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2016年2月25日 第2回これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成28年2月25日(木)10:00〜12:06


○場所

厚生労働省 省議室
(東京都千代田区霞が関1−2−2)


○出席者

伊澤構成員、伊藤構成員、岩上構成員、江藤構成員、太田構成員
荻原構成員、籠本構成員、河崎構成員、吉川構成員、佐竹構成員
澤田構成員、白川構成員、田川構成員、近森構成員、千葉構成員
中板構成員、長野構成員、中原構成員、野沢構成員、樋口構成員
平田構成員、広田構成員、本條構成員、松田構成員、山本構成員
田村参考人、竹中参考人

○議題

1 関係団体のヒアリング
2 その他

○議事

○樋口座長 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第2回「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、ご多忙のところご参集いただきまして、ありがとうございます。

 では、まず資料の確認と本日の出欠状況について事務局のほうからお願いいたします。

○占部課長補佐 精神・障害保健課の占部でございます。よろしくお願いいたします。

 資料の確認からさせていただきます。

 資料1から4でございますが、本日の関係団体ヒアリング用の資料として提出された資料でございます。

 それから、参考資料1が第1回の検討会に配付しておりました検討会の進め方(案)でございます。参考資料2は、障害者総合支援法に関連して、昨年末に社会保障審議会障害者部会で、施行3年後の見直しについて報告書がまとまっておりますので、ご参考としてお配りをさせていただいております。時間の関係上、本日は詳しい説明は省略させていただきますけれども、後でごらんいただければと考えております。

 また、前回の本検討会における皆様からのご意見の概要を整理した資料を机上にお配りしております。今後の議論の参考のために用意したものでございますので、適宜ご参照いただければと思います。

 以上、本日の資料について、足りない資料がございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

 次に、本日の出席の状況でございます。構成員の代理として2名の方にご出席いただいておりますので、ご紹介申し上げます。柏木構成員の代理で、公益社団法人日本精神保健福祉士協会副会長の田村綾子さんでございます。

○田村代理 田村です。よろしくお願いいたします。

○占部課長補佐 船津構成員の代理で、佐賀県健康福祉本部副本部長の竹中郁子さんでございます。

○竹中代理 竹中でございます。よろしくお願いいたします。

○占部課長補佐 また、本日は、神庭構成員、久保野構成員、松本構成員からご欠席とのご連絡をいただいております。松田構成員、広田構成員からは、おくれて到着する旨のご連絡をいただいております。山本構成員におかれましては、ご都合により閉会前のご退席となる旨、ご連絡をいただいております。

 また、事務局でございますけれども、藤井障害保健福祉部長、田中障害福祉課長につきましては、別の公務のため欠席とさせていただいております。

 事務局からは以上でございます。

○樋口座長 ありがとうございました。

 それでは、早速、議事に入りたいと思います。本日は、関係団体からのヒアリングを行うことにしております。まず、各団体のほうから、それぞれ20分以内でご意見をいただくことになっておりまして、その内容について、構成員の皆様からのご質問をその後にいただく予定にしております。

 それでは、早速、関係団体ヒアリングに入ってまいりたいと思います。カメラについては、ここまでということでよろしくお願いします。

(カメラ退室)

○樋口座長 まず最初に、日本精神科病院協会からお願いいたしたいと思います。

○日本精神科病院協会中島理事 日本精神科病院協会の中島でございます。医療保護入院と意思決定については中島のほうから、あと、精神病床の新たな医療体制については、櫻木先生のほうからご説明いたします。私の資料は、資料1の途中からになります。資料に加えまして、参考資料としてスライドに示しておりますけれども、スライド1から8までは、平成26年度の障害者総合福祉推進事業「精神保健福祉法改正後の医療保護入院の実態に関する全国調査」を要約したものであります。

 スライド1につきましては、798施設から回答が得られまして、市町村長同意が54.6%と、前年度に比べて半減しているという結果でありました。

 スライド3は、入院手続では、家族等の同意取得の困難例とか、入院同意者の適格性の問題がございました。

 あと、スライド4、同意者の適格性の問題の事例報告の一例であります。

 スライド5、市町村長同意が行えない事例についての内容です。

 スライド6が、退院支援関係のアンケート結果になります。

 スライド7が、今後の見直し意見、医療保護入院の手続き関係とか、市町村長同意の問題が6割を占めているという結果でありました。

 スライド8が、医療保護入院の見直しの提言の内容です。

 スライド1112は、平成27年度の障害者総合福祉推進事業「入院に係る精神障害者の意思決定及び意思の表明に関するモデル事業」になります。

 それでは、資料をごらんいただきたいと思います。

 まず、一番上の医療保護入院における移送及び入院の手続等の在り方について。

 医療保護入院の手続等の在り方について。保護者制度廃止に伴う弊害がないように取り計らうこと。

○樋口座長 ごめんなさい。資料が確認できていない方もあるようなので、もう一度資料の確認をしていただけますか。

○日本精神科病院協会中島理事 資料1の途中からになります。

○樋口座長 途中というのは。

○江浪精神保健医療統括推進官 申しわけございません。事務局のほうで資料を刷る際に、下に続き番号をつけずにしてしまったものですから、ご迷惑をおかけしております。前半のほうに櫻木先生のヒアリングの資料がついておりまして、途中、スライドを挟みまして、ワープロに戻りまして「『これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会』ヒアリング資料」、中島先生の紙の部分が真ん中ごろにあるので、そこからご参照いただければと思います。申しわけございません。

○樋口座長 多分、それで、今まではっきりつかめなかったのが、ようやくわかりました。よろしいでしょうか。今の説明でおわかりになったと思います。

 どうぞ、続けてください。

○日本精神科病院協会中島理事 資料のほうをごらんいただきたいと思います。

 まず1番目として、医療保護入院における移送及び入院の手続等の在り方について。

 医療保護入院の手続等の在り方についてですけれども、保護者制度廃止に伴う弊害がないように取り計らうこと。これにつきましては、保護者の義務撤廃と、それに加えて医療保護入院の家族等の同意が入院時のみに限定されていることから、入院後の家族等の関わりが減るおそれがあります。早期退院、社会復帰の促進のためには、家族等の関わりが是非とも必要であると考えます。

 それと、医療保護入院の手続に関し柔軟な対応を行うこと。市町村長同意の要件見直しが必要である。医療保護入院の同意者が家族等となって、範囲が広がったことにより、今まで疎遠だった家族等も同意取得の対象となりました。市町村長同意の要件である「当該精神障害者の家族等のいずれもいないか、又はその家族等の全員がその意思を表示することができないこと」が様々な問題を生じさせています。家族等が心神喪失状態かどうかを判断することの困難さなどの問題もあります。

 ということで、提案ですけれども、精神保健福祉法の目的というのは、障害者総合支援法と相まってその社会復帰の促進及びその自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な援助を行うことを目的としているということで、医療保護入院の要件として家族等の同意を得る場合にも、この同意が精神保健福祉法の目的に照らして相当であるかどうかも問わなければならないということです。

 「家族等」が同意できる点として、法律は具体的に家族等に該当する者を列挙しておりますけれども、精神保健福祉法の目的に照らして、その範囲が広過ぎるという問題があります。本人以外の同意というのは、一方で当該精神障害者の個人の尊厳を侵害しないものであることが必要であり、他方で社会復帰の促進等に資するために有用であることが必要である。したがって、「家族等」の同意については、以下のように行うことを提案いたします。

 アとして、「家族等」に該当する者であっても生計をともにしない者は、同意できる者から除外することもできるとすべきである。生計をともにしない「家族」というのは、病状も知らない場合が多くて、このような者に一律に同意できる権限を付与すると、場合によって精神障害者の個人の尊厳や社会復帰の促進に支障を来すおそれがあると考えます。

 イとして、成年後見とか保佐の審判を受けていない者であっても、すなわち、成年被後見人や被保佐人に該当しなくても、医療機関の指定医によって意思能力ないし判断能力に欠けていると判断された家族は同意できない者とすべきであると考えます。

 3、損害を受けた場合の問題として、例えば医療保護入院によって入院した精神障害者の行為によって医療機関が被った被害については、民法第713条が適用されております。民法714条では、責任能力がないとして賠償責任を負わない場合は、責任無能力者を監督する法定の義務を負う者が賠償責任を負うこととされておりますけれども、実際問題として、監督義務者が責任をとるというのはなかなか難しいということで、医療保護入院の同意をする者については、当該精神障害者の不法行為による損害について賠償する責任を認める仕組みが必要である。責任が認められない家族は同意者要件を満たさないとすべきではないかと考えました。

 4番目として、公的保護者制度について。入院時の同意者を「家族等」にしている点は前記のとおり問題点が多々ありますので、公的保護者制度の議論を進める必要があるのではないかと思います。

 (2)医療保護入院における移送制度について。

 移送制度が機能していない現状があります。これは、迅速な診察を行える指定医確保は非常に難しいということがありますので、そういったことを考えまして、実行可能な移送制度の仕組みが必要ではないかと思います。

 提案ですけれども、スライド10に示しましたけれども、都道府県知事は、「家族等」から相談を受けた精神保健指定医並びに保健所職員双方の判断の結果、直ちに入院させなければいけないような場合には、本人の同意がなくてもその者を都道府県知事が指定する精神科病院に移送することができる。すなわち、現地での精神保健指定医の診察を不要にしてもいいのではないかという意見です。

 2番目として、医療保護入院者の退院を促進するための措置の在り方について。

 改正法によって法定化した退院支援策の現状と課題の整理等について。

 これは提案ですけれども、スライド6に示しましたが、退院支援委員会への本人及び家族等の参加は6割ぐらいだったのですけれども、地域援助事業者の参加割合が少ないという結果でありました。ということで、必要に応じて、地域援助事業者の参画促しを図るべきではないかと思います。

 3番目として、入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明の支援の在り方について。

 これはスライド1112ですけれども、退院支援に向けた意欲喚起等の取組について。病院スタッフのみならず、地域の支援者が精神障害者の意思決定支援に関わることが必要であるということで、提案ですけれども、平成27年度の障害者総合福祉推進事業「入院に係る精神障害者の意思決定及び意思の表明に関するモデル事業」を行いましたけれども、モデル事業においては、入院中に精神障害者のみならず病院スタッフにとってもアドボケーター機能が患者の意思決定支援に有用であることが示唆されております。本事業で、アドボケーターガイドラインを作成しておりますけれども、近い将来にはアドボケーター制度の創設が期待されるところであります。

 以上です。

○日本精神科病院協会櫻木理事 続きまして、私のほうからは、精神病床のさらなる機能分化、それから精神障害者を地域で支える医療のあり方、それから精神疾患に係る医療体制の構築といった項目について、お話ししたいと思います。資料のほうにスライドをつけてありますので、その都度ご案内しますので、参照していただければと思います。

 一番最初に、疾病構造の変化ということがあって、患者さんの数あるいは比率の推移ということが起こっております。スライドの1番目を参照していただくと、以下のような結果です。

 統合失調症に関しては、患者数はおおむね変化はありませんけれども、患者数全体に占める割合は徐々に減少しております。それから、気分障害については、患者数、それから全体に対する割合等も少しずつふえております。それから、認知症、特にアルツハイマー型認知症の患者さんの数は、増加が目立っております。こうした疾病構造の変化、あるいは治療上の、例えば薬物療法とか心理社会的な療法が進展するということによって、精神科の入院治療においては、早期退院群と長期在院群の二極分化ということが起こっております。

