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2015年7月15日 平成27年第2回目安に関する小委員会 議事録

労働基準局

○日時

平成27年7月15日(水)
10:00〜11:15


○場所

厚生労働省9階省議室


○出席者

【公益委員】

仁田委員長、戎野委員、中窪委員

【労働者委員】

須田委員、冨田委員、萩原委員、松井委員

【使用者委員】

小林委員、高橋委員、横山委員、渡辺委員

【事務局】

谷内大臣官房審議官、松本大臣官房参事官(併)賃金時間室長
川田代主任中央賃金指導官、上月中央賃金指導官、
新垣賃金時間室長補佐

○議題

平成27年度地域別最低賃金額改定の目安について

○議事

○仁田委員長 ただ今から、第2回目安に関する小委員会を開催いたします。本日は、鹿住委員が御欠席です。事務局から、資料の説明をお願いいたします。

○新垣室長補佐 おはようございます。本日はお手元の資料のほかに、各種団体の要望書の一部を従前のとおり回覧しておりますので、御参照ください。
 配付資料について説明いたします。資料No.1、「平成27年賃金改定状況調査結果」を御覧ください。調査地域は、各都道府県の県庁所在地と、原則人口5万人未満の市から選んだ地方小都市が対象地域となっております。調査産業は、県庁所在地については製造業、卸売業,小売業、宿泊業,飲食サービス業、医療,福祉、その他のサービス業の5つの業種、地方小都市は製造業が対象です。調査事業所は、常用労働者が30人未満の企業です。集計事業所数は、県庁所在地から約3,000、地方小都市が約1,000の合計約4,000事業所となっております。これらの事業所に雇用される労働者が、約3万1,000人です。主要な調査事項は、昨年6月と本年6月の所定労働日数、所定労働時間数と所定内賃金額で、そこから賃金の上昇率を算出しております。
 3ページの第1表を御覧ください。これは、今年の1月から6月までに賃金の引上げ、あるいは引下げを実施した、あるいは実施しなかったといった区分で事業所単位で集計したものです。産業計の一番下のランク計を見ていただきますと、1月から6月までに賃金の引上げを実施した事業所の割合が42.6%で、括弧内が昨年の実績で43.1%になっておりますので微減しております。ランク別に見ますと、Aランクが43.0%、Bランクが43.3%、Cランクが41.9%、Dランクが42.5%となっております。それから、1月から6月までに賃金の引下げを実施した事業所の割合、一番下の計を御覧いただきますと0.8%となっております。賃金改定を実施しない事業所の割合は43.6%になっており、昨年は44.2%でしたので、こちらも僅かに減少しております。7月以降に改定を実施する予定の事業所については、12.9%となっております。産業別に見ますと、1月から6月までに引上げを実施した事業所の割合が特に高いのは医療,福祉で62.9%です。逆に一番低いのが宿泊業,飲食サービス業で28.3%となっております。
 4ページの第2表を御覧ください。事業所の平均賃金改定率を事業所の集計ごとで、どの程度引き上げたかを回答したものを集計したものです。賃金引上げ実施事業所の産業計、ランク計を御覧ください。平均改定率は2.8%となっております。真ん中の賃金引下げ実施事業所の産業計、ランク計を見ますと、マイナス4.4%、それから賃金改定実施事業所及び凍結事業所の合計の産業計、ランク計を御覧いただきますと、1.1%となっております。
 5ページの第3表を御覧ください。事業所の賃金引上げ率の分布の特性値です。賃金引上げを実施した事業所についての引上げ率の分布を見たものです。産業計を見ていただきますと、第1・四分位数が1.2%、中位数が2.0%、第3・四分位数が3.3%、分散係数0.53となっており、昨年とほぼ同じ傾向となっております。
 6、7ページの第4表の1と第4表の2を合わせて御覧ください。第4表の1、一般労働者及びパートタイム労働者の賃金上昇率ということで、男女別を御覧いただきますと、産業計、男女計の賃金上昇率は、Aランクが0.8、Bランクが1.0、Cランクが1.0、Dランクが0.9、合計で0.9となっております。産業ごとの上昇率を御覧いただきますと、製造業が賃金上昇率0.9、卸売業,小売業が0.7、宿泊業,飲食サービス業が0.9、医療,福祉が1.0、その他サービス業が1.1となっております。男女別に見ますと、男性が0.8%、女性が1.2%です。
 また、次の第4表の2ですが、こちらは一般パート別の内訳が示されております。一般の産業計の賃金上昇率を御覧いただきますと、一般が1.0%、パートが0.6%の上昇率となっております。
 8ページ目以降の参考1から参考5については、後ほど御参照いただければと思います。
 最後の13ページの「付表 労働者構成比率及び年間所定労働日数」を御覧ください。まず、労働者構成比率について、パートタイム労働者比率はこの調査においては0.9ポイント上昇しまして24.9%です。次に、男女別の労働者数の比率が、女性が僅かに0.6ポイント上昇しまして45.2%です。それから、年間所定労働日数は僅かに減少し、254.6日となっております。資料No.1の説明は以上です。
 次に資料No.2、「生活保護と最低賃金」について説明いたします。1ページ目は、生活保護水準と最低賃金額の関係を示したグラフです。これまでの公益委員見解で示された比較の考え方に基づいて、最新のデータである平成25年度の生活保護水準と、手取額で見たときの平成25年度の最低賃金額を比較したものです。右上の枠で囲った中にグラフの説明があります。破線の△で示された線が生活扶助基準額の第1類費と第2類費、それから期末一時扶助費を足したものを人口加重平均したものに、住宅扶助の実績値を加えたものを都道府県別に表しております。その下に、◇の実線になっているのが、最低賃金額に月の法定労働時間である173.8時間を掛けて、税・社会保険料を考慮するための可処分所得比率として、0.835を掛けたものになります。△が◇よりも上にある北海道のみが、生活保護水準が最低賃金の手取額を上回る状況にあったということです。
 2ページ目は、1ページのグラフから最低賃金額について平成26年度の最低賃金改定額を反映したもので、破線は平成25年度で変わりません。1ページ目のグラフでは、北海道で生活保護水準との乖離がありましたが、平成26年度の最低賃金額の改定により、北海道でも乖離現象が解消されている状況です。
 3ページ目は、47都道府県について時間額で乖離額を示したものです。一番左の列(A)が、平成25年度の生活保護水準と平成25年度の最低賃金額との乖離額を示したもので、1ページ目のグラフを時間額に直したものです。北海道のみで5円の乖離が生じております。(B)の列が、平成26年度の地域別最低賃金の引上げ額で、(C)の列が最新の乖離額となっており、北海道においてもマイナス9円となっておりますので、全都道府県において乖離が解消されたという結果となっております。資料No.2の説明は以上です。
 続いて、資料No.3の説明に移ります。「地域別最低賃金額、未満率及び影響率の推移」をランク別に示したものです。こちらは、最低賃金に関する基礎調査ですので、事業所規模は小さくなります。一番下の計は、先日の第1回の資料で示しております。Aランク、Bランク、Cランク、Dランクとあり、影響率が高い順に申し上げますと、Aランクが9.3%。Cランクが6.6%。Dランクが6.2%。Bランクが5.2%となっております。ランク計は7.3%となっております。平成25年度と比較いたしますと、AランクとBランクで若干影響率が減少し、CランクとDランクで若干上昇している状況になっております。未満率について、ランク別に高い順に申し上げますと、Aランクが2.5%。CランクとDランクが1.8%。Bランクが1.6%となっており、ランク計の未満率が2.0%となっております。平成25年度と比較しますと、AランクとBランクで未満率が上昇している状況になっております。資料No.3の説明は以上です。
