ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> 保険者による健診・保健指導等に関する検討会> 第23回保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録(2016年7月29日)




2016年7月29日 第23回保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録

保険局医療介護連携政策課データヘルス・医療費適正化対策推進室

○日時

平成28年7月29日(金)13時00分~15時00分


○場所

全国都市会館 第1会議室
東京都千代田区平河町2-4-2


○議題

・第3期特定健診・特定保健指導に向けた見直しについて
・保険者インセンティブの検討状況について
・その他

○議事

○多田羅座長 定刻になりましたので、第23回「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催いたします。

 委員の皆様には、きょうは本当に非常に暑い中、私も地下鉄の駅から歩いてくるだけでも大変でございました。また、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 充実した審議ができますよう、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 それでは、前回の開催から委員の交代がありますので、本日の委員の出欠状況とあわせて、事務局から確認をお願いいたします。

○野中室長補佐 事務局でございます。

 それでは、委員の交代について御紹介いたします。

 吉岡委員にかわりまして、共済組合連盟常務理事の北原省治様に御就任いただきました。

○北原委員 北原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○野中室長補佐 それでは、次に本日の委員の出席状況について確認させていただきます。

 本日は井伊委員、伊奈川委員、岡崎委員、金子委員、久野委員、細江委員、吉田委員より御欠席の連絡をいただいております。

 続いて、欠席委員のかわりに御出席される方を御紹介いたします。

 金子委員の代理として、曽我参考人、吉田委員の代理として、佐々木参考人に御出席いただいております。

 続きまして、お手元の資料の御確認をお願いいたします。

 まず、座席表、議事次第、構成員名簿、資料1、資料2、参考資料、以上になります。

 過不足等ございましたら、お申し出ください。

 それでは、事務局からは以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 それでは、議題に入らせていただきます。

 議事の1「第3期特定健診・特定保健指導に向けた見直しについて」、事務局から説明をお願いいたします。

○高木室長 それでは、資料1に沿いまして、御説明させていただきます。

 「第三期特定健診等実施計画期間に向けての特定健診・保健指導の実施について」ということで、これまでの議論の整理(案)としております。これまで御議論いただいたものについて、中間的に取りまとめを行うというものでございます。

 「はじめに」のところです。

 平成30年度から35年度までの第3期の期間における特定健診・保健指導のあり方については、本検討会及び健康局の検討会の合同検討会の開催以降5回にわたって議論し、今後の保険者を初めとする関係者の実施準備に資するよう、現時点での見直しの議論について取りまとめるとしております。

 「特定健診・保健指導の検討における基本的な視点」です。

 本検討会では、特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会での科学的知見の整理を前提としつつ、これに加え、生活習慣病対策全体を俯瞰した視点、実施体制、実現可能性と効率性、実施率、費用対効果といった視点を踏まえ、検討を行ったとしております。

 また、労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会において議論が行われることを踏まえ、整合性のとれた健診項目とするとしております。

 3点目で「特定健診・保健指導の枠組みについて」です。

 腹囲基準については、保険者による特定健診・保健指導としては、内臓脂肪蓄積の程度とリスク要因の数に着目した現行の特定保健指導対象者の選定基準を、引き続き維持するとしています。

 内臓脂肪の蓄積を評価する方法については、現行の腹囲基準、男性85センチ以上、女性90センチ以上を維持するとしております。

 続きまして、2ページ目、特定保健指導の対象とならない者への対応ということです。

 腹囲が基準未満でリスク要因がある者は特定保健指導の対象とならないが、これらのリスク要因がある者への対応方法については重要な課題であり、引き続き検討を行うとしております。

 4点目は「健診項目について」です。

 特定健康診査については、特定健診・保健指導として既に8年以上運用されており、国民に定着した健診である等々のことから、現在実施している健診項目等については基本的に維持するとしております。その上で、科学的知見の整理及び労働安全衛生法に基づく定期健康診断の見直しを踏まえて、以下の項目について見直しを行うとしております。

 基本的な健診の項目です。

 まず、血中脂質検査ですが、特定健康診査の円滑な運用及び検査値の連続性を担保するために、LDLコレステロールは、引き続き健診項目として維持すべきである、ただし、LDLコレステロールのかわりにnon-HDLコレステロールを用いることを可とするかどうかも含め、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の見直しを踏まえ、引き続き検討するとしております。

 この趣旨につきましては、直接法について米印で健康局のほうで直接法を廃止するとしておりますけれども、他方で、こちらにつきましては現在関係局とも調整中でございまして、そこも含めて労働安全衛生法に基づく定期健康診断の見直しを踏まえ、引き続き検討するということにしております。このnon-HDLも含めということでございます。

 なお、LDLコレステロールについては、現在は空腹時についてはフリードワルド式による算出ができると現行の仕組みについて書いています。

 続きまして、3ページ目で、血糖検査です。

 これにつきましては、原則として空腹時血糖またはヘモグロビンA1cを測定するとし、空腹時以外はヘモグロビンA1cのみを測定することとすると。ただし、健診受診率の向上のために、随時血糖を検査項目に新たに位置づけることが有効であるとの意見があったことから、やむを得ず空腹時以外において、ヘモグロビンA1cを測定しない場合、食直後を除き随時血糖により血糖検査を行うことを可とするとしております。

 尿検査につきましては、既に基本項目として全ての対象者に実施されていると。侵襲性も低い検査項目である等、基本的な項目として維持すべきであるとしております。ここも労働安全衛生法に基づく定期健康診断の見直しを踏まえ、引き続き検討するとしており、この趣旨は、尿糖等につきまして、健康局の検討会では「廃止することも可とする」としておりますので、ここについては、まだ定期健康診断の議論がされているところですので、それを踏まえて引き続き検討するとしております。

 続きまして、肝機能検査につきましては、これは従前から基本的な項目として実施されておりますが、理由等々を書いてございますけれども、被扶養者、国保については制度上義務づけられた唯一の健診であること等、また、健診受診者のうち肝機能検査の対象者が占める割合が高い可能性があるということで、これを詳細健診に位置づけた場合、かえって事務的負担が増す可能性があること等を踏まえ、引き続き現状の検査項目を基本的な項目として維持するとして整理しております。

 続きまして、4ページ目でございますが、詳細な健診項目でございます。

 こちらは心電図検査については、前回御議論いただきました当該年の特定健診の結果等において、血圧が受診勧奨判定値以上の者、または問診等で不整脈が疑われる者で、医師が必要と認める者を対象とするとしております。

 実施方法につきましては、血圧測定値は検査当日に把握可能でございますので、速やかに検査を実施し、それができない場合は、受診勧奨を行う、運用方法の詳細については、別途検討するとしております。

 眼底検査についても、原則として当該年の特定健診の結果において、受診勧奨判定値以上の者のうち、医師が必要と認める者を対象とし、速やかに検査を行えない場合は受診勧奨を行うとしておりますが、運用方法の詳細については別途検討するとしております。

 なお、前回でございますけれども、血糖検査は検査当日に把握できない場合があるということで、速やかにその検査を実施するためには前年の検査結果に基づき対象者を選定することも引き続き可能とすべきとの意見がございましたので、これを踏まえるとともに、この方法につきましても、別途検討するとしております。

 続きまして、5ページ目、血清クレアチニン検査です。糖尿病性腎症に対する重症化予防の取り組みを保険者として推進しており、。血清クレアチニン検査は国民にとってもわかりやすい腎機能の評価であることから、特定健診で実施すべきとの意見であったとしています。ただし、健診項目の位置づけについては、基本的な項目に位置づけ健診項目を充実させるべきという意見と、尿たんぱく検査で一定程度腎機能を評価できるため詳細な健診の項目として実施すべきとの意見の両論がございましたので、両論を書いておりますが、これを受け、今回の見直しでは、まずは血清クレアチニン検査を詳細な健診の項目に追加し、eGFRで腎機能を評価するとしております。

 血清クレアチニン検査の対象者は、当該年の検査結果を用いて選定する場合には、採血を再度実施する必要があるため、実施者の負担等の課題がございます。他方、これはNDBデータから機械的に集計したものでございますけれども、血圧、血糖値が保健指導判定値以上の者になる方が65歳以上では8割以上となっております。

 これらを踏まえ、対象者は血圧または血糖値が保健指導判定値以上になる割合が高い年齢を設定した上で、医師が必要と認める者を対象とすることが考えられるとしております。また、実施する場合、血圧または血糖値が保健指導判定値以上となる割合が高い年齢の者に対し、運用上、基本項目の採血と同時に血清クレアチニン検査を実施することを認める方法も考えられるとしております。なお、この設定する年齢や運用方法については、別途検討すると整理させていただいております。

 続きまして、貧血検査ですが、従前から詳細健診として実施しており、定着している、被扶養者、国保加入者については制度上義務づけられた唯一の健診である、女性の健診を促すといった観点からも重要であると御意見をいただきましたので、引き続き詳細な健診として維持するとしております。

 続きまして、標準的な質問票です。

 こちらにつきましては、これまでの質問項目等の継続性を考慮しつつ、必要な修正を加える、生活習慣の改善に資する歯科口腔保健の取り組みの端緒となる質問項目を追加するということで、別添のとおりとします。別添は前回御議論いただきまして、それをそのまま反映しておりますので、説明は省略させていただきます。13の項目につきまして、歯科口腔保健の観点から「食事をかんで食べる時の状態はどれにあてはまりますか」を新規で追加し、前年からの体重の増減3キロ以上を削除しています。

 続きまして、5の「保健指導対象者の選定について」は、随時血糖を可とした場合の基準を定め、その保健指導に対する選定基準に追加するとしています。

 「今後の対応」につきましては、今回の健診項目の見直しに伴い、さらなる科学的な知見の整理に基づき決定する内容として、non-HDL、随時血糖の受診勧奨判定値、保健指導判定値について、別途検討するとしております。

 また、この実施・運用方法の詳細につきましては、別途ワーキンググループで検討して検討会に報告するということで、今後、保健指導の見直しや特定健診・保健指導の実施率向上に向けた対応について、引き続き検討を行うとしております。

 以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございました。

 まだ幾分課題が残っているようでございますが、これまでの議論を踏まえた整理した内容について、事務局から報告いただいたわけでございます。本日は、この議題が主でございますので、これは座長の判断でございますが、ここにまとめている内容について1、2、3と、それぞれ項目単位で皆さんの御意見を伺っていきたいと思います。一括処理はいたしません。

 まず「はじめに」でございます。

 これは一般的なことで5回にわたって議論したと、合同検討会も持ったという事実経過ですので、特段の意見はないかと思いますが、何か追加することはございますでしょうか。この枠組みが3期の特定健診・保健指導のあり方に対する基本でございますので、忌憚のない御意見をいただきたいと思います。

 「はじめに」はこれでよろしいでしょうか。5回にわたって、かなり綿密に議論したということでございます。

 それでは、2の「特定健診・保健指導の検討における基本的な視点」でございます。

 これは事務局から説明がございましたが、一応私のほうでもう一度読ませていただきます。

 本検討会では、特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会での科学的知見の整理を前提にしつつ、これは健康局の検討会のことですね。それを前提にしつつ、これに加え生活習慣病対策全体を俯瞰した視点、実施体制、実施可能性と効率性、実施率、費用対効果といった視点を踏まえ、検討を行ったと。

 また、労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会において議論が行われていることも踏まえ、整合性のとれた健診項目とする。

 この検討会の結論がまだ少しおくれているというのが現状だと思います。ですが、特に実施体制、実現可能性、特に確かに特定健診・保健指導は内臓脂肪症候群、あらゆる生活習慣病ではありますけれども、国民の広い健康診査として、非常に国民から信頼され依存されているものでございますので、そういう観点も含めた内容にしていく提案があるということが特に内容の基本的な視点として議論されていたと思います。この点は全体を俯瞰した、特に国民の健康診査の保健指導の唯一の機会であるということも生かしたものである必要があるということが強調されたと私は思います。

 この点の基本的な視点、まず白川委員、いかがですか。何かございますか。

○白川委員 特にございません。

○多田羅座長 よろしいですか。

 今村委員、いかがですか。よろしいでしょうか。

 的確にまとめていただいていると思いますので、これで御了解いただきます。

 それでは、「特定健診・保健指導の枠組みについて」です。

 腹囲基準について、これは制度発足当時から議論のあったところでございますが、ここにあるとおり、引き続き維持すると。現行の腹囲基準、男性は85センチ以上、女性は90センチ以上を維持すると。これは基本的な確認事項でございますが、これもほとんど検討会全員一致で承認いただいたと思いますので、よろしいでしょうか。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 事務局に伺いたいのですが、腹囲の測定方法について、「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」の場で議論は何かされているのでしょうか。つまり現在の腹囲測定の方法、あるいは自己申告可といったものは見直すべきであるという議論が行われているのかどうか。

