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2015年12月24日 化学物質のリスク評価検討会の「第4回有害性評価小検討会」

○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日は、大変お忙しい中、御参集いただきましてまことにありがとうございます。

 定刻になりましたので、平成27年度第4回「有害性評価小検討会」を開催いたします。

 本日、委員につきましては、全員御出席でございます。

 それでは、座長の大前先生に以下の議事進行をお願いいたします。

○大前座長 お忙しい中、どうもありがとうございます。

 例のごとく、今回は一次評価値、二次評価値を決めるというのと、それから長期発がん性試験の対象物質をどうするのかということに関しましての議論でございます。

 まず最初に、事務局から資料の確認をよろしくお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 まず、表紙でございます。 表面が議事次第ということで、議事の内容につきましては、「平成27年度ばく露実態調査対象物質(初期評価)の評価値について(新規検討物質)」、と「長期発がん性試験対象物質の選定について」の2点が主な議題でございます。

 それでは、資料につきまして説明をさせていただきます。裏面が配付資料一覧となっております。

 まず資料1でございます。全てA3版の資料ということで、折り曲げて左上1点とじとさせていただいております。

 資料1−1、アクリル酸メチル、資料1−2、アジピン酸、資料1−3、アセトニトリル、資料1−4、アニリン、資料1−5、イプシロン−カプロラクタムでございます。

 次に、資料2−1〜2−3は縦長左上1点とじです。

 資料2−1が表裏の資料で2ページ、「平成28年度発がん性試験(吸入試験)候補物質(案)」でございます。

 その次の3〜8ページが資料2−2でございます。これらの物質の遺伝毒性試験の結果でございます。

 次に資料2−3が9ページからA4の1枚紙でございます。

 次に、資料3がA4の1枚紙で表のみの「今後の予定について」でございます。

  次に、参考資料関係でございます。

 参考資料1「リスク評価検討会(有害性評価小検討会)参集者名簿」の1枚紙でございます。

 次に、参考資料2「有害性評価書」で、これにつきましてはクリップで止めさせていただいております。

 参考資料2−1がアクリル酸メチルで、1〜22ページでございます。

 参考資料2−2がアジピン酸で、2334ページでございます。

 参考資料2−3がアセトニトリルで、3564ページでございます。

 参考資料2−4がアニリンで、6580ページでございます。

 最後に、参考資料2−5、イプシロン−カプロラクタムで、81〜最終102ページでございます。

 次に、参考資料3が縦長左上の1点とじです。これにつきましては、委員、事務局のみの机上配付で、許容濃度等に関する資料でございます。

 目次を見ていただきまして、1ページからがアクリル酸メチルに関する資料で、ACGIHに関するものが右下1〜8ページです。

 日本産業衛生学会に関するものが9〜12ページでございます。

 次に、アジピン酸のACGIHに関するものが1316ページでございます。

 アセトニトリルのACGIHに関するものが1722ページとなっております。

 アニリンのACGIHBEI)に関するものが2736ページでございます。

 アニリンの日本産業衛生学会に関するものが37ページからでございます。

 最後の物質、イプシロン−カプロラクタムのACGIHに関するものが39〜最後の44ページでございます。

 次に、参考資料4「国が行う化学物質等による労働者の健康障害防止に係るリスク評価実施要領」を左上1点とじにしております。

 次に、参考資料5でございます。内容は「リスク評価の手法(平成26年改訂版)」ということでございます。これも左上1点とじとさせていただいております。

 最後の参考資料6はA3版の1枚紙の資料でございます。「長期・中期発がん性試験対象物質の選定について」です。

 資料に過不足等がございましたら、事務局のほうまでお申しつけくださいますようお願いいたします。

○大前座長 ありがとうございました。

 いかがでございましょうか。過不足はございますでしょうか。

 特になければ、きょうの議事次第に従いまして、議事を進めたいと思います。

 まず議事次第の「(1)平成27年度ばく露実態調査対象物質(初期評価)の評価値について(新規検討物質)」ということで5物質ございます。順番に上から行きたいと思います。

 まず、アクリル酸メチルにつきまして、事務局から御説明をよろしくお願いします。

○角田化学物質評価室長 それでは、資料1−1という横長の表でございます。参考となる資料としましては、「有害性評価書」という参考資料2−1から始まる資料がございます。あわせて参考資料3、先ほどありましたACGIHが公表しているものでございますので机上配付ということにさせていただきますが、この3つで御説明したいと思います。

 まず、資料1−1のアクリル酸メチルでございます。表をごらんになっていただきますと、名称は「アクリル酸メチル」ということで、ごらんの別名がございます。CAS番号96-33-3で、構造式等はここに書かれているとおりでございます。

 性状としましては、外観は刺激臭のある無色の液体で、沸点は80.5℃、蒸気密度は3.0、融点は-76.5℃、比重は0.95、蒸気圧9.1kPaでございます。

 生産量等でございますけれども、製造量・輸入量が2012年で1万9,000トン、用途としましてはアクリル繊維、繊維加工、塗料、紙加工、接着剤、皮革加工、アクリルゴムなどに使われています。

 有害性のうち、まず発がん性でございます。発がん性は「判断できない」ということで整理をしております。根拠としましては、IARCがグループ3ということで「ヒトに対する発がん性は判断できない」とされております。

 それから、ACGIHも同様にA4となっております。

US EPAは、やはり同じようにグループDという評価でございます。

 いずれもラットを用いた吸入投与による発がん性試験の結果、投与に関連する腫瘍の発生はなかったということで、「判断できない」ということとしております。

 その右の重視すべき有害性でございます。これは発がん性以外のものでございますが、まず生殖毒性は「判断できない」としております。

 根拠でございますが、調査した範囲内では情報は少ない。吸入ばく露による胎児への軽度な影響が見られたとの報告がありますが、母体毒性の見られる濃度での影響であることから、生殖毒性ありとは判断できないという結論でございます。

 次に、神経毒性でございます。これも「判断できない」ということで、調査した範囲内では報告は得られていないということでございます。

 遺伝毒性でございます。これも「判断できない」ということでございますが、以下のとおり、陽性と陰性の結果が出ていることから、「判断できない」としております。

In vitro試験では、細菌を用いた復帰突然変異試験においては、代謝活性化系の有無にかかわらず陰性であった。哺乳類細胞を用いた遺伝子突然変異試験においては、マウスリンフォーマTK試験では代謝活性化系非存在下で陽性でしたが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いたHprt試験では陰性であった。マウスリンフォーマ細胞及びチャイニーズハムスター細胞を用いて染色体異常誘発性を検討した試験では、代謝活性化系非存在下で陽性であった。

In vivo試験では、マウスを用いた小核試験では2試験で陰性でしたが、腹腔内投与による試験では陽性であったということで、こうした両方の結果が出ているということで「判断できない」としております。

 左下に参りまして、その結果、遺伝毒性を踏まえて、閾値は「判断できない」という形にしておりまして、その下で、反復投与毒性に関するデータを整理しております。これは、米国の化学製品工場における8週間にわたるヒトのクロスオーバー試験において、濃度2ppm・最大ピーク濃度122ppmのばく露を8週間受けた場合、眼の刺激やピークフローの低下が起こりますが、これは有意ではなかったということで、これを踏まえて計算しますと、評価レベルは3ppmという形になります。

 許容濃度等でございますが、これはACGIHと日本産衛学会で、ともに2ppmという数字が出ております。

ACGIHですが、アクリル酸メチルは動物試験において、他のアクリル酸エステルに比し、経口、経皮及び吸入ばく露により強い急性毒性を示す。皮膚及び眼刺激性があり、動物試験で感作性が認められている。ラットの一生涯にわたる慢性吸入毒性試験の結果、無作用量は15ppmより低く、15ppmにおいて鼻粘膜の可逆的な刺激性変化や角膜の血管新生及び白濁が見られた。また、短期間のヒトのクロスオーバー試験が2〜5ppm以下のばく露濃度で実施されておりますが、高ばく露グループで眼の痛みを訴える作業者が増加し、過去に職業ばく露を受けていなかった作業者は気管支過敏性反応が増加した。これらの試験結果に基づきまして、急性及び慢性の角膜、皮膚、粘膜刺激の可能性を最小とするために、TWA濃度2ppmを提案するとなっております。

 発がん性については、ラットの試験結果からA4に分類されているところでございます。

 また、モルモットの試験において有意な経皮吸収が見られたことからSkinを、さらに、モルモットの試験及びヒトの試験において、感作性が懸念されることから、感作性に分類するとされております。

 以上がACGIHでございます。

 産衛学会でございますが、アクリル酸メチルの毒性として問題になるのは刺激性と感作性である。ACGIHによると、12h-TWA濃度2ppm・最大ピーク濃度122ppmのばく露濃度を8週間受けた場合ということで、先ほどの試験を引用しております。それからまた、Tucekによると、アクリル酸エステルのばく露が5mg/m3 以下である作業場では、健康影響は見られていない。

 以上、アクリル酸メチルによる健康影響は2ppmまでは見られていないと考えられることから、許容濃度として2ppmを提案するということです。また、皮膚への感作性が報告されていることから、皮膚感作性物質2群に分類するとされております。

