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2016年6月30日 第1回脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会 議事録

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成28年6月30日(木)14:00〜16:00


○場所

田中田村町ビル・貸会議室(8階)8E会議室


○議事

 

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 皆様おそろいになられましたので、始めさせていただきます。ただいまから「第1回脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課長補佐の魚谷と申します。よろしくお願いします。検討会の会長が決まるまでの間、議事の進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日、公務の都合上、健康局長は欠席させていただいております。会の開催に当たり、厚生労働省大臣官房審議官の橋本から御挨拶させていただきます。

○橋本審議官 厚生労働省審議官の橋本です。どうぞよろしくお願いいたします。本来ならば、健康局長の福島から御挨拶すべきところでございますが、本日所用があり、私から代わって御挨拶させていただきます。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ「脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会」にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、日頃から、厚生労働行政の推進につきまして多大なる御支援・御協力を頂いております。この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。

 さて、先生方も御承知のとおりですが、循環器病の主なものということでございますれば、心疾患あるいは脳卒中といったことになります。言うまでもなく、心疾患は我が国における死亡率第2位、また脳卒中は第4位です。合わせると第1位のがんに迫る死亡率ということになっております。また、脳卒中は介護が必要になる主な原因の第1位でして、健康寿命を延ばしていく観点からも、その対策につきまして発症の予防、救急の搬送、治療、あるいはリハビリ等、切れ目のない横断的な連携体制というものが求められているわけです。

 これまで厚生労働省として、「健康日本21」において循環器病に関する目標を定めて取組を進めてきているところではありますが、今後ますます高齢化が進みますし、医療費や介護費が増加している状況でもあります。そういった中で、循環器病対策に関して総合的な取組を更に強化していくことが非常に重要なことだと考えております。

 本検討会におきましては、まずは診療提供体制につきまして御議論を進めてまいりたいと思います。また、平成30年度からの第7次医療計画に向けた検討も始まっております。この計画に記載することとなります、いわゆる5疾病というものがありますが、その中でも循環器病である脳卒中、急性心筋梗塞といったものが含まれているわけです。本検討会の議論を、医療計画のほうの議論にも是非反映させていただきたいと考えているところです。

 今後、当検討会での検討内容を踏まえ、循環器病対策を充実させてまいりたいと私どもも考えております。委員の皆様方におかれましては、今後とも御協力のほどよろしくお願い申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 以上をもちまして撮影を終了し、カメラを収めていただきますようよろしくお願いいたします。

 続きまして、構成員の皆様方の御紹介をさせていただきます。お手元の構成員名簿に沿ってお名前を読み上げますので、誠に恐縮ですが、お名前を呼ばれた構成員の方は御起立いただき、一言御挨拶を頂きたいと思います。まず、岡山県保健福祉部長の荒木裕人構成員です。

○荒木構成員 岡山県の荒木と申します。地域医療の中で今回の循環器病疾患、医療の提供体制がどうなっているかという観点で呼ばれたと思っております。よろしくお願いいたします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 次に、東京医科歯科大学循環制御内科学教授の磯部光章構成員です。

○磯部構成員 磯部でございます。東京医科歯科大学で循環器内科を担当しております。心臓病を専門にしており、また日本心不全学会の理事長を拝命しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 奈良県立医科大学健康政策医学講座教授の今村知明構成員です。

○今村構成員 奈良医大の今村です。公衆衛生を専門にしております。私は厚生労働省の地域医療給付の研究班をやっておりまして、地域医療計画をどのように作っていくのが効率的か、どう具体化するのがいいのかをやっている研究班です。その調整もできればと思っております。よろしくお願いします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 地方独立行政法人奈良県立病院機構奈良県総合医療センター総長の上田裕一構成員です。

○上田構成員 上田裕一です。心臓血管外科学会の理事長を拝命しています。心臓血管外科医でした。そういう観点でこの会議に参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 岩手医科大学理事長であり、学長の小川彰構成員です。

○小川()構成員 小川でございます。岩手医科大学です。もともとは脳卒中を専門とする脳神経外科医をやっておりました。前の日本脳卒中学会理事長も務めさせていただいておりますので、その経験を基に貢献したいと思っております。よろしくお願いします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 国立循環器病研究センター理事長の小川久雄構成員です。

○小川()構成員 国立循環器病研究センターの小川です。専門は循環器病、特に心臓血管疾患でございます。よろしくお願いいたします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 次に脳卒中経験者で、三井住友海上あいおい生命営業教育企画部の川勝弘之構成員です。

○川勝構成員 川勝弘之です。私は12年前に脳梗塞になりました。その後、いろいろな啓発活動を続けてきております。その意味で、患者の声を是非とも届けたいと思ってやってまいりました。どうかよろしくお願いいたします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 次に自治医科大学学長の永井良三構成員です。

○永井構成員 永井です。専門は循環器です。この3月まで小川先生が循環器学会の理事長をされていらっしゃいましたが、その前の理事長を務めておりました。どうぞよろしくお願いいたします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 日本看護協会常任理事の川本利恵子構成員です。

○川本構成員 日本看護協会常任理事の川本です。日本看護協会は70万人の看護職が所属しております団体ですので、一番患者様の身近なそばにいる職能として今回参加させていただいていると思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 山口大学医学部脳神経外科教授の鈴木倫保構成員です。

○鈴木構成員 山口大学の鈴木です。私は都会でない、地方にいて脳卒中を診ている立場からいろいろ考えてみたいと思います。よろしくお願いいたします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 聖マリアンナ医科大学神経内科教授の長谷川泰弘構成員です。

○長谷川構成員 聖マリアンナ医科大学の長谷川です。私は内科医で脳卒中を専門としております。脳卒中の救急医療あるいはシステム、その辺にこれから関わって、また興味を持って研究をしているということでございます。この会で、是非いろいろなことをやらせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 日本医師会常任理事の羽鳥裕構成員です。

○羽鳥構成員 羽鳥です。私は今、日本医師会の常任理事ですが、2年前までは神奈川県の医師会におりました。そのとき、脳卒中、隣にいらっしゃいます長谷川先生や循環器のCCUネットワークを作っておりました。まだ未完成ですが、なかなか役に立つ、必要なところだと思っております。日本医師会では学術や医学界を担当しています。どうぞよろしくお願いいたします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 日本病院会副会長の宮崎瑞穂構成員です。

○宮崎構成員 日本病院会副会長の宮崎です。私は一般病院の立場からこの会に参加させていただいたものと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 なお、日本心臓ペースメーカー友の会神奈川県支部長の井上美枝子構成員、日本循環器看護学会副理事長で榊原記念病院看護部長の三浦稚郁子構成員から、本日、御欠席との御連絡を頂いております。本日は構成員15名のうち13名の方に御出席いただいており、定足数に達していることを御報告申し上げます。

 また、今回、参考人として九州大学大学院医学研究院教授の飯原弘二先生、国立循環器病研究センター病院副院長の安田聡先生に御出席いただいております。また、本日御欠席の三浦稚郁子構成員の代理として、日本循環器看護学会理事で徳島大学大学院医歯薬研究部(療養回復ケア看護分野)教授の田村綾子参考人に御出席いただいております。

 事務局の御紹介をさせていただきます。厚生労働省大臣官房審議官の橋本です。健康局がん・疾病対策課長の渡辺です。健康局がん・疾病対策課長補佐の丹藤です。同じく岡田です。同じく石上です。

 続きまして資料の確認をさせていただきます。まず議事次第。座席表。脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方に関する検討会構成員名簿です。資料1は検討会の開催要綱です。資料2は「循環器病の診療提供体制の現状と課題等について」です。資料3は安田参考人提出資料です。資料4は飯原参考人提出資料。資料5は「循環器病の急性期診療提供体制構築に向けた考え方()」です。資料6は「ワーキンググループの設置について()」。資料7は「本検討会の今後の進め方()」です。それに加えて参考資料1「医療計画及び地域医療構想」となります。資料に不足・落丁等ありましたら事務局までお申し出ください。

 議事に入ります。まず議題2「座長選任及び座長代理指名」に移りたいと思います。本日は構成員の皆様方が選任されて最初の検討会となりますので、構成員の互選により、座長を選任させていただきたいと思います。どなたか御推薦はございますか。

○羽鳥構成員 国のいろいろな会議で熱心にお仕事をされています永井良三先生がふさわしいと思います。いかがでしょうか。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 御異議がないようですので、永井構成員に本検討会の座長をお願いしたいと思います。永井座長、お手数ですが座長席へお願いします。

○永井座長 御指名により座長を務めさせていただきます。先ほど審議官からお話がありましたように、脳卒中そして循環器疾患というのは死因で第2位と第4位、恐らく医療費で言うとがんを超えるのではないかと思います。これは日本の医療提供体制の在り方、更に地域社会の在り方にも大きな影響のある課題ではないかと思いますので、皆様方のお力を頂き良い方向へ取りまとめていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速、議事に入らせていただきます。まず座長代理の指名をさせていただきます。これは座長に事故等があるときは、あらかじめ指名する構成員がその職務を代行するという必要がございます。座長代理をどなたかにお引き受けいただかなければなりません。恐れ入りますが小川彰構成員にお引き受けいただければと思います。いかがでしょうか、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、小川彰先生に本検討会の座長代理をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に資料1の開催要綱、資料2の「循環器病の診療提供体制の現状と課題等について」を事務局から御説明をお願いいたします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 資料1、まず開催要綱について御説明いたします。検討会の趣旨です。脳卒中、心臓病その他の循環器病は、我が国の主要な死亡原因であるとともに、介護が必要となる主な原因の1つです。本検討会は、循環器病に係る医療又は介護に要する負担の軽減を図ることが喫緊の課題となっていることに鑑み、国民の健康寿命の延伸等を図るため、脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方について検討することを目的に開催いたすものです。

 検討事項としては3つございます。(1)循環器病に係る急性期診療提供体制の在り方について、(2)循環器病に係る慢性期診療提供体制の在り方について、(3)その他循環器病診療提供体制に関する事項についてとあります。

 その他としては、本検討会は健康局長が別紙の構成員の参集を求めて開催いたします。本検討会には、健康局長の指名により座長を置き、検討会を統括いただきます。本検討会には、必要に応じ、別紙構成員以外の有識者等の御参集をお願いすることができるものといたします。本検討会は、原則として公開といたします。検討会の庶務は、厚生労働省健康局がん・疾病対策課が行います。検討会には、必要に応じワーキンググループを設置できるものといたします。この要綱に定めるもののほか、本検討会の開催に必要な事項は健康局長が別に定めます。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 引き続き資料2に関して、事務局より説明させていただきます。お手元の資料2を御覧ください。「循環器病の診療提供体制の現状と課題等について」、1枚目の下半分を御覧ください。こちらは第1回の「特定健康審査・特定保健指導の在り方に関する検討会」において、永井構成員の提出資料より一部改変したものです。

