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2016年7月14日 「第5回 産業医制度の在り方に関する検討会」議事録

○日時

平成28年7月14日(木)14:00 ~ 16:00


○場所

労働委員会会館 講堂


○議題

(1)産業医制度の在り方等について
(2)その他

○議事

○富賀見室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第5回「産業医制度の在り方に関する検討会」を開催したいと思います。

 本日は、大変お忙しい中、どうもありがとうございます。

 なお、カメラ撮影がもしございましたら、ここまでとさせていただきます。

 本日は、石田委員、川上委員、小林委員、中澤委員、森委員が所用のため御欠席、土肥先生はおくれての御参加と伺っております。

 今回、委員と事務局に交代がございましたので、初めに御紹介させていただきます。

 まず、委員ですけれども、日本医師会の常任理事の交代に伴いまして、道永委員から松本委員に交代となっております。

松本委員 日本医師会常任理事で産業保健を担当することになりました松本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

富賀見室長補佐 ありがとうございました。

 続きまして、事務局にも異動がございました。

 安全衛生部長が加藤から田中に交代となっております。

田中安全衛生部長 6月21日付で安全衛生部長を拝命しました田中でございます。

 働き方の多様化の中で、安全衛生行政についてもきめ細かな対応を推進していきたいと思っております。引き続き、御指導いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

富賀見室長補佐 計画課長も秋山から富田に交代となっております。

富田計画課長 6月21日付で安全衛生部計画課長に就任しました富田でございます。

 皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

富賀見室長補佐 以上でございます。

 以降の進行は座長にお願いしたいと思います。

相澤座長 皆さん、こんにちは。

 お暑い中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 中は涼しいので、熱い議論をよろしくお願い申し上げます。

 今回は、今までの議論を事務局でまとめていただきましたので、それについて御検討をお願いいたしたいと思います。

 それでは、座って失礼します。

 事務局から、資料の確認をお願いします。

富賀見室長補佐 初めに、事務局から資料の確認だけさせていただきたいと思います。

 お手元のクリップどめの配付資料を御紹介させていただきます。

 一番上は検討会の議事次第で、1枚物です。

 その次が、資料1としまして、これまでの議論を踏まえた論点の整理案となります。

 このほかは参考資料の位置づけになりますけれども、参考資料1としまして、関係する統計とか条文の資料でございます。

 次に、参考資料2といたしまして、これまでの4回の検討会の意見を検討事項ごとに並べた資料になってございます。

 最後に、1枚物の参考資料3としまして、本検討会の開催要項となっております。

 それ以外に机上にございますのが、一つは日医ニュースで、これは裏の一面に日医の医賠責保険制度について、産業医活動が補償対象に加わったという旨の記事となっておりまして、後ほど松本委員から御紹介いただく予定になっております。

 もう一つ、横向きの資料で「保健師の」と書いてあります資料は、大神委員から提出のお申し出をいただきましたものになります。机上に配付させていただいております。

 あと机上にございますのは、毎回置かせていただいています青いファイルです。これはこれまでの検討会の資料をつづったものになっておりますので、適宜議論の中で御参考いただけたらと思います。

 お手元の資料は以上になります。

 もし不足等がございましたら、どのタイミングでも構いませんので、事務局までお申しつけいただければと思います。

 以上でございます。

 座長、よろしくお願いいたします。

相澤座長 ありがとうございます。

 よろしいでしょうか。

 本日は、これまで検討会で御議論いただきましたので、それを踏まえまして論点を事務局において整理したものがございます。これに基づいて議論を進めたいと思いますけれども、そういうやり方でよろしいでしょうか。

 特別御異議はないでしょうか。

(「はい」と声あり)

相澤座長 ありがとうございます。

 それでは、議題1の「(1)産業医制度の在り方等について」で、事務局から資料1の論点整理案の説明をお願い申し上げます。

塚本産業保健支援室長 それでは、資料1の論点の整理案につきまして、御説明いたします。参考資料1につきましても、随時参照していただきたいと考えております。

 資料1の構成でございますが、1ページ目に「1 求められる労働衛生管理」、1枚めくっていただいた2ページ目からが「2 産業医、産業医以外の産業保健スタッフに期待される役割」で、飛びまして6ページ目から「3 小規模事業場における労働衛生管理の強化について」と、最後に8ページ目から「4 その他の産業保健の機能向上等に関すること」という構成立てをしております。

 1ページ目に戻っていただきまして1の「(1)求められる労働衛生管理」でございますが、労働者の高齢化等が進展している中、定期健康診断の有所見率は、年々増加し、近年は5割超え。また、過労死、メンタルヘルス対策に関する問題への対応も、近年、社会的に重要な課題。さらに、疾病、障害のある労働者など、多様化する労働者の健康確保も、近年、重要な課題。

 これらを踏まえると、事業者は業種を問わず、健康診断等に基づく就業上の措置、過重労働対策、メンタルヘルス対策、両立支援対策等の多様化する労働者の健康確保対策、積極的な健康保持増進対策などを的確に行うことが重要であり、このための健康管理を初めとする労働衛生管理が求められているのではないか。

 また、自主的な労働衛生管理も重要ではないか。業務上疾病者数が年間8,000名、有害業務の状況に応じて作業環境管理、作業管理、健康管理が必要ではないか。また、有害業務が少ない事業場におきましては、作業環境管理、作業管理に関する業務の必要性は比較的少ないのではないか。

 次に「(2)効果的な運用のための管理体制」ですが、効果的な運用のためには、必要に応じて外部機関等も活用しながら、連絡・調整機能も有した産業医等の産業保健チームとしての対応・体制が重要ではないか。また、行われた措置の効果を検証する仕組みが必要ではないか。

 次は2の「(1)産業医に期待される役割」ですが、まずは過重労働対策、メンタルヘルス対策、多様化する労働者の健康確保対策、積極的な健康保持増進対策などについて、職場の状況を把握した産業医が積極的に関与することが期待されているのではないか。

 特に、健康診断、面接指導等の結果を踏まえた、就業上の措置に関する医学的判断は、医師のみが行える業務であり、職場の状況を把握した産業医が行うことが期待されているのではないか。

 治療と職業生活との両立支援対策につきましては、明確に産業医の職務として位置づけるべきではないか。

 次に、有害物に関して、産業医は健康管理とともに、作業環境管理、作業管理等に関する業務についても、有資格者と連携した上で、医学的知見に基づく判断業務などを中心に実施、関与することが必要ではないか。

 その際の有資格者等との連携については、有資格者が行った業務の報告を受け、労働者の健康に及ぼす影響などの観点から指導等を行うことなどが必要ではないか。

 また、産業医は必要に応じて、事業者に対して的確に勧告することが必要ではないか。

 次は「(2)産業医に必要な情報取得のあり方」でございますが、産業医は、毎月1回以上の頻度で、職場巡視を行い健康障害の防止に必要な措置を講ずることが求められている。産業医による職場巡視は、作業環境、作業方法等の問題点を把握するのみならず、就業上の措置のフォローアップ、就業上の措置に関する意見を適切に述べるためにも有用。

 しかし、近年は、過重労働による健康障害防止対策、メンタルヘルス対策などが職場における重要な対策となっており、また、嘱託産業医を中心により効率的かつ効果的な職務の実施が求められている中、職場巡視のみが、必ずしも、これらの対策に関して必要な措置を講ずるための効率的な情報収集の方法ではないのではないか。

 これらから、過重労働対策などにとって有用な労働時間等の情報、衛生管理者が行う週1回以上の職場巡視の結果などの情報について、一定の情報は定期的に、詳細な情報を産業医の求めに応じて、事業者は産業医へ提供することを義務づけるとともに、職場巡視の頻度を柔軟に対応することができるようにしてはどうか。

 この際の労働時間の把握でございますが、先ほどの参考資料1の30ページ目にもありますように、長時間労働者への面接指導の要件といたしましては、規則52条の2の第1項で、対象労働者の要件は、休息時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合の超えた時間が1月当たり100時間を超え、疲労の蓄積が認められるものとし、第2項で、超えた労働時間の算定は毎月1回以上行うとされております。

 また、産業医の労働時間等の情報提供ですが、次の52条の3におきまして、産業医は申し出を行うよう勧奨することができるとしております。

31ページ目の下のほうは平成18年の通達ですが、この中に申し出の勧奨を行うことができるよう、事業者は産業医に対して当該労働者の作業環境、労働時間、深夜業の回数及び時間等の情報を提供することが望ましいとされております。

 先ほどの資料1に戻っていただきまして、4ページ目の「(3)産業保健チームでの対応」の「ア 産業医のチームにおける役割」ですが、産業保健のチームにおける専属産業医等の産業医の役割は、産業保健のチームリーダーであること。産業保健のPDCAサイクルの核となることが必要ではないか。

 その際には、専属産業医等の産業医は、1)として、産業保健チームのリーダーとして、また、衛生委員会の委員として、各産業保健業務の具体的な内容、実施時期、実施方法などを検討、企画するとともに、実施状況、課題を把握し、その後の業務内容等に反映させること。また、事業場の関係部署への働きかけ、連絡・調製などを実施、関与すること。

 2)は、健康管理に関する業務について、必要に応じて看護職等と連携し、就業上の措置などの医師のみ関与できる業務を中心に実施、関与すること。

 3)ですが、有害業務に係ります作業環境管理、作業管理に関する業務につきましては、専門の有資格者と連携した上で、具体的には他の産業保健スタッフの業務の報告を受け、労働者の健康に及ぼす影響などの観点から指導などを行うこと。医学的知見に基づく判断業務などを中心に実施、関与すること。

 4)は、衛生教育、健康教育、健康相談、健康障害の原因調査・再発防止に関する業務につきまして、産業医のみならず、衛生管理者等を含むチーム全体で対応すること。

 次に、5)は、産業医みずから職場巡視を行うとともに、衛生管理者が高頻度で行います職場巡視の結果の報告を受け、労働者の健康に及ぼす影響などの観点から指示を行うことなどを事業場の状況に応じて行うことが期待されているのではないか。

