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2016年5月27日 第114回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

職業安定局総務課

○日時

平成28年5月27日(金) 15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省専用第21会議室(17階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○阿部分科会長 ただいまから、第114回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。本日の委員の出欠状況です。公益代表は岩村委員、太田委員、鎌田委員、労働者代表は青木委員、勝野委員、清水委員、松原委員、使用者代表は鈴江委員、深澤委員、森下委員、吉岡委員が御欠席です。

 議事に入ります。熊谷委員の到着が遅れており、現在、定足数に足りていない状況ですので、諮問の答申をすることが現状ではできません。そのため、議題(1)は後に回させていただきたく思います。熊谷委員が320分過ぎには到着するのではないかと聞いておりますので、熊谷委員が到着した後に、議題(1)を御議論いただきたく思います。

 議題(2)「労働移動支援助成金の見直しについて」に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、「労働移動支援助成金の見直しについて」、事務局より説明をお願いします。

○労働移動支援室長 それでは、議題(2)「労働移動支援助成金の見直しについて」説明いたします。資料No.2、「労働移動支援助成金の見直しに関する意見等の概要」を御覧ください。前回お示しした各論点について見直しの方向性の案を事項欄に掲げて5つに分類した資料です。1ページは1.支給要件に関するもの、3ページは2.支給要件の確認方法、4ページは3.助成内容、6ページは4.同意条件と、5.その他という5項目に分けております。

 その上で、この資料の真ん中ですが、事項ごとに前回の513日の分科会で各委員からいただいた主な意見のポイントを●、その際、事務局から説明した内容については◎、また、本日さらに補足的に付け加えた内容を○でお示しいたしました。また、表の右の欄については、事項ごとに、仮にその事項を実施しようとした場合について、予算措置、省令改正、要領改正のいずれが必要になるかをお示ししたものです。

 例えば、4ページの通番79の予算措置の欄については△としております。これは予算の減額となる事項ですので、財務省の了解で足りるという意味合いのもので、すぐに対応が可能な事項という整理です。また、10番については○が記してありますが、これは予算増額要因ですので、平成29年度の概算要求、又は今後の補正予算について予算措置が必要となるという整理です。省令改正もそれに合わせて行うということになるものです。

 資料の説明に入ります。1ページは、1「支給要件」に係る論点です。紹介会社と退職コンサルを行う会社等との連携がある場合に不支給とすることについてです。委員からは不支給とすべき、両者に連絡がないと再就職がうまくいかない場合等もあるので慎重に考えるべき。関連企業の場合を不支給とするしかないのではないかとの御意見がありました。

 事務局からは前回、両者の連絡があれば全てを不支給とするものではなく、両者が一体である旨を事業主が承知していた場合には不支給とする旨を説明しておりますが、今回、補足として○の部分となります。連携がないと再就職がうまくいかない場合があるとしても、退職コンサルによって再就職支援対象者を作り出してしまうという危険性との兼ね合いを考える必要があるのではないかというコメントを追記させていただいております。

 通番2、本人が紹介会社を選ぶことについてです。これについては、本人の希望によって企業の契約の自由を縛ることは適当ではない、複数の紹介会社を選べるのはよい等の御意見がありました。事務局からは、この取扱いは助成する場合の要件であり、行政が民間同士の契約を縛ろうという意図はない旨を説明しております。

2ページです。通番3は、大企業への助成対象を30人以上の場合に限定するという事項です。通番4は、人員削減がやむを得ない場合について助成対象としてはどうかという趣旨で、組織単位の赤字若しくは生産量の低減を支給要件とすることについて記載しております。これについては、やむを得ないリストラかどうかは外部から判定できない、本助成金は経営が立ち行かなくなってリストラを行う企業で働いていた労働者を救う制度であるのだから、そうでない企業を対象にすべきでないという御意見がありました。

 事務局からは、前回、本助成金についてはリストラをするものではないかとの批判があったため、それに応えなければならない面があるという説明をしておりますが、補足として、公的資金を財源としている以上、国民の理解が得られない人員削減が行われるケースは対象外とできるような客観的な基準を検討することが必要ではないかというコメントを追記いたしました。

3ページです。2.支給要件確認方法です。通番56ですが、本助成金においては、この4月から対象者本人が退職強要がなかったと受け止めているかどうかを本人から確認するための本人確認票を支給申請書に添付していただくということにしておりますが、その内容の確認方法についてです。委員からは、事業主経由でない本人への直接確認は重要である。まずは今回、不支給とした措置の検証をすべき、事務コストを掛けてまでどこまで制度的効果があるのかという御意見がありました。

4ページです。3.助成内容に係る事項です。通番7は、委託開始時の10万円助成の大企業について廃止です。二事業の趣旨から適当ではない、中小企業も廃止するべき、大企業でも助成がないと再就職支援を行わない場合があるかもしれないという御意見がありました。これについて、前回、事務局からは、この助成は再就職支援サービスを事業主に実施していただくためのインセンティブであり、委託開始分の実績に対する再就職実現分の実績の割合が大企業において低い状況が見られたことから、大企業の委託開始分の効果が薄いのではと考えられるために廃止することとしてはどうかという説明をしております。

 通番8は、大企業の助成率の見直しについてです。不支給としてしまうのは二事業の趣旨から適当ではないという御意見がありました。

 通番9は、一定基準以上の雇用の実現のために紹介事業者と企業との間での契約で、委託料の半分以上を後払いにしたり、一定基準以上の良質な雇用に再就職させた場合に5%以上の割増委託料を払った場合に、助成率を優遇するということです。この点については、民間同士の契約に介入すべきではなく、理想的なものを求めるのもよいが緊急的に大量の支給案件に対応できるようシンプルにするという考え方もあるという御意見がありました。これについて、事務局からは前回、紹介会社のサービスをより良い方向へ誘導したいが、本助成金は事業主に対する助成金であるため、どうしても間接的なインセンティブにならざるを得ないという説明をしております。

