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2016年8月3日 独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WG(第4回)議事録

○日時

平成28年8月3日(水)09:58~12:07


○場所

中央労働委員会労働委員会会館講堂(7階)


○出席者

真野主査、五十嵐構成員、石渡構成員、園田構成員、名里構成員、橋田構成員、松原構成員

○議事

○真野主査

 皆様、おはようございます。定刻よりは若干早いですが、委員の皆様方もそろいましたし、福祉医療機構の方もそろわれましたので、始めます。去年から引き続きということで、第4回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WGを開催いたします。本日は、平井構成員、三田構成員が御欠席です。まず初めに、酒光総合政策・政策評価審議官から御挨拶をお願いいたします。

 

○総合政策・政策評価審議官

 政策評価を担当しております、審議官の酒光です。どうぞ、よろしくお願いいたします。この度は、有識者会議構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、しかも大変な作業を要する会議ですが、独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WGに御参加いただきまして、本当にありがとうございます。

 会議に先立ちまして、今般の評価について、若干付言をいたします。恐縮ですが、参考資料2を御覧ください。独立行政法人の評価については、従前、各省の独立行政法人評価委員会で評価を頂いていたわけですが、昨年度からやり方が変わり、基本的に主務大臣、当省においては厚生労働大臣が評価を行うことになっております。その評価を行うに当たって、必要に応じて外部有識者の知見を活用することになっており、これが本WGに当たります。ですから、本日はいろいろな御意見を頂いた上で、最終的に主務大臣である厚生労働大臣が評価を決定することになります。

 そして、評価に当たっては、統一ルールが設けられております。参考資料2の表紙の裏側を御覧ください。評価自身は、従前と同じように5段階評価でSABCDとなっております。これについて、評価の基準が定まっております。真ん中に「項目別評定」と書いてありますが、評定の基準、標準はBでいわゆる合格点になります。では、どのようにそのほかの評価を決定していくかです。まず基本的には定量的な指標を設定している項目について、120%の実績があった場合であればA評定、あるいはそれにプラスして質的にとても顕著な成果があった場合に、S評定が付けられます。基本はBとなりますので、それを基準に評価をすることになります。

 これは昨年度から実施しているのですが、その結果を総務省で各省の評価結果について点検した結果を報告しています。これが、参考資料6になりますので御覧ください。真ん中の表は、昨年度の各省庁の項目別の評定結果が出ております。(1)の平成26年度の全省庁の評価を平均で見ますと、A以上の割合は20.9%と約20%です。ただ、この下の注に※で書いてありますが、外務省、厚生労働省、経済産業省を名指しで、ここは非常にAが多いと、5割ぐらいAになっているということで指摘されております。仮にこの3省庁を除くとどうなるかが、この表の(2)で、13.8%、約14%になります。この3省庁以外の省庁では大体14%ぐらいがA以上で、この3省庁だけが半分ぐらいAを付けています。この辺りが、どうなのだろうという指摘を受けているところです。

 そのような結果を踏まえ、総務省からこのようにすべきであるということが指摘されているのが、下に書いてあるものです。4つ書いてありますが、1つは、できる限り定量的な目標を設定して評価をすべきであり、定性的業務実績等に基づきAを付ける場合には根拠・理由等の明確化を行うことです。

2点目は、評価に当たって定量的評価が120%になっていない、あるいは幾つかある項目のうち1つしかなっていない、少ない項目しかなっていないというような場合でも、Aを付けている場合があるということです。それについては、その合理的な根拠を示すべきであると書いてあります。要するに、安易にAを付けるなということを言っています。

3点目は、主務大臣が評定を勝手に引き上げている場合があるけれども、それについても具体的に根拠を明確にすべきであるということです。これも、同じように安易にAにすべきではないということを言っています。

 最後の4番目が特に問題になることが多いかと思うのですが、目標期間のほぼ全てで120%以上になっているというような指標が散見されます。その場合は、要するに有り体に言って目標が低く過ぎたのではないか、安易なのではないかということについて、よく検討してほしいということです。ですから、まずは120%を超えているかどうかと、その目標自体が適切であったかをよく検討した上で評価をすべきである、ということが指摘されていると考えております。以上の具体的な評価についての点検結果については、次の2ページ以降にありますので、後で御覧いただければと思います。要約すると、そのようなことになっております。

 最初に申し上げましたように、最終的には厚生労働大臣が評価をすることになりますが、その辺りを御留意いただき、有識者の皆様にも是非今回の議論をしていただければと思っております。また、法人の方におかれましても、一言申し上げますが、今申し上げたような形ですので、昨年と同様、あるいはもしかすると昨年以上の業績を上げた場合でも、例えば評定がAであったのがBになるような場合もあるかもしれません。それは、決して評価が下がったということではなく、評点の付け方が変わったと御理解いただき、また職員の方にもそのようにお伝えいただくようにお願いしたいと思います。私からは、以上です。

 

○真野主査

 考え方が少し変わったということを御説明いただきました。それでは、本日の議事について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 説明の前に、新任の構成員を御紹介いたします。71日付けで、園田智昭慶応義塾大学商学部教授に構成員として御就任いただいております。どうぞ、よろしくお願いいたします。また、事務局で異動がありましたので報告いたします。先ほど御挨拶のありました総合政策・政策評価審議官の酒光と、政策評価官の玉川です。

 それでは、本日の議事について説明いたします。本日の議事は、お手本に配布しております議事次第のとおり、福祉医療機構の平成27年度業務実績評価に係る御意見の聴取です。評価項目ごとに、法人側から業務実績及び自己評価について御説明いただき、有識者の皆様方から御意見、御質問を頂きたいと存じます。なお、独立行政法人の評価スケジュール全体については、参考資料1の別添610ページの図のとおりで、本日の意見聴取等を踏まえ、主務大臣による評価を実施することになります。昨年度の評価の結果については、先ほど総合政策・政策評価審議官からお話をさせていただいたとおり、参考資料6にあるような指摘を受けております。したがって、重ねての御案内になりますが、本日御意見を頂く業務実績評価に関しても、改めて総務大臣が定める「独立行政法人の評価に関する指針」を踏まえ、Bが標準であること、A以上を付す場合には、定量的指標において120%以上の達成度が求められていることなどに御留意いただきますよう、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○真野主査

 それでは、福祉医療機構の平成27年度業務実績評価について議論を進めます。初めに、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」のうち、1-1「福祉医療貸付事業」について、ポイントを絞って簡単に説明をお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 福祉医療機構企画管理部長の風間でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私からは、資料1-1「平成27年度業務実績説明資料」で説明いたします。2ページが、福祉医療機構の役割を絵にしたものになっております。下にありますとおり、各貸付事業と経営指導事業等、いろいろな事業を展開しているところですが、こういった福祉・医療に関する多様な事業を一体的に実施することにより、地域における医療法人、社会福祉法人、NPO等、地域の福祉・医療の向上を目指して民間活動を支援している役割を担っているところです。

3ページは、業務実績の一覧です。評価項目は16項目あり、右から2番目の自己評定を御覧いただきますと、本年度はA9B7ということで、自己評定をさせていただいております。自己評定の欄のAの隣に○が書かれておりますが、これは脚注を御覧いただきますと、重要度を「高」に設定している項目について、自己評定の右に○を付しております。国の喫緊の政策課題に対して対応している事業と考えております。

 それでは、具体的に4ページの「福祉医療貸付事業」です。構成としては、A評価についてはパワーポイントの資料4枚、B評価については2枚で、見開きで御覧いただくと分かりやすいと思われます。まず、福祉医療貸付事業ですが、自己評定Aとしています。現在、福祉医療機構の中では、この福祉医療貸付事業については、東京と大阪支店の2か所で、トータル66名の職員で事業を実施しているところです。中ほどの評定理由を御覧いただきますと、現在、国が日本再興戦略や待機児童解消加速化プランに基づいて、積極的に解消を図るために、いろいろ政策を進めています。そういった中で、社会福祉施設に対する整備に対して、長期・固定・低利により資金を提供するなど、積極的に行っているところです。

 評定理由の2つ目ですが、昨年の融資相談件数が1,521件に対して、平成27年度は1,738件で、平成26年度に比べますと114%の増となり、積極的に実施をしております。単なる相談だけではなく、多面的な支援・助言等を併せて行う。そして、お客様の利便性を考慮し、審査期間の迅速化を推進しています。それから、平成27年度からは、福祉貸付部と医療貸付部を統合しました。これは昨今、合築案件が結構出てきておりますので、お客様の利便性の向上に寄与するため、部を統合して相談から審査までワンストップで対応する体制を整備しております。こういった結果から、利用者サービスのさらなる向上を図ることができ、お客様のアンケート調査においても、97%の方から満足したという回答を得ているところです。

3つ目は、利便性の向上です。審査期間、資金交付期間について迅速に対応するというところで、目標値を大幅に上回ることができたと考えております。それから、協調融資機関数についても、順調に年度計画を達成しております。

 以上のとおり、国の福祉政策に即して、社会福祉施設の整備に対して、長期・固定・低利資金を提供すること、それもお客様のニーズに合わせて対応するといったことで、福祉・介護サービスを安定的かつ効率的に提供する基盤整備に資するための取組を定めた年度計画を、大幅に上回ることができたことから、総合的に判断をしてA評価とさせていただいたところです。

5ページは「福祉貸付事業の実績」です。平成22年度以降、高い政策需要に対応しています。

6ページは、「福祉貸付事業に係る政策適合性及び重点化」です。厚生労働省では、3本の矢において介護離職防止や、特養待機者約52万人の解消といったものを前倒しで整備を進める中で、特別養護老人ホームに対して優遇融資を行い167件、1,094億円。また、保育所の整備の中で、待機児童解消加速化プラン実現に向けて、こちらも優遇融資をしながら478件、392億円。それから、耐震化整備のところで、入所されている方の安全・安心を確保するため必要不可欠なものにも16件、約23億円を支援しており、地域における社会福祉施設の基盤整備を支援しているところです。

7ページは「利用者サービスの向上」として、3点ほど記載しております。先ほども少し申し上げましたが、事業計画の早期の段階から、相談、助言等を行っています。また、部の統合によりワンストップの対応。さらに、お客様からしてみますと、どういうところを審査のポイントとしているのかが分かりにくいというのがありますので、そのような声にお応えして、融資のポイントを整理したものを機構のホームページにアップさせていただいています。この結果、融資相談件数も、平成26年度に比べて平成27年度は大幅に増えている状況です。

