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2019年4月25日 医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 第8回議事録
○日時
平成31年4月25日(木)13:00~15:00
○場所
TKP新橋カンファレンスセンター 新館 ホール11A
東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング
○出席者
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○議題
(1)看護職員の確保策について(ヒアリング)
(2)その他
○議事
○金子看護課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「医療従事者の需給に関する検討会第8回看護職員需給分科会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、本日は、御多忙のところ御参集いただき、まことにありがとうございます。本日は、池西構成員、春山構成員、伏見構成員からは御欠席の御連絡をいただいております。 また、内藤構成員は20分ほどおくれての参加と伺っております。それでは、ここでカメラは退室をお願いいたします。(カメラ退室)
○金子看護課長補佐 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。では、尾形座長、よろしくお願いいたします。
○尾形座長 こんにちは。それでは、早速議事を進めてまいりたいと思います。本日は、初めに、看護職員確保策の取組に関して認識を深めていくために、ヒアリングを行った後、確保策の具体的な論点についての議論を行いたいと考えております。ヒアリングにつきましては、平川構成員に介護施設の看護職員確保についてプレゼンテーションをお願いすることとし、御準備いただいているところでございます。それでは、平川構成員、どうぞよろしくお願いいたします。
○平川構成員 全国老人保健施設協会の平川でございます。よろしくお願いします。
○尾形座長 申しわけありません。その前に、事務局から資料の確認をお願いします。
○金子看護課長補佐 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。お手元に、議事次第、座席表のほか、「資料1介護施設における看護職員確保の現状」、「参考資料1 介護施設等における看護職員に求められる役割とその体制のあり方に関する調査研究事業報告書」、「参考資料2介護老人保健施設における看護職員実態調査票(素案)」、パンフレット「協会の概要 全老健」、「期待される老健の役割」、「資料2今回、ご議論いただきたい看護職員確保に関する論点」がございますでしょうか。不足資料等ございましたら、事務局のほうにお申しつけください。
○尾形座長 済みません、平川構成員、お待たせいたしました。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
○平川構成員 全国老人保健施設協会の平川です。よろしくお願いします。まず、老健施設について確認した上で、老健施設で働く看護師のイメージを持っていただきたいと思います。お手元の青い資料をご参照ください。公益社団法人全国老人保健施設協会は、全国で老健施設を運営している者の集まりです。弱小な団体ですが、唯一の誇りは、会員の入会率が非常に高いということです。
病院協会や医師会等々、関係諸団体がございますけれども、老健協会には全老健施設の90%が加入しています。この結果、例えば運営規定や法の改正があった場合、全施設への周知徹底がしやすいですし、もう一つは、様々な調査研究をする際に回答率が高く、良いデータが集まるという点では、組織と良い機能を持つ協会だと思っています。
次に「期待される老健の役割」というリーフレットをご参照ください。これまで老健施設は、在宅復帰の施設というイメージがあって、いまだに老健施設は3カ月で退所しまうという都市伝説が残っているところでございます。勿論そのような事実はありません。一昨年の法改正によって、在宅復帰のみならず、在宅生活を支援する施設という機能と役割が明確にされました。地域包括ケアの中で在宅での生活を維持することが、非常に重要であることは言うまでもありませんが、そのようなニーズから、老健施設は、施設サービスのみならず、施設を背負いつつも、手足は地域に伸ばし、地域を見つつ、支援するという施設になりました。創設当時から、随分変わってきたと思っています。
利用の仕方につきましても、開いていただきまして、2ページ、今までは病院から御自宅に帰る間の中間に位置する「中間施設」というイメージが強かったと思いますが、もちろん、現在もその機能はありますが、その一方で、在宅生活をしているうちに、ちょっとADLが落ちたので、入所してリハビリにより改善をはかるとか、認知症やADLのレベルを専門職に評価してもらうためにショートステイを活用するとか、老健の利用目的も多様化してきています。7ページに紹介しているように、ちょっと悪くなったら老健に入ってもらい、改善したら自宅に戻ると言った、老健と自宅を往復利用していくことで、できるだけ長く在宅生活を維持していただく。その延長で最期は御自宅での看取りもあれば、必要であれば老健でもしっかり看取らせていただくというように、老健は多機能になっています。小規模多機能ならぬ大規模多機能といった役割が求められています。ですから、当然ながら看護職の仕事ぶりも従前とは変わってきているところが現状でございます。
前段はこれぐらいにして、本日のプレゼンテーションの目的である介護施設における看護職の実態について老健施設を中心にお話したいと思います。お手元の資料1にざっくりと取りまとめをしております。まず老健施設の看護職数についてですが、正看・准看を含めて、全国で約4万人の方々が老健施設で働いています。結構な数だと思います。老健施設ではこの看護職数の2倍よりちょっと多い数の介護職が働いています。バランスで言うと1対2あるいは1対2.1ぐらいの感じで看護・介護でスクラムを組んでいます。この両者のスクラムがしっかりできているところは良いケアを提供しています。
この点を特養・病院と比較しますと、特養は御存知の通り、看護職数が少ないですし、夜勤もしていませんので、現場は介護職が中心となり仕切っています。病院におきましては、未だに介護職イコール補助看というイメージが強く、看護師の方の下に見られがちです。そのためこの両者間では、ため口がなかなか聞けないのですけれども、老健の介護看護比率が2対1というのは、力関係としては良い比率で、ため口がきける割合といいますか、看護は看護の立場で、介護は介護の立場で利用者様についていい議論ができていると、すばらしいケアが生まれるという構造になっていると思います。
次に看護職の年齢ですが、ここに書いてありますように、どちらかというとやや高齢の方が多いということでございます。このあたりについて、具体的に資料を用意しましたので、介護施設の看護職について議論したいと思います。
お手元の参考資料ですが、これは日本看護協会が調査研究した資料です。たまたまこの調査会に私も委員として参加しておりましたので、本会使用させていただくことにしました。この研究の目的は、これまで介護施設での看護業務についてその実態が見えてこなかったので、そこに注目したものです。2ページにそのあたりのことが触れられています。看護職は、入所者・利用者の生活の場の中で、医療的な判断等を行い、医療的ケアの提供や医療機関等との連携等の役割を担っており、それらに加えて施設の管理的な役割も担っていることが多いと思われます。
4ページは人員体制です。特養と老健を中心に介護施設の看護介護サービスで見ていきます。看護職数については、特養が正規職員で3.9人、老健施設が9.2人概ね5人と11人ぐらいの割合で推移しております。人員体制の相違から、特養と老健の看護職の仕事ぶりは全然違っています。老健では夜勤をする看護職もおり、両施設間の看護職の勤務形態には大きな相違があると思います。
次に行きまして、2)、年齢構成でございます。特養、老健とも「50~59歳」が最も多くて、さらに「60歳以上」の方が1割強ということで、働かれている看護師は高齢化の傾向があります。
続きまして、3)、正規職員としての看護職の勤務年数につきましては、結構長めの方が多くて、老健につきましては、「10年以上」の方が34%、「5~10年」が23%ということで、老健施設の環境とか業務に慣れると、比較的長く勤務してもらえるという特徴がございます。
少し飛ばして、8ページの表4-2-1を見ていただきたいのですが、充足状況でございます。「充足している」と答えたのは、特養と老健に大きく差があります。老健は特養の倍近い数の看護師を必要としますので、充足という点でみると、老健の看護職不足が明瞭で、「やや充足していない」「充足していない」を加えますと、かなりの老健施設で看護師が足りていないということがわかると思います。
9ページは、先ほどから述べていますように、最近の利用者・入所者の重度化によって、業務がどう厳しくなったかという調査項目ですが、大きな変化があったという結果は出ていませんが、一定数は変化があったと回答しています。
それに対して、表5-1-2の重度化について、どうやって対応したかという問いに対して、特養におきましては、「看護職を増員した」。老健では、「看護職員の役割を変更した」といった回答や、特養におきましては、「看護師の勤務時間を変更した」という形で対応しているようです。
さらに、10ページ、「6.入所者の健康管理に関する取り組み」としましては、上が特養で下が老健でございますが、異なる項目としては、「おむつ外し」等ですが、老健は利用者を少しでも良くするというミッションがありますので、ADLの低下予防とか低栄養予防あるいは転倒予防といった意味で、どちらかというと利用者を動かして、ADLを上げていこうということで、「おむつ外し」もその一環です。看護師の健康管理の取組につきましても、特養と老健ではプログラム的にかなり違っているということがわかると思います。
12ページは看取りについてです。1特養・老健とも積極的に進めております。13ページにその状況が記載されていますが、例えば、看護職による看取りに関するかかりつけ医との連携等々におきまして、特養におきましては85.2%と、かかりつけ医の先生との連携が深められています。老健施設は当然ながら常勤医師がおりますので、自施設の医師との連携を中心に他の医療機関との連携もしています。
17ページは感染症対策です。施設におけるノロウイルスやインフルエンザといった感染症の管理は、看護師の方々が中心となって取り組んでいます。そのためには、特養や老健では、感染症対策マニュアル等が整備されており、マニュアル作成にあたっては、看護師が中心となっています。施設の看護職は医療的ケアに係る専門職で、この分野の最も重要な役割を果たしていることがわかります。看護職達はこれらのことを業務という形で理解しているということが、このグラフから見えてきます。さらに、19ページ、安全管理に関する業務につきましても、ナースの方々に相当骨を折っていただいています。
20ページのリスク管理ですが、特養と老健を比べますと、老健の方は看護師数も多いこともあって、下のグラフの「入所者の転倒やヒヤリハットの事例の把握・分析」、「入所者の転倒・転落についてリスク低減策のケアプランへの盛り込み」等々といったものについて、ケアの分野ではありますが、積極的に看護師の方が意見を具申しています。施設をあげて多職種で対応していることがわかるかと思います。
続きまして、別の調査になります。25ページをお開きください。特養と老健における看護師の実態調査という報告書で、これも日本看護協会で出されているものです。
26ページ、看護師の役割としての重要な業務を挙げています。27ページ、看護職の役割として重要な業務(5つまで選択)としますと、一番多いのは「健康管理・健康状態のチェック」、これは両施設共通です。さらには、「診察の補助・日常的な医療処置」あるいは「服薬介助・服薬管理」といったものが上位になります。当然ながら「急変時の対応」といったものが特養・老健とも、看護職重要な業務だと言えると思います。
28ページ、看護職として、特養や老健になぜ入職したのかという問いです。入職のルートとして多いのは、特養におきましては、「施設内の関係者からの勧誘・紹介」と施設内の身内からの紹介の方が多いということ、あるいはハローワーク等も入ります。老健におきましては、同一法人内の他の部署から異動する場合もありますけれども、「友人・知人からの情報」で来られた場合も多いと調査から出ております。
30ページは、入職動機についてです。特養では、「介護施設の看護に興味があった」あるいは「通勤が便利だから」「夜勤勤務が少ない」といった点が、特養入職を希望した動機で、老健施設では、「介護施設の看護に興味があったから」あるいは「通勤が便利だから」「高齢者が好きだから」といった理由で入職されています。
課題であります離職率につきましては、対応策の効果もあってか、年々減少の傾向にあります。2014年度時点で特養の離職率は21.5%、老健施設は16.4%でいずれも減少傾向にあります。ただし、新規採用、入職1年目以内の方に限るとこれまでと同じく、高い離職率で推移しています。
32ページにも、そのあたりについて書かれています。33ページでは、こういった離職率に対しての職員確保・定着のための取組としては、特養と老健共に積極的に取り組んでいます。「労働安全衛生の整備」、「医療・介護事故対策の整備」、「キャリアに応じた教育・研修体制」といったものが特養に多い取り組みで、老健では、最後のページになりますが、特に高いのは「医療・介護事故対策の整備」「労働安全衛生の整備」「業務内容と役割の明確化」などの取り組みが多くなっています。こういった対応によって、確保あるいは離職を防げるようにしていることがわかります。
最初の資料に戻りまして、老健施設看護職についてまとめます。全国老人保健施設協会といたしましては、表にありますように、毎年、看護職対象に研修会を行っております。老健の看護というものについて理解を深めていただいています。
介護施設の入所者については、医療ニーズを併せ持つ中重度の要介護者が増加している。
看護職には、医療的な判断を行い、必要な際には医療的ケアの提供、他の医療機関との連携を担う役割が求められている。看護職の役割として重要な業務としては「健康管理・健康状態のチェック」「急変時の対応」「服薬介助・服薬管理」「診療の補助・日常的な医療処置」「感染管理」が上位にありました。
入所者の重度化に対しての看護業務・体制の変化については「変化があった」が42.6%、「なかった」が55.9%であった。変化の内容としては、「看護職の役割の変更」「看護職の増員」「看護職の勤務時間を変更した」などで対応したということです。本来の看護業務に加えて、施設の管理業務を任されていることも多いということがわかりました。
年齢階級別の正規看護職員数をみると、50歳から59歳が最も多く、次いで40から49歳であった。60歳以上が1割を占めた。勤務年数別の正規看護職員数を見ると、10年以上勤務が最も多かった。
正規看護職員の充足状況は、「充足している」が26.2%、「充足していない」「やや充足していない」の合計が43.6%で、特養に比して老健の充足率が顕著に低かった。
入職の動機は「介護施設での看護に興味があった」次いで「通勤が便利」「高齢者が好き」「家庭と両立しやすい」の順であった。離職率は16.4%で特養の21.5%に比較し低かった。しかし新規採用者の離職率を見ると38.3%で特養の39.8%と差異がなかった。
定着・確保の取組としては「医療・介護事故対策の整備」「労働安全衛生の整備」「業務内容と役割の明確化」等であった。取組が少なかったのは「柔軟な勤務形態導入」「メンタルヘルスケア体制の整備」であったということでございます。
時間の関係で駆け足の説明となってしまいましたが、届いてくる声からは、老健施設を含め、介護施設関連の事業所では慢性的な看護師不足の状況が続いており、常に求人しつつ人員不足に対応しているということでございます。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの平川構成員からの御説明につきまして御質問、御意見等を承りたいと思います。山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 御説明ありがとうございました。3点、質問がございます。まず、1つ目ですけれども、御説明いただいたヒアリング参考資料1の9ページに、入所者・利用者の重度化による看護業務の変化への対応ということで、「看護職員の役割を変更した」というのが34.2%ございますけれども、これはどのようなことを変更されたのかというのが1つです。2つ目として、平均47.1歳ということで、入職時・新規採用時の平均年齢自体が高いのだと思うのですけれども、今のヒアリング参考資料1の29ページを見ると、老健施設の看護職員の場合、「介護施設の看護に興味があったから」という方が41.7%で最も多かった。これは、病院にない、あるいはほかの職場での看護師にない特徴として、どんなことを期待して介護施設の看護に興味があったと思っていらっしゃる方が多いのかということを2つ目で教えていただきたいと思います。3つ目が、離職率がそんなに高くない中で、新規採用者は38.3%ということですけれども、その中で、例えば「こんなことを期待したけれども、実際、入ってみたらそうじゃなかった」という理由の中で、どのようなことが多いのかということを、今後の議論のためにも教えていただければと思います。以上です。
○尾形座長 3点の御質問ですが、平川構成員、よろしくお願いします。
○平川構成員 ありがとうございます。後のほうから答えていきますと、入ったらイメージが違うという点につきましては、思った以上に過酷なといいますか、2の質問にもつながるのですけれども、どちらかというと急性期の病院や通常の病院にいて、病状が不安定な、病気相手の仕事をするという業務が中心だったのですけれども、来る方はもう少しゆったりと利用者と向き合いたい。医療的なケアも同時にやりますけれども、そういったものにつき合っていきたいという気持ちで入られるのですけれども、入ってみると不安定な方がすごく多くて、最近はサ高住等々も増えてまいりまして、入所の場と生活の場としての利用はそちらに流れてしまって、要介護者がどんどん来ているわけです。
そういう状況の中で、多少病状が不安定であってもとらざるを得ないということになってきますと、思っていたような、穏やかな中でゆったりと利用者と向き合いながら看護師としての仕事をすることができなくて、意外と仕事に追われていることがわかって、かなりびっくりされるのではないかと思っています。逆に言えば、2番目につながるのですけれども、対応策にもつながりますけれども、看護・介護をどううまく切り分けていくか。施設によっては、おむつ交換を含めて、いわゆる介護の仕事にかなり看護職が食い込んでしまっていて、本来やるべきことができない。例えば、入浴の介助にもちろん行ってもらわないと困るわけですけれども、それは入浴時に皮膚疾患があるかどうかとか、そういったものを看護の目で見ていただくということではいいのですけれどもね。実際現場に入ると、一緒に汗だくになって着脱衣から、中には入浴介助とかもあったりで、その辺をうまくやっている施設は離職率が低くて、長くやってもらえるところもあって、今の質問とみんなつながっているようなところがあると思います。
○尾形座長 山口構成員、よろしいですか。
○山口構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 ほか、いかがでしょうか。鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 平川構成員のほうから説明いただきましたこの報告書については、本来ならば本会がきちんと報告しないといけないところかもしれませんが、つけ加えますと、この調査で明らかになったのは、介護施設等で働く看護職の多くが、看取りや感染管理に関する業務において、施設職員に対して指導的な役割も果たしている一方で、多職種や他施設との連携や看取り、感染管理や安全管理等に関する多くの業務を担っているということです。
ただ、現場の現認教育も含めていかにやりがいを感じるか。看護職としての専門性を発揮できている場合に、やりがいを感じて、そのような就業を継続する意向などを持つ割合が多いという傾向があったということも補足でつけ加えさせていただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 このヒアリング参考資料1の日本看護協会の1つ目の報告書で、2ページの事業概要、調査研究の目的と概要の第2パラグラフにある、「看護職員の担っている管理的な役割も含めて、そのケアに関する詳細な実態、求められている役割を果たすことにつながる体制のあり方等が明確となっていない」という問題意識でこの調査をされたと思うのですけれども、この管理的な役割を看護職員が担うに当たって、現場ではどのような研修とか、どういうように管理業務を担えるようにされているのか。実態として、この管理的役割を看護職員が担うに当たって、どんな工夫をされているのか。この調査の中で出てくるのであれば、それも教えていただきたいですし、現場の状況ということで教えていただければと思います。
○尾形座長 平川構成員、よろしいですか。
○平川構成員 資料はここにございませんけれども、私どもの施設では、看護職も含めて、全ての職種のキャリアアッププログラムをつくっておりまして、その中で1つずつ上がっていく形になります。管理職というと聞こえがいいですが、老健施設は医師が1人ですので、医師が24時間張りついているわけにはまいりませんので、正直申し上げて、勿論診断業務までではありませんが、利用者の心身の状態をきちんと状態をつかんで、どうするかといった判断は必要となります。このあたりは看護職の負担は大きいと思います。
勿論、個人の判断にとならないように、多くの施設ではかなり詳細なマニュアルをつくり、医師、看護師が中心となって研修を進めています。そのようにしていても、介護職の方で看護師さんに頼る傾向があり、現場では看護職に判断を仰ぐことが起こっているかもしれません。
