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2016年2月26日 平成27年度第3回発がん性評価ワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

○日時

平成28年2月26日(金)13:30~


○場所

厚生労働省共用第6会議室


○議事

○櫻井有害性調査機関査察官 本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより「平成27年度第3回発がん性評価ワーキンググループ」を開催いたします。本日、小野寺委員は都合により御欠席です。また、津田委員からは少し遅れるとの連絡が入っています。以降の進行は、西川座長にお願いいたします。

○西川座長 議事に入る前に、事務局より議事次第と資料の確認をお願いいたします。

○櫻井有害性調査機関査察官 本日の議事ですけれども、「平成27年度の既存情報による発がん性評価について」ということで、個別物質の発がん性評価29物質の評価と、「遺伝子改変動物を用いた発がん性試験の基準について」「その他」の3項目です。また、配布資料として資料1から資料2は、1冊に束ねています。順に1-11-2、そしてA3判の1-3です。束の最後が資料2という一枚紙です。参考資料も束にして14まであり、束の最後が4となります。そのほかに机上配布資料として2冊あります。これらは資料1の別冊に当たるのですが、別添1と別添2となっています。別添11212ページですが、別添231314ページです。31ページから開始というのは、資料を一部削除したので31ページからとなっております。資料の確認は以上ですが、不足している資料などはありますか。

○西川座長 よろしいですか。それでは本日の議事に入ります。議事1「平成27年度の既存情報による発がん性評価について」ということで、事務局から説明をお願いいたします。

○角田化学物質評価室長 昨年に引き続き、今年度も既存の発がん性に関する試験等の結果を踏まえ、IARC2B以上に相当するかどうかの検討を行います。つづりの最後のページに、参考資料4A3の横長のフロー図がありますので、検討の位置付けを御説明したいと思います。

 真ん中から右側は、発がん性評価としてどういうことを行っているかというフロー図と、それに応じた発がん性ワーキングの検討事項をまとめたものです。それに応じて左半分では、平成26年度以降、どういう検討をしてきたかということを簡単にまとめています。平成27年度が一番左の行になっています。平成27年度は5月に第1回の検討をして、第2回は7月に開催し、今回が3回目です。今回の検討は「平成27513日」と書かれている一番大きな枠が一番上にありますけれども、ここで発がん性分類を行うものの絞り込みを行っております。そのときに51物質のリストを提示しております。それに基づいて更に絞り込みを行い、太字で書いてありますように、「文献年度が古いもの等を除く29物質を評価する」ということで、今回の第3回ワーキングの検討事項になっております。

7月については、その下の部分に3つほど枠があります。ここではブチルアルデヒドの具体的な試験方法の決定、遺伝子改変マウスにおけるがん原性試験の試験基準、長期のカーボンナノチューブの試験結果がまとまりましたので、それについても御報告しました。この3つのうち、真ん中の遺伝子改変マウスによるがん原性試験の試験基準についても、その後に若干の修正も加えておりますので、今日、御確認を頂きます。

 それでは、資料1-1「文献調査を踏まえた平成27年度発がん性評価について」です。1番ですが、平成26年度において、国の委託事業により発がん性に係る情報収集を実施した物質の中から29物質を選定し、平成27年度に発がん性評価ワーキンググループで発がん性評価を実施することとしました。2番、この29物質については、主に、国際がん研究機関(IARC)又は他の評価機関において発がん性分類はなされていないが、発がん性試験で陽性の結果が出ている物質です。また、IARCの発がん性分類がないか、あるいは3(ヒト発がん性について分類できない)であって、EU等他の機関において、IARC2B以上相当の発がん性分類がなされているものも含まれております。

3番です。29物質は、平成27年度第1回の発がん性評価ワーキングに示した候補物質(50物質)を基に、評価時期より古いものは除くという形ですが、発がん性試験情報の公表時期等も考慮し、絞り込みを行う等により選定したものです。

3ページに検討していただいた29物質の一覧表(総括表)があり、129番となっております。右から2つ目の欄に、先生方に検討いただいた結果が入れてあります。一番下の欄外の左下に書いてありますように、○はIARC12B相当という判定、×はそれ以外、判断できない場合は「判断保留」という形にしていただいており、現在○が3つ、判断保留となっているのが4つ、×がそれ以外という形になっております。時間の制約もあり、1つずつ全てというわけにもなかなかいかないものですから、よろしければ先生方の評価でIARC2B以上に相当された3物質と、判断保留とされた4物質を主に検討するということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○西川座長 それで結構です。

○角田化学物質評価室長 もちろん、それ以外の物質でも評価についての御検討が必要だということがあれば、御指摘いただければ対応したいと思います。各先生方に御担当いただいた部分もありますので、私のほうから上から6つずつぐらい、まとめて進めていきたいと考えております。6つずつ説明をして、その後に御担当で御検討いただいた先生方から追加なり補足のコメントがあればしていただき、その後、皆さんで御議論するという形で進めていただければと思います。

5ページですが、まずは16番まで区切って御説明させていただきます。1番がウラシルです。この物質は先ほどの一覧表にあったとおり、有機合成中間体や医薬原体、抗がん剤添加物等ということで、RNAなどに入っている塩基でもあり、常温で固体状のものです。左の所に評価機関が入っておりませんが、これは評価がなされていないということと、動物試験の文献が♯1~♯5の年次の文献があるという意味です。その文献をまとめたものが、右のほうにある文献No.1No.5まで続いております。それぞれこのような結果が出ているということを簡単にまとめたもので、真ん中の色が塗ってある判定と理由の部分が、先生方に御検討していただいた結果が入っているという構成です。

 この5つの文献ですが、ウラシルのNo.1No.3の試験については、1つの論文でまとめているもので、ラットの104週混餌投与、マウスの96週の混餌投与、ラットの104週混餌投与です。No.1は、膀胱にとりわけ移行上皮癌が発生し、雄は90%、雌は19%発生した。扁平上皮癌は雄の10%に発生したが、雌には見られなかったという整理になっております。No.2ですが、膀胱に移行上皮癌が雌の76%、雄の8%に見られ、扁平上皮癌が雄の8%に見られています。No.3ですが、ウラシル単独投与群では膀胱腫瘍が75%、結石が81%に見られました。このNo.1No.3を総括し、非遺伝毒性発がん物質ウラシルには発がん性に性差があり、膀胱結石の有無が関与しているというまとめになっております。

No.4がラットの混餌投与試験です。一番下の所に書いてありますけれども、ウラシルは膀胱発がんの強い促進作用があって、甲状腺腫瘍の抑制作用の可能性があるとまとめています。次のページのNo.5については末尾にありますように、これも混餌投与試験で乳頭腫が見られただけで、増殖性病変は見られませんでした。

 以上、5つの試験を総合的に判断していただいた結果が、判定として○となっておりますが、ラット及びマウスで限定的な試験が実施されており、いずれも雌雄に膀胱結石に関連した移行上皮癌が誘発されたと。疫学試験の結果は得られていないということで、IARCの判定基準でSufficientInadequatemachanism not strongということで、これは2B相当と言えるのではないかという評価です。

 次のページが2番の物質、o-メトキシ-p-プロペニルフェノール(別名Isoeugenol)です。これにはラットとマウスの2つの文献があり、両方とも強制経口投与試験です。この結果、ラットのほうでは雄で良性と悪性の胸腺腫、乳腺のがんが出ています。マウスの雌雄では、雄で肝細胞腺腫とがんが出ており、雌では全臓器の組織球性肉腫が出ています。これはラット及びマウスでNTPの十分な試験がされており、雄のラット胸腺では傾向のみでequivocal(不確実)ということです。雄マウスの肝のみでclear evidence、組織球肉腫は傾向のみ。疫学調査の結果は得られていないということで、Limited(限定的)Inadequateということで、3相当であるという結論です。

3番がα-ヒドロキシエチルベンゼンです。これはラットとマウスで経口投与の試験がなされております。両方とも2年間です。ラットのほうでは雄の腎臓尿細管細胞腺腫、腺癌が発生しています。これはSome Evidenceです。雌ではNo Evidenceです。マウスのほうでは、雌雄とも腫瘍の発生増加は見られなかったということです。結論ですが、ラット及びマウスで十分な試験がされており、F344雄ラットでは腎症を伴って腎尿細管腺腫及び腺癌が誘発され、some ebidenceとされております。疫学調査の結果は得られていないということで、これはLimitedInadequate3相当という結論になっております。したがって、これも判定は×、12B相当ではないということです。

4番がジクロル-4-ニトロアニリンです。この試験は1967年から1980年代までの比較的古い試験で、5つの試験があります。マウスとラットで2つずつと、ビーグルで1つです。マウスのほうのNo.1の試験では、結論が120物質をまとめて表形式で報告しているということで、腫瘍増加は「無し」という形になっております。No.2がマウスの80週の混餌投与試験です。これは腫瘍増加無しということで、前腫瘍性変化として肝臓:小葉中心性肝細胞肥大、ヘモジデリン沈着、巣状又は単細胞壊死()空胞変性()が認められていますが、腫瘍増加はありません。No.3は腫瘍は、投与群と対象群に差はないということです。これはラットの雌雄の2年間の混餌投与試験です。No.4はラットの雌雄の2年間の混餌投与試験ですが、これも腫瘍は、投与群と対象群に差はなかった。