 次に、中ほどの「民間金融機関へのノウハウ等の提供・協調融資の普及」の項目です。福祉医療基盤の基盤整備を進めるためには、民間金融機関との協調、連携が必要であることから、民間金融機関への情報提供の実施。これは具体的には、福祉医療に関する政策動向や、経営動向に関する情報を提供する。さらに、全国地方銀行協会との民業補完の在り方についての意見交換を年に34回実施しております。それから、協調融資金融機関の拡大についても、平成26年度末は328機関のところを、平成27年度末においては339機関と計画を達成しています。

 また、「審査・資金交付業務の事務処理期間短縮」についても、目標を達成しております。なお、この審査期間については、平成23年度から目標を30日に短縮して実施をしています。資金交付についても、中期計画を達成しています。

 以上のことから、総合的に判断してA評価とさせていただきました。福祉貸付事業については、以上です。

 

○真野主査

 今回は1つずつやるということで、かなり数が多いので、効率よくやりたいと思います。何か委員から御意見、御質問はありますか。

 

○園田構成員

 質問の前に事務局に確認したいのですが、この評価は、中期目標の数値と実績との乖離をベースにして評価すると考えてよろしいのですか。

 

○政策評価官室長補佐

 中期目標で立てている目標値と実績を比べたときに、達成度が幾つかということをもってということです。

 

○園田構成員

 では、それに基づいて質問いたします。中期目標で、審査処理期間を30日、交付処理期間が15営業日と言われていますが、いずれも第2期の最終年度で既に達成されています。特に営業日に関しては、7.7日という半分で達成されているのです。実際に、第3期に目標を達成とは言っても、ほとんど第2期の最終年度と変わらない数字で、それをもってすばらしい数字とはとても言えないのではないかと思います。2つ目は、資料1-2の「主要なインプット情報」で、経常利益が赤字になっていますが、3年間の累計で40億円赤字なのです。この赤字は、どのように捉えられているのかを教えてください。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 まず、1点目の目標設定の関係ですが、こちらについては今回は評価の考え方を変えたときに、独法通則法の改正がなされております。その附則の第8条において、あくまでも目標設定自体は独法通則法の改正前に策定認可された形になっています。附則の中で、暫定的に旧中期計画を用いることが法律の附則でうたわれているということで、見なし規定があります。先ほどの目標の設定の話ですが、まず当初の旧の目標設定をする際には、国でいろいろ政策を打つ中で、大幅な資金需要が見込まれるものの、過去の実績を踏まえながら設定し、先ほど申し上げました中期計画期間の途中において目標を短縮しております。

 次に、審査期間の短縮については、審査期間を例えば1日でやるようなケースになると、やはり今後30年間ほど債権管理をしていく中で、十分な審査ができませんので、一定期間は必要だろうと考えております。

 また、資金交付の処理期間の話ですが、こちらは緊急経済対策などがよく補正等で打たれること。それから、資金調達については、私どもは財政融資資金で月2回ほどお借り入れをしているのですが、2回のタイミングを逃してしまうと、最大15日増えてしまうといった観点から目標設定は適正と考えております。

 それから、赤字の関係ですが、これは後ほど財務のところで説明してもよろしいでしょうか。

 

○園田構成員

 分かりました。赤字については、この評価には関係ないと考えていいのですか。一般企業でしたら、これだけ大きな赤字でしたら、それでいい評価とは言えないと思うのですが、それはどのように反映されているのでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 赤字の理由については、後ほど説明しようと思ったのですが、基本的には東日本大震災の緊急災害融資をする場合に、今までにない甚大な被害ということもあり、例えば当初5年間は無利子とする、償還期間も延長するとか、二重債務などに対応するために、国から142億円ほどの出資を頂いており、この出資金により対応しています。また、債権が悪化した場合には、貸倒引当金が増加します。こういったものも出資金で対応するのですが、出資金を減らすことは原則としてできませんので、損益計算書において赤字を立てるといった少し特殊な会計処理になります。

 

○園田構成員

 目標値について、いろいろおっしゃっているのですが、6期間で安定して同じような数値を取られていますから、そのような事情があるとは言えないのではないかと思うのです。聞いていて思ったのは、例えば100メートル走で15秒で走れる人が、雨が降るかもしれない、風が強いかもしれないといって、目標を30秒にして、16秒で走ってすばらしいですねと言われているような感じで、何か違うのではないかと思いました。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 いろいろ御意見を頂きましたので、第4期の中期目標・計画の設定の際、御参考にさせていただきながら、適正な目標設定をしていきたいと考えております。

 

○松原構成員

 審査期間に限らず、どれだけ効率化をしたところで、更にそれを短縮するほうが望ましいのですが、かえって雑な審査をしてリスク管理債権が増えていっても困るので。そもそもの設定の数値自体は国のとおりのものでやりましたと。次に、それをもっと短縮化を目指すのはすばらしいのですが、是非気をつけていただきたいのは、それによって雑になったら元も子もないということです。昔と比べたら目標の半分ぐらいにまで達成されています。是非、そこを考慮して御検討いただきたいと思っています。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 ありがとうございます。

 

○名里構成員

 融資の件数が600幾つぐらいだと思うのですが、相談は1,700ぐらいあって、申請に対してどれぐらい通っているのかと、どういうことで駄目だったのかという分析のようなものは、どのようにされているのでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 まず、申請されたものがどのぐらい採択されるかですが、相談から実際の審査を了するまでの間には数か月、長いものではもう少しかかるものも出てきます。どのぐらい採択されているかというよりは、実際の相談件数で、申し込まれて否決をするというのは、年に1件あるかないかというような状況です。その前提としては、もともと社会福祉法人の場合には、都道府県の関与がかなり大きいものですから、都道府県の補助金の関係もあり、事前にいろいろ相談をする中で、計画が精査されていると言えるのかなと思います。

 駄目だったところについては、金融業務でありますので、2つの側面があります。1つは、政策的にどうしても必要だという場合には、御融資をせざるを得ないとは思うのですが、例えば政策の必要性の少ないところで、なおかつ返済がなかなか難しいようなケースはお断りをしている。計画がずさんであった場合には、お断りしているケースもあります。

 

○真野主査

 よろしいですか。それでは、次に移ります。

 

○松原構成員

 すみません。先ほどの発言は舌足らずだったかもしれないので、念のため補足させていただきます。言いたかったことは、下手をすると営利企業のように、常に前年度比はどうだ、アップ、アップといかなければいけないような、評価はそうなりがちなのですが、効率化をするだけして、ギリギリ絞って、それぞれにこういうことをやるのだという根拠があるのであれば、それをはっきり示して、これが目標だとしていく必要があると思います。今後、また中期計画で目標値を検討するというお話でしたので、そういう視点。言いたいことは、常に営利企業のように前年度比でアップしているとか、下がっているというのを示し続けなければいけないものなのか。そうではなくて、民間でありながら、WAMには半公的な役割があるわけですね。それを達成するために、何が必要だという視点で、どういう効率化ができるのかという視点をもって、是非、目標値を設定していただきたいと思います。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 御指摘を踏まえて、対応させていただきたいと思います。

 

○真野主査

 非常に議論が白熱しておりますが、このままのペースですと2時ぐらいになってしまいます。これは、20個ぐらいあるうちの1つ目なのですので、申し訳ありませんが説明は分かる所は読みますので、要点だけをお願いできますか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 はい。

 

○真野主査

 では、次をお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

8ページの「医療貸付事業」になります。ここも自己評定Aとさせていただきました。政策連動という意味では、福祉と同じになります。審査期間、資金交付期間についても達成度162%となり、こちらについても年度計画を達成している状況です。

9ページは貸付契約、資金交付の状況です。10ページは「医療貸付事業に係る政策適合性及び重点化」ですが、左上を御覧いただきますと、耐震化整備で28件、687億円ということで、優遇融資を行いながら、積極的に対応しています。現在、耐震化については3割がまだ未耐震ですが、国としても平成30年度に向けて更に引き上げるということで、今後も資金需要についてはあるだろうと考えております。

 一番左下の、特定病院に対する融資については、地域医療支援病院等に対して、貸付限度額の引上げ等を行って対応しています。右のほうは、東日本大震災の対応。また、なかなか収益率の低い中小規模の病院に対して優遇融資を行う対応をしております。この表の一番上にある、地域医療構想支援資金の創設の所で、実際には平成28年度からになるのですが、平成27年度においては地域医療構想により、病床転換による収益構造の変化に対応するため据置期間4年という措置を講ずるメニューを作りました。

11ページの「利用者サービスの向上」についても、基本的には福祉と同じようなことですので省略させていただきます。中ほどの協調融資制度の対象範囲拡充に関しては、従前は福祉貸付を徐々に拡大してきたところですが、平成27年度からは医療貸付もこの制度の対象に加えました。審査期間、資金交付期間についても年度計画の目標を達成しています。達成度162%になり、総合的に判断してA評価とさせていただきました。以上です。

 

○真野主査

 簡潔にどうもありがとうございました。それでは、委員のほうから何かありましたらお願いします。

 

○園田構成員

 先ほどと同じなのですが、前期末の実績と目標が乖離しているのではないか、つまり甘い目標なのではないかということです。私も誤解されると嫌なので言っておきますけれども、何も実績を毎年良くしろと言っているわけではないのです。ただ、このケースで言うと、例えば資金交付処理期間だと、目標15日にしていますけれども、前期末の8.9日、大体9日ぐらいが適切な処理期間なのではないかと思います。それを目標にして、それを100%達成してB評価ということでいいと思うのです。それをあえて目標値を低くして、評価を嵩上げするのはいかがかと言っているわけです。

 

○真野主査

 それではお願いできますか。これは目標値の問題なので。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 目標値の問題については、先ほどと同じ回答になります。

 

○園田構成員

 同じだったらお答えいただかなくて結構です。

 

○真野主査

 はい、お願いします。

 

○福祉医療機構理事(須田)

 福祉の所とも重複するのですけれども、先ほど松原先生からもお話がありましたように、効率化という観点では、福祉も医療も統合することにより、組織を体制としては縮小しているということです。実際には46名体制から42名体制ということで、少ない体制で同じ業務を処理しているということです。