 なお、通番89についてですが、この度、この資料の7ページに具体的な助成率の見直し()を挙げております。別表1(1)が具体的な見直し案ですが、中ほどの列の「現行の助成率」について優遇措置の条件を満たした場合には「優遇措置の助成率」、それ以外の場合は「それ以外の助成率」を適用してはどうかという案です。優遇措置の内容については、この表の下に記載しております。

4ページに戻ります。通番10は、職業紹介会社が行った訓練の経費助成の改善です。職業紹介会社が訓練を行った場合の助成内容を現行の定額から定率にすることによってインセンティブを高めるというものです。

5ページです。通番11は、職業紹介会社経由ではなく、送出企業自身が訓練を行った場合の助成を新設するというものです。通番1011の具体的な助成の見直し内容については、先ほどの7ページの下の(2)(3)を御覧ください。助成内容を御覧いただけるような内容に見直してはどうかという案です。

5ページに戻ります。通番1213です。今度は対象者を受け入れる側に対する「受入れ人材育成支援奨励金」の要件についてです。どちらも成熟産業から成長産業へ労働移動した場合に、受入企業に対する助成金の額を優遇してはどうかという内容です。通番12は、受入企業が訓練を行う場合です。通番13は、訓練は行いませんが離職後3か月以内に早期受入れをする場合の助成措置についてです。

 通番1213についても具体的な助成の見直し内容について、8ページに資料を付けております。助成内容を8ページにあるような内容に見直したいという案です。この表における優遇措置としては、※※の所に記してありますように、職業安定局長が定める方法によって成熟産業・成長産業とを判定された企業間の労働移動の場合に適用するものとしております。具体的には企業の成長性については、その企業に融資をしている金融機関から情報を得て、成熟企業か成長企業かを判定していくことを考えており、現在、関係省庁と具体的な手法等の調整を図っているという状況です。

6ページです。4.職業紹介事業者が労働移動支援助成金を扱う職業紹介事業者への同意条件として追加する内容です。先ほどの職業安定法の指針の見直しの項目の中に、助成金の支給に関して職業安定局長が定める条件に同意した紹介会社は、その条件を遵守するという項目がありますが、それに相当する条件です。具体的には、紹介会社は自ら再就職支援の実績を公表すること、実施した再就職支援サービスによって再就職が実現したかどうかを委託元企業に報告すること、退職コンサルティングを行わないことについて、同意条件として追加するものです。

5「その他」です。以上の見直し内容について、PDCAサイクルによって、まずは1年間程度実施してみて改めて検証を行い、必要に応じた見直しをしていくこととしてはどうかと考えております。以上が前回の御議論の整理と事務局からの追加的な説明です。漏れ落ちた論点がないかどうか、前回の議論を踏まえて更なる議論がないかどうか、各委員から御意見を頂戴できればと考えております。事務局からの説明は以上です。

(説明中、熊谷委員到着)

○阿部分科会長 本件について、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

○河本委員 前回も多くの議論があったと思うのですが、改めて今回の趣旨を振り返ってみますと、何のためにこの労働支援助成金というものが設定されているのかということは、しっかりと共有しておく必要があるのではないかということを改めて感じております。送出企業と受け入れる企業を支援することとともに、リストラというか、退職を余儀なくされる再就職をしようとする個人の支援をしていくという視点を忘れてはならないと思っております。確かに悪質なことはあってはならないと思いますし、それは許してはならないと思いますが、そこに対してペナルティをしっかり課すということは前提にしつつ、余りにこの支援制度を複雑なもの、かつ業務量が増えるようなものにすべきではないということを強く感じております。そういった視点では幾つかの論点があったかと思いますし、今日の中でも出るかとは思いますが、その前提のところをもう1回振り返って、細かいところに入っていくべきだということを、改めて意見として述べたいと思います。以上です。

○林委員 ただいまの使用者側からの御意見、ごもっともだと思います。なおかつ、この助成金が有効に使われていることが一番重要なことであろうと思います。そういった観点から、1点発言させていただきたいのですが、資料No.25ページの11、送出側の企業が民間訓練機関に直接委託した訓練も助成対象とするということについて、この助成金の趣旨に鑑みても、その方が退職されて、新しい就職先へ移籍した後に必要とされる知識・技能の修得のために訓練を行うことが筋だろうと思います。送出側の企業が本人の希望に沿った訓練を行う場合であったとしても、結果として移籍につながるのかどうか、移籍後に有効な訓練かどうかという点は、かなり疑問視するべきところではないかと思いますし、質の高い雇用に就けなかったというケースも発生すると思います。私は、こういった助成金は受入側の企業が、その企業の仕事に沿った有効な訓練を充実させる、そのために使うべきではないかと考えます。以上です。

○雇用開発企画課長 ただいまの送出企業が行う訓練についての意義とか必要性とか効果という話だったと思いますが、この助成メニューを新しく設けようという趣旨から、もう一度説明したいと思うのですが、雇用対策法第6条に、この労働移動支援助成金の根拠となる条項があるわけです。その中に、事業主が労働者に対して再就職援助を行う努力義務が課せられていて、その中身についてはいろいろなものがあるだろうという解釈になっているわけです。例えば職業紹介会社に委託することもいいでしょうし、訓練を行うこともいいでしょう、情報提供することもいいでしょうと。再就職の実現に資するものであれば、いろいろなサービスがあり得るだろうということで、この送出企業が民間職業紹介会社に委託して訓練することについては、雇用対策法第6条の趣旨に沿っているのかと思っているわけです。