 次のスライドを見ていただきますと、これは精神病床における患者さんの動態に関する年次推移ということで、40万人前後の患者さんが新規に入院されて、1年以内に新規の方の87%が退院している。大体5万人の方が1年以上の入院に至る。現在のところ、1年以上の長期の入院の患者さんは20万人前後いらっしゃるということで、こういった二極分化か起こっております。

 1年以上入院している患者さんに関して言えば、その次のスライド、20万人前後の方が1年以上入院されておりますけれども、その大部分が統合失調症圏内の患者さんであります。

 その次のスライド。年齢別あるいは疾患別の分類をそこに示しております。先ほどもお話ししましたように、統合失調症圏の患者さんがかなり割合としては多い。各年齢層において多くなっております。

 そういったことを踏まえて、次のスライドを見ていただきますと、これからの精神病床のさらなる機能分化について考えました。

 第1番目としては、急性期あるいは回復期の治療に関してです。3カ月未満を急性期、あるいは3カ月以上1年未満を回復期と仮定しますと、急性期においては、より高密度の入院治療が必要。

 それから、回復期においては、疾病管理教育や生活環境調整援助を含む多職種による退院支援の充実が求められると考えられます。こういった治療を行っていく上には、治療密度を上げる。それから、機能ごとの対応ということを可能にするためには、現在の病棟単位というよりは、より区分された治療ユニットあるいは治療病床という考え方の導入が必要かと思いますし、チーム医療の観点から言いますと、看護職員以外の医療専門職も含めた人員配置を認めていく必要があろうかと思います。

 それから、治療の標準化を図るためにクリニカルパスを導入すること。

 それから、速やかな回復を目指すためには、患者さんご本人やご家族の治療への参加ということが必要になりますし、そのためには疾病の理解や回復意欲、そして治療への協力ということが欠かせません。治療当初から可能な限り患者さん本人やご家族に参加をしていただいて、治療方針や、その計画立案について明らかにしていくことが必要かと思います。

 それから、この時期に関しましては、精神科救急の問題がございます。いわゆる外来診療の時間外に発生した自院通院中の患者さん、これを1次救急あるいはミクロ救急と定義しますと、これに関しては自院の治療で対応する。ただし、指定医が不在等の事由において非同意的な入院に対応不可能な場合、あるいは受入病床の確保が困難な場合、これは病院群輪番救急、いわゆる2次救急あるいはマクロ救急という対象になります。

 それから、自傷あるいは自殺企図や重症身体合併症などの専門的・身体的な治療を優先する場合には一般救急で対応しますし、その場合、身体治療の後に必要があれば精神科治療を行う。自傷他害のおそれを含む行政処分を要するようなハード救急に関しては、指定病院が対応する3次救急ということになります。

 続きまして、長期在院の患者さんに関する考え方ですけれども、現在における標準的な精神科医療を提供しているにもかかわらず、長期にわたり入院の必要性があり、退院までに行き着けない患者さんが存在するのは現実であります。これらの患者さんに関しては、平成25年度から厚生労働科学研究として研究班が組織され、「重度かつ慢性」の暫定基準案というものが作成されております。

 次の次のスライドを見ていただくと、これによると、精神症状が一定以上の重症度を示し、それに加えて行動障害あるいは生活障害のいずれか、もしくは両方が存在する場合に、治療上の配慮が必要と判定するという暫定基準案が示されております。統合失調症の患者さんが長期の患者さんの大部分を占めるわけですけれども、従来、そういった患者さんの入院が長期に至る要因については、さまざまな検討が行われております。

 今回、暫定基準案が示されたということですけれども、従来、我々が提起しておりました1つは、激しい精神症状を残し、頻回に隔離や拘束等の行動制限を要しており、入院治療が必要な患者さん。これを仮に陽性症状群。それから、欠陥症状が高度で、疎通が十分につかず、徘回等の問題があり、みずから危険回避などができないということで、常時の医学的関与が必要な患者さん、これは高度な欠陥群としておりましたけれども、これと暫定基準案というのは重なる部分が多いかと思います。

 これらの重症度の判定をするということは、統合失調症の重症化の防止を図り、ひいては、その治療戦略を練る上では欠くことができないと考えております。特に、統合失調症の急性期後の寛解過程というのは、その後の慢性化への岐路としての臨床的な意味を持つと考えられており、この回復過程での治療戦略の練り直しが入院長期化への問題解決の糸口になるのではないかと考えております。

 次は、身体合併症治療に関してですけれども、精神疾患を持つ人たちが身体合併症の治療が必要になった場合に、かなり困難を経験することが多いです。その理由としては、いわゆるスティグマの問題とか、医療スタッフの精神疾患に対する教育研修が十分に行われていないとか、地域における身体科と精神科との病病連携の体制が十分に確立されていない。あるいは、地域支援病院や自治体立病院など、いわゆる総合病院の精神病床が減少の一途をたどっている。それから、精神科に入院中の患者さんが他科受診した場合のいわゆる減算の問題があって、なかなか他科受診に結びつきにくいということが挙げられます。

 これについては、そこに挙げましたように、それぞれの対策ということが必要ではないかと考えております。

 続きまして、認知症の治療に関してです。認知症に関しましては、慢性あるいは進行性の脳疾患の症状であり、記憶障害や認知障害を示します。日常生活あるいは他者との人間関係が、そのことによって損なわれるということで、国際分類でも器質性の精神障害として、ICD-10などでは「精神及び行動の障害」に分類されております。

 認知症に対して精神科医療というのは、1つは、専門医療機関において早期診断・鑑別診断を受ける体制を構築すること。認知症に対する非薬物療法も有用でありますので、精神科領域でのチーム医療によって、このことを行っている。

 それから、認知症は慢性進行性の経過をたどる疾患でありますので、在宅生活を継続するための精神科的な医療を提供する必要があります。例えばアウトリーチを含む訪問看護でありますとかデイケア。特に重度認知症患者のデイケアの治療というのは効果が明らかでありますし、地域での生活を支える専門外来治療だと言えます。

 それから、BPSDの増悪に対する救急医療体制あるいは身体合併症の悪化に対する対応は、認知症治療病棟を利用していくということが考えられます。

 認知症に関しても、入院医療というのは必要最少期間として、再び在宅等の地域生活への移行を支援するという治療の方向性を目指すということで、急性期認知症の入院クリニカルパスというものを導入して、早期からの治療計画を作成する。あるいは、多職種によるチーム医療により入院期間の短縮を図るということが考えられます。

 続きまして、地域で支える精神科医療のあり方ですけれども、その1つとしては、デイケア、あるいはここで提案させていただきますデイホスピタルという考え方があろうかと思います。入院患者さんの退院、地域移行ということでは、精神科デイケアの重要性というのは非常に確立しています。今後は、例えば気分障害のリワークとか、発達障害あるいはさまざまな依存症の疾病性に着目したリハビリテーションを行う精神科デイケアの新たな展開というのも期待されています。

 一方、精神科デイケアを含む現在の外来通院医療というのは、比較的症状の安定した患者さんに合わせて治療構造が構築されております。このため、症状が重度であったり、あるいは経過が不安定な患者さんに関しては、外来通院医療で対応することは難しい。やむを得ず入院治療となるというのが現状であります。また、入院治療の終了においても、これらの外来通院治療に対応できる状態まで治療を進める必要があるということで、入院期間の延長につながっております。こうした症状の重い患者さんに対して、日中時間帯に入院治療と遜色のない密度の治療を外来通院で行える治療システムを、我々はデイホスピタルと名づけておりますけれども、これが導入できることになれば、入院治療の適応というのはさらに縮小しますし、入院期間の短縮も図ることができると考えます。

 続きまして、アウトリーチ・サービスです。在宅患者に対する訪問診療あるいは看護あるいは支援といった多職種による在宅訪問診療は、現在アウトリーチ・サービスとして行われております。これらは、患者さんたちの地域移行にとって有用な手段でもありますし、今後もニーズが拡大すると考えられます。しかし、その治療的介入のあり方を含め、一定のガイドラインの作成が必要であると考えます。いわゆる民間精神科病院が行うとすれば、長期入院退院後の支援であるとか、治療中断例のような、既に治療関係が成立しているものに限られるべきであると考えます。

 続きまして、地域生活支援拠点としての多機能型地域支援センターの提案であります。次の資料を見ていただきますと、精神障害の特性として、疾患と障害が併存している。その時々の疾病の状況が障害の程度に大きく影響して、病状の安定ということが生活能力の維持に欠かせないという指摘は、従来からされております。この点を踏まえれば、医療サービスと障害福祉サービスが重層して切れ目なく提供される、この支援体制が必要になると考えます。

 従来は、そのスライドに示してありますように、入院精神医療サービス、地域精神医療サービス、障害福祉サービスがそれぞれ区切られている形ですので、それを結ぶような形で、医療・福祉の総合的なサービスを提供する仕組みが必要だと考えます。

 次の資料を見ていただきますと、我々が考えております多機能型地域支援センターについては、例えば社会生活訓練とかショートステイ、危機介入、レスパイトケア。それから、24時間の電話相談、あるいはスタッフの研修とかスーパーバイズの機能。それから、家族に対する支援、心理教育。それから、就労支援といったものが多角的に機能するセンターが必要ではないかと考えます。

 最後に、精神疾患に係る医療体制の構築ということですけれども、精神疾患がいわゆる医療法上の5疾病とされ、精神疾患に関する医療計画が策定されるようになりました。それに当たって、平成24年度には「精神疾患の医療体制の構築に係る指針」が策定されました。その中身については、資料を参照してください。

 それから、平成27年3月、「地域医療構想策定ガイドライン」が策定されましたけれども、その基本的な考え方として、精神科医療に関しては、1つは、地域医療の観点から、入院機能あるいは外来機能、それから在宅医療との連携。それから、認知症あるいは精神科救急、自殺対策を含む鬱病対策。依存症並びに高次脳機能障害。それから、身体疾患を合併する精神障害者への医療等、さまざまな分野で地域での精神科医療との連携が必要とされる。

 それから、精神疾患に関しては、医療計画に位置づけられておりますことから、精神医療と一般医療の連携が非常に重要になります。ですから、地域医療構想を策定するにおいては、地域における精神科医療を含む検討が重要だとガイドラインの中には示してあります。

 地域医療構想は、おおむね従来の2次医療圏に相当する構想区域ごとに策定されるとなっておりますけれども、医療計画の立場に立てば、身近な地域である構想区域内で、精神保健・医療・福祉あるいは介護、さらには障害福祉サービスが受けられるように、精神科医療の機能分化や連携を図る必要があるという結論になろうかと思います。

 一番最後に、イメージ図として精神疾患の医療体制を示しておりますので、ご参照ください。

 以上です。ありがとうございました。

○樋口座長 ありがとうございました。

 ご質問、あろうかと思いますが、それは最後にまとめてご質問いただくことになりますので、まずはこのお二方のご報告、ありがとうございました。

 続きまして、精神保健福祉事業団体連絡会のほうからヒアリングをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○伊澤構成員 精神保健福祉事業団体連絡会の伊澤と申します。よろしくお願いいたします。この連絡会は、ここに示してありますように、3つの全国団体で構成されております。その全国団体の中でいろいろな議論をしながら、本日の資料作成をする中で意見募集をしたところ、たくさんの意見が集まりまして、それなりのボリューム感になった関係で、時間内で十分お伝えできるかどうか、極めて不安ではありますけれども、進めさせていただきます。

