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2016年2月8日 第68回社会保障審議会年金数理部会 議事録

年金局

○日時

平成28年2月8日(月)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)


○出席者

山崎部会長、宮武部会長代理、牛丸委員、佐々木委員、野上委員

○議題

(1)平成26年財政検証・財政再計算に基づく公的年金制度の財政検証(レビュー)について
(2)その他

○議事

○下島首席年金数理官 定刻になりましたので、ただいまより第68回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。

 それでは、審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、座席図のほか、次のとおりでございます。

 資料1は「平成26年財政検証・財政再計算に基づく公的年金制度の財政検証(ピアレビュー)(案)」でございます。資料1は3つの資料に分かれておりまして、資料1-1が「表紙~第6章」、資料1-2が「第7章~第10章」、資料1-3が「付属資料」でございます。

 資料2は「平成26年財政検証・財政再計算に基づく公的年金制度の財政検証(ピアレビュー)要旨(案)」でございます。

 配付資料は以上でございます。

 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、浅野委員、翁委員、駒村委員、田中委員が御都合により御欠席との御連絡を受けております。御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。

 それから、事務局ですけれども、局長、審議官は所用によりおくれて参るか、場合によっては欠席ということでございます。大変申しわけありません。

 それでは、以降の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。

○山崎部会長 委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきありがとうございます。

 本日は、平成26年財政検証・財政再計算に基づく公的年金制度の財政検証(レビュー)について審議を行いたいと思います。

 カメラの方はここで退出をお願いします。

 

(報道関係者退室)

 

○山崎部会長 当部会では、公的年金制度の一元化の推進に関する閣議決定において、被用者年金制度の安定性・公平性の確保に関し、財政再計算時における検証のほか、毎年度の報告を求めることを要請されております。これを受けて、昨年9月から10月に平成26年財政検証・財政再計算結果等につきまして制度所管省から報告を受けました。その後、委員の皆様に御協力いただき、検討作業班、技術作業班の2つの作業班において検証作業及び報告書の案文の検討を行っていただきました。できました報告書の案がお手元の資料でございます。

 それでは、詳細につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○下島首席年金数理官 それでは、御説明申し上げます。

 まず、資料1-1「平成26年財政検証・財政再計算に基づく公的年金制度の財政検証(ピアレビュー)(案)」、表紙から第6章でございます。

 めくっていただいて、まず表紙の案がございまして、部会の名簿、目次がございます。下にページ数を振っておりまして、1ページ目が「はじめに」ということですが、説明は割愛させていただきます。

 3ページからが第1章「公的年金各制度の平成26年財政検証・財政再計算結果等」でございます。

 第1節は「公的年金の概要」ということで、制度の仕組みが簡単に説明されています。ページをめくっていただきまして、第2節は「公的年金各制度の財政検証・財政再計算について」ということで、各制度で行われている財政検証・再計算について簡単に説明している部分でございます。

 その次に、5ページ、第3節「年金数理部会における財政検証・財政再計算時の財政検証(ピアレビュー)」としておりまして、ここで当部会の行っております財政検証について御説明しております。「ピアレビュー」という言葉がございますけれども、5ページの一番下の段落をご覧になっていただきますが、平成16年改正財政フレームの導入以降、「財政検証」という言葉が厚生年金、国民年金の財政検証を指す場合が非常に多くなっているということでございます。ただ、もともとは平成13年の閣議決定によりまして、当部会が行う各制度の財政検証・財政再計算の検証といったことがございますので、ここではこれらを区別しようということで、今回から「ピアレビュー」という言葉を併記する、あるいは「ピアレビュー」単独で用いることにしてはどうかとなったものでございます。

 ピアレビューにつきましては、5ページの欄外の注6にございますように、外部の同分野の専門家による評価のことでございまして、カナダの公的年金において、イギリス政府を通じて行っているものが有名でございます。詳しい説明は割愛させていただきます。

 6ページ以降が第4節ということで「平成26年財政検証・財政再計算結果等の概要」をまとめたものでございまして、図表1-4-1に流れ図、概念図がございますけれども、まず基礎年金において財政計算をし、基礎年金の調整率等が決まった後に、厚生年金の財政検証が行われるという流れは従来から変わっていないわけでございます。

 さらに今回は、被用者年金の一元化が2710月から施行されることが決まっていましたので、それを前提に行われているということがございます。各実施機関の推計値を合算して、財政の均衡を図っているということでございます。また、一元化後の厚生年金だけではなく、各実施機関の国共済と地共済をあわせたもの、それから私学共済についても、それぞれの財政見通しが公表されているということでございます。

 この節では、これ以降、結果を御紹介しているわけですけれども、7ページの後半で御説明しておりますが、ここで注意していただきたいのは、今回の財政検証では、A~Hという経済前提のケースによって8通りのケースが並列に示されているということでございますが、この報告書のここではページの都合上もございますので3つのケースを代表して取り上げさせていただいています。ケースC、ケースG、ケースEと3つのケースを取り上げているわけですけれども、ケースCは所得代替率が一番高くなるケース、ケースGは積立金が枯渇しないケースの中で最も調整が必要となるケース、ケースEは中間的な性格で、この3つをここでは取り上げているということで、7ページの注9にもございますけれども、当部会として、この3つを基本的なケースと位置づけたわけではないということを断っております。その上で御紹介させていただいているということでございます。

 以下のページ、各数字につきましては説明を割愛させていただきます。

28ページ、第2章が「公的年金財政及び財政検証・財政再計算の枠組みの検証」でございます。ここでは、各制度からの報告事項をいろいろと確認しております。

 第1節が「財政検証・財政再計算の基本方針」ということで、まず目的がございます。厚生年金及び国民年金につきましては、直近の人口や社会・経済情勢を踏まえ、財政の見通しを作成することにより、以下のことについて調べる。一つは、長期的な収支の均衡が図られているか(持続可能性)。それから、給付水準調整の終了年度及び将来の給付水準の見通し(給付の十分性)。これらを調べまして、年金財政の健全性の検証を行うこととされております。

 さらに具体的内容としましては、年金事業の収支について、今後おむね100年間における見通しを作成する。それから、当該期間において財政の均衡を保つことができないと見込まれる場合には、マクロ経済スライドによる給付水準調整の開始年度を定める。それから、給付水準調整を行う必要がなくなったと認められる場合には、給付水準調整の終了年度を定める。それから、調整期間中に財政検証を行う場合には、給付水準調整の終了年度の見通しを作成する。それから、諸見通しを公表することとされております。

 国共済、地共済、私学共済につきましては、被用者年金制度の一元化を前提とした財政の見通しを作成し、一元化前までの保険料率を算定することとされております。

29ページ、根拠ということで、各制度とも、法令等に基づきまして、適切に行われているということでございます。

30ページ、求められる結果ということで、厚生年金、国民年金につきましては、それぞれについて、今回は平成1222110)年度までの推計した財政見通しが求められている。

 それから、国共済、地共済、私学共済ですけれども、国共済、地共済につきましては、2710月以降の1・2階部分及び旧職域部分に関し、それぞれが対象期間内において財政均衡が図られていることを示す財政見通しを作成すること。私学共済につきましては、同じく1・2階部分の財政均衡。さらには、独自財源における旧職域部分と軽減保険料率に関し、財政均衡が図られていること。これを確認する財政見通しを作成するとされております。

