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2016年8月26日 「第1回平成28年度労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会」議事録

○日時

平成28年8月26日 13:30~15:30


○場所

労働委員会会館 講堂


○議題

(1)労働安全衛生法における特殊健康診断について
   ○オルト—トルイジンに係る特殊健康診断について

○議事

 

○大淵職業性疾病分析官 大変お待たせいたしました。本日は、大変お忙しい中、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第1回「平成28年度労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会」を開催いたします。

 座長選出まで事務局にて議事進行を担当いたします大淵と申します。よろしくお願いいたします。

 それでは、初めに武田労働衛生課長より御挨拶申し上げます。

○武田労働衛生課長 それでは、開会に先立ちまして一言御挨拶を申し上げたいと思います。労働衛生課長の武田でございます。

 まずは、委員の先生方には日ごろから労働衛生行政に多大なる御協力を賜りまして、まことにありがとうございます。この場をおかりしまして御礼を申し上げます。

 本日は、御多忙の中、それから大変暑い中、第1回「平成28年度労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会」に御参集いただきまして、心より感謝申し上げます。

 まず最初に、本検討会の検討範囲等に関してでございますけれども、改めまして本検討会は化学物質等に関する特殊健康診断、それから健康管理手帳等につきまして検討していただくという位置づけのものでございまして、具体的には健診項目等の設定、見直し等について御議論をいただきたいと考えております。

 また、これは後で事務局のほうから縷々御説明をさせていただくことになっておりますが、御案内のとおり、昨年12月にオルト-トルイジン等を取り扱っている福井県の事業場におきまして、労働者、退職者の方々に膀胱がんが発生しているということが判明いたしました。これを受けまして、厚生労働省といたしましても、早急に関係機関による災害調査を進めるとともに、関係事業場に対しまして関連の健康診断の実施を要請する等、所要の措置をとってきたところでございます。

 今回の事案の原因物質の一つとして強く疑われておりますオルト-トルイジンに関しまして、その健康障害防止措置の要否につきまして、7月7日開催のリスク評価委員会、8月8日開催の健康障害防止措置検討会におきましてそれぞれ御検討をいただきまして、その中で特殊健康診断の実施等が必要との結論も得られたところでございます。

 これを受けまして、本日、本検討会におきましては、具体的にオルト-トルイジンに関する特殊健康診断における健診項目等を検討していただきたいと考えております。

 オルト-トルイジン取扱事業場での健康管理を適切に今後行っていくためにも、御議論をお願いしたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。

○大淵職業性疾病分析官 ありがとうございました。

 それでは、本日は年度の最初の検討会ということでございますので、まず最初に御出席の委員の先生方を御紹介いたします。配付しております資料1の2ページ目に参集者名簿がございますので、必要に応じ、どうぞごらんください。

 それでは、名簿の順に御紹介させていただきます。

 まず最初に、中央労働災害防止協会の圓藤先生でございます。

○圓藤委員 圓藤です。よろしくお願いします。

○大淵職業性疾病分析官 続きまして、公益財団法人産業医学振興財団の櫻井先生でございます。

○櫻井委員 櫻井でございます。どうぞよろしくお願いします。

○大淵職業性疾病分析官 続きまして、中央労働災害防止協会の清水先生でございます。

○清水委員 清水です。よろしくお願いします。

○大淵職業性疾病分析官 続きまして、大阪大学大学院の祖父江先生でございます。

○祖父江委員 祖父江です。よろしくお願いします。

○大淵職業性疾病分析官 続きまして、産業医科大学の堀江先生でございます。

○堀江委員 堀江です。よろしくお願いいたします。

○大淵職業性疾病分析官 続きまして、東京慈恵会医科大学の柳澤先生でございます。

○柳澤委員 柳澤です。よろしくお願いします。

○大淵職業性疾病分析官 なお、本日は、大前先生、土肥先生、松岡先生におかれましては、所要のため御欠席ということで御連絡を承っております。

 続きまして、事務局、厚生労働省側のほうも御紹介をさせていただきます。

 ただいま御挨拶申し上げました武田労働衛生課長でございます。

○武田労働衛生課長 武田でございます。よろしくお願いします。

○大淵職業性疾病分析官 塚本産業保健支援室長でございます。

○塚本産業保健支援室長 塚本です。よろしくお願いいたします。

○大淵職業性疾病分析官 同じく、労働衛生課の瀧村労働衛生管理官でございます。

○瀧村労働衛生管理官 瀧村です。よろしくお願いいたします。

○大淵職業性疾病分析官 続きまして、化学物質対策課の奥村課長でございます。

○奥村化学物質対策課長 奥村です。よろしくお願いいたします。

○大淵職業性疾病分析官 続きまして、化学物質対策課の平川化学物質評価室室長補佐でございます。

○平川化学物質評価室室長補佐 平川でございます。よろしくお願いします。

○大淵職業性疾病分析官 それでは、続きまして、会議の開催要綱について簡単に御説明申し上げます。

 冒頭の武田課長の御挨拶にもありましたが、検討会の開催要綱、資料1をごらんいただければと思いますけれども、こちらの検討会の検討の目的、検討内容を記載してございます。化学物質関係の特殊健康診断等につきましては、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則及び特定化学物質障害予防規則などが制定されておりますが、これらの規則に入っている物質の健康診断、あるいはこのうち特化則の関係については健康管理手帳の対象となっている物質もございますので、そういった物質についての検討をしていただくという会議でございます。

 今回は初回の会議ということで、座長の選出をこれからお願いしたいと思っておりますが、事務局といたしましては、櫻井先生に座長をお願いしたいと思っておりますけれども、いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○大淵職業性疾病分析官 ありがとうございます。

 それでは、櫻井先生、座長をお願いいたします。

 では、座席の御移動をお願いします。

(櫻井委員、座長席へ移動)

○櫻井座長 それでは、議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 それでは、これより議事に入ります。

 最初に、議題「(1)オルト-トルイジンに関する特殊健康診断について」でございます。

 事務局から説明をお願いいたします。

○大淵職業性疾病分析官 それでは、説明をさせていただきます。

 オルト-トルイジンに関しまして、資料に沿って順次説明、それから御議論していただくのですけれども、まず最初に御説明させていただくのがこの会議の検討内容とスケジュール、2点目としましては化学物質に関する特殊健康診断の基本的な考え方、3点目といたしましてその考え方に基づいてのオルト-トルイジンの特殊健康診断についてという形で順次進めていきたいと思います。

 最初に、検討会の検討内容及びスケジュールにつきまして、資料2に基づきまして御説明をさせていただきます。

 オルト-トルイジン関係では2回の検討会の開催を予定しております。1回目が本日8月26日でございまして、本日は、先ほどから申し上げておりますように、オルト-トルイジンの健康診断に関しての検討を行います。

 2回目は、時期は未定でございますが、6月から開催中の「芳香族アミン取扱事業場で発生した膀胱がんの業務上外に関する検討会」、こちらの検討結果を踏まえまして、オルト-トルイジンの健康管理手帳について検討を予定しております。

 検討内容、スケジュールについては以上でございます。

○櫻井座長 検討内容、スケジュールについての説明がございましたが、何か御意見、御質問ありますでしょうか。

 特にないようでございます。

 それでは、スケジュール等については御了解をいただきました。

 次の説明を事務局のほうでよろしくお願いいたします。

○大淵職業性疾病分析官 それでは、続きまして、資料3「化学物質に関する特殊健康診断の基本的な考え方」をごらんください。まず、こちらの資料で基本的な整理をさせていただきまして、その後、資料4での御議論をお願いしたいと考えております。

 それでは、1ページ目から説明をさせていただきます。

 まず、「1 特殊健康診断の目的」ということでございます。基本的に化学物質の健康診断の目的につきましては健康障害の予防、早期発見ということでございますが、具体的な中身といたしましては、平成元年の有機則、あるいは鉛則を改正した際の施行通達に記述がございますので、御紹介をさせていただきます。

1から3までございます。

1有害物の体内摂取状況を把握すること

2体内摂取された有害物に対する早期の生体側の反応の程度を把握すること

3有害物による早期の健康障害を把握すること

ということが書かれておりまして、これから検討する場合につきましてもこのような考え方でよろしいか御確認をさせていただきたいというのがまず1点目でございます。

 続きまして、2ページ目「2 一次健康診断と二次健康診断の目的、内容等」ということでございますが、化学物質の健康診断、先ほど申し上げたように、いろいろな規則で規定がございますけれども、これらのうち特定化学物質につきましては、いわゆる一次健康診断、二次健康診断の2段階で実施することとなっております。一部の例外として、そこに書いてあるようなシアン系の化合物は例外となっております。

 これらの一次健診、二次健診の目的に関する記述としましては、昭和46年に旧の特定化学物質等障害予防規則が制定されまして、これに基づいて、健康診断の規程が告示として制定され、それに伴い、施行通達が出されております。そこで書かれている内容として、○のところを読ませていただきます。

 第一次健康診断の検診又は検査の内容は、異常の有無を推定し、第二次健康診断の対象者を選定するいわゆるスクリーニングのためのものであり、第二次健康診断は、個々の受診者についてそれぞれがばく露した物質による影響の有無を確定するために必要なものであること。

とございます。これが47年当時の考え方ということでございますが、その後、生物学的モニタリング等による化学物質の体内摂取状況の把握等が可能となったことを踏まえますと、現在では次のように整理してはどうかということで、これは今回の提案でございます。

 「(1)一次健康診断」といたしまして、「対象者全員に対して実施するもの。ただし、必ずしも全ての項目を全員に対して実施するわけではない」。

 中身的には、「有害物の体内摂取状況、体内摂取された有害物に対する早期の生体側の反応(健康影響)の程度、有害物による健康障害を把握する」。

 それぞれの観点ということで、まず「有害物の体内摂取状況の把握に関しては、業務の経歴の調査、作業条件の簡易な調査、生物学的モニタリングの検査がある。また、過去の健康診断結果の記録の調査も必要である」ということでございます。