○尾形座長 よろしいですか。ほか、いかがでしょうか。太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 ヒアリング資料1の28ページですけれども、現職場を知ったきっかけという資料を見させていただいて、私、ちょっと意外に思ったのは、上から7つ目、「民間の職業紹介業者・紹介サイト」の割合でございます。特養が5.4%、老人保健施設は8.3%ということで、非常に充足が厳しい状況に、特に老健側のほうが特養よりもあるという話ですけれども、我々は民間の、特に病院などをやっている部門からすると、これは比率としては低くなっているかなと思うのですが。これは、ほかの同一法人内の病院とか医療施設から、何らかの形で動かして対応しているというのが実態で、逆に言うと、病院とか診療所がないような老健さんだと、かなり苦労していらっしゃるという状況なのでしょうか。その辺の状況をちょっと教えていただければと思います。
○平川構成員 これは、私も太田先生と同じ疑問を持っています。どうしてこういう結果になったかわからないですが、回答者に偏りがあった可能性もあるかもしれません。私は東京の八王子で介護事業を行っていますが、入職者の半分以上は紹介業者からです。特に都心部等におきましては、人材斡旋業者からの紹介入職が多いと思います。
○尾形座長 ほか、いかがでしょう。竹中構成員、どうぞ。
○竹中構成員 先ほどの質問と重なるのでございますけれども、31ページの新規採用者の離職率が約40%と、非常に高いイメージですけれども、私どもの急性期病院で面接試験を行っておりますと、将来的には在宅・療養・介護のほうで仕事をしたいのだけれども、今は急性期病院に来ましたという子が結構多いのです。この方々は、最初からそこに行ってしまったのかなという推測をいたしますけれども、その辺の分析はなさっていらっしゃるのでしょうか。
○平川構成員 最初からというのは、病院勤務を経ていない方という意味ですか。
○竹中構成員 ええ。急性期の急変に対する研修もせぬまま、老健という現場にいきなり卒後に入ったということがあるのでしょうか。
○平川構成員 確かに最近、新卒者がぽつぽつと老健に来られる方がいます。しかしまだまだごくわずかで、けれども、多くはかなり急性期等の病院勤務を経験された後に老健施設に来られています。中には病院で頑張りすぎて、疲弊してしまって、もう少しのんびり仕事をしたいといって転職される方もいます。いずれにせよ、新卒でいきなり老健に来る方は余りいらっしゃらないです。
○竹中構成員 この新規という意味は、転職されてきた方という意味ですか。わかりました。
○尾形座長 ほか、いかがでしょうか。それでは、私から1点質問させていただきます。今日、御紹介いただいたデータの特養との比較、大変貴重なデータだと思いますし、よくわかりました。一方で、昨年から介護医療院という新たな介護保険施設ができて、これは介護保険施設であると同時に医療提供施設であるという意味では、老健と位置づけは似ているわけですね。もちろん、まだ数が少ないので、今後の話かと思いますが、この介護医療院の老健施設に対する影響というのはどういうふうに考えておられるか。特に、看護職員の役割とか需給といった面で何かお考えがあれば承りたいのですが。
○平川構成員 私としては、個人的には介護医療院ができることによって、この領域の看護・介護・ケアというものにまた新たな広がりができて、当初は混乱もあるかもしれませんが、何年か先には要介護高齢者に対する新たな医療看護介護の連携ネットワークができると思っています。ただ、その一方で、ほぼ同じような医療介護を提供するサービスが増えたことで、重複する部分、独自の部分を明確にし、利用者、専門職に啓発していかなければなりません。介護医療院の特徴である在宅復帰を気にすることなくターミナルまでじっくりとみてもらえる、医療的ケアが多少多くても何とか持ちこたえるといった点で見ると、今の時代に合っているかと思います。
私ども老健施設は在宅復帰、在宅生活支援がミッションですから、介護医療院とかぶるところもありますけれども、それぞれ違いがあって、本来機能を果たしていくことによって、両方がスクラムを組みながら将来的にはよくなると思っています。最も入職希望する職員については、当分区別がつかず、苦労されるかもしれません。
○尾形座長 ありがとうございました。ほか、よろしいでしょうか。それでは、平川構成員、大変丁寧な御説明、どうもありがとうございました。それでは、先に進みたいと思います。資料2「今回、ご議論いただきたい看護職員確保に関する論点」ということで、まず資料の説明を事務局からお願いいたします。
○乗越看護職員確保対策官 事務局でございます。それでは、お手元の資料2をご覧ください。まず、最後のページのほうをごらんいただければいただければと思います。45ページでございますが、これはこれまでもお示ししておりました今後の看護職員需給分科会のスケジュールについてでございます。本日、第8回におきまして、看護職員の確保に関する議論ということで、これまでヒアリング等、行ってきておりますけれども、具体的な論点についての御議論をいただきたいと考えております。次回についても、同じように、確保策についての議論。それから、6月末をめどに確保策についての中間とりまとめを行う。確保策については、このようなスケジュール感で進めていってはどうかということでございます。
その際、具体的に議論する論点につきましては、44ページに、これまでまとめてきておりますご意見の整理を踏まえた論点を掲げさせていただいております。本日は、44ページの論点では、「届出制度」「ナースセンターについての機能強化」「ハラスメント対策」を御議論いただきたいと考えております。特に、「届出制度」「ナースセンターの機能強化」につきましては、今後の確保策について議論していく上でも、確保策について中心的な仕組みでございますので、まずこちらを御議論いただいて、その後の各論点について、また議論を深めていくこととしてはどうかということで、本日、論点を3つ掲げさせていただいておるものでございます。
それから、その前の43ページでございます。こちらは、看護職員の確保対策の概要ということでございますが、簡単に申し上げますと、看護職員の確保の対策につきましては、都道府県が医療計画に基づきまして看護職員の確保策について具体的に事業を行っておるところでございます。それに当たりまして、都道府県が都道府県のナースセンターを指定して、こちらのほうで具体的な確保に関する事業、無料職業紹介、さまざまな研修等を行っておるということでございます。それらを支援する側として、国、国が指定します中央ナースセンター、こちらは日本看護協会となりますけれども、こちらで都道府県ナースセンターを支援していく、このような大枠で確保策が進められているということでございます。
そうしましたら、資料の頭のほうに戻っていただきまして、2ページでございます。本日、御議論いただく論点として、3つ掲げさせていただいてございます。
まず、論点1、「届出制度」についてでございます。資料の3ページをご覧ください。届出制度につきましては、現状のところにございますが、都道府県ナースセンターによる看護職員の復職支援を強化するために、看護師等人材確保促進法を改正いたしまして、看護師免許保持者の届出制度を平成27年10月から施行しておるところでございます。
資料の5ページをごらんください。届出制度の概要でございます。1の「届け出るタイミング」にありますように、病院等を離職する際などに届出をする。「届け出る事項」にありますように、届出をする際には、氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、その他連絡先に係る情報、就業に関する状況、これらをインターネット経由でナースセンターに届け出るという仕組みでございます。
次のページをごらんください。届出をした後、どのような対応が行われるかということでございます。届出を行った方に対しましては、届出の情報に基づきまして、離職後も一定のつながりを確保して、本人の意向、ライフサイクル等を踏まえて、積極的にアプローチして支援していく。それによりまして、その方のライフサイクルに応じまして、復職したいという段階になれば、ニーズに応じた復職支援を行うということでございます。支援の例といたしまして、復職意向の定期的な確認、求人に関する情報提供等々を都道府県ナースセンターから届出者に対して情報提供していくといった取組を行っておるところでございます。
それから、11ページをご覧ください。今、申し上げました届出についての実績でございます。ご覧いただけますように、届出数につきましては、新規の届出については横ばいといった状況にございます。また、届出をした方について都道府県ごとに見ますと、次の12ページになりますけれども、都道府県ごとにやや差があるといった状況も見受けられます。また、こちらの12ページにつきましては、離職者を分母にして届出数を割ったもので、離職者数に占める届出者の割合というものを粗々推計したものとなりますけれども、全体的に離職者の約15%から届出が行われているという状況でございまして、届出が十分にされているかというと、そうは言えないような状況ではないかということでございます。
それから、あちこち行って恐縮ですが、4ページをご覧ください。こうした届出制度につきまして登録者数を増やしていく、就業につなげていくためには、どのような方策が必要かといったことを皆様に御議論いただきたいと考えております。その際、例えばこのような取組が考えられないかということを事務局のほうでお示ししたものでございます。
まず、1つ目に、普及啓発の強化を図っていくということでございますが、9ページをご覧いただければと思います。これまでも周知事業といたしまして、中央ナースセンター、都道府県ナースセンター、国のほうでさまざまな周知を行ってきておるところでございます。しかしながら、実態といたしましては、10ページにございますように、これは厚生労働省の調査研究事業のアンケート調査になりますけれども、看護職で届出制度を知っていた方については、35%にとどまるという状況にございます。
こうした状況を踏まえまして、どのような強化が必要かということで、1つは、政府広報等のさらなる強化。それから、4ページになりますけれども、教育機関の協力を得て、学生のときから届出制度の理解が得られるよう制度の周知を推進する。また、医療機関がまとめて離職時に届出を行っていただくという代行届出という仕組みもございます。そちらを推進するという方策も考えられるのではないかということでございます。
それから、届出した方についての就業を促進するということもあわせて行っていく必要がございます。そうした観点から、都道府県のナースセンターと都道府県医療勤務環境改善支援センターが連携して施設の環境を整備するといったこと。それから、届出をした方につきまして、eナースセンターという無料職業紹介サイトがございます。こちらを利用するに当たって、利用しやすいようなマッチング機能の充実を図るといったことも検討してはどうかということでございます。
それから、届出した場合のインセンティブについても、さらなる強化が必要ではないかということでございます。案といたしまして、届出をした方のみに視聴可能なe-ラーニングなどを設定してはどうかという御提案でございます。
次の論点に参ります。15ページをご覧ください。ナースセンターの機能強化についてでございます。先ほど概要のところでご覧いただきました都道府県のナースセンターについては、無料職業紹介、さまざまな研修事業等を行っているところでございます。その機能強化について御議論いただくということで、御用意したものでございます。
まず、現状のところの1つ目の○でございますが、ナースセンターにつきましては、今、申し上げました無料職業紹介等の事業を行っているわけでございますが、ここに書いてありますように、看護職員の確保については、地域特性によって課題が異なっているということから、その課題に応じた確保策を実施することが求められているところでございます。このため、中央ナースセンターにおきまして、平成29年度より、地域に必要な看護職員確保推進事業というモデル事業に取り組んでおるところでございます。これは、都道府県行政とナースセンターが、地域の医師会・病院団体と連携して看護職員確保を推進するという内容になります。
25ページ以降、具体的な事業についての資料を添付しておるところでございます。都道府県とナースセンターが連携して、看護職員の確保が必要な地域を特定いたしまして、その地域に応じた確保策のための事業計画を作成して、関係団体と連携して確保策を推進していくというものでございます。その具体的な事業例といたしまして、26ページから28ページに幾つかの観点から事業を行っているという例を挙げさせていただいております。それが現状の一つでございます。
それから、15ページに戻っていただきまして、もう一つ、ナースセンターの機能強化の一環といたしまして、ハローワークとの連携事業というものもあわせて進めているところでございます。これは、ナースセンターとハローワークが連携いたしまして、看護師等の就業を希望する方と医療機関とのマッチングの強化を図ることを目的といたしまして、ハローワークにナースセンターが出張して、巡回相談という形でハローワークに登録された求職者の方に医療機関の情報等を提供して、その方にふさわしい就職先を支援するという事業をハローワークと連携して行っているものでございます。18、19ページに関係の資料がございますけれども、19ページをご覧いただきますと、巡回相談の実績につきましては、事業が開始されて以降、右肩上がりに上がってきているところでございます。また、次の20ページは都道府県ごとの実績でございますが、都道府県ごとに言いますと、実績についてはやや差があるといった状況もございます。
それから、今、申し上げてきたような都道府県ナースセンターの職員の体制についてでございます。23ページをご覧いただきますと、ナースセンターの職員の体制について、幾つかの観点からお示ししたものでございますが、非常勤の職員が多い実態ですとか、高齢の60代の方の職員が過半数を占めているといったこと。また、これは都道府県ごとにばらつきがありますけれども、中には2人未満でナースセンター事業を担っているセンターもあるといった実情にございます。次の24ページが、都道府県ナースセンターの事業費についてお示ししたものでございますが、多くは3000万円未満の事業費の中で事業を行っているといった実態になってございます。
それから、16ページに戻っていただきまして、こうした都道府県ナースセンターにおきまして、地域の医療機関が看護職員を確保する際により利用しやすくするためには、どのような点を強化すればよいか。また、ハローワークとの連携について、都道府県により差がございますので、そのナースセンター、ハローワークの双方において、連携の強化を図るためには、どのような方策が必要かといった点について御議論いただければと考えております。
その際、強化策についてということでお示ししておりますのが、四角囲みのところになりますが、地域に必要な看護職の確保推進事業、先ほどモデル事業と申し上げましたけれども、こうした事業が全国で展開されるように支援、また好事例の情報提供、こうしたことを中央ナースセンターが実施してはどうかといったこと。それから、ナースセンター、ハローワーク連携事業の推進ということで、ハローワークの担当者への事業の周知・協力を進めていくといったこと。また、ナースセンターの重要な取組であります無料職業紹介事業をはじめ、求職者のキャリア支援をしていくということが重要でございますけれども、そうしたキャリアコンサルティングの専門的知識と技術を習得して、相談対応の質を高めるということがあわせて必要ではないかと考えております。
それから、冒頭の都道府県等との連携事業、こうしたものを実効あるものにするためにも、ナースセンター事業運営協議会、これは関係団体、また地域の関係者とも連携を図るための会議でございますが、こうしたものをさらに活性化させる必要があるのではないかということでございます。
それから、3つ目の論点に参ります。29ページをご覧ください。ハラスメント対策についてでございます。現状のほうにございますけれども、昨年の平成30年版の過労死等防止対策白書におきまして、医療分野での労災認定事案の分析が行われております。その中で、看護師、准看護師、看護助手に精神障害事案の割合が多く、中でも暴言・暴力、ハラスメントの被害者となったことが業務によるストレス要因として発病に関与したと考えられる者が一定数存在していたということが記載されております。
こうしたハラスメントの対策につきましては、現行医療法に基づきまして、医療機関の管理者におきまして計画的に医療従事者の勤務環境改善に取り組むこととされておりまして、このガイドラインや手引を作成して、さまざまなハラスメント対策に包括的に取り組むように支援しておるところでございます。先ほど申し上げた過労死白書等を踏まえまして、厚生労働省におきましては、平成31年度の厚生労働科学研究事業によりまして、医療現場における患者、その家族からの暴力、ハラスメントの実態調査を行い、その結果を踏まえて、医療現場で活用可能な対応マニュアルを作成するための指針を検討することとしておるところでございます。
30ページをご覧いただきまして、そうした研究事業も踏まえまして、以下のようなハラスメントの対策の推進策として、国民への普及啓発としてのポスター等の作成、それから、医療機関において、こうしたマニュアル等が広く周知され、また活用されるように、e-ラーニング等によるハラスメントへの対応策を効果的に学習できる取組を推進してはどうかということで、御提案するものでございます。こうした事務局からの提案に限らず、さまざまな御指摘をいただければと考えております。資料の説明は以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
ただいま事務局のほうから、資料2に基づきまして3つの論点が示されております。以下では、この論点を1つずつ御議論していただければと思います。まず最初に論点1、届出制度で、資料で言いますと3ページから14ページまででございますが、この部分につきまして御意見、御質問等を承りたいと思います。太田構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 太田ですけれども、12ページの資料です。ナースの就業人口と実際の人口とは、正確には相関していない部分もあるかもしれないですが、例えば東京都はほぼ1000万人の人口があるわけですね。北陸3県はそれぞれ100万人程度だと思うのです。そうしますと、このグラフを見ると、圧倒的に富山、石川、福井の3県の比率が高いということが読み取れると思うのです。北陸3県でなぜここまで高率に届出があるのかという背景について検証して、そういったものをモデル化して、届出の低いところで参考にして、ある種のムーブメントにしていかないといけないと思います。論点2に関わってしまって恐縮ですけれども、23ページのナースセンターの職員数に関して北陸3県を見ますと、5.2とか4とか、中央値に満たないぐらいに見えるわけですけれども、実はこれ、人口で除さないと正確な比較ができないと思うのです。例えば、東京は1000万人以上、人口があるところで36人です。それに対して、富山、石川、福井というのは100万人、つまり人口は10分の1であるにもかかわらず、5人ということは、非常に高率といいますか、ナースセンターの職員は非常に手厚いということじゃないかなと受けとめます。したがいまして、意見といいますか、質問は、高率の都道府県の背景をちゃんと調査されているかどうかという点です。ムーブメントだと私は思うのですけれども、比率の低い県もあるわけで、逆に低いところはなぜ低いのかということが客観的に評価されないと、全国的な規模で運動論として展開していくことが難しいのではないかと思います。
○尾形座長 12ページの大きな地域差の要因ということですが、事務局、何かありますか。
○金子看護課長補佐 例えば、石川県のほうでございますが、伺っている限りでございますが、届出者数が増える年度末に向けて、県の行政の担当の方と県の看護協会の会長様の連名で、施設等に届出の周知の依頼文書を送付しているという取組を行ったり、県の行政が運営している石川県のラインがあるようです。「石川ナースナビ」というラインがあるようですが、そちらに届出制度の情報を通知したりということで、そうした取組を行っていると伺っております。
○尾形座長 太田構成員。
○太田(秀)構成員 そうすると、それが非常に有効に作用しているのではないかと推測されるわけで、このような届出数を高めるための具体的な方策を周知していかねばいけないと思うのですけれども、そういったことは、どこで、誰の責任でやっていくのかという課題も出てくるのではないか。いかがでしょうか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○乗越看護職員確保対策官 御指摘ありがとうございます。太田構成員の御指摘のとおりでございまして、そうした取組をしっかりと周知していくということが、最も重要なことではないかと考えております。そうした取組につきまして、国のレベルでは、中央ナースセンターにおいて、都道府県ナースセンター、それから都道府県の担当者の方にも一緒に集まっていただいて研修会を実施しております。また、厚生労働省におきましても、担当者会議を通じまして、好事例についての周知も図っておるところでございます。そうした取組を引き続きしっかりとやっていきたいと考えてございます。
○太田(秀)構成員 わかりました。
○尾形座長 山口構成員。
○山口構成員 私も太田構成員と全く同じで、せっかく届出制度ができたにもかかわらず、1割に満たない方しか届出をしていないという現状があって、この説明のつかないばらつきというのもあるということからしますと、ぜひ好事例を広めていただきたいと言おうと思っていました。しかし、既に研修でされていて、好事例も出しているのに、それが広まっていかない理由がどういうところにあるのか。それから、実際に届出が少ない地域はなぜなのかという分析自体はできているのかというところが非常に気になりました。ですので、好事例の紹介の仕方を、「こういうふうにすると増えるので、ぜひみんなでやりましょう」ということで実効性のあるような周知になっているのか、単に好事例の紹介だけでとどまっているのか、そのあたりの現状というのはどうなっているのでしょうか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○乗越看護職員確保対策官 今の御指摘については、我々としても真摯に受けとめる必要がある部分もあるのかなと思っております。事例について、お示ししてはおりますけれども、先ほど金子のほうから申し上げましたけれども、実際に事例を示して、さらにこの事例については、都道府県や関係団体との連携が必要になってくることになりますので、そうした単なる事例を示すということではなくて、具体的に連携を図っていく。そうしたところにまでどのように進めていくかということも含めて、都道府県、それからナースセンターと一緒に話をして、届出の強化というものを一緒に考えていく必要があると考えております。これは、今後の研修会、また会議等に生かしていきたいと考えております。
