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2016年2月25日 第1回大学附属病院等のガバナンスに関する検討会議事録

○日時

平成28年2月25日(木)


○場所

厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館 9階)


○議事

○佐藤医療政策企画官 定刻になりましたので、ただいまから、第1回「大学病院等のガバナンスに関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、本検討会に御出席いただき、まことにありがとうございます。

 議事に入ります前に、私から欠席の方を含め、五十音順に、本検討会の構成員の皆様の御紹介をさせていただきます。

 日本公認会計士協会副会長、梶川融構成員、後ほどいらっしゃいます。

 公益財団法人がん研究会理事長、草刈隆郎構成員。

 国立病院機構大阪医療センター院長、楠岡英雄構成員、本日、欠席です。

 公益社団法人日本医師会常任理事、鈴木邦彦構成員。

 さわやか法律事務所弁護士、田島優子構成員。

 慶應義塾大学名誉教授、田中滋構成員。

 中央大学法科大学院教授、野村修也構成員。

 立教大学法学部教授、松井秀征構成員。

 日本赤十字社事業局技監、矢野真構成員。

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長、山口育子構成員。

 なお、本日は、楠岡構成員、鈴木構成員、野村構成員、松井構成員より欠席との連絡をいただいております。

 鈴木構成員におかれましては、代理として公益社団法人日本医師会より、松本純一常任理事にお越しいただいております。

 続きまして、事務局を紹介させていただきます。

 出席者を順番に申し上げます。

 医政担当審議官の梅田でございます。

 医政局総務課長の中村でございます。

 総務課保健医療技術調整官の町田でございます。

 総務課課長補佐水野でございます。

 総務課医療機能情報分析専門官の松本でございます。

 なお、医政局長の神田は、国会対応のため、欠席させていただきます。

 また、オブザーバーとして、千葉大学医学部附属病院の山本病院長。

 文部科学省高等教育局医学教育課の寺門課長。

 医学教育課大学病院支援室の手島室長にお越しいただいております。

 最後に、私、総務課医療政策企画官の佐藤でございます。よろしくお願いいたします。

 本検討会の座長につきましては、あらかじめ構成員の先生方とも御相談し、慶應義塾大学名誉教授でおられます、田中先生にお願いしております。

 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、座席表のほか、議事次第にありますとおり、資料1から7、参考資料1から6でございます。

 資料の欠落等がございましたら、事務局にお申しつけください。

 それでは、以降の進行は、座長にお願いします。

○田中座長 皆さん、こんにちは。座長を務めさせていただきますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 早速ですが、議事に移ります。

 本日は、後ほど事務局から説明があります、大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォースの報告の中で、大学病院等のガバナンスについて検討の場を設けることとされたことに基づき、この場で検討を行ってまいります。

 第1回の開催にあたり、大臣からの挨拶が配付されております。

 事務局より、代読をお願いします。

○中村総務課長 医政局の総務課長でございます。

 机上に資料番号がついてございませんが、塩崎厚生労働大臣より、第1回の検討会の開会に当たりましての挨拶を預かってきておりますので、大変恐縮ですが、私から代読をさせていただきます。

 第1回大学附属病院等のガバナンスに関する検討会の開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。

 既に御案内のように、大学附属病院等において、医療安全に関する重大な事案が相次いで発生したことから、私のもとに、大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォースを昨年4月に設置し、全特定機能病院への集中検査の結果を踏まえて、11月には、特定機能病院が実施すべき改善策を取りまとめました。

 現在、本報告を踏まえ、特定機能病院の承認要件の見直しについて、省内の検討会での議論を経て、具体化の作業を進めています。

 しかし、同時に、各特定機能病院において医療安全を確保し、国民の信頼に足る診療体制を構築するためには、あらゆる面で過去のしがらみと決別する改革を断行する必要があると思います。

 最も大事なのは、最終責任者である管理者の選び方であり、とりわけ、大学附属病院等において、現在、多くにおいて行われている選挙(意向投票と呼ばれる)によって選任されるのではなく、いかなる方法によって、適切な人材が管理者として選任され、権限と責任を持って病院の管理運営に取り組めるようになるかだと思います。

 また、いかなる病院としての意思決定のあり方が、医療安全確保にとって最もふさわしいかなどを含むガバナンス改革に関し、検討することが医療安全確保には必要不可欠であると考えています。

 本検討会においては、管理者の資質や選任方法、病院として適切な意思決定を行うための体制のあり方など、大学附属病院等のガバナンス改革について、ゼロベースから具体的に御議論をいただければと考えております。

 現在の仕組みでは、医療安全管理の最終責任者は管理者となっています。本検討会における管理者や病院の意思決定体制に関する議論の結果を踏まえ、特定機能病院の承認要件について、さらに見直しを進めてまいります。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○田中座長 どうもありがとうございました。

 では、ここから資料の説明に移ります。

 まず、議題1「特定機能病院をとりまく状況について」、これまでの経緯を御説明いただきます。

 続いて議題2「大学・大学附属病院等のガバナンスについて」、現状を御説明いただきます。その後、意見交換を行ってまいります。

 まず、議題1について事務局から説明をお願いします。

○町田保健医療技術調整官 それでは、資料を御説明させていただきます。

 まず、資料2をごらんいただければと存じます。

 今回、話題となりました、大学附属病院と特定機能病院の制度の概要でございます。

 先生方、御案内のとおり、役割としては、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発・評価、高度の医療に関する研修、この役割のところに書かれております3本柱、これを担うことを特定機能病院は期待されているということで、承認要件として、高度の医療の提供、開発、評価、並びに研修を実施する能力を有すること等々ございます。

 また、承認要件の囲みの○の上から4つ目でございますが、人員配置ということに関しましても、特定機能病院以外の病院と比べて、手厚く配置するということが承認要件として求められているわけでございます。

 続きまして、資料3について御説明いたしたく存じます。

 こちらは、昨年、平成27年4月30日に社会保障審議会医療分科会の会長から厚生労働大臣宛てに出された意見書でございます。

 この特定機能病院等の医療安全管理体制に関する意見ということでございますが、昨年、特定機能病院におきまして、事故事案に関して、この医療分科会で審議をしていただきまして、その結果、まとめた意見書が、この資料3でございます。

 この意見書は、医療分科会から厚生労働省宛てにどういったことをすべしということに関する意見が盛り込まれているものでございます。

 資料3の裏面、特に「3 特定機能病院の医療安全管理体制の見直しについて」でございますが、今回の両病院、この両病院というのは、前に書いてございます、東京女子医大、群馬大学の病院でございますが、この2つの病院で起きた事案を踏まえ、医療安全管理に係る実態をより的確に把握し、指導を行うことが可能となるよう、効果的な立入検査の方法を検討するとともに、患者等、医療に携わっていない、一般の立場の者の視点にも立った医療安全対策等が推進されるよう、特定機能病院に求める医療安全管理体制等を見直すべきである。また、立入検査の機能強化のため、その体制整備に努めるべきであるということを、この医療分科会から、行政庁宛てに意見書という形で出していただきました。

 こちらを受けまして、資料4に、平成2711月5日という日付があって、大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォース、こちらは、先ほどの意見書が出た直後に立ちあがった、大臣を本部長とするタスクフォースでございますが、このタスクフォースのミッションとして、全特定機能病院に医療安全確保の状況というものをヒアリングに伺いました。

 その結果としてまとめたものの抜粋が、この資料4でございます。

 資料4に関しましては、本日の議論の中心でございます、ガバナンスに関する記載に関して、主に抜粋しております。

 「第1 本報告の位置付けについて」というところでも、1行目から、また、医療安全管理に止まらず、病院運営全体の意思決定のあり方を含む病院としてのガバナンス体制の再編、整理、強化の必要性も明らかになったところであるというように取りまとめられております。