 次のページがNo.5、イヌの試験です。これは肝細胞の肥大と肝臓脾臓の色素沈着という結果でした。以上、これは古い限定的なデータですけれども、動物試験において明らかな腫瘍発生は見られていない。また、疫学調査の結果は得られていない。Ames試験の結果はプラス及びマイナスということで、Inadequate3相当ということになっております。

 次のページが5番、ブロモ酢酸エチルです。これは1974年に4つ、1979年に1つあり、全部で5つの試験が出ております。全てマウスです。No.1の試験ですが、マウスの雌に580日の経皮投与で、がんは発生しなかった。No.2は皮下投与ですが、マウスの雌に450日まで投与、580日まで観察、肉腫が9/50発生しました。No.3はマウスの雌に皮下に1回の投与で、乳頭腫が発生しているのが8/30、がんが1/30です。No.4の試験ですが、マウスの雌雄に450日の腹腔内投与で、乳頭腫が9/30発生し、投与部位の肉腫は0/30であったということです。No.5の試験は、ブロモ酢酸エチルをマウスの雌雄に24週腹腔内投与して、腫瘍の増加は見られなかったということです。以上、全部合わせますと、評価に適切な動物試験は実施されていない。疫学試験の結果は得られていない。ヒトでの発がん性は判断できないということで、Inadequate3相当という結論です。したがって12B相当にはならないということで×です。

6番の試験が3,4-ジヒドロクマリンです。これは香料の保留剤などで使われているもので、ラット及びマウスでの試験がなされており、2年間の強制経口投与です。ラットのほうですが、No.1では雄の尿細管腺腫の増加があり、腎臓移行上皮癌も投与の影響の可能性があるということで、雄ではSome Evidence、雌ではNo Evidenceでした。次のページがNo.2のマウスです。雌は肝細胞腺腫、肝細胞腺腫と肝細胞癌を合わせた発生が増加しているということで、雄はNo Evidenceですが、雌のほうはSome Evidenceであるという判断です。評価ですが、ラット及びマウスでの十分な試験がなされており、F344雄ラットの腎尿細管腺腫及び雌マウスの肝細胞腺腫プラス腺癌の発生増加が見られる。疫学試験の結果は得られていないということで、LimitedInadequate3相当という判断です。これを受けて12B相当には該当しないという評価がなされております。

6物質については以上ですが、最初のウラシルについては○という評価になっております。資料では別とじの分厚いものの中に、「12B相当3物質文献資料」を机上配布しております。これはいろいろな版権の関係もありますので、先生方の机上配布だけにさせていただいているのですが、ここにウラシルの資料が掲載されております。1番のウラシルの試験については、例えば文献123が資料の3ページからの文献になっております。扁平上皮癌の発生が書かれておりますが、5ページにTable2があります。ここにSquamous cell carcinomaというデータがあり、扁平上皮癌の部分、雄Male10%というのがあるかと思います。ここの記述です。

 マウスの雌でも、膀胱に移行上皮癌が76%で示されています。ここを踏まえているというのと、No.4の試験があります。こちらは膀胱発がんの強い促進作用があるということで、11ページにTsuneo Masuiの論文があります。これを受けて、このような取りまとめになっています。概要部分の試験の成績と全体の取りまとめは以上ですけれども、先生のほうで補足なりがあれば、またお願いしたいと思います。

○西川座長 6物質についての御説明を頂きました。その中で、最初の物質のウラシルについては、IARC2B相当であるという評価ですので、これを担当した小川委員から補足説明をお願いできますか。

○小川委員 こちらについてはNTPなどではない、大学で行われた試験です。しかしプロトコールとして、がん原性の試験としてはそれほど問題のない試験等が行われております。複数の試験においてラット、マウスの雄雌ともに、膀胱に発がん性が見られているので、動物においてはsufficientなデータで、発がん性が示されていることになると思います。機序自体がヒトに外挿するかどうかは、実は議論のあるところかもしれないのですが、まだディスカッションが完全にはできていない部分もあります。ですから3に落とすところまでにはならないのではないかと思いますので、グループ2B相当になると考えました。

○西川座長 先ほどは扁平上皮癌を強調して説明されたのですが、主な文献としてはフクシマ先生の文献でラット、マウス共に、主に膀胱に移行上皮癌ですね。

○角田化学物質評価室長 5ページの下のTable4に書いてあります。

○西川座長 移行上皮癌を主としてリハースしているということで、これは明らかなラット、マウスにおける発がん性があるということだと思います。

○津田委員 もし、これを2Bとしてどこかでやったとしても、結果は同じになるのです。ウラシルをやるとものすごい勢いで膀胱を満たすぐらいにパピローマができて、実は実際にデータを見ると、マウスにはちょっと怪しいところがあるのです。それで同じことを繰り返すことになるのです。結石ができてパピローマとがんができるという場合に、行政的にはどうするのですか。それがはっきりしていないと、結局再現するだけなのです。

 問題は、結石が原因とある程度分かっているものについて、またお金と時間を掛けて試験をするかということだと思います。例えば、IARCではサッカリンは2Bから3に下げました。これが結石だということは、はっきりしているわけです。ヒトには起こり得ないということでやめているというか、3に落としています。それから、最近訴訟もあったピオグリタゾンは糖尿病の薬です。これも膀胱発がんが有りということですけれども、結局は結石だというデータが出始めて、IARC2Aにしていますが、いずれ見直しが来るのではないかと思っています。ですからラットの膀胱に限って、結石でパピローマないし癌は非常にできやすいので、それをどう取るかということについてのある程度のあれがないと、もしこれをやったとしても、同じ結果が出ます。間違いなくパピローマとがんはできます。

○角田化学物質評価室長 今回のケースで、これでまた試験をということではないのです。

○津田委員 やるのではなくて。

○角田化学物質評価室長 参考資料4の最後のページを御覧になっていただきたいのです。横長のA3のフロー図があって、左から2番目に平成26年度第3回、第4回発がん性ワーキングの検討ということで、先生方にやっていただいたものです。ここでIARC2B以上相当と判断されたもののうち、次の3物質は730日の企画検討会でIARCで新規に2B以上となった物質など15物質とともに、リスク評価対象物質として選定され、去年の12月にばく露作業報告対象物質として告示されたと書かれております。その3物質というのは、ここに●で書いてある3つの物質です。

 今回の検討で2B以上であるということが出ましたら、このようにリスク評価の対象物質を検討する検討会に送り、そこで検討いただくことになります。その場合は告示をして、使っている人がいれば作業報告が義務になります。そこで出てこなければもう1回告示をして、それでも出なければ扱っている人がいないということで終わります。ただし、扱っている人から報告が出てくれば、その中からサンプリングをしてばく露の実態調査に入ります。実際に現場で測定をして、それが高ければ規制に行く可能性が出てくるという形です。ですから今回の検討の中では、津田先生がおっしゃった結石等の関係なども含めて、12B相当と言っていいかどうかを御検討していただければ。

○津田委員 検討するわけですね。

○角田化学物質評価室長 はい。それに応じて今申し上げたような、そういうリスク評価の流れに乗るかどうかにつながるものです。

○津田委員 分かりました。

○平川化学物質評価室長補佐 この場で12B相当であるかどうかを、御議論いただければと思います。

○若林委員 ウラシルは古い話なので、IARCで評価しているのではないかと思ったのですが、されていないのですね。

○津田委員 多分余りばく露の危険性がないのだと思います。私はその研究が実施された時にその研究室におりましたけれども、発がん性があるということで、大変センセーショナルなことになったのです。しかしIARCで全く動かないのは、やはりばく露がないのではないかと思います。

○西川座長 先ほど津田委員がおっしゃったお話の中で、ピオグリタゾンの市販後調査で、ヒトの膀胱癌が増えているという傾向が出ているので、結石即ラット特異的ということは、今は言わないほうがいいかと思います。ですから、ここではラット、マウスに膀胱癌を誘発したということで、2Bという判断にしたいと思いますけれども、よろしいですか。

○津田委員 一応挙げていくということでは、問題ないと思います。

○西川座長 それでは、ウラシルは2B相当ということで決定しました。その他は全て2B相当ではないという判断でしたが、よろしいですか。小川委員の判定の2番、Limited+Inadequate+というのは、何をもってLimitedと言っていますか。

○小川委員 自分の覚えで書いていたのですけれども、2番については最初のほうは動物実験から言えることです。Limitedというのはマウスの雄のみで、1臓器でクリアなエビデンスがあるということですので。これが雄雌にもあったり、ラットとマウスでもあったりすればSufficientになるとのことですが、1臓器雄マウスだけなので、Limitedな動物のデータがあると考えます。ヒューマンについては特に明らかなデータがないので、Inadequateと考えます。