 さらにその相談件数についても、先ほど多く取り組んだと申し上げましたように、少ない体制で従前の水準を維持し、更により一層の向上を図ったということですので、そういう点については定性的なところかもしれませんけれども、十分御配慮いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○真野主査

 他にはよろしいでしょうか。それでは次の1-3に移ります。

 

○福祉医療機構企画管理部長

12ページをお開きください。「債権管理」の関係です。債権管理の部門については、本部一括で処理をしております。本部32名体制で、約35,000億円の債権を管理しています。管理期間も最長30年という長きにわたり管理をしております。参考までに35,000億円の規模感ですけれども、地銀64行中19位ぐらいの規模に匹敵すると。それを32名でできることをやっているという状況です。こちらについても自己評定Aとさせていただいております。基本的に政策融資については、新規の融資に加えて、債権管理は重要であり、その地域における福祉施設、医療施設の維持・存続というのが私どもの使命と考えておりますので、そういうところを積極的に対応していることがお伝えしたかった部分です。

 評定理由の所を御覧いただきますと、適切な債権管理が求められている中で、毎年事業報告書を頂戴しておりますけれども、その中でなかなか経営がうまくいっていないお客様がいらっしゃいます。そういう所に対して、平成27年度に新たに再建計画作成支援ツールを作成し、お客様にいろいろ御説明をさせていただいています。具体的には創設の社会福祉法人等ではガバナンスがうまくいっていないケースがあり、これが経営悪化の要因だというところもありますので、ガバナンスとは何かとか、そういうものを説明させていただいています。そういう取組を新たに実施したところです。

 「また」書きの所ですが、平成26年度から、今後リスク管理債権化する恐れのあるものをイエローゾーンと位置付けさせていただき、そちらに対しても積極的に出向いていって、いろいろお話をさせていただいています。これらの取組により、平成27年度末におけるリスク管理債権比率は、平成26年度が2.13%、平成27年度が2.17%と、前年に比べると若干増えておりますけれども、対前中期目標期間最終年度の2.86%に比べると75.9%、達成率にして131%と低い水準を維持できたと考えております。

 東日本大震災で被災したお客様に対しても、年2回フォローアップをさせていただきながら、支援をさせていただいています。下から1つ目の、昨今の医療施設を取り巻く経営環境、それから福祉も同様ですけれども、こういう診療報酬等の改定を受けて、依然として厳しい環境の中で、貸付者からの返済相談とか、こちらについても迅速、きめ細かな対応を行うとともに、先ほど申し上げました施設の維持・存続を図る観点から、これが機構の役割という認識の中で、積極的に条件緩和等を行った結果、若干ではありますがリスク管理債権が増えたところです。

13ページになりますが、平成27年度における取組を左側に記載しております。一番上の貸付先の経営状況の分析の中で、イエローゾーン債権の抽出基準に基づいて抽出された貸付先に対して、平成26年度の実地調査が27件、平成27年度については40件と件数を大幅に伸ばしています。1つ飛んで大口貸付先への対応については、大口先だとリスクが大きいこともありますので、先方の理事長、それから私どもの理事長等でお話をしながら、状況を把握させていただいています。平成26年度は11貸付先、平成27年度は33貸付先まで伸ばしている状況です。

1つ飛んで債権悪化の未然防止です。先ほど申し上げました再建計画作成支援ツールを平成27年度から取り組み、17貸付先に御説明をさせていただいております。そういう債権悪化の未然防止に活用した結果、診療報酬の改定を受け、依然として厳しい経営環境の中で、リスク管理債権比率は低い水準で維持されております。

 右が、債権比率の推移です。参考までですけれども、民間のリスク管理債権比率ですが、私どもが2.17%なのに対し、都銀が1.59%、地銀が2.22%で、都銀と地銀の中間ぐらいの比率になります。

14ページは「貸付債権の適切な管理・経営安定化に向けた支援」については、法人単位の決算分析だとか、そこに記載のとおりさせていただいています。中ほどには、イエローゾーン貸付先、こういう抽出基準に基づいて抽出したお客様に対して、面談をした上で、いろいろ気づいていただくところを中心に行っています。こちらでも、ヒト・モノ・カネの関係で、改善計画が策定できないお客様に対しては、機構も一緒になって、改善に向けた対応をさせていただいている状況です。

15ページは「東日本大震災への対応」です。震災直後に、まず被災地の状況について御連絡をさせていただき、状況把握に努めました。返済が困難だというお客様に対しては、当面6か月の元利金の返済猶予を実施しております。こちらが133貸付先あります。その後毎年2回、お客様と連絡を取りながら、最長56か月の猶予措置を実施し、返済ができるお客様については返済を開始していただくといった対応を実施し、一番下の右側になりますけれども、平成27年度現在16貸付先まで減少してきている状況です。以上のことから総合的に判断してA評価とさせていただきました。

 

○真野主査

 それでは、委員のほうから御指摘等はありますか。

 

○園田構成員

 債権回収管理ですよね。貸付先にいろいろな事情があって滞っているという事情は、今の説明でよく分かりました。ただ、リスク管理債権の金額を見ると、総額で756億円、今期も15億円増えています。これは決して小さい数字ではないと思います。こちらの公的な性格とか、貸付先のことを考えないで評価すると、Bも付かない数字ではないかと思うのです。ただ、そういう事情もありますので、そこは勘案して、AではなくてBぐらいが妥当ではないかと思います。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 今のお話ですけれども、756億円というのが多いか少ないかというよりは、35,000億円の中でどうなのかと。先ほど申しました都銀や地銀とも比較をしても、決してずば抜けて多いわけではないというところは御理解いただければと思います。

 

○園田構成員

756億円をパーセントで見ればそうですけれども、自分のお金で考えたら、それがそんなに重要性がないと言えますか。公的なお金を使っているから、756億円がそんなに重要性がないかのようにおっしゃっていますけれども、すごく大きな金額だと思います。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 このリスク管理債権額自体は、すべてがデフォルトするわけではありません。例えば、一時的に立ち上がりでなかなかうまくいかない所があったりしますので、必ずしも全部駄目になるというわけではないわけです。そうならないように、いろいろ未然防止策を含めて対応させていただいていると思っております。

 

○真野主査

 松原構成員どうぞ。

 

○松原構成員

 額も大切なのですけれども、リスク債権の管理がどうなのというときには、一般的に比率で見るべきものではないかと思います。私は仕事の関係でメガバンクとも、地銀ともよくお話をさせていただくのですけれども、その際によく言われるのは、WAMが非常に変わったと。協調融資を一緒にしてくれるし、指導もしてくれる。昔だったら、どの銀行も自分たちで医療とか介護とかは審査できないので、WAMが貸すなら自分たちも貸すという所が多かった。今も多いのですけれども、それがWAMの指導を受けることで、自分たちも見る力が付いてきたとかいう話をよく聞きます。

 それ以外にも、そういう協調融資を増やしているとか、前のほうに入りますけれどもワンストップで審査もできるとか、非常に特筆すべき、定性的な話ですが、特筆すべき点が今年度は非常に増えたというように見ております。

 

○真野主査

 評価の考え方が大分ぶれているところがあるのかもしれないのですけれども、取りあえず次に行きます。1-4になるのでしょうか。

 

○福祉医療機構理事(須田)

 今の関係で若干補足です。リスク管理債権化しないように、先ほど御説明しましたように、当方としては大口の貸付先であるとか、イエローゾーンの貸付先であるとか、そういう不良債権化しないために、その事前対策を講ずるということで、特に平成27年度については、平成26年度は27貸付先でしたけれども、イエローゾーンについては、40貸付先50回にわたって面談をして、その防止対策を図っています。

 それから、特に昨年度は台風が起こり、現地でいろいろな要請がありました。債権管理の職員が現地に行って、直接面談をするというような積極的な対応を行いました。それから与信管理課ということで、そういう防止対策を含め、適正に管理をしていくための体制の強化も図る。あるいは支援ツールのようなものを開発して活用していく。こういった様々な創意工夫をして取り組みました。

 それから、こういう債権管理の評価については、リスク管理の比率で見るというのが一般的な評価なのだろうと考えているところです。ちなみに当方は2%程度のリスク管理の比率ですけれども、他の政策公庫等については10%近い数値になっています。相対的に見ても、当方の債権管理の対応はかなり盤石なものではないかと確信しているところです。

 

○園田構成員

1つだけ伺います。ここは数値目標はないですよね。なぜここは数値目標がないのですか。今いろいろ数値をおっしゃっていましたけれども、目標値として数値目標は全然ないと思うのです。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 これについては、まず第2期の話を申し上げますと、第2期の中では、リスク管理債権比率を目標に置いておりました。ただし、このリスク管理債権比率については、基本的には社会情勢の中で、機構の努力によるものかどうかがなかなか分かりにくいというところで、前の独法評価委員会でも御意見を頂く中で、目標からは削除させていただきました。しかしながら、結果としてどうだったかというのは評価できることから実績評価として入れているところです。

 

○福祉医療機構理事(須田)

 福祉とか医療施設については、経営を安定的に持続させることが本来の役割です。基盤として安定的に運営させることが本来ですので、リスク管理債権比率を少なくするためにはどんどん回収をしてしまって、最終的には手離してしまえば解消することになるわけですけれども、必ずしもそういう対応は取るべきではないということで、いたずらにこのリスク管理債権比率のみを目標とするのは好ましくないと。こういう議論が過去に評価委員会でなされたと承知しています。

 

○真野主査

 福祉医療機構がしっかりとやっているということは、今まで我々も有識者会議でやってきて、それはそうなのだと思うのです。先ほどからいろいろ議論になっているのは、その評価の点数の付け方をより厳密にされると、園田先生の言われているような指摘が出てくるということだと思うのです。どこまで有識者会議で話をすべきか難しいですが、別に本日終わらなければ、また別の時間にやってもいいと思うのです。取りあえず一応時間の制約がある中でお話をするということで、ちょっとお考えいただければと思います。それでは1-4をお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

16ページの「福祉医療経営指導事業」です。自己評定はAとさせていただいています。評定の理由の1つ目で、達成度は平均で134%です。2つ目で、民間金融機関の経営指導等の研修会への講師派遣を積極的に対応させていただいて、民間金融機関への経営指導ノウハウの提供を実施しています。

