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2016年2月23日 第111回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

職業安定局総務課

○日時

平成28年2月23日(火) 15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省共用第8会議室(19階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○阿部分科会長 定刻になりましたので、ただいまから第111回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の鎌田委員、労働者代表の勝野委員、清水委員、斗内委員、林委員、そして使用者代表の上野委員と深澤委員が御欠席です。なお、使用者代表の高橋委員は10分程度遅れてお見えになるとお聞きしております。

 それでは、議事に入ります。最初の議題は、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案要綱(職業安定法及び雇用対策法関係部分)について」です。本件については、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛諮問を受けております。事務局より説明をお願いいたします。

○公共職業安定所運営企画室長 資料No.1-1ほかに沿って説明いたします。まずは、ハローワークの地方移管ですが、これは平成19年以来議論があったところでした。前回、1225日の職業安定分科会において御報告申し上げましたとおり、国のハローワークは、国が維持するとともに、地方と国との連携を拡充するという方針で閣議決定いたしております。この方針については、全国知事会等の地方団体も御了解で、分権の議論についてはこれで措置済みとなるという理解です。この方針の内容を措置するために、内閣府が今国会に提出予定しております分権の六次一括法案の中に、職業安定法と雇用対策法の改正案を盛り込みたいと考えており、本日はその法律案の要綱について諮問申し上げるものです。

 資料No.1-13枚目の1ページを御覧ください。まず、安定法の改正については第一ですが、地方公共団体による無料職業紹介を国でもない、事業者でもない、第3の類型として新たに位置付けるものです。12にありますのは、無料職業紹介事業を行う場合の地公体の届出の義務を廃止して、代わりに事後通知だけを義務付けるという内容です。そして3は、職業紹介責任者の選任等、これまで事業者として課してきた義務を廃止するもので、ここは後ほどもう少し詳しくお話申し上げます。4は、求人や求職情報のオンライン提供を法定化するもの。5番目として、その他所要の改正としております。この所要の改正は、形式上のずれなどの修正のほかに、今般第3類型として事業者の中から地公体を外すことによって、地公体の無料職業紹介だけが諸制度の外に出てしまいかねないものですから、ここを内側に対象として位置付けるべく措置するものです。

 第二の雇用対策法の一部改正ですが、国と地方の連携強化によって、首長からハローワークを活用するような仕組みを促進しようとするものです。1は、雇用対策における国と地方の連携について、特に雇用対策協定と一体的実施を、新たに法の中に例示するものです。2以降です。2は、首長が労働者の職業の安定のため必要があると認めるときは、厚生労働大臣に対して必要な措置の実施を要請することができるという規定の新設です。そして、その具体的なプロセスとして、3から6までで、この2の要請を処理する上での手続などを定めるものとしております。まず、3で実施、不実施の判断を首長に通知すること。4で、その判断に当たっては、外部者の意見を聴くこととすること。5で、意見を求められた者に守秘義務を課して、6において守秘義務規定の罰則を置くものです。

 注書きをしておりますが、法律では首長の要請先は厚生労働大臣としておりますが、行く行くの省令において、この2から4までの厚生労働大臣の権限については、都道府県労働局長に委任することを想定しております。しかしながら、厚生労働大臣が自らその権限を行うことを妨げない仕組みにしたいと考えております。

 最後の第三、その他ですが、施行日は公布の日から起算して3月を経過した日と考えております。以上が、要綱の説明です。

 次にあります資料No.1-2によって、付加的に補足の説明をいたします。これまでの国と地方の連携の取組を列挙しております。1から5まであり、雇用対策協定、一体的実施事業、ハローワーク特区の3つにより、国と自治体がこれまで連携して地域の雇用対策に取り組んだ成果が着実に上がってまいりました。また、4点目の求人情報のオンライン提供については、5の地公体が自ら実施する無料職業紹介事業においても大いに活用されているところです。今回の法の改正案は、これらの連携の実績を踏まえたものとして、右側の赤字で書いたような措置としているわけです。

2ページ目は、先ほど要綱に沿って説明したとおりです。3ページ目の雇用対策法の改正について御覧ください。左側に現行がありますが、現行の雇用対策法では、1つ目の○、第5条において地公体の施策について、国の施策と相まって、雇用に関する必要な施策を講ずるように努めなければならないとしているほか、2つ目の○、第31条ですが、国と地公体の連携について、両者の施策が密接な関連の下に円滑かつ効果的に実施されるように、相互に連絡し協力するものとすると定めております。今般の改正案については、これまで運用上で行ってまいりました雇用対策協定、それから国と地方のワンストップの一体的実施を、法の条文の中に例示していくものです。特に一体的実施については、平成22年の閣議決定において、ハローワークの権限移譲の検討に向けて3年程度、試行的に実施するという位置付けでずっとこれまでやってまいりましたが、利用者の方からも地公体からも、全国の労使からも大変評価を頂いている取組ですので、今後も継続的に措置したいと考えております。

 併せて、改正案の中で、首長が職業の安定に必要な措置を国に要請できる仕組みを定めることとしております。これは、国が実施の要否を遅滞なく通知すると定めて、先ほど申しましたように関係者に御意見を伺って定めることになるわけです。これによって、地公体は例えば大規模倒産が起こった際の離職者対策や、若しくはUIターンを促進したい際に首都圏で移住フェアを行うときに、労働局からも協力をして職業紹介の支援をするなど、こうした様々な取組において、ハローワークの全国的体系を活用していただくようなことが容易になるのではないかと考えております。

 それから、今後の話になりますが、省令においては、この首長からの要請が雇用対策協定に盛り込まれた事項である場合には、予算や法律上の問題等、合理的な理由がない限りは、基本的には業務に反映させるという旨を定めたいと考えております。

 最後のページですが、職業安定法の改正についてです。これは、先ほど申しましたように、無料職業紹介事業の各種規制を緩和しまして、地域の実情に応じて地公体が創意をいかして対策できるようにしたいというものです。現行の職業安定法でも、地公体も無料職業紹介事業者として各種規制がかかっていながらもできるわけですが、位置付けとして本来地公体は公的な機関であって、安定法で危惧されておりますような中間搾取であるとか、強制労働であるとか、こうした弊害が発生するおそれが見込まれないと考え、国でも事業者でもない第3類型として整理するという案です。これにより、具体的にはここに書いております規制について、廃止するものと存置するものと分けております。まず、マル2のa)からc)に書いております指導等、事業停止命令や改善命令ですが、これについては安定法上は廃止とし、しかしながら地方自治法上の国の関与類型で引き続き関与していくと考えております。