○尾形座長 山口構成員。
○山口構成員 考えるに、多分、好事例を紹介されても、それを具体的にどういうふうに展開していけばいいかというノウハウがわからないのではないかと思います。そうするために、具体的に何をすればいいのかというところまで、恐らく提示しないと動けないのではないかという気がしましたので、さらにそういった具体的なことを一歩進めていただけたらと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 この届出制度については、先ほど説明がありましたとおり、厚労省のほうから私どもが委託を受けて中央ナースセンターとしてやっております。確かに、届出数が少ない、認知度が低いといった課題については、これからもしっかり取り組んでいかないといけないと考えています。
一方、この届出制度は努力義務であり、看護職の確保を考えていくときには、今把握できていない未就業者、潜在看護職員を含めて把握をしなければいけないのではないかと思っております。
もう一つ、就業している看護職を把握する制度として、看護職は2年に一度、業務従事届というものを出しております。医師や薬剤師は未就業者も含めて把握されておりますけれども、看護職についてはそのようになっていないため看護職の資格保有者全体の把握に関する新たな届出のあり方についても、今後、検討しないといけないのではないかと思っております。これからの社会で安定的に看護職員を確保するためには、先ほどから繰り返しておりますが、全資格保有者を対象とした届出制度もあわせて考えながら今の届出制度も並行して進めていかないといけないと思っております。
○尾形座長 内藤構成員、どうぞ。
○内藤構成員 内藤病院の内藤です。確かに、ちょうど何年か前に始まったときに、当院でも看護職員を集めて届出制度が始まりますという話をしましたけれども、当院の師長のほうから、そういう新しい「管理」が始まるということに関して、「管理」とは違うかもしれませんが、届出、イコール、みんなの動きがわかってしまうみたいな話になると、師長のほうもそれを余り強く言えない、マイルドにしかなかなか言えない。聞いているほうも、何か届出をすると自分が縛られてしまうみたいな認識で、なかなか強く言えなかったというのをよく記憶しております。
ただ、現状としましては、看護職員の確保というのはいろいろな問題が今、含まれておりますし、日本の医療の行く末にも関係してくることだと思いますので、ある意味では、現場感覚に任せないで、法律的にといいますか、制度的にそれをしっかりやっていくということが、今、非常に必要になっていることではないかなと、鎌田さんのほうからもそうお話がありましたけれども、それが非常に急いで必要になっているときではないかなと私も思っております。よろしくお願いします。
○尾形座長 本田構成員。
○本田構成員 質問しようと思ったことを、今、お話しくださったのですけれども、届出制度があるのにしないというのは、ただ、知らないだけではなくて、何か嫌なことがあるのですかと思ったのです。管理されると理解されてしまうというのが、その一つの理由なのかなとわかったのですけれどもね。
私も、別に管理というわけではないということ、その制度のあり方そのものを周知することも必要だと思いますけれども、先ほどから議論にあったように、こういう制度がありますよとお知らせすることを幾らやっても、どこが、どういうふうにやるのか。それを届けておくことで、どういう意味があるのか、もしくは自動的にそれは把握されているということがいいのか、悪いのかという議論はあるかもしれませんけれども、先ほど鎌田構成員がおっしゃったように、医師や薬剤師ではきちんと資格を持っている人たちを把握する仕組みがあるので、看護師においても、医療・福祉にかかわる役割は大変大きいところがあるので、そういう仕組みを考えるときではないかと思いました。
○尾形座長 ありがとうございます。竹中構成員。
○竹中構成員 実は、私もこの中央におけるナースセンターの運営協議会のメンバーなのでございますが、日看協と一緒にこの3年間、一生懸命やってきまして、日看協は一生懸命頑張っていらっしゃるのです。いろいろな周知活動を行っていますし、またeナースセンターをつくって効果を上げております。ただ、そんな活動をずっとこの3年間続けましても、知っていらっしゃる方が3割、実際の届出は15%程度ということで、何か抜本的なことをやらないと、これ以上、同じことを繰り返すのかなという感じはいたしております。
努力義務になっておりますので、その点をもっと競争力を発揮するような制度・体制にできないのかどうか、法的なことはよくわかりませんけれども、職業の選択ないし去就は自由でございますけれども、国として看護需給の制度をしっかりとした体制をとりたい、データベースをきちんとしたいということであれば、ある程度の情報量というものが大切になりますので、個人的な努力だけではなくて、国家として制度上の問題を論ずるべきではないかと僕は思っております。これが基本的人権に背くものであれば問題がございますが、データベースとして国の施策を決めるということでございますので、そこまで抵触しないのかなとは思っております。以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございます。高砂構成員、どうぞ。
○高砂構成員 病院等では、代行届出というのを確実にしていらっしゃるのかもしれないですけれども、訪問看護ステーション、小さな規模の事業所では、今まであまり代行届出というのをやってこなかったので、辞める方の管理ではなく、その人に情報提供するとか、この届出制度の意味を含めて、辞めるときに代行届出の何らかのインセンティブといいますか、御説明ができて、参加できるように協力できるといいのかなと思っています。
○尾形座長 伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 届出制度が、せっかく政策的に重要性がきちんと認識されて、努力義務とはいえ、法律に位置づけられていることからすれば、これが有効に活用される必要があると思っています。そういう意味で、4ページに掲げられているような広報の強化や学生のときからの周知とか、eナースセンターのマッチング強化とかインセンティブもあり得ると思います。
あと、届出された人へ提供する情報は都道府県ごとに違うのかもしれないですけれども、この内容も、ナースとして働かないという道を選んでしまう人もいるわけだから、有益な情報、ナースで働くとこんなにいいことがあるのだよという優越感をくすぐるような情報も提供する必要があるのだろうと思います。
あと、先ほど、情報漏えいというか、個人情報保護に懸念を持たれているといった話が出ていましたが、登録者に対してアンケート調査でもやって、どういうことが求められているのか、何が不安なのかを把握したほうがいいのではないかと思います。当然のことですけれども、職制における個人情報保護も重要ですし、ナースセンターにおける登録情報は秘密厳守ですよということは、ナースのほうにそれが伝わらないと意味がないですから、そういうものを徹底される必要があると思います。
論点が細かく分かれていて、44ページの最初の俯瞰図で、届出制度とナースセンターの機能強化が個別に分かれて設定されているので少し話がしにくいのですけれども、とりあえず届出制度のことは以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。釜萢構成員。
○釜萢構成員 この届出制度というのは、看護職が働いていたのを辞めたとき、離職した場合に届け出るということですね。離職した場合に、もう看護職を辞めてしまおうと思う方と、再就職も視野にお辞めになる方があって、看護職を続けていかれる方については、届出をすることによって就職に関する情報を得たいという方がかなり多いのではないかなと感じます。離職における届出というのは、現状においてはやむを得ないのですけれども、先ほどちょっとお話が出た、看護師、補助看とありますけれども、国家資格の登録をもう少ししっかり管理するという視点を持つかどうかということは、今回、ぜひ議論しておくべきことだと思います。
先ほど、比較されて医師の話が出ましたが、医籍の登録も実は完璧なものではなくて、2年に1回、届出をしますが、医籍に登録はされているけれども、実際は亡くなって除籍されたかどうかというところをしっかり管理しているわけではないのです。そのあたりをどういうふうにするか。
医師の数と看護師の数は大分違うので、看護師を全部管理しようとすると、それはなかなか大変かもしれないけれども、国家資格保有者をしっかり把握するということになると、一定の年数ごとに、例えば登録住所地に郵送物を郵送して、返事が返ってこなかった場合には、一定期間たつと何らかの形で資格を停止して、もちろん再届出があれば、すぐに戻せばいいのですけれども、そういう形で報告しないと資格が使えなくなるという形まで持っていけば、把握はかなり可能になるだろうと思います。
看護師の場合には、潜在看護師といって、わけがわからない部分のボリュームがいつも問題になるわけですが、そのあたりをしっかり把握しようとすると、今、申し上げたような仕組みの導入が必要になって、これはかなりお金もかかることなので、やるかどうかについては検討が必要ですけれども、この需給分科会で検討しておくべき項目ではないかなと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかは、いかがでしょうか。森本構成員、どうぞ。
○森本構成員 15ページに、都道府県のナースセンターによっては、人員体制等の課題があり、巡回相談等の回数を増やすなどの事業の拡大が進んでいないという課題が挙げられています。現状では、都道府県ナースセンターの事業費と人員の少ない県では、年間約800万円、2、3人でナースセンターの事業を行っており、とても県全体で看護職の確保を担えるような体制にはなっていないという現状もあると思います。
ある県では、平成27年に地域医療介護総合確保基金によって、事業費と人員配置を約2倍、例えば事業費、約4000万円から1億円、人員配置、5.8から11.8として体制を強化しています。ナースセンターの利用を推進するためには、利便性のよい駅前に支所を増設するということや、認知度を高めるための広報などの事業を実施しています。これによって、ある成果がでていることも確認できています。そのような看護職確保の成果が見られているという状況においても、この事業が推進できる人員の確保が必要ではないかと考えています。
○尾形座長 議論がすでに論点2のほうに入っていますので、特に論点1についてこれ以上なければ、論点2のほうに入りたいと思います。どうぞ、山口構成員。
○山口構成員 先ほどから議論になっている届出のことですけれども、私、初め、義務になると思っていたのです。それが努力義務になったときに、正直がっかりして、結果こうなっているということからしますと、先ほどから出ている、もう少し強力なあり方ということを、ぜひこの看護職員需給分科会の中で議論していくべきだと私も思いますので、そのことをつけ加えてお伝えしたいと思いました。
○尾形座長 ありがとうございます。届出について、ほかに御意見、よろしいでしょうか。
それでは、また戻っていただいても結構ですが、とりあえず先に進みたいと思います。論点2、論点1とも密接に関連しますが、ナースセンターの機能強化という部分です。この部分につきまして御意見、御質問、お願いしたいと思います。島崎構成員。
○島崎構成員 論点1とも当然関係するのですけれども、届出をすることがどういう意味を持つのか。特に、条件がよければ就職したいと思っている場合に、就職に有効でなければ、届出をしても意味がないという話に結局なってしまうのではないかと思います。
その意味で、今日の資料の21ページ、リクルート活動の実施状況とその効果、病院だけ出ていますけれども、採用につながった者の割合でみると、有料職業紹介事業者に負けています。言葉が適切かどうかわかりませんけれども、この資料は就職に結びついた割合としては、有料職業紹介事業者の利用のほうが高かったというように読むのですね。有料職業紹介事業者は、就職してもらわないことには利益になりませんから、一生懸命やると思います。 それと比べてみたときに、ナースセンター・ハローワークは、どういう優位性というか、メリットを持っているのか。建前的に言えば、それぞれの人の希望とか、キャリアパスみたいなものをきちんと考えて、その上で募集している施設のマッチングがきちんと図れるというのが理想なのでしょうけれども、それを本当にやろうと思ったらなかなか大変ですね。いろいろな情報のネットワークもないとできませんし、本人の希望をうまく咀嚼して、本人の適性も考えなければならないとなると、なかなか大変だと思います。
言いたいことは、やるのだったら本腰を入れてやらなければいけない。そうではなく行政として、言葉が不適切だったらお詫びしますが、一種の「アリバイづくり」としてやるのであれば、やめた方がよいし、根本的に基本的なフレームも見直したほうがよいのではないかというのが、私の意見です。要するにやるならやる、中途半端にやるくらいだったら、費用対効果が落ちるのではないかと思います。
○尾形座長 ありがとうございます。太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 病院団体から来ております太田でございますが、このナースセンターの問題に関しましては、幾つかのところで看護協会さんと意見がぶつかるところがあるのですけれども、基本的には一体的に考えているところでございます。
先ほど費用対効果はどうなのだという話を先生、されましたけれども、17ページを見ていただくと、ナースセンターを介しての就職者数が1万2000人ございます。我々、病院を経営しておりますと、有料職業紹介事業者というのはどうしても避けて通れないところになっているのですけれども、今、1病院当たりで1人の看護師さんをそういうところを介して御紹介いただくと、60万円から80万円ぐらいかかっている。100万円というところもあります。これは、先ほどのナースセンターの運営費、僕が概算で足しますと20億円ぐらいにしかいっていないということで言いますと、そういう面では費用対効果は良いことを、ナースセンターさんによる人材斡旋はしていただいていると認識しております。
そういう意味で、ナースセンターの機能を、もし予算をある一定程度、基金を含めてかけて強化することによって効果があるのであれば、私としては、これはぜひ積極的に進めていただきたいなと思っております。
ちょっと気になって見ていたのが、平成27年まで、就職者数というのはどんどん減ってきているのは、先ほどありましたけれども、さまざまなてこ入れをしていただいて、今、少し右肩上がりに戻ってきつつあるような状況なのではないかと思います。これは、そういう努力の成果もあるでしょうし、または看護師さんの需給そのものの環境の変化というのもあるのかもしれませんけれども、とにかく有料職業紹介所の問題というのはどうしても避けて通れない中では、こちらに関しては、基本的には機能強化をぜひお願いしたいと思っています。
あと、もう一つ、論点としては、有料職業紹介所のほうは、いわゆる支度金とか、さまざまな形で新規の転職の方にお金が流れる仕掛けになってしまっているのです。どうしてもそういうものと競合しなければいけないということで、各都道府県ナースセンターの方々というのは実際苦労している。若い方々の認識というのも非常にドライになってきているところがございますので、制度として、ここの部局の話ではないですが、そういうものは公的な枠組みで提供している我が国の医療の中では、本来であれば、そこの部分の自由度に少し制限をかけるような形の議論というのも、もしまとめに入れられるようでしたら入れていただきたいなと思っております。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 私も、民間職業紹介事業との関係が非常に重要だと思っているので、今日の資料に無料職業紹介たるナースセンターの事業の資料しかなくて、看護師における職業紹介のプレゼンスがどれぐらいあるのかが、これだけでは見えないと思って、自分なりに見てみました。平成29年ですけれども、有料のほうは、求職者120万人に対して求人が26万人、こちらの無料のほうは、求職1万4000人に対して求人が4万7000人と、ちょうど逆転していて、ボリュームとしては1.1%ぐらいしか無料のほうはないという小さな規模です。
看護師は、有料職業紹介を使おうとする。医療機関は、むしろ無料職業紹介を使おうとしているという関係がはっきり出ていて、こういう前提で、先ほどのメカニズムの問題や、支度金の問題などもありますけれども、都道府県ナースセンターが事業をしていく必然性をきちんと考える必要があると思います。私は、決してやめるべきというつもりで言っているのではなくて、そうでないと説得力がないと思うのです。
では、有料職業紹介に全然問題がないかといえば、そんなことはなくて、手数料問題のほかにも、求職の時点で本当は既に存在しないような求人情報を提供して、ほかの病院を無理やり紹介するとか、求職者の適性を十分考慮せずマッチングしたために辞めてしまう人が病院側に聞くと結構な割合である。こうしたことについても、無料職業紹介ではどうなのかということも、データ的には見てとれません。ですので、何が強みなのかとか、無料職業紹介側の良い点は何があるのかというのをきちんと冷静に見ないといけないのではないかと思っています。
その観点から言うと、届出制度が法定されていて、その情報が使えるというのは、無料職業紹介側の有利な点だと思います。けれども、それが十分生かされているのかというところがあると思います。だから、そういう分析をもっときちんとやる必要があると思っています。
1つ、私が今、思ったところは、民間職業紹介のほうはコーディネーターがかなり多いのかなと思ったら、それほどでもないという感じもあります。確かに都道府県ごとで職員数の割合が出ていますけれども、全国的にならせばそんなに遜色がない可能性もあります。現状として、都道府県単位のナースセンターの事業で、他県、隣県への情報提供とか職業紹介に資する活動はされているのか、都道府県境を越えた活動ができているのかをお聞きしたいと思います。
○尾形座長 最後の点、御質問ですので、事務局、お願いします。
○乗越看護職員確保対策官 今いただきました伊藤構成員からの御質問でございますが、申しわけございません、具体的な隣県との連携について、厚生労働省のほうで把握しているというのは、この場ではございません。ただし、eナースセンターにつきましては、全国の情報が確認できるようになっておりますので、そうした意味で、仮に他県の情報を確認したいということであれば、それについては確認が可能ということになっております。
それから、先ほど来いただいております有料職業紹介の関係でございます。事務局のほうから補足の情報で申し上げますと、まず、なぜ有料職業紹介を利用しているのかという点につきましては、少し前になりますが、平成25年度の厚生労働科学研究費の看護師の方へのインタビュー調査におきましては、迅速性といった観点からの利便性を意図して利用しているといったことですとか、また、インターネットのサイトを利用していて、何となく幾つかポチポチ押していると誘導されたといったこともあるという調査結果がございます。また、施設側との交渉を代行してくれるといったことも挙げられておるところでございます。
それから、有料職業紹介事業者に対して必要な規制をという御意見もございましたけれども、これに関しましては、有料職業紹介事業者に対する仕組みといたしまして、これは平成29年の職業安定法の改正が平成30年1月から施行されてございます。この中に、職業紹介事業者において、必要な情報の公開、紹介実績の公開といったこととあわせまして、手数料等についての情報を公開するということになっております。そうしたこととあわせまして、指針におきまして、事業者に対して求める事項ということで、幾つか適正な事業運営を促すための事項が示されております。
例えば、紹介した求職者に対して、就職した日から2年間、転職の勧奨を行ってはいけないといったことですとか、求人側から徴収する手数料について返戻金の制度を設けることが望ましいといったこと。また、求職の申込勧奨について、求職者にお祝い金を提供することは好ましくないことといったことが指針の中に示されておりまして、そのようなことを有料職業紹介事業者に求めるといった仕組みが、既に平成30年1月から施行されておるところでございます。以上でございます。
○尾形座長 どうぞ、伊藤構成員。
○伊藤構成員 今みたいに口頭で言っていただいても、わかりにくいのでもう少し資料も用意して、無料職業紹介事業としてのナースセンターの意義を議論できるようにしたほうがいいのではないかと思います。
その点で、求職活動も9割以上はネットで検索しているという状況が厚労省の検討会に2015年の時点でも出ています。そういったネットに対応できる環境をもっと充実させる必要があると思いますし、あと、県境を越えたということについて言えば、ハローワークの巡回相談をやっているということなので、これ自体が県境を越えた活動の可能性は十分あると思いますし、必ずしも登録している情報と働こうとするところが同一都道府県内とは限らないと思いますから、そういう柔軟性も含めて、この都道府県のナースセンターの活動の意義を踏まえた充実を考えていく必要があると思います。以上です。
○尾形座長 資料については、今お話があったように、次回以降、少し整理して出していただければと思います。島崎構成員。
○島崎構成員 すみません、手短に申し上げます。先ほど太田委員がおっしゃったことに対して、私は反対したわけではありません。ナースセンターはもう辞めてしまえということを申し上げたわけではなくて、民間の事業者が商売として成り立っていることに鑑みれば、ナースセンター事業の欠点というか、ウィークポイントがあるのだということをきちんと自覚しないとまずいという意味で申し上げています。 その点に関連して言うと、先ほど伊藤構成員がおっしゃったように、県をまたがってということもさることながら、何といっても求められるのは迅速性だと思います。求職者のほうもそうだし、病院や施設側も、例えばそこで欠員が出たら、すぐに雇いたいからこそ事業者のほうに頼るのであり、ナースセンターもそういうスピード感を持って対応するということも考えていかないと劣後してしまうということを申し上げたかったということです。