○多田羅座長 健康局の検討会のほうは。

○今村委員 健康局ではなくて、労働基準局での議論が行われているかどうか。

○多田羅座長 労働基準局のほうですか。

○高木室長 特にそうした議論はないと聞いております。

○今村委員 当初からの、引き続き着衣の上での測定可、自己申告可というところはそのまま残っているという理解でよろしいのでしょうか。

○高木室長 現行のままです。そうしたみずから測定し、その値を申告する者というものも可となっております。

○今村委員 この議論の根本は、科学的なエビデンスに基づいてということで議論が進んでいるとすると、より入り口の「腹囲が正確にはかられる」ということが大きな課題だと思っています。それを、言葉は悪いですけれども、適当にはかっていいですよという仕組みのまま進めるということは、本来の健診の意味が失われるので、できることならこれは保険局にお願いすることではないと思いますが、労働基準局においても議論がされるとよいなと思っております。事務局レベルでまたいろいろお話しいただけるとありがたいと思います。

○多田羅座長 津下委員、何かございますか。

○津下委員 自己申告や、測定方法によってはかなり誤差が出ることがわかっておりますが、正確にはかれば精度が上げられることもわかっておりますので、ぜひそのあたりの実施方法の具体的な方策の検討の統一ということをできるだけお願いしたいと思っております。

 健康局の会議では、腹囲と疾病発症の関係などのエビデンスを再整理して妥当性があるものとしています。ただ、もう一方では、内臓脂肪面積をもう少し科学的に測定する方法についても今後検討してはどうかという話が出ましたが、特定健診の中の項目に入れるというところまではまだ議論が進んでいない状況であったと思っております。今村委員のおっしゃるように、健康局のサイドでは、腹囲の測定が自己申告でいいということは話題にはなっておりません。

○多田羅座長 議論していないのだね。

○津下委員 なっていませんでした。ただ、すべての方ではなくて、BMIが基準値未満の方には自己申告でいいという内容であったかと思っているのですけれども。

○高木室長 基準局の現行のものも、BMI22未満である者がみずから測定し、その値を申告すると。

○多田羅座長 では、自己申告が認められているのはその場合だけですか。

○高木室長 このような基準で医師が必要でないと認めるときは定期健診で省略可能ということ、つまり、定期健診でやるのではなくて、その値をみずから測定し申告するということでございます。

○多田羅座長 一応、その労働基準局のほうでの検討内容について、本日の検討会からより的確な方法になっているのかどうか確認してほしいという意見があったということで取り組んでいただいたらどうでしょうか。

 それで、一応今のもので十分なのですか。今の室長の説明の文章で、今村委員がおっしゃった意見に対応できているのですか。

○高木室長 まず、定期健康診断はその基準で医師が必要でないと認めるときは省略可能となっております。例えば40歳未満の方、これはもともと基準で。

○多田羅座長 それはいいのだけれども、自己申告で認めるというところです。

○赤羽根室長 そうしましたら、本日あった御議論を踏まえて、少し事務局でも確認をさせていただきます。

○多田羅座長 事務局でというか、検討会でそういう指摘があったということで、基準局のほうの内容について、正式に確認してほしいということです。それでよければ、それでいいのだけれども。

○高木室長 まず、きょう御議論いただいた中で、今村委員からいただいたような意見があったということは、まず事務局サイドで関係局、基準局でございますけれども、そちらには伝えます。

○多田羅座長 伝えるというだけで、新しい測定法を確認しないといけないのではないですか。

○高木室長 現在、定期健康診断そのものの実施の項目内容につきまして、まだ基準局では検討中の段階でございます。ですから、そこがどういった形になるのかというのは、例えば今の時点でどういった方向になるということについても、この場で申し上げるのは難しいという状況でございます。

○多田羅座長 それはそうですね。だから、この検討会でそういう意見があったという観点に基づいて整理してほしいということです。

○高木室長 はい。

○多田羅座長 では、よろしくお願いいたします。

 今村委員、それでよろしいですか。

○今村委員 はい。

○多田羅座長 よろしくお願いします。

 では、腹囲基準については、非常に重要な特定健診の検討の原点というか、始まりでございますが、今回、基本としては現状維持という確認をいただいたことにします。

 (2)の特定保健指導の対象とならない者への対応、これはこの間、マスメディアのほうで間違った報道が行われ、特定保健指導の対象とはならないにもかかわらず、これが特定保健指導の対象となるというような報道が行われたことがあって若干の混乱がございましたが、腹囲が基準なので、リスク要因がある者でも、腹囲が基準未満の場合、特定保健指導とならないというのが、この制度の考えでございますが、リスクの要因がある者への対応方法については、リスクはあるというわけですから、重要な課題であるということで、引き続きこの検討会の課題とするということですか。実際に、ここではもう対象にならないからそんなに議論も私はしないのではないかと思うのですけれども、事務局は何かございますか。

○高木室長 まず、現行法でございますけれども、特定健康診査については、政令で範囲を定めており内臓脂肪の蓄積に起因するということが現行制度でなっております。これまでも保険者で御議論をいただきまして、この制度のたてつけについての異論はなかったと承知しております。ここにつきましても、仮にそうしたことについて、制度について何らかの見直しを行う場合には、政府としては必ずまず関係者の意見、特定健康診査と保健指導そのものが保険者と現場の皆様において実施いただいているものですので、意見を聞いて、きちんと考えるということが当然プロセスとして必要になると思います。その意味では、制度のたてつけを見直すということではございませんけれども、何らかのそうしたことについて、きちんと確認しながら我々は制度を実施していく必要がありますので、そういう意味での確認の場ということであれば、それはこの検討会以外にはないと思いますし、他方で、公衆衛生全体ということであれば他の検討会もあるのかもしれませんけれども、そこは特に明示をせずに、引き続き検討を行うとしております。

○多田羅座長 わかりました。

 ただ、ここで対象とはならない、これについて引き続き検討するというわけではないわけですね。ならないということはもう決定と。その点が曖昧な響きになるのではないかと思って心配したわけですけれども、保健指導の対象とならないということはもう決定でございますので、了解いただきたいと思います。ただ、それに伴う課題等がないとは言えないので、それについては引き続き検討を行うということでよろしいでしょうか。

 津下委員、どうですか。

○津下委員 特定保健指導の定義からみると、内臓脂肪に起因するリスクのある方は、内臓脂肪を減らすことによってリスクを改善、または悪化させないという目的で特定保健指導を実施することとなっておりますので、こういう形になるのかなと思います。

 内臓脂肪が蓄積していない人のリスクがある方については、さまざまなほかの要因が考えられます。その要因に応じた対応が必要ということになりまして、保険者に一律にこういうやり方でこういうようにという標準的なプログラムのような義務化というところまでいくことは、現時点では十分な議論がまだされていませんし、制度の趣旨とも異なるところがあろうかと思います具体的なプログラム提案というものも今のところしっかりとなされている状況にはないと思いますので、この記載は妥当ではないかと思われます。

○多田羅座長 よろしいでしょうか。

 今村委員、いいですか。

 白川委員もよろしいですか。

○白川委員 結構でございます。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 それでは、4「健診項目について」でございます。

 (1)として、基本的な健診の項目、血中脂質検査、これがちょっと複雑なのですけれども、事務局から説明いただいて、LDLコレステロールは引き続き健診項目として維持すべきであるという点が基本的な点です。

 あとは、non-HDLですか。その他、LDLコレステロールの「運用でも」云々と文章がございます。基本として、LDLコレステロールは引き続き健診項目として維持すべきであるということでよろしいですか。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 2点確認がございます。

 1つ目には、non-HDLコレステロールを用いることの可否ですけれども、まず引き続き検討すると、これはいつまでにどの場で行うのかということを教えていただければと思います。

 もう1点、LDLコレステロールを残すということは賛成なのですけれども、直接法の測定法の廃止については、まだこれは議論になり得るのかどうかということを教えていただければと思います。

○多田羅座長 事務局、どうですか。

○高木室長 まず、直接法については、こちらは文章上の記載は明確にはございませんが、米印の健康局のところで直接法は廃止するとありながら、他方では精度管理が行われていれば、臨床検査としては可能であると整理されておりますけれども、直接法につきましては、今、労働安全衛生法の定期健康診査の見直しのほうの議論とも平仄をとる必要がございまして、むしろ直接法の廃止についての保険者ないし医療関係者の御意見というものは、もう一度この場でもいただきたいと思っているのですけれども、そういったことも踏まえて、引き続き関係局と調整する必要があるということで、文章上もそこを記載させていただいております。

 具体的に、では、いつまでにその結論を最終的に出すのかというのは、関係局との調整もございまして、今の時点では明示的に申し上げることは難しいのですけれども、ただ、この報告というか、このピン留めさせていただくものは、できればお盆前、8月上旬ぐらいまでには最終的にきょうの意見をいただいた上で確定させていただきたいと思っておりますので、そういう意味では、結論はもうちょっと先になると思われます。

○今村委員 ありがとうございます。

LDLの直接法について意見をというお話があったので、保険局なのであえて申し上げますが、現在体外診断薬として診療報酬の中で、直接測定法は認められています。つまり、すでに国民に向けて医療の現場でこの直接法に基づいて医療を行うのかどうか、また投薬の可否についても現場は判断しているという、医療保険の中でそれを認めているのに、健診の中でそれを認めないなどということがあり得るのかということです。つまり、今、薬についていろいろな世の中で世情を騒がせているところもありますが、そういった国民の信頼を失いかねません。

○多田羅座長 医療の実態としては存在していると。

○今村委員 医療の実態として、存在しています。それならば、このLDLの直接法というものを保険医療から外さなければ、それこそ整合性がとれないと私は思っているのですが、いかがでしょうか。

○多田羅座長 白川委員、いかがですか。

○白川委員 そのとおりだと思います。私も意見を申し上げようと思っていたのですけれども、直接法の話は今村委員のおっしゃるとおりだと思いますが、最初のところで「特定健康診査の円滑な運用及び検査値の連続性を担保するために」と書いてあるのですけれども、私は以前も申し上げたのですが、一番大事なのは、善玉、悪玉など、国民の間に定着した概念だというところだと思います。今回健康局はnon-HDLという新しい概念を打ち出しているわけですけれども、そのことによってどれだけ精度が高まるのかというと、精度が高くなることは確かなのでしょうけれども、国民の常識を覆すような大きな違いがあるのかというと、私は専門家ではないので何とも申し上げようがないのですが、それほどの価値のある変更なのか、失うものが大き過ぎないかということを気にしておりまして、最初のところに「国民の間に定着している現行制度を維持する」と明記をしていただきたいとお願いをいたします。

 もう一つは、基準局はこれから検討するということのようでございますが、定期健康診断の項目を変えられると、いやでも応でも被用者保険のほうは変えざるを得ないので、私たちは非常に困ったなと思っております。ぜひ基準局の検討会に保険者側あるいはここの検討会での意見を強く訴えて、伝えておいていただきたいとお願いをいたします。

 以上です。

○多田羅座長 武藤委員、いかがですか。

○武藤委員 先日、人間ドック学会の理事会がありまして、そこでもLDLの直接法を残すようにという意見がありまして、ここでLDLの直接法が廃止となっているのは、精度の問題が一部の試薬によってはあるということですので、適切な試薬を用いれば問題ないはずですので、そこら辺は入れられるのかどうかわかりませんけれども、適切な試薬を用いる場合は、直接法も可能であると。

○多田羅座長 だけれども、直接法は一般的には行われているわけです。

○武藤委員 そうですね。通常ではほとんど問題ないと思っていますけれども、一部。

○多田羅座長 なぜそれが問題になってきているのですか。

○武藤委員 一部精度に問題がある試薬があるということではないかと思っています。いろいろな測定方法があるので。

○多田羅座長 今村委員、どうなのですか。一部というのは、何かあるのですか。

○今村委員 あるのだと思いますけれども、それはどのようなものでも問題のある精度というものはあると思います。現状、本当に医療保険の中でやっていることですから、国民の信頼を裏切るような、先ほどお話がありましたが、いいかげんなことで薬の投薬を決めているのかと、こういう話になりかねませんので、ぜひともそこは整理していただきたい。

○多田羅座長 整理しないといけませんね。

○今村委員 保険局として、私は整理していただきたいと思います。

○多田羅座長 佐々木参考人、いかがですか。

○佐々木参考人 総合健診医学会のほうでも、これに関してはいろいろと議論があったのですけれども、やはり乱れてはいけないというのが一番だと思いますので、意見としては、継続して見ていけるような形にしていただければ幸いかと思います。