 続きまして、早期の生体側の反応(健康影響)の程度の把握に関しては、現在及び既往の。「既往の」ということの意味は、「前回の健康診断以降の」ということでございますが、その自他覚症状の有無に関する検査、あるいは生物学的モニタリングの検査などがございます。

 3つ目「健康障害の把握に関しては、現在及び既往の自他覚症状の有無に関する検査、物質の有害性に応じたスクリーニング的な検査がある。また、過去の健康診断結果の記録の調査も必要である」と整理しております。

 「(2)二次健康診断」につきましては、「一次健康診断の結果、医師が必要であると認めた者に対して実施するもの。健康診断によって把握すべき健康障害(がん等)の有無を確認するための検査を行う。また、有害物の体内摂取状況をより詳細に把握するため、作業条件について一次健康診断で行った調査よりも詳しい調査を行う」。

 続きまして、3ページ目「3 特殊健康診断の項目の基本的な考え方」でございます。

 平成23年の「労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会中間報告書(案)」を踏まえまして、特殊健康診断の項目の考え方について次のように整理してはどうかということで、大きく2つのグループに分けております。

 まず1つ目のグループとして「早期の生体側の反応の有無及びその程度、健康障害を把握するための項目の採用にあたっては」ということで、1から5の項目、こういった事項を考慮してはどうかというものです。

 2つ目の○「有害物の体内摂取状況の把握のため、生物学的モニタリングの採用にあたっては」ということで、上と少しかぶる項目もありますけれども、モニタリングについて考慮すべき事項をこちらでも示しております。

 これがまず特殊健康診断の基本的な考え方ということで、こちらの整理案ということでございます。

 4ページ目に参りまして、「配転後健診の項目の考え方」ということで、配転後健診につきましては、特化則の物質のうち一部について規定があり、がん等の遅発性の健康障害を生じるおそれのある化学物質の製造・取り扱い業務に常時従事させたことのある労働者で現在も使用している者に対して、特別の項目についての健康診断、ここでは「配転後健診」と呼ばせていただきますが、それを行わなければならないこととしています。

 配転後健診につきましては、今まさに業務に従事している労働者の健康診断、つまり業務従事者健診に係る健診項目の中から、当該化学物質に係る業務から配転した後の労働者には必要性が低い項目を除外したものを項目としてはどうかということで、1から6、例えば業務経歴の調査、あるいは作業条件の関係の調査、あるいは急性の健康影響に関係するようなもの、こういったものは配転後の方には必要ないのではないかという考え方でございます。

 以上、4ページまで説明させていただきましたが、こういった考え方に基づいて今後の検討を進めてはどうかという提案でございますので、御議論どうぞよろしくお願いいたします。

○櫻井座長 まず、基本的な考え方についての説明がございました。

 それでは、早速順次御意見をいただいていきたいと思います。

 まず一番最初、資料3の1ページ目「特殊健康診断の目的」という部分でありますが、これはもう既に出ているものをここで紹介されているわけでございますが、その後の検討にかかわるものですので、これを修正する云々ということではないのですが、この表現等について御意見がもしあれば、いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○堀江委員 細かいところで恐縮です。3ページ目の「特殊健康診断の項目の基本的な考え方」に関連するところになりますが、よろしいですか。

○櫻井座長 今、1ページ目。

○堀江委員 1ページ目。ごめんなさい。

○櫻井座長 同じことでしたら、また後ほどそれを。

○堀江委員 ごく簡単に申し上げます。

 ここに「早期の生体側の反応(健康影響)」とあり2に「目的とする障害」というのが出ています。しかし、1ページ目で3つほど大きな目的があって、12がいわゆるサーベイランスで、3が職業病のスクリーニングに分けられると考えております。そうしますと、ここでの12で障害を検出するというよりは、生体側の反応や健康影響を評価するとすべきではないかと考えます。12に関連するところは「障害」というよりは「生体側の反応」という言葉のほうが適切ではないかと感じます。

○櫻井座長 ほかに何か御意見ございますでしょうか。

 1つだけこの中で気になりますのは、3番目の「有害物による早期の健康障害を把握すること」というこの表現が、がんを考えた場合、この表現は何となく違和感がございますので、「健康障害を早期に把握する」というような表現のほうが誤解は少ないだろうなとは思っております。「早期の健康障害」と言うと、早く出る健康障害に限定されてしまうおそれがあるけれども、決してそうではなくて、むしろ遅発性のことを重要視しておりますので。そういう感覚でおりますが、後ほどまた表現の点でこれにかかわる問題があろうかと思いますが。

 その他、特になければ、2ページ目「一次健康診断と二次健康診断の目的、内容等」というところに移りたいと思います。2ページ目の上半分ほどは今までの流れが説明されており、「しかしながら」というところから3行で「その後、生物学的モニタリング等による化学物質の体内摂取状況の把握等が可能となったこと等を踏まえると、現在では次のように整理してはどうか」ということで整理されておりますので、そこから御意見をいただきたいと思うのです。

 「一次健康診断」というところにつきまして十数行書かれておりますが、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。どうぞ。

○圓藤委員 特定化学物質に関しては、このように一次と二次にしているのですが、鉛だとか有機溶剤に関しては一次とか二次にしていません。以前、この検討会において全て一次、二次という分け方のほうがいいのではないかという意見があったのですが、そうではなくて、「必須のもの」と「医師が必要とするもの」という分け方のほうがいいのではないかということで、鉛とか有機溶剤に関しては、「一次」「二次」にしないで、従来どおりの方法で行うということになったように思います。

 特殊健康診断特定化学物質についても、「一次」「二次」という分け方の方がふさわしい化学物質もあろうかと思うのですが、必ずしも「一次」「二次」ではなくて、「必須のもの」と「医師が必要と判断する場合において実施するもの」という分け方のほうが合理的ではないかなという気がしております。機会があれば、その辺のところを御検討いただければと思っております。

○櫻井座長 それに関して、何か御意見ございますでしょうか。

○柳澤委員 その場合に判断する医師側の力量というのがとても重要な要件になってくると思うのですけれども、もしそういうふうにするのであれば、そのあたりを担保するということを考えていかないといけないのかなと感じます。

○櫻井座長 現在、「一次」「二次」と分けてあることのほうがやや判断がやりやすい可能性があるという感じでございますか。

○柳澤委員 一般的にはそうかもしれません。ただ、何度もやってなれている先生であれば、今、圓藤先生がおっしゃったように、医師の判断で項目を選択させる。そういうほうが合理的だと思います。ただ、そこのところ、どちらにしたらいいのかというのは、現状のところ、まだしっかりとしたエビデンスがないのかなと思います。

○櫻井座長 どうぞ。

○清水委員 今、柳澤先生のおっしゃったことは、ある意味では非常に適切だと思います。というのは、専属産業医の場合はこういうことを非常にしっかりと見てもらえると思うのですけれども、1カ月に1回とか、嘱託産業医の場合に、本当にちゃんと診られるかどうかということになってきますと、ちょっと問題があるのではないかと思います。

○櫻井座長 そうしますと、この物質に関して、現在ここに出ている案は一次と二次と分けてあって、しかも、一次の中で医師判断項目を設定しているという、今までにない構成になっておりまして、圓藤委員が言っておられる部分がかなり取り入れられているという気もいたしますが、いかがでしょうか。

○圓藤委員 それは十分に理解しております。柳澤先生がおっしゃられたことも理解できます。

 ただ、事業場においては、前回実施したデータでもって、今回は二次に含まれているのを一次に含めて、一度の健康診断で実施しようとしている事業所もあります。ですから、一次、二次ですと、一次を実施した日とは別の日に二次を実施するということになり、2回実施するというのは非常に手間であって、1回にやってしまうほうが合理的であるということで、まとめてやっている事業所も結構あります。そういうところから見ると、一次、二次という分け方が必ずしも合理的とは思えない。だけど、これを直ちに改正して、廃止しなければならないというほどの根拠もないので、機会があればというふうに思っております。

○櫻井座長 どうぞ。

○堀江委員 これに関して2つほど御意見を述べさせていただきます。

 先ほど特殊健診の目的にありましたように、有害物質へのばく露の状況、あるいは、それに対する人間の反応曝を評価するサーベイランスは、医師の判断で対象者を選ぶべきではなく全員に実施するのが目的にかなっていると思います。その際は、心身に対して安全で、侵襲性の低い検査法を選択すべきです。

 一方、職業病の早期発見、スクリーニングとして最初にやるべきことは、見落としが少ない検査、感度の高い検査ということになります。したがって、一次検査としては、感度の高いスクリーニング検査とサーベイランスを全員に実施して、そこで、有所見であった人やばく露が疑われた人には、機会を改めて二次検査を実施する仕組みは良いと思います。

 ここで、健康診断を担当される先生方が「医師が必要と認める検査」を適切に判断できるのか、法令で二次検査として規定しておいたほうが良いのか、そこは、どちらがいいのか、私は判断しかねます。

 ただ、スクリーニングなのか、サーベイランスなのかを明確にして、サーベイランスは全員に対してきちっと実施し、スクリーニングは感度の良いものを実施するという考え方を普及させるべきであると考えております。

 もう一つ申し上げたいのは、さきほど、鉛則、有機則等との比較の話題が出ましたが、私は現場を長く診ていますが、できればこれは同じような文言にしていただきたい、そろえていただきたいと思っております。

 今、清水先生からも嘱託産業医の話がありましたけれども、規則が違うと言葉が違うとかやり方が違うというのは、現場ですごく混乱を生じております。特定化学物質に関しても、血中のバイオロジカルモニタリング、尿中のバイオロジカルモニタリングが二次しか入っていないものがありますので、そういったものはむしろ全員にやるという方向に改正していく、そして統一していくほうが望ましいかなと思っております。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 では、圓藤委員のおっしゃった、時間を置いて2回に分けなければならないということになるのは、規則の中で一次健診の結果ということが入っている点なのですね。それがなければ一次と二次と一緒にやることも可能になる。ですから、それはこれからの課題だと思います。皆様の御意見、いずれも妥当な意見と拝聴いたしましたが、その上で、一次健康診断の中で、ここに書いてある一般論としてはこれでよろしいでしょうか。有害物の体内摂取状況、その次、体内摂取された有害物に対する早期の生体側の反応の程度、それから有害物による健康障害を把握する。