3つ目は、社会福祉法人、医療法人の経営者を支援させていただくために、リサーチレポートを年15回発表しております。こちらについてはマスコミに記事として引用されたのが85回と、昨年に比べると大幅に増えていることから、一定の評価は得ることができたものと考えております。個別経営診断についても、基本的にはお客様のニーズに応じたコンサルティングを実施しています。以上のことから、定量的指標の大幅な達成とともに、質的にも顕著な成果が得られたことからA評定とさせていただいています。

 具体的には17ページになりますが、定量目標は5つあります。1セミナー当たりの受講者数。それからセミナー受講者の有用度指標80%の目標に対して97%の実績となっています。個別経営診断の実績の中で、個別経営診断件数、個別経営の有用度、平均処理期間短縮については、一番上にあるように達成度134%という状況です。

18ページは、「セミナーにおける情報提供等の内容の充実等」です。左のほうから御覧いただくと、セミナーの中でも、政策動向に関するセミナーというのが、今、正にタイムリーな内容で、例えば社会福祉法人制度改革について、いろいろ議論されている経過等も踏まえ、各種セミナーの中で発表させていただいています。

 右の、民間金融機関等への経営指導ノウハウの普及という中で、銀行への経営指導の研修会を開催させていただいています。その下の地方公共団体、それから社協などの団体に対する外部講師派遣を44回実施しています。中身については、先ほどの社会福祉法人制度に関する動向について、聞かせてくださいといった要望に応じた対応をしております。

19ページの「新規の経営指標や診断手法の策定等」で、左の平成26年度決算における各施設の経営状況については、従前の施設に加えて、障害福祉サービス事業所を追加したところです。これらの施設の経営状況以外に、個別の依頼については、赤字分析から見る社会福祉法人の経営リスクだとか、話題になっております介護報酬改定の影響のアンケート結果。また、建築費が高騰している状況など、リサーチレポートとして発表させていただいている状況です。

 その右は、社会福祉法人の動向調査を新たに実施しております。平成27年度からになりますが、日銀短観というのが出ていますけれども、これの社会福祉法人版を、平成27年度の途中から新たに実施しております。こちらについては、四半期ごとに、全国の特別養護老人ホームをお持ちの社会福祉法人の方、全国で規模もいろいろありますので、そういった方々に均等にモニターとなって頂き、動向調査結果についてホームページにアップしています。

 その下は個別経営診断メニューの設置ですが、従来は施設単位の財務分析が中心でしたけれども、現在は利用者ニーズに応じて対応しています。具体的には経営分析プログラムは19件、ガバナンス診断プログラムは1件、個別支援プログラムは12件。今後、このオーダーメイドのコンサルティングを中心に実施していきたいと考えております。以上のことからA評価とさせていただきました。

 

○真野主査

 私のほうから確認です。もう話題に出たかもしれませんけれども、そのセミナーとか、いわゆる本当の民間がやっている事業と何か違うところはあったのですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 料金的には、1コマ8,000円の参加費で実施させていただいているのですが、中身は基本的に機構の職員の知見を発表する場です。その中で、例えば有用な事例があれば、そういう社会福祉法人、医療法人の先生方に登壇していただく。必要があれば国の政策についても講義していただきますが、基本は機構の独自性を発揮したセミナーにしています。

 

○真野主査

 他にはいかがでしょうか。五十嵐構成員どうぞ。

 

○五十嵐構成員

 セミナーの所なのですけれども、1セミナー当たりの受講者数と書いてある。例えば、全く同じ内容のセミナーを2回やった場合には、それは1回のセミナーとして受講者数をカウントするのですか、それとも別々にカウントするのでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 対象者が、例えば大阪と東京でやるというようなケースもありますので、同じ内容でも、それぞれ参加者は別になりますので、別々の管理ということになります。

 

○五十嵐構成員

 そうすると、例えば今回もいろいろなトピックなテーマがあって、たくさん受講したいという人がいて、それで参加したいのだけれども参加できないという人が増えたときに、セミナーの回数を抑制すれば、1回当たりのセミナーの受講者は増えますよね。例えば、たくさん希望者はいるのだけれども、3か所でやるのはやめて、2か所でやれば、1回当たり受講できない人がいて、1回当たりのセミナーの受講者は増えるではないですか。そうすると、それがより良い開催の仕方をしたということにはならないと思うのです。その辺の関係はどうなのかなと思うのです。私の所でも、申し込んで行きたいのだけれども、いっぱいで断られたというような話が耳に入ってきているので、その辺はどうなのかなというのが気になるところなのです。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 それについては、いろいろな受講後の御意見を踏まえながら、会場設定などを参考にさせていただいているところではあります。あまり広い会場だと、聞く環境が良くないとか、聞きにくいといった御意見もありますので、今はある一定の規模でやらせていただいています。その辺は今後もいろいろ検討しながら進めていきたいと考えております。

 

○園田構成員

 これについても、今まで言ったのと全く同じなのですけれども、資料1-223ページを見ると分かるように、前期の最終年度で、既に今期の目標値は全部達成しています。前期の最終年度の実績と、当期の実績を比べるとほぼ同じぐらいだということは言っておきます。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 一言だけお伝えしておきたい部分があります。ここの経営指導の所については、前中期目標期間の平均値をベースに目標を設定させていただいております。

 

○園田構成員

 他の所はどうなのですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 そこは、先ほどの調達する財源の関係だとか、いろいろな制約を勘案しながら、基本的には平均値をベースに設定しております。そういう個々の状況を踏まえながら設定させていただいているのが、目標設定の考え方です。

 

○石渡構成員

 これは、福祉医療機構の役割なのかどうかという辺りで、とても疑問でもあるのですけれども、私は福祉とか医療の実践の場に関わる方たちといろいろな接点がある中で、例えば経営指導というセミナーにしても、経営の効率性とか安定性というところでの研修はなされていると思うのです。最初からずっと疑問に思っているのですけれども、例えば待機児童の解消というところで、保育所を作るというような量的な整備はなされても、実際に利用しているお母さんたちの声として、保育士の保育の質が下がっている。保育士の奪い合いみたいなことがあって、担当する保育士がどんどん変わったりということもある中で、子供たちは非常に不安定になる。

 私はそういう話を聞いていると、人間を信頼するというような根本的なところに、とても今の福祉の実態というのは疑問が生ずるようなことになっているのではないかと。私は障害が専門なのですけれども、1週間ほど前に起こった相模原の事件、その前の川崎の高齢者施設での事件などにしても、この頃は支援者を信頼できないという声が、利用されている方、特に相模原の事件の後は、知的障害の方たちから、「怖い、もう支援者を信頼できない」という声を随分聞いています。やはり、その辺の質に関して、福祉医療機構の役割がどうなのかと。

 これは、すぐにお答えを頂かなくてもよいかと思うのです。効率性とか安定性というのも大事なのですけれども、根本的な福祉医療の人に関わる支援であるというようなところが、なおざりになってきているのではないかという疑問を、ここでいろいろな衝撃的な事件が起こっているだけに感じさせられています。

 言うなれば従事者の質という辺りが、基礎構造改革以降、給与だけではなくて、身分保障という辺りも含めて、すごく大きな問題が今起こっているのではないか。その辺りのところについてどのように考えるのか。これは機構だけの問題ではなくて、厚生労働省の方もいろいろ御検討していただいているところかと思います。セミナーってこれだけでいいのかみたいなところとも関連して、疑問に思っているところです。

 

○真野主査

 御意見ということでよろしいですか。

 

○石渡構成員

 はい。

 

○真野主査

 それでは時間のこともありますので、1-51-6はどちらもAですので、まとめて早めに説明していただけますか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

20ページ、1-5の「社会福祉振興助成事業」、自己評定Aです。中ほどの評定理由ですが、NPOへの助成割合等々、数値目標については平均123%ということ。2つ目の平成27年度助成事業の募集に当たっては、平成26年度に行われた厚生労働省行政事業レビューの評価結果を踏まえて対応させていただきました。下から2つ目の助成事業の事後評価の所で、助成先団体による自己評価、ヒアリング評価、書面評価という3段階の重層的な評価を行い、ヒアリング結果については助成団体にフィードバックをし、PDCAサイクルで回していただいており、透明性が高い公正な助成が迅速に実施されている。それから、事後評価結果を反映させるPDCAサイクルが機能しているということからA評価とさせていただきました。

21ページは助成事業の実績です。まず最初のNPOへの助成ですが、社会福祉法人と同様に福祉の担い手であり、大きな役割を果たす新しい公共の主体としての福祉分野での活躍が期待されるNPOについては、なかなか国による補助金等が受けられないような状況ですので、こういった所を中心に助成をしていく方針のもと、80%の計画に対して、これを上回る82%という結果となりました。

 助成事業における新たな連携の強化については、少ない助成金によって広く普及させるということが必要になってきますので、そういったものを見るということです。下にあります波及効果、例えば他団体とのネットワーク、それから、行政における制度化ということで、具体的な事例を申し上げますと、18歳以上を対象とした「子どもシェルター」を自立援助ホームとして制度化したり、地域連携型フードバンクが今、全国的に流行っていますが、こういった設立の波及といったものにも寄与しているものと考えています。

 それから、助成までの平均処理期間、利用者満足度、参加者満足度については、こちらも前中期目標期間においては80%だった目標を、例えば85%にするとか、他にも70%を80%にするなど目標を引き上げて対応しているところです。

22ページは、先ほど申し上げた行政事業レビューへの指摘を踏まえた対応についてですが、平成26年度に行政事業レビューがあり、それに対する対応として、平成26年度、平成27年度の2年間にわたり、123を実施してきました。4番目として、平成27年度の新たな取組という中で、統合した福祉医療貸付部の中にNPOリソースセンターというものに衣替えするなど、組織変更いたしました。福祉医療貸付部の中に置いたことで、今まで助成相談を中心に行っていたものを、今後は貸付を加えるということで、ワンストップで対応していくこととしました。このような事業レビューの結果等を踏まえて、平成27年度募集要領を策定しているというところです。以上が助成事業です。

 続いて、24ページの「退職手当共済事業」ですが、こちらもA評価とさせていただきました。退職共済事業については、まず、その共済契約者が平成27年度末で16,805法人、被共済職員数が80万人を超える職員数がいらっしゃいます。社会福祉法人の約87%が利用されている制度になります。トレンドとしても増加しており、制度の加入者が増える中で、評定理由の1つ目ですが、平均処理期間の達成や、新規契約法人の電子届出システムの利用率についても127%と大幅に計画を達成しております。