 他の機関の許容濃度等につきましては、その下に書かれているとおりでございます。

 右下の評価値(案)でございます。

 まず、一次評価値でございます。リスクが十分に低いか否かの指標ということで、行政指導の参考として活用しているものでございます。これは一次評価値なしということでございますが、左下のヒトの試験によって導き出された評価レベルが3ppmで、これが二次評価値の10分の1以上のため、設定はしない案です。

 二次評価値ですが、これはACGIHか産衛学会の数値がある場合はそのいずれかをまず検討するということにルール上なっておりますので、このACGIHと産衛学会の数字が両方とも2ppmですので、この数値を二次評価値としたところです。

 この表の作成に使いましたのが、先ほど御紹介いたしました参考資料2−1の「有害性評価書」でございまして、国の委託事業を活用しまして取りまとめた資料でございます。

 この中から、例えばアクリル酸メチルですと、右下のページが1〜17ページが有害性評価書本文でございまして、1822ページの部分がこの有害性評価書を踏まえて、有害性の評価を行う様式になっておりますので、この有害性総合評価表での結論を踏まえて、先ほどの資料1−1を作っているところでございます。

 御説明は以上でございます。

○大前座長 ありがとうございました。

 この審議は、一次評価値、二次評価値を最終的には決定するというのが目標でございますけれども、そのルールブックは参考資料5もしくは6にございますので、参考にしながらと思います。

 まず、今の説明に対する御意見、御質問はいかがでしょうか。

○西川委員 発がん性についてですが、重視すべき有害性のところでは、ACGIHは「A4(ヒトに対する発がん性は判断できない)」とありますが、その下の許容濃度等のところでは、第1パラグラフの下から3行目ぐらいに「A4(ヒトに対し発がん性物質には分類できない)」とあります。この違いは何かということで、ACGHIの記載を見ると、「Not Classifiable as a Human Carcinogen」とありますので、これは「分類できない」のほうがよろしいかと思います。

○角田化学物質評価室長 失礼しました。表現が合っていなかったということで、そこは合わせたいと思います。

○大前座長 ありがとうございます。

 そのほかはいかがでしょうか。

 どうぞ。

○江馬委員 参考資料の20ページの生殖毒性のところですけれども、評価レベルを算出するNOAELを発生毒性のNOAELでとっているのですが、母体毒性だともう一つ低いNOAELになると思うのです。ここは発生毒性のNOAELから評価値レベルを出すのか、生殖発生毒性試験のNOAELから評価値レベルを出すのか、どちらですか。私は後者のほうだと思うのですけれども。

○角田化学物質評価室長 今の御指摘は、20ページのところで評価レベルを3.75と計算していますが、それはNOAEL50ppmでやっているというところですよね。

○江馬委員 だけど、母体毒性のNOAEL25ppmにならないですか。3行目で「50及び100ppm群では、ばく露期間を通して母動物に著しい体重増加抑制及び摂餌量の減少が見られ」ということなので、この試験の場合は一番低いのが25なので、そこから出すのが正しいのではないかと思うのです。確認をしていないですけれども、今までそうだったと思うのですけれども。

○大前座長 多分このときの50というのは、一番下の行の著者が発生毒性が50だと言っているから、これを使ったと多分思うのですけれども、今、先生がおっしゃった母体毒性に関しては、ここの文章を読む限りは25ですから、母体毒性ですと25なのですけれども、母体毒性自体は生殖毒性かどうかというところはまた別の判断ですよね。そういう意味では、先生がおっしゃったように、NOAELは発生毒性のところを消して、25から計算してもいいのではないかと思います。

○江馬委員 ここの試験で一番低いところから出すほうがいいのではないかと思います。

○大前座長 ただし、これは先ほど言いましたように、母動物に見られたのは体重増加抑制と摂餌量の減少なので、生殖毒性とは直接は関連しないということですね。

○江馬委員 そうです。この試験のNOAELです。

○大前座長 おっしゃるとおりです。この試験のNOAELは、著者は発生毒性をターゲットにして50と言っていますが、母体に対する影響という意味では25ですね。

○角田化学物質評価室長 そこは25を入れるような形にします。

25で計算しても、今の3.75の半分ぐらいになりますので、そうすると、二次評価値との関係で1割を超えている形になるかと思いますので、そこは一次評価値としての採用値ということにはならないです。

○大前座長 一次評価値には影響はないけれども、今、先生がおっしゃることもそのとおりです。

○角田化学物質評価室長 そこは修正させていただきます。

○大前座長 そのほかにいかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

○宮川委員 今のところですけれども、重要なことなので確認しておきたいと思うのですけれども、生殖毒性の判断としては母体毒性は使わない、これはそれでよろしいと思うのですけれども、計算するときには、これはそういう妊娠動物でもって母体のほうに影響があったというのは、人で言えば妊娠している女性がばく露すると影響があるかもしれないということなので、有害の影響の一つとしては考えて、一次評価値の計算には使うという理解でよろしいのでしょうか。あるいは、あくまでも参考値にしておくのか、今後それらの計算に関係してくると思います。

○大前座長 これは妊娠期間だけですから、反復毒性とは言えないかもしれませんけれども、一応、一般毒性の中の一部ですから、今まで余りそういう例はなかったですよね。そういうことに関してどうするかは、またどこかでルールづくりをしなければいけないということですね。きょうここでディスカッションしても、余り有意義でないと思いますので。

 ありますか。

○角田化学物質評価室長 生殖毒性の試験で一次評価値を設定した例はございます。これは、NOAELで発がん試験のラットの104週間で、これは餌なのですけれども、このNOAELからの算定値で、一次評価値を設定した例はございます。

○宮川委員 私が言いたかったのは、母体毒性でということについては議論しておいたほうがよろしいかなということです。

○大前座長 多分今までそれはなかったと思いますし、そういうものがあった場合どうするかというのは、それは恐らく反復毒性のほうに移動して、そちらで反復で、もし反復のNOAELも小さな数字が出てくれば、やはりそちらのほうでということになるのでしょうね。それはそれで明らかにルール上明文化したほうがいいですかね。

 そのほかはいかがでしょうか。

 そうしたら、一次評価値に関しましては、発がん性が判断できないということもありますし、他の機関で特にはつくっておりませんので、それから、左下の計算した数字が3で、ルール上10分の1以上でございますので「なし」。

 それから、二次評価値は、ルール上、産業衛生学会もしくはACGIHの数字を採用するということになっておりますので、これは両方とも共通で2ppm、ただし、ACGIH12時間という珍しいやり方をしているのですけれども、通常は8時間でいくのですけれども、いずれにしても2という数字ですので、二次評価値は2ppmということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○大前座長 ありがとうございました。

 それでは、2番目の物質、アジピン酸をよろしくお願いします。

○角田化学物質評価室長 次は、資料1−2のアジピン酸でございます。名称は「アジピン酸」で、CAS番号124-04-9

 ごらんのとおりの構造式のものでございます。

 物理化学的性状ですが、無色、無臭の結晶性の粉末でございます。沸点は328℃、融点は152℃、密度は1.36g/ml、溶解性(水)1.4g/100mlでございます。

 生産量等用途でございますが、製造・輸入量は2011年では8万トンございました。用途はポリアミド、これはナイロンの原料でございます。あとウレタン原料、可塑剤の原料、それから紙力増強剤、紙の強度を持たせる添加剤です。それから香料原料、指定添加物に使われています。

 重視すべき有害性、まず発がん性でございますが、「発がん性の報告が得られていない」ということでございます。雄のWisterラットにアジピン酸をごらんの濃度で2年間の混餌投与をした実験では、腫瘍発生率に有意な差は見られていません。

 それぞれの評価機関の評価でございますが、ごらんのとおり「情報はなし」となっております。

 「重視すべき有害性」の発がん性以外でございます。

 生殖毒性は「なし」という結論でまとめております。

 根拠でございますが、調査した範囲では、ヒトへの影響を調査した報告及び吸入ばく露による動物試験報告は得られていない。また、経口投与によるラット、マウス、ウサギ、ハムスターでの催奇形性試験では、いずれも陰性結果を示していることから、生殖毒性なしと判断しております。

 それから、神経毒性ありということで、根拠として3つ挙げております。

 1つ目は、アジピン酸製造工場における労働者の疫学調査では、アジピン酸ダストの吸入によって自律神経系に障害が起こることが報告されています。

 2つ目は、ラットにアジピン酸を3,600mg/kg体重/日以上を5日間投与した実験では、抑鬱、呼吸困難、運動失調、けいれんなどが投与2日目から見られているというものです。

 3つ目は、ラットにアジピン酸800mg/匹/日を5あるいは33週間混餌投与した実験で、行動の異常(無関心)が見られているというものでございます。

 この3つを踏まえて、神経毒性ありとまとめております。

 それから、遺伝毒性でございますが、これは「なし」という結論でございます。

 アジピン酸は、in vitro試験系では、復帰突然変異試験、突然変異試験のいずれでも陰性を示している。また、in vivo試験系では、染色体異常試験、優性致死試験、伴性劣性致死試験、宿主経由試験のいずれでも陰性を示しているということから、遺伝毒性なしと判断しているところでございます。