 ここのところで有害物による早期の健康障害」というのが、先ほど1ページにあった「早期の」が除かれております。がんなどを考えて除かれているということでございます。

○柳澤委員 櫻井先生、1つよろしいでしょうか。

○櫻井座長 どうぞ。

○柳澤委員 何度か過去に問題になったこともあるのですけれども、健康診断の項目のところでいつも「自他覚症状」というのがありまして、「自覚症状」というのはいいと思うのですが、他覚の場合には他覚所見ということだと思うのですね。

○櫻井座長 そうですね。

○柳澤委員 「自他覚症状」というところは、法律的なところで何かかかわりがあってこういう表現にしているのかもしれませんけれども、もし改正できるのであれば、そこのところを「他覚所見」に変更していただけると有り難いと思います。

○櫻井座長 これは実は何度も出ている意見でございまして、全体を整理するときには、「自覚症状または他覚所見」という表現、あるいは「他覚所見または自覚症状」。その順番はどちらがいいか、皆様の御意見によると思いますが、そういうふうに変えることは一応念頭には挙がっているということで御了解いただきたいと思います。

○柳澤委員 はい。

○櫻井座長 現在のところ、ごく最近の特化則の追加したものにおきましても「他覚症状と自覚症状」となっていますね。「他覚症状または自覚症状」でしたか。全部そうなっているのです。

○柳澤委員 そうですね。

○櫻井座長 ですから、これもそれに一応合わせることになると思います。当面は。

○柳澤委員 はい。

○櫻井座長 ほかに何かございますでしょうか。

 それから、2つ目のポツ「早期の生体側の反応(健康影響)」。この「健康影響」というのも、資料3の1ページ目の2番目のところでは「生体側の反応の程度を把握する」と書いてございましたが、むしろ「生体側の早期の健康影響」という表現のほうが一般的だろうということで、その中間をとって「生体側の反応(健康影響)の程度」という表現になっております。

 次に「現在及び既往の自他覚症状の有無に関する検査、生物学的モニタリングの検査がある」となっておりまして、「既往の自他覚症状の有無に関する検査」というのは、もしかすると、今、一般に考える人は、「既往歴」という表現ですから、前回以前の自他覚症状の検査の結果を考えて、今、調べるのは、現在の症状と前回以降の症状を調べて聞いているというふうに理解している人が多いかと思いますけれども、行政上は、「既往歴」というのは、前回以降現在までの自他覚症状というふうに一度整理されて、そういう言葉が出されておりますので、そこに誤解を生ずるおそれがあるので、あえて「現在及び既往の(前回の健康診断以降の)」と書いてあるわけです。

 そのために、3つ目のポツとして「健康障害の把握に関しては」、2行目に「スクリーニング的な検査がある。また、過去の健康診断結果の記録の調査も必要である」という言葉が入れられているというのは、そのためでございます。

 その点、何か御異議とか御質問等があればいただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。どうぞ。

○清水委員 大体わかるのですが、例えば同じような職業で職場を変わった場合、別の会社から移転してきた場合には過去の履歴が全くないわけですね。そういう場合はやむを得ない。

○櫻井座長 本人から聞き取りは可能だと思います。

○清水委員 聞き取りは可能ですね。だから、「前回の健康診断以降の」という言葉の定義がちょっと。

○櫻井座長 前回がなければ、これ。

○清水委員 その前もということになりますね。そういうふうに解釈してよろしいのですか。

○櫻井座長 どうでしょうか。

○大淵職業性疾病分析官 健康診断の結果につきましては、制度上、事業者がその結果の記録を保存しておくということと、それから、結果を本人に通知しなければならないという規定もあるので、基本的には御本人が自分の結果を持っていらっしゃる。ただ、なくしてしまうとかそういう問題はあるかもしれないですけれども、一応通知、前回の結果を御本人が持っているという前提があります。ただし、転職してしまったとき、かつそれ以前の状況についてわからなければ、それは可能な範囲での情報収集でやむを得ないのではないかと思います。

○櫻井座長 その他何かございますでしょうか。どうぞ。

○圓藤委員 ここに書かれている「現在及び既往の(前回の健康診断以降の)自他覚症状の有無に関する検査」と。今、櫻井先生がおっしゃったとおりだと思うのですが、現行の特化則の項目などを見てみると、その辺が非常にわかりづらい書き方がされていて、例えばベンジジンなどでは、血尿、頻尿、排尿痛等の他覚症状または自覚症状の既往歴の有無の検査、同じことの他覚症状または自覚症状の有無の検査となったのですね。

○櫻井座長 そうなのです。

○圓藤委員 では、血尿というものをどのように見るのか。他覚症状として見るならば、普通なら試験紙で潜血を見るという形のほうが一般的だけれども、そう書いてありません。他覚なら「試験紙」と書いておいていただければわかりやすい。非常にわかりづらい書き方になっていますので、この辺のところは将来的に整理していただければと思っております。

○櫻井座長 御指摘ありがとうございました。

 ほかには何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。

 では、二次健康診断について5行ほど書いてございます部分、「医師が必要であると認めた者に対して実施する」。ここにも「一次健康診断の結果」と書いてあるのですけれども、これはその他の規則の書き方に当面は準じているというふうに御理解いただきます。

 「健康診断によって把握すべき健康障害の有無を確認するための検査を行う。また、有害物の体内摂取状況をより詳細に把握するため、作業条件について一次健康診断で行った調査よりも詳しい調査を行う」。これは作業条件の調査ということですね。

 以上、よろしいでしょうか。

 もしなければ、3ページ目「特殊健康診断の項目の基本的な考え方」。このあたりは、余り細かく議論していると、後の項目の具体的な時間が減ってしまうと困るのですが、もし何かお気づきの点。どうぞ。

○清水委員 基本的にこれでいいと思うのですが、例えば4で「全国どこでも検査が行える」となっております。これの意味は、特殊健康診断が全都道府県、全市町村で行われるということを意味していると理解すれば、私はこれで結構だと思うのですが、検査項目によって集約化がどんどん進んでおりまして、特殊健康診断での生物学的モニタリングの検査に関しては、自社で測定するとコストが合わないということで、どんどん委託して、宅配便で送ることによって、まとめて分析するということをされていまして、有機溶剤、鉛に関しても項目によっては10カ所程度でしかはかれていないのが現状ですので、全国どこでも検査が行われるという意味はちょっと違うのではないかなと理解したいのですが。

○大淵職業性疾病分析官 全国どこでも検査が行えるというのは、検査機関が全国にたくさんあるという意味では必ずしもなくて、労働者が遠くに行かなくても検査ができて、その検体は、今おっしゃられた別のところへ持っていって分析する、そういうやり方も含めてという意味で考えていただければと思います。

○櫻井座長 ほかに何かありますか。どうぞ。

○祖父江委員 3番目のは2つ項目があって、それと2ページの一次健康診断の中に3つポチがありますね。

○櫻井座長 どれですか。

○祖父江委員 3ページ目に○が大きく2つありますね。早期の生体側の反応云々というのと有害物の何とかかんとかと。一次健康診断のほうには3つ小さなポツがありますね。それぞれ有害物の体内摂取状況、生体の反応、健康障害の把握と。「生物モニタリング」という言葉が上の2つに出てきますね。体内摂取状況の把握に関して生体モニタリングの検査があると。それから、生体の反応に関して生物学的モニタリングを行うと。

 3ページ目のほうには、体内摂取状況把握のための生物モニタリングのことを第2番目の項目で書いていて、第1番目のほうは、生体側の反応、健康障害の把握ということで、2番目と3番目のことを書いているわけですけれども、生物学的モニタリングというのは、2ページ目の真ん中の項目、すなわち生体の反応のところに当たるものも生物学的モニタリングで行うと2ページのほうでは言っていますね。

○櫻井座長 そうですね。

○祖父江委員 実際生物学的モニタリングが上のほうに入り得るのかというか、そのことを考えると、恐らく整理の仕方としては、3ページ目の2番目の項目が、体内摂取状況の把握のためだけではなく、生体学の反応の有無を含めた生物学的モニタリングの採用に当たってはということではないのかなと思います。

 上の1番目の項目は、健康障害を把握するための項目のところであって、その言葉として、恐らく「スクリーニング検査の採用に当たっては」という文言にしたほうが中身にフィットするような気がします。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○大淵職業性疾病分析官 御指摘いただきありがとうございました。

 2つ目の○のモニタリングは、確かにモニタリングの目的として体内摂取状況の把握という目的と、それから反応なり健康影響を見るという目的、大きく2つの目的がございますので、そこは頭で考えておったのですが、文字のほうでその辺の記載が漏れてしまいましたので、整理としては、おっしゃっていただいたようなモニタリングの目的を2つ明示したような形の整理にさせていただきたいと思います。

 上の○は先生方で御議論いただければと思いますが、健康障害の把握の中でも、スクリーニングの検査に関しての考慮すべき事項というのが妥当ではないかという今の先生のお話でしたので、そのあたりは御議論いただければと思います。

○櫻井座長 いかがでしょうか。

 そういうふうに書いたほうが明確ですね。これはほとんどスクリーニングの、あるいはサーベイランス。堀江先生。

○堀江委員 今、祖父江先生の御指摘で私もはっと気がついたのですけれども、ここにはサーベイランの話とスクリーニングの話が混在している感じがします。それを書き分けていただくと、わかりやすいと思います。少なくとも私は、最初にサーベイランスを示して、その中の一部がばく露の生物学的モニタリングで、一部が生体反応の生物学的モニタリングであることを示していただき、その段階では余り「健康障害」という言葉を使わないようにしていただければと思います。そして、健康障害はスクリーニングの話題として示していただいたほうが読みやすいと思いました。