 大きな1つ目としまして、根本問題として、前回も少しお話させていただきましたけれども、まずは国会における附帯決議がございましたが、特に今後の方向感や政策推進の姿勢を示した部分については、より強調して捉えておく必要性があると思っております。囲みの中にございますのは、その附帯決議の中の主要な部分といいましょうか、土台に当たる部分だと思っております。障害者権利条約にしっかり基づくということ。さらに、一般医療との整合を図るということを視点として強く置くこと。そして、患者さんやその家族等の意見を反映する。この3要素は非常に大きな土台をなすものだと思っております。

 その中で、医療の提供を一般医療との整合性を図りながら進めることに関してですが、これも前回申し上げたとおり、精神医療が精神保健福祉法という特別法で対応されているという現状はいかがなものか。医療法の中で対応できるようにしていくこと、その方向感を持つべきではないかと思います。5大疾病の時代になっております。精神科だけの特別な事情や対応を残しておくのは、時代の要請にかなっていないと思います。

 それを進めていく一つの大きな要素として、再三、これもお話に出ておりますけれども、精神科特例の問題です。現行の特例を完全廃止し、この差別を廃止して、全ての精神病床の人員配置を一般病床と同水準に引き上げる。精神医療の質を担保する、向上を図るということを推し進めていただきたいと思っております。このことは、障害者権利条約25条の健康、つまり医療を提供していく姿勢にも大きく関連してくると思います。

 それと、検討会の構成についてということで、検討のあり方について。これも先回、申し上げたところですけれども、本検討会の構成員が、前回の大臣の指針をつくり上げていくときの顔ぶれとほぼ同様ということ。精神医療あるいは生活支援の提供側が多くを占めていて、それを使っていくユーザーの視点が不足しているのではないかと思います。前回、その構成比をめぐって厳しい意見が社会的に飛び交っておりました。今回は、さらにそれを下回ってしまっているというところで、非常に危惧を感じておりますし、政策策定への当事者の関与は、極めて重要な要素だと思われます。審議・検討は、何を審議・検討するかとともに、誰がそれを行うのかという視点をしっかり担保する必要性があるのではないかと思います。

 参考までにといいましょうか、精神医療が圧倒的に民間の方々によって担われているという、我が国と非常に国情が似ているベルギーの話を最近よく耳にするのですけれども、ベルギーが改革の路線をとりながら、病床の削減あるいは地域生活支援型の医療ということでシフトチェンジしてまいっております。

 その内容におきまして、基本の姿勢として、そこにもありますけれども、当事者と関係者が拮抗する構成の中で、集中した議論・検討を行いながら結論を導く。その合意を編み出していく。それは、納得づくで行う政策を進めていく非常に大きな礎になっているということです。この方式は、コ・プロダクションとかコ・プロダクトと呼ばれているらしいのですが、それは非常に見習うべきものが大きいだろうと思っております。

 参考資料として、ベルギー改革に精通していらっしゃる伊勢田先生のご本人了解のもとに、論説を添えさせていただいております。ぜひお読みいただきたいと思っております。

 大きな2つ目に関しましては、分科会がこの後、運営されていくわけですが、それの課題に即してといいましょうか、それを想定しての内容です。

 医療保護入院のあり方についてというのが非常に大きなテーマになっております。いろいろ書かせていただいておりますが、要点としましては、強制入院、つまり、力づくの入院は、公的責任に基づくものとして一本化していく方向というのを視野に入れるべきではないかなと思っております。

 そして、入院の判断は、複数の医師による純粋な医学的判断で事を進めていくべきものであろうと思っております。

 さらに、入院期間を厳正に定めるというところも必要ではないでしょうか。もし、それを超える場合は、徹底審査と任意入院に切りかえていくような策をしっかり取り入れていくということが必要ではないかと思います。

 そして、家族等の同意に基づくという今回の中身に関しましては、多様な問題をはらんでおり、廃止をしていく方向を持つべきではないかと思っています。体の病気・傷病も含めて、入院は一定の権利の制約を伴うものですから、当然、医療上の明確な理由が必要になります。それを強制するからには、家族等という私人に権限と責任を持たせようという、このこと自体に問題があると思っております。

 それと、医療保護入院の退院を促進するための措置のあり方に関してですが、法改正によって、生活環境相談員の配置、並びに退院支援委員会の開催というものが位置づけられました。この配置と開催の状況というのが、まだよく見えていないといいましょうか、地域間でかなり格差があったり、病院の間でも相当な温度差があると思っております。そのあたり、実態調査を行いながら適正に行われているかの検証というのが必要ではないかと思っております。

 生活環境相談員は複数の職種で担えるとなっておりますけれども、病院のソーシャルワーカーの方々の本来の業務、あるいは本来の実践の姿と思っております。そういう意味では、明瞭にしたほうがよろしいのではないでしょうか。

 医療保護入院の退院支援委員会は、法の施行時点で既に入院していた人は対象になっておりません。よって、長期入院者の退院促進に結びつきにくいという限界があると思われます。全ての長期入院者を対象としていくべきではないかと考えます。

 それと、この支援委員会には地域援助者の参加が位置づけられましたけれども、「相談支援事業者等」と、「等」がついておりますけれども、ご本人との関係性を基礎にして、それぞれの地域に存在している多様な事業者が関与できるような仕組みが大切ではないかと思います。ご本人との支援関係の樹立というところがキーではないかと思います。

 この退院支援委員会に地域援助事業者が招聘された例が、現実、件数として極めて少ないと聞き及んでおります。関係者あるいは病院のほうに問うたときに、たくさんの患者さんを対象にしているので、1人につき10分ぐらいの審議・検討の機会しかないということ。これは、地域支援関係者に来てもらうのは申しわけないので、呼べないという声も届いてきております。

 退院支援委員会は、非常に短時間で1人の方の対応をしているというところで、ある意味ではセレモニー化している節があるのではないかということで、危惧しております。短時間の検討機会に外部から人を招くことへの医療側のためらいというものも感じますけれども、それは無用な配慮だと感じております。

 それから、地域援助事業者が起用されたとしても、問題はどれだけ進展していくかということ、そういう評価がないと形ばかりになってしまうという思いがあります。効果測定のような評価のプロセスを設けていくことも必要なのではないでしょうか。

 そして、病院の中の支援メニューに幅や実効性をもたらす観点から、退院に対して、なかなか前向きになれない方々の気持ちを前向きにしていただくような働きかけをしていくために、体験(見学や交流、宿泊や通所)などの試行的なトライアルメニューが多様に立案・実施されるとよいと思っております。試行錯誤を保障していく。トライアンドエラーですから、ある意味ではエラーも保障していく。そういう中から方向性が明確化してくるような場合も多々ございます。体験の機会や場面の増大・拡充を切に求める次第です。

 あわせまして、退院後の地域の受けとめを拡充する観点から、退院される方専門あるいは高齢の方々専用のグループホームなどの居住支援を拡充していく。入居者の必要に応じて、医療との連携は強調しながら、そして、その設置は厳に病院の敷地内ではないというところを進めていくべきではないかと思っております。横浜で、一昨年からモデル事業で、長期入院高齢者専用のグループホームが2棟、運営されております。おきな草と福寿草という名前。横浜市が確かに財政的な支援を相当しているのですが、モデル事業として対応しています。その実践の中身をしっかり見ながら、大きなヒントにしていければと思っております。

 この項目の最後に、新たな展開として資料提供させていただきますけれども、年明け早々に非常に喜ばしいニュース、吉報として私は感じておりますが、長期入院市民のリストアップ化と地域移行マネジメントを、来年度から兵庫県西宮市では、市を挙げて自治体としての取り組みとして開始しようという記事が神戸新聞に取り上げられまして、新聞記事を添えさせていただいております。ぜひお読みいただきたいと思います。

 もう一つは、数年前ですけれども、生活の困難さに対応する多様な支援を実施する地域生活支援拠点事業を、医療と福祉が両輪のごとく連携して、有機的な支援システムとして構築しようとする北海道苫小牧の実践が、地方の北海道新聞のほうに取り上げられております。それも情報として見ていただければと思います。申し上げたいのは、このような地域の実践の強力な後押しを、国を挙げてしていただきたいという思いでございます。

 続いて、入院中の処遇、退院についての意思決定及び意思の表明の支援について、少し触れさせていただきたいと思います。

 まず、前置き、前提として、全ての入院の方々の心情、退院の意思ある、なしだけではなくて、院内処遇に関しても把握していくためのヒアリングが必要ではないかと思っております。利害関係のない第三者のかかわりによって、入院されている方々の心情をしっかりと捉えていくことは大事なことではないかと思っております。

 それから、ちょっと細かい話ですが、入院中の費用負担のことに関しまして、これは入院している方々からつぶやくようにお話を伺うのですけれども、入院中に係るタオルとかパジャマの費用、小遣い銭の管理料が月額数万円に積み上がってしまう場合もあると聞き及んでおります。こういった保険外の自己負担は廃止すべきではないかと思いますし、必要ならば公費で対応していくような制度化も必要ではないかと思います。

 入院されている方々に、制度や社会資源の情報がなかなか波及・流通していないということも強く感じております。全ての入院している方に社会情報・資源情報を細やかに波状に提供することが必要ではないか。数年前にございました国の補助事業として、これは廃止になってしまいましたが、地域体制整備コーディネーターの事業を、現在、都道府県が細々と独自に実施しているということが実情としてありますが、これまでの活動内容や実績を改めて評価するとともに、再建していくような方向性。

 とりわけ、外部の支援者が病院の内部で、入院している方とじかに接しながら、情報提供や気持ちの支えをしていくという直接的な支援がとても大事だと思っております。そういう機会や場面の確保を図ることをぜひ進めてもらいたいと思います。

 そのような活動を担っていく担い手として、ピアサポーターの方々の参加協力を推進していく、この流れをより強めていくべきだと思っております。外部から病院の中に入りまして、入院している方とじかに接しながら、関係づくりをもとに生活情報の配信や種々の調整を施し、退院に向けた気分の高揚、意思の形成を図る要員として、ピアサポーターの活動は極めて有用であると思っております。

 そして、院内のプログラムにおきましても気づくことがあるのですが、作業療法、OTのプログラムがあちこちの病院で盛んに活動されておりますけれども、そのプログラムの中身を見ますと、どうも長期療養生活のお楽しみのレベルといいましょうか、ここに福利厚生と書きましたが、気持ちほぐしや気持ちの整えというレベルにとどまっている。気分転換を含めて、そういうふうに感じてしまうことが多々あります。そのレベルでとどまっているのではなくて、退院準備というものもしっかりと織り込んだレベルも必要ではないかと思う次第です。

 続きまして、新たな地域精神保健医療体制のあり方に関しましては、記してありますように、精神科特例の完全廃止、そして入院医療は救急・急性期病棟などの専門病棟に集約していくべきではないかということを基本にお伝え申し上げたいと思います。

 精神障害者を地域で支える医療のあり方に関しましては、ACTのような活動が今、地域のほうで行われておりますけれども、ACTチームなどによる地域生活支援などの体制整備が課題になると思います。これを進めていく上で、多職種チームの構成というものが要求として当然ございますけれども、その中にぜひピアの視点を取り入れた、支援対象者の方に寄り添い、当事者にとって安心できる支援体制の構築というものをしていただきたいと思っております。

 精神疾患に係る医療体制のあり方に関しましては、まさに病床の削減ということで一言になってしまうのですけれども、我が国は、今、人口万対26とか28とか言われておりますけれども、適正な精神科病床というのは万対5という国際スタンダードが1つある。

