ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(指定薬物部会)> 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録(2015年8月18日)




2015年8月18日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成27年8月18日(火)16:00~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

出席委員(7名)五十音順

遠 藤 容 子、◎鈴 木   勉、 関 野 祐 子、 曽 良 一 郎、
成 瀬 暢 也、 花 尻 瑠 理、 宮 田 直 樹
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(4名)五十音順

石郷岡   純、 桐 井 義 則、 妹 尾 栄 一、○和 田   清

行政機関出席者

赤 川 治 郎(監視指導・麻薬対策課長)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 それでは、ただ今から、薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催いたします。

 本日は、大変お忙しい中、委員の先生方には御出席いただき、誠にありがとうございます。本日は、石郷岡委員、桐井委員、妹尾委員、和田委員から欠席の御連絡を頂いております。現在のところ、当部会の委員数11名のうち、7名御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 本部会の公開・非公開の取扱いにつきましては、総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されたことから、非公開とされています。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶ恐れが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。

 それでは、以後の議事進行は、鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 最初に事務局より資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をいたします。本日の資料ですが、資料が1と2、参考文献は1~6、参考資料が1~3です。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。資料がお手元にない場合には、お知らせ願います。よろしいでしょうか。

 本日の議題は、指定薬物の指定についてです。審議物質について事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 今回御審議を頂きたい物質については、国内外で流通実態が認められた物質になります。

 資料1は、各物質の名称、通称名、構造式が1~6まで、それぞれ記載しております。これらの物質について指定薬物として指定をし、規制対象とする必要があるか否かについて御審議を頂きたいと思っております。

 資料2は、各物質について行われた、国内の基礎研究や動物実験の結果等について、中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。

 資料2-1を説明いたします。通称FU-PX-2ですが、指定薬物であるPX-2などと構造が類似する化合物です。カンナビノイド受容体に対する結合親和性について、[3H]CP-55,940をトレーサーに用い、カンナビノイド受容体に対する被験物質のdose-response curveを作成し、IC50を算出した結果が、FU-PX-2のCB1受容体に対する値が、2.85×10-7乗、CB2受容体に対する値が、1.83×10-7乗となっており、陽性対照物質のCB1受容体に対する値が、2.39×10-8乗、CB2受容体に対する値が、7.13×10-9乗となっております。また、同等の測定方法で別途測定した結果として、麻薬であるJWH-018のCB1受容体に対する値が、1.69×10-7乗、CB2受容体に対する値が、5.93×10-7乗となっております。そのとき、陽性対照物質のCB1受容体に対する値が3.2×10-8乗、CB2受容体に対する値が、9.51×10-9乗となっております。

 運動活性に対する影響については、FU-PX-2を5mg/kg50mg/kg腹腔内投与し、投与後24時間の自発運動量を測定したところ、50mg/kg投与群の投与後1時間ごとの自発運動量の結果をFig.1に示しております。陰性対照と比較して、有意な差は認められませんでした。50mg/kg投与群の投与後0~6時間及び6~12時間の累積自発運動量の結果をFig.2の2に示しております。陰性対照と比較して、有意な差は認められませんでした。50mg/kg投与群の投与後10分ごとの自発運動量の結果をFig.3に示しております。投与30分~40分後及び40分~50分後で有意に減少することが確認されました。また、投与30分後に軽度の無動状態が観察されております。

 続きまして、資料2-2を説明いたします。通称CUMYL-PICAですが、指定薬物であるSDB-006などと構造が類似する化合物です。カンナビノイド受容体に対する活性について、35-GTPγSをトレーサーに用い、カンナビノイド受容体に対する被験物質のdose-response curveを作成し、EC50を算出した結果が、CUMYL-PICAのCB1受容体に対する値が7.77×10-7乗、CB2受容体に対する値が4.44×10-7乗となっており、陽性対照物質のCB1受容体に対する値が8.12×10-10乗、CB2受容体に対する値が7.80×10-10乗となっております。

