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2016年5月13日 第15回雇用仲介事業等の在り方に関する検討会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成28年5月13日(金)10:00~12:00


○場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
共用第8会議室(19階)


○出席者

委員

阿部座長、安藤委員、大久保委員、竹内(奥野)委員、松浦委員、水町委員

事務局

坂口派遣・有期労働対策部長、松本需給調整事業課長、戸ヶ崎主任指導官、
手倉森派遣・請負労働企画官、中野需給調整事業課長補佐

○議題

(1)個別の論点等について検討

○議事

○阿部座長 おはようございます。定刻になりましたので、第 15 回雇用仲介事業等の在り方に関する検討会を開催いたします。本日は水島委員が所用のため御欠席となっております。本日の検討会は個別の論点等について議論をいただきたいと思っております。早速ですが、資料の確認を事務局よりお願いいたします。

○手倉森企画官 需給課企画官の手倉森です。よろしくお願いいたします。それでは、資料の確認をお願いいたします。「議事次第」「座席表」に続きまして、資料 1 「個別の論点等について」を配布しております。資料に不備等がありましたら、事務局までお申し付けください。

○阿部座長 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議事の進め方ですが、配布資料に沿って各論点ごとに事務局から御説明いただいた後、議論の時間を取りたいと思います。まず、 1 つ目の論点について、事務局から説明をお願いします。

○手倉森企画官  1 つ目の論点です。雇用仲介事業等の在り方の見直しに当たっての基本的な考え方について、資料の 3 ページを御覧ください。

 前回の検討会等で御指摘いただいた点で、基本的な考え方ということで、大きく 4 点にまとめております。 1 点目は、雇用仲介事業の機能強化の必要性。少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少等、雇用を取り巻く社会や経済が変化する中、社会的インフラとしてマッチングを担うハローワークを含む雇用仲介事業の更なる機能強化が必要というのが 1 点です。 2 点目は、求職者保護の観点ということで、まずは、求職者保護の観点からの必要な制度の見直しや取組の強化が必要。 3 点目は、求人者の利便性ということで、求職者側の利便が阻害されないかという点についても留意が必要。その上で 4 点目として、雇用仲介事業の質の向上等ということで、雇用仲介事業の質の向上・運営の効率化等に資する見直しを検討することが適当、という形で資料を提出しております。事務局からは以上です。

○阿部座長 それでは、ただいま御説明いただきました論点に関して、皆様から御意見等がありましたらお願いします。今回基本的な考え方について御説明いただいたと思いますが、これでいいのか、あるいは追加的に何かあるのかという観点があればと思いますが、いかがです。

○竹内委員 まず、この論点を議論する時間を取っていただいたことに感謝申し上げます。

 この検討会のヒアリング等を通じて出てきた様々な雇用仲介の事業が登場し、そのようなサービスを様々に使う求職者、求人者が登場してきています。一言でいいますと、求職者とか求人者の在り方が多様になっていると思います。求職・求人のルート、仲介のサービスも多様になっていると言えると思います。そのような中で、伝統的な、中核的な職業紹介以外のものを含めて雇用関係の成立に当たっては、その間に入る仲介するサービス全体を視野に入れて法規制の在り方を考えていく必要があろうと思います。もちろん全ての雇用仲介の仕組みが、同じ規制の下に置かれるべきかという点はもちろん議論すべき点ですが、サービスの内容の類似性あるいは相違性を踏まえた整合的な規制の在り方が必要だと思われます。また、異なるとしても、最低限共通して雇用を仲介するからには求められるべき法的ルールもあるのではないかと思います。そのようなこともあろうかと思います。後でも議論になるかと思いますが、差別の禁止、個人情報の保護、あるいは仲介して雇用関係が成立していく中で適正な形で労働条件が明示されるとか、そのようなことはどのようなサービスでも雇用仲介のサービスであれば必要になろうかと思います。

 このような形で様々な雇用仲介の事業が登場してきています。その全体を視野に入れて、それぞれの類似性、相違性を踏まえた整合的な規制の在り方を考えていくのが基本になるのではないかと思います。言い忘れましたが、雇用仲介の事業についての法的な規制の在り方を考えるとき、最低限必要となるのは、基本的な考えの 3 ページに出ている 2 つ目の求職者保護です。それは、第一に重視されるべき視点です。先ほど申し上げた最低限共通すべき規制は、基本的にはこの観点から要請されるのではないかということです。

 それを踏まえた上で、求職者であれ、求人者であれ、その利便性を過度に損なうことがないとか、その他挙げられている項目にも注意していく必要があろうかと思います。ともかくそのような形で様々な多様なサービス全体を視野に入れて、整合的な法規制をしていくというのが、基本的な考え方に据えられるべきではないかと私は現在の時点で考えているところです。以上です。

○阿部座長 ほかにいかがですか。

○大久保委員 基本的な考え方の、特に 2 つ書いてあります雇用仲介事業の機能強化の必要性と求職者保護の観点は、非常に重要な考え方の項目だと思います。前回、基本的な考え方についても議論したほうがいいだろうという言葉が、委員のそれぞれから出ていたわけです。私はそのときに少し違うものをイメージしていました。つまり、ここに書いてある 4 つのことというのは、ある意味昔も今も変わらず、ずっと安定的に必要な観点だと思います。そういう中で、今回職安法を久しぶりに改定するに当たって、我々は特にどんなことを観点として持ちながら、この議論を進めていくのかということをここに書くのかなというイメージを持っていました。

 その中で私が思っていたのは、 1 つは IT が多様に浸透してきて、技術的にも進んできたことによって、職業紹介の風景が変わってきたということです。もともと法律はそれを想定して作られたわけではありませんので、そういう環境変化の中でどのように職安法をうまく適応させていくのか、あるいは必要なときに改定していくのかということがあると思います。もう 1 つは、サービスについても海外の事業者がどんどん日本に参入してきている状況もあります。人そのものが国を越えて動いているかどうかという問題よりも、事業者そのものがかなりグローバル化をしてきております。つまり、 1 つの事業者が世界何 10 か国で展開している中で、もちろん国内の法律に規制されるのですが、日本の国内法である職安法はどうあるのかという観点も、ある意味非常に重要になってきていると。そういう大きな環境変化の中だからこそ、今回考えなければいけなかったことがいろいろあるのではないかと思っています。

IT を使った場合、どこまでが職業紹介で、どこが職業紹介ではないかとか、あるいは多様なプレーヤーが参入してきたときに、求職者保護のために、本当に最低限何をカバーしなければいけないのかということを大事に議論をしてきたのではないかと私は理解しています。そういうニュアンスが入った上での雇用仲介事業の機能強化の必要性であったり、求職者保護の観点であったりと、そのように書いていただくイメージがいいかなと思っていました。

○阿部座長 今日、このあと IT の登場による論点が出てきます。確かに IT 化とかグローバル化というのは、これまでも論点でお話ししてきたので、そういった環境変化が起こっていることが、今回の在り方見直しの 1 つの要素であることを明確にしておくことは大事かもしれません。ほかにいかがですか。

○水町委員 今、お二人がおっしゃったこととも重なることです。そもそも規制改革会議から見直しの要請が出てきたときの背景から言うと、 1 つは、雇用仲介事業とか労働市場に対して、法がなぜ介入しなければいけないかというときに、それは中間搾取とか強制労働などに対する伝統的な人権保障であって、この重要性は今でも変わっていません。プラス従来想定されてなかったような新しいプライバシーとか個人情報保護などに対する配慮も、また新たに必要になってきているので、その点についてのきちんとした整備が必要だというところが、求職者、労働者保護の観点からメンションすべき点です。

 事業者との観点で言うと、おっしゃったとおりなのですが、 IT 化とか、新たな科学技術とか、市場のグローバル化に向けてどう対応するかということで、今まで十分に対応し切れなかったところの問題の整理とともに、もう 1 つは、雇用仲介事業に対する規制全体としての整合性・一貫性です。事業としては連続的なのに規制がばらばらだったので、それを労働者派遣、職業紹介、その他の事業について一貫性のある、連続性のある規制に見直していくという観点から、今回検討をお願いして、そういう話もたくさん盛り込まれています。そういうことを少しまとめて書いていただければ、議論全体とつながるかと思います。

○阿部座長 ほかにいかがですか。

○安藤委員 今までの議論は全くそのとおりだと思って聞いておりました。 1 つ目のポイントとして雇用仲介事業の機能強化の必要性というのがあるわけですが、機能強化というのは何なのかというのが気になるわけです。先ほど大久保委員からあったような、 ICT 技術の発達によって様々な新しいものができてしまっているものにブレーキをかけて一定の線引きをしたほうが、もしかしたら 4 つ目にある質の向上につながるのではないかと。そういう観点から、 1 つは雇用仲介事業の新たなテクノロジーについてどう考えるかというのは議論しなければいけない論点です。

 もう 1 点は、正に 1 つ目の 1 行目に書いてあるような、状況が変化したことによる新卒での就職とか、そこだけではなく、中途であったり、高齢者であったり、これまでより多様なマッチングの支援が必要だと。そのような環境の変化などがきちんと書かれるといいのかなと思います。