 それから、兵庫県立光風病院の岩尾先生を中心とする研究チームが1993年にある報告をしていて、人口万対5を超える病床の整備は、隔離収容政策の方向に歩んでいってしまう可能性が極めて高いというまとめをされております。そういったことも視野に入れながら、病床の削減はしっかりとした考察のもとに、この万対5というものを認識しながら進めていくべきではないかと思っております。

 それと、入院せずに、地域生活を送りながら危機を乗り越えていくための支援というものも当然大事になってくると思います。さらに、入院に至っても、早期に退院するための早期相談支援体制を構築すべきでありまして、イギリスのコミュニティケアなどを引きながら、我が国におきましても早期相談支援体制を整備していく方向を示していくべきではないかと思います。

 最後、その他の意見として少し触れさせていただきますが、地域生活支援の観点から、これは再三こういう場でも申し上げておりますが、多様な居住支援、在宅支援の拡充というところに尽きると思っております。数年前の骨格提言に唱えられました基盤整備を実現させていくということを認識すべきではないかと思っております。

 そして、最後の最後に、精神科病院における虐待・死亡事件のことについて少し触れさせていただきます。千葉県内の精神科病院で発生した事件は記憶に新しいところではありますけれども、このような出来事が起こらないようにするには、院内のチェック機能、牽制機能を高める必要があると思います。現状で、虐待防止法が病院の中には入り込んでいない状況がございます。この適用範囲を広げていくべきではないかと考えます。と同時に、このような出来事の背景に過酷な看護の現場が日常としてあるやにも思います。その観点からも、くどいようですけれども、特例の廃止というのは急がれるものではないかと考えます。

 以上で終わります。

○樋口座長 ありがとうございました。

 それでは、質問は後ほどということにさせていただきまして、先に進めたいと思います。次は、全国精神保健福祉会連合会のほうからお願いしたいと思います。

○全国精神保健福祉会連合会木全副理事長 私は、福祉会連合会の副理事長をしております木全と言います。

 まず、最近、精神障害者の当事者による家族への暴力、または逆に家族による精神障害者への暴力という痛ましい事件が新聞で報道されております。これらは、全て精神障害者の当事者がいる家族が社会から適切な支援を得られなくて、孤立無縁に置かれた状況の中から起きてくる問題です。全ての精神障害者の当事者とその家族に、質の高い精神科医療と必要な社会支援が届くようにしてほしい。そのために、精神保健福祉法を大きく見直していただきたいということがまずあります。

 ただ、暴力は精神疾患が関係し得るとしても、全てが医療的な治療で解決できるわけではありません。したがって、医療、福祉、行政、警察等のチームによる対応が必要でありますし、また虐待という観点も取り入れる必要があるのではないかと思っております。

 まず、移送と入院のあり方についてでありますが、これはまず実態を調査してほしい。県によって、措置入院者数、医療保護入院者数に非常に大きな差があります。これは非常にと申し上げていますが、大変多いです。したがって、家族がどんなに困っていてもなかなか措置入院にならない。これは、もちろん自傷・他傷という定義がありますが、それがないと言われるのですが、現実にはどうしてそんなに県によって差があるのだろうか。これは10倍以上の開きがありますから。

 さて、家族が困っていて通報したときには、医師が往診して判断するということを基本にしていただくべきではないかと思うのです。今は、医療機関に相談すると、当事者を連れてこい、患者を連れてこいと言われます。しかし、患者はなかなか病院に行ってくれない。家族が説得しても行ってくれないという実情がたくさんあります。当事者の暴力もあって、やむを得ず警察へ通報する。すると、当人は心得ていますから、警察が来たときにはおとなしくなってしまう。現行犯でないと警察は手が出ないということで、警察は帰っていってしまう。

 そうすれば、また暴力となって、後はこの問題について家族だけで対応するということになってしまいます。そこに家族が当事者を殺してしまうということが起き得る背景があると思います。

 それから、移送問題についてであります。こういうことから、緊急の相談を受ける窓口を設置してほしいと思います。窓口で緊急に対応する必要があると判断されたときは、間を置かず、例えば危機介入チームというものをつくって派遣するようにしていただいたらと思っているわけです。そういう制度を考えてほしいと思います。現在は、家族がどこも相手をしてくれないときにどうするか。ネットで見ますと、何十万、何百万で精神障害者の病院への入院をやりますというのが飛び交っています。こんなことが先進国にあっていいでしょうかと思います。

 移送問題で家族の同意は、負担が大きいです。家族にかわって同意を行い、一方では保護した人の本人の人権を守る公的機関をつくる。これは、措置入院でも同じことであります。

 医療保護入院のあり方の問題であります。医療保護入院に当たって、家族の同意が家族にとって大変大きな負担であります。かわって本人の権利を守ることをやってほしいと思います。これは、よくなって本人が出てきたときに、親父、おふくろは俺をこんな刑務所みたいなところに放り込みやがってということで、後で家族関係が壊れてしまうことがままあるわけですから、そういうことのないように、純粋なる医療的判断によって入院を決めて、家族の同意はなくしてもらわなければいけないということは、再三皆さんが言われているとおりですから、これはぜひ家族の立場としても行ってほしいと思うわけです。

 医療保護入院に当たって診察を行うのは、指定医2名とし、1名は病院に所属していない、よそのほかの病院の指定医でやってほしい、公平を期してほしいということであります。

 精神医療審査会の審査というのは、申請があった場合、定められた期間内に迅速に審査を行うようにきちんと義務づけてほしいと思うわけです。関係者に聞いてみますと、実際書いてあるだけで、委員の数、事務局の数でやれはしないのだ。だから、ちゃんと法をつくったならば、きちんとやれる体制を考えてもらわなければならないと思います。

 医療機関や公的機関が本人の人権を侵すことを防ぐために、家族等の関係者からの訴えがあったときには、医療機関や公的機関から独立した人権擁護の機関が必要ではないかと思っております。

 さて、ここで、提出した中には入っていないのですが、時間が20分ということです。私は15分のつもりで原稿を書きましたので。入院している人たちが本当に入院が必要なのかということに対して、私は非常に疑問を持っております。その1つは、世界の先進国の4倍の入院患者が現在いる。この数字の上から見ても、ちょっとおかしい。そして、現実にもこんな例がありました。去年の5月の連休のときに、クリニックに通っている患者さんがちょっとおかしかった。頓服薬をもらうぐらいのつもりで緊急のほうに連絡した。そうしたら、そこの病院はすぐに入院しろと言った。

 そこで、保健所の方も、通っているクリニックのドクターもびっくりして、何でこれが入院の必要があるのだ。すぐ退院させるようにということで病院に行きました。しかし、退院させてくれない。したがって、私が家族会に相談して、審査会にかけてでもやるということを言いなさい。そうしたら、向こうは多分驚いて出してくれるだろうということで、やっと1週間たって出ることができたという実態が現実には各所で起こっているように聞いています。

 それから、妹さんが1人いるのですが、その方も統合失調症。でも、結婚して子供ができていますから、家庭でだんなに負担をかけられない。そのお姉さんの調子が悪くなって病院へ入った。私はよく知っている人間ですから、せいぜい1カ月もたてば出てくるだろうと思ったのですが、3年たって、いまでに出てきません。妹さんに電話しても、お姉さんは一生入院してもらうより仕方がない。出てきてもらったら、私がだんなに世話をかけなければいけない。もうこれ以上、だんなに世話をかけられないということで、悪いけれども、お姉さんは入院してもらうよりしようがない。

 これは、退院してきた人が全て家族に任されてしまっている状態だと、必要もないのに入院しているという人が現実にたくさんいるのではないか。または、こう言うと隣のお医者さんに怒られるのですが、病院の経営上、入院させているのではないかというのも見えてきます。そういうことがないように、ぜひしていただきたい。

 それから、地域の移行についてでありますが、本人が自立して地域で生きていけるように、国と地方自治体が責任を持って、地域の医療支援と福祉支援体制を充実させて、今、申し上げたようなことがないようにしていただきたいと思うわけです。日本は先進国ですから、もう少し考えていただきたい。

 それから、病院内の退院支援の会議に、地域の相談支援専門員などの支援者を参加させてほしい。26年度の法改正によって、退院支援委員会の開催が義務づけられているわけですが、地域の支援事業者が参加することが規定されていますが、実際に参加のあるケースは少ないということを関係者から私は聞き取っております。このことも現実にきちんと行うように、人員体制もきちんとしていただかないといけないと思います。

 地域に相談窓口をたくさん設け、何でも相談でき、心配事を傾聴してもらって、そこでケアマネジメントがされて、全てのサービスが包括的に組み合わされるようにしてほしいと思っております。

 次に、地域に訪問支援の拠点となるような精神保健福祉センターを設けて、多職種の訪問チームを置いて、地域で退院した患者を支えてほしい。これは、従来の精神保健福祉法にある都道府県・政令指定都市の設置のものに限らず、地域の多機能診療所などに委託して、地域ごとに、圏域ごとに設置される小規模なものでもよいと思います。

 家族のもとに退院した患者がいた場合、この地域サービスに家族への支援も加えてほしいと思っております。

 退院後、家庭内暴力が発生した場合、家族が避難できるシステムと、家に残された患者を、すなわち家族がいなくても支援者が見守るサービスを整えてほしいと思います。

 次に、精神科医療に係る入院中の医療や処遇、退院に関する意思決定及び意思の表明についてであります。

 入院中の医療や処遇については、必ず本人と家族に十分な説明を行い、同意を得た上で行うようにしてほしいと思います。精神科病院側からは、定期的に入院患者全員に退院希望や処遇のあり方を口頭や文書で聞き、できるだけ意思に添うようにしてほしいと思います。先ほどこれは言いましたように、入院についての必要性に疑問を感じる面はあるのですが、入院の必要性についてはもう少しみんなできちんと確定する必要があると思います。

 次に、入院中に本人や家族の希望があれば、医療機関の外部の代弁者を選べるようにしてほしい。代弁者が本人に自由に面会できるようにしてほしい。代弁者が本人の意思を確認して、可能な限り、本人の意思が実現できるように、人権を守るために、本人とも行動できるようにしてほしい。

 これは先ほど言いましたように、3年入院させられたという人の場合、私がよく知っていますから、電話しても、病院のほうはどう言うかといいますと、家族ですか。違います。では、だめです。面会させられません。電話も受け継ぐことはできません。こういう返事です。では、この人は誰が面会して、誰に訴えることができるのですかと言ったら、家族です。家族がいなかったらどうするのだねと聞いたら、いや、それはということ。結局は、私はその後、話すこともできないという状態になっております。なお、ひどいことには、そういう患者がいるかどうかもお答えできませんという話になってしまいますから、何ともならないというのが現在の実態であります。

 また、処遇改善や退院請求が本人からあった場合は、代弁者が本人とともに医療機関に交渉したり、知事に請求したりできるようにしてほしい。

 ここでもう一つ問題になるのは、何年も病院におると、退院したいという意思すら本人になくなってしまう。これをどうすくい上げるかということなども重要な課題として考えていただきたいと思うわけです。

 これは、先ほどとダブりますが、審査会の委員を専任・常勤にして審査の質を高めて、もっときちんとやってほしいということです。

 また、病院内での人権侵害についても、透明性を持った対処をお願いしたい。

 それから、先ほど言いましたように、入院については、家族の同意なくしてきちんとやっていただきたいわけですが、一方、矛盾するかのように見えるのですが、入院中の治療については、家族にきちんと説明して、家族に納得の上で治療してほしい。これも当たり前のように思われるのですが、実は違うのです。私も聞いてびっくりしたのですが、あるところから電話がかかってきました。一昨日であります。