 海外における流通状況につきましては、2014年にスロベニアにおいて流通が確認されております。

 資料2-3を説明いたします。通称CUMYL-5F-PICAですが、指定薬物である5F-SDB-006などと構造が類似する化合物です。カンナビノイド受容体に対する活性については、35-GTPγSをトレーサーに用い、カンナビノイド受容体に対する被験物質のdose-response curveを作成し、EC50を算出した結果が、CUMYL-5F-PICAのCB1受容体に対する値が2.09×10-8乗、CB2受容体に対する値が9.09×10-6乗となっており、陽性対照物質のCB1受容体に対する値が8.12×10-10乗、CB2受容体に対する値が7.80×10-10乗となっております。

 海外における流通状況については、2014年にスロベニアにおいて流通が確認されております。

 まず、以上の3物質について指定薬物として差し支えないと考えますが、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。事務局より説明のありました物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。最初に□□委員から流通実態の方をお願いいたします。

□□委員 それでは、□□□□における分析調査の結果を御報告したいと思います。今御説明のありました3化合物のうち、FU-PX-2については、白色粉末の形で国内流入を認めており、国立衞研にて本化合物を同定しております。その他の2化合物については、□□□の調査では検出はしておりません。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。委員の先生方、いかがでしょうか。先ほどの説明で、2-1なのですけれども、そのFig.1は、5mgと言われましたか。

○事務局 50mgになります。失礼しました。

○鈴木部会長 50mg。5mgのデータは出てないわけですね。

○事務局 そうですね。高用量の方でだけ掲載させていただいております。

○鈴木部会長 5mgの実験はやっておられるのですか。

○事務局 実験は、はい。

○鈴木部会長 特に問題はないと。□□委員、お願いします。

□□委員 全然本質的でない質問ですが、また通称のことでちょっと教えてください。このFU-PX-2という通称は、やはり既にもう文献等で広く使われている通称名ということでよろしいでしょうか。

○事務局 インターネットなどで検索すると、この名前で同一の物質が確認されておりますので、一般的に使われている名前と考えてよろしいかと思います。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。

□□委員 はい、いいです。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それではありがとうございます。発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。ただ今御審議いただきました3物質は、いずれも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 資料2-4を説明いたします。通称CUMYL-PINACAですが、指定薬物であるNNE1 indazole analogなどと構造が類似する化合物です。カンナビノイド受容体に対する活性について、35-GTPγSをトレーサーに用い、カンナビノイド受容体に対する被験物質のdose-response curveを作成し、EC50を算出した結果が、CUMYL-PINACAのCB1受容体に対する値が5.12×10-9乗、CB2受容体に対する値が4.75×10-8乗となっており、陽性対照物質のCB1受容体に対する値が8.12×10-10乗、CB2受容体に対する値が7.80×10-10乗となっています。

 海外における流通状況については、2014年にスロベニアにおいて流通が確認されています。

 資料2-5を説明いたします。通称CUMYL-5F-PINACAは、指定薬物である5-Fluoro-NNE1 indazole analogなどと構造が類似する化合物です。カンナビノイド受容体に対する活性については、35-GTPγSをトレーサーに用い、カンナビノイド受容体に対する被験物質のdose-response curveを作成し、EC50を算出した結果がCUMYL-5F-PINACAのCB1受容体に対する値が1.51×10-8乗、CB2受容体に対する値が3.48×10-8乗となっており、陽性対照物質のCB1受容体に対する値が8.12×10-10乗、CB2受容体に対する値が7.80×10-10乗となっています。そのほか、カンナビノイド受容体に対する結合親和性について、[3H]CP-55,940をトレーサーに用い、カンナビノイド受容体に対する被験物質のdose-response curveを作成し、IC50を算出した結果が、CUMYL-5F-PINACAのCB1受容体に対する値が1.70×10-9乗、CB2受容体に対する値が2.42×10-9乗となっており、陽性対照物質のCB1受容体に対する値が2.39×10-8乗、CB2受容体に対する値が7.13×10-9乗となっています。

 また、同等の測定方法で別途測定した結果として、麻薬であるJWH-018のCB1受容体に対する値が1.69×10-7乗、CB2受容体に対する値が5.93×10-7乗となっています。このとき陽性対照物質のCB1受容体に対する値が3.2×10-8乗。CB2受容体に対する値が9.51×10-9乗となっています。

