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2016年4月20日 第3回大学附属病院等のガバナンスに関する検討会

○日時

平成28年4月20日(水)


○場所

省議室


○議事

○佐藤医療政策企画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第3回「大学病院等のガバナンスに関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、本検討会に御出席いただき、まことにありがとうございます。

 前回、3月16日の検討会以降、事務局に一部異動がございましたので、先に報告させていただきます。

 医政局総務課保健医療技術調整官の堀でございます。

 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、座席表のほか、資料1~5、参考資料として、本検討会の名簿を含め設置要綱がございます。

 加えて、本日、山口構成員より会員誌からの抜粋を追加の資料として提供いただきましたので、席上に配付しております。あわせて、横に第1回、第2回の資料も席上に置いておりますので、適宜参照いただければと思います。

 資料の欠落等がございましたら、事務局にお申しつけください。よろしいでしょうか。

 それでは、以降の進行は、座長にお願いいたします。

○田中座長 皆さん、こんにちは。お集まりいただきまして、ありがとうございました。

 早速ですが、議事に入ります。

 初めに事務局から資料の説明をお願いします。その後、みなで討議をすることにいたします。

○佐藤医療政策企画官 事務局でございます。

 資料1~3がございます。まず資料1「これまでの検討会における主なご意見」ということで、こちらのほうでピックアップさせていただきました。順番としては、まず総論的なところ、それから適切な意思決定を行うための体制、また、項目を分けておりますけれども、管理者の職務権限の強化・明確化の関係、大学の方針を意思決定する場への参画についての御意見、おめくりいただきまして、病院内の管理者(病院長)のガバナンス等についての御意見、3ページに2.とありますとおり、管理者の資質や選任方法についての御意見、4ページに移りましてそれ以外、コンプライアンスの遵守等、あるいは情報開示の関係の御意見ということで挙げさせていただいております。

 以前1度、主な意見ということでまとめているところに、前回のヒアリングの際の御意見を反映した形になっております。

 続きまして、資料2でございます。前回ヒアリングで、国立大学法人千葉大学、学校法人慈恵大学、公益財団法人がん研究会、3者のプレゼンをしていただきましたけれども、こちらで幾つかの項目ごとに整理させていただいたというものでございます。あわせて参考にしていただければと思います。

 続きまして、資料3でございます。これまでの御意見等を踏まえまして、事務局のほうで検討項目案という形でたたき台として作成させていただきました。

 まず、総論でございます。読み上げます。「特定機能病院の大宗をしめる大学附属病院は、他の医療機関に比し、組織として同時に教育・研究・診療という3つのミッションを持ち、複雑なガバナンス構造を有している。そうした中で、国民の生命・健康を預かる医療提供施設として医療の質と安全の確保が全ての前提であるという認識を出発点に、特定機能病院のガバナンス体制や意思決定の在り方、管理者の選任等に係る以下の事項について、どのように考えるか」ということでございます。

 ここからは項目を挙げる形にしております。まず、「病院としての適切な意思決定を行うための体制」。

 (1)「開設者等と管理者(病院長)の関係」。1ポツです。管理者(病院長)が、病院の管理運営に関する業務をつかさどり、病院職員を統率していく職務権限(一定の予算・人事権限を含む)を有することを明確化すること。医学部附属病院においては、医学部との権限・運営上の関係を明確化すること。管理者(病院長)が大学の理事会、執行役員会等の会議に参画できるようにすることにより、大学としての意思決定がなされる際に、管理者(病院長)の意向が勘案されるようにすること。

 (2)が「病院内における病院長のガバナンス等」でございます。管理者(病院長)主宰のもと、病院の管理運営に係る事項を審議する場として、病院運営に関する会議を位置づけ、その審議内容を全職員に共有すること。副委員長に加え、院長補佐、事務スタッフ等、管理者(病院長)補佐体制を充実・強化すること。病院経営を担う事務スタッフ等については、適切な人事・研修による育成を行っていくこと。外部有識者を含めた大学の監事、理事会等が病院運営のチェック・監視機能を発揮することとしております。

 2番といたしまして「管理者(病院長)の資質や選任方法等」。

 意向投票の結果をそのまま選考結果とする場合、あるいは理事長等のみが選考する場合、いずれにおいても適切な者が選任されないことがあるとの指摘を踏まえ、どのような選任方法であれ、最も病院長にふさわしい者が選考プロセスの透明性が確保された形で選任されるべきこと。医療安全管理業務の経験に加え、組織マネジメントを実施できる資質・能力等、管理者(病院長)として求められる資質・能力についてあらかじめ定めておくこと。そして、必要に応じ、外部有識者も含めた選考会議、あるいは公募なども活用しながら、最も上記の資質・能力基準に合致する者を任命権者が実質的に選考し任命すること。最後に、管理者(病院長)の選考結果を、その選考理由とともに、遅滞なく公表することというふうにしております。

 3番、「その他」ですけれども、コンプライアンスに係る態勢を整備し、法令遵守を徹底すること。上記各項目に係る、大学や病院の内部規程等を公表し、病院運営や管理者(病院長)選考プロセスの透明化を図ること。

 以上でございます。

○田中座長 ありがとうございました。

 ただいまの説明を踏まえて、残りの時間で意見交換を行います。資料3の1の(1)、1の(2)、2、3の項目別に分けて議論をしていく予定です。

 初めに、資料3の1の(1)について、構成員の皆様の御意見を頂戴したいと存じます。どなたからでもどうぞ。質問でも結構です。

○草苅構成員 1の(1)で、病院長が病院の管理運営に関する業務をつかさどり、病院職員を統率していく職務権限を明確にするということがあるのですけれども、ここで言う管理運営に関する業務をつかさどる、つまりそれはどういうことを意味するのか。それから、病院職員を統括していく職務権限を有するというのは、どこまでその職務権限、ないしはその管理運営に関する権限、それをどこまで付与するのかというところがよくわからないのです。

 というのは、例えば職務権限とありますが、「一定の予算・人事権限を含む」と書いてあるのですけれども、例えば職務権限で病院長に予算を全て任せるのか、人事権限も全て任せるのかというような疑問が1つ。それから、病院職員を統率していくというのだけれども、病院の職員というのは、医師、看護師さん、それから言ってみれば管理系の人たちがいますが、それを全部そこに集中するという意味なのでしょうか。

○田中座長 お答えください。

○佐藤医療政策企画官 御質問ありがとうございます。この中で議論いただきたいということではあるのですけれども、ここの文言自体について申し上げると、開設者というのは管理者とは別に、兼任しているケースもあるのかもしれませんが、別途いるということを前提にしておりますので、第1回の検討会のときにも法人類型ごとの資料7というのを用意させていただいたことがあったかと思うのですけれども、その場合ですと、例えば学校法人を代表するのは理事長がいるとして、その下にさらに学長がいたりする。その場合、学長については学校教育法ですと校務をつかさどって所属職員を統督するというような規定になっておりますので、それに似たようなことなのかなと思いつつ、文言としては「つかさどり」という表現を使っております。

 ただ、おっしゃるように、全ての予算とか権限を管理者ないし病院長が持つということはそもそも想定しておりませんので、大学法人の代表者はあくまで別途いて、その人が全体を持っているものですので、あくまで病院の管理運営について病院長がきちんと責任を持ってやるのだというのが前段ですし、「病院職員を統率していく」という表現自体は別に決まったものがあるわけではないですけれども、当然管理運営を行う立場として職員をきちんと監督する、医療安全等を含め、きちんと率いていくという立場にあるのだろうと考えております。

