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2016年3月9日 「第2回 労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」議事録

○日時

平成28年3月9日(水)10:00 ~ 12:00


○場所

厚生労働省 中央合同庁舎5号館19階 共用第8会議室


○議題

(1)労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の診断項目について」
(2)その他

○議事

○小林中央じん肺診査医 本日は、大変お忙しい中、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 定刻になりましたので、ただいまより第2回「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」を開催いたします。

 カメラ等の撮影はこちらで終了とさせていただきます。

 なお、本日は、岡田委員、小林委員が所用のため御欠席です。

 これ以降につきましては、座長より議事をお願いいたします。

○山口(直)座長 おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 では、最初に事務局のほうで資料の確認をお願いしたいと思います。

○小林中央じん肺診査医 それでは、配付資料の確認をいたします。

 座席表

 議事次第

 資料1「一般健康診断結果を用いた就業措置区分の判定について」

 資料2「作業関連疾患の予防等に資する一般定期健康診断を通じた効果的な健康管理に関する研究」

 資料3「定期健康診断等の診断項目に係る資料」

 参考資料1「特定健診審査・特定保健指導のあり方に関する検討会資料」

 参考資料2「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の在り方に関する検討会要綱」

 参考資料3「第1回労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会の議事録(案)」

 不足する資料がございましたら、お知らせください。

○山口(直)座長 よろしいでしょうか。

 それでは、議事に入りたいと思います。本日は、労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の検査項目の中で、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、尿糖検査の4項目について御検討をお願いしたいと考えております。

 最初に、段取りについてちょっとお諮りをしたいと思います。並行して進んでおります「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」の検討の状況を事務局のほうから御説明をお願いしたい。

 2番目に、定期健康診断の就業上の措置等の活用状況について、定期健康診断の研究に携わっていらっしゃる森晃爾委員のほうから説明をしていただく。資料1です。

 2番目に、東京大学の大久保靖司教授に本日いらっしゃっていただいておりますので、大久保先生の研究班の成果についての御報告をお願いしてございます。

 それで、先ほど申し上げました4項目の検討を進めていきたいと思いますが、そういう議事進行でよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○山口(直)座長 ありがとうございます。

 それでは、最初に、事務局のほうから「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」の進行状況について、御説明をよろしくお願いいたします。

○前田主任中央じん肺診査医 では、参考資料1「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会資料」に沿って説明いたします。

 通し番号の1ページ目は、脂質、肝機能、代謝系の検査項目について、検査と事後措置の観点から分析したものでございます。

 網かけをされている箇所が課題がある箇所で、1段目の中性脂肪と下から3段目の空腹時血糖は、「空腹時採血が望ましいが、健診現場では必ずしも空腹時採血が実施できないことがある」とされております。

 上から3段目のLDLについてでございますが、「直接法は測定精度に懸念がある」とされ、総コレステロールは、「日本人はHDLコレステロールが高いことが知られており、保健指導対象者の選定に用いると過大評価となる懸念がある」とされています。

 肝機能検査は、3つの検査とも「肝機能異常の重症化の進展の早期の評価」が目的であり、「40歳から74歳で詳細な健診として実施する対象者の選定が過大」とされ、「保健指導及び受診勧奨判定値は定められているが、保健指導方法が明確でないことが課題」とされています。

 一番下の段の尿糖は、「精度は濃縮尿や希釈尿では過大あるいは過小評価する可能性があること。有効性は糖尿病の診断基準に位置づけられていないこと」がそれぞれ課題とされております。

 2ページが脂質の論点でございます。

 中性脂肪は、空腹時でなくても活用可能ではないか。

LDLは廃止し、non-HDLを保健指導対象者の選定に用い、総コレステロールを項目に追加してはどうかとされております。

 3ページの肝機能の論点でございます。

 虚血性心疾患や脳血管疾患の該当者・予備群の減少が目的ではないなら、健診項目を整理してはどうかとし、代謝系の論点は、血糖値を空腹時でなくても活用してはどうか、尿糖は健診項目とすることを見直してはどうかとされております。

 4ページから厚労科研費、寺本班の概要でございます。

 下の段の脂質異常症につきましては、各国共通の項目は総コレステロール、HDLLDLは日本のみで使用されております。

 5ページが、LDL直接測定法の問題点として、正確性に疑問を投げかける論文が公表され、国際的に広く測定されている総コレステロールの値が消失したことで、グローバルな情報発信には問題が起こり得るとしております。

 下の段のnon-HDLにつきましては、総コレステロールからHDLを減じた簡便な指標であること、HDLの直接法の測定には精度に疑義が出されていないことが示されております。

 6ページは、日米の脂質の直接比較で、HDLが有意に高いことが示されております。

 下の段の文献レビューでは、non-HDLの予測能がLDLよりすぐれるという論文が21件、両者の予測能に差はないという論文が14件、LDLの予測能がnon-HDLよりすぐれるという文献はなかったとされております。

 7ページから8ページにかけまして、日本の4つのコホートデータが示されております。

LDLnon-HDLの心筋梗塞に対する予測能は同程度と考えられたとされております。

 そして、non-HDLのカットオフ値につきましては、8ページから9ページにかけまして、吹田研究から検証すれば、9ページの上の段の欄外にありますが、190mg/dL以上とされております。

 9ページの下の段は、LDL直接法試薬の再検証についてです。LDL直接測定法はほぼ日本でしか使われていないこと、米国からその測定精度について疑義が出されていること、日本でも検証を行ったところ、特にトリグリセライドが高いと真の値とのずれが大きくなることが挙げられ、寺本班が検証したところ、いまだ精度が不十分な試薬も存在し、使用されていたとされております。

10ページから11ページにかけましてが随時採血のトリグリセライドについてでございます。日本人集団のコホート研究の結果、空腹時、随時とも冠動脈疾患、糖尿病の発症と関係しているとされております。

12ページからが厚労科研費の永井班の概要でございます。

 発症予測能として将来の脳・心血管疾患及び糖尿病を予測できる指標であるかという観点から、これをアウトカムとしたコホート研究のレビューが行われてございます。

13ページでございます。アメリカ、ヨーロッパ、イギリス、日本の5つの診療ガイドラインに用いられておりますリスク評価ツールと日本の7つの疫学研究に用いられている危険因子で共通しているものが血圧、糖尿病、血糖値、コレステロール、喫煙であり、14ページにはこれらの項目が健康日本21(第二次)の目標となっているとされております。

 その下の段の脂質異常症につきましては、寺本班の報告で述べたとおりでございます。

15ページは糖尿病についてでございます。こちらでは、各国共通で必ず含まれる項目であること、メタボリックシンドロームの構成要素としては、空腹時血糖を用いること、特定健診での現状は、矢印の3つ目でございますが、日本人を対象とした一般集団のコホート研究で、空腹時血糖、随時血糖、HbA1cのいずれも脳・心血管疾患の発症・死亡を予測し得るとしており、尿糖につきましては、血液検査で糖尿病の判定がされるのであれば、この検査を実施する意義があるのか疑問とされてございます。

 そこで、15ページ下ですが、一般集団のコホート研究で、75グラムの糖負荷試験、空腹時血糖、随時血糖、そして16ページ、HbA1cを指標とした研究では、いずれの指標を用いても糖尿病領域では有意な脳・心血管疾患のリスク上昇を認めるとしてございます。

16ページの下の段です。肝機能の検査項目として文献レビューしましたところ、糖尿病と有意な関連を認めた文献が下の表でございますが、GOTで0、GPTで3、γ-GTPで9でございます。

 脳・心血管疾患と有意な関連を認めた文献が、GOTGPTが重複したものが1、γ-GTPが3となってございます。

17ページがアブストラクトテーブルですが、GOTGPTが重複したものが4段目の岩井らの論文でございます。

18ページと19ページでは、GOTGPTの有所見者の重複を見ると、GOTのみ異常値という集団は人数が少ないということ、メタボリックシンドロームの有病率が低いことを示してございます。

19ページの下の段でございますが、GOTGPTと比較しまして、γ-GTPは飲酒習慣と明確な関連を示してございます。

20ページからは特定健診データベース分析から見た各検査値有所見率、平均値、特定保健指導の効果についての資料でございまして、2010年の2,240万人の資料が示されてございます。

20ページの下の段ですが、中性脂肪は、高齢になるほど男性は低下し、女性は上昇いたします。

21ページのHDLは、高齢になっても男性は横ばいで、女性は下降するということ。LDLは、男性では下降し、女性は上昇の後に下降するということが示されてございます。

22ページの空腹時血糖でございますが、高齢になると男性は上昇の後に下降し、女性は上昇する。

HbA1cは、男女とも年齢とともに上昇するというデータが示されてございます。

23ページの糖尿病有病率につきましては、男性10.6%、女性5.9%となっており、男女とも年齢とともに正常血糖者が減る傾向があるということでございます。

24ページでございます。特定保健指導終了者につきましては、腹囲、体重の減少、そして血糖、血圧、脂質の減少が認められているとされてございます。

25ページの下の棒グラフですけれども、体重を3%以上減少させれば、健診項目10項目の全てにおいて有意な改善が認められたとするものでございます。

 以上が2月2日に開催された検討会の資料でございますが、その議論の結果につきましては、2月19日の健康診査等専門委員会で報告されております。その内容は42ページのとおりでございます。