 本日の資料の一番後ろに、参考資料1として、「地方自治法に基づく国の関与」という紙を付けさせていただきました。参考資料1について簡単に説明いたします。地方自治法の245条の4において、各大臣は地公体に対して技術的な助言、勧告、資料の提出の要求ができるとなっております。厚生系の業務などでは、この技術的な助言は非常に多く用いられている手法です。次のページに245条の5として、是正の要求という項目があります。これは、下線を引いている箇所のように、まず第1項で各大臣は都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害していると認めるときは、違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。そして、この5項において、この求めを受けた地公体は、普通地方公共団体は違反の是正又は改善のための必要な措置を講じなければならない。この条文により、各省から地公体に対してまず是正の要求をすることができて、そして地公体は是正の要求を受けた場合には、この措置を講じなければならないという包括的な、国から地公体に対する関与類型が定められているものです。

 元の職業安定法の改正についてに戻ります。申し上げましたa)からc)については、こちらの地方自治法の関与類型のほうで、引き続き関与を行いたいと考えている部分です。d)e)f)は、主に事業者に課されてきた義務ですが、この辺りは地公体として組織もしっかりしている主体が自治事務として行うものですので、殊更に国が言わなくても心配がないのではないかという点で、廃止としております。一方で、g)の名義貸しの禁止ですが、これは存置したいと考えております。ここは、民間企業が地公体の名義で無料職業紹介を実施できることになってしまいますと、今般の地公体に対する規制の緩和によって、名義借りした民間企業に国の規制が及ばなくなり、労働者保護に影響があってはいけないという考えです。同様に、h)からn)までの差別的取扱いの禁止や、労働条件等の明示について、引き続き存置と考えております。なお、地公体がもし民間事業者に委託をして無料の職業紹介サービスを提供する場合、これは従来どおり民間事業者に対する国の規制がかかるという方針です。今般の改正については、あくまでも地公体が自ら無料職業紹介を行う場合のみの措置です。

 改正後の下の○ですが、無料職業紹介を行う地公体が希望した場合に、求人情報、求職情報の提供を行うというものです。これも、実際上はもう行っているものですが、地公体の場合に限り、特段に法律に明記するという内容です。以上です。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見がありましたら、御発言ください。

○村上委員 今御説明いただきましたパワーポイント、資料1-24ページ目の職業安定法の改正についてです。今回、職業安定法を改正して、無料職業紹介を行う地方公共団体から、厚生労働大臣に対する届出を廃止するという方向性については、賛同いたしますが、やや危惧している点がありますので、質問いたします。職業紹介事業については、トラブルは日常茶飯事だと思いますが、規制緩和をすることによって国の助言指導や改善命令がなくなってくると、トラブルの責任を全て地方公共団体が負うことになりますが、それで大丈夫なのか。また、求職者がトラブルに巻き込まれた場合、その経緯や原因を究明し、適切な方向へ改善することが困難になってしまい、求職者にしわ寄せがいくことがないのかが心配されるところです。少なくとも、国による助言指導や職業紹介責任者の選任であるとか、帳簿の備え付けについては、必要なのではないか。廃止して本当に大丈夫なのかということを心配しております。

 そこで、今御説明いただきましたポンチ絵の右側に記載されているa)からc)については今回の改正で廃止となり、そこは地方自治法で対応するとなっておりますが、もう少し具体的にどのように措置できるのかを教えていただきたいと思います。2点目は、d)からf)の職業紹介責任者の選任、帳簿の備え付け、事業報告書の提出に係る規制について、こちらは完全に廃止となっておりますが、特に問題はないのか。事業報告などは事業ではないけれども、何らか国が把握しておく必要があるのではないかと思っておりますが、その点について教えていただければと思います。

○公共職業安定所運営企画室長 御指摘ありがとうございました。まず、地方自治法に基づいてどのように措置するかですが、これは国の側で法に違反していると思われる点を見付けた場合、若しくは重大な影響が見込まれる点が見付かった場合について、地方公共団体に対して、口頭なり文書なりで是正の要求をするものです。例として有名なものですと、住基ネットに参画するか、しないかという話があったときに、総務省から国立市に対して是正の要求があったですとか、あとは沖縄の竹富町が教科書としてどれを採択するかというようなときに、文科省から竹富町に対して是正の要求があったというような前例がありました。そのような耳に届くような大きな案件がここまで行き着くわけですが、通常の場合はその前の段階の行政と行政の話し合いの中で、きちんとゴールを見い出していくことができる場合が多いのではないかと考えております。

 それから、もし求職者の方が何らかの法の違反を見付けて、これが自治体に言ってもらちが明かないというようなことが万が一あった際に、現行の職業安定法の中の48条の4で、厚生労働大臣に対する申告ができるということになっております。これは、求職者や募集に応じた労働者が、厚生労働大臣に対して申告をすることによって、その法違反に対する是正の措置を講じなければならないという義務も国側に課されております。今回は、地方を第3類型としましたが、ここにはきちんと入ってくるような所要の改正も行っておりますので、こうした点で働く方、それから求人を出されている企業などに不便のないように、きちんと措置してまいります。

2点目の御質問で、d)e)f)に挙がっている規制について支障がないかという点です。基本的には、支障がないと考えております。例えばd)については、職業紹介責任者の選任ですが、これは無料職業紹介をするような自治体においては、大体紹介事業を行う部門の長は決まっているもので、どなたにどういう責任があるかは組織としてしっかり見えているものであると考えております。それから、e)の帳簿の備え付けですが、これは求人求職管理簿ということになっておりますが、こうしたものも組織として、自治事務として、地公体が行うものですので、国の制約がなくとも行われるものと考えております。そして、事業報告については、職業安定法第50条に基づく報告は来なくなってしまうのですが、厚生労働省として、労働力需給の全体を把握しておく必要があるものですから、年に1回現行では地公体に対して現行の事業の状況や、どのぐらいの就職者があったという御報告を頂いております。今後も、先ほど申し上げました地方自治法の2454の資料の要求でも要求ができますし、またそこまで形式ばらなくても成果を教えてくださいということで、引き続き把握もしていこうと考えております。この点は、施行通達においても、しっかりと地方にもお伝えしていくつもりですので、そうした点で御理解いただければと存じます。