32ページに参ります。第2節が「財政方式の考え方」ということで、それぞれの制度で、有限均衡方式によって行われている。それから、1・2階部分に関しては、各制度とも開放集団方式、つまり、将来の新規加入被保険者を見込む方式によるということですが、共済につきましては、旧職域部分は原則廃止ということで、新規加入被保険者が将来発生しないということになりましたので、閉鎖集団方式とされております。

33ページの第3節「財政構造で留意すべき点」ということで、2点ほど厚労省から御報告いただいております。1点は、1階部分と2階部分で給付水準調整期間が異なってきていることに注意が必要だということ。もう一つは、基礎年金交付金が財政見通し上、収入、支出から控除されているということで、収支表の見方として注意が必要ということが報告されております。

 これにつきましては、34ページの一番下の段落でございますが、収入、支出双方から控除されている項目があるということに関しましては、実態を理解する上で必要であることから、できるだけ全ての収入、支出項目が明らかになるよう明示されることが望まれるとしております。

35ページ、第3章「財政検証・財政再計算の実施体制の検証」でございます。実施体制につきましては、概要の図表が3-1-1から3-1-4までございますけれども、これについては、35ページの下の2つの段落にまたがって書いてありますが、適切な体制であるかを判断することは難しいということですけれども、諸外国と比べると小規模であるとの指摘もある。また、今回の財政検証では、経済前提のケースがふえたこと、同じ時期にオプション試算も並行して作業がなされていたことを考慮すると、前回よりも相当作業量がふえているのではないかと思われる。今後の財政検証の実施に当たっては、十分な検討及び作業が行われるような体制への配慮を望みたいとしております。

37ページの第2節「担当職員の専門性」、こちらも以下の図表にまとめているとおりなのですけれども、各制度で少し差があるということが認められております。

40ページに「担当職員の研修の実施状況」というのがございます。図表にまとめたとおりなのですけれども、こちらも制度ごとに差が認められるということでして、今後、公的年金の実務を行っていく上で必要な担当職員の資質向上については、他制度の例も参考にしつつ、横断的な研さんも含めた研修機会の拡大等、より一層の工夫、努力を望みたいとしております。

41ページからが第4章「財政検証・財政再計算時における推計方法の検証」ということで、まず「基礎数・基礎率の設定の適切性及び検討の十分性」としております。

 「基礎数・基礎率の概要」ですけれども、図表にまとめているとおり、前回までの財政検証・再計算では各制度で独自に推計を実施していたということで、基礎数・基礎率の種類とか様式については制度間に若干の差異が存在していたということですが、今回は被用者年金一元化ということを前提に行われたと。しかも、厚生年金全体の財政見通しにつきましては厚労省で一元的に作成されたということで、基礎数・基礎率の様式につきましてはかなり統一化が図られたということで、各制度の差異はほぼなくなっているということが確認できてございます。

42ページに参りまして、「基礎数・基礎率の設定方法」につきましては、こちらもかなり差はなくなってきていると思うのですけれども、補正の方法等で若干の違いが見られたということでございます。43ページの下の段落でございますけれども、一元化された以上は、他制度と異なる方法をとる合理的な理由がある場合を除いては、できるだけ全制度共通の手法に統一されていくべきである。また、基礎率については、将来の傾向が見込めるものについては、できるだけフォワードルッキングな観点で適切に作成されるように留意すべきとしております。

 以下は、実際に基礎率を部会で検証したものでございます。それを解説したものですけれども、説明は割愛させていただきます。

57ページからが「経済前提の設定について」でございます。経済前提の設定の経緯とか考え方、あるいは過去の財政検証の前提とか実績値との比較分析をいたしてございます。まず、経緯とか考え方について若干触れますと、58ページから少し書いてありますけれども、社会保障審議会年金部会のもとに設けられた専門委員会(「年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会」)で報告された結果に基づいて設定されたということが報告されてございます。平成16年財政再計算から用いておりますコブ・ダグラス型生産関数によるマクロ経済モデルに基づいて設定したとされてございます。

 この中で欄外の注11にも書かせていただいていますけれども、例えばOLGモデルといったようなほかの方法についても検討されてございます。それから、コブ・ダグラス型生産関数のモデルを用いるに際しても、59ページの下の2段落に少し書かせていただいたように、例えば労働分配率や資本減耗率等のパラメータについて一通り設定するのではなくて、複数設定して推計を行うなどの工夫を行ったと。それから、総投資率の設定についても、貯蓄と投資の差が経常収支に相当するものとして貯蓄と投資の差の推移を考慮した設定も加え、幅を持った推計を行ったとされておりまして、改善が行われたということが確認されております。

 以下、過去の財政検証・再計算との比較、あるいは実績値の比較をまとめてございます。詳しい説明は割愛させていただきますが、従来、数理部会では主に名目値の比較をしていたかと思いますけれども、このたびの経済前提につきましては、実質値あるいはスプレッドで定められたということが報告されておりますので、こういったものにつきましても比較、分析してございます。

 少し飛びまして、67ページ「推計方法の適切性及び検討の十分性」ということでございます。ここでは推計方法、あるいは手順の確認をいたしてございます。概要は図表4-2-1にまとめてございますけれども、大きく分けますと「被保険者数の将来推計」「給付水準調整を行わない場合の給付費等の推計」「給付水準の推計及び財政見通しの作成」、こういった幾つかの段階に分けられているということでございまして、これらの段階ごとに以下のページで確認しているところでございますが、御説明は割愛させていただきます。

88ページに参ります。第3節が「推計作業における制度間の連携について」でございます。先ほどの基礎数・基礎率のところでも触れましたけれども、一元化を前提に行われたと。しかも、厚労省のほうでまとめて厚生年金全体については計算が行われたということで、従来に比べますとかなり連携をとらないとできなかったということですけれども、そういう意味においては相当な連携が適切に行われたということで、一元的に推計されるようになった結果として、かなりの整合性がとられるようになったと確認できております。

91ページ、第5章「推計結果の分析及び結果の示し方の適切性の分析・検証」でございます。

 第1節が「推計結果の分析及び結果の示し方に関する基本的な考え方」でございます。厚生年金及び国民年金では、幅広い経済前提を設定して結果を示すことで、持続可能性や年金水準確保のための対応の可能性に係るさまざまな議論のベースを提供することであると報告されております。各制度では、厚生年金の考え方に準拠すると報告されているところでございます。

 第2節は「推計結果の分析及び結果の示し方の適切性の分析・検証」でございまして、まず(1)の「複数の推計結果を並列に位置付けて示したことの考え方と既存の平成16年改正財政フレームとの関係」ということでヒアリングをしてございます。

92ページに参りますけれども、年金制度のさまざまな議論を行うベースが提供できるよう、幅の広い8通りの経済前提を設定して幅広い結果が示されている。このこと自体は、将来の年金財政が盤石かどうかにつきさまざまな可能性から検証し制度改正の議論に資していく必要性から、その意図は大いに評価できるといたしております。

 その一方で、今回その8通りの結果が並列的に扱われているということで、厚年法の34条第2項に規定するマクロ経済スライド調整の終了年度をいつとするかの判断ができないのではないかという懸念が指摘されたわけでございます。厚労省からは、こういった幅の中で総合的に停止を考えていくということであろうと報告されてございます。しかしながら、マクロ経済スライド調整の終了年度を定めることは財政検証の最も重要な目的の一つであるので、どのようにこの目的を果たすのかという課題があると思われるとしております。