 次に2は、事業場規模が比較的小さい事業場での嘱託産業医で時間的な制約がある場合におきましては、産業医の役割は、衛生管理者などが連絡、調整などを行いますコーディネーターとなり、産業医は医師のみ関与できる業務とともに、作業環境管理等における有資格者等と連携した医学的知見に基づく判断業務などを中心としたものとすることも必要ではないか。

 次に「イ 産業医以外の産業保健スタッフのチームにおける役割」の「(ア)看護職」についてでございます。保健師、産業保健に知見のある看護師が、引き続き、保健指導、健康相談等を積極的に実施するとともに、両立支援対策において必要に応じて産業医とともに主治医と連携するなど、積極的に産業保健業務を行うことが期待されているのではないか。

 「(イ)技術専門職」でございますが、作業環境管理、作業管理などにおいては、専門家が積極的に業務を行うことが期待されているのではないか。

 「(ウ)具体的なチーム体制等」につきましては、産業保健業務を事業場の状況に応じまして、産業保健のチームで行うことが重要ですが、その際のチーム体制、構成員、役割分担、連携方法などにつきましては、事例収集等を行い、大規模の事業場、小規模の事業場の別、有害業務の有無などのごとに、好事例、取り組み方法などを示すことが必要ではないか。

 次は「3 小規模事業場における労働衛生管理の強化について」でございますが、まず1)で、定期健康診断の有所見率が50%を超え、異常所見者の就業上の措置に関する医師からの意見聴取が、事業場の規模にかかわらず義務とされており、また、当該就業上の措置に関する業務は産業医の職務から見ましても期待される重要な職務となっております。

 しかし、現状では、小規模事業場を中心に異常所見者の就業上の措置に関する業務の実施が低調である。

 このため、優先的に行う課題といたしまして、当該業務の充実・徹底を図るとともに、この健康診断と同様に事業場規模にかかわりなく義務づけられております医師による面接指導の業務の充実・徹底を図り、小規模事業場におきます産業保健サービスの改善を図るべきではないか。

 これらの義務とされました措置を確実かつ効果的に実施するためには、健康診断の事後措置に関する指針などで示されましたア)ですが、事業者が、意見聴取を行う医師へ、異常所見であった労働者の業務の状況等の情報提供を徹底すること。次のイ)でございますが、意見聴取を行う医師は、産業医学に関する知見を有するとともに、これらの医師に対して最新の知見等の提供、支援を行うことなどが必要ではないか。

 関係条文ですが、先ほどの参考資料1の41ページ目の法66条の4では、異常所見者について、省令で定めるところにより、医師等の意見を聞かなければならないとされ、次の42ページ目ですが、規則の51条の2により、健康診断の日から3月以内の実施とか、医師等の意見の個人票への記載などが現行では定められているところです。

 先ほどの資料1に戻っていただきまして、2)ですが、法13条の2に基づきまして、50人未満の事業場において選任が努力義務とされております「労働者の健康管理等を担当する医師」の選任を促進するとともに、当該医師が、義務である異常所見者への対応等の業務を行うことにより、質の高い着実な実施が図られるのではないか。

 3)ですが、さらに、50人未満の小規模事業場において、異常所見者に係る医師の意見具申、長時間労働者への面接指導の充実・徹底を図るためには、産業医有資格者、健康診断実施機関、地域の医療機関等を積極的に活用することが必要ではないか。

 次に4)は、異常所見者への対応などの業務を行います医師の支援のため、また、50人未満の労働者の健康相談等の産業保健サービスの充実のため、労働者健康安全機構、産業保健総合支援センター、地域産業保健センターなどの充実とともに、助成金制度の活用・充実を図ることが必要ではないか。

 5)で、分散型の小規模事業場におきます産業医の選任のあり方につきましては、昭和47年の通達の周知・徹底なども必要ではないか。

 次に6)の産業医の選任率ですが、50人から99人の労働者数の事業場におきましては、選任率が81%であるなど、産業医の選任の徹底が必要ではないか。

 次の7)で、事業場の規模等に応じて常時50人以上の事業場では、産業医、衛生管理士の選任、衛生委員会の設置が義務づけられ、また、50人未満ですと、労働者の意見聴取の機会の設定とか、健康管理等を担当する医師等の選任の努力義務、10人以上、50人未満の事業場におきましては、安全衛生推進者等の選任が義務づけられているところでございますが、これらの実態、課題につきまして、詳細な実態調査、調査研究等を行い、当該結果を踏まえて、必要に応じて、産業医、衛生管理者、衛生委員会等の設置基準等を検討すべきではないか。

 4の「(1)産業医やその他の産業保健スタッフの資質向上のあり方」ですが、産業医、異常所見者及び長時間労働者の就業上の措置に関して意見を述べる医師等につきまして、産業保健総合センター等を活用し、継続して、最新情報の提供、専門的研修の実施などの支援を行うことが必要ではないか。

 また、医師以外の産業保健スタッフにつきましても、積極的に産業保健総合支援センター等を活用し、継続的に最新の情報提供、知識の獲得への支援などを行うことが必要ではないか。

 次の「(2)産業医と事業者の関係」でございますが、法人の代表者等が産業医を兼務することを禁止する改正省令が平成28年3月に公布され、来年の平成29年4月に施行されることから、当面は本改正省令の円滑な施行が重要ではないか。また、引き続き、産業医と事業者の関係について状況の把握に努めることが必要ではないか。

 「(3)産業保健サービスを提供する外部機関の質の確保」は、外部機関の質の確保のため、実態調査を行い、課題等を検討すべきではないか。

 「(4)遠隔による労働衛生管理活動のあり方」につきましては、衛生委員会のテレビ、インターネット等での開催など、衛生委員会が有効に機能するための条件など、また、産業医等が対応しにくい山間部などでの事業場におきます遠隔による活動方法などについて、活用可能な機器等の要件、活用方法、留意事項なども含めて、検討が必要ではないか。

 最後の「(5)その他」でございますが、医師、産業医と事業場をマッチングする仕組みの整備・普及、産業医の労働者1人当たりの業務時間について調査、検討が必要ではないか。

 以上です。

相澤座長 ありがとうございました。

 それでは、少しずつ論点を区切って御議論いただければと思います。

 きょうはマイクの数が少ないので、御意見がある方は手を挙げていただけますと、マイクがそちらに行きますので、よろしくお願いします。

 それでは、最初に論点の「1 求められる労働衛生管理」につきまして(1)と(2)がございますので、そこまでで何か御意見がおありでしたら、お願いしたいと思います。

 どうぞ、高松委員、お願いします。

高松委員 連合の高松です。ありがとうございます。

 整理案を頂戴しまして、1でございますけれども、(1)の1つ目のの3パラぐらいの「これらを踏まえると」というところに「事業者が」ということで「事業者」を入れていただけたということで、これは大変よかったと思うのです。

 この後、最終的な報告に至る段階におきまして、お願いなのですが、これはあくまで労働安全衛生法上の産業医制度のあり方ということで検討しておりますので、労働安全衛生法上で言えば、当然のことながら事業主が労働者の健康と安全をしっかりと確保するのが大前提ですから、とかく産業医制度となると「産業医さんは」「産業医は」ということで、全てが書かれているトーンが強いのです。

 まず、事業主が全てにおいて責任があるということと、今回、いろいろと資料をいただく中で健康診断の受診率の問題あるいは産業医さんの設置の問題等いろいろ問題がありますが、これはあくまで事業主が責任を果たすのだというトーンを冒頭にうたっていただければありがたいと思います。

 以上です。

相澤座長 ありがとうございます。

 「事業者が」が入っておりますので、もちろん労働安全衛生法の考え方に従ってということでございますが、これはまたさらに加えるということでもなくて、どうですか。

高松委員 報告書の際には、ちょっとトーンを強めていただきたいというお願いです。

相澤座長 トーンを強めるということです。よろしいですか。

 ありがとうございました。

 どうぞ、甲田委員、お願いします。

甲田委員 安衛研の甲田です。

 2番でもよろしいのですよね。1番か2番ですね。

 1のほうの議論でございますか。

相澤座長 そうです。1のほうの議論です。

甲田委員 それでは、1の(1)の中で、いろいろな、例えばここにあるのは高齢化の問題、過労死の問題だとかがあって、この中でいうといわゆる疾病、障害のある方の両立の支援の話が出てきているのだろうと思うのですけれども、最後のほうに規制による労働衛生管理だけではなく、自主的な労働衛生管理も重要になってくるのではないかと。読めばすっと当たり前のような気がするのですけれども、両立支援の話は、規制の中には当然入ってこない話題ですし、行政のほうで位置づけとしてどうされるのかをお伺いできればと思っております。

相澤座長 ありがとうございます。

 両立支援についてですね。

 明石委員はその件ですか。

明石委員 高松さんがおっしゃられた件です。

相澤座長 別の件ですか。ちょっと待っていてください。今、甲田委員の質問に答えていただく。

塚本産業保健支援室長 両立支援対策につきましては、現行では、3局長連名の局長通達にて取り組みをお願いしているところです。

 これにつきましては、例えば医療機関については、主治医の御理解をいただくとともに、役割といたしましては、病状だけではなく一定の可能な範囲での就業上の措置、就業上に際しての条件といったものも書いていただくようなことを期待しております。

 ただ、医療体制の構築、研修、知識の付与も今からスタートすることになります。現行では、順次通知に基づきまして、事業主の方々の体制整備、関係機関であります医療機関、そのほかコーディネート的な機能を有する機関の体制整備を進めている状況でして、当分の間は自主的にやっていただきながら、進めていくことが現状でございます。

相澤座長 よろしいですか。

 明石委員、お願いします。

明石委員 先ほど高松委員からおっしゃられた、事業者がやれということでありますが、そうであれば、やはりもう一つ、労働者にも責務があるので、その辺りを労働者も努めるということがあります。

 なぜ私はこういうことを言うかというと、実施義務がありますので、事業者が例えば定期健診をやります。やっていただくのは労働者です。そこは労働者にもたしか定期健診は受ける義務がありますので、そこら辺も含めてその点を書いていただければと思います。