 予算・人事権限のところも、先ほどと同じですが、当然病院について全部病院長が持つということを想定しているわけではございませんで、あくまで病院の管理運営のために必要となる一定の予算、人事権限、その中身については御議論があると思うのですけれども、それを有するということを明確化する必要があるのではないかという趣旨で記載させていただいております。

 いずれにしても、中身については御議論いただければと思います。

○草苅構成員 質問した意味は、ほかにもあるのだけれども、職務権限のところで「一定の予算」とありますよね。これは病院内の予算のことを当然言っているのだと思うのですけれども、要するに予算というのは各セクターの人たち、管理者ですね、部長さんなり、教授なりという、その人たちが自分のところで今年こういうことでこれだけのお金を使いたい、予算として認めてほしいと言ってくる。それを院長が全部、ああそうですかといってやるという意味ですか。

 つまり、職務権限というのは、一定の予算が出てきたときに、そんなことを言ったって、無限にお金があるわけではないですから、当然それに対して、これは要らないのではないのか、今年はこんな状況だから我慢しとけとか、そういう議論があるはずですよね。そこのところが、そんなことを言っても院長が全部わかっているわけではないと。そうすると、それをサポートする体制が必要なのだろうと思うのです。その辺のところがこれだとどうもよくわからないというか、曖昧な形になっていて、確かに病院長は最後に予算の責任を持つということはあるのだけれども、自分のところの病院の置かれている経営状況というか、財務状況というか、そういうものをにらみながらやっていくのは、必ずしも病院サイドではなくて、職員の中のそういう立場の人が、言ってみれば、病院そのものではなくて、それから離れた管理組織が院長を手伝って決めていくということなのではないかと思うので、この書き方だとどうも曖昧でよくわからないのです。私が言っている意味はわかりますか。

○佐藤医療政策企画官 おっしゃっていることは理解しております。当然のことながら、大きな話を病院長が理事会があれば理事会などに上げずに決めるとか、そういったことはあり得ないですので、何でもかんでも予算権限を持つということは当然ないと思います。法人類型によって大分ガバナンスの構造が違うので、一概には言えないのかもしれませんけれども、大きなところは独断で決められるというのはどんな類型であってもないのだろうなと思っています。

 その場合でも、一定の小さい金額の部分について、これは医療安全に充てたいといったときに充てられないとか、そういったことが一部事例ではあったりしたものですから、その意味である程度のところが、曖昧なのですけれども、必要なのではないかということで記載させていただいています。

○田中座長 院内における院長と部下たち、スタッフとの関係が1の(2)になるわけですね。1の(1)は院長と法人全体との関係のガバナンスを分けて書いてあります。この点について御意見を伺いたいですが、いかがでしょうか。まず1の(1)のほうです。

 山口構成員、お願いします。

○山口構成員 山口でございます。

 この1の(1)の3つ目のポツのところに、理事会、執行役員会に参画できるようにと書いてありますけれども、私、1回目のときに申し上げたように、特定機能病院への集中立入検査に22病院回らせていただいた中に、確かに病院管理者が理事会の構成メンバーではないのですとおっしゃっている病院が、少なかったですけれども、数はございました。

 この検討会の事前説明のときに、特に国立大学の場合、理事会の理事の人数が法律で定められているとお聞きしました。そして、理事数を見させていただきますと、少ないところだと3人という人数が規定されていて、多くてもたしか7人だったと思うのです。恐らく学部の数によって人数配分を多くされているのかなと、大学名を見ていたら思いましたけれども、3人となると理事として入ることが難しいような大学もあるのではないかと感じました。

 実際に病院関係者が理事として入っていない大学がどれぐらいあるのか事務局でもし把握されているのだとしたら、数を教えていただきたいというのが質問です。それから、そういう少ない数しか初めから割り当てられていないということを前提に考えると、理事以外の参加の仕方、例えば病院における大事なことを決めるときには病院長が出席するとか、関係するという何か別の形を定めないと、なかなか参画するということができない大学もあるのではないかなということを感じました。

○佐藤文部科学省高等教育局医学教育課大学病院支援室長 文科省でございます。

 まず、国立大学法人の理事の数でございますけれども、今、山口構成員から御指摘のように、国立大学法人法の別表のほうに規定してございます。一番多いところにつきましては8名という人数がおります。小規模の大学については2名というところも規定されているところでございます。

 今、御質問のありました、病院長が理事と兼任している大学の数ですけれども、こちらでも今調査をかけて精査し切れていない部分がございますけれども、今のところ把握している数字としては、医学部を置く大学、国公私合わせて79大学のうちの34大学において病院長が理事の役職を兼任している。内訳としては、国立11、公立7、私立16というふうに把握してございます。

○山口構成員 今、2名が一番少ないとおっしゃったのですが、たしか2名だったのは病院を持っていない大学と記憶しています。病院のあるところで一番少ないのが3人ということになっていたようです。

○田中座長 鈴木構成員、お願いします。

○鈴木構成員 前の会議の採決が延びていたもので、おくれまして失礼いたしました。今、資料3の1の(1)についてですね。私からも何点か質問させていただきたいのですけれども、基本的なところになると思うのですが、1つは大学病院と医学部附属病院の違いというのは、名称上のことだけなのか、実質的な違いを伴うのかということです。

 もう一つは、医学部長と病院長の関係で、私は医学部長のほうが上なのかなと思っていましたけれども、大学によって違うこともあるようですので、そういうものなのか、大学病院と医学部附属病院によっても違いが、その辺の基本的なところを教えていただきたいということです。

 それから、理事会のところですけれども、今、規模の話もありましたが、確かに私立大学には非常に大きな総合大学もございますね。国公立でもあるとは思いますけれども、そうしたところと小さなところでは、小さなところも大変でしょうが、大きなところは医学部の比重が相対的に小さくなりますので、そうしたところでもなかなか難しい場合があるのではないかと思います。

 それと、理事会に出るとなると、どのぐらいの頻度で行われるのかわかりませんけれども、例えばキャンパスが広範囲に散らばっているところもありますね。そうした場合、医学部から本部のほうにかなり遠距離を移動しなければならないという物理的な問題もあるのではないかと思うのですが、それについてはどのようにお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。

 以上です。

○田中座長 回答をお願いします。どちらがなさいますか。

○佐藤文部科学省高等教育局医学教育課大学病院支援室長 文科省でございます。

 規定的なところでは、前回の会合でも申し上げたと思いますけれども、大学本部に附属している病院の場合と、医学部附属病院のところで大きく違いはないと思ってございます。ただ、実態面のところもあると思うので、できれば山本病院長のほうから補足をいただければと思います。

○田中座長 山本先生、お願いします。

○山本オブザーバー まず、医学部附属、大学附属というところで、実は歴史的背景がございまして、国立大学の場合には医学部と歯学部が別々にあるところでは、もともと医学部附属病院と歯学部附属病院が別個に存在していたという経緯がございます。しかしながら、御存じのように、歯学部附属病院というのは非常に経営が難しいということで、医学部附属病院と2つを一緒にした病院にする。そうすると、医学部附属と歯学部附属が一緒の病院というわけにいかないので、大学附属病院というふうに名称を改めたというのが歴史的な背景ですし、私が知る限り、全てとは申しませんけれども、大学附属と銘打っているところの大半はそういう歴史的背景がございます。ですので、ガバナンスの点で医学部附属から大学附属というふうに名前を変えたということではないと御理解いただきたいと思います。