 次に、資料No.4、「賃金分布に関する資料」を御覧ください。大変大部になっておりますので、簡単に申し上げます。平成26年の賃金構造基本統計調査を基に、一般労働者と短時間労働者の計が資料No.4−1、一般労働者が資料No.4−2、短時間労働者が資料No.4−3としております。1〜14ページが、一般労働者と短時間労働者の計で、15〜28ページが一般労働者の資料で、そのあとが短時間労働者となっております。1ページの左上の東京を例にグラフの見方を説明いたします。横軸が1時間当たりの賃金額で、10円刻みの棒グラフになっております。便宜的に1,500円で区切らせていただいております。縦軸が賃金構造基本統計調査の復元後の人数で、昨年6月時点の改定前の最低賃金額の所に線を引いております。個別の紹介は大部になるため割愛いたしますので、適宜御参照ください。資料No.4の説明は以上です。
 資料No.5、「最新の経済指標の動向」です。名目経済成長率ですが、平成27年1月から3月期は、名目経済成長率2.3%。年率換算いたしますと9.4%となっております。次に生産ですが、鉱工業生産指数は、今年の4月は0.1と持ち直したものの、3月と5月で前年同月比でマイナスとなっております。第3次産業活動ですが、第3次産業活動指数は今年の3月はマイナスでしたが、4月以降はプラスで推移しております。企業収益ですが、今年の1月から3月期は企業規模計で前年同期比プラス0.4%。企業規模の小さい所を除いてプラスとなっております。次に企業倒産ですが、今年の4月から6月はいずれもマイナスになっております。一番下の商業販売ですが、小売業と卸売業、いずれも今年の4月でプラスになっていたのですが、5月に卸売業で再びマイナスになっている状況です。
 2ページ目は、個人消費です。今年の3月は、前年同月比でマイナスとなっておりましたが、勤労者世帯は4、5月はプラスとなっております。次に、業況判断です。日銀短観の今年の3月調査、6月調査では、ほとんどの区分でプラスとなっております。その下の中小企業の景況調査でも、昨年の4月から6月期と比較してマイナス幅が減っている状況です。次に、賃金、現金給与総額です。現金給与総額の前年同月比で見たものですが、今年の5月のパートタイム労働者はマイナスになっております。こちらは速報なのでpが付いておりますが、それ以外はプラスになっております。次に、労働時間です。労働時間は、所定内労働時間は、今年の3、4月は前年同月比でプラスとなっており、5月でマイナスとなっております。所定外労働時間は、3月から5月までいずれもマイナスとなっております。
 3ページは、経済成長率です。名目経済成長率の動向について、2013年度が1.8、2014年度が1.6、2015年の1月から3月期、先ほど説明しました前期比で2.3%、年率換算で9.4%となっており、前年同期比で2.5%と、いずれもプラスで推移しております。経済見通しについて、内閣府年央試算は、2015年度は未だ公表されておりません。日本銀行政策委員の大勢見通しも、今年度はまだ公表されておりません。
 4ページは、消費者物価の見通しですが、上の段が経済見通しと経済財政運営の基本的態度、2月12日の閣議決定で公表されたものです。その下が、日本銀行政策委員の大勢見通しとなっており、上の閣議決定のほうは消費者物価指数(総合)で、2015年度は1.4%程度となっております。日本銀行政策委員の大勢見通しは、2015年度の消費者物価の見通し(除く生鮮食品)で0.2%から1.2%程度で、中央値が0.8%となっております。資料No.5の説明は以上です。
 次に、資料No.6、「東日本大震災関係資料」として、例年お出ししております復興庁の資料から、復旧・復興、雇用の状況を抜粋したものと、今年度から岩手、宮城及び福島の三県の雇用・賃金の状況を統計指標からまとめて御用意いたしました。
 1ページの被災三県の雇用・賃金の状況を御覧ください。被災三県の平成26年の有効求人倍率の推移と失業率の推移ですが、いずれも平成22年度の数値と比べても改善をしております。
 2ページは、賃金の状況として、現金給与総額と定期給与を1ページと同様の形で掲載しております。平成26年の数値は、被災三県のほうはまだ取りまとめ中ですが、平成25年と平成22年を比較していただきますと、宮城県の現金給与総額が震災前の水準よりやや低くなっておりますが、それ以外はいずれも震災前の水準よりも上昇をしている状況です。
 3ページは、復興庁の資料から産業の復旧・復興の状況を抜粋したものです。「7 産業の復旧・復興の状況1」とあります。グループ補助金の交付先アンケートで、現在の売上げ状況が震災直前の水準以上まで回復していると回答した企業の割合は、40.3%となっております。それから、平成26年度1月〜12月期の被災三県の工場立地件数は、前年度より29件増のプラス25%の145件となっております。
 4ページは、産業の復旧・復興の状況5です。被災企業の復興に向けた進捗状況については、全体としては復興が進んでいるところですが、地域格差が顕著となっているとされております。中には、事業所数、従業者数が震災前と比べて半減以下のままの自治体も幾つか存在している状況です。
 5ページは、雇用の状況、雇用確保に向けた取組です。先ほど被災三県の雇用情勢、有効求人倍率と失業率を御覧いただきましたが、全体として落ち着いてきているとされておりますが、雇用のミスマッチが課題であるとされております。資料No.6の説明は以上です。
 次の資料は、「第1回目安に関する小委員会資料1追補」とありますが、「最低賃金の履行確保を主眼とする監督指導結果」の平成27年1月から3月に行った監督指導の最新結果を追加したものです。平成27年は違反率が11.6%、それから最低賃金未満労働者数の比率が3.3%となっております。2ページはその業種別ですので、適宜御覧いただければと思います。追補の説明は以上です。
 一番最後に参考資料を付けておりますが、第1回目安に関する小委員会において追加の御希望があった資料を御用意しております。1ページは、前回の小委員会の資料No.1、主要統計資料の20ページにありました地域別最低賃金と賃金水準との関係について、毎月勤労統計調査の30人以上の事業所について、一般労働者、パートタイム労働者別に時間額比が分かるように示したものです。申し遅れましたが、前回の資料はお手元のファイルの中につづっておりますので比較のために是非御覧いただければと思います。これを見ますと、一般労働者の時間当たり所定内給与の最低賃金(全国加重平均時間額)との時間額比で見ますと、一般労働者で36.7%、パートタイム労働者で72.4%となっております。
 3ページは、同じく前回の小委員会の資料No.1の春季賃上げ妥結状況と、4ページは前回の資料の夏季賞与・一時金妥結状況について、連合の最終集計の数値に直したものです。これを見ますと、3ページの連合最終集計の規模計で2.36%、100人未満で2.01%、100〜299人で2.08%、300〜999人で2.14%、1,000人以上で2.48%となっております。私から紹介いたしましたが、後ほど補足があればお願いいたします。
 5〜8ページは、成長力底上げ戦略推進円卓会議において示された円卓合意と、雇用戦略対話において合意された最低賃金の引上げについての合意を載せたものですので、適宜御参照ください。
 9ページは、消費者物価指数についてです。前回の小委員会でお出しした持家の帰属家賃を除く総合に加えて、総合と生鮮食品を除く総合、いわゆるコアCPIを併せて掲載したものです。こちらも御参照ください。
 11ページは、こちらも前回の小委員会の資料No.1の主要統計資料に掲載しておりました法人企業統計で見た労働生産性の推移の労働者一人当たり付加価値額の推移について、実数値、前年度比を表にしたものです。参考資料の追加については以上です。