○多田羅座長 LDLは残すということでいいということですね。

○佐々木参考人 はい。

○多田羅座長 non-HDLについては、まだ課題が残っているということですか。引き続き検討すると。

 岩崎委員、どうぞ。

○岩崎委員 LDLの直接法に関しては、今、議論が多数出ているとおり、私も残すほうがよろしいのだろうと思います。その最大の理由は、現場でやっている感覚から申し上げますと、一定の継続性がないと混乱を生じ得るということが大きいのですけれども、一方で、健康局の委員会等で今回総コレステロールの話がまた出てきたと思うのですが、そういったものが議論の俎上にあがるということも、一方で、科学的な根拠から言えば無視はできない部分もあろうかと思います。以前LDLを追加したときの議論もさまざまあったと思いますけれども、そういう項目を新たに追加する、特に基本項目として追加するときには、ある程度は確実性のあるエビデンスがないとなかなか難しいのだろうと思っておりまして、これはLDLだけではなくて、ほかの健診項目に関してもそういった視点がないと国民の信頼を得られないのではないかという点を心配しているところでございます。

○多田羅座長 今回はこのまとめでいいということでよろしいですね。

○岩崎委員 私としても、これは定着しつつあると見ております。

○多田羅座長 定着しているということでね。ありがとうございます。

 それでは、定着しているという観点に立って、LDLは現状維持するというわけでございます。non-LDLその他については、まだ若干検討をしているというまとめにさせていただいておりますが、よろしいでしょうか。これもかなり議論のあったところです。

 高木室長、どうぞ。

○高木室長 直接法につきましては、きょういただいた御意見をまた再度というか、今、関係局で調整しておりますので、ここのところについては、まず、項目として引き続き維持すべきであると。その上で、測定法についてまだ関係局との調整の部分が残っている、つまり、基準局との調整の部分が残っておりますので、そこのところについて引き続き検討するという形に、事務局としてはさせていただきたいのです。

 きょういただいた御意見を踏まえまして、よく調整をいたしまして、文章上は直接法云々のところは書いてございませんけれども、また御報告させていただきたいと、そうした取り扱いにさせていただきたいということが事務局からでございます。

○多田羅座長 それでよろしいですか。

 津下委員、どうぞ。

○津下委員 私もこの書きぶりといいますか、LDLの継続性や脂質異常症の診断基準としてもLDLが重要な項目になっていますので、これでよいのではと思います。一方では、non-HDLへの切り替えを今回の30年度に間に合わせるのか、もう少しゆっくり検討していいかということもあるかと思います。脂質検査としては、総コレステロール、non-HDLLDL、中性脂肪をデータに登録できるようにすることではいかがでしょうか。健診受診者を対象としてLDLが試薬間でその精度がどのような状態になっているのかということをしっかりと検証ができれば、客観的な判断ができるのかなと思います。これは実務者レベルのところになるのかと思いますが、データとして登録できるようにするというのは検討されてもいいのかなとは思いました。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 ただ、こういうことを座長が言うのはおかしいのかもわかりませんが、「なお」以下のところについては、現在の運用でもこうやってできるとして、これは書かなければいかぬのですか。現在できるとしているのだったら、それでいいのではないのかなと。座長がこういうことを言うと不謹慎かもわかりませんけれども、なぜこういうことを言わなければいかぬのかなと。現在、運用でもできるとしているのであったら、それでいいのではないかと。御検討ください。

 今村委員、どうですか。日本語としてそう思うので、「なお」と、できるのであったらそれでわざわざこういうまとめをしなくてもいいのではないかと思ったもので、座長がこういうことを言って、事務局をいじめるようなので申しわけないのですけれども。

 それも含めて。

○赤羽根室長 これは、実際に最終的にまとめとして出る場合には、特定健診のことをよく御存じない方も見るのでということではあります。

○多田羅座長 それを対象にし出したら切りがないですよ。

○赤羽根室長 検討させていただきます。

○多田羅座長 「現在の運用でも」となっているのですから、それでいいような気がします。

○高木室長 米印ぐらいでいいのかなと。

○多田羅座長 わざわざ大きく、課題があるような感じになりますからね。

○高木室長 そこは直します。

○多田羅座長 御検討ください。

 では、血中脂質検査、これは課題のあったところで、特にnon-HDLについてはまだ引き続き検討するということで残っておりますが、LDLについては現状維持という確認をいただきました。

 それでは、次の血糖検査でございます。

 血糖検査は原則として空腹時血糖またはヘモグロビンA1cを測定することとし、空腹時以外はヘモグロビンA1cのみを測定することとすると。ただし、受診率、健診率の向上のために、随時血糖を健診項目に新たに位置づけることが有効であるとの意見があったことから、「やむを得ず」、これも苦心の言葉だと思うのですけれども、空腹時以外において、ヘモグロビンA1cを測定しない場合は、食直後を除き随時血糖により血糖検査を行うことを可とすると。微妙な言い方なのですけれども、白川委員、いかがですか。やはり随時血糖は残さなければいけませんか。

○白川委員 正直申し上げて、職場で定期健康診断を午前中に実施する場合、朝食をとらずに来いという話で、これは逆の意味で職場の安全から言うと問題です。

○多田羅座長 おなかがすき過ぎて、安全でないと。

○白川委員 安全でないといいますか、空腹で作業をされたのではそれは職場としては困りますね。ですから、必要に応じて随時血糖というやり方は残したほうが私はベターではないかと思っております。

○多田羅座長 職場という観点からね。

○白川委員 そうです。

○多田羅座長 それはよくわかるのですけれども、今、21世紀は糖尿病予防というのは国民の悲願ですね。それに対して国民がみずからの正確な空腹時血糖を認識するということは原点だと思うのです。だから、職場の安全も含めて国民がそう認識してもらって、何とか自分の血糖について正しい理解をするチャンスというものを。

○白川委員 よろしいですか。

 今、多くの職場では、ヘモグロビンA1cを優先してやっているところが多いです。座長のおっしゃる意識づけが重要だというのはそのとおりなのですが、問題は、健康に対する意識のほとんどない方が、7割もいるという統計が出ているぐらいでございまして、そういう方々に空腹時血糖でないと意味がないのだと言ってもなかなか御理解いただけないというのが現状でございますので、こういう余地を残していただければと思います。

○多田羅座長 しかしということですね。目指すということですね。やはり、一応の余地を残しておかないと、上意下達的な厳し過ぎるという印象をつくってしまうということですか。

○白川委員 結局検査ができないということになりかねないし、やっても信用できない値が出てしまうということになりますので、ぜひこの余地は残す。

○多田羅座長 健診自身が、職場の方から拒否されるという格好になるわけですね。わかりました。

 今村委員、いかがですか。

○今村委員 違うことで津下委員に御質問していいですか。

 これは後に出てくるのですけれども、貧血の検査については詳細健診で残すという結論になっていますけれども、貧血とヘモグロビンA1cの関係について、健康局で議論になったのでしょうか。つまり、両方を同時に見ているわけではないので、当然ヘモグロビンA1cの値が貧血によって左右されます。そのことについて議論はあったのでしょうか。

○津下委員 それについては、議論されていないです。貧血の場合は赤血球寿命が変わってきますのでヘモグロビンA1c値に影響が出るのですけれども、集団全体として見たときの観点での検討はしておりませんでした。ただ、実際には、赤血球寿命に影響があるような病気といいますか、貧血が一番多いと思いますし、あとは腎機能が悪化した人もヘモグロビンA1cは使えないということがありますので、そのあたりについては総合的な判断、医師が判断するという観点で、留意事項にはなるとは思います。

○今村委員 まさしく議論がなかったということは事実なのでそれでいいと思うのですが、例えば今、御指摘いただいたような貧血のこと、腎機能のことについても、健診を行う際にきちんと留意するということを、やはり健診を行う人たちがみんな共通の理解をしなければいけないと思っているので、何か津下委員の書かれるいろいろなところに、その注意喚起などを書いていただくといいのではないかと思うのです。

○多田羅座長 貴重な御意見ありがとうございます。

 岩崎委員、どうぞ。

○岩崎委員 随時血糖に関してなのですが、私はどちらかというともう少し積極的にとっておりまして、白川委員のおっしゃられたとおり、職場の現場ではまだまだ随時血糖が結構ありまして、それを生かさない手はないということがございまして。

○多田羅座長 生かさないわけではないのだけれども、もうそろそろ脱皮してほしいのです。

○岩崎委員 本来的には、もちろん空腹時血糖のほうが。

○多田羅座長 とにかく自分の血糖を正しく知るということは、日本の健康文化の基本として、今は日本人はみんな自分の血圧を知っているでしょう。あれも20世紀は大体脳卒中死亡1位という中で、日本の公衆衛生は、我々はもう血圧だけはかっていたような感じがするのです。それで、日本人はみんな自分の血圧は知って認識しているとなっていますね。だから、もう血糖もそろそろ国民文化の規範として、今村委員のおっしゃるように血糖は非常に大事なのでね。

○岩崎委員 随時血糖で基準ができて、少し動機づけ支援のようなものをうまく活用することで、まさに随時血糖から、次回は空腹時血糖として健診を受診しましょうというような指導に持っていくとかですね。そういう方向に使うことも含めて、今は全く使われておりませんので、ちょっともったいないかなという意見です。

○多田羅座長 もったいない気持ちはあるのですけれども、それは白川委員がおっしゃるとおり職場の問題もございますし、受診率の問題もございますし、ですけれども、もうそろそろ国民の文化の基準というか、気持ちを育ててほしいということがありまして、申し上げました。議事録の中に座長の言葉としてひとつ残しておいてください。

 どうぞ。

○津下委員 今、職場健診でどうしても空腹は難しいということと、あと、市町村でもできるだけ気軽に健診を受けてもらいたいという取組をしている自治体も増えてきました。もちろん食直後はやっていないのですが、朝も昼も抜いてということは現実なかなか難しいという実態もあります。ただ、多田羅座長のおっしゃるように、空腹時血糖は100なものですから、非常にわかりやすくて、国民にもっと浸透してほしいなと。その点、随時血糖というのは、何を食べて何時間後に測定してどうだということがまだまだ基準としては検討が必要な部分であろうと。ブドウ糖負荷テストのように、同じブドウ糖量で測定時間も決まっていると判断しやすいのですけれども、随時血糖の判断というものは若干難しい部分で出てくるのかなと思われます。ここは基準値づくりが非常に重要になってくると思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 ここもよろしいでしょうか。これも大事な点でございます。第3期ですので、やや健診・保健指導も成長しているという段階になっていきますので、充実したものをやらなければなりません。そういう意味で、細かく検討いただいているわけでございます。

 次は、尿検査です。これも若干内臓脂肪と関係あるのかという健康局の御判断もあって、なくてもいいという御判断もございましたが、この特定健診・保健指導は、5,000万国民の唯一の自分の健康状態把握の機会でございますので、その中で自分の体の状態を知る。最初は尿検査、貧血検査というところで、それを何とか残してほしいというのがこの検討会の意見であると思います。

 ということで、尿検査は既に基本項目として特定健診の全ての対象者に実施されており、侵襲性も低い検査項目であるため、引き続き、基本的な項目として維持すべきであると。労働安全衛生法に基づく定期健康診断の見直しを踏まえ、引き続き検討するということです。

 労働安全衛生法は、尿検査は残っているのですか。今、引き続き検討になっているけれども、どういう段階なのですか。

○赤羽根室長 今、お聞きしている範囲では、残す方向で議論が進められているとは伺っています。まだ検討途中ですので、最終的にどうなるのかはわからないところでございます。

○多田羅座長 外すかどうかを議論しているのですか。

○赤羽根室長 当然、健康局のほうで。

○多田羅座長 健康局はもうわかっています。労働安全衛生法のほう。

○赤羽根室長 当然そういう議論は行われております。

○多田羅座長 健康局は論理的に内臓脂肪の流れの中に入らないという理屈でいっていると私は思っているのですけれどもね。だから、健康局は健康局でいいのだけれども、労働安全衛生法のほうですね。それの定期健康診断の内容との話になるのでしょう。定期健康診断の見直しの中で議題になっているのですかということで聞いています。

○赤羽根室長 それは当然見直しの中では議論になっていて、労働安全衛生法のほうは当然産業衛生等との観点から必要性を議論していて、今のところ、残す方向の議論が行われていると伺っています。

○多田羅座長 残す方向だけれども、なぜ議論になっているのですか。健康局は内臓脂肪という概念があって、その流れに入らないという理屈をこねているのだけれども、健康診断は別に尿検査は大事でしょう。

○白川委員 健康局の情報が基準局にもいっているという意味でしょう。

○赤羽根室長 おっしゃるとおりです。健康局の検討の結果がありますので、それを踏まえて。

○多田羅座長 それは定期健康診断の概念と全然違うからね。片方は内臓脂肪という理屈をこねているのであって、定期健康診断は体の基本的な情報を把握するために行っているのが定期健康診断で、だから、健康局の意見を反映するというのは理解ができないです。

