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2019年9月30日 医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 第11回議事録
○日時
令和元年9月30日(木)10:00~12:00
○場所
厚生労働省 専用第22会議室
○出席者
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○議題
(1)看護職員需給推計・確保策について
(2)その他
○議事
○金子看護課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第11回「医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、本日は、御多忙のところ御参集いただき、まことにありがとうございます。 本日は、内藤構成員、春山構成員からは、御欠席の御連絡をいただいております。また、迫井審議官につきましては、急遽公用のため欠席することとなっております。それでは、ここでカメラは退室をお願いいたします。(カメラ退室)
○金子看護課長補佐 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。では、尾形座長、よろしくお願いいたします。
○尾形座長 おはようございます。6月に開いて3カ月ぶりということでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。早速議事を進めていきたいと思います。まず初めに、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○金子看護課長補佐 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。お手元に、議事次第、座席表のほか、資料1:今回ご議論いただきたい論点、資料2:看護職員需給分科会中間とりまとめ案(概要)、資料3:看護職員需給分科会中間とりまとめ案をお配りしております。不足資料等がございましたら、事務局にお申しつけください。
また、鎌田構成員と森本構成員から「医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ案に関する意見」ということで、資料をいただいております。 また「看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」につきまして、参考資料として提出していただいております。以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。それでは、早速議題に入りたいと思います。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○岩間看護職員確保対策官 お配りさせていただいている資料1、2、3、それぞれについて御説明をさせていただきますが、流れの関係上、2から始めさせていただきます。「医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ案(概要)」と書かれた横書きの資料を御参照ください。
まず、1ページでございます。こちらの分科会におきまして、今まで御議論いただいてきた経緯と新たな看護職員需給推計の策定方法の手法についてまとめているページであります。こちらのページに関しましては、これまでの経緯として、おおむね5年毎にこれまで7回、需給推計をまとめてきましたが、その方法は病院などへの全数調査により、都道府県が把握した数字を積み上げる形で構成されてきました。この点に関しまして、「経済財政運営と改革の基本方針2015」いわゆる骨太の方針が、平成27年6月30日に閣議決定された中で、「人口構造の変化や地域の実情に応じた医療提供体制の構築に資するよう、地域医療構想との整合性の確保や地域間偏在等の是正などの観点を踏まえた医師・看護職員等の需給について、検討する」と決定されたことを受け、従来の積み上げ方式でなく、医師の需給推計などとの整合性を図りつつ、将来の医療需要を踏まえた推計方法を検討することとされました。こちらの方法を踏まえまして、本分科会は平成28年3月の設置以来、一定の理由による中断を経まして、地域医療構想に基づく需給推計方法のあり方を検討いただいてきました。また、看護職員確保策についても議論を深めていただいてきました。おさらいでありますが、看護職員需給推計の策定方法に関しましては、国は、この四角囲みの中の考え方で推計方法を策定しております。①現在の病床数・患者数及び看護職員数をもとに、医療需要当たり看護職員数を設定する。医療需要に関しては、一般病床及び療養病床、介護保険サービス、地域医療構想で医療需要が示されていない領域に関しまして、こちらで掲げている一定の前提を置いて見積もっております。
こうした方法、考え方により、推計ツールを決めていただきまして、それを国が、都道府県に作業をお願いする形で進行いたしました。その方法により、看護職員の需要を推計するということでありました。供給に関しては、現就業者数や新・再就業者数見通し、離職率の動向を踏まえ、都道府県に推計いただいています。今回、国は、都道府県が算出した各推計値を集約し、ⅰとして、短時間勤務者の増加に伴う常勤換算対実人員の比率を加味し、ⅱとして、ワーク・ライフ・バランスの実現を前提に看護職員の労働環境の変化に対応した3通りの幅を持たせた係数処理を行うことで、3つのシナリオとして全体推計を取りまとめるという形にされました。
2ページを御参照ください。その全国単位におけるあらましであります。2025年における需要推計に関しましては、都道府県からの報告値が180万となりました。それに対し、左下の四角のところの中に【シナリオ設定条件】ということで書いてありますが、シナリオ①、超過勤務10時間以内、有給休暇5日以上。シナリオ②、超過勤務10時間以内、有給休暇10日以上。シナリオ③、超過勤務は0、有給休暇は20日以上という前提で掲げたものであります。ちなみに、今の看護職員の平均的な働き方は、超過勤務は10時間程度、有給休暇は10日程度というところでありますので、シナリオ②が比較的現状の看護職員の働き方に近いとは言えますが、ここで留意いただきたいのは、超過勤務が10時間以内とされていますので、このシナリオ②というのは、今よりもワーク・ライフ・バランスが充実している。全ての看護職員の超過勤務は10時間以内だという前提になっているものであります。そのような考え方のシナリオで、ワーク・ライフ・バランスの充実を前提に、看護職員の超過勤務時間や有給休暇の取得日数などの勤務環境改善について、3通りのシナリオを設けたところ、188万人から202万人の需要が見込まれると算出されました。
これに対し供給に関しましては、175~182万人程度と見込まれます。これに関しての詳細は、次項の説明で申し上げます。その結果として、需給ギャップに関しましては、いろいろな幅の見積もり方によって、こちらに関してもその幅が見込まれるということになります。なお、今回の推計に関しましては、地域医療構想の実現を前提とした推計値であります。その構想の実現度合いによりまして、看護職員の必要数が変化する可能性があります。また、いろいろな前提を置いて、全国画一的な推計方法として定めているものですので、各都道府県における個々の実情がおありになるかと思います。そうした実情を綿密に反映できているわけではないということにも、御留意いただければと思います。
3ページをご覧ください。供給の推計に関しての考え方であります。都道府県から出てきた数字は、175万人でありました。この数値に関しましては、中身を精査いたしまして、例えばでありますけれども、現在の看護職員、2016年で166万人、2017年で167.1万人程度というところの実数に対しまして、過去3年間の伸びということに対して対比をすると、182万人ぐらいとなっておりまして、恐らく都道府県の供給推計に関しましては、非常に保守的に厳しく見積もられている可能性があろうかと思っております。こうした要素も踏まえまして、供給に関しても一定の幅を持たせて考えることが合理的ではなかろうかと事務局としては考えているところであります。
4ページをご覧ください。これが今、申し上げたことをグラフ化したものであります。その内訳などについては御参照ください。
5ページを御参照ください。先ほどまで申し上げてきたのは、全国単位での考え方です。それを都道府県の中ではどうかというところの数値であります。都道府県別で見た場合、都心部や東北地方では、依然として都道府県全体として需要数が供給のそれを上回って、看護職員不足となっている傾向が強くうかがわれます。
一方、地域医療構想の関係で、それを実現した後の絵姿としましては、一部の都道府県において、2016年時点のその県における看護職員総数よりも、需要数が少なく映るという推計結果となるところも出てきているところであります。
6ページを御参照ください。今回の分科会における委員の皆様方の議論に資するよう、6ページと7ページは事務局において粗く前提を置きながらシミュレーションしたものであり、こういったブレークダウンをした数値が、今回の需給推計の一部であるというわけではなく、あくまで議論用の資料であるというところでお受けとめください。
例えばA県の場合、どういう状況でありますかといいますと、この県におきましては、地域医療構想に基づく2025年に必要な病床数は2015年と比べて約6,000床減であり、その結果、2025年の必要看護職員数は全体では供給が需要を上回る形になっているという傾向がある県であります。その内訳を二次医療圏ごとでシミュレーションをしてみますと、例えば二次医療圏f、hというところでは、医療分野においても需要が供給を上回り、在宅介護分野に関しましては、医療圏bを除き、需要が全てにおいて供給を上回るという状況になっており、地域包括ケア領域への移行というのが重要な課題となってくるということが見込まれる数値になっています。
次の7ページを御参照ください。これはまた違う県において違う傾向があるところはどうかというところでありますが、この県におきましては、地域医療構想に基づく2025年に必要な病床数は2015年と比べて約6,500床増ということになり、2025年は相当な看護職員の確保が求められる。分野問わず全てにおいて、看護職員の確保が重要な課題だということが伺われる数値になっているかと思います。そうした現状を踏まえまして、今まで確保策も議論いただいてきましたが、今回の分科会におきましては、以上御説明を申し上げました都道府県から出てきました数値を踏まえまして、新規養成・復職支援・定着促進と申し上げましたが、いわゆる3本柱で捉えられる施策、どういったことをやっていくべきかということを御議論いただければと思っております。
中身に関しまして、新規養成に関しては療養の場が多様化し、地域包括ケアが推進される中で、さまざまな場面での看護ニーズが拡大しています。このニーズに対応できる地域における看護の理解を深めるための教育や実習の強化、新規養成時からの多様なキャリアデザインに関する教育、支援を実施していくことが重要であります。復職支援に関しましても、資格管理・届出制度の改善ということが求められるとともに、ナースセンターの役割として、今後は再就業支援に限らず、休職者への復職支援やプラチナ・ナースの就業支援など、人材養成やキャリア支援機関としての役割あるいは在宅医療や介護保険サービスなどの人材確保・定着に向けた支援に向けて、その機能の拡充、強化を目指すことが望ましいのではないかと考えております。定着促進に関しましては、多様な働き方の導入、夜勤従事者の負担軽減、医療現場におけるハラスメントの対応など、職場環境の整備を進めていくことが非常に重要な環境下になってきています。
そうしたことを含めるために、現場の管理者が果たす役割、現場管理者、看護管理者のマネジメント能力の向上や負担軽減といったことが重要となってくるほか、医師から看護職員へのタスク・シフティングやタスクシェアリングが進められている中での看護職員の活用、促進ということについても、今まで御議論いただいてきたところであります。そのための具体的な施策に関しましては、下のほうに概要を載せておりますが、今回、別途報告書、いわゆる文章編の中にも載せておりますので、議論の中には、例えば報告書案の何ページのというところで御議論いただくこともお願いできればと思っております。
次に、9ページを御参照ください。先ほどのデータを踏まえ、地域別に捉えますと、一部の都道府県においては、看護職員総数が充足されるところも生じてくるというところでありますけれども、領域別の需給バランスを見ると、やはり課題があるということもありますし、また、医療分野に関しましても、例えばへき地などを初めとしまして、医療分野における看護職員の確保が依然として重要だというところも出てきています。また、こういった地域別の状況を踏まえまして、どう領域や地域別の偏在調整ということをやっていくかということも、今後ますます重要な課題となってくるというところでございます。ここで言う領域というのは、例えば病棟から、訪問看護や介護分野における看護ニーズというところへの移行や、あるいは円滑な就業支援というところを念頭に置くものかと思います。そこで、訪問看護に就業するための経験ですとか技術、そういったことに関してどういったことを政策としてやっていけるか。また、看護職員が年齢、階級が上がるに連なって、訪問看護事業所や介護保険施設などに転職する方々も出てきている。それに関しては、参考資料のほうに、看護職員のライフイベントですとか、あるいは一般的な転職、あるいはキャリアの指向など、どういった看護人生を送られているかという研究結果も後ろのほうにつけていますので、また必要に応じて御参照いただければと思いますが、そういった実態を踏まえて、どう対応していくかということが課題となってくるというところがあります。また、地域別ということに関しましても、例えば都道府県ナースセンターが軸となり、都道府県や医師会、病院団体あるいは行政としっかり連携をした上で、地域の実情に応じた確保策を計画・展開していく「地域に必要な看護職の確保推進事業」というものが行われてきていますけれども、それに加えてどういったことをやっていくべきかということも、重要な課題となってくるかと思います。以上、駆け足になりましたが、資料2に関しての大枠の御説明でございます。
次に、資料1できょう御議論いただきたいことを御説明申し上げます。まず1つ目に、需給推計(案)全般に関しまして、都道府県提出データから得られた2025年時点の看護職員需給推計の精査・確定に向けて御議論をいただく必要があろうかと思っております。また、今回の推計というのは、今までの推計方法と違うチャレンジをしており、かつ、地域医療構想などの実現を前提としているという特徴があることを踏まえまして、国や都道府県などが今後留意していくべき考え方、この推計やデータがもたらす意味合いですとか、何をどう解釈すべきかという点に関しまして、いろいろなお立場によって受けとめがあろうかと思います。その中で、どういった点に配慮をして進めていくべきであろうかというところに関しても、御議論いただきたいと思います。事務局から若干補足申し上げますと、資料2のパワーポイントのほうの10ページなどを見ていただければと思いますが、2018年ないし2019年現在、全ての都道府県において、看護職員不足が訴えられる声は根強く、現在、全ての地方において、基本的に看護職員は、質も量も含めていろいろ確保が大変だ、不足だということを根強く訴えられている。それが現場感であろうかと思っています。それに対して、今回の2025年における推計が、この2019年現在の現場感、肌感覚と実際に違う要素があろうかというのは、事実としてあろうと思っています。そういったことを踏まえて、解釈ではどうであろうかというところであります。
なお、参考資料で他につけている資料に関しましては、OECD加盟国の中で、日本はどういう位置にあるであろうかということに関して参考までにつけておりまして、簡単に申し上げますと、日本はOECDの平均の中で、看護職員の人口当たりの割合というのは上位にある。比較的看護職員は人口に対しているというところがある一方で、参考資料の12ページでは、病床当たりで割ってみると下位になるというところです。以上、需給推計案全般に向けて議論いただきたいことで、資料1の前半部分を御説明申し上げました。
後半、確保策の部分で御議論いただきたいことを御説明申し上げます。今、申し上げたように、現場において看護職員が不足している感があるというのが、現在の課題であるのは間違いない。大きな課題であるとして、目下の確保策をしっかり進めていく。それは全国的な大きな課題であるのは依然として重要だろうと思っておりますが、その一方で、2025年にまた違う構造が出てくるということになった場合に、どういった取り組みが求められるかを別途考えていく必要があるのではないか。当面及び2025年に向けた施策として、国や都道府県、ナースセンターなどが取り組むべき施策に関して、今回得られたデータを踏まえて、新規養成・復職支援・定着支援などの柱や、あるいは病棟から地域包括ケア領域など、こういった需給調整をどう進めていくべきか。そのためにどういった施策が求められるか。あるいは3番目のポツにありますけれども、実際に看護職員は、養成された地域、いわゆる地元において勤務を継続する傾向や、女性の割合が非常に高い職種であるという実態を踏まえて、転居を伴う異動や転職を前提とした広域的な需給調整よりも、同一県下や近隣の医療圏での需給調整が、実際の人としての生き方、キャリアの実際の今までの傾向からすると、実効的ではないかと見ておりますが、その上でも、地域を超えた調整ということで考えるとすれば、どういったことがあり得るだろうか。また「その他の諸課題」ということについても、あわせて御議論いただければと思います。以上、事務局から御説明申し上げました。
○尾形座長 ありがとうございました。ただいま御説明があったとおりですが、資料1で今回御議論いただきたい論点ということで、2点が示されております。相互に関係するわけですが、一応議論の整理上、論点を2つに分けて御議論いただければと思います。まず、資料1の論点の最初のほうですが、需給推計案全般につきまして、御意見や御質問等を承りたいと思います。鎌田委員、どうぞ。
○鎌田構成員 説明がありましたとおり、本日、日本看護協会より意見書とガイドラインを机上に配付させていただいております。意見書については御参考いただきまして、その中でも重要な点について、意見を申し上げたいと思います。
まず、最初の需給推計の全般のところなのですけれども、概要の3ページにありますように、都道府県の供給推計については、実績に基づく就業者数推計とかなり乖離しているという説明がありました。二年に一度出される衛生行政報告例を見ても、ここ10年で就業看護者数は約30万人増加しております。また、大学も3年課程の養成所も増加し続けており、国家試験合格者数も、看護師だけで毎年5万5000人を超えている状況にあります。加えて、60歳以上の看護師、プラチナ・ナースの就業も、10年前に比べて約11万人増加している。このように、就業者数は年々増加しております。このようなことから考えても、この推計値というのは信頼性に欠けるものではないかと思っておりますが、再度供給数について、厚労省として検討すべきではないかと考えておりますし、ぜひそうしていただきたい。
さらに、2ポツ目のところ、今後留意すべき考え方につきましては、やはり供給数が少なく出ていると考えられます。そのため、より正確な供給推計が必要であるということは先ほど説明いたしましたが、今回の推計は、都市部を中心に不足が見込まれている都道府県がある一方で、供給過剰となる県もあるという数値が出ております。このことについて、3点ほど意見を述べたいと思っております。まず一つでございますが、今回の推計は地域医療構想の実現が前提となっているため、供給過剰となると予測される点においても、説明がありましたとおり、県内の地域偏在や領域間偏在を解消するための確保策や、介護保険や母子保健、精神障害者保健福祉における確保策など、地域の実情に応じた看護職員の確保策を進める必要があるということ。二つ目としまして、必ずしも総量としては不足している都道府県ばかりではないことから、医療の高度化や地域包括ケアの進展に対応して、やはり質の高い看護職員の確保により重点を置く必要があるということ。三点目といたしまして都市部を中心とした看護職員の不足に対しては、今後の若年人口の減少傾向や都市部の雇用情勢を考えると、定着促進や復職支援により重点を置く必要があるといった留意点を示すべきではないかと考えております。需給推計全般については以上です。
○尾形座長 確認ですが、前半の部分は3ページの供給推計、事務局から182万人というのが出されていますが、これでもまだ過少だという御意見と承ってよろしいですか。
○鎌田構成員 今までの伸び率等から考えると、182万人であれば過少ではないと考えております。
○尾形座長 ありがとうございました。釜萢構成員、どうぞ。
○釜萢構成員 今回これまでの需給推計の手法と大きく変えて、新たな手法で需給推計を行ったわけですが、その結果が過去のものと比べて、事務局のレベルではどのような違いが生じたのか。あるいはこれまでの推計とそう大きな差がないという判断なのか。まず、そのあたりの認識を伺いたいと思います。