 「循環器病の自然史」ですが、図に示していますように循環器リスクを背景に、循環器病が発症いたします。循環器病は、発症するとこのように谷に落ちるように重篤な、生命に関わるイベントを起こし得る、病気です。また、このように治療を行っても発作が起きて、再発をするということを繰り返し、全体的には生活の質が落ちていくという経過をたどり得る病気です。

 スライドの3枚目を御覧ください。こちらは「発症後の循環器病をめぐる状況」のスライドです。左の枠内を御覧ください。この死亡割合で心疾患は第2位、脳血管疾患は第4位を占め、2つを合わせると第1位の悪性新生物にほぼ匹敵する死亡割合です。

 また、枠内の右の円グラフに示しますように、東京都の監察医務院のデータですが、疾患別の病死検案数の68%を循環器の疾患が占めており、そのうち虚血性心疾患、脳血管疾患、大動脈・毛細血管疾患で87%を占めております。このように、循環器病は突然死に占める割合が大きく、急に生命を脅かすようなイベントを起こす疾患であると考えられます。右の枠内を御覧ください。脳血管疾患は要介護原因の第1位でもあり、介護度が上がるほど脳血管疾患の占める割合が大きくなります。また、慢性心不全の約40%が1年以内に再入院するという報告もあります。

 このように、循環器病は急性期から慢性期にかけて幅広く対応が必要な疾患であると考えられます。そのため、循環器病は発症後、早急に適切な治療を開始する必要があるのではないか。また、循環器病の適切な診療により、要介護状態に至る患者が減少する可能性があるのではないかと考えております。

4枚目のスライドを御覧ください。こちらは「傷病分類別医科診療医療費」です。医科診療医療費の推定額、287,447億円の約20%を循環器系の疾患に対する費用が占めております。このように、循環器系の疾患に対する医療費費用は新生物を超えて第1位です。このように、循環器病に関しては医療費の観点、また急性期から慢性期にかけての観点と、幅広く検討が必要な疾患であると考えられます。

 次のページを御覧ください。まず、この中でも急性期に関して、循環器病の診療提供体制の構築に向けて議論を進めていければと考えており、構築に向けた考え方を案としてスライドで提示しております。

 こちらに示しますように、現在の医療資源、一番下の段に示しております施設や診断機器、人員等を踏まえて、搬送・診断・治療という中心の流れにおける課題を把握した上で、地理的要件や発症頻度等を考慮しつつ、一番上に示しますような目標、循環器病による年齢調整死亡率の減少や、要介護に至る患者の減少というような目標を達成するような診療提供体制を構築することが必要ではないかと考えられます。

 次のスライドですが、「脳卒中の診療提供体制の流れ」をまとめたスライドになります。脳卒中では発症した後に問診・診察・画像診断等により、主に血管の閉塞による脳梗塞、出血による脳出血、くも膜下出血に大きく分けられます。上段の脳梗塞に対しては発症からの時間や病態により、発症後4.5時間以内であるとか、治療適応を満たす場合には、血栓溶解療法(t-PA療法)が適応されます。また、8時間以内やt-PA適応外、t-PA無効等の場合は、血管内治療が施行されます。脳出血・くも膜下出血に関しては、その病態に応じ外科的治療や内科的治療が選択されます。

 次のページを御覧ください。上段7枚目のスライド。こちらは「脳梗塞の急性期治療における課題例」として挙げております。上段に示しますように、脳梗塞患者の3040%は発症から3時間以内に来院しているというデータがあります。と同時に、t-PA療法は脳梗塞患者の56%に施行されております。

 下では再開通療法の資料をまとめております。このように、t-PA療法は本邦において脳梗塞の推定56%施行。血管内治療に関しては2014年に有効性が示されまして、本邦の施行率はまだ把握されておりません。外科的治療に関しては、脳梗塞患者の0.4%に開頭減圧術が施行されております。t-PA投与に起因する出血も含む頭蓋内出血に対して外科的処置は考慮されております。このように、搬送体制の充実に加えて、再開通療法、外科的治療を適切に行うことができる体制が必要ではないかと考えられます。

8枚目のスライドでは「急性心筋梗塞の診療提供体制の流れ」について示しております。急性心筋梗塞の発症後、できるだけ早く冠動脈インターベンションが可能な施設に搬送し、発症12時間以内であれば再灌流療法が考慮されます。再灌流療法には冠動脈インターベンション(PCI)や血栓溶解療法があります。また、発症後12時間以上であり、心電図変化や症状の持続がある場合には、再灌流療法の適応になることもあります。また、このような変化がなくても内科的治療が行われますが、残存虚血や心筋の生存性等を考慮してPCIも考慮されます。

 このような診療転送の流れの中で、次のページ、「急性心筋梗塞の治療における課題例」をこちらに挙げております。一番上段に示しますように、経皮的冠動脈インターベンション施行施設の約50%は心臓血管外科を併設しておりません。

 中段に再灌流療法に関してまとめております。このようにPCI施行施設が諸外国より多い本邦では、急性心筋梗塞に対するPCIの実施率は約80%です。また、本邦において再灌流療法に占める血栓溶解療法の割合は10%以下です。このような再灌流療法の発展により、院内死亡率はこの30年で約20%から8%に改善しております。

 ただ、この中でも緊急外科手術が必要な場合には、以下のように外科的治療が考慮されます。例えばPCIが困難である例、不成功例への緊急冠動脈バイパス、急性心筋梗塞合併症に対する緊急手術が挙げられます。データから推定すると、急性心筋梗塞の治療において外科的治療が必要となる場合は約5%程度と推定されます。このような緊急時の心臓外科手術が対応可能な医療機関との連携体制が必要ではないかと考えられます。

 次のスライドを御覧ください。こちらは大動脈の疾患である「急性大動脈解離の診療提供体制の流れ」を示しています。大動脈解離を発症した後、主に画像診断で上行大動脈に解離を含むStanford A型、上行大動脈に解離を含まないStanford B型に大きく分けられ、Stanford A型では主に外科的治療が選択されます。Stanford B型に関しては合併症の有無により内科的治療、外科的治療・血管内治療が適応されます。

 次のページをおめくりください。「急性大動脈解離の治療における課題例」ですが、一番上段に示しますように急性大動脈解離発症後の死亡率は1時間ごとに12%の割合で上昇いたします。急性大動脈解離に関して、内科的治療は厳重な降圧療法を主体とした安静、鎮痛、心拍数のコントロールが治療法となりますが、主に合併症のないStanford B型急性大動脈解離が主な適応となります。しかし、内科的治療が行われても、大動脈解離の進行や大動脈径の拡大等が認められますと外科的治療が必要となります。外科的治療・血管内治療に関して、外科治療は大動脈解離に対する手術件数は2013年で6,787件、このうち原則緊急手術の適応となるStanford A型の解離が78%を占めます。血管内治療に関しては、大動脈解離に対する血管内治療の件数は2013年で902件、主な適応となるStanford B型解離が81%を占めます。

 このように大動脈解離に関しては、24時間365日体制で外科的治療・血管内治療が行える体制が必要ではないかと考えられます。また、多くが緊急手術となりますので、手術チームの質の確保も重要ではないかと考えられます。以上が資料2に関して事務局からの御説明となります。

○永井座長 ありがとうございました。ただいまの御説明に御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○小川()構成員 非常によくまとめていただいていると思います。特に、心筋梗塞の場合の内科と外科の率なのですが、現状、このような率で行われていますので、外科は集約化が必要とは思うのですが、内科に関しては急性期の心筋梗塞でPCIができるというのは非常に時間の勝負になります。内科に関しては、余り集約化はしないほうが患者さんのメリットにはなるのではないかと思っています。

 外科のバックアップのこと云々は確かにこのとおりです。私たちもデータを出して論文に発表しているのですが、外科のバックアップがない施設のほうがPCIの成績はむしろ良いという、一般の方が考えると少し矛盾するデータも出ています。これはどこの施設でもそうでして、良識のある循環器内科医であれば病変を見て無理をしませんので、ここまでは内科、ここまでは外科ということが分かる循環器内科医であれば、このような成績が出るのはもっともかなと思っています。以上です。

○永井座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。私から1つポイントを挙げさせていただきます。脳卒中でも心筋梗塞あるいは大動脈解離でも、急性期の治療の成功率はもちろん大事なのですが、ある程度慢性的に数箇月、半年、1年、そこまでフォローしないと、本当にその治療が良かったのかどうだったのかという評価ができない点があります。この点も含めて今後データに基づく議論が必要です。評価の仕方も課題になるのではないかと思います。ただ治療が成功して無事退院されたというだけでは、本当はまだきちんと評価ができていないということがあります。今後、その辺も含めて議論できればと思います。

○磯部構成員 磯部です。大変よくまとめていただき、実態がよく分かったと思います。心臓のほうについて言うと、急性心筋梗塞と急性大動脈解離をハイライトしていただきました。もちろん、これらは重要な疾患だと思います。一方急性期の疾患では、急性心不全という病態があります。多くは急性心筋梗塞のときに発生する心不全だと思います。特に高齢化に至り、急性心不全の発症数が恐らく増えていると思います。急性期治療が非常に重要ですので、実態を明らかにしていただいて、それに対する対応についても今後検討していただきたいと思います。以上です。

○永井座長 ありがとうございました、ほかにいかがでしょうか。もう1つ、今回は、急性期というとどうしても発症してからどういう体制をとるかが中心になります。もう一点気を付けないといけないのは重篤な発作の発症直前の方、私の絵が資料2の下にありますけれども、循環器疾患あるいは脳卒中にしても突然重篤な病態になるわけでは必ずしもない。例えば心筋梗塞ですと、その前に不安定狭心症、脳卒中だとTIAという段階があります。できましたら、その辺をスコープに入れての搬送や治療体制なのだということ、ここが多分この領域の1つの特徴的な点ではないかと思います。危険な状態にある方を悪化させずにすることができるということ、そういう体制づくりも診療提供体制や啓発活動で非常に重要な点ではないかと思います。よろしいでしょうか。

○羽鳥構成員 脳卒中のほうに関して言うと、患者さんが例えば家で何となくおかしくなったけれども、もうちょっと様子を見ていようかと思うことによって、ゴールデンタイムの4.5時間を失ってしまうようなこともあるかと思うので、もう少し啓発も必要だろうと思います。

