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2016年3月31日 第112回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

職業安定局総務課

○日時

平成28年3月31日(木) 16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省職業安定局第1・第2会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○阿部分科会長 定刻になりましたので、ただいまから「第112回労働政策審議会職業安定分科会」を開催いたします。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の岩村委員、鎌田委員、使用者代表の上野委員、鈴江委員、深澤委員が御欠席です。

 議事に入ります。最初の議題は雇用保険法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱についてです。本件については、329日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問を受けております。事務局より説明をお願いします。

○総務課長 それでは説明させていただきます。資料はNo.1-1からNo.1-3までになります。資料No.1-1が諮問させていただく施行規則の改正省令案要綱です。資料No.1-2が概要、資料No.1-3が予算の整理表ということです。また、参考資料があります。説明は主に資料No.1-2に沿ってさせていただきます。ほかの資料は適宜御覧いただければと思います。

 まず、今回の改正の概要です。平成28年度予算の成立に伴い、雇用保険法に基づく雇用保険二事業について支給額等の見直し等を行うものです。見直し等の対象となるのは10本の助成金です。施行期日は平成2841日を予定しております。

1ページ目を御覧ください。まず1番目、労働移動支援助成金です。こちらについては再就職支援奨励金の見直しを行います。見直しの内容は、休暇付与支援の日額について中小企業分を7,000円から8,000円に、大企業分を4,000円から5,000円に引き上げます。併せて、支給日数の上限を90日から180日に延長いたします。

 同じく労働移動支援助成金の中の受入れ人材育成支援奨励金の見直しです。1点目として、早期雇入れの支援についてです。離職を余儀なくされた労働者を早期に期間の定めのない労働者として雇い入れた場合の支給額を1人当たり30万円から40万円に引き上げます。2点目に人材育成支援です。こちらは、現在の制度では、雇入れによる受入れと移籍による受入れの両方を対象にして訓練を実施した場合の助成をしております。その中の移籍の部分をキャリア希望実現支援助成金という、新設の助成金に移管いたします。3点目がキャリア希望実現支援助成金です。こちらには2つのコースがあり、2つ目の移籍人材育成支援コースというのは今申し上げた移管をしたものです。移籍によって労働者を受け入れた場合の訓練費用を助成するものです。マル1が新しいもので、生涯現役移籍受入支援コースです。こちらは生涯現役企業、これは65歳を超えて働くことのできる企業としております。この企業が自発的にキャリアチェンジを希望する40歳以上60歳未満の労働者を移籍によって受け入れた場合、1人当たり40万円を助成するというものです。これは1の事業主につき最大500人まで支給としております。
2番目は高年齢者雇用安定助成金です。(1)高年齢者活用促進コースの見直しを御覧ください。こちらは助成対象に健康診断を実施するための制度の導入を追加いたします。制度導入に要した経費を30万円とみなしているものです。

 もう1点が、65歳以上の高年齢者(高年齢継続被保険者)の雇用割合が4%以上の事業主又は高年齢者の生産性を向上させるために必要な機械設備、作業方法、作業環境の導入などを実施した事業主にあっては、60歳以上の被保険者1人当たりの上限額を現行の20万円から30万円に引き上げるというものです。3ページ、3点目として、66歳以上への定年の引上げ等に対する助成についてです。四角の中にありますが、今現在の制度では70歳以上への定年の引上げ等を対象にした助成があります。こちらの年齢を引き下げ、66歳以上への定年の引き上げ、定年の定めの廃止又は66歳以上の継続雇用制度の導入、この場合、定年は65歳以上としていただくこととしております。これらいずれかの措置を実施した場合、措置に要した費用を100万円とみなして助成をいたします。

3番目が特定求職者雇用開発助成金のうち、高年齢者雇用開発特別奨励金の見直しです。こちらについては、表にありますように支給額をそれぞれ区分ごとに10万円の引上げを行うものです。

4番目は地域雇用開発助成金です。これは地域雇用開発助成金の中、沖縄県だけを対象とした沖縄若年者雇用促進奨励金の見直しをいたします。見直す部分は、対象となる事業所の2年目の支給要件について追加をいたします。定着状況が優良である場合には2年目にも支給するという仕組みになっております。

 追加する内容は、対象期間に雇い入れた若年求職者の中で一定割合以上、これは3分の2と支給要領で定める予定ですが、3分の2以上について期間の定めのない労働契約を締結、1週間の所定労働時間を通常の労働者と同一とする、通常の労働者と同一の労働協約又は就業規則などに定める賃金制度を適用するとしております。4ページを御覧ください。こういった要件の追加をした上で、2年目の支給額を4分の1から3分の1、中小企業の場合には3分の1から2分の1に引き上げるというものです。

5番目、人材確保等支援助成金です。こちらは職場定着支援助成金の見直しを行うものです。まず1つ目が団体向け、中小企業団体助成コースの見直しです。こちらについては、現在の制度では助成対象となる範囲が重点分野として健康・環境・農林漁業分野に限定しております。こちらを重点分野以外にも拡充をいたします。

 続いて、2つ目は個別企業助成コースの見直しです。こちらも団体と同様、重点分野以外にも拡充をいたします。もう1点、現在、雇用管理責任者の選任を要件としていますが、こちらの要件を介護分野を除いて廃止いたします。

 また、個別企業助成コースの中に介護労働者雇用管理制度助成を創設いたします。こちらは時限の措置で、平成33331日までの間、介護事業主が雇用管理責任者を選任し、労働協約又は就業規則を変更することによって賃金制度の整備、例えば賃金テーブルの設定を行った場合に50万円を助成するというものです。

 また、この制度整備助成を行い、計画期間の終了から1年後の離職率について、目標を達成できた場合には60万円を助成、更に3年経過後に離職率が上がらなかった場合には更に90万円を助成するものです。