 細かい点で、 2 点目で求職者保護の観点、 3 点目で求人者の利便性と言っているのですが、求職者にとっても利便性はとても大事なことだと思いますので、利便性は求人・求職とパラレルに書いた上で、特に求職者については保護の観点も必要だという書きぶりでもいいのかと感じました。以上です。

○松浦委員 一言だけ。皆さんにおっしゃっていただいた御意見に賛同しているので、余り付け加えることはないのですが、一連の議論の中で、曖昧だった規制が明確化された点が幾つかあったと思います。規制の明確化も、議論の考え方として重きを置いてきた点なので、「雇用仲介事業の質の向上等」の所に入るのかもしれませんが、少し触れていただいてもいいかと思いました。

○大久捕委員  1 つだけ。基本的な考え方に馴染むかどうか分からないのですが、もう 1 つは職安法というのは、そんなに頻繁に改正するものではないので、様々なケースが出てきたときに、通達などによっていろいろなルールが現場で運用されてやられてきたということもあり、かなり複雑で分かりにくくなっているところや、どうしても個別の労働局の判断に委ねられやすいところがあったのだと思います。そういうものをしっかりと、例えば指針や省令などの形で、誰が見てもちゃんと法律のベースが分かるような形に骨格をしっかり作るというのも 1 つあります。事務局は嫌な顔をしていますが、そういうことも重要な観点だったのではないかと思います。

○阿部座長 本日出た御意見を基に、少し基本的な考え方のところをブラッシュアップしていただいて、報告書に向けて取りまとめていただければと思います。まだほかにもあるかもしれませんが、時間もありますので、次の論点に移りたいと思います。次は 2 つ目と 3 つ目の論点を御説明いただいて、その後、ディスカッションしたいと思います。

○手倉森企画官 まず資料の 5 ページを御覧ください。委託募集の関係です。委託募集については、これまでの議論の整理の際には、職業紹介事業のルールと比較しつつ、見直すこととしてはどうかといった形で整理しております。

 現行の規制ですが、被用者以外に報酬を与える場合は許可制となっています。更に報酬については大臣の認可となっております。被用者以外に報酬を与えることがないという場合については届出制となっているのが現行制度です。

 それについて検討の方向性です。 1 つ目の○は、許可制・届出制、報酬の認可制を廃止することとしてはどうかということです。 2 つ目の○ですが、廃止することとする場合、直接募集の場合の責務と委託募集の場合の委託者及び受託者の責務を比較して、必要な規制について検討したらどうかとしております。

6 ページを見ますと、参考で現行のルールについて整理した表を付けております。義務の内容で、直接募集が真ん中辺りにあります。○の付いている所が現在義務の掛かっているものとなります。その隣が委託募集です。その中の左側が委託者ということで、直接募集と比較しますと、ほぼ同じです。 1 点、許可の所は現行許可があるので、委託者にだけ○が付いています。その隣が受託者です。受託者についても、直接募集と比較しますと、ほぼ同じですが、募集内容の的確な表示が、受託者にはありません。これが現行の制度となっております。

 資料の 5 ページです。現行の規制で労働条件等の明示というのがあります。➀は労働条件を明示しなければならない。➁は業務の内容、契約期間、就業場所、就業時間、賃金額等については、書面、電子メールで明示しなければならないというのが現行の規制です。

 この点について、検討の方向性です。現行制度では、業務内容や就業場所については明示しなければならないこととされているが、受託して募集を行う場合に、委託者の名称については明示することとされていない。受託して募集を行う場合については、以下の事項を明示しなければならないこととしてはどうか。募集を委託した者 ( 労働契約の当事者となることとされている者 ) の名称について明示しなければならないこととしてはどうかということで検討の方向性を示しております。

7 ページを御覧ください。労働者供給についてです。これまでの議論の整理の際は、資格要件を改めることについては慎重な検討が必要であるが、労働者供給事業の在り方について、更に検討することとしてはどうかとまとめられておりました。現行の規制ですが、これは許可基準の内容を書いており、 (1) 労働組合との資格要件、 (2) 事業運営に関する要件です。具体的な中身については 8 ページを御参照いただければと思います。

 これについて検討の方向性です。 1 つ目の○は、許可基準は現行の基準を維持することとしてはどうか。 2 つ目の○は、許可基準のうち事業運営に関する要件の中には、許可申請時のみの確認ではなく、遵守されていることについて継続的に確認し、行政指導を通じて履行確保を図ることができるようにするべきものがあるのではないか。以下の点について、指針に規定することとしてはどうか。➀労働者を供給するにあたって、人種、宗教、性別、門地又は身分を理由とする差別的な取扱いをしてはならないこと。➁労働者供給事業による供給される労働者でなくなる自由が、労働者に保障されていること。➂労働組合法第 5 条第 2 項第 3 号から第 9 号までを含む組合規約が定められ、これが遵守されている等、民主的な方法により運営されているものであること。➃労働者供給事業が無料で行われていること。➄労働者供給事業により、供給される労働者から徴収する組合費が過度に高額ではないこととしております。事務局からは以上です。

○阿部座長 それでは、委託募集の件と労働者供給の件の 2 つの論点があります。どちらからでもいいと思いますので、皆様から御意見があればと思いますが、いかがですか。

○水町委員 労働者供給の所でちょっと気になったのが、「行政指導を通じて」ということで「指針に規定する」と書かれていますが、➀~➄に書かれていることは、具体的な規制の例というよりも一般的なルールなので、法令上の位置付けを持たせて、行政指導ではなくて、きちんと法令に違反しないかどうかという観点から監督・規制をするというように位置付けるべきものではないかと思います。いかがですか。業務取扱要領で。

○竹内委員 前提として、よろしいですか。今の話に関連して、現行規制だと 45 条が根拠規定で、それで具体的な許可基準内容については業務取扱要領でとなっていて、ここで検討の方向性として志向しているのは、現行は、業務取扱要領になっているのを、指針レベルに格上げをしようという御趣旨で指針と書かれていると理解してよろしいでしょうか。

○松本課長 提示している検討の方向性としてはおっしゃるとおりで、少なくとも指針にしなければいけないのではないかという御提案をしているつもりです。

○水町委員 法令上の位置付けとしての指針だとすると、監督が行政指導となっているので、法令違反がある場合に、行政指導にとどめるということなのか、位置付けがどうなるのかということとの関係ですね。

○松本課長 定める内容が指針ということもあって、それをもって、いわば基準を明確にして行政指導をして、履行を確保するということです。しかし、途中で許可取消しということであれば、それは別途法律の規定が必要です。少なくとも行政指導について是正されなかったとか、そういった事情がある場合は次回の許可に当たって、それも考慮するということなのではなかろうかと思います。

○水町委員 それって法令上、行政指導というのですかね。法令違反があったことで、直ちに許可取消事由にはならないが、次回不許可にする事由となるということの位置付けというのは。

○松本課長 すみません。なり得るということを申し上げたわけですが、現行でも許可基準として組合の資格要件のほかに事業運営に関する要件というのは、今でも許可の基準であるわけです。事業運営に関する要件を判断するときに、今後これができるかどうかという判断をするときの考慮要素になり得るというつもりで申し上げたのです。

○水町委員 言葉として、行政指導ではなくて、例えば適切な監督を行い、とかというようにしたほうがいいのではないかということです。

○松本課長 分かりました。

○竹内委員 今のに関連する質問ですが、職業紹介の許可に関しては、次の更新時期を迎えたときに更新しないということももちろんあるでしょうが、許可の取消しというのも制度上は存在していると思います。そのような許可の取消しの 1 事由にするような形には特にしてないように見えます。実際に事業を行っていく中で、これらの基準を満たしていないときについては、そこで適切な監督等をして、次の更新時期が来たときに考慮するという形の話だったと思いますが、許可の取消しのような形で位置付けない、そのようなものとまではしなかったということについての理由がもしあれば教えていただければと思います。

○松本課長 許可の取消しの規定は準用されていないこともあって、労働者供給については現時点ではないわけです。今の法制度がそうなっていて、かつ今回それを提案しないことについての現時点での事務局の素案は、今の時点で不適切な状態を把握してはいないので、今の時点でそこまで必要かということかと思います。

○竹内委員 分かりました。

○松本課長 訂正します。委託募集の許可の取消しの規定が準用されているので、許可の取消しは可能です。失礼いたしました。

○阿部座長 よろしいですか。では、水町委員の御意見を少し考えていただいて、労働者供給の所の指針にするのか、その上の法の中に書き込むのかというのは御検討いただければと思います。ほかにいかがですか。

○松浦委員 委託募集の所で確認です。委託募集の許可制を廃止するということは、委託募集で報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときには紹介の事業許可を取らなければいけなくなるという理解でよろしいのですか。そもそも今の取扱いもそうですが、報酬受領の禁止とか報酬供与の禁止というのが職安法で別に定められていて、ただし、 36 条の許可を取ったら報酬の受領が認められるという作りになっているのですよね。そうすると、許可制がなくなるということは報酬の受領や供与が一切できなくなるということですか。

 

 今でなくてもいいのですが、ちょっと気に掛かるのは、許可を前提として報酬の受領が一部例外的に認められているのが、許可制を廃止することによって、報酬の受領が一切認められなくなり、結果として報酬を受領する場合には職業紹介の許可を取らなければいけなくなるのか。つまり、許可制を廃止することによる影響の範囲を確認していただければという趣旨です。