○赤羽根室長 白川委員のおっしゃったとおり、反映するということではなくて検討の結果がいっているという趣旨です。

○今村委員 私も座長と全く同じ考えで、いわゆる3つの局が連携をして健診項目を議論するというのは、あくまで保険局の特定健診・保健指導に係ってはそれぞれ整合性がとれていなければなりません。そもそも法の成り立ちも異なり、何の目的で健診をやるかというのも違うところで、健康局のいわゆる特定健診・保健指導を議論することを前提とした健診項目を労働基準局で全て議論するというのは、そもそものたてつけとしておかしいのではないかと私はすごく感じます。

○多田羅座長 白川委員、御存じですか。

○白川委員 全然知らないのですけれども、多分我々のところと同じ情報が基準局の検討会にもいっているのだろうと。ただ、基準局の検討は、おっしゃるとおり定期健康診断ですから特定健診とは関係ありませんし、若い方も全部含めた健康診断ですから、情報はいっていますけれども、今、事務局が言ったとおり、この尿検査については定期健康診断としては継続する方向で議論が進んでいるという御報告でしたね。

○高木室長 基準局の議論につきましては、まだ議論中でございますので、こう決まったとか、そういったことは今の時点では。

○多田羅座長 むしろ逆になぜ議論するのかなと。尿検査をなぜ議論しなければいけないのか。健康局が言っているのを耳にするのはいいですよ。だけれども、議論をするとなると、一つの課題になっているわけではないですか。

○高木室長 もちろん先ほどから御議論いただいているとおり、それぞれの制度の目的に応じて健診を行っておりますので、基準局においては就業上の労働の安全衛生の観点から議論をしておりますし、我々についても、特定保健指導の対象となる者を選定するという観点から、特定健診の項目について議論いただいておりますので、あくまでも健康局の議論は、それを議論するに当たってのエビデンスとしてまず見るということでございます。基準局のほうは、いずれにしても今、申し上げたところにつきましては、議論の方向性としては引き続き維持すると聞いております。

○多田羅座長 ちょっとわかりにくいところもありますけれども、室長の回答ですので、御了解いただくということでお願いします。

 津下委員、どうぞ。

○津下委員 特定健診後の特定保健指導としては内臓脂肪に起因する高血糖、高血圧のリスク者の抽出、さらには、保険者と実施すべき保険事業として腎症等の重症化予防があります。特定健診の対象疾患である糖尿病・高血圧に起因する腎機能の悪化ということでして、それを捕まえる項目として尿たんぱくというのは非常に重要な項目です。ぜひ引き続き実施が望ましいと思いますので、この記載でよろしいかなと思います。特定健診で血糖をはかったりヘモグロビンA1cをはかったりすると尿糖は要らないように思うということはあるかもしれませんが、そうではない年齢層もありまして、そう考えると、尿糖でまずファーストスクリーニングというのも必要な場合が少なくないわけですね。現実に実施され活用されているということであれば、そして保険者としても負担がなければ活用するということになろうかと思います。したがいまして、引き続き実施していただくという記載でよろしいかと思います。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 それでは、一応尿検査についても現状維持ということで、引き続き健診項目とするという点を確認いただきたいと思います。

 次は、4の肝機能検査でございます。

 肝機能検査は、従前から基本的な健診の項目として実施され、健診受診者に定着した項目である、これは間違いございません。被扶養者及び国保加入者にとっては、定期健康診断というものはございませんので、制度上義務づけられた唯一の健診であり、健診項目を削除する場合は、この点も十分考慮する必要がある。これはこの検討会で基本として指摘されたことでございます。当該検査を詳細な健診項目とした場合、健診受診者のうち肝機能検査の対象者が占める割合が高い可能性があり、むしろ実務的負担が増す可能性があること等を踏まえ、引き続き現在の検査項目の基本的な項目として維持すると。これは詳細項目に入れないということですね。基本的な健診項目としての建前を維持したいという点ということでよろしいですか。

○高木室長 先ほどの私の御説明の中で、肝機能検査の議論と尿検査の話を私が勘違いして、肝機能検査について基準局の議論のほうで維持する方向ということですが、今の時点では結論という形で申し上げられる段階ではないので、そういう議論の方向は伺っているということで申し上げたということでございました。

 尿糖につきましては、現時点で廃止するかどうかも含めてまだ議論中ということですので、ここは「定期健康診断の見直しを踏まえ、引き続き検討する」というように、尿検査のところに事務局で書かせていただいたところでございます。

○多田羅座長 肝機能は、そういう意味で、基本的健診項目として維持するという点を、これは大きな考え方ですね。国民の健診の大きな柱であるという観点で「維持する」と書かれていると思いますが、それでよろしいですか。

 津下委員、いかがですか。

○津下委員 これは消極的な書き方のように思うのですけれども、実は内臓脂肪症候群の場合は、肝機能異常が出やすく、特に若年の男性で血糖値が異常になるよりも早期に異常になったりします。過量飲酒でガンマGTPが高くなったりということでも、保健指導や情報提供には欠かせない項目のように思います。そういう意味では、血糖や血圧が異常にならないとやらないということでは、マイナスになってしまいますので、基本項目として残していただくということが現場としては必要なのかなと思います。

○多田羅座長 結果ではないということだね。基本だと。

 今村委員、いかがですか。よろしいですか。

 白川委員、よろしいですか。

○白川委員 津下委員のおっしゃったことと私も同じ印象でして、健康局に対する反論のような形で書いているものですから、非常に消極的なニュアンスなのです。

○多田羅座長 健康局はとにかく何もかもが内臓脂肪から始まりますからね。

○白川委員 ですから、むしろ積極的に今、維持するのだという強い姿勢の書き方のほうが私はいいと思います。

○多田羅座長 健診らしいと。

○白川委員 そうではなくて、ここの検討会の意思はそういうことであったと思いますので、健康局の御意見はあるものの、我々としてはこう考えるというスタンスで書いたほうがすっきりすると思います。

○多田羅座長 武藤委員、この辺の部分としていかがですか。

 佐々木参考人、いかがですか。よろしいでしょうか。

 だから、肝機能は基本だということで、いわゆるメタボ症候群、その他の非常に大事な情報だという津下委員の意見で御賛同いただいたと思います。

 では、これについてもこのままとします。

 次に、詳細な健診項目の課題です。

 これもずっと議論になったところでございますが、まず心電図検査、心電図の検査の対象者は、当該年の特定健診の結果等において、血圧が受診勧奨判定値以上のもの、または問診等で不整脈が疑われる者のうち、意思が必要と認める者を対象とすると。これは当然ですかね。

 それで、実施方法は血圧測定値は特定健診当日に把握可能であるため、当該年の特定健診の結果等に基づき速やかに検査を実施する。速やかに心電図検査を行えない場合は、受診勧奨を行うこととするが、運用方法の詳細については別途検討すると。

 津下委員、現場では速やかに検査を実施できないのですか。できるのであったら問題ないですね。

○津下委員 普通はできるところが多いと思います。

○白川委員 ほとんど実施できるとは思いますけれども、できないケースも。

○多田羅座長 あるといえばあるのでしょうけれども、一応できると。

○白川委員 そう思いますけれどもね。

○多田羅座長 当日、速やかにできると。

 武藤委員、いかがですか。

○武藤委員 できるところのほうが多いと思います。

○多田羅座長 できるところのほうが多いというのは、ちょっと危ういですね。

○武藤委員 ただ、企業に行って行う場合などは。

○多田羅座長 企業の労働環境との。

○武藤委員 それでちょっと難しい場合もあるかもしれませんけれども、通常は大体できると思います。

○多田羅座長 佐々木参考人、いかがですか。大体できるという判断でよろしいですか。

○佐々木参考人 ほとんどの場合、できると考えています。同じような意見です。

○多田羅座長 ですから、速やかに実施しなさいということですね。

 では、これはこれでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、次の眼底検査、これも眼底検査の対象は、原則として当該年の特定健診の結果等において、血圧または血糖検査がこういう者のうち、医師が必要と認める者、これはそうですね。

 実施方法は、原則として当該年の特定健診の結果等に基づき速やかに検査を実施する。速やかに行えない場合は、受診勧奨となっております。

 本検討会では、血糖検査は特定健診を実施した当日に検査結果を把握できない場合があり、健診受診者の利便性を考慮し、眼底検査が必要な者に速やかに検査を実施するためには、前年の検査結果に基づき対象者を選定することも引き続き可能とすべきとの意見があったと。

 眼底は当日は難しいのですか。血糖検査はそういうデータは当日に得られない。

○白川委員 設備的な問題がありまして、眼底検査は。

○多田羅座長 そうか。眼底は道具が要りますからね。だから、これは当日現場では、武藤委員、いかがですか。

○武藤委員 前回も申し上げましたけれども、血糖値がその場で出ない限りは結局できないわけですので、ですから、基本的に後日にならざるを得ないと思います。後日もう一回来るかどうかというと、なかなか難しいと思います。例えば、企業でやった場合は企業に出向いてやるわけにはいかないですので、どちらか受診していただかないといけないということになりますので、詳細な健診としてやるのはなかなか数は増えないかなとは思います。

○多田羅座長 そうすると、受診勧奨になる。

○武藤委員 そうならざるを得ないかなと。

○多田羅座長 そういう理解ですか。

 受診勧奨を行うということでいいということでよろしいでしょうかね。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 眼底検査の機器があるのかどうかというのは一つの大きな課題なのですが、もしあるとすると、血糖はその日にはわかりません。しかし、対象者は血圧の方も対象になっているわけです。血圧の方は当日血圧をはかっているわけですから、先ほどの心電図と同じで当日に実施できます。要するに、当日できる人と受診勧奨の人が両方まじるという理解でよろしいのかということです。

○多田羅座長 そうでしょうかね。だから、できる人には当日やればいいわけですね。

○今村委員 そういう整理でよろしいでしょうか。

○多田羅座長 では、そういうように文言を整理してもらったらどうですか。

○高木室長 速やかに行えない場合という趣旨で書いてあると理解しております。

○多田羅座長 行えない場合は、受診勧奨でなくてもいいのですよ。当日、眼底をやればいいので。

○高木室長 当日検査として実施を行うということでございます。

○多田羅座長 受診勧奨は、眼底ができない場合でしょう。だけれども、血圧だけであって、眼底ができる場合もあるということを今村委員はおっしゃっている。だから、その場合は、できる範囲で当日やればいいと。だから、血圧で、血圧が高ければそれは眼底検査をしないといけませんので、それは当日できるでしょうということが今村委員の御意見で、その場合は受診勧奨ではなくて、そこにおける眼底検査になるわけです。そういう書きぶりに修正してもらえたらいいなと。できる場合はやると。

○高木室長 3つ目の丸がわかりづらいということですね。修正します。

○多田羅座長 やれないという前提に立っているところがありますからね。

 では、そういうことで眼底検査はよろしいですか。

 津下委員、どうぞ。

○津下委員 この受診勧奨なのですけれども、患者さんに血糖値が高いですねと。医療機関を受診してくださいと言うと、内科だけ受診して、眼科に行っていないことも多いです。

○多田羅座長 眼底検査は内科でできるの。

○津下委員 内科で一般的な診療所では十分にできない場合も多いのではないかと思います。特に糖尿病の場合は、散瞳して網膜の周辺部までしっかり見てもらったほうがいいということで、受診勧奨になると思います。その辺の対応がきちんとできるように、内科と眼科の両科にかかるというニュアンスが伝わるようにする必要があると思いますので、よろしくお願いいたします。

○多田羅座長 今村委員、そういうことですかね。

○今村委員 前も申し上げたように、両眼やるかどうかということと、全部眼底を見るということが大事になってくるので、そういう意味では眼科の受診ということははっきりと明示をしないといけないかと思います。

○多田羅座長 内科の先生は見てわかるけれども、最終的に診断までは送らないとわからないのは、それは普通ですね。それはできる内科医の先生は多いとは思いますけれどもね。

○今村委員 そうです。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 では、その辺も若干言葉を加えてください。

 次の血清クレアチニン検査です。

 糖尿病性腎症に対する重症化予防の取り組みを保険者として推進しており、血清クレアチニンは、国民にとってもわかりやすい腎機能の評価であることから、特定健診で実施すべきという意見があったと。ただし、健診項目の位置づけについては、基本的な項目に位置づけ、健診項目を充実させるという意見と、尿たんぱく検査で一定程度腎機能を評価できるため、詳細健診の項目として実施すべきという意見の両論があったと。これはまだ両論があったという形ですね。