○仁田委員長 ただ今の説明について、御質問等がありましたらお願いします。

○萩原委員 今回の資料No.3で、最低賃金に関する基礎調査によるランク別の未満率、影響率の表を出していただきました。同様に、ランク別に賃金構造基本統計調査による未満率、影響率の集計をお願いできないか、よろしく御検討ください。

○仁田委員長 ただ今の御意見、御質問についていかがでしょうか。

○新垣室長補佐 用意させていただきます。

○須田委員 1点は確認です。1点は感想なので答弁は要りません。資料No.2の、生活保護との乖離の3ページに、最新の乖離額で北海道から△がずらっとあって、結果乖離はないということです。2年前の実績との比較なので、生活保護扶助費そのものの引下げが始まった年だと思うのです。△は乖離が解消されているということなのでいいのですけれども、例年だとこの乖離が要因分析されていると思うのです。乖離の要因分析をすると、生活扶助費側が下がった影響が大きいという認識でいいのかどうかが1点確認です。
 それから、これは感想なので答弁は要りません。賃金改定状況調査を見ると、調査結果に疑問を非常に感じます。従来、特に第4表を重要な参考資料の中心的なものとして議論してきましたけれども、第4表を本当に重要な参考資料にしていいものかどうかという思いがあります。もっと言うと違和感があると言ったほうがいいと思うのですが、3要素を十分斟酌して、これからの審議に臨んでまいりたいと思います。