○尾形座長 鶴田構成員。
○鶴田構成員 資料15ページのナースセンターの機能強化の2ポツのハローワークについてと、5ポツ目の都道府県と地域の連携という観点から意見を述べます。
ハローワークについては、19ページにあるように、順調に数は伸びてきているという資料が示されていますけれども、ナースセンターの職員とハローワークの職員が一緒に行って相談を受けるというのが今の対応だと思います。ナースセンターの人に聞いたら、ナースセンターの人員配置とかが少ないこともあって、開催回数が少なく、看護職の求職者が直接ハローワークに行くような場合がある。そうすると、ハローワークにいる職員に対する教育、例えば、Q&Aとか何かを作っていてハローワークの職員が対応するとか、そういうふうにして、ハローワーク単独でも対応できるようなことを考えてはどうかという意見があります。それは、ナースセンターに人が少ないということも一因であります。
2番目の都道府県と地域が連携することについては、事業例の2と3に静岡県と書いてあります。昨年、日本看護協会が進めた看護職の確保モデル事業を採択していただいて、静岡県のある医療圏で連携事業を行ったところ、その圏域において、どういう看護職に対するニーズがあるかとか、施設とのマッチングとか、そういう取組をしたことによって、前年度はナースのお仕事フェアに6人ぐらいしか来なかったけれども、53名、2桁の参加者があったと聞いています。施設も、求職する人にとってもお互いの顔が見えるというか、内容がわかる取組が必要かなと思います。
静岡県は医師確保対策をやっていて、研修医と医療機関のマッチングをしていますが、その担当していた事務職員が医師確保対策から看護確保対策を担当することになり、看護師も医師確保対策と同じですねという話をしていましたので、紹介だけしておきます。
○尾形座長 ありがとうございました。内藤構成員、どうぞ。
○内藤構成員 私も病院の団体の代表ですけれども、東京都病院協会では、こういう問題が非常に前から言われていまして、先日、東京都病院協会の中の救急委員会で看護師募集についてのアンケートをとらせていただきました。実際のところは、そのアンケートというよりは、有料の紹介業者を使ってどうかという話ですけれども、まさに先ほどからお話が出ているような状態で、マッチングがうまくいかない、短期間で辞めてしまう、能力的にマッチングが全く合わないということですけれども、そういうことと、非常にお金が高くかかっているということ、さらには、それ以外の手はずでは看護師がとても募集できないので、仕方なくそれを使っているというところが非常に多かったです。
それから、そういうことを反映してなのか、手数料が最近値上げされてきているという話もありまして、今後の病院経営が非常に厳しい状況になっていくのではないかと思うのですが、一方で、その紹介業者というのが、コーディネーターという話がありましたけれども、実際にはついてきても、紹介してくる病院、例えば私の病院に来るとすれば、私の病院のことを全然知らない。それから、紹介して連れてくる看護師の能力のことも全く知らない。ただ連れてきたというだけの方がついてきて、看護師さんの有利な条件をこちらに押しつけてくるという感じのことが多くて、本来で言うマッチングとはとても言えないような状況ではないかなと思います。
実際問題、例えば当院で何か新しく施設を立ち上げて、そこのノウハウを持っている方に入っていただくのであれば、高いお金を払っても仕方ないと思いますけれども、数が足りないから合わせる。ちょっと問題があるのですけれども、良いでしょうかと連れてくる方も中にはいらっしゃったりするわけです。そういう業者に我々、高いお金を払ってやっていくというのは非常に問題だと思うのですが、現場の看護師のほうから聞きますと、eナースセンターとかは、手数の問題ではなくて、ソフトの問題もすごく大きいと思います。前にもお話が出たかもしれませんけれども、紹介業者というのは非常にうまくできていて、アンケートみたいなところから入っていって、最後、連絡先で向こうにつかまってしまうとなっているらしいですけれども、ナースプラザのものに関して言いますと、非常に複雑で、入っていくのが難しいし、例えば自分がこういう条件で働きたい、もしくはこういうところで働きたいということを打ち込んでも、全然違うものが紹介されるとか、非常に使いにくいということがあります。
今の時代、例えば営業は足でするという時代じゃないらしいので、看護師さん集めも、人の数を合わせるというよりかは、ネットでソフトを非常に使いやすくして、それで夜、疲れているときに、こんなに疲れていたら、今の病院、ちょっとやっていられないなというときに、どこかないかなと思ったときに、ポチッと押したらナースプラザのソフトに入っていって、そうかと思っているうちに連絡先を教えてくれるみたいな形にしていかないと、今の時代にはついていけないのではないかと思っています。
紹介業者ですと、ポチッと押すと、1時間もすると電話がかかってきて、極端に言えば、この人、うちの人みたいな形になってしまうようですから、ソフトの部分がすごく大きいのではないか。そこの改善が必要なのではないかということを強調させていただきたいなと思ってお話しさせていただきました。
○尾形座長 ありがとうございました。山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 15ページの論点2のナースセンターの機能強化で、さっきからハローワークのことが出てきていまして、マッチングを強化していると書いてあります。私は、マッチングの前に、さっきの平川構成員のお話にもあったように、看護師さんの働く職場はかなり幅広くて、例えば老健施設1つとっても、かつてと現状が変わってきているということからしますと、どういうところが、どんな役割を担っていてということをまず理解してもらうということが大事なのではないかと思います。
ですので、マッチングの前の段階でニーズと、どんな職場があるかを理解して、適切に選べるようにならないと、マッチングということもうまくいかないのではないかと思います。そのために例えば新規採用者が4割近く離職してしまうという、とてももったいないことが起きていると思いますので、現状とイメージとのギャップを埋めるようなことが大事ではないかと思います。
もう一つ、ナースセンターには、60代の職員の方がかなり多くを占めているということからしますと、例えば若い潜在ナースのニーズが理解できなかったり、さっき石川県でラインを使ってという紹介がありましたけれども、そういう若い人にアプローチするにはどうしたらいいかという発想自体が、うまくかみ合ってないのではないかと思います。職員は60代の方が多いとしても、どんなやり方をすればいいかというアドバイスを受ける仕組みづくりといいますか、そんな工夫もしていかないと、時代についていけないような現状になってきているのではないかと思いましたので、そこは改善が必要ではないかと思います。
○尾形座長 ありがとうございます。もう一つ論点がありますので、小林構成員で最後にさせていただきたいと思います。
○小林構成員 私も、マッチングの前に、現実と理想のギャップを埋めることが重要と考えております。資料の21ページにありますように、看護師の採用につながった割合は、有料紹介事業所よりも、むしろ病院見学・説明会の開催・インターンシップの実施のほうが高くなっています。つまり、実際に現場を自分の目で見たり、働く体験をしたりすることで、ここに就職して、私は本当に辞めないで働き続けることができるのかといった確信を持つことが何よりも重要だと思うのです。資料の27ページにある訪問看護基礎研修開催のトライアル雇用例は、とても参考になる取り組みだと思います。自分が関心を持っている施設で、1~2週間、実地研修をすることができ、その間は、自分で研修費用を支払う必要はなく、賃金が支払われる(その取り組みでは、1日5000円程度)制度です。現場に復帰して、しっかりと働きたいと思っている看護師にとっては、有料紹介事業者から提供される支度金よりも、このような仕組みの方がインセンティブになると思います。ですので、このような取り組みも含めて検討していただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。まだほかにもあるかもしれませんが、済みません、最後に大崎構成員。
○大崎構成員 申しわけありません。退職を決定する面接をしておりますと、次、どうするのと聞いたら、「業者に相談します」ということをよく言います。先日、「ガイアの夜明け」で放送がありましたように、そういう仕組みを説明すると、やめますと言うのですけれども、今の若い子は、自分の足を使って、自分で施設に行くとか、電話をかけてアポイントをとるといったことをするのがすごく苦手で、業者がそれを全てやってくれるのです。施設見学や面接日を決めてくれたり、面接に一緒についてきた人もいる等、とても懇切丁寧にやってくれたら、探している本人にとってはすごく楽なわけです。それを思いますと、石川県で発表がありましたように、石川県委託のキャリアコンサルティングという、外部の業者の方を頼まれて、その方が民間業者みたいなことをされているなと感じましたが、そういったことも大切じゃないかなと思います。あと、そこで本当にやっていけるかどうかというところは、先ほど小林先生も言われたように、3日間、1週間でいいので、実際、そこで働いてみるという制度も非常に重要なことだと思います。以上です。
○尾形座長 では、一言。
○鎌田構成員 中央ナースセンターもいろいろ取組をしておりまして、25ページ以降にモデル事業でやっていることを記載しておりますので、これを全国展開していかないといけないと思っております。加えて、これから地域医療構想を実効性のあるものにしていくためには、看護職員の円滑な労働の移動を図ることも必要であるということから、ナースセンターの機能強化と機能拡充、また機能追加についても、今後、幅広く検討が必要だと思っております。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。すみません、先を急ぐようですが、もう一つ論点がございますので、論点3、ハラスメント対策について御意見、御質問、お願いします。 鶴田構成員、どうぞ。
○鶴田構成員 十数年前、病院経営に携わったとき、当時は暴力対策ということで、県警の暴力団課長に講演に来てもらいました。当時、厚生局から医療監視に各大学に行くと、ハラスメント、特に暴力対策については、各大学とも統計をとっていましたし、その対応策を持っていましたので、そういうものも集められてはどうかと思います。
最近、働き方改革の中で、医療関係者の自己犠牲のもとに、今、医療は成り立っており、医療は危機的状況にあるという認識が述べられていますが、こういうパワーハラスメント、セクハラを含めて、こうした者に対するペナルティーがあってもいいのかなと思います。訪問看護の分野の人から言われたのは、ハラスメントを受けると担当者が辞めるということがあるので、2人で訪問に行かせてほしい。そうすると、費用は一人は保険で対応しても、もう一人については訪問先の自己負担で徴収してもいいような、そういう費用面での対応も検討してはどうかという意見がありましたので、紹介だけしておきます。本県の看護協会の会長さんは、ぜひそのことを言ってくれと言っておりましたので、よろしく。
○尾形座長 ありがとうございました。平良構成員、どうぞ。
○平良構成員 私の現場でも、最近、ひところよりは患者・家族からの暴力といいますか、暴言がかなり出ておりまして、現場の職員は医療を提供している立場ですので、我慢をある程度するのです。我慢の限界に来てから私どもに相談してきますので、対応が遅れがちになります。ハラスメントについては、我慢する必要は無いと思いますが、現場の職員の理解が十分ではないと認識しています。基本的な知識から、うちもこれから勉強していくところですけれども、ハラスメント対策、29ページ、現状の一番下の○で書かれているマニュアルの整備やガイドラインというよりも、対応策などについて少し御提示いただくと、現場でもかなり参考にさせていただけるところはあるかと思いますので、これはすごくいいことだなと思っております。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 このハラスメントについては、30ページの「御議論いただきたい点」で、マニュアルを作るということで、1行目ですけれども、患者や家族からの暴力やハラスメントに対する対応策について示したものがないとあるので、患者や家族からの暴力に関するマニュアルを作成する。それを踏まえて、下のようなことをやるということで読めます。
32ページを見ますと、看護職が受けるハラスメントは患者や家族からだけではありません。この職場におけるハラスメントは、職員、施設内で働く者からのハラスメントという面の両方を必ず念頭に置いた検討・対応が必要ですので、そういう検討をしていきたいと思います。よろしくお願いします。
○尾形座長 ありがとうございました。内藤構成員。
○内藤構成員 私もハラスメントと聞いたときに、実は上司からのハラスメントかなと思ったり、同僚からのハラスメントというのが頭にすぐ浮かんだということは、うちの病院でそういう問題があったということですけれども、今お話がありましたように、患者とか家族だけではなくて、医療の現場におけるハラスメントはどういうものなのかということを、しっかりともう一回認識して、医療従事者だから我慢するということではなくて、ハラスメントに対して、みんながしっかり認識を持つことによって、職場が健全に運営される、もしくはしっかり医療が提供できるということを前提に踏まえて考えていく必要性があるのではないかと思っております。
○尾形座長 本田構成員、どうぞ。
○本田構成員 私は、医療を受ける立場で、患者とか家族の側に立つ者ですけれども、どんな立場の人間にもいろいろな人がいるので、患者だからこんなことを言っていいということもない一方で、医療者だからこんなことを言っていいということもない。そういう意味合いで、もちろん患者・家族がハラスメントをしているケースも多々あると認識しています。一番言いたいのは、今、内藤構成員もおっしゃっていましたけれども、ハラスメントとは何ぞやというものをきっちりとした上で、その対策を立てるということ。今までもされていたと思いますけれども、上司・同僚、患者・家族を含め、ハラスメントとは何なのかということをもう一度きっちりさせた上でやっていただきたいと思います。
1つ申し上げたいのは、患者・家族の立場では、例えば医師にこういうふうに言われていたのを、とても言えなくて、結局、看護師さんが別に悪いことをしたわけでも何でもないのだけれども、爆発させてしまったということは多々あることだと思いますし、そういう意味合いでもハラスメントとは何ぞやということをちゃんと明確にしていっていただきたいと思います。
一方で、何でもかんでも看護師さんが我慢する必要はないので、私は難しいと思うのですけれども、それは違うのだということ。ケアとか看護できない、しないというのはまた問題だと思うのですけれども、ペナルティーというのも、できるものとできないものがあると思うのですけれども、何かしら考えなければいけないという部分はあるのかなと、ちょっと個人的には思うこともあります。以上です。
○尾形座長 森本構成員。
○森本構成員 先ほどからも出ていますように、医療現場で活用可能な対応マニュアルを作成するための指針を検討するとありますが、それに加えて、訪問看護では、特に1人で訪問する機会も増えて、その対策が急がれていると思います。あわせて、医療機関以外、在宅領域等の看護職員も安心して働き続けられるよう、利用者やその家族からのハラスメントを防止するための対策を進めていく必要があると思います。
次のページに国民への普及啓発、それから職員の学習という話が先ほども出ました。医療機関への支援の中で、効果的な学習ができる取組等も含め、在宅領域なども含めて、ぜひ検討いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○尾形座長 ありがとうございました。平良構成員。
○平良構成員 先ほどの意見に追加ですけれども、資料の41ページにパワーハラスメントの3つの要素、全てを満たすものがパワハラとして規定されているという1、2、3、ありますけれども、1の優越的な関係に基づくというところだと、職場と考えたときに、上司とか先輩とつながるのですけれども、実際には、弱い立場を利用して上司を圧迫するという現実もあるのです。それで管理者がほとほと参って、精神的に落ち込むということもあるので、私が申し上げたいのはハラスメントの定義のようなものですけれども、法的にはそうかもしれないけれどもというところは、ガイドラインなりで明らかにしていただけたらありがたいなと思います。意見でした。以上です。
○尾形座長 ありがとうございます。ほか、いかがでしょう。事務局、どうぞ。
○乗越看護職員確保対策官 事務局でございます。今の御議論の中で、先ほど平良構成員のほうから資料の41ページについての御紹介がありましたけれども、こちらが今、国会のほうで審議されております、ハラスメントの防止を一つの目的といたします法律案の内容でございます。この中の一つの内容として、パワーハラスメントの防止対策の法定化というものを行うということで、事業主に一定の管理上の措置を講じることを義務づけるとされております。したがいまして、職場の中でのパワーハラスメント対策というものにつきましては、これは病院も含めまして、事業主に義務づけられるという方向で、この法律が国会のほうに提出されておるところでございます。
一方で、今、御議論の一つでございます患者・家族からの暴言・暴力につきましては、41ページの下の○にございます、取引先とか顧客等からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントにつきましては、法律上の措置義務の対象とはしないが、指針において、労働者からの相談体制の整備や被害者への適切な配慮等を行うことが望ましい旨を記載することを検討するとされてございます。指針において、このように事業者・労働者一般についての規定が行われることになっております。
それで、今回、厚生労働省のほうで行う予定の研究事業、38ページでございますけれども、そちらの研究は、目的としては、看護職が患者・家族から受ける暴力、ハラスメントの実態把握を行いまして、それに基づいて医療機関における対応策についてのマニュアルを作成するということを一つの目的としております。そうした意味で、この研究の対象としては、主に患者・家族からのハラスメントということを対象としております。
それから、39ページに介護現場におけるハラスメントに関する調査等もございますけれども、これとは別に訪問介護の関係でのハラスメントに関する研究事業というものを、この三木先生が行っておられます。そうしたものも踏まえて、今後、看護職の関係のハラスメントへの対策についても検討していきたいと考えております。以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 今の御説明だと、指針を作るという話が患者と職員からのハラスメントについての指針だということでしたが、この30ページを読むと、国民への啓発とか医療機関への支援が、全部患者と家族からの暴力やハラスメントについてしかやりませんということになりますので、「これを踏まえ」と上の3行目に書いてある形になってしまうと狭いと思います。以上です。
○尾形座長 竹中構成員。
○竹中構成員 私、院長時代に、夜中に巡回していた看護師に性器を見せた男性患者がおりまして、即、退院させたことが2件ございます。これは明らかな軽犯罪ですし、あと、暴力にしましても、物損事件とか傷害事件というのは明らかに警察の問題になりますけれども、一番困っているのは暴言です。暴言だけでは警察は動かないのです。しかしながら、例えば夜間の救急の現場等で一番傷つくのは看護師です。
それで、今、乗越さんから41ページの下のほうで指針をつくられるということがありましたけれども、現場の人間として、このような暴言を吐く者に対して診療行為を続行する必要が本当にあるのかどうか、非常に激しい怒りをいつも持っているところですが、それに対して、暴言をどの程度抑制できるか。指針をもっと立ち入ったところで述べていただければ、具体的なところで非常に助かるなと思っております。前に患者さんがいれば、我々はなかなか動けないのです。暴言だけでは警察も動かない状況の中で、なかなか対応しにくいところがありますので、よろしくお願いしたいと思います。
○尾形座長 高砂構成員。
○高砂構成員 在宅に関して、いろいろな御意見をいただきまして、ありがとうございます。全国訪問看護事業協会で、3月に「暴力・ハラスメントの予防と対応」という本を出して、一度、演習を含めた研修会をやって、とても効果があった。最初は怖いというイメージが強かったのですけれども、みんなでそれを共有して予防策を身につけることがとても大切だということがわかる研修ができましたので、30ページの医療機関への支援等という中でe-ラーニング等の学習に対する取組も載っていますけれども、そういう研修会とか、さまざまな取組の御支援をいただけるといいなと思っています。よろしくお願いします。
○尾形座長 ありがとうございました。まだまだいろいろ御意見があろうかと思いますが、すみません、私の不手際で、予定を5分オーバーしてしまっておりますが、今日は3つの論点について、大変貴重な御意見を頂戴したと思います。本日、平川構成員からのヒアリングでの御説明、あるいは3つの論点について構成員からいただいた確保策への御意見については、事務局で十分検討していただき、また資料等の工夫もしていただいて、次回以降につなげていければと考えております。それでは、最後に、次回の日程等について事務局から御連絡をお願いします。平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 お時間が押している中、大変申しわけございません。今日は、私ども介護施設の看護、マイノリティの部分での看護・介護の話ができて感謝しております。1点、お願いがあるのですが、今回、今回、看護協会作成の資料を活用し説明したのですが今回のプレゼンテーションの機会をいただいたことを契機に老健施設協会として、この分野に関する実態調査をすることといたしました。調査票は看護協会のものをもとに、より介護老人保健施設に特化したものを今回作成しました。4000施設、各施設5人ぐらいの方から回答をいただこうと考えています。つきましては、ご無礼なお願いではありますが、せっかくの機会ですので、本会の構成員の方々にもお目通しいただき、項目の修正、ご追加等いただければ、よりバージョンアップができると思いますので、ご協力をお願いしたいと存じます。事務局にもご協力がいただけましたので、ぜひよろしくお願いします。最後に申しわけございません。