 それと、両立支援の件で、事業者としては3つほど懸念があります。

 1つは、かなり専門的な個別の疾病になるので、専属産業医は多分、判断ができると思うのですが、嘱託産業医で適切に判断ができるものかどうか疑問があります。

 2つ目は、このガイドラインは法律にひもづいていないものなので、これを産業医の法律に基づいたものにするのは、整合性という意味ではどうなのかという疑問がもう一つあります。

 3つ目の疑問は、一番事業者には大きな懸念なのですが、両立支援を求めるという方は大体私傷病の方になります。それを産業医の判断で事業場に入れることになります。

 この私傷病、私の病気の方を事業場に入れて、当然、疾病が増悪しないということは大事だとわかっておりますが、仕事をしているということは疾病がよくなるということではないと思います。もし万が一何かがあってぐあいが悪くなりましたと言われて、それが作業関連疾患ですと言われて、安全配慮義務が足りなかったということが今の判例でもいろいろ出ています。その辺りについては、どこまでが事業者の義務の範囲なのか。

 行政である程度明確にしていただかないと、結局何でも入れてしまうと事業者の責任だということになってしまうので、整理をしていただければと思っております。

相澤座長 ありがとうございます。

 これについては、何か御意見がございますか。

 塚本室長、どうぞ。

塚本産業保健支援室長 まず、嘱託産業医の方が両立支援の流れの中で関与するところの困難さというお話がございました。

 資料といたしまして、参考資料1の26ページ目に概要、その次に様式等を入れております。

 現在、考えておりますシステムですが、27ページ目の様式により主治医に労働者の職務内容をある程度御提供いただいて、それをもとに次のページの様式により主治医の先生が、これまでも診断書で書いていただいております現状の状況とか終了予定とともに労働者の職務内容に基づき条件つき就労可、可、不可また、条件つきの場合は留意を記入していただいた書面が、今後、産業医に行きます。

 産業医サイドは、職場ではこういう仕事がこういう場合はできるという知識もありますので、主治医から出ました意見書をさらに具体的な就業上の措置の肉づけをしていくという流れが考えられます。

 嘱託産業医の方が、例えば、がんの事例を扱うにしても、当然のことながらがんの専門医であることはベストではありますが、そうではない場合であったとしても、主治医、産業医が連携した形で対応できる仕組みとしています。

 また、連絡調整等を行うような促進員のような方々がサポートしながら両立支援の流れをつくっていきたいと考えております。

 必ずしもがんとか脳卒中とか、こういう専門医ではない産業医の先生も対応できるような仕組みづくり、構築が課題でもありますし、ポイントではないかと思います。

 また、両立支援については健康診断の問診の際に、疾病にかかっているという申し出があった場合、現行でも定期健康診断の中で一定程度両立支援的な対応は講じられるようになっています。ただ、健診と健診の間に疾病にかかった場合につきましては、明確でないところもあります。

 これらも今般、3局のガイドラインをつくったというのが背景でございます。

 なお現在、各担当者がお使いになるような両立支援のためのマニュアルというかテキストは今、検討しているところでして、御意見をいただきながら、今後、充実を図り推進していくことが必要ではないかと考えております。

相澤座長 ありがとうございます。

 竹田委員。

竹田委員 既にお話がありましたので、ちょっとだけ追加させていただきますと、嘱託産業医として働いている私も、専属産業医ができて嘱託産業医ができないような御意見はとても承諾できませんし、むしろ臨床の現場で、医療に近いところで仕事をされている嘱託産業医の先生は、ほかの産業保健活動に比べると、この事項に関しては取り組みやすい事項と私は考えています。

 ですので、あとはそのやり方、対応の仕方です。例えばガイドラインに関しては、行政サイドにお願いなのですけれども、産業医が使いやすいスタイルにはなっていません。私もこれを使って一度、この間せっかくですから主治医に問い合わせてみようかなと思ったら、産業医が使えるフォームではないので、アレンジもできない。

 全く違う様式で主治医と連携をとる形をとりましたけれども、この点に関しては、これが嘱託産業医は難しいとなってしまうと、ほかの就業区分判定も全部難しくてできないという話につながっていきますので、そうではなくて、いかに嘱託産業医もスムーズに対応できるかが必要だと思いますし、現時点でメンタルヘルス不調の方の復職支援などは、まさに治療と職業生活の両立支援で、現実に多くの嘱託産業医も取り組んでいると思いますので、発言させていただきました。

相澤座長 ありがとうございます。

 明石委員、主治医が心配することはどうもなさそうだということで、よろしいですか。

明石委員 つけ加えで済みません。

 今の産業医の件はわかりました。ただ、これは前から行政にお願いをしておりますが、ガイドラインをつくるときもそうであったと思うのですけれども、やはり主治医の事業場に対する理解度が低いような気がしています。そこはぜひもう一段力を入れてやっていただければと思っています。

相澤座長 どうぞ、塚本室長。

塚本産業保健支援室長 2月にガイドラインを出した際には、留意事項ということで、がんについてはまとめております。現在の計画ですが、今年度の下旬から来年度にかけまして、がん関係の主治医の先生方が、先ほどの労働者情報が来て具体的な就労のための条件が書けるようにテキストをつくりまして、当面はがん拠点病院約400に対して、私どもから院長、担当の方に御説明をし、出前出張的な形で研修を行いながら主な病院の主治医が関与いただけるように進めていきたいと考えています。

 がんが先行しておりますが、そのほかの疾病につきましても順次、行っていき、多くの疾病を抱えた方が、主治医サイドから就業上の措置に関するコメントをいただき、事業場と連携できるような体制を健康局等とも連携して進めているところです。

相澤座長 ありがとうございます。

 どうぞ、三柴委員、お願いします。

三柴委員 これは意見というよりも情報提供的な趣旨なのですけれども、両立支援については、積極的にお進めいただきたいと思います。法的な観点から改めて申し上げれば、今の安衛法の62条も身体障害者などを中心になるべく適材適所を職場で図っていただきたいということが書いていて、先ほど明石委員からもお話があったように、民事の判例でも健康配慮を求めるような判例があまた出ているわけです。

 とはいえ、何でも事業者あるいは産業保健スタッフに求めればいいというわけではなくて、どこまで事業者が果たせばいいのかなのですけれども、判例をそれなりに分析していると、結局要点があって、ポイントを私流に言うと、専門性と民主性を核とした手続的な理性を果たすことになっている。

 専門性は要するに、しかるべき専門家に意見を聞くということで、主治医については基本的には疾病性を、産業医については、疾病性を踏まえた事例性を確認するということで、民主性とは、その職場で当事者をめぐる関係者がどうしていくかを本人も含めて協議するということ。要するに、絶対の正解がない課題になるので、果たすべき手続は果たしてくださいということを求めているのかな。それができていないときに、予見可能性があったのにしなかったとか、そういう評価になっているのだろうと思います。

 以上です。

相澤座長 ありがとうございます。

 圓藤委員、お願いします。

圓藤委員 前回もお話ししましたが、主治医は職場の中に入っておりませんので、職場の内情について十分把握していない、把握できる立場にない、という限界があろうかと思っておりますので、明石委員がおっしゃるとおりだと思います。他方、事業者は職場のことを熟知しておりますが、疾病についてはわかっていない。

 そういうことから両立支援のために参考資料1の27ページ、28ページのような事業者と主治医の間でのやりとりができるようなものをつくられたことであろうと思っております。

 ただ、ここで大きく問題になりますのは、いわゆる健康情報ですので、健康の個人情報の機微にかかわる事柄を事業主と主治医の間でやりとりしてもいいのか。そこで本人の了解があればということで何とか済ませておりますが、そこに産業医並びに産業保健に従事する医師が関与するということが基本であろうと思っております。

 現状では、全ての事業場に産業医が選任されているわけではありませんので、小規模50人未満の事業場を考えればやむを得ないのかもわかりませんが、将来は産業保健スタッフ、産業医並びに地産保の先生方が関与してやりとりに参加するのが基本であろうと思っています。

 したがって、現在は通達レベルですので、ここでやむを得ないと思いますが、法令になっていくときには、その辺を整理していただければと思っております。

 次に、明石委員がおっしゃられた事業者の安全配慮義務の観点でどう考えるのかというところで、おっしゃるとおりだと思います。私は個人的には、昔から疾病を3つにわけております。

 いわゆる職業病ないし作業関連疾患。これらに関しましては、事業者責任が大きくありますから、事業者が大いに関与すべきである事柄であります。

 もう一つは私傷病で、これは個人情報でもありますし、個人のことでありますので、守秘義務等を守っていかざるを得ないということです。

 3つ目はその中間であって、私傷病ではあるけれども通常勤務をしたりいろいろなことをすると増悪するとか、弊害が来る。何らかの配慮が必要なもの。それについて、配慮が必要な部分に関しては、事業主も関与していかないことには丸くおさまらない。

 それが今回の両立支援のところでして、例えばがんを患っている方がおられて、抗がん剤治療を受けている。それの副作用があるために、一時的な就業制限をかける必要がある。そのような配慮が必要な場合には、それなりの配慮を事業主にしていただかなければならないので、それを具体的にどうしたらいいのかは産業医を通じてこういう制限の仕方をすれば働いていただけますということを事業者に伝えていく必要がある。

 そのように3つに分けたうちの3つ目のことについて、整理していくのがこの制度であろうと理解しております。

相澤座長 ありがとうございました。

 うまく整理をしていただきました。

 ほかはいかがでしょうか。

 増田委員、お願いします。

増田委員 イオン株式会社の増田です。

 規制による労働衛生管理だけではなく、自主的な労働衛生管理も重要ではないかとありまして、まさにそのとおりだと思うのですが、この後の資料1の後段であまり出てこないので、もう少し触れていただけたらと思います。

 やらないといけないことばかりで、緩めていいというところが3ページ目の職場巡視の回数ぐらいしか触れられていなかったので、もう少し掘り起こしていただいてもいいのではないかと思いました。

 もう一点よろしいでしょうか。

 その次の、このほか事業場の特徴に応じて必要となる労働衛生管理は何かというところで「有害業務の状況に応じて」と出てくるのですが、この有害業務に関しましては、産業医によって、あるいは事業者によって認識している対象範囲が異なるのではないかと思いますので、そこの定義を明確にしておくべきではないかと思いました。