 もう1つ、地域で見ていますと、t-PAをやる施設の数はたくさんあるのですが、総数は余り多くない。1つの理由は、やはり24時間365日の体制ができていないということもあり、脳外科の先生も神経内科の先生もいらっしゃるのですが、必ずしも24時間サポートできていない。日中ならばいいですが、夜間はうちに来られてもちょっと困るということもあるので、場合によってはもう少し集約化して、その代わりきちんと対応できるような仕組みもあってもいいかと思います。

○今村構成員 奈良の今村です。先ほどの永井先生のお話とも関係があるのですが、慢性期に循環器の患者さんをどうするのかということは、是非考えていただきたいと思います。これから高齢者の方々が増えてきて、特に75歳を超える方が1.5倍に増えてくると、先ほどの再発を繰り返している循環器疾患の方々に対して、どこまで治療するのかが非常に大きな問題になると思います。

 今、地域医療計画でも急性期の患者さんは減ってくるのですが、高齢者の疾病を抱えて生きる方々の数が劇的に増える。この方を今までどおりに全て急性期の治療をし続けていると、恐らく医療が破綻することが予測されます。どこまで、何回目かのアタックからは同じように高度の医療をするのかどうかを考えていかないと、このまま行くと行き詰まっていくと思います。是非、長い目で見たときの循環器の治療をどうするかということは検討していただければと思います。

○長谷川構成員 座長が先ほどおっしゃったことに、本当に同感です。脳卒中というのは3か月後、1年後というのが大体諸外国ではデータが出ます。しかも、脳卒中というのはどのような医療経済的効果が治療によって行われているか、というのかが非常に計算しやすい疾患ですので、先ほど慢性期のデータも取らなければならないとおっしゃったことに、医療経済的な面でも評価できて、治療方針を決めるという点まで踏み込めればという気がいたします。

○永井座長 ありがとうございます。まだいろいろ御議論もあるかと思いますが、今後もこの点については御意見を頂きたいと思います。この後、お二人の参考人から御発表いただきます。その後、事務局から資料5の説明を頂いた後で内容について御議論いただきたいと思います。

 最初に安田参考人から、「急性期における循環器病の診療体制:現状と課題」について御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

○安田参考人 国立循環器病研究センター心臓血管内科部門の安田です。私は循環器病学を専門としており、特に急性心筋梗塞症の急性期診療を専門としております。本日は、お手持ちの資料3に基づき説明したいと思います。よろしくお願いいたします。

 私が与えられたテーマですが、「急性期における循環器病の診療体制:現状と課題」に関して、スライド2で、以下のような内容で本日は説明していきたいと思っております。まず、前半ですが、現状に関して日本循環器学会主導で実施している全国調査であるJROAD、このJROADのデータを活用して行われた「循環器救急の実情に関する2014年アンケート調査」の結果を、まずお示しします。その後、後半では現状から見えてくる課題、特に「循環器救急疾患を含む救急対応ユニットの整備と役割分担の重要性」について、お話させていただきたいと思っております。

 続いて、スライド3を御覧ください。「循環器疾患診療実態調査」、JROADですが、これは2004年より日本循環器学会が主導で行われている全国調査です。2013年度より、このデータセンターは国立循環器病研究センターに置かれ、日本循環器学会との共同研究として運用しております。このJROADですが、循環器医療の供給度を示す施設概要、それから循環器医療の必要度を示す検査や治療の実施状況、これらから構成されております。JROADの登録に関してですが、循環器専門医研修施設、あるいは研修関連施設更新のための条件となっており、一定の強制力の下データが登録されております。そのため、この登録率、回答率というものは、全国100%を達成しているというところに特徴があります。

 続いて、スライド4を御覧ください。スライドはJROADの過去10年間の調査項目の推移を示しております。約100に及ぶJROADの調査項目の一部を抜粋しております。非常に細かなスライドで大変申し訳ありませんが、まず、このスライドの中で緑の部分が、循環器医療の供給度に関する項目になろうかと思います。施設全体の病床数、あるいは常勤の循環器専門の医師数の全国累計ということになります。もちろん、これらを各都道府県で分布としても示すことが可能です。

 それから、循環器医療の必要度に関する項目の中に、救急疾患として特に重要な赤で囲っておりますが、急性心筋梗塞症の年間入院患者数も表示しております。これを見ると、2004年以降10年間、年間の入院患者数が約7万人近くに及んでいるということがお分かりになると思います。その急性心筋梗塞症の下に心不全入院患者数があります。これは先ほど磯部先生が御指摘になりましたが、心不全の入院患者数は年間20万人を超えており、この数年間で25万人にも達しようかという勢いです。これも非常に大きな循環器領域の課題ではないかと考えております。

 このJROADは、日本全体の循環器疾患診療レベルを示した非常に貴重な一次情報を提供している一方で、患者レベルの調査がこれまで大きな課題でありました。JROAD参加病院の70%強が対象施設となっているDPC(診断群分類包括評価)に着目しました。

 スライド5を見ていただくと、このDPCデータを利用した心疾患における医療の質に関する事業「JROAD-DPC」というものを2014年度から日本循環器学会と国循との共同研究として遂行しているところです。20124月から20133月のDPC情報提供していただいた施設は610施設で、これはJROADに参加している全施設の55%に及んでおります。この診療情報を含んだ様式1の収集ですが、全国70万件を超えております。ICD-10codingした疾患別症例数ですが、急性心筋梗塞症は35,000例余り、心不全は11万例余り、心房細動及び粗動は27,000例余りを各々含んでおります。なお、2015年度のJROAD-DPCでは、DPC提供同意施設は636施設と前年よりも多いご施設に協力を頂いており、今後2年間に及ぶ経時的な分析が可能な状況が整備されております。またこの後に飯原先生が発表されるJ-ASPECTとの共同研究ということも、今後の視野になるものではないかと考えております。

 続いて、スライド6を御覧ください。2014年度に日本循環器学会循環器救急医療制度小委員会により循環器専門医研修施設998施設を対象として、循環器救急の実情に関するアンケート調査が行われております。こられの施設の基礎情報に関しては、JROADのデータを活用し、2008年度のアンケート調査と比較しながら、我が国の循環器救急医療の現状と問題点を明らかにすることを目的に行われております。内容の2番「救急に関する基礎情報」、その後の3番の「勤務体制」、それから4番の「循環器救急の実態について」、この中には心筋梗塞診療に加え、冠動脈バイパス手術や急性大動脈解離に関する内容も調査されております。

 では、このアンケート調査に基づいてお話を続けたいと思います。スライド7を御覧ください。2014年度回答率は72%の施設から回答を頂いております。上段の円グラフですが、2008年、2014年の施設に関する情報です。市中病院、公立病院、大学病院の比率、それから、下側の円グラフは2008年、2014年の一次救急、二次救急、三次救急の比率を示しております。2008年と2014年度では、これらの比率は余り大きな変化はありませんでした。我が国の循環器救急医療は、主に二次施設が支えているという状況に変化はありませんでした、

 小さいもので恐縮ですが、右側の棒グラフを御覧ください。循環器内科の常勤医師数は、前回2008年の調査では、※の付いている4人というところが最も多いという結果でしたが、2014年度では10人以上が最も多いということで、この数年間のうちに集約化が進んでいるという可能性が示唆されるデータではないかと考えられました。なお、常勤医の中央値は5人ということでした。

 スライド8を御覧ください。「急性心筋梗塞症の診療体制」に関して示したものです。下側の円グラフの並びが2014年の調査結果です。まず、一番左側ですが、1年間の心筋梗塞の入院患者が20例までが25%、21例〜50例までが33%、51例〜100例までが27%、101200例のハイボリュームは13%ということでした。

2番目の円グラフ、心筋梗塞に対する緊急冠動脈インターベンション(PCI)ですが、これは心筋梗塞診療の基本となるものですが、24時間体制で可能な病院が62%、日勤プラス夜間オンコールで行っているものが32%でした。

 続いて3番目の円グラフですが、Door-to-Balloonです。収容されてから、カテーテル検査に行き、冠動脈インターベンションを施行するまでの時間は90分以内が推奨されておりますが、おおむね我が国においては90%以上がこの指標を達成しているという結果でした。

 それから、一番右側ですが、緊急冠動脈バイパス手術の体制が整っているかということに関して、24時間可能であるというのが27%、日勤プラス夜間オンコール体制で行っているものが22%。一方、その体制が整っていない施設というものが約半数の48%となりました。

 まとめますと、心筋梗塞の診療体制は、2008年調査と比べて大きな変化は見られず、約6割の施設で年間心筋梗塞の症例数は50例以下であるということ、同じく約半数の48%が、緊急のバイパス手術の体制のない状況で、緊急冠動脈インターベンションが行われているという現状が明らかになりました。

 スライド9を御覧ください。「救急医療体制」に関する調査です。2014年下側の円グラフの並びを見ていただくと、まず一番左側、88%の施設で同一診療圏に循環器救急施設がある回答しております。2番目、3番目ですが、循環器科が独立して初期対応している施設の割合は平日では72%、しかし3番目の円グラフでいくと、夜完・休日は40%にとどまり、夜間・休日の診療体制を他科に依存して診療体制を維持していることが示されております。一番右側ですが、急性大動脈解離の診断において重要なCT検査に関する調査です。これを見ると、86%が緊急CT24時間体制で行う体制を持っているということでしたが、その下のスライド10を見ると、大動脈解離に関して黒で示しているように、51%は緊急手術体制のない状況である ということに留意する必要があると考えられました。

 続いて、スライド11を御覧ください。院外での救急隊でのプレホスピタル12誘導の重要性というものが、ガイドライン等でも推奨されております。このスライド11ですが、「救急隊によるプレホスピタル12誘導心電図」を活用している割合は、円グラフのように9%、時々活用しているのが14%ということで、まだまだその活用率は低いというのが現状ですが、右側の日本地図にあるように、その活用が広がってきているということが、今回、新たに明らかになりました。

 続いて、これらの現状を踏まえ、循環器病診療を初期診療、専門的診療、高度専門的診療の3段階に階層化し、それぞれの階層での搬送、診断、治療について、このスライドに分類し、まとめております。一番左側の列は搬送の現状を示しております。先ほども示しましたが、本邦における循環器救急医療の約6割が、二次救急医療施設において行われている現状があります。搬送の専門の部分となります。

