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2016年8月9日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第12回)議事録

○日時

平成28年8月9日(火)15:00~17:10


○場所

中央労働委員会労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

今村主査、小西構成員、酒井構成員、志藤構成員、園田構成員、戸田構成員

○議事

○今村主査

 今、ちょうど15時になりましたので、定刻ということで、ただいまから第12回独立行政法人評価に関する有識者会議労働ワーキンググループを開催いたします。構成員の皆様におかれましてはお忙しい中、また本日、取り分け猛暑の中をお集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日は柴田構成員、関口構成員、高田構成員、田宮構成員、中村構成員、松尾構成員、宮崎構成員が御欠席です。それでは、本日の議事について事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、本日の議事について御説明いたします。本日の議事は、お手元に配付させていただいております議事次第のとおり、労働者健康福祉機構の平成27年度業務実績評価に係る意見聴取でございます。評価項目ごとに法人側から業務実績及び自己評価について説明いただき、有識者の皆様方から御意見、御質問を頂きたいと存じます。なお、独立行政法人の評価スケジュール全体につきましては、参考資料110ページ、別添6の図のとおりでございまして、本日の意見聴取などを踏まえて主務大臣による評価を実施することとなります。昨年度の評価の結果につきましては、参考資料6にあるような指摘を受けております。

 したがいまして、本日、御意見を頂く業務実績評価に関しましても、改めまして総務大臣が定める「独立行政法人の評価に関する指針」を踏まえ、B評定が標準であること。A評定以上を付す場合には定量的指標において120%以上の達成度が求められていること。また、目標水準自体が妥当であるかなどについて御留意いただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。よろしくお願いいたします。

 

○今村主査

 それでは、労働者健康福祉機構の平成27年度業務実績評価について議論していきたいと思います。初めに、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」のうち、1-1の研究所の業務との一体的実施について、労働者健康安全機構からポイントを絞って簡単な説明をお願いいたします。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 労働者健康安全機構総務部長の代田でございます。私から資料1-1、資料1-2、説明資料と評価書を使いまして御説明申し上げたいと思います。1-1をおめくりいただいて目次があり、1ページに「労働者健康福祉機構の概要」があります。ここにありますように、この4月から労働安全衛生総合研究所と統合し、現在は労働者健康安全機構となっています。この関係のものが1-1ということで、研究所の業務との一体的実施ということです。以下、主な役割の部分について、それぞれ基本的にはシートを用意して業務実績について御報告申し上げたいと思います。

 資料1-2の業務実績評価書は4ページ以降です。指標等は設定されていないということです。2ページの左側にありますように、法人統合に係る法案審議におきまして附帯決議がなされています。ここにありますように、労働安全衛生総合研究所の労働災害防止に係る基礎・応用研究機能と労災病院が持つ臨床研究機能との一体化による研究の充実など、統合による相乗効果を最大限発揮できるよう有効な措置を講ずることとされているところです。

 こうしたことを踏まえて、右側にありますように統合前、統合後ということでお示ししています。検討に当たりましては当機構、旧安衛研、日本バイオアッセイ研究センターの業務を実施していた中災防及び厚生労働省が一体となり、研究、組織、人員、予算、設備等の課題について検討を行っていたということです。

 検討に当たりましては、統合前という図を見ていただきたいのですが、この3法人設立の経緯、研究環境等々についても、当機構は旧特殊法人から独立行政法人になっています。労働安全衛生総合研究所においては国の研究機関として2つの研究機関が発足し、それが統合され労働安全衛生総合研究所となりました。また、日本バイオアッセイ研究センターは民間の法人からということです。また、労働者健康福祉機構の研究というのは、ここに書いていますように全国に病院があります。病院の中で医師が診療等を行いながら、その診療データ等を収集し研究を行っている。一方、労働安全衛生総合研究所においては、研究者(専従)が災害調査に出向きデータを収集し研究を行うといった形で、研究体制も大きく異なっている。その他、それまでの組織の経緯も異なるという中で、そもそも相互の理解、現状共有についても多大な労力を要しています。そうした意味からも、国内で初めてのチャレンジングな取組と言うことができるのではないかと考えています。

 そうした中、真ん中の下ほどにありますが、統合に当たりまして、3法人及び厚生労働省が一体となり、ワーキンググループ36回、研究者間での打合せ10回、その他、物理的に離れているということもありますので、メールでの頻回な打合せを重ねてきたということです。

 こうしたことを経て、平成284月から統合されたわけですが、右側に労働者健康安全機構となっています。統合効果が期待される5分野をまず重点研究ということで、具体的には括弧の中に書いていますように、過労死等関連疾患、石綿関連疾患、精神障害、せき損等、産業中毒等ということですが、この5分野に取り組んでいくということです。また、労災病院と安衛研が行う研究が機動的かつ能動的に実施できる組織体制の構築については、統合後の研究・試験等が、この相乗効果を発揮すべき分野について機動的かつ能動的に実施できるよう組織を見直し、それぞれが行う研究全体の総合的な企画調整を行う部門として研究試験企画調整部を設置したということです。また、先程来申し上げた研究の基盤、背景が異なっている基礎研究者と臨床研究者との関連の意見交換や、意思疎通による交流を図るための協議会を開催することにしています。さらに(4)で書いていますが、労災病院で長年蓄積してきている、労災疾病研究の貴重な財産となっている病職歴データベース(労働者の職歴と疾患に関する調査データ)を、基礎・応用研究にも有効活用するため、新規データ項目の追加等を検討し、見直しを図り、既に4月から全国の労災病院で情報収集を開始しています。

 以上のとおり、計画を達成し、また安衛研が持つ労災防止に係る基礎・応用研究等、労災病院が持つ臨床研究機能の一体化について、国内で初めての、故に先ほど申し上げたような難しさもあるという意味で、正にチャレンジングな取組として難易度が高いということから、評定を1段階引き上げて自己評価はAとしています。以上でございます。

○今村主査

 ありがとうございます。念のために確認です。現在、報告していただいているのは労働者健康安全機構であり、評価しているのは昨年までの労働者健康福祉機構単独の評価ということです。この目標に関して、当初、研究所の業務との一体的実施というのは、安衛研との合併というのはなかったわけですから、そういう意味で新たな項目として要求されていて、それが重要度とか難易度の根拠になっているという解釈でよろしいでしょうか。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 結構です。

 

○今村主査

 では、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

 

○園田構成員

 今の統合の話については、資料の2ページ目に基礎・応用研究機能と臨床研究機能との一体化は国内では初めてのチャレンジングな取組とありますが、これは労働災害防止に関わる分野ですね。一般的に言って、その他の分野でしたら、大学病院とかで基礎・応用研究機能と臨床研究機能というのは一体化していると思いますが、なぜ労働災害防止に関わるものになると、難易度の高くなるチャレンジングなものになるのかということと、チャレンジングな取組をしたというだけでなく、アウトカムが問題になるかと思いますが、具体的なアウトカムとしては何があったのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 私のほうから御説明申し上げたいと思います。説明の中でも触れさせていただきましたが、特定の分野だけでなく、組織的に旧労働者健康福祉機構と労働安全衛生総合研究所を統合し、一体のものとして特定テーマに限らず研究に当たっていく。もちろん、御説明申し上げましたように現時点では重点研究5分野を中核としてということですが、組織的にも統合し、それぞれ違う立場にあるところで、それを一体化して成果を上げていこうということからチャレンジングというふうに評価できるのではないかと考えています。

 それから、アウトカムについてということでお尋ねがありましたが、これは実際に研究を開始しているのは統合後の284月、この4月からということですので、その意味で27年度においてのアウトカムと言われますと、正直、なかなか説明は難しいところがあります。ただ、私どもとしては重点的な研究分野を定め、組織を設置し、協議会という形、そしてまた実際、病職歴データベースを見直し、運用を開始しているというところで評価を頂ければと考えています。

 

○園田構成員

 前半部分で組織を統合したからと、それが難易度なのだというお話でしたが、今のお話ですと284月以降ということで、評価年度中にはまだ組織は統合されていないということですね。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 これは冒頭に申し上げましたが、284月から組織は統合しています。それに向けての取組ということです。

 

○園田構成員

 そうすると、組織を統合したからというのは理屈にはならないですね。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 統合したからと申し上げたつもりはないのですが、統合に向けてのということで申し訳ありません。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 補足説明をさせていただきます。まず組織の統合に向けての非常にチャレンジングなということですが、確かに委員がおっしゃるように、大学の医学部においては臨床医学と基礎医学というのは、1つの組織において教授会などで講座間の情報共有は常になされています。しかし一方で、今回の我々の統合は、全国に展開する34病院と医学部の基礎医学講座と類似する安衛研の中の登戸地区の健康研究組織等以外に、安衛研の清瀬地区で行っている化学、土木工学、理学の研究組織も統合しています。そしてバイオアッセイ研究センターは、普通の医学部の研究ではとても及ばないような労働衛生の中毒学をしていますから、これらの研究を一体化するというのは、いわゆる医学部又は医学だけの研究組織の一体化とは全く異なりますのでチャレンジングだと考えられます。それに対する準備というのは非常に労力がかかり、また成果が要るものだと。

 アウトカムですが、ここに示した重点5分野は、今、申し上げた医学だけでなく工学、化学、様々な分野における研究を統合して5つの研究をスタートさせるために、この41日以前に既に3つの統合される組織において綿密な打合せをして、41日からスタートできたことについては、3月末においてそこまでのアウトカムができたのではないかと思います。

 

○酒井構成員

 今、おっしゃられたことは私たちは大変期待しているところですし、これから新しい分野で皆さん方の活躍というのは大いに期待されるのですが、質問としては、1ページ目にあるワーキンググループ36回とか、研究者間の打合せ10回というのは、昨年度、既に行われたと読んでよろしいのかというのが1点と、非常に特徴的で期待するのは、いわゆる医学分野だけでなく化学、工学など、今で言えば安衛研の清瀬の部分が一体になることが非常に期待されるのですが、3ページの重点研究5分野のうち、そこがどこに入っているのか示していただけると大変参考になります。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 まずワーキンググループが開かれたとのお伺いですが、これは確かに前年度、つまり平成27年度に統合に向けて行ったものです。

 

○労働者健康安全機構理事(森戸)

 安全分野との統合というのは、この5分野の中ではせき損について行うことになっていて、安衛研ではいろいろなロボットの安全についてこれまで研究の蓄積がある。それを生かして、具体的にはリハビリテーションセンターで使われている歩行支援ロボットの安全を高めたり、そういったことについて共同研究を行う形で進めようとしています。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 あと、もう1つ化学に関しては、産業中毒について日本バイオアッセイセンター及び安衛研のいわゆるケミストリーの技術と医学を融合させるために、今、そのプロジェクトを粛々と進めています。

 

