をしていくということで結論を得ていきたいと思うのですが、基本的な方法としては資料2に基づいたところでいこうと。そして、これは作業班なので、小委員会のほうに一応上げて、そこではもう一回議論するのですか。それとも承認に近い形ですか。その辺をちょっと教えてください。

○山岸室長補佐 事務局と西浦先生のほうで今回いただいた意見をまとめて小委員会のほうに御報告して、御承諾いただこうと思っております。

○岡部班長 基本的に小委員会のほうは、作業班等々で行われたことについては大きく変更するようなことはないと思いますけれども、より広いメンバーが出てくるので、そこで意見をいただいて、最終的に動くというような形になろうかと思います。

○山岸室長補佐 おっしゃるとおりです。

○岡部班長 それでは、よろしいでしょうか。

 本日、長い間議論いただいて、ありがとうございました。本日の分としては終了したいと思うので、事務局のほうからこの次のプロセスか、次回か、そういったことの説明がありましたら。

○山崎室長補佐 事務局のほうからは特にございません。次回の予定につきましては、また決まり次第御連絡さしあげますので、よろしくお願いいたします。

○岡部班長 課長は最後、よろしいですか。

○浅沼結核感染症課長 いろいろ御議論ありがとうございました。また今後ともどうぞよろしくお願いします。被害想定というか、今回のシナリオにつきまして、まさに十数年ぐらいの大きな課題の一つと認識しております。これを今回きちっと見直すことができれば、また新しい時代に向けた新型インフルエンザ対策に取り組めると思っておりますので、ぜひどうぞよろしくお願いいたします。

 以上です。

○岡部班長 それでは、終了にします。

 ありがとうございました。


(了)

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