2つ目の電子届出システムの利用率については、前年度を上回り、着実に利用率の向上を図っています。掛金納付対象職員届の処理は、年間で80万人分程度ございますが、こちらの処理についても電子届出システムを御利用していただくことによって、エラー発生率がかなり低くなります。エラー発生率は紙ベースでの1.45%に比べると5分の1以下になることから、積極的に推進しており、お客様の利便性の向上と機構の事務の効率化の両方が図られているということになります。

3つ目の共済法の改正部分、それからマイナンバー法の改正と、双方いろいろ手続を対応しながら円滑に今を迎えているということになります。以上の取組によりA評価とさせていただきました。

25ページです。左側の事務処理期間短縮に対する取組については、平成26年度の取組に加えて平成27年度、先ほどの電子届出システムの利用促進を図りました。その結果は平均処理期間が50日の目標に対して41.2日となり、121%を達成しております。

26ページです。「届出書類の電子届出化等」については、システムを直す場合、御利用者様に対して、いろいろな不具合や利便性の向上をどうしたらいいのかというアンケートをさせていただき、お客様のニーズに合わせて改善を図っております。下にありますお客様の事務負担の軽減、機構の事務負担の軽減により、そこで浮いた手間を早期の退職金の支給事務に充てており、ウィン・ウィンの関係が成り立っているのではないかと考えております。この結果、左下にありますように、システム利用者のアンケート調査において95.8%の方が、事務負担が軽減されたという回答になっています。

 右の新規加入法人の電子届出システムの利用申請については、毎年契約者数が増加している中で、当該利用率についても大幅に達成しているということが伺えます。

27ページです。「利用者への制度内容の周知等」については、特に平成27年度については、先ほど申し上げました共済法の改正が年度末にあり、また、マイナンバー法も平成281月からというところで、やはり、どう変わるのかとか、どこに影響が出てくるのかという不安等があることから、制度周知が必要なため、これらに適切に対応させていただいたところです。一番下にありますように、法改正に伴う制度改正に円滑に対応するため、法案審議の状況に応じて情報提供を行った結果、実務研修会において93.7%の御利用者様から、理解できたという回答を得たところです。以上です。

 

○真野主査

 それでは、御意見はありますか。

 

○橋田構成員

 後半の退職手当共済事業のほうで、対象になる社福の80何パーセント、何十万人という数字が出まして、これは恐らく制度としても非常に定着してきて、安定しているということだと思います。同じような意味で、前半のNPOのサポートの話ですが、これはなかなか定量的に御説明いただくのは難しいかと思いますが、おおよそNPOの全体のアクティビティの中での存在感や、サポートされているある種の割合など、何かそういうことに関して情報をお持ちでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

23ページを御覧いただきますと、平成27年度の採択状況は167件になります。募集が545件ですので、かなりの少ない採択となっております。実はNPO自体は5万法人ぐらいあると言われています。その中の福祉系がどのくらいあるのか、はっきり数字は分からないのですが、このうち採択は167件となります。それは、助成の金額自体が、今かなり少なくなっている関係もあり、多くの方に御利用いただくには、少し規模的には少ないのかなと思っております。

 

○橋田構成員

 福祉医療の領域のNPOは非常に大事だと思いますので、うまく育てていただければという意味で聞かせていただきました。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 ありがとうございます。

 

○園田構成員

 ここも同じなのですが、資料1-2で、前期の中期目標期間の最終年度の数字よりも、ほとんどの目標が低い数字です。それから1-6ですが、お配りいただいた資料の25ページのほうだと、平均処理期間がいかにもよくなっているように見えるのですが、実際に見てみますと、平成25年度以降、少しずつ悪化しているのです。その理由を教えていただきたいです。

 

○福祉医療機構企画管理部長

25ページの平均処理期間については、確かに昨年が38日、今年が41日ということで、若干増加しております。この理由につきましては、退職手当共済制度の加入者数の増加、先ほど申し上げたとおり、今80万人を超えている状況になっています。

 もう1つは制度の関係ですが、財源的には、国と県と契約者が3分の1ずつお金を出すという状況の中で、都道府県については年度末の3月までに納付をする。つまり財源が、4月、5月というお金が要るときに、都道府県補助金が入ってこないという実態があります。国も、今、早期に補助金を入金いただけるようにしておりますが、やはり、3月に辞められた方に5月ぐらいに退職金を支給するときには、なかなか国と県の財源が十分確保できない関係もあり、日数が若干増えている。それは正に退職者の増というところが大きな要因かと思われます。

 

○園田構成員

 もう1つ教えていただきたいのですが、同じ1-6で、新規加入法人のうち50%以上にするという目標があるのですが、その年度に加入されなかった法人に対する目標はないのです。翌年度以降のフォローはどうなっているのでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 加入というのは、あくまでも新規加入法人の電子届出システムの加入ということですので、電子届出システムを御利用されない場合には紙で提出していただくということです。

 

○園田構成員

 では、どちらかということですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 そうです。

 

○真野主査

 よろしいでしょうか。それでは次です。次は1個だけBがあります。Bですので、少し早めにお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

28ページ、「心身障害者扶養保険事業」、自己評定Bです。こちらについては、障害をお持ちの親御様に生命保険に入っていただいて、親御さんが亡くなられたときに、障害児の方に月2万円の年金をお支払いするという制度です。そういった中で、やはり運用の関係が一番大きなポイントかと思われます。ここでは、2つ目の○にありますように、基本ポートフォリオについては、その乖離の把握回数、基本方針の見直し・検討、運用環境の検証といったものを適切に実施しています。パッシブ運用が性格的に求められており、3つ目の所にありますように、扶養保険資金の運用利回りについては、こういった厳しい環境の中、資産合計で年1.26%を確保できたというところで評価をしております。

 それから、下の所になりますが、やはり機構の自主的な対応ということで、今、実質的な事務をしているのは地方公共団体の方なのですが、処理についてかなりばらつきがあります。そういったものについて意見交換を行いながら横展開をして、事務のばらつきをなくすというようなことを対応させていただいたというところです。意見交換会の終了後の担当者満足度調査をしたところ、98%の参加者から満足した、との回答が得られました。以上です。

 

○真野主査

 何か御質問はありますか。よろしいでしょうか。次は1-8をお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

30ページです。「WAMNET事業」、自己評定Aとしています。評定理由の1つ目ですが、ここは御承知のとおり、平成283月に、社会福祉法の改正により、社会福祉法人の事業運営の透明性を高めるため、財務諸表の公表について法令上明記されました。システム構築に当たり、現行のWAMNETインフラ基盤というのは、性能やセキュリティにおいて求められる基準を満たしていることから、WAMNET基盤を使って公表していくという方針が出たところです。こちらについて、厚労省とも調整をしながら、一般競争入札により、設計開発業者まで選定することができました。また、2つ目、3つ目、4つ目ですが、情報の質、量の向上に努めております。そして、これらの取組により、ヒット件数、満足度指数については前年度を上回る実績を上げたことから、総合的に判断しまして、A評価とさせていただきました。

31ページの所が、今申し上げました社会福祉法人の財務諸表等電子開示システムの構築に着手ということで、効果としましては、国民に対する法人情報の提供や、財務諸表等のデータの一元化等々が期待できるということになります。

 左の中ほどに「連絡用掲示板の設置」とありますが、こちらはWAMNET基盤を機構全体で活用していこうという方向性があります。先ほど申し上げました、このWAMNETというのは性能、セキュリティにおいて、かなり高いレベルを持っていることから、外部団体との連絡に、WAMNETの基盤を活用することを平成27年度から実施しています。それから、退職届出システムや、一番右下の事業報告書システムといったものを行っています。

 また、「基盤の活用」の下になりますが、介護報酬改定の影響等に関するアンケートについては、例えば、WAMNET基盤の中で、お客様が社会福祉法人の方だけに連絡が行くようにできますので、必要な先に対してアンケート調査をするとか、「及び」の所に書いていますように、先ほどのいわゆるWAM短観も、このWAMNET基盤を活用して行っています。

32ページの所は省略しますが、コンテンツの質と量の充実を図っております。33ページについては、「利用者数及び利用者満足度の向上」について、これまでの取組に加えて、申込方法の簡素化、手続の迅速化を図るため、イベント、セミナー情報のウェブ上からの申込や、見やすさを追求した取扱いをしています。その結果、ヒット件数は計画達成、満足度についてもこの3年間で順調に上がってきており、既に目標自体が90%という中で、95.1%という高い満足度を得ています。以上のことから、総合的にA評価とさせていただきました。

 

○真野主査

 御意見などはありますか。

 

○園田構成員

WAMNETについては、良いサービスなのだとは思うのです。ただ、それがなぜA評価なのかがよく分からないのです。Aにされた理由だけを教えていただきたいです。Bと違う理由です。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 端的に申し上げれば、30ページで、まず、国が押し進めようとしている社会福祉法人の財務諸表の公表について、新たにWAMNET基盤を活用することになり、相当準備がかかったこと。それから、これは継続的な部分ですが、質、量の向上を図っている。さらに、お客様の評価としても、ヒット件数、満足度指数というのがかなり高く出ているといったことから、A評価とさせていただいたというところです。

 

○園田構成員

 一番最初の話なのですが、国の方針に従った仕事をするというのは、こういう独法の基本的な仕事の内容なのではないのですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 それは当然ではありますが、今までにない新たな業務に着手したというところで、私どもとしましてはそこを評価しているというところです。

 

○園田構成員

 そうすると、新たな業務をするとA評価になるという考えなのですか。

 

○福祉医療機構理事(須田)

 今の関連ですが、今回、数量的にはヒット件数が125.4%の達成度、満足度については95.1%ということで、過去にこのWAMNETに関してアンケート調査を行った中では満足度としては過去最高を記録したというところです。

 それから、平成27年度においては、今、社会福祉法人のデータベースの話が出ましたが、それ以外にも制度解説のページの新設、ハンドブック、しごとガイドの全面改訂、それから、授産品ギャラリーということで、障害者の施設の芸術品などを開示するシステムがありますが、これが46事業所から113事業所ということで、143%のアップというところです。それから、経営情報コーナーについて大幅に充実させたということ。イベント、セミナーについては、ウェブ上で直接入力するシステムを導入したということ。行政情報の閲覧ランキング、あるいは「都道府県RSS」といった機能について分野別の掲載を導入したということ。連絡用の掲示板ということで、WAMNET基盤の活用。自己収入で、バナー広告によって収入を得ているのですが、これについては後でまた出てまいりますが、特にこの取組について積極的な募集を行ったということが、特に会計検査院の報告書の中でも取り上げられたというような評価を頂いています。したがって、数値的ないし質的な側面においても、WAMNETについては昨年以上の取組をしたと我々としては考えているところです。

