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2015年12月18日 第110回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成27年12月18日(金)15:00~16:00


○場所

厚生労働省職業安定局第1・2会議室


○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

○岩村部会長 それでは、ただいまから第110回「雇用保険部会」を始めることにいたします。

 皆様、年末のお忙しい中をお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の委員の出欠状況でございますけれども、田島委員、橋本委員、浅見委員、深澤委員が御欠席となっております。

 それでは、早速議事に移りたいと思います。

 なお、カメラの頭撮りはここまでということでございますので、撮影の方は御退室をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○岩村部会長 本日の議題は、お手元の議事次第にございますように、「雇用保険制度について」ということになっております。

 事務局で資料を用意していただいております。まず、用意いただいている資料1について事務局から御説明を頂戴しまして、その後、質疑に入りたいと思います。

○長良雇用保険課調査官 それでは、私のほうから説明させていただきます。

 その前に、本日、会場の都合によりまして、マイクのほうが公労使一、二本ずつしか準備できなかったということでございますので、恐縮ですけれども、御発言の際にはマイクのほうを適宜共有でお使いくださいますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、資料説明に入ります。

 お手元の資料1が「財政運営」の関係資料。資料2が「『雇用保険部会報告(素案)』の前回からの修正点」。参考資料は2点ございまして、参考資料1が「財政運営」の関係資料、参考資料2が「雇用保険部会報告(素案)」でございます。

 まず、資料1の説明に入ります。1枚おめくりいただきまして、雇用情勢が過去10年平均であった場合の財政運営に必要な雇用保険料率について試算をしたものであります。

 結論といたしまして、過去10年間の平均的な雇用情勢、これは以前の雇用保険部会の場でも資料として出させていただいておりますが、受給者実人員にいたしますと、およそ61万人に相当いたします。これに対応する支出額につきましては、下にありますように、およそ2兆1,000億円程度となっております。

 この支出額と収支がおおむね均衡する雇用保険料率がどの程度になるかというのが、➂というところで整理しております。保険料率について、11/100012/100013/1000の3通りをお示しさせていただいておりますが、支出を2兆1,000億円程度と固定して、収入(その他)、これは国庫負担などが入っておりますが、それを除いた保険料収入の部分が➂となっております。保険料率を11/1000とした場合には、収支がおよそ1,000億円のマイナス、12/1000とした場合は、収支がプラス600億円程度、13/1000とした場合はプラス2,300億円程度ということになりまして、結論として、平均的な雇用情勢に対応する収支がおおむね均衡する雇用保険料率は12/1000程度となるというように見込んでいるところであります。

 続きまして、2ページでございます。こちらは前回の部会でも資料を提出させていただいておりますが、失業等給付費の今後5年間の収支見込みでございます。

 パターンとしては2つ用意しておりまして、受給者実人員61万人。これが先ほど申し上げた平成17年から26年度の実績平均。もう一つは47万人。これは直近、平成26年の実績。この2つのパターンで想定しているところでございます。

 なお、2ページの一番下にありますように、今回の部会で検討しております改正事項については、財政運営に与える影響が比較的小さいということでございまして、詳細は3ページにまとめておりますが、今回の試算については考慮しておりません。

 4ページに入ります。受給者実人員61万人であったと仮定した場合の保険料率10/10009/10008/1000とした場合の収支見込みを整理したものであります。

 こちらの場合は、一番右下になりますが、8/1000で仮に試算した場合の5年後、32年度末の積立金残高は3兆2,000億円程度となります。9/1000の場合は4兆円程度。10/1000、つまり、今と同じケースの場合は4兆8,000億円程度となります。

 5ページは、いわゆる足元の実績ベース、47万人で料率10/10009/10008/1000でそれぞれ5年間の収支見込みを計算したものでございまして、一番右下、8/1000の場合は4兆1,600億円程度。9/1000の場合は5兆円弱。10/1000の場合は5兆8,000億円という形で見込まれるところでございます。