○津田委員 今、IARCでは評価物質を5年ごとに公募しています。個人が出してもいいし、組織が出しても全く構わないので、こういうように怪しいときは、出せば良いと考えます。公募になったときには応募用紙をダウンロードできますので、出しておかれたほうがいいと思います。候補物質が審議に掛かって上からプライオリティー順に並べて、5年間でやれる範囲内で評価されます。データがあって あれば判断の付かないものはデータがあれば再評価に出されたらいいと思います。

○若林委員 評価をするときは、もっと多くの人数の人たちが1週間ぐらい一生懸命やりますので、きちんと評価できると思いますから、私も出したほうがいいと思います。賛成です。

○津田委員 評価に掛かれば、そのときにはデータは世界中から全部集めますから。

○西川座長 16番までで、そのほかに何かありますか。

○角田化学物質評価室長 あと、先生が書かれていたLimitedなどの規定は、皆様も御存じだと思いますけれども、参考資料の10ページにモノグラフのPREAMBLEが書かれております。個々のそれぞれの限定的な証拠不十分とか、無しというのもこの表にまとめておりますので、御参考までにお知らせいたします。

○西川座長 これとは違う基準ですよね。

○小川委員 一緒です。それに沿ったつもりです。

○西川座長 そうですか。Inadequateというのは、別に疫学は関係ないのか知っていますか。

○小川委員 後ろのほうに書いてあるのはヒトのということで、ちょっとこことは。あくまでも動物のという話だと思います。

○西川座長 動物実験ですよね。あと1つだけあるのですが、資料1-36ページの2番目の物質の文献概要、右から2つ目のカラムの上の「胸腺腫」の「セン」が違っています。

 それでは、ないようでしたら次に進んでよろしいでしょうか。続いて7番から、6物質の説明をお願いします。

○角田化学物質評価室長 それでは、7番から御説明します。本日は小野寺先生がいらっしゃいませんので、事務局から御説明して、御審議いただければと思います。まず7番の物質、IH-インドールです。これについては、それぞれ異なる動物種で3種類の実験データがあります。マウスとラットとハムスターです。マウスの雌については70週の混餌投与、ラットの雄は10週の混餌投与ですが、マウス、ラットともに発がん性無しという結論になっています。それから、No.3はハムスター雌雄の混餌投与ですが、2-アセルアミノフルオレン(AAF)の膀胱がん発がん作用を促進したというデータが出ています。インドール単独群はないということでした。以上を踏まえまして、判定としては12B相当ではないということで、×となっています。膀胱への弱いプロモーション作用を有し、AAFでの他の腫瘍を抑制している文献が一報あるが、他の報告は発がん性無しということで、IARC12B相当ではないという判断です。

 次に8番、プロパ-1-イル=3,4,5-トリヒドロキシベンゾアートです。別名Propy1 gallate、これについては4つ試験がありまして、全て餌に混ぜて投与しているものです。マウスとラットです。まずNo.1の試験ですが、2年間の混餌投与試験です。発がん物質とは考えられなかったが、雄の低用量群に包皮腺腫瘍、膵臓の膵島腫瘍、副腎の褐色細胞腫の増加、雌の低用量群2匹にまれな脳腫瘍が見られたということです。それから、次のページにまいりまして、No.2のマウス雌雄の2年間の混餌投与です。発がん物質とは考えられなかったが、雄の悪性リンパ腫の増加は投与に関連しているかもしれないということです。ただし、これは雄のみで、明確な因果関係は不明であるということが備考欄に書かれています。

 それから、No.3はラットの雄で、52週の混餌投与試験。これは腫瘍の増加は見られず、前胃の過形成が確認されたということです。それから、No.4はマウスの100週の混餌投与試験ですが、腫瘍発生の増加はなかったということと、顕著な慢性毒性も認められなかったということです。以上4試験の結果を踏まえますと、各試験で腫瘍が少数発生しているが、明確な腫瘍増加や有意差が認められていない。これでIARC12B相当ではないということで、×という判断になっています。

9番は2-プロペニルアニソール、別名Estragoleです。これについては4つ試験がありますが、全部マウスです。まずNo.1の試験ですが、マウスの雌雄に10回強制経口投与です。雄のみHepatoma(肝細胞がん)が有意に増加したということです。1匹当たりの担腫瘍数も増加、肺の腺腫が増加したということです。それから、No.2の試験です。マウス雄の4回投与試験、12か月後の解剖ということですが、Hepatomaが有意な増加をし、1匹当たりの担腫瘍数も増加したということです。次のページにまいりましてNo.3の試験ですが、マウスの雄の4回試験投与で15か月後解剖です。Hepatoma、肝細胞がんが有意に増加し、1匹当たりの担腫瘍数も増加した、肺の腺腫が増加しています。それから、No.4はマウス雄の1回投与、10か月後解剖ということで、単独ではHepatomaの発生が増加したが、ペンタクロロフェノールを1回腹腔内投与した群では増加しなかったという結果です。

 この4つの試験結果を踏まえて、肝腫瘍が発生しているが、マウス雄だけなので、自然発生腫瘍を増加させたと考える。雌や肝以外に腫瘍発生無しということで、IARC12B相当ではないという判断で、×ということになっています。

 それから、10番のMethy1 12-hydroxyoctadecanoateです。12-ヒドロキシステアリン酸メチルという和名になっていますが、これは1つの試験が1970年にあります。それはマウスの試験で皮下投与ですが、皮下肉腫、肺腫瘍がそれぞれ低用量群に31匹発生、高用量群に11匹発生。対照群104匹に01匹発生ということです。一応発がん性が有ということで、tentatively carcinogenicということでまとめているところです。

 これは別冊の中で「判断保留4物質文献資料」という分厚いものがありまして、少しページが飛んで31ページから始まっているものですが、前のページのものを削除しましたので、ページが飛んですみません。ここの31ページからが、この10番の物質です。結論からいきますと、これは投与局所での腫瘍発生で用量相関がなく、発生頻度も有意差がなく(陰性と考えるが)古い実験と一報だけでは判断不能ということで、判定としては判断保留という形になっているところです。次の35ページに文献がありますが、この文献が1つということです。

 それから、11番の1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリンです。これはラットとマウスでそれぞれ1つずつ、2つの試験があります。1つはラットの雌雄の2年間の経皮試験ですが、雄は腎臓尿細管腺腫あるいは尿細管腺腫と、がんを合わせた発生が増加し、ある程度の証拠(some evidence)、雌には腫瘍発生増加の証拠がなかったというのが、ラットの結果です。それから、次ページの2つ目の試験、こちらはマウスの2年間経皮投与ですが、腫瘍発生増加の証拠はなかったという結論です。その結果、評価としては、対照群の倍程度の発生で明確な差はない、雄のみで発生であるということで、IARC12B相当ではないという判断で、×という結果となっています。

 次のページ、12番の2-(1,3-チアゾール-4-イル)-1H-ベンゾイミダゾールで、チアベンダゾールとかTBZという別名がある物質です。食品添加物、防ガビ剤などにも使われていたかと思います。この物質については文献が5つ書かれていますが、実は14まで色が濃く塗ってあるのは、EPALという評価、ヒト発がん性である可能性が高い、likely to be carcinogenic to humansという評価ですが、これらは、いずれもそれより古い文献ということで、今回特にこれについては判断の対象になっていないという意味で、色を塗っています。

2004年の文献が次のページにありますが、ラット雌雄、106週、混餌投与です。甲状腺濾胞腺腫が雄中高用量群、雌高用量群で増加している。雄高用量群のみ、有意な増加が出ているところです。評価ですが、対照群の倍程度の発生で明確な差はないということで、雄のみでの発生であるということ。それで、IARC12B相当ではないという判断で、評価としては×ということになっています。次の6物質については以上です。

○西川座長 ありがとうございます、7番から12番ですね。その中で1つ、10番の物質が判断保留ということになっていますが、まずこれについて御意見をいただければと思います。非常に古い1970年の文献で、腫瘍の発生頻度も本当にパラパラという程度で、とても有意とは考えられない変化なので、通常、このデータをもって2Bと言えるはずはないと考えますが、いかがでしょうか。

○若林委員 西川先生の意見に賛成です。10番の文献概要3の所、tentatively carcinogenic、一応の発がん性有りというコメントが、少し引っ掛かってしまったのですが、対照群104匹に01匹発生というので、一応の発がん性有りという、このコメントが少し問題ではないかという気がするので、これは削除しておいたほうがいいかなという気がします。その右側のコメントが「週2回計80回皮下投与、29種類の脂肪酸の1つ」で文章が切れてしまって、これは何を意味しているのかよく分からない。

○角田化学物質評価室長 すみません、ここは確認させていただきます。

○若林委員 ということで、西川先生が言われたように発生頻度も非常に低いですし、1つのマウスだけの実験ですので、結論としては2B相当ではないということが言えるかと私は思います。

