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2016年3月24日 第3回アレルギー疾患対策推進協議会 議事録

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成28年3月24日(木)14:00〜16:30


○場所

航空会館(5階)501会議室


○議事

○斎藤会長 定刻となりましたので、ただいまから、第3回アレルギー疾患対策推進協議会を開催いたします。委員の皆様方におかれましてはお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は倉本委員から御欠席との連絡をいただいております。現時点で少し遅れている方もおられますが、15名の委員に御参集いただいておりまして、会議の定足数に達していることを御報告申し上げます。今回も、参考人といたしまして国立病院機構福岡病院名誉医院長の西間三馨先生に御出席をいただいております。なお、福島健康局長ですが、公務により途中で退席されるということでございます。続きまして事務局より資料の説明をお願いいたします。

○斉藤補佐 それでは資料の確認をさせていただきます。今回から、委員の皆様の机上には初回以降の資料及び『アレルギー総合ガイドライン2013』を配布させていだいております。こちらはいずれも次回以降も資料として使用しますので、会議終了後は机の上に置いたまま、お持ち帰りになりませんようよろしくお願いいたします。今回の第3回アレルギー疾患対策推進協議会資料としまして、次の資料を御用意しております。議事次第、座席表、アレルギー疾患対策推進協議会委員名簿、そして資料1〜資料8までになります。資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。

○斎藤会長 これより本日の議事に入らさせていただきます。前回212日に開催されました第2回協議会では、第1回の坂元委員の御説明に対する質疑のあと、「アレルギー疾患対策の取組の歴史と今後に期待すること」として西間参考人から、「食物アレルギー」として海老澤委員から、そして「アトピー性皮膚炎について」として加藤委員から、「学校における食物アレルギー対応の現状と課題」として岸平委員から、それぞれ御説明いただきまして、意見交換をさせていただきました。

 本日ですが、前回に引き続きまして、各委員の皆様の御専門分野について御説明いただいたあと、行政の取組について、各省庁の御担当の職員の皆様から御説明いただくことになっております。具体的には、まず山口委員から「気管支喘息について」、岡本委員から「アレルギー性鼻炎・花粉症・アレルギー性結膜炎について」、新田委員から「大気汚染とアレルギー疾患について」、田辺委員からは「居住環境とアレルギーについて」、今井委員から「食品表示について」御説明いただきます。その後、議論討論の時間を少し設けさせていただいて、次に行政の取組として消費者庁、厚生労働省、文部科学省からそれぞれの関連施策について御説明をいただきます。5人の委員からの発表後、行政の取組の発表後、それぞれまとめて質疑応答の時間を取って進めてまいりたいと考えております。今回は発表の方々が多くて十分な討論時間取れないかもしれませんが、次回には今回よりもより多い時間、討論時間を取ってございますので、その旨御了解いただければと思っております。それでは、御協力よろしくお願いいたします。

 最初に、山口先生から「気管支喘息について」説明をお願いいたします。

○山口委員 それでは、気管支喘息に関して現状、課題を御説明させていただきます。お手元の資料1を御覧下さい。スライド2はガイドラインに掲載されている喘息の診断の目安の表です。喘息は臨床診断でして基本的に外来の診療の中で患者さんの症状に加えて可逆性、気道過敏を評価していきます。喘息は普段から気道炎症が存在しますので、長期管理を要します。そして、何かのきっかけで発作をきたして、外来治療で難治性のものは即入院という対応を取ります。

 スライドの3を御覧ください。これは前回の会議にて西間先生からお示しいただいた図でもありますが、呼吸器アレルギー様症状というのは多数の国民が持っていることを示しております。

 下のスライド4を御覧ください。この20年ほど喘息死は順調に減少しております。そして約20年前と比べて4分の1にまで減っております。吸入ステロイドをはじめとする治療の普及、それから治療の均てん化が確実に効果を示しているものと考えられます。ただ、65歳以上の高齢者が、現在この喘息死の約9割を占めているという問題が残っております。

 スライドの5を御覧ください。これもガイドラインに載っている表であり、ピークフローメーター、喘息日記の見本が示されております。こういったものを用いた治療の普及とともに、患者さんを取り巻くかかりつけ医、専門の医療機関、薬剤師の連携が確実に進んできていることが喘息死の減少に効果を示していると考えております。しかし、全世代にわたっていた喘息死が、今や高齢者に集中して残っているという状況があります。したがって、高齢者喘息への対策が今後喘息死を減らすためのキーポイントになると考えられるわけです。

 下のスライド6を御覧ください。20年以上前と比べると、各都道府県の喘息死亡率とは減少しています。ただ、自治体によって死亡率の差がございます。一般に都市部で低いという傾向があります。例えば、九州の中を御覧いただきますと、福岡県は喘息の治療管理への取組が濃厚に行われていることを反映して、周辺地域より低い傾向があると考えられます。

 次の図を御覧ください。喘息患者の死亡には気道感染、過労、ストレスが三大要因と報告されております。そして発作の起こった場所は自宅が圧倒的に多く、死亡前の喘息は重症とは限らないということが、以前から知られています。ただ、先ほど申しましたように喘息死は急速に減少してきています。私どもも含め、喘息死は専門医療機関ではもうほとんど見掛けなくなっております。日本アレルギー学会の演題についても、以前のものを調べましたが、近年はもう自験例はほとんど報告がないという状況です。すなわち、死亡に至るまでの経過は専門医師が把握できないところで起きていると考えるのが妥当と言えます。

 個人情報の開示の壁があるのですが、今後の喘息死を減らすためには治療の均てん化がまだ行き届いていないところがあるはずなので、地域の中核となる、例えば拠点病院などに死亡者の情報が開示され集約されて、地域の対策に直結させることが必要であり、それこそが喘息死を減少させると考えられます。

8番のスライドに関しては、喘息ガイドラインの最新版において、この新しい図が付け加わりました。この図の骨子は、コントロールが良好でないときには診断、吸入手技やアドヒアランス、併存症などにまず目を向けさせて、医師がきめ細かい判断をすべきであることを示しています。それだけでなく、治療のステップアップを行っても改善がなければ専門医に紹介するという、連携が前提になっています。

 次のスライド9を御覧ください。成人において喘息の約15%は職業性要因が関与して起こってくると、国内外で言われています。職業、環境はアレルギー疾患を診療していく上で見逃せない要因であるというのは疑いようもないことです。しかし、日常の診療の中で職業に配慮して、抗原検索や回避指導まで行うというのは必ずしもすべての患者に行っていることではありませんで、医師の間にも温度差があるというのが実際です。ただ、長年職業に就いていてばく露され続けると、喘息の増悪や気道のリモデニングにもつながりますし、喘息死の観点からも見逃せません。産業医においては職場環境の調整に関わる役目を持っていますので、産業医の位置付けはかなり重要で、実際に機能した場合の効果は大きいと期待されるところです。

 スライド10を御覧ください。これは故 秋山先生によるインターネット調査で、このような喘息の実態があるということをまざまざと示したデータです。実に86%の患者さんが、喘息症状が日常何らかのきっかけで誘発されると答えています。実際に治療を受けている患者さんにおいて、このような回答が得られたということは、衝撃的なことです。事実がこういうことであることを我々は受け入れて、今後も治療戦略をきちんと構築していくべきことを示す重要なデータであると考えます。

 スライド11を御覧ください。前のスライドを補足するデータと言えます。足立先生によるAWARE studyと呼ばれているものですが、インターネットを用いて患者さんの意識調査と日記調査を行い、その食い違いが非常に大きいということを示しております。この真ん中の図を見ていただいても、自己申告では少数の重症持続型、3分の1程度の中等症持続型という結果と比べて、日誌内容のガイドラインによる分類では重症持続型はもっとずっと多いですし、6割以上の方々が中等症、重症に入っているということになります。結局、患者さんの自己申告では重症度を甘く見ていて、23割から半数近くに申告には現れない症状が起きていることを示しています。患者さんへの指導のきめ細やかさが重要であり、ピークフローメーター及び日記などのツールがとても重要であることも示しています。

 スライド12を御覧ください。高齢者の喘息治療に関する最近のアレルギー学会の一般演題から代表的なものを挙げております。まず、上の「高齢者喘息管理実態調査」は当時和歌山県立医大におられた松永先生からの報告ですが、老人施設に入所する喘息患者の実に32%、在宅医療を受療している患者さんの24%に対して、持続的な症状があるにもかかわらず定期的な喘息治療が行われていなかったということを示しております。老人施設、在宅医療に関して、喘息の長期管理の考え方が行き渡っていない、近てん化が行われていないということを示しております。

 下のほうの演題は、大分大学からの報告です。国民健康保険のレセプトデータから調べているものでして、大分市・別府市以外の地域の医療機関では吸入ステロイドの処方率は有意に低いということ。そして吸入ステロイドを処方されている群では、処方されていない群と比較して1人当たりの総医療費及び酸素吸入率が有意に低いということを示しています。これは地域差、専門医の分布との関連性を示唆しているものです。

 最後のスライド13を御覧ください。喘息治療は着実に進歩し、近てん化が進んでいますが、まだ対症療法という限界もございます。予防に関しては、例えばスキンケアでアトピー性皮膚炎の減少、あるいは感作予防というようなことが示されていますが、今後それが喘息発症を更に予防する可能性に期待が持てます。そのほか、アレルギー疾患の自然史を変える根本的治療であるアレルゲン免疫療法に関しても拡充されて、国内に普及していくことも重要であると考えています。生命に直結するハチアナフィラキシーに関しても免疫療法の対策に含めることで、死亡を減らすことが期待されるところです。

 患者さんと接する職種、看護師、薬剤師などの参画も重要であり、医師だけでは、吸入指導を含む様々な業務をこなしきれません。コメディカルの指導というのは全国規模で組み立てられ、そして実際には拠点病院を中心とした指導として実施されることが、治療の充実に貢献すると期待されます。そして先ほど職場に関しては産業医のことを申しましたが、高齢者についても介護者、介助者、老健などでの啓発指導が早急に必要で、しかも効果を上げるためには指導を繰り返す必要があると考えます。

 研究面に関して、疫学研究は極めて重要であり、喘息患者は国民の中に多数いますので、その実態を明らかにするものがまず重要です。そして予防、QOLなどの様々な指標において効果を得るための介入研究の重要性は高いと考えます。病態解明、新薬を開発する研究ももちろん重要ですが、疫学や介入研究についてはそれとは別途の予算が望ましいと感じます。新薬は今後次々と出てくることが期待されますが、生物製剤の使い分けの考え方は定まっておりません。費用対効果の研究やその他今後様々な研究の蓄積がなされるべきであると考えます。

 最後の項目、アレルギー疾患診療を担い、ガイドライン改訂を担当する医師の育成ということも極めて重要です。私どもは内科、呼吸器の分野になりますが、最近肺がんの予後が飛躍的に改善し、外来あるいは病棟に多数の患者さんが蓄積してきており、慢性疾患の様相です。その中で、喘息は患者さんが多いにもかかわらず、呼吸器診療に占める比率は低下してきています。このことが、食物等のアレルギーの診療を受け入れることが難しくなっている、一つの要因と考えられます。喘息などアレルギー疾患を診療する際に、発作で入院診療を担当するのはもちろん重要ですけれども、外来においては診療の内容がかなり異なりますので、入院、外来両方の診療内容を医師が身につけなければなりません。それから呼吸器以外の症状を有するアレルギー疾患に対応するためには、内科では理想的にはアレルギー科が望ましいものの、現状ではアレルギー科を置く施設は少なく、アレルギー専門医の比率が比較的高い呼吸器科に受診することが多いと考えられます。アレルギーだけ診療する医師を置くことは、病院にとっては難しいのが現状であり、がんなどいろいろな呼吸器疾患を診ている医者が、喘息などのアレルギー疾患にも対応するのが現実的です。そして、患者が入院される際には外来担当医とは別の医師が通常受け持つことになりますので、結局のところ呼吸器科においては、多くの医師が喘息アレルギー診療が可能であることが望ましく、しかも喘息発作に速やかに対応する必要上、拠点病院に限定せず、幾つかの専門病院においてもそのような体制が望ましいと考えます。また、全国的な患者さんの登録が重要であり、長期的な疫学調査を行うためにも、拠点病院を中心とする専門医療施設のネットワーク構築というのは早急に必要と考えています。以上です。

○斎藤会長 山口先生、どうもありがとうございました。ほかのアレルギー疾患に比べますと、喘息のガイドラインで、大分浸透しているほうだと思っておりましたが、まだまだ不十分であるということがよく理解できたと思います。

 続きまして、岡本委員から「アレルギー性鼻炎・花粉症・アレルギー性結膜炎について」、説明をお願いいたします。

○岡本委員 よろしくお願いいたします。千葉大学耳鼻咽喉科の岡本でございます。資料2を御覧ください。アレルギー性鼻炎・花粉症・アレルギー性結膜炎の現状と問題点、診療・治療の課題ということでお話をさせていただきます。時間も10分ということですので、コンパクトにお話をさせていただければと思います。

 スライド2です。アレルギー性鼻炎は高率にアレルギー性結膜炎を合併いたします。アレルギー性鼻炎は欧米諸国も含めて、罹患患者数が第一の疾患とされてます。国内では全体として赤ちゃんから老人まで含めて約40%くらいの人が罹患しているのではないかと言われていますが、ただ正確な調査は行われていません。その背景には、やはり診断が必ずしも 容易でないことがあります。 特にアレルギー検査 や局所所見の確認の重要性、ということもあって、正確な診断が容易ではないということもあります。大きく分けますと、ダニを主な原因とするような、この通年性アレルギー性鼻炎と、それに対応して、特定の季節に認められる季節性アレルギー性鼻炎に大別されます。季節性のものはほとんどが花粉によるものなので、花粉症とも言われています。通年性のは発症は学童に多い。花粉症はむしろ若い成人に多いとされてきています。ただ、花粉症の増加が目立っていますが、小児での増加も大きな課題になっています。