○松本課長 分かりました。次回までに。

○大久保委員 松浦委員の質問と同じことです。もう少し確認したかったのは、実際には採用募集と選考を外部に委託するということがあって、そのリクルーティングプロセスアウトソーシング、 RPO という事業体が結構たくさん今、出ていまして、この事業に対して今回の委託募集の禁止規定が廃止されたときに、何かしらの規制が残るのか残らないのか。そこのところを少し整理して理解したかったので、私も同じような質問をしようと思っていました。

○阿部座長 では、ちょっと確認していただいて。ほかはいかがですか。

○安藤委員  1 点だけよろしいですか。この委託募集のページの一番上の丸囲みの所で、「職業紹介事業のルールと比較しつつ、見直す」とあるわけです。最初に議論になった基本的な考え方の所で、松浦委員からもあったように、規制の明確化というお話がありました。水町委員からも規制改革会議の話がありましたが、なぜ、こういう規制があるのかということが明確になっていれば、そのルールにみんな従おうとする気になる。そういう観点からも、職業紹介事業のルールと比較しつつ、この委託募集のほうを見直すとしたら、例えば許可制、届出制及び報酬の認可制など、これまであったものをなぜ取っていいのかという理屈がきちんと説明されていると。例えば、このような時代の変化があった、このような面で必要がなくなった、必要がないことが分かったといったような理屈があって廃止するとなれば、社会全般からも、また規制を受ける側からも納得感が高いと思います。そこが後々、きちんと分かるようなものになればいいかなと感じました。これは単なる感想です。

○阿部座長 分かりました。では、その辺りも。今の時点で何かありますか。

○松本課長 これは一巡目の議論のときに、委託募集というのは募集を依頼する側、行動する側ではなくて、依頼する側に掛かるという点は、戦前戦後直後の状況から、いわば弊害が起こりそうなのを、発注者側で抑えようということとしか理解できない規制であるけれども、本来あるべきルール設定としては実際に行動する、募集する、人集めするというのは、募集する側にルールが掛かっているべきということからすると、この募集を委託する側に掛かっているというのは、少なくとも今の視点から見ると、規制の在りようとして必要な規制であろうかという御意見を頂戴したかと存じます。

○竹内委員 今、御説明いただいたこととも関連するかと思いますけれども、もともと一巡目に議論したときには、今おっしゃったように、現行規制だと委託募集については、委託する側の者が許可を取らなければならないとされている点が、雇用成立につき介在するほうに責任等の規制を掛けていくこととの関係で見ると、むしろ不整合ではないかということだったかと思うのです。そのような意味で、委託者が許可を得なければならないというような所については見直していいのではないかという議論だったように、今思い出してみると記憶しているところです。

 そのような意味では受託者のほうで、では、どんな規制が残るかというのは、もう少し別途詰めて考える必要があるかなと思います。松浦委員等から話があったような点は、受託者がどれだけの報酬をもらう、あるいは受託者に報酬を与えて、ある意味、人をとにかくかき集めてくるようなことにならないかどうかなど、受託者のほうの規制として、検討するということになるのではないかという気がいたします。初めの議論では確かに、そこは余り議論されていなかったかもしれません。委託者に許可を取らせるということが不整合だという、そちらに集中していたのかなという感がございます。

○阿部座長 では、ちょっとその辺りを整理していただければと思います。その他、いかがですか。

○安藤委員 労働者供給のほうの 7 ページ目の一番最後の➄です。これが難しいことだとは重々承知して言っておりますが、労働者から徴収する組合費が過度に高額でないことといったときに、これがどの程度を指すのかというのが分からないと、結局は、実効性がない文言になりかねないと思うのです。この過度に高額ということは、例えば実務をやっている人は、どのように捉えればいいのでしょうかという疑問にもなるのですが、それは社会の一般常識に合わせてという程度のことなのか、それともある程度の目安があるのか。又は、他国ではこういう点について組合に対する一般的なルールがあるのか。もしお分かりになれば、その範囲で教えていただければと思います。お願いします。

○松本課長 まず、この組合費がどうかという点については、申請の都度、記載させるということですので把握はできます。ただ、それが標準的なのか高額なのかというのは、多分に価値判断を含む部分です。ただ、立付けとして、これは労働組合が加入する組合員から幾ら取るかというのは、当然、組合で議論された上で設定されているというのが大前提です。ですから額そのものが、例えば何%を超えてはいけないとか、何円を超えてはいけないとか、基本的には介入することは適切ではないというのが抽象論だと思います。ではなぜ、あえてここに➄が書いてあるのかということなのですが、これは➂とも関係するのですけれども、こういった指針があることも踏まえて、きちんと組合員が組合の中で議論して、納得して組合費を払っているのかという点を、改めて見直すきっかけにもなればという観点。それと明らかに過度に高額、例えば 80 %とか 90 %とか、明らかに変であると。つまりギリギリの所については線引きはなかなか難しいですけれども、そこは指導監督すべき明らかに不適切な水準ということがあった場合の指導監督の根拠にしたいということと、先ほど申し上げた個々の組合員なり組合が、その組合費の設定について、考えるきっかけになってもらえればと、この 2 つを想定して入れているものです。

○阿部座長 よろしいですか。ほかにはどうですか。特にこの委託募集と労働者供給について、これ以上また何かあれば、お話いただきたいと思います。

 では、次の論点です。その他の雇用仲介事業に関する論点に移りたいと思います。この仲介事業とその他です。 4 つ目、 5 つ目ですね。では、事務局より説明をお願いします。

○手倉森企画官 資料の 9 ページ目を御覧ください。その他の雇用仲介事業ということで、これまでの議論の整理の中の 1 つ目で、職業紹介の定義について、より明確化することとしてはどうかとされておりました。この点について、現行規制の資料が下のほうにあります。インターネットによる求人・求職情報提供と、職業紹介の区分基準の中身が書いてあるものです。

1 つ目で、提供される情報の内容又は提供相手について、あらかじめ明示的に設定された客観的な検策状況に基づくことなく情報提供事業者の判断により選別・加工を行うこと。 2 つ目ですが、情報提供事業者から求職者に対する求人情報に係る連絡又は求人者に対する求職情報に係る連絡を行うこと。 3 つ目ですが、求職者と求人者との間の意思疎通を情報提供事業者のホームページを介して中継する場合に、当該意思疎通のための通信の内容に加工を行うこと。これらのいずれかに該当する場合には、職業紹介に該当するというのが、 12 年の局長通達で示されているのが現行の仕組みになります。

 この点についての検討の方向性ですが、 1 つ目の○で、職業安定法にいう職業紹介とは、「求人及び求職の申込を受けて求人者と求職者の間に介在し、両者間における雇用関係成立のための便宜をはかり、その成立を容易ならしめる行為一般」とされているとあります。これは最高裁判例等です。求人・求職者情報提供と職業紹介 ( あっせん ) との区分に関して、利用者の視点又は事業者の視点で更に考慮すべき事項はないか。これは総論的な御提示ですが、そういった検討の方向性が 1 つ目です。 2 つ目ですが、情報の内容や提供の相手の「選別・加工」、現行の規制でいうと 1 つ目ですが、選別・加工に関して、例えば次のようなサービスが議論となり得るかということで、リコメンド、メールマガジン、有料会員には無料会員と異なる情報も提供ということを掲げております。 3 つ目の○ですが、現行の規制でいうと 2 つ目、 3 つ目ですが、「連絡」「通信の内容に加工」に関して議論となり得るサービスがあるか。 4 つ目の○ですが、この区分の周知を徹底する必要があるのではないか。 5 つ目の○ですが、この区分について、法体系上の位置付けを見直す必要はないか、としております。

 この職業紹介の定義に関連して、資料 11 ページと 12 ページで、 3 11 日の検討会で、人材サービス産業協議会から出された資料をお付けしております。御参照いただければと思います。

 あとは 9 ページにお戻りいただき、これまでの議論の整理で法規制のある業態以外の雇用仲介事業ということで、求職者・求人者保護の観点から、少なくとも個人情報の取扱いの義務、守秘義務、労働条件等の明示義務等、募集内容の的確な表示、募集に応じた求職者からの報酬受領の禁止などのルールについて、更に検討することとしてはどうかといった整理がなされております。この関連で資料 10 ページですが、現行のルールについて資料のほうを再掲しております。事務局からは以上です。

○阿部座長 その他についてはいいですか。

○手倉森企画官 申し訳ございません。もう 1 点あり、その他ということで、資料 14 ページ目を御覧いただければと思います。まず、下の参考事例を御覧ください。再就職支援を行う職業紹介事業者が、人員削減を行う企業に対して再就職支援と合わせて提供するサービスについて、退職者を作り出しているのではないか、労働者の自由な意思決定を妨げるような形で行われているのではないか等の問題がある旨指摘されたという事例もあったと。

 そういう中での検討の方向性です。職業紹介事業については、様々な課題も指摘されていることから、職業紹介事業の一層適正な運営を確保するため、指導監督等を強化する必要があるのではないかということで示しております。以上です。