○西川座長 ありがとうございます。10番の物質について、判定としては×ということにしたいと思います。その他はよろしいですか。1つ別名ということで気づいたのは、9番の物質、Estragoleです。これはマウスの試験しかやっていなくて、いずれも肝臓に腫瘍が発生しているのですが、ラットの試験がないということから、2B相当ではないという判断はいいとしても、これは実は食品添加物のJECFAの会議で、評価がペンディングになっているのです。なぜかというと、遺伝毒性があるかもしれない。ということなので、こういう物質については十分な試験がないから×という判断でとどめてしまうよりは、それこそ何らかの確認のための試験が必要になるような気がしますが、いかがでしょうか。

○角田化学物質評価室長 遺伝毒性ですか。

○西川座長 遺伝毒性が疑われていて、これは実はJECFAで食品添加物の香料として評価されているのですが、遺伝毒性の懸念がまだ払拭できていないので、評価がペンディングになっているのです。したがって、そういう段階のものを大丈夫ですよというのは、どうかなという気はしますけどね。

○若林委員 それこそ判断保留。

○西川座長 判断保留、だから、その根拠はまた別の点になりますが、これはラットでやったら、ひょっとしたら肝臓に腫瘍が出る気はしますよね。その辺りを事務局で、どういう進め方をしたらいいか御検討いただければと思います。

○津田委員 これは注射ですか。

○西川座長 いや、添加物ですから経口摂取、混餌投与です。

○津田委員 だけど、1回投与とか。

○西川座長 このマウスの試験ですか。

○津田委員 はい、混餌だったらそんなことはない。

○小川委員 ここにあるのは強制経口投与と腹腔内投与、皮下等ですが、経口投与でもHepatomaが有意に、雄だけですが増加している。ラットではデータがないので、何とも言えないところだと思うのですが、やはり機序まだ疑われる、メカニズムがよく分からない、懸念があるという状況のままですと、できれば今は決定しないほうがいいのかなという、コーシュンがある状況だというところは、やはり考慮すべきかと私も思います。

○津田委員 では、△に。

○西川座長 私は△がいいと思います。ほかはよろしいですか。

○若林委員 今、事務局から説明しましたが、12番の物質はEPALという判定になっていて、これはヒト発がん性である可能性が高いという、ライクリーのLであるという御説明をしたのですが、動物ではネガティブの結果だと思うのです。これについて、どういう根拠でEPAがそういう判定をしているのか。もし、EPAが、ヒトへの発がん性が非常に高いと言っているものを、こちらのほうで×と判定してしまうと、少しまずい判断になってしまわないかということを心配して、質問しています。

○角田化学物質評価室長 今は手元に資料がないのですが、EPAのホームページを調べますと、正にこの評価をしていますので、そこの根拠データなどを入手できれば確認して、また御報告したいと思います。

○西川座長 よろしくお願いします。

○小川委員 今更で申し訳ないのですが、ここの委員会では、ばく露の方法というものは余り考慮しなくてもいいということでよろしいのですか。腹腔内投与だろうと、皮下投与だろうと、経口だろうと、余り考慮しなくてもいいということでよろしかったですか。

○西川座長 いや、ある程度は考慮しています。

○小川委員 ばく露されるときの状況を考慮した上でということでよろしいですか。

○西川座長 ええ、もちろん。

○小川委員 分かりました。

○西川座長 だから腹腔内投与なんていうのは、余り……ないですよね。よろしいですか。別名を見ると、「あ、これ知ってる」というのが結構ありますけどね。ないようですので、次に進みたいと思います。次の6物質の説明をお願いします。

○角田化学物質評価室長 すみません、先ほどの10番の物質ですが、これは今は判断保留ということになっているのですが、1物質で1つの試験だけということで、評価するのに十分ではないという判断で、12B相当とは、このデータでは言えない、×という判定でもいいということで。

○西川座長 ええ、×という判断にしたと思います。

○角田化学物質評価室長 よろしいですよね。

○西川座長 ええ、しました。マウスの試験だけで、しかも本当に腫瘍が有意に増加しているかどうか、極めて不明ですので。

○角田化学物質評価室長 そうですね、すみません。失礼しました。では、次の6物質について検討したいと思います。

13番です。これはベイシックバイオレット-3というもので、色素として使われているものです。いろいろ染色液やpHの指示薬等に使っているという情報もあります。これについては、マウスとラットでそれぞれ試験があります。まず、No.1のマウスです。雌雄とも肝臓の良性、悪性腫瘍、雄のハーダー腺腺腫が有意に増加した結果です。No.2のラットは24か月の混餌投与試験です。雌雄に甲状腺の濾胞状腺がんが増加し、雌雄に肝細胞腺腫が、雌に単核球性白血病が僅かながら増加しました。

13番の資料については○ということで評価されております。別添1の資料で、「12B相当3物質文献資料」です。ベイシックバイオレット-323ページの所から文献の資料が掲載されております。25ページからマウスの試験が載っております。29ページのTABLE2が雌マウスで、30ページのTABLE3が雄マウスとまとめてあります。No.2の試験は37ページから掲載しております。42ページに結果表が載っており、濾胞状腺がんが増加しているというデータが載っております。

14番です。ソルベントエロー-33という物質です。試験は3つあり投与方法が腹腔と吸入と混餌と皆、違う形になっております。一番最初がマウスの腹腔内投与ですが、これは腫瘍の発生増加は見られませんでした。2つ目のラットの試験は吸入で、副腎の血管肉腫、胸部の腺がんでの腫瘍の増加、ただし混合ばく露であって単独の発がん性とは言えません。

 次のページです。3つ目の試験は、アメリカのNIHがしたものでTR-463としてまとめられております。ラットの雌雄2年間混餌投与で、雄に肝細胞腺腫、腎尿細管腫瘍、口腔の扁平上皮腫瘍が見られました。雌に肝細胞腫瘍の増加が認められたという結果です。3つ目の試験については、「判断保留4物質文献資料」ですが、45ページからこの物質についての文献が載っており、57ページからNIHのまとめたレポートですが、それの結果がこの文献3番のデータです。量がかなり多いのですが、7778ページにTABLE5があり雄と雌の肝臓への影響をまとめております。8081ページのTABLE6は腎臓の関係のデータです。3つの試験の結果を踏まえて判断保留です。

 先ほどのベイシックバイオレットが有意ということで○という形になっておりましたが、これは判断保留ということです。NTPへのTRでは経口投与にてラットで口腔及び全臓器合計での腫瘍発生が有意である。ただ、マウスのデータはない(実施されていない?)ということでクエスチョンマークが付いております。NTPのホームページを見るとtestingstatusが載っている所があり、その長期試験の所に載っているのはラットだけですのでマウスのものはないと思われます。以上により判断保留という判定です。

15番の物質です。Solvent naphthaということでlight aliphaticということです。軽質脂肪族系のSolvent naphthaです。試験が2つあり、2つともマウスの試験です。1つ目の試験はマウスの経皮試験です。皮膚腫瘍は9/38(116週の試験期間)です。皮膚腫瘍は11/44(109週の試験期間)です。腫瘍が皮膚に重篤な皮膚刺激に続いて生じたということです。2つ目のデータです。これはマウスの経皮の122週の投与試験です。皮膚腫瘍が16/46出たということ、25/45出ているということ、Paraffinicnaphthenic、パラフィン系のものとナフテン系のものということで、こういう皮膚腫瘍が出ているという結果です。判断保留物質ということで、217ページからこの物質になっております。

1つ目の試験が、236ページから発がん性のデータがずっと続いており、この中で一部発がん性が確認されているものがあります。例えば236ページの5.7Carcinogenicityという章が始まっておりますが、そこのSpeciesmouseという右側のデータです。真ん中辺にResultがありSKIN TUMOURS OCCURRED SUBSEQUENT TO SEVERE SKIN IRRITATIONと書いてあります。この部分が先ほどの資料に腫瘍が皮膚に重篤な皮膚刺激に続いて生じているとまとまっております。

237ページです。2つ目も同じように、その次にマウスの試験があります。このデータを踏まえてまとめております。これは両方ともIUCLIDのデータですので、もともとの論文ということではないのですが、ここにこのようにまとまっております。結論の部分ですが、皮膚塗布試験で皮膚腫瘍有意の発生、ラットのデータはない、これは実施されていないのかどうかという御疑問がありましたが、集めた範囲では確認できませんでした。以上により、判断保留という形になっております。

 次のページです。16番の物質です。英名で大変長いものです。文献としては先ほどと同じIUCLIDのデータです。試験結果の所ですが、発がん性の項には18の試験が掲載されているが、引用文献が同じなど重複がかなりあるものと考えられる。試験は全てマウスによるもので経皮試験である。発がん性の有無は有が5試験、無が1試験、残りは物質によって有無が分かれているということです。