 この結果を6ページ「試算の結果」でまとめておりますが、受給者実人員61万人。先ほど申し上げた過去10年の実績平均のほうになりますが、保険料率を1/1000または2/1000引き下げた場合のどちらのケースでも今後5年間は引き下げ後の保険料率が維持されまして、仮に2/1000引き下げたケースでも5年後の積立金残高は3.2兆円となります。

 参考として実人員47万人のケースでありまして、2/1000引き下げたケースで5年間の積立金残高は約4.2兆円という形になります。

 7ページは、これまでの意見のまとめと財政運営に係る論点を整理したものでございます。こちらは前回の資料と同じでございます。

 以上を踏まえまして、8ページに財政運営の見直しのたたき台を整理しております。

 趣旨は、平成24年度から、弾力条項により雇用保険料が下限である10/1000に引き下げられている中で、失業等給付積立金残高が過去最高水準となっていることを踏まえた対応をとる。

 具体的内容といたしましては、1つ目の○、失業等給付積立金については、平成24年度から、弾力条項により雇用保険料が下限である10/1000に引き下げられている中で、積立金残高が過去最高水準となっている。

 2つ目の○、雇用情勢が過去10年間の平均的な状況で推移すると仮定(受給者実人員61万人)した場合に、本則である雇用保険料率で均衡する点まで引き下げることが適当。

 3つ目の○ですが、具体的には、失業等給付に係る雇用保険料率について、本則である14/100012/1000に引き下げた上で、平成28年度については、弾力条項を発動して8/1000としてはどうかというものでございます。

 なお、雇用保険二事業については、平成28年度の保険料率が3/1000に引き下がる予定となっており、引き続き効率的な制度運営に努めるという形でまとめているところでございます。

 資料説明は以上です。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただきました資料1につきまして、御質問あるいは御意見がありましたら、お出しいただきたいと思います。秋元委員、どうぞ。

○秋元委員 それでは、資料1の7ページですけれども、これまで労働側が申し上げてまいりました意見、3つ目の○の「失業等給付の積立金が積み上がっているのは、平成12年及び平成15年の改正で給付水準を引き下げたことが要因であることから、給付水準の見直しを行うべき」に関しましては、労働側の主張に変わりはございません。

 論点には「失業等給付積立金の今後の推移について、どのように考えるか」と示されておりますけれども、労働側としましては、雇用保険料率については、雇用保険の安定的な運営の確保と給付水準の回復の観点から、安易な料率の引き下げは認めないというスタンスであることを改めて申し上げたいと思います。

 8ページには今回、「財政運営の見直し(たたき台)」ということで、失業等給付に係る雇用保険料率について、本則14/100012/1000に引き下げることが提起されておりますが、雇用保険料率の見直しが平成28年度末までの暫定措置の取り扱いも含め、今後の基本手当の水準の議論への阻害要因になってはならないと考えておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。御意見として承りたいと思います。

 ほかにはいかがでございましょうか。資料1につきましてはよろしいでしょうか。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、事務局のほうでは、もう一つ資料2を御用意いただいておりますので、続いて、それについての説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○長良雇用保険課調査官 それでは、資料2の説明に入ります。雇用保険部会報告の素案については、前回12月8日の雇用保険部会でお示しをいたしましたが、そのときの御意見、御議論などを踏まえて、赤字で修正を施しております。

 なお、参考資料2は、その赤字の部分を反映させた版となっておりますので、両者を見比べながら見ていただければと思います。

 まず、修正点を中心に御説明をいたします。1ページ目の1つ目の○、「障害者」という単語が4行目に入っております。こちらは、使用者側の御意見の中で、「少子高齢化が一層進展する中、従来以上に若年者、高齢者、女性」に加えまして、「障害者」という文言を入れまして、「等の雇用を進めていく」という流れで追加記載をしているところでございます。

 続きまして、2ページになります。基本手当の水準の議論の中でございますが、労働者代表委員からの御意見の中に1文字「等」というものを入れております。こちらについては、前回の御議論の中で、給付制限期間などのお話もあったということを踏まえて加えたものでございます。