○尾形座長 ありがとうございました。それでは、事務局、よろしくお願いします。
○金子看護課長補佐 次回の開催日時及び場所等につきましては、また改めて御案内を申し上げます。以上でございます。
○尾形座長 それでは、これで第8回「看護職員需給分科会」を終了したいと思います。長時間にわたります熱心な御討議、どうもありがとうございました。
○金子看護課長補佐 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。では、尾形座長、よろしくお願いいたします。
○尾形座長 こんにちは。それでは、早速議事を進めてまいりたいと思います。本日は、初めに、看護職員確保策の取組に関して認識を深めていくために、ヒアリングを行った後、確保策の具体的な論点についての議論を行いたいと考えております。ヒアリングにつきましては、平川構成員に介護施設の看護職員確保についてプレゼンテーションをお願いすることとし、御準備いただいているところでございます。それでは、平川構成員、どうぞよろしくお願いいたします。
○平川構成員 全国老人保健施設協会の平川でございます。よろしくお願いします。
○尾形座長 申しわけありません。その前に、事務局から資料の確認をお願いします。
○金子看護課長補佐 それでは、お手元の資料の確認をお願いいたします。お手元に、議事次第、座席表のほか、「資料1介護施設における看護職員確保の現状」、「参考資料1 介護施設等における看護職員に求められる役割とその体制のあり方に関する調査研究事業報告書」、「参考資料2介護老人保健施設における看護職員実態調査票(素案)」、パンフレット「協会の概要 全老健」、「期待される老健の役割」、「資料2今回、ご議論いただきたい看護職員確保に関する論点」がございますでしょうか。不足資料等ございましたら、事務局のほうにお申しつけください。
○尾形座長 済みません、平川構成員、お待たせいたしました。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
○平川構成員 全国老人保健施設協会の平川です。よろしくお願いします。まず、老健施設について確認した上で、老健施設で働く看護師のイメージを持っていただきたいと思います。お手元の青い資料をご参照ください。公益社団法人全国老人保健施設協会は、全国で老健施設を運営している者の集まりです。弱小な団体ですが、唯一の誇りは、会員の入会率が非常に高いということです。
病院協会や医師会等々、関係諸団体がございますけれども、老健協会には全老健施設の90%が加入しています。この結果、例えば運営規定や法の改正があった場合、全施設への周知徹底がしやすいですし、もう一つは、様々な調査研究をする際に回答率が高く、良いデータが集まるという点では、組織と良い機能を持つ協会だと思っています。
次に「期待される老健の役割」というリーフレットをご参照ください。これまで老健施設は、在宅復帰の施設というイメージがあって、いまだに老健施設は3カ月で退所しまうという都市伝説が残っているところでございます。勿論そのような事実はありません。一昨年の法改正によって、在宅復帰のみならず、在宅生活を支援する施設という機能と役割が明確にされました。地域包括ケアの中で在宅での生活を維持することが、非常に重要であることは言うまでもありませんが、そのようなニーズから、老健施設は、施設サービスのみならず、施設を背負いつつも、手足は地域に伸ばし、地域を見つつ、支援するという施設になりました。創設当時から、随分変わってきたと思っています。
利用の仕方につきましても、開いていただきまして、2ページ、今までは病院から御自宅に帰る間の中間に位置する「中間施設」というイメージが強かったと思いますが、もちろん、現在もその機能はありますが、その一方で、在宅生活をしているうちに、ちょっとADLが落ちたので、入所してリハビリにより改善をはかるとか、認知症やADLのレベルを専門職に評価してもらうためにショートステイを活用するとか、老健の利用目的も多様化してきています。7ページに紹介しているように、ちょっと悪くなったら老健に入ってもらい、改善したら自宅に戻ると言った、老健と自宅を往復利用していくことで、できるだけ長く在宅生活を維持していただく。その延長で最期は御自宅での看取りもあれば、必要であれば老健でもしっかり看取らせていただくというように、老健は多機能になっています。小規模多機能ならぬ大規模多機能といった役割が求められています。ですから、当然ながら看護職の仕事ぶりも従前とは変わってきているところが現状でございます。
前段はこれぐらいにして、本日のプレゼンテーションの目的である介護施設における看護職の実態について老健施設を中心にお話したいと思います。お手元の資料1にざっくりと取りまとめをしております。まず老健施設の看護職数についてですが、正看・准看を含めて、全国で約4万人の方々が老健施設で働いています。結構な数だと思います。老健施設ではこの看護職数の2倍よりちょっと多い数の介護職が働いています。バランスで言うと1対2あるいは1対2.1ぐらいの感じで看護・介護でスクラムを組んでいます。この両者のスクラムがしっかりできているところは良いケアを提供しています。
この点を特養・病院と比較しますと、特養は御存知の通り、看護職数が少ないですし、夜勤もしていませんので、現場は介護職が中心となり仕切っています。病院におきましては、未だに介護職イコール補助看というイメージが強く、看護師の方の下に見られがちです。そのためこの両者間では、ため口がなかなか聞けないのですけれども、老健の介護看護比率が2対1というのは、力関係としては良い比率で、ため口がきける割合といいますか、看護は看護の立場で、介護は介護の立場で利用者様についていい議論ができていると、すばらしいケアが生まれるという構造になっていると思います。
次に看護職の年齢ですが、ここに書いてありますように、どちらかというとやや高齢の方が多いということでございます。このあたりについて、具体的に資料を用意しましたので、介護施設の看護職について議論したいと思います。
お手元の参考資料ですが、これは日本看護協会が調査研究した資料です。たまたまこの調査会に私も委員として参加しておりましたので、本会使用させていただくことにしました。この研究の目的は、これまで介護施設での看護業務についてその実態が見えてこなかったので、そこに注目したものです。2ページにそのあたりのことが触れられています。看護職は、入所者・利用者の生活の場の中で、医療的な判断等を行い、医療的ケアの提供や医療機関等との連携等の役割を担っており、それらに加えて施設の管理的な役割も担っていることが多いと思われます。
4ページは人員体制です。特養と老健を中心に介護施設の看護介護サービスで見ていきます。看護職数については、特養が正規職員で3.9人、老健施設が9.2人概ね5人と11人ぐらいの割合で推移しております。人員体制の相違から、特養と老健の看護職の仕事ぶりは全然違っています。老健では夜勤をする看護職もおり、両施設間の看護職の勤務形態には大きな相違があると思います。
次に行きまして、2)、年齢構成でございます。特養、老健とも「50~59歳」が最も多くて、さらに「60歳以上」の方が1割強ということで、働かれている看護師は高齢化の傾向があります。
続きまして、3)、正規職員としての看護職の勤務年数につきましては、結構長めの方が多くて、老健につきましては、「10年以上」の方が34%、「5~10年」が23%ということで、老健施設の環境とか業務に慣れると、比較的長く勤務してもらえるという特徴がございます。
少し飛ばして、8ページの表4-2-1を見ていただきたいのですが、充足状況でございます。「充足している」と答えたのは、特養と老健に大きく差があります。老健は特養の倍近い数の看護師を必要としますので、充足という点でみると、老健の看護職不足が明瞭で、「やや充足していない」「充足していない」を加えますと、かなりの老健施設で看護師が足りていないということがわかると思います。
9ページは、先ほどから述べていますように、最近の利用者・入所者の重度化によって、業務がどう厳しくなったかという調査項目ですが、大きな変化があったという結果は出ていませんが、一定数は変化があったと回答しています。
それに対して、表5-1-2の重度化について、どうやって対応したかという問いに対して、特養におきましては、「看護職を増員した」。老健では、「看護職員の役割を変更した」といった回答や、特養におきましては、「看護師の勤務時間を変更した」という形で対応しているようです。
さらに、10ページ、「6.入所者の健康管理に関する取り組み」としましては、上が特養で下が老健でございますが、異なる項目としては、「おむつ外し」等ですが、老健は利用者を少しでも良くするというミッションがありますので、ADLの低下予防とか低栄養予防あるいは転倒予防といった意味で、どちらかというと利用者を動かして、ADLを上げていこうということで、「おむつ外し」もその一環です。看護師の健康管理の取組につきましても、特養と老健ではプログラム的にかなり違っているということがわかると思います。
12ページは看取りについてです。1特養・老健とも積極的に進めております。13ページにその状況が記載されていますが、例えば、看護職による看取りに関するかかりつけ医との連携等々におきまして、特養におきましては85.2%と、かかりつけ医の先生との連携が深められています。老健施設は当然ながら常勤医師がおりますので、自施設の医師との連携を中心に他の医療機関との連携もしています。
17ページは感染症対策です。施設におけるノロウイルスやインフルエンザといった感染症の管理は、看護師の方々が中心となって取り組んでいます。そのためには、特養や老健では、感染症対策マニュアル等が整備されており、マニュアル作成にあたっては、看護師が中心となっています。施設の看護職は医療的ケアに係る専門職で、この分野の最も重要な役割を果たしていることがわかります。看護職達はこれらのことを業務という形で理解しているということが、このグラフから見えてきます。さらに、19ページ、安全管理に関する業務につきましても、ナースの方々に相当骨を折っていただいています。
20ページのリスク管理ですが、特養と老健を比べますと、老健の方は看護師数も多いこともあって、下のグラフの「入所者の転倒やヒヤリハットの事例の把握・分析」、「入所者の転倒・転落についてリスク低減策のケアプランへの盛り込み」等々といったものについて、ケアの分野ではありますが、積極的に看護師の方が意見を具申しています。施設をあげて多職種で対応していることがわかるかと思います。
続きまして、別の調査になります。25ページをお開きください。特養と老健における看護師の実態調査という報告書で、これも日本看護協会で出されているものです。
26ページ、看護師の役割としての重要な業務を挙げています。27ページ、看護職の役割として重要な業務(5つまで選択)としますと、一番多いのは「健康管理・健康状態のチェック」、これは両施設共通です。さらには、「診察の補助・日常的な医療処置」あるいは「服薬介助・服薬管理」といったものが上位になります。当然ながら「急変時の対応」といったものが特養・老健とも、看護職重要な業務だと言えると思います。
28ページ、看護職として、特養や老健になぜ入職したのかという問いです。入職のルートとして多いのは、特養におきましては、「施設内の関係者からの勧誘・紹介」と施設内の身内からの紹介の方が多いということ、あるいはハローワーク等も入ります。老健におきましては、同一法人内の他の部署から異動する場合もありますけれども、「友人・知人からの情報」で来られた場合も多いと調査から出ております。
30ページは、入職動機についてです。特養では、「介護施設の看護に興味があった」あるいは「通勤が便利だから」「夜勤勤務が少ない」といった点が、特養入職を希望した動機で、老健施設では、「介護施設の看護に興味があったから」あるいは「通勤が便利だから」「高齢者が好きだから」といった理由で入職されています。
課題であります離職率につきましては、対応策の効果もあってか、年々減少の傾向にあります。2014年度時点で特養の離職率は21.5%、老健施設は16.4%でいずれも減少傾向にあります。ただし、新規採用、入職1年目以内の方に限るとこれまでと同じく、高い離職率で推移しています。
32ページにも、そのあたりについて書かれています。33ページでは、こういった離職率に対しての職員確保・定着のための取組としては、特養と老健共に積極的に取り組んでいます。「労働安全衛生の整備」、「医療・介護事故対策の整備」、「キャリアに応じた教育・研修体制」といったものが特養に多い取り組みで、老健では、最後のページになりますが、特に高いのは「医療・介護事故対策の整備」「労働安全衛生の整備」「業務内容と役割の明確化」などの取り組みが多くなっています。こういった対応によって、確保あるいは離職を防げるようにしていることがわかります。
最初の資料に戻りまして、老健施設看護職についてまとめます。全国老人保健施設協会といたしましては、表にありますように、毎年、看護職対象に研修会を行っております。老健の看護というものについて理解を深めていただいています。
介護施設の入所者については、医療ニーズを併せ持つ中重度の要介護者が増加している。
看護職には、医療的な判断を行い、必要な際には医療的ケアの提供、他の医療機関との連携を担う役割が求められている。看護職の役割として重要な業務としては「健康管理・健康状態のチェック」「急変時の対応」「服薬介助・服薬管理」「診療の補助・日常的な医療処置」「感染管理」が上位にありました。
入所者の重度化に対しての看護業務・体制の変化については「変化があった」が42.6%、「なかった」が55.9%であった。変化の内容としては、「看護職の役割の変更」「看護職の増員」「看護職の勤務時間を変更した」などで対応したということです。本来の看護業務に加えて、施設の管理業務を任されていることも多いということがわかりました。
年齢階級別の正規看護職員数をみると、50歳から59歳が最も多く、次いで40から49歳であった。60歳以上が1割を占めた。勤務年数別の正規看護職員数を見ると、10年以上勤務が最も多かった。
正規看護職員の充足状況は、「充足している」が26.2%、「充足していない」「やや充足していない」の合計が43.6%で、特養に比して老健の充足率が顕著に低かった。
入職の動機は「介護施設での看護に興味があった」次いで「通勤が便利」「高齢者が好き」「家庭と両立しやすい」の順であった。離職率は16.4%で特養の21.5%に比較し低かった。しかし新規採用者の離職率を見ると38.3%で特養の39.8%と差異がなかった。
定着・確保の取組としては「医療・介護事故対策の整備」「労働安全衛生の整備」「業務内容と役割の明確化」等であった。取組が少なかったのは「柔軟な勤務形態導入」「メンタルヘルスケア体制の整備」であったということでございます。
時間の関係で駆け足の説明となってしまいましたが、届いてくる声からは、老健施設を含め、介護施設関連の事業所では慢性的な看護師不足の状況が続いており、常に求人しつつ人員不足に対応しているということでございます。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの平川構成員からの御説明につきまして御質問、御意見等を承りたいと思います。山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 御説明ありがとうございました。3点、質問がございます。まず、1つ目ですけれども、御説明いただいたヒアリング参考資料1の9ページに、入所者・利用者の重度化による看護業務の変化への対応ということで、「看護職員の役割を変更した」というのが34.2%ございますけれども、これはどのようなことを変更されたのかというのが1つです。2つ目として、平均47.1歳ということで、入職時・新規採用時の平均年齢自体が高いのだと思うのですけれども、今のヒアリング参考資料1の29ページを見ると、老健施設の看護職員の場合、「介護施設の看護に興味があったから」という方が41.7%で最も多かった。これは、病院にない、あるいはほかの職場での看護師にない特徴として、どんなことを期待して介護施設の看護に興味があったと思っていらっしゃる方が多いのかということを2つ目で教えていただきたいと思います。3つ目が、離職率がそんなに高くない中で、新規採用者は38.3%ということですけれども、その中で、例えば「こんなことを期待したけれども、実際、入ってみたらそうじゃなかった」という理由の中で、どのようなことが多いのかということを、今後の議論のためにも教えていただければと思います。以上です。
○尾形座長 3点の御質問ですが、平川構成員、よろしくお願いします。
○平川構成員 ありがとうございます。後のほうから答えていきますと、入ったらイメージが違うという点につきましては、思った以上に過酷なといいますか、2の質問にもつながるのですけれども、どちらかというと急性期の病院や通常の病院にいて、病状が不安定な、病気相手の仕事をするという業務が中心だったのですけれども、来る方はもう少しゆったりと利用者と向き合いたい。医療的なケアも同時にやりますけれども、そういったものにつき合っていきたいという気持ちで入られるのですけれども、入ってみると不安定な方がすごく多くて、最近はサ高住等々も増えてまいりまして、入所の場と生活の場としての利用はそちらに流れてしまって、要介護者がどんどん来ているわけです。
そういう状況の中で、多少病状が不安定であってもとらざるを得ないということになってきますと、思っていたような、穏やかな中でゆったりと利用者と向き合いながら看護師としての仕事をすることができなくて、意外と仕事に追われていることがわかって、かなりびっくりされるのではないかと思っています。逆に言えば、2番目につながるのですけれども、対応策にもつながりますけれども、看護・介護をどううまく切り分けていくか。施設によっては、おむつ交換を含めて、いわゆる介護の仕事にかなり看護職が食い込んでしまっていて、本来やるべきことができない。例えば、入浴の介助にもちろん行ってもらわないと困るわけですけれども、それは入浴時に皮膚疾患があるかどうかとか、そういったものを看護の目で見ていただくということではいいのですけれどもね。実際現場に入ると、一緒に汗だくになって着脱衣から、中には入浴介助とかもあったりで、その辺をうまくやっている施設は離職率が低くて、長くやってもらえるところもあって、今の質問とみんなつながっているようなところがあると思います。
○尾形座長 山口構成員、よろしいですか。
○山口構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 ほか、いかがでしょうか。鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 平川構成員のほうから説明いただきましたこの報告書については、本来ならば本会がきちんと報告しないといけないところかもしれませんが、つけ加えますと、この調査で明らかになったのは、介護施設等で働く看護職の多くが、看取りや感染管理に関する業務において、施設職員に対して指導的な役割も果たしている一方で、多職種や他施設との連携や看取り、感染管理や安全管理等に関する多くの業務を担っているということです。
ただ、現場の現認教育も含めていかにやりがいを感じるか。看護職としての専門性を発揮できている場合に、やりがいを感じて、そのような就業を継続する意向などを持つ割合が多いという傾向があったということも補足でつけ加えさせていただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 このヒアリング参考資料1の日本看護協会の1つ目の報告書で、2ページの事業概要、調査研究の目的と概要の第2パラグラフにある、「看護職員の担っている管理的な役割も含めて、そのケアに関する詳細な実態、求められている役割を果たすことにつながる体制のあり方等が明確となっていない」という問題意識でこの調査をされたと思うのですけれども、この管理的な役割を看護職員が担うに当たって、現場ではどのような研修とか、どういうように管理業務を担えるようにされているのか。実態として、この管理的役割を看護職員が担うに当たって、どんな工夫をされているのか。この調査の中で出てくるのであれば、それも教えていただきたいですし、現場の状況ということで教えていただければと思います。
○尾形座長 平川構成員、よろしいですか。
○平川構成員 資料はここにございませんけれども、私どもの施設では、看護職も含めて、全ての職種のキャリアアッププログラムをつくっておりまして、その中で1つずつ上がっていく形になります。管理職というと聞こえがいいですが、老健施設は医師が1人ですので、医師が24時間張りついているわけにはまいりませんので、正直申し上げて、勿論診断業務までではありませんが、利用者の心身の状態をきちんと状態をつかんで、どうするかといった判断は必要となります。このあたりは看護職の負担は大きいと思います。
勿論、個人の判断にとならないように、多くの施設ではかなり詳細なマニュアルをつくり、医師、看護師が中心となって研修を進めています。そのようにしていても、介護職の方で看護師さんに頼る傾向があり、現場では看護職に判断を仰ぐことが起こっているかもしれません。
○尾形座長 よろしいですか。ほか、いかがでしょうか。太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 ヒアリング資料1の28ページですけれども、現職場を知ったきっかけという資料を見させていただいて、私、ちょっと意外に思ったのは、上から7つ目、「民間の職業紹介業者・紹介サイト」の割合でございます。特養が5.4%、老人保健施設は8.3%ということで、非常に充足が厳しい状況に、特に老健側のほうが特養よりもあるという話ですけれども、我々は民間の、特に病院などをやっている部門からすると、これは比率としては低くなっているかなと思うのですが。これは、ほかの同一法人内の病院とか医療施設から、何らかの形で動かして対応しているというのが実態で、逆に言うと、病院とか診療所がないような老健さんだと、かなり苦労していらっしゃるという状況なのでしょうか。その辺の状況をちょっと教えていただければと思います。