○阿部座長 それでは、その他の雇用仲介事業と、そのほか、今出てきたお話等を合わせて皆様から御意見を頂戴できればと思いますが、いかがでしょうか。

○竹内委員 まず 1 点質問をさせていただきたいのですが、その他の雇用仲介事業の➀の職業紹介の定義という所に関わる質問です。職業紹介の定義というのは、現行法だと 4 1 項に、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることという規定があります。判例は、私が誤解していなければ、昭和 28 1 20 日のものというのは、東京高裁の判決ではないかと思うのです。 30 年や平成 6 年などに最判もありますけれども、最判も含めて確かに、現行法 4 条の解釈として、この求人及び求職の申込みを受けて求人者と求職者の間に介在し、両者間における雇用関係成立のための便宜を図り、その成立を容易ならしめる行為一般という判断を示しているわけであります。

 質問をしたいのは、一応判例がその職業紹介に関する定義を、法令の規定をほぼ踏まえた上で、今のべたように、もう少し説明していることとの関係であります。通達では、インターネットなどに関するものについて、これこれの場合には職業紹介に該当するという形で、 1 2 3 として示されているわけです。この通達は、今申し上げた法令の定義や判例の解釈として示されている定義とどのような関係にあるのでしょうか。

○阿部座長 では、事務局お願いします。

○松本課長 当該通達そのものにも記載されているのですけれども、求人情報なり求職者情報の提供というのは、その字面だけを見れば情報の提供であって、紹介ではないと。つまり利用者は、情報を参照する。参照した情報を基に当該利用者、求人者なり求職者自らが行動するということを想定しているので、その点は情報提供なわけです。けれども、その情報提供というのは、これは定義も特段ないわけですので、そういう意味で、情報提供という名の下に事実上、法律でいうところのあっせん、判例でいうところの、成立を容易ならしめる行為一般に該当するような行為が事業者により行われているのであれば、それは法令的には職業紹介と評価することになると。では、それは具体的にどこで区分するのかというのを、より具体的に基準を示さないと情報提供事業者にとっても利用者にとっても安定性を欠きますので、そういう意味で 12 年に示されたものと承知しております。

○安藤委員 この最高裁判例となっている括弧書きを見ると、法律家ではない一般人から見ると、どう考えてもこれは求人情報提供を含まれるように読めてしまうのです。というのは、求人者と求職者が 1 1 で街で出会うといったことではなく、その出会いを容易にしているような行為、例えば求人情報として冊子を作るであるとか、ホームページで一覧性を高めるであるとか。これは求人者と求職者がそこに行けば、より簡単に相手に出会えるということで、正に雇用関係成立のための便宜が図られていて、容認させているのではないかと思うのです。なぜ求人情報提供は便宜を図ったり、成立を容易ならしめる行為を入らずに、何の規制があるか分からないのですか。

○阿部座長 でも、それはその括弧書きの中に、求人及び求職の申込みを受けてと書いてあるからではないですか。求人及び求職というのは、どちらからも申込みを受けないと駄目で。

○安藤委員 「及び」だから両方からのと言ったのですか。

○阿部座長 ええ、両方から、双方から申込みを受けるということが前提であるということでしょう。

○安藤委員 そういうことなのですね。

○松本課長 申込みを受けてということと、あとは「介在し」ということ。

○阿部座長 介在するということですね。

○松本課長 それと、その行為が行われる。

○阿部座長 ですから情報提供は一方にだけ介在している、いや、介在とは言わないですね。

○松本課長 間に入らないということですね。

○阿部座長 ということなのでしょう。

○安藤委員 では、求人サイトのような形になっていて、そこが窓口になっていると。でもそれも求人・求職の申込みはないからと。

○阿部座長 ないから。

○安藤委員 分かりました。ありがとうございます。

○阿部座長 ただ、それに類似するようなことが行われると、もしかしたら申込みあるいは介在という形になってくる所が出てくるということですよね。議論を複雑にしたかもしれません。ですから、資料に出てきますが、リコメンド、メールマガジン、有料会員には無料会員と異なる情報も提供というのが、選別・加工に当たったりして。

○安藤委員 選別・加工が介在だということなのですね。

○阿部座長 近付いていくと。

○松本課長 選別・加工というのを突き詰めていけば、利用者に対して、あなたに合う求人はこれだと思うと言って、これを進めて、では、ここと連絡を取って申し込みますか、では我々があっせんしましょうという選別・加工の究極が 1 つに絞って提示される。この基準に選別・加工があるというのは、そういった業者の判断、顧客の希望も踏まえた、また求人企業、求職者側のそういったニーズも踏まえた判断をして、成立に向けて合意する。合意に極めて近くなるので、この選別・加工が絞られれば絞られるほど、個別性が高くなればなるほど、成立させるためのあっせんと評価する可能性が高くなるということで、この基準の 1 つに挙げられているのだと思います。

○安藤委員 分かりました。

○阿部座長 竹内委員はそれでいいですか。最初の質問はそれでよかったでしょうか。

○竹内委員 最初の質問は判例と、この規制の関係を聞いたものですので、それはそれで 1 つ、質問とお答えしては完結していると理解しました。

○阿部座長 分かりました。

○大久保委員 そのような選別・加工と連絡というのは、平成 12 年の段階で、表現として 3 つ並べられて、いずれかに該当する場合は職業紹介に該当するのだということになったわけなのですが、今現在の議論では、その間に IT がどんどん AI とともに進化していったので、グレーゾーンが更に広がってきたわけですよね。

○阿部座長 そうですよね。

○大久保委員 ですから、もう 1 回原点に立ち返って、何が職業紹介で、何が文書募集なのかということの間を明確に、より分かりやすくする必要が出てくる。そうすると、選別・加工とか連絡は、その単語のままだと非常に分かりにくいので、その前後関係をもう少し明確にするとか、あるいはその考え方をより明確にするということが必要になってきているのだと思うのですね。

 もともと求職の申込みに基づいて、では、あなたにはこういう仕事がふさわしいと思いますよというように 1 つに絞って、求人情報を個別に提示するという行為が、先ほど御説明があったとおりの選別・加工というニュアンスに近いと。つまり、ここにリコメンドの例が出ていますが、要するに求人サイトで閲覧して検索して、好きに求人が見られる中で、一般の商品販売サイト、アマゾンのようなサイトがやっているように、検索履歴に基づいて AI が機械的に判断して、いろいろなリコメンドをしていくものを、それは職業紹介における紹介行為だと見直すのは、やはり無理があると。そういうものは例示的に言えば文書募集としての範疇であって、職業紹介に直接該当するものではないということなのではないかと思うのです。

 例えばメルマガなども宛先は大久保さんで来るけれども、それは機械的に全部名前で取りあえずやって、基本的には選別・加工しているものではない情報を一斉に送っているというものまで、職業紹介における選別・加工の範囲に入れてしまうのは素直におかしいというわけです。あくまでも求職の申込みがあって、それを 1 つに絞って、あなたにはこれを紹介しますという形で、ほかに選択肢はなくて、それを提示しているというのは明らかに職業紹介の行為だと思いますし、送った後に対して求人者との間に介在して、双方に連絡を付け合って、それが成立しやすいように流すみたいな行為のために、電話であろうとメールであろうと何か連絡を取れば、それは連絡という行為だと思うのです。その辺のところがもう少しクリアに分かるような形にする必要があるのではないかと思います。その中で、一般的な求人サイトでやっているリコメンドやメールマガジンを紹介だというのは、明らかに行き過ぎではないかと思うのですが。

○竹内委員 今のお話に関連して、具体的に考えたほうが分かりやすいかなということで、ちょっと質問させていただきます。今のお話の中でリコメンドの話があって、メルマガも資料に挙がっていますけれども、それは職業紹介には当たらない、職業紹介と扱うのは難しいのではないかというお話だったと思うのです。

 リコメンドについて言えば、 1 つに絞っていないかもしれませんけれども、求職者のいろいろな情報などを踏まえて、多分 AI やアルゴリズムなどで判断した上で絞っているということだと思うのです。だから、リコメンドについては職業紹介に当たらないということだと思います。しかし、通常の職業紹介における業者も、いろいろな情報のうちの 1 つを、「はい、これはどうですか」と示して、職業紹介を行っているのだと思います。この両者を区別するというのはどこにあるのでしょうか。それは AI やアルゴリズムでやっていれば該当しなくて、人がやっていたら該当するということなのでしょうか。

○安藤委員 私も今の話に関連して、やはり考えたのは、この選別・加工ということに対して、個人別に求職者別に異なるものが出てくることが大事なのか、それとも人がやっていることが大事なのか、どこが線引きなのだろうと。グレーゾーンは、やはり大久保委員がおっしゃったみたいに、いろいろあります。 1 個だけお勧めが出てきたら、これはどう考えても職業紹介だと思うわけですが、例えば、あなたにお勧めなものを 3 つ提示します、うちが持っている求人のリストは 100 件あるけれども、それをあなたに合っている順番に 100 件全部一応見せますと。見せてはいるのだけれども、優先順位というか、上から順番に並べ替えをその人の希望に合わせて AI でやっているということになると、そこに自分が登録した内容に応じて、見る順番が付いているということは、やはり人間は上のほうしか見ないと考えると、何か選別しているようにも見える。でも、それを言い出すと前もやった議論ですが、求人情報誌だってどういう順番で並べるかというのは、それはお金を出した順番、高い金額を出せば大きい欄になるかもしれないということで、やはりそこは連続的になっていて、やはりきちんとクリアカットに切る何かの視点が 1 個あると、分かりやすいのかなと感じております。