 続いて5ページの6番目、キャリアアップ助成金です。こちらについては補正予算でも見直しを行ったところですが、今回はまず1点目としてコース区分の見直しを行っております。現行、6つのコースがあるところを正社員化コース、人材育成コース、処遇改善コースの3つに整理統合いたします。合わせて、正社員化コースの中の見直しとして正規雇用等転換コースと多様な正社員コースがあるところを正社員化コースとして統合しております。支給額などについては変更はありません。こちらにその額を書いております。

6ページを御覧ください。現行制度では正規雇用労働者から短時間正社員への転換又は短時間正社員の新規雇入れを実施した場合に助成がありますけれども、こちらは廃止いたします。あと、有期契約労働者の無期契約労働者への転換又は直接雇用を実施した場合、助成対象者となる有期契約労働者の通算雇用期間を3年未満から4年未満に見直しています。

 助成額などの拡充については、平成283月末までの暫定措置となっているものがありましたが、これを恒久化いたします。例えば、派遣労働者を正規雇用で直接雇用する場合の加算などが含まれます。合わせてコース区分の見直しに伴い、現行制度では下の枠の中にありますが、上の正規雇用等転換コースは15人、下の多様な正社員コースは10人となっておりましたが、コース区分の見直しに合わせ、15人としております。また、中小規模と大規模事業主の区分について、常時雇用する労働者の数のみで判定していたところ、資本金の額又は常時雇用する労働者の数により判定するというように統一しております。

(3)処遇改善コースです。こちらについて、まずマル1賃金テーブルの改定についてですが、小規模事業主における取組を促進するために、対象人数が11人未満の場合について定額化と合わせて助成額の拡充を行っております。具体的には7ページに書いています。例えば一番上、今現在の制度では1人当たり3万円となっております。こちらを1人から3人の所では10万円にするということで拡充になっております。

 続いてマル2共通処遇推進制度です。こちらは、現行制度では法定外の健康診断制度の導入について助成を行っておりますが、これに加え、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の共通の賃金テーブル導入を適用した場合、1事業所当たり60万円、大企業は45万円を助成するという制度を加えております。

 マル3短時間労働者の労働時間延長です。こちらにつきましては短時間労働者への被用者保険の適用を促進するため、平成31年度末までの暫定措置ですが、支給額を現在10万円のところを20万円、大企業については75,000円から15万円に引き上げます。上限についても、現行制度では10人のところを15人に引上げを行います。

8ページの7番目、障害者トライアル雇用奨励金です。こちらは初めて精神障害者を雇い入れる事業主に限り、雇入れ1人当たりの支給額を4万円から8万円に引き上げるものです。

8番目、生涯現役起業支援助成金です。これは新規のものです。中高年齢者などの雇用機会の確保を図るため、多様な形態で雇用機会の確保を図っていくということで、生涯現役起業支援助成金を創設するものです。内容ですが、中高年齢者等がいわゆる起業、ベンチャー企業の創業などを行って、雇用創出のための募集・採用並びに教育訓練に関する計画を提出し、その認定を受け、計画期間内に事業に必要となる中高年齢者等を一定数以上新たに雇い入れる場合、募集及び採用並びに教育訓練に係る経費の一部を助成するものです。起業者が60歳以上の場合には助成率3分の240歳以上60歳未満の場合には助成率2分の1としています。

 続いて9番目、通年雇用奨励金です。こちらは季節労働者の移動就労に係る経費、休業に係る経費、試行雇用終了後の常用雇用に係る経費を助成しているものですが、暫定措置の期限が平成28年中となっております。こちらを3年間延長するというもので、内容に変更はありません。

10番目、建設労働者確保育成助成金です。(1)技能実習コースの見直しです。1つ目が円滑な技能継承のため、技能の指導方法の改善に係る訓練を助成対象に追加するということで、教え方の訓練についても助成するというものです。2点目が女性技能者の建設技能の訓練です。こちらは、現行制度では中小建設事業主が建設技能の訓練を行う場合に対象としているものですが、女性技能者を対象とする場合には中小建設事業主以外も助成金の対象にするという拡充です。

(2)雇用管理制度コースの見直しです。この中の1点目、中小建設事業主が登録基幹技能者に係る賃金又は手当について一定額の増額改定を行った場合の助成を新しく創設をしています。また、2点目として、職場定着支援助成金について先ほど説明いたしましたが、職場定着支援助成金の対象分野が全産業となったことにより、建設の助成金と重複するところが出てまいりますので、助成メニューを整理しております。雇用管理制度導入助成及び離職率目標達成助成については、職場定着支援助成金の対象に新たに含まれることになりますので、そちらによるものといたします。一方でそちらに含まれない入職率達成助成、こちらの四角の中にありますけれども、60万円の助成です。こちらについては、この建設労働者確保育成助成金で引き続き助成を行うものです。

 建設労働者確保育成助成金の(3)、作業員宿舎等設置コースの見直しです。こちらは女性の活用を目的としたもので、建設現場で女性が働きやすい環境(トイレ、更衣室、シャワー室等)、こちらの整備に要した費用の3分の2を助成するものです。内容については以上です。

○雇用開発企画課長 続いて、労働移動支援助成金に関して関連の御説明を申し上げたいと思います。参考資料の4ページをお開きください。労働移動支援助成金についてですが、この助成金は企業が事業規模の縮小等を行う際に、それに伴って離職せざるを得ない労働者の方が発生した場合、その再就職促進をすることを目的としている助成金です。国会や新聞報道等により、この助成金が制度の趣旨に必ずしも添わない形で利用されているケースがあるのではないかということが明らかになってきたため、この度、一定の制度改正を考えております。まずは省令事項には至らない、要領ベース、運用上の対応ということで考えておりますけれども、その内容について御説明申し上げたいと思います。

4ページの上の方の枠内ですが、2点の改正事項について掲げております。まず1点目、事業主が再就職支援を委託した再就職支援会社から、人員削減を目的とするような退職コンサルティングを受けていたかどうかを確認する。それに該当した場合、不支給とするという内容です。

 この趣旨ですが、再就職支援会社が企業に対して退職者を増やす方向での働きかけを無料で行い、その後発生した退職者の再就職支援を自分の会社で受託するような、言わばマッチポンプのようなケースがあるのではないかという指摘がありました。このようなケースに、この助成金を支給することが不適当であるという理由によって改正するものです。