 左下が反復投与試験に関する動物試験データということで、これは一次評価値の関係もありまして検討したものでございますが、LOAEL1,600mg/kg体重/日でございます。これは、雌雄ラットにアジピン酸1,6003,200mg/kg体重/日を33週間混餌投与した実験で、1,600mg/kg体重で腸の慢性炎症が見られ、3,200mg/kg体重で死亡率の増加、体重増加抑制、粗毛及び行動(無関心)の異常、及び激しい下痢が見られています。

 これは不確実性係数を100として計算をしまして、評価レベル16.3ppmとしているところでございます。

 許容濃度等でございますが、日本産衛学会は設定はございません。

ACGIHでは、TLV-TWA0.85ppmで設定されております。

 その根拠ですが、アジピン酸のTLVを勧告するヒトへの影響、あるいは空気中濃度のデータは少ない。Krapotkinaらの研究、これはヒトに対する眼刺激性の閾値は20mg/m3 であり、アジピン酸製造工場における労働者の疫学調査では、アジピン酸ダストの吸入によって自律神経系、胃腸及び上部気道の粘膜に障害が起こる。著者は、アジピン酸ダストの職業ばく露限界は4mg/m3 としているという内容でございますが、この研究は、アジピン酸にばく露される労働者のためのTLV-TWAmg/m3 が、自律神経系と消化管の機能的障害及び上部気道の粘膜刺激を最小にすることを示唆しており、TLV委員会は5mg/m3 TLV勧告をサポートするために使用できる追加の情報を求めている。最後は追加情報を求めているとありますが、以上により、0.85ppmということで設定されております。mg単位ですと、5mg/m3 でございます。

 評価値(案)でございます。

 一次評価値につきましては「なし」ということですが、これが反復投与毒性に関する動物実験より導かれたLOAEL、これが左下に書かれているものでございますが、これに不確実性係数を考慮して算定した評価レベル(16.3ppm)が二次評価値を超えているということで、一次評価値は「なし」としております。

 二次評価値でございますが、これは0.85ppmということで、ACGIHの勧告値を二次評価値としているところでございます。

 御説明は以上でございます。

○大前座長 ありがとうございました。

 ナイロンの原料ですけれども、今の御発表で御質問あるいは御意見は。

○宮川委員 2点ばかり。事前に気がついていなくて申しわけないのですけれども、「生殖毒性なし」ですが、ヒトでデータがなく、催奇形性はネガティブですけれども、繁殖試験のデータがないのだとすると、これは判断ができないとするのが適当ではないかという気がいたします。

 それから、ほうぼうで単位「ppm」が出てきているのですけれども、常温で、これは固体の粉末だとすると、「ppm」で表記するよりは「mg/m3 」のほうが妥当なような気がいたします。

○大前座長 単位は「m3 」を先に持っていったほうがいいですよね。

○角田化学物質評価室長 単位のほうは直します。ACGIHも5mg/m3 にしておりますので。

○大前座長 そうですね。

 前半のほうはいかがでしょう。

○角田化学物質評価室長 繁殖試験のデータがない。

○大前座長 26ページに生殖毒性の情報が106124行目にあるのですが。

○宮川委員 4つとも全部妊娠中の考慮なので、繁殖試験は一つも入っていませんね。

○大前座長 そうしますと、生殖毒性に関しては「なし」ではなくて、「繁殖試験がないので判断できない」というのが正しいだろうと。ありがとうございます。

 津田先生。

○津田委員 この項目に、例えば重視すべき有害性の発がん性のところに、「IARC1998」だとか「2013」とか、この年代は何を意味するのでしょうか。

○角田化学物質評価室長 これは評価がなされたモノグラフの年次を入れております。

○津田委員 例えば「IARC:情報なし」でどうして年数が入るのですか。

○大前座長 評価書の区分とIARC1999年のものを参照したのかな。そこで何もなかったということですかね。

○角田化学物質評価室長 失礼しました。これはデータを確認したときの参照資料の年次が残ってしまっているのです。

○津田委員 IARCのホームページを見ると、このアジピン酸は評価リストに載っていないです。ということは「なし」で「2015」でよいのではないですか。

○角田化学物質評価室長 そこは再度確認しまして、基本的にこの括弧の中は削除する方向にしたいと思います。申しわけありません。

○大前座長 そのほかに御意見、あるいは御質問等はございますか。

 そうしましたら、これに関しましても一次評価値は発がん性の情報がないということで、各機関が出していない。それから、反復投与毒性から計算した数字は5mgよりもずっと大きいということで一次評価値はなし。

 二次評価値は、ACGIHが勧告しております5mg/m3 でよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○大前座長 では、そういうことで、ありがとうございます。

 3番目の物質、アセトニトリルの説明をよろしくお願いします。

○角田化学物質評価室長 アセトニトリルは資料1−3でございます。

 化学式構造式はごらんのとおりでございます。

 物理化学的性状でございますが、特徴的な臭気のある無色の液体で、沸点は82℃、融点は-46℃、比重は0.78745、溶解性は水に対して1,390/100mlでございます。

 生産量等用途ですが、製造・輸入量が約1万トン(2012年)でございます。用途は、農薬、医薬、香料、染料等の有機合成用原料、抗生物質抽出剤、クロマト分離のキャリアー液等の抽出・分離用溶剤、カラーフィルム処理用溶剤、反応溶剤、精製溶剤、リチウム電池用有機電解液等に利用されているところです。

 発がん性は「判断できない」ということになっております。

 これは、ラット及びマウスの2年間の発がん性試験(吸入ばく露)では、ラット雄の最高用量においてのみ肝細胞腺腫及び肝細胞がんの合計した肝腫瘍の発生が増加したが、その頻度は背景データの上限をわずかに上回る程度であって、用量相関性は認められず、対照群と400ppm群を比較した場合の有意差はいずれの腫瘍においても認められなかったところでございます。

 ラット雌及びマウス雌雄では、腫瘍発生の増加は認められなかった。

 以上等から、アセトニトリルの発がん性については、IRISではラット雄では「疑陽性」、ラット雌では「なし」、DFGACGIH及びEU RARでは「なし」とされております。また、NTPはラット雄の結果からアセトニトリルの投与は不確実な証拠であるとしているところでございます。

 米国の2化学工場等の男性労働者2万9,139人を対象として、アセトニトリルを含む21物質のばく露と造血・リンパ系の腫瘍による死亡(19401978年)との関連性を検討した疫学調査で、雇用開始から死亡までの期間で対照群と有意差はなかったということでございます。

 こうしたことを踏まえて、発がん性については「判断できない」としております。

 それから、各評価区分でございますが、これも括弧書きで年次が書いてありますが、これは削除する方向で再整理いたします。

 その次の右の欄でございます。

 生殖毒性につきましては「判断できない」ということです。

 根拠でございますが、SDラット雌への吸入ばく露試験では、母動物の毒性影響下でのみ胎児への影響があること、ウサギへの経口投与試験では、各機関の影響評価に差があることから判断できないとしております。

 それから、神経毒性でございます。根拠としまして、以下のデータを踏まえて「あり」と判断しており、3つ書いてあります。

 1つ目は、アセトニトリル40gを自殺目的で飲み込んだ男性の事例では、ばく露3時間後に嘔吐、けいれん、昏睡、急性呼吸不全、代謝性アシドーシス及び2回の心停止が認められたということです。

 2つ目です。アセトニトリルを含むマニキュア除光液(アセトニトリル99%)59mlを飲み込んだ女性の事例では、ばく露7時間後に嘔吐及び錯乱、ばく露12時間後に代謝性アシドーシス、けいれん及び表在呼吸が認められたというところです。

 それから、ICRマウスに、アセトニトリルを経口投与した結果、毒性兆候は、振戦、衰弱、自発運動低下、正向反射の低下、努力性呼吸、けいれん、あえぎ呼吸及び流涎が見られたところです。それで、神経毒性「あり」という結論でございます。

 それから、遺伝毒性でございますが、これは「判断できない」ということで、in vitroin vivoの遺伝毒性試験でそれぞれ陽性と陰性の結果が出ておりまして、「判断できない」という結論をまとめております。

 左下の反復投与毒性に関する動物試験データは、NOAEL100ppmでございます。

B6C3FIマウスに、アセトニトリルを13週間反復吸入ばく露した試験でございますが、1,600ppm群の全例が死亡、800ppm群の雄1例、雌4例及び400ppm群の雌1例で死亡が認められたということでございます。自発運動低下、円背位、筋硬直が800ppm群以上の雌雄で見られた。肝臓重量が200ppm以上の雄と800ppm群の雌で増加をしております。200ppm以上の雌と400ppm群以上の雄の前胃に退色、褐色化及び黒色化が限局または多発して見られました。これらの病変は限局性あるいは多発性の扁平上皮過形成と診断されております。上皮過形成のエリアに限局性の潰瘍が200ppm群の雌、1,600ppm群の雌雄に見られております。肝細胞空砲化が、400ppm群以上の雌雄に見られました。