○大久保委員 今の議論なのですが、要するに、求人サイトというのはもともとペーパーベースであった求人情報誌が IT 化したものですよね。ですから、ユーザーは全部閲覧ができるわけですよ。求人票を自分で検索して好きに閲覧をして、その会社に対して応募行為ができるという、基本機能がそういうところにあるので、その人にたまたま膨大な求人がありますから、求人履歴や属性から、こんな求人にも興味があるのではないですかといったリコメンドが出てくると。別にそれは使う人間が無視しても全然構わなくて、自分で常に直接応募するという権利が担保されている状態。そういう状態を私はいわゆる情報提供といわれるものだと思いますので、その辺の実態を踏まえて、この選別・加工や通信ということを理解する必要があるのではないかと思うのですよね。情報が限定されて、全体を見て検索・参照するところがもし閉じられていれば、それは、その状態でリコメンドするとすれば、そのリコメンドは職業紹介事業者のリコメンドですから、それは職業紹介だと思うのです。そこに私は境目があるのではないかと思います。

○阿部座長 ここは非常に難しいところだと思いますが、原点に立ち返って、我々がこれを議論するときに求職者保護という観点はすごく大事なのではないかと思います。求人情報提供の場合というのは求職者側が主体になって、その責任のもとで自分に合う求人を探していくという行為をしているわけです。一方、職業紹介というのは、もちろん求職者のことを考えていないわけではないですが、どちらかというと求人側が求職者側のことを考える。そういうのも含めて、紹介会社が主体となって情報提供していく立場にあるのではないかと思います。その場合には求職者の保護というのをよく考えてもらわないといけない。一方、情報提供の場合に主体になるのはあくまで求職者なので、もちろん情報提供することはしていますけれども、雑誌を見るにしても今の WEB を見るにしても、どのように選ぶのかは求職者が主体となってやってくださいということだと思います。その辺りを考えて情報提供なのか、それとも紹介なのかというのを考えていくというのが、もしかしたら 1 つの解ではないかと思います。

 インターネットのところは、どちらなのか線引きするのは難しいかもしれない。ただ、リコメンドでも例えばリコメンドした結果しか見せなくてというのは、多分、紹介かなと思います。リコメンドはあくまでもリコメンドで、こういうのが今はありますよ。だけど、ほかにこういうのもありますよと見せるようなホームページの作りだってあるわけです。だから、その辺りを見ていく必要がここはあるのかなと私はずっと考えてきているのですけれども、難しいのは難しいですね。

○大久保委員 もう 1 個だけ、原点に立ち返ったときに実態が職業紹介に当たるものなのか、どうなのか判断する必要があります。

○阿部座長 ということなのではないか。

○大久保委員 実際の求人サイトの中で、ネーミングはいろいろなネーミングが実はあるのだと思います。つまり求職者から見ると、ヘッドハンティングされている気分で直接応募できるとモチベートされるというのがある。そうすると、実際には求人サイトの一般的なリコメンデーションだったり情報提供だったりするものに、何とかスカウトサービスみたいな名前を付けたりしているのもあるのです。ただ、それと本来のヘッドハンティングは全然違うもので、どちらかと言うと商品のブランドを作るためにやっているものですから、名前で判断するのでなく、実態としてどういうところの機能があったら職業紹介で、どういうところがなければ求人情報提供なのかというのを、きっちり判断できるような基準を持つことが大事だと思います。

○竹内委員 もう 1 点、今まで議論があったこととちょっと違う話になってしまうかもしれませんが、今の議論の中でも、どこで線引きするのかが非常に難しいということを改めて実感したわけです。その裏側というわけではないのですが、切り分けの難しさということを踏まえたときにもう 1 つのアプローチとして、どんなサービスであってもこれは必要だという規制は 9 ページの第 3 の➁に出ていますけれども、そちらとしてどういうものがあるかを考えることも必要と思います。資料のここに挙げられているものは最低限、どんなものでも必要ではないかという気がしますけれども、少なくとも個人情報の取扱い、保護に関する義務、守秘義務、明示義務、あと、差別しないといったことは最低限、こういう仲介事業でも必要と思います。

 そういう最低限、必要とされるべき規制の上で、職業紹介だと現行のルールとしては 10 ページに幾つか○が付いているものがありますが、これらについては職業紹介でない雇用仲介であっても、必要なものとそうでないものがあるか、という形で考えていく。そういう意味では 9 ページで出ている➀、➁をどうするかという話は、論理必然的にというわけではないのですが、関連付けられて議論する必要があるのかなという気もいたします。以上です。

○水町委員 個人情報等の保護については、どういう事業者についてもきちんと守らなければいけないというのは共通することだと思います。あとは職業紹介事業として許可等の諸々の規制対象にするのか、その対象外にするのかというところで大切なのは、そもそもこの職安法が雇用仲介事業、職業紹介を中心とするようなものに規制をしている。そのもともとの法の趣旨は何かというと、人身売買であったり強制労働であったり中間搾取という人権侵害を防止すること。そこで、どこで線引きするかということの趣旨から考えたときの最終的、究極的な判断のポイントは、仲介事業として恣意的操作ができるかどうかが決定的に重要なのかなと思います。普通の公正なビジネスではなくて、例えば人を騙したり悪いことをしようということで間に介在して、人権侵害みたいなことを起こす可能性があるものについては、許可制できちんと監督しましょうということなので、それがアルゴリズムによる形式的にできることと、人が介在して何か恣意的な判断をすることで、そこでうまく切れるかどうかはちゃんと精査しなければいけないと思いますが、法の趣旨からすると、仲介業者として恣意的操作が可能であれば規制をちゃんと入れなければいけないし、そうでない場合についてはそういう規制は要らないとなるのか。そういう観点が重要かなと思います。

○大久保委員 ルールを作る上での大前提として踏まえておかなければいけないことがあると思います。 1 つは、今、水町委員がおっしゃったようなことだと思いますし、もう 1 つは、いわゆる日本で求人サイトと呼ばれているもので、国際的にはオンライン・リクルーティング事業と一般的に言われますけれども、この事業体は世界中で最もポピュラーに使われていて、既に入手経路でいくと圧倒的にこのルートが 1 番になっている。つまり、国際的に見てジョブマッチングの一番ポピュラーなツールになっているものです。国際的に見て、このオンライン・リクルーティングに関する規制というのは実はほとんどない状態です。仮に日本だけそこが厳しくなると非常にバランスも悪いですし、もう 1 つは、現在議論している改正後の有料職業紹介事業についてのルールを踏まえようとすると、実際のオンライン・リクルーティング事業者というのは大幅なコスト負担になって、ほぼ実質的には成り立たなくなることにもなります。つまり、その人たちが個別に全部事業所を持って運営し、紹介責任者を置いてということについては、多分、両立しないものなので、あまりそこについて広義に職業紹介事業というのを解釈していって、国際的に見るオンライン・リクルーティング事業を、これは職業紹介ではないかとどんどん拡大解釈していくことは、私は避けるべきだと思っています。その辺りのことも踏まえながら、適切な求職者保護が図られるような線引きを考えていくべきなのではないかと思います。

○安藤委員 水町委員からあった恣意的操作というのは、私もとても気になったポイントなのですが、それが行われる余地というのはどこにあるのだろうと思います。仮に年収 700 万円未満で求職側からお金は取れないケースを考えます。求人側だけからお金を取るのであって、かつ、どの企業とマッチさせても、この雇用仲介事業者にとって得られるフィーが同じだったとすれば、評判がよくなるように一番いい組合せにするだろうと思いますが、恣意的な操作ということは、求人者と求職者の最適なマッチングでなくて、ほかにもっといいマッチングがあるのに、あえてそうではない組合せを実現するということが、多分、恣意的な操作だと思います。そこから利益が得られる可能性があるとしたら、例えばフィーが高い求人企業のほうを優先してマッチさせるとか、幾つかの類型が考えられると思います。そう考えると、水町委員からあった恣意的操作ということの具体的な中身として、どういうものがあり得るのかということを確認しておいてもいいのかなと思ったのです。私が思い付いたのは、フィーが高い所とマッチさせることぐらいだったのですが、もし他に何かあるのだったら、それをきちっとしておくと、実は職業紹介は労働者保護に欠ける可能性があるから規制しないといけない。具体的にどこを規制しないといけないのかみたいなところが、より明確になるのかなと感じました。以上です。

○阿部座長 具体的にと言うと難しいですね。

○水町委員 そもそもの淵源から言えば、情報量なり力関係で劣る労働者に十分な情報を与えずに、騙して誘拐をしてきて働かせるとか、必要以上のお金を取って儲けるとか、要は力関係が強くて情報をいっぱい持っている人が、力関係の弱い人に対して恣意的な契約取引をして不当に儲ける。その中で生じた人身売買や強制労働、中間搾取を禁止しようというものですが、恐らくそれは形を変えて言えば、今、言ったような経済学的理由の説明になって、今でも潜在的には存在するものになると思います。