 次のスライド3ですが、小学生特に西日本の約3万人前後の小学生を対象疫学調査が1992年から、アンケート行われています。この結果を見ますと、1992年、2002年、2012年と、小学生の1年生から6年生まで、いずれの学年でもこの有病率の増加が認められています。一方で、この調査でアトピー性皮膚炎あるいは喘息では患者数が頭打ちになっていると言われていますが、依然鼻炎の増加目立っています。

 次のスライド4ですが、成人ではなかなかこのような疫学調査が簡単ではありません。スライドに示したのは、非常に限られた705名、千葉の農村部での調査ですが、この中で毎年問診血液検査を行った、同じ705名の住民の10年間の経過を見たものです。スギ花粉症について見ますと、男性、女性も2005年といったような大量の花粉が飛散した年には、たとえ50代であろうが、60代であろうがスギ花粉症の有病率が増えていることがわかります。

 次のスライド3、このようなアレルギー性鼻炎の長期経過についても十分な検討は大規模な調査は行われていません。限られた数ではありますが、千葉大学の耳鼻科での最低でも10年、平均16年の長期経過を経て再受診をしていただいた患者さんについて検討したものでは、必要に応じて薬物療法を受けてきたような患者さんでは、成人、小児も改善がないあるいは、増悪という人が多くて、特に小児では改善率が20%程度しか示していないといったような結果であります。

 また、患者さんの重症度についてはスライド6を見ていただきますと、これは約8600名のインターネットを利用したアンケート調査の結果です。スギ花粉症の患者さんでは重症・最重症例というのが7割近くを占めていて、やはり重症例が非常に多いことを示しています。

 次のスライド7ではアレルギー性鼻炎、花粉症も単に鼻の症状以外だけではなくて、目のかゆみ等、様々な症状合併する割合が多い。スライド8では、特に睡眠に対する影響非常に強いことを示しています。

 スライド9には、労働生産性あるいは経済損失に及ぼす影響について、これは米国での検討を示しています。 27の会社8200の従業員を対象とした調査で、生産性を低下させる疾患のランキング1位として、このアレルギー性鼻炎が挙げられています。この背景には患者の数が多い家族での罹患が多いといったことも考慮されています。国内での調査については、スライド10に出ています。これは平均収入を月30万ぐらいと想定しての患者さん1人当たりの経済的損失として、約20万円ぐらい年に損失があるのではないかといった報告です。

 次のスライド11ですが、アレルギー性鼻炎は他の喘息、あるいはアトピー性皮膚炎、このようなアレルギー疾患との発症あるいは合併、治療に対する効果が非常に密な関係があることが指摘され、密接につながった部位として、特に喘息との関連は従来から指摘されてます。

 スライド12について見ますと、これは小児科のアレルギー外来に受診している、左のほうは喘息のない食物アレルギー、あるいはアトピー性皮膚炎の患者さんです。これらの患者さん耳鼻科でも診察、検討してみますと、約40%以上で、既にアレルギー性鼻炎の合併がある。あるいはスライドの右は、気管支喘息の患者さんですが、気管支喘息の患者さんも既に70%ぐらいのアレルギー性鼻炎の合併が認められます。注目すべきは、この方たちの御両親、半分以上の方が鼻炎の合併に気がついていなかったということです。

 スライド1213はこれらの方を長期間、最低2年、平均して3.5年経過を追った結果です。この中で、喘息を発症しお子さん 12例見られましたが、そのうちの80%は鼻炎が明らかに先行して、その後に喘息を発症しており、鼻炎というのが喘息の発症の危険因子として非常に高いことがわかります。

 スライド14ですが、スギの花粉症について見ますと、日本固有の特有の疾患ですが、スギの花粉は粒子が大きいということもあり直接には、下気道に入らない、従ってスギ花粉による喘息というのは非常に希とされています。しかし、実際にはスギの花粉症の時期に、スギの花粉を原因としない喘息の患者さんの重症度は非常に増悪するといった多くの報告があります。

 スライド15は、特殊な花粉飛散室というところでの検討結果ですが、スギの花粉症の患者さんにスギ花粉のばく露を行うと、血中の好酸球が花粉を浴びることで増加してしまう。単なる鼻に影響を及ぼすだけではなくて、血液の好酸球が上がってくるということは、全身の臓器に影響する可能性が示されます。また、スライド16は、明らかな喘息あるいはその他の下気道の症状がないスギの花粉症患者さんに、やはりスギの花粉のばく露を行ってみますと、呼気中のNOが高い患者さん、すなわち下気道での炎症が既に認められているような患者さんでは、症状がなくても花粉ばく露によって呼気中のNOが著明に増加し、さらには一秒率の低下といったものも認められ、下気道に対する影響も示唆されています。

 スライド17は、このようなアレルギー性鼻炎の治療についてです。原因となる抗原、アレルゲンの回避、最も広く行われている薬物療法、それから免疫療法、どうしても保存的な治療で改善しない方には手術療法が行われています。特に、このアレルゲンの回避として花粉飛散情報というのは非常に重要とされています。国内ではダーラム法と言いまして、このようにワセリンを塗ったスライドガラスを置いて、翌日回収して、この中の花粉の数を顕微鏡で数え方法が行われています。こういう方法に基づいて、これまでは花粉の飛散情報、花粉飛散予測あるいは花粉飛散開始予測といったものが行われていました。また、リアルタイムで測定を行うことが大きなメリットとされ自動花粉測定器を用いて、花粉飛散情報が出されていますが、これらの精度とか、これらの結果についての検証というのは十分ではありませんし、どこまで患者視点での情報かといったことについては改善する大きな余地が残されていると考えられています。

 スライド19は、アレルギー性鼻炎の治療に対する実態調査ということで、報告されています。バイアスを防ぐために医療機関での調査ではなくて、健診、学校・職場検診を中心に行った調査ですが、スライド20を見ますと、治療を行っていないという患者さんが通年性でも40%を超えていますし、スギの花粉症患者さんでも16%ぐらい存在するというような結果でした。未治療者が比較的多いという結果です。

 スライド21、最も広く行われている薬物療法ですが、課題も少なくありません。OTCについては海外では使用禁止薬になっているような、例えば第一世代のクロルフェニラミンというのがまだ広く国内では使われています。特に、小児用のOTC製剤でもこのような薬は依然として使われています。また、医薬品についても海外では使われないような薬剤記載がされていますが、この科学的評価というのについては今後もっと詳しく検討していく必要があるのではないかと考えられます。

 次のスライド22は、アレルゲン免疫療法です。最近この中で舌下免疫療法が安全性が高く、かつ、アレルギー性花粉症の自然経過を改善させる方法として注目されて、市販されました。ただ、効果がどの程度持続するのか、あるいは寛解率がどうかといったようなことは、今後の大きな課題として残されています。

 次のスライド23の、慢性副鼻腔炎も罹患率が多い上気道疾患ですが、特に最近、このスライドに示しますように、鼻内にポリープが充満して著明な好酸球が浸潤するような、以前に非常に少なかった慢性副鼻腔炎が増加しています。スライド24はいわゆる好酸球性副鼻腔炎というものですが、この特徴は喘息、特に重症喘息の合併が高いといったことも問題になっており、この病態の解明、有効な治療法の開発が求められているのが現状です。

 最後のスライドに、アレルギー性鼻炎の今後の課題としてまとめました。早期診断、特に児童とか高齢者で見落とし、未診断が非常に多いといったようなこと患者の層別化として、重症例をピックアップしていく必要性、花粉飛散開始情報の改善、それから症状の継続的な管理、合併症の評価とか、幾つか記載されています。特に、この中で9番目、患者のエンパワーメントと記載してありますが、要は患者の視点、患者の参加でこのような今後の治療が非常に重要だということが、特に海外では既に以前から指摘されていて、このような対策として大規模な形態ネットワークを用いたシステムの構築がヨーロッパでは15か国で開始され、さらにグローバル的な対応がなされています。国内でも独自の対応というのも是非求められるのではないかと考えます。以上です。

○斎藤会長 岡本先生、どうもありがとうございました。コンパクトにまとめてくださったので、少し時間早く進んでおります。余談かもしれませんが、クロルフェニラミン(日本でよく使用されている第一世代抗ヒスタミン薬)ですが、最近海外の空港で見たところ、睡眠薬として販売されていまして、それを飲んで時差ぼけを私解消しました。

 アレルゲン免疫療法なのですが、アレルギー学会でも唯一の根治療法として期待しておりまして、将来的な医療経済的なメリット、これも大きいと考えているのですけれど、まだまだ普及というのはそれほどの患者さんが行っているわけではないですね。

○岡本委員 ええ、そうです、まだ少ないです。

○斎藤会長 ありがとうございました。続いて、新田委員から「大気汚染とアレルギー疾患について」御説明をお願いいたします。

○新田委員 大気汚染とアレルギー疾患ということで、資料3に基づいて説明いたします。2枚目のスライドに、大気汚染の関与について、アレルギー疾患の中で重要な気管支ぜん息の関与のパスウェイですが、非常に概略的に書きましたので、このほかのパスウェイなど、本来の違うようなところがあるかと思いますが、その点は御容赦ください。

 まず、気管支ぜん息の増悪因子としての大気汚染物質の関与は、明確であろうと思います。ガイドラインにも危険因子として、増悪の因子として書かれているかと思います。ただ、発症に関わるかについては議論のあるところで、私どもも研究を進めておりますし、諸外国でも様々な研究はありますが、結論は出ていないと理解しております。ただ、炎症を起こすということについては、実験的には疫学的にもかなり明確であろうと思っております。

 続いて3枚目です。今日は環境省の取組も含めて御紹介させていただきますが、アレルギー疾患は環境疫学の中で最も重要な疾患の1つです。大気環境基準の設定、つまりどのような環境基準を設定すべきかという議論をする場合の健康影響を様々に検討いたしますが、アレルギー疾患、特に気管支ぜん息の発症に関わるか増悪に関わるかというのは重要な観点になります。その観点で環境省も盛んに研究しておりますし、我々もその研究の一端を担っているということです。

 そのあと、大気汚染の現状の経緯をお示ししております。昭和45年辺りからの経緯ですが、幾つかの環境汚染物質について、いわゆる公害問題が非常に社会的に取り上げられた時代、昭和の前半に比べると徐々に、最初の4枚目は窒素酸化物、次の5枚目は浮遊粒子状物質、6枚目はPM2.5です。PM2.52009年に環境基準ができたということで、多くはありませんので、古くからある測定例で、ここでは東京都の経過の推移をお示ししておりますが、簡単に申しますと、この10年で粒子状物質につきましては約半分ぐらいになっていると考えられます。

 続いて、ただ7枚目のスライドは光化学オキシダントをお示ししておりますが、光化学オキシダントについては低下傾向は見られません。見方によっては、徐々に増加しているというような傾向が見て取れます。オキシダントは名前のとおり酸化性の強いガスですので、明らかに炎症を起こすということは明白です。ですから、アレルギー疾患との関係という意味では、光化学オキシダントはほとんどがオゾンですが、非常に重要な物質と認識しております。

 続いて、環境省における取組です。幾つかあります。まず、9ページ目に公害健康被害補償制度ということで、この公害問題の補償をするということで大気系の疾患、疾病については、スライドの9にお示ししているように、慢性気管支炎、気管支ぜん息、ぜん息性気管支炎及び肺気しゅ並びにこれらの続発症というのがありまして、これは法律に定義された言葉です。この4疾病とその続発症と定義されていて、昭和49年にこういう法律が成立して、一定の要件を満たす患者さんに補償するということで、これを排出源者が費用を負担するというようなことで進んだわけですが、そこに二酸化硫黄濃度をお示ししているように、非常に対策が進んで低下したということで、昭和63年に指定地域の解除が行われました。これは一定要件の中に、ある指定された居住地に住んでいるという要件がございました。その指定地域を解除する、実質上、大気に関わる公害患者の認定を国としては新規に行わないことにしたということです。一方で、既に認定された患者さんがいらっしゃるということで、その時点で公害健康被害予防事業というものが新たに始まったということです。

 この予防事業については、第1回の本会議で坂元委員から御紹介が既にありましたので、簡単に説明させていただきますが、10枚目に示すように、この制度の経緯から申しまして、特定の地域、旧来大気汚染の公害がひどかった地域に限定されている事業だということです。実際には環境再生保全機構という独立行政法人が実施しておりますが、そういう地域における補助事業を含め、様々な直轄事業を行っております。そのパンフレットを11ページにお示ししております。様々な取組をしています。昭和63年以来30年近くの歴史があるということで、本協議会の目的にかなり近い内容を、こういう公害の健康被害補償、予防事業という文脈ですが、既に進めてきたということです。

 それから、その指定解除の際に、一方で指定は解除したものの環境要因での影響をモニターしていく必要があるということで、環境保健サーベイランス調査というのが開始されました。これは現状では、全国の約3040の地域で、全体で78万人の3歳児を対象にして平成8年から始まりましたが、平成16年からは6歳児も追加して、併せて3歳児、6歳児、それぞれ数万人の規模で実施しているところです。

 その結果の1つ、その推移をお示ししているのが13ページのスライドです。男児、女児に分けておりますが、これはいわゆる地域集団での調査ということですので、最近のぜん息が低下しているというような傾向が、これからもかなり大規模なそういう地域ベースの調査で見て取れるのではないか。このほかにも様々な項目で、呼吸器症状に関しての調査を環境省は毎年こういう規模で実施しておりますので、基礎的なデータはこれで十分とは言えないまでも、非常に全国レベルの重要な基礎となる調査データかと思っております。目的は、そもそも環境因子の関与ということでのサーベイでありますが、こういうアレルギー疾患対策ということでも重要かと思います。