○尾形座長 これは御質問ですので、事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 ありがとうございます。今までの見積もり方に関して大きく変えている。どう変えているのかといいますと、都道府県が病院などへの意向を確認して、どれだけの需要がありそうかといったことを確認したりして、前回の第7次までは需要を提出してきているのが、今回、需要の見積もり方に関しては、この分科会でも議論をいただいてきた推計方法を定めて、その推計ツールに埋めてもらうことで基本的に医療需要を見込んで、結果として看護の需要を見込むというやり方をしていましたので、その上では、需要の見込み方に関しては、地域的に今の医療機関、今の病院などがどれだけ人が要るかという足元の不足感、足元の人員需要というよりも、よりデータに基づいて2025年のどういった医療を目指すのか、地域医療構想を実現した場合にどういう需要になるのかということが、現場の人手不足感といったところよりも、精緻と申しますか、客観的なものとして出てきているというのが大きな違いかなと思っています。
供給の見積もり方に関しては、この分科会でも御議論いただきましたけれども、そこは各地における離職率を見込んでいただいたり、各都道府県における新規養成ですとか、そういったところの水準なども見込んでいただくというところでありました。第7次までの需要推計の見積もり方と供給の見積もり方の離れ方に関して結論としては、今までのやり方と比べても、需要に関して総数が小さく出てきているのは、地域医療構想をきっちり実現していった後の絵姿だ、というところから来る違いが大きかったのではないかと思っているところであります。供給に関しての見積もり方は、実際には175万という数字が出てきていますけれども、そちらもいろいろな前提条件を置いた中で、各都道府県が御検討なされている数値なので、それはそれとして一定の合理性がある数値かと思っていますが、今、看護協会からも御指摘があったように、この数字から一定の幅を持たせてから考えるということをしていったほうが、より合理性が近くなるのかなという感は事務局として得ているところです。
○釜萢構成員 確認ですが、そうすると従来の手法のほうが、需要の推計が多く出ていて、今回の方法だと需要の推計がそれほど多くなかったという御認識なのですか。
○岩間看護職員確保対策官 前の方法による需要の見込み方よりは、需要の数が少なく出るような定め方の推計が行われたという認識です。
○尾形座長 釜萢構成員、よろしいでしょうか。
○釜萢構成員 結構です。
○尾形座長 他、いかがでしょうか。小林構成員、どうぞ。
○小林構成員 供給ですが、特別研究「地域医療構想等に基づく2025年の看護職員需給見通しの推計に関する研究」で、平成37年の供給数を推計させていただきました。その推計では、現状シナリオは約175万人、復職者が10年かけて1年間に7000人増加する再就業者数増加シナリオは約177.5万人、10年かけて離職率が9%まで低下する退職者数減少シナリオでは約189万人でした。この結果を踏まえると、過小推計になっている可能性があり、検討が必要と思います。
○尾形座長 ありがとうございました。鎌田構成員。
○鎌田構成員 先ほど説明の中で、幅を持たせるということを言われました。幅を持たせた182万なら過小ではないのではないかと思いますが、この幅を持たせるといったところもあわせて、都道府県に返されるのでしょうか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 都道府県から提出をいただいてきた数値に関しましては、今、小林構成員からも御指摘がありましたけれども、各種データから見ても全体として合算すると、供給が少ないのではないかというところはありますが、一方で、県は県におきましても、この分科会で今までも議論をいただいてきていますけれども、そういった県の中での行政機関としての調整を経て精緻に分析をされて、その結果として慎重に検討されて提出をいただいてきているものかと思っていますので、それに関しては受けとめるべきものだと思っています。その受けとめを我々としてした上で、小林構成員からも御指摘がありましたけれども、より合理的な形を模索するのだとしたら、一定の可能な限りの補正をした上で、幅を持たせて捉えていくということがよろしいのではないかと考えているところです。
○尾形座長 鎌田構成員、よろしいですか。他、いかがでしょうか。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 供給の見込みについて、政府では2040年の社会保障給付費とマンパワーの推計をされています。JILPTの労働参加が見込まれるというのと、労働参加が一定見込まれるというのと、参加が改善しないといった3シナリオでマンパワー推計をやっていますが、そういう情報が都道府県に提供されて労働参加が一定程度進むとか、非常に進むという前提が都道府県における推計の前提とされていなかったのだと思いますが、そういうことも、全体の整合性という意味では必要なのではないかと考えましたけれども、その点についてもし見解がありましたら、行政からお示しいただければと思います。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 現在のこの推計に関しましては、この分科会の中でも離職率の見込み方などに関して、あるいは労働参加に関しましても、都道府県のほうに推計をお願いするということをこの分科会として議論いただいて、決定したという経緯がございます。その結果として作業いただいているものですから、こういった取りまとめということに関しては、そのとき分科会で定めた推計ツールということの帰結であるということでしたので、仮に今回の推計、もともと第8次として最終的に取りまとめるということよりは、今回、標題に関しましても「中間とりまとめ案」とさせていただいていますけれども、これは今、得られる客観的なデータに基づいて可能な限り模索をして、取りまとめた数値ではありますが、今後データが得られるものが具体的に出てくれば、例えば勤務間インターバルの研究結果でありますとか、そういったことが出てきて、推計のあり方に関して影響を見積もることができるようになるのであれば、それを踏まえてもう一度やっていく必要があるのではないかという意味合い、この分科会での議論がそうだったということを踏まえて提案していったものであります。したがって、今回の供給の数値の計数の置き方ですとか、そういったことに関しましても、また改めてこの中間とりまとめのために都道府県に作業をしてもらうということではなく、改めて需給推計全般をやっていく中でどういったことができるかというのは、またこの分科会の中でも御議論いただいた上で、次の推計をする際には反映していくことができればと考えているところであります。
○尾形座長 伊藤構成員、よろしいですか。
○伊藤構成員 とりあえず、みんなで議論すればいいと思います。
○尾形座長 太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 少し意見を言わせていただきたいと思います。今回さまざまな形で都道府県に推計していただいて、結果としてこういう数字が出てきた。もともとこの推計の仕方に関して、以前のこの検討会で議論したときに、かなりの不確定要素がこの推計に入ってくるという前提のもとで話が進んでいたものだと思います。以前、島崎先生が、この結果によって施策が何か変わるのかという質問があったかと思います。医師需給のほうですと、いわゆる医学部定員をどのようにしていくかという非常に大きな部分にかかわってくるということで、かなりいろいろなディスカッションがあったのですけれども、本当に働き方も入ってくる。今の供給の話もある。私に言わせると、看護補助者がどれぐらいとれるか、とれないかでも需給は変わる。さらに言いますと、地域医療構想が2025年までにどこまで進捗するか。先週、424病院の名前が出たり、いろいろありますけれども、いろいろな不確定要素がある中で、我々は数字をつくらなければいけないとするならば、もしこの決め方によって施策が非常に大きく変わってしまうということがあるのであるならば、そこの部分はしっかりと議論して、施策をどういう形でするのかというところはしなければいけないですが、ある一定程度決められた期間までに推計を出さなければいけないということであるならば、私としては基本的に今、都道府県の積み上げで出していただいた推計の結果に関して、特に異論を唱えるものではありません。
○尾形座長 ありがとうございました。鶴田構成員、どうぞ。
○鶴田構成員 資料の作成についてですけれども、資料2の4ページにはシナリオ①、②、③があるのですが、そのシナリオの基となる数字は、2ページの都道府県推計の値だと思います。2016年とシナリオ①の間にその数字を書いていただいたほうがわかりやすいのではないかというのが、まず一点です。その次に、それを踏まえて発言をすれば、この推計において4つの医療機能ごとの現在の病床数当たり看護職員数をベースに地域医療構想の病床数の必要量で推計をされており、先ほど説明があったように、超過勤務が10時間程度、有給休暇が10日程度の現状の数字がベースになっているとすれば、シナリオ②は2ページ目の都道府県推計の値に相当しないかというのが、まず一つの疑問です。シナリオ①は、それより少ない数字になる。シナリオ③は、都道府県推計の数字よりも大きくなる。そうならないかという点について質問をしたいと思います。それは、都道府県推計が180万人で、3ページの実績に基づく就業者数推計値の182万人、この2万人の差は誤差範囲内と見れば、その数字のほうが妥当のような気がしますけれども、いかがでしょうか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○金子看護課長補佐 シナリオの設定でございますが、例えばシナリオ①でございますと、超過勤務10時間以内、有給休暇5日以上とさせていただいているのですが、こちらの考え方なのですけれども、例えば今、働いている看護職員さん全てが10時間以内。これは今40時間働いている人を全員10時間以内におさめる。現状5時間の人はそのままということで、10時間を超えたものを10時間以内に押し込むというのがシナリオの考え方でございますので、先ほど鶴田構成員から御発言があった、例えば都道府県の報告が180万人で、仮に現状の働き方がシナリオ②の10時間以内10日以上であっても、10時間以上働いていたものをシナリオ②は押し込んでその分を人員に換算するので、その分需要が増加しているとなっております。以上でございます。
○尾形座長 鶴田構成員。
○鶴田構成員 先ほどの説明では、現状の看護師の働き方というのは、ほぼシナリオ②に近い形の働き方、超過時間と有給休暇の日数のことでしたので、都道府県推計はこれに近い値ではないかという質問なのです。
○尾形座長 事務局、どうぞ。
○金子看護課長補佐 現状の看護職員の働き方では、平均10時間以内、有給休暇10日以上なのですが、それは月40時間働いている方とか60時間働いている方がいらっしゃるということです。その方を全て10時間以内におさめたのがシナリオ②の考え方になりますので、都道府県の報告よりも、その分、シナリオ②のほうが需要は増えるという仕組みになっております。
○鶴田構成員 先ほど述べたように4ページの表は、例えば166万人と188万人の間に180万という数字を入れて、その場合の超過勤務時間と有給休暇日数は何日として計算されているのですか。そうすれば、その差がよりわかるということを申し上げているつもりです。
○金子看護課長補佐 この180万というのは、都道府県の報告だというと、平均で10時間以内、有給休暇も10日以上ということになろうかと思うのですけれども、シナリオ②だと、超過勤務30時間する人はいないということですから、例えば10時間を超えて働いている人はいない状態がシナリオ②という状態になりますので、その辺が現状の報告とシナリオ②の違いということになるわけですね。
○鶴田構成員 病院では超過勤務時間が40時間とか、50時間という人がいる人は承知していますけれども、各病院の平均時間が10時間であれば、30時間、40時間の人がいても平均は10時間として出すわけですね。
○金子看護課長補佐 現状を言うと、平均が超過勤務10時間でも、30時間、40時間働いている方がいらっしゃるというので、それが都道府県の報告値のほうになろうかと思うのです。今回やろうとしているシナリオ②は、皆さんが必ず10時間以内におさまるようにというシナリオの設定でございますので、シナリオ②に関しては10時間以上働いている人がいない。月30時間とか40時間働いている人はいなくて、超えた超過勤務の時間は人に換算されて、その分、人員が増になっているという考え方で数値を推計したというものでございます。
○鶴田構成員 よくわかりませんが、とりあえず意見だけ述べておきます。
○岩間看護職員確保対策官 補足申し上げます。今回の需給推計は、概要の2ページ目の一番上のポツの中にも書いてありましたけれども、ワーク・ライフ・バランスの充実を前提に、シナリオ①~③を設定しています。都道府県からの実数値というのは何かと申しますと、これに関しては、ワーク・ライフ・バランスが現状のものに比較的近い、改善しないということを置いた数字かと思います。その上で、今よりもワーク・ライフ・バランスの度合いをよくしていく、その程度はそれぞれ①~③まであろうかと思いますが、それに関して、シナリオ②は今の平均の働き方が維持された場合でなくて、全ての人が今の平均水準までよくなっているということの数字であるというところであります。したがって、都道府県から出てきた180万1620人というのが実態に近いのかどうかも含めて御議論いただきたいと思います。
○尾形座長 鶴田構成員がおっしゃった現状というのは、いいか悪いかは別にして、この180万に近いということだろうと思いますが、そういう意味で、鶴田構成員の御意見としては、ここに180万というベースも入れるべきではないかという御意見と考えていいですか。
○鶴田構成員 180万人をグラフに入れるということと、その差し引きがあるのではないかと思って発言したのです。現状でもある程度、超過勤務時間に幅があるし、年休にも幅があるけれども、平均はこのぐらいですというのがわかっています。そうすると、このシナリオ①、②と、都道府県から出てきた数字の間に、超過勤務、有給休暇をダブルカウントして、実際はより低い推計値にならないかなと思った次第です。都道府県が出した推計値にも超過勤務時間と年休が含まれているはずです。超過勤務時間が0時間の人は0時間、30時間の人は10時間にしたという意味であれば説明の意図はわかりますけれども、そこがよくわからなかったということです。
○尾形座長 竹中構成員。
○竹中構成員 都道府県からの報告値、180万についてお聞きしたいのですが、2025年の病床数推計値で国が出しているものと、各都道府県が実態に合わせて独自に推計した値がございますね。それが各地域によって、2つが今、出歩いている状況なのでございますけれども、各都道府県からの推計値報告というのは、各都道府県自身の独自の推計値を使ったものでございますか。
○金子看護課長補佐 こちらの180万につきましては、地域医療構想の病床数を都道府県が独自に推計したものではなく、一律に置く前提ということで、独自の推計ではない、国のほうで示したものを使っております。
○尾形座長 島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 事務局に確認したいのですけれども、概要の2ページのところが先ほどから議論になっています。鶴田構成員も御指摘された、都道府県の報告値の180万1620人の数字ですが、これは都道府県のほうに出してくださいよといったときに、ワーク・ライフ・バランスを改善するといった要素は盛り込まないでくださいねと明示的に言ったかどうかはともかくとして、そういう前提で出された数字だと理解していいのですね。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○金子看護課長補佐 こちら、180万の需要の際には、今回のシナリオのようなワーク・ライフ・バランスというのは、特に示していないです。独自でワーク・ライフ・バランスを考えて、見込んでくる場合もあろうかと思うのですけれども、それは見込まずに出しております。ただ、都道府県が一旦報告していただいた後に、このワーク・ライフ・バランスによる推計値のほうを示して、都道府県のほうに、見直しをするのであればお願いしますという形で都道府県のほうにお願いしております。
○尾形座長 小林構成員。
○小林構成員 少し補足させていただきますが、この都道府県報告値は、医療機能ごとの現状の1床当たりの看護職員数を足元の数値として算出し、各都道府県の2025年の病床数を乗じた数を積み上げたものになっています。現状が反映されており、何か想定したワーク・ライフ・バランスの充実等の条件を考慮して算出がされたものではありません。事務局のほうから報告がありましたシナリオ①、②、③は、例えば、シナリオ②の場合に、10時間以内10日以上の労働をしている人達がどれくらいいるのか、またその人達が10時間以内10日以上を超える部分の労働時間数がどれくらいなのかを推計して、その労働時間分を埋め合わせするためにどのぐらいの人数が必要になるのかを算出し、係数化したものになっていると思います。
○尾形座長 島崎構成員。
○島崎構成員 そのことを確認したかったのです。ということになると、需要推計のほうの180万強の数字は、もともとこの検討会でこういう形でもって計算してくださいよと言って、若干各県で実際の数字を積み上げたところもあるかもしれませんけれども、基本的にはこの検討会のフレームの中に乗っているわけですね。なおかつ、その中には、先ほど言った地域医療構想の数字とか、そういう前提条件も入っているわけですから、まず、この180万1620人という数字は、都道府県のほうから地域医療構想も加味した現状ベースの数字で、ワーク・ライフ・バランスの改善要素は入っていないということを確認しておけばよいと思うのです。
その上で、これは働き方改革というか、労務の改善という部分が入っていないので、それについてはやはり重要なことだと思いますので、この検討会としてはシナリオ①、②、③をつくって、その需給のところについてはそういう数字を出しましたという頭の整理をしておけばよい。まず、その確認をしたうえで、報告書では、その事実をきちんと書き込めば、需給についてはそれでよいのではないかと私は思います。
○尾形座長 ありがとうございました。他、いかがでしょうか。太田構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 介護保険事業所と訪問看護です。全体で見ると、数%なので、今の議論の中ではとても小さな話になるのですけれども、病床数を中心に看護の需給を見るというのはよく理解できるのですが、訪問看護の需給を医療保険の対象者から割り出しているのですか。介護保険の対象者はここに入っていないという理解でよろしいですか。
○尾形座長 事務局、どうぞ。
○金子看護課長補佐 訪問看護のほうは、医療保険の分と介護保険のものを分けて出しておりまして、医療拠点のほうは、需要は将来の人口動態等によって一定の仮定を置いた推計をして将来の医療需要を出しておりますが、介護保険のほうは、介護保険事業計画をもとに試算するようにしております。
○太田(秀)構成員 すみません。少し理解が間違っていました。医療保険分は括弧をして書かれていたので質問したのですけれども、病床によって看護師の数を見込むのは合理的だと思うのですが、訪問看護事業所の場合、仮に1つの事業所で5人の看護師がいて、その対象患者は30人の場合もあれば、100人の場合もあるのですね。相当幅があるのです。また、介護保険施設になると、入所者の定員で何人看護師が必要かとは、制度で規定されているわけです。ですから100床の老人保健施設であれば何人看護師が必要か出ますね。ところが、訪問看護師数は推計しづらく、この数が正確性を欠くものであるということを前提に考えると、需給が多い場合に、介護保険施設あるいは訪問看護に看護師の需要が見込まれるだろうという考え方は一層甘い見込みになるのではないかと私は思います。
○尾形座長 島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 需要のほうについては、先ほど言った頭の中の整理をするのが重要だと思うのですけれども、供給推定のところについては、確かに都道府県から出されてきた174万6660人ですか。感じとしては少し固めに出しているのかなという印象があります。ここで余り勝手に言ってはいけませんけれども、都道府県の担当者の立場からしてみれば、十分足りていますよと言ったら、確保対策は何もしなくていいのかという話になってしまうわけで、どちらかというと固めに出しているのかなという感じはしないではないです。その上で申し上げると、都道府県によってかなり状況が違いますね。率直に言うと、例えば東京のように、今後、看護師の需給ギャップが開いていくようなところもある一方で、むしろ看護師が余り気味のところも出てきますね。もっとも、だからといって看護師の確保対策が不要だということにはならないですね。実際問題として、いろいろ都道府県からこの数字を求めるときに、そういうヒアリングをしていると思うのですけれども、どういう意見が出てきましたか。例えば需給のギャップのところに関して。
何が言いたいかというと、例えば人口が急激に減るようなところでは、概して言えば、看護師は余り気味になりますね。ですけれども、そこは生産年齢人口全体が急減するので、それはそれで看護師の確保は大変なのだと思います。そこは、単純にこれだけ看護師が余るような形に見えるかもしれないけれども、だからといって看護師の確保対策が不要だということには全然ならない。一方、当然のことながら、東京とか大阪のように、看護師の不足が見込まれるところはどうやって確保していくのだというのは、ほかの産業との関係でもなかなか難しい問題を抱えますね。つまり、そういうことを丁寧に議論するための素材が、ここのところで提供されればよろしいのではないかと私は思います。