 こちらは「第3回特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会の概要」でございます。

I.健診項目について

 1.健診項目全般について

 内外の診療ガイドライン等で将来の虚血性心疾患や脳血管疾患の発症・死亡を予測する指標(危険因子)として共通しているのは、血圧、喫煙、コレステロール(総コレステロール)、糖尿病であり、これらは脳・心血管疾患の予防を目的とした健診では必須検査項目とすべき指標である。ただし、健診においてコレステロールや糖尿病をどの検査指標で評価するかについて検討を要する。

 2.脂質について

 中性脂肪は随時採血であっても虚血性心疾患や脳血管疾患の発症予測能があり、健診項目として活用可能である。

non-HDLコレステロールを保健指導対象者の選定に用いる。(空腹時採血であればフリードワルド式で算出されるLDLコレステロールも使用可)

LDLコレステロール直接測定法を健診項目から廃止し、総コレステロールを健診項目へ追加する。

 3.肝機能について

 肝機能検査は肝機能障害の重症化を早期に評価するための検査である。

 特に、虚血性心疾患や脳血管疾患等の発症予測能の低いASTGOT)は、特定健康診査の健診項目からは廃止することも可能とする。

 肝機能検査を実施すべき対象者、検査間隔等は改めて検討する。

 4.代謝系について

 随時血糖でも虚血性心疾患や脳血管疾患の発症予測能があり、健診項目として活用可能である。

 尿糖は健診項目から廃止することも可能とする。

II.その他

 健診項目は基本的な項目と医師の判断に基づき選択的に実施する詳細な健診の項目に区別されているが、健診項目に対応する主たる介入方法の違いに着目して、主として保健指導が必要な者を的確に抽出するための項目と、主として要医療者を抽出する項目に分類してはどうか。

とされているところでございます。

 説明は以上でございます。

○山口(直)座長 ありがとうございました。

 後で十分な議論をしたいと思いますが、ただいまの御説明に御質問がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。

 では、また後ほどお願いしたいと思います。

 それでは、次に、森委員から「一般健康診断結果を用いた就業措置区分の判定について」ということで、御発表をお願いしたいと思います。

○森委員 それでは、発表させていただきます。私は産業医科大学の森と申します。前回1回目の検討会は都合により欠席させていただきまして、今回から参加させていただいております。

PP

 一般健康診断の結果はさまざまな形で用いられますけれども、主に就業措置または就業制限にかかわることについて研究として取り組んでまいりましたので、今日はそのことを中心にお話をしたいと思っております。

PP

 皆さん御存じのとおりでございますが、一般健康診断は、全労働者、働く人に実施することが事業者に義務づけられており、その結果に基づいて医師による判定がなされます。

 医師による判定の中には、職務適性を主に評価して、その結果に基づいて、事業者が意見を聞いて就業措置を行うという流れ、これは労働安全衛生法上の義務になっている流れと、主に健康リスクを評価して、それに基づいて努力義務としての保健指導を行っていくという流れがございます。

PP

 このうち職務適性、就業上の判定に関しましては、国の指針に基づいて就業区分を付けることになっていますが、就業区分には、「通常勤務」、すなわち通常の勤務でよいものと、「就業制限」「要休業」という区分が基本になっております。

 要休業というのは、一般健康診断の結果に基づいて行われることはそれほど多くないわけでありますが、就業制限が健康診断の就業上の判定としてはとても重要になると思います。しかし、これまで就業制限について、どのような判定方法、基準で行うか、そのあたりについての十分なデータ、エビデンスがございませんでした。

PP

 そこで、厚生労働科学研究補助金、労働安全衛生総合事業の一環としまして、就業措置または就業制限にかかわる内容について検討を加えてまいりました。

 最初に、産業医が、就業制限が必要と判定したケースを収集しました。100例近いケースが集まったと思います。それぞれについて、どのような理由で、なぜ就業制限が必要と考えたのかを聴取し、就業制限の判定の理由を類型化する試みを行いました。その結果、主に一般健康診断の関係では3つの類型に分類されるという仮説ができ上がりました。

 類型1としまして、就業が持病の疾病経過に悪影響を与えるおそれがあるような状態。例えば心不全、腎不全や貧血を持つ労働者に重筋作業をさせるような場合が相当します。

 類型2が健康状態が原因で事故や災害につながるおそれがある。それによって御本人の生命または周囲の方々の生命に危険を及ぼす可能性があるような状態ということで、例えば一部の不整脈や脳疾患など、一過性意識障害を来すおそれのあるような就業者を危険業務につけるような場合です。

 類型3は、生活習慣と関連した大きな健康リスクがあるにもかかわらず、勤務実態が適切な受診行動や生活習慣の確保を妨げており、就業制限をかけることによって、適切な受診行動及び健康管理を促す必要があるといった類型でありまして、例えば糖尿病のコントロール不良者に対して就業制限をかけて、規則正しい生活習慣の確保を促すとか、脳・心臓疾患のリスクの高い労働者に対して就業制限をかけ、睡眠時間の十分な確保を促す等、こういったような目的の類型が挙げられました。

PP

 では、その類型ごとに、どのような情報があれば医師は就業制限が必要なのかという判断ができるかということでありますが、類型1に関しましては、ほとんどの場合、既に主治医をもって治療を行っておることが前提になりますので、主治医との病状に関するコミュニケーション情報があることが必要であろう。

 事故とか公衆災害リスクにつながるような状態における就業制限、類型2に関しましては、これも当然主治医からの意見をもとにするわけですが、最終的には意識消失発作や突然死の発生確率等に関するエビデンスとか、不整脈については既に学会がガイドラインを出しておりますが、そのようなガイドラインといったものが重要な情報になります。

 しかし、類型3に関しましては、健康状態というのは、コントロール不良と一言で言いましても、連続性がございますので、どこから就業制限をかけるべきかということの明確なエビデンスを決めることはできません。そこで、これについて一度産業医のコンセンサス調査を行おうということで、研究を行いました。

PP

 このコンセンサス調査におきましては、就業制限をかける可能性のある一般健康診断の項目として、法定の血圧、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査に加えまして、大手の企業においてはしばしば健診項目として追加でされております血清クレアチニン、腎機能を見るもの、それから尿酸、血小板数を追加して調査を行いました。

PP

 調査の方法は、デルファイ法という方法を用いたわけでございます。

 まず、対象となる産業医として、3年以上のフルタイムでの産業医経験または労働衛生機会の経験のあるメンバーを106名リストアップしまして、その106人に対して、この研究へ参加するかどうかを尋ねまして、85名が参加意思を示しました。最終的に83名がこの調査に繰り返し回答いただいたわけです。

 質問としては、先ほどあった健診項目のうち、単項目の異常があった、異常は単項目だったとしても、就業制限を検討する可能性があるか、また就業制限を検討するとしたら、いくつ位の値から検討するのか、そのような質問を行いました。必ずしもその数字に到達するとすぐに就業制限をかけるというわけではありませんで、あくまでも就業制限を検討する値という位置づけであります。

 同じ調査を3回行いました。1回目と2回目の結果は、その都度参加者に対してフィードバックして、他の方々の意見を参考にしながら2回目、3回目の回答を行うという流れをとりました。最終的に3回目の結果をコンセンサス調査、1回目を現状の実態調査という形で位置づけました。

PP

 最終的に3回目の段階で各項目について、単項目でも就業制限を検討すると答えた割合、このうち特に50%以上の参加者が答えた項目は、収縮期血圧、拡張期血圧、血清クレアチニン、ASTGOT)ALTGPT)、空腹時血糖、随時血糖、HbA1cでした。ここは注意が必要なのですが、当時、まだ健康診断ではHbA1cJDS方式で行っておりましたので、JDSの方式での値ということになります。そして、50%に若干足りなかった項目として血小板数が挙げられます。

 スライドの項目のうち、イタリックになっているものは、現在法定項目ではない項目であります。

PP

 脂質につきましては、どれも単項目では就業制限を検討するという項目にならなかったわけでありますが、先ほどの資料にもございましたように、脂質異常は複合的にリスク評価に用いるのが一般的でありまして、ほとんどの心疾患のリスク評価には脂質が入っておりますので、そのようなことを意識して単項目ではかけないという判断になったということが、自由回答の情報からは得られております。

PP

 これがHbA1cの3回行った調査の結果であります。1回目には、HbA1c8.0%、10.0%のほかに、さまざまな値で就業制限を検討するという回答がございましたが、3回繰り返すうちに、10.0%が約50%、8.0%が20%程度、9.0%が5%強となったように、ある程度コンセンサスとして集約されていったという形になります。

PP

ALTに関しましては、最終的には200をトップに、300または100というところでも就業制限を検討するという結果が一部の回答から得られております。

PP

 今の話、ALTGPTですけれども、実はASTGOTに関しましては、ALTで代表させるということで、今回コンセンサス調査を行っておりません。最終的に50%の回答者が単項目の異常で就業制限を検討したうち、最頻値を回答した者が50%を超えた。つまり、ある一定の数字にコンセンサス、データが集約をしたという項目が、ここに挙げました収縮期血圧、拡張期血圧、血清クレアチニン、ALT、空腹時血糖値、随時血糖値、HbA1c、ヘモグロビン、全部で8項目でございます。それぞれ最頻値がどのような数字だったのか、3回目に何%の人が最頻値を答えたのかというのが表に示した数字です。

