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2016年7月20日 第4回大学附属病院等のガバナンスに関する検討会

○日時

平成28年7月20日(水)


○場所

共用第6会議室


○議題

○医療政策企画官 定刻まで若干ございますが、既におそろいのようですので、ただいまから、第4回「大学病院等のガバナンスに関する検討会」を開催させていただきます。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ本検討会に御出席いただき、まことにありがとうございます。
 なお、本日は草刈構成員、田島構成員より御欠席の連絡をいただいております。
 また、野村構成員におかれては、おくれての御到着と伺っております。
 続きまして、構成員の方に異動がございましたので、御紹介申し上げます。日本医師会、市川構成員でございます。事務局の人事異動もございましたので、紹介させていただきます。医政担当審議官の椎葉でございます。
 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表のほか、議事次第にありますとおり資料1~4となっております。また、これまでの検討会資料についても青いファイルのほうにまとめておりますので、適宜御参照いただければと存じます。資料の欠落等がございましたら、事務局にお申しつけください。
 それでは、以降の進行は座長にお願いいたします。
○田中座長 皆さん、おはようございます。
 早速ですが、議事を開始します。まず、6月17日に「国立大学附属病院長会議」において、ガバナンスの強化に向けた提言が取りまとめられたと伺いました。オブザーバーの山本先生より御説明をお願いします。
○山本オブザーバー ありがとうございます。
 お手元の資料1が、「国立大学附属病院長会議」で取りまとめて、6月の総会で承認を受けた「国立大学附属病院のガバナンスの強化に向けて」の提言でございます。その内容について説明させていただきます。
 まず1ページ目をごらんください。「1.はじめに」といたしまして、国立大学附属病院はそもそも大学の研究教育組織として社会の発展に寄与するという大学の使命の一端を担ってまいりました。これまでは、構成員の自治に基づく自律的運営を基盤として運営されておりまして、時代の変化に対応した自己変革も実行してきたところでございます。
 一方で、教育研究に加えて診療という非常に重要な機能がございますので、病院運営に必要な経営力が求められておりますし、また教育・研究・診療を通じて国民の生命・健康を預かる組織として、診療提供体制の管理、医療の質と安全を確保する必要がございます。
 このような観点から、学内のほかの教育研究組織に比べると、明らかな特殊性を有する組織であり、このような組織の特性に応じた適切なガバナンスが強く求められているところは我々自身も認識しているところでございます。
 一連の大学病院における医療安全の重大な事案を受けて、タスクフォースによる集中立入検査、あるいは特定機能病院の要件の見直し、そして大学病院のガバナンスに関する検討会などが設置された過程を通じまして、我々、国立大学附属病院においても医療安全体制の再構築、経営体制の強化、また将来の医療を担う人材育成などの山積する課題に対応するために、ガバナンスを一層強化することが求められているという認識に立ちまして、国立大学附属病院長会議として病院長の権限と責任を明確化するとともに、病院長の選考のあり方についても改善する必要があると考えて、この提言をまとめた次第でございます。
 この提言の内容につきましては、学長の集まりであります国立大学協会の承認もいただいているところであります。さらには、国大協からは、この実施がどのように実施されているか、しっかりフォローアップするようにとお尻もたたかれているという状況でございます。
 次段以降がその細かな内容でございます。まず、「病院長に求める資質・能力」といたしましては、社会環境が急激に変化している中では、特に喫緊の課題として、初期研修医の確保並びに新たな専門医制度への対応を踏まえた地域の医師配置のあり方、それから臨床研究体制の持続可能性の担保と、臨床研修中核病院のみならず、それと連携する国立大学附属病院全体の底上げ、また「特定機能病院に対する集中検査」の結果を踏まえた医療安全管理責任者の配置、医療安全管理部門の体制強化、医療事故を防ぐ体制の確保への対応などの課題が存在してございます。
 一方で、経営上の問題といたしましては、診療報酬の実質マイナス改定、消費税の補填不足などがございますので、経済環境が非常に悪化しているという状況もございます。また、私どものところは人件費が人事院勧告に対応しなければならないため、このようにさまざまな外的変化に対応できる経営体制の整備というのも急がねばならないというところでございます。
 このように、さまざまな課題に対しまして、病院長は常に積極果敢に取り組まなければならないのですが、これまではそのような求められる資質・能力について明確に議論がされてはおりませんでした。また、国立大学病院が生き残っていくためには、病院職員の意見反映に留意しつつ、病院長が経営の責任者として強いリーダーシップを発揮する。そして、予算、人事、組織面において権限と責任を持って、将来を見据えた戦略を持って行動する必要があると考えます。したがいまして、医学教育、医学研究、そして高度医療を担う国立大学附属病院長として求められる資質・能力を明文化することが必要であると考える次第でございます。
 3番目には、「病院長の権限と責任の明確化」ということを述べております。病院長が経営の責任者として強いリーダーシップと経営手腕を発揮するためには、病院長の権限と責任を明確化することが必要と考えております。また、病院長が全ての問題に対応することはおよそ不可能でございますので、各大学の実情に応じて病院長を補佐する体制の整備というのも重要と考えています。
 実際に、全ての大学病院において副病院長あるいは病院長補佐という補佐役が置かれておりまして、一定の権限と責任を与えて、機動的な意思県低が行える体制がつくられているところではございますが、このような副病院長あるいは病院長補佐というのはそれぞれの診療科の責任者も兼ねておりますので、どうしても職務分担が縦割り、あるいは細分化されるという傾向がございますので、病院長以外に病院内の状況全体を把握できる人間がいないということも実は指摘されているところでありますし、私自身が認識しているところでもございます。したがって、横断的な調整権を持つ、ここには総括副病院長と書いてありますが、このような職種の設置も検討すべきではないかということをうたっております。
 一番の問題点は人事上の権限でございますが、診療科長などに対する病院長の人事権限は、病院長が任命するというふうに規程には書かれておりますが、さらに規程上、当該診療科に対応する医学部等の講座の教授を充てるということが規定されております。例えば消化器内科の診療科長であれば、消化器内科を担当する講座の教授を充てるということが規程に書かれているという問題がございます。さらに、診療科長の解任の規定がほとんどのところでないということもございます。
 3ページ目に参りますが、このように病院長の人事上の権限が明確化されているとは言いがたい状況でございますので、病院長が実質的に診療科長などの人事権を持ち、任命に係る権限を行使できるよう規程改正が必要ではないかとうたってございます。
 また、法人の中における病院長の位置づけでございますが、国立大学病院のうち11病院では病院長が理事を兼務しております。そして、法人全体の中で附属病院が占める役割が高まる中で、附属病院の意向が十分に法人運営に反映できるような体制を構築できるよう、法人本部に働きかけることも重要であると考えてございます。
 4番目が「病院長の選考・任期」でございます。平成26年の中教審で、「大学のガバナンス改革の推進について」ということが取りまとめてありますが、その中で学部長については最終的に学長の判断で任命すべきということがうたわれております。そして、国立大学法人法施行規則の改正によって、国立大学では学長が病院長を選考し任命することとなりました。
 これまでは、教育公務員特例法に由来する慣例から、「当該学部の教授会の議に基づき、学長が行う」となっておりましたので、医学部教授会での意向投票の結果がそのまま尊重される場合も多くて、必ずしも選考過程の透明性が確保できているとは言えない状態でございます。現在のところ、9つの病院では、選挙や意向投票を実施せずに病院長を選考しておりますが、この意向投票をするしないにかかわらず、やはり学長は選考過程や理由を明らかにすることが重要であると考えております。
 したがいまして、病院長選考に当たっては、病院長選考会議を設置して、関係教職員や学外有識者の意見を聴取の上、複数の候補者の中から学長が選考することが重要ではないかと考える次第でございます。
 次に、病院長の任期でございますが、これは先ほどの「大学のガバナンス改革の推進について」の中でも、学長の任期については中長期的なビジョンを踏まえながら、安定的なリーダーシップを発揮できるような年数の設定が必要ではないかという提言がございますが、やはり病院長におきましても、直面するさまざまな課題にリーダーシップを発揮して対応するために、現行の規定、多くは1期2年あるいは3年というところでございますが、そういう現行の規定にとらわれることなく、適切な任期の設定を検討すべきであると考えております。