 また、この問題を解決するために、過去の財政検証のような基本となるケースを設定する方法のほかに、当部会がかねてより提言している確率的将来見通しといった方法により確率的に最も起こり得るケースを設定することも考えられるが、いずれにせよ、今回の幅広い結果を示したことの意図を生かしつつ、財政検証の目的を確実に果たしていけるように、結果の示し方につきさらなる発展、改善の検討を望みたいとしております。

 その下が「複数の推計結果の相対的な関係の妥当性に関する分析」でございます。93ページに少し書かせていただいていますが、公的年金においては、名目運用利回りではなく実質的な運用利回りが重要であることは、これらのケースによりある程度理解はできたとしております。一方で、経済前提と所得代替率等の結果との関係が複雑になって、わかりにくくなっていると思われるということで、幅広い経済前提を設定し、幅広く示すという基本的な考え方とわかりやすさとを、どのように両立させるかについては工夫が必要と考えられるとしております。

 (3)は割愛させていただいて、(4)の「平成21年財政検証からの変化の分析」は、次の(5)の「被用者年金一元化の影響についての分析」とあわせて説明させていただきますけれども、21年財政検証から幾つか制度改正が行われたということで、今回の26年財政検証では、それらの制度改正が所与のものとして織り込まれて計算されたということでございます。

 これらの影響については、今回の財政検証あるいは当部会のヒアリングでは特に示されなかったわけですけれども、特に一元化の分析については、後の第8章で独自に少し検証を行わせていただきました。

95ページ「財政検証・財政再計算結果の情報公開について」につきましては、96ページに少しコメントさせていただいておりますけれども、各制度とも各種資料がホームページに公開されたり、パンフレットが作成、配付されたりしております。しかしながら、一方で、一般被保険者に必ずしもこれらの理解が十分進んでいないのではないかとも思われることから、各制度においては、情報公開の方法等については、さらに引き続き検討、努力していただきたいとしています。

97ページ、第6章は「前回財政検証・財政再計算との比較」ということで、前回の特に基本ケースと比較してございます。被保険者数、標準報酬、保険料、受給者数、給付費、こういったものについて比較、分析しております。

 詳しい御説明は割愛させていただきますけれども、例えば99ページの図表6-1-3をご覧いただきますと、前回を100とした場合の指数で被保険者数の見通しをお示ししてございますが、旧厚年というのは共済を除いた厚年ということです。労働市場への参加が進むケースの場合には、前回よりも被保険者数が多くなっている。逆に、労働市場への参加が進まないケースにつきましては、少なくなっている。その下の国民年金においては、国民年金1号については厚生年金と逆の動きがあるということが見て取れるということでございます。それから、標準報酬で見ますと102ページ、図表6-2-2でございますけれども、各制度、ご覧のように、前回の見通しに比べると経済前提のケースごとにそのような発散する状況が見られております。

 以上が資料1-1でございます。

 続きまして、資料1-2でございます。第7章からでございます。

113ページが第7章「公的年金制度の安定性の分析・検証」でございまして、第7章につきましては、かなりページ数を割いてございます。

 まず「公的年金制度の安定性の評価の観点」ということでまとめさせていただいていますけれども、これまでは「給付水準が急激に引き下げられるおそれや、老後の基本的部分を支えられなくなるおそれのないこと」を安定性の観点とさせていただいていたわけですが、一つは、16年改正財政フレームが定着してきたこと。それから、被用者年金制度が一元化されたということで、安定性の観点を見直してございます。

 3つ目の段落でございますけれども、「持続可能性と給付の十分性が、将来にわたり、ともに保たれている状況にあること」と定義いたしました。その上で、特に以下について着目をいたしました。一つは、実施機関というのは一元化後の厚生年金における旧厚生年金とか各共済年金のことでございますが、実施機関ごとに将来にわたり積立金が枯渇することなく給付を確実に行えること。それから、被用者年金の安定性については、基礎年金の給付水準を決定する国民年金の安定性があわせて確保されているということでございます。

 次のページに参ります。114ページ「厚生年金及び国民年金の安定性の分析・検証」でございます。

 まず「給付水準による安定性の分析・検証」につきましては、厚生年金の標準的な年金の所得代替率を用いて検証することといたしました。幾つかのケースを取り上げているわけですけれども、特にケースF、G、Hにつきましては、所得代替率が50%を下回るケースでございますけれども、ここでは財政のバランスがとれるまで機械的に給付水準を続けた場合の見通しを取り上げてございます。

 少しページが飛びまして、121ページからご覧ください。この後、図表が幾つかありまして、厚生年金の所得代替率について、足下の2014年度の所得代替率を100とした場合の指数で、厚生年金全体、基礎年金部分、報酬比例部分を分けたものをお示ししているわけですけれども、121ページ中ごろから、図表7-2-9をご覧いただきますと、基礎年金部分について2014年度の所得代替率を100とした場合の指数、こちらがケースA~Eについては30%程度の給付水準調整が必要となっている。一方で、ケースFでは40%弱、ケースGでは45%程度の給付水準調整が必要ということです。

 一方で、報酬比例部分については、ケースA~Eについては5%程度の給付水準調整で済む。それから、ケースFでは10%強、ケースGでも15%程度の給付水準調整が必要ということで、基礎年金部分の給付水準調整の見通しと比べますと、報酬比例部分については必要となる調整が少なくなっていることが確認できるとしています。

 さらに、今のが基礎年金部分と報酬比例部分とを比較したものでございますけれども、過去の財政検証と比較しているのが124ページでございます。基礎年金部分では、調整終了年度が21年財政検証と比べますと、これは3ケースで述べておりますけれども、ケースC、Eで5年程度、Gで20年近く遅くなるということで、16年財政再計算と比べますと20年以上遅くなる見通しとなっているということです。調整率につきましても、ケースC、Eにつきましては0.7%ポイント程度、ケースGで6.6%ポイント程度低下するとなっております。

 一方、報酬比例部分につきましては、ケースCでは調整終了年度が早くなるといったこと。所得代替率も、ケースCでは1.6%ポイント、ケースEでは1.2%ポイント上昇するという見通しとなっています。

 このように、基礎年金部分では、財政検証を行うたびに給付水準調整終了年度が遅くなっていき、給付水準も低下していくということで、少なくとも国民年金における給付水準の安定性としては厚生年金に比べますと低くなっていると言えるとしております。

128ページ、(2)の「各財政指標による安定性の分析・検証」でございます。当部会では、いろいろ財政指標を使ってこれまでも分析しておりましたけれども、ここで財政指標の分析を行っております。今回は一元化が前提なので、厚生年金、国民年金のみをお示ししております。

 まず、年金扶養比率。老齢受給者に対します現役の人数の比率という定義でございますけれども、厚生年金、基礎年金、いずれも将来的には1.1程度で横ばいになっていく。1.1人で1人の受給者を支えるという見通しになっているということでございます。この辺につきましては、21年財政検証とおおむね同数字ということでございます。

132ページが総合費用率ということで、総合費用率は保険料で賄うべき費用、国庫・公経済負担のような特別な財源がない部分です。こちらの賦課保険料換算率ということでございます。ちなみに、総合費用率は、保険料率なので厚生年金しかありません。国民年金はございません。