 続きまして、3ページであります。2つ目の○、「以上を踏まえ」の部分でございますが、こちらについては用語の適正化と文章の流れを加味した修正となっております。

 同じく3つ目の○についても、文を切った形で、1文を2文に分けたという技術的な修正でございます。

 続きまして、ちょっと飛びまして、就職促進給付のくだりの中で5ページの上の部分であります。「また、受給資格者の再就職のインセンティブを強化し、就職活動を支援するという観点から、基本手当や暫定措置のあり方と併せて、就職促進給付のあり方について検討に着手すべきである。その際、安定した就職に向けて熱心に求職活動を行う者に対するインセンティブ強化の観点に留意すべきである」という形で整理しております。

 こちらについては、前回の部会の中で基本手当や暫定措置のあり方に加えまして、就職促進給付のあり方についても検討すべきであるというような御趣旨の御意見をいただいたということと、安定した就職に向けた、いわゆる就職促進的な観点についても御議論があったという形でこちらのほうとして受けとめまして、このような記載ぶりとさせていただいているところであります。

 続きまして、5ページ以降が65歳以上の者への対処でございます。

 6ページについては、ちょっと赤字が多いのですが、一番上の行については1文を2文に分けた技術的修正でございます。

 2つ目「以上のような」のところの修正についても用語の適正化でございます。

 3つ目の「その場合」の削除の部分も用語の適正化、技術的な修正でございます。

 6ページの一番下、(2)の雇用保険料の徴収免除のあり方についてでありますが、こちらは、前回使用者側から御意見がありましたように、徴収免除を廃止する理由について、「高齢者雇用等の状況を踏まえて今般新たに65歳に達した日以後に雇用される者を雇用保険の適用対象とすることを契機に、この雇用保険料の徴収免除についても廃止し、保険制度の原則どおり徴収する」という整理をまず書いた上で、企業に対する調査結果について、その背景として後ろに記載するという形で、主に順番を入れかえた修正を施しているところであります。

 続きまして、8ページになりますが、教育訓練給付の部分。1つ目の○、2つ目の○はいずれも技術的な修正でございます。

 8ページ、育児・介護休業給付について、赤字部分は技術的な修正でございます。

 なお、こちらについてはまだ【P】がついておりますけれども、雇用均等分科会の取りまとめが年内になされる見込みでございますが、その取りまとめを受けて、こちらのほうの文章についてまた修正を施すことを予定しております。

 続きまして、9ページ、同じ介護休業の部分のところでございますが、前回労働者代表委員から一般財源に関連する御意見があったと受けとめまして、労働者代表委員からの御意見として、「今般の介護休業給付の給付率の引上げが国の重要な政策課題であること等も踏まえ、今般の給付率の引上げに係る財源については一般会計により賄うべきではないかとの意見があった」という形で整理をしているところでございます。

 続きまして、9ページの「財政運営について」です。こちらは前回全て【P】という形でありましたが、こちらの部分は今回新たに提示させていただく部分であります。

 「(1)失業等給付の財政運営について」ですが、1つ目の○、「失業等給付に係る雇用保険料率については、平成24年度以降各年度について弾力条項の発動が行われ、現行制度の下限である10/1000とされているところである」。

 2つ目の○、「こうした中で、失業等給付に係る財政収支に関しては近年黒字基調で推移しており、平成26年度の差引剰余は1,965億円、平成26年度末の積立金残高は6兆2,586億円となっている」。

 3つ目の○ですが、「そこで、過去10年間(平成17年度から平成26年度まで)の平均的な雇用情勢(受給者実人員約61万人)を想定すると、その場合に収支が概ね均衡となる雇用保険率は12/1000程度となる」。

 4つ目の○、「さらに、仮に基本となる雇用保険料率を12/1000とし、来年度より弾力条項を発動して8/1000に引き下げたケースを想定して試算を行った場合、平均的な雇用情勢」、こちらは受給者実人員61万人のケースでございますが、「平均的な雇用情勢を前提とすると、引き続き雇用保険財政の安定的な運営が確保できることが窺える」。