 その点について、何かあれば事務局からお示しいただければと思います。

相澤座長 塚本室長。

塚本産業保健支援室長 確固たるものはないのですが、一つは特定業務従事者の業務列挙は参考になるのではないか。そのほか、例えば特化則などの規則で書いてあるようなもの。この辺については有害業務と捉まえていらっしゃる方も多いのではないかと思いますが、現行の法令で精密に縛ったものは、ないと考えております。

 なお特定業務従事者については別の委員会ですが、かなり古いし現行に合っていない、この見直しをやるべきではないかという御意見も出ておりますので、有害業務の具体的な定義は課題ではないかと思います。現行では特定業務従事者とか特化則などの規則関係の業務が一般的に言われているのではないかと考えております。

増田委員 ありがとうございます。

相澤座長 井伊委員、お願いします。

井伊委員 最初の出だしなのですけれども、労働者の高齢化等が進展して健康診断の有所見率は年々増加しているのですが、その前に残念ながら健康診断の実施率も100%ではなかったり、平成26年度の特定健診と特定保健指導の実施状況などが保険局の会議で報告されているのですが、保健指導の実施率が17%ぐらいなのです。

 ですので、特に自主的な労働衛生管理が重要だということにおいては、やはり有所見率から始まるのではなくて、残念ながら健診の受診率も100%ではないし、その後の措置とかいう前の保健指導の実施率も低いというのは少し書いていただいて、それが積極的な健康保持、増進対策が必要なのだというところにつながると思いますので、加筆していただいたらいいかなと思いました。

相澤座長 報告書の段階で、今の御意見を尊重します。

 ほかはよろしいでしょうか。

 どうぞ、土肥委員。

土肥委員 三井化学の土肥でございます。

 1点目が(1)の最後の規制による労働衛生管理と自主的な労働衛生管理の境は、どこら辺が境だという理解をすればよろしいのでしょうか。例えばガイドラインで示されたことは規制の中なのでしょうか。それとも、努力義務は規制の中なのでしょうか。

 そこら辺の意図はとれるのですけれども「自主的な」という部分が何か不明瞭な感じがして、もう少し自主的な部分をしっかりやっていくというイメージを出すためには、このようなとか、そういうわかりやすい表現というか、例示なりをしていただけると非常にありがたいと思います。

相澤座長 どうぞ、塚本室長。

塚本産業保健支援室長 これは後ほど、御議論いただきたいと思いますが、努力義務を規制によるものに入れるのかはお聞きすると個人差があるのかもしれませんが、義務に基づいてやる部分と努力義務、通達等に基づいて、場合によっては会社独自の制度で行う分け方もあるのかなと思います。

 これは必ずしも明確になっていないところですので、この検討会の議論の中で詰めていただくことも必要かなと思っております。

相澤座長 ありがとうございます。

 竹田委員、お願いします。

竹田委員 私も同じ点だったのですが、ちょっとだけ追加で発言したいのは「自主的な」といったときにどんなイメージを持つかということで、これは先ほど増田委員の発言もあったのですけれども、決して本意ではないと思うのですが、緩める、緩んでいないという感じの言い方をされたのです。緩めることではなくて、自主的になるとかえって責任が重くなるということだと私は理解していますので、そういったところについての整理をちゃんとしないと、印象から、自主的にやるということは、やらないでいいという選択ができるという意味でもあるのですが、そこに責任を伴うということも含まれることだと思いますので、この辺は議論を詰めたほうがいいかなと思います。明確に定義をしていただくほうがいいのかなと感じました。

 以上です。

相澤座長 ありがとうございます。

 進行上1で時間が過ぎてしまいますので、次に進ませていただいて、最後に御意見がありましたら戻らせていただきたいと思います。

 2番目の2ページの「2 産業医、産業医以外の産業保健スタッフに期待される役割」で、3ページの(2)まで御議論いただければと思いますが、いかがでしょうか。

 どうぞ、甲田委員。

甲田委員 今の話の続きになるのかもしれないのですけれども、規制か自主的かというところでいうと、3ページの「(2)産業医に必要な情報取得のあり方」に関して、先ほど出た職場巡視の話が当然、出てくると思うのです。

 職場巡視はれっきとして仕事の中に書き込まれているものですよね。ただ、議論の中では、業務の特殊性というか、職場でそういうリスクを察知しにくいものは必ずしもということがあったと思うのですけれども、それが先ほど出たように、緩められたみたいな意識でとられると、多分、この検討会の情報発信としては不本意なところだと思うのです。

 いろいろな調査を見ても、職場巡視の実施状況は比較的高くない事項で、嘱託の先生方によって、忙しくてなかなか職場が見られないから行かないだとかいう形は当然、現状でもあることなのです。かといって、職場巡視がそれほど情報の質としてとるツールとして悪いのかというところになってくると、私はそうではないと思っているのです。

 何が言いたいかというと、この2で書くのであれば、職場巡視としては法規の中でいうと、産業医と衛生管理者に非常に義務づけられているというかやってくださいねとれっきとして書かれているところでございますので、基本的には先ほどの話でいうと、緩められた的な印象を起こすようなものではなくて、情報取得のあり方として職場巡視の意味も含めてもう一度きちんと整理をして、情報取得のツールの一つが職場巡視であり、もっと違った職場の情報の取得の方法があって、そういうものはどのような形で産業保健の予防対策に役に立つのかをわかりやすいように整理をしておく必要があると私は思うのです。

 全体の議論でも出ましたように、例えば過重労働だとかそのような話になってくると、職場巡視以上に何時間ぐらい働いているのだとか、健康状態がどうなのかとかいう情報のほうが非常に重要になってくるわけですから、そういう情報を、ここが多分大事だと思うのですが、この中で言っているのは産業医の職務なのですが、後々出てくるように産業保健スタッフまたは産業保健チームとして共有するためには、どういうメンバーがそういう情報を共有して、誰がどのように活用していくのかがわかるように情報発信をする。

 その辺を具体的に丁寧に情報発信する必要があるので、ここを私は非常に重要なところだと思うので、きょうはどのぐらい皆様方の御議論が深まるのかよくわからないのですけれども、時間をとって丁寧に議論をして情報発信をしないと、産業医の職務が非常に複雑になっているわけですから、どんどん重要なもの、優先順位で落ちていく中に決してこのようなものが入ってほしくないという意味合いから、もう少し丁寧な議論、丁寧な情報発信、具体的な情報発信をしていただければありがたいと思います。

相澤座長 大変重要な指摘だと思います。

 どうぞ、竹田委員、お願いします。

竹田委員 私も同じ点で、ほぼ同じように発言させていただきたいと思っていたのですが、追加をさせていただいて、この2の「しかし、近年は」以降の文言を見ると、過重労働による健康障害の防止、メンタルヘルス対策などが最初に挙げられていて、最後から2行目に「必ずしも、これらの対策に関して必要な措置を講じるための効率的な情報収集の方法ではないのではないか」と書いてあって、例示としては過重労働対策とかメンタルヘルス対策には、職場巡視は余り効率的な情報収集の手段ではないのではないかと書いてあるように読めます。

 職場巡視の目的はその2つではないはずですので、事務所であっても、事務所則にある基準が守られているかとかをしっかり確認するとか、いろいろな必要なことがありますし、後で大神委員から説明があるのかもしれませんが、きょうの資料の保健師の役割というところで挙がっているのかもしれませんが、巡視によるメンタルヘルス対策のことをしっかり書いていただいていたりもしますので、この辺もしっかり、何が大事でどのようにしていったらいいかという議論を、甲田委員の言われるとおりにしっかりこの場で検討して、単純に減らしていいみたいなことで伝わると、この委員会で何ということをしたのだみたいな話に後々なりかねないのではないかという危惧もありますので、ぜひ私からもお願いしたいと思います。

 あとは、本当に何が効率的なのかという、こちらが効率的でこちらが効率的ではないということを発信するのであれば、エビデンスでもない限りそれは言ってはいけないことで、感覚的、主観的な発言だけになってしまうかなと感じたので、きょうの文言を読んでそんな感想を持ちました。

 以上です。

相澤座長 ありがとうございます。

 いかがでしょうか。ほかにはございますか。よろしいですか。

 それでは、次に3ページ、4ページ、5ページ、6ページの頭です「(3)産業保健チームでの対応」のアとイとウのところまでで御意見はございませんでしょうか。

 どうぞ、高松委員、お願いします。

高松委員 連合の高松です。

 今、アの1と2に分かれて、5ページに2があるのですけれども、これの意見というよりもむしろ当事者の先生方にお聞きしたいのです。この場合、全体としては産業医さんがチームにおける役割として書かれているわけなのですが、2につきましては、比較的小さい事業場の嘱託産業医はということで例外的に書かれているのですが、こういう分け方をしてよろしいのかどうかが素人的には気になるところなので、その辺でもし何か御見識があれば教えていただきたいと思います。

相澤座長 4ページの1と5ページの2で、1のほうが大きいというか、専属産業医がいるようなところで、2が小規模事業場でございますので、それをこういう分け方でよろしいかどうかです。

 どうぞ、竹田委員、お願いします。

竹田委員 私の感想レベルなのですけれども、こういう分け方はありなのではないかという気がします。というのは、私も実務をしていて、嘱託産業医をしていても、チームと言われたときに医療職は嘱託産業医以外いない。職場側では衛生管理者だけで窓口を2人で活動していく、あるいは医療にかかわることはほぼ産業医がやらなければいけないという場面は非常に多く遭遇します。ですので、現実的にはそういう分け方はありかなと。

 ただ、この文章の量を見るとかなり差があるので、嘱託産業医はちょっと軽いものみたいな感じの印象が出てきてしまうので、その点から見ると何かバランスが悪いなというのは思って、もう少し嘱託産業医のところで、例えば外部資源をどう活用してできるかみたいなこととか、そういうところを入れていかないとアンバランスな感じはします。

相澤座長 どうぞ、増田委員、お願いします。

増田委員 この部分については、先ほどの竹田委員とはちょっと違いまして、私は嘱託でも専属でもしないといけないことは同じだというのは根底としてあると思いますので、それがわかるように嘱託はこういうことをやらなくていいという話に読み取れてしまわないように、書きぶりは改めたほうがいいのかなと思いました。