2点目、これまでも支給申請書の本人確認欄におきましては再就職支援会社から退職するよう働きかけを受けていなかったかどうか、退職勧奨を受けていなかったかどうかを確認しておりました。これに加え、事業主から直接退職強要を受けていたと本人が受け止めていたかどうかを確認し、これに該当するものと確認された場合はこの助成金を不支給とするというものです。これも、このようなケースに該当するものに対してこの助成金を支給することが不適当であるという理由で行おうとするものです。

 これらは当面の改正です。緊急的な対応で、今後更に必要な見直しを図らなければいけないと考えております。大臣からもその旨指示がありました。本分科会にお諮りしながらその内容について検討してまいりたいと考えています。

5ページをお開きいただきたいと思います。こちらは、以前に本分科会において労働移動支援助成金の支給の状況について報告するようにという御指摘があり、今回、その内容を報告申し上げる次第であります。

 平成26年度中に本助成金の対象となって支援を受け始めた方は3,304人おりました。その後のその方々の就職状況と就職先での雇用形態を調べたものがこの表です。平成282月現在で見ると就職率は82.6%となっております。また、雇用形態のほうで見ると58.7%、約6割の方が期間の定めのないフルタイムで就職されている状況が分かると思います。

6ページをお開きください。離職前の賃金に比べ、再就職先の賃金がどのぐらい変化したのかを調べたものです。計算してみますと平均で74.7%、大体前の賃金の4分の3ぐらいの水準であることが結果として分かっております。

 最後ですが、離職から再就職までの期間について調査したところ平均2.8か月という数字が出ております。以上です。

○阿部分科会長 それでは、本件について質問や意見がありましたら御発言をお願いいたします。

○林委員 労働移動支援助成金について御見解をお聞かせいただきたいと思います。この助成金については規模や対象が拡大されてきたという経緯がありますが、本分科会において、労働側としては、この制度の拡大が安易なリストラを助長することになりかねないこと、優先させるべきは成長産業の育成ではないかということ、対象となる労働者本人の同意が必要であること、最後に委託契約時に1人当たり10万円を支払うことは問題であること、このような点を懸念として申し上げ、慎重に検討すべき旨を主張させていただきました。

 今回、一部に職業紹介事業者による行き過ぎた営業活動への活用ということで、制度の趣旨に照らして不適切な運用がなされている事例が生じたということです。正に、これまで労働側が指摘してきた懸念が現実のものとなったということだろうと思います。労働者の生活と雇用の安定ということを第一目的としている雇用保険制度が、本来とは全く正反対の目的に使われているということは極めて問題ですし、不適切な運用を行った送出し企業に対し労働移動支援助成金が支給されるという構造も極めて問題であると考えています。

 労働側では、労働移動支援助成金について一旦停止をして、制度の見直しの議論を行った上で必要な対応のみを運用していくべきだという議論も出ております。私たち労働側としては、たとえ一部であったとしても、再就職支援事業や労働移動支援助成金が本来の目的から逸脱して、労働者に不利益をもたらしている実態を考えれば、その是正と適正化を早急に行うべきと考えております。是非、この辺、スピードアップして取り組んでいただきたいと考えております。

○雇用開発企画課長 労働移動支援助成金が本来の制度の趣旨・目的に添わない形で運用されるケースがあったということはそのとおりで、それに対して新年度、私どもも応急措置でありますが、先ほど御説明したとおり、一定の状況で不適切な場合について不支給とするような対応を取っていくことを考えています。

 この際、一時停止したらというお話もありましたが、そもそもリストラで離職を余儀なくされる方々の再就職支援ということですから、そこで停止してしまうと結局は労働者御本人が再就職支援を受けられないことにもなりかねない状況があります。先ほど大臣からも指示を受けたことを申しましたが、更にこの制度の中身を趣旨に合うような運用ができるよう改善するということで、急いで対応していくことを考えております。

○林委員 必要な取組にまず絞っていただく。先ほど制度面でのチェックということもありましたけれども、是非運用面でもきちんとチェック機能が働くよう図っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 そのようにお願いします、ほかにいかがでしょうか。

○斗内委員 今ほどの議論の続きになろうかと思います。先ほど、資料No.1-2の参考資料4ページで、いわゆる平成28年度からの不支給要件についての御説明を頂きました。そこについて2点お話をさせていただければと思います。

 まず、先ほど御説明がありました囲みの中の2つ目の○、本人確認欄においてマル1従来から行っていた再就職支援会社から直接退職勧奨を受けていた場合の確認に加え、マル2事業主から退職強要を受けたと感じた場合についても確認し、該当者については支給対象外とするという御説明がありました。今のこのような内容ですと、本人の確認ということで、確認票に基づいて行う対応としては不十分ではないかと考えているところです。厚生労働省としては、本人確認欄の中で御本人の電話番号、本人連絡先等を設けることで、例えば直接御本人に確認できることも可能ということですが、全ての方々を対象にすると手間が掛かり、全数をなかなか実施できないということがあるのではないかと思います。やはり、確認票自体が事業者を通じたやり取りというところも問題があるのではないかと思っています。別途、労働者本人から労働局に対し、直接書類を提出させるなどのスキームが有効になるのではないかということで1つ御意見を申し上げたいと思います。

 また、仮に本人が退職強要を受けたと申告し、助成金の支給対象外になったという場合において、労働者の再就職が御破算になるような不利益取り扱いが行われないことが重要だと思っています。要件を厳しくするこのような対応の結果、労働者が不利益な扱いを受けることがないよう、運用面で十分配慮をお願いしたいと思います。先ほど来ありますように、早急に対応をというお話なのですが、この平成28年度の不支給要件については、具体的にいつから適用を開始されるのか、御見解をお伺いできればと思います。