 その例で訓練そのものは当然、本人に能力アップを図ることで再就職がしやすくなるということもあるでしょうし、今回の見直しの1つのポイントであるところの成熟産業から成長産業へ労働移動を図るという、本人に付加価値を付けて、できるだけそちらのほうへ持っていくということに資するというプラスの意味があろうかと思っております。今までは紹介会社から訓練会社への委託をやった場合に、そこについても助成しましょうというメニューはあったわけですが、今回は送出企業から直接、紹介会社を噛まさずに訓練会社のほうに委託するというルートもあってよろしいのではないかということで、今回設けようとしたものです。その際に、なかなか効果がないのかもしれないという話もあったかもしれませんが、あくまでも本人の希望を踏まえて、その希望に沿った訓練を行えるようにということで、事業主のほうにお願いして、希望に沿った就職が実現できるような形で訓練が行われることに対して助成することを考えている次第です。

○阿部分科会長 林委員、何かありますか。いいですか。ほかにいかがでしょうか。

○斗内委員 私からは、先ほど御説明いただいた資料No.24ページの7番、8番の所です。前回からも多分、労働側から御意見をさせていただいていると思いますが、やはり委託開始時分の10万円というのはいかがなものかということで、廃止の方向ではないかということです。再就職が実現した時点での支給に一本化するのが一番よろしいのではないかということです。これまで労働側としても発言させていただいておりますが、20143月以降に拡大された大企業への助成措置については、一旦廃止することを前提に、私どもは議論に臨ませていただいているということです。

 さらに、9番ですが、先ほど御説明いただいたとおりなのですが、一定基準以上の雇用の実現のために助成率を優遇ということになるのです。先ほど別表1に助成率の表があり、今回新たに提起がなされたということですが、労働側としては良質な雇用への再就職に政策誘導すること自体は非常に重要だということですし、インセンティブの名の下に、現行の助成率を上回る優遇を設定するということは必要ではないと考えているということからしますと、今回事務局から示された助成率の設定については、方向性としてはこの方向性ではないかということで発言させていただければと思います。別表1(1)の下には要件の記載があり、(2)では、実際に対象者が良質な雇用に再就職をしたこととされている点についても必要な項目ではなかろうかということで、まずはこの2点、発言させていただければと思います。

○阿部分科会長 では、事務局お願いします。

○雇用開発企画課長 ただいまの委託開始申請分10万円の話ですが、この10万円の趣旨は、前回も申し上げたとおり事業主へのインセンティブと、一言で申し上げるとそういう趣旨で平成26年の制度の拡充のときに始めたものです。この再就職支援サービスというものが、特に中小企業において、なかなか使われていなかったということもありましたので、こういった10万円のインセンティブがあれば、より事業主が再就職支援サービスを使って、御本人のために再就職の援助をしていただけるということではないかということで設けたものです。また、先ほど申し上げたとおり、雇用対策法第6条の趣旨にも沿っているわけで、その点では私どもとしては是非こういった前向きな趣旨を御理解いただきたいと思っているわけです。ただ、この10万円の問題については、再就職が実現しない場合でも助成されてしまうという点が問題視されているのだと思うのです。

 特にマッチポンプである職業紹介会社が、企業のほうから再就職支援サービスを受託する際に前金で60万円とか、料金を取って、その後、再就職を実現させないばかりか、その前後に企業に対して人員削減を促すような退職コンサルをやっていたと。それはマッチポンプではないかと。そのマッチポンプのサイクルの中に結果としてこの10万円が流れ込んでいるのではないかという見方もできないことはないという意味では、この10万円の性格についてはちょっと慎重に考えなければいけないと、そういう議論ではなかったかなと思うわけです。この10万円のマッチポンプの中に流れ込んでいるかもしれないということについては、41日に退職コンサルをやった場合には不支給とすると、支給の厳格化を図ったということで、一定のクリアはできているのかと思っているわけです。

 今回、私どもが中小企業についてはこれは残したほうがいいのではないか、大企業については廃止ではいかがかということを提案申し上げていることの背景には、委託開始分を受給した企業のうち、再就職の実現までたどりついた企業はどのぐらいあるのかということを計算してみると、中小企業では6割ぐらいある。ところが、大企業では4割にすぎない。この6割、4割をどのように評価するというのはあるかもしれませんが、そこの点でやはり大企業については、この委託開始分の効果は政策的に芳しいものではなかったということで、少なくとも大企業についてはこれを廃止していきたいと考えて御提案申し上げているということで御理解賜りたいと思います。

○斗内委員 問題点は御指摘のとおりなのだと思いますが、私ども労働側のスタンスは先ほど申し上げたとおりです。

 もう1点、4ページの10番で、職業紹介事業者が行った訓練の経費の助成の所です。前回の論点提起の中では、紹介会社が前払いで再就職支援サービスを受託しているために、良質な雇用に再就職させるインセンティブが弱い。紹介会社が職業訓練を行った場合、定額加算助成があるが、インセンティブが弱いという御提起がありました。現行でも既にありますように、定額加算でインセンティブが与えられているという中で、それが弱いということで、先ほどありましたような別表1(2)のように、定率助成への見直しを提起されているということなのですが、インセンティブが弱いとはどのような意味合いなのか、助成率を見直した場合に、その効果はどのぐらい見込めるのか等の根拠が必要なのではないかということです。

 労働側としては、そもそも良質な雇用に再就職させる意識が低い紹介会社が、本スキームに参加すること自体が問題だと受け止めております。紹介会社が職業訓練を行った場合の助成について、本助成の本来の目的である再就職が実現した時点での支給に一本化すべきではないかということを発言させていただければと思います。