○櫻井座長 実質的にはそういう考えで行われてきているし、頭の中ではそうなのだけれども、ここで文としてはうまく表現されていなかったなと思いますので、これを機会に修正することが可能であれば修正したいなと。

 簡単ですよね。では、修正しましょうか。

○大淵職業性疾病分析官 わかりました。ただいまの御意見を踏まえまして、こちらは別途修正をさせていただきたいと思います。

○櫻井座長 よろしくお願いします。

 4番目、配置転換後の項目の考え方のところはよろしいでしょうか。もし何かお気づきの点があれば。特に「6生物学的モニタリング(半減期の短いもの)」と比較的明確に書かれている点等、妥当な。

○圓藤委員 私、このことは特に異論はありません。ただ、最近、特化則にいろんな化学物質が追加されてきました。そして、配転後は健康診断も実施しなければならないというのがふえてきました。ところが、事業所によりましたら、実は当社も10年ほど前にこういう化学物質を使っていました。そして新しい法律改正で配転後の健康診断が必要にりました。さて、過去にさかのぼって誰が使っていたか、ばく露状況はどうだったか、これから調査しなければならないのかとなると、大変なことになっています。何とかしてもらえないでしょうか、という声が幾つかの事業所から聞こえてきています。

○櫻井座長 きょうは一般論として配置転換後の健診の項目の考え方がここで出ておりますが、その内容については次回詳しく検討する予定になっていると思いますので、その際、4番目の「項目の考え方」についても修正する機会もあろうかと思いますので、もしあえて強いコメントがあれば、今いただきますが。もしよろしければ先へ進みたいと思います。どうぞ。

○堀江委員 特殊健診の全体にかかわりそうな話ですので、2つほど申し上げます。

 1つは、本日は、これまでの特殊健診の考え方が整理されていて、わかりやすかったのですが、実は現場でよく使われている考え方で、ここに出てきていないものが1つあります。必要であれば、これも今後の見直し事項として検討にしていただければと思います。昭和38年8月19日の通達の939号です。これは「健康診断結果に基づく健康管理について」という通達でして、管理A、管理B、管理Cという用語が示されており、それに加えて管理R、管理Tという用語を現在も使っている健康診断機関があります。安衛法公布よりも前の通達でして、当時は特殊健康診断を対象としたものであったと思います。

 通達の中を見ますと、第一次健診で所見があって、第二次健診で確認してというようなプロセスが書いてあるのです。現在もこの通達は有効で、管理A、B、Cの区分が健康診断機関で使われているので、法令を整理される際には、この通達も現代に合った形の管理区分にしていただくとわかりやすいのではないかなと考えます。

 もう一点は、特殊健診で、ばく露の評価をする際に、作業環境測定やSDSの情報も参照する仕組みの確立です。先進的な事業場では個人ばく露も測定されています。こういったデータは、通常、健康診断の判定をするときになかなか見ることができません。産業医が自ら健診をやっているのであれば、その情報を一元的に集めることは可能ですが、恐らく多くの健康診断は健康診断だけ担当している医療機関がやりますので、作業環境の測定結果を取り寄せる流れがあるとありがたいと感じております。

○櫻井座長 コメントがありますか。

○大淵職業性疾病分析官 ただいまの先生の御発言に関してですが、ここ数年で新しく追加した物質については、「作業条件の簡易な調査」を一次健診の項目で入れております。その作業条件の簡易な調査の中身につきましては、規則の施行通達でその都度示しておるのですけれども、そこはまず労働者御本人にどんな作業をしている、どんな物質を扱っている、どのぐらいの量とか、あるいは保護具をどうしているというようなことを聞くのが1つ。あとは、作業環境測定などをしていれば、そういった結果を会社側から入手する。そういうことも通達で示しておりまして、今おっしゃられたような方向にだんだんなっているというふうにこちらとしては理解しております。

○櫻井座長 個人票にそういう項目を設けるとなおいいと思うのですけれども。

○堀江委員 そうですね。

○櫻井座長 今、一応それを事務的に書き込んでもらうということを想定しているのです。今の状態でもそれは可能なのですが。

○堀江委員 はい。

○櫻井座長 非常に重要なポイントだと思います。ありがとうございました。

 その他もしなければ、ほぼ半分ほどの時間を使ってしまいました。

 次に、資料4に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。資料4「オルト-トルイジンに関する特殊健康診断について(案)」。1ページ目には「これまでの経緯」が書いてございます。3ページは「本検討会での検討事項等」ということで、「下記の事項1及び2について検討等を行う」。「事項1:特殊健康診断の対象について」「事項2:特殊健康診断の項目について」となっております。

 まず、1ページから4ページまでについてはいかがでしょうか。きょうの一番のテーマはその後なのです。1ページから4ページまではその前提としての総論的な、今までの経緯等ですね。

 ここで「常時取り扱う」という言葉について、何かコメント、配置転換の場合。

○大淵職業性疾病分析官 「常時取り扱う」というところにつきましては、そのときの「常時」は、意味的には毎日8時間ずっと使っているという意味ではなくて、ある程度コンスタントに使っているという趣旨で「常時」という言葉を使っております。

 配転後の方については、今はその業務についていないけれども、過去に例えばオルトならオルトの取り扱い業務をコンスタントにやっていたのであれば、配転後、例えば別の業務に正規の社員で仕事をしていても、あるいは身分が変わって週2日とか3日の勤務に変わったとしても、過去の業務について常時性があるものについては、配転後健診の対象になります。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 もし特に御質問あるいは御指摘事項がなければ、別添1「オルト-トルイジンの健康診断項目の検討候補(案)」というところに入ります。

 これがまた1ページから始まっております。1ページから4ページまで。5ページがそれのまとめを表として示しているわけでありますが、早速1ページから御意見をいただきたいと思います。

 6行ほど書いてあるところで、2つ目の段落「業務従事者健診の健診項目の検討候補(案)は次のとおり。なお、これらの項目のほか、過去の健康診断結果の記録を調査することも必要である」という字が入っておりますが、先ほどと同じように、「既往」というのは、前回から現在までの健診という意味で解釈しておりますので、前回以前の健康診断結果も忘れては困るということで、ここに書いてあるわけでございます。

 「一次健康診断 (1)業務の経歴の調査 有害物の体内摂取の可能性等を把握するもの」。これはよろしいですね。その目的を説明してございますが。

 「(2)作業条件の簡易な調査(※経皮ばく露の可能性に係る調査も行う。)」ということを入れて、目的は「有害物の体内摂取の可能性等を把握するもの」。

 (3)が「オルト-トルイジンによる頭重、頭痛、めまい、倦怠感、疲労感、顔面蒼白、チアノーゼ、心悸亢進、尿の着色、血尿、頻尿、排尿痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査」。

 どうぞ。

○堀江委員 一次健康診断の「(2)の作業条件の簡易な調査」は、非常に重要な項目だと思っておりますので、先ほども話題になりましたが、できれば全ての特殊健診にこれを広げていただくような方向で考えていただければと思います。オルト-トルイジンに関して、IARCのレポートの2012年、最新のものを見ましたら、非職業性のばく露について書いてあるところがありまして、その中に喫煙者では血中で少し上がるというデータですとか、髪染めにも入っている場合があることが書かれています。そういったところから考えますと、作業条件の簡易な調査で現場でのばく露は聞かれるようになっていると思いますが、一方で、生活の場面等を含めた非職業性のばく露についてもあわせて聞いておくことが望ましいと思います。

 結局は因果関係をきちんと評価しようということですので、職場以外で原因物質あるいは代謝過程の中間体が摂取されていると、職業性のばく露という意味から見れば偽陽性になってしまいますので、非職業性の有害物質のばく露についても考えていただければと思います。

○櫻井座長 実はそれが大きなテーマなのです。一番大きいのが喫煙ですね。

○堀江委員 そうですね。

○櫻井座長 喫煙歴及び現在の喫煙。

 今まで特殊健診でそれを入れているのがリフラクトリーセラミックファイバーだけでしたか。もう一つありましたね。

○大淵職業性疾病分析官 規則の中に喫煙歴等を直接記載しているのはリフラクトリーセラミックファイバーだけで、インジウム化合物については、規則の中に直接は書いていないのですけれども、自他覚症状の既往歴の検査で、肺への影響について調べる、そこに関連して喫煙歴についても確認したほうがいいということを通達の中で記載しております。

○櫻井座長 リフラクトリーセラミックファイバーのときにそれを入れた根拠は、アスベストと同様の物質であると。ですが、アスベストの場合、喫煙とアスベストばく露は相加的ではなくて相乗的、あるいは少なくとも相加的以上であるという根拠がたくさんあるので、リフラクトリーセラミックファイバーでも喫煙に関する質問ははっきり項目として挙げてあるのですね。この物質については、たばこの煙の中にそもそもオルト-トルイジンがあるというデータがいっぱいあるわけです。量はそれほど多くないけれども。だから、量の問題はさておき、とにかく相加的に効くことは間違いないですね。どうぞ。

○圓藤委員 喫煙のことが話題になりましたので述べますと、2ページの「尿中のオルト-トルイジンの量の検査」のところの下から3行「尿中のオルト-トルイジンの量は喫煙の影響を受けること」となっております。どのぐらいかというのは、文献によって幅があるのですが、0.05~2μg/L程度です。参考資料1の21ページのところの安衛研の調査を見ますと尿中のオルトートルイジンの量の、高い値と比べまして余り問題にならない程度だと思っています。今まで生物学的モニタリングでトルエンばく露に対する馬尿酸での安息香酸の問題がありますが、それに比べて比較的小さいのではないかと思います。