○阿部分科会長 村上委員、何かありますか。

○村上委員 御説明いただき、疑念の部分はかなり払拭されましたが、何かありましたら厚生労働省としてきちんと対応していただきたいと思っております。

○阿部分科会長 ほかに御意見、御質問はありますか。

○岩村委員 先ほどの御説明の中で、地方公共団体が例えば指定管理者で、民間の職業安定事業者などにこの地方公共団体が行う無料職業紹介の事務を委託した場合については、今回の改正法による規制の撤廃等は適用されずに、元の職安法の規制が適用されるのだという御説明がありましたが、それはそのとおりで結構だと思うのですが、その条文上の根拠はどのようになっているのかを御説明いただければと思います。

○公共職業安定所運営企画室長 条文上はそもそも、職業安定法では職業紹介を誰が行うかということにしております。細かい条文で恐縮ですが、まずこの法律案において「特定地方公共団体とは、第29条第1項の規定により無料の職業紹介事業を行う地方公共団体をいう」と規定しております。この無料の職業紹介事業を行う地公体と書かれていることそのものが、誰が行うかという主体に着目したものです。一方で、名義貸しの禁止という規定を、条文で申しますと、「特定地方公共団体は、自己の名義を持って他人に無料の職業紹介事業を行わせてはならない」というような案文を考えております。これによって、自ら行うもの以外については、誰が行うかという点に着目すると、委託の場合は委託を受けた有料の職業紹介事業者がその事業を行うものであるという理解です。

○岩村委員 指定管理者の場合に、名義貸しの禁止の条文でカバーされるのだというのは、大丈夫ですか。

○公共職業安定所運営企画室長 指定管理者制度についてはどういう分野について対象として認められるかが確かあったと思いますので、後でよく見ておこうと思います。仮に、この職業紹介事業が指定管理者制度の対象となったとしても、管理者の指定をして職業紹介事業そのものを行う主体が誰かというと、指定を受けた事業体ということになりますので、ここはもう間違いなく実施の主体として民間事業者という理解をしております。

○岩村委員 では、同様の理屈で、委託の場合もそれが当てはまるという理解ですか。

○公共職業安定所運営企画室長 さようでございます。

○岩村委員 ごめんなさい。指定管理者は、確かに一定の枠がはまっているので、確かに無料職業紹介事業について指定管理者という形になるかどうか、おっしゃるとおりだと思いますが。ありがとうございました。

○阿部分科会長 そのほか、いかがでしょうか。

○太田委員 雇用対策法の改正についての資料を拝見しておりますと、地方公共団体の長が職業の安定に関して必要な措置の実施を国に要請できるということが、新たに加わったと思います。その際に、特定の地方公共団体がかなり強い要求を出して、その他の地方団体に何らかの影響が及ぶような要求が出てきた際に、例えば要請に係る措置を行う必要があるか否かを判断するにおいて、学識経験者等と書いてあります。その中には、利害関係の地方公共団体、他の地方公共団体等も入ってくると理解してよろしいのでしょうか。

○公共職業安定所運営企画室長 さようでございます。私どもも、この規定を考えるときに、地元の例えば都道府県レベルと市レベル、それから隣り合った市町村レベルで、利害関係上もしかしたら衝突があるかもしれないということも考えております。その点も含めて、影響のあり得る範囲について御意見を伺えるようにしたものです。

○阿部分科会長 そのほか、いかがでしょうか。特にないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を「おおむね妥当」と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いいたします。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告をいたします。

 では、次に移ります。次の議題は、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示案要綱及び、派遣先が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示案要綱についてです。本件については、先日、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛諮問を受けております。事務局より、説明をお願いいたします。

○派遣・請負労働企画官 需給調整事業課派遣・請負労働企画官の私から御説明いたします。今回の障害者雇用促進法の施行に伴う派遣元指針、派遣先指針の改正です。要綱の説明に先立ち、まず改正の全体像について御説明いたします。障害者雇用促進法の改正法の概要について御説明いたします。参考資料No.2-2を御覧ください。この資料が、平成25年の障害者雇用促進法の改正内容です。今回の派遣元指針、派遣先指針の改正に関する部分は、改正内容の1(1)(2)の部分になります。(1)障害者に対する差別の禁止ということで、雇用の分野、募集・採用、教育訓練等における障害を理由とする差別的取扱いを禁止する。(2)合理的配慮の提供義務ということで、事業主に、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置を講ずることを義務付ける。ただし、過重な負担を及ぼすこととなる場合は除くとされております。その具体例は下の(想定される例)ということです。こういう法律改正ですが、施行日は、平成284月となっています。

 障害者雇用促進法上の義務は、労働者派遣については、一義的には派遣元に課されることになっております。その点についての障害者雇用分科会での意見です。参考資料No.2-1の裏面を御覧ください。これは、障害者雇用促進法の改正案をまとめた際の障害者雇用分科会の意見書になります。下線の部分ですが、「派遣労働の取扱いについて、派遣先事業主は現行の労働者派遣法に基づく責任を負いつつ、当面、派遣元事業主に障害を理由とする差別の禁止及び合理的配慮の提供義務を課すことが適当である」という意見になっており、先ほどの法律になっているということです。

 参考資料No.2-1の表面を御覧ください。障害者雇用促進法上の義務は派遣元が負うことになるのですが、実際派遣労働者が働いているのは派遣先であることを踏まえ、参考資料No.2-1の上にあるように、「改正障害者雇用促進法上の義務は派遣元が負うが、派遣労働者が派遣先において就業することを踏まえ、派遣先が講ずべき措置について、労働者派遣法の枠組みにおける対応を検討する必要があるのではないか」ということで、需給制度部会のほうで議論を行っております。

 具体的には参考資料No.2-1の左側で、まず障害者雇用促進法上派遣元に課されている義務を整理したものです。上2つが差別禁止ということで、募集・採用、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用等について差別禁止というのが、障害者雇用促進法上派遣元に課されています。その下の2つが合理的配慮の提供の義務になります。募集・採用時の合理的配慮の提供義務と、採用後における就業中の合理的配慮の提供義務が派遣元に課されています。