先ほど太田構成員のほうから、これはどういう政策的な意味を持つのかということに関して、確かに私も最初に申し上げたとおり、医師の養成数のように、入学定員を何人とするかという性格のものとは少し違うので、むしろ冒頭に、この数字はどういう意味合いを持つのかということについて、誤解を与えないような丁寧な説明が必要になってくるのではないかと思います。その面からいくと、むしろこの検討会で進めてきた推計のプロセスというのがこれまでの推計の方法とは違うので、そこは後ほどの報告書の書き方に関係する話なのかもしれませんけれども、まず一つは事実を丁寧に説明するとともに、どういう要素が入っていて、どういう要素を政策的にこの中に入れ込んだのかということをきちんと書き込んで、誤解が生じないようにしていくことが必要なのではないか。それから、需給のギャップを都道府県別に出すのであれば、例えばマイナスが立って、看護師が余り気味になるからといって、看護師の確保対策が不要だということではありませんとか、そういう説明を丁寧にしていくことが必要なのではないかと私は思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。他、いかがでしょうか。小林構成員、どうぞ。
○小林構成員 中間とりまとめ案の10ページですが、訪問看護事業所では、現状より2倍以上の看護職員数が必要になります。急性期の病床数が減少することの対応として、在宅領域における看護職確保対策を急ピッチでかなり進めていかないと、この需要に耐え得ることはできませんので、訪問看護師の偏在、また精神領域の病床数削減分に必要となる看護職員数がどれくらいになるのかを示し、精神領域の訪問看護師の育成等、対策の検討が必要だと思います。
○尾形座長 その辺は、また次の確保策のところで御議論いただきたいと思いますが、まず、この需給推計ついて、如何でしょうか。高砂構成員、どうぞ。
○高砂構成員 今回の需給推計に関しては、地域医療構想の実現を前提にしており、さらにその状況によって在宅の医療提供体制が変わってくるということで、不確定な要素がとても大きいなという御意見は皆さん同じだと思います。そういう意味でシナリオ①、②、③において、訪問看護事業所等において12万人というのが最低の数として、今までも御報告されている状況では、やはりシナリオ①、②の数は少なめになっていて、もう少し幅を持って需給を考えていただいたほうがいいのではないかと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 少し質問なのですけれども、都道府県別の需要推計が出ていますが、概要の1ページの最初の「これまでの経緯」の5行目に「医師の需給推計方法との整合性を図りつつ」と書いてあります。たしか医師需給分科会で出した「中間とりまとめ案」では、患者の流出入を見込んでいて、それによる都道府県間調整をしていると思うのですけれども、この点については、こちらの看護職員の需要推計には入っていましたか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○金子看護課長補佐 患者の移動につきましては、医師偏在指標の際に取り上げられていると思います。実際の医師需給推計については、当時、平成30年4月に取りまとめられていますが、そちらには特に患者の移動に関する事項は含まれておりません。こちらの看護職員の需給についても、医師需給推計と同様に見込んでおりまして、患者の移動というのは特に考慮されていないということです。
○尾形座長 よろしいですか。
○伊藤構成員 わかりました。医師需給分科会では、医師偏在指標に応じた都道府県確保計画の策定が必要になってくるという考え方が示されていたと思ったので、この後看護職員の確保対策という点で、県境を越えた患者の流出入を勘案する必要があるのではないかと思って、今、確認しましたが、入っていないということがわかりました。
○尾形座長 他、いかがでしょうか。平良構成員、どうぞ。
○平良構成員 これまでの議論で、今、出ている数字は、都道府県が現時点で出せる推計の限界だと思うのですけれども、そもそもベースになっている地域医療構想は私の足元で見ますと、進んでいる実感がないのですね。全国的にどのような進捗になっているか、御存じでしたら教えていただきたいと思います。なぜならば、この数字がこの先大きく変わってくるのであれば、今出されている数をそのまま受けとめてこれで議論していくけれども、大きく変わってきたときに、もっと見ないといけないところが出てくるのかなというのが少し気にかかるので、そこを教えていただければと思います。
○尾形座長 これは誰が答えるのでしょうか。太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 私、一応病院団体で地域医療構想もいろいろと関わっております。 ぶっちゃけて言うと、今のところほとんど進んでいない。であるので、議論を活性化させるために、先週は山のように新聞に出ましたけれども、さまざまな公立病院のリストが出た。そこそこ議論を活性化させようとしても、多分これから自治体を含めて、地元の方々からも大きな反対が出てくるので、紆余曲折をしていくという形で動いていかざるを得ないと思うのですね。先ほど私、非常に不確定要素が大きいという話をしましたけれども、地域医療構想を考えたときには、各地域で需給をある一定程度「こういう計画で計算します」というものがあるのです。これに基づいて2025年の病床数を決めているのですけれども、本当言うと、その計算式で今を計算することができるのですね。2018年とか2016年がどうなのだ。我々からすると、ベッドが少ない、多いという感覚はあるのですけれども、それで計算すると、今でもとんでもなく急性期の病床が多過ぎるだとか足りないという話になるのですけれども、現実には誰もそんなことを感じていない中で、2025年にはこうなるだろうということで突っ走っている国策になっています。ですので、それ自体をここで議論してもしようがないと思いますので、うまくいく、いかないというのは正直わからないですけれども、そちらのほうに向かっていくことを前提に全ての政策が走っているので、それに一定程度整合性をとるような形でこれもつくっていかなければいけない。これは不確定要素が非常に大きな需給推計なので、そういう形で理解をするしかないものだと私自身は思っています。
○尾形座長 島崎構成員。
○島崎構成員 太田先生は現状で言えば、多少のニュアンスの差はあれ、そういうことかもしれませんが、私はもう少し変わり得るのではないかと個人的には思っています。その要素は何かというと、医師の働き方改革の影響で、御承知のとおり、2024年4月から医師についても労働時間の上限規制がかかるわけですね。そうすると、いきなり2024年4月が来るわけでなくて、その前段階としていろいろなことをやっていかなければいけない。こういう話になっていくと、かなり医師の供給というのは単純な数の話でなくて、労働時間とかいろいろな影響が地域医療に出てくる可能性があると考えるべきなのではないでしょうか。ということになりますと、2025年に本当にどうなっているかというのは、誰も正確に予測できないにしても、今、太田先生がおっしゃるように、そういう方向で政策が進んでいるのだとすると、そのことについての評価はいろいろな議論があると思いますけれども、一応それを織り込んでということで、これまで議論を重ねてきたわけであり、この段階でその前提を変える必要はないのではないかと思います。
○尾形座長 釜萢構成員。
○釜萢構成員 今、島崎構成員が言われたこととの関連ですが、最初に御質問を申し上げた、これまでの看護職員の需給推計と、今回の手法で積算した推計がどう違うだろうかということで、事務局からの見解がありましたけれども、私の個人的な見解としては、これまでの推計値とそんなに大きく変わらないなという印象です。看護職員の需給については、これまでずっと何度も行われてきたわけですが、それぞれの医療機関からの推計の結果は、すごくたくさん不足するというのが出てきて、計画の年度の終わりのころには何とかバランスがとれてくるということがずっと繰り返されて、推計の手法としてどうなのかなと思っておったのですけれども、これまである程度将来を見越して、きちんと地域医療構想で病床のことも考えてやっていこうという中で、今回出された推計値については、確かに不確定要素は多々ありますが、まずこの数字を基礎に置いて検討する。なぜ看護職員の需給の検討が必要かというと、将来需要が非常にふえて、供給がとても追いつかないという場合には、国民の医療の提供ということに大きな支障が起こるわけですから、そこのところが一番危険なわけですね。ですから、そこのところを見ていって、現状の需要と供給のバランスを見てみると、また鎌田構成員からも冒頭にお話がありましたけれども、そんなに大きなずれにならずに、何とか今後もいけるのではないかというのが全体の流れだと思うのです。ですから、そのことは、国民に対しては非常にポジティブなメッセージとしてお伝えできるのではないかと私は思いますが、細かい部分では、また今後いろいろな議論が必要で、地域偏在などの問題については、医師も別の場所で勤務してくださいというのはなかなか難しい話なので、看護職員についてはさらに困難だろうと思いますから、そこのところはまた皆様からの御議論が必要だろうと思いますが、現状については割合安心したメッセージとして、国民の皆さんにこの結果をお伝えできるのではないかというのが私の見解です。
○尾形座長 ありがとうございました。山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 この看護職員の需給の問題について、何かずっともやもやしながら議論に参加させていただいています。やはり看護師さんの働いている場が多様であることや、不確定要素がいろいろあって変わってくる可能性が高いことと、これはあくまで2025年の地域医療構想を踏まえての推計ということなので、先ほどもお話がございましたけれども、全国的に調整がどれぐらい進んでいるかというと、余り進んでいないのが現状ではないかと思う中で、余り細かい数字の話をしていても、圧倒的に問題なのは、足りないことは確かだと思うのですね。だとすれば、どうやって対策を立てていくかということで、国民の立場から見れば、そこをしっかりやってくださいということが重要になってくるのではないかと思います。ただ、その中で、地域医療構想を前提にした推計であることから、論点の2つ目のところに懸念があって、どういうことに気をつけてやっていかないといけないかということを議論と書いてあるのですけれども、今の動きを見ていて、大きく何か影響を及ぼすとしたらこういう部分を気にしているのだというのが、何か事務局として考えていらっしゃるところがあるのであれば、少しお考えを聞かせていただきたいと思います。今の地域医療構想の調整の動き方を見ながら、考えておられるポイントみたいなことがあれば。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 今、まさに山口構成員がおっしゃられている点は重要なことだと思っていまして、不確定要素があるという未来を見通して養成をしていくということに関して、不確実性を予期した確保策、新規養成なり、復職支援などをしていくということが難しくなってくるという点が、まさに重要なポイント、懸念しているポイントでありまして、県単位において、今後、地域医療構想がしっかりと実現していけるかという側面と、確保策というのがどれだけ進捗できるのか。それぞれの構想の進捗と確保策の進捗というのが両面相まって進んでいかないと、地域医療を支えるマンパワーという意味では、実際に何かの隘路が出るという可能性は否定できないので、そこを両面しっかりと見据えて施策を打っていく必要があるということが、重要な点だと思っています。
○尾形座長 本田構成員、どうぞ。
○本田構成員 もう少し具体的に何が困るのかというのが私にはよくわからなくて、頭が悪くて恐縮なのですけれども、地域医療構想がきっちり進んでいけば、確保策とかいろいろあると思いますけれども、そんなに齟齬もなく、すごく困るということもない方向に行って、結局、地域医療構想がこの想定の中で進まなかった場合、足りないという議論が大きく起こってしまうのではないかということが、困るということなのですか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 そこも地域の実情に応じて発生する課題が変わるのだということが、一義なのだと思います。全てにおいて足りないという点に関しましては、しっかりと確保策もやっていかないと追いつかないですし、地域医療構想の進捗が遅いとなると、病棟においてより人を配置していかないと、そこの病棟で働くナースの方々は、非常に人員不足などに苦労されることになる可能性も感じていて、そこは両面しっかりとやっていかないといけないことになろうかと思いますし、一方で、地域医療構想をしっかりと実現していけたとなった場合に、受けとめる地域の側で活躍できる看護職の質でありますとか、能力でありますとか、そういったところでもまた別の課題が出る。具体的に申し上げますと、例えば介護領域でありますとか、より地域に近いところで働けるマインドや力量ということがどれだけ備わっているのだろうかという点が、量の問題でなくて、質の問題でも出てくる可能性があり得るのではないかと思っています。
○尾形座長 内容的にも、そろそろ確保策のほうの話が出てきておりますので、需給推計案全般についてはこの辺にしまして、次の確保策について御質問・御意見を承りたいと思います。鎌田構成員。
○鎌田構成員 確保策の1点目の新規養成のところなのですが、中間とりまとめ案の18ページに「学生や教員の確保が難しくなっている養成所に対して、運営支援も含めた柔軟な取り組みが求められる」という記載があります。けれども、今までこの分科会ではこのような議論はなかったように思うのですが、運営支援も含めた柔軟な取り組みというのは、具体的にどのようなことを考えられているのか。事務局の方にお願いしたいと思います。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 こちらに関しましては、参考資料のほうにも、ライフイベントでありますとか、看護職員の人生の進展に伴ってどういう移動をされているのか、どういった地域で活躍されるのかという資料をつけていますけれども、こういったファクトを見ますと、地域の中でしっかりと看護職員を養成できる機能があることが、看護職員を必要とする地域でしっかりと確保していくための重要な基盤であろうかということが見受けられましたので、現実問題として、医療が確保したいとしても、若い方々のみならず、全体の労働人口が減っていく中で、看護の教育の質といった面で問題がないとしても、確保機能の維持ということに対して苦労されていくところが予測されましたので、どういったことが、その地域で必要とされる養成を維持し続けるために必要なのかということから、今回、盛り込ませていただいたものであります。
○尾形座長 関連でしょうか。
○釜萢構成員 関連です。
○尾形座長 釜萢構成員。
○釜萢構成員 この件については非常に大事な視点でありまして、看護基礎教育検討会のほうでも発言させていただいておりますが、やはり看護職員は地元で養成して、特に養成所において養成した看護職員が地元に定着する率が高いのは、統計上明らかです。大卒の方は、地域でということにはなかなかならないのですね。これは文科省の検討会でも、今、いろいろ検討しているところですけれども、その中で、地元で何とか看護職員を養成しようと思っても、少子化の影響、景気の動向等があって、なかなか養成所の維持、運営の維持ということが難しくなっておりますので、複数の養成所がしっかり連携をとって、教育の質をしっかり担保しながら、有効で効率的な教育・養成に当たる方法をぜひ考えていこうというのが、看護基礎教育検討会のほうで、今、議論をして取りまとめに近づいているところでありますので、ぜひこの需給分科会でも、その視点で皆様の御賛同をいただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 都道府県では、看護師養成所に基金等を使って運営費補助を出しております。そのため、むしろそこに都道府県からの財政支援を強化すべきといった文言を追加したほうがいいのかなと思います。それと、複数の養成所間の連携のあり方について、今は指定規則やガイドライン等で縛られているところを、具体的にどうするかは今後、看護基礎教育検討会で議論されるのかどうかも関係すると思います。それぞれの学校には、学校に任せられた運営があり、そこは都道府県等も支援をしているところですので、連携というのは非常に微妙な表現かなと思っております。
○尾形座長 池西構成員、どうぞ。
○池西構成員 ここの部分はぜひ私も発言したいと思います。中間とりまとめ案の18ページに書いていただいた、「近年、地方の養成所において」という文言については、本当にありがたいと思って読ませていただきました。このとおりなのですが、学生の確保が大きな問題になっています。学生の人数が少ないと当然授業料も少なくなります。それから、教員確保の問題。これも切実な問題がありまして、実は先日も他県に行っていたのですが、これからの養成をどうしていくのか、続けられるのかという不安の声も聞こえてまいりました。養成所は地域に根づく教育をしていき、地域に還元するということを大事にしていかなければいけないと思います。実際はそういう形で、7割、8割の学生が地元に残るという現状がありますので、養成所がきちんと運営できるようにすることで偏在などの問題にも対応できると思います。ぜひここは具体的な文言をそのまま残す。あるいは今、鎌田構成員が言ってくださったような具体的な補助金の問題を明記していただくと、とてもありがたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。では、鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 養成所の指定というのは、各都道府県知事が行うことになっておりまして、その際に、学生が確保できるかとか、教員がきちんと確保できるかといった視点を含めて指定をしております。そもそも学生が確保できていないということであれば、指定するときに都道府県が考えないといけないということにつながっていくかなと思います。申請のときは確保できると見込んでいた、でも実際は確保できなかったということになると、それはやはり指定のあり方が問題だったということになりますので、そのようなことがないように指定規則やガイドラインの見直しを検討しなければいけないのかなと思います。
○尾形座長 釜萢構成員。
○釜萢構成員 今の鎌田構成員の御発言は、少し地域の現状についての御認識が不十分だと思います。地域の養成所は非常に運営が困難で、そのためにどんどん養成をやめていけば地域の看護職員の養成は全然できなくなります。ですから、いかに現状の資源をしっかり手当しながら養成を減らさないようにするかというのが大事なのであって、指定規則を厳しくして、どんどん絞ってできないところは切ってしまえというのはとんでもない話でありますので、強く発言をいたします。
○尾形座長 他、いかがでしょう。山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 この中間とりまとめ案の17ページのところなのですけれども、確保対策については、ここに書いてある新規養成とか復職支援、定着支援、領域・地域偏在の調整等々、多面的にやっていく必要があると思っている中で、特に新規養成のところで2つ目のパラグラフに、地域の多様な療養の場における看護の理解を深めるための教育の充実と書いてあって、いろいろなところで看護師が働いているということを教育の中で示していきましょうということだと思います。私はそれに加えて、いまだに社会一般として、看護師イコール病院で働く人という固定的なイメージが強いままではないかと思います。そこで、もう少し社会に向けて、看護師はいろいろな場で働いているのだということを周知し、看護師を目指す人の中で、病院あるいは診療所だけではないのだということが前提になるということも、職業を選ぶという段階で大事なことではないかと思っています。例えばこれも実際にされているかもしれませんけれども、中学生や高校生が看護体験などをされるときに、同じように病院ばかり行くのではなくて、訪問看護の現場であるとかいろいろな施設を見るということも一つだと思いますので、もう少し社会全般を念頭に置いた文言を少し入れていただくことができれば、看護の領域の教育に入った人から学んでもらうという、もう少し前の段階のことも入れていただくといいのではないかと思いましたので、これは意見でございます。
○尾形座長 重要な御指摘だと思います。池西構成員、どうぞ。
○池西構成員 同じところなのですが、17ページの「このような状況を踏まえ、地域の多様な療養の場における」という文言なのですが、山口構成員がおっしゃったような趣旨ですが、「療養の場における」という前提が、やはり病気を持つ人というイメージに固まってしまって、看護基礎教育でも、療養している人だけでなく、お元気な方だけれども、放っておくと病気になる、予防的な視点ですが、そういうことも含めて、地域の中で生活する人を見るという視点が大切だと考えます。たとえば「生活の場」「生活する人」という表現で、「療養」という言葉を少し広げていただくとよいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 確かに学生の確保については18歳人口が減少しており、学生に限らず、そもそも確保が困難ということは私どもも把握しております。そういった意味で、日本看護協会としても、今後も看護職の魅力を伝えてなり手をふやす努力もしていきますけれども、地域における看護職員確保については、新規養成だけに頼るのでなく、このとりまとめの中にも書いてありますとおり、地域別の偏在の調整もナースセンターが中心となって、確保策を講じることで対応ができることも考えておりますので、そのような文言も追加していただければと思います。教員の確保も困難であると把握しております。教員の確保困難に対しては、教員の確保策を最優先すべきではないかと考えております。