 最後にまとめでございますけれども、ここまで病院長に求める資質・能力、それから病院長の権限と責任の明確化、病院長の選考と任期の観点について整理をいたしましたが、このような内容について実効性を持たせるために、以下の点について、病院長の任命について学長が定める内部規則などにおいて取り入れるよう提言をしてございます。
 ただし、病院長を含む部局長の選考に当たりましては、学長みずからが関係教職員の意見を聞き、総合的に選考している大学も既に存在しております。それから、各大学によって選考の細かな規定がさまざまに異なるということもございますので、各大学の自主的な判断に基づく柔軟な取り扱いを可能とすべきとしております。
 この学長が定める手続等、すなわち内部規則に盛り込むべき内容につきましては、以下の3点でございます。まず1番目は、医学歯学教育・医学歯学研究・高度医療を担う大学附属病院の病院長として求められる必要な資質・能力を明文化すること。2番目として、予算や人事に関する権限など病院長の職務・権限を明確にするとともに、職務が適切に遂行できるような任期を設定すること。最後に、病院長の選考過程において、病院長選考会議を設置し、関係教職員や学外有識者の意見を聴取の上、複数の候補者の中から学長を選考すること。この3点でございます。
 提言内容は以上でございます。ありがとうございます。
○田中座長 山本先生、本検討会にとっても参考となる資料の説明をありがとうございました。
 ただいま山本オブザーバーが説明してくださった内容について、御質問があればお願いします。これは他団体ですので意見を言う筋合いではないと思いますが、御発表に対して質問があればお願いいたします。
 どうぞ、山口構成員。
○山口構成員 ありがとうございます。
 この検討会でも話し合われてきたポイントが見事に入っているのだなと思いましたし、これを基本にしてこの検討会でもまとめができるのではないかと思いました。そのうえで、これはあくまで国立大学病院での提言ということなのですけれども、国立大学病院の中でこれを実行しようとしたときに、ちょっとハードルがある病院があるとしたら、例えばどんなことがハードルになるのかということと、これは山本オブザーバーにお聞きすることかどうかわからないのですけれども、これがほかの国立大学以外の病院ということになったときに、また国立大学とは違うこういう問題があるのですよということがあれば教えていただきたいと思います。
○山本オブザーバー まず、国立大学の中でのハードルとしては、国立大学法人法の中で、学長が病院長を任命するということがうたわれていますので、十分な御理解をいただけない場合、あるいは理解が不十分な場合には、その学長の権限にさわるのではないかというような御批判をいただく可能性はあると思います。ただし、私どもの提言の中でも、あくまでも任命するのは学長である、そこに病院長選考会議等の透明化を担保する組織をつけ加えてはいかがかとうたっておりますので、その辺は十分御説明すれば御理解いただけるのではないかと思います。
 もう一つ、あえてつけ加えるならば、医学部教授会がどう反応するか。相変わらず意向投票が重要であると認識している医学部教授会においては、むしろ学長よりも強い反発を示す可能性はあるのかなとは感じております。
○山口構成員 ありがとうございます。
 これをもし国立以外にとしたときどうでしょうか。
○山本オブザーバー これは、例えば私立大学でも事情はさまざまというふうに伺っておりますので、ちょっと私が想像するのはなかなか難しいのかなと思います。
○田中座長 どうぞ。
○森山オブザーバー よろしいですか。オブザーバーなので、意見を述べるのは変なのですけれども。
○田中座長 いえ、別に構わない。この人数なので、どうぞ。
○森山オブザーバー 今の山口構成員の話なのですが、私学では実際に今選挙で行われているのは17で、指名が12です。総合大学は指名が多いのですけれども、あとは新設大学は指名が多くて、だんだん歴史が長くなると選挙、民主主義が多くなるという現状があります。
 したがって、国立大学の3番目の病院長選考会議が何を意味しているか、ちょっとわからないのですけれども、私学としては、単科大学が多くて、院長も必ず上位の理事になりますし、人事や財務も含めて権限がかなり強いというところもありますので、そういう意味では明文化することは非常に大事なのですけれども、透明性と公開性があれば、あるいは説明責任がつけばどちらでもいいと考えています。この国立大学の3番目の病院長選考会議を設置しての選考会議がどういうものを意味するのかわからないので、これだと指名がいいような文言にもとられかねないのではないでしょうか? 私学としてはちょっとそれは違うのではないかなと。どちらでもいいのではないか。余り規定するものではないのではないかと思います。
○山口構成員 ありがとうございます。
○田中座長 梶川構成員。
○梶川構成員 これは、それぞれ学校による御事情もあるということではあるのですが、この選考会議のメンバー自身はどなたが選ばれるのか、どのようにして選ばれるのか、少しイメージがおありなのでしょうか。
○山本オブザーバー これもやはり各大学でお考えいただければよろしいかと思うのですが、基本的に任命権者は学長でございますので、学長に選んでいただくという形がよろしいのではないかと思います。
○梶川構成員 ありがとうございます。
○田中座長 松井構成員、お願いします。
○松井構成員 詳細な御説明、ありがとうございました。
 1点、念のための確認なのですが、ここで対象になっているのは国立大学の附属病院なのですけれども、大学附属病院という位置づけになっている場合と、医学部の附属になっている病院の場合と、基本的には同じ扱いで考えているのだと思います。ただ、かりに医学部附属病院で特別な事情があれば、この5番の提言の中にございます各大学病院の事情に応じて考える、このような理解をすればよろしゅうございますか。
○山本オブザーバー 医学部附属か、あるいは大学附属かにかかわらず、病院長は学長が任命するという構図になっておりますので、これはどちらでも構わないと考えます。
○田中座長 矢野構成員。
○矢野構成員 病院のガバナンスということで、病院長の権限とか資質とか、あるいは任命する方法というのが提言として出ているわけですけれども、いわゆる国立大学病院や私立大学病院などで、その上部組織、理事会などといったところが病院をチェックする機能というのは現状ではあるのでしょうか。
○山本オブザーバー これは大学本部に監事がおられまして、あるいは監査室がございますので、この方たちが毎年定期的に病院の業務に対する監査が入っております。それが理事会に報告されて、病院の運営がどうだというような評価をいただくという仕組みになっております。
○田中座長 市川構成員、お願いします。
○市川構成員 ガバナンス、要するに統治力、統治権的なものというのは、どちらかといいますと、いろいろな決定プロセスを早目に行う。要するに、決めたことを、いろいろな会議とかそういうのはある程度、無視とは言わないにしても、省略化して早目に行うというものだと思います。
 ですから、もともと医療安全から発した検討会が、果たして医療安全に慎重な上に慎重に行う。例えばやるにしても、いろいろなことを順番立ててやっていくのが医療安全に一番いい部分ですので、ここをガバナンスを強めることが果たして医療安全に向いているかどうか。逆に言いますと、確かに罷免権があった場合は、そういうことをしたところに対して早目にするのはいいのですけれども、一個一個医療安全を積み立てていくときに、ガバナンスでこうしましょう、ああしましょうというのは適していない。
 ですから、選考はさておき、ガバナンスのみに頼るようなことを今議論されているのは、ちょっと今回の趣旨に反するのではないか。私も初めてですので、今までの過程をよく存じ上げないで申し上げているかもしれませんけれども、そんな感じはいたしております。
 したがいまして、山本オブザーバーが言われたように、いろいろな部分をかみ合わせて一つの形をつくっていくのが適当というか、実際問題、前の議論を読ませていただきますと、いろいろな病院とか私学とかによって伝統なりが違うものですから、今ここでこの形をこうしましょうというのは現実的には不可能だし、山本先生が言われたみたいに、すぐにはどこもがそれに準じてやろうということは起きないと思いますから、まず大事なことは、いろいろなものをかみ合わせた形でもやはり一番大事な医療安全を担保できるようなシステムが、私は初めてとは言うものの、いいのではないかと思っております。
○田中座長 国大協に対してではなく、全体の意見ですね。この検討会のあり方に関する意見ですね。
○市川構成員 そうです。
○田中座長 ありがとうございます。
 では、山本オブザーバーのこの提言を参考にしつつ、我々はさらに議論を進めてまいりましょう。ありがとうございました。
 続いて、議題2「管理者(病院長)の資質と選任方法について」、事務局より説明をお願いします。
○医療政策企画官 事務局でございます。資料2をごらんいただければと思います。
 これまで本検討会では、1ページにございますとおり、検討項目はこのような形になっていまして、それに対してさまざまな御意見をいただいてきております。
 2ページになりますけれども、まず、「病院としての適切な意思決定を行うための体制」という大くくりでございますが、その中で開設者等と管理者(病院長)の関係についてどうかという点が1つ目でございます。