 現在、歯学部附属病院だけが単独で残っているのは、東京医科歯科大学と大阪大学だけという実情もございます。

 それから、理事会の件でございますが、今まさに鈴木構成員がおっしゃられたように、例えば千葉大学のような総合大学で理事になりますと、大学全体の責任を負わなければいけない。病院のことだけをやっていればいいというわけでなくなって、千葉大の場合も、病院のあるキャンパスと大学本部のキャンパスはかなり離れておりますので、タクシーで毎回2,000円ぐらいかけて行かなければいけない距離があります。

 そうすると、大学の理事となると大学全体の責任が出ますので、病院にいるわけにはいかなくなります。本部にいないと仕事が務まらないということになります。私の場合は副学長という肩書で役員会、理事会、あるいはその下部組織である経営戦略会議に入っておりますが、基本的には病院にかかわる議題がないときはなるべくパスさせていただく。これは学長に怒られてしまいますけれども、自分のかかわるところ、病院のことを主張しなければいけないときはもちろんがんと乗り込みますけれども、それ以外のときはなるべく本部の業務にはタッチしないように、病院のことだけに専任できるようにというふうに考えておりますので、必ずしも理事になっているのは大学の規模によって大分違うとは思います。ほかのことも面倒を見ろよと言われると、ちょっとそれはかなわないなというのが正直なところでございます。

○田中座長 大変明確な説明をありがとうございました。よろしゅうございますか。

 ほかに、1の(1)はよろしいですか。矢野構成員、お願いします。

○矢野構成員 全体をこういう構成で行くかというのはまた別の議論として、病院長のことが話題の中心になっているようなので、いわゆる組織文化など他のこともあると思います。

 ここについて言えば、1番目の病院長が予算や人事権をどこまで持つかというような議論は、これは組織によっても違うし、もう既に多くの施設では多分明確になっているのではと思うのですが。一部、安全についての予算が使えないという御意見があったのですが、病院長個人というよりも、病院として独立して予算が組めるというような認識で考えたほうがいいのかと思います。上部組織との関係の中で、金額や人事の範囲はどこまで病院で決められるかというのは、多分多くのところでは決まっているのだろうと思いますが、そのあたりを明確にする必要がある。この1番目は、病院長個人のことだけを言っているわけではないように思います。

 2番目の「医学部との権限・運営上の関係を明確にすること」ということは、大学病院特有のことではあると思いますけれども、これでは目的が余りはっきりしないので、例えば病院の独立した意思決定を保証するためにとか、具体的な目的をつけると、何のために我々はこの文言を入れているのかというのがわかりやすいと感じました。

 3番目については、今、御議論があったように、医学部だけか、総合大学かによって、考え方が違うと思いました。

我々がこのメッセージを何のために出すかというのをはっきりさせないと、「明確化すること」と言っても、一体何のためにということになってしまうと思いました。

 以上です。

○田中座長 ありがとうございます。

 梶川構成員、お願いします。

○梶川構成員 今の構成員のお話と少し重複するかもしれないのですけれども、基本的にこの1番というのは、どちらかというと病院の権限を強化するというか、明確にし、強化をしていく方向のコメントであられると解釈してよろしいのでしょうか。もしその場合であれば、留保すべき権限というものをもう少し具体的に、何に関することは病院長ないしは病院組織というものに権限として留保したいということを表現していく必要があるのではないかと思います。

 これは、もし上部組織と考えた場合、そこから下位の組織が独自に権限を持てるということは、組織運営上はある意味では特異なことを主張する形になるので、その主張する権限範囲というのは明確化したほうがよろしいのではないかなという気は少しいたします。

 逆に、最後のポツの上位組織への意思決定、上位組織全般の運営の意思決定の参画の話というのは、独自の権限を持つという話とは少し別の話なので、なぜ病院が上部組織の意思決定に参加すべきかということについてはちょっと整理をして、では、法学部長は参加しないでいいのか、いけないのか。これは組織、学校という、理事会が独自に自治して決めている理事会だとすれば、病院長だけがそちらに参画しなければいけないという話は、非常に財政規模が大きいということなのか、それとも病院という非常に公的な色彩がほかの学部とかほかの学校の施設と違う性格があるので、明らかに上部組織の意思決定に参画すべきという、その辺は少し明確にしたほうがいいのではないかと思います。

○田中座長 論点についての整理をいただきました。ありがとうございます。

 どうぞ、野村構成員、お願いします。

○野村構成員 ここで発言すべきことなのかどうかわからないのですけれども、今回、大学の附属病院というものにそれぞれ規則がございますので、ちょっと見てまいりましたところ、それぞれの規則には目的規定というのが置かれていて、その目的の中で、病院は医学の教育と研究を行うことを目的とすると書いてあるのがほとんどでありまして、病院というところで医学の研究と教育を目的とすると。この主語と述語のつながりぐあいが、私が考えている病院の目的とは随分違っているような感じがしました。

 それはなぜなのだろうとひもといてみますと、もともと大学病院というのは大学設置基準の附属施設の中に位置づけられているということで、その39条を見てみますと、これは学部または学科の教育・研究に必要な施設という位置づけとしか、学校教育法とか、あるいは設置基準上は位置づけがないために、恐らくそれを引いて目的というのが設定されてしまっているのではないかなという感じがしました。

 そうなりますと、結局、もともとの目的規定がどれだけ現場に影響を与えているのかはわかりませんけれども、最終的に見てみますと、医学部があって、その教育や研究のための道具というような位置づけになりますし、下手をすれば患者さんも、今はそんなことはないにせよ、教育のための手段とされてしまう。これは非常に我々が考えている病院のイメージとは違いますので、少なくとも大学附属病院というもののミッション自体をもう一度各大学において立て直すというか、設け直すということが必要なのではないかなと感じました。

 そういう中で、非常に特異な規則として、東京大学の医学部附属病院の目的だけは、「臨床医学の発展と医療人の育成のための教育と研究を行い」のほうが先に来まして、その後に「個々の患者に最適な医療を提供することを目的とする」と書いてあるので、やはり病院らしい目的が書かれていまして、これが書けるのであれば、ほかの病院も同じような目的規定を置くことを促すことがまず大前提なのではないかなと。そうすることによって、医学部との関係というのが少し明確化されてくるのではないかと感じましたので、発言させていただきました。

○田中座長 ありがとうございます。ガバナンスのためには目的規定がきちんと書いてなければ、そもそも議論できないではないかとの御指摘でした。

 よろしければ、3の1の(2)に移りましょうか。いつでも前の部分についても発言していただいても構いませんが、3の1の(2)、今度は院内のガバナンスについてのところに移ります。

 山口構成員、お願いします。

○山口構成員 第2回目のときに、千葉大学、慈恵大学の御発表、ヒアリングがあったということで、欠席しましたので議事録を読ませていただきました。ここの資料2にあるようにまとめていただいているわけですけれども、この2大学病院は実際にもう既にガバナンスをしっかりと発揮されているところではないかと、私は受けとめております。

 実際の問題として、大学病院と言ってもかなりばらつきがあるということを考えたときに、そのガバナンスをしっかり発揮できていないところがどうやれば発揮できるのかを今回考えていく必要があると思っています。

 特に、病院の中で診療科の独立性が強いというか、平たく言えば力が強いところに対して、病院長が意見を言っていくということがなかなかできないというような病院もあるように実際は感じております。

 きょう机上配付をしていただきました資料が、1つ参考意見として私から提供させていただきました資料でございます。これは何かと言いますと、私たちの法人の会員に対して会報誌を毎月発行しておりまして、その中で毎月のトピックというか、私の所感を書いているコーナーがこの2ページ、表裏にわたっております。