 それから、もう1つ公害健康被害補償法の指定解除に伴って始まったのが、14ページのもので、我々は「そらプロジェクト」と呼んでいる主要幹線道路の沿道における調査です。これは指定は解除するものの、道路の沿道では局地的な被害があるのではないかという指摘もありまして、調査をしたものです。3つの調査がありますが、結果としては小学生を対象にした約1万人規模の調査で、ぜん息発症と自動車の排ガスの関係が見られたという報告をしております。その調査では、約9,000人につきまして、血清中の特定抗体の測定も実施しました。これは健常児として、地域集団として調査したということです。

 もう116ページで重要なのは、最近のPM2.5の関心の高まりということではないのですが、環境基準の設定と基礎となる科学知見の収集ということで、調査を行っております。

 もう1つ環境省としては、環境研究総合推進費という中でも、同様にアレルギー疾患に対しての研究を行っているということです。

18ページ以降は、現在進行中の子供の健康と環境に関する全国調査、エコチル調査の御紹介です。この調査は、全国10万組の親子を対象にした、いわゆるバースコホートです。バースコホートと言いましても子供起点ではなくて、妊婦さんからスタートしています。19ページに対象分野を書いておりますが、免疫アレルギーは非常に重要な分野ということで、20ページにエコチルでのアレルギー関係の調査項目をお示ししておりますが、全体調査ではISAACの質問表をベースにした質問表調査、妊娠期のIgE関係の測定、5,000人規模の詳細調査では、今は2歳時点ですが、特異的抗体等、IgGも含めたものを測定しておりますし、環境要因、子供の居住環境でのハウスダスト等、それから大気汚染物質等の測定を行っております。21ページに環境省の取組としては、花粉情報サイトで、花粉症環境保健マニュアルというものも環境省は作っております。 まとめを2枚書いておりますが、申し上げましたように大気汚染物質とアレルギーとの関係(新規発症)については必ずしも関連性は明確ではないということですが、増悪因子としては非常に重要だということです。

 最後のスライドで、公害健康被害予防事業については、非常にアレルギー疾患対策の事業展開に参考になる点が多々あると思いますが、制度の成り立ちを考えますと、この予防事業そのものを拡充するということは難しいかなと私自身は思っております。それから、エコチル調査をはじめとして、環境省関係の調査は、小さい健康リスクでも的確に評価できるということが環境行政に求められているということで、かなり大規模な疫学研究とか、全国規模での調査というようなことで、アレルギー疾患に関する基礎データとしては有用なものが多くあると思っております。以上です。

○斎藤会長 新田先生、ありがとうございました。私もエコチルに関しては成育医療研究センターのメディカルサポートセンター長として参加させていただいております。

 続いて、田辺委員から、居住環境とアレルギーについて説明をお願いいたします。

○田辺委員 早稲田大学の田辺でございます。私自身がスギ花粉症で、少し薬を飲んでいるので集中力を欠いているかもしれませんが、御説明させていただきます。

2枚目のパワーポイントです。成人の1日の呼吸量を算出しています.非常に大雑把な計算なのですが、大体私どもは1日に15,000Lぐらいの空気を吸っています。実は空気は非常に重たくて、1m×1m×1m1立米の空気は約1.2キログラムの重さがあります。ですから、吸って吐くので差し引きは小さいですが、吸う量は大体1日に20キログラムぐらいの空気を体の中に入れているということです。

3ページを御覧ください。建築学会の研究班で作った図です.現代人は大体90%ぐらい、こういう会議室、住宅、地下鉄の中など、室内で過ごしています。ですから、室内で吸う空気は結構な割合があるのです.住宅で吸う空気は57%ぐらい、このような会議室などでは12%ぐらいで、いつもこの図を説明するときは、飲み物、食べ物以上に物質摂取をしていますので、空気についても気を付けてくださいと申し上げています。室内空気に関しては気を付けることが大切だと御説明をしています。

4ページに、いわゆる居住環境におけるアレルギーの主なものとして、カビ(真菌)、化学物質、ダニ、ペットなど、こういったものがあります。これは住宅の仕様だけによって決まるだけではなくて、ライフスタイルによる影響が非常に大きいです。例えば現代の住宅は省エネルギー等のため、かなり気密性がよく建てられています.そこで昔ながらの住宅がすかすかのときに用いた、例えば開放式ストーブと言いまして、そのまま火が出るようなストーブを使うと、水がたくさん出ます。それによって結露をしますので、結果としてカビやダニが増えるということになる.ライフスタイルによる影響が非常に大きいということです。

5ページに、特にダンプネスと言われているのですが、住宅の中がじめじめしていると、カビやダニが発生しやすくて、特にアレルギーに関しての影響が大きいのではないかということで、ヨーロッパでかなり組織的に調査が行われています.WHOヨーロッパが2009年に、居住者の健康にカビによる居住者のアレルギーにダンプネス、すなわち「ジメジメ」が関係していることを指摘しています。また、大きな疫学調査でハーバード大学のグループが、住宅の中のダンプネスを調べたところ、カビが子供のぜん息等に関係があるという結果を示している。日本でも、岸先生、吉野先生らが、住宅の「ジメジメ」が健康に影響を与えることを指摘されています。これは建物が持っている仕様だけではなくて、居住者がどういうライフスタイルで生活するかということも非常に重要であります.例えばお風呂なども、使った後にちゃんとドアを閉めてもらって、換気扇をしていただいて、脱衣室側に湿気が出ないようにするというのが本来の使い方なのですが、そのようにしていらっしゃらない方も、実は非常に多いということです。

 カビに関する国際的な研究レビューが、2015年に『Indoor Air』という国際ジャーナルで行われました.どうやって生活をするかということにも踏み込んでいます。日本には加湿神話があるのですが、加湿をすればいいということなのですが、実は北欧、米国では、加湿のしすぎよりも室内をドライにして生活したほうがカビやダニは少なくなるので、そういったほうが望ましいというようなことが出ております。

 次に7ページです。建築分野では、化学物質によるシックハウス症候群というのがよく知られています.これに関しては2003年に建築基準法が改正されたのですが、シックハウスの定義そのものは厚労省の研究班でも「アレルギーなど、病因や病態が医学的に解明されているものを除く」とされているので、アレルギーとシックハウスは基本的には集合としては交じわらないという定義です.シックハウスとアレルギーは別物なのですが、シックハウスの化学物質はアレルギー症状を悪化させるという指摘があります.必ずしも同一ではない、未解明による部分も多いということです。

8ページが、国交省が2003年に建築基準法を改正されて以降行われている対策です。厚労省の指針値物質は現在13物質ありますが、この中でも特にホルムアルデヒドに関しては建材使用面積が制限されています。建築するときに☆の建材のマークがありまして、等級によって基準値面積上を超えると、建築ができないとなっています。大きなものとしては、実は2003年から機械換気システムというものが住宅には設置義務化されています。24時間、マンションや住宅を換気する、止めてはいけないということになっています.これを常に正しく使っていていただければ、室内のカビやダニ、あるいは結露も少なくなると予測されます。

 最後の9ページ目ですが、特に化学物質に関しては、フタル酸エステル類、これはプラスチックの可塑剤に使われている化学物質なのですが、この中でも特にDEHPと言われる物質が、ぜん息に影響があるのではないかということで注目されています.まずスウェーデンで疫学調査等が行われて、オッズ比が高いと結果が発表されました。同じ調査がブルガリア、中国等でも行われているのですが、これらの物質に関しては心配がされています。ぜん息等に関する影響が大きいのではないかということです。

 先ほど御説明しましたが、住宅そのものがアレルギーを起こすわけではないのですが、その中で多くの時間を過ごしていますから、生活スタイルなどを改善することによって、現代住宅に対応した住み方をすることによって、アレルギー症状が改善されるものもあるのではないかと考えています。以上です。

○斎藤会長 田辺委員、どうもありがとうございました。

 予定より少し早く進行していますが、前半部で質疑応答時間をなるべく多く取ったほうがよいと思われますので、続いて前半部の最後の今井委員から、食品表示について御説明をお願いいたします。

○今井委員 昭和大学小児科の今井と申します。私は食品表示に関して御説明させていただきます。

 まず導入の話から入っていきます。食物アレルギーの患者さん方は、食べてはいけないものを食べてしまえば、場合によっては命を落としてしまうかもしれないといった原因食物を13回、場合によっては生きていくためにそれ以上を食べることが課せられているわけです。食生活は日々命掛けの生活をしているようなものと言えます。皆さんも、今日、昼食を召し上がっていらっしゃったかもしれませんが、皆さんは食事を選ぶときに食べたいものを選ぶことができるかもしれませんが、食物アレルギーの患者さんは食べたいものではなくて、食べられるものを探さなければいけない状況があります。そこで食品表示に関しましては、非常にそういった患者さん方に利益をもたらす法律であったり規則であったりするわけです。

 例えばそこに書いたように、スライドの2番ですが、「メニューにある、この料理にはアレルゲンが入っていますか?」とお店の方に聞いたとして、様々な店舗が様々なお答えをしてくると思います。どれも心許ない、Cだと大丈夫かなと思われるかもしれませんが、現行では決まった規則はありませんので、店舗Cの出てきた料理の中に必ず原因食物が入っていないということではなかったりもします。ですので、こういったストレスフルな生活を送っている患者さん方の食品表示を、より患者さん寄りのものに作っていかなければいけない状況が現状にはあります。

 スライド3を御覧ください。こちらは食物アレルギーの患者さんの保護者に日常生活上で困ることに関して伺っております。0歳児はまだ離乳食が中心ですので、外食・購入に関しては上位に上がってきませんが、1歳児以上になると外食購入に関する悩みが一番高くなってきます。また、食物アレルギー児の食生活の制約ですが、赤が食物アレルギー児で、日々原材料に注意している。外食が不自由であるということに関しては、言うまでもなく非食物アレルギー児に比べて制約が強いことが分かっております。

 スライド5で、ここからは表示の話です。皆さんも食品表示を見たときに、このような表示を見たことがあると思います。特定の原材料に関しましては、下線とかゴシック体にはなっていませんが、このように表示が課せられている状況が原材料及び添加物に関してあります。後ほど、消費者庁から詳細は説明されると思いますが、私の話を進める上で、基本的なところは説明させていただきます。

 スライド6です。表示の対象範囲ですが、全ての食品に関して表示が義務化されているわけではありません。特定原材料及び特定原材料等と言われるもの、3番目の質問に書いてある27品目なのですが、これに関して表示の義務及び推奨が、容器包装された食品に関して課せられています。

 表示の対象の例外はありますが、裏を返せばどのレベルで表示をしなければいけないのかということです。食品中に含まれる、今申し上げました27品目の特定原材料等がきμg/mlppmレベルと表現されますが、このように表記されてもイメージが湧かないと思いますので、いつも東京ドームの容積の中に1m3の賽子を入れたら表示しなければいけないと言っておりますが、それほどかなり薄い濃度でも表示をすることが課せられています。これは我が国の食品表示の厳密さという意味では、誇れるレベルであると思います。先ほど申し上げましたように、全ての食材に関して表示が課せられているわけではありませんで、後ほど申し上げますが、定期的に疫学調査を行っており、それらの調査の結果を参考にしまして、現状で7品目(卵、乳、小麦、落花生、エビ、そば、カニ)ppmレベルで入っていた場合には、必ず表示しなければいけないというルールです。続いて20品目に関しては、任意表示でありますが、推奨されているような状況があります。

 スライドの7番目です。我が国の表示の特徴は、今申し上げたところも入っておりますが、世界に先駆けて実施されているとか、表示品目が多い、可能性表示を認めない、特定原材料に関しては検知システムが構築されているとか、あとは疫学調査を定期的に行っており、その実効性が担保されているなどが評価されるところだと思います。

 その中で次のスライドです。先ほどの27品目で十分なのでしょうかと、患者様方からも、私の抗原が27品目に入っていないから入れてくださいということをよく聞きますが、それで十分なのか。この辺りを定期的にやっている疫学調査で検証しております。表に示されているものは、最も最近の調査結果でありますが、特定原材料の7品目においては、全症例の約80%、27品目では88%をカバーしておりますし、ショック症例を抽出すると、7品目で義務表示で83%、27品目で95%をカバーしているので、おおよその我が国の食物アレルギーの原因食物は27品目で、現状はカバーできているという状況はあると思います。ただ、時代の変化に伴って、こういった食品に関しても変化をしてきていますので、定期的な疫学調査は必須であると考えます。

 では、このようなアレルギー表示においても課題はあるわけでありますが、その課題に関して9番目のスライドでお示ししていきます。

 表示ミスの問題があります。これも先ほどの疫学調査の結果からですが、年齢別に見た疫学調査で、即時型の食物アレルギーを呈した患者様方の理由ですが、初発の患者様方は避けられるものではありませんが、誤食、特に表示ミスにおける誤食は避けられる可能性があります。各世代に多少ありますが、このように表示ミスにおける誤食事故は発生してきております。表示ミスがなぜ起こるのか、推測ではありますが、1つは守らなければいけない業者が、コンプライアンスの問題もあるかもしれません。必ずしも大規模な会社であるから安心というわけでもありませんし、スライド10にお示ししている最近の表示ミスの例ですが、必ずしも中小企業にそういった表示ミスが集まっているわけではありません。

 あと、監視側の問題もあるのかもしれません。表示法が近年変わりましたが、この辺りの説明も後ほどあると思いますが、それに伴い、消費者庁も定期的に一斉の取締りを行っておりますが、お示ししている表は平成27年の夏季の一斉取締り、443,386施設中において、11例のアレルゲンの表示ミス問題が指摘されているところです。

 こういったところを継続していっていただくことも大事だとは思いますが、次のスライド11です。私が神奈川県で調査させていただいた食品衛生監視員、表示に関して現場で管理される方々205名のアンケート調査です。アレルギー表示の目的や品目、特定原材料と特定原材料等の区別、注意点、食物アレルギーそのものに対して非常によく理解している、よく理解しているという割合は、決して多いわけではありません。