PP

 この結果をまとめますと、一般健康診断の健診項目の職務適性管理への利用としましては、現在、血圧と貧血検査と肝機能検査と血中脂質検査と血糖検査が一般的に用いられているということになります。括弧内は現行の法定項目でありますので、先ほどございましたように、例えばLDLコレステロール以外のことを入れかえるとか、そういうこともあり得るとは思いますが、こういった5項目の検査が実際に活用されているわけです。

 追加項目としては、腎機能、腎不全をあらわす血清クレアチニンが候補になりますが、これにつきましては、現行では腎機能と関連して尿蛋白検査が法定項目になっておりますので、尿蛋白で代替できるかどうかという検討を行う必要があるのではないかと思います。

PP

 類型3というのは、先ほど言いましたように、現行の生活、主に仕事の状況をそのまま維持すると、ハイリスクの健康状態をなかなか改善できないような状況においてかける就業制限といったような説明をさせていただきました。この類型3に対して、会社、事業者と組んで就業措置を検討しながら、あわせて保健指導等の介入を行っていくことによって、果たしてコントロール不良者が改善するかどうかという検討を行いました。

 この検討の対象は、ある大手メーカーがグループ企業全体の産業保健活動を標準化して、子会社、関連企業についても同等レベルでやっていくという方針に基づいて、特に全国に拠点を持つ販売系の会社、営業所に対して、都道府県単位の支社で産業医を選任していくという取り組みを行ったときの結果であります。

 この取り組みは、最初は産業医だけの選任をし、現在は保健師まで採用して強化しております。当初産業医が選任されただけでありましたので、産業医の1人の力でエリアに広がる営業所全てをカバーするためには、主にハイリスク者に対しての介入だけが基本になりました。

 この体制の整備は支社単位、地域単位に順次行ってきましたので、実は2010年の段階ではどこも行っておりませんが、2013年には九州支社においては産業医が選任され、活動が強化されていましたが、本社地区を除いて他の地区は新体制になっていませんでした。この時間差を狙いまして、そういったハイリスク者の管理にどのぐらい効果があるかということを検討しました。

PP

 この結果はHbA1cの値だけでありますけれども、8.0以上、すなわちオレンジより上を見ていただきますと、介入がされていない群におきましては、2010年は0.7%の人がHbA1c8.0%以上であったのが、2013年は変化がみられませんでした。しかし介入群においては1.4%が0.4%という形で、3分の1以下に減少しました。

PP

 これは最後のスライドでございます。定期健康診断が労働者の健康保持・増進のために効果を上げるためには、事後措置(就業措置)及び保健指導によって、改善に向けた働きかけが行われることが前提でありますので、健康診断を受けたというだけではそのような改善が図れないということなので、事後措置および保健指導はとても重要である。

 そのうち、就業措置の対象には、主に3つの類型が存在しているという分類ができる。

 現行の健康診断は、現在の産業医が行っている就業措置の内容を調査すると、職務適性の評価を行う上で必要最低限をカバーしているとみなし得る。

 就業制限と受診指導や保健指導を組み合わせることによって、ハイリスク者の改善が期待できるということが、特に高いリスクの方々については言えるのではないかと思います。

 一般健康診断は一部の機会でありますので、実際の産業保健活動については、例えば長期で休んだ方の職場復帰の場面とか、さまざまな場面において職務適性の評価と対応がされております。このような機会を組み合わせて今後も積極的に労働者の健康保持・増進を図ることが必要だろうと考えております。

 以上です。

○山口(直)座長 森先生、どうもありがとうございました。

 ただいまの御発表に御質問がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 先生、このコンセンサス調査は、類型3についてということだったと思うのですけれども、類型1とか類型2について何か御検討はあったのでしょうか。

○森委員 この内容は必ずしも類型3というだけでなく、類型1も一部含むのだと思うのですが、類型1に関しては、対象となる項目が恐らく一般健康診断の項目だけではなくて、全ての疾病が含まれると予想されるために、今回健康診断の項目という調査の中では行っておりません。

 類型2については、実際に世の中にあるエビデンスがどのぐらい類型による就業措置で使えるのかということのエビデンス収集を行って、研究班のホームページにも掲載しているのですが、実際臨床のガイドラインで就業上の配慮にかかわる項目が入っているガイドラインが極めて少ないというのが日本の現状でありまして、欧米のものにはかなり出てくるのですけれども、そういったことで臨床の学会ともコミュニケーションをとりながら、一緒につくっていかないといけないのではないかと思います。

 ちなみに、不整脈については、日本産業衛生学会も日本循環器学会と一緒になってつくったものでありますので、今後そういった検討が必要ではないかと考えております。

○山口(直)座長 ありがとうございます。

 御質問いかがでしょうか。どうぞ、お願いします。

○福田委員 福田です。

 類型3のところなのですが、先生が御指摘になったように、「適切な受診行動および健康管理」と。これは言葉を変えて言えば、事後措置における保健指導だと思うのですが、実際に産業医の立場ですと、就業措置は割と楽なのですね。制限をかけるということは。保健指導ということになると、産業医だけではちょっと足らなくて、保健師さんであるとか看護職であるとか、その手を借りる。しかしながら、今後の日本の全体を底上げするためには、類型3のところを一般法定健診においても充実させるべきだと考えているのですが、先生の御意見はいかがでしょうか。

○森委員 類型3について、コンセンサス調査に基づいたということは、つまり、ある程度のところまでは本人の努力に委ねるような保健指導的な対応が必要だと考えていますが、あるレベルを超えて、例えばその方が長時間労働または深夜勤務、交代勤務を行っているという状況において、保健指導だけで本人の努力に委ねることが果たしてできるか。またはそれによって起こる5年後に就業が継続できなくなるといったような、明らかに仕事上の問題が生じるような事態になり得るというレベルにおいては、就業制限といった形で仕事の時間の調整を行ったうえで、あわせて保健指導を行っていくといったような、いわゆる複合的な介入を行うということが健康の保持では必要ではないかと思います。類型3はそのような対象だという理解をいただければと思います。

○福田委員 ありがとうございます。

○山口(直)座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 では、森先生、どうもありがとうございました。

 では、続きまして、東京大学環境安全本部の大久保靖司教授から、資料2に基づいて御発表をお願いしたいと思います。

○大久保教授 東京大学環境安全本部の大久保と申します。よろしくお願いいたします。

PP

 この表題どおりの研究を、今、進めているところでございまして、平成26年度から平成28年度にかけてということでまだ途中でございます。ですので、今日御報告させていただくところも実はパイロットスタディーの状態でございまして、最終の報告は翌年度になるということを御理解いただきたいと思います。

PP

 研究の中身につきましては、ここに挙げていますとおり、かなり幅広くさせていただこうと考えておりまして、現在進めている最中でございます。

PP

  健康診断の項目についてということで、今日御検討しておられると聞いております。

 ただ、健康診断につきましては、言葉がさまざまな意味でとられかねないかなと思いまして、簡単な図を1つ挙げております。健康診断というのは、非常に狭い意味で言うと、血液検査をし、身体計測などをして、それで判定をするというところまでという考え方もあります。けれども、保健指導であるとか就業上の措置まで含めて、そこまで行って完結をする、普通そこまで行くと「健康管理」と呼ぶわけですが、広い意味での「健康診断」というふうに呼び、一連の健康診断の流れと考えてもよろしいのかと思います。ただ、最終的な目的は変わりはありません。

PP

 御存じのとおりだと思いますけれども、「健康診断」と一口で言ってもさまざまなものが中に含まれております。今回は「一般健康診断」と呼ばれるものが対象と伺っております。それ以外にも、いわゆるがん検診であるとか、人間ドックであるとか、特定健康診査といったさまざまなものがありますが、それぞれ目的があって実施されているものです。職域においては、今回のテーマは安衛法に基づく一般健康診断の中の特に「定期健康診断」と呼ばれている部分とお伺いしています。

PP

 しかし、実際に現場、職域で健康管理をする者にとっては、安衛法に基づく一般健康診断だけではなくて、いわゆるがん検診を扱っていることも決して珍しくありませんし、その他、職務適性に関する評価をする場合もあります。また、将来的に労働力を確保するということで、従業員の健康度を上げるということを目的にしている場合ももちろんあります。

PP

 当然ながら特定健康診査にも健保を介して関与するということも決して珍しくないということで、ここで色をつけている部分が、職場で健康管理をしている者として関わりを持つ可能性のある部分になります。人間ドックまで関わっている場合もあるかと思います。

 ですので、私どもの研究の範疇としましては、右上にある労働安全衛生法に基づく一般健康診断だけでなくて、もう少し広い範囲まで入っているので、その部分は御了解いただきたいと思います。

PP

 まず、定期健康診断成績の分布等につきまして、先ほど永井先生の研究班でされた報告がございましたけれども、私どものところでは勤労者、働いている方々を対象にデータを集約しているところでございます。現在そのデータベースは整備中でございまして、今、データのクリーニングなどをしているところです。ですので、きょうお示しするのは、関東地区にあります企業1112施設で、従業員数が約8万人ぐらいのところのデータになります。

 これはもともと職域多施設共同研究、J-ECOHと呼ばれます研究グループがありまして、そちらに参加されている事業場のデータを使わせていただいております。

 今回のデータの取りまとめは、本研究の分担をしていただいております溝上先生に御協力いただき、2013年の定期健康診断として実施された健康診断結果からお示ししています。