 これまでのところの主な御意見といたしましては、今回問題となった病院の事案、いずれも病院長の権限が強くなくて、医療安全管理の対応がきちんとできていなかったのではないか。あるいは、医学部長よりも病院長の権限が小さくては、何があっても速やかに物事を決定できない。病院長の権限を明確に規定することが必要ではないか。そうした中で、慶応大学の事例の御紹介をいただいたというところがございました。
 あと、理事会や経営会議で何を決裁するのか、そういったところを明確に規定するといったことについても御意見がございました。この1つ目の項目については、特に御意見がいろいろあったところですけれども、管理者の権限が弱いと医療安全にも十分対応できないということで、職務権限の明確化が必要ではないかといった内容になっていたかと思います。
 3ページ目でございますけれども、こちらは開設者、特に理事会あるいは医学部とか管理者の関係ということでございます。やはり病院長が開設者、理事会に対して病院側の意見を反映させられないと、医療安全の確保に支障が生じるのではないかといった話でしたけれども、病院、大学にもよりますけれども、病院長が理事になっているところもありますが、理事数等もありますので、それ以外の形での参画という形もあるのではないのかといった御議論がございました。
 4ページですけれども、こちらは「病院内における病院長のガバナンス等」についてでございます。実際にどういうふうにされているかといった御紹介があり、病院の管理運営に関する事項を審議する執行部会を設けて、週1回やっていますといったお話がございましたが、やはり病院内で各診療科の権限が大きいと管理者のリーダーシップが十分発揮できないという面と、一方で病院長が暴走するといったことへの懸念もありますので、相互牽制という意味でも、何らか病院運営に関する会議を位置づける必要があるのではないかといった形で考えております。
 2の「管理者のサポート体制」につきましては、先ほどの御提言にもありましたけれども、管理者が病院のマネジメントを行うにしても、1人で行うには限界がございますので、それ以外のサポートする立場の方が必要、さらには一定の直属の組織で企画立案を行うといったことも重要なのではないかといった御意見をいただいているところでございます。
 このほか、病院のマネジメントを行う人員については、病院の事務に精通するように、適切な人事研修で育成していくことも大事ではないかといった御意見もいただいたかと思います。
 3の「病院の運営状況の第三者によるチェック」ですけれども、病院外の監事あるいは監査室といったところがチェックをしていますという話。あるいは、そういったチェック機能は大事だけれども、一方で医療安全についての監査委員会を設けなければならないと今回なりましたので、いろいろな機能が重複すると、その点はいかがなものかといった御意見もございました。
 6ページ、7ページ以降ですけれども、こちらは後でまとめてまた扱いたいと思いますが、管理者の資質や選任方法についてさまざまな御意見をいただいております。
 最後、8ページを開いていただきますと、その他、「コンプライアンスについて」というところですけれども、検討会の中では、院長にしっかり権限を明確化して持たせるとともに、広い意味でのコンプライアンスが重要なのではないか。コンプライアンスについては、単なる形式手続になってしまわないように、不断にアップデートしていくことが必要と。そういった御意見もございました。
 その他、情報開示についてもしっかり進めるということが重要ではないかといった御意見をいただいております。
 ほかにもいろいろ御意見をいただいて、ここには反映できていないところではございますけれども、今後、取りまとめに向けて、いろいろいただきました御意見を極力反映して、また御提示させていただければと思っております。
 その前に、管理者の資質と選任方法については、今回改めて深掘りといいますか、御議論賜りまして、その上で取りまとめのほうに向かっていきたいと考えております。
 それでは、資料3をごらんいただければと思います。まず2ページでございますけれども、第1回のほうで大臣より挨拶文を賜りまして、当日、御出席はできませんでしたけれども、配付等をさせていただいたところでございます。
 この中では、中段の、下線部にございますとおり、最も大事なのは、最終責任者である管理者の選び方であり、とりわけ大学附属病院等においては、現在多く行われている選挙、意向投票によって選任されるのではなくて、どのような方法で適切な人材を管理者として選任するのか、これが最も大事だといった御趣旨の挨拶をいただいているところでございます。
 第1回では、文科省さんのほうから資料の提出をいただきまして、3ページになりますけれども、病院長の選考方法については、現在、大学附属病院においては、学長等が病院長を選考して任命している国立大学の法人化、あるいは大学のガバナンス改革を受けて、いわゆる意向投票等を実施せずに病院長を選考する大学が増加しているといった説明がございました。
 現状ですけれども、いわゆる意向投票等を実施せずに選考・任命している大学は28、意向投票等を実施した上で選考・任命している大学が51ということでございます。
 4ページでございますが、「管理者の資質・能力基準について」でございます。本検討会での議論の中では、医療安全というのは前提といたしまして、経営の責任についてどこまで病院長が持つものなのかといった、若干のニュアンスの違いがあったかと思います。このほかにも、さまざまな視点が病院長についてはあろうかと思います。いずれにしましても、この項目については各法人、病院のほうで、資質・能力基準をそれぞれのガバナンス構造であったり、置かれた状況に応じて医療安全以外についてはそのプラスアルファの基準を考えていただくということだと考えております。
 続きまして5ページ、選任方法のところでございます。これまでいただいた御意見は、一番上ですけれども、選出方法については指名でも選挙でもどちらでもよいのではないかと。各大学病院でそれぞれ歴史や事情があり、どちらかが唯一の方法ではないのではないかといった御意見。あるいは、理事長が最終的に決めるとしても、決定に従わざるを得ない、1人だけを推薦するようなパターンであったり、あるいは案を諮問してそれに対して意見をいただくような形もあり得るのではないか。いろいろな形があり得るのではないかといった御意見。発端となった事案では、選任を行う理事長のほうの問題が大きくて、その結果、適切に選任されていないといった事例があったと。ついては、その選任方法をしっかりしないといけないといった御意見。4番目ですけれども、病院長の選考については、間接的であっても現場の意向を反映され、透明性のある選考方法とすることがよいのではないかといった御意見。あとは、下から2つ目ですけれども、指名、選挙、いずれでもいいと思うけれども、それぞれメリット・デメリットがあるのではないかと。大学にはそれぞれ独自の建学の精神等があり、各病院に合った選考方法を選ぶのがいいのではないかといった御意見。最後は、提言の内容になりますけれども、選考会議のようなものを設置して、透明性を確保して選考するということがよいのではないかといった御意見をいただいております。
 続きまして6ページですけれども、選考プロセスそのものについては透明化が重要ではないか。後で検証ができるという意味でも重要ではないか。内部規則にそういった選考プロセスを盛り込ませるということが必要ではないかといった御意見をいただいております。
 こういったこれまでのいただいた御意見を踏まえ、7ページになりますけれども、管理者選考プロセスについては以下の1から3のとおり、透明化を進めることとしてはどうかと考えております。1番ですが、管理者に求める資質・能力の基準。これは医療安全管理経験はマストとして、プラスアルファいろいろ考えていただく。これをあらかじめ設定・公表していただく。次に、選考会議や理事会等、何らかの合議体の議を経た選考をしていただく。3番ですけれども、選考結果、選考理由、選考プロセスについては全て遅滞なく公表していただく。こういったことでどうかと考えております。
 これについても御意見をいただければと思いますけれども、さらに、上記の選考プロセスをやることを前提とした上で、なお意向投票を行うことの必要性・適切性についてどう考えるか。この点、本日御議論いただきたいと考えております。
 最終的に法案等決裁権者ともなります大臣のほうからは、本検討会を立ち上げるに当たり挨拶文をいただいているわけですが、そこでの問題意識を踏まえ、こちらのほうでそんたくさせていただくといたしますと、まず必要性については、選考会議等において選考を行うこととし、その中の会議メンバーに病院関係者が含まれるのであれば、病院関係者の意向もその場で一定程度反映されることになると思うのですけれども、それに加えて、基本は選考の前段階だと思うのですが、意向投票を行う積極的な理由、意義はどこにあるのか、その必要性があるのかないのかといった点が1点目でございます。
 適切性のところですけれども、意向投票については選考のプロセスにおいて仮に参考とする目的で実施するものであっても、選考会議等での選考に際し、意向投票の結果に対するある種の同調圧力がかかることから、むしろ実施は望ましくないのではないか。こういった見解に対する賛否、特に意向投票は認められるべきではないかという御意見の場合でしたら、具体的に一般的な法人、会社等と異なり、なぜ大学病院では管理者の選考に際して意向投票が必要なのか、そういったあたりも含めておっしゃっていただけると、なおありがたいと考えております。