 これも先ほどの資料と同じくとじているファイルですが、IUCLIDのデータで299ページの部分から5.7Carcinogenicityが始まっており、ここからずっと先ほど書いてあったように18の文献が載っております。この中で先ほどありましたとおり発がん性の有無は有が5試験となっております。例えば304ページの右側にSpeciesmouseから始まるデータがありますが、真ん中辺のResultという所にThe test substance was a DERMAL CARCINOGENとなっております。

 ただ、発がん性があると書かれているものが18のうち5つほどあるのですが、例えばこの試験のTest substanceがその下に書かれており、Hydrotreated light paraffinic distillateと書かれていて、これはパラフィン系蒸留物です。水素化処理されたと頭に付いていますが、軽質のパラフィン系蒸留物である。CAS番号が64742-53-6となっており、テストマテリアルが若干違う形になっています。IUCLID自体の資料は、表の左端に書いてあるCASナンバーで76849-22-0となってはいるのですが、掲載された試験物質のCAS番号が違っているケースもある状況です。そういうこともあるのですが、結論として検体が混合物で結果が読み取れないということでラットの実験がないこともあり、これは判断保留ということで評価されております。

17番の物質です。左にIARCEPAACGIH評価が3つあります。色が塗ってあるものは、それよりも古い文献ということで除いており、それ以外の4番と5番の文献が検討対象になっております。右の最初はIARCのモノグラフなど、ACGIHEPAの評価書で、このようにまとめているということを引用しております。

 上から5つ載っておりますが、例えばラットの雌雄では2年間の強制経口投与では通常見られない大腸腫瘍の発生により雄ラットではある程度の証拠、雌ラットでは明らかな証拠が認められた。マウスの雌雄の強制経口投与2年間では認められなかった。マウスの雄の24週の腹腔内投与ですが、中用量群で1匹当たりの肺腫瘍発生数が有意に増加した。ラットの雄の13週の飲水投与は、64匹に対照群には見られなかった異常陰窩巣、これは前がん病変ですが、発生した。ラットの雄の26週ですが、11/12匹に対照群には1匹しか見られなかった異常陰窩巣が発生したということをそれぞれの評価書の中で引用しているものです。IARCEPA3つの報告のみで評価していて、ACGIHはさらに下の2報を追加して評価しております。

 新たなその後の文献ですが、No.4についてはラットの13週の飲水の投与試験で、6匹中4匹に対照群には見られなかった異常陰窩巣が発生しました。

 次のページです。もう1つはラットの26週の飲水の投与試験です。11/12匹に対照群には1匹しか見られなかった異常陰窩巣が発生しました。評価です。低い頻度ですが、ラットには非常に珍しい大腸腫瘍が3/50は発生している。異常陰窩巣の頻度は高い。ただしマウスでは発がんなしということで、12B相当には該当しないということで×になっております。

18番は判定が○の物質です。トリフルラリンです。IARCのモノグラフでは3EPAではCという評価です。IARCのモノグラフでは4つの試験について評価しております。まず、一番最初のものですが、ラット雌雄の78週投与の試験では腫瘍の発生増加は認められませんでした。マウスは雄では認められなかったのですが雌では肝細胞がん、肺細気管支腺腫。前胃の扁平上皮がんの発生が上昇しました。

 これは「12B相当3物質文献資料」の中の61ページからトリフルラリンが載っております。この資料の中でIARCのモノグラフが引用している試験はNCITR-34なのですが、152ページのTABLE6に雌マウスが書かれておりますが、Liver:Hepatocellular Carcinomaとありますので、この辺りをまとめております。

3つ目はマウスの104週の混餌投与ですが、腫瘍の発生増加は認められませんでした。4つ目ですが、マウス雌の腹腔内又は皮下13回投与試験で、リンパ腫、中皮腫の発生が報告されておりますが、IARCは不純物が多く評価できないとしているという結論です。その下のEPAIRIS2つ試験がありますが、両方とも腫瘍の発生増加は認められなかったという結論です。

 一番下の農薬抄録は、ダウ・ケミカル日本のデータです。これは今の資料の197ページで、平成25年に改訂されたものです。ラットにおける飼料混入投与による慢性毒性/発がん性試験があります。197ページの試験の1枚めくっていただきますと、199ページの右のページの文章で書いてある所です。腫瘍性病変という所があり、雌雄合わせた膀胱の移行上皮乳頭腫、雄の腎の悪性腫瘍計の発生率が統計学的に有意な用量相関性をもって上昇したという記載があります。その次の201ページに表があります。例えば、ここの腎の所で、移行上皮がんがデータでまとめられております。

 以上のデータ等を踏まえて、判定としてはマウスでNTPは発がん性があったということで、NTPは肝、肺、前胃です。ラットのNTPは陰性ですが、ダウ・ケミカルで膀胱、腎に発がん。これは○ということで判定をしていただいております。あちこち資料が飛んでしまい恐縮ですが、以上です。

○西川座長 ありがとうございます。津田先生の所は結構大変な作業だったと思います。最初が13番からですね。

○津田委員 これは、これを見るだけで疲れます。

○西川座長 よく区分されました。これは○という御判断ですが、事務局からデータも踏まえて説明をしていただきましたが、津田先生、補足はありますか。

○津田委員 いや、特に。恐らくIARC3とした理由は、この農薬抄録は材料にしていなかったのではないかと思います。

○西川座長 ごめんなさい、私、番号を間違えました。今。

○津田委員 いや、別なのですか、すみません。

○角田化学物質評価室長 今のは13番ですよね。

○西川座長 13番ですね、これ。

○角田化学物質評価室長 失礼しました、今、議論しているのは最初の13番ですね。

○西川座長 はい、そうです、すみません。13です、ごめんなさい。

○角田化学物質評価室長 農薬詳録は一番最後のものですので。今のは13番で、資料でいくとLittlefieldの論文があるものですので。

○津田委員 分かりました。Gentian Violetですね。

○角田化学物質評価室長 はい。

○西川座長 すみません。

○角田化学物質評価室長 25ページです。25ページからマウスの論文で、37ページからがラットの論文です。この物質は、CHRIPのデータベースで、GHSの分類が平成19年に載っていて、発がんが区分2で、発がんの恐れの疑いがあるとなっています。EUでは「2」と書いてありますが、これはCLP規則に準じた新しい区分で、従来の、2007年の判断ではcarcinogen3という区分です。それが今はCLPだと2に該当しますので2と入れています。

○若林委員 132のラットの所で、「雌雄に甲状腺の濾胞状腺がんが増加している」、これを見ますと有意になっている。この増加というのが、「有意に増加」と「増加」と「わずかに増加」という言葉が使われているので、これはsignificantに上がらなければいけないけれども、これは多分有意と論文には書いてあるので。

○角田化学物質評価室長 2番目のラットのほうでね。

○若林委員 はい、ラットの雌雄の24か月の混餌です。

○角田化学物質評価室長 分かりました。

○若林委員 そうすると、マウス、ラットで十分な発がん性が認められるということで、○でいいような感じです。

○津田委員 私の書いたのは、この「Littlefield論文:経口うんぬんで発がんが有意」というのは私が書いたのでして、これは確認して書いてあります。

○角田化学物質評価室長 文献概要のほうは事務局で整理を。

○西川座長 そうですね、一応細かい数値などを見てみたのですが、例えば、42ページの肝臓の腫瘍ですが、これは24か月の所を見ればいいと思うのです。雄で3/88とか4/89に対してコントロールが1/179とかです。それから、甲状腺の腫瘍にしても、5/79に対してコントロールが1/163、これはいずれも*印が付いていないのです。それから、雌においても甲状腺の腫瘍と中用量で4/76、それから高用量で6/76、ゼロの所で1例出ていますし、余りはっきりした増加でないような気もしますが、その辺りはいかがですか。

○津田委員 どこの腫瘍ですか。

○西川座長 これはマウスで、肝臓の腺腫と、それから今、申し上げたのは甲状腺の濾胞腺腫。この表に*印が付いていないですね。

○津田委員 どの表ですか。

○西川座長 42ページ。

○角田化学物質評価室長 42ページの。

○西川座長 資料1の。

○角田化学物質評価室長 Table2というのがありまして。12B相当の文献資料のほうです。例えば、ThyroidFollicular cell adenocarcinomaというのが濾胞状腺がんですか、これが上と下で。