PP

 これらの項目は法定にある項目でございます。

PP

 この中で分布をとっておりますのは、肝機能検査、脂質検査、貧血検査、血糖検査、血圧、身体計測です。

PP

 こちらのほうの図は、それぞれのところにデータをつけております。分布がこのような形になっているわけですけれども、矢印が2つございます。上から5%のところの方が入っているカテゴリーが右側の矢印、左側の矢印は下から5%の人が入っているカテゴリーを示します。目安ということでつけているだけで、このぐらいの幅の中に90%の方が入っているのだということを見やすくするためにしたものです。

PP

 肝機能検査について、ASTですけれども、このような形で分布をしていて、男性のほうが若干高目になっておりますが、余り大きな違いはありません。

PP

 先ほどの報告と同じように年齢とともに徐々に上がっていくというのが示されております。

 ただ、永井先生たちのほうの研究では、特定健康診査ですと40歳以上しかデータがございませんけれども、こちらのほうでは40歳未満も入っております。見ていただきますと、30歳代であっても40歳代と余り大きく違わないという印象があります。

PP

ALTについても同じような形になってまいります。

PP

 男性、女性の区分を見ていただいても、こういう形になっています。女性の数がどうしても少ないので、形としてはちょっと違う形に見えるかと思います。

PP

 年齢階層によっても、同じように年齢とともに上がっていくというのは、男性、女性ともに変わりはありませんが、極めて低いと見てとれるのが20歳未満ぐらいから20歳代の前半ぐらいまで。30歳代になると大体同じような値から始まっていくという形で、40歳でなく、もう少し前のあたりから数値は上昇してきているのかもしれないなということを考えていますが、そこらについては翌年度調査させていただくことを考えています。

PP

 γ-GTP、見ていただくと、100を超えているところがどんと増えていることがわかります。

PP

 その次のところの男性、女性別を見ていただくと、100を超えている方はほぼ男性というのがよくわかります。やはりアルコールなどの影響によるものということが推定されるわけです。多分この分布は二峰性になっているのだなということが予想されるところです。

PP

 年齢階層についても、同じように年齢とともに上がっていくのが見てとれます。

PP

LDLについては、きれいな正規分布に近い形になっております。

PP

 男性のほうと女性のほうではピークの位置が違ってきております。

PP

 年齢とともに上がっていき、60歳を超えると落ちてくるというところは余り大きな違いはなさそうです。

PP

HDLについても同じように分布を出しております。

PP

 男性、女性を見た場合に、女性のほうが高目になっているというのが特徴で、血液検査のデータとしては女性のほうが良好な値を示していることが多いようです。

PP

 中性脂肪については、かなり右に伸びた形の分布になっておりますので、上から5%のところが280300の間のところになってくるということです。

PP

 男性、女性を見ていただくと、やはり女性のほうが全体に低目という形になって見てとれるところです。

PP

 男性、女性の区分でも同じです。

PP

 赤血球数も同じように分布を出しております。女性のほうがピークとなっている値が低いということは、グラフのほうでも数値のほうでも見ていただければわかると思います。

PP

 ヘモグロビンも同様になっています。

PP

 ここら辺は年齢的に特に変わりはありませんでした。

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 血糖値につきましては、年齢階層が上がっていくにつれて徐々に数値が上がっていくという傾向は見てとれます。やはり40歳代ぐらいから100に近くなってくることが見てとれました。

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HbA1cについても同じように、年齢が上がるにつれて徐々に上がっていくということが見てとれます。

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 ただし、糖尿病の治療をしている方としていない方の区分がとれましたので、治療をしていることがわかっている方につきましては、平均値をとってみますと、治療なしの方が5.45.5に比べて、治療した方は7.4ということで、どうしても高くなっているというのがあります。ですので、こういった分布は本来分けてとるべきなのだと思います。

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 収縮期血圧についても同じです。

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 これも年齢とともに上昇していくことが見てとれます。

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 拡張期血圧も同様になります。

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BMIにつきましては、40歳代ぐらいのところでピークを迎え、徐々に下がっていくというのは、男性のほうの特徴になっています。

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 腹囲についても同じです。

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 腹囲についても、40歳代ぐらいから男性は84cmぐらいになり、あとは余り大きな動きはありません。

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 女性のほうにつきましては、40歳代ぐらいは7576cmぐらいのところでずっと続いていくということになります。

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 問題は、法定外の健診項目の分布なのですけれども。

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 尿酸値のほうを見ていただきますと、全体としてはなだらかな正規分布に近い形になっております。

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 男性、女性を見ていただくと、当然ながら数値の平均値は違ってきます。

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 年齢階層で見た場合に、私どもが医学生のときには、尿酸値というのは年齢とともに下がっていくということで、若いときは高くて、高齢者になると落ちるというふうに習っていたのですが、実際勤労者を見てみますと余り大きな違いがないということが見てとれました。これは今までと違っていて、おもしろかったかなと思うところです。

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 クレアチニンについても同じです。

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 クレアチニンについては大きなぶれはなく、ほぼ皆さんが0.8から0.6といったところぐらいまでで、0.8台ぐらいのところでとどまっておりました。女性のほうは若干低くて、0.6台ということで、年齢階層とともに徐々に増えつつありますが、大きく動くことはありませんでした。

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 総コレステロールについては、同じように正規分布に近い形をしています。

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 数値としては、年齢とともに上がっていき、60歳を超えますと徐々に落ちてくることが見てとれますけれども、年齢とともに上がっていくものの一つだということが見てとれます。

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 というので、現在のところ、健康診断の結果、分布を見させていただきますと、こういった形で年齢とともに動いていくものと動かないものがあるということがわかってきました。実はもう少し細かい区分をとって見てみたいところなのですが、これは翌年度の計画になっておりまして、今回はここまでで御勘弁願いたいと思います。

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 続きまして、適正配置の観点から一般健診項目の活用に関する労働衛生専門医へのコンセンサス調査というものを行っております。

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 これは、健康診断が有効かどうかというのを専門医の立場から見て判断をいただく。どういうことを有用性として見ているのかといったことを検討していこうということでございます。

 青字になっております真ん中のところまでが昨年度行ったもので、来年度はデルファイ調査を大規模に行うということを予定しております。

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 健診項目は、先ほどと同じように法定の項目を挙げております。

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 方法としては、労働衛生機関の専門医7名の方、専属産業医をされた6名の方、それぞれが産業医経験年数が平均14年と平均17.2年という、かなりベテランの方々に集まっていただきまして、まずはFocus Group Discussionということで、ディスカッションしていただく。その上で、指定した質問に対して回答いただいて、それを分析するということを行っております。

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 そのときのインタビューのガイドが質問を4つ設定しておりますけれども、今回は4番目のところは取り上げておりませんので、薄字にしております。

 健康診断の目的や意義について、どのような有用性があることが必要かということ、それぞれの項目についての有効性についてお伺いしております。

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 方法としましては、まずはインタビューを行う。これは録音したものをテキスト化して、それをコーディングする、分類していくという作業をしております。

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 実際のところのデータはこのような形で細かくなっておりますけれども、話した内容は全て記載し、内容に応じてそれを分類していくという作業をしております。

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 その結果です。まず、意義や目的としては、このときの区分の仕方が労働者の視点、事業者の視点、国の視点と大きく3つのグループに分けたということですので、このグループに分けた場合には、152410という形で単位が分かれていくという形の見方になっています。その内容のものをグループごとにまとめてみると、どのようになるかといったことをここから後で示しております。

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 労働者のほうの視点ですけれども、まずは健康診断の目的です。実は今回の対象となるのは真ん中「事業者の視点」の部分になるかと思います。作業関連疾患の予防であるとか、就業配慮等による安全配慮義務の履行というところが中心になってくるのではないかなと思われます。

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 その後にあります健康診断の項目に必要な有用性は何かということについては、就業制限や適正配置を検討する際に必要な項目であることとか、先ほど森先生の御報告にあったとおりで、病気の進行の遅延や改善、医療費の削減や致死率の低下であるとか、保健指導、ヘルスリテラシーの向上に寄与する項目であることといったような3つのカテゴリーの部分が挙げられておりました。

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 実際に現在の健診項目についてはどのように有効に活用できるかといったことが一番重要だと考えているとともに、必要な項目として質の高い問診や事後措置が重要ですということを考えておりました。

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 メタボリック症候群に関する項目群につきましては、適正配置や就業制限を検討する時、これらの項目のみをもって判断をしていない。ほかの項目も考慮して考えている。単項目という意味では、血圧や血糖値というものがリスク要因となっていると考えておりました。

 若年者のほうでは、節目ごとに一定の年齢以上では隔年のこういった健診の項目を実施することが望ましいと考えている方が多かったということになります。

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 メタボリック症候群の関連項目としては、こちらに書いてあるような結果になりました。

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 胸部レントゲンに関しましては、必要かということにつきましては、主に結核対策や肺がん対策のために実施されているという目的でした。

 実際には結核が発生した場合のリスクの問題、それからお客様への影響といったもの、それからグローバル化をして海外から人が来る、また海外に行くという観点から必要性が高まっているということが指摘されておりました。

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 心電図につきましては、意識消失を伴う不整脈などがあるために、自動車運転の可否などの就業配慮検討のために必要な項目と考えている方が多くいました。

 高血圧の変化に伴う心電図波形を利用した保健指導にも利用ができるという意味で、有用であるという考え方でした。

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 肝機能に関しては、これのみを用いて適正配置や就業制限に利用されることは多くなかったということが報告されているということになりました。