 あと、8ページ、裏側がもう一枚ございまして、意向投票または指名のみで選考する場合に想定されるメリット・デメリットというものを書き下してみたものでございます。
 意向投票のメリットのところから行きたいと思います。医学部教授会等職員の支持を得て病院の管理運営が円滑にできる場合があるのではないか、また、長期的人間関係に基づく資質・能力のスクリーニングがその意向投票の機会でもってされる場合があるのではないかという点でございます。
 一方で、下のデメリットのほうですけれども、職員の利害・力関係等々に左右され、必ずしも適任者が選ばれるとは限らないのではないか、また、そうして選ばれた管理者が職員の利害等に配慮せざるを得ず、院内で十分に指導力を発揮できない場合というのもあるのではないのかというのがデメリットです。
 指名のメリットはその裏返しでもありますけれども、そういった職員の利害等々に左右されず、院内外を問わず幅広くすぐれた者を選任できる可能性があるのではないのか。また、開設者のほうの指名ですので、その信任のもと、病院改革や医療安全の徹底に指導力を発揮できる可能性があるのではないか。
 一方で、指名のデメリットですけれども、仮に十分に資質等の吟味がされずに指名された場合、職員の支持を得られず、病院の運営が円滑にできない可能性があるのではないか。また、人材の流動性が低い我が国では、候補者探しがなかなか容易ではない。指名の場合、その点が特に厳しいのではないかといった御意見、見解もあるのではないかと思います。
 ただ、ここに書いてあるメリット・デメリットは、意向投票または指名のみでという場合でございますので、(注)にありますとおり、上記のデメリットについては、前のページにありました資質・能力基準を設定して合議体で審査をして、選考結果を公表する等々、管理者選考プロセスの透明化と組み合わせることで解消・緩和できる場合もあるのではないかと書かせていただいているところでございます。
 こちらからの説明は以上となりますが、7ページの内容について特に今回は御議論いただければ幸いでございます。
 以上です。
○田中座長 ありがとうございました。
 これをもとに構成員の皆様方から御意見を頂戴することになります。私から質問をしていいですか。最後の8ページのメリット・デメリット表は、意向投票のみ、あるいは指名のみのまとめですね。実際には意向投票を尊重して決めるというのもあるし、意向投票はたくさんの条件の一つとして参考にするというのもあるし、つまりグラデーションだという理解でいいのですね。これは両端だけ書いてあるととればいいのですね。
○医療政策企画官 そもそも意向投票とは何か、選挙と意向投票で区別して、どう定義づけるかという話もあろうかと思うのですけれども、ここは極端に理念型で、各々のメリットデメリットを書かせて頂いたものです。
○田中座長 意向投票のみという極端な話と。
○医療政策企画官 意向投票のみで決める場合を想定しています。
○田中座長 指名のほうも、実際には選考会議等の意見を聞くというのが入るのと入らないのとで違いますよね。
○医療政策企画官 ここは、冒頭にありますとおり、のみで選考する場合ですので、当然選考会議がある場合にはデメリット等はかなり解消されるという場合はあるのではないかというのは、(注)のほうで書かせていただいているとおりでございます。
○田中座長 グラデーション、意向投票を尊重するとか、意向投票は参考にするといういろいろなプロセスの両端だけ書いてあるという理解で読んでいきましょう。
 では、この資料をもとに。市川構成員、お願いします。
○市川構成員 意向投票の範囲ですよね。要するに、例えば教授会、または教授会が選考した部分だけなのか、それとも全学、全病院的な意向投票なのか。これによって全然違ってくると思うのです。その辺のところは、どの辺の範囲までが適切と考えられるのか。意向投票の範囲。要するに投票する人間です。範囲ですよね。
○医療政策企画官 御指摘のとおり、範囲についてはいろいろな形があろうかと思います。医学部の教授会という場合もあるでしょうし、一定の職員のより広い範囲でやる場合もあろうかと思います。ですので、さまざまあろうかと思います。
 どのぐらいが適切かというのは御議論いただければと思うのですが、こちらで意向投票について適切、不適切と、今こちらから申し上げる立場にはないかと思います。
○市川構成員 さっき山本オブザーバーが言われているみたいに、選考会議というのは数が限られますから、皆さん、ある程度いろいろな事情を知っているとか、その人物もわかっているのですけれども、これが意向投票となって範囲が大変広いと、はっきり言って人気投票になってしまう可能性がありますよね。だから、やはりこの意向投票もある程度選考委員会みたいなもので決められた範囲の中でされるのが適切ではないかと思います。
○田中座長 どうぞ、山本オブザーバー。
○山本オブザーバー 国立大学病院におきましては、法人法の改正で学長が任命するということが決まりましたので、それ以前は、先ほどお話があるように、ある一定職位の病院職員が大規模に投票を行っておりましたけれども、学長が任命することが明確になった後は、原則として、ほとんどだと思いますけれども、医学部の教授会で教授が投票を行うというスタイルに変わっていると思います。
○市川構成員 わかりました。
○田中座長 野村構成員、お願いします。
○野村構成員 遅参いたしまして恐縮でございます。
 きょうは私、ペーパーを配らせていただいていますので、それをもとに発言させていただきたいと思いますが、その前に、議論が錯綜しないためには、今の議論になっております意向投票と言われているものと選考会議と言われているものは別物であるということをとりあえず前提にしていただいて議論したほうがいいかなと思います。
 意向投票という言い方もバリエーションはたくさんあるというのは、まさに座長御指摘のとおりでありますけれども、基本は選挙というイメージがベースにあるものだと思います。その選挙人の範囲を例えば教授会メンバーに限定したとしても、選考会議とは一致するものではなく、選挙によって選ぶという大きな枠組みに変わりはないと考えております。それを前提にした上で議論させていただければと思っています。
 急いでつくったものですから、途中文章がおかしくなっているところがありますので、そこは後で修正しながら御説明させていただきます。資料4としてお配りいただいておりますのは私自身の考えではありまして、必ずしも正しいかどうかはわかりませんが、まず議論の前提といたしましては、一般論として指名方式と選挙方式のいずれにも一長一短があるというのはここでの議論のとおりだと思います。これは一般論としてはもちろんそうなのですけれども、今、この検討会で議論しなければいけないのは、管理者選任の合理性というのは、大学附属病院等の運営課題について満遍なくすぐれた能力を発揮できる者を選ぶことを当然としつつも、とりわけ医療安全を最優先にできる人が選ばれるという選考プロセスをしっかりと確保するということだと思っております。
 そこで、最終的にこういった合理的選任に結びつきやすいかどうかという点については、指名方式と選挙方式のいずれかについて、まずは大学附属病院等を取り巻く利害状況がどうなっているのかということ、さらには弊害防止措置として今指摘されています、例えば最初にフィット・アンド・プロパー、要するに能力についての一定のスクリーニングでありますとか、あるいは選考会議での推挙といったようなものを仮に弊害防止措置と呼ばせていただくとすれば、そういったものによってどこまでデメリットを最小化できるのかということが一つポイントになるのかなと思っております。
 大学病院は、必ずしも私はつまびらかに理解しているわけではありませんが、基本的には医療安全を最優先にしたいグループの方々もおられるでしょうし、経営効率を追求しようとする方もおられるでしょうし、また、先端医療・研究を推進したいという方々もおられる。これは病院全体でもそうですけれども、教授会メンバーの中にも同じような形のものはあると思います。私も大学の教員の端くれでございますので、自分の大学の様子を見ますと、いろいろな思惑を持って動いているということがあるということですから、複数課題があるということは当然の前提だと思います。
 それから、ここもちょっと文章が変になっておりますけれども、実際のところは学内行政には、やはり派閥というものがどうしてもありまして、病院長自身がそれを続けたいとは思わなくても、自分たちのグループ、一定の勢力の人が次に引き継げるようにという圧力が働いていることは実際でありまして、その人たちの間できれいなバトンタッチができるようにということで、権力闘争が行われていることは間違いないことだと思います。
 こういう中で、選挙の一般論の話で恐縮でございますけれども、一般的にはすぐれた人が選ばれるとは限らない。これは選挙では当然のことではあります。例えば候補者がXとYという人がいまして、それで医療安全、経営の安定、研究の推進と仮に3つ主たる課題がある病院だと考えた場合、各派閥は政策課題ごとにXとYのいずれが適任かを評価した上で、総合得点の高いほうに投票するという仕組みを前提にさせていただこうと思っております。