 これを受け、今回の見直しでは、血清クレアチニン検査を詳細な健診の項目に追加し、eGFRを腎機能で評価することとするということが、検討会の結論ですね。

 血清クレアチニン検査の対象者は、当該年の検査結果を用いて対象者を選定するとした場合、採血を2回実施する必要性があり、健診受診者及び実施者の負担が倍増する等の課題があると。一方で、65歳以上の者では、血圧または血糖値が保健指導判定値以上の者が健診受診者の8割以上となると。

 これらを踏まえ、対象者は血圧または決定値が保健指導判定値以上となる割合が高い年齢を設定した上で、医師が必要と認める者を対象とすることが考えられる。また、実施する場合、血圧または血糖値が保健指導判定値以上となる割合が高い年齢の者に対し、運用上、基本項目の採血と同時に血清クレアチニン検査を実施することを認める方法も考えられると。なお、設定する年齢や運用方法については、別途検討すると。

 これはどういうことですか。何かわかったようなつもりではあるのだけれども、具体的に解説いただけますか。

○津下委員 腎機能を把握するには、クレアチニンを測定してeGFRを示すということは大事と。ただ、これを全ての人に実施するとなると、それこそ基準局の健診の項目も全て変更していかなければいけないということがありますので、それが妥当かどうかというところが1点あります。

 それから、この65歳以上の、今の基準で言うと血圧または血糖値が保健指導判定値以上の人に詳細健診としてやりましょうとした場合には、65歳以上ではかなり多くの方が保健指導判定値以上に該当しますので、もう一度クレアチニンのためにわざわざ採血し直さなければいけないことになります。そこで該当者が多いと考えられる年齢層の健診では最初から基本項目のように入れておくことも認めてはどうかという記載になっているのではないかと思われます。

○多田羅座長 原則は詳細健診と。

○津下委員 原則は詳細健診なのだけれども、例えば65歳以上とか、そういう一定の年齢に関しては、最初から基本項目として取り扱うような扱いではどうでしょうかと。

 被用者保険では、労働安全衛生法の健診データを活用することが多いので、そちらにクレアチニンが入りますよということになれば、そこはもうそのままどこの年代もそのクレアチニンが入る状況にはなるのでしょうけれども、わざわざ労働安全衛生法の健診の中に入らないのに、保険者さんに義務づけてもなかなか難しい部分があるので、基本項目とするのは難しい部分があると思われます。

○多田羅座長 だから、その辺の結論が、君の意見もよくわからない。結局、詳細健診でいこうということですか。

○津下委員 健康局の議論では、詳細健診に入っていました。異常がある人に対してそれをしましょうということですから、詳細健診の位置づけでいいと。ただ、一定の年齢以上の方は、特に腎機能が悪化しやすくなる年齢層については、eGFRで早期発見をしたほうがいいのではないかという考え方もあります。また、実際には多くの自治体が既に導入されているということもありますので、基本項目と同じように測定されることも認められる。

○多田羅座長 それは一定年齢以上の者。

○津下委員 はい。

○多田羅座長 65とか、それはこの文章の中にあるのですか。

○津下委員 「設定する年齢や運用方法については、別途検討する」ということで、何歳からとかは記載されていません。

○多田羅座長 では、それは基本項目に入れるものについて、年齢や運用を検討するということですか。

○津下委員 基本項目と同様に実施するという場合の対象者について、明示することを検討されるのではないかと読み取りました。

○多田羅座長 これはそういう文章なのですね。

 それでは、飯山委員、どうぞ。

○飯山委員 国保のほうからもうちょっと単刀直入に申し上げたいと思います。

 参考資料をお出ししておりますので、最後にあると思いますけれども、見ていただければと思います。

 これは市町村の健診の中で、特定健診の中で血清クレアチニン検査がどのぐらい行われているのかということを私どものKDBで調べたのですけれども、26年度で市町村国保の保険者が1,716でありますが、KDBに登録している保険者は1,71499.7%です。この1,714のうち1,562、血清クレアチニン検査を行っているという実態がございます。ただし、年齢を区切っているかとか、どうしているか、そこまではKDBからはわからないのですけれども。

○多田羅座長 健診の基本項目としてやっているということですね。

○飯山委員 基本項目というか、実態として行っていますから、基本項目と同じ扱いになっていると思うのです。

○多田羅座長 いわゆる詳細健診という格好ではないのでしょう。

○飯山委員 はい。ですから、この文章の3つ目にありますように、ここまで活用もされていますので、基本項目とすることを検討していただきたいということが私どもの要望でございます。

○多田羅座長 白川委員はいかがですか。

○白川委員 飯山委員には悪いのですけれども、私は反対でございます。以前から立場はお話ししてございますが、一つは、定期健康診断の項目に入っていないことがあります。

○多田羅座長 入っていないのですね。

○白川委員 はい。これを基本項目にすると、保険者が自分たちで実施しなければいけないという話になりますので、それは実態的にまず不可能と申し上げたいと思います。

 それから、事務局の案では65歳かどうかは別にして、ある程度高齢の方についてはクレアチニンを基本項目と同様の扱いにしてはどうかという一考がございますけれども、これも同じでございまして、65歳以上の方だけクレアチニンを実施することになると、そのためだけに人を集めて検査を行わなければいけない。被扶養者のほうは大体我々が直接的に実施しておりますので、その方々は可能なのですけれども、被保険者のほうは難しいと思います。

○多田羅座長 むしろ、問題は定期健康診断の対象者ですね。

○白川委員 これはもうどうしようもないことになります。

○多田羅座長 大きな固まりがありますからね。

○白川委員 唐突に高齢の方などという話が出てきたので、私自身はびっくりしているのです。

○多田羅座長 それは津下委員が唐突に言っているので。

○津下委員 すみません。

○白川委員 そうですか。私はびっくりしているのですけれども、たしかこういう議論はなかったように記憶しています。国保でクレアチニン検査を実施していらっしゃるということは重々承知しておりますし、やったほうがいいということは私も同感でございます。特に腎機能については非常にいい検査だということは認識しているのですけれども、実務面で困ったということが出てきます。

○多田羅座長 現状がね。

 津下委員、どうですか。年齢について、今、白川委員からかなり厳しいことが。

○津下委員 透析を減らそうと思うと、その前にできるだけ腎機能の異常者を把握して確実な治療につなげたり、生活習慣改善につなげたりしたいという観点が必要です。では、どういう方が、年齢的にでも必要性が高いのかということはあるかとは思いますが、科学的な根拠といいますか、健康局のところでも必要性の議論はかなりされました。ただ、おっしゃるように実務面でどうするのかという課題があります。労働安全衛生法のほうで年齢に配慮した健診のあり方のような議論をしていただくことをお願いできればと思います。今まではおおむね60歳までの健康管理のための健診項目だったけれども、生涯現役、雇用延長で70歳、75歳まで働くとしたら、今の健診項目で本当にいいのかという議論を労働安全衛生法の中でしっかりしていただいて、その上で必要だということになって入ってくると、このあたりがスムーズにいくかと思います。

 もう一つは、糖尿病m高血圧を在職中に発症していても、腎機能生涯が悪化するのは退職後ということもありまして、職域側、被用者保険側で腎不全予防に対して関心が薄いこともあるかもしれません。保険者をまたいでいる話なものですから、そのあたりももう少し検討した上で実行していくということが必要なのかなとは思います。必要性については記載のとおりと思います。

○多田羅座長 必要性については認めている。方法の問題だね。

 武藤委員、いかがですか。両者の特に定期健康診断の中に入っていないという現状ですね。

○武藤委員 そうですね。結局のところは費用面のところが問題なのかなとは思うのですが。

○多田羅座長 白川委員、費用面の問題ですか。

○白川委員 定期健康診断に入っていない理由というのは私はよく承知しておりませんが、想像するに、やはり費用の面もあると思います。もう一つは、若い方にクレアチニンが必要かというと、少し早いということもあると思います。

○多田羅座長 武藤委員、どうぞ。

○武藤委員 基本的に採血でできるわけですから、40歳以上であれば、通常の肝機能で、貧血検査も40歳以上なわけですから、40歳以上ということであれば可能なのかなと。採血を一緒にと。

○多田羅座長 定期健康診断の中でね。

○武藤委員 中でやるわけですから、可能なのかとは思いますけれども、実質上40歳以上以外は、それ以下はほとんど問題ないと思います。尿たんぱくだけで問題ないと思いますので、私たちも見ていると、高血圧で薬を使うかどうかとか、生活習慣の指導をきっちりやるのかどうかとか、eGFRが悪くなっているとかなりきっちりと管理しなければいけないとなってきますので、費用的なことはあるかもしれませんが、将来的な透析を減らすという意味であれば、将来にとってみると多分医療費の抑制にもつながるのではないかという期待はできるのかなと思います。

○多田羅座長 だから、定期健康診断の中にも入れたほうがいいというお考えですか。

○武藤委員 そうですね。

○多田羅座長 ある年齢以上はね。

○武藤委員 そうですね。

○多田羅座長 佐々木参考人はどうですか。

○佐々木参考人 私も同じ考えで、やはり入れていただいたほうが一番よろしいかと思います。

○多田羅座長 定期健康診断の中にですね。まず、そこが原点ですからね。

 今村委員、どうぞ。

○今村委員 私も前からこれは申し上げているのですが、事務局に確認なのですが、労働基準局の検討会は、まだ結論が出ていない議論の最中だと思いますが、この保険局の意見が、ある程度伝わった上で議論されるのか、それとも、それは全く全然違う話なのだから、それぞれの担当をそれぞれの会議で決めるということなのか、ちょっとよく見えないのです。

 先ほど申し上げたように、健康局については結論がここで議論なされ、こういう意見がありましたと整理されますが、保険局での議論というのは、事務局レベルで労働基準局に伝わるのか、それとも労働基準局での会議の委員にも「保険局の議論ではこういう意見が出ていた」ということが正式に伝わるものなのでしょうか。後者でないと、幾らここでやるべきだと言っても無駄な議論になってしまうと思われます。

○多田羅座長 縦割り行政がありますのでね。

○高木室長 まず、事務局レベルで伝えることは、そこはきょうの御議論を受けてしますが。

○多田羅座長 事務局レベルでというとか、検討会でこういう意見があったという正式意見ですよ。

○高木室長 それぞれの検討会では、それぞれの法律の趣旨、目的に基づいて実施しておりますので、例えば逆の立場で基準局から我々のところにこういうといっても、それはそれぞれの立場でやっている部分がございますので、委員の皆様全員に対してそういうことを伝えることが可能かどうかについては、なかなかそこは、そもそもの検討会のたてつけというものもございます。

 ただ、そレぞれの検討会で結論が違うものになってしまうと、それはそれで問題ですので、そういうことのないように事務局はきちんと各局で調整しながらやるというたてつけになっております。それができない場合には、例えば合同で会議を開くとか、例えば最初の立ち上げのときはそうでしたけれども、そういった取り扱いにならざるを得ないと思います。ただ、いずれにしても基準局は基準局で、これについては今、議論しているところでございますので、そこについては引き続き。

○今村委員 わかりました。ありがとうございます。

 つまり、この会議では大体総意としてクレアチニンをはかることは反対だという方はおそらく、いらっしゃらない。それを詳細な健診として行うのか、基本項目として行うのか、対象年齢を区切るのかということの議論だと私はとりあえず理解しています。労働基準局のほうでは、議論はされていて、現段階で結構なのですけれども、行うことはいいけれども、基本項目としては無理という議論をしているのか、詳細健診だったらあるのか、対象年齢を切るべきなのかという、つまり、我々が今、ここで議論しているような具体的な議論の中身はどこまで議論されているのか。結論が出ていないのはわかりましたけれども、どういう議論をされているのかということがわかれば、ここである程度それに平仄を合わせた議論というものができるのではないかと思うのです。

○多田羅座長 現状ですね。

○高木室長 現状のところは、本当にここのところについては、細かい方向性のところまで言うのもなかなか難しいところがございますけれども、医師が必要と認める場合に実施することが望ましいという方向が。

○多田羅座長 それは当然ですね。医師が必要なことをやるというのは、どのような場合でも。

○高木室長 医師が必要と認める場合には実施することが望ましいと。

○多田羅座長 ただ、基本項目の中に入るのかどうかという議論がどうなっているのかということを聞きたいので、医師が必要と認めた場合やるというのは、これは健診の常道ですから。

○高木室長 現時点では、基本項目として位置づけるというところまでの合意というものには至っていないと。

○多田羅座長 議論はされているのですか。どうなのですか。

○高木室長 位置づけということでございますから、議論の対象にはなっていると理解しています。ただ、少なくとも基本項目として位置づけるということについては、そうしたことで合意形成がされているわけではないとは承知しております。

