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2016年8月16日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第14回)議事録

○日時

平成28年8月16日(火)14:00~16:39


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

今村主査、酒井構成員、柴田構成員、園田構成員、田宮構成員、戸田構成員、中村構成員、宮崎構成員

○議事

○今村主査

 まだお一人お見えになっていないのですが、時間になりましたので、ただいまから第14回独立行政法人評価に関する有識者会議労働ワーキンググループを開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は小西構成員、志藤構成員、関口構成員、高田構成員、松尾構成員が御欠席です。それでは、本日の議事について事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日の議事について御説明いたします。本日の議事は、お手元に配布させていただいております議事次第のとおり、労働安全衛生総合研究所の中期目標期間実績評価に係る意見聴取でございます。評価項目ごとに法人側から業務実績及び自己評価について説明いただき、有識者の皆様方から御意見、御質問を頂きたいと存じます。なお、独立行政法人の評価スケジュール全体につきましては、参考資料110ページ、別添6の図のとおりでございまして、本日の意見聴取などを踏まえて主務大臣による評価を実施することとなります。昨年度の評価の結果につきましては、参考資料6にあるような指摘を受けております。

 したがいまして、本日、御意見を頂く業務実績評価に関しましても、改めまして総務大臣が定める「独立行政法人の評価に関する指針」を踏まえ、「B」評定が標準であること。「A」評定以上を付す場合には、定量的指標において120%以上の達成度が求められていることなどに御留意いただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○今村主査

 それでは、労働安全衛生総合研究所の中期目標期間実績評価について議論していきたいと思います。初めに、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項のうち、1-1、労働現場のニーズの把握と業務への積極的な反映について、労働者健康安全機構から、ポイントを絞って簡潔な説明をお願いいたします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 労働者健康安全機構理事の森戸でございます。私から、独立行政法人労働安全衛生総合研究所の第2期中期目標期間における業務実績評価について御説明申し上げます。資料は1-1の説明資料と、1-2の実績評価書を使用しますが、1-1の資料を中心に説明させていただきます。

1ページが概要です。先日も御説明申し上げましたが、労働安全衛生総合研究所は、産業安全研究所と産業医学総合研究所が10年前に統合されてできた研究所です。ちょうど5年間の中期目標期間の第2期が平成27年度末に終了したことになります。組織としては、記載しておりますように、平成27年度末で役職員106名、予算規模としては22億円となっております。

2ページは組織図です。3つのセンターと3領域、9つの研究グループから構成されております。

3ページはミッションを載せております。労働災害防止等に係る調査研究と、災害調査の実施がミッションになります。下段にありますように、調査研究により、災害調査に必要な知見や技術を集積し、災害調査を実施することにより、災害防止上の課題等を得て調査研究を行っています。そして、調査研究や災害調査の結果につきましては、国の安全衛生関係法令等に活かされます。4ページはそれを図式化したものです。行政、事業所等からのニーズに基づき、研究を行い、その成果をそれぞれに還元するということです。

5ページから評価項目です。1-1、労働現場ニーズの把握と業務への積極的な反映です。実績評価書では4ページからになります。調査研究は先ほど申し上げました災害調査との関係から、左下にありますように、労働災害等の発生を端緒としたり、研究の性格から労働現場に入り込んで行っております。

6ページを御覧ください。労働災害の発生を端緒とした調査研究の例です。これは印刷会社で発生した胆管がんについて、その発生機序を解明するために行った研究です。当初の平成25年度までの研究では、原因物質とされたジクロロプロパンについて、肝障害毒性や遺伝毒性を調査しています。肝毒性は代謝系が関係していることが明らかになりましたが、どのように関係するのかが不明確であったため、平成28年度までの研究を立ち上げて実施しているということです。現在までに、代謝の過程で強い遺伝毒性を示す化学物質が発生することを明らかにしており、取り扱う化学物質そのものの有害性の評価をすることはもとより、代謝過程も評価しなければならないということを示しました。

7ページを御覧ください。これは労働現場に入って行う研究の例です。建設業における職業コホートの設定と労働者の健康障害に関する追跡調査研究です。このような疫学的な調査研究は、手間が非常にかかるにもかかわらず、短期で結果が出るものではございませんので、国研の流れを含む独法で行うべき研究と考えているところです。この研究では、約17,500人の登録を確認し、1,900人の死亡情報をデータベース化するとともに、5年連続した健診データを確認できた2,100人を解析対象者として行っております。その結果、騒音と手腕振動について、それぞれ評価して1日当たりの使用時間を制限するというのでは不十分であり、複合的な作用から双方のばく露許容時間を考慮すべきということを明らかにしたものです。このように、調査研究は実際に発生した労働災害を端緒としたり、労働現場に研究者が直接入って意見等を聞きながら行っておりまして、労働現場のニーズ把握は中期計画どおりに十分行っているということで、評価としては、Bとさせていただいております。以上でございます。

 

○今村主査

 ありがとうございます。ただいま御説明がありました事項について御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

 

○園田構成員

 資料1-24ページ目です。達成目標ではないのですが、アウトカム情報として4つ指標が選ばれています。この4つの指標のうち、2つが未達ですね。1つはプロジェクト研究新規課題数、それから国外学会の参加人数ということで、特にプロジェクトに関しては平成27年度は0課題ということで、これを達成しようという気が伺えないのです。あとは国外学会の参加数というのも大事な指標だと思うのですが、未達なので、ここら辺をどのように考えられるのか。これは達成目標ではありませんから、ある意味、定性指標扱いにされるのではないかと思うのですが、そういった意味で、重要なものであれば、Bからまた下げるということも考えなければいけないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 プロジェクト研究につきましては新規の課題数ということで、前中期計画の平均値が3.6であったということです。平成27年度については、新規としてはちょうど終了するときでしたので、新規としてはございませんが、継続しているものについては、先ほどの胆管がんのものも平成28年度まででして、プロジェクト研究は8課題が進行中のものです。そういう意味では、達成しようとする気がないということではないと考えております。

 

○園田構成員

 すみません、基準値ですけれども、3.6というのは新規の平均値ではないのですか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 新規に開始するもの、当該年度に新たに開始するものです。

 

○園田構成員

 だから新規ですよね。平均値ですから、掛ける5でいいのですね。この5年間の平均値は2.8課題しかないので、それを言いたいのです。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 それはそのときの課題、課題でございまして、後ほど出てきますが、プロジェクト研究につきましては、研究員であるとか、あるいは予算を大きくさくということがありますので、そのときのプロジェクト研究の課題によっては、それだけの件数が始められない場合もあります。研究費が無限にあるのであれば、それは当然増えると思いますけれども、そのときどきの課題に的確に対応するということですので、少ない場合も出てくるというように考えています。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 ちょっと補足させてください。プロジェクト研究については、中期計画、中期目標の中で、どういうものをやるかについては決められております。それを実行しているということですので、決して少ないというわけではございません。

 

○園田構成員

 国外学会の参加者数はどうなのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 これについても、前回若干触れましたが、適応した学会の数とか、予算の枠内で行っておりまして、その辺の制約もありますので、このぐらいの数になっているということです。

 

○今村主査

 数値だけでは評価できないということは、もちろん分かるのですが、基準が3.6で今期が2.8という、それは何か課題自身のウェイトが、先ほど予算とか人員とかおっしゃっていましたが、規模が大きくなったとか、そういうことですか。そういうことをちょっと書いてくだされば理解できるのですが。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 あらかじめ中期計画の中で課題数、課題名が決められており、それを実行したということです。それらのプロジェクト研究も、予算的には全体の予算の中でやっておりますので、その辺は適正と思っています。

 

○園田構成員

 すみません、中期目標で既に課題の数が決められているのに、なぜここで3.6課題というのが基準値みたいな形で書かれてしまったのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 前中期目標期間の平均値をここに記すという様式になっておりますので、それに従って記載をしておるということです。

 

○柴田構成員

 基準値は評価のときにどのように見ればいいのか、もう一度教えていただけますか。達成目標の場合は120%とか、パーセンテージでありますが、基準値の評価をする際に、どのように私たちは見ればいいのでしょうか。

 

○政策評価官室長補佐

 本項目につきましては、達成目標は定められておりませんが、一方で、アウトプットの情報を経年的に記しています。この情報を判断するために、前中期と比べてどうであったかという比較をするために、基準値というものを載せているというように、事務局としては解釈しております。ただ、それがすべからく達成目標という形にはなっておりませんが、この数字を何の情報もなしに評価はできませんので、それの指標という、参考指標というような位置付けと理解しております。

 

○柴田構成員

 ありがとうございます。

 

○酒井構成員

 別の件でもよろしいですか。67ページにかけて調査研究例が2つ取り上げられているのですが、たくさんの安衛研の中の研究で、この2つが1番目の領域の研究例として取り上げられているというのは、この2つが現場のニーズから出発して取り組まれてこういう成果を上げたので、ここに報告されているという理解でよろしいのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

1番目に載っておりますのは、平成27年度評価になりますが、それは下段のもので関連性があるものということで載せております。7ページは、平成27年度評価では違う事例を載せておったと思います。同じ事例を載せてもよかったのですが、違うプロジェクト研究もやっているということで、載せてございます。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

6ページのものは、印刷工場で発生した労働災害を端緒にしているということで、そういう労働現場のニーズから発生したものということで、ここに挙げているものです。7ページのものは建設業の職業コホートということで、正に現場に入り込んで調査をやるという、1-1の労働現場ニーズの把握という意味にふさわしい研究ということから、ここで載せているものです。

 

○酒井構成員

 そういう理解でよろしいのですね。1つだけ教えてください。7ページのコホートで複合原因を追求されて、とても重要なことだと思います。結果も出ているわけですけれども、このことのメカニズム的なことというのは解明が進んでいるのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 メカニズムは非常に複雑だと思うのですが、聴器と基本的には振動という、違った臓器をターゲットにしているのですけれども、2つの臓器はそれぞれ別々に存在するわけではなくて、ちょっと専門的になりますけれども、自律神経系を介して両方の影響が出てくるだろうという、これは1990年代に報告があって、それ以降はなかったのです。今回そういう形で確認できましたので、現在も更に追跡評価する形で、原因究明を続けている最中です。ですから最終的には、複合的な要素というものが人間の身体の中だと、1つの原因を介して、障害がいろいろな形で出てくるというのが確認できたと考えております。

 

○酒井構成員

 それは将来、治療等にも進んでいく可能性を持っていると考えてよろしいのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 だと思います。ここの段階で記載してあるのは、いわゆる二重のばく露の基準値がばらばらでいいのかということですが、逆にそれだけではなくて、振動病の患者さん、難聴の患者さんが治療をするときに、違ったフェーズ、自律神経という話をしましたけれども、そういうところの治療の効果も期待できるような結果ではないかと思っています。

 

○酒井構成員

 分かりました、ありがとうございます。

 

○柴田構成員

 ここは定性的なことだと思うのですが、1-1の大目標は「労働現場のニーズの把握と業務への積極的な反映」という、この言葉がこの記述でできているかどうかということなのです。多分、赤く書いてありますから、労働現場に赴いた数が1,254現場。それから、講演会でも質疑応答でニーズを取ったということが、ニーズの把握だと思うのですけれども、むしろ、この調査研究というよりは、どれだけどういうニーズがあって、どんなことが起こっているかという全体的な把握、例えば建設とか塩素系有機溶剤という、すごくフォーカスが小さなところを見るのではなくて、労働者が労働現場において、どれだけどんなニーズがあるのかということを把握するという全体像が、この文章だとニーズをきちんと把握するのだということがあるので、ニーズがどうやって把握されたかというのは、ただ赴いたというのとニーズを聞いたというだけで、ニーズをちゃんと把握したという現状がちょっと見えないと思います。

 それから、もう1つは、その把握したニーズに基づいた業務への積極的な反映ということですが、調査自体は危険性などを解明しただけで、よりよく実態を把握しただけではなくて、何らかの形で職場づくりの安全安心な職場づくりを推進するということにどれだけ貢献したかというのが、指標では分からないのだったら、もう少しこの言葉に対する内容がないと評価ができないなと感じました。これの中の記述はそのようになってないと思います。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 約1,200幾つの現場に赴いて、そこの要求を全部俯瞰的に見るというのは、実はかなり大変な作業なのだろうと思います。

 

○柴田構成員

 このようにある程度累計化して、こういう問題がこのようにあって、だからこそ、ここが一番重大な問題だからこの調査に至ったという、そういうプロセスが見えたら、もう少し私たちにも分かりやすいかなと思いました。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 これは我々の研究所ではないですけれども、厚生労働省の方の第12次労働災害防止計画の中の労働者の健康問題というもので、基本的には幾つかポイントを挙げているのだと思います。そのうちの1つ、重要なのが、化学物質のリスクアセスメントとか新規のがんのような問題があるのだと思っております。ですから今回、現場の方から最初にやっている有機溶剤の胆管がんの問題というのは全く分からなかったもので、では、それがどうして発生したのか、世界的にもそれが発がん物質だということが全然分からなかったために、実際に現場に行って調査をして、更に動物実験をしてということで、何が原因だったのかというのを確認したのが、この最初のポンチ絵の6ページです。それが現場につながったのかどうなのかという点に関してくると、後半に出てくるような法令にどうやってつながったのかという部分で、多分解説されるのだろうと思っております。