 そうしますと、仮にA派閥、B派閥、C派閥、D派閥と置いてみたのですけれども、医療安全についてということでA派閥の人はXさんのほうがいいだろうと思って、B派閥もXさんがいいと思った。C派閥はY、D派閥はYさん、E派閥はYさんが適任だろうと思った。経営安定のほうにつきましては、A派閥はXさんがいいと思ったのですが、BのほうはYだと思い、CはXだと思って、DはYと思い、EはYだと思った。それから、研究推進という点でいきますと、AはYだと思い、B派閥はXだと思い、CはXだと思いましたが、D、EはYだと思った。それぞれまず個別評価を行いまして、いろいろな政策課題を総合的に考えると、横軸で見てみますと、四角が2つついているのがXさんなので、総合得点はXさんだと派閥Aは思った。派閥Bも、Xさんが2つついているのでXさんだということで投票しましょうということになり、派閥CもやはりXが2つついているからXさんだということになったと。DとEは全部Yのほうを高く評価していますから、当然Yさんに投票するのですが、この投票の仕方をしますと、総合得点での投票になれば、Xさん3票でYさん2票ですから、Xさん当選ということになるわけです。しかし、見ていただければわかりますように、どの政策課題についても実は個別評価を見ていきますとYさんのほうがいい評価を得ているという形になるわけであります。医療安全につきましてもYさんが3票、経営安定についてもYさんが3票、研究推進についてもYさんが3票でありますから、本来一つ一つの政策課題を重点に置いて検討すると別な人が選ばれるということになるはずなのですけれども、選挙というのはこんなものだと世の中で言われるのだと思いますが、結局、Xさんのほうが選ばれる。これはもうロジカルな問題でありまして、別に派閥にどんな思惑があるかとか、そんなことは関係ないわけでありまして、結局総合評価方式になりますから、政策課題がふえていきますと、結果的にはいい人が選ばれるとは限らないということがふえるというのは、これは昔から言われているパラドックスでございます。
 そうなると、医療安全ファーストとなかなかならないという問題が当然出てくるわけで、そうしますと例えば医療安全に関して参考にいろいろ審議をして、選考会議の中でXさんとYさんとどっちがいいですかということを議論すれば、これは多数を占めるのがYさんのほうだとすると、Yさんのほうが望ましいのではないかという選考結果が出て、それを踏まえて指名するという形になるということかなと考えているところでございます。
 もちろんほかのことも総合的にとなれば、選考会議自身もこのパラドックスに見舞われてしまうということは当然出てくるわけでありますが、それは選考会議の運営の仕方によって、そこは選挙とは違った形でできるかもしれないということでございます。
 その上で、他方で指名方式をとっても、例えば理事長が派閥Aと同じような選考パターンをしてしまいますと、変なことを選んでしまう。多数とは違ったことを選んでしまうという危険性があるということでありますが、この点についてはまさに選考会議というのを前提に置くことによって、この誤りをただすプロセスというのでクリアできるのではないかと思っているわけであります。
 そうだとすると、一つの考え方としては、選挙をやる前に選考会議というのをやって、また選挙をやればいいじゃないかという考え方も、当然あるわけでありますが、選挙にはもう一つのパラドックスがありまして、結局は八方美人が選ばれるということが一般的に言われているところでございます。
 と言いますのは、例えば候補者であるXさんは医療安全ファーストでありまして、医療安全、経営、研究の順番、Yさんは医療安全、研究、経営の順番で、Z候補はみんなにいいことを言って、あなたのところの政策を私は最優先しますよと言う。これは私がよく実感しております大学の学長選挙でよくある話でありますけれども、あるグループのところに行くと、あなた方が一番求めているものを私は実現しますよと言うのがよくあるパターンでございます。
 そうなりますと、例えばこれはもう3つの組み合わせですからこの順番になるわけですけれども、派閥1は医療安全、経営、研究の順番、2は医療安全、研究、経営の順番と、この組み合わせになっていきまして、それぞれのところで、はっきりしています派閥1はXさんと同じ考え方ですからXさんを選びます。派閥2はぴったり合っているのはYさんということですから選ぶのですけれども、結局はどれもこれもぴったり合わないわけでありまして、最終的にはみんなにいいことを言った人が選ばれるというのが普通で、これは選挙の実態でございます。
 ですから、当然、選挙をやるときには選挙参謀は余りいろいろな意見のある人を集めずに、個別グループをつくって、そこの個別グループに尋ねていって、そこで自分はあなた方の意向を一番酌んでいますということを言い続けるというやり方をするわけです。。
  そうしますとどうなるかということですが、結局、Zは首尾よく当選したとしましても、身動きがとれないということでありまして、どの政策も一番にできないということから、改革はもちろんのこと、ほかの政策のほうに気を配るばかりに、いずれも満遍なくやっているような感じにしなければいけませんが、優先的にある課題を実現しなければいけないときに、大なたを振るえないという問題が出てくるということでございます。
 そうなりますと、弊害防止の可能性ということになるのですが、先ほど申し上げましたように、一つには理事者自身がおかしな判断をすることに対する弊害防止は、事前に選考会議等によってちゃんとしたフィット・アンド・プロパーに従った選考というものを加味すれば、理事者自身の誤った判断を一定程度カバーすることはできるかもしれませんが、同じように選挙する前にスクリーニングをかけて、あとは有力候補者の中で選挙してもらいましょうということになっても、八方美人問題は解決できないという形になると思います。そこで当選しようと思った場合には、結局、選挙公約は八方美人の形になるわけでありまして、当選後のところは期待しにくい。
 そうすると、この八方美人問題というのが解決できない以上は、現時点における我々に与えられたミッションを実現する上では、できれば選考の方式について、選挙の方式をとらずに指名方式という形で、その指名方式の弊害を徹底的に解消していくような形ということで、例えば先ほどからお話がありますような事前の選考会議といったようなものをどう組み立てるかということに注力して議論したほうが合理的なのではないかなと、私自身は個人的に思ったということでお話をさせていただいた次第です。
 あと、残りの部分については、もう一つのテーマであります病院内部の意思決定に関して、先ほどちょっと御説明がありましたが、どちらかというと、病院長が強権を発動する上で抵抗勢力をそぐために会議体を設けるみたいなイメージだと、やはりちょっと危なくて、結局は相互牽制が必要でありますので、病院長自身が暴走することに対する牽制機能を持たせるような形の仕組みづくりということも一緒に考えていただければということを付言させていただいた次第です。
 長くなりました。恐縮でございます。
○田中座長 論理的な説明をありがとうございます。今、大統領選挙が行われているアメリカでもこういう選挙コンサルが勝ち方を教えているわけですね。ありがとうございました。
 では、これも参考に皆様方からの御意見を頂戴します。どうぞ、梶川構成員、お願いします。
○梶川構成員 私も病院そのものに不案内なところもあるのでございますけれども、今の選任プロセスのお話で、結論的には野村構成員が言われたことにほぼ賛成でございます。
 私の場合には、今、任命権者というのがいるということで、一番重要と考えたいのは任命権者が自分の選択に責任を持てる仕組みである必要があるのではないか。ここは一つ任命権者と言う以上、自己の選択を最終的責任を持ってもらいたい。それをステークホルダーに対してきちっと自己の責任として説明していけるプロセスで、やはり病院長を選んでもらいたいと考える。これが非常に大きなポイントです。
 そういう意味では、先ほど御質問した選考会議のメンバーをどういうふうに選ぶかということも、これもある意味ではすごく重要でございまして、これはやはり任命権者が自己の見識で適切に選んでいただき、ただ、この場合には自分の意思を全部具現する方を選ぶというリスクもあるので、これに関してはやはり透明性、そしてそれについても説明責任をきちっと果たしてもらいたいということで、当然、選考会議のメンバーの選び方から非常に透明度のある、また説明責任を果たす形というのは当然必要にはなると思いますが、やはり最終責任を自己で、その結論について自己で決断できるという形は担保せざるを得ないのではないかと思う点でございます。
 意向投票のほうで、この御説明の中にもメリットということで、長期的人間関係に基づく長いおつき合いの中でのスクリーニングは一つあるとは思うのですが、往々にしてこういった意向投票を組織の中でおやりになると、組織全体の全体最適よりも部分最適が前に出てしまう可能性も非常にあるのではないか。選考する方がどうしても、全体ということよりもやはり派閥という、一番俗っぽく言えば派閥ですし、そうでなくても部分最適というのは、これは選ぶに当たって、組織内が非常に流動的に多くの候補者に接せられる人事が本来行われているのであれば、営利事業であろうが、非営利の組織であろうが全体最適になることがあり得ますけれども、診療科をまたがった人事なり、そういったことがしにくい組織体の中で言えば、もともとある種、少し遠くから見てのスクリーニングというのはありますけれども、自分が接せられる範囲というのは限られてしまう。これは一般の事業会社でも同じになると思うのですね。やはり自分の事業部門であったりという。そして、人間はやはりそばにいて情報量が多い方ほどよく見えるということもございますので、実際に全体最適に合わせるような形で意向投票が行われるという確率はそう高くはないのではないかと思います。