 続いて、中央の列ですが、診断の現状を示しております。同じく真ん中の診断の専門の部分ですが、8割以上が急性大動脈解離の緊急CT24時間以内可能であるという状況です。一方、右列では治療の現状をまとめております。専門病院においては、冠動脈インターベンションなどの高度治療が可能である一方、急性心不全も非常に大事な疾患ですが、それに対する呼吸管理の普及、あるいは大動脈解離に対する緊急手術体制は約5割にとどまり、必ずしも十分とはいえないという現状があります。それから、高度専門の部分を見ていただければと思います。まず診断に関しては、CTMRI、アンギオ等の高度専門的な画像診断の重要性が増しているとともに、治療においては、ハートチームに代表されるような集学的治療がCCUICUを中心に行われているという現状があります。

 スライド13を御覧ください。「急性期における循環器病の診療体制:課題」をこのスライドに分類し、まとめております。左列は搬送における課題を示しております。搬送の専門の項目ですが、二次の救急医療機関では、6割以上の施設で循環器専門医が5名程度、この人員で果たして十分なのかという中で運営されている現状があります。それから、医療の質、あるいは救命率を上げる指標として、搬送から治療開始までの時間経過というものは、非常に大事な指標と考えられますが、現状ではこのデータを収集する方法という部分に限界があるということが課題であろうかと思います。

 中央の列は診断に関する課題を示しております。まず、初期においては、転院搬送に関して、初期医療機関の滞在時間が12時間を要する場合があるため、現状把握が非常に必要であるということ。それから、専門の所で見ると、約6割が年間の急性心筋梗塞症の症例数が50以下であるために、地域の事情、メリットデメリットを考慮しなければなりませんが、診療の質を確保するための集約化も今後の検討課題には入ってくるものではないかと思います。続いて、診断の高度専門です。これは地域においてICTを利用した遠隔画像診断システムというものが、今後の診断において非常に重要な役割を果たしていくのではないかと考えております。

 一番右側の列ですが、治療の課題を示しております。専門の治療という所を見てください。約5割の施設が緊急バイパス手術の体制のない状況で冠動脈インターベンションが施行されている。あるいは、大動脈解離に対する緊急手術体制も約5割であり、これらの患者さんを適切な施設に搬送するシステムの整備も、非常に重要になってくるのではないかと思われます。さらに高度専門の治療の所を見ていただくと、人工呼吸管理などの集中治療専門医との連携、並びに患者高齢化に伴う併存合併疾患に対する集学的治療が、非常に今、求められていると考えられます。

 続いて、スライド14です。これらの課題を解決する上で、データベースというものが、どのように活用できるかということをまとめてみました。上側に青色で囲んでいる部分は、全般を通して言えることになります。冒頭に紹介したJROADあるいはJROAD-DPC等のデータを活用し、人員、設備、あるいは症例数などから施設の質の評価が可能ではないかと考えております。また、様々な標準的治療の導入と、施設の経年的改善度を、これらのデータベースに基づいて評価することも可能ではないかと考えております。

 左列は搬送に関連したデータベースの活用を示していますが、専門病院においては、専門医当たりの症例数は計算可能ですが、先ほども申し上げたように、搬送からの治療開始までの時間経過等の時間別に関したデータについては、今後整備が必要であろうと考えております。

 中央の列は、診断に関するデータベースの活用の可能性を示しております。専門病院、高度専門病院においては、1施設当たりの症例数、あるいは検査件数、あるいは専門医の分布等の評価がデータベースの活用より可能です。

 右側の列は治療のデータベースの活用を示しております。同じく専門病院、高度専門病院において緊急の冠動脈インターベンション、冠動脈バイパスの手術件数、大動脈疾患の手術件数、あるいはCCUICUでの入院患者数や短期予後というようなものも、このデータベースから評価可能と考えております。

 一番最後のスライドを御覧ください。近年国民の高齢化に伴う心血管病の増加により、循環器系の救急患者が非常に増加しております。さらに心血管系疾患には、発症初期に死亡率が非常に高いという特徴があります。このような背景から、スライドに示すように、「循環器救急疾患を含む救急対応ユニットの整備」が、非常に今、求められているのではないかと考えます。特に高度専門病院、これは心臓血管外科治療、あるいは集中治療が常時可能な施設とも定義されると思いますが、大動脈疾患や、あるいはこの後にお話が出る脳血管疾患診療の拠点化を進めるということも、今後は必要なのかもしれません。

 さらに、急性期診療以降、医療機関の相互の連携と役割分担ということも従来から指摘されているとおり、重要なテーマであると考えます。二次救急に救急の患者さんが入って、そこで二次救急に多くの患者さんが集まり過ぎないような役割分担ということであります。それから、永井座長がおっしゃったように、1つの病院から次の病院に行った後の患者さんの予後の追跡をする方法といったものも、この連携という中で非常に重要なテーマになるのではないかと考えております。以上です。

○永井座長 ありがとうございました。それでは、続いて飯原参考人から「本邦の脳卒中診療体制の現状と展望」について御説明お願いいたします。

○飯原参考人 九州大学脳神経外科の飯原と申します。私は、平成25年に国立循環器病研究センターの脳血管部門長から九州大学にまいりました。専門は脳神経外科全般、特に脳血管障害の外科、血管内治療です。本日は、このような機会を与えていただきましてありがとうございました。今回は、「本邦の脳卒中診療体制の現状と展望」について、私たちが進めてきたDPCを使った登録研究、J-ASPECT Studyの結果も踏まえて提言を述べたいと思います。よろしくお願いします。

 最初のスライドです。「脳卒中の医療提供体制の変革」についてのスライドです。世界的に、脳卒中の医療提供体制の変革には2つの方向性があります。1つは、脳卒中医療の的確な実施を目指した脳卒中センターの整備です。2つ目は、脳卒中医療の均てん化を目指した質の向上です。

 具体的には、昨年、脳卒中治療ガイドラインが改訂され、出版されました。標準的な治療を示すガイドラインの遵守率の向上は非常に大切ではありますが、このようなコンセンサスガイドラインの出版そのものが、医師の行動や患者の治療の改善に直接結び付くことでないことは、皆さん御存じの通りだと思います。すなわち、エビデンス・プラクティス・ギャップが実臨床では存在します。そのような観点から、脳卒中医療の均てん化を目指して、どのような形で経時的にこのガイドラインの遵守率をモニターするかは非常に大切な観点です。

 次のスライドです。これは「米国における脳卒中センターの認定の現状」で、The Stroke Care Pyramidと呼ばれています。このスライドは、アメリカの脳卒中医療が、この一番下の脳卒中の医療に特化していないものを除くと、3つの階層から成り立っていることを示しています。一番下の階層に示しているのが、Acute Stroke Ready Hospitalsというものでして、この病院の定義として、t-PAの静注療法は行う。CTスキャナーは常備している。急性期脳卒中の診療経験は有するということです。このIVt-PAについては、これは遠隔医療を介しても構わないということです。

 その上の階層のPrimary Stroke Centerというのは、一次脳卒中センターと訳しますが、主に、このStroke Unitを有し、脳卒中医療のcoordinatorStroke Service、入院ケアを連続して行える施設を指します。その詳細な要件は次のスライドに記載してあります。

 一番上の階層に相当するものがComprehensive Stroke Center、包括的脳卒中センターです。これは、Primary Stroke Centert-PAの静注療法を的確に実施することを目標として整備されているのに対し、米国では、この虚血性脳卒中に対するt-PA静注療法のみならず、出血性脳卒中も含めた全ての脳卒中を対象として、包括的で高次のケアを常時行えるものをComprehensive Stroke Centerと定義しています。例えば人的な要因としては、先ほどお話ししましたPrimary Stroke Centerの要件に加えて、脳神経外科医とか脳血管内治療医、そのような人員の配置を行って、全てのスペクトラムの出血性脳卒中の診療を行うところです。

 次のスライドが、「米国における脳卒中センターの認定」の具体的な要件です。これは、2000年にJAMAに報告された論文です。アメリカのブレインアタック連合からの勧告でして、このスライドに示す9つの項目が、このPrimary Stroke Centerの要件として挙げられています。脳卒中チーム、ケアの手順書の整備に加えて、神経放射線学的検査の手順に関する要件があります。これは後ほど少し触れますが、この時間経過の要件として、来院後25分以内に撮像して、その後20分以内に読影するということがあげられています。検査室が常時稼動していることも要件に上がっています。また脳神経外科医へのアクセスが求められてます。アメリカの場合は、脳神経外科医が脳卒中医療の最前線に出ることは少なく、これは本邦の事情とは全く異なっております。具体的には、「必要時には2時間以内に脳外科医へのアクセスが可能なこと」と明記されています。最も大事なのは、このStroke Unitの整備です。初期の救命治療以降の脳卒中に特化した治療・リハビリテーションを行うユニットです。あとは救急隊との連携、教育プログラムなどが要件として挙げられています。これらの要件のもとに、アメリカでは2003年から施設認証が始まりまして、AHAASAが合同して認証を始めて、2011年の時点で800施設以上が認証されているところです。

   次のスライドは、これは「Get With the Guidelines- Stroke」に示された脳卒中ケアの臨床指標を示しています。AHAでも心臓病について、同様のGet With the Guidelineが示されています。「Get With the Guidelines- Stroke」とは、最新の科学治療ガイドラインの継続的な遵守を促進することによって、脳卒中医療の質を改善するために開発された院内プログラムのことです。2003年から開始されて、1,656病院で200万件以上の症例登録がされていることを書いています。これらの臨床指標を経時的にモニターして参加することによって、参加施設の患者のアウトカムが改善することが報告されています。

 次のスライドが、このJ-ASPECT Studyのデザインです。これは、2010年から厚生労働科学研究補助金を頂き、先ほど述べました包括的脳卒中センター、Comprehensive Stroke Centerの整備に向けた脳卒中の救急医療に関する研究を目的として、先ほど安田先生が話されたような診療施設調査を全国規模で行い、日本の現状として、包括的脳卒中センターの要件がどれぐらい満たされているかを初めて調べたものです。参加施設は、この日本地図に示していますように日本全国をほぼ網羅していて、日本脳神経外科学会、日本脳卒中学会、日本神経学会の教育訓練施設の54%に参加していただきました。

 次のスライドは「包括的脳卒中センターの要件」を示しています。これは、先ほどのPrimary Stroke Centerの要件に加えて、より高次な脳卒中ケアを常時行えるということで、私たちの研究班で要件を25項目を選びました。それを施設が満たしていると1点、なければゼロ点ということで、研究参加施設を25点満点で採点し、CSCスコアとしました。