○尾形座長 ありがとうございます。森本構成員、どうぞ。
○森本構成員 定着促進に関する施策について、夜勤負担の軽減に当たっては、看護管理者のマネジメント能力の向上はもちろん重要であると考えております。定着に向けては、看護職員の夜勤体制のあり方を根本的に見直すなどによる定着のための仕組みも大事であります。中間とりまとめ案の21ページにある具体的施策の1つ目に、交代制勤務の看護職員に適した勤務間インターバル制度など、労働時間・勤務環境改善に関する研究とあるが、研究だけでなく、「夜勤交代制勤務の負担軽減のための具体的方策の提示」を追記していただきたい。
病棟勤務等から地域包括ケア領域(訪問看護等)への需給調整を進めるための必要な施策のところですが、都道府県医療計画に、地域包括ケア領域(訪問看護等)に必要な看護職員数と確保策を明示するべきではないかと思います。需要推計結果、概要の2ページで、約12万人必要になるところ、現状では訪問看護師は5万人程度であり、具体的な確保策を示す必要があると考えます。具体的な確保策として、24ページにある地域医療支援病院の役割として、「訪問看護の提供や訪問看護事業所との連携拠点など、領域別偏在の調整機関としても今後期待される」と追記をお願いしたい。また、看護師の訪問看護や介護施設への就業が進まない理由を明らかにした上で、その対策等も考えるべきです。例えば、介護施設では、就業しても現状とのギャップにより辞めてしまう看護職がいるという実態を踏まえて、現実とのギャップを小さくするために、23ページの介護施設における看護職の役割や業務内容などに関する情報提供の取り組みも、具体的施策に含めていただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 概要のほうですと、定着促進の一番下のところに、看護補助者の記載をいただきました。看護補助者との協同のあり方、活用、夜勤への対応などに関する看護管理者、看護職員への研修の推進。中間とりまとめ案のほうですと、20ページの一番下からになりますが、看護補助者の確保が非常に困難になってきている。また、厚労科研での実態調査の結果を踏まえて、今後の定着促進策の検討を行うというものを一応書いていただいていますが、今回の分科会でも何回も議論させていただきましたが、本当にこれからの病院、医療施設の医療を考えていったときに、看護補助者の位置づけをある一定程度、再検討していただいて、それに対する処遇を含めた対応を考えていくというのが、私は今後の看護需給を考えていく上で非常に重要な論点であると思っております。これから人口が減っていき、働き手・支え手が少なくなる中で、社会保障、福祉、医療を支えていくためには、私は総力戦だと思っています。ですので、もちろん今までの大きな流れ等も理解しておりますけれども、病院の中における看護補助の方々、実際の介護的なケアをやっていただいている方々に、より働いて活躍していただく方策を検討いただくというのが、この時期に非常に重要ではないかと思いますので、ぜひここの部分の書きぶりをもう一度御検討いただきたいと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。太田構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 以前も議論されたことなのですけれども、民間の人材派遣業者のほうが、いざというときはナースをちゃんと紹介してくれるのですね。ナースセンター、ハローワークも頑張っているわけですけれども、やはり民間の人材派遣業者に負けないほどのきめの細かなフォローを機能の中に盛り込んでもらわないと、結局派遣会社に登録するナースが増えるのが現実です。民間に負けないような質の高いサービスというと変ですけれども、フォローをお願いしたい。そういった文言も盛り込んでいただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。小林構成員、どうぞ。
○小林構成員 訪問看護や介護分野における看護職員確保に関し、中間とりまとめ案22ページに様々な施策を御提案いただいていますが、森本構成員からもお話にありましたように、訪問看護や介護領域で働く看護職員の労働実態調査を踏まえ、なぜ医療機関と比較して、訪問看護や介護の分野に人材が集まらないのかといった理由を明らかにし、それを踏まえて、処遇の改善を検討することが重要だと思います。処遇を改善しない限り、人は集まりにくいと思いますので、処遇の問題を明らかにし、対応を検討することについても盛り込んでいただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 今、太田構成員からお話がありましたナースセンターについては、私も前から言っているとおり、民間に負けない無料職業紹介事業に一層磨きをかけていただきたいと思っているので、そういったことが中間とりまとめ案29ページにさらに出てくるといいなと思います。このナースセンターの事業にかかわるのですけれども、資料1の論点で確保策として御議論いただきたい点の3つ目に、近隣医療圏での需給調整が実効的になるような施策という話がありまして、地域偏在対策としての取り組みをナースセンターにも持っていただきたいと思います。中間とりまとめ案の19ページの3つ目あたり「ナースセンターの相談員や職員が」というところに「地域を超えた復職支援の充実や」とか、あるいはそこでなければ、その後、19ページの中段に「なお」というところがありますね。ここからさらに次の段落「復職支援において、都道府県ナースセンターに引き続き求められる役割は大きいが、今後は」云々とあるところに入れるとか、あるいは23ページに領域・地域別偏在の調整として、23ページのマルで幾つか取り組みが書かれていますので、この辺に入れていただければと思います。
19ページに戻りますけれども、3つ目の○に「ナースセンターの相談員や職員が、相談対応等について必要なアドバイスを受けられる体制」とありますが、職員までそういうスキルアップするような対応ということは重要だと思いますので、2つ目の○のところにも、「相談員」だけでなく「職員」も入れておいたほうがいいと思います。先ほどの偏在調整のところですけれども、23ページの下から6行目の「精神・障害分野等においても精神病床からの基盤整備や」では少し意味がわからないので、「精神病床からの地域移行の基盤整備や」と補っていただいたほうがいいと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 今、地域別偏在のことについていろいろ意見が出ておりますが、提出した意見書にも記載していますとおり、中間とりまとめ案22ページの一番下のパラグラフのところの「地域別偏在については、29年度より都道府県ナースセンターが軸となり」という記載については、都道府県ナースセンターと都道府県が一緒になって取り組んでいくということで、軸、主体となるのは「都道府県ナースセンターと都道府県」という文言に修正していただきたいと思います。地域別偏在の対策案として、例えば公立病院や公的病院また地域医療支援病院等が看護師を雇用して、山間や僻地や離島などの病院や診療所に、二次医療圏を超えて派遣するような仕組みづくりを検討するといったことを、23ページの具体的な施策に加えてほしいと思っております。また、医師の偏在対策のように、僻地で働く看護職員のキャリア継続と十分な処遇を保障するということも、あわせて検討が必要ではないかと思います。以上です。
○尾形座長 竹中構成員、どうぞ。
○竹中構成員 ナースセンターと地域偏在対策の話が出ましたので、私も少し発言させていただきます。概要の9ページに書いてございますように、都道府県ナースセンターが軸となっていろいろな活動をなさっていらっしゃいますので、それは評価したいと存じます。私は、これにもう少し事業拡大できないかと考えておりまして、やはり先ほど地域の支援病院が担当するということがございましたけれども、地域医療支援病院が担当するといっても、各医療機関の範囲内でしか行いませんので、個別的な対応に陥りやすいのですね。
やはり圏域全体のことを広域的に誰かがする必要があるのではなかろうか。やはりそれにはナースセンターの事業拡大。これには当然ながら都道府県の行政がきちんとかかわっていないと、ナースセンターだけでは多分無理だろうと思うので、そのような体制をつくって、二次医療圏ごとの需給動向調査とか分析とかを行い、また、同じ県内で需給の濃淡がございますので、県全体で平均しますと、看護職員数が多いという評価でも、細部を見ますと濃淡があります。こういった濃淡を、できるだけ具体的に支援できる体制を都道府県内に確立するべきだと思っております。女性が多い看護職でございますので、他県にまで行くというのはなかなか大変でございます。ですから、御自身の都道府県内できちんと自立的に解決できる体制というのが必要なのではないかと考えております。
また、もう一つ、特に山間地とか離島等のかなり厳しい医療過疎地に派遣する分には、やはり強制配置ができない以上は、ある程度の強いインセンティブが必要でないかと思っておりますので、今でも各地方自治体でやっているのですけれども、県立の看護養成機関等々、民間でもいいですけれども、地域奨学金枠というものをきちんと設けるような国を挙げての体制というのは、必要になってくるのではないかと思っています。私は、地域の偏在策にはこういうことしかないのかなと思っておりますので、ぜひお願いしたいと思っています。
○尾形座長 平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 老健施設の立場からの話になりますけれども、もちろん数が足りませんので、さまざまな支援が欲しいと思うのですけれども、もう一つは、せっかく来られた方々がやめてしまう。自分の理想と現実が違うということを考えますと、一つは、やはりこういった施設での看護職のトップといいますか、管理職の質的にすぐれた方になかなか来てもらえないということがあります。こういう施設のトップというのは、病院もそうですけれども、リハ職あるいは介護職、さまざまな職種、多職種を引っ張っていくということになりますと、やはり一定程度の資質がないと、せっかく来てもらった方をまた戻してしまうことになりますので、できればこういったことについて、地域の病院の師長さんや看護部長等の方々に、こちらの施設にも来てもらって、いわゆるプラチナ・ナースとしての経験が生かされる仕組みづくりが大事かなと思っています。今、さまざまな議論がありますけれども、私はもっともっと小さな視点で、区市町村単位で見ているのですけれども、地産地消してそこで頑張った方々が、その地域でそれから先も仕事ができるという仕組みが大事です。医師会におきましては、地域の医師会というのはそれなりに頑張っておりまして、大学病院の先生や大病院の先生方も、医師会活動の中で顔の見える関係ができているのですね。ですから、もし定年した後も、今度は少し在宅で頑張ってみようかという形で、全く違った形で医師の方々が動いたりする。では、地域で看護協会とか看護師の団体が動いているかというと、余り活用がなくてもったいないなと思っている。ですから、その地域での看護協会や医師会あるいは看護職の団体等でもっともっと連携を深めて、この地域を自分たちが育てるのだという自覚を持ってもらうことが大事なので、そういった地域でのそのような活動に対する支援、もっともっと小さな目で、地域の中で次のキャリアを考える仕組みというのが大事だと思っていますので、もちろん数は欲しいのですけれども、そういう方々をしっかり管理できる方々も、ぜひ私どもの介護施設関係でも来ていただきたいと思っています。以上です。
○尾形座長 太田構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 太田です。タスクシフトの記載があるのですけれども、全体的に見て、病院を中心にまとめられているのだなというのは強く感じるわけです。介護福祉士というのは国家資格なわけですね。ですから、医師から看護師へのタスクシフトがあるのと同時に、看護師から介護福祉士へのタスクシフトも存在しているわけです。全体的に、介護福祉士の業務というのでしょうか。介護の問題についてはほとんど触れられていないのですが、介護の専門性というのを考えたときに、介護福祉士とは非常に重要な役割を担うわけです。介護の視点というのでしょうか。介護老人保健施設でもそうですし、介護医療院でもそうなのですが、介護というのが冠についているわけですね。そうすると、そこで働くのは介護福祉士あるいは資格は少し違うかもしれませんけれども、昔はヘルパーと言いましたが、そういった人々が働いている中でナースが力を出すという構図になるわけでして、その辺の視点というのでしょうか。介護福祉士の存在をどこかに盛り込んでいただきたいと思いました。
○尾形座長 ありがとうございました。平良構成員、どうぞ。
○平良構成員 地域偏在について、少し戻りますが、とりまとめ案の22ページ、23ページあたりに色々書かれておりますが、先ほどから議論になっておりますように、現状でそれぞれが努力するというよりも、各都道府県の責任で人材を配置して、定着させるような方向での書きぶりにしていただけたらなと思います。ついては財政的な支援も含めて、この検討会の第7回目に沖縄県の島ナース(代替看護師)のことを報告させていただきましたけれども、それも確保と定着の対策のひとつで、それが維持できているのは、県から財政的な支援を受けているからです。やはり山間僻地の看護師確保は都道府県の責任というのをもう少し書きぶりに追加していただけたら、もう少し後押しができるかなと思われます。以上です。
○尾形座長 高砂構成員、どうぞ。
○高砂構成員 中間とりまとめ案の23ページのところに、在宅医療関連講師人材養成事業というのが書かれているのですけれども、これは医師、看護師等を対象とした地域での人材育成事業なのですが、全国訪問看護事業協会が、訪問看護師に関する事業は受託させていただいているのですけれども、そこに参加できない都道府県の方がいらっしゃったりします。その参加できないことを責めるのでなく、都道府県格差等に関しては、何らかの御支援を含め、都道府県それぞれが御苦労なさるのでなくて、さまざまな情報提供や御支援があるといいなと思っています。また、その下の段階で、訪問看護事業所や介護保険施設等に従事する看護職員に対する研修等に関することも、都道府県によっては基金などを活用して、活発な支援やそれによる成果を上げているところもあり、インターンシップだとか、そういうことも実施しているところもありますので、全ての都道府県が一からやるのでなく、好事例や成果などを含めた情報提供のあり方も加えていただけるといいかなと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。森本構成員、どうぞ。
○森本構成員 先ほど太田構成員から出ましたが、看護補助者について、中間とりまとめ案に記載されているように、看護師がより専門性を発揮し、安全で質の高い看護を効果的・効率的に提供するためには、本会としても看護師と看護補助者の協働のさらなる推進が必要であると考えております。これまで議論があったように、現場では看護補助者の確保が難しくなっていることも把握しており、課題として捉えています。そのため、本会では看護補助者とのさらなる協働の推進に向け、病院の看護管理者等にヒアリングを行ってきました。その中で、仕事の割に低い賃金や、病院によっては正規雇用が認められていないという処遇の問題、看護補助業務について院内規定を整備したが、実際に看護師がどこまでの業務を看護補助者に依頼してよいのかという判断が難しいといった実態が把握されました。
そこで、まずは看護師の判断の拠り所となり、看護補助者が安全に業務を実施できる環境を整えられるよう、「看護チームにおける看護師、准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」を、今年2月に公表いたしました。本日机上に配付している他、本会ホームページでもダウンロードが可能ですので、ぜひ御活用いただきたいと思います。本ガイドラインのみで看護補助者の確保困難が解決するとは考えておらず、さらにどのような対策が必要であるかも検討しております。一方で、看護補助者の確保・定着に問題がないという病院もあり、実態を詳細に把握する必要があると考えています。そのため、今年度行われている科研の結果に期待するとともに、中間とりまとめ案に記載されているような施策の推進に、本会としても協力してまいりたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 中間とりまとめ案19ページからの定着促進については、ここにハラスメントの課題などを書いていただいておりまして、こういう業務の実態に加え、職場の長時間勤務や、夜勤もありますので、勤務を継続していただくために、ぜひ相談体制の整備を21ページのところから明記していただきたいと思います。やはり小規模の訪問介護とか、介護保険施設とかもありますので、こういった事業所で働く看護職員を視野に入れた相談体制が必要だと思います。あと22ページの地域偏在については、下のほうに小規模の訪問看護事業所が多いという課題を書いていただいて、その前には、早期離職について理想と現実のギャップからということで書かれております。ぜひ小規模の事業所が多い訪問看護、また、介護を含めたほうがいいと思っているのですけれども、研修を受けられるようなサポート体制をきちんと整備していくことの重要性についても記載をしていただいたと思います。以上です。
○尾形座長 島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 中間とりまとめ案22ページの訪問看護の関係のところで、さらに地域における訪問看護提供体制を確保するための総合的・計画的な推進策等の検討が求められるということになっているのですけれども、この絵はどういうイメージなのですか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 ありがとうございます。今回、まず、確保策全般としてどういったことができるのかというところを御議論いただいておりますけれども、そういったことを踏まえて、どういう体制で、あるいはどういう文章でやっていくのがよいのかということも、今は確たる出口を見きわめているところではありませんけれども、まず、そのコンテンツとなる中身について、まずこの場でしっかり固められればありがたいと思っています。
○尾形座長 島崎構成員。
○島崎構成員 質問した意味は先ほどの需給推計とも関係するのですけれども、今回の推計値を見てみますと、どこが突出して伸びているかといいますと、訪問看護事業所のところなのですね。そこが2.5倍ぐらい増えているのです。見る人が見ると、全体の需給もさることながら、ここのところは注目がいくところだと思います。つまり、訪問看護は必要だし、それに対して伸ばしていくのだというメッセージが込められているのだと見ると思います。そのことを前提にすると、そもそも訪問看護のところについては、地域医療構想の機能分化と連携に伴って生ずる30万の部分が全て在宅医療というわけではなくて、そこは介護保険施設であるとか、特別養護老人ホームであるとか、介護医療院とかと競合状態になるわけですけれども、それ以外に、後期高齢者などが増えることに伴って増加する在宅医療の部分があるわけで、当然そこは訪問看護とリンケージしてくるということになるのだろうと思います。
言いたいことは、そこのところをどうやって推計しているかというと、基本的には介護保険の事業計画のところの数字を使っているはずですね。ところが、その数字が本当にフィージブルかというと、必ずしもそうではなくて、仮置きみたいな形でやっている市町村が多くて、例えば先ほどの狭い意味での30万の部分に関しても、よく都道府県と市町村が話し合って、熟議の上で決めたのかというと、必ずしもそういうことにはなっていない。なおかつ、訪問看護は訪問看護として単独で動いているわけでなくて、例えば訪問医療であれば、かかりつけ医との連携体制も重要だし、さらに言えば、急性増悪した場合の病院等によるバックアップ体制も必要なわけで、そういう全体のフレームの中で考えていかないとうまくいかないのです。ですから、別にここの訪問看護の総合的な計画を否定しているわけではないのですけれども、そこが単独で動いているわけではなくて、内容的にはもっと複雑な要素を含むのだということを少し申し上げておきたいと思います。
○尾形座長 事務局、どうぞ。
○岩間看護職員確保対策官 まさに島崎委員がおっしゃられるとおりでありまして、今回は、需給推計を示すというのが使命でありまして、その需給を定めていく上では一定の前提を置き、不確定要素に関しても、ことの軽重はありますけれども前提を置いて、その場合はどうなのだという出し方をしております。例えば今回の中間とりまとめ案の15ページにも記載があるのですけれども、(3)の留意事項というところでありまして、この訪問看護事業所の需要推計に関してですけれども、介護保険事業計画上の問題もありますし、また、精神病床からの基盤整備量の目標をもとに置いておりますけれども、ここでは便宜上、訪問看護により受けるのだという形の大胆な前提を置いてのもので、そのようにやるという形ではないというところも一方であるわけで、そういった点について留意をいただくことも、一つあろうかなというところは事実としてございます。
○尾形座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
それでは、そろそろ予定の時間でございます。本日は、さまざま貴重な御意見を頂戴いたしました。事務局においては、今日の議論を踏まえて、資料等の必要な加筆・修正を行っていただきたいと思います。そして、本日までの議論を踏まえまして、次回はもう一度議論を行いまして、できれば中間とりまとめに入りたいと思っております。それでは、次回の日程等につきまして、事務局からお願いいたします。