 実は、慶応義塾大学では、一昨年、臨床研究中核病院に手を挙げたところ、いろいろと立入検査もあって、実際にガバナンスが弱いということと、患者目線が欠落しているというような指摘を受けて、保留になったという経過がございます。

 そんな中で、竹内病院長がこれではいけないということで、病院長特命のタスクフォースを立ち上げて、病院の改革に乗り出すということを始められました。そのタスクフォースの中に参加してくださいということで私も入っておりまして、その経緯の中で今こういうふうになりましたということを今年2月号で書かせていただいたところです。

 一つの例として御紹介をしたいと思って今回提供させていただいたのですけれども、10ページとなっているところの枠囲みの中にあるのが、ガバナンスが弱いと言われたことで、慶応義塾大学の規定の中に新しく病院長の権限として盛り込まれた3つを紹介しています。

 どういう内容を入れれば病院長がガバナンスを発揮することができると判断されたのかが、こういうところに如実にあらわれているのかなと思って、今回提出させていただきました。

 まず、第5条の3項は、「病院長は、病院管理者として大学病院を代表し、病院業務全般を統括する」、こういう規定がなかったので、新たに入れたと聞いております。

 そして、2つ目の第5条4項ですけれども、「病院長は、大学病院で行われている教育、研究について、その実施を許可し」、許可はいいのですけれども、その後の「停止を決定する。また、実施状況について報告を求め、是正改善等を命ずることができる」ということで、これはおかしいという問題が生じたときには停止をするという力を発揮することができるという項目を加えたと伺っております。

 そして、第15条の5項というのは、各診療科の力が強いところという、先ほど申し上げたことに関係するかと思いますが、「病院長は必要な場合にいつでも診療科部長等の権限を停止し、代行者を指名することができる」、やはりこういうことを盛り込んだことによって、病院長のガバナンスを発揮することができるのだということを改めて感じましたので、今回ガバナンスということもございましたので御紹介をさせていただきました。

 以上です。

○田中座長 恐らくおくれていたであろう慶応義塾大学が、曲がりなりにもスタートした試みを取り上げていただきまして感謝いたします。

 鈴木構成員、どうぞ。

○鈴木構成員 外部有識者という文言が出てきます。1の(2)だけではなくて、2の選考会議のところにも出てきますが、「外部有識者を含めた大学の監事、理事会等」とありますが、この外部有識者というのは監事や理事会や選考会議などにおいて必須と考えているのかどうか、確認の質問をさせていただきたいと思います。

○田中座長 事務局、お答えください。

○佐藤医療政策企画官 こちらから御紹介すべきかあれですけれども、例えば国立大学法人法ですと、そこの14条に、学長または文科大臣はそれぞれ理事または監事を任命するに当たっては、現に当該法人、国立大学法人の役員または職員でない者が含まれるようにしなければならないというふうになっておりますので、もともと含まなければいけないことになっているかと思います。

 私立学校についても、同様にそういうふうになっていると承知しています。

○鈴木構成員 わかりました。それは今回たけではなくて、以前からそうだということのようですけれども、その場合にどういう外部有識者なのかという規定はないのか。全く違う分野の方がいいと思っていらっしゃるのか。あるいは、医療の現場を知っている方のほうがいいと思っていらっしゃるのか。その辺は規定はあるのでしょうか。それについて教えていただきたいと思います。

○佐藤医療政策企画官 その前に、選考会議の部分についても触れられましたけれども、ここは特段法律の規定がない話ですので、必要に応じて選考会議を置くということもあるだろうその際に外部有識者も入れるということもあるだろうという、それぞれの取り組みの例示として記載させていただいています。ちょっと性格が別だと申し上げるのを忘れました。

○田中座長 文科省、お願いします。

○佐藤文部科学省高等教育局医学教育課大学病院支援室長 規定上の話をさせていただきますと、今、御紹介がありましたが、国立大学法人法の第14条のほうで読ませていただきますと、学長または文部科学大臣はそれぞれ理事または監事を任命するに当たっては、その任命の際、現に当該国立大学法人の役員または職員でない者が含まれるようにしなければならないという規定がございまして、これについては私立学校法についても同様な規定が置かれているということになってございます。

○鈴木構成員 ということは、特にどういう方を外部有識者にすべきかという規定はないということですね。

○佐藤文部科学省高等教育局医学教育課大学病院支援室長 この検討会の議論とは別として、今の国立大学法人法とか私立学校法の中で、理事や監事に外部の者を入れなければいけないという中においては、今申し上げた以上のことはないということでございます。

○田中座長 楠岡構成員、それから草苅先生、お願いします。

○楠岡構成員 先ほど山口構成員から御提示いただいた機関誌の中の四角で囲まれた第5条その他のところに関してと、先ほど野村構成員からは、御指摘がありました法律というか、目的規定のことの関係になりますけれども、まず、今回、慶応義塾大学ではこういう形で明文化されたわけですけれども、意外とこういう明文化がされていない。今までは割と雰囲気としてはそういうものだろうというのはあるのですけれども、はっきり明文化されているところが意外と少ないというようなところがあります。

 今回、慶応義塾大学は臨床研究中核病院の申請に関連してこういう形をとられたわけですけれども、臨床研究中核病院の要件の中に、臨床研究に関して今まで不正やいろいろな問題があって、それの一つに病院長が病院の中で行われている研究をきっちりコントロールできていないというガバナンスの問題があったので、病院長が病院内の研究をしっかりコントロールできる体制をとる、その中にはこういう明文化ということも含めてでありますけれども、それが要求されて、今回、慶応義塾大学もそこをはっきりさせたというところになっているかと思います。

 同じようなことが、特定機能病院における医療安全に関しましても、この4月からいろいろな改正が行われておりますけれども、その中にも病院長が医療安全に関してガバナンスが発揮できるような体制を示さなければいけない。

 今回はさらにそれを拡大して、病院内での全ての業務全般に関してのガバナンスを求めるという形で、言うならば、狭いところからだんだん広がってきているような形になっているので、今までのそういう流れを見ると、要は大学病院の規定の中に今までそういうことが明文化されなかったので非常に曖昧なままであったことを明文化させるということで、それは一つ大きな進歩であると同時に、野村構成員がお示しされたように、もともとの法律が古いので、大学病院が地域の基幹病院になるということを想定したような規定にはなっていなくて、実習場所を用意しなさいという程度のものだったということが少し矛盾になっているので、そこは整理すればいいのではないかということであります。

 一つ懸念しているのは、今回、1の(2)の最後のポツのところで、チェック機能を持たせないといけないという話になっておりますけれども、実はこれは臨床研究中核病院でもチェック機能を持たせようということになっておりますし、医療安全でも今回チェック機能を持つ者を置きなさいという話になっているので、このままでいくと、3つ異なる機能を持ったチェック機関、監査委員会なりを置かなければいけないということになって、そうすると今度相互に矛盾が出たりする可能性もあるので、最終的なところはその3つを1つに束ねるというか、共通性を持たせたようなもので示さないと、言われたほうはどうしていいかわからないみたいな形になりかねないのを少し懸念しているようなところがあります。

 以上です。

○田中座長 実務上の懸念も含めて、ありがとうございました。

 お待たせしました。草苅構成員、どうぞ。

○草苅構成員 私、大学病院ではないのであれなのですけれども、さっき山口先生が言われたことも含めてですけれども、ここに書いているように、病院長は病院の管理運営について全般を統括するということですね。それで、全部責任を持って統括するということで、それは言葉の上ではきれいなのだけれども、実はちょっと危険ではないかなという気がしています。というのは、もし院長にそういう能力がない、つまり、医療者としては非常に能力は高いけれども、例えば経営的な視点がないとか、あるいはガバナンス、コンプライアンス、そういう意味での問題意識が欠如しているということが仮にあって、その人がもう自分で決めていいんだよということにするのは非常に危険だなと。