 厚生年金の総合費用率の見通しを図表7-2-24、あるいは7-2-25に示してございますけれども、一旦下がった後で上がっていくという見通しになっております。過去の財政検証・再計算と傾向が違うのは、ピークがない。過去の財政検証ではピークがあったのですけれども、今回はそういったピークが余り見受けられないような見通しになっております。

134ページが独自給付費用率、1階部分を除いた費用率ということでございますけれども、傾向は、ただいまの総合費用率と余り変わりません。

136ページが収支比率でございます。こちらは国年もお示ししてございますけれども、図表で言いますと7-2-28、7-2-29でございますが、将来的には100%を超えて推移するというような状況でございます。

 国民年金につきましても、図表で言いますと7-2-30、7-2-31でございますが、こちらも将来的には、3ケースで言いますとケースGを除くと100%を超える。ケースGは100%を少し下回るような状況で推移するということでございます。

140ページからが「積立水準」でございます。積立水準については、保険料率の上昇とか給付水準の低下が抑えられるための非常に重要なファクターでございます。

 まず、積立金の将来見通し。こちらは実額で示したものです。実額といいましても、平成26年度価格に直してございますけれども、最初に増加した後、有限均衡期間の最終年度に向かって段々と低下していくような状況です。

143ページが積立度合。こちらは将来的には積立度合1に向かって推移していく。

 積立比率も、積立度合の低下に伴って低下していくという状況でございます。

 積立度合、積立比率の定義につきましては、参考資料に用語解説等もございますので、後で確認いただければと思います。

148ページ、積立度合、積立比率の見通しの前回財政検証結果、前々回財政再計算結果との比較ということでございます。中ごろに有限均衡方式の導入経緯を書いてございますけれども、148ページの下から2つ目の段落からですが、永久均衡方式から有限均衡方式に平成16年に変わったことにつきましては、16年の当部会の財政検証報告において「年金数理的な観点からは、今後5年ごとに有限均衡方式で将来見通しの作成や財政再計算が行われていくとすると、給付水準や最終保険料率が見直されて今回」、今回というのは平成16年次でございますけれども、「計算した永久均衡方式での数値に近づき、最終的には今回の永久均衡方式のもとでの結果よりも低い給付水準や高い最終保険料率になることが考えられる」という懸念が16年のときに表明されていたところでございます。

 実際に今回の財政検証では、前回から後ろの5年間を追加しまして、財政均衡期間としているわけでございますけれども、5年間ずつ追加されていくということでございます。平成16年の財政再計算のときの最終年度である2100年度に着目して厚生年金の積立度合を見ますと、16年財政再計算では当然積立度合1だったものが、21年財政検証では1.8、今回の財政検証ではケースごとで2.02.5と見通されるということで、国民年金につきましても、そのような傾向が起きる状況です。

149ページの一番下の段落でございますけれども、概して、財政検証を行うたびに積立水準を積み増さなければならなくなっているということで、財政均衡期間対象外であったそれ以降の期間の収支見通しが、適宜財政検証に5年間ずつ組み込まれるということで、仮に同じ仮定とした場合には、この期間から最終保険料率で賄えない部分の不足費用が発生するということから、積立金の積み増しが必要になってくるということでございます。このような有限均衡方式の特質については、正確に国民に周知されるべきであるとしております。

161ページに参ります。「総合費用率と保険料率の関係」ということで、次の「年金の財源と給付の内訳」が167ページ以降にあるのですけれども、163ページからの図表、それから、例えば168ページからのバランスシートをあらわした図表、こういったものは年金制度の財政構造を理解する上で非常に役立つ、わかりやすいということでございます。例えば163ページで言いますと、将来の保険料率が水色の部分でございますけれども、それを上回る部分、これは総合費用率でございまして、実際にはこれだけの費用が必要だということですが、積立金の運用収入、あるいは元本の取り崩しによって賄われていく様子がよくわかる図表になっているということです。詳しい説明は割愛させていただきます。

173ページが「人口の前提を変更した場合の影響」ということで、179ページは、さらに便宜上、基本ケースを設けまして、前提を変えた場合の影響等を分析してございます。時間の関係上、詳しい御説明は割愛させていただきます。

187ページ「厚生年金における実施機関ごとの安定性」ということで、今回の安定性の着目点の一つとして、各実施機関の財政が立ち行くかといったことを確認するということにいたしたわけでございます。

187ページの2つ目の段落で「なお」と書かせていただいていますけれども、国共済、地共済につきましては、平成16年に財政単位が一元化されまして、一つの財政となっておりますけれども、今回の被用者年金一元化においては、それぞれが厚生年金の実施機関と位置づけられておりますので、それぞれの財政収支についても求められるであろうということで早急に作成されて、広くこれらが公表されることが望まれるといたしております。

187ページから、積立度合について見ております。

 また、190ページからは積立比率についても見ております。国共済+地共済の積立度合ないし積立比率がほかの制度より若干低目に推移するということですけれども、190ページの下の段落にも書かせていただきましたが、旧厚生年金、国共済・地共済、私学共済とも、財政均衡期間中に積立金は枯渇しないということが確認できております。

 以上が7章です。

193ページ、第8章は「被用者年金一元化の影響の検証」ということで、先ほど、被用者年金一元化の影響の定量的な分析は財政検証の中で示されなかったと申し上げましたけれども、当部会で独自に検証してみたものでございます。

 第1節は前置きでして、第2節は、一元化モデルといったものが今回、所得代替率の表示上用いられているということで、これまでの共済年金の被保険者も含めた一元化後の厚生年金男子の平均賃金を用いたモデルで一義的に示されている一方で、参考として旧モデル、要するに共済グループを含めない形での被保険者の人たちです。こちらの所得代替率についても示されているということですけれども、これらはあくまでも一元化については行った前提でのモデルということでございまして、そもそも一元化の影響自体どうだったのかということを示しているわけではないということでございます。

195ページ、第3節が「厚生年金拠出金及び厚生年金交付金」とございますけれども、これについて若干あらかじめご覧になっていただきますと、厚生年金拠出金・交付金というのは被用者年金一元化に伴って導入された仕組みでございまして、1・2階部分の積立金や標準報酬などの負担能力に応じて拠出金を納付する。一方で、各実施機関が行う厚生年金の保険給付に要する費用等については交付金を受け取るという仕組みでございます。

 見通しを示したのが、次のページの図表8-3-1でございますけれども、これは拠出金引く交付金となっております。ですから、マイナスは実質的な受け取り、プラスが実質的に出す側ということでございまして、これだけ見ても、旧厚生年金グループとしては、どちらかというと将来的に受け取りが多くなっているということが見て取れるわけで、一元化によってある程度財政的には恩恵を受けているということが見て取れるわけですけれども、さらに197ページ、第4節の「被用者年金一元化の厚生年金の財政への影響」ということで、公表されている資料をもとに、旧厚生年金の財政見通しがどうであったかと、一元化によってどういう財政的な影響を受けていたのかという分析を試みたということでございます。ここではケースEで示していますけれども、実際には全ケースやってみまして、一元化後に導入された厚生年金交付金、拠出金を控除するとして、収支も運用収入を計算し直す等して推計を行ったわけでございます。ただ、一元化前にあった国共済連合会等拠出金等につきましては再現できなかったので、そこは御容赦いただければということなのですけれども、影響としては、大勢には影響ないだろうということでございます。