 

○柴田構成員

 ただ、外から見ると、こういう漠然とした中でニーズを把握すると書いてあるので。むしろ、ある程度厚生労働省の話合いの中でフォーカスしたものの中から、こうやってニーズをきっちり深掘りしていったということですよね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 もちろんそういう意味です。

 

○柴田構成員

 だから、その辺が分かるように書いてないと。全く漠然とニーズを、1,254現場に行ってと言われても、その枠組みが皆さんの中では分かっていても、私たち評価する者には分からないのです。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 書き方が多分悪いのだろうと思いますけれども、先ほどの話で出たように、我々の研究所はミッションに従っておりますので、防災計画などを踏まえて現場に行くことを、常々心掛けてはおります。

 

○柴田構成員

 はい。

 

○今村主査

 この問題は次の1-2にも関わると思うのですが、重点的な研究と、ここに2つ書いた代表例とは、プロジェクト研究の中の1つという意味では同じことですよね。簡単に整理するとここで2つ、有機溶剤と建設業の職業コホートと健康障害は、特に現場のニーズに基づいてこういう研究をしましたということで、特別取り上げたという理解でよろしいですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 はい。

 

○今村主査

 それがこのエビデンスになっているということで理解いたしました。

 それでは次にいきたいと思います。1-2の重点的な研究のところで、特に先程来、課題件数のことで、こちらの大きいほうの資料の8ページに、今度こちらは新規ではなくて、各年度の課題件数が書いてあります。そういうのを少し比較しながら説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 それでは8ページです。次の項目の労働現場のニーズ及び厚生労働省の政策課題を踏まえた重点的な研究の実施です。この項目については重要度が高いとされているものです。実績評価書では8ページからになります。過労死等防止対策推進法の施行に伴い、当初の中期計画にはありませんでしたが、過労死等調査研究センターを平成26年度に設置し、平成27年度から過労死等の実態解明と防止対策に関する研究を本格的に開始しました。研究所では、左下に書いてありますが、研究の統括と(1)の過労死等事案の解析を中心に実施しております。事案解析では全国の労働局及び労働基準監督署から収集した労災認定事案の調査復命書3,564件について、データの電子化を行い、データベースを構築するとともに、性別・年齢・疾患名・職種・健康診断の実施状況等を集計し、脳・心臓疾患の全体像の把握を行いました。

 (2)の疫学研究では、10年間の職域コホート調査に基づく疫学研究を実施するための準備として、予備的なフィジビリティ調査の検討と具体的な職域コホートを確保するために、EPA機関との共同で数万人規模の職域確保と併せて、労働時間等のデータの提供を事業所に依頼してきました。さらに、現場介入研究に向けて、職場改善対策や勤務時間インターバルの導入などを想定した研究計画等の策定及び協力先事業所の選定を行ってきました。

 (3)の実験研究では、長時間の労働負荷が循環器に及ぼす実験研究と労働者の体力指標の向上が健康指標に与える影響を検討する実験研究の2つを実施するための準備を行ってきました。そういう中で研究体制はセンター長(医師)、センター長代理のほかに、併任を含み研究員等14名を加え、過去最大の体制としております。

 研究については、先ほど出てきた重点的に研究資金、要員を投入するプロジェクト研究と、将来生じ得る課題にも迅速かつ的確に対応できるように、基盤的な研究能力を継続的に充実、向上させるための基盤的研究に分けられます。

 少しプロジェクト研究についてお話したいと思います。9ページです。平成233月に東日本大震災が発生しました。震災により生じた課題に的確に対応するために、実施途中であったプロジェクト研究について、研究対象を重点化して行いました。また基盤的研究も対象を東日本大震災により生じた課題に対応できるようにしてきました。9ページのものでは、原発復旧作業時における熱中症対策等を研究しました。

1011ページです。これは基盤的研究の例です。がれき処理や補修工事における労働災害防止対策について研究を行っています。    

12ページです。基盤的研究に加えて、行政から要請があった場合には、その要請に応えるための研究を行っています。この例ですが、除染作業における内部被ばく防止対策について研究をしています。

13ページです。中期計画ではプロジェクト研究に研究費、研究員を重点的に投入するとされておりまして、このグラフにあるようにその割合は高率となっています。

14ページです。これは産業安全研究所と産業医学総合研究所の統合効果を生かし、総合的な労働安全衛生研究を行っている例です。

15ページです。基盤的研究については内部評価会議において現場ニーズ対応性があるのか、研究が妥当なのか、研究成果として論文化等は可能か等について、評価を行って着実に実施しています。

16ページです。研究は中期目標に従って計画的に実施することを基本としておりますが、先ほど申したように、行政から要請があった場合には迅速に対応しております。16ページの例では、規制改革会議の提言に基づき、中期計画にありませんでしたが、産業用ロボットの安全基準について研究を行って、行政に報告をしております。

17ページにある足場の組立て・解体時における設備的墜落防止対策に関する調査研究は、先ほどありました墜落防止のプロジェクト研究の一部として実施し、労働安全衛生規則の改正につながったものです。

 本項目の自己評価ですが、行政施策に反映するための研究ですので、中期計画にあらかじめ定められていた研究だけでなく、そのときに社会から求められている課題に的確に対応してきたと考えております。過労死関係の研究しかり、東日本大震災対応しかり、規制改革会議の提言対応等々です。その意味で労働現場のニーズ及び厚生労働省の政策課題を踏まえた重点的な研究の実施が十二分になされていると考えて、自己評価としてはAとさせていただいております。以上でございます。

 

○今村主査

 ありがとうございます。1-1との関連を明確にしながらいきたいと思いますが、御質問をどうぞ。

 

○園田構成員

 これも資料1-28ページ、基準値ということで、目標値ではなくて、前中期期間との比較ということで理解しました。3つ指標があり、平均値を実際に計算してみましたが、プロジェクト研究課題の5年間の平均値が11.4、基盤的研究の平均値が42.4、行政要請研究の平均が9ということで、いずれも前中期期間より、主要なアウトプット指標として出されているものが落ちているのです。前期よりもパフォーマンスがこの数値を見る限りでは落ちているように見えるのに、なぜAになるかが理解できないのですが、その理由を教えてください。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 数字的には落ちていることは事実だと思います。後ほど出てきますが、実際に研究の成果がどのように基準に生かされたか、行政施策に反映されたかということについては、数が非常に増えており、ニーズに的確に対応している研究をやったからこそ、行政施策にも生かされるという成果が増えている。そのような点では、十二分に行政からのニーズには応えていると考えております。

 

○園田構成員

 行政にというのは別のところでの評価ですから、ここの中に入れることはできないのではないかと思います。同じことで2つ評価するのかということになるかと思います。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 私から補足させていただきたいと思います。まずプロジェクト研究については先ほど申し上げたとおり、中期計画の中であらかじめ計画しておりますので、それを計画的にやったということです。基盤的研究について数が落ちていますが、これは数を落とすことを調査研究部会で求められていたのです。基盤的研究の数をできるだけ少なくしてプロジェクト研究などに注ぎ込んでくださいという指示だったので、基盤的研究については数を絞り込んでいるということです。

 

○今村主査

 今の御説明ではプロジェクト研究に注ぎ込んでくださいという御説明でしたけれども、プロジェクト研究自体の数も減っています。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 数は減っていますが、中身、質と投入する予算は、それなりのものをきちんと注ぎ込んで成果が挙がっていると私は理解しています。

 

○今村主査

 そうすると、論点は質が向上したということなのですけれども、その点に絞って研究の質が向上したと、ここは実施ですから、レベルの高い研究が、以前に増して、前期に増して実施されたという、何かそういう質的な情報、定性的な情報をお示しいただければ、Aの根拠になると思いますが、いかがですか。そこを重点的に御説明いただけますか。ここにある過労死というのは、そういう意味では強調されていると思うのです。

 

○園田構成員

 すみません、今のに加えてですが、Aというのは120%より上ですから、単に質が上がっただけではなくて、120%を超えて上がったという、そこで説明していただけますか。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 よろしいでしょうか。この1-19ページです。プロジェクト研究例で、2の東日本大震災対応がございます。これは当然、中期目標を定めるときには考えておりませんでした大震災でございます。先日の労福機構の評価委員会でありました何か天変地異が起こったときの対象というものが起こってしまったわけです。そこでここにも書いているように、震災対応研究としての既存のプロジェクト研究の研究対象重点化、つまり御存じのように、あの大震災の中の対応で各種非常に多岐に富んだ研究、かつ早急にしなければいけないという質的な向上を非常に強く求められたわけです。ここで重点化と書いております御存じの福島原発及び大規模、大広範囲災害においても、きちっとした行政に対応する研究を行ったということにおきましては、臨機応変な質的な研究が、十分できたと言えるのではないかと考えております。

 

○今村主査

 園田構成員からあった20%増だという根拠はどういうように、つまり、確かに今までになかった大震災が起こって、それで急遽対応したと。一方で数は減っているわけですよね。だからその辺の重点化という意味です。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 これも重要項目ですので、通常しっかりできていれば、Aという評価は可能な項目だと思うのです。そういう中において先ほどありましたように、原発の復旧作業にすぐ対応しなければいけない、あるいは除染作業にすぐ対応しなければいけない。こういう大きな労働問題について、すぐに研究所が対応して、そして一定の基準なりを、最終的には行政も示しているわけですので、行政の期待には非常に応えていると考えております。

 

○園田構成員

 今、重要項目だからしっかりできていれば120%超えなのだとおっしゃいましたけれども、総務省からの基準では重要性は書いていないのです。難易度が高い項目に限りということで、重要と難易度が高いとは少し違うと思うのです。事務局にそこについて見解を伺いたいと思います。

 

○政策評価官室長補佐

 御質問のあった件ですけれども、重要度に関しては、総合評定を出すときの加重要素になります。一方で難易度については、個別の評価項目の評定が、難易度が高い場合には1段階引き上げることができるとなっておりまして、重要度が高いからといって個別評価の評定を1段階引き上げることは、指針上なっておりません。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 重要度の点は取り消しますが、先ほど申し上げましたように、原発対応、あるいは復旧復興工事において急遽対応しなければいけない、そういうものについてしっかり対応しておるということで、これは十分に評価できるものと考えております。

 

○酒井構成員

 これ、決して法人の立場に立つというわけではないのですが、労働ワーキングになる前に安衛研は調査研究部会の所管で、そこで部会長をやっていました。確かに、特に基盤研究が当時の安衛研のメンバースタッフに関して、課題数が多すぎて非常に散漫になるために絞ってほしいということは部会としてお願いをした経緯は、先ほど所長からお話がありましたが、そのとおりだと思います。最近見ていますと、プロジェクト研究と基盤研究とが独立してあるのではなくて、非常に相互関係を持ちながら、あるところをプロジェクトで行って問題点が残ると、それを基盤研究に戻してもう一度基礎的な研究をやるというような、非常に良い関係でいろいろな研究が進んでいると、個人的には思っております。少し補足的ですが。

 

○今村主査

 分かりました。研究課題数が減ったというのは、そういう経緯があったということですね。

 

○柴田構成員

15ページに基盤的研究についてもプロジェクトの研究等と同様、研究目的、実施スケジュール等を記載したうんぬんと書いてあって、何が言いたいかというと、質的にかなり良いものができたとおっしゃっているのは、第三者から見て良かったというか、いわゆる外部研究者から評価されたとか、あるいは厚労省からこれはすごく良くできてとかという、その質的なものを担保するための何らかのエビデンスが分からなくて、きっと立派な研究であると思うのですが、書きぶりや評価のされ方などが客観的に見えないのです。例えば、その成果をもって法律ができたといったら、ではその研究は良い研究だったかというと、必ずしもそうではなくて、それしかなかったからそれを元にやらざるを得なかったのか、あるいはとても良い研究だったからというのは、私たちでは評価ができないのです。利用者から見て、あるいは専門家から見てどういう評価だったかというのが、もう少し書いてあればよかったなと思いました。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 すみません、今の件に絡んでですが、突発的に起きた、例えば東日本大震災のときの対応で、12ページです。これが入った経緯というのは東京電力の復旧工事に当たった労働者の内部被ばくについてだったのです。その当時は内部被ばくの評価方法はなかったのです。ただ、あの現場は非常に特殊で、がれきの処理や、東電の施設の取りまとめに入ると、当然、放射能に汚染された粉じんを吸入するのです。そういうところから粉じんを吸入することにより内部被ばくが増えることが、ある程度分かっていたわけです。ですからそれを逆に言うと、一般のがれきの処理の中でやろうということで、この赤字で書いてありますが、粉じんの量と内部被ばく量の相関関係を見るという形で、非常に役立っているのではないかなと、我々は自負しているところです。何が言いたいかというと、11つ我々はうまく加工しきれていないのですけれども、1つの研究を単に法律にするだけではなくて、現場の労働者の安全衛生の1つの目安、指針などのように生かすような形で、5年間と短いのですが、そういう形で仕事はしてきているつもりでございます。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 補足説明をさせてください。今の柴田委員からの御質問については、この1-120ページを見ていただくとよろしいかと思います。第三者による評価ということですが、この右上の受賞等という所を御覧いただくと、いわゆる論文化する研究はその優秀論文賞を延べ78名が51件も各学会から受けているという、これはこの中期目標においては非常に多くの数なのです。これが第三者による1つの評価ではないかと御理解いただければと思います。