 しかし、B型肝炎、C型肝炎の検査をして問題ないことを確認すれば、ほかのものと総合的に判断をして保健指導に有用ではないかという意見もありました。

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 貧血検査に関しては、高所作業や自動車運転、暑熱環境下における重筋作業などの一部の業務では就業制限に用いることができる項目だと考えられておりました。

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 血清クレアチニンにつきましては、暑熱環境下での就業制限を行うことがあったということで、暑熱環境下の中の適正配置の判断に使う場合もありました。

 職場の随時尿による検査での尿蛋白に関しては偽陽性率が高いということで、できれば偽陽性率が低い検査に変えたいという意見がありました。

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 がん検診は、法定の健診ではなく、本来は自己保健義務の範疇ではあるけれども、今後、がん就労の話もあり、労働力の損失を低減させるという観点からも、事業者ががん検診をやることを推奨していくという形のものがあってもいいのではないかという意見はありました。

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 まとめです。職域に行われている健康診断はさまざまな目的で行われておりまして、必ずしも一般健康診断だけではないというのがあります。

 有用性のある健康診断項目としましては、脳血管疾患、心疾患のリスクファクターであり、就業制限・適正配置を検討する際に必要な項目であること。

 早期発見・早期介入により、進行の遅延や改善、医療費の削減や致死率の低下が期待できる項目であること。

 保健指導、ヘルスリテラシー向上に寄与する項目であること。

 ということが挙げられておりました。

 メタボリック症候群であることのみをもって適正配置・就業制限の対象とすることは考えていなかったのですが、特定健康診査の項目のうち、血圧や血糖値は就業上の配慮を検討する項目と考えていました。

 胸部レントゲン検査は、グローバル化や人材の流動化などに対応して、必要な検査と考えられていました。

 心電図検査や貧血検査などは適正配置のためにも活用されていました。

 血清クレアチニン検査は、腎機能の評価や適正配置のために活用できる項目と考えられていました。

 がん検診は自己保健義務の範疇であるとされましたが、健康診断としての有用性はあると考えられておりました。

 以上でございます。

○山口(直)座長 大久保先生、貴重な御発表をどうもありがとうございました。

 大久保先生の御発表に御質問のある方はお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 先生、デルファイ法は来年度。

○大久保教授 そうです。

○山口(直)座長 どういう方が対象になって、実施なされるのでしょうか。

○大久保教授 専門医を対象にするということで計画していると聞いております。

○山口(直)座長 何名ぐらいの方が。

○大久保教授 今のところまだわかりません。また確認しておきたいと思います。

○山口(直)座長 ありがとうございます。

 いかがでしょうか。どうぞ。

○福田委員 福田です。

 一番最初のページのほうにあるのですが、これはとても大事な考えだと思うのです。さまざまな健康診断が混在していると。実際の企業さんの場合ですと、例えば人間ドックに健保さんが補助金を出して、個人さんがドックをお受けいただく。その中から法定健診項目を事業主に報告して、それで一般法定健診をやったことにしている。そんな例もたくさんあると思うのです。特に大企業さんの場合。

 ですから、私、いつも思うのですけれども、法定健診というもの、要するに、一般法定健診は事業主に義務化されている。例えば特定健康診査の場合は、保険者に一応やってくれということで、あくまで罰則規定がない。もう一つ、がん検診に至っては本当に個人に任せてしまっているということで、「健康診断」と一口で言っても、いろんなものが混在していて、実際のところは混在している中で行われている。

 先生のこの御研究の中で、将来的に一般法定健診というのは、あくまで労働起因性の疾患を排除するためのものだと私は理解するのですが、しかし、それではもう不足していて、おっしゃられたように、がんの患者さんでも働いていただくとか、あるいは労働人口が減るに当たって、高齢者、あるいはもっと若年層のところの労働力をきちんと確保する。そうなってくると、そもそも論ですけれども、一般法定健診がもう少し発展的にいろんなものと融合したほうがいいのではないかと思うのです。御見解で結構ですが、先生のお考えは。

○大久保教授 項目については、なかなか難しいのかなというのは、正直言って思います。ただ、まず労働安全衛生法でこれは義務として事業者に課しているものである以上は、事業主責任で行わなければいけない範疇はどこまでかという枠組みが決まって、それに適正な健診項目を設定するというのが筋なのかなと思います。

 先ほど言ったがん検診などになってくると、さまざまなものが入ってくる。そうすると、これは事業主がその部分の費用を負担して、投資をして、それに対してペイをするという考え方がはっきりしてくれば、当然投資はしてくるというふうに考えています。

 同じく、人間ドックなど、さらに超音波検査をしたり、そういったものなどを含めていくということについては、同じようにそれを行うことによって労働力が確保できるとか、従業員の満足度が上がる、生産性が上がるといったことに寄与することで、企業の投資に対して見合うものであるかどうかという観点に変わっていくのかなと思っています。

 ですので、まず事業主がやらなければならない範囲はどこまでなのかということの定義をはっきりしていただくことと、それから事業主が投資をして、それに対してペイするかどうかという見方と、2つに分けないといけないのかなと思っています。

 事業主が見るべきものだという中にがん検診というものがあったときには、どうしてもやらなければいけないのは、仕事が原因で起きてくるがん、職業性のがんについての検診は、特殊健康診断として存在していくのだと思います。

 そうでない部分に関しては、事業主責任はどこまであるのかと考えたときに、疑問だというのが今回の調査の結果でもあるので、そこについては企業が投資する価値があるかどうかと考えることになるのではないかと思っております。答えになっていなくて申しわけございません。

○福田委員 いえいえ、とんでもない。ありがとうございました。

○山口(直)座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。

 では、大久保先生、どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、事務局のほうから前回の検討会で委員から要望が出されたことについての資料と、今回の4項目についての概要ということで、資料3に基づいて御説明をお願いしたいと思います。

○塚本産業保健支援室長 では、資料3について御説明申し上げます。

 まず最初に、前回の検討会におきまして御質問がございました統計について御説明いたします。11ページ目と12ページ目をごらんいただけますか。これは平成24年の定期健康診断の業種別の受診率、有所見率などです。この統計ですが、12ページ目の下に注意書きで書いていますが、この受診率の母数は、正社員+契約社員+パートタイム労働者+平成24年9月及び10月にそれぞれ18日以上雇われた臨時・日雇労働者ということで、定期健康診断の対象である常時性がある労働者以外の方も含まれているという点に御留意願います。

 次に、職種別の疾病者数ですが、7ページ目をごらんいただけますか。脳・心臓疾患の労災認定の職種別の状況については統計がございます。輸送・機械運転従事者、一番上の専門的・技術的職業従事者などが多い状況です。

 なお、業務上疾病全体の職業疾病統計はございません。

 次に、本日の検討事項である肝機能検査等の4項目の概要ですが、1ページ目をごらんいただけますか。

 まず、1の肝機能検査です。この検査は、GOTGPT、γ-GTPの検査、有所見率は、近年26年では24.6%と増加しております。

 雇い入れ時の一般健康診断は必須ですが、定期健康診断におきましては、35歳を除く40歳未満の方については、医師が必要でないと認めるときは省略可能となっております。

 平成元年の通達では、肝機能検査は肝機能障害を早期に把握するためのものとしております。

 次に、2の血中脂質検査です。この検査は、LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライドの量の検査。

 また、有所見率ですが、近年は32.7%と増加しています。

 また、健診項目の省略の可否でございますが、先ほどの肺機能検査と同じ内容です。

 平成元年の通達におきましては、血中脂質検査は、動脈硬化の原因となる高脂血症を把握するために行うもの。また、血清トリグリセライドの量の検査は、原則として空腹時に行われるべきものであるが、食事摂取後に行われた場合には、医師がその影響を考慮して判断するもの。

 また、平成10年、別の通達におきましては、HDLコレステロールの量の検査は、より的確に脳・心臓疾患の発生の危険性を評価するために行うものとしております。

 次に、3の血糖検査ですが、有所見率は、近年26年では10.4%と増加しております。

 また、健診項目の省略の可否は、先ほどの肺機能検査と同じ内容です。

 また、平成10年の通達におきましては、血糖検査は、原則として空腹時に行われるべきものであるが、食事摂取後に行われた場合には、医師がその影響を考慮して検査結果を評価するもの。また、検査の結果、医師が必要と認める場合には、同一検体を利用してHbA1cを検査することが望ましい。

 また、平成10年の別の通達におきましては、血糖検査は、血中グリコースの量の検査によるほか、HbA1cでも差し支えないとしております。

 また、平成20年の通達におきましては、受診前に摂食した者等、随時血糖の測定を行わざるを得ない場合には、HbA1cで代替させることも可能としております。

 次に、4の尿糖検査ですが、有所見率は、平成2年2.7%から262.5%と減少しております。

 この検査につきましては、雇入時、定期健康診断とも年齢にかかわりなく必須の項目です。

 次に、健康診断に関します全般的な事項ですが、5ページ目からが脳・心臓疾患の労災補償状況です。

 6ページ目は労災支給決定件数の年齢別の内訳です。20代で脳・心臓疾患の労災支給決定件数全体の3%、30代で14%、4034%、5040%、60歳以上で10%といった状況です。

 次に、8ページ目ですが、雇入時の健康診断と年齢別の定期健康診断の項目の現状です。

 まず、雇入時の健康診断は、喀痰検査を除く全ての項目が必須となっております。その後の定期健康診断につきましては、血圧、尿検査、また問診が全ての年齢で必須項目。また、厚生労働省告示によりまして、医師が必要でないと認める際には、健診項目の省略が可能となっております。