 そういう派遣元に対する、障害者雇用促進法上の義務を参考にしながら右側を御覧ください。派遣先での対応について、こういう観点で検討してはどうかということで、需給制度部会で議論したものになります。「派遣契約締結等」ということで、派遣先は雇用主ではないので募集・採用というのはないのですが、入口ということで派遣契約締結時、更に紹介予定派遣に係る特定の際に、障害者を排除しないこととする必要はないかというのが1点目です。2点目は、「適正な派遣就業の確保」ということで、派遣先の派遣労働者に対する教育訓練の実施、福利厚生施設の利用について、障害者であることを理由とする差別を禁止する必要はないか。この上2つが差別禁止の関係になります。

 その下は、「紹介予定派遣に係る特定等」ということで、紹介予定派遣に係る特定等に際し、派遣元が合理的配慮の提供を行うに当たり、義務のある派遣元が、派遣先の協力を求めた場合の対応について定める必要はないかというのが1点です。その下は、「適正な派遣就業の確保」です。就業中に、派遣元が合理的配慮の提供を行うに当たり、派遣元が派遣先の協力を求めた場合の対応について定める必要はないかというのが2点目です。この2つが合理的配慮です。

 その下の小さな点線で囲われている部分ですが、上記のほか派遣労働者が派遣先に合理的配慮の提供に係る申出をした場合の対応を検討する必要はないか、という観点でも検討しております。その下で「さらに」ということで、上記の派遣先による対応に関連して、派遣元による対応を検討する必要はないかということです。具体的には派遣契約の派遣先と、もう一方当事者である派遣元についても差別禁止というのが必要ではないか。あとは合理的配慮の提供ということで、右の表の下2つですが、派遣元が派遣先に協力を求めることもありますので、そういう点について、派遣元指針のほうでも対応を検討する必要があるのではないかということで検討しています。

 こういう観点で検討していただき、まとめた要綱が資料No.2-1になります。

 まず別紙1は、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示案要綱になります。要綱を読み上げます。

 「第一、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の一部改正。一、障害者である派遣労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情の改善を図るための措置として次の内容を追加すること」ということで、中身は就業中の合理的配慮になります。「派遣元事業主は、障害者の雇用の促進等に関する法律第二条第一号に規定する障害者である派遣労働者から派遣先の職場において障害者である派遣労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情の申出があった場合又は派遣先から当該事情に関する苦情があった旨の通知を受けた場合等において、同法第三十六条の三の規定」、これは合理的配慮の規定ですが、「による措置を講ずるに当たって、当該障害者である派遣労働者と話合いを行い、派遣元事業主において実施可能な措置を検討するとともに、必要に応じ、派遣先と協議等を行い、協力を要請すること」。

 続いて二ですが、これは派遣契約の際の差別禁止です。「派遣労働者を特定することを目的とする行為に対する協力の禁止等に次の内容を追加すること。派遣元事業主は、派遣先との間で労働者派遣契約を締結するに当たっては、派遣元事業主が当該派遣先の指揮命令の下に就業させようとする労働者について、障害者であることを理由として、障害者を排除し、又はその条件を障害者に対してのみ不利なものとしてはならず、かつ、これに基づき障害者でない派遣労働者を当該派遣先に派遣してはならないこと」。

 続いて三です。「紹介予定派遣に次の内容を追加すること」、これは紹介予定派遣に係る特定等の際の合理的配慮になります。「派遣元事業主は、派遣先が障害者に対し、面接その他紹介予定派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為を行う場合に、障害者雇用促進法第三十六条の二又は第三十六条の三の規定による措置を講ずるに当たっては、障害者と話合いを行い、派遣元事業主において実施可能な措置を検討するとともに、必要に応じ、派遣先と協議等を行い、協力を要請すること。

 第二、適用期日。この告示は平成二十八年四月一日から適用するものとすること」。

 続いて別紙2です。派遣先が講ずべき措置に関する指針です。まず要綱の第1の九、3ページの第二の直前が「九」になっていますが、これは「五」の誤植になります。前のほうから見ていくと、その前が「四」ですので、この部分は「五」になります。後ほど改めて申し上げますが、需給制度部会では、この点について修正したものをおおむね妥当と認める旨の御報告を頂いております。

 別紙2の最初のページに戻ります。「派遣先が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示案要綱。第一、派遣先が講ずべき措置に関する指針の一部改正」。一は派遣契約時の差別禁止になります。「障害者であることを理由とする不当な差別的取扱いの禁止として次の内容を追加すること。派遣先は、派遣元事業主との間で労働者派遣契約を締結するに当たっては、派遣元事業主が当該派遣先の指揮命令の下に就業させようとする労働者について、障害者の雇用の促進等に関する法律第二条第一号に規定する障害者であることを理由として、障害者を排除し、又はその条件を障害者に対してのみ不利なものとしてはならないこと」。

 二は苦情処理の内容に関するものです。「適切な苦情の処理に次の内容を追加すること。派遣先が適切かつ迅速な処理を図るべき苦情には、障害者である派遣労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情に関するもの等が含まれることに留意すること」。

 三は、「障害者である派遣労働者の適正な就業の確保として次の内容を追加すること」。()は教育訓練、福利厚生等の差別禁止の関係です。「()派遣先は、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者に対する教育訓練及び福利厚生の実施について、派遣労働者が障害者であることを理由として、障害者でない派遣労働者と不当な差別的取扱いをしてはならないこと」。

 続いて()は就業中の派遣元の合理的配慮への協力についての部分です。「派遣先は、労働者派遣契約に基づき派遣された労働者について、派遣元事業主が障害者雇用促進法第三十六条の三の規定による措置を講ずるため、派遣元事業主から求めがあったときは、派遣元事業主と協議等を行い、可能な限り協力するよう努めなければならないこと」。