 

○今村主査

 多分まだ皆さん十分納得していないという印象がありますが、そもそも、この安衛研の最大の受益者というのは一般の労働者だと思うのですが、労働者からどう評価されるか、直接は無理でしょうけれども、きちんとアウトカムが届いているよというプレゼンのなされ方がされていないというのが、やはり一番の、先ほど柴田構成員からも指摘のあったところかと思います。アウトプットとしては、確かに素晴らしいものを並べている。それは評価するのですが、残念ながら、それが、最終的なこの研究所の目的である受益者に届いているかどうかということは、はっきり分からない。これがまず1つです。

 それからもう1つは、この評価をなぜやるかというと、現労働者健康安全機構、旧安衛研のガバナンスにどう生かすかということかと思うのです。例えば、資料1-18ページ、RECORDSの研究スタッフというように、ここだけ人員、執行のためのマンパワーというか、人工数というか、マンパワーというかが書いてあるのですが、恐らく、研究所はエフォート率のような形で1人当たりのマンパワーを割くというような管理をされていると思うのですが、ほかの所には余りそういうことは提示されていなくて、つまり東日本大震災で大変だったよと。そして我々はそれに柔軟に対応してやったんだよというのですが、そういうエフォートの修正などの話は書いてないから、どのくらい頑張ったのかということが実際に分からないわけです。

 整理すると、最終的な受益者ではアウトカムに対するプレゼンテーションが十分ないということと、もう1つは機構のガバナンスで対応したとおっしゃるけれども、それが具体的に、ある程度見て分かる数値で示されていない。この2つが、我々が納得できないところかと思います。確かに、やっていらっしゃるアウトプットの内容は素晴らしいということは、資料では理解できると思います。いかがでしょうか、その2つ。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 確かに、そういう数値が出せていないのですが、先ほどの基盤研究の話で、数がだんだん減っていっているという話があったのですが、基盤というのは、割と個別で、一人一人が研究を持っていたのですけれども、それを集約していく形で、基本的には数が減っていったのです。その背景には、中期計画の中で集約化しろという話があったのと、それからやはり、東日本大震災と過労死という形で、研究者を割り振らざるを得なかったというか、そういう中でここ数年は数がかなり減ってきつつあるかというか、集約、集中してきているという形の、1つの現れと思っております。

 

○今村主査

 十分に納得できないという印象を委員が持っているということで、次に進みたいと思います。1-3をお願いします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

1-3です。研究評価の実施及び評価結果の公表です。説明資料18ページ、実績評価書では13ページになります。これについては右の上段にあるように、平成2412月に改正された国の研究開発評価に関する大綱的指針に基づき、平成258月に内部評価規程及び外部評価規程の改正を行い、それに従って評価を行い、人事管理や表彰等に反映しています。また、外部評価結果のホームページの公表も行っております。計画どおり実施したということで、自己評価としてはBとしております。

 

○今村主査

 御意見、御質問をお願いします。

 

○戸田構成員

 外部評価委員会をやっているのであれば、先ほどの1-2の話に戻ってしまいますが、外部評価委員がプロジェクト研究のテーマについて、例えば、直近の労働現場のニーズに対応しているのかとか。あとは行政のニーズに対応しているか。そういった評価まで、実際、外部評価委員の方々はされているのかというところをお伺いしたいのです。その背景は、そういった第三者のコメントがあると、1-2の評価に関してもより説得的になるのかなと思っております。せっかく外部の方に、いろいろと研究の業績評価をしてもらっていらっしゃるので、素晴らしい研究をやっていると思っておりますが、そういうところをまず少し活用していただくと、より説得力のある説明ができるのかなと思います。

 

○今村主査

 重要な指摘かと思います。よろしくお願いします。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 年に1回の外部評価委員会は毎年開催して、1415名の外部評価委員の方に集まっていただいて、事前の評価、長いものは中期、それから終わる前に評価という形でやっており、丁寧な御意見を頂いております。その評価に基づいて、そのものを研究に反映させて、場合によっては、研究計画を修正させるなどの形で、研究の内容を充実させております。その内容に関しては、こういう冊子を毎回作っておりますが、これ自体はうちの研究所のホームページで毎年3か月以内に公表しております。

 

○今村主査

 質問の趣旨は、それをガバナンスにどうフィードバックに行きつくかということだと思うのですが。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 先ほど言ったように、基本的には良い評価であればそのままやっていただきます。また足りないところがあれば研究計画の修正、予算の縮小、又は人員の削減。逆に、もっとこれをやってくれよという話になってくると、人を増やしたりとかいう形での反映につなげております。

 

○今村主査

 是非、次回はこういう数値もプレゼン資料の中に公表していただければと思います。次は1-4-1に行きたいと思います。よろしくお願いします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 それでは次の評価項目です。労働安全衛生に関する法令、国内外の基準制定・改定への科学技術的貢献です。説明資料では19ページ、実績評価書では17ページになります。

 これについては、年間10件という数値目標が設定されております。17ページに毎年の件数が載っております。中期目標期間の終わりになるに従って、件数が増加しております。累計50件の目標に対して73件となっており、達成率としては146%になっております。

 説明書の19ページの左下に、反映された例を示しております。法令・改正に研究内容が貢献しております。また、右側にあるように、ISOJISの制定改定についても貢献しているということです。法令改正やJISの改定に貢献することは、社会のニーズに研究活動が十二分に応えていることと考えております。自己評価としてはAとしております。

 

○今村主査

 ありがとうございました。御意見、御質問をお願いします。

 

○園田構成員

 資料1-2の、これは達成目標になっているわけですよね。教えていただきたいのは、前中期の5年間のトータルの件数及び平成22年度の件数です。基準の制改定等への貢献が、平成22年度が何件、前中期5年間で何件かというのを教えてください。

 

○労働者健康安全機構研究試験企画調整部長

 まず、間違いないのは、前中期目標期間中に目標値はありませんでした。今回の第2期から年10件を定めております。平成22年度末に厚生労働大臣から定められた目標において年10件と初めて決まったところです。

 平成22年度が何件であったかという御質問ですが、私の手元には、この数字は前回の第1期の事業報告書には件数は載っておりません。

 

○園田構成員

 前中期5年間のトータルの数字は分からないわけですか。平成22年度は分かるが、ほかは分からないということですか。

 

○今村主査

 この統計は取っていなかったということでよろしいですか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 平成22年度の数値は取っております。

 

○今村主査

 平成22年度の数値はどういうことですか。取っていなかったということですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 これについては、政独委の勧告で指摘されたことです。できるだけ現場のニーズを捉えて、アウトカムを産出するためには、関係労働法令に反映させることが大事だと。そのため、その数を基準の中に入れるということで10件ということです。平成22年が6件でしたので、ほとんどその前はなかったので、それをこれからは10件にしようということで、政独委の意見を踏まえて、こういう目標を立てたということです。

 

○園田構成員

 前の5年間のトータルがないと比較のしようがないので、この数字が良いのか、悪いのか言いようがないのです。達成目標はこれだけなのですね。下は基準値ということで、前期との比較ということですね。分かりました。結構です。

 

○今村主査

 唯一、数字から見れば、右上がりの傾向があるということ。両方です。そもそもの設定基準はよく分からないにしても、右上がりの傾向で努力を積み重ねていらっしゃることはよく分かりますが、それ以上のことが分かりにくいのです。

 

○園田構成員

 もう1つ聞きたいのは、基準の制改定への貢献ということですが、今までも貢献されていたのではないのですか。余り貢献されていなかったということですか。右上がりということで、どうなのですか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 より意識して、それをやるようになったということだと思います。

 

○今村主査

 この下のほうも新たな目標値ですか。それとも前期に60件という目標数値はあったのですか。

 

○労働者健康安全機構研究試験企画調整部長

 これは第1期のときも数字はありまして、平均して60ですが、過去5年間の数字は6235617070となっています。

 

○今村主査

 過去5年間の平均は70ですか。

 

○労働者健康安全機構研究試験企画調整部長

 いや、5年間の平均で60です。

 

○今村主査

 前期水準を維持するということで、目標設定をされたのですか。

 

○労働者健康安全機構研究試験企画調整部長

 基準値ということで、前期第1期の平均値を取って、60件を基準値にしているということです。

 

○今村主査

 分かりました。そのときにはテンションストレッチがどれぐらいかということで、60のものが60ということに関する議論は、遡ってみれば残るかと思いますが。

 

○労働者健康安全機構研究試験企画調整部長

 そうですね。

 

○今村主査

 ただ、右上がりで努力は継続しておられるということは、この数値からよく分かります。ほかに御意見はありますか。

 

○中村構成員

 この件ですが、正にこれがアウトカムの1つであったわけですね。このことは、1-2の先ほど議論になったところでも、実は書いてあるのですが、説明が不十分だと思います。。事務職員を含めて100名程度の研究所で、これだけの実績を維持するということ自体が、かなりの貢献ではないかと高く評価しております。

 こういうことをやったではなく、やはり、1-2のときもそれがこういう形でもって、行政の中に取り入れられたというような研究をしていただければ、素晴らしい数字が評価されるのではないかと思っております。

過去のこの場では、研究の営みが非常に真摯にやられており、成果も高く、社会から必要とされているということで、我々としては高い評価をしてきたわけですが、今回少し雰囲気が違うので意外に思っています。

 例えば、今、問題になっているロボットに対しても、貴研究所は規格作りにおいても大きな貢献をしております。ですから、世の中の労働者が抱えるいろいろな問題に対して、きちんとした研究をやりながら、しかも、それを政策やガイドライン等に反映させるという努力を一貫してやっていることを、是非、説明の中でも加えていただければよろしいのではなかったかと思います。翻って、この数字はどうだと言いますと、非常に高い数字ではないかと私は思っております。

 先ほど補足説明がありましたが、所員数がたかだか100人ぐらいの所で、こんなに多くのテーマをどうしてやれるのか不思議だと指摘してきました。できるだけ関連する課題は大きなテーマの中に組み入れるなりして、テーマとしては件数を絞るべきだと、確か指導をしてきたわけです。その結果がこういう形になっているわけですから、むしろ、うまく機能しているのではないかと私は評価しております。

 

○戸田構成員

 私も意見が同じで、73件という件数は非常に高い成果であって、Aを付けて妥当であると考えております。付け加えて言えば、より国際規格等への貢献というところで、この例のロボットについていろいろと記載していただいておりますが、ロボットの規格に関しては、今後ますます重要になってくるのは明らかです。やはり、国内だけではなく海外に向けても、より貢献しているということを、こうした例のみならず、例えば件数で示していただくと、より説得力が増す説明になるのかと思います。

 

○今村主査

 ありがとうございます。中村構成員のおっしゃったように雰囲気が違うぞと、研究所でも面食らっているかもしれません。着実に研究していることはよく分かりますので、あとは、今後新しい基準に合わせて、どうプレゼンしていくかということが必要かと思います。ここに関しては、非常に少ない組織で一生懸命やっていらっしゃることはよく理解できました。しかも、傾向的に上昇しているということで受け止めさせていただきます。

 次は1-4-2です。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 学会発表等の促進です。説明資料は20ページ、実績評価書は20ページからになります。これについても数値目標が設定されております。論文発表等で、研究員1人当たり、年間2報、講演・口頭発表で研究員1人当たり年間4回ということです。論文発表等については、累計で20.7報で207%、講演・口頭発表等については、累計が21.6回、108%となっております。前回、論文等の中の解説について議論がありましたが、労働災害防止のための基準は事業所で遵守、あるいは採用されてこそ意味があるということから、これらの基準がなぜ定められたかを解説をすることは、研究所の役割から必要不可欠なことと考えております。実際に論文そのものよりも、技術指針として具体的な設備等のガイドラインを公表した場合、ホームページのアクセス数が増えるとか、そういう傾向もあるように感じております。