○酒井構成員

 前回、安衛研の年度評価がありまして、その中で御報告があったのは、確かに先ほど理事がおっしゃったようなロボットの研究等もありますけれども、より私たちに非常に印象的に残っている研究分野というのは、例えば災害調査であったりといったもの、そこがもう少し見えるように進められて、それが更にこれまでの機構の病院であったり、産業保健の分野での活動と融合していくプロセスを見せていただくことが、非常に有効なのではないかと期待しているところです。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 ありがとうございます。そういう災害調査におきましては、どのようなダメージや物理的圧力などが人体にかかるかを土木、工学などの視点でも調査します。それを安全の方で解析し、ここにありますせき損などに応用できるプロジェクトを既に組んでいますので、委員のおっしゃるような形で研究を進めたいと計画しています。

 

○志藤構成員

 昨日からと言いますか、この委員会が始まってから、今回、基準が変わって基本がBであるということをベースにした議論が、昨日も本当に何時間もかけて行われ、「頑張ってやりました、本当にこれでうまくいきました」ということがBであると私どもは理解していますので、その辺りがちょっとずれがあるのかなという印象を、今、持っています。昨日も本当にそれで何時間も議論がありましたので、意地の悪いことを申し上げるつもりはないのですが、普通にやって頑張って、ここまでうまくいきましたということではBだと思うのです。それで今もお話が何度もありましたように、粛々と統合に向けて頑張って何度もお集まりいただいたり、いろいろ議題を出し合って御苦労なさっているというお話ですが、それはリオオリンピックの開会式も含めて、イベントを粛々と進めて何の破綻もなく行うというのは基本的なことですので、それをAというふうに評価するのは、今回の基準の中では私はちょっとずれているのではないかという印象を持っています。

 

○今村主査

 よろしいですか。若干、付け加えると、この1-1は昨年の4月に附帯決議で安衛研の労働災害防止に係る基礎・応用研究機能と、労災病院が持つ臨床研究の一体化をし、統合効果を発揮すべきであるという目標に対して実現した。その文脈で読めば、今、おっしゃったように粛々とやったということになるのですが、そもそもこれは旧労福機構で、当初からなかった目標を新たに付け加えたことも考慮しなければいけないということ。

 もう1つ、淡々とやったということに加えて、先ほどの園田委員のアウトカムに関してですが、2ページの(4)の病職歴データベースの所はもう少し説明を加えたらいいと思います。よく読むと、「病職歴データベースを臨床研究だけでなく、基礎・応用研究にも有効活用するため、新規データ項目の追加等の見直し」、つまり、基礎・応用研究というのは安衛研のことですよね。だから、そういう意味でデータベースの利用可能性をそういう形でポテンシャルを広げて、今年度、すぐに結果は出ないけれども、イノベーションの基礎づくりをしたのだという言い方をされれば、何か新しいことにチャレンジしているんだなということが理解できるので、その点、いかがでしょう。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 あとで出てきていますが、この病職歴データというのは確かにこれまで労災病院だけで使っていました。今回の重点5分野にはメンタルというのがあり、今、メンタルは社会的に問題で、安衛研と一緒に取り組まなければいけない。メンタル、いわゆる自殺、過労自殺、過労死にもつながるということで、この病職歴データにおいては新たに病職歴において過労及びメンタルに一番影響を及ぼす、いわゆる通勤時間や勤務時間、勤務形態をもっと詳細に見るようなものに変えたということ。それと、これはあくまで同意が必要です。ですから、これまでは収集が難しかったのですが、新たなヒト研究倫理で認められた包括同意方法というものに変えて同意を取得し、多くのデータが得られるような工夫をして、メンタル、過労死を安衛研との統合で基礎的な部分から、そしてそれを臨床応用に持っていくというように使えるものにしています。

 

○今村主査

 ありがとうございます。

 

○園田構成員

 この統合ですが、国の方針ですよね。国の方針でやったことを法人のプラス評価の要素として加えるべきかということは、ちょっと考えなければいけないと思います。しかも、この評価の時点ではまだ統合前ですよね。一般企業でも統合はよくしますけれども、統合をもって評価というよりは、統合後のマネジメントでどのような成果を出したのかというところが、むしろ問題になると思いますので、まだ統合前の話ですから、そこで何かプラスの評価というのはちょっと私は早いのではないかと思います。

 

○今村主査

 以上で議論は大体出尽くしたかと思います。ありがとうございます。次にいきたいと思います。1-2をお願いいたします。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 説明資料1-14ページ、評価書1-27ページからということです。指標はこれについても設定はされていません。「すべての業務に共通して取り組むべき事項」として、まず内部業績評価の実施です。バランス・スコアカードを用いて5つの視点からの評価として、下にあります利用者の視点、質の向上の視点、財務の視点、効率化の視点、組織の成長と学習の視点、こういう5つの視点からPDCAサイクルにのっとり、下の流れの図にありますように決算期評価及び上半期の評価を実施しているというのが1点です。

 下の欄に外部有識者による業績評価委員会の実施とあります。多様な意見や有識者の意見等々を業務に反映させるべく、年2回開催していますが、それを業務に反映しています。また、業績評価委員会の評価及び業務の改善状況についてはホームページで公表を行うことで取り組んでいるところです。これにつきましては定められた計画を達成しているということから、自己評価についてはBとさせていただいています。

 

○今村主査

 ありがとうございます。御意見、御質問、いかがでしょうか。特になければ進めさせていただきます。1-3、お願いいたします。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 「労災疾病等に係る研究開発の推進等」につき、御説明申し上げます。本労災疾病等に係る研究は、現在、5年間研究の3年目の中間期です。結論から先に申し上げると、順調に研究が進んでいるということで自己評価はBにしています。

 現在、行っているのは、左下に書いている3分野9テーマです。3分野とは労災疾病等の原因と診断・治療、労働者の健康支援、労災保険給付に係る決定等の迅速・適正化で、その各々で合計9テーマの研究を行っています。具体例は右側に示しましたように、腰痛、生活習慣病、アスベスト関連疾患の研究・開発、普及で具体的な成果が出てきています。生活習慣病においては、職場高血圧に関する研究において心臓の仕事量、つまり心臓への負荷は休日明けの月曜日に高まっている傾向が新たな知見として得られていますので、この研究を更に発展させたいと続けています。またアスベスト研究においては、いわゆる石綿肺がんの診断においては、これまでと違い、アスベストによる小さな小体と繊維数の両方の測定が必要というデータが示されましたので、これは新たな今後の労災の給付に役立つデータであると思います。さらに胸水中の新たなSLPIというものが、胸膜中皮腫というアスベスト肺に生じる腫瘍で高値を示したことから、これが中皮腫の鑑別診断に有用であろうと、このような具体的な医学的データを新たに出しています。

 その裏のページを御覧ください。これらのこれまでの研究は、各々、研究代表者会議及び医学研究評価部会、また外部委員による評価を得て、毎年、様々な評価が得られ、その進捗、発展に伴い、新たにその進路を決定していました。それによって研究部門の充実としては、研究の進行に伴い新たに統計学や公衆衛生の専門家に研究に参画していただきますし、環境保健医学の方などを講師として、その助言・指導を頂くまでの成果を上げています。先ほど質問のあった病職歴データに関しても、先ほど申しましたように28年度から見直しを行い、安衛研との統合にて安衛研と労働者健康福祉機構、バイオアッセイセンターが使えるような形として、包括同意を得て運用を新たに開始しています。

 右上の研究成果の普及を御覧ください。ホームページのアクセス件数は平成27年度の計画では12万件でしたが、60万件となっています。学会発表等については、ここに示しましたように国内111件、国外17件、論文発表は和文29件、英文24件、講演会等は109件、メディア等への掲載は8件です。また、特に労災疾病において医師等による教育研修の検討では、産業医向けのじん肺研修における「じん肺の労災補償」に関する講義動画を、労災疾病等医学研究普及サイトに掲載し、情報発信しているところです。このように今、まだ3年目ですが、新たな医学的知見を得、そして研究も順調に進んでいるということで、Bという自己評定をさせていただいています。以上です。

 

○今村主査 

 ありがとうございます。それでは、御意見、御質問をお願いいたします。

 

○園田構成員

Bですから、良いと言えば良いのかもしれないのですが、ホームページのアクセス件数は目標が12万件に対して実績は60万件ですね。ちょっと目標値が不適切というか低かったのではないかと思いますが、例えば前中期目標期間の平均及び25年度のアクセス件数について、その2つを教えてください。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

25年度までの平均ですね。この目標を決めたときまでの平均が、毎年、217,670件です。25年度は56万件ございました。

 

○園田構成員

 ホームページのアクセス件数、そんなに急に大きく減ったりしませんよね。そうすると、例えば25年度で既に56万件あったのであれば、それをベースにして普通は目標を設定するのではないでしょうか。なぜ12万件という形にされたのですか。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 これの中期目標は、今、いらっしゃる有識者の皆様と御相談させていただいて決めたものですが、そのときの決める方策として、過去10年の平均というものをベースにするというものがあったように聞いています。ということで、20万件になっています。

 

○園田構成員

 すみません。私、そのときは構成員ではなかったので、過去にと言われてもちょっと分かりません。有識者会議と相談したといいますが、機構の側ではどういう判断をでしたのですか。普通、機構がそういうものを提案して、それに対して有識者会議が意見を話すという流れですよね。どういう判断で過去10年というもので提案されたのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 そういう中間目標に対する定量的指標の設定が、私もこの4月からですけれども、以前のそういう決め方は過去10年の平均を取るということで、これは一般論としてそのぐらいあったと聞いています。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

 目標の設定ですので法人側が設定するというよりも、過去の実績を基に行政の方で、こういった有識者会議なども踏まえて設定されたと私どもとしては理解しています。そのときに過去10年間の平均が大体20万件だったということで、そう決まったものと聞いています。

 

○労働基準局安全衛生部計画課長

 行政側からも一言だけ。もちろんホームページのアクセス件数だけをもって目標設定としている項目では、ここはないわけです。いずれにしても、その当時の有識者会議の御意見を踏まえてやったのですが、有識者会議は毎年やられているわけで、御意見も今回は頂いていますから、次回の中期目標等の設定においては、より適正なものに見直したいと考えています。

 

○今村主査

 評価官室のほうから、この問題に関していかがですか。多分、有識者会議が発足する以前の独法評価委員会の頃の設定ではなかったかと記憶していますが。

 

○政策評価官

 主査の御指摘のとおりで、プロセスとしてはそういう形で進んでいます。実際の目標としてどういうものを取るかというのは、もちろん技術が進歩しているところ、あまり変わりないような分野、それぞれの指標によって違うと思います。そうした中で、どういうものを、より適切に盛り込んでいくことができるのかを、今後、PDCAを回していく中で得た知見を基に、こういう形で評価の基準をいろいろ数値を見た上で判断する形になっていますから、それと併せて目標の方の精度を上げていくことも努力しなければならないと思っています。

 