 この結果から、雄に対するNOAEL200ppm、雌に対するNOAEL100ppmということでございました。

 不確実性係数を10、これは種差ということで、時間補正をして計算をしましたところ、評価レベルは7.5ppmになっております。

 「許容濃度等」でございますが、産衛学会は設定はございません。

ACGIHでは、TLV-TWA20ppmで、経皮吸収があるということでございます。

 根拠でございますが、アセトニトリルの肺に対する潜在的悪影響を防御することから、20ppmを勧告する。この基準は、ボランティア3名に4時間吸入させた結果、1名のみで胸部圧迫感などが認められた用量が40ppmであったことをもとにしているということです。

 また、げっ歯類の吸入ばく露による発がん性試験では、NOAEL200ppmでございました。ラット雄の最高用量において肝細胞腺腫及び肝細胞腺がんの合計した肝腫瘍の発生は増加いたしましたが、背景データの上限をわずかに上回る程度であって、ラット及びマウスで腫瘍発生の増加は認められなかった。

 反復吸入毒性試験においても、マウス13週間吸入試験で前胃過形成が認められたものの、その毒性学的意義は低く、げっ歯類に対して200ppmで重篤な毒性影響は認められていない。さらに、発生毒性はなく、遺伝毒性は哺乳類の小核試験で弱い陽性が報告されているものの全般的に陰性となっております。

 ヒトにおける事例より、アセトニトリルの毒性はシアン化物への代謝に起因しておりまして、げっ歯類及びヒトでは遊離シアンが血液及び尿に検出される。しかし、TLV-STELを支持するほどの十分な量的データはない。シアン化水素に対する最近のACGIH勧告は、TLV-CEILINGでございます。

 上記の特異的な毒性学的情報を加味し、短期のガイダンスレベルがない中で、TLV-TWA40ppmから20ppmに下げることで防御すべきとしたということです。

 経皮性吸収性については、経皮接触により中毒を起こした子供の症例と、げっ歯類では経皮の半数致死量が1,000mg/kg体重以下であることをもとに表記することを勧告するということで、20ppm、経皮吸収となっているところでございます。

 ほかの機関のものにつきましては、ごらんのとおりの数値になっております。

 評価値(案)でございます。

 一次評価値は「なし」ということで、先ほどの左下の動物試験により導き出された評価レベル7.5ppmが二次評価値の10分の1以上のため、設定はしておりません。

 二次評価値でございますが、これはACGIHの数値がございますので、この値20ppmを二次評価値としているところでございます。

 御説明は以上です。

○大前座長 ありがとうございました。

 御意見、御質問はいかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

○江馬委員 先ほどと一緒なのですが、ラットのほうは、評価レベルの計算のもととなるNOAELは、親に対する1,200ppmではないでしょうか。

○大前座長 済みません、ページで言いますと。

○江馬委員 60ページです。

○大前座長 生殖毒性のところですね。

○江馬委員 ウサギのほうは、こちらのA3のほうでは、各機関の評価に差があって判断できないとしているのですが、評価値レベルを出したということは判断しているわけですから、ちょっとつじつまが合わないように思います。

○角田化学物質評価室長 まず後のほうについては「判断はできない」とはしているのですけれども、参考値としてはじくとこのような形になるという意味です。

○江馬委員 参考値としてはじくのなら、15ではなくて2mgではじくべきではないですか。一番低いNOAELは、ACGIHが2mg

○角田化学物質評価室長 一番最後の行ですね。

○江馬委員 はい。

○大前座長 このNOAEL15ではなくて2だろうという先ほどの話ですね。わかりました。

○角田化学物質評価室長 ここのところは、下の計算を2mgということでしょうか。

○江馬委員 下の計算が2mgから出すほうがいいのではないかと。

○角田化学物質評価室長 わかりました。それでよろしければ、修正したいと思います。

 それから、最初におっしゃっていた上のほうのものですね。これは1,500ではなくて親への毒性を考えれば、1,200のほうではないかということですね。これもその方向で調整したいと思います。

○大前座長 ありがとうございました。

 そのほかはいかがでしょうか。

 それでは、一次評価値に関しましては発がん性に関して判断できないということでございますし、他の機関の数字もございませんので「なし」。

 それから、二次評価値は、ACGIH20ppmというのを勧告しているということで、これを20ということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○大前座長 どうもありがとうございました。

 それでは、4番目のアニリンの説明をよろしくお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料1−4に基づきまして、アニリンについての説明をさせていただきます。

 物質名はアニリン、別名でございますけれども、ベンゼンアミン、フェニルアミン、アミノベンゼンということで、ベンゼン環にアミノ基が1つついているという非常に基本的な化合物でございます。

 物理化学的性状でございますけれども、無色の油状液体でございます。空気や光にばく露すると茶色になるということが言われております。

 沸点は184℃で、蒸気密度が3.2、融点が-6℃でございます。蒸気圧は40Pa20℃)になっております。

 生産量等用途でございます。製造・輸入量につきましては、10万〜100万トンということが言われておりまして、用途につきましては、まとめますと、化学物質の原料、試薬ということに大別されるのではないかと考えます。

 次に重視すべき有害性で、まず、発がん性でございます。

 ここでは「ヒトに対する発がん性が疑われる」ということで書かせていただいております。実際に、IARCではグループ3ということでございますけれども、ほかのEUの区分は2であったり、ACGIHA3であったり、US EPAB2といったものもございます。IARCにつきましては、1987年以来見直していないというところです。総合的に評価いたしますと、ヒトに対する発がん性が疑われるということになるものと存じます。

 ちなみに、国内のGHS分類でも最新のものでは区分2でございます。

 次に重視すべき有害性の発がん性以外の有害性でございますが、生殖毒性はありということになっております。

 根拠といたしましては、F344雌ラットにアニリン塩酸塩を1030100 mg/kg体重/日で、妊娠7〜20日に強制経口投与した実験で、帝王切開群100 mg/kg体重/日群のF1では肝臓の相対重量増加、平均赤血球容積増加が見られたということであります。

 また、分娩後30日(解剖群)の100 mg/kg体重/日群のF1では、生後ゼロ日の平均赤血球容積の増加、生後2日の雌の体重減少が見られたということで「あり」にしております。

 次に、神経毒性でございます。これも「あり」ということにしております。

 アニリンばく露後の中枢神経系への影響は、メトヘモグロビン血症による低酸素血症の2次効果であるとされております。ヒトにおいて、アニリンばく露は、陶酔及び頭痛のような中枢神経症状を起こす。連続したばく露は意識もうろう、運動失調及び衰弱の症状を増加させるということでございます。

 また、動物試験におきましては、SD系雄ラット(各群6匹)を用い、4週齢のラットに500750または1,000 mg/kg体重、7または10週齢のラットに800 mg/kg体重のアニリンを単回経口投与いたしました。4週齢ラットにおいて、1,000 mg/kg体重群の6例中2例が、投与後8〜15日に麻痺性歩行または後肢麻痺を呈した。750及び1,000 mg/kg体重群の全例に脊椎白質の海綿状変化が見られ、1,000 mg/kg体重群の6例中3例に脊髄三叉神経路橋及び延髄の海綿状変化及び軽度の末梢神経線維の変性が認められたということから、神経毒性ありとしております。

 次に、遺伝毒性でございますが、「あり」ということにしております。

 根拠でございますが、微生物を用いた変異原性試験などは陰性であるが、哺乳動物でのin vivo系で陽性が多く見られていることから、アニリンには遺伝毒性ありということで判断をしております。

 次に、左下に参りまして、閾値の有無でございます。これは「なし」ということにしております。先ほど遺伝毒性のところでも申し上げましたが、哺乳動物でのin vivo系で陽性が多く見られており、それからの判断でございます。

 生涯過剰発がん1×10のマイナス4乗レベルに相当するばく露濃度に関し、吸入ばく露についてのユニットリスクの情報はないということでございます。

 反復投与毒性に関する動物試験データでございます。LOAEL17 ppmということでの設定をさせていただいております。

 根拠でございますが、吸入ばく露の試験を根拠にしておりまして、雄SDラットにアニリン0、174587 ppmを吸入ばく露(鼻部)した結果、17 ppm以上で脾臓の肥大、ヘモジデリン沈着、髄外造血亢進、45 ppm以上で、メトヘモグロビン量、網状赤血球数といったものの影響があった。あと、87ppmで平均赤血球ヘモグロビン量、尿量、リンパ球の増加、こういったものが見られ、ラットにおける2週間鼻部ばく露群のLOAELをそういったことから17ppmと報告をしているものでございます。

 評価レベルにつきましては、不確実性係数、種差(10)、LOAELからNOAELの変換(10)、試験期間(10)を入れまして、1,000といたしまして計算いたしましたところ、評価レベル0.01 ppmということになっております。

 次に、許容濃度等でございます。ACGIHにつきましては、TWAppmということで設定をしております。

 根拠でございますが、動物実験において、5ppmばく露で血中メトヘモグロビンの増加が認められたということ、逆に2ppmでは認められなかったということ、さらにヒトで皮膚吸収が認められたこと及び構造的に類似のニトロベンゼンのTLVに基づいて勧告をしております。