 実績評価書の20ページにあるとおり、各学会からの受賞件数も前中期計画の平均より大きく上回っております。これらのことから、自己評価はAとしております。以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。御意見、御質問をお願いいたします。当然だと思いますが、片方の指標が120%を達成していないでAという御申告はどういう根拠によるかということですが、多分、出るかと思いますので、私から代わりに質問いたしました。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 全ての項目を達成しなければ、120%にならないのかということもあると思います。論文等については質、量とも一応確保できたということで、これについてはAとさせていただきたいと考えております。

 

○園田構成員

 論文発表等で解説もということですが、やはり、多くが解説、その他、研究所の出版物。これはどういうものか後で教えていただきたいのですが、研究的なものと、その他のものが混在しているのは、正直なところ、評価が結構難しいと思うのです。伺いたいのは、目標値は年4回ですが、以前の数値があれば教えていただきたいです。実際の数値があれば、何回ぐらいだったのか。それから、その中に含まれている項目は、資料1-120ページの項目と全く同じだったのかどうかということです。そこを教えていただきたいのです。

 

○今村主査

 口頭発表等の過去の推移を言っているのですか。

 

○園田構成員

 講演、口頭発表数は過去どうだったのでしょうか。前中期はどうだったのかということです。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 論文発表数の推移について申し上げますと、平成18年から241333347381404となっております。

 

○園田構成員

 早過ぎてよく聞こえなかったのですが、平均はないのですか。今の数値トータルも併せて教えてほしいので、もう一度お願いします。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 平成18年が241件、平成19年が333件、平成20年が347件、平成21年が381件、平成22年が404件です。

 

○園田構成員

 平成23年度は、逆にトータルは幾つですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

357です。

 

○園田構成員

 論文数としては、前中期よりも数として落ちているということでいいのですね。

 

○労働者健康安全機構研究試験企画調整部長 

 数としては落ちております。今、お話があったのは、平成18年から平成22年の数を御説明して、それを5で割ると、資料1-220ページにある基準値で355となっておりますが、これが過去第1期のときの平均値が355です。それに比べて、資料1-120ページを見ていただきますと、今期第2期の数字が載っておりまして357334355359319ですが、355を若干下回るくらいの平均値になるはずですので数字は落ちています。

 

○園田構成員

 資料1-120ページの論文発表が20.7報で、達成率207%というのですが、この20.7報というのは何ですか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

20ページで言いますと、前中期計画の平均値というのが、論文発表等では341報で、講演・口頭発表が355というのが、全5年間の平均値ということです。

 

○園田構成員

 すみません。前期よりもトータルの数字が落ちていて、達成率207%ということは、これは目標値をどういうふうに立てられたのですか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 中期目標は前回も議論があったと思いますが、厚生労働大臣との議論の中で、年間2報という目標か、他の研究所等との並び等から、決定されていると思うのですが、当時、評価されている研究所がいろいろあって、その研究所の中でこれぐらいという数字で設定されたと承知しております。

 

○園田構成員

 しかし、実際の数字を勘案してみると、前期に達成したものの半分ぐらいの水準で立てられたのではないかと推測するのですが。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 結果的にはそうなっております。

 

○園田構成員

 そうですよね。そうすると、200%というのも割り引いて、100%ぐらいで考えなければいけないということですよね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 この辺について補足で御説明いたします。原著論文、査読付きの論文というのは、研究者にとって非常に重要なものだと思います。そのほかに私どもの研究所では、研究所としての出版物、災害調査報告書等があります。例えば、これはトンネルの事故の報告書です。1,000ページぐらいの報告書を書くわけですが、これについて書いている間は論文を書けないので、これも論文相当として数えてあげようということで、そういう研究報告書も入れた数にさせていただいております。それを含めて2報以上あるということです。

 

○園田構成員

 頑張っているとは思うのですが、A評価ということは、120%を超えてということです。そうすると、目標値の水準をかなり割り引いて作られているので、それを前提としては、やはり120%を超えたとは言えないのではないか。Bでも、100%~120%で悪いと言っているわけではないので、そこは御理解いただきたいです。ただ、それを120%を超えたAと言うのは、少し難しいのではないかと思った次第です。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 今、御説明したことですが、査読付きの論文とこういう災害調査報告書等も合わせて数えると134%になっていますので、そういう意味で、私どもはAでもいいのではないかと御提案させていただいております。

 

○労働者健康安全機構研究試験企画調整部長

 すみません、訂正させてください。所長から第1期、平成18年から平成22年の論文発表の数字を申し上げましたが、逆になっていまして、その平均値は341です。論文発表ですから、私は先ほど逆を見ていました。

 

○今村主査

 プレゼン資料と、こちらの資料で上下が逆になっていることは理解しております。

 

○労働者健康安全機構研究試験企画調整部長

 基準値に対して、基準値というのは平均値に対して、今期は平均を取ると上回ってはいます。ただ、今の御議論は、既に目標値がある年4回とか、年2報に話が進んでいるようなので、その目標値が良いかどうかという話に関しては、今、お話があったとおりです。

 

○今村主査

 何となく説得力に欠けるのですが、これは、先ほどおっしゃったプロジェクト数を絞れということと、何らかの因果関係はあるのですか。第2期の目標として、プロジェクト数を絞ってやりなさいと指示があったということと、この論文数が傾向的に実は減っている点についてとは、因果関係は特にないのですか。プロジェクトが増えれば、当然、論文数が自動的に増えるとか、そういう関係があったとか、そういうことはないのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 因果関係がどうなのか分かりませんが、研究者のエフォートとして、やはり我々の研究というのは、現場に行って調査をしてデータを取ってくるという仕事が非常に大きいのです。特に先ほどの胆管がんや東日本大震災というのは、かなりのエフォートを割いて、我々は外へ行くと。出てくる結果、データをまとめていく作業が論文です。論文を作ることは、かなりの時間がないとできてこないのです。短編であっても、長編であっても、1編は1編という話になってきます。ですから、先ほど言ったように、災害調査で、これだけエフォートをかけて1つの論文を書くことと、例えばほかの論文を1つ書くことのエフォートの重さというのは、必然的に多分違ってくるのではないかと思っております。

 ただ、研究者の質的な負担感と言いますか、どれだけ綿密に調査をして、科学的な結論を出していき、それを論文にまとめていく、あるいは解説記事。解説記事も国民に理解してもらうためなので、ある意味重要なことではないかと思っておりますが、それを1つの流れとしてつなげていくことは、かなり重要な仕事だと思っておりますので、結果的に言うと、そういう努力は怠っていないということです。

 

○中村構成員

 同じく数字の評価になってしまいますが、私がは、この研究所は工学系と理学系が主体だと理解しております。そういった類の研究所において、1人当たり、年間何遍ぐらいの論文が出てくるべきか考えて出されるのが、公平な数字だと思っております。

 その数字が1人当たり、年間2報というのは決して少ない数字ではない。論文を3報も4報も出すというのは、なかなか難しい話です。ですから、そういう形で、目標としての年間2報というのは妥当であったと思います。しかも、講演・口頭発表も年間4回ぐらいというのも妥当な数字でしょう。その目標に対し、実績が恒常的に大きく上回って推移してきた。その中で近年の数値が気になるのでしょう。しかし、実績の数字が良いからと言って、目標をどんどん高くしていくと、いずれ疲弊してしまって、決して良い形にはならない。私は、工学系の研究者には年2報ぐらいを目標としておきながら、それに対して常に高い数字で推移しているという実績を評価すればいいのではないかと思っております。

 もし、そうではなくて、過去何年間実績がこれだったのだから、それに対しては目標が低いのだと言われ、実績に応じて目標値を操作すると、努力しても何年か経過するにつれだんだん評価がB評価になってしまう。これは決して良いことではない。やはり、頑張っている所はそれなりに高い数字を維持できる、というものがあってしかるべきだと思います。

 この数字は、過去にこの部会において作った目標値も正しかったし、皆さんの努力の成果も正当に評価されているのではないかと私は理解しております。

 

○戸田構成員

 今の意見に賛成です。付け加えまして、受賞件数の推移を見ますと、前中期では5.4件であったのが、今期に関しては、かなり上昇しているのです。特に受賞件数が51件、延べ78名というのは、前中期計画に比べても非常に高いことが認められると思います。

 そういうことも含めて、やはり質的にも、より高い研究をしているということを鑑みて、Aという評価を付けるのであれば分かるのですが、やはり、そうした定性的な情報も併せて説明していただくと、より説得力が増すかと思っております。

 

○今村主査

 ありがとうございます。意見は出尽くしたと思います。

 

○園田構成員

 基準の話に戻りますが、1ランク上げるのは目標で設定された難易度が高い項目に限りという前提条件だったと思います。ですから、定性的なところでというのは分かるのですが、難易度を設定しているかどうかも勘案すべきだと思います。それから、主査から指摘がありましたが、目標達成率のうちの1つは108%ですから、そういった点もちゃんと評価すべきだと思います。

 

○今村主査

 ということで、完全に意見は2つに分かれております。最終的な評価に当たっては、厚生労働省で御検討いただければと思います。次は1-4-3ですね。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 次の項目です。インターネット等による調査及び研究成果情報の発信です。説明資料では21ページ、実績評価書では22ページになります。目標件数については余り言わないほうがいいのかもしれませんが、一応、目標の件数に対しては達成率が223%になっています。

22ページにホームページアクセス数があり、平成23年から平成25年にかけては増加して、平成27年にかけて減っています。これについて若干調べてみますと、平成24年度の後半に防爆指針という技術指針といったものを公表したときに、アクセスが一時的に多く行われました。これは一時的なもので、その後、落ち着くと下がるといったことが生じた結果、平成25年に山が生じているようです。

 平成26年度に学術誌の「Industrial Health」についてオンラインジャーナルのパブメドに登録したところ、安衛研のホームページにアクセスしなくても「Industrial Health」にアクセスできるということで、平成27年度はこのようにアクセスが半減しています。アクセスについては、その時々にどういう形でホームページをやっているかによって変わるように思われます。なお、ホームページの改良については、この計画中では平成26年度に実施しています。

 それから、希望者に配信しているメールマガジンについては、平成23年度に1,097件だったものが、毎年増加して平成27年度には2,123件になっています。情報発信については、私どもとしては十二分に実施していると考え、自己評価としてはAとしました。以上です。

 

○今村主査

 御意見、御質問はありますか。数値目標は確かに高いのですが、インターネットに関しては高く出る傾向がありますので、若干割り引くとしても、メールマガジンの発信件数が着実に増えているとか、質的に研究所の提供する情報に対するニーズが高まっている。それに対してインターネットで応えているということは評価できるのではないかと思います。

 

○園田構成員

 インターネットによる発信をAにすべき項目かどうかというのは、正直言ってちょっと疑問です。今日こちらのホームページを私も見てきたのですが、普通のホームページで、特に素晴らしいとは思いませんでした。伺いたいのは、平成22年度のアクセス数が何件ぐらいあったのかを教えていただきたいのです。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

115万件です。

 

○園田構成員

 それでなぜ達成目標が65万件になるのでしょうか。目標というのは、努力をして達成するような、しかも、5年間努力して達成するような数字ですよね。既に平成22年度で達成した115万件よりも小さいものを努力して達成するという、その理由がよく分からないのですが、教えてください。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 目標自体のことであれば、厚生労働省に聞いていただくほうが適当なのかなという気がしますが。そのものについてということであれば。

 

○労働基準局安全衛生部計画課機構・団体管理室室長補佐

 目標につきましては、前中期目標期間の平均ということで、当時考えて設定されたものだと思っています。ただ、次の中期目標を設定するに当たっては直近の実績を踏まえて設定するという考えです。

 

○園田構成員

 今回は目標の水準の妥当性というのも一応判断するということですよね。正直言って、この目標の水準は妥当ではないと思いますし、それをベースにした達成率もかなり割り引いて考えなければいけない。つまり、評価はAではなくて、Bが妥当だと思います。

 

○労働基準局安全衛生部計画課機構・団体管理室室長補佐

 行政として評価する場合は、この点と、定量的な部分については、直近の実績も踏まえて、またほかの項目ともトータルで評価をしたいと考えております。

 