○平川構成員 これは、私も太田先生と同じ疑問を持っています。どうしてこういう結果になったかわからないですが、回答者に偏りがあった可能性もあるかもしれません。私は東京の八王子で介護事業を行っていますが、入職者の半分以上は紹介業者からです。特に都心部等におきましては、人材斡旋業者からの紹介入職が多いと思います。
○尾形座長 ほか、いかがでしょう。竹中構成員、どうぞ。
○竹中構成員 先ほどの質問と重なるのでございますけれども、31ページの新規採用者の離職率が約40%と、非常に高いイメージですけれども、私どもの急性期病院で面接試験を行っておりますと、将来的には在宅・療養・介護のほうで仕事をしたいのだけれども、今は急性期病院に来ましたという子が結構多いのです。この方々は、最初からそこに行ってしまったのかなという推測をいたしますけれども、その辺の分析はなさっていらっしゃるのでしょうか。
○平川構成員 最初からというのは、病院勤務を経ていない方という意味ですか。
○竹中構成員 ええ。急性期の急変に対する研修もせぬまま、老健という現場にいきなり卒後に入ったということがあるのでしょうか。
○平川構成員 確かに最近、新卒者がぽつぽつと老健に来られる方がいます。しかしまだまだごくわずかで、けれども、多くはかなり急性期等の病院勤務を経験された後に老健施設に来られています。中には病院で頑張りすぎて、疲弊してしまって、もう少しのんびり仕事をしたいといって転職される方もいます。いずれにせよ、新卒でいきなり老健に来る方は余りいらっしゃらないです。
○竹中構成員 この新規という意味は、転職されてきた方という意味ですか。わかりました。
○尾形座長 ほか、いかがでしょうか。それでは、私から1点質問させていただきます。今日、御紹介いただいたデータの特養との比較、大変貴重なデータだと思いますし、よくわかりました。一方で、昨年から介護医療院という新たな介護保険施設ができて、これは介護保険施設であると同時に医療提供施設であるという意味では、老健と位置づけは似ているわけですね。もちろん、まだ数が少ないので、今後の話かと思いますが、この介護医療院の老健施設に対する影響というのはどういうふうに考えておられるか。特に、看護職員の役割とか需給といった面で何かお考えがあれば承りたいのですが。
○平川構成員 私としては、個人的には介護医療院ができることによって、この領域の看護・介護・ケアというものにまた新たな広がりができて、当初は混乱もあるかもしれませんが、何年か先には要介護高齢者に対する新たな医療看護介護の連携ネットワークができると思っています。ただ、その一方で、ほぼ同じような医療介護を提供するサービスが増えたことで、重複する部分、独自の部分を明確にし、利用者、専門職に啓発していかなければなりません。介護医療院の特徴である在宅復帰を気にすることなくターミナルまでじっくりとみてもらえる、医療的ケアが多少多くても何とか持ちこたえるといった点で見ると、今の時代に合っているかと思います。
私ども老健施設は在宅復帰、在宅生活支援がミッションですから、介護医療院とかぶるところもありますけれども、それぞれ違いがあって、本来機能を果たしていくことによって、両方がスクラムを組みながら将来的にはよくなると思っています。最も入職希望する職員については、当分区別がつかず、苦労されるかもしれません。
○尾形座長 ありがとうございました。ほか、よろしいでしょうか。それでは、平川構成員、大変丁寧な御説明、どうもありがとうございました。それでは、先に進みたいと思います。資料2「今回、ご議論いただきたい看護職員確保に関する論点」ということで、まず資料の説明を事務局からお願いいたします。
○乗越看護職員確保対策官 事務局でございます。それでは、お手元の資料2をご覧ください。まず、最後のページのほうをごらんいただければいただければと思います。45ページでございますが、これはこれまでもお示ししておりました今後の看護職員需給分科会のスケジュールについてでございます。本日、第8回におきまして、看護職員の確保に関する議論ということで、これまでヒアリング等、行ってきておりますけれども、具体的な論点についての御議論をいただきたいと考えております。次回についても、同じように、確保策についての議論。それから、6月末をめどに確保策についての中間とりまとめを行う。確保策については、このようなスケジュール感で進めていってはどうかということでございます。
その際、具体的に議論する論点につきましては、44ページに、これまでまとめてきておりますご意見の整理を踏まえた論点を掲げさせていただいております。本日は、44ページの論点では、「届出制度」「ナースセンターについての機能強化」「ハラスメント対策」を御議論いただきたいと考えております。特に、「届出制度」「ナースセンターの機能強化」につきましては、今後の確保策について議論していく上でも、確保策について中心的な仕組みでございますので、まずこちらを御議論いただいて、その後の各論点について、また議論を深めていくこととしてはどうかということで、本日、論点を3つ掲げさせていただいておるものでございます。
それから、その前の43ページでございます。こちらは、看護職員の確保対策の概要ということでございますが、簡単に申し上げますと、看護職員の確保の対策につきましては、都道府県が医療計画に基づきまして看護職員の確保策について具体的に事業を行っておるところでございます。それに当たりまして、都道府県が都道府県のナースセンターを指定して、こちらのほうで具体的な確保に関する事業、無料職業紹介、さまざまな研修等を行っておるということでございます。それらを支援する側として、国、国が指定します中央ナースセンター、こちらは日本看護協会となりますけれども、こちらで都道府県ナースセンターを支援していく、このような大枠で確保策が進められているということでございます。
そうしましたら、資料の頭のほうに戻っていただきまして、2ページでございます。本日、御議論いただく論点として、3つ掲げさせていただいてございます。
まず、論点1、「届出制度」についてでございます。資料の3ページをご覧ください。届出制度につきましては、現状のところにございますが、都道府県ナースセンターによる看護職員の復職支援を強化するために、看護師等人材確保促進法を改正いたしまして、看護師免許保持者の届出制度を平成27年10月から施行しておるところでございます。
資料の5ページをごらんください。届出制度の概要でございます。1の「届け出るタイミング」にありますように、病院等を離職する際などに届出をする。「届け出る事項」にありますように、届出をする際には、氏名、生年月日、住所、電話番号、メールアドレス、その他連絡先に係る情報、就業に関する状況、これらをインターネット経由でナースセンターに届け出るという仕組みでございます。
次のページをごらんください。届出をした後、どのような対応が行われるかということでございます。届出を行った方に対しましては、届出の情報に基づきまして、離職後も一定のつながりを確保して、本人の意向、ライフサイクル等を踏まえて、積極的にアプローチして支援していく。それによりまして、その方のライフサイクルに応じまして、復職したいという段階になれば、ニーズに応じた復職支援を行うということでございます。支援の例といたしまして、復職意向の定期的な確認、求人に関する情報提供等々を都道府県ナースセンターから届出者に対して情報提供していくといった取組を行っておるところでございます。
それから、11ページをご覧ください。今、申し上げました届出についての実績でございます。ご覧いただけますように、届出数につきましては、新規の届出については横ばいといった状況にございます。また、届出をした方について都道府県ごとに見ますと、次の12ページになりますけれども、都道府県ごとにやや差があるといった状況も見受けられます。また、こちらの12ページにつきましては、離職者を分母にして届出数を割ったもので、離職者数に占める届出者の割合というものを粗々推計したものとなりますけれども、全体的に離職者の約15%から届出が行われているという状況でございまして、届出が十分にされているかというと、そうは言えないような状況ではないかということでございます。
それから、あちこち行って恐縮ですが、4ページをご覧ください。こうした届出制度につきまして登録者数を増やしていく、就業につなげていくためには、どのような方策が必要かといったことを皆様に御議論いただきたいと考えております。その際、例えばこのような取組が考えられないかということを事務局のほうでお示ししたものでございます。
まず、1つ目に、普及啓発の強化を図っていくということでございますが、9ページをご覧いただければと思います。これまでも周知事業といたしまして、中央ナースセンター、都道府県ナースセンター、国のほうでさまざまな周知を行ってきておるところでございます。しかしながら、実態といたしましては、10ページにございますように、これは厚生労働省の調査研究事業のアンケート調査になりますけれども、看護職で届出制度を知っていた方については、35%にとどまるという状況にございます。
こうした状況を踏まえまして、どのような強化が必要かということで、1つは、政府広報等のさらなる強化。それから、4ページになりますけれども、教育機関の協力を得て、学生のときから届出制度の理解が得られるよう制度の周知を推進する。また、医療機関がまとめて離職時に届出を行っていただくという代行届出という仕組みもございます。そちらを推進するという方策も考えられるのではないかということでございます。
それから、届出した方についての就業を促進するということもあわせて行っていく必要がございます。そうした観点から、都道府県のナースセンターと都道府県医療勤務環境改善支援センターが連携して施設の環境を整備するといったこと。それから、届出をした方につきまして、eナースセンターという無料職業紹介サイトがございます。こちらを利用するに当たって、利用しやすいようなマッチング機能の充実を図るといったことも検討してはどうかということでございます。
それから、届出した場合のインセンティブについても、さらなる強化が必要ではないかということでございます。案といたしまして、届出をした方のみに視聴可能なe-ラーニングなどを設定してはどうかという御提案でございます。
次の論点に参ります。15ページをご覧ください。ナースセンターの機能強化についてでございます。先ほど概要のところでご覧いただきました都道府県のナースセンターについては、無料職業紹介、さまざまな研修事業等を行っているところでございます。その機能強化について御議論いただくということで、御用意したものでございます。
まず、現状のところの1つ目の○でございますが、ナースセンターにつきましては、今、申し上げました無料職業紹介等の事業を行っているわけでございますが、ここに書いてありますように、看護職員の確保については、地域特性によって課題が異なっているということから、その課題に応じた確保策を実施することが求められているところでございます。このため、中央ナースセンターにおきまして、平成29年度より、地域に必要な看護職員確保推進事業というモデル事業に取り組んでおるところでございます。これは、都道府県行政とナースセンターが、地域の医師会・病院団体と連携して看護職員確保を推進するという内容になります。
25ページ以降、具体的な事業についての資料を添付しておるところでございます。都道府県とナースセンターが連携して、看護職員の確保が必要な地域を特定いたしまして、その地域に応じた確保策のための事業計画を作成して、関係団体と連携して確保策を推進していくというものでございます。その具体的な事業例といたしまして、26ページから28ページに幾つかの観点から事業を行っているという例を挙げさせていただいております。それが現状の一つでございます。
それから、15ページに戻っていただきまして、もう一つ、ナースセンターの機能強化の一環といたしまして、ハローワークとの連携事業というものもあわせて進めているところでございます。これは、ナースセンターとハローワークが連携いたしまして、看護師等の就業を希望する方と医療機関とのマッチングの強化を図ることを目的といたしまして、ハローワークにナースセンターが出張して、巡回相談という形でハローワークに登録された求職者の方に医療機関の情報等を提供して、その方にふさわしい就職先を支援するという事業をハローワークと連携して行っているものでございます。18、19ページに関係の資料がございますけれども、19ページをご覧いただきますと、巡回相談の実績につきましては、事業が開始されて以降、右肩上がりに上がってきているところでございます。また、次の20ページは都道府県ごとの実績でございますが、都道府県ごとに言いますと、実績についてはやや差があるといった状況もございます。
それから、今、申し上げてきたような都道府県ナースセンターの職員の体制についてでございます。23ページをご覧いただきますと、ナースセンターの職員の体制について、幾つかの観点からお示ししたものでございますが、非常勤の職員が多い実態ですとか、高齢の60代の方の職員が過半数を占めているといったこと。また、これは都道府県ごとにばらつきがありますけれども、中には2人未満でナースセンター事業を担っているセンターもあるといった実情にございます。次の24ページが、都道府県ナースセンターの事業費についてお示ししたものでございますが、多くは3000万円未満の事業費の中で事業を行っているといった実態になってございます。
それから、16ページに戻っていただきまして、こうした都道府県ナースセンターにおきまして、地域の医療機関が看護職員を確保する際により利用しやすくするためには、どのような点を強化すればよいか。また、ハローワークとの連携について、都道府県により差がございますので、そのナースセンター、ハローワークの双方において、連携の強化を図るためには、どのような方策が必要かといった点について御議論いただければと考えております。
その際、強化策についてということでお示ししておりますのが、四角囲みのところになりますが、地域に必要な看護職の確保推進事業、先ほどモデル事業と申し上げましたけれども、こうした事業が全国で展開されるように支援、また好事例の情報提供、こうしたことを中央ナースセンターが実施してはどうかといったこと。それから、ナースセンター、ハローワーク連携事業の推進ということで、ハローワークの担当者への事業の周知・協力を進めていくといったこと。また、ナースセンターの重要な取組であります無料職業紹介事業をはじめ、求職者のキャリア支援をしていくということが重要でございますけれども、そうしたキャリアコンサルティングの専門的知識と技術を習得して、相談対応の質を高めるということがあわせて必要ではないかと考えております。
それから、冒頭の都道府県等との連携事業、こうしたものを実効あるものにするためにも、ナースセンター事業運営協議会、これは関係団体、また地域の関係者とも連携を図るための会議でございますが、こうしたものをさらに活性化させる必要があるのではないかということでございます。
それから、3つ目の論点に参ります。29ページをご覧ください。ハラスメント対策についてでございます。現状のほうにございますけれども、昨年の平成30年版の過労死等防止対策白書におきまして、医療分野での労災認定事案の分析が行われております。その中で、看護師、准看護師、看護助手に精神障害事案の割合が多く、中でも暴言・暴力、ハラスメントの被害者となったことが業務によるストレス要因として発病に関与したと考えられる者が一定数存在していたということが記載されております。
こうしたハラスメントの対策につきましては、現行医療法に基づきまして、医療機関の管理者におきまして計画的に医療従事者の勤務環境改善に取り組むこととされておりまして、このガイドラインや手引を作成して、さまざまなハラスメント対策に包括的に取り組むように支援しておるところでございます。先ほど申し上げた過労死白書等を踏まえまして、厚生労働省におきましては、平成31年度の厚生労働科学研究事業によりまして、医療現場における患者、その家族からの暴力、ハラスメントの実態調査を行い、その結果を踏まえて、医療現場で活用可能な対応マニュアルを作成するための指針を検討することとしておるところでございます。
30ページをご覧いただきまして、そうした研究事業も踏まえまして、以下のようなハラスメントの対策の推進策として、国民への普及啓発としてのポスター等の作成、それから、医療機関において、こうしたマニュアル等が広く周知され、また活用されるように、e-ラーニング等によるハラスメントへの対応策を効果的に学習できる取組を推進してはどうかということで、御提案するものでございます。こうした事務局からの提案に限らず、さまざまな御指摘をいただければと考えております。資料の説明は以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
ただいま事務局のほうから、資料2に基づきまして3つの論点が示されております。以下では、この論点を1つずつ御議論していただければと思います。まず最初に論点1、届出制度で、資料で言いますと3ページから14ページまででございますが、この部分につきまして御意見、御質問等を承りたいと思います。太田構成員、どうぞ。
○太田(秀)構成員 太田ですけれども、12ページの資料です。ナースの就業人口と実際の人口とは、正確には相関していない部分もあるかもしれないですが、例えば東京都はほぼ1000万人の人口があるわけですね。北陸3県はそれぞれ100万人程度だと思うのです。そうしますと、このグラフを見ると、圧倒的に富山、石川、福井の3県の比率が高いということが読み取れると思うのです。北陸3県でなぜここまで高率に届出があるのかという背景について検証して、そういったものをモデル化して、届出の低いところで参考にして、ある種のムーブメントにしていかないといけないと思います。論点2に関わってしまって恐縮ですけれども、23ページのナースセンターの職員数に関して北陸3県を見ますと、5.2とか4とか、中央値に満たないぐらいに見えるわけですけれども、実はこれ、人口で除さないと正確な比較ができないと思うのです。例えば、東京は1000万人以上、人口があるところで36人です。それに対して、富山、石川、福井というのは100万人、つまり人口は10分の1であるにもかかわらず、5人ということは、非常に高率といいますか、ナースセンターの職員は非常に手厚いということじゃないかなと受けとめます。したがいまして、意見といいますか、質問は、高率の都道府県の背景をちゃんと調査されているかどうかという点です。ムーブメントだと私は思うのですけれども、比率の低い県もあるわけで、逆に低いところはなぜ低いのかということが客観的に評価されないと、全国的な規模で運動論として展開していくことが難しいのではないかと思います。
○尾形座長 12ページの大きな地域差の要因ということですが、事務局、何かありますか。
○金子看護課長補佐 例えば、石川県のほうでございますが、伺っている限りでございますが、届出者数が増える年度末に向けて、県の行政の担当の方と県の看護協会の会長様の連名で、施設等に届出の周知の依頼文書を送付しているという取組を行ったり、県の行政が運営している石川県のラインがあるようです。「石川ナースナビ」というラインがあるようですが、そちらに届出制度の情報を通知したりということで、そうした取組を行っていると伺っております。
○尾形座長 太田構成員。
○太田(秀)構成員 そうすると、それが非常に有効に作用しているのではないかと推測されるわけで、このような届出数を高めるための具体的な方策を周知していかねばいけないと思うのですけれども、そういったことは、どこで、誰の責任でやっていくのかという課題も出てくるのではないか。いかがでしょうか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○乗越看護職員確保対策官 御指摘ありがとうございます。太田構成員の御指摘のとおりでございまして、そうした取組をしっかりと周知していくということが、最も重要なことではないかと考えております。そうした取組につきまして、国のレベルでは、中央ナースセンターにおいて、都道府県ナースセンター、それから都道府県の担当者の方にも一緒に集まっていただいて研修会を実施しております。また、厚生労働省におきましても、担当者会議を通じまして、好事例についての周知も図っておるところでございます。そうした取組を引き続きしっかりとやっていきたいと考えてございます。
○太田(秀)構成員 わかりました。
○尾形座長 山口構成員。
○山口構成員 私も太田構成員と全く同じで、せっかく届出制度ができたにもかかわらず、1割に満たない方しか届出をしていないという現状があって、この説明のつかないばらつきというのもあるということからしますと、ぜひ好事例を広めていただきたいと言おうと思っていました。しかし、既に研修でされていて、好事例も出しているのに、それが広まっていかない理由がどういうところにあるのか。それから、実際に届出が少ない地域はなぜなのかという分析自体はできているのかというところが非常に気になりました。ですので、好事例の紹介の仕方を、「こういうふうにすると増えるので、ぜひみんなでやりましょう」ということで実効性のあるような周知になっているのか、単に好事例の紹介だけでとどまっているのか、そのあたりの現状というのはどうなっているのでしょうか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○乗越看護職員確保対策官 今の御指摘については、我々としても真摯に受けとめる必要がある部分もあるのかなと思っております。事例について、お示ししてはおりますけれども、先ほど金子のほうから申し上げましたけれども、実際に事例を示して、さらにこの事例については、都道府県や関係団体との連携が必要になってくることになりますので、そうした単なる事例を示すということではなくて、具体的に連携を図っていく。そうしたところにまでどのように進めていくかということも含めて、都道府県、それからナースセンターと一緒に話をして、届出の強化というものを一緒に考えていく必要があると考えております。これは、今後の研修会、また会議等に生かしていきたいと考えております。
○尾形座長 山口構成員。