 胸部エックス線につきましては、20歳、25歳、35歳を除く40歳未満の方で例えば社会福祉施設の労働者などを除く方は省略が可能。貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図につきましては、35歳を除く40歳未満の方は省略可能などとなっております。

 9ページ目、定期健康診断の項目の推移。

10ページ目は二次健診。

13ページ目は、50人以上の事業場から提出されております項目別の有所見率の推移。平成2年以降の推移を示しております。

14ページ目は健康診断の事後措置。

15ページ目は、長時間労働者・高ストレス者に対する医師による面接指導に関しますマニュアルの抜粋です。脳・心臓疾患対策のための健診項目の活用の際の参考として掲載しております。

 この中で16ページ目をごらんいただけますか。四角の4です。脳・心臓疾患のリスク評価を面接指導の際に行うことになります。その際の評価方法の例といたしまして、17ページ目ですが、日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」から作成いたしました方法例を掲載しております。

 この下の段の左側ですが、高血圧以外の心血管病の危険因子といたしまして、年齢、喫煙、脂質代謝異常、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病などを示しています。

 ここでの脂質代謝異常といたしましては、低HDLコレステロール血症、高LDLコレステロール血症、または高コレステロール血症、高トリグリセライド血症が示されております。

 次に、18ページ目の表をごらんいただけますか。横軸が血圧、縦軸がリスク要因になっておりますが、例えば真ん中のリスク第二層におきましては、糖尿病以外の1~2個の危険因子がある場合、また、リスク第三層におきましては、糖尿病、慢性腎疾患、3個以上の危険因子などとしておりまして、高血圧の状況とあわせて脳・心臓疾患のリスク評価を行うこととしております。

 以上が資料3でございます。

○山口(直)座長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局の説明について御質問がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 私から1つ。年齢別の脳・心臓疾患の労災支給決定件数なのですけれども、思っていた以上に若い方の比率が高いなということなのですが、これはあくまでも労災の支給決定ということで、印象で構わないのですけれども、全体の発症と労災支給決定の比率が、年齢によるともしかしたら違うのかもしれないなみたいなことも考えたのですが、その辺について何か情報がございますでしょうか。

○塚本産業保健支援室長 今、手元にございませんので、調べまして、次回以降、ございましたら説明させていただければと考えております。

○山口(直)座長 よろしくお願いいたします。

 何か御質問ございませんでしょうか。よろしいですか。福田先生、どうぞ。

○福田委員 では、1つ。済みません、いつも発言して。福田です。

 業種別に見ますと、輸送・機械運転従事者は、具体的に言うと、タクシーの運転手さんとかトラックの運転手さんとか、そういうことでよろしいのでしょうか。

○塚本産業保健支援室長 そうなります。

○福田委員 確かに拝見していますと、運転手さんの健康状態、極めて悪い方が多うございます。これについて特別データとかをお持ちでしょうか。脳血管疾患以外に。例えば高血圧その他でも結構です。

○塚本産業保健支援室長 これにつきましても確認いたしまして、次回、ございましたら御説明させていただければと思います。

○福田委員 仮説なのですが、長時間座っていらして、食事も非常にぱっぱっと召し上がって、運動不足で太っていらして、いわゆる死の四重奏がそろっている方が非常に多うございますので、この辺のことについて、ぜひ詳しく教えていただきたいと思います。

○塚本産業保健支援室長 わかりました。

○山口(直)座長 どうぞお願いいたします。

○山口(健)委員 今の福田先生のお話に絡んでの意見です。今のお話を伺っていて感じたのですが、7ページに記載されているそれぞれの業種ごとで詳細に考える上で、それぞれの業種ごとの平均年齢といいますか、運転従事者の方が高年齢化しているという実態があって、そういった背景もここには潜んでいるのではないかと思います。年齢との相関というのは完全にある話だと思っていますので、調べられるときに項目ごとの平均年齢や、そのような数値がとれるのであれば、それもあわせて教えていただければありがたいと思いますので、よろしくお願いします。

○塚本産業保健支援室長 わかりました。

○山口(直)座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、以上で参考資料1から資料1、資料2、資料3の御発表、説明をしていただいたのですが、事務局のほうで今までの資料を踏まえた論点案というものを作成してあるということですので、ここでその配付をお願いしたいと思います。

(論点案配付)

○塚本産業保健支援室長 よろしいでしょうか。

 では、私のほうから今回御検討いただきたい4項目についての論点案について御説明いたします。本案ですが、事前に御提出いただきました説明資料などをもとに、事務局において作成させていただいたもので、あくまでも議論の参考にしていただければと考えております。

 まず、1の肝機能検査ですが、GOTGPT、γ-GTPは肝機能障害の指標。文献レビューでは、GPT、γ-GTPは、虚血性心疾患や脳血管疾患等の発症予測能もあるとしています。

 第3回の特定健康診査等に関します検討会におきましては、「虚血性心疾患や脳血管疾患等の発症予測能が低いGOTは健診項目から廃止することも可能とする」とされております。

 肝機能検査は、肝機能障害を把握し就業上の措置などを行うことを目的としており、1)「産業医のコンセンサス調査」では、調査対象のうち一定の産業医が肝機能検査を就業制限等に活用するとした調査結果、また、2)、大久保教授の研究では、調査対象の産業医等におきましては肝機能検査を就業制限・適正配置に利用することは少なかったと回答した調査結果があるとされております。

 これらから、定期健康診断において、1)過労死防止対策の充実が求められている中、GPT、γ-GTPを虚血性心疾患、脳血管疾患等の発症防止の観点から活用すること、2)GOTを含む肝機能検査は程度には差がありますが、就業上の措置において活用が期待できることなどから、引き続き健診項目として維持してはどうか。

 次は2の血中脂質検査です。

 脂質代謝異常は、日本高血圧学会のガイドラインでは脳・心臓疾患の危険因子の一つとしています。

 調査研究では、LDLコレステロールは国際的にはフリードワルド式で計算して求める、LDLコレステロール直接測定法は測定精度に課題がある。

 第3回の特定健康診査等に関する検討会におきましては、「LDLコレステロール直接測定法を健診項目から廃止し、総コレステロールを健診項目へ追加する」などとしております。

 大久保教授の研究などでは、血中脂質検査のみを脳・心臓疾患に係る就業上の措置に活用することは少なかったとされておりますが、他の指標とともに複合的に活用するとされています。

 これらから、定期健康診断におきまして、血中脂質検査を、総コレステロールの検査を追加・LDLコレステロールの検査を廃止した上で、引き続き健診項目として維持してはどうか。

 次は3の血糖検査です。糖尿病は、「高血圧治療ガイドライン」では脳・心臓疾患の危険因子の一つとしています。

 また、糖尿病の診断は、日本糖尿病学会のガイドラインでは、空腹時血糖のみならず、随時血糖も活用されております。

 また、大久保教授の研究などでは、血糖は脳・心臓疾患のリスク要因として就業上の措置に活用するとされております。

 これらから、血糖検査は、定期健康診断等の項目として、空腹時血糖のみならず、随時血糖も含めて、引き続き健診項目として維持してはどうか。

 なお、HbA1cの取り扱いにつきましては、次回以降検討をお願いしたいと考えております。

 次に、4の尿糖検査です。

 糖尿病は、「高血圧治療ガイドライン」では脳・心臓疾患の危険因子の一つですが、尿糖は、「糖尿病診療ガイドライン」では糖尿病診断には用いられていません。

 第3回の特定健康診査等に関する検討会におきましては、「尿糖は健診項目から廃止することも可能とする」としております。

 これらから、定期健康診断においては、血糖の検査が必須である40歳以上及び35歳については尿糖を廃止する方向で整理してはどうか。

 また、血糖の検査が必須でない35歳を除く40歳未満への対応につきましては、別途、尿検査全体の取り扱い、代替措置も含めて、判断することが必要ではないか。

 以上が4検査項目の論点案です。

 また、この御検討の際には、労働安全衛生法に基づきます定期健康診断、その目的が常時使用する労働者につきましてその健康状態を把握し、労働時間の短縮、作業転換などの事後措置を行い、脳・心臓疾患の発症防止、生活習慣病等の増悪防止を図ることなどとしていること。

 また、労働安全衛生法におきましては、定期健康診断の実施、異常所見者への医師等の意見を勘案した時短などの就業上の措置は義務。保健指導が努力義務とされていることから、定期健康診断等の診断項目は、当該健康診断項目単独または他の項目とあわせて義務としている就業上の措置を行うためのデータとすることが期待できるものであり、その上で、努力義務である保健指導においても活用するものであることについて留意が必要でないかと考えております。

 また、健康診断項目の検討におきましては、健康診断全体での効果、負担などの観点からの検討も必要であり、まず最初に、個々の診断項目の検討において、変更・維持などの方針を御検討いただき、その後、他の健診項目の方針も明らかになった時点で健康診断全体の効果、負担などの観点からも御検討いただき、最終的な結論をいただければと考えております。

 さらに、特定健康診査を実施する保険者は、定期健康診断の結果を受領することができる制度となっており、例えば肝機能などの同一の機能を評価する際には、検査方法などを極力同一にすることが望ましいところです。

 本検討会での検討状況、また御意見などにつきましては、特定健康診査の見直しに関します検討に反映していただくなど、特定健康診査の見直しの検討と連携していきたいと考えております。