○多田羅座長 そうでしょうね。ただ、まず議論をされているのかどうか。議論はされているのですか。

○高木室長 された上でそういう結論というか、まだ結論にはなっていないですけれども。

○岩崎委員 クレアチニンに関しましては、保険局の委員会では、私は多勢に無勢の感じでございますので、なかなか意見を申し上げにくいのですけれども、運用面に関していえば、白川委員のおっしゃられたとおりのことでございます。また、今の議論であるように、基準局と保険局は法律のたてつけが違うと思いますので、安全配慮義務の観点から申し上げれば、基準局の中でクレアチニンを積極的に推進するのはかなり難しいのだろうという感じを、私自身現場で産業医をやっている中で感じています。

○多田羅座長 定期健康診断を岩崎委員はやっておられるということですね。

○岩崎委員 やっている中で、定期健康診断の法律の項目としてクレアチニンを入れる必然性というのは、尿たんぱくが残るという前提であれば難しいと思っています。

○多田羅座長 定期健康診断では、尿たんぱくをやっていればそれでいいということになるということですか。

○岩崎委員 健康局がまとめた科学的エビデンスにおいてもそうだと思いますし、安全配慮上に必要な項目ではないと認識をしています。

○多田羅座長 尿検査があれば。

○岩崎委員 はい。

 保険局の観点で申し上げれば、国保などは特に住民健診からの流れでやっておられる。基本項目でという考えも非常にわかる点ではあるのですけれども、やはり今回でもLDL、総コレステロールの議論であったように、項目を増やしたり、項目を変更するときには相応のエビデンスが必要ではないかと認識しておりまして、その観点で申し上げれば一番影響があるのは糖尿病性腎症の重症化の支援ですから、そこにターゲットをぐっと絞り込んでの導入、要するに、詳細健診でしかも結構広く今回は入っていますけれども、私はもう少し絞り込んでもいいのではないかというところが実際の医学的なエビデンスではないかと思っております。今回は第3期の議論でございますけれども、その先もあるのだと思いますので、少し慎重な議論をして一気に基本項目でというようなことではないのだろうと思います。

○多田羅座長 それは特定健診の話ですか。定期健診の話ですか。

○岩崎委員 特定健診の話として、私はそう思います。ですから、項目としてはぐっと対象者を絞り込んだ導入がよいのではないかという意見です。

○多田羅座長 そうすると、特定健診の中の詳細健診でやると。

○岩崎委員 そうですね。

○多田羅座長 ただ、詳細健診でやると、日にちが変わるということがあるのです。方法の問題としてね。そこは残っているところなのです。

○岩崎委員 はい、方法の問題はあるかと思います。

○多田羅座長 そうすると、どうなるのですか。 では、事務局から、どうぞ。

○高木室長 事務局から補足させていただきますと、先ほどの最後の丸のところの「また」のところでございますが、ここは運用上、認める方法も考えられるということで、つまり、一律ということではなくて、そこは余地を、例えば国保で先ほどの出していただいた資料で言うと、特定健診の受診者783万人のうち670万人についてはやっているといったことも踏まえまして、こういった形で書かせていただいています。

○多田羅座長 認める方法も考えるということですね。

○高木室長 そういうことでございます。

○多田羅座長 現状を追認していこうと。できるところでやってくださいということですね。

○高木室長 やっているという実態も踏まえて書いていると。

○多田羅座長 そういうことですね。

 白川委員、どうぞ。

○白川委員 それは認めるとか認めないという話ではないですね。国保のほうでこれを実施したほうがいいと判断されて、特定健診とは別に実施していますというだけの話でしょう。今、議論しているのは、特定健診の話ですから、それで「認める方法も考えられる」などという書き方をされたら、実施したいところはしていいよということですね。それは特定健診の40歳以上の全国民を対象に実施しようと、一斉に同じ検査を実施するというのが趣旨ですから、ここ実施してもいい、ここは実施しないなどという区別は絶対にすべきではないと思うのです。全国民が同じ健診を受けるということがこれの最大の特徴なのだから、そこを揺るがすような書き方をされたら私としてはまことにもって不満です。

○多田羅座長 飯山委員にお聞きしたいのですが。

○白川委員 座長、すみません。まだちょっと言いたいのですが、先ほど痩せのメタボの話がありましたけれども、あれはここでも議論を整理しましたが、特定保健指導ではないということですね。ただ、実施してはいけないということではないですね。我々健保組合でも実施しているところはあるわけです。それは国が認めるとか認めないという話ではなくて、保険者が自分のところの責任で必要な事業として実施しているわけです。これは国保も同じだと思うのです。だから、実施していない市町村もあるわけですね。だから、こういうことを国の政策の中に書くというのは、私は許せないと申し上げたいと思います。

○多田羅座長 わかりました。

 ということは、国保はこの検査は特定健診としてやっているのではないのですね。

○飯山委員 現状で特定健診の項目に入っていませんから、実施したとしても特定健診ではないということです。ただ、これだけ広く行っていますので、国保としては特定健診の基本項目の中に加えていただきたいという要望でございます。

○多田羅座長 わかりました。それはそのとおりですね。

 事務局、これはどうしますか。大分意見が。

○高木室長 そういう意味では、「また」のところは、文章として書くこと自体は合意は得られていなかったということだと思いますので、「また」の文章だけ削除するという整理にならざるを得ないかなと思います。

○多田羅座長 では、津下委員、まとめてください。

○津下委員 基本項目ではなく詳細項目なのだけれども、保険者の考え方で追加して実施可能であるという現状があるということです。産業保健でもクレアチニンを測定されている企業さんはたくさんあるわけで、それが保険者のほうで一定評価をして活用ができるようにはしていただき、国としてのエビデンスを整理していくことも必要ではないかと思います。積極的な重症化予防をしようという保険者にとっては重要な項目でもあります。労安法で測定されたデータのうち、特定健診の項目だけ保険者に渡されることになっていますが、もし職場健診で追加的にクレアチニンをはかっているケースであれば、それを特定健診項目と同様にデータが移行されると保険者さんとしてもプラスになるのではないかと思います。それを分析してエビデンスを検証する上でも貴重なことでもあるし、保健事業にも使えるデータでもあるので。

○多田羅座長 だから、それはそういう意味で、これを認める方法だとしたら、これは態度が大き過ぎるということになる。

○津下委員 そうですね。企業と健保の両者の合意がとれている場合には、データの活用が行われているわけですけれども、特定健診の項目の妥当性を検証する上でもしっかりナショナルデータベースに入っていてくれるといいかなとは考えたりするのですが。

○多田羅座長 白川委員、どうぞ。

○白川委員 津下委員の気持ちはよくわかりますけれども、そのためには、またシステムを変えなければいけないという話になるものですから、なかなかそうはいかないのです。

○多田羅座長 それは定期健康診断の話ですね。

○白川委員 定期健康診断はいいのですけれども、保険者にクレアチニンの結果をもらうということになると、それは電子データでもらいますから、システムを変えなければいけないという話になるので、なかなか大変なことだと思います。ただ、津下委員がおっしゃるとおり、事業主によってはクレアチニン検査を実施しているところもありますし、そのデータをもらって、特定保健指導とは別に、糖尿病の重症化予防の事業をデータヘルスみたいなことでやっているところもたくさんあることはあります。ですから、それは法定のものとは全然別の話なので、ここでの議論ではないという気はしております。

○多田羅座長 そうすると、きょうの話としては、この丸2つの「詳細な健診の項目に追加し、eGFRで腎機能を評価することとする」まではいいのですね。だから、詳細な健診にするということで、今村委員、今回、ベースは基本項目の中に今回入れるのは難しいと。

○今村委員 確認だけさせてください。これは詳細健診に入れるということで、そうすると、例えば労働安全衛生法で事業主健診を行ったときに、対象者はそこで選定されて、そのデータが送られてくるものを保険者が見て、必要があれば再度その人のクレアチニンを調べるという形になるということでしょうか。

○白川委員 そうではないです。どのデータを使うかという問題はあるかと思いますけれども、特定健診の、例えば尿たんぱく等の検査の結果、かなり値が高いということになれば、あなたは詳細健診としてクレアチニン検査を受けてくださいというように、保険者からお願いするやり方で、定期健康診断とは関係ないという位置づけになるかと思います。

○今村委員 そうなのですけれども、特定健診のデータは定期健康診断のほうから送られてくる場合があります。そのデータを見て、保険者が今、お話に出たように、これは対象者だから詳細健診として実施しようという形になるという理解でいいですか。

○白川委員 そうではなくて、今の詳細健診のやり方というのは、血圧でも血液検査の結果でもいいのですけれども、一定の水準を超えた場合は詳細健診という区分になっておりますので、これですと、多分尿たんぱくの値を決めて、それを超えた場合はクレアチニン検査というような設計になると思います。

○多田羅座長 今はそうなのでしょう。

○白川委員 今はクレアチニンは入っていない。

○多田羅座長 入っていないのか。

○今村委員 今、おっしゃったように、尿たんぱくだけだとプラス、マイナス、プラス、2プラス、3プラスとなっていますけれども、もっと腎機能の早期の異常を見るということであれば、それこそ糖尿病だと微量アルブミンもはかったほうがよいという話になっており、本当に早期の介入をするのであれば、尿たんぱくだけ見ていればいいということにならないのです。そのあたりをどうするのか、健康局でどういう議論になったのかわかりませんけれども、いかがなのでしょうか。私は尿たんぱくだけ見ればいいという議論に賛成できないのは、こういった理由からです。。

○津下委員 健康局の議論では、そこにありますように「血圧又は血糖値が保健指導判定値以上」、尿検査から来るというよりは、血糖、血圧の。

○多田羅座長 尿検査は入ってこないの。

○津下委員 尿たんぱくはもともとあるわけですから、それは腎機能の評価に使うのですけれども、血糖、血圧が異常な場合に、クレアチニンを詳細健診として位置づけるという議論になっていたかと思います。もし詳細健診が制度の中に書き込まれると、かなりの人に詳細健診を受けてくださいというやり方をしないといけなくなってしまう可能性があると思います。

○多田羅座長 それでいいのではないの。

○津下委員 制度としてはそうなると。

○多田羅座長 白川委員、それでよろしいのですね。一応詳細健診でやるということについては。

○白川委員 詳細健診ということで結構ですし、そのためにどういう基準値を超えた方にクレアチニン検査のほうを受けていただくのかというの、専門家で検討していただければと思います。

○多田羅座長 制度ではなくて、それはもうサイエンスですね。

○今村委員 そのときに、利便性ということで、受診者とすると別の機会に改めて行うということになるのが問題なのではないかと思いて、私は流れをお聞きしたかったのです。血液をとっていますから、1回でわかってしまうことなので。

○多田羅座長 だから、できたら入れたいわけですね。

 事務局、どうしますか。意見が、詳細健診のところまではいいのですね。ただ、その場合、2回実施する必要があるというところが課題になっているのですね。

○高木室長 はい。

 「また」のところは、その意味では医師が必要と認めるかどうかにかかわらず、運用上という形でこういった形で提案的に書いてみましたけれども、そこについてはきょう御議論いただいて、まだ引き続き御議論いただく必要がある部分かなと思いましたので、「等の意見もあった」というように直してはどうかとも思いましたけれども、一旦「また」のところだけ削除して、「なお」のところで「別途検討する」となっておりますので、そこで受けてはどうかと思います。

 「これらを踏まえ、対象者は、血圧又は血糖値が保健指導判定値以上となる割合が高い年齢を設定した上で、医師が必要と認める者を対象とすることが考えられる」と、いわゆる詳細健診の対象として、「設定する年齢や運用方法については、別途検討する」というところで受けたいと思っています。

○多田羅座長 わかりました。

 私から整理します。

 そういう意味では、今の事務局案は丸の3つまでは現状の文章でいいのですか。

○高木室長 「また」の前のところまでは。

○多田羅座長 丸3つ目はこれでいいのですね。65歳以上の者ではそうなるのだからね。

○高木室長 はい。

 「これらを踏まえ、対象者は、血圧又は血糖値が保健指導判定値以上となる割合が高い年齢を設定した上で、医師が必要と認める者を対象とすることが考えられる。なお、設定する年齢や運用方法については、別途検討する」と。

 いかがでしょうか。

○多田羅座長 という事務局案にしたいようですが、それできょうのところはよろしいでしょうか。一応「なお」以下が残っておりますので、課題は残っているということで詳細健診に持っていく、この持っていき方については今後検討するということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○多田羅座長 ありがとうございます。

 時間も押してまいりましたので、申しわけございませんが、そういう格好できょうのところはおさめさせていただきます。

 それから、貧血検査は「実施され、健診受診者に定着してきた項目であること」とあって、これも「引き続き、詳細な健診の項目として維持する」と、この原案は貧血検査は詳細健診でやるということですか。それでよろしいですか。