 また、この段落の下から2行目の中ほど以降でございますが、そのため、大学病院等のガバナンス改革に関して検討の場を設け、可及的速やかに結論を得ることとするとまとめておりまして、こういったくだりもございますので、本日、先生方にお集まりいただいた次第でございます。

 あと、この下の「第3 医療安全確保の改善策について」というところでも、ガバナンスに関して触れられております。

 特に「(1)医療安全に係る理念の徹底」というところの下の段落にございます。下から4行目の一番最後から始まるところでございますが、今後、管理者として、適切な人材が選任され、権限と責任を持って、病院の管理運営に取り組めるよう、開設者との関係や病院としての意思決定のあり方も含め、さらに議論が必要であると、このようにタスクフォースでまとめさせていただいたところでございます。

 このあたりが、この検討会において、先生方に御議論をいただく1つのポイントであるかと認識しております。

 続きまして、資料5は、ガバナンスのことも含めた、そもそも医療安全タスクフォースで、どんなことを取りまとめたかということの説明図でございます。

 かいつまんで説明いたしますと、中ほどに点線がございますが、この点線より右側を中心に御説明いたしますが、この点線の右側の中ほど、現場における改善策、例えば、事故を防ぐ体制の確保、事故等の報告の義務化、診療録等の管理の強化、これらのことを現場で地道に積み上げていただいて、改善策を履行いただくと。

 また、このすぐ下にございます、高難度新規医療技術の導入プロセスの明確化ということで、難度の高い新しい医療技術を病院として導入する場合には、どのようなプロセスを踏むべきかということを、標準的なルールを、まず、国が示して、病院としてはルールに基づく対応及びその遵守状況の検証を義務化するということで整理をいたしました。

 これらの現場の取り組みに関して、点線の右側の上のほうの内部統制という機能をしっかりさせることで、現場の取り組みを指導していこうということで、例えば、医療安全管理責任者というものが、この内部統制の囲みの左側のほうにあるかと存じますが、医療安全管理責任者として、医療安全担当の副院長を配置していただこうと。

 また、そのすぐ下でございますが、医療安全管理部門において、専従の医師、薬剤師の配置を原則義務化していただこうとか、また、医療安全管理部門の動きを、内部統制の右上にございます監査委員会、こちらは病院長、管理者ではなくて、病院の開設者が設置するものでございますが、監査委員会が、先ほど申し上げたような、開設者と管理者の関係が適切かどうかを外から見る、また、医療安全管理部門の機能を見る。

 それから、定期的に院内で行われている医療安全管理委員会の動きを見るという役割を担う者を設置していただきましょうかということを整理したわけでございます。

 また、内部統制、現場の改善策全体をどのように見るかということで、一番下の細長い矢印の下の左側に外部監査というものがございますが、これは、先ほど申し上げた監査委員会のことでございます。

 それから、特定機能病院間の相互チェック、ピュアレビューもすることによって、お互いの取り組みというものが活性化するのではないかと整理したところでございます。

 また、地方厚生局の立入検査においても、立入検査の際に管理者から直接ヒアリングをさせていただくことによって、ピュアレビューの指摘事項の改善状況や、監査の指摘による改善状況を確認すると、このような整理をさせていただいたところでございます。

 事務局からの資料の説明は、以上でございます。

○田中座長 ありがとうございました。

 ただいま、事務局から説明のあった内容について、質問がおありでしたら、お願いいたします。

 よろしいですか。では、後の議論の時間に、皆様方の御意見を伺うことにいたします。

 続きまして、文部科学省と事務局から、議題2「大学・大学附属病院等のガバナンスについて」、現状の取り組み状況にかかわる説明をお願いいたします。

 まず、文部科学省より、お願いします。

○寺門文部科学省高等教育局医学教育課長 文部科学省医学教育課長の寺門でございます。前回のタスクフォースに引き続きまして、よろしくお願い申し上げます。

 文部科学省からは、厚労省からの御要請がございまして、資料6の資料を御用意しておりますので、適宜お目通しをいただきながら御説明をお聞きいただければと存じます。

 まず、大学全体のガバナンス改革の推進についてということで、資料6-1にまとめてございます。

 これは、平成26年2月に文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会の大学分科会において、審議のまとめとして取りまとめられました、大学のガバナンス改革の推進についてという審議まとめの概要でございます。

 ここでは、まず、ガバナンス改革の理念として、大学のガバナンス改革は、大学が自主的、自立的に行うべきものであって、学長のリーダーシップのもとで、大学みずからがガバナンス改革を行っていくという理念を掲げてございます。

 それから、学長のリーダーシップの確立ということで、学長の意思決定をサポートするために統括副学長の設置、または高度な専門性を有する人材の活用、育成といったものを図っていくことが必要だというような提言がございます。

 また、学部長等の選考につきましては、学長のビジョンや大学の経営方針を共有して、適切な役割を果たすことのできる学部長等を任命することが必要であると。

 最終的には、理事会学長の判断、責任のもとに、学部長を任命すべきという提言をしてございます。

 この提言、審議のまとめを受けまして、資料6-2でございますけれども、平成26年の先の通常国会で、学校教育法、それから、国立大学法人法の一部を改正する法律というものを御審議いただきまして改正されてございます。

 この改正の趣旨は、今、申し上げました審議会の提言等を踏まえまして、大学運営における学長リーダーシップの確立などのガバナンス改革を促進するため、副学長・教授会等の職や組織の規定を見直すといったような措置を講じてございます。

 また、この検討会との関係で申し上げますと、教育研究上の重要な組織な組織の長の任命ということでございまして、国立大学法人法施行規則の改正もあわせて行ってございまして、病院長など、教育研究上の重要な組織の長の任命については、学長の定める手続により行うことを新たに規定してございます。

 なお、つけ加えますと、この大学のガバナンス改革につきましては、現在におきましても、引き続き推進方策に関する検討会議というものを設けまして、法改正のフォローアップ等の議論を継続して行っているところでございます。

 次に資料6-3をごらんいただきたいと思います。

 これは、大学附属病院における病院長の選考等の現状について、概要をまとめた資料でございます。

 まず、病院長の選考、1につきましては、今、申し上げました、国立大学法人法施行規則などの省令改正等を踏まえまして、国立大学附属病院におきましては、学長が病院長を選考し任命をしていると。

 また、公私立大学病院においては、理事長または学長が病院長の選考、任命しているという現状になってございます。

 なお、平成16年の国立大学の法人化、また、今般のガバナンス改革にかかわる制度改正等を契機といたしまして、意向投票を実施せずに選考するという大学も増加を見ております。

 2の病院の運営体制についてでございますけれども、まず、執行部の体制につきましては、大学附属病院におきましては、病院の運営体制の強化のため、病院長をサポートする、診療、経営、医療安全等を担当する副病院長や、病院長補佐を置いてございます。

 この執行部の体制につきましては、国立大学附属病院におきましては、4名の副病院長を配置している大学が最も多く15ございます。なお、最少は2名、最大9名の副病院長を配置しているという例もございます。

 それから、病院長の副病院長としてのマネジメント経験の有無につきましては、現職の病院長のほとんど、79名中66名は就任前に副病院長や病院長補佐としての病院のマネジメントの経験というものを有してございまして、うち、53名は3年以上の経験を有しているという現状になってございます。

 なお、関連で申し上げますと、国立大学の附属病院長会議におきましても、昨今の重大事案というものを踏まえまして、昨年11月のタスクフォースの取りまとめも踏まえまして、病院長の選考のあり方の改善の検討に着手していると承知してございます。