 ないしは、その反対側で言えば、さっき野村先生がおっしゃられた八方美人的な、デメリットを減らした発言をし続けるというか、そういったことも起こり得るのではないかなというような観点でありまして、これに関して任命権者がある種影響を受けるということは、任命権者にとっては自己の責任で選択をするということが非常に難しくなられて、そもそも任命権者の意味がよくわからなくなってしまう。
 そうすると、結局は最終受益者にとって、ステークホルダー、患者等々にとって、誰が責任をとってくれるのか。この問題で医療安全という最もこの組織がメーンにしなければいけないテーマについて、ステークホルダーである社会及び患者に対する責任という点が少し曖昧になってしまうのではないかと感じるところでございます。
○田中座長 ありがとうございました。
 山口構成員、お願いします。
○山口構成員 私もやはり選考過程の透明化ということが一番大事であって、方法よりも透明化を重視するべきではないかなという気がしています。選ばれた後に、なぜこの方ですかと聞かれたときに、きちんと理由や根拠を提示できるかどうかというところが大事ではないかと思っています。
 今回、論点として7ページにある意向投票を行うことの必要性・適切性についてどう考えるかということですけれども、前提として7ページの1から3の管理者選考プロセスの透明化ということをきちんと押さえた上であれば、先ほどから出てきている選挙のみのデメリットというところは解消できるのではないかなという気がしています。
 ですので、選考に当たってのプロセスの一つとして意向投票を行うことまで否定することはないのではないかなと考えます。ただ、透明性ということでこの3つのところをしっかりと確保するということのほうが大事かなと思います。
○田中座長 ありがとうございます。
 松井構成員、お願いします。
○松井構成員 私自身、全然理解ができていないのですけれども、意向投票する場合に、先ほど国立病院だと医学部教授会で行うという話がありましたが、医学部教授会メンバーと病院の構成員とは完全に重なり合うという理解でいいのでしょうか。それとも、メンバーにずれが生じるということはありますでしょうか。
○田中座長 山本オブザーバー、お願いします。
○山本オブザーバー 病院の構成員は基本的に臨床系の教授ですけれども、医学部教授会の場合は臨床ではない基礎系の教授も含まれてまいります。例えば、千葉大学の場合は教授会の構成員の約3分の1が基礎系の教授でございます。
○松井構成員 ありがとうございます。若干気になりますのは、投票する際に、その組織に十分な利害を持っていない方が投票権を持つと、判断がゆがみやすい、という点です。
 その点をひとまず措いて、ある程度利害を持った方が意向投票をするという場合を考えますと、そもそもなぜ投票で物事を決めなければいけないかといえば、多くの場合は、それぞれの課題について対立する意見があって、最終的に話し合いその他の方法で解決できないときに、投票という方法をとって解決する、ということが想定されているのだと思います。ある意見について仮に反対の人でも、投票による結果が出れば、それには従わなければならない。投票による意思決定は、このような前提があって成り立つ話なのだと思うのです。
 そうだとすると、一点気になりますのは、今、病院、特に国立大学その他私立大学の大学病院が意見の対立構造を中に抱えていて、投票という結果によって物事を解決しなければいけない状況にあるのかということです。これまでの議論を見ていると、医療安全等、比較的課題が明確になっている状況で、対立意見が顕在化しているのか、私にはよくわからないのです。もしそういう対立構造があって、投票によって解決しなければいけない問題がどうしてもあるというのであればともかく、そうでなければむしろ課題に対して最も効率的な方法を探していくということはあってよいと思います。その方法が指名なのかどうなのかというのは議論の余地がありますけれども、少なくとも投票というのが課題の解決に最も適した方法かどうかというのは疑問があるところです。
 以上でございます。
○田中座長 野村構成員、どうぞ。
○野村構成員 今、松井先生のほうからお話があったのですが、私は医学部教授会というのは、やはり古典的な大学病院を附属病院として位置づけるような体制の中にあるのではないかなと思うのです。つまり、基礎研究の先生方というのは、文科省から見ると、日本が医療の世界の中で今後世界に伍していくためには重要な人材という扱いになっていて、その方々の力というものを強化していくことが文科省的には望ましいという面があると思います。
 しかし、私は先ほどあえて申し上げたのは、地域の医療機関として患者の皆さんの期待しているものというのはそこではなくて、まさに地域中核病院として私たちの命を最優先に、しかも先端的な技術を使って私たちの医療を担っていただくような病院というものを期待している。そこにずれが出てきてしまいますと、結果的には医療安全が最優先とうたっておきながらも、実態は基礎的な研究がある程度すぐれている先生で、ノーベル賞をとれるような人の影響力のあるような、そういったような関係の構造が病院の管理者のほうにも及んできてしまうということにならざるを得ないのではないか。
 それが、きょうはそこまで言うつもりはなかったのですが、松井先生が水を向けられたので、ついに言ってしまいましたが、まさにそういう意味では何となく、先端医療研究優先という人たちの利害のほうが大きくなるような選び方になるのではないかということが危惧されますので、私自身としてはもう一段選挙に対しては疑問があるということを申し上げさせていただきたいと思います。
○田中座長 どうぞ、文科省。
○文部科学省高等教育局医学教育課長 私淑いたします野村先生から御高説を賜りまして、きょうはありがとうございました。初めてこの場で見ましたので、浅学非才ですので十分理解していないと思いますけれども、改めて御礼申し上げたいと思います。文科省という名前が出ましたので、一言、制度所管として申し上げます。
 今、御叱正いただきましたけれども、やはり今般の事案を重く受けとめておりますし、医療安全というものをより重視していかなければいけないということはおっしゃるとおりだと思います。
 そういう意味で、先生が御出席賜る前に、山本先生から国立大学附属病院長会議の提言のお話がございまして、これはまさに医療安全を進めていくと。先般タスクフォースを受けて、特定機能病院承認基準というのは、まさに医療安全を貫かれたところと思いますけれども、これをさらに進めていくという方法において、選挙、意向投票をどう考えるのかという部分についてはいろいろ御議論があろうと思いますし、今後それをさらに深めていくのだと思いますけれども、山口先生のようなお話もあろうかと思います。
 私が大事だと思いますのは、選挙だけで全てが決定するわけではなくて、さまざまな他の施策なり、ポリシー等がいろいろ相まって医療安全というのは確保されていくのだろうと思ってございます。十分ではないとお叱りを受けるかもしれませんが、やはり医療安全、教育研究というのが大学病院の使命であると思っていますし、また、昨今の重大事案を起こした大学でも、実は意向選挙をしていないにもかかわらずこういった事案を引き起こしたという大学もございます。今、そこは大学が自助努力で検証していますけれども、そういったことも総合的に考えて、どういう形が最終的に野村先生が御強調されましたような国民の信頼というものを大学病院に取り戻すのかという点については大事だと思いますので、これについてはまた先生方の御指導をいただきながら、厚労省と一緒にいろいろ考えてまいりたいということで一言申し上げさせていただきます。
○野村構成員 何度も発言して恐縮ですけれども、今の御発言の中にあるように、確かに今回の事案の中には意向投票をやらずに指名で推したというのがあります。でも、それは意向投票がすぐれていると、ロジカルにはそうならないわけです。要するに、それは指名方式の指名の仕方に問題があったということになるわけでありますから、指名の仕方自体に対する改善の必要性はわかりますけれども、意向投票のほうがすぐれていたということには全くならないので、そこの部分については、この事案があるから意向投票もやるべきだという論理には全くならないということだけはお話しさせていただきます。
○文部科学省高等教育局医学教育課長 そういうことではございません。ただ、選出方法のあり方だけで全てが決まるのではなかろうと。ベストミックスというのがいろいろな形でケース・バイ・ケースあるのだという議論は実はずっとございましたし、きょう事務局が提示したこれまでの御議論にもありましたし、またメリデメの議論にもありますので、そういう点をどういうふうに考えていくべきかという点については、さらに御議論を深めていただいて御教授を賜ればということで申し上げさせていただきます。言葉足らずの点はおわびしたいと思います。
○森山オブザーバー リスクが少ないほうがベターというのは、それは私も大賛成で、公開性、透明性というのは、私も何回もここで主張していますけれども、それが大事なので、選考方法はどちらかというのはそんなに大きな問題ではないと思うのです。だから、場合によっては、座長の言うように選挙から指名までのグラデーションの中でピックアップすればいいと思います。