○阿部分科会長 事務局どうぞ。

○雇用開発企画課長 紹介会社が実施する、紹介会社経由で行われている訓練についての御質問です。これまでもこういった訓練が行われた場合は6万円の定額ということで助成メニューがあったわけですが、これは最大で3か月分ということで、3×618万円が上限だったと。この6万円の単価を見てみると、現状としてはもう少し料金的に高いものがありまして、この6万円が助成としてどんなものだろうかというところから話が始まっています。もう少しこの紹介会社もカウンセリング等をやるだけではなくて、訓練のほうの委託ということも含めて頑張っていただきたいということで、委託元のほうにも、そういったことで紹介会社にお願いして、そちらの訓練を進めていただくということのインセンティブを強化していきたいと考えたときに、もう少しこの額を高めることができないだろうかということを考えたわけです。そのときに、助成率を3分の2にして、今まで最大18万円だったところを上限30万円ということにすれば、これは1つの前向きなインセンティブになるのではないか、強化になるのではないかということで考えたわけで、そういったことで御理解を賜りたいと思っております。

○阿部分科会長 何かありますか。

○斗内委員 金額の多寡をどう見るのかというのは非常に難しいところではなかろうかと思いますので、その辺が18万円なら低くて、上限30万円なら有効だということをどう根拠付けするかというのが重要ではなかろうかと思っております。

○阿部分科会長 私のほうで確認させていただきたいのですが、職業紹介事業者が行った訓練に対する助成の件で、失業訓練は同時に受けられるのですか。

○雇用開発企画課長 そこのところは併給調整は掛けていませんので、できると思います。

○阿部分科会長 そうですか。分かりました。ほかにいかがでしょうか。

○林委員 5ページの12番と13番について、発言させていただきたいと思います。12番、13番、ともに成熟産業、成長産業と判定された企業間の労働移動という言葉が使われておりますが、やはりこの成熟産業と成長産業というところの区別をどうやってやっていくのかが非常に曖昧ではないかと思います。

 同じく資料の8ページに助成額を御提示いただいており、40万円と30万円と差を付けるということで、職業安定局長が定める方法によりというところですが、厚生労働省では成長産業へ成熟産業の認定がなかなか容易ではないということで、金融機関などの判断を活用することを提起されています。前回の分科会で御答弁があったと聞いておりますが、金融機関の評価を踏まえて助成を優遇している制度は現在ないということであり、そもそもこの助成金を所掌する厚生労働省が認定することが容易ではないということをおっしゃっている以上、それを区別せずに現行のままでよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○阿部分科会長 お願いします。

○雇用開発企画課長 成長産業や成熟産業から労働移動を図るということは、今回、平成26年度ですが、この制度を拡充したときの1つの理念であったわけです。国会等の議論の中では、現行の制度の中で成熟産業のほうへ労働移動させるというインセンティブがないのではないか、そういったエンジンが組み込まれていないのではないかというような議論があったわけです。紹介会社が絡んだところの不適切な取扱いを防止するということと、成熟産業から成長産業へ人を移動させるということの2つが、今回の見直しの契機だったわけです。

 その際に、成熟産業、成長産業は一体何なのかということについては、国会等でも議論になりまして、確かに判定することは難しいというところで、今、正に金融庁と相談しているところなのですが、必ず成熟産業と言われる、成長が芳しくないような企業には、金融機関が入って一定の融資をするような形がとられていることが多いと。そこで経営指導が入ることも多いわけですので、経営の実態を一番、客観的に見ていただけるのは金融機関ではないか。そこの評価をある程度いただけないのかということで、金融庁と今、相談していると。

 成長産業のほうも、どんどん伸び行く企業ですから、資金需要のほうもどんどん増しているわけで、そこにも金融機関が入って、資金の融資をしていると。そういうところで、今後この企業がどのぐらい伸びていくのかということについても、的確な判断をお願いできるのではないかということで、金融機関の評価をいただく。どのような形で評価いただいて、私ども労働局のほうにそれを伝達していただくのは証明なのか、確認なのか、意見書なのか、そういった形をどうするのかということを正に今、相談しているところで、そういうことで成熟と成長というものを、金融機関を噛ませることで評価していくという方法を今考えているということです。

○林委員 成熟産業と成長産業の区別が容易でないということになると、今おっしゃったように、本制度の趣旨から外れてしまうということはもちろん懸念されるところなのですが、そもそも今おっしゃっていた中で、私どもは成熟産業と成長産業というのは、労働者から見ても区別することが非常に難しいと思っています。御発言の揚げ足を取るわけではないのですが、いみじくも企業というお言葉を何回か使われましたが、成長産業と成熟産業ということと企業、成熟している企業、成長している企業、していない企業というところの棲み分けはどのように考えるつもりなのでしょうか。

○雇用開発企画課長 確かに日本再興戦略の中に記載されているのは、成熟産業から成長産業へという理念です。そこで産業という言葉が使われているわけで、そのまま字義どおり解釈すれば、産業単位で、これが成熟だ、成長だということを判定して、そこで助成金の優遇措置を講じることが1つの方法なのでしょうけれども、ただ産業別に成熟、成長というものが判定できるのかと、私どもは相当考えましたが、なかなかそう簡単に割り切れるものではないと。やはり成熟しているのか、成長しているのかというのは、各企業単位で見ざるを得ないのではないかということで、そこの閣議決定上は成熟産業、成長産業という言葉が使われておりますが、助成金の優遇措置を講じる要件としては、企業単位で見ていくところ。確かにそこは落差があるわけですが、そういった現実的な選択で判定をしていきたいということを考えているわけです。

○林委員 話がずれてしまうかもしれませんが、もし今の御答弁のように、企業という単位で見ていくとすると、成長していく、要するに利益が出ていくという捉え方なのではないかと思うのですが、そういった企業にどんどん人が流れ、そうではない企業から人が流出してしまっていくというような、格差を増長することになりかねないのではないのかなと。それと今回、差を付けるということがまた全然別の議論になって、差を付けなければそうならないかというと、その問題ではないかもしれませんが、差を付けるということが、そもそも区別していくことにもなりますし、私どもとしては詳細の説明なしには受け入れ難いことかと思います。