 5つ目の○、「以上を踏まえ、基本となる失業等給付に係る雇用保険料率については、平成28年度以降12/1000とすべきである」。こちらは法律改正を伴っております。

 「また、平成28年度の失業等給付に係る雇用保険料率については、弾力条項を発動した上で、8/1000とすべきである」という形で整理をしております。

 「(2)雇用保険二事業の財政運営について」でございますが、「雇用保険二事業に関しては、雇用情勢の改善等に伴う継続的な収支改善傾向により、平成26年度末の雇用安定資金残高は8,329億円となっており、弾力倍率は1.5倍を上回ることから、平成28年度の雇用保険料率については、3/1000に引き下がることとなるが、引き続き効率的な制度運営に努めていくべきである」という形でまとめているところであります。

 「(3)国庫負担について」でございます。「失業等給付及び求職者支援制度に係る国庫負担の暫定措置については、平成25年部会報告を踏まえて検討すべきである」という形で整理をしております。

 なお、平成25年の雇用保険部会報告におきましては、「雇用保険の保険事故である失業は、政府の経済政策・雇用対策とも関係が深く、政府もその責任を担うべきであるから、求職者支援制度に係る財源を含め、雇用保険法附則第15条の『できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で、国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする』との規定に基づく措置を講ずるべきである」、こういう形での取りまとめがなされているところでございますので、あわせて紹介をさせていただきます。

 続きまして、10ページ「7 その他」の部分でございます。

 マルチジョブホルダーに関連いたしまして、前回御議論があったことを踏まえまして、3行目「踏まえつつ、諸外国の状況を含めて適切に実態の把握を行い、技術的な論点を考慮した上で、雇用保険の適用のあり方と併せて引き続議論していくべきである」という形で修正を施しているところでございます。

 修正内容については以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま説明をいただきましたこの報告書(素案)、資料2につきまして御意見あるいは御質問がありましたら、お願いをしたいと思います。では、小林委員、どうぞ。

○小林委員 ありがとうございます。

 9ページの一番上の行に労働者代表委員からの意見ということで載っている部分がございます。今般の介護休業給付の給付率の引き上げが国の重要な政策課題であること等を含め、財政は一般会計により賄うこと。これは労働側の委員だけでなく、使用者側の委員も同様に感じていることでもございますので、労使双方からの意見に直すなり修正をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○岩村部会長 では、雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 ここのところはそれぞれの委員からの御意見ということで、御指摘の方向を踏まえて検討したいと思います。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

○小林委員 はい。

○岩村部会長 ほかにはいかがでございましょうか。では、山本委員、どうぞ。

○山本委員 10ページの求職者支援制度のところなのですが、この求職者支援制度については、第107回の部会で議論したと思うのですけれども、そのときも、具体的な議論は今後、議論をしていくべきということをおっしゃっていたのですが、少し議論が進んでいないということがあると思いますので、意見を申し上げておきたいと思っています。

 第107回のときに資料を出していただいて、ここの文章にも書いてあるのですけれども、基本的には、求職者支援制度での受講者数については、雇用情勢が改善している中で減少傾向ということで、平成26年下期はピーク時の半分ということが第107回部会の資料で示されていました。

 労働側としては、そういう状況ではあるのですが、訓練受講が必要な方への訓練機会の確保をするように対応が必要と考えております。

 例えば職業訓練受講給付金の不支給要件の一つであります「直前に給付金の支給を受けた訓練の最初の支給単位期間の初日から6年を経過しない場合」、こういう場合について、訓練終了後に一旦就職はしたものの、非自発的な理由によって離職を余儀なくされた場合のインターバル期間を短縮することなど、要件の見直しについては若干の余地があるのではないかなと思っております。

 また、訓練の受講が必要な方への訓練機会の確保という観点で言えば、離島とか、もしくは山間部、そういった地域において訓練機会の確保がされているのかという点については、とりわけ山間部は厳しいのではないかなと思っておりまして、こういう地域で訓練実施機関が確保できない状況であるのであれば、例えば特定求職者が都市部のほうで訓練を受講したいという場合には、特定求職者に対する給付の見直し、要は、交通費の支給とか、宿泊費についての手当を行うとか、そういったことが考えられるのではないかと思っております。