○仁田委員長 今の確認希望についてはいかがでしょうか。

○松本参事官 ただ今の御質問について回答を申し上げます。資料No.2の3ページで、乖離額の算出に当たっては御指摘のとおり、様々な要素ごとに算出した上で、その合計がこのようになっています。その要素としては3つあります。住宅扶助の実績によってどうなったか、可処分所得割合、税・社会保険料の変動に加え、正に御指摘のとおり、今回からは平成25年度から始まりました生活扶助そのものの基準引下げによる影響分、この3つの要素を加えて合算した結果が、この乖離額です。ざっくり申し上げれば、一番最後の生活扶助基準引下げによる乖離額の変動の額は、他の要素に比べれば大きめでありました。

○仁田委員長 よろしいですか。

○須田委員 今年の審議は、それはそれで了解というか理解します。生活扶助なり、社会保障なり、いろいろな意味で過渡期にある状況だと思いますので、来年以降どう見ていくのかというのは、この場ではなくていいのですけれども、どこかで一回議論したほうがいいのではないかと思います。

○仁田委員長 はい、分かりました。
 他によろしいようでしたら、資料の説明についての質疑は以上といたします。前回、委員の皆様にお願いいたしましたけれども、目安についての基本的な考え方を御表明いただきたいと思います。初めに労働者側委員からお願いします。

○須田委員 本年の労働者側の基本スタンスについて、総括的に申し上げ、以降各委員から説明させていただきます。今年は特に4点について強調します。1点目は、経済の好循環確立のためにも、最低賃金の大幅な引上げが必要だということです。2点目は、最低賃金法第1条、あるいは労働基準法第1条、憲法第25条ですが、「人たるに値する生活」を営むことのできる水準への引上げを目指していくということです。3点目は、物価上昇分が非常に大きい。特に賃金の低廉な労働者の生活には大きく影響していますから、物価上昇分は最低限担保すべきであると思います。4点目は、今は42の道府県で最低賃金水準は800円以下、特にDランクについては700円以下という状況にあります。当面800円到達への道筋を付けるべきだと思います。
 最低賃金法のベースである、労働者が安定した生活ができる水準として設定すべきという考え方は従来と変わっておりません。今年も、そういう最低賃金法第1条の趣旨に沿って、かつ第9条第2項で定める3要素を考慮しながら、十分な審議を通じて目安を決定していきたいと思います。なお、ここ数年ずっと言い続けていますが、ランクごとの最賃水準についても問題意識を持っていることを申し添えておきます。以下、今申し上げた4点について、働く者を取り巻く情勢認識を含め、各委員から具体的に申し上げます。

○冨田委員 私からは2点申し上げます。先ほどの資料の中にも、連合の集計の御紹介を頂いております。2015年春季生活闘争の中では、デフレからの脱却と経済の好循環の確立に向けて取り組んだ結果、企業の規模にかかわらず、多くの組織労働者の賃金の引上げが4月から実施されております。ただ、一方で残念ながら労働組合のない事業所というのは、労使交渉の機会すらない所が多く、こうした未組織の労働者の中には、最低賃金と同程度の賃金しか得られない低賃金者も多くいると思います。
 この最低賃金と賃金が同程度の場合は、最も地域別最低賃金が高い東京の888円であっても、年間2,000時間働いて年収は180万円弱という、いわゆるワーキングプアと言われる水準にとどまっており、生計費の必要最低額を、都道府県ごとに試算している連合リビングウェイジの水準にも届いていない状況にあります。こうした方々の生活が立ち行かなくなり、経済的に自立ができないことになれば、社会保障に頼らざるを得なくなります。事実、生活保護受給者は年々増加の傾向にあり、直近では約216万人にも上っている現状です。超少子高齢化、人口減少社会の進展が確実視されている中、このまま社会保障を支える納税者が減って、生活保護をはじめとする社会保障の受給者ばかりが増えていく状況が続けば、経済の好循環の確立どころか、我が国経済の破綻すら危ぶまれることになるのではないかと思います。
 社会保障の担い手の不足と労働力不足に歯止めを掛け、持続的な経済成長を成し遂げていくためには、労働力の再生産と、内需主導の消費拡大という経済の好循環の確立を目指していくべきだと考えます。そのためには、働いて得る賃金によって、家族とともに生活を営むことができ、労働力の再生産が可能な社会をつくっていかなければならないと考えます。そのためにも、低賃金労働者が将来不安を払拭し、安心感を醸成できるよう、暮らしの底上げに直結するこの最低賃金の大幅な引上げに向けた審議をしっかりしていきたいと考えております。
 2点目は、実際に目安を考える上での水準についてです。今後、目安額について審議をするに当たっては、先ほど須田委員も申し上げましたが、第4表の結果に基づいた引上げ幅の論議に終始することなく、地域別の最低賃金の適正水準がどこにあるのかを念頭において議論をしていくべきではないかと考えます。地域別最低賃金の適正水準というのは、憲法第25条、労働基準法第1条、最低賃金法第1条等々にあるとおり、経済的に自立をし「人たるに値する生活」を営むことのできる水準と言えますが、先ほども申し上げたとおり、現在の地域別最低賃金は、到底十分な水準にあるとは言えないのではないかと考えます。
 加えて、日本の地域別最低賃金の水準を世界的な水準と比較したときに、フルタイム労働者の賃金の中央値に対する比率が39%ということで、4割を切っており、OECD28か国の中でも下から5番目の位置にあります。今後の審議を進める中では、地域別最低賃金を決定するに当たって考慮すべきと定めている3要素のうち、労働者側としては、特に地域における労働者の生計費と地域における賃金の2つの要素を重視し、地域別最低賃金を適正水準まで引き上げることにつながるような目安を示していくべく審議を進めていきたいと考えております。私からは以上です。