 次のスライドは西日本の研究参加施設の包括的脳卒中ケアの能力(CSCスコア)を地図上に示したものです。このCSCスコアというのは、私たちの研究班で定めた包括的脳卒中ケアの施設の能力を示したもので、25点満点の得点を、Q1Q4の四分位に分類し、Q1が最も低い25%タイルのグループです。Q4が最も高い25%タイルのグループとして、医療圏ごとに、パイチャートを用いてその分布を示しています。これを見ていただければ分かるとおり、やはり同じ日本の国といっても、脳卒中医療の施設の診療能力に均てん化がまだまだ進んでいない現状が明らかとなりました。

 次のスライドは、この「包括的脳卒中センターの脳卒中死亡率への影響」です。これは、2014年に私たちの研究班の成果の一つとして出版したものです。包括的脳卒中センターのスコアが、急性期脳卒中の死亡率にどのような影響を与えるかを検討した論文でして、初年度の登録症例、265病院からの53,000件のデータだけ集めて解析したものです。

 次のスライドがその結果です。包括的脳卒中センターの能力をQ1Q5まで、最も低い所から最も高い所まで比べると、コントロールのQ1が縦軸の死亡率を、オッズを1とすると、Q5の部分、赤の矢印で示した所は26%も死亡率が低いことが明らかとなりました。これは、当時の日本脳卒中学会理事長の小川彰先生に、日本脳卒中学会の緊急声明として採択していただき、脳卒中センターの整備の重要性を報告したところです。

 次のスライドです。これはJ-ASPECTの現在の状況を示しています。現在2014年のデータを回収しておりますが、ほぼ約400施設に参加していただいています。経時的に見ると、研究参加施設数は、最初の年度の283から現在400施設近くまで増加しており、毎年、前年度に登録した脳卒中医療のDPC情報を回収しています。現在のところ、年間約8万件の急性期脳卒中の症例のデータベースが構築できています。現在のところ、この5年間で約30万件の急性期脳卒中のデータベースが構築できました。その詳細は添付の参考資料にありますので、時間のあるときにお目通しいただければと思います。

 次のスライドが、日本の脳卒中医療の提供体制を、先ほどお話した3つの診療階層、即ち、高度専門的医療(包括的脳卒中センター)、専門的診療(一次脳卒中センター)、初期医療(救急隊、一般病院、地域の診療所)3つのスライドに分けて、先ほどお話ししました現状、課題、J-ASPECT Studyからのデータ提供についてまとめたものです。

 まず最初の「高度専門的医療(包括的脳卒中センター)」のスライドに戻りたいと思います。このスライドでは、「高度専門的医療(包括的脳卒中センター)」の定義として、t-PAの静注療法のみならず、急性期脳梗塞に対する血管内治療を行える施設として考えています。搬送の現状としては、血管内治療が常時できる施設へ、恐らく初期診療施設、専門的診療施設より紹介搬送されているであろうと思います。

 その右の診断についてですが、t-PA静注療法などの診断のプロセスの遵守率が不明であろうということです。また、現在のところ、施設間の連携体制、より低次の施設からの遠隔診断の依頼などの現状が不明です。

 現状の右端の治療に行きます。現在のところ、この「包括的脳卒中センター」でどのような治療が行われているかについては、具体的なイメージとしてはSCUICUが整備され、脳梗塞に対しては経皮的な脳血栓回収術が行われるとともに、複雑な脳血管障害に対する高度な外科治療を行っており、希少疾患の診療とか、全身合併症の管理とか、脳神経外科医、脳卒中内科医、血管内治療医を含む多職種からなる脳卒中チームが存在して、常時、複雑な脳血管障害の治療が行っているところです。

 現在のところ課題としては、今お示しした現状に関する具体的なデータがまだ十分明らかではありません。特に、搬送の場合も、主幹動脈閉塞を有する虚血性脳卒中に対して、重症の脳卒中症例を判別する病院前脳卒中スケールの整備がどれくらい普及しているかも明らかではありませんし、どのような症例が直接搬送され、また転送がどのようにされているかも、これから検証が必要です。日本臨床救急医学会が策定したPSLS、ストローク・バイパスの普及とか、その効果の検証もこれからの課題であると思います。

 診断についても、先ほどお話した、患者が到着してから神経放射線学的な検査までの時間とか、その後の読影までの時間などの遵守率がどのようになっているかも、今後の検証であると思います。遠隔診断の普及と有効性もこれからの検証です。

 これらのことを踏まえて、治療についても、地域の実状に応じた高度脳卒中医療提供体制の整備が必要であろうというところです。これから、t-PAの静注療法とか、血管内治療の施行割合がこのようなデータベースを用いて今後検証が必要になってくるところです。

 それがJ-ASPECT Studyによってどのように算出できるかは、一番下の3つのカラムに書いてあります。やはり課題としては、まだ重要な情報が収集できないところが残っています。例えば、NIHストロークスケールとか、グラスゴコーマスケール、一般的な国際的な基準の入力が追加で必要になるところが問題であると思います。

 次のスライドは、「専門的診療(一次脳卒中センター)」についての検討結果です。この施設の定義は、t-PA静注療法を行うところです。現在、アメリカと日本では、やはり脳外科医と脳卒中内科医の数の比率が大きく異なります。日本では、t-PA静注療法を行える施設と、先ほどお話した血管内治療を行える施設とのオーバーラップは極めて高いのが現状です。この辺りは、本邦の実状に応じた形で、また今後議論をしていく必要があると思っています。

t-PAの静注療法も、先ほどもお話がありましたが、現在で急性期脳梗塞の5%ぐらいしか施行されていないところが課題です。2014年のこのJ-ASPECT Studyからの速報値なのですが、急性期脳梗塞の施行率は、t-PA5%程度に対して、急性血栓回収療法は2%という数字が出ています。今後、このような形で、搬送についても、病院前の脳卒中スケールが医療圏ごとにどのように使われて、どのように適正に搬送されているかを今後可視化していく必要があると思っています。

 診断のプロセスについても、現在のところ、t-PA静注療法の対象患者がどのような時間的なプロセスで診断がされているか、この遵守率を今後明らかにする必要があるだろうと思っています。

 治療については、先ほどアメリカでも、この一次脳卒中センターの特徴としてSCUの整備が非常に大切であることを示したと思いますが、現在、日本でもSCUの普及率は依然として低値ですので、この整備を今後進めていく必要があります。

J-ASPECT Studyのデータ提供については、先ほどとほぼ同様でして、緊急入院患者を受けるt-PA静注療法がどのような地域でどのような施行割合であるか。あるいは、緊急の出血性脳卒中の治療割合、あるいは、先ほどお話したような臨床指標について、どのように地域格差が存在するかを明らかにしたいと思っています。

 次の最後のスライドは初期診療です。救急隊、一般病院、地域の診療所の現状と課題、データ提供を示しています。この施設は、t-PAの静注療法を行わない施設という定義です。現在のところ、脳卒中疑い例の救急患者については、恐らく地域のメディカルコントロール協議会で作成するプロトコールに従って、救急隊が搬送先の病院を選定していると思いますが、一部ウォークインの患者さんがいると思います。今後、市民への更なる啓蒙活動が非常に大切であると思います。実際のところ、このような定義の病院で、脳卒中の専門医が実際にいるのか、あるいは神経放射線学的な検査をした場合に、どのような医師が読影しているのかと点についても、今後明らかにする必要があると思います。先ほどお話したような、専門的な治療が必要になった場合に、どのような時間経過で病院が患者さんを転送しているかとか、それをどのようなプロセスで行っているのか、その病院との連携の体制の構築を地域ごとに明らかにする必要があるであろうと思います。

J-ASPECT Studyからのデータ提供に関しては、現状ではこのような病院を研究参加対象にしているわけではないので、また追加調査をすれば可能になるかもしれませんが、現状としては、このレベルの病院に関してのデータを持ち合わせてはいません。以上です。御静聴ありがとうございました。

○永井座長 ありがとうございました。もう1つ、事務局から資料5「循環器病の急性期診療提供体制構築に向けた考え方()」を説明していただきます。よろしくお願いします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 事務局です。それではお手元の資料5を御覧ください。「循環器病の急性期診療提供体制構築に向けた考え方()」の資料です。資料52枚目のスライドを御覧ください。こちらは、先ほど資料2内で提示しましたスライドの再掲となります。循環器病の急性期診療提供体制構築に向けた考え方の案ですが、このように現在の医療施設、診断機器、人員等を踏まえて搬送・診断・治療における課題を把握した上で、地理的要件や発症頻度等を考慮しつつ診療提供体制を構築することが必要ではないかと考えられます。

3枚目のスライドです。こちらは「循環器病を診療する施設の役割分担のイメージ()」になります。表に示すように、左側の列にある高度な専門的医療を行う施設、専門的医療を行う施設、主に初期対応を行う施設で、提供する医療に応じて医療施設に求められる役割は何かを明確にした上で、診療提供体制を構築することが必要ではないかと考えられます。今回の議論に出ました脳卒中、急性心筋梗塞、急性大動脈解離において、役割分担のイメージを例示しています。

 脳卒中においては、高度な専門的医療を行う施設としては、血管内治療や外科的治療が可能である。専門的医療を行う施設においてはt-PA療法が可能である。主に初期対応を行う施設においては、脳卒中の診断が可能である。

 急性心筋梗塞に関しては、高度な専門的医療を行う施設は、外科的治療も含めて可能である。専門的医療を行う施設としては、再灌流療法が可能である。主に初期対応を行う施設としては、急性心筋梗塞の診断が可能である。

 急性大動脈解離に関しては、高度な専門的医療を行う施設では、24時間体制で外科的治療や血管内治療が可能である。専門的医療を行う施設においては、外科的治療、血管内治療が可能である。主に初期対応を行う施設においては、急性大動脈解離の診断が可能であるというイメージで表示しています。これは1つの案として例示しました。

 そして、これらを踏まえて4枚目のスライドになります。「循環器病の急性期診療提供体制構築に向けた評価指標の設定()」です。こちらの図で示すように、搬送、診断、治療における課題と、左側の列に示すように、医療施設に求められる役割。高度な専門的な医療を行う施設、専門的医療を行う施設、主に初期対応を行う施設、この役割を基に診療提供体制及び個別の医療施設の評価指標を設定することが必要ではないかと考えられます。

 この評価に用いることが可能な指標の案として、表の枠内に提示しております。医療計画で例示されている指標、病床機能報告制度によって把握される項目、研究班からの情報、学会等における診療実態調査の情報、このようなものが指標として使えるのではないかと考えられます。このように、指標を用いて診療提供体制及び個別の医療施設の評価指標を設定することが、急性期診療提供体制構築に向けて必要ではないかと考えられます。以上です。