○柴田構成員

 累計725万件になっていますが、実際に平成27年度は138万件で、多分リピーターが入っているので、累計で、ただ足し上げていってしまうのは、同じ人も入っていると思うので、そうなってくると、725万件ですというのは、ちょっとおかしいのではないでしょうか。平成27年度はむしろ下がってしまったと解釈したほうがいいのではないかと思います。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 先ほど申し上げましたように、ホームページというのはどういう形で運営するかによってかなり変わるということで、平成27年度に下がったことについて分析をすると、学術誌の「Industrial Health」を、こちらの研究所のホームページにアクセスしなくても見られるように、ほかのオンラインジャーナルに載っていっているわけです。そちらで見る人が増えますと、こちらのホームページを見る人が、平成26年度に比べて半分になったりします。そういう意味ではいろいろな理由で増減があるので、件数自体が目標というよりも、実際に成果物をしっかり情報発信をしているかどうかといった視点が重要であるとは思っています。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 「Industrial Health」を平成26年にパブメドに載せたのは、研究機関としていろいろな要請があってのものだと思います。要するに、うちの研究所だけでそういう情報発信をしているのではなくて、公のパブメドで情報発信することによって、例えば海外からもアクセスしやすくなってくるのです。研究所のホームページを知らなくても、当然論文だけでもアクセスしやすくなるということもありますので、そういう形で載せております。結果的に、それが平成27年度の減少につながったということで、ただ単に、うちがアクセス数の増加だけを考えてやっているわけではないということです。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 もう一点付け加えますと、アクセス数の総数というのはもっと多いのです。ここで出している数字は、実際に研究業績成果刊行物にアクセスしている数、そこを開いている数ですので、ただ単に訪問した数ではなくて、研究成果にアクセスしている数ということです。

 

○今村主査

 恐らく、インターネットホームページのアクセス件数だけで評価がされるのは、これが最後かと思います。当然SNSとか、いろいろなメディアが多様化しています。そういう中で、いかにアウトカムというか、個々の情報が届いてほしい所にしっかりと届いて利用されているかという情報を、もう少しミックスで、質的な部分も含めて構成を評価するという指標にシフトしていかなければいけないというのは当然だと思います。

 私の記憶が正確ではないかもしれませんが、JILPTの場合は、やはり200%ぐらいの達成率だったのですが、自己評価はBとしていた記憶がありますので、これだけでAとするのは難しいかもしれません。ただ、ほかのメールマガジンとか、テレビの取材等は、平成27年は減っていますが、トレンド的に上昇しているというところで、質的な補完になっているかなという判断をしたところです。これもどこまでちゃんと届いているかという正確な指標になるかということは100%自信があるわけではありません。

 よろしいでしょうか。それでは、1-4-4です。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 講演会等の開催です。説明資料は22ページ、実績評価書では26ページです。これについては、3回以上という数値目標に対して3回実施、満足度も目標値どおりということです。中期計画に従って実施しているということで、評価はBとしています。なお、前回も御説明しましたが、単に講演会だけでなく、下の表にありますように、平成25年度からは厚生労働省のこども見学デーに参画するとか、そのような活動も開始しています。

 

○今村主査

 御意見、御質問をお願いします。

 

○園田構成員

 こども見学デーをどう評価するかです。「等」と書いていますが、「等」が入っていても、こども見学デーというものを入れるべきかどうかというのは、ちょっと疑問だと思います。例えば、資料1-226ページで、安全衛生技術講演会の参加者数が書いてありますが、これはこちらの機構としては、結構大事なものかと思います。これは基準値があって、基準値609名に対して、これは未達ですよね。しかも数字としては結構低いレベルでの未達になっています。基準値達成目標、これは前回との比較ですか。それも併せて教えていただきたいのです。結構大事だと思われるものの人数が少ない理由を教えてください。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 平成23年、24年ぐらいに比べて、年3回やっていたのが、年2回になっているということです。年2回になったというのは、3分の1減っているわけですが、全国にありますように、産業安全衛生大会があります。要請があって、こういう所に我々が出向いていって話をする。先ほど出た安全衛生技術講演会というのは我々の主催で、いろいろと事業所に集まっていただくのですが、違ったチャンネルでやるというのが、平成26年度から入ってきています。これは1回なのですが、複数の研究員が出張してやっておりますので、結果的にはトータル3回ずつということで、最終的に上だけではなくて、下の平成26年から入っている1,060とか、980というのも足して評価していただければ有り難いと思っています。      

 

○今村主査

 これは、大会と規模が違いますよね。大会では4人しか報告していませんよね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 そうです。大会はものすごく大きいもので、我々だけのために行われているわけではないので、その中で、中災防からこのテーマで報告してくれと、それで話をしているということです。

 

○園田構成員

 そうすると、それをこちらの成果に上げるのはいいのですか。大会の開催はこちらがされているのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 いえ、違います。中災防です。大きい所です。ただし、趣旨的には我々の研究成果を、我々が会場を借り切って企業に対して集まっていただくのと、中災防がやられているものに我々が行って、そのテーマに関心のある企業に集まっていただくのでは、事業所又は労働者に伝わる感覚的なものとしては同じようなものだと思っています。      

 

○今村主査

 ということは、安全衛生技術講演会の数が未達成の説明だということですね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 未達成というか、基本的にはそれをやると中災防に対する要請に応えられないというか、そういうこともありますので、基本的には3回ではなくて、そちらを数を減らしても中災防のほうの大会に行って、我々も研究成果をアピールすることも同様の効果が得られるのではないかと思っています。

 

○今村主査

 この「等」というのが入っているのが微妙ですが、いずれにしても自己評価はBということです。特にここが少し低いというわけではありません。

 次は1-4-5に行きたいと思います。お願いします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 知的財産の活用促進です。説明資料は23ページ、実績報告書は29ページになります。平成27年度末で研究所が保有している特許は39件、出願中が10件となっています。これについては、特に数値目標は設定されておりません。中期目標に従って実施しているということで、評価はBとさせていただきました。

 

○今村主査

 御質問、御意見等お願いいたします。

 なければ次に行きたいと思います。次は1-5です。お願いします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 研究所の大きなミッションの1つである労働災害の原因の調査等の実施です。24ページからです。実績報告書は31ページからです。24ページの下の表にありますように、毎年、厚生労働省からの要請があった場合については、災害調査を実施しています。25ページと26ページに安全関係と職業性疾病に係るものの、それぞれの例を記載しています。25ページは安全関係ということで岡山県の事案です。これは、水没したシールドマシンの引き揚げを行うということが行われましたので、一番下に書いてあり、約2年間を要していますが、平成267月に調査報告書を提出しています。そして平成276月からの厚生労働省に設置されたシールドトンネルの施工に係る安全対策検討会に研究員が参画しています。また中期目標期間から若干外れてしまいましたが、本年6月に検討会の報告書が取りまとめられて、新聞発表されているという経緯です。

26ページの大阪府の事案です。これについても下段にありますが、安衛研の模擬実験結果によって労災認定が行われ、特定化学物質障害防止規則の改正にもつながっています。このように災害調査では、行政が対応することが困難な事案について、調査を的確に行って、その後の対策に多大に貢献しているということで、評価はAとしています。なお、数値目標としては、31ページの一番下ですが、80%以上再発防止の体制に結び付けるとしておりますが、平均で96%ということで、120%の達成率になっています。以上です。

○今村主査

 御意見、御質問をお願いします。

 

○園田構成員

 数値目標の平成22年度の実績値を教えてください。役に立ったとする割合です。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 平成22年にはアンケート調査をしておりません。

 

○園田構成員

 していない。そうすると80%という基準値の妥当性というのが問題になると思うのです。なぜ80%にされたのかということです。逆に言うと、20%は再発防止に役立たないものがあっても仕方がないという考えなのでしょうか。

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 原因というのは我々追究するわけですが、必ずしも全てのものについて完全に原因究明ができるのかという問題もあります。例えば胆管がんの事例ですと、実際にがんが出るような環境で模擬実験までやって、その中に研究員も入って、防毒マスクを交換しながら、ある意味では命懸けでやっているわけです。そのような意味合いからも災害調査については、私どもは行政に対して貢献をしていると考えています。

 

○労働基準局安全衛生部計画課機構・団体管理室長

 平成22年度は85%です。

 

○園田構成員

 そうすると、これも、実績値よりも低い目標値にされた理由が必要だと思いますが。

 

○労働基準局安全衛生部計画課機構・団体管理室長

 数値を取り始めたのが平成20年からで、平成20年が88%、平成21年が87%、平成22年が85%、その平均値という形で80%ということで総務省と協議をして定めております。

 

○園田構成員

88%、87%、85%ではないのですか。

 

○労働基準局安全衛生部計画課機構・団体管理室長

 はい。

 

○園田構成員

 なぜ平均値が80%になるのですか。

 

○労働基準局安全衛生部計画課機構・団体管理室長

 推移が下がってきている状況も判断して、80と設定しています。

 

○園田構成員

 これは、むしろ高めるのが目標なのではないですか。

 

○労働基準局安全衛生部計画課機構・団体管理室長

 当時はその傾向などを見て設定しております。

 

○園田構成員

 今の話を聞いて、とても納得できる理由ではないと思いますので、これもやはり割り引いて考えるべきだと思います。

 

○柴田構成員

 同じ所ですが、平成27年度が100%というのが、これはアンケートなのか、ただ各部署に聞いたのか、母数がどうなのか分からないのです。100%役に立ったというのが、余り現実的な数字ではないというか、驚きの数字なのですが、これについて教えていただけますか。

 

○田宮構成員

 どのように算出されたのか御説明はありましたか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 前回の有識者会議でも御説明しましたが、報告書を出したものについて、監督署と、それを統括している労働局にアンケートを送っています。報告書と一緒にアンケートを送って、そのアンケートを回収して、その回収されたものの役に立ったとする率が100%だった、つまり、満足されたという顧客満足度が100%だったと私どもは理解しています。

 

○柴田構成員

 この100%の母数は何人ですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 災害調査の件数ですか。 

 

○柴田構成員

 はい。今年は100%だから、全員が役に立ったということですよね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 そうです。

 

○柴田構成員

 何人で100%ですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 アンケートを送ったのは24ページにある災害調査と刑事訴訟法に基づく鑑定等、ここにある全てです。

 

○今村主査

 ここに書いてある項目は、再発防止の指導と、送検・公判維持の3つですね。だから、母数という質問に対しては、こういう厚生労働省の指導担当者あるいは公判を維持するときの立件にということだから、必ずしも平均的ではない、いろいろな人がいるということですね。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 調査報告書12件に対して、12の監督署、労働局から、そういう評価が得られたということです。

 

○労働基準局安全衛生部計画課機構・団体管理室長

 この80%というのは満足ではなくて、公判資料等に活用したかということで、これは活用されたという実績です。24ページに表記しています。

 

○柴田構成員

 多分、立派なものを作っておられると思うのですが、この数字がよく分からないのです。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 これは良い、悪いのアンケートではなくて、1-124ページに書いていますように、報告書を指導や送検・公判維持のための資料として活用したか、どうかという問いに対して、今回は100%活用したということです。活用したかどうかということに対しての答えが100%という報告書を出した。それをこういうことに使ったということです。

 

○今村主査

 そういう説明の仕方だと、かえって分かりにくいので、要するに、研究所の調査がニーズに合った的確なものを出したということですね。非常にレベルの高い対応をしたという、そういう言い方をされたほうが分かりやすいかと思います。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

 研究成果が、労働災害についての送検をしたとかの公判の維持で、実際、監督署で役立った割合が100%ということです。

 

○今村主査

 それだけレベルが高かったということですね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 そのままの文言がアンケート調査に入っていて、それの回答ということです。

 

○柴田構成員

 アンケート調査をされたのですね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長

 そうです。

 

○柴田構成員

 だから、アンケートをした対象者は何人だったのですか。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

 対象者は労働基準監督署です。実際に労働災害が起きて、その災害の原因の調査をしているので、行政だけでは、なかなか原因が分からないものについて、研究所で災害原因を調査してくださいという依頼を受けてやっているわけです。報告書を出すことによってその災害について、監督署が送検なりをして公判の維持の際に、その報告書が役に立ったということで、アンケートに答えているのは監督署です。

 

○今村主査

24ページに集約されていると思うのです。だから、機構側のAという項目はニーズに対応してしっかりとしたレベルの高い成果を常に提供してきた、高い水準で維持してきたということで、120%とか80%が当初の目標設定とか、以前に高い数字を常に維持してきたという言い方をされているのだと思いますが、それを納得できるかどうかということで、パーセント水準というのはちょっと難しいですね。この中でも、特に非常に役に立ったとか、役に立ったのように2種類とか3種類ぐらいに分けた数字が出ていれば、もう少し理解できたかもしれませんが、その辺はプレゼンテーションのところで。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 実際の例として、例えば岡山の事案であれば、当然所轄の署も助かっていますが、それが所轄の署から本省に行って、本省でこういった委員会を設置して、それがまたいろいろな基準に結び付いてきているという流れになっているということです。

 

○田宮構成員

 報告書に対するフィードバックというのは、すごく貴重な数字だと思います。普通は送って終わりということも多いですから。なので、分子と分母と、どのように調査がされたのかをきちんと書くと、もっと意義が分かるのではないかと思います。