 ここに外部有識者と書いてありますが、実は病院の中でも外部有識者というのを、外部というか、院長から離れたところで監視をする、あるいは意見を言う人たちがいないとまずいのではないのかということで、副院長と院長補佐、事務スタッフ、補佐体制を充実・強化すると書いてあるのですけれども、副院長、院長補佐等はいいとして、事務スタッフという話なのですけれども、この人たちは補佐するのではないというのが私の理解です。例えば経営の問題とか、コンプライアンスとかガバナンスの問題については、そういう立場から院長をチェックする、あるいは院長とともに考えるというようなスタンスでないとまずいのだけれども、大変失礼な言い方になりますけれども、大学病院に限らず、病院の一部では、事務、事務と、事務スタッフを自分の奴隷だと思っているところが非常に大きいのではないのかなという感じがひしひしとしています。要するに、てめえらは俺の言うことを聞いてりゃいいんだよねということではだめなのです。つまり、この人たちがある側面では院長の足らないところをむしろリードしていって、病院をいいほうに持っていくという権限を与えないと、言葉を変えれば、事務スタッフというのは病院内の外部有識者と考えてもいいかと思うのですけれども、そういうところをもっと充実させてやっていかないと、本当に意味での病院の管理運営というのはできないから、病院長がオールマイティーの方だったらいいですけれども、オールマイティーの方はめったやたらいないわけだから、そこに全権限を与えてしまうというのは非常に危険だと思います。

 横から見ていて、いろいろな意見を言える立場の第三者みたいな形で、病院の中で機能させるというのがこの事務スタッフと書いてあるところで、私は事務という言葉は一切使うなと今言っているのです。つまり、事務という言葉は奴隷という言葉に通じる。だから、何十年も働いているけれども、何も自分たちから発想しないんですよね。そういう形で育ててきているわけです。だから、この事務スタッフというのはそういうつもりなのではないのですか。そうなったら、病院の組織構造としては健全ではないと私は思っています。

○田中座長 ありがとうございます。私も一委員として。今の点は大変いい点を御指摘いただきました。ポチが4つありますが、3つ目の病院経営、これは日々の経営管理、ルーティンを担う事務部門についてだとわかるのです。その場合はスタッフという言葉が適切ではないかもしれません。経営の用語で言うと、スタッフとラインは違うわけですね。日々のルーティンの業務を行う病院の、先生は事務という言葉はだめだと言われましたけれども、事務でないにしても、いわゆる事務局については、適切な人事・研修により育成を行ってきちんと日々の業務を行う話です。

 2番目のポツの院長の補佐は少し違う話なので、事務スタッフではなくて、例えば企画スタッフとか、会社でしたら戦略スタッフでしょうね。病院だと戦略までは言わないとしても、せめて企画スタッフと表すべきだと思います。3番目のポツについては、全ての事務職がなぜきちんと人事・研修を行わないといけないかといえば、医療安全を含めてルーティンが確実に果たされるからだとの話と、毎日の管理にかかわる決定ではないけれども、院長を助ける話と分けて書いたほうがいいのではないかと感じました。

 2番目と3番目が同じ言葉になっているし、それからスタッフという言葉の曖昧さを指摘いたしました。今のは座長ではなく一委員としての意見でございます。

○草苅構成員 御参考までですけれども、私のところは公益法人だけれども、言ってみれば私立病院ですね。ここではまず理事長がいます。その下に代表理事というのが2人いて、代表理事の1人が病院長、もう一人が研究事業者、それは研究事業者は置いておいて、代表理事として病院長がいます。病院本部というのですけれども、病院本部長がいます。その同じランクに、これは理事ですけれども、経営本部というのを設けています。経営本部というのは、今言ったような意味で、病院長をサポートしつつ、病院長にもっといい知恵がありますよということを、まさに企画とおっしゃいましたが、そういうことを提供するということ、それからガバナンス、コンプライアンスも含めて、チーフコンプライアンスオフィサーというのもその中に入っていますし、医事関係も全部経営本部に入れています。そういう形で、実際に、言ってみれば、院長の配下という形とは違うものをつくっているのです。そうしないと、これは非常に危険だなというのは、病院長がもし物すごいオールマイティーの人だったらいいけれども、そうでないと、こういうところでまた破綻が起きたりするのではないかなということをちょっと懸念したということです。

○田中座長 矢野構成員。

○矢野構成員 一番上の「病院運営に関する会議を位置付け、審議内容を全職員に共有する」ということが、病院長独裁にならないような一つのシステムなのかと感じています。

 2番目については、事務スタッフというよりも、前回の会議で山本先生から御紹介があったように、いわゆる経営支援部門とか、医療安全部門とか、そういう病院長直轄組織が病院の中には幾つかあると思うのですが、そういったところを充実させるという意味で、人ではなくて部門という形になればと考えます。

 3番目が、要るのか要らないか、要るのだったらいわゆる教育・研修の部分かと思います。事務スタッフや経営には限らず、ガバナンスを維持していくためのスタッフ教育・研修ならいいのでしょうけれども、経営にたけた人を教育しましょうというのはこの検討会では合わないと感じました。

○田中座長 ありがとうございます。

 松井構成員、お願いします。

○松井構成員 4つポチがあるうちのそれぞれなのですが、1つ目については情報を末端まで浸透させるというのは、同じ目標を共有する上では非常に重要なことだと思います。抽象的にはこれは賛成でございます。

 2ポツからは幾つか議論がありました。私も、事務スタッフというのは結局企画部門のことを考えているのかなと思いました。今、私自身、大学の執行部にいるのですけれども、企画部門がどれだけ充実しているかというのは執行部の機能をいかに充実させるかということと結びつきますので、座長がおっしゃるとおり、これを企画部門的に考えるというのは同感であります。

 その際にちょっと気になりますのは、人を充実させるという話は、1人ふやせば数千万コストがかかる、2人ふやせばさらに数千万かかるという話になって、要は資源の再配分をするということを実はここは言っているわけであります。この議論をするには、そのようなことを求め得るだけの前提が今の大学附属病院にはあるのだということを確認しておく必要があるということです。

 逆に、十分な資源がなければ、何かスクラップしてここに投入するという話にもなりますので、実は結構シビアな話をしているかもしれないということを感じた次第です。いずれにしても、この議論の前提として、資源配分に影響が及ぶのだということは確認すべきだろうと思います。

 3つ目のポツはよいのですけれども、4ポツなのですが、「病院運営のチェック・監視機能を発揮する」というのは、抽象的にはこれはよくわかるのですけれども、監事、理事会等は誰の利益を考えてチェックをするのだろうか、と。病院の場合、最初に3つのミッションがあると書いておられますので、恐らくはこの3つのミッションの何かに着目しながらチェックをしていくということなのでしょうけれども、これだと余りに広くて、ここで病院運営のチェック・監視機能を発揮するというときに、どういう利益を念頭に置いて、どういうステークホルダーを置いて、何を監視するのかというのを考える必要があるだろうと思います。

 恐らく今回のこの検討会の観点から言うと、医療の質や安全の確保に危険が生じるかどうかという点が優先順位として一番高く来るのかなという感じがしております。このあたり、抽象度が上がれば余り異論はないのですけれども、もう少しかみ砕いて何を意味するのかということは検討していく必要はあるかなという感じはしております。ありがとうございます。