 家族が知らないうちにリスパダールを使われてしまった。しかし、このリスパダールについて家族はよく研究していまして、適応でないと思っていたのですね。ところが、それが使われてしまって、びっくりして、案の定、白血球が一遍にがくっと来たということがあります。こんなことがいまだに行われているというのが今の病院の実態であります。しかし、これはほんの一部の病院ということにしておきましょう。多分、全国の多くの病院はそんなことはないと思うのですが、これが現状であります。

 次に、26年に取りまとめられた移行に向けてですが、これは全体のこととして大まかに申し上げたいと思います。日本は、先進諸国の中で4倍の入院患者がいる。これは既に新聞報道されているところでありますが、家族がいないか、家族の支援力がなくなると、入院で一生を過ごすことになってしまっている人が多いと思います。これは、最近では1年以内の退院者が78%とおっしゃられたのですが、それはそのとおりだろうと思います。しかし、長期入院が20万人とも櫻木さんがおっしゃいましたけれども、家族がいないとか、家族の支援力がなくなって、身寄りもなくなった人たちが病院にずっといるということを数字が示していると思うのです。

 日本は先進国で、家族が亡くなったり、家族の支援力がなくなったら、病院で一生過ごすという現状があっていいのだろうかと思います。そして、それはなぜかといいますと、退院した後は家族の負担になっている。社会的支援ということをきちんとしていただかないといかぬと思います。

 また、最近では逆に、3カ月以内に退院させないと医療機関の経営上、問題があるようでありまして、無理に退院させられて家族が困ってしまう場合も多く見られます。入院者ばかりでなくて、家族と一緒に暮らしている人も、地域で安心して生活できる整備が必要ではないかと思います。家族は大変疲れております。冒頭に述べたような痛ましいことにならないようにお願いしたいと思うわけです。

 長期に入院しますと、病状は回復しても社会性がなくなってしまいます。そして、退院して社会で生きていこうという気力すらなくなってしまいます。だから、本人が入院を望んでいるから入院させているという医療関係者もいるのですが、これはとんでもない話でありまして、できるだけ社会生活をしながら治療するということが真の意味での治療につながって、社会復帰につながると思います。これは、諸外国では当たり前に行われていることであります。

 さて、措置入院でありますが、私のお配りした資料の中にあります。警察官による23条通報というものがありますが、それは平成11年には7,014件だったのですが、25年度は2万3,000と3倍になっております。通報に対して措置入院となったのが51.0%から29.9%と、大きく下がっております。措置入院になかなかならない。これは、措置入院は一方では強制入院ですから、少ないほうがいいに決まっています。しかし、一方、それだけ家族が抱え込んでしまって大変なことになる。そういうことで、家族や周囲の者が困り果ててしまうことのないようにしていただきたいと思います。

 さて、主題とは少し離れるかもわからないのですが、もう少し時間が許されるようですから、働く人の処遇改善ということを1つ訴えたいと思います。地域で働く精神保健福祉士等の賃金は非常に低いです。特に精神の場合、知的や身体に比べて低いです。そこを実態調査をしてやっていただかないと、マンパワー不足によって、幾らいい施策をやっても推進することは難しくなると思います。

 それから、偏見を取り除くために、行政の役割について少し訴えさせていただきます。精神疾患者の地域移行を少なからず困難にしている理由の一つ、精神疾患者が地域で生活しづらくなっております。これは、国民の偏見があるからです。病気の性質上、国民の誤解・偏見を取り除くことが他の障害に比べて難しいということはあります。しかしながら、行政がこれをつくってきたという面もあるということを承知していただきたいと思うわけです。

 まず、精神病院は単科病院で、総合病院の中に入院施設がある病院は少ない。日本の場合、約90%が私立の単科病院に入院していると言われております。それを人里離れたところにつくってきました。しかも、病院特例で精神病院は一般病院より劣悪でも構わないという基準をつくってきてしまったと思います。ここに国民が、精神病は特別違った病気であるという意識をつくってきたのではないでしょうか。

 また、JR等、公共料金の割引も精神は除外されております。医療費もほとんどの県で精神は除外されています。かぜを引いたり、歯医者へ行ったときは、身体・知的なら手帳で無料でありますが、精神は3割のままというところがほとんどです。これが当然だという委員の皆さんは、多分見えないだろうと思うのですが、実際、そうなのです。地域移行を進めようとするなら、国民の差別意識をなくすことが必要だと思います。差別は、人を本当に苦しめます。住みにくくしております。国民の差別意識をなくすには、まず行政上の差別をなくしていくことが必要です。ここも、どこで論議するか知らないのですが、ぜひどこかできちんと論議していただきたいと思います。

 以上であります。

○樋口座長 ありがとうございました。

 それでは、質問は後ほどということにいたしまして、きょうのヒアリングの最後でございます。全国「精神病」者集団の代表の方にお願いしたいと思います。

○全国「精神病」者集団桐原運営委員 全国「精神病」者集団の桐原です。

 まず最初に、私たち精神障害者の実情と私たちの基本的な考え方について、お話ししたいと思います。精神保健福祉法による入退院問題の当事者は精神障害者です。精神障害者を除いて、ほかにいません。ここで言う当事者というのは、特定の問題の効果の帰属主体のことです。つまり、この法律の中で入院するのは誰かというと、これは精神障害者以外にいない。よって、精神障害者が当事者であるということを言っています。

 今、この時間も精神科病院内には、長期入院者を初めとする極めて不遇な扱いを受けている精神障害者が数多くいます。非自発的入院は、私は必要でないとか必要であるという同意を無効化されてしまって、その上で閉じ込められる。それで入院させられてしまったら、あらゆる抗弁が通用しない。こういうまさしく屈辱的な体験をします。

 さらに、精神科病院に内在した雰囲気の悪さ、スタッフの態度の悪さ、閉鎖処遇にさせられることは耐えがたい苦痛を伴い、体感的には治療効果があるのかどうかもよくわからないといった治療も少なからずあります。いかなる緊急性があろうとも、こうした非自発的入院の経験が本当に病を癒し得るのかという疑問を禁じ得ません。こうした問題は、精神保健福祉法の帰結です。精神科病院のお世辞にも雰囲気がいいとは言えない、年月を経て構築された文化というのが定着しておりますけれども、これは閉鎖的な環境の中で構築されたものです。

 こうした閉鎖的な環境の中で構築されてきた文化というのは、精神障害者だけを対象として、一般医療から分離された形で、その政策を背景にして構築されたものです。私たちは、精神障害者を分離する精神保健福祉法が撤廃され、一般医療の枠内で権利保障に基づくものに改編されていくことを望んでいます。この年月を経て構築された文化というのは、地域性などの影響も非常に受けていて、例えば、ちょっと家族が困ったと言えば、すぐ医療保護入院にさせてしまう、そういう地域もあります。

 先ほど精神保健福祉事業団体連絡会の伊澤さんのご指摘もありましたとおり、都道府県ごとの非自発的入院の件数等にばらつきがあるといった問題も、文化というか、地域性の影響を受けた病院の機能と関係していると思われます。私たちは、別の方法が検討されるべきことであることを論拠にして、非自発的入院が精神障害者のニーズとしてあるという仮定に立たないというか、基本的に否定していますが、仮に非自発的入院が必要な人がいるとしても、本当に必要な形で非自発的入院が運用されているとはとても言えない状況です。

 次に、障害者権利条約と障害者基本法についてですけれども、これは法改正が依拠すべき規範というものが何であるかということを示されるべきであると私たちは考えていて、精神障害当事者の権利に資するもの、ニーズに基づくものでないといけないと思っています。すなわち、障害者の参画を経て、障害者の要求によって結実した国連障害者権利条約が最も重要な施策を方向づける規範として採用されていなければならないと考えます。その意味で、精神保健福祉法の目的条項において、ほかの障害者施策と同様に、障害者基本法の理念あるいは障害者権利条約の趣旨を踏まえる旨を明文化してほしいと思っています。

 これは、前回の改正の際に衆参両院で附帯決議が出ていますけれども、ここでも障害者権利条約を踏まえるということを明確に書かれております。ですから、検討会においても、同条約が要請している事項というのは、逐条列記的に確認する場面を必ず持ってほしいと思っています。

 以下に一般的な理解を3つ書きました。

 これは読み上げますと、非自発的入院、つまり医療保護入院及び措置入院というのは、精神障害であることを要件として、医療行為を受ける本人の同意に基づかない非自発的入院を規定しているため、障害者権利条約12条に違反する。すなわち、同意というものは、基本的に同意が有効であるとされているのですけれども、これも障害を理由にして同意ができる状態ではないとみなすわけですから、障害を理由として、そうした同意ができないと判断してしまう、他の者との平等に基づかないということで、障害者権利条約に違反するとなります。

 本来、患者本人において自己の状態、当該医療行為の意義、内容、及びそれに伴う危険性の程度につき認識し得る能力を備えている。それだけで基本的に医療同意ができる状態であるとみなされます。これは、必ずしも意思能力を必要とするものではないと、判例においても示されています。医療同意というのは、これほど物すごく高い水準の能力を求めているわけではないにもかかわらず、精神障害者はそれがなくなるのだという仮定は、必ずしも正しくないというか、間違っています。同意を引き出すことはできるはずです。

 それから、医療保護入院、措置入院は、精神障害であることを要件として、本人の同意に基づかない非自発的入院により人身の自由を奪うため、これは14条にも違反します。障害を理由として人身の自由を奪う。他の者との平等を享受しないということで、違反するとなります。

 障害者権利条約25条への違反に関しては、これは説明と同意というものが基本的に一般医療で全ての、これはどちらかというと医師の責務という形になっていて、患者の権利とは必ずしも言いがたいのですけれども、説明と同意というものはしなければならないとなっているのですけれども、精神科においては、これが実態としてはほとんどされていない。十分にされないまま、非自発的入院になることも多いです。こういったことも条約に違反するということです。

 あと、本検討会についてですけれども、これも先ほど伊澤さんから指摘があったのですけれども、精神障害当事者の委員が2名しかいないです。これは、とても多勢に無勢ではないかと思います。ぜひとも今後、当事者委員をふやしていくとともに、また現行の当事者委員に対して何らかの配慮の策、例えば表決に際しては拒否権を与えるなどの工夫、そういったものを要するのではないかと考えます。

 ほとんど改正に関係ないことが長く続いたので、改正に関して、この先は意見を述べていきます。

 医療保護入院の対象者像というものがよくわからないということを我々は思っていて、例えば緊急に医療が本当に必要な精神障害者に対しては、措置入院という制度があるわけです。そして、精神障害者本人の同意に基づく入院としては、任意入院があります。この中間の層と恐らく想定されているのではないかと思うのですけれども、では、差し迫った医療が必要な人に対する措置入院というものでカバーできなくて、かつ、積極的に拒んでいない状態を含む任意入院によってもカバーされない人というのが、果たして立法事実として存在しているのかどうかというのが不明です。

 恐らく厳密に言っていけば、全て措置入院で緊急・必要性のある人はカバーされ得るし、任意入院に関しては、ほとんど積極的に拒んでいない状態という形で本人の同意を規定しているので、無限大に、半ば同意と言えない形でも同意をとった形で入院させることができてしまう。これは問題なのですけれども、その意味でも、医療保護入院というのは立法事実がよくわからないです。