 もし、座長、お許しいただければ、きょうは、山本先生が御在席でいらっしゃいますので、この点で、若干の御説明を私の後に、お許しいただければと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

 私のほうからは、以上でございます。

○田中座長 では、お願いします。

○山本オブザーバー 千葉大学病院の山本でございます。

 今、御紹介がございましたように、国立大学病院長会議の常置委員長という立場で取りまとめをさせていただいております。

 国立大学病院におきましては、医療安全管理体制の再構築、それから、今、非常に経営環境も厳しいという中で、経営もしっかり行わなければいけない。そして、さらに、臨床研究の促進、また、将来の医療を担う人材の育成と、非常に多くの課題を抱えているところでございまして、その中で、やはり、ガバナンスを強化するということは、極めて急務であるという認識を持ってございます。

 各国立大学の部局長の選任方法については、医学教育課長から御説明があったところではございますが、附属病院は一部局ではございますけれども、やはり、極めて特殊な部局であります。ほかの教育研究組織に比べると、病院運営に必要な経営力が求められる。あるいは特定機能病院として生命、健康を預かる組織であるというようなことから、病院長の権限と責任をより明確化する必要があると考えておりますし、当然のことながら、病院長の選考方法のあり方というのも再検討する必要があるという認識でございます。

 今、病院長の選考方法について、医学課長から御指摘がございましたように、医学部などで意向投票を行って、その結果をもとに学長が選考して任命する場合と、そういう意向投票なしに学長が指名するところとございますけれども、いずれの方法をとりましても、より病院長として求められる資質、能力を明らかにした上で、透明性の高い選考方法というのが必要ではないかと考えております。

 その1つの方法としては、病院長選考のための会議体、選考会議のようなものを設置して、そこで、透明性高く選考していく必要もあるのではないかということです。

 この辺につきましては、学長が定める各大学での内部手続等において取り入れる必要がございますので、これは、国大協とも連携して、ことしの6月ぐらいをめどにまとめていきたいと考えているところでございます。

 それ以外にも、国立大学附属病院長会議では、現職の病院長あるいは副病院長を対象として、幹部セミナー、病院長塾という名の幹部セミナーなども行って、マネジメント能力の向上に取り組んでいるところでございまして、その病院長の選考方法の新たな提言あるいは病院長塾などを通して、附属病院のガバナンスの強化に向けて取り組んでいるところでございます。

 ありがとうございます。

○田中座長 お二人の説明、ありがとうございました。

 もう一つ、厚労省の事務局からの説明をお願いします。

○水野総務課長補佐 続いて、資料7をごらんいただければと思います。

 「法人類型ごとのガバナンスに関する制度比較」という題名でございます。

 特定機能病院を念頭に置きますと、主として法人格としてありますのは、ナショナルセンターなどの独立行政法人、国立大学法人、公立大学法人、私立大学の学校法人という4類型で、ほぼ全てでございます。

 根拠法など、それぞれ違いが一定程度ございますし、規定内容は、大体似かよっている部分もあるという状況でございます。

 一番左端の独立行政法人の例の列をもとに御説明させていただければと思います。

 根拠法は、独立行政法人通則法、個別法もございますけれども、というところでございます。

 まず、法人の長の関係でございます。法人の長は、理事長ということで、任命権者は、その下の主務大臣ということでございます。

 その選任方法に当たりましては、公募活用というのが努力義務として課されているというわけでございますし、公募によらない場合につきましても、候補者の推進を求めるなど、透明性を確保する必要があるということになってございます。

 任命基準としましては、当該独立行政法人が行う事務・事業に関して、高度な知識経験を有する者ということでございます。

 職務権限として、この法人を代表し、その業務を総理するという形になってございます。

 続いて、理事の関係でございます。任命権者は、理事長ということで、理事長を補佐して業務を掌理するということでございます。

 監事につきましては、主務大臣からの任命ということで、業務として独立行政法人の業務を監査する役員などに事務・事業の報告を求める、こういったものが中心になってございます。

 病院長のところを、その下に書いてございます。任命権者は理事長ということになってございますけれども、先ほど申し上げたものにつきましては、法令上の定めは特段なくという状況でございます。

 一方で、最後の行でございます。参考として書いてございますけれども、病院長である管理者としましては、医療安全の確保など、各種の責任というものは課されているということになってございます。

 2行目からの国立大学法人以降も、おおむね今のような書きぶり、内容、若干それぞれ似たような形になっております。

 1点だけ言及させていただければ、資料の真ん中ほどでございます。法人の長の職務権限のところ、大学法人たちを横ぐし的に参考で書いてございますけれども、学校教育法の中で、校長は、公務をつかさどり、所属職員を統督するというような横ぐし的な規定もあるというのが制度上でございます。

 この資料自体は、事実関係でございますので、また、折々見ながら御参考にしていただければと思ってございます。

 以上です。

○田中座長 ありがとうございました。

 後段のほうの説明についても、何か技術的な質問はおありですか。

 特に質問がないようでしたら、ここから構成員同士による意見交換に移ります。それに当たっては、ただいま二部にわたって行われた説明を踏まえてください。

 大学病院等のガバナンスを考えていく上では、病院としての適切な意思決定を行うための体制の話があります。

 もう一つ、管理者の資質や選任方法なども取り上げなくてはなりません。いずれにせよ、幅広い観点からの議論が必要となります。

 今回は、第1回ですので、特段に絞らず、議題をめぐって、自由な意見交換を行ってまいります。

 各構成員から、御意見がありましたら、お願いいたします。

 オブザーバーの山本先生もどうぞ。

 では、山口構成員、お願いします。

○山口構成員 山口でございます。

 私は、先ほどから御説明があった、特定機能病院等の医療安全に関するタスクフォースに顧問ということでかかわらせていただいて、集中立入検査が84病院で行われましたけれども、その中の22の病院のヒアリングに同行させていただきました。

 実際に、いろいろと話を聞かせていただく中で、先ほどから御説明があったように、どこも理事長や学長という開設者に人事権や予算の面で権限が全てあるということで、全体を通して見ましたときに、ガバナンスということからしますと、病院長に与えられている権限が少ない、と実感いたしました。

 実際に、医療安全という視点で見てまいりましたときに、医療安全にしっかりとした体制を取っているところというのは、開設者もさることながら、管理者が医療安全に対して理解を持ち、深く必要性を認識していらっしゃるということと、それから、その管理者が現場のスタッフとのコミュニケーションをしっかりとっておられて、医療安全の体制を強固にするためには、何が必要なのかということを把握されていると感じました。それによって、人の配置や、予算も含めて、力を入れられていると実感をいたしました。

 それを、タスクフォース、それから、その後の承認要件、見直しのところでも意見として述べさせていただいたところでございます。

 そんな中で、特に多くの場合、先ほど申し上げたように、人事にしても、予算にしても、理事会決定ということになっているということになりまして、実際に病院長の決定権がどこにもなくて、何かあったとき、問題があったときに、病院長が病院のトップとして、スピーディに権限を持って動くということができないところに1つ問題があるのではないかということを、いろいろとヒアリングをさせていただいている中で痛感しました。

 大臣の御挨拶にもございましたけれども、確かに、選考の仕方に、もう少し改善をということもさることながら、資料の7を拝見しますと、病院長の選任方法についての法令の定めがないということは、もちろんなのですけれども、その下の2つの中に、病院長の任命基準であったり、病院長の職務権限ということが、全く定めがないとございます。そのためだと思いますが、実際のところは権限がないので動けませんということをおっしゃっている病院長が数多くいらっしゃいました。