○松井委員 続いて私から、須田委員が申し上げました3点目の物価上昇の問題について述べさせていただきます。特に物価上昇に関しては、賃金の低廉な労働者の生活に大きな影響を与えているということかと思います。前回出された資料、今回も出されておりますが、消費者物価指数、持家の帰属家賃を除く総合指数で見ると、平成26年度は3.3%の上昇になっています。また総合指数で見て、年度平均で取ると2.9%の上昇です。そのうち、特に食料や光熱水道費など、いわゆる生活に直結する部分の費目で上昇率が高くなっている状況です。
 私どもの調査から、生の声も御紹介します。昨年の6月〜8月に実施した連合の生活アンケートですが、これは消費税増税の影響の後の調査です。今後やり繰りすることとして、回答した組合員の半数以上が、衣服や靴の購入を控える、耐久消費財の購入や買換えを控える。また、光熱費や通信費を減らす。食費や外食回数を減らすなどと回答しております。日常の生活を切り詰めている状況がうかがえます。
 さらに1年経過した時点で、こちらは連合総研が実施している勤労者短観です。1年たった時点でも、全体で8割近くが何らかの費目を切り詰めています。しかも、この割合は昨年同時期の調査より更に多くなっています。特に就業形態別で見ると、非正社員では、8割以上が何らかの費目で支出を切り詰めるという回答をしています。やはり、この間の物価上昇の影響が、生活に非常に大きな影響を与えていることがうかがえます。
 その中で、特に昨今問題になっているひとり親世帯の貧困の問題については、特に注視しなくてはいけないと思います。OECDのデータによれば、ひとり親世帯の相対的貧困率は50.8%となっていて、OECD加盟国中、一番悪い数字になっています。厚生労働省のデータによれば、ひとり親世帯で生活保護を受給しているのは1割です。そして、就労母子家庭のうち、パート、アルバイト等が47%に上り、就労収入の平均は、年収で181万円にすぎないということです。
 やはり、こうしたひとり親世帯の方もそうですが、働いて生計を維持する、働く者が報われるよう、働くことに価値を見いだす社会でなくてはならないと思います。必死で働いて自立しようとしているにもかかわらず、苦しい生活を余儀なくされている方が多い状況です。こうした状況を改善していくためには、やはり最低賃金が果たす役割は非常に大きいと考えております。特に昨年度に引き続き今年も物価上昇の基調にあるわけですから、今年の審議については、昨年以上に物価に配慮した審議をするべきだと思います。以上です。

○萩原委員 私からは、須田委員よりありました、800円到達というところに関しての考え方を述べさせていただきます。我々として目指す適正な水準については、先ほど冨田委員から主張があったとおりです。決して800円が我々のゴールだとは思っておりません。ただし、現状の地域別最低賃金の状況を見ると、そこに到達するための当座の水準として、我々は800円を念頭に置きながら目指していきたいと思っております。この800円の水準については、本日も資料を用意していただきましたが、雇用戦略対話の政労使合意、あるいは厚生労働省が現在行っている業務改善助成金の支給基準という観点から見ても、当面の到達目標であることは間違ってはいないと思っております。
 それから最低賃金制度の目的についてです。これは、我々が申すまでもなく、第一義的には、低賃金で働く方々の賃金を保障し、労働条件の改善を図るということは言うまでもありません。加えて第二義的な目的として、この最低賃金制実施の効果は、社会政策、労働政策、 経済政策の分野にも、それぞれに対して影響を与えるところがあると思います。この取組は究極的には国民経済全体の発展に結び付く、そういう目的を持っているものです。
 これも事例的に御紹介させていただきます。連合がこの間、地域の活性化には、中小企業の活性化が不可欠といったスローガンを掲げ、地方連合会が各地域で地域フォーラムを開催しております。そのフォーラムの中で出された意見の中には、若者の雇用促進が必要である、あるいは取引関係の適正化が企業の活躍の推進になる、というような意見を頂いています。このフォーラムは、労働者側のみならず、行政、企業、住民、あらゆるステークホルダー、利害関係者が参加して意見交換を行っている場です。
 そのフォーラムに寄せられた意見の中では、やはり地元の中小企業における雇用安定がなければ消費の拡大にはつながらない。強いて言えば、地方の活性化にはつながらないという意見を頂いております。また、今の雇用の状況を見ると、仕事がないという状況ではなくて、仕事があるのに働き手がいないという状況もある、いわゆる人手不足についての意見も出されました。いわゆる赤字による倒産ではなく、働き手不足、後継者不足による廃業が増えている。こういう状況が続くのではないかという懸念があります。
 労働力不足が深刻化する中で、更に賃金が低い状況があると、賃金が低い地域から高い地域への、いわゆる働き手の流出という事態が出てくるのではないかという強い危機感を持っています。そうした観点からすると、まずこの地域活性化という観点からしても、地域別最低賃金が800円を下回っている状況の道府県においては、早期に1つの目標である800円への到達といった筋道が付けられるように、我々としては審議をしていきたいと思っておりますし、本年のこの審議の中でも、そこの道筋につながる目安を示していきたいと考えております。