 嘱託と専属でも産業医の役割を変えてしまう、安衛則に書かれている産業医の職務を変えてしまうぐらいまでのことをやるのだったら、こういう分け方もありかなと思いました。

 4ページの2)は、読んでいて専属ではなくて嘱託の産業医を想定した内容ではないかと思ったことと、4)につきましては、産業医の役割という形ではあまり書いていないので、ここは表記の問題だと思うのですけれども、専属産業医が何をすべきかという書き方にしたほうが見やすいかなと思いました。

 以上です。

相澤座長 どうでしょうね。

 どうぞ、三柴委員、お願いします。

三柴委員 4ページのアで、最初から表記されている「専属産業医等」の「等」の意味なのですけれども、まず、事務局に確認させていただきたいのですが、ここは共同選任のような、外部の機関に勤務する産業医も含まれると考えてよろしいのでしょうか。

塚本産業保健支援室長 ここの「等」は、例えば嘱託産業医であったとしても、勤務日数がかなり多いような方が最初の1のところです。第1回目の日本医師会からのプレゼンでは、最も多い勤務時間の項目が、月に確か5時間から2時間だったかと思いますが、そういった方については、かなり時間的制約があるということから2という理解で書いております。

三柴委員 ありがとうございます。

相澤座長 どうぞ、松本委員、よろしいですか。

 三柴委員、追加があればどうぞ。

三柴委員 ありがとうございます。

 一言加えさせていただくと、だとすると、要は、アでの1と2の読み方、捉え方は、1にも嘱託の産業医で特に熱心に活動しておられる方などは含まれるし、外部で産業医がチームを組んで支援をするような場合も含まれる。

 そのいずれも選任できないような規模が小さい等々の事情があって、産業医をお願いしているというところが2になるのかなと捉えられるように思います。

相澤座長 松本委員、お願いします。

松本委員 実際に地域で専属か嘱託かといったら、嘱託産業医のほうがはるかに大多数で、そういった意味では竹田委員のおっしゃるとおり、私は一度にはある。あるというのは、別にこれは増田委員がおっしゃったとおり、別に嘱託だからしなくていいというわけではなくて、もちろん1のような形でやるときは基本なのだけれども、チームで考えれば実際の50人から100人ぐらいの事業場であれば、要するに、衛生管理者1人のみぐらいしかスタッフはいないわけでして、そういった意味でチームとして捉えた場合には2のような考え方はありなのかなと思います。

相澤座長 ほかはいかがでしょうか。

 明石委員、お願いします。

明石委員 専属産業医と嘱託産業医に関しては、事業者が読むためにはもう少し書き込んでもらわないと、やることが同じでもやれることが違うと思うのです。次の6ページに小規模事業場は好事例等を集めると書いてあるので、それを待っていいものを出していただいてもいいかなと思いますが、もう少し書き分けていただいたほうが訴えるところが大きいような気がします。

相澤座長 ありがとうございます。

 井伊委員、お願いします。

井伊委員 5ページのイなのですけれども、私どもとしては、看護職にはもっと期待してほしいと思っておりまして、しかしながら、全体的に大神委員の御提出の資料みたいなものを全部入るわけにはいかないと思います。

 せめて「(ア)看護職」の、引き続き、保健指導、健康相談等を積極的に実施するということなのですけれども、特に保健師に関しては、健康管理に関する業務はもっと引き続きと加筆していただけるとありがたいと思います。

相澤座長 大神委員、いかがでしょうか。

大神委員 イの内容に入ってもよろしいでしょうか。

 前回の検討会の中で、私が十分に説明でき切れなかったところがありましたので、このイの部分にも重複するかと思い、補足説明の資料をきょうは御用意させていただきました。中折りしたA3の1枚の紙でございます。

 今回、整理いただいた整理案を拝見し、今、井伊委員からも話がありましたけれども、まず考えましたのが、法令、基発にかかわらず過去に出されているものに関しては、私どももきちんと果たすことも必要と考えました。この文章表現に関しては、後でお示ししたいと思います。

 前回、御説明できなかったものについて、補足説明資料に沿って、手短に数分で御説明したいと思います。

 保健師の調整方法、調整という言葉あるいは通訳という言葉を使いましたけれど、いろいろな解釈のされ方がありましたので、具体的にしたいと思い、ストーリー性のあるストレスチェックの関連事例を示させていただきました。

 この文章の細部は割愛します。ストレスチェックの関連事例で、保健師がどのように対応したかをエッセンスで捉えて、右下に図式化してみました。保健師の役割としては一番身近なサポーターであることを第2回での検討会でもお話しさせていただきました。私たちの職種の特性として、当事者の目線で関与し、生活という枠組みから理解するということと、まず、一番に顕在化していないニーズや課題を拾って明確化し言語化するところからスタートするという特徴があります。

 そういった職場のリアルな声を拾う、あるいは職場の問題を見出して整理する、職場のキーパーソンを見つける、安全衛生委員会と労使への説明、提案、産業医と産業保健スタッフ間の課題認識、整理、対応法の検討をした上で、関係各所との連絡調整、施策化を行うという役割を担っているつもりです。

 次のスライドに映りまして、保健師の産業保健活動を支援する力、先ほどの事例をもう少し抽象化したものがこちらです。ヘルスプロモーションのポンチ絵に加筆させていただいたもので私達は医療職ですので、医学的判断をしないまでも医療的な判断のめどを立てることはできます。

 過去の昭和47年の基発の内翰の文章ではありますが、保健婦、保健師の衛生管理者としての活用についてという文章があったことを考えると、衛生管理者資格保有を前提とした労働衛生に関する造詣が保健師という資格にはついていることに加えて、先ほどご説明した内容をもう少し抽象化した言い方ですると、信頼関係形成力だったり協議力、計画立案力、パートナーシップ、協働合意形成力、システム化力、施策化力を時間軸、過去、現在、未来という目線から全体を俯瞰する視座を大事にしながら、これを調整と言ったり、部分的に調整と言ったりもすることがあるのですが、事業者と労働者の安全衛生自主活動を後押ししています。

 次の3枚目では、私達、日本産業保健師会で考えたものをお示ししています。今後の効果的な産業保健のチーム体制の検討に関連してくるのではないかと思うのですが、産業医しかできないこと、得意なところ、どうしても業務比重から深くやらなければいけない、広くやらなければいけないものを図式化できるのではないかということで、試みた図がこちらです。あくまでも医療職の観点で、どういったところが重複して、どこは重複できないのか。それが一次予防、二次予防、三次予防という観点から少し分けられるのではないかと議論した結果を御提示しました。

 これはあくまでも参考資料ではあるのですが、考え方として労働者、事業者の幸福という観点で考えると、この全体の面積が広いほどいいし、面積が分断されることがない、連続線上になっていくようなチームが組めることが、あるべき協働体制ではないかと考えました。

 裏面のフィンランドの産業保健体制の概要は、前回はフランスの産業医制度のお話がありましたけれど、中小企業までカバーしているもので国際的に有名なのは、先生方も御存じのフィンランドの産業保険制度で、フィンランドではフロントラインに産業保健師が衛生管理者業務を幾らか担いつつ前面に出ながら中小企業をカバーしているという考え方があるということをお示ししております。

 これを踏まえてなのですけれども、看護職のところで、法令との整合性も考えて、私たちもこれまで看護職という総称を用いることがありましたが、看護職と総称したときには准看護師も含まれます。その場合、実施できる業務の範囲が違ってきますので、ここはあえて保健師、看護師の役割についてどう考えるかということで、保健師、看護師に分けてこれまでお話ししました機能を加味して、次のような文案を考えました。

 ほぼ原文に忠実にはしたのですが、保健師と看護師を分けております。保健師が衛生管理者の資格を有することを考えて、保健師は一次予防も含めた保健指導、健康相談等はもとより、引き続き衛生管理者として積極的に活用することに加えて、ストレスチェック制度、治療と職業生活との両立支援対策等においても、必要に応じて産業医とともに主治医と連携するなど、積極的に産業保健に関する業務を行うことが期待されているのではないか。

 一方で、看護師も必要に応じて保健指導、健康相談等を積極的に関与するとともに、治療と職業生活との両立支援対策において、必要に応じて産業医とともに主治医と連携するなど、積極的に産業保健に関する業務を行うことが期待されるのではないか。

 こういった書き分けのほうがやるべきところがはっきりできるのではないかということで、御提案させていただきます。

相澤座長 ありがとうございます。

 最後の文章は資料としてはどこにありますか。ないのですね。

大神委員 事務局にお任せします。

相澤座長 ありがとうございました。

 御意見はいかがでしょうか。

 どうぞ、圓藤委員、お願いします。

圓藤委員 今の大神委員の意見に賛成です。

 ちょっと戻りますけれども、先ほどの4ページ、5ページの1、2で専属と嘱託の違いを書かれているのですが、大きく違うのは、規模の大きいところはチームとして産業保健スタッフが活動できるのに対して、小規模のところはチームが成立していない。極めて少人数であることが1点。

 もう一つは、産業医がほぼ常時いる専属産業医と時間的制約がある、という2点で、あとは基本的に変わらないというところです。

 現実的には、今、大神先生がおっしゃられたことは、専属産業医は重々わかっておりますので、専属産業医が選任されているところで保健師、看護師がいないところはまずない。保健師、看護師が選任されていてこのような活動をしているなら、私も専属産業医として活動しましょうといって就任されている事例がほとんどでありまして、それに対して嘱託産業医が選任される事業場では看護職がその職場に選任されていないことの方が多いのが現状であって、その辺が事業場の規模によって産業保健のレベルが違うところであろうかと思っています。1,000人以下の規模のところにおいても保健師、看護師を活用していただきたいと考えております。

相澤座長 ありがとうございます。

 どうぞ、増田委員、お願いします。

増田委員 先ほどの大神委員の発表に関連して、少し戻ってしまうのですが、まず、2枚目の資料で事業者と労働者の安全衛生自主活動という言葉が載っております。先ほど1ページで、規制による労働衛生管理ではなく自主的な労働衛生管理も重要ではないかという記載がありました。ですから、ここを看護職に担っていただく、補っていただくという形で整理していただいたらいいのではないかと思いました。