 続いて四です。これは、紹介予定派遣に係る特定の際の差別禁止の関係になります。「派遣先が特定等に当たり障害者雇用促進法第三十四条の趣旨に照らし行ってはならない措置等として次の内容を追加すること。()派遣先は、特定等を行うに当たっては、例えば次に掲げる措置を行わないこと。ア、特定等に当たって、障害者であることを理由として、障害者をその対象から排除すること。イ、特定等に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。ウ、特定等に当たって、障害者でない者を優先すること。エ、派遣就業又は雇用の際に予定される求人の内容の説明等の特定等に係る情報の提供について、障害者であることを理由として障害者でない者と異なる取扱いをすること又は派遣元事業主にその旨要請すること。

()()に関し、特定等に際して一定の能力を有することを条件とすることについては、当該条件が当該派遣先において業務遂行上特に必要なものと認められる場合には、行って差し支えないこと。一方、特定等に当たって、業務遂行上特に必要でないにもかかわらず、障害者を排除するために条件を付することは、行ってはならないこと。

()()及び()に関し、積極的差別是正措置として、障害者でない者と比較して障害者を有利に取り扱うことは、障害者であることを理由とする差別に該当しないこと」。この()から()までが差別禁止の観点になります。

()は紹介予定派遣に係る特定の際の派遣元の合理的配慮への協力の関係になります。「派遣先は、障害者に対し、面接その他特定することを目的とする行為を行う場合に、派遣元事業主が障害者雇用促進法第三十六条の二又は第三十六条の三の規定による措置を講ずるため、派遣元事業主から求めがあったときは、派遣元事業主と協議等を行い、可能な限り協力するよう努めなければならないこと」。

 九「その他所要の規定の整備を行うこと」を「五」に修正することになります。「第二、適用期日。この告示は平成二十八年四月一日から適用するものとすること」。要綱については以上です。

 次に、労働力需給制度部会での議論の状況について御説明いたします。同部会では、昨年1225日から、障害者雇用促進法改正法の施行に当たり講ずべき措置についての御議論をお願いし、それぞれの事項について御質問、御意見等を頂戴いたしました。本年127日の同部会において、ただいま御説明いたしました内容の告示案の要綱をお諮りし、先ほど御説明しました派遣先指針要綱案の誤植を修正したものについて厚生労働省案として、資料No.2-2ですが、おおむね妥当と認める御報告を取りまとめていただき、部会から分科会宛の報告を頂きました。私からの説明は以上です。

○阿部分科会長 本件について御質問、御意見がありましたら御発言をお願いいたします。村上委員どうぞ。

○村上委員 ただいま御紹介いただきましたように、労働力需給制度部会でも議論いたしましたし、その際にも意見を述べてきたのですが、職業安定分科会でも一言申し上げておきたいと思います。現在、改正障害者雇用促進法の枠組みが合理的配慮の提供に関する法的な義務は、あくまでも雇用主たる派遣元にあるということは理解しております。しかし、障がいをもちながら働く派遣労働者が、自分の能力を最大限に発揮するためには、派遣元だけではなくて、やはり実際の職場である派遣先においても、適切な合理的配慮が必要ではないかと考えております。本年41日から障害者雇用促進法の差別禁止と合理的配慮の提供義務が施行されるわけですが、施行状況などを見ながら、派遣で働く障がい者がどのぐらいいらっしゃるのかとか、どんな働き方をされているのかということも把握した上で、適切な時期において、派遣先における合理的配慮の提供についての議論も行うべきだと考えております。

○阿部分科会長 その他にいかがでしょうか。特にないようですので、当分科会は事務局から説明のあった点について修正した厚生労働省案を「おおむね妥当」と認め、その旨を私から労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますがよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いいたします。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 お手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛に報告することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。次に移ります。次の議題は、2015年度の年度目標に係る中間評価についてです。事務局から説明をお願いします。

○雇用政策課長 雇用政策課長です。私からは、議題3の「2015年度の年度目標に係る中間評価」について御説明いたします。資料No.3-1と資料No.3-2、それから参考資料No.3-1から参考資料No.3-3までを活用してまいります。これについては御承知のとおり、参考資料No.3-2にもあるとおり、日本再興戦略等で、中期目標を設定し、それに基づいて毎年PDCAによる政策評価を行うということで、参考資料No.3-1にあるようなスケジュールで進めさせていただいています。その中で、今回は2015年度の中間評価ということで、それについて御議論を頂ければということです。事務局からたたき台として、資料No.3-1を用意しております。併せて資料No.3-2は評価シートということで、各項目ごとの目標設定における考え方、施策の実施状況、分析、達成状況を踏まえた評価、今後の方針などについて記載しています。主にこの2つの資料を使って説明させていただきます。

 なお、これまでと同様ですけれども、お手元の資料の最後に意見記入用紙をお配りしています。御意見がある場合には、本日御発言いただくのはもちろんのことですが、こちらの用紙で御提出いただくことも可能ですので、用紙に御意見を記入していただき、席に残していただく、あるいは31日までに事務局宛に提出していただければと思います。委員の皆様方から頂いた御意見も、これまでどおりですけれども、資料No.3-2の評価シートの中に、「分科会委員の意見」という欄がありますので、そちらに記載させていただいて、取りまとめた中間評価については、参考資料No.3-1にあるとおり、本審に審議状況を報告するとともに、ホームページにも掲載し、広く一般の方々からの意見を募集するという流れです。

 それでは、主に資料No.3-1、資料No.3-2を使って御説明いたします。大項目1の「ハローワークにおける職業紹介等」です。これは毎度のことですが、資料No.3-1と資料No.3-2については少し並びが違っております。資料No.3-1では、おおむね達成度合が高い順に整理しておりますので、こちらに沿って、資料No.3-2と行ったり来たりで恐縮ですが、指標を見ながら説明を聞いていただければと思います。

 資料No.3-22ページの1のマル7「雇用保険受給者の早期再就職割合」については、今年度の目標が昨年度よりもやや上回る33.9%だったのに対し、10月までの時点で33.8%ということで、前年同期の31.6%を上回る状況になっています。

 マル6「マザーズハローワーク事業(重点支援対象者の就職率)」の目標値は前年度と同じ水準に対し、9月までの実績で91.2%ということで、前年同期を上回る状況になっています。

 資料No.3-23ページのマル9「就職支援プログラム事業(就職率)」の目標については、昨年をやや下回る目標設定にしていたのに対し、9月末までの実績が86.8%と前年を上回る水準となっています。

2ページに戻ってマル3「ハローワークにおける正社員求人数」については、今年度の目標が前年度を上回る425万人ということでしたが、10月までの実績が253万人余ということで、前年同期を上回っています。