○金子看護課長補佐 次回の開催日時及び場所等につきましては、改めて御案内申し上げます。
○尾形座長 ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、第11回「看護職員需給分科会」を終了いたします。長時間にわたりまして、熱心な御議論、どうもありがとうございました。
○金子看護課長補佐 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。では、尾形座長、よろしくお願いいたします。
○尾形座長 おはようございます。6月に開いて3カ月ぶりということでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。早速議事を進めていきたいと思います。まず初めに、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○金子看護課長補佐 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。お手元に、議事次第、座席表のほか、資料1:今回ご議論いただきたい論点、資料2:看護職員需給分科会中間とりまとめ案(概要)、資料3:看護職員需給分科会中間とりまとめ案をお配りしております。不足資料等がございましたら、事務局にお申しつけください。
また、鎌田構成員と森本構成員から「医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ案に関する意見」ということで、資料をいただいております。 また「看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」につきまして、参考資料として提出していただいております。以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。それでは、早速議題に入りたいと思います。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○岩間看護職員確保対策官 お配りさせていただいている資料1、2、3、それぞれについて御説明をさせていただきますが、流れの関係上、2から始めさせていただきます。「医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ案(概要)」と書かれた横書きの資料を御参照ください。
まず、1ページでございます。こちらの分科会におきまして、今まで御議論いただいてきた経緯と新たな看護職員需給推計の策定方法の手法についてまとめているページであります。こちらのページに関しましては、これまでの経緯として、おおむね5年毎にこれまで7回、需給推計をまとめてきましたが、その方法は病院などへの全数調査により、都道府県が把握した数字を積み上げる形で構成されてきました。この点に関しまして、「経済財政運営と改革の基本方針2015」いわゆる骨太の方針が、平成27年6月30日に閣議決定された中で、「人口構造の変化や地域の実情に応じた医療提供体制の構築に資するよう、地域医療構想との整合性の確保や地域間偏在等の是正などの観点を踏まえた医師・看護職員等の需給について、検討する」と決定されたことを受け、従来の積み上げ方式でなく、医師の需給推計などとの整合性を図りつつ、将来の医療需要を踏まえた推計方法を検討することとされました。こちらの方法を踏まえまして、本分科会は平成28年3月の設置以来、一定の理由による中断を経まして、地域医療構想に基づく需給推計方法のあり方を検討いただいてきました。また、看護職員確保策についても議論を深めていただいてきました。おさらいでありますが、看護職員需給推計の策定方法に関しましては、国は、この四角囲みの中の考え方で推計方法を策定しております。①現在の病床数・患者数及び看護職員数をもとに、医療需要当たり看護職員数を設定する。医療需要に関しては、一般病床及び療養病床、介護保険サービス、地域医療構想で医療需要が示されていない領域に関しまして、こちらで掲げている一定の前提を置いて見積もっております。
こうした方法、考え方により、推計ツールを決めていただきまして、それを国が、都道府県に作業をお願いする形で進行いたしました。その方法により、看護職員の需要を推計するということでありました。供給に関しては、現就業者数や新・再就業者数見通し、離職率の動向を踏まえ、都道府県に推計いただいています。今回、国は、都道府県が算出した各推計値を集約し、ⅰとして、短時間勤務者の増加に伴う常勤換算対実人員の比率を加味し、ⅱとして、ワーク・ライフ・バランスの実現を前提に看護職員の労働環境の変化に対応した3通りの幅を持たせた係数処理を行うことで、3つのシナリオとして全体推計を取りまとめるという形にされました。
2ページを御参照ください。その全国単位におけるあらましであります。2025年における需要推計に関しましては、都道府県からの報告値が180万となりました。それに対し、左下の四角のところの中に【シナリオ設定条件】ということで書いてありますが、シナリオ①、超過勤務10時間以内、有給休暇5日以上。シナリオ②、超過勤務10時間以内、有給休暇10日以上。シナリオ③、超過勤務は0、有給休暇は20日以上という前提で掲げたものであります。ちなみに、今の看護職員の平均的な働き方は、超過勤務は10時間程度、有給休暇は10日程度というところでありますので、シナリオ②が比較的現状の看護職員の働き方に近いとは言えますが、ここで留意いただきたいのは、超過勤務が10時間以内とされていますので、このシナリオ②というのは、今よりもワーク・ライフ・バランスが充実している。全ての看護職員の超過勤務は10時間以内だという前提になっているものであります。そのような考え方のシナリオで、ワーク・ライフ・バランスの充実を前提に、看護職員の超過勤務時間や有給休暇の取得日数などの勤務環境改善について、3通りのシナリオを設けたところ、188万人から202万人の需要が見込まれると算出されました。
これに対し供給に関しましては、175~182万人程度と見込まれます。これに関しての詳細は、次項の説明で申し上げます。その結果として、需給ギャップに関しましては、いろいろな幅の見積もり方によって、こちらに関してもその幅が見込まれるということになります。なお、今回の推計に関しましては、地域医療構想の実現を前提とした推計値であります。その構想の実現度合いによりまして、看護職員の必要数が変化する可能性があります。また、いろいろな前提を置いて、全国画一的な推計方法として定めているものですので、各都道府県における個々の実情がおありになるかと思います。そうした実情を綿密に反映できているわけではないということにも、御留意いただければと思います。
3ページをご覧ください。供給の推計に関しての考え方であります。都道府県から出てきた数字は、175万人でありました。この数値に関しましては、中身を精査いたしまして、例えばでありますけれども、現在の看護職員、2016年で166万人、2017年で167.1万人程度というところの実数に対しまして、過去3年間の伸びということに対して対比をすると、182万人ぐらいとなっておりまして、恐らく都道府県の供給推計に関しましては、非常に保守的に厳しく見積もられている可能性があろうかと思っております。こうした要素も踏まえまして、供給に関しても一定の幅を持たせて考えることが合理的ではなかろうかと事務局としては考えているところであります。
4ページをご覧ください。これが今、申し上げたことをグラフ化したものであります。その内訳などについては御参照ください。
5ページを御参照ください。先ほどまで申し上げてきたのは、全国単位での考え方です。それを都道府県の中ではどうかというところの数値であります。都道府県別で見た場合、都心部や東北地方では、依然として都道府県全体として需要数が供給のそれを上回って、看護職員不足となっている傾向が強くうかがわれます。
一方、地域医療構想の関係で、それを実現した後の絵姿としましては、一部の都道府県において、2016年時点のその県における看護職員総数よりも、需要数が少なく映るという推計結果となるところも出てきているところであります。
6ページを御参照ください。今回の分科会における委員の皆様方の議論に資するよう、6ページと7ページは事務局において粗く前提を置きながらシミュレーションしたものであり、こういったブレークダウンをした数値が、今回の需給推計の一部であるというわけではなく、あくまで議論用の資料であるというところでお受けとめください。
例えばA県の場合、どういう状況でありますかといいますと、この県におきましては、地域医療構想に基づく2025年に必要な病床数は2015年と比べて約6,000床減であり、その結果、2025年の必要看護職員数は全体では供給が需要を上回る形になっているという傾向がある県であります。その内訳を二次医療圏ごとでシミュレーションをしてみますと、例えば二次医療圏f、hというところでは、医療分野においても需要が供給を上回り、在宅介護分野に関しましては、医療圏bを除き、需要が全てにおいて供給を上回るという状況になっており、地域包括ケア領域への移行というのが重要な課題となってくるということが見込まれる数値になっています。
次の7ページを御参照ください。これはまた違う県において違う傾向があるところはどうかというところでありますが、この県におきましては、地域医療構想に基づく2025年に必要な病床数は2015年と比べて約6,500床増ということになり、2025年は相当な看護職員の確保が求められる。分野問わず全てにおいて、看護職員の確保が重要な課題だということが伺われる数値になっているかと思います。そうした現状を踏まえまして、今まで確保策も議論いただいてきましたが、今回の分科会におきましては、以上御説明を申し上げました都道府県から出てきました数値を踏まえまして、新規養成・復職支援・定着促進と申し上げましたが、いわゆる3本柱で捉えられる施策、どういったことをやっていくべきかということを御議論いただければと思っております。
中身に関しまして、新規養成に関しては療養の場が多様化し、地域包括ケアが推進される中で、さまざまな場面での看護ニーズが拡大しています。このニーズに対応できる地域における看護の理解を深めるための教育や実習の強化、新規養成時からの多様なキャリアデザインに関する教育、支援を実施していくことが重要であります。復職支援に関しましても、資格管理・届出制度の改善ということが求められるとともに、ナースセンターの役割として、今後は再就業支援に限らず、休職者への復職支援やプラチナ・ナースの就業支援など、人材養成やキャリア支援機関としての役割あるいは在宅医療や介護保険サービスなどの人材確保・定着に向けた支援に向けて、その機能の拡充、強化を目指すことが望ましいのではないかと考えております。定着促進に関しましては、多様な働き方の導入、夜勤従事者の負担軽減、医療現場におけるハラスメントの対応など、職場環境の整備を進めていくことが非常に重要な環境下になってきています。
そうしたことを含めるために、現場の管理者が果たす役割、現場管理者、看護管理者のマネジメント能力の向上や負担軽減といったことが重要となってくるほか、医師から看護職員へのタスク・シフティングやタスクシェアリングが進められている中での看護職員の活用、促進ということについても、今まで御議論いただいてきたところであります。そのための具体的な施策に関しましては、下のほうに概要を載せておりますが、今回、別途報告書、いわゆる文章編の中にも載せておりますので、議論の中には、例えば報告書案の何ページのというところで御議論いただくこともお願いできればと思っております。
次に、9ページを御参照ください。先ほどのデータを踏まえ、地域別に捉えますと、一部の都道府県においては、看護職員総数が充足されるところも生じてくるというところでありますけれども、領域別の需給バランスを見ると、やはり課題があるということもありますし、また、医療分野に関しましても、例えばへき地などを初めとしまして、医療分野における看護職員の確保が依然として重要だというところも出てきています。また、こういった地域別の状況を踏まえまして、どう領域や地域別の偏在調整ということをやっていくかということも、今後ますます重要な課題となってくるというところでございます。ここで言う領域というのは、例えば病棟から、訪問看護や介護分野における看護ニーズというところへの移行や、あるいは円滑な就業支援というところを念頭に置くものかと思います。そこで、訪問看護に就業するための経験ですとか技術、そういったことに関してどういったことを政策としてやっていけるか。また、看護職員が年齢、階級が上がるに連なって、訪問看護事業所や介護保険施設などに転職する方々も出てきている。それに関しては、参考資料のほうに、看護職員のライフイベントですとか、あるいは一般的な転職、あるいはキャリアの指向など、どういった看護人生を送られているかという研究結果も後ろのほうにつけていますので、また必要に応じて御参照いただければと思いますが、そういった実態を踏まえて、どう対応していくかということが課題となってくるというところがあります。また、地域別ということに関しましても、例えば都道府県ナースセンターが軸となり、都道府県や医師会、病院団体あるいは行政としっかり連携をした上で、地域の実情に応じた確保策を計画・展開していく「地域に必要な看護職の確保推進事業」というものが行われてきていますけれども、それに加えてどういったことをやっていくべきかということも、重要な課題となってくるかと思います。以上、駆け足になりましたが、資料2に関しての大枠の御説明でございます。
次に、資料1できょう御議論いただきたいことを御説明申し上げます。まず1つ目に、需給推計(案)全般に関しまして、都道府県提出データから得られた2025年時点の看護職員需給推計の精査・確定に向けて御議論をいただく必要があろうかと思っております。また、今回の推計というのは、今までの推計方法と違うチャレンジをしており、かつ、地域医療構想などの実現を前提としているという特徴があることを踏まえまして、国や都道府県などが今後留意していくべき考え方、この推計やデータがもたらす意味合いですとか、何をどう解釈すべきかという点に関しまして、いろいろなお立場によって受けとめがあろうかと思います。その中で、どういった点に配慮をして進めていくべきであろうかというところに関しても、御議論いただきたいと思います。事務局から若干補足申し上げますと、資料2のパワーポイントのほうの10ページなどを見ていただければと思いますが、2018年ないし2019年現在、全ての都道府県において、看護職員不足が訴えられる声は根強く、現在、全ての地方において、基本的に看護職員は、質も量も含めていろいろ確保が大変だ、不足だということを根強く訴えられている。それが現場感であろうかと思っています。それに対して、今回の2025年における推計が、この2019年現在の現場感、肌感覚と実際に違う要素があろうかというのは、事実としてあろうと思っています。そういったことを踏まえて、解釈ではどうであろうかというところであります。
なお、参考資料で他につけている資料に関しましては、OECD加盟国の中で、日本はどういう位置にあるであろうかということに関して参考までにつけておりまして、簡単に申し上げますと、日本はOECDの平均の中で、看護職員の人口当たりの割合というのは上位にある。比較的看護職員は人口に対しているというところがある一方で、参考資料の12ページでは、病床当たりで割ってみると下位になるというところです。以上、需給推計案全般に向けて議論いただきたいことで、資料1の前半部分を御説明申し上げました。
後半、確保策の部分で御議論いただきたいことを御説明申し上げます。今、申し上げたように、現場において看護職員が不足している感があるというのが、現在の課題であるのは間違いない。大きな課題であるとして、目下の確保策をしっかり進めていく。それは全国的な大きな課題であるのは依然として重要だろうと思っておりますが、その一方で、2025年にまた違う構造が出てくるということになった場合に、どういった取り組みが求められるかを別途考えていく必要があるのではないか。当面及び2025年に向けた施策として、国や都道府県、ナースセンターなどが取り組むべき施策に関して、今回得られたデータを踏まえて、新規養成・復職支援・定着支援などの柱や、あるいは病棟から地域包括ケア領域など、こういった需給調整をどう進めていくべきか。そのためにどういった施策が求められるか。あるいは3番目のポツにありますけれども、実際に看護職員は、養成された地域、いわゆる地元において勤務を継続する傾向や、女性の割合が非常に高い職種であるという実態を踏まえて、転居を伴う異動や転職を前提とした広域的な需給調整よりも、同一県下や近隣の医療圏での需給調整が、実際の人としての生き方、キャリアの実際の今までの傾向からすると、実効的ではないかと見ておりますが、その上でも、地域を超えた調整ということで考えるとすれば、どういったことがあり得るだろうか。また「その他の諸課題」ということについても、あわせて御議論いただければと思います。以上、事務局から御説明申し上げました。
○尾形座長 ありがとうございました。ただいま御説明があったとおりですが、資料1で今回御議論いただきたい論点ということで、2点が示されております。相互に関係するわけですが、一応議論の整理上、論点を2つに分けて御議論いただければと思います。まず、資料1の論点の最初のほうですが、需給推計案全般につきまして、御意見や御質問等を承りたいと思います。鎌田委員、どうぞ。
○鎌田構成員 説明がありましたとおり、本日、日本看護協会より意見書とガイドラインを机上に配付させていただいております。意見書については御参考いただきまして、その中でも重要な点について、意見を申し上げたいと思います。
まず、最初の需給推計の全般のところなのですけれども、概要の3ページにありますように、都道府県の供給推計については、実績に基づく就業者数推計とかなり乖離しているという説明がありました。二年に一度出される衛生行政報告例を見ても、ここ10年で就業看護者数は約30万人増加しております。また、大学も3年課程の養成所も増加し続けており、国家試験合格者数も、看護師だけで毎年5万5000人を超えている状況にあります。加えて、60歳以上の看護師、プラチナ・ナースの就業も、10年前に比べて約11万人増加している。このように、就業者数は年々増加しております。このようなことから考えても、この推計値というのは信頼性に欠けるものではないかと思っておりますが、再度供給数について、厚労省として検討すべきではないかと考えておりますし、ぜひそうしていただきたい。
さらに、2ポツ目のところ、今後留意すべき考え方につきましては、やはり供給数が少なく出ていると考えられます。そのため、より正確な供給推計が必要であるということは先ほど説明いたしましたが、今回の推計は、都市部を中心に不足が見込まれている都道府県がある一方で、供給過剰となる県もあるという数値が出ております。このことについて、3点ほど意見を述べたいと思っております。まず一つでございますが、今回の推計は地域医療構想の実現が前提となっているため、供給過剰となると予測される点においても、説明がありましたとおり、県内の地域偏在や領域間偏在を解消するための確保策や、介護保険や母子保健、精神障害者保健福祉における確保策など、地域の実情に応じた看護職員の確保策を進める必要があるということ。二つ目としまして、必ずしも総量としては不足している都道府県ばかりではないことから、医療の高度化や地域包括ケアの進展に対応して、やはり質の高い看護職員の確保により重点を置く必要があるということ。三点目といたしまして都市部を中心とした看護職員の不足に対しては、今後の若年人口の減少傾向や都市部の雇用情勢を考えると、定着促進や復職支援により重点を置く必要があるといった留意点を示すべきではないかと考えております。需給推計全般については以上です。
○尾形座長 確認ですが、前半の部分は3ページの供給推計、事務局から182万人というのが出されていますが、これでもまだ過少だという御意見と承ってよろしいですか。
○鎌田構成員 今までの伸び率等から考えると、182万人であれば過少ではないと考えております。
○尾形座長 ありがとうございました。釜萢構成員、どうぞ。
○釜萢構成員 今回これまでの需給推計の手法と大きく変えて、新たな手法で需給推計を行ったわけですが、その結果が過去のものと比べて、事務局のレベルではどのような違いが生じたのか。あるいはこれまでの推計とそう大きな差がないという判断なのか。まず、そのあたりの認識を伺いたいと思います。
○尾形座長 これは御質問ですので、事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 ありがとうございます。今までの見積もり方に関して大きく変えている。どう変えているのかといいますと、都道府県が病院などへの意向を確認して、どれだけの需要がありそうかといったことを確認したりして、前回の第7次までは需要を提出してきているのが、今回、需要の見積もり方に関しては、この分科会でも議論をいただいてきた推計方法を定めて、その推計ツールに埋めてもらうことで基本的に医療需要を見込んで、結果として看護の需要を見込むというやり方をしていましたので、その上では、需要の見込み方に関しては、地域的に今の医療機関、今の病院などがどれだけ人が要るかという足元の不足感、足元の人員需要というよりも、よりデータに基づいて2025年のどういった医療を目指すのか、地域医療構想を実現した場合にどういう需要になるのかということが、現場の人手不足感といったところよりも、精緻と申しますか、客観的なものとして出てきているというのが大きな違いかなと思っています。