 それから、医療保護入院に関しては、医療と保護という形で要件が書かれているのですけれども、これは医療足す保護ということなのか、医療の必要性だけでもできるし、保護の必要性だけでもできるということなのか、この並列的な「及び」という書き方がどういうふうに運用上、なされるか、まるでよくわからないです。つまり、例えば保護の必要性だけで入院させることも可能なのかどうかということ。こういうよくわからない運用がされてしまうような要件の設定の仕方というのは、問題があるのではないかと思います。

 それから、家族等の同意というものは、改正前の医療保護入院よりも広範囲の人に代諾を認めています。3親等以内なので、かなり広範囲になると思います。そうした制度は改められる必要があると思います。

 それから、長期入院患者の問題を解決しなければいけないとなっているのですけれども、さまざまな出口をつくるための方策というのが示されてきています。地域移行や障害者総合支援法によるさまざまな地域生活の支援がそうです。ですが、これは入り口から新たな入院患者が入っていくということも、結果として行われてしまい、非自発的入院自体によって引き起こされている問題というものは変更されていないのではないかと思います。

 そういう意味では、非自発的入院によって引き起こされている問題を入り口の問題であると捉えて、非自発的入院それ自体の縮小というものが考えられなければならないのではないかと思います。例えば地域医療計画等によって、非自発的入院や隔離、身体拘束を、数値目標などをつくって段階的に削減していくことが望ましいと思います。

 また、非自発的入院や行動制限といったものを監視する機関としては精神医療審査会がありますけれども、この精神医療審査会も非常に恣意的な審査が行われており、例えば退院等請求があったときに、退院できるような精神状態というか、症状ではあるけれども、地域に社会資源がない、受け皿がないため退院させることはできませんという決定をした自治体があります。こういうものは、恣意的な決定であると考えます。ですから、こういったものを防止するためには、明らかに濫用されているような場合には、罰則や規制強化、制裁というものは検討していく必要があると考えます。

 次は、精神科病院に係る入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明についてです。

 これは、障害者総合福祉推進事業の中で「入院に係る精神障害者の意思決定及び意思の表明に関するモデル事業」というものがされています。ここで言うアドボケーターというものが、僕たちが話を聞いている限り、アドボケーターの人とも話をする限りにおいて、入院中の患者さんに対して、アドボケーターはピアサポーターですけれども、情報提供をしてはいけないと言われたと聞いています。しかし、情報提供はエンパワーメントで最も必要なもので、情報提供があって、それで自己決定ができる。これは、ごく一般的な考え方であって、その情報提供を絶ってしまうのは権利の擁護に資さないのではないかと考えます。

 ですから、当該モデル事業というものが、必ずしも権利の擁護に資さない内容になっているのではないかという疑いがかかっている以上は、参考にするのではなく、入院中の実質的な権利擁護を担える仕組みについて、もっとたくさんの調査や集積をして制度にしていく必要があると考えます。例えば、既に日本国内で行われているものとしては、地方弁護士会が独自に取り組んでいる当番弁護士制度や、大阪府でかつて事業をされていた精神医療オンブズマンや海外のさまざまな取り組みがそれに当たると考えます。

 これは附帯決議にも意思決定の支援ということが書かれているのですけれども、本来、この支援された意思決定、サポーティドやディシジョンメーキングというのは、障害者権利条約の策定過程においては、障害者権利条約12条3項の法的能力の行使に向けた支援の中で、パラダイムの名称として言われたものです。つまり、障害者は同意能力がないと言って、その能力を否定してしまうということはだめであると禁止しているのですけれども、その後、能力がないから、ほかの人がかわりに決定しましょうという、誰が代理決定者になるべきかという議論になってくるのです。

 こういう代理決定者適格性の議論というものを、誰がかわりに決定するのがふさわしいかという議論ではなくて、その人が真に何を必要としているのかといったことを支援しながら決定していくという枠組みとして、支援された意思決定のパラダイムというものが提案されたという経緯があります。こうした意思決定支援という用語を使うのであれば、これを標榜するのであれば、最低でも障害者権利条約12条に明らかに抵触していると言わざるを得ない医療保護入院が廃止されてから、使われる必要があると考えます。

 また、精神医療審査会は、医者は医者を裁かないという慣習に貫かれていると言わざるを得ないような運用実態であり、実質的に機能していません。障害者虐待防止法など、精神保健から独立した機関による救済に道を開いていく必要があると考えます。

 処遇についても、せっかくの機会なので意見を言わせてください。

 まず、処遇に関しては、審査が定期的にできるようになっているのですけれども、やや恣意的な表現が目立つなと思います。特に大臣基準の中では、信書の発受にかわること。それから、隔離・身体拘束に関しては、割と厳密な要件がある中で、多動または不穏が顕著である場合みたいな、ほぼ誰でもそこに当てはまり得るような、医師の主観で身体拘束や隔離がされてしまうような規定があります。こういった恣意的な規定は極力排除して、厳密なものにしていく必要性があるのではないかと考えます。

 それから、携帯電話の精神病院内への持ち込み禁止とか、一律、家族以外の面会禁止の場合といったことが最近よくあるのです。友人面会はお断りしていますという言い方で断られてしまうことがあるのですけれども、友人面会、一律禁止とはいっても、これは面会を制限しているわけなので、面会制限とみなされなければいけないところですが、どういうわけか、それは病院のルールであって、そもそも面会制限には当たらないという運用をしている病院が少なからずある。

 しかも、精神保健指定医は、制限をした場合もその記録を書かないといったことがあります。こういうものは、あくまで制限であるということ。記録が書かれているかどうかということも監査の対象になるわけですから、それ自体がなかったら、そもそも監査のしようがないので、救済を得ることもできなければ、病院内の問題が明るみになることもないです。こうした問題に対しても、何らかの策が必要であり、例えば携帯電話の利用ができますよという文書が1枚あるだけでも、私たちが外部に連絡することを非常に助けられると思います。

 また、入院中の保険外の自己負担で、本当にひどいところでは、パジャマ代やタオル代とか小遣いの管理料といったもので、月額5万円とか、すごい金額を請求する病院もあるので、もしこういうことが真に必要なのであれば、公費で出せるように制度を変えてほしいと思います。

 ちょうど時間になったので、ありがとうございます。

○樋口座長 どうもありがとうございました。

 それでは、きょう伺いました4人の方のヒアリングの内容について、これから30分弱でございますが、時間がございますので、ご質問なりコメントなりをいただきたいわけでありますが、何せ時間が限られておりますので、できるだけお一人頭二、三分の簡潔なご発言にしていただきたいと思います。では、どうぞ、どなたからでも。

 それでは、野沢構成員。

○野沢構成員 野沢です。ありがとうございます。

 日本精神科病院協会の中島先生にちょっと教えていただきたいのですが、最初の資料の提案の中で、当該精神障害者と生計をともにしない者は、同意できる者から除外することもできるようにするべきであるとか、医療機関の指定医によって同意できない者とすべきであるとあるのですが、具体的にこういう方々による弊害というのはどんなものがあるのか、それがどの程度の頻度なのかということを1つ教えていただきたいと思います。

 もう一つ、その次のページにありますけれども、医療保護入院によって入院した精神障害者の不法行為による医療機関の損害ですね。これは、この損害を賠償する責任を負えない家族は同意要件を満たさないとすると、何かあったときに損害賠償できる人のみ同意できるとなると、家族の側からすると相当抵抗感があると思うのですね。これを、実際にどんな被害が、どの程度あるのかを教えていただきたいと思います。そして、例えば保険とか、何らかの公的な救済制度というものの検討や議論というのはあり得ないのかどうなのか。あくまでも家族にそういう責任を求めるべきなのかどうなのか。そのあたりをご意見いただきたいと思います。

○日本精神科病院協会中島理事 ありがとうございます。

 2番目の質問のほうからお答えしたいと思いますけれども、最近、認知症の患者さんで家族が監督義務を違反したのではないかということで裁判になった例がありましたので、そういったことも踏まえまして考えたのですけれども、実際問題として、個室に入っていて放火をしたとか、うちの病院でもあるのですけれども、そういったときに精神障害者は責任能力がないという判断なので、家族にも賠償請求は難しいと思います。そういったこともありますので、入院のときに同意した家族については、ある程度責任を持った人がなるべきではないかということを考えたのですけれどもね。

 実際問題として、そういったことにすると家族等の負担があるので、こういった家族等の同意については問題があるのではないかということで、公的保護者制度が必要ではないかと考えているところです。

 それと、1番目の質問ですけれども、実際、家族等の範囲がすごく広がったことによって、いろいろ探さなければいけないことになってしまうのです。例えば、家族が遠方にいる場合とか海外にいる場合とか。生活保護の患者さんで、保護課は知っているのだけれども、病院のほうには教えてくれないという事例が多々あるので、そういったことも、パーセントはわかりませんけれども、家族等が広がったことによって探す負担がすごくふえて、市町村長同意がなかなかできないということがあるので、そういった面で現場としてはすごく負担がかかるということです。

○樋口座長 野沢構成員。

○野沢構成員 家族に賠償を求められるようにしようというのではなくて、そういうことがないように公的保護者制度を議論すべきという。

○日本精神科病院協会中島理事 そうです。実際問題として、監督義務者に負担を負わせるというのはすごく難しいと思うので、そういったこともありますので、家族にとっても負担にならないように、あるいは医療機関にとっても負担にならないようにということで、公的保護者制度があったほうがいいのではないかという意見です。こういった問題については、どんなところで議論されているかについては、私もちょっと。

○樋口座長 それでは、澤田構成員。

○澤田構成員 ご発表ありがとうございました。

 私も中島先生にご質問なのですけれども、細かい表現についてで申しわけありません。それと、ご家族の立場の方には大変申しわけないのですけれども、1の(1)、「早期退院、社会復帰の促進のためには、家族等の関わりがぜひとも必要である」、これは、「必要である場合が多い」くらいにしていただけないでしょうか。と言いますのも、スライド3の「入院同意者の適格性の問題」の1で、「同意者がDVや子供への虐待の加害者」というのがあります。この場合は、必要どころか、ないほうがいいことは明らかです。

 そして、殴ってはいないとしても、無理解、誤解、不適切な対応、言葉の暴力で、本人の回復の足を引っ張っているケースが少なくないです。「家族」と聞いただけでむしずが走る人もいます。ですから、どうぞよろしくお願いいたします。

○日本精神科病院協会中島理事 私も(1)の家族等のかかわりは、必要である場合もあるというようなことだと思うのですけれども、以前、私の経験でも、例えば10代の患者さんで、親との関係がよくなくて、親が退院について全く協力してくれない。それだったら、家族がいないほうがいいのではないかと感じる人もいます。だから、家族が余りかかわらないような場合は、家族以外の方がかかわりを持って、その退院支援といったことについていろいろ協力していただければいいかなと考えています。

○樋口座長 よろしいですか。

○澤田構成員 ありがとうございます。

○樋口座長 それでは、河崎構成員、その後。

○河崎構成員 日本精神科病院協会の河崎です。

 全国「精神病」者集団の桐原さんに少しお伺いしたいのですが、先ほど障害者権利条約との関係で、医療保護入院と措置入院、それがそれぞれ権利条約の12条、14条、25条に違反するのではないか。そのあたりをしっかり検討しろというお話だったかなと思いますが、もしこのような障害者権利条約に現状の医療保護入院・措置入院が違反するのだとすれば、何かそれにかわる入院の形態等々については、お考えなりご検討というのはなされているのでしょうか。