 ですので、今回のガバナンスということを考えるに当たっては、やはり、病院長の権限についても、しっかりと決めていくということが、医療安全を高めていくためにも必要なことではないかと思っています。

 その上で、山本病院長にちょっとお聞きしたいのですけれども、選任方法の問題として、これの改革を進めることで、医療安全ということに、どれぐらい影響を及ぼしていくのか、それとも、もう少し権限の内容ということを明確にしたほうが、病院長としては動きができやすいのか、どちらのあたりに重きをおいて考えていけばいいのかということを、現場の声としてお聞かせいただければと思います。

○山本オブザーバー 例えば、意向投票を行う場合というのが、基本的に病院長は、臨床系の教授の中から選ばれます。そこが、意向投票がある、ないは別として、基本的には、臨床系の同格の教授の中から管理者が選ばれるというのが基本的なシステムでございます。

 その中から意向投票を行う、行わないというところも、やはり、余り現場というか、各ほかの診療科の教授の意向を無視するような、あるいは中に極端な混乱を招くような施策をとることは、やはり、内部的な圧力といいますか、それは当然存在すると申し上げざるを得ません。

 ただ、医療安全に関しましては、これは、大学病院としては、ごく当然のことでありますし、それから、特定機能病院という、より高度な機能を持つ医療機関においては、最も重要なことは、誰も否定するものではございませんので、そこの追求で、例えば、内部に混乱を招くということはないと考えます。

 ただ、やはり、今、山口構成員から御指摘がありましたように、病院長の権限が明確でないと、一連の事件を通して非常に責任は重くかぶさってきておりますが、一方で、権限が明確でないということは事実でございますので、ここは、やはり、内部的な方法をとるのか、あるいは外部からの規制をその他の方法をとるのか、ちょっとはっきりはいたしませんが、もう少し明確化していただいたほうが、やはり、我々としては仕事がやりやすいということは事実ではないかと思います。

 選考方法に関しましても、どのような、私どもが、先ほど申し上げましたように、病院長会議で国大協と協議を進めていこうとしているのは、やはり、病院長として求められる資質、能力は、明らかにしていただいて、それにふさわしい人物を選考委員会において選んでいただくという形が、それを参考にして学長が指名していただくというような形は望ましいのかなと感じております。やはり、どちらが重要かというと、どちらも重要と申し上げさせていただきたいと思います。

○田中座長 山口構成員。

○山口構成員 ありがとうございます。

 印象として、いろいろな大学病院がございます。その中で、例えば、理事長であったり、学長が医学系の出身の方というのは、病院に対しての理解があると思うのですけれども、多学部がある場合に、例えば、理事長とか、学長が、医学系のご出身でないと、必ずしも病院のことを御存じとは限らない。そこに、さらに院長の権限もないということになると、動きにくくなっているのかなということも非常に実感しましたので、例えば、学長であったり、理事長であったりという開設者が、医学系の方ではない場合でも、しっかり院長が権限を持って動けるような仕組みづくりということが必要ではないかと、ちょっとつけ加えてお伝えしたいと思います。

○田中座長 権限をめぐって大変貴重な御意見をありがとうございました。

 松本代理、お願いいたします。

○松本構成員代理 代理の分際で、大変申しわけないのですけれども、今、山口構成員が

言及されました病院長の職務権限に関してなのですけれども、法令の定めなしと、この資料7にはございますが、恐らく、大学病院そのものには、それぞれの規定というのはお持ちだと思います。

 今、学長が、医学系の方でないということにも言及されましたが、そういう単科大学ではなく、多学部、総合大学の場合は、確かにそういうことはあるかと思いますが、医学部長というのは、必ずおられます。いわゆる学長、理事長あるいは総長と学部長、病院長、その三者の職務権限というのは、どの大学でも明記されているものだと思うのですけれども、私は、大学のタスクフォースで訪れておりませんので、そのあたりは、山口構成員にお聞きしますが、どうだったのでしょうか。

○山口構成員 とても病院によって違いがあるというふうには感じました。

ただ、やはり、医学部長が権限を持っているところというのは結構あるなと思ったのですけれども、医学部長に権限があるところは、病院長の権限がどうしても、そんなにないというか、実際に、いろいろと動いていくときには、権限を持って動けないのだとおっしゃっていたところは、割と多かったような印象がございます。

 だから、院内での規定というのは、確かにあるとは思うのですけれども、例えば、今、私が病院改革にかかわらせていただいている、ある大学病院でも、院長の権限を強化するために、大変な思いをして理事会を通して、具体的な文言を規定の中に入れた。そうしないと、動きというものがスピーディになれないのだというお話も聞いておりますので、恐らく、今までの権限では、医療安全を確保していくというところ、あるいは研究とかを進めていく上では、まだ弱いのかなというのが印象でございます。

○松井委員長代理 私も大学出身でございますので、学長がいて、医学部長がいて、病院長がいてという経験はしておりますが、例えば、医学部長、病院長に関しては、医学部の教授会で選任されるということが、私の経験では、それしかなかったのですけれども、選挙権を持つのが、別に教授だけではなくて、助教授あるいは医局員にまで広げている大学も当然あるかと思います。

 ただ、その中で、今、山口構成員が、医学部長が力を持っているところは、病院長の力が余りないとかという、そういうふうに聞こえたのですけれども、本当にそうなのか、山本オブザーバーにお聞きしたいのですけれども、本当にそういうことがあるのでしょうか、やはり、職務権限の中で規定はされていると、私は信じたいのですけれども、そうではないのでしょうか。

○山本オブザーバー 今、正確な数字を持っておりませんが、医学部附属のところは、医学部附属から外れて、大学直轄のところと、今、出てきております。医学部附属ではないという大学病院もふえております。

 それで、私どものところは、医学部附属なのですが、1つ問題点を指摘するならば、教官の人事が、やはり医学部の教授会で行われるということは、今、1つ大きな問題点であると認識しています。

 例えば、病院独自で、病院の機能、医療安全も含めてですけれども、いろんな機能強化のために、教官を選考する場合に、医学部の教授会を通さなければいけない。医学部の教授会は、御承知のように、3分の1ぐらいは、基礎系の臨床の知らない教官が入っておりますので、ここは、ちょっと不都合があるなという認識はございます。

 あとは、先ほどの山口構成員のお話なのですけれども、必ずしも国立大学の場合には、割と病院長の学長が持っている権限に比べると、病院の中に関しては、どちらかというと、割と任せたよという感覚のほうが強いかなと、これは、極めて個人的な感想でありますけれども、私学の場合は、理事長がしっかり全てを握って、理事会が握っているのに対して、国立の場合には、病院のことは、病院がやってよという体制ではないかと考えます。お答えが重複して申しわけございません。

○田中座長 どうぞ。

○松本構成員代理 今、2人のお話をお聞きしますと、やはり、病院に関しましては、病院長の権限強化といいますか、そういうガバナンスを確保するためにも、病院長の権限を強化するような施策というか、何かそういう方策をとる方法を考えていかないといけないのかなと。

 ただ、私が想像するだけかもしれませんけれども、やはり、相当数の大学病院では、そのような形になっているだろうというふうに思いますし、思いたいというところがございます。

 ただ、そうではない、不幸な例が出たというのは事実ですので、やはり、病院長が、いろんなところに権限が発揮できるような、あるいは1人だけではなくて、病院長を理事会とは、また別で、病院長を補佐する方々のチームというものをつくっていければいいのではないかと思います。

○田中座長 ありがとうございます。

 では、山口構成員。

○山口構成員 決して、全ての大学病院がそうだと申し上げているわけではないのですけれども、私が伺った22だけでも特定機能病院という同じ名前が役割としてつきながら、こんなに違うのかというぐらいばらばらだったというのが、正直なところの印象です。