 3ページ目の(2)で、先ほど甲田委員と竹田委員からの職場巡視のあり方についての御意見は、全くもってそのとおりだと思うのですが、私は先ほど緩めて構わないと申し上げたのは頻度のところでして、職場巡視が必要なのはもちろんそのとおりなのですが、月1回でなくてもいいところはあるでしょうと。そこを緩めて緩めっ放しでいいのかというところに、例えば衛生管理者としての保健師に担っていただく。

 そういうすみ分けができるのではないかと思いましたので、追加させていただければと思いました。

 以上です。

相澤座長 ありがとうございます。

 どうぞ、竹田委員、お願いします。

竹田委員 今の増田委員の頻度を緩めてもいいという言葉自体が誤解を招くと思いますので、そこを私は言っています。事業場の必要に応じた、あるいはリスクに応じた頻度で巡視をするのであればわかるのですけれども、あくまでそこで緩めるという言葉を使われると、やらなくていいという方向の話にしか聞き取れないので、それを改めて言わせていただきます。

 実はそこはいいのですけれども、4ページ、5ページで2つありまして、1つ目が4ページの1の2行目に「産業保健のPDCAサイクルの核」となっているのですが、ちょっと唐突な印象があるのですが、これはどこかに産業保健のPDCAと示されているものを言っているのでしょうか。それとも、一般用語で使っているものから使われているのか。そこがわからなくて、まず、事務局に質問させていただきたいのです。

塚本産業保健支援室長 PDCAサイクルの核は、たしか検討会において御発言があったところを踏まえて書いています。

竹田委員 わかりました。

 そうであれば、それがどんなものかを少し明確に示さないと、わかるつもりの人はわかるでしょうし、それが違う理解をする可能性もあるので、この表現を使われるのであれば、もう少し詳細に説明ができたほうがいいかなと思います。

塚本産業保健支援室長 1)のところで、プランニングをしてこれを実施し、フィードバックをかけて来年度云々というところで少し書かれていると思いますが、再度確認をして修文が必要であれば修文したいと思います。

竹田委員 2)と5ページの2の最後のほうにも書いてあるのですけれども、健康管理の業務については、就業上の措置など医師のみ関与できる業務を中心に実施、関与することと書いてあったりとか、大神委員から出された補足の資料の3ページ目にあるものを見ると、これも誤解を招くかなという気がするのは、例えば医師も産業医であっても保健指導にかかわるべきだと私は思いますし、例えば指導であれば面接指導は医師がしなければいけなくて、その指導部分でいいのかという話になってしまうと思います。

 医学的な判断は、産業医の専門性の中ではとても高いものだと思いますが、これだけを中心にというように受けとめられると、もちろん実務をする上で看護職の方とうまく協力をしながらすみ分けてするべきだと思いますけれども、ちょっと偏り過ぎた表現になっていないかなという危惧があります。

 もちろん健康診断の後の事後措置についても、ちゃんと法律に努力義務規定ですけれども、医師または保健師がと書いてあるので、2のところなどでは特に保健指導のことが触れられていなくなると、そこはやらなくていいという説明がついたような読み取り方をされてしまわないかという危惧がありますので、この文言の表現の仕方も整理が必要だと思いました。

相澤座長 ありがとうございます。

 どうぞ、土肥委員、お願いします。

土肥委員 産業医の業務に関しましては、基本的に嘱託も専属も変わらないという立場でいくべきで、その中でコアな部分は何なのかを示すことによって、コアの業務は最低限やりましょうという話だと理解しています。

 その流れで行きますと、イの看護職の部分において、本当は医師でなければできない診断業務以外の部分について、看護職なり保健師さんなりがもっと積極的にかかわっていくという表現のほうが、業務を限定して保健指導、健康相談にかかわるとか、例えば就労支援にかかわるという、業務単体を列挙して積極的にというよりは、医師でしかできないことは医師がやって、それ以外に補完できる部分は看護職の方が積極的に関与して補完されるべきだというのが現状なので「さらに」とつけ加えていただいてもいいので、そういう表現があったほうが、補完性としては高まるのではないかと思います。

相澤座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは6ページの「3 小規模事業場における労働衛生管理の強化について」を御議論いただければと思います。6ページから7ページの終わりまでございます。

 いかがでしょうか。

 どうぞ、圓藤委員、お願いします。

圓藤委員 6ページの3の4つ目の1)の「しかし」のところで、小規模事業場における異常所見者の就業上の措置に関する業務の実施が低調であると書かれているのですが、得られた資料から見て、それほど50人以上の事業場においては低くない。やはり産業医として選任されていたら、ここはほとんどの産業医の先生方はされておりますので、低くない。

 ただし、50人未満となりましたら極めて低調であろうというのは想像できるかと思いますので、小規模事業場は50人以上を指しているのか、50人未満を指しているのか、両方含めているのかによって、この辺の書きぶりが変わってくるのではないかという気がいたしております。

相澤座長 これはどうですか。

 塚本室長。

塚本産業保健支援室長 参考資料1の20ページ目は、平成24年の労働者健康状況調査ですが、この横長の統計の左から3つ目です。まず、健康管理等について、医師または歯科医師から意見を聞いたという事業場の割合ですが、全体では27%。例えば10人から29人規模だと21%です。これは所見があった労働者を100にした場合です。

 ただ、かなり規模が高いところも、例えば5,000人以上で69.8とか、100から29人のところでは49.4です。必ずしも産業医がいらっしゃるところについても全て行われているというわけではないところです。

 もう一つ、産業医の具体的な職務については、14ページ目あたりに関与した業務の割合を書いていますが、ここも健康診断に基づく事後措置、再発防止の措置となりますと7割超えというところで、3割弱については産業医の選任がなされているにもかかわらず行っていないところです。画一的に50人以上がほぼ100、それ以外のところは非常に芳しくないという状況ではないかと思います。

圓藤委員 実は資料20ページの読み方なのですが、所見のある労働者がいるという聞き方をしておりますので、規模が多ければ多いほど所見のある人は一人でもいるのがふえるのは当然でありまして、聞き方が必ずしも公平ではないと思っております。したがって、この数字そのものでは読みづらいと思います。

 ただし、例えば所見のあった労働者はいないと書かれているところ、規模が小さいところは極端に大きい数字になったりしていますので、やはり指導のところは違うのではないかと懸念して、この表の読み方として、私は先ほどのような意見を述べた次第です。

相澤座長 どうぞ。

圓藤委員 それから、先ほどのもう一つのところで、産業医の職務の中で、14ページの健康診断の結果に基づく事後措置、再発防止の措置に関しましては、一番高いとなっていますので、嘱託として選任されていたら7割以上の先生方はやっておられるのではないかと思いますので、最もよくやられている分野がここであろうと認識しております。

相澤座長 御検討いただくということで、いいですか。

 明石委員、お願いします。

明石委員 きょうは中小企業団体の方がお休みなので、私が言うのも何なのですが、やはり小規模事業場も強化といきなりタイトルにつけられておりますけれども、自主的なものを促すような仕組みにしていただきたいと思うのと、6ページの下のほうにある2)はもっともなことなのですが、これが現実的なのかどうか。これも(7)にあるような調査をしていただかないと、至極真っ当そのもので否定する気持ちはありませんが、これができるのであれば何も苦労はしないと思います。ここも(7)の中に入れていただいて調査をして分析をしていただければと思っております。

相澤座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがですか。

 どうぞ、松本委員、お願いします。

松本委員 私は日医の立場もありますけれども、実際には嘱託産業医も2事業場やっておりますし、主治医の立場でもありますし、地元では地域産業保健センターの責任者もやっておりますので、いろいろな立場を兼ね備えておりますが、ここの50人以下の小規模事業場についてですが、これはなかなか本当に現実問題としては厳しい問題です。

 先ほど圓藤先生もおっしゃられましたけれども、現実的には労働者もそうですが、事業主の意識がなかなかそこまで回っていかない。意識が低いというよりは、厳しい労働環境にあるということだろうとは思います。そういった中で3)に積極的に活用することが必要であると書いてありますが、やはりここは労働基準監督署なり行政の立場から、あるいは地域産業保健総合支援センターの立場でも、こういったところが少し強く介入していかないと、スタッフだけでは現状を変えていくことは非常に難しいのではないかと現場では思っております。

相澤座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。

 圓藤委員、お願いします。

圓藤委員 私は前回発表させていただいたときに、安全への投資、事業場規模が小さいほど労働災害は多い。これは労働災害動向調査2012年のデータを出して、30人から99人のところの度数率、強度率が極めて高くて、これは人数割合にしていますから、延べ実労働時間数とか延べ時間数を分母にしておりますので、そろえておりますので、それで見ると規模によって労働災害が違うということは明らかですので、データはとられていると理解していただければと思っております。

相澤座長 どうぞ、高松委員、お願いします。

高松委員 連合の高松です。

 小規模事業場の関係につきましては、我々労働組合は非常に多くの職場巡視を抱えていまして、一番問題になっているのは、受診も含めてそうなのですけれども、ここに記載がまだですが、昨年の12月からストレスチェック制度が義務化されましたが、50人未満のところは努力義務となっております。

 大きいところはそれ以前からストレスチェック制度を相当やっておりましたので、12月が過ぎたからといって、特段急にというところはないのですが、むしろ小さいところのほうは急に始めた、あるいはいまだに知らないところが多いわけです。

 もう一つ聞いていますのは、高ストレスがストレスチェックで出た後のフォローが、特に中小とか零細では全くに近いぐらいなされていないような話ですが、これはデータが出てきておりませんので、そのように伝え聞くだけなので、この3ポツの強化の中にまだエビデンスはないにしても、ストレスチェック等の話も盛り込んでいただいて、問題意識として持っていただくような問題提起をしていただければありがたいと思っております。

相澤座長 ありがとうございます。

 土肥委員、お願いします。松本委員、ちょっと待ってください。

土肥委員 三井化学の土肥でございます。

 私も疑問に思うのですが、2)が進めば非常にいいわけですね。その前提としては、本当は50人未満においても産業医の選任義務が法的にある程度何か形になっていくことが適切だと私は考えております。