199ページに各ケースの旧厚生年金の積立金が枯渇する年度を示していますけれども、いずれにしましても、一元化がなかったとしたら積立金は枯渇していたということが確認できたということでございます。

 そういうことで、結果として、被用者年金一元化によりまして厚生年金の財政は一定程度好転したことが推測されるということでございますが、あくまでも今回の試算につきましては、今回の財政検証の前提に基づいているということで、例えば共済年金の被保険者数の将来見通しが変わる等して、前提が変われば違った結果になる可能性があるということは断っておきたいと思います。

200ページからが第9章「前回の検証(ピアレビュー)で指摘した要留意・検討項目の反映状況の検証」ということでございます。

 前回の指摘事項につきましては、大きく4つあったわけですけれども、一つは、第2節にあります「国民年金の財政の詳細な分析」でございます。何が言われていたかといいますと、一つは、基礎年金の調整期間が延長されているということが言われていました。もう一つは、枠に囲まれている文章の下から4行目なのですけれども、「また」ということで、国民年金の保険料納付率の見込みです。こちらにつきまして、前回は8割という一定の水準で見込んでいたということでしたけれども、最近の実績、最近というのはこの21年検証の報告を出したときの最近ですけれども、6割程度と低く、見込みと最近の実績との間で乖離が見られているということで、より詳細に分析していくことが必要と指摘していたところでございます。

 これについて、基礎年金の調整期間が延びてきているということは、先ほど7章で触れたとおりでございますので、割愛させていただきます。

 国民年金保険料の納付率につきましては、201ページの中ごろに書いてございますけれども、今回の財政検証におきましては、今後の納付率の取り組み強化を織り込んだ場合とともに、現状のまま推移した場合についても見通しが示されたということでございます。なおかつ、201ページの下のほうの文章になりますけれども、それらの影響はわずかなものと見込まれたということでございます。いずれにしましても、一番最後の段落ですけれども、前回の検証で指摘した事項の対応がなされたものと評価できるといたしております。

204ページ、第3節に「共済年金における被保険者数の見通し」というものがございます。何が示されていたかといいますと、例えば私学共済については、被保険者数が学齢対象人口の減少に連動して減少する見込みと当時なっていましたけれども、その後の実績は逆に増加を示しているということで、実績と乖離があるということ。それから、国共済、地共済については、一定数を必要とされる職種の存在も考えると、前回の仮定よりも被保険者数が多くなる可能性についても考慮するようにということで、多くなる前提に基づいた試算も示していく必要があると提言されたわけでございます。

 これについて、国共済、地共済については、これまでの生産年齢人口比に基づく推計から総人口比に基づく推計に変わったということで、前回の財政計算よりも一定程度被保険者数の増加といいますか、減少する程度を抑える見通しとなっている。それから、私学共済についても、足下の被保険者数は当分の間は増加を見込むというふうに改善がなされたということで、前回の検証で指摘した事項の対応がなされたものと評価できるとしております。その上で、前回の検証の指摘を踏まえて、今後複数の試算を行うための検討が開始されることが望まれるともしております。

 同じく205ページの第4節「経済変動の影響の計測」ですけれども、これまでの財政検証では、経済前提というのは一定数でずっと将来にわたって適用されるという推計の仕方がされたわけですが、実際の経済においては、ある程度変動が起きるだろうと。そうしますと、場合によっては見込みどおりマクロ経済スライド調整ができないケースが出てくる局面もあるだろうということで、景気の変動によりましてマクロ経済スライドが働かない時期の存在も考慮した財政検証・再計算を行っていく必要があるというふうに前回、指摘していたわけでございます。

 今回の財政検証では、オプション試算におきまして「経済の変動を仮定した場合の影響」が示されておりまして、具体的には、4年周期の変化を繰り返し、変動幅をプラス・マイナス1.2%と設定した見通しが示されております。

207ページの一番下の段落になりますが、このように賃金上昇率及び物価上昇率の前提について変動がある場合の結果が示されたことから、前回の検証で指摘した事項の対応がなされたものと評価できるといたしております。

 4つ目の指摘ですけれども、210ページ、第5節の「確率的将来見通し」でございます。確率的将来見通しの提言については、以前から当部会で行ってきたわけでございます。前提の変更については、それぞれを別個に変えてみるだけでなく、全体が動いたときの財政の動きを見る必要がある。この一つの方法として、確率的将来見通しを作成することが考えられる。一方で、さまざまな解決すべき問題もあるということも言ってきたわけでございます。しかしながら、ある程度の割り切りをした上でも、この確率的将来見通しを作成していくことは、年金制度の安定性をより詳細に検討するために不可欠なものとなっていくと考えられる。また、マクロ経済スライドが働かない状況を考慮に入れた財政見通しを作成する上でも有効な手法となり得ることから、今後の検討が望まれると指摘をしてきたわけでございまして、今回も確率的将来見通しは作成されなかったわけですけれども、まずはある程度の割り切りを大前提に、確率的将来見通しの作成の検討が今後も望まれるといたしております。

 最後に、第10章「平成26年財政検証・財政再計算の評価及び今後の財政検証への提言」でございます。

 まず、第1節として「平成26年財政検証・財政再計算の評価」でございます。(1)として「被用者年金一元化」につきましては、御承知のように、昨年、平成2710月に実現を見たということで、これにより被用者年金制度間の安定性は格段に強まり、制度間の公平性は一部経過措置を除き完全に図られた。このたび被用者年金一元化に至ったことは大いに評価されるべきものであるといたしております。

 (2)「財政検証・財政検証結果に係る評価」でございます。まず、財政見通しでございますが、2つ目の段落をご覧いただきたいと思います。出生中位、死亡中位のケースで労働市場への参加が進むケースに対応するケースA~Eでは所得代替率50%以上を確保できるけれども、労働市場への参加が進まないケースに対応するケースF~Hでは維持できないということが示された。また、出生高位の場合でも、やはりF~Hでは50%を下回る。それから、出生低位では全てのケースで50%を下回る見込みということで、このことは、少子化対応政策あるいは労働政策がいかに重要かを示している。これらに対する有効な施策が将来にわたり確実に実施されていくことが望まれるとしております。

 それから、8つのケースが並列的に扱われたということにつきましては、5章でも触れられているところでございます。

 推計結果の分析及び結果の示し方でございます。今回、一元化を初めとする前回財政検証からの制度改正については、所与の前提として織り込んで計算が行われたということでございます。一方で、これらの影響については、財政検証では示されなかったということでございまして、これらの財政影響については、前回財政検証結果からの財政的変化の分析の中で分析し、示されるべきであるとしております。

 次の段落の厚生年金の財政収支の見通しの中で、基礎年金交付金が収入、支出双方から相殺控除されて、項目として省略されているということですけれども、2章でも述べたとおり、全ての収入、支出項目が明らかになるように明示される必要があるといたしております。

 次の段落の情報公開についても、5章で触れたとおりでございまして、わかりやすくする工夫等につき、引き続き検討、努力されるよう望みたいといたしております。

 (3)「推計方法に係る評価」でございます。まず、基礎数・基礎率全般とさせていただいておりますが、こちらについては格段に整合性が一元化で高まったということ。一方で、一部推計方法等で手法の違いが認められるということで、標準的な手法を設定して用いるべきとしております。この辺は第4章で述べたとおりでございます。