○全国「精神病」者集団桐原運営委員 ご質問ありがとうございます。

 私たちの中で障害を理由とせずに同意という手続きを必要としない緊急的な医療について、どういったことが可能であるかということを具体的に検討したものは、いまだ示し得てはいないです。ただ端的に申しまして、この度のヒアリング意見との関係では、精神保健福祉法の枠組みではなく一般医療の枠内で行われるべきであると考えます。それから現状では、補充性と法益権衡の要件で緊急避難ということはされています。生命にかかわる問題など真に医療が必要な状態とはどういった状態であるのか、このような観点からさまざまな患者団体と協議して必要性を抽出していく作業というのは、医療者側ではなくて、むしろ我々の課題であるのかなと思っているところです。

○樋口座長 どうぞ。

○河崎構成員 そうしますと、一般のいわゆる医療法の中で対応すべきだというのが、まず大原則としておありで、そういう中で今の精神疾患のさまざまな状況というのは対応し得ると現状ではお考えということでよろしいのでしょうか。

○全国「精神病」者集団桐原運営委員 個別の問題になってくるから、見てみないとなんともわからないのですけれども、一般論として障害を理由とした同意のない医療ではないかたちで、たとえば生命保護の必要性がある場合の同意手続きのない医療ならば、それ自体が条約に抵触するということには必ずしもならないと思っています。ただ、精神疾患に由来するもので、生命優先のために同意手続きを経ずにして医療を開始しなければならない症例が存在するとは思えないです。

○樋口座長 それでは、荻原構成員。

○荻原構成員 日本作業療法士協会の荻原でございます。

精神保健福祉事業団体連絡会の伊澤さんからご意見いただいた中に、各論に入ってしまって申しわけないのですけれども、作業療法についてのご指摘がありましたので、反論ということではなくて、正確な認識という意味の情報提供をさせていただきます。医療機関で行われている作業療法は、精神科専門療法として昭和49年に位置づけられたもので当時から社会生活機能の回復を目的とするということが形で診療報酬通知でも出ています。

 昭和49年度から、実質、平成20年までの間の施設基準が、1人の作業療法士で1単位2時間で25人を標準とする形で3単位75人を限度として行われてきたということです。平成20年度からは、1人の作業療法士で1単位2時間25人で2単位50人を限度という形になっています。

 ちょっと想像していただきたいのですが、ここの場で25人といいますと、ほぼこちら側の席と向かい側の席の方を1人の作業療法士で対応するという現実があるということも、ご理解いただければと思っています。全ての病院が1人の作業療法士が最大限50人までとっているということではないと思うのですが、作業療法士協会でデータをとってみますと、かなりぎりぎりまでとっていらっしゃるところもあって、1人の専門職で実質25人を同時に見られるかどうか。先ほどお伝えした社会生活機能の回復を目的とした精神科専門療法として、適切に提供できているのかどうかということについて、少し考えていただければと思います。

 伊澤さんのご指摘は、ある面では現実的な部分もございますので、これは専門職としては、責任性としても考えていかなければいけない部分と同時に、何らかの制度を変えていく。ちなみに、身体障害は1人の作業療法士で1単位20分、一対一で一日取扱総数10人以下ぐらいでやっているはずです。同じ作業療法士がそれだけ違うことをやっているという現実もあるということ。介護保険のほうでも、そうです。1単位20分で対応しているということでございますので、情報提供としてお時間いただきまして、ありがとうございます。

 

○樋口座長 それでは、ほかには。

 では、どうぞ。

○田川構成員 精神科診療所協会の田川です。

精神科病院協会の櫻木先生にご質問と意見をお伝えしたいと思います。先生の出されたレジュメの3枚目の上に、精神科デイケアを含む現在の外来通院医療は、症状が比較的安定した患者に合わせて、治療構造が構成されていると書かれているのですけれども、診療所を見てもそうですけれども、本当にさまざまです。例えば、僕が診ている方で、先ほどの重度かつ慢性に該当しそうな方も何人かおいでです。さまざまですので、やる気のあるところが重い方をしっかり診られるような体制にということで、精神保健福祉士を初めとしたコメディカルの人が診療所とか外来で活躍できるようにしていただきたいということを以前から申しております。

 それと、精神科デイケアに関して、診療所協会でデイケアをやっているところは結構たくさんありまして、そこの統計を見ると、デイケアに入られる前とデイケアに入ってからでは、明らかに入院されるパーセンテージが大きく違う。だから、比較的症状が安定した患者さんに合わせてということでもないわけですね。何とか重い方が調子を崩さず、地域でやっていけるようにということで努力しているわけです。

 それと、そのページの多機能支援センターのところに就労支援のことが書いてありますけれども、僕は就労支援を大阪でNPOをつくってやっているのですけれども、就労支援は連携でやるほうがいいと思っています。医療機関が丸抱えでやってうまく行っているところは、かなり特殊な医療機関です。一般的な精神科の医療機関は、患者さんの状態をいかに悪くさせないか、よくしていくのかということをまず考えてやりますから、就労支援ということになると、どうしてもそれが先に出て、現実的にうまくいかないことが多いのではないかと考えております。ですから、それを医療機関などの多機能型で抱えてしまうというのはどうなのかなという気がしております。

 あと、1つ質問ですけれども、デイホスピタルということで書いておられるのですけれども、デイケアとどこが違うのかをちょっと教えていただければと思います。

○日本精神科病院協会櫻木理事 ありがとうございました。

 先生がおっしゃるみたいに、デイケアというのは、地域で支える機能としては我々も非常に重視しているところでありますし、再入院の予防効果というのはあります。ですから、むしろ今回の診療報酬の改定などでデイケアの対象を絞っていくような考え方については、私も実は反対です。

 ただ、デイホスピタルということでお示ししているのは、診療所の先生たちも、非常に重度の安定しない患者さんをデイケアで支えておられるご努力は敬意を表するわけですけれども、もう少し治療密度が大きい、例えば時間の密度であるとか、あるいはマンパワーの密度であるとか、多職種でその辺にかかわっていくという高密度の治療の提供がデイホスピタルということでできれば、もう少し入院の適応の範囲というのは縮小することができるし、あるいは早期の退院ということもできるのではないかということで、デイホスピタルの提案をしております。

 それから、多機能型地域支援センターに関してですけれども、これは私の説明が少々はしょったところがあって、誤解を与えたとしたら申しわけありませんけれども、病院本体がやるというよりは、むしろ、以前、社会生活訓練ということで、例えば援護料とか、あるいは福祉ホームのB型という施設があったわけですけれども、そういったところをベースに置いて、こういった地域で生活するために必要とするようなさまざまな機能をそこに付加してやっていくということですので、病院本体がやるということではなくて、そういった社会復帰施設をベースにしたような形で考えているということですので、ちょっと説明が不足して申しわけありませんでした。

○樋口座長 よろしいでしょうか。

 それでは、広田構成員。

○広田構成員 

遅刻しましたが。

 かつて精神保健福祉課の野崎補佐が一家で我が家に来られ、「厚生労働省に入って出会った中で、中の人、外の人、一番インパクトが強い広田和子さん、ワシントンの日本大使館に出向しますので、ぜひ来てください」というお誘いを受け、自費で行ってきました。ホームステイ中、CNNでフィリピンタイフーンを一緒に観ていた5歳児のリョウくんの姿を通して、良きアメリカを再認識したり、この映像が東日本大震災もアメリカのお茶の間にと思ったり、とても実り多い10日間でした。帰ってきたときから鍵が壊され、障害者を利用して、近所のおじさんをくっつけようとする作戦が始まり、大家さんが替えて下さった合い鍵がつくられ、結果的には「商店街のことで躍起になっている」という表向きらしい。目覚まし時計が壊れた、枕はなくなり、靴はなくなり、精神障害者手帳はなくなり、「再取得したら該当していなかった」、彼のためにつくった布団は破られ、米軍放送が消えたり、いろいろなことが次々起きていますけれど、最寄りの警察署もそこに巻き込まれている人がいますから、大変な日本社会です。

 福祉事務所は、「彼と会っていないのに、どうやって連絡をとっていますか」と、「フジテレビのワイドショーみたい」に、おじさんの「ところへ行って下さい」と「集団ストーカーじみている」。こうしたことに多くの人が巻き込まれていますけれど、それは広田和子1人の事案ではなくて、昔だったら妄想ねと思われますが、オレオレ詐欺のゼッケンをつけて歩いていたら、「今や身内の犯罪ではなくて、近所の者ですけれど、あなたのお母さんが大変そうだから電話してやってください」というようなことで、「警察もお手上げです」ということをおととしの暮れに「関東地方の刑事さん」という方に日比谷公園の脇で伺いました。

 そんなこと、あるはずないじゃんということが次々起こって、宅急便屋、商店、買い物客、警察、営業マン、マスコミ、政党関係者など多くの人々たちが「大丈夫」「気をつけて」、「妬み以外の何物でもない」、と言われています。厚労省キャリアたちが「広田和子さんの最強の敵」と、私は神奈川県警の敵と捉えている。神奈川県内行く先々での買い物妨害も、電話やメールなどでみんな引っかかってしまう脇の甘い時代。たまたま私は現在、警察庁捜査一課長で、初めて女性として県警本部長になった田中さんに、かつて神奈川県警の警察署長時代、「講演会に来てください」と、お電話しました。警察庁のキャリアと知らずに。彼女が私の話を聞いて、「こんなに応援してくださっている方がいるなんて」ということがありました。国の委員である私にとっての貴重な数々の教材は、盗聴、サイバー攻撃なんでもありのこれからの日本全体のことを考えれば、警察庁を挙げて学ぶべきことだと捉えています。昨今の日本社会には、いろいろな人がいらっしゃるから。

 そして、たまたま私の彼が官僚ですから、警察庁へは彼と一緒に行けば、心強いと思っています。こういうことが起きたときに、全国の精神科の診療所であれ、病院であれ、今までだったら患者さんが言うことよりも、「家族や近隣や福祉の関係者が言うことを優先的に取り上げてきた」歴史を変えたほうがいいという天命が広田和子に下って、こういう体験を日々しているとも捉えています。これからは、患者本人の話をより丁寧に聞く。

 そして、さっき澤田さんが言ったように、家族は入院させる人の場合が多い。また、DVで言えば、「殴らせている女がいっぱいいる」ということで、主役は誰か、改めて本人という私自身の体験を通した現代日本の一端を参考までにお話ししました。

 それで、桐原君、お久しぶり。会うたびに成長しているわね。青森に何回か私が行った時に会いに来てくれたこともあったり、前回も参考人としてお会いしたけど。

○全国「精神病」者集団桐原運営委員 成長しました。

○広田構成員 成長した君に質問です。厚生労働省の人と出会ってからもう二十数年。1992年、全精連という大会の準備会のときですから。1993417日、全国大会の総合司会広田和子。来賓、田原さんの何代か前の広瀬さん。私の「桜吹雪の舞う日本列島の春、全国○○○○が誕生しました」という第一声に、来賓の広瀬課長が、「彼女の声を聞いて日本の精神障害者の夜明けを感じた」、まるで万葉集の。今の彼とだったら相聞歌になりますけれど。それで、今、春が来ていますか。

○全国「精神病」者集団桐原運営委員 要するに、これからのということがこの検討会の名前。

○広田構成員 「彼女の声を聞いて、日本の精神障害者の春が来た」って、田原さんの何代か前の精神保健課長が言ったけど、今、君は日本の精神障害者に春が来たと思っていますかということが私の質問です。