 マル5「マザーズハローワーク事業(重点支援対象者数)」は、目標が前年を上回る水準の73,600人に対し、9月までの実績も38,000人余ということで、前年を上回っています。

 マル8「就職支援プログラム事業(開始件数)」についての目標は、前年同期を下回る目標に設定をした中で、9月までの実績は56,800件余ということで、こちらは前年を下回る水準となっています。進捗度合いで言うと、前年と同様の度合いになっています。これについても、この水準で推移すれば、目標の水準となることが想定される状況になっているということです。

 マル1「ハローワーク求職者の就職率」については、目標が前年をやや上回る31.6%であるのに対し、10月までの実績が31.0%ということで前年並みになっています。そういう意味では、達成すべき水準を下回って推移しています。

 マル2「ハローワーク求人の充足率」については、新規求人数が増加していることなどを背景に、目標自体も前年を下回る目標で20%と設定していた中において、10月までの実績は19.5%ということで、こちらも前年を下回るということです。これについては資料No.3-1にも書いているとおり、目標達成に向けて、求職者の状況等に応じたきめ細やかな就職支援、未充足求人に対するフォローアップなどの徹底に取り組む必要があるとしております。

 マル4は今回から雇用の質ということで、新たに設定した「ハローワークにおける正社員就職件数」については、目標が前年度の実績をやや上回る90万件と設定していたのに対し、9月までの実績は50万件余ということで、前年を下回る水準になっています。こちらも担当者制によるきめ細かな支援を行う等、更なる徹底に取り組む必要があるとしています。

3ページでマル10「求職者支援制度による職業訓練の就職率」ですけれども、訓練コース修了3か月後の実績として、基礎コースの目標が55%、実践コースが60%ということで、前年度の実績をやや上回る目標設定をしているのに対し、基礎コースについては6月までの速報値で53.2%ということで、前年を上回る水準ではありますけれども、目標をやや下回っています。実践コースについては60%ということで、前年度の実績も上回るという状況になっています。

 資料No.3-11ページの一番下に記載しておりますけれども、これらについては年度当初に開講した一部コースの値であるということですので、今後実績が本格的に出ていくに連れて、目標に近付いていくのではないかということを書いております。

 大項目2の「失業なき労働移動の推進」です。資料No.3-12ページ、資料No.3-27ページからになります。マル11の労働移動支援助成金の対象となった者のうち、早期再就職を果たした者の割合については、目標に65%以上を設定していたのに対し、10月時点で41%ということで目標を下回っています。これについては、資料No.3-12ページにも書いてあります。

 資料No.3-27ページの下の(4)、あるいは分析の所で9ページにも記載しております。今回の実績は支給要件変更に伴う初年度効果という言い方をしておりますけれども、支給要件変更に伴い、そもそも指標の分母が平年ベースに比べて低めになることが初年度にはあるという効果が、昨年度は見られたわけですが、それがなくなったということ。前年度と比較すると、相対的に就職困難な45歳以上の構成比が大幅に上昇したということで、数字も2014年度の実績で20.4%から201510月までの実績で75%に上がったと記載されております。そういう影響があると考えています。

 なお、制度が変わって、旧制度、新制度ということで表で整理しておりますけれども、それでカウントの仕方も変わっていて、参考までに旧制度ベースで見たときの実績を見ると55%になるということです。それについては2013年度の数字とほぼ同じ値になっているということを参考までに書いています。ここについては、資料No.3-12ページにも書いているとおり、「失業なき労働移動の実現」が求められているということですので、労働移動支援助成金の活用促進を図り、対象者の早期再就職実現に努めるとともに、加えて2014年度の実績参考値の特異性や、2015年度の実績等を分析の上、適切な指標を設定する必要があるということで整理しております。

 マル12「産業雇用安定センターによる出向・移籍の成立率」については、目標値は前年度並みの60%以上であるのに対し、10月までの実績で59%ということで、昨年度実績とほぼ同水準であるということです。引き続き企業への訪問を行うとともに、キャリアコンサルティング機能の強化に取り組む必要があると書いております。

 若干補足しますが、マル11の労働移動支援助成金については、前回御審議いただいたときに、委員から頂いた御指摘として、実績の率だけではなくて、件数も入れたほうがいいのではないかということでしたので、資料No.3-28ページの一番上に、実績の件数も参考までに記載しております。以上が2番目です。

 大項目3の「若者の就労促進」です。資料No.3-12ページの下段、資料No.3-211ページになります。マル13「ハローワークの職業紹介により正規雇用に結びついたフリーター等の数」については、今年度の目標が前年度を上回る32万人に対し、9月までの実績で16万人余ということで、前年度同期を上回っています。

 マル14「学卒ジョブサポーターによる支援(正社員就職者数)」です。学卒の就職環境は好転している中で、対象者数を、前年度を下回る目標設定にしていたのに対し、10月までの実績では11万人余ということで、前年度を上回っています。大学ではやや下回ったものの、高校での上回り方が全体で上回る結果にしているということです。

 マル15「新卒応援ハローワーク(正社員就職者数)」です。こちらも対象者の減を見込んで、目標は前年をやや下回る10万人としていたのに対し、10月までの実績は56,000人余ということで、前年度を下回る状況になっています。ただ、ここについて若干補足しますと、大卒の採用活動が4月から8月に後ろ倒しされたことに伴い、その影響が一部見られています。その後の状況についてはここに数字を記載しておりませんけれども、それ以降の実績が上がってきているということで、通年で見ると、こちらも目標達成に向けて期待できるのではないかと考えております。

 大項目4は「高齢者の就労促進」です。資料No.3-13ページ、資料No.3-214ページです。マル16「高年齢者総合相談窓口でのチーム支援による就職率」です。目標値は前年度実績の64%以上に対し、10月までの実績では71.8%と、前年同期を上回っています。