○政策評価官室長補佐

 補足しますと、前中期目標につきましては、各省がそれぞれで目標を立てていたわけで、今の状態では、新たな評価方針に基づいて総務省が政府統一ルールを決めて評価なり目標の立て方をやることになりましたから、今は過渡期間ということもありますが、先ほど所管課長からお話がありましたとおり、今後は目標自体の適正性、妥当性というのも問われることになりますので、その点についても御指摘いただければ幸いです。

 

○今村主査

 私のほうからも補足しますが、そもそもホームページのアクセス件数というのをそんなに重要な目標設定として、逆に達成したからよかったという評価はずっと前からなかったと思います。だからこそ少し甘い設定を認めてきたのかもしれませんが、ただ、今の園田委員の指摘で1つ重要なのは、過去5年間なり10年間なりの実際の数値がその場で出てきたかというと、必ずしも出てこなかったこともありますので、今後は目標設定に当たってちゃんと客観的なバックグラウンドを提示し、過去のトレンドと比較しながら、これがストレッチが十分効いている目標なのか、あるいは、もっと弛んだ目標になるのかということを、もう少し正確に指標としてこの場に提示していただき、みんなで判断していけたらと思います。今回、重要な御指摘を頂きましたので、そのとおり実施していきたいと思います。いかがでしょうか。

 

○酒井構成員

 質問です。6ページに学会発表等の数字があり、皆さんの所は専門の研究機関ではないと思いますけれども、学会発表とか論文発表の対象となる研究者というか医師と言ったらいいでしょうか、そのベースとなる人たちが何人ぐらいで、こういう件数になるのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 今日、示しています学会発表の国内111件、国外17件というのは、先ほど申しました3分野9テーマの関与する論文です。9テーマにおいては各々1人ずつ主任研究者がいますが、そこに共同研究者が10人ほどいますので、最低でも90人から100人は共同研究者として関わっています。それ以上にデータを集める先生方や現場で働いているドクターたちがいますし、全部集めると相当な数字になりますから、殆どの労災病院が関わっているとお考えいただければ良いかと思います。

 

○酒井構成員

 法人としては、そういう方たちに成果としての学会発表を推奨されているのですか。それとも研究者にほぼ任せられていることなりますか。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 学会発表は、もちろんしていただくようにということで各病院長を通じて常々お願いしています。

 

○酒井構成員

 そうですか。ありがとうございます。

 

○今村主査

 ということで、特になければ次に進みたいと思います。次は1-4です。

 

○労働者健康安全機構総務部長

1-4につきまして、資料1-17ページ、資料1-2では21ページからです。こちらも数値の指標が設定されておりません。1-17ページを御覧ください。労災病院グループにおきましては、労災疾病等に関する予防から診断・治療、リハビリテーション、職場復帰、治療と就労の両立に至り、この課程で一貫した高度・専門的医療の提供を目指しているということですが、まず、(1)一般診療を基盤とした労災疾病に関する高度・専門的な医療の提供等ですが、急性期医療への対応として、特定集中治療室(ICU)等の拡充、MRI、リニアックなどの高度医療機器について、自己資金により計画的に更新等を行う。また各病院の病院評価、病院機能の向上とともに、臨床評価指標を用いて各労災病院において改善活動に取り組んでおります。また、中ほど右側の社会復帰の促進として、患者等の抱える問題解決に向けてメディカルソーシャルワーカーが様々な問題にかかる相談に対応しており、昨年27年度では149,707件の相談に対応しているということです。

 下の部分の大規模労働災害等への対応ですが、1つ目の○として、自治体や医師会と協同した訓練等を33回実施。また、新たに1病院が災害拠点病院の指定を受け、計13病院に。また、2病院がDMAT医療指定機関に指定され、12病院となっております。右側には、あくまでも参考ですが、28年度に入ってのもので、熊本地震にこうした対応を行えたということをお示ししております。

 続きまして、8ページを御覧ください。(2)行政機関等への貢献で、国の設置する審議会等への参画として、国の各種審議会等54に参画をしております。また、中央じん肺審査医、あるいは地方じん肺審査医等の委嘱を受けたり、あるいは右に意見書作成とありますが、複数の診療科にわたるような事案といったものについても、その進行を管理することもいたしております。処理日数は17.9日です。また、下の部分のアスベスト関連疾患への対応として、環境省の石綿関連疾患に係る医学的所見の解析調査業務などを受託し、実施いたしております。またその他、受託事業を行っております。特にアスベスト関連疾患については、下のほうにある国際貢献で、日中二国間技術協力プロジェクトである「中国職業衛生能力強化5か年プロジェクト」、こうしたものについても中国へ専門家を派遣するなどのほか、右にありますアスベスト疾患センター等の取組を行っております。以上御説明しましたとおり、計画に沿って事業を実施していると考えておりまして、自己評価はBとしております。

 

○今村主査

 これについて御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。よろしいですか。8ページの(2)行政機関等への貢献で、審議会等への参画とありますが、意見書作成と書いてありますが、このために意見書を作成しているということですか。それともこれは別個の業務でしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

 これは、労災の個別の認定に際して、医学的な意見書を求められるもので、監督署での労災認定に当たって求められたものに対して意見書を出しているということで、審議会等とは別の問題です。

 

○今村主査

 それは何件ぐらいか分かりますでしょうか。

 

○労働者健康安全機構医療企画部長(永窪)

 大体年間3,000件強ということです。ただ、1つの診療科ではなく、例えば頭部の外傷であれば、脳神経外科と、例えば耳鼻科とか、複数の診療科にまたがる形でお受けしているという形です。

 

○今村主査

 そのほか、特になければ次にいきたいと思います。次に1-5をお願いいたします。

 

○労働者健康安全機構総務部長

1-5です。資料1-19ページ、資料1-230ページからとなります。1-19ページですが、「円滑な職場復帰や治療と就労の両立支援の推進等」として、患者さんの心配事を解消しながら、仕事を辞めずして治療を継続できるスタイルを推進していきたいということで、ここの疾病4分野、がん、糖尿病、脳卒中リハ、メンタルヘルスについて、真ん中にある治療就労両立支援モデル事業として、この治療就労両立支援センターで、復職コーディネーターを核としまして、患者・家族、医療提供者、企業、それぞれで情報の共有等々を図りながら、目指すべきスタイルを作り上げていきたいということで、このモデル事業に取り組んでいるということです。事業の実施に当たりましては、真ん中にあります復職コーディネーターというものが核になっております。左下にその育成として、コーディネーターに求められる能力・役割等を冊子にまとめたハンドブックを新たに作成し、基礎研修の実施をしております。また、右上の各分野において、充実した医療機関向けのマニュアル作成にも取り組むことにしております。豊富な両立支援事例を確保するために、全国の労災病院が、いずれかの分野での両立支援の事例収集に取り組み、この283月に開催しました治療と就労の両立支援推進会議で、4分野について各委員から医療機関向けのマニュアル骨子案を作成した結果を提示し、支援の在り方について検討しております。また右下の情報発信ですが、日本職業・災害医学会学術大会のほか、勤労者医療フォーラム等々において取組状況の報告を行い、一般市民あるいは産業医等に向けての情報を発信しております。こうした取組において、真ん中ほどの下ですが、両立支援の対象者のうち支援が終了した方に対するアンケートを行い、有用度について、目標80%と設定されておりますが、94.7%、達成度として118.4%となっております。

 続いて、10ページに1-5が続いております。これは医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの運営状況です。まず、上の医療リハビリテーションセンターについて、四肢・脊椎障害等々、全身管理の必要な患者に特化しまして、職場・自宅復帰の促進を図ることを目的としまして、診療、リハビリテーション及び退院後のケアまで一貫して実施している施設です。27年度の社会復帰率としては、92.9%と80%の目標に対して達成度116.1%。患者満足度については、入院で100%、90%目標に対して達成度111.1%、外来84.8%で、80%に対して達成度106.0%です。入院・外来合わせて87.9%の満足度で、達成度は103.4%となっております。この医療リハビリテーションセンターにおいては、右側にあるように医用工学研究といった取組も行っております。頸髄損傷者の方を対象としたあご操作マウスとか、せき髄損傷者の方を対象とした三次元CGを用いた住宅改造指導というものにも取り組んでおります。下に総合せき損センターがあります。ここはせき髄損傷者等、こちらも全身管理が必要な患者の方に特化しまして、職場・自宅復帰の促進を図ることを目的として、受傷直後の早期治療からリハビリテーション及び退院後のケアまで一貫して実施するという施設です。先ほどの医療リハビリテーションセンター同様の指標・目標が設定されております。社会復帰率については80.4%、達成度100.5%。患者満足度については、入院で93.4%、達成度103.8%。外来は88.3%、達成度110.4%、入院と外来を合わせて89.7%の患者満足度、達成度は105.5%です。こちらのセンターにおいても医用工学研究に取り組んでおります。例として、頸髄損傷者向けのスマートフォン操作補助装置といったものに取り組んでいるということです。

 以上御説明申し上げましたとおり、計画で示されている指標を含め、これを達成していると考えております。自己評価はBとしております。

 

○今村主査

 御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

 

○小西構成員

9ページの治療就労両立支援モデル事業ですけれども、これは平成27年度に限定された事業なのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 これは継続して我々旧労福機構が、労災病院の入院された患者に対して、医療としてずっと提供しているものです。27年度に、ではないです。ただ、27年度から、そういう新たなマニュアルを作るというものについて現在鋭意取り組んでいるところです。治療就労両立支援というものは27年度に限ったものではございません。

 

○小西構成員

27年度の成果としては、マニュアルの作成というところが大きな成果という理解でよろしいのですか。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 それと、治療就労両立支援というものは、労災病院としてオリジナルに始めたものが、現在は多くの病院に広まり、先週もマスコミに取り上げられました。今年のマニュアル作りに加え、治療就労両立支援をきちんと行って下さるようなコーディネーター養成の研修など、及びコーディネーターなどによって患者に対するアクセス、治療就労の支援をしたということのアンケートを実施したときに、達成度・満足度が118%だったということも1つのアウトカムとなっております。

 

○酒井構成員

 個人的には、この事業はものすごく期待していますし、法人のものとしては非常に大事なものだと思っております。それで変な質問ですが、なぜBかといったときに、10ページの出ている数字が100から120%の間だからBだという評価なのでしょうか。つまり皆さんの活動がAと評価されるためには、目標の設定、今までの意味とはちょっと違った設定の仕方が、少なくとも私が個人的に知っている限りでいくと、この疾病4分野について高齢化の問題と併せて、ここのところで疾病にかかった人たちが、きちんと仕事もでき生活もできて、この病気がコントロールされるということが、本当に日本人にとって大事な問題になっていると思っているのですけれども、その辺の考え方を御紹介いただけるとうれしいと思っています。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

 そもそもこの事業は、平成26年度から始めて現在はまだ2年目というところで、目標に対する達成度も120%を下回っているところでありますし、実際にマニュアル作成は今年度行うところです。今は非常に高齢化社会の中で、治療と就労の両立支援という大きな課題となっており、厚生労働省でも重点的に取り組んでいるところです。こうした特に4分野について、これからマニュアルを作っていくということですので、事業としては、これからより本格化するという段階ですので、現状としては大体目標どおり進んできているということでBと評価をしております。