214ページの経済前提の設定でございます。長期的な前提といたしましては、前回、前々回に引き続きまして、コブ・ダグラス型生産関数が用いられることになったと。これについては、ほかのモデルも検討されたと。それから、先ほど申したような改善点もあったということで、このように合理的で整合性のとれた経済前提を設定するため用いる経済モデルを再検討し、よりよくしていく努力に対しては大いに評価すべきであるといたしております。

 なお、例えば、人口動態と経済との関連性とか、過去の実績値を用いる場合の恣意性をいかに排除するか、あるいは積立金運用における昨今のボラティリティの高まりを考慮した運用利回りの設定、マクロ経済スライドの有効性に特に重要な影響のある賃金上昇率、物価上昇率の設定方法等、さらに研究されるべき課題があると思われる。いずれにせよ、我が国の公的年金制度の財政検証における経済前提の設定方法については、引き続き研究、検討がなされ、さらによりよいものとなっていくことが望まれるといたしております。

 国民年金の保険料納付率でございますが、これは先ほど9章で御説明したとおりでございます。

 次のページの共済年金の被保険者数の見通し。これも9章で御説明したとおりでございます。当部会の指摘の趣旨を踏まえて、複数の可能性を想定した対応について検討されることを望みたいといたしております。

 次の(4)が「実施体制、年金制度間の連携」でございます。実施体制については、第2章で触れたとおりでございます。

 それから、次の段落が連携でございます。連携も4章で触れたとおりでございますけれども、特に大きな問題もなく、つつがなく作業が実施されたことは評価したい。今後は、さらに制度間の連携を強め、特に、推計方法の標準化すべき事項につきさらなる改善がなされることを望みたいといたしております。

 (5)が「給付水準調整期間にみる制度の安定性」でございます。厚生年金の給付水準調整期間に比べまして、基礎年金部分は長期化したということで、7章で述べたとおりでございます。国民年金に対する今後の適切な対応が強く望まれるといたしております。

 (6)の「有限均衡方式」、こちらも7章で触れたとおりでございまして、有限均衡方式の特性については、正確に国民に周知されるべきであるといたしております。

 (7)の「オプション試算」ですけれども、本報告書では余り詳しく取り上げなかったということでございますが、こういったさまざまなオプション試算が示されることは、制度のより深い理解とともに、今後の制度改正の必要性の議論に大いに役立つものであり、評価したいとしております。

 (8)の「国共済、地共済ごとの財政見通し」は、7章で触れたとおり、若干ここでは過去の経緯的なものを補足して説明してございますけれども、同趣旨でございます。

217ページの第2節が「今後の財政検証への提言」ということで、ここは読ませていただきます。

(1)財政検証の確実な実施

 今後の公的年金の財政検証においては、前節における今回財政検証に係る当部会の評価及び指摘事項を踏まえつつ、その意義や目的が確実に果たされるよう実施されたい。

(2)年金財政の変動要因分析

 厚生年金及び国民年金の財政検証により示される将来の所得代替率や給付水準調整期間が、前回財政検証結果からいかに変動したかについては、その要因分析ができるだけ詳細に示されるべきである。

 一般的に、年金財政の変動要因は、主に足下の基礎数の乖離及び前提となる基礎率の乖離であるが、我が国の公的年金においては、さらに、制度改正の影響や、有限均衡方式等財政フレームに起因する変動も考え得る。いずれにせよ、財政見通しが過去の見通しからある程度変動していくことは避けられないことから、その要因について適切に示されることを望みたい。

(3)確率的将来見通し

 確率的将来見通しについては、年金財政の安定性をより詳細にみるための有効な手段として、これまでの当部会の報告書でも提言してきたところである。これは、各基礎率が一定の確率分布に基づくと考えて、将来の財政の有り得る可能性(確率)を示す手法である。ただし、これには、対象基礎率の選定、基礎率の分布の設定、基礎率間の整合性、必要なシミュレーションの回数、結果の表現方法等様々な課題があり、実施に当たってはある程度の割り切りが必要であることも同時に述べてきたところである。

 当部会では、今回も引き続き確率的将来見通しの検討の必要性につき提言したい。特に、今回のように複数の経済前提に基づく結果が並列的に扱われていると、給付水準調整終了年度を決定するという財政検証本来の目的が果たせなくなることが懸念されることから、確率的将来見通しはこれに対する対応策の一つとなり得ると考える。

(4)分布推計

 近年、低年金者の問題が取り上げられる機会が多くなっている。また、マクロ経済スライドの導入後、将来世代の受け取る年金額にも関心が集まるようになっている。したがって、財政検証における将来見通しにおいて、本来の財政検証の目的とは別に、性別、世代別、年金額階級別の分布推計がとれるようになることが望ましい、との見方がある。

 勿論、現行の財政検証のように、主に抽出データを用いて世代別、被保険者期間別に平均標準報酬等の基礎統計を作成しこれを基礎数としてシミュレーションする方法では、分布推計には対応できず、これに対応するには推計方法、データ及びシステムの大転換が必要となり容易ではない。また、果たして100年後の分布推計まで必要か、といったこともある。しかし、財政検証システムで対応すべきかどうかは別にしても、このような将来推計への要請については、一考を要すると考える。なお、この場合の基礎率の設定においては、年金額階級別失権率や標準報酬指数カーブのフラット化を組み込む要否を含め現行財政検証よりきめ細かく設定する必要性が生じる場合があることに配慮する必要がある。

といたしております。

 あとは「おわりに」ということで、説明は割愛させていただきます。

 それから、資料1-3は「付属資料」ということで、参考資料、本編に載せられなかったもう少し詳しい結果とか関係法令、一元化の過去の閣議決定等を載せております。それから、用語解説について載せております。

 資料2は要旨でございまして、ただいま御説明してきた内容のポイントをピックアップしたものですので、説明は割愛させていただきます。

 以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。お疲れさまでした。

 委員の皆様から御意見、感想でも結構ですが、ありましたらどうぞ。

○佐々木委員 報告書については、指摘事項につきまして既に修正いただきまして、特に意見はありません。事務局、関係者の御尽力に感謝申します。ありがとうございます。

 ここで報告書を検討する中で若干総括的な事項を少し述べさせていただきたいと思うのですが、いろいろな観点があるのですが、まず第一に人口です。これは近代国家としてスタートした明治の初めが約3,000万人強ですから、今の1億2,000万人で約4倍になったわけですけれども、今回のあくまで見通しどおりということですが、100年後に約4,000万、3分の1の水準になる。おそらくこの出生率を繰り返しますと、150年後には3,000万を切る水準になると思います。ですから、ちょうど我々は富士山の頂上付近にいて、今まではずっと登りだったのですけれども、これから下りの方向に入っていくのではないかということで、これは今、御説明いただいた年金制度だけではなくて、社会的な仕組みとか経済の仕組みが大きく変わる時代に入ったなというのが第1点です。

 2点目ですが、賃金です。過去の資料を見ますと、1997年、約20年前をピークにしてずっと下落傾向にあるわけです。年齢別に見れば、やはりフラット化が進行している。16年、21年、26年と継続的にですね。前回の21年報告でも、デフレの影響で賃金上昇率が高目に設定されているのではないか、そういう懸念があることを指摘しているわけです。ですから、これは構造的に国内だけではなくて、デフレの影響、賃金水準の低いアジア等も含め、同一の仕事で同一の賃金になるという圧力が大きく働いているのではないかと思っています。