○阿部分科会長 なかなか難しいところがあると思うのですが、成長しているのか、成長するのかでも話が違ってきますよね。私の個人的な意見とすれば、成長している企業、あるいは産業に労働移動するというのは比較的容易だと思うのですが、これから成長するような産業、企業を見つけ出して、そこに労働者を移動していただいて、実際にその後、成長するような仕組みができれば、経済にとっても、労働者にとっても良いことではないかと思うのです。その成長していく産業をどうやって見いだすかは難しいだろうとは思うのですが、そこで金融機関等は、そういう情報を持っているのではないかということなのではないかと私は理解はしているのです。ですので、林委員が最後におっしゃったことは、私の理解では成長している、今もう成長してしまっている産業に行くということで、その差が広がるのではないかということをおっしゃったのかもしれないのですが、政策的には、それよりもこれから必要なのは、今から成長していくけれども、まだそこが芽が出ていないような所を発芽させて、もっと大きくしていくというのに何か貢献できないかということではないかと思うのです。ただ、労働者にとってみると、やはり安定した仕事に、次の再就職先に就くということが一番大事だろうと思うのです。それは成長している所でも、成長する所でも同じ話になるのかもしれません。ただ、格差の話をお話になっていましたが、これは、そもそも出だしが経済的の状況があって、雇用調整せざるを得なくなった方々をどう次の仕事に結び付けていくかというのが、もともとのお話だと思いますので、そこにどう援助するかということが大事なのかなと。先ほど河本委員がおっしゃったことではないかと思うのです。

○村上委員 先ほど河本委員も冒頭におっしゃっていましたし、今、阿部分科会長もおっしゃいましたが、そもそも労働移動支援助成金は何のために必要なのかということで言えば、企業が人員削減を行わざるを得ない場合に、その対象になる労働者が再就職できるように支援することが、本当の目的だと思います。その目的に照らすと、いたずらにインセンティブを打ち出さなくてもよいのではないかということを考えております。

 資料No.21ページですが、支給要件の所で、前回と繰り返しになるのですが、支給要件の1の部分では、先ほどおっしゃっていたようにマッチポンプのようなことをどうやって防いでいくのかということで、41日からは一定の措置はされておりますが、それ以外の第三者が介在するケースについても、要件の細かな部分は、まだまだ検討を重ねていくことが必要かと思いますが、基本的には企業が退職コンサルを行う会社などと、再就職支援サービスを行う紹介会社が一体であることを承知していた場合については、やはり申請全体を支給対象外とすべきであろうと考えます。

 また、2ですが、これも前回申し上げましたが、本人が希望する紹介会社を選択できるということについて、選択できないよりも選択できるほうがよいかとは思います。ただ、労働者がいきなり紹介会社を選べと言われても、あまたある紹介会社の中から適切な会社を選び出すのは大変難しいということはあります。また、高橋委員が前回おっしゃっていたように、労働者が選んでくれば、会社はどんな紹介会社とも契約しなくてはいけないのかという問題もあるかとは思います。ただ、集団的な合意などで、3社とか5社とか紹介会社を絞り込んでいって、その中から選べるということも考えられるのではないかと思います。そういうことであれば、一定程度の中から選んでいく、一定程度の中から契約していくということで、双方にとってより良い解決策というか、手段になっていくのではないかと考えます。

 また、2ページの3の「大企業への助成対象を30人以上の場合に限定する」という所で、特に意見ということとして書いていませんが、労働側は20163月に議論した際には、先ほど斗内委員からも申し上げましたが、20143月以降に拡大された大企業への助成措置については廃止すべきと意見しておりますので、その意見も加えておいていただければと思います。以上です。

○高橋委員 冒頭に河本委員が御指摘なされたことは、大変重要なことだと私も感じておりまして、本来の助成金の趣旨に照らしてみると、今回出されている見直し提案は余りにも悪質なケースを想定して、それを防がんがために、ものすごい厳しい規制を掛けようというような意図が非常にはっきりと感じられるわけです。その結果として、本来迅速な再就職を望む労働者に、適切な支援を差し伸べることに支障が生じてしまうのではないかと感じる次第です。本来だったら、このような見直しをするのではなくて、不正な受給があれば他の助成金を一切支給できないとか、ハローワークのサービスを提供しないとか、企業名の公表をするといったような形でのペナルティを重くすると。利用のハードルを上げるのではなくて、不正受給をしたときに対応をしっかりと重くするということが本来あるべきなのではないか。このやり方ですと、この助成金をもらうためには、公務のほうもそうだと思いますが、事務コストが高まって、助成金を利用しようという思いを抱かせないような見直しになっているので、いずれも適当ではないのではないかと思うわけです。

 その上で、前回もお話したことを繰り返すのは時間の無駄なのかもしれませんので、少しだけ付言したいと思いますが、今、村上委員がいみじくもおっしゃいましたが、2ページの3番の所で「大企業への助成対象を30人以上の場合に限定する」ということで、何も委員の意見はないというのは、これも残念なので申し上げたいと思います。本来、大企業なのか、中小企業なのかという形で、そもそも二事業の性格から言って、片方をやめるとか、片方に極端な制限を掛けること自体が望ましくないことは前回も申し上げました。30人以上に限定するということですが、例えば当然ですが、企業としてはやむを得ない事業の縮小に直面した場合であっても、なるべく雇用を維持しようとするのが普通の企業の行動なのであって、例えば本来だったら40人退職勧奨をしなければならないところを、企業努力でそれをもっともっと少なくしていこうという努力をするのが普通なのです。この30人以上の場合に限定するといったら、30人よりも押さえていこうという企業に対する支援が失われてしまうということだと思うのです。したがって、このような限定を掛けるということ自体が、ちょっといかがなものなのかということで、これはやめたほうがよろしいのではないかと思っています。