 

○今村主査

 実は私も酒井委員と同じような質問をしようと考えていたのですが、これをAにするにはどうしたらいいのでしょうね、という質問を実はしようと思っていました。というのは重要度ということですけれど。先ほどの冒頭にあった1-1と若干関連するかもしれません。あれは確かに目標に向かってこうやっているということが、仮に27年度の統合前でもよくやっているという、ビジョンというか方向性がよく見えるのですが、これはどうしたいのかという部分と、テリトリーというか領域ですよね。今話を聞くと、労災病院のネットワークの中でやっているというような印象が起きるのですが、この問題自体は、酒井委員が御指摘のように世の中全体に関わる問題であって、常に独法に前から指摘していることですが、そういう周りの社会組織とか営利企業とか、そういうものとうまくつながりながら、独法でやっているノウハウが広がっていくような、スピルオーバーしていくような、そういう努力はされているのですかという質問をするにしても、必ずしもそこは十分期待に応えるお答えを頂いてないような気がするのです。

 まず、1つの質問は、この両立支援モデルというのは、どのような展開、ビジョンをもっていらっしゃるのか。それから前から指摘しているように、産業医というものは非常に重要な存在ですけれども、必ずしもこれが有用に活用されていない。そういうことに対する働きかけはどうしておられるのかというのが2つ目の質問。3つ目は1億総活躍と言われている中で、この独法としてそういうことに応えるように、治療と就労を両立して、できるだけ多くの労働できる方を確保するという中で、有用度94.7%と満足度は高いのですけれども、この中で非常に満足だったとか、3番目の質問としては、有用度94.7%の中で、本当に満足して非常に素晴らしかったという評価をした人がどのぐらいいるのか。それは、あくまでも従来から議論されているアウトカム指標ですね。本当に、満足度というのは非常に便利だけれども必ずしも信用ならないアウトカム指標ですけれども、その信頼性を上げるためにもどういう努力をされているか。その3つについて、簡単にお答えいただければと思いますが、いかがでしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 まず、この治療就労両立支援モデルの一番の目的は、従来は、がん又は脳卒中などを発症された患者さんは、非常に重い病気に罹患したため、仕事を辞めなければいけない、会社にも迷惑をかけるだろうとお考えになる事が常でした。そのため、そこで社会生活から隔離されて収入源も途絶えるのです。しかし、現在がんの治療も発達していますし、サバイバーは増えております。脳卒中もリハビリをして社会復帰ができます。多くの方が社会復帰できますので、これらの病気にかかったからといって、就労を辞めないでくださいとお伝えすることが重要です。社会復帰しましょう、仕事を続けましょうというのを一番のメインテーマにしております。それが1つ目に対する答えだと思います。

 

○労働者健康安全機構理事(亀澤)

 産業保健を担当している亀澤と申します。産業医等に対する広がりはどうかということですが、現在この27年度に関しましては、産業保健総合支援センターにおきまして事業場に対するいろいろな研修を行っております。具体的には人事労務管理担当者に対する研修とか、もちろん産業医に対する情報提供なども行っております。先ほど一億総活躍社会というお話がございましたけれども、今年の2月に厚生労働省において、治療と職業生活の両立支援のために事業場が取り組んでいくべき事項に関するガイドラインが作成されました。今年度から企業に対してそのガイドラインを普及していくとか、更には医療関係者に対して、主治医から産業医などに対してどのように情報提供していくのかについて、情報提供や研修を始めることにしています。この事業の中には、両立支援センターとの連携も入っておりますので、労災病院や両立支援センターを核にしながら、病院と事業場との連携について、まずは、機構としてモデルを作って発信していけるよう進めていきたいと考えています。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 最後に、アンケート実施の指標です。いわゆる有用度94.7%は、一応皆さん134人にお聞きしまして、95人の回答を得ております。それは5段階の評価で、不満・やや不満・普通・満足・非常に満足と5段階評価で、非常に満足・満足と答えた方が94.7%だということです。

 

○今村主査

 非常に満足は何%かということです。

 

○労働者健康安全機構理事(大西)

 すみません、ちょっと今はそこは持ち合わせておりません。申し訳ございません。

 

○今村主査

 それが大変重要だと思います。今の話と全部関係していて。

 

○労働者健康安全機構医療企画部長(永窪)

 すみません、25%弱です。

 

○今村主査

 まだまだちょっと。

 

○労働者健康安全機構医療企画部長(永窪)

 約4分の1が非常に満足と。

 

○今村主査

 分かりました。ちょっと時間がないので簡単に申し上げますと、今の話は全部関連していて、これは手前味噌ですけれども、私どもの大学では、来年からイノベーションという名前の付く学科を作るのですが、イノベーションというのは別に新しいことを発明するわけではなくて、既存のいろいろな資源を、今までにない方法で組み合わせることによって、社会、経済、生活の仕方を変えるということです。ですから、機構の持っている資源というのは素晴らしいものがそれぞれあるわけで、それを今までにない方法で組み合わせる。産業医と言った、そういう若干外部にあるようなステイクホルダーも取り込んでいくという努力をされることで、恐らくここの評価はAになるのではないかと私は考えるところです。是非、引き続きそういうインパクトの大きい仕事をしていただければと思います。ちょっと長くなって申し訳ありません。

 特になければ、次に1-6でよろしいでしょうか。お願いいたします。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 それでは1-6、「地域の中核医療機関としての役割の推進」です。資料1-1では11ページ、資料1-2では39ページからです。11ページのほうで御説明します。(1)地域で目指すべき役割の明確化ということで、地域の医療需要、近隣病院の診療機能等を考慮した上で最適な病床機能区分を検討して、71の一般病棟、あるいは地域包括ケア病棟の導入、あるいは障害者病棟の導入といったことを行っております。(2)地域の医療機関等との連携強化があります。連携医療機関からの意見、要望等を踏まえて、業務改善を行うなどの取組を実施した結果、紹介率をはじめ、各項目で目標値を確保しております。その中でも逆紹介率について達成度146.0%、地域連携パス件数について達成度151.0%ということです。また、下の部分でグラフでもお示ししておりますが、救急搬送患者数についても増加しております。

12ページ、(3)患者サービス向上、チーム医療の推進については、この中では電子カルテの導入を進めております。32施設中27施設で導入しております。平成27年度では平成26年度に比べて3施設増えているということです。「日本再興戦略」改訂2015で示されているように、400床以上の一般病院で普及率90%というのが、平成32年度までというのが平成26年度までで既に達成しているというのを参考で掲げております。

(4)患者の意向の尊重と医療安全の充実というものがあります。まず、患者満足度については、これは平成26年度に計画を達成できないということが起きております。達成できないということがはっきりした段階から、翌年度、平成27年度の達成に向けて、患者サービス委員会での改善計画を策定する取組を進め、平成26年度中から対策を講じてきております。平成27年度の満足度は大幅に増加して、入院で91.8%、達成度は102.0%、外来で80.2%、達成度114.6%、入院・外来平均で84.2%、達成度は105.2%となっております。

 次に外部評価機関による病院機能評価というのがあります。更新時期を迎えた9施設で再受審・更新ということを行って、認定施設は29ということで、認定率は90.6%になっております。医療の標準化の推進については、クリニカルパス件数が4,851件、昨年度比で264件増えております。クリニカルパスの見直し件数は931件。これは前年度に比べて257件増えております。医療安全の充実については、労災病院共通の医療安全チェックシートを用いて、年2回、全249項目に及ぶチェック項目の自己チェックを実施するほか、全労災病院を11グループに分けて、各病院相互チェックを行う医療安全相互チェックを実施しております。その他の取組として職員研修にも取り組んでおります。

13ページ、(5)治験の推進。治験については、「初級者臨床研究コーディネーター養成研修」を受講させるなどによって、スタッフの充実に取り組んだということがあります。合計で3,987件、達成度で182.9%ということになっております。

(6)病院ごとの目標管理の実施については、病院ごとに紹介率等の目標を設定し、病院ごとの実績の評価、検証を実施しております。目標達成、あるいは施設の状況等々を掲げております。以上、御説明申し上げましたとおり、全ての指標におきまして、年度計画を上回る成果を得られている。中でも、地域連携における逆紹介率、あるいは治験件数で大きく上回る実績を得ており、全体として高い達成度となっていることから自己評定Aとさせていただいております。以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございました。それでは御質問、御意見はありますか。

 

○園田構成員

 いろいろと数値目標を立てられているのですが、基準が120%以上というのは3つだけですよね。そのうち、まず逆紹介率については、資料1-2を見ますと平成25年度で既に53.9%になっています。それに対して目標値が40%です。地域連携パスに関しても、平成25年度で136件達成しています。それに対して目標値は100件。つまり、この2つに関しては、目標値を低くしているから120%超えを達成できたと解釈できるわけです。辛うじて、そういった観点から、治験については目標値の設定も妥当であろうと思われますし、それに対して120%を超えていると言えるのですが、指標としては1つだけですので、ここに関してはやはりルールで考えるようにBというのが適当ではないかと思います。

 

○労働者健康安全機構理事(高野)

 医療事業担当理事の高野です。先ほどの逆紹介率の目標値の件ですが、地域医療支援病院の要件が医療法で定められておりまして、当機構としては、紹介率60%以上、逆紹介率40%以上ということで、逆紹介率の目標値は40にしているところです。

 この地域医療支援病院、この指定は全国的に見ますと、全国の病院で認定を受けているのが6%に過ぎないということで、労災病院グループ全体で60%、40%の基準をクリアするという目標は、かなり努力を要するものであること。他の医療機関と比較しても、この目標値が努力なしに普通にできるという感覚はなく、この目標値に定めているということです。ただ、おっしゃった実績の問題は考慮していませんので、この点はよく今後考慮したいとは思います。

 

○園田構成員

 法律で定めた40%というのは、40%以上にしなさいということではないのですか。

 

○労働者健康安全機構理事(高野)

 以上ということです。

 

○園田構成員

 それ以上にして構わないわけですよね。

 

○労働者健康安全機構理事(高野)

 はい、そういうことです。地域医療連携パスのお話もありましたが、これについては、目標値10%の伸びと、平成21年度から平成24年度の前期第2期の中期目標期間4年間の平均に10%の伸びをもって、目標値を設定されていたと聞いております。当機構としても、相当な努力をしないとなかなか達成できない数値として考えております。

 

○園田構成員

 目標値は100件ですよね。平均値は出されたということですよね。

 

○労働者健康安全機構理事(高野)

 そうです。基本的な考え方が「平均値の」ということになりますので、先程来、実績が上がってきて凸凹があまりないものは、伸び率も勘案せよというお話もありましたので、その点も今後機構としては考慮して考えなければいけないかと思います。今日の議論を通じてはそのように考えております。