 今のは調査を依頼された所に全部送って、そこの方が100%活用できた。ちょっと言葉も違うので、そこも気になったのですが、大きいほうでは31ページに「再発防止に役立ったとする割合」と書いてあって、パワーポイントのほうは「活用した」と書いてあって、微妙に言葉が違うのです。せっかくこのような貴重な数字を出されるので、文言と活用したということだと思いますが、調査の報告書のフィードバックをしたということは、とても意義があるので、きちんと書いていただければと思います。

 

○今村主査

 そういったプロフェッショナルな中で、きちんとしたレベルの高い評価をされたということを、やはりここできちんと分かるように書いていただければと思います。よろしいでしょうか。

 次は1-6-1です。お願いします。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 労働安全衛生分野の研究の振興です。説明書は27ページ、実績評価書では34ページになります。これについては学術誌の発行等を行っておりますが、数値目標としてはインパクトファクターが0.8以上であることをキープすることとされています。34ページの中ほどに、投稿論文数は平均で246編で、前中期計画の平均よりも1.5倍に伸びています。

 そういうことで学術誌として大きな役割を果たしていると考えておりまして、評価としてはAとさせていただいています。なお、前回、インパクトファクターの設定値の適切性について議論があったと承知しておりますが、必ずしも高ければ良いというものでもないのではないかと考えています。

 

○今村主査

 御意見、御質問をお願いします。

 

○園田構成員

 前回、インパクトファクターについて質問させていただきました。平成21年度が1.22、平成22年度が0.95で、目標として0.8にされたわけですが、まずそういった意味で、目標値を実績値よりも低くしているのは納得できないと思います。仮に、余り高くても意味がないという今のお言葉を信じるのであれば、126%というのもどうなのかということです。それを評価されないということですか。

 それは置いておいて、資料の1-234ページの中ほどで、ほかにも投稿数が増えているということで、それを評価される方もいたのですが、論文掲載数を見てみると、前期が164編投稿があって、掲載が98編だったのに対して、例えば平成27年度は269編投稿があって、確かに増えているのですが、載せられる論文は67編しかなかったわけです。ということは、たくさん投稿がされたのですが、掲載できる論文は逆に減っていて、投稿された論文のクオリティーは下がったとも解釈することができるわけです。そういった意味で、ここはAではなくて、Bでいいのではないかと思います。

 

○今村主査

 リジェクトの数が増えているということは、質が下がっているのではないかという質問ですね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 まず最初の話で、インパクトファクター絡みの話ですが、御指摘された前の年というのは、実は0.72年間続いているのです。5年間の平均で今回1.006なのですが、その前の中期が0.9ぐらいです。その前の中期は0.6になります。ですから、5年間の平均でいうと、上がっていると我々は解釈していますし、前中期の2年間で0.8を切っているということは、やはり0.8を維持すべきだという目標の設定をする根拠には、十分なり得るのではないかと思っています。

 もう1つ言うと、インパクトファクターというのは、非常に変動の激しい数値です。例えば、インパクトファクターの数を見ていただいても変動しているのですが、日本ですと、産業衛生学会が出しているJOHという論文は、ある年が1.6で、その次の年が1.0まで下がっています。先ほどの目標値の話ですと、67%まで下がっているのです。それをもって評価が悪いという形で、ここで言うと、D評価になるのかもしれませんが、そうではなくて、長い目でトレンドを見ていくという形で、インパクトファクターの目標の設定をしていただければ有り難いと思っている次第です。

 それから、投稿論文の数に関してですが、これは多ければいいというものではないということは、我々科学者であれば分かるのだろうと思います。基本的には、ほかの雑誌を見ていただければ分かるのですが、うちは年6回出しておりまして、67編です。ということは、1回の雑誌で11編やっております。この妥当性というのは、ほかの労働安全衛生の英文誌で、大体12回出している所だと120130編ぐらいで、基本的にボリューム的には似たり寄ったりです。その中からセレクトしていくという形でやっております。

 逆に言うと、例えば、投稿された論文が非常に特殊な論文の場合には、ほかの雑誌を紹介するという形で、我々の所では一応レジェクトはするのですが、もっと適切な雑誌がありますということで紹介をさせていただいております。ですから、投稿数は増えているが、掲載数は同じだということです。

 以前が90幾つと多かったのは、過去、あるテーマで特集号という形で組んでいます。テーマで組むと、必然的に1つの論文のページ数が減ってきますので、数的には増えるのです。ただ、それがクオリティーが良いかというのは別問題ですので、単純に数、リジェクトの率という形で決めないほうがいいと思いますし、このリジェクトの率は、良い論文はリジェクト率が非常に高いということは御承知おきください。

 

○園田構成員

98編が過去に多かったものとおっしゃっていますが、これは平均値ですよね。この基準値というのは、過去5年間の平均値ですよね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 そうです。

 

○園田構成員

 そうすると、そういったものも平均化されていくのではないですかね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 それが先ほど言ったように、過去は特集号を組むという形で毎回維持していました。

 

○園田構成員

 もっともっと多かったこともあるのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 もっと多かったというか、それは平均値ですから、そこまで多くはならないと思いますが、この近辺の。

 

○園田構成員

 例えば平成23年度は98編とありますが、何年かに1回あるというレベルではないのではないですか、どうなのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 言っている意味が分かりません。

 

○園田構成員

 平均値は98編ということは、98編よりも多い稿数を載せた年があったということでいいのですよね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 前中期にはあったと思います。先ほどの話で言うと、平成22年が106で、908311097で、それを平均して90幾つという話になったのだと思います。ですから、増減はその当時あったのだろうと思います。

 基本的に雑誌の作り方というか、前にもお話しましたが、いわゆる集めてくる論文の区分が、学術的に質の高い原著論文を対象としていこうという方向性が強くなった今中期に入って、欧米を中心に集めるという形で切り換えておりますので、そういう意味では、かなりボリュームのしっかりとした論文が集まってきたということではないかと思っています。

 

○今村主査

 片方で34ページの基準値0.8以上というのは達成しているからいいのだと。一方で、98は過去の平均だから達成しなくてもいいのだという、ちょっと整合性に欠けるような印象があります。恐らく、これは内側で努力しておられるものの反映として、A評価とおっしゃっていることはよく分かるのですが、客観的に我々評価する側が理解できるような形でプレゼンをしていただければと思います。なお、若干の疑問が残るということでよろしいでしょうか。

 

○戸田構成員

 お話を伺っていて、項目に関しては非常に説得力がある説明をされていると思いました。付け加えるとすれば、掲載論文数に関しては、特に目標値としては設定していないということですし、先ほどおっしゃっていたように、掲載するかしないかというのは、雑誌を運営している人間が判断するものですから、質が悪ければリジェクトするというのは当然の話で、リジェクトが多いからといって、駄目だとは一概には言えないのではないでしょうか。むしろ、投稿数が増えていること。そしてインパクトファクターが経年で見て上がっていることを併せて考えると、それなりの質を高めるために努力をされているということは、評価してもいいのではないかと思います。

 あと、掲載論文数に関しても、これはどちらかというと確認のための質問ですが、こうした国際雑誌というのは、論文の著者が投稿してから掲載が決まるまで決定の期間と、決定されてからも、実際にその論文が掲載されるまでに、かなり時間的な差があるかと思います。その平均値で構いませんので、実際に掲載された方の論文の投稿から決定までと、決定から掲載までの期間が分かれば、教えていただければと思います。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 詳しいデータがないのですが、確かに、今、言われたように、投稿から判定までを早くしようということで、事務局会議では、最初の投稿を受けてから、大体2週間以内にレスポンスを出そうと。基本的にリジェクトもありますし、訂正もありますので、そういうのを繰り返してやろうということですので、大体2か月以内に結着をつけるという形で、著者には合否のお知らせをします。ただ、それが雑誌として載るまでとなりますと、うちの雑誌で言うと、1年ぐらいかかってくると思います。

 これはそれでも早いほうで、欧米のイギリス、アメリカの雑誌ですと、1年半から2年ぐらいは待つということで、あちらのほうが数的にもかなり多いですし、我々のほうが早く載るということになると思います。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

1つだけ定性的なことをお話させてください。先ほど説明がありました「Industrial Health」は平成25年から平成26年にかけてパブメドに載ったということは、アメリカのNIHがこの雑誌の内容を精査して、非常に厳しい審査を通った雑誌であると認められたからこそ、パブメドに載っている。私も内科系学会などでトライしましたが、非常に難儀しましたので、そこは御評価いただければと思います。

 

○園田構成員

 私も別に評価してないわけではなくて、B評価というのは何回も言うように100120%なのです。その範囲では評価しています。

 ただ仮にも研究所という名前を付けられている組織が、一度上げたインパクトファクターが下がるかもしれないから、目標値を実績よりも下げて設定されるのは、よく分からないということです。

 

○今村主査

 一応、目標は達成はしているのですが、その他の情報と、それ自体の目標設定に対しての疑問が提示されたということと、戸田構成員等から御指摘がありましたそれ以外の情報で十分努力しているというので、A評価に値するという意見といろいろあったと思います。なお、私も海外の学会の編集員をやっていますが、普通、編集委員会にアクセプトからリジェクトとか、そういう期間までの統計というのは必ず出てくると思うのです。それは編集委員会では必ずその情報が出てきます。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 はい、編集委員会で出てきます。

 

○今村主査

 ですから、それはきちんとしたデータを持っていただくと、こういうアクセプトとリジェクトの編成に関しても、先ほどNIHの指標という客観的な指標ではなくて、もっと説得力のある情報が提供できるかと思います。そういう意味で園田構成員のおっしゃることの説得に若干欠けるという点は否めないかと思いますが、その他の情報については努力していらっしゃると評価できるかと思います。

 それでは1-6-2に行きたいと思います。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 次の項目です。労働安全衛生分野における国内外の若手研究者等の育成への貢献です。28ページ、実績評価書は39ページです。平成27年度には、連携大学院協定を締結している8大学において、14名の研究員が客員教授等として任命され、大学院での研究・教育の支援を行っているほか、非常勤講師として22の大学院等に対して、延べ35名の研究員を派遣しております。また、連携大学院協定等に基づく大学院生をはじめ、若手研究員の受入れも行っているところです。

 数値目標は設定されておりませんが、中期目標に従って着実に実施しているということで、評価はBとしています。

 

○今村主査

 この件についてはよろしいでしょうか。

 次に、1-6-3にいきます。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 最後の評価項目、研究協力の推進です。説明資料は29ページ、実績評価書は42ページです。平成273月に「国際研究協力協定の在り方」というのを研究所の中で取りまとめ、これに基づいて国際研究協力協定を結んでいるところです。平成27年度には、ニュージーランドのオークランド大学地震工学研究所、中国安全生産科学研究院、マレーシア労働安全衛生研究所と研究協定を新たに締結しました。これは平成20年度以来の新たな協定になります。

 国内外の大学・企業等との共同研究率、研究員の派遣と受入れの数値目標は設定されておりますが、それぞれ大きく上回っています。これらのことから、評価はAとしております。

 

○今村主査

 御質問のある方は、どうぞ。

 それにしても、これはかなり達成度が高いですね。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 目標値の問題もあると思うのです。例えば共同研究の割合というのは、高いのがいいかどうかというのはあると思うのですが、前回のこちらの会議でも所長からありましたように、初めは国研からスタートして、公務員型の独法になり、非公務員型の独法になってきた経緯があり、徐々に共同研究の割合を増やしていきましょうという流れの中で、前回よりも高くということで目標が目標値として設定されているということです。ですから、実績としては、従来からできるだけやっていこうというものをもとに実施されているということから、こういう結果になっていると考えています。

 

○園田構成員

 今、目標値が高いとおっしゃられて、前回に聞いた範囲では、共同研究は以前は46%、もう1つのほうが75人ということでしたが。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 従来から高かったことは事実です。

 

○園田構成員

 そうすると、今の数字は正しいわけですね。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 単年度で言えば正しい数字です。共同研究の占める割合。

 

○園田構成員

 平成22年度の共同研究が46%、研究員の受入れが75人と聞いていますが、この数字は正しいのですね。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 そうですね。ただ、それは特別に高い数値であり、研究員の受入れで言いますと、前中期計画全部の数字を申し上げますと、平成18年は29人、平成19年が20人、平成20年が49人、平成21年が53人、平成22年が75人と。

 

○園田構成員

 平均したら明らかに20名よりも大きいのではないでしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 それはそうです。最低値としての20人というのがあったので、それ以上の数字ということです。

 

○園田構成員

 それから、共同研究の占める割合も46%の3分の115%に設定されているのではないですか。これもなのですが、目標値の設定が妥当ではないということで、Aではなくて、割り引いてBだと思います。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 そうですね。確かに、労働研究自体が数値を挙げて達成率がどのぐらい良いのかというのは思います。