 マル17「シルバー人材センターにおける契約受注件数」です。こちらは前年度契約件数実績以上という目標に対し、9月までの実績で221万件余ということで、前年をやや下回っているということです。そういう中で少し補足があります。資料No.3-13ページ、資料No.3-215ページの一番最後の、「施策の達成状況を踏まえた現時点における評価及び今後の方針」のシルバー人材センターの所を見ると、全体として就業期間が長い派遣契約で契約数が伸びた中で、会員の就業延べ人日については、前年同期よりも増えています。9月末で3,583万人日余から、3,611万人日余に増えています。もともとシルバー人材センターについては、就業機会を増やしていくことが本来の趣旨・目的と考えたら順調であるということです。ただ、今年度については、契約受注件数ということですので、そこは引き続き達成できるように取り組むということです。

 そういう状況の中で、資料No.3-215ページの一番下にも書いているとおり、来年度については目標設定の変更も含めて検討をしていきたいと考えております。こちらについては、また改めて御審議いただくこともあろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後に参考資料No.3-2です。こちらは冒頭に御説明した中期目標ということで、達成すべきアウトカムの目標となります。現在値(直近の値)という真ん中の段については、最新の数字が最近発表されたものが多いということで、1年更新させていただいています。前回の数値について参考までに申し上げておきます。マル1の2064歳の就業率が、2014年では77%でしたが1ポイント上がって78%になっています。マル2の失業期間6か月以上の者の数は、2014年が122万人だったのに対し、2015年は109万人になっています。マル3の転職入職率については、1年他のデータより古いのですけれども、2013年の8.7%から2014年が8.9%。マル4の2034歳の就業率については、2014年の76%から、2015年の76%と横ばいです。マル5の若者フリーターについては、2014年の179万人から2015年の167万人に減っています。マル6の6064歳の就業率については、2014年の61%から、2015年の62%に1ポイント上昇しています。口頭で恐縮ですけれども補足させていただきました。私からの説明は以上です。

○阿部分科会長 それでは、本件について御質問、御意見があれば御発言ください。

○松原委員 私からは資料No.3-21「ハローワークにおける職業紹介等」の部分について1点の要望、1点の質問をさせていただきます。

2015年から新たにマル4の正社員就職件数が目標項目ということで追加されていますが、これについては20158月の第106回の分科会でも意見を申し上げてきているのですが、雇用の質に関する目標ということで設定されたということで、一歩前進と受け止めております。労働側としては、雇用の質にこだわって、目標達成に向けて、厚生労働省として取組を強力に推進していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 質問ですが、資料No.3-22ページです。2015年度の4月~10月のハローワークにおける正社員の就職件数実績が記載されていますが、前年同時期と比較した場合に、535,397件から503,955件ということで減少しています。資料No.3-1に、求職者数が減少していることが背景だという記載があります。この点については理解しているところですが、この中で、2ページのマル1ハローワーク求職者の就職率に占める正社員の就職の割合、マル2ハローワーク求人の充足率における正社員の求人の割合、求職側と求人側それぞれの状況について、もし、より詳しい状況が分かれば教えていただきたいということです。よろしくお願いいたします。

○阿部分科会長 では御質問の点についてお願いします。

○雇用政策課長 ありがとうございます。最初の御要望についても若干言及しておきたいと思います。我々は御承知のとおり、フリーター対策も含めて、不本意非正規というものを減らしていくということに重点的に取り組んでいます。それプラス、当然、待遇改善ということでもありますので、これも御承知のとおり、我々が省内に設けている正社員転換・待遇改善実現本部においても、この128日に「正社員転換・待遇改善実現プラン」をパッケージとして公表させていただいており、それに基づいて今後もしっかり取り組んでまいりたいということを申し上げておきたいと思います。

 御質問ですが、まず、ハローワークにおける正社員就職件数のところの件数が伸び悩んでいるという件について、求職者数が減少するということについては、今の状況の中で当然ある程度は織り込んでいるわけですが、雇用情勢の改善によって見込み以上に減少した面はあったということです。そういった母数の減少が就職件数の伸び悩みという状況の中にあるというのも現実としてあるということです。

 一方、もう少し見ると、就職件数全体に占める正社員就職の割合が、この10月までで50.2%という状況になっていて、前年同月で49.2%だったので、1ポイント上がった形にはなっているということです。そういった数字も併せて見ると、ハローワークにおけるマッチング、あるいは正社員の実現という観点では、一定の成果は出ているのではないかと考えております。

 併せて、マル1の就職率も関係する話ですが、これは昨年の夏の前年度の評価のときにも申し上げていたかと思います。全体の中で求職者が減っている中において、相対的に就職困難性の高い求職者の割合が高くなる傾向や、景気回復局面においては、在職求職者の方が一定程度の時間をかけて求職活動を行う場合も増えているといったことが、就職率を押し下げる方向に働いたということを御説明させていただいたと記憶しておりますが、そういった傾向も、その後も続いていると考えているということです。そういった状況がマル4にも一部反映している面もあろうかと思います。ただ、この辺りの数字は、先ほど申し上げたとおり、我々として非常に重点的に取り組むべき指標ですので、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

○森下委員 全般のことで、今の御報告いただいた中間の評価値そのものは、これから年度末に向かって数値の変化も予測されるということで、実績そのものは評価できると思いますが、もう少しという期待されるところと、少し分かれてるかと思っています。

 私たち小規模事業者の代表という立場で発言させていただきたいのですが、小規模事業者というのは、今、非常に利益の出しにくい中で、自らの給与を削ってでも、会社で働く方々には最低限の雇用確保や生活の安定を確保すべく、努力しているところです。小さい会社では、なかなか就職の希望者が少ないという中で、今、社会でなかなか就職が難しいと言われる、この表にも出ていますが、45歳以降、50歳代の方の正社員化というものにも積極的に我々は取り組まざるを得ないというのが現状です。

 一方、大きな企業様では、やはり若年者の雇用にも非常に選択の幅が広いわけで、この数値にも出ていますように、若い方の就職率も大分上がっていると伺っておりますが、残念ながら一部の新聞等の報道によりますと、多数の非正規労働者を長い間アルバイト的に継続して使うということが現実としてあるというのは、我々一生懸命正規社員化する努力をしている側から見ると、残念なことだと感じているところです。

 これは要望ですが、国は雇用の確保という大変大きな役割を担って施策を作られているわけですが、雇用の促進施策に邁進することは大切ですが、今後の策定規準として、働く人にとって生き甲斐があって、働く意欲を持続できるという、人間の働き甲斐の原点に立ち戻るような施策の構築に配慮していただきたいと思っております。今後、労働ダンピングというような言葉が日常化、社会の中で定着しないことを願って、少し発言させていただきました。ありがとうございます。