供給の見積もり方に関しては、この分科会でも御議論いただきましたけれども、そこは各地における離職率を見込んでいただいたり、各都道府県における新規養成ですとか、そういったところの水準なども見込んでいただくというところでありました。第7次までの需要推計の見積もり方と供給の見積もり方の離れ方に関して結論としては、今までのやり方と比べても、需要に関して総数が小さく出てきているのは、地域医療構想をきっちり実現していった後の絵姿だ、というところから来る違いが大きかったのではないかと思っているところであります。供給に関しての見積もり方は、実際には175万という数字が出てきていますけれども、そちらもいろいろな前提条件を置いた中で、各都道府県が御検討なされている数値なので、それはそれとして一定の合理性がある数値かと思っていますが、今、看護協会からも御指摘があったように、この数字から一定の幅を持たせてから考えるということをしていったほうが、より合理性が近くなるのかなという感は事務局として得ているところです。
○釜萢構成員 確認ですが、そうすると従来の手法のほうが、需要の推計が多く出ていて、今回の方法だと需要の推計がそれほど多くなかったという御認識なのですか。
○岩間看護職員確保対策官 前の方法による需要の見込み方よりは、需要の数が少なく出るような定め方の推計が行われたという認識です。
○尾形座長 釜萢構成員、よろしいでしょうか。
○釜萢構成員 結構です。
○尾形座長 他、いかがでしょうか。小林構成員、どうぞ。
○小林構成員 供給ですが、特別研究「地域医療構想等に基づく2025年の看護職員需給見通しの推計に関する研究」で、平成37年の供給数を推計させていただきました。その推計では、現状シナリオは約175万人、復職者が10年かけて1年間に7000人増加する再就業者数増加シナリオは約177.5万人、10年かけて離職率が9%まで低下する退職者数減少シナリオでは約189万人でした。この結果を踏まえると、過小推計になっている可能性があり、検討が必要と思います。
○尾形座長 ありがとうございました。鎌田構成員。
○鎌田構成員 先ほど説明の中で、幅を持たせるということを言われました。幅を持たせた182万なら過小ではないのではないかと思いますが、この幅を持たせるといったところもあわせて、都道府県に返されるのでしょうか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 都道府県から提出をいただいてきた数値に関しましては、今、小林構成員からも御指摘がありましたけれども、各種データから見ても全体として合算すると、供給が少ないのではないかというところはありますが、一方で、県は県におきましても、この分科会で今までも議論をいただいてきていますけれども、そういった県の中での行政機関としての調整を経て精緻に分析をされて、その結果として慎重に検討されて提出をいただいてきているものかと思っていますので、それに関しては受けとめるべきものだと思っています。その受けとめを我々としてした上で、小林構成員からも御指摘がありましたけれども、より合理的な形を模索するのだとしたら、一定の可能な限りの補正をした上で、幅を持たせて捉えていくということがよろしいのではないかと考えているところです。
○尾形座長 鎌田構成員、よろしいですか。他、いかがでしょうか。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 供給の見込みについて、政府では2040年の社会保障給付費とマンパワーの推計をされています。JILPTの労働参加が見込まれるというのと、労働参加が一定見込まれるというのと、参加が改善しないといった3シナリオでマンパワー推計をやっていますが、そういう情報が都道府県に提供されて労働参加が一定程度進むとか、非常に進むという前提が都道府県における推計の前提とされていなかったのだと思いますが、そういうことも、全体の整合性という意味では必要なのではないかと考えましたけれども、その点についてもし見解がありましたら、行政からお示しいただければと思います。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 現在のこの推計に関しましては、この分科会の中でも離職率の見込み方などに関して、あるいは労働参加に関しましても、都道府県のほうに推計をお願いするということをこの分科会として議論いただいて、決定したという経緯がございます。その結果として作業いただいているものですから、こういった取りまとめということに関しては、そのとき分科会で定めた推計ツールということの帰結であるということでしたので、仮に今回の推計、もともと第8次として最終的に取りまとめるということよりは、今回、標題に関しましても「中間とりまとめ案」とさせていただいていますけれども、これは今、得られる客観的なデータに基づいて可能な限り模索をして、取りまとめた数値ではありますが、今後データが得られるものが具体的に出てくれば、例えば勤務間インターバルの研究結果でありますとか、そういったことが出てきて、推計のあり方に関して影響を見積もることができるようになるのであれば、それを踏まえてもう一度やっていく必要があるのではないかという意味合い、この分科会での議論がそうだったということを踏まえて提案していったものであります。したがって、今回の供給の数値の計数の置き方ですとか、そういったことに関しましても、また改めてこの中間とりまとめのために都道府県に作業をしてもらうということではなく、改めて需給推計全般をやっていく中でどういったことができるかというのは、またこの分科会の中でも御議論いただいた上で、次の推計をする際には反映していくことができればと考えているところであります。
○尾形座長 伊藤構成員、よろしいですか。
○伊藤構成員 とりあえず、みんなで議論すればいいと思います。
○尾形座長 太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 少し意見を言わせていただきたいと思います。今回さまざまな形で都道府県に推計していただいて、結果としてこういう数字が出てきた。もともとこの推計の仕方に関して、以前のこの検討会で議論したときに、かなりの不確定要素がこの推計に入ってくるという前提のもとで話が進んでいたものだと思います。以前、島崎先生が、この結果によって施策が何か変わるのかという質問があったかと思います。医師需給のほうですと、いわゆる医学部定員をどのようにしていくかという非常に大きな部分にかかわってくるということで、かなりいろいろなディスカッションがあったのですけれども、本当に働き方も入ってくる。今の供給の話もある。私に言わせると、看護補助者がどれぐらいとれるか、とれないかでも需給は変わる。さらに言いますと、地域医療構想が2025年までにどこまで進捗するか。先週、424病院の名前が出たり、いろいろありますけれども、いろいろな不確定要素がある中で、我々は数字をつくらなければいけないとするならば、もしこの決め方によって施策が非常に大きく変わってしまうということがあるのであるならば、そこの部分はしっかりと議論して、施策をどういう形でするのかというところはしなければいけないですが、ある一定程度決められた期間までに推計を出さなければいけないということであるならば、私としては基本的に今、都道府県の積み上げで出していただいた推計の結果に関して、特に異論を唱えるものではありません。
○尾形座長 ありがとうございました。鶴田構成員、どうぞ。
○鶴田構成員 資料の作成についてですけれども、資料2の4ページにはシナリオ①、②、③があるのですが、そのシナリオの基となる数字は、2ページの都道府県推計の値だと思います。2016年とシナリオ①の間にその数字を書いていただいたほうがわかりやすいのではないかというのが、まず一点です。その次に、それを踏まえて発言をすれば、この推計において4つの医療機能ごとの現在の病床数当たり看護職員数をベースに地域医療構想の病床数の必要量で推計をされており、先ほど説明があったように、超過勤務が10時間程度、有給休暇が10日程度の現状の数字がベースになっているとすれば、シナリオ②は2ページ目の都道府県推計の値に相当しないかというのが、まず一つの疑問です。シナリオ①は、それより少ない数字になる。シナリオ③は、都道府県推計の数字よりも大きくなる。そうならないかという点について質問をしたいと思います。それは、都道府県推計が180万人で、3ページの実績に基づく就業者数推計値の182万人、この2万人の差は誤差範囲内と見れば、その数字のほうが妥当のような気がしますけれども、いかがでしょうか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○金子看護課長補佐 シナリオの設定でございますが、例えばシナリオ①でございますと、超過勤務10時間以内、有給休暇5日以上とさせていただいているのですが、こちらの考え方なのですけれども、例えば今、働いている看護職員さん全てが10時間以内。これは今40時間働いている人を全員10時間以内におさめる。現状5時間の人はそのままということで、10時間を超えたものを10時間以内に押し込むというのがシナリオの考え方でございますので、先ほど鶴田構成員から御発言があった、例えば都道府県の報告が180万人で、仮に現状の働き方がシナリオ②の10時間以内10日以上であっても、10時間以上働いていたものをシナリオ②は押し込んでその分を人員に換算するので、その分需要が増加しているとなっております。以上でございます。
○尾形座長 鶴田構成員。
○鶴田構成員 先ほどの説明では、現状の看護師の働き方というのは、ほぼシナリオ②に近い形の働き方、超過時間と有給休暇の日数のことでしたので、都道府県推計はこれに近い値ではないかという質問なのです。
○尾形座長 事務局、どうぞ。
○金子看護課長補佐 現状の看護職員の働き方では、平均10時間以内、有給休暇10日以上なのですが、それは月40時間働いている方とか60時間働いている方がいらっしゃるということです。その方を全て10時間以内におさめたのがシナリオ②の考え方になりますので、都道府県の報告よりも、その分、シナリオ②のほうが需要は増えるという仕組みになっております。
○鶴田構成員 先ほど述べたように4ページの表は、例えば166万人と188万人の間に180万という数字を入れて、その場合の超過勤務時間と有給休暇日数は何日として計算されているのですか。そうすれば、その差がよりわかるということを申し上げているつもりです。
○金子看護課長補佐 この180万というのは、都道府県の報告だというと、平均で10時間以内、有給休暇も10日以上ということになろうかと思うのですけれども、シナリオ②だと、超過勤務30時間する人はいないということですから、例えば10時間を超えて働いている人はいない状態がシナリオ②という状態になりますので、その辺が現状の報告とシナリオ②の違いということになるわけですね。
○鶴田構成員 病院では超過勤務時間が40時間とか、50時間という人がいる人は承知していますけれども、各病院の平均時間が10時間であれば、30時間、40時間の人がいても平均は10時間として出すわけですね。
○金子看護課長補佐 現状を言うと、平均が超過勤務10時間でも、30時間、40時間働いている方がいらっしゃるというので、それが都道府県の報告値のほうになろうかと思うのです。今回やろうとしているシナリオ②は、皆さんが必ず10時間以内におさまるようにというシナリオの設定でございますので、シナリオ②に関しては10時間以上働いている人がいない。月30時間とか40時間働いている人はいなくて、超えた超過勤務の時間は人に換算されて、その分、人員が増になっているという考え方で数値を推計したというものでございます。
○鶴田構成員 よくわかりませんが、とりあえず意見だけ述べておきます。
○岩間看護職員確保対策官 補足申し上げます。今回の需給推計は、概要の2ページ目の一番上のポツの中にも書いてありましたけれども、ワーク・ライフ・バランスの充実を前提に、シナリオ①~③を設定しています。都道府県からの実数値というのは何かと申しますと、これに関しては、ワーク・ライフ・バランスが現状のものに比較的近い、改善しないということを置いた数字かと思います。その上で、今よりもワーク・ライフ・バランスの度合いをよくしていく、その程度はそれぞれ①~③まであろうかと思いますが、それに関して、シナリオ②は今の平均の働き方が維持された場合でなくて、全ての人が今の平均水準までよくなっているということの数字であるというところであります。したがって、都道府県から出てきた180万1620人というのが実態に近いのかどうかも含めて御議論いただきたいと思います。
○尾形座長 鶴田構成員がおっしゃった現状というのは、いいか悪いかは別にして、この180万に近いということだろうと思いますが、そういう意味で、鶴田構成員の御意見としては、ここに180万というベースも入れるべきではないかという御意見と考えていいですか。
○鶴田構成員 180万人をグラフに入れるということと、その差し引きがあるのではないかと思って発言したのです。現状でもある程度、超過勤務時間に幅があるし、年休にも幅があるけれども、平均はこのぐらいですというのがわかっています。そうすると、このシナリオ①、②と、都道府県から出てきた数字の間に、超過勤務、有給休暇をダブルカウントして、実際はより低い推計値にならないかなと思った次第です。都道府県が出した推計値にも超過勤務時間と年休が含まれているはずです。超過勤務時間が0時間の人は0時間、30時間の人は10時間にしたという意味であれば説明の意図はわかりますけれども、そこがよくわからなかったということです。
○尾形座長 竹中構成員。
○竹中構成員 都道府県からの報告値、180万についてお聞きしたいのですが、2025年の病床数推計値で国が出しているものと、各都道府県が実態に合わせて独自に推計した値がございますね。それが各地域によって、2つが今、出歩いている状況なのでございますけれども、各都道府県からの推計値報告というのは、各都道府県自身の独自の推計値を使ったものでございますか。
○金子看護課長補佐 こちらの180万につきましては、地域医療構想の病床数を都道府県が独自に推計したものではなく、一律に置く前提ということで、独自の推計ではない、国のほうで示したものを使っております。
○尾形座長 島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 事務局に確認したいのですけれども、概要の2ページのところが先ほどから議論になっています。鶴田構成員も御指摘された、都道府県の報告値の180万1620人の数字ですが、これは都道府県のほうに出してくださいよといったときに、ワーク・ライフ・バランスを改善するといった要素は盛り込まないでくださいねと明示的に言ったかどうかはともかくとして、そういう前提で出された数字だと理解していいのですね。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○金子看護課長補佐 こちら、180万の需要の際には、今回のシナリオのようなワーク・ライフ・バランスというのは、特に示していないです。独自でワーク・ライフ・バランスを考えて、見込んでくる場合もあろうかと思うのですけれども、それは見込まずに出しております。ただ、都道府県が一旦報告していただいた後に、このワーク・ライフ・バランスによる推計値のほうを示して、都道府県のほうに、見直しをするのであればお願いしますという形で都道府県のほうにお願いしております。
○尾形座長 小林構成員。
○小林構成員 少し補足させていただきますが、この都道府県報告値は、医療機能ごとの現状の1床当たりの看護職員数を足元の数値として算出し、各都道府県の2025年の病床数を乗じた数を積み上げたものになっています。現状が反映されており、何か想定したワーク・ライフ・バランスの充実等の条件を考慮して算出がされたものではありません。事務局のほうから報告がありましたシナリオ①、②、③は、例えば、シナリオ②の場合に、10時間以内10日以上の労働をしている人達がどれくらいいるのか、またその人達が10時間以内10日以上を超える部分の労働時間数がどれくらいなのかを推計して、その労働時間分を埋め合わせするためにどのぐらいの人数が必要になるのかを算出し、係数化したものになっていると思います。
○尾形座長 島崎構成員。
○島崎構成員 そのことを確認したかったのです。ということになると、需要推計のほうの180万強の数字は、もともとこの検討会でこういう形でもって計算してくださいよと言って、若干各県で実際の数字を積み上げたところもあるかもしれませんけれども、基本的にはこの検討会のフレームの中に乗っているわけですね。なおかつ、その中には、先ほど言った地域医療構想の数字とか、そういう前提条件も入っているわけですから、まず、この180万1620人という数字は、都道府県のほうから地域医療構想も加味した現状ベースの数字で、ワーク・ライフ・バランスの改善要素は入っていないということを確認しておけばよいと思うのです。
その上で、これは働き方改革というか、労務の改善という部分が入っていないので、それについてはやはり重要なことだと思いますので、この検討会としてはシナリオ①、②、③をつくって、その需給のところについてはそういう数字を出しましたという頭の整理をしておけばよい。まず、その確認をしたうえで、報告書では、その事実をきちんと書き込めば、需給についてはそれでよいのではないかと私は思います。
○尾形座長 ありがとうございました。他、いかがでしょうか。太田構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 介護保険事業所と訪問看護です。全体で見ると、数%なので、今の議論の中ではとても小さな話になるのですけれども、病床数を中心に看護の需給を見るというのはよく理解できるのですが、訪問看護の需給を医療保険の対象者から割り出しているのですか。介護保険の対象者はここに入っていないという理解でよろしいですか。
○尾形座長 事務局、どうぞ。
○金子看護課長補佐 訪問看護のほうは、医療保険の分と介護保険のものを分けて出しておりまして、医療拠点のほうは、需要は将来の人口動態等によって一定の仮定を置いた推計をして将来の医療需要を出しておりますが、介護保険のほうは、介護保険事業計画をもとに試算するようにしております。
○太田(秀)構成員 すみません。少し理解が間違っていました。医療保険分は括弧をして書かれていたので質問したのですけれども、病床によって看護師の数を見込むのは合理的だと思うのですが、訪問看護事業所の場合、仮に1つの事業所で5人の看護師がいて、その対象患者は30人の場合もあれば、100人の場合もあるのですね。相当幅があるのです。また、介護保険施設になると、入所者の定員で何人看護師が必要かとは、制度で規定されているわけです。ですから100床の老人保健施設であれば何人看護師が必要か出ますね。ところが、訪問看護師数は推計しづらく、この数が正確性を欠くものであるということを前提に考えると、需給が多い場合に、介護保険施設あるいは訪問看護に看護師の需要が見込まれるだろうという考え方は一層甘い見込みになるのではないかと私は思います。
○尾形座長 島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 需要のほうについては、先ほど言った頭の中の整理をするのが重要だと思うのですけれども、供給推定のところについては、確かに都道府県から出されてきた174万6660人ですか。感じとしては少し固めに出しているのかなという印象があります。ここで余り勝手に言ってはいけませんけれども、都道府県の担当者の立場からしてみれば、十分足りていますよと言ったら、確保対策は何もしなくていいのかという話になってしまうわけで、どちらかというと固めに出しているのかなという感じはしないではないです。その上で申し上げると、都道府県によってかなり状況が違いますね。率直に言うと、例えば東京のように、今後、看護師の需給ギャップが開いていくようなところもある一方で、むしろ看護師が余り気味のところも出てきますね。もっとも、だからといって看護師の確保対策が不要だということにはならないですね。実際問題として、いろいろ都道府県からこの数字を求めるときに、そういうヒアリングをしていると思うのですけれども、どういう意見が出てきましたか。例えば需給のギャップのところに関して。
何が言いたいかというと、例えば人口が急激に減るようなところでは、概して言えば、看護師は余り気味になりますね。ですけれども、そこは生産年齢人口全体が急減するので、それはそれで看護師の確保は大変なのだと思います。そこは、単純にこれだけ看護師が余るような形に見えるかもしれないけれども、だからといって看護師の確保対策が不要だということには全然ならない。一方、当然のことながら、東京とか大阪のように、看護師の不足が見込まれるところはどうやって確保していくのだというのは、ほかの産業との関係でもなかなか難しい問題を抱えますね。つまり、そういうことを丁寧に議論するための素材が、ここのところで提供されればよろしいのではないかと私は思います。
先ほど太田構成員のほうから、これはどういう政策的な意味を持つのかということに関して、確かに私も最初に申し上げたとおり、医師の養成数のように、入学定員を何人とするかという性格のものとは少し違うので、むしろ冒頭に、この数字はどういう意味合いを持つのかということについて、誤解を与えないような丁寧な説明が必要になってくるのではないかと思います。その面からいくと、むしろこの検討会で進めてきた推計のプロセスというのがこれまでの推計の方法とは違うので、そこは後ほどの報告書の書き方に関係する話なのかもしれませんけれども、まず一つは事実を丁寧に説明するとともに、どういう要素が入っていて、どういう要素を政策的にこの中に入れ込んだのかということをきちんと書き込んで、誤解が生じないようにしていくことが必要なのではないか。それから、需給のギャップを都道府県別に出すのであれば、例えばマイナスが立って、看護師が余り気味になるからといって、看護師の確保対策が不要だということではありませんとか、そういう説明を丁寧にしていくことが必要なのではないかと私は思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。他、いかがでしょうか。小林構成員、どうぞ。