○山口構成員 考えるに、多分、好事例を紹介されても、それを具体的にどういうふうに展開していけばいいかというノウハウがわからないのではないかと思います。そうするために、具体的に何をすればいいのかというところまで、恐らく提示しないと動けないのではないかという気がしましたので、さらにそういった具体的なことを一歩進めていただけたらと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 この届出制度については、先ほど説明がありましたとおり、厚労省のほうから私どもが委託を受けて中央ナースセンターとしてやっております。確かに、届出数が少ない、認知度が低いといった課題については、これからもしっかり取り組んでいかないといけないと考えています。
一方、この届出制度は努力義務であり、看護職の確保を考えていくときには、今把握できていない未就業者、潜在看護職員を含めて把握をしなければいけないのではないかと思っております。
もう一つ、就業している看護職を把握する制度として、看護職は2年に一度、業務従事届というものを出しております。医師や薬剤師は未就業者も含めて把握されておりますけれども、看護職についてはそのようになっていないため看護職の資格保有者全体の把握に関する新たな届出のあり方についても、今後、検討しないといけないのではないかと思っております。これからの社会で安定的に看護職員を確保するためには、先ほどから繰り返しておりますが、全資格保有者を対象とした届出制度もあわせて考えながら今の届出制度も並行して進めていかないといけないと思っております。
○尾形座長 内藤構成員、どうぞ。
○内藤構成員 内藤病院の内藤です。確かに、ちょうど何年か前に始まったときに、当院でも看護職員を集めて届出制度が始まりますという話をしましたけれども、当院の師長のほうから、そういう新しい「管理」が始まるということに関して、「管理」とは違うかもしれませんが、届出、イコール、みんなの動きがわかってしまうみたいな話になると、師長のほうもそれを余り強く言えない、マイルドにしかなかなか言えない。聞いているほうも、何か届出をすると自分が縛られてしまうみたいな認識で、なかなか強く言えなかったというのをよく記憶しております。
ただ、現状としましては、看護職員の確保というのはいろいろな問題が今、含まれておりますし、日本の医療の行く末にも関係してくることだと思いますので、ある意味では、現場感覚に任せないで、法律的にといいますか、制度的にそれをしっかりやっていくということが、今、非常に必要になっていることではないかなと、鎌田さんのほうからもそうお話がありましたけれども、それが非常に急いで必要になっているときではないかなと私も思っております。よろしくお願いします。
○尾形座長 本田構成員。
○本田構成員 質問しようと思ったことを、今、お話しくださったのですけれども、届出制度があるのにしないというのは、ただ、知らないだけではなくて、何か嫌なことがあるのですかと思ったのです。管理されると理解されてしまうというのが、その一つの理由なのかなとわかったのですけれどもね。
私も、別に管理というわけではないということ、その制度のあり方そのものを周知することも必要だと思いますけれども、先ほどから議論にあったように、こういう制度がありますよとお知らせすることを幾らやっても、どこが、どういうふうにやるのか。それを届けておくことで、どういう意味があるのか、もしくは自動的にそれは把握されているということがいいのか、悪いのかという議論はあるかもしれませんけれども、先ほど鎌田構成員がおっしゃったように、医師や薬剤師ではきちんと資格を持っている人たちを把握する仕組みがあるので、看護師においても、医療・福祉にかかわる役割は大変大きいところがあるので、そういう仕組みを考えるときではないかと思いました。
○尾形座長 ありがとうございます。竹中構成員。
○竹中構成員 実は、私もこの中央におけるナースセンターの運営協議会のメンバーなのでございますが、日看協と一緒にこの3年間、一生懸命やってきまして、日看協は一生懸命頑張っていらっしゃるのです。いろいろな周知活動を行っていますし、またeナースセンターをつくって効果を上げております。ただ、そんな活動をずっとこの3年間続けましても、知っていらっしゃる方が3割、実際の届出は15%程度ということで、何か抜本的なことをやらないと、これ以上、同じことを繰り返すのかなという感じはいたしております。
努力義務になっておりますので、その点をもっと競争力を発揮するような制度・体制にできないのかどうか、法的なことはよくわかりませんけれども、職業の選択ないし去就は自由でございますけれども、国として看護需給の制度をしっかりとした体制をとりたい、データベースをきちんとしたいということであれば、ある程度の情報量というものが大切になりますので、個人的な努力だけではなくて、国家として制度上の問題を論ずるべきではないかと僕は思っております。これが基本的人権に背くものであれば問題がございますが、データベースとして国の施策を決めるということでございますので、そこまで抵触しないのかなとは思っております。以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございます。高砂構成員、どうぞ。
○高砂構成員 病院等では、代行届出というのを確実にしていらっしゃるのかもしれないですけれども、訪問看護ステーション、小さな規模の事業所では、今まであまり代行届出というのをやってこなかったので、辞める方の管理ではなく、その人に情報提供するとか、この届出制度の意味を含めて、辞めるときに代行届出の何らかのインセンティブといいますか、御説明ができて、参加できるように協力できるといいのかなと思っています。
○尾形座長 伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 届出制度が、せっかく政策的に重要性がきちんと認識されて、努力義務とはいえ、法律に位置づけられていることからすれば、これが有効に活用される必要があると思っています。そういう意味で、4ページに掲げられているような広報の強化や学生のときからの周知とか、eナースセンターのマッチング強化とかインセンティブもあり得ると思います。
あと、届出された人へ提供する情報は都道府県ごとに違うのかもしれないですけれども、この内容も、ナースとして働かないという道を選んでしまう人もいるわけだから、有益な情報、ナースで働くとこんなにいいことがあるのだよという優越感をくすぐるような情報も提供する必要があるのだろうと思います。
あと、先ほど、情報漏えいというか、個人情報保護に懸念を持たれているといった話が出ていましたが、登録者に対してアンケート調査でもやって、どういうことが求められているのか、何が不安なのかを把握したほうがいいのではないかと思います。当然のことですけれども、職制における個人情報保護も重要ですし、ナースセンターにおける登録情報は秘密厳守ですよということは、ナースのほうにそれが伝わらないと意味がないですから、そういうものを徹底される必要があると思います。
論点が細かく分かれていて、44ページの最初の俯瞰図で、届出制度とナースセンターの機能強化が個別に分かれて設定されているので少し話がしにくいのですけれども、とりあえず届出制度のことは以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。ほか、いかがでしょうか。釜萢構成員。
○釜萢構成員 この届出制度というのは、看護職が働いていたのを辞めたとき、離職した場合に届け出るということですね。離職した場合に、もう看護職を辞めてしまおうと思う方と、再就職も視野にお辞めになる方があって、看護職を続けていかれる方については、届出をすることによって就職に関する情報を得たいという方がかなり多いのではないかなと感じます。離職における届出というのは、現状においてはやむを得ないのですけれども、先ほどちょっとお話が出た、看護師、補助看とありますけれども、国家資格の登録をもう少ししっかり管理するという視点を持つかどうかということは、今回、ぜひ議論しておくべきことだと思います。
先ほど、比較されて医師の話が出ましたが、医籍の登録も実は完璧なものではなくて、2年に1回、届出をしますが、医籍に登録はされているけれども、実際は亡くなって除籍されたかどうかというところをしっかり管理しているわけではないのです。そのあたりをどういうふうにするか。
医師の数と看護師の数は大分違うので、看護師を全部管理しようとすると、それはなかなか大変かもしれないけれども、国家資格保有者をしっかり把握するということになると、一定の年数ごとに、例えば登録住所地に郵送物を郵送して、返事が返ってこなかった場合には、一定期間たつと何らかの形で資格を停止して、もちろん再届出があれば、すぐに戻せばいいのですけれども、そういう形で報告しないと資格が使えなくなるという形まで持っていけば、把握はかなり可能になるだろうと思います。
看護師の場合には、潜在看護師といって、わけがわからない部分のボリュームがいつも問題になるわけですが、そのあたりをしっかり把握しようとすると、今、申し上げたような仕組みの導入が必要になって、これはかなりお金もかかることなので、やるかどうかについては検討が必要ですけれども、この需給分科会で検討しておくべき項目ではないかなと思います。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。ほかは、いかがでしょうか。森本構成員、どうぞ。
○森本構成員 15ページに、都道府県のナースセンターによっては、人員体制等の課題があり、巡回相談等の回数を増やすなどの事業の拡大が進んでいないという課題が挙げられています。現状では、都道府県ナースセンターの事業費と人員の少ない県では、年間約800万円、2、3人でナースセンターの事業を行っており、とても県全体で看護職の確保を担えるような体制にはなっていないという現状もあると思います。
ある県では、平成27年に地域医療介護総合確保基金によって、事業費と人員配置を約2倍、例えば事業費、約4000万円から1億円、人員配置、5.8から11.8として体制を強化しています。ナースセンターの利用を推進するためには、利便性のよい駅前に支所を増設するということや、認知度を高めるための広報などの事業を実施しています。これによって、ある成果がでていることも確認できています。そのような看護職確保の成果が見られているという状況においても、この事業が推進できる人員の確保が必要ではないかと考えています。
○尾形座長 議論がすでに論点2のほうに入っていますので、特に論点1についてこれ以上なければ、論点2のほうに入りたいと思います。どうぞ、山口構成員。
○山口構成員 先ほどから議論になっている届出のことですけれども、私、初め、義務になると思っていたのです。それが努力義務になったときに、正直がっかりして、結果こうなっているということからしますと、先ほどから出ている、もう少し強力なあり方ということを、ぜひこの看護職員需給分科会の中で議論していくべきだと私も思いますので、そのことをつけ加えてお伝えしたいと思いました。
○尾形座長 ありがとうございます。届出について、ほかに御意見、よろしいでしょうか。
それでは、また戻っていただいても結構ですが、とりあえず先に進みたいと思います。論点2、論点1とも密接に関連しますが、ナースセンターの機能強化という部分です。この部分につきまして御意見、御質問、お願いしたいと思います。島崎構成員。
○島崎構成員 論点1とも当然関係するのですけれども、届出をすることがどういう意味を持つのか。特に、条件がよければ就職したいと思っている場合に、就職に有効でなければ、届出をしても意味がないという話に結局なってしまうのではないかと思います。
その意味で、今日の資料の21ページ、リクルート活動の実施状況とその効果、病院だけ出ていますけれども、採用につながった者の割合でみると、有料職業紹介事業者に負けています。言葉が適切かどうかわかりませんけれども、この資料は就職に結びついた割合としては、有料職業紹介事業者の利用のほうが高かったというように読むのですね。有料職業紹介事業者は、就職してもらわないことには利益になりませんから、一生懸命やると思います。 それと比べてみたときに、ナースセンター・ハローワークは、どういう優位性というか、メリットを持っているのか。建前的に言えば、それぞれの人の希望とか、キャリアパスみたいなものをきちんと考えて、その上で募集している施設のマッチングがきちんと図れるというのが理想なのでしょうけれども、それを本当にやろうと思ったらなかなか大変ですね。いろいろな情報のネットワークもないとできませんし、本人の希望をうまく咀嚼して、本人の適性も考えなければならないとなると、なかなか大変だと思います。
言いたいことは、やるのだったら本腰を入れてやらなければいけない。そうではなく行政として、言葉が不適切だったらお詫びしますが、一種の「アリバイづくり」としてやるのであれば、やめた方がよいし、根本的に基本的なフレームも見直したほうがよいのではないかというのが、私の意見です。要するにやるならやる、中途半端にやるくらいだったら、費用対効果が落ちるのではないかと思います。
○尾形座長 ありがとうございます。太田構成員、どうぞ。
○太田(圭)構成員 病院団体から来ております太田でございますが、このナースセンターの問題に関しましては、幾つかのところで看護協会さんと意見がぶつかるところがあるのですけれども、基本的には一体的に考えているところでございます。
先ほど費用対効果はどうなのだという話を先生、されましたけれども、17ページを見ていただくと、ナースセンターを介しての就職者数が1万2000人ございます。我々、病院を経営しておりますと、有料職業紹介事業者というのはどうしても避けて通れないところになっているのですけれども、今、1病院当たりで1人の看護師さんをそういうところを介して御紹介いただくと、60万円から80万円ぐらいかかっている。100万円というところもあります。これは、先ほどのナースセンターの運営費、僕が概算で足しますと20億円ぐらいにしかいっていないということで言いますと、そういう面では費用対効果は良いことを、ナースセンターさんによる人材斡旋はしていただいていると認識しております。
そういう意味で、ナースセンターの機能を、もし予算をある一定程度、基金を含めてかけて強化することによって効果があるのであれば、私としては、これはぜひ積極的に進めていただきたいなと思っております。
ちょっと気になって見ていたのが、平成27年まで、就職者数というのはどんどん減ってきているのは、先ほどありましたけれども、さまざまなてこ入れをしていただいて、今、少し右肩上がりに戻ってきつつあるような状況なのではないかと思います。これは、そういう努力の成果もあるでしょうし、または看護師さんの需給そのものの環境の変化というのもあるのかもしれませんけれども、とにかく有料職業紹介所の問題というのはどうしても避けて通れない中では、こちらに関しては、基本的には機能強化をぜひお願いしたいと思っています。
あと、もう一つ、論点としては、有料職業紹介所のほうは、いわゆる支度金とか、さまざまな形で新規の転職の方にお金が流れる仕掛けになってしまっているのです。どうしてもそういうものと競合しなければいけないということで、各都道府県ナースセンターの方々というのは実際苦労している。若い方々の認識というのも非常にドライになってきているところがございますので、制度として、ここの部局の話ではないですが、そういうものは公的な枠組みで提供している我が国の医療の中では、本来であれば、そこの部分の自由度に少し制限をかけるような形の議論というのも、もしまとめに入れられるようでしたら入れていただきたいなと思っております。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 私も、民間職業紹介事業との関係が非常に重要だと思っているので、今日の資料に無料職業紹介たるナースセンターの事業の資料しかなくて、看護師における職業紹介のプレゼンスがどれぐらいあるのかが、これだけでは見えないと思って、自分なりに見てみました。平成29年ですけれども、有料のほうは、求職者120万人に対して求人が26万人、こちらの無料のほうは、求職1万4000人に対して求人が4万7000人と、ちょうど逆転していて、ボリュームとしては1.1%ぐらいしか無料のほうはないという小さな規模です。
看護師は、有料職業紹介を使おうとする。医療機関は、むしろ無料職業紹介を使おうとしているという関係がはっきり出ていて、こういう前提で、先ほどのメカニズムの問題や、支度金の問題などもありますけれども、都道府県ナースセンターが事業をしていく必然性をきちんと考える必要があると思います。私は、決してやめるべきというつもりで言っているのではなくて、そうでないと説得力がないと思うのです。
では、有料職業紹介に全然問題がないかといえば、そんなことはなくて、手数料問題のほかにも、求職の時点で本当は既に存在しないような求人情報を提供して、ほかの病院を無理やり紹介するとか、求職者の適性を十分考慮せずマッチングしたために辞めてしまう人が病院側に聞くと結構な割合である。こうしたことについても、無料職業紹介ではどうなのかということも、データ的には見てとれません。ですので、何が強みなのかとか、無料職業紹介側の良い点は何があるのかというのをきちんと冷静に見ないといけないのではないかと思っています。
その観点から言うと、届出制度が法定されていて、その情報が使えるというのは、無料職業紹介側の有利な点だと思います。けれども、それが十分生かされているのかというところがあると思います。だから、そういう分析をもっときちんとやる必要があると思っています。
1つ、私が今、思ったところは、民間職業紹介のほうはコーディネーターがかなり多いのかなと思ったら、それほどでもないという感じもあります。確かに都道府県ごとで職員数の割合が出ていますけれども、全国的にならせばそんなに遜色がない可能性もあります。現状として、都道府県単位のナースセンターの事業で、他県、隣県への情報提供とか職業紹介に資する活動はされているのか、都道府県境を越えた活動ができているのかをお聞きしたいと思います。
○尾形座長 最後の点、御質問ですので、事務局、お願いします。
○乗越看護職員確保対策官 今いただきました伊藤構成員からの御質問でございますが、申しわけございません、具体的な隣県との連携について、厚生労働省のほうで把握しているというのは、この場ではございません。ただし、eナースセンターにつきましては、全国の情報が確認できるようになっておりますので、そうした意味で、仮に他県の情報を確認したいということであれば、それについては確認が可能ということになっております。
それから、先ほど来いただいております有料職業紹介の関係でございます。事務局のほうから補足の情報で申し上げますと、まず、なぜ有料職業紹介を利用しているのかという点につきましては、少し前になりますが、平成25年度の厚生労働科学研究費の看護師の方へのインタビュー調査におきましては、迅速性といった観点からの利便性を意図して利用しているといったことですとか、また、インターネットのサイトを利用していて、何となく幾つかポチポチ押していると誘導されたといったこともあるという調査結果がございます。また、施設側との交渉を代行してくれるといったことも挙げられておるところでございます。
それから、有料職業紹介事業者に対して必要な規制をという御意見もございましたけれども、これに関しましては、有料職業紹介事業者に対する仕組みといたしまして、これは平成29年の職業安定法の改正が平成30年1月から施行されてございます。この中に、職業紹介事業者において、必要な情報の公開、紹介実績の公開といったこととあわせまして、手数料等についての情報を公開するということになっております。そうしたこととあわせまして、指針におきまして、事業者に対して求める事項ということで、幾つか適正な事業運営を促すための事項が示されております。
例えば、紹介した求職者に対して、就職した日から2年間、転職の勧奨を行ってはいけないといったことですとか、求人側から徴収する手数料について返戻金の制度を設けることが望ましいといったこと。また、求職の申込勧奨について、求職者にお祝い金を提供することは好ましくないことといったことが指針の中に示されておりまして、そのようなことを有料職業紹介事業者に求めるといった仕組みが、既に平成30年1月から施行されておるところでございます。以上でございます。
○尾形座長 どうぞ、伊藤構成員。
○伊藤構成員 今みたいに口頭で言っていただいても、わかりにくいのでもう少し資料も用意して、無料職業紹介事業としてのナースセンターの意義を議論できるようにしたほうがいいのではないかと思います。
その点で、求職活動も9割以上はネットで検索しているという状況が厚労省の検討会に2015年の時点でも出ています。そういったネットに対応できる環境をもっと充実させる必要があると思いますし、あと、県境を越えたということについて言えば、ハローワークの巡回相談をやっているということなので、これ自体が県境を越えた活動の可能性は十分あると思いますし、必ずしも登録している情報と働こうとするところが同一都道府県内とは限らないと思いますから、そういう柔軟性も含めて、この都道府県のナースセンターの活動の意義を踏まえた充実を考えていく必要があると思います。以上です。
○尾形座長 資料については、今お話があったように、次回以降、少し整理して出していただければと思います。島崎構成員。
○島崎構成員 すみません、手短に申し上げます。先ほど太田委員がおっしゃったことに対して、私は反対したわけではありません。ナースセンターはもう辞めてしまえということを申し上げたわけではなくて、民間の事業者が商売として成り立っていることに鑑みれば、ナースセンター事業の欠点というか、ウィークポイントがあるのだということをきちんと自覚しないとまずいという意味で申し上げています。 その点に関連して言うと、先ほど伊藤構成員がおっしゃったように、県をまたがってということもさることながら、何といっても求められるのは迅速性だと思います。求職者のほうもそうだし、病院や施設側も、例えばそこで欠員が出たら、すぐに雇いたいからこそ事業者のほうに頼るのであり、ナースセンターもそういうスピード感を持って対応するということも考えていかないと劣後してしまうということを申し上げたかったということです。
○尾形座長 鶴田構成員。
○鶴田構成員 資料15ページのナースセンターの機能強化の2ポツのハローワークについてと、5ポツ目の都道府県と地域の連携という観点から意見を述べます。