 今、松井構成員が言われた選挙は対立軸かというと、そんなこともなくて、よりよい人を選ぶという選挙方法もあると思うのです。対立軸云々に関しまして野村構成員のほうから、ここに医療安全、経営安定、研究推進という3本の軸が出ていますけれども、いろいろ聞いていると、大学関係者の日ごろの印象が悪いのかわかりませんけれども、医学部とか医学部附属病院、あるいは大学附属病院というと、何かすごく白い巨塔で古い体質で、わけのわからないような印象で物を言われているように思うのです。それは私の被害妄想かもわからないのですけれども。決して今はそんなことはなくて、厚労省も文科省もかなり入っているし、いろいろな監査も入っているし、理事会の中で常勤の監査役も入っているしということで、例えば医学部の教授選挙では、医学部の教授が投票し選ばれて教授になったりしているわけですね。したがって、自民党の総裁などを選ぶときも選ばれた代議士が自民党の総裁を選ぶわけですから、結局、同じように選んでいるわけなので、選挙を全く否定するというのは私はちょっと違うのではないかなと思います。
 私は、山口構成員が言ったように、選考の方法はどうでもよくて、リスクの少ないほうがいいのではないか。本当に最適な人を選ぶのだったら、独裁的に誰かが指名すればいいですけれども、それが外れた場合には非常に悲惨になるので、よりリスクの少ない人を選ぶ選挙方法というのが民主主義がここまできた理由ではないかなと私なりに思っているのです。
 そういう意味で、投票する人にはある一定の見識はあると理解をしていただきたい。これは理解していただけるかどうかわかりませんけれども、少なくともそういうふうな見識を持った人が投票するという前提で我々は話している。
 もう一つ、野村構成員から出たこの問題ですけれども、医療安全、経営安定、研究推進の3本の柱ですけれども、医療安全というのは大きな一階なのです。その上に経営があり、あるいは短期的・中期的な経営があり、診療があり、研究、そこも先端研究、あるいはトランスレーショナルリサーチがあって、また教育がある。教育も卒前があって卒後があるということなので、医療安全というのは非常に大きな軸で、これは基本的事項なので、その後のもし対立軸であれば、経営か、研究か、教育かというところになるのではないかと思います。
 それともう一つ、私は数学は余り得意ではないのでわからないのですが、野村先生の1ページ目の一番下の5つの組み合わせですけれども、これはX、Yで、万が一もし3つで組み合わせるとしても、XXXからYYYまで均等にいくと8つのパターンがあって、そうすると多分イーブンになるのではないかと思うのです。そういう意味で、指名がいいとか何とかがいいとかではなくて、やはり寺門課長が言われたようにベストミックスがいいと思いますし、各大学にはそれぞれの設立の理念があるし、伝統もある。伝統を否定されても困るのですけれども、そういうものがあるというところがあって、そこは各大学のある程度広いところに落としていただいて、その中で各大学がきちんと透明性を持って説明責任ができるところの条項にしてもらえると、現在、各大学が持っている文化というのも生きるのかなと思います。
○野村構成員 御質問があったので御説明させていただきます。下の表は反証が1つあるかどうかだけを示しているので、全てがすぐれた人が選ばれるわけではないという、1つ反証が挙がれば、それで論理的には証明が終わっているということだと思います。パラドックスが存在しているということの証明は終わっている。
 私が申し上げたいのは、私は別に白い巨塔と思って言っているわけではないのですが、やはり現に人がたくさん死んだのです。世間の人たちは医療安全が整っていないと思っているわけです。それに対するメッセージとして、医療安全はベースですと、それは当たり前ですよ。そうあってほしい。そうでないから人が死んだのですよね。そこのところにメスを入れようという意識はなくて、どうしてそれで世の中の人たちが信頼するのですか。すばらしい病院があることはわかっていますよ。だけど、現にやっちゃったわけじゃないですか。特定機能病院はそんなに数がたくさんあるわけではないですよね。でも、その中で複数のところで人があんな形で亡くなったわけですよ。その信頼回復としてメスを入れていこうと思ったときに、今まで自分たちのやりたいように好きにやっていたところをそのままやらせてくれというのでは納得できないのですよ。私は一患者として行ったときに、疑いの目を持っています。それはみんなそう思っていると思うのです。医療安全が第一で、そんなのは当たり前ですと。当たり前だったら、人は死なないじゃないですか。
 それに対する答えを出していただくときに、私は選ばれている人たちの中に八方美人、この言葉がいいのかどうかわかりませんが、みんなにいいことを言う人がいるという現実と、私は大学人として今まで何回も投票してきたけれども、かなり無責任な人がいるのです。要するに、そのときだけ誰にすればいいのみたいな話の人たちがたくさんいるという状況の中で大学は選挙をやってきたわけです。その選挙でいいなんていうことは、私は実感としては思えない。
 だから、そこに対して、もしそれでも本当にいい人が選ばれるのだというのであれば、その選考プロセス、最後の決め方のところで勝つためにはどうしてもそうなるのです。その勝つための戦略、戦術ということを否定できるような、そういう弊害防止措置があるのだったら私は納得しますけれども、やはり弊害が残るような形というのは非常に疑問だと私自身は思います。
○森山オブザーバー 確かにおっしゃるとおりで、今度死亡事故が出てこういうことになって、一番大事なのは、各大学はみんなかなり努力しているわけですよね。だけど、そういうことが出たので、さらにガバナンスを強化しましょうというところでこの会議が始まって、やってこられて、かなりいろいろなところでやっているのですけれども、最後の選考過程のところだけが一つ浮き彫りになって残っていて、この選考過程のところだけが集中して審議されるということが、何かどうも私としては理解しがたい。もっとほかに大事なことがあって、それはある意味全体の流れの中で、グラデーションのどこをとっても全体のガバナンスが強化されればいいのではないかというのが私の考えなので、私の言い方が足らなかったのかもわかりませんけれども、選考方法をがちっと決めてやるのではなくて、全体の大学のガバナンス強化に資するものであればどういう方法でもいいので、この辺は少しか緩やかにしていただいたほうがいいのではないかという意味です。
○野村構成員 きょうはあと一回だけ、これだけはしゃべらせていただきたいのですけれども、私の専門は会社法ですが、最終的にガバナンスは今何が問題かは、やはり社長の選び方の問題なのです。結局のところ、今まで日本の社会というのはガバナンスが何で効いてこなかったかというと、社長の選び方が相当程度いいかげんだったわけです。それは人望がある人かもしれませんけれども、そういう決め方でいいのかということに対して、例えばコーポレートガバナンス・コードで、要するに社長選任についてどういう方針を立ててやっていくのかということを開示しなさいということになってきているわけです。
 結局、何だかんだ言ってもいろいろな組織は、最後は社長の顔を見てみんなは動いているわけですから、その社長というものをどうやって選ぶかということは最大の問題で、そこのところはほかのことでは補えないのです。だから、まさにそこのところを間違ってしまうと、結局、どんな形のものを整えても結果は同じになるのです。だから、やはり社長の選任のところは最重要課題であるということはしっかりと議論すべきだと私は思います。ちょっと松井さんとは意見が違うかもしれませんけれども。
○田中座長 そのプロセスを透明化してという意味では、お二人は同じことを言っていらっしゃると私は思いました。
 楠岡構成員、どうぞ。
○楠岡構成員 今、野村構成員のおっしゃった、どんな病院にするのか、あるいは病院長に何を求めるかということに関しては、今まで余り問われずに何となく決まってきたところがあって、結果的にそれがいろいろな問題を引き起こしているのは間違いないので、病院はどうあるべきか、その病院をつくっていく病院長はどんな人であるべきかというところはまず明確にしなければいけないと思います。
 問題は、ではその病院長をどう選ぶかという今の問題ですけれども、選考会議を誰がつくるかは、多分理事長なり、設置者がつくることになると思いますけれども、そのとき、明確な意向、大学全体として病院に何を期待するのかということが明確にされ、意向が定まった中で選考会議がつくられれば、理事長なり、あるいは選考会議のメンバーは選任することに関してはすごく大きな責任を負うことで、先ほど間違えたら大変なことになるという意見がございましたが、まさに間違えたら大変なことになるので、そこは真摯に選ぶということになってくるかと思います。
 一方、意向投票の場合は、投票者がある意味無責任と言うと語弊がありますけれども、投票の結果に関してそれほど責任を持たなくてもいいシステムで、もし間違えてもそれは自分の責任ではないと言えなくはない状況です。
 そういうことを考えると、今の意向投票ではどうしても責任の所在が弱いところがある。意向投票で出てきた人を選考対象の一人に加えるということはあっていいと思うのですけれども、最終的に誰を決めるかという、その決めることに対する責任はやはり明確化していかないといけない。そこが一番大きな問題ではないかと思います。
 ただ、決まった病院長が実際に権限を発揮できるかというのはまた別の問題で、それは今回かなり議論いただいたわけですけれども、私自身としてはまだこれでも足りないと思うのですが、まず決めることに関する責任の明確化ということでは、やはり選考会議のような形のほうがいいのではないかと思います。
○田中座長 プロセスを上位にすべきであると。会社の社長ほど病院長は権限を持っていませんからね。
 どうぞ、山口構成員。