○津田委員 この表は統計の結果が書いていないだけで、次のTable3がその統計の結果ではないですか。私はそう読みましたが。

○若林委員 Table2は、例えば51/90でも全然significantとなっていないから、多分、先生が言われるように、これは統計学的に処理していないですね。

○津田委員 統計処理は次のTable3です、次のページの。

○西川座長 これは傾向検定ですか、頻度の検定ですか。

○若林委員 これはただ数だけしか書いていないような気がしますが。

○津田委員 この中に書いてくれればいいのですが、別にしてあるものだから。

○西川座長 43ページの表Table3の脚注を見ると、これはtrendと書いてありますね。Significant trend

○津田委員 245Table3ですが。

○西川座長 P-valuesと書いてありますよ。

○津田委員 えっ。

○西川座長 P-valuesPの意味がtrendPだと思います。

○津田委員 ……のtrend、ああそう、……。

○西川座長 ただし、一番下のこのaの意味がよく分からないのは、これはFischerで決めたと言っているのですが。

○津田委員 どこにaがあるのですか。

○西川座長 どこにaがあるのですかね。

○津田委員 あった、あった、0.83というのです。

○西川座長 0.83

○津田委員 はい。

○西川座長 あった1個。

○津田委員 0831個。

○西川座長 ということは、これはFischerでは有意でないということではないですか。0.083ですから。違いますか。0.05よりも大きいですよね。ちらっと思ったのは、マウスについては明らかだと思うのですが、ラットについては余り明確ではないような気がしたのですが。

○津田委員 Bonferroni検定だと書いてあります。全体がtrendである。

○西川座長 そうそう。

○津田委員 というようなことを言っていて、ですから、この数字はBonferroni corrected analysis

○西川座長 そうですね、そのFischeraというヒャクショウだけだと思うのです。したがって、これは有意ではないような気がするのです。

○津田委員 いや、このBonferroni correctedというのはどういう統計かという。

○西川座長 これは恐らく傾向検定だと思います。

○津田委員 傾向ですか。

○西川座長 はい。違いますか。

○小川委員 いや、多重検定のときにもこのBonferroniの補正を使うように思いましたけれど。

○西川座長 傾向ではないの、多重の。

○小川委員 ちょっと正確ではないので。

○西川座長 とにかくFischerではネガティブなのですよ、きっとこれは。

○小川委員 これは、例えば雌のThyroid glandFollicular cell adenocarcinoma、下から2段目の所で言うと、用量相関的にこの値が。

○西川座長 それはそういう傾向があるからでしょう。

○小川委員 えっと。

○西川座長 傾向は明らかにあります、Table2を見ても。

○小川委員 はい。

○西川座長 かといっても頻度は有意ではないということだと思うのです。

○角田化学物質評価室長 37ページの一番頭のAbstractの所なのですが、真ん中辺の右のほうに「Following 24 months of dosing there was a significant difference from the controls in the incidence of follicular cell adenocarcinoma」、これが濾胞細胞がんだと思うのです。「of the thyroid」、thyroidは甲状腺です。「gland for both males and females.」となっていて、その次に、「Although the incidences were very low,statistical analysis showed a significant difference from the controls for hepatocellular adenomas」、これは肝細胞腺腫ですか、「in the mid-dose group of the females and the mid- and high-dose group of the males.」となっていて、ここの文献概要の所で入れている「雌雄に甲状腺の濾胞状腺がんが増加しうんぬん」と書いてあるのは、これを引っ張ってきてまとめていると思うのです。

○西川座長 いや、この要約は気が付いているのですが、それを確認しようと思ったら表では読み取れない、そこはちょっとどうかなと思います。

○津田委員 いや、この意味が、下の説明がよく分かりにくいですね、どれを指しているのか。ですから、文章で書いてあるほうを見たほうがいいと思います。

○西川座長 Abstractだけを見る限り、incidenceに有意な差があったとは読み取れますけれどね。ですけれど、データを見て本当かなと。マウスの……が同じようなことなのですよ。腫瘍の頻度については30ページのTable3にあるのですが。これは増えているといえば増えているのですが、母数が違うから。コントロールにもそれなりに相当な肝腫瘍とかハーダー腺の腫瘍が出ていますね。31ページに総計の結果があるのですが、これは全てtrendなのです。傾向検定しかやっていない。長いちょっと古い論文だし分かりにくいですね。

○津田委員 オーキュローにいきますと傾向検定とは書いていないです。

○西川座長 頻度の検定も。

○津田委員 頻度検定です。

○西川座長 頻度検定。

○津田委員 はい。

○西川座長 でもFischerであると大分違うということですね、その結果が。

○津田委員 Fischer、サンドーサルの場合はこれを使ってやるということの説明があります。0.05があった場合は、それを3で割った値で0.16を有意水準とするという計算法だそうです。

○西川座長 この脚注を正直に受け取ると、significant trend、これがBonferroniですか、のcorrectedの検定ということになりますね。違いますか。全てSignificant trend(Bonferroni)と書いてあります。

○小川委員 Contronと、例えば300ppmdoseの比較というのの傾向という意味合いがちょっとよく分からないのです。ですから、1群ずつその間での有意差ということになると。

○西川座長 例えば、1例と3例ではやはり差は付かないでしょうね。

○小川委員 1例と3

○西川座長 300と……わけですけれどね。

○小川委員 1例と3例。

○西川座長 いや今、雄の肝細胞セイシの所を言っているのですが。

いや、余りフクごとに時間を使っても。

○若林委員 先生が言われるように、adenocarcinomaga

が雄と雌で大体160匹中1匹にコントロールで出ていて、それが一番高い600mgのときだと、75匹中ぐらいに56匹出ているということですね。

○西川座長 そうそう。

○若林委員 それが本当に、先生は有意差があるかどうかということを懸念されているということですね。

○西川座長 それはもう。

○津田委員 それは……聞いたらあるような気がします。

○西川座長 文献中のどこにも書いていないので気になっているだけなのですが。

○津田委員 すみません、事務局で統計に詳しい方がお見えになると思いますので、この読み方をちょっと。私は、文章のほうを読んで有意と書いて判定しましたが。

○角田化学物質評価室長 そこは確認させていただきます。

○津田委員 ちょっとこのBonferroniというのは統計の分かる人でないと。

○若林委員 多分、統計学的には有意のような気がしますが、163170

○津田委員 これには傾向検定とは、引きますとは書いていないです。

○若林委員 5だと。

○津田委員 はい。

○小川委員 あとは死亡率がかなりあるのです。

○西川座長 いや、計画潰そうというのは毛頭なくて。

○小川委員 そうですね。

○西川座長 この文献から読み取れないのはちょっと悩ましいところだったので、問題がなければ結構です。

○角田化学物質評価室長 そこは確認をします。

○津田委員 いや、統計の分かる人がこれで有意差だと言えば、もうそれで話はつくはずだと思います。

○西川座長 そうですね。それでは、順番に行きますと、まず13番の物質については、ラット、マウス共に発がん性有りということですので、2B相当としたいと思います。それから次が14番の物質、これは判断保留ということで、マウスの30週の腹腔内投与では発がん性はなかったけれども、71周までのラットへの吸入で腫瘍が出た。しかし、混合ばく露であって単独の発がん性とは言えないという問題がある。それから3つ目の試験が、これはNTPの試験です。ラットの試験でSome Evidenceがあったと。これは津田先生に補足説明をお願いできますか。

○角田化学物質評価室長 2番目のは、先ほどの資料で、判断保留物質の77ページに表があって、77ページはラットの肝です。雄雌と載っています。それから、腎については8081ページという形になっています。

○津田委員 マウスでは発がん性がなかったということで、ラットのほうは残念ながら。

○角田化学物質評価室長 これはマウスはなくてラットのみです。

○津田委員 ラットも混合物。ここに書いてあるように、ソルベントエローが13%、ディスパースレッドが916%だと混合物ではないかと思うのですが。今、問題としているソルベントエローそのものによるのかどうかは判定がつかないと書いてあります。そういうことで保留にしましたが。

○西川座長 このNTPの最終評価がSome Evidenceというのは、これはどういうところをもってそうしているのでしたか。幾つかの腫瘍が発生しているようですが、十分に有意な差で増加していったわけではないということですか。

○津田委員 これは資料の何ページですか。

○角田化学物質評価室長 資料は、データが載っているのは77ページの辺りです。判断保留4物質の中の肝臓に関する部分が77ページに載っています。80ページからが腎臓に関するものが載っています。

○西川座長 多分もっと分かりやすいのが、66ページに2年間の発がん性試験のまとめがあって、そこに腫瘍性の影響ということで。肝臓には腺腫が、確かに一番高い用量でコントロール1に対して7例、雄では増えているようですが、雌ではゼロに対して5とか非常に微妙です。それから、腎臓の腺腫腺がんにしても、雄ではコントロールゼロに対して高用量分4、これは……があるかどうか非常に微妙だと思います。それから、口腔の腫瘍についても、コントロール1に対して高用量分5ということは、これも結構微妙ではあります。雄の肝細胞腺腫の増加は恐らく間違いないと思います、1に対して7ですから。それで元に戻りますが、恐らくその辺のところからNTPSome Evidenceにしたと思うのですが。

○角田化学物質評価室長 65ページのCONCLUSIONSの所に、some evidence of carcinogenic activityというのが書かれて、65ページの右上のほうです。some evidence of carcinogenic activityin female rats based on increased incidence of hepatocellular neoplasmsということで。ただ、Incidence of uncommon squamous cell carcinoma of the oral cavity in females may have been related to chemical treatmentという、これではクリアとまでは言えないということかと思います。