○安藤委員 今、おっしゃった理由のうちの幾つかは、それこそインターネットの発達や情報の透明化で、なかなか成立しづらくなってきているものもあると思います。例えば強制労働であったり人身売買であったりということは、もちろんやってはいけないことですけれども、それが起こりやすい関係にあるかと言ったら、そうでもないような気もするわけです。そうすると、この職業紹介で求職者保護をするときに、具体的にどことどこを押さえないといけないのかというところが重要なのかなと思います。

○水町委員 純粋に IT が機能して情報が皆さんに完全に行き渡り、みんな情報にアクセスして理解できるような完全な状況があればいいのですけれども、今でも外国人が関わる問題や年少者に関わる問題で同じような現象が起こってきているので、潜在的には同じような問題がまだ日本であるし、そことの線引きを一般的なルールとしてどうするかという問題なのかなという気がします。

○阿部座長 そうですね。もう数年前か 10 年ぐらい前だったと思いますが、栃木県で中学生が解体工として働かされていたということがあって、そういうケースはあります。未熟な若者とか情報の非対称性が強くあったりすると出てくるケースかもしれませんから、今でもそういうのは少なからずあるのだろうということだと思います。この辺りはもう一度整理させていただいて、どこが情報提供なのか。どこが紹介なのか。何で紹介と情報提供に分けて規制を入れなければいけないのかというのは、もう少し整理させていただければと思います。ほかにこの観点でどうですか。

○松浦委員 情報提供か職業紹介かを区分する基準として、多分、今までの議論で 2 つぐらい基準が出てきていて、 1 つは、ほかに選択肢があるか。要は求職者が能動的にアプローチできる選択肢がほかにあるかどうかということと、もう 1 つは、水町委員がおっしゃった仲介事業者が恣意性を持って操作できる余地があるかどうか。多分、この 2 つが選別の基準になるのかなと思います。 AI かどうかという外形的な基準というのは危うくて、 AI だって恣意性を持ってできることになるかもしれないので、時代によっても変わらず客観的に見ることができる基準としては、今の御議論の中の 2 つに納得しました。

 ただ、実際の現場の中で、職業紹介か情報提供かがファジーなところというのは、どうしても残るように思います。例えば求職者が申し出て情報提供する分には紹介に当たらない。求職者が希望して、求職者からの紹介によって情報提供事業者が介在することについては、それは情報提供なのですね。違いましたか。

○松本課長 質問に対して回答されたと。

○松浦委員 そうです。それは情報提供ですよね。

○松本課長 はい。

○松浦委員 ただ、やり取りの中で、そういうニーズがあるのだったらと思って、こういうのもありますよと別の話を補足すれば、その瞬間に職業紹介になるわけですね。そこら辺が多分、現場ではファジーな部分がどうしても残るのかなという気がしていて、そうなったときに、竹内委員がおっしゃったように、情報提供事業で最低限の規制を担保した上で、ファジーなところが懸念される部分については職業紹介の許可を取っていただく。ある程度、情報提供の規制を担保しつつ、職業紹介の規制のハードルをそんなに上げないという形で、両者を行き来できるような形でファジーな部分に対応していくところも、現実的には必要なのではないかと思います。

○阿部座長 ありがとうございました。委員の皆さんからいろいろ御意見を頂きましたので、また整理させていただきます。

○安藤委員 いかにも経済学者が言いそうな議論ですが、恣意性であったり恣意的な選別という話があったときに、求職者はその事業者しか使えないのだったら恣意的な選別に服さないといけない気がしますけれども、実態はどうなのでしょうか。私が求職活動をする場合だったら複数のサイトを見たり、職業紹介事業者に登録したりする気がしますが、そのときに恣意性が高いとか、気に入ったものが全然出てこないサイトや事業者があったら、そういうところの口コミみたいなものがインターネットに広がったりして、あそこは変なものしか出てこないと言われる所でなく、こっちを使うとか、そういう求職者が複数の事業者を活用することを通じた事業者間の市場における競争を通じて、一定の品質の確保ができないものなのか。

 もちろん、先ほど水町委員からあったような最低限の話であったり、阿部座長からあったように実際に判断能力が劣ると言っていいのかもしれませんが、当然、年少者の問題というのは対処が必要ですし、どこである程度の品質が担保されているかといったら、事業者間の競争というところも一定程度、その存在は認識しておいていいのかなと感じました。

○阿部座長 ありがとうございます。その他の所で職業紹介事業については、様々な課題も指摘されていることから、職業紹介事業の一層の適正な運用を確保するため、指導監督等を強化する必要があるのではないかという点については、皆様、何か意見はございますか。参考事例は生々しい直近の事例ですけれども、このようなことが、今後、起こる可能性があるかもしれません。

○松浦委員 指導強化をしていただくしかないかと。

○水町委員 指導強化の前提として例えば労使協定の締結とか、ここの参考事例の 2 つのポツですね。退職者を作り出しているのではないかとか、労働者の自由な意思決定を妨げるような形で行われているのではないか。逆に言うと、こういう再就職支援を行うとして職業紹介が関与するときに、労使協定の締結を超えて、労働者個人が自由な意思に基づいて決定したことが裏付けられているような事情が、法的に有効要件として位置付けられているか。その場合には単に労働者がサインしているだけでなく、適切な情報提供もきちんとしてやることによって、退職者を作り出している状況が創出されることを防げる制度になっているかというところを、少し教えてください。

○松本課長 これは完全に民事の話ですので、制度上、何かルールがあるわけではありません。

○水町委員 制度になっていないときに、指導監督によってこれを防ぐというときに何をどう指導監督するのかというところも課題になるかもしれない。

○松本課長 これ自体で、何か御議論頂こうという意味で御提示申し上げたわけではなく、職業紹介事業者についていろいろと問題事象が、今後も発生する可能性があると。この事例が何度も発生するという意味ではなく、これはあくまでもこういう事例があったということを添付しているだけです。

○阿部座長 ですから、この例で言えば再就職支援が、本来、望ましい再就職支援とは別の形で退職強要みたいなことになってしまったと。それを多分、職業紹介事業者あるいはそこで働いている従事者に、再就職支援を行うということは一体どういう意義があるのか。あるいは労働法はどういうものなのか。一般的に労働政策をしていく上で、必要な最低限のことは理解していただかないといけないということだと私は思っています。というのは、今回、この参考事例で言うと、再就職支援というのは一体どういうものかというのは事業体としては理解していても、小耳に挟んだ情報では現場が理解できていなかったということを聞いているのです。ですから、職業紹介責任者を置いているケースがあったとしても、実際に従事している人全員が、必ずしもこういう理念や政策の本質あるいは法の理解が進んでいるようには思えないので、そういうところから始まっていくのがいいのかなと私は理解します。

○水町委員 この話は職業紹介事業一般の話ではないので、この検討会でどうするという話ではないと思います。そういう意味で労働移動支援助成金の在り方に関わることで、これは規制改革会議で議論したときも繰り返し申し上げたのですが、労働移動支援助成金というのは積極的に活用して、失業なき労働移動をきちんと実現するという意味で非常に大切な制度です。その中で濫用的な形態が起こらないようにするために、単に労使協定を過半数組合と締結しているだけでなく、個人のきちんとした同意を得ると。そこで作られた退職が導き出されないようにする担保が、きちんと制度設計として必要にもかかわらず、これは民事の問題だから、労働局としては民事の問題ですという話でずっときた中で、この問題が起こったということがあります。民事の問題かどうかというよりも、政策立法としてどういう政策立法を作るかという問題だとすると、この制度設計の中に内在するような濫用を生むような構造があるとすれば、それを制度の中で民事として突き放さないで、きちんとした制度設計をすることが大切なのではないですかと、ここでも改めて申し上げさせていただきます。特にここで議論する問題ではないと思いますが、意見として。

○安藤委員 よろしいですか。

○阿部座長 どうぞ。

○安藤委員 この参考事例については、私には事業者がどこからお金を取るのかという話に見えているのです。この職業紹介事業者というのは普通は求職者ではなく、求職者と求人企業をマッチさせて求人企業からお金を取るわけです。でも、この事例は恐らく求職者とか新たに人を求めている求人企業でなく、その労働者の現在働いている雇用主からお金をもらって退職に持っていき、新たな企業へのマッチングを支援するみたいな形になっている気がしていて、これまでの求人と求職のマッチとはまた別の有力なプレーヤーが登場しているような気がします。

 そもそも、こういう正に民事とおっしゃっている、そういうようなことをやるサービスは別に違法でもないわけですね。そうすると、職業紹介事業として求職者と求人企業以外に、どういう人が介在することが許されるのかについて、この参考事例には、これまで議論してきたのとは全く別の人が出てきているような気がして興味深いのですが、こういうのは一般的なのでしょうかというのが疑問としてあるのです。

○阿部座長 なかなか難しいのですが、再就職支援をするために退職者を作り出すという、その最初のところが問題なわけです。だから再就職支援そのものは問題ないとしても、再就職支援をしてもらうために退職者を作り出してしまうところが問題で、しかも、それは同一の人たちがやるということになると、これまた問題です。