 運動活性に対する影響について、CUMYL-5F-PINACAを5mg/kg腹腔内投与し、投与後24時間の自発運動量を測定したところ、投与後1時間ごとの自発運動量の結果をFig.4に示しています。陰性対照と比較して、有意に減少することが確認されています。投与後0~6時間及び6~12時間の累積自発運動量の結果をFig.5の1に示しています。陰性対照と比較して有意に減少することが確認されています。また、投与2~3分後に痙攣、挙尾反応、四肢の硬直の症状が確認され、その後不動状態が観察されています。

 海外における流通状況については、2014年にスウェーデンにおいて流通が確認されています。

 資料2-6を説明いたします。通称Bromo-DragonFLYですが、麻薬であるDOBと構造が類似する化合物です。行動・中枢神経症状観察については、マウスにBromo-DragonFLY(1.1mg/kg11mg/kg27.5mg/kg)を腹腔内投与し、投与後30分、1時間、2時間の神経症状を観察したところ、1.1mg/kg投与群では、投与30分後に自発運動及び払いのけ動作がやや抑制され、腰が落ち気味の異常姿勢が認められました。これらの反応は投与1時間後、2時間後の観察時にはほとんど消失しています。11mg/kg投与群では、投与30分後の観察時に1.1mg/kg投与群で認められた反応が強い強度で現れたのに加え、後肢を引きずるように歩いたり、体勢が傾く異常歩行、ライジング、スニッフィングなどの異常行動が認められました。27.5mg/kg投与群では、投与30分後の観察時から自発運動の抑制、異常姿勢が11mg/kg投与群で認められた強度よりも強く現れたのに加え、投与1時間後、2時間後の観察時にも自発運動の抑制、異常歩行、異常姿勢が観察されています。

 モノアミントランスポーター阻害作用について、モノアミントランスポーターを発現させたヒト胎児由来腎臓細胞(HEK293細胞)を用いて、Bromo-DragonFLYによるモノアミン取込阻害作用について検討したところ、Bromo-DragonFLYのドパミンに対するIC501.0×10-4乗を上回る結果となり、セロトニンに対するIC505.8×10-6乗となっており、陽性対照物質であるコカインのドパミンに対するIC504.7×10-7乗、セロトニンに対するIC508.7×10-7乗となっています。

 マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化については、マウスにBromo-DragonFLY19mg/kgを経口投与し、ドパミン、セロトニン、ノルエピネフリンの量を経時的に測定したところ、投与直後からドパミンが減少し、投与40分後から3時間後の実験終了まで有意に減少することが確認されています。なお、セロトニン、ノルエピネフリンについては有意な差は認められませんでした。

 セロトニン受容体への活性について、発光タンパク質を発現させた組換え細胞を用い、被験物質が受容体に結合することで誘導される発光強度を測定し、EC50を算出した結果が、Bromo-DragonFLYの5-HT2A受容体に対する1回目の値が1.16×10-10乗、2回目の値が9.00×10-11乗で、平均が1.03×10-10乗となっています。陽性対照物質では、1回目が1.06×10-8乗で、2回目の値が4.38×10-9乗で、平均が7.49×10-9乗となっております。5-HT2C受容体に対する1回目の値が2.71×10-11乗で、2回目の値が1.0×10-11乗から1.0×10-10乗で、平均値は算出できておりません。陽性対照物質では、1回目の値が1.0×10-10乗から1.0×10-9乗で、2回目の値が4.68×10-10乗で、平均値は算出できておりません。

 海外における流通状況については、2012年にフィンランドにおいて流通が確認されています。

以上の3物質について、指定薬物として差し支えないと考えますが、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。□□委員から流通実態をお願いいたします。

□□委員 ただ今御説明がありました3化合物のうち、□□□の分析調査におきましては、5-Fluoro-CUMYL-PINACAを、液体製品3製品から検出しています。

 他の2化合物については、□□の分析調査では検出しておりません。以上です。

○鈴木部会長 ただ今事務局より説明のありました物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います、いかがでしょうか。

□□委員 これまで、例えば2-5のように、カンナビノイド受容体の活性と結合親和性の評価、そして運動活性、このような資料を見た上で判断をしてきたかと思うのですが、本日の、例えば2-4、あるいはその前の2-22-3については、カンナビノイド受容体への活性だけで判断されているということですけれども、そのような認識で考えてよろしいのでしょうか。これまでいろいろな側面からの評価をされていたかと思いますけれども。