○櫻井座長 どうしましょうか。

○大淵職業性疾病分析官 先生のご指摘は、参考資料で説明させていただきます。

 委員、事務局用資料の中に通常の資料とは別に小さなクリップ留めのものがあります。一番上に「膀胱癌の診療ガイドライン」、その次に櫻井先生から御紹介いただいた論文の該当ページを抜き出しておりますが、222ページに論文のタイトル等がありまして、しばらく飛びまして226ページにTable1という一覧表がございますので、そちらを御提示させていただきました。

○櫻井座長 「膀胱癌ガイドライン」の一番最後のところですね。

 これもそれにかかわるデータなのですけれども、これの下半分がスモーカーとノンスモーカーと比べておりまして、一番右、Ratio1.5とか2.4とか1.9とか1.3とか。つまり、ノンスモーカーに比べると、スモーカーは1.5倍から数倍程度にオルト-トルイジンの尿中への排せつが増加していると。倍数としてはそれぐらいなのだけれども、実際のデータの数値としては通常のばく露によって尿中に排せつされる量に比べると少ないですね。

 これは喫煙歴を聞く必要性の根拠になり得るのではないかと思って用意していただいたのですが、よく見ると、実際の喫煙によって上がるレベルは、職業性のばく露に比べると相対的に非常にわずかだなと見られますね。どうぞ。

○堀江委員 具体的なデータをありがとうございます。確かにオーダーが違うといいますか、かなり程度が違うというのがよくわかりました。一方で、このような個別物質の濃度の議論というよりは、私の御提案は、非職業性のばく露というものが一般に重要であるという点です。職場でのばく露との因果関係を検討する上で、それ以外の因果関係を否定することによって、職場に特異的であるということを証明するのは極めて重要だと思っております。

 程度の議論というのは、たばこをたくさん吸う場合とオルト-トルイジンに対するばく露が少ない場合では当然重なる部分というのが出てくると思いますので、そうなったときに、問診で聞いているかどうか、そこだけで判断ができるのであれば聞いておいたほうがいいだろうと思いますし、あと、IARCのレポートを見ると、ニンジンとかセロリとか、あるいは麻酔薬の中の物質とか、いろんなものがオルト-トルイジンの尿中の物質を上げるとか、あるいはヘモグロビンの付加物を上げるとか、そういったデータがあります。こういった非職業性のばく露に関しては、一般的に重要な項目として、細かく全部書く必要はないと思いますけれども、重要な項目は挙げておいていただいて、あとは健診機関の考え方とか、その他の状況から見てどこまで聞くかというのを判断していただくべきと考えます。喫煙ということだけを取り上げているということではなく非職業性ばく露の重要性を指摘したいと思いました。

○櫻井座長 有機溶剤でもいつもそれを気にしながらも、今おっしゃったような形では文として書かれていないことを考えると、今の御提案は妥当性が高いなとは思います。つまり、「作業条件の簡易な調査」のところで何か。その内容として説明する中で、非職業性のばく露についても列挙するというような、当面はそういうやり方でもよろしいでしょうか。

○堀江委員 はい。

○櫻井座長 「作業条件の簡易な調査」の中に6項目ぐらいいろいろとガイドラインベースでは書かれておりますが、そこにそれが加えられていなかったのですか。

○堀江委員 はい。

○櫻井座長 つけ加えるという考えは、当面ありますね。

○圓藤委員 はい。

○櫻井座長 その後、また将来に向けて検討課題としてとどめたいというふうに存じますが。それでよろしゅうございますでしょうか。

○堀江委員 はい。

○櫻井座長 事務局、それでいいでしょうか。

○大淵職業性疾病分析官 そのようにさせていただきたいと思います。

○櫻井座長 次に、1ページ目の既往歴の有無と、4番目、自覚症状の有無の検査、これは同じ文。「既往歴」が入るか入らないかというだけの違いで、この場合、既往歴というのは、前回の健診以降、現在までの症状であるということについては御了解いただけているかと思いますが、2ページ目の一番上の「他覚症状又は自覚症状の有無の検査」の目的のところで2行書いてありますね。「生体側の反応の程度及び健康障害を把握するもの」と書いてあって、そこに「溶血性貧血」と「尿路系腫瘍」と書いてありますが、これは検討課題になり得るのではないかと思っておりますので、私のほうから問題提起をさせていただきます。溶血性貧血というよりは、メトヘモグロビン血症というふうに書いたほうがいいのではないかと今、個人的には思っておりますが、いかがでしょうか。溶血性貧血はヒトでははっきりした根拠が見出されていない。動物実験では見出されていて、ヒトでも高濃度ばく露ではあり得るということで、溶血性貧血もここに挙げているわけなのですけれども、メトヘモグロビン血症も間違いなく起こっておりますので。どうぞ。

○圓藤委員 メトヘモグロビン血症を焦点に置くというのに賛成いたします。ただ、3ページの「(10)赤血球数、網状赤血球数等」で溶血性貧血の検査というのがありますが、実は「(5)尿試験紙法による尿潜血検査」というのは、溶血を見ることができるわけですね。ですから、ヘモグロビン尿の場合に陽性反応が出ますので、「目的等」に尿路系腫瘍だけでなくて、ヘモグロビン尿というのを意識した検査としても重要ではないかと思っています。

○櫻井座長 ありがとうございます。

 そうしましたら、「メトヘモグロビン血症、溶血性貧血、尿路系腫瘍」というふうにしておいてもよろしいわけですね。

○圓藤委員 溶血が頻繁に起こったら溶血性貧血が起こるので、たまにしか起こらない場合は貧血までいかない。だから、簡単な溶血で見えるだろう。

○櫻井座長 メトヘモグロビン血症。

○圓藤委員 「メトヘモグロビン血症」という言い方にしておくほうが、スクリーニングとしてはいいのかなという気がいたします。

○櫻井座長 そうすると、すっきりするなとは思うのですが、いかがでしょうか。それでよければ。

(首肯する委員あり)

○櫻井座長 では、御承諾いただけているようですので、2ページの一番上「健康障害(メトヘモグロビン血症、尿路系腫瘍)を把握するもの」として、「(5)尿試験紙法による尿潜血検査」の目的のところは、健康障害(溶血)。ここをどう書きましょうか。

○圓藤委員 ヘモグロビン尿と尿路系腫瘍と2つ。

○櫻井座長 ヘモグロビン尿。

○圓藤委員 無理ですか。

○櫻井座長 どういう表現がいいですか。

○圓藤委員 ヘモグロビン尿というのと尿路系腫瘍を早期に。「健康障害(ヘモグロビン尿及び尿路系腫瘍)を早期に把握するもの」という意味だと私は理解していて、尿路系腫瘍だけでしたら、ばく露したときは不要ですが、ヘモグロビン尿でしたら、ばく露しているときも重要な指標として残しておきたいと思っております。

○櫻井座長 どうぞ。

○柳澤委員 今、圓藤先生が御指摘くださったことはまさしくそのとおりです。尿潜血検査のところで「ヘモグロビン尿、尿路系腫瘍」と記載するということになりますと、上に「メトヘモグロビン血症」、と「溶血」という言葉を残しておいたほうが良いのではないでしょうか。そうでないと、ヘモグロビン尿が続かないので。「溶血、ヘモグロビン血症、尿路系腫瘍」でしょうか。

○櫻井座長 順番は、起こる頻度と確率からいくと、メトヘモグロビン血症、次が溶血でもよろしいですか。

○柳澤委員 はい。

○櫻井座長 先生方、ほかに。それでもよろしいでしょうか。

○堀江委員 確認ですけれども、2ページ目の1行目の目的のところは(4)の項目だと思うのですが、(3)も同じですね。

○櫻井座長 3と4と同じです。

○堀江委員 今、両方とも修正の議論をしているという意味ですか。

○櫻井座長 3と4はこのまま。

○堀江委員 目的。

○櫻井座長 そうです。

 失礼しました。そのとおりです。メトヘモグロビン血症と溶血。自覚症状などはみんな大体メトヘモグロビン血症。ちょっとひどくなるとこういう症状。それから「血尿」などと書いてある。溶血によるヘモグロビン尿は「血尿」と言っていいのでしょうか。

○圓藤委員 言っていいのではないですか。正確には「ヘモグロビン尿」だと思います。

○柳澤委員 かなり軽度の溶血でも、ヘモグロビン尿は少量出てくると思いますが、血液学的には、以前のヘモグロビン濃度と比較すると多少減少していると思いますが、多分正常範囲内に入っているのではないかと思います。

○櫻井座長 それよりはむしろ膀胱腫瘍によるものをメーンで見ているから、それはそれでいいわけですね。

○柳澤委員 はい。

○櫻井座長 その前の「尿の着色」というところは、ヘモグロビン尿で少し色が着く可能性もあるわけですね。

○柳澤委員 はい。

○櫻井座長 よろしいですか。

○堀江委員 はい。

○櫻井座長 そうしますと、2ページの(5)もこれで一応合意が成立いたしまして、「健康障害(ヘモグロビン尿、尿路系腫瘍)を早期に把握するもの」。

 その次、「医師が必要と認める場合に実施する検査」。これが6、7、8、9、10とございます。これについて順次御意見いただきたいと思います。どこからでも結構です。

○圓藤委員 ごめんなさい。戻ってですけれども、1ページの自他覚症状なのですが、頻尿、排尿痛が、膀胱がんとかの場合、進行すれば当然出るのですけれども、早期に認められるだろうかということで、頻尿、排尿痛に関しては、前の議論のときには消した記憶があります。だから、もう一度臨床的に御検討いただければと思っています。

○櫻井座長 たしか事務局とも意見交換したとき、泌尿器科のガイドライン等でも割合早期でも起こることがあると。

○大淵職業性疾病分析官 このあたりについては、以前の平成23年ころの議論では、頻尿とか排尿痛、膀胱がん以外の別の原因によって起こっているものもあるので、そういうものをむしろ除いておいたほうがいいのではないかという議論だったというふうに櫻井先生からお聞きしました。しかし、事務局としては、自他覚症状のところはできるだけ症状を幅広く拾い上げておいて、ほかの項目でだんだん絞り込んでいくというような考え方のほうがよろしいのではないかということで、現在のベンジジン等と同じようなこの項目を入れておいたらどうかというような御議論をさせていただいたかと思います。