 こういった求職者支援制度の見直しに関する必要性について、少しまとめの段階に来ていますが、厚労省の見解をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○岩村部会長 それでは、総務課長、お願いします。

○本多総務課長 指摘ありがとうございます。

 求職者支援制度の関係は、総務課の訓練受講者支援室のほうが担当しておりまして、今、御指摘のあった2点、1点目はインターバル期間などの要件の見直し、2点目は山間部等訓練機会の確保が難しい場所での訓練機会の確保ということで、例として交通費の支給、手当の見直しという御指摘だったかと思いますので、担当室に伝えまして、検討させていただきたいと思います。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

○山本委員 はい。

○岩村部会長 それでは、遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員 ただいま御指摘のありました求職者支援制度に関し、利用者の利便性を高める形で見直しを図っていくことについては、使側も賛同いたしたく思います。

 ただし、インターバルの問題につきましては慎重に議論を進めていく必要があると思いますので、非自発的だからという理由だけをもってして短縮化を図るというのではなく、そもそも制度発足のときにしっかり議論してインターバル期間を置いたことも十分踏まえて御議論いただければと思います。

 あわせて、10ページですけれども、前回、高年齢雇用継続給付金の取り扱いにつきまして、同一事業主でなければ受給できないという発言をいたしました。その後、調べを進める過程で誤っていることがわかりましたので、訂正をさせていただきたいと思います。

 その訂正の中身につきましては、いろいろ制度が入り組んでいますので、お差し支えなければ、事務局から御説明を賜れればと思っています。

○岩村部会長 それでは、雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 高年齢雇用継続給付でございますが、御案内のとおり2種類、基本給付金と再就職給付金がございます。いずれも受給要件がございますが、受給要件の算定に当たりましては、その労働者、被保険者を受給資格者とみなして被保険者期間を算定するという扱いになっておりまして、被保険者を受給資格者みなしとした場合には、例えば事業所が異なる場合においても、これは失業給付の場合もそうなのですけれども、被保険者期間を算定するという扱いにしておりますので、それと同じように算定されるということになっております。

 基本給付金の場合は5年間の被保険者だった期間ですが、再就職給付金は2年の期間になっていまして、ただ、再就職給付金の場合、基本手当を受けたという条件でありますけれども、事業所をかわった場合であっても被保険者であった期間が通算されるという扱いになってございます。

 その上で、再就職給付金は2年間という期間を設定しておりますのは、基本手当を受給した方が対象でありますので、基本手当の受給とあわせて再就職給付金の額を算定して、5年間の基本給付金とおおむね均衡するようにということで、平成6年のときに策定したという経緯がございます。

 このあたり、ちょっと複雑でございますので、御指摘のとおり周知に努めたいと思ってございます。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員 労使協定が書面で整っている場合については事業主が申請できるとあります。ただ、原則は労働者本人の申請ということですので、周知は、事業主だけではなくて、これまでよりも一層労働者本人に伝わるような形で取り組んでいただければと思います。

○岩村部会長 では、雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 手続は御案内のとおりでございまして、本人または事業主、双方が手続をできるという形でございます。

 実態として、統計はないのですけれども、ほぼ99%以上が事業主さんの手続だというふうに現場からは聞いているところでございます。

 両方から手続がございますので、労働者の方、事業主の方、両方にとって使いやすい、あるいは周知が進む形で進めたいと思ってございます。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