 また、衛生監視員の方々の業者に対する問題点として、右の円グラフであるとか、食品業者の理解度というのを上の棒グラフに示しておりますが、こちらも高くありませんので、監視側及び守らなければいけない業者側に課せられた課題というのも、まだまだ少なくないということだと思います。

 続いて、課題の2番目としては、表示の方法の問題もまだまだあります。一括表示、含量等を説明させていただきます。表示法が変わったときに、一括表示ではなくて、個別表示をすることが勧められています。個別表示、一括表示というのはどういうものなのかというと、スライド12の右側に書いてあります。これはチョコレートの表示なのですが、個別表示は個々に使われている原材料に関して、個別に表示するものが個別表示であります。一括表示というのは、チョコレートに含まれているものを全て、特定原材料に関して、最後に括弧付けで一括表示すること、これを一括表示と言うわけです。消費者目線で考えれば、もちろん個別表示のほうが非常に利にかなっているわけです。

 チョコレートであればチョコレートしか食べないわけですが、左側の弁当になってきてしまいますと、一番最後に一括表示されてしまうと、弁当のどの食材にどの特定原材料が入っているか分かりませんので、こういった観点からも、今後個別表示をより進めていっていただく必要が、患者目線で考えた場合には求められると思います。

 スライドの13番です。一括表示に関連するのですが、醤油問題というのは、醤油というのは原材料に大豆と小麦は使用されていますが、そのうちの小麦に関しては発酵の過程で完全に分解されており、よほど重症な小麦アレルギーでも摂取できることがほとんどです。ただ、現行の法律ですと、醤油の中に小麦が原材料として入っているので、表示されなければならないということになります。右側の弁当表示で、最後に「一部に小麦が含まれる」と書いてあると、その小麦が醤油由来であれば、その小麦アレルギーの患者さんはこの弁当を特にアレルギーに関して意識せずに食べることができるのですが、この一部に含まれている小麦が醤油由来なのか食材由来なのかというのが分かりませんので、この辺りも解決していっていただけると、患者さん方の食生活のQOLはグッと改善するところであると思います。

 続いて含有量に関してです。現行の表示は有無しか書いていないわけです。現状の食物アレルギーは診療の進歩の中で、必要最小限の除去ということが実践されてきております。例えば牛乳アレルギーであれば、以前であれば完全除去の一遍倒でありましたが、牛乳10ccまでなら飲めるとか、20ccまでなら飲めるという指導ができるようになってきております。その中で、その表示に含まれている牛乳の量がどれほどかということが分かれば、患者様方は、例えば今、例に挙げられている弁当が食べられてくるわけです。牛乳で例えてしまいましたが、「コロッケ」と書かれたときに、そのコロッケにどのぐらいの小麦粉が入っているかが示されることで、食べられる患者様方も一群出てきますので、こういった表示の仕方というのも、今後検討されていってもいいのかなと思っております。

 続いて、スライド15です。なかなかか法律が施行されて年月はたつのですが、いまだに十分に周知されていない現状があります。消費者庁からも、右に示されているパンフレットなどが種々配布されておりますし、また学会や専門家からも、そのアレルギー表示に関する諸説明が書かれており、指導のパンフレットとしては配布されてはいるのですが、例えばそちらに書いてあるカカオバター、乳糖、乳化剤、乳酸菌、乳酸菌飲料、乳酸カルシウムと言われたときに、どれが牛乳アレルギーの患者さんが除去しなければいけないかどうかというと、初めて牛乳アレルギーと診断された親御さんたちには理解できないと思います。実際は、この場合は乳糖と乳酸菌飲料が食べられないのですが、それ以外は食べられるのです。こういったところを診療している医師も、なかなかそこまでは説明が十分に行き届かないであるとか、栄養士の先生方にまで栄養指導が回らないとか、コメディカルの方々にも、まだ十分に知識が行き届いていなかったりもしますので、せっかくの法律が生かされていないというような現状もございますので、ますますの啓発、教育や説明のできるスタッフの育成も求められていると思います。

 また、周知されていないという点では、これは内閣府大臣官房政府広報室から出されている政府広報オンライン、今回はこの発表のためにいろいろとネットも見てみたのですが、そちらに※で、「店頭で測り売りされている総菜パン、注文を受けてから作られる弁当、レストランのような飲食店のメニューやお品書きなどについては、必ずしも表示されないことがあります」と書いてあります。これの読み方によっては、表示されていれば今まで説明してきていた法律に守られている表示と同じような誤解も受けかねません。これから申し上げますが、外食・中食におけるアレルギー表示というのは、今申し上げてきたような厳密な管理がされているわけではありませんので、こういった表示に関しても問題はあるのかなと。また、これは厚生労働省にリンクされているのですが、リンクされているページもかなり古いページに飛んでいるという状況もありました。

 また、アレルギー表示の問題点として、スライド17です。外食・中食への適用はありません。外食等におけるアレルギー、アレルゲン表示の現状は、そういった法律による規定がありませんので、店舗、企業、業界団体等は、独自のルールや指針を策定しつつある状況があります。左側の日本百貨店協会から最近出されたようなガイドラインがあったり、総菜協会がホームページでお示ししているものであるとか、あとは各企業がそれぞれに外食におけるアレルギー表示に関しての工夫はされているのですが、スライド18で、決まったルールや指標がないために、残念ながら誤食事故が発生しております。

 原因としては、今まで申し上げたように、正確性に欠けた表示、表示の均一性がない、事業者の食物アレルギーへの理解や必要性の認識が不足している、不自由なアレルゲン管理、コンタミネーション管理ができていない、従業員教育が行き届いていない、患者の誤解や不理解があったりもします。

 実例としては、そちらに書いてあるようなことが現実に起きてきておりまして、私は今、外食に関しての食物アレルギーの表示に関しての委員で、座長を務めさせていただいておりますが、そちらにおいての今回の外食の業界における調査においては、実に38%程度の外食事業者が、医療機関に受診が必要となるような誤食事故の経験があり、ヒヤリ・ハットを含めると6割の事業者がそのような事故を経験してきております。

 また、最近ネットニュースに載っていたのですが、有名なコーヒーチェーン店が、食物アレルギーの患者さん方向けの注意喚起が表示されているのですが、上に英語表記があるのですが、この英語表記をされていても書いてあるのが全部日本語ですので、外国人の方がこれを見ても分からないという現状があったりします。

 ほかに、外食等におけるアレルギー表示の問題点として幾つか挙げさせていただいておりますが、症状出現時の情報開示に消極的な企業があります。例としては、ファミリーレストランで食事をした後にアレルギー症状が誘発されたためにメニューで使用されている原材料の詳細を聞いたが、企業秘密ということで詳細は教えてもらえないため、患者の原因追及に支障を来すであるとか、医薬品、医薬部外品、化粧品などへの表示というのは、食品表示とはまた別のものであるので、もちろんルールが今のところ食品表示のようなものがありませんで、御存じのように「茶のしずく」の石鹸による小麦アレルギーや歯科で使うMIペーストというものにおける牛乳アレルギー、また医薬品である分離大豆蛋白質含有、若しくは大豆レシチン添加の経腸栄養剤には、添付文書に大豆アレルギーに関する記載はありません。また、今申し上げましたように、今後、患者様方のニーズはもちろん高いし、2020年の東京オリンピックに向けて外国人の方々もたくさんいらっしゃるわけですから、そういった方々向けのアレルゲン表示に関しても一定のルールを早急に作っていくことが、現在求められているのではないかと思います。

 スライド20に、外食・中食における問題点、解決しなければいけない課題を挙げておりますが、そのハードルは高いものが少なくありませんので、早く一定のめどを付けて、守っていただけるものは守っていただけるような状況を作っていくことが求められていると思います。

 最後のスライドに課題と対策に関してまとめておりますが、食品表示法における加工食品のアレルギー表示は消費者目線での改定、個別表示、含有量表示、注意喚起表示などが、まだまだ課題として残されていると思います。普及啓発も十分ではございませんので、管理指導体制の整備、自己モニタリング、食育におけるこういった教育も必要かもしれません。実効性の担保としては、これまでも定期的に疫学調査が行われておりますので、これを是非継続していただく必要もあると思います。

 繰り返しになりますが、食品表示は企業を守るための法律ではなくて、患者のための法制ですので、患者のニーズに合った改変を定期的に継続していくことが求められていると思います。外食、中食などにおけるアレルギー表示に関しては、とにかくまずはルール作りが急務でありまして、医薬品・医薬部外品、化粧品などにも今後は目を向けていく必要も早急にあると思います。ハードルは多く、高くありますので、2020年に向けて産官学が一致団結して邁進して、その提供環境を作っていくことが求められていると思います。以上です。

○斎藤会長 今井先生ありがとうございました。全くおっしゃるとおりだと思います。

 ここで質疑応答と意見交換の時間と考えていたのですが、次の関係省庁から、特に消費者庁からの発表なのですが、関連した内容ですので、続けて行いまして、意見交換に関しては全部の御発表が終わってからということにさせていただきます。続きまして、関係省庁におけるアレルギー疾患対策としまして、消費者庁から「食品表示について」ということで、御説明をお願いいたします。

○消費者庁食品表示規格課 御紹介にあずかりました、私、消費者庁食品表示規格課の丸子と申します。よろしくお願いいたします。それでは、お手元の資料に沿って説明させていただきたいと思います。

 まず、我々、消費者庁におきましては昨年、平成274月に、新たに食品表示法というものが施行されました。この食品表示法の概要につきましては2枚目のスライドになります。先ほど今井先生からもお話がありましたが、アレルギーの表示を含めた食品の表示に関するルールになります。これにつきましては、従来、食品表示の法律としましては食品衛生法、JAS法、健康増進法、これらの法律の表示に関する部分を統合した形のものになっています。この2枚目のスライドの中の第4条の所で食品表示基準という所があります。この中で実際に食品の表示の基準を作っていく形になります。真ん中の所にありますが。名称、アレルゲンといったものが食品表示の記載事項になります。

 次のスライドになります。食物アレルギーにつきましては、先ほど委員の先生からお話がありましたが、食物アレルギーとは食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して、生体にとって不利益な症状が惹起される現象ということです。これは「アレルギー診療ガイドライン」から抜粋していますが、今までの「アレルゲンを含む食品の表示の経緯」というところが、3枚目のスライドの下になります。最初に、平成11年頃に当時は厚生労働省のほうになりますが、「食品の表示のあり方に関する検討報告書」の取りまとめがあり、その後、平成13年に特定原材料、これは(義務)表示に係るものですが、これが5品目で(乳、卵、小麦、そば、落花生)、それと特定原材料に準ずるものということで(推奨)表示になりますが、これが19品目という形で通知の中に盛り込まれたところです。その後、幾つか改正がございまして追加になったものとして、平成16年に「バナナ」が追加となっています。これは特定原材料に準ずるものになります。そして平成20年、特定原材料に準ずるもので「えび」、「かに」が、この場合は特定原材料義務表示のほうに移行になりました。この時点では(義務表示が7品目・推奨品目としては18品目)になります。直近の見直しにおきましては、平成259月に、特定原材料に準ずるものとして、「ごま」、「カシューナッツ」の2品目が追加となって、現在は義務表示が(7品目)、推奨が(20品目)となります。

4枚目のスライドになります。4枚目のスライドの表ですが、府令(7品目)、通知(20品目)と書いてあるものが、それぞれの特定原材料又はそれに準ずるものになります。府令に関するものにつきましては、今まで特に発症数、重篤度から勘案して表示する必要性が高いものとして表示義務が課せられています。そして20品目は通知になりますが、いくら、キウイフルーツ、くるみ、ゼラチン、豚肉という形で20品目です。こちらについては府令よりも、症例や重篤な症状を呈するものの数が継続して相当数見られるが、特定原材料に比べると少ない場合、こういったものが任意表示という形になっています。これが現在です。※に書いてある全国実態調査における発症数の多い順というのは、先ほど先生からもお話があったように定期的に調査を実施しているところです。

 次に、5枚目のスライドになります。「外食等におけるアレルゲン情報の提供の在り方について」ということで、こちらについては一昨年、平成26年の段階で検討会が立ち上げられましたが、今までの食品表示法における表示の義務化されているものというのは、包装された食品が対象となっているわけです。ただ、その代わり、外食については義務とはなっていないところです。これは先ほど先生からもお話があったとおりですが、ただ、そうは言っても経緯としましては、平成25年にホテル等の表示の問題があったという点、それと外食における情報提供を図っていくという観点から、平成264月に消費者庁長官の下に、「外食等におけるアレルゲン情報の提供の在り方検討会」が設置されました。その中でアレルギー患者からの外食事業者への要望とか、外食等事業者の取組状況、課題を踏まえ、患者にとって必要な情報提供の内容、その提供方法と、事業者にとって実行可能性のあるアレルゲン情報の提供促進のための方策として、平成264月から議論が7回行われて、6ページのような中間報告という形で取りまとめられています。

 この中間報告の概要になりますが、これについて食物アレルギーの取組としては、下のほうになります。消費者庁においては食物アレルギー患者、消費者及び事業者に対する食物アレルギーの病態、現行の加工食品の表示制度等を含めて、食物アレルギー全般にわたる基礎的な情報提供充実のための研修教材としての小冊子、または動画の作成等を検討しています。これにつきましては、本年度中にDVDの作成を行っているところです。こちらについては、できたものは全国の自治体等に配布し、またはホームページ等にアップする形で今のところ検討しているところです。