○高橋委員 資料No.3-12ページのマル11の労働移動支援助成金に関わる記述なのですが、これは個人的な印象なのですが、少し言い訳が多いかなという強い印象があります。目標値を変更した影響をいろいろ分析されているのかもしれませんが、指標を変更したにもかかわらず、(1)で、以前の制度で見るとどうだとか、あるいは、45歳以上の対象者が増えたから数字が減ったのだという分析をしたいということで、(2)で、実際にこの実績値にはない架空の数字ですよね。2014年度のベースに功績を見直してみるとこうだといったような分析が本当に必要なのか。指標を変更した以上は、その変更された指標の下で検証していく。これが、私個人的には好ましいやり方なのではないかと思います。以上、感想だけです。

○阿部分科会長 ありがとうございました。何かありますか。

○雇用政策課長 少しだけ申し上げます。ありがとうございます。高橋委員のおっしゃることはもっともだと思っています。ただ、これについても、これまでどういう形で評価するかというのは試行錯誤でやっていた部分もあり、前年度についても、なかなかメルクマールがなかったような状況があったのも事実です。そういう意味で、少し言い訳がましいような形になってしまっているのは恐縮ですが、今後しっかりここを検証するに当たって、これまでの実績などを踏まえた形で、安定的に評価できるように、本日の御意見も踏まえながら、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。ありがとうございました。

○青木委員 私も、「失業なき労働移動の推進」の所について2点、見解を伺えればと思います。まずは、労働側としては、質の高い雇用への失業なき労働移動でなければならないと考えており、本分科会でも過去より労働側が発言をしてきていることです。40代や50代で転職した方の多くが、転職前よりも収入が下がっているという厚労省の調査結果などもあります。資料No.3-29ページにも記載がありますが、相対的に就職困難な45歳以上の構成比が大幅に増加していることもあり、こういった状況を踏まえると、本助成金が政策目的に沿ってしっかりと機能しているのかどうなのか、そういったところを危惧するところでもあります。本来は、労働移動によって処遇が下がって、また、雇用の質が劣化することにならないような、そういった労働移動に対して助成措置を行うべきではないかと思っているところでもあります。

 厚労省は不支給要件の厳格化を4月から行う方針などとも報道されていますが、評価項目などについても、単に早期に再就職をした者の割合評価ということではなく、やはり、しかるべき指標の設定が必要ではないかと考えますが、御見解がありましたらお願いしたいと思います。

 もう1点、同じページの下段ですが、「2014年の拡充による影響については」という所で、「調査・分析を行い、労働者の安定的な雇用に結びついているかを検証していく」と記載があります。この調査・分析、検証といった旨の記載については、8月の第106回分科会の資料でも同様の記載があったと思いますが、検証がなされるとの期待を込めてということですが、現在の想定では、いつ頃からそういった検証が行われるのか伺いたいと思います。

○阿部分科会長 ありがとうございました。2点ありましたのでお願いいたします。

○労働移動支援室長補佐 御指摘のとおり努めてまいりたいと思います。1点だけ申し上げておきたいのは、45歳以上の割合が増えた件です。これは支給要件を従来の5か月から、9か月以内の就職というふうに広げたことも一因で、これがどのようなことを意味するのかということも含めて、今後、取り組んでまいりたいということです。

 少しお話がありました、昨日の国会の件ですが、労働移動支援助成金につきましては、支給要件の確認の厳格化を図り、適切な支給が行われるよう見直してまいりたいということです。

 あと、安定的な運用ということですので、評価の項目としては、正規雇用への就職率等々、常にチェックをしながら運用していきたいと考えています。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○阿部分科会長 青木委員、よろしいですか。

○青木委員 具体的な検証を期待するところですので、併せてよろしくお願いいたします。

○労働移動支援室長補佐 支援対象者の再就職先での雇用状況などを把握しておりますので、機会を見て取りまとめを考えていきたいと思います。ありがとうございました。

○青木委員 ありがとうございました。

○阿部分科会長 その他いかがでしょうか。この場では御質問、御意見がない場合、もし御意見等の追加がありましたら、31日火曜日までに事務局まで御提出をお願いいたします。なお、当分科会の中間評価については、本日の議論及び、皆様から追加で御提出いただいた御意見も踏まえて、私と事務局で相談して取りまとめたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 それでは、そのようにさせていただきます。

 本日予定されている議題は以上です。もし皆さんの中で何か御発言があれば御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。特になければ、ここで事務局から御挨拶があります。

○職業安定局次長 本来ですと職業安定局長が御挨拶すべきところですが、国会業務のためにかないませんものですから、私、職業安定局次長のほうから代わって一言お礼の御挨拶を申し上げます。

 委員の皆様方には、法律案要綱及び告示案要綱の御了承を頂きました。これにつきまして、まず、ありがとうございます。感謝申し上げます。今回の議題1の法律案要綱の内容につきましては、国が運営するハローワーク体系は維持しつつ、地方の職業紹介の自由度を高め、さらに、国と地方の連携を一層強化するという内容です。この方向性に至ったのは、平成212月と平成224月の2度にわたり、労政審のほうで、「ハローワークは地方移管すべきではない。国と地方自治体が一体となって、その地域における雇用対策を一層強化する必要がある」という内容の意見書をまとめていただいたことが、非常に大きかったと考えております。改めて感謝申し上げる次第です。

 この答申を踏まえ、法律案を作成し、内閣府において取りまとめるということで、本通常国会提出への準備を進めてまいります。法律案が成立しましたら、施行に当たり、省令等の制定が必要となってまいります。今後、適宜お諮りしたいと思っておりますので、引き続き、よろしく御指導のほどをお願い申し上げます。

 また、議題2の告示案要綱につきましては、速やかに告示いたしまして、4月から施行される改正障害者雇用促進法とともに、障害者の方々が働く場合に問題が生じないよう、円滑な施行に努めてまいりたいと思います。以上、簡単ではございますが御礼の御挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。

○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか2人の委員に署名を頂くことになっております。つきましては、労働者代表の松原委員、使用者代表の森下委員にお願いしたいと思います。本日も、どうもありがとうございました。


(了)

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