 

○今村主査

 園田委員の質問に全部お答えになっていなくて、全部の指標のうち少なくとも、どう見ても3つしか120%を達成していない中で、Aと自己申告される理由については、なお、定性的なもので顕著な貢献、顕著な努力があると成果が上がるということだと思います。それについての御説明はいかがですか。

 

○労働者健康安全機構理事(高野)

 ここの所を当機構としてA評価とした考え方については、特に医療連携の状況を総括的に表す逆紹介率、労災病院と地域の医療機関が連携して効率的で質の高い医療の提供に資する地域医療連携パスというのは非常に重要なものと考えておりまして、これらの達成率が特に高いということ。

 また、第2期の実績と比較しても、8項目中6項目で、第2期の期間の最大の実績値を上回っておりましたので、そういうことを踏まえてAとさせていただいたということです。

 

○今村主査

 分かりました。説明は承りました。いかがでしょうか。

 

○戸田構成員

 少し違った意見を申し上げるかもしれませんが、今の1-6に関しては、お話を伺っている限りAと付けても妥当ではないかと考えました。理由は、先ほど機構の説明として、一部の指標で達成度は120%を大きく超えているという理由を挙げていたかと思いますが、資料を拝見していると、それだけではなく、例えば、救急搬送患者数が大きくこの5年増えている。あとは、治験の推進で目標に対して大きく達成しているという所は、やはり、困難度から考えても難しいものであると。そういう所も踏まえて御説明されるとAと理解できるのかと思います。

 やはり、ここの場は、定量的な数字で120%を超えるか超えないかという機械的な判断だけではなく、定性的に見ても120%を超える、若しくは超えないとしても、それがいかに困難であるか、若しくはいかにインパクトがあるかという所を御説明いただけるとより納得できるかと思います。ですから、そういうふうに御説明していただくと良いかと思います。以上です。

 

○今村主査

 どうぞよろしくお願いします。

 

○労働者健康安全機構理事長

 理事長をやっている有賀と申します。今、救急搬送の件が出たので、追加します。現在の全国の救急搬送の5253%が65歳以上です。75歳以上でいきますとほぼ3分の1を超えます。

 ですから、テーマになっていた逆紹介とか医療連携というのは、かつて言われていたよりも、ものすごく大変な状況に今なっております。これから、ますますそうなります。ここで逆紹介に各労災病院が必死で頑張るということは、時代の趨勢から見て、トップランナーで走らなければいけないということで頑張っている、ということを理解していただきたいと思います。

 

○今村主査

 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。是非、そういうものも資料の中にしっかりと優先順位を付けて御提示いただければと思います。よろしいでしょうか。次に資料1-7にいきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 資料1-1ですと14ページ、資料2-2については53ページからになっております。資料1-114ページで御説明いたします。(1)事業場における産業保健活動の促進、産業保健関係者育成のための専門的研修があります。(1)(1)地域の産業医等の産業保健関係者への研修、(2)自主的産業保健活動促進のための事業主セミナー等と書いております。これら研修セミナーの実施に当たっては、利用者の利便性への配慮、あるいは時宜に応じた社会的関心の高いテーマを取り上げるといったことに取り組んだところです。

 それによりまして、(1)の産業保健関係者への研修については、年度実績で9,383回、達成度は127.8%。(2)の事業主セミナー等では年度実績768回、達成度は202.1%。前年同期比で152.1%ということになります。

(2)小規模事業場等における産業保健活動への支援の充実については、平成26年度から開始した(1)の医師等による小規模事業場等への訪問指導等があります。平成26年度実績が低調であったことも踏まえて、平成27年度におきましては、新たに作業環境測定、あるいは作業管理に精通した労働衛生工学専門員を委嘱する。また、小規模事業場に対して広報・周知に努め、健康相談があった場合等あらゆる機会を捉えて、積極的に事業場を直接訪問するといったことに取り組み、年度の実績としては26,749件、達成度104.5%となっております。

(2)産業保健総合支援センターにおける専門的相談、(3)地域窓口における専門的相談の実績というのがあります。これらについては、産業保健各分野の専門家の確保、あるいはストレスチェック制度サポートダイヤル等、専門窓口の設置、あるいは労働局が開催するセミナー等を活用しての周知・利用勧奨を行うといったことに取り組み、(2)では、年度実績で36,907件、達成度78.5%ということですが、右を見ていただくと、前年比では215.2%ということで2倍以上の件数になっているということです。(3)地域窓口における専門的相談の実績としては、年度実績で56,283件、達成度は190.1%となっております。

15ページ、(3)産業保健に関する情報の提供その他支援については、ホームページアクセス件数ということで、実績は2206,563件で、達成度は103.5%となっております。(4)研修内容・方法又は相談対応等の評価、事業場における産業保健活動への効果の把握については、質的な面におきましても、利用者からストレスチェック制度について理解が深まった、あるいは適切なアドバイスにより問題が解決したなどの高い評価を得ております。(1)にあるように、有益だった旨の評価で、年度実績92.3%、達成度は115.4%となっております。また、相談利用者からの評価としては、有益だった旨の評価は93.7%、達成度は117.1%ということです。また、15ページの一番下の(3)、効果の把握(アウトカム調査)については、利用者に対して、事業場にとって何らかの効果があったかどうかを調査することにしております。これによりまして、効果があったと回答を得ているのが87.6%、達成度は125.1%となっております。以上のとおり、全体で見て、計画について量的、あるいは質的に上回る成果を得ていると考えております。研修の件数等の量的な分だけでなく、その研修効果等の質的な面についても評価できるのではないかと考えております。自己評価についてはAとしております。以上です。

 

○今村主査

 ありがとうございます。それでは御意見、御質問等をお願いします。いかがですか。

 

○戸田構成員

 恐らくここの項目でAを付けた理由としては、事業場セミナー等の達成度が大きく上回ったことを根拠にされているかと思いますが、正直申し上げて、セミナーの回数が増えたという所だけをもってAと評価するのはなかなか難しいのではないかという印象を受けました。

 私から1点質問です。産業保健総合支援センターにおける専門的相談という項目において、年度計画が47,000件に対して、年度実績は36,907件と。前年度よりは大きく増えていることは分かっているのですが、まだここが目標値を達成していないというのは、機構としてどう見ていらっしゃるのか。今後、ここを目標達成するためには、どういう取組をしていこうと考えているのか。この2点について教えてください。

 

○労働者健康安全機構理事(亀澤)

 産業保健を担当している私から御説明いたします。今の評価全体についての御意見について申し上げますと、研修などの項目が目標よりも相当上回っているだけでは難しいのではないかというお話がありましたが、先ほども御説明したとおり、高い数値目標を更に上回っただけではなく、最終的な事業場に対する効果が得られています。アウトカム調査においても、この研修は非常に役立ったということがありましたので、それも含めてA評価とさせていただきました。

 その中で、達成率が非常に厳しい状況になっているものについては、産業保健総合支援センターにおける相談対応についてですが、確かに昨年度よりは増えたわけですが、まだ目標と比べると達成度は78.5%ということです。

 この要因としては、平成26年度から産業保健事業については3つあった事業を1つにまとめて、一元的に機構で行うことにしました。同様な相談業務は統合する前の平成25年度までも行ったわけですが、事業内容が少し違っておりまして、メンタルヘルスに関する分野で、今までは、事業場を訪問して行うことが中心ではなく相談を受けることが中心だったわけですが、この計画の段階から、事業場を訪問してメンタルヘルス対策を行うということになったわけです。このメンタルヘルス分野の相談の件数が産業保健総合支援センターにおける相談対応の件数に計上されなくなったということがありまして、平成26年度と比較すると大幅な件数増加となったものの目標は達成できなかったと分析しております。

 ただ、現状その2倍になってきたということですが、その要因としては、ストレスチェック制度が新しく導入されて、いろいろな相談対応を行っておりますので、引き続き必要な相談を受けることによって、この件数を上げていきたいと考えております。

 

○戸田構成員

 今の御説明ですと、最後の点で、この目標についてはいずれ何らかの新たな対応策を講じないまでも達成するであろうと。例えば、翌年度なのか、その翌年度なのかは分かりませんが、いずれ達成するであろうとお考えなのか。それともやはり新たな対応策、若しくは既存でやっておられる対応に対して、追加的に何か講じる必要はあるとお考えなのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事(亀澤)

 昨年度から比べて、この事業も含めて相当件数は伸びております。それはいろいろな対策等を講じたからで、私どもとしては、引き続き今の取組を進めていくことによって達成していくのではないかと考えております。

 

○園田構成員

 私も、産業保健総合支援センターの達成度が78.5%というのは、やはり少し気になりました。これは、単純に総務省が出している基準からすると80%にも達していないということで、ここだけだとDになるわけです。そういったものがあるのにAでいいのか。

 それから、新規事業に関しても、これは初年度から大幅に目標値を超えた実績値になっていますので、先ほど高い目標値とおっしゃっていましたが、そうは思えないです。新規なので客観的な過去のデータがなくて、目標値の設定を見誤られたのではないかと思います。

 もう1つは有効度の評価、研修利用者から有益だった旨、相談利用者から有益だった旨、事業が利用者に与えた効果の把握、これがいずれも昨年よりも数値が落ちているのです。昨年度はBでしたが、今年はAにされたということで、そういったものも含めて考えると、やはりAというのは解せないと思いました。

 

○労働者健康安全機構理事(亀澤)

Aとさせていただいたのは、今、園田委員の御指摘もありましたが、9つ指標がある中で8つの指標で目標を達成しています。それから、全体として見て、高い達成度となっているということでA評価としたわけです。そのうち4つの指標については120%を超えているのですが、例えば、専門的研修については、前の中期目標期間中の目標値と比べても2.16倍となっておりますので、この目標が低過ぎるのではないかとか、作成する際に実績を見誤ったのではないかという御指摘は当たらないかと考えております。

 

○園田構成員

 私の言ったことに余り答えていただいていないような気がするのですが、最初に言ったのは、ほとんどの項目で目標値を達成しているからAとおっしゃったのですが、そうではないのですね。120%を超えるものがほとんどでないとAにはならないので、そこは既に考え方が違うのではないかと思いますが。

 

○今村主査

 よろしいですか。それに加えて、私からも申し上げたいのですが、先ほどの最後のまとめで、なぜA評価を申請したかというときに、数値目標は一部達成していないものがありますが、効果、その他、定性的な部分で大きな貢献があったとおっしゃっていました。15ページの(3)のアウトカム調査というのは、まだまだ不十分だと思います。3つ並んでいますが、職場全体の健康に対する意識が向上した。職場のメンタルヘルス対策が充実した。長時間労働者の割合が減少した、つまり、帰りやすくなった。この中で本当にアウトカムというのは3番目だけなのです。1番目、2番目というのは雰囲気が変わったというだけの話で、結果に何ももたらせていないわけです。