 その下にある外食の事業者を所管する農林水産省の関係の関与の下、外食等事業者の規模・業態の事情を踏まえた、アレルゲン情報提供の参考となる手引書の作成の検討が、ここは挙がっています。これにつきましては、先ほど今井先生がお話された外食の検討会の中で、今、進められているところです。私ども消費者庁としましても、農林水産省とともにオブザーバーとして出席していますので、現状の取組として報告させていただいています。以上となります。

○斎藤会長 ありがとうございました。後ほど意見交換の場を設けますが、続きまして、厚生労働省における対策について説明をお願いいたします。

○山田がん・疾病対策課長補佐 厚生労働省における対策について申し上げます。がん・疾病対策課からは、スライド21から4について申し上げます。スライド3ですが、相談支援、情報提供に関してです。御覧のアレルギー相談センター事業で行っています。こちらは大きく2つの事業から成っており、1つは、アレルギー・リウマチ患者等に対し、専門家、専門医療機関の所在、最新の治療指針等の情報提供を行うものであります。もう1つはアレルギー相談員、これは保健師、看護師等を対象として研修会を実施し、その質の向上を図るというものです。平成28年度予算案として1,512万円の予定であります。

 次に、普及啓発です。こちらはリウマチ・アレルギー特別対策事業で実施しており、これにより都道府県等における対策を推進するため、アレルギー及びリウマチ疾患に関して正しい知識の普及、かかりつけ医等を対象とした研修会の実施等を図ります。補助先は都道府県、政令指定都市、中核市を対象としており、補助率は1/2であります。こちらのほうには、平成28年度予算案として5429,000円の予定であります。

 次に、スライド4ですが、研究事業について申し上げます。当省管轄の政策研究は難治性疾患等政策研究事業の中の(免疫アレルギー疾患等政策研究事業、免疫アレルギー疾患政策研究分野)で実施しております。免疫アレルギー疾患分野のうち、アレルギー疾患に関連するものをお示ししております。現在、実態把握、均てん化、自己管理と大きく3つのテーマに沿って研究を進めており、疫学研究、アトピー性皮膚炎の診療の均てん化、また、平成28年度より免疫アレルギー疾患に対する食事指導、生活指導等の自己管理手法に関する研究を行う予定であります。こちらには平成28年度予算案として3,8117,000円の予定であります。

 スライド5ですが、こちらは参考として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構に委託して進めていただいている研究をお示しします。主に新規薬剤や治療法開発等の実用化研究を担っていただいており、大きく3つの段階で、診療の質、実態調査、ガイドラインへの反映。シーズの開発、実用化に向けた治験等。これらに採択年度も加味しつつ、バランスよく割り振っていただいて着実に進めていただいております。

6ページになりますが、こちらはアレルギー疾患に対しての診療報酬による評価の()をお示しいたします。食物アレルギー負荷試験、皮内反応検査、鼻アレルギー誘発試験等々がございますが、平成28年度改定で更に評価が充実された項目もございます。1つ、2011年よりエピペンが、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤として保険収載されたということが、これまでの歴史も踏まえた上で特筆すべき事項と認識しております。当課よりは以上となります。

○厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課 続きまして、保育課より「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」の概要から説明をさせていただきます。スライド7を御覧ください。平成203月に保育所保育指針が改定・告示され、それに伴いまして「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」の作成を、平成233月に行いました。ガイドラインの内容の主な項目といたしまして、保育所におけるアレルギー疾患の実態、アレルギー疾患の各論、そして食物アレルギーへの対応でございます。この「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」の活用に向けまして、ガイドラインの周知、厚生労働省のホームページへの掲載、またQ&Aの作成、そして研修体制の強化を行っております。

 次に、スライド8を御覧ください。保育所における食物アレルギーへの対応の原則といたしまして、安全・安心な園生活が送れること。職員の迅速かつ適切な対応、職員、保護者、主治医、緊急医療対応機関の十分な連携、医師の診断に基づく生活管理指導表による食物除去申請、食物除去は完全除去を基本とすること。食物アレルギーに対するリスクを考えた取組を行うとしております。スライド910につきましては、生活管理指導表の参考例を掲載しております。以上です。

○斎藤会長 ありがとうございました。続きまして、文部科学省における対策について御説明をお願いいたします。

○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課でございます。学校におけるアレルギー疾患への対応ということで、当課の取組を御説明させていただきます。資料8を御確認ください。

 まず、スライド2になりますけれども、当課においては、かねてよりアレルギーのある児童生徒に対しては、平成19年度に文部科学省監修の「学校アレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」に基づく対応を、学校関係者にお願いしてきたところでありましたが、平成2412月に、食物アレルギーを有する児童が、学校給食終了後にアナフィラキシーショックの疑いにより亡くなるという事故が発生しました。これを受けまして、こうした痛ましい事故を二度と起こさないためにはどうするべきかということで、平成25年度になりますが、「学校給食における食物アレルギーに対応する調査研究協力者会議」を設置しまして、本日、お越しの西間参考人、今井委員、海老澤委員、園部委員にも委員として御参画をお願いの上、学校給食における食物アレルギー対応の充実対策について、総合的、専門的な観点から検討していただき、報告書を取りまとめていただいて関係者に周知してきているところです。

 その検討事項を踏まえまして、ポンチ絵の中段になりますが、給食関係者向けの指針の作成及びガイドラインの要約版の作成、研修用DVDの作成を平成26年度に行い、平成273月に全国の国公私立幼稚園、小学校、中学校、高等学校に配付しております。また、これらの内容について周知徹底を図るため、平成22年度より、学校等におけるアレルギー疾患に対する普及啓発講習会を行っておりまして、平成26年度、平成27年度においては、学校管理職の理解・協力が必要なことから、これらの方にも参加を呼び掛け、それぞれ10か所で講習会を行っております。

 スライド3になりますが、こちらが「学校におけるアレルギー疾患対応の三つの柱」となります。まず第1に、アレルギー疾患の正しい理解と正確な情報の把握・共有、すなわち「ガイドライン」の内容の理解と「学校生活管理指導表」、つまり(医師の診断)を踏まえた対応とすること。第2に、学校生活管理指導表に医師が記載した「学校生活上の留意点」の欄を参考に、日頃から組織的な対応をすること。第3に、食物アレルギー等でのアナフィラキシーショック対応等ができるよう、緊急時に向けて研修会等を実施し、体がすぐに動くように体制を整備することを示しております。その体制のイメージ図が4枚目のスライドとなります。学校内外で連携体制をしっかり構築してくださいと示しております。

 最後に、スライド5となりますが、学校現場等で児童生徒がアナフィラキシーショックに陥り、生命が危険な状態である場合に、救命の現場に居合わせた教職員が自己注射薬を使用することについての医師法第17条の解釈につきましては、平成25年度に厚生労働省の医政局と、このように文書を交しており、関係者にも周知を図っているところです。当課の取組は以上となります。

○斎藤会長 ありがとうございました。皆様の御協力のお陰で1時間以上、意見交換の時間を設けることができました。それでは、8つの御発表がございましたので、2つずつまとめて、4つのパートに分けてディスカッション、意見交換を進めてまいりたいと思います。また、西間参考人におかれましても、是非、積極的に発言して御意見を頂くようお願い申し上げます。それでは、最初の2題ですね。資料1と資料2、喘息とアレルギー性鼻炎/花粉症の問題に関しまして、山口委員、岡本委員からの発表に関して御意見を頂戴できればと思います。いかがでしょうか。

○武川委員 私からは、まず山口委員に教えていただきたいのですが、先ほどの素晴らしい的確な発表、ありがとうございました。私が感じた点が2点ございまして、1点目といたしましては、専門医ばかりではなくて、チーム医療としてやっていかないと現実的には対応できないということですし、喘息そのものは確かに、お陰様でガイドラインによる標準治療でかなり悪化する患者が減りましたし、初期段階における吸入ステロイド薬による治療で、軽症化していることは実感しています。

 一方、喘息患者の510%という中には、まだまだ標準治療のみでは、対応できていないという現実がございます。そういった場合に患者の立場からいたしますと、どうしても見える医療というのが非常に大事です。その見える医療というのは、私たち患者・その家族が、理解と納得できる医療です。周辺の医療提供者と知識・情報の共有です。また、専門医、かかりつけ医、薬剤師、看護師、保健師を含めて、チーム医療の中での喘息に対する診断・治療に関して、いろいろな知識、その他を個々が深めて、共有いただかなければいけない。その際に一番大事なのは、目に見える指標(数値目標)の共通認識です。その一つとして呼気一酸化窒素といったものの役割と普及に関して、どのような見解をお持ちなのか。また、呼気一酸化窒素による診断・治療の今後はどのように推移していくのか。そういうことを教えていただきたいと思っています。第1点です。

 第2点としては、岡本先生にお願いしたいのですが、先ほどは、素晴らしい御発表を頂きましてありがとうございました。その際One airway,one diseaseというお話がございました事に関連すると思いますが、患者の中では実際に吸入ステロイド薬を使用し、標準治療を指示通りにきちんとしていても、なかなか良くならない患者もおります。そのために方々の医師を転々とすることがございます。

 その中で、ある喘息の専門医にかかったところ、ちょっと鼻のほうに問題があるかもしれないねということで、耳鼻咽喉科を紹介されて診ていただいたところ、鼻中隔がかなり弯曲しているので、これは手術をしたほうがいのではないかと言われた例があります。そういった治療で非常に良くなって、その後もちろん、治療がゼロになったわけではありませんけれども、吸入ステロイド等の使用に関しても、有効かつ的確に使えるようになったということがあります。その辺について、現在の状況と所感等をお願いできればと考えています。以上です。

○斎藤会長 それでは、まず山口委員のほうからお願いいたします。

○山口委員 大変重要なことを御指摘いただいたと思います。喘息診断の目安の1項目として、気道炎症が挙げられています。資料1のスライド25番の項目の中に呼気の一酸化窒素の上昇が書かれています。保険適用となり、測定器は多くの病院で採用されつつあります保険採用されたという点は非常に大きく、そして、武川委員からお話いただきましたが、息を吹きこんですぐに数値を得ることができる利点があります。診断に有用であり、ステロイド吸入治療で低下しますし、落ち着いている患者さんでステロイド吸入をやめた場合に、呼気のNOが上がって来ると気道炎症の悪化を知らせてくれる意義も言われています。

 服薬アドヒアランスがよくない患者さんにおいて、NOが下がらずかなり高いままであれば、患者さんのアドヒアランスを再評価するきっかけになりますNOの測定は様々な場面で有用ですが、もっと普及していかないといけないところだと考えています。

 それ以外にも、呼気の中のいろいろな成分が、研究段階にあると理解しています。それらの喘息における意義が明らかになり即座に結果を得られれば、患者さんの診断およびコントロールの確認という点で非常に役に立ちますので、今後の進展が求められるところです。

 重症喘息に関しても、どの病院で特に診ているかという情報があると患者にとって分かりやすいと思います。その病院の医師やコメディカルの側でも対応しないといけないという自覚も芽生えます。患者さんにとってアレルギーを診てくれる病院が非常に分かりにくいという話はよく聞きますので、アレルギー関係に関して明確に診療ネットワーク体制が構築されて、公開されるというのは良いことだと考えています。

○斎藤会長 ありがとうございました。岡本委員、お願いします。

○岡本委員 ありがとうございます。私の資料211のスライドで、One airway,one diseaseというお話をしましたが、御指摘のあったとおりに、喘息の治療でアレルギー性鼻炎のコントロールは非常に重要だということは、多数の検討結果で確認されています。特にダニに感作されている方が、ダニが入って来れば鼻ではダニのアレルギー鼻炎を起こして、下気道で喘息を起こすというのは当たり前と言えば当たり前のことだと思います。ただ、それだけでなく、スライド14にありますように、スギの花粉というのは下気道にはほとんど入らないのですけれども、喘息を合併している方の症状を悪化させるということは、直接、アレルゲンが入らなくても鼻での症状発現が喘息を悪化させるそういった意味でも、鼻炎と喘息の関係を示すこのOne airway,one diseaseという考え方は重要と考えられます。

 問題は、アレルギー性鼻炎の治療は現在薬物治療が中心です、効果がないのに漫然と薬が使用されているということも残念ながらあると思います。おっしゃったように特に鼻の中の構造異常、鼻中隔の弯曲とか鼻のポリープがあるとなると、薬物療法の効果は著しく限られてしまいますので、そういったことの啓蒙は、おっしゃるとおり是非必要だと思います。

○園部委員 まず山口先生、貴重なお話、ありがとうございました。喘息死が減ったことは非常に感謝の思いでいっぱいです。また、最近は発作が起きたときに、すぐに発作が治まる合剤も出てきたことはとてもよかったのですが、患者さんたちの印象として、ほかの病気と同じように、具合が悪いときしか病院に行かない患者さんがまだまだ多いのです。慢性疾患であることや、継続した発作の起きない治療をすることで、発作を起こさないで快適に社会で活躍できることが、21世紀の喘息の治療なのだというところの啓発に、是非、重点を置いていただきたい。それには保健指導の中で地元の保健師さんたちが一緒に協力して啓発していくとか、当たり前に発作の起きない治療ができる時代になっていることを市民に啓発していく。生活習慣病と同じように喘息も保健師さんたちの指導の中に入っていくと、小児の予防に関する啓発とか、高齢者の方々に合った治療の仕方の普及になっていくのではないかと感じたのですが、その辺についての御見解を伺いしたいということ。

 あと、岡本先生には是非、学齢期で勉強の忙しい学生、それから仕事が忙しい働き盛りの方々は、忙しすぎてなかなか定期受診をしていません。特に、まだまだ国民の中に花粉症や鼻炎の治療薬は眠くなるという印象が強くて、受診をしないために、ものすごくひどい症状を我慢しながらマスクと眼鏡でQOLが悪い中、仕事や勉強の効率の上がらない方々が多いですから、その辺、今は眠くならないお薬できちっと症状をコントロールして、快適にその時期を乗り越えられるという啓発について、どんなお考えかということをお伺いしたいと思います。