 日本産衛学会では、1ppmの設定をしております。ACGIH1979年、日本産衛学会が1988年という設定でございます。

 日本産衛学会の根拠ですが、アニリンが労働者に対して発がん性を示すか否かについてはなお確定されていないが、ラットに対する発がん性は明らかにされているので、皮膚吸収を防止することを含め、ばく露を極力抑制する目的で当面許容濃度を1ppmとするということでございます。

 また、海外の許容濃度につきましては、DFGが2ppmNIOSHが発がん性物質、OSHAが2ppmUKが1ppmという設定でございます。

 次に評価値(案)ですが、一次評価値「なし」ということにさせていただきたいと思います。

 理由でございますが、発がん性を示す可能性があり、閾値がなく、遺伝毒性がある場合で、生涯過剰発がん、1×10マイナス4乗レベルに相当するばく露濃度が設定できないため「なし」とさせていただければと思います。

 二次評価値は1ppmを提案させていただければと思います。

 理由でございますが、日本産業衛生学会が提案している許容濃度1ppmというものが出ておりますので、これを二次評価値ということで提案させていただければと思います。

 説明は以上でございます。よろしくお願いします。

○大前座長 ありがとうございました。

 御意見、御質問はいかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

○江馬委員 生殖毒性ですが、影響が見られたのは100 mg/kgで母体毒性が見られているので、「判断できない」ではないでしょうか。

○大前座長 今、何ページをごらんになっていますか。

○平川化学物質評価室長補佐 参考資料2−2の78ページ。

○江馬委員 78ページと本文が69ページです。

ACGIHも胎児致死性、催奇形性は認められないとしているとありますし、この文を読んでいくと、100 mg/kgで母体重の増加抑制等が出ていますので、そこでしか影響が見られていないので、「判断できない」ということになるかと思います。

○大前座長 いかがでしょうか。

○宮川委員 69ページの下のほうで、胎児の口蓋裂とか心臓奇形ということがあって、多分ほかに母体毒性があったとしても、その辺のことを考慮されたのではないかと推測はいたしますけれども。

○角田化学物質評価室長 今おっしゃったのは、資料の69ページの一番下のところですね。

○大前座長 「アニリン塩酸塩」ですよね。

 アニリン塩酸塩を皮下投与して、胎児に何か起きているから生殖毒性ありとした。ただ、多分この根拠ではないということですね。

○江馬委員 母体にメトヘモグロビン血症が出ていて、そのドーズで奇形が出ているということなので。それで、著者の考察としては「低酸素症による変化と考察した」となっています。

○大前座長 いかがでしょうか。また生殖毒性の定義に戻ってしまうのですけれども。

○宮川委員 やはり難しいのは、胎児毒性をどう判断するかというのと、それをどこまで生殖発生毒性ととるかというのが、物によっては難しいものがあるのかなと思います。ただ、生殖毒性をある、なしを判断するのが目的ではなくて、最終的には健康影響があるかどうかというのが、少なくともリスクアセスメントでは重要かなという気はいたします。

○大前座長 江馬先生の意見は、生殖毒性が判断できないのではないかというお話ですね。それは、先ほどおっしゃった母体のほうのこと、それからメトヘモグロビン血症で酸欠が起きているので、その影響だとしたら、直接の発生には関連しないだろうと。この辺はいつも議論になって、なかなか結論がついてこないところなのですけれども、いかがいたしましょうか。

 確かに、2次的な影響という意味では直接の生殖毒性ではないというのはそのとおりですよね。リスク評価委員会でもいつもここら辺が問題になっていまして、実は、どちらにするのかときどき揺れるのですけれども、これは揺れて「あり」にした物質だと思いますけれども、今の先生の御意見をいただきまして、またちょっとそちらのほうでどういうふうにやるかというのを決めなければいけないですね。それはそういうことで、生殖毒性の定義づけをもう一度。とりあえず、きょうの段階に関しては「あり」にしておいていただきまして、検討はするということにいたします。

 そのほかはいかがですか。

 はい、どうぞ。

○西川委員 細かいことですけれども、重視すべき有害性の発がん性のところに「血管肉腫、線維肉腫、肉腫が報告されている」とあるのですが、この最後の肉腫がちょっと気になるので、71ページを見てみますと、213行目から「肉腫NOS」とあるのですが、したがってこれは「NOS」を書かないと。

○大前座長 そうですね。これは肉腫の後に「NOS」、「not otherwise specified」、要するに、よくわからないけれども肉腫だという意味で、「NOS」をつけてください。

 ありがとうございます。

○平川化学物質評価室長補佐 そういたしますと、資料1−4の「血管肉腫、線維肉腫、肉腫」と書いてある最後の「肉腫」の後に「NOS」と書けばよろしいという理解でよろしいでしょうか。

○大前座長 はい。あるいは、日本語が必要でしたら、212行目に「特定不能の」と書いてありますので「特定不能の肉腫」と書いていただいても結構だと思います。「NOS」と書いても、ここはわからないかもしれませんね。

○津田委員 私はわからなかったです。

○平川化学物質評価室長補佐 そういたしますと、「血管肉腫、線維肉腫、特定不能の肉腫」と書かせていただきます。

○大前座長 はい。

○平川化学物質評価室長補佐 わかりました。

○大前座長 この肉腫というのは、まれな腫瘍で、バックグラウンドには出てこないから、nは少なくて、有意差はそんなにないかもしれないけれども、ばく露関連の腫瘍だろうということでとったと。

 そうしましたら、一次評価値は、ユニットリスクの情報がないのでこれは「ない」と。それから、反復投与から0.01というのが出ていますけれども、これは閾値がない場合には、発がんに関する1×10のマイナス4乗レベルをつけるというルールになっていますので、それが計算できないので、今回の場合は一次評価値は算定できない。

 二次評価は、産業衛生学会が、今の発がんのことを考慮して1ppm88年でもう20何年前ですけれども、これが一番新しいので、それをとって1ppmということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○大前座長 ありがとうございました。

 そうしましたら、物質に関しましては、きょうの最後にイプシロン−カプロラクタムをよろしくお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、イプシロン−カプロラクタムにつきましての説明をさせていただきます。資料1−5でございます。

 物質名は、イプシロン−カプロラクタム、別名、カプロラクタム、6−ヘキサンラクタム、アゼパン−2−オンでございます。

 化学式、構造式は書いてありますとおり、七員環化合物でございます。

 物理化学的性状は、白色、吸湿性の薄片または結晶でございます。

 沸点は267℃でございます。蒸気密度が3.91、融点が70℃、比重が1.02、蒸気圧が0.26Pa25℃)でございます。

 生産量等用途でございます。合成繊維、樹脂用原料(ナイロン−6の原料)ということで知られている化学物質でございます。

 重視すべき有害性でございます。

 まず、発がん性につきましては、「なし」ということでございます。

IARCではグループ4ということでありまして、NTPの混餌試験でラット、マウスの雌雄とも腫瘍の発生増加が見られていないということから「なし」ということにさせていただいています。

 各評価区分につきましては、以下のとおりでございます。

 次に重視すべき有害性の発がん性以外でございます。

 生殖毒性につきましては「判断できない」ということにさせていただいております。

 根拠でございますが、動物実験の吸入経路では2つの報告がございますが、詳細不明ということであります。また、経口経路でも親動物に死亡が認められる濃度での影響が見られているのみであります。また、ヒトに関する報告でも詳細不明ということで「判断できない」ということにいたしております。

 次に、神経毒性でございます。「あり」にいたしております。

 根拠の試験が3つほどございます。

 まず、根拠の1つ目、ウサギ3匹への強制経口投与で、3匹とも筋れん縮、反弓緊張、激しい筋けいれんが見られ、死亡したというのがまず1例目。

 2つ目が、ウサギに100300 mg/kg体重のイプシロン−カプロラクタムを静脈内投与した試験で、振戦、散瞳、強直性けいれんが認められた。

 あと、白色ラットに8001,000 mg/kg体重のイプシロン−カプロラクタムを腹腔内投与した結果では、高用量の投与でけいれんが生じたとあります。

 さらに、ヒトに関する調査では、61 mg/m3 のイプシロン−カプロラクタムにばく露された紡績作業従事者において、1日の作業終了時に、苦み、神経過敏、鼻出血、上気道カタル、鼻と唇の乾燥・亀裂が見られ、鼓腸、胸やけ、胃部圧迫感を訴える者がいたということでございます。

 そういった根拠から「あり」ということでございます。

 遺伝毒性でございますが、「なし」ということにいたしております。これについては、大部分のin vitroin vivo試験系で陰性を示し、陽性結果が得られている場合も非常に高い用量で、ほとんど用量依存性が認められていないことから、遺伝毒性はなしということでの判断でございます。

 そうしたことから、閾値の有無でございますが、「あり」ということにいたしております。

 次に、反復投与毒性に関する動物試験データでございます。これは、LOAEL24 mg/m3 といたしております。

 試験の内容につきましては、詳細につきましては参考資料2の、評価表では99ページ、評価書では84ページに書いております。

 根拠といたしましては、そちらにも書いていますが、こちらのA3の資料で引き続き進めさせていただきます。

SDラットにイプシロン−カプロラクタムを6時間/日、5日/週、13週間の全身ばく露を行いました。その後、終了後に、1群雌雄10匹の4週間の回復期間を設けたということでございます。また、対照群より高度の病理組織所見として、鼻甲介組織の呼吸粘膜の杯細胞の肥大/過形成が、ばく露終了時に24 mg/m3 群で4/2070 mg/m3 で9/20243 mg/m3 1220ということで見られています。