 そうすると、きちんと権限を持って動いているところはいいかもしれませんけれども、そうではなくて、規定がないことによって、なかなかリーダーシップを発揮できていないところがあるのであれば、やはり、今、医療安全ということが問題視されているわけですから、そこをしっかり確保していただくためには、一定ライン以上にしていただくということが大事なのではないかということを感じましたので、そういう意味で申し上げました。

○田中座長 組織上、理事長、病院長の間に、医学部長が入っている大学と入っていない大学があると、山本オブザーバーがおっしゃいましたが、文科省は、その数は把握していらっしゃるのですか、病院が、大学本部直属の数と、医学部附属病院のある数はどのようなものになっているかは御存じですか。

○手島文部科学省高等教育局医学教育課大学病院支援室長 数字は、今、持ち合わせておりませんけれども、名称と規定というのが、必ずしも一致しているものではないところもありますので、そこは、ちょっと規定をきちんと当たってみないことにはわかりません。済みません、きょうは持ち合わせがございません。

○田中座長 ガバナンスを考える上で、プラスに働くか、マイナスに働くかはわかりませんが、理事長と直でつながっている場合と、間に学部長が入る場合で、プラスのこともあるし、マイナスのこともあると思うので、それもちょっと知っておきたいと思いましたので。

 一般法人のガバナンスについては、後で梶川構成員にも少し教えていただかないといけないと思いますが。

 どうぞ。

○梶川構成員 今、一般営利企業では、コーポレート・ガバナンスのコードというようなもので、非常にガバナンスが話題になっております。

 そういった面で、ガバナンス一般のことと、こういった組織の特性と、この両方の観点から考える話があるかなと、組織ガバナンスを考える場合、やはり、きょう、大臣のお話もあったように、一番は、まず、トップの選任の方法プロセスという、トップがやはり適切な方が組織に置かれなければ、ガバナンスのいろはが始まりませんので、これが1点目はあると思います。

 あと、トップの権限者がある基本事項の意思決定をされる場合に、その意思決定の、もちろん、意思決定の権限はあるのですが、大きな幅の中で適正性が担保されるという第三者性と申しましょうか、そういったことの仕組みというものが、今、一般営利企業なども社外取締役等の話題がございますけれども、大きな意味の意思決定合理性について、これがどのように担保されていくかという2つ目の問題。

 そして、3つ目には、日常運営に関しまして、どのような権限、また、責任をトップが有しているか、また、与えられているかということで、この辺に関しましては、やはり、組織の規定上の問題で、どれだけ明確にできるかと。

 この場合、留意すべきは、やはり、組織のトップの持つ人事権というものが、実際にどのような有効性を持つか、やはり、組織が動く場合には、権限の裏づけとして、やはり人事というものがどうしても存在するのではないかと思います。

 もちろん、業務運営上の幾つかの権限というのはございますけれども、それは、トップが全部をやるわけではないので、やはり、あるミッションを与えた、委ねた中間管理職がどういった活動をするかということに対して、人事的な評価というもの、この人事評価というのは、やはり、評価自身どのようにプロモーションされるかということもございますし、直截的に言えば、給与にどのように反映するかといった、言ってみれば、これは、運営の効果性というものをどのように担保していくかというようなことがあると思います。

 もう一つは、やはり、人事の配置ですね。これに対する権限がどのように実質的に持たれているか。これは、一般論なのでございますが、この辺があると思う。

 その一般論の上に、今回のガバナンスの中で、非常に専門性の高い職業の組織であるということ。そういう意味では、組織の特性というもの。また、非営利性を持っているという組織と、これは営利企業とやはり違って、パフォーマンス・インジケーターが客観的に捉えづらい組織というのは、非常にガバナンスが難しい部分がございますので、この専門性の高い職能であり、かつ非営利性があると。

 さらに、その専門性の中でも、そもそも病院というのは、専門性が高いのですが、その中で組織ユニットごとの専門性がまた非常に高いのではないかと、診療科ごとの専門性のような、これは、多分、人事的な評価に対して、非常に難しさを、ある意味では呼ぶと。

 これは、いい意味、悪い意味、両方ございまして、組織ユニットごとの自治というのでしょうか、こういうものを大事にしないと、正しい評価にならない背面、その組織ユニットは、どうしてもセクショナリズムが存在しますので、このセクショナリズムごとの対立というのは、当然起こってくるという、今、1回目なものですから、一般論的で非常に恐縮なのですけれども、こんなようなことをどのように、今回のテーマの中で考えていければいいのかなということを少し感じているところでございます。非常に長くなってしまって恐縮でございますけれども、そんなようなところで、今後、具体的にどういうふうに、私は、この病院そのものについては、そんなに不案内でございますので、そういう一般論との対比で、少し何か御参考になることをお話しできればというところでございます。

 どうもありがとうございます。

○田中座長 ガバナンスに関する説明をありがとうございました。

 構成員同士での質問でも結構ですし、また、意見でも結構です。

 草刈構成員、お願いします。

○草刈構成員 私、大学病院とは全く関係のない、公益財団法人の病院の理事長をやっているわけですけれども、やはり、外から見ていますと、今、いろんな議論がありましたけれども、いわゆる総合大学の一部としての医学部と、それから病院という形と、それから、いわゆる医学に特化した大学がありますと、この2つの中では、やはり、ガバナンスの捉え方、あるいはさっきから出ている、院長の任命の仕方であるとか、あるいは、それに伴う権限の問題、そこのところが、総合大学と別の、医療専門大学との間で、医療専門大学のほうが、非常に簡潔に、そういうガバナンス対策をつくりやすいのかなという気がしておりました。

 そこのところは、ちょっと区別して考えないと、非常にややこしいことに、例えば、総長とかがいて、その下に医学部長がいて、ほかに経済もあり、理系もありという大学の、うちの医療というものと、それから、全く医療専門の大学とは、やはり焦点が完全に定められているか、あるいは結構分散しての中の1つとしてのガバナンスという捉え方なので、そこのところをちょっと分けて考えられたほうがいいのかなという気がいたしまして。

 御参考までに、私どものほうは、全くそういうあれがありません。言ってみれば、私立病院とほとんど近いと。それで、全部で、特定機能病院というのが、84ある中で、いわゆる大学病院以外の病院というのは、特定機能病院の中に6つしかないのです。そのうちの1つをさせていただいているので、どうもありがたい話ではあるのですけれども、したがって、院長権限とか、そういうものをどうするかというガバナンスをしっかりしないと、根っこから崩れてしまうのですね。

 それで、どういうふうにやっているか、いろんな方法をやっていて、一度図を描いてお示ししたほうがいいのかもしれませんけれども、基本的には、1つは、院長の権限規定というのはあるのですけれども、院長の選任のやり方は、本当は、さっき山口先生がおっしゃったように、選考委員会をつくってやったほうがいいのかもしれない。

 それで、私が来てから、1回だけ、つい最近、院長の交代がありました。そのときは、選考委員会というものが規定もされていないので、本来的には、それはどこかにつくったほうがいいと思っているのですけれども、やはり、さっき言っておられた副院長とか、院長代理みたいな形、その人たち、全部で7人ぐらいいるのですね。その人たちの意見をまず聞くと、そこが、ちょっとほかのところと違うかもしれませんけれども、要するに、病院の運営の仕方というのは、権限規定は、まず、これは全部決まっていますが、重要な問題については、経営会議というのがありまして、そこに全部付議するのです。そこで、決議されたものの中で、大事なものは理事会に持っていく。理事会といっても、もちろん、内部の方が7人ぐらいいますかね。