○田中座長 ありがとうございます。

 1の(2)についてよろしければ、どうぞ。

○草苅構成員 質問ですが、4番目の「外部有識者を含めた」というのは、大学の監事とか理事会という意味ですか。つまり、病院ではなくてということですか。それはほとんど意味がないのではないですか。やるのだったら,病院の運営のチェックをする人は医療関係のことがわかっている人、それから世の中でいろいろな経験をしている経営者の人とか、あるいは新聞社の人とか、そういう人を、病院が理事会を持つのは無理だとすれば、何らかの形でそういう人たちがチェックしないと、これはチェックできないですよ。ほとんど何の意味もないと思いますけどね。大学の監事、理事というのはいろいろな人がいるわけでしょう。違うのですか。病院のことのためにやっているのではないでしょう。だとすれば、何の意味があるのですか。

○田中座長 御質問ですか。

○草苅構成員 質問です。

○田中座長 では、お答えください。

○佐藤医療政策企画官 医療安全に限って言えば、外部の人が過半を占める監査委員会というものを既に設けるようにということで、今、制度的に準備を進めています。

 医療安全に限らず、現在、大学の監事、理事会が病院運営の全体について、単なる監査とかではなくて、全体的にチェック、監視の機能を現在も果たしているのだろうと思うのですが、実際、プレゼンで伺ったときにも、理事会のほうで月1回かんかんがくがくやられるのですというようなお話を伺っていることを踏まえて、そういったところが、果たしていないところもあるのかもしれませんけれども、役割というのは大事だなというふうにここでは言いたかったというところなのです。

○草苅構成員 大学の問題ですから、私は余り言う権限はないのですけれども、こんなことをやるのなら、いろいろな人に頼んで3カ月に一遍とか外部評価を定期的にやったほうがはるかに有効だという感想だけ言っておきます。

○田中座長 梶川構成員、どうぞ。

○梶川構成員 今、文章を、修文レベルに近いのですけれども、1番目のポツの「審議する場として、会議を位置付け」というところまでは当然ある合理的な意思決定とわかるのですが、「審議内容を全職員に共有する」というのは、内容によってその必要がある場合のお話かなという気がいたします。経営会議とか取締役会で議論することを全職員に共有すべきものもありますけれども、むしろ共有すべきものでもないものも随分あると思いますので、こう書き流されるところは少し丁寧に整理したほうがいいかなという気はいたします。

 先ほど、草苅構成員が言われたことは、私も本当にそういう形で、名前が変わられるのでしょうけれども、企画という部分もありますし、ある意味ではこれは内部統制組織を担われるということなのかという気はいたしますので、むしろ専門性の違いに基づく経営全般への統制機能を持たせるということが必要という意味で言えば、補佐というよりは、補佐・牽制という話に近いのかなという気はいたしますので、その辺、御考慮いただければということだと思います。

○田中座長 これから報告に向かってそういう文言もきちんとしていく過程は当然必要ですね。

 一番下の「大学の監事、理事会」は何となく違和感があります。どうしてかというと、法人の監事、理事会だからです。国立大学法人にしろ、私立の学校法人にしろ、理事会が設けられるのは法人レベルであって、大学に付随しているわけではないのです。

 どうぞ、楠岡構成員、お願いします。

○楠岡構成員 (2)の1番目のポツで、「病院の管理運営に係る事項を審議する場として、病院運営に関する会議を位置付け」という点ですけれども、実際、病院の中には病院管理運営会議みたいなものはもう既にあって、ただそれはどちらかというと、全診療科の科長、全部門の部門長などが出てきて、すごく大人数の会議であって、言うならば経営とか重要事項を審議するような機能を余り持っていないというか、ほとんど自動承認に近いような審議の形態である。ここで求めているものはそういうようなものではなくて、もっとコアメンバーでより重点事項に限っての審議を行うようなものを想定していると考えていますので、ここはどういうことを目的としてというのを書いておかないと、ただ外形的にはもう既にそれは存在しているという話になってしまいますので、そこは少し書き加える必要があるのではないかと思います。

○田中座長 御指摘、ありがとうございます。

 よろしければ、2の「管理者(病院長)の資質や選任方法等」について御意見を承ります。お願いします。鈴木構成員、どうぞ。

○鈴木構成員 1ページ目の一番下に「最も病院長にふさわしい者」とあるのですが、それは誰が判断するのでしょうか。非常に抽象的で曖昧な表現ではないかと思いますが、それは誰が判断すると事務局はお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

 それから、前回のヒアリングを見て、大学病院といえども国公立の大学病院と私立の大学病院があって、それぞれ理事会との関係が違っていると思ったのですけれども、それは我々一般病院で言えば、公的病院と民間病院の違いかなという気もするのですが、そうした違いを大学病院においても認めているのでしょうか。それとも、大学病院であるからには、あくまでも私立であっても公的な病院という形で、一緒に考えているのでしょうか、その辺を教えていただけますでしょうか。

○田中座長 事務局、お願いします。

○佐藤医療政策企画官 病院長あるいは管理者のということですけれども、任命権者については、大学のトップが任命する権限を有しているかと思います。

 2点目についてですけれども、何とお答えしていいのかあれですが、国公私立を問わず病院としての公的な性格は特段変わるところがないものと思います。特定機能病院であれば特定機能病院としての役割というのがきちんとリーガルに決まっている。その役割を果たしていただくということかと思います。

○鈴木構成員 最初のところをもう一回言っていただけますか。最も病院長にふさわしい者というのは誰が判断するのかというところです。

○佐藤文部科学省高等教育局医学教育課大学病院支援室長 繰り返しになってしまうかもしれませんけれども、最もふさわしい者を誰が判断するというよりかは、病院長の選任の権限自体は国立であれば学長であり、私立大学であれば理事長であるということでございます。

○鈴木構成員 学長、理事長が判断するということですね。

○佐藤文部科学省高等教育局医学教育課大学病院支援室長 任命権者です。

○田中座長 矢野構成員、お願いします。

○矢野構成員 1番目のポチが長くて、読んでいるうちに何を言っているかわからなくなってしまう。これは最後にあるプロセスの透明性を保つ、明確にするということを言いたいわけですよね。だから、「最も病院長にふさわしい者が」とかではなく、選考プロセスに透明性を持たせるということを中心に書けばいいのかと思います。2番目が資質・能力は定めておきましょう、3番目に必要に応じて選考会議を使いましょうという流れになるので、1番目はプロセスの明確化ということを中心に書けばいいと思いました。

○田中座長 ありがとうございます。山口構成員。

○山口構成員 結果としてふさわしいかどうか、最終責任をとるのは確かに理事長等かもしれません。しかし、病院長を選ぶときに、山本院長のヒアリングにもあったように、どれだけ公開するか、透明性を図るかということが大切なのだと思います。こういう視点でこの人がふさわしいと考えて選びましたという理由がきちんと見えるような形になれば、それを後からまた検証することもできるのではないかなと思いますので、やはり透明化ということが最も大事なことではないかなと思います。

○田中座長 共通の御指摘でした。プロセスが大切、プロセスの透明性、そして後で検証できることが大切であるとの御意見でした。実際には最もふさわしいではなく、ふさわしいだろうと思える人ですよね。なってみなければわからない。一流企業でも、いい社長になるだろうと思って選んだ結果、そうでなかった例は幾らでも新聞等で見ることができます。

○草苅構成員 耳が痛い話です。よろしいですか。1番のところは、確かにこれだと何かよくわからないですね。だから、さっき山口先生が言われたようなことも含めて、少しこれは直されたほうがいいかなと思います。