 また、嗅粘膜上皮細胞内の好酸性物質が、対照群では0/20、その次の濃度が高くなるごとに2/20、8/201720見られ、咽頭粘膜組織の扁平上皮/扁平上皮様化生/過形成が対象群で0/20、あと濃度が高くなるごとに、5/2012202020見られたということでございます。

 4週間の回復期間後でも、鼻甲介組織の呼吸粘膜の杯細胞の肥大/過形成が見られ、また、嗅粘膜上皮細胞内の好酸性物質も増加が認められ、咽頭粘膜組織の扁平上皮/扁平上皮様化生/過形成も見られているということでございます。

 評価書では、呼吸器官に対する影響が全てのばく露群で見られたことから、LOAEL24 mg/m3 と判断いたしました。

 そこから不確実性係数をLOAELからNOAELへの変換(10)、種差(10)として、評価レベルを以下の計算式に当てはめますと、0.18 mg/m3 0.04ppm)ということでの設定とさせていただいております。

 次に許容濃度等でございます。日本産業衛生学会では、設定がされておりません。

ACGIHTWA5 mg/m3 1.08 ppm)ということで、1997年の設定でございます。吸入性エアロゾル及び蒸気ということでございます。

 根拠でございますが、高用量ではイプシロン−カプロラクタムは気道刺激物であり、中等度の循環系抑制剤である。7 ppm32mg/m3 )以上の蒸気濃度で鼻、喉、眼への刺激が知られている。その刺激は用量依存性があり、濃度が下がれば減少する。したがって、吸入性エアロゾル及び蒸気としてTLV-TWA 5 mg/m3 で粘膜、気道及び皮膚の刺激から保護するのに十分なはずである。

 動物実験及び遺伝毒性データが陰性であることに基づき、イプシロン−カプロラクタムはヒトに対する発がんリスクを有さない。したがって、イプシロン−カプロラクタムはA5、すなわち「ヒトへの発がん性が疑われない」の表記を付するということでございます。

 その他の許容濃度等の勧告については、NIOSHUKで勧告がされております。

 次に評価値(案)でございます。

 まず、一次評価値でございますが、0.18 mg/m3 0.04ppm)を提案させていただければと存じます。

 理由でございますが、反復投与毒性に関する動物実験より導き出された最小毒性量から不確実係数を考慮して算定した評価レベルということでさせていただきました。

 次に、二次評価値でございます。5 mg/m3 ということでの設定をさせていただければと思います。

 理由でございますが、ACGIHで勧告したTLV-TWAをその根拠とさせていただきました。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

○大前座長 ありがとうございました。

 イプシロン−カプロラクタムは、IARCが1個だけ4としているので有名な物質です。ナイロン−6の原料です。御質問、あるいは御意見はいかがでしょう。

 はい、どうぞ。

○宮川委員 これも「ppm」がやたらと出てくるのですけれども、ないほうがすっきりするような気がいたします。

○大前座長 そうですね。単位は統一すると。

 はい、どうぞ。

○角田化学物質評価室長 事務局からですけれども、神経毒性ありということで、データは動物3つとヒトが1つありまして、ヒトのほうが、これはACGIHのものなのですけれども、93ページの真ん中あたりに神経毒性とありまして、これはACGIHの表現をそのまま持ってきているのですが、ちょっと原著で確認できていないのですけれども、ACGIHはこの「神経過敏」というのを「nervousness」としておりちょっとそこがよくわからない部分がございます。この有害性の評価書では、それと動物3つ合わせて「あり」としているのですけれども、この辺につきましても、「あり」でいいかという御意見があれば伺えればと思います。

○大前座長 ヒトのデータで61mg/m3 の部分。

○角田化学物質評価室長 ACGIHのほうは、机上配付のものですと右下に41ページの右上のほうに、「bitter taste」から始まって、上から7行目あたりに「nervousness」とあり、この部分を引用して評価書をつくっているのですけれども、もとがドイツの文献なのですが、ちょっとそこは入手できていないので、実態がよくわからない部分があります。動物のほうだけでも「あり」と結論していいのかどうか。

○大前座長 いかがでしょう。提案理由の41ページの右の上のところの12 ppmの後ろの「complained of bitter taste」のところで「nervousness」という言葉があって、これを神経影響と見ていいのかどうかというのがメーンの事務局からの御質問ですが、これは並びから見ると、神経らしくないですよね。

○西川委員 そうですね。このデータは余り神経毒性らしくないのですが、あと、ウサギとラットで、これは非常に高用量の試験であるので、けいれん等が本当に神経毒性かどうかわからないのですが、一つだけ、100 mg/m3 を静脈内投与したウサギの試験で、振戦、散瞳、強直性けいれんがあるので、「あり」としてもいいかなと思います。

○大前座長 本当は神経毒性ありがいいけれども、このヒトのデータは外してしまっていいですか。ここに書かないほうがいいですかね。

○西川委員 私はないほうがいいと思います。

○大前座長 この並びで見ると、とても神経毒性のことが書いているように見えない。ちょっと神経過敏になったくらいかなというイメージですよね。

 では、このヒトの61 mg/m3 の一文は消しましょうか。

 では、これは消してください。

 そのほか御意見、御質問はいかがですか。

 どうぞ。

○津田委員 ちょっと本質ではないのですけれども、「グループ4」の後に括弧して「恐らく発がん性なし」という言葉を入れておいてください。発がん性は完全に否定したわけではないので。業界で4であれば安全性が証明されたと誤解をしている人がいるようです。4というのは完全に発がん性を否定しているわけではないと思います。

○大前座長 反復毒性でQ&Aを見ていると、鼻腔にいろいろな刺激の跡が起きているので、もうちょっと続いたらひょっとしたらみたいな感じもなくもないですよね。

○津田委員 それで、4が完全に否定されたと理解すると、3はその次だと思っている方が大勢みえます。そういう業界のホームページを見たことがあります。

○大前座長 今、津田先生がおっしゃったことをこの後に加えてください。

○平川化学物質評価室長補佐 わかりました。

○大前座長 そのほかはよろしいですか。

 はい、どうぞ。

○西川委員 細かいことで確認なのですけれども、下段の左のカラムにラットの全身ばく露の13週間の試験があって、結局LOAELがとれなくてNOAELで評価したということですが、84ページにその試験の少し細かい記載があるのですが、107108行目に、この試験を実施した著者は、この鼻甲介とか嗅粘膜、咽頭粘膜の変化は刺激に対する適応反応である、したがって毒性とはしないという解釈をしているのですが、このあたり、私はこれは毒性だと思うのですけれども、どのような議論がなされたか教えていただければと思います。

○大前座長 これは、著者はこう書いているのですけれども、この委員会では適応反応で毒性がないという議論はしませんで、これはやはり毒性だろうというふうに見てやったと思います。著者の御意見はこうだということですけれども。

○西川委員 わかりました。

○大前座長 それでは、特に御意見がなければ、今回、一次評価値は0.18で、二次評価値の予定の5の1/10よりも小さいので、一次評価値は0.18 mg/m3 、二次評価値はACGIH5 mg/m3 をとるということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○大前座長 ありがとうございました。

 そうしましたら、きょうの審議の前半がこれで終了しております。

 まだ1時間ちょっとしかやっていないので、このまま続けていいですか。前半が終わったので、途中休憩もあるなと思ったのですけれども、よろしいですか。

 それでは、2番目の「長期発がん性試験対象物質の選定について」、前回も一生懸命考えて、それでなかなか最終決定に至らなかった部分でございますけれども、この件に関しまして、事務局から説明をよろしくお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料2−1を中心に説明をさせていただきます。

 昨年度は、同様の資料で、平成27年度の発がん性試験候補物質(案)ということでの検討をさせていただきました。昨年度の結果で申し上げますと、発がん性試験の候補物質からブチルアルデヒドという物質が選定され、今年度から5年、6年ぐらいの期間でこれから試験をやっていくということになるのですけれども、昨年度も11月にこの発がん性試験の対象物質の選定を行っておりまして、ちょっと年末押し迫っておりますけれども、平成28年度の候補物質の選定ということで今回の議題とさせていただいたものでございます。

 この物質がどのような形で候補物質として入ってきているかということなのですけれども、参考資料6に流れ図を書いてございますので、そちらのほうでちょっとごらんいただければと思います。

○角田化学物質評価室長 この大きな資料でございます。資料があちこちとんで申しわけございません。

○平川化学物質評価室長補佐 「長期・中期発がん性試験対象物質の選定について」ということでございますけれども、リスク評価に係る企画検討会と有害性評価小検討会での役割分担ということでこれまでも行っております。

 企画検討会のほうでがん原性試験をやるべきではないかという物質について、フィージビリティテスト物質として選ばれてまいりまして、委託先に実際にフィージビリティテストをしていただいて、できるものが有害性評価小検討会に入っていって、過去にがん原性試験の候補という形で上がっていたものも含めて検討して、吸入試験の実施物質を1物質選んできているということでございます。