○雇用開発企画課長 事業主経由で本人の確認票を労働局に申請した場合、事業主がもしかしたら圧力をかけて、本人の申請内容について虚偽の申告があるかもしれない。ですから、本人から労働局へ直接提出するようなルートというのはどうかというお話だと思います。それは1つの方法だと思います。今のところ、応急措置としては電話番号と本人の住所欄を本人確認票に記載していただいて、労働局のほうで事前に本人に確認を取って、内容を確認していこうと思っております。御指摘のようなことについては今後、制度全体を見直す中で必要に応じてやるかどうかを検討していきたいと思っております。

 今回の見直しは、応急措置は新年度早々にやろうと思っております。今後の新しい見直しについては予算措置になりますので、平成29年度の概算要求までに間に合わせるようにやっていきたいと思います。ただ、その方向性についてはできるだけ早め早めに検討していきたいと思っております。

○阿部分科会長 よろしいでしょうか、ほかにいかがですか。

○青木委員 資料No.1-2の参考資料5ページ、6ページで、平成26年度に労働移動支援助成金による再就職支援を受けた方の再就職者数と再就職先での雇用形態などを御説明いただいたところです。この数字をどう見るかということはあろうかと思いますが、やはり再就職者が74.7%と8割を切り、フルタイムで期間の定めなしが6割を切るような状況が見て取れるかと思います。現行制度の運用実態などを踏まえつつ、こういった数字についての分析を行いながら、制度そのものの見直しが必要ではないか。そのような意見を持ったところです。

 もう1点、参考資料3ページにありました労働移動支援助成金の支給要件と支給時期の一番下の表で、委託開始時分は10万円となっておりますが、この時点での支給ではなく、やはり本来の目的である再就職が実現をした時点での支給のみに一本化してはどうか。そのような意見を持っているところです。

 あわせて、20143月以降に大企業への支援助成措置が拡大されております。今後、廃止に向けての検討なども必要なのではないかという意見を労働側としては持っておりますので述べさせていただきます。

○雇用開発企画課長 制度の改善を今後検討するに当たって、現行制度がどのように運用されているのかをよく見て、どこに問題点があるのかをきちんと把握した上で然るべく対応をしていくことが必要ですので、そういう意味で、現行制度の運用実態をよく、これ以上もう少し詳しく見ていかなければいけないと思っています。

2点目の委託支援時の10万円の話です。この制度は、もともとはインセンティブと言いますか、この助成金を事業主さんに使っていただきたいということで設けられた制度です。この制度の仕組みとして、まず御本人のために事業主さんが再就職支援を再就職支援会社に委託する。大体平均して60万円ぐらいの委託経費が掛かるそうですが、60万円を支出する。その後、再就職が実現したら助成金が後から出てくるとなると、就職するかどうか分からないという状況の制度で助成金が出るかどうか分からないということでは、社内でこの委託をするための稟議がなかなか通らないとかそういう問題も指摘されていたところで、できるだけ導入効果と言いますか、10万円でまずこの制度を使ってみてくださいということから始まったというものです。ただ、この10万円について、結局再就職が実現できない場合でも支給されているということは、この制度が本来の趣旨に照らしてどうだという話ですので、その点は、今後抜本的に見直す中で、それも含めてどうするかということを検討していきたいと思っています。

 それから大企業の話が出ましたが、大企業については、もともとこの助成金は、大企業、中小企業の両方ともに出ていたのです。リーマンショックのときに雇用調整助成金が相当支給件数、支給金額が伸びたということで、財源的になかなか難しいことが出てきたために、各助成金ともそれぞれ削減をする方向の中で、この助成金についても大企業については削っていこうではないかということで、3年間でしたが削ったわけです。それを平成26年度に戻したということで、もともと大企業も出ていた状況があります。ただ、その大企業について、退職強要の問題であるとか、先ほど申し上げた再就職支援会社との言わばマッチポンプのような問題とか、そういう問題が出てくるのではないかという指摘があるので、それも実態をよく踏まえた上で、今後どうするかということを検討していきたいと思っています。

○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○清水委員 今、御説明いただきました資料No.1-21ページです。労働移動支援助成金の(1)再就職支援奨励金についてです。マル2休暇付与について、支給日数の上限を90日から180日に延長する、また支給額も拡充するという趣旨の記載がありますが、ここまで拡充する必要があるのかと思います。現行制度における取得期間など、こうした拡充の見直しを行う必要があるのかについて、お考えをお聞きしたいと思います。

 それからもう1点。2ページのキャリア希望実現支援助成金の新設の所で、マル1生涯現役移籍受入支援ですが、これは、40歳以上60歳未満の方を移籍により受け入れた場合に助成するとされていますが、さすがに40歳というのはちょっと若すぎるのではないのか。リストラを助長しかねないという印象を大変強く受けるわけですが、こちらについても考え方を伺いたいと思います。以上です。

○阿部分科会長 では、お願いします。

○雇用開発企画課長 まず1点目の休暇付与の関係です。この休暇付与に対する助成の制度というのは、もともと失業なき労働移動というものをこの助成金の目的としてやっているわけですが、実態上は、再就職支援会社にお願いをして、離職を一度経て、2.8か月でしたか、その離職期間というものは実態上出てきてしまっている状況があるわけです。失業なき労働移動を実現するためには、再就職支援を始める時期をもっと早めなければいけないのではないかということで、在職中から、あくまでも本人が退職を決定した後ですが、決定した後に在職中から求職活動ができる環境を作ることが必要なのだろうということで、本人に、求職活動に専念するための特別な有給休暇を事業主さんが与えた場合に助成をしましょうということでこの助成が設けられております。こういう取組をもっと企業に拡大しなければいけないという観点で、最大180日、6か月分の助成可能な期間を設けたという趣旨です。