○櫻井座長 そういうことでよろしいでしょうか。

○圓藤委員 はい。

○櫻井座長 それでは、「医師が必要と認める場合に実施する検査」の中で、尿沈渣検鏡。どうぞ。

○祖父江委員 尿潜血の話はもう終わっているのですね。

○櫻井座長 終わったつもりでしたけれども、もしあれば、どうぞ。

○祖父江委員 これは、恐らく膀胱がんというか、尿路系の早期発見のために行うスクリーニングとして行う検査ということだと思うのですが、従来のベンジジン等の特殊健診の中では含まれていなくて、今回入れるわけですね。これをスクリーニング検査として入れる意味があるのかというところですけれども、先ほどあったような、十分な感度があるか、特異度、感度に関して、一定水準のものかというところのデータなのですが、「膀胱癌診療ガイドライン2015」の中でこういうコメントがあると。2番目に健診スクリーニングにおける有効性が十分に検討されたマーカーは尿潜血試験紙法のみである」と。ただ、有効性が十分に検討されたと言っても、有効であるかどうかというのが示されたとは書いていません。ですから、感度に関して十分な値であるのかどうかということは、恐らく「膀胱癌診療ガイドライン」の中ではきちんと検討されていないのではないかと推察します。

 さらに、「膀胱癌診療ガイドライン」の15ページ「CQ3:膀胱癌のスクリーニングに有用な尿中マーカーはあるか?」と。「これまで、検診スクリーニングにおける有効性が十分検討されたマーカーは」云々とあって、その下に「複数回検査を施行することで」云々と。感度を補填するのに便潜血検査のような、2回法とか3回法とかありますけれども、複数回やることで感度を補填するというやり方が1つあります。

 それから、もし感度が十分でなければ、今、医師が必要と認める場合に実施する検査の中にある尿細胞診ですとか、あるいは尿中の腫瘍マーカーですとか、こういうものを組み合わせて感度を補填するということもあるかと思います。要するに、どれかがプラスであれば拾うという考えで感度を高めると。そのあたりを何かデータをもって、どの程度の感度であればこうした検査を採用し、十分でないと判断するのであれば、こういうことはしないとか、そのあたり、ちょっと定量的なデータが欠けているなと私は思いました。

○櫻井座長 それについて御意見、いかがでしょうか。

○堀江委員 祖父江先生の御意見は全くそのとおりだと思うのですが、一方で、一次スクリーニングの中で非侵襲性とかコストとか、さまざまな意味での受診者及び企業側に対する負担ということを考えれば、尿潜血検査は非常に安く、やりやすい検査です。科学的なエビデンスの不足はありますし、USPSTFでも膀胱がんのスクリーニングとして積極的に勧奨されているものがないという結論になってはいるのですが、尿潜血は紙でできますし、一般健康診断にはもう既に尿蛋白などが入っていて、そのエビデンスもないまま行われていることもありますので、私は入れていてもいいのではないかなと思います。エビデンスははっきりしていないのですけれども、非常に簡易で、広くやられていることに意味があると思います。

○櫻井座長 祖父江先生、例えば必ずやる試験としてはこれしか挙げていなくて、あと、6、7、8、9、10は医師が必要と認める場合に実施するというふうになっているところにちょっと問題を感じるわけですね。

○祖父江委員 ですから、ここでマイナスであれば、医師が必要と判断しないということになるでしょうから、がんを見つけるという性能が十分に保たれているのかと言われると、ここにかかっているわけですね。スクリーニングの段階で何をするのか。尿潜血検査だけでいいのか。比較的ハイリスクと考えられる人に対しての検査としてこれで十分なのかというところがちょっと懸念されるかなと思います。

 腫瘍マーカー等、確かにコストの面があるのだと思うのですけれども、そこのところが非常に高価であれば、また医師が必要とする場合に限るということもあり得るでしょうし、ただ、尿潜血にしても複数回行うというオプションはあり得るのかなと思ったりしますけれども。

○櫻井座長 どうぞ。

○柳澤委員 この腫瘍マーカーは極めて問題で、例えば消化器のがんなどにしても、必ずしも早期がんでは上昇してきませんね。恐らく膀胱がんもそうで、一般の臨床現場で膀胱がんのスクリーニングに腫瘍マーカーというのは余り使っていないはずです。尿路系で一番使われているのは前立腺がんのマーカであるPSAです。あれはかなりエビデンスが示されておりますけれども、膀胱がんでは、もし使うのであれば、もっとエビデンスが示された時点で、そしてエビデンスが示されたものを使っていかないと、かなりコストがかかってしまうのではないのかと考えます。

○櫻井座長 それについては、もしも御意見があったらいただきたいのですけれども。

 まず、医師が必要と認める場合でないとすれば、全ての人に尿試験紙法を一応やることにしていて、それ以外のマーカーの検査とか沈渣等も全ての労働者に実施するかどうかという点ですが、例えば新しくその作業についた人で発がんが起こることはまず考えられないですね。その作業によって尿路系の腫瘍が発生するのに、少なくとも何年かはかかりますね。だから、産業医、そこに判断が入り得る。判断、どこに境界を引くかは難しいけれども、いかがでしょうか。

○祖父江委員 その作業、従事年数が長い人に関しては適宜腫瘍マーカーをはかるとか、そういうことですか。

○櫻井座長 基本的に過去のばく露と作業年数を考えて必要と判断した場合、6以降をやるのだと。正直言って医師がどの程度のばく露を判断基準とするかは大きな課題ですが、しかし、少なくとも今年から作業についた人について、膀胱がんに関する健診を必ずやりますでしょうか。

○祖父江委員 それだったら、尿潜血検査をやる意味も余りないですね。

○櫻井座長 ヘモグロビン尿があるのです。

○祖父江委員 ヘモグロビン尿を見るためですか。

○櫻井座長 そうなのです。

○祖父江委員 これはそういう意味ですか。

○櫻井座長 それもヘモグロビン尿。先ほど加えた。

○祖父江委員 そうですか。尿潜血検査というのは、ヘモグロビン尿を診るためでもあるのですね。

○櫻井座長 でもあるという。

○祖父江委員 「目的等」のところにそれを加えるということですか。

○櫻井座長 はい。

○祖父江委員 わかりました。では、そうなのかもしれません。

○櫻井座長 どうぞ。

○大淵職業性疾病分析官 済みません。先ほどの祖父江委員からの御指摘は、尿潜血検査がマイナスであれば、次の医師が必要と認める場合の検査を行わないのではないかという御指摘でしたけれども、基本的に一次健診は、資料3にありますとおり、対象者全員に対して行うもので、一次健診の結果、医師が必要と認める場合に行うのが二次健診なのですが、今回一次健診の中でも医師が認める場合に実施する検査も含まれておりまして、結局、一次健診、対象者全員に行うと言っていながらも、必ずしも全ての項目を全員に対して行うわけではなくて、それはリスクに応じて、尿潜血検査がマイナスであっても、高濃度ばく露であれば6以降の検査も行うという場合も考えております。

○櫻井座長 従来ですと二次健診に入れるところを、かなり一次健診の医師判断項目として挙げてあるところが今回の特徴ですね。

○祖父江委員 なるほど。

○櫻井座長 ですから、一次健診で多くの医師は膀胱がんのことを考えると、場合によっては全てやるという選択をしてしまう可能性があるのですね。あるいは全然やらないか。両方の選択があり得るので、両方とも困る。どうぞ。

○圓藤委員 昔、アルファーナフチルアミンを取り扱っていた事業場の健康診断に従事したことがあるのですが、アルファーナフチルアミンは、取り扱いを中止しても長年にわたって血尿、いわゆる尿潜血が陽性の人がかなりの率で出ていました。その人たち全員にパパニコラをしていたのですが、やはり何年かに1人膀胱がんが見つかるというケースが出てきて、尿潜血が出なくなってきたころに膀胱がんもだんだん発症しなくなってきたという記憶があります。

 オルト-トルイジンも同じかどうかはよくわかりませんが、芳香族アミン類によって炎症が持続し、その所見として尿潜血が出てきてもおかしくないのではないかなと思いますので、検査として早期発見の前段階的な意味合いで尿潜血というのは意味があるのではないかなと思っております。

 それから、複数回はかってはどうかと。複数回やってもいいのですけれども、大体こういう検査は年2回実施しますので、半年ごとに経年変化を見ながら、前回もプラスだったよ、今回もプラスだったよというのを見ながら丁寧に見ていくというのは必要であろうと思っております。

○櫻井座長 どうぞ。

○柳澤委員 私も今、圓藤先生がおっしゃっていた御意見に賛成で、基本的に膀胱腫瘍ですから、膀胱のところに少し顔を出していれば必ず出血が起こってくるので、かなりの確率でひっかけることは可能だと思います。ただ、ひっかけることができないと思うのは膀胱の粘膜下腫瘍です。粘膜下腫瘍を診断するには、膀胱鏡以外の検査では難しい。膀胱鏡でも、きちんと膀胱を膨らまさないと診断できないので、一次検査としては尿潜血が非常に有用かと思います。

○櫻井座長 どうぞ。

○堀江委員 今回、一次健診に「医師が必要と認めた」というものを入れるということですが、その際、現場では、実はこの医師が誰なのかはっきりしないというケースが結構あるように思います。産業医あるいは健診機関医がしっかりしていれば適切に判断するでしょうけれども、実際には事業者が医師に聞かずに勝手に省略しているという事態が現場ではよく起こります。産業医がいれば産業医に判断させるべきであるといったことを通達に書いていただければと思います。もっと徹底するのであれば、健診記録票に判断した医師名を書く欄を設けることも考えられます。その医師が責任を持って、パパニコラ染色の細胞診について判断するのではないかと期待しています。