○全国「精神病」者集団桐原運営委員 冬じゃないでしょうか。

○広田構成員 冬よね。春にするにはどうしたらいいかというと、権利条約もいいですけれど、今お話を伺わせていただくと枝葉の話が多過ぎて。病者集団のニュース含めていただいているものは目を通すようにしています。電車の中等で。それで、精神保健福祉法はやがて撤廃してほしいという眞理ちゃんの意見も読んでいますけれど、“普通の医療にしたい”というとても大事なことだと思います。

 社会的入院患者が10万とも20万とも、精神病棟の中にいます。報道によれば、内科もいるそうですけれど、そういう実態。それから、いわゆるスタッフが少ない。病床が多過ぎる。そして、診療報酬もずっと安上がりに。この4点セットは、国と地方自治体の不作為。それを誘導しているマスコミの報道と国民、いわゆる住民ですよ。そういうものを全て精神科病院が悪い、日精協が悪いとこの間、ずっと裏で聞いてきた。それをやめにする気持ちがありますか。誰が悪いとか彼が悪いじゃなくて、当時の福田課長が広田和子が名古屋の国際会議場で訴えた、「業界が一枚岩にならなければ」業界内ゲバを卒業しようということよ。国会でも何でも包囲して、診療報酬も値上げしようというドラスティックな改革を望んでいますか。私の彼は官僚ですが、今までとおり発言や活動には口を出さず、彼に支えられ、委員は担っても露出せずと思っていますが、そういう気持ちがありますか。

 1.社会的入院の人を解放してくれ。2.ちゃんとスタッフもつけろ。3.病床削減。診療報酬も上げろというぐらいの覚悟で病者集団さんはやっていますか。

○全国「精神病」者集団桐原運営委員 要するに現状を変えたいと思ってやっています。

○広田構成員 そのぐらいの腹を括って、覚悟を決めて。そういうことを聞いています。枝葉の話はどうだっていい。国連の原則よりも、そっちのほうが大事だと私は思います。ここは日本国内です。内閣府の委員だった関口君も来ている。アメリカでご一緒だった東俊弘さんに頼まれて内閣府の委員に入った。眞理ちゃんが総合福祉部会に入った。そうしたら、民主党と厚生労働省がダブルキャストで広田和子を入れて、ふたをあけたら有識者枠だった。そういう歴史があります。病者集団は国連の原則にしがみついて、ごちょごちょ小さいことを変えようとしているだけなのか、日本の精神科医療の根幹も変えようとする意思があっての発言か。その覚悟を伺いたいということです。

○全国「精神病」者集団桐原運営委員 現状を変えたいと思っています。

○広田構成員 そうしたら、きちんと言ったほうがいいです。国連の権利条約という国民が聞いてわかりずらいことよりも、私が言っていることが正しいとは言わないけれど、入院しなくてもいい患者さんが精神科病院の中にたくさんいる。1.その仲間たちを解放してほしい。2.ベッドがあるから入院患者が必要。ベッド削減。3.スタッフが少ない。国の不作為。4.診療報酬が安い。来年あたり改定かな。改定のときには、きちんとみんなで意見表明しよう。田原さんもそういう覚悟があるか。病院にも行ってきた、激励したり、おどしたり、おすすめしていますが、そういうことです。

○樋口座長 よろしいですか。

○広田構成員 まず1点目の質問。

○樋口座長 もう時間が迫っていますので。

○広田構成員 簡単に。日精協さんもデイホスピタルでも何でもいいけれども、ごちょごちょ枝葉の話をしていないで、生活支援センターに行ったって、食事生活支援よりも相談支援という多くが共依存の話し相手になっています。横浜市5,000万円、3,000万円プラスアルファのところが。本末転倒ですから、白川先生も行って、実態を知ったほうがいい。

 それと、精神障害者リハビリテーション学会神奈川大会時、会長が県立大の教授。副会長が県の精神保健福祉センター長。「まるで行政の大会、それはやめたほうがいい」と言ったけど通らない、行政が集まり過ぎて。それで、私は撤退したら、「打ち上げだけはぜひ来てください」と言うから、この素敵なドレスを着ていきました。7,600円の半額ですが。ホテルのボーイさんに出迎えられ、「素敵なホテルね」と言ったら、「いいお召し物ですね。今度はぜひこういうことだけではなくて、ホテルにも泊まっていただきたい…。」「じゃ、彼と。」

 社会人として、当たり前の会話をしていた。そこに社会性も専門性も人間としても成長のない女性、かつての作業所指導員が穴のあいたジーパン姿で。大きな声で、「広田さん!ボーイさんは仕事しているのですから、声をかけたら迷惑です。」と、ボーイさん目が点になって、「あの人は?」「いやあ、お嬢様育ちで社会を知らないのよ」と言うしかなかったけれど。

 その程度の福祉の職員が福祉をやったって、何の足しにもならないどころか、田川先生が医療と福祉が連携だと言うけど、現場の特定子会社の人たちが困っているのは、「障害者ではなくて、福祉スタッフが自分たちに依存してきて困っている」ということが全国的な現実です。

 福祉の伊澤さんを初め、後ろに田中直樹君も来ているけれど、3団体くっついたって、昔からちっとも質が上がっていない。補助金は上り、917時の世界ですが、そして、福祉だ、福祉だとつくって、住宅作らず、全国の仲間たちが望んでいる「おれたちは犯罪者じゃなく、患者だから警察が関与せず、救急車で」という救急含めた24時間安心して利用できる精神科医療整備もせず、社会的入院者は退院できず、死亡退院ばかり。今晩も都道府県警察、署のロビーに、取調室に、保護室に、精神科救急医療などを必要とする人がいます。現場の警察官、「MD(メンタルディスオーダーの略)は、勘弁してほしい」が本音、患者と警察官の思いは一致しています。(保護しているということは警察側にも大変な負担が掛かっています。特に日本のマスコミによる叩きまくる“不祥事騒動報道”以来、守りでの仕事をせざるをえないの現場の実態です)。全国一、精神疾患者に理解ある横浜市救急隊(67台の救急車)、「とにかく精神の人の場合、行く先が無くて・・・」、そして警察、救急隊ともに「我々が丁寧に話を聞いたら・・・、何も我々が出動すること無かった。」、あちらもこちらも相談支援などの後始末。ここ10年ぐらいよく伺ってきましたが、昨今の実態は、すでに別次元の問題になってきていると実感させられます。社会的入院者が社会への本来の退院ができていないのですから、厚生労働省はきちんと検証してから、税金をつけるべきです。4点セット、きちんとやるためにも、安倍ちゃんと塩崎さんが国会で高らかに、「この国の被害者として社会的入院を生んだのだから、皆さん、よろしくお願いします」と宣言してもらいたいと思います。当事者の1人として、澤田さん、桐原君、プロジェクトでも何でもつくらなければいけないと私は考えていますが、いかがでしょうか、お二人に。

○樋口座長 もしコメントがありましたら。

○広田構成員 国会で社会的入院の存在を高らかに、総理大臣と塩崎厚生労働大臣。18日、日精協さんのアドバイザーリーボードとしてホテルオークラで行われた賀司交換会に出席したら、安倍ちゃんも塩崎さんも来て、いいお話をしていました。「1億総輝くというのは、子供や障害者や高齢者みんな入っています」。どうでしょうか、お二人。2人のところにこの辺の話は全然届いていないと思います。私が議事録を通して届けたのは、当時大臣の田村さんの肩たたいて、うつと認知症の予防などの話をしていたら、警視庁のSPにつまみ出されようとしたらしいですが、秘書官が、「彼女はいいのです。」以来、私は警視庁でも有名人らしいです。どうぞ。

○樋口座長 もしコメントがありましたら、どうぞ。よろしいですか。今すぐには答えられないそうですから。

○広田構成員 私たちの人質になっている仲間のことを2人とも答えられないの。覚悟をもってここに出てきているのですか。責めないけれど。本音言っちゃうとたたかれちゃうのかな。「いつまでたっても広田和子さんにいてもらわないと、我々が心細い」と厚労省の多くの人たちに言われていますが、どこも当事者不在。そして担ぎ手主体で、当事者が自立して本音で発言ができない。これが業界の、日本社会の実態です。

○樋口座長 わかりました。

 それでは、時間が来ていますので、最後の質問にさせていただきます。どうぞ。

○本條構成員 それでは、伊澤さんに2点質問したいと思います。

 分科会想定課題に即してというところがあります。医療保護入院における移送及び入院手続のあり方について、非自発的、強制的な入院は公的責任において行われるものとして一本化していくべきではないかというご意見を述べられておりますけれども、これは任意入院と措置入院の2つにすべきであるという意見かどうか。

 それから、もう一点、それに関連して、非自発的というのをどういうように捉えるかということをご説明いただきたいと思います。というのは、非自発的ということになりますと、本人が自発的に意思を表明できないという場合もあるわけでありますけれども、医療保護入院においては、意思ははっきりしているのだけれども、入院したくないという意思を表明しているにもかかわらずという場合もあると思いますので、その辺の定義をどういうぐあいに考えられているか。

 それから、もう一点は、次のページの入院中の処遇。これは、前回、私もご意見申し上げましたところで、非常に大事なことではないかと思っております。それで、お聞きしたいのは、利害関係のない第三者のかかわりが必要である。この第三者というのは、当会からも、家族からもそういうものについて意見・要望を言いたいということも既に申し上げたところでありますが、この第三者というところを、代弁者とか、そういう意味なのかどうか、ちょっとご説明いただきたい。

○樋口座長 では、伊澤さん、よろしくお願いします。

○伊澤構成員 ご質問ありがとうございます。

 1つ目、任意入院と措置入院の2つということでイメージしております。

 非自発的ということの意味合いですけれども、ご本人の意思としては、入院については同意していない。しかし、周囲の関係性等々を含めて、入院が妥当であるという判断に基づいて行われる公的責任における入院と捉えられるだろうと思います。

 それから、もう一つのご質問の第三者に関しては、十分に整理できておりませんけれども、利害関係のないというところで言いますと、いわゆる支援関係や治療関係ではなく、家族関係とも違う第三者性となると、そこは新たな存在を規定していく必要性があるのかもしれませんし、ある意味ではその中にいわゆるピアサポートのような要素を組み込んでいく必要性もあるのかもしれないと思っております。

○樋口座長 よろしいでしょうか。

○本條構成員 はい。

○樋口座長 それでは、時間でございますので、本日の議事は以上とさせていただきたいと思います。各団体の皆様、ご出席いただきまして、ありがとうございました。

 最後に、分科会がこれから始まります。分科会の構成についてご報告いたします。

 事務局に各構成員のご参加の意向を確認していただきまして、そのご希望を踏まえて、本日、分科会の構成員名簿としてお配りしていると思います。分科会におきましては、前回と今回のこの検討会での議論も踏まえながら、各論点の整理を進めていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 最後に、事務局のほうから、次回の日程等の連絡をお願いしたいと思います。

○占部課長補佐 次回以降の日程でございますけれども、医療保護入院等のあり方分科会は3月11日に、新たな地域精神保健医療体制のあり方分科会は3月29日に予定しております。

 前回の検討会でもご説明させていただきましたとおり、分科会で一定の論点整理を行った上で、検討会での議論を行っていただくことを予定しております。今後の検討会及び分科会の日程につきましては、日程が決まり次第、事務局からご連絡申し上げます。

○樋口座長 ありがとうございました。

 それでは、本日はお忙しい中、長時間にわたりまして、ありがとうございました。

 これをもちまして、第2回の検討会を閉会させていただきます。ありがとうございました。


(了)

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