 左側の平成22年度、23年度につきましては、このフィージビリティテストというのを行いまして、その行った物質で試験ができるというものについて有害性評価小検討会で追加され、検討していった結果、平成24年度では2−ブロモプロパン、25年度は酸化チタン(ナノ粒子・アナターゼ型)、26年度はブチルアルデヒドという形で入ってきていたところでございます。

 さらに、このフィージビリティテスト以外のルートで、1,2−ジクロロプロパン以来、評価の加速化というのが言われておりまして、中期発がん性試験で陽性と認められた物質について、長期発がん試験のほうに加えていくという流れが24年度から入ってきております。

 この24年度から、中期発がん性試験を実施した物質を、陽性であればがん原性物質の候補の中に入れるということで想定していたのですが、24年度、25年度で見ていただきますと、24年度第3回で中期発がん性試験の物質に選ばれた2−ビニルピリジン、1,3−ジブロモプロパン、いずれも陰性。25年度第3回で選ばれた6物質も全て陰性ということでございます。あと、26年度のものについては、企画検討会で27年3月19日に選ばれて現在試験を行っているというところでございます。

 したがいまして、新しい候補として物質が入ってきていない中で、前回のブチルアルデヒドが出ましてからの残りの物質で吸入試験候補物質というのを今回、挙げさせていただいている次第でございます。

 前回、いろいろな種々の情報を入れますと、これらは候補ではないということで外されたという経緯もございますので、この物質から選ぶに当たってのさらに詳細な情報ということで、資料2−3ということで入れさせていただいているところでございます。

 こういった情報も含めて、今回対象5物質ということでございます。この中で御議論ということになるのですけれども、この中で、5番の物質については、固体物質ということでございます。この固体物質については、資料2−3で「類縁物質のがん原性試験の状況等」ということで書いてありますとおり「実施する場合、固体であり、粉じんばく露の設備を要するが、試験実施が可能な場所における設備の使用状況についても考慮が必要」ということを書かせていただいております。

 現時点の状況で申し上げますと、28年度、この物質の試験を行うというのは、試験実施が可能な場所においては、まだ固体のほうが難しいということでございますので、現在考えられる候補といたしましては、当方といたしましては1〜4の物質ということで、この4つの物質から、可能であればこのうちから選んでいただければということでお諮りさせていただいているものでございます。よろしく御検討のほどお願いいたします。

○大前座長 ありがとうございました。

 この5物質は、26年度、それから25年度も候補物質に入っておりまして、それで今説明があった一番下の物質、1,3,5−トリス云々かんぬんというこれですけれども、これはエームス陽性最大比活性が大きい、染色体異常が非常に低いので、陽性なのでぜひやりたいのだけれども、今、25年度で始めました酸化チタンのナノ粒子の実験がまだ終了していないので、粉体ばく露ができないという状況で、前回も前々回もこれを選ばなかったのですね。今回まだその状況が続いているということですので、この物質を除いた残りの4物質からどれかを選んで、長期発がん試験の候補にしたいというのがきょうの議論の中身になります。

 それで、前回、前々回、この残りの4物質に関しまして、こういう理由で不適格ではないかみたいな御意見もたくさんございましたが、それも見ながら、今回この4つのうちどれにしようかという議論をしていただきたいと思います。

 例えば、4番の物質のアリルアルコールは、アクロレインに代謝される物質なので、アクロレインの実験を今やっている最中で、今年度で終わるのですね。そういうことがあるので、その結果を見ていいだろうということで前回選ばなかったということで、それぞれ選ばなかった理由があって前回選ばなかったのですけれども、今回はこの4物質から選ばざるを得ないという状況になってしまいましたので、先生方の御意見をいただいて、この4つからどれにしようかということを決めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○角田化学物質評価室長 資料2−3の表の中の、先ほど説明しました真ん中あたりに類縁物質のがん原性試験の状況というものがございまして、今お話がありましたとおり、例えば酢酸エチルですと酢酸イソプロピル、それから、酢酸ノルマルーブチルですとやはり同じく酢酸イソプロピル、上から2番目のセロソルブですとエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、それからアリルアルコールですと、今お話がありましたアクロレイン、もう結果が出ているアクリル酸のがん原性試験の状況なども見て、類縁物質である程度情報も出ているのでということで、全体的なプライオリティーの中では後に回るだろうということで、ブチルアルデヒドを選定したという経緯になっております。

 あと、この表は資料2−1と基本的に同じ情報も入れてはいるのですけれども、一番右から2つ目のところに、製造・輸入数量のCHRIPの新しいデータを入れております。管理濃度、許容濃度、ACGIHは、その設定の基礎になっている理由と、GHSの発がん性分類もまとめています。

FS、フィージビリティのテストの実施年は、真ん中からちょっと左にありますが、平成1923年に実施しているというところでございます。

 一番右の欄は、選定経過を入れております。一番下のものは、23年1月の企画検討会で選定をしていると。アリルアルコールは22年1月の企画検討会でフィージビリティテストを検討していると。ほかのものについては、もっと前の段階で選定をしているものでございます。

 上から2番目のセロソルブにつきましては、これは既にばく露作業報告の告示をしておりますので、これはリスク評価のレールにもう乗っているものでございます。これは発がんというより、ここに書いてありますとおり、生殖毒性、神経毒性を踏まえて、リスク評価の対象物質に選定をしたという経緯でございます。

 補足は以上でございます。

○大前座長 ありがとうございます。

 それから、27年度の中期発がん試験の結果が来年の3月ぐらいに出ると思うのですけれども、これで陽性になった場合、その後フィージビリティをやらなければいけないので、いずれにしても28年度は間に合わないですね。

○角田化学物質評価室長 そうですね。

○大前座長 そういうことなので、26年度の参考資料6の上の右側に書いてある8〜9物質に関しては、28年度の候補にはなり得ないということなので、今の4物質から選ばざるを得ないという状況にあります。

 という中で、この小検討会としてはどれを選んだらいいかということの御議論をお願いします。

○角田化学物質評価室長 ちなみに、生産量ベースで見ますと、酢酸エチルは非常に多く使われているものですので、生産量等は一番多く、ほかのものもそこそこある。ただし、アリルアルコールにつきましては、製造・輸入数量はデータでは載っておりませんで、PRTRの排出量でごらんの数値が計上されているところでございます。

 それから、類縁物質のがん原性試験の状況でございますけれども、酢酸エチルと酢酸ノルマル−ブチルは、類縁化学物質ということで酢酸イソプロピルがそれぞれあるわけですけれども、これについては、雄ラットに対して閾値のあるがん原性が確認されているという状況でございます。

 それから2番目のセロソルブにつきましては、類縁のエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートはがん原性試験は済んでおりますが、これはがん原性はなかったというところでございます。

 それから、アリルアルコールのアクリル酸については、がん原性はなかったというところで、アクロレインは先ほどお話がありましたとおり、今、実施しているというところでございます。

○大前座長 いかがでしょう。

 エチレングリコールのセロソルブに関しては、セロソルブアセテートでやって、これはマイナスで、セロソルブアセテートは多分体内に入って直ちにセロソルブに分解されますよね。そうすると、同じ物質をやっているのではないかという感じになるということで、前回プライオリティを低くしてあるのですけれども。千葉先生、これは体内に入ると直ちに分解しますよね。セロソルブアセテートは分解して、非常に早い時期にセロソルブなりますよね。2番の物質です。

 セロソルブアセテートががん原性なしという結果が出ておりまして、今回セロソルブをどうするかということなのですけれども。

○千葉委員 今、先生がおっしゃったように、体内で変換された後、同じ物質になるのであれば検討の必要はないと私も思います。

○角田化学物質評価室長 セロソルブについては、資料2−1に、これは前回も出しているものなのですけれども、「代謝」という欄が右から3つ目のところにありまして、そこの部分に、これはNITEの評価書の記述ですけれども、それを引用してございます。

○大前座長 それから、アリルアルコールはアクロレインの結果を見てからでもいいのではないかという気がしますよね。27年に終わるということは、全部結果が出るのはもう少し後になるのでしたか。

○平川化学物質評価室長補佐 27年度に結果が出てくるということで。

○大前座長 数か月すれば、アクロレインに関しては結果を知ることができる。

 そうすると、酢酸エチルかノルマル−ブチルか、選ぶとしたらここら辺で考えますか。一応イソプロピルのほうは閾値があるがん原性があるという結果が出ているので、この2物質、エームス陰性なので閾値があるのかもしれませんけれども、がん原性は出るかもしれない。使用量もそれぞれ相当多いので、労働者がばく露している量は多いのだろうということは予想できると思いますけれども。ある意味、余り選択したくないものを選択しなければいけないという状況に今なっているので、4物質のうちどれか、それぞれ御意見をいただきたいと思います。本当は一番下の物質がいいですけれども、残念ながら機械があいていないといいますか。これは、酸化チタンはばく露試験自体はいつ終わるのでしたか。24年度から始まって、そこで恐らく濃度設定等々をやって。