○永井座長 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただいた参考人と事務局の発表を踏まえて、循環器病の急性期診療提供体制の構築に向けて総合的な御討論をお願いしたいと思います。どの点からも結構ですので、御質問、御意見を頂きたいと思います。

○宮崎構成員 この最後の厚労省の資料の3ですが、やはり、日本の救急医療の考え方というのが、1次施設からだんだん上がっていくような、基本的にそのような印象があります。診断できても治療ができない、治療ができないで2次に送っていく間に、その連携がうまくいかないとなかなか治療の時期を逸することがあってうまくいきません、全部集約するのがいいかどうかは分かりませんが、それを逆に、まず三次の所で識別して、三次が必要ない所は二次に下げるような形というものは考えられないのかと思います。三次の所で全て受けて、それが満杯になってしまうことは当然困るわけですから、そういうような形を作って行く必要があるのではないかと思います。

 今は救命センターとか集約できる施設できてきましたので、従来とは少し変わってきていると思うのですが、そうだとすると、むしろ病院を数多く整備するよりも、やはり道路の整備だとか、あるいはドクターカー、ドクターヘリを利用して、早く専門施設で的確な診断をする体制を作っていくことが重要ではないかと思います。これは医師不足の中でもそういうことを感じます。いろいろなところにコンプリヘンシブのものを作るわけにはなかなかいかないと思います。

○永井座長 今の点は、先ほど私も話した、悪化しかけてきているときの対応と関係があります。早期発症で早く診断して治療をする、場合によっては安静だけでも良くなってしまうことがあるわけです。そういう啓発や、医師の間の連携、教育まで含める必要があるという捉え方でよろしいでしょうか。三次機関を作ればよいということでは必ずしもない。

○宮崎構成員 そう思います。また、急性期と慢性期でも当然違うはずです。

○今村構成員 今の宮崎構成員のこととも関係があるのですが、この救急医療体制というのは、総じて初回のアタックの急性期の対応ということで、その患者さんはこれから減っていくそうなのです。それに対して、75歳以上の、なかなか治りにくい方々の慢性期の状態でこの循環器の病態が起こるという方が増えていくので、今、議論の内容が、これから減っていく年齢層についての議論が非常に重くて、これから増えていく部分についての体制としてこれが本当にいいのかという、一次から三次というのは正に初回アタックをどうきれいにさばくかという考え方だと思うので、それを今のまま、そこの急性期の部分だけやっていくのはちょっと危険かと思います。

 それとあと、永井先生が言われていた1年後の予後という意味で、我々の研究班で今、済生会熊本でやっているのですが、一次病院の、最初に入った病院での成果と、実はその後に転院された転院先の予後というのは非常に大きな差があって、端的に言うと、転院先によって予後は大きく変わるという現状があります。ですから、病院内のクリティカルパスだけではなくて、その転院先まで含めたクリティカルパスのようなものがないと、なかなか循環器の病気の統一した医療というのはやりにくいのではないかと考えています。以上です。

○永井座長 いずれにしても、慢性期の調査は必要だということですね。これは慢性期疾患としてだけではなく、急性期におこなう治療の慢性的な意味ということですが。

○今村構成員 そうです。

○上田構成員 急性大動脈解離について少しコメントします。我が国の急性大動脈解離の手術の成績は、世界の中では特筆すべきレベルにあります。数も多いということは、今日のお話の中では、プライマリーの病院もかなりの診断力を上げてきました。胸が痛くて心筋梗塞ではないとなると、すぐCTを撮って判断するところまできましたので、初期の検出力は良いのです。今、今村先生が言われたところが問題で、急性のA型解離だからといって、すぐ手術ができる近くの病院に送られます。ところが、大動脈解離の手術というのは通常の心臓手術とは極めて異なるものです。欧米で年間4,000例手術をやっている所でも、大動脈解離の成績は非常に悪いです。20%か、ニューヨーク州だと50%ぐらいが亡くなる施設もあるような手術なのです。

 そういう実態の中で、日本では急性解離でも10数パーセントの死亡率まで成績は上がっているのですが、問題は、緊急手術しかできない病院に搬送されてしまっていることです。予定手術は循環器内科医がセレクションして然るべき病院に紹介しているので、そういう救急病院に集まるわけです。年間250例とか、多い所は500例心臓の手術をやっている所に予定手術は送るのだけれど、救急大動脈解離だけが近くの手術がすぐできる病院に送られているのです。日本心臓血管外科学会が中心になったデータベースがあるのですが、それには明らかに、際立って死亡率が高い病院があることが判明しています。

 要するに、急性期だから手術をしなければ亡くなるという条件の下に手術を受けているものですから、その成績を容認している実態があって、これをいかに高めるかと。正しく、地域の中でたくさん手術をやっている所へ時間を掛けてでも送るほうがいいかもしれない、あるいはヘリで送るほうがいいかもしれないといったような事情が急性大動脈解離についてはあります。大都会の中であればいいのだけれど、都会でない所へ行くと1時間掛けて送るリスクがどうしても出てくるということで、日常的に開心術を行っていない、1週間に1回しか手術を行っていない所に送られると、ちょっと救命は難しくなる。そういう少し特殊な、この3つの中では極めて特殊な病態にあることを御理解いただければと思います。

○永井座長 今の点はもう1つ視点があって、日常的に手術している所は大体予定手術でいっぱいになっていて、その施設に搬送されても実は手術ができない状況が結構起こっているわけです。

○上田構成員 そうです。

○永井座長 安田先生のデータに24時間可能という所も、空いていれば可能なのですが、空いていないという現実を踏まえると、本当にどこまでできるのかということについてのデータをお持ちなのでしょうか。

○安田参考人 いえ、これはあくまで体制としてあるということで、そこまで、今言われたようなところまでのデータにはなっていません。

○永井座長 多分、上田先生のほうがその辺の状況は御存じだと思いますが、実際はできないのですね。

○上田構成員 そうです。

○永井座長 やむを得ず他の病院に行っている間にいろいろ合併症が起こってしまうのです。そのほかいかがでしょうか。

○磯部構成員 私は東京でずっと、急性期疾患の診療をしています。東京都は東京都CCUネットワークがありまして、地理的、あるいは病院が密集しているとか、人口が密集しているとか非常に特殊な条件ではあるかと思いますが、急性心筋梗塞の治療についても非常にいいシステムができているのではないかと思います。ですから、先ほど厚労省からの御説明で8割が再灌流療法を受けているという実態がありまして、これはやはり世界に冠たるデータではないかと思うのです。基本的には施設の集約化は難しいと思います。これだけ再灌流療法が普及して、実際、心筋梗塞の急性期の死亡率は本当に年々減っていて、病院を集約するのはちょっと難しいと思います。大事なことは、東京は特殊かもしれませんが、搬送システム、それから一次、インタベーションができる施設の集約化ではなくてクオリティの担保、そういうことを中心に行うべきであると思います。

 それから、上田構成員が言われたように、東京都は大動脈解離のネットワークもやはり数年前に構築しました。永井先生が言われたように、本当に成績の良い施設は日中はできない。例えば、私が勤めている病院でもそのネットワークになかなか参加できない。理由は、手術はきっちりできるのですが、オペ室が空かないので、麻酔科、手術室、あるいは病院としてそれを受け入れられないということなので、その辺をうまく考慮しないと、永井先生が言われたように難しいのではないかと、そのようなことを思いました。

○永井座長 今の集約化の問題というのも、例えばインターベンションにしても、外科医がいたほうがよいのだろうけれども、実際はそれは無理ですし、なくても結構成績はよいようです。しかし実態は明らかにする必要があると思います。先ほどの数字にあった5%ぐらいは、実は外科医がいたらよかったというケースもあるのだと思います。ただ、その5%がどこまで現実なのか、また時代とともに変わる可能性があります。

 そういう意味でも、急性期医療の成績、それは慢性期まで含めたデータですが、これをしっかり押さえないと、本当の議論はできないように思います。体制構築とともに、とにかくデータを取っていく。それは入院中のデータだけではないのだ、ということです。その点は脳卒中でも同じだと思いますので、しっかりと確認したいと思います。

 事務局からも提示があり、参考人からも枠組みとして、搬送、診断、治療のフェーズの枠組みは多分よいのだと思うのですが、そのしっかりしたデータづくりということも視点に置いた上での搬送、診断、治療のフェーズという分け方について、御了解を頂ければと思います。そこには、啓発や早期診断という視点も入ってくる。あとのほうには、長期のフォローアップ・データを枠組みとして考える必要があるのではないかと思います。

 施設については、大動脈解離のような大がかりな手術の場合には、やればできるという話と、実際できるかどうかという話はかなり乖離があります。その辺についての実情もしっかり押さえる必要があるのではないかと思います。できる施設に運ばれて何時間も待たされる、あるいは他の病院に転送せざるを得なくなって、結局不幸な形になるというのもかなりあるのではないかと思います。それだけ日本の医療現場というのは余裕がないのです。三次機関といっても、ギリギリのところで運営しているという現実。そこに集中してくれば、もっと動かなくなってきてしまう。この辺をどうするかということだと思います。これは、脳卒中についても同じではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○長谷川構成員 脳卒中でも、今おっしゃったようにやればできるというのと、実際にやっているのは違うということなのです。4疾病5事業が始まった頃に、分かりやすく機能をホームページ等で示しなさいということで、各県が脳卒中、救急を入れる所はホームページに出しています。その実態を調べると、結局は土日はやれないとか、朝9時から5時ぐらいまで何とか先生がいるときだけt-PAができるというのが、現在分かりやすく説明する状況になっています。

 先ほど飯原教授から御説明のあったような、Primary Stroke Center、その肝というのは患者が来たら15分以内に駆け付けて、t-PAの適応があるかどうかができる所という、そこが最も肝になっています。ところが、日本のt-PA開始のときには、SCUを持っている所ということで、24時間365日対応できる所は1つも必要の条件に入っていなかったわけです。

 日本に脳卒中ケアユニットが何軒あるかというと、114軒しかないのです。やはり、飯原教授が示されたような、一次脳卒中センター、Comprehensive Stroke Centerというのをはっきり定義をする必要がこれからは出てくるのではないかと思います。これは平成30年までにやるとなったら大変なことですけれども、定義がなければ、地域の見える化もできないという感じがしています。

○永井座長 CCUネットワークだと、本日受け入れられるかどうかということが情報で分かります。ストロークについては、そういう情報ネットワークというのは救急隊にも分かるような仕組みになっているのでしょうか。