 例えて言いますと、水位が違う容器をグローバル化で仕切りを取り外しますと、水面が同じになるわけですけれども、現に中国を初めアジアでは賃金の上昇率が2桁になって、日本は上がりませんから、賃金の差が徐々に縮小しているわけです。

 この足下5年間の賃金上昇率、実質ベースで見ても、前回の推計が7.1%、年率1.4%ぐらいですね。今回の足下を見ますと1.1%しかない。大幅に下方修正しているわけです。ほぼゼロですね。こうしたことから見ますと、少なくとも前回の中位推計以上の賃金上昇の可能性は、私は低いのではないかと考えています。実質賃金上昇率が2%ということですと、今世紀半ばには年収400万が800万ぐらいになるわけですね。豊かさが2倍になるというのは非常に好ましいのですが、現在のアジアとか諸国の情勢から見ても、非常に想定しにくいのではないかと。今、政府が経済界に賃上げの要請をしていますし、そういうことが実現して、よい意味でこういうことが裏切られれば、これにこしたことはないのですが、非常に厳しいことかなと。大きくは人口と賃金ということで2つ感想を持っています。

 これらのことに加え、今回、明示的にはなっていませんが、国家財政では非常にみんなが心配しているGDPの2倍以上の負債があるということです。大きく考えると、これまでの100年は登りの道だったのですけれども、その程度はいろいろあるかと思いますが、これからの100年は下りですから、これまでは、問題がありましても自然に解消されたとか薄まったということはあると思うのですが、これからは隠れていた問題が浮かび上がったり、あるいは深刻化するのではないかと、こういう可能性が高いのではないかと思っています。

 例えば、先ほど御説明があった財政運営で非常に重要な財政方式です。現在採用されているのが100年間の有限均衡方式で、この有限均衡方式の特質とか問題ということについては、本文でも指摘されています。これについては、もっと正しく国民に周知されるべきということで書いているわけです。

 国民に周知するということですから、プライベートで申しわけないのですが、試しに私の妻にこの内容を説明したわけです。私の妻は、結婚後、専業主婦になって、今は新聞を読んだり、テレビのニュースを見たり、解説を見たりする程度ですから、平均的な国民の一人と考えていいと思いますけれども、そういうことで概略を説明したのですが、説明後の第一声が、10年後のこともわからないのに100年後と言われてもねと。このごく率直な感想は別にしても、仮に100年間均衡するとしても、さらに期間が延びると、一層給付削減を行わないと財政運営にそごを来す。そういう可能性を持つこの有限均衡方式はどういうものなのか、どうもよくわからないというのが感想でした。

 先ほどの推計では、100年後に1人の年金受給者をほぼ1人の現役が支える。こういう見込みですから、積立金がなければ、あるいは取り崩しがなければ、年金給付の水準は大ざっぱに言って給与の18%と、あとは国庫負担しかないわけですから、それ以上給付すると不足金として処理しなければだめだということで、十分わからないまでも、財政運営が厳しいということは理解したと思います。

 今回、山崎部会長の御発案で、本検討報告はピアレビュー、専門家の評価、セカンドオピニオンということになるかと思うのですが、そういう位置づけが表題上からも明確になったというのは非常に大きな意義を持っていると思います。今、申し上げた、これまでと違う大変革の時代の中で、当部会がこうした期待に応えて、その役割を的確に遂行していきたいと考えています。

 少し長くなりましたが、以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 では、野上委員。

○野上委員 どうも御苦労さまでございました。私のほうも、報告書に関しては特に異議はございません。了承したいと思います。

 今回、自分で言うのもなんですけれども、1年間、ピアレビューの中でかなり主体的に取り組ませていただいたのではないかと思っておりまして、それのまとめの発表みたいな位置づけで発言させていただきたいと思っております。先ほど10章のほうで全文読んでいただきまして、特に経済前提、あるいはそれを生かしたシミュレーション、そして最後の年金分布というところら辺は、かなり取り組ませていただいたところでございますので、私自身の問題意識、どういう問題意識でこの1年間取り組んだというようなことをお話ししたいと思います。

 まず1番目に、今回の財政検証を拝見してまず思ったのですけれども、57ページの表でございますが、全要素生産性が、一番下が0.5%、一番上が1.8%と、上下を比べても1.3しか違わない。1.3というと大きな話なのでございますが、ただ、毎年このぐらいの振れはあるわけで、わずかこれだけの差で、結果としては、120ページの一番下の表にございますが、給付水準の調整終了年度、一番早い年で2017年、積立金があるケースGで2031年、ケースHに至っては途中で積立金がなくなってしまうという非常に大きな差が出た。何でこういう差が出たのかというのが、まず1番目の疑問でございました。

 それでいきますと、要は安定性といったときに、こういう構造があると一般的には安定性がないという評価でございまして、何が原因でこういう安定性がない構造になっているのかというのが第1の疑問でございました。

 さらに加えて、今後100年間で何が起こるかわからないという話はあるのですが、どういう変化が起こり得るかということで、48ページ、標準報酬指数のグラフでございます。一般的に年功序列賃金がなくなる、いわゆる定期昇給がなくなっていく中で、フラット化が進んでいくということです。48ページは男性、厚生年金の表を見ているのですけれども、過去2回の財政検証と比べてもフラット化というのは読み取れます。女性とか高齢者が参加してくるという前提で見ますと、女性のほうは完全にフラット化しております。ですから、これは同じ国の中で男女同権ということで、おそらくフラット化の流れはとまらないのではないか。高齢者が労働参加してきますと、さらにフラット化が進んでいく可能性があるということだと思います。この辺のインパクトが一つ。

 もう一つは失権率、一般的に死亡率です。これは今後、例えば我々民間の者がシミュレーションするときは、がんが治るようになったらどうなるのだろうかということをよくやるわけです。翻ってみると、先進医療というのは、やはり高額所得者、お金がある人しかなかなか受けられないというのが先進国の状況でございまして、日本は幸い今そういう状況になっていないのですけれども、そうなってくると、やはり失権率、死亡率のシミュレーションに関しても、今までは制度間ごとにやっておられましたが、年金給付金別、階層別にやっていくというのは、今後、多分必要になってくるということです。加えて、運用利回りのほうでポートフォリオの見直しがされまして、要は外債とか、株とか、そういうボラティリティの高いポートフォリオに変わってございます。

66ページのグラフを見ても明らかなように、実績の率は目がくらむぐらい非常に上がったり下がったりしておりまして、平均をとるとそれぞれ幸いプラスになっているわけでございますが、今後100年間、これが100回繰り返されるというのは、安定性を考える上では非常に重要な視点ではないか。要は、勝ったり負けたりだといいのですけれども、3年ぐらい負け続けるとどうなるのかとか、そういうことはついつい考えてしまうわけです。翻って、こういういろいろなショックに対して、今の年金制度でどういう安定機構を持っているかといいますと、ビルト・イン・スタビライザーというのかもしれませんが、一つはやはりマクロ経済スライドです。毎年の年金を1~2%ぐらいまで減らしていくということだと思うのですけれども、そういうマクロ経済スライドの機構を持っている。