○安藤委員 これは人員削減を行おうとしている企業に、この事業者が売り込んでということなのですか。

○阿部座長 個別具体的には、よく分からないところがあると思います。

○大久保委員 いわゆるアウトプレースメントサービスという、アメリカからスタートして日本でもかなりの数の会社が現実にあって、企業は雇用調整の一環としてどうしても人員削減を図らなければいけないときに、もともとは従業員の福利厚生の一環として位置付けられている。例えば自分が早期退職優遇などの制度を使って辞めて、ほかに仕事場を探したいときに自分で勝手に探しなさいというのでなく、そのための準備をしたり、その探すことを手伝う外部サービスとしてもともと成立したものなわけです。

 今回の労働移動支援助成金というのは、別にそれは事業者に入るわけではなく、本当は助成金とは別のところでやるわけですが、そういう助成金があるがために今回、そういうアウトプレースメントサービスとして活用する企業も、実質的には増えたということがあるので、そのときのお互いの決め方や中身の倫理の問題などでちょっと行き過ぎたところがあると、本来の趣旨を超えて首切りを促進するようなニュアンスのオペレーションになりかねないところがあるので、そういうところも職業紹介の許可を取っているわけですし、事業責任者もいるわけですから、教育等でカバーするというのは、 1 つの方法だと思います。

○阿部座長 この例が適切かどうか分からないですが、例えば私の個人的な見方で見ればお祝い金みたいなのも、もしかしたら、引き剥がしてフィーを稼ぐ仕組みになるかもしれません。だから職業紹介だけだったら、そしてそれを適正にやっていただけるのだったら問題ないですが、その周りでもっとフィーを稼ぐためになんていうことをされるというのは、ちょっと難しいということなのではないかと思います。

○安藤委員 この参考事例のどこが問題なのかというところが、具体的に分かっていなかったので混乱していたのです。ある外資系の金融機関で人事を担当していた方の本を見ると、いかに日本の法体系に従いつつ、即戦力としてうまくいかなかった人を粛々と企業から排出するかみたいなことを生々しく書いています。そこでも、例えば 6 か月分の退職のパッケージを提示して、これから何か月間いてもいいけれども、いたら、その退職パッケージから自分に給料を払っているのと同じことだから、早く出て行ったほうが得だよみたいな仕組みになっていたり、そこで再就職支援企業を必要とするのだったら、その費用は会社で持つよとか、いろいろなことをやって労働者を排出していくことが書かれていたわけです。そういうのも、一応、ルールに従ってやっているとその本では書いていたわけですが、どこがセーフで、どこがアウトの線引きなのかということが、この参考事例がトラブルになった、または問題視されたというときに、そのラインがどこなのだろうというのが興味があったところなのです。先ほど座長からあった過度に作り出すという話などは正に問題なのかなと。つまり、当該企業が求めている水準以上に仮にもっとこうすればたくさん切れますよと言い出したら、それはさすがに問題だろうというのは分かりました。ありがとうございました。

○阿部座長 多分、この事例だけでなくてほかにも今後、これに類することは起こり得るとは思うので、どうなのでしょう。指導監督等を強化する具体的な中身がどうなのかというのも見えてこないと、なかなか議論しづらいところはあるかもしれません。大久保委員がお話になったような教育といったところは、あってもいいのかなというふうに私も同感です。

 今日の 6 つ目、最後です。 6 つ目の論点で、職業紹介事業者間の業務提携の話を最後にします。

○手倉森企画官 資料の 16 ページを御覧ください。職業紹介事業所間の業務提携ということで、資料をお出ししています。前回の検討会の際に、業務提携について整理して資料をお出しするということで整理したものです。

17 ページを御覧ください。参考ということで、職業紹介事業者間の業務提携ということで、現行の取扱いについて整理したものです。時点の 1 つ目ですが、求職の申込みを受理する時点では、職業紹介事業者、この場合は提携元になりますが、取扱職種等について明示する、あるいは、求人求職管理簿の記載といった義務があると。これは、業務提携の有無にかかわらず課される義務になります。

 下の段ですが、業務提携により他の事業者に求人求職の申込内容を提供する時点ということです。提携元については、提携先の事業所の名称等について明示することが必要になります。あと、求職者あるいは求人者の同意の確認が必要と。一方、提供先のほうですが、求人求職管理簿の記載が必要になっています。

 あっせんを行う時点ですが、これは労働条件等の明示が必要になるということですが、これについては、※ 2 にあるように、実際にあっせんを行う職業紹介事業者が自らの責任において行うことになっています。

 その他ですが、求職者からの手数料の徴収については、実際にあっせんを行った職業紹介事業者の手数料と。事業報告についても、実際にあっせんを行った事業者のみが報告するといったことになっていると。これが現行の扱いです。

1 ページにお戻りいただきまして、事業者間の責任の在り方ということで、検討の方向性です。職業安定法上の義務のうち、業務提携により生ずる行為に係る義務について、次のとおり整理することとしてはどうかということです。➀は、関係する職業紹介事業者すべてが、行為に応じて義務を負うと。具体的には、求人求職情報の提供、あるいは、求人求職情報の受領に関しては、行為に応じて義務を負うと。➁ですが、あっせんを行う職業紹介事業者のみが義務を負うとして、労働条件の明示、手数料の適用、求人求職管理簿の記載、事業報告等があるのではなかろうかということで整理しています。※ 1 に関して、「あっせんを行う職業紹介事業者」を何らかの基準により一意に確定するか否かということで論点を 1 つ提示しています。求人側・求職者側、あるいは特段決めない、その他あるかと思いますが、一意に確定するか否かというのが 1 つあるかと思います。※ 2 ですが、現在の業務取扱要領では、法第 5 条の 3 の趣旨により、あっせんを行う職業紹介事業者は、求人・求職情報を提供した職業紹介事業者に、労働条件等の明示の義務の履行を委任することはできないこととしているが、この取扱いを維持するか否かという点についても掲げています。以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。これに関して、皆様から御意見を頂戴したいと思います。

○大久保委員 ➀、➁という形に少し補助的なコメントも含めて整理していただいたのですが、私は随分分かりやすくなったと思っています。この前は、あっせんを行う職業紹介事業者を、もう少しちゃんと確定するルールがあったほうがいいかという意見を言ったのですが、実際のケースをいろいろと想定してみたのです。そうすると、職業紹介事業者間の業務提携は 1 1 でやることもあるのですが、 1 対多、多対 1 のケースも結構ある。

 例えば、仮に東京に U ターンをしたいという求職者がいて、そうすると、そこに窓口となる職業紹介会社があると。例えば、北海道に U ターンをしたいというときに、多分、北海道にある複数の職業紹介事業者が持っている求人にアクセスをして、できるだけいい所を紹介してあげようとするとかです。その場合に、求職側が 1 で、求人のほうのインターフェースをやっている所が多々あるというケースになります。

 今度はまた、反対のケースも当然あって、地方で是非、 U ターン者を欲しいという会社から求人を受け付けた会社が、その適切な人を探すために、東京にある幾つかの職業紹介事業者と提携をすると。そうすると、これは今度は求人側が 1 になるのです。

 求職側が 1 になるケースと求人側が 1 になるケースがあるので、そうすると、そのキーになっている所が、あっせんを行う職業紹介事業者になるのが、多分自然だろうと思うのです。このケースで見ても、両側があって、あっせんを行う職業紹介事業者になる可能性はどちらにもあることであると、余り一義的にルールを決めて、機械的にここが責任を負いますと決めるのも、なかなか難しいのかもしれないと思います。だから、実態に沿ったところで、どちらかがあっせんを行う職業紹介事業者を決めるほうがいいのかと思います。

 ただし、実際に求人する側があっせん事業者であった場合については、その会社が求職者に対する労働条件等の明示を全部全うするためには、求職側の窓口になっている職業紹介事業者の協力が必要だと思います。そこが元々ちゃんと話を聞いて、求職者からの申込みを受理しているわけですから、そこが責任を放棄してしまうのは大変危険だと思うので、その場合については、求職者に対する労働条件等の明示については、あっせんを行っている求人側の職業紹介事業者が委任もできる形を取っておくのが、全体としてはスムースな運営管理になるのではないかと思います。多分、ここに書いてあることはそういう趣旨が書いてあるのだと思うので、そうであれば、割と交通整理がつくのかと思いました。

○竹内委員 今の大久保委員のお話にも関係するかと思うのですが、私はこの話を聞いていて余りよく理解できていないのです。大久保委員の話で、委任ができる、できない、それで義務を負うという話があったのですが、例えば、求職者に対応するほうが 1 で、ある労働者が北海道に U ターンしたいという場合のケースとしておっしゃったものを念頭において申し上げると、求人者のほうがあっせん等を行う事業者なのだけれども、実際の労働条件明示等では、窓口になっている求職者のほうに、労働条件明示の義務の履行を委託することができるようにしたほうがいいのではないかということだと思います。全体としては、求人企業のほうが義務を負っている主体だという感じの整理をされているように聞こえたのですが、業者間で業務に関わる権限分配とか、責務の分配をどうするかということと、法令上義務を負っていて、不履行について責任を問われ、刑事上や行政上の責任を問われる話は別ではないかという形で私は聞いています。