○小林構成員 中間とりまとめ案の10ページですが、訪問看護事業所では、現状より2倍以上の看護職員数が必要になります。急性期の病床数が減少することの対応として、在宅領域における看護職確保対策を急ピッチでかなり進めていかないと、この需要に耐え得ることはできませんので、訪問看護師の偏在、また精神領域の病床数削減分に必要となる看護職員数がどれくらいになるのかを示し、精神領域の訪問看護師の育成等、対策の検討が必要だと思います。
○尾形座長 その辺は、また次の確保策のところで御議論いただきたいと思いますが、まず、この需給推計ついて、如何でしょうか。高砂構成員、どうぞ。
○高砂構成員 今回の需給推計に関しては、地域医療構想の実現を前提にしており、さらにその状況によって在宅の医療提供体制が変わってくるということで、不確定な要素がとても大きいなという御意見は皆さん同じだと思います。そういう意味でシナリオ①、②、③において、訪問看護事業所等において12万人というのが最低の数として、今までも御報告されている状況では、やはりシナリオ①、②の数は少なめになっていて、もう少し幅を持って需給を考えていただいたほうがいいのではないかと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 少し質問なのですけれども、都道府県別の需要推計が出ていますが、概要の1ページの最初の「これまでの経緯」の5行目に「医師の需給推計方法との整合性を図りつつ」と書いてあります。たしか医師需給分科会で出した「中間とりまとめ案」では、患者の流出入を見込んでいて、それによる都道府県間調整をしていると思うのですけれども、この点については、こちらの看護職員の需要推計には入っていましたか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○金子看護課長補佐 患者の移動につきましては、医師偏在指標の際に取り上げられていると思います。実際の医師需給推計については、当時、平成30年4月に取りまとめられていますが、そちらには特に患者の移動に関する事項は含まれておりません。こちらの看護職員の需給についても、医師需給推計と同様に見込んでおりまして、患者の移動というのは特に考慮されていないということです。
○尾形座長 よろしいですか。
○伊藤構成員 わかりました。医師需給分科会では、医師偏在指標に応じた都道府県確保計画の策定が必要になってくるという考え方が示されていたと思ったので、この後看護職員の確保対策という点で、県境を越えた患者の流出入を勘案する必要があるのではないかと思って、今、確認しましたが、入っていないということがわかりました。
○尾形座長 他、いかがでしょうか。平良構成員、どうぞ。
○平良構成員 これまでの議論で、今、出ている数字は、都道府県が現時点で出せる推計の限界だと思うのですけれども、そもそもベースになっている地域医療構想は私の足元で見ますと、進んでいる実感がないのですね。全国的にどのような進捗になっているか、御存じでしたら教えていただきたいと思います。なぜならば、この数字がこの先大きく変わってくるのであれば、今出されている数をそのまま受けとめてこれで議論していくけれども、大きく変わってきたときに、もっと見ないといけないところが出てくるのかなというのが少し気にかかるので、そこを教えていただければと思います。
○尾形座長 これは誰が答えるのでしょうか。太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 私、一応病院団体で地域医療構想もいろいろと関わっております。 ぶっちゃけて言うと、今のところほとんど進んでいない。であるので、議論を活性化させるために、先週は山のように新聞に出ましたけれども、さまざまな公立病院のリストが出た。そこそこ議論を活性化させようとしても、多分これから自治体を含めて、地元の方々からも大きな反対が出てくるので、紆余曲折をしていくという形で動いていかざるを得ないと思うのですね。先ほど私、非常に不確定要素が大きいという話をしましたけれども、地域医療構想を考えたときには、各地域で需給をある一定程度「こういう計画で計算します」というものがあるのです。これに基づいて2025年の病床数を決めているのですけれども、本当言うと、その計算式で今を計算することができるのですね。2018年とか2016年がどうなのだ。我々からすると、ベッドが少ない、多いという感覚はあるのですけれども、それで計算すると、今でもとんでもなく急性期の病床が多過ぎるだとか足りないという話になるのですけれども、現実には誰もそんなことを感じていない中で、2025年にはこうなるだろうということで突っ走っている国策になっています。ですので、それ自体をここで議論してもしようがないと思いますので、うまくいく、いかないというのは正直わからないですけれども、そちらのほうに向かっていくことを前提に全ての政策が走っているので、それに一定程度整合性をとるような形でこれもつくっていかなければいけない。これは不確定要素が非常に大きな需給推計なので、そういう形で理解をするしかないものだと私自身は思っています。
○尾形座長 島崎構成員。
○島崎構成員 太田先生は現状で言えば、多少のニュアンスの差はあれ、そういうことかもしれませんが、私はもう少し変わり得るのではないかと個人的には思っています。その要素は何かというと、医師の働き方改革の影響で、御承知のとおり、2024年4月から医師についても労働時間の上限規制がかかるわけですね。そうすると、いきなり2024年4月が来るわけでなくて、その前段階としていろいろなことをやっていかなければいけない。こういう話になっていくと、かなり医師の供給というのは単純な数の話でなくて、労働時間とかいろいろな影響が地域医療に出てくる可能性があると考えるべきなのではないでしょうか。ということになりますと、2025年に本当にどうなっているかというのは、誰も正確に予測できないにしても、今、太田先生がおっしゃるように、そういう方向で政策が進んでいるのだとすると、そのことについての評価はいろいろな議論があると思いますけれども、一応それを織り込んでということで、これまで議論を重ねてきたわけであり、この段階でその前提を変える必要はないのではないかと思います。
○尾形座長 釜萢構成員。
○釜萢構成員 今、島崎構成員が言われたこととの関連ですが、最初に御質問を申し上げた、これまでの看護職員の需給推計と、今回の手法で積算した推計がどう違うだろうかということで、事務局からの見解がありましたけれども、私の個人的な見解としては、これまでの推計値とそんなに大きく変わらないなという印象です。看護職員の需給については、これまでずっと何度も行われてきたわけですが、それぞれの医療機関からの推計の結果は、すごくたくさん不足するというのが出てきて、計画の年度の終わりのころには何とかバランスがとれてくるということがずっと繰り返されて、推計の手法としてどうなのかなと思っておったのですけれども、これまである程度将来を見越して、きちんと地域医療構想で病床のことも考えてやっていこうという中で、今回出された推計値については、確かに不確定要素は多々ありますが、まずこの数字を基礎に置いて検討する。なぜ看護職員の需給の検討が必要かというと、将来需要が非常にふえて、供給がとても追いつかないという場合には、国民の医療の提供ということに大きな支障が起こるわけですから、そこのところが一番危険なわけですね。ですから、そこのところを見ていって、現状の需要と供給のバランスを見てみると、また鎌田構成員からも冒頭にお話がありましたけれども、そんなに大きなずれにならずに、何とか今後もいけるのではないかというのが全体の流れだと思うのです。ですから、そのことは、国民に対しては非常にポジティブなメッセージとしてお伝えできるのではないかと私は思いますが、細かい部分では、また今後いろいろな議論が必要で、地域偏在などの問題については、医師も別の場所で勤務してくださいというのはなかなか難しい話なので、看護職員についてはさらに困難だろうと思いますから、そこのところはまた皆様からの御議論が必要だろうと思いますが、現状については割合安心したメッセージとして、国民の皆さんにこの結果をお伝えできるのではないかというのが私の見解です。
○尾形座長 ありがとうございました。山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 この看護職員の需給の問題について、何かずっともやもやしながら議論に参加させていただいています。やはり看護師さんの働いている場が多様であることや、不確定要素がいろいろあって変わってくる可能性が高いことと、これはあくまで2025年の地域医療構想を踏まえての推計ということなので、先ほどもお話がございましたけれども、全国的に調整がどれぐらい進んでいるかというと、余り進んでいないのが現状ではないかと思う中で、余り細かい数字の話をしていても、圧倒的に問題なのは、足りないことは確かだと思うのですね。だとすれば、どうやって対策を立てていくかということで、国民の立場から見れば、そこをしっかりやってくださいということが重要になってくるのではないかと思います。ただ、その中で、地域医療構想を前提にした推計であることから、論点の2つ目のところに懸念があって、どういうことに気をつけてやっていかないといけないかということを議論と書いてあるのですけれども、今の動きを見ていて、大きく何か影響を及ぼすとしたらこういう部分を気にしているのだというのが、何か事務局として考えていらっしゃるところがあるのであれば、少しお考えを聞かせていただきたいと思います。今の地域医療構想の調整の動き方を見ながら、考えておられるポイントみたいなことがあれば。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 今、まさに山口構成員がおっしゃられている点は重要なことだと思っていまして、不確定要素があるという未来を見通して養成をしていくということに関して、不確実性を予期した確保策、新規養成なり、復職支援などをしていくということが難しくなってくるという点が、まさに重要なポイント、懸念しているポイントでありまして、県単位において、今後、地域医療構想がしっかりと実現していけるかという側面と、確保策というのがどれだけ進捗できるのか。それぞれの構想の進捗と確保策の進捗というのが両面相まって進んでいかないと、地域医療を支えるマンパワーという意味では、実際に何かの隘路が出るという可能性は否定できないので、そこを両面しっかりと見据えて施策を打っていく必要があるということが、重要な点だと思っています。
○尾形座長 本田構成員、どうぞ。
○本田構成員 もう少し具体的に何が困るのかというのが私にはよくわからなくて、頭が悪くて恐縮なのですけれども、地域医療構想がきっちり進んでいけば、確保策とかいろいろあると思いますけれども、そんなに齟齬もなく、すごく困るということもない方向に行って、結局、地域医療構想がこの想定の中で進まなかった場合、足りないという議論が大きく起こってしまうのではないかということが、困るということなのですか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 そこも地域の実情に応じて発生する課題が変わるのだということが、一義なのだと思います。全てにおいて足りないという点に関しましては、しっかりと確保策もやっていかないと追いつかないですし、地域医療構想の進捗が遅いとなると、病棟においてより人を配置していかないと、そこの病棟で働くナースの方々は、非常に人員不足などに苦労されることになる可能性も感じていて、そこは両面しっかりとやっていかないといけないことになろうかと思いますし、一方で、地域医療構想をしっかりと実現していけたとなった場合に、受けとめる地域の側で活躍できる看護職の質でありますとか、能力でありますとか、そういったところでもまた別の課題が出る。具体的に申し上げますと、例えば介護領域でありますとか、より地域に近いところで働けるマインドや力量ということがどれだけ備わっているのだろうかという点が、量の問題でなくて、質の問題でも出てくる可能性があり得るのではないかと思っています。
○尾形座長 内容的にも、そろそろ確保策のほうの話が出てきておりますので、需給推計案全般についてはこの辺にしまして、次の確保策について御質問・御意見を承りたいと思います。鎌田構成員。
○鎌田構成員 確保策の1点目の新規養成のところなのですが、中間とりまとめ案の18ページに「学生や教員の確保が難しくなっている養成所に対して、運営支援も含めた柔軟な取り組みが求められる」という記載があります。けれども、今までこの分科会ではこのような議論はなかったように思うのですが、運営支援も含めた柔軟な取り組みというのは、具体的にどのようなことを考えられているのか。事務局の方にお願いしたいと思います。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 こちらに関しましては、参考資料のほうにも、ライフイベントでありますとか、看護職員の人生の進展に伴ってどういう移動をされているのか、どういった地域で活躍されるのかという資料をつけていますけれども、こういったファクトを見ますと、地域の中でしっかりと看護職員を養成できる機能があることが、看護職員を必要とする地域でしっかりと確保していくための重要な基盤であろうかということが見受けられましたので、現実問題として、医療が確保したいとしても、若い方々のみならず、全体の労働人口が減っていく中で、看護の教育の質といった面で問題がないとしても、確保機能の維持ということに対して苦労されていくところが予測されましたので、どういったことが、その地域で必要とされる養成を維持し続けるために必要なのかということから、今回、盛り込ませていただいたものであります。
○尾形座長 関連でしょうか。
○釜萢構成員 関連です。
○尾形座長 釜萢構成員。
○釜萢構成員 この件については非常に大事な視点でありまして、看護基礎教育検討会のほうでも発言させていただいておりますが、やはり看護職員は地元で養成して、特に養成所において養成した看護職員が地元に定着する率が高いのは、統計上明らかです。大卒の方は、地域でということにはなかなかならないのですね。これは文科省の検討会でも、今、いろいろ検討しているところですけれども、その中で、地元で何とか看護職員を養成しようと思っても、少子化の影響、景気の動向等があって、なかなか養成所の維持、運営の維持ということが難しくなっておりますので、複数の養成所がしっかり連携をとって、教育の質をしっかり担保しながら、有効で効率的な教育・養成に当たる方法をぜひ考えていこうというのが、看護基礎教育検討会のほうで、今、議論をして取りまとめに近づいているところでありますので、ぜひこの需給分科会でも、その視点で皆様の御賛同をいただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 都道府県では、看護師養成所に基金等を使って運営費補助を出しております。そのため、むしろそこに都道府県からの財政支援を強化すべきといった文言を追加したほうがいいのかなと思います。それと、複数の養成所間の連携のあり方について、今は指定規則やガイドライン等で縛られているところを、具体的にどうするかは今後、看護基礎教育検討会で議論されるのかどうかも関係すると思います。それぞれの学校には、学校に任せられた運営があり、そこは都道府県等も支援をしているところですので、連携というのは非常に微妙な表現かなと思っております。
○尾形座長 池西構成員、どうぞ。
○池西構成員 ここの部分はぜひ私も発言したいと思います。中間とりまとめ案の18ページに書いていただいた、「近年、地方の養成所において」という文言については、本当にありがたいと思って読ませていただきました。このとおりなのですが、学生の確保が大きな問題になっています。学生の人数が少ないと当然授業料も少なくなります。それから、教員確保の問題。これも切実な問題がありまして、実は先日も他県に行っていたのですが、これからの養成をどうしていくのか、続けられるのかという不安の声も聞こえてまいりました。養成所は地域に根づく教育をしていき、地域に還元するということを大事にしていかなければいけないと思います。実際はそういう形で、7割、8割の学生が地元に残るという現状がありますので、養成所がきちんと運営できるようにすることで偏在などの問題にも対応できると思います。ぜひここは具体的な文言をそのまま残す。あるいは今、鎌田構成員が言ってくださったような具体的な補助金の問題を明記していただくと、とてもありがたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。他はいかがでしょうか。では、鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 養成所の指定というのは、各都道府県知事が行うことになっておりまして、その際に、学生が確保できるかとか、教員がきちんと確保できるかといった視点を含めて指定をしております。そもそも学生が確保できていないということであれば、指定するときに都道府県が考えないといけないということにつながっていくかなと思います。申請のときは確保できると見込んでいた、でも実際は確保できなかったということになると、それはやはり指定のあり方が問題だったということになりますので、そのようなことがないように指定規則やガイドラインの見直しを検討しなければいけないのかなと思います。
○尾形座長 釜萢構成員。
○釜萢構成員 今の鎌田構成員の御発言は、少し地域の現状についての御認識が不十分だと思います。地域の養成所は非常に運営が困難で、そのためにどんどん養成をやめていけば地域の看護職員の養成は全然できなくなります。ですから、いかに現状の資源をしっかり手当しながら養成を減らさないようにするかというのが大事なのであって、指定規則を厳しくして、どんどん絞ってできないところは切ってしまえというのはとんでもない話でありますので、強く発言をいたします。
○尾形座長 他、いかがでしょう。山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 この中間とりまとめ案の17ページのところなのですけれども、確保対策については、ここに書いてある新規養成とか復職支援、定着支援、領域・地域偏在の調整等々、多面的にやっていく必要があると思っている中で、特に新規養成のところで2つ目のパラグラフに、地域の多様な療養の場における看護の理解を深めるための教育の充実と書いてあって、いろいろなところで看護師が働いているということを教育の中で示していきましょうということだと思います。私はそれに加えて、いまだに社会一般として、看護師イコール病院で働く人という固定的なイメージが強いままではないかと思います。そこで、もう少し社会に向けて、看護師はいろいろな場で働いているのだということを周知し、看護師を目指す人の中で、病院あるいは診療所だけではないのだということが前提になるということも、職業を選ぶという段階で大事なことではないかと思っています。例えばこれも実際にされているかもしれませんけれども、中学生や高校生が看護体験などをされるときに、同じように病院ばかり行くのではなくて、訪問看護の現場であるとかいろいろな施設を見るということも一つだと思いますので、もう少し社会全般を念頭に置いた文言を少し入れていただくことができれば、看護の領域の教育に入った人から学んでもらうという、もう少し前の段階のことも入れていただくといいのではないかと思いましたので、これは意見でございます。
○尾形座長 重要な御指摘だと思います。池西構成員、どうぞ。
○池西構成員 同じところなのですが、17ページの「このような状況を踏まえ、地域の多様な療養の場における」という文言なのですが、山口構成員がおっしゃったような趣旨ですが、「療養の場における」という前提が、やはり病気を持つ人というイメージに固まってしまって、看護基礎教育でも、療養している人だけでなく、お元気な方だけれども、放っておくと病気になる、予防的な視点ですが、そういうことも含めて、地域の中で生活する人を見るという視点が大切だと考えます。たとえば「生活の場」「生活する人」という表現で、「療養」という言葉を少し広げていただくとよいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 確かに学生の確保については18歳人口が減少しており、学生に限らず、そもそも確保が困難ということは私どもも把握しております。そういった意味で、日本看護協会としても、今後も看護職の魅力を伝えてなり手をふやす努力もしていきますけれども、地域における看護職員確保については、新規養成だけに頼るのでなく、このとりまとめの中にも書いてありますとおり、地域別の偏在の調整もナースセンターが中心となって、確保策を講じることで対応ができることも考えておりますので、そのような文言も追加していただければと思います。教員の確保も困難であると把握しております。教員の確保困難に対しては、教員の確保策を最優先すべきではないかと考えております。
○尾形座長 ありがとうございます。森本構成員、どうぞ。
○森本構成員 定着促進に関する施策について、夜勤負担の軽減に当たっては、看護管理者のマネジメント能力の向上はもちろん重要であると考えております。定着に向けては、看護職員の夜勤体制のあり方を根本的に見直すなどによる定着のための仕組みも大事であります。中間とりまとめ案の21ページにある具体的施策の1つ目に、交代制勤務の看護職員に適した勤務間インターバル制度など、労働時間・勤務環境改善に関する研究とあるが、研究だけでなく、「夜勤交代制勤務の負担軽減のための具体的方策の提示」を追記していただきたい。