○遠藤委員 はい。

○岩村部会長 ほかにはいかがでございましょうか。では、三島委員、どうぞ。

○三島委員 9ページから記載がある財政運営の部分で、10ページの「(3)国庫負担について」でありますけれども、これまでも労働側から意見を申し上げています。資料1の7ページ「これまでの意見のまとめ」には「国庫負担の本則戻しが課題」と記載していただいたところでもあります。しかし、今回の雇用保険部会報告(素案)の10ページでは「平成25年部会報告を踏まえて検討すべき」との記載にとどまっておりまして、具体的内容が記載されていないと感じており、不十分だなと思っております。今回の部会報告の中でも、財政運営の部分については、失業に対する政府の責任を明記するとともに、求職者支援制度の財源を含め、できるだけ速やかに国庫負担に関する暫定措置を廃止すべきとの意見を明記するべきであると考えておりますので、意見を述べさせていただきました。

○岩村部会長 雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 御意見の内容は私どもも全く同じでございまして、25年報告を先ほど調査官のほうからも申し上げましたけれども、25年報告の該当部分、ポイントだけ申し上げますが、失業は、政府もその責任を担うべきであると。それから、「求職者支援制度に係る財源を含め」、ここから先が大事なのですけれども、「雇用保険法附則第15条の『できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で、国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする』との規定に基づく措置を講ずるべきである」と書いております。

 今回これと全く同じでありまして、当然私どもも附則15条を踏まえて随時財政当局と折衝しているわけでありますけれども、これと事情は変わっていないということで、今回こういうまとめ方になったというものでございます。したがって、受けとめとしては、25年部会報告と全く同じだという受けとめでございます。

○岩村部会長 ということで、あとは報告書の内容として同じことを繰り返して書くかどうかということだと思いますので。

 では、雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 いずれにしても書きぶりだけの話でございますので、また御相談させていただければと思います。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

 ほかにはいかがでございましょう。では、遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員 ただ今の書きぶりについては、お任せいたします。

 その上で、財政当局との折衝も続いていて、ある程度めどが立っているのかどうかは存じ上げませんけれども、国庫負担につきましては、労使とも同じ立場であると思っていますので、少なくとも現状の水準を維持できる形で引き続き御尽力願いたいと思っています。

 また、使側といたしましては、思い切った料率の引き下げということを主張させていただきました。今回の数字は、弾力条項を発動して、過去最も低い水準に、数字としてはおさまる方向にあります。

0.8%の水準は、単年度に限って経験しているにとどまっていますから。

○小林委員 以前一度ありました。

○遠藤委員 そうですか。言いたいのは、この数字を安定的な形で維持していくという意味では、新しい局面に入ったと理解して、この水準を受けとめていきたいと思います。

○岩村部会長 では、御意見ということで承りたいと思います。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、亀崎委員、どうぞ。

○亀崎委員 資料2の8ページ「5 育児・介護休業給付について」についてであります。介護休業給付の1カ月ごとの給付額は、「休業開始時賃金日額掛ける支給日数掛ける給付率」で算定されるわけですけれども、現在、休業開始時賃金日額の上限額は1万4,210円でありまして、この金額というのは、年齢区分でいきますと、30歳以上45歳未満の基本手当受給者の賃金日額上限額と同じ水準に設定されています。

 しかし、第106回部会の中で示された「介護休業給付の年齢区分別受給者数」によれば、45歳以上60歳未満の者は48.9%ということで、約半数を占めているわけであります。こうした状況を踏まえますと、介護休業給付の算定基準となる「休業開始時賃金日額」の上限額については、45歳以上60歳未満の基本手当受給者の賃金日額と同じ水準である1万5,620円に見直すべきだと思いますので、それについての御回答をお願いしたいと思います。

○岩村部会長 雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 御指摘のとおり、介護休業給付の給付額の算定基礎については、育児休業給付と同様に3045歳の上限額を用いて算定しているところでございます。

 これは、経緯から申しますと、育児休業給付については、平成6年に創設した際に、実態として3045歳の層の方の受給が多いであろうということで、この上限額を用いているわけでありますけれども、介護休業給付を想定した際も、基本は育児並びということで設定したというふうに聞いてございます。

 ただ、御指摘のとおり、介護休業給付の受給者の年齢層を見ますと、45歳から60歳未満方で大体ちょうど半分といった数字でございまして、このあたり、むしろ実態に合わせていくべきという考え方も十分成り立つということを私どもとしても思っているわけでございます。