 ここで議論しているのは、法令上責任主体として義務を負わされて、違反に対してペナルティーを課される主体は誰かという話ではないかという気がしたのです。業者間で権限をどう分配するかというのは、それは業者間で決めていただければいいことだと思うのですが、法的には、不履行に対して誰が責任を問われるかという形として、私はこの問題を理解しているのです。

 そういう形で理解した場合には、事柄ごとによって違うと思うのですが、労働条件明示について、窓口になっているほうがちゃんと示さなかった場合という話が出ましたが、それはもちろん求職者に直接対応して、先ほどの例で言うと、東京の業者が義務違反の問題が出てくると思うのですが、求人のほうで関わっている業者も、ちゃんと明示をして、マッチングの事業遂行をやってもらわなくては困るというところがあるわけです。

 法令上の責任を問うという意味では、求職者に当たっている窓口の会社が義務を履行していないということで、それはそれで義務違反を問われると思うわけですが、提携してマッチングに当たっている業者が何らの責任も負わないという形になっているのが、本当にいいのかという疑問を私はあります。

 端的に言うと、マッチングに関わる以上は双方が義務を負っている。しかし、片方が義務を履行すれば、もちろんもう片方が義務を履行する必要はないと考えるのが適切ではないかと思います。要するに、求人者・求職者との関係で法令上課されている義務については、双方の業者が、あるいは全部の業者となるかもしれませんが、義務を負うと整とんをする。しかし、実際には誰かが義務を遂行することになると思いますが、その人が遂行すれば、もちろんいいですし、その人が遂行しない場合に、ほかの所も責任違反を問われる。責任違反を問われるからちゃんとやってくださいという働き掛けになっていくと思うのですが、私は聞いていてそういう整理の仕方でいいのではないかと思った次第です。行政との関係で課されている義務は、それはどこかの業者が決めて、行政と対応する形で義務付けをすることでいいのではないかと思います。

 そういう意味では、業者間でどう業務を分配するかという話と、法令上の義務違反の話という形を分けて考える必要があるのではないかと聞いて思いました。私が誤解しているかもしれませんが、以上です。

○松浦委員 大久保委員と竹内委員のお話を聞いて思ったのですが、例えば東京に求職者側の職業紹介事業者がいて、北海道に求人側の職業紹介事業者複数いるというときには、東京側の職業紹介事業者がキーにならなくてはいけない。そうでないと、求職者保護が図れないというのはもっともだと思います。もう一方で竹内委員がおっしゃるように、提携先の職業紹介事業者が全く責任を負わなくていいのかということも、重要な御指摘です。ただ、提携先の職業紹介事業者と求職側の職業紹介事業者の責任を同じように決めてしまうと、それこそ真ん中に落ちたボールを誰も拾わないみたいなことになる危惧もあるかと思っています。

 第一義的に責任を負うのがどこの職業紹介事業者なのかは、求職者保護の観点から言うと東京の職業紹介事業者です。その東京の職業紹介事業者が責任を遂行することができるように協力する義務を、提携先の職業紹介事業者に付与することはあるでしょう。ただ、一番責任を持つ所がどこかは、きっちり明確にしておかないと、東京の職業紹介事業者ということの責任をきっちりフィックスしておかないと、求職者保護の点で少し懸念があるかと思いました。

○阿部座長 東京のというのは、求職者側のということですね。

○松浦委員 そういうことです。

○大久保委員 先ほどの竹内委員の御意見を整理をしながら、もう一回少し追加的に申し上げたいのですが、恐らく業務提携する両者について、それぞれが責任を負うのが大原則で、しかもそれはある意味、ここでは➀にあるように、行為に応じて責任を負うのが、そういう趣旨だと私は思っている。一方で、事業者として行政に対して求人求職管理簿を記載するとか、報告するとか、これは両方でやるのは無駄な話なので、どちらかがやればいいと。それはどちらかに決めたらいいと。ここは割とはっきりしているのではないかと思うのです。

 それ以外に、今回、求職者に対する労働条件等の明示のように、求人と求職が連絡を取り合って、どちらかというと両方で共同で発生する業務みたいなものがあって、それをどちらが担当するのかをはっきりさせておいたほうがいいというのが、この趣旨ではないかと私は理解したものですから、たまたま求職側ではなく求人側があっせんの主体者になることが決まった場合については、委任もできるようにしておいたほうがいいのではないかと理解をしたのですが。

○安藤委員  1 対多と多対 1 で、そういう議論が大久保委員からありましたが、結局、マッチするときは 1 1 になっているわけですよね。という観点からは、私は松浦委員の考え方に結構近い考えを持っていて、求職者保護の観点から、誰が責任を持つのかが一意に定まっていて、明確なほうがいいとも思っています。そうだったとすると、➁のところは、 1 対多だろうが多対 1 だろうが、例えば求職者側が義務を負うとか、もう決めてしまったほうが早いのではないかとも感じたのですが、そうするとどういう問題があるのだろうと。

 例えば、求人側がやったほうが、効率的なパターンとかがもし明確にあるのであれば、話合いで決めるとか、あっせんを行う側が決めるとか、何かいろいろなものが有り得ると思うのです。求職者からすれば、何かトラブルや不満があるときに、誰に言えばいいのかと言って、こちらにと言ったら、いや、うちではない、向こうに言ったら、いや、うちではないと言われたり。そういうことになりかねないかというところだけは心配なので、統一ルールがあったほうがいいような気もしないでもないけれども、それによる弊害もありそうな感じがして、悩んでいるところでした。

○阿部座長 難しいですね。私は前回、求人側のほうがいいのではないかということをお話したように記憶しています。なぜ求人側かと言ったかというと、一番最後にマッチングするときに大事なのは、労働条件をどう決めるかといったところで、そもそも労働条件を提示しているのは求人側なので、トラブルが起こり得るのは、その辺りかと。もちろん求職側もなくはないと思うのです。ということで思っていたのですが、今、皆さんのお話を聞いていて、どちらかで一意に決めるのも、 1 つの策としてはあるのだろうということは思いますが。

○安藤委員 私がなぜ求職者側と考えたかと言うと、正に大久保委員から出た例で、地域で分かれているとは考えていなかったので、求職者が東京にいて、求人企業が北海道にあって、北海道の事業者に電話して文句を言っても、何かなかなか届かないと。でも、自分が直接会った又は自分の地域にある事業者にというほうが、効率的な気もということが理由でした。

○阿部座長 分かりました。まだいろいろとあって、なかなか難しいですね。でも、どこもデメリットがどのケースであるかとか、メリットがどこにあるかとか、少し分かりにくいところもまだあるので、この点はもう一度整理して、また議論できたらと思います。これに追加的に何かありますか。

○竹内委員 業務提携が可能であることを明確化することとしてはどうかということが、そもそも前提として書かれているわけですが、明確化する仕方としては、現時点ではどういうものを念頭に置かれているのでしょうか。業務取扱要領で書くとか、指針はちゃんと作るとか、何かそういう明確化の技術として、どういうことを現時点では念頭に置かれているのでしょうか。

○松本課長 現時点で想定している内容として申し上げれば、現在、 1 1 の業務提携は可能ということは、業務取扱要領で明示しているわけです。言わば、これは解釈といいますか、個々の念のための例示という性格のものだと思いますので、 1 対多の業務提携が可能であることを明確化する土台としては、業務取扱要領への例示の追加ということなのかと事務局としては想定していました。

○竹内委員 分かりました。ありがとうございます。

○大久保委員 先ほどから出ている議論の整理ですが、事業者間の業務提携をすると、実際には結構時間が掛かって、求人や求職を受理してから、それからこちらがいいのではないか、あちらがいいのではないかということでやり取りをして、決定するまで結構長いプロセスがあるのです。そのプロセス間に求人側・求職側にどういう形でその責任を担保するのかという話と、最後は 1 1 に安藤先生が言うように決めなくてはならない。最後、決まったところの後、最終段階のところを両方でやるのは重複するので、どちらが担いますかという話に本当は分かれているはずなのです。というふうに考えたときに、ここで言っている➀がプロセスの話で、➁が最終の話かと思ったのです。そうすると、➁は適切なほうがやったらいいのではないか。もしかしたら、そう考えるのだったら、最初からどちらかがやると決めておくのも 1 つの方法かもしれない。

○阿部座長 この辺りは、まだもう少し整理したほうがいいですよね。今日、 6 つの論点ということで皆様から御意見を頂きましたが、全体を振り返って、もう一度ここは言っておくというところはありますか。よろしいですか。よろしければ、時間もそろそろなくなりつつありますので、本日の検討会はこの辺りまでとします。

 この検討会も今日で第 15 回とかなり回数を踏んでやってまいりましたが、そろそろ取りまとめに向けて整理をしていかなければならなくなっているということです。残った論点については、また個別に調整しながら、事務局には取りまとめに向けた調整をしていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。それでは、事務局から連絡事項をお願いします。

○手倉森企画官 次回の日程は決まり次第御連絡しますので、よろしくお願いします。傍聴の方々に御連絡します。傍聴の方々は、事務局の誘導に従って御退席ください。以上です。

○阿部座長 では、以上をもちまして、第 15 回雇用仲介事業等の在り方に関する検討会を終了します。本日もどうもありがとうございました。


(了)

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