 一方、外部の、要するに医療関係者、企業経営者、それから、マスコミの方とか、そういう全くの第三者ですから、この人たちは何でも言えるわけでして、その中で、やはり何人かの方には相談して、最終的にその辺を総合して決めていくというやり方を、今、私のところではやっています。それしかやりようがないと思っているのでやっているわけです。

 あと、院長には権限を渡すのだけれども、私は、基本的には、病院のことはあなたに任せると言っているのですが、ただ、変なことをやられては困りますね。だから、いわゆる監事というのが4人、全部外部です。昔の監査委員会の監査役をやった方とか、それから、弁護士の方等々4人の名前の通った方にやってもらうと。

 それから、内側には、1人、いわゆる監査室というのをつくって、同時に、ここはCCOといって、コンプライアンス・オフィサーを同じ人をつくって、そこで、いわゆる監事の意見を、いろんなこと、ガバナンスについて聞く、あるいは権限が過剰にあれしているのではないかというようなことを聞くとか、あるいは、コンプライアンスの問題も非常に多いので、それについて、コンプライアンス委員会というのを院長も含めて、私のところの病院の団体は、研究所が非常に大きなところなので、研究所、それから、院長、それと経営本部長と、この3人がいわゆる常務理事なのですけれども、この3人を入れたコンプライアンス委員会というのを月に1回必ずやっているというようなガバナンス体制をとっているのですね。

 ですから、大学病院に、果たして、それが似つかわしいかどうかという問題はありますけれども、ちょっと口で言ってもあれでしょうから、もし、必要があれば、今後、何か御参考までにお示ししても構わないと思っています。

○田中座長 ぜひ、示していただく回も必要かと感じました。説明、ありがとうございます。院長に任せることと、事後的なチェック機構があることは両立できますね、むしろ、両立しなければいけない、任せれば、任せるほど事後的なチェック機構が必要である、まさに、それをなさっているとの御説明でした。

 いかがですか、では、矢野構成員のほうからお願いします。

○矢野構成員 矢野と申します。赤十字病院は、92あり、私は赤十字本社の方で、それらを支援している立場にあります。

ガバナンスというと、マネジメントしなければいけないということと、モニタリング、先ほどコンプライアンスという言葉が出てきましたが、そのような役割もあるのだと思うのですが、病院長に権限があれば、病院のガバナンスが本当にできるのかと。病院には、規定はあるに違いないでしょうが、規定があったとしても、なかなか難しい、現実的には規定通りにできていない。それは、そういう能力がないのか、あるいは特有のしがらみといいますか、教授の中から選ばれる病院長には、教授会の中でのしがらみが、多分あるのだろうと思うのです。

 それから、医学部長がいて、教授に対して、二重統治的な面があり、病院業務といわゆる研究とは、余りはっきり区別できない面もあるのだと思います。病院の中でも研究もやられるし、教育もやられる。医学部は、まさに教育ですから、病院長と医学部長の役割分担というものは、なかなか難しい面もあるのかと。

 それから、教授会との関係だけではなく、いわゆる理事長さんなどとの関係もある。上との関係と下との関係の両方があり、それは、国立と私立とでは違うのだろうと思います。

 赤十字の場合は、どちらかというと、院長の権限は大きく、国立病院機構とはちょっと違います。病院長は割と自由な人事権も持っていて、人も増やせる。でも、余り増やし過ぎると経営が厳しくなる。それを、本部との関係でどう調整するかと、今、非常に悩んでいるところでもあります。

大学病院のガバナンスというと、そういった一般病院とは違う特徴があります。権限規定をつくったらガバナンスがよくなるのか、なかなか難しい問題で、やはり、今までも出ていますけれども、病院長を選ぶときに、どういう形で選ぶのか、委員会というのもその1つでしょうし、能力評価の仕組みをつくっても本当にうまくできるのかということもあるので、我々自身、半年の間に、この検討会でどういうアウトカムを出したらいいのだろうと悩みながら、今、聞いていました。まだ、まとまっていない段階で、これからだと思いますけれども。

 

○田中座長 ありがとうございました。

 どうぞ。

○田島構成員 私は、社会保障審議会の医療分科会の一員としまして、群馬大学病院と、女子医大病院の特定機能病院承認の取り消しの手続にもかかわらせていただきまして、それで、その2つの病院で、大きな事故が起きて、それにどういう原因があり、どういう対策が必要なのかということを見させていただいたのですけれども、やはり、両病院とも病院長の権限が余り強くないために、病院長が自分の判断で、医療安全管理なり、そういうインシデント、アクシデントに対する対応をきちんとできないという点が、1つあったと思っております。

 それで、病院長の選任の方法につきましても、皆さんで投票して選ぶということではなく、理事会なり理事長が決めたほうがいいのではないかという御意見も中にはあるかもしれませんけれども、女子医大病院の場合には、そういった形であったために、なかなか病院長が適切に選任されず、不在という状況がありましたり、あるいはなかなか次の手続に進めないという理事会なり、理事長なりに逆に問題がありはしないかと思われるようなところがありまして、なかなか選任の方法もしっかりしていないと、きちんとした体制がとれないということも痛感いたしました。

 それで、資料7の一覧表を見ますと、やはり、病院長の選任方法、任命基準、職務権限に法令の定めがないということは、問題だろうと思いまして、各組織の中の規定に任せるのではなくて、必要な点については、法令で一律に最低限の定めをしたほうがいいのではないかと考えております。

 病院長にふさわしい方を選ぶためには、やはり、管理の能力というのも大事だと思うのですけれども、やはり、病院長になるまでの過程で、そういう経験を積まれたり、あるいは訓練を受けられたりしている方が、どれほどいらっしゃるのか、それも余り、私は外部のものですので、よくわからず、そういうことより、臨床だったり研究の経験を積まれることはあっても、管理者としての経験を皆さんが積まれる機会というのは、余り多くないのかなと思っておりまして、病院長になられる方は、医療安全管理に関する責任者としての経験を積まれた方であることが望ましいのではないかと考えている次第でございます。

 今のところ、まだ、余り具体的にどんなアイデアがあるかということを言われますと、はっきりお示しできるものはないのですけれども、現段階では、そのような考え方を持っています。

 以上です。

○田中座長 ありがとうございます。

 今までのお話を伺っていて、私も一委員として、論点を申し上げます。

 大学病院の院長のガバナンスの話のときに、上側と下側があると、何人かの方に御指摘いただきました。一つは、大学の本部との関係ですね。院長が、例えば、設備投資をするとか、院内の組織をかえるときに、大学本部の承認をとらないといけなかったり、人事権についても持っていなかったりするので、そこをどうするか。法人組織の中の病院長のガバナンスの話が1つです。

 もう一つは、院内で、大学病院である特殊性から、診療科の各科の教授たちに対する権限とか、各科で、どのような医療安全体制をとるべきかをめぐる内側に対する院長の権限の話と、これは、別だと思います。

 私立の医療法人でしたら、院長、理事長には、両方の権限があるでしょうけれども、大学病院の場合、特に日赤と違って、内部に対するガバナンスの権限が弱いのではないかということが想定されます。法人の中でのガバナンスの、院長の位置づけ、権限と、病院の中でのガバナンスの話は、分けて議論し、論点整理していくこともあり得るかなと感じました。

 梶川先生、会社で事業部長とは、どういうものなのですか。この場合の院長は、ちょうど事業部長に当たると思うのですけれども。

○梶川構成員 事業部長という、何か正式な定義があるわけではないのですが、事業部というイメージのワーディングの場合は、多くの場合、ある事業に関して、売上高と、それからコストと、両者を統括的に責任をとると、営利企業の場合には、どうしてもそういう意味では、パフォーマンスは、損益管理ということになりますので、そういった形で、いわゆる売り上げの販売部長とか、コストなり、物をつくる生産のある一面ではなく、両面をあわせた成果とコストと、両者をあわせた形で責任をとることを1つの事業部として言われているようなことが多いような気はいたします。