○長谷川構成員 2005年にt-PAができて、それぞれの地域で脳卒中の初期診断の方法も大体決まっていますので、あとはそこの医療資源によってどういう進め方があるかということだけです。

○永井座長 ただ、今の時点、本日の今できる病院はどこかというようなことが表示できているかどうかです。

○長谷川構成員 これは、地域によって全く差があります。MC協議会すらない所もあります。

○永井座長 そういうことも、もう1つ重要な視点ですね。

○鈴木構成員 脳神経外科の鈴木です。追加させていただきたいのはt-PA療法に関してです。例えば事務局の報告にあった役割分担のイメージの図の上のほうですけれども、急性心筋梗塞では再灌流療法というインターベンションが加わりますけれども、t-PA療法というのは薬剤の単なる静注です。かなりレベルが違って階層が異なるのではないかということを感じています。先ほど長谷川先生がおっしゃった、t-PAの導入時には結構ハードルが高かったために、その均てん化はまだまだ達成されていないのではではないでしょうか。

 都会と同じレベルでこの均てんを考えると、田舎ではなかなかt-PAが打てない施設も多いですので、遠隔医療の導入とか、あるいはt-PAの静注における縛りを緩和しないと、脳梗塞の56%にしかt-PAを打てないという今の状況は変わらないということも考えておりました。追加です。

○永井座長 ありがとうございます。

○今村構成員 脳疾患の地域医療計画でのアクセスマップを作っております。地域によって全く違う。その代表的な例で言うと、脳梗塞で言うと、ほとんど日本中で診ている病院はたくさんあるのですけれども、それをくも膜下出血というようにしたら、特に田舎では診ることができない状況だと思います。これは、一般内科が脳梗塞を現実に診ている、t-PAをしているかどうかは別にしても診ている現状に対して、脳外科的な手術までできる所があるかどうかで見ると、ほとんどが日本の地域では1時間以内に行くことができないという現状があります。

 この現状をどれだけ追認するかということはあるのですけれども、今の追認のままだと、脳卒中はほとんど日本の地域で診ていることになるのですけれども、今のt-PAの定義でいくと、ほとんどの地域でアクセスできない現状が出てくるのではないかと思います。そのデータの把握の仕方によっては大変な医療不足の話になるし、把握の仕方によっては、もう日本は満たされているという、現状を追認すれば満たされていることになるので、データの集め方をどのように切るかによって全然変わってくることを、情報提供として知っていたただければと思います。

○小川()構成員 資料52の「循環器病の急性期診療供給体制構築に向けた考え方」については、非常によくできていると思います。このとおり、ちゃんとチェックしていけばいいのです。先ほど来御議論になっている主なところは、治療施設がどうかということになっています。その中で医師需給に関する検討会も立ち上がっています。医師も医療資源も限界があるわけです。幾らでも医療資限があるわけではない。医師数もそうなのです。どれだけ能力のある医者がどのぐらいいるかということもあるので、この治療の部分に関してはデータをちゃんと出して、集約化というような視点も極めて重要だと思います。

 もう1つ診断のことに関してはどなたもおっしゃっていなかったのですが、実は脳卒中診断に関しては全国的な標準化がまだまだ不十分です。ですから、同じようなCTを使って絵を出しているから、同じものを見ていると皆が思っているのだけれども、実はそれは全く違うことを見ている。そういうことで、結局診断に関しても標準化がどのぐらいされているのかということも、含めて検討していかなければならないと思います。

 この中に搬送が入ったのは非常に素晴らしいことだと思います。これは事務局のほうで調べていただきたいのですが。ちょっと古いデータになりますが、総務省の救急隊が救急病院に救急車で搬送される時間を、都道府県別に時間が出ていたことがあります。その中で一番悪いのは東京で、一番時間がかかっている。一番病院がある所が東京なのだけれども、あの当時は一番時間がかかっているのが東京でした。

2番目は岩手県なのですが、岩手県は四国4県に匹敵する広さを持っていますから、救急車を頼んだとしても、片道1時間で向かって、片道1時間で基幹病院に戻ってくる。広いという物理的な要素があるわけです。

 東京のようなメトロポリタンにおけるそういう問題と、地方における問題とは全く異質な問題であるということです。これは古いデータで、最近はどうなっているか分からないのですけれども、東京などの大都会のメトロポリタンでは、病診連携、病病連携が十分に機能していない。そして、たくさんの大きな病院がいっぱいありすぎるから、先ほどあったように、「今、手術しているからうちの病院では取れない」と言って取らない。「本日はその専門医がいないから取りません」と言って、結局時間がかかっている。たらい回しです。

 岩手県は、東京都全域の2倍の広さのある二次医療圏があります。二次医療圏1つで東京都の2倍の広さがある。そこに総合病院が1つしかないので、そこで受けざるを得ない。広さがそういう広さですから、救急隊の要請を受けても、患者さんの所に行くまでに1時間、2時間かかって、基幹病院に戻ってくるまでに1時間、2時間かかるという時間的なものがあります。その辺のデータが総務省にあるはずですので、是非、次回辺りにその辺もお出しいただければ有り難いと思います。

○永井座長 小川構成員の御指摘のところは、事務局のスライド3に関係するのだと思います。「役割分担」と書いてあるのですが、主に初期対応を行う施設、専門的医療を行う施設、高度な専門的医療を行う施設。これは東京、大阪、神奈川ならできるかもしれないけれども、岩手ではこれが全部1つになっている可能性があります。大きな医療圏だと、初期待応も、高度な専門医療も1つでやらなければいけない、連携する所がない。

○小川()構成員 連携する所はありません。もう集約化されてしまっていて、総合病院は1つしかない。そのサテライトの内科の先生ぐらいしかいないような病院が3つか4つぐらいあって、それでザッツ・オールです。

○永井座長 役割分担というのは、正に都会と地方とで分けて考えないといけないという御指摘だと思います。

○小川()構成員 そのとおりです。

○小川()構成員 今の話は切らせていただいてよろしいでしょうか。

○永井座長 はい。

○小川()構成員 先ほど上田先生がおっしゃった御話はごもっともで、心臓の手術ができるけれども、夜間の大動脈乖離(ダイセクション)の救急のオペはできないという病院があるのは現実です。そのためにも外科というのは、より集約化が必要だと思うのです。心臓外科の手術のできる病院が2段階ぐらいあってもいいと思うのです。通常の外科手術ができる病院と、本当に緊急の何時でも手術ができるような、それだけ外科医がそろった病院という2種類の病院があってもいいと思います。後者は地域に1つぐらいあればいいと思うのです。

 この対応で初期、専門的、高度とあって、高度にも2種類ぐらいあるかもしれません。専門的医療施設とよく言われますけれども、その配置が問題だと思うのです。私は熊本にいたのですけれども、熊本の場合は熊本市内、天草、阿蘇、水俣、人吉といった各地域にインターベンションができるスペシャリストが何人かいて、それを回しているわけですが、そういう所は結構珍しいのです。それは、行政的な配置である程度仕上がったインターベンショナルカーディオロジストの配置をまずしておかないと、とても全てを搬送というのは無理です。やはり、人の配置も結構問題ではないかと思います。それは行政的な指導をしてやらなければいけないと思います。

 もう1つは、鈴木先生が仰ったことは非常に面白い話です。t-PAというのは本当に普及していないというのは事実です。こういうことを言うと非常識かもしれませんけれども、提案として1つ言えるのは、t-PAというのは循環器内科医が昔は打っていたのです。心筋梗塞のときには全部やっていました。きちっとした診断と、きちっとした方針さえ示してくれれば、別にt-PAを打つのは脳の専門医でなくてもいいのではないかというような極端な発想をすると、医者の補充というのは結構できていくのではないかと思います。

 きちっとした診断、例えば脳の先生が遠隔診断でもできると思うのですが、そういうのでt-PAを打ってもいいというようなことがあれば、打つのは別に脳神経内科でなくても、循環器内科医が打ってもいいのではないか。これは非常に極端ですけれども、そういうことをすれば、t-PAはもう少し普及すると思うし、予後もよくなると思います。実際に循環器内科医は昔やっていたことを、なぜ今はやらないのだろうと思うのがあります。t-PAというのは循環器内科医が全部やっていました。私も静注はどんどんやっていました。それが、脳の先生しかやったらいけないとは言わないのですが、そういうのも発想の転換としてあってもいいのではないかと思います。非常に極端ですけれども、あえて言わせていただきます。

○永井座長 教育の問題、医師に対する啓発の問題だろうと思います。

○小川()構成員 そうです。

○荒木構成員 地域の問題も少し出ておりますので。特に岡山県においても、例えば高度な専門的医療を行う施設というのは多分限られるのかと思います。岡山県内でも、県北のほうは医療資源が不足していますので、二次医療圏1施設に、正に総合的な病院が1つある。だけれども高度な専門的なところまではいかないというところがあると、全県1つでアクセスの確保、先ほどのストローク・バイパスとか、そういうのも使っていかなければいけないと思います。そのためには救急隊との連携とともに見える化というか、この施設は高度ができます、この施設は専門的医療ができますということを見せていく。

 これまでも医療計画の中で、実は急性期を担う所、回復期を担う所というのが出されています。5疾病5事業の5疾病の中で。ですから見える化を進めることが必要だというのが1つです。もう1つは、今回は循環器病の急性期診療提供体制の構築という表題になっていますのでどうしようかと思ったのですが、これまでに今村先生もおっしゃられていますように、心不全だと、急性心不全もありますけれども慢性化して、そちらの心不全により亡くなられる方、あるいは高齢化するので、そちらのほうが疾患の患者数としては増えてきますので、そうなると地域の医療機関との診療連携というのが非常に重要だと思います。

 今度の新規の医療計画に入れるのかどうかは別としても、例えばAMIだけではなくて、心不全も含めた心疾患という形で、例えば5疾患のうちの1つを書いていくというのもあったらいいのかと思います。

○羽鳥構成員 荒木先生のおっしゃることと同じことになるかもしれません。今回の資料5は「急性期診療」と書いてあったので発言してはいけないのかと思っていました。慢性心不全の急性増悪とか脳梗塞も同じようなことがあるでしょうから、そういう発想もやはり大事だと思います。そういう意味だと在宅です。脳卒中の在宅はもちろん皆さんされていることでしょうけれども、心不全の在宅を専門にされている先生が大分出てきているということも実態だと思います。

 特に心筋梗塞後とか、あるいは心不全での在宅医療というか、私たち普通の一般外来を診ている感じでは、注射で頑張るとか、点滴で頑張ると、入院を1週間、2週間延ばすということも可能なように、在宅を常時できるような先生が循環器の方でいれば、応診しながら治すというやり方もきっと出てくると思うのです。ここの場で討議するのは別かもしれませんけれども、在宅の場面も1つ考慮に入れていただけるといいのかと感じました。