 もう一つは、余りこれは知られていないと思うのですが、年金受給者に関しては、基本的には物価上昇にリンクする。もう一つ、保険料のほうは当然賃金にリンクする。通常の経済状況ですと、賃金上昇率のほうが物価上昇率よりも高いので、その差を安定財源に使っているというのが今の年金制度だと思います。ほかにもいろいろな安定機構はあると思うのですが、主にこの2つではないかということです。ですから、財政検証でいったときに、こういう安定機構がどのぐらいワークしているかという視点が非常に大事で、そういうことで言いますと、まず、失権率の設定に関しては、10章にも書いていただきましたが、さらに精緻化し、特に金額別の失権率が必要ではないかと。

 あと、賃金上昇率と物価上昇率でございますが、物価上昇率に関しては、まず、政府が今、いわゆる金融緩和で2%のインフレターゲットということで、2%を達成できるのではないかという前提、あるいはそれより若干下の1.2%という前提で設定されておりますが、この辺はもう少し、もちろん経済政策がうまくいけばそれでいいのですけれども、うまくいかなかった場合のシミュレーションも必要ではないかと思います。

 賃金設定に関しては、60ページの表にございますように、資本分配率が2つケースをやられたのですけれども、先ほど佐々木委員が指摘されたように、今後、人口が減ってく中で、もしかしたら労働分配率が減っていくのではないか。あるいは資本分配率がふえていくのではないか。あるいは海外投資がふえていくのではないかということで、先ほど全要素生産性が1.8まで上がるという前提もございましたが、その前提は、資本を投入しないとなかなか経済成長しないというのも確かでございますので、これが例えば海外のほうに逃げていくというのも十分想定できるわけで、財政検証の前提としては保守的にといいますか、少なくとも労働分配率が人口3分の1になる中で一定というのは楽観過ぎるのではないかと思います。ですから、この辺は、やはり賃金上昇率という点でマクロ経済スライドにも大きくききますし、物価上昇率もさらにそうでございますが、次回の財政検証ではさらに改善の余地があるのではないかと思ってございます。

 そのような私自身のこの1年間の活動報告でございまして、これをもって了承したいと思います。どうもありがとうございました。

○山崎部会長 ありがとうございました。

 では、牛丸委員。

○牛丸委員 まず、この案に関しましては了承いたします。既にこれまでいろいろ意見を申し上げてきまして、それが反映されておりますので、今回提出された案に関しては了承いたします。

 最後に、感想とお願いということをお話しさせていただきます。

 まず、個人的なことですが、私もあと一月ちょっとで数理部会の委員の任期が終わりますので、最後にこのピアレビューの作成にかかわれたことは大変に喜ばしいことだったと感謝しております。事務局の方々は大変な御苦労だったと思いますが、立派なものができまして、心より感謝申し上げます。

 年金数理部会では毎年、公的年金財政収支報告、それから、5年に1度の財政検証・財政再計算に対するピアレビューを行ってきて、これが26年版ということなのですが、毎年の公的年金財政収支報告の際にも申し上げていますが、せっかくこういうものをまとめ上げても、どれだけ世間で評価というか、役に立てていただいているのか、その辺は不明な点があるので、今回せっかくこれだけまとまりましたので、このピアレビューに関しても、発表の仕方を工夫していただきたいというお願いです。

 というのは、今回の財政検証・財政再計算に対してのピアレビューを行って、第5章で発表の示し方ということで、96ページの最後にこのように我々としては書きました。「各制度においては、情報公開の方向等につき、さらに検討、努力していただきたい」と。各機関にそういうことを言いながら、みずからが発表したものに対してどうなのかということがありますので、せっかくこういうものがまとまりましたので、事務局をはじめ、関係各位、どうぞこれを有効に使えるような形での発表を工夫していただきたいということを最後にお願い申し上げます。

 以上です。

○山崎部会長 宮武部会長代理はよろしゅうございますか。

○宮武部会長代理 何もありません。

○山崎部会長 私、感想というか、将来に向けて大きな含み資産を抱えているのではないかと最近思っております。この資料で国民年金の被保険者数の見通し、98ページですが、今世紀の半ばにかけて、労働市場への参加が進むケースと進まないケースとの差が多くて200万人くらいなのですね。労働市場への参加が進むケースとして200万人くらい被保険者がふえるという、そのことで所得代替率や基礎年金の水準にかなり大きな影響があるということなのですが、実は昨年末、国民年金被保険者実態調査が出まして、その参考推計が話題になっております。1号被保険者の中に厚生年金の適用漏れが大体200万人いるということなのです。これはパートへの適用拡大以前の問題で、まさに法令遵守をすれば被保険者が200人ふえるということでございますし、さらに、これは1号被保険者の中で厚生年金の適用対象が200万人ということなのですが、その被保険者に扶養されている1号被保険者が相当いますから、おそらく二百数十万人、1号被保険者が減り、2号被保険者なり3号被保険者がふえる。つまり、厚生年金が抱えるということになりますから、これは相当な財政効果ではないかと思っておりまして、次期財政検証までにはそういういい実績が得られるように適用拡大を進めていただきたいと思います。

 それが私の今時点で思っていることでございますが、ともかく今回の財政検証の取りまとめにつきましては、委員の皆様、これで異論ないということでございますので、これをもちまして本部会のピアレビューとさせていただきます。よろしいでしょうか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○山崎部会長 では、それを本部会の報告とさせていただきます。

 最後に、私のほうから一言御挨拶をさせていただきます。

 今回、私も社会保障審議会委員としてちょうど満10年ということで、したがって、数理部会長もきょうをもって終了ということになります。長い間、本当に御協力いただきまして、ありがとうございました。

 今回の財政検証の作業は、従来にも増して難しいものだったと思います。8通りの非常に幅広い経済前提を置いていただいた上で、しかも、被用者年金一元化という新しい局面もありましたから、各実施機関の連携協力が従来にも増して必要な中での検証でございました。それを受けて、我々の検証作業自体もいろいろ考えさせられる難しい検証だったと思いますが、委員の皆様の御協力をいただきまして、いいものができたと思います。

 今回の財政検証・財政再計算につきましては、前回の我々の指摘事項がおおむね反映されており、全体として、その意味では高く評価されるものだと思いますが、その一方で、なお今後に向けての改善事項も多々あるということが明らかになりました。ピアレビューでございまして、専門家であっても必ずしも妥当な判断をしているのかどうかわからないわけでございますが、お互いにこういった形で財政検証し合う中で、全体としての検証水準が上がっていけばいいかと思っております。

 今回の財政検証に当たりまして、厚労省年金局を初め、各省の数理担当者の方、また、共済組合の方には大変な御協力をいただきまして、ありがとうございました。旧社会保障制度審議会の中に年金数理部会ができたのは昭和55年でございますが、当時はなかなか各省からスムーズにデータもいただけないような状況があったようでございますが、今ではまるっきり違いまして、そういう意味では随分この間改善を見たのかなと思っております。また、当時は一元化というのが一つの大きな検討事項でございましたが、それも被用者年金一元化を今回達成できたわけでございまして、大きな一つの到達点を迎えているのかと思っております。

 また、今回、事務局は少人数の中で本当にお正月もなかったのではないかと思いますが、首席年金数理官をはじめ、精力的な作業に努めていただきました。どうもありがとうございました。

 これをもちまして私の御挨拶とさせていただきます。どうも長い間お世話になりました。

 

(拍手)

 

 それでは、よろしいでしょうか。

○下島首席年金数理官 今後の日程につきましては、調整して御連絡申し上げますので、どうぞよろしくお願いいたします。


(了)

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