○斎藤会長 では順番に、山口先生からお願いします。

○山口委員 大変重要なことを御指摘いただいたと思います。吸入ステロイドと気管支拡張薬の配合剤によって喘息コントロールを維持し、発作のときには増量して、発作治療もできてしまうことが今は可能になっています。すると発作のときだけ吸入ステロイド等の治療を行い、普段はやらないということが、実態はなかなかつかみづらいですが、実際にはかなりおられるのではないかと危惧しているところです。大事なのは、原点に立ち返って吸入ステロイドを含めた普段からの治療継続が最も重要で、気道炎症は普段から治療すべき対象です。ときどき症状が出てくることに対して、長期管理をきちんと行うべきであり強化すべきであるというのは、常に患者さんに認識していただかなければいけないと思います。

 また、ドロップアウトしやすい患者さんがおられます。メンタルに問題を持っておられる方でそういう比率が多いと認識していますが、家族あるいは介護者に対し、知識の普及、啓発がもっと必要だと認識しています。

○岡本委員 ありがとうございます。今、正に花粉飛散のピークになっていますが、確かに御指摘のように、この時期、病院に行くのも容易ではないお忙しい方についてはOTCというのは非常に価値の高い治療だと思います。ただ、スライド21に出しましたように海外で使用が禁止されているような睡眠薬、先ほどお話がありましたが、睡眠薬として使われている薬の使用は大きな問題です。ただ、最近は少しずつ、OTCの中にも眠気の少ないのが出てきて改善されているのも事実ですが、一方では、依然として従来の物が非常に多いというのもまた事実だと思います。このようなことについての啓蒙が是非必要だと思います。OTC を使用しても日常生活に支障が起こるような患者さんについては、医療機関での治療というのはどうしても必要だと思います。その辺りの線引きは難しいとは思いますが、やはり啓発には努めていきたいと思います。

 特にOTCで問題なのは眠気が強い、仕事や学業に集中できないとかの副作用がたとえ生じてもそれが薬の副作用なのか、あるいは実際は花粉症やアレルギー性鼻炎自体の症状なのか区別がなかなか付かない、一方で、評価能力あるいはアクティビティが下がっているのに、いわゆる飲酒と同じで、自覚がないために知らず知らずのうちに、社会生活を送る上での障害が出てきてしまっているというのも危惧されると思います。

○斎藤会長 余計なことかもしれませんが、安倍首相も国会の答弁で、私も花粉症なんだが、頭をすっきりさせるために薬は飲んでこなかったというふうに発言されていました。ほかにいかがでしょうか。

○栗山委員 園部委員の御質問、疑問、全く共有します。御返答ありがとうございました。同じ質問で角度を変えた見方というか、お願いなのですが、今、出たばかりのOTC、海外で禁止になっている物が日本でまだ使われている。多分、眠気を催す方ばかりではなく、副作用がある方ばかりではないのだと思いますが、そういう薬であるということの周知を医師が患者さんにするばかりでなく、薬剤師が薬局でする。そのための知識を伝えるだけでなく、私もかなり古い世代の発作止めを出された経験があるのです。そういう悪いところばかりでなく利点もあるのでしょうが、効果より害がある古い物をいつまでも放っておかない厚労省のお取組も、是非、お願いしたいなというふうに思いました。

 それから、アレルギーの喘息のほうですが、こういうのをこの場所で自分で言うのは何ですが、アレルギー治療の均てん化という研究を厚生労働省のほうからいただいたのです。そこには結構、驚くべきいろいろなことが書いてあるのです。ここは検討する場なので、それを御参照いただけたらいいなと思いますから、また厚生労働省へのお願いですが、資料としてお配りいただけたら嬉しいなと思います。

 ドロップアウトする患者さんのお話が出ましたが、それは患者さんの問題でもあると同時に、どこを抑えておかなければいけないか、医療者からの情報提供が患者さんに伝わっていない。あるいは伝えていない所が多いのではないかという感触も得ていますので、そこのところも一緒にお考えいただければと思います。

○斎藤会長 まず、均てん化対策の研究の主任研究者は私ですので、資料は、次回配布用に事務局のほうにお渡しするようにいたします。最初の質問に関して事務局からいかがでしょうか。

○佐々木がん・疾病対策課長 本日、お答えできる者が来ておりません。1回から3回までの協議会で御意見を頂いたもので、事務局で対応できるものは準備しますけれども、関係省庁や省内関係課が対応すべきものは、こういう御意見があったということは伝えます。今後、会長と御相談しながら、順次、協議会の資料として出していこうと思っているところです。今回の御指摘も、担当部局のほうには伝えたいと思っています。

○斎藤会長 まだ御議論はあろうかと思いますが、予定のパートの時間割が終了しましたので、また、もし何かございましたら後ほど総合的に御意見を出していただければと思います。それでは、第2部ですね。資料3と資料4、新田委員からの提出資料と田辺委員からの提出資料、居住環境及び大気汚染とアレルギー疾患ということに関して質疑応答をお願いいたします。

○坂元委員 この「そらプロジェクト」についてですが、西間先生もおられますが、「そらプロジェクト」に対してお伺いいたします。この結果が公表されたときに環境省が関係自治体を集めて、自動車排気ガスが喘息発症に及ぼす影響についての説明をされた。その中で関連性はあるけど程度の大きさですね。環境省は自動車排気ガスは喘息発症の主因とは思えないというような説明がありました。これはスタディのやり方にもよりますが、3つの群で1つがコホートで、あとは違う症例対象研究というのもあると思いますが、この年齢階層群で要するに関連性があったり、なかったりということを含めると、この自動車排気ガスの喘息発症の影響の度合いというのは、自治体としてどういうふうに解釈したらいいのかということです。新田先生と、この委員長であられた西間先生から御意見を賜ればと思います。よろしくお願いいたします。

○新田委員 ありがとうございます。「そらプロジェクト」の結果の解釈ですが、疫学調査の全般で特に環境因子については、我が国では基本的に関与の度合いは、他の関連要因、リスクファクターに比べれば小さいという認識です。ただ、一方で、大気汚染はアレルギーで抗原ばく露の話が出ますが、ばく露を避けるということが個人レベルでなかなか難しい。そういう意味で国、行政が取り組んでいるということだと思っています。

 先ほど大気汚染の状況をお示ししたように、「そらプロジェクト」でもスタートから調査が約5年経過しましたけれども、5年の間に道路周辺の環境も相当改善したという状況での調査だったということは、まず御理解いただければと思います。ですから、学童コホートの研究で関連性があったということについては、私も責任者の一人として疫学的には自信を持っていますが、一方で、今、お話にありましたようにリスクとしては、公害問題が我が国でも非常にひどい状況だったときに比べればリスクは小さいと。こういう精密な調査をして初めて検出できる程度だったというふうに思っています。ですから、学童コホート以外に幼児、成人で関連性が明確でなかったということは、なかったということではないと、そういう結論は出せなかったと御理解いただければと思います。

 この調査の時点では、発症に関わる海外の治験もほとんどない状況でしたが、そのあと、諸外国でも発症にも関わるという報告が、自動車の排ガスに関連して出てきています。それは濃度としては高いレベルですけれども、状況としてはあり得るということです。ただ、疫学研究は観察研究である制約がありますので、1つの疫学研究だけで結論はなかなか出しにくいという点もありますが、「そらプロジェクト」はそれなりにしっかりとデザインされた、ある程度の数も集めた調査であったと思っています。そこは疫学調査の限界に挑戦して小さいリスクを見出したという、そこのバランスを御理解いただきたいと思います。

○西間参考人 西間です。検討はさせていただいたのですが、確かに有意差の出ているところもある。ただ、非常にオッズ比は低くて、かつ、それぞれのデータが一貫性がないというか、全部を 1 つのストーリーで、例えば大気汚染と喘息という気道症状の発症の関連は言えないという状況でしたから、この「そらプロジェクト」の結果をもって世間に何かを出すというものではないとしました

 ただし、そういうことがありましたので、その後も何らかの形でマーカーを探してチェックしなければならないのではないかということが 1 つあって、 PM2.5 を本格的にやろうかということとか、新田先生からお話がありました環境保健サーベイランスで 3 歳児の気道症状をマーカーとして大気汚染の警報を鳴らすシステムを、今、動かしているところです。事業途中から、 3 歳児だけでは必ずしもはっきりしないということもあり、 3 歳児が 6 歳児になったときにどうなっているか、それも追跡するということで平成 16 年から 6 歳児もやっています。現在のところ、昨年は 1 か所、有意差が出て次の調査を見ようということになっていますが、日本の大気汚染のレベルは非常に低いところでの差を見ていますので、現在、国民に対して警報を鳴らし、何らかの対策を取るというものではないと私は判断しました。

○斎藤会長 ほかにいかがでしょうか。

○岸平委員 田辺委員から、日本の加湿神話のお話がありましたが、ドライのほうがアレルギーにはいいというようなお話もあったと思います。学校で冬場インフルエンザが大変流行いたします。そうなると、教室を加湿しろ、加湿しろといったような対応になっております。しかし、それはもしかしたらアレルギーのお子さんにとっては辛いところがあったのかなと私も感じてしまいました。やはり加湿も大事だと思うのですが、どのぐらいの湿度でアレルギー症状が誘発されていくとか、もしそういった資料等があるのであれば、是非学校現場に頂きたいと思いました。

○田辺委員 まず,湿度とアレルギーは、あくまでもカビやダニなどが発生する誘因なので、ドライだからアレルギーが直接少なくなるということではありません.カビやダニの発生が少なくなるということです。日本では、インフルエンザと湿度に関してのハーパーという非常に古い60年代の研究が信じられています.空気中の湿度によってウイルス活性度がどのように変わるかということで、インフルエンザの活性度が40%以上になると急激に少なくなるというのが根拠なのです.しかしながら,実際にインフルエンザの感染の多くは飛沫感染、接触感染ですので、必ずしも空気感染が多いわけではないということです。米国などでは、CDCなどにおいては、インフルエンザ対策として実は加湿をしろとは書いていません。米国の病院の待合室も、最近湿度の下限値に関しては、値が廃止され、必ずしもこの湿度を保ちなさいということが書かれなくなっております。これは、実は加湿の持っているプラスとマイナスの面に関しては研究が必要な部分です.加湿をたくさんするとどうしても結露するので、それによっていきすぎた加湿をするとアレルギーの原因となるカビやダニが増えるということで、これは総合的な研究が必要なのだろうと思います。

 建築物衛生法という法律があります.これは厚労省が管轄です.この中で4070%の相対湿度を守りなさいとされています。実は、不適率が非常に高いのが冬季の40%の相対湿度なのです.それを心配して加湿をされていることが多いです。適度な加湿は非常に重要ですが、過度に結露やじめじめするようなところまで加湿するのは必ずしもよくはないのではないかと思っております。

○斎藤会長 しっかりしたレベルのエビデンスが存在しないということですね。そういうことは結構あると思うのですが。ほかにいかがでしょうか。

○新田委員 今の田辺先生のお話ですが、実は私も全く同じように考えております。田辺先生は加湿神話とおっしゃったので、正しくそういうことだなと思っております。ただ、やはり今、座長がお話のように、やはりエビデンスが非常に乏しいところがあります。私は、室内、空気の中で、H2Oが一番汚染物質として重要ではないかと言ったことがあるのですが、水、湿度に対してのエビデンスが非常に少ないと思っております。少し我田引水ですけれども、先ほど御紹介しませんでしたが、エコチル調査において、5,000人の参加者の世帯で今、様々な測定をしておりますが、温度、湿度も測っております。ですから、それも含めてすぐではないのですが、今後調査結果を御報告できるのではないかと思っております。補足です。

○岡本委員 田辺先生、確かに御指摘は興味深いのですが、一方で臨床的に見ると、1月、2月、年末から非常に鼻の中の乾燥を訴えて受診する患者が多くて、かさぶたが付いてい鼻粘膜が非常に障害されているような患者さん、すなわちむしろ乾燥状態が目立つような人が少なくありません。乾燥が続くことで、逆に感作や症状の発症に影響するのではないかという報告もあります。乾燥がよくないというエビデンスも十分あるわけではありませんが、一方的に乾燥が良いというような表現になってくると、誤解が生じてしまう危険もあると思います。国内でも地域によって発症率に違いがあるのは、乾燥も影響しているというような検討結果もありますカビのアレルギー疾患に対する影響についても、鼻炎での関与の実態は十分に分かっていませんし、それはこれからの課題だと思います。

 それから、新田先生のお話では、従来アレルギーの発症との関連が強く言われていましたディーゼルの排出粒子、浮遊粒子は非常に激減しているようですが、アレルギー疾患は減少していません。臨床のデータが不足しているのが多分、それが大きな背景にあるのかもしれませんが、ディーゼルの排出粒子は発症には影響していないというような方向で考えてよろしいのでしょうか。

○田辺委員 湿度の問題はエビデンスが非常に少ないのですが、例えば北欧などは外気温がマイナス20℃ぐらいですので、日本よりも実はもっと乾燥しているのです。空気中に水分を出して粘膜を湿らせるのか、あるいは水分摂取させるのか、リスクを比較しながら検討すべきところです.決して喉などの粘膜の過乾燥がいいと言っているわけではないのです.必要以上に室内を加湿をするとか、近代的な住居でストーブの上にヤカンを乗せて水蒸気を多量に出すのは実は余り正しくないということです.それは昔の家の住み方です.発生させた湿気は幾らでも逃げていきましたが、今はそういう状態にはなっていないので、少なくとも開放式のストーブとか水蒸気を出すようなもの、燃焼ガスを出すようなもの、それからヤカンを置いて現代の住宅で住むのは、必ずしも正しくないと考えております.粘膜の乾燥に関しては先生のおっしゃるとおりだと思います。