○仁田委員長 よろしいでしょうか。それでは続いて、使用者側からもお願いいたします。

○渡辺委員 本年度の目安の審議における使用者側見解を取りまとめましたので、申し上げます。
始めに、中小企業、小規模事業者がおかれている現状についてです。我が国の企業の経営環境は、安倍政権の経済政策によって、総じて改善してきております。しかしながら、中小企業、小規模事業者では円安による原材料価格など、仕入れコストが高まっているほか、電気料金の増加や人手不足に伴う募集賃金の引上げ等により、人件費の増大などといった影響が広がっており、その対応に大変苦慮しているのが実情です。
 また、取引先企業の海外進出による受注の減少や、地域における人口減少などのマイナス要因もあり、中小企業の景況感に大きな改善が見られるまでに至ってはおりません。特に人口の少ない地域では、人口の多い地域と比較して景気の回復がかなり遅れているのが実情です。
 近年では、事業が存続できず廃業に至っている中小企業はかなりの数に上っており、経済センサスによれば、直近の2012年調査と前回の2009年調査を比較すると、僅か3年の間に従業員300人以下の企業が約35万社も減少している事実があります。
 政府の「「日本再興戦略」改訂2015」においても、中堅中小企業、小規模事業者について、地域に根ざした事業者であればあるほど、人口減少、少子高齢化による需要の減少と人手不足により、需給両面からも、そもそもの存立基盤が脅かされつつあると指摘されているように、中小企業、小規模事業者を取り巻く経営環境は依然として厳しいものであり、ギリシャの財政危機や中国の金融市場の混乱など、日本の実態経済の先行きについても不透明感が強まっているのが現状です。
 このような現状を踏まえると、我が国の企業総数の99%以上を占め、雇用の7割を支えている中小企業、小規模事業者の活力を削ぐような事態を招くことになれば、地域の雇用、経済に深刻な悪影響を与えることになると危惧しております。
 以上のような現状認識に基づき、本年度の目安審議における使用者側の基本的な考えを申し上げたいと思います。過去5年にわたる最低賃金の引上げの過程においては、中小企業の生産性と関係なく引上げを最優先する審議が続いたことにより、中小企業の支払能力を超えた、大幅かつ急激な引上げが行われてきました。その結果、厚生労働省の最低賃金に関する基礎調査によれば、従業員30人以下の企業における影響率は、全国で2006年度の1.5%から総じて上昇傾向にあり、2014年度も7.3%の高止まりをしています。
 また、各ランク内でも、都道府県におけるばらつきが大きく、北海道、青森県、宮城県、神奈川県、大阪府では10%を超えています。このことは、法定の地域別最低賃金額に張り付いている労働者が増大していることの実態を表すものであり、最低賃金の引上げが企業経営に与えるインパクトは、年々強まっていることを示しております。
 7月1日に開催された「第43回中央最低賃金審議会」において、「経済財政運営と改革の基本方針2015」、いわゆる「骨太の方針」と「「日本再興戦略」改訂2015」に配意した審議を求めるとの発言がありましたが、使用者側としては、賃金の原資はあくまで企業活動によって生み出される付加価値であり、賃金の引上げを考慮するに当たっては、生産性向上に裏付けられた付加価値の増加を伴わなければならないと考えます。中小企業や小規模事業者にとって、ベースアップに相当する最低賃金の引上げは当該企業事業者の生産性向上と切り離すことなくセットで考えるべきであります。
 本年度も、先の両文書に明記されているとおり、中小企業・小規模事業者に対する生産性向上等のために、政府の支援策がどのような形で実行されているかをしっかり検証するとともに、支援策の成果が生産性の上昇という明確な形で認められることが大変重要であると考えております。
 本日提出の資料にあるとおり、マクロで見た従業員の一人当たりの付加価値額、すなわち労働生産性の直近のデータは、資本金1億円未満の企業において、製造業、非製造業とも、1990年頃までは上昇基調にあったものの、その後は徐々に下がり、現在でも低迷した状況にあります。そのような状況において、中央最低賃金審議会が根拠の曖昧な目安を示すことが続けば、地方の混乱は深まり信頼を得ることができません。特に中小企業の支払能力への考慮が不十分な目安は、中小企業の事業存続を危うくするため、しっかりとした根拠やデータに基づく審議を行い、地方最低賃金審議会に今まで以上の明確な改定根拠を示すことが必要と考えます。
 したがって、今年度のランク別の目安については、最低賃金法第9条にある「決定の原則」、すなわち地域における労働者の生計費、賃金、そして通常の事業の賃金支払能力の3要素を総合的に表している賃金改定状況調査結果の、特に第4表のデータを重視し、た審議を行うとともに、最低賃金のはり付き状況などを踏まえたランクごとの実態を反映した目安とすべきであると考えております。
 また、物価の上昇分を最低賃金の引上げで充当すべきとの意見もありますが、企業経営や経済の実態を十分に考慮し、慎重に検討する必要があると考えております。また、物価が下落する中、企業自らが生産性の向上に努め、経済の回復に先行して最低賃金の引上げに協力してきたこと、そして、最近、ようやく一部で経済状況が追い付いてきたとはいえ、中小企業の生産性の向上が未だに確認できていないということを十分に踏まえるべきであると考えております。
 最後になりますが、2007年度の最低賃金改正後に議論してきた生活保護水準と地域別最低賃金との乖離については、2014年度の最低賃金額の改定において、法改正後初めて、全ての都道府県において解消しました。
 使用者側としては、公労使全ての関係者の努力の下に乖離を解消することができたことを評価しております。以上が今年度の目安審議における使用者側の見解です。