 それから、キャリア希望実現支援助成金の関係です。これが40歳以上というのはどうなのかという話ですが、そもそもこの助成金の目的というのは、通常の企業であれば65歳までの雇用確保措置がありますので、65歳までは継続雇用で雇用される。ところが、これから生涯現役社会を作っていこうとするときに、65歳を超えて、66歳以上まで雇用できる環境を作っていかなければいけない。自分の勤めている企業がどうしても65歳止まりであったとすると、もう少し66歳以上まで働きたいという方は、定年がない企業とか、66歳以上まで働ける企業へ移っていくことができれば、それは今申し上げたような目的が達成できるであろう、そのときに、リストラをしてそちらへ移すという形ではなくて、本人の御希望を尊重して、元の企業と先の企業の合意で移籍をする形があったとすれば、そこに助成をしようというのが本助成金の趣旨ですので、決してこれはリストラ促進をしようというわけではない。その移動に当たって、できるだけ若いうちから移動したほうが、移動先のほうで馴染むことができるしということで40歳と設定したわけです。この40という数字ですが、年齢別の有効求人倍率をとってみると、ちょうど40以前は1倍以上、40を過ぎると1倍以下となりますので、そういうことで、40以降になると雇用関係が厳しくなることを踏まえて40歳として設定したものです。

○阿部分科会長 ほかにいかがですか。

○松原委員 私からは職場定着支援助成金について申し上げたいと思います。先ほど御説明を頂いた資料No.1-24ページ目の所に介護労働者雇用管理制度助成の創設ということで、また、参考資料の13ページ目にもその概要が記載されています。今回、この助成については新設をするということですが、この支給要件については賃金制度の整備ということで、これが助成条件になっています。この制度のそもそもの趣旨については参考資料の趣旨の所にも記載があるとおり、「労働者の職場定着を促進させ、人材不足の解消、魅力的な雇用創出を図る」とあります。これが大前提なのだろうと認識をしています。賃金制度の整備をすることによって労働条件が低下すること、こういう場合でも助成の対象になってしまうというふうにも読み取れないわけではないのですが、そのようなことが発生してしまってはこの趣旨に沿わないと思いますので、この点に対する考え方について見解をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。  

○阿部分科会長 ではお願いします。

○介護労働対策室長 お答え申し上げます。賃金制度については、職務、職責、職能、資格、勤続年数等に応じて段階的に定めるものと考えています。こういうものを新たに導入する、また改善されることが必要になってくると考えています。上昇していくことを念頭に置いた制度にすべきということで、賃金の総額ベースで見ています。基本的には個々の、1人当たりの月当たりの平均賃金を見つつ、全体の賃金総額が低下しないということを要件とすることを予定しています。

○阿部分科会長 松原委員、よろしいですか。

○松原委員 はい。制度趣旨がそもそもありますので、その趣旨に沿った形で効果が現れるように適正な運用をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○阿部分科会長 その他いかがでしょうか。

○村上委員 資料No.1-2の参考資料の労働移動支援助成金の平成28年度からの不支給要件の部分について、1点確認をしたいと思います。4ページです。先ほど斗内委員からは下の○についての確認がありましたが、○の1つ目のほうで、再就職支援サービスを委託した再就職支援会社から退職コンサルティングを受けていたか否かを確認し、該当すれば申請全体を支給対象外とするとあります。おそらく申請時に確認をされるということだと思うのですが、後から、実は退職コンサルティングを受けていたことが分かった場合にはどのように対処されるのかについて、まず確認をしたいと思います。

○雇用開発企画課長 退職コンサルティングを受けていたかどうかというのは、申請事業主さんから支給申請書に明記していただくということです。一般的に、支給申請書上で虚偽申告、虚偽記載があった場合は、それが後ほど分かった場合は不正受給となりますので、その支給額というか受給額を返還していただいて、ほかの助成金についてもその後3年間は不支給処分とするというような形を取っていますので、今のようなお話についてはそれに該当することになるかと思います。

○阿部分科会長 よろしいですか。

○村上委員 はい。その上で、冒頭、林委員からも申し上げましたが、私たち労働側としては、やはり労働移動支援助成金が制度の趣旨に照らして本来の趣旨とは違う使われ方をすることは本意ではないと思っていますし、そのような使われ方をする仕組みであれば変更していくべき、修正していくべきと考えています。縷々御説明があったように、平成28年度からは一定程度、応急措置的な見直しをされるということではありますが、やはりそれにとどまらず、委託開始時分の10万円の話などについても早急に制度見直しの検討をしていただきたいと思っています。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございます。その他、玄田委員どうぞ。

○玄田委員 今、労働側委員の皆さんからお話があった、労働移動支援助成金に対して大きな懸念があるという御発言については、私自身もかなり同感する部分が多々ありますので、是非、見直しの際に詳細な検討を頂きたいということを合わせて申し上げたいと思います。併せて、先ほどの資料4ページの囲みの部分ですが、具体的に幾つか是非、御検討いただきたいと思うことだけを申し上げたいと思います。

 やはり、これだけ見ると不安感があって、ちょっと表現が余りよくないかもしれませんが、もしこれに該当するような再就職支援会社があれば、かなり何と言いますか、杜撰なと言いますか、余り質の良くないと言いますか、荒っぽい再就職支援会社だなという印象を持っています。そうしますと、このような不支給要件が出てきますと、もう少し支援会社としては、何と表現すればいいか分かりませんが、高度化と言いますか、精密化と言いますか、もう少し違う形で実質的にはそういうことをサービス、サービスと言っていいか分かりませんが、される可能性を多分懸念されていると思いますので、その辺を含めて考えますと、例えばまだこれから御議論になります退職コンサルティングというのは、どこまで、どういう範囲まで含めて考えるのかというのは、多分この懸念を解消するのにはとても大事だろうと。正に、自分たちのビジネスのために退職をさせませんかということは言語道断だと思いますが、一方で、本当にやむなく事業所を閉鎖しなければならなくなって、そこに対して、できるだけスムーズに退職から再就職につなげるためのアドバイスを受けることまでしてはいけないのかとか、そういうことについても多分非常に退職コンサルティングの意味が広い。また、恐らくこういうアドバイスをするときに、これが駄目だとなった場合には、例えば関連する人材コンサルティング会社がそういうことをした場合にはどうかとか。そうしますと、再就職支援会社から退職コンサルティングを受けていたかどうかということよりも、やはり再就職支援会社などから受けていたかどうか、そしてその退職コンサルティングの内容が何であるのかを、かなり早い段階で明確にしていかないと不安材料は残るであろうと思いました。