 したがって、本当は望ましい方向性は何かを書くべきであって、最初から選任義務を下げないという議論でいくのか、本当は望ましいのだけれども現状ではいろいろな環境から無理だからこういう体制をとるのだということなのかをある程度分けておかないと、最初からこう書いてしまうのはどうかというのが少しあります。

 2点目は、2)の部分で「「労働者の健康管理等を促進する医師」の選任を促進するとともに」と書くのであれば、促進する方法についてある程度具体的な内容を書かないと、先ほど出ましたように、これができればいいのだというお話で終わってしまうので、ここは何かある程度肉づけをして書かないと非常に難しいと思います。

 この流れを見ると、小規模事業場が50人未満だけを指さないという前提に立っていらっしゃるわけですから、まずは6番を完全にやりましょうと書いて、それ以降、50人未満については望ましい方向性はこうであって、現状はここまで頑張っていきましょうと書かれないと、何となく全体を読むとわかりづらいという気がいたします。

 以上でございます。

相澤座長 ありがとうございます。

 松本委員、手を挙げておられますね。

松本委員 先ほどの50人未満のところのストレスチェックの問題については、高松委員の意見が本当にありがたいと思います。昨年度から助成金が機構から出まして進めておりますけれども、50人未満のところでは本当に進んでいない。50人以上のところでもなかなか進んでいない現状がありますけれども。

 助成金を今年度は大分いただいているのですけれども、よほど積極的に、例えばコーディネーターとかを活用して介入していかないと難しい面がありまして、地元でも一生懸命進めていますが、本当に難しい状況にあります。

 先ほどチームの役割がありましたけれども、こういった50人未満のところでも衛生工学衛生管理者の方とか、産業保健師の方とかも非常に活躍していただいていると思いますので、私は非常にありがたいことだとは思っておりますが、コーディネーターの仕事もチームとしては、こういった50人未満の職場では大事な一員になっていると考えております。

相澤座長 ありがとうございます。

 どうぞ、甲田委員、お願いします。

甲田委員 意見というか、これは労使の方がいらっしゃるので質問になるのですけれども、先ほど中小企業で産業医の基準の話が出ていたのですが、その一方、規制と自主的な活動の話が出て、自主的な活動も書くべきではないのかという御意見もあったのですが、具体的に50人未満の事業場で自主的な活動として期待されるものは、労使の方で何か具体的な提案がございますか。

 これは私の質問なのですけれども、こういうことがあったらもうちょっと進むのではないか。要するに、産業医を選ぶにしてもかなりお金がかかることになるのだろうと思いますし、そういう意味では、労使のほうで自主的にこういうことがもっと現場でできるのではないかという具体的な提案を出していただいたほうが、産業保健スタッフもそれだった支援できるとか手伝えるとかにつながるのかなと思うので、その辺で何か御提案というか御意見があればいただければありがたいのです。

相澤座長 どうしましょうか。

 高松委員、お願いします。

高松委員 労働側から話させていただきます。

 実態でございますが、いわゆる300人以下の中小企業が全体の99%あって、労働者でいえば6割強がいる。労働組合という組織が今、20%を切るぐらいしかございませんので、いわゆる100人以下の事業場と企業については、本当に1%も満たしていないと。

 労働組合があるところであれば、労使の話し合いの場が当然持たれておりますから、大企業に比べては少し劣るかもしれませんが、それなりの衛生管理、労働管理もされております。

 そういう中で、今、問題なのは労働組合もない、衛生管理的な発想もないようなところをどうしていくかが、我々連合にしてみれば、組合に入っていない方をどう面倒を見ていくかが一つ。一番ありがたいのは、先ほど土肥委員からも出たように、法律的に縛っていただくのが一番ありがたいのですが、それが難しい中でどうしていくかがあります。

 もう一つは、製造系の企業とサービス系の企業がございますけれども、最近、第三次産業がふえているせいでサービス系がふえております。製造系は昔から安全衛生に対する視点、これはすぐ事故につながって死亡事故にもなるということがありましたが、今、飲食とか流通とかサービスとか、こういう業種がふえておる中で、安全衛生に対して、健康上の問題に対してもどうしても視点が薄い。長時間労働も含めて、かなりのブラック企業などという言葉があるのと一緒で、そういうものがふえている。

 そういう意味では、転倒災害とかいろいろな災害がふえているのをどうやって意識づけするかは、厚生労働省の方ともお話ししていますけれども、産業ごとに取り組む視点が違っているというか、必要性が違っているというところで、流通サービス、三次産業について取り組みを強化しなければいけない。そのためにどうしていくか等々を考えていく。組織化も一番おくれているところでございます。

 話がまとまらないのですけれども、そういう意味では、一番ありがたいのは法律もしくは通達なり、省令で歯どめをきつくしていただくのが一番手っ取り早い話なのですが、そうでなければどうやっていくかは、それぞれいろいろな形で取り組みを進めていくしかない。

 具体的に何かと言われると、労働組合があるところ以外にはなかなか手を出せていないのが実態でございます。

相澤座長 浜田委員、お願いできますか。

浜田委員 UAゼンセンの浜田でございます。ほぼ高松委員の補足になるのですけれども、私どもみたいに労働組合があるところであれば、50人未満の組織はたくさん加盟していただいておりますが、7ページの7)にあるように、50人未満の労働者を使用する事業場でも、労働者の意見の招集の機会の設定は法律で書かれておりますので、衛生委員会とまではいかなくても、組合があれば労使協議ができるので、労使協議会とか何かの機会に必ず安全衛生の話をしてくださいという話はできますので、そういう機会を使いましょうという話は具体的な事例としては使ったり、やっております。

 地域によっては地域の労働基準監督署の方が頑張っていただいて、いろいろ声をかけていただいて、業種によっては勉強会に会社として1名代表して参加に行っていますという声も聞いております。

相澤座長 小松崎委員、何か追加はございますか。

小松崎委員 追加ではございませんが、私どもは基幹労連と申しまして、構成する産別が鉄鋼でありますとか造船、重機、非鉄産業、建設産業で、比較的規模が大きなところが多いものですから、産業医さんなどにつきましても、専属で雇われているところが非常に多いということもありますので、私は逆に小さいところは余りぴんとこないところがあるのです。それでも、500人規模ぐらいのところでも安全衛生委員会などの活動がしっかりしていまして、衛生委員会、安全衛生委員会の中で産業医の先生にも一緒に入ってもらって、毎月事業場の中の安全衛生に関することはやらせていただいているということと、我々の現場では、恐らく産業医の先生は直接構内の巡視には全て参加しているわけではないというのが実態だと思っています。

 安全衛生委員会のメンバーが毎月1回必ず巡視していますので、その中から例えばここが危なかったとか、今、リスクアセスメントの活動等もやっていますので、事業場の中に発生するリスクは数値化して産業医の先生に見てもらう。

 そのリスクを抑える方策として、その方策もこういうことだということを見てもらう。ですから、産業医の先生にはそういったチェック機能を果たしていただく。こういうことで今、回っているのではないかと思っています。

 先ほど職場巡視のお話もありましたが、私は緩めるというのではなくて、先ほどのチームというかかわりもありましたけれども、誰かやってくれる人がいれば、そこを実際に回ってもらうのはやってもらう。ただ、その情報をしっかりもらってチェックをしていく。そういう役割がこれから求められてくるのではないかと。

 最初にこの会が発足したときに、産業医の先生が担うべき役割がふえてきているというお話があったと思いますし、求められる役割も変化してきているというお話もありましたので、必ずしも今、皆さんが担っている仕事を全てそのまま引き継いでいくのではなくて、どこかに振れるところは振っていく。軽くするところは軽くしていく。そういうことも必要なのではないかと思いました。

 以上です。

相澤座長 ありがとうございました。

 使用者側は明石委員でよろしいですか。小林委員が欠席ですので、済みません。

明石委員 事業者側からでございますが、きょうは中小の方がいらっしゃらないので、私の話が全部ではございません。最初に、要は、よりどころの違いで、我々は法的なものとか規制とかは賛成はしかねます。それは自主的な活動を促進する意味からしても、逆行するのではないかと思っています。

 私も古い頭になりましたので、最近、産業人口構造がかなり変わっておりまして、我々の古い頭で製造業みたいなところを頭に浮かべると、現場は全く違うのではないかと思っています。

 先ほど申し上げたように、現場を見ていただいて調査分析をしていただくことが大事なのではないかと思っています。

 また、基幹労連の方がおっしゃったように、すごく時代を先行したような動きが既に起こっているということで、そこら辺をメルクマールにして進んでいけば、こういった自主的な運動も促進されるのではないかと思った次第です。

 以上です。

相澤座長 ありがとうございました。

 圓藤委員、お願いします。

圓藤委員 大きな事業場では、自主的な産業保健活動はいろいろ拝見させていただいているし、いろいろなところから情報が入ってくるのですが、50人未満の事業場で自主的な産業保健活動は余り聞こえてこない。見えてこないのです。

 ですから、ぜひとも見えるようにしていただければと思っております。採用できるような自主的な活動があれば、それを促進するのはもちろん結構だと思います。

 ただ、産業保健そのものが全くわかっていなくて、事業活動をされているような50人未満の事業場も散見しますので、自主的だけに頼っていたのではレベルアップにはつながらないだろうと思いますので、法的な規制も必要であろうと思っております。

 別件でもう一つよろしいですか。7ページの6)は事実このとおりなのですが、このままでいきますと、医者の数も限られているし、そう簡単に選任できないとか、医師を選任すればお金もかかるしという読み方をされてしまうかと思うのですが、事実はそうではないということが先ほどの参考資料1の11ページを見ていただいたらわかると思います。

 産業医の選任率が低いのは50人から99人のところでありますが、そういうところは同時に衛生管理者の選任も低く、衛生委員会も開かれていないというように、3つを比べたら比較的産業医の選任率が高いという数字になっていますので、産業医の選任率だけが低いのではないということ。すなわちほかの衛生管理者の選任率が低い、衛生委員会の活動が組織化されていないということが、産業保健活動そのものの実態をあらわしていると思います。もう一つ抜けているのは、50人未満のところはどうなっているのかが明らかでないので、ここはぜひとも調査していただければと思っています。