○平川化学物質評価室長補佐 28年度には少なくとも終わりませんで、ちょっと確認します。

○大前座長 済みません。

 1年ずれますけれども、29年度ぐらいから始められればいいのですけれども。

○平川化学物質評価室長補佐 31年度までかかります。

○大前座長 ということは、それまではこの物質はできないということですね。

○北村化学物質情報管理官 試験は短期と長期で分かれているので、酸化チタンが完全に終わるまでできないということではないです。

○大前座長 ばく露が終了するまでという意味で、要するに機械があくまで。

○北村化学物質情報管理官 チャンバーが複数ありますので。

○大前座長 チャンバーがあくまで。そうすると、もう少し早い。もう3年ぐらい早いのでしたか。

○北村化学物質情報管理官 はい。

○大前座長 28年度は無理だけれども、29年度ぐらいにはあくかもしれないという状況ですね。いずれにしても、5番目の物質は残念ながら、非常に有力な候補だと思うのですけれども、もう物理的に無理なので。

 何か特段の御意見がなければ、酢酸エチルもしくはノルマル―ブチルのどちらかということで、どちらがベターですかね。

○西川委員 1つ確認なのですけれども、酢酸イソプロピルの試験で、雄ラットに対して閾値のあるがん原性というのは、どういう腫瘍だったかわかりますか。

○大前座長 これは何が出たかわかりますか。

○角田化学物質評価室長 酢酸イソプロピルですが、高濃度ばく露群で、その詳細というところに概略を書いているのですけれども、資料2−3の一番上の酢酸エチルというところの右から4つ目に「その詳細」というのがございますが、おわかりでしょうか。ちょっと細かくて分かりにくいのですけれども。それで、その左に閾値のあるがん原性が出たということで、その右に書いてありますが、酢酸イソプロピルを2年間(104週、1,0002,0004,000ppm)吸入ばく露試験により、ラット雄に腹膜の中皮腫の発生増加が認められた。高濃度ばく露群で実施施設の背景データを超える発生となり、傾向性検定で有意と。あと、非腫瘍病変、これはがんではないですけれども、鼻腔の呼吸上皮等に変化があったということでございます。

 ちなみに、1つ飛んでその下にも関係データが書いてありますが、酢酸イソプロピルのがん原性試験に先だって行われた細菌を用いた変異原性試験はいずれも陰性ということで、発がん性は遺伝毒性に基づくものではないということでございます。

 上記のがん原生試験結果とあわせて閾値のある発がん性を有すると判断したということになっていまして、これは通常、その試験で発がん性を確認ということになりますと、指針で指導するという形になるのですけれども、この酢酸イソプロピルの場合は、今の管理濃度に比べてかなり高濃度で出ていることもありまして、がんの指針の対象にはならなかったという経緯がございます。

○西川委員 ありがとうございます。

○大前座長 もし、類縁物質ということで酢酸イソプロピルのように腹膜中皮腫のようなものが出るとしたら、エチルかノルマル−ブチルかどちらが出やすいという判断は可能ですか。

○津田委員 吸入試験ですか。

○大前座長 吸入試験です。

○津田委員 吸入をして腹腔内に腫瘍ができるというのはものすごく珍しいと思います。ほとんどあり得ない。私はここで初めてお聞きしますけれども。

○大前座長 そうですか。

○角田化学物質評価室長 腹膜中皮腫は精巣周囲の漿膜由来の腫瘍と。

○津田委員 そうすると、フィッシャー系統のラットは、自然発生のいわゆる陰嚢の内嚢性中皮腫が、それがふえたということですね。このままで読むと、本当に腹膜に出たかと思ってびっくりするのですけれども。だから、陰嚢に出る中皮腫が増えたということで有意差が対照と比べて増えていれば発がん性ありということになるのですが、そういう腫瘍だと思われます。

○大前座長 そうすると、促進するような作用があるというイメージになるということですか。

○津田委員 かもしれませんね。

○大前座長 もしそうだとした場合に、同じようなことが起きるとしたら、酢酸エチルかあるいはノルマル―ブチルか、炭素の数が多いほうが出やすいのか、あるいは。

○津田委員 そういうことはあり得ます。

○大前座長 わかりますね。イソプロピルだと側鎖があるので、側鎖がだめなのか、直鎖はいいのかみたいな、そういうようなことの判断材料にはなるかもしれませんね。

○津田委員 ただ、ヒトとは関係がないと考えてもよいと思います。

○大前座長 ヒトにはそういう組織はない。

○津田委員 ありますが、そこから出るということは珍しいです。

○大前座長 ということで、なかなかこれだという判断ができないというのが皆さんの御意見ですね。

 いずれにしても、5番目の物質はもうできれば次にあいたらやるというのが多分皆さん同意されると思うのですけれども、28年度に関してはどうしましょうかね。炭素2個か炭素4個か。これでもいずれにしてもエステルですから、体内に入ると割と早く分解しますよね。そうすると、これは直鎖ですから、エタノールもしくは酢酸とノルマルブタノールになりますか。多分そうなりますよね。

 とはいっても、酢酸イソプロピルで、イソプロピルアルコールができるのだけれども、イソプロピルアルコールで今の精漿の中皮腫というのは余り聞いたことがないですよね。だから、単純に代謝物だけで物を言ってはいけないのですかね。

 これはもし酢エチでやるとしたら、すごい高濃度でやらざるを得ない可能性がありますよね。バイオの方、どなたかいらっしゃいますか。いらっしゃれば意見をいただきたいのですが、もし酢酸エチルでやるとしたら、相当高濃度のばく露になる可能性がありますか。すさまじい量の。

○オブザーバー(日本バイオアッセイ研究センター) そうですね。ランニングコストがかなり高くなると思います。濃度はかなり高濃度になりますね。

○大前座長 それから、廃棄のほうの問題もありますよね。それは大丈夫なのですか。

○オブザーバー(日本バイオアッセイ研究センター) ですから、活性炭で基本的に処理をしますので、活性炭のランニングコストも相当のものになります。

○角田化学物質評価室長 ある程度、アクロレインの状況などが把握できれば、それを踏まえて、年明けにまた、この検討会ではないのですけれども、合同の検討会などもありますので、またちょっとその場で御相談するということもあり得るのかなと思いますけれども。

○大前座長 別の検討会に投げてしまうのは申しわけないですけれども、ちょっと判断が難しい。

○清水委員 酢酸エチルが代謝されてブタノールになって、さらにそれがブチルアルデヒドになりますから、アルデヒド基を持っているので、ちょっと嫌ですね。

○大前座長 そうしましたら、この委員会としては酢酸ノルマル−ブチルを推薦するけれども、決して強い推薦ではなくて、アクロレインの結果を見て、それでもう一つの委員会がアリルアリコールでいきましょうということだったら、それに関しては賛成しますという非常に曖昧な決定の仕方でよろしいですか。それ以外なかなか難しいということで。

 そういうことで、室長、よろしいですか。

○角田化学物質評価室長 はい。本来ですと、冒頭に申し上げましたように、この中期発がん試験結果が陽性のものからということで考えてはいたのですけれども、なかなかそのほうが結果が出てこないということもありまして、従来のフィージビリティテストの対象として選んだものの中から、この有害性評価小検討会で御議論いただくというスキームでやるという前提でこの中から選ぶとすればどれかということで御相談していた次第です。

 ただ、今日の議論でもなかなか難しい部分もありますので、アクロレインを含めて、年明けに情報なりを集めて、またお諮りするという形で、この有害性のメンバーも皆さん入っていらっしゃる、リスク評価の検討会で審議できますので、そういう方向でちょっと確認させていただければと思います。

 今日のところは、今のこの中から選ぶという前提であれば、酢酸ノルマル−ブチルという形で御結論をいただいたということで、あとはもう少し情報も含めて、再度2月の検討会で御検討いただければと思います。

○大前座長 では、これに関してはこういうことでよろしくお願いいたします。

 それでは、(3)その他ですが、事務局のほうでよろしくお願いします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、資料3に今後の予定ということで書かせていただいております。

 先ほどのお話もございましたので、第2回リスク評価検討会の日程もあわせて御確認をいただければと思います。

 資料3の参考でつけております。第2回でございます。平成28年2月19日金曜日、まだ時間は決まっておりません。午前中の開催ということで考えております。場所も決まり次第、皆様方に御連絡させていただければと思います。

 議題でございますけれども、「(1)平成27年度リスク評価書の検討(第1回目)」ということで書いておりますけれども、先ほど大前座長からもお話がございましたので、この場で平成28年度開始の長期発がん性試験物質の選定もあわせてさせていただくということで諮らせていただければということで考えております。

 あと、第3回目が予備日ということで、平成28年3月4日金曜日、ここのところはまだちょっと変わるかもしれませんが、一応この日ということで御予定を入れておいていただければと思います。午前中の開催ということでございます。場所はまだ決まっておりませんので、決まりましたら御連絡させていただければと思います。以上でございます。

○大前座長 ありがとうございました。

 それでは、これできょうの議事は全て終わりましたので、閉会ということでよろしいですか。

 途中で休みを入れないで申しわけありません。ぶっ続けでやってしまいましたけれども、どうもありがとうございました。


(了)

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