 以上です。

○山口(直)座長 ありがとうございました。

 それでは、この論点案に従って議論を進めていきたいと思います。

 最初に、1番目の肝機能検査について御意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。福田先生、どうぞ。

○福田委員 福田です。どうも。

 いわゆる脳血管障害の一つの目安として、γ-GTPであるとかGPTという捉え方なのですが、やはり産業医の立場ですと、あくまで肝機能は肝機能であって、先ほど大久保先生あるいは森先生からお話があったように、産業医等の立場で見れば、GOTというのはそれなりの意味を持ってくると考えておりますので、肝機能からわざわざGOTを外す必要もないと思いますし、今は血清をいただくと、これは分析なのです。ですから、GOTLDLまでばっと全部出てしまうのですね。

 ですから、試薬がもう決まっていて、はかってしまえば出てしまうものですから、一々GOTの項目だけ外すというほうが作業的にはかえって非効率なものですから、やはりGOTは残していただいたほうがよろしいかと考えます。

 以上です。

○山口(直)座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。お願いいたします。

○柳澤委員 柳澤です。

GOTの問題ですけれども、例えばアルコールなどでγ-GTPが上がるわけですが、栄養性の脂肪肝でもγ-GTPが上がってくるわけですね。既往歴でアルコールを摂取していて、GPTに比べてGOTが有意に上がっていて、なおかつγ-GTPが上がっているということであれば、アルコール性肝障害の可能性が高いので、GOTはアルコール、飲酒の面からも生活指導する上ですごく重要な項目かと思います。

○山口(直)座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。

 そうしますと、事務局が御用意くださった論点案で引き続きGOTGPT、γ-GTPを健診項目として維持するということをとりあえずこの時点での案ということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○山口(直)座長 ありがとうございます。

 それでは、2番目の血中脂質検査について御意見がありましたら、お願いしたいと思います。お願いします。どうぞ。

○福田委員 国際的に見て、確かに計算式で求めているのですね。我々の健診機関も直接はかれなかったものですから、総コレからHDLを引いて、なおかつTGの4分の1を引いてという、そういう計算式で出していたのですね。ところが、直接はかれるのであれば直接のほうが精度がいいだろうということで、今はそういうふうに切りかわっています。検査法に少し疑義があるというお話なのですが、それはあくまで試薬の問題であって、きちんと認証された試薬を使うことを条件づければ、やはり直接はかったほうがよろしいと思います。

 それから、総コレをかわりに入れると。そうなりますと、これは絶対数が絶対ふえます。というのは、女性が閉経前後になりますと総コレががーっと上がってまいります。その場合、偽陽性というか、実際は問題にならないような脂質代謝異常までひっかけてくる可能性がある。やはりLDLHDLのバランスを見て御指導申し上げているものですから、直接法のところの、例えば検査法をきちんとお国のほうでこういうものを使いなさいということでおっしゃっていただけるのであれば、やはり直接法を残していただいて、むしろ総コレのほうは要らないのではないかというのが印象なのです。

 以上です。

○山口(直)座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。土肥先生、どうぞ。

○土肥委員 土肥でございます。

 コレステロールにつきましては、基本的にこれのみで就業制限に至るということが非常に少ないということが今まで示されてきたと考えます。したがいまして、動脈硬化に関する学会の基準等に合わせていくことが適当ではないかなと考えています。

 今、女性の閉経前後になったらコレステロールが上がってくるということを申し上げられましたが、動脈硬化学会のリスク因子といたしましては、閉経によって女性の動脈硬化リスクは一挙に上がってきて男性まで追いつくということが一般的な考え方でございます。したがいまして、閉経後、女性のコレステロールが上がることはイコールリスクだという考え方で問題ないと考えます。したがって、コレステロール、LDLが必要だという議論にはならないのかなと考えます。

 したがって、今の考え方からすれば、総コレステロール、LDLということで、総コレステロールを入れて、LDLを廃止するという方向性は、リスクの評価としては妥当だと考えます。

 ただ、臨床家のコミュニケーションの中では、LDLを指標としてコレステロールのコントロールをしている先生方もまだまだ多いので、そういうコミュニケーションの中で必要だという議論があるのであれば、LDLも残すという可能性について言及できるのかなと思いますが、リスクという意味では、大まか今の案が妥当な選択肢ではないかと考えています。

 以上でございます。

○山口(直)座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

○黒澤委員 黒澤です。

 先ほど福田先生がおっしゃったように、保健指導する際に、HDLLDLの比とかそういうことで保健指導をされている産業医の先生方が非常に多いと思うのです。ですから、その辺のことがどうなるのかなというのが、LDLを即廃止ということに関してちょっと懸念した点であります。

○山口(直)座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。柳澤先生、どうぞ。

○柳澤委員 私は土肥先生の意見に賛成なのですけれども、今、発言がありましたように、LDLが従来ずっと使われておりまして、例えばLDLHDLの比をとって保健指導することは保健指導の重要な部分であると思うのです。ですから、急になくすとすごく混乱が生じると思うのです。また、総コレステロールを入れて、LDLを残すといったときに、コスト的にどうなのかと思うのですが、その辺はいかがなのでしょうか。

○山口(直)座長 いかがでしょうか。コスト的なことも含めた議論は、恐らく最終的に全体の項目の議論が終わったところで再度議論をしなくてはいけないということだと思うのですが、両方ということになると、もちろん、その分コストはかかるということですね。

 それから、先ほど参考資料1で御説明いただきましたけれども、その中で国際的にはnon-HDLコレステロールの有用性というものが非常に着目されているということも脳・心臓疾患のリスク管理的にはあるのかなということも感じるところだと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。

○福田委員 健診機関の発言なのですが、先ほど申したように、血清1ccでかなりの項目が正確に出てしまうのですね。コストのことをお尋ねするのですけれども、実際にLDL、総コレを入れてもそんなにコストは上がらない。では、本当は幾らと言うと、まだ資料がないものですが、ただ、実際のところは御懸念されるようなコスト高にはならないと考えます。今や全て自動分析で出てしまうという項目ですので。

○山口(直)座長 それでは、この血中脂質検査についてはさらに議論を深める必要があるというふうな現時点での議論の結果ということにいたしまして、また再度検討を進めるということにしたいと思います。

 どうぞ。

○塚本産業保健支援室長 今回の議論の状況につきましては、特定健康診査の見直しの検討の場の方にもお伝えして、御検討をお願いしたいと考えております。

○武田労働衛生課長 補足でございますけれども、先ほど御説明させていただきましたように、各種健診、特に特定健康診査等とハーモナイズをしていくというところが考慮すべき基本原則と考えております。

 今回のこの検討会におきましても、最初に御説明させていただきましたように、まず検査のエビデンスとしてどういうものがあるのか。その上で、産業保健の現場において労働安全衛生法上の健診でございますので、そういう特性としてどういうものを考慮すべきであるか判断していくというのが基本的な流れではないかと考えております。特に今、御議論がございましたような検査そのものに関してのエビデンスに関することとか、その考え方ということにつきましては、また別途検討しているところでございますので、連携の一環としてこのような御意見があったということも伝えさせていただきたいと考えております。

○山口(直)座長 よろしいでしょうか。黒澤先生、お願いします。

○黒澤委員 そういう点でいきますと、参考資料1の6ページの「文献レビュー」というところでnon-HDLLDL、この文献レビューというのがありますが、詳しくなくて申しわけないのですが、例えば今、産業医が先ほど言いましたLDLHDLの比でやっているということですけれども、LDLHDLの比とnon-HDLを使った場合とかいうような比較はあるのでしょうか。もしあれば、そのエビデンスを知りたいなと思うのですが。

○塚本産業保健支援室長 これにつきましても健康局で行っています検討会等に確認していきたいと思います。

○山口(直)座長 よろしいでしょうか。

○黒澤委員 はい。

○山口(直)座長 私の乏しい知識ですけれども、LDLHDLの比率とnon-HDLコレステロール対HDLコレステロールという比率で見るという方法もあると思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 では、よろしければ、3番目の血糖検査に進みたいと思います。御意見がございましたらお願いしたいと思います。どうぞ。

○福田委員 私は、事務局案に賛成いたします。

○山口(直)座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。土肥先生。

○土肥委員 土肥でございます。

 この案は、空腹時と随時、両方を必須だとするという意味でなくて、オア「or」だという理解でよろしいのですね。

○福田委員 そうですね。

○土肥委員 オアで。

○山口(直)座長 空腹時か、空腹でだめだったときは随時と。

○塚本産業保健支援室長 そうですね。

○土肥委員 では、オアだと。

○塚本産業保健支援室長 はい。

○土肥委員 HbA1cの議論は後でされるということでございましたけれども、HbA1cが入る場合によっては、ここのオアとかそれ以外のものは変わらないという前提でこの文章は書かれているという理解でよろしいでしょうか。

○塚本産業保健支援室長 ここでは少なくとも空腹時血糖だけでなく、随時血糖も使っていきましょうというところはとりあえず打ち出しをし、あと、HbA1cについて、全くのオアなのか、例えば空腹時がとれないときだけなのかなどについては、もう一度御議論をお願いできたらと考えております。

○土肥委員 土肥でございます。

 そうすると、HbA1cの議論によっては、ここの書き方が変わってくる可能性があるという前提で書かれていると。

○塚本産業保健支援室長 そうですね。次回のHbA1cの取り扱いを含めて、少なくとも随時も使いましょうというところはどうでしょうかという御提案というふうに考えております。