○事務局 これまでの事例で言いますと、合成カンナビノイド系のもので言いますと、カンナビノイド受容体への親和性Ki値で判断するとか、必ずしもそこのところは運動活性も含めて判断するような形とは限らずに、受容体の親和性のみで判断しているところもあります。

□□委員 それと確認ですが、そこがきちんとしていればどんどん指定していくべきと考えてよろしいのでしょうか。

○事務局 もちろんそこのところは一定の中枢神経系への作用の蓋然性があるという、指定薬物の要件を満たすというところが、ここで御評価いただければ指定していくことになると思います。

□□委員 確認しますと、今後in vitroの検討において、親和性ではなくて、アゴニスト活性が示されていれば、指定薬物にしていくという考え方でよろしいのでしょうか。

○事務局 それが今までの評価のやり方、その時々で利用できるいろいろなデータを使ってやってきているということですので、これでなければいけないということはもちろんないわけです。繰り返しになりますが、指定薬物の要件である中枢神経系への蓋然性が評価できるかというところで御判断いただければと思います。もちろんアゴニスト活性でそれが評価できるということであれば、それで御審議、御判断いただければと考えています。

○鈴木部会長 ただ今の件について、いかがでしょうか。□□委員は別件ですか。今までかなりの物質があって、非常に急いで評価をしなければいけないという面があったと思うのですが、かなり落ち着いてきて、その蓋然性の質をこの部会で考えていかなければいけないと思います。少なくともアゴニスト活性があるかないか、今まではバインディングだけでも決めていた面がありますので、アゴニスト活性は最低限必要ではないかと思います。あとは、もう少し質を上げるためには、行動的な評価、これも加えた方がいいのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。

□□委員 私も今の部会長の御意見に賛成です。例えばこの場合、資料2-1の所に行動活性評価があって、それと非常に類似している一方で、資料2-5を見ますと、CB1受容体への活性だけでは評価できないほど行動の抑制が非常に強いことが分かります。そうしますと、行動実験がないデータがありますと、これほど強い行動抑制があることが分かります。指定薬物にするための迅速性も重要ですが、行動解析データがないと、すごく強烈な反応がある薬物情報を見過ごしてしまうのが恐いかなと感じました。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。これは特に決める必要性はないですね。今後、推移を見ながら、ケースバイケースで判断していく。ただし、質は少しずつ上げていくということが必要かと思います。ほかに、□□委員、お願いします。

□□委員 私は資料2-6Bromo-DragonFLYについて、二つほど教えていただきたいと思います。情報があるかないか、ちょっと分からないのですが、この薬物の症状というか臨床症状なり精神症状について、何か報告があるかどうかというのが一つ。

 もう一つは、それに関係するのですが、この薬物のマウスへの投与の結果が、むしろ運動失調が主体の症状ですね。その後のマイクロダイアリシスでドパミンが減ったということと関連するような行動異常だと思うのですが、この指定薬物部会での対象というのは、今までは依存性の薬物をカバーするような議論をやってきたと思うので、もちろんこういう高用量で強い運動失調が出るということは、健康被害につながるわけですから、規制対象とすることは全然問題ないと思います。ただ、カバーする範囲が今までは依存性を中心に議論してきたものが、運動失調もカバーするという形で評価をされるかどうか、そこが気になったものですから。多分、臨床症状はなかなか情報はないかと思いますけれど、いかがでしょうか。

○鈴木部会長 事務局からお願いいたします。

○事務局 臨床症状については、ちょっと今の段階では、はっきりこうだと言えるデータは持ち合わせておりません。

 2番目の御指摘の指定薬物の指定に当たっては、依存性というのは必ずしも要件ではなくて、中枢神経系の興奮抑制、あるいは幻覚、そういう作用の蓋然性があるかというようなところを御評価いただいて、そういったものがありそうであれば指定薬物に指定をしていくということです。依存性があるかないかというところは、麻薬に指定をしようというときには、そこの議論が入ってくるわけですけれども、指定薬物の段階では、まだそこは要件としては入っていません。

□□委員 今ちょっと説明不足だったので補足しますと、おっしゃられた興奮なり精神症状のマウスでの症状、モデルという捉え方での評価だったと思うのですね。でも、今回のマウスの症状というのは、むしろ神経、運動失調ですから、精神ではなくて神経の対象になりますから、もちろん神経毒性ですけれども、精神ではないのですね。対象は、ここで言えば錐体外路に近いような、そういう症状と見受けられるので、今までの運動量の増加、それから抑制、これは精神症状に置き換えられるような症状ですけれども、こちらはまた別の症状。もちろんこれも健康被害には間違いないのですけれど。ちょっと今のはお分かりいただけますか。