 ですから、こういうふうに説得力を持たせるのであれば、こういったアウトカム評価、アウトカム調査。先ほど園田委員が満足度のことをおっしゃいましたが、この辺はもう少し説得力のある形で提出されたほうがいいのではないかと思います。時間も押していますので、お答えは特に結構です。

 

○労働者健康安全機構理事(亀澤)

 分かりました。

 

○今村主査

 特になければ、大体御意見は出揃ったかと思います。手放しでAという意見がほとんどなかったということです。次に1-8をお願いします。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 資料1-1ですと16ページ、資料1-274ページからです。「優秀な人材の確保・育成」ということです。16ページのほうで、1.優秀な人材の確保・育成ということです。まず、左上の(1)臨床研修医の確保ということで、全国6都市でのレジナビへの参加。あるいは医学生の病院見学・実習の受け入れということに取り組みまして、労災病院全体ですが、初期臨床研修医120名の採用に結び付いております。(2)優秀な医師の育成等として、初期臨床研修医に対する集合研修として、11月に開催を行ったということです。

 また、臨床研修指導医講習会として、年2回、6月、1月に開催しております。こちらは理解度の結果を得ております。右側に(3)として、働きやすい環境づくりということです。院内保育体制の充実ということで、平成27年度で設置済みの施設が21。また、育児のための医師短時間勤務制度を運用しております。また、医師の負担軽減として、医師事務作業補助者の配置を平成27年度で638人、対前年度で35人増やしているといった取組を行っております。

(4)職員の資質向上については、勤労者医療への理解を深め、資質向上という観点から、各職種への専門研修を実施しております。29研修で1,379人の参加を得ております。平成27年度におきましても、必要なプログラムの検証・見直しを行っております。こちらについては、有益度としての調査結果として、88.0%、達成度110.0%となっております。(5)医師確保支援制度の運用については、左側に都市部等医師が充足した病院と書いております。右側に、地方の医師確保が困難な病院が一方で存在するということです。こうした中で、労災病院間の医師派遣という仕組みを設けて、地方労災病院の医師不足や医師のキャリア形成に取り組んでおります。都市部から地方病院への医師派遣実績については、平成27年度で39名ということになっております。

17ページ、2.看護師の確保・育成を入れております。労災看護専門学校独自の取組として、平成27年度におきましても、勤労者医療カリキュラムの充実に取り組んでおります。勤労者医療概念といったものについて、将来多くの卒業生が労災病院で働くことも踏まえて、勤労者医療についてのカリキュラムの充実に取り組んでおります。また、右側にあるように基礎分野から専門基礎分野、専門分野1・2、統合分野といった形で取組を進めております。労災看護学生の看護師国家試験合格率は、平成27年度で98.9%、全国平均89.4%という状況です。右下の看護の質の向上として、専門・認定看護師についてグラフでお示ししております。以上、1-8について、計画で行うべきと示しているところを達成しているという判断から、自己評価についてはBとしております。

 

○今村主査

 ありがとうございます。御意見、御質問はいかがですか。人的資源は、組織にとって大変大事な要素です。着々と養成されていることを評価したいと思います。達成度もまずまずの達成度ということです。それでは時間もありませんので、特になければ1-9にいきたいと思います。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 続きまして、1-9です。資料1-118ページ、1-283ページ以降です。「未払賃金の立替払業務の着実な実施」ということです。(1)立替払の迅速化ということです。迅速な立替払の実施に向けて、平成27年度におきましては、具体的な取組として箱の中に掲げております職員研修及び事例検討会9回を開催。こうしたことによりまして、担当職員の審査事務処理の標準化。あるいは原則週1回の立替払を堅持していく。また、弁護士会、弁護士等を対象とした制度に関する研修会、全国10の弁護士会での実施といったことに取り組んでおります。

 こうしたことによって、請求書の受付から支払日までの期間を25日以内にするという目標に対して、15.8日で実施しております。左下にあるように、年度別の推移も示しております。達成度として136.8%ということです。(2)立替払の求償ということでお示ししております。具体的な取組としては、全ての事業主の負担等に対しての求償通知。また清算型、再建型、それぞれについて必要な取組を行うほか、事実上の倒産における債務承認書、あるいは弁済計画書の提出督励等々といったことに取り組んでおります。

 こちらについては、右下に累積回収率の年度別推移をグラフでお示ししております。以上、御説明したように、指標として示されている立替払についての迅速化についての達成度は136.8%ということから、自己評価についてはAとしております。

 

○今村主査

 御意見、御質問をお願いします。

 

○志藤構成員

 先ほどの1-1と同じことですが、これは立替払を着実に、そして目標を10日間ほど早めようということをお決めになって、それに対して着実に成果を上げたということだと思うのです。それは私はBだと思います。

1-1と同じことですが、こういうことをやりましょうと決めたことに対して、それが問題なく行われました。精力的な会議を持ちました。それから、積極的にいろいろと働きかけをしましたということは、それをうまくやるために知恵を絞って、どうしたらうまくいくかということを考えて仕事をしたということですので、それは普通というか、当たり前のことと言うと大変失礼な言い方ですが、今年度新しく変わった基準の中で、Aを付けるというには当たらないものではないかと私は理解しております。

 

○今村主査

 恐らく、皆さん同様の御意見かと思います。18ページの左下、横ばいでAというのは、意味がよく分からない所があります。

 

○園田構成員

 ついでに申し上げますと、既に前期の末に15.1日ですよね。目標値を5日短縮しましたとは言っても、前期末よりも目標値が10日多くて、なぜこういう目標値にされたか少し解せないです。志藤委員がおっしゃられたこともそうですし、やはりこれでAというのは難しいだろうと思います。

 

○労働者健康安全機構産業保健・賃金援護部長

 まず、目標についてですが、確かに前中期目標期間の最後、平成25年度は15.1日となっておりますが、この表の前、即ち平成20年度とか平成19年度を見ますと、それぞれ29.1日とか25.6日という状況になっております。これはちょうど経済情勢が悪かった頃で、リーマンショックが起きた前後なので、請求件数も多くて、非常に審査に時間がかかったという状況がありましたので、それを見まして、目標を設定するときに30日からは短縮するが、その当時の状況を考えると25日ということで設定されていると認識しております。

 実際に平成27年度は何をやったかということですが、1つは3年程度前から破産管財人となっておられる弁護士の先生方との意見交換をやっておりまして、この制度について理解を頂くとともに、機構が審査するに当たって、どういう観点で審査しているかということを御理解いただくという意見交換を行っております。平成27年度は機構の考え方を取りまとめたというのが1つです。あと審査に日数がかかるものの1つとして、大型倒産事案と言って、1つの企業が倒産して、多くの労働者がいるような企業が倒れると、請求件数が一気に上がるというのがあります。そういうことに遭いそうな時には、事前に破産管財人の先生方に、そういうことがあるのであれば機構に御相談いただけないかという取組を従来からしております。

 実際、資料1-285ページに少しお書きしましたが、実際に機構から訪問して破産管財人の先生と相談した事案が14件ありました。これは平成26年度が6件でしたので、ほぼ倍ということになっておりまして、できるだけそういう意味で、請求書が出てくる前から審査が迅速にいくように事前に必要な資料を整えていただくということも努力しておりますので、その結果だと思っております。

 

○今村主査

 分かりました。個別の努力はよく分かったのですが、強弱メリハリを付けて重要度を印象深く定性的な評価、構造的変化を前提にしながら、定性的にAであるという裏付けを頂きたいということですね。

 

○園田構成員

 今、目標値の日数を多く設定した理由をおっしゃいましたが、それは過去3年を見れば起きていないわけですよね。要するに、起きるかもしれないということを織り込んだ、バッファーを織り込んだ数値なわけです。

 例えば、15.1秒で100メートルを走れる学生が、大会の前の日に、もしかしたら台風が来て、すごい向かい風が吹くかもしれないから目標値を25秒にして、実際は普通に晴れたから15.8秒で走れましたと。素晴らしいでしょうと言われているような感じで、それは、果たして素晴らしい結果だと言えるのかというのは考えていただきたいと思います。

 

○今村主査

 いずれにしても、136.8%そのものだけをもってAとするには不十分であるという印象を皆さん持っておられるということです。次は1-10をお願いします。

 

○労働者健康安全機構総務部長

1-10です。資料1-1では19ページ、資料1-291ページです。19ページにあるように、労働災害による殉職者の御霊を合祀するために高尾みころも霊堂を設置しております。また、秋には遺族等を招きまして、「産業殉職者合祀慰霊式」を開催しております。昨年度におきましては、左上にあるように天皇・皇后両陛下の行幸啓を頂いたということです。

 また、納骨等の業務については、日々の参拝者からの満足度調査に基づいて、要望等についての検討会を開催して、その納骨等に関する遺族からの相談にも対応するとともに、植栽等による環境整備の実施のほか、下にあるように事業の周知にも当たっているということです。

 これらの取組によりまして、満足度調査の結果として95.0%、達成度105.6%ということになっております。こうした満足度から見ましても、業務について計画に沿って実施しているということから、自己評価としてはBとしております。

 

○今村主査

 これについて特にないようでしたら、これでこのラウンドは終わらせていただきます。ここで法人出席者が1人変わりますので、皆様少しお待ちください。再開後に次の事項に移ります。

 

(法人出席者入れ替え)

 

○今村主査

 それでは続いて、「業務運営の効率化に関する事項」、「財務内容の改善に関する事項」、及び「その他業務運営に関する重要事項」に係る「項目別評定」について議論したいと思います。先ほどの同様の流れで法人からポイントを絞って簡潔に御説明いただき、その後、質疑応答ということで、よろしくお願いいたします。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 資料1-120ページ、それから、資料1-294ページからです。「業務運営の効率化に関する事項」です。一般管理費・事業費等の効率化については、平成26年度を起点として中期目標期間の最終年度において、左にあるように一般管理費については12%程度の節減、事業費については4%程度の節減が目標にされているということです。これは、平成26年度からにしているのは、給与の特例減額措置が平成25年度で終了する。あるいは、平成26年度から産業保健の部分で出てきた事業の一元化が平成26年度から始まるといったことを考慮して、平成26年度からを起点としていることと承知いたしております。こうした目標を設定されているところ、人件費の節減、光熱水費の節減、その他、各種の取組を行っています。これによりまして、右側の中ほどに、特殊要因と書いてある安衛研との法人統合準備にかかる経費。この一時的な経費を除きまして、一般管理費については3.1%減、事業費については2.0%減となっています。

 また、下ほどに、医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの運営というものがあります。このセンターについては、常勤医師の退職等により入外患者数の減少によって収入の減少ということがあります。平成27年度においては、交付金の率は2.2%となっています。医師確保については、地元町長との連携による大学医局等への積極的な働きかけ等々により、今年度からは常勤医師1名を確保しています。これにより、医療水準の維持、向上とともに支出削減を更に重ね、運営費交付金割合の維持に努めていきたいと考えております。