病棟勤務等から地域包括ケア領域(訪問看護等)への需給調整を進めるための必要な施策のところですが、都道府県医療計画に、地域包括ケア領域(訪問看護等)に必要な看護職員数と確保策を明示するべきではないかと思います。需要推計結果、概要の2ページで、約12万人必要になるところ、現状では訪問看護師は5万人程度であり、具体的な確保策を示す必要があると考えます。具体的な確保策として、24ページにある地域医療支援病院の役割として、「訪問看護の提供や訪問看護事業所との連携拠点など、領域別偏在の調整機関としても今後期待される」と追記をお願いしたい。また、看護師の訪問看護や介護施設への就業が進まない理由を明らかにした上で、その対策等も考えるべきです。例えば、介護施設では、就業しても現状とのギャップにより辞めてしまう看護職がいるという実態を踏まえて、現実とのギャップを小さくするために、23ページの介護施設における看護職の役割や業務内容などに関する情報提供の取り組みも、具体的施策に含めていただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 概要のほうですと、定着促進の一番下のところに、看護補助者の記載をいただきました。看護補助者との協同のあり方、活用、夜勤への対応などに関する看護管理者、看護職員への研修の推進。中間とりまとめ案のほうですと、20ページの一番下からになりますが、看護補助者の確保が非常に困難になってきている。また、厚労科研での実態調査の結果を踏まえて、今後の定着促進策の検討を行うというものを一応書いていただいていますが、今回の分科会でも何回も議論させていただきましたが、本当にこれからの病院、医療施設の医療を考えていったときに、看護補助者の位置づけをある一定程度、再検討していただいて、それに対する処遇を含めた対応を考えていくというのが、私は今後の看護需給を考えていく上で非常に重要な論点であると思っております。これから人口が減っていき、働き手・支え手が少なくなる中で、社会保障、福祉、医療を支えていくためには、私は総力戦だと思っています。ですので、もちろん今までの大きな流れ等も理解しておりますけれども、病院の中における看護補助の方々、実際の介護的なケアをやっていただいている方々に、より働いて活躍していただく方策を検討いただくというのが、この時期に非常に重要ではないかと思いますので、ぜひここの部分の書きぶりをもう一度御検討いただきたいと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。太田構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 以前も議論されたことなのですけれども、民間の人材派遣業者のほうが、いざというときはナースをちゃんと紹介してくれるのですね。ナースセンター、ハローワークも頑張っているわけですけれども、やはり民間の人材派遣業者に負けないほどのきめの細かなフォローを機能の中に盛り込んでもらわないと、結局派遣会社に登録するナースが増えるのが現実です。民間に負けないような質の高いサービスというと変ですけれども、フォローをお願いしたい。そういった文言も盛り込んでいただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。小林構成員、どうぞ。
○小林構成員 訪問看護や介護分野における看護職員確保に関し、中間とりまとめ案22ページに様々な施策を御提案いただいていますが、森本構成員からもお話にありましたように、訪問看護や介護領域で働く看護職員の労働実態調査を踏まえ、なぜ医療機関と比較して、訪問看護や介護の分野に人材が集まらないのかといった理由を明らかにし、それを踏まえて、処遇の改善を検討することが重要だと思います。処遇を改善しない限り、人は集まりにくいと思いますので、処遇の問題を明らかにし、対応を検討することについても盛り込んでいただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 今、太田構成員からお話がありましたナースセンターについては、私も前から言っているとおり、民間に負けない無料職業紹介事業に一層磨きをかけていただきたいと思っているので、そういったことが中間とりまとめ案29ページにさらに出てくるといいなと思います。このナースセンターの事業にかかわるのですけれども、資料1の論点で確保策として御議論いただきたい点の3つ目に、近隣医療圏での需給調整が実効的になるような施策という話がありまして、地域偏在対策としての取り組みをナースセンターにも持っていただきたいと思います。中間とりまとめ案の19ページの3つ目あたり「ナースセンターの相談員や職員が」というところに「地域を超えた復職支援の充実や」とか、あるいはそこでなければ、その後、19ページの中段に「なお」というところがありますね。ここからさらに次の段落「復職支援において、都道府県ナースセンターに引き続き求められる役割は大きいが、今後は」云々とあるところに入れるとか、あるいは23ページに領域・地域別偏在の調整として、23ページのマルで幾つか取り組みが書かれていますので、この辺に入れていただければと思います。
19ページに戻りますけれども、3つ目の○に「ナースセンターの相談員や職員が、相談対応等について必要なアドバイスを受けられる体制」とありますが、職員までそういうスキルアップするような対応ということは重要だと思いますので、2つ目の○のところにも、「相談員」だけでなく「職員」も入れておいたほうがいいと思います。先ほどの偏在調整のところですけれども、23ページの下から6行目の「精神・障害分野等においても精神病床からの基盤整備や」では少し意味がわからないので、「精神病床からの地域移行の基盤整備や」と補っていただいたほうがいいと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 今、地域別偏在のことについていろいろ意見が出ておりますが、提出した意見書にも記載していますとおり、中間とりまとめ案22ページの一番下のパラグラフのところの「地域別偏在については、29年度より都道府県ナースセンターが軸となり」という記載については、都道府県ナースセンターと都道府県が一緒になって取り組んでいくということで、軸、主体となるのは「都道府県ナースセンターと都道府県」という文言に修正していただきたいと思います。地域別偏在の対策案として、例えば公立病院や公的病院また地域医療支援病院等が看護師を雇用して、山間や僻地や離島などの病院や診療所に、二次医療圏を超えて派遣するような仕組みづくりを検討するといったことを、23ページの具体的な施策に加えてほしいと思っております。また、医師の偏在対策のように、僻地で働く看護職員のキャリア継続と十分な処遇を保障するということも、あわせて検討が必要ではないかと思います。以上です。
○尾形座長 竹中構成員、どうぞ。
○竹中構成員 ナースセンターと地域偏在対策の話が出ましたので、私も少し発言させていただきます。概要の9ページに書いてございますように、都道府県ナースセンターが軸となっていろいろな活動をなさっていらっしゃいますので、それは評価したいと存じます。私は、これにもう少し事業拡大できないかと考えておりまして、やはり先ほど地域の支援病院が担当するということがございましたけれども、地域医療支援病院が担当するといっても、各医療機関の範囲内でしか行いませんので、個別的な対応に陥りやすいのですね。
やはり圏域全体のことを広域的に誰かがする必要があるのではなかろうか。やはりそれにはナースセンターの事業拡大。これには当然ながら都道府県の行政がきちんとかかわっていないと、ナースセンターだけでは多分無理だろうと思うので、そのような体制をつくって、二次医療圏ごとの需給動向調査とか分析とかを行い、また、同じ県内で需給の濃淡がございますので、県全体で平均しますと、看護職員数が多いという評価でも、細部を見ますと濃淡があります。こういった濃淡を、できるだけ具体的に支援できる体制を都道府県内に確立するべきだと思っております。女性が多い看護職でございますので、他県にまで行くというのはなかなか大変でございます。ですから、御自身の都道府県内できちんと自立的に解決できる体制というのが必要なのではないかと考えております。
また、もう一つ、特に山間地とか離島等のかなり厳しい医療過疎地に派遣する分には、やはり強制配置ができない以上は、ある程度の強いインセンティブが必要でないかと思っておりますので、今でも各地方自治体でやっているのですけれども、県立の看護養成機関等々、民間でもいいですけれども、地域奨学金枠というものをきちんと設けるような国を挙げての体制というのは、必要になってくるのではないかと思っています。私は、地域の偏在策にはこういうことしかないのかなと思っておりますので、ぜひお願いしたいと思っています。
○尾形座長 平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 老健施設の立場からの話になりますけれども、もちろん数が足りませんので、さまざまな支援が欲しいと思うのですけれども、もう一つは、せっかく来られた方々がやめてしまう。自分の理想と現実が違うということを考えますと、一つは、やはりこういった施設での看護職のトップといいますか、管理職の質的にすぐれた方になかなか来てもらえないということがあります。こういう施設のトップというのは、病院もそうですけれども、リハ職あるいは介護職、さまざまな職種、多職種を引っ張っていくということになりますと、やはり一定程度の資質がないと、せっかく来てもらった方をまた戻してしまうことになりますので、できればこういったことについて、地域の病院の師長さんや看護部長等の方々に、こちらの施設にも来てもらって、いわゆるプラチナ・ナースとしての経験が生かされる仕組みづくりが大事かなと思っています。今、さまざまな議論がありますけれども、私はもっともっと小さな視点で、区市町村単位で見ているのですけれども、地産地消してそこで頑張った方々が、その地域でそれから先も仕事ができるという仕組みが大事です。医師会におきましては、地域の医師会というのはそれなりに頑張っておりまして、大学病院の先生や大病院の先生方も、医師会活動の中で顔の見える関係ができているのですね。ですから、もし定年した後も、今度は少し在宅で頑張ってみようかという形で、全く違った形で医師の方々が動いたりする。では、地域で看護協会とか看護師の団体が動いているかというと、余り活用がなくてもったいないなと思っている。ですから、その地域での看護協会や医師会あるいは看護職の団体等でもっともっと連携を深めて、この地域を自分たちが育てるのだという自覚を持ってもらうことが大事なので、そういった地域でのそのような活動に対する支援、もっともっと小さな目で、地域の中で次のキャリアを考える仕組みというのが大事だと思っていますので、もちろん数は欲しいのですけれども、そういう方々をしっかり管理できる方々も、ぜひ私どもの介護施設関係でも来ていただきたいと思っています。以上です。
○尾形座長 太田構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 太田です。タスクシフトの記載があるのですけれども、全体的に見て、病院を中心にまとめられているのだなというのは強く感じるわけです。介護福祉士というのは国家資格なわけですね。ですから、医師から看護師へのタスクシフトがあるのと同時に、看護師から介護福祉士へのタスクシフトも存在しているわけです。全体的に、介護福祉士の業務というのでしょうか。介護の問題についてはほとんど触れられていないのですが、介護の専門性というのを考えたときに、介護福祉士とは非常に重要な役割を担うわけです。介護の視点というのでしょうか。介護老人保健施設でもそうですし、介護医療院でもそうなのですが、介護というのが冠についているわけですね。そうすると、そこで働くのは介護福祉士あるいは資格は少し違うかもしれませんけれども、昔はヘルパーと言いましたが、そういった人々が働いている中でナースが力を出すという構図になるわけでして、その辺の視点というのでしょうか。介護福祉士の存在をどこかに盛り込んでいただきたいと思いました。
○尾形座長 ありがとうございました。平良構成員、どうぞ。
○平良構成員 地域偏在について、少し戻りますが、とりまとめ案の22ページ、23ページあたりに色々書かれておりますが、先ほどから議論になっておりますように、現状でそれぞれが努力するというよりも、各都道府県の責任で人材を配置して、定着させるような方向での書きぶりにしていただけたらなと思います。ついては財政的な支援も含めて、この検討会の第7回目に沖縄県の島ナース(代替看護師)のことを報告させていただきましたけれども、それも確保と定着の対策のひとつで、それが維持できているのは、県から財政的な支援を受けているからです。やはり山間僻地の看護師確保は都道府県の責任というのをもう少し書きぶりに追加していただけたら、もう少し後押しができるかなと思われます。以上です。
○尾形座長 高砂構成員、どうぞ。
○高砂構成員 中間とりまとめ案の23ページのところに、在宅医療関連講師人材養成事業というのが書かれているのですけれども、これは医師、看護師等を対象とした地域での人材育成事業なのですが、全国訪問看護事業協会が、訪問看護師に関する事業は受託させていただいているのですけれども、そこに参加できない都道府県の方がいらっしゃったりします。その参加できないことを責めるのでなく、都道府県格差等に関しては、何らかの御支援を含め、都道府県それぞれが御苦労なさるのでなくて、さまざまな情報提供や御支援があるといいなと思っています。また、その下の段階で、訪問看護事業所や介護保険施設等に従事する看護職員に対する研修等に関することも、都道府県によっては基金などを活用して、活発な支援やそれによる成果を上げているところもあり、インターンシップだとか、そういうことも実施しているところもありますので、全ての都道府県が一からやるのでなく、好事例や成果などを含めた情報提供のあり方も加えていただけるといいかなと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。森本構成員、どうぞ。
○森本構成員 先ほど太田構成員から出ましたが、看護補助者について、中間とりまとめ案に記載されているように、看護師がより専門性を発揮し、安全で質の高い看護を効果的・効率的に提供するためには、本会としても看護師と看護補助者の協働のさらなる推進が必要であると考えております。これまで議論があったように、現場では看護補助者の確保が難しくなっていることも把握しており、課題として捉えています。そのため、本会では看護補助者とのさらなる協働の推進に向け、病院の看護管理者等にヒアリングを行ってきました。その中で、仕事の割に低い賃金や、病院によっては正規雇用が認められていないという処遇の問題、看護補助業務について院内規定を整備したが、実際に看護師がどこまでの業務を看護補助者に依頼してよいのかという判断が難しいといった実態が把握されました。
そこで、まずは看護師の判断の拠り所となり、看護補助者が安全に業務を実施できる環境を整えられるよう、「看護チームにおける看護師、准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」を、今年2月に公表いたしました。本日机上に配付している他、本会ホームページでもダウンロードが可能ですので、ぜひ御活用いただきたいと思います。本ガイドラインのみで看護補助者の確保困難が解決するとは考えておらず、さらにどのような対策が必要であるかも検討しております。一方で、看護補助者の確保・定着に問題がないという病院もあり、実態を詳細に把握する必要があると考えています。そのため、今年度行われている科研の結果に期待するとともに、中間とりまとめ案に記載されているような施策の推進に、本会としても協力してまいりたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 中間とりまとめ案19ページからの定着促進については、ここにハラスメントの課題などを書いていただいておりまして、こういう業務の実態に加え、職場の長時間勤務や、夜勤もありますので、勤務を継続していただくために、ぜひ相談体制の整備を21ページのところから明記していただきたいと思います。やはり小規模の訪問介護とか、介護保険施設とかもありますので、こういった事業所で働く看護職員を視野に入れた相談体制が必要だと思います。あと22ページの地域偏在については、下のほうに小規模の訪問看護事業所が多いという課題を書いていただいて、その前には、早期離職について理想と現実のギャップからということで書かれております。ぜひ小規模の事業所が多い訪問看護、また、介護を含めたほうがいいと思っているのですけれども、研修を受けられるようなサポート体制をきちんと整備していくことの重要性についても記載をしていただいたと思います。以上です。
○尾形座長 島崎構成員、どうぞ。
○島崎構成員 中間とりまとめ案22ページの訪問看護の関係のところで、さらに地域における訪問看護提供体制を確保するための総合的・計画的な推進策等の検討が求められるということになっているのですけれども、この絵はどういうイメージなのですか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○岩間看護職員確保対策官 ありがとうございます。今回、まず、確保策全般としてどういったことができるのかというところを御議論いただいておりますけれども、そういったことを踏まえて、どういう体制で、あるいはどういう文章でやっていくのがよいのかということも、今は確たる出口を見きわめているところではありませんけれども、まず、そのコンテンツとなる中身について、まずこの場でしっかり固められればありがたいと思っています。
○尾形座長 島崎構成員。
○島崎構成員 質問した意味は先ほどの需給推計とも関係するのですけれども、今回の推計値を見てみますと、どこが突出して伸びているかといいますと、訪問看護事業所のところなのですね。そこが2.5倍ぐらい増えているのです。見る人が見ると、全体の需給もさることながら、ここのところは注目がいくところだと思います。つまり、訪問看護は必要だし、それに対して伸ばしていくのだというメッセージが込められているのだと見ると思います。そのことを前提にすると、そもそも訪問看護のところについては、地域医療構想の機能分化と連携に伴って生ずる30万の部分が全て在宅医療というわけではなくて、そこは介護保険施設であるとか、特別養護老人ホームであるとか、介護医療院とかと競合状態になるわけですけれども、それ以外に、後期高齢者などが増えることに伴って増加する在宅医療の部分があるわけで、当然そこは訪問看護とリンケージしてくるということになるのだろうと思います。
言いたいことは、そこのところをどうやって推計しているかというと、基本的には介護保険の事業計画のところの数字を使っているはずですね。ところが、その数字が本当にフィージブルかというと、必ずしもそうではなくて、仮置きみたいな形でやっている市町村が多くて、例えば先ほどの狭い意味での30万の部分に関しても、よく都道府県と市町村が話し合って、熟議の上で決めたのかというと、必ずしもそういうことにはなっていない。なおかつ、訪問看護は訪問看護として単独で動いているわけでなくて、例えば訪問医療であれば、かかりつけ医との連携体制も重要だし、さらに言えば、急性増悪した場合の病院等によるバックアップ体制も必要なわけで、そういう全体のフレームの中で考えていかないとうまくいかないのです。ですから、別にここの訪問看護の総合的な計画を否定しているわけではないのですけれども、そこが単独で動いているわけではなくて、内容的にはもっと複雑な要素を含むのだということを少し申し上げておきたいと思います。
○尾形座長 事務局、どうぞ。
○岩間看護職員確保対策官 まさに島崎委員がおっしゃられるとおりでありまして、今回は、需給推計を示すというのが使命でありまして、その需給を定めていく上では一定の前提を置き、不確定要素に関しても、ことの軽重はありますけれども前提を置いて、その場合はどうなのだという出し方をしております。例えば今回の中間とりまとめ案の15ページにも記載があるのですけれども、(3)の留意事項というところでありまして、この訪問看護事業所の需要推計に関してですけれども、介護保険事業計画上の問題もありますし、また、精神病床からの基盤整備量の目標をもとに置いておりますけれども、ここでは便宜上、訪問看護により受けるのだという形の大胆な前提を置いてのもので、そのようにやるという形ではないというところも一方であるわけで、そういった点について留意をいただくことも、一つあろうかなというところは事実としてございます。
○尾形座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
それでは、そろそろ予定の時間でございます。本日は、さまざま貴重な御意見を頂戴いたしました。事務局においては、今日の議論を踏まえて、資料等の必要な加筆・修正を行っていただきたいと思います。そして、本日までの議論を踏まえまして、次回はもう一度議論を行いまして、できれば中間とりまとめに入りたいと思っております。それでは、次回の日程等につきまして、事務局からお願いいたします。
○金子看護課長補佐 次回の開催日時及び場所等につきましては、改めて御案内申し上げます。
○尾形座長 ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、第11回「看護職員需給分科会」を終了いたします。長時間にわたりまして、熱心な御議論、どうもありがとうございました。
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