○事務局 この薬物については中枢神経に作用しているというような、必ずしもそうではない、それというよりはむしろ末梢というか、そちらの方に働いているのではないかと、そういう意味合いですか。

□□委員 もちろんこれは中枢のドパミンが減っていることによって、それでこういう、恐らく運動失調につながるような錐体外路のような症状だというように推測はするのですが、今までは主に精神の症状を対象としてきたものが、多分、こういう神経症状が際立って出たものはあまり今まで対象になっていないのではないかということについて、どのようにお考えかをお聞きしたかったのです。

○事務局 中枢神経系への作用という点では出ていますので、そういう意味で指定薬物に指定して差し支えないのではということで御審議いただいたものです。こういったものを指定薬物にしていくという方向は今後もあるかとは思います。

○鈴木部会長 今のでいきますと、サルビノリンAのような、カッパーのアゴニストなどはやはりドパミンを下げるし、今、先生が言われているのは、例えばクロルプロマジンのような系統のものを指定薬物にするのかという議論だと思います。

□□委員 極端な話になると、結局そちらの方にも広げる。一般のいわゆる抗精神病薬、Antipsychoticsはこの症状、極量というか、精神科医が使うものは出ますから、これを指定薬物にしてしまうことは、ちょっと境界がどうなのかなと。□□先生がおっしゃる、非常に極端な話ではありますが。

○鈴木部会長 多分、サルビノリンAの高用量だとかなり錐体外路症状的なものが出てくるのですが、それよりも低用量で、ドパミンが減少することによって引き起こされる精神症状に恐らくはフォーカスが当たると思います。その辺も今後、注目して見ていかなければいけないところかと思います。今の線引きを、していかなければいけないかとも思います。□□委員、これでよろしいですか。

□□委員 はい。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。

□□委員 ()のセロトニン受容体への活性に関することです。今まで1回目と2回目のデータはきちんと並べて出ていなくて、大体平均値でプラスマイナスという形で出ていたと思うのですが、このように計測のばらつきが非常に大きくてカウントできないようなものを、根拠としてどこまで扱うかというところですが、13ページの表になります。1回目と2回目の計測値が非常に大きくばらついているというのか、Mean Valueが出せないと書いていますよね。今までセロトニン受容体の活性の評価というのは、行動との直接的な関係があまり明確ではないままきているのかなと、これは印象ですけれども。教えていただきたいのは、このセロトニン受容体の活性と行動はどのような因果関係があると一般では言われてますでしょうか。これは今回の行動と、特にこの資料でいくと、行動異常は大体ドパミンが減ったことで、タイムコースから見ても説明がしっかりつきますね。ですから、この薬物の作用があるということに関しては全く異論はないのですが、このセロトニンのデータと行動とが、ここでは相関がつけられるとはちょっと思えなくて、複雑なメカニズムがあると感じるのです。今まで審議したものの中で、セロトニンと行動をパラレルに理解できると考えていいでしょうか。

 それから、セロトニン受容体の活性が、比較的、値が出しにくいものなのかどうかです。今回のように、こういう形で平均値が出せないというデータが出ている場合です。前回は多分、片方しかデータが出ていなかったことがあったと思うのです。具体的な質問ではないのですが、まとめますと、セロトニンの受容体活性と行動との相関がどのように考えられているのかを教えていただきたいということになります。

○鈴木部会長 事務局からお願いいたします。

○事務局 セロトニン受容体活性に関する幅が出ているところについては、他の文献を参照してこちらに記載したのですが、もう少し内容を詳しく確認させていただいて、委員の皆様に後日お知らせをしたいと思います。

□□委員 LSDはセロトニンの2Aではないのでしょうか。

○事務局 そうですね、2Aに作用します。

□□委員 ですから、そこを説明してくださったら、これがアゴニストがあるということで、対象になるということではないのでしょうか。

○事務局 先生から頂いた御質問は、2回やってかなり測定値がばらついているので、こういう実験はそういう性質のものなのかどうかというような御質問だと理解したのですが、どうしてばらついたのかというところの説明については、報告書の中にもないものですから、そこは確認させていただいて、後ほど回答させていただきたいと思います。