○仁田委員長 よろしいでしょうか。それでは、今頂いた双方の御主張について、御質問等がありましたらお願いいたします。

○小林委員 先ほどの使用者の見解のとおりなのですが、2点発言させていただきます。先の全員協議会の中で、地方最低賃金審議会の会長から幾つかヒアリングを行ったところですが、その際、多くの地方最低賃金審議会の会長から、昨年度、中央最低賃金審議会からの目安が非常に分かりにくい、根拠が曖昧だということで、地方の最低賃金審議会の調整審議が混乱したというような話があったかと思います。今年の目安審議に当たっては、是非とも地方最低賃金審議会に混乱を招かないように、データに基づく審議、それから、今まで以上に明確な改定根拠を提示するような目安を示していけたらと考えております。
 地方最低賃金審議会の信頼性を確保する見地から、是非とも地方最低賃金審議会に対して、その説明責任が求められていると理解しております。
 目安審議は、従来から公益、それから労働者側、使用者側の真摯な議論が重ねられているところでありますが、今まで以上に地方最低賃金審議会に対してその根拠が分かりやすく伝わるような形で、目安審議が進められるよう、よろしくお願いしたいと思います。
 もう1点は、中小企業、中でも小規模企業の賃上げ状況の調査結果について申し上げます。信金中央金庫地域・中小企業研究所が6月25日に発表した第160回全国中小企業景気動向調査の結果があります。こちらの資料は本日は配付していませんが、これはホームページでも公開されています。この調査は、全国各地の信用金庫の営業店の調査員による聴取り調査で行われ、標本数で1万5,995企業、有効回答数が1万4,680企業、91.8%ですが、有効回答のうち、従業員が20人未満の小規模企業の割合が71.8%という調査結果です。これは四半期ごとにやっている調査ですが、今回、特別調査として中小企業の賃上げと、人材確保の取組についての調査を実施しております。同研究所の調査概要のコメントでは、今春の賃上げについて28%が実施したと回答しており、実施しなかったのは72%という調査結果です。
 賃上げの理由については、17.8%が従業員の待遇改善という回答で、多くの企業が従業員の生活水準の向上を意識している状況が読み取れます。これに対して、賃上げを実施しなかった理由については、自社の業績、これが25.2%、景気の見通しが不透明というのが24.5%で、この2つが上位に並んでいるということです。目前の業績はもちろんのこと、将来の不確実性の大きさが中小企業に賃上げをためらわせていることがうかがえます。また、賃上げを検討したことがないというのは13.7%あり、小規模企業の回答が多かったという分析結果をここでコメントしております。
 特に賃上げを実施した企業割合を地域別に見ると、東海地域は41.1%と高いのですが、一方、賃上げを実施しなかった企業割合の多い地域は、南九州の83.3%、首都圏が82.0%、九州北部が77.4%、四国は73.9%と、いずれもかなりの企業で賃上げを実施しなかった地域があるということです。また、賃上げを実施しなかった企業割合を従業員別に見ると、1〜4人の小規模の所が88.7%、5〜9人は76.7%と高く、従業員数が大きくなると賃上げの企業の割合も多くなるという結果です。
 賃上げを実施しなかった企業割合を業種別に見ると、小売業で83.1%、不動産業で80.0%、サービス業で72.5%というのが全体の平均を上回っているという状況です。このように小規模企業では、かなりの割合で賃上げを実施しなかった企業が多く、また、地域別、業種別で見ても大きな違いがあるということにも、ちょっと留意する必要があると思います。
 中央最低賃金審議会の中でいろいろな資料を見ていますが、また違った研究所、シンクタンク等でもいろいろ調査をやっていますので、これからの目安審議に当たっては、これらほかのデータもいろいろ分析しながら、是非とも検討していただくようお願い申し上げます。以上です。

○仁田委員長 それ以外に、御意見、御質問等はありますでしょうか。

○須田委員 使用者側の皆さんからの根拠のある数値をもって地方最低賃金審議会にマイナスの影響というか、混乱をさせないようにということは同感でして、我々の主張からすると、正に物価上昇が明確に物語っている、この数字は無視できないということ。我々は基本的に先ほども言いましたが、最低賃金水準はどうあるべきかという観点をベースにしているわけで、その意味で、物価というのは実質賃金の維持ができるだけの話で、それをどの程度上げるかという議論は、プラスアルファだというように思っていることだけ申し上げておきたいと思います。

○仁田委員長 ほかにはいかがでしょうか。私が要望を申し上げるのもちょっと変ですが、全国中小企業景気動向調査は四半期ごとに調査されているということでしたね。

○小林委員 全国中小企業景気動向調査は四半期ごとに調査していて、賃金の引上げの状況は特別調査ということで今回だけ実施したようです。中小企業の賃上げと人材確保への取組ということで、別の調査票を持って調査員の方々に調べていただいた調査があります。これを後ほど会長にもお渡しいたしますが、都道府県別にそれぞれの賃上げの状況や、どういう理由で賃上げしたのか、また、賃上げを実施しなかった理由とか、その判断の要因、条件とか、それから、人材不足というのは、かなり建設業でうたわれているものですから、その辺の状況や定着度合いについても調査していますので、御参考にしていただければと思います。

○仁田委員長 私がちょっと関心を持っているのは、10月に大体、最低賃金の改定が各都道府県で行われて、それが実際、中小企業の賃金改定につながっているのかどうかということです。もし、将来、この調査も4月以降の賃上げをしたかどうかを調べることができるのであれば、地域別最低賃金の改定があった後、どう企業が動いて、賃金を上げたのか、それとも上げなかったのか、そういう必要がなかったのかということ。その調査で何かお調べいただける余地があるかもしれませんので、私らが要望するのも変ですが、そういうことも考えることができるのではないかと、そういう感想を持ちました。