 したがいまして、よろしければ、介護休業給付の上限額については45歳以上60歳未満の上限額に改めるという形で私どもとしても検討していきたいと思っております。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

○亀崎委員 ありがとうございます。

○岩村部会長 ほかにはいかがでございましょうか。では、村上委員、どうぞ。

○村上委員 3点ほど申し上げます。

 1点目は、先ほど遠藤委員がおっしゃった国庫負担の問題でございまして、労働者側も速やかな本則復帰と最低限でも現行維持という意見でございますので、その点はどうぞよろしくお願いいたします。

 2点目は、2ページの下のほうにある労働者代表委員からの意見には、前回部会での発言を踏まえ、「給付水準(給付日数、給付額、給付率等)等の見直しを行うべき」というように、「等」という文字を入れていただいたのですが、私ども労働側としては、給付制限の見直しも検討していくべきと申し上げたので、「等」ではなく、「給付制限」という文言をきちっと入れていただきたいと考えております。

 3点目は、5ページ以降、65歳以上の適用の問題についてずっと書かれておりまして、文章の整理はこのような形でよいかと思うのですが、6ページの○の2つ目「以上のような高齢者雇用等をめぐる状況変化を踏まえると」ということで、「新たに65歳以上に雇用される者についても雇用保険の適用対象とすべきである」とまとめられております。前回の部会でも申し上げたのですが、憲法第27条の勤労権にも触れた上で、65歳以上の就労者が300万人以上になっているというこの間の経過も踏まえた議論を行ってきたところです。

 第106回部会資料には「勤労権との関係をどう考えるか」との記載があり、第107回部会では野川委員からも「労働権」という言葉を使った説明がありました。私ども労働側としては、なぜ今なのかということはありますが、原則適用であるというところを議論の出発点として考えるべきだということを申し上げてきたつもりであります。

 そのようなことから考えますと、○の2つ目の文章だけではこの間の議論の経過として言及不足ではないかと考えておりまして、この点について事務局の見解を伺いたいと思います。

○岩村部会長 それでは、2点目の御質問のほうから先にお答えいただければと思います。

○奈尾雇用保険課長 では、1点目も補足だけいたしますが、労使双方からの強い御意見ということで、私どもも23年、附則15条というのは非常に重いと思っていますので、それにしっかり基づいて今、対応しているところでございます。

 2点目の給付制限でございますが、2ページ、労側の意見ということで、このあたりは記載することも検討できるかなと思ってございます。

○岩村部会長 3点目については、前回労使の間でもこの場で議論があったところでございますので、使側のほうの御意見はいかがでしょうか。遠藤委員、お願いします。

○遠藤委員 65歳以上の方々についての取り扱いを議論し、その過程で勤労権についても議論を行ってきたことを、争うつもりはございません。

 ただ、ここで、何を使側として申し上げたいかというと、65歳以上の雇用促進に資するのかどうなのかがそもそも議論の出発点であったと私どもは理解しています。そういう意味で言うと、今なお雇用の促進につながるのかどうなのかということについては疑問なしとしないです。

 しかしながら、方向性として雇用保険の対象にしていく、原則として保険料も徴収していくという方向性が出た段階においては、使側としてもこれまで以上に高齢者を活用していきたいというのが総意です。その総意があるので、書かれているようにセーフティーネット確保の観点で整理をするのが、よいのではないかと思っています。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 では、野川委員、どうぞ。

○野川委員 この件に関しましては、65歳を超える方への雇用保険制度の適用の一番基本的な根拠というのは、憲法27条の勤労権に求められるだろうということを私、申し上げましたが、もちろん今でもそれは変わりません。