 

○園田構成員

 ヒット件数なのですが、前期の実績値が14,384万件なのに、目標値が7,000万件で半分にしているのですが、この理由は何かあるのでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 これについては、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」というものが平成2212月に閣議決定されています。その中で、国と重複する情報については要らないだろうという話があり、具体的には介護事業者情報については取りやめをしたことにより、ヒット件数の減少が見込まれたことから、目標値を変更したという経緯があります。

 

○園田構成員

 変更した理由は分かりましたが、7,000万件の根拠は何なのですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 それは、介護事業者情報の取りやめに伴う減少の件数を考慮して推計したもので、実際に当時直近の平成2410月から平成251月の実績を年間実績に換算しますと約7,000万件ということで、設定したものです。一番使われていた介護事業者情報がなくなることによって、その影響で他の部分ももう少し多く減るのではないかという見込みの中で、同数を置いたところです。

 

○園田構成員

 同数ということは、努力目標などは入っていないという目標なのですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 ですから、そこは大幅な減少が見込まれたわけです。つまり、WAMNETは介護情報というものがかなりメインで、かなり有効だというような評価も頂いておりましたので、それがなくなってしまうということや、他の項目へのマイナスも予想される中、同数を置くことで目標としては高く置いているといった認識です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。よろしいですか。では、1-9Bですので、早めにお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

34ページ、「年金担保貸付事業及び労災年金担保貸付事業」です。ここは評価の視点の2つ目を御覧いただくと、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」に基づき、国の計画に従って適切な措置を講じているかという中で、評定理由の1つ目で、平成224月の刷新会議の事業仕分等々を受けまして、国において平成253月に作成した事業の廃止計画に基づいて、事業規模の縮小を図ることが求められておりました。平成27年度においても、過去に制度改正を何度か行ってきており、現状では必要で無理のない貸付に限定されており、事業規模の縮小についても図られているというところです。そうは言っても、これはなかなか、銀行ではお金が借りにくいお客様が多いものですから、制度周知も適切に行っており、また、お客様の利便性の向上のため、電話対応も24時間の対応サービスの開始をさせていただいたというところです。

 具体的には35ページを御覧いただくと、実績については、一番右にありますように、既に年金担保については年間で560億円、ストックベースは878億円で、真に必要な金額であり、一時的な資金需要は根強く存在しているだろうと考えています。

 一番最後の所になりますが、今現在、国において廃止の時期を国が判断する、十分な代替措置があった上で廃止の時期を判断することとなっておりますので、今御利用の1万人のお客様に対しましてアンケート調査を行って、それを国に情報提供していきたいと考えております。以上です。

 

○真野主査

 これはよろしいですか。では、かなり遅れていますが、1-10です。これはA評価ですので、よろしくお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

36ページ、「承継年金住宅融資等債権管理回収業務」です。こちらは従前、年金福祉事業団が行っていた事業を承継したものであり、新規は、既に平成171月に停止しており、最終貸付年度が平成17年にはなりますが、最長35年のローンを組んでいるということになります。よって、平成50年ぐらいまで最終的な回収は続くだろうと思われます。

 その中で、やはり年金特会に対して元金を着実にお返ししていくことが使命となりますので、評定理由の1個目ですが、破綻した保証会社に代わって、金融機関が転貸法人に対して弁済を行う現行の第三者弁済契約というものがあるのですが、こちらの契約期限が平成29年度に到来します。このままではなかなか適切な回収ができなくなるおそれがありますので、一昨年、昨年と交渉を重ねまして、最終的に関連転貸法人と、213の金融機関全てと合意形成を得ることができ、この第三者弁済契約が更に10年間延長されることになりました。実際の運用は平成30年からの話になります。その中で、転貸法人の数が減るとか、統合などが出てきますので、費用削減が10年間にわたって25%ぐらい出てくるものだろうと考えております。

2つ目の所では、承継年金住宅融資の貸付先については、年1回の財務状況等の把握や、下から2つ目の「回収元金については」という所で、約定延滞防止や今後の償還計画の確認の観点から、取り組んできた約定前の事務説明について今まで20社に対して行っていたものを、これは直接貸付になりますが、貸付先の90社すべてに拡大することによって回収率が大幅に増えたということ。また、その後にあります、福祉医療機構法の改正を行い、今まで回収元金を年1回、年金特会にお返ししているところを、効率的に行うために年4回に改めたという法律改正を行っております。

37ページを御覧いただくと、当該事業は平成18年から私どもに承継しておりますが、貸付金残高が平成17年から直近の平成27年度末まで、37,000億円が現行8,000億円になり、承継時より29,000億円ほど回収を図っています。つまり、78%を回収したということになります。37ページの左下に、適時的確な回収を行うため、すべての貸付先に対して説明をしたことにより、平均回収率が51%となり、通常の倍ほど増えていることになります。

38ページですが、「第三者弁済契約の延長に向けた合意の形成」。先ほど、破綻した保証会社に代わってというお話をさせていただきましたが、この契約が平成29年に期限到来しますので、平成26年からいろいろアクションを起こしまして、平成283月、13の転貸法人及び213の関係している金融機関と調整し、合意形成を実現することができました。

 右を御覧いただくと、7転貸法人が合併して新たな法人を設立するという方向で、今、動いています。合併により財務状況は改善することになり、7転貸法人が1転貸法人になりますので、役員報酬の効率化などの費用等が大幅に削減できるものと思われます。最終的には、下の右にありますように、7転貸法人の新設合併により、13転貸法人を6転貸法人に再編することを通じて、転貸法人、関係金融機関全てから10年間の延長の合意を得ることができ、今後の機構債権の安定的な管理回収に寄与できたと考えております。

39ページは、「回収業務における国庫納付の複数回化」につきましては、先ほど申し上げましたが、年1回を4回に増やすという取組を実施しました。一番下を御覧いただくと、回収した資金の年金給付の財源への活用の迅速化により、年金積立金全体の運用効率を高めることにより、公的年金の給付財源に結び付く一層効果的な枠組みが実現できたことから、A評価とさせていただいたところです。

 

○真野主査

 御意見などはありますか。これはよろしいですか。これで前半が終わった形になります。この後に業務運営の効率化、財務内容の改善、その他業務運営に関する重要事項に入りたいと思います。これは最初の所がずっとBですので、2-1から4-1をまとめてお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 まとめて御説明させていただきます。40ページの「業務・システムの効率化と情報化の推進」という所で、評定理由を中心に御説明いたします。40ページの1個目の評定理由については、業務・システムの最適化計画につきましては、各事業の入力作業の委託業務の調達に当たっては、今までは公平性を配慮して単年度計画だったものを、費用対効果を考慮しながら複数年契約による業者を選定しました。この結果、業務のシステムの効率化が図られたというところです。

3つ目は、先ほどの社会福祉法人の財務諸表等電子開示システムの構築については、質の高い設計・開発業者を選定することができました。今後のシステム設計から展開に向け、大きな前進が図られたものと考えております。

CIO補佐官によるIT人材育成のための研修とか、専門性向上のための外部研修、CIO補佐官による昨今の政府機関等に対するサイバー攻撃等を踏まえた情報セキュリティの現状に係る研修などを実施しているところです。

42ページ、「経費の節減」、自己評定Bです。評定理由としては、一般管理費の節減について、中期計画に向けて順調に推移はしておりますが、一般管理費は上の評価の視点にあるように、平成24年度比で一般管理費を9%削減するとの目標に対して8.7%になり、一部達成をしていないというところです。業務経費については39.5%で、大幅な削減をしております。

3つ目の随意契約の適正化については、43ページの左の下の平成26年度、平成27年度の青い部分を御覧いただくと、件数、金額ともに減少しており、適正に実施をしております。

4つ目の「給与水準について」で、国家公務員と同水準というのが目標になっております。ここについては下から2行目、「年齢・地域・学歴差を勘案したラスパイレス指数は100.9」ということで、若干増えております。しかしながら、前回の事業見直しの中で、宿舎については全廃とうたわれておりまして、今それに対する処分等を行っているところです。宿舎に入っていた職員に対して、住居手当を払わざるを得ない部分がありますので、そういったものを考慮すると100.3%で、昨年度と同水準を維持していると考えています。一般管理費については、あくまでも単年度としては目標を達成しておりませんが、第3期の中では十分達成できる水準にはあるという認識をしております。

44ページ、「財務内容の改善に関する事項」については、まず1点目の評定理由です。自己収入の確保については、45ページを御覧いただくと、運営費交付金以外の収入確保という意味では、経営指導収入、WAMNETの事業収入というのがあります。こちらについては、目標値を上回る水準を確保できております。

44ページの2つ目の○になりますが、財投のほかに貸付財源として債券を発行しております。IR活動を積極的に実施したことにより、例えば年金担保3年の270億円については、過去2番目に低い金利水準で調達ができ、一般勘定分の10年債、100億円については、過去最低の利回りで調達することができました。

3つ目の保有資産の見直しについては、宿舎の関係ですが、基本的に国庫に売却したものをお返しすると。これについては、処分できたものから順次国庫納付をしております。

46ページ、「効率的かつ効果的な業務運営体制の整備」について、1点目のガバナンス態勢の更なる高度化については、47ページを御覧いただくと、平成27年度の業務運営体制の見直しについて、先ほどの福祉と医療の統合、リスク管理部門の拡充を図り、ガバナンスの高度化を進めております。平成28年度からは、更に企画室を再編して現在の企画管理部を創設し、ガバナンス態勢の高度化を図っております。また、先ほど申し上げた福祉医療貸付部の中にNPOリソースセンターを置いて、顧客サービスの向上を図っております。

46ページの2つ目、トップマネジメントを補佐する経営企画会議を効率的に開催、役員連絡会を定期的に開催し、役員間の意識の統一を図っております。46ページの一番下、東日本大震災の対応について、積極的に対応しております。災害救助法の適用となった鬼怒川決壊といった部分についても把握をするとともに、熊本地震についても新たな融資メニューを作って積極的に対応している状況です。以上になります。