○小林委員 一般的には、大企業も春闘で春からの賃金の引上げを労使で検討されると思いますが、中小企業もその影響を見て大体、春の賃上げの実施を多くの企業が取るところです。短時間労働者とか、時給単位でアルバイトの方を短期で雇う際、最低賃金は非常に影響が大きいと思いますが、今までそれぞれの地域別最低賃金、10月1日から施行というときに、違法状態になっていれば上げるといったことをやっているのでしょうけれども、最低賃金によって、全体の賃金をどう見直すとかという動きというよりか、全体的な従業員の待遇改善という意思を込めて春に賃金改定等を行う企業が多いというのが実情だと思いますね。10月1日の施行をもってどうだというのは、個別にそれぞれの企業で判断するというより、その時期の相場に合わせて募集をかけているのが実態であり、当然ながら法律を守ることがそれぞれの企業の果たすところでしょうけれども、ここにもあるように、未満率とか影響率の状況は高くなっている。それから、監督指導の中で、注意を受ける状況になっているということがあります。知らない企業もかなり出てきている状況なのかと思います。

○仁田委員長 私なども勤務先の大学で、アルバイトの学生を雇うときに違反しないように、10月1日から上げる必要が出てくることがありますということは申し上げております。

○須田委員 連合加盟組合員で、いわゆる非正規といわれる方が80万人ぐらいおりますが、小林委員が言われるように、その会社の全体の賃金制度とか、体系の見直しをしたかどうかは、おおむね4月1日に向けてやるのですが、10月1日で新しい最低賃金が決まったときに、コンプライアンスの観点で10月も上げざるを得ない、4月も上げる。だから年2回昇給、個々人で見ればそういう人はいます。それから、マクロで言うと、今回も出されていますが、例えばAランクの去年の影響率が10.7%だったのですが、今年の未満率は2.5%。ということは改善されているのだろうと思っておりますので、全体として、賃金テーブルを改善したかどうかということは、そんなに多くはやられていないとは思いますが、やはり10月1日発効で改定しているという現実は、我々の組合の中にも多数おられます。

○小林委員 本来であれば先ほど、いろいろな資料の中にもありましたが、今の安倍政権の中で、私どもの団体も含め経団連、各種団体に賃上げの要請があって、4月で引上げをしている所も数多くあります。でも、先ほどの調査でも言ったように、今年の春に賃上げもしていない所もかなりあります。というよりか、小規模の所に焦点を当てると、かなりの企業で賃上げをしていないのかというのが、この調査結果でも分かります。
 私が驚いたのは、特に首都圏です。先ほど言ったように、18%は賃上げをしていますが、この春、82%は賃上げを実施していない所があります。特に小さい所で1〜4人、それから5〜9人、10〜19人クラスは、本当に小規模の企業では賃上げしていない状況があります。
 これは、従業員の方々に対して、生活水準、物価の話とか言われていましたが、待遇改善のために企業はいろいろ努力しようと思っていますが、なかなか取引関係の問題があったり、諸物価が上がっているというのは、それぞれの企業にとっても、原材料費が上がったりとか光熱費が上がったりということでコストが非常にかさんでおり、本当は賃金を上げたいのだけれども上げる余裕がなくなっているということで、かなり厳しくなっています。小規模になるほど本当に厳しい状況になっているというのが実態ではないのかと。これは3要件の1つの支払能力というものですが、本当に厳しい状況にあるということも、ひとつ十分念頭に置いていただいて、検討していただきたいというのがお願いでございます。

○須田委員 そうではないとか、批判とか、反対とかと言っている意味ではなくて、最低賃金近傍で働いている人は、どういう水準なのだろうかと考えたときに、いわゆる正社員が十分とは言わないけれども、そこそこの賃金水準の人の上がった上がらないという議論と、最低賃金近傍の人の水準をどう考えるかという趣旨で我々は言っているだけでして、個別の企業の業績を無視するということでもない。ただ、マクロ観で言うと、先ほど萩原委員から地域フォーラムの話もしましたが、私も行って話を聞いた京都府の経営者協会の方は、業績ではなくて人手不足で廃業だというような事例、九州の経営者の方の話もそうなので、いろいろな要素があって、経営者の皆さんがいろいろ苦労されているのは承知しています。その上で、最低賃金近傍の人をどう考えるかということに重きを置いて発言させていただいております。全体の各企業規模別、あるいは職種別の経営実態とか経営環境を否定しているつもりは全くありませんので、そこだけ是非、御理解いただければと思います。

○仁田委員長 ほかにはいかがですか。よろしいでしょうか。
 本年の目安についても、労使から種々御主張いただき、熱心な御審議をいただいているところですが、お伺いしている限りでは、双方の主張には、かなりの開きがあるということかと思います。目安をまとめていくためには双方の歩み寄りが必要ですので、次回の目安に関する小委員会までに、相手の主張を踏まえていただき、その上で更なる御検討をお願いしたいと存じます。最後に、本日の議論の中で資料等含めて何かありましたら、伺っておきたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、事務局から次回の事務連絡をお願いします。

○新垣室長補佐 次回の第3回目安小委員会については、7月22日水曜日の17時から、厚生労働省19階共用第8会議室で開催いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○仁田委員長 では、夕方からになりますが、よろしくお願いしたいと思います。
 本日の小委員会は、これをもちまして終了とします。議事録の署名は、冨田委員、横山委員にお願いしたいと思います。本日は、皆様お疲れさまでございました。


(了)
<照会先>

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代表: 03-5253-1111

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