 前後してしまいますが、前回ちょっと言ったので、余り言いたくないですが、1ページの2番の「本人の希望によって紹介会社の契約を申し出る」という所です。前回言ったことと重なることは言いませんが、これをやりますと、逆に再就職支援会社間の無用な競争を煽ることにもなりかねないのではないか。要するに、「どうぞ、うちの会社に来てください」というような形で、無用な競争も生じかねないのではないかと思いますので、余り適切ではないのではないかと思います。

 委託開始申請分の10万円の所の大企業について廃止するというのは、前回と同じことは繰り返したくないのですが、その根拠として、何やら再就職実現分の支給実績で、大企業と中小企業のパフォーマンスを見て、大企業のほうが低いからやめるのだみたいなことを前回、説明されていましたし、今日もしていました。そもそも二事業の申請に当たって、ある特定の所だけに着目して、大企業と中小企業のパフォーマンスを見てどうだとかいうことはやっていません。そういうことをやるのであるならば、全ての二事業について同じようなことをやっているなら然るべきですが、特定の所だけ取り上げて、都合のいい統計を使って支給をやめるとか、するとかという判断は適当ではないと申し上げたいと思います。以上です。

○村上委員 繰り返しになるのですが、今、高橋委員からは、再就職支援を実現することがこの助成金の目的なので、余りに厳しい細かな規制の強化は行うべきではないという御発言でしたが、例えば雇用調整助成金などの不正な受給については、誤解されないことを前提に極論すれば不正受給があったとしても、受給された企業が懐に入れてしまったということが問題になるだけです。この労働移動支援助成金は、不正な受給があった場合には、不正を行った企業に何かすればいいということではなくて、そこで労働者が退職勧奨されてしまうということがあるから、その影響が大きいから何とか不正な利用がされないように厳格化しなくてはいけないのではないかというような議論があって、抜本的な見直しをしようということが国会の議論の中でもあったことを受けて、今、労働政策審議会において見直しの議論をしていると思っております。そういうことから考えれば、ほかの助成金とは性格というのでしょうか、要件の掛け方などについて、若干異なる部分があっても仕方ないのではないかと思っております。

○河本委員 この議論の中で、再就職支援をしなければならない人がどういう立場にあるのかということを、私たちは理解しておかないといけないのではないかと思います。もちろん会社もそういうことはしたくないし、避けたいというのは、努力として、前提としてある。そういった中で余儀なくされたときに、再就職支援をされる労働者がこの制度を使いやすいものにしていくとき、例えば自分が希望する就職会社は一見いいようにも見えますが、逆にその個人の所にいろいろな再就職支援会社からアプローチがあったら、その方は困られたり、どうしていいのか分からないような状況になったり、もう1つあるのは、例えば退職強要ではなかったかという手紙が家に送られるとか、電話の話などもありますが、そういったことが個人の所に来ることがどうなのかというのもちょっと危惧するところです。

 逆に、守っていこうとすることが、この制度を使おうとして再就職をしなければならない人の負荷になるようなことは避けなければいけないのではないかということが、細かなルールを作っていかれるプロセスの中で気に掛かるところではあります。だからといって、これもまた全員が全員同じようにできるというか、受け止め方がいろいろあるというのは避けられないわけですが、そういった新たな就職をしなければならない人の立場に立った、そういう観点で考えるべきではないかということを感じます。

○阿部分科会長 いろいろ御意見を頂きまして、使用者側、労働者側とそれぞれ御意見を伺いました。双方の間には、もうちょっと議論すべき余地もあるかなというような感じはあるところではありますので、事務局には本日の御意見等を踏まえた上で、更に検討した上で、今後の進め方を十分考えていただきたいと思います。この件については、本日、結論を出すことは難しそうですので、今後の進め方については、改めて事務局から御連絡させていただきたく思いますので、よろしくお願いいたします。

○高橋委員 先ほど成熟産業か成長産業かということで、ひとしきり議論がありましたが、例えば、企業の経営スタイルとか事業内容を多角化していけばいくほど、ある部門は芳しくないけれども、ある部門は好調だとか。全体で見たときにどうなのかということと、必ずしも個別の事業部門のパフォーマンスが平行ではないことが容易に想像されますし、実際あるわけです。そうした中で、企業単位で、その企業は成長だとか成熟だとかというのを判定するのは、非常に困難であろうと思います。

 先ほど阿部先生がおっしゃられたように、現に成長しているのか、将来成長しているのかということも違うという御指摘がありましたが、現在オペレーションしている中であっても違うということであるならば、余りそこにこだわりをもって、金融機関の判定を噛ませていくようなことをすることによって、国がその企業の評価に関与していくというのは、あまり好ましいことではない。それは結果としては企業に対するレピュテーションリスクを高めていくことになってしまうのではないかということを考えますと、こうしたようなことに余り捕らわれることなく助成していくという形が望ましいのではないかと思います。以上です。

○阿部分科会長 それでは、この件は改めて事務局から御連絡させていただきたく思いますので、よろしくお願いいたします。

 次の議題に移りたいと思います。次の議題は、「ハローワークの求人情報のオンライン提供について」です。事務局からお願いします。

○首席職業指導官 議題(3)ハローワークの求人情報のオンライン提供について。資料No.3の表紙をお開きください。現在行っているオンライン提供の概況についてです。平成2691日からこの仕組みを運用しております。オンライン提供を受けている団体は、平成2831日現在で1,153団体です。その実績は、平成27年度の4月から2月分までの実績です。ハローワークの求人情報のオンライン提供の情報を活用して就職を上げたという、採用決定件数は3,981件、内訳は自治体が1,960件、民間職業紹介事業者が794件等となっております。