 また、下の○についても、やはり難しいのは、特にマル2ですが、退職強要を受けたと感じた場合という、やはりこの感じたという、この主観的なところに、一体どこまで信憑性とか客観性を担保できるのかというところが恐らく不安だと思われますので、そこについてどうするかというのは、具体的に記録を残すとか、そこまでは求めないにせよ、やはり問題になるのは、こういうことを含めて、事実上の合理性のない指名解雇に当たるような形になっているとするならば、それは非常に由々しきことであるので、やはり問題なのは、個別に退職強要を受けたということが事実としてあるかどうかということなど、この文言についてできるだけより分かりやすい形で厳密化していただくように是非とも御検討を、見直しの際にお願いできればということを私からも申し上げたいと思います。以上です。

○阿部分科会長 ありがとうございました。その他、いかがでしょうか。特にございませんか。それでは、当分科会は本日の議論を踏まえ、委員から御意見がありましたので、そうした御意見を付記する形で報告を取りまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。 

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 はい。それでは、事務局に報告文案の作成をお願いしたいと思います。

(事務局報告文案作成のため一時退室)

          (事務局入室、報告文案を阿部分科会長へ手交)                    

○阿部分科会長 それでは、皆さんに報告文案を配布してください。

(報告文案配布)

○総務課長 お手元に配られましたでしょうか。それでは、私から読み上げさせていただきます。雇用保険法施行規則及び建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について、平成28329日付け厚生労働省発職03291号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。記 厚生労働省案はおおむね妥当と認める。その上で、労働者代表委員から、労働移動支援助成金については、今後、更に見直しを行うべきとの意見があった。以上でございます。

○阿部分科会長 ありがとうございました。報告文案について、ただいま読み上げていただいたとおりとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それではお手元に配布された報告書文案のとおり、労働政策審議会会長宛てに報告させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは次の議題に移ります。次の議題は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険料を変更する告示案要綱についてです。本件については、本日、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けています。事務局より説明をお願いします。

○雇用保険課長 資料No.2-1、資料No.2-2により、雇用保険の保険料について御説明を申し上げます。まず資料No.2-1ですが、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険率を変更する告示案要綱ということで、次ページに告示案が出てきます。

 告示案の要綱です。2行目に平成2841日から平成29331日までの雇用保険率を1,000分の11、原則1,000分の11とするという内容です。

 この経緯の中身ですが、次の資料No.2-2を御覧ください。次ページに、雇用保険部会の部会長名で、当分科会分科会長宛てに告示案要綱について報告があった旨、書かれております。厚労省案を妥当と認めるという内容です。

 この経緯は、次ページに、雇用保険部会報告と書いた11ページからなる資料があります。この報告については、昨年12月に雇用保険部会において取りまとめられたものです。これを基に法案要綱を策定して、1月の当分科会において、要綱をおおむね妥当と認めるという答申も頂いたところです。

9ページを御覧いただくと、報告書の6番、財政運営についてです。まず、(1)失業等給付財政運営についての所で、1つ目の○ですが、失業等給付に係る雇用保険料率については、平成24年度以後、各年度について弾力条項を発動されていまして、現行制度の下限である1,000分の10となっております。現行、法律においては、1,000分の14が原則の保険料率ですが、この保険料率については、財政状況を見て±1,000分の4の範囲で弾力的に引上げ、引下げができるという制度でして、現在は財政状況に照らして1,000分の4引き下げていますので、1,000分の10となっているところです。

 現在の失業等給付に係る財政状況については、黒字基調で推移しているということで、過去10年間ほど平均的な雇用情勢から、終始均衡となる保険料率を推計すると、大体1,000分の12です。したがって基本となる雇用保険料率を1,000分の12として、これで現在の財政状況に照らして弾力条項を発動しますと、±4-4ということで、1,000分の8になると。これを引き下げたケースを想定しまして、これによって安定的な財政運営が確保できるだろうということですので、9ページの一番下の○ですが、基本となる失業等給付に係る雇用保険料率については、平成28年度以降、1,000分の12とすべきであると。平成28年度の失業等給付に係る雇用保険料率については、弾力条項を発動した上で、1,000分の8とすべきであるということで、昨年末に取りまとめられているところです。

329日に改正雇用保険法案が成立いたしまして、その中で、失業等給付の雇用保険料率については、1,000分の12ということが規定されておりますので、それを踏まえて、告示で1,000分の8まで下げるということを規定するというのが、第1点です。

9ページの一番下の行の(2)ですが、雇用保険二事業の財政運営についてです。次ページの1つ目の○で、雇用保険二事業の財政状況を見ると、弾力条項の発動要件を満たしているということで、3行目ですが、平成28年度の雇用保険料率については、1,000分の3に引き下がると。これは裁量の余地なく自動的に引き下げるということです。したがって、前の9ページの1,000分の8、それから、雇用保険二事業分の1,000分の3、合わせて原則の業種については、足して1,000分の11というのが雇用保険料率ということで、今回の告示案です。

 部会報告は、11ページまでありますが、次ページを開いていただくと、今、私が申し上げたようなことが内容として、趣旨と告示概要ということで書いております。趣旨は現在、申し上げたとおり、失業等給付の雇用保険料率は1,000分の8、二事業分は1,000分の3ということで告示するものです。

2番の告示の概要ですが、原則、1,000分の11、一部、業種については1,000分の13又は1,000分の14ということで、具体的な失業等給付分と、二事業分の内訳はそこの表のとおりです。

3番、公布日は、明日、41日を予定しております。適用日についても41日ということです。説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 それでは本件について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。いかがでしょうか。特にありませんでしょうか。ないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から、労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いいたします。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告をすることとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきたいと思います。

 次に移ります。高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱についてです。本件については、本日、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問を受けております。事務局より説明をお願いします。