 

○真野主査

 ありがとうございました。何か御質問や御意見はありますか。

 

○五十嵐構成員 

43ページの「一般管理費等の削減」の所で左側の絵ですが、「中期計画達成に向けて順調に推移」とトレンドが書いてあります。普通このトレンドで順調に推移とは、多分評価しないのではないかと思うのですが。つまり、ここへきて増えてきていますから、これがどうして平成29年度の目標に向けて順調に推移していると評価されるのでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 まず、平成27年度の単年度の状況を申し上げますと、顧客情報保護・セキュリティ強化のため、機構内の受付窓口を設けるなど一時的なお金が掛かっている部分がありますので、それが来年以降はなくなるとか、事務所のフリーレント期間1か月分が来年には加味されます。このようなことから、平成29年度までには予定を達成できるという見込みをしております。

 

○五十嵐構成員

 フリーレント期間が。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 事務所借料の12分の1か月が、契約上無料になる期間が発生するのです。

 

○五十嵐構成員

 これは一般管理費の削減の話ですよね。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 はい。

 

○五十嵐構成員

 フリーレントということは、経費を払わないほうですよね。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 そうです。

 

○五十嵐構成員

 それがなくなったら経費が増えるはずですよね。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 いや、今は12か月分払っているのですが、それが来期には11か月分で済むということです。

 

○五十嵐構成員

 これからフリーレント期間が発生するという意味ですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 そういうことです。

 

○五十嵐構成員

 それは当然当たり前ですが、普通の事態ではないわけで、今後フリーレントは当然なくなるわけですよね。平成29年度には当然また経費が発生するわけで、それがどうして平成29年度に向けて現状の状況で水準が達成できる原因になるのですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 そこは、今後もそういった期間については引き続き会社のほうと交渉していくと考えています。

 

○五十嵐構成員

 いずれにしろ議論してもしようがないのですが、これで順調に目標に向かっているとは、普通は評価しないと御意見を申し上げて終わりにしたいと思います。

 

○福祉医療機構理事(宮地)

 今年度は家賃の改定期間で、平成28年度、平成29年度の2年間の家賃の交渉を終えております。その交渉の結果として、平成28年度について1か月分、平成29年度についても1か月分のフリーレントの期間を獲得しております。それによって、平成27年度に比べて平成28年度、平成29年度については、それぞれ1か月分家賃が減りますので、それを加味しますと計画が達成できるという状況です。

 

○五十嵐構成員

 要らない議論をしてもしようがないのですが、家賃が減りますという話は、確実性とか周りの賃貸状況で変わるので、相対的な話でこういうトレンドで達成できるという評価は普通はしないということだけは申し上げて終わりにしたいと思います。

 

○園田構成員

 今の質問に関連して、業務経費については、初年度から大幅な達成状況だと思いますが、この業務経費に関しては、全ての業務経費を含んだ数字での目標ということでいいのですか。それとも何か一部だけでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 基本的には含んでおりまして、特に大幅な減少の理由としては、WAMNETの新システムに移行した際に、クラウド環境を導入したというところで、大幅な減少を図られている状況です。

 

○園田構成員

5億円ぐらい減少することができたということですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 そうですね。平成24年度は63,500万円が、直近では19,000万円ぐらいですので、かなり大幅な減少を図られたと。

 

○園田構成員

 毎年度払うということですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 そうです。

 

○松原構成員

 競争性のない随意契約がまだ6件ぐらいあるということですが、これは相見積も取らないということですか。具体的に事例としてどんなものがあるのか教えてください。

 

○福祉医療機構企画管理部長

6件の内訳としては、業務システムの運用・保守が2件。財務諸表の官報掲載が1件。事務所のレイアウト工事ということで、事務所は指定した業者しか入れないため、これが2件ありました。あとはオンラインネットワーク環境の構築が1件。合計で6件になります。事情やむを得ないものと考えております。

 

○真野主査

 それでは、次の4-2は自己評定Aですので、ただ時間も関係あるので効率的に御説明をお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

48ページ、「業務管理の充実」、自己評定Aになります。こちらについては、評定理由を御覧いただくと、ガバナンス委員会を毎月開催させていただいておりまして、リスク管理に係る各種モニタリング活動の報告、関係規程の見直し、研修などで、ガバナンスの高度化を図っております。

2つ目の、平成27年度リスク対応計画に係る実績評価等を実施して、金融検査マニュアルの各項目はかなり多いのですが、こちらに対してずれを確認及び認識をし、PDCAサイクルで改善を行っております。

3つ目の情報セキュリティ対策について、技術的対策をしつつ、人的な対策も図り、ネットワークの二重化を行って、万全なセキュリティ環境を整備することができました。さらに、技術的対策とは別に、人的な対策を講じる意味で、様々な研修を実施しました。3行目にあるように、標的型攻撃メール対処訓練を行って、職員の意識の向上が図られ、ガバナンスの更なる高度化の推進とともに、情報セキュリティ対策の強化を図ったことから、A評価とさせていただきました。

49ページ、ガバナンス委員会を毎月開催して、リスク管理に係る各種モニタリングを実施するとともに、リスクベースアプローチによる内部監査や、災害時想定訓練を通じたBCPの見直し。金検マニュアルの項目に対応したリスク対応計画の実績評価。PDCAサイクルを通じた改善活動等々を行って、内部統制の更なる充実・強化を図ったところです。

50ページ、「情報セキュリティ対策の強化」で、機構はどのぐらいその個人情報を持っているかについては、左を御覧いただくと、貸付から共済の関係等々で210万件ほどの個人の重要情報を扱っております。右を御覧いただくと、平成2761日に日本年金機構による個人情報流出事案が発生したことから、赤色の所まで飛んでいただくと、1か月間においてネットワークの二重化を実施し、さらに、ブルーの928日までにPC2台体制による完全二重化を実施することができました。

51ページ、「情報セキュリティ対策の更なる推進」について、左側の部分、平成27年度の取組については、技術的対策部分としてはネットワークの二重化、メール受信時の確認画面の強化、フリーメールの遮断、ファイルの自動暗号化を実施しました。平成26年度は2つほどの取組を行っていたところ、平成27年度には、例示ですが全体で8項目にわたる技術的な取組を実施いたしました。

 これに加えて、右側の人的対策では、標的型攻撃メールの対処訓練について、平成26年度、平成27年度で添付ファイルを開封したか、しなかったかという訓練を実施した中で、平成27年度には未開封が大幅に増えております。今後も様々な研修を進めていくこととしています。

 現状では、技術的な取組の中で、三重のセキュリティ対策を行っております。具体的にはWAMNETの入口とか、機構のネットワークの入口、職員のパソコン上、そこでウイルスの検知、遮断を行っております。そういった中で人的対策にも力を入れているという状況です。以上です。

 

○真野主査

 何か御質問等はありますか。

 

○園田構成員

 今の説明ですと、なぜAなのかよく分からないのですが、BからAになる理由だけを教えてください。

 

○福祉医療機構企画管理部長

2つあります。1つはガバナンス委員会の高度化が図られているという部分。情報セキュリティ対策についても、正に大きな情報を抱える中、速やかな対応をしたという2点です。

 

○園田構成員

 いずれもこういう仕事の組織だと当たり前のように私は思うのです。ガバナンス担当の方に伺いたいのですが、先ほどから私が目標値の設定が甘いのではないか、結果として実績の認識も甘くなっているのではないかと、再三指摘させていただいたのですが、ガバナンス担当の方はそういうことはどういうふうに認識されているのか、意見を伺いたいです。

 

○福祉医療機構理事(須田)

 先ほど来、目標の在り方、目標に基づく今回の評価の在り方について、いろいろ御指摘を頂いているところですが、現在の数値目標については、適正な手続、少なくとも関係する学識者の皆様方の御意見を頂きながら、適正な手続を経て設定をされてきたという経緯があろうかと思います。また、独法通則法の改正によりまして、しかるべく経過措置が設けられて、今回の数値目標については基本的には有効に成立すると考えることができるかと思います。既に昨年度、新しい独法通則法改正後の評価制度において、つまり、新制度下において現行の数値目標を前提とした評価がなされてきているというところです。

 当方としては、あくまでも自己評価ということです。自己評価の在り方については、少なくともこれまで手続を経て有効に成立した目標に照らし合わせて、また昨年度の評価の過程に照らし合わせて、法人としてどういう評価をするかということについては昨年度と同様、ないしはそれ以上の実績あるものについては、それに従って自己評価をさせていただいたと考えております。

 

○園田構成員

 手続が正しいとおっしゃいましたが、私が言いたいのは手続ではなく、水準が正しいかどうかです。目標値としては水準は正しいとお考えですか。

 

○福祉医療機構理事(須田)

 目標については、主務省から当法人に対して中期目標として示され、当法人は中期目標に従って中期計画を立て、更に各年度については年度計画を作成してやっていくという一連の流れの中でやっておりますので、当方としてはこの数値目標については、現時点においては適正であると考えております。

 更に目標だけではなく、その目標を達成するに当たっては、先ほど貸付のところで申し上げたように、相当の効率化を加えていると。補足説明をし忘れましたが、助成事業のところにおいても、職員の数を減らす、あるいは審査に当たる委員の数を減らす。更にその取組についてもグループ審査のような新たな効率的な手法を導入することによって、現在の数値目標を達成する。助成については、数値目標を上回る結果になったわけです。こういったことで総合的、定量的、質的な判断を頂くことになるのではないかと思います。あくまでも我々の自己評価ということですので、これはこれまでの経緯に従って法人として評価をさせていただいたということになろうかと思います。

 

○園田構成員

 そうすると、ガバナンス担当の方も現状は分かっていてやっているということでよろしいわけですね。

 

○福祉医療機構理事(須田)

 当然でございます。

 

○真野主査

 よろしいですか。それでは、最後の項目です。これはBですので、適切にお願いします。

 

○福祉医療機構理事(須田)

 セキュリティの関係で補足ですが、先ほど技術的対策については、前年度2項目に対して今年度は8項目と申し上げましたが、実は今年度当初におきまして、紙媒体で出力をする際に、その漏洩を防止するために、ICカードを全職員に配付して、その紙媒体が漏洩しないように平成27年度中に措置を講じて、今年度当初から実施したという経緯があります。