 ただ、特にこの中期の共同研究の質的な話を少しさせていただきますと、先ほど東日本大震災の話がありました。これは我々だけではなくて、JEAに頼んで内部被ばくの評価法をかなりやるということで、独法同士ですが、ほかの原子力関係の研究機関と行ったり、平成26年度、平成27年度から始まる過重労働、過労死の研究では、自殺関係とか、国立医療研だとか、いろいろな所との研究が始まっております。

 そういう意味では、研究所の非常に重要な研究の中で、かなり共同研究のウイングが広がってきた。量だけではなく、質もかなり広がってきたということがありますので、単純に基盤の研究で数がどうのこうの、基盤の研究で学生を受け入れたという話だけではなくて、ステージがかなり上がってきたのかなと思います。

 そういう意味では、数の数値だけで評価されるよりは、質のほうで我々の共同研究のほうはもう少しアピールできるポイントがあるのではないかと思っております。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 共同研究、研究員の相互派遣と、29ページの一番最後にも書いておりますが、私どもとしては研究員100名足らずの小さな研究所で、これだけ多くの海外の研究機関との交流があると。30ページには、交流の例も載せております。

 そういったものを維持していくことも、研究員にとっては非常に大きな活動量というか、ボリュームになっておりますし、先ほどもありましたように、研究協力協定の締結が8か国、12機関ということで、海外とも一緒にやっているという点について、評価をしていただければと考えています。

 

○酒井構成員

 今、理事がおっしゃった国際協力に関連したことです。本年度から統合されたわけで、従来的には国際情報研究振興センターとして、国際協力に力を入れてこられたというのは理解しているつもりです。

 その上で、29ページに協定先でそういう努力をされているという報告があって、そのとおりだと思うのですが、欧米はともかく、これからの時代は、アジアの中の日本を相当意識した安全衛生の活動というのが重要だと思います。そういう中でいきますと、本年に入って、中国、マレーシアという具合に、研究協定がアジアのほうに向いているのかなとも思えるところなのですが、1つは、研究機関としての研究協力とともに、例えば日本の主要な企業はどんどんアジアに進出していっているわけで、日本の企業とのタイアップの中で、国際協力、特にアジアの中での活動をどうしていくかという戦略が必要なのではないかと思うのです。是非、その辺も含めて、これからの国際協力活動を、より一層充実していただきたいという要望です。

 

○今村主査

 依然として、園田構成員が指摘したような、前期のデータに基づいての目標設定の水準が低すぎるのではないか、でもほかの目標も全部同じようにやってきたのだということで言えば、それにのっとって単純に数字を計算しているのだと思います。

 ただ、そのときに遡って我々が考えなければいけない以上は、これでどのぐらい本当にAに相当する努力をしていらっしゃるのかということになると、今、御指摘があったように、方針、ストラテジーが見えない、いろいろとそういうところで、つまり平成27年、平成28年になって、急に研究協力が増えたりというところで、安定的に推移しているのか、いろいろな質的な部分で疑問が残ります。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 その辺りについてですが、平成273月に国際研究協力協定の在り方を取りまとめたと申し上げたのですが、例えば3年間何もない場合にはこちらから協定の廃棄を申し出るというような決め方もしておりまして、実際に実のある、相互にやれる所とやっていこうという中で、改めて国際研究協力の在り方についても研究所で決めて、また新たな取組を開始して、この3つと研究協力を結んだという流れがあります。

 

○今村主査

 冒頭に申し上げましたように、先程来「この小さな研究所にしてはよくやっている」という御指摘がありますが、エフォート率などを考えれば、1人の人間でできる仕事というのは限られているわけで、これだけ極端に高い達成率がなぜ達成できたかということに関しては、目標設定が低かったのではないかという疑問に対して、説得的な反論になっていないということになりますので、そこは若干割り引かなければいけないということになります。やっている内容は非常に素晴らしいと思います。ただ、方針が見えないという点は、情報として正確に伝わってこないというところはあるかと思います。いかがでしょうか。

 幾つか意見が割れたということで、次にいきたいと思います。2-1です。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所管理部長

2-1、機動的かつ効率的な業務運営についてです。実績評価書の4561ページです。(1)として、効率的な業務運営体制の確立です。これは、柔軟な組織体制の実現と見直しについて、各種の会議等を効率的に開かせていただいているということと、研究調査管理の一元化を果たしているということです。それと、資質の高い人材の登用につきましては、新規の研究員等について、全て公募で行っており、5年累計で任期付き研究員として21名を採用しています。さらに、業務システムの効率化という観点から、グループウェアの充実を図っていると同時に、テレビ会議システム等を積極的に導入しています。

(2)の内部進行管理の充実です。効率的な研究業務の推進に係り、日々の研究員の研究業績と、それに伴う評価等を行って、かつ、これを毎週の部長会議あるいは役員会議等で反映させていただいています。これに基づいて、研究員の業績評価については、研究業績、対外貢献、所内貢献を含んで評価させていただいています。これについて、今、申し上げたとおり、部長、所属部長、研究領域長、役員と、評価について多方面の評価をさせていただいているということで、公平を期しています。これに基づいての5年累計です。総合業績優秀研究員として13名、若手で11名、研究業績優秀研究員として13名を表彰させていただいております。

 続いて32ページです。数値目標として掲げています。一般管理費・業務経費についてですが、一般管理費は、各年3%ずつ、5か年で15%の削減です。業務経費は、各年1%で5か年で5%の削減を実現しています。さらに、数値目標2は、常勤役職員の人件費について毎年度1%以上削減するということで、予算額は各年1%ずつ減じたもので構成しており、決算を御覧いただいてお分かりのとおり達成しております。

33ページ、業務運営の効率化に関する措置です。経費の節減について書いています。これについては、評価書の54ページに書いております。一般競争入札の徹底や競争性の確保等を図っており、今まで随契については5年平均で4件、約3,500万円程度まで減少させています。これは平成20年を基準年にしており、そこと比較して3割まで減少させています。こういったことをするに当たっては、契約監視委員会あるいは公共調達委員会を年4回開催し、その中で厳しく経費の節減について検討している現れかと考えております。最終的に平成27年度については、この結果、随契については4件、金額にして1,700万まで減少させております。これは基準年と比較して、基準年の15%程度の数字になっています。

 続いて、省エネルギー対策の推進ということで、各研究棟の節電、あるいは機器等の更新等についての取組を行った結果、基準としている平成22年と比較して、各々約12割の減少をしております。こういったことを評価して、Bとさせていただいております。

 

○今村主査

 御意見、御質問をお願いいたします。

 

○園田構成員

 人件費についてよく分からないのですが、毎年度1%以上削減するというのは、実績に対して1%という見方でいいのですか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所管理部長

 予算額に対して1%です。

 

○園田構成員

 そういうことですか。予算については、特に目標値はないわけですね。予算が1%下がればいいということだから、予算がどう立てられていても1%減らすという目標ですね。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所管理部長

 はい。

 

○園田構成員

 実績値は、実際のところは平成23年より平成27年のほうが上がっているので、普通は何パーセント削減という場合に、予算に対してという言い方はしないので、奇異に思っただけなのですが、そこはどのようにお考えなのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所管理部長

 私どもは国家公務員の給与表というものを適用しておりまして、これは全く同じ適用をしております。この段階で人事院の規則が変わりまして、勤勉手当の改定がありました関係で、平成27年度の決算額が若干増えているということです。

 

○今村主査

 これは人事院勧告は除いているのですよね。人事院勧告を受けていれば増えるというのは、当然予想できるのですが。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

 人事院勧告は予算には反映されないので、予算は増えないです。平成27年度については勤勉手当が増えたので、決算額としては増えているわけです。結果的に人勧分が決算額に反映され、その分が増えたということです。

 

○宮崎構成員

1点確認です。資料の34ページの「自己収入の確保」という所で、平成27年度だけ施設貸与が1件に減少していまして、ほかの年は大体45件ぐらいです。施設を改修されているとか、使えなくなったというような特殊要因があるのかなと思いまして、何か御事情があれば教えていただければと思うのですが。

 

○今村主査

 今は2です。

 

○宮崎構成員

 すみません。

 

○今村主査

 一応、2はこれで終わりまして、3に入ります。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所管理部長

3-1、交付金以外の収入の拡大で、評価書の6266ページです。これは競争的研究資金、あるいは受託研究の獲得ということで、研究費総額に占める外部研究資金の割合について、3分の1以上を外部資金によって獲得するようにという目標を立てたものの成果です。これは残念なことに、19.1%にとどまっております。

 続いて35ページ、3-2の経費の節減を見込んだ予算による業務運営の実施です。これは、全体の予算・決算額について記しております。その中で、特に経費節減の達成度について、平成23年から平成27年の5か年の年平均で、運営費交付金を充当して行う事業のうち、人件費については予算額の95%、一般管理費については予算額の96.5%、業務経費については予算額の98.6%ということで、最終的には4億円弱を国庫に納付するという形で決算を迎えております。この事項については、評価書の63ページに「主な評価指標等」として、1番は競争的研究資金の獲得、2番は運営費交付金等についての節減ということで、2つ挙げております。

 私ども、1番の競争的研究資金の獲得について、若干御説明させていただきます。これは3分の1のセットをさせていただいて、先程来、前5年はどうであったのかということのお話がありますので、この際御説明させていただきます。

 その前5年ですが、NEDOから平成21年、平成22年と多額の経費、受託研究が得られております。平成18年から平成22年を単純平均すると、合計金額として、平均して17,700万程度のものですが、それを構成している受託研究費については、NEDO2年間について、前3年、平成18年、平成19年、平成20年のNEDOが入ってくる3年間についての受託研究費については、年間3,300万程度であったところ、NEDOを受託したことによって、この2年間について19,700万ということで、非常に大きな平均値になっているということです。この部分が3分の1をセットする際に、研究費と比較して、大体私どもは6,000万ぐらいの研究費ですので、3分の1程度をここで確保すべきだという議論があったと伺っております。

 これに基づいて計画を立てて、平成23年以降は実施しましたが、残念なことに、こういう結果になっているということで、ここは正直に申し上げまして、このセットをする際の配慮等について、私どもは十分であったのかということを反省しているところです。

 

○今村主査

 まず宮崎構成員の質問からいきましょうか。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所管理部長

 宮崎委員の質問についてお答えしますと、正にそのとおりです。施設貸与については、大型プレス機を貸与しているところですが、これが故障し、なかなか使えない期間が長かったということで、この部分について件数が減っています。それと、必ずしも毎年こういう大型プレス機を使うような需要があるわけではないので、トレンドにこういう形で件数が増えていくというものではないと御理解いただければと思っております。

 

○園田構成員

 外部研究資金の割合の3分の1が達成されていなかったということで、説明はされたのですが、それと評価の関係を全く御説明されていないのです。さらっとBと言われても、ここはルールどおりに検討をきちんとしたほうがいいと思います。ルールどおりに見たら、80%も達成されていないし、指標が1個しかないですから、Dになってしまうわけです。

 ただ、例えば3分の1が、難易度が高い、すごくチャレンジングな目標でというような、何か数字的な根拠があると、それを1つ上げてCというところまではいくかなと思うのですが、その難易度が高いという説明もなく、なおかつ、2段階上げてBと言われても、ちょっと難しいかなと思います。

 それから、もう1つ、上がってもCかなと思う理由ですが、資料1-262ページに、確かに達成目標ではないのですが、いろいろな基準値が載せられています。これに未達のものが、ほかにも3つあるのです。上から2つ目の競争的研究資金の合計金額と、受託研究の合計金額、特許実施料です。

 そういった意味で、目標ではないのですが、ここに基準として挙げられているものが前期に比べて低いというようなことも考えますと、非常にチャレンジングなというところを数値的な根拠を挙げて説明していただかないと、もっと悪い結果を提案せざるを得ないのかなと思います。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所管理部長

 御説明が不足しておりました。競争的研究資金について申し上げますと、前中期と比較して、件数的には前中期の合計が135件です。これに対して、今期については175件ということで、件数自体は伸ばしていますが、残念ながら金額が伴っていなかったということは事実です。

 続いて、受託研究費について御説明しますと、件数自体は前期が50件、今期が44件ということで、若干下回っています。金額については、先ほど申し上げたとおりですので、多少低いのですが、これをNEDOを受けなかったことを前提に計算してみますと、全体の合計からいくと、NEDOを除くと件数自体は、183件に対して219件ということで36件増えています。金額についても、残念ながら1,600万ぐらいは下回っていますが、全体からすれば97%程度のレベルまで資金は獲得できたということがありまして、先ほどは言葉足らずでしたが、前回検討する際に、受託研究のレベルからいくと、NEDOが入る前の受託研究の6倍の金額をNEDOから持ってきており、これを全体の中に組み込んで3分の1というのは、かなり私どもとすると無理があったと。

 これについては、行政庁にも、これを入れることについての可否について相当議論させていただいたのですが、当時の判断とすると行政庁から、「努力目標でいいから入れなさい」という御指導があって、入れて、今期に至っているということも斟酌していただければ有り難いと思っています。