 提供する際の実施方法は2つあります。左側の求人情報提供端末方式は、事業者のほうでハローワークの求人情報の端末とほぼ同じような端末を自ら設置していただき、ハローワークでの検索とほぼ同様の機能を実現するというやり方になります。右のほうは、データ提供方式です。こちらは、国のほうでデータを準備しておき、各事業者のほうでそのデータをダウンロードしていただいて、適宜加工して使っていただくやり方になります。こういう2つのやり方を準備しております。

2ページは今回、求人情報オンライン提供の民間事業者での活用状況をアンケート調査しました。その結果を御報告するという内容です。調査対象は、平成2691日時点で利用していた民間紹介事業者330事業所を対象にしております。調査期間が平成282月です。回答数が167事業所、回答率は約5割です。

3ページはアンケートの結果です。データの提供方法と加工、ダウンロード頻度について、表1です。データ提供方式の中でも、CSV方式と呼ばれるものが約85.6%です。CSV方式と呼ばれるものは、情報をテキストデータにして、1つの固まった、まとまりあるデータとしてダウンロードしていただく方法です。もう1つのAPI方式というのは、国のほうでデータのフォーマットを決めて蓄積したものに対し、利用者のほうが一定のプログラムを組んで、必要な情報を抜いていっていただくやり方になります。大半はCSV方式のデータ提供方式で今は御利用いただいています。右側はダウンロードの加工と頻度です。データ加工しているのが約4割、毎日ダウンロードしているのが14.6%、多くの所は1週間に12度、又は月に12度です。

 下の表3は、ダウンロードを毎日やっていない理由です。一番多いのがデータの編集に手間がかかる、掲載の内容が1日単位で大幅な変化がないためという辺りが多い理由になっています。

4ページは、求人情報の提供方法について聞いています。表4で、一番多いのが、ダウンロードしたデータを求職者に直接閲覧させず、相談時に社員の手持ち資料として利用しているというのが51.5%です。同様の利用状況のアンケート調査については、昨年8月にも実施し、当分科会でも報告させていただきました。地方自治体では、求人情報を印刷したものを掲示・配布しているというのが44%ぐらいありましたので、民間事業者等の利用状況は若干活用の仕方が異なっているというのが読み取れます。

3番目は、オンライン提供を受けることとした理由です。一番多いのが、リアルタイムでハローワークの求人情報を得たかったというのが38%です。2つ目が、インターネット・サービスより詳細な情報が得られる等々の理由になっています。

5ページは、求人情報のオンライン提供の評価についてです。表6のように、有意義である、大変有意義であるというのが約4割です。どちらとも言えないというのが44%。余り有意義でない、有意義でないというのが16.3%です。

 有意義であるとお答えいただいた理由について、表7のマル1の所で、利用者の満足感につながっているというのが54.6%です。有意義でないという評価について多いのは、求人情報の利便性が低い、また利用者のマッチングにつながっていないという答えが多かった状況です。

6ページで、紹介手数料等についてお聞きしています。今回167事業所から回答を頂きましたけれども、そのうち91.6%が有料職業紹介事業者です。この有料の事業者に対し、以下をお聞きしております。表9は、求人情報による採用決定人数について、0人が約9割です。実際に採用に結び付いたのが14の機関で、11010人、以下表にあるような状況です。表の下にあるように、平成269月から平成2711月まで約13か月の利用実績になります。

 右側が紹介手数料についてです。表10は、予定年収に対する割合で、該当する最も多い割合について1つ選択肢として選んでいただいておりますけれども、最も多いのが5%未満、同じく15%~20%未満の2極に分かれています。

 表11は、採用決定1件当たりの平均の紹介手数料の金額です。5万円又は5万円~10万円未満のところが1つの大きな層になっているほか、40万円~50万円、50万円~60万円というところにも1つの山があります。

7ページは、自由記述欄から幾つか拾ったものです。主な意見、活用方法についてです。地域及び職種などに絞り込んで活用している、重要な項目を一覧で見られるように加工しているというように、かなり積極的に御利用いただいている一方、うまく活用できていない事業者の意見としては、求人数がハローワーク・インターネット・サービスの求人よりも少ない。CSVのデータがそのままでは使いにくい、加工の手間がかかるという御意見がありました。

 改善の要望のところでは、求人情報の提供端末方式について、固定IPアドレスの取得費用が課題である。現状では、この端末方式については、事業者のほうでコンピューター(パソコン)を用意していただき、インターネットの回線があれば利用可能と。ただし、インターネット利用の際に固定のIPアドレスだけは御負担くださいということでお願いしておりますが、その費用が課題であるという御意見がありました。

 一番下で、求人企業に対する周知活動(人材紹介会社から紹介・問合せが来ること)をもっと行ってほしいということです。これは、ハローワークのほうで求人を受理する際に、各求人事業主の方々に対し、こちらの仕組みをよく説明させていただいております。この点は、引き続きリーフレットを活用しながら、事業主に対してしっかり説明をしてまいりたいと考えております。以上です。

○阿部分科会長 本件について御質問、御意見がありましたらお願いいたします。村上委員どうぞ。

○村上委員 昨年8月の分科会で労働側が指摘をし、厚生労働省の事務局からは、料金だけでなくて、どういう使われ方をして、どこの部分で料金を捉えているのかということもしっかり把握し、その上でこの事業の成果は何なのかを見極めていきたいということであったと承知しております。

 その上でお伺いします。資料36ページの表9では14件が、このシステムを通じて採用を決定したということ。表10と表11では、手数料の水準についてのアンケートの回答があります。採用決定実績が、その14の機関について、結局どういう実態になるのかということが、今一つこの表だけでは分からない部分があります。例えば、1つとか2つの特定の会社だけが巨額の手数料を得ているということになっているのか、なっていないのかということがよく分からない部分があります。今回でなくても結構なのですが、もう少し詳細な説明を頂ければと思います。