 外部にメールを送信する際には、確認画面が従前から表示されるようにしたわけですが、個別のチェックの所に入力をしなければ送信できない。こういった新しい技術的な対応も取ったところですので、正確には8項目ではなく10項目ということになろうかと思います。したがって、前年度2項目に対して、今年度は10項目ということです。

 人的対策については、標的型攻撃メールの訓練について未開封率が97.6%と申し上げておりますが、その後、全職員に対して自己点検という作業を行っております。これによって、28項目に対して全て遵守率が100%になっていることを補足して申し上げたいと思います。

 

○真野主査

 それでは最後の所をお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 最後になります。52ページ、「人事に関する事項」になります。5253ページの両方を御覧ください。まず、人員に関する指標について、53ページの右を御覧いただくと、期初の定員299名に対して、年度末は259名となり、目標を達成しております。

52ページの2つ目、管理職の参事制度の見直しについては、年齢到達により管理職から外れるとか、給料を下げるといった取組を実施しております。一方で、女性登用の取組についても、積極的に行っております。

 人事評価制度については、53ページを御覧いただくと、平成15年度から導入して、現行、個人目標の明確化による職員の意識改革ができているだろうと考えております。引き続き研修等を行って、独法としてのスキルを上げていきたいと考えております。以上です。

 

○真野主査

 何か御質問はありますか。よろしいですか。なかなか評価というのは難しいもので、これまで有識者会議ということで、主務大臣からの最終的な評価において我々は議論させていただくということで、今回、特に全体からの指摘もあったと思いますが、目標値について非常に白熱した議論になったわけです。これはどこまで有識者会議の権限なのか分かりませんが、目標値については、今後またいろいろ議論していくことになるかと思っております。Bはとにかく標準ですので、Bだからまずいというわけではないという話も、最初に審議官からも出ましたように、そんなふうに考え方が変わったというところで、多少混乱があるのかもしれません。

 次に監事から、業務の監査結果等をまとめた監査報告について御説明いただき、監査を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針についてコメントをお願いします。

 

○福祉医療機構監事(太田)

 福祉医療機構の太田と申します。それでは、平成27年度の監事監査結果の概要と業務運営の状況について、監事の意見を述べさせていただきます。監事監査結果については、1枚紙で財務諸表の下、資料1-4の「監査報告」に記載のとおりです。この監査報告については、厚生労働省令で定められた記載事項に準拠して、総務省の記載例等を参考にして作成しています。

 我々監事は、役員会、経営企画会議、ガバナンス委員会等の重要な会議にもちろん出席しております。あとは調達等合理化推進委員会や審査会などの主要な委員会にも出席して、積極的に意見を述べるとともに、全ての理事長決裁書類の内容確認を行って、当機構の通常の意思決定過程や、業務執行の監視モニタリングを日常的に行っているということです。

 また、監事監査指針等に基づいた監査事項である全体のコンプライアンスや中期目標達成への取組状況、内部統制システムについてや、過去の閣議決定で定められたチェック事項である給与水準や保有資産の見直し、入札・契約の状況などについては、担当部署の監査及びヒアリングなども行って、重大な問題等は発見しておりません。したがって、業務執行が全体に総じて適正に行われていることを確認していることを述べたいと思います。

 次に、業務運営の状況に関してです。当機構においては、役員連絡会、経営企画会議、ガバナンス委員会等を通じて、理事長の経営方針、指示等が明確に示されている形になっております。経営陣が業務の進捗や実現に向けて、しっかりと目標管理を行っております。中期目標の達成や効果的な業務運営の実現に向けたPDCAが、しっかりと回っていると考えております。その結果として、先ほど業務実績でも説明したとおり、各事業それぞれが政策実施機関として求められる役割をしっかりと果たして、相応の成果を上げていると監事としては評価しております。

 最後に監事として、今後さらに力を入れてもらいたい課題として、貸付先の経営支援について少し触れさせていただきたいと思います。当機構のお客様である社会福祉法人、医療法人の経営環境が、介護報酬、診療報酬の改定や、よく新聞にも出ているように、スタッフの確保などで非常に厳しさを増している状況です。

 貸付先の業況把握を強化して、早い段階から経営を支援していくことが信用リスク管理面及び福祉医療の基盤維持の観点から非常に重要になってきていると考えております。

 当機構は数年前から、債権管理部門もそういった状況の中で充実してイエローゾーン先の抽出を始めたり、貸付先の管理、支援を強化してきましたが、今後も引き続き経営支援が必要な先の早期発見に努めて、支援先も増加させたいと思います。

 一方で、経営サポートセンターという部署がありますので、そちらと連携等強化して、貸付先の経営改善に結び付けることが政策金融を担う独法として社会的に求められている重要な使命と考えておりますので、その辺を監事としても見ていきたいと思っております。以上、監事の意見とさせていただきます。

 

○真野主査

 それでは法人の理事長から、日々のマネジメントを踏まえて、今後の課題や改善などについてコメントを頂ければと思います。よろしくお願いします。

 

○福祉医療機構理事長

 理事長の中村でございます。まず、日々のマネジメントを踏まえた現状認識ですが、機構の業務運営、内部統制ともにPDCAのサイクルがよく機能しておりまして、会議体は活発ですし、攻守両面においてスピード感に富む組織と私は認識しております。

 私は昨年10月から理事長を務めておりますが、その前には信託銀行で長らく業務経験を積んだほか、日米合弁の証券会社、日本のものづくりのメーカー、金融テクノロジーを駆使する米国企業など、様々な企業の組織運営に参画してまいりました。それらとの比較においても、機構の業務の有効性及び効率性、向上に向けた活動を含めた組織の総合的健全度は極めて高いものと認識しております。これには2つの要因が強く作用していると認識しております。1つは、整理された機構の統制体系。もう1つが、機構役職員の高い使命感です。

 前者については、独立行政法人改革の流れに当初より真摯に取り組み、業務の有効性及び効率性の進化のために努力を着実に重ねてまいりました。例えば、ガバナンス委員会での透明性を確保した上での議論による統制。現業、コンプライアンス、監査室の3部門による統制。つまり、3ラインズ・オブ・ディフェンスによる複眼的なモニタリングと牽制機能。また、ぶれのない業務執行に必須で、グローバルな流れでもあるドキュメンテーションによるコントロールを実現するための規則、規程の整備についても、その趣旨と目的をよく理解の上実践されております。

 加えて、ICTによる顧客負担軽減、機構事務効率化など着実に進めておりますし、情報漏洩対策としてのシステムの二重化も、昨年の秋に実現をさせております。組織の統制インフラは、時代の要請も含め、必要な機能を1歩ずつ着実に積み上げるプロセスが機構ではよく機能しており、大変しっかりとしていると認識しております。

 もう1つの要因は、医療金融公庫、社会福祉事業振興会という、設立当初からの人間の尊厳に関わる福祉医療基盤の整備向上に尽くすという使命感であり、公的サービスでまかない切れない福祉医療基盤については、民間施設の自助努力を支援することが必要という強い思いでもあります。

 福祉医療機構法、通則法に定められる使命のみならず、憲法にもうたわれる国の責務である福祉の増進を担うという意識が役職員にはあります。さらには、日本の文化心情にも合致する人の尊厳に関わる部分での共助に携わっていることが、機構の活動を魂あるものにすることに貢献をしております。

 運営については、機構運営理念である民間活動応援宣言を掲げ、福祉医療基盤に従事する民間活動を支援することを、役職員が広く共有して臨んでおります。その上で、機構運営哲学として、永続する進化を明示し、業務の更なる有効性・効率性をはじめ、内部統制も含め、立ち止まることなく使命全うのため進化し続けることの重要性を発信しております。

 また、課題に迅速かつ適切に取り組むため、行動の指針を示しております。まず、課題に対して受身や待ちの姿勢になることを極力減らし、自ら解決に向けて動き出す能動性。次に社会経済情勢や福祉医療基盤、さらには個別課題についても、将来の姿、展開を想定しながら活動する将来予見。3番目に、目的遂行のために、機構内外の知恵や執行力を最大限活用するダイバーシティの活用を示し実践させております。業務における指示や会議運営においても、この言葉そのものを明示することも含めて、さらなる実践力の強化につなげております。

 今後の課題ですが、政府が少子・高齢化にしっかりと取り組む方針を定める中、政策の実施・実現の一翼を担う機構が進化し続けることです。このことは結果として、福祉医療基盤を支える日本各地の施設が厳しい報酬改定や、平成54年までの高齢者人口の増加、その後の減少も含めた大きな環境変化に対しても、強い組織適応力を発揮することにつながらなくてはなりません。

 また、社会経済状況の変化により、様々な新たな弱者問題も出現する中、国の施策だけではフルにはカバーできない弱者の支援を、民間の視点と多様な柔軟性で支えるNPO等の民間活動が、機構の助成により定性・定量の両面において、さらに効果的・安定的となることとして結実することも必要です。

 厚生労働省傘下の組織として、自らもワーク・ライフ・バランスの改善や、障害者への合理的配慮の実践、そのほか働き方の改善も含めて実現し、その上でトップクラスの独立行政法人として実績をたたき出し、進化を続けることで機構の社会における役割分担を全うしてまいりたいと思っております。

 最後になりますが、本日は多くの御意見を頂きました。大変ありがとうございました。多様な知見に基づく御意見、これは機構の更なる発展と進化の道標になるものと確信をしております。本日のこの場が、私どもにとりまして有益な気付きの場となりましたことについて、重ねて御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。

 

○真野主査

 司会の不手際で時間が延びてしまいましたが、最後に、今回の評価に対して今後の取り扱いについて事務局から説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、法人から説明がありました業務実績及び自己評価に対して、構成員の皆様方から寄せられた御意見や、法人の監事及び理事長のコメントなども踏まえて、厚生労働大臣による評価として決定し、その評価結果について法人に通知するとともに公表いたします。また、決定した内容については、後日、構成員の皆様方にもお送りいたします。

 なお、次回の開催については、815()10時からを予定しております。場所は、厚生労働省3階の共用第6会議室です。議題としては、医薬品医療機器総合機構の平成27年度業務実績評価について御意見を賜ることとしております。

 最後に、本日配布した資料の送付を御希望される場合は、事務局より送付いたしますので、机の上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○真野主査

 本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり、どうもありがとうございました。

 


(了)

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