 以上のとおり、指標として示されているところについて、安衛研との統合準備にかかる経費といった特殊要因を除き、一般管理費、事業費の削減を達成しているということから、自己評価についてはBとしています。

 

○今村主査

 ありがとうございます。では、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいですか。特になければ、若干、時間も押していますので、次にいきます。3-1をお願いします。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 資料21ページです。3-1、「財務内容の改善に関する事項」です。資料1-2については、106ページからです。経営改善に向けた取組等としては、民間系ノウハウを取り入れるという観点から、経団連から迎え入れた経営監という立場の方にも参加、助言を頂きまして、経営改善推進会議というものを毎月2回ほど実施しています。その中で、左側にある本部における取組事例ということで、いろいろ並べていますが、病床機能分化への対応策、あるいは個別病院への経営指導、フォローアップ等のほか、支出削減対策として、国立病院等との共同購入、医師確保、期末勤勉手当の抑制といったことに取り組んでいます。

 また、右側に、本部と病院が共同して取り組んでいる事例を掲げていますが、支出削減策としては、医療材料ベンチマークシステムを導入し価格交渉の材料として活用するほか、後発医薬品の採用促進にも努めています。資料にもあるとおり、平成27年度においては71.7%となっています。平成29年度末は確か、厚生労働省の50%という目標があったのではないかと承知しています。

 また、中ほどの下に、繰越欠損金の解消に向けた取組ということで整理しています。平成275月以降、厚生年金基金の新制度への移行について、労使間での数次にわたる協議を重ねてきたところです。一旦、厚生年金基金を解散しまして新制度に移行することについて、9月に労使で合意を得ています。平成282月の厚生年金基金代議員会の議決を経まして、将来分の返上についての認可申請を関東信越厚生局に提出したところです。41日付けで認可を得ております。こうしたことにより、平成294月に国への代行返上、新制度移行に向けた手続等を着実に実施しています。繰越欠損金については、解消見込みとなったところです。

 下のほうに、労働安全衛生融資貸付債権の管理・回収というのがあります。正常債権の回収について、平成27年度においては、9,900万円を回収しています。これは数値だけで見ると、達成度では159.7%という状況です。

22ページ、以上のような取組を経て、結果ですが、平成27年度の経常損益については、昨年度に比較して7億円悪化し、73億円となっています。臨時損益を加えた当期損益は、平成26年度より2億円の改善をしているものの、78億円となっています。損益悪化の要因としては、収益面では、中ほどにありますが、上位施設基準の取得、あるいは高度な手術件数増加といったことによる診療単価は上がっているものの、平均在院日数の短縮化、医師の退職などにより患者数の減少。また、費用面においては、高額の医薬品の増加による医療材料費の増加。あるいは国債の金利低下の影響による退職給付費用の25億円の増加などが挙げられるというところです。この退職給付費用の増加分を除くと、経常損益では平成26年度に比べて18億円の改善ということになっています。

 また、繰越欠損金については、579億円となっています。これについては、世界的な金融危機の影響、サブプライムローン、リーマンショック等の影響による年金資産の減少に伴う退職給付費用の増加が大きく、これまで影響してきているということです。繰越欠損金については、先ほど御説明したとおり解消見込みとなっているところです。以上の状況から、自己評価はBとしています。

 

○今村主査

 ありがとうございます。御意見、御質問はいかがでしょうか。

 

○園田構成員

B評価ということですが、私が聞いた限りでは、B評価は難しいと思いました。1つは、繰越欠損金ですが、解消されるのは平成29年ですか。

 

○労働者健康安全機構総務部長

 最終的には、事実として解消されるのは平成29年度になるかと思います。

 

○園田構成員

 平成29年度。繰越欠損金の解消を目指すのは何年度までですか。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

29年度に解消されるということです。

 

○園田構成員

 目標として繰越欠損金の解消を目指すと、22ページで書かれていますけれども。

 

○労働者健康安全機構経理部長

 平成28年度を目途にという形で目標ではなっております。

 

○園田構成員

 ですよね。平成28年度目標で、平成29年度に解消ということですね。1年ずれても解消されるというように言えば言えるかもしれませんけれども、それはあれですよね、返戻金で一気にクリアするという、そういうことですよね。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

28年度については、厚生年金基金の代行部分の将来分を今年4月に返上したので、その部分の改善が平成28年度には計上されます。それ以外の部分については、平成29年度の認可になるので、そこは29年度になりますが、それについても既に制度設計は今年度にできているので、そこは解消の見込みということです。

 

○園田構成員

 ただ、27年度の評価ということですね、今は。

 

○今村主査

 そうですね。

 

○園田構成員

 そうすると、これ、当期損失が出ていますから繰越欠損金は増えたのですか。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

78億円増えました。

 

○園田構成員

 増えたわけですね。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

 はい。

 

○園田構成員

 目標は減らすはずなのに、増やしているということ。それから、これは目標には書かれていないかもしれませんが、やはり当期損失が3期連続で、結構大きな金額で出ているということです。

 また、労働安全衛生融資貸付債権ですが、これは「正常債権に関しては」と書かれていますが、不良債権、貸倒懸念債権又は破産債権は幾らぐらいあるのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構経理部長

 申し上げます。一般債権が9,900万円ですが、貸倒懸念債権は400万円です。あと、破産更生債権が5,400万円、トータルで平成27年度は、回収した金額としては15,700万円ほどです。

 

○園田構成員

 残高は幾らぐらいあるのですか。

 

○労働者健康安全機構経理部長

 貸付残高は平成27年度末で、金額としては67,200万円ほどです。

 

○園田構成員

 破産債権、貸倒懸念債権について、内訳の金額を伺いたいのですが。

 

○労働者健康安全機構理事(亀澤)

 平成27年度末の残高は、一般債権が15,400万円、貸倒懸念債権が5,700万円、それから、破産更生債権等が46,100万円となっています。

 

○園田構成員

 そうすると、貸倒懸念債権は5億円ぐらいというように考えればいいのですか。

 

○労働者健康安全機構理事(亀澤)

 そうです。

 

○園田構成員

15,000万円が正常債権で、それの3倍以上ある貸倒懸念債権が全くここに書かれていないというのは、どういうことなのでしょうか。この配られた資料1-1のどこかに書いてあるならば、どこに書いてあるかを教えていただきたいのです。どこかに書いてあるのでしょうか。

 

○今村主査

 少なくとも資料1-1には、その記載はないです。資料1-2の中のどこかに書いてありますか。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

 それは、もともと年度計画上において正常債権ということであげているので、資料には出ていないということです。

 

○園田構成員

 それは、ディスクロージャーという観点からは結構問題だと思います。いかにも債権回収がうまくいっているかのように書かれていますが、実際にはそれだけの貸倒懸念債権があるわけです。普通はそういったものもきちんと出すのではないでしょうか。

 

○今村主査

 今、ディスクロージャーという点から問題があるのではないかという御指摘ですが、それについてはYesNoか。問題と認識しておられるかどうか、おられないのか。

 

○労働者健康安全機構理事(前田)

 ディスクロージャーという観点からは問題があったものと認識しております。

 

○園田構成員

 もう1つ、先ほどの質問で損失が3期連続で巨額となっているのですが、これの解消策というのは何か考えられているのでしょうか。これは、理事長に伺ったほうがいいことなのでしょうか。

 

○労働者健康安全機構理事長

 理事長の有賀と申します。基本的に診療に伴うところの報酬体系は、いわゆる保険に収載されたその保険のルールに従って病院が得ているというのがほとんどです。その部分について、昨今の厚生労働省の基本的な考え方が、どちらかというと高度、又は急性期の重篤な患者さんについての保険診療への考え方から、慢性期ないし回復期リハビリテーションといったような、急性期以降の患者さんのほうへ全体としてシフトしているというのが実態です。ですから、そういう意味では、一般診療という感覚でいくと、そちらのほうに、よりシフトしたような病院経営をしていかないと、全体としてのバランスは恐らく取り切れないだろうというのが実際の考えであります。

 ですから、平成25年度、平成26年度、平成27年度というような形で厳しい状況が続いているというのは、そういう意味での保険診療の全体の流れに労災病院が基本的には付いていっていないというようなことが想像されます。ですから、そのような国の全体の方針と一般診療とを何らかの形でシンクロさせていくと、調和させていくというような努力をしていかないと、この件は、なかなか解消できないだろうというように考えております。

 先程来出ましたが、救急患者をたくさん診なければいけないとか、それから地域連携で、逆紹介をしながら地域の急性期ないし重症の患者を一生懸命診ていくという部分は、これまで、言わば、地域医療全体の中における位置付けなので、急に方向転換するのはなかなか難しい問題がありますが、いずれにしても、国全体の人口比とか、疾病の、つまり全体の患者さんの総ぐるみの流れを考えながら、労災病院の中における、例えば、地域包括ケア病棟をどのように考えていくかとか、それから、慢性期の患者さんについて、労災病院としても何らかの形でコミットしていくことをより考えるというようなことを、これから一生懸命考えていかなければいけないと考えております。

 

○今村主査

 最後の理事長さんの挨拶を先取りするようなコメントでしたが、いずれにしても、これがBでいいかどうかということに関しては、確かにこれは非常に重要な問題であって、大きな損益を一気に目標どおり、首尾よく、今、予定されている厚生年金基金の返上等、やれるとしても、これはちょっと達成度が低いのではないかと、非常に危ないのではないかという評価で、Bでも不十分ではないかという印象を持ったということです。

 

○労働者健康安全機構監事(藤川)

 先ほどのディスクロージャーの件ですが、先ほどのこちらの資料というのは、あくまでも目標に対してどうだったかということを書いてあるものです。目標に貸倒懸念債権とか、そういったことは上がっていないので書いていないということです。

 

○今村主査

 先ほど、理事からそういう説明がありました。

 

○園田構成員

 私が言っているのは、こちらの。

 

○労働者健康安全機構監事(藤川)

 こちらのディスクローズ、財務諸表のほうで、貸倒懸念債権とかそういった残高はディスクローズしていますので、ディスクローズの姿勢に問題があるということはないと、その点は思っています。

 

○園田構成員

 私が言っているのは、こちらの資料1-1のほうなのですが。

 

○労働者健康安全機構監事(藤川)

 そちらはそうかもしれません。

 

○園田構成員

 こちらを見ながら我々は評価をしているのに、そういう情報が開示されていないということです。

 

○労働者健康安全機構監事(藤川)

 そういう意味でおっしゃられたということですね。

 

○園田構成員

 そういう意味で言っています。

 

○労働者健康安全機構監事(藤川)

 ディスクローズ自体はしております。

 

○園田構成員

 はい。

 

○今村主査

 少しだけコメントを申し上げると、我々はこの資料を見てやっているわけですが、当然、これは質問が我々から出ることは分かっているのですが、園田委員はじめ、皆さんから質問されて右往左往されているというのはちょっと準備が不足ではないかと申し上げたいと思います。ということで、これは説得力に欠けるという印象を我々は持つのはやむを得ないと思います。次の4-1をお願いします。