○山口構成員 患者の立場から言いますと、安心してかかれるかどうかということを考えたときに、確かに選考方法もさることながら、きょうの国立病院長会議の提言の中に出てきていましたけれども、今まで病院長に対しての資質・能力が明確に議論されてこなかったということ自体がやはりすごく問題であって、まずそこのどういう能力の人が病院長としてふさわしいのかということをしっかり議論していただいて候補になっていただくということ。
 私は実際にタスクフォースの集中立ち入り検査に数多く同行させていただいて、「私には権限がありません」とおっしゃる病院長の余りの多さに本当に不安になったぐらいなのです。そういうことから言うと、やはり権限もですし、責任を明確にすることも大切だと思いますので、そこがまずは大事ではないかなと思います。
 そういうことからしますと、資料3の7ページに、管理者に求める資質・能力の基準をしっかりと設定して公表すると書いてありますし、そこに医療安全と、先ほどから出てきているのが、今回承認要件の見直しの中にも、病院長になる方は医療安全の経験者であることということが要件に盛り込まれたということからすると、まずここのところである程度選ばれてくるのかなという気がするのです。
 私も別に選挙がいいと思っているわけではないのですけれども、それぞれの大学病院の特色といいますか、そういうものがあるとしたら、選挙だけで選んでもらうということはちょっとそれは危険かなと思いますけれども、何か明確な理由がしっかりとあるプロセスの一つであればという意味で先ほど少し申し上げました。ですので、まず資質、それから責任、権限ということをしっかりとしていただきたいというのが患者側としての思いではあります。
○田中座長 論理構造を順番に言っていただきました。
 では、市川構成員、お願いします。
○市川構成員 今までの議論を聞いていて、どちらがいいかはさておき、指名ということは非常にいいと思います。だけども、指名といってもある程度選考委員会で何人かに候補者を絞って、その中で指名する。選挙がいいか、指名がいいかという議論ではなくて、両方をかみ合わせた、山本先生のここに書いてあるような形というのが今までの中では最適だと感じております。
 そこのところで、選考委員をつくるにしても、第三者的な外部の方を入れたものを念頭に置いていただければと思っております。
○田中座長 矢野構成員、どうぞ。
○矢野構成員 この7ページの1番、2番、3番はとても大事だと思うので、資質・能力の基準、どういう基準をつくるかというのをこれからしっかり議論していかなければいけないのだろうと。選考過程を細かく規定するよりも、基準がすごく大事で、あとは基準に沿った決定がされているかというものの透明性と説明責任なのだろうと思います。
 それで、例えば任命権者だとか、病院で言えば開設者、そういった方たちの権限というのはもちろんあるわけで、私立大学病院で現実的に選挙が行われていたとしても、規定上、選挙で選ぶことになっているのか、規定上は理事長なりが任命することになっていて、慣例で選挙で選んでいるのか。赤十字でも最近組織を変えた中で、任命権者に対して別の委員会などが決定していいものだろうかというような議論があって、決定まではできなくて、参考意見程度にしかできないのではないか、任命権者は決定の責任を持つというような形にしておかなければいけないのかと思いました。
○田中座長 意向投票で決めるべきだと言っている人は一人もいませんでした。それを禁止するということもないのではないかという意見もありました。あくまで参考ですね。指名する前に選考会議的なものもあったほうがいいというのは、これはほとんどの方が当然だと言っていらっしゃいました。
 幾らかまとまってきましたが、それぞれの意見を参考にして事務局としては取りまとめに向けてさらに整理した資料を用意する時間になってきましたね。お願いします。
 もう一言ぐらい、何かある方はおられますか。どうぞ。
○野村構成員 もう言わないと言ったのに申しわけありません。
 今の議論になりますと、意向投票と選考会議というのは同じものになってきますね。つまり、選考会議の構成メンバーが今までの例えば教授会を選考委員会の構成メンバーと考えるという考え方と、それから選考会議とはもっと別な、例えば外部の方が入って相当程度少ない人たちが責任を持ってやっていくというようなものと、そこが相対的になっていくような感じがしていて、そこをもし詰めていくとすれば、今の例えば仮に参考投票と言われているものを教授会メンバーでやらせるということで本当にいいのかというのは論点になるのかなと思います。
○田中座長 恐らく会社と同じで、選考会議というのは少人数の任命権者が任命した委員会のイメージだと思うのです。大人数の選考会議というのはないですね。社長指名の3人の委員とか、そういうほうだと私は理解しています。
 どうぞ。
○山本オブザーバー 千葉大学病院は私は任期満了でございまして、この秋に改選が行われるところで、このような提言を取りまとめた責任上、モデルケースとなるような選考過程を今本部とも相談しているところでございます。やはり選考会議そのものは、先ほど来お話がありますように、少人数で、過半数は外部の方というような、病院経営、あるいは医療安全も含めて、大変その辺に見識の高い方にお入りいただくということを想定していくところでございます。
 千葉大学の場合は、教授会での意向投票は現在行っておりますが、これはあくまでもそこの病院長選考会議に対する参考意見、構成メンバーとして内部の人間は当然医学部長と病院長、私が再選を希望する場合は外れますけれども、そこが入る。その際の医学部長の参考意見、医学部としてどういう人間にしてほしいかというところの参考意見として入るのが意向投票かなというような大まかなアイデアを持っております。そして、選考会議そのものはやはり学長が仕切る。学長が議長としてそこの会議をまとめて、そして最終決定を学長が下すというような形になる方向で、今、本部と調整をしているところでございます。
 今、いろいろ御議論を伺いましたので、これを参考にして千葉大学としても体制をつくっていきたいと考えているところでございます。
○森山オブザーバー 確認なのですけれども、例えば私学のほとんどの場合には、医学部の教授選で投票しますよね。そうすると、順位がついて、それが学長が入った理事会に上がります。理事会の場には外部の監査役も外部の理事も入っているし、その中でもんで、最終的に理事長が指名するという形をとっています。だから、選挙の投票がそのままこっちにダイレクトに反映するということではなくて、1回、外部の人を入れた理事会を、もちろん学長も入っている、そこを通って理事長が指名するという形です。
○野村構成員 私はずっと大学人ですけれども、教授会で決めたことを理事会でひっくり返るということは基本的にはないです。
○森山オブザーバー いや、教授選挙でもひっくり返ることはいろいろな大学であります。
○野村構成員 それは特別な問題があったときだと思いますが、基本的にはスルーするはずですので、そういう意味ではそこは選考会議の役割とは私は思えないです。それがあるから選考会議は要らないから選挙でというのは、そのままスルーすることになると思うので。
○森山オブザーバー 私の発言は、それは選考委員会が要らないとか、そうではなくて、現在がそういう状況で行われているということで、例えば理事会が教授会で選んだどこどこの講座の担当の教授をひっくり返すこともあるというだけのことです。
○田中座長 どうぞ、楠岡構成員。
○楠岡構成員 選考会議がどういうものかはこれからのことですけれども、選考会議に一番期待されるのは、言うならば医学部、病院にいる方以外に最適な方はいないか、あるいは教授会からの推薦で上がってきた候補以外にいないか、学内の方でもいいですけれども、要は幅を広げてより選択肢を広くした上で決める。これが一番大きな役割で、ただ単に上がってきたものから選ぶというのではやはり選考会議にはならない。
 ここの指名のデメリットに、日本では流動性が少ないのでというのは、実は私の意見なのですけれども、アメリカの場合はもともと医学部長なり病院長というのは全米的に探して、当然一人の人が幾つもの大学を移っていくという風習があるので、探しやすい状況にはあるわけですが、日本ですとどうしても選択肢が限られてしまうので、そこはなかなか難しいところかなというのは感じております。
○田中座長 ほかによろしいですか。どうぞ。
○矢野構成員 今後の進め方のお願いですけれども、これから資質や能力の基準というのを明確化するに当たって、医療安全を中心に持っていくのだとしたら、例えば医療安全管理経験という一言ではなくて、どういうふうな形で表現するかを議論しておかないと形式的になるかと。教授は全員現場の医療安全管理者を経験していますとなってしまうので、そうならないようにするには、どうするのかもこれからの議論かと思いました。
○田中座長 一わたりありがとうございました。それぞれの御意見を参考にして、また取りまとめに向けた少し進んだ段階のペーパーをお願いします。
 よろしゅうございますか。
 さっき途中で電気が二、三回消えましたでしょう。医療安全ではないけれども、この建物の電気系統の安全ですね。あれはエレベーターに乗っていたら怖いでしょう。しっかり管理してくださいね。この部分は議事録とは無関係ですけれども、そう思いました。
 では、御議論ありがとうございました。本日はここまでといたします。

(了)

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