 

○園田構成員

 それは分かるのですが、タイトルが「運営費交付金以外の収入の拡大」とピンポイントですので、Bは感覚的には厳しいのかなと思いました。ただ、かなり厳しい、高い目標だということは大体分かりました。

 

○戸田構成員

 今回、中期目標の中間見込みということで、こうした数字が出ていますが、目標に達しない場合には、どう改善していけばいいのかというところが重要なポイントで、自己収入を増やしていくということは、もちろん考え方によっては自己収入に頼らずという考え方もありますが、機構として今後も自己収入を拡大していくという意思はおありなのでしょうか。

 あと、もし自己収入を拡大していきたいとお考えであれば、具体的にどのように増やしていこうとお考えなのかを教えていただければと思います。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所管理部長

 まず、管理的な部分から申し上げますと、この部分の受託研究なり競争的資金の導入をしたとしても、これは正に利潤として私どもがそのまま受け取れるものではありません。結果的には、今の研究の応募などをしていきますと、まず受託をするためには、やはりぎりぎりの数字で持っていかなければいけないということと、一番大きいのは、私どもの研究所のミッションは広くあまねく労働者の労働に対する寄与というか、労働福祉の向上に寄与しているものですから、やはり引っ掛かっていくものが、なかなか難しいというのが1つあります。

 それと、そこに余りに偏ってしまいますと、実際に行わなければいけない基礎的な部分、基盤的な研究といったものに、力を注ぎきれなくなってしまいます。ある程度関係しないものについては、当然競争しませんので結構なのですが、そういう部分がどうしても出てきてしまうので、やはりそこは十分に検討して、研究所のミッションをまず達成するのだということを忘れずにやっていくという観点が必要なのかなと。本当に、これが3分の1を達成できるのかというのは、かなり難しいのかなとは考えているところです。

 

○戸田構成員

 自己収入を増やしていくというのは、特に研究所ですし、当然民間企業ではないわけですので、自己収入に頼らずとも、ほかの道もあると考えます。そういう意味では、もちろん自己収入を増やしていくということであれば、例えば厚労科研だとか、科研費を増やしていくというような幾つも道がありますし、おっしゃったようにミッションを達成していくということが第一義ですので、そういう観点から、こうした目標をそのまま立てるということも含めて御検討いただければと思います。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長代理

 もう少し付け加えさせていただきますと、厚労科研はその中で占める安全衛生の研究費の総額はそんなに大きなものではないということで、うちの研究所が全部持っていくことに関して、それはおかしいとも思います。

 とは言え、研究費の獲得というのは非常に重要なことですので、先ほどの後半に少し話が出てきた平成26年度からやっている過労死についてです。平成27年度で約7,000万、今年の平成28年度でいくと、12,00013,000万の額が取れております。

 ですから、なるべく自己収入を増やす、しかも我が研究所のミッションに沿った形でやるという努力はしております。ただ、結果的にそれが3分の1という目標に到達するのかしないのかというのは、また別問題かもしれませんが、基本的にはそういう形で、かなり大型の研究費を取るという形での努力をするということが、我々のポリシーで、私どもの研究員に対して指導している内容です。

 

○今村主査

 研究所のレベルについて、冒頭から非常に研究のレベルが高いという御説明がある一方、外部研究資金の獲得は達成していないというのは、矛盾があるかもしれません。だから、チャレンジングな目標を立てたということは、それなりに自信があったということは、当時考えられると思います。だから、それが達成できないというのは、それなりに若干説得力に欠けるところがあるのかと思います。

 なおかつ、今、おっしゃった厚労科研の比率の問題をおっしゃいましたが、それは当初から構造的に予測できたもので、そういうものを織り込んだ上で、3分の1という設定をされたわけですから、それは言い訳にはならないと思います。

 それから、企業、業界団体の資金獲得は困難な状況となっているというのも、ある程度は想像できたことですので、先ほど戸田構成員からの説明の趣旨でありますように、今後はどのように改善していくかということに関しての積極的な説明は、必ずしも受け止められなかったということです。

 ですから、Bにするには疑問があるのではないかという園田構成員の御発言は、なお生きているのではないかと思います。Dにするほど極端に努力が足りないということではありませんが、見通しの立て方の問題も含めて、ここは少し御検討いただければと思います。よろしいでしょうか。

 次の4をお願いします。

 

○労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所管理部長

4-1の人事に関する事項です。これは評価書の6772ページです。新規の研究員の採用については、私どもは人材データベース等を使い、公募によって任期付き研究員の募集をしています。5年間において17名の方を採用しており、採用率は大体74%ぐらいの方たちを採用しているということです。

 続いて人事評価については、先ほど申し上げたとおりです。

 人員の指標です。平成27年度の常勤職員については、目標が104名のところ101名ですので、目標を達成しております。

 人件費の総額見込みは、平成23年度から平成27年度の額については、単年度当たり86,943万円です。これは、目標数値である99,647万円と比して、12,704万円の節減となっております。さらに、海外に対する研究員の派遣ということで、これは研究員のモチベーション向上のためと、我が研究所のミッションが相まって派遣しているものですが、2名を海外に派遣しています。この制度についても、平成2717日付けで規程を作って、現在は2名の方を出している状況です。

 続いて、37ページの施設及び設備に関する事項です。これは、平成23年度から平成27年度に計画した100%の措置をさせていただいております。

 最後に38ページの公正で適切な業務運営に向けた取組です。情報管理について、特に平成27年度に情報についての厳しい御指導等もありましたので、これに向けての所要の措置を取っていて、特に情報漏えい防止のための物理的な情報の分離について腐心したということです。それと、情報公開請求については、5年を通じて1件でした。

 研究倫理についてです。これは外部有識者等を含めた研究倫理審査委員会を年に3回程度開催しています。これは5年間で156件の研究計画について、厳正な審査を行っています。動物実験審査委員会についても年に1回程度の開催ですが、23件の新規動物実験研究計画について審査を行っています。科研費等の内部監査も、年に1回程度実施しているところです。さらに、利益相反審査・管理委員会規程に基づき、民間企業からの受託研究及び共同研究について内部審査を行っています。これも必要の都度、開催していますが、大体おおむね年に1回程度開催しております。

 遵守状況の把握ということで、求められているモニタリングであるとか、セキュリティの改正、研修等についても努力しているということで、評価はBとしております。

 

○今村主査

 この件についていかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、次の事項に移ります。法人の監事及び理事長から、中期目標期間における中期目標の達成状況を踏まえて、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事から、続いて法人の理事長より、御発言いただきまして、質疑応答とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 

○労働者健康安全機構監事(藤川)

 労働者健康安全機構の非常勤監事の藤川です。よろしくお願いいたします。

 当中期目標期間5年のうち、3期分の監事監査報告書に署名をしてまいりましたが、これまで安衛研は行政ミッション型研究所として、職場における労働者の安全及び健康の確保に資する調査及び研究を適時、的確かつ着実に実施し、その結果を社会に還元してきた組織であると思っております。

 取り分け、当中期目標期間は、目標期間開始直前に発生した東日本大震災の復旧・復興に係る調査研究にも対応し、また、過労死等防止対策推進法の成立に伴い、過労死等調査研究センターを設立して、実態解明と防止策に係る調査研究に着手するなど、従来以上に負荷を掛けられてきたという部分があったわけですが、社会ニーズや行政ニーズに即座に対応してきたものと見受けられます。

 こうした安衛研による成果というのは、100名程度の小規模な組織であって、理事長の統制の下、風通しがよくて、自由に議論をし合って、ゴールに向かって機動的に徹底的に活動するという組織風土によって得られたものではないかと思っています。

 先程来、「やる気がないのではないか」「質が下がっているのではないか」といった叱咤激励を頂戴しているところですが、通常の所内の会議に出ますと、もっと活発な議論もされておりますし、今日は緊張しているのか、なかなかうまく説明できていないのではないかというもどかしさがあるのが、私の感想です。「雰囲気が暗いのではないか」というような御意見もありましたが、今後そういうことがないように、労働者健康福祉機構との統合に当たっては、参議院厚生労働委員会において、統合による相乗効果を最大限に発揮できるよう、有効な措置を講ずること、安衛研の調査研究業務について、統合により後退することがないよう、十分な体制を維持するため必要な措置を講ずることという附帯決議がなされたわけでありますが、新組織においては、この安衛研の組織風土を十分に生かして、その附帯決議に沿った適切な業務運営がなされることを強く希望いたします。

 

○今村主査

 引き続き理事長からお願いいたします。

 

○労働者健康安全機構理事長

 労働者健康安全機構の理事長をやっております。有賀と申します。

 おおむね、今、監事が申し上げたとおりです。昨年までの独立行政法人の評価ということで、多々御意見を賜りましたが、目標の設定などに比較的見解の相違というか、頑張れば届くという程度のノックを打っていただくということが必要で、全く捕れないノックだとか、ぼけっとしていても捕れるノックは目標にはなりませんので、そういう意味ではこれから真摯に議論を重ねていきたいと思います。

 先ほど厚労科研の話が出ましたが、厚労科研も労災病院とのディスカッションが盛んになってきましたので、座長からすれば、そのようなことに気付いたということでしかないのかもしれませんが、積極的にそれらを利用しなくてはいけないと職員が思ったことは間違いないので、従前から言われているように、シナジー効果というか、1足す13にも4にもなるように、これから頑張っていきたいと思います。

 せっかくなので最後に一言だけ申し上げさせていただきます。先ほどガバナンスの件がありましたが、絵解きの資料の9ページにある左側の原発の復旧作業のときの熱中症の件です。これを見ていただきますと、610日に強化指導の厚労省からの指導が出ています。私は当時、日本救急医学会の代表理事をしておりまして、本件は極めて重大かつ緊急の大変なディスカッションがありました。関係する、例えば東京電力とか、行政も福島県とか、決断するスピードが比較的遅いと言ったら失礼ですが、そのような所と一緒にいろいろやらなければいけなかったので、放医研のスタッフと、救急医学の私たちと、厚生労働省がタッグを組みながら、なおかつ実質的にはこの研究所がこれだけのことをしてくれたということがあります。

 確かに、先ほど言われたように、当たり前と言えば当たり前ですが、相当程度に根性を入れないと、本件は成立しなかったと私は思っていますので、今回の5年間の評価にはなりますが、こちらの研究所が私たちの法人と一緒になって今後活躍していく上では、大変高い意識を持った人たちだと信じています。引き続き御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

○今村主査

 それでは、ただいまの御発言について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

 

○田宮構成員

 今のお二方の御挨拶を聞いて、本当にこれからの方向性にエールを頂いたと私も伺いました。

 私が最後にコメントさせていただきたいと思っていたのは、今日は全体の評価の中で数値目標と数値の評価の変更があったので、そういう議論が前面に出てしまいましたが、この研究所というのは労働安全衛生の研究所として、唯一歴史を持ってやってきた所ですし、今回拝見しても、研究の成果としては本当に重要なものが出ていると思います。

 ただ、今日の会議では目標の設定、項目の設定からしても、余りその辺が前面に出てこなくて、バランスとして見えてこなかったのは残念に思いました。

 これから統合に当たって、RECORDSの話などはもう少し詳しく伺いたいと思っていたところもあり、労災病院という大きな臨床の現場で、臨床データもある所と一緒になって、労働安全衛生の今までの研究所の歴史を生かして、研究としてのアウトカムを前面に見えるようなプレゼンもして、成果を上げていただきたいと思っております。

 

○今村主査

 今、おっしゃいましたように、研究所も当惑されているのですが、我々自身も当惑しているところもあります。ただ、研究所は監事も異例の熱のこもった御発言をしてくださいまして、高い研究レベルを維持しているということは非常によく分かっております。あとは、新しい評価の仕組みにどうやって適応していくかということですので、是非、引き続き高いレベルを維持されて、評価もきちんと正当な高い評価を受けられるように、今後も期待するところです。よろしいでしょうか。

 それでは、今後の取扱いについて、事務局からお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、法人から説明のありました業務実績及び自己評価に対して、構成員の皆様方から寄せられた御意見や法人の監事及び理事長のコメントなども踏まえまして、厚生労働大臣による評価として決定し、その評価結果について法人に通知するとともに公表いたします。決定した内容につきましては、後日構成員の皆様にもお送りいたします。

 最後に、本日配付した資料の送付を御希望される場合には、事務局より送付いたしますので、お机の上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。

 なお、725日から7回にわたりました本労働ワーキングですが、本日が最終日でございます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、連日のようにお集まりいただき、様々な有益な御意見を頂き、本当にありがとうございました。事務局よりこの場を借りてお礼申し上げます。事務局からは以上でございます。

 

○今村主査

 では、これで一連の有識者会議も終了となります。本当に長い間ありがとうございました。お疲れさまでした。


(了)

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