 そんなような形で一くくり、多くの事業区分が、1つの会社の中でも少し明確な整理をされている場合と。ただ、事業部という言い方は、会社によって少しずつ違ってきますし、多少インフレぎみになったりするときもあるので、必ずしも定義されているものではないと思います。おおむね、そんな感じはします。

○田中座長 そこは、工場長とか、販売本部長とは違って、売り上げと費用と両方に責任がある。その意味では、病院長は、そうかもしれませんね。

 どうぞ。

○松本構成員代理 田中先生に論点整理をしていただきましたけれども、大学側と院長の関係について、そういうふうに言われますと、やはり、院長が理事会の構成員の一人になる必要もあるのかなというふうに思いますし、院内での院長の立場というふうに考えますと、やはり、専任といいますか、1つの臨床科の教授なり長である立場と、院長の立場を兼任するというのには、大変無理が出てくるのではないか。

 例えば、学長でも何でも任期というのがありますね。自分の臨床科の長の籍を離れて、学長なり院長に専念する、専従して、専念して、もう離れるとなりますと、院長の職を辞して、まだ、定年まで時間があったときに、行き場がなくなるということもあります。その辺は、山本先生、どういうふうに考えたらよろしいですか。

○山本オブザーバー まず、病院長に専任するかという点でございます。私は、まさに、その年代でございまして、私の専門は眼科でございますが、眼科の教授をやめて病院長になると、病院長の任期が終わっても、まだ、定年が残っているのです。そうすると、行き場のない大学教授になるということがございます。

 正確な数を把握しておりませんが、病院長専任をとっているところもありますし、私どもの中でも議論をしたことはございます。ただ、専任にすると、やはり、どうしても後ろが見えている方、あと、何年で定年だねと、では、ここからだったらというような、どうしてもそういうことになる。

 私の場合は、前任の病院長から8学年若返りましたので、通常ですと、3、4年ごとというのが普通です。私の場合は、8年間があきました。

 そういう人事はちょっと難しくなるなと、私自身も、もし、この後、やることないよと言われると、もうちょっと先にやらせていただきますということになる、その辺は、専任が望ましいのかどうかというのは、非常に悩ましいところだと思います。

 ただ、一方で、私自身が、今、兼任でやっていると、こういう昨今のような状況で、やはり、病院長職を半端にやっていることはできませんので、自分の仕事の8割から9割は病院長に投入していると、逆に本業といいますか、実家がちょっと危うくなるという、これは、これでそちらに患者さんはおりますし、教育しなければいけない若いスタッフもいるので、その辺の責任のとり方というのも悩ましいなと感じてはいるところでございます。

 最初のほうの理事会に関しましては、私の千葉大学の場合は、副学長というポジションで、理事ではございませんけれども、意思決定の役員会には参加をしておりますし、大学として重要なことを決める際には、その議論には参加をしております。理事であるところもあるし、副学長というポジションと、国立の場合にはそのどちらかに当てはまると考えております。

○田中座長 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 今の理事のことですけれども、理事会に入っていらっしゃるところが多かったとは思いますけれども、全く入っていないという大学病院もありました。

 発言権はないけれども、参加だけしているというようなところもあったようですので、これも、やはり、ばらつきがあるのではないかと思います。

○田中座長 いずれも大切な考えるべき点です。ありがとうございました。

 どうぞ、ほかの論点でも結構ですので、草刈構成員、どうぞ。

○草刈構成員 さっきちょっと事業部長というお話が出ましたね。本当に大学病院の学長さんが事業部長である必要があるのかというところが、ちょっと気になるのですよ。つまり、私立病院であれば、これは、完全に事業部長というか、事業についても経営責任というのを必ず持つわけですね。だけれども、大学病院の場合に、いわゆる経営責任というか、要するに、簡単に言うと、PLの話ですけれども、そこの責任よりも大事なのは、やはり、さっきの安全管理の部分とか、それから、医療の質をどこまで上げていくのかというのが、病院長の大事な職務であって、いわゆる経営的なことについては違うのでしょうけれども、いわゆる医務部長みたいな人がやるというようなこともあって、それから、変な話だけれども、そこで大赤字になったとしても、そんなに大事にはならない、つぶれないですから、だから、そこのところまで病院長が、責任をとる必要があるのかなと、さっきから聞いていて思ったのですけれども。

○田中座長 どうですか。

 どうぞ。

○梶川構成員 私も、今、草刈構成員の言われたことは、論点に十分になり得ると思います。こういう組織特性、冒頭申し上げたような、非営利というところもございますし、専門性も非常に高いというところで、普通の企業でいえば、生産部長というか、ある意味では、工場長というと、ちょっと言葉に語弊がありますけれども、ものづくりに責任を負うのだと、そして、生産管理というか、品質管理、そういうところまでも含めてですけれども、そこに責任を負うのであって、そこから出てくるアウトプット、アウトカムの最後の転化と経営は、また別の見方で見ていくということもあり得るとは思いますので、その辺は、まさに経営をつかさどる理事会とか、経営本部とかいうのがございまして、生産関係で、この病院をコントロールされていると、そういう考え方も十分に成立はされると思うので、それは、決めに近い話なのかなという気がいたします。

 重ねて、私どもも、実は、専門職能で集団化している組織なのです。監査法人というのも、今、非常に批判があります。その御批判自身も1つ、やはり、経営をもう少し、根本的におやりなさいよと、やはり、専門職業家が集まりますと、どうしても個人としての専門職の品質向上というか、さっき先生が眼科の、やはり、眼科医師として、私などは、会計士として、その仕事について、やっぱりかなりの時間を払いたいと、しかし、実際に数百人、千人といるわりには、経営をしなければいけない。私も、ここ十何年、その相克に悩みながらやってきたのですけれども、やはり、そういった意味で、自身の資源をどう配分していくかということが、いつもコンフリクトする組織体だというところも非常に組織特性として、また、人材特性というのでしょうか、そこは、すごく強くありますので、やはり、現実、議論する場合には、そういった特質も、少し考慮した上で、議論をしたほうがいいのではないかという気はいたします。

 もう一ついいですか。

○田中座長 どうぞ。

○梶川構成員 済みません、長くなりまして、追加的に言えば、専門職というのは、専門職自身のプロフェッショナル・ジャッジメントとの権限がとても強い組織なものですから、これは、多分、法規制上もそういう部分が、お医者様にもおありになると、ですから、そこの専門職のプロフェッショナル・ジャッジメントの権限と、組織的な権限とどういうふうにマッチングしていくか、上司といえども、また、院長といえども、プロフェッショナル・ジャッジメントについては、介入できないという要素がすごくあると思うのです。

 そこも追加的になりますけれども、組織特性として、どのように整理するかということもあると思います。やはり、それは、事業法的にもそういうところがあると思いますので、その辺も、多分、今後、さらに組織権限を議論していく場合には、少し留意していただいたほうがいい点ではないかなという気がします。

○田中座長 ありがとうございます。

 プロフェッショナリズムは前提だけれども、しかし、それが行き過ぎると、医療安全などで問題を起こしてはいけない。そのバランスのとり方を考える話だと思います。

 草刈構成員の言われた、会社の事業部とは違うという点は、全くそのとおりです。

○草刈構成員 申し上げたかったのは、大学病院ですね。大学病院の場合は、国公立の大学病院という意味ですけれども、その場合は、要するに経営責任を院長さんが持たなくても済むのではないのかと。むしろ、プロフェッショナルなところに、あるいはそれこそ安全管理を直轄にしてやるとか、そういうほうに重きを置いていけばいいので、ただ、私立病院の場合は、これは、俺たち金もうけと関係ないものなと、これをやっていると、つぶれてしまうわけですよ。