 2ポツのところですけれども、「医療安全管理業務の経験」、これは非常に大事ですよね。それは原点だと思うのですが、「組織マネジメントを実施できる資質・能力」、これはまさにガバナンスのことを言っている、あるいはコンプライアンスのことを言っているだろうと思うのですが、そういう管理者として求められる資質・能力について、「予め定めておく」と言うのですけれども、どうやって定めるのですか。そこが全然わからないというか、どうやって定めるのか教えてもらいたい。

 それと同時に、これで本当にすごい理想的なことを書くと、それに合わない人しかいなかったらどうするのかということにもなりかねないのですね。だから、そこを定めおくというのはどの程度リジッドにやるのか、あるいはどういうふうにやるのかいうあたりをきちっと考えないと、変なことになってしまうのではないかという危惧を持っています。

 もしそうなれば、全部できる人は本当にいるのですかね。私は絶対無理だと思う。だから、あるところで90点、あるところで70点、総合評価としていいのだろうけれども、この人を病院長にしましたけれども、この部分は弱いねというところは、やはりそれを補充する体制づくりをしてあげるというのが一番大事なことではないのかなと。だから、理事長だけに全部責任を負わせて、できもしないことをやらせようとしていると、またかえって破綻が来るので、その辺のところを考えていただいたほうがいいかなと思います。

○田中座長 そのとおりです。的確な御指摘です。聖人君子でなければ院長になれないという規定を厚労省につくられたら、誰もならなくなります。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、鈴木構成員。

○鈴木構成員 先ほど、「最も病院長にふさわしい者」というのを確認させていただいたのは、例えば前回のヒアリングでも、私立大学病院では理事長が指名する形で選ぶ場合もあるわけですよね。その場合の選考プロセスの透明性というのはどういうことを意味するのでしょうか。結局、「どのような選任方法であれ」と言いながらも、透明性を確保せよということは、そのように理事長が指名することには透明性があると言えるのかどうかという話にもなってくると思うのですけれども、理事長が指名する場合の透明性については、どのようにお考えですか。

○佐藤医療政策企画官 御質問、ありがとうございます。

 あらかじめどういう人がうちの病院にはふさわしいという基準を対外的に定めておくということは当然ある。ちなみに、既存の大学病院等でもそういったことは選考のプロセスについての規定と合わせて書いてあったりするところは現在もございます。そういったことがまずあって、ここにあるとおり、必要に応じ選考会議や、必要があれば公募もやりということなのですけれども、当然必要ないという場合もあるでしょうから、あとは理事長等が選考して任命し、その選考結果を選考理由とともに、基準に照らしてこの人はこうこうこういう立派な人でした、このたび任命しましたということを遅滞なく公表いただくというところだと思われます。ここに書きましたとおりだとすればですね。

○田中座長 梶川構成員。

○梶川構成員 最後のポツのところの「遅滞なく公表する」というのは、これは誰に公表するのかという意味で、社会全体に公表するという話なのか、学内なり何なり、その発想によってその基準とか、またプロセスの透明性といっても少しニュアンスが変わってくるのではないかなと。まさに、パブリックインタレストにかなう人を選んでいるということを透明性で上げて、社会全体に上げるケースもあれば、経営能力について等々、また病院の中のステークホルダーに対して話をして、公平な人事を可能にしたのだということを話すケースと、両方合わせるというケースと、その辺のターゲッティングの仕方が少しあるのではないかなと思うのです。社会全体に説明していくという話になると、どういう形があるのか、また考えていく余地もあるかなという気がするのですけれども、それこそ医療安全とか、患者さんに向けてみたいな話になるのかもしれないので、どういうふうに考えていくかということはあるかなという気はします。

○田中座長 ありがとうございます。

 文科省、どうぞ。

○佐藤文部科学省高等教育局医学教育課大学病院支援室長 今、病院長というか、国立大学法人の学長について、ここに書いてございますように、選考結果と選考理由を遅滞なく公表するということについて、国立大学法人法と、それを受けました国立大学法人法の施行規則のほうに規定をしてございます。誰に公表というのは特に書いてないのですけれども、意味合いとしては社会一般に公表ということで、実際に各大学のほうで学長を選考された結果については、理由も含めて大学のホームページ等で公表しているということでございます。

○田中座長 野村構成員、どうぞ。

○野村構成員 先ほどの鈴木構成員のお話との関係もあると思うのですけれども、理事長が決定するという、この決め方の話については、例えば選考委員会のようなものがあって、その選考委員会で決まったことにもう理事長が従わざるを得ないというような仕組みのパターンの場合と、選考委員会ではなくアドバイザリーボードのような形で、理事長が腹案として持っているものに対して意見を聴取するようなプロセスとか、そういうものがあり得ると思うのですが、後者の場合は完全に理事長の選任権限自体は全く縮減されていないという位置づけになるとすれば、透明性を確保しながらも理事長が決定しているというプロセスはあり得るのかなと思います。

 他方において、選挙とか、あるいは選考会議とか、そういったものの手続を経て、それにもう理事長は最後に認証を与えるみたいな、天皇の認証の権限と同じような形で、もう決められたことにただ任命権を行使するというのとは大分違った形のものも描けるのではないかなと感じました。

○田中座長 田島構成員、どうぞ。

○田島構成員 2つ目の項目について、管理者として求められる資質・能力をあらかじめ定めておいても、それにふさわしい人がいるかどうかわからないというお話もございましたけれども、やはり求められる資質・能力について明らかにした上で、それにふさわしい方が選ばれたのだということの選考過程の透明性が確保される必要があると思います。恣意的に選ばれて、その選考過程の透明性が確保されていても仕方がないことですので、やはりこの資質・能力についてはあらかじめ明らかにされておいて、それにふさわしい者を選んだというプロセスが明らかにされるということが必要だと思います。

 そして、全ての資質・能力を備えた者がいるとは限らないということは確かですけれども、やはりできればそういう方が管理者になるのがふさわしいので、早い段階から将来病院長にふさわしい人材だと思われる者がいれば、それにある程度経験を積ませるなり、教育するなりというプロセスも与えた上で、病院長にふさわしい者をなるべく輩出するという努力はされるべきだろうと思います。

 そして、3点目のところに、「最も上記の資質・能力基準に合致する者」ということで、絶対的に合致するということではなく、相対的に最もこの基準に合致する者を任命権者が自主的に選考し任命するというふうにもなっておりますので、この項目について特に私は違和感を持ってはおりません。

○田中座長 ありがとうございました。

 管理者として求められる資質・能力は病院ごとに違っていい。ここで言っていらっしゃるのは一般論ではない。病院ごとに、例えば競争状況とか、過去3年間の赤字黒字とかによります。また、医療事故か何かで院内が荒れているときの院長と、平穏なときでは違うはずです。つまり、会社の経営者もそうですけれども、状況に応じいろいろなタイプの経営者が求められる。競争状況が一番かもしれませんが、その会社、法人が置かれている状況によって求められる資質は違います。これはそういう意味ですよね。一般的に院長とはと言いたいわけではないと確認しておきたいのですが。

○佐藤医療政策企画官 各病院さんで自分のトップとしてどういった者がふさわしいのかというのを何らか基準として定めるということになろうかと想像しています。

○田中座長 最後は、3行だけですが、3にコンプライアンス等について書いてあります。ここに何か御意見はおありでしょうか。矢野構成員、どうぞ。

○矢野構成員 冒頭に申し上げたのですが、病院長のことだけが議論されていて、病院長が何でもできるわけではないので、やはり組織の文化というのはとても大事です。「コンプライアンスに係る態勢を整備し、法令遵守を徹底すること」という1行が挙げられているので、できれば医療安全、あるいは患者安全を重視した組織文化を醸成するといったようなことを1行ぐらい、目的として入れていただきたいと思います。