○西川座長 そうですね。ですから、複数の臓器に発がんの可能性があるけれども、発生頻度的に見て余り顕著でなかったのでこのような結論になったかと思います。ありがとうございます。

 そうすると、ラットでSome Evidenceでマウスで発がん性がないという結果が出ていますので、これはどうしますか、判断保留のままにするか、あるいは2B相当でないということになるかどちらかだと思うのですが。津田先生いかがですか。決めていただければと思います。

○津田委員 どちらかで発がん性がclear Evidenceの場合でしたら、マウスがなくてもある程度考えられますが、これはSome Evidenceしかない、ですからまだ分からない、マウスのほうです。ラットのほうは、ラットで口腔と、臓器全体で有意。マウスがないから何とも言えない。やはり両方の動物がないとちょっと判定できないと私は考えてやっています。片方だけの場合で、そのincidenceが何となくクリアでないという場合はちょっと判定できない。それをここでそのようなのは落とすとすれば×ですが、どうしますか。

○角田化学物質評価室長 そこのところは、要するに今の判断材料では12B相当とは言えないというのであれば。

○津田委員 それはそういうことです。

○角田化学物質評価室長 それは×でも別にいいのではという気がします。

○津田委員 それはそういう意味です。

○西川座長 はい、そうですか。そうしますと、この物質については2B相当ではないということにしたいと思います。ありがとうございます。

 それから、次も判断保留で。

○角田化学物質評価室長 これは、データが判断保留のものの217ページ以降です。例えば、上の試験は236ページから発がん性試験ということで出ています。ただこれは、論文そのものではなくてIUCLIDのデータベースの中のデータです。データはマウスだけになっているということと、あと、これは物質が軽質脂肪族系solvent naphthaということなのです。CASの番号で資料1-3の一番左に64742-89-8となっているのですが、実際に試験に提供されているものは、右に書いてあるとおりCASNo.64741-46-4となって、ちょっと物が違っている状態になっています。このIUCLIDのデータセットは219ページに表紙があるのですが、そこの所ではCASNo.64742-89-8とまとめてはあるのですが、236ページ以降の発がん試験のデータの所を細かく見ていくと、例えば、236ページの発がん試験の所の一番下にTest substanceというのが書いてありますが、CASNo.64741-46-4となっていて、CAS番号がずれているところがあります。ですから、そこはそういう部分もあるのと、今回のはラットの部分はデータがないので、2B相当というのは言えないのではないかと事務局は思います。

○西川座長 ラットの成績がないことから2B相当ではないという考え方もできるのですが、実際にマウスで試験された被験物質がどうも全く一致しているわけではないというところから、判断保留というか、課題も確かにあるかなと思うのですが、津田先生、いかがですか。

○津田委員 マウスだけでは。

○西川座長 2B相当とはいかないのですが、2B相当でないとするか、あるいは適切な被験物質であるか不明であるので、判断保留という考えもあるかと思います。

○角田化学物質評価室長 そこは判断保留にはできるかと思いますが。

○津田委員 判断保留というのは実際進めないということです。ただ、科学的に見ると何とも言えないということです。たった片方の動物だけではネガティブ、ラットだったら出るかもしれない。

○西川座長 では、取りあえず判断保留ということにしたいと思います。ありがとうございました。次が16番の物質です。

○角田化学物質評価室長 これも先ほど触れましたが、同じ資料集の299ページから発がん試験の結果が載っていて、308ページまで18試験が載っています。発がん性ありと書いてある、5つの試験があります。先ほどもちょっと説明をしたのですが、これも同じようなところで、先ほどの繰り返しで恐縮ですが、例えば304ページの右のほうにmouseという試験があって、Resultのところに経皮での発がんありということが書かれています。そこのところで、Test-substanceCAS番号が、やはり先ほどのと同じく74869-22-0というので整理していますが、64742-53-6となっていますので、これも同様の扱いになるのかという感じがします。

○西川座長 IUCLIDの評価書しかなくて、その中に皮膚ですが発がん性が5つぐらいあるということで、詳細不明であることと、被験物が混合物であって、それがよく分からないところがありますので、先ほどの物質と同じようにそういう意味から判断保留ということにしたほうが良いと思いますが、よろしいですか。はい、ありがとうございます。

 次が17です。これは2B相当でないという御判断です。これも幾つかの試験があって、1番の大腸腫瘍の発生が、ラットで非常に頻度は少ないがあります。短い試験で、恐らく前がんと考えられるaberrant cryptの頻度が高いという成績があって、大腸腫瘍を誘発する可能性があるということです。結論としては、2B相当ではない。これは津田先生、補足説明を。

○津田委員 マウスでは発がんがないし、ラットで大腸腫瘍が3/50。自然発生としては珍しいのですが、マウスでは発がんなしということと、IARCでは両種でsufficient evidenceということになりますから、それに相当しないという意味です。マウス、ラットでsufficient を勘案して、sufficient evidenceでないとIARCはグループ2には挙げませんから。

○西川座長 ラットで珍しい大腸の腫瘍が出たと言っても、2年間の試験で3例のみということで、余り強力な発がん性ではないと思いますし、マウスの試験で発がん性がないということから、2B相当でないという結論にしたいと思います。それから18番、これは○ということです。

○角田化学物質評価室長 18番は資料の12B相当物質の152ページがNCIのテクニカルレポートの34番です。152ページのところに、雌で肝細胞がんが出ているというのが書かれています。Liverで、Hepatocellular carcinomaというのが152ページの表の一番上の行に書かれています。参考資料です。

○西川座長 このNTPの試験では、肝臓の腫瘍が明らかに増えていることは間違いないと思うのです。同時に、肺胞細気管支腺腫が増えているのですが、これは150ページの上に雄、下に雌のデータがあって、一番上のところに肺胞細気管支腺腫のデータがあるのですが、コントロール0で一番高い用量で3。それからその下では0に対して同じく3。むしろ低い用量のほうが少し頻度が多いというようなことで、余り明確な発がん性でないような気がしますが、小川先生いかがですか。

○小川委員 マウスですか。ちょっとヒストリカルコントロールとこれを比較していないのか。マウスだとどうしても系によっては自然発生もそこそこあるのですけれども、この場合はコントロールが0だということで、有意に付いていると思います。

 ヒストリカルコントロールがある間であれば、ちょっとそこまではっきり言えるかなというところは考慮するべきかとは思いますが。一番大事なのはこのときのコントロールから比較すれば、用量相関性はちょっとないのですが、クリアではないのですけれども偶発的と切ってしまうには、ちょっと懸念があるかなとは思うのです。

○西川座長 それともう一つは、前胃の扁平上皮がんが増えたということです。153ページの表にあるのですが、これはコントロール0に対して高い用量1なのです。従って統計学的有意性はなくて、むしろ低い用量で有意差が付いているような感じ、153ページです。肺の腫瘍と前胃の腫瘍はどちらでもいいことで、肝臓の腫瘍が明らかに増えていることは間違いないので、結論は変わらないと思うのですけれども、どうもこの何というか結論というか、試験の概要をそのまま鵜呑みにしていいかどうか、ちょっと気になったので質問しました。先ほど言いましたように、細かいことですから、どちらでも構わないと思います。

○小川委員 生存率が高用量のほうで結構落ちていますので、その関係で何が理由で死亡しているかというのもあると思います。最終時点での有効匹数などを考えると、もう少し長く生きていれば、高用量でも本当は腫瘍が発生しているかもしれない。その逆転している理由が死亡してしまっているから。他の毒性等もあるのかもしれないですけれども、そこはちょっと考慮すべきかもしれない。

○西川座長 それがマウスの試験で、ラットでは農薬抄録。

○角田化学物質評価室長 農薬抄録ですね。197ページからのデータです。199ページに腫瘍の結論が文章であって、201ページにデータが載っています。

○若林委員 これはもちろん日本のどなたかがやったのだと思いますけれども、しっかりとした論文にはなっていないのですね。

○西川座長 これは農薬抄録ですから。

○津田委員 そうです。

○若林委員 しっかりとした論文になっているわけではなくて、ただの報告書ですね。

○津田委員 ですから、IARCでは時系列で言うと、先にこの農薬抄録が出ているけれども、見ていないということになります。

○西川座長 しかもこの試験そのものは、1966年とか非常に古い試験であって、その当時当然GLPは実施されていないと思うのですね。ですからちょっとそのあたりも気になるのです。

○若林委員 この論文の信憑性の問題になってくるような気がします。

○西川座長 それで先ほどの結論で、膀胱の乳頭腫と腎臓の悪性腫瘍が増えているということですが、201ページの表を見ると、高い用量で、これは恐らくコントロール0に対して5例ということで、確かに増えているのかなという気がします。ところが膀胱のデータがないと思うのですが、違いますか。ないですよね。何をもって膀胱腫瘍が増えたと言っているのですかね。膀胱は表に載っていないと思いますが、違いますか。下のほうにありました。一応雄では01、1、雌では0015ですか。まあ05だったら有意差が付くと思うのです。分かりました。