○高齢者雇用対策課長 高齢者関係の法律に関する資料は、資料No.3-1、資料No.3-2となっております。資料No.3-1を開いていただくと、「貴会の意見を求める」ということで、次ページになりますが、別紙で省令の中身が記載されております。高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱ということで、第一、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第39条第1項の厚生労働省令で定める基準は、次のとおりとするということです。これは、派遣・職業紹介に限って、シルバー人材センターの就業時間を週20時間から40時間に要件緩和を可能にするというものです。その中で(1)が、民業圧迫の観点という中で、指定しようとする業種及び職種に係る有料の職業紹介事業又は労働者派遣事業等を当該指定に係る市町村の区域において営む事業者の利益を不当に害することがないと認められること。(2)において、労働市場への影響という面から、当該指定に係る市町村の区域の労働者の雇用の機会又は労働条件に著しい影響を与えることがないと認められることということで、この省令は公布の日から施行することとなっております。これは前回というか、12月の安定分科会においても建議ということで、後ろのほうに建議の内容が、今後の高年齢者雇用対策についてということで建議がなされ、その内容について、法案に一部盛り込んで、一部ここの部分については省令で記載しているという部分です。

 先ほども会長からありましたが、1時半から雇用問題基本部会を開催しまして、その中で、厚生労働省案は妥当と認めるという報告を受けました。以上でございます。

○阿部分科会長 それでは本件について、御質問、御意見がありましたら、御発言ください。いかがでしょうか。特にありませんでしょうか。それでは、ないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から、労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いいたします。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告をすることとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。

 次の議題は、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱についてです。本件については、329日付けで、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問を受けております。事務局より説明をお願いします。

○訓練受講者支援室長 それでは、説明させていただきます。資料No.4-1、資料No.4-2になります。こちらは求職者支援制度に関連する省令改正になります。資料No.4-1の別紙を御覧ください。内容的には第三の所にある職業訓練受講給付金の改正ということで、職業訓練受講給付金に寄宿手当を新設し、特定求職者が認定職業訓練等を受けるため、同居の配偶者等と別居して寄宿する場合に、給付金支給単位期間当たり、10,700円を支給するものです。施行期日は、平成28101日からとなっております。

 経緯を簡単に説明させていただきます。今、求職者支援制度は、雇用情勢が非常に改善しておりまして、受講者数が減少、それから連動する形で訓練定員枠の減少、それから、訓練実施機関の撤退というのも進んでおります。そうした中で、雇用保険部会のほうで、離島・山間部といった地域での訓練機会が非常に減ってきていて、都市部と格差が開いてきている、そういうような御指摘を承りました。それの解消に向けて、例えば離島の方とかが都市部の訓練を受講するための何らかの支援、手当を措置できないかという御要望を承ったところです。それに対応して、そういった離島等の居住者が都市部の訓練を受講し、同居の家族と離れて生活をすることによる家計の負担を軽減するため、現在、雇用保険制度上にあります寄宿手当等と同様のものを、こちらの求職者支援制度に創設したいと思っております。

 施行期日の101日というのは、資料No.4-22ページ目に、今回の求職者支援法の省令改正の全体像があります。実は今回、やはり受講者減ということで、求職者のニーズに応える形での見直しをしております。訓練の立て付けのほうは、能開分科会のほうで議論をして、そちらでの省令改正も今回実施することになっております。そこの3つ目の所になりますが、給付金関係は安定分科会ですので、こちらの改正が含まれています。全体の改正としては、この訓練の立て付け部分の能開局の改正と合わせて実施しまして、ほとんどの部分について、平成28101日の施行となっております。同じ時期の施行ということで対応したいと思っております。説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 それでは本件について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。いかがでしょうか。特にございませんか。ないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から、労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いいたします。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告をすることとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。

 それでは、次に移ります。雇用対策法施行規則の一部を改正する省令案要綱についてです。本件については、325日付け、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問を受けております。議題(6)その他としてお配りしている資料と併せて、事務局より説明をお願いします。

○雇用政策課長 議題(5)の雇用対策法施行規則の一部を改正する省令案要綱の諮問、議題(6)その他としての報告、2件ありますが、これについて併せて説明させていただきます。これらについては、諮問案件とそれ以外の案件ということで、形式的に分けた形にしておりますが、全て雇用促進税制の関連事項ですので、まとめて御説明させていただきます。資料については、資料No.5-1、資料No.5-2、資料No.6-1、資料No.6-2を随時御覧になっていただければと思います。

 まず最初に、資料No.6-1、雇用対策法施行規則の一部改正についての資料があります。5ページを御覧ください。雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除の延長ということですが、いわゆる雇用促進税制に係るものです。この税制については、制度の内容というところにありますが、雇用者数の増加1人当たり40万円の税額控除をするという制度で、今年度まで延長されて、2年間が適用期限だったという状況でした。それについて、この度、この資料の「改正後」という所にありますが、雇用機会が不足している地域、具体的には地域雇用開発促進法に規定する同意雇用開発促進地域における質の高い雇用ということで、無期雇用かつフルタイムでの創出について、増加人数1人当たり40万円の税額控除を行うという、そういう制度として、適用期限を2年間延長するというものです。

 なお、この措置を盛り込む根拠については、租税特別措置法に基づくものですが、それを含めた所得税法の一部を改正する法案については、確認したところ、本日成立をし、公布されるということになっています。

 この税制ですが、雇用情勢が現在、改善が進んでいるという中において、もともと雇用情勢が厳しい時期に、地域における雇用創出を進めていくための税制として、創設したものでしたので、今の状況の中で、この税制の必要性について、税務当局に要望した際に指摘を受けるという状況がありました。ただ、それについては、資料No.6-2「雇用政策基本方針の一部改正について」という資料の1ページにも、参考として出ています。2つ目の○の所にあります。今の現状認識としては、全体的に雇用情勢が改善している状況ではありますが、特に地方創生という観点から見た場合に、地域において良質な雇用機会の不足、構造的なものとして認識していますけれども、それが地方から東京圏への人口流出を加速させて、地域の衰退を促進している面があるということで、昨年の年末に改定、閣議決定されている「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の中にも、1ページ目と、2ページ目にありますが、アンダーラインで示させていただいたような問題認識が指摘されているというような状況があり、引き続き、特に雇用情勢は厳しい地域においては、良質な雇用機会を作っていく必要があるという認識を示して、税務当局と調整させていただいた結果として、先ほど冒頭に申し上げたような内容で、2年間延長が認められたということです。