 

○労働者健康安全機構総務部長

4-1、資料1-123ページ、資料1-2120ページです。「その他業務運営に関する重要事項」です。まず、内部統制の確立(法令の遵守)についてですが、1つ目に、組織的な内部不正に関する再発防止策とあります。平成26年度に障害者の雇用状況に関する、こういう事案が発生、発覚しています。平成26年度において再発防止策等を講じているというところですが、27年度においては、法令の遵守について、いかに継続的に取り組むかということでやってきています。

 具体的には、法令に基づく重要な報告等については、理事長決裁事項としてその徹底を図る。また、この集計提出に当たっては、各施設へのフィードバックの確実な実施を徹底していく。また、監事・内部監査体制の強化、公益通報制度における書面報告制度の導入、法令違反等に関与した職員自らが通報を行った場合における処分減免の職員への周知徹底。また、外部通報に関する周知等を図るとともに、職員の法令遵守意識の強化を図るべく、各種会議等でコンプライアンスに係る留意事項等についての徹底を図るなど取り組んだということです。

 右側は、障害者雇用についてです。障害者雇用に係る体制等の整備ということで、理事長直轄の障害者雇用専門職・専門員を配置しまして、本部・各施設において状況の把握、そして、理事会での情報共有を図るとともに、本部を含め各施設に対して、障害者雇用に係る必要な指導、助言等を実施しています。障害者雇用の促進等に努めまして、この3月の状況については、障害者雇用率は2.95%ということで、法定雇用率を大きく上回る状況を継続しています。下の「障害者雇用改革プロジェクトチーム」による取組です。このプロジェクトチームを設置して、施設の実態を踏まえた募集、採用、配置、定着等の円滑化を図るためのマニュアル、あるいは、雇用する側・雇用される側双方が満足できる雇用を目指しまして、実際に施設で行う研修についてのシナリオ等をまとめた「障害者雇用研修ガイドブック」といったものを、3月に最終報告書としてまとめています。

 また、下の適切な情報セキュリティ対策の推進ということですが、左側に組織的対策として、事案発生時の連絡体制の確認、また、CSIRT(シーサート)体制の整備、対処手順書の作成。人的対策として、各種規定等の周知、あるいは指導の徹底、情報提供も行っています。あるいは、教育訓練といった取組を行っています。技術的な対策としてはシステムの機能強化、あるいは個人情報等の漏洩防止対策の強化といったことに取り組んでいます。

 以上、計画に示された事項については、これを着実に実施していることから自己評価はBとしています。

 

○今村主査

 ありがとうございます。御質問、御意見がなければ次に進みます。法人の監事の報告にいきたいと思います。業務の監査結果を取りまとめた「監査報告」について御説明いただくとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や、今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いします。

 

○労働者健康安全機構監事(黒須)

 少々時間は押していますが、監事としてきちんとお話はさせていただきたいと思っております。労働者健康安全機構常勤監事の黒須でございます。資料1-5、別冊の監査報告を御覧ください。この監査報告については、平成274月の総務省行政管理局から事務連絡として通知された記載例を参照して作成し、既に理事長のほうに提出させていただいております。

 続いて、1です。監査の具体的な方法とその内容について記載しています。当機構には御承知のように労災病院、産業保健総合支援センターなど、全国に多数の施設を展開しています。施設往査にも多くの時間を取っているというところが、他の法人との違いということもあるかと思います。

 2は、監査の結果について記載したものです。法人の業務執行の適法性、有効性、効率性をはじめとして、15まで個別に意見を述べていますが、いずれも監査報告において指摘すべき事項は見受けられなかったと結論付けています。

 次ページ、3です。これまでの閣議決定において、監事の監査が必要とされている事項に係る意見を記載しています。これについても、特に指摘すべき事項は見受けられないと判断しています。

 4は、総務省の記載例にはないものですが、特に記載させていただきました。主査からも触れられていましたが、御承知のとおり、当機構は、この4月から他法人の組織と業務を統合し名称も変更しています。よって、本監査報告は、冒頭のとおり独立行政法人労働者健康福祉機構についてのものですが、その監査を実施した私ども、監事の立場は、末尾の署名押印欄にあるとおり、独立行政法人労働者健康安全機構の監事の立場ということになります。混乱のないようにということで明確に注記させていただきました。以上が監査報告です。

 大変恐縮ですが、続いて、ただいまの業務実績の評価については、厳しい御意見も含めまして御指摘を頂いたところですが、監事監査としては、全般に指摘すべき大きな事項は見受けられなかったと評価しながらも、若干のコメントはさせていただこうと考えております。

 まず、1点目です。より高度な倫理観や法令遵守の精神が組織の風土として根付いていってほしいということです。平成26年度に発覚した障害者雇用状況の虚偽報告問題については、先ほども報告、説明がありましたが、平成27年度を通じて適正な雇用率が維持され、再発防止策も策定されたことを確認しております。しかしながら、予期しない不適切事象を防止するには、組織の末端までコンプライアンス意識が浸透していることが不可欠だと考えております。独立行政法人としての社会的な立場を踏まえ、高度な倫理観や法令遵守精神、健全な組織風土が、一層確立されるよう引き続きの御尽力を、役員、幹部職員の皆さんには期待したいと思っております。

2点目は、これも議論にありましたが、労災病院の財務状況です。少し端折りますけれども、最終的には御指摘がありましたように、累計の繰越欠損金は579億円に膨らんでいます。機構においては、この繰越欠損金の解消に向けて、日々の経営努力はもちろんですが、経営改善推進会議での熱心で、積極的な議論といったものも行われていることを監事としては確認をしております。加えて、厚生年金基金制度の見直しを進めている結果、平成28年度から平成29年度にかけて繰越欠損金解消へのめどが立ったという報告を受けております。時期的な問題、その評価については御議論があるかと、先ほどから見させていただいておりますが、それらが着実に進められることを監事としても期待しております。とともに、更に重要なことは、今回の統合が有意義なものとなり、政策医療と地域一般医療の双方の役割を担う労災病院の将来像、あるいは存在価値がより一層高まり、我が国にも貢献していけるような、そういったものにしていくということではないかと考えております。そういった観点に立ちまして、経営改善、経営改革に、引き続き役員、幹部の皆様が御尽力されること、力を発揮されることを期待しているところです。大変長くなり恐縮ですが、以上でございます。

 

○今村主査

 大変貴重なコメントをありがとうございます。それでは、引き続き法人の理事長より、日々のマネジメントを踏まえ、現在の法人の業務運営の状況や、今後の課題、改善方法等について、先ほども少しお話いただきましたが、コメントを頂ければと思います。

 

○労働者健康安全機構理事長

 では、発言いたします。私たちの機構は、現在の名前は「労働者健康安全機構」です。本日の評価は「労働者健康福祉機構」でしたが、いずれにしても、私たちの現在の機構は、今の福祉機構と労働安全衛生総合研究所が統合し、日本バイオアッセイ研究センターも合同して、この4月に発足したところです。基本的には、働く人々の健康を守る、病気を治療する、それから、職場復帰を促すといった活動です。職場の安全、衛生、その向上というような観点で力を合わせると。なおかつ、先ほども議論がありましたが、賃金が支払われずに困っている方たちにもというようなことで、総合的に労働災害に関わる総合的な調査研究、それから、職業疾病に関わる総合的な調査研究、化学物質の有害性の調査等を展開するというようなことになっております。ですから、全国にある労災病院のほかに、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センター、産業保健総合支援センター、それから労働安全衛生総合研究所、日本バイオアッセイ研究センターが全体として力を合わせてやっていくというようなことです。

 今、力を合わせてという話もしましたし、統合という話も先程来出ております。このような統合によって、いわゆる統合効果を最大限発揮できるようにというようなことになりますが、そもそもこの機構の歴史を遡って考えると、労働安全衛生総合研究所の発足は昭和17年と聞いております。その後、労災病院ができていったのも昭和30年代です。そういう意味では、我が国の産業や経済の、ある意味で基盤を担ってきたというようなことだと思います。

 先程来、一億総活躍のような議論がありましたが、やはり働く人たちは、病気になってもその経済活動に参加していただきたい。それから、お年を召しても、できれば、その方々のライフスタイルというか、キャリアパスというか、そういうような観点で、やはり社会に貢献していただきたいと。それらが、今日の議論にもありましたが、日本の国力の維持ないし発展に、恐らく資することになるだろうと思う次第です。ですから、そういうような大きな目標を掲げながら、先程来出ているような財務環境についての改善をどう図っていくかとか、監事からの指摘がありましたが、内部統制の強化をどのように図っていくのかという話などに全体として取り組んでいかなければいけないだろうと。大きな目標をきちんと組織として共有しながら、個々の、それぞれの立場において、例えば内部統制であれば、そのこととどのように自分たちの仕事ぶりが協調していくというか、言わばシンクロしていくかということを考えるような、そういう文化的な水準に組織全体をもっていくということが必要だと考えております。

 財務環境についても、単純に受け身的に厚生労働省から示されたような保険診療のことについて、くよくよするということではなくて、自らどのような形で地域社会に飛び込んでいくかということも、各労災病院に課せられた大きなテーマだと思います。そのときにも、大きな目標、私たちの国の産業や経済に十二分に裨益してきたということを考えながら、これから先も頑張っていかなければいけないということで考えております。

 本日は、皆様方から大変貴重な御意見を賜ることができました。心から御礼申し上げます。働く人々というと、国民全体ということになるかもしれませんが、今、お話したような局面からの支援を、引き続き強く発信していきたいと思います。今後とも御指導、御鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。以上、発言させていただきました。

 

○今村主査

 どうもありがとうございました。ただいまの御発言について、特に御意見、御質問等はありますでしょうか。よろしいですか。それでは、労働者健康福祉機構の平成27年度業務実績評価に係る今後の取扱いについて、事務局から御説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、法人から説明のありました業務実績及び自己評価に対して、構成員の皆様方から寄せられた御意見や、法人の監事及び理事長のコメントなども踏まえ、厚生労働大臣による評価として決定し、その結果について、法人に通知するとともに公表いたします。決定した内容については、後日、構成員の皆様方にもお送りいたします。

 なお、次回の開催については、812日金曜日の9時半からを予定しております。場所は、厚生労働省本省3階の共用第6会議室です。議題としては、本年度が中期目標期間の最終年度に該当する労働政策研究・研修機構の「中期目標期間見込評価」に加え、当該評価の結果を踏まえ作成する「業務・組織全般の見直し内容」についても御意見を賜ることとしております。

 最後になりましたが、本日配付した資料の送付を御希望される場合には、事務局より送付いたしますので、机上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。本日は、ありがとうございました。事務局からは以上でございます。

 

○今村主査

 本日は以上とさせていただきます。若干、時間がオーバーいたしましたが、長時間にわたり熱心な御議論をありがとうございました。また、次回もよろしくお


(了)

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