 私はもう基本項目でもいいと思っていたのだけれども、今村委員、これでいいですか。貧血検査は詳細健診でいいですか。

○今村委員 メタボというお話がベースにあるとなかなか。

○多田羅座長 出てくるからね。

○今村委員 基本項目には、もともと入っていれば「基本項目として維持する」でいいのですけれども、詳細項目から基本項目に持っていくという話になるとなかなか難しいと思います。私は、とにかく健診項目として非常に重要だとは思っています。

○多田羅座長 ベースですものね。

○今村委員 そう思いますけれども。

○多田羅座長 もともとが詳細健診だから。

 白川委員、いかがですか。

○白川委員 いかがですかと言われても、私も困ってしまうのですけれども、気になるのは定期健康診断との関係だけです。確かにやったほうがいい検査はたくさんあると思うのですけれども、何回も申し上げているとおり、特定健診はメタボが対象だということと、年齢層が限定されているということがありますので、一定程度検査項目を限定せざるを得ないというのが実態と思っております。

○多田羅座長 そうですね。

 津下委員、いかがですか。

○津下委員 現状で、新たに付加して、というのは、その根拠が十分議論されていないとも思います。

○多田羅座長 詳細な健診の項目で維持すると。

 武藤委員、佐々木参考人、いかがですか。この程度でよろしいですか。

 私は基本項目に入れてほしいのだけれども、もともとが詳細ということなので、そこまで上げるのは難しいという判断でございます。

 では、貧血検査も詳細健診として維持するということを確認いただきました。

 では、次に、標準的な質問票、これはかなり具体的になってよくなったと思います。この7ページですか。これで歯科項目も入りました。「質問項目については、別添のとおりである」と。

 高野委員、歯科のほうはこういう格好で入りましたけれども、よろしいですか。

○高野委員 はい。

○多田羅座長 かむところがありましたね。「食事をかんで」というのは何のことだとこの前言われて。

○岩崎委員 先日議論した後に見ていて思ったのですけれども、8ページ目の質問票の質問項目の16番のところで、「間食(菓子類)や甘い飲み物を摂取していますか」というものが一番上のところにございますが、以前の質問項目でも「間食」となっていたと思うのですが、今回甘い物を想定しているのか、(菓子類)というものがついているのです。ですから、より間食の中でも具体性を持ってそこだけを知りたいという意図なのかもしれませんけれども、3食以外の間食で過剰な摂取カロリーなどを気にしているのではないかと思いますので、(菓子類)というものは不要ではないかと。

○多田羅座長 これは甘い飲み物か。

○岩崎委員 甘い飲み物については、その前に議論がございましてわかるのですけれども、そういう点が気になります。

○多田羅座長 これは甘い飲み物だけ取り出していいのですか。

○岩崎委員 それは1回ここで議論があったかと思います。どういう表現が一番わかりやすいのかということがあったと思います。

○多田羅座長 津下委員、いかがですか。「間食(菓子類)や甘い飲み物」、甘い果物だったらどうなるの。甘い果物もありますね。ちょっと特定し過ぎているような気がする。

○津下委員 この質問は食行動の振り返りというニュアンスが強くて、例えば肥満の場合にどこでエネルギー調整するのかということに活用できるということです。エネルギー調整の余地がどこにあるのかに気づく目的で、岩崎委員のおっしゃるように間食を菓子類に限定するのかどうか。それから、間食が全ていけないかどうかということも議論にはなると思います。菓子類ですとエネルギーコントールの指導には使う場合が比較的多いということで、こうなっているのかなとは思いますが。

○多田羅座長 これは、事務局は何か原案は。

○高木室長 原案としては、「甘い飲み物」に並びで「甘い物」と、ないしはこれは歯の関係も含めてということで(菓子類)と書いております。(菓子類など)でもいいと思います。

○多田羅座長 「3食以外に間食(菓子類など)」とつけると。「甘い飲み物」は残る。

○高木室長 「甘い飲み物」は、そうしたものも含めて食生活としてどういうものをとっているのかということもはかれるという御意見があったと承知しております。

○多田羅座長 事務局はそうだと思うけれども、「甘い飲み物」と特化してしまうと、ちょっとひっかかってきますね。先ほど言った甘い果物などはどうなるのかなと。

 武藤委員、いかがですか。何か案はございませんか。

○武藤委員 私も今、御意見を伺って、(菓子類など)でいいと思いますけれども。

○多田羅座長 「甘い飲み物」はとりますか。

○武藤委員 問題になるのは結局甘い飲み物ですね。糖分入りの飲み物が問題になると思いますので。

○多田羅座長 果物は。

○武藤委員 果物は(菓子類など)になると思います。そちらに入ってくると思います。

○多田羅座長 結論的にはどうなるのですか。最初から言うと「朝昼夕の3食以外に間食(菓子類など)や甘い飲み物を摂取していますか」にする。

○武藤委員 はい。あとは岩崎委員がよろしければ、それで。

○多田羅座長 岩崎委員はどうですか。

○岩崎委員 結構でございます。

○多田羅座長 どういうものが結構なの。

○岩崎委員 菓子類に限定しても、実際の指導の現場とはそぐわないかなという感覚が強くございまして、私が一番いいなと思うのは、(菓子類)というものをとってしまっていいのではないかと。とることによって、もちろん菓子類も含みますし、菓子類なども含みますし、間食のとり方をそれによって指導のきっかけにするということが一番落ちつくのではないかという意見でございます。

○多田羅座長 岩崎委員の御意見では「間食や甘い飲み物」とするわけですか。

○岩崎委員 私の意見としてはです。ただ、それはさまざまな意見があろうかと思いますので。

○多田羅座長 今村委員、いかがですか。

○今村委員 「間食」と言われたときに、こういうところに集まっておられる方はわかるのですけれども、一般の方がどこまで理解できるのか。特に「など」という表現は、そこに果物が含まれているかどうかは、一般の方は考えないと思います。ですから、逆に丁寧に書くのであったら、字数が増えないのであれば、(菓子類・果物)と書けばいいと思います。ただ、字数を増やすのでお金がかかるというのであったらまた別です。

 「間食」と書くのであったら、より丁寧に保健指導の際に「間食はどのようなものを召し上がっているのですか」と聞かなければわからないと思います。女性の中には、果物は健康にいいと思われて大量にとる方が結構いらっしゃるので、そこは大事な要素だなと思います。

○多田羅座長 これは宿題にしますか。

 下浦委員、どうぞ。

○下浦委員 我々栄養士の考え方であれば、「間食」というのはどちらかというと食事と食事の間に少し捕食的に食べるもの。例えばサンドイッチやおにぎり程度です。一方嗜好性の高い「おやつ」という考え方もあります。

○多田羅座長 「おやつ」と「間食」はちょっと違うね。

○下浦委員 若干違うのです。ですから、私はあえてここで(菓子類など)と入れたほうがいいのかなという気もしました。ただ、ここはあくまでスクリーニングの部分での問診なので、我々実践者がそこをしっかりと聞き取ればいいのです。岩崎委員がおっしゃったようにシンプルにしておくというのも一つの方法ではあるし、今村委員がおっしゃるようにきちんと書き込むというのも、どちらでも我々指導する側としてはしっかりと聞き取ること。ましてや、甘い飲み物といっても、最初に私はこの議論の際に水とお茶以外でいいのでないかと言ったのも、しっかりと聞き取る必要があると考えたからです。例えば、商品名を出して申し訳ありませんが、炭酸飲料のオロナミンCドリンクなどは一般に甘い飲み物という感覚ではありませんし、水という感覚でお飲みになられているい・ろ・は・す(I LOHAS)という商品はオレンジ味やリンゴ味のものは80100カロリー程度あるのです。そういうものを我々がしっかりと対象者から聞き取ることが重要で、そこはシンプルにするのか、しっかり書き込むのかというところです。

○多田羅座長 下浦委員の意見としてはどちら。

○下浦委員 私はシンプルでもいいと思います。

○多田羅座長 シンプルというのは、もう括弧を入れないと。

○下浦委員 そうです。「3食以外に間食や甘い飲み物を摂取していますか」でもいいのかなというところです。

○多田羅座長 ちょっと足りない感じがするな。

 高野委員、どうぞ。

○高野委員 「間食(菓子類・果物)」と書かないと、間食の中に甘い物という感じがわからないかなと思うのです。液体のものだけではなくて、固体である間食の中の甘い物、それが菓子類であったり果物だということなので、(菓子類・果物)と入れたほうがわかりやすいと思います。

○多田羅座長 それは今村委員と同じですかね。今村委員も括弧の中に例を挙げたほうがいいと。

○今村委員 皆さんで合意できれば私はどちらでもいいと思います。指導する人がそこで介入するのか、本人が自分で自覚して書けるかという違いだけだと思っています。問診というのは、あくまで本人が自分でわかっているのかどうかという意味では細かく書いておいたほうがわかるし、指導に使うということが主であればそれはざっくりでいいのではないかと思います。どちらでも、皆様方の御結論に従います。

○多田羅座長 津下委員、どうぞ。

○津下委員 私は、わかりやすく具体的なほうが判断しやすいのかなと。答える人によって捉え方が違うということはできるだけ避けたいので、具体的な(菓子類)や「甘い飲み物」という言葉が入っていたほうが判断しやすいのではないかと思います。甘い物というのは食行動を見ている部分になるので、そういう意味では、(菓子類)や「甘い飲み物」という言葉が入っているほうが一般の方にはわかりやすいのかなと思いました。

○多田羅座長 そうすると、このままでいいと。「間食(菓子類)や甘い飲み物」、「甘い飲み物」が私はどうもひっかかるのですけれどもね。いいのですかね。皆様がよければ。

○下浦委員 皆さんの意見から(菓子類・果物など)がいいのかもしれませんね。

○多田羅座長 果物には入ってほしいのです。そうですね。

○下浦委員 (菓子類・果物など)が一番いいと思います。果物は皆さん落としどころで、結構、健康にいいということでたくさん食べられている方が多く、我々も注意してチェックしています。

○多田羅座長 そうすると、今の御意見だと「3食以外に間食(菓子類・果物など)や甘い飲み物」という意見ですか。

 では、一応、そこのところで事務局、もう一遍検討。

○高木室長 この場で決めていただきたいのが我々の希望でして、確認させていただきます。(菓子類・果物など)という形でよろしいでしょうか。「間食(菓子類・果物など)や甘い飲み物を摂取していますか」と。

○多田羅座長 岩崎委員、それでいいですか。岩崎委員に了承してもらわないと、どうも通らない。

○岩崎委員 今までの御議論の流れで、まさに聞き方で、その後の指導する者がどう使うのかという、まさに出てきた議論だと思っておりますので、わかりやすいということでしたら、それで構わないと思います。

○多田羅座長 わかりやすいことが大事だと。

○岩崎委員 大事だと思います。

○多田羅座長 曽我参考人とか、河合委員とか、こういう機会に一言何か、よろしいですか。

○河合委員 質問票というのは、受診者が自分の生活ぶりを振り返るという意味合いもあるということなので、なるべく具体的なほうが私はいいと思います。

○多田羅座長 わかりました。では、今の原案でよろしいでしょうか。

 北原委員はいかがですか。よろしいでしょうか。

○北原委員 同様です。

○多田羅座長 佐藤委員もよろしいですか。

○佐藤委員 結構です。

○多田羅座長 ほかに、鈴木委員もいかがですか。言葉遣いはそれでよろしいですか。

○鈴木委員 聞かれた人がわかるような表現であればいいと思います。

○多田羅座長 わかりました。

 そういうことで、飯山委員もよろしいですか。失礼しました。せっかくですから御意見をいただいて、より皆さんに賛同いただくものでないとこれはもう非常に難しいのでね。

 では、事務局、お願いします。

 では、これで標準的な質問票は以上でよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○多田羅座長 ありがとうございます。

 それから、5「保健指導対象者の選定について」です。

 「血糖検査において随時血糖(食直後を除く)を可とした場合の基準を定め、保健指導対象者の選定基準に追加する」。

 これはこういうことですね。よろしくお願いします。

 6「今後の対応」についてです。

 「健診項目の見直しに伴い、以下については更なる科学的な知見の整理に基づき決定する」。

 ・non-HDLコレステロールの受診勧奨判定値及び保健指導判定値

 ・血糖検査が随時血糖のみとなった場合における随時血糖の階層化判定基準、受診勧奨判定値及び保健指導判定値

 ・随時血糖の除外要件とする「食直後」の定義

 ・血清クレアチニン(eGFR)の受診勧奨判定値及び保健指導判定値

 ・眼底検査の実施方法

 これは今の決定に伴う具体的な対応のあり方として出てくることをまとめていただいたと思います。

 それから、「詳細な健診項目の見直しに伴う実施・運営方法の詳細については、別途検討する」ということですね。

 そして、「特定保健指導の見直しや特定健診・保健指導の実施率向上に向けた対応については、引き続き、検討を行う」と、ちょっと「引き続き、検討を行う」は残っておりますけれども、大筋はきょう御確認いただいたということで、御了解いただきたいと思います。