 そうした中でこの税制は、先ほど申し上げたように租税特別措置法に基づくものですが、我々厚生労働省としてそうした措置を引き続き進めていくために、更に根拠というのを示していくべきではないかという話も調整過程で指摘を受け、それを踏まえて、雇用政策基本方針と、今回諮問させていただいていますが、雇用対策法施行規則の一部ということで、雇用施策実施方針の策定に関する指針、いわゆる全国指針と申し上げているものですが、それについて、その趣旨を盛り込む形で改正させていただければということです。

 順次、御説明させていただくと、まず雇用政策基本方針については、資料No.6-21ページに戻っていただくと、そちらに、そもそも雇用政策基本方針についての内容としては、雇用対策法施行規則第1条の規定に基づき、雇用対策法第4条第1項各号に掲げる事項について講じようとする施策に関し、基本となる事項を定めるということで、これについては、直近のものとしては、平成264月に策定して、当面5年間程度の間に、我が国が取り組むべき雇用政策の基本的な方向性について定めているものがあります。

 その内容については、時間の関係で割愛しますが、4ページに、雇用政策研究会の報告書(概要)をお付けしております。基本方針を見直すに当たって、学識経験者に参集いただいて、雇用政策研究会で報告書を取りまとめていただいて、その内容を踏まえて策定しておりますので、ここに記したような内容が記載されているというように御理解いただければと思います。それに基づいて、各施策を講じているわけですが、中身について先ほど申し上げたような形で、具体的には1ページに戻っていただくと、12番目の○の所を踏まえて、2ページ目の2の「改正の内容」にあるとおり、基本方針の中に、「地域の活力を維持するため、雇用機会が不足している地域における期間の定めがなく、かつ、フルタイムの雇用機会の創出に向けた支援等により、地域における良質な雇用機会の確保を図る」という内容を追加するという形で、これは公布日としては、明日、41日を予定、その公布日に施行とさせていただこうということを考えております。それが基本方針の関係です。

 次に、それを踏まえて、諮問事項です。資料No.5-1、資料No.5-2ですが、まず資料No.5-2の改正の経緯の所に書かせていただいていますが、雇用対策法施行規則第13条において、都道府県労働局長が毎年度施策を講ずるに当たって、指針を都道府県知事の意見を聞いて定めるということです。厚生労働大臣は、毎年度、雇用施策実施方針の策定に関する指針を定めるということですが、その関係については、23ページ目に、全国指針、地方指針と呼んでおりますが、そういう関係を示させていただいておりますし、まだ現時点では案ではありますが、45ページ目においては、全国指針の平成28年度、次年度の概要ということでお示しをさせていただいております。

 重点施策としては、地方創出に向けた取組の推進、非正規雇用労働者の待遇改善、女性の活躍推進・ひとり親に対する就業対策の強化、若者の活躍推進、生涯現役社会への実現に向けた雇用・就業環境の整備、障害者等の活躍促進、外国人材の活用・国際協力、重層的なセーフティネットの構築と、それから、6ページで、人材力強化・人材確保対策の推進、働き方改革の実現と、そういう項目で整理を今しているところです。

1ページ目に戻っていただきますが、内容については、厚生労働大臣が雇用対策実施方針の策定に関する指針を定める場合には、安定した雇用機会が不足している地域において、安定した雇用機会が確保されるよう配慮するという旨の規定を新たに設けるということで、改正案として考えております。

 それについて、諮問事項ですが、資料No.5-1の施行規則の一部を改正する省令案要綱の第一として、雇用施策実施方針の策定に関する指針を定める場合の配慮事項の創設ということで、厚生労働大臣は、都道府県労働局長による都道府県労働局及び公共職業安定所における職業指導及び職業紹介の事業その他の雇用に関する施策を講じるに際しての方針の策定に関する指針を定める場合には、安定した雇用機会が不足している地域において、安定した雇用機会が確保されるよう配慮するものとすることとして考えております。

 なお、最後になりますが、これも報告案件で、資料No.6-1に戻っていただき恐縮ですが、省令の改正ということで、先ほど雇用促進税制の延長に基づいて、無期かつフルタイムの雇用を確認するための様式を追加させていただくということで、23ページ目に様式が記載されています。その中で、マル21、マル22という項目を新たに設けさせていただきました。また、それに関連して、3ページの記入上の注意の(10)(11)を、それぞれマル21欄、マル22欄に対応した形で設けさせていただいております。長くなりましたが、御説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 それでは本件について、御質問、御意見がありましたら、御発言ください。

○村上委員 御説明を伺って、内容はよく分かりました。地域において、私どもも経営者団体の皆さんとか、都道府県の皆さんなどと一緒に、この時期、地域フォーラムということを各地で開催しておりますが、やはりそこで大きなテーマになるのは、若い人たちの定着の問題とか、女性の活躍の問題であったりします。その中でも地域に良い仕事をどうやって作っていくのか、それによって、どうやって若い人に定着してもらうのかということが真剣に話し合われておりまして、是非、こういった方向性で方針が策定されるようにしていただきたいということと、地域の実情を踏まえて、地域の労使など関係者の意見も聞きながら、よい施策になっていくようお願いして、この省令改正については了承したいと思っております。

○阿部分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。ありませんでしょうか。ないようでしたら、資料No.5-1、雇用対策法施行規則の一部を改正する省令案要綱について、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から、労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思います。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いいたします。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 では、お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛て報告をすることとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。

 本日の分科会は、これで終了したいと思います。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会会長のほか、2人の委員に署名を頂くことになっております。つきましては、労働者代表の青木委員、それから、使用者代表の熊谷委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 本日も活発な御議論を頂きまして、ありがとうございました。これにて終了させていただきます。


(了)

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