○柳澤委員 あと、医師が必要と認める場合に実施する検査、特にパパニコラの検査なのですけれども、今、オルト-トルイジンの労災認定のほうの検討会が立ち上がっておりますが、あちらのほうで見ると、大体7年ぐらいばく露していると発症しているのですね。ですから、例えば医師が必要と認める場合に実施する検査の項目の中のパパニコラに関しては、少なくとも5年以上連続して従事しているような場合には、基本的に医師が必要と認める場合とは関係なく、尿潜血と一緒にペアで検査するとか、そういう方向性でご検討いただくことは可能でしょうか。

○櫻井座長 どうでしょうか。5年という明確な数字を出していただいたのはすばらしいと思いますが。

 どうぞ。

○塚本産業保健支援室長 これにつきましては、通達で明記するなどにより実質的に導くということは可能ではないかと思います。

○櫻井座長 そうすると、例えば医師が必要と認める場合に実施する検査の中で、それぞれ発がんに関するものについては、5年以上のばく露のあるものについては原則として毎回実施することというような書き方がつけ加えられるという方向でよろしいでしょうか。

○柳澤委員 はい。可能であれば。

○櫻井座長 そうすると、それに該当するものが6と9ですね。腫瘍マーカーについては、あえて尿沈渣とかパパニコラをやるのであれば、それにつけ加えてそれを実施する必要性は低いという御意見があったように思いますが、どういたしましょうか。余りたくさん選択の幅を上げておくのは避けるということもあると思うのですね。どうぞ。

○柳澤委員 私が先程発言させていただいたのですが、腫瘍マーカーに関しては、1つはコストが高いということがありますね。あともう一つは、多くの腫瘍マーカーが早期診断に向いていない。例えばある程度の進行がんであれば発見でき、それ以後の、治療効果を判定する場合には非常に有用だと思いますけれども、早期診断には、例えば前立腺がんのPSAみたいに有用だというエビデンスはございませんので、もし将来的に有用なエビデンスが蓄積されるようであれば、今後この検討会を通して改めて議論していけば良いのではないのかと考えます。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 こういう方法は今後進歩していって有効な方法が出る可能性もあろうかと思われますが、現在の段階ではこれを落としておいて、将来情報が追加されたときに検討するということでよろしいでしょうか。よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○櫻井座長 では、9の「尿中の腫瘍マーカーの量の検査」は今回は省くという結論になると思いますが。

○圓藤委員 結構だと思います。

 前に戻りまして、7番の「尿中のオルト-トルイジンの量の検査」ですが、今回の事案でもありましたように、経皮ばく露、経皮吸収というのが懸念される物質ですので、ほかに作業環境測定とかが必ずしも有効に働いていないということがありますので、これが非常に重要な事柄ではないかと思っております。ですから、原則尿中のオルト-トルイジンの検査を行うというふうにしていただければありがたいと思います。

○櫻井座長 尿中のオルト-トルイジンの量の検査を一次健診、必ずやる項目に挙げたいという御意見ですね。

○圓藤委員 はい。例外的にこういう場合はしなくてもいいというのはあってもいいですが、原則実施したいと思っておりますが。

○櫻井座長 いかがでしょうか。

 これは特化則でほとんど全て二次に挙がっているのはおかしいという意見も多々ありますね。そういう生物学的モニタリングは、むしろ一次に挙げるべきだという意見もかなり多いように思いますけれども。

○圓藤委員 先ほど堀江先生が産業医なり、あるいは健診機関のドクターがしっかりしておれば何とかできるというふうな、医師が必要と認めるという判断ができるかもわかりませんけれども、産業医や健康診断の医師が労働者の労働状態を常に見ているわけではありませんので、皮膚吸収しているのかどうかということまで把握するのは非常に困難であろうと思っています。そういう意味から考えて、ばく露評価としてはこの項目しかありませんので、ぜひともこれを測っていただきたいと思います。

○堀江委員 私も原則としてサーベイランスに役立つ項目であって、気中濃度の測定だけでは不十分だという場合は生物学的モニタリングが必須だというのは賛成です。

 一方で、尿中のオルト-トルイジンですけれども、これを測定した経験がありません。必ず実施する項目に入れれば、それを契機に測定法が全国に普及するということかもしれないのですが、その見通しはいかがでしょうか。また、鉛則とか有機則などでは一次健診に生物学的モニタリングが入っていますので、それと同じように、いわゆる生物学的許容値といいますか、基準範囲も示す必要があると思います。それこそ非職業性のばく露であったらこれくらいはいくけれども、これを超えたら有意に高く、職場に特異的なばく露が疑われるという値があればと思います。そうなりますと、検出限界というのはそれよりも相当低いところにあって、職場におけるばく露が評価できることも重要と思います。

 それから、鉛や有機溶剤の場合は、分布1、2、3というのを報告するような仕組みもありますので、この際、入れるのであれば、特化物に関しても、可能であればそういったものを検討していただければと思います。

○圓藤委員 文献を見ますと、10個ぐらい方法があるようでして、そして我が国では余り測定していなかったと思います。それは需要がなかったということがあったと思います。この事件が起こりまして、測定する必要があるというので、安衛研のほうが急遽既に報告されている分析法をもとに実施したところ、適切に測定できておりますし、また、中災防の大阪センターのほうでもその方法並びに改良法等を今、検討中でありまして、世界では十分できている方法ですので、何ら不可能なことではないと思っています。

 もちろん、基準をどの程度つくるか。堀江先生がおっしゃるのは大事なのですが、それは実施しながら後日基準値を決めていくという方法を取らざるを得ないと思っています。測定しながら、現場での作業環境並びに皮膚吸収の度合い等を見ながら、それとの関連を見て適切な値を決めていくというのが必要であろうと思っています。

○櫻井座長 どうぞ。

○清水委員 今の圓藤先生に補足することになると思うのですが、今、中災防の大阪と東京のほうで検討しておりまして、一応下限値は3μg/Lを目標にして、これは安衛研で多分検出限界なのですね。今、正常人の尿中のオルト-トルイジンの量を検討している最中です。

 問題は、きょう非公開のこの書類の中で、安衛研のやった就業前と就業後で値が違っているということで、これは何に原因するのか。前にばく露しているのか、あるいは喫煙の影響があるのか、ちょっとわかりません。そういったことに関してもいつ採尿するかといったような問題も絡んでくると思うのですけれども、今、検討中でございます。

○大淵職業性疾病分析官 少し補足をさせていただきたいと思います。安全衛生総合研究所で福井の事業場について、1月に災害原因のための調査を行っておりますが、そのときには、問題が発覚して1カ月ほど業務をとめていて、その原因をはかるため、実験のために改めて稼働していただいたのですけれども、稼働して4日目の朝に就業前の尿、それから4日目の夕方に就業後の尿ということではかっておりますので、就業前とは言っても、その前日とか前々日の影響が残っているというふうに考えられるのかなと思っております。

○櫻井座長 ありがとうございます。

 その他のデータ等も見ると、必ずしも生物学的半減期が短くない。かなり長いようなので、やや蓄積していくということからいきますと、1回測定でも十分判断できる可能性もあると思いますが。よろしいですか。

 そうしますと、委員の先生方はほとんど、尿中のオルト-トルイジンの量の検査は非常に重要なので、必ず実施する項目として採用すべきであるという意見になっております。それで。

○塚本産業保健支援室長 提案なのですが、この検査は必要性が高いという御指摘ございますが、一方で、まだ課題もあるということで、例えば医師が必要と認める際に実施する検査として位置づけながら、例えば通達などにより、こういう場合は必要性が高い云々ということを書き、誘導していく取り扱いもあるかと思いますが、いかがでしょうか。

○櫻井座長 行政のほうでできるだけ頑張っていただくという感覚で、今おっしゃっていただいたような方向が実現性があるということであれば、まずそれで行くことだと思いますが、いかがでしょうか。

○圓藤委員 行政の方は性善説でお考えです。ところが、事業所によっては必ずしも性善説が通用しないところがありまして、健康診断で悪い結果が出たら困るのだ、いい結果を出してほしいということを希望する事業者がある程度の割合でおられるのです。ですから、ほかの項目でしたら、事業ばく露とは直接関係ないと逃げることができますが、この項目で非常に高い値が出たら、改善しなければならないという事業者にとっては大きなものになろうかと思います。

 某事業所などでは、高い値が出たら、再検査してください、もう一回低い値が出るように2回目やってくださいみたいなことを言うようなところもあります。低いデータが出たら安心するというところがありますので、必ずしも全ての事業所が前向きに安全衛生をしているとは限らないという気がいたしております。

 特に50人未満の事業場で産業医も選任されていなく、また、健診に関しても余り前向きでない。義務であるからやるというところでしたら、こういう項目があったら省きたいという意思を非常に強く出て、省略する検査機関を選ぶという事業所もあろうかに思いますので、原則実施することにしていただきたいと思います。但し、省略していいということがあってもいいのではないかなと思っています。

○櫻井座長 医師が必要と認める場合に実施する検査の中で、最優先課題として尿中オルト-トルイジンの量の検査をトップに持ってきて、「原則として実施する」というような言葉を追加いたしますか。どうぞ。

○武田労働衛生課長 先ほど私どものほうからも御提案させていただきましたが、まさに圓藤先生がおっしゃったようなこと、お考えのところも踏まえてのものでございます。生物学的モニタリングについて先ほど来御議論いただいておりますように、まず一次のところで、これは医師が必要と認める場合にという位置付けでございますけれども、それも新しい大きな一歩ではないかと考えております。

 ただ一方で、先ほど来御意見がございましたように、データや基準の問題等もございます。鶏が先か、卵が先かのような議論もございますけれども、まずはこういう形で進めていって、実質的に誘導していくような形でデータを積み上げていくことにより、最終的にはスタンダードをつくっていくという道筋のまず一歩という形ではどうかという御提案をさせていただいたというところでございます。