 回答率が5割程度ということです。このアンケートで、回答率50%というのが、全体を把握したものになっているのかどうかという、厚生労働省としての見解をお伺いします。

 政策効果という観点から、マッチングの充実を図るということが、この政策目的だったと思うのです。その点について、結果としてマッチング向上の成果をどのように評価されているのか、事務局の見解をお伺いします。

○阿部分科会長 お願いします。

○首席職業指導官 3点ありました。1点は、紹介手数料についてです。今回は14の事業所だけが採用決定に至ったということで、この数だけで全体がどれだけ分かるかというのは確かに疑問ではあります。例えば、ホワイトカラー層で職業紹介をやった場合は、大体100万円弱ぐらいの紹介手数料が一般的にはやり取りされているということです。そういう点から見ると、表11で平均の所を見ると、10万円以下の所が非常に多いとか、4050万円等々あります。いわゆるホワイトカラー層を中心とした手数料の実態よりはかなり低くなっているのではないかと思います。

2点目は、回答率50%のところです。この点はどの程度把握できているかという判断は非常に難しいですけれども、いわゆる一般のアンケート調査だと大体3割で、ほどほど回収できたと言われています。そういう意味では必ずしも低いわけではないのではないかと思っています。

3点目のマッチングの状況です。今回の利用実績を確認した段階は、平成2691日時点の事業者ですので、特にデータ提供方式でも、CSVを利用されている方が非常に多かったわけです。なかなか最終的な採用実績につながっていないケースが多く見られているのではないかと思っています。1ページに書いてあるように、平成27年度の実績を見ると、4月~2月までで約4,000件の採用実績につながっておりますので、だんだんと一定の効果は出てきているのではないかと思います。

○村上委員 そういう一定の効果があるということですが、この求人情報のオンライン提供を始めるときから、労働側から申し上げていたと思うのですけれども、受益者負担ということで言えば、紹介手数料を得た有料職業紹介事業者の皆さんが無料でということではなくて、一定のコストを負担した上で、そのオンライン提供を受けるということが、国民に対する説明責任という意味でも筋ではないかと思っておりますので、その点だけ申し添えておきます。

○阿部分科会長 他にはいかがでしょうか。特にないようですのでよろしいですか。この件はこの辺りで終わらせていただきます。

 最初の議題がペンディングになっていましたので、最初の議題に戻ります。職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示等に関して適切に対処するための指針の一部を改正する告示案要綱のほうに戻ります。本件については、527日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛諮問を受けております。事務局から説明をお願いします。

○派遣・請負労働企画官 参考資料No.1を御覧ください。今回の諮問案件に関する参考資料です。経緯、これまでの対応等について記載しておりますので御参照いただければと思います。

 資料No.1-1を御覧ください。表紙をめくると諮問文が付いています。その後に別紙1で告示案要綱があります。読み上げます。

 職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示等に関して適切に対処するための指針の一部を改正する告示案要綱。

 第一 職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示等に関して適切に対処するための指針の一部改正。

 一 再就職支援を行う職業紹介事業者に関する事項として次の内容を追加すること。

()事業主の依頼に応じて、その雇用する労働者に対し再就職支援を行う職業紹介事業者(以下「再就職支援事業者」という。)が、直接当該労働者の権利を違法に侵害し、又は当該事業主による当該労働者の権利の違法な侵害を助長し、若しくは誘発する次に掲げる行為を行うことは許されないこと。

 ア 当該労働者に対して、退職の強要(勧奨を受ける者の自由な意思決定を妨げる退職の勧奨であって、民事訴訟において違法とされるものをいう。以下同じ。)となり得る行為を直接行うこと。

 イ 退職の強要を助長し、又は誘発するマニュアル等を作成し事業主に提供する等、退職の強要を助長し、又は誘発する物又は役務を事業主に提供すること。

() 再就職支援事業者が次に掲げる行為を行うことは不適切であること。

 ア 当該労働者に対して、退職の勧奨(退職の強要を除く。)を直接行うこと。

 イ 事業主に対して、その雇用する労働者に退職の勧奨を行うよう積極的に提案すること。

 二 助成金の支給に関する条件に同意した職業紹介事業者に関する事項として次の内容を追加すること。

 雇用保険法施行規則第百二条の五第二項第一号イ(4)等の規定に基づき助成金の支給に関し職業安定局長が定めることとされている条件に同意した職業紹介事業者は、当該同意した条件を遵守すること。

 第二 適用期日。この告示は、平成二十八年六月一日から適用するものとすること。

 続いて、労働力需給制度部会での議論の状況について御説明いたします。同部会では、今年426日から、職業紹介事業者が講ずべき措置についての御議論をお願いし、御質問、御意見等を頂戴いたしました。また、本日午前中の同部会において、ただいま御説明いたしました内容の告示案の要綱をお諮りいたしました。資料1-2を御参照いただければと思いますが、「おおむね妥当」と認めるとの御報告を取りまとめていただき、部会から分科会宛の御報告を頂いております。私からの説明は以上です。

○阿部分科会長 本件について御質問、御意見がありましたら御発言ください。特にないようですので、当分科会は、厚生労働省案を「おおむね妥当」と認め、その旨を私から労働政策審議会会長宛に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いします。

                                                                (報告文案配布)

○阿部分科会長 ただいまお手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛に報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。本日予定されている議題は以上で終了いたしました。特に御発言のある方はいらっしゃいますか。特にないようですので、本日の分科会はこれで終了いたします。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか、2人の委員に署名を頂くこととなっております。労働者代表の斗内委員、使用者代表の熊谷委員にお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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