ハローワークについては、19ページにあるように、順調に数は伸びてきているという資料が示されていますけれども、ナースセンターの職員とハローワークの職員が一緒に行って相談を受けるというのが今の対応だと思います。ナースセンターの人に聞いたら、ナースセンターの人員配置とかが少ないこともあって、開催回数が少なく、看護職の求職者が直接ハローワークに行くような場合がある。そうすると、ハローワークにいる職員に対する教育、例えば、Q&Aとか何かを作っていてハローワークの職員が対応するとか、そういうふうにして、ハローワーク単独でも対応できるようなことを考えてはどうかという意見があります。それは、ナースセンターに人が少ないということも一因であります。
2番目の都道府県と地域が連携することについては、事業例の2と3に静岡県と書いてあります。昨年、日本看護協会が進めた看護職の確保モデル事業を採択していただいて、静岡県のある医療圏で連携事業を行ったところ、その圏域において、どういう看護職に対するニーズがあるかとか、施設とのマッチングとか、そういう取組をしたことによって、前年度はナースのお仕事フェアに6人ぐらいしか来なかったけれども、53名、2桁の参加者があったと聞いています。施設も、求職する人にとってもお互いの顔が見えるというか、内容がわかる取組が必要かなと思います。
静岡県は医師確保対策をやっていて、研修医と医療機関のマッチングをしていますが、その担当していた事務職員が医師確保対策から看護確保対策を担当することになり、看護師も医師確保対策と同じですねという話をしていましたので、紹介だけしておきます。
○尾形座長 ありがとうございました。内藤構成員、どうぞ。
○内藤構成員 私も病院の団体の代表ですけれども、東京都病院協会では、こういう問題が非常に前から言われていまして、先日、東京都病院協会の中の救急委員会で看護師募集についてのアンケートをとらせていただきました。実際のところは、そのアンケートというよりは、有料の紹介業者を使ってどうかという話ですけれども、まさに先ほどからお話が出ているような状態で、マッチングがうまくいかない、短期間で辞めてしまう、能力的にマッチングが全く合わないということですけれども、そういうことと、非常にお金が高くかかっているということ、さらには、それ以外の手はずでは看護師がとても募集できないので、仕方なくそれを使っているというところが非常に多かったです。
それから、そういうことを反映してなのか、手数料が最近値上げされてきているという話もありまして、今後の病院経営が非常に厳しい状況になっていくのではないかと思うのですが、一方で、その紹介業者というのが、コーディネーターという話がありましたけれども、実際にはついてきても、紹介してくる病院、例えば私の病院に来るとすれば、私の病院のことを全然知らない。それから、紹介して連れてくる看護師の能力のことも全く知らない。ただ連れてきたというだけの方がついてきて、看護師さんの有利な条件をこちらに押しつけてくるという感じのことが多くて、本来で言うマッチングとはとても言えないような状況ではないかなと思います。
実際問題、例えば当院で何か新しく施設を立ち上げて、そこのノウハウを持っている方に入っていただくのであれば、高いお金を払っても仕方ないと思いますけれども、数が足りないから合わせる。ちょっと問題があるのですけれども、良いでしょうかと連れてくる方も中にはいらっしゃったりするわけです。そういう業者に我々、高いお金を払ってやっていくというのは非常に問題だと思うのですが、現場の看護師のほうから聞きますと、eナースセンターとかは、手数の問題ではなくて、ソフトの問題もすごく大きいと思います。前にもお話が出たかもしれませんけれども、紹介業者というのは非常にうまくできていて、アンケートみたいなところから入っていって、最後、連絡先で向こうにつかまってしまうとなっているらしいですけれども、ナースプラザのものに関して言いますと、非常に複雑で、入っていくのが難しいし、例えば自分がこういう条件で働きたい、もしくはこういうところで働きたいということを打ち込んでも、全然違うものが紹介されるとか、非常に使いにくいということがあります。
今の時代、例えば営業は足でするという時代じゃないらしいので、看護師さん集めも、人の数を合わせるというよりかは、ネットでソフトを非常に使いやすくして、それで夜、疲れているときに、こんなに疲れていたら、今の病院、ちょっとやっていられないなというときに、どこかないかなと思ったときに、ポチッと押したらナースプラザのソフトに入っていって、そうかと思っているうちに連絡先を教えてくれるみたいな形にしていかないと、今の時代にはついていけないのではないかと思っています。
紹介業者ですと、ポチッと押すと、1時間もすると電話がかかってきて、極端に言えば、この人、うちの人みたいな形になってしまうようですから、ソフトの部分がすごく大きいのではないか。そこの改善が必要なのではないかということを強調させていただきたいなと思ってお話しさせていただきました。
○尾形座長 ありがとうございました。山口構成員、どうぞ。
○山口構成員 15ページの論点2のナースセンターの機能強化で、さっきからハローワークのことが出てきていまして、マッチングを強化していると書いてあります。私は、マッチングの前に、さっきの平川構成員のお話にもあったように、看護師さんの働く職場はかなり幅広くて、例えば老健施設1つとっても、かつてと現状が変わってきているということからしますと、どういうところが、どんな役割を担っていてということをまず理解してもらうということが大事なのではないかと思います。
ですので、マッチングの前の段階でニーズと、どんな職場があるかを理解して、適切に選べるようにならないと、マッチングということもうまくいかないのではないかと思います。そのために例えば新規採用者が4割近く離職してしまうという、とてももったいないことが起きていると思いますので、現状とイメージとのギャップを埋めるようなことが大事ではないかと思います。
もう一つ、ナースセンターには、60代の職員の方がかなり多くを占めているということからしますと、例えば若い潜在ナースのニーズが理解できなかったり、さっき石川県でラインを使ってという紹介がありましたけれども、そういう若い人にアプローチするにはどうしたらいいかという発想自体が、うまくかみ合ってないのではないかと思います。職員は60代の方が多いとしても、どんなやり方をすればいいかというアドバイスを受ける仕組みづくりといいますか、そんな工夫もしていかないと、時代についていけないような現状になってきているのではないかと思いましたので、そこは改善が必要ではないかと思います。
○尾形座長 ありがとうございます。もう一つ論点がありますので、小林構成員で最後にさせていただきたいと思います。
○小林構成員 私も、マッチングの前に、現実と理想のギャップを埋めることが重要と考えております。資料の21ページにありますように、看護師の採用につながった割合は、有料紹介事業所よりも、むしろ病院見学・説明会の開催・インターンシップの実施のほうが高くなっています。つまり、実際に現場を自分の目で見たり、働く体験をしたりすることで、ここに就職して、私は本当に辞めないで働き続けることができるのかといった確信を持つことが何よりも重要だと思うのです。資料の27ページにある訪問看護基礎研修開催のトライアル雇用例は、とても参考になる取り組みだと思います。自分が関心を持っている施設で、1~2週間、実地研修をすることができ、その間は、自分で研修費用を支払う必要はなく、賃金が支払われる(その取り組みでは、1日5000円程度)制度です。現場に復帰して、しっかりと働きたいと思っている看護師にとっては、有料紹介事業者から提供される支度金よりも、このような仕組みの方がインセンティブになると思います。ですので、このような取り組みも含めて検討していただきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。まだほかにもあるかもしれませんが、済みません、最後に大崎構成員。
○大崎構成員 申しわけありません。退職を決定する面接をしておりますと、次、どうするのと聞いたら、「業者に相談します」ということをよく言います。先日、「ガイアの夜明け」で放送がありましたように、そういう仕組みを説明すると、やめますと言うのですけれども、今の若い子は、自分の足を使って、自分で施設に行くとか、電話をかけてアポイントをとるといったことをするのがすごく苦手で、業者がそれを全てやってくれるのです。施設見学や面接日を決めてくれたり、面接に一緒についてきた人もいる等、とても懇切丁寧にやってくれたら、探している本人にとってはすごく楽なわけです。それを思いますと、石川県で発表がありましたように、石川県委託のキャリアコンサルティングという、外部の業者の方を頼まれて、その方が民間業者みたいなことをされているなと感じましたが、そういったことも大切じゃないかなと思います。あと、そこで本当にやっていけるかどうかというところは、先ほど小林先生も言われたように、3日間、1週間でいいので、実際、そこで働いてみるという制度も非常に重要なことだと思います。以上です。
○尾形座長 では、一言。
○鎌田構成員 中央ナースセンターもいろいろ取組をしておりまして、25ページ以降にモデル事業でやっていることを記載しておりますので、これを全国展開していかないといけないと思っております。加えて、これから地域医療構想を実効性のあるものにしていくためには、看護職員の円滑な労働の移動を図ることも必要であるということから、ナースセンターの機能強化と機能拡充、また機能追加についても、今後、幅広く検討が必要だと思っております。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。すみません、先を急ぐようですが、もう一つ論点がございますので、論点3、ハラスメント対策について御意見、御質問、お願いします。 鶴田構成員、どうぞ。
○鶴田構成員 十数年前、病院経営に携わったとき、当時は暴力対策ということで、県警の暴力団課長に講演に来てもらいました。当時、厚生局から医療監視に各大学に行くと、ハラスメント、特に暴力対策については、各大学とも統計をとっていましたし、その対応策を持っていましたので、そういうものも集められてはどうかと思います。
最近、働き方改革の中で、医療関係者の自己犠牲のもとに、今、医療は成り立っており、医療は危機的状況にあるという認識が述べられていますが、こういうパワーハラスメント、セクハラを含めて、こうした者に対するペナルティーがあってもいいのかなと思います。訪問看護の分野の人から言われたのは、ハラスメントを受けると担当者が辞めるということがあるので、2人で訪問に行かせてほしい。そうすると、費用は一人は保険で対応しても、もう一人については訪問先の自己負担で徴収してもいいような、そういう費用面での対応も検討してはどうかという意見がありましたので、紹介だけしておきます。本県の看護協会の会長さんは、ぜひそのことを言ってくれと言っておりましたので、よろしく。
○尾形座長 ありがとうございました。平良構成員、どうぞ。
○平良構成員 私の現場でも、最近、ひところよりは患者・家族からの暴力といいますか、暴言がかなり出ておりまして、現場の職員は医療を提供している立場ですので、我慢をある程度するのです。我慢の限界に来てから私どもに相談してきますので、対応が遅れがちになります。ハラスメントについては、我慢する必要は無いと思いますが、現場の職員の理解が十分ではないと認識しています。基本的な知識から、うちもこれから勉強していくところですけれども、ハラスメント対策、29ページ、現状の一番下の○で書かれているマニュアルの整備やガイドラインというよりも、対応策などについて少し御提示いただくと、現場でもかなり参考にさせていただけるところはあるかと思いますので、これはすごくいいことだなと思っております。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 このハラスメントについては、30ページの「御議論いただきたい点」で、マニュアルを作るということで、1行目ですけれども、患者や家族からの暴力やハラスメントに対する対応策について示したものがないとあるので、患者や家族からの暴力に関するマニュアルを作成する。それを踏まえて、下のようなことをやるということで読めます。
32ページを見ますと、看護職が受けるハラスメントは患者や家族からだけではありません。この職場におけるハラスメントは、職員、施設内で働く者からのハラスメントという面の両方を必ず念頭に置いた検討・対応が必要ですので、そういう検討をしていきたいと思います。よろしくお願いします。
○尾形座長 ありがとうございました。内藤構成員。
○内藤構成員 私もハラスメントと聞いたときに、実は上司からのハラスメントかなと思ったり、同僚からのハラスメントというのが頭にすぐ浮かんだということは、うちの病院でそういう問題があったということですけれども、今お話がありましたように、患者とか家族だけではなくて、医療の現場におけるハラスメントはどういうものなのかということを、しっかりともう一回認識して、医療従事者だから我慢するということではなくて、ハラスメントに対して、みんながしっかり認識を持つことによって、職場が健全に運営される、もしくはしっかり医療が提供できるということを前提に踏まえて考えていく必要性があるのではないかと思っております。
○尾形座長 本田構成員、どうぞ。
○本田構成員 私は、医療を受ける立場で、患者とか家族の側に立つ者ですけれども、どんな立場の人間にもいろいろな人がいるので、患者だからこんなことを言っていいということもない一方で、医療者だからこんなことを言っていいということもない。そういう意味合いで、もちろん患者・家族がハラスメントをしているケースも多々あると認識しています。一番言いたいのは、今、内藤構成員もおっしゃっていましたけれども、ハラスメントとは何ぞやというものをきっちりとした上で、その対策を立てるということ。今までもされていたと思いますけれども、上司・同僚、患者・家族を含め、ハラスメントとは何なのかということをもう一度きっちりさせた上でやっていただきたいと思います。
1つ申し上げたいのは、患者・家族の立場では、例えば医師にこういうふうに言われていたのを、とても言えなくて、結局、看護師さんが別に悪いことをしたわけでも何でもないのだけれども、爆発させてしまったということは多々あることだと思いますし、そういう意味合いでもハラスメントとは何ぞやということをちゃんと明確にしていっていただきたいと思います。
一方で、何でもかんでも看護師さんが我慢する必要はないので、私は難しいと思うのですけれども、それは違うのだということ。ケアとか看護できない、しないというのはまた問題だと思うのですけれども、ペナルティーというのも、できるものとできないものがあると思うのですけれども、何かしら考えなければいけないという部分はあるのかなと、ちょっと個人的には思うこともあります。以上です。
○尾形座長 森本構成員。
○森本構成員 先ほどからも出ていますように、医療現場で活用可能な対応マニュアルを作成するための指針を検討するとありますが、それに加えて、訪問看護では、特に1人で訪問する機会も増えて、その対策が急がれていると思います。あわせて、医療機関以外、在宅領域等の看護職員も安心して働き続けられるよう、利用者やその家族からのハラスメントを防止するための対策を進めていく必要があると思います。
次のページに国民への普及啓発、それから職員の学習という話が先ほども出ました。医療機関への支援の中で、効果的な学習ができる取組等も含め、在宅領域なども含めて、ぜひ検討いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○尾形座長 ありがとうございました。平良構成員。
○平良構成員 先ほどの意見に追加ですけれども、資料の41ページにパワーハラスメントの3つの要素、全てを満たすものがパワハラとして規定されているという1、2、3、ありますけれども、1の優越的な関係に基づくというところだと、職場と考えたときに、上司とか先輩とつながるのですけれども、実際には、弱い立場を利用して上司を圧迫するという現実もあるのです。それで管理者がほとほと参って、精神的に落ち込むということもあるので、私が申し上げたいのはハラスメントの定義のようなものですけれども、法的にはそうかもしれないけれどもというところは、ガイドラインなりで明らかにしていただけたらありがたいなと思います。意見でした。以上です。
○尾形座長 ありがとうございます。ほか、いかがでしょう。事務局、どうぞ。
○乗越看護職員確保対策官 事務局でございます。今の御議論の中で、先ほど平良構成員のほうから資料の41ページについての御紹介がありましたけれども、こちらが今、国会のほうで審議されております、ハラスメントの防止を一つの目的といたします法律案の内容でございます。この中の一つの内容として、パワーハラスメントの防止対策の法定化というものを行うということで、事業主に一定の管理上の措置を講じることを義務づけるとされております。したがいまして、職場の中でのパワーハラスメント対策というものにつきましては、これは病院も含めまして、事業主に義務づけられるという方向で、この法律が国会のほうに提出されておるところでございます。
一方で、今、御議論の一つでございます患者・家族からの暴言・暴力につきましては、41ページの下の○にございます、取引先とか顧客等からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントにつきましては、法律上の措置義務の対象とはしないが、指針において、労働者からの相談体制の整備や被害者への適切な配慮等を行うことが望ましい旨を記載することを検討するとされてございます。指針において、このように事業者・労働者一般についての規定が行われることになっております。
それで、今回、厚生労働省のほうで行う予定の研究事業、38ページでございますけれども、そちらの研究は、目的としては、看護職が患者・家族から受ける暴力、ハラスメントの実態把握を行いまして、それに基づいて医療機関における対応策についてのマニュアルを作成するということを一つの目的としております。そうした意味で、この研究の対象としては、主に患者・家族からのハラスメントということを対象としております。
それから、39ページに介護現場におけるハラスメントに関する調査等もございますけれども、これとは別に訪問介護の関係でのハラスメントに関する研究事業というものを、この三木先生が行っておられます。そうしたものも踏まえて、今後、看護職の関係のハラスメントへの対策についても検討していきたいと考えております。以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 今の御説明だと、指針を作るという話が患者と職員からのハラスメントについての指針だということでしたが、この30ページを読むと、国民への啓発とか医療機関への支援が、全部患者と家族からの暴力やハラスメントについてしかやりませんということになりますので、「これを踏まえ」と上の3行目に書いてある形になってしまうと狭いと思います。以上です。
○尾形座長 竹中構成員。
○竹中構成員 私、院長時代に、夜中に巡回していた看護師に性器を見せた男性患者がおりまして、即、退院させたことが2件ございます。これは明らかな軽犯罪ですし、あと、暴力にしましても、物損事件とか傷害事件というのは明らかに警察の問題になりますけれども、一番困っているのは暴言です。暴言だけでは警察は動かないのです。しかしながら、例えば夜間の救急の現場等で一番傷つくのは看護師です。
それで、今、乗越さんから41ページの下のほうで指針をつくられるということがありましたけれども、現場の人間として、このような暴言を吐く者に対して診療行為を続行する必要が本当にあるのかどうか、非常に激しい怒りをいつも持っているところですが、それに対して、暴言をどの程度抑制できるか。指針をもっと立ち入ったところで述べていただければ、具体的なところで非常に助かるなと思っております。前に患者さんがいれば、我々はなかなか動けないのです。暴言だけでは警察も動かない状況の中で、なかなか対応しにくいところがありますので、よろしくお願いしたいと思います。
○尾形座長 高砂構成員。
○高砂構成員 在宅に関して、いろいろな御意見をいただきまして、ありがとうございます。全国訪問看護事業協会で、3月に「暴力・ハラスメントの予防と対応」という本を出して、一度、演習を含めた研修会をやって、とても効果があった。最初は怖いというイメージが強かったのですけれども、みんなでそれを共有して予防策を身につけることがとても大切だということがわかる研修ができましたので、30ページの医療機関への支援等という中でe-ラーニング等の学習に対する取組も載っていますけれども、そういう研修会とか、さまざまな取組の御支援をいただけるといいなと思っています。よろしくお願いします。
○尾形座長 ありがとうございました。まだまだいろいろ御意見があろうかと思いますが、すみません、私の不手際で、予定を5分オーバーしてしまっておりますが、今日は3つの論点について、大変貴重な御意見を頂戴したと思います。本日、平川構成員からのヒアリングでの御説明、あるいは3つの論点について構成員からいただいた確保策への御意見については、事務局で十分検討していただき、また資料等の工夫もしていただいて、次回以降につなげていければと考えております。それでは、最後に、次回の日程等について事務局から御連絡をお願いします。平川構成員、どうぞ。
○平川構成員 お時間が押している中、大変申しわけございません。今日は、私ども介護施設の看護、マイノリティの部分での看護・介護の話ができて感謝しております。1点、お願いがあるのですが、今回、今回、看護協会作成の資料を活用し説明したのですが今回のプレゼンテーションの機会をいただいたことを契機に老健施設協会として、この分野に関する実態調査をすることといたしました。調査票は看護協会のものをもとに、より介護老人保健施設に特化したものを今回作成しました。4000施設、各施設5人ぐらいの方から回答をいただこうと考えています。つきましては、ご無礼なお願いではありますが、せっかくの機会ですので、本会の構成員の方々にもお目通しいただき、項目の修正、ご追加等いただければ、よりバージョンアップができると思いますので、ご協力をお願いしたいと存じます。事務局にもご協力がいただけましたので、ぜひよろしくお願いします。最後に申しわけございません。
○尾形座長 ありがとうございました。それでは、事務局、よろしくお願いします。
○金子看護課長補佐 次回の開催日時及び場所等につきましては、また改めて御案内を申し上げます。以上でございます。
○尾形座長 それでは、これで第8回「看護職員需給分科会」を終了したいと思います。長時間にわたります熱心な御討議、どうもありがとうございました。
(了)
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