 問題は、この報告書、つまり、具体的な内容を持ったこの報告書にどのようにそれを仕組むかということだと思うのです。事務局もいろいろと検討されていることとは思いますが、私としては、勤労権を土台とする体系のもとで報告書がつくられることがあれば、それは大変望ましいとは思いますが、今、使用者側からも御意見があったセーフティーネットということを強調することで、一番の目的である雇用の促進に資することをもっと強調できるのではないかという御意見もありますので、「勤労権」という言葉をこの報告書の中に仕組むことの可能性についてもう少し検討していただいて、報告書のあり方としてはこういうあり方が望ましいというものを、わかりやすい根拠を持った上で示していただくのがよろしいのではないかと思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 では、雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 ただいま公労使三者から御意見をいただいたところでございます。

 その趣旨とするところを見ますと、雇用保険制度、本来の趣旨は何かというところに結局、なるかなと思うのですが、それぞれの御意見を踏まえると、ストレートに「勤労権の保障」と記載するのはなかなか難しい反面で、例えばセーフティーネットの確保というのは、雇用保険制度の本来の要請なのだということをもう少し強めて書くということはあるかと思いますので、その方向で検討させていただきたいと思います。

○岩村部会長 よろしゅうございましょうか。

○遠藤委員 はい。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、遠藤委員、どうぞ。

○遠藤委員 前回、おくれて出席したので、記憶に残っていないのかもしれないのですが、5ページ目に赤字で追記されている内容がございます。先ほど御指摘がありましたように、基本手当や暫定措置のあり方については、以下記述されている部分に理解を示すのですが、その後の「就職促進給付のあり方」というのは、今般の見直しとは別に、改めて何か検討に着手するということなのか、どういう方向性を持って記述をされたのかをお聞きしたいと思います。

○岩村部会長 雇用保険課長、お願いします。

○奈尾雇用保険課長 8月からの部会におきまして雇用保険の各種求職者給付と就職促進給付については、特に再就職の状況等を踏まえて、どういったところに今の課題があるのか。特に雇用情勢が比較的落ちついている現在でどういう課題があるのかという観点で、特に8月、9月を中心に議論をさせていただいたところでございます。

 その中で、今回の改正で行うべきものとして、例えば再就職手当の拡充でありますとか広域求職活動費等の拡充ということで、UIJターンにも対応するし、早期再就職にも資するということで提案させていただいたところでありますけれども、暫定措置については29年3月で切れるという中で、そのあり方とあわせると、さらに早期再就職促進のために何かできる余地があるのかどうかというあたりは検討すべきだろうと思います。

 8月、9月に帯グラフでお示ししたそれぞれの時期別におきます再就職の状況を見ると、現在の状況としては、給付制限期間中あるいは受給中の就職率というのは、今の雇用情勢から見ると、もう少し高めていく余地があるのではないか。私どもは現場のハローワークのほうとも随時意見交換をしながら方策を考えているわけでありますが、そういった現場の意見も踏まえて、これからどうやっていくかということを考えていくべきだろうということで、書かせていただいたところでございます。

○岩村部会長 遠藤委員、いかがでしょうか。

○遠藤委員 雇用の維持に関しては、やはり労使で取り組んできたということは繰り返し申し上げたいのですが、一方で、現場としてのハローワークの活躍というものも、感服する部分がございますし、黙々と仕事をされている実態も何度も見てきています。ただ今、お話がありましたように、ハローワークからの声を引き続き吸い上げていただきまして、差し支えない範囲で結構ですので、この部会の中で御紹介いただければ、今後の検討に当たっての大きなヒントになるのではないかと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

○岩村部会長 私も同感でございますので、よろしくお願いいたします。

 そのほかいかがでございましょうか。きょうのところはこのあたりでよろしゅうございましょうか。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、次回は、本日いただいた議論というものを踏まえて、事務局に報告書の案を用意していただくということにいたしまして、それをもとに議論を進めてまいりたいと思います。

 最後に、いつものお願いであります署名委員でございますけれども、本日は、使用者代表につきましては小林委員に、それから労働者代表につきましては三島委員にそれぞれお願いをいたします。

 次回の日程は、またすぐなのですが、1224日ということになっております。場所等の詳細につきましては、事務局のほうから改めて各委員に御連絡をいただくということでございますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、これで終了とさせていただきます。

 お忙しい中、皆様、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
TEL:03-5253-1111(内線:5763)

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