○櫻井座長 そういうことで御了解いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。これは大きな一歩ではあると思いますので。また、個別の事業場に対する強い指導をぜひお願いしたいなと。行政のほうは、こういうのは見当がつくかと思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 それと同時に、実行可能な基準値の設定とか方法の確立等も多分そんなに遠くなくできると思いますが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 あと、血中のメトヘモグロビンの量の検査と10の「赤血球数、網状赤血球数等の赤血球系の血液検査」は、いかがでしょうか。幅広に挙げておいていただいておりまして、それぞれ有益な検査ではあると思いますが、そのまま残させていただいてもよろしいでしょうか。

 特にこれを除くべきというほど強い御意見がなければ、今までの御議論からいきますと、9番目の「尿中の腫瘍マーカーの量の検査」を取り除くということになっております。

 時間もございますので、3ページの「二次健康診断」のところに移りたいと思います。

 二次健康診断では、「(1)作業条件の調査」、次のページ「(2)膀胱鏡検査、腹部超音波検査」云々と列挙してございますが、これについて御意見があればいただきたいと思います。

 これはよろしゅうございますでしょうか。

 あるいは貧血絡みは、溶血性貧血。形式上それを入れないと整わないですね。メトヘモグロビン血症とか、あるいは溶血性貧血とか、入れなくていいでしょうかね。二次健診の血液系に関する。作業条件の調査では必ずやる。「医師が必要と認める場合」というところで、尿路系の腫瘍に関するものだけしか挙がっていないのですが。一次健診でヘモグロビン尿あるいは溶血を考えておりますので、それでもう一回やる必要がないかな。よろしいですか。

○圓藤委員 1でメトヘモグロビン量の測定の検査がありますし、赤血球数、網状赤血球数、赤血球系の血液検査がありますので、二次でもう一度繰り返す必要はない。一次でし忘れたということでもう一度測ったって、それはそれなりに構わない。それから、より詳しく測定したいと言えば、特殊健康診断の枠の外で丁寧にはかるということもあろうかと思いますが、その場合はここに書く必要もないということで、これでいいのではないかと思います。

○櫻井座長 これでよろしいですかね。

○清水委員 はい。

○櫻井座長 その他。どうぞ。

○祖父江委員 「医師が必要と認める場合に実施する検査」の膀胱鏡検査に続いて画像検査が幾つか並んでいますけれども、静脈性尿路造影のところが、下のコメントだと「推奨しない」と書いていますので、あえてここで書かずに、CT尿路造影等でも。ここの「静脈性尿路造影」は消しておいたほうがよいのではないかと思いますけれども。

○櫻井座長 どうぞ。

○武田労働衛生課長 現場の先生方にいろいろお伺いしてみましたら、検査機関、医療機関等のリソースによってかなり状況は変わってきますよと。そういうことで、必ずしも静脈性尿路造影の意義というものがなくなったわけではないのだけれども、ただ、その2つで並べたという考えならば、例えばCTでは三次元の画像再構成もできるし、それはいいけれども、一方で静脈性尿路造影の意義がなくなったというわけではなくて、依然としてまだそういうところでも必要な情報が得られるという御意見もあって、このところで入っているというところでございます。

 ですので、前のものと比べると、CTのほうがよりいいけれどもという、相対的な意味だというのはお伺いしたところです。

○櫻井座長 よろしいですか。

○祖父江委員 強い意見ではありませんけれども、コメントとちょっと整合性が難しいかなと思ったというところです。

○櫻井座長 大分泌尿器科の何人かの方々の御意見等も伺って、事務局のほうでも大分考えた上での案になっているようで、もしよければこのとおりにさせていただきたいと思います。

○祖父江委員 はい。これで結構です。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 それでは、ほかに特になければ、以上で。

○大淵職業性疾病分析官 申しわけありません。事務局のほうから念のためなのですけれども、一次健診の中の(8)のメトヘモグロビン、(10)の赤血球関係の検査、こちらの聞き落としかもしれないのですが、議論が余りはっきりしなかったところがあるのかなと思ったのですが、採用するという趣旨でしょうか。そこをもう一度はっきりさせておきたいのですが。(8)と(10)血液関係、こちらはどういう結論というふうに理解すればよいでしょうか。

○櫻井座長 これを入れておくか、落とすかということですね。

○大淵職業性疾病分析官 はい。

○櫻井座長 もう少し詰めてほしいということですね。

○大淵職業性疾病分析官 もし可能であればお願いできたらと思いますが。

○櫻井座長 いかがでしょうか。どうぞ。

○圓藤委員 この2つは大量ばく露しているときには必要ですから。そうでない、通常の場合にはそんなにポジティブに出ないのではないかなという気がしますね。ですから、置いておきたいのですが、場合によったら二次のほうへ持っていったほうがいいような気もいたします。特に10のほうの溶血性貧血というのはエビデンスもそれほどありませんので、尿潜血とかが出てから考えるという場合があってもいい。二次へ持っていくという手もあろうかと思います。

○櫻井座長 柳澤先生、うなずいておられるのは。

○柳澤委員 全く同じ意見です。

○櫻井座長 私も8と10は、6と7に比べると重要性の点でかなりの差があるから、二次健診のほうの医師選択項目にするのがいいなという気持ちがあります。そのとおりなのですが、いかがでしょうか。先生方。

○堀江委員 基本的に賛成です。ただ、メトヘモグロビンを測定する機関がそれほどないらしいので、もしそうであれば、例えば末梢の酸素飽和度を測定する方法もあると思います。酸素の取り込みに関して測定することはかなり普及しています。パルスオキシメーターで測定する方法もあり得ると思います。

○櫻井座長 いかがでしょうか。

○清水委員 私はちょっと逆の考え方をしたのですが、皮膚吸収の場合、大量ばく露した場合に反応としてすぐ出てくる可能性があるというと、やはり二次でなくて、一次に残しておいたほうがいいのではないかというふうにも考えます。

○櫻井座長 どうぞ。

○圓藤委員 きょう議論しているのは定期の健康診断ですので、今の清水先生のお考えからすると、臨時に実施する健康診断というのもありますね。そのときにはぜひとも重要な項目だろうと思います。

○櫻井座長 そうすると、二次の医師判断項目でいいだろうという御意見ですね。

○圓藤委員 はい。

○櫻井座長 清水委員の御意見もそのとおりだなと思いましたが、確かに大量ばく露のおそれがあるなと思ったらやってもらうというような形で、適切なガイドラインをつくるという方向で結論にしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○櫻井座長 ありがとうございます。

○圓藤委員 臨時の健康診断というのもあるのですね。

○櫻井座長 あります。

○大淵職業性疾病分析官 ございます。大量ばく露のときの診断です。

○圓藤委員 これはそれには必ず重要だと思います。

○櫻井座長 以上で主要な部分の議論が終わりまして、確認したいと思いますけれども、事務局のほうでお願いできますか。

○大淵職業性疾病分析官 お時間がありませんので、項目として入るか入らないかというところでの確認を一通りさせていただきたいと思います。

 まず、別添1の1ページ目から参りますが、一次健診の(1)から(4)は一次健診の必須項目ということで、このままでございます。

 2ページ目の(5)の尿試験紙法も一次の必須のところということで、変わらない。

 次の「医師が必要と認める場合に実施する検査」の中ですけれども、(6)はそのまま。

 (7)の尿中オルトは、いろいろ御議論がありましたが、最終的には医師判断ということで。

 次の(8)メトヘモグロビンは、二次健診のほうの医師判断項目へと。

 (9)の尿中腫瘍マーカーは削除。

 (10)の赤血球系の検査は、二次健診の医師判断項目へと。

 3ページの下の二次健診のところですけれども、(1)の作業条件はこのまま。

 医師判断項目である(2)のところ、いろんな検査を列挙してございますが、これも原案のとおりということでよろしかったでしょうか。

○櫻井座長 そうですね。その中に前の8と10が移るわけですね。

○大淵職業性疾病分析官 そうですね。

○櫻井座長 それから、2ページの「医師が必要と認める場合に実施する検査」の6と7の順番を変えたいですね。それはよろしいでしょうか。

○大淵職業性疾病分析官 順番を入れかえる。

○櫻井座長 尿中のオルト-トルイジンを上にする。

○大淵職業性疾病分析官 はい。

○櫻井座長 尿沈渣は7にする。それでよろしいでしょうか。

○祖父江委員 はい。

○櫻井座長 列挙であって、余り意味がないかもしれませんけれども、少し意味があるような気もします。

○大淵職業性疾病分析官 わかりました。では、(6)と(7)は順序を入れかえということで。

○櫻井座長 はい。

○大淵職業性疾病分析官 承知しました。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 それでは、最後、議題「(2)その他」に進みます。事務局、どうぞ。

○大淵職業性疾病分析官 そうしましたら、その他ですけれども、時間がちょっと過ぎてしまって大変申しわけございません。今後の進め方について、事務局から簡単にお話しさせていただきます。本日は、オルト-トルイジンの健診項目のうち業務従事者健診について、今、結論をいただいたところでございます。

 きょうお時間が足りなくて検討できませんでした配転後健診につきましては、事務局で案を作成しまして、業務従事者健診の中から急性の関係のものですとか業務経歴、そういったものを省いた案を作成しまして、別途先生方に御提示をして御確認いただく、そのような形で考えております。

 それから、冒頭でも説明しましたとおり、健康管理手帳の関係を第2回で議論いたしますが、こちらの日程調整については、また別途行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

○櫻井座長 ただいまの説明について、何か御意見、御質問ございますでしょうか。

 特にないようですね。

 それでは、きょうの議題は以上です。

 最後に、事務局から連絡事項があればお願いいたします。

○大淵職業性疾病分析官 連絡事項を申し上げます。本会議の議事録につきましては、後日先生方に内容を御確認いただいた上で、厚生労働省のホームページに掲載することとしておりますので、またその確認の作業につきまして、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 以上です。

○櫻井座長 それでは、本日の検討会、以上で終了いたします。

 どうもありがとうございました。


(了)

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