○新田委員 ディーゼルと花粉症との関係というのは、かなり世間に流布した仮説かと思います。私は、実験的にはアジュバンド効果と言われているようなものは明確であろうと思います。一方で、疫学研究取り組みましたが、やはり結果は明確でないと。その原因の1つは、やはり先ほど先生も御指摘になりましたように、花粉のばく露が余り定量的に評価できていない。一方で、ディーゼル排ガスへのばく露も、また大気汚染物質へのばく露の定量性もなかなか難しいところがあると。両者の制約があって、結果が明確に出ていないのではないかと。ただ、発症に関与するかというところと、発症というのは新規のオンセットですが、そこの関与するかというところと、症状の増悪に関するかというところは、やはり増悪については可能性は非常に高いだろうと。ただ、やはり疫学研究としての調査手法として難しい面があるということで、私は疫学研究でしっかりデザインしてやるのは今のところは非常に難しいというところです。ですから、結論はまだ疫学的には出せないですし、実験的には明確なので、関与するという前提で、ただ一方で現実のリスクの大きさが図れないという問題が残ったままだと思っております。

○武川委員 新田委員と田辺委員にお聞きしたいのですが、今、たまたまそらプロジェクトのお話が出ましたが、私もこちらで考えとお願いを申し上げたいと思います。まずは、そらプロジェクトの今お話されていましたスライド15で、大気汚染の問題については非常に改善してきたことは実感しています。学童コホートの研究で学童は関連性があったが、幼児、成人で関連性が明確でなかったということは、なかったということではないと、そういう結論は出せなかった。ことについて、今日聞いて初めて納得したのですが、東京都からの説明では、ぜん息発症と自動車の排ガスの関係が成人については専門の先生方が研究して関連性ないということですから、発症原因とは考えられないというように聞いておりました。ですから、これは困ったなと。というのは、私自身は発症要因としては確かにデータ上、関連性はない(統計上有意差はない)が、しかしながら、症状が重症化することには、触れられていない。更に現在の公害喘息患者の高齢化による気道の劣化も加わります。もともと傷ついた気道ですから、ステロイド吸入薬での治療を続けていても遥かに痛みやすく、重症化・難治化しやすい状態にあります。こう言った事が、なかなか社会に理解されにくくなって、喘息はもう解決済みたいなところが出てしまっている。これに対して、非常に問題だということで、先般も環境再生保全機構で大気汚染にかかる喘息患者会等の連絡会をやったのですが、その中でも全国の公害病に基づく喘息患者の声はまだまだ切実な厳しい問題が多々あります。私からは大気汚染による喘息患者の悩みを決して忘れないようにしていただきたいと存じます。それから、先生は今難しいとおっしゃったのですが、是非疫学調査を継続してやっていただいて、どこに問題があるのか、どうしたらいいのかということを、子々孫々のためにも続けていただければと思います。

 もう1点は、田辺委員にお願いしたいのは、シックハウス症候群などはアレルギーと必ずしも関係ないということで、私も理解しております。この問題に関して、専門の先生からお聞きしていることは、住居だけではなくて輸入家具等に問題があることも多いので、家具にも気をつけた中で生活環境を考えなければいけない。というようなことを聞いております。その辺りの規制や御見解を先生からお聞きしたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○斎藤会長 新田先生、いかがでしょうか。西間先生に振ってもよろしいのではないかと思うのですが。

○新田委員 今御指摘の点ですが、日本は大気汚染が改善しているといっても、もう何もしなくてもいい状況ではないことは、私もそのように思って研究しておりますし、そのとおりだと申し上げて、今日のところはそういうところにとどめたいと思います。

○斎藤会長 西間先生、何かありますか。

○西間参考人 先ほど申したように、今までの NOX SOX SPM ではなかなか引っかからないということです。したがって、微粒子の PM2.5 やほかのマーカーを見てどうなるかということを今やっていますし、ずっとサーベーランスもやっていますので、これでまた次の展開があるかもしれません少なくとも今のところはポジティブな相関はないと考えていいと思います。

 それから、化学物質過敏症で輸入家具どうこうというがありましたが、これは現実的にそういうもので悪化する症状を持っている 1 群の人たちがいるのは間違いないわけです。でも、この法律の中で取り上げなかったのは、アレルギー疾患対策というのが基本ですから、少なくともシックハウス症候群、化学物質過敏症に関しては、アレルギーの要素は極めて少ないということで対象になってないのです。

○斎藤会長 この法案の中では取り上げてないということです。田辺委員、いかがでしょうか。

○田辺委員 シックハウス症候群そのものはアレルギーとは別です.建築に関しては建築基準法上、例えば建築に付いているシステムキッチンや下駄箱などは規制されるのですが、居住者の方が購入されるものに関しては、法律上実は非常に難しいのです、製本安全法(生安法)の中で見るということがあるかも知れませんが。ラベルを付けると、国産の方だけがラベルを付けることになる.輸入品はなかなか規制ができないので、こういうものは注意喚起をするとか、消費者庁もこういう表示を出されております.問題があるものがあるということを認識していく必要があります.規制がなかなか難しい部分ではないかと思います。

○斎藤会長 それでは、少々延長が可能ですので、またあとで御意見を頂きたいと思います。続いて、資料5と資料6、今井委員が提出された資料と、消費者庁における主な取組、食品表示に関しての質疑応答、意見交換をお願いいたします。

○新田委員 今井先生のお話の中で、食物アレルギーでモニタリング調査ということでお話されて、最後のほうにも疫学調査の必要性を強調されていたかと思いますが、現在具体的にどのような調査が行われているのかを御教授いただければと思います。

○今井委員 平成1314年度からでしたか。対象はずっと変わらず、原食物を食べて60分以内に医療機関を受診した症例を対象にしております。調査協力者は、調査前年度に日本アレルギー学会専門医と日本小児科学会の会員に対して、調査に協力をしていただけますかという調査をさせていただき、御協力を頂ける方々、毎回1,000名程度の方々に3か月おきに葉書を郵送いたしまして、外来、若しくは入院も含めていらした患者様方の情報を葉書に記入していただき、3か月おきにそれを返していただくのを1年間通してやっているようなものです。

○斎藤会長 New England Journal Medicineに報告があったのですが、ピーナツバターを常に消費している家庭の埃の中のピーナツ抗原量が、1g当たり100μgを超えているのですね。これは、ダニが多い家庭のダニ抗原量の3倍以上なのですよね。ですから、これから環境省としても、食物アレルギーにも是非関心を持っていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。

○園部委員 消費者庁の方に伺いたいのですが、先ほど今井先生から加工食品の表示のことや、政府の広報オンラインがあるというお話があったのですが、食品表示についての相談はたくさん入ってきていますか。窓口としては、まだまだ周知が少ないのかなと思うのですが、消費者相談センターのほうにいってしまうのか、それとも消費者庁でもダイレクトに受けてくださっているのかという辺りをお願いいたします。

○消費者庁食品表示企画課 御質問ありがとうございます。今、委員がおっしゃったように、消費者庁でも紹介窓口があります。そちらでの受付けは、アレルギーに限ったものではなくて、今現在食品表示法という新しい法律が施行されておりますので、それに関するところで、あとは賞味期限の関係の話があります。それから、消費者庁においては自治体とは別になっております。自治体は、保健所で表示や衛生指導なども含めて、相談をやっていただいていると思うのですが、そちらでの受付も行っております。

○園部委員 以前に保健所できちんと取りあってもらえなくて、患者が実際に重篤な症状を引き起こしてしまって、2日間入院に至ってしまって、命の危険に晒されて、保健所に相談に行ったら、添加物を表示していなかった業者に注意しただけで終わってしまいそうになったことがあったのです。その当時、厚労省が窓口を作ってくださって、地元の自治体の保健所がきちんと対応しないときには厚労省が窓口を引き受けますと言ってくださったものが消費者庁に移管されたときに、そういった地元で取りあってもらえないときの生きた窓口であってもらいたいと願っております。

○消費者庁食品表示企画課 貴重な御意見、ありがとうございます。

○栗山委員 省庁の役割改正の時に、厚労省から消費者庁に委員会が移ったものが幾つかあると思うのですね。その中の2つの委員会の委員をさせていただいたのですが、厚労省から消費者庁に移って私が痛切に感じたのが、今、園部さんもおっしゃったような実際の患者がどれだけ困って、どれだけ命の危機に瀕しているかという危機感のなさというか、何が重要で何をそのために整備しなければいけないことなのかのバランス感覚が、厚労省と消費者庁では違うのですね。具体的に言えば幾つかあるのですが。その中の食品表示や外食などでも、要するに私たち消費者なり患者なりの要望と、業者の実行可能性のバランスが、何かを決めるときにどこにでも必ず出てくるのですね。本来は消費者庁というのは、消費者のためにあると思っていたのですが、そうではないような感じを受けてしまうぐらい、そこのバランスが適切ではないような気がしております。一番最後のページにあるように、この法が患者のための法制であり、是非ニーズに合った改変をお願いしたいと思っております。もちろん、業者の犠牲の上にと申し上げるつもりはありませんが、余りにもこれもできない、あれができないということが多くなりすぎないようにお願いしたいと思います。消費者庁の委員会では、最後のほうには、そこまで要求されると我々はちょっとしたミスで刑務所に行かなければいけないのです。というような、個人的にそんなことを言われたりもしましたが、別にそこまで望んではいないので、でも命に関わる食品表示に関して、消費者庁もアレルギー疾患基本法を念頭に置いて連携を取って進めていただけるように切にお願い申し上げたいと思います。

○斎藤会長 正に、省庁を超えた取組が必要なのではないかと思います。

○加藤委員 今井先生から、食品、あるいは医薬品、化粧品などのアレルギーに関して、情報開示が必要であるというお話がありましたが、開示とともにその成分を我々の所に分けてもらえる仕組みが必要で、成分を分けてもらって、その成分を使ってプリックテストなどの患者さんでの検査をして、どの成分に対してアレルギーがあるかを突き止めてあげないと、その人は例えばカップ麺が一生食べられないとか、ある口紅が一生使えないということになります。口紅アレルギーがあっても、実多くは含まれている 1 つの成分にアレルギーがあるだけなので、それを分けてもらて検査ができてある成分にアレルギーがあることを明らかにできれば、その患者さんは化粧品店や会社にの成分が入っていますかと聞いて、その成分の入っていないものを使える、食品会社に聞くことでカップ麺が食べられるということになりますので、開示とともに分けてもらえる供与の仕組みを是非検討していただけたらと思います。

○海老澤委員 先ほどの園部委員の話と、栗山委員の話については、消費者庁が発足した経緯が、福田元総理のときに発足したわけですが、表示のルールを決めるのが消費者庁の方にいってしまって、実際の義務の刑事的な摘発等の業務は相変わらず厚労省にあるという(保健所の管轄が相変わらず厚労省にあって)という行政上の問題があると思います。アレルギー対策の推進協議会は、そのような行政上の不具合をうまくリンクさせていくということが非常に重要だと思うので、やはり食物アレルギーの表示についていえば、省庁間の連絡をきちんとしていただくことと、あとはやはり中央と地方との行政の連携作業がどうしてもなかなかうまくいきにくいと思いますので、その辺りのことをうまく行政側で問題意識の共有と、省庁間、中央・地方での連絡会を作って、お互いの情報を共有し問題解決していくことが必要なのではないかと思います。

○山口委員 今井委員からお示しいただいた食品の表示基準の義務と推奨の品目を拝見していまして、教えていただきたいことがあります。表示を見れば由来の食材はわかるのですが、ゼラチンに関して、今解析途中の患者なのですが、ゼラチンはいろいろな原材料があり、魚や牛や豚というような由来がありえます。一部のゼラチンにだけアレルギーをもつ方もおられるようなのですが、ゼラチンの原材料まで記載するということは考えておられるのでしょうか。

○今井委員 私の回答よりも、もしかしたら消費者庁のほうがいいかもしれませんが。

○消費者庁食品表示企画課 御質問の関係なのですが、基本的にはゼラチンについてはその由来までは書くことにはなっておりません。

○海老澤委員 最初の表示制度を始めたときにゼラチンの入った理由というのは、当時ワクチンの問題があって、ゼラチンアレルギーが多発したのです。海外に麻しんのウイルスを出すときに、ゼラチンの濃度を 10 倍上げたのです。それによって、 3 種混合で感作が生じたあとに、確か麻しんワクチンでというケースがあって、それで実際に経口摂取してもゼラチンアレルギーが発生していたので、当時このルールを決めるときに入ったのです。ですから、基本的には原材料の詳細なというよりも、逆にゼラチンアレルギーがそれでなくなってきたから、表示から外していこうかというような議論も一時あったぐらいです。

○山口委員 教えていただいてありがとうございました。私どもの患者は珍しい症例ですが、解析の途中でもあります。また、それは別の形で報告したいと思います。

○斎藤会長 それでは、このテーマに関して、また御議論いただく時間があれば議論をいたします。最後のテーマの、厚生労働省における主な取組と、文部科学省における主な取組に関して、御意見を頂ければと思います。

○園部委員 まず、厚生労働省の資料の4ページの下ですが、実態把握と大事な均てん化、それから患者の自己管理のための臨床研究の予算が、AEMDの予算と比べて非常に少なすぎると思っております。本来は、研究でやるべきではないと思っておりますが、国として国民の半分近くになっているアレルギー患者の実態掌握をするための疫学調査に、予算が大きく必要です。それから、アレルギー疾患は私の発表の中でも、今日も何度かお話をさせていただきましたが、日本のガイドラインは非常にクオリティーが高くて、ガイドラインのとおりの治療を受けると、多くの患者がまるでアレルギーが治ってしまったみたいに症状の出ない快適な生活を手にすることができるのですが、なかなか治療が普及しない。医療費を減らす意味でも普及することが大事なので、このクオリティーの高いガイドラインに沿った治療を実践段階として予防して、発症させないような方向に持っていくためには、残床研究にもっと大きな予算を取っていただいて、アレルギー疾患こそ生活習慣病予防と同じように、保健指導の段階から力を入れられるようにするためにも、臨床研究にもっと大きく予算を付けていただきたいと思いました。