 ただ、経営のことをちゃんと考える人は当然いるのだけれども、それと院長さんが、例えば、ベッドの回転問題をどうするかとか、そういうことは、病院の人しかわかりませんからね。

 だから、例えば、予算をつくるときには、当然、その病院長、それから、研究所長というのですけれども、その人たちと看護師さんと、その人たちと一緒につくっていかざるを得ない。

 ただ、国公立病院の場合には、そういうファンクションは、要らないのだろうなと思って、そこは違うのですかね。

○山本オブザーバー そこは、全くの誤解と申し上げさせていただきたいと思います。

 昨今、非常に大学病院を取り巻く経営環境は厳しくて、昨年度は、半数以上の国立大学病院が赤字決算となりました。

 その場合、赤字でもとりあえず回っているのは何かというと、大学本部が持っている積立金というか、キャッシュを食いつぶしているわけですね。ですから、それが行き過ぎると、本部そのもののキャッシュがなくなってキャッシュアウトを起こすと、現実にキャッシュショートを起こして、短期借り入れでしのいだ大学法人もあるような状況でございます。

 それから、そういう状況になった場合に、我々大学病院について何をするかというと、今度は、次の設備の更新をおくらす、出費をとにかく最低限にしなければいけないということで、機器の更新をおくらせる、例えば、年間に15億ぐらい設備更新に必要な場合に、2億ぐらいに抑えたりということをせざるを得ない。これは、最終的には、診療機能を落とすということになります。

 それから、診療に当たっているスタッフの不満も当然上がってまいりますので、ここは責任をとらざるを得ないということだと思います。

 それから、まさにベッドの回転をどうするかとか、その辺は、今、私どもの仕事の大半は、そこに力を投入しないと、大学病院そのものが地盤沈下してくるということで、これは、今、国立、国公私問わず、抱えている問題と認識しております。医療安全もやらなければいけないし、経営も、本当にお金のことを、正直、私ども今、執行部、副病院長の中でお話しするのは、我々、医学のことはいっぱい勉強してきたし、研究もいろいろ勉強したけれども、経営は、誰も教えてくれなかったねというようなところで、幸い、そういうMBAを持った方などの中に取り込むことで、いろんなアドバイスを受けたりはしていますけれども、実際に素人集団で、そういうことをやらなければいけないというのが現状でございます。

○田中座長 売り上げと費用の差は考えなくてはなりませんね。民間企業のように、少しでも高い利益ではないかもしれませんが、設備投資を賄うに足るようなキャッシュ・インを求めていくという意味では、経営が必要です。企業との大きな違いは、非営利法人は、資本利益率というコンセプトがないところですね。売り上げと費用の差を黒字にするぐらいであって、あくまで売上高で利益を考える。

 企業の場合には、投下した資本に対する利益率を株主から求められるので、はかる指標が違います。だけれども、指標が違うことは、つまり、上位目標を変えればいいので、その中での経営を考える点では、MBA的に言うと、同じだと思います。目標が利益ではない、しかし、ある上位目標に対して責任を持つならば、1つの事業の責任者である。大変難しい状況です。さらに、難しいのは、プロフェッショナリズムがあり、医療安全という最上位目的があり、医療の質を高めるといった目的があるところが、大変困難ですね。

○草刈委員 そういった意味で、さっき私が申し上げたのは、ちょっと全然違っていて、いわゆる国公立病院の場合も、やはり、病院長かどうかわかりませんけれども、病院長も、それなりの経営的な責任全うしなければいけないと、それは、非常に結構なことだと思うし、国が物すごい補助金を、今、出していますね。だから、それは、税金を食いつぶしているわけですから、やはり、きちんとした経営をやってもらわないと、本当はよくないと思うのですけれども、そこまで、さっきおっしゃったように、余りそういう経験のない方がやられるというのは、非常にしんどいだろうなと、だから、そこのところをもうやらないでいいのだというふうに割り切ってしまうというのは、逆説的な言い方をしたのですけれども、そういうことではないという理解をしていていいでしょうかね。

○山本オブザーバー ぜひ、そのようにお願いいたします。

 それから、先ほどお話のありました、経費と、支出と収入の差という部分をなぜ大きく保ちたいかというと、今、国立大学病院は、とにかく財政的な自立、経営的な自立を求められております。世間で思われるほど、多額の補助金が入っているわけではございませんので。

 例えば、建物を建てる場合も1割は補助金が、例えば、100億で建物を建てるときの10億は補助金でやっていますけれども、9割は借金で、我々は借金として、収入の中から返済していかなければいけないということもございます。

 それから、大学病院は、診療だけではなくて、卒前、卒後の教育、それから、臨床研究の場でもございますので、その基礎研究に関しては、医学部が責任を持つとしても、患者さんの臨床現場での研究というのは、私どもがやらなければいけない。その辺の投資についても、もちろん、いろんな補助金を取る努力はしますけれども、やはり、自分たちが内部留保をしっかり持って、それを次の研究、次の教育に向けた投資に充てていくという必要性もございますので、今、それが非常に薄くなってきている、あるいはもうマイナスになってきているというのは、非常に苦しい状況にあるということでございます。

○田中座長 この検討会は、経営そのものよりも、とても大切な点ですけれども、医療安全等が上位目的になっている検討会ですが、その最大の背景要因として、今、先生のおっしゃった、経営の責任もあることを忘れてはいけないし、無視することもできないですね。それは、共通の認識にしておかなければならないと思います。

 あと、山口構成員に質問なのですが、インタビューをなさったときに、院長先生になられるのに、医療安全についての経験を持っているか、持っていないかなどはお聞きになりましたか、院長になる前に。

○山口構成員 インタビュー項目に入っていたかどうか、ちょっと正確に、私は記憶にございませんけれども、経歴の中で、副院長時代に医療安全の担当副院長でしたと、お答えになった方は比較的多かったように思っています。

 今回、特定機能病院承認要件見直しの中に、一定の医療安全の経験を積むということが、具体的な年数について明記されませんでしたけれども、医療安全の担当である経験を有するということが入ったと記憶しておりますので、そのあたりは、先ほど、田島委員がおっしゃった医療安全の経験を積んだ人が、今後は院長になっていかれると思っております。

○田中座長 ありがとうございました。

 大体予定していた時間になりましたが、ほかに何かございますか。大学病院の大変さは、きょう、山本先生のおかげでよくわかりました。少人数の会議のよいところは、こういう質疑応答ができるのですね。大きい会議で座長が委員に質問など絶対できないですけれども、きょうは、お互いに学ぶところが多いし、新たな視点がありました。しかし、これはまだ始まりです。本日、全てのことを全く話すわけではありません。今後、何回かお互いの識見を深めた上で答えを出してまいりたいと存じます。

 ほかに、よろしゅうございますか。

 では、本日の用意した議題については、これにて終了いたします。

 次回は、国立大学病院、私立大学病院等のガバナンスに関する取り組み状況について、場合によっては、例をお聞きして議論を進めてまいります。

 事務局から、何かほかに説明がありますか。

○佐藤医療政策企画官 次回開催についてでございますけれども、3月1618時から、遅い時間で恐縮でございますけれども、18時から厚生労働省内での開催を予定しております。詳細は、改めて御連絡申し上げます。

○田中座長 それでは、本日は、これにて閉会いたします。お忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございました。


(了)

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