○田中座長 ありがとうございます。野村構成員、お願いします。

○野村構成員 今の点は私も発言しようと思った点で、同感でございます。

 もう一つ、コンプライアンスというのが、下手をすると手続の積み重ねがどんどんふえていって、過度な手続論だけになってしまう危険性がありますので、常にPDCAサイクルを回して、やっている作業自体が本当に目的としている医療安全などに役に立っているのかどうかを見直しながら、不断に修正を加えていくということの必要性をどこかに書き込んでおいていただいたほうがいいかなと思います。

 たくさんの書類づくりだけに追われて、小中学校の先生は書類をたくさんつくっていますけれども、教育する時間がないと言っていますが、これは本末転倒で、まさに医療を実施することがきちっと確保できるような体制にしていただくことを書き込んでいただければと思います。

○田中座長 梶川構成員、お願いします。

○梶川構成員 コンプライアンスの次に情報開示という項目がございまして、ここに内部規程等、また選考過程のプロセスは、今回のメーンテーマなのかもしれないのですが、これは病院の運営状況に関する開示、私なんかは自分の専門性があるものですから、財務を含む運営状況についての開示というのも、基本的にこういうコンプライアンスとか、ある種内部統制機能などを支えるものにはなるもので、やはり基盤的に健全な運営がされて健全な財務状況がなければ、資源投下もできないわけなので、開示の中にはそういうものもお入れいただくほうがいいのではないかなと思います。

 特に営利企業と違ってこういった公共性の高い事業の場合には、インプットをどういうふうにしているかということは非常にステークホルダーにとっては重要な情報で、教育資源にどう投入しているのか、医療安全にどう投入しているのかという、コストのセグメンテーションされたものの情報というのも、運営方針という抽象論だけではなく、本当にどう資源運営をしているかということの表現にもなると思いますので、余り数値的に細かいことというわけではないのですが、ある程度客観的な情報開示にはなるのではないかなという気はするのですけれども。

○田中座長 ありがとうございます。

○草苅構成員 質問です。ここで言っているコンプライアンスというのはどういうことか。国の法令を遵守すればいいという意味ですか。コンプライアンスというのはもっと広い意味があるのですね。

 それで、お聞き苦しいかもしれないけれども、病院とか医師の世界、集団世界を見ていると、法令遵守はもちろん最低限やらなければいけないのですけれども、やってはいけないコンプライアンス、具体的に言うとハラスメントですね。そういうのをきちっとするというのをコンプライアンスを徹底するという意味で、そうすると、コンプライアンスに違反した場合の懲罰規程というのをきちんとしておかないと、それがいつまでたっても直らないということもあったし、それからさっき山口先生から言われた、院長が教授なり部長なりが不適当だと思ったときに、それを解任することができると。院長が解任するのがいいのか、あるいは懲罰委員会でやるのがいいのか、それは別にして、そういう部分もコンプライアンスというのは、特に病院の場合には非常に大きいし、それが実は中での力、パワーの源泉に水を差すことは結構あるのですね。そういう意味での広い意味でのコンプライアンスというのに少し触れておいていただいたほうがいいのではないのかなと。自分の経験から言っているのです。

○田中座長 ありがとうございます。

 予定していた時間になってまいりましたが、ほかによろしいですか。鈴木構成員、どうぞ。

○鈴木構成員 全体として,タイトルをもう一回見直したら、「大学附属病院等」とありますけれども、その「等」とは何を含むのでしょうか。特定機能病院のことを言うのに「大学附属病院等」と言っているのか、確認したいと思います。今回の話は、同時に教育・研究・診療という3つのミッションを持つ、ほかの病院に比べて特殊な大学附属病院を中心とする特定機能病院のガバナンスのあり方を議論していると思っているのですけれども、どこまでを大学附属病院等というのか、特定機能病院のことなのか。これはある意味、我が国に80幾つしかない特殊な病院の話だと理解していいのか。民間病院の感覚とは全くかけ離れているような議論もあるのですけれども、そのように理解してよろしいのかどうかを確認させていただきたいと思います。

○佐藤医療政策企画官 御質問、ありがとうございます。

 本検討会のタイトル自体が「大学附属病院等」となっておりますけれども、その意味は特定機能病院とイコールでございまして、大学附属病院ではないところも、がん研さん初め幾つか入っているのですけれども、議論の主眼はここの前文にありますとおり大学附属病院の話が中心なのですけれども、今回の項目を見ていただいても、大学附属病院に限ってということでもない話が大半ですので、医学部附属病院に関する記述は別ですけれども、我々としては特定機能病院の承認要件等を扱う立場ですので、全体に当てはまるようなアウトプットを想定しております。

○鈴木構成員 特定機能病院全体ということで、そのほかは関係ないということですね。この話は特定機能病院に限定している話ですね。

○佐藤医療政策企画官 ここでのミッションはその範囲のところだと思います。医療安全の関連で議論していたときに、結果として若干特定機能病院以外についても話が及んだ部分がなくはないのですけれども、今のところ考えているのは特定機能病院だけです。

○鈴木構成員 わかりました。

○田中座長 ほかによろしゅうございますか。何人かの委員から御指摘がありましたが、院長個人の資質に狭めすぎてしまうと議論がやや細かくなるので、特に矢野構成員も言ってくださったように、大学病院のガバナンスという組織の話と、そこに働く特定のポジションである院長の資質の話とは分けて書かないと、全てが院長一人の責任であるという書き方になってはいけないと私も感じました。

 よろしゅうございますか。どうぞ。

○佐藤文部科学省高等教育局医学教育課大学病院支援室長 前回の検討会においても山本病院長のほうから、国立大学附属病院長会議のほうでもガバナンスについて御検討いただいているということだったので、そこの状況について、山本先生のほうから御紹介いただければと思います。

○田中座長 よろしくお願いいたします。

○山本オブザーバー 前回、提言を取りまとめる最中であるというお話をさせていただきましたが、ほぼ案ができ上がりまして、今週中に国立大学病院長会議の常置委員会、コアのメンバーの会議がございますが、そこで承認をとって、プレスリリースの段階でおります。

 最終的には、6月に総会がございますので、そこで発行という形になりますが、その内容としては3つの柱がございます。1つは、先ほど来お話がございますように、病院長として必要な資質、それから能力を明文化しましょうということ。それから、病院長の職務権限を明確にして、なおかつ任期の点も、前回あるいは前々回御議論があったと思いますが、余り短い任期では職務を遂行できないだろうということで、任期についても適切な任期を設定しましょうということをうたっております。

 そして、3番目としては、病院長選考会議を設置して、関係する教職員、あるいは学外有識者の意見を聴取して、複数の候補者の中から学長が選考するということ。先ほど来お話がある、選考プロセスの透明化を選考会議を置くことで担保しようということでございまして、このような内容の提言を近日中にリリースする予定でおります。御報告申し上げます。

○田中座長 ありがとうございます。大変参考になりました。

 用意した議題について、皆様から活発な御意見をいただきました。どうもありがとうございました。

 次回は5月の開催と聞いております。本日出た御意見を踏まえて、事務局においては取りまとめに向けた資料の準備をお願いいたします。

 ほかに事務局から何かありますか。

○佐藤医療政策企画官 今もありましたが、次回開催につきましては5月2515時から、厚労省内での開催を予定しております。また詳細は御連絡申し上げます。

○田中座長 では、これにて検討会を終了いたします。御議論ありがとうございました。


(了)

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