○津田委員 一応サマリーにも膀胱と腎に悪性腫瘍があったと書いてあります。

○西川座長 マウス及びラット共に発がん性ありという試験の結果が出ているので、○というのは妥当だと思うのです。ただし、これはやはり農薬抄録で、試験自体非常に古いという問題点はありますね。

○津田委員 これを疑うと、食品安全委員会に出ている資料が使えなくなるから、やはりここでは素直に読んだほうがいいのではないかと思います。

○西川座長 ちなみに農薬抄録というのは、オープンできないのではなかったですか。

○角田化学物質評価室長 一般的に公表されていないものは、できないと思います。信頼性の話になりますと、今日の参考資料の中にも検討のときの考え方も示しているのですけれども、信頼度はOECDのテストガイドラインとか、GLPのことも考えてやっていかなければいけないというのは、基本的にもちろんあるのです。これがどの程度のものかというところまで、ちょっと調べ切れていない状態です。ただ当然こういうものでまとめて提出しているものですので、それなりの試験だと思います。

○西川座長 多分食品安全委員会は1960年代と聞いただけで、恐らく参考にはしていないと思うのです。とはいえ評価するとしたら、ラットでも膀胱、腎に発がん性がある。頻度も軽度であるけれど有意であるような気がしますので、ラットで発がん性ありという結論で行きたいと思います。そうすると、18の物質については2B相当ということにしたいと思います。ありがとうございます。

○角田化学物質評価室長 私の説明が、大分時間を取って恐縮だったのですが、後、残りの物質については、特に文献などの確認ということはないので、一通り事務局で説明いたします。そこでざっと御説明して、御確認いただくということでよろしければ、引き続き進めたいと思うのですがいいですか。

○西川座長 よろしくお願いします。

○角田化学物質評価室長 分かりました。まず19番の物質ですが、これは横長のペーパーの17ページですが、1つ試験がありまして、高用量群の胃に有意、低用量群の胃に3/30の腫瘍が出ていたということです。ただ判定のところで、雌マウスへの皮膚塗布により、肺及び前胃腫瘍の発生が有意に増加したとされるが、コントロール群の値が示されておらず、詳細が不明であるということで、これは判定は×です。

20番、クロロアセトアルデヒドです。これについては5つ文献があり、1つ目のところでは、肝細胞がん、腺腫に前腫瘍性病変と考えられる過形成性の結節を合わせた検定で増加を示しています。ただし、肝細胞がんと腺腫を合わせた発生は対照群が3/50、投与群が10/26で有意ではなかったということです。それから234、については腫瘍増加は認められていないということです。5つ目については皮下投与の試験ですが、皮膚に腫瘍は認められなかった。以上をもちまして、有意差のない肝腫瘍の発生増加の他には、いずれも腫瘍の発生増加はないということで、これは判定は×ということです。

 次の21番は、1995年の文献が1つです。ラット雌雄の104週の吸入全身暴露の試験です。雄の5,000ppm以上の群で精巣の幹細胞腺腫の増加が認められたが、ヒトへの有意性は小さいということです。それを踏まえて、これは雄ラットによく見られる精巣幹細胞腫の発生増加のみであるということで、判定は×です。

22番です。これはマウスの雌雄の腹腔内投与試験で、1970年代の試験ですが、肺腫瘍平均発生数は、溶媒対照群0.19、低用量群0.40、中用量群0.70、高用量群0.42に催腫瘍性があったということです。これは24週間の短期試験であって、用量相関性のないマウスの肺腫瘍の増加であり、これも12B相当とは言えないということで×という評価です。

23番です。これはラットの混餌投与試験です。単核球性白血病が増加した。ただヒストリカルコントロール内で投与に関連した腫瘍性病変の変化は見られなかったということで、これは白血病の背景データ内の増加のみということで、これも12B相当にはならないということで、×という判定です。

 それから24番です。24番は試験が2つありますが、ラットとマウスで両方とも混餌投与です。両方とも18か月です。ラットは発生が認められませんでした。マウスの方ですが、雄は12/16(高用量)、8/10(低容量)、2/16(対照群)で、Vascular tumorが確認されました。それからHepatomaがごらんの通りの用量で確認されています。高用量で1/16、低用量で5/18です。肝細胞がんも増加したが、用量相関がなかった、雌はなかったということです。雄マウスのみの血管腫瘍の増加という理由で、判定は該当しないという整理をしました。

 続いて、25番の物質に移ります。25番は試験が2つあり、ハムスターとラットです。ハムスターのほうは混餌投与の20週で、前胃に乳頭腫様病変が有意に増加したが、他の主な臓器に腫瘍発生は見られなかった。2つ目ですが、ラットの雄の51週の混餌投与ということで、前胃の扁平上皮がんがイニシエーションのみの群と比較して有意に増加しました。イニシエーションなしだと乳頭腫が1匹みられただけであったということです。以上をもちまして、IARC12B相当ではないという判断されています。

26番です。これは1959年の大分古いデータです。マウスの雌で12週間の試験ですけれども、2/18で皮膚の乳頭腫が認められた、対照群は0/18であったということです。この物質はマウスの雌の皮膚においてプロモーション作用が示唆されているということですが、IARC12B相当ではないという判断です。結果は×ということです。

27番です。1,2,4-トリメチルベンゼンですが、試験は1997年に1つあります。これはラットの104週の強制経口投与試験ですが、悪性腫瘍の総発生数は投与群の雌雄で軽度の増加を示して、頭部の腫瘍(ジンパル腺2匹、耳管、鼻腔、口腔各1)の発生が雄で増加したという結果です。投与したラット雌雄において、頭部等の悪性腫瘍の軽度の増加があった。しかし、有意差について記述がないということで、これはIARC12B相当ではないという結論です。

28番は3つ試験があります。N-メチル-2-ピロリドンですが、ラットが2つ、マウスが1つです。ラットは吸入と混餌、マウスは混餌です。ラットの吸入は腫瘍増は見られなかった。ラットの混餌も腫瘍発生の増加は見られなかったということです。マウスの雌雄の18か月の混餌投与試験ですが、雌雄の7,200ppm群で肝細胞がんと肝細胞腺腫が増加したが、雌で肝細胞がんの発生ヒストリカルコントロール内であった。雄で肝細胞腫瘍の増加が認められたということです。判定ですが、ラットは発がん性は認められなかった。マウスでは混餌投与で雄のみに肝細胞がんが発生増加した。以上より、12B相当ではないという判断です。

 最後に29番の物質です。この物質については、2つ、ラットとマウスについて試験があります。ラットについては経皮投与の試験、マウスも同様です。ラットのほうは雌雄とも腫瘍の発生増加は認められなかった。マウスについては雄は腫瘍の発生増加は認められませんでしたが、雌で肝腫瘍の増加が見られ、発がん性のある程度の証拠(some evidence)と考えられたということです。この増加は不純物として含まれる遊離ジエタノールアミンに関連していると考えられたという報告です。結論ですが、ラット及びマウスに経皮投与、マウス雌のみに肝腫瘍の増加が認められる。肝腫瘍の増加には不純物の関与の可能性があるということで、結論としてはIARC12B相当ではないということで、×という判断です。残りの物質については以上です。

○西川座長 ありがとうございました。いずれも判定が2B相当ではないということですけれども、何か御質問、コメントがありましたらお願いします。

もしないようでしたら、個別の検討が終了しましたので、本日の評価はこれで終了したいと思います。

 続きまして議題の2に移ります。事務局から資料について説明をお願いします。

○櫻井有害性調査機関査察官 今までお伝えの資料の一番最後のページに、資料2と振ってありますけれど、「遺伝子改変動物を用いたがん原性試験による調査の基準」について、御説明します。この基準案は、昨年7月のこのワーキングで案をお示ししたところです。平成28年度からがん原性試験を実施する2-ブロモプロパンについては、ラット長期試験のほか、遺伝子改変マウスの試験も実施することとなりましたので、その基本的事項を取りまとめたものです。

 見え消しでちょっと読みづらいと思いますけれども、見え消しになっている部分が前回からの変更箇所です。2、試験に用いる動物の(1)の修正は、文章表現を正確にしたものです。それから4、被験物質の用量の(1)の改正は、前回のワーキングの議論を踏まえて「3か月」を削除しました。後は誤字の訂正です。説明は以上です。

○西川座長 ただ今の説明について、何かありますか。そうしますとこれをもって最終化したということですね、ありがとうございます。よろしいですね。それではその他として何か事務局からありますか。

○角田化学物質評価室長 本日確認事項がありましたので、それは確認をして、また先生方に御連絡いたします。今年度はこれで終了になりますので、また来年度ということになりますが、今年度はいろいろと物質の評価等の御検討、誠にありがとうございました。

○西川座長 以上で本日の発がん性評価ワーキンググループを閉会します。ありがとうございました。


(了)

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