○永井座長 それは、不安定狭心症や心不全でも、在宅医療や、患者さんへの教育により、早めにちょっと手を打てば、問題なく、悪化せずに生活を送れる場面が結構あるわけです。あるいは、超急性期にバタバタしなくても済む。ですから、必ずしも救急の搬送から始まるわけではありません。そのちょっと前に大事なポイントがある。

 急性期を過ぎた後の早い時期のリハビリも、この治療の範疇にあるのではないかと思います。

○磯部構成員 私も、慢性期のことはまた別の機会なのかと思って発言しませんでした。羽鳥先生、今村先生が御指摘になったとおりで、これからは二次予防が大事になってくるところだと思います。在宅の心不全医というのは着目されて増えてきてはおりますけれども、全然領域として確立していない。多職種の介入を行って、在宅あるいは外来で心臓のリハビリテーションを行っていくことで、再入院が減ってくると思います。そういう意味ではチーム医療も必要ですし、それから心不全を診る専門職としてのコメディカル、特にナースといった方たちの参加をするようなシステムを作る。診療報酬の問題だと思うのですけれども、そういうことに立ち入って、心臓リハビリテーションの執行率というのは、現在、必要な方の4%とか5%と言われています。ですから、ほとんどなされていないのですけれども、非常に重要な領域で、再入院の予防には一番重要な領域だと思いますので、是非その辺りの実態を調べて介入していただきたいと思います。

○永井座長 資料2の図に私の絵を掲載していただいています。循環器疾患の一つの特徴は、繰り返すということです。繰り返し発作を起こす。そうすると、初回発作をどう防ぐかももちろん大事ですけれども、2度目、3度目の発作をどう防ぐか。起こったことは仕方ないとしても、2度起こさないようにするには、あるいは3度起こさないようにするということにかなり重点を置いて対応する必要があります。これも1つの大事な視点ではないかと思います。

 事務局の資料54番目に、評価指標の設定ということで幾つか挙げられています。ここについて御意見を頂ければと思います。データが大事ですが、診療実態調査の情報も非常に大事だと思います。もう1つ、循環器疾患は繰り返すわけですから、急性期の治療の評価ということになると、時系列的なデータをどのように集めて評価するか。特に入院から外来へ移った場合、他の病院へ転院した場合のように、いろいろな状況の中で、しっかりとデータを取って評価することが、患者さんにとっても、また医療経済的にも非常に重要な問題ではないかと思います。

○今村構成員 地域医療圏の指標は、正にうちの研究班がやっているところです。この枠組みは非常に良い枠組みなのですけれども、地域医療構想計画は、高度急性期、急性期、回復期、慢性期と分かれていて、慢性期は在宅と一緒ということです。ここで整理しようとしている枠組みと、地域医療構想のほうで整理しようとしている高度急性期、急性期、回復期、慢性期の整理が必要だと思います。それをしないと、地域医療計画に載せていくことが結構しんどいのではないかと思います。そこの4つを考えると、先ほどから議論のあった、在宅まで含めての循環器の全体の流れを整理することができると思います。

 そして、実際にこちらの分類と、4つの分類で考えていくとするならば、今はPDCAサイクルを回していますから、今計画を作ったものに対して、具体的にそれを評価できるような指標がないと、政策の成功率は分からないです。今までは、数字を出すのが非常に難しいものを指標にしていたので、入力者の負担が大きすぎて、全然指標にならなかった経緯があります。ですから、割と簡単に出せる指標で、我々が監視していきたいポイントを指すような指標というのが考えられる必要があります。データを作っている側だけから見ていたら絶対に分からないことなので、それはこの検討会で、どういう数字がいいのかを絞っていってもらって、そのときに出しやすい数字というのがとても重要ですので、御検討いただければと思います。

○永井座長 まだ、いろいろ御意見はあろうかと思いますが、必要であれば事務局のほうにお申し出いただきたいと思います。

○川勝構成員 せっかく来ましたので、少しお話をします。この間からお話を聞いて、資料を拝見していまして、全てが搬送ありきでできています。私は脳卒中なのですけれども、脳梗塞になったときに、これは脳梗塞という大きな病気なのだという認識が患者若しくは家族にないのです。病院に行かないわけです。行かないがゆえに、t-PAの投与率も低くなっている。搬送、診断、治療というのは分かるのですけれども、もっと手前の搬送の前の実態をつかみ、そこの啓発が非常に大事ではないかという気がするのです。

 私が朝倒れたときに、うちの嫁さんはこう言ったのです。一瞬立ち上がれたのです。「治った、疲れだ、寝ていればいい」と言われたのです。これは、普通に考えるとそうだと思うのです。本人は痛くないのです。痛みもないので、うーんうーんも言っていない。脳卒中の場合、特に本人の痛みがないがゆえに、家族も分からないのです。そういう啓発活動が今は世の中でされていませんので、そこを教えなければいけない。かつ、どれぐらいの人が早期に搬送されているのか、搬送手配に入るのか。どういうことで搬送手配に入っていくのか、という実態をもうちょっとつかんで、それを広めるのがこれの入口ではないかと思います。

○永井座長 それは、心臓でも全く同じで、不安定狭心症という状態があるのですが、これは極めて危ない心筋梗塞に移行する前段階です。これは病歴と、患者さんの症状だけから診断していきます。初めて起こったとか、冷や汗が出たとか、ニトロが効かないとか、そういう症状で判断します。患者さんに対する啓発や、最初に診る医師への教育は非常に重要で、何でもなくても受診していただいたほうがよい、あるいは入院していただいて何もなければよかった、という病態です。それは脳卒中も同じだと思います。その辺も含めた対応策ということではないかと思います。

○羽鳥構成員 先ほど永井先生と磯部先生が言われたことで1つ追加したいのは、昨日、私はたまたま健康日本21の会議に出ていて、そこでは運動療法とか、栄養指導の話がメインのテーマでした。診療報酬上、栄養指導に対しては今回も230点と大きな点数が付いたのですけれども、運動指導に対してはほとんどないのです。急性心筋梗塞のリハビリだけは点数が付きます。これは糖尿病でも同じで、糖尿病の運動療法、循環器疾患の運動療法というのは点数が付かないということがあります。是非、この場でうまく持っていけるようでしたら、そういう予防がきっと大きなポイントになってくると思いますので、その辺についても運動療法がとても大事だということを、どこかで訴えていきたいと思います。それを付け加えさせていただきます。

○永井座長 予防と言っても、一次予防の世界と、二次予防、三次予防といろいろな予防があるということだろうと思います。また御意見を寄せていただくことにして、事務局からワーキンググループの設置と、今後の進め方についての説明をお願いします。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 資料6、資料7の説明をさせていただきます。資料6は、「ワーキンググループの設置について」です。循環器病の診療提供体制における課題等を踏まえ、特に心血管疾患と脳卒中にそれぞれ専門性の異なる視点において検討が必要な項目があることから、心血管疾患と脳卒中の2つのワーキンググループを立ち上げて議論をしてはどうでしょうか。「ワーキンググループの名称」は、心血管疾患診療に関するワーキンググループ(仮称)、脳卒中診療に関するワーキンググループ(仮称)と付けております。

2「ワーキンググループでの検討事項」は、心血管疾患診療に関するワーキンググループでは、今回話題に上りました、急性期の診療提供体制の整備について。さらに今回の議論でも出ました、慢性期の診療提供体制の整備について御議論いただければと考えております。脳卒中診療に関するワーキンググループも同様に、急性期と回復期・慢性期の診療提供体制の整備について御議論いただければと考えております。

 「その他」。座長が構成員を指名し、ワーキンググループは構成員の互選により座長を置き、ワーキンググループを統括する形にと考えております。(3)本ワーキンググループには、必要に応じて構成員以外の有識者等の参集を依頼することができるものとする。(4)本ワーキンググループの庶務は、厚生労働省健康局がん・疾病対策課が行います。(5)この要綱に定めるもののほか、本ワーキンググループの開催に必要な事項は、座長が健康局長と協議の上定めることとします。(6)本ワーキンググループで得られた成果は、「脳卒中、心臓病その他、循環器病に係る診療提供体制の在り方」に関する検討会に報告する。こういう形で案を作成しております。

 資料7は、「本検討会の今後の進め方」です。進め方の案として、本検討会では、先ほどのワーキンググループを月1回程度開催し、本年10月末をめどに中間取りまとめを行う。その後、更に他の議題について検討を継続する。このような案を出させていただきました。

110月末までに検討が必要な議題()」として、急性期の診療提供体制の整備について、慢性期の診療提供体制の整備についてという案を挙げております。

2「中間取りまとめまでのスケジュール」として、検討会とワーキンググループを並行して開催し、10月末をめどに中間取りまとめを行ってはどうかという案を提示しております。本日6月の第1回検討会の後に、脳卒中診療に関するワーキンググループ、心疾患診療に関するワーキンググループを開催し、9月に第2回検討会を開催し、また脳卒中診療に関するワーキンググループ、心疾患診療に関するワーキンググループを開催し、10月末をめどに第3回検討会を行い、検討内容の中間取りまとめ、次回以降の検討課題の整理・検討をしていただければという案を作成いたしました。以上です。

○永井座長 御意見がありましたらお願いいたします。共通の課題があろうかと思いますが、それは特にワーキンググループで交流する必要はないのでしょうか。

○岡田がん・疾病対策課長補佐 共通の課題に関しては、この全体の検討会でさらに議論させていただければと考えております。

○永井座長 搬送体制は、救急車の体制とも関係してくるわけですが、この検討会で十分対応できるのでしょうか。総務省ともいろいろ相談しなければいけない面もあろうかと思いますが。

○丹藤がん・疾病対策課長補佐 その点については、そのワーキンググループの中で関係省庁や、本日は御参加されていないけれども、搬送について御意見を頂けるような有識者も加えた上で、検討を深めていきたいと思います。

○永井座長 いかがでしょうか、よろしいでしょうか。よろしいようでしたら、ただいま御提案いただきましたワーキンググループの中で、搬送体制を含めて御議論いただき、この検討会へ報告していただくことにしたいと思います。

 本日予定した議事は以上ですが、何か御発言はありますか。ないようでしたら、本日の検討会は以上です。事務局から連絡事項等をお願いします。

○魚谷がん・疾病対策課長補佐 次回ワーキンググループの日程については、事務局より追って御連絡させていただきます。お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

○永井座長 本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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