相澤座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ、竹田委員。

竹田委員 今までのお話の中で出てきたもので2つありますけれども、一つは地域産業保健センター活動に関してです。小規模事業場の産業保健活動のサポートをする組織なのですが、今までの状況の中では、地域産業保健センターは個別各地域の地域産業保健センター別に活動していて、お互いそれぞれがどのような活動をしているのかが見えていないという実情があります。

 好事例などもあるのではないかとは思いつつも、どこでどういった活動をしているかを共有する場は地域産業保健活動の中ではないので、その枠の外で、別のそれにかかわっている医師が自主的に情報をとりにいかない限りは知り得ないという中で活動をしていますので、少しそれがもったいない。好事例などを集めるとか、そういったものを共有する場があるほうがベターではないかと思います。

 もう一つ、小規模事業場をサポートする立場として、先ほどストレスチェックの話もありましたけれども、ストレスチェック制度が始まって、地域産業保健センターでも面接指導を受けることにはなっていますが、それが正直いって受ける側として、現実的にどの程度できるかという不安を持ちながらしています。

 というのは、事業場の実態を知るために十分な時間をとれない中で面接指導だけを受けて大丈夫かとか、あるいは面接指導をした上で報告書、意見書を書いて、それが適切に扱われるかどうかの確約がないまま実施できるのか。個人情報保護とか適切にルール化されているかとかいったことも確認する場をつくるとすると、本当にごくわずかの対応しかできなくなってくると思います。

 一方で、助成金制度があるので、それの活用を促そうとしても、事業者側がそれを活用しようとしたときにサポートする医師がいるのか。たしか3回までの活動の補助は出るはずですけれども、3回限り関与するだけの医師はいるのかということです。そこを責任持ってできるのか。これも3回だけしかかかわらないと、責任を持って意見が言えるかというと、二の足を踏んでしまうことが多いのではないかと思います。

 そうすると、先ほどの制度であったりとか、このルールをどうやって適用していくかという中に、2)にあるような形で医師が事業場と継続的にかかわる中でうまく助成金を活用してストレスチェック制度の対応もしていくみたいな組み合わせがないと、なかなか前進していかないかなというのを、お話を伺いながら感じたので、その部分も発言させていただきました。

相澤座長 ありがとうございました。

 どうぞ、松本委員、そろそろ時間があれなので簡潔にお願いします。

松本委員 竹田委員がおっしゃるとおりだと思いますけれども、面接に関しては、小規模事業場で行った場合は、事業場の実態をよく知らないままになってしまうので、やはり一度の面接だけで、例えば就業措置とかそういったところまで踏み込むのはかなり難しい問題だろうと現実的には思います。

 したがいまして、ある程度の意見を言って、あとは問題があれば、主治医の先生に受診していただきながら診断書を求めて行うという形になろうかと思います。

相澤座長 ありがとうございます。

 それでは、時間の関係で、次の8ページの「4 その他産業保健の機能向上等に関すること」について、御意見をいただきたいと思います。

 いかがでしょうか。

 どうぞ、井伊委員、お願いします。

井伊委員 最後の「(5)その他」ですが、産業医として働く事業場がないという医師、産業医が見つからない事業場もあるということで、マッチングのことがありますけれども、これは保健師にも同様のことがございまして、保健師も今、看護系大学が240ほどありますので、毎年8,000人ずつぐらい養成されておりまして、相当数産業領域で働きたいという保健師はいるのですが、なかなか求人と求職が一致していないという状況がございますので、保健師も書いていただきたいと思います。

相澤座長 わかりました。ありがとうございます。

 甲田委員、お願いします。

甲田委員 (3)に関してなのですけれども、先ほどからいろいろと出ているストレスチェックもしかりなのだろうと思うのですが、事業場の自主性を促すような産業保健活動が出てくると、ストレスチェックのほうを産業医が手に負えない場合が多分出てきたりすると、産業保健サービスのアウトソーシングが今、大分見られているのではないか。

 一ついろいろと聞くところでは、EAPEmployee Assistant Programのほうはそういうものを引き受けて対応する。私は決して悪いことではないとは思っているのですけれども、多分、現状でいうともう少し、例えば化学物質のリスクアセスメントも非常に厄介だからアウトソーシングをしてしまおうとかいう形です。

 専門的な機関が請け負ってやるのだったら、ある意味非常にいいのかもしれないし、逆に責任だとかいろいろな問題が出るのですが、本当にそれでいいのかなとか、いろいろな問題が多分あるのだと思うのです。

 今までのような外部機関、単純にいうと健診機関だとか労働衛生機関だとか以外の外部機関が最近は非常にふえてきているし、それに頼ることが出てくるのではないかと思うのです。

 そうなってくると、質の担保だとか現状がどういう状況なのかとか、前の議論になると思うのですけれども、産業保健のチームとして信頼足り得るパートナーになっているのかどうなのかとかも、十分に情報を得ていろいろな意味で監修をしたりとか支援していただいたりとか、いろいろなことが必要になってくるので、3番のところは今後、産業保健活動をする上で重要なポイントだと思うので、調査はもちろんしていただきたいし、今後の産業医活動だとか産業保健活動にフィードバックしていただきたい項目だと思うので、この辺はぜひしっかりお願いしてやっていただければと思います。

相澤座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがですか。

 三柴委員、お願いします。

三柴委員 幾つか申し上げたい点があるのですが、1点だけお願いを申し上げると、外部支援機関は、機関としての質の担保も重要なのですけれども、まず、今、個々人の専門家としてどういう人材リソースがいて、どのように、例えば中小企業者がアクセスできるかと。我が社では化学物質を取り扱っていますと。それについてのリスクはどこに窓口があって、どういうルートをたどれば適任な専門家に頼れるかについて、実は不明瞭な部分があって、例えば作業環境測定協会とか、幾つかの団体に私は確認のために電話をかけたりしたことがあるのですが、きちんと人材を紹介してくれる仕組みにはなっていない。

 コンサルタント会さんはどうかわかりませんけれども、いずれにせよ、例えばウエブ上で可能な人材リソースを一元化して検索ができるような仕組みができたら、それだけでも大分変わるのではないかと思っておりますので、申し上げたく思います。

相澤座長 ありがとうございます。

 ほかはいかがですか。

 そろそろ時間が、どうぞ。

 竹田委員、お願いします。

竹田委員 「(4)遠隔による労働衛生管理活動のあり方」の中で、衛生委員会については、テレビ、インターネット等での開催とあって、テレビ電話を使った会議システムとか、いろいろ今、出てきているので、その点については、私はその方向でいいのではないかとは思うのですが、職場巡視の議論とともに、事業場に訪問する頻度の話が、職場巡視のほうで頻度を減らし、もしテレビ電話で衛生委員会に出られたら、事業場に行かない産業医が出てきてしまうのではないかという危惧があるので、その辺の整理もあわせてしておかないと、事業場との距離がどんどん遠くなるかなと思いますから、例えば複数回の産業医活動のうち1回は衛生委員会にテレビ電話等を使って参加するのは全然構わないというか、むしろ積極的にするほうが効率的だと思いますが、事業場との距離あるいは事業場との訪問に関しての何らかのルール化も必要かなと感じました。

相澤座長 ありがとうございます。

 ほかは、そろそろよろしいでしょうか。

 どうぞ、清宮委員、お願いします。

清宮委員 小規模事業場の衛生管理と、地域産業保健センターのあり方と、その両方をマッチングできないかを考えるのです。具体的にはこうしたらいいのではないかということはないのですが、50人未満の事業場が今は、例えば地産保を利用して働いている人の健康の確保を形はできているわけですけれども、非常に利用がされていないのは前回もお話ししたのですが、地産保を利用すれば産業医を選任していると同等に理解されたり、あるいはそういうシステムができ上がって、もちろんそれは事業場でやってもいいけれども嘱託産業医として個人一人をお願いするほどのお金がかからない。

 つまり、国のある程度の補助があったり、そういうシステムが検討できないだろうかというような、皆さんに相談したいというか、そういう意識を持っているのです。

相澤座長 ありがとうございます。

 最後になりましたけれども、日医の医賠責保険制度の資料がございますので、松本委員から御説明をいただきたいと思います。

松本委員 松本でございます。

 資料の裏側の折ってある中側になりますけれども、日本医師会の医師賠償責任保険制度の補償を拡充いたしました。

 これまでは、産業医とか学校医等の医師活動ですけれども、右上の図がわかりやすいかと思いますが、医療行為に関しましては、確実に日医賠償責任保険で対応しておりました。

 医療行為以外の部分に対しては曖昧な部分がありました。産業医で、例えば健康相談に乗ったときの文言によって訴えられたとか、そういった事例が多少ございましたので、産業医とか学校医等の医療行為以外の部分に対しまして賠償責任保険、補償ができないかどうかを検討いたしまして、日医では7月1日から補償ができるということで拡充をいたしました。

 補償の概要は左の1に書いてあるとおりでございます。対象者はいわゆる診療所とか病院の長等A会員(A1、A2B、A2C)でございます。対象となる活動職務は、産業医、健康管理医、学校医、保育所等の嘱託医も含まれます。補償の限度額は1事故1億円。保険期間中3億円。免責はございません。

 ということで、産業医とか学校医の方々が安心して活動ができるようにということで、賠償責任保険の補償を拡充いたしましたので、御報告申し上げます。

 以上でございます。

相澤座長 ありがとうございました。

 よろしいですか。

 きょうも大変熱心な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。

 ちょうど時間が参ったようでございますので、本日は、この辺で終了したいと思います。

 事務局から、次回の予定等について、御説明をお願いいたします。

富賀見室長補佐本日も、皆さん、大変貴重な御意見をどうもありがとうございました。

 次回の第6回の検討会の開催予定ですけれども、また事務局で検討いたしまして、委員の皆様方に追って御連絡させていただきたいと思います。

 なお、本日の議事録につきましては、皆様に御確認いただいた上で公開するようにさせていただきますので、その際は確認をよろしくお願いいたします。

 本日は、これをもちまして、この検討会を閉会といたします。

 どうもありがとうございました。


(了)

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