 事務局、よろしいですか。

○高木室長 ありがとうございます。

 確認でございますけれども、2ページ目の血中脂質検査については「LDLコレステロールは、引き続き、健診項目として維持すべきである」については、国民に定着しているということについてもっとはっきり書くようにという御意見をいただいたので、これを踏まえたもので修正させていただきます。

○多田羅座長 実績を尊重するということですね。

○高木室長 はい。

 肝機能検査については、保健指導に欠かせない基本項目であるということをもっときちんと趣旨としてはっきり書くという御意見をいただきましたので、修正させていただきます。

 眼底検査につきましては、血圧で当日にわかる場合に実施できるということをわかりやすく書くようにということで、そこを追加します。

○多田羅座長 それは当日できるということですね。

○高木室長 当日できるということでございます。

 5ページ目の血清クレアチニン検査については、最後の丸のところの「また」のところの文章を削除するということでございます。

○多田羅座長 「なお」以下は残すわけですね。

○高木室長 はい。「また」以下のところの「なお」のところは残ります。

 8ページ目の(菓子類・果物など)と、「など」というのはお酒のところも「など」と入っておりますので、並びで入れさせていただきます。

 こちらをそうした形に直して、また座長と御協議した上で、先生方にもう一度確認いただいて、最終的に8月上旬ぐらいにセットさせていただきたいと事務局としては考えております。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 それでは、時間が3時の予定が少し延びることになりそうで申しわけないのですが、次の議題に移らせていただきます。

 「保険者インセンティブの検討状況について」、事務局から説明をお願いします。

○高木室長 資料2に基づきまして、御説明させていただきます。

 こちらは報告事項になります。

 1ページ目は、ことしの1月に本検討会でおまとめいただいたものでございます。

 保険者において種別に関わりなく共通的に取り組むべき指標を御検討いただき、取りまとめていただいております。予防・健康づくりの指標ないし医療の効率的な提供への働きかけに係る指標について、これを踏まえまして、保険者種別ごとに具体的な制度設計を考えていくということになっております。

 続きまして、3ページ目以降が、高齢者の支援金の加算・減算制度の見直しについての指標についての検討状況でございます。

 3ページ目は主な閣議決定でございますので、紹介は省略させていただきます。

 4ページ目でございますが、検討のワーキンググループを設置いただいております。このワーキンググループを設置いただいて、御議論いただいた内容でございます。

 5ページ目になりますけれども、高齢者支援金の加算・減算制度の見直しにつきましては、まず、このワーキンググループにおいて、事務局から案を提示いたしまして、それを受けてワーキンググループで御議論をいただいているという状況で、まだ、こうした形で決めるなど、指標を固めるとか、そういうことではなくて、まだ事務局から案を提示しまして、それを受けて具体的に御議論をいただいているところでございますので、その報告をさせていただくというものでございます。

 5ページ目については、その具体的な指標でございます現行制度を見直した場合に、その見直しの指標をどのように考えるのか、どのように設定し、また、その増減の範囲をどのようにするかということで、論点を提示させていただいております。

 6ページ目でございますけれども、この事務局からの議論に当たっての考え方をお示ししております。

 まず、指標の設定については、優先的な指標と選択的な指標に分けて評価してはどうか。その指標の設定についての考え方については、それらを合わせて評価してはどうか。30年度から実施する。加算・減算の方法についても、多くの保険者に段階的に減算するとしても、加算も減算もされない段階の設定も検討してはどうか。保険者の特性を踏まえて、指標を設定してはどうかといったことを論点として挙げております。

 7ページ目でございますけれども、今回見直した場合に、保険者全てについて取り組む指標として挙げているものでございまして、特定健診の実施率や保健指導の実施率ないしは受診勧奨だとか、検査結果をわかりやすく情報提供しているかとか、被扶養者対策を実施しているのかなどといった指標を優先的な指標として設定する場合には設定してはどうかということで事務局から提示し、議論をいただいているところでございます。

 8ページ目は、さらに選択的な指標として、保険者で例えばがん検診や歯科検診、糖尿病の重症化予防ないし40歳未満を含めた健康づくりだとか、事業主との連携、こういった取り組みをいただいている場合に、そうしたものを選択的に評価する指標として位置づけてはどうかということで、事務局から提示し、議論いただいております。

 これらに対し9ページ目でございますけれども、こういった考え方に対して、具体的に幾つかの御意見をいただいているところでございまして、さらに検討を進めていくとしております。

 指標の設定についても、優先的、選択的と分けることについてはおおむね賛成いただいておりますけれども、例えば指標の設定の中で差額通知など加入者へのジェネリック推進の働きかけの取り組みを追加すべきという意見があった一方、そのジェネリックの利用促進は保険者も差額通知等の取り組みをしておりますけれども、医療提供者における処方時の連携や、供給体制など、保険者の努力以外による要素も大きいので、他の指標と同一の扱いにすべきではないといった意見をいただいております。

 また、指標についても、その配分の範囲について御意見をいただいておりまして、加算の範囲を広く薄く設定する場合でも、50%までは広げるべきではないとか、加算・減算もされない段階を設定してはどうかとか、その保険者の特性に応じて公平な比較評価となるように配慮すべきといった意見をいただいております。

 続きまして、10ページ目以降が協会けんぽでございますけれども、協会けんぽにつきましては、30年度の実績を32年度の実績に反映するということで、今年度内を目途にその運営委員会において、議論していくとしております。

11ページ目が、国保組合でございますけれども、組合特別調整補助金で補助しておりますけれども、この保険者努力支援制度を前倒し分の実施状況、これは市町村国保で実施するものですが、この実施状況を参考としつつ、関係団体とも調整を行い、国保組合の取り組み等を特別調整補助金に適切に反映させる仕組みを検討するとしております。

12ページ目は、国保・後期については、保険者努力支援制度で対応するということでございますので、本年秋を目途に特別調整交付金の交付基準に係る通知を発出した上で、その申請に基づいて年度内に交付予定で準備を進めているということでございます。

 以上でございます。

○多田羅座長 資料に基づいて御説明いただきましたけれども、御意見、御質問はございますか。

 これはまだ報告ですか。将来何か最終的な報告があるということの前段ですか。

○高木室長 これは1月以降、こうした形でワーキンググループで御議論いただいておりましたので、その内容について、親会議であるこの検討会の場に。

○多田羅座長 それで、最終案が出るのですね。

○高木室長 最終案については、実際は実施する場合には、この加算・減算については30年度からというので調整というか、各保険者の皆様と。

○多田羅座長 30年って、今、もう何回もこれはやっているのでしょう。それで、今年度は28年度ですね。

○高木室長 4ページ目でございますけれども、これまで6月にまでに4回開催いただいておりますので、その議論の状況について御報告させていただきました。

○多田羅座長 それはもうわかったのですけれども、これからはどうなるのですか。

○高木室長 引き続きワーキンググループでやるかどうかも含めて事務局の中でもう一度検討させていただきますが、いずれにしましても、この制度の実施につきましては、各保険者の理解なしには進まないところがございますので、この指標の設定の考え方ないし、それをどういった形で具体的にやるのかというのは、年内ないし年度内にそうしたことを検討した上で、またこの検討会の場でも。

○多田羅座長 28年度内で。

○高木室長 少なくとも、実施の指標自体は30年度の実績になりますので、特定健診と保健指導については前年度でやっておりますので、例えば30年度からの分については29年度になります。特定健診と保健指導の実績については、29年度の実績を見て30年度にやって、それ以外の指標につきましては、これは30年度の取り組み状況についての話になりますので、そこは1年ずれますけれども、ただ、できる限り保険者の立場からするとどういうものになるのかというのを、きちんと早目に我々事務方としてもお示しする必要がありますし、それは当然保険者と協議した上でのことでございますが、できるだけそうしたものは早目にお示しするという意味では、ここまでの議論の状況については、少なくとも御報告させていただく必要があると思いますので、こうした事務方でお示ししている指標と御意見、こうした議論の方向性について、今、この場で御報告させていただいたということでございます。

○多田羅座長 それはわかるのですけれども、一応最終案が出るのですね。

○高木室長 もちろん、見直しする場合にはそれはまとめる必要がございます。

○多田羅座長 それはいつを予定されているのですか。

○高木室長 現時点においては、はっきりそこまでは申し上げることは。

○多田羅座長 年度内ということですか。

○高木室長 遅くともとは思っておりますけれども。

○多田羅座長 それで年度内に最終案が出て、来年度、この検討会で例えば最終的に承認を得るということですか。

○高木室長 そこの手続につきましては、まず、この議論の状況が、まだ議論の途中でございますので、予断を持ってそこの部分について申し上げることは難しいかなと。

○多田羅座長 まだその結論も出ていないと。

○高木室長 あくまでも、現時点ではこうした指標をお示しして、今、申し上げましたように、実際は被用者保険でございますので健保組合と共済になりますけれども、まだ事務方から示した指標について御意見をいただいているところございますので、こうした御意見をさらに踏まえながら、事務局として調整をしてやっていくということでございますので、いつの時点というのは、実際は30年度のものでございますけれども、この時点からという形で、予断を持って申し上げることは難しいかと思っております。

○多田羅座長 ということのようですが、よろしいですか。

 白川委員、どうぞ。

○白川委員 ワーキングで検討中なので、この時点で私が発言するのもいかがなものかと思いますけれども、根本的なところに非常に疑問を持っております。閣議決定等の内容を見ますと、評価項目を広げるということになっていますので、議論の中でも多分特定健診・保健指導の実施率に加えて、保険者が実施している保健事業あるいはデータヘルスの項目を加えるということになると思うのです。そうしますと、特定健診・保健指導は、法定の保険者の義務でございますから、それを評価されるのはやむを得ないといいますか、当然だと思いますが、努力義務でやっているいろいろな保健事業、例えば、重症化予防まで評価されて、それが後期高齢者支援金の加算に結びつくという根拠が、いまだに私には理解できないのですけれども、その根拠を示せと以前から申し上げているのですが、きょうは時間がかなりオーバーしているのでこれ以上は言いませんけれども、そもそもまず根拠をはっきりさせていただきたいということが1つです。

 それから、例えばの話ですが、特定健診と特定保健指導は、人並み以上に実施している、ところが、重症化予防を実施していないから、あなたのところは加算ですということになりかねないわけですけれども、そのようなことは許されるのかと非常に疑問に思っております。

 言いたいのは、加算と減算は全然意味が違いますので、保険者に対して追加の支出を求める場合の法的根拠は大丈夫なのか。その場合は、加算と減算を共通の評価項目でやる必要は何もないので、加算は例えば法定義務だけでやると。減算はデータヘルス計画、その他の保健事業でやるという方法もあるわけですね。加算も減算も共通の評価でやるというやり方は、なかなか合理性に欠けると思っておりますので、その辺もぜひワーキングのほうで御検討いただきたいと。閣議決定でいえば、インセンティブは手厚くということのようですから、インセンティブは加算すればいいわけです。加算と言ったらおかしいですけれども。

○多田羅座長 インセンティブは減算でしょう。

○白川委員 減算なのですけれども、加点すればいいわけですね。いろいろなことを実施しているところは加点すればいいのです。ところが、加算するほうはいろいろなことを実施していないから加算ですという言い方は、私は絶対におかしいと何回も申し上げているのです。そう思っておりますので、こういう評価を加算と減算で変えるということも含めて、ぜひワーキングで御検討いただきたいということが2点目です。

 言いたいことは言いましたので、これで結構でございます。失礼しました。

○多田羅座長 白川委員の加算・減算に対するお考えというのは、検討会でいつも御議論いただいて、結論が残っているところがまだありますね。ありがとうございました。

 ということで、大体今の御意見が中核の御意見かと思いますが、北原委員、きょうは第1回ですけれども、何かございますか。加算・減算と。

○北原委員 なかなか容易ではないという感じがしていますので、しっかり勉強させていただいて、またいろいろな意見を述べさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○多田羅座長 ほかによろしいでしょうか。

 時間も押しておりますので、よろしければ、本日の会議は、一応これについては御報告を承って、白川委員から意見を承ったということとさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、本日の検討会は以上にて終了とさせていただきます。

 御協力、ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> 保険者による健診・保健指導等に関する検討会> 第23回保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録(2016年7月29日)

ページの先頭へ戻る