□□委員 二つあって、質問の一つは今のばらつきの問題で、この試験方法のデータはばらつきが出やすいものなのかどうかもちょっと見ていただきたいということです。今のLSDがセロトニン2Aということで、2Aだけ見ていればいいというわけではなくて、2Cも見た方がいいのでしょうか。

□□委員 私にですか。

□□委員 セロトニン受容体活性と行動との、濃度との因果関係がどうなっていたかなということがあり、これまで審議されてきた化合物について、そろそろまとめた方がいいかもしれないとちょっと思ったのですが、これは個人的な関心でもあります。

 今回のように2A活性とか2C活性が出ているけれど、この行動は、ほとんどがドパミンの減少で説明できそうです。今までセロトニンの活性があればそのまま指定にしていたなという感じがありました。ただ、この行動が今回ドパミンの方できれいに説明できそうなので、これまでセロトニンのバインディングのデータだけで審議していたものが多くあることを考えると、もう少し複合的に考える根拠があってもいいかなというようなシンプルな疑問を持ったというところです。回答のあることではないかと思いますけれども。

○事務局 セロトニン受容体への作用と行動の関係は、今まで御審議いただいた中でもなかなかはっきり見えてこないというところは御指摘いただいていたので、そこのところは、今後同じような物質が出てきたときには、何らかの評価ができるような形でデータを集めたいと思っております。

 今回のものに関して、セロトニンの2Aに対しての活性がこれだけあるのでこういう行動が出たということは、まだ分からないところであるとは思います。セロトニン受容体の作用を評価するときには、その行動のところもきちんと見て御了解いただけるようにできればと思っております。

□□委員 必ずしも私が薬理の専門ではないのですが、セロトニンの2Aと2Cというのは、このように選択的に実験で使う薬剤、リガンドは別として、通常の薬剤はほとんど区別ができなくて、一般的には両方活性を持っているというような薬物が多いと思います。ですから、どちらも評価をしておくべきだということで出されていると理解しました。

○事務局 恐らくそういうことだと考えます。

○鈴木部会長 私も薬理をやっていますので、これに関しては2A、2C両方を見ておいた方がよろしいと思います。いずれにしても、この辺はまだまだ問題があって、これを見ておけば良いというようにはなかなか言えないので、可能な限り幅広く評価をしていくというのがベストではないかと思います。ほかに御質問はありませんでしょうか。

□□委員 一つ、一般的な質問ですけれど、非常に強烈な行動抑制作用、痙攣を起こしたりするような薬物が出てきた場合、指定薬物の審議の中で、例えばこの薬物については、もう少しメカニズムをきちんと押さえてから指定、麻薬の方に挙げるとかいうようなときの判断はどのようにされているのでしょうか。

○事務局 指定薬物から麻薬に指定をするときの一つの要素としては、指定薬物として指定をした後もまだ乱用が見られるというような状況があるときに、さらに規制を強化するという意味合いで麻薬に規制するということをしています。今回のものも作用が強いのですが、指定薬物に指定したことによって、流通がなくなれば、もうそれで規制の目的が達成されているので、それ以上のことはする予定はありません。

□□委員 要するに流通との関係でということですか。

○事務局 はい。

□□委員 分かりました。

○鈴木部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。それでは、発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。ただ今御審議いただきました3物質は、いずれも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

 はい、ありがとうございました。それでは引き続き、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。

 また、いわゆる正規用途については、今のところ確認されておりません。いずれにしましても、可能な限り適正使用に支障を来さないよう対応する所存です。以上です。

○鈴木部会長 本日の議題は以上です。事務局から、その他の連絡があればお願いいたします。

○事務局 次回の部会日程については、9月中を予定しています。正式に決まり次第御連絡させていただきます。また、本部会の資料は回収させていただきますので、そのまま机の上に置いていただければと思います。

○鈴木部会長 委員の先生方、本日は御審議ありがとうございました。以上をもちまして、平成27年度第5回指定薬物部会を閉会いたします。

 


(了)

備  考
 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 渕岡(2779)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(指定薬物部会)> 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録(2015年8月18日)

ページの先頭へ戻る