2番目に、アレルギー相談センター事業の予算も非常に少ないのですが、相談員の養成研修、それからリウマチアレルギーの対策事業で研修会を行うという2つの予算も、もう少しきちんと充実をして、全国のキーマンになる方々の養成、又はアレルギー患者の相談というのは、少し一般論を知っているだけで相談に乗れなくて、やはり長年いい治療を受けられなかった患者は非常に医療不信、薬不信に駆られている方々に、標準的な治療を理解していただくための実効性のある、力を付けるための体制と予算が必要だと思っております。そこには、先ほど新田先生が発表の中に入れてくださった環境省所轄の独立行政法人環境再生保全機構が30年間にわたって真剣に発症予防をにらんだ保健指導研修をやっております。また、ここでは触れられておりませんでしたが、喘息の情報館というホームページを通じて、ガイドライン改定の度にホームページも充実して、また無償の啓発冊子も次々と作ってくださって、私たちが出向いた所の保健センターや研修会、又は患者のための講演会に大いに活用させていただいております。先ほど新田先生のお話の中で、環境再生の予防事業そのものを拡充するのは難しいというお話はあったのですが、やはりアレルギー対策基本法ができたここで、30年間のアレルギー学会の先生方との連継、蓄積、ノウハウに学ばない手はないと思いますので、確かアレルギー相談員の養成研修も最初の発端は環境再生に学んでスタートしたと伺っておりましたので、このアレルギー対策基本法こそ省庁間の連携が非常に大事ということになっていますので、そういうことで活用して、公害保障法とはまた別枠で、アレルギー対策基本法の中で厚労省からお願いをして研修をしていただくなり、何かやりようがあるのではないかと思っているのですが、その辺りを教えてください。

○佐々木がん・疾病対策課長 今日は、結論を出すという段階ではないと思っております。いずれにしましても、この会議でいただいている御意見を最終的にどういう形で指針にまとめていくかというところにつながっているお話だと思います。先ほどから、厚労省と消費者庁との連携の御指摘もいただいておりますが、当然環境省や文科省、その他の省庁との連携も、重要であるという認識でおります。

○海老澤委員 厚生労働省保育課の資料と文部科学省の学校のアレルギー対策についてのことなのですが、いずれもガイドラインを作ることに予算はつくのだと思うのです。そのガイドラインを作ったあとに、普及啓発がほとんどできていない。文部科学省で全国10か所でやっていますというお話がありましたが、とてもそういうものでは十分ではなくて、やはり何らかの中央と地方、市区町村教育委員会との連携とか、県の教育委員会の連携とか、そういうものをガイドラインを出した後に、きちんと進めていくことは非常に重要だと思うのです。2008年に学校のガイドラインを出したときも、突然もう何もしなくなったし、今回も去年の3月に我々が協力して作って出した後に、ほとんど何も動きがなくなりました。ですからそういう行政の担当者が代わったときの継続性とか、中央と地方との連携、ガイドラインを出した後に、今、地方、全国でどうなっているのかというような調査をきちんと評価した後で、行政は学校、あるいは保育所等のアレルギー対策がきちんと進んでいくものだと私は思うのです。それが、言い方は悪いのですが、余りうまくできていないのではないかと思うのです。そこのところをこういう基本法ができたことを契機に、どのように解決していくかという視点をもって、本来だったらプレゼンテーションをしてほしかったなと私は思いました。

 厚労省の保育課も今年、全国調査されて、それを活かしてまた今後展開をしていくと思いますけど、そういう今多分、全国でどれだけの市区町村がガイドラインに従っているかというデータは、多分お持ちではないと思うのです。そういうこともきちんと調べて、どうやったら啓発していけるかということをきちんとやっていかなければ、ガイドラインを出して出しっぱなしということで終わると、調布のお嬢さんみたいなことがまた起きないと、行政が動かないというようなことでは絶対にいけないのだと思います。

○厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課 貴重な御意見をありがとうございました。海老澤委員御指摘のように、現在全国の保育所約25,000全数調査を行っておりまして、ただいま集計中です。その集計結果を基に、来年度以降、研修計画やどういった研修内容がよいのかということを改めて検証していきたいと考えていますし、保育所で事故が起こらない体制、誤配誤食がち起こらない体制、そういったものを含めて検討していきたいと考えております。

○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 貴重な御意見をありがとうございます。私たちもを平成26年度に作成しました給食関係者向けの指針ですとか、ガイドラインの要訳版、研修用のDVDの活用の推進を促すために、今年度においても事務連絡を数度にわたり配出し、講習会、また都道府県の教育委員会の保健関係の指導主事を集めるような大会で、こういったものの活用を十分にするようにということを、再三お伝えしているところです。今後も周知の仕方をどのようにしていくべきかというところを、御意見を頂きながら考えて検討してまいりたいと思っております。

○斎藤会長 ありがとうございました。荒木田委員お願いします。

○荒木田委員 今、御質問のあったことと基本的には同じなのですが、私は看護職の立場として、看護師、保健士、養護教諭の養成にも携わっていますが、本当に第一線にいるのに、十分にケアできていないというようなとろは、本当に強く反省しております。ただ、今、法が動き出してからでも、それほど地域の保健所の中でとか、市町村の中でとか、学校のほうでも養護教諭、やはりあの事故があった後には、かなり養護教諭向けの研修は組まれたのですが、それほど研修がアレルギー対策、あるいは慢性疾患としてのアレルギー管理というところでの研修はそれほどなされていないような実態だというふうに思います。

 私は、ちょっと疑問として質問したかったのは、厚生労働省におけるアレルギー相談センター事業のところで、アレルギー相談員で、研修会を保健師、看護師等に対して研修会を実施しているということで、これは例えば年間どれぐらいが養成されているのでしょうかというところで、どれぐらいの量が輩出されて蓄積されているのだろうかというところが、まずは疑問だったのですが、看護のほうでも基礎教育、継続教育のところで、やはり対策を考えていくにあたって、こういったところでどれぐらいのマンパワーが生まれているのかを把握させていただきたいなと思って、質問させていただきました。

○佐々木がん・疾病対策課長 粗々な数字でございますが、5箇所で、500人ぐらいの実績でございます。必要があれば、資料を出させていただきますが、そのぐらいの数字です。

○斎藤会長 ありがとうございます。

○荒木田委員 ありがとうございます。

○斎藤会長 ありがとうございます。予定していた時刻は過ぎているのですが、栗山委員、何かございましたらお願いいたします。

○栗山委員 10年前にこれの前の委員会、厚労省でしてくださったアレルギー検討会の委員もさせていただきました。そのときに報告書が出たときに、ここで話し合ったことは今後、どう実現されていくのでしょうと、当時の御担当の方に伺ったら、栗山さんが各都道府県を回って、この報告書を持って歩いてくださいと言われたのです。私はそんなことを想定していなかったし、それは私にはとても無理ですとお話したのですが、冗談でも平気でそういうことを言える、そういう状態だったのですが、海老澤委員や園部委員のおっしゃるのと同じ意味でおっしゃったのかどうか、違うかもしれませんが、要するに作るのが大事ではなくて、普及啓発ということ、関係者や国民皆に知っていただいて、実行していただいて、患者のQOLが良くなっていくのが大切なことだと思うので、是非お願いしたいと思います。

 それに関しても、1番と3番は園部さんがおっしゃって、園部さんのおっしゃったことは全くそのとおりだと私も思いますので、それにプラスして、2番の普及啓発で、リウマチアレルギー特別対策事業費というのが、ほかのも少ないけれども、これもとても少ないなとおもいます。しかもリウマチアレルギーが一緒になって、この価格であると、アレルギーは一体どれぐらい配分されているのだろうと思ったのですが、時間もないことですし、その心配だけをお伝えしておきます。

○武川委員 厚生労働省の方にお願いしたいのですが、資料の6ページに子どもの食物アレルギーについては診療報酬上の規定がありますが、成人の食物アレルギーについてはどこにも出てまいりません。本田委員からも提案がありました。近ごろ成人の食物アレルギーがアナフィラキシーショックまで起こすことがあるということで、その受入先をどのように考えていくのか。その受け入れる際の診療報酬上の問題はどうされるのか、その辺のところをしっかり御説明いただければと思います。

○佐々木がん・疾病対策課長 今のご質問に関しては、担当部局ではありませんが、あらあら、お答えしますと、診療報酬の改定は、関係学会の御提案も踏まえていると聞いております。ですので、関係学会の中で、そういう点数が必要だということであれば、新しくそういうのを作るという提案をしていたくのだと思います。そういった細かい問題はておき、真にどれぐらい重要なのか、そしてそれにより、どのぐらいの恩典が患者さんにいくのかというようなことなどを踏まえて、協議会で御議論をして頂ければと思っています。当然、診療報酬について、御議論があったということは担当部局には伝えますが、新たな評価を創設するということが必要であれば、担当課である、我々としても納得のできる提案ができるように関係学会の先生方と意見交換させていただきたいと思っております。

○斎藤会長 日本アレルギー学会といたしましても、委員会で是非検討させていただきたいと思います。山口先生におかれましても、是非、御協力のほど、お願いいたします。

○海老澤委員 成人の食物アレルギーに関しては、GPC病院ですと、負荷試験のコード番号が設定されていまして、基本的には入院であれば検査で負荷テストとかそういうことは一応できることになっております。

○今井委員 厚労省の保育課に御質問なのですが、保育所における管理を進めて説明をしていただいたのもそうなのですが、今は宙に浮いている所として、小規模保育、家庭的保育という所までなかなか手が回っていない部分もあるのではないか。あとは学童クラブとか、小学校の放課後のお子さんたちが集団で管理されているような所もあります。そういった辺りに関して、どのような対策を今後講じようと考えていらっしゃいますでしょうか。

○厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課 保育課です。小規模とかについては、保育所に準じた形で対応するようにということで、現在調整しております。また、放課後児童クラブについては文部科学省とも連携した形で対応できるように現在調整を行っております。

○園部委員 そのことに関連して文部科学省にお伺いしたいのですが、アレルギー研修ですが、どこの自治体にお伺いしても、幼稚園の職員の方々の参加がなかなかありません。幼保一体の流れで、内閣府も含めて、前にも昨年度までの間にも何回か文科省の方に幼稚園の方の研修参加を促していただきたいということをお願いしていたのですが、この辺については今はどうなっているでしょうか。

○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課 御質問をありがとうございます。幼稚園については園部委員の御指摘のとおり、内閣府等関係省庁がございますので、そういった所と連携して進めていく必要があると考えております。

本日お配りしております資料 8 のスライド 2 になりますが、幼稚園も含めて対象として参加していただいているという状況ですので、そういった所を活用していただければと思っております。

○荒木田委員 お時間が迫っているところを大変申し訳ございません。小学校、中学校、高校のところでは、特に小学校、中学校では養護教諭は必ず置かれております。しかし、幼稚園では養護教諭の配置はすごく少なくて、保育園でも看護師の配置が非常に少ないという状況ではあります。養護教諭がいるから何ができるというところは確かにあるかもしれませんが、でも、一応保健に関することだとか、健康管理に関する主たる役割を担っているという職員がいるのといないのとでは大分違うと思います。幼稚園での養護教諭、保育園での看護師等の配置等も、視野に入れた御検討も入れていただければなというふうには思いました。

○斎藤会長 ありがとうございました。それでは、どうぞ。

○岸平委員 すみません、今ちょっと直面している問題がございまして、千葉市では4月から給食の完全除去をしようと思っております。それに関して文部科学省から給食に関する指針を出していただいたことで、大変ありがたかったのですが、調味料に関しては完全除去の対象にしないというふうな指針を出していただきまして、それにのっとって、4月からの給食の献立を今、正に決まっているところではあるのですが、細かい問題がいっぱい起こってきまして、例えばパン粉を使おうとしたときに、小麦の粉はもちろん駄目なのですが、パン粉の成分に大豆というのが入ってきてしまって、では、これは大豆アレルーの子にはパン粉を使った献立は出せないのか、こういう細かい疑問がいっぱい出てきております。こういった質問が教育委員会にたくさん寄せられていまして、こちらも実は返答に困ってしまい、アレルギーの専門医に御意見を伺いながら対応しているところなのですが、このようなことに対応していただける窓口ですとか、そういった所がほしいなと今、切に感じているところです。

○斎藤会長 そうですね、必要だと思います。次回以降の委員会で、是非検討していきたいと思いますが、とりあえず、今井委員か海老澤委員、何かございますか。そういう方向性というか、取組みの。

○海老澤委員 そういう文部科学省で出した指針に対して疑義、あるいは問合せがあるのでしたら、今日いらしている方に、ダイレクトにメールするなり、電話するなりして、問い合わせればいいと思います。

○斎藤会長 ということでございますが、次回以降も続けて議論していきたいと思います。

 それでは時間がまいりましたので、本日の協議会を終了したいと思います。次回ですが倉本委員からの森林分野に関する御説明、そして自治体の取組の調査の結果について御紹介をできるよう、検討しているところです。また、これまでの御意見を整理したものをお示ししつつ、この基本指針の骨子案についても議論を開始していきたいと考えております。最後に事務局から連絡事項等をよろしくお願いします。

○斉藤がん・疾病対策課長補佐 次回の協議会は413()15時から行う予定です。場所等の詳細はまた追って御連絡をさせていただきます。お忙しい中、恐縮ですがよろしくお願いいたします。

○斎藤会長 ありがとうございました。委員の皆さん、長時間にわたりどうもお疲れ様でした。これをもちまして、本日の協議会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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