○山口(直)座長 ほかに。森先生。

○森委員 一般健康診断の血液等の省略に関しては、医師が省略可能というか、必要でないと認めたときには省略可能となっていますが、随時の選択については、最初に事業者が選ぶことになるのか、どのような手続を想定するのでしょうか。現行がどうなっているかも含めて、空腹時にするか、随時にするか、それを両方可能にしたとしても、手続論を少し明確にしたほうがいいのではないかなと思うのですが、いかがでしょうか。

○塚本産業保健支援室長 そうですね。今回最終的な像を決める際には、誰がどういう条件で選ぶかについては明確にした上での結論が必要になってくると考えております。

○山口(直)座長 どうぞ。

○山口(健)委員 自動車総連の山口です。

 今のお話に関して、実際に健診を受ける側の立場からすると、その日、いろいろ業務の調整もして健診を受けに行ったとします。前の日から朝食を食べてはだめだよという案内を受けているのだけれども、忘れていて食べてしまったというときに、その事実を窓口で申し出て、それでは再度日程調整しましょうねと言われてしまうのは、正直負担でありますので、医学的に随時でもちゃんとわかるよということであるなら、こういうオアにしていただいたほうが受ける側としてもありがたいなと思います。今おっしゃったように、どういう基準でそれを定めるのかという整理は必要だと思いますけれども、受ける側の立場からすると非常にありがたいと思いますので、要望として申し上げておきたいと思います。

○山口(直)座長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

○宮本委員 宮本です。

 脂質のところに戻ってしまうのですが、脂質も空腹時が前提だけれども、中性脂肪は随時でもいいということから、総コレステロールの話になって、LDLの算出でもいいよと。ただ、LDLの算出は空腹時でないと余りうまくいかないとか、そういうことがあったと思います。総コレステロールも随時でいいということだったら、結局、検査そのものは空腹時か、随時か、どちらかしかないわけですので、もし血糖が随時でいいのだったら、脂質も全部随時でいいという形がとれないと話がおかしくなってしまうと思いますので、あわせて御検討いただければと思います。

○山口(直)座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

○高松委員 連合の高松でございます。

 医学的には素人なので、今、宮本先生おっしゃったところで、疑問に思っていたのですけれども、我々、この検査をする場合には、複数の項目をまとめて一気に検査していただくということなので、この項目だけ随時にということであれば、現場としてはそれに対する意義というものが見出せないなと感じます。むしろ統一していただいて一気に検査して受診率を上げていくということで、現場の意見としてはどうやったら受診率が上がるかという方向で考えていきたいと思っています。もう一つは、後の論議でしょうけれども、コストの問題も含めて、余りコストアップにならないような方向で考えていきたいと思っていますので、意見として言わせていただきます。

○山口(直)座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、続きまして、4番目の尿糖検査についての御意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

○黒澤委員 これは尿糖だけ廃止して、尿蛋白は残すという意味なのでしょうか。

○山口(直)座長 どうぞ。

○塚本産業保健支援室長 尿蛋白については、次回に議論をお願いしたいと考えておりますので、その議論とあわせて尿全体をどうするかについても御議論いただければと考えております。

○山口(直)座長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

○砂原委員 日本経団連、砂原でございます。

 先ほどもちょっと出ておりましたが、これは一番最後だったので、まとめてお話をさせていただきたいと思いまして手を挙げました。

 効果の上がる検査項目に見直すということは非常に有意義であると思っております。ただ、この際、費用対効果という点もご考慮いただけるとありがたいと考えます。企業は国際競争でコスト削減を求められております。海外ではかからないフリンジコストがかかってしまうと、工場を日本につくるよりも海外につくった方がよいという話にもなりかねません。それだけで、日本の雇用が維持できなくなるとは申しませんが、ぜひそういうことも踏まえていただきたいと思います。

 従業員というのは、企業にとって非常に大切な経営資源だと考えております。高齢化が進展する中、65歳以上の雇用もふえてきております。そういうことを考えると、早期に発見できる、それで適切な措置ができるような形の定期健診に変えていくような見直しの機会になるといいと思うのですが、ぜひコストの面も考慮しながら御検討いただければと思っております。

 以上です。

○山口(直)座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。森先生。

○森委員 脂質とか血糖は随時か空腹時かということが基準値との関係で随分重要なのですが、実は尿糖も、随時なのか、食後なのかがとても重要な項目です。空腹時と食後では全く有所見率が違う結果が出る項目であるにもかかわらず、ここだけ何も言わず尿糖ということが果たしていいのか、少し疑問に思いました。何らかのことを言及した上で、尿糖は、血糖を行わない場合には入れましょうと表現した方がいいのではないかと思いますが、

○山口(直)座長 そうですね。ありがとうございます。

 どうぞ。

○福田委員 恐らく随時ということをお入れになったのは、本当は空腹時が望ましい。でも、おっしゃられたように、運転手さんは夜勤明けで受けていく。わざわざ休みを利用して来る人はいません。あなたは空腹でないからできないよと追い返してしまった場合、受診率が下がります。ですから、随時というものも入れたほうがいいと思います。ただ、その取り扱いをどのようにするかはきちんと決めないといけないと思います。

 それから、経済界のほうにお伺いしたいのですが、費用対効果とおっしゃいますが、何をもって費用対効果とおっしゃるのでしょうか。

○山口(直)座長 どうぞ。

○砂原委員 何をもって費用対効果というかところは、我々としてそういうエビデンスを持っているわけでもございませんし、我々にそういう知見があるわけではございませんので、いわゆる一般的にコストとして過重にならないように御配慮いただきたいということを申し上げたつもりでございます。

○福田委員 実際に費用対効果を上げようと思えば、再三申し上げているように、事後措置である保健指導を充実させていただいて、これをフィードバックする。それによって良好な労働力を得る。これがまさに費用対効果の基礎だと思うのです。

 でも、おっしゃられたように、少子高齢化、労働人口が減ってくる。下手すると今度は移民を受け入れないとまずいのではないかという御議論がございますでしょう。であれば、費用対効果の一番は労働者の健康確保であれば、コストというものは、御相談の上だと思うのですが、いかがでしょうか。

○砂原委員 ここでこの点について私が特に見解を述べるような場ではないように思うので、一応この辺にさせていただきたいと思いますけれども、一般論として企業が厳しいコスト競争にさらされているという実態については御理解いただけるところかとも思いますので、そういう観点で、例えば日本ではなく、定期健康診断という制度がないアジアの国に工場(製造拠点)を作ったほうが安い(製造コストを下げられる)となってしまうと、日本の工場を全部アジアに移していこうという極論が成り立つことになりかねません。過重に今の定期健康診断のコストが増大しないよう、例えばコストは倍になりますというようなことにならないように御配慮いただきたいということを申し上げているものです。

○山口(直)座長 どうぞ。

○高松委員 労働側を代表して参加しているので、一言だけ言わせてください。

 福田先生の御意見に、私も全く同感です。今回の見直しもそうなのですが、予防の段階でいろいろな形で発見できて、治療に費用をかけるよりも非常に安く済む、あるいは働き手としての働き、パフォーマンスが上がるということが、今回の見直しの中では非常に重要だと思っております。いろいろな視点でのコストがあると思うのですが、我々は、予防することによってトータルの費用が安くなるという意味でのコストと捉えたいと思っていますので、意見として申し上げておきたいと思います。

○山口(直)座長 ほかにいかがでしょうか。

 そうしますと、尿糖検査につきましては、事務局案は、今、35歳と40歳以上ということで尿糖検査が義務づけられておりますが、廃止という方向で考えたらどうかという案でございますが、そのとおりでよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○山口(直)座長 では、そのような方向で行きたいと思います。

 4番まで行きましたが、先ほどの脂質のところでいろんな御議論がありましたが、1つは、脳・心臓疾患が議論の中心だと思いますので、LDLコレステロールを本当にはかるのとnon-HDLコレステロールを評価に据えるということ、予測能としてどちらがいいのかという議論を再度事務局のほうで整理していただくと。それから随時か空腹時かという議論もございました。3番目に、特定健康診査のほうとのハーモナイゼーションということもきちっと考える必要があるのではないか。それから、コスト面のことについても議論がありましたので、その点につきまして再度事務局のほうでまとめをしていただいて、次回、それについても議論に乗せていただくということでいかがでしょうか。

○塚本産業保健支援室長 わかりました。

○山口(直)座長 よろしくお願いいたします。

 それでは、それ以外の1番と3番と4番については、事務局案のとおりでとりあえず今日は決めたいというふうなことでいきたいと思います。

 あと、今日の議論には直接ありませんでしたけれども、先ほど脳・心臓疾患の労災の支給決定件数で若い方が意外に多いという事実もございましたので、40歳以下の実施につきましてもきちっと議論を進めていく必要があると思いますので、それにつきましても事務局のほうで再度整理を進めていただけたらと思います。

○塚本産業保健支援室長 はい。

○山口(直)座長 全体につきまして、何か御意見あるいは御質問がありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、今後につきまして、事務局のほうからお願いしたいと思います。

○小林中央じん肺診査医 本日は熱心な御議論ありがとうございました。

 次回日程は、4月2115時から17時となっております。正式な開催案内は改めて送付させていただきます。

 また、本日の議事録につきましては、各委員に御確認をいただいた上で、公開することとさせていただきます。

 本日の検討会はこれで終了いたしました。どうもありがとうございました。

○山口(直)座長 ありがとうございました。


(了)

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